説明

新規ブロック(コ)ポリマー、それを含む組成物、処理方法及び調製方法

【課題】特定の構造の新規シリコンモノマーからなるポリマー、並びに該ポリマーを含む化粧品用組成物の提供。
【解決手段】生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも一の第1のブロックと、少なくとも一の第2のブロックを含有し、そのブロックの少なくとも一が与えられたリストから選択されるシリコーンモノマーを、それらを含有するブロックの重量に基づき、35〜100重量%含有する、新規なシリコーン含有ブロック(コ)ポリマー。および、前記ポリマーを含有する化粧品用又は製薬用組成物、並びにそれらを使用する美容処理方法、及び前記ポリマーの調製方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、特定の構造の新規ポリマー、並びに該ポリマーを含む化粧品用組成物に関する。また本発明は、前記ポリマーを使用する美容処理方法に関する。
【0002】
様々なタイプのポリマーが、それらが付与可能な種々の特性のため、従来から化粧品用組成物に使用されている。それらは、例えば皮膚、唇又は外皮のメークアップ又は手入れのための組成物、例えばネイルラッカー、又は毛髪用組成物に使用されている。しかしながら、一つの同じ組成物内で融和性がない、すなわち一つの同じ溶媒に非混和性である2種のポリマーを使用する場合、ポリマーが融和しない結果、相分離、又は沈降、そして一般的には不均質な組成物が製造されるという問題に処方者は直面する。これらの問題は、今日までは、組成物がポリマーを互いに融和性のあるものとさせ得る化合物を含有していた場合にのみ解決することができていた。
【0003】
この問題を克服するために、欧州特許出願第1411069号には、互いに非融和性であり、前記2つのブロックのそれぞれの構成要素である少なくとも一のモノマーを含有する中間ブロックにより結合している第1及び少なくとも一の第2のブロックを含有する、特定の構造のポリマーが提案されている。
この出願には、主として、アルキル、特にメチル、イソブチル、イソボルニル又はトリフルオロエチルのアクリラート又はメタクリラート、又は(メタ)アクリル酸等のモノマーから調製されるブロック(コ)ポリマーが記載されている。これらのポリマーは、一般的に有機溶媒、例えば短いエステル(アクリル酸ブチル又はエチル)、短いアルコール、例えばエタノール、又は脂肪族アルカン類、例えばイソドデカンに担持されるか、また特にはそれらに可溶性である。しかしながら、それらは、化粧品に通常使用されているシリコーン溶媒に担持させることは非常に困難である。
さらに、欧州特許第1411069号のポリマーは、ファンデーション又は皮膚の手入れのためのある種の組成物の分野において、ある種の美容用途には適切ではない程の光沢のある皮膜を付与する。
【0004】
本発明の目的は、よりマット(光沢の少ない)である皮膜をつくることができる新規ポリマーを提案するものであり、よって組成物をマットにするための組成物への通常のフィラーの添加が回避され、さらに該ポリマーは炭素含有溶媒とシリコーン溶媒の双方に担持させることができ、これはこれまでは不可能であった。
よって本発明の一目的は、少なくとも一の第1のブロックと少なくとも一の第2のブロックを含有し、ブロックの少なくとも一が、単独で又は混合物として、以下に記載するモノマーから選択される少なくとも一のシリコーンモノマーを、該ブロックの重量に基づき、35〜100重量%含有しているブロック(コ)ポリマーにある。
【0005】
また本発明は、生理学的に許容可能な媒体中に前記ポリマーを含有してなる組成物、特に化粧品用又は製薬用組成物に関する。
【0006】
一般的な形では、ブロック(コ)ポリマーに付加的なシリコーンモノマーを導入する可能性については欧州特許第1411069号に記載されているが、多量のシリコーンモノマーの存在についてはどこにも記載はないし、示唆さえされておらず、本発明のポリマーを用いて見出された顕著な特性を得る可能性については、なおさら記載も示唆もされていない。
よって、本発明のポリマーは、ブロックの少なくとも一に多量のシリコーンモノマーが存在する点で、従来技術のものとは異なる。
【0007】
本発明のポリマーは、炭素含有又はシリコーンタイプのいずれでも、また化粧品用油又は短いエステル型の溶媒のいずれでも、脂肪中で良好な溶解性を有しており、該溶解性は、使用されるモノマーの種類及び/又は量に応じて変わり及び/又は調節されうることが見出されている。この良好な脂溶性は、特に脂肪相を一般的に含有する化粧品用組成物において、それらの二次使用を容易にしうる。
さらに本発明の組成物により、フィラーを添加することなく、マットな皮膜を得ることができる。
これらの皮膜は、従来のものより脆さは少ない。
またそれらは、付着したときあまり粘着性ではなく、シリコーンモノマーを含有しないものよりも、油に対して敏感ではない。よってそれらは、食用油又は皮脂等、脂肪の「攻撃的作用」に対して良好な耐性を示す。
さらに、本発明のポリマーは、驚くべきことに、シリコーンモノマーをほとんど又は全く含有しない従来のものよりも、さらに快適感があることが見出された。乾燥中でも、皮膜はほとんど又は全く変形せず、よって突っ張り感の問題も回避される。
最後に、シリコーンモノマーが存在しているため、従来のポリマーよりも、低粘度のポリマーを得ることができ、化粧品用組成物中における使用をさらに容易にする。
【0008】
本発明のポリマーは、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一の第1のブロックと少なくとも一の第2のブロックを含むブロック(コ)ポリマーであり、該第1及び第2のブロックは、有利には、第1のブロックの構成物質である少なくとも一のモノマーと、第2のブロックの構成物質である少なくとも一のモノマーを含有する中間セグメントにより、互いに結合している。
上述及び以下において、「第1」及び「第2」のブロックなる用語は、ポリマー構造における前記ブロックの順序(又は配列)を決して定めるものではないことを記しておかなければならない。
【0009】
よって、本発明のブロック(コ)ポリマーは、少なくとも一の第1のブロックと少なくとも一の第2のブロックを含有しており、該ブロックは、有利には互いに非融和性である。
「互いに非融和性であるブロック」とは、第1のブロックに相当するポリマーと第2のブロックに相当するポリマーにより形成される混合物が、周囲温度(25℃)で大気圧(10Pa)で、ブロックポリマーの主要な(重量による)重合溶媒に非混和性であることを意味し、混合物(ポリマーと溶媒)の全重量に対して5重量%以上のポリマー混合物の含有量に対して、
i)該ポリマー類は、それぞれの重量比が10/90〜90/10の範囲にある含有量で混合物中に存在しており、
ii)第1及び第2のブロックに相当する各ポリマーが、ブロック(コ)ポリマー±15%に等しい平均分子量(重量平均又は数平均分子量)を有する、
と理解される。
【0010】
2種又はそれ以上の溶媒が存在していると仮定される重合溶媒の混合物の場合には、前記ポリマー混合物はそれらの少なくとも一と非混和性である。もちろん、重合が単一の溶媒中で実施される場合には、後者が主要な溶媒である。
前記第1及び第2のブロックは、有利には、第1のブロックの構成物質である少なくとも一のモノマーm1と、第2のブロックの構成物質である少なくとも一のモノマーm2を含有する中間セグメントにより、互いに結合可能である。
中間セグメントはブロック(又は配列)を形成する。好ましくは、m2はm1とは異なっている。中間セグメント又はブロックは、前記第1及び第2のブロックを「融和可能」にさせることができる。
【0011】
本発明の組成物のブロック(コ)ポリマーは、有利には、直鎖状、分枝状又はグラフト化されたブロックエチレン性ポリマー、好ましくは付着物を形成し、より詳細には皮膜形成性である。
「エチレン性」ポリマーとは、エチレン性不飽和を有するモノマーの重合により得られるポリマーを意味する。
「ブロック」ポリマーとは、少なくとも2の異なるブロック、好ましくは少なくとも3の異なるブロックを含むポリマー;好ましくはジブロック又はトリブロックを意味する。
「付着物を形成する」ポリマーとは、それ自身で、又は添加剤の存在下で、ケラチン物質等の支持体に付着する付着物を形成可能なポリマーを意味する。
「皮膜形成」ポリマーとは、それ自身で、又は皮膜形成添加剤の存在下で、ケラチン物質等の支持体に付着する連続皮膜を形成可能なポリマーを意味する。
【0012】
本発明のポリマーの各ブロック又は配列は、一種類のモノマー、又は数種類の異なるモノマーから誘導される。これは、各ブロックが、ランダム、交互又は他の構造であってよいコポリマー又はホモポリマーからなりうることを意味している。
有利には、それが存在する場合、ポリマーの第1のブロックの構成物質である少なくとも一のモノマーと第2のブロックの構成物質である少なくとも一のモノマーを含有する中間セグメントはランダムポリマーである。好ましくは、中間ブロックは、第1のブロックと第2のブロックの構成物質であるモノマーから本質的に誘導される。「本質的に」とは、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%、さらに好ましくは100%であることを意味する。
【0013】
本発明において、第1及び第2のブロックは、好ましくは異なるガラス転移温度を有し、第1及び第2のブロックのガラス転移温度間の差異は、一般的には5℃より多く、好ましくは10℃より多く、さらに好ましくは20℃より多い。
有利には、中間ブロックは、第1及び第2のブロックのガラス転移温度の間のガラス転移温度Tgを有する。
特に言及しない限り、示されるガラス転移温度は、参照マニュアル、例えばPolymer Handbook、第4版(Brandrup, Immergut, Grulke), 1999, John Wileyに見出される各ブロックを構成するモノマーの理論的Tg値から、フォックスの法則と称される次の関係:
【数1】

