説明

新規ウイルスベクター

本発明は、新規な組換えトランスファーベクター,組換えバキュロウイルス及びそれらの製造方法,マラリア,インフルエンザウイルス等の感染性疾患の治療及び予防薬として有用である前記組換えバキュロウイルスを有効成分とする医薬を提供する。より詳細には、本発明は、デュアル・プロモーターの制御下にウイルス遺伝子に融合した外来遺伝子を発現可能な組換えトランスファーベクター及び,組換えバキュロウイルス及びそれらの製造方法,並びに当該組換えバキュロウイルスを有効成分とする医薬を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,新規なトランスファーベクター,該トランスファーベクターとバキュロウイルスDNAとが相同組換えされた組換えバキュロウイルス及びそれらの製造方法が提供される。
【0002】
また,本発明は上記組換えバキュロウイルスを有効成分とする医薬(例えばワクチン,マラリア,インフルエンザウイルス感染症の予防または治療薬)に関する。
【背景技術】
【0003】
バキュロウイルスのベクターとしての使用は昆虫細胞を用いた目的タンパク質の工業的生産方法に利用されていた。近年,バキュロウイルスが昆虫細胞のみならず,哺乳動物において外来遺伝子を導入できることが分かり,治療用遺伝子導入ベクターの可能性が見出され特許文献1には,バキュロウイルスの初期遺伝子由来プロモーターにウイルス非構造タンパク質をコードする遺伝子を含むDNA領域と後期遺伝子由来のプロモーターにウイルスの構造タンパク質をコードする遺伝子を含むDNA領域からなる複数の独立したプロモーターを有する組換えバキュロウイルス発現ベクターが開示されている。
【0004】
特許文献2には,複数の独立したプロモーターにそれぞれ所望の外来遺伝子が結合したベクターの外因性遺伝子が発現されるように制御されたプロモーターを含む非哺乳動物DNAウイルスを細胞に導入し,哺乳動物細胞内で外来遺伝子を発現させる方法が開示されている。
【0005】
さらに,特許文献3には,バキュロウイルスを用いた遺伝子組換え技術によるタンパク質の生産方法について開示されており,バキュロウイルスのgp64遺伝子と所望のタンパク質をコードする遺伝子とが結合した融合遺伝子を発現させて,所望のタンパク質をウイルス粒子に融合させた形で生産し,所望のタンパク質が融合されたウイルス粒子を回収し,さらに該ウイルス粒子から所望のタンパク質を切断して回収するタンパク質の生産方法が開示されている。
【0006】
特許文献4には,バキュロウイルス発現系について,宿主細胞において活性であり,かつ,非許容細胞において不活性である第1のプロモーターに機能しうる形が連結された検出マーカーをコードする 第1の核酸配列,および非許容細胞において活性である第2のプロモーターに機能しうる形で連結された外来核酸配列を含む第2の核酸配列を含んでなる,複数の独立したプロモーターを有する組換えバキュロウイルス発現ベクターが開示されている。
【0007】
特許文献5には,チキンβアクチン由来のCAGプロモーターに連結されたインフルエンザウイルス・ヘマグルチニン(HA)抗原発現組換えバキュロウイルスベクターがインフルエンザウイルス感染予防効果を有することからワクチン製剤として有用であることが開示されている。
【0008】
特許文献6には,バキュロウイルスプロモーターと哺乳動物細胞由来のプロモーターのそれぞれに細胞表面に発現可能なタンパク質をコードする遺伝子を連結させたプラスミド,または二組のバキュロウイルスプロモーターのそれぞれに細胞表面に発現可能なタンパク質をコードする遺伝子を連結させたプラスミドとを昆虫細胞にコトランスフェクトするコトランスフェクション工程を含むバキュロウイルスベクターの製造方法が開示されている。
【0009】
特許文献7にはCAGプロモーターにインフルエンザウイルスHAのcDNAが組み込まれた組換えバキュロウイルスを用いたインフルエンザウイルス感染に対する抗インフルエンザウイルス活性の検討を開示しており,組換えバキュロウイルスだけでなく,野生型バキュロウイルスにも該活性を有することが開示されている。
【0010】
このように近年,様々な組換えバキュロウイルスベクターが開発され,それらを用いた当該組換えバキュロウイルスを有効成分として,哺乳動物に対する医薬開発が検討されている。
【0011】
当業界では,新規な構造を有する組換えバキュロウイルスベクターであって,インフルエンザウイルス,マラリア,結核などの感染症,或いは癌などの疾患に対して有効な新規な組換えバキュロウイルスを有効成分とする医薬製剤,特にワクチン製剤の開発が所望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3366328号:多重プロモーターバキュロウイルス発現系及び欠陥粒子産物
【特許文献2】WO98/011243号:改変されたコートタンパク質を有する非哺乳動物DNAウイルス
【特許文献3】特開2002-253263号:タンパク質の生産方法
【特許文献4】特開2003-284557号:新規バキュロウイルス移入ベクターおよび外来遺伝子発現用の組換えバキュロウイルス
【特許文献5】WO02/062381号:バキュロウイルスベクターワクチン
【特許文献6】WO04/029259号:バキュロウイルスベクター・バキュロウイルスベクター製造方法及び遺伝子導入方法
【特許文献7】特開2005-15346号:バキュロウイルス含有抗ウイルス剤
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は,新規な組換えトランスファーベクター,当該組換えトランスファーベクターとバキュロウイルスDNAとが相同組換えされた組換えバキュロウイルス及びそれらの製造方法を提供することにある。また,本発明の他の目的は上記組換えバキュロウイルスを有効成分とする医薬,特にワクチン製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは,昆虫細胞中および脊椎動物(特に,哺乳類,鳥類など)細胞中の両者において所望の免疫原性を有するタンパク質,或いは部分タンパク質がウイルス構成タンパク質と融合して発現可能な新規な構造を有するトランスファーベクター,当該組換えトランスファーベクターとバキュロウイルスDNAとが相同組換えされた組換えバキュロウイルスを見出した。当該組換え体バキュロウイルスの提供により,効果的に疾患の感染予防,および/または治療効果を有する組換えバキュロウイルスを有効成分とする医薬について,鋭意研究を重ねた結果,当該組換えバキュロウイルスが,所望の医薬として効果を有することを新たに見出した。
【0015】
そして,本発明によれば,新規な構造を有する組換えトランスファーベクター,当該組換えトランスファーベクターとバキュロウイルスDNAとが相同組換えされた組換えバキュロウイルスとそれらの製造方法,そして組換えバキュロウイルス自身が標的細胞中において所望の免疫原性を有するタンパク質を発現可能な医薬として,マラリア,インフルエンザウイルスなどの感染症の予防医薬として有効であることを確認しここに発明を完成した。
【0016】
本発明は,下記項1−22に示される発明を提供する。
項1.pCAP-PfCSP,pCAP-PfCSP/272,pCAP-PfCSP/467,pCAP-PfCSP(A361E),pCAP-PfCSP(A361E)/272,pCAP-PfCSP(A361E)/467,pCAP-PfCSP-76,pCAP-PfCSP-76/467,pCAP-PfCSP+209,pCAP-PfCSP+209/467,pCAP-PfCSP+76/209,pCAP-PfCSP+76/209/467,pCAP-HA1/Anhui,pCAP-HA1/Anhui/272,pCAP-HA1/Anhui/467,pCAP-HA1/Vietnam,pCAP-HA1/Vietnam/51,pCAP-HA1/Vietnam/101,pCAP-HA1/Vietnam/154,pCAP-HA1/Vietnam/201,pCAP-HA1/Vietnam/272,pCAP-HA1/Vietnam/467, pCAP-AH/345,pCAP-AH/345/467,pCAP-AH/410,pCAP-AH/410/467,pCAP-AH/473,pCAP-AH/473/467,pCAP-AH/520,pCAP-AH/520/467,pCAP-VN/346,pCAP-VN/346/467,pCAP-VN/410,pCAP-VN/410/467,pCAP-VN/473,pCAP-VN/473/467,pCAP-VN/520,pCAP-VN/520/467,pCAP-CO/full,pCAP-CO/full/467,pCAP-CO/19,pCAP-CO/19/467,pCAP-CO/76,pCAP-CO/76/467,pCAP-CO/205,pCAP-CO/205/467,pCA39-HA1/Anhui,pCA64-HA1/Anhui,pCA39-PfCSP(A361E),pCA64-PfCSP(A361E),pCAP-CO/full/VSV,pCAP-CO/19/VSV,pCAP-CO/76/VSV,pCAP-CO/205/VSV,pDual-Pfs25-PfCSP-gp64,pDual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかであるトランスファーベクター。
項2.AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかである組換えバキュロウイルス。
項3.項2の組換えバキュロウイルスを有効成分とする感染症用組成物。
項4.筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与される、項2の組換えバキュロウイルスを有効成分として含む感染症用組成物。
項5.項2の組換えバキュロウイルスを有効成分とするワクチン。
項6.筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与されることを特徴とする項3に記載の組換えバキュロウイルスを有効成分とするワクチン。
項7.AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhuiのいずれかを有効成分とするインフルエンザウイルス感染症治療または予防剤。
項8.筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与されることを特徴とする項7に記載のインフルエンザウイルス感染症治療または予防剤。
項9.AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhuiのいずれかを有効成分とするインフルエンザウイルス感染症用ワクチン。
項10.筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与されることを特徴とする項7に記載のインフルエンザウイルス感染症用ワクチン。
項11.AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467, AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467, AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64を有効成分とするヒトマラリア感染症治療または予防剤。
項12.筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与されることを特徴とする項11に記載のヒトマラリア感染症治療または予防剤。
項13.AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467, AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467, AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかを有効成分とするヒトマラリア感染症用ワクチン。
項14.筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与されることを特徴とする項13に記載のヒトマラリア感染症用ワクチン。
項15. 項2に記載の組換えバキュロウイルス、項3または4に記載の感染症用組成物、項5、6、9,10,13または14に記載のワクチンの有効量を、被験体に投与することを含む、マラリアもしくはインフルエンザの感染予防方法またはマラリアもしくはインフルエンザの治療方法 。
項16. 前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンがリポソーム製剤として被験体に投与されることを特徴とする、項15に記載の方法。
項17. 前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンが筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで被験体に投与される、項15に記載の方法 。
項18. 前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンが筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで被験体に投与される、項16に記載の方法 。
項19. 項2に記載の組換えバキュロウイルス、項3または4に記載の感染症用組成物、項5、6、9,10,13または14に記載のワクチンの有効量を、被験体に投与することを含む、免疫賦活方法 。
項20. 前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンがリポソーム製剤として被験体に投与されることを特徴とする、項19に記載の方法。
項21. 前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンが筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで被験体に投与される、項19に記載の方法。
項22. 前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンが筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで被験体に投与される、項20に記載の方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば,新規な組換えトランスファーベクター,当該組換えトランスファーベクターとバキュロウイルスDNAとが相同組換えされた組換えバキュロウイルス及びそれらの製造方法が提供される。本発明の組換えバキュロウイルスを有効成分とする医薬は,マラリア,インフルエンザウイルスなどの感染症等の治療及び/又は予防薬として,或いは細胞医療やワクチン製剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例3の昆虫細胞における本発明組換えバキュロウイルスからのワクチン抗原の発現試験結果を示す。
【図2】(A)組換えトランスファーベクターから作製した組換えバキュロウイルスのウイルス粒子中でのヒトマラリアCSP遺伝子(PfCSP)のそれぞれの発現を示すウェスタンブロッティング分析の図面である。(B)組換えトランスファーベクターから作製した組換えバキュロウイルスのウイルス粒子中でのH5N1/HA1遺伝子の発現を示すウェスタンブロッティング分析の図面である。
【図3】HepG2細胞におけるPfMSP1遺伝子とPfCSP遺伝子の融合遺伝子の組換えバキュロウイルスが抗原を発現していることで蛍光標識抗体に染色された細胞の図面を示す。(A)はPfCSP抗原の発現が,(B)はPfMSP-119抗原の発現が確認できる。
【図4】実施例6の抗体価の測定結果を示す。
【図5】本発明のトランスファーベクターを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本明細書におけるアミノ酸,ペプチド,塩基配列,核酸などの略号による表示は,IUPAC-IUBの規定[IUPAC-IUB Communication on Biological Nomenclature, Eur. J. Biochem., 138: 9(1984)],「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(特許庁編)および当該分野における慣用記号に従うものとする。本明細書において,DNA分子とは,2本鎖DNAのみならず,それを構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖という各1本鎖DNAを包含する趣旨であり,またその全長に制限されるものではない。従って,本発明免疫原性外来遺伝子をコードするポリヌクレオチド(DNA分子)には,特に言及しない限り,ゲノムDNAを含む2本鎖DNAおよびcDNAを含む1本鎖DNA(センス鎖)並びに該センス鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(アンチセンス鎖)および合成DNA,それらの断片のいずれもが含まれる。
【0020】
本明細書において,ポリヌクレオチドまたはDNA分子は,機能領域の別を問うものではなく,発現抑制領域,コード領域,リーダー配列,エキソンおよびイントロンのいずれか少なくともひとつを含むことができる。
【0021】
また,ポリヌクレオチドの例には,RNAおよびDNAが含まれる。特定アミノ酸配列からなるポリペプチドおよび特定DNA配列を含むポリヌクレオチドには,それらの断片,同族体,誘導体および変異体が含まれる。
【0022】
ポリヌクレオチドの変異体,例えば変異体DNAの例には,天然に存在するアレル変異体;人工変異体;欠失,置換,付加および挿入がなされた変異体などが含まれる。但し,これらの変異体は,変異前のポリヌクレオチドがコードするポリペプチドの機能と実質的に同じ機能を有するポリペプチドをコードするものとする。
【0023】
本発明において,トランスファーベクターとは一方が脊椎動物プロモーター(哺乳動物プロモーターや鳥類のプロモーター)と他方がバキュロウイルスのプロモーターである2つのプロモーターが連結したデュアル・プロモーターの下流に,少なくとも一つのウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質をコードする遺伝子と,少なくとも一つの免疫原性外来遺伝子とが連結した融合遺伝子が組み込まれた構造体を含む組換えバキュロウイルスを製造するためのプラスミドをいう。
【0024】
本発明の好ましい一つの実施形態においては,免疫原性外来遺伝子がデュアル・プロモーターの下流であって,ウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質をコードする遺伝子の上流側に位置するのがよい。また,本発明の組換えバキュロウイルスは医薬,あるいはワクチンの有効成分として,脊椎動物に用いられる。該脊椎動物としては,ヒトを含む哺乳動物,例えばウシ,ウマ,ブタ,ヒツジ,ヤギ,サル,マウス,イヌ,ネコなどを例示でき,鳥類としては,ニワトリ,ウズラ,ガチョウ,カモ,ハト,七面鳥,ホロホロチョウ,オウムなどを例示できる。
【0025】
