説明

新規オキサジアゾール誘導体

【課題】強いベータアミロイド40及びベータアミロイド42産生低下作用を有し、アルツハイマー病に代表されるベータアミロイドに起因する精神神経疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用な新規化合物の提供。
【解決手段】式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩[式中環Aはオキサジアゾール環を表し、環Bは置換されていてもよいベンゼン環又はピリジン環を表し、Q、Q、及びQは、各々独立して、水素原子、C1−6アルコキシ等を表し、環Cは置換されていてもよいイミダゾール環、トリアゾール環等を表し、Xは−R、−NR、−OR等を表し、R及びRは各々独立して、水素原子、C1−6アルキル等を表し、Rは置換されていてもよいアリール、アリール−C1−4アルキル等を表し、Rは水素原子、C1−6アルキル等を表し、nは0〜3の整数を表す]。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベータアミロイド(Aβ)産生低下作用を有する医薬として有用な新規なオキサジアゾール誘導体に関する。より詳しくは、アルツハイマー病、ダウン症などのAβが関与する神経変性疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用な新規なオキサジアゾール誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、神経細胞の変性、脱落とともに老人斑の形成と神経原繊維変化を特徴とする神経変性疾患であり、認知機能の低下や人格変化を引き起こす認知症の一種である。現在、アルツハイマー病の治療は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤などを用いた症状改善を目的とした薬剤による対症療法に限られており、アルツハイマー病の原因に対する治療及び/又は予防のための有効な方法はない。
【0003】
Aβは、凝集することで老人斑を形成し、神経細胞の変性・脱落を引き起こす。Aβはアミノ酸数によっていくつかの種類に分けられるが、その中でもアミノ酸が40個のAβ40及び42個のAβ42は凝集性が高く、他種と比較して早期に脳内に沈着し易く、細胞毒性が強いことが知られている。また、家族性アルツハイマー病においては、より凝集性の高いAβ42の産生が亢進していることが知られている。これらの理由から、アルツハイマー病の発現はAβの産生と深く関わっていると考えられている。よって、Aβ40及びAβ42の産生を低下させる薬剤はアルツハイマー病の治療剤及び/又は予防剤になり得ると考えられている。また、Aβはダウン症又は他のAβに起因する疾患(例えば、認知障害、記憶障害・学習障害、軽度認知障害、老年性痴呆、アミロイドーシス、脳血管アンギオパチー等)の原因の1つとして考えられている。
【0004】
アミロイド前駆タンパク質(APP)がまずベータセクレターゼにより切断され、引き続いてプレセニリンを構成因子とするガンマセクレターゼによって切断されることでAβが産生される。そのため、ベータ及びガンマセクレターゼを標的とした薬剤は、Aβ産生を抑制することとなり、アルツハイマー病の治療剤及び/又は予防剤となることが期待される。Aβ産生を抑制する化合物が知られているが、オキサジアゾールを主要構造とする本願発明の化合物とは化学構造が異なる(例えば、特許文献1や特許文献2を参照)。オキサジアゾールを主要構造とするGPR119アゴニストが知られているが、Aβ産生抑制剤である本願発明の化合物とは用途が全く異なる(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第04/110350号
【特許文献2】国際公開第08/156580号
【特許文献3】国際公開第07/003960号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、強いAβ40及びAβ42産生低下作用を有し、アルツハイマー病に代表されるAβに起因する精神神経疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用な新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、下記式(I)で表される新規化合物が強いAβ産生低下作用を有することを見出し、本発明を完成させた。本発明によれば、下記式(I)で表されるオキサジアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩(以下、「本発明の化合物」と称することもある)が提供される。
【0008】
[項1]下記式(I):
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
環Aは、オキサジアゾール環を表し(ここにおいて、W、W及びWは各々窒素原子又は酸素原子を表し、W、W及びWのうちのいずれか1つが酸素原子であり、それ以外の2つが窒素原子である)
環Bは、ベンゼン環又はピリジン環を表し(ここにおいて、Y及びYは各々CH又は窒素原子を表し、Y及びYのうちのいずれか1つが窒素原子であるとき、それ以外の1つがCHである)、
、Q、及びQは、各々独立して、水素原子、C1−6アルコキシ、ハロゲン、C1−6アルキル、−NRCOR、−CONR、−NR、−NRSO、シアノ又は−COORを表し、
環Cは、置換されていてもよいイミダゾール環、置換されていてもよいトリアゾール環又は置換されていてもよいテトラゾール環を表し(ここにおいて、Z、Z、Z及びZは各々独立してCH又は窒素原子を表し、Zが窒素原子であるとき、Z、Z及びZのうち少なくとも1つはCHであり、ZがCHであるとき、Z、Z及びZのうち少なくとも2つは窒素原子であり;CHは、複数存在する場合は各々独立して、C1−6アルキル、ハロゲン又はトリフルオロメチルで置換されていてもよい)、
Xは、ベンゼン環を縮合する8〜10員の2環性へテロ環、Rで置換されていてもよい3〜8員の単環の飽和脂肪族含窒素へテロ環(ここにおいて、−(CR)n−は、含窒素ヘテロ環上の窒素原子と結合する)、−CO−(Rで置換されていてもよい3〜8員の単環の飽和脂肪族含窒素へテロ環)、アリール−C1−4アルキル、5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキル、−NR、−OR、−NRCOR、−NRCONR、−NRCOOR、−CONR又は−NRSOを表し、
、R、R及びRは、各々独立して、水素原子、C1−6アルキル又はヒドロキシ−C1−4アルキルを表し、
及びRは、各々独立して、水素原子、C1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル又はフッ素を表し、
は、アリール、アリール−C1−4アルキル、5〜10員のヘテロアリール又は5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキルを表し、ここにおいて、Rが、アリール−C1−4アルキル又は5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキルのとき、該アルキル部分は、C1−6アルキル、C1−4アルコキシ−C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル、−C1−4アルキル−NR、−C1−4アルキル−NRCOR及び−C1−4アルキル−NRSOからなる群から選ばれる1〜2個の基で置換されていてもよく、
X及びRの定義中のアリール、アリール−C1−4アルキルのアリール部分、5〜10員のヘテロアリール及び5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキルのヘテロアリール部分は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、水酸基、カルボキシル、−COO−C1−4アルキル、−CONR、−NR、アリール及び3〜8員の単環の飽和脂肪族へテロ環からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
nは、0〜3の整数を表す。]
で表される化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0011】
[項2]環Cがイミダゾール環であって、Zが窒素原子であり、Z、Z及びZが、各々独立して、C1−6アルキル、ハロゲン又はトリフルオロメチルで置換されていてもよいCHである、
項1に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0012】
[項3]Y及びYがいずれもCHである、
項1又は項2に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0013】
[項4]環Bがピリジン環であって、Yが窒素原子であり、YがCHである、
項1又は項2に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0014】
[項5]環Bがピリジン環であって、YがCHであり、Yが窒素原子である、
項1又は項2に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0015】
[項6]W及びWが窒素原子であり、Wが酸素原子である、
項1〜5のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0016】
[項7]W及びWが窒素原子であり、Wが酸素原子である、
項1〜5のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0017】
[項8]Wが酸素原子であり、W及びWが窒素原子である、
項1〜5のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0018】
[項9]Q、Q、及びQが、各々独立して、水素原子、C1−6アルコキシ、ハロゲン又はC1−6アルキルである、
項1〜8のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0019】
[項10]nが、0である、
項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0020】
[項11]Xが、−NRである、
項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0021】
[項12]環Cがメチルで置換されているイミダゾール環であって、Zが窒素原子であり、Z及びZがCHであり、ZがC−CHである、
項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0022】
[項13]X及びRの定義中のアリール、アリール−C1−4アルキルのアリール部分、5〜10員のヘテロアリール及び5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキルのヘテロアリール部分の置換基が、ハロゲン、トリフルオロメチル、フェニルからなる群から選ばれる1〜3個の基である、
項1〜12のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0023】
[項14]Rが、アリール又はアリール−C1−4アルキルである、
項1〜13のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0024】
[項15]式(I)で表される化合物が、
N−(4−ブロモベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例1の化合物)、
N−(4−ブロモフェニル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例8の化合物)、
N−(3−フルオロフェニル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例12の化合物)、
N−[1−(4−フルオロフェニル)エチル]−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例14の化合物)、
N−(3−フルオロベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例15の化合物)、
5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−N−(4−ビフェニルメチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例16の化合物)、
5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−N−(3−ビフェニルメチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例17の化合物)、
N−(2,4−ジフルオロベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例18の化合物)、
N−(3,4−ジフルオロベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例19の化合物)、
5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−N−(2−トリフルオロメチルベンジル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例21の化合物)、
5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−N−(3−トリフルオロメチルベンジル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例22の化合物)、
5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−N−(4−トリフルオロメチルベンジル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例23の化合物)、及び
N−(3,4−ジクロロベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(実施例24の化合物)、
からなる群から選択される項1記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【0025】
[項16]項1〜15のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【0026】
[項17]項1〜15のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分とするベータアミロイドに起因する疾患の治療剤又は予防剤。
【0027】
[項18]ベータアミロイドに起因する疾患が、アルツハイマー病、ダウン症、認知障害、記憶障害・学習障害、軽度認知障害、老年性痴呆、アミロイドーシス又は脳血管アンギオパチーである、項17に記載の治療剤又は予防剤。
【発明の効果】
【0028】
本発明化合物はアルツハイマー病、ダウン症又は他のAβに起因する疾患(例えば、認知障害、記憶障害・学習障害、軽度認知障害、老年性痴呆、アミロイドーシス、脳血管アンギオパチー等)に対する治療剤及び/又は予防剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の化合物は、水和物及び/又は溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物及び/又は溶媒和物もまた本発明の化合物に包含される。
【0030】
式(I)中、環Aは、式(I’−1)〜(I’−3)に示すオキサジアゾール環[例えば、式(I’−1)の環は、W及びWが窒素原子であり、Wが酸素原子であるオキサジアゾール環を表す。]を意味する。
【0031】
【化2】

