説明

新規フィブリン様ポリペプチド

本発明は、新規フィブリン様ポリペプチドをコードしているヒトゲノム中のオープンリーディングフレーム(ORF)、並びに当該ポリペプチドの変異体、変異体及びフラグメントに加え、それらに対するリガンド及びアンタゴニストを含むそれに関連した試薬を明らかにしている。本発明は、これらの分子を同定し作成する方法、これらを含有する医薬組成物を調製する方法、並びにこれらを疾患の診断、予防及び治療に使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトゲノムにおいて、新規ポリペプチド、より詳細にはフィブリン様ポリペプチドをコードしているとして同定された核酸配列に関する。
【0002】
本願明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願は、引用により全体が組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
既に多くの新規ポリペプチドが、同じファミリーの公知のポリペプチドに対する厳密な相同性の基準を適用することにより同定されている。しかしフィブリン様ポリペプチド(及び任意な他のタンパク質ファミリー)についてのヒトゲノム中のポリペプチド-コード配列中の実際の内容は依然不明であるので、オープンリーディングフレーム(ORF、すなわち、ヌクレオチドの連続的にコードしているトリプレットを含み、終止コドンによって中断されておらず、且つ潜在的にポリペプチドに翻訳されうるDNA配列)の解析において別の基準を適用することにより、フィブリン様活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列を同定することの可能性は尚も存在している。
【0004】
細胞が細胞外タンパク質を生成及び分泌する能力は、多くの生物学的プロセスの中心である。酵素、増殖因子、細胞外マトリックスタンパク質及びシグナル伝達分子は全て、細胞により分泌される。これは分泌小胞と原形質膜との融合を介している。全てではないがほとんどの場合において、タンパク質はシグナルペプチドにより小胞体に向かい、そして分泌小胞へと向かう。シグナルペプチドは、細胞質から、分泌小胞のような膜結合したコンパートメントへのポリペプチド鎖の輸送に影響を及ぼすcis-作用配列である。分泌小胞を標的としたポリペプチドは、細胞外マトリックスへ分泌されるか、又は原形質膜に保持されるかのいずれかである。細胞膜に保持されたポリペプチドは、1個又は複数の膜貫通ドメインを有するであろう。細胞の機能において中心的役割を果たす分泌タンパク質の例は、サイトカイン、ホルモン、細胞外マトリックスタンパク質(接着分子)、プロテアーゼ、増殖因子及び分化因子である。
【0005】
フィブリンは、分泌型糖タンパク質の新興ファミリーである。フィブリンの機能は完全にはわかっていないが、フィブリンは細胞外マトリックス構造、例えば結合組織線維、基底膜及び血液凝固と会合して見出されている(例えば、Miosge et al., 1996, Histochem J. 28:109-16; Pan et al., 1993, J Cell Biol. 123:1269-77; Reinhardt et al., J Biol Chem. 271: 19489-96を参照のこと)。これらの会合は、フィブリンが、他の細胞外マトリックスタンパク質、例えばフィブロネクチン、ラミニン、ナイドジェン、パールカン、フィブリリン及びフィブリノーゲンと相互作用する能力に寄与している。
【0006】
細胞外マトリックス構造の形成及び/又は安定化並びに細胞の挙動に対するそれらの作用においてフィブリンが有する役割は現在研究中である。しかしながら、新規フィブリン様タンパク質の同定が、これらのタンパク質が関与しているとある病状に至る基礎的な経路の理解を深め、且つ、これらの障害を処置するのにより有効な遺伝子又は薬物治療を開発するのにかなり重要であることは明らかである。
【0007】
本発明の要約
本発明は、新規フィブリン様ポリペプチドをコードしているヒトゲノムにおけるオープンリーディングフレーム(ORF)の同定を基にしている。このポリペプチドは、本明細書において、SCS0007ポリペプチドと称する。
【0008】
従って本発明は、フィブリン様ポリペプチドの活性を有するポリペプチドとして、配列番号2で示すアミノ酸配列を有する単離されたSCS0007ポリペプチド、並びにそれらの成熟型(例えば配列番号4を含む)、変異体及びフラグメントを提供する。本発明は、それらをコードしている核酸、そのような核酸を含むベクター、及びこれらのベクター又は核酸を含む細胞、並びに他の関連試薬、例えば融合タンパク質、リガンド及びアンタゴニストも含む。
【0009】
本発明は、これらの分子を同定及び生成する方法、それらを含有する医薬組成物を調製する方法、並びに疾患の診断、予防及び治療にそれらを使用する方法を提供する。
【0010】
本発明の詳細な説明
本発明の第一の側面に従い、フィブリン様活性を有する単離されたポリペプチドであって:
a)配列番号2に列挙されているアミノ酸配列;
b)配列番号2に列挙されている配列のポリペプチドの成熟型(配列番号4);
c) 配列番号2に列挙されているアミノ酸配列の変異体であって、選択した配列において特定されている任意のアミノ酸が非保存的に置換されており、但し、当該配列中の15%未満のアミノ酸残基がそのように変化している、変異体;
d) a)からc)に示すアミノ酸配列の活性フラグメント、前駆体、塩、又は誘導体、
から成る群から選択されるポリペプチド、が提供される。
【0011】
本明細書に記載の新規ポリペプチドは、選択したアミノ酸の数及び位置が、既知のフィブリン様ポリペプチドに匹敵する長さを有するタンパク質配列について規定されているヒトフィブリン様ポリペプチドの共通配列を基に同定された。
【0012】
ヒトゲノム内の既知のORFの翻訳により得られたアミノ酸配列全体が、このコンセンサス配列を使用しチャレンジされ、ポジティブなヒットは更に、この性質のポリペプチドの特徴を示す予測された特異的構造及び機能の「サイン」の存在についてスクリーニングされ、かつ最後に公知のフィブリン様ポリペプチドを伴う配列特徴と比較することにより選択された。従って本発明の新規ポリペプチドは、フィブリン様活性を有すると予測することができる。
【0013】
用語「活性のある」及び「活性」は、本明細書において、配列番号2で提示するアミノ酸配列のフィブリン様ポリペプチドについて予測されるフィブリン様特性を意味する。これらの特性には、カルシウムイオン及びタンパク質、例えばフィブロネクチンと結合する能力が含まれる。
【0014】
第二の側面において、本発明は、本発明の第一の側面のポリペプチドをコードしている精製された核酸分子を提供する。好ましくは、精製された核酸分子は、配列番号1(配列番号2に列記するアミノ酸配列のフィブリン様ポリペプチドをコードしている)、配列番号1a(SCS0007のコード配列)又は配列番号3(配列番号2に列記するアミノ酸配列のポリペプチドの成熟型をコードしている)に列記されている核酸配列を有する。
【0015】
第三の側面において、本発明は、高ストリンジェントな条件下で、本発明の第二の側面の核酸分子とハイブリダイズする、精製された核酸分子を提供する。
【0016】
第四の側面において、本発明は、本発明の第二又は第三の側面の核酸分子を含むベクター、例えば発現ベクターを提供する。
【0017】
第五の側面において、本発明は、本発明の第四の側面のベクターにより形質転換された宿主細胞を提供する。
【0018】
第六の側面において、本発明は、本発明の第一の側面のポリペプチドと特異的に結合し、且つ、好ましくは当該ポリペプチドのフィブリン様活性を阻害するリガンドを提供する。本発明のポリペプチドへのリガンドは、天然の又は修飾された基質、酵素、受容体、最大2000Da、好ましくは800Da又はそれ未満の小型の天然又は合成の有機分子のような小型有機分子、ペプチドミメティクス、無機分子、ペプチド、ポリペプチド、抗体、前述のものの構造的又は機能的ミメティクスを含む、様々な形であってよい。
【0019】
第七の側面において、本発明は、本発明の第一の側面のポリペプチドをコードしている天然の遺伝子の発現を変更するか、又は本発明の第一の側面のポリペプチドの活性を調節するのに有効である化合物を提供する。
【0020】
本発明の第七の側面の化合物は、遺伝子の発現のレベル又はポリペプチドの活性を増加する(アゴニスト作用)又は減少する(アンタゴニスト作用)のいずれかであってもよい。重要なことは、本発明のフィブリン様ポリペプチドの機能の同定は、疾患の治療及び/又は診断に有効である化合物を同定しうるスクリーニング法の設計を可能にする。
【0021】
第八の側面において、本発明は、治療又は診断において使用するための、本発明の第一の側面のポリペプチド、又は本発明の第二もしくは第三の側面の核酸分子、又は本発明の第四の側面のベクター、又は本発明の第五の側面の宿主細胞、又は本発明の第六の側面のリガンド、又は本発明の第七の側面の化合物を提供する。これらの分子は、皮膚が加齢、損傷又は日光によるダメージを受けているもののような疾患の処置のための、又はこれらからの、更には多発性硬化症、ガン、骨折もしくは病変後の骨、関節もしくは靱帯の再建、変形性関節症、関節リウマチ、骨粗鬆症、心血管系疾患及び線維症(肝線維症及び肝炎を含む)、更には下記の治療的使用において言及された状態及び障害により、ダメージを受けた皮膚を回復するための、医薬品の製造に使用することもできる。
【0022】
第九の側面において、本発明は、患者において疾患を診断する方法であって、当該患者の組織において、本発明の第一の側面のポリペプチドをコードしている天然の遺伝子の発現レベル又は本発明の第一の側面のポリペプチドの活性を評価すること、及び当該発現のレベル又は活性を対照レベルと比較することを含み、ここで、当該対照レベルとは異なるレベルが疾患の指標である、方法、を提供する。このような方法は、in vitroで実行されることが好ましいであろう。同様の方法を用い、患者における疾患の治療的処置をモニタリングすることができ、ここで経時的に対照レベルへと向かうポリペプチド又は核酸分子の発現のレベル又は活性の変化は、疾患の回復の指標である。
【0023】
本発明の第一の側面のポリペプチドを検出する好ましい方法は:
