説明

新規プロテアソーム活性化抗加齢ペプチドおよびそれを含む組成物

本発明は、一般式I
R1 - X1 - X2 -Asp - Cys - Arg - X3 -X4 - (AA)p - R2
のペプチド化合物に関する。さらに本発明は、一方で化粧品としてもしくは薬理学的に許容可能な媒体中に少なくとも1つの一般式Iのペプチドを含む化粧品または薬剤組成物、もう一方で加齢および光による加齢の皮膚兆候を予防もしくは処置する、ならびに紫外線照射による侵害から皮膚を防止するその利用に関する。最後に、本発明は加齢および光による加齢の皮膚兆候を予防もしくは対処することを意図する化粧処理プロセスに適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗加齢活性成分および特に化粧品におけるそれらの使用の分野に関する。より詳細には、本発明は、以下の一般式のペプチド化合物:
R1 - X1 - X2 -Asp - Cys - Arg - X3 -X4 - (AA)p - R2
に関する。
【0002】
さらに本願発明は、加齢、光による加齢(photo-aging)およびケラチン付属物(keratinous appendage)の効果を防止および/または較正するため、ならびに紫外線照射による侵害に対して皮膚を保護するための化粧品および/または薬剤におけるそれらの適用にも関する。
【背景技術】
【0003】
加齢は、ある年齢から生体の構造および機能を改変する、すべての生理学的および心理学的プロセスに相当する。2つのタイプの加齢が識別され、第一は固有の加齢であり、第二は外因性の加齢である。固有の加齢は、疲労、ストレス、および妊娠のようなホルモン変化などの状態の間に生じる遺伝学的因子および生化学的改変による。外因性の加齢は、汚染、日光、疾病などのような、その生涯を通じて生体がさらされる、環境因子による。加齢は、異なる手段により生体の全ての細胞に影響を与える遅延性かつ進行性のプロセスであり、異なる方法で明らかになる。例えば、皮膚のレベルにおいて、皮膚の外見が、種々のタイプの内因性または外因性侵襲により改変され、その後しわおよび微細なしわ、高色素沈着または低色素沈着のしみ、皮膚の乾燥もしくは脱水、表皮の薄化、弾性線維症、不完全性、加齢斑などが現れるであろう。これらの変化の全ては、皮膚だけではなく爪及び髪のようなケラチン性付属物にも影響を及ぼす。これらの改変は、他の原因のうち、細胞更新および細胞接着機能の変化、ならびにコラーゲン、エラスチンおよび他のタンパク質の合成によるものであり、最終的に皮膚の保護バリアー性質の低下、ならびに皮膚の美観的に不快な外見に至る。しかし、細胞の加齢が依存する主なプロセスの一つは、間違いなく細胞中における損傷タンパク質の蓄積である。実際、タンパク質は、その発生が年齢とともに強力に増大する現象である、酸化、糖化および脂質の過酸化による生成物との接合のような種々の異常な翻訳後修飾の標的物である。
【0004】
遊離ラジカルが、加齢プロセスに、特に酸化され、損傷を受けたタンパク質の形成に、重要な役割を果たすことが知られている(Harman et al. “Aging: a theory based on free radical and radiation chemistry” J. Gerontol., 11, 298-300)。そして損傷タンパクの蓄積により、これらのタンパク質の除去に関わるタンパク質分解システムの有効性、特に改変タンパク質、特に酸化物の除去のみならず、細胞内タンパク質の連続的更新に関わるプロテアソームシステムの有効性の問題が提示される。
【0005】
ユビキチン−プロテアソーム経路は、非常に多くの数の生物学的プロセスにおいて基本的な役割を果たしている。実際に、プロテアソームによるタンパク質の分解メカニズムは、DNA修復、遺伝子発現コントロール、細胞サイクル進行制御、新規合成タンパク質品質コントロール、アポトーシスまたは免疫応答のような重要な細胞のメカニズムに関わっている(Glickman and Ciechanover, 2002)。
【0006】
プロテアソームは、細胞質および核の中に存在する非常に巨大なサイズの多タンパク質複合体である。精製形態のプロテアソームは、2つの巨大なサブユニット、一方で20Sプロテアソームと呼ばれるタンパク質分解コア、もう一方で20Sプロテアソームの2つの末端それぞれに結合した19S制御複合体を含む。20Sプロテアソームは、中空で円筒形の粒子であり、28個のアルファおよびベータサブユニットからなり、4つの7量体リング状に分散している。ペプチダーゼ活性は、円筒の内部表面に存在し、他にアロステリックに影響を及ぼす。3種類のタンパク質分解活性(「トリプシン、キモトリプシン、およびカスパーゼ様」)が20Sプロテアソームに関連しており、タンパク質が3から20アミノ酸の不活性ペプチドに破壊されることを助ける。20Sプロテアソームに加えて、26Sプロテアソームは、0.7MDaで、およそ20個のサブユニットから構成される19S制御複合体を含む。最近の免疫精製実験により、他のタンパク質が、20Sプロテアソームおよび19Sに結合するであろうこと(例えば、11S制御複合体)が示されている。
【0007】
タンパク質分解を介してコントロールされる細胞プロセスの多様性を鑑みて、ユビキチン−プロテアソーム経路代替物が、複数の遺伝的疾患、結腸癌、リンパ腫、炎症性症候群、またはパーキンソン病もしくはアルツハイマー病のような神経変性疾患のような無数のヒト病理の、原因である、あるいは密接に関連していることを観察することは、驚くことではない。
【0008】