【0032】
式(I)中、環Bは、式(I’−4)〜(I’−6)に示すベンゼン環又はピリジン環[例えば、式(I’−5)の環は、YがCHでありYが窒素原子であるピリジン環を表す。]を意味する。
【0033】
【化3】

【0034】
式(I)中、環Cは、式(I’−7)に示すイミダゾール環[式(I’−7)の環は、Zが窒素原子でありZ、Z及びZがCHであるイミダゾール環を表す。]、式(I’−8)〜(I’−11)に示すトリアゾール環、又は式(I’−12)及び(I’−13)に示すテトラゾール環を意味する。これら環Cのうちイミダゾール環である式(I’−7)の環が好ましい。
【0035】
【化4】

【0036】
式(I)の化合物は、1個又は場合によりそれ以上の不斉炭素原子を有する場合があり、また幾何異性や軸性キラリティを生じることがあるので、数種の立体異性体として存在することがある。本発明においては、これらの立体異性体、それらの混合物及びラセミ体は本発明の式(I)で表される化合物に包含される。
【0037】
式(I)中、W及びWが窒素原子、Wが酸素原子、nが0、Xが−NRであり、Rが水素原子である化合物[式(I−1a)の化合物]には、下記の互変異性体が存在し、これらの互変異性体は全て式(I)の化合物に含まれる。
【0038】
【化5】

【0039】
(式中、Y1、Y2、Z1、Z2、Z3、Z、Q1、Q2、Q3及びRは項1の定義に同じである。)
式(I)中、W及びWが窒素原子、Wが酸素原子、nが0、Xが−NRであり、Rが水素原子である化合物[式(I−2a)の化合物]には、下記の互変異性体が存在し、これらの互変異性体は全て式(I)の化合物に含まれる。
【0040】
【化6】

【0041】
(式中、Y1、Y2、Z1、Z2、Z3、Z、Q1、Q2、Q3及びRは項1の定義に同じである。)
式(I)中、Wが酸素原子、W及びWが窒素原子、nが0、Xが−NRであり、Rが水素原子である化合物[式(I−3a)の化合物]には、下記の互変異性体が存在し、これらの互変異性体は全て式(I)の化合物に含まれる。
【0042】
【化7】

