説明

新規ナフタレン化合物、その製造法、およびそれを含有する薬学的組成物

【課題】メラトニン作動性レセプターに関係する薬理学的特性を有する新規化合物の提供。
【解決手段】式(I)(Rは、基RまたはNHRを表して、Rは明細書に記載されたとおりであり;Rは、置換された直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基を表し;Rは、水素もしくはハロゲン原子、あるいは直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基、または直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルケニル基を表す)で示される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ナフタレン化合物、その製造法、およびそれを含有する薬学的組成物に関する。
【0002】
本発明の化合物は、新規であり、メラトニン作動性レセプターに関係する非常に価値のある薬理学的特性を有する。
【0003】
過去10年間に無数の研究が、多くの生理病変的現象、および概日リズムの制御におけるメラトニン(N−アセチル−5−メトキシトリプタミン)の枢要な役割を立証している。しかしながら、その半減期は、それが急速に代謝されるという事実のために極めて短い。そのため、多大な関心が、より代謝上安定的であり、アゴニストまたはアンタゴニストの特徴を有し、このホルモン自体のそれに優る治療効果を有することが期待され得る、メラトニン類似体を医師に提供できる可能性にある。
【0004】
概日リズム障害[J. Neurosurg., 1985, 63, pp.321-341]および睡眠障害[Psychopharmacology, 1990, 100, pp.222-226]に対するその有益な作用に加えて、メラトニン作動系のリガンドは、中枢神経系に関して価値のある薬理学的特性、特に不安緩解および抗精神病特性[Neuropharmacology of Pineal Secretions, 1990, 8(3-4), pp.264-272]、ならびに鎮痛特性[Pharmacopsychiat., 1987, 20, pp.222-223]はもとより、パーキンソン病[J. Neurosurg., 1985, 63, pp.321-341]およびアルツハイマー病[Brain Research, 1990, 528, pp.170-174]の処置のための特性も有する。これらの化合物は、ある種の癌[Melatonin - Clinical Perspectives, Oxford Univ. Press, 1988, pp.164-165]、排卵[Science, 1987, 227, pp.714-720]、糖尿病[Clinical Endocrinol., 1986, 24, pp.359-364]に関して、また肥満症[Int. J. Eating Disorders, 1996, 20(4), pp.443-446]の処置にも作用を示している。
【0005】
これらの様々な効果は、特異的なメラトニンレセプターの媒介を通じて発揮される。分子生物学の研究は、このホルモンに結合することができる数多くのレセプター亜型の存在を立証している[Trends Pharmacol. Sci., 1995, 16, p.50;WO 97.04094]。哺乳動物をはじめとする様々な種について、これらのレセプターのいくつかが、局在化され、特性記述されることが可能になっている。これらのレセプターの生理学的機能をより充分に理解することができるためには、入手可能な選択的リガンドを有することが非常に好都合である。その上、そのような化合物は、これらのレセプターの相互に選択的に相互作用し合うことによって、医師にとっては、メラトニン作動系に付随する病変(そのいくつかは、上に列挙されている)の処置における優れた医薬となり得る。
【0006】
新規であることに加え、本発明の化合物は、メラトニンレセプターに対する非常に強力な親和性および/またはメラトニン作動性結合部位の一つもしくは他に対する選択性を示す。
【0007】
その上、それらは、5−HT2Cレセプターに対する強い親和性を有し、メラトニン作動性レセプターの場合に、特にうつ病の分野で観察される特性を強化する効果を有する。
【0008】
より具体的には、本発明は、式(I):
【0009】
【化14】

【0010】
[式中、R1は、基R4またはNHR4を表して、R4は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルケニル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6ハロアルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6ポリハロアルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、アルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいC3〜C8シクロアルキル−C1〜C6アルキル基、アリール基、アルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいアリール−C1〜C6アルキル基、ヘテロアリール基、またはアルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいヘテロアリール−C1〜C6アルキル基を表し、
【0011】
2は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基(これは、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルコキシ基、OH、OSO2Me、N3、NRR’、NHCOR”、またはNHSO2R”で置換されている)を表して、RおよびR’は、同じであるかまたは異なってもよく、それぞれ、水素原子、あるいは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、アリール基、またはアルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいアリール−C1〜C6アルキル基を表すか、あるいはRおよびR’は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から選ばれるもう一つのヘテロ原子を含んでもよい五または六員環を形成し、R”は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、アリール基、またはアルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいアリール−C1〜C6アルキル基を表し、
【0012】
3は、水素もしくはハロゲン原子、あるいは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルケニル基を表して、
【0013】
ここで、
−R1がメチル基を表し、R2がヒドロキシメチル基を表すときは、R3は、水素原子を表すことはできず、
−「アリール」は、フェニル、ナフチルまたはビフェニル基を意味し、
−「ヘテロアリール」は、酸素、硫黄および窒素から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含む、芳香族のいかなる単環または二環の基も意味するものとし、
そのように定義されたアリールおよびヘテロアリール基は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、ホルミル、ニトロ、シアノ、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6ハロアルキル、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6ポリハロアルキル、アルキルオキシカルボニル、およびハロゲン原子から選ばれる1〜3個の基で置換されていることができる]
で示される化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基とのその付加塩に関する。
【0014】
薬学的に許容され得る酸のうちでは、非限定的な例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ショウノウ酸等々を列挙してもよい。
【0015】
薬学的に許容され得る塩基のうちでは、非限定的な例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、tert−ブチルアミン等々を列挙してもよい。
【0016】
本発明の好適化合物は、R1が、たとえばメチルまたはエチル基のような直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキル基を表す式(I)の化合物である。
【0017】
2は、好都合には、OHまたはアルコキシ基で置換されたアルキル基を表す。
【0018】
3は、好都合には、水素原子を表す。
【0019】
本発明は、はるかに具体的には、N−[3−メトキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]アセトアミド、N−[4−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブチル]プロパンアミドおよびN−[4−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブチル]アセトアミドである化合物に関する。
【0020】
本発明の好適化合物の鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基との付加塩は、本発明の不可欠の部分を形成する。
【0021】
本発明は、式(I)の化合物を製造する方法であって、式(II):
【0022】
【化15】

