説明

新規エクジソン受容体/無脊椎動物レチノイドX受容体−ベースの誘導性遺伝子発現システム

【課題】誘導性遺伝子発現システム、およびこの誘導性遺伝子発現システムを用いて、宿主細胞内で遺伝子の発現を変調する方法を提供する。
【解決手段】a)i)その発現が変調されるべき遺伝子と関連した応答エレメントを認識するDNA−結合ドメイン;およびii)エクジソン受容体リガンド結合ドメインを含む第1のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、宿主細胞で発現させることができる第1の遺伝子発現カセット;およびb)i)トランス活性化ドメイン;およびii)無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含む第2のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、宿主細胞で発現させることができる第2の遺伝子発現カセットを含む遺伝子発現変調システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオテクノロジーまたは遺伝子工学の分野に関する。具体的には、本発明は遺伝子発現の分野に関する。さらに詳しくは、本発明は新規エクジソン受容体/無脊椎動物レチノイドX受容体−ベースの誘導性遺伝子発現システムおよびこの誘導性遺伝子発現システムを用いて宿主細胞内で遺伝子の発現を変調する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の刊行物が本明細書中で引用され、その開示は出典明示によりその全体を本明細書の一部とみなす。しかしながら、本明細書中におけるいずれの文献の引用も、かかる文献が本出願に対する「先行技術」として利用できることを認めたものと理解されるべきではない。
【0003】
遺伝子工学の分野においては、遺伝子発現の正確な制御は、発生および他の生理学的プロセスを研究し、操作し、および制御するための価値があるツールである。遺伝子発現は、多数の特異的蛋白質−蛋白質相互作用に関連する複雑な生物学的プロセスである。遺伝子発現が蛋白質合成における最初の工程として必要なRNAを生産するように遺伝子発現がトリガーされるためには、転写アクチベーターが、遺伝子転写を制御するプロモーターの近くに運ばれなければならない。典型的には、転写アクチベーターそれ自体は、遺伝子のプロモーター領域に存在するDNA結合部位に結合する少なくとも1つのDNA結合ドメインを有する蛋白質に関連する。かくして、遺伝子発現が起こるためには、DNA結合ドメインおよび該DNA結合ドメインから適当な距離をおいて位置するトランス活性化ドメインを含む蛋白質が遺伝子のプロモーター領域中の正しい位置に運ばれなければならない。
【0004】
伝統的なトランスジェニックアプローチは、細胞型特異的プロモーターを利用して、設計されたトランスジーンの発現を駆動させる。トランスジーンを含有するDNA構築体が、まず、宿主ゲノムに組み込まれる。転写アクチベーターによってトリガーされると、与えられた細胞型でトランスジーンの発現が起こる。
【0005】
細胞中での外来性遺伝子の発現を調節する他の手段は誘導性プロモーターを介するものである。そのような誘導性プロモーターの使用の例は、PR1−aプロモーター、原核生物リプレッサー−オペレーターシステム、免疫抑制−イムノフィリンシステム、およびステロイドホルモン受容体システムのごとき高等真核生物転写活性化システムを含み、これは後記する。
【0006】
病原体の攻撃後の全身獲得抵抗性応答(systemic acquired resistance response)の間に、タバコからのPR1−aプロモーターが誘導される。PR1−aの使用は限定されるであろう。何故ならば、それは、しばしば、内因性物質、ならびに病原体、UV−B放射線および汚染物のごとき外来因子に応答するからである。熱ショック、インターフェロンおよび重金属によって誘導されたプロモーターに基づく遺伝子調節システムが記載されてきた(Wurnら、1986、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:5414−5418、Arnheiterら、1990、Cell 62:51−61、Filmusら、1992、Nucleic Acids Research 20:27550−27560)。しかしながら、これらのシステムは、非−標的遺伝子の発現に対するその効果のため制限を有する。これらのシステムは遺漏性(leaky)でもある。
【0007】
原核生物リプレッサー−オペレーターシステムは細菌リプレッサー蛋白質およびそれらが結合する独自のオペレーターDNA配列を利用する。細菌Escherichia coilからのテトラサイクリン(「Tet」)およびラクトース(「Lac」)リプレッサー−オペレーターシステムが、遺伝子発現を制御するために植物および動物で用いられてきた。Tetシステムにおいて、テトラサイクリンはTetRリプレッサー蛋白質に結合し、立体配座の変化をもたらし、これはオペレーターからリプレッサー蛋白質を放出させ、その結果、転写が起こる。Lacシステムでは、ラクトース、またはイソプロピル−b−D−チオガラクトシドのごとき合成アナログの存在に応答してlacオペロンが活性化される。あいにく、そのようなシステムの使用は、リガンド、すなわち、テトラサイクリンおよびラクトース、の不安定な化学、それらの毒性、それらの天然の存在、または誘導もしくは抑制に比較的高レベル必要であることよって制限される。同様の理由により、動物へのこのようなシステムの使用も制限される。
【0008】
FK506、ラパマイシンおよびシクロスポリンAのような免疫抑制分子は、イムノフィリンFKBP12、シクロフィリン等に結合することができる。この情報を用い、単に、FK506を2つの蛋白質の各々の上に置くことによって、またはFK506を1つの上に、およびシクロスポリンAを他の上に置くことによって、任意の2つの蛋白質を一緒に運ぶ一般的戦略が工夫されてきた。次いで、FK506の合成ホモダイマー(FK1012)またはFK506−シクロスポリンの融合から得られた化合物(FKCsA)を用いて、これらの分子の二量体化を誘導することができる(Spencerら、1993、Science 262:1019−24、Belshawら、1996、Proc Natl Acad Sci USA 93:4604−7)。FKBP12に融合したGal4 DNA結合ドメインおよびシクロフィリンに融合したVP16アクチベータードメイン、ならびにFKCsA化合物を用いて、Gal4結合部位を含有するプロモーターの制御下でレポーター遺伝子のヘテロ二量体化および活性化が示された。あいにく、このシステムは、望まない副作用を有しかねない免疫抑制剤を含み、従って、種々の哺乳動物遺伝子のスイッチ適用でのその使用が制限される。
【0009】
ステロイドホルモン受容体システムのような高等真核生物転写活性化システムも使用されてきた。ステロイドホルモン受容体は核受容体スーパーファミリーのメンバーであり、脊椎動物および無脊椎動物細胞で見出される。あいにく、特に植物および哺乳動物における遺伝子発現の調節のために受容体を活性化するステロイド化合物の使用は、そのような生物における多くの他の元来の生物学的経路におけるその関与のため制限される。そのような困難を克服するために、昆虫エクジソン受容体(EcR)を用いる代替システムが開発されている。
【0010】
昆虫における成長、脱皮および発生はエクジソンステロイドホルモン(脱皮ホルモン)および幼若ホルモンによって調節される(Dhadiallaら、1998、Annu.Rev.Entomol.43:545−569)。昆虫におけるエクジソンに対する分子標的は少なくともエクジソン受容体(EcR)およびウルトラスピラクル蛋白質(USP)よりなる。EcRは、シグニチャーDNAおよびリガンド結合ドメイン、ならびに活性化ドメインによって特徴付けられる核ステロイド受容体スーパーファミリーのメンバーである(Koelleら、1991、Cell、67:59−77)。EcR受容体はポナステロンAおよびムリステロンAのごとき多数のステロイド化合物に対して応答性である。最近、エクジステロイドアゴニスト活性を持つ非−ステロイド化合物が記載されており、これは、Rohm and Haas社によって世界的に販売されている商業的に入手可能な殺虫剤テブフェノジドおよびメトキシフェノジドを含む(国際特許出願第PCT/EP96/00686号および米国特許第5,530,028号参照)。両アナログは他の生物に対して例外的な安全性プロフィールを有する。
【0011】
国際特許出願第PCT/US97/05330号(WO97/38117号)およびPCT/US99/08381号(WO99/58155号)は外因性遺伝子の発現を変調する方法を開示しており、ここに、外因性遺伝子およびエクジソン応答エレメントを含むDNA構築体が、そのためのリガンドの存在下、かつ所望によりサイレントパートナーとして作用することができる受容体の存在下で、エクジソン応答エレメントに結合して遺伝子発現を誘導するエクジソン受容体を含む第2のDNA構築体によって活性化される。選択されたエクジソン受容体はDrosophila melanogasterから単離された。典型的には、そのようなシステムは、最適な活性化を提供するために、サイレントパートナー、好ましくはレチノイドX受容体(RXR)の存在を必要とする。哺乳動物細胞では、昆虫エクジソン受容体(EcR)は、レチノイドX受容体(RXR)とでヘテロ二量体化し、リガンド依存的に標的遺伝子の発現を調節する。国際特許出願第PCT/US98/14215号(WO99/02683号)は、蚕Bombyx moriから単離されたエクジソン受容体が、外因性ダイマーパートナーの必要性なくして哺乳動物系で機能できることを開示する。
【0012】
米国特許第5,880,333号は、トランス活性化ドメインおよびDNA結合ドメインが2つの異なるハイブリッド蛋白質上に位置する植物で使用されるDrosophila melanogaster EcRおよびウルトラスピラクル(USP)ヘテロダイマーシステムを開示する。あいにく、このシステムは動物細胞においてレポーター遺伝子発現を誘導するのに効果的ではない(比較として、後記実施例1.2参照)。
【0013】
これらの場合の各々において、(国際特許出願第PCT/US98/14215号におけるごとく天然EcRとして、または国際特許出願第PCT/US97/05330号におけるごとく修飾されたEcRいずれかとして)トランス活性化ドメインおよびDNA結合ドメインが単一の分子に組み込まれ、他のヘテロダイマーパートナー(USPまたはRXRいずれか)は、その天然状態で用いられた。
【0014】
前記EcR−ベースの遺伝子調節システムの欠点は、リガンドの不存在下におけるかなりのバックグラウンド活性ならびに植物および動物双方において用いるためのこれらのシステムの非−適用性が挙げられる(米国特許第5,880,333号参照)。遺伝子発現の変調に頼るほとんどの適用では、これらのEcR−ベースのシステムは望ましくない。従って、植物ならびに動物双方において外因性遺伝子の発現を正確に変調するための改良されたシステムに対する要望が当該分野に存在する。そのような改良されたシステムは、遺伝子治療、蛋白質および抗体の大規模生産、細胞−ベースの高スループットスクリーニングアッセイ、機能的ゲノミクスおよびトランスジェニック動物における特性(trait)の調節のような適用で有用であろう。単純であり、コンパクトであり、かつ比較的安価で、容易に入手でき、かつ宿主に対して低毒性であるリガンドに依存する改良されたシステムは、生物学的システムを調節するのに有用なことが判明するであろう。
【0015】
【特許文献1】PCT出願第PCT/EP96/00686号明細書
【特許文献2】米国特許第5,530,028号明細書
【特許文献3】国際特許出願第PCT/US97/05330号(WO97/38117号)明細書
【特許文献4】国際特許出願第PCT/US99/08381号(WO99/58155号)明細書
【特許文献5】国際特許出願第PCT/US98/14215号(WO99/02683号)明細書
【特許文献6】米国特許第5,880,333号明細書
【特許文献7】国際特許出願第PCT/US01/09050号明細書
【非特許文献1】Wurnら、1986、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:5414−5418
【非特許文献2】Arnheiterら、1990、Cell 62:51−61
【非特許文献3】Filmusら、1992、Nucleic Acids Research 20:27550−27560
【非特許文献4】Spencerら、1993、Science 262:1019−24
【非特許文献5】Belshawら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:4604−7
【非特許文献6】Dhadiallaら、1998、Annu.Rev.Entomol.43:545−569
【非特許文献7】Koelleら、1991、Cell、67:59−77
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
最近、出願人は、トランス活性化およびDNA結合ドメインが、それらを2つの異なる蛋白質上に置くことによって相互に分離されたエクジソン受容体−ベースの誘導性遺伝子発現システムが結果として、リガンドの不存在下においてバックグラウンド活性を大いに低下させ、リガンドの存在下においてバックグラウンドを超えて活性をかなり増加させたことを示した(ここに出典明示してその全体を本明細書の一部としてみなす係属中の出願PCT/US01/09050号)。この2−ハイブリッドシステムは、出願PCT/US97/05330号およびPCT/US98/14215号に開示された二つのシステムと比較してかなり改良された誘導性遺伝子発現変調システムである。
【0017】
出願人らは、以前、双翅目(Dipteran)(Drosophila melanogaster)または鱗翅目(Lepidopteran)(Choristoneura fumiferana)ウルトラスピラクル蛋白質(USP)と協同したエクジソン受容体−ベースの遺伝子発現システムが哺乳動物細胞において構成的に発現され、他方、脊椎動物レチノイドX受容体(RXR)と協同したエクジソン受容体−ベースの遺伝子発現システムが哺乳動物細胞で誘導性であることを証明した(係属中の出願PCT/US01/09050)。出願人らは、今回、非−双翅目および非−鱗翅目無脊椎動物RXRホモログが、エクジソン受容体−ベースの誘導性遺伝子発現システムにおいて脊椎動物RXRと同様に機能することができるという驚くべき発見をなした。本明細書中に記載するごとく、出願人らの新規なエクジソン受容体/無脊椎動物レチノイドX受容体−ベースの誘導性遺伝子発現システムが、増大したリガンド感受性およびトランス活性化の大きさによって特徴付けられる、酵母および哺乳動物細胞における改良された誘導性遺伝子発現システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、新規なエクジソン受容体/無脊椎動物レチノイドX受容体−ベースの誘導性遺伝子発現システム、該新規な誘導性遺伝子発現システムで用いる新規な受容体ポリヌクレオチドおよびポリペプチド、ならびにこの誘導性遺伝子発現システムを用いて宿主細胞内の遺伝子の発現を変調する方法に関する。特に、出願人らの発明は、無脊椎動物レチノイドX受容体(RXR)ポリペプチドのリガンド結合ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む改良された遺伝子発現変調システムに関する。
【0019】
具体的には、本発明は、a)i)その発現を変調すべき遺伝子と関連した応答エレメントを認識するDNA−結合ドメイン、およびii)エクジソン受容体リガンド結合ドメインを含む第1のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、宿主細胞で発現させることができる第1の遺伝子発現カセット、ならびにb)i)トランス活性化ドメイン、およびii)無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含む第2のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含み、宿主細胞で発現させることができる第2の遺伝子発現カセット、を含む遺伝子発現変調システムに関する。
【0020】
また、本発明は、a)i)その発現を変調すべき遺伝子と関連した応答エレメントを認識するDNA−結合ドメイン、およびii)無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含む第1のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、宿主細胞で発現させることができる第1の遺伝子発現カセット、ならびにb)i)トランス活性化ドメイン、およびii)エクジソン受容体リガンド結合ドメインを含む第2のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含み、宿主細胞で発現させることができる第2の遺伝子発現カセット、を含む遺伝子発現変調システムに関する。
【0021】
また、本発明は、さらに、c)i)第1のハイブリッドポリペプチドのDNA−結合ドメインが結合する応答エレメント、ii)第2のハイブリッドポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター、およびiii)その発現を変調すべき遺伝子を含む第3の遺伝子発現カセット、を含む本発明による遺伝子発現変調システムに関する。
【0022】
また、本発明は、宿主細胞内で発現させることができる遺伝子発現カセットに関し、ここに、該遺伝子発現カセットはi)その発現を変調すべき遺伝子と関連した応答エレメントを認識するDNA−結合ドメイン、またはii)トランス活性化ドメインのいずれか、および無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0023】
また、本発明は、i)その発現を変調すべき遺伝子と関連した応答エレメントを認識するDNA−結合ドメイン、またはii)トランス活性化ドメインのいずれか、および無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0024】
また、本発明は、トランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関し、ここに、トランケーション突然変異は無脊椎動物RXRポリペプチドのリガンド結合活性またはリガンド感受性に影響する。
【0025】
また、本発明は、トランケートされた無脊椎動物RXRポリヌクレオチドおよび二量体化パートナーを含むヘテロダイマーのリガンド感受性を増加させるトランケーション突然変異を含むトランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。特定の態様において、二量体化パートナーはエクジソン受容体ポリペプチドである。
【0026】
また、本発明は、出願人らの発明によるポリヌクレオチドによってコードされる単離されたポリペプチドに関する。
【0027】
また、本発明は、i)その発現を変調すべき遺伝子と関連した応答エレメントを認識するDNA−結合ドメイン、またはii)トランス活性化ドメインのいずれか、および無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたハイブリッドポリペプチドに関する。
【0028】
本発明は、トランケーション突然変異を含む単離されたトランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドに関し、ここに、該無脊椎動物RXRポリペプチドは本発明によるポリヌクレオチドによってコードされる。
【0029】
かくして、また、本発明は、当該無脊椎動物RXRポリペプチドのリガンド結合活性またはリガンド感受性に影響するトランケーション突然変異を含む単離されたトランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドに関する。
【0030】
また、本発明は、トランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドおよび二量体化パートナーを含むヘテロダイマーのリガンド感受性を増加させるトランケーション突然変異を含む単離されたトランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドに関する。特定の態様において、二量体化パートナーはエクジソン受容体ポリペプチドである。
【0031】
また、出願人らの発明は、本発明による遺伝子発現変調システムを用いて宿主細胞において遺伝子発現を変調する方法に関する。具体的には、出願人らの発明は、a)本発明による遺伝子発現変調システムを宿主細胞に導入し、b)i)遺伝子発現変調システムの第1のハイブリッドポリペプチドからのDNA結合ドメインが結合するドメインを含む応答エレメント、ii)遺伝子発現変調システムの第2のハイブリッドポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター、およびiii)その発現を変調すべき遺伝子を含む遺伝子発現カセットを宿主細胞に導入し、次いで、c)宿主細胞にリガンドを導入する工程を含み、それにより、リガンドの宿主細胞への導入に際して、遺伝子の発現が変調されることを特徴とする、宿主細胞において遺伝子の発現を変調する方法を提供する。
【0032】
また、出願人らの発明は、遺伝子発現変調システムの第1のハイブリッドポリペプチドからのDNA結合ドメインが結合するドメインを含む応答エレメント、遺伝子発現変調システムの第2のハイブリッドポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター、およびその発現を変調すべき遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含む宿主細胞において遺伝子の発現を変調する方法を提供し、ここに、該方法は、a)本発明による遺伝子発現変調システムを宿主細胞に導入し、次いで、b)リガンドを宿主細胞に導入する工程を含み、それにより、リガンドの宿主への導入に際して、遺伝子の発現が変調される。
【0033】
また、出願人らの発明は、本発明による誘導性遺伝子発現システムを含む単離された宿主細胞を提供する。また、本発明は、本発明による遺伝子発現カセット、ポリヌクレオチド、またはポリペプチドを含む単離された宿主細胞に関する。従って、出願人らの発明は、本発明による宿主細胞を含む非−ヒト生物にも関する。
【発明の効果】
【0034】
出願人らは、無脊椎動物レチノイドX受容体ポリペプチドを含む新規なエクジソン受容体−ベースの誘導性遺伝子発現システムを開発した。また、出願人らは、無脊椎動物RXRポリペプチドのトランケーションもまたこの遺伝子発現システム内で機能的であり、およびこれらの突然変異の効果がリガンド結合活性またはリガンド感受性を増加させるかまたは低下させることができ、それはステロイドまたは非−ステロイド特異的であり得ることを示した。かくして、出願人らの発明は、宿主細胞において注目する遺伝子の発現を変調するのに有用なエクジソン受容体/無脊椎動物RXR−ベースの誘導性遺伝子発現システムを提供する。特に望ましい態様において、出願人らの発明は、低下したレベルのバックグラウンド遺伝子発現を有し、サブマイクロモル濃度の非−ステロイドリガンドに応答する誘導性遺伝子発現システムを提供する。かくして、出願人らの新規な誘導性遺伝子発現システムおよび宿主細胞において遺伝子の発現を変調する方法におけるその使用は、現在利用できる誘導性発現システムの制限を克服し、当業者に、遺伝子発現を制御する効果的な手段を供する。
【0035】
本発明は、遺伝子発現レベルの制御が望ましい、遺伝子治療、蛋白質および抗体の大規模生産、細胞−ベースの高スループットスクリーニングアッセイ、機能的ゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクス、およびトランスジェニック生物における特性の調節のごとき適用で有用である。出願人らの発明の利点は、それが、遺伝子発現を調節し、使用者の要求に適合するように発現レベルを適合させる手段を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
定義
本開示においては、多数の用語および略語が用いられる。以下の定義が設けられ、それは、本発明の範囲および実施を理解するのに助けとなるはずである。
【0037】
特定の態様において、用語「約」または「ほぼ」は与えられた値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内、なおより好ましくは1%以内を意味する。
【0038】
用語「実質的に含まない」は、組成物中(AおよびBが属する種のカテゴリーに応じて)少なくとも約75重量%の蛋白質、DNA、ベクターが「A」である場合に、「A」を含む組成物が(ここに、「A」は単一の蛋白質、DNA分子、ベクター、組換え宿主細胞等である)が「B」(ここに、「B」は1以上の混入蛋白質、DNA分子、ベクター等を含む)を実質的に含まないことを意味する。好ましくは、「A」は、組成物においてA+B種の少なくとも約90重量%、より好ましくは少なくとも約99重量%を含む。また、混入物を実質的に含まない組成物が、注目する種の活性または特徴を有する単一分子量の種のみを含有するのも好ましい。
【0039】
本発明の目的では、用語「単離された」は、その元来の環境(それが天然に存在する環境)から取り出された生物学的物質(核酸または蛋白質)を示す。例えば、植物または動物中にて天然状態で存在するポリヌクレオチドは単離されていないが、それが天然で存在する隣接核酸から分離された同一ポリヌクレオチドは「単離された」と考えられる。用語「精製された」は、他の化合物の存在を排除して、物質が絶対的純粋さを呈する形態で存在することを要しない。それはむしろ相対的な定義である。
【0040】
ポリヌクレオチドは、少なくとも1桁の大きさ、好ましくは2または3桁、より好ましくは4または5桁の大きさだけ出発物質または天然物質が精製された後に「精製された」状態にあるものである。
【0041】
「核酸」は、ヌクレオチドと呼ばれるサブユニットが共有結合したものを含んでなる高分子化合物である。核酸はポリリボ核酸(RNA)およびポリデオキシリボ核酸(DNA)を含み、共に一本鎖または二本鎖であり得る。DNAは限定されるものではないが、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNAおよび半合成DNAを含む。DNAは直鎖状、環状またはスーパーコイルであり得る。
【0042】
「核酸分子」とは、一本鎖形態または二本鎖ヘリックスの、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン、「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはデオキシシチジン、「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー形態、あるいはホスホロチオエートおよびチオエステルのごときそれらの任意のホスホエステルアナログもいう。二本鎖DNA−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNAヘリックスが可能である。用語核酸分子、特にDNAまたはRNA分子とは、分子の一次および二次構造のみをいい、それをいずれかの特定の三次形態に限定しない。かくして、この用語は、とりわけ、直鎖状または環状DNA分子(例えば、制限断片)、プラスミドおよび染色体に見出される二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造を議論するにおいて、本明細書中では、DNAの非−転写ストランド(すなわち、mRNAに対して相同な配列を有するストランド)に沿って5’から3’への方向の配列のみを与える通常の慣例に従って配列を記載することができる。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。
【0043】
用語「断片」は参照核酸に対して減少した長さのヌクレオチド配列を意味し、共通の部分にわたって、参照核酸と同一のヌクレオチド配列を含むと理解されるであろう。本発明に従うそのような核酸断片は、適切には、それが構成要素であるより大きなポリヌクレオチドに含まれ得る。そのような断片は、本発明による核酸の少なくとも6、8、9、10、12、15、18、20、21、22、23、24、25、30、39、40、42、45、48、50、51、54、57、60、63、66、70、75、78、80、90、100、105、120、135、150、200、300、500、720、900、1000または1500の連続的ヌクレオチドの長さの範囲のオリゴヌクレオチドを含むかあるいはそれよりなる。
【0044】