【0043】
(式中、Y1、Y2、Z1、Z2、Z3、Z、Q1、Q2、Q3及びRは項1の定義に同じである。)
つぎに、本明細書における用語について以下に説明する。
【0044】
「アルキル」とは、直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味し、例えば、「C1−4アルキル」又は「C1−6アルキル」とは炭素原子数が1〜4又は1〜6の置換基をそれぞれ意味する。その具体例として、「C1−4アルキル」の場合には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が、「C1−6アルキル」の場合には、前記に加えて、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられる。中でも好ましくは、メチル及びエチル、より好ましくはメチルが挙げられる。
【0045】
「アルコキシ」とは、直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基が酸素原子を介して結合している基を意味し、例えば、「C1−4アルコキシ」又は「C1−6アルコキシ」とは炭素原子が1〜4又は1〜6のアルコキシをそれぞれ意味する。その具体例として、「C1−4アルコキシ」の場合には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が、C1−6アルコキシ」の場合には、前記に加えて、ぺンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。中でも好ましくは、メトキシ及びエトキシ、より好ましくはメトキシが挙げられる。
【0046】
「アリール」としては、具体的にはフェニル、1−ナフチル又は2−ナフチル等が挙げられる。中でも好ましくは、フェニルが挙げられる。
【0047】
「ヘテロアリール」としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1から4個の原子を含む、単環の5〜7員環の芳香族複素環基又は2環の9〜10員の芳香族複素環基が挙げられる。具体的にはピリジル、ピリダジニル、イソチアゾリル、ピロリル、フリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、チアジアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、イミダゾリジニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インダゾリル、クロメニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル等が挙げられる。好ましいヘテロアリールとしては、ピリジル、ピリミジニル、キノリル、及びイソキノリルが挙げられる。
【0048】
「ベンゼン環を縮合する8〜10員の2環性へテロ環」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1個又は2個の原子を含む飽和ヘテロ環とベンゼン環が縮環する8〜10員の2環性の環を意味する。その具体例としては、例えばインドリン、イソインドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン、2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ベンズオキセピン、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン等が挙げられる。これらのうち、インドリン、イソインドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン及び1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンが好ましい。
【0049】
「3〜8員の単環の飽和脂肪族含窒素へテロ環」とは、炭素原子以外に1個又は2個の窒素原子を含む3〜8個の原子で構成される飽和環(ここにおいて、該飽和環は更に1個の炭素原子が酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい)を意味する。具体例としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、アゼチジン等が挙げられる。これらのうち、好ましいものはピペラジン、モルホリン及びピペリジンであり、更に好ましいものはピペラジンである。
【0050】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。中でも好ましくは、フッ素原子及び塩素原子が挙げられる。
【0051】
「ヒドロキシ−C1−4アルキル」とは、C1−4アルキルの1個の水素原子がヒドロキシで置き換わった基を意味し、置き換わる位置は末端に限らず任意の位置である。「ヒドロキシ−C1−4アルキル」と同様に、「アリール−C1−4アルキル」、「ヘテロアリール−C1−4アルキル」「C1−4アルコキシ−C1−4アルキル」、「−C1−4アルキル−NR」、「−C1−4アルキル−NRCOR」又は「−C1−4アルキル−NRSO」は、C1−4アルキルの1個の水素原子が上記アリール、ヘテロアリール、C1−4アルコキシ、−NR、−NRCOR又は−NRSOで置き換わった基を意味する。また、「−COO−C1−4アルキル」、「−CONH−C1−4アルキル」又は−CO−(Rで置換されていてもよい3〜8員の単環の飽和脂肪族含窒素へテロ環)は、C1−4アルキル又はRで置換されていてもよい3〜8員の単環の飽和脂肪族含窒素へテロ環が各スペーサー(−COO−、−CONH−又は−CO−)を介して結合している各基を意味する。
【0052】
式(I)で表される本発明の化合物の中でも、環A、環B、環C、X、Q〜Q、R〜R及びnの各々の基で、好ましい基は以下のとおりであるが、本発明の技術的範囲は下記に挙げる化合物の範囲に限定されるものではない。
【0053】
環Aとして好ましくは、W及びWが窒素原子でありWが酸素原子であるオキサジアゾール環[上記(I’−1)の環]及びW及びWが窒素原子でありWが酸素原子であるオキサジアゾール環[上記(I’−2)の環]が挙げられる。環Bとして好ましくは、Y及びYがいずれもCHであるベンゼン環[上記(I’−4)の環]及びYがCHでありYが窒素原子であるピリジン環[上記(I’−5)の環]が挙げられ、更に好ましくはY及びYがいずれもCHであるベンゼン環[上記(I’−4)の環]が挙げられる。環Cとして好ましくは、Zが窒素原子でありZ、Z及びZがCHであるイミダゾール環[上記(I’−7)の環]及びZ及びZが窒素原子でありZ及びZがCHであるトリアゾール環[上記(I’−8)の環]が挙げられ、更に好ましくはZが窒素原子でありZ、Z及びZがCHであるイミダゾール環[上記(I’−7)の環]が挙げられる。
【0054】
Xとして好ましくは、−R、−NR及び−ORが挙げられ、更に好ましくは−NRが挙げられる。Q、Q、及びQとして好ましくは、各々独立して、水素原子、C1−6アルコキシ及びハロゲンが挙げられ、更に好ましくは水素原子及びC1−6アルコキシが挙げられる。Rとして好ましくは、水素原子、メチル、エチル及びプロピルが挙げられ、更に好ましくはメチル及びエチルが挙げられる。Rとして好ましくは、水素原子及びメチルが挙げられ、更に好ましくは水素原子が挙げられる。R、R、R及びRとして好ましくは、各々独立して、水素原子、メチル、エチル及びフッ素が挙げられ、更に好ましくは水素原子及びメチルが挙げられる。Rとして好ましくは、アリール及びアリール−C1−4アルキルが挙げられ、更に好ましくはアリール−C1−4アルキルが挙げられる。X及びRの定義中のアリール、アリール−C1−4アルキルのアリール部分、5〜10員のヘテロアリール及び5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキルのヘテロアリール部分の置換基としては、トリフルオロメチル、フッ素、塩素、臭素及びフェニルが挙げられ、更に好ましくはトリフルオロメチル、フッ素及び塩素が挙げられる。nとして好ましくは、0及び1が挙げられ、更に好ましくは0が挙げられる。
【0055】
式(I)の化合物における環A、環B、環C、X、Q〜Q、R〜R及びnの好ましい具体例としては、以下のものが例示される。環Aとしては、W及びWが窒素原子でありWが酸素原子であるオキサジアゾール環[上記(I’−1)の環]が好ましく;環Bは、Y及びYがいずれもCHであるベンゼン環[上記(I’−4)の環]が好ましく;環Cは、イミダゾール環[上記(I’−7)の環]が好ましく;Xは、−NRが好ましく;Q、Q、及びQは、各々独立して、水素原子及びC1−6アルコキシが好ましく;Rは、メチル及びエチルが好ましく;Rは、水素原子が好ましく;R、R、R及びRは、各々独立して、水素原子及びメチルが好ましく;Rは、アリール−C1−4アルキルが好ましく;X及びRの定義中のアリール、アリール−C1−4アルキルのアリール部分、5〜10員のヘテロアリール及び5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキルのヘテロアリール部分の置換基は、トリフルオロメチル、フッ素、塩素、臭素及びフェニルが好ましく;nは、0が好ましい。これらの例示の一つ又は任意の複数の組み合わせで限定された前記の各化合物群も好ましい式(I)の化合物の一つの態様になる。
【0056】
式(I)で表される化合物の製薬学的に許容される塩とは、構造中に酸付加塩を形成しうる基を有する式(I)の化合物の製薬学的に許容される酸付加塩を意味する。酸付加塩の具体例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等の有機酸塩、及びグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩が挙げられる。
【0057】
なお、本明細書において記載の簡略化のために、次に挙げる略号を用いることもある。p−:para−、t−:tert−、s−:sec−、THF:テトラヒドロフラン、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DMA:N,N−ジメチルアセトアミド、DME:エチレングリコールジメチルエーテル、NMP:N−メチル−2−ピロリドン、DMSO:ジメチルスルホキシド、d−DMSO:重ジメチルスルホキシド。
【0058】
本発明化合物の製造方法
式(I)で表される本発明の化合物は、下記に示す製造法A、B、C、D、E、F、G、H又はIにより製造することができる。式(I)で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩は、新規化合物であり、例えば、以下に述べる方法、後述する実施例及びそれに準じた方法によって製造することができる。下記の製造法で用いられる化合物は、反応に支障を来たさない範囲において、塩を形成していてもよい。
【0059】
[製造法A]
式(I)中、W及びWが窒素原子、Wが酸素原子である化合物[下記式(Ia)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0060】
【化8】

【0061】
(式中、X、Y、Y、Z、Z、Z、Z、Q、Q、Q、R、R及びnは、項1の定義に同じである。Pは酸素原子又は硫黄原子である。)
【0062】
[工程1−1]
化合物(II)と化合物(III)の環化反応を行うことで、化合物(Ia)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(II)と化合物(III)を、縮合剤等を共存させて反応を行うことで達成される。原料化合物(III)は公知の方法に準じた方法により合成される(例えば、Tetrahedron 58、2002、5513−5523、Journal of Medicinal Chemistry 46、2003、1492−1503、又はJournal of Heterocyclic Chemistry 42、2005、1273−1281を参照)。縮合剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、O−(1H―7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0063】
[製造法B]
式(I)中、W及びWが窒素原子、Wが酸素原子である化合物[下記式(Ia)の化合物]は、下記製造法によっても製造することができる。
【0064】
【化9】

【0065】
(式中、X、Y、Y、Z、Z、Z、Z、Q、Q、Q、R、R及びnは、項1の定義に同じである。Pは酸素原子又は硫黄原子である。)
【0066】
[工程2−1]
化合物(IV)と各種カルボン酸等との縮合反応を行うことで、化合物(V)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(IV)を、各種カルボン酸等と、縮合剤等を共存させて反応を行うことで達成される。縮合剤等の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、O−(1H―7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0067】
また、化合物(V)は、適当な溶媒中又は無溶媒下で、各種酸クロリド、酸無水物、カルバモイルクロリド、クロロホルメート、イソシアネート、イソチオシアネート等と化合物(IV)を反応させることによっても得られる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0068】
また、化合物(V)は、適当な溶媒中又は無溶媒下で、各種カルボン酸等を反応性誘導体(例えば、活性エステル、酸無水物、酸ハライド、低級アルキルエステル等)に変換し反応させ、その後化合物(IV)と反応させることによっても得られる。活性エステルの具体例としては、p−ニトロフェニルエステル、2、4、5−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、N−ヒドロキシピペリジンエステル、2−ピリジルチオールエステル、N−メチルイミダゾールエステル等が挙げられる。酸無水物としては、対称酸無水物又は混合酸無水物が用いられる。混合酸無水物の具体例としては、クロロ炭酸エチル、イソ吉草酸等との混合酸無水物が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0069】
[工程2−2]
化合物(V)の環化反応を行うことによっても、化合物(Ia)が得られ、本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(V)を、酸化剤、縮合剤又は酸等を共存させて反応を行うことで達成される。酸化剤や縮合剤、酸等の具体例としては、メタクロロ過安息香酸、過酸化水素水、次亜塩素酸ナトリウム、N−ブロモスクシンイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、O−(1H―7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート、p−トルエンスルホニルクロリド、オキシ塩化リン、硫酸、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0070】
[製造法C]
式(I)中、W及びWが窒素原子、Wが酸素原子である化合物[下記式(Ib)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0071】
【化10】