(上式中、ωiは当該ブロック中におけるモノマーiの質量分率であり、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度である(ケルビンで表す))
に従って決定される理論的Tg値である。
【0014】
本発明のポリマーは、そのブロックの少なくとも一が、単独で又は混合物として、以下のモノマーから選択される少なくとも一のシリコーンモノマーを、該ブロックの重量に対して35〜100重量%含有していることを特徴とする:
−(i)エステル基が、次の式:
【化1】

[上式中:
−R1=H又はメチルであり;
−R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよく、C-Cアルキル基又は-OSi(R5)基を表し、ここでR5=メチル又はエチルであり;好ましくはR2、R3及び/又はR4は互いに独立して、-OSi(Me)及び/又はメチルを表し;
−nは1〜10、好ましくは1又は3に等しい整数である]
のシラン類及び/又はシロキサン類を含むエチレン性モノマー;
−(ii)次の式:
【化2】

[上式中:
−R8は、水素原子又はメチル基;好ましくはメチルを示し;
−R9は、直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状で、1〜10の炭素原子を有し、場合によっては一又は二のエーテル結合-O-を有する二価の炭化水素基;好ましくはエチレン、プロピレン又はブチレンを示し;
−R10は、直鎖状又は分枝状で、1〜10の炭素原子、特に2〜8の炭素原子を有するアルキル基;好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル又はペンチルを示し;
−nは、1〜300、好ましくは3〜200、より好ましくは5〜100の範囲の整数を示す]
のPDMSマクロモノマー、又はモノアクリロイルオキシ又はモノメタクリロイルオキシ末端基を有するポリジメチルシロキサン類;
−(iii)エステル基が、次の式:
【化3】

[上式中:
−R1=H又はメチルであり;
−nは1〜10、好ましくは1、2、3又は4に等しい整数であり;
−R'2、R''2、R'3及びR''3は同一でも異なっていてもよく、CからC10のアルキル基、好ましくはメチル又はエチルを表し;
−R3はCからC10の二価のアルキレン基、好ましくはC又はCであり;
−iは1〜10の整数であり、特にi=1、2又は3であり;
−i=2〜10である場合、X(i)は同一又は異なっており、-R4-Si-[O-(R'3)(R''3)-X(i−1)]基を表し、ここでR4は同一又は異なっており、CからC10の二価のアルキレン基、好ましくはC又はCを表し;
−X(1)はH又はC-C10アルキル基、特にメチル又はエチルを表す]
のデンドリマーカルボキシシランを含むエチレン性モノマー、特にR1=H又はメチルである次のモノマー:
【化4】



−(iv)POSS又はPOS型の次の構造:
【化5】

[上式中、Rは同一又は異なっており、直鎖状のCからC10アルキル基、好ましくはメチル、又は環状のCからC12、好ましくはCである]
のエチレン性モノマー。
【0015】
特に、次のモノマー:
(メタ)アクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、(メタ)アクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(メタ)アクリルオキシメチルトリス(トリメチルシロキシ)-シラン、(メタ)アクリルオキシメチルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、特に詳細には、次のモノマー:
【化6】

を挙げることができる。
【0016】
また、POSS(多面体オリゴマーシルセスキオキサン類)及びPOS(多面体ポリマーシリケート類)型の(メタ)アクリル酸モノマー、特にハイブリッド・プラスチックス社(Hybrid Plastics)のもの;及びモノメタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキシ類、例えばUCT社(ユナイテッド・ケミカル・テクノロジーズ・インク(United Chemical Technologies Inc))からPS560-K6の名称で、又はゲレスト・インク(Gelest Inc)からMCR-M17の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0017】
上述したシリコーンモノマーは、それらを含有するブロックの全重量の35〜〜100量%、特に50〜99重量%、又は60〜95重量%である。
好ましくは、上述したシリコーンモノマー又はモノマー類は、ポリマーの全重量の20〜90重量%、特に25〜80重量%、好ましくは30〜75重量%、又は35〜70重量%である。
このことにより、1重量%、有利には10重量%の含有量で、25℃、1atmにて、シリコーン脂肪相、特にD5及び/又はフェニルトリメチコーンに可溶性であるポリマーを、特に得ることができる。
可溶性とは、凝集や沈殿することなく、ポリマーが透明な溶液を形成することを意味する。
【0018】
シリコーンモノマーは、好ましくは、単独で又はモノマーとして、第2のブロック(2番目に形成)中に存在する。しかしながら、それらは第1のブロック、又は第1と第2のブロック、又は中間ブロックを含む又は含まない、ポリマーの全てのブロック中に存在可能である。
好ましくは、シリコーンモノマーは、低Tgを有するブロック、すなわちそのTgが20℃以下、特に0℃以下、又は−10℃以下のブロック中に存在する。
【0019】
さらに、好ましい一実施態様では、特に炭素含有脂肪相、特に油、例えばイソドデカン及び/又はパーリーム(Parleam)中に、1重量%、有利には10重量%の含有量で、25℃、1atmにて可溶性であるポリマーを得るために、該ポリマーは、与えられるリストから選択される一又は複数の炭素含有モノマーを、10〜80重量%、特に20〜75重量%、さらには25〜70重量%、又は30〜65重量%含有可能である。
選択される前記炭素含有モノマーは、シリコーンモノマーと同一のブロック中に又は別のブロック中に存在可能であり;好ましくは、それらは別のブロック中に存在する。
【0020】
選択される炭素含有モノマーは、単独で又は混合物として、次のモノマーから選択可能である:
− 式CH=C(CH)-COOR1
[上式中、R1は、直鎖状又は分枝状のC-C22アルキル基、例えばラウリル、ベヘニル又はステアリル;又は8〜30の炭素原子を有する環状のアルキル基、例えばイソボルニルを表し;又はR1はtert-ブチル基を表す]
のメタクリラート類;
− 式CH=CH-COOR2
[上式中、R2は、直鎖状又は分枝状のC-C22アルキル基、例えばラウリル、ベヘニル又はステアリル又は2-エチルヘキシル;又は8〜30の炭素原子を有する環状のアルキル基、例えばイソボルニルを表し;又はR2はイソブチル基を表す]
のアクリラート類;
− 式CH=C(CH)-CONR3R4又はCH=CH-CONR3R4
[上式中、R3は、水素原子又は直鎖状又は分枝状のC-C12アルキル基を表し、R4は、直鎖状又は分枝状のCからC12のアルキル基、例えばイソオクチル、イソノニル、ウンデシル基を表す]
の(メタ)アクリルアミド類;
− 式CH=C(CH-COO(CH)-CH)COO(CH)-CH
[上式中、nは5以上、特に6〜13の整数である]
のイタコン酸ジ-n-アルキル類;
− 式CH=CHOCOR5
[上式中、R5は直鎖状又は分枝状のCからC22のアルキル基を表す]
のビニルエステル;
− 式CH=CH-OR6
[上式中、R6は8〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す]
のビニルエーテル;
− 重合性末端基を有する炭素含有マクロモノマー。
【0021】
「重合性末端基を有するマクロモノマー」とは、エチレンモノマーと重合反応中に反応可能な重合性末端基をその末端の一方のみに有する任意のオリゴマーを意味する。マクロモノマーの重合性基は、有利には、ラジカル重合を受けうるエチレン性不飽和を有する基とすることができる。前記重合性末端基は、特にビニル又は(メタ)アクリラート(又は(メタ)アクリルオキシ)基、好ましくは(メタ)アクリラート基とすることができる。「炭素含有マクロモノマー」とは、非シリコーンマクロモノマー、特にエチレン性不飽和を有する非シリコーンモノマー(類)の重合により、主としてアクリル及び/又は非アクリルビニルモノマーの重合により得られるオリゴマーマクロモノマーを意味する。
【0022】
重合性末端基を有する炭素含有マクロモノマーとしては、特に以下のモノマーを挙げることができる:
−(i)ビニル又は(メタ)アクリラート基から選択される重合性末端基基を有する、直鎖状又は分枝状のC-C22アルキル、好ましくはC-C18(メタ)アクリル酸アルキルのホモポリマー又はコポリマーで、特にモノ(メタ)アクリラート末端基を有するポリ(エチル-2-ヘキシルアクリラート)マクロモノマー;モノ(メタ)アクリラート末端基を有するポリ(アクリル酸ドデシル)又はポリ(メタクリル酸ドデシル)マクロモノマー;モノ(メタ)アクリラート末端基を有するポリ(アクリル酸ステアリル)又はポリ(メタクリル酸ステアリル)マクロモノマーを挙げることができる。このようなマクロモノマーは、特に欧州特許第895467号及び欧州特許第96459号、及びGillmanによる文献、Polymer Letters, 第5巻, 477-481頁(1967)に記載されている。
特に、モノ(メタ)アクリラート末端基を有するポリ(エチル-2-ヘキシルアクリラート)又はポリ(アクリル酸ドデシル)をベースにしたマクロモノマーを挙げることができる;
【0023】
(ii)エチレン性不飽和末端基、特に(メタ)アクリラート末端基を有するポリオレフィン類。前記ポリオレフィン類の例としては、特に次のマクロモノマーで、(メタ)アクリラート末端基を有すると理解されるもの、例えばポリエチレンのマクロモノマー、ポリプロピレンのマクロモノマー、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーのマクロモノマー、ポリエチレン/ポリブチレンコポリマーのマクロモノマー、ポリイソブチレンのマクロモノマー;ポリブタジエンのマクロモノマー;ポリイソプレンのマクロモノマー;ポリブタジエンのマクロモノマー;ポリ(エチレン/ブチレン)-ポリイソプレンのマクロモノマーを挙げることができる。このようなマクロモノマーは、特に欧州特許第1347013号及び米国特許第5625005号に記載されており、(メタ)アクリラート反応性末端基を有するエチレン/ブチレン及びエチレン/プロピレンのマクロモノマーを挙げることができる。特に、クレイトン・ポリマー社(Kraton Polymer)からクレイトン・リキッドL-1253の名称で販売されているポリ(エチレン/ブチレン)メタクリラートを挙げることができる。
【0024】
特に好ましい選択される炭素含有モノマーとしては、単独で又は混合物として、ラウリル、ベヘニル、ステアリル、イソボルニル、tert-ブチルのメタクリラート;ラウリル、ベヘニル、2-エチルヘキシル、ステアリル、イソボルニル、イソブチルのアクリラート;モノ(メタ)アクリラート末端基を有するポリ(アクリル酸ドデシル)又はポリ(エチル-2-ヘキシルアクリラート)をベースにしたマクロモノマー;(メタ)アクリラート反応性末端基を有するエチレン/ブチレン及びエチレン/プロピレンのマクロモノマーを挙げることができる。
【0025】
シリコーンモノマーが、それらのブロックの100重量%でない場合、後者は、よって、ブロックの全重量に対して0.1〜65重量%、特に1〜50重量%、又は5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%の割合で存在可能な、選択される炭素含有モノマー及び/又は付加的なモノマーから選択可能な付加的なモノマーを含有する。
よって、前記シリコーンモノマーを含有するブロックは、単一のシリコーンモノマーのみを含有するホモポリマー;上述したいくつかのシリコーンモノマーを含有するコポリマー、又は上述した一又は複数のシリコーンモノマーと、一又は複数の他のモノマー(選択される及び/又は付加的な炭素含有モノマー)とを含有するコポリマーとすることができる。ブロックがコポリマーである場合、後者は、既に述べたように、ランダム、交互又はいくつかの他のタイプとすることができる。
【0026】
同様に、選択される炭素含有モノマーが、それらのブロックの100重量%でない場合、後者は、よって、ブロックの全重量に対して0.1〜65重量%、特に1〜50重量%、又は5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%の割合で存在可能な、シリコーンブロックの付加的なモノマーと同一でも異なっていてもよい、シリコーンモノマー及び/又は付加的なモノマーを含有する。この場合、選択される炭素含有モノマーは、ブロックの全重量に対して、好ましくは35〜99.9重量%、特に50〜99重量%、又は60〜95重量%、さらに好ましくは70〜90重量%とすることができる。
【0027】
付加的なモノマーは、単独で又は混合物として、以下のモノマーから選択することができる:
−(i)2〜10の炭素を有するエチレン性炭化水素、例えばエチレン、イソプレン又はブタジエン;
【0028】
−(ii)式:CH=CHCOOR'又はCH=C(CH)COOR'
[上式中、R'は:
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜7、特に4〜7の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基はヒドロキシル基又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよいもので;
特にR'は、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ヘキシル基;エチル-2-ペルフルオロヘキシル;又はC1−4ヒドロキシアルキル基、例えば2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシブチル及び2-ヒドロキシプロピル;又はアルコキシ(C1−4)アルキル(C1−4)基、例えばメトキシエチル、エトキシエチル及びメトキシプロピルとすることができ;
− C-Cシクロアルキル基、例えばシクロヘキシル基;
− C-C30アリール基、例えばフェニル基;
− C-C30アラルキル基(C-Cアルキル基)、例えば2-フェニルエチル、t-ブチルベンジル又はベンジル;
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を含み、環が芳香族又は非芳香族である4から12の環員を有する複素環基;
− ヘテロシクロアルキル(C-Cアルキル)基、例えばフルフリルメチル又はテトラヒドロフルフリルメチル;
を表し、前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい直鎖状又は分枝状のC1−4アルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基はヒドロキシル基又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよく、また
− R'は、またm=5〜150であり、R''=H又はCからC30のアルキルである-(CO)-R''基、例えば-POE-メチル又は-POE-ベヘニルとすることができる]
の(メタ)アクリラート類;又はメタクリル酸イソブチル又はtert-ブチルアクリラート。
【0029】
−(iii)次の式:
【化7】