1つの実施形態において,本発明は,一方が脊椎動物プロモーターで他方がバキュロウイルスのプロモーターである連結したデュアル・プロモーターの制御下に,昆虫細胞で発現可能なウイルス膜タンパク質をコードする遺伝子と,一つの免疫原性外来遺伝子とを含む融合遺伝子が組み込まれた新規な構造体を含むトランスファーベクターを提供する。このトランスファーベクターを,昆虫細胞中でバキュロウイルスDNAとコトランスフェクトすることにより,相同組換えを誘発し,バキュロウイルスのプロモーターの制御下にあり,昆虫細胞で発現し,発芽したウイルス粒子の構成成分となり得る融合タンパク質を産生することが可能な前記融合遺伝子をバキュロウイルスに組み込んだ組換えバキュロウイルスを得ることができる。
【0026】
本発明において組換えバキュロウイルスを脊椎動物に投与すると発芽したウイルス粒子の構成成分となり得るタンパク質と免疫原性タンパク質との融合タンパク質がコンポーネントワクチンとして機能する。さらに,脊椎動物に投与された組換えバキュロウイルスが脊椎動物細胞に侵入し,ウイルスゲノムから脊椎動物細胞内で目的免疫原性外来抗原との融合抗原が産生され,DNAワクチンとして機能する。
【0027】
従って,例えば哺乳動物の場合,本発明の組換えバキュロウイルスを哺乳動物に投与することにより,ウイルス粒子の構成成分となり得るタンパク質と免疫原性タンパク質との融合タンパク質がウイルス表面に抗原として提示され,ウイルス粒子の構成成分となり得るタンパク質と免疫原性タンパク質との融合タンパク質が哺乳動物の細胞内で産生され,その免疫賦活作用により,ウイルス感染症,原虫感染症,細菌感染症などの予防ないし治療剤として機能すると考えられる。
【0028】
トランスファーベクターとコトランスフェクトされるバキュロウイルスDNAは,野生型,変異型,及び組換えバキュロウイルスDNAのいずれであってもよい。コトランスフェクトされる宿主細胞として,例えばヨトウガ細胞(Spodoptera frugiperda)などの昆虫細胞が挙げられる。
【0029】
なお,本発明においては,マラリアやインフルエンザウイルスなどの感染症などの予防・治療のためのワクチン療法を含めた免疫療法の免疫原となる抗原タンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子,例えばマラリア抗原やインフルエンザウイルス抗原などのタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子を免疫原性外来遺伝子という。
【0030】
ここで,「外来」遺伝子とは,外部から導入した遺伝子を意味し,同一の遺伝子が細胞内にあったとしても,「外来」遺伝子に該当する。
【0031】
本発明において,上記免疫原となるタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子は感染症などの疾患起因物質に対する免疫原性を有する抗原タンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子である限り,抗原タンパク質のアミノ酸配列をコートずる遺伝子としては特に限定されない。これら免疫原性を有する抗原タンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子の一例としては,以下が挙げられる。
【0032】
マラリア抗原のアミノ酸配列をコードする遺伝子としては,マラリア原虫のスポロゾイト表面の表面抗原CSP(Circumsporozoite Protein),メトロゾイト表面の膜タンパク質のMSP1(Merozoite Surface Protein 1),マラリア感染赤血球から分泌されるマラリアS抗原,マラリア感染赤血球のノブに存在するPfEMP1タンパク質,SERAタンパク質,TRAMPタンパク質,AMA1タンパク質などのタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子を例示できる。
【0033】
インフルエンザウイルス抗原のアミノ酸配列をコードする遺伝子としては,HA抗原(ヘマグルチニン抗原),NA抗原(ノイラミニダーゼ抗原),M2抗原(マトリックスプロテイン抗原),NP抗原(ヌクレオプロテイン抗原)などのタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子が例示できる。
【0034】
脊椎動物の遺伝子のうち,哺乳動物遺伝子としては,ヒト,ウシ,ウマ,ブタ,ヒツジ,サル,マウス,イヌ,ネコなどの感染症の抗原タンパク質をコードする遺伝子が例示でき,鳥類遺伝子としては,ニワトリ,カモ,ハト,七面鳥,ホロホロチョウ,オウムなどの感染症の抗原遺伝子(例えばトリインフルエンザHA抗原)が例示できる。
【0035】
前記の哺乳動物,鳥類の感染症との関連が報告されている病原体遺伝子はGenbankなどの病原体遺伝子が登録されている公共のデータを保存している機関から容易に入手できる。
【0036】
本発明では,これら免疫原性外来遺伝子を有するトランスファーベクター,並びにその相同組換された組換えバキュロウイルスを提供でき,該免疫原性外来遺伝子を含有する組換えバキュロウイルスを有効成分とする医薬組成物,前記医薬組成物からなるワクチン製剤を提供することが出来る。
【0037】
本発明に用いるバキュロウイルスは,昆虫に感染を起す昆虫病原ウイルスで環状の二本鎖DNAを遺伝子として保有するDNAウイルスの一群(バキュロウイルス科)である。その中で,核多角体病ウイルス(Nuclear Polyhedorosis Virus: NPV)といわれる一群のウイルスは感染後期には感染細胞の核内に多角体と呼ばれる封入体を作る。多角体遺伝子の代わりに発現したい外来遺伝子を挿入してもウイルスは問題なく感染,増殖し,所望の外来遺伝子産物を大量に産生することから,近年所望のタンパク質の製造に応用されている。
【0038】
前記本発明に用いられるバキュロウイルスとしては,オートグラファ核多角体病ウイルス(Autographa californica nucleopolyhedrosis virus: AcNPV),およびカイコガ核多角体病ウイルス(Bombyx mori nucleopolyhedrosis virus: BmNPV),オルギア・シュードツガタ核多角体病ウイルス(Orgyia pseudotsugata nucleopolyhedrosis virus: OpNPV),マイマイガ核多角体病ウイルス(Lymantria dispernucleopolyhedrosis virus: LdNPV)を例示できる。
【0039】
バキュロウイルスDNAは,本発明のトランスファーベクターとの相同組換えを起こすことができるものであればよい。具体的には,本発明のトランスファーベクターとの相同組換えを起こすことができるバキュロウイルスDNAのウイルス遺伝子は130kbpと巨大であり,15kbp以上の免疫原性外来遺伝子を挿入できる。また,バキュロウイルス遺伝子自体は脊椎動物細胞では,殆ど発現しないため,細胞傷害性を殆ど考慮することなく,従って,有害な免疫応答の誘導もないと考えられる。
(1) 本発明のトランスファーベクターおよびトランスファーベクターの製造
免疫原性外来遺伝子DNAの製造
バキュロウイルストランスファーベクターの構成成分の一つであるウイルス遺伝子に融合可能な免疫原性外来遺伝子DNAの製造法は,本明細書に開示された目的とする免疫原性を有する抗原タンパク質のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの核酸配列情報に基づいて合成するか,或いは免疫原性外来遺伝子の核酸配列情報に基づいて該免疫原性外来遺伝子のコード領域の核酸配列に相当するDNAをそのまま合成することにより(化学的DNA合成法),容易に製造,取得することができる。この製造には,一般的遺伝子工学的手法が適用できる[例えば,Molecular Cloning 2d Ed, Cold Spring Harbor Lab. Press(1989);続生化学実験講座「遺伝子研究法I,II,III」,日本生化学会編(1986)など参照]。
【0040】
また,該DNAの合成方法としては,リン酸トリエステル法,リン酸アミダイト法などの化学合成手段[J. Am. Chem. Soc., 89,4801(1967);同91,3350(1969);Science, 150, 178(1968);Tetrahedron Lett., 22, 1859(1981);同24, 245(1983)]およびそれらの組合せ方法が例示できる。より具体的には,該DNAは,ホスホルアミダイト法またはトリエステル法によって化学合成することもでき,市販されている自動オリゴヌクレオチド合成装置を利用して合成することもできる。二本鎖断片は,相補鎖を合成し,適当な条件下で該相補鎖を化学合成した一本鎖とアニーリングさせるか,または適当なプライマー配列と共にDNAポリメラーゼを用いて該相補鎖を化学合成した一本鎖に付加することによって得ることができる。
【0041】
本発明において製造される免疫原性外来遺伝子DNAの具体的一態様としては,マラリア抗原タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA配列やインフルエンザウイルス抗原タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA配列からなるDNAを例示できる。
【0042】
なお,本発明において利用されるDNAは,前記免疫原性を有する抗原タンパク質のポリペプチドのアミノ酸配列をコードするDNA配列の全長DNA配列に限定されず,DNA配列によってコードされるアミノ酸配列のタンパク質が抗原性を有する限り,部分配列をコードするDNA配列であってもかまわない。
【0043】
本発明に用いられる免疫原性外来遺伝子のDNAは,かかる特定のDNA配列を有するDNA分子に限らず,各アミノ酸残基に対して任意のコドンを組合せ,選択したDNA配列を有することも可能である。コドンの選択は,常法に従うことができる。その際には例えば利用する宿主のコドン使用頻度などを考慮することができる[Nucleic Acids Res., 9,43(1981)]。
【0044】
遺伝子工学的手法による本発明に用いられる免疫原性外来遺伝子のDNAの製造は,より具体的には,免疫原性外来遺伝子のDNAが発現される適当な起源より,常法に従ってcDNAライブラリーを調製し,該ライブラリーから免疫原性外来遺伝子のDNAに特有の適当なプローブや発現物に対する抗体を用いて所望クローンを選択することにより実施できる[Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 78, 6613(1981);Science, 222, 778(1983)など参照]。
【0045】
上記において,ゲノムDNAの起源としては,免疫原性外来遺伝子のDNAを発現する各種細胞,組織,これらに由来する培養細胞などを例示することができる。特に,マラリア原虫が感染した感染赤血球抽出物やインフルエンザウイルス感染細胞抽出物などを起源とするのが望ましい。該起源からの全DNAやRNAの抽出および分離,mRNAの分離および精製,cDNAの取得およびそのクローニングなどは,いずれも常法に従って実施することができる。
【0046】
免疫原性外来遺伝子のDNAの製造は,上述したとおり,前記抽出物を起源として,免疫原組織・細胞のmRNAを抽出・分離・精製して得られる各免疫原のcDNAライブラリーを用いて実施する他にも,例えば上記各免疫原のmRNAを抽出後,当該RNAにポリAを付加した後,当該ポリA付加RNAを集め,逆転写酵素を用いてcDNAを製造し,当該cDNAの両端に制限酵素部位を付加後,ファージに組み込んで調製したファージライブラリーを用いても実施することができる。
【0047】
免疫原性外来遺伝子のDNAをcDNAのライブラリーからスクリーニングする方法も,特に制限されず,通常の方法に従うことができる。具体的方法としては,例えばcDNAによって産生されるタンパク質に対する特異抗体(例えば,抗マラリア抗体や抗インフルエンザウイルス抗体)を使用した免疫的スクリーニングによって対応するcDNAクローンを選択する方法;目的のDNA配列に選択的に結合するプローブを用いるプラークハイブリダイゼーション法;コロニーハイブリダイゼーション法など;およびこれらの組合せを例示することができる。
【0048】
上記各ハイブリダイゼーション法において用いられるプローブとしては,免疫原性外来遺伝子のDNA配列に関する情報を基にして化学合成されたDNA断片などが一般的である。また,既に取得された免疫原性外来遺伝子およびその断片のDNA配列も上記プローブとして有利に利用できる。更に,免疫原性外来遺伝子のDNA配列情報に基づき設定したセンス・プライマーおよびアンチセンス・プライマーを,上記スクリーニング用プローブとして用いることもできる。
【0049】
プローブとして用いられるDNA(ヌクレオチド)は,免疫原性外来遺伝子のDNA配列に対応する部分DNA(ヌクレオチド)であって,少なくとも15個の連続したDNA,好ましくは少なくとも20個の連続したDNA,より好ましくは少なくとも30個の連続したDNAを有するものである。前記したDNAの製造のための陽性クローン自体もプローブとして用いることができる。
【0050】
免疫原性外来遺伝子のDNAの取得に際しては,PCR法[Science, 230, 1350(1985)]によるDNA/RNA増幅法が好適に利用できる。殊に,ライブラリーから全長のcDNAが得難い場合には,RACE法[Rapid amplification of cDNA ends;実験医学,12(6),35(1994)],特に5'-RACE法[M. A. Frohman et al.,Proc. Natl. Acad. Sci.,USA.,8,8998(1988)] などの採用が好適である。
【0051】
PCR法に用いられるプライマーは,免疫原性外来遺伝子のDNA配列情報に基づいて適宜設定し,常法に従って合成することができる。尚,このプライマーとしては,後記実施例に示すように,免疫原性外来遺伝子のDNAが組み込まれたベクタープラスミドの該DNAの両端に付加したDNA部分(SP6 プロモーター・プライマーおよびT7ターミネーター・プライマー)も使用することができる。
【0052】
尚,PCR法で増幅させたDNA/RNA断片の単離精製は,常法に従い例えばゲル電気泳動法などによって実施することができる。
上記の如くして得られる免疫原性外来遺伝子のDNA或いは各種DNA断片は,常法,例えばジデオキシ法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 74, 5463(1977)],マキサム-ギルバート法[Methods in Enzymology, 65, 499(1980)]などに従って,また簡便には市販のシークエンスキットなどを用いて,そのDNA配列を決定することができる。
【0053】
ウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸をコードする遺伝子としては,目的の細胞で上記免疫原性外来遺伝子と融合して融合タンパク質として,昆虫細胞においてウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質として発現可能なタンパク質をコードする遺伝子であれば,何れでもよい。
【0054】
前記ウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸をコードする遺伝子としては,例えば,gp64タンパク質(GenBank Accession No. L22858),水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質G(VSVG:GenBank Accession No. J02428),単純ヘルペスウイルス糖タンパク質(KOS:GenBank Accession No. K01760),1型ヒト免疫不全ウイルスgp120 (GenBank Accession No. U47783),ヒト呼吸器合胞体ウイルス膜糖タンパク質(GenBank Accession No. M86651),A型インフルエンザウイルスヘマグルチニンタンパク質(GenBank Accession No. U38242)などの遺伝子,或いはバキュロウイルスに近縁のウイルスエンベロープタンパク質などの遺伝子を例示できる。本発明においては,後記実施例に示されるgp64遺伝子を好ましく例示できる。
【0055】
上記ウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸をコードする遺伝子のDNAの製造は,前記免疫原性外来遺伝子のDNAの製造と同様に,目的とするウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸をコードする遺伝子のポリペプチドのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの核酸配列情報に基づいて合成するか,或いはウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸をコードする遺伝子のアミノ酸配列情報に基づいて該アミノ酸配列をコードする核酸配列に相当するDNAをそのまま合成することにより(化学的DNA合成法),容易に製造,取得することができる。
【0056】
ウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸をコードする核酸配列に相当するDNA配列はコード領域の全長に限定されず,部分的DNA配列からなるDNAであってもよい。
【0057】
前記した免疫原性外来遺伝子のDNA分子の製造の場合と同様,一般的遺伝子工学的手法を用いて,ウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸をコードする遺伝子のDNAを製造することが出来る。[例えば,Molecular Cloning 2d Ed, Cold Spring Harbor Lab. Press(1989);続生化学実験講座「遺伝子研究法I,II,III」,日本生化学会編(1986)など参照]。
【0058】
本発明においては,後記する免疫原性外来遺伝子の発現を制御するプロモーターの一部が既に組み込まれ,ウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸をコードする遺伝子(の一部)が予め導入された市販のベクタープラスミドを用いることもできる。
【0059】
脊椎動物プロモーター
本発明に用いられるトランスファーベクターの構成成分の一つである脊椎動物プロモーター(脊椎動物細胞で機能し得るプロモーター)としては,哺乳動物プロモーターや鳥類のプロモーターなどのプロモーターを例示できる。
【0060】
哺乳動物プロモーター
また,本発明に用いられるトランスファーベクターの構成成分の一つである哺乳動物プロモーター(哺乳動物細胞で機能し得るプロモーター)としては,サイトメガロウイルスプロモーター,SV40プロモーター,レトロウイルスプロモーター,メタロチオネインプロモーター,ヒートショックプロテインプロモーター,CAGプロモーター,エロンゲーションファクター1αプロモーター,アクチンプロモーター,ユビキチンプロモーター,アルブミンプロモーター,MHCプロモーターなどを例示できる。