【0072】
(式中、X、Y、Y、Z、Z、Z、Z、Q、Q、Q、R、R及びnは、項1の定義に同じである。)
【0073】
[工程3−1]
化合物(VI)の環化反応を行うことで、化合物(Ib)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、化合物(Ib)は、適当な溶媒中又は無溶媒下で、各種酸クロリド、酸無水物、カルバモイルクロリド、クロロホルメート、イソシアネート、イソチオシアネート等と化合物(VI)を反応させることによって得られる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0074】
また、化合物(Ib)は、適当な溶媒中で、各種カルボン酸と化合物(VI)とを縮合剤等を共存させて反応を行うことによっても得られる。縮合剤等の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、O−(1H―7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0075】
また、化合物(Ib)は、適当な溶媒中で、各種カルボン酸を反応性誘導体(例えば、活性エステル、酸無水物、酸ハライド、低級アルキルエステル等)に変換し、その後化合物(VI)と反応させることによっても得られる。活性エステルの具体例としては、p−ニトロフェニルエステル、2、4、5−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、N−ヒドロキシピペリジンエステル、2−ピリジルチオールエステル、N−メチルイミダゾールエステル等が挙げられる。酸無水物としては、対称酸無水物又は混合酸無水物が用いられる。混合酸無水物の具体例としては、クロロ炭酸エチル、イソ吉草酸等との混合酸無水物が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0076】
[製造法D]
式(I)中、Wが酸素原子、W及びWが窒素原子である化合物[下記式(Ic)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0077】
【化11】

【0078】
(式中、X、Y、Y、Z、Z、Z、Z、Q、Q、Q、R、R及びnは、項1の定義に同じである。)
【0079】
[工程4−1]
化合物(VIII)は、適当な溶媒中で、化合物(VII)を塩基存在下、ヒドロキシアミン塩酸塩と反応させることによって得られる。化合物(VII)は公知の方法(例えば、日本化学会編 新実験化学講座 第14巻 有機合成II 丸善株式会社2005年8月、517−529頁)又はそれに準じた方法により合成できる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO、水又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
【0080】
[工程4−2]
化合物(II)と化合物(VIII)を用い、環化反応を行うことで、化合物(Ic)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、化合物(Ic)は、化合物(II)を適当な溶媒中で縮合剤等を共存させて反応を行うことによって得られる。縮合剤等の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、O−(1H―7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0081】
また、化合物(Ic)は、適当な溶媒中で、化合物(II)を反応性誘導体(例えば、活性エステル、酸無水物、酸ハライド、低級アルキルエステル等)に変換し、その後化合物(VIII)と反応させることによって得られる。活性エステルの具体例としては、p−ニトロフェニルエステル、2、4、5−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、N−ヒドロキシピペリジンエステル、2−ピリジルチオールエステル、N−メチルイミダゾールエステル等が挙げられる。酸無水物としては、対称酸無水物又は混合酸無水物が用いられる。混合酸無水物の具体例としては、クロロ炭酸エチル、イソ吉草酸等との混合酸無水物が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0082】
[製造法E]
式(I)中、nが0、Xが−NR、Rがアリール−C1−4アルキル又は5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキル及びRが水素原子である化合物[下記式(Id)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0083】
【化12】

【0084】
(式中、W、W、W、Y、Y、Z、Z、Z、Z、Q、Q及びQは、項1の定義に同じである。Rはアリール−C1−4アルキル又は5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキルである。)
【0085】
[工程5−1]
化合物(IX)から還元的アミノ化反応を行うことで、化合物(Id)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(IX)を各種ケトン又はアルデヒド等と、還元剤等を共存させて反応を行うことで達成される。原料化合物(IX)は、製造法A、製造法B、製造法C又は製造法Dに準ずる方法により製造できる。還元剤等の具体例としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO、酢酸、水又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0086】
[製造法F]
式(I)中、nが0、Xが−NRCOR及びRが水素原子である化合物[下記式(Ie)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0087】
【化13】

【0088】
(式中、W、W、W、Y、Y、Z、Z、Z、Z、Q、Q、Q及びRは、項1の定義に同じである。)
【0089】
[工程6−1]
化合物(IX)と各種カルボン酸との縮合反応を行うことで、化合物(Ie)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(IX)を各種カルボン酸等と、縮合剤等を共存させて反応を行うことで達成される。縮合剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、O−(1H―7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0090】
また、化合物(Ie)は、適当な溶媒中で、各種カルボン酸を反応性誘導体(例えば、活性エステル、酸無水物、酸ハライド、低級アルキルエステル等)に変換し反応させ、その後化合物(IX)と反応させることによっても得られる。活性エステルの具体例としては、pニトロフェニルエステル、2、4、5−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、N−ヒドロキシピペリジンエステル、2−ピリジルチオールエステル、N−メチルイミダゾールエステル等が挙げられる。酸無水物としては、対称酸無水物又は混合酸無水物が用いられる。混合酸無水物の具体例としては、クロロ炭酸エチル、イソ吉草酸等との混合酸無水物が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0091】
[製造法G]
式(I)中、nが0、Xが−CONRである化合物[下記式(If)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0092】
【化14】

【0093】
(式中、W、W、W、Y、Y、Z、Z、Z、Z、Q、Q、Q、R及びRは、項1の定義に同じである。PはC1−6アルキル、ベンジル、アリル、トリフェニルメチル、t−ブチルジメチルシリル等のカルボキシル保護基である。)
【0094】
[工程7−1]
化合物(X)の脱保護反応を行うことで、化合物(XI)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(X)と酸又は塩基等を共存させて加水分解反応を行うことで達成される。原料化合物(X)は、製造法A、製造法B、製造法C又は製造法Dに準ずる方法により製造できる。酸の具体例としては、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、三塩化ホウ素等が挙げられる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO、水又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜120℃である。
【0095】
[工程7−2]
化合物(XI)と各種アミン(HNR)との縮合反応を行うことで、化合物(If)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(XI)を、各種アミンと縮合剤等を共存させて反応を行うことで達成される。縮合剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、O−(1H―7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0096】
また、化合物(If)は、適当な溶媒中で、化合物(XI)を反応性誘導体(例えば、活性エステル、酸無水物、酸ハライド、低級アルキルエステル等)に変換し、その後各種アミンと反応させることによっても得られる。活性エステルの具体例としては、p−ニトロフェニルエステル、2、4、5−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、N−ヒドロキシピペリジンエステル、2−ピリジルチオールエステル、N−メチルイミダゾールエステル等が挙げられる。酸無水物としては、対称酸無水物又は混合酸無水物が用いられる。混合酸無水物の具体例としては、クロロ炭酸エチル、イソ吉草酸等との混合酸無水物が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0097】
[製造法H]
式(I)中、W及びWが窒素原子、Wが酸素原子、nが0及びXが−NRである化合物[下記式(Ig)の化合物]及びW及びWが窒素原子、Wが酸素原子、nが0及びXが−ORある化合物[下記式(Ih)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0098】
【化15】