本明細書中で用いるごとく「単離された核酸断片」は、所望により合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基を含有してもよい、一本鎖または二本鎖であるRNAまたはDNAのポリマーである。DNAのポリマーの形態である単離された核酸断片はcDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1以上のセグメントを含んでなることができる。
【0045】
「遺伝子」とは、ポリペプチドをコードするヌクレオチドのアセンブリーをいい、cDNAおよびゲノムDNA核酸を含む。また、「遺伝子」とは、コーディング配列に先立つ調節配列(5’非−コーディング配列)およびコーディング配列に続く調節配列(3’非−コーディング配列)を含めた、特定の蛋白質またはポリペプチドを発現する核酸断片をいう。「天然遺伝子」とは、それ自身の調節配列を持つ天然で見出される遺伝子をいう。「キメラ遺伝子」とは、天然では一緒に見出されない調節配列および/またはコーディング配列を含む、天然遺伝子ではないいずれの遺伝子もいう。従って、キメラ遺伝子は、異なる源に由来する調節配列およびコーディング配列、または同一源に由来するが、天然で見出されるものと異なって配列した調節配列およびコーディング配列を含むことができる。キメラ遺伝子は、異なる源に由来するコーディング配列および/または異なる源に由来する調節配列を含むことができる。「内因性遺伝子」とは、生物のゲノムにおけるその天然の位置での天然遺伝子をいう。「外来性」遺伝子または「異種」遺伝子とは、宿主生物に通常は見出されないが、遺伝子導入によって宿主生物に導入された遺伝子をいう。外来性遺伝子は非天然生物に挿入された天然遺伝子、またはキメラ遺伝子を含むことができる。「トランスジーン」は、形質転換手法によってゲノムに導入された遺伝子である。
【0046】
「異種」DNAとは、細胞、または細胞の染色体部位に天然では位置しないDNAをいう。好ましくは、異種DNAは細胞に対して外来性である遺伝子を含む。
【0047】
用語「ゲノム」は染色体ならびにミトコンドリア、葉緑体およびウイルスDNAまたはRNAを含む。
【0048】
核酸分子は、当該核酸分子の一本鎖形態が、温度および溶液イオン強度の適当な条件下で他の核酸分子にアニールすることができる場合に、cDNA、ゲノムDNAまたはRNAのようなもう1つの核酸分子に「ハイブリダイズすることができる」(Sambrookら、1989、後掲参照)。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件はよく知られており、Sambrook,J.、Fritsch,E.F.およびManiatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor(1989)、特にその中の第11章および表11.1(引用によりその全体を本明細書の一部とみなす)に例示されている。温度およびイオン強度の条件はハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。
【0049】
ストリンジェンシー条件は、密接に関連する生物から機能性酵素を複製する遺伝子のごとき高度に同様な断片に対して、余り関連の無い生物からの相同配列のごとき中程度に同様な断片につきスクリーニングするように調整することができる。相同核酸についての予備的スクリーニングでは、55°のTに対応する低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件を用いることができる。例えば、5×SSC、0.1%SDS、0.25%ミルク、およびホルムアミド無し、または30%ホルムアミド、5×SSC、0.5%SDS。中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、より高いT、例えば、5×または6×SCCにての40%ホルムアミドに対応する。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は最高のT、例えば、50%ホルムアミド、5×または6×SCCに対応する。ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依存して、塩基間のミスマッチが可能であるが、2つの核酸が相補的配列を含有することを必要とする。
【0050】
用語「相補的」は、相互にハイブリダイズすることができるヌクレオチド塩基の間の関係を記載するのに用いる。例えばDNAに関しては、アデノシンはチミジンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。従って、本発明は、本明細書中で開示するまたは用いる完全な配列ならびにそれらの実質的に同様な核酸配列に相補的な単離された核酸断片も含む。
【0051】
特定の態様において、用語「標準ハイブリダイゼーション条件」とは55℃のTをいい、前記した条件を利用する。好ましい態様において、Tは60℃であり、より好ましい態様においては、Tは65℃である。
【0052】
ポスト−ハイブリダイゼーション洗浄もストリンジェンシー条件を決定する。好ましい条件の1つの組は室温にて15分間の6×SSC、0.5%SDSで出発し、次いで、45℃にて30分間2×SSC、0.5%SDSを反復し、次いで、50℃にて30分間0.2×SSC、0.5%SDSを2回反復する一連の洗浄を用いる。ストリンジェントな条件のより好ましい組はより高い温度を用い、そこでは、0.2×SSC、0.5%SDSにおける最後の2回の30分間の洗浄の温度を60℃に上昇させる以外は洗浄は前記のものと同一である。高度にストリンジェントな条件の他の好ましい組は、65℃における0.1×SSC、0.1%SDSでの2回の最終洗浄を用いる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依存して塩基の間のミスマッチが可能であるが、ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補的な配列を含むことを必要とする。
【0053】
核酸をハイブリダイズさせるための適当なストリンジェンシーは核酸の長さ、相補性の程度、当該分野でよく知られた変数に依存する。2つのヌクレオチド配列の間の同様性または相同性の程度が大きくなれば、それらの配列を有する核酸のハイブリッドについてのTmの値は大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの(より高いTに対応する)相対的安定性は以下の順序で減少する。RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100ヌクレオチドを超えるハイブリッドについては、Tを計算するための方程式が誘導されている(Sambrookら、前掲、9.50−0.51参照)。より短い核酸、すなわち、オリゴヌクレオチドでのハイブリダイゼーションでは、ミスマッチの位置はより重要であり、オリゴヌクレオチドの長さはその特異性を決定する(Sambrookら、前掲、11.7−11.8参照)。
【0054】
1つの態様では、ハイブリダイズ可能な核酸についての長さは少なくとも約10ヌクレオチドである。ハイブリダイズ可能な核酸についての好ましい最小長さは少なくとも約15ヌクレオチドであり、より好ましくは少なくとも約20ヌクレオチドであり、最も好ましくは、該長さは少なくとも30ヌクレオチドである。さらに、当業者であれば、温度および洗浄溶液の塩の濃度は、プローブの長さといったファクターに従って必要に応じて調整することができる。
【0055】
用語「プローブ」とは、相補的一本鎖標的核酸とで塩基対を形成して、二本鎖分子を形成することができる一本鎖核酸分子をいう。本明細書中で用いるごとく、用語「オリゴヌクレオチド」とは、ゲノムDNA分子、cDNA分子、プラスミドDNAまたはmRNA分子にハイブリダイズすることができる、一般に少なくとも18ヌクレオチドの核酸をいう。オリゴヌクレオチドは、例えば、32P−ヌクレオチド、またはビオチンのごときラベルが共有結合したヌクレオチドで標識することができる。標識オリゴヌクレオチドをプローブとして用いて、核酸の存在を検出することができる。オリゴヌクレオチド(その一方または双方を標識することができる)を、核酸の全長または断片をクローニングするために、あるいは核酸の存在を検出するためにPCRプライマーとして用いることができる。また、オリゴヌクレオチドを用いて、DNA分子とで三重ヘリックスを形成することができる。一般に、好ましくは核酸合成器でオリゴヌクレオチドを合成により調製する。従って、オリゴヌクレオチドは、チオエステル結合などのごとき天然に生じないホスホエステルアナログ結合を有するように調製することができる。
【0056】
「プライマー」は、適当な条件下でDNA合成のための開始点として働くことができる、二本鎖核酸領域を生じさせるために標的核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。そのようなプライマーはポリメラーゼ連鎖反応で用いることができる。
【0057】
「ポリメラーゼ連鎖反応」はPCRと略され、酵素により特定の核酸配列を増幅するためのイン・ビトロ方法を意味する。PCRは、3つの段階:標的分子のストランドを分離するための鋳型核酸の変性、一本鎖PCRオリゴヌクレオチドのプライマーの鋳型核酸へのアニーリング、およびDNAポリメラーゼによるアニールされたプライマーの伸長を含む各サイクルに伴う一連の繰り返し温度サイクルを含む。PCRは、標的分子の存在を検出し、および定量的または半定量的条件下で、核酸の出発プール内のその標的分子の相対量を決定する手段を提供する。
【0058】
「逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応」はRT−PCRと省略され、RNA分子から標的cDNA分子を酵素的に生産し、続いて、前記したごとく標的cDNA分子内で特定の核酸配列の酵素的増幅を行うイン・ビトロ方法を意味する。また、RT−PCRは、標的分子の存在を検出し、および定量的または半定量的条件下で、核酸の出発プール内のその標的分子の相対量を決定する手段を提供する。
【0059】
DNAの「コーディング配列」は、適当な調節配列の制御下においた場合に、イン・ビトロまたはイン・ビボにて、細胞中にて転写されて、ポリペプチドに翻訳される二本鎖DNA配列である。「適当な調節配列」とは、コーディング配列の上流(5’非−コーディング配列)、その中、または下流(3’非−コーディング配列)に位置し、かつ関連するコーディング配列の転写、RNAプロセッシングもしくは安定性、または翻訳に影響するヌクレオチド配列をいう。調節配列はプロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセッシング部位、エフェクター結合部位およびステム−ループ構造を含むことができる。コーディング配列の境界は、5’(アミノ)末端における開始コドンおよび3’(カルボキシル)末端における翻訳停止コドンによって決定される。コーディング配列は、限定されるものではないが、原核生物配列、mRNAからのcDNA、ゲノムDNA配列、および合成DNA配列さえ含むことができる。もしコーディング配列が真核生物細胞における発現を意図するならば、ポリアデニル化シグナルおよび転写終止配列は、通常、コーディング配列に対して3’側に位置するであろう。
【0060】
「オープンリーディングフレーム」はORFと省略され、ATGまたはAUGのごとき翻訳開始シグナルまたは開始コドン、および終止コドンを含み、かつ潜在的にポリペプチド配列に翻訳されることができるある長さの核酸配列(DNA、cDNAまたはRNAいずれか)を意味する。
【0061】
本明細書中では、用語「ヘッド−対−ヘッド」は、相互に対して2つのポリヌクレオチド配列の向きを記載するために用いる。1つのポリヌクレオチドのコーディングストランドの5’末端が他のポリヌクレオチドのコーディングストランドの5’末端に隣接し、それにより、各ポリヌクレオチドの転写の方向が他のポリヌクレオチドの5’末端から遠ざかるように進行する場合、2つのポリヌクレオチドはヘッド−対−ヘッド向きに位置する。用語「ヘッド−対−ヘッド」は、(5’)−対−(5’)と省略でき、また、記号(←→)または(3’←5’5’→3’)によって示すこともできる。
【0062】
本明細書中では、用語「テール−対−テール」は、相互に対して2つのポリヌクレオチド配列の向きを記載するのに用いる。1つのポリヌクレオチドのコーディングストランドの3’末端が他のポリヌクレオチドのコーディングストランドの3’末端に隣接し、それにより、各ポリヌクレオチドの転写の向きが他のポリヌクレオチドに向かって進行する場合、2つのポリヌクレオチドはテール−対−テール向きに位置する。用語「テール−対−テール」は(3’)−対−(3’)と省略することができ、また、記号(→←)または(5’→3’3’←5’)によって示すこともできる。
【0063】
本明細書中では、用語「ヘッド−対−テール」は、相互に対して2つのポリヌクレオチド配列の向きを記載するのに用いる。1つのポリヌクレオチドのコーディングストランドの5’末端が他のポリヌクレオチドのコーディングストランドの3’末端に隣接し、それにより、各ポリヌクレオチドの転写の方向が他のポリヌクレオチドの方向と同一向きに進行する場合、2つのポリヌクレオチドはヘッド−対−テール向きに位置する。用語「ヘッド−対−テール」は(5’)−対−(3’)と省略することができ、また、記号(→→)または(5’→3’5’→3’)によって示すこともできる。
【0064】
用語「下流」とは参照ヌクレオチド配列に対して3’側に位置するヌクレオチド配列をいう。特に、下流ヌクレオチド配列は、一般に、転写の開始点に続く配列に関する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは転写の開始部位の下流に位置する。
【0065】
用語「上流」とは、参照ヌクレオチド配列に対して5’側に位置するヌクレオチド配列をいう。特に、上流ヌクレオチド配列は、一般に、コーディング配列または転写の開始点の5’側に位置する配列に関する。例えば、ほとんどのプロモーターは転写の開始点の上流に位置する。
【0066】
用語「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」とは、二本鎖DNA内の特定のヌクレオチド配列内に結合し、それを切断する酵素をいう。
【0067】
「相同組換え」とは、他のDNA分子への外来性DNA配列の挿入、例えば、染色体へのベクターの挿入をいう。好ましくは、ベクターは相同組換え用の特定の染色体部位を標的とする。特定の相同組換えでは、ベクターは、染色体の配列に対して相同性である十分に長い領域を含有して、相補的結合および染色体へのベクターの組み込みを可能とするであろう。相同性であるより長い領域、および配列同様性のより大きな程度は、相同組換えの効率を増加させることができる。
【0068】
当該分野で知られたいくつかの方法を用いて、本発明によるポリヌクレオチドを増幅させることができる。一旦適当な宿主系および増殖条件が確立されれば、組換え発現ベクターを増幅させ、定量的に調製することができる。本明細書中に記載するごとく、用いることができる発現ベクターは、限定されるものではないが、少数の名前を挙げれば、以下のベクターまたはその誘導体:ワクシニアウイルスまたはアデノウイルスのごときヒトまたは動物ウイルス、バキュロウイルスのごとき昆虫ウイルス、酵母ベクター、バクテリオファージベクター(例えば、ラムダ)、ならびにプラスミドおよびコスミドDNAベクターを含む。
【0069】
「ベクター」は、核酸の宿主細胞へのクローニングおよび/または導入のためのいずれかの手段である。ベクターは、他のDNAセグメントを結合させて、結合したセグメントの複製を行うことができるレプリコンであり得る。「レプリコン」は、イン・ビボでDNA複製の自律ユニットとして機能する、すなわち、それ自身の制御下で複製することができるいずれかの遺伝的エレメント(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)である。用語「ベクター」は、イン・ビトロ、エクス・ビボまたはイン・ビボにて核酸を細胞に導入するためのウイルスおよび非ウイルス手段の両方を含む。当該分野で知られた非常に多数のベクターを用いて、核酸を操作し、応答エレメントおよびプロモーターを遺伝子に組み込むなどすることができる。可能なベクターは、例えば、ラムダ誘導体といったバクテリオファージ、またはpBR322もしくはpUCプラスミド誘導体といったプラスミド、またはBluescriptベクターなどの、例えばプラスミドまたは修飾ウイルスを含む。例えば、適当なベクターへの応答エレメントおよびプロモーターに対応するDNA断片の挿入は、相補的粘着末端を有する選択されたベクターへ適当なDNA断片を連結することによって達成することができる。別法として、DNA分子の末端は酵素的に修飾することができるか、またはヌクレオチド配列(リンカー)をDNA末端に連結することによっていずれの部位も生じさせることができる。そのようなベクターは、マーカーを細胞ゲノムに組み込んだ細胞の選択を供する選択マーカー遺伝子を含有するように作成することができる。そのようなマーカーは、マーカーによってコードされた蛋白質を組み込み、それを発現する宿主細胞の同定および/または選択を可能とする。
【0070】
ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、細胞、ならびに生きた動物対象における広く種々の遺伝子送達適用で用いられてきた。用いることができるウイルスベクターは、限定されるものではないが、レトロウイルス、アデノ−随伴ウイルス、ポックス、バキュロウイルス、ワクシニア、単純ヘルペス、エプスタイン−バール、アデノウイルス、ジェミニウイルスおよびカウリモウイルスベクターを含む。非−ウイルスベクターはプラスミド、リポソーム、荷電脂質(サイトフェクチン)、DNA−蛋白質複合体、およびバイオポリマーを含む。核酸に加え、ベクターは、1以上の調節領域、および/または核酸導入の結果(いずれの組織への導入、発現の持続など)を選択し、測定し、およびモニターするのに有用な選択マーカーを含むこともできる。
【0071】
用語「プラスミド」とは、細胞の中心的代謝の一部ではなく、通常、環状二本鎖DNA分子の形態である、遺伝子をしばしば運ぶ染色体外エレメントをいう。そのようなエレメントは任意の源に由来する、一本鎖もしくは二本鎖DNAもしくはRNAの自律複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列(直鎖状、環状またはスーパーコイル)であってよく、ここに、多数のヌクレオチド配列が、適当な3’非翻訳配列と共にプロモーター断片および選択された遺伝子産物についてのDNA配列を細胞に導入することができる独自の構築物に合体または組み換えられている。
【0072】
「クローニングベクター」は、他の核酸セグメントを結合させて、結合されたセグメントの複製を行うことができる、プラスミド、ファージまたはコスミドのごとき、順次複製する核酸、好ましくは、DNAの単位長さであって、複製起点を含む「レプリコン」である。クローニングベクターは1つの細胞型で複製することができ、もう1つにおいて発現することができる(「シャトルベクター」)。
【0073】
ベクターは、当該分野で知られた方法、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、遺伝子銃の使用、またはDNAベクタートランスポーターによって、所望の宿主細胞に導入されることができる(例えば、Wuら、1992、J.Biol.Chem.267:963−967、WuおよびWu、1988、J.Biol.Chem.263:14621−14624、およびHartmutら、1990年3月15日に出願されたカナダ特許出願第2,012,311号参照)。
【0074】
また、本発明によるポリヌクレオチドはリポフェクションによってイン・ビボによって導入することもできる。過去10年間、イン・ビトロでの核酸のカプセル化およびトランスフェクションのためのリポソームの使用が増大してきた。リポソーム−媒介トランスフェクションが遭遇する困難および危険を制限するように設計された合成カチオン脂質を用いて、マーカーをコードする遺伝子のイン・ビボトランスフェクション用のリポソームを調製することができる(Felgnerら、1987、PNAS84:7413、Mackeyら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:8027−8031、およびUlmerら、1993、Science 259:1745−1748)。カチオン脂質の使用は負に荷電した核酸のカプセル化を促進し、また、負に荷電した細胞膜との融合も促進することができる(FelgnerおよびRingold、1989、Science 337:387−388)。核酸のトランスファーのための特に有用な脂質化合物および組成物は国際特許公開WO95/18863号およびWO96/17823号、および米国特許第5,459,127号に記載されている。外来性遺伝子をイン・ビボで特定の器官に導入するためのリポフェクションの使用はある現実的な利点を有する。特定の細胞へのリポソームの分子標的化は利点の1つの領域を表す。トランスフェクションを特定の細胞型に向けるのは、膵臓、肝臓、腎臓および脳のごとき細胞異種性を持つ組織において特に好ましいであろうことが明らかである。脂質は、標的化の目的で他の分子に化学的にカップリングさせることができる(Mackeyら、1988、前掲)。標的化されたペプチド、例えば、ホルモンもしくは神経伝達物質、および抗体のような蛋白質、または非−ペプチド分子を化学的にリポソームにカップリングさせることができよう。
【0075】
また、カチオンオリゴペプチド(例えばWO95/21931号)、DNA結合蛋白質に由来するペプチド(例えば、WO96/25508号)、またはカチオンポリマー(例えばWO95/21931号)のごとき他の分子も、イン・ビボにて核酸のトランスフェクションを容易とするのに有用である。
【0076】
また、裸のDNAプラスミドとしてイン・ビボにてベクターに導入することも可能である(米国特許第5,693,622号、第5,589,466号および第5,580,859号参照)。また、受容体−媒介DNA送達アプローチも用いることができる(Curielら、1992、Hum.Gene Ther.3:147−154、ならびにWuおよびWu、1987、J.Biol.Chem.262:4429−4432)。
【0077】
用語「トランスフェクション」は、細胞による外来性または異種RNAまたはDNAの取り込みを意味する。外来性または異種RNAまたはDNAが細胞内部に導入された場合、細胞はそのようなRNAまたはDNAによって「トランスフェクトされている」。トランスフェクトされたRNAまたはDNAが表現型の変化をもたらす場合、細胞は外来性または異種RNAまたはDNAによって「形質転換されている」。形質転換RNAまたはDNAは染色体DNAに(共有結合的に)組み込まれ、細胞のゲノムを形成する。
【0078】
「形質転換」とは、宿主の生物のゲノムへの核酸断片の導入をいい、その結果、遺伝的に安定な遺伝がもたらされる。形質転換された核酸断片を含有する宿主生物を「トランスジェニック」または「組換え」または「形質転換された」生物という。
【0079】
用語「遺伝子領域」とは、ポリペプチドをコードする遺伝子を含む核酸分子またはヌクレオチド配列の領域をいう。
【0080】
加えて、本発明によるポリヌクレオチドを含む組換えベクターは、その増幅またはその発現が求められる細胞宿主における複製用の1以上の起点、マーカーまたは選択マーカーを含むことができる。
【0081】
用語「選択マーカー」は、同定因子、マーカー遺伝子の効果、すなわち、抗生物質に対する抵抗性、除草剤に対する抵抗性、比色マーカー、酵素、蛍光マーカーなどに基づいて選択することができる因子を意味し、通常は、抗生物質または化学的抵抗性遺伝子であり、ここに、該効果を用いて、注目する核酸の遺伝を追跡し、および/または注目する核酸を受け継いだ細胞または生物を同定する。当該分野で知られ、用いられる選択マーカー遺伝子の例は、アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ヒグロマイシン、ビアラフォス除草剤、スルホンアミドなどに対する抵抗性を供する遺伝子、および表現型マーカーとして用いられる遺伝子、すなわち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子などを含む。
【0082】
用語「レポーター遺伝子」は、レポーター遺伝子の効果に基づいて同定することができる同定因子をコードする核酸を意味し、ここに、該効果を用いて、注目する核酸の遺伝を追跡し、注目する核酸を受け継いだ細胞または生物を同定し、および/または遺伝子発現の誘導または転写を測定する。当該分野で知られ、用いられるレポーター遺伝子の例はルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光蛋白質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ(LacZ)、β−グルクロニダーゼ(Gus)などを含む。選択マーカー遺伝子はレポーター遺伝子と考えることもできる。
【0083】
「プロモーター」とは、コーディング配列または機能的RNAの発現を制御することができるDNA配列をいう。一般に、コーディング配列はプロモーター配列の3’側に位置する。プロモーターは天然遺伝子からその全体が由来してもよく、あるいは天然で見出される異なるプロモーターに由来する異なるエレメントから構成されてよく、あるいは合成DNAセグメントを含んでなるものでさえよい。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞型において、または発生の異なる段階において、または異なる環境または生理学的条件に応答して、遺伝子の発現を指令することができることは当業者に理解される。遺伝子をほとんどの機会、ほとんどの細胞型で発現させるプロモーターは通常「構成的プロモーター」といわれる。遺伝子を特定の細胞型で発現させるプロモーターは、通常、「細胞−特異的プロモーター」または「組織−特異的プロモーター」といわれる。遺伝子を発生または細胞分化の特定の段階で発現させるプロモーターは、通常、「発生−特異的プロモーター」または「細胞分化−特異的プロモーター」といわれる。当該プロモーターを誘導する物質、生物学的分子、化学物質、リガンド、光などでの細胞の暴露または処理に続いて誘導され、遺伝子を発現させるプロモーターは、通常、「誘導性プロモーター」または「調節性プロモーター」といわれる。ほとんどの場合、調節配列の精密な境界は完全には画定されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有することができることはさらに認識されている。
【0084】
「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼに結合し、下流(3’方向)のコーディング配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。本発明を定義する目的では、プロモーター配列は、転写開始部位によってその3’末端において境があり、上流(5’方向)に伸びて、バックグラウンドを超えて検出可能なレベルで転写を開始させるのに必要な最少数の塩基またはエレメントを含む。プロモーター配列内には、(例えば、ヌクレアーゼS1でのマッピングによって便宜に画定される)転写開始部位、ならびにRNAポリメラーゼの結合を担う蛋白質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見出されるであろう。
【0085】
コーディング配列は、RNAポリメラーゼがコーディング配列をmRNAに転写し、次いで、それが(もしコーディング配列がイントロンを含むならば)トランス−RNAスプライシングされ、コーディング配列によってコードされた蛋白質に翻訳される場合、細胞中での転写および翻訳制御配列の「制御下」にある。
【0086】
「転写および翻訳制御配列」は、宿主細胞におけるコーディング配列の発現を供する、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどのごときDNA調節配列である。真核生物細胞においては、ポリアデニル化シグナルは制御配列である。
【0087】
用語「応答エレメント」は、第1のキメラ遺伝子のDNA−結合ドメインとの相互作用を介して媒介されたプロモーターに対する応答性を付与する1以上のシス−作用性DNAエレメントを意味する。このDNAエレメントはその配列が回文構造(完全または不完全)であるか、あるいは可変数のヌクレオチドによって分離された配列モチーフまたはハーフ部位よりなることからできる。該ハーフ部位は同様または同一であり、直接または逆転反復いずれかとして、あるいは単一ハーフ部位またはタンデムな隣接ハーフ部位のマルチマーとして配列できる。応答エレメントは、当該応答エレメントが組み込まれる細胞または生物の性質に応じて異なる生物から単離された最小プロモーターを含むことができる。第1のハイブリッド蛋白質のDNA結合ドメインは、リガンドの存在下または不存在下で、応答エレメントのDNA配列に結合して、この応答エレメントの調節下で下流の遺伝子の転写を開始または抑制する。天然エクジソン受容体の応答エレメントについてのDNA配列の例はRRGG/TTCANTGAC/ACYY(Cherbas L.ら、(1991)、Genes Dev.5、120−131参照)、AGGTCAN(n)AGGTCA(ここに、N(n)は1以上のスペーサーヌクレオチドであり得る)(D’Avino PP.ら、(1995)、Mol.Cell.Endocrinol 113、1−9)、およびGGGTTGAATGAATTT(Antoniewski C.ら、(1994)、Mol.Cell Biol.14、4465−4474)を含む。
