説明

新規エストロゲン受容体リガンド

本発明は、式(I)の化合物、またはそのエステル、もしくはアミドの塩、およびそのエステル、アミド、もしくは塩の溶媒和物を含めた、医薬として許容可能なそのエステル、アミド、溶媒和物もしくは塩を提供する。本発明は、エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害に関連する状態の治療または予防における、そのような化合物の使用も提供し、式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、本明細書に定義した通りである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エストロゲン受容体リガンドであり、好ましくはエストロゲン受容体βイソ型に対して選択的である化合物、そのような化合物の調製方法、およびエストロゲン受容体に関係する疾患、例えば、抑うつ障害、不安障害、アルツハイマー病、認知障害、骨粗鬆症、血中トリグリセリドレベル上昇、アテローム性動脈硬化、子宮内膜症、尿失禁、自己免疫疾患、ならびに肺、大腸、乳房、子宮および前立腺の癌などの治療における、そのような化合物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エストロゲン受容体(ER)は、遺伝子発現の上方および下方制御に関与するリガンド活性化哺乳動物転写因子である。エストロゲン受容体に関する天然ホルモンは、β−17−エストラジオール(E2)および密接に関係した代謝産物である。エストロゲン受容体へのエストラジオールの結合により、受容体の二量体化が生じ、次にこの二量体は、DNA上のエストロゲン応答エレメント(ERE)に結合する。ER/DNA複合体は、EREより下流のDNAをmRNAへ転写に関与する他の転写因子を動員し、mRNAは最終的にタンパク質に翻訳される。あるいは、ERのDNAとの相互作用は、他の転写因子、最も顕著にはfosとjunの媒介を通して間接的となり得る。数多くの遺伝子の発現は、エストロゲン受容体によって制御され、エストロゲン受容体は、多くの細胞型において発現されるので、天然ホルモン、または合成ERリガンドのいずれかの結合を介したエストロゲン受容体の調節は、生物体の生理および病態生理に対して大きな影響を及ぼす場合がある。
【0003】
歴史的には、ただ1種のエストロゲン受容体が存在すると考えられてきた。しかし、第2の亜型(ER−β)が発見された。「古典的な」ER−αと、つい最近発見されたER−βの両方は、様々な組織中に広く分布しているが、これらは、顕著に異なる細胞型および組織分布を示す。したがって、ER−αまたはER−β選択的のいずれかである合成リガンドは、望ましくない副作用のリスクを低減すると同時に、エストロゲンの有益な効果を維持することができる。
【0004】
エストロゲンは、メスの性的発育に重要である。さらに、エストロゲンは、骨密度の維持、血中脂質レベルの制御において重要な役割を果たし、神経保護効果も有するように思われる。したがって、閉経後の女性におけるエストロゲン産生の減少は、いくつかの疾患、例えば、骨粗鬆症、アテローム性動脈硬化、抑うつおよび認知障害などに関連している。反対に、乳癌および子宮癌などのある特定の種類の増殖性疾患ならびに子宮内膜症は、エストロゲンによって刺激され、したがって、抗エストロゲン剤(すなわち、エストロゲンアンタゴニスト)は、これらの種類の障害の予防および治療において有用性を有する。
【0005】
様々な形態の抑うつ病の治療に対する、天然エストロゲンである17β−エストラジオールの効力も実証されており、エストロゲンの抗うつ活性は、トリプトファンヒドロキシラーゼ活性の制御、および引き続くセロトニン合成によって媒介され得ることが示された(例えば、Lu N Z、Shlaes T A、Cundlah C、Dziennis S E、Lyle R E、Bethea C L、「Ovarian steroid action on tryptophan hydroxylase protein and serotonin compared to localization of ovarian steroid receptors in midbrain of guinea pigs.」Endocrine 11:257〜267、1999参照)。天然エストロゲンの多面的性質は、乳房、子宮および卵巣組織への増殖効果のリスクの増大のため、その普及した、より長期的な使用を妨げる。エストロゲン受容体、ERβの同定により、ERαによって媒介される増殖効果の非存在下で、所望の抗うつ活性を有する、より選択的なエストロゲン剤を同定するための手段が提供された。したがって、ERβ選択性を有する治療剤は、抑うつの治療において潜在的に有効であることが示された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当技術分野で必要とされるものは、負の副作用を伴うことなく、エストロゲン代償療法と同じ正の応答を生じさせることができる化合物である。身体の様々な組織に対して、選択的効果を発揮するエストロゲン様化合物も必要とされている。
【0007】
US2003/0220377には、エストロゲンアゴニストおよびアンタゴニスト、ならびにエストロゲンによって媒介される障害の治療におけるこれらの潜在的な用途として有用である、ある特定のインドール化合物が開示されている。JP2001−122855には、骨粗鬆症の治療において有用となり得るエストロゲン受容体βに対して選択的に作用するある特定のインドール化合物が開示されている。
【0008】
本発明の化合物は、エストロゲン受容体のためのリガンドであり、それ自体は、エストロゲン機能に関係する様々な状態の治療または予防に有用となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式(I)の化合物またはそのエステル、もしくはアミドの塩、およびそのエステル、アミド、もしくは塩の溶媒和物を含めた、医薬として許容可能なそのエステル、アミド、溶媒和物もしくは塩を提供し、
【化1】