(a)本発明の第六の側面のリガンド、例えば抗体を、生物学的試料と、リガンド−ポリペプチド複合体を形成するのに適した条件下で接触する工程;及び
(b)当該複合体を検出する工程、
を含んで成る。
【0024】
本発明の第九の観点に従う多数の異なるそのような方法が存在するのは当業者にとって自明であり、例えば、短いプローブによる核酸ハイブリダイゼーション法、点変異分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、及び、抗体を用いて異常なタンパク質レベルを検出する方法である。同様の方法を短期又は長期ベースで用いて、患者においてモニタリングされる疾患の治療的処置を可能にすることができる。本発明はまた、これらの疾患診断方法に有用なキットも提供する。
【0025】
第十の側面において、フィブリン様タンパク質として本発明の第一の側面のポリペプチドの使用を提供する。適当な使用は、そのタンパク質の、フィブロネクチン、ラミニン、ナイドジェン、パールカン、フィブリリン及びフィブリノーゲンのような他の細胞外マトリックスタンパク質との相互作用を介した、結合組織線維、基底膜及び血栓のような細胞外マトリックス構造に結合する能力の結果である、特に組織の修復及び再建の状況における、分泌された糖タンパク質としての使用を含む。
【0026】
第十一の側面において、本発明は、本発明の第一の側面のポリペプチド、又は本発明の第二もしくは第三の側面の核酸分子、又は本発明の第四の側面のベクター、又は本発明の第五の側面の宿主細胞、又は本発明の第六の側面のリガンド、あるいは本発明の第七の側面の化合物を、医薬として許容できる担体と組合わせて含有する医薬組成物を提供する。
【0027】
第十二の側面において、本発明は、皮膚が加齢、損傷又は日光によるダメージを受けているもののような疾患の診断もしくは治療のための、又はこれらからの、更には多発性硬化症、ガン、骨折もしくは病変後の骨、関節もしくは靱帯の再建、変形性関節症、関節リウマチ、骨粗鬆症、心血管系疾患及び線維症(肝線維症及び肝炎を含む)、更には下記の治療的使用において言及された状態及び障害により、ダメージを受けた皮膚を回復するための医薬品の製造において使用するための、本発明の第一の側面のポリペプチド、又は本発明の第二もしくは第三の側面の核酸分子、又は本発明の第四の側面のベクター、又は本発明の第五の側面の宿主細胞、又は本発明の第六の側面のリガンド、あるいは本発明の第七の側面の化合物を提供する。
【0028】
第十三の側面において、本発明は、患者へ、本発明の第一の側面のポリペプチド、又は本発明の第二もしくは第三の側面の核酸分子、又は本発明の第四の側面のベクター、又は本発明の第五の側面の宿主細胞、又は本発明の第六の側面のリガンド、あるいは本発明の第七の側面の化合物を投与することを含む、患者の疾患を治療する方法を提供する。
【0029】
本発明の第一の側面のポリペプチドをコードする天然の遺伝子の発現、又は本発明の第一の側面のポリペプチドの活性が、健常な対象者の発現のレベル又は活性と比較したとき罹患患者で低下する疾患については、当該患者に投与される前記ポリペプチド、核酸分子、リガンド又は化合物はアゴニストであるべきである。逆に、前記天然の遺伝子の発現又はポリペプチドの活性が、健常な対象者の発現のレベル又は活性と比較したとき罹患患者で上昇する疾患については、この患者に投与される前記ポリペプチド、核酸分子、リガンド又は化合物はアンタゴニストであるべきである。このようなアンタゴニストの例にはアンチセンス核酸分子、リボザイム及びリガンド、例えば抗体が含まれる。
【0030】
第十四の側面において、本発明は、本発明の第一の側面のポリペプチドを高レベル、低レベルで発現するように、又は発現しないように形質転換したトランスジェニック又はノックアウト非ヒト動物を提供する。このようなトランスジェニック動物は、疾患の研究用モデルとして非常に有用であり、さらに前記疾患の治療又は診断に有効な化合物の同定を目的とするスクリーニング方法で用いることもできる。
【0031】
本発明を利用するために用いることができる標準的な技術及び手法の要約は、下記で提供される。本発明は、記載される特定の方法論、プロトコール、細胞株、ベクター及び試薬に限定されないことは理解されよう。本明細書で用いられる専門用語は単に特定の態様を説明するためのものであり、この用語によって本発明の範囲を限定しようとするものではないこともまた理解されよう。本発明の範囲は添付の請求の範囲の用語によってのみ限定される。
【0032】
本明細書では、ヌクレオチド及びアミノ酸についての標準的な略語が用いられる。
【0033】
本発明の実施では別に指示がなければ、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術及び免疫学の通常の技術が用いられ、これらの技術は当業者の技術範囲内である。
【0034】
このような技術は、文献で完全に説明されている。特に適切な解説書の例には以下が含まれる:Sambrook Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Second Edition (1989);DNA Cloning, Vol.I及びII (D.N. Glover編集、1985);Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait編集、1984);Nucleic Acid Hybridization (B.D. Hames及びS.J. Higgins編集、1984);Transcription and Translation (B.D. Hames及びS.J. Higgins編集、1984);Animal Cell Culture (R.I. Freshney編集、1986);Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press, 1986);B. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning (1984);the Methods in Enzymology series (Academic Press, Inc.)特にVol. 154及び155;Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.H. Miller and M.P. Calos編集、1987, Cold Spring Harbor Laboratory);Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology (Mayer及びWalker編集、1987, Academic Press, London);Scopes, (1987) Protein Purification: Principles and Practice, Second Edition (Springer Verlag, NY);及びHandbook of Experimental Immunology, Vols. I-IV (D.M. Weir and C.C. Blackwell編集、1986)。
【0035】
本発明の第一の側面は、配列番号2又は配列番号4に列記するアミノ酸配列の変異体を含み、ここで、選択された配列で特定された任意のアミノ酸は、非保存的に置換され、但し当該配列中の15%未満のアミノ酸残基がそのように変更されている。指定された数の非保存的置換を有するタンパク質配列は、通常利用可能なバイオインフォマティクスツールを用いて同定することができる(Mulder NJ及びApweiler R, 2002; Rehm BH, 2001)。
【0036】
このような配列に加え、一連のポリペプチドは、本発明の説明の一部を形成する。フィブリン様ポリペプチドはN末端配列のタンパク質分解性の除去(シグナルペプチダーゼ及び他のタンパク質分解性酵素による)を含む成熟過程を進行することが分かっているので、本明細書は、配列番号2に列記する配列のポリペプチドの成熟型もクレームする。本ポリペプチドの配列を配列番号4に列記する。成熟型は、フィブリン様活性を示し並びにin vivo(発現している細胞又は動物によるもの)もしくはin vitro(精製されたポリペプチドの特異的酵素による修飾によるもの)における翻訳後成熟過程から生じるあらゆるポリペプチドを含むことが意図されている。他の選択的(alternative)成熟型も、糖又はリン酸のような化学基の付加から生じ得る。特許請求の範囲内の他のポリペプチドは、配列番号2及び配列番号4が示すアミノ酸配列活性変異体であって、選択した配列において特定されている任意のアミノ酸が非保存的に置換されており、但し、当該配列中の15%未満、好ましくは10%、5%、3%、又は1%未満のアミノ酸残基がそのように変化している、変異体である。指定のパーセンテージは、開示した新規アミノ酸配列全体について測定されされなければならない。
【0037】
本発明によると、あらゆる置換が、分子の構造及び生物学的機能を保存するために、好ましくは「保存的」置換又は「安全」置換であるべきであり、これは、十分に類似の化学的特性を有するアミノ酸を導入する、一般的に定義されている置換のことである(例えば、塩基性正電荷アミノ酸は別の塩基性正電荷アミノ酸によって置換されるべきである)。
【0038】
文献は、保存的アミノ酸置換の選択が、タンパク質の配列及び/又は構造に対する統計的及び/又は物理化学的研究に基づいて実施されうる多数のモデルを提供している(Rogov Si and Nekrasov AN, 2001)。タンパク質デザイン実験は、アミノ酸の特異的なサブセットの使用が、折りたたみ可能で且つ活性なタンパク質を生成することができ、その結果、タンパク質構造内に容易に適合され且つ、機能的且つ構造的ホモログ及びパラログを検出するために使用されうるアミノ酸の「同義」置換の分類に役立つ(Murphy LR et al., 2000)。同義アミノ酸群及び更に好ましい同義アミノ酸群を表1に示す。
【0039】
対応するフィブリン様ポリペプチドに関して、同等の、又は改善された活性を有する活性変異体は、コードDNAの常用の突然変異誘発技術、コードDNA配列のレベルでのコンビナトリアル技術(例えば、DNAシャッフリング、ファージディスプレー/セレクション)から、あるいはコンピューター支援設計研究、続く従来技術において説明されているような所望の活性についての確認、から生じることがある。