最近数年間に実行された研究により、加齢をプロテアソーム活性と関連付けることが可能となっている。実際、年齢とともに、酸化されたタンパク質の蓄積が増大する一方、プロテアソームシステムの有効性の低下が観察される(Petropoulos et al., J. Gerontol. A. Biol. Sci. 2000, 55A:B220-7)。このプロテアソームシステム有効性の低下は、実際にプロテアソーム量の減少によるものである。これらの結果は、100歳以上の個人と若い個人の細胞におけるプロテアソームの量および活性に適用する研究の結果により確認されている(Chondrogianni et al., Exp. Gerontol. 2000; 35:721-8)。これらの研究、ならびに多数の他の研究により、加齢とプロテアソーム活性の間の連動が示され、皮膚またはケラチン付属物細胞におけるプロテアソーム発現の誘導は、加齢において有益な影響を有し、加齢を遅らせさえすると考えられるであろう。
【0009】
加齢を防止または遅延させる観点から、「天然」化粧品組成物が提案されている。例えば、フランス国特許第2822701号には、プロテアソーム活性を促進するファエダクチウム(phaeodactylum)藻類の抽出物をベースとする組成物が開示されている。あるいは、フランス国特許出願第2898808号には、さらにプロテアソームを活性化する、微藻類の抽出物およびアルギニンフェルレート(arginine ferrulate)を含む組成物の利用が記載されている。他の組成物は、抗加齢効果を有するようプロテアソーム活性を制御することができる化学的化合物を含む。これらの組成物は、特許出願WO 2006/105811、あるいはWO 2005/061530に記載されている。しかし、提案されるペプチド化合物は、巨大なサイズを呈し、そのようにそれらを化粧品の分野で使用することが困難である。それゆえ、特に化粧品産業において、プロテアソームアクチベーターとして有効で、より小さいサイズを呈する新規の化合物に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】フランス国特許第2822701号
【特許文献2】WO 2006/105811
【特許文献3】WO 2005/061530
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Harman et al. “Aging: a theory based on free radical and radiation chemistry” J. Gerontol., 11, 298-300
【非特許文献2】Glickman and Ciechanover, 2002
【非特許文献3】Petropoulos et al., J. Gerontol. A. Biol. Sci. 2000, 55A:B220-7
【非特許文献4】Chondrogianni et al., Exp. Gerontol. 2000; 35:721-8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、出願人が、式R1 - X1 - X2 -Asp - Cys - Arg - X3 -X4 - (AA)p - R2の化合物が、プロテアソームを活性化することができたこと、そして加齢の皮膚の兆候、ならびに紫外線照射による侵害を防止または処置するために有益であろうことをいかにして発見したかということである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
結果的に、本発明の第一の目的は、一般式I
R1 - X1 - X2 -Asp - Cys - Arg - X3 -X4 - (AA)p - R2
のペプチド化合物であり、式中、
X1はアスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニンを表すか、ゼロに等しく、
X2はアルギニン、ロイシン、イソロイシンを表すか、ゼロに等しく、
X3はアルギニン、リジンを表すか、ゼロに等しく、
X4はアルギニン、プロリン、ヒスチジン、リジンを表すか、ゼロに等しく、
AAはシステインを除外して任意のアミノ酸またはその誘導体の一つを表し、かつ
pは0から2までの整数であり、
R1は、N末端アミノ酸の一次アミノ官能基を表し、遊離基であるか、あるいはアセチル基、ベンゾイル基、トシル基またはベンジルオキシカルボニル基から選択されてよい保護基により置換されており、
R2は、C末端アミノ酸のカルボキシル官能基の水酸基を表し、遊離基であるか、あるいはC1からC20アルキル鎖、またはYがC1からC4のアルキル鎖を表すNH2、NHY,もしくはNYY基から選択されてよい保護基により置換されており、
一般式Iの前記配列は、3から9残基のアミノ酸で構成されており、
一般式Iの前記配列は、他の化学的に同等なアミノ酸による、アミノ酸X1、X2、X3、およびX4の置換を含んでよい。
【0014】
本発明の第二の目的は、活性成分として式Iの前記ペプチド化合物を含む化粧品組成物である。さらに、本発明の第三の目的は、加齢および光による加齢の皮膚の兆候を防止および/または処置し、損傷を受けたタンパク質のプロテアソームによる分解を改善するための、式Iの前記ペプチド化合物を含む化粧品組成物の使用である。
【0015】
最後に、本発明の第四の目的は、式Iの前記ペプチド化合物を含む化粧品組成物を使用することにより処置する、皮膚またはケラチン付属物の化粧上の処置方法である。
【0016】
本発明の目的は、以下の一般式Iの