【0023】
[式中、R3は、式(I)について定義されたとおりである]
で示される化合物を出発材料として用いて、これを塩基性媒体中で炭酸ジメチルの作用に付して、式(III):
【0024】
【化16】

【0025】
[式中、R3は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、場合により、これと、式Hal−(CH2n−COOMe[式中、Halはハロゲン原子を表し、nは1〜6である]で示される化合物とを縮合させて、式(IV):
【0026】
【化17】

【0027】
[式中、R3およびnは、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これを、臭化リチウムの作用に付して、式(V):
【0028】
【化18】

【0029】
[式中、R3およびnは、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、
式(III)および(V)の化合物の全体が式(VI):
【0030】
【化19】

【0031】
[式中、R3は、上記に定義されたとおりであり、mは0、1、2、3、4、5または6である]
で示される化合物を形成し、これを、水素化物の存在下で還元に付して、式(VII):
【0032】
【化20】

【0033】
[式中、R3およびmは、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これと、式R1C(O)Clで示される化合物とを縮合させて、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/a):
【0034】
【化21】

【0035】
[式中、R3、mおよびR1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、
【0036】
場合により、これを、
−塩基性媒体中でハロゲン化アルキルの作用に付して、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/b):
【0037】
【化22】

【0038】
[式中、R3、mおよびR1は、上記に定義されたとおりであり、R”2は、直鎖または分枝鎖C1〜C6アルコキシ基を表す]
で示される化合物を得るか、
【0039】
−あるいは塩基性媒体中で塩化メシラートと縮合させて、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/c):
【0040】
【化23】

【0041】
[式中、R3、mおよびR1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、場合により、これと、
・式HNRR’[式中、RおよびR’は、式(I)について定義されたとおりである]で示されるアミンとを縮合させて、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/d):
【0042】
【化24】

【0043】
[式中、R3、m、R、R’およびR1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得るか、
・またはアジ化物と縮合させて、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/e):
【0044】
【化25】

【0045】
[式中、R3、mおよびR1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、場合により、これを、炭素担持パラジウムの存在下で還元に付し、場合により、次いで、式R−Hal[式中、Rは、式(I)について定義されたとおりである]で示される化合物とのモノもしくはビス縮合に付して、RおよびR’が、それらを担持する窒素原子と一緒になって環状の基を形成することのない、上記に定義されたとおりの式(I/d)の化合物を得て、
【0046】
RおよびR’が同時に水素原子を表すときは、場合により、式(I/d)の化合物を、式R”C(O)ClまたはR”SO2Cl[式中、R”は、上記に定義されたとおりである]で示される化合物の作用に付して、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/f):
【0047】
【化26】