【0040】
特異的な非保存的突然変異も、異なる目的で本発明のポリペプチド内に導入されることがある。フィブリン様ポリペプチドの親和性を低下する突然変異は、その再使用能及び再循環能を高め、これはその治療効能を高める可能性がある(Robinson CR, 2002)。最終的には本発明のポリペプチド中に存在する免疫原性エピトープが、ワクチン開発のために活用されるか(Stevanovic S, 2002)、もしくはタンパク質安定性を増大する変異を選択し、それらを補正するための公知の方法に従いそれらの配列を修飾することにより排除され得る(van den Burg B及びEijsink V, 2002;WO02/05146、WO00/34317、WO98/52976)。
【0041】
本発明の更に別のポリペプチドは、上述の配列のアミノ酸配列の活性なフラグメント、前駆体、塩、又は機能的に等価の誘導体である。
【0042】
フラグメントは、それらの機能を変化することなく末端又は内部のアミノ酸の欠失を提示すべきであり、そして、前記タンパク質の機能的な高次構造に必須のアミノ酸を除去又は置換することなく、一般的に数個のアミノ酸、例えば10個以下、好ましくは3個以下のものを包含すべきである。小さいフラグメントは、抗原決定基を形成することがある。
【0043】
「前駆体」は、細胞又は身体への投与前又は後に代謝的で且つ酵素的なプロセシングにより本発明の化合物へと変換されうる化合物である。
【0044】
用語「塩」は、本明細書では、本発明のポリペプチドのカルボキシル基の塩及びアミノ基の酸付加塩の両方を意味する。カルボキシル基の塩は、当業界で知られている手段によって形成することができ、そして無機塩、例えばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、第二鉄又は亜鉛の塩など、及び、例えばアミンで形成されるような有機性塩、例えばトリエタノールアミン、アルギニン又はリジン、ペピリジン、プロカインなどを含む。酸付加塩には、例えば、鉱酸、例えば塩酸又は硫酸との塩、及び有機酸、例えば酢酸又はシュウ酸との塩、が含まれる。そのような塩のいずれも、本発明のペプチド及びポリペプチド又はそれらの類似体と実質的に同様の活性を有するはずである。
【0045】
用語「誘導体」は、本明細書で使用する場合、アミノ酸部分の側鎖又はアミノ末端又はカルボキシ末端の基の上に存在する官能基から、既知の方法に従い調製されうる誘導体を意味する。そのような分子は、通常一次配列を変化させない他の修飾、例えば、ポリペプチドのin vivo又はin vitroでの化学的誘導体化(アセチル化又はカルボキシル化)であって、ペプチドの合成及びプロセシングの間に又は更なるプロセシング段階において、当該ペプチドのリン酸化(ホスホチロシン、ホスホセリン、又はホスホスレオニン残基の導入)又はグリコシル化(哺乳類のグリコシル化酵素にポリペプチドを曝露することによるもの)のパターンを修飾することによって生成されるもの、からも生じることがある。あるいは、誘導体は、前記カルボキシル基のエステル又は脂肪族アミド及び遊離アミノ基のN−アシル誘導体又は遊離ヒドロキシル基のO−アシル誘導体を含み、且つ、例えばアルカノイル基又はアリール基として、アシル基により形成される。
【0046】
前記誘導体の生成は、内部又は末端の位置において、適切な残基の部位指定の修飾を包含してもよい。付着に使用する残基は、ポリマーの付着が可能な側鎖(すなわち、官能基を有する側鎖、例えばリジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、ヒスチジン等)を有するはずである。あるいは、ポリマーの付着が可能な側鎖を有する残基は、前記ポリペプチドのアミノ酸を置換することができ、あるいは前記ポリペプチドの内部又は末端の位置で付加することができる。また、遺伝学的にコードされているアミノ酸の側鎖は、ポリマー付着のために化学的に修飾されることがあり、あるいは適切な側鎖の官能基を有する非天然アミノ酸も利用されることがある。好ましい付着方法は、ペプチド合成と化学的ライゲーションの組み合わせを利用する。有利には、水溶性ポリマーの付着が、生分解性リンカーを介して、特にタンパク質のアミノ末端領域でなされる。そのような修飾は、前記リンカーの分解時にポリマーの修飾無しに前記タンパク質を放出する前駆体(又は「プロドラッグ」)型のタンパク質を提供するように働く。
【0047】
ポリマー付着は、アンタゴニストの特定の位置で自然に発生するアミノ酸の側鎖又はアンタゴニストの特定の位置で自然に発生するアミノ酸を置換する天然若しくは非天然の側鎖に対してだけでなく、標的の位置でアミノ酸の側鎖に付着する炭水化物又は他の部分に対してもなされうる。希少な又は非天然のアミノ酸も、特異的に操作された菌種においてタンパク質を発現することによって導入されうる(Bock A, 2001)。
【0048】
上文で示した変異体は全て、自然に発生するものでも、ヒト以外の生物において同定されるものでも、あるいは、化学合成、部位指定突然変異誘発技術、又は任意な他の適当な既知の技術により調製される人工的なもの、であってもよく、これは当業界で提示されている技術を用いて当業者によってルーチンに得ることができ、そして試験することができる、実質的に相当の突然変異型又は短縮型のペプチドの有限集合を提供する。
【0049】
本願で開示されている新規アミノ酸配列は、異なる種類の試薬及び分子を提供するために使用されうる。これらの化合物の例は、それらの完全配列又は特異的フラグメント、例えば抗原決定基を用いて同定されうる結合タンパク質又は抗体である。ペプチドライブラリーは、特許請求の範囲内のアミノ酸配列に結合する抗体又は他のタンパク質をスクリーニングし、そして特徴付けるための、そして同様の結合特性を有する前記ポリペプチドの別の型を同定するための既知の方法(Tribbick G, 2002)において使用されうる。
【0050】
本明細書は、先に説明されたポリペプチドのいずれかを含む融合タンパク質も開示している。これらのポリペプチドは、このポリペプチドのフィブリン様活性を著しく損なうことも、追加の特性を提供する可能性もなく、本明細書において開示されたタンパク質配列とは異種のタンパク質配列を含むはずである。このような特性の例は、より容易な精製手法、より長い体液中の半減期の維持、追加の結合部分、末端タンパク質分解性の消化による成熟、又は細胞外局在化がある。この後者の特徴は、先の定義に含まれる融合タンパク質又はキメラタンパク質の特定群を定義するために特に重要であり、それは、特許請求範囲内の分子が、これらのポリペプチドの単離及び精製が促進される空間のみではなく、一般にフィブリン様ポリペプチド及びそれらの受容体が相互作用する空間にも、局在化することを可能にするからである。
【0051】
前記部分、リガンド及びリンカーの設計は、融合タンパク質の構築、精製、検出及び使用のための方法及び戦略同様、文献において開示されている(Nilsson J et al., 1997; Methods Enzymol, Vol. 326-328, Academic Press, 2000)。本発明の融合タンパク質に含まれうる好ましいタンパク質配列は、これらのタンパク質配列膜結合タンパク質、イムノグロブリンの定常領域、多量体化ドメイン、細胞外タンパク質、シグナルペプチド含有タンパク質、エクスポートシグナル含有タンパク質、に属する。これらの配列の特徴及びそれらの特異的な使用は詳細に開示されており、例えばアルブミンタン融合タンパク質(WO01/77137)、多量体化ドメインを含む融合タンパク質(WO01/02240、WO00/24782、WO94/10308、WO97/30161)、免疫複合体(Garnett MC, 2001)、又はアフィニティークロマトグラフィーによる組み換え産物の精製に使用されうる追加の配列を含む融合タンパク質(Constans A, 2002; Burgess RR and Thompson NE, 2002; Lowe CR et al., 2001; Sheibani N, 1999)である。
【0052】
本発明のポリペプチドは、それらに特異的に結合するリガンドを生成し、そして特徴付けるために使用されうる。これらの分子は、天然又は人工の、化学的観点(結合タンパク質、抗体、分子インプリンティングポリマー)から非常に異なるものであってもよく、そして当業界の技術(WO 02/74938 ; Kuroiwa Y et al., 2002; Haupt K, 2002; van Dijk MA and van de Winkel JG, 2001; Gavilondo JV and Larrick JW, 2000)を適用することによって生成されてもよい。そのようなリガンドは、それらを生成せしめたポリペプチドのフィブリン様活性を拮抗化し、又は阻害することができる。特に、共通で且つ効率的なリガンドは、膜結合タンパク質又は抗体の細胞外ドメインで表され、これは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、又は抗原結合フラグメントの形態であってもよい。
【0053】
上述のポリペプチド及びポリペプチドベースの誘導体化された試薬は、所望の使用方法及び/又は製造方法に従い、別の型、例えば、放射性標識、蛍光標識、ビオチン、又は細胞毒性物質の中から選択される分子との活性のある接合体又は複合体であってもよい。
【0054】
特定の分子、例えばペプチドミメティクス(peptide mimetics)も、本発明のポリペプチドの配列及び/又は構造を基に設計されることがある。ペプチドミメティクス(peptidomimeticsとも称される)は、アミノ酸の側鎖の、アミノ酸のキラリティーの、及び/又はペプチド主鎖のレベルで化学的に修飾されたペプチドである。これらの変更は、向上した調製、性能及び/又は薬物動態の特徴を有する本発明のポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストを提供することが意図される。
【0055】