[上式中、RはH又はメチルを示し;R及びRは同一でも異なっていてもよく:
− 水素原子;
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子、特に13〜20、又は14〜18の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基がヒドロキシル基、又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよく;特にR及び/又はRは、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、オクチル、ラウリル、イソオクチル、イソデシル、ドデシル、ベヘニル、ステアリル基;又はエチル-2-ペルフルオロヘキシル基;又はC1−4ヒドロキシアルキル基、例えば2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシブチル及び2-ヒドロキシプロピル;又はアルコキシ(C1−4)アルキル(C1−4)基、例えばメトキシエチル、エトキシエチル及びメトキシプロピルとすることができ;
− CからC12のシクロアルキル基、例えばイソボルニル、シクロヘキシル、t-ブチルシクロヘキシル基;
− CからC20のアリール基、例えばフェニル基;
− CからC30のアラルキル基(CからCのアルキル基)、例えば2-フェニル-エチル、t-ブチルベンジル又はベンジル;
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を有し、環が芳香族又は非芳香族である4から12の環員の複素環基;
− ヘテロシクロアルキル基(C-Cアルキル)、例えばフルフリルメチル又はテトラヒドロフルフリルメチル;
を表し、該シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい直鎖状又は分枝状のC1−アルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基はヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよい]
の(メタ)アクリルアミド類。
(メタ)アクリルアミドモノマーの例は、(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアクリルアミド、及びN(2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)である。
【0030】
−(iv)次の式:
CH=CH-R、CH=CH-CH-R又はCH=C(CH)-CH-R
[上式中、Rはヒドロキシル基、ハロゲン(Cl又はF)、NH、R14がフェニル基又はC-Cアルキル基を表すOR14;アセトアミド(NHCOCH);R15が2〜7の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を表すOCOR15基;又は
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子、特に4〜20、又は6〜18の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基がヒドロキシル基、又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよいもの;
− C-C12シクロアルキル基、例えばイソボルニル、シクロヘキシル;
− C-C20アリール基、例えばフェニル;
− C-C30アラルキル基(C-Cアルキル基)、例えば2-フェニルエチル;ベンジル;
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を有し、環が芳香族又は非芳香族である4から12の環員を有する複素環基;
− ヘテロシクロアルキル(C-Cアルキル)基、例えばフルフリルメチル又はテトラヒドロフルフリルメチル;
で、該シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基が、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよく、1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基がヒドロキシル基、ハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよいもの、
から選択される基である]
のビニル化合物。
ビニルモノマーの例は、ビニルシクロヘキサン及びスチレンである。ビニルエステルの例は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルである。ビニルエーテルとしては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、及びビニルイソブチルエーテルを挙げることができる。
【0031】
−(v)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、及びそれらの塩等の、少なくとも一のカルボン酸、リン酸又はスルホン酸、又は無水物官能基を有するエチレン性不飽和(類)を含むモノマー。
【0032】
−(vi)2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、及びそれらの塩等の、少なくとも一の第3級アミン官能基を有するエチレン性不飽和(類)を含むモノマー。
【0033】
塩は、無機塩基、例えばLiOH、NaOH、KOH、Ca(OH)、NHOH又はZn(OH)を用いて;又は有機塩基、例えば第1級、第2級又は第3級アルキルアミン、特にトリエチルアミン又はブチルアミンを用いて、アニオン性基を中和させることによって形成させることができる。この第1級、第2級又は第3級アルキルアミンは、一又は複数の窒素原子及び/又は酸素原子を有していてよく、よって、例えば一又は複数のアルコール官能基を有していてよく:特にアミノ-2-メチル-2-プロパノール、トリエタノールアミン、及びジメチルアミノ-2-プロパノールを挙げることができる。また、リジンもしくは3-(ジメチルアミノ)-プロピルアミンを挙げることもできる。
【0034】
さらに、無機酸、例えば硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、ホウ酸の塩を挙げることもできる。またさらに、一又は複数のカルボン酸、スルホン酸又はホスホン酸基を有していてもよい有機酸の塩を挙げることもできる。それらは直鎖状、分枝状又は環状の脂肪族酸、又は芳香族酸であってよい。これらの酸は、例えばヒドロキシル基の形態をした、O及びNから選択される一又は複数のヘテロ原子をさらに有していてよい。特にプロピオン酸、酢酸、テレフタル酸、クエン酸及び酒石酸を挙げることができる。
【0035】
特に、付加的なモノマーは、単独で又は混合物として、(メタ)アクリル酸、及びC-Cアルキル又はC-Cシクロアルキル(メタ)アクリラート、特にメタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル;アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸及びメタクリル酸から選択される。
好ましくは、上述した付加的なモノマー又はモノマー類は、ポリマーの全重量の0〜70重量%、特に0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、又は1〜10重量%である。
【0036】
好ましくは、シリコーンモノマーは、選択される炭素含有モノマーを含むものとは異なるブロック中に存在する。
本発明のポリマーは、任意の化学的性質であってよい他のブロックをさらに含有することができる。
【0037】
好ましくは、本発明のポリマーは、20℃以上、例えば20℃〜160℃、特に30℃〜140℃、さらには40℃〜120℃、より好ましくは50℃〜110℃のTgを有し、好ましくは炭素含有モノマーからなるブロックを含有する。
また好ましくは、Tgが20℃以下、例えば−150℃から20℃未満、特に−100℃〜10℃、又は−85℃〜0℃、より好ましくは−70℃〜−5℃であり、好ましくはシリコーンモノマーを含むブロックを含有する。
好ましくは、20℃以上のTgを有するブロック又はブロック類は、ポリマーの全重量の50〜90重量%、特に60〜80重量%、又は65〜75重量%である。
【0038】
20℃以上のTgを有するブロックは、特に、そのホモポリマーが20℃以上のTgを有するモノマーを、全体的に又は部分的に含有可能である。またこの範囲外のTgを有するモノマーを含有していてもよい。これらのモノマー及びそれらの濃度は、所望のTgを有するブロックが得られるように、特にフォックスの法則に基づいて、当業者により適切に選択されるであろう。
【0039】
20℃以上のTgを有するこれらのモノマーとしては、単独で又は混合物として:
− 式:CH=C(CH)-COOR
[上式中、Rは、直鎖状又は分枝状で未置換であり、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル又はイソブチル基を表すか、又はRはC-C12シクロアルキル基、特にイソボルニルを表す]
のメタクリラート類;
− 式:CH=CH-COOR
[上式中、Rはtert-ブチル基又はC-C12シクロアルキル基、特にイソボルニルを表す]
のアクリラート類;
− 式:CH=CR'-CO-NR
[上式中、R'はH又はCHを示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は直鎖状又は分枝状のC-C12アルキル基、例えばn-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル又はイソノニル基を表すか、又はRはHを表し、Rは1,1-ジメチル-3-オキソブチル基を表す]
の(メタ)アクリルアミド類;及び
− メタクリル酸及びアクリル酸;
を挙げることができる。
【0040】
そのホモポリマーが20℃以上のガラス転移温度Tgを有する特に好ましいモノマーとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸イソボルニル、N-ブチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジブチルアクリルアミド、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0041】
20℃以下のTgを有するブロックは、特に、そのホモポリマーが20℃以下のTgを有するモノマーを、全体的に又は部分的に含有可能である。またこの範囲外のTgを有するモノマーを含有していてもよい。これらのモノマー及びそれらの濃度は、所望のTgを有するブロックが得られるように、特にフォックスの法則に基づいて、当業者により適切に選択されるであろう。
【0042】
20℃以下のTgを有するこれらのモノマーとしては、単独で又は混合物として:
− 式:CH=CHCOOR
[上式中、Rは、O、N、Sから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、tert-ブチル基を除く、直鎖状又は分枝状で未置換のC-C12アルキル基を表す]
のアクリラート類;
− 式:CH=C(CH)-COOR
[上式中、Rは、O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、直鎖状又は分枝状で未置換のC-C12アルキル基を表す]
のメタクリラート類;
− 式:R-CO-O-CH=CH
[上式中、Rは、直鎖状又は分枝状のC-C12アルキル基を表す]
のビニルエステル;
− (C-C12アルキル)-ビニルエーテル、特にメチルビニルエーテル及びエチルビニルエーテル;
− N-(C-C12アルキル)アクリルアミド類、例えばN-オクチルアクリルアミド、
