説明

新規インダゾール及びインドロン誘導体及び調合剤としてのそれらの使用

本発明は、一種のドーパミンアゴニストであり、より具体的には、D2と比べてD3に選択的である一種のアゴニストである式(I)の化合物を提供する。これらの化合物は、性機能不全、例えば女性の性機能不全(FSD)、特に、女性の性的喚起障害(FSAD)、性的欲求低下障害(HSDD;セックスへの関心の欠如)、女性のオルガスムス障害(FOD;オルガスム不能);及び、男性の性的機能不全、特に、男性の勃起不全(MED)の治療及び/又は予防のために有用である。本明細書に言及されるように男性の性的機能不全は、早漏のような射精障害、快感欠如(オルガスム不能)、又は性的欲求低下障害(HSDD;セックスへの関心の欠如)のような欲求障害を含むことが意味される。これらの化合物はまた、神経精神障害及び神経変性障害を治療するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種のドーパミンアゴニスト、より具体的には、D2と比べてD3に選択的である一種のアゴニストに関する。これらの化合物は、性機能不全、例えば、女性の性機能不全(FSD)、特に、女性の性的喚起障害(FSAD)、性的欲求低下障害(HSDD;セックスへの関心の欠如)、女性のオルガスムス障害(FOD;オルガスムに達することができない);及び、男性の性的機能不全、特に、男性の勃起不全(MED)の治療及び/又は予防のために有用である。本明細書中に言及されるように男性の性的機能不全は、早漏のような射精障害、快感欠如(オルガスムに達することができない)、又は性的欲求低下障害(HSDD;セックスへの関心の欠如)のような欲求障害を含むことが意味される。
【発明の開示】
【0002】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
Aは、N又はC=Oから選択され;
Xは、H、メチル、エチル、OH、OCH、OCHCH、ハロ、SCH、CN又はCFから選択され;
−−−−−(式(I)中のダッシュを引いた結合)は、AがNである場合は単結合を表し、そして、AがC=Oである場合は存在せず;
は、下記:
【化2】

{式中、
Zは、O又はCHを表し;
は、H又は(C−C)アルキルを表し;ここで、前記(C−C)アルキルは、(C−C)アルキル、OR、フェニル、又はヘテロアリールによって場合により置換されもよく;
は、H又は(C−C)アルキルを表し;ここで、前記(C−C)アルキルは、ORによって場合により置換されてもよく;
は、H又は(C−C)アルキルを表し;
は、H、メチル、エチル、メトキシ、又はエトキシを表し;
は、(C−C)アルキルを表し;
は、H又は(C−C)アルキルを表し;ここで、前記(C−C)アルキルは、OR、フェニル又は置換されたフェニルから各々独立に選択される1又は2個の置換基で場合により置換されてもよく;
は、H、(C−C)アルキル、フェニル、又は(CH)フェニルを表し;
ここで、ヘテロアリールは、1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族環を意味し、当該へテロ原子は、O、S及びNから各々独立して選択され;当該ヘテロアリールは、(C−C)アルキル、ハロ及びORから選択される1個又はそれより多くの置換基で場合により置換されてもよく、各置換基は、同一であるか又は異なっていてもよく;そして、
ここで、置換されたフェニルは、(C−C)アルキル、ハロ及びORから選択される1個又はそれ多くの置換基で置換されたフェニルを意味し、各置換基は同一であるか又は異なっていてもよく;
ただし:
AがC=Oである場合、ZはOであり;そして、
AがC=Oであり、XがHであり、及びRが(IV)である場合、RはHであることができない}
から選択される]
で表される化合物、並びにそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物、多形及びプロドラッグを提供する。
【0003】
他に指示がない限り、(C−C)アルキルは、直鎖又は分岐であってもよい。
適したヘテロアリール基は、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルを含む。
【0004】
他に指示がない限り、用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。
他に指示がない限り、用語「置換された」は、1個又はそれより多くの定義された基によって置換されたことを意味する。基が、多数の代替の基から選択され得る場合には、その選択された基は、同一であるか又は異なっていてもよい。
【0005】
式(I)の化合物の医薬として許容される塩は、それらの酸付加塩を含む。
式(I)の化合物の医薬として許容される塩は、式(I)の化合物及び所望の酸とを一緒に混合することによって容易に調製することができる。その塩は、溶液から沈殿し、ろ過によって回収するか、又は、溶媒の蒸発によって回収することができる。
【0006】
適した酸付加塩は、非毒性な塩を形成する酸から形成される。例には、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ベシル酸、重炭酸/炭酸、重硫酸/硫酸、ホウ酸、カムシル酸、クエン酸、シクラミン酸、エジシル酸、エシル酸、ギ酸、フマル酸、グルセプテート(gluceptate)、グルコン酸、グルクロン酸、ヘキサフルオロリン酸、ヒベンズ酸、塩酸/塩化物、臭化水素酸/臭化物、ヨウ化水素酸/ヨウ化物、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、メシル酸、メチル硫酸、ナフチル酸、2−ナプシル酸、ニコチン酸、硝酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸/一水素、リン酸/二水素、リン酸、ピログルタミン酸、サッカレート、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸、及びキノホエート(xinofoate)の塩が含まれる。
【0007】
酸及び塩基のヘミ塩(hemisalt)もまた形成することができ、例えば、ヘミ硫酸塩及びヘミカルシウム塩である。
適した塩に関する概要については、Stahl及びWermuthによるHandbook of Pharmaceutical Salts: Properties,Selection,and Use(Wiley−VCH,2002年)を参照されたい。
【0008】
式Iの化合物の医薬として許容される塩は、下記:
(i)式Iの化合物と所望の酸とを反応させること;
(ii)式Iの化合物の適した前駆体から酸若しくは塩基に不安定な保護基を除去すること、又は適した環状前駆体、例えば、ラクトン若しくはラクタムを所望の酸を用いて開環させること;あるいは
(iii)適切な酸との反応により、又は適したイオン交換カラムの手段により、式Iの化合物の1つの塩を別の塩に変換すること
の3つの方法のうちの1つ又はそれより多くの方法によって製造することができる。
【0009】
3つ全ての反応は、典型的には、溶液中で実行される。得られる塩を沈殿させ、ろ過によって回収するか、又は溶媒の蒸発によって回収することができる。得られる塩におけるイオン化の程度は、完全にイオン化されたものからほとんどイオン化されていないものまで変化してよい。
【0010】
本発明の化合物は、完全非結晶から完全結晶までの範囲の固体状態が一体となって存在することができる。用語「非結晶の」は、物質が分子レベルで長距離秩序を欠如し、温度に依存して、固体又は液体の物理的特性を提示することができる状態を意味する。典型的には、このような物質は、特徴的なX線回折パターンを与えないが、一方で、固体の特性を提示し、より形式的には液体として表される。加熱により、固体から液体の特性へと変化が生じ、状態の変化、典型的には2次(「ガラス転移」)によって特徴付けられる。用語「結晶の」は、物質が分子レベルで規則正しい秩序ある内部構造を有し、明確なピークをもつ特徴的なX線回折パターンを与える固体相を意味する。このような物質は、十分に加熱された場合、同時に液体の特性をも提示するであろうが、しかし、固体から液体への変化は、相変化、典型的には1次(「融点」)によって特徴付けられる。
【0011】
本発明の化合物はまた、非溶媒和形態及び溶媒和形態で存在することができる。用語「溶媒和」は、本明細書において、本発明の化合物と1個又はそれより多くの医薬として許容される溶媒分子、例えばエタノールを含む分子複合体を記述するために使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に使用される。
【0012】
式(I)の化合物の医薬として許容される溶媒和物は、その水和物を含む。
有機水和物について現在容認されている分類システムは、単離された部位、チャネル、又は金属イオンを配位した水和物を定義するものである−K.R.MorrisによるPolymorphism in Pharmaceutical Solids(H.G.Brittain,Marcel Dekker編集,1995年)を参照されたい。単離された部位水和物は、有機分子を介入することによって、互いに直接的な接触から水分子が単離されるものである。チャネル水和物では、水分子が、他の水分子に隣接する格子チャネルに位置する。金属イオンを配位した水和物では、水分子は金属イオンと結合する。
【0013】
溶媒又は水が強固に結合している場合、複合体は、湿気とは無関係な明確に定義された化学量論を有するであろう。しかしながら、溶媒又は水が弱く結合している場合、チャネル溶媒和物及び吸湿性化合物において見られるように、水/溶媒内容物は湿気及び乾燥条件に依存するであろう。そのような場合、非化学量論が基準となるであろう。
【0014】
以下、式Iの化合物についての全ての言及は、それらの塩及び溶媒和物への言及が含まれる。
本発明の化合物は、前記で定義したように、式Iの化合物を含み、その全ての多形及び晶癖、以下に定義されるそれらのプロドラッグ及び異性体(光学異性体、幾何異性体及び互変異性体を含む)、及び同位体で標識した式Iの化合物を含む。
【0015】
本発明の範囲内には、式Iの化合物の全ての立体異性体、幾何異性体及び互変形態を含み、1より多くの異性型を提示する化合物、及びその1個又はそれより多くの混合物を含む。また、対イオンが光学的に活性(例えば、d−乳酸塩若しくはl−リジン)であり、又はラセミ(例えば、dl−酒石酸塩若しくはdl−アルギニン)である、酸付加塩又は塩基性塩も含まれる。
【0016】
式(I)の化合物は、1個又はそれより多くの不斉中心炭素原子を含有し、したがって、2個又はそれより多くの立体異性形態が存在する。さらに、当業者は、部分(II)が、全ての立体異性形態及びジアステレオ異性体の形態、特に:
【化3】

を包含することを理解するであろう。
【0017】
ジアステレオ異性体の分離は、式(I)の化合物の立体異性的な混合物、又はその適した塩若しくは誘導体の慣用的な手法、例えば、分別結晶、クロマトグラフィー又はHPLCによって達成することができる。式(I)の化合物の個々の鏡像異性体はまた、対応する光学的に純粋な中間体から製造することができ、あるいは、適したキラル支持体を用いた対応するラセミ化合物の分離、例えばHPLCによって、又は、必要に応じて、適した光学的に活性な酸若しくは塩を用いて対応するラセミ化合物の反応によって形成したジアステレオマー異性体塩の分別結晶によって製造することができる。
【0018】
本発明は、医薬として許容される同位元素で標識した式Iの化合物を全て含み、ここで、1個又はそれより多くの原子が同じ原子番号を有する原子によって置換されるが、原子質量又は質量数が天然に優位である原子質量又は質量数とは異なる。
【0019】
本発明の化合物への取り込みに適した同位元素の例は、水素の同位体、例えばH及びH、炭素の同位体、例えば11C、13C及び14C、塩素の同位体、例えば36Cl、フッ素の同位体、例えば18F、ヨウ素の同位体、例えば123I及び125I、窒素の同位体、例えば13N及び15N、酸素の同位体、例えば15O、17O及び18O、リンの同位体、例えば32P、及び硫黄の同位体、例えば35Sを含む。
【0020】
ある種の同位元素で標識した式Iの化合物は、例えば、放射性同位元素を取り込んでいるものであり、薬剤及び/又は基質の組織分布検定に有用である。放射性同位元素のトリチウム、即ちH、及び炭素−14、即ち14Cは、それらの取り込みの容易さ及び検出に即座に使える手段ということを考慮して、本目的に特に有用である。
【0021】
デューテリウム、即ちHのようなより重い同位元素による置換は、より大きな代謝安定性によって生じるある種の治療的利点、例えばインビボでの半減期の増加又は服用要件の減少を与えることができ、したがって、ある状況下では好ましいかもしれない。
【0022】
11C、18F、15O及び13Nのような陽電子放出同位元素による置換は、基質受容体占有を調べるための陽電子放出断層撮影(Positron Emission Topography)(PET)による検定に有用であり得る。
【0023】
同位元素で標識した式Iの化合物は、当業者に既知の慣用的な手法によって、又は予め使用した非標識の試薬に換えて適切な同位元素で標識した試薬を用いて、添付の実施例及び製造例に記載される手法に類似の方法によって、一般的に調製することができる。
本発明に従って、医薬として許容される溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位元素的に置換されていてもよい溶媒和物、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOを含む。
【0024】
本発明の下記の態様は、特に好ましい:
好ましくは、Xは、H、メチル、OH、OCH、F、Cl、CN又はCFから選択され、
より好ましくは、Xは、H、OH、F、又はCNから選択され、
最も好ましくは、Xは、Hである。
【0025】
好ましくは、ヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、及びピラジニルから選択され;各々は、(C−C)アルキル、ハロ、及びORから選択される1個又はそれより多くの置換基で場合により置換され、各置換基は、同一であるか又は異なっていてもよい。
【0026】
より好ましくは、ヘテロアリールは、ピリジニル及びピリミジニルから選択され;各々は、(C−C)アルキル、ハロ、及びORから選択される1個又はそれより多くの置換基で場合により置換され、各置換基は、同一であるか又は異なっていてもよい。
【0027】
最も好ましくは、ヘテロアリールは、ピリジニル及びピリミジニルから選択され;各々は、メチル、フルオロ、クロロ、及びメトキシから選択される1又は2個の置換基で場合により置換され、各置換基は、同一であるか又は異なっていてもよい。
【0028】
が、部分(II)によって表される場合:
部分(IIa)及び(IIb)が好ましい。
部分(IIa)は、特に好ましい。
【0029】
好ましくは、Zは、Oを表す。
好ましくは、Rは、(C−C)アルキルを表し、
より好ましくは、Rは、メチル、エチル又はプロピルを表し、
最も好ましくは、Rは、n−プロピルを表す。
【0030】
好ましくは、Rは、H又は(C−C)アルキルを表し、
より好ましくは、Rは、H、メチル、エチル又はプロピルを表し、
最も好ましくは、Rは、H、メチル又はエチルを表す。
【0031】
好ましくは、Rは、H又は(C−C)アルキルを表し、
より好ましくは、Rは、H、メチル又はエチルを表し、
最も好ましくは、Rは、Hを表す。
【0032】
が、部分(III)によって表される場合:
好ましくは、Aは、Nである。
好ましくは、フェニル又はヘテロアリールによって場合により置換される(C−C)アルキルを表し、
より好ましくは、Rは、エチル、プロピル、又はブチルを表し、各々は、フェニルによって場合により置換される。
最も好ましくは、Rは、エチル又はプロピルを表し、各々は、フェニルによって場合により置換される。
【0033】
が、部分(IV)によって表される場合:
好ましくは、Aは、Nである。
好ましくは、Rは、H、メチル、及びメトキシから選択され、
より好ましくは、Rは、H及びメトキシから選択され、
最も好ましくは、Rは、Hである。
【0034】
好ましくは、Rは、(C−C)アルキルから選択され、
より好ましくは、Rは、メチル、エチル、及びn−プロピルから選択され、
最も好ましくは、Rは、n−プロピルである。
【0035】
好ましくは、Rは、H及び(C−C)アルキルから選択され;ここで、当該(C−C)アルキルは、1若しくは2個のOR又はフェニル基で場合により置換されてもよく、
より好ましくは、Rは、H及びメチルから選択され、
最も好ましくは、Rは、Hである。
【0036】
好ましくは、Rは、部分(II)及び(IV)から選択され、
より好ましくは、Rは、(IIa)、(IIb)、及び(IV)から選択され、
最も好ましくは、Rは、部分(IIa)及び(IV)から選択される。
【0037】
好ましくは、Rは、H、(C−C)アルキル、フェニル、又は(CH)フェニルを表し、
より好ましくは、Rは、H、メチル、又は(CH)フェニルを表し、
最も好ましくは、Rは、H又は(CH)フェニルを表す。
【0038】
特に好ましい本発明の化合物(及びその塩)は、本明細書中に例示され;より好ましくは、
4−[(2R,5S)−5−メチル−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール(実施例1);
4−[(1−(2−エチル)アゼチジン−3−イル]−1H−インダゾール(実施例7);
4−[1−(3−フェニルプロピル)アゼチジン−3−イル]−1H−インダゾール(実施例10);
4−(1−プロピルアゼチジン−3−イル)−1H−インダゾール(実施例13);
4−[(2R)−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(実施例14);
4−[(2R,5S)−5−メチル−4−プロピル−モルホリン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(実施例17);
N−[2−(1H−インダゾール−4−イル)エチル]−N−プロピルアミン(実施例18);
4−[(2R,5S)−5−メチル−4−エチルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール;及び
4−[(2S,5S)−5−メチル−4−エチルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール(実施例19及び20)
である。
【0039】
本発明の化合物は、既知の手法により、種々の方法で製造することができる。下記の経路は、式(I)の化合物を合成する方法を説明する。
下記のスキームの変形を通じて、任意の適した窒素保護基を使用することができる(“Protecting Groups in Organic Synthesis”第3版 T.W.Greene及びP.G.Wuts,Wiley−Interscience,1999年に記載される通りである)。本明細書中での使用に適した一般的な窒素保護基(PG)は、tert−ブトキシカルボニルであり、ジクロロメタンのような有機溶媒中でトリフルオロ酢酸又は塩化水素のような酸を用いた処理によって容易に除去される。本明細書中に記載されるインダゾールを用いる使用のための特に適した窒素保護基は、トリフェニルメチル(トリチル)であり、ジクロロメタンのような有機溶媒中でトリフルオロ酢酸、硫酸又は塩化水素のような酸を用いた処理によって容易に除去される。本明細書中に記載されるインドールを用いる使用のための特に適した窒素保護基は、トリイソプロピルシリル(TIPS)であり、ジクロロメタンのような有機溶媒中で硫酸のような酸を用いた処理によって容易に除去される。
【0040】
当業者は、前記で検討したような窒素保護基に加えて、式Iの化合物の合成過程の種々の時間で、例えば、ヒドロキシ基のような更なる基を適した保護基で保護し、次に、保護基を除去することが必要となるかもしれないと認識するであろう。任意の特定の基の脱保護の方法は、保護基に依存するであろう。保護/脱保護の方法論の例については、“Protective groups in Organic synthesis”TW Greene及びPGM Wutzを参照されたい。例えば、メチルエーテルのようなヒドロキシ基が保護される場合、脱保護の条件は、48%のHBr水溶液中で1−24時間還流し、又はジクロロメタン中で1−24時間、三臭化ボランと共に撹拌することを含む。その代わりに、ベンジルエーテルのようなヒドロキシ基が保護される場合、水素雰囲気下でパラジウム触媒を用いた水素化を含む。
【0041】
式(I)(式中、R及びXは上記で記載される通りであり、A及びRは、本明細書中に記載される通りである)の化合物は、反応スキーム1に従って製造することができる。
【0042】
【化4】