例えば、前記ペプチドが、問題のある対象へのインジェクションの後にペプチダーゼによる開裂を受けやすい場合、非開裂性のペプチドミメティクスによる特に感受性のあるペプチド結合の置換は、より安定で且つその結果治療薬として更に有用なペプチドを提供することができる。同様に、L−アミノ酸残基の置換は、タンパク質分解に対してほとんど感受性がないペプチドであって、最終的にペプチド以外の有機化合物により類似のペプチドを賦与する標準的な方法である。アミノ末端のブロッキング基、例えばt−ブチルオキシカルボニル、アセチル、テイル(theyl)、スクシニル、メトキシスクシニル、スベリル(suberyl)、アジピル、アゼライル(azelayl)、ダンシル、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、メトキシアゼライル、メトキシアジピル、メトキシスベリル、及び2,4−ジニトロフェニルも有用である。増大した性能、延長された活性、精製の容易さ、及び/又は増大した半減期を提供する多くの他の修飾が従来技術で開示されている(WO 02/10195; Villain M et al., 2001)。
【0056】
ペプチドミメティクスに含まれるアミノ酸誘導体にとって好ましい別の同義な基は、表IIに規定されているものである。アミノ酸誘導体の非限定的なリストには、アミノイソ酪酸(Aib)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−3−COOH、インドリン−2カルボン酸、4−ジフルオロ−プロリン、L−チアゾリジン−4−カルボン酸、L−ホモプロリン、3,4−デヒドロプロリン、3,4−ジヒドロキシ−フェニルアラニン、シクロヘキシル−グリシン、及びフェニルグリシンも含まれる。
【0057】
「アミノ酸誘導体」とは、20個の遺伝子でコードされる天然のアミノ酸とは異なるアミノ酸又はアミノ酸様の化学的部分を意図する。特に、アミノ酸誘導体は、置換型又は非置換型の直鎖若しくは分枝、又は環状のアルキル部分を含むことがあり、且つ1又は複数のヘテロ原子を含むことがある。アミノ酸誘導体は、新規に生成されてもよく、又は商業的供給源(Calbiochem-Novabiochem AG, Switzerland; Bachem, USA)から入手してもよい。
【0058】
タンパク質の構造及び機能をプローブし、そして/あるいは改善させるために、in vitro及びin vivo両方の翻訳系を用いて非天然アミノ酸誘導体をタンパク質に組み込む種々の方法論が文献において開示されている(Dougherty DA, 2000)。非ペプチドミメティクスと同様、ペプチドミメティクスの合成及び開発のための技術も当業界で周知である(Golebiowski A et al., 2001; Hruby VJ and Balse PM, 2000; Sawyer TK, in "Structure Based Drug Design", edited by Veerapandian P, Marcel Dekker Inc., pg. 557-663,1997)。
【0059】
本発明の別の目的は、フィブリン様活性を有する本発明のポリペプチド、それらに対して生成される抗体又は結合タンパク質に結合するタンパク質、相当の融合タンパク質、あるいは上文で開示したアンタゴニスト活性を有する突然変異体、をコードする単離された核酸にある。好ましくは、これらの核酸は、配列番号1から成る群から選択されるDNA配列、又は当該DNA配列の相補体、を含んで成るべきである。
【0060】
あるいは、本発明の核酸は、配列番号1から成る核酸配列と、高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、又は少なくとも約30個のヌクレオチドの長さにわたり少なくとも約85%の同一性を示すべきであり、あるいは前記DNA配列の相補体であるべきである。
【0061】
用語「高ストリンジェントな条件」は、非常に類似の分子の会合を容易にするハイブリダイゼーション反応の条件であって、50%ホルムアルデヒド、5xSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、及び20μg/mlの変性してせん断されたサケ精子DNAを含んで成る溶液中で60〜65℃一晩インキュベーションし、続いて0.1xSSC中フィルターを同一の温度で洗浄することに存するものを意味する。
【0062】
実質的に同一のヌクレオチド配列を含むこれらの核酸は、コードされたポリペプチドを維持し、修飾し、導入し、又は発現するために使用されうるプラスミド、ベクター及び任意な他のDNAコンストラクトに含まれることがある。特に、前記核酸分子が発現制御配列と作用可能に連結しているベクターは、原核又は真核宿主細胞における、コードされたポリペプチドの発現を可能にしうる。
【0063】
用語「実質的に同一のヌクレオチド配列」は、遺伝コードの縮重が原因で、所定のアミノ酸配列をもコードする全ての他の核酸配列を含む。この意味で、文献は、組換え体の発現にとって好ましい又は最適化されたコドンに対する示唆を提供している(Kane JF et al., 1995)。
【0064】
核酸及びベクターは、異なる目的で細胞内に導入されることがあり、その結果トランスジェニック細胞及び動物を生成せしめる。本発明のポリペプチドを発現することができる細胞の産生方法は、そのようなベクター及び核酸で細胞を遺伝子操作することを含んで成る。
【0065】
特に、宿主細胞(例えば、細菌細胞)は、本発明の核酸及びベクターによってコードされたポリペプチドの一過性又は安定性の発現を可能にする形質転換によって修飾されることがある。あるいは、前記分子は、正常な発現レベルと比較した場合に、本発明のポリペプチドの増強又は低下した発現レベルを有するトランスジェニック動物細胞又はヒト以外の動物を生成させるために(非相同組換え/相同組換え又はそれらの安定な組込み及び維持を可能にする任意な他の方法による)使用されることがある。そのような正確な修飾は、本発明の核酸及び、例えば遺伝子治療(Meth. Enzymol., vol. 346,2002)又は部位特異的なリコンビナーゼ(Kolb AF, 2002)に関連する技術、を利用することによって得ることができる。本願で開示するフィブリン様ポリペプチドを基にしたそれらの機能の系統だった研究のためのモデル系も、ヒト細胞系へのジーンターゲティングによって生成されうる(Bunz F, 2002)。
【0066】
遺伝子サイレンシング法を実施して、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の内在性発現をダウンレギュレートすることもできる。RNA干渉(RNAi)(S.M. Elbashir ら. Nature 2001, 411, 494-498)は、使用可能な配列特異的転写後遺伝子サイレンシングのための1つの方法である。短いdsRNAオリゴヌクレオチドをin vitroで合成して細胞内に導入する。これらdsRNAオリゴヌクレオチドの配列特異的結合によって標的mRNAの分解が開始され、標的タンパク質の発現が減少又は阻害される。
【0067】
上記に述べた遺伝子サイレンシング法の有効性は、ポリペプチド発現の測定(例えばウェスタンブロットによる)、又はTaqManベースの方法を用いるRNAレベルの測定によって評価することができる。
【0068】
本発明のポリペプチドは、当業界で知られている任意な方法、例えば組換えDNA関連技術、及び化学合成技術、によって調製されることもある。特に、本発明のポリペプチドを生成する方法は、上述のように、核酸又はベクターが発現する条件下で宿主細胞又はトランスジェニック細胞を培養し、そして培養物から前記核酸又はベクターによってコードされるポリペプチドを回収することを含んで成ることもある。例えば、ベクターが、細胞外又はシグナルペプチド含有タンパク質との融合タンパク質としてポリペプチドを発現する場合、組換え産物は細胞外空間に分泌されることがあり、そして、培養細胞から、更なる処理の観点で更に容易に回収され、且つ精製されることがあり、あるいは、当該細胞は直接使用され、又は投与されることがある。
【0069】
本発明のタンパク質をコードするDNA配列は、任意の適当な手段(形質転換、トランスフェクション、接合、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接的なマイクロインジェクション等)によって適切な宿主細胞に導入されうる、適当なエピソームの又は非相同/相同組換えのベクター内に挿入され、そしてライゲーションされることがある。特定のプラスミド又はウイルスベクターを選択するのに重要な因子は、ベクターを含むレシピエント細胞が当該ベクターを含まないそれらのレシピエント細胞から容易に認識され、且つ選択されうることの容易さ;特定の宿主で望まれるベクターのコピー数;及び異なる主の宿主細胞間でベクターを「シャトル」し得ることが望ましいか否か、を含む。
【0070】
ベクターは、転写開始/終結制御配列の支配下での原核又は真核宿主細胞による本発明のポリペプチドを含む単離されたポリペプチド又は融合ポリペプチドの発現を可能にするはずであり、これらは、前記細胞において構成的に活性又は誘導性のものが選択される。前記細胞が実質的に豊富な細胞系は、続いて安定な細胞系を提供するよう単離されうる。
【0071】
異なる転写制御配列及び翻訳制御配列は、真核生物宿主(例えば、酵母、昆虫、植物、又は哺乳類の細胞)に対し、その宿主の性質に依存して利用することができる。それらは、ウイルス源、例えばアデノウイルス、ウシパピローマウイルス、シミアンウイルス等に由来してもよく、ここでは、制御シグナルが、高レベルで発現する特定の遺伝子と関連している。例としてはヘルペスウイルスのTKプロモーター、SV40初期プロモーター、酵母GAL4遺伝子プロモーター等がある。転写開始制御シグナルは、抑制及び活性を可能にして、その結果前記遺伝子発現が調節されうるようなものが選択されうる。導入されたDNAによって安定して形質転換された細胞は、前記発現ベクターを含む宿主細胞の選択を可能にする1又は複数のマーカーを導入することによって選択されうる。当該マーカーはまた、栄養要求宿主に対する光合成栄養、殺生物耐性、例えば抗生物質、又は重金属、例えば銅、等をも提供しうる。選択マーカー遺伝子は、発現されるDNA遺伝子配列に直接連結されるか、あるいは同時トランスフェクションによって同一の細胞内に導入されうる。
