新規エンテロウイルス、ワクチン、医薬および診断キット
本発明は、EV79と呼ばれる新規エンテロウイルス種、ならびに前記ウイルスの、機能的部分、誘導体および類似体を提供する。単離または組換え抗体等の、EV79に特異的に結合可能な蛋白性分子もまたここで提供される。本発明のウイルスおよび/または蛋白性分子は、EV79関連病の診断に特に適している。前記ウイルスまたは蛋白性分子を含むワクチン、医薬組成物および診断キットもまた、前記ウイルスまたは蛋白性分子を生成する方法とともに提供される。本発明の診断キットはEV79の遺伝子またはその一部を、増幅および/またはハイブリッド形成することが可能なプライマ/プローブを含んでもよい。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は医薬の分野に関連する。本発明は特に新規エンテロウイルスの単離ならびに前記エンテロウイルスの検出、同定、診断、治療および予防の方法に関連する。
【0002】
ウイルスの最新の分類によれば、ピコルナウイルス科は6つの属に分類される。6つの属とは、ヒトエンテロウイルス、ライノウイルス、パレコウイルス、アフターウイルス、カルジオウイルスおよびヘパトウイルスである。エンテロウイルス属には以下のヒトウイルス種、すなわちポリオウイルスおよびヒトエンテロ族A〜Dが含まれる。ポリオウイルス(PV)は3つの抗原型、すなわちポリオウイルス1(PV−1),PV−2およびPV−3から成る。ヒトエンテロウイルスA(HEV−A)は12の抗原型から成り、コクサッキーウイルスA2,A16およびエンテロウイルス71(これらのウイルス株に関しては表1に、より詳細に挙げられている)を含む。ヒトエンテロウイルスB(HEV−B)は37の抗原型でから成り、ヒトエンテロウイルスC(HEV−C)は11の抗原型から成り、ヒトエンテロウイルスD(HEV−D)は2つの抗原型から成る。エンテロウイルスは一本鎖RNAウイルスである。そのゲノムはおよそ7500ntを含む。
【0003】
エンテロウイルスは、微熱から呼吸器系感染症、髄膜炎、脳炎、麻痺性灰白髄炎、心筋炎まで、広範な臨床症候を引き起こす。アメリカでは、年間推定1千万〜3千万のエンテロウイルス感染が生じており、深刻な短期間の拡散および経済的影響を引き起こしている。生命にかかわるエンテロウイルス感染は、特に免疫不全の患者等の、危険性の高いヒトに起こり得る。
【0004】
したがって、エンテロウイルスは広範な臨床症状を引き起こす。エンテロウイルス感染により、下痢および熱などの「一般的な」症状が出ることが多いが、その「一般的な」症状は、多くの別の種類の病気にも含まれる。したがって、エンテロウイルス感染の症状は、エンテロウイルス属関連病に直接関連付けることができない。したがって、適切な治療をするために、病原因子の特定が必要とされることが多い。病原因子が分かれば、有効な診断、予防、および/または治療が可能になる。
【0005】
新規に発見されたエンテロウイルス(EV79と表す)が特定され、配列が決定された。典型EV79の核酸配列が図19に与えられており、その一部が図2bに与えられている。したがって、1つの特徴において、本発明は、図19および/または表図2bに示される配列を含む、単離および/または組換え核酸または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を提供する。EV79ウイルスはその典型によって特定されるが、典型EV79ウイルスの多くの自然変異体が存在する。RNAウイルスに関してこのような自然変異が存在することは通常のことであり、RNAウイルスには、たとえば、ゲノムを複製するポリメラーゼによる誤りの導入によって、頻繁に突然変異が起こっている。したがって、わずかに相異のある核酸配列を有するEV79ウイルスもまた本発明によって提供される。このようなウイルスは典型核酸配列を有する核酸の誘導体であるとみなされる。変異は必ずしも自然変異でなくてもよい。組換え方法によって変異体を生成することは当然可能である。たとえば、ウイルスの大部分は、ヌクレオチド置換によって変更され、特定のアミノ酸に対するトリプレット遺伝子コードにおける余分量を使用する。したがって、コード蛋白質のアミノ酸配列を変更しなくてよい。しかしながら、アミノ酸の変更でさえ、ウイルスの複製能力およびコード能力に影響を与えることなく、一般的に導入可能である。たとえば、保守的なアミノ酸置換は、許容されることが多い。典型ウイルスにおける変更は、ウイルスの複製能力を変えることなく、核酸配列の70%まで可能である。したがって、一実施形態において、本発明は、典型EV79の核酸に対して少なくとも70パーセント相同である、単離および/または組換え核酸を提供する。しかしながら、大部分の生存可能な変異体は、典型EV79に従う核酸に少なくとも95%相同であり、さらに好ましくは少なくとも99パーセント相同である。このため、UTR領域における異種エンテロウイルス間の相同性は通常高く、本出願における相同性はUTR領域外の領域、好ましくは蛋白質コード領域において測定されている。したがって、本発明は、EV79ウイルスの誘導体を提供し、図20、図3、表10または表11に示される少なくとも1種の蛋白質コード領域において、(核酸レベルまたは蛋白質レベルで)少なくとも95%の相同性および好ましくは少なくとも99%の相同性を有している。ウイルスの核酸またはその部分は複製され、プローブとして用いられ、試料中のウイルスを検出する。したがって、さらに本発明は、単離および/または組換え核酸を提供し、単離および/または組換え核酸は、典型ウイルスの核酸の100の連続したヌクレオチドの伸張または前記100の連続したヌクレオチドに対して少なくとも95%および好ましくは99%相同である領域を含み、前記100ヌクレオチドはUTR領域外である。好ましい実施形態においては、該部分は、実質的にUTR領域と重なっていない。好ましい実施形態においては、前記部分は蛋白質コード領域中にある。100の連続したヌクレオチドの伸張は、本発明のウイルスの機能的部分であるとみなされる。EV79の好ましい部分は、図20、表10、表11および図3に示される蛋白質をコードする核酸である。さらに、EV79または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の核酸を含むバクテリアベクタが提供される。さらに前記バクテリアベクタを含むバクテリアが提供される。他の既知のエンテロウイルスとの相異を考慮して、EV79またはその一部の配列が使用され、EV79に特異的でありしたがってEV79核酸を特異的に複製することが可能であるプライマを生成する。同様に、厳しい条件下でEV79核酸に対して特異的にハイブリッド形成するプローブが生成され得る。したがって、本発明はさらにプライマおよび/またはプローブを提供し、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸に対して特異的にハイブリッド形成することが可能である。好ましくは前記プライマまたはプローブは厳しい条件のもとで、前記核酸に対してハイブリッド形成することが可能である。好ましい実施形態では、前記プライマは図19に示される10〜50ヌクレオチド、好ましくは15〜25ヌクレオチドの連続した伸張を含む。当業者ならば、EV79の核酸に対する核酸の特異的なハイブリッド形成ために必要な条件を決定することは充分可能である。一般的に、特異性は、図19に示される核酸との重なりの大きさおよび相同性が増加するにつれて増加する。核酸に対して特異的な典型的なプローブは、少なくとも20の連続したヌクレオチドを含む。プローブは実質的にEV79の全配列を含んでもよい。しかしながら、EV79に特異的なプローブは、大きさが20〜2000ヌクレオチドであり、図19に描かれている核酸と少なくとも95%および好ましくは少なくとも99%の相同性を有している。プローブは媒介を経て直接または間接的に標識されてもよい。EV79ゲノム全体の配列のためのプライマが生成されてもよい。しかしながら、EV79配列(またはその変異体)の特異的な増幅が望まれる場合、好ましくは少なくとも1種のプライマがUTR領域外で選ばれる。特に好ましい実施形態において、両プライマはUTR領域外で選ばれる。好ましい実施形態において、プライマは、関連するエンテロウイルスと十分な配列の相異を有し、このようにEV79配列またはその変異体に対する特異性が保証される。一般的に、その配列と比較して、プライマ中に少なくとも1、好ましくは少なくとも2〜5ヌクレオチドの相異を有することによって達成され、一般的に関連するヒトエンテロウイルスから区別される。
【0006】
特に好ましい実施形態において、前記プライマおよび/またはプローブは図2bまたは表4に示される配列を含む。
【0007】
典型ウイルスの核酸は種々の蛋白質およびポリ蛋白質をコードする。これらの蛋白質は、たとえば、ウイルスを生成し、または(ポリ)蛋白質をコードする核酸で形質転換された細胞中で発現する。したがって、本発明はさらに単離および/または組換え蛋白性分子を提供し、図20、表10、表11または図3に示される配列または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む。必ずしも量においてではなく、質において同じ機能を有する蛋白質の、多くの異なる変異体が、上述のように、天然に存在し、人工的に生成し得る。このように本発明はさらに、上述の蛋白性分子に対して少なくとも70%相同である単離および/または組換え蛋白性分子を提供する。このような相同な蛋白質は典型によってコードされる蛋白質の誘導体とみなされる。好ましくは、誘導体蛋白質は、典型EV79によってコードされる蛋白質と、少なくとも95%およびさらに好ましくは少なくとも99%の相同性を含む。典型ウイルスによってコードされる蛋白性分子のフラグメントおよび部分は生成されることが可能であり、したがって、このような部分もまた本発明によって提供される。好ましい実施形態において、単離および/または組換え蛋白性分子が提供され、典型ウイルスによってコードされる蛋白性分子の少なくとも30の連続したアミノ酸の伸張を含む。典型ウイルスによってコードされる蛋白質は遺伝子コードの余分量を使用して種々の異なる核酸配列によってコードされる。したがって、本発明はさらに図20、表10、表11または図3に示される蛋白質をコードする核酸を提供する。
【0008】
したがって、本発明はさらにEV79核酸配列または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む単離または組換えウイルスを提供する。図20、表10、表11または図3に示される蛋白性分子を含む単離または組換えウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体が提供される。EV79に感染した対象は、多くの異なる臨床症状を表す、および/または無症状である。したがって、EV79関連病、特に下痢を引き起こし得る、単離または組換えウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体が提供される。ウイルスはウイルスの物質を特異的に結合可能な特異的結合相手を生成するために使用される物質を含む。たとえば、結合相手は免疫能のある対象へのウイルスの注入によって生成される。免疫付与の結果として対象から得られた血清は、一般的にウイルスまたは、その、抗原性部分、誘導体および/もしくは類似体に特異的な多くの異なる抗体種を含む。特異的結合相手(特異的結合分子)は、当然、多くの種々の異なる技術、たとえばファージ提示技術によって生成される。特異的結合相手を生成する方法はこれに限定されない。結合は一般的に、ウイルスの蛋白性部分に特異的である。しかしながら、ウイルスに含まれる蛋白質の特異的な翻訳後修飾もまた、当然ウイルスに特異的である。したがって、本発明はさらに単離した結合分子を提供し、該結合分子は、EV79ウイルスの物質(好ましくは蛋白性分子)を特異的に結合可能で、好ましくは典型EV79の核酸によってコードされる蛋白性分子に対して結合可能である。好ましくは、蛋白性分子は、図20、表10、表11または図3に示されるアミノ酸配列または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む。結合分子はEV79、好ましくは図19または図2bの核酸配列を特異的に結合可能である。結合分子は、好ましくは蛋白性分子である。しかしながら、他の結合分子もまた本発明の範囲内である。たとえば、必ずしも量においてではなく、質において、蛋白質と同じ結合性質を有する蛋白様物質または類似体を生成することは可能である。本発明に従った結合分子を生成する方法がさらに提供され、
・EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を結合可能な分子、または、EV79の典型核酸によってコードされる単離および/または組換え蛋白性分子を生成すること、および
・前記ウイルスおよび/または蛋白様分子に特異的な蛋白性結合分子を選択することを含む。
【0009】
他のヒトエンテロウイルスとEV79ウイルスとの全体的な相同性はあまり高くない。したがってEV79ウイルスに特異的に結合可能な多くの異なる結合分子が生成され得る。このような結合分子が使用され、試料中のEV79ウイルスを検出する。したがって本発明はさらに単離または組換えウイルスを提供し、該単離または組換えウイルスは、EV79ウイルスを特異的に結合可能な結合分子と免疫反応する。同様に、本発明は図20、表10、表11または図3に示される単離および/または組換え蛋白性分子または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の使用を提供し、試料中のEV79ウイルスまたは、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体に特異的に結合可能な結合分子を検出する。逆にEV79ウイルスが使用され、試料中の前記ウイルスに特異的に結合可能な分子を検出する。
【0010】
感受性標的細胞へのEV79ウイルスの結合は、特異的受容体を介して起こる。この受容体は、本発明の結合分子として使用され得る。好ましくは、結合分子は抗体またはその機能的同等物を含む。検出方法が使用され、対象中のEV79関連病を診断する。一実施形態では、試料中にEV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出する方法を提供し、前記ウイルスまたは、機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸を、EV79に特異的なプライマおよび/またはプローブでハイブリッド形成および/または増幅し、ハイブリッド形成および/または増幅された生成物を検出することを含む。さらにキットが提供され、好ましくは、診断キットは、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体、本発明に従う結合分子、および/または本発明に従うEV79ウイルスに特異的なプライマ/プローブを含む。
【0011】
特に好ましい実施形態において、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸に特異的にハイブリッド形成可能なプライマまたはプローブの使用、または、図20、表10、表11または図3に示される蛋白性分子を特異的に結合可能な結合分子、または、EV79ウイルスおよび/または核酸または、典型EV79の、機能的部分、誘導体もしくは類似体の使用を提供し、試料中のEV79エンテロウイルスを検出および/または同定する。好ましくは、前記核酸は図19または図2bに示される配列を含む。
【0012】
本発明はさらにワクチンを提供し、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を含む。さらにワクチンが提供され、図20、表10、表11または図3に示される蛋白性分子または、このような蛋白性分子の、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む。本発明の蛋白性分子はそれ自身あるいは蛋白質の一部としてまたは、その、誘導体もしくは類似体としてワクチン中に提供されてもよい。適切な類似体とは、EV79ウイルス蛋白性分子または、その、機能的分子もしくは誘導体をコードする核酸である。核酸はDNAワクチン方法に使用されてもよく、該方法はまた本発明においても提供される。さらに、少なくとも1種のEV79蛋白質に対する対象を免疫する組成物が提供され、前記組成物は、EV70典型蛋白質あるいはEV79変異体の蛋白質あるいはEV79典型の抗原性部分、誘導体および/または類似体の蛋白質を含む。DNAワクチンの担体のように、標的細胞中でEV79ウイルス核酸の複製を可能にし、従って与えられる免疫応答の増幅を可能にするウイルスレプリコン中において、発現可能なEV79ウイルス核酸を組み込むことは適切であることが多い。このようなDNAワクチン方法に特に適しているEV79ウイルスコード蛋白質は図20、表10、表11または図3に示されるVP1,VP2およびVP3蛋白質または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体である。VP蛋白質の一部は、好ましくはVP蛋白質の抗原性部分を含む。
【0013】
他の適切な候補は、VP4,2A,2Bおよび3C蛋白質、または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体である。一般的にワクチンは適切なアジュバントを含む。ワクチン中での使用は別として、記載されたウイルスおよび/または蛋白質分子もまた使用され、対象中においてEV79特異的免疫応答を生み出し、促進することが可能である。免疫応答は細胞でも体液でも可能である。したがって、単離T−細胞がさらに提供され、EV79ウイルスまたは典型EV79ウイルスにコードされる蛋白性分子に特異的なT−細胞受容体を含む。さらに、単離B−細胞が提供され、EV79ウイルスに特異的な抗体またはEV79ウイルスにコードされる蛋白性分子を生成する。抗体またはT−細胞受容体は複製され、細胞系は、複製された受容体または抗体をコードする核酸を含む発現カセットを与えられる。したがって、本発明はさらにこのような受容体または抗体を生成する細胞を提供する。このような細胞は好ましくは、CHO細胞等の、記載されている蛋白質の大規模な生成に適している細胞である。
【0014】
EV79ウイルスに対する受動免疫を対象に与えることも可能である。このために、対象は本発明のEV79特異的結合分子を与えられる。このような免疫性が使用され、対象におけるEV79ウイルスでの(さらなる)感染のための障壁を提供し、さらに、本発明に従うEV79ウイルス特異的結合分子を含むワクチンが提供される。好ましい実施形態において、受動免疫はヒトまたは本発明のEV79ウイルスに特異的に結合可能なヒトまたはヒト化抗体によって提供される。好ましくは、抗体はヒト細胞系によって生成され、好ましくは、細胞系はnアデノウイルスE1領域を含み、好ましくは、少なくともアデノウイルス2またはアデノウイルス5のE1A領域を含む。障壁は完全でなくても良い。少なくとも結合分子の存在が、対象における他の標的細胞へのウイルスの拡散を減少する。受動免疫は、予防薬として対象に投与されてもよく、ウイルスに曝されたとき、少なくとも対象中のウイルスの拡散を減少させる。または、受動免疫はすでにウイルスに感染した対象に与えられてもよい。後者の場合には、本発明の1種またはそれ以上のEV79ウイルス特異的結合分子が医薬として使用され、少なくとも対象におけるウイルスの拡散を減少し、従って、少なくとも部分的にウイルス感染に有効である。したがってさらに、本発明は医薬を提供し、本発明に従うEV79ウイルス特異的結合分子を含む。
【0015】
さらに、本発明のウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体または、本発明の蛋白性分子または、本発明のEV79ウイルス特異的結合分子の使用が提供され、エンテロウイルス関連病に対するワクチンを調製する。
【0016】
さらに、EV79関連病に罹患している、または罹患している危険性があるヒトの治療のための方法を提供し、本発明に従うワクチンまたは医薬を前記ヒトに投与することを含む。さらに別の実施形態において、ヒトがEV79関連病に罹患しているか否かを判定する方法を提供し、前記ヒトから試料を得て、前記試料中のEV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出することを含む。
【0017】
さらに別の実施形態において、単離細胞あるいは組換体または細胞系を提供し、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む。好ましくは、前記細胞は霊長類細胞であり、好ましくはサルの細胞である。好ましい実施形態において、前記細胞は本発明のEV79ウイルスを複製する細胞である。特に好ましい実施形態において、細胞は腎細胞である。細胞が使用され、本発明のEV79ウイルスを生成し、EV79を弱毒化し、病原性を弱める。ウイルスの弱毒化は、記載された好ましい細胞系での継続的な培養の際に自然に起こる。弱毒化したEV79ウイルスはワクチンとして使用される。
【0018】
EV79ウイルスはプロテアーゼ2Aおよびプロテアーゼ3Cというエンドプロテアーゼをコードする。典型EV79ウイルス中の配列は図(20)に描かれている。プロテアーゼはEV79にコードされるポリ蛋白質の処理に関して重要である。プロテアーゼ作用は、ここにさらに記載されるようにウイルスプロテアーゼ阻害剤によって少なくとも部分的に阻害される。したがって、本発明はさらに、少なくとも部分的にEV79ウイルス複製を阻害する化合物を提供する。
【0019】
これらの化合物のうちで、プロテアーゼ阻害剤が特に好ましい。
2Aおよび3C酵素は、P(1)位でグルタミン残基を有するペプチド基質を認識するので、ケトン含有グルタミン類似体(たとえば、アザグルタミン)は阻害剤として使用される。さらに、S−ニトロソ−N−アセチル−ペニシラミン(SNAP)、ニトログリセリン(GTN)、硝酸イソソルビド(ISDN)またはグリセリジン等の一酸化窒素(NO)−遊離化合物が使用され、3C活性を阻害する。また、5−(3,4−ジクロロフェニル)メチルヒダントインは、ポリ蛋白質の後翻訳処理を妨害する。
【0020】
ヒトライノウイルス(HRV)3Cプロテアーゼ活性を阻害するビニル性エチルエステル(AG7088、下記の構造式1を参照)。
【0021】
【化1】
【0022】
必ずしも量においてではなく、質において同じ活性を含むプロテアーゼ阻害剤の類似体もまた本発明によって提供される。このような類似体は好ましい配列を有するペプチドを含む化合物を含み、ペプチドは修飾を含む。他の類似体は好ましいアミノ酸配列に似ている蛋白様活性を有する化合物を含む。
【0023】
エンテロウイルスRNAは捕獲されず、5’末端に共有結合する(3B遺伝子でコードされている)VPgという低分子蛋白質を運搬する。いわゆるWIN化合物はピコルナウイルスのヌクレオキャプシドの疎水性ポケットの中に入っており、ウイルスがそのゲノムRNAを脱殻することを防ぐことが好ましい。好ましい化合物は以下のようなものである。プレコナリル、3−メチルチオ−5−アリール−4−イソチアゾールカルボニトリルまたはピリジルイミダゾリジノン。また、リバビリン、ミコフェノール酸、6−アザウリジンおよびピラゾフリン等のヌクレオチド類似体または3−メチルケンペロール等の他のRNA合成阻害剤はピコルナウイルスの複製を阻害する。したがって、本発明はさらにWIN化合物の使用を提供し、EV79感染の治療(のための医薬の調製)をする。
【0024】
本発明はさらに、EV79感染症に罹患しているまたは罹患している危険性のある対象を治療するための方法を提供し、ケトン含有グルタミン類似体(たとえばアザグルタミン)、S−ニトロソ−N−アセチル−ペニシラミン(SNAP)、ニトログリセリン(GTN)、硝酸イソソルビド(ISDN)またはグリセリジン等の一酸化窒素(NO)−遊離化合物、5−(3,4−ジクロロフェニル)メチルヒダントイン、(AG7088、下記の構造式1を有している)ビニル性エチルエステルを含むペプチドから選択される化合物を、対象に投与することを含む。
【0025】
【化2】
【0026】
プレコナリル、3−メチルチオ−5−アリール−4−イソチアゾールカルボニトリルまたはピリジルイミダゾリジノン等のいわゆるWIN化合物あるいはリバビリン、ミコフェノール酸、6−アザウリジン、またはピラゾフリン等のヌクレオチド類似体あるいは3−メチルケンペノール等のRNA合成阻害剤。
【0027】
本発明はさらに、EV79核酸にコードされる蛋白性分子を提供し、前記蛋白性分子は2Aもしくは3Cプロテアーゼまたはその機能的同等物である。機能的同等物は、1種またはそれ以上の保守的アミノ酸置換を有している蛋白質分解活性部分および/または誘導体を含む。化合物が抗エンテロウイルス活性、好ましくはエンテロウイルスの抗蛋白分解活性を有するか否かを判定するための、多くの技術的に既知の方法がある。したがって、本発明はさらに方法を提供し、抗エンテロウイルス複製活性を化合物が含むか否かを判定し、前記方法はEV79または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の複製に関与するEV79ウイルスまたはEV−79蛋白質を使用する点で特徴的である。好ましくは、本発明は方法を提供し、化合物がウイルスプロテアーゼを少なくとも部分的に阻害することが可能か否かを判定し、前記プロテアーゼはEV79または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の、2Aおよび/または3Cプロテアーゼである点で特徴的である。3CL阻害特性に関して試験され得る好ましい化合物は、2Aおよび/または3C開裂前部位のN−末端に位置するペプチド(好ましくはヘキサペプチド)であり、好ましくは、ヘキサペプチドはすぐ接して、2Aまたは3C開裂前部位のN末端である配列を含み、好ましくは、(ヘキサ)ペプチドはさらなる安定性のための修飾を含む。少なくとも部分的に2Aおよび/または3C蛋白質分解活性を阻害することにおいて有効な化合物が使用され、EV79ウイルス感染症に罹患している、または罹患している危険性のあるヒトの治療のための医薬を調製する。
【0028】
1種またはそれ以上の好ましい抗エンテロウイルス複製化合物が医薬として使用され、EV79ウイルス感染症に罹患している、または罹患している危険性のある対象を治療する。したがって、本発明はさらに、医薬を提供し、エンテロウイルス感染症に罹患している、または罹患している危険性のあるヒトを治療し、前記エンテロウイルスはEV79典型ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の核酸配列を含む。
【0029】