【0043】
式(III)の化合物は、i)KOAcの存在下でAcOと式(II)の化合物とを反応させ、続いて、ii)亜硝酸イソアミルを用いて処理することによって調製することができる。典型的な条件は、溶媒としてトルエンを用いて、60℃で30分間、1当量のアニリン(II)と、3当量のAcO及び1−1.5当量のKOAcを含み、続く、イソアミルントリト(1.5当量)との処理を含む。式(II)の化合物は、商業的に利用可能である。
【0044】
式(IV)の化合物は、式(III)の化合物とiii)適した酸とを反応させることによって調製することができる。典型的な条件は、5MのHCl水溶液中で溶液として1当量のアシルインダゾール(III)であり、50℃の温度で15分間、過剰の濃縮塩酸で処理し、次に、60℃で15分間撹拌することを含む。
【0045】
式(V)(式中、例えば、PGはトリチルである)の化合物は、式(IV)の化合物とiv)クロロトリフェニルメタン又はブロモトリフェニルメタンとを塩基の存在下で反応させることによって製造することができる。典型的な条件は、室温で18時間、溶媒としてジクロロメタンを用いて、1当量のインダゾール(IV)と1当量のクロロトリフェニルメタン及び1−3当量のトリエチルアミンを含む。
【0046】
式(VII)の化合物は、式(VI)の化合物とv)Zn/Cuカップルを超音波処理しながら反応させ、式(V)の化合物、及び適したパラジウム触媒、並びにリガンドを添加し、70℃で18時間加熱することによって製造することができる。典型的な条件は、室温で4時間、超音波処理しながら、DMF中の40wt%のZn/Cuカップルと共に1当量のアゼチジン(VI)を含み、1.05当量のインダゾール(V)、0.05当量のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)及び0.1当量のトリス−o−フリルホスフィンを添加し、70℃で18時間加熱することを含む。式(VI)の化合物は、Synlett,4,1998,379に記載されるように調製することができる。
【0047】
式(VIII)の化合物は、室温又はそれ以上の温度のいずれかで、好ましくはEtSiHのようなカチオンスカベンジャーの存在下で、ジクロロメタン又はジエチルエーテルのような適した溶媒中で、式(VII)の化合物とvi)適した酸、例えばHCl又はTFAとを反応させることによって調製することができる。典型的な条件は、室温で90分間、1当量のインダゾールアゼチジン(VII)と、CHCl中の過剰のトリフルオロ酢酸及び1.5当量のEtSiHとを含む。
【0048】
式(I)の化合物は、ジクロロメタン又はテトラヒドロフランのような適した溶媒中で、場合によっては酢酸を添加して、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウムのような1−5当量の適した還元剤の存在下で、室温で、適した溶媒中でvii)1−5当量の必要とされるアルデヒドと式(VIII)の化合物とを反応させることによって製造することができる。典型的な例は、室温で18時間、1当量のインダゾールアゼチジン(VIII)と、ジクロロメタン中の3.1当量のアルデヒド及び3.1当量のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを含む。
【0049】
式(I)(式中、X、R、R及びRは、上記で定義される通りであり、A、R及びZは本明細書中で記載される通りである)の化合物は、反応スキーム2に従って製造することができる。
【0050】
【化5】

【0051】
式(XI)の化合物は、トリエチルアミン又は4−メチルモルホリンのような塩基の存在下で、式(IX)の化合物とviii)式(X)のアミノアルコールとを反応させることによって調製することができる。典型的な条件は、溶媒としてトルエンを用いて、室温又はそれ以上で、1当量のアミノアルコール(X)と、1−3当量のトリエチルアミン及び1当量の式(IX)の化合物を含む。式(IX)の化合物は、商業的に利用可能である。
【0052】
式(XII)の化合物は、式(XI)の化合物とix)式(V)の臭化物(又は類似したヨウ化物)から形成した有機金属試薬とを反応させることによって調製することができる。適した有機金属試薬は、グリニャール試薬(有機マグネシウム)又は有機リチウム試薬を含み、ハロゲン金属交換によって臭化物から調製することができる。典型的な条件は、−70℃以下の温度で(ハロゲン金蔵交換反応を実行するため)、テトラヒドロフランのような無水エーテル溶媒中で臭化物(V)にt−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M)を添加し、次にモルホリノン(XI)の添加を含む。
【0053】
モルホリノール(XII)は、x)メタノールのようなアルコール溶媒中で、水素化ホウ素ナトリウムのようなヒドリド還元剤を用いた反応によって、ジオール(XIII)に還元することができる。典型的な条件は、室温で、エタノール水溶液中でモルホリノール(XII)に4当量の還元剤の添加を含む。
【0054】
式(I)の化合物は、xi)適した酸の存在下で、脱保護及び結晶化によって、ジオール(XIII)から調製することができる。典型的な条件は、室温又はそれ以上で、ジクロロメタン中で、1.0当量の化合物(XIII)及び過剰の濃HSOを含む。
【0055】
式(I)(式中、X、R、R及びRは、上記で定義される通りであり、A、Z及びRは、本明細書中で記載される通りである)の化合物は、反応スキーム3に従って製造することができる。
【0056】
【化6】

【0057】
式(XIV)(式中、例えば、PGはTIPSである)の化合物は、適した塩基の存在下で、トリイソプロピルシリルハロゲン化物との反応によって、4−ブロモインドールから製造することができる。典型的な条件は、還元温度で、溶媒としてTHF中で塩基を4−ブロモインドールに添加し、トリイソプロピルシリル塩化物を添加し、次に、還流して加熱することを含む。4−ブロモインドールは、商業的に利用可能である。
【0058】
式(XV)の化合物は、式(XI)の化合物と、ix)式(XIV)の臭化物から形成した有機金属試薬とを反応させることによって製造することができる。適した有機金属試薬は、グリニャール試薬(有機マグネシウム)又は有機リチウム試薬を含み、ハロゲン金属交換によって臭化物から調製することができる。典型的な条件は、−70℃以下の温度で(ハロゲン金蔵交換反応を実行するため)、テトラヒドロフランのような無水エーテル溶媒中で臭化物(XIV)にt−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M)を添加し、次にモルホリノン(XI)の添加を含む。
【0059】
式(XVI)の化合物は、x)メタノールのようなアルコール溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムのようなヒドリド還元剤との反応によって、モルホリノール(XV)の還元により製造することができる。典型的な条件は、室温でエタノール水溶液中で4当量の還元剤をモルホリノール(XV)への添加を含む。
【0060】
式(XVII)のインドールは、適した酸の存在下で、xi)脱保護及び結晶化によって、ジオール(XVI)から調製することができる。典型的な条件は、室温又はそれ以上でジクロロメタン中で1.0当量の化合物(XVI)及び過剰の濃HSOを含む。
【0061】
式(XVIII)の化合物は、xii)適した溶媒中の三臭化ピリジニウムの添加によって、式(XVII)のインドールから調製することができる。典型的な条件は、室温でt−ブタノール中の式(XVII)のインドールに3当量のピリジニウム・三臭化物の添加を含む。
【0062】
式(I)の化合物は、xiii)適した溶媒中で亜鉛粉を添加することによって式(XVIII)の化合物から調製することができる。典型的な条件は、室温で氷酢酸中の式(XVIII)の化合物に10当量の亜鉛粉を添加することを含む。
【0063】
式(I)(式中、X、R、R及びRは、上記で定義される通りであり、A、Z及びRは、本明細書中に記載される通りである)の化合物は、反応スキーム4に従って調製することができる。
【化7】