式中、Rは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、OR、N(R、−C(O)C1〜4アルキル、−SO1〜4アルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、トリハロC1〜6アルキル、ハロC2〜6アルケニル、ジハロC2〜6アルケニル、トリハロC2〜6アルケニル、シアノC1〜6アルキル、C1〜4アルコキシC1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、フェニル、ベンジル、および5〜10員のヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニル、ベンジルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、1〜3個の置換基で置換されていることができ、それぞれの置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−C(O)C1〜4アルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立に選択され、
は、シアノ、ニトロ、N(OH)、−CHO、−CH=N−OH、1〜3個のハロゲンで場合により置換された−C(O)C1〜4アルキル、−SO1〜4アルキル、−C(O)NH−OH、−C(NH)=N−OH、−C(COH)=N−OH、−C(NH)=NH、−C(NH)=N−NH、−NH−C(NH)=NH、−NH−C(O)NH、−N=C(−NH−CHCH−NH−)、−S−CN、−S−C(NH)=NH、−S−C(NH)=N−OH、−COH、−CH(OH)COH、−C(O)N(R、−SO1〜6アルキル、SON(R、−C(O)−C(O)−NH、−CHNH−CONH、−SOOR、−C(O)COH、−CHSOH、および5〜10員のヘテロシクリルからなる群から選択され、前記ヘテロシクリル基は、非置換であるか、1〜3個の置換基で置換されていることができ、それぞれの置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立に選択され、
、R、R、R、R、R、RおよびR10のそれぞれは、水素、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立に選択され、
それぞれのRは、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、フェニル、ベンジルおよび5〜10員のヘテロシクリルからなる群から独立に選択され、それぞれは1〜3個のハロゲン原子で場合により置換されており、
それぞれのRは、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、フェニル、ベンジルおよび5〜10員のヘテロシクリルからなる群から独立に選択され、それぞれは1〜3個のハロゲン原子で場合により置換されており、
それぞれのRは、水素およびC1〜6アルキルからなる群から独立に選択される。
【0010】
本発明の化合物は、エストロゲン受容体のリガンドであることが驚いたことに判明した。したがってこの化合物は、エストロゲン受容体活性に関連する状態の治療または予防において使用される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の化合物は、キラル(不斉)中心を含有することができ、または分子全体がキラルとなり得る。個々の立体異性体(鏡像異性体およびジアステレオ異性体)およびこれらの混合物は、本発明の範囲内にある。
【0012】
本発明のある特定の化合物はオキシム基を含有し、これは、(E)または(Z)オキシム異性体として存在することができる。個々の(E)および(Z)オキシム異性体、ならびにこれらの混合物は、本発明の範囲内である。本明細書全体にわたって、オキシム構造が波線の結合で示されている場合、これは、単一の異性体が存在するが、立体配置は未知であること、または両異性体の混合物が存在することを示す。
【0013】
本発明は、エストロゲン受容体リガンドである化合物を提供する。本明細書で使用される場合、用語「エストロゲン受容体リガンド」は、エストロゲン受容体に結合する任意の部分を網羅することが意図されている。このリガンドは、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、または部分アンタゴニストとして作用することができる。このリガンドは、ERβ選択的となることができ、または混合したERαとERβの活性を示すことができる。例えば、このリガンドは、ERβのアゴニストまたは部分アゴニスト、およびERαのアンタゴニストまたは部分アンタゴニストの両方として作用することができる。本発明の化合物は、ERβ選択的アゴニズムを示すエストロゲン受容体リガンドであることが好ましい。
【0014】
がヘテロシクリル基を表す場合、この基は飽和していても、不飽和であってもよく、1つまたは複数のO、Nおよび/またはS原子を含有することができる。これは5または6員であることが好ましい。好適な一実施形態では、これは、6員、または特に5員であり、好ましくは、不飽和、特に芳香族である。適当なヘテロシクリル基として、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピリジル、モルホリニル、およびピペリジルが挙げられ、チエニル、イソチアゾル、および特にイソオキサゾリルが特に好ましい。ヘテロシクリル基に対する好ましい置換基は、1〜3個、例えば、1個または2個の置換基を含み、それぞれの置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、−C(O)C1〜4アルキル、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、ハロC1〜4アルキル、ジハロC1〜4アルキルおよびトリハロC1〜4アルキルからなる群から選択される。特に好ましい置換基は、ハロゲン、シアノ、C1〜4アルキル(特にメチル)、−C(O)C1〜4アルキル、およびOR(Rは、好ましくは水素原子またはC1〜4アルキル基を表す)から選択される。さらに特に好ましい置換基は、ハロゲン、シアノ、およびC1〜4アルキル(特にメチルまたはエチル)から選択される。したがって、好適な一実施形態では、Rは、2個のメチル基によって置換された上述した基のうちの1つ、例えば、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、2,4−ジメチル−チエン−3−イル、または3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イルである。
【0015】
フェニル基Rに対する好ましい置換基には、ヘテロシクリル基Rについて上述したものが含まれる。
【0016】
がヘテロシクリル基を表す場合、この基は例えば、Rについて上述した好ましい基のうちの1つとすることができる。
【0017】
別段の記載のない限り、それぞれのRは、水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜6シクロアルキル、フェニル、およびベンジルからなる群から独立に選択されることが好ましい。それぞれのRは、水素またはC1〜4アルキル、特にメチルを独立に表すことが好ましい。
【0018】
別段の記載のない限り、それぞれのRは、水素およびC1〜4アルキル、特にメチルからなる群から独立に選択されることが好ましい。
【0019】
別段の記載のない限り、それぞれのRは、水素およびC1〜4アルキル、特にメチルからなる群から独立に選択されることが好ましい。一実施形態では、それぞれのRは、水素を表す。
【0020】
は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、フェニル、または5〜10員のヘテロシクリルからなる群から選択されることが好ましく、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、上記のように非置換であるか、置換されていることができる。より好ましくは、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、フェニル、または5〜10員のヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、1〜2個の置換基で置換されていることができ、それぞれの置換基は、シアノまたはC1〜6アルキルから独立に選択される。最も好ましくは、Rは、フェニルまたは5〜6員のヘテロシクリル基を表し、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、1〜2個の置換基で置換されており、前記1個または複数個の置換基は、C1〜6アルキルである。さらに好適な実施形態では、Rは、フェニルまたは5員のヘテロシクリル基を表し、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、2個の置換基で置換されており、前記置換基はメチルである。例えば、Rは、2,5−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、2,4−ジメチル−チエン−3−イル、または3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イルとすることができる。
【0021】
本発明の一実施形態では、Rは、シアノ、−CHO、−CH=N−OH、−C(O)NH−OH、−C(NH)=N−OH、−C(COH)=N−OH、−C(NH)=NH、−C(NH)=N−NH、−NH−C(NH)=NH、−NH−C(O)NH、−S−CN、−S−C(NH)=NH、−S−C(NH)=N−OH、−COH、−CH(OH)COH、−C(O)N(R、SON(R、−C(O)−C(O)−NH、−CHNH−CONH、−SO1〜6アルキル、−SOOR、−C(O)COH、−CHSOH、および5〜6員のヘテロシクリルからなる群から選択され、前記ヘテロシクリル基は、非置換であるか、1〜3個の置換基で置換されていることができ、
それぞれの置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立に選択される。本発明の好適な実施形態では、Rは、シアノ、−CH=N−OH、−C(O)N(R、−C(NH)=N−OH、SON(R、−SO1〜6アルキル、−SOORC、または非置換であるか、1〜3個の置換基で置換されている5〜6員のヘテロシクリル基を表し、それぞれの置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立に選択される。より好ましくは、Rは、シアノ、−CH=N−OH、−C(O)N(R、−C(NH)=N−OH、SON(R、−SO1〜4アルキル、および−SOORからなる群から選択される。
【0022】
本発明の代替の実施形態では、Rは、シアノ、ニトロ、N(OH)、−CHO、1〜3個のハロゲンで場合により置換された−C(O)C1〜4アルキル、−SO1〜4アルキル、−C(O)NH−OH、−C(NH)=N−OH、−C(COH)=N−OH、−C(NH)=NH、−C(NH)=N−NH、−NH−C(NH)=NH、−NH−C(O)NH、−N=C(−NH−CHCH−NH−)、−S−CN、−S−C(NH)=NH、−S−C(NH)=N−OH、−COH、−CH(OH)COH、−C(O)N(R、−SO1−6アルキル、−C(O)−C(O)−NH、−CHNH−CONH、−SOOR、−C(O)COH、−CHSOH、および5〜10員のヘテロシクリルからなる群から選択され、前記ヘテロシクリル基は、非置換であるか、1〜3個の置換基で置換されていることができ、それぞれの置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立に選択される。この実施形態では、Rは、好ましくは、シアノ、−C(O)N(R、−C(NH)=N−OH、−SO1〜6アルキル、−SOOR、または非置換であるか、1〜3個の置換基で置換されている5〜6員のヘテロシクリル基を表し、それぞれの置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立に選択される。より好ましくは、この実施形態では、Rは、シアノ、−C(O)N(R、−C(NH)=N−OH、−SO1〜4アルキル、および−SOORからなる群から選択される。
【0023】
好ましくは、Rは、−C(NH)=N−OHまたは−C(O)N(R、特に−C(NH)=N−OHまたはC(O)NH、特に−C(NH)=N−OHから選択される。
【0024】
、R、R、R、R、R、RおよびR10のうちのそれぞれは、水素、OR、ハロゲン、シアノ、C1〜4アルキル、例えば、メチル、ハロC1〜4アルキル、例えば、クロロ−またはフルオロ−メチル、ジハロC1〜4アルキル、例えば、ジクロロ−またはジフルオロメチル、およびトリハロC1〜4アルキル、例えば、トリクロロ−またはトリフルオロメチルからなる群から選択されることが好ましい。R、R、R、R、R、R、RおよびR10のうちのそれぞれは、水素、OH、ハロゲン、シアノ、メチル、またはトリフルオロメチルからなる群から選択されることが好ましい。R、R、R、R、R、R、RおよびR10のうちのそれぞれは、水素および/またはハロゲン、特に塩素または、特にフッ素を独立に表すことが最も好ましい。特に好適な実施形態では、R、R、R、およびRのうちのそれぞれは、水素を表す。さらに好適な実施形態では、R、R、R、およびR10のうちのそれぞれは、水素を表し、R、R、R、およびR10のうちの1つまたは2つは、ハロゲン、特にフッ素を表し、R、R、R、およびR10のうちの残りは、水素を表す。
【0025】
式(I)の化合物には、それだけに限らないが、本明細書の実施例において具体的に命名された化合物が含まれる。
【0026】
式(I)のさらなる化合物には、それだけに限らないが、以下の化合物、すなわち、
2−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(2,5−ジメチルピロリジン−1−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(ピロリジン−1−イル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
5−クロロ−2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H
−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(5−フルオロ−2,4−ジメチルフラン−3−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(5−クロロ−2,4−ジメチルフラン−3−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(1,3−ジメチル−1H−ピロール−2−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(1,4−ジメチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(5−フルオロ−2,4−ジメチルフラン−3−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド;
2−(5−クロロ−2,4−ジメチルフラン−3−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド;
2−(1,3−ジメチル−1H−ピロール−2−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド;
2−(1,4−ジメチル−1H−イミダゾール−5−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド;
2−(2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド;
または医薬として許容可能なそのエステルもしくはアミドの塩、および医薬として許容可能なそのエステル、アミド、もしくは塩の溶媒和物を含めた、医薬として許容可能なそのエステル、アミド、溶媒和物、もしくは塩が含まれる。
【0027】
上記に挙げた化合物においておよび実施例において、化合物名は、ACD Labs 8.0/名称プログラム、バージョン8.05によるIUPAC、ならびに/またはISIS DRAW Autonom2000、および/もしくはChemBioDraw Ultraバージョン11.0に従って作成した。
【0028】
式Iの化合物中に存在する置換基に応じて、化合物は、エステル、アミド、カルバメートおよび/または塩を形成することができる。医薬において使用するのに適した、式(I)の化合物の塩および溶媒和物は、対イオンまたは関連する溶媒が医薬として許容可能であるものである。しかし、医薬として許容可能でない対イオンまたは関連する溶媒を有する塩および溶媒和物も、例えば、式(I)の化合物ならびにその医薬として許容可能な塩、溶媒和物、および生理的機能性誘導体の調製における中間体として使用するために、本発明の範囲内にある。用語「生理的機能性誘導体」とは、例えば、体内で式(I)の遊離化合物に転換可能であることによって、式(I)の遊離化合物と同じ生理的機能を有する、式(I)の化合物の化学誘導体を意味する。エステル、アミド、およびカルバメートが、生理的機能性誘導体の例である。
【0029】
本発明による適当な塩には、有機または無機の酸または塩基で形成されるものが含まれる。特に、本発明による、酸で形成される適当な塩として、鉱酸、非置換であるか、例えば、ハロゲンによって置換されている1から4個の炭素原子のアルカンカルボン酸などの強有機カルボン酸、飽和もしくは不飽和ジカルボン酸など、ヒドロキシカルボン酸など、アミノ酸など、または非置換であるか、例えば、ハロゲンによって置換されている(C〜C)−アルキル−もしくはアリール−スルホン酸などの有機スルホン酸で形成されるものが挙げられる。医薬として許容可能な酸付加塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フタル酸、アスパラギン酸、およびグルタミン酸、リシンおよびアルギニンから形成されるものが挙げられる。それ自体は医薬として許容可能ではないが、シュウ酸などの他の酸も、本発明の化合物およびその医薬の許容可能な酸付加塩を得ることにおいて、中間体として有用となり得る