【0048】
[式中、R3、mおよびR1は、上記に定義されたとおりであり、Gは、R”が式(I)について定義されたとおりである基NHCOR”またはNHSO2R”を表す]
で示される化合物を得て、
【0049】
式(I/a)〜(I/f)の化合物が式(I)の化合物の全体を形成して、これらを、慣用の分離手法に従って精製してもよく、望みであれば、薬学的に許容され得る酸または塩基とのそれらの付加塩へと転換し、適切な場合は、慣用の分割手法に従ってそれらの異性体へと分割することを特徴とする方法にも関する。
【0050】
式(II)の化合物は、商業的に入手可能であるか、または文献に記載された慣用の化学反応を用いて、当業者が得ることができる。
【0051】
本発明の化合物の薬理学的研究によって、それらは、無害であり、メラトニンレセプターに対して強い選択的親和性を有し、そして中枢神経系に関する有意な活性を有することが示され、特に睡眠障害に関する治療特性、抗うつ病、不安緩解、抗精神病、および鎮痛特性、ならびに微細循環に関する特性が見い出され、本発明の化合物が、ストレス、睡眠障害、不安、季節性情動障害もしくは大うつ病、心血管系病変、消化器系病変、時差ぼけによる不眠症および疲労、統合失調症、パニック発作、憂うつ症、食欲障害、肥満症、不眠症、精神異常、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老人性痴呆、正常もしくは病的な加齢に付随する様々な障害、片頭痛、記憶喪失およびアルツハイマー病の処置、ならびに脳循環障害に役立つことが確立されるのを可能にしている。活性のもう一つの分野では、処置の際に、本発明の化合物は、性機能不全に用いることができ、排卵抑制および免疫調整特性を有し、癌の処置におそらく用い得ると思われる。
【0052】
この化合物は、大うつ病、季節性情動障害、睡眠障害、心血管系病変、消化器系病変、時差ぼけによる不眠症および疲労、食欲障害、および肥満症の処置に用いるのが好ましいと思われる。
【0053】
たとえば、この化合物は、大うつ病、季節性情動障害、および睡眠障害の処置に用いられると思われる。
【0054】
本発明は、式(I)の少なくとも一つの化合物を、そのままでまたは薬学的に許容され得る1種類もしくはそれ以上の賦形剤との混合で含む、薬学的組成物にも関する。
【0055】
本発明による薬学的組成物のうちでも、より特別には、経口、非経口、経鼻、経皮もしくは貫皮、直腸、舌下、眼内または呼吸器投与に、また特に錠剤もしくは糖衣錠、舌下錠、サシェー剤、パケット(paquet)、カプセル剤、グロセット(glossette)、トローチ剤、坐薬、クリーム剤、軟膏、経皮ゲルおよび飲用または注射用アンプル剤に適切であるものが列挙されてもよい。
【0056】
投与量は、患者の性別、年齢および体重、投与経路、治療適応症または関係するいかなる処置の性質にも応じて変化し、1回またはそれ以上の投与で24時間あたり0.01mg〜1gの範囲にわたる。
【0057】
以下の実施例は、本発明を例示するが、いかなる方途でもそれを限定しない。
【0058】
例1:N−[3−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]シクロプロパンカルボキサミド
工程A:シアノ(7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸メチル
(7−メトキシ−ナフト−1−イル)アセトニトリル(20g)を、無水テトラヒドロフラン150mlに溶解した。水素化ナトリウム(202.8mmol)を室温で加え、混合物を30分間還流させた。炭酸ジメチル(12ml)を注意して加え、反応混合物を30分間還流させた。混合物を氷冷水に注ぎ込み、水相を37%塩酸溶液21mlで酸性化し、次いで、エーテル100mlで2回抽出した。有機相を、水洗し、乾燥し、脱色し、蒸発させた。得られた油を、エーテルから沈澱させ、沈澱を、吸引濾過し、次いで再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:80〜82℃
【0059】
工程B:塩酸3−アミノ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)−1−プロパノール
無水エーテル200mlに溶解した塩化アルミニウム(80mmol)を、無水エーテル300ml中0℃の水素化アルミニウムリチウムの懸濁液に加えた。10分間撹拌した後、工程Aで得られた、無水エーテル200mlに溶解した化合物(20mmol)を加えた。30分後、水酸化ナトリウム溶液(10g;40ml)を用いて、混合物を、注意して、かつ低温状態で加水分解した。次いで、形成された沈澱を、濾取し、大量のエーテルで洗浄した。蒸発後に得られた残渣を、水に溶解し、水相をジクロロメタンで抽出した。次いで、有機相を、水洗し、乾燥かつ脱色し、次いで、気体の塩化水素で処理し、蒸発させた。得られた油を酢酸エチルから沈澱させ、形成された沈澱を、吸引濾過し、次いで再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:164〜166℃
【0060】
工程C:N−[3−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]シクロプロパンカルボキサミド
工程Bで得られた化合物(3.73mmol)を、水/酢酸エチルの混合物(50/50)100mlに溶解した。炭酸カリウム(11.2mmol)を加え、反応混合物を、氷浴を用いて0℃に冷却した。塩化シクロプロパノイル(4.4mmol)を滴加し、混合物を、低温状態で15分間撹拌した。反応が完了したとき、有機相を、塩酸溶液(1M)で洗浄し、水洗し、乾燥し、減圧下で蒸発させた。得られた固体を、トルエンから再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
【0061】
【表1】

【0062】
例2:N−[3−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]アクリルアミド
手順は、例1の工程Cのとおりであるが、塩化シクロプロパノイルを塩化アクリロイルに置き換えた。
【0063】
【表2】

【0064】
例3:N−[3−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]−3−ブテンアミド
ビニル酢酸(5mmol)をジクロロメタン40mlに溶解し、溶液を0℃に冷却した。EDCI(6mmol)を小部分ずつ加え、混合物を0℃で30分間撹拌した。例1の工程Bで塩基の形態で得られ、ジクロロメタン20mlに溶解した化合物を、混合物に加えた。0℃で30分間撹拌した後、反応混合物を水に注ぎ込んだ。有機相を、塩酸溶液(1M)で、次いで炭酸水素ナトリウム溶液(1M)および水で洗浄した。次いで、有機相を乾燥し、蒸発させた。得られた油を、エーテルから沈澱させ、得られた固体を、吸引濾過し、次いでトルエンから再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:86〜88℃
【0065】
例4:2,2,2−トリフルオロ−N−[3−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]アセトアミド
例1の工程Bで得られた化合物(5.6mmol)を、トリエチルアミン(11.2mmol)の存在下でテトラヒドロフラン40mlに溶解し、無水トリフルオロ酢酸(5mmol)を加えた。混合物を、環境温度で10分間撹拌し、減圧下で濃縮し、次いで水に注ぎ込んだ。水相をエーテル60mlで2回抽出し、有機相を、塩酸溶液(1M)で洗浄し、次いで水洗し、乾燥し、蒸発させた。得られた油を、エーテル/石油エーテルの混合物(50/50)から沈澱させ、形成された沈澱を、吸引濾過し、次いでトルエンから再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:138〜140℃
【0066】
例5:4−クロロ−N−[3−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]ブタンアミド
手順は、例1の工程Cのとおりであるが、塩化シクロプロパノイルを塩化4−クロロブタノイルに置き換えた。
白色の油
【0067】
例6:N−[3−メトキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]アセトアミド
工程A:塩酸3−メトキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)−1−プロパンアミン
例1の工程Bで得られた化合物のアルキル化によって、標記化合物を得た。
【0068】
工程B:N−[3−メトキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]アセトアミド
手順は、例1の工程Cのとおりであるが、工程Aで得られた化合物から出発し、塩化シクロプロパノイルを塩化アセチルに置き換えた。
【0069】
【表3】