【0064】
式(IXX)の化合物は、xiv)適した塩基及び適したパラジウム触媒の存在下で、3−ピリジルボラン(又は類似のボロン酸)と反応させることによって、式(V)の化合物から調製することができる。典型的な条件は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)及び炭酸ナトリウムの存在下で、溶媒としてトルエン/エタノール中の式(V)の化合物に3−ピリジルボランの添加、次に還流して加熱することを含む。3−ピリジルボラン(又は類似のボロン酸)の例は、商業的に利用可能である。
【0065】
式(XX)の化合物は、xv)ヨウ化アルキルの添加によって、式(IXX)の化合物から製造することができる。典型的な条件は、アセトニトリルのような適した溶媒中で式(IXX)の化合物へのヨウ化アルキルの添加、次いで、還流して加熱することを含む。
【0066】
式(I)の化合物は、xvi)水素化によって式(XX)の化合物から調製することができる。典型的な条件は、PtOのような適した触媒の存在下で、エタノールのような適した溶媒中で、高圧で式(XX)の化合物の水素化を含む。
【0067】
先行する方法に使用する上記反応物及び新規出発原料の調製物の全ては、慣用的で適切な試薬であり、それらの実行又は調製の反応条件、並びに、所望の製造物を単離する手法は、先行する文献、並びに本明細書中の実施例及び製造例を参照して、当業者に周知であろう。
【0068】
本発明の化合物は、疾患状態の治療において、選択的D3アゴニストとしての利用性を有する。D2及びD3アゴニストの両者としての活性を有する化合物が多く存在するが;しかしながら、このような化合物の使用は、吐き気、嘔吐、失神、低血圧及び徐脈を含む大多数の副作用と関係し、そのうちいくつかは重大な懸念の原因となる。
【0069】
先行技術の化合物の有効性がD2を作動する能力に起因することが以前に挙げられたが;しかしながら、D2作動性は、上記で詳述した副作用の原因として関わりがある。
本発明は、一種の選択的D3アゴニストを提供する。予期せずに、これらは有効であるこが見出され、一方、非選択的な先行技術の化合物と関係した副作用を減少する。
【0070】
したがって、本発明の更なる側面は、医薬としての使用のために式(I)の化合物を提供する。
本発明の化合物は、特に、性機能不全、性的欲求低下障害、女性の性的喚起障害、女性のオルガスムス障害及び性的疼痛障害を含む女性の性機能不全;男性の勃起不全、高血圧、神経変性障害、うつ病、及び精神病の治療に有用である。
【0071】
したがって、本発明は、性機能不全の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
本発明の化合物は、男性の性機能不全、特に、男性の勃起不全に有用である。男性の勃起不全(MED)は、別に男性の勃起障害として知られ、
「十分な性行為のためのペニスの勃起を達成し及び/又は維持することができない」(NIH Consensus Development Panel on Impotence,1993)
として定義される。
【0072】
あらゆる程度(軽度、中程度及び完全なインポテンス)の勃起不全(ED)の有病率は、40〜70歳の男性で52%であり、70歳を超えたヒトではより高い率である(Melmaら,1999,J.Urology,161,p5−11)。その症状は、個人及びそれらのパートナーの生活の質における重大な負の影響があり、しばしば、うつ病及び低い自己評価に導く不安及び緊張の増加に帰着する。20年前、MEDは、初期には、心理学的障害であると考えられていたが(Benetら,1994,Comp.Ther.,20:669−673)、現在は、大多数の個人については、根本的な生物的原因があることが知られている。結果として、かなり方法が、正常な陰茎勃起のメカニズム及びMEDの病理生理学を同定するのになされている。
【0073】
陰茎勃起は、陰茎の海綿体の平滑筋及び血管の収縮及び弛緩のバランスに依存する血行動態事象である(Lernerら、1993、J.Urology,149,1256−1255)。海綿体の平滑筋はまた、本明細書において身体の平滑筋、又は複数形で海綿体を意味する。海綿体の平滑筋の弛緩は、海綿体の小柱腔への血流の増加に導き、結果として包囲膜に対して拡張させ、そして排液脈を圧迫させる。これは、勃起に帰着する血圧の多大な上昇を生ずる(Naylor,1998,Br.J.Urology,81,424−431)。
【0074】
勃起過程中に発生する変化は複雑であり、末梢及び中心神経系、並びに内分泌系に関わる高い程度の協調した制御を要求する(Naylor,1998,Br.J.Urology,81,424−431)。身体の平滑筋は、シナプス後のαアドレナリン受容体の活性化合物を通して交換神経系のノルアドレナリン作動性の神経支配によって調節される。MEDは、海綿体の内因性の平滑筋の緊張の増加に関係し得る。しかしながら、身体の平滑筋の弛緩の過程は、部分的には、非アドレナリン性の、非コリン作用性(NANC)の神経伝達によって仲介される。NO以外の陰茎に見出された多くの他のNANC神経伝達物質、例えば、カルシトニン遺伝性関連ペプチド(CGRP)及び血管作用性腸管ペプチド(VIP)がある。この弛緩の仲介に関与する主な弛緩因子は、一酸化窒素(NO)であり、一酸化窒素シンターゼ(NOS)によるL−アルギニンから合成される(Taubら,1993 Urology,42,698−704)。身体の平滑筋の緊張の減少はNOによる海綿体の弛緩の誘導を補助することができると考えられる。男性における性的興奮中に、NOは、ニューロン及び内皮から放出され、平滑筋細胞及び内皮に局在した可溶性のグアニル酸シクラーゼ(sGC)に結合し活性化して、細胞内サイクリックグアノシン3’、5’−モノホスフェート(cGMP)レベルの上昇へと導く。cGMPにおけるこの上昇は、プロテインキナーゼG活性化と関係すると考えられる未知のメカニズムを介して(おそらくはCa2+ポンプ及びCa2+活性化Kチャネルによる)、細胞内カルシウム濃度([Ca2+)における減少による海綿体の弛緩に導く。
【0075】
多数の潜在的部位が、性行動の調節に関して中心神経系内で同定されている。主要な神経伝達物質は、セロトニン、ノルエピネフェリン、オキシトシン、一酸化窒素及びドーパミンであると考えられている。これらの主要な神経伝達物質の1つの作用を真似ることによって、性機能を調整することができる。ドーパミンD3受容体は、脳、報酬に関与する領域、情緒及び認識過程の辺縁領域でほとんど過剰に発現される。
【0076】
いかなる理論にも束縛されることなく、「運動活性の制御におけるその役割により、黒質線条体のドーパミン作動性経路の全体性はまた、交尾行動の提示に本質的であるようである。幾分、性機能により特異的に、ドーパミンは、視床下部の脳室周囲核に局在するオキシトシンのニューロン、及びおそらく脊髄内の前勃起性仙骨の副交感神経中心部分に作用することによって陰茎勃起を引き起こすことができるらしい」ようである。現在、重要な部位は、D3であり、以前には考えられていたD2ではないようである。
【0077】
本質的に、D3は、性行動の開始剤である。
したがって、本発明は、性機能不全の治療又は予防のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
【0078】
軽度から中程度のMEDである患者は、本発明に係る化合物を用いた治療から利益を受けるはずであり、そして、重篤なMEDを患っている患者もまた対応できる。しかしながら、初期の研究は、軽度、中程度及び重度のMEDの患者の応答率が、選択的なD3アゴニスト/PDE5阻害剤の組み合わせを用いてより大きくなることを示唆する。軽度、中程度及び重度のMEDは、当業者に既知の用語であろうが、しかし、The Journal of Urology,vol.151,54−61(Jan 1994)に手引きを見出すことができる。
【0079】
初期の研究は、下記に言及したMED患者群が選択的D3アゴニスト及びPDE5i(又は以下に記載した他の組み合わせ)を用いた治療から利益を受けるはずであることを示唆する。これの患者群は、より詳細には、Clinical Andrology vol.23,no.4,p773−782、及びI.Eardley及びK.Sethiaによる書籍「Erectile Dysfunction−Current Investigation and Management」の3章に記載され、下記:心因性、臓器系、血管系、内分泌系、神経性、動脈系、薬物誘導の性機能不全(催乳性)及び海綿体因子に関連した性機能不全、特に静脈性の原因である。
【0080】
したがって、本発明は、性機能不全の治療のためのPDE5阻害剤と併用した医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
適したPDE5阻害剤は、本明細書中に記載される。
【0081】
本発明の化合物は、女性の性機能不全(FSD)、特に女性の性的喚起障害(FSAD)、性的欲求低下障害(HSDD;セックスへの関心の欠如)、付随的なHSDDを伴うFSAD、及び女性のオルガスムス障害(FOD;オルガスムに達することができない)の治療又は予防に有用である。
【0082】
本発明によれば、FSDは、女性が性的表現において満足を見出すことが困難であるか又はできないことと定義することができる。FSDは、いくつかの多様な女性の性的障害の総称である(Leiblum,S.R.(1998)−Definition and Classiication of female sexual disorders.Int.J.Impotence Res.,10,S104−S106;Berman,J.R.,Berman,L.&Goldstein,I.(1999)−Female sexual dysfunction:Incidence,pathophysiology,evaluations and treatmen options.Urology,54,385−391)。その女性は、欲望の不足、興奮又はオルガスムの困難さ、性交時の疼痛、又はこれらの問題の組合せを有するかもしれない。いくつかの種類の疾患、投薬、損傷、又は生理学的な問題がFSDを引き起こす場合がある。開発中の治療法は、特定のFSDのサブタイプ、主として欲望及び興奮の障害を治療することを目標としている。
【0083】
FSDのカテゴリーは、正常な女性の性的応答:欲望、興奮、及びオルガスムの段階にそれらを対比することによって最もよく定義される(Leiblum,S.R.(1998)−Definition and Classiication of female sexual disorders.Int.J.Impotence Res.,10,S104−S106)。欲望又はリビドーは、性的発現の衝動である。その表出には、しばしば、関心のあるパートナーと交際中にある場合、又は他の性愛の刺激へ曝される場合の性的思考が含まれる。興奮は、性的刺激に対する血管系の応答(その重要な構成要素は、性器の充血である)であり、膣潤滑の増加、膣の拡張、及び性器の感覚/感受性の増加が含まれる。オルガスムは、興奮の間に最高潮に達した性的緊張の放出である。
【0084】
したがって、FSDが生じるのは、これらの段階のいずれか、通常は欲望、興奮、又はオルガスムにおいて女性が不十分又は不満足な応答を有する場合である。FSDのカテゴリーには、性欲低下障害、性的興奮障害、オルガスム障害、及び性的疼痛障害が含まれる。本発明の化合物は、性的刺激に対する性器の応答(女性の性的興奮障害にあるような)を改善するが、そうするときには、性交に関連した疼痛、不安、及び不快感も改善し、女性の他の性的障害も治療することができる。
【0085】
性欲低下障害が存在するのは、女性がセクシャルであろうとする欲望を全く又はほとんど有さず、性的な思考や幻想を全く又はほとんど有さない場合である。この型のFSDは、自然閉経又は外科的閉経のいずれかによる低テストステロンレベルにより引き起こされる場合がある。他の原因には、病気、投薬、疲労、うつ病、及び不安が含まれる。
【0086】
女性の性的喚起障害(FSAD)は、性的刺激に対する不十分な性器応答を特徴とする。性器は、正常な性的興奮を特徴付ける充血に至らない。膣壁がほとんど潤滑化しないので、性交は苦痛になる。オルガスムも妨げられる場合がある。喚起障害は、閉経時又は出産後、及び授乳期の、並びに糖尿病や動脈硬化症のような血管系の構成要素を伴う病気によるエストロゲン低下により引き起こされる場合がある。他の原因は、利尿剤、抗ヒスタミン剤、抗うつ薬、例えば選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)、又は降圧剤での治療より生じる。
【0087】
性的疼痛障害(性交疼痛症と膣痙を含む)は、挿入より生じる疼痛を特徴とし、潤滑を抑制する投薬、子宮内膜症、骨盤炎症性疾患、炎症性腸疾患、又は尿路の問題によって引き起こされる場合がある。
【0088】
前記で検討したように、D3は、性行動の開始剤であると考えられている。陰核は、陰茎のホモログであると考えられ(Levin,R.J.(1991),Exp.Clin.Endocrinol.,98,61−69);男性における勃起応答を与えるのと同じメカニズムがFSDに対する関連した効果を伴って女性における生殖器の血流の増加を生む。さらに、能動的性行動及び受動的性行動における変化がある。
【0089】
つまり、本発明の好ましい態様に従えば、女性の性機能不全、より具体的には、性的欲求低下障害、女性の性的喚起障害、女性のオルガスムス障害、及び性的疼痛障害の治療又は予防のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用が提供される。
【0090】
好ましくは、式(I)の化合物は、女性の性的喚起障害(FSAD)、付随的な性的欲求低下障害を伴うFSAD、オルガスムス障害、及び性的欲求低下障害の治療又は予防、そして、最も好ましくは、女性の性的喚起障害の治療又は予防に有用である。
【0091】
好ましい態様において、式(I)の化合物は、女性の性的喚起障害及び付随的な性的欲求低下障害の患者の治療に有用である。
女性の性的興奮障害(FSAD)は、アメリカ精神学会の診断及び統計マニュアル(DSM)IVにより
「性的活動の完了までに性的興奮の十分な潤滑−膨張応答を達成又は維持することの継続性又は再発性の不能状態。この障害は、著しい不安感と個人間の困難を引き起こすにちがいない。」
であるとされる。
【0092】
喚起応答は、骨盤における血管鬱血、膣の潤滑、及び外性器の拡張及び膨張からなる。この障害は、著しい不安感、及び/又は個人間の困難を引き起こす。
FSADは、閉経の前、間、及び後の(±ホルモン補充療法(HRT))女性が罹患する極めて蔓延した性的障害である。これは、うつ病、心臓血管系疾患、糖尿病、及び泌尿生殖器(UG)障害のような併発疾患に関連する。
【0093】
FSADの一次結果は、充血/膨張の不足、潤滑の不足、及び享楽し得る性器感覚の不足である。FSADの二次結果は、性的欲望の低下、性交時の疼痛、及びオルガスムに到達することの困難である。
【0094】
最近、FSADの症状を有する患者の少なくとも一部については、血管系の基底原因があるとの仮説が提唱され(Goldsteinら、Int.J.Impot.Res.,10,S84−S90,1998)、動物データは、この見解を裏付けている(Parkら、Int.J.Impot.Res.,9,27−28,1997)。
【0095】
R.J.Levinは、我々に「男性及び女性の生殖器は、発生学的には共通の組織原基から発生し、男性及び女性の生殖器の構造は、互いにホモロガスであると論じられる。つまり、陰核は、陰茎ホモログであり、及び陰嚢は陰唇ホモログであるから」(Levin,R.J.(1991),Exp.Clin.Endocrinol.,98,61−69)ということを教示する。
【0096】
有効性について検討されている、FSADを治療するための候補薬物は、主に男性の生殖器への循環を促進する勃起不全治療薬である。
本発明の化合物は、正常な性的喚起応答、即ち、膣、陰核、及び陰唇の充血をもたらす性器血流の増加を回復させる手段を提供することによって有利である。これは、血漿濾出を介した膣潤滑の増加、膣コンプライアンスの増加、及び性器感受性の増加をもたらすだろう。従って、本発明の化合物は、正常な性的喚起応答を回復させるか又は増強する手段を提供する。
【0097】
つまり、本発明の好ましい側面によれば、女性の性的喚起障害、及び付随的な性的欲求低下障害を伴う女性の性的喚起障害の治療又は予防のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用が提供される。
【0098】
本明細書では女性の生殖については、本出願人は、「生殖器官は内部及び外部群からなる。内部器官は、骨盤内に位置し、卵巣、卵管、子宮及び膣からなる。外部器官は、尿生殖隔膜の表面で、骨盤アーチの下側である。それらは、恥丘、大陰唇及び小陰唇、陰核、前庭、前庭球、及び大前庭腺を構成する」(Gray’s Anatomy,C.D.Clemente,13版、アメリカ版)を意味する。
本発明の化合物は、FSDの患者の以下の亜集団に適用される:ホルモン補充療法を受けているか又は受けていない、若年、高齢、閉経前、閉経期、閉経後の女性。
【0099】
本発明の化合物は、下記より生じるFSDの患者への適用を見出す:
i)血管形成上の病因、例えば心臓血管系又は動脈硬化の疾患、高コレステロール血症、喫煙、糖尿病、高血圧、放射線及び会陰の外傷、腸骨下腹部の陰部血管系への外傷性損傷。
ii)脊髄損傷又は中枢神経系の疾患のような神経原性の病因(多発性硬化症、糖尿病、パーキンソン病、脳血管系の事故、末梢性ニューロパシー、外傷、又は根治骨盤手術を含む)。
iii)視床下部/下垂体/性腺軸の機能不全、又は卵巣の機能不全、膵臓の機能不全、外科的又は内科的去勢術、アンドロゲン欠乏、高循環レベルのプロラクチン、例えば、高プロラクチン血症、自然閉経、早熟卵巣不全、甲状腺機能亢進症及び低下症のようなホルモン/内分泌腺の病因。
【0100】
iv)うつ病、強迫異常症、不安異常症、産後うつ病/「ベビーブルー」、感情及び関係の課題、パフォーマンス不安、性の不一致、性機能不全の態度、セックス恐怖症、宗教上の阻害、又は過去のトラウマ経験のような心因性の病因。
v)選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)での治療や他の抗うつ療法(三環系化合物とメジャートランキライザー)、降圧療法、交感神経遮断薬、慢性的な経口避妊薬療法より生じる薬剤誘導の性機能不全。
【0101】
本発明の化合物はまた、うつ病の治療に有用である。
ドーパミンD3受容体は、脳の周辺領域、報酬に関与する領域、情緒及び認識過程においてほとんど過剰に発現される。抗うつ剤のいくつかのクラスを用いた慢性的な治療は、周辺領域におけるD3の発現を増加することで知られており、デシプラミンの抗うつ剤の効果は、側坐核(D3に富んだ領域)にスルピリド(D2/D3アンタゴニスト)を注射した場合に遮断することでき、尾状核被殻(ドーパミンD2受容体に富んだ領域)に注射した場合には遮断することができなかった。加えて、抗うつ剤の効果は、うつ病の臨床前モデル、プラミペキソール(D3優先のD2/D3アゴニスト)で処置した患者で観察された。利用可能な情報は、D3受容体は、抗うつ活性を仲介し、選択的D3受容体アゴニストが抗うつ剤の新規クラスを表すことを示唆する。抗うつ剤は他の精神障害に有効であることが知られているので、D3アゴニストは、精神病を治療する潜在能力を有する。
【0102】
適した症状は、うつ病(例えば、癌患者のうつ病、パーキンソン病患者のうつ病、心筋梗塞後のうつ病、亜症候群性うつ病、不妊女性のうつ病、重度のうつ病、児童虐待誘導のうつ病、産後のうつ病、及び気難しい老人症候群)、1度の発作性又は再発性の重度のうつ病性障害、気分変調性障害、うつ病性神経症及び神経症性うつ病、拒食症、体重減少、不眠症、早朝覚醒又は精神運動性遅延を含むメランコリーうつ病;食欲、睡眠過剰、精神運動激越又は興奮性、季節性情動障害、及び小児性うつ病を含む非定型うつ病(又は反応性うつ病);双極性障害又は躁うつ病、例えば双極性I障害、双極性II障害及び循環病;行為障害;破壊的行動障害;抜毛癖、盗癖、多動性障害(ADHD);知的障害と関連した行動障害、自閉性障害;境界性人格障害;回避性人格障害;広場恐怖症を伴う又は伴わない不安障害、不安障害の経歴を伴わない広場恐怖症、特定恐怖症、例えば特定動物恐怖症、社会不安症、対人恐怖症、強迫神経障害、外傷後ストレス障害及び急性ストレス障害を含むストレス障害、及び全般性不安障害;情動不安症、病的号泣;統合失調症及び他の精神障害、例えば統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期間精神障害、共通性精神障害、妄想及び幻想を伴う精神障害、不安の精神症状、精神病と関連した不安、重篤な重大なうつ病性障害のような精神病性気分障害;急性躁病のような精神病性障害と関連した気分障害及び双極性障害と関連したうつ病;統合失調症と関連した気分障害;食事障害(例えば拒食症及び多食症)、肥満;運動障害、例えば運動不能、運動異常症、家族性発作性ジスキネジア、痙れん、トゥレット症候群、スコット症候群、PALSYS及び運動不能硬直性症候群;錐体外路運動障害、例えば薬剤誘発運動障害、例えば神経遮断薬誘発パーキンソン症候群、神経遮断薬性悪性症候群、神経遮断薬誘発急性筋失調症、神経遮断薬誘発急性静座不能、神経遮断薬誘発遅発性ジスキネジア及び薬剤誘発姿勢振動;薬物依存及び中毒(例えば、アルコール、ヘロイン、コカイン、ベンゾジアゼピン、ニコチン、又はフェノバルビトールの依存又は中毒)、及び行動中毒、例えばギャンブル中毒;眼障害、例えば緑内障及び虚血性網膜症;睡眠障害(脱力発作)及びショックを含む。
【0103】
さらに好ましい態様において、本発明は、うつ病又は精神障害の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
適したうつ病症状及び精神障害は上述される。
追加の更なる態様において、本発明は、肥満の治療のための医薬の製造における式Iの化合物の使用を提供する。
【0104】
本発明の化合物はまた、神経変性の治療における利用性を有し;神経変性の供給源は、神経毒作用;視経路、例えば、網膜、視神経及び/又は後頭葉における脳梗塞によるような視経路の神経変性によって引き起こされる失明;てんかん発作を含み;そして、脳へのグルコース及び/又は酸素供給の機能障害由来である。
【0105】
神経変性に関連した症状は、下肢静止不能症候群、ハンチントン病、多発性硬化症、軽度認識障害、ダウン症、脳梗塞、オランダ人型のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド血管症、幻覚症状、認知症、年齢に関連した認識衰退(ARCD)、並びに健忘症及び他の認識又は神経変性障害、例えば、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型の認知症、記憶障害、実行機能喪失、血管性認知症、混合した血管性及び変性原因の認知症、パーキンソン病と関連した認知症、進行性核上麻痺と関連した認知症、皮質基底変性と関連した認知症、多発性梗塞認知症、アルコール性認知症又は他の薬物関連認知症、頭蓋内腫瘍若しくは脳外傷と関連した認知症、ハンチントン病と関連した認知症、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、HIV若しくはAIDSに関連した認知症、アルツハイマー病の広範性レヴィー小体型、パーキンソン症候群を伴う前頭側頭認知症(FTDP)、頭部外傷、脊髄損傷、神経系の脱髄疾患、末梢神経障害、疼痛、脳アミロイド血管症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、ドーパミンアゴニスト治療と関連した運動障害、知的障害、読書障害、算数障害、若しくは書字表出障害を含む学習障害;年齢に関連した認識衰退、健忘障害、神経遮断誘導のパーキンソン症候群、遅発性ジスキネジア、並びに急性及び慢性神経変性障害を含む。
【0106】
したがって、本発明は、神経変性の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
適した神経変性症状は、上述される。
性機能不全、うつ病、神経変性及び精神障害の治療におけるそれらの役割に加えて、本発明の化合物は、多数の付加的な適応症に有効であるかもしれない。
【0107】
したがって、本発明は、高血圧症、早漏、肥満、群発性頭痛、偏頭痛、疼痛、内分泌障害(例えば高プロラクチン血症)、血管れん縮(特に脳血管系における)、小脳性運動失調症、消化管障害(運動及び分泌の変化に関連する)、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、ストレス性尿失禁、抜毛癖及び慢性発作性偏頭痛、頭痛(血管障害と関連する)の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
本明細書における治療に対する全ての参照は、治療、苦痛緩和及び予防処置を含むことが認識されるべきである。
【0108】
D3/D2アゴニストアッセイ
ドーパミンD3受容体での活性は、WO2004/052372に記載された方法を用いて決定することができる。このアッセイを用いて、本発明の化合物は全て、EC50として表現されるD3受容体での機能的潜在能力を提示することができ、1000nMより低く、D2と比べてD3に対して10倍の選択性がある。選択性は、D2のEC50値をD3のEC50値で割ったものとして計算される。D2のEC50が10000より大きかった場合は、10000の数字は計算に使用した。
【0109】
実施例13の化合物は、74%(標準的な試薬のプラミペキソールの最大効果に比較して)のEmax(最大の反応値)を用いて、38nMのEC50として表現した。D2受容体に対して、本化合物は、10000nMで28%応答(プラミペキソールの最大効果に比較して)のみを与えた。
【0110】
本発明の併用剤における使用のために適した予備の活性試薬は、下記を含む。
1)天然に発生する又は合成のプロスタグランジン類又はそれらのエステル類。本明細書において使用に適したプロスタグランジン類は、アルプロスタジル、プロスタグランジンE、プロスタグランジンE、13,14−ジヒドロプロスタグランジンE、プロスタグランジンE、エプロスチノール(eprostinol)、本明細書に参照によりすべてが援用されるWO−00033825及び/又はUS6,037,346(2000年3月14日発行)に記載されたものを含む天然、合成及び半合成のプロスタグランジン類、及びそれらの誘導体、PGE、PGE、PGA、PGB、PGFα、19−ヒドロキシPGA、19−ヒドロキシ−PGB、PGE、PGB、19−ヒドロキシ−PGA、19−ヒドロキシ−PGB、PGEα、カルボプロスト・トロメタミン・ジノプロスト、トロメタミン、ジノプロストン、リポプロスト(lipoprost)、ゲメプロスト、メテノプロスト(metenoprost)、スルプロストン(sulprostune)、チアプロスト及びモキシシレート(moxisylate)のような化合物を含む。
【0111】
2)α−アドレナリン受容体アンタゴニスト化合物はまた、α−アドレナリン受容体又はα−受容体又はα−遮断剤として知られる。本明細書において使用に適した化合物は、1998年6月14日に公開されたPCT出願WO99/30697に記載されるα−アドレナリン受容体遮断剤(その中のアドレナリン受容体に関連している開示は参照により本明細書に援用される)、選択的α−アドレナリン受容体又はα−アドレナリン遮断剤及び非選択的アドレナリン遮断剤を含み、適したα−アドレナリン受容体遮断剤は、フェントラミン、フェントラミン・メシラート、トラゾドン、アルフゾシン、インドラミン(indoramin)、ナフトピジル、タムスロシン、ダピプラゾール(dapiprazole)、フェノキシベンザミン、イダゾキサン、エファラキサン(efaraxan)、ヨヒンビン、ラウオルファ・アルカロイド類、Recordati15/2739、SNAP1069、SNAP5089、RS17053、SL89.0591、ドキサゾシン、テラゾシン、アバノキル(abanoquil)、及びプラゾシン;US6,037,346[2000年3月14日]のα−ブロッカー遮断剤類ジベナルニン(dibenarnine)、トラゾリン、トリマゾシン(trimazosinn)及びジベナルニン;本明細書に参照によりそれぞれ援用される米国特許:4,188,390;4,026,894;3,511,836;4,315,007;3,527,761;3,997,666;2,503,059;4,703,063;3,381,009;4,252,721及び2,599,000に記載されるα−アドレナリン受容体を含み;α−アドレナリン受容体遮断剤は、場合によりピルキサミン(pirxamine)のような強心剤の存在下で、クロニジン、パパベリン、パパベリン塩酸塩を含む。
【0112】
3)NOドナー(NOアゴニスト)化合物。本明細書において使用に適したNOドナー化合物は、トリニトログリセリン(ニトログリセリンとしても知られている)、イソソルビド5−モノニトラート、イソソルビドジニトラート、ペンタエリトリトールテトラニトラート、エリトリチルテトラニトラート、ニトロプルシドナトリウム(SNP)、3−モルホリノシドノンイミンモルシドミン、S−ニトロソ−N−アセチルペニシラミン(SNAP)、S−ニトロソ−N−グルタチオン(SNO−GLU)、N−ヒドロキシ−L−アルギニン、アミルニトラート、リンシドミン(linsidomine)、リンシドミンクロロヒドラート、(SIN−1)S−ニトロソ−N−システイン、ジアゼニウムジオラート、(NONOアート)、1,5−ペンタンジニトラート、L−アルギニン、ジンセング(ginseng)、タイソウ(zizphi fructus)、モルシドミン、Re−2047、公開されたPCT出願WO0012075に記載されたNMI−678−11及びNMI−937のようなニトロシル化マキシライト(nitrosylated maxisylyte)誘導体を含むモノ−、ジ−又はトリ−ニトラートのような有機硝酸塩又は有機硝酸エステルを含む。