【0099】
(式中、Y、Y、Z、Z、Z、Z、Q、Q、Q、R及びRは、項1の定義に同じである。)
【0100】
[工程8−1]
化合物(IV)の環化反応を行うことで、化合物(XII)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中、各種カルボニル化剤を共存させて反応を行うことで達成される。カルボニル化剤の具体例としては、カルボニルジイミダゾール、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO、水又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0101】
[工程8−2]
化合物(XII)の脱水縮合反応を行うことで、化合物(Ig)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、各種アミン(HNR)と、縮合剤等を共存させて反応を行うことで達成される。縮合剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、O−(1H―7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0102】
また化合物(Ig)は、化合物(XII)から2段階の反応を行うことで得られ、常法に従って行うことができる。例えば、第一段階で、化合物(XII)を、適当な溶媒中又は無溶媒下で、オキシ塩化リン等と反応させることによってクロロ体等を得る。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、ピリジン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは50〜150℃である。第二段階で、クロロ体等を適当な溶媒中で各種アミン(HNR)と反応させることで、化合物(Ig)が得られる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0103】
[工程8−3]
また、化合物(XII)から2段階の反応を行うことで、化合物(Ih)が得られ、常法に従って行うことができる。例えば、第一段階で、化合物(XII)を、適当な溶媒中又は無溶媒下で、オキシ塩化リン等と反応させることによってクロロ体等を得る。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、ピリジン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。第二段階で、クロロ体等を適当な溶媒中で各種アルコール又は各種フェノール(HOR)と塩基共存下で反応させることで、化合物(Ih)が得られる。塩基の具体例としては、ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0104】
[製造法I]
式(I)中、W及びWが窒素原子、Wが酸素原子、nが0及びXが−NRである化合物[下記式(Ii)の化合物]及びW及びWが窒素原子、Wが酸素原子、nが0及びXが−ORある化合物[下記式(Ij)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0105】
【化16】

【0106】
(式中、Y、Y、Z、Z、Z、Z、Q、Q、Q、R及びRは、項1の定義に同じである。)
【0107】
[工程9−1]
化合物(VI)の環化反応を行うことで、化合物(XIII)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中、各種カルボニル化剤を共存させて反応を行うことで達成される。カルボニル化剤の具体例としては、カルボニルジイミダゾール、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO、水又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0108】
[工程9−2]
化合物(XIII)の脱水縮合反応を行うことで、化合物(Ii)が得られ、本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、各種アミン(HNR)と、縮合剤等を共存させて反応を行うことで達成される。縮合剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、O−(1H―7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0109】
また、化合物(Ii)は、化合物(XIII)から2段階の反応を行うことで得られ、常法に従って行うことができる。例えば、第一段階で、化合物(XIII)を、適当な溶媒中又は無溶媒下で、オキシ塩化リン等と反応させることによってクロロ体等を得る。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、ピリジン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは50〜150℃である。第二段階で、クロロ体等を適当な溶媒中で各種アミン(HNR)と反応させることで、化合物(Ii)が得られる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0110】
[工程8−3]
また、化合物(XIII)から2段階の反応を行うことで、化合物(Ij)が得られ、常法に従って行うことができる。例えば、第一段階で、化合物(XIII)を、適当な溶媒中又は無溶媒下で、オキシ塩化リン等と反応させることによってクロル体等を得る。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、ピリジン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは50〜150℃である。第二段階で、クロル体等を適当な溶媒中で各種アルコール又は各種フェノール(HOR)と塩基共存下で反応させることで、化合物(Ij)が得られる。塩基の具体例としては、ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0111】
原料化合物[下記式(II、IV、VI)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0112】
【化17】

【0113】
(式中、Y、Y、Z、Z、Z、Z、Q、Q及びQは、項1の定義に同じである。PはC1−6アルキル、ベンジル、アリル、トリフェニルメチル又はt−ブチルジメチルシリル等のカルボニル保護基である。)
【0114】
化合物(XIV)及び化合物(II)は、国際公開第04/110350、国際公開第05/115990、国際公開第08/156580、国際公開第09/028588等に開示されている原料化合物から常法に従って製造される。
【0115】
[工程10−1]
化合物(XIV)の加水分解反応を行うことで、化合物(II)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(XIV)と酸又は塩基等を共存させて反応を行うことで達成される。酸の具体例としては、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、三塩化ホウ素等が挙げられる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO、水又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜120℃である。
【0116】
[工程10−2]
化合物(II)から2段階の反応を行うことで、化合物(XV)が得られ、常法に従って行うことができる。例えば、第一段階で、化合物(II)を、適当な溶媒中又は無溶媒下で、各種カルボン酸を反応性誘導体(例えば、活性エステル、酸無水物、酸ハライド、低級アルキルエステル等)に変換し、その後アンモニアと反応させることによってアミド体を得る。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。第二段階で、アミド体を適当な溶媒中で脱水試薬と反応させることで、化合物(XV)が得られる。脱水試薬の具体例としては、チオニルクロリド、オキシ塩化リン、トリフルオロ酢酸無水物等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0117】
[工程10−3]
化合物(XIV)とヒドラジンとを反応を行うことで、化合物(IV)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(XIV)を、ヒドラジンと共存させて反応を行うことで達成される。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO、水又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0118】
[工程10−4]
化合物(VI)は、適当な溶媒中で、化合物(XV)を塩基存在下、ヒドロキシアミン塩酸塩と反応させることによって得られる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO、水又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0119】
本発明の化合物は、アルツハイマー病、ダウン症又は他のAβに起因する疾患(例えば、認知障害、記憶障害・学習障害、軽度認知障害、老年性痴呆、アミロイドーシス、脳血管アンギオパチー等)に対する治療剤及び/又は予防剤となり得る。本発明の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与又は直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なる。例えば、経口投与の場合は、通常、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01〜1000mg、更に好ましくは約0.1〜500mgを1〜数回に分けて投与することができる。静注等の非経口投与の場合は、通常、例えば、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01mg〜300mg、更に好ましくは約1mg〜100mgを投与することができる。
【0120】
本発明の化合物は、上記のごとき医薬用途に使用する場合、通常、製剤用担体と混合して調製された製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の化合物と反応しない無毒性の物質が用いられる。具体的には、例えばクエン酸、グルタミン酸、グリシン、乳糖、イノシトール、ブドウ糖、マンニトール、デキストラン、ソルビトール、シクロデキストリン、デンプン、部分アルファー化デンプン、白糖、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、プロピレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、水等が挙げられる。
【0121】
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、注射剤、坐剤、点眼剤、軟膏剤、塗布剤、貼付剤、吸入剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製することができる。なお、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また、錠剤及び顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。更に、これらの製剤は治療上価値ある他の成分を含有してもよい。
【実施例】
【0122】
以下に参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、化合物の同定は元素分析値、マス・スペクトル、高速液体クロマト質量分析計;LCMS、IRスペクトル、NMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により行った。
【0123】
明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。置換基として用いられる略号としては、Meはメチル基、Phはフェニル基を意味する。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重の二重線、tは三重線、tdは三重線の二重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brdは幅広い二重線、brtは幅広い三重線及びJは結合定数を意味する。
【0124】
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]をMH+で、保持時間をRt(min)で示す。
検出機器:
Perkin−Elmer Sciex API 150EX Massspectrometer(40eV)
HPLC:
Shimadzu LC 10ATVP
Column:
Shiseido CAPCELL PAK C18 ACR(S−5um, 4.6mm×50mm)
Solvent:
A液:0.035%TFA/MeOH、B液:0.05%TFA/H
Gradient Condition:
0.0−0.5min;A/B = 10:90
0.5−5.9min;A/B = 99:1
5.9−6.4min;A/B = 99:1
Flow rate:
2.8mL/min
UV:
220nm
カラム温度:
40℃
【0125】
参考例1−1
4−(4−ブロモベンジル)チオセミカルバジド
【0126】
【化18】