【0061】
鳥類のプロモーター
鳥類のプロモーターとしては,βアクチンプロモーター,ヒートショックプロテインプロモーター,エロンゲーションファクタープロモーター,ユビキチンプロモーター,アルブミンプロモーターを例示できる。
【0062】
バキュロウイルスプロモーター
本発明に用いられるバキュロウイルストランスファーベクターの構成成分の一つであるバキュロウイルスプロモーターとしては,ポリヘドリンプロモーター,p10プロモーター,IE1プロモーター,p35プロモーター,vp39プロモーター,gp64プロモーター等を例示できる。
【0063】
組換えトランスファーベクターの製造
本発明は,昆虫細胞と脊椎動物細胞,特に哺乳動物細胞の両者の細胞において目的とする免疫原性外来遺伝子を抗原タンパク質として発現可能な新規な構造を有する新規なトランスファーベクターに関する。本発明において,作製される新規なトランスファーベクターの構造は,一方が脊椎動物のプロモーター,特に哺乳動物プロモーターで,他方がバキュロウイルスのプロモーターであり,これらが連結された下流に所望の免疫原性タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA配列とウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA配列とが連結した構造を有する。連結される脊椎動物のプロモーター,特に哺乳動物プロモーターとバキュロウイルスプロモーターの2つのプロモーターのDNA配列を含むDNA領域は,直接連結してもよいし,互いのプロモーターのDNA配列の間に介在DNA配列が存在してもよい(ただし,この場合には互いのプロモーターが昆虫細胞と脊椎動物のプロモーター,特に哺乳動物細胞においてプロモーター活性を有する必要がある)。また,連結される脊椎動物のプロモーター,特に哺乳動物プロモーターとバキュロウイルスプロモーターは,プロモーター領域においていずれが発現させる遺伝子に近い方に配置されてもよい,後記実施例においては,バキュロウイルスプロモーターが哺乳動物プロモーターよりも発現させる遺伝子に近い方に位置する構造で作製されている。
【0064】
該構造においてウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質をコードする遺伝子と,所望の免疫原性外来遺伝子とを含む融合遺伝子のDNA配列は,これらの2つの遺伝子を直接連結したDNA配列からなるものであってもよいし,これらの間に介在DNA配列が存在していてもよい(ただし,この場合には下流側の遺伝子と上流側の遺伝子がフレームシフトを起こさないように配置される必要がある)。所望の免疫原性を有する外来遺伝子のタンパク質の抗原提示領域が,ウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質と融合されることが好ましいことから,所望の免疫原性を有する外来遺伝子のタンパク質をウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質から切り離すことなく該タンパク質と融合された形態で用いることが必要である。
【0065】
また,これらの2つの遺伝子を含む融合遺伝子を予め形成し,これをベクターに組み込んでも良いし,先にいずれか一方の遺伝子をベクターに組み込み,次いで,他の遺伝子をベクターに組み込んでベクター内で融合遺伝子を形成してもよい。
【0066】
上記操作は,本発明のトランスファーベクターとしての必要とする構成の一部である上記した脊椎動物のプロモーター,特に哺乳動物プロモーターやバキュロウイルスプロモーター等のプロモーター領域やウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子領域を既に有する市販の発現ベクターをそれぞれ使用し,任意に制限酵素で切り出し,別のプロモーターを組み込むなどして,該ベクターのクローニング領域に所望の免疫原性外来遺伝子とウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子とが融合したDNA配列を挿入するか,或いは所望の免疫原性外来遺伝子を既にプラスミドに組み込まれているウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子のDNA領域のN末端側に挿入するなどして,必要な構成要素を挿入することができる。
【0067】
本発明においては,本発明の昆虫細胞と脊椎動物細胞,特に哺乳動物細胞の両者の細胞において所望の免疫原性外来遺伝子を抗原タンパク質として発現可能な構造を有するプラスミドベクターの,これら一部を既に満足する構成を有する市販のプラスミドを用いて製造してもよい。脊椎動物細胞内で酵素により融合タンパク質を開裂させるためのペプチドのアミノ酸配列を介在させてもよい。また,本発明のトランスファーベクターは,二つのプロモーター領域の上流には,脊椎動物,特に哺乳動物細胞における転写活性を上昇させるためのエンハンサーを配置しても良く,また発現したタンパク質の宿主外分泌を促すためのシグナル・ペプチドのアミノ酸配列をコードするDNA配列を融合発現させる遺伝子に結合させてもよい。また,融合発現させる遺伝子の下流には,例えば脊椎動物細胞において有効なウサギβグロブリンターミネーターのような脊椎動物ターミネーター領域を転写終了のために有するものであってもよい。
【0068】
かくして所望の免疫原性をバキュロウイルス粒子中に発現可能な免疫原性外来遺伝子とウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子が融合した形態で,発現可能なトランスファーベクターを製造することができる。
【0069】
本発明のトランスファーベクター及びその製造方法の具体的な一例は,後記実施例に示されるように,脊椎動物のプロモーター,特に哺乳動物プロモーターとしてサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターが改良されたCAGプロモーターが接合したプロモーターと,バキュロウイルスプロモーターとしてポリヘドリン(polh)のプロモーター,vp39プロモーター,gp64プロモーターなどとが連結され,外来遺伝子として,インフルエンザウイルス抗原遺伝子,マラリア抗原遺伝子とウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子としてgp64抗原遺伝子とのDNA配列が融合したDNA配列が挿入された構造からなるトランスファーベクターがpCAP-PfCSP,pCAP-PfCSP/272,pCAP-PfCSP/467,pCAP-PfCSP(A361E),pCAP-PfCSP(A361E)/272,pCAP-PfCSP(A361E)/467,pCAP-PfCSP-76,pCAP-PfCSP-76/467,pCAP-PfCSP+209,pCAP-PfCSP+209/467,pCAP-PfCSP+76/209,pCAP-PfCSP+76/209/467,pCAP-HA1/Anhui,pCAP-HA1/Anhui/272,pCAP-HA1/Anhui/467,pCAP-HA1/Vietnam,pCAP-HA1/Vietnam/51,pCAP-HA1/Vietnam/101,pCAP-HA1/Vietnam/154,pCAP-HA1/Vietnam/201,pCAP-HA1/Vietnam/272,pCAP-HA1/Vietnam/467, pCAP-AH/345,pCAP-AH/345/467,pCAP-AH/410,pCAP-AH/410/467,pCAP-AH/473,pCAP-AH/473/467,pCAP-AH/520,pCAP-AH/520/467,pCAP-VN/346,pCAP-VN/346/467,pCAP-VN/410,pCAP-VN/410/467,pCAP-VN/473,pCAP-VN/473/467,pCAP-VN/520,pCAP-VN/520/467,pCAP-CO/full,pCAP-CO/full/467,pCAP-CO/19,pCAP-CO/19/467,pCAP-CO/76,pCAP-CO/76/467,pCAP-CO/205,pCAP-CO/205/467,pCA39-HA1/Anhui,pCA64-HA1/Anhui,pCA39-PfCSP(A361E),pCA64-PfCSP(A361E),pCAP-CO/full/VSV,pCAP-CO/19/VSV,pCAP-CO/76/VSV,pCAP-CO/205/VSV,pDual-Pfs25-PfCSP-gp64,pDual-PfMSP1-PfCSP-gp64として例示できる。
(2)組換えバキュロウイルスの製造
また本発明は,一方が脊椎動物のプロモーター,特に哺乳動物プロモーターで,他方がバキュロウイルスのプロモーターである連結したデュアル・プロモーターの下流に連結された,少なくとも一つのウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子と,少なくとも一つの免疫原性外来遺伝子とを含む融合遺伝子が組み込まれた構造体からなるトランスファーベクターを製造する工程,該トランスファーベクターとバキュロウイルスDNAとを宿主細胞にコトランスフェクションする工程からなる,組換えバキュロウイルスを分離する工程を含む,組換えバキュロウイルスの製造方法を提供する。
【0070】
上記組換えバキュロウイルスの製造方法において,所望の組換えDNA(トランスファーベクター)の宿主細胞への導入法およびこれによる形質転換法としては,特に限定されず一般的なこの分野で周知慣用技術となっている各種方法を採用することができ,例えば通常の遺伝子組換え技術(例えば, Science, 224,1431 (1984); Biochem. Biophys. Res. Comm.,130,692(1985); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80,5990 (1983))に従って調製することができる。組換えDNA(トランスファーベクター)の発現方法は,大野らの「タンパク実験プロトコール1機能解析編,細胞工学別冊,実験プロトコールシリーズ,1997年,秀潤社」を参考に製造することができる。また,昆虫細胞の取扱い方,遺伝子組換え,コトランスフェクションの一般的手法は,周知の昆虫細胞の組換えウイルス作製法と同様の手法を用いることができる(BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS : A LABORATORY MANUAL, Oxford University Press, 1994)。
【0071】
得られる組換えバキュロウイルスは,常法に従い培養でき,該培養により所望のように設計した本発明における免疫原性外来遺伝子のDNAとウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸配列をコードするDNAとが融合した融合物(発現物)が,昆虫細胞の細胞内,細胞外または細胞膜上に発現,生産(蓄積,分泌)される。
【0072】
培養に用いられる培地としては,採用した宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択利用でき,培養も宿主細胞の生育に適した条件下で実施できる。
【0073】
組換えバキュロウイルスの製造方法は,より詳しくは,上記で製造されたトランスファーベクターと相同組換えを行うためのバキュロウイルスDNAを準備する工程と該トランスファーベクターとバキュロウイルスDNAとをSpodoptera frugiperda由来の Sf-9細胞,Sf-21細胞,イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)由来のTn5細胞(High Five細胞:Invitrogen)などの昆虫細胞を宿主細胞とする細胞中にコトランスフェクションする工程からなる。
【0074】
上記で製造されたトランスファーベクターと相同組換えを行うためのバキュロウイルスDNAは,野生型,変異型,或いは組換えバキュロウイルスDNAの何れでもよい。バキュロウイルスDNAは,本発明のトランスファーベクターとの相同組換えを起こすことができるように,デュアル・プロモーター領域のDNAと免疫原性外来遺伝子とウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子とが融合した融合遺伝子のDNAを挟んだバキュロウイルス由来DNAと相同であるDNA構造を有する限り,相同組換えの確率を高めることができる。
【0075】
相同組換えを起こすためには,トランスファーベクターとバキュロウイルスDNAとの重量比は,例えば1:1〜10:1程度で混合するのがよい。
【0076】
コトランスフェクション工程により昆虫細胞に同時に導入後,培養した後,前記培養上清からウイルスのプラークを作製した後,培養液に浮遊させ,ボルテックスして寒天よりウイルスを溶出させ,遠心分離し,組換えウイルスを含む溶液を得る。
【0077】
上記においてバキュロウイルスDNAは,市販品を用いてもよく,例えば,AcNPVよりポリへドリン遺伝子が除かれているBacVector-1000 DNAやBacVector-2000 DNA(Novagen)などを使用できる。
【0078】
これら上記で得られたトランスファーベクターとバキュロウイルスDNAを昆虫細胞において相同組換えのためのコトランスフェクションは,上記したように市販のベクタートランスフェクションキット(BacVector Transfection Kits: Novagen)を用いて,該ベクタートランスフェクションキットに付属の取扱書に従い実施することができる。かくして,上記で製造されたトランスファーベクターはバキュロウイルスDNAと共にSf-9細胞などの昆虫細胞にコトランスフェクトされた組換えバキュロウイルスを得ることができる。
【0079】
本発明においては,上記組換えバキュロウイルスの製造方法に従い,pCAP-PfCSP,pCAP-PfCSP/272,pCAP-PfCSP/467,pCAP-PfCSP(A361E),pCAP-PfCSP(A361E)/272,pCAP-PfCSP(A361E)/467,pCAP-PfCSP-76,pCAP-PfCSP-76/467,pCAP-PfCSP+209,pCAP-PfCSP+209/467,pCAP-PfCSP+76/209,pCAP-PfCSP+76/209/467,pCAP-HA1/Anhui,pCAP-HA1/Anhui/272,pCAP-HA1/Anhui/467,pCAP-HA1/Vietnam,pCAP-HA1/Vietnam/51,pCAP-HA1/Vietnam/101,pCAP-HA1/Vietnam/154,pCAP-HA1/Vietnam/201,pCAP-HA1/Vietnam/272,pCAP-HA1/Vietnam/467, pCAP-AH/345,pCAP-AH/345/467,pCAP-AH/410,pCAP-AH/410/467,pCAP-AH/473,pCAP-AH/473/467,pCAP-AH/520,pCAP-AH/520/467,pCAP-VN/346,pCAP-VN/346/467,pCAP-VN/410,pCAP-VN/410/467,pCAP-VN/473,pCAP-VN/473/467,pCAP-VN/520,pCAP-VN/520/467,pCAP-CO/full,pCAP-CO/full/467,pCAP-CO/19,pCAP-CO/19/467,pCAP-CO/76,pCAP-CO/76/467,pCAP-CO/205,pCAP-CO/205/467,pCA39-HA1/Anhui,pCA64-HA1/Anhui,pCA39-PfCSP(A361E),pCA64-PfCSP(A361E),pCAP-CO/full/VSV,pCAP-CO/19/VSV,pCAP-CO/76/VSV,pCAP-CO/205/VSV,pDual-Pfs25-PfCSP-gp64,pDual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかのトランスファーベクターとバキュロウイルスDNAとを用いてSf-9昆虫細胞においてコトランスフェクションし,AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかの組換えバキュロウイルスを得た。
【0080】
上記の組換えバキュロウイルスの製造法のほか,他の組換えバキュロウイルスの作製方法としては,全バキュロウイルスゲノムを組み込んだファージミド(バクミド)にトランスポゾンを利用して,大腸菌体内で効率よく外来遺伝子を挿入できる方法も使用できる。
【0081】
当該方法によればウイルス遺伝子を持ったバクミドを菌体から抽出し,昆虫細胞にトランスフェクトするだけで容易に組換えバキュロウイルス製造し,回収することができる。
【0082】
上記組換えバキュロウイルスの製造方法で得られた本発明の組換えバキュロウイルス精製は,公知のウイルス精製法を用いて行うことができる。
【0083】
組換えバキュロウイルスの精製は,例えば,Sf-9細胞などの昆虫細胞(1 x 10個/10cm皿)に上記組換えバキュロウイルスの製造方法で得られたストックウイルス(通常1 x 107-8pfu/ml)を0.5〜1.0ml接種し,感染数日後に培養上清を回収した後,遠心分離して得られたウイルスペレットをPBSなどの緩衝液に懸濁する。得られた懸濁液を10〜60%のショ糖密度勾配にかけた後,更に遠心分離(25000rpm,60分間,4℃の条件)してウイルスバンドで回収する。回収物を更にPBSに懸濁後,続いて遠心分離(同上)し,得られた精製組換え体ウイルスのペレットをPBS等の緩衝液中に4℃で保存する。
【0084】
なお,上記で得られた精製組換え体ウイルスの感染価は,Sf-9細胞などの昆虫細胞を用いて,プラークアッセイにて測定できる(BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS : A LABORATORY MANUAL, Oxford University Press, 1994)。
【0085】
本実施例で例示した組換えウイルスでは,バキュロウイルスタンパク質gp64は,N末端が粒子の外側に露出し,C末端が粒子の内側に露出するので,所望の免疫原性外来遺伝子のタンパク質をgp64のN末端側に融合させれば,昆虫細胞においてウイルス粒子の構成成分としてウイルスタンパク質粒子の外側にその全体が露出することになり,より抗原提示し易くなり本発明のワクチン製剤としての目的に適うものといえる。
(3)本発明医薬組成物(本発明組換えバキュロウイルスを有効成分とする医薬)
本発明医薬組成物において有効成分とする本発明組換えバキュロウイルスは,前記(2)に示す遺伝子工学的手法により得ることができる。
【0086】
本発明医薬組成物は,本発明免疫原性外来遺伝子とウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子とが融合した融合物を昆虫細胞及び脊椎動物,特にヒトを含む哺乳動物細胞において発現できるように構築されたトランスファーベクターとバキュロウイルスDNAを相同組換えさせて得られる組換えバキュロウイルスをその有効成分として本質的に含有する。
【0087】