【0070】
例7:N−[4−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブチル]アセトアミド
工程A:2−シアノ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)コハク酸ジメチル
例1の工程Aで得られた化合物(19.6mmol)を、臭化テトラブチルアンモニウム(200mg)および炭酸カリウム(58.8mmol)の存在下でアセトン80mlに溶解した。混合物を20分間還流させ、ブロモ酢酸メチル(23.5mmol)を滴加した。混合物を、10分間還流に保ち、反応が完了したときに濾過した。炭酸カリウムをアセトンで洗浄し、濾液を蒸発させた。得られた固体を、吸引濾過し、次いでトルエン/シクロヘキサンの混合物(3/2)から再結晶させて、標記化合物をベージュ色固体の形態で得た。
融点:119〜121℃
【0071】
工程B:3−シアノ−3−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロパン酸メチル
工程Aで得られた化合物(16mmol)をジメチルホルムアミド15mlに溶解し、次いで、臭化リチウム(16mmol)および水(16mmol)を溶液に加えた。次いで、反応混合物を16時間還流させ、反応が完了したときに水30mlに注ぎ込んだ。形成された沈澱を、乾燥し、次いでトルエン/シクロヘキサンの混合物(1/3)から再結晶させて、標記化合物をベージュ色固体の形態で得た。
融点:113〜114℃
【0072】
工程C:4−(アセチルアミノ)−3−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブタン酸メチル
工程Bで得られた化合物(18.5mmol)を無水酢酸200mlに溶解し、ラネーニッケル(2g)を溶液に加えた。反応混合物を、30バールの水素圧下に置き、60℃で3時間加熱し、次いで濾過し、蒸発乾固した。得られた残渣を水100mlに溶解し、水相をエーテル100mlで2回抽出した。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液(1M)で洗浄し、水洗し、乾燥し、蒸発させた。得られた油を、エーテルから沈澱させ、形成された沈澱を吸引濾過し、次いでジイソプロピルエーテルから再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:94〜95℃
【0073】
工程D:N−[4−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブチル]アセトアミド
工程Cで得られた化合物(6.3mmol)を無水エーテル200mlに溶解し、水素化アルミニウムリチウム(9.45mmol)を一部分ずつ加えた。混合物を、環境温度で6時間撹拌し、水2mlを用いて中和した。エーテル相を、水洗し、乾燥し、蒸発させた。得られた油を、アセトン/酢酸エチルの混合物(40/40)を溶離液として用いたシリカゲル上で精製して、標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:143〜145℃
【0074】
例8:メタンスルホン酸3−(アセチルアミノ)−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル
工程A:メタンスルホン酸3−アミノ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル塩酸塩
例1の工程Bで得られた化合物のメシル化によって、標記化合物を得た。
【0075】
工程B:メタンスルホン酸3−(アセチルアミノ)−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル
手順は、例1の工程Cのとおりであるが、工程Aで得られた化合物から出発し、塩化シクロプロパノイルを塩化アセチルに置き換えた。標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:104〜106℃
【0076】
例9:メタンスルホン酸2−(7−メトキシ−1−ナフチル)−3−(プロピオニルアミノ)プロピル
手順は、例8のとおりであるが、工程Bで塩化アセチルを塩化プロパノイルに置き換えた。標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:118〜120℃
【0077】
例10:塩酸N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)−3−(4−モルホリニル)プロピル]プロパンアミド
例8で得られた化合物(4.26mmol)およびモルホリン(42.3mmol)を、無水テトラヒドロフラン40mlに溶解し、反応混合物を、アルゴン流の下で24時間還流させた。反応が完了したとき、混合物を、減圧下で濃縮し、次いで水に注ぎ込んだ。水相をエーテル50mlで2回抽出し、有機相を水洗し、次いで塩酸溶液(1M)で洗浄した。次いで、水相を、15%水酸化ナトリウム溶液でアルカリ性にさせ、次いでエーテル50mlで2回抽出した。有機相を、水洗し、乾燥かつ脱色し、次いでHClで飽和させたエーテルで処理した。形成された沈澱を、吸引濾過し、次いでアセトニトリルから再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
【0078】
【表4】