【0072】
宿主細胞は原核生物又は真核生物のいずれかのものでありうる。好ましいものは、真核生物宿主、例えば哺乳類細胞、例えばヒト、サル、マウス、及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞であり、それは、それらがタンパク質に対する翻訳後修飾、例えば正確な折りたたみ及びグリコシル化を提供するためである。酵母もグリコシル化を含む翻訳後ペプチド修飾を実施しうる。多くの組換えDNAストラテジーが存在しており、これらは、酵母内で所望のタンパク質の産生に利用されうる強力なプロモーター配列及び高コピー数のプラスミドを利用する。酵母は、クローン化哺乳類遺伝子産物のリーダー配列を認識し、そしてリーダー配列を有するペプチド(すなわち、プレペプチド)を分泌する。
【0073】
本発明の上文で言及した態様は、新規フィブリン様ポリペプチドの配列に対して本願が提示する開示を、一般的な分子生物学的技術の知識と組み合わせることによって達成されうる。
【0074】
多数の本及び概説が、ベクター及び原核生物又は真核生物宿主細胞を用いて組換えタンパク質をどのようにクローン化し、そして産生するかについての技術を提供しており、例えばオックスフォード大学出版局によって発行されている「A Practical Approach」のシリーズの中の幾つかのタイトルである ("DNA Cloning 2: Expression Systems", 1995;"DNA Cloning 4: Mammalian Systems", 1996;"Protein Expression", 1999;"Protein Purification Techniques", 2001).。
【0075】
更に、最新のより重点的な文献は、ハイスループットな様式でポリペプチドを発現する技術(Chambers SP, 2002; Coleman TA, et al., 1997)、治療的用途を有する組換えタンパク質の大規模産生のために産業上利用される細胞系及び方法(Andersen DC and Krummen L, 2002; Chu L and Robinson DK, 2001)、及び注目のポリペプチドを発現する別の真核生物発現系であって、所望のタンパク質の経済的な産生についてかなりの可能性を有すると考えられるもの、例えばトランスジェニック植物を基にしたもの(Giddings G, 2001)又は酵母ピキア・パストリス(Pichia pastors)を基にしたもの(Lin Cereghino GP et al., 2002)、の概論を提供する。組換えタンパク質産物は、発現したポリペプチドの量及び質を証明するため(Baker KN et al., 2002)、生物学的同等性及び免疫原性の問題があるか否かを調べるのと同様に(Schellekens H, 2002; Gendel SM, 2002)、種々の分析技術により迅速にモニタリングされうる。
【0076】
全体的に、合成フィブリン様ポリペプチドは文献において開示されており、そして、短い長さで示した本発明のフィブリン様ポリペプチドに有効に適用されうる多数の化学合成技術の例が、固相又は液相合成技術として文献にて利用可能となっている。例えば、合成されるポリペプチドのカルボキシ末端に相当するアミノ酸は、有機溶媒中で不溶の支持体に結合し、そして、適切な保護基で保護されたそれらのアミノ基及び側鎖の官能基を有するアミノ酸がカルボキシ末端からアミノ末端へと順番に1つずつ縮合するものと、樹脂又は前記ペプチドのアミノ基の保護基と結合したアミノ酸が放出されるものとの交互の反復反応によって、ペプチド鎖はその結果この様式で伸長される。固層合成法は、使用する保護基の型に依存して、tBoc法及びFmoc法に大きく分類される。典型的に使用される保護基には、tBoc(t−ブトキシカルボニル)、Cl−Z(2−クロロベンジルオキシカルボニル)、Br−Z(2−ブロモベンジルオキシカルボニル)、Bzl(ベンジル)、Fmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)、Mbh(4,4’−ジメトキシジベンズヒドリル)、Mtr(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル)、Trt(トリチル)、Tos(トシル)、Z(ベンジルオキシカルボニル)及びCl2−Bzl(2,6−ジクロロベンジル)がアミノ基の場合に含まれ;NO2(ニトロ)及びPmc(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル)がグアミジノ基の場合に含まれ;そしてtBu(t−ブチル)がヒドロキシル基の場合に含まれる。所望のペプチドの合成後、それは脱保護反応にかけられ、そして固体の支持体から切り離される。そのようなペプチド切断反応は、Boc法の場合フッ化水素又はトリフルオロメタンスルホン酸を用いて、そしてFmoc法の場合TFAを用いて実施されうる。
【0077】
本発明のポリペプチドの精製は、この目的のために知られている方法、すなわち、抽出、沈殿、クロマトグラフィー、電気泳動等の任意な常用の方法、のうちのいずれか1つによって実施されうる。本発明のタンパク質を精製するために優先して使用されうる追加の精製手順は、標的タンパク質に結合し、且つ、産生され、そしてカラム内に含まれるゲルマトリックス上に固定される、モノクローナル抗体又は親和性の基を用いるアフィニティークロマトグラフィーである。タンパク質は、ヘパリン又は特異的抗体によりカラムと結合し、一方、不純物はカラムを通過する。洗浄後、タンパク質はpH又はイオン強度の変化によってゲルから溶出される。あるいは、HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)を使用することができる。溶出は、タンパク質精製に一般的に利用される水−アセトニトリルベースの溶媒を用いて実施されうる。
【0078】
本発明の新規ポリペプチドの開示、及びそれらに関連して開示されている試薬(抗体、核酸、細胞)の開示はまた、細胞への又は動物内でのそれらの発現レベルを増強し、又は低下させる化合物をスクリーニングし、そして特徴付けることを可能にする。
【0079】
「オリゴヌクレオチド」は、化学合成されうる一本鎖ポリデオキシヌクレオチド又は二本の相補的なポリデオキシヌクレオチド鎖のいずれかを意味する。そのような合成オリゴヌクレオチドは、5’ホスフェートを有さず、そのためキナーゼの存在下ホスフェートをATPと一緒に添加しないことには別のオリゴヌクレオチドとライゲーションしないであろう。合成オリゴヌクレオチドは、脱リン酸されていないフラグメントにライゲーションするであろう。
【0080】
本発明は、本発明の化合物の精製された調製物(ポリペプチド、核酸、細胞等)を含む。精製された調製物とは、本明細書で使用する場合、乾燥重量当たり少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%本発明の化合物を含む調製物を意味する。
【0081】
本願は、一連の新規フィブリン様ポリペプチド及び複数の可能性のある用途を有する関連試薬を開示する。特に、本発明のポリペプチドのフィブリン様活性の増大が疾患の治療又は予防において望まれる場合はいつでも、試薬、例えば開示されているフィブリン様ポリペプチド、相当の融合タンパク質及びペプチドミメティクス、コード核酸、発現細胞、又はそれらの発現を増強する化合物が使用されうる。
【0082】
従って本発明は、開示されたフィブリン様ポリペプチド、対応する融合タンパク質及びペプチドミメティクス、コード核酸、発現している細胞、又はそれらの発現を増強する化合物を、活性成分として含有する、本発明のポリペプチドのフィブリン様活性の増加が必要である疾患の治療又は予防のための医薬組成物を開示している。これらの医薬組成物の調製方法は、開示されるフィブリン様ポリペプチド、相当の融合タンパク質及びペプチドミメティクス、コード核酸、発現細胞、又はそれらの発現を増強する化合物を、医薬として許容される担体と一緒に組み合わせることを含んで成る。本発明のポリペプチドのフィブリン様活性の増加が必要である疾患を治療又は予防する方法は、治療として有効量の、開示されるフィブリン様ポリペプチド、相当の融合タンパク質及びペプチドミメティクス、コード核酸、発現細胞、又はそれらの発現を増強する化合物、の投与を含んで成る。
【0083】
本願で開示されている試薬の中でも、本発明のポリペプチドの発現又は活性を低下させるリガンド、アンタゴニスト又は化合物は、複数の用途を有し、特に、これらは、本発明のポリペプチドの過剰なフィブリン様活性に関連した疾患の治療又は診断において使用されうる。
【0084】
従って、本発明は、本発明のポリペプチドの過剰なフィブリン様活性に関連する疾患の処置又は予防のための医薬組成物であって、そのようなポリペプチドの発現又は活性を低下させるリガンド、アンタゴニスト又は化合物のうちの1つを活性成分として含む医薬組成物を開示する。これらの医薬組成物の調製方法は、前記のリガンド、アンタゴニスト、又は化合物を、医薬として許容される担体と一緒に組み合わせることを含んで成る。本発明のポリペプチドの過剰なフィブリン様活性に関連する疾患の処置又は予防のための方法は、治療的に有効量のアンタゴニスト、リガンド又は化合物の投与を含んで成る。
【0085】
本発明の医薬組成物は、フィブリン様ポリペプチド又は関連試薬に加え、医薬として許容される適当な担体、生物学的に適合性のある媒体及び添加物を含んでもよく、これらは動物への投与に適したものであり(例えば、生理学的食塩水)、且つ、活性化合物を医薬として使用されうる調製物へと処理するのを容易にする助剤(賦形剤、安定化剤、佐剤、又は希釈剤)を最終的に含んで成るものである。
【0086】
医薬組成物は、投与形態の要求に合致する任意の許容される方法で製剤化されうる。例えば、生体材料、糖−高分子接合体、ポリエチレングリコール及び他の天然又は合成ポリマーは、薬物送達の有効性に関して活性成分を改善するのに使用されうる。特定の投与形態を評価する技術及びモデルは文献に開示されている(Davis BG and Robinson MA, 2002; Gupta P et al., 2002; Luo B and Prestwich GD, 2001; Cleland JL et al., 2001; Pillai O and Panchagnula R, 2001)。