特に本発明医薬組成物は,特定のAcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかの組換えバキュロウイルスのいずれかを有効成分とする医薬組成物を提供する。
【0088】
本発明医薬組成物において有効成分とする本発明AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかの組換えバキュロウイルスは,感染性抗原に対する感染予防効果を高め,感染価を低下させる作用を有しており,この作用乃至活性を利用して,標的細胞乃至組織の感染に関連する疾患の処置に利用することができる。かかる感染の影響を受ける標的細胞としては,例えば血液細胞,他の標的細胞は肝細胞,腎細胞,脳細胞,肺細胞,上皮細胞,筋肉細胞などを挙げることができる。これらの細胞を含む組織としては,肺,肝臓,腎臓,脳,動静脈血管,胃・腸,尿道,皮膚,筋肉などを挙げることができる。
【0089】
該医薬組成物は,例えばマラリア原虫のスポロゾイト表面の表面抗原(CSP及びTRAP),メトロゾイト表面の膜タンパク質のMSP1,マラリア感染赤血球から分泌されるマラリアS抗原,マラリア感染赤血球のノブに存在するPfEMP1タンパク質,SERAタンパク質,TRAMPタンパク質,AMA1タンパク質,伝播阻止抗原として知られるPfs25などのマラリア抗原に対して,またはHA抗原,NA抗原,M2抗原,NP抗原などのインフルエンザウイルス抗原に対して,これら感染性抗原に対する感染予防効果を高め,感染価(例えば,ウイルス感染価)を低下させることにより,感染したヒトを含む哺乳動物に対する生存期間の延長や生存率を本発明医薬組成物が投与されなかった群との比較において,特にマラリアやインフルエンザウイルス感染の予防または治療剤として有用である。
【0090】
本発明医薬組成物は,感染性抗原に対する感染予防効果を高め,感染価を低下させる作用を利用して,インフルエンザウイルスやマラリアなど,病原体による感染が発症の原因となる感染性疾患や合併症の治療または予防剤として有用である。
【0091】
また,本発明医薬組成物において有効成分とする組換えバキュロウイルスを得るためのトランスファーベクターの免疫原性外来遺伝子を,ヒト以外の脊椎動物に対する免疫原性遺伝子を用いることにより,例えばニワトリインフルエンザワクチンとして,それら疾患の感染性抗原に対する感染予防効果を高め,感染価を低下させる作用を有しており,この作用乃至活性を利用して,標的細胞乃至組織の感染に関連する疾患の処置に利用することができる。
【0092】
本発明の医薬組成物は,薬学的有効量の本発明の組換えバキュロウイルスと薬学的に許容される担体を含む組成物として調製することができる。
【0093】
本発明組換えバキュロウイルスの脊椎動物,特にヒトを含む哺乳動物または哺乳動物細胞における感染防御効果は,例えば本発明組換えバキュロウイルスと医薬品投与用に添加可能な組成物とによって製造された医薬組成物を予め対象とする脊椎動物,特にヒトを含む哺乳動物に筋肉内,経鼻的,または経気道的に投与した後,複数回,本発明組換えバキュロウイルスを有効成分とする医薬組成物により免疫する。本発明の医薬組成物の投与は特に経気道的に投与することが好ましく例示できる。
【0094】
そして,本発明医薬組成物の複数回の免疫後,対象とする病原体を脊椎動物,特にヒトを含む哺乳動物に投与して感染させた場合における一定期間経過後の本発明の医薬組成物の有効成分である組換えバキュロウイルスが投与された脊椎動物,特にヒトを含む哺乳動物における生存率の比較によって,感染予防効果を測定することができる。
(4) 本発明ワクチン
本発明の医薬組成物のその有効成分であるAcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかの組換えバキュロウイルスは,後記実施例に示されるように病原体に対する感染予防効果を高め,感染価を低下させる作用を示す所望の免疫原性を有する本発明免疫原性外来遺伝子とウイルス粒子の構成成分になり得るタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子の融合したDNA配列の融合発現物が,昆虫細胞より出芽したウイルス粒子として,生成される。次いで,本発明の医薬組成物をウイルス粒子の形態で脊椎動物,特にヒトを含む哺乳動物に投与されることにより,ウイルス粒子の構成成分となった外来抗原タンパク質が獲得免疫(液性免疫及び細胞性免疫)を促進し,さらに脊椎動物,特にヒトを含む哺乳動物細胞内において前記融合DNA配列の発現物である抗原タンパク質がさらに獲得免疫(液性免疫及び細胞性免疫)を促進すると考えられ,かくしてワクチンとしても有用である。
【0095】
特に本発明ワクチンは,特定のAcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかの組換えバキュロウイルスのいずれかを有効成分とするワクチンを提供する。
【0096】
該ワクチンは,上記(3)の医薬組成物と同様に,例えばマラリア原虫のスポロゾイト表面の表面抗原(CSP及びTRAP),メトロゾイト表面の膜タンパク質のMSP1,マラリア感染赤血球から分泌されるマラリアS抗原,マラリア感染赤血球のノブに存在するPfEMP1タンパク質,SERAタンパク質,TRAMPタンパク質,AMA1タンパク質などのマラリア抗原に対して,またはインフルエンザウイルスHA抗原,インフルエンザウイルスNA抗原,インフルエンザウイルスM2抗原,インフルエンザウイルスNP抗原などのインフルエンザ抗原に対して,これら病原生物に対する感染予防効果を高め,感染価(例えば,ウイルス感染価)を低下させることにより,感染したヒトを含む哺乳動物に対する生存期間の延長や生存率を本発明医薬組成物が投与されなかった群との比較において,特にマラリアやインフルエンザウイルス感染の予防または治療剤として有用である。
【0097】
本発明のワクチンは,感染性抗原に対する感染予防効果を高め,感染価を低下させる作用を利用して,インフルエンザウイルスやマラリアなど,病原体による感染が発症の原因となる感染性疾患や合併症の治療または予防剤として有用である。
【0098】
また,本発明のワクチンにおいて有効成分とする組換えバキュロウイルスを得るためのトランスファーベクターの免疫原性外来遺伝子を,ヒト以外の脊椎動物に対する免疫原性遺伝子を用いることにより,例えばニワトリインフルエンザワクチンとして,それら疾患の感染性抗原に対する感染予防効果を高め,感染価を低下させる作用を有しており,この作用乃至活性を利用して,標的細胞乃至組織の感染に関連する疾患の処置に利用することができる。
【0099】
特に,本発明ワクチンにおいて有効成分とする本発明AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64の組換えバキュロウイルスは,感染性抗原に対する感染予防効果を高め,感染価を低下させる作用を有しており,この作用乃至活性を利用して,標的細胞乃至組織のウイルス感染に関連する疾患の処置に利用することができる。
【0100】
かかる感染の影響を受ける標的細胞としては,例えば血液細胞,他の標的細胞は肝細胞,腎細胞,脳細胞,肺細胞,上皮細胞,筋肉細胞などを挙げることができる。これらの細胞を含む組織としては,肺,肝臓,腎臓,脳,動静脈血管,胃・腸,尿道,皮膚,筋肉などを挙げることができる。
【0101】
本発明のワクチンは,上記(3)の医薬組成物として,薬学的有効量の本発明の組換えバキュロウイルス(AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれか)と薬学的に許容される担体を含む組成物として調製することができる。
【0102】
ワクチンは,上記(3)の医薬組成物と同様の医薬として許容される担体を利用して常法に従い医薬組成物形態に調製することができる。該担体としては,例えば,滅菌生理食塩水,滅菌緩衝化生理食塩水などの生理的に許容できる溶液を挙げることができる。
また,ワクチン(以下,製剤について医薬組成物と同様とする)は,前記した本発明組換えバキュロウイルス(AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれか)を有効成分とするリポソーム製剤として調製することができ,アジュバントなどと併用することもできる。
【0103】
本発明のワクチン(医薬組成物)の一具体例としては,リポソーム製剤を挙げることができる。リポソーム製剤は,酸性リン脂質を膜構成成分とするかあるいは中性リン脂質と酸性リン脂質とを膜構成成分とするリポソームに,本発明組換えバキュロウイルスを保持させたものであることができる。
【0104】
膜構成成分としての酸性リン脂質および中性リン脂質としては,特に制限はなく,この種のリポソーム製剤に慣用される各種脂質の一種を単独で,または二種以上を混合して使用することができる。
【0105】
リポソーム膜は,酸性リン脂質を単独で用いるかまたは中性リン脂質と酸性リン脂質とを併用して,常法に従い形成される。中性リン脂質と併用される場合,酸性リン脂質の併用割合は,リポソーム膜構成成分中に0.1〜100モル%程度,好ましくは1〜90モル%,より好ましくは10〜50モル%程度とするのがよい。
【0106】
上記リポソームの調製に当たっては,例えばコレステロールなどを添加することができる。これによりリン脂質の流動性を調製して,リポソームの調製をより簡便なものとすることができる。該コレステロールは,通常リン脂質に対して等量まで,好ましくは0.5倍重量から等重量の量で添加配合されるのが好ましい。
【0107】
リポソーム製剤中の有効成分と酸性リン脂質との配合割合は,有効成分に対して酸性リン脂質が0.5〜100当量程度,好ましくは1〜60当量程度,より好ましくは1.5〜20当量程度とされるのがよい。
【0108】
有効成分とする本発明組換えバキュロウイルスの全脂質に対する使用モル%は,数モル%から数十モル%程度,好ましくは5〜10モル%程度,通常5モル%前後であることができる。
【0109】
尚,上記リポソーム製剤の製造,濃縮,粒径コントロールなどは,常法に従い実施できる。またリポソーム製剤には,所望により前記した各種の添加剤などを配合することもできる。
【0110】
上記リポソーム製剤の製造において,有効成分とする本発明組換えバキュロウイルスは,これに脂肪酸(例えばベヘン酸,ステアリン酸,パルミチン酸,ミリスチン酸,オレイン酸など),アルキル基,コレステリル基などを結合させて用いることもできる。これらを結合させて調製するリポソーム製剤の製造もまた常法に従うことができる(Long Circulating Liposomes: old drugs,New therapeutics., M. C. Woodle, G. Storm, Eds: Springer-Verlag Berlin(1998) など参照)。
【0111】
本発明のワクチン(医薬組成物)は,好ましくはワクチン組成物として使用できる。その使用に際しては,薬学的有効量のアジュバントと併用されるのが抗感染(抗マラリアまたは抗インフルエンザウイルス)効果を高めるためにより好ましい。
【0112】
アジュバントとしては,この種ワクチンに慣用されるものをいずれも制限なく使用できる。その例としては,例えばフロイント完全アジュバント,ムラミルジペプチド,水酸化アルミニウム,BCG,IL-12,N-アセチルムラミン-L-アラニル-D-イソグルタミン(MDP),サイモシンα1,QS-21などを例示することができる。併用されるアジュバントの量は,その投与後,ヒトまたは動物に対する免疫反応の一部として表出するおそれのある皮膚の軟化,痛み,紅斑,発熱,頭痛,筋肉痛などの症状の程度に応じて適宜決定することができる。
【0113】
本発明のワクチン(医薬組成物)は,例えば免疫応答促進ペプチド,抗菌剤(合成抗菌剤)などの他の公知の医薬品などと併用することもできる。
【0114】
更に,ワクチン(医薬組成物)には,任意の薬剤,添加物などを含ませることもできる。その例としては,例えばカルシウムイオンなどの本発明組換えバキュロウイルスの細胞内取込みの助けとなる薬剤を例示することができる。また,前記リポソームおよび例えばフルオロカーボン乳剤,コクリエート(cochleate),チューブル (tubule),金粒子,生分解性マイクロスフェア,カチオン性ポリマーなどのトランスフェクションを容易にする薬剤乃至添加物をも使用することができる。
【0115】
本発明のワクチン(医薬組成物)(薬物)中に含まれる有効成分の量は, 薬学的有効量である限り特に制限されず広範囲から選択することができる。上記ワクチン(医薬組成物)の投与量も,特に限定されず,所望の治療効果,投与方法(投与経路),治療期間,患者の年齢,性別その他の条件などに応じて広範囲から適宜選択することができる。
【0116】
また,ヒトに本発明のワクチン(組成物)の有効成分である組換えバキュロウイルスを投与する場合,組み換えウイルスのPFUで換算し,1患者あたり,102〜1014PFU相当の,好ましくは105〜1012PFU相当の,より好ましくは106〜1010PFU相当の組換えバキュロウイルスが投与される。
【0117】
本発明のワクチン(医薬組成物)の有効成分である組換えバキュロウイルス(AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれか)の投与量は,ワクチン宿主に導入される発現可能なDNAとして,または転写されたRNAの量としては,非常に広い範囲から選択される。それらの量は,例えば本発明のトランスファーベクターに使用される転写および翻訳プロモーターの強さにも依存する。
【0118】
本発明のワクチン(医薬組成物)の投与は,PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)または生理食塩水などに懸濁した組換えバキュロウイルス懸濁液の局所(例えば,肺組織内,肝臓内,筋肉内および脳内など)への直接注入か,経鼻的・経気道的に吸入か,または血管内(例えば,動脈内, 静脈内および門脈内)への投与によりなされる。本発明のワクチンの投与は特に経気道的に投与することが好ましく例示できる。
【0119】
本発明ワクチン(医薬組成物)は,一度のみの投与によるのではなく,初回投与後の状態をみながら,1から複数回の追加ワクチン投与を行うことにより投与されるのが好ましい。これによって,所望の効果をより高めることが可能となる。また,ワクチン(医薬組成物)投与後,前記した本発明組換えバキュロウイルス(AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれか)からなる医薬組成物で追加免疫することも可能である。更に,前記した各種併用薬の併用もワクチン(医薬組成物)投与による治療効果を高める可能性がある。
【0120】
本発明のワクチン(医薬組成物)の1つの実施態様において,本発明のワクチン(医薬組成物)の有効成分のひとつである組換えバキュロウイルスは,一般には,この所望の免疫原性外来遺伝子とウイルス粒子の構成成分となり得るタンパク質をコードする遺伝子が融合した遺伝子を導入したトランスファーベクターとバキュロウイルスDNAとを相同組換えして得られた組換えバキュロウイルスを単位用量注入可能な形態(溶液,懸濁液または乳濁液)で,薬学的に受容可能なキャリア(すなわち,使用された投薬量および濃度においてヒトを含む脊椎動物に対して非毒性であり,そして処方物の他の成分と適合性であるもの)とを混合することによって処方され得る。例えば,処方物は,好ましくは,酸化剤および組換えバキュロウイルスにとって有害であることが公知である他の化合物を含まない。
【0121】
キャリアは,等張性および化学的安定性を増強する物質のような微量の添加物を適宜含む。このような物質は,使用された投薬量および濃度において脊椎動物,特にヒトを含む哺乳動物に対して非毒性であり,そしてリン酸,クエン酸,コハク酸,酢酸,および他の有機酸またはそれらの塩のような緩衝剤;アスコルビン酸のような抗酸化剤;低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド(例えば,ポリアルギニンまたはトリペプチド);タンパク質(例えば,血清アルブミン,ゼラチン,またはイムノグロブリン);親水性ポリマー(例えば,ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば,グリシン,グルタミン酸,アスパラギン酸,またはアルギニン);単糖,二糖および他の炭水化物(セルロースまたはその誘導体, グルコース,マンノース,またはデキストリンを含む);キレート剤(例えば,EDTA);糖アルコール(例えば,マンニトールまたはソルビトール);対イオン(例えば,ナトリウム);および/または非イオン性界面活性剤(例えば,ポリソルベート,ポロキサマー),またはPEGを含み得る。
【0122】
組換えバキュロウイルスを含む薬学的ワクチン(組成物)は,代表的には,単位または多用量容器,例えば,密封アンプルまたはバイアルにおいて,水溶液若しくは凍結乾燥品として貯蔵され得る。
本発明はさらに、本発明の組換えバキュロウイルス、ワクチン、製剤ないし医薬組成物を被験体に投与することからなるマラリアもしくはインフルエンザの感染予防方法、あるいは、マラリアもしくはインフルエンザの治療方法に関する。本発明はさらに、本発明の組換えバキュロウイルス、ワクチン、製剤ないし医薬組成物を被験体に投与することからなる免疫賦活方法に関する。なお、ここで被験体としては、マラリア原虫もしくはインフルエンザウイルスの感染を受ける可能性のある者(ヒト若しくはその他の動物(ほ乳類、鳥類、は虫類、魚類、両生類等を含む)並びにマラリア原虫もしくはインフルエンザウイルスに感染した者を挙げることができる。好ましくは感染に係るインフルエンザウイルスがA型に属するものであり、より好ましくはA型H1亜型又はH3亜型に属するものである。また、マラリア原虫に関しては、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)を挙げることができる。
本発明の組換えバキュロウイルスは、そのままか、若しくは薬学的に許容される担体を含むワクチン、製剤ないし医薬組成物として調製され、被験者に投与される。
投与経路は、上記に例示される経路が挙げられる。本発明で用いられる薬学的に許容される担体は、調製される薬学的組成物の形態に応じて、当該分野において慣用されている担体の中から適宜選択して用いることができる。
【0123】
例えば、薬学的組成物が水溶液形態として調製される場合、上記の担体としては、精製水(滅菌水)または生理学的緩衝液を利用することができる。また、該組成物が適当な溶液形態に調製される場合、上記担体としては例えば、グリコール、グリセロール、オリーブ油のような注射投与可能な有機エステルなどを使用することができる。また、これらの組成物には、当該分野、特にワクチン製剤の分野で慣用的に用いられる安定剤、賦形剤などを含むことができる。
【0124】
本発明のワクチン、製剤もしくは医薬組成物中の組換えバキュロウイルスの量としては、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、通常組成物中0.0002〜0.2(w/v%)程度、好ましくは0.001〜0.1(w/v%)程度とするのがよい。本発明の組換えバキュロウイルス、ワクチン、製剤もしくは医薬組成物の投与方法は特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別、その他の条件、疾病の重篤度等に応じて適宜決定される。製剤形態としては注射剤、点滴剤、点鼻剤及び吸入剤等の非経口投与形態を好適に挙げることができ、特に注射剤や点滴剤として調製される場合は、必要に応じてブドウ糖やアミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与されるか、また筋肉内投与、皮内投与、皮下投与もしくは腹腔内投与される。