【0079】
例11:N−[3−アジド−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]アセトアミド
アジ化ナトリウム(25.6mmol)をジメチルホルムアミド10mlに懸濁させ、臭化テトラブチルアンモニウム(へら先の量)を加え、混合物を70℃に加熱した。次いで、例8で得られた、ジメチルホルムアミド20mlに溶解した化合物(8.53mmol)を加え、混合物を70℃で2時間撹拌した。反応が完了したときに、水40mlを加え、水相をエーテル60mlで3回抽出した。次いで、有機相を、塩酸溶液(2M)、次いで水で洗浄した。乾燥した後、有機相を蒸発させて、標記化合物を橙色の油の形態で得た。
橙色の油
【0080】
例12:N−[3−アジド−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]プロパンアミド
手順は、例11のとおりであるが、例9で得られた化合物から出発した。
帯白色の油
【0081】
例13:塩酸N−[3−アミノ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]アセトアミド
例11で得られた化合物(6.48mmol)をメタノール50mlに溶解し、溶液に炭素担持パラジウム(200mg)を加えた。次いで、混合物を、大気圧の水素下に置き、環境温度で2時間撹拌した。反応が完了したときに、触媒を濾去し、メタノールを蒸発させた。得られた残渣をエーテルに溶解し、得られた不溶性の材料を濾去した。次いで、濾液を、HClで飽和させたエーテルで処理し、形成された塩酸塩を吸引濾過し、次いで、アセトニトリル/メタノールの混合物(8/2)から再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:230〜231℃
【0082】
例14:塩酸N−[3−アミノ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]プロパンアミド
手順は、例13のとおりであるが、例12で得られた化合物から出発した。
融点:198〜200℃
【0083】
例15:N−[3−(アセチルアミノ)−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]アセトアミド
手順は、例1の工程Cのとおりであるが、例13で得られた化合物から出発し、塩化シクロプロパノイルを塩化アセチルに置き換えた。標記化合物は、アセトニトリルから再結晶させ、白色固体の形態で得た。
【0084】
【表5】

【0085】
例16:N−[3−(アセチルアミノ)−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]プロパンアミド
手順は、例15のとおりであるが、例13で得られた化合物から出発し、塩化アセチルを塩化プロパノイルに置き換えた。標記化合物は、アセトニトリルから再結晶させ、白色固体の形態で得た。
【0086】
【表6】

【0087】
例17:N−[3−(アセチルアミノ)−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]ブタンアミド
手順は、例15のとおりであるが、例13で得られた化合物から出発し、塩化アセチルを塩化ブタノイルに置き換えた。標記化合物は、アセトニトリルから再結晶させ、白色固体の形態で得た。
【0088】
【表7】

【0089】
例18:N−[3−(アセチルアミノ)−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]シクロプロパンカルボキサミド
手順は、例1の工程Cのとおりであるが、例13で得られた化合物から出発した。標記化合物は、アセトニトリルから再結晶させ、白色固体の形態で得た。
【0090】
【表8】

【0091】
例19:N−[3−[ベンジル(メチル)アミノ]−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]アセトアミド
例8で得られた化合物(10mmol)およびN−メチルベンジルアミン(30mmol)を無水テトラヒドロフラン60mlに溶解した。反応混合物をアルゴン流下に置き、24時間還流させた。反応が完了したときに、混合物を、減圧下で濃縮し、次いで水に注ぎ込んだ。水相をエーテル50mlで2回抽出し、有機相を塩酸溶液(2M)で洗浄した。次いで、水相を、水酸化ナトリウム溶液(2M)を用いてアルカリ性にさせ、次いでエーテル50mlで2回抽出した。エーテル相を、水洗し、乾燥し、減圧下で蒸発させた。純粋な画分の蒸発後に得られた油を、エーテル/石油エーテルの混合物から吸引濾過し、次いでジイソプロピルエーテルから再結晶させた。
融点:100〜102℃
【0092】
例20:N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)−3−(メチルアミノ)プロピル]アセトアミド
例19で得られた化合物(2.6mmol)をメタノール40mlに溶解し、炭素担持パラジウム(へら先の量)を溶液に加えた。反応混合物を、大気圧の水素下、環境温度で24時間撹拌した。反応が完了したときに、混合物を、濾過し、次いで減圧下で濃縮し、水に注ぎ込んだ。次いで、水相をエーテル40mlで2回抽出し、有機相を水洗し、乾燥し、次いでHClで飽和させたエーテルで処理した。形成された沈澱を、エーテルから吸引濾過し、アセトンから再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:126〜128℃
【0093】
例21:N−{2−(7−メトキシ−1−ナフチル)−3−[(メチルスルホニル)アミノ]プロピル}プロパンアミド
手順は、例1の工程Cのとおりであるが、例14で得られた化合物から出発し、塩化シクロプロパノイルを塩化メシルに置き換えた。標記化合物は、アセトニトリルから再結晶させ、白色固体の形態で得た。
【0094】
【表9】

【0095】
例22:N−エチル−N’−[3−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]尿素
例1の工程Bで得られた化合物(5.6mmol)を、トリエチルアミン(1.56mmol)の存在下でテトラヒドロフラン40mlに溶解し、イソシアン酸エチル(2.5mmol)を加えた。混合物を、環境温度で10分間撹拌し、減圧下で濃縮し、水に注ぎ込んだ。水相をエーテル60mlで2回抽出し、有機相を、塩酸溶液(1M)で洗浄し、次いで水洗し、乾燥し、蒸発させた。得られた油をエーテル/石油エーテルの混合物(50/50)から沈澱させ、形成された沈澱を、吸引濾過し、次いでアセトニトリルから再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
【0096】
【表10】