本発明において、複数の異なる組換えウイルスは、骨格にEV79ウイルス核酸を使用して生成される。このような複製能力のあるまたは複製欠陥の組換えウイルスは、たとえば、遺伝子運搬媒介物として使用されることが可能である。他方、EV79ウイルスの部分は、遺伝物質を細胞に運搬する他の手段に基づく遺伝子運搬媒介物中で使用され得る。したがって、本発明はさらに、遺伝子運搬媒介物を提供し、EV79ウイルス核酸の少なくとも一部、好ましくは典型ウイルスの一部を含む。好ましくは遺伝子運搬媒介物は、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の蛋白質をコードする核酸を含む。本発明はまた、キメラエンテロウイルスを示し、少なくとも2つのエンテロウイルス由来の核酸を含み、少なくとも前記部分のうち1つはEV79ウイルスに由来する。前記EV79ウイルス由来部分は好ましくは蛋白質コード領域の少なくとも50ヌクレオチドを含む。さらに好ましくは、前記EV79由来部分は図19に示される配列またはその機能的誘導体の500、さらに好ましくは少なくとも1000ヌクレオチドを含む。好ましい実施形態において、本発明はキメラエンテロウイルスを提供し、図19に示される配列の少なくとも1000ヌクレオチドおよび別のエンテロウイルスの少なくとも1000ヌクレオチドを含み、前記後者の1000ヌクレオチドは図19に示される配列と5%以上異なる配列を含む。
【0030】
多くのEV79ウイルスフラグメントの配列が図2bおよび図3に描かれている。広範囲の遺伝子RNAにおけるフラグメントの位置が図3に描かれている。したがって本発明は、1つの特徴において、表2bおよび/または3に示される核酸配列を含む単離または組換えウイルス、または、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体もしくは類似体を提供する。同定している典型フラグメントを用いて、さらにゲノムの配列を決定することは可能である。ゲノム上を歩行するプライマによってこれをなす1つの方法。プライマは、配列が既知の領域に向けられており、このプライマは未知の隣接領域の配列を決定するために使用される。次のプライマは新たに同定された配列に対して生成されることが可能であり、さらなる領域の配列が決定可能である。
【0031】
本発明は、EV79という新規エンテロウイルス種を提供する。EV79ウイルスは重い下痢に罹患している免疫不全の患者から単離された。当然、このEV79ウイルスの存在は既知であるので、EV79が存在するかについてヒトおよびヒト以外の動物をスクリーニングすることは可能である。図2aにおいて、本発明のウイルスの5’UTR領域が描かれている。図2bは、前記5’UTRに隣接する前記ウイルスのゲノムの一部を描いている。この配列によりEV79を他のエンテロウイルスと区別することが可能である。
【0032】
したがって、1つの特徴において、本発明は、図2bに示される核酸配列を含む単離または組換えウイルスまたは、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体もしくは類似体を提供する。図2bに示される核酸配列が提供されるので、技術的に現在の方法を使用して、EV79ゲノムの他の部分の配列を決定することは容易である。たとえば、プローブは図2bの配列に基づいて生成されることが可能である。前記プローブは固体の支持体に結合されることが可能であり、前記支持体は、EV79を含む試料で培養されることが可能である。EV79ウイルスが結合された後、前記ウイルスは単離され、そのゲノムは続いて増幅されることが可能である。非常に関連したウイルスのゲノム配列を整列することによって、保存配列領域は同定可能であり、合成オリゴヌクレオチドの設計を可能にする。これらのオリゴヌクレオチドが使用され、EV79ゲノムの追加および重複部分を増幅する。または、EV79ウイルスは臨床試料または生体外で培養された試料から単離された全核酸のプールから上述のように増幅可能である。
【0033】
図2bの配列に基づくプライマおよび/またはランダムなプライマを含む「一般的プライマ」セットを使用することが好ましく、好ましくは本件出願人によって所有される(ここでは参考文献で組み込まれている)特許出願EP1276901に記載されているようなものである。好ましい一実施形態において、図2bおよび一般的プライマセットの配列に基づくプライマの組み合わせが使用される。前記一般的プライマは上流領域に結合可能であり、EV79ゲノムの同定されていない部分を含み、図2bの核酸配列の範囲を越えて伸張するゲノムの(一部の)増幅を可能にする。増幅後、得られた生成物は、たとえば、ジデオキシ法23を用いて配列決定されることが可能である。当然、ウイルス核酸の残りの部分の配列を決定する多くの他の方法が当業者に利用可能であり、これらが同様に使用されてもよい。
【0034】
本発明はまた、単離EV79、および/またはEV79に実質的に対応するウイルスを含む物質の組成を提供する。
【0035】
「EV79に実質的に対応するウイルス」という用語は、図2bに示される配列によって同定可能なEV79株に同一か、前記EV79株に匹敵するような1種またはそれ以上の変異体を含むEV79ウイルスについて述べている。これらの変異体は自然変異を含んでもよい。それはRNAウイルスが変異しやすいからである。さらに前記変異体は人工的に作られた変異を含むこともある。好ましくは、前記変異体は、依然としてEV79変異体の検出を可能にし、EV79特異的核酸および/または抗体を用いたハイブリッド形成、NASBA、RT−PCRおよびELISA等の一般的な検出方法を使用する。
【0036】
物質の前記組成は、生きている、弱毒化したおよび/または死んだEV79ウイルスを含んでもよい。前記組成は前記ウイルスの、機能的部分、誘導体および/または類似体を含んでもよい。一実施形態において、前記組成はEV79ウイルス由来の組換えベクタを含む。
【0037】
図2bの配列は、図3に示されるアミノ酸配列をコードするオープンリーディングフレームの少なくとも一部を含む。このアミノ酸配列はまた、本発明者によって得られたEV79ウイルス株の一部である。前記配列はVP4領域およびEV79のVP2領域の少なくとも一部を含む。したがって、別の特徴においては、本発明は図3に示されるアミノ酸配列を含む単離または組換えウイルス、または、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体もしくは類似体を提供する。系統分析によって、EV79がヒトエンテロウイルス71、コクサッキーウイルスA2およびA16を含むHEV−Aエンテロウイルスのいくつかに対して、およそ70%同一であり、わずかに関連していることが明らかにされた(図1)。
【0038】
図20、表10、表11および/または3に示されるアミノ酸配列は異なる核酸配列によってコードされることが可能である。たとえば、コードされたアミノ酸残基を変化させることなく、別のヌクレオチドによってコドンの第3のヌクレオチドを置換することが可能である。たとえば、セリンはコドンTCT,TCC,TCAおよびTCGによってコード可能である。したがって、「ウォッブル」理論によれば、前記コドン中の最後のヌクレオチドは他の任意のヌクレオチドに取り替えることが可能である。異なる生物は異なるコドン使用法を使用することが多いため、EV79ウイルス(の一部)をコードする核酸が、前記ウイルスを生成するために使用される特定の生物に人工的に適用されることが可能である。さらに、ウイルス、特にRNAウイルスは変異しやすいので、自然発生のEV79ウイルス株はその遺伝子中に、コードされたアミノ酸生成物に大きな影響を与えない変化を含むこともある。したがって、一実施形態において、本発明は図20、表10、表11および/または図3に記載されているようなアミノ酸配列をコードする核酸を含む単離または組換えウイルス、または、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体もしくは類似体を提供する。
【0039】
さらに、本発明のウイルスはアミノ酸配列を含んで提供され、該アミノ酸配列は図20、表10、表11および/または図3に示されるアミノ酸とある程度異なる。前記アミノ酸配列は自然にまたは人工的に、どちらで変異されてもよい。保守的アミノ酸置換が適用される。すなわち1種以上のアミノ酸残基の、一般的に同様の性質(大きさ、疎水性等)を有する別の残基での置換であり、全体的な機能が大きな影響を受けないような置換である。または、本発明の少なくとも1つのウイルスの性質において影響しない変異が存在してもよい。たとえば、特定の所望の性質が人工的に改良されてもよい。しかしながら、本発明のウイルスの機能に影響する変異もまた天然に起こる。一実施形態において、前記アミノ酸配列は、図20、表10、表11および/または図3に示されるアミノ酸配列の少なくとも一部に対して45%以上相同である。前記部分は好ましくは少なくとも20、さらに好ましくは少なくとも30、最も好ましくは少なくとも50アミノ酸残基を含む。
【0040】
好ましくは、前記アミノ酸配列は図3に示されるアミノ酸配列の少なくとも一部に対して、少なくとも85%、さらに好ましくは95%、最も好ましくは98%相同である。したがって、本発明の一実施形態はアミノ酸配列を含む単離または組換えウイルスを提供し、図3に示されるアミノ酸配列の少なくとも一部に対して45%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を有する。
【0041】
1つの特徴において、本発明はアミノ酸配列を含む単離または組換えウイルスを提供し、図3に示されるアミノ酸配列31〜60位の少なくとも一部に対して43%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を有する。別の特徴において、本発明はアミノ酸配列を含む単離および組換えウイルスを提供し、図3に示されるアミノ酸配列91〜150位の少なくとも一部に対して80%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を有する。さらに別の特徴において、本発明はアミノ酸配列を含む単離または組換えウイルスを提供し、図3に示されるアミノ酸配列61〜90位の少なくとも一部に対して86%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を有する。さらに別の特徴において、本発明はアミノ酸配列を含む単離または組換えウイルスを提供し、図3に示されるアミノ酸配列1〜30位の少なくとも一部に対して90%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を有する。
【0042】
1つの特徴において、本発明のウイルスは、図2bに示される核酸配列とある程度異なる核酸配列を含んで提供される。前に示したように、RNAウイルスは変異しやすい。したがって、多くのEV79株が天然に存在し、発明者によって得られる株とある程度異なる。このような株は図2bに示される配列に匹敵するような変異を含み、たとえば図4に描かれている。これらの株は同じEV79種に属しているので、図2bに示される核酸配列に基づいた核酸配列を用いて、それらは単離、増幅および/または同定可能である。
【0043】
ここで図2bに示される配列に「基づいた」核酸とは、前記核酸が前記全配列または前記配列の必須部分を含んでもよいということであり、配列はある程度修飾されてもよい。好ましくは前記配列は、図2bに示される配列に対して、少なくとも45%相同であり、さらに好ましくは55%、さらに好ましくは65%、さらに好ましくは75%、さらに好ましくは90%相同である。
【0044】
前記「必須部分」の最低限の大きさは、当然、機能の変化とともに変化する。核酸配列の一部がプライマとして使用される場合、前記最低限の大きさは好ましくは、約5ヌクレオチド、さらに好ましくは約8ヌクレオチド、さらに好ましくは約14ヌクレオチド、最も好ましくは約20ヌクレオチドを含む。前記核酸配列の一部がプローブとして使用される場合、前記最低限の大きさは好ましくは約15ヌクレオチド、さらに好ましくは約20ヌクレオチドを含む。
【0045】
ゲノムに変異を含むEV79ウイルスは同様に人工的に作られ、たとえば、ワクチン化のために、コドンの使用法を選択の発現システムに適合させ、または前記ウイルスを弱毒化させる。好ましくは、単離または組換えウイルスが提供され、図2bに示される核酸に対して少なくとも45%相同である核酸配列またはその機能的部分を含む。一実施形態において、本発明のウイルスが提供され、図2bに示される核酸配列に対して、少なくとも55%、好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%相同である核酸配列またはその機能的部分を含む。さらに別の実施形態において、単離または組換えウイルスが提供され、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列の少なくとも一部に対して、少なくとも45%、好ましくは少なくとも55%、さらに好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%相同であり、前記部分は好ましくは、少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも70ヌクレオチドを有する。
【0046】
好ましい実施形態において、単離または組換えウイルスが提供され、核酸配列を含み、図2aおよび図2bに示される核酸配列500〜1134位の少なくとも一部に対して、少なくとも45%相同であり、前記部分は好ましくは、少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも70ヌクレオチドを有する。さらに好ましくは、前記核酸配列は図2aおよび図2bに示される核酸配列500〜1748位の少なくとも一部に対して、少なくとも45%相同であり、前記部分は少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも70ヌクレオチドを有する。さらに好ましい実施形態において、単離または組換えウイルスが提供され、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列683〜1134位の少なくとも一部に対して、少なくとも45%相同であり、前記部分は少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも70ヌクレオチドを有する。さらに別の好ましい実施形態において、前記核酸配列は図2bに示される核酸配列683〜1748位の少なくとも一部に対して、少なくとも45%相同であり、前記部分は少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも70ヌクレオチドを有する。
【0047】
本発明はまた、単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2aおよび図2bに示される核酸配列651〜700位の少なくとも一部に対して42%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0048】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列701〜750位の少なくとも一部に対して、58%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0049】
さらに別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列751〜800位の少なくとも一部に対して88%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0050】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列801〜850位の少なくとも一部に対して、72%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0051】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列901〜950位の少なくとも一部に対して、54%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0052】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列951〜1000位の少なくとも一部に対して、64%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0053】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列1001〜1050位の少なくとも一部に対して、48%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは50ヌクレオチドを有する。
【0054】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列1051〜1100位の少なくとも一部に対して、56%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0055】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列1101〜1134位の少なくとも一部に対して、53%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0056】
本発明の教示から、たとえば下痢などの「一般的な」症状を、EV79関連病によるものとみなすことが可能となった。したがってEV79関連病は今や診断が可能であり、たとえば試料中のEV79ウイルスまたは前記ウイルスに対する抗体の存在を示すことによって可能である。
【0057】
本発明のウイルスが提供されたので、当業者ならば前記ウイルスの、機能的部分、誘導体または類似体を生成することが充分可能である。EV79ウイルスの機能的部分は、必ずしも量においてではなく、質において同じEV79特異的性質を有する部分として定義される。どの性質が比較される必要があるかは、特定の用途による。たとえば、EV79感染性に関心がある場合、細胞に感染する性質が検討されるべきであり、その場合EV79の機能的部分もまた、結局は異なる程度に細胞を感染することが可能であるべきである。しかしながら、宿主中の免疫応答を誘導する能力が検討される場合、単一のEV79ウイルスのEV79特異的エピトープが機能的部分であるとみなすことが可能である。
【0058】
ウイルスの機能的誘導体はウイルス化合物として定義され、前記化合物の性質は量においてではなく質において実質的に同じであるように変更されている。誘導体は多くの方法で提供されることが可能であり、たとえばヌクレオチド置換(好ましくは「ウォッブル」に基づいて)、(保守的)アミノ酸置換、それに続く修飾などによってである。
【0059】
ウイルスの類似化合物もまた技術的な方法を使用して生成されることが可能である。たとえば、キメラウイルス、すなわちキメラ蛋白質を有するEV79ウイルスが生成されることが可能である。たとえば、EV79細胞表面蛋白質および非EV79抗原性部分の少なくとも一部を含む細胞表面関連融合蛋白質を生成することによって、EV79はさらに免疫抗原性になることが可能である。このようなキメラ蛋白質を含むEV79ウイルスは、たとえば、ワクチン化の目的で、宿主中で、向上した免疫応答を誘導するために使用されることが可能である。
【0060】
ここで使用されるように、「本発明のウイルス」という用語は、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体および/または類似体もまた含むということを意味する。
【0061】
蛋白質の機能的部分は必ずしも量においてではなく、質において同じ種類の性質を有する部分として定義される。前記性質は抗原性を含んでもよい。抗原性とは、宿主中で免疫応答を誘導する能力を意味する。蛋白質の機能的誘導体は蛋白質として定義され、前記分子の性質が、必ずしも量においてではなく、質において実質的に同じであるように変更されている。誘導体は、たとえば保守的アミノ酸置換を経て、多くの方法で提供されることが可能である。
【0062】
当業者ならば蛋白質の類似化合物を生成することが充分可能である。たとえば、これはペプチドライブラリのスクリーニングを経てなされる。このような類似体は、必ずしも量においてではなく、質において、前記蛋白質と実質的に同じ性質である。
【0063】
EV79ウイルスが提供されたので、本発明のウイルスの核酸に特異的にハイブリッド形成可能なプライマおよび/またはプローブを生成することが可能である。特異的にハイブリッド形成するとはここでは前記プライマおよび/またはプローブが前記核酸にハイブリッド形成可能であるということを意味する。なぜなら前記プライマおよび/またはプローブは少なくとも3、好ましくは少なくとも5ヌクレオチドの配列を含み、ヌクレオチドは前記ウイルスの前記核酸に相補的であるからである。好ましい実施形態において、前記プライマおよび/またはプローブは前記ウイルスの前記核酸に相補的である配列から成る。好ましくは、前記プライマおよび/またはプローブは厳しい条件で本発明のウイルスの核酸とハイブリッドを形成することが可能である。本発明のプライマ/プローブは特にEV79ウイルスのゲノムの少なくとも一部の増幅/検出に適している。
【0064】
一実施形態は、図2bに示される核酸配列に対して特異的にハイブリッドを形成することが可能なプライマ/プローブを提供する。表2において、本発明のプライマの配列が提供される。
【0065】
本発明はまた、本発明のウイルスまたは、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を特異的に結合可能な単離分子を提供する。前記単離分子は好ましくは、蛋白性分子を含む。前記分子は、図2bに示される配列の少なくとも一部等の、前記ウイルスの核酸に特異的に結合可能であってもよい。しかしながら、前記分子は好ましくは前記ウイルスのアミノ酸配列に特異的に結合可能である。前記アミノ酸配列は、部分的にでも全体でも、EV79ウイルス粒子中にあってよい。しかしながら、前記アミノ酸配列は好ましくは、エピトープなどの前記ウイルスの表面に関連する蛋白質(の一部)を含む。「表面に関連する」とは、前記ウイルスの表面に少なくとも部分的に曝されている蛋白質を意味する。たとえば、このような蛋白質はウイルスキャプシド蛋白質を含む。一実施形態において、前記アミノ酸配列は図3に示されているようなアミノ酸配列の少なくとも一部を含む。前記部分は好ましくは少なくとも5、さらに好ましくは少なくとも10アミノ酸残基を含む。
【0066】
核酸配列を特異的に結合可能な分子とは、ここでは厳しい条件で、関連する核酸配列間を識別可能な分子という意味である。蛋白性分子に特異的に結合可能な分子は異なる蛋白性分子間を識別可能な分子として定義される。なぜならそれは前記蛋白性分子の特異的アミノ酸配列、特異的コンフォメーションなどに対してより多くの親和性を有しているからである。分子の非特異的「スティッキング(sticking)」は特異的な結合とはみなされない。
【0067】
本発明の分子は好ましくは抗体、または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む。抗体の機能的部分は必ずしも量においてではなく、質において前記抗体と実質的に同じ性質を有している。前記機能的部分は好ましくはEV79抗原に特異的に結合可能である。しかしながら、前記機能的部分は、前記抗体全体と比較して、異なる程度にこのような抗原に結合してもよい。抗体の機能的部分または誘導体は、たとえばFABフラグメントまたは単一鎖抗体を含む。たとえば抗体の類似体はキメラ抗体を含む。ここで使用されているように、「抗体」という用語はまた、前記抗体の、機能的部分、誘導体および/または類似体を含むことを意味する。
【0068】
EV79ウイルスを特異的に結合可能な分子は、技術的に現在の方法を使用して得ることが可能である。たとえば、EV79に向けられた抗体は、感染したヒトから得られてもよい。たとえば前記抗体は試料から単離されることが可能であり、試料とはたとえば、血液、血清、隔膜、唾液または細胞組織の試料であり、前記感染したヒトから得られる。またはヒト以外の動物が、EV79を接種され、免疫応答を誘導する。生成された抗体は続いて前記動物から回収されることが可能である。回収された抗体は、たとえば親和性クロマトグラフィなどによって精製される必要があることが多い。
【0069】
さらに、前記抗体は組換え技術で生成されることが可能であり、たとえば微小組織、細胞系(すなわちモノクローナル抗体)または遺伝子組換え動物によって可能である。その場合、コドン最適化が要求されることもある。EV79に向けられた抗体は固層合成等の一般的技術を使用して合成されてもよい。
【0070】
本発明の分子が得られると、結合能等の所望の性質が改良されることが可能である。たとえば、蛋白性分子について、これはAla走査および/または置換ネットマッピング法(replacement net mapping method)によってなされることが可能である。これらの方法とともに、多くの異なる蛋白性分子が原型のアミノ酸配列に基づいて生成されるが、各分子は少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む。前記アミノ酸残基はアラニン(Ala走査)によって置換されるか、または任意の他のアミン酸残基(replacement net mapping)によって置換されてもよい。各変異体は続いて前記所望の性質についてスクリーニングされる。一般化されたデータが使用され、改良された蛋白性分子を設計する。
【0071】
Prima7に特異的に結合可能な抗体等の、本発明の分子が得られると、EV79特異性に関してテストすることが必要なこともある。なぜなら、抗体がエンテロウイルス種領域の保存領域に向けられている場合、抗体は他のエンテロウイルスと交差反応することがあるからである。たとえば、特異性は前記分子でウェルを覆うことによってテストされ、続いて異なるエンテロウイルス種で前記ウェルを培養し、前記分子がEV79のみに、かなりの程度で特異的に結合するか否かを判定することが可能である。当然、特異性をテストするための多くの別の方法が技術的に利用可能である。したがって1つの特徴において、本発明は、本発明のウイルス、または、機能的部分、誘導体もしくは類似体に特異的に結合可能な分子を生成する方法を提供し、
・本発明のウイルスまたは、機能的部分、誘導体もしくは類似体に結合可能な分子を生成し、
・前記ウイルスに特異的な分子を選択することを含む。
【0072】
本発明の抗体または、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体が使用され、試料中のEV79ウイルスの存在を検出することが可能である。前記試料は血液、血清または細胞組織試料を含む。しかしながら好ましくは、前記試料は糞便、唾液または唾液試料を含む。前記抗体または、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体は、たとえば親和性カラム中で使用可能である。前記抗体または、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体は、ELISAマイクロタイタープレート上に覆われてもよく、前記プレートによってヒトまたはヒト以外の動物からの試料を培養することが可能である。前記抗体が前記試料の何らかの成分に特異的に結合する場合、前記試料中のEV79の存在を示している。EV79成分の結合は、たとえばEV79に向けられた第2の、標識された抗体によって明らかにすることが可能である。