【0030】
医薬として許容可能な塩基塩として、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、カリウムおよびナトリウムの塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムおよびマグネシウムの塩、ならびに有機塩基、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルコミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ−、ジ−、トリ−低級アルキルアミン、例えば、エチル−、tert−ブチル−、ジエチル−、ジイソプロピル−、トリエチル−、トリブチル−もしくはジメチル−プロピルアミン、またはモノ−、ジ−、もしくはトリヒドロキシ低級アルキルアミン、例えば、モノ−、ジ−、もしくはトリエタノールアミンとの塩が挙げられる。対応する内部塩をさらに形成することができる。
【0031】
式(I)の化合物は、エステル、アミド、またはカルバメートに転換される適切な基を有することができる。したがって式Iの化合物中の酸性基から形成される一般的なエステルおよびアミド基には、−COOR、−CONR、−SOOR、または−SON(Rが含まれる一方で、式Iの化合物中の−OHまたは−NHR基から形成される、一般的なエステルおよびアミドおよびカルバメート基には、−OC(O)R、−NRC(O)R、−NRCO−OSO、および−NRSOが含まれ、Rは、上記に示した意味のうちの1つを有する。
【0032】
有機化学の当業者は、多くの有機化合物は、これらが反応する、またはこれらが沈殿または結晶化する溶媒と複合体を形成することができることを理解するであろう。これらの複合体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られている。
【0033】
レシピエントに投与すると、上述した式(I)の化合物、またはその活性な代謝産物、もしくは残基に転換されることができる化合物は、「プロドラッグ」として知られている。プロドラッグは、例えば、血中での加水分解によって体内で転換されて、医療効果を有する活性形態になることができる。医薬の許容可能なプロドラッグは、T.HiguchiおよびV.Stella、Prodrugs as Novel Delivery Systems、A.C.S.Symposium Series(1976)の14巻(1976);「Design of Prodrugs」H.Bundgaard編、Elsevier、1985;ならびにEdward B.Roche編、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれている。
【0034】
以下の定義は、特定の場合において別に制限されていない限り、本明細書全体にわたって使用される用語に適用する。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖および分岐鎖の両方の飽和炭化水素基を意味する。アルキル基の例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、ペンチルおよびヘキシル基が挙げられる。非分岐アルキル基の中では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、およびn−ペンチル基が好ましい。分岐アルキル基の中では、イソプロピル、t−ブチル、i−ブチル、1−エチルプロピルおよび1−エチルブチル基を挙げることができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」は、基O−アルキルを意味し、「アルキル」は、上述した通りに使用される。アルコキシ基の例として、メトキシおよびエトキシ基が挙げられる。他の例として、プロポキシおよびブトキシが挙げられる。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素炭素二重結合を有する、直鎖および分岐鎖の両方の不飽和炭化水素基を意味する。アルケニル基の例として、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルが挙げられる。好ましいアルケニル基として、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニルおよびブタ−2−エニルが挙げられる。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素炭素三重結合を有する、直鎖および分岐鎖の両方の不飽和炭化水素基を意味する。アルキニル基の例として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルが挙げられる。好ましいアルキニル基として、エチニル、1−プロピニルおよび2−プロピニルが挙げられる。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、環系における飽和基を意味する。シクロアルキル基は、単環式または二環式とすることができる。二環式の基は、例えば、縮合または架橋することができる。単環式シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルが挙げられる。単環式シクロアルキル基の他の例は、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルである。二環式シクロアルキル基の例には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルが含まれる。シクロアルキル基は、単環式であることが好ましい。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、単環式または二環式の芳香族炭素環基を意味する。アリール基の例として、フェニルおよびナフチルが挙げられる。ナフチル基は、1位または2位を通じて結合することができる。二環式芳香族基では、環のうちの1つは、例えば、部分的に飽和していることができる。そのような基の例として、インダニルおよびテトラヒドロナフチルが挙げられる。特に、用語C5〜10アリールは、単環式または二環式芳香族基において5から10個の炭素原子を含む基を意味するために、本明細書で使用される。特に好ましいC5〜10アリール基はフェニルである。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素および臭素が特に好ましい。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「ハロアルキル」は、ハロゲン置換基を有するアルキル基を意味し、用語「アルキル」および「ハロゲン」は、上記に概説した意味を有すると理解される。同様に、用語「ジハロアルキル」は、2個のハロゲン置換基を有するアルキル基を意味し、用語「トリハロアルキル」は、3個のハロゲン置換基を有するアルキル基を意味する。ハロアルキル基の例として、フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、フルオロメチル、フルオロプロピルおよびフルオロブチル基が挙げられ、ジハロアルキル基の例として、ジフルオロメチルおよびジフルオロエチル基が挙げられ、トリイハロアルキル(triihaloalkyl)基の例として、トリフルオロメチルおよびトリフルオロエチル基が挙げられる。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロシクリル」は、1から3個の炭素原子が、窒素、酸素または硫黄から独立に選択される、1個または複数個のヘテロ原子によって置換されている、芳香族または非芳香族の炭素原子の環式基を意味する。ヘテロシクリル基は、例えば、単環式または二環式とすることができる。二環式ヘテロシクリル基では、各環、または環のうちの1つのみに1個または複数個のヘテロ原子が存在することができる。ヘテロ原子は、例えばOまたはNであってもよい。適当な窒素原子を含有するヘテロシクリル基には、対応するN−オキシドが含まれる。
【0044】
単環式の非芳香族へテロシクリル基(単環式へテロシクロアルキル環とも呼ばれる)の例として、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニルおよびアゼパニルが挙げられる。
【0045】
環のうちの1つが非芳香族である、二環式ヘテロシクリル基の例として、ジヒドロベンゾフラニル、インダニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリルおよびベンゾアゼパニルが挙げられる。
【0046】
単環式の芳香族へテロシクリル基(単環式ヘテロアリール基とも呼ばれる)の例として、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、トリアゾリル、トリアジニル、ピリダジル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリルおよびピリミジニルが挙げられる。
【0047】
二環式の芳香族ヘテロシクリル基(二環式ヘテロアリール基とも呼ばれる)の例として、キノキサリニル、キナゾリニル、ピリドピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ナフチリジニル、キノリニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル[4,5−b]ピリジイル、ピリドピリミジニル、イソキノリニルおよびベンゾドロキサゾールが挙げられる。
【0048】
好ましいヘテロシクリル基の例として、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピリジル、ピリミジニルおよびインドリルが挙げられる。好ましいヘテロシクリル基には、チエニル、チアゾリル、フラニル、ピラゾリル、ピロリル、イソキサゾリルおよびイミダゾリルも含まれる。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキルアルキル」は、アルキル基を通じて結合した基シクロアルキル−アルキル−を意味し、「シクロアルキル」および「アルキル」は、上記に概説した意味を有すると理解される。
【0050】
上述したように、本発明の化合物は、エストロゲン受容体リガンドとしての活性を有する。本発明の化合物は、エストロゲン受容体モジュレーターとしての活性を有し、エストロゲン受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、または部分アンタゴニストとなり得る。本発明の特に好ましい化合物は、ERβのアゴニストまたは部分アゴニストとしての活性を有する。この種類の好ましい化合物は、エストロゲン受容体β(ERβ)の選択的アゴニストである。
【0051】
したがって、本発明の化合物は、エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害の治療において使用することができる。特に、エストロゲン受容体のアゴニストまたは部分アゴニストである本発明の化合物は、エストロゲン受容体の選択的アゴニストまたは部分アゴニストが適応される疾患または障害の治療において使用することができる。エストロゲン受容体のアンタゴニストまたは部分アンタゴニストである本発明の化合物は、エストロゲン受容体の選択的アンタゴニストまたは部分アンタゴニストが適応される疾患または障害の治療において使用することができる。
【0052】
アゴニストまたは部分アゴニストが適応される臨床状態として、それだけに限らないが、骨減少、骨折、骨粗鬆症、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫疾患、のぼせ、LDLコレステロールレベル上昇、心血管疾患、認知機能障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、抑うつ、自己免疫疾患、炎症、IBD、IBS、性機能障害、高血圧症、網膜変性、ならびに肺癌、大腸癌、乳癌、子宮癌、および前立腺癌、ならびに/またはエストロゲン機能に関係する障害が挙げられる。
【0053】
本発明の化合物は、以下のもの、すなわち、骨減少、骨折、骨粗鬆症、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫疾患、のぼせ、LDLコレステロールレベル上昇、心血管疾患、認知機能障害、年齢関連性軽度認知障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、抑うつ、閉経期うつ病、産後抑うつ、月経前症候群、躁うつ病、認知症、強迫的行動、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、睡眠障害、被刺激性、衝動性、アンガーマネジメント、聴覚障害、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄損傷、脳卒中、自己免疫疾患、炎症、IBD、IBS、性機能障害、高血圧、網膜変性症、肺癌、大腸癌、乳癌、子宮癌、前立腺癌、および胆管癌(cholangiocarcinoma)と命名された胆管癌(bile duct cancer)の治療または予防において特定の用途を見出す。本発明の化合物はまた、以下のもの、すなわち、良性前立腺肥大症、下部尿路症状、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症状、膣萎縮、創傷治癒、慢性疼痛、敗血症、炎症性疼痛および神経因性疼痛、卵巣癌、黒色腫、ならびにリンパ腫(B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫)の治療または予防において特定の用途を見出す。
【0054】
血管運動症状を誘発することが知られている薬剤と組み合わせて、本発明の化合物は、以下、すなわち、SERMによって誘発される血管運動症状を軽減するために、乳癌の治療のためのその使用におけるタモキシフェン、ならびに骨粗鬆症の治療および/または予防のために使用されるラロキシフェンなどのSERMと組み合わせて;アロマターゼ阻害剤によって誘発される血管運動症状を軽減するために、乳癌または子宮内膜症を治療するのに使用されるアロマターゼ阻害剤と組み合わせて;アンドロゲン遮断療法を受けた男性の前立腺癌患者において、有用性を見出す。
【0055】
本発明の一実施形態では、本化合物は、抑うつ、閉経期うつ病、産後抑うつ、月経前症候群、および躁うつ病の治療または予防において特定の用途を見出す。
【0056】
男性におけるのぼせ(hot flash)(または顔面紅潮(hot flush))の治療または予防は、前立腺癌を治療するためにアンドロゲン除去をした患者にとって好ましい。
【0057】
語句「抑うつ」として、それだけに限らないが、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、気分循環性障害、一般的な医学的状態による気分障害、物質誘発性気分障害、季節性情動障害(SAD)、産後抑うつ、および月経前不快気分障害が挙げられる。
【0058】
本発明は、エストロゲン受容体によって媒介される、哺乳動物における状態の治療または予防方法も提供し、これは、治療有効量の、本発明による化合物を、哺乳動物に投与するステップを含む。本発明の方法によって治療することができる、エストロゲン受容体によって媒介される臨床状態は、好ましくは上述したものである。
【0059】
本発明は、エストロゲン受容体によって媒介される状態の治療または予防用薬物の製造のための、本発明による化合物の使用も提供する。本発明の方法によって治療することができる、エストロゲン受容体によって媒介される臨床状態は、好ましくは上述したものである。
【0060】
治療効果を達成するのに必要とされる活性成分の量は、もちろん、特定の化合物、投与経路、種類、種、年齢、体重、性別を含めた、治療下にある対象、対象の医学的状態、ならびに対象の腎機能および肝機能、ならびに治療中の特定の障害または疾患、ならびにその重症度によって変動することになる。通常に熟練した医師、獣医、または臨床医は、状態の進行を防止する、進行に対抗する、または進行を停止するのに必要とされる薬剤の有効量を容易に決定し、処方することができる。示した効果のために使用される場合、本発明の経口投与量は、成人について、1日当たり、体重1kg当たり約0.01mg(mg/kg/日)から約100mg/kg/日、好ましくは、1日当たり、体重1kg当たり0.01mg(mg/kg/日)から10mg/kg/日、最も好ましくは、0.1から5.0mg/kg/日の間の範囲となる。
【0061】
経口投与については、組成物は、治療される患者への投与量の対症調整(symptomatic adjustment)のために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、および500ミリグラムの活性成分を含有する別個の単位で提供される、錠剤の形態、または他の提示形態で提供されることが好ましい。薬物は、約0.01mgから約500mgの活性成分、好ましくは約1mgから約100mgの活性成分を一般に含有する。静脈内投与では、最も好ましい用量は、一定速度の注入の間で、約0.1から約10mg/kg/分の範囲となる。有利には、本発明の化合物は、単回の1日量で投与することができ、または全1日投与量は、1日に2、3または4回の分割用量で投与することができる。さらに、本発明の好ましい化合物は、適当な鼻腔内ビヒクルの局所使用、または当業者に周知の経皮皮膚パッチの形態を使用する、経皮経路によって、鼻腔内形態で投与することができる。経皮送達系の形態で投与されるためには、投与量投与は、もちろん、投与計画全体を通して、断続的ではなく、連続的となる。
【0062】