R1 - X1 - X2 -Asp - Cys - Arg - X3 -X4 - (AA)p - R2
のペプチド化合物であり、式中、
X1はアスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニンを表すか、ゼロに等しく、
X2はアルギニン、ロイシン、イソロイシンを表すか、ゼロに等しく、
X3はアルギニン、リジンを表すか、ゼロに等しく、
X4はアルギニン、プロリン、ヒスチジン、リジンを表すか、ゼロに等しく、
AAはシステインを除外して任意のアミノ酸またはその誘導体の一つを表し、かつ
pは0から2までの整数であり、
R1は、N末端アミノ酸の一次アミノ官能基を表し、遊離基であるか、あるいはアセチル基、ベンゾイル基、トシル基またはベンジルオキシカルボニル基から選択されてよい保護基により置換されており、
R2は、C末端アミノ酸のカルボキシル官能基の水酸基を表し、遊離基であるか、あるいはC1からC20アルキル鎖、またはYがC1からC4のアルキル鎖を表すNH2、NHY,もしくはNYY基から選択されてよい保護基により置換されており、
一般式Iの前記配列は、3から9残基のアミノ酸で構成されており、
一般式Iの前記配列は、他の化学的に同等なアミノ酸による、アミノ酸X1、X2、X3、およびX4の置換を含んでよい。
【0017】
本発明によるペプチド化合物は、前記化合物によりプロテアソーム活性を増大させることができることを特徴とする。
【0018】
「プロテアソーム活性を増大させることができる」ペプチド化合物は、(遺伝子発現の直接の、もしくは間接的な制御により)プロテアソームサブユニットのタンパク質合成を増大する、または、プロテアソームを構成するサブユニットを安定化する、もしくはRNAメッセンジャー転写物を安定化するように、他の生物学的プロセスにより、プロテアソーム活性を増大させることができる、いずれかの生物学的活性ペプチドまたは誘導体を指すと理解される。
【0019】
本発明によるペプチド化合物は、損傷を受けたタンパク質のプロテアソームによる分解を活性化することを特徴とする。「損傷を受けたタンパク質」は、活性種の酸素(フリーラジカル)による酸化反応を受けたタンパク質、糖化、もしくは脂質過酸化による生成物に接合したタンパク質などを指すと理解される。
【0020】
第一の好ましい実施態様において、ペプチド化合物は、アミノ末端のアシル化により、またはアセチル化により保護されている。
【0021】
formulae:
第二の好ましい実施態様において、ペプチド化合物は、以下の式の一つに対応する:
(配列番号1) Asp - Cys -Arg - NH2
(配列番号2) Asp - Cys -Arg - Lys
(配列番号3) Glu -Leu - Asp -Cys -Arg - Lys - NH2
(配列番号4) Ser - Asp -Cys -Arg - His - Pro
(配列番号5) Arg - Asp -Cys -Arg - Arg - Phe - NH2
【0022】
優先的には、本発明によるペプチド化合物は、配列番号1、すなわちAsp -Cys -Arg - NH2に対応する。
【0023】
別の好ましい実施態様において、本発明によるペプチド化合物は、配列番号4、すなわちSer - Asp -Cys -Arg - His - Proに対応する。
【0024】
本発明はまた、これらの配列の相同的形態にも関連する。「相同的(homologous)」の語は、本発明によれば、配列番号1から配列番号5の配列の中から選択される、前記配列に少なくとも50%、もしくは好ましくは少なくとも80%、より優先的には少なくとも90%、同一であるいずれかのペプチド配列を指す。「少なくともX%同一であるペプチド配列」は、2つの配列の最適なアラインメント後に得られる、2つの配列のアミノ酸残基の間の同一なパーセンテージを指すものと理解される。最適なアラインメントは、NCBIサイトで利用可能なBLAST Pコンピューターソフトウェアにより使用されるもののような、局所ホモロジーアルゴリズムを使用して得られる。
【0025】
「相同的」の語は、化学的に同等なアミノ酸の置換による、すなわち、同じ特徴を有する別の残基による残基の置換による、配列番号1から配列番号5の配列のペプチド配列とは異なるペプチドを指してもよい。そして、慣用的な置換は、Ala, Val, LeuおよびIleの間;Ser およびThrの間;酸性残基Asp およびGluの間;Asn およびGlnの間;ならびに塩基性残基Lys およびArgの間;または芳香性残基Phe およびTyrの間に起きる。
【0026】
本発明によるペプチドを構成するアミノ酸は、左旋性すなわちL-、および/または右旋性すなわちD-構造であってよい。本発明によるペプチドは、L-、D-またはDL-形態であってよい。
【0027】
「ペプチド」または「ペプチド化合物」の語は、ペプチド連結により、または修飾ペプチド連結により内部連結される2個以上のアミノ酸の連結を指す。「ペプチド」または「ペプチド化合物」は、タンパク質分解により得られるか合成して得られるいずれかの、上述された本発明の天然もしくは合成ペプチド、あるいはその配列が上述のペプチドの配列により部分的もしくは全体的に構成される天然もしくは合成ペプチドを指すと理解される。
【0028】
分解に対する抵抗性を改善するために、本発明によるペプチドの保護形態を使用することが必要であるかもしれない。保護形態は、明確に生物学的に適合可能な形態でなければならず、かつ化粧品または薬物の分野における使用に適合可能でなければならない。
【0029】