【0073】
ELISAに代わる別の方法として、光学バイオセンサ(たとえば、BiaCore 3000またはAffinity Sensors IAsys)が使用され、EV79コード蛋白質および配位子(たとえば、抗体またはFab)の相互作用を検出する。これらの光学システムはELISAと同様に感度が良いが、即時の検出を可能にする。
【0074】
一般的なバイオセンサの実験周期は図7に示されている。第1段階は通常与えられた配位子の固定化であり、バイオセンサキュベット表面の制御である。複数の表面は市販されており、たとえば、ビオチン、カルボン酸、疎水性およびアミノ酸表面型を含む。次の段階は試料の追加であり、操作者は、特異的来ゲート(ligate)との固定された配位子との相互作用を調べる。この段階は結合段階と呼ばれる。それからバッファが加えられ、いかなる弱い非特異的結合分子をも解離することが可能である。第4段階は再生段階であり、表面が最初の状態に戻される。再生の後、キュベットは別の結合実験のために再使用されてもよいし、たいてい4℃で保存されてもよい7;27)。
【0075】
本発明の分子は試料中に存在するEV79を単離するのに適している。前記試料は好ましくは、下痢に罹患しているヒトからの糞便試料を含む。高処理能力自動化分析が確立され、試験試料が本発明の分子で培養される。結合ウイルスは、たとえば本発明のプライマおよび/またはプローブを使用してウイルス粒子の染色またはEV79核酸の検出によって、検出および/または同定可能である。このような分析は簡易で迅速な診断を提供する。さらに、EV79の異なる株を得ることが可能である。前記株は精製されてもよく、さらに調査され、たとえば、診断手順を改良することが可能である。したがって1つの特徴において、本発明はEV79に特異的に結合可能な本発明の(好ましくは蛋白性)分子に免疫反応する単離または組換えウイルスを提供する。
【0076】
本発明のプライマおよび/またはプローブもまた、本発明のウイルスの、検出および/または同定のために使用可能である。たとえばBoom法を用いた核酸単離の後、PCR反応は、本発明の少なくとも1種のプライマを使用して開始されることが可能である。一実施形態において、本発明の1種の(特異的)プライマは1種の「一般的な」プライマと組み合わせて使用される。別の実施形態において、本発明の2種の特異的のプライマが使用される。続いて、本発明のプローブが使用され、増幅されたEV79ウイルス生成物が得られるか否かを判定することが可能である。または、本発明のウイルスの核酸が使用され、それとともにハイブリッド形成可能な核酸の存在を検出することが可能である。一実施形態において、前記核酸は図2bに示される配列を含む。アンチセンス鎖が使用され、ハイブリッド形成を経てセンスEV79核酸を検出するということが認められる。
【0077】
たとえば本発明の分子、プライマおよび/またはプローブを使用して、試料中の本発明のウイルスを検出することが可能になった。または、本発明のウイルスに向けられた特異的な配位子または抗体などの、本発明のウイルスを特異的に結合可能な分子の存在について、試料をスクリーニングすることが可能である。これは診断目的に関して望ましいことが多い。それはヒトのウイルス感染後、免疫病原性は時間とともに変化することが多いからである。第1段階の間、細胞介在型の初期免疫応答が誘起されることが多く、時間とともに体液性応答に切り換わることもある。前記変化のために、1種の免疫学的診断手順は感染の全期間に適していないこともある。肯定的結果と否定的結果とが交互に得られることもある。したがって、EV79ウイルスの存在の測定に加えて、同様にヒトの試料中の前記ウイルスに対する抗体の存在を判定することは有利なことである。これは、本発明のウイルス(または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは誘導体)で前記ヒトの試料を培養し、技術的に一般的な方法を使用して結合抗体を検出することによって成し遂げることが可能である。したがって、本発明のウイルス、または、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を使用して、試料中の前記ウイルスに対する特異的配位子または抗体などの、本発明のウイルスに特異的に結合可能な分子を検出することもまた、ここで提供される。当然、全ウイルス粒子を使用する必要はなく、それは前記ウイルスの核酸配列および/またはアミノ酸配列もまた使用され、抗体を検出することが可能であるからである。前記アミノ酸配列は好ましくは本発明のウイルスの表面関連蛋白質のエピトープを含む。なぜならヒトの免疫システムは、ウイルス感染後、このような表面関連蛋白質に直接曝されるからである。したがって、前記表面関連蛋白質に対する抗体は最も存在する可能性がある。一実施形態において、図3に示される配列、または、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体が使用され、本発明のウイルスに対する特異的配位子または抗体などの、本発明のウイルスに特異的に結合可能な分子を検出する。
【0078】
本発明のウイルス、または、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体は、特に、好ましくはEV79関連病に対するワクチンとしての使用に適している。好ましい実施形態において、弱毒化ウイルスあるいは表面関連蛋白質などの機能的部分、そのエピトープまたはグリコシル化結合が使用される。前記ワクチンは好ましくはスペコール(Specol)または二重油性エマルジョン(double oil emulsion)等の適切なアジュバントを含む。前記ウイルスまたは機能的部分はさらに、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、またはオボアルブミン等の蛋白質の抗原性結合等の適切な担体に結合されてもよい。ワクチンを生成する方法は技術的に既知である。本発明のEV79ウイルスはエンテロウイルスであるので、EV79に対するワクチンは、ポリオウイルス等の他のエンテロウイルスに対する、現在使用されるワクチンから類推して生成されてもよい。当業者に既知のワクチンの製造方法は、たとえば死んでいるウイルスと、生きている弱毒化ウイルスと、ウイルスサブユニットと、DNAワクチンと、アデノウイルスまたはAAV等の適切なワクチンベクタ中のDNAワクチンと、ウイルスベクタを一体化させることを経た遺伝子治療方法とを含む。ヒトに対するこのようなワクチンの投与は、ヒトの免疫システムの活性化を経たEV79に対する予防を提供する。
【0079】
本発明のウイルス、または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体もまた医薬としての使用に適している。たとえば、前記ウイルスは、消化管の局部治療に有益な性質を有する蛋白性分子をコードする核酸を与えられてもよい。
【0080】
別の実施形態において、本発明の分子、好ましくは、本発明の蛋白性分子はワクチンまたは医薬として使用される。前記ワクチンまたは医薬は好ましくはEV79関連病の予防および/または治療に使用される。前記分子は、EV79感染が起こる前に、好ましくは上述の適切なアジュバントおよび/または担体と組み合わせてヒトに投与されることが可能である。このような受動免疫は(しばしば一時的に)次の感染に対する予防を提供する。前記分子はまたEV79感染後、医薬として投与されてもよい。前記分子はEV79に特異的に結合可能であり、少なくとも部分的に、EV79感染の影響を弱める。本発明の分子を含む医薬は、当然、炎症抑制剤等の1種またはそれ以上の他の医薬と結合されることが可能である。一実施形態において、複数の医薬はヒトに別々に投与される。しかしながら、本発明の分子はまた、ある薬剤の調製において、別の薬学的に活性な化合物と結合されることも可能である。
【0081】
したがって、本発明は、本発明のウイルス、または、機能的部分、誘導体または類似体および/もしくは分子を含むワクチンを提供する。
【0082】
本発明の分子を含む医薬もまたここで提供される。前記医薬は好ましくは本発明の蛋白性分子を含む。本発明のワクチンまたは医薬は、好ましくはEV79関連病を少なくとも部分的に予防および/または治療するために使用される。
【0083】
エンテロウイルスは多種の病気に伴う下痢、呼吸困難および熱などの症状を引き起こすことが多い。したがって、これらの症状をエンテロウイルス感染に直接帰することはできない。本発明のウイルスが提供されているので、ヒトがエンテロウイルス属関連病に罹患しているか否かを判定することが可能になった。さらに具体的には、EV79関連病が関係しているか否かを判定することが可能である。本発明のウイルス、または、機能的部分、誘導体もしくは類似体が使用され、ヒトからの試料が前記エンテロウイルスに対する抗体を含むか否かを判定することが可能である。さらに、試料中のエンテロウイルスの存在は、本発明の蛋白性分子を使用して、たとえば、親和性クロマトグラフィまたはELISAを使用して判定することが可能である。試料中のエンテロウイルスの存在も同様に、前記試料の核酸をPCR,RT−PCR,TMAまたはNASBAなどの増幅反応し、本発明の少なくとも1種のプライマまたはプローブを使用して、増幅されたエンテロウイルス核酸が存在するか否かを判定することによって判定可能である。エンテロウイルス属関連病が診断されると、たとえば前記エンテロウイルスに特異的に向けられた抗体等の、適切な治療を施すことが可能である。あるいは、または、さらに、一般的な抗ウイルス薬が使用されてもよい。
【0084】
したがって、エンテロウイルス属関連病の診断のための、本発明のウイルス、分子および/またはプライマ/プローブの使用もまた提供される。好ましくは前記エンテロウイルス属はEV79エンテロウイルスを含む。
【0085】
本発明はまた診断キットを提供し、本発明のウイルス、または、機能的部分、誘導体もしくは類似体、および/またはプライマ/プローブを含む。本発明のキットを用いて、エンテロウイルス関連病は、たとえば、試料中のエンテロウイルスまたはエンテロウイルスに向けられた抗体の存在を示して、診断可能である。一実施形態において、前記キットはまた、核酸の単離および/または増幅のための適切な手段を含む。
【0086】
EV79に特異的に結合可能な本発明の分子、好ましくは蛋白性分子を含む診断キットもまた、ここで提供される。前記分子は好ましくは、マイクロタイタープレート等の適切な固体支持体上に存在する。前記キットは試料中のエンテロウイルスの存在を示すのに特に適切であり、好ましくは、同様にエンテロウイルスを染色するための適切な手段を含む。このような手段は一般的に技術的に入手可能である。
【0087】
1つの特徴において、本発明はヒトがEV79関連病に罹患しているか否かを判定する方法を提供し、前記ヒトから試料を得ることと、本発明のプライマおよび/またはプローブを用いて前記ウイルスまたは、機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸を、ハイブリッド形成および/または増幅し、ハイブリッド形成および/または増幅された生成物を検出することによって、前記試料中のEV79ウイルス、または、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出することとを含む。
【0088】
別の特徴において、本発明はヒトがEV79関連病に罹患しているか否かを判定するための方法を提供し、前記ヒトから試料を得ることと、本発明の(蛋白性)分子と、前記ウイルスまたは、機能的部分、誘導体もしくは類似体との特異的結合、ならびに結合生成物の検出によって、前記試料中のEV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出することとを含む。
【0089】
さらに別の特徴において、本発明はヒトがEV79関連病に罹患しているか否かを判定するための方法を提供し、前記ヒトから試料を得ることと、本発明のEV79ウイルスまたは、機能的部分、誘導体もしくは類似体と、前記抗体との特異的結合、ならびに結合生成物の検出によって、前記試料中のEV79特異的抗体を検出することとを含む。
【0090】
EV79関連病と診断されると、本発明の医薬を用いて治療することが可能である。さらに、EV79に感染する危険のあるヒトは、本発明のワクチンを接種されることが可能であり、EV79関連病を予防する。たとえば、免疫不全のヒトは、EV79ウイルスに特異的に結合可能な本発明の分子を含むワクチンを与えられることが可能である。
【0091】
したがって、EV79関連病に罹患している、または罹患している危険にあるヒトの治療のための方法もまた提供され、本発明のワクチンまたは医薬を前記ヒトへ投与することを含む。
【0092】
本発明はさらに、以下の実施例によって示される。実施例は決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0093】
実施例
Prima7の単離
55のピコルナウイルス単離物の全長ゲノム配列の整列において、2つの群を識別することができた。ヒトエンテロウイルスのほとんどを包含する群に関して、プライマとネスティッドRT−PCRアッセイとを、この群の全てのメンバーを増幅することができるように設計した。このアッセイを用いて、201人のHIV陽性被験者の臨床検便試料をスクリーニングし、そのうち17は、推定された寸法(300bp)のPCR生成物を生成した。これらの試料のうち4つは、第1の増幅後、高いウイルス力価を指示する450bpの一群を示した。2つのPCR生成物のクローン化されたフラグメントは、ヒトエンテロウイルス71およびポリオウイルスの5’−UTRとそれぞれ、89%および91%の相同性を示した。
【0094】
【表1】
【0095】
ウイルス性RNA単離
RNA抽出を、Boom et al.に記載される方法を用いて実行した。手短に述べると、エンテロウイルスパネルからの100μLの臨床試料または再構成された試料を、L6溶解緩衝液900μL、シリカ50μLと混合し、次いで室温で10分間培養した。いくつかの段階の間に核酸と結合したシリカ粒子を洗浄した後、RNAを、ヌクレアーゼの存在しない水50μL中で溶出した。
【0096】
発見のためのネスティッドRT−PCR増幅
ウイルス性RNA単離の後、単離されたRNAを含有する溶出物10μLを、ネスティッドRT−PCR増幅試験に用いた。PICG2D1(5’−GACACCCAAAGTAGTCGG−3’)と称され、かつエンテロウイルスの5’−非翻訳領域(5’−UTR)領域に由来する下流プライマを、cDNA合成に用いた。第1鎖および第2鎖cDNA合成を、前述の(DeWolf et al., 1994)のように実行した。手短に述べると、第1鎖cDNAを合成するために、42℃で45分間培養した後、第1PCR増幅の対応する一般的な上流プライマ、すなわちPICG2U1(5’−GGTACCTTTGTRCGCCTGT−3’)、PCR緩衝液、デオキシヌクレオチド3リン酸、2.5mMのMgC12、および2UのTaqポリメラーゼ(パーキンエルマーシータス社製)を加えた。95℃で5分間培養した後、反応混合物に、次のプロフィール、95℃1分間、55℃1分間および72℃2分間で、35周期の増幅を受けさせた。第1PCR増幅の後、PCR生成物5μLを、ネスティッド上流プライマ、すなわちPICG2U1’(5’−CAAGCACTTCTGTTTCCCC−3’)と、一般的なネスティッド下流プライマ、すなわちPICG2D1’(5’−CATCGRCCTGATCTACAC−3’)とからなるネスティッドPCR反応混合物に加えた。この反応混合物に、第1PCR増幅と同じプロフィールで、25周期の増幅を受けさせた。標的のフラグメントは、第1PCR生成物について約450bpの長さ、またはネスティッドPCRフラグメントについて約300bpの長さであり、これらを、プラスミド調製、およびそれに続く遺伝子シークエンシング反応のために、thepCRII−TOPOベクタ(インビトロジェン社製、カールスバッド、カリフォルニア)に対してクローン化した。
【0097】
DNAシークエンシングおよび分析
プラスミドを含有するエンテロウイルス−PCR生成物を、-21M13およびM13リバースプライマを用いて、BigDye(登録商標)Terminator Cycle Sequencingキット(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)社製、フォスターシティ、カリフォルニア)によってシークエンシングした。反応混合物をシークエンシングする電気泳動法を、アプライドバイオシステムズ377自動シークエンサを用いて、製造者のプロトコルに従って実行した。ベクタNTIスイート7ソフトウェアパッケージを、全てのシークエンシングデータを分析するために用いた。
【0098】
完全Prima7ゲノムのヌクレオチド配列の決定
ピコルナVP4領域の保存領域に位置する第3のオリゴヌクレオチド(07VP4D1,AGCTTCCACCACCACCC)を用いて、クローン07に関する配列を、1034ヌクレオチドに伸長した(図5を参照)。
【0099】
その結果生じた、推定上のVP4領域の推定されるアミノ酸配列は、エンテロウイルス70群における系統樹およびクラスタの中で他と区別可能な枝を占め、これは新規なエンテロウイルスと同定される。保存領域を標的とするプライマの組合せと、独自開発のPALM法とを用いて、我々は、この新しいエンテロウイルスの全長ゲノム配列を決定する過程にある。
【0100】
推定されるオリゴヌクレオチドによる配列伸長
関連するエンテロウイルス70,71およびコクサッキーA16の推定されるアミノ酸配列の整列によって、保存領域を同定した。これらの保存蛋白質領域の折り返し翻訳の後(表2)、適切なコドンバイアスを考慮して、退化プライマを設計し、RT−PCRに用いることができた。表2から、オリゴの適切な組合せおよび配向を選択することによって、Prima7ゲノムRNAの重複フラグメントは、RT−PCRによって増幅され得る。これらの重複フラグメントから、完全ゲノム配列を組立てることができる。
【0101】
Palm
代替的に、Prima7ゲノムの分析された部分(表3,07UVP01〜07UVP07)に位置する5’−オリグヌクレオチドと、3’標識ランダムプライマ(JZH2R)との組合せを用いて、EV79ゲノムの追加フラグメントを、前述と類似するネスティッドRT−PCRプロトコルを用いて増幅した。
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
細胞培養におけるPrima7の増殖
臨床糞便試料を、培地B(ブイヨンNo.2オキソイド25g/L、ペニシリン250u/mL、ストレプトマイシン250pg/mL、アンフォテリシンB1.5pg/mL)において再懸濁(30%v/v)した。成長培地を、熱殺菌された白金線培地吸引装置を用いて、培養細胞(ベロ細胞、ヒト胎児肺繊維芽細胞またはサル腎臓細胞)を含有する管から除去した。培地Bに保存されている糞便を、10分間2500RPMで遠心分離機にかけ、その結果生じた上清1mLを、45μMシリンジ付フィルタを用いて濾過した。その濾液3〜4滴を、培養細胞に加えた。閉じられた管を、患者材料と、ガラス壁に付着する細胞との接触を確実にするために、優しく反転させ、その管を30分間37℃で培養した。MEMハンクス8%FCS(ギブコ社製)溶液を、室温で均衡させ、アンフォテリシンB0.375μg/mLおよびネオマイシン10mg/mL(ギブコ社製)を加えた。各管に、MEMハンクス8%FCS1mLを加え、これらの管を37℃で培養した。少なくとも2週間、週2回、細胞を顕微鏡で観察し、ウイルス特異的な細胞変性効果(CPE)を記録する。
【0105】
検便試料中のPrima7検出方法
Prima7配列(表4)に基づいて、ネスティッドオリゴヌクレオチド2組を設計し、RNA抽出を、前述のとおり実行した。ウイルス性RNA単離の後、単離されたRNAを含有する溶出物10μLを、ネスティッドRT−PCR増幅試験に用いた。下流プライマ、すなわちEV07D1を、cDNA合成に用いた。
【0106】
【表4】
【0107】
第1鎖および第2鎖cDNA合成を前述6のように実行した。手短に述べると、第1鎖cDNAを合成するために、42℃で45分間培養した後、第1PCR増幅の対応する一般的な上流プライマ、すなわちEV07U1、PCR緩衝液、デオキシヌクレオチド3リン酸、2.5mMのMgC12、および2UのTaqポリメラーゼ(パーキンエルマーシーラス社製)を加えた。95℃で5分間培養した後、反応混合物に、次のプロフィール、すなわち95℃1分間、55℃1分間、および72℃2分間で、35周期増幅を受けさせた。第1PCR増幅の後、PCR生成物5μLを、ネスティッド上流プライマ、すなわちEV07U2と、下流プライマ、すなわちEV07D2とからなるネスティッドPCR反応混合物に加えた。この反応混合物に、第1PCR増幅と同じプロフィールで、25周期増幅を受けさせた。
【0108】
ポリクローナル抗体の収集方法
Prima7ポリ蛋白質(たとえば、VP1またはVP4)内の適切な領域は、適切なオリゴヌクレオチドおよびRT−PCRを用いて、選択かつ増幅されることができる。対応する精製されたウイルス抗原を、Nicaud et al.16に述べられるように、適切な宿主(たとえばYarrowia lipolytica)における発現によって得ることができる。メスのNZWウサギ(約4kg)を、ウイルス蛋白質抗原調製物0.5〜5.0mgで初回免疫する。抗原を、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.3)0.5mL中で懸濁し、等量の完全フロインドアジュバント(CFA)中で乳化する。フロインドアジュバントは、少量の抗原が用いられ、かつ抗原の免疫原性が(おそらくではあるが)知られていないこれらの実験において使用するのに、適切な既知のアジュバントシステムである。発行された使用ガイドラインは、次のとおりであり、各部位につき0.1mLに注射を限定すること、初回免疫投与にのみCFAを用いることを含む。この抗原調製物(1mL全容積)を、ウサギの首の背面の弛緩性皮膚に皮下注射する。この注射経路は、免疫学的に有効であり、一方的または相互的な脇腹注射に関連する局所炎症の可能性を最小限にする(このようなその後の脇腹炎症は、動物の可動性を害する)。3週間の静止後、血液1mLを、血液検査のために耳の動脈から除去する。もし所望の抗体の力価が低すぎると判断された場合、抗体を増量する。適切な抗体レベルを有するウサギを、CFAに含有される抗原1.0mgを皮下注射してブーストする。ブーストされた動物を、2週間後に採血し、すなわち血液15mLを、血管を拡張させるヒートランプを用いて耳の動脈から採る。ウサギは、商業的な制限に配置し、全部で7回以下、キシラジンで安静にし、その後、キシラジン/ケタミンを用いて麻痺させた後、ウサギから、心臓穿刺によって全血を採る。
【0109】
ワクチン生成方法
サブユニットワクチンの生成のために、おそらくVP2およびVP3蛋白質と組み合わせられるVP1領域を、適切な真核細胞の宿主(たとえば、Y. Lipolytica、またはベロ細胞)において発現することができ、また、優先的に2つの小さい親和性標識(たとえば、His標識またはStrepII標識)を用いて精製することができた。適切な精製の後、その結果生じるウイルス性蛋白質を、サブユニットワクチンとして用いることができる。
【0110】
代替的に、Prima7ウイルスを、前述のようにベロ細胞において繁殖させることができ、続いて、Wu et al.28に記載されたように処置することができる。手短に述べると、ウイルスを、20%ポリエチレングリコール6000を用いて培地から沈殿させ、不連続な40〜65%サッカロース勾配で4時間80,000×gで、続いて、線形5〜40%CsCl勾配で4時間120,000×gで、超遠心分離法によって精製する。その結果生じるウイルス調製物は、Blondel et al.3に記載されるように、30分間65℃で加熱することによって不活性化されることができる。
【0111】
光学バイオセンサにおける固定化配位子(たとえば抗体)と結合するPrima7ウイルス性蛋白質のVP1またはその他の分析
結合反応を、些細な修正を伴って、20℃で、IAsys2チャネル共振ミラーバイオセンサ(アフィニティセンサーズ(Affinity Sensors)社製、サクソンヒル、ケンブリッジ、イギリス)において実行した。600arcsの信号が1ng/mm2の結合された蛋白質に対応する2次元ビオチン表面を、製造者の取扱説明書に従ってストレプトアビジンによって誘導化した。参照は、ウイルス性蛋白質が、ストレプトアビジン誘導化ビオチン表面に結合されないことを示した(結果は図示しない)。ビオチン化抗体を、2次元ストレプトアビジン誘導化表面において固定化し、その後PBSで洗浄した。バイオセンサキュベットの表面に固定化された配位子および結合されたVP1の分布を、共鳴スキャンによって検査し、これは、常に、これらの分子がセンサ表面上で規則的に分布しており、したがって微小な集合を形成していないことを示した。結合アッセイを、20±0.1℃で最終容量のPBS30μLにおいて実行した。14〜70nMの間の最終濃度のVP1を与えるために、ライゲート(ligate)を、キュベットに対して、PBS1μL〜5μL中で既知の濃度で加えた。解離段階の後、残余の結合されたライゲートを除去して、固定配位子を再生するために、2MのNaCl−10mMのNa2HPO4(pH7.2)50μLで3回、および20mMのHCL50μLで3回、キュベットを洗浄した。データは、異なる量の固定化抗体(0.2、0.6および1.2ng/mm2)を用いた実験から蓄積された。konの計算のために、低いライゲート(VP1)濃度を用いる一方で、koffの測定のために、比較的高いライゲート濃度を、再結合するあらゆる人為的な結果を回避するために用いた(1μM)。この結合パラメータkonおよびkoffは、結合反応の結合段階および解離段階からそれぞれ算出され、算出には、機器を備える非線形カーブフィッティングFastFitソフトウェア(アフィニティセンサーズ社製)を用いた。解離定数(Kd)は、結合率定数および解離率定数から、および平衡点近くで観察される結合範囲から算出した。
【0112】
検便試料におけるPrima7の検出方法
Prima7配列(表5)に基づいて、ネスティッドオリゴヌクレオチド2組を設計し、RNA抽出を前述4のように実行した。ウイルス性RNA単離の後、単離されたRNAを含有する溶出物10μLを、ネスティッドRT−PCR増幅試験のために用いた。下流プライマ、すなわちEV07D01を、cDNA合成に用いた。
【0113】
【表5】
【0114】