【0125】
本発明の組換えバキュロウイルス、ワクチン、製剤もしくは医薬組成物の1日当りの投与量は、被験者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概に決定できないが、組換えバキュロウイルスの量に換算して通常成人1日当り約0.001〜100mg程度の範囲から選ぶことができる。当該ワクチン、製剤ないし組成物は1日1回投与に限らず、数回に分けて投与することができる。
また、本発明のワクチン(製剤もしくは医薬組成物)の有効成分である組換えバキュロウイルスを投与する場合、組み換えウイルスのPFUで換算する場合は、1患者あたり、102〜1014PFU相当の、好ましくは105〜1012PFU相当の、より好ましくは106〜1010PFU相当の組換えバキュロウイルスが投与される。
本発明のワクチン(組成物)を含む薬学的組成物は医療実施基準(Good Medical Practice)に一致した様式で,個々の患者の臨床状態(例えば,予防または処置されるべき状態),組換えバキュロウイルスを含むワクチン(組成物)の送達部位,標的組織,投与方法,投与計画および当業者に公知の他の因子を考慮しつつ投与される。従って,本明細書のワクチン(組成物)の適切な投与量は,上記を考慮し決定される。
【実施例】
【0126】
以下,本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。これらの実施例は,単なる例示であり,本発明を限定するものではない。
実施例1:本発明トランスファーベクタープラスミドおよびその製造法
(1) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCAP-PfCSP, pCAP-PfCSP/272, pCAP-PfCSP/467の構築
(1.1)プラスミドpBACsurf-Hsp65の構築
Hsp65遺伝子は,結核菌H37Rv株よりQIAamp DNA Midi Kit (キアゲン社)を用いて,結核菌H37RvのゲノムDNAを抽出し,PCRにてクローニングした。すなわち,抽出した結核菌H37RvのゲノムDNAをプライマーphsp65-F1 (primer (5'-AATAATAGATCTAATGGCCAAGACAATTGCGTACGACGAAGA-3'(配列番号1): BgIII サイトは下線で表示) とphsp65-R1 ((5'- AATCCAATGCGGCCGCGGGAATTCGATTCCTGCAGGTCAGAAATCCATGCCACCCATGTCGCC -3'(配列番号2); NotIは下線で表示) を用いてPCRを行った。PCR産物を精製した後,制限酵素BgIIIとNotIで切断し,BamHIとNotIで処理したpcDNA3.1(+) (Invitrogen)にライゲーションし,得られたプラスミドをpcDNA-hsp65と名付けた。pcDNA-hsp65を鋳型としてプライマーphsp65-F2(5’- CACCCCTGCAGGACTACAAGGACGACGATGACAAGGAATTCATGGCCAAGACAATTGCGTACGACGAAGAGGCC -3’ (配列番号3): Sse8387I, EcoRI サイトは下線,FLAG配列はイタリックで表示) とphsp65-R2 (5’- CCCGGGCGAAATCCATGCCACCCATGTCGCCGCCACC-3’ (配列番号4): Cfr9I サイトは下線で表示) を用いてPCRを行い,得られたHsp65遺伝子DNA断片をpENTR/D-TOPO (Invitrogen)にクローニングした後,Sse8387I/Cfr9Iで処理し, pBACsurf-CSP (Yoshida et aI.ViroIogy 316: 161-70, 2003)のPstI/Cfr9Iサイトに挿入した。かくして構築したプラスミドをpBACsurf-Hsp65と名付けた。
(1.2) プラスミドpENTR-gp64の構築
pBACsurf-1(Novagen)を鋳型としてプライマーpPoIh-F2(5’- CACCCGGACCGGATAATTAAAATGATAACCATCTCGCAAATAAATAAG-3’ (配列番号5): RsrIIサイトは下線表示) とpgp64-R2 (5’- GGTACCATATTGTCTATTACGGTTTCTAATCATAC-3’ (配列番号6): KpnI サイト は下線で表示) を用いてPCRを行い,得られたgp64遺伝子DNA断片をpENTR/D-TOPOに挿入し,プラスミドpENTR-gp64を構築した。かくして構築したプラスミドをpENTR-gp64と名付けた。
(1.3) プラスミド pDuaI-Hsp65-gp64の構築
pBACsurf-Hsp65をPstI/Cfr9Iで切断し,hsp65遺伝子断片をpENTR-gp64のPstI/Cfr9Iサイトに挿入し,プラスミドpENTR-Hsp65-gp64を構築した。さらにpENTR-Hsp65-gp64をRsrII/KpnIで切断し,ポリヘドリンプロモーターとhsp65-gp64遺伝子よりなるDNA断片をRsrIIとKpnIで処理したpTriEx-3.1 (Novagen)に挿入し,所望のデュアル・プロモーターによって発現が制御されるトランスファーベクタープラスミドpDuaI-Hsp65-gp64を構築した。
【0127】
(1.4) プラスミドpDuaI-H1N1/HA1-gp64の構築
インフルエンザウイルスPR/8/34株が感染したMDCK細胞上清よりQIAamp MiniEIute Virus Spin Kit (QIAGEN)を用いてRNAを抽出し,プライマーHA-f(5’- CCTGCAGGTATGAAGGCAAACCTACTGGTC -3’ (配列番号7): SbfI サイトは下線で表示)とHA-r(5’- GCCCGGGCGATGCATATTCTGCA-3’ (配列番号8): SbfI サイトは下線で表示)と用いてRT-PCRを行い,全長約1700 bpのインフルエンザウイルスHA遺伝子断片をpCR-BIunt II-TOPO(Invitrogen社)にクローニングした。得られたプラスミドをpCR-BIunt-HAと名付けた。pCR-BIunt-HAを鋳型としてプライマーpHA-F1 (5’- CACCGAATTCGACACAATATGTATAGGCTACCATGCG-3’ (配列番号9): EcoRI サイトは下線で表示) とpHA-R1 (5’-CCCGGGCACCTCTGGATTGGATGGACGGAATG-3’ (配列番号10): Cfr9I サイト は下線で表示)を用いてPCRを行い,得られたH1N1/HA1遺伝子DNA断片をpENTR/D-TOPOにクローニングした後,EcoRI/Cfr9Iで処理し,pDuaI-Hsp65-gp64のEcoRI/Cfr9Iサイトに挿入し,プラスミドpDuaI-H1N1/HA1-gp64を構築した。
(1.5)プラスミドpBACsurf-HA1の構築
pDuaI-H1N1/HA1-gp64 をEcoRI/CfrIで切断し,H1N1/HA1遺伝子DNA断片をEcoRIとCfrIで処理したpBACsurf-Hsp65に挿入し,プラスミドpBACsurf-HA1を構築した。
(1.6) プラスミドpCP-H1N1/HA1-gp64の構築
pBACsurf-HA1を鋳型にPoIh-f RsrII(5’- GGGCGGACCGGATAATTAAAATGATAACCATCTCG-3’ (配列番号11): RsrIIサイトは下線表示)とGP64-r DraIII(5’- GGGCACTTAGTGATATTGTCTATTACGGTTTCTAATC-3’ (配列番号12): DraIIIサイトは下線表示)を用いてPCRを行なった。得られたDNA断片をRsrIIとDraIIIで処理したpDuaI-H1N1/HA1-gp64に挿入し,pCP-H1N1/HA1-gp64を構築した。
(1.7) プラスミドpCAP-H1N1/HA1-gp64の構築
pCP- H1N1/HA1-gp64をHA1とgp64の遺伝子断片を調整するために制限酵素RsrIIとDraIIIで切断した。得られた断片を、pTriEx-1.1(Novagen)を制限酵素RsrIIとDraIIIで切断することにより調整したベクターに挿入することにより、CAGプロモーターとポリヘドリン・プロモーターからなる所望のデュアル・プロモーターの制御下に哺乳動物及び昆虫細胞においてHA1抗原とgp64タンパクの融合タンパクの発現を可能にするトランスファー・ベクター・プラスミドpCAP-H1N1/HA1-gp64を構築した。
(1.8) プラスミドpCAP-H1N1/NP-gp64の構築
インフルエンザウイルスPR/8/34株のゲノムRNAを鋳型にNP-f EcoRI(5’- ACGGAATTCCATTCAATTCAAACTGGA-3’(配列番号13): EcoRIサイトは下線表示)とNP-r Cfr9I(5’- GATCCCGGGCCTTGTCAATGCTGAATGGCAA-3’(配列番号14): Cfr9Iサイトは下線表示)を用いてRT-PCRを行ない,得られた断片を制限酵素EcoRIとXmalで処理し,同様に制限酵素EcoRIとCfr9Iで処理したpCAP-H1N1/HA1-gp64に挿入することで,pCAP-H1N1/NP-gp64を作製した。
(1.9) プラスミドpCAP-H1N1/NP/272とpCAP-H1N1/NP/467の構築
pCAP-H1N1/HA1-gp64のgp64(272)-f (5’- GACTCCCCGGGTCGAGCACCGAGTCAAGAAG-3’(配列番号15): XmaIサイトは下線表示)及びgp64(467)-f (5’- GACTCCCCGGGACATCACTTCCATGGCTGAA -3’(配列番号16): XmaIサイトは下線表示)とGP64-DraIII(5’- GGGCACTTAGTGATATTGTCTATTACGGTTTCTAATC -3’(配列番号12): DraIIIサイトは下線表示)を用いてPCRを行ない,得られた断片を制限酵素XmaIとDraIIIで処理し,同様にXmaIとDraIIIで処理したpCAP-H1N1/NP-gp64に挿入することで,pCAP-H1N1/NP/272とpCAP-H1N1/NP/467を作製した。
(1.10)本発明トランスファーベクタープラスミドpCAP-PfCSP,pCAP-PfCSP/272,pCAP-PfCSP/467の構築
熱帯熱マラリア原虫Plasmodium falciparum 3D7株が感染したヒト赤血球より,QIAamp DNA Midi Kit (キアゲン社)を用いてP. falciparumゲノムDNAを抽出した。このゲノムDNAを鋳型としてPCRによりPfCSP遺伝子を下記の方法でクローニングした。即ち,プライマーPfCSP-f(19) (5’- GACTCTGCAGTTATTCCAGGAATACCAGTGCTATGGAAG -3’ (配列番号17): PstIサイトは下線部で表示) とPfCSP-r(373) (5’- CGATCCCGGGCTTTTTCCATTTTACAAATTTTTTTTTCAATATC -3’ (配列番号18): Xma I サイトは下線部で表示) を用いてPCRを行い,得られたDNA断片とpCAP-H1N1/NP-gp64, pCAP-H1N1/NP/272,pCAP-H1N1/NP/467をPstIとXmaIで処理し、結合した。構築したプラスミドをpCAP-PfCSP,pCAP-PfCSP/272, pCAP-PfCSP/467と名付けた。
【0128】
Plasmodium falciparum 3D7 circumporozoite (CS) 蛋白のGenBankのアミノ酸番号は,XP_001351122である。
【0129】
(2) 本発明のトランスファーベクターpDual-Pfs25-PfCSP-gp64の構築
(2.1) プラスミドpDual-PbAMA1D123-gp64の構築
マウスマラリア原虫Plasmodium berghei ANKA株が感染したBALB/cマウスより採血を行い,QIAamp DNA Midi Kit (キアゲン社)を用いてP. bergheiゲノムDNAを抽出した。このゲノムDNAを鋳型としてPCRによりPbAMA1遺伝子domain 123 (D123)を下記の方法でクローニングした。即ち,プライマーpAMA-F1 (5’- CACCGAATTCAATCCATGGGAAAAGTATACGGAAAAATAT -3’ (配列番号19): EcoRI サイトは下線で表示) とpAMA1-R1 (5’- CCCGGGCTTCTCTGGTTTGATGGGCTTTCATATGCAC-3’ (配列番号20): Cfr9I サイトは下線で表示) を用いてPCRを行い,得られたPbAMA1D123 DNA断片をpENTR/D-TOPOにクローニングした後,EcoRI/Cfr9Iで切断し,EcoRIとCfr9Iで処理したpBACsurf-Hsp65に挿入した。構築したプラスミドをpBACsurf-PbAMA1D123と名付けた。
次いでpBACsurf-PbAMA1D123をEcoRI/Cfr9Iで切断し,PbAMA1D123遺伝子DNA断片をEcoRIとCfr9Iで処理したpDual-Hsp65-gp64に挿入し,プラスミドpDual-PbAMA1D123-gp64を構築した。
(2.2) プラスミドpDual-PfCSP-gp64の構築
P.falciparumゲノムDNAを鋳型としてPCRによりPfCSP遺伝子を下記の方法でクローニングした。即ち,プライマーpPfCSP-F1 (5’- CACCGAATTCTTATTCCAGGAATACCAGTGCTATGGAAGT -3’ (配列番号21): EcoRI サイトは下線で表示) とpPfCSP-R1 (5’- CCCGGGCTTTTTCCATTTTACAAATTTTTTTTTC-3’ (配列番号22): Cfr9I サイト は下線で表示) を用いてPCRを行い,得られたPfCSP DNA断片をpENTR/D-TOPOにクローニングした後,EcoRI/Cfr9Iで切断し,EcoRIとCfr9Iで処理したpDual-PbAMA1D123-gp64に挿入した。構築したプラスミドをpDual-PfCSP-gp64と名付けた。
(2.3) 本発明のトランスファーベクターpDual-Pfs25-PfCSP-gp64の構築
P. falciparumゲノムDNAを鋳型としてPCRによりPfs25遺伝子を下記の方法でクローニングした。即ち,プライマーpPfs25-F1 (5’- CACCGAATTCAAAGTTACCGTGGATACTGTATGCAAAAGAGGA -3’ (配列番号23): EcoRI サイトは下線で表示) とpPfs25-R2 (5’- CAATTGAGATCCGCCGCCACCGCCACCAGTACATATAGAGCTTTCATTATCTATTATAAATCCATC -3’ (配列番号24): MunI サイトは下線で表示) を用いてPCRを行い,得られたPfs25 DNA断片をpENTR/D-TOPOにクローニングした後,EcoRI/MunIで切断し,EcoRI で処理したpDual -PfCSP-gp64に挿入した。構築したプラスミドをpDual-Pfs25-PfCSP-gp64と名付けた。
【0130】
(3) 本発明トランスファーベクタープラスミドpDual-PfMSP1-PfCSP-gp64の構築
P. falciparumゲノムDNAを鋳型としてPCRによりPfMSP1遺伝子を下記の方法でクローニングした。即ち,プライマーpPfMSP119-F1 (5’- CACCGAATTCAACATTTCACAACACCAATGCGTAAAAAAAC -3’ (配列番号25): EcoRI サイトは下線で表示) とpPfMSP119-R2 (5’- CAATTGAGATCCGCCGCCACCGCCACCGTTAGAGGAACTGCAGAAAATACCATCGAAAAGTGGA -3’ (配列番号26): MunI サイトは下線で表示) を用いてPCRを行い,得られたPfMSP119 DNA断片をpENTR/D-TOPOにクローニングした後,EcoRIとMunIで切断し,EcoRIで処理したpDual-PfCSP-gp64に挿入した。構築したプラスミドをpDual-PfMSP1-PfCSP-gp64と名付けた。
【0131】
(4) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCAP-PfCSP(A361E), pCAP-PfCSP(A361E)/272,pCAP-PfCSP(A361E)/467の構築
pCAP-PfCSPからPfCSP-f(19) (5’- GACTCTGCAGTTATTCCAGGAATACCAGTGCTATGGAAG -3’ (配列番号17): PstIサイトは下線部で表示)とPfCSP-r(373 A361E) (5’- CGATCCCGGGCTTTTTCCATTTTACAAATTTTTTTTTCAATATCATTTTC -3’ (配列番号27): Xma I サイトは下線部で表示)を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をPstI/XmaIで切断し,PstIとXmaIで処理したpCAP-H1N1/NP-gp64, pCAP-H1N1/NP/272,pCAP-H1N1/NP/467に挿入した。構築したプラスミドをpCAP-PfCSP(A361E), pCAP-PfCSP(A361E)/272,pCAP-PfCSP(A361E)/467と名付けた。
【0132】
(5) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCAP-PfCSP-76, pCAP-PfCSP-76/467の構築
pCAP-PfCSP(A361E)からPfCSP-f(76) (5’- GACTCTGCAGGATGATGGAAATAACGAAGACAACG -3’ (配列番号28): PstI サイトは下線部で表示) とPfCSP-r(373 A361E) (5’- CGATCCCGGGCTTTTTCCATTTTACAAATTTTTTTTTCAATATCATTTTC -3’ (配列番号27): Xma I サイトは下線部で表示)を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をPstI/XmaIで切断し,PstIとXmaIで処理したpCAP-H1N1/NP-gp64, pCAP-H1N1/NP/467に挿入した。構築したプラスミドをpCAP-PfCSP-76,pCAP-PfCSP-76/467と名付けた。
【0133】
(6) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCAP-PfCSP+209 , pCAP-PfCSP+209/467の構築