− 及びそれらの混合物、
を挙げることができる。
20℃以下のTgを有するこれらのモノマーとしては、特にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸エチル-2-ヘキシル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0043】
好ましい実施態様では、本発明のポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも一のモノマーを含有し;場合によっては、アクリル酸及びメタクリル酸、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一の第2のモノマーをさらに含有可能である。
好ましくは、シリコーンモノマー以外の全てのモノマーは、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される。
【0044】
本発明のポリマーの重量平均質量(Mw)は、好ましくは25000〜1000000、より好ましくは30000〜750000、又は40000〜500000、さらに好ましくは50000〜250000である。
重量平均(Mw)及び数平均(Mn)分子量は、ゲル透過液体クロマトグラフィー(溶媒:THF、直鎖状のポリスチレン標準、屈折率及びUV検出器を用いて確立された検量線)により決定される。
【0045】
好ましくは、本発明のポリマーの多分散度は2を超え、例えば2〜9の範囲、好ましくは2.5以上、例えば2.5〜8の範囲、さらには2.8〜7の範囲である。ポリマーの多分散度Ipは、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比率に等しい。
【0046】
本発明のポリマーは、次の調製方法に従い、ラジカル溶液重合により得ることができる:
− 重合溶媒の一部を適切な反応器に充填し、重合に適した温度(典型的には60〜120℃)に達するまで加熱し;
− ひとたびこの温度に到達したら、第1のブロックを構成するモノマーを重合開始剤の一部存在下で添加し;
− 好ましくは90%の最大転化率に相当する時間Tの後、第2のブロックを構成するモノマーと残りの開始剤を導入し;さらに
− 混合物を時間T'の間(特に3〜6時間の範囲内)反応させ、その後、混合物を周囲温度(25℃)にすることで;
重合溶媒中に溶解したポリマーが得られる。
【0047】
「重合溶媒」とは、特に酢酸エチル、酢酸ブチル、C-Cアルコール類、例えばイソプロパノール、エタノール、脂肪族アルカン類、例えばイソドデカン、及びそれらの混合物から選択される溶媒又は溶媒の混合物を意味する。好ましくは、重合溶媒は酢酸ブチルとイソプロパノールの混合物、又はイソドデカン、又はD5(シクロペンタジメチルシロキシ)である。
【0048】
好ましくは、本発明のポリマーは水溶性ではない、すなわち本ポリマーは、水、又は2〜5の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のモノアルコール類、例えばエタノール、イソプロパノール又はn-プロパノールと水との混合物中に、pHの変化なしに、周囲温度(25℃)にて、少なくとも1重量%の活性物質含有量で溶解しない。
【0049】
また本発明は、上述した特定の構造の少なくとも一のポリマーを含有する組成物、特に化粧品用又は製薬用組成物に関する。
好ましくは、前記ポリマーは、前記組成物の生理学的、特に化粧品的又は製薬的に許容可能な媒体に溶解、中でも前記組成物の脂肪相(又は脂肪相類)、特に油及び/又は炭素含有及び/又はシリコーン有機溶媒に溶解している。
【0050】
本発明のポリマーは、単独で又は混合物として、組成物の全重量に対して0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜40重量%、特に0.1〜30重量%、又は0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは1.5〜12重量%の量で、本発明の組成物に存在可能である。
【0051】
本発明の化粧品用又は製薬用組成物は、前記ポリマーの他に、生理学的に許容可能な媒体、特に化粧品的又は製薬的に許容可能な媒体、すなわち顔又は体の皮膚、毛髪、睫毛、眉毛及び爪等のケラチン物質と融和性のある媒体を含有する。
よって、組成物は、水、又は水と親水性の有機溶媒(類)、例えばアルコール、特に2〜5の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の低級モノアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール又はn-プロパノール、及びポリオール、例えばグリセロール、ジグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、ペンチレングリコール及びポリエチレングリコール、又は親水性のCエーテルとC-Cアルデヒド類との混合物を含有する親水性媒体を含有可能である。
水、又は水と親水性の有機溶媒との混合物は、組成物の全重量に対して0.1〜99重量%、好ましくは10〜80重量%の範囲の含有量で、本発明の組成物に存在可能である。
また、組成物は無水であってもよい。
【0052】
また組成物は、室温(一般的に25℃)で液状の脂肪、及び/又は室温で固体状の脂肪、例えばロウ、ペースト状の脂肪、ガム類、及びそれらの混合物を含有可能な脂肪相をさらに含み得る。これらの脂肪は動物、植物、鉱物又は合成由来のものであってよい。前記脂肪相は、親油性の有機溶媒をさらに含有可能である。
【0053】
しばしば油と称され、本発明で使用可能な室温で液状の脂肪としては:動物由来の炭化水素油、例えばペルヒドロスクワレン;植物性の炭化水素油、例えば4〜10の炭素原子を有する脂肪酸の液状トリグリセリド、例えばヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリド、又はヒマワリ油、コーン油、大豆油、グレープシード油、ゴマ油、アプリコット油、マカダミア油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル/カプリン酸のトリグリセリド類、ホホバ油、シェアバター油;鉱物又は合成由来で直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばパラフィン油及びそれらの誘導体、ワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばパーリーム;合成エステル及び合成エーテル、特に脂肪酸とのもの、例えばプルセリン油、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル-2-ヘキシル、ステアリン酸オクチル-2-ドデシル、エルカ酸オクチル-2-ドデシル、イソステアリン酸イソステアリル;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、脂肪アルコールのヘプタノアート、オクタノアート、デカノアート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノアート、ネオペンチルグリコールジヘプタノアート、ジエチレングリコールジイソノナノアート;及びペンタエリトリトールのエステル;12〜26の炭素原子を有する脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール;部分的にフッ化された炭化水素及び/又はシリコーン油;シリコーン油、例えば、室温で液状又はペースト状であり、揮発性又は非揮発性で直鎖状又は環状のポリメチルシロキサン類(PDMS)、例えばシクロメチコーン類、ジメチコーン類で、場合によってはフェニル基を有しているもの、例えばフェニルトリメチコーン類、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン類、ジフェニルメチルジメチル-トリシロキサン類、ジフェニルジメチコーン類、フェニルジメチコーン類、ポリメチルフェニルシロキサン類;それらの混合物を挙げることができる。
これらの油は、組成物の全重量に対して0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜85重量%の範囲の含有量で存在可能である。
【0054】
本発明の組成物は、一又は複数の生理学的に許容可能な有機溶媒をさらに含有可能である。
これらの溶媒は、組成物の全重量に対して、一般的に0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜85重量%、より好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは30〜50重量%の範囲の含有量で存在可能である。
【0055】
上述した親水性の有機溶媒の他にも、室温で液状のケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、アセトン;周囲温度で液状のプロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールのモノメチルエーテルのアセタート、ジプロピレングリコールのモノ-n-ブチルエーテル;短鎖のエステル(全体で3〜8の炭素原子を有するもの)、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、n-ブチルアセタート、酢酸イソペンチル;25℃で液状のエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル又はジクロロジエチルエーテル;25℃で液状のアルカン類、例えばデカン、ヘプタン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン;25℃で液状の環状芳香族化合物、例えばトルエン及びキシレン;25℃で液状のアルデヒド類、例えばベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0056】
本発明の意味において、ロウとは、25℃以上で、120℃までの融点を有し、可逆的な固体/液体状態変化を受け、室温(25℃)で固体状の親油性化合物を意味する。ロウを液体状態に(融解)させることで、存在し得る油と混和させ、顕微鏡的に均一な混合物を形成させることができるが、混合物の温度を室温まで低下させることにより、ロウは混合物の油において結晶化する。ロウの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばメトラー社(METLER)からDSC30の名称で販売されている熱量計を使用して測定することができる。
ロウは、炭化水素、フッ化及び/又はシリコーンロウであってよく、また植物、鉱物、動物及び/又は合成由来のものであってよい。特に、ロウは30℃を超え、好ましくは45℃を超える融点を有する。本発明の組成物に使用可能なロウとしては、ミツロウ、カルナウバロウ又はキャンデリラロウ、パラフィンロウ、マイクロクリスタリンワックス、セレシンロウ又はオゾケライト;合成ロウ、例えばポリエチレンロウ又はフィッシャー-トロプシュロウ、シリコーンロウ、例えばアルキル又はアルコキシジメチコーン類で、16〜45の炭素原子を有するものを挙げることができる。
【0057】
ガム類は、一般的に、高分子量のポリジメチルシロキサン類(PDMS)又はセルロースガム又は多糖類であり、ペースト状物質は、一般的に炭化水素化合物、例えばラノリン類とその誘導体、又はPDMSである。
【0058】
ペースト状の脂肪とは、液体フラクションと固形フラクションを含有する粘性のある生成物を意味する。特に、20〜55℃、好ましくは25〜45℃の範囲の融点、及び/又はコントラバス(Contraves)TV又はレオマット(Rheomat)80で測定されて、40℃で0.1〜40Pa.s(1〜400ポアズ)、好ましくは0.5〜25Pa.sの範囲の粘度を有する脂肪を意味する。当業者であれば、テストされるペースト状化合物の粘度測定を実施できるように、自身の知識に基づき、スピンドルMS-r3及びMS-r4から、粘度測定を可能にするスピンドルを選択できるであろう。