第1鎖および第2鎖cDNA合成を、前述(De Wolf et al., 1994)のように実行した。手短に述べると、第1鎖cDNA合成のために、42℃で45分間培養した後、第1PCR増幅の対応するジェネリック上流プライマ、すなわちEV07U1、PCR緩衝液、デオキシヌクレオチド3リン酸、2.5mMのMgC12、および2UのTaqポリメラーゼ(パーキンエルマーシーラス社製)を加えた。95℃で5分間培養した後、反応混合物に、次のプロフィール、すなわち95℃1分間、55℃1分間、および72℃2分間で、35周期増幅を受けさせた。第1PCR増幅の後、PCR生成物5μLを、ネスティッド上流プライマ、すなわちEV07U2と下流プライマ、すなわちEV07D2とからなるネスティッドPCR反応混合物に加えた。この反応混合物に、第1PCR増幅と同じプロフィールで、25周期増幅を受けさせた。PCR生成物を、1%アガロースゲルにおいて寸法で分別し、摘出し、製造者(キアゲン社、ウェストバーグ)によって供給されたプロトコルに従って、Qiaquickカラムを用いて精製し、pCRII(インビトロジェン社製)に、トポイソメラーゼ1仲介ライゲーションを介してクローン化した。各PCR生成物について、3つのランダムに採取されたコロニーからのプラスミドを、Qiagen Spin Miniprepキットを用いて単離し、Big-Dye(アプライドバイオシステムズ社製)シークエンシングプロトコルを用いて分析した。結果は、図4に示される。
【0115】
核酸配列
PALM法、長期RT−PCRおよび5’−RACEの組合せによって、エンテロウイルスPrima7の完全ヌクレオチド配列を得た。
【0116】
系統分析は、Prima7がヒトエンテロウイルスA群と群を形成することを明らかにした。最も密接に関連するA群のメンバーは、エンテロウイルス71およびコクサッキーA16であり、これらは、核酸レベルで、全体で68%の配列同一性を示す(表4)。Prima7(全図におけるEV79)が群間組換体であることから系統樹の別個の枝を占めるという可能性を排除するために、我々は、ヒトエンテロウイルスA、B、C、DおよびE群の参照配列を用いて、SimPlot分析13を実行した。そのゲノムPrima7がA群のエンテロウイルスとの最も強い類似性を維持する間中、Prima7が群間組換体ではないことを示唆した。
【0117】
Prima7配列が、SimPlot分析における疑問として用いられ、全ての利用可能な全長ヒトエンテロウイルスA群と比較される場合、これら全てと等距離であるように見える。しかしながら、もし他のいずれのA群エンテロウイルスが疑問配列として用いられたとしても、Prima7は、そのゲノム全体を通して最も低い類似性を示す。これは、Prima7が新しいA群エンテロウイルスであり、単に、2つの縁戚のA群エンテロウイルスからの組換体であるというわけではないことを示唆する。
【0118】
ハイブリッドゲノム
第1キメラゲノムを、コクサッキーウイルスA16(NC_001612)のヌクレオチド2187とEV79のヌクレオチド2129とを融合する、VP3における相互組換えによって生成した。組換えは、保存配列TGGGAにおいて生じ、大きいオープンリーディングフレームを維持し、ハイブリッド蛋白質を生成した。第2キメラゲノムを、エンテロウイルス71(U22522)のヌクレオチド3773と、EV79のヌクレオチド3713とを再度融合する相互組換えによって生成し、ポリ蛋白質内でハイブリッド2bコード化領域を創出する。組換えは、保存配列ATGGA内で生じた。
【0119】
非翻訳領域
最も強い配列保存は、5’非翻訳領域(5’UTR)において遭遇する。なぜなら、おそらくこの領域が蛋白質合成の複製および開始において中枢の役割を果たしているからである22。5’UTRにおける逆方向反復は、多数の内部の塩基を対合させることができ、その結果生じる2次構造を、M−Foldプログラム14を用いて予測され得る。開始コドンは、推定上の配列内リボソーム進入部位(IRES(Internal Ribosome Entry Site))またはリボソームランディングパッド(ribosome-landing-pad)の一部であるCT豊富域(643〜660位)のすぐ下流に存在する。このATGは、相同性に基づいて開始コドンとして我々が同定するものと対応する。推定上の開始コドンに先行する他の全ての7つのATGは、フレーム外にあり、M−fold予測に従って、ヘアピンループにおいて配列される。
【0120】
オープンリーディングフレーム分析
683位のATGが開始コドンであるとすれば、我々は2199AAのORFを得ることになる。芽細胞研究を、コード化されたポリ蛋白質の蛋白質分解開裂生成物を一時的に同定するために用いた。
【0121】
【表6】
【0122】
【表10】
【0123】
ワクチンとしてのキャプシド蛋白質
VP2、VP3およびVP115における、ならびにEV71VP1のためのポリオウイルス標的エピトープに対する中和抗体を、ワクチン生成のための第1の標的として提案した24,23。さらに、組換体VP1の線形エピトープに対するIgGおよびIgM免疫応答を検出することは、エンテロウイルス71感染の種々の段階を決定する有効な手段である24。病原性および組織屈性を決定する要素は、VP126および5’UTR8に局在化していた。コクサッキーウイルスA9に関して、保存配列モチーフPALTAVETGHTの修飾は、結果として、感染性の子孫ウイルスを生成する能力を低下させる1。エンテロウイルス79VP1が類似の配列モチーフ(赤色字,黄色背景)を含有するので、我々は、保存配列モチーフ(赤色で示される)の修飾を、弱毒化した株を得るためのツールとして断言することができた。さらに、VP1の3次構造は、小さい疎水性分子(ポケット因子)を通常含有する無極性ポケットをかくまう22。新しい抗ウイルス物質は、この無極性ポケットを標的とし、これは、ポケット因子を置換し、ウイルスゲノムの脱殻と干渉する。我々は、組換体VP1を、かかる抗ウイルス化合物のためのスクリーニングツールとして断言することができた。VP1を、親和性標識蛋白質(His標識および/またはStrepII標識)として適切な微生物宿主(たとえば、大腸菌(Escherichia coli))において発現させることができた。cDNAをコード化するVP2、VP3およびVp1蛋白質は、オリゴヌクレオチドのペアであるVP2−VP2R、VP3F−VP3RおよびVP1F−VP1Rをそれぞれ用いてERT−PCRによって増幅されることができる。PCRプライマは、attB1およびattB2部位を、それぞれ3つ全てのアンプリコンの5’末端および3’末端に加える。その結果として生じた818、785および938bpのPCR生成物は、ゲートウェイシステム(インビトロジェン社製)のためのエントリークローンを生成するトポイソメラーゼ仲介ライゲーションによってpDONR201(インビトロジェン社製)に挿入されることができる。ゲートウェイシステムは、有効なin vitro組換え反応を通じて、attB1部位とattB2部位との間に位置するあらゆる配列の方向性のある転移を可能とする。インビトロジェン社は、大腸菌(Escherichia coli)(たとえば、pBAD−DEST49、pDEST17)、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)(たとえば、pYES2−DEST52)、バキュロウイルス(Baculovirus)(たとえばpDEST20)のみならず、昆虫類細胞系(pMT−DEST48)および哺乳類細胞系(たとえば、pT−REX−DEST31)などの多数の宿主のための発現ベクタに対応するゲートウェイを供給する。
【0124】
一例として、EV79由来の、VP2、VP3およびVP1のためのPCRcDNAフラグメントを、pDONR201にライゲートし、pEV2、pEV3およびpEV4を与えるために、pThio−HisB(インビトロジェン社製)ゲートウェイ誘導体pGP7に転移した。発現は、N末端His標識チオレドキシン領域を保持するE.coliにおける、VP融合蛋白質のpEV1〜3の直接生成を構築し、この領域は、可溶性向上カセットとして、かつC末端StrepII親和性標識として作用する。HisおよびStrepII親和性標識は、検出および回復を促進させる。蛋白質回復の第1段階は、プロテアーゼ阻害物質の適切なカクテルを含有する緩衝液中で宿主細胞を溶解することである。あらゆる封入体は、8Mの尿素の存在下で音波処理によって可溶性にされる。クリアにされた溶解物を、NiNTA樹脂(キアゲン社製)を含有するカラムに入れ、製造者のプロトコルに従って金属親和性精製を受けさせた。金属親和性精製の溶出液を、適切な緩衝液で希釈し、製造者(IBAゲーエムベーハー)によって指示されるように、ストレプタクチン(Streptactin)カラムに移動させた。このようにして、精製された蛋白質を、E.coliにおいて生成することができる。
【0125】
【表7】
【0126】
【表11】
【0127】
2Aプロテアーゼは、ポリ蛋白質からのそれ自身の放出と、宿主蛋白質合成を停止させた後にIRES依存ウイルス翻訳が引き継ぐ宿主翻訳開始因子eIF4G9,21の不活性化とに触媒作用を及ぼす25。この機能に干渉するあらゆる化合物を、抗ウイルス物質として用いることができた。
【0128】
コクサッキー2Bの発現は、膜透過性を高め、これによって細胞内Ca2+ホメオスタシスを崩壊させ、結局、ウイルス子孫の放出を可能とする膜損傷を生じさせる26。この機能を干渉するあらゆる化合物を、抗ウイルス物質として用いることができた。
【0129】
3BまたはVPg:この蛋白質は、ウイルスゲノムRNAの5’末端に共有結合して付着される。
【0130】
【表8】
【0131】
EV79配列内リボソーム進入部位(IRES)の使用例
発現ベクタpLXRN(ジェンバンク(GenBank)受託番号AF113968)は、ポリリンカーにクローン化されるあらゆるcDNAの発現を促進するレトロウイルスの長い末端反復(Long terminal Repeat,LTR)を用いる。LTR活性は、バイシストロン性mRNAの転写を生じさせ、これの第1オープンリーディングフレームは、発現されるべき蛋白質をコード化し、第2オープンリーディングフレームは、真核細胞のネオマイシン選択マーカーをコード化する。第1および第2のORFは、IRES由来の脳心筋炎ウイルスによって分離され、これはネオマイシン耐性の有効な翻訳を確実にする。
【0132】
EV79IRESによってEMCVIRESを交換するために、第1に、NcoI部位は、ネオマイシン耐性遺伝子の開始コドンにおいて導入されなければならない。この制限部位は、Quickchangeキットを製造者(ストラタジーン(Stratagene)社)の取扱説明書に従って用いて、オリゴヌクレオチドpLXRN1および2を使用して、部位に方向付けられた突然変位生成によって生成される。その結果生じるpLXRN誘導体は、BamHIで部分的におよび完全に消化されたNcoIである。EV79IRES(EV79ヌクレオチド1〜746位,図19)は、プライマIRES5およびIRES3を用いてRT−PCRによってEV79含有臨床試料から増幅されることができ、同時に、BamHI部位を5’末端に、BspLU11I部位を、ポリ蛋白質開始コドンにおいて加える。その結果生じる762bpのアンプリコンを、BamHI−BspLU11Iで消化し、突然変異pLXRNにライゲートする。その結果生じる構造は、すなわちpEV79であり、ここにおいてEMCVIRESは、それのEV79相同分子種(artholog)によって置換される。pEV79は、前述したように、哺乳類細胞系にトランスフェクトするために用いられ得る。
【0133】
【表9】
【0134】
サル由来のEV79
我々は、ヒトエンテロウイルスの新種を発見した。EV79は、VP1由来の系統樹内の他と区別可能な枝を占める。VP1配列の一般的な群、主要なピコルナウイルス抗原は、抗原型に関連していることが実証された5,17。近年、新しいサルピコルナウイルス属およびいくつかの新種がVP1蛋白質整列に単に基づいて提案された18。したがって、EV79はまた、新しいエンテロウイルス抗原型を示さなければならない。VP2を基礎とする全長のポリ蛋白質由来の系統樹においても、EV79は、最も密接に関連するA群エンテロウイルス(たとえばコクサッキーA16およびエンテロウイルス71)から区別可能なままであり、これは、新規なエンテロウイルスを発見したという我々の主張をさらに補強する。SimPlot分析は、ゲノム全体を通して、EV79が他の全てのヒトエンテロウイルスと異なることを示し、これは、EV79が種間組換えによって生じる可能性を排除する。
【0135】
すでに、サルウイルスA13、SV19、25、35、43および46とA群ヒトエンテロウイルス(たとえばコクサッキーA16およびEV71)との密接な関係は、ヒトへの感染能に関する推測を以前から促進させてきた18。ヒト単離EV79の、これらのサルウイルスとのさらに密接な関係は、人畜共通感染能を証明することができた。
【0136】
参考文献リスト
1. Caro, V., S. Guillot, F. Delpeyroux, and R. Crainic. 2001. Molecular strategy for 'serotyping' of human enteroviruses. J. Gen. Virol. 82:79-91.
2. Oberste, M. S., K. Maher, D. R. Kilpatrick, M. R. Flemister, B. A. Brown, and M. A. Pallansch. 1999. Typing of human enteroviruses by partial sequencing of VP1. J. Clin. Microbiol. 37:1288-1293.
3. Oberste, M. S., K. Maher, and M. A. Pallansch. 2002. Molecular phylogeny and proposed classification of the simian picorna viruses. J. Virol. 76:1244-1251.
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】EV79の150aaペプチド配列に基づく系統発生解析のNJ系図。距離(Distance):p−距離(p-distance);ブートストラップテスト:500
【図2A】EV79の5’UTR領域
【図2B】EV79のVP4およびVP2領域
【図3】EV79から翻訳されたVP4およびVP2領域のアミノ酸配列
【図4】特異的RT−PCRを用いた糞便試料のスクリーニング
【図5】オリゴヌクレオチドおよびオープンリーディングフレームの位置を示す部分的なPrima7遺伝子の制限地図。
【図6】EV79およびヒトエンテロウイルス間の核酸およびアミノ酸配列の相同性。
【図7】バイオセンサ実験サイクル
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は医薬の分野に関連する。本発明は特に新規エンテロウイルスの単離ならびに前記エンテロウイルスの検出、同定、診断、治療および予防の方法に関連する。
【0002】
ウイルスの最新の分類によれば、ピコルナウイルス科は6つの属に分類される。6つの属とは、ヒトエンテロウイルス、ライノウイルス、パレコウイルス、アフターウイルス、カルジオウイルスおよびヘパトウイルスである。エンテロウイルス属には以下のヒトウイルス種、すなわちポリオウイルスおよびヒトエンテロ族A〜Dが含まれる。ポリオウイルス(PV)は3つの抗原型、すなわちポリオウイルス1(PV−1),PV−2およびPV−3から成る。ヒトエンテロウイルスA(HEV−A)は12の抗原型から成り、コクサッキーウイルスA2,A16およびエンテロウイルス71(これらのウイルス株に関しては表1に、より詳細に挙げられている)を含む。ヒトエンテロウイルスB(HEV−B)は37の抗原型でから成り、ヒトエンテロウイルスC(HEV−C)は11の抗原型から成り、ヒトエンテロウイルスD(HEV−D)は2つの抗原型から成る。エンテロウイルスは一本鎖RNAウイルスである。そのゲノムはおよそ7500ntを含む。
【0003】
エンテロウイルスは、微熱から呼吸器系感染症、髄膜炎、脳炎、麻痺性灰白髄炎、心筋炎まで、広範な臨床症候を引き起こす。アメリカでは、年間推定1千万〜3千万のエンテロウイルス感染が生じており、深刻な短期間の拡散および経済的影響を引き起こしている。生命にかかわるエンテロウイルス感染は、特に免疫不全の患者等の、危険性の高いヒトに起こり得る。
【0004】
したがって、エンテロウイルスは広範な臨床症状を引き起こす。エンテロウイルス感染により、下痢および熱などの「一般的な」症状が出ることが多いが、その「一般的な」症状は、多くの別の種類の病気にも含まれる。したがって、エンテロウイルス感染の症状は、エンテロウイルス属関連病に直接関連付けることができない。したがって、適切な治療をするために、病原因子の特定が必要とされることが多い。病原因子が分かれば、有効な診断、予防、および/または治療が可能になる。
【0005】
新規に発見されたエンテロウイルス(EV79と表す)が特定され、配列が決定された。典型EV79の核酸配列が図19に与えられており、その一部が図2bに与えられている。したがって、1つの特徴において、本発明は、図19および/または表図2bに示される配列を含む、単離および/または組換え核酸または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を提供する。EV79ウイルスはその典型によって特定されるが、典型EV79ウイルスの多くの自然変異体が存在する。RNAウイルスに関してこのような自然変異が存在することは通常のことであり、RNAウイルスには、たとえば、ゲノムを複製するポリメラーゼによる誤りの導入によって、頻繁に突然変異が起こっている。したがって、わずかに相異のある核酸配列を有するEV79ウイルスもまた本発明によって提供される。このようなウイルスは典型核酸配列を有する核酸の誘導体であるとみなされる。変異は必ずしも自然変異でなくてもよい。組換え方法によって変異体を生成することは当然可能である。たとえば、ウイルスの大部分は、ヌクレオチド置換によって変更され、特定のアミノ酸に対するトリプレット遺伝子コードにおける余分量を使用する。したがって、コード蛋白質のアミノ酸配列を変更しなくてよい。しかしながら、アミノ酸の変更でさえ、ウイルスの複製能力およびコード能力に影響を与えることなく、一般的に導入可能である。たとえば、保守的なアミノ酸置換は、許容されることが多い。典型ウイルスにおける変更は、ウイルスの複製能力を変えることなく、核酸配列の70%まで可能である。したがって、一実施形態において、本発明は、典型EV79の核酸に対して少なくとも70パーセント相同である、単離および/または組換え核酸を提供する。しかしながら、大部分の生存可能な変異体は、典型EV79に従う核酸に少なくとも95%相同であり、さらに好ましくは少なくとも99パーセント相同である。このため、UTR領域における異種エンテロウイルス間の相同性は通常高く、本出願における相同性はUTR領域外の領域、好ましくは蛋白質コード領域において測定されている。したがって、本発明は、EV79ウイルスの誘導体を提供し、図20、図3、表10または表11に示される少なくとも1種の蛋白質コード領域において、(核酸レベルまたは蛋白質レベルで)少なくとも95%の相同性および好ましくは少なくとも99%の相同性を有している。ウイルスの核酸またはその部分は複製され、プローブとして用いられ、試料中のウイルスを検出する。したがって、さらに本発明は、単離および/または組換え核酸を提供し、単離および/または組換え核酸は、典型ウイルスの核酸の100の連続したヌクレオチドの伸張または前記100の連続したヌクレオチドに対して少なくとも95%および好ましくは99%相同である領域を含み、前記100ヌクレオチドはUTR領域外である。好ましい実施形態においては、該部分は、実質的にUTR領域と重なっていない。好ましい実施形態においては、前記部分は蛋白質コード領域中にある。100の連続したヌクレオチドの伸張は、本発明のウイルスの機能的部分であるとみなされる。EV79の好ましい部分は、図20、表10、表11および図3に示される蛋白質をコードする核酸である。さらに、EV79または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の核酸を含むバクテリアベクタが提供される。さらに前記バクテリアベクタを含むバクテリアが提供される。他の既知のエンテロウイルスとの相異を考慮して、EV79またはその一部の配列が使用され、EV79に特異的でありしたがってEV79核酸を特異的に複製することが可能であるプライマを生成する。同様に、厳しい条件下でEV79核酸に対して特異的にハイブリッド形成するプローブが生成され得る。したがって、本発明はさらにプライマおよび/またはプローブを提供し、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸に対して特異的にハイブリッド形成することが可能である。好ましくは前記プライマまたはプローブは厳しい条件のもとで、前記核酸に対してハイブリッド形成することが可能である。好ましい実施形態では、前記プライマは図19に示される10〜50ヌクレオチド、好ましくは15〜25ヌクレオチドの連続した伸張を含む。当業者ならば、EV79の核酸に対する核酸の特異的なハイブリッド形成ために必要な条件を決定することは充分可能である。一般的に、特異性は、図19に示される核酸との重なりの大きさおよび相同性が増加するにつれて増加する。核酸に対して特異的な典型的なプローブは、少なくとも20の連続したヌクレオチドを含む。プローブは実質的にEV79の全配列を含んでもよい。しかしながら、EV79に特異的なプローブは、大きさが20〜2000ヌクレオチドであり、図19に描かれている核酸と少なくとも95%および好ましくは少なくとも99%の相同性を有している。プローブは媒介を経て直接または間接的に標識されてもよい。EV79ゲノム全体の配列のためのプライマが生成されてもよい。しかしながら、EV79配列(またはその変異体)の特異的な増幅が望まれる場合、好ましくは少なくとも1種のプライマがUTR領域外で選ばれる。特に好ましい実施形態において、両プライマはUTR領域外で選ばれる。好ましい実施形態において、プライマは、関連するエンテロウイルスと十分な配列の相異を有し、このようにEV79配列またはその変異体に対する特異性が保証される。一般的に、その配列と比較して、プライマ中に少なくとも1、好ましくは少なくとも2〜5ヌクレオチドの相異を有することによって達成され、一般的に関連するヒトエンテロウイルスから区別される。
【0006】
特に好ましい実施形態において、前記プライマおよび/またはプローブは図2bまたは表4に示される配列を含む。
【0007】
典型ウイルスの核酸は種々の蛋白質およびポリ蛋白質をコードする。これらの蛋白質は、たとえば、ウイルスを生成し、または(ポリ)蛋白質をコードする核酸で形質転換された細胞中で発現する。したがって、本発明はさらに単離および/または組換え蛋白性分子を提供し、図20、表10、表11または図3に示される配列または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む。必ずしも量においてではなく、質において同じ機能を有する蛋白質の、多くの異なる変異体が、上述のように、天然に存在し、人工的に生成し得る。このように本発明はさらに、上述の蛋白性分子に対して少なくとも70%相同である単離および/または組換え蛋白性分子を提供する。このような相同な蛋白質は典型によってコードされる蛋白質の誘導体とみなされる。好ましくは、誘導体蛋白質は、典型EV79によってコードされる蛋白質と、少なくとも95%およびさらに好ましくは少なくとも99%の相同性を含む。典型ウイルスによってコードされる蛋白性分子のフラグメントおよび部分は生成されることが可能であり、したがって、このような部分もまた本発明によって提供される。好ましい実施形態において、単離および/または組換え蛋白性分子が提供され、典型ウイルスによってコードされる蛋白性分子の少なくとも30の連続したアミノ酸の伸張を含む。典型ウイルスによってコードされる蛋白質は遺伝子コードの余分量を使用して種々の異なる核酸配列によってコードされる。したがって、本発明はさらに図20、表10、表11または図3に示される蛋白質をコードする核酸を提供する。
【0008】
したがって、本発明はさらにEV79核酸配列または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む単離または組換えウイルスを提供する。図20、表10、表11または図3に示される蛋白性分子を含む単離または組換えウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体が提供される。EV79に感染した対象は、多くの異なる臨床症状を表す、および/または無症状である。したがって、EV79関連病、特に下痢を引き起こし得る、単離または組換えウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体が提供される。ウイルスはウイルスの物質を特異的に結合可能な特異的結合相手を生成するために使用される物質を含む。たとえば、結合相手は免疫能のある対象へのウイルスの注入によって生成される。免疫付与の結果として対象から得られた血清は、一般的にウイルスまたは、その、抗原性部分、誘導体および/もしくは類似体に特異的な多くの異なる抗体種を含む。特異的結合相手(特異的結合分子)は、当然、多くの種々の異なる技術、たとえばファージ提示技術によって生成される。特異的結合相手を生成する方法はこれに限定されない。結合は一般的に、ウイルスの蛋白性部分に特異的である。しかしながら、ウイルスに含まれる蛋白質の特異的な翻訳後修飾もまた、当然ウイルスに特異的である。したがって、本発明はさらに単離した結合分子を提供し、該結合分子は、EV79ウイルスの物質(好ましくは蛋白性分子)を特異的に結合可能で、好ましくは典型EV79の核酸によってコードされる蛋白性分子に対して結合可能である。好ましくは、蛋白性分子は、図20、表10、表11または図3に示されるアミノ酸配列または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む。結合分子はEV79、好ましくは図19または図2bの核酸配列を特異的に結合可能である。結合分子は、好ましくは蛋白性分子である。しかしながら、他の結合分子もまた本発明の範囲内である。たとえば、必ずしも量においてではなく、質において、蛋白質と同じ結合性質を有する蛋白様物質または類似体を生成することは可能である。本発明に従った結合分子を生成する方法がさらに提供され、
・EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を結合可能な分子、または、EV79の典型核酸によってコードされる単離および/または組換え蛋白性分子を生成すること、および
・前記ウイルスおよび/または蛋白様分子に特異的な蛋白性結合分子を選択することを含む。
【0009】