P. falciparum 3D7株のPfCSPのアミノ酸配列(ただし361番目のAをEに変換)からSf9細胞とヒト細胞で使用率の高いコドンを用いて,人工合成遺伝子配列(PfCSP+:配列番号29)を作製した。作製した人工合成遺伝子配列を鋳型に,PfCSP-f(+209) (5’- GACTCTGCAGAACGCTAATCCAAACGCTAATCCCAACGCTAATCCCAATGCC -3’ (配列番号30): PstI サイトは下線部で表示) とPfCSP-r(+ A361E) (5’- CGATCCCGGGCTTTTTCCATTTTGCAAATTTTTTT -3’ (配列番号31): Xma I サイトは下線部で表示) を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をPstI/XmaIで切断し,PstIとXmaIで処理したpCAP-H1N1/NP-gp64, pCAP-H1N1/NP/467に挿入した。構築したプラスミドをpCAP-PfCSP+209 , pCAP-PfCSP+209/467と名付けた。
【0134】
(7) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCAP-PfCSP+76/209, pCAP-PfCSP+76/209/467の構築
人工合成遺伝子配列(PfCSP+:配列番号29)を鋳型に,PfCSP-f(+76) (5’- GACTCTGCAGGACGACGGCAACAACGAAGACAACG -3’ (配列番号32): PstI サイトは下線部で表示) と PfCSP-r(+128) (5’- CGTTAGGATCCACATTTGGGTTGGCATTTGGG -3’ (配列番号33): BamH I サイト は下線部で表示)と,PfCSP-f(+209) BamHI (5’- GACTGGATCCTAACGCTAATCCAAACGCTAATCCC -3’ (配列番号34): BamH I サイトは下線部で表示) と PfCSP-r(+ A361E) (5’- CGATCCCGGGCTTTTTCCATTTTGCAAATTTTTTT -3’ (配列番号31): Xma I サイトは下線部で表示)を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をそれぞれPstIとBamHI,BamHIとXmaIで切断し,pCAP-H1N1/NP-gp64, PstIとXmaIで処理した pCAP-H1N1/NP-gp64, pCAP-H1N1/NP/467に挿入した。構築したプラスミドをpCAP-PfCSP+76/209, pCAP-PfCSP+76/209/467と名付けた。
【0135】
(8) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCAP-HA1/Anhui, pCAP-HA1/Anhui/272,pCAP-HA1/Anhui /467の構築
インフルエンザウイルスH5N1/Anhui/1/05のHemagglutininのHA1領域のアミノ酸配列からSf9細胞とヒト細胞で使用率の高いコドンを用いて,人工合成遺伝子配列を作製した(配列番号35)。作製した人工合成遺伝子配列を鋳型に,AH-F1(5’- CAGTCTGCAGGACCAGATTTGCATC -3’ (配列番号36): PstI サイトは下線部で表示) とAH-R4 (5’- CAGTCCCGGGCTCTCTTGCGCCTGC -3’ (配列番号37): Xma I サイトは下線部で表示) を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をPstI/XmaIで切断し,PstIとXmaIで処理したpCAP-H1N1/NP-gp64, pCAP-H1N1/NP/272,pCAP-H1N1/NP/467に挿入した。構築したプラスミドをpCAP-HA1/Anhui, pCAP-HA1/Anhui/272,pCAP-HA1/Anhui /467と名付けた。
【0136】
なお,インフルエンザウイルスA/H5N1/Anhui/1/05のHemagglutininのアミノ酸配列のGenBankアクセッション番号はABD28180である。
【0137】
(9) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCAP-HA1/Vietnam,pCAP-HA1/Vietnam/51,pCAP-HA1/Vietnam/101,pCAP-HA1/Vietnam/154,pCAP-HA1/Vietnam/201,pCAP-HA1/Vietnam/272,pCAP-HA1/Vietnam /467の構築
インフルエンザウイルスH5N1/Vietnam/1203/4のHemagglutininのHA1領域のアミノ酸配列からSf9細胞とヒト細胞で使用率の高いコドンを用いて,人工合成遺伝子配列を作製した(配列番号38)。作製した人工合成遺伝子配列を鋳型に,VN-F1(5’- CAGTCTGCAGGACCAGATCTGTATC -3’ (配列番号39): PstI サイトは下線部で表示) とVN-R4 (5’- CAGTCCCGGGCTCTCTTCTTCCTGC -3’ (配列番号40): Xma I サイト は下線部で表示) を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をPstI/XmaIで切断し,PstIとXmaIで処理した pCAP-H1N1/NP-gp64, pCAP-H1N1/NP/272,pCAP-H1N1/NP/467に挿入した。構築したプラスミドをpCAP-HA1/Vietnam, pCAP-HA1/Vietnam/272, pCAP-HA1/Vietnam /467と名付けた。
さらに, pCAP-HA1/Vietnamを鋳型にgp64(51)-f (5’- GACTCCCCGGGTGGAAATCACCATCGTGGAGACG -3’ (配列番号41): Xma I サイトは下線部で表示),もしくはgp64(101)-f (5’- GACTCCCCGGGATTTGCTTATGTGGAGCATCAGG -3’ (配列番号42): Xma I サイトは下線部で表示),もしくはgp64(154)-f (5’- GACTCCCCGGGCGCACCACACGTGCAACAAATCG -3’ (配列番号43): Xma I サイトは下線部で表示),もしくはgp64(201)-f (5’- GACTCCCCGGGACACTGTGCTTCATCGAGACGGC -3’ (配列番号44): Xma I サイトは下線部で表示)とGP64-r DraIII(5’- GGGCACTTAGTGATATTGTCTATTACGGTTTCTAATC-3’ (配列番号12) : DraIIIサイトは下線表示) を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をそれぞれXmaIとDraIIIで切断し,XmaIとDraIIIで処理したpCAP-HA1/Vietnamに挿入した。構築したプラスミドをpCAP-HA1/Vietnam/51,pCAP-HA1/Vietnam/101,pCAP-HA1/Vietnam/154,pCAP-HA1/Vietnam/201と名付けた。
【0138】
なお,インフルエンザウイルスA/ Vietnam/1203/2004(H5N1)ヘマグルチニンのアミノ酸配列のGenBankアクセッション番号はAAW80717である。
【0139】
(10) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCAP-AH/345,pCAP-AH/345/467,pCAP-AH/410,pCAP-AH/410/467,pCAP-AH/473,pCAP-AH/473/467,pCAP-AH/520,pCAP-AH/520/467の構築
インフルエンザウイルスH5N1/Anhui/1/05のHemagglutininのHA領域のアミノ酸配列からDNA2.0社のGene Designerを用いてコドンの最適化を行い,人工合成遺伝子配列を作製した(配列番号45)。この人工配列を鋳型にAH17-F (5’- GACTCTGCAGGATCAGATCTGTATTGGGTACC -3’ (配列番号46): Pst I サイトは下線部で表示)とAH345-R (5’- CGATCCCGGGCTCTCTTTCTCCTCCGCTCGC -3’ (配列番号47): Xma I サイトは下線部で表示),もしくはAH410-R (5’- CGATCCCGGGCGGCCTCGAACTGGGTGTTCATT -3’ (配列番号48): Xma I サイトは下線部で表示),もしくはAH473-R (5’- CGATCCCGGGCGTCTCTGAGTTGAAGGCGCAC -3’ (配列番号49): Xma I サイトは下線部で表示) ,もしくはAH520-R (5’- CGATCCCGGGCACCACTAATTTCCTCTCGCTTC -3’ (配列番号50): Xma I サイトは下線部で表示)を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をそれぞれPst IとXma Iで切断し,Pst IとXma Iで処理したpCAP-HA1/AnhuiもしくはpCAP-HA1/Anhui/467に挿入した。構築したプラスミドをpCAP-AH/345,pCAP-AH/345/467,pCAP-AH/410,pCAP-AH/410/467,pCAP-AH/473,pCAP-AH/473/467,pCAP-AH/520,pCAP-AH/520/467と名付けた。
【0140】
(11) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCAP-VN/346,pCAP-VN/346/467,pCAP-VN/410,pCAP-VN/410/467,pCAP-VN/473,pCAP-VN/473/467,pCAP-VN/520,pCAP-VN/520/467の構築
インフルエンザウイルスH5N1/Vietnam/1203/2004のHemagglutininのHA領域のアミノ酸配列からDNA2.0社のGene Designerを用いてコドンの最適化を行い,人工合成遺伝子配列を作製した(配列番号51)。この人工配列を鋳型にVN17-F (5’- GACTCTGCAGGATCAGATCTGTATCGGATATC -3’ (配列番号52): Pst I サイトは下線部で表示)とVN346-R (5’- CGATCCCGGGCCCGCTTTTTCCTCCTCCGTTCG -3’ (配列番号53): Xma I サイトは下線部で表示),もしくはVN410-R (5’- CGATCCCGGGCCTCAAACTGCGTATTCATTTTG -3’ (配列番号54): Xma I サイトは下線部で表示),もしくはVN473-R (5’- CGATCCCGGGCTCTAAGCTGGAGCCTGACTTTGTC -3’ (配列番号55): Xma I サイトは下線部で表示) ,もしくはVN520-R (5’- CGATCCCGGGCACTAATCTCCTCTCTTTTAAGTC -3’ (配列番号56): Xma I サイトは下線部で表示)を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をそれぞれPst IとXma Iで切断し,Pst IとXma Iで処理したpCAP-HA1/AnhuiもしくはpCAP-HA1/Anhui/467に挿入した。構築したプラスミドをpCAP-VN/346,pCAP-VN/346/467,pCAP-VN/410,pCAP-VN/410/467,pCAP-VN/473,pCAP-VN/473/467,pCAP-VN/520,pCAP-VN/520/467と名付けた。
【0141】
(12) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCAP-CO/full,pCAP-CO/full/467,pCAP-CO/19,pCAP-CO/19 /467,pCAP-CO/76,pCAP-CO/76/467,pCAP-CO/205,pCAP-CO/205/467の構築
Plasmodium falciparum 3D7株のCSPのアミノ酸配列からDNA2.0社のGene Designerを用いてコドンの最適化を行い,人工合成遺伝子配列を作製した(配列番号57)。この人工配列を鋳型にPfCSP_opt-f (5’- GACTCTGCAGATGATGCGAAAATTGGCCATACTG -3’ (配列番号58): Pst I サイトは下線部で表示)とPfCSP_opt-r(397) (5’- CGATCCCGGGCATTGAGGAACAGAAAGGAAAGAACCATG -3’ (配列番号59): Xma I サイトは下線部で表示),PfCSP_opt-f(19) (5’- GACTCTGCAGCTGTTTCAGGAATACCAGTGCTATGG -3’ (配列番号60): Pst I サイトは下線部で表示)とPfCSP_opt-r(373) (5’- CGATCCCGGGCCTTCTCCATCTTACAAATTTTCTTTTCAATATCATTAGC -3’ (配列番号61): Xma I サイトは下線部で表示),PfCSP_opt-f(76) (5’- GACTCTGCAGGACGACGGAAATAATGAGGACAACG -3’ (配列番号62): Pst I サイトは下線部で表示)とPfCSP_opt-r(373) (5’- CGATCCCGGGCCTTCTCCATCTTACAAATTTTCTTTTCAATATCATTAGC -3’ (配列番号61): Xma I サイトは下線部で表示),及びPfCSP_opt-f(205) (5’- GACTCTGCAGAATGCAAACCCAAATGCCAATCCAAACGC -3’ (配列番号63): Pst I サイトは下線部で表示)とPfCSP_opt-r(373) (5’- CGATCCCGGGCCTTCTCCATCTTACAAATTTTCTTTTCAATATCATTAGC -3’ (配列番号61): Xma I サイトは下線部で表示)を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をそれぞれPst IとXma Iで切断し,Pst IとXma Iで処理したpCAP-HA1/AnhuiもしくはpCAP-HA1/Anhui/467に挿入した。構築したプラスミドをpCAP-CO/full,pCAP-CO/full/467,pCAP-CO/19,pCAP-CO/19 /467,pCAP-CO/76,pCAP-CO/76/467,pCAP-CO/205,pCAP-CO/205/467と名付けた。
【0142】
(13) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCA64-HA1/Anhui及びpCA64-PfCSP(A361E)の構築
BacVector-2000 DNA(Novagen)のTriple cut DNAを用い,gp64-p-f (5’- GACTCGGACCGGCCAGATAAAAATAATCTTATCAATTAAG -3’ (配列番号64): Rsr II サイトは下線部で表示)とgp64-p-r
(5’- CGATACTAGTAGCACTGAGGCTTCTTATATACCCG -3’ (配列番号65): Spe I サイトは下線部で表示)を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をそれぞれRsr IIとSpe Iで切断し,Rsr IIとSpe Iで処理したpCAP-HA1/AnhuiもしくはpCAP-PfCSP(A361E) に挿入し、CAGプロモーター及びgp64プロモーターからなる所望のデュアルプロモーターの制御下の哺乳類細胞及び昆虫細胞におけるHA1抗原若しくはPfCSP抗原及びgp64タンパク質の融合タンパク質の発現を可能にするトランスファーベクタープラスミドpCA64-HA1/Anhui及び pCA64-PfCSP(A361E)を構築した。
【0143】
(14) 本発明トランスファーベクタープラスミドpCA39-HA1/Anhui及びpCA39-PfCSP(A361E)の構築
BacVector-2000 DNA(Novagen)のTriple cut DNAを用い,vp39-p-f (5’- GACTCGGACCGCGTCGTACAAATCGAAATATTGTTGTG -3’ (配列番号66): Rsr II サイトは下線部で表示)とvp39-p-r (5’- CGATACTAGTGTGATTGAGAAAGAAATCTCTTATTC -3’ (配列番号67): Spe I サイトは下線部で表示)を用いてPCRを行い,得られたDNA断片をそれぞれRsr IIとSpe Iで切断し,Rsr IIとSpe Iで処理したpCAP-HA1/AnhuiもしくはpCAP-PfCSP(A361E) に挿入し、CAGプロモーター及びgp64プロモーターからなる所望のデュアルプロモーターの制御下の哺乳類細胞及び昆虫細胞におけるHA1抗原若しくはPfCSP抗原及びgp64タンパク質の融合タンパク質の発現を可能にするトランスファーベクタープラスミドpCA39-HA1/Anhui及び pCA39-PfCSP(A361E)を構築した。
【0144】
(15) 本発明pCAP-CO/full/VSV,pCAP-CO/19/VSV,pCAP-CO/76/VSV,pCAP-CO/205/VSVの構築
pVSV-G(Clonetech)を鋳型にVSV-G-f (5’- GACTCCCCGGGCGTTCGAACATCCTCACATTCAAG -3’ (配列番号68): Xma I サイトは下線部で表示)とVSV-G-r (5’- GACTCACTTAGTGCTTTCCAAGTCGGTTCATCTC -3’ (配列番号69): Dra III サイトは下線部で表示)で,XmaIとDra IIIで処理した pCAP-CO/full,pCAP-CO/19,pCAP-CO/76,pCAP-CO/205に挿入した。構築したプラスミドをpCAP-CO/full/VSV,pCAP-CO/19/VSV,pCAP-CO/76/VSV,pCAP-CO/205/VSVと名付けた。
【0145】
実施例2:本発明組換えバキュロウイルスおよびその製造法