【0127】
[工程1]:1,1’−チオカルボニルジイミダゾール(10.4g)をDMF(45mL)に溶かした後、p−ブロモベンジルアミン塩酸塩(10.0g)及びトリエチルアミン(18.1mL)のDMF(45mL)溶液を添加し、室温下で3時間攪拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、4−ブロモベンジルイソチオシアネート5.93gを得た。
【0128】
[工程2]:4−ブロモベンジルイソチオシアネイト(3.83g)のエタノール(18mL)溶液に−10℃下、ヒドラジン1水和物(1.22mL)をゆっくり滴下し、室温で12時間攪拌した。反応溶液にジイソプロピルエーテルを加えて析出した結晶物を濾取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄、乾燥した。真空乾燥することにより、結晶物として4−(4−ブロモベンジル)チオセミカルバジドを523mg得た。
MS (ESI+) 259(M+1)
【0129】
参考例1−2〜1−11
対応する原料化合物を用い、参考例1−1に記載の方法と同様に反応・処理して表1に示す化合物を得た。
【0130】
【表1】

【0131】
実施例1
N−(4−ブロモベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン
【0132】
【化19】

【0133】
[工程1]:3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸(18.3g)と炭酸カリウム(41.5g)のDMF溶液(100mL)にヨウ化メチル(18.7mL)を室温下で滴下し、室温で24時間攪拌した。反応液を氷水にあけ、析出した結晶を濾取し、水洗、真空乾燥(50℃)した。固体としてメチル 3−メトキシ−4−ニトロベンゾエート5.26gを得た。
MS (ESI+) 212(M+1)
【0134】
[工程2]:工程1で得られたメチル 3−メトキシ−4−ニトロベンゾエート(88.7g)のエタノール(300mL)、塩化メチレン(50mL)溶液に50%wetパラジウム炭素(18.0g)を加えて、室温下、常圧で7時間水素添加を行った。反応液をセライト濾過し、減圧濃縮した。更に、トルエン共沸し、固体としてメチル4−アミノ−3−メトキシベンゾエート47.0gを得た。
MS (ESI+) 182(M+1)
【0135】
[工程3]:ギ酸(32.1mL)に室温下で無水酢酸(26.8mL)を滴下し、室温で40分間攪拌した。そこに、工程2で得られたメチル 4−アミノ−3−メトキシベンゾエート(12.8g)のTHF(70mL)溶液を滴下し、室温で2時間攪拌した。反応液を氷水にあけ、析出した結晶を濾取、水洗、真空乾燥(50℃)し、メチル 4−(ホルミルアミノ)−3−メトキシベンゾエート12.27gを得た。
MS (ESI+) 210(M+1)
【0136】
[工程4]:工程3で得られたメチル 4−(ホルミルアミノ)−3−メトキシベンゾエート(12.27g)、炭酸セシウム(38.2g)、ヨウ化カリウム(974mg)のDMF(59mL)溶液に、室温下でクロロアセトン(9.40mL)を滴下し、室温で5時間攪拌した。更に、炭酸セシウム(19.0g)、ヨウ化カリウム(974mg)、クロロアセトン(4.70mL)を加えて、1時間攪拌した。反応液に酢酸エチル、水を加えて抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、油状物としてメチル 4−[ホルミル(2−オキソプロピル)アミノ]−3−メトキシベンゾエート15.5gを得た。
MS (ESI+) 266(M+1)
【0137】
[工程5]:工程4で得られたメチル 4−[ホルミル(2−オキソプロピル)アミノ]−3−メトキシベンゾエート(15.5g)、ギ酸アンモニウム(22.6g)の酢酸(33.5mL)溶液を140℃で5時間加熱攪拌した。反応液を室温に戻し、氷冷下で30%アンモニア水(50mL)を加えて中和した。反応液に酢酸エチルを加えて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、固形物としてメチル 3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾエート7.92gを得た。
MS (ESI+) 247(M+1)
【0138】
[工程6]:工程5で得られたメチル 3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾエート(1.0g)のメタノール(10mL)溶液に、2規定水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、室温にて2時間攪拌した。反応液に1規定塩酸水溶液を加えることでpHを3に合わせ、3mLにまで減圧濃縮した。生じた沈殿を濾取、水洗・乾燥し、3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸0.56gを得た。
MS (ESI+) 233(M+1)
【0139】
[工程7]:工程6で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸(232mg)と、参考例1−1で得られた4−(4−ブロモベンジル)チオセミカルバジド(200mg)のDMF(5ml)溶液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(700mg)を加え、室温にて48時間撹拌した。反応混合物に水及びジエチルエーテルを加え、生じた結晶をろ取し、N−(4−ブロモベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン(96mg)を得た。
1H-NMR (d6-DMSO)δ: 8.49 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.3-7.6 (m, 7H), 7.20 (s, 1H), 4.45 (s, 2H), 3.91 (s, 3H), 2.16 (s, 3H)
【0140】
実施例2−17
対応する原料化合物を用いて実施例1と同様に反応・処理し、表2に示す化合物を得た。
【0141】
【表2】

【0142】
【表3】

【0143】
【表4】

【0144】
実施例18
N−(2,4−ジフルオロベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン
【0145】
【化20】

【0146】
[工程1]:実施例1の工程5で得られたメチル 3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾエート(500mg)及びヒドラジン1水和物(400mg)のエタノール(5mL)溶液を12時間加熱還流した。反応液に酢酸エチル、水を加えて抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール)で精製し、3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾヒドラジド175mgを得た。
MS (ESI+) 247(M+1)
【0147】
[工程2]:工程1で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾヒドラジド(1.72g)のTHF(165mL)溶液に、室温下N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.81g)を加えた。窒素雰囲気下、トリホスゲン(835mg)のTHF(11mL)溶液を室温にて滴下し加え、50℃にて12時間攪拌した。反応液を室温で攪拌後、沈殿物をろ取、乾燥し、5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン1.77gを得た。
MS (ESI+) 273(M+1)
【0148】
[工程3]:DMF(4mL)に工程2で得られた5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(136mg)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.18mL)を加え、更に2,4−ジフルオロベンジルアミン(143mg)のDMF(1mL)溶液を加えた。反応液にベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート(243mg)を加え、室温にて1夜攪拌した。反応液にクロロホルムを加え、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール)で精製し、N−(2,4−ジフルオロベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン100mgを得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.75 (1H, s), 7.61 (1H, d, J = 1.5 Hz), 7.52-7.46 (2H, m), 7.31 (1H, d, J = 8.1 Hz), 6.96 (1H, s), 6.90-6.82 (2H, m), 5.91 (1H, m), 4.64 (2H, d, J = 5.3 Hz), 3.92 (3H, s), 2.30 (3H, s)
【0149】
実施例19―27
対応する原料化合物を用いて実施例18と同様に反応・処理し、表3に示す化合物を得た。
【0150】
【表5】

【0151】
【表6】

【0152】
実施例28
2−(4−ブロモベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール
【0153】
【化21】

【0154】
4−ブロモフェニル酢酸(100mg)を塩化チオニル(3mL)中にて3時間加熱還流した。塩化チオニルを減圧留去し、残渣を塩化メチレン(3mL)に溶解した。この塩化メチレン溶液を、実施例18の工程1で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾヒドラジド(50mg)及びトリエチルアミン(0.085mL)の塩化メチレン(5ml)溶液に滴下して加え、室温にて12時間攪拌した。反応液にクロロホルム及び水を加えて抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣を塩化メチレン(3mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.053mL)及びp−トルエンスルホニルクロリド(29mg)を加え、室温にて6時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び塩化メチレンを加えて抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール)で精製し、2−(4−ブロモベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール47mgを得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.6-7.8 (m, 3H), 7.51 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 6.0 Hz. 1H), 7.26 (m, 2H), 6.97 (s, 1H), 4.26 (s, 2H), 3.96 (s, 3H), 2.30 (s, 3H)
【0155】
実施例29−32
対応する原料化合物を用いて実施例28と同様に反応・処理し、表4に示す化合物を得た。
【0156】
【表7】

【0157】
実施例33
N−(4−ブロモベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド
【0158】
【化22】