活性成分を単独で投与することが可能であるが、活性成分は、医薬製剤または医薬組成物中に存在することが好ましい。したがって、本発明は、本発明による化合物、および医薬として許容可能な希釈剤、賦形剤、または担体(本明細書では、まとめて「担体」材料と呼ばれる)を含む医薬製剤を提供する。本発明の医薬組成物は、以下に説明される医薬製剤の形態をとることができる。
【0063】
本発明による医薬製剤には、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内[ボーラスまたは注入]、および関節内を含めて)、吸入(様々な種類の定量加圧エアロゾルによって生成することができる微粒子ダストまたはミストを含めて)、噴霧器または注入器、直腸、腹腔内および局所(皮膚、頬側、舌下、および眼内を含めて)の投与に適したものが含まれるが、最も適当な経路は、例えば、レシピエントの状態および障害に依存し得る。
【0064】
製剤は、適宜単位剤形として存在することができ、薬学の技術分野で周知の任意の方法によって調製することができる。すべての方法は、活性成分を、1つまたは複数の副成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体、または微粉固体担体、またはその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要な場合、生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。
【0065】
経口投与に適した本発明の製剤は、別個の単位、例えば、カプセル、カシェ剤、ピル、または錠剤として提供することができ、それぞれは、所定量の活性成分を、粉末もしくは顆粒として、水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液、例えば、エリキシル剤、チンキ、懸濁液もしくはシロップとして、または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして含有する。活性成分は、巨丸剤、舐剤またはペーストとしても提供することができる。
【0066】
錠剤は、場合により1つまたは複数の副成分とともに、圧縮または成形によって作製することができる。圧縮錠剤は、場合により、結合剤、滑剤(lubricant)、不活性希釈剤、滑剤(lubricating agent)、界面活性剤または分散剤と混合した、易流動性形態、例えば粉末または顆粒などとしての活性成分を、適当な装置中で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を、適当な装置中で成形することによって作製することができる。錠剤は、場合によりコーティングする、または切れ目を入れることができ、錠剤中の活性成分が緩徐放出または徐放されるように製剤化することができる。本化合物は、例えば、即時放出または持続放出に適した形態で投与することができる。即時放出または持続放出は、本化合物を含む適当な医薬組成物の使用、または特に、持続放出の場合、皮下インプラントもしくは浸透圧ポンプなどのデバイスの使用によって達成することができる。本化合物は、リポソームで投与することもできる。
【0067】
経口投与用の例示的組成物として、例えば、バルクを与えるための微結晶性セルロース、懸濁剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、粘性エンハンサーとしてのメチルセルロース、および当技術分野で既知のものなどの甘味剤または香味剤を含有することができる懸濁液、ならびに例えば、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ソルビトール、グルコースおよび/またはラクトース、および/または当技術分野で既知のものなどの他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、滑剤を含有することができる即時放出錠剤が挙げられる。適当な結合剤として、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはβ−ラクトースなどの天然糖、コーン甘味料、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。崩壊剤として、制限することなく、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。式(I)の化合物は、舌下および/または頬側投与による口腔を通じて送達することもできる。成形錠剤、圧縮錠剤、または凍結乾燥錠剤は、使用することができる例示的な形態である。例示的な組成物には、本化合物(複数も)を、速溶性希釈剤、例えば、マンニトール、ラクトース、スクロースおよび/またはシクロデキストリンなどと製剤化しているものが含まれる。高分子量賦形剤、例えば、セルロース(アビセル)またはポリエチレングリコール(PEG)などもそのような製剤に含めることができる。そのような製剤は、粘膜付着を助長するための賦形剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(SCMC)、無水マレイン酸コポリマー(例えば、Gantrez)など、およびポリアクリル酸コポリマー(例えば、Carbopol 934)などの放出を制御するための作用剤も含むことができる。滑剤、流動促進剤、香料、着色剤および安定剤も、製造および使用を容易にするために加えることができる。これらの剤形に使用される滑剤として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。液体形態での経口投与については、経口薬剤成分は、任意の経口、無毒性の医薬として許容可能な不活性担体、例えば、エタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。
【0068】
本発明の化合物は、リポソーム送達システム、例えば、小単層小胞、大単層小胞および多層小胞などの形態でも投与することができる。リポソームは、様々なリン脂質、1,2−ジパルミトイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン(セファリン)、またはホスファチジルコリン(レシチン)から形成することができる。
【0069】
非経口投与用の製剤には、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質を含有することができる、水性および非水性滅菌注射溶液、ならびに懸濁剤および増粘剤を含むことができる、水性および非水性滅菌懸濁液が含まれる。製剤は、単位用量または多回用量の容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルで提供することができ、使用直前に、滅菌液体担体、例えば、生理食塩水または注射用水を加えるだけが必要な、凍結乾燥(freeze−dried(lyophilsed))状態で貯蔵することができる。即席の注射溶液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および以前に説明した種類の錠剤から調製することができる。非経口投与用の例示的な組成物には、注射用溶液または懸濁液が含まれ、これらは、例えば、適当な無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒、例えば、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンガー液、等張塩化ナトリウム溶液など、あるいは合成モノグリセリドもしくはジグリセリド、およびオレイン酸を含めた脂肪酸、またはCremaphorを含めた他の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を含有することができる。
【0070】
経鼻、エアロゾルまたは吸入投与用の例示的な組成物には、生理食塩水溶液が含まれ、これは、例えば、ベンジルアルコール、または他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティーを高めるための吸収促進剤、および/または当技術分野で既知のものなどの他の可溶化剤もしくは分散剤を含有することができる。
【0071】
直腸投与用の製剤は、通常の担体、例えば、カカオバター、合成グリセリドエステル、またはポリエチレングリコールなどを含む坐剤として提供することができる。そのような担体は、常温で一般に固体であるが、直腸腔内で液化および/または溶解して薬剤を放出する。
【0072】
口内、例えば頬側または舌下での局所投与用の製剤には、スクロース、およびアカシアまたはトラガカントなどの風味付けされた基剤中に活性成分を含むロゼンジ、ならびにゼラチン、およびグリセリンまたはスクロース、およびアカシアなどの基剤中に活性成分を含む香錠が含まれる。局所投与用の例示的な組成物には、Plastibase(ポリエチレンでゲル化した鉱油)などの局所担体が含まれる。
【0073】
好ましい単位剤形(unit dosage formulation)は、先に述べたような有効用量、またはその適切な一部の活性成分を含有するものである。
【0074】
特に上述した成分に加えて、本発明の製剤は、当該の製剤の種類を考慮して、当技術分野で通常の他の作用剤を含むことができ、例えば、経口投与に適したものは、香味剤を含むことができることを理解するべきである。
【0075】
本発明の化合物は、薬物中の唯一の活性成分として使用することができるが、この化合物を、1つまたは複数の追加の活性剤と組み合わせて使用することも可能である。そのような追加の活性剤は、本発明による追加の化合物とすることができ、あるいはこれらは、異なる治療剤、例えば、抗うつ剤、抗不安薬、抗精神病薬、骨粗鬆症の予防もしくは治療に有用な薬剤、癌の予防もしくは治療に有用な薬剤、または他の医薬として活性な物質とすることができる。例えば、本発明の化合物は、有効量の他の薬剤、例えば、抗うつ剤、抗不安薬、抗精神病薬、有機ビスホスホネート、またはカテプシンK阻害剤などと組み合わせて有効に投与することができる。好適な一実施形態では、本発明の化合物は、有効量の抗うつ剤と組み合わせて有効に投与することができる。抗うつ剤の限定しない例として、ノルアドレナリン再取込み阻害剤(NRI)、選択的セロトニン再取込み阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、三環系抗うつ剤(TCA)、ドーパミン再取込み阻害剤(DRI)、オピオイド、選択的セレトニン再取込みエンハンサー(seretonic reuptake enhancer)、四環系抗うつ剤、モノアミンオキシダーゼの可逆阻害剤、メラトニンアゴニスト、セロトニンおよびノルアドレナリン再取込み阻害剤(SNRI)、コルチコトロピン放出因子アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、5HT1α受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、リチウムおよび異型抗精神病薬が挙げられる。SSRIの分類の抗うつ剤の例には、フルオキセチンおよびセルトラリンが含まれ、SNRIの分類の抗うつ剤の例は、ベンラファキシン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、フルボキサミンであり、SNRIの分類の抗うつ剤の例には、デュロキセチンが含まれ、DRIおよびNRIの分類の抗うつ剤の例には、ブプロピオンが含まれ、TCAの分類の抗うつ剤の例には、アミトリプチリンおよびドチエピン(ドスレピン)が含まれる。異型抗精神病薬の例として、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドンおよびドーパミン部分アゴニストが挙げられる。抗不安薬の限定しない例には、ベンゾジアゼピンおよび非ベンゾジアザピン(non−benzodiazapine)が含まれる。ベンゾジアザピンの例として、ロラゼパム、アルプラゾラム、およびジアゼパムが挙げられる。非ベンゾジアザピンの例には、ブスピロン(Buspar(登録商標))、バルビツレートおよびメプロバメートが含まれる。これらの追加の抗うつ剤の1つまたは複数を、組み合わせて使用することができる。
【0076】
抗癌剤の例には、乳癌の治療において使用される、タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害剤が含まれる。
【0077】
のぼせが特定の治療によって誘発される場合、本発明の化合物は、そのような治療の薬剤とともに併用療法で使用することができる。そのような併用療法の非限定例として、乳癌のタモキシフェン治療と組み合わせた本発明の化合物、乳癌のアロマターゼ阻害剤治療と組み合わせた本発明の化合物、または骨粗鬆症のラロキシフェン治療と組み合わせた本発明の化合物が挙げられる。
【0078】
上記有機ビスホスホネートの限定しない例として、アデンドロネート(adendronate)、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、リセドロネート、ピリドロネート、パミドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、医薬として許容可能なそれらの塩またはエステル、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい有機ビスホスホネートには、アレンドロネート、ならびに医薬として許容可能なその塩および混合物が含まれる。アレンドロネート一ナトリウム三水和物が最も好ましい。
【0079】
ビスホスホネートの正確な投与量は、投与スケジュール、選択した特定のビスホスホネートの経口効力(oral potency)、哺乳動物またはヒトの年齢、サイズ、性別、および状態、治療される障害の性質および重症度、ならびに他の関連する医学的および身体的要因とともに変動することになる。したがって、正確な医薬有効量は、前もって特定することはできないが、介護者または臨床医によって容易に求めることができる。適切な量は、動物モデルおよびヒトの臨床研究から、日常的な実験によって求めることができる。一般に、ビスホスホネートの適切な量は、骨吸収疎外作用を得るように選択され、すなわち、ビスホンスホナート(bisphonsphonate)の骨吸収阻害量が投与される。ヒトについては、ビスホスホネートの有効経口用量は、一般に、体重1kg当たり約1.5から約6000μgであり、体重1kg当たり約10から約2000μgが好ましい。
【0080】
アレンドロネート、医薬として許容可能なその塩、または医薬として許容可能なその誘導体を含むヒトの経口組成物については、単位投与量は、一般に、アレンドロン酸活性重量に基づいて、すなわち、対応する酸に基づいて、約8.75mgから約140mgのアレンドロネート化合物を含む。
【0081】
本発明の化合物は、エストロゲン媒介状態を治療するのに有用な他の薬剤と組み合わせて使用することができる。そのような組合せの個々の成分は、治療過程の間、異なる時間に別々に投与するか、または分割もしくは単一の組合せ形態で同時に投与することができる。したがって、本発明は、同時治療または交互治療のすべてのそのような投与法を包含すると理解され、用語「投与すること」は、それに応じて解釈される。本発明の化合物の、エストロゲン媒介状態を治療するのに有用な他の薬剤との組合せの範囲は、原理的には、エストロゲン機能に関係する障害を治療するのに有用な任意の医薬組成物との任意の組合せを含むことが理解されよう。
【0082】
本発明の化合物と組み合わせて使用される場合、上記の他の治療剤は、例えば、医師用卓上参考書(PDR)に示された量、またはさもなければ当業者によって決定される量で使用することができる。
【0083】
本発明の化合物が、同時または逐次的に、1つまたは複数の治療剤と組み合わせて利用される場合、以下の組合せの比および投与量の範囲が好ましい。
【0084】
抗うつ剤、抗不安薬、抗精神病薬、有機ビスホスホネートまたはカテプシンK阻害剤と組み合わされる場合、式(I)の化合物は、約10:1から約1:10の範囲内の、追加の薬剤との重量比で使用することができる。
【0085】
上述した本発明の化合物は、エストロゲン受容体の機能不全に関連する状態の診断用診断薬として、場合により、標識された形態でも使用される。例えば、そのような化合物は、放射能標識することができる。
【0086】
場合により標識された形態での、上述した本発明の化合物は、エストロゲン受容体の他のアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニストまたは部分アンタゴニストの発見方法において、参照化合物としても使用される。したがって、本発明は、エストロゲン受容体のリガンドの発見方法を提供し、これは、参照化合物としての、本発明の化合物、または標識された形態での本発明の化合物の使用を含む。例えば、そのような方法は、競合的結合実験を伴うことができ、この実験において、本発明の化合物の、エストロゲン受容体への結合は、エストロゲン受容体結合特性、例えば、当該の本発明の化合物よりも強いエストロゲン受容体結合特性を有する、追加の化合物の存在によって低減される。
【0087】
本発明の化合物への多数の合成経路は、任意の当業者によって考案することができ、以下に説明される可能な合成経路により、本発明は限定されない。インドールの合成についての文献、例えば、Indoles Part One、W.J.Houlihan(編)、1972;Indoles、Sundberg,R.J.、1996;Heterocyclic Chemistry、Joule,J.A.;Mills,K.2000;Chem.Rev.、2005、105、2873〜2920;Org.Lett.2006、8、5919〜5922;Bioorg.Med.Chem.Lett.、2007、17、902〜906;US2003/0220377;JP2001−122855;およびChem.Pharm.Bull.、2007、55(2)、328〜333において、多くの方法が存在する。いくつかの可能な合成経路を以下に概略的に示す。適切な場合、本発明による任意の最初に生成される化合物は、既知の方法によって、本発明による別の化合物に転換することができる。
【0088】
一般的な方法I
以下の一般的な方法を、Rがシアノ、−C(NH)=NOH、または−C(O)NHである式(I)の化合物を調製するのに使用することができる。
【化2】