(1)組換えバキュロウイルスは,組換えバキュロウイルス作製キット(BacVector-2000 Transfection Kit,ノバジェン社)を用い,上記実施例1で構築されたトランスファーベクター:pCAP-PfCSP,pCAP-PfCSP/272,pCAP-PfCSP/467,pCAP-PfCSP(A361E),pCAP-PfCSP(A361E)/272,pCAP-PfCSP(A361E)/467,pCAP-PfCSP-76,pCAP-PfCSP-76/467,pCAP-PfCSP+209,pCAP-PfCSP+209/467,pCAP-PfCSP+76/209,pCAP-PfCSP+76/209/467,pCAP-HA1/Anhui,pCAP-HA1/Anhui/272,pCAP-HA1/Anhui/467,pCAP-HA1/Vietnam,pCAP-HA1/Vietnam/51,pCAP-HA1/Vietnam/101,pCAP-HA1/Vietnam/154,pCAP-HA1/Vietnam/201,pCAP-HA1/Vietnam/272,pCAP-HA1/Vietnam/467, pCAP-AH/345,pCAP-AH/345/467,pCAP-AH/410,pCAP-AH/410/467,pCAP-AH/473,pCAP-AH/473/467,pCAP-AH/520,pCAP-AH/520/467,pCAP-VN/346,pCAP-VN/346/467,pCAP-VN/410,pCAP-VN/410/467,pCAP-VN/473,pCAP-VN/473/467,pCAP-VN/520,pCAP-VN/520/467,pCAP-CO/full,pCAP-CO/full/467,pCAP-CO/19,pCAP-CO/19/467,pCAP-CO/76,pCAP-CO/76/467,pCAP-CO/205,pCAP-CO/205/467,pCA39-HA1/Anhui,pCA64-HA1/Anhui,pCA39-PfCSP(A361E),pCA64-PfCSP(A361E),pCAP-CO/full/VSV,pCAP-CO/19/VSV,pCAP-CO/76/VSV,pCAP-CO/205/VSV,pDual-Pfs25-PfCSP-gp64,pDual-PfMSP1-PfCSP-gp64の各々とBacVector-2000 DNAをSf9細胞にコトランスフェクト(co-transfection)することにより作製した。
作製した組換えバキュロウイルスは各々,AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64と名付けた。
【0146】
実施例3:昆虫細胞における本発明組換えバキュロウイルスからのワクチン抗原の発現試験
実施例2で得たバキュロウイルスAcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,およびコントロールとして野生型バキュロウイルスAcNPV-WTをSf9細胞に48well Plate(Corning)あたり1x105 cellsになるように播種したウェルに,上述のバキュロウイルス各々を感染重複度約0.1で感染させた。5日後に上清を取り除いたウェルに,Sample Buffer Solution(+2ME,×2)(WAKO)を1ウェルあたり0.05mL加えて細胞を完全に溶解した。細胞溶解液を100℃で5分間処理した後,7.5% SDS-PAGEで電気泳動を行った。泳動後,タンパクをPVDFメンブレン(Immobilon-P,ミリポア)に転写し,2.5% Skim Milk/SuperBlock(Pierce)に浸して4℃で一晩ブロッキングを行った。各バキュロウイルス感染Sf9細胞タンパクを転写したメンブレンは,一次抗体として抗gp64抗体(AcV5,eBioScience)を,二次抗体としてHRP標識ヤギ抗マウスIgG (H+L)(BioRad)を加えてインキュベーションし,ECLplus Western Blotting Detection kit(GE Healthcare)で発色させて反応するタンパク質のバンドを検出した。その結果を図1に示す。
図1中, ヒトマラリア遺伝子PfCSP,インフルエンザウイルスH5N1/Anhui/1/05株HA1遺伝子,及びH5N1/Vietnam/1203/04株のHA1遺伝子が組み込まれた組換えバキュロウイルスの昆虫細胞内での融合抗原の発現を示すウェスタンブロッティング分析の図面であり,図中左レーンのレーン1は野生型バキュロウイルス(AcNPV-WT)を,レーン2本発明のデュアル・プロモーター下にPfCSP遺伝子と全長のgp64遺伝子が挿入された組換えバキュロウイルス(AcNPV-CAP-PfCSP)のバンドを,レーン3は本発明のデュアル・プロモーター下にインフルエンザウイルスH5N1/Anhui/1/05株のHA1遺伝子と全長のgp64遺伝子が挿入された組換えバキュロウイルス(AcNPV-CAP-HA1/Anhui),レーン4は本発明のデュアル・プロモーター下にインフルエンザウイルスH5N1/Vietnam/1203/04株のHA1遺伝子と全長のgp64遺伝子が挿入された組換えバキュロウイルス(AcNPV-CAP-HA1/Vietnam)のバンドをそれぞれ示す。
【0147】
該図のレーン2,3,及び4に示されるように本発明のデュアル・プロモーター下に各種抗原をgp64遺伝子と融合発現させた組換えバキュロウイルスでは免疫原性外来抗原遺伝子とgp64遺伝子との融合発現産物のバンドが観察される。
このことから,本発明組換えウイルスは昆虫細胞で免疫原性外来抗原遺伝子とgp64遺伝子との融合発現産物が発現できることが確認された。
【0148】
実施例4:本発明組換えバキュロウイルスのウイルス粒子(ビリオン)上に提示されたワクチン抗原中での融合抗原の確認試験
Sf9細胞を150 mm細胞培養用プレート(スミロン:秋田住友ベークライト) あたり1 x 107 cellsになるように培養し,上述のバキュロウイルス各々を感染重複度約0.1で感染させた。5日後,培養液を3,000 ×g, 4oCで10分間2回遠心し,さらに25%のショ糖溶液の上にウイルス液を重層し,超遠心分離機で25,000 rpm,4°C で90分遠心することでウイルス粒子を得た。を超遠心分離で回収したAcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,及びAcNPV-WTのウイルス濃縮液(1×108 PFU/mL)各々0.05mLにSample Buffer Solution(+2ME,×2)(WAKO)を0.05mL加え,100oCで5分間処理した後,7.5 % SDS-PAGEで電気泳動を行った。泳動後,タンパクをPVDFメンブレン(Immobilon-P,ミリポア)に転写し,2.5% Skim Milk/SuperBlock(Pierce)に浸して4℃で一晩ブロッキングを行った。AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,及びAcNPV−CAP−PfCSP/467ウイルス溶解液を転写したメンブレンは,一次抗体として抗PfCSP抗体(2A10,MR-4)を,二次抗体としてHRP標識ヤギ抗マウスIgG (H+L)(BioRad)を加えてインキュベーションした。AcNPV-CAP-HA1/Vietnamウイルス溶解液を転写したメンブレンは,一次抗体として抗H5N1抗体(IT-003-005,Immune Technology)を,二次抗体としてHRP標識ヤギ抗ウサギIgG抗体(GE Healthcare)を加えてインキュベーションした。メンブレンはECLplus Western Blotting Detection kit(GE Healthcare)で発色させて反応するタンパク質のバンドを検出した。その結果を図2に示す。
【0149】
図2(A)中,組換えトランスファーベクターから作製した組換えバキュロウイルスのウイルス粒子中でのヒトマラリアCSP遺伝子(PfCSP)のそれぞれの発現を示すウェスタンブロッティング分析の図面であり,図中左レーンのレーン1はデュアル・プロモーター下にPfCSP遺伝子と完全長gp64遺伝子が挿入された組換えバキュロウイルス(AcNPV-CAP-PfCSP)を,レーン2は本発明のデュアル・プロモーター下にPfCSP遺伝子と部分長gp64遺伝子(C末から241アミノ酸残基)が挿入された組換えバキュロウイルス(AcNPV-CAP-PfCSP/272)のバンド,レーン3は本発明のデュアル・プロモーター下にPfCSP遺伝子と部分長gp64遺伝子(C末から46アミノ酸残基)が挿入された組換えバキュロウイルス(AcNPV-CAP-PfCSP/467)を電気泳動し,PfCSP遺伝子とgp64遺伝子との融合発現物を確認した。該図のすべてのレーンで組換えウイルス粒子にPfCSP遺伝子とgp64遺伝子との融合抗原の存在を示す強いバンドをそれぞれ確認できた。
【0150】
図2(B)中,組換えトランスファーベクターから作製した組換えバキュロウイルスのウイルス粒子中でのH5N1/HA1遺伝子の発現を示すウェスタンブロッティング分析の図面であり,図中左レーンのレーン1は実施例3で調製したAcNPV-WTの感染細胞溶解液を,レーン2は実施例3で調製したAcNPV-CAP-HA1/Anhuiの感染細胞溶解液を,レーン3は実施例3で調製したAcNPV-CAP-HA1/Vietnamの感染細胞溶解液を,レーン4は野生型バキュロウイルス(AcNPV-WT)のウイルス粒子を,レーン5は本発明のデュアル・プロモーター下にインフルエンザウイルスH5N1/Vietnam/1203/04株のHA1遺伝子と全長のgp64遺伝子が挿入された組換えバキュロウイルス(AcNPV-CAP-HA1/Vietnam)のウイルス粒子,レーン6はH5N1の精製HA抗原(IT-003-0053p,Immune Technology)を電気泳動し,H5N1/HA1遺伝子とgp64遺伝子との融合発現物を確認した。該図の5のレーンで組換えウイルス粒子にH5N1/Vietnam/1203/04株のHA1遺伝子とgp64遺伝子との融合抗原の存在を示す強いバンドを確認できた。
【0151】
このように実施例4から,本発明の組換えトランスファーベクターからの製造された本発明の組換えバキュロウイルスは,組換えウイルス粒子中に所望の免疫原性外来遺伝子とgp64遺伝子の融合発現産物が存在できることが分かる。
【0152】
実施例5:哺乳動物における本発明組換えバキュロウイルスからのワクチン抗原の発現試験
HepG2細胞にAcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSPを感染重複度約1で感染させた。48時間後,培養上清を除き,PBSで3回リンスした後,-20℃に冷したアセトン・エタノール液 (7:3混合)を加え,-20℃で5分間細胞の固定を行った。5%正常ヤギ血清液(SIGMA)を加え室温で1時間ブロッキングを行った。PfCSPの発現は,Alexa Flour 594で標識した抗PfCSP抗体(2A10,MR-4)を加え,PfMSP-119の発現は抗PfMSP-119抗体(5.2,MR-4)に続きFITCで標識した抗マウス抗体を加えてインキュベーションし,蛍光顕微鏡で反応する細胞を検出した。
その結果を図3に示す。
図3は,HepG2細胞におけるPfMSP1遺伝子とPfCSP遺伝子の融合遺伝子の組換えバキュロウイルスが抗原を発現していることで蛍光標識抗体に染色された細胞の図面を示す。(A)はPfCSP抗原の発現が,(B)はPfMSP-119抗原の発現が確認できており,融合抗原が哺乳動物細胞内で発現できることが確認できた。該図の(A)と(B)から明らかなように本発明のデュアル・プロモーターのトランスファーベクターを用いた組換えバキュロウイルスは哺乳動物細胞において,目的抗原を発現せしめることが分かる。
このことから,本発明の組換えトランスファーベクターからの製造された組換えバキュロウイルスは,ヒトを含む哺乳動物に投与されたときに,ウイルス粒子が哺乳動物細胞に侵入し,哺乳動物プロモーターが作動し,哺乳動物細胞内で目的外来抗原遺伝子とgp64遺伝子の融合物を産生し,獲得免疫が誘導されることが示唆される。
【0153】
実施例6: PfCSP抗原組換えウイルス及びH5N1/HA1抗原組み換えウイルスによる抗体の誘導
1.ウイルス液の接種
超遠心分離で濃縮したAcNPV-WT,AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Vietnamの1×108 PFUのウイルス液をBALB/c雌マウスの大腿筋筋肉内に,2週間間隔で2回接種した。
【0154】
2.抗体価の測定
最終免疫から2週間後に安楽死を行ない,マウスから血清を回収し,特異的抗体価の測定に使用した。AcNPV-CAP-PfCSPとAcNPV-CAP-PfCSP/467によるPfCSP抗原特異的な抗体価の誘導はPfCSPのB細胞エピトープである(NANP)NVDPCペプチド(Sigma)を固相化したプレートを用いたELISA法で行なった。また,AcNPV-CAP-HA1/Anhui及びAcNPV-CAP-HA1/Vietnamによる H5N1/HA抗原特異的な抗体価の誘導はH5N1ウイルスHA精製抗原(IT-003-005p, Immune Technology)を固相化したプレートを用いたELISA法で行なった。なお,ELISAプレートにはMaxiSoup(NUNC)を,2次抗体にはHRP標識ヤギ抗マウスIgG(H&L)抗体(American Qualex)を,発色反応にはTMB(Calbiochem)を使用し,OD450nmでの吸光度を測定した。
その結果を図4に示す。
図4(A)では,マウス血清を800倍から102,400倍まで2段階希釈を行なった際のOD450nmでの吸光度の各群の平均値をプロットした。PBS及びAcNPV-WTを接種した群の血清では抗原に反応する抗体がないために,800倍でも吸光度が0.1以下の反応しか見られないのに対し,AcNPV-CAP-PfCSP及びAcNPV-CAP-PfCSP/467を接種した群では800倍で吸光度が1.138と1.878と強く反応し,抗原特異的な抗体を誘導していることが明らかである。また,図4(B)では,マウス血清を400倍から25,600倍まで2段階希釈を行なった際のOD450nmでの吸光度の各群の平均値をプロットした。PBS及びAcNPV-WTを接種した群の血清では抗原に反応する抗体がないために,800倍でも吸光度が0.1以下の反応しか見られないのに対し,AcNPV-CAP-HA1/Anhui及びAcNPV-CAP-HA1/Vietnamを接種した群では3200倍で吸光度が1.551と2.503と強く反応し,抗原特異的な抗体を誘導していることが明らかである。図4から明らかなように本発明のデュアル・プロモーターのトランスファーベクターを用いた組換えバキュロウイルスは哺乳動物において,目的抗原に対する抗体を誘導せしめることが分かる。
【0155】
3.中和価の測定
AcNPV-CAP-HA1/Anhuiを接種したマウス血清を用いて、赤血球凝集抑制試験(Hemagglutination Inhibition試験)を行った。方法はインフルエンザウイルスHI試薬「生研」(デンカ生研株式会社)の添付文書の方法に準じて行った。H5N1ウイルスHA精製抗原(IT-003-0053p,Immune Technology)を使用した。非特異凝集物質の吸収は赤血球を,非特異的凝集インヒビターの除去はRDE(II)「生研」(デンカ生研株式会社)を用いて行った。HI試験は96 well Plate で0.025 mLの10倍希釈抗血清を希釈液で2倍段階希釈を行い、希釈抗血清が入ったウェルに0.025 mLで4HA価が得られるように希釈したH5N1ウイルスHA抗原0.025 mLを96 well Plateの各ウェルに添加し,室温で30分間放置した。そこへ0.05 mLの反応用赤血球浮遊液を添加し,よく攪拌した後,室温で60分間保持し、赤血球凝集を完全に阻止した検体の最終希釈倍数をHI抗体価とした。
その結果、PBS及びAcNPV-WTを接種した血清ではHI抗体価が10以下だったのに対し,AcNPV-CAP-HA1/AnhuiではHI抗体価が40を示した。
このことから,本発明の組換えトランスファーベクターからの製造された組換えバキュロウイルスは,ヒトを含む哺乳動物に投与されたときに,目的外来抗原遺伝子に対して効果的な抗体が誘導されることで,ワクチン効果を付与することが出来ることが推定される。
【配列表フリーテキスト】
【0156】
配列番号:1,2は,結核菌H37RvのゲノムDNAのPCR用プライマーphsp65-F1とphsp65-R1のプライマー配列である。
配列番号:3,4は,pcDNA-hsp65を鋳型としたPCR用プライマーphsp65-F2とphsp65-R2のプライマー配列である。
配列番号:5,6は,pBACsurf-1を鋳型とした,gp64遺伝子DNA断片を得るPCR用プライマーpPolh-F2とpgp64-R2のプライマー配列である。
配列番号:7,8は,インフルエンザウイルスHA遺伝子断片製造のPCR用プライマーHA-fとHA-rのプライマー配列である。
配列番号:9,10は,pCR-Blunt-HAを鋳型としたpHA-F1とpHA-R1のプライマー配列である。
配列番号:11,12は,pBACsurf-HA1を鋳型としたPCR用プライマーPolh-f RsrIIとGP64-r DraIIIのプライマー配列である。
配列番号:13,14は,インフルエンザウイルスPR/8/34株のゲノムRNAのRT-PCR用プライマーNP-f EcoRIとNP-r Cfr9Iのプライマー配列である。
配列番号:15,16,12は,pCAP-H1N1/HA1-gp64のPCR用プライマーgp64(272)-fとgp64(467)-fとGP64-DraIIIのプライマー配列である。
配列番号:17,18は,P. falciparumゲノムDNAを鋳型としたPCR用プライマーPfCSP-f(19)とPfCSP-r(373)のプライマー配列である。
配列番号:19,20は,P. bergheiゲノムDNAを鋳型としたPCR用プライマーpAMA-F1とpAMA1-R1のプライマー配列である。
配列番号:21,22は,P. falciparumゲノムDNAを鋳型としたPCR用プライマーpPfCSP-F1とpPfCSP-R1のプライマー配列である。
配列番号:23,24は,P. falciparumゲノムDNAを鋳型としたPCR用プライマーpPfs25-F1とpPfs25-R2のプライマー配列である。
配列番号:25,26は,P. falciparumゲノムDNAを鋳型としたPCR用プライマーpPfMSP119-F1とpPfMSP119-R2のプライマー配列である。
配列番号:17,27は,pCAP-PfCSPを鋳型としたPCR用プライマーPfCSP-f(19)とPfCSP-r(373 A361E)のプライマー配列である。
配列番号:28,27は,pCAP-PfCSPを鋳型としたPCR用プライマーPfCSP-f(76)とPfCSP-r(373 A361E)のプライマー配列である。
配列番号:29は,P. falciparum 3D7株のPfCSPのアミノ酸配列(ただし361番目のAをEに変換)からSf9細胞とヒト細胞で使用率の高いコドンを用いて作製した人工合成遺伝子配列(PfCSP+)である。
配列番号:30,31は,人工合成遺伝子配列(PfCSP+)を鋳型としたPCR用プライマーPfCSP-f(+209)とPfCSP-r(+ A361E)のプライマー配列である。
配列番号:32,33,34,31は,人工合成遺伝子配列(PfCSP+)を鋳型としたPCR用プライマーPfCSP-f(+76)とPfCSP-r(+128) とPfCSP-f(+209) BamHIとPfCSP-r(+ A361E)のプライマー配列である。
配列番号:35は,インフルエンザウイルスH5N1/Anhui/1/05のHemagglutininのHA1領域のアミノ酸配列からSf9細胞とヒト細胞で使用率の高いコドンを用いて作製した人工合成遺伝子配列である。
配列番号:36,37は,配列番号35の人工合成遺伝子配列を鋳型としたPCR用プライマーAH-F1(5’- CAGTCTGCAGGACCAGATTTGCATC -3’ (配列番号36): PstI サイトは下線部で表示) とAH-R4 (5’- CAGTCCCGGGCTCTCTTGCGCCTGC -3’ (配列番号37): Xma I サイトは下線部で表示)のプライマー配列である。