【0159】
[工程1]:実施例18の工程1で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−ベンゾヒドラジド(200mg)の塩化メチレン(3mL)溶液に、氷冷下モノメチルオキサリルクロリド(0.075mL)及びトリエチルアミン(0.226mL)を加え、室温にて12時間攪拌した。反応液に酢酸エチル、水を加えて抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール)で精製し、メチル 2−{[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]カルボニル}ヒドラジンカルボキシレート140mgを得た。
MS (ESI+) 333(M+1)
【0160】
[工程2]: 工程1で得られたメチル 2−{[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]カルボニル}ヒドラジンカルボキシレート(92mg)の塩化メチレン(3mL)溶液にp−トルエンスルホニルクロリド(80mg)及びトリエチルアミン(0.147mL)を加え、室温にて12時間攪拌した。反応液に酢酸エチル、水を加えて抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール)で精製し、メチル 5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキシレート92mgを得た。
MS (ESI+) 315(M+1)
【0161】
[工程3]:工程2で得られたメチル 5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキシレート(92mg)のメタノール(3mL)溶液に、2規定水酸化ナトリウム水溶液(3mL)を加え、室温にて3時間攪拌した。反応液に1規定塩酸水溶液を加えることでpHを3に合わせ、2mLにまで減圧濃縮した。生じた沈殿を濾取、水洗、真空乾燥(50℃)し、5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボン酸56mgを得た。
MS (ESI+) 301(M+1)
【0162】
[工程4]:5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボン酸をDMF(3mL)に溶解し、4−ブロモベンジルアミン(19mg)、トリエチルアミン(0.050mL)、O−(1H―7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(41mg)を加え、室温にて12時間攪拌した。反応液に酢酸エチル、水を加えて抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール)で精製し、N−(4−ブロモベンジル)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド6mgを得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.84-7.80 (3H, m), 7.62-7.58 (1H, t, J = 6.2 Hz), 7.43 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.28-7.25 (2H, m), 7.00 (1H, s), 4.65 (2H, d, J = 6.2 Hz), 3.99 (3H, s), 2.31 (3H, s)
【0163】
実施例34−41
対応する原料化合物を用いて実施例33と同様に反応・処理し、表5に示す化合物を得た。
【0164】
【表8】

【0165】
【表9】

【0166】
実施例42
2−(ベンジルオキシ)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール
【0167】
【化23】

【0168】
実施例18の工程1で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾヒドラジド(125mg)の塩化メチレン(5mL)溶液に、トリエチルアミン(101mg)及びベンジルオキシカルボニルクロリド(90mg)を加え、室温にて1時間攪拌した。更にベンジルオキシカルボニルクロリド(60mg)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応液にp−トルエンスルホニルクロリド(102mg)を加え、12時間攪拌した。反応液にクロロホルム、水を加えて抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール)で精製し、2−(ベンジルオキシ)−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール6mgを得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.80 (1H, s), 7.62-7.51 (4H, m), 7.44-7.38 (4H, m), 6.98 (1H, s), 5.51 (2H, s), 3.96 (3H, s), 2.30 (3H, s)
【0169】
実施例43
5−[2−(4−ブロモフェニル)エチル]−3−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾール
【0170】
【化24】

【0171】
[工程1]:実施例1の工程6で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸(819mg)とジ−tert−ブチルジカーボネート(563mg)、炭酸水素アンモニウム(204mg)のテトラヒドロフラン(5.0mL)溶液に、室温下でピリジン(0.50mL)を加えて、室温で12時間攪拌した。テトラヒドロフランを減圧留去し、クロロホルム/メタノール(10:1)、水を加えて抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、炭酸ナトリウムを用いて乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール)で精製し、結晶物として3−メトキシー4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(349mg)を得た。
MS (ESI+) 260(M+1)
【0172】
[工程2]:工程1で得られた3−メトキシー4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(480mg)のDMF(4.0ml)溶液に、0℃下でオキシ塩化リン(0.97mL)を加え、室温に戻して2時間攪拌した。反応液を氷水にあけ、結晶が析出するまで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。析出した結晶物をろ過した後、水、ジイソプロピルエーテルで洗浄・乾燥し、3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾニトリル 2塩酸塩(572mg)を得た。
MS (ESI+) 214(M+1)
【0173】
[工程3]:3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾニトリル 2塩酸塩(572mg)のエタノール(5mL)溶液に、室温下で50%ヒドロキシルアミン水溶液(0.69mL)を加え、15時間加熱還流した。クロロホルム、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、炭酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール)で精製し、N’−ヒドロキシ−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゼンカルボキサミド オキシム(401mg)を得た。
MS (ESI+) 247(M+1)
【0174】
[工程4]:N’−ヒドロキシ−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゼンカルボキサミド オキシム(123mg)とp−ブロモプロピオン酸(89mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 1塩酸塩(106mg)のDMF(2.0mL)溶液にトリエチルアミン(0.23mL)を加えて、室温で3時間攪拌し、更に110℃で3時間攪拌した。反応液に酢酸エチル、水を加えて抽出した後、有機層を1N 塩酸水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、炭酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、5−[2−(4−ブロモフェニル)エチル]−3−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾール(40mg)を得た。
MS (ESI+) 439(M+1)
【0175】
実施例44
3−[2−(4−ブロモフェニル)エチル]−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾール
【0176】
【化25】