【0089】
上記反応スキームに示した一般的な方法Iを、以下の実施例1、2、3、5、7、10〜12、および16〜23の合成のために使用した。これらの実施例の最終化合物の合成のために適用可能な一般的な方法の個々のステップの完全な実験的詳細を、実施例1〜3に示す。
【0090】
一般的な方法II
以下の一般的な方法を、Rが−SON(Rである式(I)の化合物を調製するのに使用することができる。
【化3】

【0091】
上記反応スキームに示した一般的な方法IIを、以下の実施例4および6の合成のために使用した。これらの実施例の最終化合物の合成のために適用可能な一般的な方法の個々のステップの完全な実験的詳細を、実施例4に示す。
【0092】
一般的な方法III
以下の一般的な方法を、RがCHOまたは−CH=NOHである式(I)の化合物を調製するのに使用することができる。
【化4】

【0093】
上記反応スキームに示した一般的な方法IIIを、実施例5の合成のために使用した。この実施例の最終化合物の合成のために適用可能な一般的な方法の個々のステップの完全な実験的詳細を、実施例5に示す。
【0094】
一般的な方法IV
以下の一般的な方法を、Rが−C(O)NH(R)である式(I)の化合物を調製するのに使用することができる。
【化5】

【0095】
上記反応スキームに示した一般的な方法IVを、実施例8、9、13、14、および15の合成のために使用した。これらの実施例の最終化合物の合成のために適用可能な一般的な方法の個々のステップの完全な実験的詳細を、実施例8に示す。
【0096】
一般的な方法V
以下の一般的な方法を、Rがシアノ、−C(NH)=NOH、または−C(O)NHである式(I)の化合物を調製するのに使用することができる。
【化6】

【0097】
上記反応スキームに示した一般的な方法Vを、実施例24および25の合成のために使用した。これらの実施例の最終化合物の合成のために適用可能な一般的な方法の個々のステップの完全な実験的詳細を、実施例24および25に示す。
以下の実施例は、本発明を例示する。
【実施例】
【0098】
[実施例1]
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリル
【化7】

【0099】
ステップ(a):3−ブロモ−1−(フェニルスルホニル)−1H−インドール(500mg、1.49mmol)および5mol%のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを、9mlの脱気したDME中で混合した。混合物を窒素下で5分間撹拌し、次いで85℃に加熱した。4−メトキシフェニルボロン酸(1.2eq)を3mlのDME中に溶解させ、5.95mlの炭酸水素ナトリウム(1M)を、85℃で5分にわたって液滴で同時に加えた。この反応物を85℃で10分間撹拌し、次いで室温に冷却した。DMEを濃縮し、水を加え、残りの水性混合物をDCMで抽出した。合わせた有機層を濃縮し、粗生成物を、溶離液としてEtOAc/n−ヘプタン(1:9〜2:8)を使用してシリカで精製した。363mgの3−(4−メトキシフェニル)−1−(フェニルスルホニル)−1H−インドールを白色結晶として得た。
【0100】
ステップ(b):3−(4−メトキシフェニル)−1−(フェニルスルホニル)−1H−インドール(200mg、0.55mmol)および15eqの炭酸カリウムを、窒素下で40mlのMeOH中に溶解させた。この混合物を16時間加熱還流し、室温に冷却し、次いで濃縮して乾燥させた。DCMおよびブラインを加え、この混合物を2MのHClを用いて酸性化した(pH2〜4)。水層をDCMで抽出し、合わせた有機層を濃縮した。粗生成物をシリカ(EtOAc/n−ヘプタン、1:1)で精製した。121.1mgの3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドールを白色固体として得た。
【0101】
ステップ(c):3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドールを4mlのDCM中に溶解させた。NBS(0.9eq)を、2分にわたって少量ずつ加えた。溶媒を濃縮し、粗生成物を、HPLC(MeCN/HOの勾配)を使用して精製した。103.3mgの2−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドールを白色固体として得た。
【0102】
ステップ(d):2−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール(93mg、0.31mmol)、3mol%のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、および3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イルボロン酸(3eq)を、窒素下で1.5mlの脱気したDME中で混合した。1.24mlの炭酸水素ナトリウム(1M)を、5分にわたって液滴で加えた。得られた混合物を90℃で45分間撹拌し、次いで室温に冷却した。溶媒を窒素流下で蒸発させ、残留物をDCM中に溶解させた。シリカの短いプラグを通して濾過することにより粗生成物を得、これをシリカ(EtOAc/n−ヘプタン 1:9〜3:7)で再び精製した。40.5mgの4−(3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾールを、黄色固体として得た。
【0103】
ステップ(e):4−(3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾール(37mg、0.12mmol)および2,2−ビス−(4−シアナトフェニル)プロパン(0.6eq)をバイアル中で混合した。1.8mlのDMSOおよびEtN(3eq)を加え、この混合物を電子レンジ内で、120℃で加熱した。2,2−ビス−(4−シアナトフェニル)プロパン(5.7eq)およびEtN(40eq)を加え、この混合物を電子レンジ内で、150℃で25分間加熱した。ブラインを加え、水層をEtOAc 6×で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物をDCM中に溶解させ、脱脂綿を通して濾過し、シリカ(EtOAc/n−ヘプタン 1:9〜2:8)で精製した。25.7mgの2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリルを黄色がかった固体として得た。
【0104】
ステップ(f):2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリルを3mlのDCM中に溶解させ、この混合物を−50℃に冷却した。BBr(5eq)を加え、この反応物を−50℃で4.5時間、次いで−20℃で16時間撹拌した。この混合物を−78℃に冷却し、MeOH(90μl)を加え、その後水を加えた。水層をDCM 3×で抽出し、合わせた有機層を濃縮した。粗生成物をシリカ(EtOAc/n−ヘプタン 2:8〜3:7)で精製した。4.9mgの2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリルを白色固体として得た。ES/MS m/z: 330.2 (M+H), 328.3 (M-H); 1H NMR (CDCl3, 500MHz): 7.75 (m, 1H), 7.67 (m, 1H), 7.51 (m, 1H), 7.41 (m, 1H), 7.20 (m, 2H), 6.88 (m, 2H), 2.28 (s, 3H)および2.05 (s, 3H).
【0105】
[実施例2および3]
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド(E2)
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド(E3)
【化8】