多数の形態の生物学的に適合可能な保護が考慮されてよい。それらは、例えば、アミノ末端および/またはカルボキシ末端のアシル化もしくはアセチル化のように、当業者に公知である。そして、本発明は、上述のような、配列番号1から配列番号5のペプチドが、単純に、または二重に保護された形態にある事実を特徴とする組成物に関する。好ましくは、YがC1からC4のアルキル鎖を表すNYY基による、カルボキシ末端の水酸基のアミド化、あるいはアルキル基によるエステル化に基づく保護を利用する。ペプチドの二個の末端を保護することもまた可能である。
【0030】
本発明の式Iのペプチドを、構成アミノ酸またはその誘導体から、(固相または均一な液相において)慣用的な化学合成により、あるいは酵素的合成により取得してよい。
【0031】
本発明によるペプチドは、天然または合成起源であってよい。優先的には、本発明によれば、ペプチドは、化学合成により取得される。
【0032】
最後に、活性成分は、単一のペプチド、ペプチドの混合物、またはペプチド誘導体であってよく、および/またはアミノ酸誘導体から構成されてよい。
【0033】
本発明によるペプチド化合物を、医薬として利用してよい。
【0034】
本発明の第二の目的は、活性成分として一般式Iの前記ペプチド化合物を含む化粧品組成物に関する。好ましくは、本発明による組成物は、化粧品として許容される媒体を含む局所適用に適する形態で存在する。「化粧品として許容される」は、毒性、非適合性、不安定、アレルギー反応または他の二次効果の危険を伴わないで、皮膚に、もしくはケラチン付属物に接触して使用するのにてきする媒体を指すと理解される。優先的には、前記ペプチド化合物は、およそ0.0005から500 ppmの濃度で、優先的には0.01 から5 ppmの濃度で組成物中に存在する。本発明による組成物において、ペプチド化合物は、水、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシ化ジエチレングリコール、もしくはプロポキシ化ジエチレングリコール、環状ポリオール、白色ワセリン、植物油またはこれらの溶媒の混合物のいずれかのような、1種以上の溶媒中に可溶化される。
【0035】
別の有利な実施態様によれば、本発明による活性成分は、リポソームのような化粧品または薬剤担体中に可溶化される、あるいは粉末有機ポリマー、タルクおよびベントライトのような金属支持体上に吸着される、およびより一般的には、いずれかの生理学的に許容可能な担体中に可溶化されるか、その上に固定される。
【0036】
皮膚上に適用されることが意図される組成物は、水性もしくは含水アルコール溶液、油中水もしくは水中油エマルジョン、マイクロエマルジョン、水性もしくは無水ゲル、血清、または他のビヒクル分散物の形態、パッチ、クリーム、スプレー、軟膏、ポマード、ローション、コロイド、溶液、懸濁物あるいは他の形態で存在してよい。組成物はまた、ブラシもしくは櫛により、特に睫毛、眉毛もしくは髪に適用されるシャンプー、ヘアーティント(hair tint)、またはマスカラ、あるいはマニキュア液のような爪処理物の形態で上皮付属物上に適用されてもよい。
【0037】
特定の実施態様において、本発明による組成物はまた、前記ペプチド化合物の作用を促進する、少なくとも一つの他の活性成分を含んでよい。非限定的に、以下のクラスの成分が引用される:他のペプチド活性剤、植物抽出物、瘢痕形成薬、抗加齢剤、抗しわ剤、緩和剤、抗ラジカル剤、抗UV剤、真皮巨大分子の合成またはエネルギー代謝の刺激剤、保湿剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症剤、麻酔剤、皮膚分化制御剤、色素沈着もしくは脱色素剤、爪もしくは髪増殖促進剤。優先的には、抗ラジカル剤もしくは抗酸化剤のような、抗しわ分野における活性を提示する薬剤、または真皮巨大分子合成刺激剤、あるいはエネルギー代謝の刺激剤が利用されるであろう。特に、活性成分は、ビタミン、フィトステロール、フラボノイド、DHEA、および/またはその前駆体の一つ、またはその化学的もしくは生物学的誘導体の一つ、メタロプロテアーゼインヒビターまたはレチノイドの中から選択される。さらに、増粘剤、乳化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、芳香剤、抗酸化剤、膜形成剤、キレート化剤、封鎖剤、コンディショナーなどのような添加剤を組成物に添加してもよい。
【0038】
全ての場合において、当業者は、本発明による組成物の所望の有利な特性を損なわないように、これらのアジュバントならびにそれらの比率を選択することを確認するであろう。これらのアジュバントは、例えば、組成物の総重量の0.01から20%の範囲であってよい。本発明の組成物がエマルジョンである場合、脂肪相は、組成物の総重量の5から80重量%、好ましくは5から50重量%を占めてよい。組成物中で利用される乳化剤および共乳化剤は、考慮される分野で慣用的に利用されるものの中から選択されるであろう。例えば、それらは、組成物の総重量にたいして0.3から30重量%の比率で利用されてよい。
【0039】
最後に、本発明は、プロテアソーム活性を増大させ、損傷を受けたタンパク質のプロテアソームによる分解を改善するために前記ペプチド化合物を含む組成物に関する。
【0040】
本発明の第三の目的は、加齢および光による加齢の皮膚の兆候を防止および/または処置するための、前記ペプチド化合物および化粧品として許容可能な媒体を含む化粧品組成物の利用に関する。
【0041】