【0113】
4)カリウムチャネル開口剤及び調節剤。本明細書において使用に適したカリウムチャネル開口剤/調節剤は、ニコランジル、クロモカリム(cromokalim)、レブクロマカリム、レマカリム(lemakarim)、ピナシジル、クリアゾキシド(cliazoxide)、ミノキシジル、カリブドトキシン、グリブリド、4−アミニピリジン、BaClを含む。
【0114】
5)血管拡張剤。本明細書において使用に適した血管拡張剤は、ニモジピン(nimodepine)、ピナシジル、シクランデレート、イソクススプリン(isoxsuprine)、クロロプルマジン(chloroprumazine)、Rec15/2739、トラゾドンを含む。
6)トロンボキサンA2アゴニスト類。
7)CNS活性剤。
【0115】
8)麦角アルカロイド類;適した麦角アルカロイド類は、2000年3月14日に発行された米国特許6,037,346に記載され、アセテルガミン(acetergamine)、ブラゼルゴリン(brazergoline)、ブロメルグリド(bromerguride)、シアネルゴリン(cianergoline)、デロルゴトリル(delorgotrile)、ジスレルジン(disulergine)、マレイン酸エルゴノビン、酒石酸エルゴタミン、エチスレルジン(etisulergine)、レルゴトリル(lergotrile)、リセルジド(lysergide)、メスレルジン(mesulergine)、メテルゴリン(metergoline)、メテルゴタミン(metergotamine)、ニセルゴリン、ペルゴリド、プロピセルジド(propisergide)、プロテルグリド(proterguride)及びテルグリドを含む。
【0116】
9)ナトリウム利用因子、具体的には心房性ナトリウム利尿因子(心房性ナトリウムペプチドとしても知られている)、B型及びC型ナトリウム利尿因子、例えば阻害剤又は中性エンドペプチダーゼの作用を調節する化合物。
【0117】
10)エナプリルのようなアンジオテンシン変換酵素を阻害する化合物、及びオマパトリラートのようなアンジオテンシン変換酵素及び中性エンドペプチダーゼの組み合わせた阻害剤。
【0118】
11)ロサルタンのようなアンジオテンシン受容体アンタゴニスト。
12)LアルギニンのようなNOシンターゼに対する基質。
13)アムロジピンのようなカルシウムチャネル遮断剤。
【0119】
14)エンドセリン受容体のアンタゴニスト、及び阻害剤又はエンドセリン変換酵素。
15)スタチン(例えばアトルバスタチン/リピター(Lipior)−商標)及びフィブラートのようなコレステロール低下剤。
【0120】
16)抗血小板剤及び抗血栓剤、例えば、tPA、uPA、ワルファリン、ヒルジン及び他のトロンビン阻害剤、ヘパリン、トロンボプラスチン活性化因子阻害剤。
17)レズリンのようなインスリン感作剤、及びグリピジドのような血糖降下剤。
18)ドネジピル(donezipil)のようなアセチルコリンステラーゼ阻害剤。
【0121】
19)ステロイド性又は非ステロイド性の抗炎症剤。
20)エストロゲン受容体調節剤及び/又はエストロゲンアゴニスト及び/又はエストロゲンアンタゴニスト、好ましくはラロキシフェン又はラソホキシフェン(lasofoxifene)、(−)−シス−6−フェニル−5−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オール及び医薬として許容されるその塩、その製造はWO96/21656に詳述される。
【0122】
21)PDE阻害剤、より具体的にはPDE2、3、4、5、7又は8阻害剤、好ましくはPDE2又はPDE5阻害剤、及び最も好ましくはPDE5阻害剤(以下を参照)、好ましくはそれぞれの酵素に対して100nM未満のIC50を有する阻害剤(ただし、PDE3及びPDE4阻害剤は局所的に投与される又は陰茎に注射されるだけである)。
【0123】
22)血管作用性腸管タンパク質(VIP)、VIP模擬体、VIP類似体、より具体的には1又はそれより多くのVIP受容体サブタイプVPAC1、VPAC又はPACAP(下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド)によって媒介されるもの、1又はそれより多くのVIP受容体アゴニスト又はVIP類似体(例えばRo−125−1553)又はVIP断片、1又はそれより多くのα−アドレナリン受容体アンタゴニストとVIP組み合わせ(例えばInvicorp、Aviptadil)。
【0124】
23)メラノコルチン受容体(具体的にはMC3又はMC4サブタイプ)アゴニスト若しくは調節剤又はメラノコルチン増強剤、例えばメラノタン(melaanotan)II、PT−14、PT−141、又はWO−09964002、WO−00074679、WO−09955679、WO−00105401、WO−00058361、WO−00114879、WO−00113112、WO−09954358に請求される化合物のようなもの。
【0125】
24)セロトニン受容体アゴニスト、アンタゴニスト又は調節剤、より具体的には、WO−09902159、WO−00002550及び/又は00028993に記載されるものを含む、5HT1A(VML670を含む)、5HT2A、5HT2C、5HT3及び/又は5HT6受容体に対するアゴニスト、アンタゴニスト又は調節剤。
25)テストステロン補充剤(デヒドロアンドロステンジオンを含む)、テストステルノン(Tostrelle)、ジヒドロテストステロン又はテストステロンインプラント。
【0126】
26)エストロゲン、エストロゲン及びメドロキシプロゲステロン又は酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)(即ち、組み合わせとして)、又はエストロゲン及びメチルテストステロンホルモン補充療法剤(例えばHRT、特にプレマリン、セネスチン、オエストロフェミナル(Oestrofeminal)、エキン(Equin)、エストレース、エストロフェム、エレステ・ゾロ(Elleste Solo)、エストリング(Estring)、イーストラダーム(Eastraderm)TTS、イーストラダーム・マトリックス、デルメストリル(Dermestril)、プレムフェーズ(Premphase)、プリエンプロ(Preempro)、プレンパック(Prempak)、プレミク(Premique)、エストラテスト、エストラテストHS、チボロン)。
【0127】
27)ノルアドレナリン、ドーパミン及び/又はセロトニンの輸送体の調節剤、例えばブプロピオン、GW−320659。
28)プリン受容体アゴニスト及び/又は調節剤。
【0128】
29)WO−09964008に記載されるものを含む、ニューロキニン(NK)受容体アンタゴニスト。
30)オピオイド受容体アゴニスト、アンタゴニスト又は調節剤、好ましくはORL−1受容体に対するアゴニスト。
【0129】
31)オキシトシン受容体に対するアゴニスト、アンタゴニスト又は調節剤、好ましくは選択的オキシトシンアゴニスト又は調節剤。
32)カンナビノイド受容体の調節剤。
【0130】
33)SEP阻害剤(SEPi)、例えば100nM未満、より好ましくは50nM未満のIC50を有するSEPi。
好ましくは、本発明に係るSEP阻害剤は、中性エンドペプチダーゼNEP EC3.4.24.11及びアンジオテンシン変換酵素(ACE)と比べてSEPに対する30倍より大きい、より好ましくは50倍より大きい選択性を有する。好ましくは、SEPiはまた、エンドセリン変換酵素(ECE)と比べて100倍より大きい選択性を有する。
【0131】
34)NPY(特にY1及びY5サブタイプ)受容体に対するアンタゴニスト又は調節剤。
35)結合からエストロゲン及び/又はアンドロゲンを阻害する性ホルモン結合グロブリンアンタゴニスト又は調節剤。
【0132】
36)アルギナーゼII阻害剤。
37)バソプレッシン受容体に対する、好ましくはV1a受容体に選択的なアゴニスト、アンタゴニスト又は調節剤。
【0133】
38)PDE5阻害剤。適したPDE阻害剤は、
5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル)、特にクエン酸シルデナフィル;
(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351又はタダラフィル);
2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル);
5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
【0134】
5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;及び、
5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
4−[(3−クロロ−4−メトキシベンジル)アミノ]−2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]−N−(ピリミジン−2−イルメチル)ピリミジン−5−カルボキサミド(TA−1790);
3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド(DA8159)
及び、医薬として許容されるそれらの塩を含む。
39)2−[(4−ピリジン−2−イルピペラジン−1−イル)メチル]−1H−ベンズイミダゾール(ABT724)のような選択的ドーパミンD4受容体アゴニスト。
【0135】
発明に従って利用することができる特許及び特許出願に含有される化合物に対する本明細書における相互参照によって、本出願人は、請求の範囲(特に請求項1)及び具体的な実施例(全ては参照により本明細書に援用される)に定義される治療的に活性な化合物を意味する。
【0136】
次に、活性剤の組み合わせが投与される場合、それらは、同時に、分離して又は連続して投与することができる。
式Iの化合物は、提案された指示の治療のために最も適した服用形態及び投与経路を選択するために、それらの生物薬剤学的な特性、例えば溶解性、及び溶液安定性(pHの全域で)、浸透性などについて評価されるべきである。
【0137】
医薬としての使用に意図される本発明の化合物は、結晶又は非結晶生産物として投与することができる。それらは、例えば沈殿法、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、又は蒸発乾燥のような方法によって、固体の塊り(plug)、粉末、又は被膜として得ることができる。マイクロ波又は高周波数乾燥は、この目的のために使用することができる。
【0138】
それらは、単独で、又は1若しくはそれより多くの本発明の化合物と併用して、又は1若しくはそれより多くの他の薬剤と併用して(又は任意のその組み合わせとして)投与することができる。一般的に、それらは、1個又はそれより多くの医薬として許容される賦形剤と関連して製剤として投与されるであろう。用語「賦形剤」は、本発明の化合物(又は複数)以外の任意の成分を記載するように本明細書中で使用される。賦形剤の選択は、大方の場合、投与の特定の様式、溶解性及び安定性における賦形剤の効果、及び服用形態の性質に依存するであろう。
【0139】
本発明の化合物の輸送に適した医薬組成物及びそれらの製造のための方法は、当業者に容易に明らかになるであろう。このような組成物及びそれらの製造のための方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第19版(Mack Publishing Company,1995年)に見出すことができる。
【0140】
したがって、本発明は、式(I)の化合物、及び医薬として許容される希釈剤又は担体を含む医薬組成物を提供する。
本発明の化合物は、経口的に投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように飲み込むことを伴い、及び/又は、口、舌、若しくは舌下投与によって、化合物が口から直接的に血流に入る。
【0141】
経口投与に適した製剤は、固体、半固体及び液体系、例えば錠剤;マルチ−若しくはナノ−粒子、液体、又は粉末を含有する軟質又は硬質カプセル;ロゼンジ(液体を充填しているものを含む);咀嚼剤;ゲル剤;即座の分散服用形態;フィルム剤;胚珠剤;噴霧剤;及び口/粘膜付着パッチ剤を含む。
【0142】
液体製剤は、懸濁液、溶液、シロップ及びエリキシル剤を含む。このような製剤は、軟質又は硬質カプセルの被服剤(例えばゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロールから作られる)として使用することができ、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、又は適したオイル、及び1若しくはそれより多くの乳濁剤及び/又は懸濁剤を含む。液体製剤はまた、固体、例えばサシェ(sachet)から再構成によって製造することができる。
【0143】
本発明の化合物はまた、速く溶解し、早く崩壊する服用形態、例えば、Liang及びChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents,11(6),981−986(2001)に記載されるものにおいて使用することができる。
【0144】
錠剤の服用形態については、服用量に応じて、薬物は、服用形態の1重量%〜80重量%、より典型的には服用形態の5重量%〜60重量%まで調製することができる。薬物に加えて、錠剤は、一般的に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例は、グリコール酸ナトリウム澱粉、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメローセナトリウム、クロスポビドン(crospovidone)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉、α−澱粉、及びアルギン酸ナトリウムを含む。一般的に、崩壊剤は、服用形態の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を構成する。
【0145】
結合剤は、一般的に、錠剤の製剤化に凝集性を与えるために使用される。適した結合剤は、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖類、ポリエチレングリコール、天然及び合成ゴム、ポリビニルピロリドン、α−澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。錠剤はまた、希釈剤、例えばラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物等)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、微結晶性セルロース、澱粉、及び第二リン酸カルシウム・二水和物を含む。
【0146】
錠剤はまた、場合により、ラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80のような表面活性剤、並びに二酸化ケイ素及びタルクのような流動促進剤を含む。存在する場合、表面活性剤は、錠剤の0.2重量%〜5重量%から構成されてもよく、そして、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%〜1重量%から構成されてもよい。
【0147】
錠剤はまた、一般的に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物のような潤滑剤を含有する。潤滑剤は、一般的に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%から構成される。
【0148】
他の可能な成分は、抗酸化剤、着色剤、香味剤、防腐剤及び風味マスキング剤を含む。
典型的な錠剤は、約80%までの薬物、約10重量%〜約90重量%の結合剤、約0重量%〜約85重量%の希釈剤、約2重量%〜約10重量%の崩壊剤、及び役0.25重量%〜約10重量%の潤滑剤を含有する。
【0149】
錠剤混和物は、直接又はローラーによって圧縮し、錠剤を形成することができる。錠剤混和物又は混和物の部分は、錠剤にする前に、二者択一的に、ウェット、乾燥又は溶解の粒状化、溶解の凝固化、又は成型してもよい。最終の製剤化は、1又はそれより多くの層を構成してもよく、及び被覆され又は被覆されていなくてもよい;さらにカプセル化されていてもよい。
【0150】
錠剤の製剤化は、H.Lieberman及びL.LachmanによるPharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1(Marcel Dekker,ニューヨーク、1980年)に検討されている。
【0151】
ヒト又は獣医の使用のために消耗される経口フィルムは、典型的には、急速に溶解し又は粘膜付着することができる柔軟な水可溶性又水膨潤性フィルム服用形態であり、そして、典型的には、式Iの化合物、フィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤又は乳化剤、粘性調節剤、及び溶媒から構成される。製剤のいくつかの成分は、1より多くの機能を実行することができる。
【0152】
式Iの化合物は、水溶性又は不溶性であることができる。水溶性化合物は、典型的には、溶質の1重量%〜80重量%、より典型的には20重量%〜50重量%を構成する。難溶性の化合物は、組成物のより大きな比率を含み、典型的には、溶質の88重量%まである。その代わりに、式Iの化合物は、多粒子状ビーズの形態であってもよい。
【0153】
フィルム形成ポリマーは、天然の多糖、タンパク質、又は合成の親水コロイドから選択することができ、そして、典型的には、0.01〜99重量%の範囲、より典型的には30〜80重量%の範囲で存在する。
【0154】
他の可能な成分は、抗酸化剤、着色剤、香味剤及び香味増強剤、防腐剤、唾液刺激剤、冷却剤、共溶媒(オイルを含む)、軟化剤、充填剤、抗発泡剤、表面活性剤及び風味マスキング剤を含む。
【0155】
本発明に従ったフィルムは、典型的には、剥離可能な裏打ち支持体又はペーパー上に被覆した薄い水溶性フィルムの蒸発乾燥によって調製することができる。これは、乾燥機又は乾燥室中、典型的にはコータードライヤーの組み合わせ、又は凍結乾燥又は真空によって行うことができる。
【0156】
経口投与のための固形製剤は、即座の及び/又は調節した放出であるように製剤化することができる。調節した放出製剤は、遅延、持続、パルス、制御、標的及びプログラム化合物された放出を含む。
【0157】
本発明の目的のために適した調節された放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散剤及び浸透性及び被服した粒子のような他の適した放出技術の詳細は、VermaらによるPharmaceutical Technology On−line,25(2),1−14(2001)に見出されるはずである。放出制御を達成するためのチューインガムの使用は、WO00/35298に記載される。
【0158】
本発明の化合物はまた、直接的に、血流に、筋内に、又は内臓に投与することができる。非経口投与に適した手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋内、滑液嚢内及び皮下を含む。非経口に適した器具は、針(顕微針を含む)による注入装置、針のない注入装置及び輸液技術を含む。
【0159】
非経口用製剤は、典型的には、塩、炭水化物及び緩衝剤(好ましくは3〜9のpHに)のような賦形剤を含有することができる水溶液であるが、しかし、いくつかの応用については、それらは、無菌の発熱物質を含まない水のような適したベヒクルと一緒に使用するために、無菌の非水溶液又は乾燥した形態としてより適切に製剤化することができる。
【0160】
無菌条件下、例えば凍結乾燥によって非経口用製剤の調製は、当業者に周知の標準的な薬学的手法を用いて容易に達成することができる。
非経口用の溶液の調製において使用される式Iの化合物の溶解性は、適切な製剤技術、例えば溶解性増強剤の導入の使用によって増加させることができる。
【0161】
非経口用投与用の製剤は、即座の及び/又は調節した放出であるように製剤化することができる。調節した放出製剤は、遅延、持続、パルス、制御、標的及びプログラム化された放出を含む。つまり、本発明の化合物は、投与のために懸濁液として、または固体、半固体、若しくはチキソトロピック液として、活性化合物の調節した放出を提供する埋め込んだ貯蔵物として投与することができる。このような製剤の例には、薬物を被覆したステント、及び薬物を充填したポリ(dl−乳酸−co−グリコール酸)(PGLA)微小球を含む半固体及び懸濁液が含まれる。
【0162】
本発明の化合物はまた、局所的、皮膚(皮膚内)、又は皮膚若しくは粘膜に経皮的に投与することができる。この目的のための局所的投与は、ゲル、ハイドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散布剤、包帯剤、発泡剤、フィルム、皮膚パッチ、水、インプラント、スポンジ、ファイバー、包帯、及びマイクロエマルジョンを含む。リポソームはまた使用することができる。典型的な担体は、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールを含む。浸透促進剤を導入することができ、例えばFinnin及びMorganによるJ Pharm Sci,88(10),955−958(1999年10月)を参照されたい。
【0163】
局所的投与の他の手段は、エレクトロポレーション、イオントフォレシス、フォノホレシス、ソノホレシス及び顕微針又は無針(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)等)注入装置による輸送を含む。
【0164】
局所的投与用の製剤は、即座の及び/又は調節した放出であるように製剤化することができる。調節した放出製剤は、遅延、持続、パルス、制御、標的、及びプログラム化された放出を含む。
【0165】
本発明の化合物はまた、鼻腔内、又は吸入によって、典型的には、ドライパウダー吸入器からドライパウダー(単独で、混合物として、例えばラクトースとのドライブレンドとして、又は、混合した成分粒子、例えばホスファチジルコリンのようなリン脂質との混合)の形態で、加圧容器、ポンプ、スプレイ、噴霧器(好ましくは細かい霧を生ずるように電気流体力学を用いる噴霧器)、又は1,1,1,2−テトラフルオロエタン又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタンフルオロプロパンのような適した推進剤を伴う又は伴わない噴霧器、又は点鼻剤として投与することができる。鼻腔内の使用のために、粉末は、生体接着剤、例えばキトサン又はシクロデキストリンを構成することができる。
【0166】
加圧容器、ポンプ、スプレイ、噴霧器、又は点鼻剤は、本発明の化合物(又は複数)の溶液又は懸濁液を含有し、例えば、エタノール、エタノール水溶液、又は分散、可溶化、若しくは活性剤の放出の拡張に適した代替の薬剤、溶媒のような浸透促進剤(又は複数)、及びソルビタントリオレエートのような任意の界面活性剤、オレイン酸、又はオリゴ乳酸を含む。
【0167】
ドライパウダー又は懸濁液製剤に使用する前に、薬物生産物は、吸入による輸送のために適したサイズ(典型的には、5ミクロン未満)に微細化される。これは、適した粉砕方法、例えば、渦巻状ジェットミル、超臨界流体プロセッシングによって達成することができ、ナノ粒子、高圧均質化、又は噴霧乾燥を形成する。
【0168】
吸入器(inhaler)又は吸入器(insufflator)に使用するためのカプセル(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースから調製される)、ブリスター(blister)及びカートリッジは、本発明の化合物の粉末混合物、ラクトース又は澱粉のような適した粉末塩基、及びl−ロイシン、マンニトール、若しくはステアリン酸マグネシウムのような性能重合調節剤を含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水であるか又は一水和物の形態であることができ、好ましくは後者である。他の適した賦形剤は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、ショ糖及びトレハロースを含む。
【0169】
細かい霧を生ずるための電気流体力学を用いた噴霧器に使用するための適した溶液製剤は、作動当たり1μg〜20mgの本発明の化合物を含有し、作動体積は、1μl〜100μで変化することができる。典型的な製剤は、式Iの化合物、プロピレングリコール、無菌水、エタノール、及び塩化ナトリウムを含んでもよい。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替の溶媒は、グリセロール及びポリエチレングリコールを含む。
【0170】
適した風味剤、例えばメントール及びレボメンソール、又は甘味剤、例えばサッカリン又はサッカリンナトリウムは、吸入/鼻腔内投与の製剤に意図された本発明の製剤に添加することができる。
吸入/鼻腔内投与用の製剤は、例えば、PGLAを用いた即座の及び/又は調節した放出であるように製剤化することができる。調節した放出製剤は、遅延、持続、パルス、制御、標的、及びプログラム化された放出を含む。
【0171】
ドライパウダー吸入及び噴霧器の場合、服用ユニットは、計測した量を輸送する値を用いて決定される。本発明に係るユニットは、典型的には、式Iの化合物の...〜...μgを含有する計測した服用量を投与又は「一吹き量(puff)」をするように整えられる。毎日の全服用量は、典型的には、1回服用、又はより普通には、一日を通して分割服用として投与することができる...μg〜...μgの範囲であろう。
【0172】
本発明の化合物は、例えば、坐薬、ペッサリー、又は浣腸剤の形態で、直腸内又は膣内に投与することができる。ココアバターは、伝統的な坐薬の基剤であるが、種々の代替物が適切に使用可能である。
【0173】
直腸内/膣内投与用の製剤は、即座の及び/又は調節した放出であるように製剤化することができる。調節した放出製剤は、遅延、持続、パルス、制御、標的、及びプログラム化された放出を含む。
【0174】
本発明の化合物はまた、典型的には、等張の、pHを調整した無菌の緩衝液中の微粉末化した懸濁液又は溶液の滴下の形態で、眼又は耳に直接投与することができる。眼及び耳の投与に適した他の製剤は、軟膏、ゲル、生分解性(例えば吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)及び非生分解性(例えばシリコン)インプラント、ウエハース、レンズ及び微粒子又は小胞系、例えばニオソーム又はリポソームを含む。ポリマー、例えば架橋したポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、若しくはメチルセルロース、ヘテロ多糖ポリマー、例えばジェランガムは、防腐剤、例えば塩化ベンズアルコニウムとともに導入することができる。このような製剤はまた、イオントフォレシスによって輸送することができる。
【0175】
眼/耳の投与用の製剤は、即座の及び/又は調節した放出になるように製剤化することができる。調節した放出製剤は、遅延、持続、パルス、制御、標的、又はプログラム化された放出を含む。
【0176】
本発明の化合物は、投与の前述の任意の様式における使用のために、それらの可溶性、溶解速度、風味マスキング、生物学的利用性及び/又は安定性を改善するために、可溶性高分子の実体、例えばシクロデキストリン及び適したその誘導体、又はポリエチレングリコール含有ポリマーと組み合わせることができる。
【0177】
薬物−デキストリン複合体は、例えば、最良の服用形態及び投与経路に一般的に有用であることが見出される。封入及び非封入の複合体の両方を使用することができる。薬物との錯体形成に影響を与える代案として、シクロデキストリンが予備の付加物、即ち、担体、希釈剤、又は可溶化剤として使用することができる。これらの目的のために最も一般的に使用されるのは、α−、β−及びガンマ−シクロデキストリンであり、例は、国際特許出願No.WO91/11172、WO94/02518及びWO98/55148に見出すことができる。
【0178】
例えば特定の疾患又は症状を治療する目的で、活性化合物の含み合わせを投与することが望まれるので、2又はそれより多くの医薬組成物は、少なくとも1つは本発明に係る化合物を含有し、組成物の同時投与に適したキットの形態で都合良く組み合わせることができるのは、本発明の範囲内である。
【0179】
つまり、本発明のキットは、2又はそれより多くの別々の医薬組成物を含有し、少なくとも1つは、本発明に従って式Iの化合物を含有し、そして、容器、分割したボトル、又は分割したホイルパケットのように当該組成物を別々に保持する手段を含む。このようなキットの例は、錠剤、カプセル剤等をパックするのに使用される馴染みのあるブリスターパックである。
【0180】
本発明のキットは、異なる服用間隔で別々の組成物を投与し、又は互いに対して別々の組成物のバランスを調整するために、異なる服用形態、例えば経口及び非経口で投与することに特に適している。承諾を援助するために、キットは、典型的には、投与のための指示書を含み、いわゆる記憶補助を与えることができる。
本発明は、下記の非限定的な実施例によって説明され、下記の省略形及び定義が使用される。
【0181】
【表1】