【0106】
1mlの乾燥MeOHを、窒素下で2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリル(実施例1、4.5mg、0.01mmol)に加え、その後10eqのヒドロキシルアミン塩酸塩を加えた。10eqのNaOMeを加え、この混合物を4時間撹拌した。溶媒を濃縮し、粗生成物を、溶離液としてCHCl/MeOH(97:3〜96:4)を使用してシリカで精製した。2.10mgの2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド(E2)ES/MS m/z: 363.5 (M+H), 361.6 (M-H); 1H NMR (MeOD, 500MHz): 7.65 (m 1H), 7.60 (m, 1H), 7.29 (m, 1H), 7.18 (m, 1H), 7.12 (m, 2H), 6.79 (m, 2H), 2.12 (s, 3H), 1.99 (s, 3H)および1.90mgの2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド(E3)ES/MS m/z: 348.2 (M+H), 346.3 (M-H); 1H NMR (MeOD, 500MHz): 7.93 (m 1H), 7.61 (m, 1H), 7.35 (m, 1H), 7.23 (m, 1H), 7.08 (m, 2H), 6.81 (m, 2H), 2.07 (s, 3H), 2.03 (s, 3H)を白色固体として得た。実施例2について、表題の化合物を、H−NMRによって同定し、これにより、オキシム生成物が単一の異性体であることが示されたが、(E)オキシム異性体が得られたのか、または(Z)オキシム異性体が得られたのかどうかは確定されなかった。
【0107】
[実施例4]
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−N,N−ジメチル−1H−インドール−1−スルホンアミド(E4)
【化9】

【0108】
ステップ(a):4−(3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾール(実施例1からのステップ(d)の中間生成物、35mg、0.11mmol)を、DMF(乾燥、0.7ml)中のNaH(25mg、ヘプタン中60%)の懸濁液に窒素下で、0℃で加えた。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで0℃に再び冷却した。塩化ジメチルスルファモイル(2eq)を液滴で加えた。この混合物を室温で2時間撹拌し、0℃に冷却し、水を加えることによって反応をクエンチした。isolute相分離器を使用してDCMで抽出し、合わせた有機層を濃縮することにより、2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−メトキシフェニル)−N,N−ジメチル−1H−インドール−1−スルホンアミドを定量的収率で得た。
【0109】
ステップ(b):2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−メトキシフェニル)−N,N−ジメチル−1H−インドール−1−スルホンアミド(23mg、0.05mmol)をDCM中に溶解させ、この混合物を0℃で冷却した。BF・SMe(0.7ml)液滴で加え、この反応混合物を冷蔵庫内で16時間撹拌した。数滴のMeOHを冷混合物に加えた。次いでこの混合物を、isolute相分離器を使用してHO/DCMで抽出した。濃縮により粗生成物を得、これを、HPLC(40〜70%のAcN、25分の勾配)を使用して精製した。5.6mgの2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−N,N−ジメチル−1H−インドール−1−スルホンアミドを得た。ES/MS m/z: 412.06 (M+H), 410.16 (M-H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 8.18 (m, 1H), 7.60 (m, 1H), 7.43 (m, 1H), 7.34 (m, 1H), 7.12 (m, 2H), 6.88 (m, 2H), 2.70 (s, 6H), 2.10 (s, 3H)および2.09 (s, 3H).
【0110】
[実施例5]
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルバルデヒドオキシム(E5)
【化10】

【0111】
ステップ(a):2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリル(24mg、0.07mmol)を、窒素下で5mlのDCM中に溶解させ、この混合物を−60℃に冷却した。5eqのDIBAH(ヘキサン中1M)を、−60℃で、液滴で加えた。冷却浴を取り除き、反応物を室温で16時間撹拌した。2mlのHCl(1M)を加えることによって反応をクエンチし、その後50mlのEtOAcを加えた。得られた混合物を濾過し、次いでブライン 3×で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、溶媒を濃縮した。18mgの2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルバルデヒドを得た。
【0112】
ステップ(b):2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルバルデヒド(18mg、0.05mmol)を、5mlのMeOH中に溶解させた。5eqのヒドロキシルアミン塩酸塩および6eqのピリジンを加えた。この混合物を1.5時間加熱還流し、次いで室温に冷却させた。50mlのEtOAcを加え、得られた混合物をブライン 3×で洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を濃縮し、粗生成物を、分取HPLCを使用して精製した。3.5mgの2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルバルデヒドオキシムを得た。表題の化合物を、H−NMRによって同定し、これにより、オキシム生成物が単一の異性体であることが示されたが、(E)オキシム異性体が得られたのか、または(Z)オキシム異性体が得られたのかどうかは確定されなかった。ES/MS m/z: 348.01 (M+H), 346.18 (M-H); 1H NMR (MeOD, 500MHz): 8.38 (s, 1H), 8.26 (m, 1H), 7.66 (m, 1H), 7.35 (m, 1H), 7.25 (m, 1H), 7.11 (m, 2H), 6.80 (m, 2H), 2.13 (s, 3H)および1.99 (s, 3H).
【0113】
[実施例6および7]
実施例6は、上記実施例4を合成するのに使用した方法と類似の方法を使用して調製し、実施例7は、上記の一般的な方法Iに従って調製した。一般的な方法の個々のステップの完全な実験的詳細は、上記実施例に記載されている。実施例6について、H−NMRによる表題の化合物の同定では、オキシム生成物が単一の異性体であることが示されたが、(E)オキシム異性体が得られたのか、または(Z)オキシム異性体が得られたのかどうかは確定されなかった。
【化11】

【0114】

【0115】
[実施例8]
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−エチル−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド(E8)
【化12】

【0116】
ステップ(a):4−(3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾール(15mg、0.06mmol)およびイソシアナトエタン(40μl)を、窒素下で1mlの乾燥DMF中で混合した。この混合物を70℃で3時間加熱した。100μlのイソシアナトエタンを加え、70℃での加熱を一晩にわたって継続した。粗反応混合物を、分取HPLCによって精製した。8.0mgの2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−エチル−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミドを得た。
【0117】
ステップ(b):2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−エチル−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド(8mg、0.02mmol)を8mlのDCM中に溶解させ、この混合物を氷浴中で冷却した。BF・SMe(0.40ml)を液滴で加え、この混合物を0〜2℃で16時間撹拌した。数滴のMeOHを加え、その後水を加えた。層を分離し、有機層を濃縮した。粗生成物を分取HPLCによって精製した。3.4mgの2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−エチル−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミドを得た。ES/MS m/z: 376.1 (正M + H), 374.2 (負M - H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 7.90 (m, 1H), 7.63 (m, 1H), 7.33 (m, 1H), 7.23 (m, 1H), 7.14 (m, 2H), 6.88 (m, 2H), 3.38 (m, 2H), 2.04 (s, 3H), 2.03 (s, 3H)および1.16 (t, 3H, J=7.3Hz).
【0118】
[実施例9〜15]
実施例9、13、14、および15を、上記の一般的な方法IVに従って調製し、実施例10〜12を、上記の一般的な方法Iに従って調製した。一般的な方法の個々のステップの完全な実験的詳細は、上記実施例に記載されている。実施例10および12について、H−NMRによる表題の化合物の同定では、オキシム生成物が単一の異性体であることが示されたが、(E)オキシム異性体が得られたのか、または(Z)オキシム異性体が得られたのかどうかは確定されなかった。
【化13】

【0119】


【0120】
[実施例16〜20]
実施例16〜20を、上記の一般的な方法Iに従って調製した。一般的な方法の個々のステップの完全な実験的詳細は、上記実施例に記載されている。実施例16〜20のそれぞれについて、H−NMRによる表題の化合物の同定では、オキシム生成物が単一の異性体であることが示されたが、(E)オキシム異性体が得られたのか、または(Z)オキシム異性体が得られたのかどうかは確定されなかった。
【化14】

【0121】

【0122】
[実施例21]
5−クロロ−2−(2,4−ジメチルチオフェン−3−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド(E21)
【化15】

【0123】
ステップ(a):NaH(6.11mg、0.25mmol)を、0℃で乾燥THF(1ml)中で撹拌し、乾燥THF(2ml)中に溶解した5−クロロ−2−(2,4−ジメチルチオフェン−3−イル)−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール(72mg、0.20mmol)を液滴で加え、この混合物を0℃で5分間撹拌した。乾燥THF(2ml)中に溶解した2,2−ビス−(4−シアナトフェニル)プロパン(70.8mg、0.25mmol)を液滴で加え、この混合物を室温で9時間撹拌した。NHCl(水溶液、飽和)を加え、その後ブラインを加え、水性混合物をDCMで抽出した。溶媒を濃縮し、粗生成物をシリカ(EtOAc/n−ヘプタン 1:9)で精製した。72mgの5−クロロ−2−(2,4−ジメチルチオフェン−3−イル)−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリルを得た。
【0124】
ステップ(b):5−クロロ−2−(2,4−ジメチルチオフェン−3−イル)−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリル(75mg、0.19mmol)を、4mlのDCM中に溶解させ、この混合物を氷浴中で冷却した。BF・SMe(0.20ml、1.91mmol)を液滴で加え、この混合物を室温で24時間撹拌した。数滴のMeOHを0℃で加え、その後NaHCO(水溶液、飽和)およびブラインを加えた。層を分離し、有機層を濃縮した。粗生成物をシリカ(MeOH/DCM 1:99)で精製した。42.0mgの5−クロロ−2−(2,4−ジメチルチオフェン−3−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリルを得た。
【0125】
ステップ(c):ヒドロキシルアミン(水中16.3Mの溶液、0.69mL、11.0mmol)を、DCM(5mL)中の5−クロロ−2−(2,4−ジメチルチオフェン−3−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリル(42mg、0.11mmol)に0℃で加え、この反応物を0℃で65時間撹拌した。ブラインを加え、水性混合物をDCMで抽出した。溶媒を濃縮し、粗生成物を分取HPLCにより精製することによって、5−クロロ−2−(2,4−ジメチルチオフェン−3−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド(7.0mg、35%)を得た。H−NMRによる表題の化合物の同定では、オキシム生成物が単一の異性体であることが示されたが、(E)オキシム異性体が得られたのか、または(Z)オキシム異性体が得られたのかどうかは確定されなかった。ES/MS m/z: 414.5; 412.4 (M+H), 412.3; 409.9 (M-H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 7.65 (d, 1H, J=2.1Hz), 7.58 (d, 1H, J=8.8Hz), 7.25 (dd, 1H, J=8.8, 2.1Hz), 7.10 (m, 2H), 6.83-6.80 (m, 3H), 2.18 (s, 3H)および1.95 (d, 3H, J=1.1Hz).
【0126】
[実施例22および23]
実施例22および23を、上記の一般的な方法Iに従って調製した。一般的な方法の個々のステップの完全な実験的詳細は、上記実施例1および21に記載されている。実施例22および23のそれぞれについて、H−NMRによる表題の化合物の同定では、オキシム生成物が単一の異性体であることが示されたが、(E)オキシム異性体が得られたのか、または(Z)オキシム異性体が得られたのかどうかは確定されなかった。
【化16】