「加齢の皮膚の兆候」は、それに限定されないが、加齢に起因する、皮膚上に見える全ての兆候を含む。特に、これは、しわ、深くかつ荒いしわ、細かいしわ、引っかき傷、たるんだ皮膚および皮下組織、皮膚の弾性の喪失および弛緩、皮膚の堅固さおよび緊張の喪失、ならびに皮膚の萎縮を指すと理解される。さらに、「加齢の皮膚の兆候」はまた、真皮および上皮における、拡大した孔、欠陥、しみ、加齢斑、角化症、コラーゲンの喪失ならびに他の変化、ならびに、例えば上皮の角質層の表面的な荒れのような、加齢による皮膚およびケラチン付属物の外観におけるいずれかの改変、ならびに例えば真皮の薄化のような、体系的な改変した外観をもたらさない皮膚の内部改変を指すと理解される。「光による加齢」は、長くかつ累積した日光への暴露に起因する皮膚の早期加齢を指すと理解される。
【0042】
そして本発明は、しわ、深くかつ荒いしわ、細かいしわ、引っかき傷、たるんだ皮膚および皮下組織、皮膚の弾性の喪失および弛緩、皮膚の堅固さおよび緊張の喪失、ならびに皮膚の萎縮を処置または防止するための組成物の利用に関する。さらに、本発明による前記組成物は、細胞更新を活性化し、細胞を完全にクリーンにする。
【0043】
本発明の他の目的は、紫外線照射による侵襲から皮膚を保護するための本発明による組成物の利用に関する。最後に、本発明は、プロテアソーム活性を増大させ、損傷を受けたタンパク質のプロテアソームによる分解を改善するための、ペプチド化合物を含む組成物の利用に関する。
【0044】
本発明の最後の目的は、有効量の本発明のペプチド化合物を含む組成物を、処理される皮膚またはケラチン付属物に局所的に適用し、加齢および光による加齢の皮膚の兆候を予防および/または処置することを特徴とする化粧処理方法に関する。さらに、この化粧処理方法は、細胞更新サイクルの間に細胞及び皮膚をクリーンにするように、就寝前に組成物を適用することを特徴とする。実際に、夜の間、皮膚は、更新機能ならびに代謝合成プロセスを優先させる。結果的に、皮膚の生物学的リズムを示すことにより、特許請求の範囲の組成物の適用は、細胞更新および得られる再生効果をを活性化し、刺激することを可能とする。
【0045】
以下の実施例に、本発明によるペプチド化合物の有効性が記載され、実証されるが、本発明を制限すると理解されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0046】
実施例1:加齢ケラチノサイトモデルの評価:加齢ケラチノサイトにおけるユビキチン化タンパク質および20Sプロテアソームのイムノブロット
培養中におけるケラチノサイトの加齢プロセス
通常ヒトケラチノサイト(NHK)細胞を、ヒト皮膚生検から単離する。これらの細胞を、5 % CO2の加湿雰囲気下、37°Cで特別なケラチノサイト-SFM培地(Invitrogen)中の培養物中に維持する。加齢NHK細胞を、一連の繰り返しサブ培養を行うことにより取得する。簡単には、細胞を低密度で75 cm2フラスコ中に播種し、2世代の間、5から10日培養する。1週間あたり3回、培養培地中に直接活性成分を添加することにより、活性成分で細胞を処理する、あるいは処理しない。その後細胞をこれらの条件下で45日間維持する。
【0047】
加齢ケラチノサイトにおけるユビキチン化タンパク質および20Sプロテアソームのイムノブロット
我々のモデルを評価するために、最初に培養物中で実験的に加齢かしたケラチノサイトにおいて、文献に従って、ユビキチン化タンパク質発現のレベル、ならびに20Sプロテアソームのレベルが時間をかけて減少することが示されるべきである。これらのタンパク質の発現レベルをイムノブロット技術により評価した。イムノブロット(またはウェスタンブロット)技術は、細胞中で試験するタンパク質のレベル、すなわち、ユビキチン特異的抗体(DAKO)によるユビキチン化したタンパク質のレベル、ならびにプロテアソーム特異的抗体(CALBIOCHEM)による20Sプロテアソームのレベルを決定することを可能とする半定量法である。
【0048】
プロトコール
加齢ケラチノサイトを、10、20、30、および40日、5 % のCO2を含む加湿雰囲気中、37°Cで75 cm2フラスコ中に培養する。細胞は、実験の日には処理しない。細胞を洗浄し、その後プロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma)の存在下で抽出バッファー(20 mM TRIS, 150 mM NaCl, 10 mM EDTA, 0.2 % Triton X10)を使用して支持体から脱着させた。そして抽出したタンパク質を、10000 rpm、4°Cで10分間遠心し、その後BCAプロテインアッセイキット(Pierce)によりアッセイした。細胞溶解物を、変性バッファーと混合し、SDS-PAGE電気泳動にかける。使用したゲルは、Nupage 4-12%ゲル(Invitrogen)である。その後タンパク質を、ニトロセルロースメンブレン(Pal corporation)にトランスファーする。メンブレンを、PBS-ミルク5 %、0.1% tween 20中で2時間周辺温度で浸し、一次抗体と一晩4° Cでインキュベートする。
【0049】
ユビキチン化タンパク質実験用に、一次抗体は、1/500希釈で利用されるウサギ抗ユビキチン抗体(DAKO)であった。
【0050】
20Sプロテアソーム実験用に、一次抗体は、1/1000希釈で利用されるウサギ抗20Sプロテアソーム抗体(CALBIOCHEM)であった。
【0051】