【0182】
【表2】

【0183】
H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、全ての場合において、提案された構造と一致した。特徴的な化学シフト(δ)は、主要ピークを指示するための慣習上の省略形:例えば、s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br、ブロードを用いて、テトラメチルシランから低磁場に百万分の一のδで与えられる。下記の省略形は、一般的な溶媒:CDCl、デューテロクロロホルム;DMSO、ジメチルスルホキシドのために使用されている。省略形psiは、ポンド/平方インチを意味し、LRMSは、低分解能質量分析を意味する。薄層クロマトグラフィー(TLC)が使用されている場合、シリカゲル60F254プレートを用いたシリカゲルTLCを意味し、Rは、TLCプレート上で化合物によって移動した距離を溶媒先端によって移動した距離で割ったものである。
【実施例】
【0184】
実施例1及び2
4−[(2R,5S)−5−メチル−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール&4−[(2S,5S)−5−メチル−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール
室温で濃HSO(9mL)をCHCl(12mL)中の(2S)−2−[[2−ヒドロキシ−2−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)エチル](プロピル)アミノ]プロパン−1−オール(660mg、1.3mmol;製造例7)に添加し、室温で3時間撹拌した。次に、反応混合物を注意深く0.880 NHを添加することによってpH8まで塩基性にし、EtOAc(2×100mL)及びCHCl(100mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。この物質を100%のCHClから98/2/0.5のCHCl/MeOH/0.880 NHまでの勾配溶出を用いてSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、230mgのジアステレオ異性体を茶色の油状物として得た。この混合物(150mg)の試料を50%のMeOH/EtOHの移動相を有する流速15mL/分で、キラルパックAD−Hカラム上のHPLCによって分離し、下記を得た。
【0185】
ジアステレオ異性体1
4−[(2R,5S)−5−メチル−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール
【化8】

【0186】
38mg、保持時間4.8分、透明な油状物。
【化9】

【0187】
ジアステレオ異性体2
4−[(2S,5S)−5−メチル−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール
【化10】

【0188】
50mg、保持時間6.6分、白色の固形物。
【化11】

【0189】
実施例3及び4
4−[(2R)−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール&4−[(2S)−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール
【化12】