【0087】
これらの目的に適したポリマーは生体適合性があり、すなわち、それらは生物系に対して非毒性であり、そして多数のそのようなポリマーは既知である。そのようなポリマーは天然で疎水性又は親水性であっても、生分解性、非生分解性、又はそれらの組み合わせであってもよい。これらのポリマーには、天然ポリマー(例えばコラーゲン、ゼラチン、セルロース、ヒアルロン酸)、並びに合成ポリマー(例えばポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物)が含まれる。疎水性の非分解性ポリマーの例には、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、及びポリメチルメタエリラート(methaerylate)が含まれる。親水性の非分解性ポリマーの例には、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリビニルアルコール、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、及びそれらのコポリマーが含まれる。好ましいポリマーは、連続反復単位としてエチレンオキシド、例えばポリエチレングリコール(PEG)を含んで成る。
【0088】
任意の許容される投与形態は、活性成分の所望の血液レベルを確立するために、当業者によって使用され、そして決定されうる。例えば、投与は、種々の非経口経路、例えば皮下、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、経鼻、経皮、経口、又は頬側でなされることがある。本発明の医薬組成物はまた、維持又は制御放出剤形、例えば蓄積注射、浸透ポンプ等を含むものであって、既定の速度での前記ポリペプチドの長期投与のためのもので、好ましくは正確な投与量の単回投与に適した単位剤形で投与されてもよい。
【0089】
非経口投与は、ボーラス注入又は時間をかけての漸進的な潅流によってもよい。非経口投与のための調製物には、滅菌水溶液又は非水溶液、懸濁液、及び乳濁液が含まれ、これらは当業界で知られている佐剤又は賦形剤を含むことがあり、且つルーチンな方法に従い調製されうる。尚、適切な油性注射懸濁液としての活性化合物の懸濁液が投与されることがある。適当な親油性溶媒又は媒体には、脂肪油、例えばごま油、又は合成脂肪酸エステル、例えばごま油、例えば合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル又はトリグリセリドが含まれる。懸濁液の粘性を増大させる物質を含みうる水性注射懸濁液は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、及び/又はデキストランが含まれる。任意に、懸濁液はまた安定化剤を含んでもよい。医薬組成物は注射による投与に適した溶液を含み、且つ、賦形剤と一緒に約0.01〜99.99パーセント、好ましくは約20〜75パーセントの活性化合物を含む。
【0090】
用語「治療的に有効量」とは、疾患の経過及び重症度に影響を及ぼし、そのような病状の緩和又は寛解を導くのに十分な量の活性成分を意味する。有効量は、投与経路及び患者の症状に依存する。
【0091】
用語「医薬として許容される」は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げず、且つ投与される宿主にとって毒性でない任意の担体を包含することを意味する。例えば、非経口投与の場合、上記活性成分は、単位剤形で、生理食塩水、デキストロース溶液、血清アルブミン及びリンガー液のような媒体中で製剤化されうる。担体はまた、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、コムギ、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、及び種々の油から選択することができ、これらは、石油、動物、植物又は合成起源のもの(ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ごま油)を含む。
【0092】
投与される用量は、レシピエントの年齢、性別、健康、及び体重、併用の処置の種類、もしあるのであれば、処置の頻度、及び所望の効果の性質、に依存する。用量は、当業者によって理解され、且つ決定可能なように、個々の対象者に合わせられる。各処置に必要とされる総量は、複数回投与又は単回投与によって投与されうる。本発明の医薬組成物は、単独で、又はその症状に対する、又は当該症状のほかの症候に対する他の治療薬と一緒に投与されうる。通常、活性成分の一日量は、0.01〜100ミリグラム/キログラム体重/日含まれる。通常、分割量又は維持放出形態で与えると、1〜40ミリグラム/キログラム/日が所望の結果を得るのに有効である。第二又はその後の投与は、個体に対して投与された最初又は前回の用量と同一、それ未満、又はそれ以上の用量で実施されうる。
【0093】
治療目的又は製造目的を有する方法とは異なる複数のほかの方法が、本願で開示されているフィブリン様ポリペプチド及び関連試薬を利用することができる。
【0094】
最初の例において、本発明のフィブリン様ポリペプチドに関連する疾患を処置するのに有効な候補化合物をスクリーニングする方法であって:
(a)そのようなポリペプチドを発現する宿主細胞、当該ポリペプチドの増強又は低下した発現レベルを有するトランスジェニックなヒト以外の動物、又はトランスジェニック動物細胞を、候補化合物と接触させること;及び
(b)前記動物又は細胞に対する化合物の効果を決定すること、
を含んで成る方法が提供される。
【0095】
第二の例において、本発明のポリペプチドのアンタゴニスト/阻害物質又はアゴニスト/活性化物質としての候補化合物を同定する方法であって:
(a)前記ポリペプチドと、前記化合物、及び哺乳類細胞又は哺乳類細胞膜と
を接触させること;及び
(b)前記の分子が、前記ポリペプチドと前記哺乳類細胞又は哺乳類細胞膜との相互作用、又は当該相互作用から生じる応答、を阻止又は増強するか否かを決定すること、
を含んで成る方法が提供される。
【0096】
第三の例において、試料中の本発明のポリペプチドの活性及び/又は存在を決定する方法は、当該ポリペプチド又はそのコードRNA/DNAのいずれかを検出することができる。従って、そのような方法は:
(a)タンパク質含有試料を準備すること;
(b)前記試料と本発明のリガンドとを接触させること;及び
(c)前記ポリペプチドに結合した前記リガンドの存在を決定し、それにより前記試料中のポリペプチドの活性及び/又は存在を決定すること、
を含んで成る。
【0097】
あるいは、前記方法は:
(a)核酸含有試料を準備すること;
(b)前記試料と本発明の核酸とを接触させること;及び
(c)当該核酸と前記試料中の核酸とのハイブリダイゼーションを決定し、それにより前記試料中の核酸の存在を決定すること、
を含んで成る。
【0098】
これに関連して、配列番号1で提示するヌクレオチド配列から誘導されるプライマー配列は、ポリメラーゼ連鎖反応増幅により、試料中の本発明のポリペプチドをコードする転写物又は核酸の存在又は量を決定するためにも同様に使用されうる。
【0099】
本発明の更なる目的は、試料中の本発明のフィブリン様ポリペプチドの活性及び/又は存在を測定するためのキットであって、本願で開示されている1又は複数の試薬:本発明のフィブリン様ポリペプチド、アンタゴニスト、リガンド又はペプチドミメティクス、単離された核酸又はベクター、医薬組成物、発現細胞、あるいは発現レベルを増大又は低下させる化合物、を含んで成るキットである。
【0100】
このようなキットは、in vitro診断法又はスクリーニング法において使用することができ、それらの実際の組成物は、試料の具体的様式(例えば、患者由来の生物学的試料組織)、及び測定される分子種に適合されなければならない。例えば、フィブリン様ポリペプチドの濃度を測定することが望ましい場合、キットは、ウェスタンブロットで得られるシグナルを比較するために、精製された形の抗体及び対応するタンパク質を含有してもよい。あるいは、フィブリン様ポリペプチドの転写産物の濃度を測定することが望ましい場合は、このキットは、対応するORF配列でデザインされた特異的核酸プローブを含むか、又はそのようなプローブを含有する核酸アレイの形であってよい。これらのキットは、タンパク質-、ペプチドミメティクス-、又は細胞-ベースのマイクロアレイの形であっても良く(Templin MFら, 2002;Pellois JPら, 2002;Blagoev B及びPandey A, 2001)、本明細書で明らかにされたタンパク質、ペプチドミメティクス及び細胞を使用することにより、ハイ-スループットプロテオミクス試験を可能にする。
【0101】
本特許出願は、皮膚が加齢、損傷もしくは日光によりダメージを受けたもの、又はそれらからダメージを受けた皮膚の回復のため、更には多発性硬化症、ガン、骨折もしくは病変後の骨、関節もしくは靱帯の再建、変形性関節症、関節リウマチ、骨粗鬆症、心血管系疾患及び線維症(肝線維症及び肝炎を含む)のような、フィブリン様ポリペプチドが関与している疾患及び状態の治療又は予防において、適宜製剤された医薬組成物中の活性成分として有用である、新規フィブリン様ポリペプチド及び一連の関連試薬を開示している。
【0102】
本発明のポリペプチド及び関連試薬の治療的用途は、創薬及び前臨床開発時のフィブリン様ポリペプチド及び他の生物学的産物の評価に関して、動物細胞、組織を使用するin vivo/in vitroアッセイ手段によるか、又は公知のin silico/コンピュータ支援の方法(Johnson DE及びWolfgang GH, 2000)により、評価(安全性、薬物動態及び有効性に関して)される。
【0103】
本発明は、以降、以下の実施例により特定の態様を参照して説明されるが、これらは本発明を何ら限定するものとして解されるべきではない。当該説明の内容は、上文の教示に照らして、そしてそれ故に、特許請求の範囲の意味及び目的を超えて広げることなく、当業者によって実施されうる全ての改変及び置換を含んで成る。
【0104】
【表1】

【表2】

【表3】

【実施例】
【0105】