一次抗体とインキュベーションした後、ユビキチン化タンパク質の場合、1/1000希釈した抗ウサギIgGペルオキシダーゼ二次抗体(IMMUNOTECH)とインキュベートし、プロテアソームの場合、1/1000希釈した抗マウスIgGペルオキシダーゼ二次抗体(IMMUNOTECH)とインキュベートする。化学発光基質で進行させた。細胞で発現したタンパク質の評価を、Chemiimagerソフトウェア(Alpha Innotech Corporation USA)により実行する。試験したタンパク質の定量を、実験の時間0におけるコントロール条件に比較した発光強度のパーセントで表現する。
【0052】
結果
加齢の間のケラチノサイトにおけるユビキチン化タンパク質のイムノブロット
【表1】

【0053】
加齢の間のケラチノサイトにおける20Sプロテアソームのイムノブロット
【表2】

【0054】
結論
出願人の加齢システムにおいて、培養時間に比例して、時間が経つにつれてユビキチン化タンパク質のレベルが減少することが示され、40日後、時間0に比較して、およそ56%の減少が記録された。同様に、出願人の加齢システムにおいて、培養時間に比例して、時間が経つにつれて20Sプロテアソームのレベルが減少することが示され、40日後、時間0に比較して、およそ54%の減少が記録された。
【0055】
表2の実験により、研究室において発生する実験的加齢が、培養物中の細胞における加齢の良好な試験モデルであることを結論付けることができた。そしてこのモデルをそれに続く実験で利用して、出願人の活性成分の活性および有効性を示してよい。
【0056】
実施例2:培養物中に維持される加齢ケラチノサイトにおける20Sプロテアソームの酵素活性の測定における、活性成分の活性効果の提示
培養物中に15日間維持される実験的な加齢ケラチノサイトを、配列番号1のペプチドで処理する。20Sプロテアソームの酵素活性をその後試験する。実際に、20Sプロテアソームは、酵素的加水分解に重要なサブユニットである。3個の酵素活性:トリプシン様、キモトリプシン様、およびペプチジルグルタミルペプチドヒドロラーゼ(PGPH)活性を試験してよい。各活性の特異的な酵素アッセイによるこれらの活性の試験が提案される。
【0057】
プロトコール
加齢ケラチノサイトを培養物中に15日間維持する。細胞処理を、1%の配列番号1のぺプチド溶液を、直接培地に添加することにより実行し、実験時間で1週間につき3回更新した。
【0058】
各活性のアッセイを、蛍光化合物7-アミド-4-メチルクマリン(AMC)により標識した特異的基質を利用することにより実行した。切断後、AMC励起波長は350nmであり、蛍光は440nmで測定される。蛍光強度は、得られる蛍光色素の量に比例し、その結果、この量は加水分解された基質の量に比例する。
【0059】
合成ペプチドBoc-Leu-Arg-Arg-AMCは、トリプシン活性に特異的である。合成ペプチドSuc-Leu-Leu-Val-Try-AMCは、キモトリプシン活性に特異的である。合成ペプチドZ-Leu-Leu-Glu-AMCは、ペプチジルグルタミルペプチドヒドロラーゼ活性に特異的である。
【0060】
これらのペプチドは、SIGMA ALDRICH, Saint-Louis, MI, USAにより提供され、標識される。
【0061】
細胞を、抽出バッファー中で支持体より脱着させる。その後、細胞を4°Cで1分間超音波破砕し、その後30分間、15000 g 、4°Cで遠心する。タンパク質アッセイを、BCAキット(Pierce)により実行する。細胞溶解物を、試験する活性に特異的な合成基質とインキュベートした後、Synergy分光光度計(BIOTEK, Vermont, USA) 440 nmで、蛍光を記録する。
【0062】
結果
試験した3つの活性に対して、配列番号1のペプチドが、20Sプロテアソームの酵素活性を増大させることができることが観察される。活性成分による処理の間、トリプシン様活性は155.3%増大し、キモトリプシン様活性は130%増大し、かつペプチジルグルタミルペプチドヒドロラーゼ活性に対して144.6%の増大が記録される。
【0063】
結論
培養物中で実験的に加齢したケラチノサイトにおいて、1%で利用される配列番号1のペプチドは、20Sプロテアソームの特異的酵素活性を増大させることができる。
【0064】
実験を複数回実行し、統計的検定(t-Student統計的検定)を実行しうる。活性の増大は、トリプシン様、キモトリプシン様活性の試験に対して有意であり(それぞれ、p=0.033および p=0.0477)、ペプチジルグルタミルペプチドヒドロラーゼ活性に対して顕著に有意である(p=0.00053)。
【0065】
実施例3:培養物中の加齢ケラチノサイトにおける活性成分の抗加齢効果の提示
活性成分の抗加齢効果の試験を、培養物中の実験的加齢ケラチノサイトにおけるベータガラクトシダーゼタンパク質の発現を評価することにより実行した。実際に、ベータガラクトシダーゼ活性は、老化細胞に存在することが知られている一方、ベータガラクトシダーゼ活性は、前老化、休眠、または不死細胞ではみられない。
【0066】
プロトコール
8ウェルラブテック(labteck)中で実験的に加齢したケラチノサイトを、配列番号1のペプチド1%の存在下または非存在下で、20日間培養及び維持する。培地に直接添加することにより、処理を1週間あたり3回実行する。
【0067】
非処理細胞を、同じ実験時間の間培養物中で維持し、コントロールとして使用する。標識する日、細胞をリンスし、2%グルタルアルデヒド-2%ホルムアルデヒド混合物中で3分間固定する。その後細胞をリンスし、300μlの一般にX-galと呼ばれる5-ブロモ-4-クロロ-3ヨードイル β-D-ガラクトシダーゼを適用する。CO2インキュベーター中で24時間インキュベートし、その後細胞をリンスし、ラブテックを適切な培地中に迅速にマウントする。透過顕微鏡により観察を行う。原理は単純である:細胞が休眠していてベータガラクトシダーゼ含む場合、X-gal基質は青い不溶性生成物に切断される。ベータガラクトシダーゼ活性は、青い細胞の着色により提示される。細胞がより青い場合、休眠細胞の数はより多い。