【0127】

【0128】
[実施例24および25]
2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド(E24)
2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド(E25)
【化17】

【0129】
ステップ(a):NaH(18.35mg、0.76mmol)を、乾燥THF(1ml)中で、0℃で撹拌し、乾燥THF(4.5ml)中に溶解した2−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール(210mg、0.69mmol)を液滴で加えた。この混合物を0℃で5分間撹拌し、次いで乾燥THF(4.5ml)中に溶解した2,2−ビス−(4−シアナトフェニル)プロパン(251mg、0.90mmol)を液滴で加えた。水を加え、この混合物を30分間撹拌した。ブラインを加え、水性混合物をDCMで抽出した。溶媒を濃縮し、粗生成物をシリカ(EtOAc/n−ヘプタン 1:4)で精製した。198mgの2−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリルを得た。
【0130】
ステップ(b):2−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリル(70.0mg、0.21mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(24.7mg、0.21mmol)および3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イルボロン酸(102.3mg、0.43mmol)を、窒素下で3.5mlのDMEおよび0.86mlの炭酸水素ナトリウム(1M)中で混合した。得られた混合物を、電子レンジ内で、120℃で20分間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をDCM中に溶解させた。シリカの短いプラグを通して濾過することにより粗生成物を得、これをシリカ(EtOAc/n−ヘプタン 1:4)で精製した。38.0mgの2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリルを得た。
【0131】
ステップ(c):2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−3−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリル(38mg、0.11mmol)を、10mlのDCM中に溶解させ、この混合物を氷浴中で冷却した。BF・SMe(0.56ml、5.29mmol)を液滴で加え、この混合物を0〜2℃で16時間撹拌した。数滴のMeOHを加え、その後NaHCO(水溶液、飽和)を加えた。層を分離し、有機層を濃縮した。粗生成物を分取HPLCによって精製した。18.0mgの2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリルを得た。
【0132】
ステップ(d):ヒドロキシルアミン(水中16.3Mの溶液、0.33mL、5.21mmol)を、MeOH(2mL)中の2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリル(18mg、0.05mmol)に加え、この反応物を、電子レンジ内で、130℃で20分間撹拌した。この混合物を分取HPLCにより精製することによって、E24である2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド(7.0mg、35%);ES/MS m/z 379.11 (M+H), 377.14 (M-H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 7.70 (dd, 1H, J=7.9, 1.0Hz), 7.59 (dd, 1H, J=9.0, 0.9Hz), 7.29 (m, 1H), 7.20 (m, 1H), 7.09 (m, 2H), 6.81 (m, 2H), 2.30 (s, 3H)および2.16 (s, 3H)、およびE25である2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド(5mg、26%)、ES/MS m/z 364.11 (M+H), 362.14 (M-H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 8.12 (d, 1H, J=8.4Hz), 7.67 (d, 1H, J=7.9Hz), 7.36 (m, 1H), 7.26 (m, 1H), 7.05 (m, 2H), 6.83 (m, 2H)および2.21 (s, 6H)を得た。表題の化合物のそれぞれについて、H−NMRによる同定では、アミドオキシム生成物が単一の異性体であることが示されたが、(E)オキシム異性体が得られたのか、または(Z)オキシム異性体が得られたのかどうかは確定されなかった。
【0133】
結合アッセイ1:エストロゲン受容体結合アッセイ
エストロゲン受容体リガンド結合アッセイは、トリチウム標識したエストラジオール(H−E2)を使用し、および組換え発現されたビオチン標識したエストロゲン受容体結合ドメインを使用する、シンチレーション近接アッセイ(SPA)として設計される。ヒトERα(ERα−LBD、pET−N−AT #1、aa301−595)およびERβ(ERβ−LBD、pET−N−AT #1、aa255−530)タンパク質の結合ドメインは、50μMのビオチンを補充した2×LB培地中、22Cで、大腸菌(E.coli)((BL21、(DE3)、pBirA))において産生される。3時間のIPTG誘導(0.55mM)の後、細胞を7300×gで15分間遠心することによって採取し、細胞ペレットを−20Cで凍結して貯蔵する。ERαおよびERβの抽出は、50mLの抽出緩衝液(50mMのTris、pH8.0、100mMのKCl、4mMのEDTA、4mMのDDTおよび0.1mMのPMSF)中に懸濁した、5gの細胞を使用して実施する。細胞懸濁液を、マイクロフルイダイザーM−110L(Microfluidics)に2回かけ、15,000×gで60分間遠心する。上澄みをアリコートし、−70Cで貯蔵する。
【0134】
ERα−LBDまたはERβ−LBD抽出物を、アッセイ緩衝液(18mMのKHPO、2mMのKHPO、20mMのNaMoO、1mMのEDTA、1mMのTCEP)で、αおよびβそれぞれについて、1:676および1:517に希釈する。希釈した受容体濃度は、900fmol/Lであるはずである。この抽出物を、0.43mg/mLの濃度で、室温で1時間、ストレプトアビジンをコーティングしたポリビニルトルエンSPAビーズ(RPNQ0007、GE Healthcare)とプレインキュベートする。
【0135】
試験化合物を、157μMから37.5pMの濃度範囲にわたって評価する。試験化合物原液は、アッセイでの試験に対して望まれる最終濃度の5倍で、100%DMSOで作製されるべきである。384ウェルプレートの試験ウェル中のDMSO量は、20%になる。18μlの試験化合物のアリコートをアッセイプレートに加え、その後に35μlのプレインキュベートした受容体/SPAビーズ混合物を加え、最後に35μlの、3nMのH−E2を加える。このプレートをプラスチックシーラーで覆い、1000rpmで1分間遠心し、振盪機上で、室温で一晩平衡化する。翌朝、このプレートを2000rpmで5分遠心し、プレートシンチレーションカウンター、例えば、PerkinElmer Microbeta 1450 Triluxで測定する。
【0136】
受容体からの3[H]−E2を置換することができる化合物について、IC50値(3[H]−E2の結合の50%を阻害するのに必要な濃度)を、非線形4パラメータロジスティックモデル;b=((bmax−bmin)/(1+(I/IC50)S))+bmin(Iは、結合阻害剤の添加濃度であり、IC50は、最大半量の結合での阻害剤の濃度であり、Sは、傾き係数である)によって求めた。Microbeta装置は、平均cpm(カウント毎分)値/分をもたらし、検出器同士間の個々の変動を補正し、したがって補正されたcpm値をもたらす。
【0137】
トランス活性化アッセイ1:pERE−ALPおよびヒトエストロゲン受容体αを安定にトランスフェクトされたヒト胚腎臓293細胞におけるトランス活性化アッセイ
発現ベクターpMThERαは、リーダーが欠失した野生型ヒトエストロゲン受容体αのインサートを含有する。pERE−ALPレポーターコンストラクトは、胎盤アルカリホスファターゼ(ALP)およびビテロゲニンエストロゲン応答要素(ERE)の分泌型についての遺伝子を含有する。ヒト胚腎臓293細胞を2ステップでトランスフェクトする。第1に、選択のために、pERE−ALPレポーター遺伝子コンストラクトおよびpSV2−Neoをトランスフェクトされた安定なクローンミックス(clone mix)を作る。第2に、選択のために安定なクローンミックスにpMThERαおよびpKSV−Hyg耐性ベクターをトランスフェクトする。すべてのトランスフェクションは、供給者の勧告に従って、Lipofectamine(Invitrogen)を使用して実施する。pERE−ALPおよびpMThERαの両方を有する選択されたクローンを、トランス活性化アッセイに使用する。
【0138】
細胞を、10%のデキストランコート木炭処理(DCC)ウシ胎児血清(FBS)、2mMのL−グルタミン、および50μg/mlのゲンタマイシンを含む、Ham’s F12 Coon改変(フェノールレッドを含まない)中で、1ウェル当たり12500細胞で384ウェルプレート中に播種する。24時間のインキュベーション(37℃、5%のCO)の後、播種培地を処分し、1.5%DCC−FCS、2mMのL−グルタミンを含み、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシンを補充した20μlのHam’s F12 Coon改変(フェノールレッドを含まない)と置換する。選択した化合物を、3.3pMから33μMの範囲の12の濃度でウェルに加える。この化合物を、100%のジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させ、アッセイにおけるDMSOの最終濃度は0.1%である。72時間のインキュベーション(37℃、5%のCO)の後、化学発光アッセイによってALP活性について培地をアッセイする;細胞培地の10μlのアリコートを、100μlのアッセイ緩衝液(0.1Mのジエタノールアミン、1mMのMgCl)、および0.5mMの二ナトリウム3−(4−メトキシスピロ 1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−イル)フェニルホスフェート(CSPD)(Tropix、Applied Biosystems)と混合し、37℃で20分間、および室温で15分間インキュベートした後、Wallac Microbeta Trilux 1450−028(PerkinElmer)で化学発光シグナル(1ウェル当たり1秒)を測定する。最大半量の有効濃度(EC50)を、XLfitソフトウェアバージョン2.0(IDBS)またはそれ以降における4パラメータロジスティックモデルを用いて濃度−応答データにフィットした曲線から計算する。
【0139】
トランス活性化アッセイ2:pERE2−ALPおよびヒトエストロゲン受容体βを安定にトランスフェクトしたヒト胚腎臓293細胞におけるトランス活性化アッセイ
レポーターベクターpERE2−ALPおよびヒトエストロゲン受容体β(hERβ530)を発現する、安定なHEK293細胞系(CRL−1573;American Type Culture Collection)の生成が記載されている(Mol Pharmacol 1998、54、105〜112;Endocrinology 2002、143、1558〜1561)。
【0140】
細胞を、10%デキストランコート木炭処理(DCC)ウシ胎児血清(FBS)、2mMのL−グルタミン、および50μg/mlのゲンタマイシンを含む、Ham’s F12 Coon改変(フェノールレッドを含まない)中で、1ウェル当たり12500細胞で384ウェルプレート中に播種する。24時間のインキュベーション(37℃、5%のCO2)の後、播種培地を処分し、1.5%DCC−FCS、2mMのL−グルタミンを含み、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシンを補充した20μlのHam’s F12 Coon改変(フェノールレッドを含まない)と置換する。選択した化合物を、3.3pMから33μMの範囲の12の濃度でウェルに加える。この化合物を、100%のジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させ、アッセイにおけるDMSOの最終濃度は0.1%であった。72時間のインキュベーション(37℃、5%のCO2)の後、化学発光アッセイによってALP活性について培地をアッセイする;調整培地の10μlのアリコートを、100μlのアッセイ緩衝液(0.1Mのジエタノールアミン、1mMのMgCl2)、および0.5mMの二ナトリウム3−(4−メトキシスピロ 1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−イル)フェニルホスフェート(CSPD)(Tropix、Applied Biosystems)と混合し、37℃で20分間、および室温で15分間インキュベートした後、Wallac Microbeta Trilux1450−028(PerkinElmer)で化学発光シグナル(1ウェル当たり1秒)を測定する。LCPSにおいて発現されるALP活性は、細胞によって発現されるALPのレベルに直接比例する。試験化合物の最大半量の有効濃度(EC50)を、XLfitソフトウェアバージョン2.0(IDBS)またはそれ以降における4パラメータロジスティックモデルを用いて濃度−応答データにフィットした曲線から計算する。
【0141】
実施例1〜24の化合物を、結合アッセイ1、ならびにトランス活性化アッセイ1および2で試験した。
【0142】
実施例1〜24の化合物は、以下のうちの1つまたは複数を示す:
(i)結合アッセイ1における1〜10,000nMのIC50の範囲でのエストロゲン受容体α−サブタイプに対する結合親和性;
(ii)結合アッセイ1における1〜10,000nMのIC50の範囲でのエストロゲン受容体β−サブタイプに対する結合親和性;
(iii)トランス活性化アッセイ1における、エストロゲン受容体α−サブタイプでの1〜10,000nMのEC50の範囲の効力;
(iv)トランス活性化アッセイ2における、エストロゲン受容体β−サブタイプでの1〜10,000nMのEC50の範囲の効力。
【0143】
本発明の好ましい実施例の化合物は、上記に示したIC50の範囲内で、より低い濃度で、エストロゲン受容体β−サブタイプに対する結合親和性を示すものである。例えば、実施例1〜3、5〜8、10〜12、15〜18および20〜24の化合物は、結合アッセイ1において、1〜200nMのIC50の範囲で、エストロゲン受容体β−サブタイプに対する結合親和性を示す。
【0144】
本発明の好ましい実施例の化合物は、結合アッセイ1において、エストロゲン受容体α−サブタイプよりもエストロゲン受容体β−サブタイプに対して選択的であるものである。