【0097】
例23:N−[2−(3−ブロモ−7−メトキシ−1−ナフチル)−3−ヒドロキシプロピル]アセトアミド
手順は、例1のとおりであるが、工程Aの(7−メトキシナフト−1−イル)アセトニトリルを(3−ブロモ−7−メトキシナフト−1−イル)アセトニトリルに、また工程Cの塩化シクロプロパノイルを塩化アセチルに置き換えた。標記化合物は、アセトニトリルから再結晶させ、白色固体の形態で得た。
融点:129〜131℃
【0098】
例24:N−[2−(3−アリル−7−メトキシ−1−ナフチル)−3−ヒドロキシプロピル]アセトアミド
手順は、例23のとおりであるが、工程Aの(7−メトキシナフト−1−イル)アセトニトリルを(3−アリル−7−メトキシナフト−1−イル)アセトニトリルに置き換えた。標記化合物は、アセトニトリルから再結晶させ、白色固体の形態で得た。
融点:142〜144℃
【0099】
例25:N−[2−(3−アリル−7−メトキシ−1−ナフチル)−3−ヒドロキシプロピル]アセトアミド
手順は、例23のとおりであるが、工程Aの(7−メトキシナフト−1−イル)アセトニトリルを(7−メトキシ−3−ビニルナフト−1−イル)アセトニトリルに置き換えた。標記化合物は、アセトニトリルから再結晶させ、白色固体の形態で得た。
融点:109〜111℃
【0100】
例26:N−[4−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブチル]シクロプロパンカルボキサミド
工程A:塩酸4−アミノ−3−(7−メトキシ−1−ナフチル)−1−ブタノール
無水エーテル200mlに溶解した塩化アルミニウム(80mmol)を、無水エーテル300ml中の水素化アルミニウムリチウム(80mmol)の0℃の懸濁液に加えた。10分間撹拌した後、無水エーテル200mlに溶解した、例7の工程Bで得られた化合物(20mmol)を加えた。30分後、混合物を、水酸化ナトリウム溶液(250mmol)を用い、低温状態で、かつ注意して加水分解した。次いで、形成された無機沈澱を、濾取し、大量のエーテルで洗浄した。蒸発後に得られた残渣を水に溶解し、水相ジクロロメタンで抽出した。次いで、有機相を、水洗し、乾燥かつ脱色し、次いで気体の塩化水素で処理し、蒸発させた。得られた油を酢酸エチルから沈澱させ、形成された沈澱を、吸引濾過し、次いで再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:164〜166℃
【0101】
工程B:N−[4−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブチル]シクロプロパンカルボキサミド
工程Aで得られた化合物(20mmol)を、0℃に冷却した水/酢酸エチルの混合物(25ml/75ml)に溶解した。炭酸カリウム(60mmol)を加え、次いで、シクロプロパンカルボン酸塩化物(26mmol)を反応混合物に滴加した。このバッチを、環境温度で30分間、活溌に撹拌した。2相を分離し、有機相を、0.1M塩酸水溶液、次いで水で洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥した後、有機相を減圧下で蒸発させた。得られた残渣を再結晶させて、標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:158〜160℃
【0102】
例27:N−[4−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブチル]プロパンアミド
手順は、例26のとおりであるが、工程Bのシクロプロパンカルボン酸塩化物をプロピオン酸に置き換えた。標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:123〜125℃
【0103】
例28:2−フルオロ−N−[4−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブチル]アセトアミド
手順は、例26のとおりであるが、工程Bのシクロプロパンカルボン酸塩化物をフルオロ酢酸塩化物に置き換えた。
融点:96〜98℃
【0104】
例29:N−[4−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブチル]シクロブタンカルボキサミド
手順は、例26のとおりであるが、工程Bのシクロプロパンカルボン酸塩化物をシクロブタンカルボン酸塩化物に置き換えた。標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:113〜115℃
【0105】
薬理学的研究
例A:急性毒性の研究
急性毒性は、それぞれ8匹のマウス(26±2g)を含む群に経口投与した後に、評定した。動物は、第1日の間は規則的な間隔で、また処理後2週間は毎日観察した。LD50(動物の50%の死を生起する用量)を評定し、本発明の化合物の低い毒性を立証した。
【0106】
例B:強制水泳試験
本発明の化合物を、行動モデル、すなわち強制水泳試験で試験した。
【0107】
装置は、水を満たしたプレキシガラスの円筒で構成した。6分間の1試行について、動物を個々に試験した。各試験の開始時に、動物を円筒の中央に置いた。不動で過ごされた時間を記録した。もがくのを止め、水の表面で動かずにいて、その頭部を水上に保たせるような運動のみをするにすぎないときに、動物は不動であるとみなした。
【0108】
試験開始40分前の投与の後、本発明の化合物は、不動で過ごされる時間を有意に短縮したが、これは、その抗うつ活性を示すものである。
【0109】
例C:メラトニンMT1およびMT2レセプター結合の研究
2−[125I]ヨードメラトニンを参照放射性リガンドとして用いて、MT1またはMT2レセプター結合の実験を実施した。保持された放射能を、液体シンチレーション計数管を用いて決定した。次いで、様々な試験化合物を用いて、競合性結合の実験を三重に実施した。各化合物について、ある範囲の異なる濃度を試験した。結果は、試験された化合物の結合親和性(Ki)を決定するのを可能にした。
【0110】
上記によって見出された本発明の化合物に関するKi値は、メラトニン性結合部位の一方または他方との結合を立証して、これらの値は、10μM以下であった。
【0111】
例として、例6の化合物は、4.9nMのKi(MT1)および8.9nMのKi(MT2)を示した。
【0112】
例D:セロトニン作動性5−HT2Cレセプター結合の研究
化合物のヒト5−HT2Cレセプターに対する親和性を、このレセプターを安定的に発現するCHO細胞からの膜標品にて評定した。10mMMgCl2および0.1%BSAを含有する50mMTRIS緩衝液(pH7.4)中で、[3H]メスレルギン(mesulergine)(1nM)および25fmol/mlのレセプターの存在下で、インキュベーションを実施した。非特異的結合は、10μMミアンセリンの存在下で決定した。50mMTRIS緩衝液(pH7.4)の添加、次いで濾過段階および連続3回のリンスによって、反応を停止し、フィルター(0.1%PEIを浸透させたGF/B)上に残留する膜結合放射能を、液体シンチレーション計数によって決定した。
【0113】
得られた結果は、本発明の化合物が、5−HT2Cレセプターに対する親和性を<100μMのKi値で有することを示す。
【0114】
例として、例6の化合物は、26μMのKi(5−HT2C)を示した。
【0115】
例E:ラットの運動活性の概日リズムに対する本発明の化合物の作用
生理学、生化学および行動学上の概日リズムの大多数に昼/夜交代によって影響を及ぼすことへのメラトニンの関与は、メラトニン作動性リガンドの探求に用いるための薬理学的モデルを確立するのを可能にする。
【0116】
化合物の効果を、数多くのパラメーター、特に運動活性の概日リズム(体内概日時計の活性の信頼できる指標を構成する)に対して試験した。
【0117】
この研究では、特定の実験的モデル、すなわち一時的な隔離(恒久的暗黒)に置かれたラットに対するそのような化合物の効果を評定した。
【0118】
実験プロトコル
月齢1ヶ月のオスのラットを、研究室に到着後直ちに、24時間につき12時間の明の光周期(LD12:12)に付した。2〜3週間適応させた後、運動活性の位相を検出し、そうして昼夜リズム(LD)または概日リズム(DD)を追跡するために、記録装置系に接続した輪を取り付けたケージにラットを入れた。
【0119】