【0190】
室温で濃HSO(25mL)をCHCl(20mL)中の2−[(2−ヒドロキシエチル)(プロピル)アミノ]−1−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)エタノール(1.10g 2.17mmol;製造例9)に添加し、1時間撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却し、2.5N NaOH水溶液の注意深い添加によってpH8まで塩基性にし、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機物を合わせ、MgSO上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。この物資を95/5/0.5のCHCl/MeOH/0.880 NHを用いて溶出するSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、300mg(48%)のラセミ混合物を黄色の気体として得た。
【0191】
移動相として0.1%のジエチルアミンを有する80:20のヘキサン:IPAを用いてキラルパックADカラム上でラセミ体を分析し、下記を得た。
鏡像異性体1
保持時間7.3分
【0192】
【化13】

【0193】
初期の解析:
1419O.0.5MeOHはC66.64%、H8.10%、N16.1%を要求する。
実測値 C66.95%、H8.4%、N15.7%
M/S(APCI+)246(M+)
HR M/S 246.1598
【0194】
鏡像異性体2
保持時間13.0分
【化14】

【0195】
実施例5
4−アゼチジン−3−イル−1H−インダゾール塩酸塩
【化15】

【0196】
tert−ブチル3−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)アゼチジン−1−カルボキシレート(500mg、0.9mmol;製造例10)をEtO中の1M HClの溶液で処理し、室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、得られた固形物をEtO(3×50mL)で粉砕し、得られた固形物を真空下で乾燥させ、表題化合物の淡いオレンジ色の固形物を得た(180mg、88%)。
M/S(ESI+)174(MH+)
【化16】

【0197】
実施例6
4−[1−(2−フェニルエチル)アゼチジン−3−イル]−1H−インダゾール
【化17】

【0198】
製造例11によるトリフルオロ酢酸4−アゼチジン−3−イル−1H−インダゾールの粗製混合物の一部(1g、所望のアゼチジンのおよそ230mgを含有、1.3mmol、1当量)をフェニルアセトアルデヒド(470μL、4.0mmol、3.1当量)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(850mg、4mmol、3当量)、及びCHCl(10mL)と合わせ、室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発し、粗製物質をCHCl/MeOH/0.880 NH 95/5/0.5の溶離液を用いてSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、150mg(41%)の表題化合物を透明な油状物として得た。
【0199】
【化18】

【0200】
実施例7
4−(1−エチルアゼチジン−3−イル)−1H−インダゾール
【化19】

【0201】
製造例11によるトリフルオロ酢酸4−アゼチジン−3−イル−1H−インダゾールの粗製混合物の一部(1g、所望のアゼチジンのおよそ230mgを含有、1.3mmol、1当量)をアセトアルデヒド(230μL、4.0mmol、3.1当量)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(850mg、4mmol、3当量)、及びCHCl(10mL)と合わせ、室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発し、粗製物質をCHCl/MeOH/0.880 NH 97/3/0.5から95/5/0.5までの勾配溶離液を用いてSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、100mgの部分精製した表題化合物を薄茶色の油状物として得た。これを自動化されたHPLCシステム: Phenomenex Luna C18(2)カラム150×15mm(10ミクロン粒子サイズ、100Å多孔度)上で、アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸(5:95:0.1)[溶媒A]及びアセトニトリル[溶媒B]の2種の溶媒の溶離液を用いるHPLCによってさらに精製した。溶媒の勾配は、下記のテーブルにあるようにして、流速20mL/分で行う。
【0202】
【表3】

【0203】
これによって部分精製した表題化合物の90mgの透明な油状物が得られ、CHCl/MeOH/0.880 NH 90/10/1の溶離液を用いてSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製して、40mg(15%)の表題化合物を透明な油状物として得た。
【0204】
【化20】

【0205】
実施例8
4−(1−イソブチルアゼチジン−3−イル)−1H−インダゾール
【化21】

【0206】
製造例11によるトリフルオロ酢酸4−アゼチジン−3−イル−1H−インダゾールの粗製混合物の一部(800mg、所望のアゼチジンのおよそ180mgを含有、1.0mmol、1当量)をイソブチルアルデヒド(290μL、3.1mmol、3.1当量)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(660mg、3.1mmol、3.1当量)、及びCHCl(8mL)と合わせ、室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発し、粗製物質をCHCl/MeOH/0.880 NH 96/4/0.5の溶離液を用いてSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、100mgの部分精製した表題化合物を茶色の油状物として得た。
【0207】
これを実施例7にあるのと同じ自動化されたHPLCシステムを用いてさらに精製した。得られた物質をCHCl/MeOH/0.880 NH 90/10/1の溶離液を用いてSiOを通してさらに精製し、50mg(21%)の表題化合物を白色の固形物として得た。
【0208】
【化22】

【0209】
実施例9
4−(1−ブチルアゼチジン−3−イル)−1H−インダゾール
【化23】

【0210】
製造例11によるトリフルオロ酢酸4−アゼチジン−3−イル−1H−インダゾールの粗製混合物の一部(1g、所望のアゼチジンのおよそ230mgを含有、1.3mmol、1当量)をブチルアルデヒド(360μL、4.0mmol、3.1当量)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(850mg、4mmol、3.1当量)、及びCHCl(10mL)と合わせ、室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発し、粗製物質をCHCl/MeOH/0.880 NH 98/2/0.5から96/4/0.5までの勾配溶離液を用いてSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、100mgの部分精製した表題化合物を薄茶色の油状物として得た。これを実施例7にあるのと同じ自動化されたHPLCシステムを用いてさらに精製した。CHCl/MeOH/0.880 NH 90/10/1の溶離液を用いてSiO上でさらに精製して、60mg(20%)の表題化合物を透明な油状物として得た。
【0211】
【化24】

【0212】
実施例10
4−[1−(3−フェニルプロピル)アゼチジン−3−イル]−1H−インダゾール
【化25】

【0213】
製造例11によるトリフルオロ酢酸4−アゼチジン−3−イル−1H−インダゾールの粗製混合物の一部(700mg、所望のアゼチジンのおよそ161mgを含有、0.9mmol、1当量)を3−フェニルプロピオンアルデヒド(370μL、2.8mmol、3当量)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(600mg、2.8mmol、3当量)、及びCHCl(5mL)と合わせ、室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発し、粗製物質を、CHCl/MeOH/0.880 NH 97/3/0.5の溶出を用いるSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、100mg(37%)の表題化合物を薄茶色の油状物として得た。
【0214】
【化26】

【0215】
実施例11及び12
4−{1−[(1S)−1−メチルプロピル]アゼチジン−3−イル}−1H−インダゾール&4−{1−[(1R)−1−メチルプロピル]アゼチジン−3−イル}−1H−インダゾール
【化27】

【0216】
製造例11によるトリフルオロ酢酸4−アゼチジン−3−イル−1H−インダゾールの粗製混合物の一部(900mg、所望のアゼチジンのおよそ210mgを含有、1.2mmol、1当量)を2−ブタノン(330μL、3.6mmol、3当量)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(760mg、3.6mmol、3当量)、及びCHCl(5mL)と合わせ、室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発し、粗製物質をCHCl/MeOH/0.880 NH 97/3/0.5の溶離液を用いてSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、130mgのラセミ混合物を薄茶色の油状物として得た。
【0217】
この物質を10mL/分の流速でMeOH:EtOH 50:50の移動相を用いてキラルパックAD−Hカラム(250×21.2mm)上のHPLCによって分離し、下記を得た。
【0218】
鏡像異性体1
25mg 透明な油状物。
保持時間=5.1分。
【化28】

【0219】
鏡像異性体2
36mg 透明な油状物。
保持時間=5.8分。
【化29】

【0220】
実施例13
4−(1−イソプロピルアゼチジン−3−イル)−1H−インダゾール
【化30】

【0221】
tert−ブチル3−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)アゼチジン−1−カルボキシレート(3.45g、6.6mmol;製造例10)、TFA(15mL)及びCHCl(20mL)を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空下で除去し、暗褐色の油状物を得た。この物質をCHClに溶解させ、プロピオンアルデヒド(974μL、13.4mmol、2当量)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.84g、13.4mmol、2当量)で処理し、室温で4時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、97/3/0.5のCHCl/MeOH/0.880 NHの溶離液を用いてSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、トリチル保護基がまだ結合している900mgの物質を得た。この物質(900mg、1.9mmol)をCHCl(5mL)に溶解し、TFA(4mL)及びEtSiH(470μL、2.9mmol)で処理し、室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、この物質を96/4/0.5のEtOAc/MeOH/0.880 NHの溶離液を用いてSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、180mg(13%)の表題化合物を白色の固形物として得た。
【0222】
【化31】

【0223】
実施例14及び15
4−[(2R)−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン&4−[(2S)−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン
【化32】

【0224】
氷酢酸(20mL)中の製造例16の製造物(880mg、2.1mmol)の溶液に、亜鉛粉(1.37g、21.1mmol、10当量)を断続的に添加した。反応混合物を窒素下で室温で1時間撹拌し、次に、酢酸を真空下で除去し、粗製残渣をEtOAc(100mL)と飽和NaHCO溶液(50mL)との間で分割した。有機層を分別し、水層をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、茶色の油状物になるまで溶媒を蒸発させた。粗製物質をDCM/MeOH/0.880 NH 97/3/0.3を用いて2回溶出するSiO上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、135mgのラセミ物質をベージュ色の固形物として得た(製造例15の物質から2工程に渡って25%)。
【0225】
【化33】

【0226】
ラセミ化合物を流速20mL/分で、メタノール/エタノール 50/50を用いて溶出するキラルパックAS−Hを用いて別々の鏡像異性体に分けた。
【0227】
鏡像異性体1
保持時間=4.6分、約100%e.e.
M/S(APCI)=261(MH)、(APCI)=259(M−1
NMR(400MHz、CDCl)−上述の通り
元素分析:
1520.0.2HOはC68.3%、H7.8%、N10.6%を要求する。実測値C68.2%、H7.6%、N10.6%。
【0228】
鏡像異性体2
保持時間=6.5分、約100%e.e.
M/S(APCI)=261(MH)、(APCI)=259(M−1
NMR(400MHz、CDCl)−上述の通り
元素分析:
1520.0.5HOはC66.9%、H7.9%、N10.4%を要求する。実測値C66.7%、H7.7%、N10.3%。
【0229】
実施例16
4−(1−プロピルピペリジン−3−イル)−1H−インダゾール
【化34】

【0230】
PtO(150mg)を含むMeOH(20mL)中の製造例19の製造物(1.17g、3.21mmol)の溶液を室温で60psiで16時間水素化した。窒素雰囲気下でアルボセル(arbocel)(登録商標)のプラグを通して注意深くろ過した。ろ液を乾燥するまで蒸発させ、残渣を溶離液としてDCM/MeOH 95/5を用いてフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。これにより、550mg(71%)の表題化合物をベージュ色の泡状物として得られた。
【0231】
【化35】

【0232】
実施例17
4−[(2R,5S)−5−メチル−4−プロピル−モルホリン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン
【化36】

【0233】
3個のフラスコに分けた乾燥CHCl(9mlずつ)中の4−{1−ヒドロキシ−2−[((1S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−プロピル−アミノ]−エチル}−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(1.1gずつ、3.7mmol)の溶液にcHSO(フラスコ当り2ml)を添加した。反応混合物を室温で45分間撹拌させ、次に0℃まで冷却した。その後、各反応物をNHOH(aq)で反応を停止させ、内容物を合わせ、CHCl(4×75ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、乾燥するまで蒸発させた。残渣をCHCl/MeOH/NH:95/5/0.5〜90/10/1を用いて溶出するシリカ上でクロマトグラフィーを行った。関連する分画を合わせ、乾燥するまで蒸発させた。残渣に不純物が残っていたので、CHCl/MeOH/NH:96/4/0.25を用いて溶出するシリカ上で再度クロマトグラフィーを行った。関連する分画を合わせ、乾燥するまで蒸発させて、ベージュ色のガム状物を得た(748mg)。この物質を流速18ml/分の流速で、EtOH/MeOH(50:50)を用いる無勾配の溶離液でキラルパックAS−H上のHPLCによって分別し、所望のジアステレオマーをベージュ色の固形物として得た(187mg、36%、保持時間7.75分)。
【0234】
【化37】

元素分析:+0.10HO 全MW=276.2
【0235】
実施例18
N−[2−(1H−インダゾール−4−イル)エチル]−N−プロピルアミン
【化38】

【0236】
[2−(1−アセチル−1H−インダゾール−4−イル)−エチル]−プロピル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.5g、7.23mmol)を6N HCl(aq)(25ml)に溶解させ、濃HCl(25mL)を60℃で滴下して添加した。反応物を60℃で1時間撹拌した。ジオキサン(50ml)を添加し、次に氷を注意深く添加した。混合物をジクロロメタン(200ml)で抽出した。水層を0.880 NH3(aq)(30ml)の注意深い添加によって塩基性にし、ジクロロメタン(2×200ml)で抽出し、その後、EtOAC(3×200ml)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO上で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させ、1.4gの茶色の油状物を得た。残渣を91:9:1 EtOAc/MeOH/NHOHに溶解し、91:9:1 EtOAc/MeOH/NHOHを用いて溶出するSiOカラム上でフラッシュクロマトグラフィーを行い、淡黄色の油状物を得た(800mg)。この物質をCHCN中の0.05%のDEAの移動相でPhenomenex Geminiカラム上のHPLCによってさらに精製し、製造物を透明な油状物として得た(540mg)。保持時間4.032分。
【0237】
【化39】

【0238】
実施例19及び20
4−[(2R,5S)−5−メチル−4−エチルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール&4−[(2S,5S)−5−メチル−4−エチルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール
【化40】

【0239】
濃HSO(15ml)を室温でCHCl(100ml)中の(2S)−2−{[2−ヒドロキシ−2−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)−エチル]−エチル−アミノ}プロパン−1−オール(3.1g、6.13mmol)に添加し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を0.880 NHの注意深い添加によってpH9まで塩基性にし、CHCl(3×100ml)で抽出し、有機物を合わせ、MgSO上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。この物質を100% CHClから60/40/4 CHCl/MeOH/NHOHの勾配を用いて溶出するIsco Combiflash Companion autochromatographyシステム(120g SiOカラム)上でクロマトグラフィーを行い、1.0gのジアステレオ異性体の混合物を透明な油状物として得た。
【0240】
この混合物を70:30 ヘキサン:IPAの移動相を用いて18ml/分の流速で、キラルパックAD−Hカラム(250×21.5)上のHPLCによって分別し、下記を得た。
ジアステレオ異性体1、190mg、保持時間5.859分、白色の固形物。
【0241】
【化41】

【0242】
ジアステレオ異性体2、360mg、保持時間14.519分、白色の固形物。
【化42】

【0243】
下記の製造例は、先行する実施例の製造において使用したある種の中間体の合成を説明する。
製造例1
2−アセチル−4−ブロモ−2H−インダゾール
【化43】

【0244】
室温で窒素下でトルエン(300mL)中の3−ブロモ−2−メチルアニリン(15.0g、81mmol)にAcO(23mL、240mmol、3当量)及びKOAc(7.5g、8.32mmol、1.02当量)を添加した。得られた粘度が高い懸濁液を60℃で30分間加熱した。次に、亜硝酸イソアミル(16.4mL、121mmol、1.5当量)をこの溶液に60℃で滴下して添加し、反応物をこの温度で72時間撹拌した。反応物を冷却し、水(400mL)で希釈し、EtOAc(500mL)で抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させて、18.8gの表題化合物をオレンジ色の固形物として得た(98%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:2.8(s,3H),7.4(t,1H),7.5(d,1H),8.15(s,1H),8.4(d,1H)
TLC ペンタン中の10%EtOAc Rf=0.95。
【0245】
製造例2
4−ブロモ−1H−インダゾール
【化44】

【0246】
5M HCl水溶液(100mL)中の2−アセチル−4−ブロモ−2H−インダゾール(18.8g、79mmol;製造例1)に50℃で濃塩酸(50mL)を15分かけて滴下して添加した。反応物を60℃で15分間撹拌した。反応物を冷却し、トルエン(300mL)で抽出した。沈殿した白色の固形物を水層と一緒に合わせ、pH10まで塩基性にし、EtOAc(2×400mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗製物質をトルエンに溶解させ、EtOAcを用いて溶出するSiOのパッドを通してろ過し、溶媒をろ過物から蒸発させて、13.6g(88%)の表題化合物を固形物として得た。
【0247】
【化45】