【0088】
用語「作動可能に連結した」とは、一方の機能が他方によって影響されるような、単一核酸断片に対する核酸配列の関連をいう。例えば、プロモーターがコーディング配列の発現に影響できる(すなわち、コーディング配列がプロモーターの転写制御下にある)場合、プロモーターはコーディング配列に作動可能に連結している。コーディング配列はセンスまたはアンチセンス向きに調節配列に作動可能に連結することができる。
【0089】
本明細書中で用いるごとく、用語「発現」とは、核酸またはポリヌクレオチドに由来するセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定な蓄積をいう。また、発現はmRNAの蛋白質またはポリペプチドへの翻訳もいうこともできる。
【0090】
用語「カセット」、「発現カセット」および「遺伝子発現カセット」とは、特定の制限部位において、あるいは相同組換えによって、核酸またはポリヌクレオチドに挿入することができるDNAのセグメントをいう。DNAのセグメントは注目するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、カセットおよび制限部位は、転写および翻訳のために適切なリーディングフレームにてカセットの挿入を確実とするように設計される。「形質転換カセット」とは、注目するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、当該ポリヌクレオチドに加えて、特定の宿主細胞の形質転換を容易とするエレメントを有する特定のベクターをいう。本発明のカセット、発現カセット、遺伝子発現カセットおよび形質転換カセットは、宿主細胞における注目するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの増強された発現を可能とするエレメントも含むことができる。これらのエレメントは、限定されるものではないが、プロモーター、最小プロモーター、エンハンサー、応答エレメント、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列などを含むことができる。
【0091】
本発明の目的では、用語「遺伝子スイッチ」とは、プロモーターと関連した応答エレメント、および1以上のリガンドの存在下で、応答エレメントおよびプロモーターが組み込まれる遺伝子の発現を変調するEcRベースのシステムの組合せをいう。
【0092】
用語「変調する」は、核酸または遺伝子の発現を誘導し、減少させ、または阻害し、その結果、蛋白質またはポリペプチド生産をそれぞれ誘導し、減少させまたは阻害すること意味する。
【0093】
本発明によるプラスミドまたはベクターは、さらに、宿主細胞において遺伝子の発現を駆動するのに適当な少なくとも1つのプロモーターを含むことができる。用語「発現ベクター」は、宿主への形質転換に続いて挿入された核酸配列の発現を可能とするように設計されたベクター、プラスミドまたはビヒクルを意味する。クローン化遺伝子、すなわち、挿入された核酸配列は、通常、プロモーター、最小プロモーター、エンハンサーなどのごとき制御エレメントの制御下におかれる。所望の宿主細胞において核酸の発現を駆動するのに有用な開始制御領域またはプロモーターは数多くあり、当業者によく知られている。これらの遺伝子を駆動することができる実質的にいずれのプロモーターも本発明で適当であり、限定されるものではないが、ウイルスプロモーター、細菌プロモーター、動物プロモーター、哺乳動物プロモーター、合成プロモーター、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、発生特異的プロモーター、誘導性プロモーター、光調節プロモーター、CYC1、HIS3、GAL1、GAL4、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI、(Saccharomycesにおける発現で有用な)アルカリホスファターゼプロモーター、(Pichiaにおける発現で有用な)AOX1プロモーター、(Escherichia Coilにおける発現で有用な)β−ラクタマーゼ、lac、ara、tet、trp、lP、lP、T7、tacおよびtrcプロモーター、光調節−プロモーターを含み、当該分野で知られた動物および哺乳動物プロモーターは、限定されるものではないが、SV40早期(SV40e)プロモーター領域、ラウス肉腫ウイルス(RSV)の3’ロングターミナルリピート(LTR)に含まれたプロモーター、アデノウイルス(Ad)のE1Aのプロモーターまたは主要後期プロモーター(MLP)遺伝子、サイトメガロウイルス(CMV)早期プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、伸長因子1アルファ(EF1)プロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、ユビキチン(Ubc)プロモーター、アルブミンプロモーター、マウスメタロチオネイン−Lプロモーターの調節配列および転写制御領域、ユビキタスプロモーター(HPRT、ビメンチン、α−アクチン、チューブリンなど)、中間フィラメント(デスミン、ニューロフィラメント、ケラチン、GFAPなど)のプロモーター、(MDR、CFTRまたは第VIII型因子などの)治療遺伝子のプロモーター、病因または病気関連−プロモーター、および組織特異性を呈しトランスジェニック動物で利用されてきたプロモーターで、例えば膵臓腺房細胞で活性なエラスターゼI遺伝子制御領域、膵臓ベータ細胞で活性なインスリン遺伝子制御領域、リンパ細胞で活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域、精巣、乳房、リンパ系および肥満細胞で活性なマウス乳癌ウイルス制御領域、肝臓で活性なアルブミン遺伝子、Apo AIおよびApo AII制御領域、肝臓で活性なアルファ−フェト蛋白質遺伝子制御領域、肝臓で活性なアルファ1−アンチトリプシン遺伝子制御領域、骨髄系細胞で活性なベータ−グロビン遺伝子制御領域、脳中の稀突起神経膠細胞で活性なミエリン塩基性蛋白質遺伝子制御領域、骨格筋で活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域および視床下部で活性なゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域;ピルベートキナーゼプロモーター、ビリンプロモーター、脂肪酸結合腸蛋白質のプロモーター、平滑筋細胞α−アクチンのプロモーターなどを含む。加えて、これらの発現配列は、エンハンサーまたは調節配列などの付加によって修飾することもできる。
【0094】
本発明の態様で用いることができるエンハンサーは、限定されるものではないが、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー、伸長因子1(EF1)エンハンサー、酵母エンハンサー、ウイルス遺伝子エンハンサーなどを含む。
【0095】
終止制御領域、すなわち、ターミネーターまたはポリアデニル化配列もまた好ましい宿主本来の種々の遺伝子に由来することができる。所望により、終止部位は必要ではないが、もし含まれれば最も好ましい。本発明の好ましい態様において、終止制御領域は合成配列、合成ポリアデニル化シグナル、SV40後期ポリアデニル化シグナル、SV40ポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル、ウイルスターミネーター配列などを含むことができるか、またはそれに由来することができる。
【0096】
用語「3’非−コーディング配列」または「3’非翻訳領域(UTR)」とは、コーディング配列の下流(3’側)に位置するDNA配列をいい、それは、ポリアデニル化[ポリ(A)]認識配列およびmRNAプロセッシングまたは遺伝子発現に影響することができる調節シグナルをコードする他の配列を含むことができる。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸トラクトの付加に影響することによって特徴付けられる。
【0097】
「調節領域」は、第2の核酸配列の発現を調節する核酸配列を意味する。調節領域は、特定の核酸(相同領域)を発現することを天然で担う配列を含むことをできるか、あるいは異なる蛋白質または合成蛋白質(異種領域)でさえ発現することを担う異なる起源の配列を含むことができる。特に、該配列が原核生物、真核生物またはウイルス遺伝子の配列であり得るか、または特異的もしくは非特異的に、かつ誘導または非誘導様式で遺伝子の転写を刺激または抑制する誘導配列であり得る。調節領域は複製起点、RNAスプライス部位、プロモーター、エンハンサー、転写終止配列、およびポリペプチドを標的細胞の分泌経路へと向かわせるシグナル配列を含む。
【0098】
「異種源」からの調節領域は、発現された核酸と天然では関連しない調節領域である。異種調節領域内には、異なる種からの調節領域、異なる遺伝子からの調節領域、ハイブリッド調節配列および天然では生じないが当業者によって設計される調節配列が含まれる。
【0099】
「RNA転写体」とは、DNA配列のRNAポリメラーゼ−触媒転写から得られる産物をいう。RNA転写体がDNA配列の完全な相補的コピーである場合、それは一次転写体といい、あるいはそれは一次転写体の転写後プロセッシングに由来するRNA配列であってよく、これは成熟RNAという。「メッセンジャーRNA(mRNA)」とは、イントロンが無く、細胞によって蛋白質に翻訳することができるRNAをいう。「cDNA」とは、mRNAに相補的であり、それに由来する二本鎖DNAをいう。「センス」RNAとは、mRNAを含み、従って、細胞によって蛋白質に翻訳することができるRNA転写体をいう。「アンチセンスRNA」とは、標的一次転写体またはmRNAの全てまたは一部に相補的であって、標的遺伝子の発現をブロックするRNA転写体をいう。アンチセンスRNAの相補性は特定の遺伝子転写体のいずれかの部分、すなわち、5’非−コーディング配列、3’非−コーディング配列、またはコーディング配列におけるものであり得る。「機能的RNA」とは、アンチセンスRNA、リボザイムRNA、または翻訳されていないが、細胞プロセスに対して影響を有する他のRNAをいう。
【0100】
「ポリペプチド」は、共有結合したアミノ酸残基を含んでなるポリマー化合物である。アミノ酸は以下の構造式を有する。
【0101】
【化1】

【0102】
アミノ酸は側鎖Rに基づいて7つの群に分類される:(1)脂肪族側鎖、(2)ヒドロキシル(OH)基を含む側鎖、(3)硫黄原子を含む側鎖、(4)酸性基またはアミド基を含む側鎖、(5)塩基性基を含む側鎖、(6)芳香族環を含む側鎖、および(7)側鎖がアミノ基に融合したイミノ酸、プロリン。本発明のポリペプチドは、好ましくは、少なくとも約14のアミノ酸を含む。
【0103】
「蛋白質」は、生きた細胞において構造的または機能的役割を行うポリペプチドである。
【0104】
「単離されたポリペプチド」または「単離された蛋白質」とは、通常はその天然状態においてそれと関連する化合物(例えば、他の蛋白質またはポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質)を実質的に含まないポリペプチドまたは蛋白質である。「単離された」とは、他の化合物との人工的または合成的混合物、または生物学的活性に干渉せず、かつ例えば、不完全な精製、安定化剤の添加、または医薬上許容される製剤への調合のため存在し得る不純物の存在を排除することを意味しない。
【0105】
本発明によるポリペプチドの「断片」は、そのアミノ酸配列が参照ポリペプチドの配列よりも短く、かつこれらの参照ポリペプチドに関する全部分にわたり、同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味すると理解されるであろう。そのような断片は、適切には、それらがその一部であるより大きなポリペプチドに含まれることができる。本発明によるポリペプチドのそのような断片は、少なくとも2、3、4、5、6、8、10、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、25、26、30、35、40、45、50、100、200、240または300のアミノ酸の長さを有することができる。
【0106】
ポリペプチドまたは蛋白質の「変種」は、ポリペプチドまたは蛋白質に由来し、かつ当該ポリペプチドまたは蛋白質の少なくとも1つの生物学的特性を保持する全てのアナログ、断片、誘導体または突然変異体である。ポリペプチドまたは蛋白質の異なる変種は天然に存在することができる。これらの変種は、蛋白質をコードする構造遺伝子のヌクレオチド配列の差によって特徴付けられる対立遺伝子変種であってもよく、あるいはディファレンシャルスプライシング(differential splicing)または翻訳後修飾を含むことができる。当業者は、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加または置き換えを有する変種を生じさせることができる。これらの変種は、とりわけ、(a)1以上のアミノ酸残基が保存的または非−保存的アミノ酸で置き換えられた変種、(b)1以上のアミノ酸がポリペプチドまたは蛋白質に付加された変種、(c)1以上のアミノ酸が置換基を含む変種、および(d)ポリペプチドまたは蛋白質が血清アルブミンのごとき他のポリペプチドと融合した変種を含むことができる。遺伝的(抑制、欠失、突然変異等)、化学的および酵素的技術を含めた、これらの変種を得るための技術は当業者に知られている。変種ポリペプチドは、好ましくは、少なくとも約14のアミノ酸を含む。
【0107】
「異種蛋白質」とは、細胞中で天然では生じない蛋白質をいう。
【0108】
「成熟蛋白質」とは、翻訳後に加工されたポリペプチド;すなわち、それから、一次翻訳産物中に存在する任意のプレまたはプロペプチドが除去されたものをいう。「前駆体」蛋白質とは、mRNAの翻訳の一次産物をいう;すなわち、プレおよびプロペプチドが依然として存在する。プレおよびプロペプチドは、限定されるものではないが、細胞内局在シグナル(intracellular localization signal)であり得る。
【0109】
用語「シグナルペプチド」とは分泌される成熟蛋白質に先行するアミノ末端ポリペプチドをいう。シグナルペプチドは切断され、従って、成熟蛋白質には存在しない。シグナルペプチドは、分泌された蛋白質を細胞膜を横切るように向け、移動させる機能を有する。シグナルペプチドはシグナル蛋白質ともいう。
【0110】
「シグナル配列」は、細胞の表面に発現されるべき蛋白質のコーディング配列の始めに含まれる。この配列は成熟ポリペプチドに対してN−末端側にあり、宿主細胞に指令してポリペプチドを移動させるシグナルペプチドをコードする。用語「移動(translocation)シグナル配列」は、ここでは、この種類のシグナル配列をいうのに用いられる。移動シグナル配列は真核生物および原核生物に対して天然の種々の蛋白質と関連することが分かっており、しばしば、双方のタイプの生物で機能できる。
【0111】
用語「相同性」とは、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド部分の間の同一性のパーセントをいう。1つの部分からの配列およびもう1つからの配列の間の対応性は、当該分野で知られた技術によって決定することができる。例えば、相同性は、配列情報を整列させ、かつ容易に入手できるコンピュータプログラムを用いることによって、2つのポリペプチド分子の間の配列情報の直接的比較によって決定することができる。別法として、相同性は、相同領域の間で安定な二重鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、続いての、一本鎖特異的ヌクレアーゼでの消化および消化された断片のサイズ測定によって決定することができる。
【0112】
本明細書中で用いるごとく、全てのその文法の形式およびスペリングの変化における用語「相同な」とは、スーパーファミリー(例えば、免疫グロブリンスーパーファミリー)からの蛋白質および異なる種からの相同蛋白質(例えば、ミオシン軽鎖等)を含めた、「共通の進化起源」を保有する蛋白質の間の関係をいう(Reeckら、1987、Cell 50:667)。そのような蛋白質(およびそのコードする遺伝子)は、その高い配列同様性の程度によって反映される配列相同性を有する。しかしながら、通常の用法および本出願においては、用後「相同な」は、「高度に」のごとき副詞で修飾された場合、配列同様性を言うことができ、共通の進化起源をいわない。
【0113】
従って、全てのその文法的形式における用語「配列同様性」とは、共通の進化起源を有しても有さなくてもよい蛋白質の核酸もしくはアミノ酸配列の間の同一性または対応性の程度をいう(Reeckら、1987、Cell 50:667参照)。
【0114】
特定の態様においては、ヌクレオチドの少なくとも約50%(好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90または95%)がDNA配列の画定された長さにわたってマッチする場合、2つのDNA配列は「実質的に相同」または「実質的に同様」である。実質的に相同な配列は、配列データバンクで入手できる標準的なソフトウェアを用いて配列を比較することによって、あるいは、その特定のシステムにつき画定された、例えば、ストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験において同定することができる。適当なハイブリダイゼーション条件の画定は当業者の技量内のものである。例えば、Sambrookら、1989、前掲参照。
【0115】
本明細書中で用いるごとく「実質的に同様な」とは、1以上のヌクレオチド塩基の変化の結果、1以上のアミノ酸が置換されるが、DNA配列によってコードされる蛋白質の機能的特性には影響しない核酸断片をいう。また、「実質的に同様な」とは、1以上のヌクレオチド塩基の変化が、アンチセンスまたは共抑制技術による遺伝子発現の改変を媒介する核酸断片の能力に影響しない核酸断片もいう。また、「実質的に同様な」とは、得られた転写体の機能的特性に実質的に影響しない1以上のヌクレオチド塩基の欠失または挿入のごとき本発明の核酸断片の修飾もいう。従って、本発明は特定の具体的配列以上のものを含むことが理解される。提案された修飾の各々は、コードされた産物の生物学的活性の保持の測定と同様に、十分に当業者のルーチン的技量内のものである。
【0116】
さらに、当業者であれば、本発明に含まれる実質的に同様な配列は、ストリンジェントな条件(0.1×SSC、0.1%SDS、65℃、および洗浄2×SSC、0.1%SDS、続いての0.1×SSC、0.1%SDS)下で、本明細書中に例示した配列にハイブリダイズするそれらの能力によって、画定されることを認識するであろう。本発明の実質的に同様な核酸断片は、そのDNA配列が本明細書に報告した核酸断片のDNA配列と少なくとも70%同一であるものである。本発明の実質的に好ましい核酸断片は、そのDNA配列が、ここに報告した核酸断片のDNA配列と少なくとも80%同一である核酸断片である。より好ましい核酸断片は、ここに報告する核酸断片のDNA配列に少なくとも90%同一である。なおより好ましいのは、ここに報告する核酸断片のDNA配列に対して少なくとも95%同一である核酸断片である。
【0117】
約40%を超えるアミノ酸が同一であるか、あるいは60%を超えて同様である(機能的に同一である)場合に、2つのアミノ酸配列は「実施的に相同」または「実質的に同様」である。好ましくは、同様または相同な配列は、例えば、GCG(Genetics Computer Group、Program Manual for the GCG Package、Version 7、Madison Wisconsin)パイルアッププログラムを用いるアラインメントによって同定される。
【0118】
用語「に対応する」は、ここでは、正確な位置が同様性または相同性が測定される分子と同一であるかまたは異なるかを問わず、同様なまたは相同な配列をいうのに用いられる。核酸またはアミノ酸配列アラインメントはスペースを含むことができる。かくして、用語「に対応する」とは、配列同様性をいい、アミノ酸残基またはヌクレオチド塩基のナンバリングをいわない。
【0119】
アミノ酸またはヌクレオチド配列の「実質的部分」は、当業者による配列の手動評価によるか、またはBLAST(Basic Local Alignment Search Tool、Altschul,S.F.ら、(1993)、J.Mol.Biol.215:403−410、また www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/参照)のごときアルゴリズムを用いるコンピューター自動配列比較および同定によって、そのポリペプチドまたは遺伝子を推定的に同定するのに十分なポリペプチドのアミノ酸配列または遺伝子のヌクレオチド配列を含む。一般に、10以上の連続アミノ酸または30以上のヌクレオチドの配列が、ポリペプチドまたは核酸配列が既知の蛋白質または遺伝子に相同であるかを推定的に同定するのに必要である。さらに、ヌクレオチド配列に関しては、20−30の連続ヌクレオチドを含む遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを、遺伝子同定(例えば、サザンハイブリダイゼーション)および単離(例えば、細菌コロニーまたはバクテリオファージプラークのイン・サイチュハイブリダイゼーション)の配列−依存的方法で用いることができる。加えて、12−15塩基の短いオリゴヌクレオチドをPCRにおける増幅プライマーとして用いて、プライマーを含む特定の核酸断片を得ることができる。従って、ヌクレオチド配列の「実質的部分」は、該配列を含む核酸断片を特異的に同定しおよび/または単離するのに十分な配列を含む。
【0120】
当該分野で知られたごとく、用語「同一性パーセント」は、配列を比較することによって決定されるごとく、2以上のポリペプチド配列または2以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当該分野においては、「同一性」とは、ポリペプチドまたポリヌクレオチド配列の間の配列関連性の程度を意味し、この場合には、かかる配列のストリングの間のマッチによって決定され得る。「同一性」および「同様性」は、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.編)Oxford University Press、New York(1988)、Biocomputing、Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.編)Academic Press、New York(1993)、Computer Analysis of Sequence Data、Part I(Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編)Humana Press、New Jersey(1994)、Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.編)Academic Press(1987)、およびSequence Analysis Primer(Gribskov,M.およびDevereux、J.編)Stockton Press、New York(1991)に記載されたものを含めた公知の方法によって容易に計算することができるが、これに限定されるものではない。同一性を決定するための好ましい方法は、テストする配列の間で最良のマッチを与えるように設計される。同一性および同様性を決定する方法は、公に入手可能なコンピュータプログラムに編修されている。配列アラインメントおよび同一性パーセントの計算は、LASERGENEバイオインフォマティックスコンピューティングスイートのMegalignプログラム(DNASTAR Inc.、Madison、WI)を用いて行うことができる。配列の多重アラインメントは、デフォルトパラメーター(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)を備えたアラインメントのClustal方法(HigginsおよびSharp(1989)CABIOS.5:151−153)を用いて行うことができる。Clusatl方法を用いる対様式のアラインメントについてのデフォルトパラメーターを選択することができる:KTUPLE 1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5。
【0121】
用語「配列分析ソフトウェア」とは、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の分析で有用ないずれのコンピューターアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムをいう。「配列分析ソフトウェア」は、商業的に入手できるか、あるいは独立して開発することができる。典型的な配列分析ソフトウェアは、限定されるものではないが、プログラムのGCGスイート(Wisconsin Package Version 9.0、Genetics Computer Group(GCG)、Madison、WI)、BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschulら、J.Mol,Biol.215:403−410(1990))、およびDNASTAR(DNASTAR,Inc.1228 S.Park St.Madison、WI 53715 USA)を含むであろう。本出願の文脈内では配列分析ソフトウェアを分析に用いる場合、特に断りのない限り、分析の結果は参照されたプログラムの「デフォルト値」に基づくであろうことが理解されるであろう。本明細書中で用いる「デフォルト値」とは、最初に初期化した時に最初にソフトウェアにロードされた値またはパラメーターのいずれの組も意味するであろう。
【0122】
「合成遺伝子」は、当業者に知られた手法を用いて化学的に合成されたオリゴヌクレオチドビルディングブロックから組み立てることができる。これらのビルディングブロックを連結し、アニールして、遺伝子セグメントを形成させ、次いで、これを酵素的に組み立てて全遺伝子を構築する。DNAの配列に関連する「化学的に合成された」とは、構成要素ヌクレオチドがイン・ビトロで組み立てられたことを意味する。DNAの手動化学合成はよく確立された手法を用いて達成することができるか、あるいは多数の商業的に入手可能なマシーンのうちの1つを用いて自動化学合成を行うことができる。従って、遺伝子は、宿主細胞のコドンバイアスを反映するヌクレオチド配列の最適化に基づく最適遺伝子発現となるように仕立てることができる。もし、コドン利用が宿主に好都合なコドンに偏るならば、当業者であれば首尾よい遺伝子発現の確率を認識するであろう。好ましいコドンの決定は、配列の情報が入手可能な場合には、宿主細胞に由来する遺伝子の調査に基づくことができる。
【0123】
本発明の遺伝子発現変調システム
出願人らは、以前、トランス活性化およびDNA結合ドメインを2つの異なる蛋白質上に置くことによってそれらを分離する結果、リガンドの不存在下でバックグラウンド活性が大いに低下し、リガンドの存在下でバックグラウンドを超えて活性がかなり増加することを示した(係属中の出願PCT/US01/09050)。この2−ハイブリッドシステムは、国際特許出願PCT/US97/05330およびPCT/US98/14215に開示された2つのシステムと比較してかなり改良された誘導性遺伝子発現変調システムである。2−ハイブリッドシステムは、DNA結合ドメインが遺伝子上のDNA結合部位に結合した場合、トランス活性化ドメインがより効果的にプロモーターを活性化するように、DNA結合ドメインに対して転写活性化ドメインをより好都合な位置に運ぶ相互作用蛋白質の対の能力を開発する(例えば、米国特許第5,283,173号参照)。簡単に述べれば、2−ハイブリッド遺伝子発現システムは2つの遺伝子発現カセットを含み、第1のカセットは核受容体ポリペプチドに融合したDNA結合ドメインをコードし、第2のカセットは異なる核受容体ポリペプチドに融合したトランス活性化ドメインをコードする。リガンドの存在下において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの相互作用は、DNA結合ドメインをトランス活性化ドメインに効果的に連結させる。DNA結合およびトランス活性化ドメインは2つの異なる分子上に存在するので、リガンドの不存在下におけるバックグラウンド活性は大いに低下する。
【0124】