【0068】
結果/結論
活性成分の存在下で、非処理細胞に比較して処理細胞ではベータガラクトシダーゼ活性が強く減少していることが観察される。
【0069】
結果的に、活性成分は、培養20日の実験的に加齢された培養物中のケラチノサイトに、抗加齢効果を示す。
【0070】
実施例4:活性成分で処理され、紫外線照射(UVB)にさらされた線維芽細胞のタンパク質カルボニル化の評価
プロトコール
培養中の正常ヒト線維芽細胞を、直径100の容器に播種する。細胞が70%の密集度に達したときに、細胞を、培地中で1%に希釈した配列番号1のペプチドで48時間処理する。細胞を100mj/cm2でUVB照射し、その後活性成分の存在下に戻しさらに48時間処理する。活性成分で処理しないが照射した細胞を有するコントロール容器を、コントロールとして使用する。細胞をリンスし、その後適切な抽出バッファーを使用して支持体から脱着させる。そして抽出したタンパク質を、10000 rpm、4°Cで10分間遠心し、その後BCAプロテインアッセイキット(Pierce)によりアッセイした。タンパク質カルボニル化を、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン (DNP) (SIGMA)に前に由来するカルボニル基の免疫検出に基づく試験により実行する。
【0071】
反応
タンパク質-C=O + H2N-NH-2.4DNP →タンパク質-C=N-NH2.4-DNP + H2O
による。簡単には、15μlのサンプルを、周辺温度で45分間、45μlのDNPと反応させる。その後、5μlの混合物を、1 mlのリン酸バッファー生理食塩水中に希釈し、200μlのこの希釈物を、150μlのBSA存在下、4° Cで一晩、96穴ウェルプレートに挿入する(フラクションV)。
【0072】
リン酸バッファー生理食塩水(PBS)で3回洗浄後、ウサギ抗ジニトロフェニルビオチン化抗体(CALBIOCHEM)を、0.1 % Tween 20存在中の0.1%血清アルブミンバッファーに1/5000に希釈し、37°Cで1時間、マイクロプレート中でインキュベートする。3回洗浄後、1/3000に希釈したストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体(DAKO)を、0.1 % Tween 20存在中の0.1%血清アルブミンバッファー中、周辺温度で1時間、マイクロプレート中でインキュベートする。3回洗浄後、周辺温度で25分間、200μlのテトラメチルベンジジン(TMB, SIGMA)により進行を実行する。その後、2.5Mの硫酸100μlを添加して、反応を停止させる。ODを490 nmで記録する。得られたODを、サンプル中に存在するカルボニル基に変換するために、酸化BSAの比率を0%から100%に反動させることにより、キャリブレーション曲線を確立する。
【0073】
結果
UVBの存在下において、非処理細胞は、強くカルボニル化され、非照射かつ非処理際坊に比べて110%増大する。1 %の活性成分の存在下において、カルボニル化レベルは34%減少する。実験を複数回実行し、統計的検定(t-Student統計的検定)を実行しうる。カルボニル化の減少は有意であり、p= 0.0298である。
【0074】
結論として、活性成分は、UV照射の有害効果から、すなわち酸化効果から、細胞を保護することを可能とする。活性成分は、34%より高くタンパク質酸化を減少させることを可能とする。
【0075】
実施例5:臨床試験
臨床評価のプロトコール
29歳から59歳の12人のボランティアが、プラセボまたは配列番号1の活性成分を1日2回、朝と晩、2 mg/cm2の用量で24日間適用される。結果の臨床評価により、複数のしわおよび細いしわパラメーターを測定することが可能となる。
【0076】
しわおよび細いしわの測定は、QUANTIRIDEにより実行し、それは、シリコーンポリマーを使用して処理前および後の皮膚のレプリカを作成することにより、しわの長さ及び深さを測定することを可能とする評価方法である。
【0077】
結果を、以下の表にまとめる。
【0078】
しわ定量結果
【表3】

【表4】

【表5】

【0079】
結論
処理24日後、処理被験者の83.3%においてしわの合計の長さにおける統計的減少、ならびに処理被験者75%においてしわの数における減少が観察される。しわの長さに関して、活性成分とプラセボとの間に有意な差異が観察される(p=0.017)。しわの深さに対しても、活性成分とプラセボとの間の差異は有意であり(p=0.0075)、75 %のボランティアにおいて観察される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式I
R1 - X1 - X2 -Asp - Cys - Arg - X3 -X4 - (AA)p - R2
[式中、
X1はアスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、もしくはスレオニンを表す、またはゼロに等しく、
X2はアルギニン、ロイシン、もしくはイソロイシンを表す、またはゼロに等しく、
X3はアルギニンもしくはリジンを表す、またはゼロに等しく、
X4はアルギニン、プロリン、ヒスチジン、もしくはリジンを表、またはゼロに等しく、