本発明において融点値は、5又は10℃/分の温度上昇を伴う、示差走査熱量計により測定される融解ピークに相当する。
【0059】
好ましくは、前記脂肪は、炭化水素化合物(主として炭素と水素原子、場合によってはエステル基を有するもの)、場合によっては重合型のものであり;また、それらはシリコーン及び/又はフッ化化合物から選択可能で;さらに、それらは炭化水素及び/又はシリコーン及び/又はフッ化化合物の混合物の形態であってもよい。種々のペースト状脂肪の混合物の場合は、ペースト状の炭化水素化合物を主要フラクションとして使用するのが好ましい。
本発明の組成物に使用可能なペースト状の化合物としては、ラノリン類及びラノリン誘導体、例えばアセチル化ラノリン又はオキシプロピレン化ラノリン又はラノリン酸イソプロピル;脂肪アルコール又は酸のエステル、特に20〜65の炭素原子を有するもの、例えばトリ-イソステアリル又はセチルシタラート;プロピオン酸アラキジル;ポリラウリン酸ビニル;コレステロールエステル、例えば植物由来のトリグリセリド類、特に水素化植物性油、粘度のあるポリエステル、例えばポリ(12-ヒドロキシステアリン)酸、及びそれらの混合物を挙げることができる。植物由来のトリグリセリド類としては、硬化ヒマシ油誘導体を使用することができる。
また、ペースト状のシリコーン脂肪、例えばステアリルジメチコーン類等の、8〜24の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ型のペンダント鎖を有するポリジメチルシロキサン類(PDMS)を挙げることもできる。
【0060】
固形物質の種類と量は、所望される機械的特性とテクスチャーに依存する。指針を述べると、組成物は、組成物の全重量に対して0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%のロウを含みうる。
【0061】
さらに、本発明の組成物は、化粧品用組成物に通常使用されているフィラー及び/又は真珠光沢剤及び/又は顔料を、特定の相に含有可能である。
組成物は、当業者によく知られている水溶性染料及び/又は脂溶性着色料から選択される、他の着色物質をさらに含有可能である。
顔料とは、組成物を着色させることを意図しており、生理学的な媒体に不溶な、白色又は有色で、任意の形状の無機物又は有機物の粒子を意味する。
フィラーとは、組成物にかさ又は剛性、及び/又は柔軟性、メークアップにマットな外観及び均一性を付与することを意図した、無色又は白色で、無機又は合成のラメラ状又は非ラメラ状の粒子を意味する。
真珠母とは、特にある種の軟体動物により貝殻の内部に生成されるか合成等された、任意の形状をした真珠光沢のある粒子を意味する。
【0062】
顔料は、最終組成物の0.01〜25重量%の割合、好ましくは3〜10重量%の割合で組成物中に存在可能である。それらは、白色又は有色で、無機物又は有機物であってよい。チタン、ジルコニウム又はセリウムの酸化物、及び亜鉛、鉄又はクロムの酸化物、フェリックブルー、クロム水和物、カーブンブラック、ウルトラマリン(アルミノシリケートのポリスルフィド)、ピロリン酸マンガン、及びある種の金属パウダー、例えば銀又はアルミニウムのものを挙げることができる。また、唇及び皮膚にメークアップ効果を付与するために通常使用されるD&C型の顔料及びレーキで、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ストロンチウム又はジルコニウム塩のものを挙げることができる。
【0063】
真珠母は、0.01〜20重量%の割合、好ましくは3〜10重量%のオーダーの程度で組成物中に存在可能である。考慮可能な真珠母としては、天然の真珠母、酸化チタン、酸化鉄、天然顔料又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、並びに有色のチタンマイカを挙げることができる。
【0064】
組成物の全重量に対して0.001〜15重量%、好ましくは0.01〜5重量%、特に0.1〜2重量%の割合で、単独で又は混合物として組成物に存在可能な脂溶性又は水溶性染料としては、ポンソーの二ナトリウム塩、アリザリングリーンの二ナトリウム塩、キノリンイエロー、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、フクシン、キントフィル、メチレンブルーの二ナトリウム塩、カルミン、ハロゲン酸染料、アゾ染料、アントラキノン染料、硫酸銅又は硫酸鉄、スーダンブラウン、スーダンレッド及びアナトー、及びビート根汁及びカロテンを挙げることができる。
【0065】
また本発明の組成物は、組成物の全重量に対して、特に0.01〜50重量%の範囲、好ましくは0.02〜30重量%の範囲の含有量で、一又は複数のフィラーをさらに含有可能である。フィラーは、板状、球形又は楕円形等の任意の形態の無機物又は有機物であってよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリ(β-アラニン)及びポリエチレンのパウダー、テトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))ポリマーのパウダー、ラウリル-リジン、スターチ、窒化ホウ素、 ポリマー性の中空ミクロスフィア、例えば塩化ポリビニリデン/アクリロニトリルのもの、例えばエクスパンセル(Expancel(登録商標))(ノーベルインダストリー社(Nobel Industrie))、アクリル酸コポリマーのもの(ダウ・コーニング社(Dow Corning)のポリトラップ(登録商標))、及びシリコーン樹脂のマイクロビーズ(例えば、東芝(Toshiba)のトスパール(Tospearls)(登録商標))、エラストマー性ポリオルガノシロキサン粒子、沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフィア(マプレコス社(Maprecos)のシリカビーズ(登録商標))、ガラス又はセラミックのマイクロカプセル、8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0066】
また組成物は、付加的なポリマー、例えば皮膜形成ポリマーをさらに含有可能である。本発明において「皮膜形成ポリマー」とは、それ自体で、又は付加的な皮膜形成剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質に付着する連続した皮膜を形成可能なポリマーを意味する。本発明の組成物に使用可能な皮膜形成ポリマーとしては、ラジカルタイプ又は重縮合タイプの合成ポリマー、天然由来のポリマー、及びそれらの混合物、特にアクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、及びセルロースポリマー、例えばニトロセルロースを挙げることができる。
【0067】
本発明の組成物は、化粧品に一般的に使用されている成分、例えばビタミン類、増粘剤、ゲル化剤、微量元素、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸性化又は塩基性化剤、防腐剤、日光遮蔽剤、界面活性剤、酸化防止剤、毛髪開発剤、抗フケ剤、噴霧剤、セラミド類、皮膜形成添加剤、又はそれらの混合物をさらに含有可能である。
もちろん、当業者であれば、考えられる添加により本発明の組成物の有利な特性が悪影響を受けないか又は実質的に受けないように、任意の付加的な化合物又は化合物類及び/又はそれらの量を選択するであろう。
【0068】
本発明の組成物は、懸濁液、分散液、特に小胞体の存在により水に油が分散したもの;場合によっては増粘又はゲル化していてもよい油性の溶液:水中油型、油中水型又は多相エマルション;ゲル又はムース;油性又は乳化したゲル;特に脂質小胞体の分散液;2相又は多相ローション;スプレー;フリー、コンパクト又は成形パウダー;無水ペーストの形態とすることができる。前記組成物は、ローション、クリーム、膏薬、柔軟なペースト、軟膏、ムース、成形又は鋳型の固形物、特に棒状又は皿状のもの、又は圧密された固形物の外観を有するものであってよい。
当業者であれば、自身の一般的な知識に基づき、一方で使用される成分の性質、特に担体におけるそれらの溶解度、他方で組成物の考慮される用途を配慮し、適切な生薬形態、及びその調製方法を選択可能であろう。
【0069】
本発明の化粧品用組成物は、体又は顔の皮膚、唇、爪、睫毛、眉毛及び/又は毛髪の手入れ及び/又はメークアップのための製品、サンタン又は自己サンタンのための製品、毛髪の手入れ、トリートメント、成形、メークアップ又は着色のための製品の形態とすることができる。
例えば、メークアップ用組成物、特に肌色を整える製品、例えばファンデーション、ほほ紅又はアイシャドウ;唇用の製品、例えばリップスティック又は唇の手入れ用のもの;コンシーラ;ほほ紅;マスカラ;アイライナー;睫毛のメークアップ製品、唇又は眼のためのペンシル;爪用の製品、例えばネイルラッカー又はネイルケア製品;体用のメークアップ製品;毛髪用のメークアップ製品(毛髪用のラッカー又はマスカラ)の形態とすることもできる。
【0070】
さらに、顔、首、手又は体の皮膚の保護用又は手入れ用組成物、特に抗シワ用組成物、保湿用又はトリートメント用組成物;抗日光又は人工的にサンタン状態にするための組成物の形態とすることもできる。
またさらに、毛髪の手入れ用の製品、特に染色のためのもの、ヘアスタイルの保持、毛髪の成形、手入れ、トリートメント又はクレンジングのためのもの、例えばシャンプー、ゲル、ヘアセット用ローション、ブロー乾燥用ローション、又は固定用及びスタイリング用組成物、例えばラッカー又はスプレーの形態とすることもできる。
好ましくは、本発明の化粧品用組成物は、メークアップ製品、特にファンデーション、又は手入れ用の製品、顔の手入れ用のクリーム、又はサンタン状態にするための製品の形態をしている。
【0071】
本発明は、上述した化粧品用組成物を、顔又は体の皮膚、唇、爪、睫毛、眉毛及び/又は毛髪等のケラチン物質に適用することを含む、該物質の美容処理方法、特にメークアップ又は手入れ方法に関する。
【実施例】
【0072】
本発明を以下の実施例において詳細に例証する。
ポリマーの乾燥した付着物おいて光沢計を用いて測定した光沢
光沢は、光沢計を使用し、以下の方法により常套的に測定することができる。
自動スプレッダーを使用し、イソドデカン中に50%のポリマーが入った溶液の50μm厚の層を、参照フォーム1Aフェノパック(FORM 1A PENOPAC)のレネタ(LENETA)コントラストカード上に展伸する。層は、カードの少なくとも暗色のバックグラウンドをカバーする。付着物を25℃の温度で24時間乾燥させ、ついで20°光沢をDR LANGE型 REF03光沢計を使用し、暗色のバックグラウンドで測定を始める。
また60°とついで80°で前のようにして光沢を測定する。
約50以下、20°で測定すると、許容可能であると思われるマットな外観が付与され、測定が40以下であると、非常に満足のいくものとなる。
【0073】
粘着性の測定によるポリマーの耐油性
乾燥したポリマー皮膜上に配された1滴のオリブ油を用いて測定する。
イソドデカン中にポリマーが入った20%溶液からポリマー皮膜を調製する;0.5mlを2.5x7.5cm寸法のガラスプレート上に展伸し、室温(25℃)で24時間乾燥させる。次に、1mlのオリブ油をポリマー皮膜上に展伸する。
1時間後、過剰の油を皮膜から拭き取り、触ることにより、粘着性を比較ポリマーと比較して評価する。
「***」又は「3*」のマークは、プレートが指で離れる場合に付与される(非常に粘着性がある)。
「0」のマークは:粘着性が検出されないことを表す。