2−ハイブリッドエクジソン受容体−ベースの遺伝子発現変調システムはヘテロダイマーおよびホモダイマーのいずれであってもよい。機能的EcR複合体は、一般に、ステロイド受容体ファミリーの、種々の昆虫から得られたエクジソン受容体蛋白質、およびウルトラスピラクル(USP)蛋白質またはUSPの脊椎動物ホモログ、レチノイドX受容体蛋白質の2つのメンバーよりなるヘテロダイマー蛋白質複合体をいう(Yaoら(1993)Nature 366、476−479、Yaoら、(1992)cell 71、63−72)。しかしながら、該複合体は後記するごとくホモダイマーであってもよい。また、機能的エクジステロイド受容体複合体はイムノフィリンのごときさらなる蛋白質を含んでもよい。また、(DHR38またはベータFTZ−1のごとき)転写因子として知られたステロイド受容体ファミリー蛋白質のさらなるメンバーは、EcR、USPおよび/またはRXRにつき、リガンド依存的または非依存的パートナーであってもよい。加えて、一般に(アダプターまたはメディエーターとも言われる)コアクチベーターとしても知られた蛋白質のごとき他の補因子も必要であろう。これらの蛋白質は配列特異的にDNAには結合せず、基礎的転写に関与しない。それらは、クロマチン構造に影響することによって、またはアクチベーター−開始複合体相互作用を媒介することによって、アクチベーターのDNA−結合の刺激を含めた種々のメカニズムを通じて転写活性化に対してその効果を発揮することができる。そのようなコアクチベーターの例はRIP140、TIF1、RAP46/Bag−1、ARA70、SRC−1/NCoA−1、TIF2/GRIP/NCoA−2、ACTR/AIB1/RAC3/pCIPならびに乱交雑(promiscous)コアクチベーターC応答エレメントB結合蛋白質、CBP/p300を含む(レビューについては、Glassら、Curr.Opin.Cell Biol.9:222−232、1997参照)。また、(リプレッサー、サイレンサーまたはサイレンシングメディエーターとしても知られている)一般にコリプレッサーとしても知られた蛋白質補因子が、リガンドの不存在下において転写活性化を効果的に阻害するのに必要であろう。これらのコリプレッサーは非リガンド化エクジソン受容体と相互作用して、応答エレメントにおける活性をサイレントとすることができる。現在の証拠は、リガンドの結合が受容体の立体配座を変化させ、その結果、コリプレッサーが放出され、前記したコアクチベーターが動員され、それにより、それらのサイレンシング活性がなくなることを示唆する。コリプレッサーの例はN−CoRおよびSMRTを含む(レビューについては、Horwitzら、Mol Endocrinol.10:1167−1177、1996参照)。これらの補因子は細胞または生物内で内因性であってよく、あるいはトランスジーンとして外因的に添加して、調節または未調節様式にて発現させてもよい。また、エクジソン受容体蛋白質、USPまたはRXRのホモダイマー複合体はある状況下で機能的であり得る。
【0125】
エクジソン受容体複合体は、典型的には、核受容体スーパーファミリーのメンバーである蛋白質を含み、ここに、全てのメンバーは、一般に、アミノ−末端トランス活性化ドメイン、DNA結合ドメイン(「DBD」)、およびヒンジ領域によってDBDから分離されたリガンド結合ドメイン(「LBD」)の存在によって特徴付けられる。本明細書中で用いるごとく、用語「DNA結合ドメイン」は、DNA結合ドメインが特定の応答エレメントと関連するように機能する限り、DNA結合蛋白質の全長までのDNA結合蛋白質の最小ポリペプチド配列を含む。また、核受容体スーパーファミリーのメンバーは4つまたは5つのドメイン:A/B、C、D、EおよびあるメンバーではFの存在によって特徴付けられる(米国特許第4,981,784号およびEvans、Science 240:889−895(1988)参照)。「A/B」ドメインはトランス活性化ドメインに相当し、「C」はDNA結合ドメインに対応し、「D」はヒンジ領域に相当し、および「E」はリガンド結合ドメインに相当する。該ファミリーのいくつかのメンバーは、「F」に対応するLBDのカルボキシ−末端側にもう1つのトランス活性化ドメインを有することもできる。
【0126】
DBDは、エクジソン受容体エレメントに対する特異性を付与する、2つのアミノ酸モチーフ、P−ボックスおよびD−ボックスの間の2つのシステイン亜鉛フィンガーの存在によって特徴付けられる。これらのドメインは天然であるか、修飾されているか、または異種受容体蛋白質の異なるドメインのキメラのいずれかであり得る。また、ステロイド受容体ファミリーのサブセットのように、このEcR受容体は、ヘテロ二量体化特性を担うあまりよくは画定されていない領域も保有する。EcR、USPおよびRXRのドメインは本来モジュールであるので、LBD、DBDおよびトランス活性化ドメインは相互に交換することができる。
【0127】
エクジソン受容体複合体からの成分を組み込む遺伝子スイッチシステムが知られている。しかしながら、これらの既知のシステムにおいては、EcRを用いる場合は常に、それは、同一分子上で天然もしくは修飾されたDNA結合ドメインおよびトランス活性化ドメインに関連する。USPまたはRXRは、典型的には、サイレントパートナーとして用いられる。出願人らは、以前、DNA結合ドメインおよびトランス活性化ドメインが同一分子上にある場合、リガンドの不存在下におけるバックグラウンド活性は高く、およびそのような活性は、DNA結合ドメインおよびトランス活性化ドメインが異なる分子上、すなわち、ヘテロダイマーまたはホモダイマー複合体の2つのパートナーの各々の上にある場合に劇的に低下することを示した(PCT/US01/09050参照)。また、この2−ハイブリッドシステムは、ステロイドリガンド、例えば、ポナステロンA(「PonA」)またはムリステロンA(「MurA」)と比較した場合、非−ステロイドリガンド、例えば、ジアシルヒドラジンに対して改良された感受性を供する。すなわち、ステロイドと比較した場合、非−ステロイドリガンドはより低い濃度においてより高い活性を供する。加えて、EcR遺伝子スイッチに基づくトランス活性化はしばしば細胞系依存性であるので、スイッチングシステムを仕立てて、各適用についての最大トランス活性化能力を得るのはより容易である。さらに、2−ハイブリッドシステムは非修飾RXRをスイッチングパートナーとして用いる場合にしばしば起こるRXRの過剰発現によるいくつかの副作用を回避する。2−ハイブリッドシステムの特定の態様において、EcRまたはRXRの天然DNA結合およびトランス活性化ドメインが排除され、その結果、これらのハイブリッド分子は、細胞に存在する他のステロイドホルモン受容体と相互作用するチャンスが少なくなり、その結果、副作用は低下する。
【0128】
出願人らは、以前、双翅目(ミバエ Drosophila melanogaster)または鱗翅目(ハマキガ Choristoneura fumiferana)ウルトラスピラクル蛋白質(USP)と協同したエクジソン受容体が哺乳動物細胞において構成的に発現されるのに対し、脊椎動物レチノイドX受容体(RXR)と協同したエクジソン受容体が哺乳動物細胞で誘導性であることを示した(係属中の出願PCT/US01/09050)。出願人らは、今回、Locusta migratoriaのウルトラスピラクル蛋白質(「LmUSP」)およびマダニ Amblyomma americanumのRXRホモログ1およびRXRホモログ2(各々、「AmaRXR1」および「AmaRXR2」)が、誘導性エクジソン受容体−ベースの誘導性遺伝子発現システムにおいて脊椎動物レチノイドX受容体(RXR)と同様に機能することができるという驚くべき発見をなした。かくして、LmUSP、AmaRXR1、AmaRXR2、および非−双翅目、非−鱗翅目ホモログ(限定されるものではないが、シオマネキ Celuca pugilator RXRホモログ(「CpRXR」)、甲虫 Tenebrio molitor RXRホモログ(「TmRXR」)、ミツバチ Apis mellifera RXRホモログ(「AmRXR」)、およびアブラムシ Myzus persicae RXRホモログ(「MpRXR」)(これらの全てをここでは集合的に無脊椎動物RXRと言う)を含める)をエクジソン受容体−ベースの誘導性遺伝子発現システムにおいて脊椎動物RXRに代えて置き換えることができるという出願人らの知見は、予期せぬかつ驚くべきものとしてみなすことができる。本明細書中に記載するごとく、出願人らの新規なエクジソン受容体/無脊椎動物RXR−ベースの誘導性遺伝子発現システムは、増大したリガンド感受性およびトランス活性化の大きさによって特徴付けられる酵母および哺乳動物細胞における改良された誘導性遺伝子発現システムを提供する。
【0129】
特に、出願人らは、本明細書中において、無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインを含む新規な2−ハイブリッドシステムを記載する。この新規な遺伝子発現システムは、無脊椎動物ウルトラスピラクル蛋白質/RXRホモログが、酵母および哺乳動物細胞において誘導性EcR−ベースの誘導性遺伝子発現システムの構成要素として機能できることを初めて示す。本明細書中に議論するごとく、この知見は予期せぬかつ驚くべきことである。
【0130】
具体的には、出願人らの発明は、a)宿主細胞で発現させることができる第1の遺伝子発現カセット、ここに、該第1の遺伝子発現カセットは、i)その発現を変調させるべき遺伝子と関連した応答エレメントを認識するDNA−結合ドメイン、およびii)エクジソン受容体リガンド結合ドメイン、を含む第1のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、およびb)宿主細胞で発現させることができる第2の遺伝子発現カセット、ここに、該第2の遺伝子発現カセットはi)トランス活性化ドメイン、およびii)無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、を含む第2のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む、を含む遺伝子発現変調システムに関する。
【0131】
また、本発明は、a)宿主細胞で発現させることができる第1の遺伝子発現カセット、ここに、該第1の遺伝子発現カセットはi)その発現を変調すべき遺伝子と関連した応答エレメントを認識するDNA−結合ドメイン、およびii)無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、を含む第1のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、およびb)宿主細胞で発現させることができる第2の遺伝子発現カセット、ここに、該第2の遺伝子発現カセットは、i)トランス活性化ドメイン、およびii)エクジソン受容体リガンド結合ドメイン、を含む第2のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む、を含む遺伝子発現変調システムに関する。
【0132】
また、本発明は、さらに、c)i)それに第1のハイブリッドポリペプチドのDNA−結合ドメインが結合する応答エレメント、ii)第2のハイブリッドポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター、およびiii)その発現を変調すべき遺伝子、を含む第3の遺伝子発現カセットを含む本発明の遺伝子発現変調システムに関する。
【0133】
特定の態様において、その発現を変調すべき遺伝子は宿主細胞に関して相同遺伝子である。他の特定の態様において、その発現を変調すべき遺伝子は宿主細胞に関して異種遺伝子である。
【0134】
EcRおよび無脊椎動物RXRのリガンド結合ドメインと組み合わせた場合に、今度は、遺伝子に連結した応答エレメントに結合する後記本発明で使用するリガンドは、遺伝子の発現の外部一時的調節のための手段を提供する。本発明の種々の構成要素が相互に結合する、(すなわち、例えば、リガンドが受容体に、第1のハイブリッドポリペプチドが応答エレメントに、第2のハイブリッドポリペプチドがプロモーターに等)結合メカニズムまたは順序は臨界的でない。EcRおよび無脊椎動物RXRのリガンド結合ドメインへのリガンドの結合は、遺伝子の発現または抑制を可能とする。このメカニズムは、EcRまたは無脊椎動物RXRへのリガンド結合、および活性ホモダイマー複合体の結果としての形成(例えば、EcR+EcRまたは無脊椎動物RXR+無脊椎動物RXR)の可能性を排除しない。好ましくは、1以上の受容体ドメインが変化し、キメラまたはハイブリッド遺伝子スイッチを生じる。典型的には、3つのドメイン、DBD、LBDおよびトランス活性化ドメインの内の1以上は、ハイブリッド遺伝子および得られるハイブリッド蛋白質が、トランス活性化活性、リガンドの相補的結合、および特定の応答エレメントの認識につき選択された宿主細胞または生物において最適化されるように、他のドメインの源とは異なる源から選択することができる。加えて、応答エレメントそれ自体は、酵母からのGAL−4蛋白質(Sadowskiら(1988)Nature、335:563−564参照)もしくはEscherichia coliからのLexA蛋白質(BrentおよびPtashne(1985)、Cell、43:729−736)をはじめとする他のDNA結合蛋白質ドメインについての応答エレメントで、または特定の相互作用(例えば、Kimら(1997)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:3616−3620参照)のために設計され、修飾されおよび選択された蛋白質との標的化相互作用につき特異的な合成応答エレメントで、修飾または置換されることができ、ハイブリッド受容体を適応させる。2−ハイブリッドシステムの他の利点は、それが、所望の最終目的に従って遺伝子発現を駆動するのに用いるプロモーターの選択を可能とすることである。そのような二重制御は、特に、細胞毒性蛋白質が生産される場合に、遺伝子治療の領域で特に重要であり得る。何故ならば、発現のタイミングならびに発現が起こる細胞の双方を制御することができるからである。適当なプロモーターに作動可能に連結した遺伝子を対象の細胞に導入すると、外因性遺伝子の発現が本発明のシステムの存在によって制御される。プロモーターは構成的にまたは誘導的に調節することができるか、あるいは組織−特異的(すなわち、特定のタイプの細胞でのみ発現される)または生物のある発生段階に特異的であり得る。
【0135】
本発明の遺伝子発現カセット
本発明の新規なEcR/無脊椎動物RXR−ベースの誘導性遺伝子発現システムは、宿主細胞で発現させることができる遺伝子発現カセットを含み、ここに、該遺伝子発現カセットは、各々、ハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。かくして、出願人らの発明は、本発明の遺伝子発現システムで用いられる新規な遺伝子発現カセットも提供する。
【0136】
具体的には、本発明は、ハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子発現カセットを提供する。特に、本発明は宿主細胞で発現させることができる遺伝子発現カセットを提供し、ここに、該遺伝子発現カセットは、i)応答エレメントを認識するDNA−結合ドメイン、またはii)トランス活性化ドメインのいずれか、およびエクジソン受容体リガンド結合ドメインまたは無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0137】
特定の態様において、遺伝子発現カセットは、応答エレメントを認識するDNA−結合ドメインおよびECRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0138】
他の特定の態様において、遺伝子発現カセットは、応答エレメントを認識するDNA−結合ドメインおよび無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0139】
他の特定の態様において、遺伝子発現カセットは、トランス活性化ドメインおよびEcRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0140】
他の特定の態様において、遺伝子発現カセットは、トランス活性化ドメインおよび無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0141】
好ましい態様において、リガンド結合ドメイン(LBD)はEcR LBD、無脊椎動物RXR LBD、または関連するステロイド/甲状腺ホルモン核受容体ファミリーメンバーLBD、またはそれらのアナログ、組合せもしくは修飾体である。特定の態様において、LBDはEcRまたは無脊椎動物RXRからのものである。他の特定の態様において、LBDはトランケートされたEcR LBDまたはトランケートされた無脊椎動物RXR LBDからのものである。トランケーション突然変異は、限定されるものではないが、制限エンドヌクレアーゼ消化/欠失、PCR−媒介/オリゴヌクレオチド−指向性欠失、化学的突然変異誘発、DNAストランド破壊などを含めた当該分野で用いられるいずれの方法によってなすこともできる。
【0142】
EcRは、好ましくは、節足動物(Arthropod)網から選択された無脊椎動物EcRであり得る。好ましくは、EcRは鱗翅目EcR、双翅目EcR、直翅目(Orthopteran)EcR、同翅目(Homopteran)EcRおよび半翅目(Hemipteran)EcRよりなる群から選択される。より好ましくは、用いるEcRはハマキガ Choristoneura fumiferana(トウヒシントメハマキ)EcR(「CfEcR」)、甲虫 Tenebrio molitor(チャイロコメノゴミムシダマシ)EcR(「TmEcR」)、Manduca sexta(タバコスズメガ)EcR(「MsEcR」)、Heliothies virescens(オオタバコガ)EcR(「HvEcR」)、ユスリカ Chironomus tentans(キミドリユスリカ)EcR(「CtEcR」)、カイコガ Bombyx mori EcR(「BmEcR」)、ミバエ Drosophila melanogaster(キイロショウジョウバエ)EcR(「DmEcR」)カ Aedes aegypti(ネッタイシマカ)EcR(「AaEcR」)、クロバエ Lucilia capitata(「LcEcR」)、クロバエ Lucilia cuprina(ヒツジキンバエ)EcR(「LucEcR」)、地中海ミバエ Ceratitis capitata(チチュウカイミバエ)EcR(「CcEcR」)、バッタ Locusta migratoria(トノサマバッタ)EcR(「LmEcR」)、アブラムシ Myzus persicae(モモアカアブラムシ)EcR(「MpEcR」)、シオマネキ Celuca pugilator EcR(「CpEcR」)、マダニ Amblyomma americanum EcR(「AmaEcR」)、コナジラミ Bamecia argentifoli(シルバーリーフコナジラミ)EcR(「BaEcR」)、配列番号:57)またはヨコバイ Nephotetix cincticeps EcR(「NcEcR」、配列番号:58)である。最も好ましくは、LBDはハマキガ(Choristoneura fumiferana)ECR(「CfEcR」)、ミバエ Drosophila melanogaster EcR(「DmEcR」)、コナジラミ Bamecia argentifoli EcR(「BaEcR」)、ヨコバイ Nephotetix cincticeps EcR(「NcEcR」)、甲虫 Tenebrio molitor EcR(「TmEcR」)、またはマダニ Amblyomma americanum EcR(「AmaEcR」)からのものである。
【0143】
特定の態様においてLBDはトランケートされたECRポリペプチドからのものである。EcRポリペプチドのトランケーションの結果、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260または265のアミノ酸が欠失される。好ましくはEcRポリペプチドのトランケーションの結果、少なくとも部分的なポリペプチドドメインが欠失される。より好ましくは、EcRポリペプチドのトランケーションの結果、少なくとも全ポリペプチドドメインが欠失される。特定の態様において、EcRポリペプチドのトランケーションの結果、少なくともA/Bドメイン、C−ドメイン、D−ドメイン、F−ドメイン、A/B/C−ドメイン、A/B/1/2−C−ドメイン、A/B/C/D−ドメイン、A/B/C/D/F−ドメイン、A/B/F−ドメイン、A/B/C/F−ドメイン、部分的Eドメイン、または部分的Fドメインが欠失される。いくつかの完全なおよび/または部分的なドメイン欠失の組合わせも行うことができる。
【0144】
1つの態様において、エクジソン受容体リガンド結合ドメインは配列番号:2(DmEcR−EF)、配列番号:3(CfEcR−DE)および配列番号:4(DmEcR−DE)よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる。好ましい態様において、エクジソン受容体リガンド結合ドメインは配列番号:1(CfEcR−EF)、配列番号:53(CfEcR−DEF)および配列番号:45(CfEcR−CDEF)よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる。
【0145】
1つの態様において、エクジソン受容体リガンド結合ドメインは配列番号:6(DmEcR−EF)、配列番号:7(CfEcR−DE)および配列番号:8(DmEcR−DE)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。好ましい態様において、エクジソン受容体リガンド結合ドメインは配列番号:5(CfEcR−EF)、配列番号:43(CfEcR−DEF)および配列番号:59(CfEcR−CDEF)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0146】
好ましくは、無脊椎動物RXRポリペプチドはバッタ Locusta migratoriaウルトラスピラクルポリペプチド(「LmUSP」)、マダニ Amblyomma americanum RXRホモログ1(「AmaRXR1」)、マダニ Amblyomma americanum RXRホモログ2(「AmaRXR2」)、シオマネキ Celuca pugilator RXRホモログ(「CpRXR」)、甲虫 Tenebrio molitor RXRホモログ(「TmRXR」)、ミツバチ Apis mellifera RXRホモログ(「AmRXR」)、アブラムシ Myzus persicae RXRホモログ(「MpRXR」)、または非−双翅目/非−鱗翅目RXRホモログである。
【0147】
特定の態様において、LBDはトランケートされた無脊椎動物RXRからのものである。無脊椎動物RXRポリペプチドのトランケーションの結果、少なくとも1、2、3、4、5、6、8、10、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、25、26、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235または240のアミノ酸が欠失する。好ましくは、無脊椎動物RXRポリペプチドのトランケーションの結果、少なくとも部分的ポリペプチドドメインが欠失される。より好ましくは、無脊椎動物RXRポリペプチドのトランケーションの結果、少なくとも全ポリペプチドドメインが欠失する。特定の態様において、無脊椎動物RXRポリペプチドのトランケーションの結果、少なくとも部分的E−ドメイン、完全なE−ドメイン、部分的F−ドメイン、完全なF−ドメイン、EF−ドメインヘリックス1、EF−ドメインヘリックス2、EF−ドメインヘリックス3、EF−ドメインヘリックス4、EF−ドメインヘリックス5、EF−ドメインヘリックス6、EF−ドメインヘリックス7、EF−ドメインヘリックス8、EF−ドメインヘリックス9、EF−ドメインヘリックス10、EF−ドメインヘリックス11、EF−ドメインヘリックス12、EF−ドメインβ−プリーツシート(pleated sheet)、A/B−ドメイン、C−ドメイン、D−ドメイン、A/B/C−ドメイン、A/B/1/2−C−ドメイン、A/B/C/D−ドメイン、A/B/C/D/F−ドメイン、A/B/F−ドメイン、またはA/B/C/F−ドメインが欠失される。いくつかの完全なおよび/または部分的ドメイン欠失の組合せも行うことができる。
【0148】
好ましい態様において、無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインは配列番号:9(LmUSP−EF)、配列番号:10(AmaRXR1−EF)、配列番号:11(AmaRXR2−EF)、配列番号:12(CpRXR−EF)、配列番号:13(TmRXR−EF)、配列番号:14(AmRXR−EF)、配列番号:15(LmUSP−EF、BamHI−欠失)、配列番号:16(AmaRXR1−EF、BamHI−欠失)、配列番号:17(AmaRXR2−EF、BamHI−欠失)、配列番号:18(CpRXR−EF、BamHI−欠失)、配列番号:19(TmRXR−EF、BamHI−欠失)および配列番号:20(AmRXR−EF、BamHI−欠失)よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる。
【0149】
他の好ましい態様において、無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインは配列番号:21(LmUSP−EF)、配列番号:22(AmaRXR1−EF)、配列番号:23(AmaRXR2−EF)、配列番号:24(CpRXR−EF)、配列番号:25(TmRXR−EF)、配列番号:26(AmRXR−EF)、配列番号:27(LmUSP−EF、BamHI−欠失)、配列番号:28(AmaRXR1−EF、BamHI−欠失)、配列番号:29(AmaRXR2−EF、BamHI−欠失)、配列番号:30(CpRXR−EF、BamHI−欠失)、配列番号:31(TmRXR−EF、BamHI−欠失)および配列番号:32(AmRXR−EF、BamHI−欠失)よりなる群から選択されるポリペプチド配列を含む。
【0150】
本発明の目的では、EcRおよび無脊椎動物RXRは合成およびキメラECRおよび無脊椎RXRならびにそれらのホモログを含む。
【0151】
DNA結合ドメインは合成およびキメラDNA結合ドメイン、またはそのアナログ、組合せもしくは修飾体を含めた公知の応答エレメントを持ついずれのDNA結合ドメインでもあり得る。好ましくは、DBDはGAL4 DBD、LexA DBD、転写因子DBD、ステロイド/甲状腺ホルモン核受容体スーパーファミリーメンバーDBD、細菌LacZ DBD、または酵母put DBDである。より好ましくは、DBDはGAL4 DBD[配列番号:33(ポリヌクレオチド)または配列番号:34(ポリペプチド)]またはLexA DBD[配列番号:35(ポリヌクレオチド)または配列番号:36(ポリペプチド)]である。
【0152】
トランス活性化ドメイン(「AD」または「TA」と略する)はいずれのステロイド/甲状腺ホルモン核受容体AD、合成またはキメラAD、ポリグルタミンAD、塩基性または酸性アミノ酸AD、VP16 AD、GAL4 AD、NF−κB AD、BP64 AD、B42酸性活性化ドメイン(B42AD)、またはそのアナログ、組合せまたは修飾体であってもよい。特定の態様において、ADは合成またはキメラADであるか、またはVP16、GAL4、NF−κB、またはB42酸性活性化ドメインADから得られる。好ましくは、ADはVP16 AD[配列番号:37(ポリヌクレオチド)または配列番号:38(ポリペプチド)]またはB42 AD[配列番号:39(ポリヌクレオチド)または配列番号:40(ポリペプチド)]である。
【0153】
好ましい態様において、遺伝子発現カセットは、GAL4 DBD(配列番号:33)およびLexA DBD(配列番号:35)よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるDNA−結合ドメイン、および配列番号:1、配列番号:53および配列番号:45よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるEcRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0154】
他の好ましい態様において、遺伝子発現カセットは、GAL4 DBD(配列番号:34)およびLexA DBD(配列番号:36)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むDNA−結合ドメイン、および配列番号:5、配列番号:43および配列番号:59よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むEcRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0155】
他の好ましい態様において、遺伝子発現カセットは、GAL4 DBD(配列番号:33)またはLexA DBD(配列番号:35)よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるDNA−結合ドメイン、および配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:20よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0156】