例えば、実施例1〜3および6〜8、10〜12、15〜18および20〜24の化合物は、結合アッセイにおいて、50以上のエストロゲン受容体β−サブタイプに対する選択性を示す。
【0145】
本発明の好ましい実施例の化合物は、上記に示したEC50の範囲内で、より低い濃度で、エストロゲン受容体β−サブタイプでの効力を示すものである。例えば、実施例1〜13および15〜24の化合物は、トランス活性化アッセイ2におけるエストロゲン受容体βサブタイプでの0.1〜200nMのEC50の範囲の効力を示し、実施例2〜3、5〜8、10〜12、および16〜24の化合物は、0.1〜10nMのEC50の範囲の効力を示す。
【0146】
本発明の好ましい実施例の化合物は、トランス活性化アッセイ1および2において、エストロゲン受容体α−サブタイプよりもエストロゲン受容体β−サブタイプに対して選択的であるものである。例えば、実施例1〜3および6、8、10〜13、15〜20および22〜24の化合物は、トランス活性化アッセイにおいて、50以上のエストロゲン受容体β−サブタイプに対する選択性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはそのエステル、もしくはアミドの塩、およびそのエステル、アミド、もしくは塩の溶媒和物を含めた、医薬として許容可能なそのエステル、アミド、溶媒和物もしくは塩
【化1】

[式中、Rは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、OR、N(R、−C(O)C1〜4アルキル、−SO1〜4アルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、トリハロC1〜6アルキル、ハロC2〜6アルケニル、ジハロC2〜6アルケニル、トリハロC2〜6アルケニル、シアノC1〜6アルキル、C1〜4アルコキシC1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、フェニル、ベンジル、および5〜10員のヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニル、ベンジルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、1〜3個の置換基で置換されていることができ、それぞれの置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−C(O)C1〜4アルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立に選択され、
は、シアノ、ニトロ、N(OH)、−CHO、−CH=N−OH、1〜3個のハロゲンで場合により置換された−C(O)C1〜4アルキル、−SO1〜4アルキル、−C(O)NH−OH、−C(NH)=N−OH、−C(COH)=N−OH、−C(NH)=NH、−C(NH)=N−NH、−NH−C(NH)=NH、−NH−C(O)NH、−N=C(−NH−CHCH−NH−)、−S−CN、−S−C(NH)=NH、−S−C(NH)=N−OH、−COH、−CH(OH)COH、−C(O)N(R、−SO1〜6アルキル、SON(R、−C(O)−C(O)−NH、−CHNH−CONH、−SOOR、−C(O)COH、−CHSOH、および5〜10員のヘテロシクリルからなる群から選択され、前記ヘテロシクリル基は、非置換であるか、1〜3個の置換基で置換されていることができ、それぞれの置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立に選択され、
、R、R、R、R、R、RおよびR10のそれぞれは、水素、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立に選択され、
それぞれのRは、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、フェニル、ベンジルおよび5〜10員のヘテロシクリルからなる群から独立に選択され、それぞれは1〜3個のハロゲン原子で場合により置換されており、
それぞれのRは、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、フェニル、ベンジルおよび5〜10員のヘテロシクリルからなる群から独立に選択され、それぞれは1〜3個のハロゲン原子で場合により置換されており、
それぞれのRは、水素およびC1〜6アルキルからなる群から独立に選択される]。
【請求項2】
が、シアノ、−CH=N−OH、−C(O)N(R、−C(NH)=N−OH、SON(R、−SO1〜6アルキル、−SOOR、または非置換であるか、1〜3個の置換基で置換されている5〜6員のヘテロシクリル基を表し、それぞれの置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立に選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が−CH=N−OHまたは−CO.NHを表す、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、フェニル、または5〜10員のヘテロシクリルを表し、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、1〜2個の置換基で置換されていることができ、それぞれの置換基は、シアノまたはC1〜6アルキルから独立に選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が、フェニルまたは5〜6員のヘテロシクリルを表し、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、1〜2個の置換基で置換されており、前記1つまたは複数の置換基はC1〜6アルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、フェニルまたは5員のヘテロシクリルを表し、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は2個の置換基で置換されており、前記置換基はメチルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が、2,5−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、2,4−ジメチル−チエン−3−イル、または3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イルを表す、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、R、R、R、R、およびR10のうちのそれぞれが、水素およびハロゲンから独立に選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
、R、R、およびRのうちのそれぞれが水素を表し、R、R、R、およびR10のうちの1つまたは2つがフッ素を表し、R、R、RおよびR10のうちの残りが水素を表す、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
以下の化合物:
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボニトリル;
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド;
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−N,N−ジメチル−1H−インドール−1−スルホンアミド;
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルバルデヒドオキシム;
4−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(メチルスルホニル)−1H−インドール−3−イル)フェノール;
2−((Z)−ブタ−2−エン−2−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−エチル−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド;
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−N−メチル−1H−インドール−1−カルボキサミド;
2−(2,4−ジメチルチオフェン−3−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(2,4−ジメチルチオフェン−3−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド;
2−(2,6−ジメチルフェニル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−N−イソプロピル−1H−インドール−1−カルボキサミド;
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−N−ペンチル−1H−インドール−1−カルボキサミド;
2−(2,4−ジメチルチオフェン−3−イル)−N−エチル−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド;
3−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
3−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−N’−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
3−(2,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−N’−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
5−クロロ−2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(2,4−ジメチルフラン−3−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド;
5−クロロ−2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(2,4−ジメチルフラン−3−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−N’−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキシミドアミド;
2−(3,5−ジメチルイソチアゾール−4−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−1−カルボキサミド;
のうちのいずれか1つ、またはそのエステル、もしくはアミドの塩、およびそのエステル、アミドもしくは塩の溶媒和物を含めた、医薬として許容可能なそのエステル、アミド、溶媒和物もしくは塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
医薬として許容可能な担体と一緒に、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項12】
薬物として使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害に関連する状態の治療または予防において使用するための、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害に関連する状態の治療または予防用薬物の製造のための、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
哺乳動物におけるエストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害を治療または予防するための方法であって、前記哺乳動物に、治療有効量の、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物、または請求項11に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項16】
エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害に関連する状態の診断用診断薬としての、標識された形態での、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用、またはエストロゲン受容体のリガンドの同定方法における参照化合物としての、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのような化合物の標識された形態の使用。
【請求項17】
前記エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害に関連する状態が、骨減少、骨折、骨粗鬆症、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫疾患、のぼせ、LDLコレステロールレベル上昇、心血管疾患、認知機能障害、年齢関連性軽度認知障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、抑うつ、閉経期うつ病、産後抑うつ、月経前症候群、躁うつ病、認知症、強迫的行動、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、睡眠障害、被刺激性、衝動性、アンガーマネジメント、聴覚障害、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄損傷、脳卒中、自己免疫疾患、炎症、IBD、IBS、性機能障害、高血圧、網膜変性症、肺癌、大腸癌、乳癌、子宮癌、前立腺癌、胆管癌(cholangiocarcinoma)と命名された胆管癌(bile duct cancer)、良性前立腺過形成、下部尿路症状、過活動膀胱、間質性膀胱炎、疼痛性膀胱症状、膣萎縮、創傷治癒、慢性疼痛、敗血症、炎症性および神経障害性疼痛、卵巣癌、黒色腫、ならびにリンパ腫から選択される、請求項13に記載の化合物、請求項15に記載の方法、または請求項14もしくは請求項16に記載の使用。

【公表番号】特表2013−507335(P2013−507335A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532582(P2012−532582)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064939
【国際公開番号】WO2011/042473
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(500561610)カロ バイオ アクチェブラーグ (17)
【Fターム(参考)】