粘着性はオリブ油に対するポリマーの敏感度を表す。油に存在しているポリマーが粘着質であればある程、油に対して敏感になり、よって、付着物は、例えば食事中(食用油の存在下で)又は皮脂により容易に影響を受けるであろう。このことより、皮膚上での保持性は良好ではない結果となる。またこのことで快適性は低減し:皮膜が粘着質であればある程、帯着している場合に、組成物はますます不快になる。
【0074】
IS:内部応力
イソドデカン中にポリマーが入った20%溶液からポリマー皮膜を調製する;30マイクロリットルを6×1cm寸法のニトリル片上に展伸し、放置して室温(25℃)で3時間乾燥させる。乾燥後、支持体の変形度合いを目視により観察する。
0のマークは、乾燥中に支持体が変形しなかったことを表す。
+++のマークは、乾燥後に支持体がほとんど曲がっている(完全に変形している)ことを表す。
内部応力(IS)は、機械的視点からの快適性を表し:乾燥中、支持体に変形がなければ、皮膚への適用後、組成物の乾燥中に不快感はないと考えることができる。
【0075】
実施例1
250mlの三口フラスコに30gのイソドデカンを入れ、ついで90℃まで加熱した。30分の間隔で、4.5gのアクリル酸イソボルニル、4.5gのメタクリル酸イソボルニル、及び0.37gの開始剤2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社(Akzo Nobel)のトリゴノックス(Trigonox)(登録商標)141)を添加した。全体を90℃で1.5時間保持した。
ついで、90℃で30分で、上述の混合物に、21gのMPTS及び0.29gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを添加した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全体を25℃まで冷却した。
イソドデカンにポリマーの乾燥物質が入った51.5%溶液を得た。前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、シリコーンモノマーを含有する第2のブロックを含む。
【0076】
実施例2
250mlの三口フラスコに30gのイソドデカンを入れ、ついで90℃まで加熱した。30分の間隔で、7.5gのアクリル酸イソボルニル、7.5gのメタクリル酸イソボルニル、及び0.30gの開始剤2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)141)を添加した。全体を90℃で1.5時間保持した。
ついで、90℃で30分で、上述の混合物に、15.2gのMPTS及び0.20gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを添加した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全体を25℃まで冷却した。
イソドデカンにポリマーの乾燥物質が入った51.2%溶液を得た。前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、シリコーンモノマーを含有する第2のブロックを含む。
【0077】
実施例3
250mlの三口フラスコに60gのイソドデカンを入れ、ついで90℃まで加熱した。30分の間隔で、21gのアクリル酸イソボルニル、21gのメタクリル酸イソボルニル、及び0.36gの開始剤2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)141)を添加した。全体を90℃で2.5時間保持した。
ついで、90℃で30分で、上述の混合物に、18gのMPTS及び0.25gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを添加した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全体を25℃まで冷却した。
イソドデカンにポリマーの乾燥物質が入った53.1%溶液を得た。前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、シリコーンモノマーを含有する第2のブロックを含む。
【0078】
実施例4
250mlの三口フラスコに30gのイソドデカンを入れ、ついで90℃まで加熱した。30分の間隔で、21gのメタクリル酸イソボルニル及び0.19gの開始剤2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)141)を添加した。全体を90℃で1.5時間保持した。
ついで、90℃で30分、上述の混合物に、9gのMPTS及び0.12gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを添加した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全体を25℃まで冷却した。
イソドデカンにポリマーの乾燥物質が入った52.8%溶液を得た。前記ポリマーは、メタクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、シリコーンモノマーを含有する第2のブロックを含む。
【0079】
実施例5
250mlの三口フラスコに30gのイソドデカンを入れ、ついで90℃まで加熱した。30分の間隔で、15gのメタクリル酸イソボルニル及び0.30gの開始剤2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)141)を添加した。全体を90℃で1.5時間保持した。
ついで、90℃で30分、上述の混合物に、15gのMPTS及び0.20gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを添加した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全体を25℃まで冷却した。
イソドデカンにポリマーの乾燥物質が入った51.7%溶液を得た。前記ポリマーは、メタクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、シリコーンモノマーを含有する第2のブロックを含む。
【0080】
実施例6
250mlの三口フラスコに30gのイソドデカンを入れ、ついで90℃まで加熱した。30分の間隔で、7.5gのアクリル酸イソボルニル、7.5gのメタクリル酸イソボルニル、及び0.33gの開始剤tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノアート(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)21S)を添加した。全体を90℃で1.5時間保持した。
ついで、90℃で30分、上述の混合物に、13.5gのMPTS、1.5gのアクリル酸、及び0.22gのトリゴノックス21Sを添加した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全体を25℃まで冷却した。
イソドデカンにポリマーの乾燥物質が入った56.2%溶液を得た。前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、シリコーンモノマー及びアクリル酸を含有する第2のブロックを含む。
【0081】
実施例7
250mlの三口フラスコに30gのイソドデカンを入れ、ついで90℃まで加熱した。30分の間隔で、4.5gのアクリル酸イソボルニル、4.5gのメタクリル酸イソボルニル、及び0.37gの開始剤2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)141)を添加した。全体を90℃で1.5時間保持した。
ついで、90℃で30分、上述の混合物に、19.5gのMPTS、1.5gのアクリル酸及び0.29gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを添加した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全体を25℃まで冷却した。
イソドデカンにポリマーの乾燥物質が入った55.4%溶液を得た。前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、シリコーンモノマー及びアクリル酸を含有する第2のブロックを含む。
【0082】
実施例8
250mlの三口フラスコに30gのイソドデカンを入れ、ついで90℃まで加熱した。30分の間隔で、9gのメタクリル酸イソボルニル、及び0.37gの開始剤2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)141)を添加した。全体を90℃で1.5時間保持した。
ついで、90℃で30分、上述の混合物に、21gのMPTS及び0.28gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを添加した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全体を25℃まで冷却した。
イソドデカンにポリマーの乾燥物質が入った52.3%溶液を得た。前記ポリマーは、メタクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、シリコーンモノマーを含有する第2のブロックを含む。
【0083】
実施例9
250mlの三口フラスコに30gのイソドデカンを入れ、ついで90℃まで加熱した。1時間の間隔で、10.5gのアクリル酸イソボルニル、10.5gのメタクリル酸イソボルニル、及び0.19gの開始剤tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノアート(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)21S)を添加した。全体を90℃で1.5時間保持した。
ついで、90℃で30分、上述の混合物に、8.25gのMPTS、0.75gのアクリル酸、及び0.13gのトリゴノックス21Sを添加した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全体を25℃まで冷却した。
イソドデカンにポリマーの乾燥物質が入った54.6%溶液を得た。前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、シリコーンモノマー及びアクリル酸を含有する第2のブロックを含む。
【0084】
比較例(本発明の一部でない)
1リットルの反応器に100gのイソドデカンを入れ、ついで、温度を上昇させ、1時間で、室温(25℃)から90℃まで上昇させた。
次に、90℃で1時間、105gのアクリル酸イソボルニル、105gのメタクリル酸イソボルニル、110gのイソドデカン、及び1.8gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(アクゾ・ノーベル社のトリゴノックス(登録商標)141)を添加した。混合物を90℃で1時間30分保持した。
次に、90℃のまま30分、上述の混合物に、90gのアクリル酸イソブチル、90gのイソドデカン、及び1.2gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを添加した。混合物を90℃で3時間保持し、ついで、全体を冷却した。
イソドデカンにポリマー活性物質が入った50%溶液を得た。前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソボルニルを含有する第1のブロックと、アクリル酸イソブチルを含有する第2のブロックを含む。
【0085】
実施例10
上で調製された実施例1から9の本発明のポリマーと、比較ポリマーを用いて得られた皮膜を評価する。
皮膜:ポリマーの皮膜のみの粘着性、光沢及び脆さを、目視検査により測定する。
ポリマーの光沢、粘着性(オリブ油に対する耐性)及び内部応力を、上述の方法に従い測定する。
【0086】
次の結果が得られる:
【表1】