記録されたリズムが光周期のLD12:12の間安定的なパターンを示したならば直ちに、ラットを恒久的暗黒(DD)に置いた。
【0120】
2、3週後、自由経過(体内時計のそれを反映するリズム)が明確に確立されたときに、試験しようとする化合物の日次投与をラットに与えた。
【0121】
観察は、活動のリズムの視覚化によって実施した:
−明/暗周期による活動のリズムに対する影響、
−恒久的暗黒におけるリズムに対する影響の消失、
−化合物の日次投与による活動に対する影響;一過性または持続性効果。
【0122】
ソフトウエアが以下を可能にした:
−活動の持続期間および強さ、自由経過および処置の間の動物のリズムの時期を測定すること、
−できれば、概日および非概日(たとえば超日)成分の存在をスペクトル解析によって立証すること。
【0123】
結果
本発明の化合物は、明らかに、概日リズムに対するメラトニン作動系を介しての強力な作用を許すと思われる。
【0124】
例F:明/暗ケージ試験
立証しようとする化合物の不安緩解活性を許す行動学的モデル、すなわち明/暗ケージ試験で、本発明の化合物を試験した。
【0125】
装置は、プレキシガラスで覆われた二つのポリビニル箱で構成した。一方の箱は、暗黒にさせた。他方の箱の上方には灯火を設置して、箱の中央で約4,000luxの光度を生じさせた。不透明なプラスチックのトンネルが、明の箱と暗の箱とを隔てた。5分間の1試行について、動物を個々に試験した。各試行の間に、各箱の床を清掃した。各試験の開始時に、マウスを、トンネル内に暗箱に向けて置いた。暗箱内への最初の進入後に、照明された箱内でマウスが過ごした時間、およびトンネルを通過した回数を記録した。
【0126】
試験開始の30分前に化合物を投与した後、本発明の化合物は、照明されたケージ内で過ごした時間、およびトンネル通過の回数を有意に増加させたが、これは、本発明の化合物の不安緩解活性を立証するものである。
【0127】
例G:薬学的組成物:錠剤
それぞれ、N−[3−メトキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]アセトアミド(例6)5mgを含有する錠剤、1,000錠
活性成分............................5g
コムギ澱粉..........................20g
トウモロコシ澱粉.......................20g
乳糖.............................30g
ステアリン酸マグネシウム....................2g
シリカ.............................1g
ヒドロキシプロピルセルロース..................2g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、R1は、基R4またはNHR4を表して、R4は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルケニル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6ハロアルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6ポリハロアルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、アルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいC3〜C8シクロアルキル−C1〜C6アルキル基、アリール基、アルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいアリール−C1〜C6アルキル基、ヘテロアリール基、またはアルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいヘテロアリール−C1〜C6アルキル基を表し、
2は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基(これは、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルコキシ基、OH、OSO2Me、N3、NRR’、NHCOR”、またはNHSO2R”で置換されている)を表して、RおよびR’は、同じであるかまたは異なってもよく、それぞれ、水素原子、あるいは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、アリール基、またはアルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいアリール−C1〜C6アルキル基を表すか、あるいはRおよびR’は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から選ばれるもう一つのヘテロ原子を含んでもよい五または六員環を形成し、R”は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、アリール基、またはアルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいアリール−C1〜C6アルキル基を表し、
3は、水素もしくはハロゲン原子、あるいは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルケニル基を表して、
ここで、
−R1がメチル基を表し、R2がヒドロキシメチル基を表すときは、R3は、水素原子を表すことはできず、
−「アリール」は、フェニル、ナフチルまたはビフェニル基を意味し、
−「ヘテロアリール」は、酸素、硫黄および窒素から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含む、芳香族のいかなる単環または二環の基も意味するものとし、
そのように定義されたアリールおよびヘテロアリール基は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、ホルミル、ニトロ、シアノ、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6ハロアルキル、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6ポリハロアルキル、アルキルオキシカルボニル、およびハロゲン原子から選ばれる1〜3個の基で置換されていることができる]
で示される化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基とのその付加塩。
【請求項2】
1がアルキル基を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基とのその付加塩。
【請求項3】
2が、ヒドロキシル基で置換されたアルキル基を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基とのその付加塩。
【請求項4】
2が、アルコキシ基で置換されたアルキル基を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基とのその付加塩。
【請求項5】
3が水素原子を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基とのその付加塩。
【請求項6】
N−[3−メトキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)プロピル]アセトアミドである請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基とのその付加塩。
【請求項7】
N−[4−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブチル]アセトアミドである請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基とのその付加塩。
【請求項8】
N−[4−ヒドロキシ−2−(7−メトキシ−1−ナフチル)ブチル]プロパンアミドである請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基とのその付加塩。
【請求項9】
請求項1記載の式(I)の化合物を製造する方法であって、式(II):
【化2】