実施例1:
ASTRALデータベース(Brenner SEら, "The ASTRAL compendium for protein structure and sequence analysis", Nucleic Acids Res., 2000 Jan 1; 28(1): 254-6)から得たEGFタンパク質ドメイン配列を用い、ヒトゲノム配列(Celeraデータベース)から予測された遺伝子において相同タンパク質配列を検索した。このタンパク質配列は、下記の3種のプログラムのひとつにより作成された、遺伝子予測及びそれらの翻訳から得た:Genescan (Burge C, Karlin S., "Prediction of complete gene structures in human genomic DNA”, J Mol Biol., 1997 Apr 25; 268(1): 78-94)、Grail(Xu Y, Uberbacher EC., “Automated gene identification in large-scale genomic sequences", J Comput Biol., 1997 Fall; 4(3): 325-38)及びFgenesh(Celera社独自のソフトウェア)。
【0106】
EGFドメインの配列プロファイルは、相同配列を並置し及び配列プロファイルを作成するアルゴリズムである、PIMAII(Profile Induced Multiple Alignment;ボストン大学ソフトウェア、verII, Das S及びSmith TF, 2000)を用いて作成した。相同性は、クエリープロファイルとヒット配列の間のグローバル-ローカルアラインメントを作成するPIMAIIを用いて検出した。この場合、このアルゴリズムは、クエリーとしてのEGF機能ドメインのプロファイルと共に使用した。PIMAIIは、クエリープロファイルを、タンパク質配列に翻訳された遺伝子予測のデータベースと比較し、その結果そのドメインを含むDNA配列との合致を同定することができる。更にこの配列の公知のEFG含有タンパク質とのBLAST(Basic Local Alignment Search Tool;NCBI ver2)による比較は、一番近いホモログを同定した(Gish W, States DJ., "Identification of protein coding regions by database similarity search", Nat Genet., 1993 Mar; 3(3): 266-72;Pearson WR, Miller W., "Dynamic programming algorithms for biological sequence comparison", Methods Enzymol., 1992; 210: 575-601;Altschul SFら,"Basic local alignment search tool", J Mol Biol., 1990 Oct 5; 215(3): 403-10)。検出に使用したPIMAIIパラメータは、PIMA先行(prior)アミノ酸確率行列及びZ-カットオフスコア10であった。使用したBLASTパラメータは以下であった:比較行列=BLOSUM62;ワードレングス=3;カットオフE値=10;ギャップオープニング及びイクステンション=デフォルト;フィルターなし。
【0107】
一旦機能ドメインがこの配列において同定されたならば、これらの遺伝子は、一番近いホモログの配列を用いgenewiseアルゴリズムで再度予測した(Birney Eら,"PairWise and Search Wise: finding the optimal alignment in a simultaneous comparison of a protein profile against all DNA translation frames", Nucleic Acids Res., 1996 Jul 15; 24(14): 2730-9)。相同EGFドメインのプロファイルは、PERL(Practical Extraction and Report Language)及びPIMAIIに記載されたPSI-BLAST(Altshulら 1997)スクリプトを用い自動的に作成した。
【0108】
EGFドメインプロファイルを基に作成された当初のクエリーとの464のマッチの中で全部で55種の予測された遺伝子は、新規である可能性があると判断されたので選択した。
【0109】
これらの新規性のあるタンパク質配列は最終的には、BLASTを用いるタンパク質データベース(SwissProt/Trembl, Human IPI and Derwent GENESEQ)の検索により評価し、及び特定のアノテーションは、アミノ酸配列相同性を基に寄与することができる。
【0110】
実施例2:
実施例1に記載の方法により単離されたひとつの配列は、本明細書においてSCS0007ポリペプチド配列と称されるものである。SCS0007配列が示す、ヒトフィブリリン2(J. Cell Biol. 124:855-863(1994))との相同性は非常に低く(40%未満)、そしてカルシウム結合性EGF様ドメインに限定されている。
【0111】
最も類似の既知のポリペプチド配列は、受入番号FLJ32009(EMBL)及びHCP50656.1(CELERA)を有する2つの予測されるタンパク質であり、これらの提示された配列はハイブリッドのようである。当該タンパク質はおおまかに4つの部分に分けることができ、第一及び第三のものはこれら3つの配列全てに共通であり、第二のものはSCS0007及びCELERAにおいて同一であり、そして第四のものはSCS0007及びEMBLにおいて同一である(図1を参照のこと)。
【0112】
更なるアラインメントを図2において相当のアノテーションと一緒に示す。いずれの配列もGenbank由来である。
【0113】
【表4】

【表5】

【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】図1:SCS0007のORFと、既知の関連ポリペプチド配列とのアラインメント。
【図2】図2:SCS0007のORFと、他の既知の関連ポリペプチド配列とのアラインメント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィブリン様活性を有する単離されたポリペプチドであって:
a.配列番号2に列挙されているアミノ酸配列;
b.配列番号2に列挙されている配列のポリペプチドの成熟型(配列番号4);
c.配列番号2に列挙されているアミノ酸配列の活性変異体であって、選択した配列において特定されている任意のアミノ酸が非保存的に置換されており、但し、当該配列中の15%未満のアミノ酸残基がそのように変化している、変異体;
d.a)〜c)に示すアミノ酸配列の活性フラグメント、前駆体、塩、又は誘導体、
から成る群から選択されるポリペプチド。
【請求項2】
配列番号2又は4に示す配列の自然発生的な対立遺伝子変異体である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
変異体が一塩基多型の翻訳である、請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
配列番号2、配列番号4又はそれらのフラグメントに対して生成する抗体又は結合タンパク質と特異的に結合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドを含んで成る融合タンパク質。
【請求項6】
前記タンパク質が、これらのタンパク質配列:膜結合タンパク質、イムノグロブリン定常領域、多量体化ドメイン、細胞外タンパク質、シグナルペプチド含有タンパク質、エクスポートシグナル含有タンパク質、に属する1又は複数のアミノ酸配列、を更に含んで成る、請求項6に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
前記アンタゴニストが、相当のポリペプチドの1又は複数の残基の非保存的置換及び/又は欠失から生じるアミノ酸配列を含んで成る、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドのアンタゴニスト。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドに特異的に結合するリガンド。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドのフィブリン様活性を拮抗又は阻害する、請求項8に記載のリガンド。
【請求項10】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、抗原結合フラグメント、又は膜結合タンパク質の細胞外ドメイン、である、請求項9に記載のリガンド。
【請求項11】
放射性標識、蛍光標識、ビオチン、又は細胞毒性物質の中から選択される分子との活性な接合体(conjugate)又は複合体(complex)の形態の、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドの配列及び/又は構造に基づいて設計されるペプチドミメティクス。
【請求項13】
a)請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィブリン様活性を有するポリペプチド;
b)請求項5又は6に記載の融合タンパク質;又は
c)請求項7に記載のアンタゴニスト、
から成る群から選択される単離されたポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項14】
配列番号1から成るDNA配列、又は当該DNA配列の相補体、を含んで成る、請求項13に記載の核酸。
【請求項15】
a)高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし;又は
b)配列番号1から成る群から選択される核酸、又は前記DNA配列の相補体と、少なくとも約30個のヌクレオチドの長さにわたり少なくとも約85%の同一性を示す、
精製された核酸。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の核酸を含んで成るベクター。