他の好ましい態様において、遺伝子発現カセットは、GAL4 DBD(配列番号:34)およびLexA DBD(配列番号:36)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むDNA−結合ドメイン、および配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0157】
他の好ましい態様において、遺伝子発現カセットは、配列番号:37または配列番号:39の核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるトランス活性化ドメイン、および配列番号:1、配列番号:53、および配列番号:45よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるEcRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0158】
他の好ましい態様において、遺伝子発現カセットは、配列番号:38または配列番号:40のアミノ酸配列を含むトランス活性化ドメイン、および配列番号:5、配列番号:43、および配列番号:59よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むEcRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0159】
他の好ましい態様において、遺伝子発現カセットは、配列番号:37または配列番号:39の核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるトランス活性化ドメイン、および配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:20よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0160】
他の好ましい態様において、遺伝子発現カセットは、配列番号:38または配列番号:40のアミノ酸配列を含むトランス活性化ドメイン、および配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする。
【0161】
応答エレメント(「RE」)は、公知のDNA結合ドメインを持ついずれの応答エレメント、またはそのアナログ、組合せまたは修飾体であってもよい。単一REを用いることができるか、あるいは複数RE(同一REの複数コピーまたは2以上の異なるREいずれか)を本発明で用いることができる。特定の態様において、REはGAL4からのRE(「GAL4RE」)、LexAからのRE、ステロイド/甲状腺ホルモン核受容体RE、または合成DNA結合ドメインを認識する合成REである。好ましくは、REは配列番号:41のポリヌクレオチド配列を含むGAL4RE、または配列番号:42のポリヌクレオチド配列を含むLexA RE(オペロン、「op」)(「2XLexAopRE」)である。好ましくは、第1のハイブリッド蛋白質はトランス活性化ドメインを実質的に含まず、第2のハイブリッド蛋白質はDNA結合ドメインを実質的に含まない。本発明の目的では、「実質的に含まない」とは、問題の蛋白質が、活性化または結合活性を供するのに十分な問題のドメインの配列を含まないことを意味する。
【0162】
かくして、また、本発明はi)それにDNA結合ドメインを含むポリペプチドが結合するドメインを含む応答エレメント、ii)トランス活性化ドメインを含むポリペプチドによって活性化されるプロモーター、およびiii)その発現を変調すべき遺伝子を含む遺伝子発現カセットに関する。
【0163】
出願人らの遺伝子発現カセットで用いる注目する遺伝子は内因性遺伝子または異種遺伝子であってもよい。所望の遺伝子または蛋白質についての核酸またはアミノ酸配列の情報は多くの公的アクセスデータベースのうちの一つ、例えば、GENBANK、EMBL、Swiss−ProtおよびPIRにおいて、または多くの生物学関連雑誌刊行物において見出すことができる。かくして、当業者であれば、実質的に全ての公知の遺伝子についての核酸配列の情報にアクセスできる。従って、そのような情報を用いて、本明細書中に記載した出願人らの方法で用いる遺伝子発現カセット内に注目する遺伝子を挿入するための所望の構築体を構築することができる。
【0164】
出願人らの遺伝子発現カセットで用いる注目する遺伝子としては、限定されるものではないが、疾患、病気、障害、機能不全、遺伝的欠陥を扱うのに使用され得る;例えば、モノクローナル抗体、酵素、プロテアーゼ、サイトカイン、インターフェロン、インスリン、エリスロポエチン、血液凝固因子、他の血液因子もしくは成分、遺伝子治療用のウイルスベクター、ワクチン用のウイルス、薬物発見用の、機能的ゲノミクス用の、ならびにプロテオミクスの分析用および適用用の標的などをはじめとする治療上望ましいポリペプチドまたは産物をコードする遺伝子が挙げられる。
【0165】
本発明のポリヌクレオチド
本発明の新規なエクジソン受容体/無脊椎動物レチノイドX受容体ベースの誘導性遺伝子発現システムは、a)DNA結合ドメインまたはトランス活性化ドメイン、およびb)EcRリガンド結合ドメインまたは無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子発現カセットを含む。これらの遺伝子発現カセット、それらが含むポリヌクレオチド、およびそれらがコードするハイブリッドポリペプチドは、宿主細胞内で遺伝子の発現を変調するためのEcR−ベースの遺伝子発現システムの構成要素として有用である。
【0166】
かくして、本発明は、a)本発明のDNA結合ドメインまたはトランス活性化ドメイン、およびb)本発明のEcRリガンド結合ドメインまたは無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0167】
また、本発明は、本発明によるトランケーション突然変異を含むトランケートされたEcRまたはトランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。具体的には、本発明は、宿主細胞において遺伝子発現を変調するのに有用な、リガンド結合活性またはリガンド感受性に影響するトランケーション突然変異を含むEcRまたは無脊椎動物RXRポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0168】
特定の態様において、単離されたトランケートされたEcRポリヌクレオチドは配列番号:1、配列番号:53および配列番号:45よりなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0169】
他の特定の態様において、単離されたトランケートされたEcRポリヌクレオチドは、配列番号:5、配列番号:43および配列番号:59よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むトランケートされたエクジソン受容体ポリペプチドをコードする。
【0170】
他の特定の態様において、本発明による単離されたトランケートされた無脊椎動物RXRポリヌクレオチドは、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:20よりなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0171】
他の特定の態様において、本発明による単離されたトランケートされた無脊椎動物RXRポリヌクレオチドは、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むトランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドをコードする。
【0172】
特に、本発明はトランケーション突然変異を含む無脊椎動物RXRポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関し、ここに、該突然変異は無脊椎動物RXRポリペプチドのリガンド結合活性またはリガンド感受性を低下させる。特定の態様において、本発明は、無脊椎動物RXRポリペプチドのステロイド結合活性またはステロイド感受性を低下させるトランケーション突然変異を含む無脊椎動物RXRポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0173】
他の特定の態様において、本発明は、無脊椎動物RXRポリペプチドの非−ステロイド結合活性または非−ステロイド感受性を低下させるトランケーション突然変異を含む無脊椎動物RXRポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0174】
また、本発明は、トランケーション突然変異を含む無脊椎動物RXRポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関し、ここに、該突然変異は無脊椎動物RXRポリペプチドのリガンド結合活性またはリガンド感受性を増強させる。特定の態様において、本発明は、無脊椎動物RXRポリペプチドのステロイド結合活性またはステロイド感受性を増強させるトランケーション突然変異を含む無脊椎動物RXRポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0175】
他の特定の態様において、本発明は、無脊椎動物RXRポリペプチドの非−ステロイド結合活性または非−ステロイド感受性を増強させるトランケーション突然変異を含む無脊椎動物RXRポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0176】
また、本発明は、突然変異した無脊椎動物レチノイドX受容体ポリペプチドおよび二量体化パートナーを含むヘテロダイマーのリガンド感受性を増加させるトランケーション突然変異を含む無脊椎動物レチノイドX受容体ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。好ましくは、ヘテロダイマーのリガンド感受性を増加させるトランケーション突然変異を含む無脊椎動物レチノイドX受容体ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドは、配列番号:9(LmUSP−EF)、配列番号:10(AmaRXR1−EF)、配列番号:11(AmaRXR2−EF)、配列番号:12(CpRXR−EF)、配列番号:13(TmRXR−EF)、および配列番号:14(AmRXR−EF)よりなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。特定の態様において、二量体化パートナーはエクジソン受容体ポリペプチドである。好ましくは、二量体化パートナーはトランケートされたEcRポリペプチドである。より好ましくは、二量体化パートナーは、ドメインA/Bが欠失されたEcRポリペプチドである。なおより好ましくは、二量体化パートナーは配列番号:5(CfEcR−EF)、配列番号:43(CfEcR−DEF)または配列番号:59(CfEcR−CDEF)のアミノ酸配列を含むEcRポリペプチドである。
【0177】
本発明のポリペプチド
本発明の新規なエクジソン受容体/無脊椎動物レチノイドX受容体−ベースの誘導性遺伝子発現システムは、a)DNA結合ドメインまたはトランス活性化ドメイン、およびb)EcRリガンド結合ドメインまたは無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子発現カセットを含む。これらの遺伝子発現カセット、それらが含むポリヌクレオチド、およびそれらがコードするハイブリッドポリペプチドは、宿主細胞内で遺伝子の発現を変調するためのEcR−ベースの遺伝子発現システムの構成要素として有用である。
【0178】
かくして、本発明は、a)本発明によるDNA結合ドメインまたはトランス活性化ドメイン、およびb)本発明によるEcRリガンド結合ドメインまたは無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドにも関する。
【0179】
また、本発明は、本発明によるトランケーション突然変異を含む単離されたトランケートされたEcRまたは単離されたトランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドに関する。具体的には、本発明は、リガンド結合活性またはリガンド感受性に影響するトランケーション突然変異を含む単離されたトランケートされたEcRまたは単離されたトランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドに関する。
【0180】
特定の態様において、単離されたトランケートされたEcRポリペプチドは、配列番号:1、配列番号:53および配列番号:45よりなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる。
【0181】
他の特定の態様において、単離されたトランケートされたEcRポリペプチドは、配列番号:5、配列番号:43および配列番号:59よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0182】
他の特定の態様において、単離されたトランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドは、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:20よりなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる。
【0183】
他の特定の態様において、単離されたトランケートされた無脊椎動物RXRポリペプチドは、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0184】
本発明は無脊椎動物RXRポリペプチドのリガンド結合活性またはリガンド感受性を低下させるトランケーション突然変異を含む単離された無脊椎動物RXRポリペプチドに関し、ここに、該ポリペプチドは配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、および配列番号:20よりなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる。
【0185】
かくして、本発明は無脊椎動物RXRポリペプチドのリガンド結合活性またはリガンド感受性を低下させるトランケーション突然変異を含む単離された無脊椎動物RXRポリペプチドに関し、ここに、該ポリペプチドは配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0186】
特定の態様において、本発明は無脊椎動物RXRポリペプチドのステロイド結合活性またはステロイド感受性を低下させるトランケーション突然変異を含む単離された無脊椎動物RXRポリペプチドに関する。
【0187】
他の特定の態様において、本発明は無脊椎動物RXRポリペプチドの非−ステロイド結合活性または非−ステロイド感受性を低下させるトランケーション突然変異を含む単離された無脊椎動物RXRポリペプチドに関する。
【0188】
加えて、本発明は無脊椎動物RXRポリペプチドのリガンド結合活性またはリガンド感受性を増強するトランケーション突然変異を含む単離された無脊椎動物RXRポリペプチドに関する。
【0189】
本発明は無脊椎動物RXRポリペプチドのリガンド結合活性またはリガンド感受性を増強するトランケーション突然変異を含む単離された無脊椎動物RXRポリペプチドに関する。特定の態様において、本発明は無脊椎動物RXRポリペプチドのステロイド結合活性またはステロイド感受性を増強するトランケーション突然変異を含む単離された無脊椎動物RXRポリペプチドに関する。
【0190】
他の特定の態様において、本発明は無脊椎動物RXRポリペプチドの非−ステロイド結合活性または非−ステロイド感受性を増強するトランケーション突然変異を含む単離された無脊椎動物RXRポリペプチドに関する。
【0191】
また、本発明は突然変異した無脊椎動物レチノイドX受容体ポリペプチドおよび二量体化パートナーを含むヘテロダイマーのリガンド感受性を増加させるトランケーション突然変異を含む単離された無脊椎動物レチノイドX受容体ポリペプチドに関する。好ましくは、ヘテロダイマーのリガンド感受性を増加させるトランケーション突然変異を含む単離された無脊椎動物レチノイドX受容体ポリペプチドは、配列番号:9(LmUSP−EF)、配列番号:10(AmaRXR1−EF)、配列番号:11(AmaRXR2−EF)、配列番号:12(CpRXR−EF)、配列番号:13(TmRXR−EF)、および配列番号:14(AmRXR−EF)よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる。より好ましくは、ヘテロダイマーのリガンド感受性を増加させるトランケーション突然変異を含む無脊椎動物レチノイドX受容体ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドは、配列番号:21(LmUSP−EF)、配列番号:22(AmaRXR1−EF)、配列番号:23(AmaRXR2−EF)、配列番号:24(CpRXR−EF)、配列番号:25(TmRXR−EF)、および配列番号:26(AmRXR−EF)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0192】
特定の態様において、二量体化パートナーはエクジソン受容体ポリペプチドである。好ましくは、二量体化パートナーは、トランケートされたEcRポリペプチドである。より好ましくは、二量体化パートナーは、ドメインA/Bが欠失されたEcRポリペプチドである。なおより好ましくは、二量体化パートナーは、配列番号:5(CfEcR−EF)、配列番号:43(CfEcR−DEF)、または配列番号:59(CfEcR−CDEF)のアミノ酸配列を含むEcRポリペプチドである。
【0193】
本発明の遺伝子発現を変調する方法
また、出願人らの発明は本発明による遺伝子発現変調システムを用いて宿主細胞において遺伝子発現を変調する方法に関する。具体的には、出願人らの発明は、a)本発明による遺伝子発現変調システムを宿主細胞に導入し、次いで、b)リガンドを宿主細胞に導入する工程を含み、ここに、変調すべき遺伝子はi)第1のハイブリッドポリペプチドのDNA結合ドメインによって認識されるドメインを含む応答エレメント、ii)第2のハイブリッドポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター、およびiii)その発現を変調すべき遺伝子を含む遺伝子発現カセットの構成要素であり、それにより、リガンドの宿主細胞への導入に際して、遺伝子の発現が変調されることを特徴とする宿主細胞において遺伝子の発現を変調する方法を提供する。
【0194】
また、本発明は、a)本発明による遺伝子発現変調システムを宿主細胞に導入し、b)i)第1のハイブリッドポリペプチドからのDNA結合ドメインによって認識されるドメインを含む応答エレメント、ii)第2のハイブリッドポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター、およびiii)その発現を変調すべき遺伝子を含む遺伝子発現カセットを宿主細胞に導入し、さらに、c)リガンドを宿主細胞に導入する工程を含み、それによりリガンドの宿主細胞への導入に際して、遺伝子の発現が変調されることを特徴とする宿主細胞において遺伝子の発現を変調する方法を提供する。
【0195】
出願人らの方法を用いる宿主細胞における発現用の注目される遺伝子は内因性遺伝子または異種遺伝子であってよい。所望の遺伝子または蛋白質についての核酸またはアミノ酸配列の情報は、多くの公的アクセスデータベースのうちの1つ、例えば、GENBANK、EMBL、Swiss−ProtおよびPIRにおいて、または多くの生物学関連雑誌刊行物に見出すことができる。かくして、当業者であれば、実質的に全ての公知の遺伝子についての核酸配列情報にアクセスすることができる。従って、そのような情報を用いて、本明細書中に記載した出願人らの方法で用いる遺伝子発現カセット内への注目する遺伝子の挿入のための所望の構築体を構築することができる。
【0196】
出願人らの方法を用いる宿主細胞での発現用の注目する遺伝子の例は、限定されるものではないが、疾患、病気、障害、機能不全、遺伝的欠陥を扱うのに使用され得る;例えば、モノクローナル抗体、酵素、プロテアーゼ、サイトカイン、インターフェロン、インスリン、エリスロポエチン、血液凝固因子、他の血液因子もしくは成分;遺伝子治療用のウイルスベクター、ワクチン用のウイルス、薬物発見用、機能的ゲノミクス、ならびにプロテオミクスの分析および適用の標的などのような治療上望ましいポリペプチドまたは産物をコードする遺伝子が挙げられる。
【0197】
許容されるリガンドは、リガンドの存在下における応答エレメントへの2−ハイブリッドシステムのDNA結合ドメインの結合の結果、遺伝子の発現が不活化または抑制される場合に、遺伝子の発現を変調するいずれのものでもある。好ましいリガンドは、ポナステロン、ムリステロンA、9−シス−レチノイン酸、レチノイン酸の合成アナログ、米国特許第6,013,836号、第5,117,057号、第5,530,028号および第5,378,726号に開示されたもののごときN,N’−ジアシルヒドラジン、欧州出願第461,809号に開示されたもののごときジベンゾイルアルキルシアノヒドラジン、米国特許第5,225,443号に開示されたもののごときN−アルキル−N,N’−ジアロイルヒドラジン、欧州出願第234,994号に開示されたもののごときN−アシル−N−アルキルカルボニルヒドラジン、米国特許第4,985,461号に開示されたもののごときN−アロイル−N−アルキル−N’−アロイルヒドラジン(その各々は引用して本明細書の一部とみなす)および3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−N−イソブチル−ベンズアミド、8−O−アセチルハルパジド等を含めた他の同様の物質を含む。
【0198】
好ましい態様において、遺伝子の発現を変調する出願人らの方法で用いるリガンドは式:
【化2】

の化合物である。
【0199】
式中、Eは第三級炭素を含有する(C−C)アルキルまたは第三級炭素を含有するシアノ(C−C)アルキルであり;
は、H、Me、Et、i−Pr、F、ホルミル、CF、CHF、CHCl、CHF、CHCl、CHOH、CHOMe、CHCN、CN、CCH、1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、OH、OMe、OEt、シクロプロピル、CFCF、CH=CHCN、アリル、アジド、SCNまたはSCHFであり;
はH、Me、Et、n−Pr、i−Pr、ホルミル、CF、CHF、CHCl、CHF、CHCl、CHOH、CHOMe、CHCN、CN、CCH、1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、Ac、F、Cl、OH、OMe、OEt、O−n−Pr、OAc、NMe、NEt、SMe、SEt、SOCF、OCFCFH、COEt、シクロプロピル、CFCF、CH=CHCN、アリル、アジド、OCF、OCHF、O−i−Pr、SCN、SCHF、SOMe、NH−CNであるか、またはR、ならびにRおよびRが結合したフェニル炭素と一緒になって、エチレンジオキシ、フェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロフリル環、もしくはフェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロピリル環を形成し;
はH、Etであるか、またはR、ならびにRおよびRが結合したフェニル炭素と一緒になってエチレンジオキシ、フェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロフリル環、もしくはフェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロピリル環を形成し;
、RおよびRは独立してH、Me、Et、F、Cl、Br、ホルミル、CF、CHF、CHCl、CHF、CHCl、CHOH、CN、CCH、1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、OMe、OEt、SMeまたはSEtである。
【0200】
他の好ましい態様において、遺伝子の発現を変調する出願人らの方法において前記した第1のリガンドに加えて第2のリガンドを用いることができ、ここに、該第2のリガンドは9−シス−レチノイン酸またはレチノイン酸の合成アナログである。
【0201】
出願人らの発明は原核生物および真核生物宿主細胞における遺伝子発現の変調を提供する。かくして、本発明は、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、動物細胞、および哺乳動物細胞よりなる群から選択される宿主細胞において遺伝子発現を変調する方法にも関する。好ましくは、宿主細胞は、酵母細胞、ハムスター細胞、マウス細胞、サル細胞またはヒト細胞である。
【0202】
トランスジェニック宿主細胞における発現は、限定されるものではないが、治療用ポリペプチド、経路中間体;宿主細胞を用いる以前は可能でなかった新しい生成物の合成用の宿主細胞にすでに存在する経路の変調;細胞ベースのアッセイ;機能的ゲノミクスアッセイ、バイオ治療蛋白質の生産、プロテオミクスアッセイ等を含めた注目する種々のポリペプチドの発現で有用でり得る。加えて、遺伝子産物は、宿主のより高い成長率を付与し、または別の成長様式を利用できるようにするのに有用である。
【0203】
本発明の宿主細胞および非−ヒト生物
前記したごとく、本発明の遺伝子発現変調システムを用いて、宿主細胞において遺伝子発現を変調することができる。トランスジェニック宿主細胞における発現は種々の注目する遺伝子の発現で有用であろう。かくして、出願人らの発明は、本発明による遺伝子発現システムを含む単離された宿主細胞を提供する。また、本発明は、本発明による遺伝子発現カセットを含む単離された宿主細胞を提供する。また、出願人らの発明は、本発明によるポリヌクレオチドまたはポリペプチドを含む単離された宿主細胞を提供する。単離された宿主細胞は原核生物または真核生物宿主細胞であってよい。
【0204】
好ましくは、宿主細胞は、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、動物細胞および哺乳動物細胞よりなる群から選択される。好ましい宿主細胞の例は、限定されるものではないが、Aspergillus、Trichoderma、Saccharomyces、Pichia、Candida、Hansenulaのごとき真菌または酵母種、またはSynechocystis、Synechococcus、Salmonella、Bacillus、Acinetobacter、Rhodococcus、Streptomyces、Escherichia、Pseudomonas、Methylomonas、Methylobacter、Alcaligenes、Synechocystis、Anabaena、Thiobacillus、MethanobacteriumおよびKlebsiella属におけるもののごとき細菌種、動物および哺乳動物宿主細胞を含む。
【0205】
特定の態様において宿主細胞は、Saccharomyces、PichiaおよびCandida宿主細胞よりなる群から選択される酵母細胞である。
【0206】
他の特定の態様において宿主細胞は、ハムスター細胞である。
【0207】
他の特定の態様において宿主細胞は、マウス(murine)細胞である。
【0208】
他の特定の態様において宿主細胞は、サル細胞である。
【0209】
他の特定の態様において宿主細胞は、ヒト細胞である。
【0210】
宿主細胞形質転換は、当該分野でよく知られており、限定されるものではないが、エレクトロポレーション、ウィルス感染、プラスミド/ベクタートランスフェクション、非−ウィルスベクター媒介トランスフェクション、粒子衝撃等を含めた種々の方法によって達成することができる。所望の遺伝子産物の発現は、適当な条件下で形質転換された宿主細胞を培養し、形質転換された遺伝子の発現を誘導することを含む。原核生物および真核生物細胞における培養条件および遺伝子発現プロトコルは当該分野でよく知られている(実施例の一般的方法セクション参照)。細胞を回収することができ、遺伝子産物を遺伝子産物に特異的なプロトコルに従って単離することができる。
【0211】
加えて、挿入されたポリヌクレオチドの発現を変調し、または所望の特異的な様式でポリペプチド産物を修飾し加工する宿主細胞を選択することができる。異なる宿主細胞は、蛋白質の翻訳および翻訳後プロセッシングおよび修飾[例えば、グリコシル化、(例えば、シグナル配列の)切断]について特徴的かつ特異的なメカニズムを有する。適当な細胞系または宿主系を選択して、発現された外来性蛋白質の所望の修飾およびプロセッシングを確実とすることができる。例えば、細菌システムにおける発現を用いて、非−グリコシル化コア蛋白質産物を生じさせることができる。しかしながら、細菌で発現されたポリペプチドは適切には折り畳まれないであろう。酵母における発現は、グリコシル化産物を生じさせることができる。真核生物細胞における発現は異種蛋白質の「天然」グリコシル化および折り畳みの可能性を増加させることができる。さらに、哺乳動物細胞における発現はポリペプチドの活性を復元するかまたは構成するためのツールを提供することができる。さらに、異なるベクター/宿主発現システムは蛋白質分解切断のごときプロセッシング反応に異なる程度影響することができる。