【表2】

【表3】

A. Isob.:アクリル酸イソボルニル
M. Isob.:メタクリル酸イソボルニル
MPTS:メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
AA.:アクリル酸
A.Ibut.:アクリル酸イソブチル
DE:乾燥抽出物
【0087】
実施例11
以下のようにして、ファンデーションを調製する:
− 顔料(A3相)をシクロペンタシロキサンにおいて、3式ローラーミルで3回挽き;
− A1相の成分を、モリズ混合機(Moritz mixer)を用いて室温で混合し、ついで、A2、A3、A4及びA5相を添加し、各相の間を気を付けて十分にホモジナイズし、必要であるならば、攪拌速度を速め;
− ついでB相を漸次添加し、必要であるならば攪拌速度を速め、10分混合し続ける。
【0088】
【表4】

顔に適用されるこのファンデーション組成物は、快適感及びマットな外観において満足のいく特性を付与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも一の第1のブロックと、少なくとも一の第2のブロックを含有し、ブロックの少なくとも一が、単独で又は混合物として、以下のモノマー:
−(i)エステル基が、次の式:
【化1】

[上式中:
−R1=H又はメチルであり;
−R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよく、C-Cアルキル基又は-OSi(R5)基を表し、ここでR5=メチル又はエチルであり;
−nは1〜10の整数である]
のシラン類及び/又はシロキサン類を含むエチレン性モノマー;
−(ii)次の式:
【化2】

[上式中:
−R8は、水素原子又はメチル基を示し;
−R9は、直鎖状又は分枝状で、1〜10の炭素原子を有し、場合によっては一又は二のエーテル結合-O-を有する二価の炭化水素基を示し;
−R10は、直鎖状又は分枝状で、1〜10の炭素原子を有するアルキル基を示し;
−nは、1〜300の範囲の整数を示す]
を有するPDMSマクロモノマー、又はモノアクリロイルオキシ又はモノメタクリロイルオキシ末端基を有するポリジメチルシロキサン類;
−(iii)エステル基が、次の式:
【化3】

[上式中:
−R1=H又はメチルであり;
−nは1〜10の整数であり;
−R'2、R''2、R'3及びR''3は同一でも異なっていてもよく、CからC10のアルキル基を表し;
−R3はCからC10の二価のアルキレン基であり;
−iは1〜10の整数であり;
−i=2〜10である場合、X(i)は同一又は異なっており、-R4-Si-[O-(R'3)(R''3)-X(i−1)]基を表し、ここでR4は同一又は異なっており、CからC10の二価のアルキレン基を表し;
−X(1)はH又はC-C10アルキル基を表す]
のデンドリマーカルボキシシランを含むエチレン性モノマー;
−(iv)POSS又はPOS型の次の構造:
【化4】

[上式中、Rは同一又は異なっており、直鎖状のCからC10のアルキル基、又は環状のCからC12のアルキル基ある]
のエチレン性モノマー;
から選択される少なくとも一のシリコーンモノマーを、該ブロックの重量に基づき35〜100重量%含有している、化粧品用又は製薬用組成物。
【請求項2】
シリコーンモノマーが、単独で又は混合物として:
− (メタ)アクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、(メタ)アクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、
− (メタ)アクリルオキシメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、(メタ)アクリルオキシメチルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、
− (メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン;
− R1がH又はメチルを表す次の式:
【化5】