他のヒトエンテロウイルスとEV79ウイルスとの全体的な相同性はあまり高くない。したがってEV79ウイルスに特異的に結合可能な多くの異なる結合分子が生成され得る。このような結合分子が使用され、試料中のEV79ウイルスを検出する。したがって本発明はさらに単離または組換えウイルスを提供し、該単離または組換えウイルスは、EV79ウイルスを特異的に結合可能な結合分子と免疫反応する。同様に、本発明は図20、表10、表11または図3に示される単離および/または組換え蛋白性分子または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の使用を提供し、試料中のEV79ウイルスまたは、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体に特異的に結合可能な結合分子を検出する。逆にEV79ウイルスが使用され、試料中の前記ウイルスに特異的に結合可能な分子を検出する。
【0010】
感受性標的細胞へのEV79ウイルスの結合は、特異的受容体を介して起こる。この受容体は、本発明の結合分子として使用され得る。好ましくは、結合分子は抗体またはその機能的同等物を含む。検出方法が使用され、対象中のEV79関連病を診断する。一実施形態では、試料中にEV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出する方法を提供し、前記ウイルスまたは、機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸を、EV79に特異的なプライマおよび/またはプローブでハイブリッド形成および/または増幅し、ハイブリッド形成および/または増幅された生成物を検出することを含む。さらにキットが提供され、好ましくは、診断キットは、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体、本発明に従う結合分子、および/または本発明に従うEV79ウイルスに特異的なプライマ/プローブを含む。
【0011】
特に好ましい実施形態において、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸に特異的にハイブリッド形成可能なプライマまたはプローブの使用、または、図20、表10、表11または図3に示される蛋白性分子を特異的に結合可能な結合分子、または、EV79ウイルスおよび/または核酸または、典型EV79の、機能的部分、誘導体もしくは類似体の使用を提供し、試料中のEV79エンテロウイルスを検出および/または同定する。好ましくは、前記核酸は図19または図2bに示される配列を含む。
【0012】
本発明はさらにワクチンを提供し、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を含む。さらにワクチンが提供され、図20、表10、表11または図3に示される蛋白性分子または、このような蛋白性分子の、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む。本発明の蛋白性分子はそれ自身あるいは蛋白質の一部としてまたは、その、誘導体もしくは類似体としてワクチン中に提供されてもよい。適切な類似体とは、EV79ウイルス蛋白性分子または、その、機能的分子もしくは誘導体をコードする核酸である。核酸はDNAワクチン方法に使用されてもよく、該方法はまた本発明においても提供される。さらに、少なくとも1種のEV79蛋白質に対する対象を免疫する組成物が提供され、前記組成物は、EV70典型蛋白質あるいはEV79変異体の蛋白質あるいはEV79典型の抗原性部分、誘導体および/または類似体の蛋白質を含む。DNAワクチンの担体のように、標的細胞中でEV79ウイルス核酸の複製を可能にし、従って与えられる免疫応答の増幅を可能にするウイルスレプリコン中において、発現可能なEV79ウイルス核酸を組み込むことは適切であることが多い。このようなDNAワクチン方法に特に適しているEV79ウイルスコード蛋白質は図20、表10、表11または図3に示されるVP1,VP2およびVP3蛋白質または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体である。VP蛋白質の一部は、好ましくはVP蛋白質の抗原性部分を含む。
【0013】
他の適切な候補は、VP4,2A,2Bおよび3C蛋白質、または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体である。一般的にワクチンは適切なアジュバントを含む。ワクチン中での使用は別として、記載されたウイルスおよび/または蛋白質分子もまた使用され、対象中においてEV79特異的免疫応答を生み出し、促進することが可能である。免疫応答は細胞でも体液でも可能である。したがって、単離T−細胞がさらに提供され、EV79ウイルスまたは典型EV79ウイルスにコードされる蛋白性分子に特異的なT−細胞受容体を含む。さらに、単離B−細胞が提供され、EV79ウイルスに特異的な抗体またはEV79ウイルスにコードされる蛋白性分子を生成する。抗体またはT−細胞受容体は複製され、細胞系は、複製された受容体または抗体をコードする核酸を含む発現カセットを与えられる。したがって、本発明はさらにこのような受容体または抗体を生成する細胞を提供する。このような細胞は好ましくは、CHO細胞等の、記載されている蛋白質の大規模な生成に適している細胞である。
【0014】
EV79ウイルスに対する受動免疫を対象に与えることも可能である。このために、対象は本発明のEV79特異的結合分子を与えられる。このような免疫性が使用され、対象におけるEV79ウイルスでの(さらなる)感染のための障壁を提供し、さらに、本発明に従うEV79ウイルス特異的結合分子を含むワクチンが提供される。好ましい実施形態において、受動免疫はヒトまたは本発明のEV79ウイルスに特異的に結合可能なヒトまたはヒト化抗体によって提供される。好ましくは、抗体はヒト細胞系によって生成され、好ましくは、細胞系はnアデノウイルスE1領域を含み、好ましくは、少なくともアデノウイルス2またはアデノウイルス5のE1A領域を含む。障壁は完全でなくても良い。少なくとも結合分子の存在が、対象における他の標的細胞へのウイルスの拡散を減少する。受動免疫は、予防薬として対象に投与されてもよく、ウイルスに曝されたとき、少なくとも対象中のウイルスの拡散を減少させる。または、受動免疫はすでにウイルスに感染した対象に与えられてもよい。後者の場合には、本発明の1種またはそれ以上のEV79ウイルス特異的結合分子が医薬として使用され、少なくとも対象におけるウイルスの拡散を減少し、従って、少なくとも部分的にウイルス感染に有効である。したがってさらに、本発明は医薬を提供し、本発明に従うEV79ウイルス特異的結合分子を含む。
【0015】
さらに、本発明のウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体または、本発明の蛋白性分子または、本発明のEV79ウイルス特異的結合分子の使用が提供され、エンテロウイルス関連病に対するワクチンを調製する。
【0016】
さらに、EV79関連病に罹患している、または罹患している危険性があるヒトの治療のための方法を提供し、本発明に従うワクチンまたは医薬を前記ヒトに投与することを含む。さらに別の実施形態において、ヒトがEV79関連病に罹患しているか否かを判定する方法を提供し、前記ヒトから試料を得て、前記試料中のEV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出することを含む。
【0017】
さらに別の実施形態において、単離細胞あるいは組換体または細胞系を提供し、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む。好ましくは、前記細胞は霊長類細胞であり、好ましくはサルの細胞である。好ましい実施形態において、前記細胞は本発明のEV79ウイルスを複製する細胞である。特に好ましい実施形態において、細胞は腎細胞である。細胞が使用され、本発明のEV79ウイルスを生成し、EV79を弱毒化し、病原性を弱める。ウイルスの弱毒化は、記載された好ましい細胞系での継続的な培養の際に自然に起こる。弱毒化したEV79ウイルスはワクチンとして使用される。
【0018】
EV79ウイルスはプロテアーゼ2Aおよびプロテアーゼ3Cというエンドプロテアーゼをコードする。典型EV79ウイルス中の配列は図(20)に描かれている。プロテアーゼはEV79にコードされるポリ蛋白質の処理に関して重要である。プロテアーゼ作用は、ここにさらに記載されるようにウイルスプロテアーゼ阻害剤によって少なくとも部分的に阻害される。したがって、本発明はさらに、少なくとも部分的にEV79ウイルス複製を阻害する化合物を提供する。
【0019】
これらの化合物のうちで、プロテアーゼ阻害剤が特に好ましい。
2Aおよび3C酵素は、P(1)位でグルタミン残基を有するペプチド基質を認識するので、ケトン含有グルタミン類似体(たとえば、アザグルタミン)は阻害剤として使用される。さらに、S−ニトロソ−N−アセチル−ペニシラミン(SNAP)、ニトログリセリン(GTN)、硝酸イソソルビド(ISDN)またはグリセリジン等の一酸化窒素(NO)−遊離化合物が使用され、3C活性を阻害する。また、5−(3,4−ジクロロフェニル)メチルヒダントインは、ポリ蛋白質の後翻訳処理を妨害する。
【0020】
ヒトライノウイルス(HRV)3Cプロテアーゼ活性を阻害するビニル性エチルエステル(AG7088、下記の構造式1を参照)。
【0021】
【化1】
【0022】
必ずしも量においてではなく、質において同じ活性を含むプロテアーゼ阻害剤の類似体もまた本発明によって提供される。このような類似体は好ましい配列を有するペプチドを含む化合物を含み、ペプチドは修飾を含む。他の類似体は好ましいアミノ酸配列に似ている蛋白様活性を有する化合物を含む。
【0023】
エンテロウイルスRNAは捕獲されず、5’末端に共有結合する(3B遺伝子でコードされている)VPgという低分子蛋白質を運搬する。いわゆるWIN化合物はピコルナウイルスのヌクレオキャプシドの疎水性ポケットの中に入っており、ウイルスがそのゲノムRNAを脱殻することを防ぐことが好ましい。好ましい化合物は以下のようなものである。プレコナリル、3−メチルチオ−5−アリール−4−イソチアゾールカルボニトリルまたはピリジルイミダゾリジノン。また、リバビリン、ミコフェノール酸、6−アザウリジンおよびピラゾフリン等のヌクレオチド類似体または3−メチルケンペロール等の他のRNA合成阻害剤はピコルナウイルスの複製を阻害する。したがって、本発明はさらにWIN化合物の使用を提供し、EV79感染の治療(のための医薬の調製)をする。
【0024】
本発明はさらに、EV79感染症に罹患しているまたは罹患している危険性のある対象を治療するための方法を提供し、ケトン含有グルタミン類似体(たとえばアザグルタミン)、S−ニトロソ−N−アセチル−ペニシラミン(SNAP)、ニトログリセリン(GTN)、硝酸イソソルビド(ISDN)またはグリセリジン等の一酸化窒素(NO)−遊離化合物、5−(3,4−ジクロロフェニル)メチルヒダントイン、(AG7088、下記の構造式1を有している)ビニル性エチルエステルを含むペプチドから選択される化合物を、対象に投与することを含む。
【0025】
【化2】
【0026】
プレコナリル、3−メチルチオ−5−アリール−4−イソチアゾールカルボニトリルまたはピリジルイミダゾリジノン等のいわゆるWIN化合物あるいはリバビリン、ミコフェノール酸、6−アザウリジン、またはピラゾフリン等のヌクレオチド類似体あるいは3−メチルケンペノール等のRNA合成阻害剤。
【0027】
本発明はさらに、EV79核酸にコードされる蛋白性分子を提供し、前記蛋白性分子は2Aもしくは3Cプロテアーゼまたはその機能的同等物である。機能的同等物は、1種またはそれ以上の保守的アミノ酸置換を有している蛋白質分解活性部分および/または誘導体を含む。化合物が抗エンテロウイルス活性、好ましくはエンテロウイルスの抗蛋白分解活性を有するか否かを判定するための、多くの技術的に既知の方法がある。したがって、本発明はさらに方法を提供し、抗エンテロウイルス複製活性を化合物が含むか否かを判定し、前記方法はEV79または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の複製に関与するEV79ウイルスまたはEV−79蛋白質を使用する点で特徴的である。好ましくは、本発明は方法を提供し、化合物がウイルスプロテアーゼを少なくとも部分的に阻害することが可能か否かを判定し、前記プロテアーゼはEV79または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の、2Aおよび/または3Cプロテアーゼである点で特徴的である。3CL阻害特性に関して試験され得る好ましい化合物は、2Aおよび/または3C開裂前部位のN−末端に位置するペプチド(好ましくはヘキサペプチド)であり、好ましくは、ヘキサペプチドはすぐ接して、2Aまたは3C開裂前部位のN末端である配列を含み、好ましくは、(ヘキサ)ペプチドはさらなる安定性のための修飾を含む。少なくとも部分的に2Aおよび/または3C蛋白質分解活性を阻害することにおいて有効な化合物が使用され、EV79ウイルス感染症に罹患している、または罹患している危険性のあるヒトの治療のための医薬を調製する。
【0028】
1種またはそれ以上の好ましい抗エンテロウイルス複製化合物が医薬として使用され、EV79ウイルス感染症に罹患している、または罹患している危険性のある対象を治療する。したがって、本発明はさらに、医薬を提供し、エンテロウイルス感染症に罹患している、または罹患している危険性のあるヒトを治療し、前記エンテロウイルスはEV79典型ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の核酸配列を含む。
【0029】
本発明において、複数の異なる組換えウイルスは、骨格にEV79ウイルス核酸を使用して生成される。このような複製能力のあるまたは複製欠陥の組換えウイルスは、たとえば、遺伝子運搬媒介物として使用されることが可能である。他方、EV79ウイルスの部分は、遺伝物質を細胞に運搬する他の手段に基づく遺伝子運搬媒介物中で使用され得る。したがって、本発明はさらに、遺伝子運搬媒介物を提供し、EV79ウイルス核酸の少なくとも一部、好ましくは典型ウイルスの一部を含む。好ましくは遺伝子運搬媒介物は、EV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の蛋白質をコードする核酸を含む。本発明はまた、キメラエンテロウイルスを示し、少なくとも2つのエンテロウイルス由来の核酸を含み、少なくとも前記部分のうち1つはEV79ウイルスに由来する。前記EV79ウイルス由来部分は好ましくは蛋白質コード領域の少なくとも50ヌクレオチドを含む。さらに好ましくは、前記EV79由来部分は図19に示される配列またはその機能的誘導体の500、さらに好ましくは少なくとも1000ヌクレオチドを含む。好ましい実施形態において、本発明はキメラエンテロウイルスを提供し、図19に示される配列の少なくとも1000ヌクレオチドおよび別のエンテロウイルスの少なくとも1000ヌクレオチドを含み、前記後者の1000ヌクレオチドは図19に示される配列と5%以上異なる配列を含む。
【0030】
多くのEV79ウイルスフラグメントの配列が図2bおよび図3に描かれている。広範囲の遺伝子RNAにおけるフラグメントの位置が図3に描かれている。したがって本発明は、1つの特徴において、表2bおよび/または3に示される核酸配列を含む単離または組換えウイルス、または、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体もしくは類似体を提供する。同定している典型フラグメントを用いて、さらにゲノムの配列を決定することは可能である。ゲノム上を歩行するプライマによってこれをなす1つの方法。プライマは、配列が既知の領域に向けられており、このプライマは未知の隣接領域の配列を決定するために使用される。次のプライマは新たに同定された配列に対して生成されることが可能であり、さらなる領域の配列が決定可能である。
【0031】
本発明は、EV79という新規エンテロウイルス種を提供する。EV79ウイルスは重い下痢に罹患している免疫不全の患者から単離された。当然、このEV79ウイルスの存在は既知であるので、EV79が存在するかについてヒトおよびヒト以外の動物をスクリーニングすることは可能である。図2aにおいて、本発明のウイルスの5’UTR領域が描かれている。図2bは、前記5’UTRに隣接する前記ウイルスのゲノムの一部を描いている。この配列によりEV79を他のエンテロウイルスと区別することが可能である。
【0032】
したがって、1つの特徴において、本発明は、図2bに示される核酸配列を含む単離または組換えウイルスまたは、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体もしくは類似体を提供する。図2bに示される核酸配列が提供されるので、技術的に現在の方法を使用して、EV79ゲノムの他の部分の配列を決定することは容易である。たとえば、プローブは図2bの配列に基づいて生成されることが可能である。前記プローブは固体の支持体に結合されることが可能であり、前記支持体は、EV79を含む試料で培養されることが可能である。EV79ウイルスが結合された後、前記ウイルスは単離され、そのゲノムは続いて増幅されることが可能である。非常に関連したウイルスのゲノム配列を整列することによって、保存配列領域は同定可能であり、合成オリゴヌクレオチドの設計を可能にする。これらのオリゴヌクレオチドが使用され、EV79ゲノムの追加および重複部分を増幅する。または、EV79ウイルスは臨床試料または生体外で培養された試料から単離された全核酸のプールから上述のように増幅可能である。
【0033】
図2bの配列に基づくプライマおよび/またはランダムなプライマを含む「一般的プライマ」セットを使用することが好ましく、好ましくは本件出願人によって所有される(ここでは参考文献で組み込まれている)特許出願EP1276901に記載されているようなものである。好ましい一実施形態において、図2bおよび一般的プライマセットの配列に基づくプライマの組み合わせが使用される。前記一般的プライマは上流領域に結合可能であり、EV79ゲノムの同定されていない部分を含み、図2bの核酸配列の範囲を越えて伸張するゲノムの(一部の)増幅を可能にする。増幅後、得られた生成物は、たとえば、ジデオキシ法23を用いて配列決定されることが可能である。当然、ウイルス核酸の残りの部分の配列を決定する多くの他の方法が当業者に利用可能であり、これらが同様に使用されてもよい。
【0034】
本発明はまた、単離EV79、および/またはEV79に実質的に対応するウイルスを含む物質の組成を提供する。
【0035】
「EV79に実質的に対応するウイルス」という用語は、図2bに示される配列によって同定可能なEV79株に同一か、前記EV79株に匹敵するような1種またはそれ以上の変異体を含むEV79ウイルスについて述べている。これらの変異体は自然変異を含んでもよい。それはRNAウイルスが変異しやすいからである。さらに前記変異体は人工的に作られた変異を含むこともある。好ましくは、前記変異体は、依然としてEV79変異体の検出を可能にし、EV79特異的核酸および/または抗体を用いたハイブリッド形成、NASBA、RT−PCRおよびELISA等の一般的な検出方法を使用する。
【0036】
物質の前記組成は、生きている、弱毒化したおよび/または死んだEV79ウイルスを含んでもよい。前記組成は前記ウイルスの、機能的部分、誘導体および/または類似体を含んでもよい。一実施形態において、前記組成はEV79ウイルス由来の組換えベクタを含む。
【0037】
図2bの配列は、図3に示されるアミノ酸配列をコードするオープンリーディングフレームの少なくとも一部を含む。このアミノ酸配列はまた、本発明者によって得られたEV79ウイルス株の一部である。前記配列はVP4領域およびEV79のVP2領域の少なくとも一部を含む。したがって、別の特徴においては、本発明は図3に示されるアミノ酸配列を含む単離または組換えウイルス、または、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体もしくは類似体を提供する。系統分析によって、EV79がヒトエンテロウイルス71、コクサッキーウイルスA2およびA16を含むHEV−Aエンテロウイルスのいくつかに対して、およそ70%同一であり、わずかに関連していることが明らかにされた(図1)。
【0038】
図20、表10、表11および/または3に示されるアミノ酸配列は異なる核酸配列によってコードされることが可能である。たとえば、コードされたアミノ酸残基を変化させることなく、別のヌクレオチドによってコドンの第3のヌクレオチドを置換することが可能である。たとえば、セリンはコドンTCT,TCC,TCAおよびTCGによってコード可能である。したがって、「ウォッブル」理論によれば、前記コドン中の最後のヌクレオチドは他の任意のヌクレオチドに取り替えることが可能である。異なる生物は異なるコドン使用法を使用することが多いため、EV79ウイルス(の一部)をコードする核酸が、前記ウイルスを生成するために使用される特定の生物に人工的に適用されることが可能である。さらに、ウイルス、特にRNAウイルスは変異しやすいので、自然発生のEV79ウイルス株はその遺伝子中に、コードされたアミノ酸生成物に大きな影響を与えない変化を含むこともある。したがって、一実施形態において、本発明は図20、表10、表11および/または図3に記載されているようなアミノ酸配列をコードする核酸を含む単離または組換えウイルス、または、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体もしくは類似体を提供する。
【0039】
さらに、本発明のウイルスはアミノ酸配列を含んで提供され、該アミノ酸配列は図20、表10、表11および/または図3に示されるアミノ酸とある程度異なる。前記アミノ酸配列は自然にまたは人工的に、どちらで変異されてもよい。保守的アミノ酸置換が適用される。すなわち1種以上のアミノ酸残基の、一般的に同様の性質(大きさ、疎水性等)を有する別の残基での置換であり、全体的な機能が大きな影響を受けないような置換である。または、本発明の少なくとも1つのウイルスの性質において影響しない変異が存在してもよい。たとえば、特定の所望の性質が人工的に改良されてもよい。しかしながら、本発明のウイルスの機能に影響する変異もまた天然に起こる。一実施形態において、前記アミノ酸配列は、図20、表10、表11および/または図3に示されるアミノ酸配列の少なくとも一部に対して45%以上相同である。前記部分は好ましくは少なくとも20、さらに好ましくは少なくとも30、最も好ましくは少なくとも50アミノ酸残基を含む。
【0040】
好ましくは、前記アミノ酸配列は図3に示されるアミノ酸配列の少なくとも一部に対して、少なくとも85%、さらに好ましくは95%、最も好ましくは98%相同である。したがって、本発明の一実施形態はアミノ酸配列を含む単離または組換えウイルスを提供し、図3に示されるアミノ酸配列の少なくとも一部に対して45%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を有する。
【0041】
1つの特徴において、本発明はアミノ酸配列を含む単離または組換えウイルスを提供し、図3に示されるアミノ酸配列31〜60位の少なくとも一部に対して43%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を有する。別の特徴において、本発明はアミノ酸配列を含む単離および組換えウイルスを提供し、図3に示されるアミノ酸配列91〜150位の少なくとも一部に対して80%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を有する。さらに別の特徴において、本発明はアミノ酸配列を含む単離または組換えウイルスを提供し、図3に示されるアミノ酸配列61〜90位の少なくとも一部に対して86%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を有する。さらに別の特徴において、本発明はアミノ酸配列を含む単離または組換えウイルスを提供し、図3に示されるアミノ酸配列1〜30位の少なくとも一部に対して90%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を有する。
【0042】
1つの特徴において、本発明のウイルスは、図2bに示される核酸配列とある程度異なる核酸配列を含んで提供される。前に示したように、RNAウイルスは変異しやすい。したがって、多くのEV79株が天然に存在し、発明者によって得られる株とある程度異なる。このような株は図2bに示される配列に匹敵するような変異を含み、たとえば図4に描かれている。これらの株は同じEV79種に属しているので、図2bに示される核酸配列に基づいた核酸配列を用いて、それらは単離、増幅および/または同定可能である。
【0043】
ここで図2bに示される配列に「基づいた」核酸とは、前記核酸が前記全配列または前記配列の必須部分を含んでもよいということであり、配列はある程度修飾されてもよい。好ましくは前記配列は、図2bに示される配列に対して、少なくとも45%相同であり、さらに好ましくは55%、さらに好ましくは65%、さらに好ましくは75%、さらに好ましくは90%相同である。
【0044】
前記「必須部分」の最低限の大きさは、当然、機能の変化とともに変化する。核酸配列の一部がプライマとして使用される場合、前記最低限の大きさは好ましくは、約5ヌクレオチド、さらに好ましくは約8ヌクレオチド、さらに好ましくは約14ヌクレオチド、最も好ましくは約20ヌクレオチドを含む。前記核酸配列の一部がプローブとして使用される場合、前記最低限の大きさは好ましくは約15ヌクレオチド、さらに好ましくは約20ヌクレオチドを含む。
【0045】
ゲノムに変異を含むEV79ウイルスは同様に人工的に作られ、たとえば、ワクチン化のために、コドンの使用法を選択の発現システムに適合させ、または前記ウイルスを弱毒化させる。好ましくは、単離または組換えウイルスが提供され、図2bに示される核酸に対して少なくとも45%相同である核酸配列またはその機能的部分を含む。一実施形態において、本発明のウイルスが提供され、図2bに示される核酸配列に対して、少なくとも55%、好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%相同である核酸配列またはその機能的部分を含む。さらに別の実施形態において、単離または組換えウイルスが提供され、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列の少なくとも一部に対して、少なくとも45%、好ましくは少なくとも55%、さらに好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%相同であり、前記部分は好ましくは、少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも70ヌクレオチドを有する。
【0046】