[式中、R3は、請求項1に定義されたとおりである]
で示される化合物を出発材料として用いて、これを塩基性媒体中で炭酸ジメチルの作用に付して、式(III):
【化3】


[式中、R3は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、場合により、これと、式Hal−(CH2n−COOMe[式中、Halはハロゲン原子を表し、nは1〜6である]で示される化合物とを縮合させて、式(IV):
【化4】


[式中、R3およびnは、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これを、臭化リチウムの作用に付して、式(V):
【化5】


[式中、R3およびnは、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、
式(III)および(V)の化合物の全体が式(VI):
【化6】


[式中、R3は、上記に定義されたとおりであり、mは0、1、2、3、4、5または6である]
で示される化合物を形成し、これを、水素化物の存在下で還元に付して、式(VII):
【化7】


[式中、R3およびmは、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これと、式R1C(O)Clで示される化合物とを縮合させて、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/a):
【化8】


[式中、R3、mおよびR1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、
場合により、これを、
−塩基性媒体中でハロゲン化アルキルの作用に付して、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/b):
【化9】


[式中、R3、mおよびR1は、上記に定義されたとおりであり、R”2は、直鎖または分枝鎖C1〜C6アルコキシ基を表す]
で示される化合物を得るか、
−あるいは塩基性媒体中で塩化メシラートと縮合させて、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/c):
【化10】


[式中、R3、mおよびR1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、場合により、これと、
・式HNRR’[式中、RおよびR’は、請求項1に定義されたとおりである]で示されるアミンとを縮合させて、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/d):
【化11】


[式中、R3、m、R、R’およびR1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得るか、
・またはアジ化物と縮合させて、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/e):
【化12】


[式中、R3、mおよびR1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、場合により、これを、炭素担持パラジウムの存在下で還元に付し、場合により、次いで、式R−Hal[式中、Rは、請求項1に定義されたとおりである]で示される化合物とのモノもしくはビス縮合に付して、RおよびR’が、それらを担持する窒素原子と一緒になって環状の基を形成することのない、上記に定義されたとおりの式(I/d)の化合物を得て、
RおよびR’が同時に水素原子を表すときは、場合により、式(I/d)の化合物を、式R”C(O)ClまたはR”SO2Cl[式中、R”は、上記に定義されたとおりである]で示される化合物の作用に付して、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/f):
【化13】


[式中、R3、mおよびR1は、上記に定義されたとおりであり、Gは、R”が上記に定義されたとおりである基NHCOR”またはNHSO2R”を表す]
で示される化合物を得て、
式(I/a)〜(I/f)の化合物が式(I)の化合物の全体を形成して、これらを、慣用の分離手法に従って精製してもよく、望みであれば、薬学的に許容され得る酸または塩基とのそれらの付加塩へと転換し、適切な場合は、慣用の分割手法に従ってそれらの異性体へと分割することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも一つの化合物、または薬学的に許容され得る酸もしくは塩基とのその付加塩を、薬学的に許容され得る一つまたはそれ以上の賦形剤と併せて含む薬学的組成物。
【請求項11】
メラトニン作動系の障害の処置用医薬の製造に用いるための、請求項10記載の薬学的組成物。
【請求項12】
睡眠障害、ストレス、不安、大うつ病もしくは季節性情動障害、心血管系病変、消化器系病変、時差ぼけによる不眠症および疲労、統合失調症、パニック発作、憂うつ症、食欲障害、肥満症、不眠症、精神異常、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老人性痴呆、正常もしくは病的な加齢に付随する様々な障害、片頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病、脳循環障害、または性機能不全の処置のためのか、排卵抑制剤または免疫調整物質としてのか、あるいは癌の処置のための医薬の製造に用いるための、請求項10記載の薬学的組成物。

【公開番号】特開2008−13556(P2008−13556A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−171621(P2007−171621)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】