のモノマー;
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
シリコーンモノマーが、ポリマーの全重量の20〜90重量%である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリマーが、一又は複数の選択される炭素含有モノマーを10〜80重量%、さらに含有している、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
炭素含有モノマー又はモノマー類が、単独で又は混合物として、次のモノマー:
− 式CH=C(CH)-COOR1
[上式中、R1は、直鎖状又は分枝状のC-C22アルキル基;又は8〜30の炭素原子を有する環状のアルキル基を表し;又はR1はtert-ブチル基を表す]
のメタクリラート類;
− 式CH=CH-COOR2
[上式中、R2は、直鎖状又は分枝状のC-C22アルキル基;又は8〜30の炭素原子を有する環状のアルキル基を表し;又はR2はイソブチル基を表す]
のアクリラート類;
− 式CH=C(CH)-CONR3R4又はCH=CH-CONR3R4
[上式中、R3は、水素原子又は直鎖状又は分枝状のC-C12アルキル基を表し、R4は、直鎖状又は分枝状のCからC12のアルキル基を表す]
の(メタ)アクリルアミド類;
− 式CH=C(CH-COO(CH)-CH)COO(CH)-CH
[上式中、nは5以上の整数である]
のイタコン酸ジ-n-アルキル類;
− 式CH=CHOCOR5
[上式中、R5は直鎖状又は分枝状のCからC22のアルキル基を表す]
のビニルエステル;
− 式CH=CH-OR6
[上式中、R6は8〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す]
のビニルエーテル;
− ビニル又は(メタ)アクリラート基から選択される重合性末端基を有する、直鎖状又は分枝状の(メタ)アクリル酸C-C22アルキルのホモポリマー及びコポリマー;
− (メタ)アクリラート末端基等の、エチレン性不飽和を含む末端基を有するポリオレフィン類;
から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
選択される炭素含有モノマーが、単独で又は混合物として、ラウリル、ベヘニル、ステアリル、イソボルニル、又はtert-ブチルのメタクリラート;ラウリル、ベヘニル、2-エチルヘキシル、ステアリル、イソボルニル、イソブチルのアクリラート;モノ(メタ)アクリラート末端基を有するポリ(アクリル酸ドデシル)又はポリ(エチル-2-ヘキシルアクリラート)をベースにしたマクロモノマー;(メタ)アクリラート反応性末端基を有するエチレン/ブチレン及びエチレン/プロピレンのマクロモノマーから選択される、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項7】
ポリマーが、単独で又は混合物として、次のモノマー:
−(i)2〜10の炭素を有するエチレン性炭化水素;
−(ii)式:CH=CHCOOR'又はCH=C(CH)COOR'
[上式中、R'は:
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜7の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基がヒドロキシル基又はハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよいもの;
− C-Cシクロアルキル基;
− C-C20アリール基;
− C-C30アラルキル基(C-Cアルキル基);
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を含み、環が芳香族又は非芳香族である4から12の環員を有する複素環基;
− ヘテロシクロアルキル(C-Cアルキル)基;
を表し、ここで該シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基が、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい直鎖状又は分枝状のC1−4アルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基がヒドロキシル基又はハロゲン原子から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよく、
− R'は、m=5〜150であり、R''=H又はC-C30アルキルである-(CO)-R''基であってもよい]
の(メタ)アクリラート類、又はメタクリル酸イソブチル又はtert-ブチルアクリラート;
−(iii)次の式:
【化6】

[上式中、RはH又はメチルを示し;R及びRは同一でも異なっていてもよく:
− 水素原子;
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基がヒドロキシル基、ハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよいもの;
− C-C12シクロアルキル基;
− C-C20アリール基;
− C-C30アラルキル基(C-Cアルキル基);
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を有し、環が芳香族又は非芳香族である4から12の環員の複素環基;
− ヘテロシクロアルキル(C-Cアルキル)基;
を表し、ここで該シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい直鎖状又は分枝状のC1−アルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基はヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよい]
の(メタ)アクリルアミド類;
−(iv)次の式:
CH=CH-R、CH=CH-CH-R又はCH=C(CH)-CH-R
[上式中、Rはヒドロキシル基、ハロゲン、NH、R14がフェニル基又はC-Cアルキル基を表すOR14;アセトアミド(NHCOCH);R15が2〜7の炭素を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を表すOCOR15基;又は
− O、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基で;該アルキル基がヒドロキシル基、ハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよいもの;
− C-C12シクロアルキル基;
− C-C20アリール基;
− C-C30アラルキル基(C-Cアルキル基);
− O、N及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子を有し、環が芳香族又は非芳香族である4から12の環員を有する複素環基;
− ヘテロシクロアルキル(C-Cアルキル)基;
で、該シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環又はヘテロシクロアルキル基が、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及びO、N、S及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい、1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基から選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アルキル基がヒドロキシル基及びハロゲン原子から選択される一又は複数の置換基でさらに置換されていてもよいもの、
から選択される基である]
のビニル化合物;
−(v)少なくとも一のカルボン酸、リン酸又はスルホン酸官能基、又は無水物を有するエチレン性不飽和を含むモノマー、特にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、及びそれらの塩;
−(vi)少なくとも一の第3級アミン官能基を有するエチレン性不飽和を含むモノマー、特に2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、及びそれらの塩;
から選択される、少なくとも一の付加的なモノマーをさらに含有している、請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
付加的なモノマーが、単独で又は混合物として、(メタ)アクリル酸、及びC-Cアルキル又はC-Cシクロアルキルの(メタ)アクリラート、特にメタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル;アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸及びメタクリル酸から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1及び第2のブロックが、前記第1のブロックを構成する少なくとも一のモノマーと、前記第2のブロックを構成する少なくとも一のモノマーを含む中間ブロック(又は配列)により結合している、請求項1から8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
体又は顔の皮膚、唇、爪、睫毛、眉毛及び/又は毛髪の手入れ及び/又はメークアップのための製品、サンタン又は自己サンタンのための製品、毛髪の手入れ、トリートメント、成形、メークアップ又は着色のための製品の形態である、請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
顔又は体の皮膚、唇、爪、睫毛、眉毛及び/又は毛髪等のケラチン物質のメークアップ又は手入れ方法等の美容処理方法において、請求項1から10のいずれか1項に記載の化粧品用組成物を前記物質に適用することを含む方法。
【請求項12】
少なくとも一の第1のブロックと少なくとも一の第2のブロックを含有し、ブロックの少なくとも一が、単独で又は混合物として、以下のモノマー:
−(i)エステル基が、次の式:
【化7】

[上式中:
−R1=H又はメチルであり;
−R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよく、C-Cアルキル基又は-OSi(R5)基を表し、ここでR5=メチル又はエチルであり;
−nは1〜10の整数である]
のシラン類及び/又はシロキサン類を含むエチレン性モノマー;
−(ii)次の式:
【化8】

[上式中:
−R8は、水素原子又はメチル基を示し;
−R9は、直鎖状又は分枝状で、1〜10の炭素原子を有し、場合によっては一又は二のエーテル結合-O-を有する二価の炭化水素基を示し;
−R10は、直鎖状又は分枝状で、1〜10の炭素原子を有するアルキル基を示し;
−nは、1〜300の範囲の整数を示す]
を有するPDMSマクロモノマー、又はモノアクリロイルオキシ又はモノメタクリロイルオキシ末端基を有するポリジメチルシロキサン類;
−(iii)エステル基が、次の式:
【化9】

[上式中:
−R1=H又はメチルであり;
−nは1〜10の整数であり;
−R'2、R''2、R'3及びR''3は同一でも異なっていてもよく、CからC10のアルキル基を表し;
−R3はCからC10の二価のアルキレン基であり;
−iは1〜10の整数であり;
−i=2〜10である場合、X(i)は同一又は異なっており、-R4-Si-[O-(R'3)(R''3)-X(i−1)]基を表し、ここでR4は同一又は異なっており、CからC10の二価のアルキレン基を表し;
−X(1)はH又はC-C10アルキル基を表す]
のデンドリマーカルボキシシランを含むエチレン性モノマー;
−(iv)POSS又はPOS型の次の構造:
【化10】

[上式中、Rは同一又は異なっており、CからC10の直鎖状、又はCからC12の環状のアルキル基である]
のエチレン性モノマー;
から選択される少なくとも一のシリコーンモノマーを、該ブロックの重量の35〜100重量%含有しているブロック(コ)ポリマー。
【請求項13】
請求項12に記載のポリマーの調製方法において、前記ポリマーが、次の調製方法:
− 重合溶媒の一部を適切な反応器に入れ、重合に適した温度(典型的には60〜120℃)まで加熱し;
− 前記温度に到達したら、第1のブロックを構成するモノマーを重合開始剤の一部存在下で添加することができ;
− 好ましくは90%の最大転化率に相当する時間Tの後、第2のブロックを構成するモノマーと残りの開始剤を添加し;
− 混合物を時間T'(特に3〜6時間の範囲)の間、反応させた後、混合物を室温(25℃)に戻して、重合溶媒中に溶解したポリマーを得る;
によるラジカル溶液重合によって得る方法。

【公開番号】特開2008−174541(P2008−174541A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−297869(P2007−297869)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】