【請求項17】
前記核酸分子が、原核又は真核宿主細胞におけるコードポリペプチドの発現を可能にする発現制御配列と作用可能に連結している、請求項16に記載のベクター。
【請求項18】
請求項13〜15に記載の精製された核酸によりコードされるポリペプチド。
【請求項19】
請求項1〜7又は請求項18のいずれか1項に記載のポリペプチドを発現することができる細胞を産生する方法であって、請求項13〜17のいずれか1項に記載のベクター又は核酸で細胞を遺伝子操作することを含んで成る方法。
【請求項20】
請求項13〜17のいずれか1項に記載のベクター又は核酸で形質転換した宿主細胞。
【請求項21】
請求項13〜17のいずれか1項に記載のベクター又は核酸で形質転換されたトランスジェニック動物細胞であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドの増強又は低下した発現レベルを有する細胞。
【請求項22】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドの増強又は低下した発現レベルを有するよう形質転換された、トランスジェニックなヒト以外の動物。
【請求項23】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドを生成するための方法であって、請求項20又は21に記載の細胞を核酸又はベクターが発現する条件下で培養し、そして前記核酸又はベクターによってコードされるポリペプチドを培養物から回収することを含んで成る方法。
【請求項24】
細胞又は動物における請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドの発現レベルを増強させる化合物。
【請求項25】
細胞又は動物における請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドの発現レベルを低下させる化合物。
【請求項26】
アンチセンスオリゴヌクレオチド又は低分子干渉RNAである、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
請求項1〜6又は18のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項7に記載のアンタゴニスト、請求項8〜10のいずれか1項に記載のリガンド、請求項12に記載のペプチドミメティクス、請求項13〜17のいずれか1項に記載の核酸、請求項20又は21に記載の細胞、あるいは請求項24〜26のいずれか1項に記載の化合物を含む、精製された調製物。
【請求項28】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドのフィブリン様活性の増大が必要とされる場合の疾患の治療又は予防における、請求項1〜6又は18のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項12に記載のペプチドミメティクス、請求項13〜17のいずれか1項に記載の核酸、請求項20又は21に記載の細胞、あるいは請求項24に記載の化合物、の使用。
【請求項29】
フィブリン様活性の増大を必要とする疾患の処置又は予防のための医薬組成物であって、請求項1〜6又は18のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項12に記載のペプチドミメティクス、請求項13〜17のいずれか1項に記載の核酸、請求項20又は21に記載の細胞、あるいは請求項24に記載の化合物を活性成分として含む医薬組成物。
【請求項30】
医薬組成物の調製法であって、請求項1〜6又は18のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項12に記載のペプチドミメティクス、請求項13〜17のいずれか1項に記載の核酸、請求項20又は21に記載の細胞、あるいは請求項24に記載の化合物を、医薬として許容される担体と組み合わせることを含んで成る調製方法。
【請求項31】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドのフィブリン様活性の増大を必要とする疾患の処置又は予防のための方法であって、治療的に有効量の、請求項1〜6又は18のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項12に記載のペプチドミメティクス、請求項13〜17のいずれか1項に記載の核酸、請求項20又は21に記載の細胞、あるいは請求項24に記載の化合物の投与を含んで成る方法。
【請求項32】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドの過剰なフィブリン様活性に関連する疾患の治療又は予防における、請求項7に記載のアンタゴニスト、請求項8〜10のいずれか1項に記載のリガンド、あるいは請求項25又は26に記載の化合物の使用。
【請求項33】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドの過剰なフィブリン様活性に関連する疾患の治療又は予防のための医薬組成物であって、請求項7に記載のアンタゴニスト、請求項8〜10のいずれか1項に記載のリガンド、あるいは請求項25又は26に記載の化合物を活性成分として含む医薬組成物。
【請求項34】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドの過剰なフィブリン様活性に関連する疾患の処置又は予防のための医薬組成物の調製のための方法であって、請求項7に記載のアンタゴニスト、請求項8〜10のいずれか1項に記載のリガンド、あるいは請求項25又は26に記載の化合物を、医薬として許容される担体と組み合わせることを含んで成る方法。
【請求項35】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドに関連する疾患の処置又は予防のための方法であって、治療的に有効量の、請求項7に記載のアンタゴニスト、請求項8〜10のいずれか1項に記載のリガンド、あるいは請求項25又は26に記載の化合物の投与を含んで成る方法。
【請求項36】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィブリン様ポリペプチドに関連する疾患を処置するのに有効な候補化合物をスクリーニングするための方法であって:
a)前記ポリペプチドの増強又は低下された発現レベルを有する、請求項20に記載の細胞、請求項21に記載のトランスジェニック動物細胞、又は請求項22に記載のトランスジェニックなヒト以外の動物を、候補化合物と接触させること、及び
b)前記動物又は細胞に対する前記化合物の効果を決定すること、
を含んで成る方法。
【請求項37】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドのアンタゴニスト/阻害物質又はアゴニスト/活性化物質としての候補化合物を同定するための方法であって:
a)前記ポリペプチドを、前記化合物、及び当該ポリペプチドに結合することができる、哺乳類細胞又は哺乳類細胞膜とを接触させること;及び
b)前記の分子が、前記ポリペプチドと前記哺乳類細胞又は哺乳類細胞膜との相互作用、又は当該相互作用から生じる応答、を阻止又は増強するか否かを測定すること、
を含んで成る方法。
【請求項38】
試料中の請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドの活性及び/又は存在を決定するための方法であって:
a)タンパク質含有試料を準備すること;
b)前記試料と請求項8〜10のいずれか1項に記載のリガンドとを接触させること;及び
c)前記ポリペプチドに結合した前記リガンドの存在を決定すること、
を含んで成る方法。
【請求項39】
試料中の請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする転写物又は核酸の存在又は量を決定するための方法であって:
a)核酸含有試料を準備すること;
b)前記試料と請求項13〜17のいずれか1項に記載の核酸とを接触させること;及び
c)前記核酸と前記試料中の核酸とのハイブリダイゼーションを決定すること、
を含んで成る方法。
【請求項40】
ポリメラーゼ連鎖反応により試料中の請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする転写物又は核酸の存在又は量を決定するための配列番号1に記載のヌクレオチド配列由来のプライマーの使用。
【請求項41】
試料中の請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィブリン様ポリペプチドの活性及び/又は存在を測定するためのキットであって、1又は複数の以下の試薬:請求項1〜6又は18のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項7に記載のアンタゴニスト、請求項8〜10のいずれか1項に記載のリガンド、請求項11に記載のポリペプチド、請求項12に記載のペプチドミメティクス、請求項13〜17のいずれか1項に記載の核酸、請求項20又は21に記載の細胞、請求項24〜26のいずれか1項に記載の化合物、請求項29又は33に記載の医薬組成物、を含んで成るキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−523591(P2007−523591A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566051(P2004−566051)
【出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2003/050974
【国際公開番号】WO2004/063225
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(599177396)アプライド リサーチ システムズ エーアールエス ホールディング ナームロゼ フェンノートシャップ (70)
【Fターム(参考)】