好ましい実施形態において、単離または組換えウイルスが提供され、核酸配列を含み、図2aおよび図2bに示される核酸配列500〜1134位の少なくとも一部に対して、少なくとも45%相同であり、前記部分は好ましくは、少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも70ヌクレオチドを有する。さらに好ましくは、前記核酸配列は図2aおよび図2bに示される核酸配列500〜1748位の少なくとも一部に対して、少なくとも45%相同であり、前記部分は少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも70ヌクレオチドを有する。さらに好ましい実施形態において、単離または組換えウイルスが提供され、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列683〜1134位の少なくとも一部に対して、少なくとも45%相同であり、前記部分は少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも70ヌクレオチドを有する。さらに別の好ましい実施形態において、前記核酸配列は図2bに示される核酸配列683〜1748位の少なくとも一部に対して、少なくとも45%相同であり、前記部分は少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも70ヌクレオチドを有する。
【0047】
本発明はまた、単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2aおよび図2bに示される核酸配列651〜700位の少なくとも一部に対して42%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0048】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列701〜750位の少なくとも一部に対して、58%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0049】
さらに別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列751〜800位の少なくとも一部に対して88%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0050】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列801〜850位の少なくとも一部に対して、72%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0051】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列901〜950位の少なくとも一部に対して、54%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0052】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列951〜1000位の少なくとも一部に対して、64%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0053】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列1001〜1050位の少なくとも一部に対して、48%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは50ヌクレオチドを有する。
【0054】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列1051〜1100位の少なくとも一部に対して、56%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0055】
別の特徴において、本発明は単離または組換えウイルスを提供し、核酸配列を含み、図2bに示される核酸配列1101〜1134位の少なくとも一部に対して、53%以上相同であり、前記部分は少なくとも20、好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを有する。
【0056】
本発明の教示から、たとえば下痢などの「一般的な」症状を、EV79関連病によるものとみなすことが可能となった。したがってEV79関連病は今や診断が可能であり、たとえば試料中のEV79ウイルスまたは前記ウイルスに対する抗体の存在を示すことによって可能である。
【0057】
本発明のウイルスが提供されたので、当業者ならば前記ウイルスの、機能的部分、誘導体または類似体を生成することが充分可能である。EV79ウイルスの機能的部分は、必ずしも量においてではなく、質において同じEV79特異的性質を有する部分として定義される。どの性質が比較される必要があるかは、特定の用途による。たとえば、EV79感染性に関心がある場合、細胞に感染する性質が検討されるべきであり、その場合EV79の機能的部分もまた、結局は異なる程度に細胞を感染することが可能であるべきである。しかしながら、宿主中の免疫応答を誘導する能力が検討される場合、単一のEV79ウイルスのEV79特異的エピトープが機能的部分であるとみなすことが可能である。
【0058】
ウイルスの機能的誘導体はウイルス化合物として定義され、前記化合物の性質は量においてではなく質において実質的に同じであるように変更されている。誘導体は多くの方法で提供されることが可能であり、たとえばヌクレオチド置換(好ましくは「ウォッブル」に基づいて)、(保守的)アミノ酸置換、それに続く修飾などによってである。
【0059】
ウイルスの類似化合物もまた技術的な方法を使用して生成されることが可能である。たとえば、キメラウイルス、すなわちキメラ蛋白質を有するEV79ウイルスが生成されることが可能である。たとえば、EV79細胞表面蛋白質および非EV79抗原性部分の少なくとも一部を含む細胞表面関連融合蛋白質を生成することによって、EV79はさらに免疫抗原性になることが可能である。このようなキメラ蛋白質を含むEV79ウイルスは、たとえば、ワクチン化の目的で、宿主中で、向上した免疫応答を誘導するために使用されることが可能である。
【0060】
ここで使用されるように、「本発明のウイルス」という用語は、前記ウイルスの、機能的部分、誘導体および/または類似体もまた含むということを意味する。
【0061】
蛋白質の機能的部分は必ずしも量においてではなく、質において同じ種類の性質を有する部分として定義される。前記性質は抗原性を含んでもよい。抗原性とは、宿主中で免疫応答を誘導する能力を意味する。蛋白質の機能的誘導体は蛋白質として定義され、前記分子の性質が、必ずしも量においてではなく、質において実質的に同じであるように変更されている。誘導体は、たとえば保守的アミノ酸置換を経て、多くの方法で提供されることが可能である。
【0062】
当業者ならば蛋白質の類似化合物を生成することが充分可能である。たとえば、これはペプチドライブラリのスクリーニングを経てなされる。このような類似体は、必ずしも量においてではなく、質において、前記蛋白質と実質的に同じ性質である。
【0063】
EV79ウイルスが提供されたので、本発明のウイルスの核酸に特異的にハイブリッド形成可能なプライマおよび/またはプローブを生成することが可能である。特異的にハイブリッド形成するとはここでは前記プライマおよび/またはプローブが前記核酸にハイブリッド形成可能であるということを意味する。なぜなら前記プライマおよび/またはプローブは少なくとも3、好ましくは少なくとも5ヌクレオチドの配列を含み、ヌクレオチドは前記ウイルスの前記核酸に相補的であるからである。好ましい実施形態において、前記プライマおよび/またはプローブは前記ウイルスの前記核酸に相補的である配列から成る。好ましくは、前記プライマおよび/またはプローブは厳しい条件で本発明のウイルスの核酸とハイブリッドを形成することが可能である。本発明のプライマ/プローブは特にEV79ウイルスのゲノムの少なくとも一部の増幅/検出に適している。
【0064】
一実施形態は、図2bに示される核酸配列に対して特異的にハイブリッドを形成することが可能なプライマ/プローブを提供する。表2において、本発明のプライマの配列が提供される。
【0065】
本発明はまた、本発明のウイルスまたは、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を特異的に結合可能な単離分子を提供する。前記単離分子は好ましくは、蛋白性分子を含む。前記分子は、図2bに示される配列の少なくとも一部等の、前記ウイルスの核酸に特異的に結合可能であってもよい。しかしながら、前記分子は好ましくは前記ウイルスのアミノ酸配列に特異的に結合可能である。前記アミノ酸配列は、部分的にでも全体でも、EV79ウイルス粒子中にあってよい。しかしながら、前記アミノ酸配列は好ましくは、エピトープなどの前記ウイルスの表面に関連する蛋白質(の一部)を含む。「表面に関連する」とは、前記ウイルスの表面に少なくとも部分的に曝されている蛋白質を意味する。たとえば、このような蛋白質はウイルスキャプシド蛋白質を含む。一実施形態において、前記アミノ酸配列は図3に示されているようなアミノ酸配列の少なくとも一部を含む。前記部分は好ましくは少なくとも5、さらに好ましくは少なくとも10アミノ酸残基を含む。
【0066】
核酸配列を特異的に結合可能な分子とは、ここでは厳しい条件で、関連する核酸配列間を識別可能な分子という意味である。蛋白性分子に特異的に結合可能な分子は異なる蛋白性分子間を識別可能な分子として定義される。なぜならそれは前記蛋白性分子の特異的アミノ酸配列、特異的コンフォメーションなどに対してより多くの親和性を有しているからである。分子の非特異的「スティッキング(sticking)」は特異的な結合とはみなされない。
【0067】
本発明の分子は好ましくは抗体、または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む。抗体の機能的部分は必ずしも量においてではなく、質において前記抗体と実質的に同じ性質を有している。前記機能的部分は好ましくはEV79抗原に特異的に結合可能である。しかしながら、前記機能的部分は、前記抗体全体と比較して、異なる程度にこのような抗原に結合してもよい。抗体の機能的部分または誘導体は、たとえばFABフラグメントまたは単一鎖抗体を含む。たとえば抗体の類似体はキメラ抗体を含む。ここで使用されているように、「抗体」という用語はまた、前記抗体の、機能的部分、誘導体および/または類似体を含むことを意味する。
【0068】
EV79ウイルスを特異的に結合可能な分子は、技術的に現在の方法を使用して得ることが可能である。たとえば、EV79に向けられた抗体は、感染したヒトから得られてもよい。たとえば前記抗体は試料から単離されることが可能であり、試料とはたとえば、血液、血清、隔膜、唾液または細胞組織の試料であり、前記感染したヒトから得られる。またはヒト以外の動物が、EV79を接種され、免疫応答を誘導する。生成された抗体は続いて前記動物から回収されることが可能である。回収された抗体は、たとえば親和性クロマトグラフィなどによって精製される必要があることが多い。
【0069】
さらに、前記抗体は組換え技術で生成されることが可能であり、たとえば微小組織、細胞系(すなわちモノクローナル抗体)または遺伝子組換え動物によって可能である。その場合、コドン最適化が要求されることもある。EV79に向けられた抗体は固層合成等の一般的技術を使用して合成されてもよい。
【0070】
本発明の分子が得られると、結合能等の所望の性質が改良されることが可能である。たとえば、蛋白性分子について、これはAla走査および/または置換ネットマッピング法(replacement net mapping method)によってなされることが可能である。これらの方法とともに、多くの異なる蛋白性分子が原型のアミノ酸配列に基づいて生成されるが、各分子は少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む。前記アミノ酸残基はアラニン(Ala走査)によって置換されるか、または任意の他のアミン酸残基(replacement net mapping)によって置換されてもよい。各変異体は続いて前記所望の性質についてスクリーニングされる。一般化されたデータが使用され、改良された蛋白性分子を設計する。
【0071】
Prima7に特異的に結合可能な抗体等の、本発明の分子が得られると、EV79特異性に関してテストすることが必要なこともある。なぜなら、抗体がエンテロウイルス種領域の保存領域に向けられている場合、抗体は他のエンテロウイルスと交差反応することがあるからである。たとえば、特異性は前記分子でウェルを覆うことによってテストされ、続いて異なるエンテロウイルス種で前記ウェルを培養し、前記分子がEV79のみに、かなりの程度で特異的に結合するか否かを判定することが可能である。当然、特異性をテストするための多くの別の方法が技術的に利用可能である。したがって1つの特徴において、本発明は、本発明のウイルス、または、機能的部分、誘導体もしくは類似体に特異的に結合可能な分子を生成する方法を提供し、
・本発明のウイルスまたは、機能的部分、誘導体もしくは類似体に結合可能な分子を生成し、
・前記ウイルスに特異的な分子を選択することを含む。
【0072】
本発明の抗体または、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体が使用され、試料中のEV79ウイルスの存在を検出することが可能である。前記試料は血液、血清または細胞組織試料を含む。しかしながら好ましくは、前記試料は糞便、唾液または唾液試料を含む。前記抗体または、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体は、たとえば親和性カラム中で使用可能である。前記抗体または、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体は、ELISAマイクロタイタープレート上に覆われてもよく、前記プレートによってヒトまたはヒト以外の動物からの試料を培養することが可能である。前記抗体が前記試料の何らかの成分に特異的に結合する場合、前記試料中のEV79の存在を示している。EV79成分の結合は、たとえばEV79に向けられた第2の、標識された抗体によって明らかにすることが可能である。
【0073】
ELISAに代わる別の方法として、光学バイオセンサ(たとえば、BiaCore 3000またはAffinity Sensors IAsys)が使用され、EV79コード蛋白質および配位子(たとえば、抗体またはFab)の相互作用を検出する。これらの光学システムはELISAと同様に感度が良いが、即時の検出を可能にする。
【0074】
一般的なバイオセンサの実験周期は図7に示されている。第1段階は通常与えられた配位子の固定化であり、バイオセンサキュベット表面の制御である。複数の表面は市販されており、たとえば、ビオチン、カルボン酸、疎水性およびアミノ酸表面型を含む。次の段階は試料の追加であり、操作者は、特異的来ゲート(ligate)との固定された配位子との相互作用を調べる。この段階は結合段階と呼ばれる。それからバッファが加えられ、いかなる弱い非特異的結合分子をも解離することが可能である。第4段階は再生段階であり、表面が最初の状態に戻される。再生の後、キュベットは別の結合実験のために再使用されてもよいし、たいてい4℃で保存されてもよい7;27)。
【0075】
本発明の分子は試料中に存在するEV79を単離するのに適している。前記試料は好ましくは、下痢に罹患しているヒトからの糞便試料を含む。高処理能力自動化分析が確立され、試験試料が本発明の分子で培養される。結合ウイルスは、たとえば本発明のプライマおよび/またはプローブを使用してウイルス粒子の染色またはEV79核酸の検出によって、検出および/または同定可能である。このような分析は簡易で迅速な診断を提供する。さらに、EV79の異なる株を得ることが可能である。前記株は精製されてもよく、さらに調査され、たとえば、診断手順を改良することが可能である。したがって1つの特徴において、本発明はEV79に特異的に結合可能な本発明の(好ましくは蛋白性)分子に免疫反応する単離または組換えウイルスを提供する。
【0076】
本発明のプライマおよび/またはプローブもまた、本発明のウイルスの、検出および/または同定のために使用可能である。たとえばBoom法を用いた核酸単離の後、PCR反応は、本発明の少なくとも1種のプライマを使用して開始されることが可能である。一実施形態において、本発明の1種の(特異的)プライマは1種の「一般的な」プライマと組み合わせて使用される。別の実施形態において、本発明の2種の特異的のプライマが使用される。続いて、本発明のプローブが使用され、増幅されたEV79ウイルス生成物が得られるか否かを判定することが可能である。または、本発明のウイルスの核酸が使用され、それとともにハイブリッド形成可能な核酸の存在を検出することが可能である。一実施形態において、前記核酸は図2bに示される配列を含む。アンチセンス鎖が使用され、ハイブリッド形成を経てセンスEV79核酸を検出するということが認められる。
【0077】
たとえば本発明の分子、プライマおよび/またはプローブを使用して、試料中の本発明のウイルスを検出することが可能になった。または、本発明のウイルスに向けられた特異的な配位子または抗体などの、本発明のウイルスを特異的に結合可能な分子の存在について、試料をスクリーニングすることが可能である。これは診断目的に関して望ましいことが多い。それはヒトのウイルス感染後、免疫病原性は時間とともに変化することが多いからである。第1段階の間、細胞介在型の初期免疫応答が誘起されることが多く、時間とともに体液性応答に切り換わることもある。前記変化のために、1種の免疫学的診断手順は感染の全期間に適していないこともある。肯定的結果と否定的結果とが交互に得られることもある。したがって、EV79ウイルスの存在の測定に加えて、同様にヒトの試料中の前記ウイルスに対する抗体の存在を判定することは有利なことである。これは、本発明のウイルス(または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは誘導体)で前記ヒトの試料を培養し、技術的に一般的な方法を使用して結合抗体を検出することによって成し遂げることが可能である。したがって、本発明のウイルス、または、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を使用して、試料中の前記ウイルスに対する特異的配位子または抗体などの、本発明のウイルスに特異的に結合可能な分子を検出することもまた、ここで提供される。当然、全ウイルス粒子を使用する必要はなく、それは前記ウイルスの核酸配列および/またはアミノ酸配列もまた使用され、抗体を検出することが可能であるからである。前記アミノ酸配列は好ましくは本発明のウイルスの表面関連蛋白質のエピトープを含む。なぜならヒトの免疫システムは、ウイルス感染後、このような表面関連蛋白質に直接曝されるからである。したがって、前記表面関連蛋白質に対する抗体は最も存在する可能性がある。一実施形態において、図3に示される配列、または、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体が使用され、本発明のウイルスに対する特異的配位子または抗体などの、本発明のウイルスに特異的に結合可能な分子を検出する。
【0078】
本発明のウイルス、または、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体は、特に、好ましくはEV79関連病に対するワクチンとしての使用に適している。好ましい実施形態において、弱毒化ウイルスあるいは表面関連蛋白質などの機能的部分、そのエピトープまたはグリコシル化結合が使用される。前記ワクチンは好ましくはスペコール(Specol)または二重油性エマルジョン(double oil emulsion)等の適切なアジュバントを含む。前記ウイルスまたは機能的部分はさらに、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、またはオボアルブミン等の蛋白質の抗原性結合等の適切な担体に結合されてもよい。ワクチンを生成する方法は技術的に既知である。本発明のEV79ウイルスはエンテロウイルスであるので、EV79に対するワクチンは、ポリオウイルス等の他のエンテロウイルスに対する、現在使用されるワクチンから類推して生成されてもよい。当業者に既知のワクチンの製造方法は、たとえば死んでいるウイルスと、生きている弱毒化ウイルスと、ウイルスサブユニットと、DNAワクチンと、アデノウイルスまたはAAV等の適切なワクチンベクタ中のDNAワクチンと、ウイルスベクタを一体化させることを経た遺伝子治療方法とを含む。ヒトに対するこのようなワクチンの投与は、ヒトの免疫システムの活性化を経たEV79に対する予防を提供する。
【0079】
本発明のウイルス、または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体もまた医薬としての使用に適している。たとえば、前記ウイルスは、消化管の局部治療に有益な性質を有する蛋白性分子をコードする核酸を与えられてもよい。
【0080】
別の実施形態において、本発明の分子、好ましくは、本発明の蛋白性分子はワクチンまたは医薬として使用される。前記ワクチンまたは医薬は好ましくはEV79関連病の予防および/または治療に使用される。前記分子は、EV79感染が起こる前に、好ましくは上述の適切なアジュバントおよび/または担体と組み合わせてヒトに投与されることが可能である。このような受動免疫は(しばしば一時的に)次の感染に対する予防を提供する。前記分子はまたEV79感染後、医薬として投与されてもよい。前記分子はEV79に特異的に結合可能であり、少なくとも部分的に、EV79感染の影響を弱める。本発明の分子を含む医薬は、当然、炎症抑制剤等の1種またはそれ以上の他の医薬と結合されることが可能である。一実施形態において、複数の医薬はヒトに別々に投与される。しかしながら、本発明の分子はまた、ある薬剤の調製において、別の薬学的に活性な化合物と結合されることも可能である。
【0081】
したがって、本発明は、本発明のウイルス、または、機能的部分、誘導体または類似体および/もしくは分子を含むワクチンを提供する。
【0082】
本発明の分子を含む医薬もまたここで提供される。前記医薬は好ましくは本発明の蛋白性分子を含む。本発明のワクチンまたは医薬は、好ましくはEV79関連病を少なくとも部分的に予防および/または治療するために使用される。
【0083】
エンテロウイルスは多種の病気に伴う下痢、呼吸困難および熱などの症状を引き起こすことが多い。したがって、これらの症状をエンテロウイルス感染に直接帰することはできない。本発明のウイルスが提供されているので、ヒトがエンテロウイルス属関連病に罹患しているか否かを判定することが可能になった。さらに具体的には、EV79関連病が関係しているか否かを判定することが可能である。本発明のウイルス、または、機能的部分、誘導体もしくは類似体が使用され、ヒトからの試料が前記エンテロウイルスに対する抗体を含むか否かを判定することが可能である。さらに、試料中のエンテロウイルスの存在は、本発明の蛋白性分子を使用して、たとえば、親和性クロマトグラフィまたはELISAを使用して判定することが可能である。試料中のエンテロウイルスの存在も同様に、前記試料の核酸をPCR,RT−PCR,TMAまたはNASBAなどの増幅反応し、本発明の少なくとも1種のプライマまたはプローブを使用して、増幅されたエンテロウイルス核酸が存在するか否かを判定することによって判定可能である。エンテロウイルス属関連病が診断されると、たとえば前記エンテロウイルスに特異的に向けられた抗体等の、適切な治療を施すことが可能である。あるいは、または、さらに、一般的な抗ウイルス薬が使用されてもよい。
【0084】
したがって、エンテロウイルス属関連病の診断のための、本発明のウイルス、分子および/またはプライマ/プローブの使用もまた提供される。好ましくは前記エンテロウイルス属はEV79エンテロウイルスを含む。
【0085】
本発明はまた診断キットを提供し、本発明のウイルス、または、機能的部分、誘導体もしくは類似体、および/またはプライマ/プローブを含む。本発明のキットを用いて、エンテロウイルス関連病は、たとえば、試料中のエンテロウイルスまたはエンテロウイルスに向けられた抗体の存在を示して、診断可能である。一実施形態において、前記キットはまた、核酸の単離および/または増幅のための適切な手段を含む。
【0086】
EV79に特異的に結合可能な本発明の分子、好ましくは蛋白性分子を含む診断キットもまた、ここで提供される。前記分子は好ましくは、マイクロタイタープレート等の適切な固体支持体上に存在する。前記キットは試料中のエンテロウイルスの存在を示すのに特に適切であり、好ましくは、同様にエンテロウイルスを染色するための適切な手段を含む。このような手段は一般的に技術的に入手可能である。
【0087】
1つの特徴において、本発明はヒトがEV79関連病に罹患しているか否かを判定する方法を提供し、前記ヒトから試料を得ることと、本発明のプライマおよび/またはプローブを用いて前記ウイルスまたは、機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸を、ハイブリッド形成および/または増幅し、ハイブリッド形成および/または増幅された生成物を検出することによって、前記試料中のEV79ウイルス、または、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出することとを含む。
【0088】
別の特徴において、本発明はヒトがEV79関連病に罹患しているか否かを判定するための方法を提供し、前記ヒトから試料を得ることと、本発明の(蛋白性)分子と、前記ウイルスまたは、機能的部分、誘導体もしくは類似体との特異的結合、ならびに結合生成物の検出によって、前記試料中のEV79ウイルスまたは、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出することとを含む。
【0089】
さらに別の特徴において、本発明はヒトがEV79関連病に罹患しているか否かを判定するための方法を提供し、前記ヒトから試料を得ることと、本発明のEV79ウイルスまたは、機能的部分、誘導体もしくは類似体と、前記抗体との特異的結合、ならびに結合生成物の検出によって、前記試料中のEV79特異的抗体を検出することとを含む。
【0090】
EV79関連病と診断されると、本発明の医薬を用いて治療することが可能である。さらに、EV79に感染する危険のあるヒトは、本発明のワクチンを接種されることが可能であり、EV79関連病を予防する。たとえば、免疫不全のヒトは、EV79ウイルスに特異的に結合可能な本発明の分子を含むワクチンを与えられることが可能である。
【0091】
したがって、EV79関連病に罹患している、または罹患している危険にあるヒトの治療のための方法もまた提供され、本発明のワクチンまたは医薬を前記ヒトへ投与することを含む。