【0212】
また、出願人らの発明は、本発明による単離された宿主細胞を含む非−ヒト生物に関する。好ましくは、非−ヒト生物は、細菌、真菌、酵母、動物および哺乳動物よりなる群から選択される。より好ましくは、非−ヒト生物は、酵母、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヤギ、ブタ、ウマ、ヒツジ、サルまたはチンパンジーである。
【0213】
特定の態様において、非−ヒト生物は、Saccharomyces、PichiaおよびCandidaよりなる群から選択される酵母である。
【0214】
他の特定の態様において、非−ヒト生物は、Mus musculusマウスである。
【0215】
遺伝子発現/転写の測定
本発明の出願人らの方法の1つの有用な測定は、RNA、好ましくはmRNA種の同一性および存在量を含めた細胞の転写状態の測定である。そのような測定は、いくつかの現存する遺伝子発現技術のうちのいずれかによってcDNAの存在量を測定することによって簡便に行われる。
【0216】
核酸アレイ技術は異なるmRNA発現を決定するための有用な技術である。そのような技術は、例えば、オリゴヌクレオチドチップおよびDNAマイクロアレイを含む。これらの技術は、固体支持体に固定化し、細胞、組織または生物全体から抽出された全mRNAプールから調製され、cDNAに変換されたプローブにハイブリダイズする異なる遺伝子またはcDNAに対応するDNA断片またはオリゴヌクレオチドに頼る。オリゴヌクレオチドチップは、フォトリソグラフィー技術を用いて基材上で合成されたオリゴヌクレオチドのアレイである。1700までの遺伝子につき分析できるチップが製造されている。DNAマイクロアレイは、DNA試料、典型的には、機械的に顕微鏡スライドグラス上にプリントされるPCR産物のアレイである。各遺伝子は、全長または部分長標的DNA配列によって分析される。10,000までの遺伝子についてのマイクロアレイが、今日、ルーチン的に、商業生産されている。これらの2つの技術の間の主な差は、オリゴヌクレオチドチップが、典型的には、短いDNA分子の分別を可能とする25−量体オリゴヌクレオチドを利用するのに対し、マイクロアレイのより大きなDNA標的、ほぼ1000塩基対が複雑なDNA混合物を分別するにおいてより大きな感受性を供することができることである。
【0217】
本発明の出願人らの方法の他の有用な測定は、当該分野でよく知られたプロセスを用いて細胞に存在する構成蛋白質種の存在量を測定することによって細胞の翻訳状態を測定するものである。
【0218】
種々の生理学的機能に関連する遺伝子の同定が望まれる場合、細胞増殖、アポトーシス、老化、分化、接着、特定の分子への結合、他の細胞への結合、細胞組織化、器官形成、細胞内輸送、輸送促進、エネルギー変換、代謝、筋肉形成、神経形成および/または造血のごとき機能における変化を測定されるアッセイを使用することができる。
【0219】
加えて、選択マーカーまたはレポーター遺伝子発現を用いて、出願人らの発明を用いて遺伝子発現変調を測定することができる。
【0220】
遺伝子発現の産物を検出する他の方法は当該分野でよく知られており、サザンブロット(DNA検出)、ドットまたはスロットブロット(DNA、RNA)、ノーザンブロット(RNA)、RT−PCR(RNA)、ウェスタンブロット(ポリペプチド検出)およびELISA(ポリペプチド)分析を含む。余り好ましくはないが、標識された蛋白質を用いて、それにハイブリダイズする特定の核酸配列を検出することができる。
【0221】
ある場合には、核酸配列の量を増幅する必要がある。これは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)、リガーゼ連鎖反応(「LCR」)、ストランドディスプレイスメント増幅(「SDA」)、転写−ベースの増幅等を含めた多数の適当な方法のうち1以上を用いて行うことができる。PCRは公知の技術に従って行われ、ここに、例えば、オリゴヌクレオチドプライマーの1つの対を用い(1つのプライマーは検出すべき特定の配列の1つのストランド(鋳型)にハイブリダイズする)、ハイブリダイズする条件下、熱安定性DNAポリメラーゼの存在下で核酸試料を処理する。プライマーは、それにハイブリダイズする特定の配列の各鋳型ストランドに十分に相補的なものである。各プライマーの伸長産物を合成し、それは、それがハイブリダイズする核酸鋳型ストランドに相補的である。また、各プライマーから合成された伸長産物は、同一プライマーを用いる伸長産物のさらなる合成用の鋳型としても働くことができる。伸長産物の十分な数のラウンドの合成に従い、試料を前記したごとく分析して、検出すべき配列または複数配列が存在するかを評価することができる。
【0222】
本発明の例として掲げる以下の非限定的実施例を参照して本発明はよく理解することができる。
【0223】
実施例
一般的方法
本明細書中で用いる標準的な組換えDNAおよび分子クローニング技術は当該分野でよく知られており、Sambrook,J.、Fritsch,E.F.およびManiatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor、N.Y.(1989)(Maniatis)によって、およびT.J.Silhavy、M.L.Bennan、およびL.W.Enquist、Experimants with Gene Fusions、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.(1984)によって、およびAusubel,F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience(1987)によって記載されている。
【0224】
細菌培養の維持および増殖に適した材料および方法は当該分野でよく知られている。以下の実施例で用いるのに適した技術は、Manual of Methods for General Bacteriology(Phillipp Gerhardt、R.G.E.Murray、Ralph N.Costilow、Eugene W.Nester、Willis A.Wood、Noel R.KriegおよびG.Briggs Phillips編)、American Society for Microbiology、Washington,DC.(1994)、またはThomas D.BrockによるBiotechnology中:A Textbook of Industrial Microbiology、第2版、Sinauer Associates,Inc.、Sunderland、MA(1989)に記載されているのを見出すことができる。宿主細胞増殖および維持で用いた全ての試薬、制限酵素および材料は、特に断りのない限り、Aldrich Chemicals(Milwaukee、WI)、DIFCO Laboratories(Detroit、MI)、GIBCO/BRL(Gaithersburg、MD)、またはSigma Chemical Company(St.Louis、MO)から入手した。
【0225】
遺伝子配列の操作は、Genetics Computer Group Inc.(Wisconsin Package Version 9.0、Genetics Computer Group(GCG)Madison、WI)から入手可能なプログラムのスイートを用いて達成することができる。GCGプログラム「Pileup」を用いる場合、12のギャップ創製デフォルト値、および4のギャップ伸長デフォルト値を用いることができる。CGC「Gap」または「Bestfit」プログラムを用いる場合、50のデフォルトギャップ創製ペナルティーおよび3のデフォルトギャップ伸長ペナルティーを用いることができる。GCGプログラムパラメーターがこれらまたはいずれかの他のGCGプログラムで迅速化されないいずれの場合においても、デフォルト値を用いることができる。
【0226】
略語の意味は以下の通りである:「h」は時間を意味し、「min」は分を意味し、「sec」は秒を意味し、「d」は日を意味し、「μl」はマイクロリットルを意味し、「ml」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「μM」はマイクロモラーを意味し、「mM」はミリモラーを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「A」はアデニンまたはアデノシンを意味し、「T」はチミンまたはチミジンを意味し、「G」はグアニンまたはグアノシンを意味し、「C」はシチジンまたはシトシンを意味し、「xg」は重力の倍数を意味し、「nt」はヌクレオチドを意味し、「aa」はアミノ酸を意味し、「bp」は塩基対を意味し、「kb」はキロベースを意味し、「k」はキロを意味し、「μ」はマイクロを意味し、および「℃」は摂氏度を意味する。
【実施例1】
【0227】
出願人らのEcR/無脊椎動物RXR−ベースの誘導性遺伝子変調システムは、遺伝子治療、宿主細胞における注目する蛋白質の発現、トランスジェニック生物の生産、および細胞−ベースのアッセイを含めた種々の適用で有用である。哺乳動物細胞を含めた種々の細胞バックグラウンドにおいて、無脊椎動物EcRは脊椎動物RXRとヘテロ二量体化し、リガンドの結合に際して、エクジソン応答エレメントの制御下で遺伝子をトランス活性化する。出願人らは、無脊椎動物RXRが脊椎動物RXRに代えて置き換えることができ、酵母および動物細胞適用のための新規な誘導性遺伝子発現システムを提供するという驚くべき発見を成した。この実施例は、本発明のEcR−ベースの誘導性遺伝子発現システムで用いるいくつかの遺伝子発現カセットの構築を記載する。
【0228】
出願人らは、ハマキガ Choristoneura fumiferana EcR(「CfEcR」)、C.fumiferanaウルトラスピラクル(「CfUSP」)、Drosophila melanogaster USP(「DmUSP」)、マウス Mus musculusレチノイドX受容体α(「MmRXRα」)、バッタ Locusta migratoria USP(「LmUSP」)、脊椎動物RXRの無脊椎動物ホモログ、Amblyomma americanum RXRホモログ1(「AmaRXR1」)、脊椎動物RXRの無脊椎動物ホモログ、およびAmblyomma americanum RXRホモログ2(「AmaRXR2」)、脊椎動物RXRの無脊椎動物ホモログ、に基づくいくつかのEcR−ベースの遺伝子発現カセットを構築した。調製された受容体構築体は、EcR、脊椎動物RXR、無脊椎動物USP、または無脊椎動物RXRいずれかのリガンド結合ドメイン、およびGAL4またはLexA DNA結合ドメイン(DBD)あるいはVP16またはB42酸性アクチベータートランス活性化ドメイン(AD)を含む。レポーター構築体は、各々、それにGal4 DBDまたはLexA DBDが結合するGAL4応答エレメントまたはLexA応答エレメントのいずれかを含む合成プロモーター構築対に作動可能に連結したレポーター遺伝子、ルシフェラーゼまたはLacZを含む。これらの受容体およびレポーター構築体の種々の組み合わせを、実施例に2−9(後記)に記載したごとく哺乳動物細胞にコトランスフェクトした。
【0229】
遺伝子発現カセット:エクジソン受容体−ベースの遺伝子発現カセット(スイッチ)は、当該分野で利用可能な標準的クローニング方法を用いて以下のごとくに構築した。以下に、ここに記載する実施例で用いる各スイッチの調製および組成を簡単に記載する。
【0230】
1.1−GAL4CfEcR−CDEF/VP16MmRXRα−DEF:ハマキガ Choristoneura fumiferana ECRのC、D、EおよびFドメイン(「CfEcR−CDEF」、配列番号:45)をGAL4 DNA結合ドメイン(「Gal4DNABD」または「Gal4DBD」、配列番号:33)に融合させ、SV40eプロモーター(配列番号:46)の制御下に置いた。マウス(Mus musculus)RXRαからのDEFドメイン(「MmRXRα−DEF」、配列番号:47)をVP16からのトランス活性化ドメイン(「VP16AD」、配列番号:37)に融合させ、SV40eプロモーター(配列番号:46)の制御下に置いた。5つのコンセンサスGAL4応答エレメント結合部位(「5XGAL4RE」、配列番号:41を含むGAL4REの5コピーを含む)を合成E1b最小プロモーター(配列番号:48)に融合させ、ルシフェラーゼ遺伝子(配列番号:49)の上流に置いた。
【0231】
1.2−GAL4CfEcR−CDEF/VP16MmRXRα−EF:MmRXRα−DEFをMmRXRα−EF(配列番号:50)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.1と同様にして調製した。
【0232】
1.3−GAL4CfEcR−CDEF/VP16CfUSP−DEF:MmRXRα−DEFをハマキガUSPからのD、EおよびFドメイン(「CfUSP−DEF」、配列番号:51)で置き換える以外は、前記スイッチ1.1と同様にしてこの構築体を調製した。本実施例で用いた構築体は、Drosophila melanogaster USPではなくChoristoneura fumiferana USPを利用した以外は、米国特許第5,880,333号に開示されたものと同様である。
【0233】
1.4−GAL4CfEcR−CDEF/VP16LmUSP−DEF:MmRXRα−DEFをLocusta migratoriaウルトラスピラクルのD、EおよびFドメイン(「LmUSP−DEF」、配列番号:52)で置き換える以外は、この構築体は前記スイッチ1.1と同様にして調製した。
【0234】
1.5−GAL4CfEcR−DEF/VP16MmRXRα−DEF:CfEcR−CDEFをCfEcR−DEF(配列番号:53)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.1と同様にして調製した。
【0235】
1.6−GAL4CfEcR−DEF/VP16MmRXRα−EF:MmRXRα−DEFをMmRXRα−EF(配列番号:50)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.5と同様にして調製した。
【0236】
1.7−GAL4CfEcR−DEF/VP16CfUSP−DEF:MmRXRα−DEFをハマキガC.fumiferana USPからのD、EおよびFドメイン(「CfUSP−DEF」、配列番号:51)で置き換える以外は、この構築体は前記スイッチ1.5と同様にして調製した。
【0237】
1.8−GAL4CfEcR−DEF/VP16LmUSP−DEF:MmRXRα−DEFをLocusta migratoriaウルトラスピラクルのD、EおよびFドメイン(「LmUSP−DEF」、配列番号:52)で置き換える以外は、この構築体は前記スイッチ1.5と同様にして調製した。
【0238】
1.9−Gal4CfEcR−A/BCDEF/VP16LmUSP−DEF:ハマキガ Choristoneura fumiferana EcR全長(「CfEcR−A/BCDEF」、配列番号:54)をGAL4 DNA結合ドメイン(「Gal4DNABD」または「Gal4DBD」、配列番号:33)に融合させ、SV40eプロモーター(配列番号:46)の制御下に置いた。Locusta migratoriaウルトラスピラクルからのDEFドメイン(「LmUSP−DEF」、配列番号:52)をVP16からのトランス活性化ドメイン(「VP16AD」、配列番号:37)に融合させ、SV40eプロモーター(配列番号:46)の制御下に置いた。5つのコンセンサスGAL4応答エレメント結合部位(「5XGAL4RE」、配列番号:41を含むGAL4REの5コピーを含む)を合成E1b最小プロモーター(配列番号:48)に融合させ、ルシフェラーゼ遺伝子(配列番号:49)の上流に置いた。
【0239】
1.10−Gal4CfEcR−1/2CDEF/VP16LmUSP−DEF:CfEcR−A/BCDEFをCfEcR−1/2CDEF(配列番号:55)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.9と同様にして調製した。
【0240】
1.11−Gal4CfEcR−CDEF/VP16LmUSP−DEF:CfEcR−A/BCDEFをCfEcR−CDEF(配列番号:45)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.9と同様にして調製した。
【0241】
1.12−Gal4CfEcR−DEF/VP16LmUSP−DEF:CfEcR−A/BCDEFをCfEcR−DEF(配列番号:53)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.9と同様にして調製した。
【0242】
1.13−Gal4CfEcR−EF/VP16LmUSP−DEF:CfEcR−A/BCDEFをCfEcR−EF(配列番号:1)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.9と同様にして調製した。
【0243】
1.14−Gal4CfEcR−DE/VP16LmUSP−DEF:CfEcR−CDEFをCfEcR−DE(配列番号:3)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.9と同様にして調製した。
【0244】
1.15−Gal4CfEcR−A/BCDEF/VP16LmUSP−EF:ハマキガ Choristoneura fumiferana EcR全長(「CfEcR−A/BCDEF」、配列番号:54)をGAL4 DNA結合ドメイン(「Gal4DNABD」または「Gal4DBD」、配列番号:33)に融合させ、SV40eプロモーター(配列番号:46)の制御下に置いた。Locusta migratoriaウルトラスピラクルからのEFドメイン(「LmUSP−EF」、配列番号:9)をVP16からのトランス活性化ドメイン(「VP16AD」、配列番号:37)に融合させ、SV40eプロモーター(配列番号:46)の制御下に置いた。5つのコンセンサスGAL4応答エレメント結合部位(「5XGAL4RE」、配列番号:41を含むGAL4REの5コピーを含む)を合成E1b最小プロモーター(配列番号:48)に融合させ、ルシフェラーゼ遺伝子(配列番号:49)の上流に置いた。
【0245】
1.16−Gal4CfEcR−1/2CDEF/VP16LmUSP−EF:CfEcR−A/BCDEFをCfEcR−1/2CDEF(配列番号:55)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.15と同様にして調製した。
【0246】
1.17−Gal4CfEcR−CDEF/VP16LmUSP−EF:CfEcR−A/BCDEFをCfEcR−CDEF(配列番号:45)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.15と同様にして調製した。
【0247】
1.18−Gal4CfEcR−DEF/VP16LmUSP−EF:CfEcR−A/BCDEFをCfEcR−DEF(配列番号:53)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.15と同様にして調製した。
【0248】
1.19−Gal4CfEcR−EF/VP16LmUSP−EF:CfEcR−A/BCDEFをCfEcR−EF(配列番号:1)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.15と同様にして調製した。
【0249】
1.20−Gal4CfEcR−DE/VP16LmUSP−EF:CfEcR−CDEFをCfEcR−DE(配列番号:3)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.15と同様にして調製した。
【0250】
1.21−Gal4CfEcR−DEF/VP16AmaRXR1−EF:LmUSP−EFをマダニ Amblyomma americanum RXRホモログ1のEおよびFドメイン(「AmaRXR1−EF」、配列番号:10)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.18と同様にして調製した。
【0251】
1.22−Gal4CfEcR−DEF/VP16AmaRXR2−EF:AmaRXR1−EFをマダニ Amblyomma americanum RXRホモログ2のEおよびFドメイン(「AmaRXR2−EF」、配列番号:11)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.21と同様にして調製した。
【0252】
1.23−LexACfEcR−CDEF/VP16CfUSP−EF:ハマキガ Choristoneura fumiferana EcRからのC、D、EおよびFドメイン(「CfEcR−CDEF」、配列番号:45)をLexA DNA結合ドメイン(「LexADNABD」または「LexADBD」、配列番号:35)に融合させ、SV40eプロモーター(配列番号:46)の制御下に置いた。ハマキガC.fumiferana USPからのEおよびFドメイン(「CfUSP−EF」、配列番号:56)をVP16からのトランス活性化ドメイン(「VP16AD」、配列番号:37)に融合させ、SV40eプロモーター(配列番号:46)の制御下に置いた。8つのコンセンサスLexA応答エレメント結合部位(「8XLexAop」、配列番号:42を含むLexA応答エレメント結合部位の4コピーを含む)を合成E1b最小プロモーター(配列番号:48)に融合させ、ルシフェラーゼ遺伝子(配列番号:49)の上流に置いた。
【0253】
1.24−LexACfEcR−CDEF/VP16LmUSP−EF:CfUSP−EFをLmUSP−EF(配列番号:9)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.23と同様にして調製した。
【0254】
1.25−LexACfEcR−CDEF/VP16MmRXRα−EF:CfUSP−EFをMmRXRα−EF(配列番号:50)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.23と同様にして調製した。
【0255】
1.26−LexACfEcR−CDEF/VP16DmUSP−EF:CfUSP−EFをDmUSP−EFの対応するEFドメイン(配列番号:60)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.23と同様にして調製した。
【0256】
1.27−Gal4CfEcR−CDEF/B42LmUSP−EF:ハマキガ Choristoneura fumiferana EcRからのC、D、EおよびFドメイン(「CfEcR−CDEF」、配列番号:45)をGAL4 DNA結合ドメイン(「GAL4DNABD」または「GAL4DBD」、配列番号:33)に融合させ、SV40eプロモーター(配列番号:46)の制御下に置いた。バッタ Locusta migratoria USPからのEおよびFドメイン(「LmUSP−EF」、配列番号:9)をB42からのトランス活性化ドメイン(「B42AD」、配列番号:39)に融合させ、SV40eプロモーター(配列番号:46)の制御下に置いた。5つのコンセンサスGAL4応答エレメント結合部位(「5XGAL4RE」、配列番号:41を含むGAL4REの5コピーを含む)を合成E1b最小プロモーター(配列番号:48)に融合させ、ルシフェラーゼ遺伝子(配列番号:49)の上流に置いた。
【0257】
1.28−LexACfEcR−CDEF/B42LmUSP−EF:GAL4 DNA結合ドメインをLexA DNA結合ドメイン(配列番号:35)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.27と同様にして調製した。
【0258】
1.29−GAL4CfEcR−DEF/VP16DmUSP−EF:CfUSP−DEFをDmUSP−EFの対応するEFドメイン(配列番号:60)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.7と同様にして調製した。
【0259】
1.30−GAL4CfEcR−DEF/VP16CfUSP−EF:CfUSP−DEFをCfUSP−EF(配列番号:56)で置き換える以外は、この構築体はスイッチ1.7と同様にして調製した。
【実施例2】
【0260】
2−ハイブリッドスイッチ様式において、CfEcRと協同したCfUSPおよびDmUSPは酵母および哺乳動物細胞双方において構成的に活性である。他方、CfEcRと協同した脊椎動物RXRは哺乳動物細胞においてリガンド依存性トランスアクチベーターである。出願人らは、マウスNIH3T3細胞中にて2−ハイブリッド様式の無脊椎動物RXR、LmUSPをテストして、それが哺乳動物細胞においてUSPとして(構成的に)または脊椎動物RXRとして(誘導的に)機能するかを判断した。Gal4:CfEcR−CDEF(図1)またはGal4:CfEcR−DEF(図2)をVP16:MmRXR−DEF、VP16:MmRXR−EF、VP16:LmUSP−DEF、またはVP16:CfUSP−EFと対にし、哺乳動物細胞において分析した。簡単に述べれば、トランスフェクトされたNIH3T3細胞中でのレポーター遺伝子発現の用量依存性誘導において2つの異なるリガンド:ステロイドリガンド(ポナステロンA、「PonA」)および非−ステロイドリガンド[N−(2−エチル−3−メトキシベンゾイル)−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)−N’−tert−ブチルヒドラジン]を用い、遺伝子誘導能力(誘導の大きさ)およびリガンドの特異性および感受性を調べた。レポーター遺伝子発現活性をリガンド添加後48時間にアッセイした。細胞の培養および維持についての標準的な方法は以下の通りであった。
【0261】
トランスフェクション:実施例1で概説した種々のスイッチ構築体、特にスイッチ1.1−1.8に対応するDNAをマウスNIH3T3細胞(ATCC)に以下のごとくトランスフェクトした。細胞が50%密集に到達すると、それを回収し、各々、10%胎児ウシ血清(FBS)を含有する2.5、1.0または0.5mlの増殖培地中で、各々、125,000、50,000または25,000細胞にて6−、12−または24−ウェルプレートで平板培養した。翌日、細胞を増殖培地ですすぎ、4時間トランスフェクトした。Superfect(商標)(Qiagen Inc.)は、3T3細胞につき最良のトランスフェクション試薬であることが判明した。12−ウェルプレートについては、4μlのSuperfect(商標)を100μlの増殖培地と混合した。分析すべき1.0μgのレポーター構築体および0.25μgの受容体対の各受容体構築体をトランスフェクションミックスに添加した。チミジンキナーゼ(TK)構成的プロモーターに作動可能に連結し、それの制御下に置かれたRenillaルシフェラーゼ遺伝子を含む第2のレポーター構築体を添加し[pTKRL(Promega)、0.1μg/トランスフェクションミックス]、標準化で用いた。トランスフェクションミックスの内容物を攪拌ミキサーで混合し、室温にて30分間放置した。インキュベーションの最後に、トランスフェクションミックスを、400μlの増殖培地中に維持した細胞に添加した。細胞を37℃および5%COに4時間維持した。インキュベーションの最後に、20%FBSおよびジメチルスルホキシド(DMSO、対照)または0.1、1、5、10および50μMのPonAステロイドリガンドまたはN−(2−エチル−3−メトキシベンゾイル)N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)−N’−tert−ブチルヒドラジン非−ステロイドリガンドのDMSO溶液いずれかを含有する500μlの増殖培地を添加し、細胞を37℃および5%COに48時間維持した。細胞を回収し、レポーター活性をアッセイした。全ての試薬を6ウェルプレートでは2倍にし、24−ウェルプレートでは半分に減少させた以外は、同一手法を6および24ウェルプレートで行った。
【0262】
リガンド:ステロイドリガンド、ポナステロンA(PonA)はSigma Chemical Companyから購入した。非−ステロイドリガンド、N−(2−エチル−3−メトキシベンゾイル)−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)−N’−t−ブチルヒドラジン(GS(商標)−E非−ステロイドリガンド)はRohm and Haas Companyで合成された合成安定エクジステロイドリガンドである。全てのリガンドはDMSOに溶解させ、DMSOの最終濃度を対照および処理双方において0.1%に維持した。