【0177】
[工程1]:3−(4−ブロモフェニル)プロパンニトリル(1.86g)のエタノール(15mL)溶液に、0℃下で50%ヒドロキシルアミン水溶液(2.5mL)を加え、50℃で5時間攪拌した。反応液に酢酸エチル、水を加えて抽出後、有機層を1規定塩酸水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、炭酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラム(クロロホルム / メタノール)で精製し、3−(4−ブロモフェニル)−N’−ヒドロキシプロパンアミド オキシム(1.04g)を得た。
MS (ESI+) 243(M+1)
【0178】
[工程2]:実施例1の工程6で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸(123mg)及び工程1で得られた3−(4−ブロモフェニル)−N’−ヒドロキシプロパンアミド オキシム(89mg)のDMF(2mL)溶液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 1塩酸塩(106mg)及びトリエチルアミン(0.23mL)を加えて、室温で3時間攪拌し、更に110℃で3時間攪拌した。反応液に酢酸エチル、水を加えて抽出した後、有機層を1規定塩酸水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、炭酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラム(ヘキサン / 酢酸エチル)で精製し、3−[2−(4−ブロモフェニル)エチル]−5−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾール(12mg)を得た。
MS (ESI+) 439(M+1)
試験例
【0179】
以下に、本発明の代表化合物の薬理試験結果を示すが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0180】
試験例1 ラット胎仔由来神経細胞を用いたAβ産生抑制作用評価
(1)ラット胎仔由来初代培養神経細胞
胎生16〜17日齢のWistar系ラット(Charles RiverJapan,Yokohama,Japan)より大脳皮質を摘出し、細胞を単離し培養に供した。具体的には、CO吸引により安楽死させた妊娠ラットより胎仔を取り出し、氷冷したHepes緩衝液中で胎仔脳を摘出した。次に、実体顕微鏡下で大脳皮質を採取し、0.3mg/ml papain(Sigma−aldrich,cat#P4762,St.Louis,MO,USA)溶液中で37℃、5分間振盪することで組織を分散した。10%の牛胎仔血清を含む培養液に交換することで分散反応を停止し、Hepes緩衝液で洗浄後ピペッティングにより物理的に組織を分散し、ナイロンメッシュ(セルストレーナー,cat#352350,Becton Dickinson Labware,Franklin Lakes,NJ,USA)を通し細胞塊を除き、神経細胞懸濁液を得た。懸濁液を1000rpmにて4分間遠心分離し、上清を除いた。次に、細胞を少量のHepes緩衝液にて再懸濁した後細胞数を計数し、1wellあたり1×10個となるよう培地で神経細胞を希釈し、poly−D−lysineでコートした96ウェルプレート(cat#356461,Becton Dickinson Labware,Franklin Lakes,NJ,USA)に播種した。培地には0.5mM L−glutamine(cat#25030−081,Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)、ペニシリン・ストレプトマイシン(cat#15140−122,Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)及び2% B27Supplement(cat#17504−044,Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を含むNeurobasal medium(cat#21103−049,Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を使用した。播種した細胞は、5% CO下37℃インキュベーターにて3日間培養した。
【0181】
(2)化合物添加及びサンプリング、細胞生存の評価
培養3日目に以下の通り試験化合物の添加を行った。試験化合物のDMSO溶液を最終濃度の100倍濃度で作製した。この溶液を培地で100倍希釈した。細胞の培地を全量除去し、試験化合物を含む培地を100又は200μl/well添加した。対照群には試験化合物を含まないDMSOを含有する培地を添加した。化合物添加後1〜3日間培養した後培地を回収し、ELISAによるAβ測定の試料とした。また、培地を回収後の細胞はCell Counting Kit−8(cat# 347−07621,Dojindo, Kumamoto,Japan)を用いて生存の評価を行った。具体的には、培地を除去した細胞にCell Counting Kit−8試薬を10%含む37℃に温めた培地を100μl/well添加し、5% CO下37℃インキュベーターにて1〜3時間培養した後、各wellの450nmの吸光度を測定した。測定の際、細胞を播種しないwellにCell Counting Kit−8試薬を含む培地を加えたものをバックグラウンド(bkg)として設定した。以下の数式に従って各wellの値を算出し、DMSO処理した対照群(ctrl)に対する比率(% control)として評価を行った。
% control = (A450_sample -A450_bkg) / (A450_ctrl - A450_bkg) × 100
A450_sample:試験化合物処理したwellの450nmの吸光度
A450_bkg:バックグラウンドwellの450nmの吸光度
A450_ctrl:DMSO処理したwellの450nmの吸光度
【0182】
(3)AβELISA
AβのELISAによる定量は、和光純薬工業株式会社のHuman/Ratβamyloid (42) ELISA kit, High−Sensitive(cat# 292−64501)及びHuman/Ratβamyloid (40) ELISA kit(cat# 294−62501)を用いて、メーカー推奨のプロトコール(添付文書に記載の方法)にて行った。測定結果は、対照群の培地中のAβ濃度を100%とし、各試験化合物による阻害活性を百分率で表した。
(4)本発明化合物のAβ産生抑制作用のデータを表6に示す。
【0183】
【表10】

【0184】
【表11】

【0185】
本発明の化合物を上述の生物学的試験で評価したところ、2.5μMの濃度で、Aβ産生抑制作用を示す化合物を多数見出した。特に、実施例1、8、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、24は、2.5μMの濃度で強いAβ産生抑制作用を示した。
【産業上の利用可能性】
【0186】
以上で説明したように、本発明の化合物はベータアミロイド産生抑制効果を示す。したがって、本発明の化合物はアルツハイマー病、ダウン症又は他のベータアミロイドに起因する疾患(例えば、認知障害、記憶障害・学習障害、軽度認知障害、老年性痴呆、アミロイドーシス、脳血管アンギオパチー等)に対する治療剤及び/又は予防剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】


[式中、
環Aは、オキサジアゾール環を表し(ここにおいて、W、W及びWは各々窒素原子又は酸素原子を表し、W、W及びWのうちのいずれか1つが酸素原子であり、それ以外の2つが窒素原子である)
環Bは、ベンゼン環又はピリジン環を表し(ここにおいて、Y及びYは各々CH又は窒素原子を表し、Y及びYのうちのいずれか1つが窒素原子であるとき、それ以外の1つがCHである)、
、Q、及びQは、各々独立して、水素原子、C1−6アルコキシ、ハロゲン、C1−6アルキル、−NRCOR、−CONR、−NR、−NRSO、シアノ又は−COORを表し、
環Cは、置換されていてもよいイミダゾール環、置換されていてもよいトリアゾール環又は置換されていてもよいテトラゾール環を表し(ここにおいて、Z、Z、Z及びZは各々独立してCH又は窒素原子を表し、Zが窒素原子であるとき、Z、Z及びZのうち少なくとも1つはCHであり、ZがCHであるとき、Z、Z及びZのうち少なくとも2つは窒素原子であり;CHは、複数存在する場合は各々独立して、C1−6アルキル、ハロゲン又はトリフルオロメチルで置換されていてもよい)、
Xは、ベンゼン環を縮合する8〜10員の2環性へテロ環、Rで置換されていてもよい3〜8員の単環の飽和脂肪族含窒素へテロ環(ここにおいて、−(CR)n−は、含窒素ヘテロ環上の窒素原子と結合する)、−CO−(Rで置換されていてもよい3〜8員の単環の飽和脂肪族含窒素へテロ環)、アリール−C1−4アルキル、5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキル、−NR、−OR、−NRCOR、−NRCONR、−NRCOOR、−CONR又は−NRSOを表し、
、R、R及びRは、各々独立して、水素原子、C1−6アルキル又はヒドロキシ−C1−4アルキルを表し、
及びRは、各々独立して、水素原子、C1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル又はフッ素を表し、
は、アリール、アリール−C1−4アルキル、5〜10員のヘテロアリール又は5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキルを表し、ここにおいて、Rが、アリール−C1−4アルキル又は5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキルのとき、該アルキル部分は、C1−6アルキル、C1−4アルコキシ−C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル、−C1−4アルキル−NR、−C1−4アルキル−NRCOR及び−C1−4アルキル−NRSOからなる群から選ばれる1〜2個の基で置換されていてもよく、
X及びRの定義中のアリール、アリール−C1−4アルキルのアリール部分、5〜10員のヘテロアリール及び5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキルのヘテロアリール部分は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、水酸基、カルボキシル、−COO−C1−4アルキル、−CONR、−NR、アリール及び3〜8員の単環の飽和脂肪族へテロ環からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
nは、0〜3の整数を表す。]
で表される化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項2】
環Cがイミダゾール環であって、Zが窒素原子であり、Z、Z及びZが、各々独立して、C1−6アルキル、ハロゲン又はトリフルオロメチルで置換されていてもよいCHである、
請求項1に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項3】
及びYがいずれもCHである、
請求項1又は請求項2に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項4】
環Bがピリジン環であって、Yが窒素原子であり、YがCHである、
請求項1又は請求項2に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項5】
及びWが窒素原子であり、Wが酸素原子である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項6】
及びWが窒素原子であり、Wが酸素原子である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が酸素原子であり、W及びWが窒素原子である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項8】
、Q、及びQが、各々独立して、水素原子、C1−6アルコキシ、ハロゲン又はC1−6アルキルである、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項9】
nが、0である、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項10】
Xが、−NRである、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項11】
環Cがメチルで置換されているイミダゾール環であって、Zが窒素原子であり、Z及びZがCHであり、ZがC−CHである、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項12】
X及びRの定義中のアリール、アリール−C1−4アルキルのアリール部分、5〜10員のヘテロアリール及び5〜10員のヘテロアリール−C1−4アルキルのヘテロアリール部分の置換基が、ハロゲン、トリフルオロメチル、フェニルからなる群から選ばれる1〜3個の基である、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項13】
が、アリール又はアリール−C1−4アルキルである、
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分とするベータアミロイドに起因する疾患の治療剤又は予防剤。
【請求項16】
ベータアミロイドに起因する疾患が、アルツハイマー病、ダウン症、認知障害、記憶障害・学習障害、軽度認知障害、老年性痴呆、アミロイドーシス又は脳血管アンギオパチーである、請求項15に記載の治療剤又は予防剤。


【公開番号】特開2012−180281(P2012−180281A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154353(P2009−154353)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】