TLC ペンタン中の25%EtOAc Rf=0.35
【0248】
製造例3
4−ブロモ−2−トリチル−2H−インダゾール
【化46】

【0249】
室温でCHCl(10mL)中の4−ブロモインダゾール(1.3g、6.6mmol;製造例2)にトリエチルアミン(1.84mL、13.2mmol、2当量)及びクロロトリフェニルメタン(1.84g、6.6mmol、1当量)を添加した。反応物を室温で18時間撹拌し、水(50mL)で希釈し、CHCl(100mL)で抽出し、MgSO上で乾燥させた。溶液をろ過し、SiO上に予め吸収させ、ペンタン中のEtOAc(2.5%〜10%)の勾配を用いて溶出するSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、2g(69%)の白色の固形物を得た。
【0250】
H NMR(400MHz,CDCl)δ,7.1−7.4(m,17H),7.65(d,1H),7.9(s,1H)
H NMRは、単一の位置異性体が得られたことを示唆する。位置化学は上記で示すように一時的に帰属され、トリチル基が全体を通してこの位置にあるように記載された。
【0251】
製造例4
(2S)−2−(プロピルアミノ)プロパン−1−オール塩酸塩
【化47】

【0252】
CHCl(500mL)に溶解した(2S)−(+)−2−アミノプロパン−1−オール(19.6g、0.26mol)にプロピオンアルデヒド(20.9mL、0.28mol)、続いて予め乾燥させ、粉末にした4Åのモレキュラーシーブ(40g)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をセライト(登録商標)(ろ過剤)のパッドを通してろ過し、このパッドをCHClで洗浄し、ろ過物から溶媒を蒸発させ、透明な油状物を得た。この油状物をメタノール(200mL)に溶解させ、NaBHを15分かけて断続的に添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、その後、2M HCl水溶液(200mL)の注意深い添加によって反応を停止させ、2M NaOH水溶液(200mL)の添加によって塩基性にし、エバポレーションによってメタノールを蒸発させた。ジ−tert−ブチルジカルボネート(115g、0.52mol)をこの残渣に添加し、次いで1,4−ジオキサン(200mL)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。1,4−ジオキサンを蒸発によって除去し、残渣を水(750mL)で希釈し、CHCl(2×750mL)で抽出した。合わせた有機画分を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、溶媒を蒸発させて、透明な油状物を得た。この油状物に1,4−ジオキサン(200mL)中の4M HClを添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発によって除去して、表題化合物を白色の固形物として得た(24g)。
【0253】
【化48】

M/S(APCI+)、118(MH
【0254】
製造例5
(5S)−5−メチル−4−プロピルモルホリン−2−オン
【化49】

【0255】
製造例4による物質(4g、26mmol)をベンゼン(80mL)に溶解し、次に、N−エチルジイソプロピルアミン(9.07mL、52mmol)及びブロモ酢酸メチル(2.4mL、26mmol)を添加した。混合物を水の共沸除去を伴って、一晩還流して加熱した。室温まで冷却後、溶媒を蒸発によって除去し、粗製物質をメタノールに溶解し、SiO上に予め吸収させ、ペンタン中の40% EtOAcを用いて溶出するSiO上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を透明な油状物として得た(1.78g)。
【0256】
【化50】

TLC.Rf=0.18(ペンタン中の50% EtOAc、UV視覚化)
【0257】
製造例6
(5S)−5−メチル−4−プロピル−2−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)モルホリン−2−オール
【化51】

【0258】
t−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M、6.7mL、11.4mmol、2当量)を−70℃未満の温度を維持しているTHF(20mL)中の4−ブロモ−2−トリチル−2H−インダゾール(2.53g、5.7mmol、1当量:製造例3)の撹拌中の溶液に滴下して添加した。(5S)−5−メチル−4−プロピルモルホリン−2−オン(900mg、5.7mmol、1当量:製造例5)をTHF(20ml)中に溶液として即座に添加し、反応を30分間続行した。NHCl(60ml、10%w/v水溶液)の添加によって反応を停止させ、室温まで加温し、EtOAc(60mL)で抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させ、ペンタン中の50% EtOAcを用いて溶出するSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、1.38g(47%)の表題化合物を淡黄色の固形物として得た。
【0259】
【化52】

【0260】
製造例7
(2S)−2−[[2−ヒドロキシ−2−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)エチル](プロピル)アミノ]プロパン−1−オール
【化53】

【0261】
室温でEtOH(8mL)及び水(6mL)中の(5S)−5−メチル−4−プロピル−2−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)モルホリン−2−オール(1.38g、2.6mmol、1当量;製造例6)の撹拌中の溶液にNaBH(400mg、10.6mmol、4当量)を添加し、反応物を18時間撹拌させた。NHCl(10% w/v水溶液)(50mL)の添加によって反応を停止させ、ブライン(50mL)で洗浄し、EtOAc(200mL)で抽出した。有機物をMgSO上で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、ペンタン中の60% EtOAcを用いて溶出するSiO上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、660mg(48%)の表題化合物を白色の固形物として得た。
【0262】
【化54】

【0263】
製造例8
4−プロピル−2−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)モルホリン−2−オール
【化55】

【0264】
t−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M、8.0mL、13.6mmol、2当量)を−70℃未満の温度を維持しているTHF(45mL)中の4−ブロモ−2−トリチル−2H−インダゾール(3.0g、6.8mmol、1当量:製造例3)の撹拌中の溶液に滴下して添加した。THF(5ml)中の4−プロピルモルホリン−2−オン(1.0g、7.0mmol、1.03当量:製造例17)を即座に添加して、反応を30分間続行した。ブライン(60ml)の添加によって反応を停止させ、室温まで加温し、EtOAc(3×60mL)で抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させ、98/2/0.2〜97/3/0.3のCHCl/MeOH/0.880 NHの勾配を用いて溶出するSiO上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、1.70g(49%)の表題化合物を得た。
【0265】
M/S(APCI+)504(MH+)
H NMR(400MHz、CDCl)δ(化合物は開環したヒドロキシケトン、及び閉環したラクトール形の混合物として存在する):
【化56】

【0266】
製造例9
2−[(2−ヒドロキシエチル)(プロピル)アミノ]−1−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)エタノール
【化57】

【0267】
EtOH(6ml)及び水(4ml)中の4−プロピル−2−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)モルホリン−2−オール(300mg、5.96mmol、1当量;製造例8)の撹拌中の溶液にNaBH(90mg、2.4mmol、4当量)を室温で添加し、反応物を3時間撹拌した。ブライン(50mL)の添加によって反応を停止させ、EtOAc(2×50mL)で抽出した。有機物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させて、305mg(100%)の表題化合物を得た。
【0268】
【化58】

【0269】
製造例10
tert−ブチル3−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)アゼチジン−1−カルボキシレート
【化59】

【0270】
tert−ブチル3−ヨードアゼチジン−1−カルボキシレート(1g、3.5mmol、1当量;Synlett,4,1998,379に従って製造する)を乾燥DMF(12mL)に溶解させ、新鮮なZn/Cuカップル(400mg)を添加し、混合物を室温で4時間超音波処理した。4−ブロモ−2−トリチル−2H−インダゾール(1.63g、3.7mmol、1.05当量;製造例3)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(160mg、0.17mmol、0.05当量)、及びトリ−o−フリルホスフィン(85mg、0.35mmol、0.1当量)を添加し、混合物を70℃で18時間加熱した。室温まで冷却後、混合物を飽和NHCl水溶液(100ml)で希釈し、EtO(2×100mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、溶媒を蒸発させた。粗製物質を予めSiO上に吸収させ、ペンタン中の7.5%−60%のEtOACの勾配溶出を用いてSiOカラム上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、600mg(33%)の表題化合物を淡黄色の固形物として得た。
【0271】
【化60】

【0272】
製造例11
トリフルオロ酢酸4−アゼチジン−3−イル−1H−インダゾール
【化61】

【0273】
tert−ブチル3−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)アゼチジン−1−カルボキシレート(4.4g、8.5mmol、1当量;製造例10)、EtSiH(2.0ml、12.5mmol、1.5当量)、トリフルオロ酢酸(20ml)及びCHCl(50ml)を合わせ、室温で90分間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、製造物及びトリフェニルメタンの混合物を茶色のガム状物として得たが、推定される23wt%のトリフルオロ酢酸4−アゼチジン−3−イル−1H−インダゾールを含有している。実施例6〜12の還元アミノ化のためにこの物質をそのまま用いた。
【0274】
製造例12
4−ブロモ−1−(トリイソプロピルシリル)−1H−インドール
【化62】

【0275】
乾燥THF(100ml)中のNaH(3.35g、油中に60%の分散、84mmol)の撹拌中の懸濁液に4−ブロモインドール(10ml、80mmol)を0℃でゆっくり添加した。反応物を20分間撹拌し、その後、TIPSCI(17.8ml、84mmol)を添加し、室温で週末を越えて撹拌した。反応物をHO(50ml)及びEtOAc(50ml)との間で分割した。水層をEtOAc(2×100ml)で再度抽出した。合わせた有機部分をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、乾燥するまで溶媒を蒸発させた。残渣をペンタンを用いて粉砕し、その後、高真空下で乾燥させ、製造物をベージュ色の固形物として得た(24.7g、88%)。
TLC:EtOAc/ペンタン 1:4 R=0.91
【0276】
【化63】

【0277】
製造例13
4−プロピル−2−[1−(トリイソプロピルシリル)−1H−インドール−4−イル]モルホリン−2−オール
【化64】

【0278】
ゴム製の隔壁、マグネットスターラーバー、及び窒素注入口及び排気口を装備した乾燥した3口の500mLの丸底フラスコは、数回、窒素を抜いて、また戻し、乾燥THF(100mL)中の製造例12の化合物(6.6g、18.73mmol)の溶液で充たした。混合物を−78℃まで冷却して、t−BuLi(ペンタン中1.7M、22ml、37.5mmol、2.0当量)を滴下して添加した。混合物を5分間−78℃で撹拌し、その後、THF(15mL)中の4−プロピルモルホリン−2−オン(2.68g、18.73mmol、1.0当量;製造例17)の溶液を滴下して添加した。反応混合物を−78℃で45分間撹拌し、その後、20mLの飽和NHCl溶液で反応を停止させ、室温で一晩加温した。反応混合物をEtOAc(100mL)及び水(50mL)との間で分割し、水層をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機物をNaSO上で乾燥させ、黄色の油状物になるまで溶媒を蒸発させ、ペンタン/EtOAc 4/1〜2/1〜1/1〜0/100の勾配溶離液を用いてSiO上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、製造物を含有する分画を合わせて、溶媒を蒸発させ、表題化合物を淡黄色の油状物として得た(4.3g、68%収率)。
【0279】
製造例14
2−[(2−ヒドロキシエチル)(プロピル)アミノ]−1−[1−(トリイソプロピルシリル)−1H−インドール−4−イル]エタノール
【化65】

【0280】
EtOH(25mL)及び水(15mL)の混合物中の製造例13の製造物(4.3g、10.32mmol)の溶液にNaBH(1.56g、41.3mmol、4.0当量)を5分かけて断続的に添加した。20分後、反応が完了しているのをTLCによって判断した。反応混合物を30mLの飽和NHCl溶液で反応を停止させ、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機物をNaSO上で乾燥させ、溶媒を除去し、3.8gの黄色の油状物を得た。さらに精製せずに次に工程にこれを直接使用した。
【0281】
製造例15
4−(4−プロピルモルホリン−2−イル)−1H−インドール
【化66】

【0282】
乾燥DCM(25mL)中の製造例14の製造物(3.8g)の溶液に、3℃で窒素下で、2mLの濃HSOを滴下して添加した。2層の反応混合物を激しく撹拌し、室温で1時間以上加温した。次に、濃HSOの10mLをさらに添加し、TLCによって反応が完了していると判断できるまで、さらに2時間、反応混合物を撹拌した。反応混合物を注意深く氷上に注ぎ、0.880 NH溶液(100mL)を用いて塩基性にした。その後、混合物をEtOAc(3×150mL)で抽出し、合わせた有機物をNaSO上で乾燥させ、乾燥するまで溶媒を蒸発させた。粗製物質を溶離液としてDCM/MeOH/0.880 NH 99/1/0.1、その後、再びDCM/MeOH/0.880 NH 100/0/0〜99/1/0.1を用いてSiO上でクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物をベージュ色の油状物として得た(2工程にわたって630mg、28%)。
【0283】
【化67】

【0284】
製造例16
3,3−ジブロモ−4−(4−プロピルモルホリン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン
【化68】

【0285】
室温で窒素下でt−BuOH(20mL)中の製造例15の製造物(515mg、2.11mmol)の溶液に、三臭化ピリジニウム(2.02g、6.32mmol、3.0当量)を15分かけて断続的に添加した。反応混合物を20時間室温で撹拌した。混合物をEtOAc(100mL)と飽和NaHCO溶液(50mL)との間で分割して、水層をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機物をNaSO上で乾燥させ、茶色の固形物になるまで溶媒を蒸発させた。さらに精製せずに、これを次の工程に直接使用した。
【0286】
製造例17
4−プロピルモルホリン−2−オン
【化69】

【0287】
2−ブロモ酢酸メチル(50mL、0.53mol、1当量)をトルエン中のN−プロピルアミノエタノール(62.4ml、0.54mol、1当量)及びEtN(75ml、0.54mol、1当量)に0℃でゆっくり添加し、室温で一晩撹拌した。水(1L)を添加し、混合物をEtOAc(2×500mL)で抽出した。ブライン(500mL)を水層に添加し、EtOAc(2×500mL)で再度抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で溶媒を除去し、62.7g(81%)の表題化合物を透明な油状物として得た。
【0288】
【化70】

【0289】
製造例18
4−ピリジン−3−イル−2−トリチル−2H−インダゾール
【化71】

【0290】
トルエン(80mL)及びエタノール(50mL)中の製造例3の製造物(4.39g、10.0mmol)の溶液に、ジエチル−(3−ピリジル)−ボラン(商業的に利用可能、1.47g、10.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(577mg、0.50mmol)及び炭酸ナトリウム(1.59g、水2mL中の溶液として15.0mmol)を添加した。反応混合物を4時間還流して、次に、冷却し、酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(100mL)で洗浄した。有機層を分別し、水層をEtOAc(2×80mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、黄色の油状物になるまで溶媒を蒸発させた。これをペンタン/EtOAc 1:1(20mL)に取り、結晶化を誘導した。溶媒を蒸発させ、固形物を熱したエタノールで粉砕し、固形物をフィルター上で回収し、表題化合物をクリーム色の固形物として得た(2.32g、53%)。
【0291】
【化72】

【0292】
製造例19
3−(1H−インダゾール−4−イル)−1−プロピルピリジニウムヨウ化物
【化73】

アセトニトリル(40mL)中の製造例18の製造物(2.32g、5.30mmol)の溶液に、ヨウ化プロピル(2.6mL、26.5mmol)を添加し、反応混合物を窒素下で16時間還流した。混合物を乾燥するまで溶媒を除去し、粗製物質をDCM/MeOH 95/5で粉砕した。固形物をろ過によって回収し、DCM/MeOH 95/5で十分に洗浄した。この固形物をMeOHに溶解し、ろ過し、暗い不溶性の不純物を除去した。ろ過物から溶媒を蒸発させて、表題化合物を茶色の固形物として得た(1.17g、61%)。
【0293】
【化74】

【0294】
製造例20
(5S)−5−メチル−4−プロピル−2−(1−トリイソプロピルシラニル−1H−インドール−4−イル)−モルホリン−2−オール
【化75】

【0295】
−78℃で乾燥THF(85ml)中の4−ブロモ−1−トリイソプロピルシラニル−1H−インドール(6.0g、17mmol)の溶液にtert−ブチルリチウム(20ml、ヘキサン中1.7M、34mmol)を滴下して添加し、得られた溶液を10分間撹拌した。これに、乾燥THF(15ml)中の5−メチル−4−プロピル−モルホリン−2−オン(2.68g、17mmol)の溶液を添加した。反応物を−78℃で1時間撹拌し、その後、室温で一晩撹拌した。反応物をHO(50ml)とEtOAc(50ml)との間で分割し、有機層を抽出した。水層をEtOAc(3×50ml)で再度抽出した。合わせた有機部分をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、乾燥するまで溶媒を蒸発させた。残渣をEtOAc/ペンタン(1:3〜1:1〜1:0)を用いて溶出するシリカ上でクロマトグラフィーを行い、所望の製造物を得た(4.36g、59%)。
TLC:EtOAc/ペンタン 1:1 R=0.32
M/S:APCI+ 431(MH+)
H NMR:(400MHz、CDCl)製造物は、開環したケトン及び閉環したラクトールの混合物であり、NMRスペクトルは、さらに実験を行うことなしに帰属することはできない。
【0296】
製造例21
(2S)−2−{[(2−ヒドロキシ−2−(1−トリイソプロピルシラニル−1H−インドール−4−イル)−エチル)−プロピル−アミノ}−プロパン−1−オール
【化76】