【0263】
レポーターアッセイ:リガンド添加から48時間後、細胞を回収した。125、250または500μlの受動溶解緩衝液(Promega CorporationからのDual−luciferase(商標)レポーターアッセイシステムの一部)を、各々、24−または12−または6−ウェルプレートの各ウェルに添加した。プレートをロータリーシェーカー上に15分間置いた。20μlの溶解物をアッセイした。製造業者の指示に従い、Promega CorporationからのDual−luciferase(商標)レポーターアッセイシステムを用い、ルシフェラーゼ活性を測定した。製造業者の指示に従い、TROPIXからのGalacto−Star(商標)アッセイキットを用い、β−ガラクトシダーゼを測定した。Renillaルシフェラーゼを標準として用い、全てのルシフェラーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ活性を標準化した。リガンド処理細胞における標準化された相対的光単位(「RLU」)をDMSO処理細胞(未処理対照)における標準化されたRLUで割ることによって、活性の倍数を計算した。
【0264】
結果:図1および2に示されるごとく、CfEcRと協同したLmUSPは、哺乳動物細胞においてリガンド−誘導性遺伝子発現システムとして機能する。この結果は、CfEcRと協同したCfUSPおよびDmUSPでの出願人らの以前の実験が構成的発現活性を示したため、驚くべきことである(CfUSPの結果についてはPCT/US01/09050出願および図1および2参照、DmUSPの結果は示さず)。加えて、LmUSPはCfEcRパートナーとしての脊椎動物RXRよりも良好に働いた。特に、感受性、すなわち、トランス活性化に必要なリガンドの濃度、およびトランス活性化の大きさの双方は、脊椎動物RXRと比較してLmUSPで増加した。かくして、出願人らは、初めて、無脊椎動物RXRが、哺乳動物細胞において誘導性遺伝子発現システムでのエクジソン受容体と協同して効果的に機能できることを証明した。このEcR/無脊椎動物RXR誘導性遺伝子発現システムはEcR/脊椎動物RXR遺伝子発現システムをこえる改良である。というのは、トランス活性化に必要なリガンドはより少なく、トランス活性化の増大したレベルを達成することができるからである。
【0265】
本明細書中に記載した出願人らの発見に基づき、当業者であれば、双翅目RXRホモログ(例えばDmUSP)および鱗翅目RXRホモログ(例えばCfUSP)を例外として、他の無脊椎動物RXRおよびそれらのホモログも、出願人らのECR/無脊椎動物RXR−ベースの誘導性遺伝子発現システムで機能することができることを予測できるであろう。加えて、当業者であれば、出願人らの新規な誘導生遺伝子発現システムは酵母細胞において遺伝子発現を変調するように働くこともできることを予測できる。双翅目RXRホモログ/および鱗翅目RXRホモログ/EcR遺伝子発現システムは、それらが哺乳動物細胞においてどのようにして機能するかと同様に、酵母細胞において構成的に機能し(データは示さず)、かつ出願人らはここに非−双翅目および非−鱗翅目無脊椎動物RXRは哺乳動物細胞においてEcRと協同して誘導的に機能することを示したので、EcR/無脊椎動物RXR−ベースの遺伝子発現システムは酵母細胞において誘導的に機能すると予測される。かくして、本発明のEcR/無脊椎動物RXR誘導性遺伝子発現システムは、遺伝子発現レベルの変調が酵母および哺乳動物細胞双方において望まれる適用で有用である。さらに、本発明が他の細胞でも働くことを予測しない理由はない。
【実施例3】
【0266】
本実施例は、全長またはトランケートされたEcR、脊椎動物RXRおよび無脊椎動物RXRポリペプチドを含む脊椎動物RXRおよび無脊椎動物RXR−ベースの2−ハイブリッド遺伝子発現システムの比較を記載する。12の異なる脊椎動物および無脊椎動物RXRのEFドメインを比較するアミノ酸配列のアラインメントを図3AおよびBに示す。後記するごとく、出願人らは、VP16活性化ドメインに融合したMmRXRα−EF(脊椎動物RXR)、LmUSP−EF(無脊椎動物RXR)、AmaRXR1−EF(無脊椎動物RXR)およびAmaRXR2−EF(無脊椎動物RXR)を含む異なるGAL4/CfEcR−ベースのスイッチを比較して、a)リガンドの存在下で最大誘導、b)リガンドの不存在下で最小バックグラウンド、c)リガンド濃度に対する高い感受性、および/またはd)哺乳動物細胞におけるリガンドおよび受容体間の最小クロス−トークを持つスイッチを与える受容体を同定した。
【0267】
簡単に述べれば、前記実施例1に記載したように、全長EcRおよびA/B、C、D、EおよびFドメインのジャンクションにおいてトランケーション突然変異によって創製されたトランケートされたEcRがGAL4 DNA結合ドメインをコードするポリヌクレオチド(配列番号:33)に融合した。VP16活性化ドメインをコードするポリヌクレオチド(配列番号:37)を、実施例1に記載したごとく、MmRXRα、LmUSP、AmaRXR1およびAmaRXR2のEおよびFドメインに融合した。得られたハイブリッドEcR/脊椎動物または無脊椎動物RXRをコードする遺伝子発現カセットを、対様式比較にて、NIH3T3細胞でアッセイした。ルシフェラーゼポリペプチドをコードするプラスミドpFRLUC(Stratagene)をレポーター遺伝子構築体として用い、構成的TKプロモーターの制御下でRenillaルシフェラーゼポリペプチドをコードするpTKRL(Promega)を用いて、前記したごとくトランスフェクションを標準化した。トランスフェクトされた細胞を0、1、5または25μMの非−ステロイド、N−(2−エチル−3−メトキシベンゾイル)−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)−N’−tert−ブチルヒドラジンまたはステロイド、PonAの存在下で48時間増殖させた。細胞を回収し、溶解させ、ルシフェラーゼレポーター活性を細胞溶解物において測定した。全フライルシフェラーゼ相対光単位が提示される。各バーの頂部の数字は、その処理についての最大誘導倍数である。分析は三連で行い、平均ルシフェラーゼカウント[全相対光単位(RLU)]を前記したごとく測定した。
【0268】
図4−7に示すごとく、CfEcR−CDEFはいずれの他のCfEcRトランケーションよりも良好に働く。特に、Gal4CfEcR−CDEFは、VP16LmUSP−EFを用いるGal4CfEcR−DEFよりも良好な誘導を示した。LmUSP−DEFと組み合わせたCfEcRのEFドメインは、非常に低い非誘導レベルと共にかなり良好な誘導レベルを示した。特許および刊行物に記載されたEcR−EFドメインのほとんどはD、EおよびFドメイン(約300アミノ酸)を含む。この特別のトランケーションは230のアミノ酸を含むに過ぎず、ヘテロ二量体化ではLmUSPのDドメインに頼るであろう。
【0269】
テストしたLmUSPのトランケーションのすべてのうち、出願人らの結果は、VP16LmUSP−EFハイブリッド受容体ポリペプチドがGal4CfEcR−ベースのハイブリッドポリペプチドにつき最良のパートナーであり、GAL4CfEcRCDEF/VP16LmUSP−EF(スイッチ1.17)はいずれの他の受容体組合せよりも良好に働き、ステロイドよりも非−ステロイドに対してより感受性であることを示す(図6および7)。一般に、CfEcR/LmUSP−ベースのスイッチは、ステロイドPonAに対するよりも、非−ステロイドN−(2−エチル−3−メトキシベンゾイル)−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)−N’−tert−ブチルヒドラジンに対してより感受性であった。かくして、LmUSPのEFドメインは十分であり、CfEcR構築体と協同して、この受容体のDEFドメインよりも良好に働く。
【0270】
出願人らの結果は、MmRXRαおよびLmUSPの誘導の大きさおよび倍数が、LmUSPが少なくとも10倍、リガンドに対する感受性を改良する以外は同様であることを示す。かくして、EcR/無脊椎動物システムはEcR/脊椎動物システムをこえる改良である。
【実施例4】
【0271】
本実施例は、リガンド結合活性またはリガンド感受性、いずれか、または双方に影響するトランケートされたEcRまたはRXR受容体ポリペプチドをコードする遺伝子発現カセットの出願人のさらなる分析を記載する。簡単に述べれば、実施例1に記載したごとく構築した2−ハイブリッド受容体対の11の異なる組合せをNIH3T3細胞での単一の実験でさらに分析した。これらの11の受容体対組合せおよびそれらの対応する試料番号を表1に示す。
【0272】
【表1】

【0273】
レポータープラスミドpFRLucと共に前記受容体構築体の対を前記したごとく構築し、前記したごとくNIH3T3細胞にトランスフェクトした。11のCfEcRトランケーション受容体組合せを2つの群に複製し、いずれかのステロイド(図8のX−軸上の奇数)または非−ステロイド(図8のX−軸上の偶数)いずれかで処理した。特に、細胞を、0、1、5または25μMのPonA(ステロイド)またはN−(2−エチル−3−メトキシベンゾイル)−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)−N’−tert−ブチルヒドラジン(非−ステロイド)リガンドを含有する培地で培養した。レポーター遺伝子活性を測定し、合計RLUが示される。各バーの頂部の数は、その処理についての最大誘導倍数であり、三連の平均である。
【0274】
図8に示すごとく、CfEcR−CDEF/LmUSP−EF受容体組合せ(カラム15および16)は、合計RLUおよび誘導倍数双方について最良の様式であった。この結果は、実施例3で前記した出願人らの結果と合致する。また、これらの11の受容体対組合せをヒト肺ガン細胞系A549(ATCC)でアッセイし、同様の結果が観測された(データは示さず)。
【実施例5】
【0275】
本実施例は、本発明のEcR/無脊椎動物RXR−ベースの誘導性遺伝子発現システム内で用いるさらなる無脊椎動物レチノイドX受容体ホモログの出願人らの分析を記載する。簡単に述べれば、GAL4/CfEcR−DEF遺伝子発現カセットおよびVP16AmaRXR1−EFまたはVP16AmaRXR2−EFを含む2−ハイブリッド受容体遺伝子スイッチを実施例1に記載したごとく構築した。これらのAmaRXR1−およびAmaRXR2−ベースの遺伝子スイッチ(実施例1のスイッチ1.21および1.22)を、NIH3T3細胞にてpFRLucと共にVP16MmRXRα−EF(スイッチ1.6)、VP16LmUSP−EF(スイッチ1.18)、VP16DmUSP−EF(スイッチ1.29)およびVP16CfUSP−EF(スイッチ1.30)を含むGAL4/CfEcR−DEF遺伝子スイッチと比較した。
【0276】
レポータープラスミドpFRLucと共に前記受容体構築体対を前記したごとく構築し、前記したごとくNIH3T3細胞にトランスフェクトした。これらの6つのCfEcR−DEF受容体−ベースの遺伝子スイッチのトランス活性化能力を、0、0.2、1または10μMのPonA(ステロイド)または0、0.4、0.2、1または10μMの非−ステロイドリガンドN−(2−エチル−3−メトキシベンゾイル)−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)−N’−tert−ブチルヒドラジンの存在下でトランスフェクトされた細胞で測定した。レポーター遺伝子活性を測定し、合計RLUを示す。各バーの頂部の数はその処理についての最大誘導倍数であり三連の平均である。
【0277】
図9に示すごとく、AmaRXR1−EFおよびAmaRXR2−EFベースのスイッチは共に脊椎動物MmRXRα−EFベースのスイッチよりも良好に働き、これは、これらの非−双翅目、非−鱗翅目無脊椎動物RXRホモログもまた本発明のEcR/無脊椎動物RXR−ベースの誘導性遺伝子発現システムで機能することができるのを示唆する。かくして、無脊椎動物RXR(LmUSP)が脊椎動物RXRを置き換えることができるという出願人らの驚くべき発見およびさらなる無脊椎動物種RXRに関する本実施例で得られた知見に基づき、当業者であれば、他の無脊椎動物種、非−双翅目および非−鱗翅目RXRホモログが出願人らの遺伝子発現システムで働くことであろうことを予測することができる。
【実施例6】
【0278】
本実施例は、本発明によるEcR/無脊椎動物RXR−ベースの遺伝子発現変調システムを含む宿主細胞の構築を記載する。GAL4:CfEcR−DEF/VP16:LmUSP−EF(実施例1に記載するごとく調製したスイッチ1.18)を発現する安定な細胞を作成するために、出願人らは、ハイブリッドGAL4:CfEcR−DEFおよびVP16:LmUSP−EFポリペプチドをコードする遺伝子発現カセットを、安定にトランスフェクトされたレポータープラスミドpFRLucを含むチャイニーズハムスター卵巣CHO細胞にトランスフェクトした。簡単に述べれば、CHO細胞が60−80%密集に到達すると、それを回収し、各々、10%胎児ウシ血清を含有する2.5、1.0または0.5mlの増殖培地中、250,000、100,000または50,000細胞にて6−または12−または24−ウェルプレートで平板培養した。翌日、細胞を増殖培地ですすぎ、4時間トランスフェクトした。LipofectAMINE(商標)2000(Life Technologies Inc.)は、これらの細胞のための最良のトランスフェクション試薬であることが判明した。12−ウェルプレートでは、4μlのLipofectAMINE(商標)2000を100μlの増殖培地と混合した。1.0μgのレポーター構築体および0.25μgの各受容体構築体GAL4:CfEcR−DEFおよびVP16:LmUSP−EFをトランスフェクションミックスに添加した。第2のレポーター構築体を添加し(0.1μg/トランスフェクションミックス)、これは、チミジンキナーゼ(TK)構成的プロモーターに作動可能に連結し、その制御下に置かれたRenillaルシフェラーゼ遺伝子を含んでなり、標準化に用いた。トランスフェクションミックスの内容物を攪拌ミキサーで混合し、室温で30分間放置した。インキュベーションの最後に、トランスフェクションミックスを、400μlの増殖倍地中に維持した細胞に添加した。細胞を37℃および5%COに4時間維持した。インキュベーションの最後に、20%FBS、およびDMSO(対照)または適当なリガンドのDMSO溶液いずれかを含有する500μlの増殖培地を添加し、細胞を37℃および5%COに24−48時間維持した。細胞を回収し、レポーター活性をアッセイした。全ての試薬を6ウェルプレートでは倍にし、24−ウェルプレートでは半分まで低下させた以外は、同一手法を6および24ウェルプレートで同様に行った。
【0279】
0、1、5または25μMのPonAステロイドリガンドまたはGS(商標)−E非−ステロイドリガンドの存在下で、トランスフェクトされたCHO細胞を48時間増殖させた。細胞を回収し、溶解させ、レポーター活性を測定した。全フライルシフェラーゼ相対光単位(RLU)が提示される。バーの頂部の数は、各処理についての最大誘導倍数に対応する。細胞のバルク集団を、抗生物質ネオマイシンに対する抵抗性につき選択した(VP16:LmUSP/VP16:RXR構築体は、組み込まれたネオマイシン抵抗性遺伝子を有する)。各集団からのいくつかのクローンをエンドポイント希釈によって単離した。安定にトランスフェクトされたGAL4:CfEcR−DEF/VP16:LmUSP−EF細胞の3つのクローンを分析した(図10、クローン1A2、2つの他のクローンに対するデータは示さず)。
【0280】
分析された3つのクローンのうち、GAL4:CfEcR−DEF/VP16:LmUSP−EF安定クローン1A2は、非−ステロイドリガンドの存在下では最高の誘導倍数(162倍)、およびステロイドPonAの存在下で42倍の誘導倍数を呈した(図10参照)。
【実施例7】
【0281】
本実施例は、本発明のEcR/無脊椎動物RXR遺伝子発現変調システムの他の態様の開発を記載する。具体的には、出願人らは、本発明の遺伝子発現変調システムで用いるLexA DNA結合ドメイン(DBD)ベースの−EcR/無脊椎動物RXR遺伝子スイッチを構築した。この態様は、GAL4DBD−ベースのスイッチに対する代替スイッチとして有用であり得、また、複数スイッチ様式で用いることができる。LexA DBDが酵母および植物発現システムで用いられてきたのに対し、出願人らは、哺乳動物適用におけるその使用に気づいていない。
【0282】
簡単に述べれば、CfEcR−CDEFドメイン(配列番号:45)に融合したLexA DNA結合ドメイン(配列番号:35)を含む遺伝子発現カセットを実施例1に記載したごとく調製した。LexA:CfEcR−CDEF遺伝子発現カセットが、VP16:MmRXRα−EF、VP16:CfUSP−EF、VP16:DmUSP−EF、またはVP16:LmUSP−EF遺伝子発現カセット、ならびに8XLexAオペレーター(LexA応答エレメントの4コピー、配列番号:42)、最小プロモーター(合成E1b最小プロモーター配列番号:48)、およびルシフェラーゼ遺伝子(配列番号:49)を含むレポーター構築体(8opFRLuc)と共にマウスNIH3T3細胞にトランスフェクトされた。0、0.1、1、5、10および50μMのGS(商標)−E非−ステロイドリガンドまたはPonAステロイドリガンドの存在下にて、トランスフェクトされた細胞を前記したごとく48時間培養した。細胞を回収し、溶解し、レポーター活性を測定し、全相対光単位(RLU)を図11に提示する。各バーの頂部の数は各処理の最大誘導倍数に対応する。
【0283】
LexA:CfEcR−DEF構築体は、調べた全てのパートナーと共にこれらの哺乳動物細胞でよく機能した(図11参照)。誘導倍数は、出願人らのGAL4システムで観察されたものに匹敵する(図4参照)。8opFRLucレポーター(対照)は、これらの細胞において非常に低い活性を示した。図11に掲げた結果は、LexA DNA結合ドメインが出願人らの2−ハイブリッドシステムでよく機能することを示し、これは、DNA結合ドメインがこれらの遺伝子発現カセットにおいてポータブルであることを示す。
【実施例8】
【0284】
本実施例は、本発明のEcR/無脊椎動物RXR遺伝子発現変調システムの他の態様の開発を記載する。具体的には、出願人らは、トランス活性化ドメインとしてB42酸性アクチベータードメインを含む本発明の遺伝子変調システムで用いる遺伝子発現カセットを構築した。B42酸性アクチベータードメイン(「B42AD」、Gyurisら(1993)Cell 75:791−803)は酵母においてトランスアクチベーターとしてよく働き、出願人らが今回示したように、哺乳動物細胞においてよく働く。B42酸性アクチベータードメインは、VP16トランス活性化ドメインの代替物として本発明の遺伝子発現カセットで用いることができる。
【0285】
簡単に述べれば、出願人らは、実施例1に記載するごとく、LmUSP−EFドメイン(配列番号:9)をコードするポリヌクレオチドに融合したB42AD(配列番号:39)をコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子発現カセットを構築した。GAL4:CfEcR−CDEFまたはLexA:CfEcR−CDEF遺伝子発現カセットいずれかと協同して、このB42AD:LmUSP−EF遺伝子発現カセットを、マウスNIH3T3細胞で評価し、VP16:LmUSP−EF−ベースのスイッチと比較した。全ての遺伝子発現カセットは実施例1に記載するごとく調製した。適当なレポーター構築体をNIH3T3細胞にトランスフェクトした。0、0.1、1、5、10および50μMのGS(商標)−E非−ステロイドリガンドの存在下でトランスフェクトした細胞を前記したごとく48時間培養した。レポーター活性を合計RLUとしてプロットする(図12参照)。バーの頂部の数は、その組合せにつき観察された最大誘導倍数に対応する。
【0286】
結果は、B42酸性活性化ドメインが出願人らの2−ハイブリッドシステムにおけるVP16トランス活性化ドメインと同様によく働くことを示し、これは、トランス活性化ドメインもまたこれらの遺伝子発現カセットにおいてポータブルであることを示す。
【実施例9】
【0287】
本実施例は、本発明のEcR/無脊椎動物RXR−ベースの誘導性遺伝子発現変調システムを含む宿主細胞への第2のリガンドの導入の効果を示す。特に、出願人らは、非−ステロイド(GSE)の存在下における、48時間での、NIH3T3細胞における、pFRLucと共にGAL4CfEcR−DEF/VP16LmUSP−EF(スイッチ1.18)遺伝子スイッチのトランス活性化ポテンシャルにおける9−シス−レチノイン酸の効果を測定した。
【0288】
簡単に述べれば、GAL4CfEcR−DEF、pFRLucおよびVP16LmUSP−EFをNIH3T3細胞にトランスフェクトし、トランスフェクトされた細胞を0、0.04、0.2、1、5および25μMの非−ステロイドリガンド(GSE)および0、1、5および25μMの9−シス−レチノイン酸(Sigma Chemical Company)で処理した。リガンド添加から48時間後、レポーター活性を測定した。
【0289】
図13に示すごとく、レチノイン酸の存在は非−ステロイドリガンドに対するCfEcR−DEFの感受性を増加させた。1μM以下の非−ステロイドリガンド濃度においては、9−シス−レチノイン酸の不存在下では非常に小さな誘導しかないが、非−ステロイドに加えて1μMの9−シス−レチノイン酸を添加した場合、誘導は大いに増加する。
【図面の簡単な説明】
【0290】
【図1】図1は、GAL4CfEcRCDEF、pFRLucおよびpTKRLプラスミドDNAと共にNIH3T3細胞にトランスフェクトされたVP16MmRXRDEF、VP16MmRXREF、VP16LmUSPおよびVP16CfUSP構築体を介するレポーター遺伝子の、非−ステロイドリガンドによるトランス活性化を示す。
【図2】図2は、GAL4CfEcRDEF、pFRLucおよびpTKRLプラスミドDNAと共にNIH3T3細胞にトランスフェクトされたVP16MmRXRDEF、VP16MmRXREF、VP16LmUSPおよびVP16CfUSP構築体を介するレポーター遺伝子の、非−ステロイドリガンドによるトランス活性化を示す。
【図3A】図3Aは、6つの脊椎動物RXR(図3A)のEFドメインのアミノ酸配列のアラインメントを示す。ヘリックス1−12はH1−H12で示し、βプリーツシートはS1およびS2で示す。FはFドメインジャンクションを示す。
【図3B】図3Bは、6つの無脊椎動物RXR(図3B)のEFドメインのアミノ酸配列のアラインメントを示す。ヘリックス1−12はH1−H12で示し、βプリーツシートはS1およびS2で示す。FはFドメインジャンクションを示す。
【図4】図4は、非−ステロイドリガンドまたはPonAリガンドの存在下における、VP16MmRXRDEF、pFRLucおよびpTKRLプラスミドDNAと共にNIH3T3細胞にトランスフェクトされたCfEcRの種々のトランケーション、GAL4CfEcRA/BCDEF、GAL4CfEcRCDEF、GAL4CfEcR1/2CDEF、GAL4CfEcRDEF、GAL4CfEcREF、GAL4CfEcRDEの発現データを示す。
【図5】図5は、非−ステロイドリガンドまたはPonAリガンドの存在下における、VP16MmRXREF、pFRLucおよびpTKRLプラスミドDNAと共にNIH3T3細胞にトランスフェクトされたCfEcRの種々のトランケーション、GAL4CfEcRA/BCDEF、GAL4CfEcRCDEF、GAL4CfEcR1/2CDEF、GAL4CfEcRDEF、GAL4CfEcREF、GAL4CfEcRDEの発現データを示す。
【図6】図6は、非−ステロイドリガンドまたはPonAリガンドの存在下における、VP16LmUSPDEF、pFRLucおよびpTKRLプラスミドDNAと共にNIH3T3細胞にトランスフェクトされたCfEcRの種々のトランケーション、GAL4CfEcRA/BCDEF、GAL4CfEcRCDEF、GAL4CfEcR1/2CDEF、GAL4CfEcRDEF、GAL4CfEcREF、GAL4CfEcRDEの発現データを示す。
【図7】図7は、非−ステロイドリガンドまたはPonAリガンドの存在下における、VP16LmUSPEF、pFRLucおよびpTKRLプラスミドDNAと共にNIH3T3細胞にトランスフェクトされたCfEcRの種々のトランケーション、GAL4CfEcRA/BCDEF、GAL4CfEcRCDEF、GAL4CfEcR1/2CDEF、GAL4CfEcRDEF、GAL4CfEcREF、GAL4CfEcRDEの発現データを示す。
【図8】図8は、非−ステロイドリガンドまたはPonAリガンドの存在下における、GAL4CfEcRDEF、pFRLucおよびpTKRLプラスミドDNAと共にNIH3T3細胞にトランスフェクトされた種々のトランケートされたMmRXR/LmUSP受容体構築体の発現データを示す。
【図9】図9は、非−ステロイド(GSE)リガンドまたはPonAリガンドの存在下における、NIH3T3細胞での、GAL4/CfEcR−DEFおよびpFRLucと共に、VP16に融合されたCfUSP−EF、DmUSP−EF、LmUSP−EF、MmRXRα−EF、AmaRXR1−EFおよびAmaRXR2−EFリガンド結合ドメインの発現データを示す。
【図10】図10は、非−ステロイドリガンドまたはPonAリガンドの存在下における、レポータープラスミドpFRLucを含む安定にトランスフェクトされたCHO細胞におけるGAL4:CfEcR−DEF/VP16:LmUSP−EFの発現データを示す。
【図11】図11は、非−ステロイドリガンドまたはPonAリガンドの存在下における、8XLexAopFRLucおよびVP16:CFUSP−EF、VP16:LmUSP−EF、VP16:MmRXRα−EFまたはVP16:DmUSP−EFと共にNIH3T3細胞にトランスフェクトされたLexA:CfEcR−CDEF受容体構築体の発現データを示す。
【図12】図12は、非−ステロイドリガンド存在下において、NIH3T3細胞をGAL4:CfEcR−CDEFまたはLexA:CfEcR−CDEF、8XLexAopFRLucおよびVP16:LmUSP−EFまたはB42:LmUSP−EFの異なる組合せでトランスフェクトした結果を示す。
【図13】図13は、非−ステロイド(GSE)および9−シス−レチノイン酸(9Cis)の存在下における48時間での、NIH3T3細胞におけるpFRLucによるGAL4CfEcR−DEF/VP16LmUSP−EF遺伝子スイッチのトランス活性化能力に対する9−シス−レチノイン酸の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)i)その発現が変調されるべき遺伝子と関連した応答エレメントを認識するDNA−結合ドメイン;および
ii)エクジソン受容体リガンド結合ドメイン
を含む第1のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、宿主細胞で発現させることができる第1の遺伝子発現カセット;および
b)i)トランス活性化ドメイン;および
ii)無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン
を含む第2のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、宿主細胞で発現させることができる第2の遺伝子発現カセット
を含む遺伝子発現変調システム。
【請求項2】
さらに、
i)第1のハイブリッドポリペプチドのDNA−結合ドメインによって認識される応答エレメント;
ii)第2のハイブリッドポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター;および
iii)その発現を変調させるべき遺伝子
を含む第3の遺伝子発現カセットを含む請求項1記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項3】
第1のハイブリッドポリペプチドのエクジソン受容体リガンド結合ドメイン(LBD)が、ハマキガ Choristoneura fumiferana EcR(「CfEcR」)LBD、甲虫 Tenebrio molitor EcR(「TmEcR」)LBD、Manduca sexta EcR(「MsEcR」)LBD、Heliothies virescens EcR(「HvEcR」)LBD、ユスリカ Chironomus tentans EcR(「CtEcR」)LBD、カイコガ Bombyx mori EcR(「BmEcR」)LBD、ミバエ Drosophila melanogaster EcR(「DmEcR」)LBD、カ Aedes aegypti EcR(「AaEcR」)LBD、クロバエ Lucilia capitata(「LcEcR」)LBD、クロバエ Lucilia cuprina EcR(「LucEcR」)LBD、地中海ミバエ Ceratitis capitata EcR(「CcEcR」)LBD、バッタ Locusta migratoria EcR(「LmEcR」)LBD、アブラムシ Myzus persicae EcR(「MpEcR」)LBD、シオマネキ Celuca pugilator EcR(「CpEcR」)LBD、マダニ Amblyomma americanum EcR(「AmaEcR」)LBD、コナジラミ Bamecia argentifoli EcR(「BaEcR」)LBD、およびヨコバイ Nephotetix cincticeps EcR(「NcEcR」)LBDよりなる群から選択される請求項1記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項4】