【0092】
本発明はさらに、以下の実施例によって示される。実施例は決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0093】
実施例
Prima7の単離
55のピコルナウイルス単離物の全長ゲノム配列の整列において、2つの群を識別することができた。ヒトエンテロウイルスのほとんどを包含する群に関して、プライマとネスティッドRT−PCRアッセイとを、この群の全てのメンバーを増幅することができるように設計した。このアッセイを用いて、201人のHIV陽性被験者の臨床検便試料をスクリーニングし、そのうち17は、推定された寸法(300bp)のPCR生成物を生成した。これらの試料のうち4つは、第1の増幅後、高いウイルス力価を指示する450bpの一群を示した。2つのPCR生成物のクローン化されたフラグメントは、ヒトエンテロウイルス71およびポリオウイルスの5’−UTRとそれぞれ、89%および91%の相同性を示した。
【0094】
【表1】
【0095】
ウイルス性RNA単離
RNA抽出を、Boom et al.に記載される方法を用いて実行した。手短に述べると、エンテロウイルスパネルからの100μLの臨床試料または再構成された試料を、L6溶解緩衝液900μL、シリカ50μLと混合し、次いで室温で10分間培養した。いくつかの段階の間に核酸と結合したシリカ粒子を洗浄した後、RNAを、ヌクレアーゼの存在しない水50μL中で溶出した。
【0096】
発見のためのネスティッドRT−PCR増幅
ウイルス性RNA単離の後、単離されたRNAを含有する溶出物10μLを、ネスティッドRT−PCR増幅試験に用いた。PICG2D1(5’−GACACCCAAAGTAGTCGG−3’)と称され、かつエンテロウイルスの5’−非翻訳領域(5’−UTR)領域に由来する下流プライマを、cDNA合成に用いた。第1鎖および第2鎖cDNA合成を、前述の(DeWolf et al., 1994)のように実行した。手短に述べると、第1鎖cDNAを合成するために、42℃で45分間培養した後、第1PCR増幅の対応する一般的な上流プライマ、すなわちPICG2U1(5’−GGTACCTTTGTRCGCCTGT−3’)、PCR緩衝液、デオキシヌクレオチド3リン酸、2.5mMのMgC12、および2UのTaqポリメラーゼ(パーキンエルマーシータス社製)を加えた。95℃で5分間培養した後、反応混合物に、次のプロフィール、95℃1分間、55℃1分間および72℃2分間で、35周期の増幅を受けさせた。第1PCR増幅の後、PCR生成物5μLを、ネスティッド上流プライマ、すなわちPICG2U1’(5’−CAAGCACTTCTGTTTCCCC−3’)と、一般的なネスティッド下流プライマ、すなわちPICG2D1’(5’−CATCGRCCTGATCTACAC−3’)とからなるネスティッドPCR反応混合物に加えた。この反応混合物に、第1PCR増幅と同じプロフィールで、25周期の増幅を受けさせた。標的のフラグメントは、第1PCR生成物について約450bpの長さ、またはネスティッドPCRフラグメントについて約300bpの長さであり、これらを、プラスミド調製、およびそれに続く遺伝子シークエンシング反応のために、thepCRII−TOPOベクタ(インビトロジェン社製、カールスバッド、カリフォルニア)に対してクローン化した。
【0097】
DNAシークエンシングおよび分析
プラスミドを含有するエンテロウイルス−PCR生成物を、-21M13およびM13リバースプライマを用いて、BigDye(登録商標)Terminator Cycle Sequencingキット(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)社製、フォスターシティ、カリフォルニア)によってシークエンシングした。反応混合物をシークエンシングする電気泳動法を、アプライドバイオシステムズ377自動シークエンサを用いて、製造者のプロトコルに従って実行した。ベクタNTIスイート7ソフトウェアパッケージを、全てのシークエンシングデータを分析するために用いた。
【0098】
完全Prima7ゲノムのヌクレオチド配列の決定
ピコルナVP4領域の保存領域に位置する第3のオリゴヌクレオチド(07VP4D1,AGCTTCCACCACCACCC)を用いて、クローン07に関する配列を、1034ヌクレオチドに伸長した(図5を参照)。
【0099】
その結果生じた、推定上のVP4領域の推定されるアミノ酸配列は、エンテロウイルス70群における系統樹およびクラスタの中で他と区別可能な枝を占め、これは新規なエンテロウイルスと同定される。保存領域を標的とするプライマの組合せと、独自開発のPALM法とを用いて、我々は、この新しいエンテロウイルスの全長ゲノム配列を決定する過程にある。
【0100】
推定されるオリゴヌクレオチドによる配列伸長
関連するエンテロウイルス70,71およびコクサッキーA16の推定されるアミノ酸配列の整列によって、保存領域を同定した。これらの保存蛋白質領域の折り返し翻訳の後(表2)、適切なコドンバイアスを考慮して、退化プライマを設計し、RT−PCRに用いることができた。表2から、オリゴの適切な組合せおよび配向を選択することによって、Prima7ゲノムRNAの重複フラグメントは、RT−PCRによって増幅され得る。これらの重複フラグメントから、完全ゲノム配列を組立てることができる。
【0101】
Palm
代替的に、Prima7ゲノムの分析された部分(表3,07UVP01〜07UVP07)に位置する5’−オリグヌクレオチドと、3’標識ランダムプライマ(JZH2R)との組合せを用いて、EV79ゲノムの追加フラグメントを、前述と類似するネスティッドRT−PCRプロトコルを用いて増幅した。
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
細胞培養におけるPrima7の増殖
臨床糞便試料を、培地B(ブイヨンNo.2オキソイド25g/L、ペニシリン250u/mL、ストレプトマイシン250pg/mL、アンフォテリシンB1.5pg/mL)において再懸濁(30%v/v)した。成長培地を、熱殺菌された白金線培地吸引装置を用いて、培養細胞(ベロ細胞、ヒト胎児肺繊維芽細胞またはサル腎臓細胞)を含有する管から除去した。培地Bに保存されている糞便を、10分間2500RPMで遠心分離機にかけ、その結果生じた上清1mLを、45μMシリンジ付フィルタを用いて濾過した。その濾液3〜4滴を、培養細胞に加えた。閉じられた管を、患者材料と、ガラス壁に付着する細胞との接触を確実にするために、優しく反転させ、その管を30分間37℃で培養した。MEMハンクス8%FCS(ギブコ社製)溶液を、室温で均衡させ、アンフォテリシンB0.375μg/mLおよびネオマイシン10mg/mL(ギブコ社製)を加えた。各管に、MEMハンクス8%FCS1mLを加え、これらの管を37℃で培養した。少なくとも2週間、週2回、細胞を顕微鏡で観察し、ウイルス特異的な細胞変性効果(CPE)を記録する。
【0105】
検便試料中のPrima7検出方法
Prima7配列(表4)に基づいて、ネスティッドオリゴヌクレオチド2組を設計し、RNA抽出を、前述のとおり実行した。ウイルス性RNA単離の後、単離されたRNAを含有する溶出物10μLを、ネスティッドRT−PCR増幅試験に用いた。下流プライマ、すなわちEV07D1を、cDNA合成に用いた。
【0106】
【表4】
【0107】
第1鎖および第2鎖cDNA合成を前述6のように実行した。手短に述べると、第1鎖cDNAを合成するために、42℃で45分間培養した後、第1PCR増幅の対応する一般的な上流プライマ、すなわちEV07U1、PCR緩衝液、デオキシヌクレオチド3リン酸、2.5mMのMgC12、および2UのTaqポリメラーゼ(パーキンエルマーシーラス社製)を加えた。95℃で5分間培養した後、反応混合物に、次のプロフィール、すなわち95℃1分間、55℃1分間、および72℃2分間で、35周期増幅を受けさせた。第1PCR増幅の後、PCR生成物5μLを、ネスティッド上流プライマ、すなわちEV07U2と、下流プライマ、すなわちEV07D2とからなるネスティッドPCR反応混合物に加えた。この反応混合物に、第1PCR増幅と同じプロフィールで、25周期増幅を受けさせた。
【0108】
ポリクローナル抗体の収集方法
Prima7ポリ蛋白質(たとえば、VP1またはVP4)内の適切な領域は、適切なオリゴヌクレオチドおよびRT−PCRを用いて、選択かつ増幅されることができる。対応する精製されたウイルス抗原を、Nicaud et al.16に述べられるように、適切な宿主(たとえばYarrowia lipolytica)における発現によって得ることができる。メスのNZWウサギ(約4kg)を、ウイルス蛋白質抗原調製物0.5〜5.0mgで初回免疫する。抗原を、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.3)0.5mL中で懸濁し、等量の完全フロインドアジュバント(CFA)中で乳化する。フロインドアジュバントは、少量の抗原が用いられ、かつ抗原の免疫原性が(おそらくではあるが)知られていないこれらの実験において使用するのに、適切な既知のアジュバントシステムである。発行された使用ガイドラインは、次のとおりであり、各部位につき0.1mLに注射を限定すること、初回免疫投与にのみCFAを用いることを含む。この抗原調製物(1mL全容積)を、ウサギの首の背面の弛緩性皮膚に皮下注射する。この注射経路は、免疫学的に有効であり、一方的または相互的な脇腹注射に関連する局所炎症の可能性を最小限にする(このようなその後の脇腹炎症は、動物の可動性を害する)。3週間の静止後、血液1mLを、血液検査のために耳の動脈から除去する。もし所望の抗体の力価が低すぎると判断された場合、抗体を増量する。適切な抗体レベルを有するウサギを、CFAに含有される抗原1.0mgを皮下注射してブーストする。ブーストされた動物を、2週間後に採血し、すなわち血液15mLを、血管を拡張させるヒートランプを用いて耳の動脈から採る。ウサギは、商業的な制限に配置し、全部で7回以下、キシラジンで安静にし、その後、キシラジン/ケタミンを用いて麻痺させた後、ウサギから、心臓穿刺によって全血を採る。
【0109】
ワクチン生成方法
サブユニットワクチンの生成のために、おそらくVP2およびVP3蛋白質と組み合わせられるVP1領域を、適切な真核細胞の宿主(たとえば、Y. Lipolytica、またはベロ細胞)において発現することができ、また、優先的に2つの小さい親和性標識(たとえば、His標識またはStrepII標識)を用いて精製することができた。適切な精製の後、その結果生じるウイルス性蛋白質を、サブユニットワクチンとして用いることができる。
【0110】
代替的に、Prima7ウイルスを、前述のようにベロ細胞において繁殖させることができ、続いて、Wu et al.28に記載されたように処置することができる。手短に述べると、ウイルスを、20%ポリエチレングリコール6000を用いて培地から沈殿させ、不連続な40〜65%サッカロース勾配で4時間80,000×gで、続いて、線形5〜40%CsCl勾配で4時間120,000×gで、超遠心分離法によって精製する。その結果生じるウイルス調製物は、Blondel et al.3に記載されるように、30分間65℃で加熱することによって不活性化されることができる。
【0111】
光学バイオセンサにおける固定化配位子(たとえば抗体)と結合するPrima7ウイルス性蛋白質のVP1またはその他の分析
結合反応を、些細な修正を伴って、20℃で、IAsys2チャネル共振ミラーバイオセンサ(アフィニティセンサーズ(Affinity Sensors)社製、サクソンヒル、ケンブリッジ、イギリス)において実行した。600arcsの信号が1ng/mm2の結合された蛋白質に対応する2次元ビオチン表面を、製造者の取扱説明書に従ってストレプトアビジンによって誘導化した。参照は、ウイルス性蛋白質が、ストレプトアビジン誘導化ビオチン表面に結合されないことを示した(結果は図示しない)。ビオチン化抗体を、2次元ストレプトアビジン誘導化表面において固定化し、その後PBSで洗浄した。バイオセンサキュベットの表面に固定化された配位子および結合されたVP1の分布を、共鳴スキャンによって検査し、これは、常に、これらの分子がセンサ表面上で規則的に分布しており、したがって微小な集合を形成していないことを示した。結合アッセイを、20±0.1℃で最終容量のPBS30μLにおいて実行した。14〜70nMの間の最終濃度のVP1を与えるために、ライゲート(ligate)を、キュベットに対して、PBS1μL〜5μL中で既知の濃度で加えた。解離段階の後、残余の結合されたライゲートを除去して、固定配位子を再生するために、2MのNaCl−10mMのNa2HPO4(pH7.2)50μLで3回、および20mMのHCL50μLで3回、キュベットを洗浄した。データは、異なる量の固定化抗体(0.2、0.6および1.2ng/mm2)を用いた実験から蓄積された。konの計算のために、低いライゲート(VP1)濃度を用いる一方で、koffの測定のために、比較的高いライゲート濃度を、再結合するあらゆる人為的な結果を回避するために用いた(1μM)。この結合パラメータkonおよびkoffは、結合反応の結合段階および解離段階からそれぞれ算出され、算出には、機器を備える非線形カーブフィッティングFastFitソフトウェア(アフィニティセンサーズ社製)を用いた。解離定数(Kd)は、結合率定数および解離率定数から、および平衡点近くで観察される結合範囲から算出した。
【0112】
検便試料におけるPrima7の検出方法
Prima7配列(表5)に基づいて、ネスティッドオリゴヌクレオチド2組を設計し、RNA抽出を前述4のように実行した。ウイルス性RNA単離の後、単離されたRNAを含有する溶出物10μLを、ネスティッドRT−PCR増幅試験のために用いた。下流プライマ、すなわちEV07D01を、cDNA合成に用いた。
【0113】
【表5】
【0114】
第1鎖および第2鎖cDNA合成を、前述(De Wolf et al., 1994)のように実行した。手短に述べると、第1鎖cDNA合成のために、42℃で45分間培養した後、第1PCR増幅の対応するジェネリック上流プライマ、すなわちEV07U1、PCR緩衝液、デオキシヌクレオチド3リン酸、2.5mMのMgC12、および2UのTaqポリメラーゼ(パーキンエルマーシーラス社製)を加えた。95℃で5分間培養した後、反応混合物に、次のプロフィール、すなわち95℃1分間、55℃1分間、および72℃2分間で、35周期増幅を受けさせた。第1PCR増幅の後、PCR生成物5μLを、ネスティッド上流プライマ、すなわちEV07U2と下流プライマ、すなわちEV07D2とからなるネスティッドPCR反応混合物に加えた。この反応混合物に、第1PCR増幅と同じプロフィールで、25周期増幅を受けさせた。PCR生成物を、1%アガロースゲルにおいて寸法で分別し、摘出し、製造者(キアゲン社、ウェストバーグ)によって供給されたプロトコルに従って、Qiaquickカラムを用いて精製し、pCRII(インビトロジェン社製)に、トポイソメラーゼ1仲介ライゲーションを介してクローン化した。各PCR生成物について、3つのランダムに採取されたコロニーからのプラスミドを、Qiagen Spin Miniprepキットを用いて単離し、Big-Dye(アプライドバイオシステムズ社製)シークエンシングプロトコルを用いて分析した。結果は、図4に示される。
【0115】
核酸配列
PALM法、長期RT−PCRおよび5’−RACEの組合せによって、エンテロウイルスPrima7の完全ヌクレオチド配列を得た。
【0116】
系統分析は、Prima7がヒトエンテロウイルスA群と群を形成することを明らかにした。最も密接に関連するA群のメンバーは、エンテロウイルス71およびコクサッキーA16であり、これらは、核酸レベルで、全体で68%の配列同一性を示す(表4)。Prima7(全図におけるEV79)が群間組換体であることから系統樹の別個の枝を占めるという可能性を排除するために、我々は、ヒトエンテロウイルスA、B、C、DおよびE群の参照配列を用いて、SimPlot分析13を実行した。そのゲノムPrima7がA群のエンテロウイルスとの最も強い類似性を維持する間中、Prima7が群間組換体ではないことを示唆した。
【0117】
Prima7配列が、SimPlot分析における疑問として用いられ、全ての利用可能な全長ヒトエンテロウイルスA群と比較される場合、これら全てと等距離であるように見える。しかしながら、もし他のいずれのA群エンテロウイルスが疑問配列として用いられたとしても、Prima7は、そのゲノム全体を通して最も低い類似性を示す。これは、Prima7が新しいA群エンテロウイルスであり、単に、2つの縁戚のA群エンテロウイルスからの組換体であるというわけではないことを示唆する。
【0118】
ハイブリッドゲノム
第1キメラゲノムを、コクサッキーウイルスA16(NC_001612)のヌクレオチド2187とEV79のヌクレオチド2129とを融合する、VP3における相互組換えによって生成した。組換えは、保存配列TGGGAにおいて生じ、大きいオープンリーディングフレームを維持し、ハイブリッド蛋白質を生成した。第2キメラゲノムを、エンテロウイルス71(U22522)のヌクレオチド3773と、EV79のヌクレオチド3713とを再度融合する相互組換えによって生成し、ポリ蛋白質内でハイブリッド2bコード化領域を創出する。組換えは、保存配列ATGGA内で生じた。
【0119】
非翻訳領域
最も強い配列保存は、5’非翻訳領域(5’UTR)において遭遇する。なぜなら、おそらくこの領域が蛋白質合成の複製および開始において中枢の役割を果たしているからである22。5’UTRにおける逆方向反復は、多数の内部の塩基を対合させることができ、その結果生じる2次構造を、M−Foldプログラム14を用いて予測され得る。開始コドンは、推定上の配列内リボソーム進入部位(IRES(Internal Ribosome Entry Site))またはリボソームランディングパッド(ribosome-landing-pad)の一部であるCT豊富域(643〜660位)のすぐ下流に存在する。このATGは、相同性に基づいて開始コドンとして我々が同定するものと対応する。推定上の開始コドンに先行する他の全ての7つのATGは、フレーム外にあり、M−fold予測に従って、ヘアピンループにおいて配列される。
【0120】
オープンリーディングフレーム分析
683位のATGが開始コドンであるとすれば、我々は2199AAのORFを得ることになる。芽細胞研究を、コード化されたポリ蛋白質の蛋白質分解開裂生成物を一時的に同定するために用いた。
【0121】
【表6】
【0122】
【表10】
【0123】
ワクチンとしてのキャプシド蛋白質
VP2、VP3およびVP115における、ならびにEV71VP1のためのポリオウイルス標的エピトープに対する中和抗体を、ワクチン生成のための第1の標的として提案した24,23。さらに、組換体VP1の線形エピトープに対するIgGおよびIgM免疫応答を検出することは、エンテロウイルス71感染の種々の段階を決定する有効な手段である24。病原性および組織屈性を決定する要素は、VP126および5’UTR8に局在化していた。コクサッキーウイルスA9に関して、保存配列モチーフPALTAVETGHTの修飾は、結果として、感染性の子孫ウイルスを生成する能力を低下させる1。エンテロウイルス79VP1が類似の配列モチーフ(赤色字,黄色背景)を含有するので、我々は、保存配列モチーフ(赤色で示される)の修飾を、弱毒化した株を得るためのツールとして断言することができた。さらに、VP1の3次構造は、小さい疎水性分子(ポケット因子)を通常含有する無極性ポケットをかくまう22。新しい抗ウイルス物質は、この無極性ポケットを標的とし、これは、ポケット因子を置換し、ウイルスゲノムの脱殻と干渉する。我々は、組換体VP1を、かかる抗ウイルス化合物のためのスクリーニングツールとして断言することができた。VP1を、親和性標識蛋白質(His標識および/またはStrepII標識)として適切な微生物宿主(たとえば、大腸菌(Escherichia coli))において発現させることができた。cDNAをコード化するVP2、VP3およびVp1蛋白質は、オリゴヌクレオチドのペアであるVP2−VP2R、VP3F−VP3RおよびVP1F−VP1Rをそれぞれ用いてERT−PCRによって増幅されることができる。PCRプライマは、attB1およびattB2部位を、それぞれ3つ全てのアンプリコンの5’末端および3’末端に加える。その結果として生じた818、785および938bpのPCR生成物は、ゲートウェイシステム(インビトロジェン社製)のためのエントリークローンを生成するトポイソメラーゼ仲介ライゲーションによってpDONR201(インビトロジェン社製)に挿入されることができる。ゲートウェイシステムは、有効なin vitro組換え反応を通じて、attB1部位とattB2部位との間に位置するあらゆる配列の方向性のある転移を可能とする。インビトロジェン社は、大腸菌(Escherichia coli)(たとえば、pBAD−DEST49、pDEST17)、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)(たとえば、pYES2−DEST52)、バキュロウイルス(Baculovirus)(たとえばpDEST20)のみならず、昆虫類細胞系(pMT−DEST48)および哺乳類細胞系(たとえば、pT−REX−DEST31)などの多数の宿主のための発現ベクタに対応するゲートウェイを供給する。
【0124】
一例として、EV79由来の、VP2、VP3およびVP1のためのPCRcDNAフラグメントを、pDONR201にライゲートし、pEV2、pEV3およびpEV4を与えるために、pThio−HisB(インビトロジェン社製)ゲートウェイ誘導体pGP7に転移した。発現は、N末端His標識チオレドキシン領域を保持するE.coliにおける、VP融合蛋白質のpEV1〜3の直接生成を構築し、この領域は、可溶性向上カセットとして、かつC末端StrepII親和性標識として作用する。HisおよびStrepII親和性標識は、検出および回復を促進させる。蛋白質回復の第1段階は、プロテアーゼ阻害物質の適切なカクテルを含有する緩衝液中で宿主細胞を溶解することである。あらゆる封入体は、8Mの尿素の存在下で音波処理によって可溶性にされる。クリアにされた溶解物を、NiNTA樹脂(キアゲン社製)を含有するカラムに入れ、製造者のプロトコルに従って金属親和性精製を受けさせた。金属親和性精製の溶出液を、適切な緩衝液で希釈し、製造者(IBAゲーエムベーハー)によって指示されるように、ストレプタクチン(Streptactin)カラムに移動させた。このようにして、精製された蛋白質を、E.coliにおいて生成することができる。
【0125】
【表7】
【0126】
【表11】
【0127】
2Aプロテアーゼは、ポリ蛋白質からのそれ自身の放出と、宿主蛋白質合成を停止させた後にIRES依存ウイルス翻訳が引き継ぐ宿主翻訳開始因子eIF4G9,21の不活性化とに触媒作用を及ぼす25。この機能に干渉するあらゆる化合物を、抗ウイルス物質として用いることができた。
【0128】
コクサッキー2Bの発現は、膜透過性を高め、これによって細胞内Ca2+ホメオスタシスを崩壊させ、結局、ウイルス子孫の放出を可能とする膜損傷を生じさせる26。この機能を干渉するあらゆる化合物を、抗ウイルス物質として用いることができた。
【0129】
3BまたはVPg:この蛋白質は、ウイルスゲノムRNAの5’末端に共有結合して付着される。
【0130】
【表8】
【0131】
EV79配列内リボソーム進入部位(IRES)の使用例
発現ベクタpLXRN(ジェンバンク(GenBank)受託番号AF113968)は、ポリリンカーにクローン化されるあらゆるcDNAの発現を促進するレトロウイルスの長い末端反復(Long terminal Repeat,LTR)を用いる。LTR活性は、バイシストロン性mRNAの転写を生じさせ、これの第1オープンリーディングフレームは、発現されるべき蛋白質をコード化し、第2オープンリーディングフレームは、真核細胞のネオマイシン選択マーカーをコード化する。第1および第2のORFは、IRES由来の脳心筋炎ウイルスによって分離され、これはネオマイシン耐性の有効な翻訳を確実にする。
【0132】
EV79IRESによってEMCVIRESを交換するために、第1に、NcoI部位は、ネオマイシン耐性遺伝子の開始コドンにおいて導入されなければならない。この制限部位は、Quickchangeキットを製造者(ストラタジーン(Stratagene)社)の取扱説明書に従って用いて、オリゴヌクレオチドpLXRN1および2を使用して、部位に方向付けられた突然変位生成によって生成される。その結果生じるpLXRN誘導体は、BamHIで部分的におよび完全に消化されたNcoIである。EV79IRES(EV79ヌクレオチド1〜746位,図19)は、プライマIRES5およびIRES3を用いてRT−PCRによってEV79含有臨床試料から増幅されることができ、同時に、BamHI部位を5’末端に、BspLU11I部位を、ポリ蛋白質開始コドンにおいて加える。その結果生じる762bpのアンプリコンを、BamHI−BspLU11Iで消化し、突然変異pLXRNにライゲートする。その結果生じる構造は、すなわちpEV79であり、ここにおいてEMCVIRESは、それのEV79相同分子種(artholog)によって置換される。pEV79は、前述したように、哺乳類細胞系にトランスフェクトするために用いられ得る。
【0133】
【表9】
【0134】
サル由来のEV79
我々は、ヒトエンテロウイルスの新種を発見した。EV79は、VP1由来の系統樹内の他と区別可能な枝を占める。VP1配列の一般的な群、主要なピコルナウイルス抗原は、抗原型に関連していることが実証された5,17。近年、新しいサルピコルナウイルス属およびいくつかの新種がVP1蛋白質整列に単に基づいて提案された18。したがって、EV79はまた、新しいエンテロウイルス抗原型を示さなければならない。VP2を基礎とする全長のポリ蛋白質由来の系統樹においても、EV79は、最も密接に関連するA群エンテロウイルス(たとえばコクサッキーA16およびエンテロウイルス71)から区別可能なままであり、これは、新規なエンテロウイルスを発見したという我々の主張をさらに補強する。SimPlot分析は、ゲノム全体を通して、EV79が他の全てのヒトエンテロウイルスと異なることを示し、これは、EV79が種間組換えによって生じる可能性を排除する。
【0135】
すでに、サルウイルスA13、SV19、25、35、43および46とA群ヒトエンテロウイルス(たとえばコクサッキーA16およびEV71)との密接な関係は、ヒトへの感染能に関する推測を以前から促進させてきた18。ヒト単離EV79の、これらのサルウイルスとのさらに密接な関係は、人畜共通感染能を証明することができた。
【0136】
参考文献リスト
1. Caro, V., S. Guillot, F. Delpeyroux, and R. Crainic. 2001. Molecular strategy for 'serotyping' of human enteroviruses. J. Gen. Virol. 82:79-91.