AAはシステインを除外した任意のアミノ酸またはその誘導体の一つを表し、かつ
pは0から2までの整数であり、
R1は、N末端アミノ酸の一次アミノ官能基を表し、遊離基である、あるいはアセチル基、ベンゾイル基、トシル基またはベンジルオキシカルボニル基から選択されてよい保護基により置換されており、
R2は、C末端アミノ酸のカルボキシル官能基の水酸基を表し、遊離基である、あるいはC1からC20アルキル鎖、またはNH2、またはYがC1からC4のアルキル鎖を表すNHYもしくはNYY基から選択されてよい保護基により置換されており、
一般式Iの前記配列は、3から9残基のアミノ酸で構成されており、
一般式Iの前記配列は、他の化学的に同等なアミノ酸による、アミノ酸X1、X2、X3、およびX4の置換を含んでよい]
のペプチド化合物。
【請求項2】
化合物が、以下の式:
(配列番号1) Asp - Cys -Arg - NH2
(配列番号2) Asp - Cys -Arg - Lys
(配列番号3) Glu -Leu - Asp -Cys -Arg - Lys - NH2
(配列番号4) Ser - Asp -Cys -Arg - His - Pro
(配列番号5) Arg - Asp -Cys -Arg - Arg - Phe - NH2
の一つに対応することを特徴とする、請求項1に記載のペプチド化合物。
【請求項3】
医薬として利用されることを特徴とする、請求項1または2に記載のペプチド化合物。
【請求項4】
活性成分として、請求項1または2に記載のペプチド化合物を含む化粧品組成物。
【請求項5】
化粧品として許容可能な媒体を含み、局所適用に適した形態で存在することを特徴とする、請求項4に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記ペプチド化合物が、およそ0.0005から500 ppmの濃度で、優先的には0.01から5 ppmの濃度で組成物中に存在することを特徴とする、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ペプチド活性成分が、水、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシ化もしくはプロポキシ化ジエチレングリコール、環状ポリオール、白色ワセリン、植物油またはこれらの溶媒の混合物のいずれかのような、1種以上の溶媒中に可溶化されることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ペプチド化合物の作用を促進する、少なくとも一つの他の活性成分もまた含むことを特徴とする、請求項4から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記活性成分が、抗ラジカル剤もしくは抗酸化剤のような、抗しわ分野における活性を提示する薬剤、または真皮巨大分子の合成を刺激する、もしくはエネルギー代謝を刺激する薬剤であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記活性成分が、ビタミン、フィトステロール、フラボノイド、DHEA、および/またはその前駆体の一つ、またはその化学的もしくは生物学的誘導体の一つ、メタロプロテイナーゼインヒビターまたはレチノイドの中から選択されることを特徴とする、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1または2に規定される前記ペプチド化合物、ならびに、加齢および光による加齢の皮膚兆候を防止および/または処置するための化粧品として許容可能な媒体を含む化粧品組成物の利用。
【請求項12】
加齢の兆候が、しわ、深くかつ荒いしわ、細かいしわ、引っかき傷、たるんだ皮膚および皮下組織、皮膚の弾性の喪失および弛緩、皮膚の堅固さおよび緊張の喪失、ならびに皮膚の萎縮を指すと理解される、請求項11に記載の利用。
【請求項13】
前記組成物が、細胞更新を活性化し、完全に細胞をクリーンにすることを特徴とする、請求項11に記載の利用。
【請求項14】
前記組成物が、紫外線照射による侵襲から皮膚を保護することを可能とすることを特徴とする、請求項11に記載の利用。
【請求項15】
プロテアソーム活性を増大させ、傷害を受けたタンパク質のプロテアソームによる分解を改善することを意図した化粧品組成物の、請求項11に記載の利用。
【請求項16】
請求項1または2に規定される前記ペプチド化合物を有効量含む組成物が、処理される皮膚またはケラチン組成物に局所適用され、加齢および光による加齢の皮膚兆候を防止および/または処置することを特徴とする、化粧上の処理方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかで規定され、細胞更新サイクルの間に皮膚をクリーンにするように、就寝前に組成物を適用する、化粧上の処置方法。

【公表番号】特表2012−522757(P2012−522757A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502731(P2012−502731)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/FR2010/000277
【国際公開番号】WO2010/112710
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511239100)アイエスピー・インヴェストメンツ・インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】