第1のハイブリッドポリペプチドのエクジソン受容体リガンド結合ドメインが、配列番号:1、配列番号:53および配列番号:45よりなる群から選択される核酸配列によってコードされる請求項1記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項5】
第1のハイブリッドポリペプチドのエクジソン受容体リガンド結合ドメインが、配列番号:5、配列番号:43および配列番号:59よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項1記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項6】
第2のハイブリッドポリペプチドの無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインが、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:20よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる請求項1記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項7】
第2のハイブリッドポリペプチドの無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインが、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項1記載の遺伝子発現変調システム
【請求項8】
第1の遺伝子発現カセットが、GAL4 DNA−結合ドメインおよびLexA DNA−結合ドメインよりなる群から選択されるDNA−結合ドメイン、ならびにエクジソン受容体リガンド結合ドメインを含む第1のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項1記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項9】
第2の遺伝子発現カセットが、VP16トランス活性化ドメインおよびB42酸性アクチベータートランス活性化ドメインよりなる群から選択されるトランス活性化ドメイン、ならびに無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含む第2のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項1記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項10】
第2の遺伝子発現カセットが、VP16AD(配列番号:37)およびB42 AD(配列番号:39)よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるトランス活性化ドメイン、ならびに配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:20よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含む第2のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項1記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項11】
第2の遺伝子発現カセットが、VP16 AD(配列番号:38)およびB42 AD(配列番号:40)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むトランス活性化ドメイン、ならびに配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含む第2のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項1記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項12】
a)i)その発現を変調すべき遺伝子と関連した応答エレメントを認識するDNA−結合ドメイン;および
ii)無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン
を含む第1のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、宿主細胞で発現させることができる第1の遺伝子発現カセット;および
b)i)トランス活性化ドメイン;および
ii)エクジソン受容体リガンド結合ドメイン
を含む第2のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、宿主細胞で発現させることができる第2の遺伝子発現カセット
を含む遺伝子発現変調システム。
【請求項13】
さらに、
i)第1のハイブリッドポリペプチドのDNA−結合ドメインによって認識される応答エレメント;
ii)第2のハイブリッドポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター;および
iii)その発現を変調すべき遺伝子
を含む第3の遺伝子発現カセットを含む請求項12記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項14】
第1のハイブリッドポリペプチドの無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインが、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:20よりなる群より選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる請求項12記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項15】
第1のハイブリッドポリペプチドの無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインが、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項12記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項16】
第2のハイブリッドポリペプチドのエクジソン受容体リガンド結合ドメインが、ハマキガ Choristoneura fumiferana EcR(「CfEcR」)LBD、甲虫 Tenebrio molitor EcR(「TmEcR」)LBD、Manduca sexta EcR(「MsEcR」)LBD、Heliothies virescens EcR(「HvEcR」)LBD、ユスリカ Chironomus tentans EcR(「CtEcR」)LBD、カイコガ Bombyx mori EcR(「BmEcR」)LBD、ミバエ Drosophila melanogaster EcR(「DmEcR」)LBD、カ Aedes aegypti EcR(「AaEcR」)LBD、クロバエ Lucilia capitata(「LcEcR」)LBD、クロバエ Lucilia cuprina EcR(「LucEcR」)LBD、地中海ミバエ Ceratitis capitata EcR(「CcEcR」)LBD、バッタ Locusta migratoria EcR(「LmEcR」)LBD、アブラムシ Myzus persicae EcR(「MpEcR」)LBD、シオマネキ Celuca pugilator EcR(「CpEcR」)LBD、マダニ Amblyomma americanum EcR(「AmaEcR」)LBD、コナジラミ Bamecia argentifoli EcR(「BaEcR」)LBD、およびヨコバイ Nephotetix cincticeps EcR(「NcEcR」)LBDよりなる群から選択される請求項12記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項17】
第2のハイブリッドポリペプチドのエクジソン受容体リガンド結合ドメインが、配列番号:1、配列番号:53および配列番号:45よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる請求項12記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項18】
第2のハイブリッドポリペプチドのエクジソン受容体リガンド結合ドメインが、配列番号:5、配列番号:43および配列番号:59よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項12記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項19】
第1の遺伝子発現カセットが、GAL4 DNA−結合ドメインおよびLexA DNA−結合ドメインよりなる群から選択されるDNA−結合ドメイン、ならびに無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含む第1のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項12記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項20】
第1の遺伝子発現カセットが、GAL4 DBD(配列番号:33)またはLexA DBD(配列番号:35)よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるDNA−結合ドメイン、ならびに配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:20よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含む第1のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項12記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項21】
第1の遺伝子発現カセットが、GAL4 DBD(配列番号:34)およびLexA DBD(配列番号:36)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むDNA−結合ドメイン、ならびに配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含む第1のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項12記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項22】
第2の遺伝子発現カセットが、VP16トランス活性化ドメインおよびB42酸性アクチベータトランス活性化ドメインよりなる群から選択されるトランス活性化ドメイン、ならびにエクジソン受容体リガンド結合ドメインを含む第2のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項12記載の遺伝子発現変調システム。
【請求項23】
DNA−結合ドメインおよび無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、ここに、該DNA結合ドメインが無脊椎動物レチノイドX受容体以外の核受容体からのものであることを特徴とする遺伝子発現カセット。
【請求項24】
該DNA−結合ドメインがGAL4 DNA−結合ドメインまたはLexA DNA−結合ドメインである請求項23記載の遺伝子発現カセット。
【請求項25】
該遺伝子発現カセットが、GAL4 DBD(配列番号:33)およびLexA DBD(配列番号:35)よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるDNA−結合ドメイン、ならびに配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:20よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項23記載の遺伝子発現カセット。
【請求項26】
該遺伝子発現カセットが、GAL4 DBD(配列番号:34)およびLexA DBD(配列番号:36)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むDNA−結合ドメイン、ならびに配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項23記載の遺伝子発現カセット。
【請求項27】
トランス活性化ドメインおよび無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、ここに、該トランス活性化ドメインが無脊椎動物レチノイドX受容体以外の核受容体からのものであることを特徴とする遺伝子発現カセット。
【請求項28】
該トランス活性化ドメインがVP16トランス活性化ドメインまたはB42酸性アクチベータートランス活性化ドメインである請求項27記載の遺伝子発現カセット。
【請求項29】
該遺伝子発現カセットが、VP16 AD(配列番号:37)およびB42 AD(配列番号:39)よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるトランス活性化ドメイン、ならびに配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:20よりなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項27記載の遺伝子発現カセット。
【請求項30】
該遺伝子発現カセットが、VP16 AD(配列番号:38)およびB42 AD(配列番号:40)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むトランス活性化ドメイン、ならびに配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む請求項29記載の遺伝子発現カセット。
【請求項31】
トランケーション突然変異を含むトランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインをコードし、ここに、該トランケーション突然変異が当該トランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインのリガンド結合活性を低下させることを特徴とする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項32】
トランケーション突然変異を含むトランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインをコードし、ここに、該トランケーション突然変異が当該トランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインのステロイド結合活性を低下させることを特徴とする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項33】
トランケーション突然変異を含むトランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインをコードし、ここに、該トランケーション突然変異が当該トランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインの非−ステロイド結合活性を低下させることを特徴とする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項34】
トランケーション突然変異を含むトランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインをコードし、ここに、該トランケーション突然変異が当該トランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインのリガンド結合活性を増強させることを特徴とする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項35】
トランケーション突然変異を含むトランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインをコードし、ここに、該トランケーション突然変異が当該トランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインのステロイド結合活性を増強させることを特徴とする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項36】
トランケーション突然変異を含むトランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインをコードし、ここに、該トランケーション突然変異が当該トランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインの非−ステロイド結合活性を増強させることを特徴とする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項37】
トランケーション突然変異を含むトランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインをコードし、ここに、該トランケーション突然変異が当該トランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインのリガンド感受性を増加させることを特徴とする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項38】
トランケーション突然変異を含むトランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインをコードし、ここに、該トランケーション突然変異がヘテロダイマーのリガンド感受性を増加させ、ここに、該ヘテロダイマーが該トランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインおよび二量体化パートナーを含むことを特徴とする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項39】
該二量体化パートナーがエクジソン受容体ポリペプチドである請求項38記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項40】
トランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインをコードし、ここに、当該ポリヌクレオチドが配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号18、配列番号:19、および配列番号:20よりなる群から選択される核酸配列を含むことを特徴とする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項41】
請求項40記載の単離されたポリヌクレオチドによってコードされる単離されたポリペプチド。
【請求項42】
配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31および配列番号:32よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたトランケートされた無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン。
【請求項43】
a)請求項1記載の遺伝子発現変調システムを宿主細胞に導入し;さらに、
b)リガンドを宿主細胞に導入する
工程を含み、
ここに、変調すべき遺伝子が:
i)第1のハイブリッドポリペプチドからのDNA結合ドメインによって認識される応答エレメント;
ii)第2のハイブリッドポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター;および
iii)その発現を変調すべき遺伝子
を含む遺伝子発現カセットの構成要素であり、
それにより、リガンドの宿主細胞への導入に際して、b)iii)の遺伝子の発現が変調されることを特徴とする宿主細胞において遺伝子の発現を変調する方法。
【請求項44】
該リガンドが、式:
【化1】

[式中、Eは第三級炭素を含有する(C−C)アルキルまたは第三級炭素を含有するシアノ(C−C)アルキルであり;
は、H、Me、Et、i−Pr、F、ホルミル、CF、CHF、CHCl、CHF、CHCl、CHOH、CHOMe、CHCN、CN、CCH、1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、OH、OMe、OEt、シクロプロピル、CFCF、CH=CHCN、アリル、アジド、SCNまたはSCHFであり;
はH、Me、Et、n−Pr、i−Pr、ホルミル、CF、CHF、CHCl、CHF、CHCl、CHOH、CHOMe、CHCN、CN、CCH、1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、Ac、F、Cl、OH、OMe、OEt、O−n−Pr、OAc、NMe、NEt、SMe、SEt、SOCF、OCFCFH、COEt、シクロプロピル、CFCF、CH=CHCN、アリル、アジド、OCF、OCHF、O−i−Pr、SCN、SCHF、SOMe、NH−CNであるか、またはR、ならびにRおよびRが結合したフェニル炭素と一緒になって、エチレンジオキシ、フェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロフリル環、もしくはフェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロピリル環を形成し;
はH、Etであるか、またはR、ならびにRおよびRが結合したフェニル炭素と一緒になってエチレンジオキシ、フェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロフリル環、もしくはフェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロピリル環を形成し;
、RおよびRは独立してH、Me、Et、F、Cl、Br、ホルミル、CF、CHF、CHCl、CHF、CHCl、CHOH、CN、CCH、1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、OMe、OEt、SMeまたはSEtである]
の化合物である請求項43記載の方法。
【請求項45】
さらに、第2のリガンドを宿主細胞に導入することを含み、ここに、該第2のリガンドが9−シス−レチノイン酸またはレチノイン酸の合成アナログである請求項43記載の方法。
【請求項46】
a)請求項11記載の遺伝子発現変調システムを宿主細胞に導入し;さらに、
b)リガンドを宿主細胞に導入する
工程を含み
ここに、変調すべき遺伝子が
i)第1のハイブリッドポリペプチドからのDNA結合ドメインによって認識される応答エレメント;
ii)第2のハイブリッドポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター;および
iii)その発現を変調すべき遺伝子
を含む遺伝子発現カセットの構成要素であり
それにより、リガンドの宿主細胞の導入に際して、b)iii)の遺伝子の発現が変調されることを特徴とする、宿主細胞において遺伝子の発現を変調する方法。
【請求項47】
該リガンドが、式:
【化2】

[式中、Eは第三級炭素を含有する(C−C)アルキルまたは第三級炭素を含有するシアノ(C−C)アルキルであり;
は、H、Me、Et、i−Pr、F、ホルミル、CF、CHF、CHCl、CHF、CHCl、CHOH、CHOMe、CHCN、CN、CCH、1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、OH、OMe、OEt、シクロプロピル、CFCF、CH=CHCN、アリル、アジド、SCNまたはSCHFであり;
はH、Me、Et、n−Pr、i−Pr、ホルミル、CF、CHF、CHCl、CHF、CHCl、CHOH、CHOMe、CHCN、CN、CCH、1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、Ac、F、Cl、OH、OMe、OEt、O−n−Pr、OAc、NMe、NEt、SMe、SEt、SOCF、OCFCFH、COEt、シクロプロピル、CFCF、CH=CHCN、アリル、アジド、OCF、OCHF、O−i−Pr、SCN、SCHF、SOMe、NH−CNであるか、またはR、ならびにRおよびRが結合したフェニル炭素と一緒になって、エチレンジオキシ、フェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロフリル環、もしくはフェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロピリル環を形成し;
はH、Etであるか、またはR、ならびにRおよびRが結合したフェニル炭素と一緒になってエチレンジオキシ、フェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロフリル環、もしくはフェニル炭素に隣接する酸素を持つジヒドロピリル環を形成し;
、RおよびRは独立してH、Me、Et、F、Cl、Br、ホルミル、CF、CHF、CHCl、CHF、CHCl、CHOH、CN、CCH、1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、OMe、OEt、SMeまたはSEtである]
の化合物である請求項46記載の方法。
【請求項48】
さらに、第2のリガンドを宿主細胞に導入することを含み、ここに、該第2のリガンドが9−シス−レチノイン酸またはレチノイン酸の合成アナログである請求項46記載の方法。
【請求項49】
請求項1記載の遺伝子発現変調システムを含む単離された宿主細胞。
【請求項50】
該宿主細胞が細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、動物細胞および哺乳動物細胞よりなる群から選択される請求項49記載の単離された宿主細胞。
【請求項51】
該哺乳動物細胞がマウス細胞またはヒト細胞である請求項50記載の単離された宿主細胞。
【請求項52】
請求項12記載の遺伝子発現変調システムを含む単離された宿主細胞。
【請求項53】
該宿主細胞が細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、動物細胞および哺乳動物細胞よりなる群から選択される請求項52記載の単離された宿主細胞。
【請求項54】
哺乳動物細胞がマウス細胞またはヒト細胞である請求項53記載の単離された宿主細胞。
【請求項55】
請求項52記載の宿主細胞を含む非−ヒト生物。
【請求項56】
該非−ヒト生物が細菌、真菌、酵母、動物および哺乳動物よりなる群から選択される請求項55記載の非−ヒト生物。
【請求項57】
該哺乳動物が、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヤギ、ブタ、ウマ、ヒツジ、サルおよびチンパンジーよりなる群から選択される請求項56記載の非−ヒト生物。
【請求項58】
請求項52記載の宿主細胞を含む非−ヒト生物。
【請求項59】
該非−ヒト生物が細菌、真菌、酵母、動物および哺乳動物よりなる群から選択される請求項58記載の非−ヒト生物。
【請求項60】
該哺乳動物がマウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヤギ、ブタ、ウマ、ヒツジ、サルおよびチンパンジーよりなる群から選択される請求項59記載の非−ヒト生物。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−131259(P2009−131259A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304207(P2008−304207)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【分割の表示】特願2002−566320(P2002−566320)の分割
【原出願日】平成14年2月20日(2002.2.20)
【出願人】(506119062)イントレクソン・コーポレイション (8)
【氏名又は名称原語表記】Intrexon Corporation
【Fターム(参考)】