2. Oberste, M. S., K. Maher, D. R. Kilpatrick, M. R. Flemister, B. A. Brown, and M. A. Pallansch. 1999. Typing of human enteroviruses by partial sequencing of VP1. J. Clin. Microbiol. 37:1288-1293.
3. Oberste, M. S., K. Maher, and M. A. Pallansch. 2002. Molecular phylogeny and proposed classification of the simian picorna viruses. J. Virol. 76:1244-1251.
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】EV79の150aaペプチド配列に基づく系統発生解析のNJ系図。距離(Distance):p−距離(p-distance);ブートストラップテスト:500
【図2A】EV79の5’UTR領域
【図2B】EV79のVP4およびVP2領域
【図3】EV79から翻訳されたVP4およびVP2領域のアミノ酸配列
【図4】特異的RT−PCRを用いた糞便試料のスクリーニング
【図5】オリゴヌクレオチドおよびオープンリーディングフレームの位置を示す部分的なPrima7遺伝子の制限地図。
【図6】EV79およびヒトエンテロウイルス間の核酸およびアミノ酸配列の相同性。
【図7】バイオセンサ実験サイクル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図19および/または図2bに示される配列を含む、単離および/または組換え核酸またはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体。
【請求項2】
請求項1に記載の核酸に対して少なくとも70%相同である単離および/または組換え核酸。
【請求項3】
請求項1記載の核酸に対して少なくとも95%相同である単離および/または組換え核酸。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸の100の連続したヌクレオチドの伸張を含む単離および/または組換え核酸。
【請求項5】
図20、表10、表11または図3に示される配列を含む単離および/または組換え蛋白性分子、またはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体。
【請求項6】
請求項5に記載の蛋白性分子に対して少なくとも80%相同である単離および/または組換え蛋白性分子。
【請求項7】
請求項5に記載の蛋白性分子に対して少なくとも95%相同である単離および/または組換え蛋白性分子。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の蛋白性分子の少なくとも30の連続したアミノ酸の伸張を含む単離および/または組換え蛋白性分子。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子をコードする核酸。
【請求項10】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の核酸配列を含む単離または組換えウイルス、またはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体。
【請求項11】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子を含む単離または組換えウイルス、またはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体。
【請求項12】
EV79関連病を誘導することが可能な、請求項10または11に記載の、単離または組換えウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体。
【請求項13】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の核酸を含むベクタ。
【請求項14】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の核酸に対して特異的にハイブリッド形成可能なプライマおよび/またはプローブ。
【請求項15】
請求項8または9に記載のプライマおよび/またはプローブであって、厳しい条件下で、前記核酸にハイブリッド形成可能なプライマおよび/またはプローブ。
【請求項16】
請求項14または15に記載のプライマおよび/またはプローブであって、図19および/もしくは図2bまたは、表4に示される配列を含むプライマおよび/もしくはプローブ。
【請求項17】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子に特異的に結合可能な単離結合分子、および/または請求項10〜12のいずれか1項に記載の単離もしくは組換えウイルス。
【請求項18】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸配列に特異的に結合可能な単離結合分子。
【請求項19】
図19および/または図3に示される核酸配列の少なくとも一部に特異的に結合可能な単離結合分子。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか1項に記載の単離結合分子であって、蛋白性分子である単離結合分子。
【請求項21】
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子の生成方法であって、
請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体に結合可能な分子、または、請求項5〜8のいずれか1項に記載の、単離および/もしくは組換え蛋白性分子を生成することと、
前記ウイルスおよびまたは蛋白性分子に特異的な蛋白性結合分子を選択することとを含む方法。
【請求項22】
単離または組換えウイルスであって、請求項17〜21のいずれか1項に記載の分子と免疫反応する単離または組換えウイルス。
【請求項23】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の使用であって、試料中の前記ウイルスを特異的に結合可能な分子を検出する使用。
【請求項24】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の、単離および/または組換え蛋白性分子の使用であって、試料中の、請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルスまたは前記ウイルスの、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体に特異的に結合可能な結合分子を検出する使用。
【請求項25】
請求項24記載の使用であって、前記結合分子は前記ウイルスに特異的な配位子よび/または抗体を含む使用。
【請求項26】
請求項14〜16のいずれか1項に記載の、プライマおよび/もしくはプローブ、
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子、ならびに/または、
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の、核酸、または機能的部分、誘導体もしくは類似体の使用であって、
試料中のEV79エンテロウイルスを検出および/または同定する使用。
【請求項27】
請求項26記載の使用であって、前記核酸は図19および/または図3に示される配列を含む使用。
【請求項28】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体を含むワクチン。
【請求項29】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子を含むワクチン。
【請求項30】
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子を含むワクチン。
【請求項31】
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子を含む医薬。
【請求項32】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体の使用であって、エンテロウイルス関連病に対するワクチンを調製する使用。
【請求項33】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子の使用であって、エンテロウイルス関連病に対するワクチンを調製する使用。
【請求項34】
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子の使用であって、エンテロウイルス関連病に対するワクチンを調製する使用。
【請求項35】
試料中のエンテロウイルスを検出する方法であって、
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子、または、請求項14〜17のいずれか1項に記載の、プライマおよび/もしくはプローブが使用されることを特徴とする方法。
【請求項36】
エンテロウイルスに対する結合分子を検出する方法であって、
請求項10〜12のいずれか1項に記載のウイルス、または請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子が使用されることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項35または36に記載の方法であって、エンテロウイルス関連病を診断する方法。
【請求項38】
請求項37記載の使用であって、前記エンテロウイルス関連病はEV79エンテロウイルス関連病を含む使用。
【請求項39】
試料中の、請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出する方法であって、
請求項14〜16のいずれか1項に記載の、プライマおよび/またはプローブを用いて、前記ウイルス、または、機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸を、ハイブリッド形成および/または増幅することと、
ハイブリッド形成および/または増幅した生成物を検出することとを含む方法。
【請求項40】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体、
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子、および/または
請求項14〜16のいずれか1項に記載の、プライマ/プローブを含む診断キット。
【請求項41】
EV79エンテロウイルス関連病に罹患している、または罹患している危険にあるヒトを治療する方法であって、請求項28〜31のいずれか1項に記載の、ワクチンまたは医薬を前記ヒトに投与することを含む方法。
【請求項42】
ヒトがEV79エンテロウイルス関連病に罹患しているか否か判定する方法であって、
前記ヒトから試料を得ることと、
前記試料中の、請求項10〜12のいずれか1項に記載の、EV79エンテロウイルス、または、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出することとを含む方法。
【請求項43】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の核酸、または請求項13記載のベクタを含む細胞。
【請求項44】
請求項43記載の細胞であって、EV79の発現可能なコード領域、または30の連続したアミノ酸の伸張を含む前記コード領域の一部、または、前記コード領域および/もしくはその一部の、機能的誘導体および/もしくは類似体を含む細胞。
【請求項45】
請求項43または44に記載の細胞であって、前記細胞は真核細胞である細胞。
【請求項46】
請求項44または45に記載の細胞であって、前記細胞は原核細胞である細胞。
【請求項47】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子であって、2Aおよび/または3Cプロテアーゼをコードする蛋白性分子。
【請求項48】
化合物が、ウイルスプロテアーゼを少なくとも部分的に阻害することが可能か否かを判定する方法であって、前記プロテアーゼは請求項47記載の、プロテアーゼ、または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体であることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項47記載のウイルスプロテアーゼを少なくとも部分的に阻害することが可能な化合物。
【請求項50】
請求項49記載の化合物であって、前記化合物は、アミノ酸配列QTAILQまたはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む化合物。
【請求項51】
エンテロウイルス感染症に罹患しているヒト、または罹患している危険にあるヒトの治療のための医薬であって、
前記エンテロウイルスは請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の核酸配列を含み、
前記医薬はウイルス、またはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む医薬。
【請求項52】
推定3C開裂前部位のN−末端に位置する任意のヘキサペプチドの使用であって、医薬を調製し、エンテロウイルス感染症に罹患しているヒト、または罹患している危険にあるヒトを治療し、前記エンテロウイルスは請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の配列を含む使用。
【請求項53】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の配列を含む遺伝子運搬媒介物。
【請求項54】
請求項53記載の遺伝子運搬媒介物であって、前記ベクタは請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の核酸に基づく遺伝子運搬媒介物。
【請求項55】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の弱毒化ウイルス。
【請求項56】
図19に示される核酸中、1〜748位にある配列、または、このような配列の、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む内部リボソーム侵入部位(IRES)を含むポリシストロニックメッセンジャRNA。
【請求項57】
請求項29記載のワクチンであって、図20に示される配列を有する、VP1,VP2またはVP3蛋白質の少なくとも免疫反応部分を含むワクチン。
【請求項58】
請求項57記載のワクチンであって、前記部分は図20からの配列、または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含むワクチン。
【請求項59】
図19に示される配列の少なくとも1000ヌクレオチド、および別のエンテロウイルスの少なくとも1000ヌクレオチドを含むキメラエンテロウイルスであって、
前記後者の1000ヌクレオチドは、図19に示される配列と5%以上配列が異なる配列を含むキメラエンテロウイルス。
【請求項60】
EV79感染症に罹患している、または罹患している危険にある対象を治療するための方法であって、
ケトン含有グルタミン類似体(たとえばアザグルタミン)と、S−ニトロソ−N−アセチル−ペニシラミン(SNAP)等の一酸化窒素(NO)−遊離化合物と、ニトログリセリン(GTN)と、硝酸イソソルビド(ISDN)またはグリセリジンと、5−(3,4−ジクロロフェニル)メチルヒダントインと、ビニル性エチルエステル(AG7088,下記の構造式1を有している)とを含むペプチドから成るグループから選択された化合物を、前記対象に投与することを含む方法。
【化1】
プレコナリル、3−メチルチオ−5−アリル−4−イソチアゾールカルボニトリルまたはピリジルイミダゾリジノン等のいわゆるWIN化合物、リバビリン、ミコフェノール酸、6−アザウリジンまたはピラゾフリン等のヌクレオチド類似体、あるいは3−メチルケンペロール等のRNA合成阻害剤。
【請求項1】
図19および/または図2bに示される配列を含む、単離および/または組換え核酸またはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体。
【請求項2】
請求項1に記載の核酸に対して少なくとも70%相同である単離および/または組換え核酸。
【請求項3】
請求項1記載の核酸に対して少なくとも95%相同である単離および/または組換え核酸。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸の100の連続したヌクレオチドの伸張を含む単離および/または組換え核酸。
【請求項5】
図20、表10、表11または図3に示される配列を含む単離および/または組換え蛋白性分子、またはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体。
【請求項6】
請求項5に記載の蛋白性分子に対して少なくとも80%相同である単離および/または組換え蛋白性分子。
【請求項7】
請求項5に記載の蛋白性分子に対して少なくとも95%相同である単離および/または組換え蛋白性分子。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の蛋白性分子の少なくとも30の連続したアミノ酸の伸張を含む単離および/または組換え蛋白性分子。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子をコードする核酸。
【請求項10】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の核酸配列を含む単離または組換えウイルス、またはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体。
【請求項11】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子を含む単離または組換えウイルス、またはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体。
【請求項12】
EV79関連病を誘導することが可能な、請求項10または11に記載の、単離または組換えウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体。
【請求項13】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の核酸を含むベクタ。
【請求項14】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の核酸に対して特異的にハイブリッド形成可能なプライマおよび/またはプローブ。
【請求項15】
請求項8または9に記載のプライマおよび/またはプローブであって、厳しい条件下で、前記核酸にハイブリッド形成可能なプライマおよび/またはプローブ。
【請求項16】
請求項14または15に記載のプライマおよび/またはプローブであって、図19および/もしくは図2bまたは、表4に示される配列を含むプライマおよび/もしくはプローブ。
【請求項17】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子に特異的に結合可能な単離結合分子、および/または請求項10〜12のいずれか1項に記載の単離もしくは組換えウイルス。
【請求項18】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸配列に特異的に結合可能な単離結合分子。
【請求項19】
図19および/または図3に示される核酸配列の少なくとも一部に特異的に結合可能な単離結合分子。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか1項に記載の単離結合分子であって、蛋白性分子である単離結合分子。
【請求項21】
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子の生成方法であって、
請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体に結合可能な分子、または、請求項5〜8のいずれか1項に記載の、単離および/もしくは組換え蛋白性分子を生成することと、
前記ウイルスおよびまたは蛋白性分子に特異的な蛋白性結合分子を選択することとを含む方法。
【請求項22】
単離または組換えウイルスであって、請求項17〜21のいずれか1項に記載の分子と免疫反応する単離または組換えウイルス。
【請求項23】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体および/もしくは類似体の使用であって、試料中の前記ウイルスを特異的に結合可能な分子を検出する使用。
【請求項24】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の、単離および/または組換え蛋白性分子の使用であって、試料中の、請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルスまたは前記ウイルスの、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体に特異的に結合可能な結合分子を検出する使用。
【請求項25】
請求項24記載の使用であって、前記結合分子は前記ウイルスに特異的な配位子よび/または抗体を含む使用。
【請求項26】
請求項14〜16のいずれか1項に記載の、プライマおよび/もしくはプローブ、
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子、ならびに/または、
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の、核酸、または機能的部分、誘導体もしくは類似体の使用であって、
試料中のEV79エンテロウイルスを検出および/または同定する使用。
【請求項27】
請求項26記載の使用であって、前記核酸は図19および/または図3に示される配列を含む使用。
【請求項28】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体を含むワクチン。
【請求項29】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子を含むワクチン。
【請求項30】
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子を含むワクチン。
【請求項31】
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子を含む医薬。
【請求項32】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体の使用であって、エンテロウイルス関連病に対するワクチンを調製する使用。
【請求項33】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子の使用であって、エンテロウイルス関連病に対するワクチンを調製する使用。
【請求項34】
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子の使用であって、エンテロウイルス関連病に対するワクチンを調製する使用。
【請求項35】
試料中のエンテロウイルスを検出する方法であって、
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子、または、請求項14〜17のいずれか1項に記載の、プライマおよび/もしくはプローブが使用されることを特徴とする方法。
【請求項36】
エンテロウイルスに対する結合分子を検出する方法であって、
請求項10〜12のいずれか1項に記載のウイルス、または請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子が使用されることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項35または36に記載の方法であって、エンテロウイルス関連病を診断する方法。
【請求項38】
請求項37記載の使用であって、前記エンテロウイルス関連病はEV79エンテロウイルス関連病を含む使用。
【請求項39】
試料中の、請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出する方法であって、
請求項14〜16のいずれか1項に記載の、プライマおよび/またはプローブを用いて、前記ウイルス、または、機能的部分、誘導体もしくは類似体の核酸を、ハイブリッド形成および/または増幅することと、
ハイブリッド形成および/または増幅した生成物を検出することとを含む方法。
【請求項40】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の、ウイルス、または機能的部分、誘導体もしくは類似体、
請求項17〜20のいずれか1項に記載の結合分子、および/または
請求項14〜16のいずれか1項に記載の、プライマ/プローブを含む診断キット。
【請求項41】
EV79エンテロウイルス関連病に罹患している、または罹患している危険にあるヒトを治療する方法であって、請求項28〜31のいずれか1項に記載の、ワクチンまたは医薬を前記ヒトに投与することを含む方法。
【請求項42】
ヒトがEV79エンテロウイルス関連病に罹患しているか否か判定する方法であって、
前記ヒトから試料を得ることと、
前記試料中の、請求項10〜12のいずれか1項に記載の、EV79エンテロウイルス、または、その、機能的部分、誘導体もしくは類似体を検出することとを含む方法。
【請求項43】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の核酸、または請求項13記載のベクタを含む細胞。
【請求項44】
請求項43記載の細胞であって、EV79の発現可能なコード領域、または30の連続したアミノ酸の伸張を含む前記コード領域の一部、または、前記コード領域および/もしくはその一部の、機能的誘導体および/もしくは類似体を含む細胞。
【請求項45】
請求項43または44に記載の細胞であって、前記細胞は真核細胞である細胞。
【請求項46】
請求項44または45に記載の細胞であって、前記細胞は原核細胞である細胞。
【請求項47】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白性分子であって、2Aおよび/または3Cプロテアーゼをコードする蛋白性分子。
【請求項48】
化合物が、ウイルスプロテアーゼを少なくとも部分的に阻害することが可能か否かを判定する方法であって、前記プロテアーゼは請求項47記載の、プロテアーゼ、または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体であることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項47記載のウイルスプロテアーゼを少なくとも部分的に阻害することが可能な化合物。
【請求項50】
請求項49記載の化合物であって、前記化合物は、アミノ酸配列QTAILQまたはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む化合物。
【請求項51】
エンテロウイルス感染症に罹患しているヒト、または罹患している危険にあるヒトの治療のための医薬であって、
前記エンテロウイルスは請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の核酸配列を含み、
前記医薬はウイルス、またはその、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む医薬。
【請求項52】
推定3C開裂前部位のN−末端に位置する任意のヘキサペプチドの使用であって、医薬を調製し、エンテロウイルス感染症に罹患しているヒト、または罹患している危険にあるヒトを治療し、前記エンテロウイルスは請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の配列を含む使用。
【請求項53】
請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の配列を含む遺伝子運搬媒介物。
【請求項54】
請求項53記載の遺伝子運搬媒介物であって、前記ベクタは請求項1〜4および9のいずれか1項に記載の核酸に基づく遺伝子運搬媒介物。
【請求項55】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の弱毒化ウイルス。
【請求項56】
図19に示される核酸中、1〜748位にある配列、または、このような配列の、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含む内部リボソーム侵入部位(IRES)を含むポリシストロニックメッセンジャRNA。
【請求項57】
請求項29記載のワクチンであって、図20に示される配列を有する、VP1,VP2またはVP3蛋白質の少なくとも免疫反応部分を含むワクチン。
【請求項58】
請求項57記載のワクチンであって、前記部分は図20からの配列、または、その、機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を含むワクチン。
【請求項59】
図19に示される配列の少なくとも1000ヌクレオチド、および別のエンテロウイルスの少なくとも1000ヌクレオチドを含むキメラエンテロウイルスであって、
前記後者の1000ヌクレオチドは、図19に示される配列と5%以上配列が異なる配列を含むキメラエンテロウイルス。
【請求項60】
EV79感染症に罹患している、または罹患している危険にある対象を治療するための方法であって、
ケトン含有グルタミン類似体(たとえばアザグルタミン)と、S−ニトロソ−N−アセチル−ペニシラミン(SNAP)等の一酸化窒素(NO)−遊離化合物と、ニトログリセリン(GTN)と、硝酸イソソルビド(ISDN)またはグリセリジンと、5−(3,4−ジクロロフェニル)メチルヒダントインと、ビニル性エチルエステル(AG7088,下記の構造式1を有している)とを含むペプチドから成るグループから選択された化合物を、前記対象に投与することを含む方法。
【化1】
プレコナリル、3−メチルチオ−5−アリル−4−イソチアゾールカルボニトリルまたはピリジルイミダゾリジノン等のいわゆるWIN化合物、リバビリン、ミコフェノール酸、6−アザウリジンまたはピラゾフリン等のヌクレオチド類似体、あるいは3−メチルケンペロール等のRNA合成阻害剤。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図4−1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図19−1】
【図19−2】
【図19−3】
【図20】
【図21】
【図22】
【図22−2】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図4−1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図19−1】
【図19−2】
【図19−3】
【図20】
【図21】
【図22】
【図22−2】
【公表番号】特表2007−513604(P2007−513604A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532112(P2006−532112)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000184
【国際公開番号】WO2004/104189
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505430012)
【氏名又は名称原語表記】AMSTERDAM INSTITUTE OF VIRAL GENOMICS B.V.
【住所又は居所原語表記】Meibergdreef 59 Amsterdam The Netherlands
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000184
【国際公開番号】WO2004/104189
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505430012)
【氏名又は名称原語表記】AMSTERDAM INSTITUTE OF VIRAL GENOMICS B.V.
【住所又は居所原語表記】Meibergdreef 59 Amsterdam The Netherlands
【Fターム(参考)】
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