配列番号:38は,インフルエンザウイルスH5N1/Vietnam/1203/04のHemagglutininのHA1領域のアミノ酸配列からSf9細胞とヒト細胞で使用率の高いコドンを用いて作製した人工合成遺伝子配列である。
配列番号:39,40は,配列番号38の人工合成遺伝子配列を鋳型としたPCR用プライマーVN-F1(5’- CAGTCTGCAGGACCAGATCTGTATC -3’ (配列番号39): PstI サイトは下線部で表示) とVN-R4 (5’- CAGTCCCGGGCTCTCTTCTTCCTGC -3’ (配列番号40): Xma I サイト は下線部で表示)のプライマー配列である。
配列番号:41,42,43,44、12は,pCAP-HA1/Vietnamを鋳型としたPCR用プライマーgp64(51)-f (5’- GACTCCCCGGGTGGAAATCACCATCGTGGAGACG -3’ (配列番号41): Xma I サイトは下線部で表示),gp64(101)-f (5’- GACTCCCCGGGATTTGCTTATGTGGAGCATCAGG -3’ (配列番号42): Xma I サイトは下線部で表示),gp64(154)-f (5’- GACTCCCCGGGCGCACCACACGTGCAACAAATCG -3’ (配列番号43): Xma I サイトは下線部で表示),gp64(201)-f (5’- GACTCCCCGGGACACTGTGCTTCATCGAGACGGC -3’ (配列番号44): Xma I サイトは下線部で表示)とGP64-r DraIII(5’- GGGCACTTAGTGATATTGTCTATTACGGTTTCTAATC-3’ (配列番号12) : DraIIIサイトは下線表示)のプライマー配列である。
配列番号:45は,インフルエンザウイルスH5N1/Anhui/1/05のHemagglutininのHA領域のアミノ酸配列からDNA2.0社のGene Designerを用いてコドンの最適化を行い,作製した人工合成遺伝子配列である。
配列番号:46,47,48,49,50は,配列番号45の人工合成遺伝子配列を鋳型としたPCR用プライマーAH17-F (5’- GACTCTGCAGGATCAGATCTGTATTGGGTACC -3’ (配列番号46): Pst I サイトは下線部で表示),AH345-R (5’- CGATCCCGGGCTCTCTTTCTCCTCCGCTCGC -3’ (配列番号47): Xma I サイトは下線部で表示),AH410-R (5’- CGATCCCGGGCGGCCTCGAACTGGGTGTTCATT -3’ (配列番号48): Xma I サイトは下線部で表示),AH473-R (5’- CGATCCCGGGCGTCTCTGAGTTGAAGGCGCAC -3’ (配列番号49): Xma I サイトは下線部で表示) ,AH520-R (5’- CGATCCCGGGCACCACTAATTTCCTCTCGCTTC -3’ (配列番号50): Xma I サイトは下線部で表示) のプライマー配列である。
配列番号:51は,インフルエンザウイルスH5N1/Vietnam/1203/04のHemagglutininのHA領域のアミノ酸配列からDNA2.0社のGene Designerを用いてコドンの最適化を行い,作製した人工合成遺伝子配列である。
配列番号:52,53,54,55,56は,配列番号51の人工合成遺伝子配列を鋳型としたPCR用プライマーVN17-F (5’- GACTCTGCAGGATCAGATCTGTATCGGATATC -3’ (配列番号52): Pst I サイトは下線部で表示),VN346-R (5’- CGATCCCGGGCCCGCTTTTTCCTCCTCCGTTCG -3’ (配列番号53): Xma I サイトは下線部で表示),VN410-R (5’- CGATCCCGGGCCTCAAACTGCGTATTCATTTTG -3’ (配列番号54): Xma I サイトは下線部で表示),VN473-R (5’- CGATCCCGGGCTCTAAGCTGGAGCCTGACTTTGTC -3’ (配列番号55): Xma I サイトは下線部で表示) ,VN520-R (5’- CGATCCCGGGCACTAATCTCCTCTCTTTTAAGTC -3’ (配列番号56): Xma I サイトは下線部で表示)のプライマー配列である。
配列番号:57は,Plasmodium falciparum 3D7株のCSPのアミノ酸配列からDNA2.0社のGene Designerを用いてコドンの最適化を行い,作製した人工合成遺伝子配列である。
配列番号:58,59,60,61,62は,配列番号57の人工合成遺伝子配列を鋳型としたPCR用プライマーPfCSP_opt-f (5’- GACTCTGCAGATGATGCGAAAATTGGCCATACTG -3’ (配列番号58): Pst I サイトは下線部で表示),PfCSP_opt-r(397) (5’- CGATCCCGGGCATTGAGGAACAGAAAGGAAAGAACCATG -3’ (配列番号59): Xma I サイトは下線部で表示),PfCSP_opt-f(19) (5’- GACTCTGCAGCTGTTTCAGGAATACCAGTGCTATGG -3’ (配列番号60): Pst I サイトは下線部で表示),PfCSP_opt-r(373) (5’-CGATCCCGGGCCTTCTCCATCTTACAAATTTTCTTTTCAATATCATTAGC -3’ (配列番号61): Xma I サイトは下線部で表示),PfCSP_opt-f(76) (5’- GACTCTGCAGGACGACGGAAATAATGAGGACAACG -3’ (配列番号62): Pst I サイトは下線部で表示),PfCSP_opt-f(205) (5’- GACTCTGCAGAATGCAAACCCAAATGCCAATCCAAACGC -3’ (配列番号63): Pst I サイトは下線部で表示) のプライマー配列である。
配列番号: 64,65,66,67は,BaculovirusゲノムDNAを鋳型としたPCR用プライマーgp64-p-f (5’- GACTCGGACCGGCCAGATAAAAATAATCTTATCAATTAAG -3’ (配列番号64): Rsr II サイトは下線部で表示)とgp64-p-r
(5’- CGATACTAGTAGCACTGAGGCTTCTTATATACCCG -3’ (配列番号65): Spe I サイトは下線部で表示),及びvp39-p-f (5’- GACTCGGACCGCGTCGTACAAATCGAAATATTGTTGTG -3’ (配列番号66): Rsr II サイトは下線部で表示)とvp39-p-r (5’- CGATACTAGTGTGATTGAGAAAGAAATCTCTTATTC -3’ (配列番号67): Spe I サイトは下線部で表示)のプライマー配列である。
配列番号:68,69は,pVSV-Gを鋳型としたPCR用プライマーVSV-G-f (5’- GACTCCCCGGGCGTTCGAACATCCTCACATTCAAG -3’ (配列番号68): Xma I サイトは下線部で表示)とVSV-G-r (5’- GACTCACTTAGTGCTTTCCAAGTCGGTTCATCTC -3’ (配列番号69): Dra III サイトは下線部で表示) のプライマー配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
pCAP-PfCSP,pCAP-PfCSP/272,pCAP-PfCSP/467,pCAP-PfCSP(A361E),pCAP-PfCSP(A361E)/272,pCAP-PfCSP(A361E)/467,pCAP-PfCSP-76,pCAP-PfCSP-76/467,pCAP-PfCSP+209,pCAP-PfCSP+209/467,pCAP-PfCSP+76/209,pCAP-PfCSP+76/209/467,pCAP-HA1/Anhui,pCAP-HA1/Anhui/272,pCAP-HA1/Anhui/467,pCAP-HA1/Vietnam,pCAP-HA1/Vietnam/51,pCAP-HA1/Vietnam/101,pCAP-HA1/Vietnam/154,pCAP-HA1/Vietnam/201,pCAP-HA1/Vietnam/272,pCAP-HA1/Vietnam/467, pCAP-AH/345,pCAP-AH/345/467,pCAP-AH/410,pCAP-AH/410/467,pCAP-AH/473,pCAP-AH/473/467,pCAP-AH/520,pCAP-AH/520/467,pCAP-VN/346,pCAP-VN/346/467,pCAP-VN/410,pCAP-VN/410/467,pCAP-VN/473,pCAP-VN/473/467,pCAP-VN/520,pCAP-VN/520/467,pCAP-CO/full,pCAP-CO/full/467,pCAP-CO/19,pCAP-CO/19/467,pCAP-CO/76,pCAP-CO/76/467,pCAP-CO/205,pCAP-CO/205/467,pCA39-HA1/Anhui,pCA64-HA1/Anhui,pCA39-PfCSP(A361E),pCA64-PfCSP(A361E),pCAP-CO/full/VSV,pCAP-CO/19/VSV,pCAP-CO/76/VSV,pCAP-CO/205/VSV,pDual-Pfs25-PfCSP-gp64,pDual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかであるトランスファーベクター。
【請求項2】
AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467,AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhui,AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかである組換えバキュロウイルス。
【請求項3】
請求項2の組換えバキュロウイルスを有効成分とする感染症用組成物。
【請求項4】
筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与される、請求項2の組換えバキュロウイルスを有効成分として含む感染症用組成物。
【請求項5】
請求項2の組換えバキュロウイルスを有効成分とするワクチン。
【請求項6】
筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与される、請求項3に記載の組換えバキュロウイルスを有効成分とするワクチン。
【請求項7】
AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhuiのいずれかを有効成分とするインフルエンザウイルス感染症治療または予防剤。
【請求項8】
筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与される、請求項7に記載のインフルエンザウイルス感染症治療または予防剤。
【請求項9】
AcNPV-CAP-HA1/Anhui,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/272,AcNPV-CAP-HA1/Anhui/467,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/51,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/101,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/154,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/201,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/272,AcNPV-CAP-HA1/Vietnam/467, AcNPV-CAP-AH/345,AcNPV-CAP-AH/345/467,AcNPV-CAP-AH/410,AcNPV-CAP-AH/410/467,AcNPV-CAP-AH/473,AcNPV-CAP-AH/473/467,AcNPV-CAP-AH/520,AcNPV-CAP-AH/520/467,AcNPV-CAP-VN/346,AcNPV-CAP-VN/346/467,AcNPV-CAP-VN/410,AcNPV-CAP-VN/410/467,AcNPV-CAP-VN/473,AcNPV-CAP-VN/473/467,AcNPV-CAP-VN/520,AcNPV-CAP-VN/520/467,AcNPV-CA39-HA1/Anhui,AcNPV-CA64-HA1/Anhuiのいずれかを有効成分とするインフルエンザウイルス感染症用ワクチン。
【請求項10】
筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与される、請求項7に記載のインフルエンザウイルス感染症用ワクチン。
【請求項11】
AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467, AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467, AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64を有効成分とするヒトマラリア感染症治療または予防剤。
【請求項12】
筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与される、請求項11に記載のヒトマラリア感染症治療または予防剤。
【請求項13】
AcNPV-CAP-PfCSP,AcNPV-CAP-PfCSP/272,AcNPV-CAP-PfCSP/467,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/272,AcNPV-CAP-PfCSP(A361E)/467,AcNPV-CAP-PfCSP-76,AcNPV-CAP-PfCSP-76/467,AcNPV-CAP-PfCSP+209,AcNPV-CAP-PfCSP+209/467,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209,AcNPV-CAP-PfCSP+76/209/467, AcNPV-CAP-CO/full,AcNPV-CAP-CO/full/467,AcNPV-CAP-CO/19,AcNPV-CAP-CO/19/467,AcNPV-CAP-CO/76,AcNPV-CAP-CO/76/467,AcNPV-CAP-CO/205,AcNPV-CAP-CO/205/467, AcNPV-CA39-PfCSP(A361E),AcNPV-CA64-PfCSP(A361E),AcNPV-CAP-CO/full/VSV,AcNPV-CAP-CO/19/VSV,AcNPV-CAP-CO/76/VSV,AcNPV-CAP-CO/205/VSV,AcNPV-Dual-Pfs25-PfCSP-gp64,AcNPV-Dual-PfMSP1-PfCSP-gp64のいずれかを有効成分とするヒトマラリア感染症治療または予防剤。
【請求項14】
筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで投与されることを特徴とする請求項13に記載のヒトマラリア感染症治療または予防剤。
【請求項15】
請求項2に記載の組換えバキュロウイルス、請求項3または4に記載の感染症用組成物、請求項5、6、9,10,13または14に記載のワクチンの有効量を、被験体に投与することを含む、マラリアもしくはインフルエンザの感染予防方法またはマラリアもしくはインフルエンザの治療方法。
【請求項16】
前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンがリポソーム製剤として被験体に投与されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンが筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで被験体に投与される、請求項15に記載の方法 。
【請求項18】
前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンが筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで被験体に投与される、請求項16に記載の方法 。
【請求項19】
請求項2に記載の組換えバキュロウイルス、請求項3または4に記載の感染症用組成物、請求項5、6、9,10,13または14に記載のワクチンの有効量を、被験体に投与することを含む、免疫賦活方法 。
【請求項20】
前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンがリポソーム製剤として被験体に投与されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンが筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで被験体に投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記組換えバキュロウイルス、組成物もしくはワクチンが筋肉内,経気道,または経鼻的のいずれかのルートで被験体に投与される、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2(A)】
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【図2(B)】
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【図3(A)】
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【図3(B)】
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【図4(A)】
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【図4(B)】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−535466(P2010−535466A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504369(P2010−504369)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/JP2008/064503
【国際公開番号】WO2009/020236
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(505246789)学校法人自治医科大学 (49)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】