【0297】
EtOH(25ml)及びHO(15ml)中の(5S)−5−メチル−4−プロピル−2−(1−トリイソプロピルシラニル−1H−インドール−4−イル)−モルホリン−2−オール(4.35g、10.1mmol)の溶液に、NaBH(1.53g、40.5mmol)を添加し、反応混合物を1時間撹拌した。反応混合物を飽和NHCl(aq)(10ml)で希釈し、CHCl(3×20ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、乾燥するまで溶媒を蒸発させ、ジアステレオ異性体の混合物として表題製造物を得た(4.16g、95%)。
【化77】

【0298】
製造例22
(2S)−2−{[2−(3−クロロ−1−トリイソプロピルシラニル−1H−インドール−4−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−プロピル−アミノ}−プロパン−1−オール
【化78】

【0299】
AcOH(30ml)中の(2S)−2−{[(2−ヒドロキシ−2−(1−トリイソプロピルシラニル−1H−インドール−4−イル)−エチル)−プロピル−アミノ}−プロパン−1−オール(3.72g、8.60mmol)の撹拌中の溶液に、室温で、N−クロロスクシンイミド(1.38g、10.3mmol)を3回に分けて添加した。反応物を75分間撹拌し、その後、2N NaOH(aq)で反応を停止させ、EtOAc(4×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、乾燥するまで溶媒を蒸発させた。残渣をCHCl/MeOH/NH:97/3/0.25〜93/7/1を用いて溶出するシリカ上でクロマトグラフィーを行い、所望の化合物をジアステレオ異性体の混合物として茶色の油状物として得た(3.24g、80%)。
【0300】
【化79】

【0301】
製造例23
4−{1−ヒドロキシ−2−[((1S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−プロピル−アミノ]−エチル}−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン
【化80】

【0302】
(2S)−2−{[2−(3−クロロ−1−トリイソプロピルシラニル−1H−インドール−4−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−プロピル−アミノ}−プロパン−1−オール(148mg、0.31mmol)を2N HCl(aq)(10ml)中で2時間撹拌した。反応混合物を2N NaOH(aq)で塩基性にし、EtOAc(3×30ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、乾燥するまで溶媒を蒸発させた。残渣をCHCl/MeOH/NH:96/4/0.5を用いて溶出するシリカ上でクロマトグラフィーを行い、所望の化合物を赤みを帯びた油状物として得た(44mg、48%)。
【0303】
【化81】

【0304】
製造例24
メタンスルホン酸2−メチル−3−ニトロベンジル
【化82】

【0305】
ジクロロメタン(5ml)中の(2−メチル−3−ニトロフェニル)メタノール(1g、5.9mmol)及びEtN(1.7ml、11.9mmol、2当量)に−10℃でジクロロメタン(5ml)中のMeSOCl(560μl、7.1mmol、1.2当量)を5分かけて滴下して添加した。反応物を室温まで加温し、室温で18時間撹拌した。水(100ml)の注意深い添加によって反応を停止させ、ジクロロメタン(100ml)で抽出し、有機物を分別し、MgSO上で乾燥させ、溶媒を蒸発させて、製造物をオレンジ色の油状物として得た(1g、68%)。この物質をさらに精製せずに進めた。
【0306】
製造例25
(2−メチル−3−ニトロフェニル)アセトニトリル
【化83】

【0307】
DMF(10ml)中のメタンスルホン酸2−メチル−3−ニトロベンジル(1g、4mmol)にKCN(265mg、4mmol、1当量)を添加し、室温で72時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発後、残渣を2N NaOH(100ml)とEtO(100ml)との間で分割した。有機物を分別し、MgSO上で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。粗製物質をトルエンに溶解させ、15%のEtOAc/ペンタンを用いて溶出するSiOカラム上でフラッシュクロマトグラフィーを行い、530mg(73%)の白色の固形物を得た。
【0308】
【化84】

【0309】
製造例26
酢酸(2−メチル−3−ニトロフェニル)
【化85】

エタノール(30ml)中の(2−メチル−3−ニトロフェニル)アセトニトリル(500mg、2.8mmol)に20%w/v KOH(aq)(30ml)を添加し、混合物を還流して18時間加熱した。冷却後、混合物をジクロロメタン(50ml)で抽出し、水層を分別し、2N HCl(aq)でpH2まで酸性にし、EtOAc(50ml)及びジクロロメタン(50ml)で抽出した。有機抽出物を合わせ、MgSO上で乾燥させ、真空下で溶媒を蒸発させて、製造物を薄茶色の固形物として得た(470mg、86%)。
【0310】
【化86】

【0311】
製造例27
2−(2−メチル−3−ニトロフェニル)−N−プロピルアセトアミド
【化87】

【0312】
酢酸(2−メチル−3−ニトロフェニル)(450mg、2.3mmol)、プロピルアミン(230μL、2.7mmol、1.2当量)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(530mg、2.7mmol、1.2当量)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(375mg、2.7mmol、1.2当量)、及びトリエチルアミン(640μL、4.6mmol、2当量)をDMF(10ml)中で合わせ、室温で18時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣を水(50ml)とEtOAc(2×50ml)との間で分割した。有機層を合わせ、MgSO上で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させて、製造物を淡いオレンジ色の固形物として得た(430mg、79%)。
【0313】
【化88】

【0314】
製造例28
N−[2−(2−メチル−3−ニトロフェニル)エチル]−N−プロピルアミン
【化89】

【0315】
BH3.THF(5.5ml、5.5mmol、THF中1.0M、3当量)をTHF(5ml)中の2−(2−メチル−3−ニトロフェニル)−N−プロピルアセトアミド(430mg、1.8mmol)に室温で添加し、混合物を還流して4時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、MeOHで反応を停止させ、溶媒を真空下で除去した。6M HCl(aq)を添加し、混合物を還流して2時間加熱した。混合物を冷却し、水(20ml)で希釈し、EtOAc(50mL)で抽出し、層を分別した。水層を0.880 NH3(aq)の注意深い添加によってpH10まで塩基性にし、EtOAc(50mL)及びジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO上で乾燥させ、真空下で溶媒を蒸発させ、製造物を薄茶色の油状物として得た(180mg、45%)。
【0316】
【化90】

【0317】
製造例29
[2−(2−メチル−3−ニトロフェニル)−エチル]−プロピルカルバミン酸tert−ブチルエステル
【化91】

【0318】
N−[2−(2−メチル−3−ニトロフェニル)エチル]−N−プロピルアミン(180mg、0.8mmol)及びジ−tert−ブチル−ジカルボネート(180mg、0.8mmol、1当量)をジクロロメタン(10ml)中で合わせ、室温で4時間撹拌した。水(50ml)で希釈し、ジクロロメタン(2×50ml)で抽出し、有機層を合わせ、MgSO上で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をトルエンに溶解させ、7%のEtOAc/ペンタンを用いて溶出するSiOカラム上でフラッシュクロマトグラフィーを行い、製造物を透明な油状物として得た(160mg、61%)。
【0319】
【化92】

【0320】
製造例30
[2−(3−アミノ−2−メチルフェニル)−エチル]−プロピルカルバミン酸tert−ブチルエステル
【化93】

【0321】
[2−(2−メチル−3−ニトロフェニル)−エチル]プロピルカルバミン酸tert−ブチルエステル(160mg、0.5mmol)、鉄粉(70mg、1.24mmol、2.5当量)及びNHCl(30mg、0.52mmol、1.05当量)を水(1ml)及びEtOH(3ml)中で合わせ、80℃で18時間加熱した。セライトパッドを通してろ過し、EtOH(50ml)で洗浄し、溶媒を真空下で除去した。残渣をEtOに溶解させ、10%w/v KCO3(aq)(50ml)で洗浄した。有機物をMgSO上で乾燥させ、溶媒を真空化で蒸発させ、製造物を薄茶色の油状物として得た(125mg、87%)。
【0322】
【化94】

【0323】
製造例31
[2−(1−アセチル−1H−インダゾール−4−イル)−エチル]−プロピル−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化95】

【0324】
KOAc(40mg、0.45mmol、1.05当量)及び無水酢酸(120μL、1.3mmol、3当量)をトルエン(5ml)中の[2−(3−アミノ−2−メチルフェニル)−エチル]−プロピルカルバミン酸tert−ブチルエステル(125mg、0.43mmol、1当量)に添加し、混合物を60℃で30分間加熱した。亜硝酸イソアミル(90μL、0.64mmol、1.5当量)を滴下して添加し、反応物を60℃で18時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、2N NaOH(aq)及び水(50ml)で希釈し、EtOAc(50ml)で抽出した。層を分別し、有機物をMgSO上で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させ、製造物をオレンジ色の油状物として得た(130mg、88%)。この物質をさらに精製せずに脱保護へと進めた。
M/S APCI− 302(M−アセテート−1)
【0325】
製造例32
(S)−2−エチルアミノ−プロパン−1−オール
【化96】

【0326】
ジクロロメタン(100ml)に溶解させた(S)−(+)−2−アミノ−1−プロパノール(5g、66.5mmol)にアセトアルデヒド(4.2ml、73.2mmol)を添加し、続いて予め乾燥させ、粉末にした4Åのモレキュラーシーブ(10g)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をセライトのパッドを通してろ過し、そのパッドをジクロロメタンで洗浄し、溶媒を蒸発させて、透明な油状物を得た。この油状物をエタノール(60ml)に溶解させ、30psiの圧力のHで一晩、PtO触媒(600mg)上で水素化した。反応混合物をArbocelのパッドを通してろ過し、溶媒を蒸発によって除去して、薄茶色の油状物を得た(6.2g)。
【0327】
【化97】

【0328】
製造例33
(5S)−5−メチル−4−エチルモルホリン−2−オン
【化98】

【0329】
(S)−2−エチルアミノ−プロパン−1−オール(5.7g、55.2mmol)をトルエン(60ml)に溶解し、続いて、N−エチルジイソプロピルアミン(9.6ml、55.2mmol)及びブロモ酢酸メチル(5.0ml、55.2mmol)を添加した。混合物を50℃で一晩加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(100ml)で希釈し、CHCl(3×100ml)で抽出し、MgSO上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発によって除去して、薄茶色の油状物を得た(4.9g)。この物質をCHClに溶解し、100% CHClから90:10:1のCHCl:MeOH:NHOHまでの勾配溶離液を用いてIsco Combiflash Companion autochromatographyシステム(120g SiOカラム)上でクロマトグラフィーを行った。分画を含有する溶媒を蒸発させて、琥珀色の油状物を得た(2.9g)。
【0330】
【化99】

【0331】
製造例34
(5S)−5−メチル−4−エチル−2−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)−モルホリン−2−オール
【化100】

【0332】
t−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M、22.8mL、38.7mmol、2当量)を−70℃未満の温度を維持しているTHF(65mL)中の4−ブロモ−2−トリチル−2H−インダゾール(8.5g、19.3mmol、1当量:製造例3)の撹拌中の溶液に滴下して添加した。THF(20ml)中の(5S)−5−メチル−4−エチルモルホリン−2−オン(2.8g、19.3mmol、1当量)を即座に添加して、反応を30分間続行した。水(200ml)の添加によって反応を停止させ、室温まで加温し、EtOAc(2×200mL)で抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させ、50%のEtOAc/ペンタンから100%のEtOAcの勾配を用いて溶出するSiOを通してフラッシュクロマトグラフィーを行い、4.0gの淡黄色の固形物を2種類のジアステレオ異性体の混合物として得た。
M/S(APCI−)260(M−1)
【0333】
製造例35
(2S)−2−{[2−ヒドロキシ−2−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)−エチル]−エチル−アミノ}プロパン−1−オール
【化101】

【0334】
NaBH(1.2g、31.8mmol、4当量)をEtOH(80ml)及び水(20ml)中の(5S)−5−メチル−4−エチル−2−(2−トリチル−2H−インダゾール−4−イル)−モルホリン−2−オール(4.0g、7.9mmol、1当量)の撹拌中の溶液に室温で添加し、反応物を室温で18時間撹拌した。NHCl(10%w/v水溶液)(100ml)の添加によって反応を停止させ、EtOAc(2×200ml)で抽出した。有機物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させ、100%のEtOAcから5%のMeOH/EtOAcまでの勾配を用いて溶出するIsco Combiflash Companion autochromatographyシステム(120g SiOカラム)上でフラッシュクロマトグラフィーを行い、3.5gの白色の固形物を2種類のジアステレオ異性体の混合物として得た。
【0335】
【化102】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Aは、N又はC=Oから選択され;
Xは、H、メチル、エチル、OH、OCH、OCHCH、ハロ、SCH、CN又はCFから選択され;
−−−−−(式(I)中のダッシュを引いた結合)は、AがNである場合は単結合を表し、そして、AがC=Oである場合は存在せず;
は、下記:
【化2】

{式中、
Zは、O又はCHを表し;
は、H又は(C−C)アルキルを表し;ここで、前記(C−C)アルキルは、(C−C)アルキル、OR、フェニル、又はヘテロアリールによって場合により置換されもよく;
は、H又は(C−C)アルキルを表し;ここで、前記(C−C)アルキルは、ORによって場合により置換されてもよく;
は、H又は(C−C)アルキルを表し;
は、H、メチル、エチル、メトキシ、又はエトキシを表し;
は、(C−C)アルキルを表し;
は、H又は(C−C)アルキルを表し;ここで、前記(C−C)アルキルは、OR、フェニル又は置換されたフェニルから各々独立に選択される1又は2個の置換基で場合により置換されてもよく;
は、H、(C−C)アルキル、フェニル、又は(CH)フェニルを表し;
ここで、ヘテロアリールは、1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族環を意味し、当該へテロ原子は、O、S及びNから各々独立して選択され;当該ヘテロアリールは、(C−C)アルキル、ハロ及びORから選択される1個又はそれより多くの置換基で場合により置換されてもよく、各置換基は、同一であるか又は異なっていてもよく;そして、
ここで、置換されたフェニルは、(C−C)アルキル、ハロ及びORから選択される1個又はそれ多くの置換基で置換されたフェニルを意味し、各置換基は同一であるか又は異なっていてもよく;
ただし:
AがC=Oである場合、ZはOであり;そして、
AがC=Oであり、XがHであり、及びRが(IV)である場合、RはHであることができない}
から選択される]
で表される化合物、又はそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物、多形若しくはプロドラッグ。
【請求項2】
Xが、H、OH、F又はCNから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、部分(II)である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Zが、Oであり;Rが、(C−C)アルキルであり;Rが、H又は(C−C)アルキルから選択され;そして、Rが、Hである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、部分(III)である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
が、フェニル又はヘテロアリールによって場合により置換される(C−C)アルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が、部分(V)である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項8】
Aが、Nであり;Rが、H及びメトキシから選択され;そして、Rが、H及びメチルから選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
4−[(2R,5S)−5−メチル−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール;
4−[(1−(2−エチル)アゼチジン−3−イル]−1H−インダゾール;
4−[1−(3−フェニルプロピル)アゼチジン−3−イル]−1H−インダゾール;
4−(1−プロピルアゼチジン−3−イル)−1H−インダゾール;
4−[(2R)−4−プロピルモルホリン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
4−[(2R,5S)−5−メチル−4−プロピル−モルホリン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;
N−[2−(1H−インダゾール−4−イル)エチル]−N−プロピルアミン;
4−[(2R,5S)−5−メチル−4−エチルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール;及び
4−[(2S,5S)−5−メチル−4−エチルモルホリン−2−イル]−1H−インダゾール
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
医薬として使用するための請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
性機能不全を治療するための医薬の製造における、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項12】
性機能不全が、男性の勃起不全又は女性の性機能不全である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
うつ病又は精神障害を治療するための医薬の製造における、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
神経変性を治療するための医薬の製造における、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、及び医薬として許容される希釈剤又は担体を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2008−500329(P2008−500329A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514182(P2007−514182)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001513
【国際公開番号】WO2005/116027
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】