説明

新規ポリマー、荷電制御剤、及び静電荷像現像トナー

【課題】スルホン酸、スルホン酸エステル基、あるいはその誘導体を導入した新規なポリマーとその製造方法、及び前記ポリマーを作製するための新規な化合物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で示されるユニットを含むことを特徴とするポリマー。


(式中、R1w、R1xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R1yはCH3基または水素原子である。R1a、R1b、R1cのいずれか一つは、SO31fで示されるスルホン酸エステル基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホン酸、スルホン酸エステル基、あるいはその誘導体を有する新規なポリマーとその製造方法、およびこれらのポリマーを作製するための新規な化合物に関する。また、本発明は、トナー、及びキャリア、スリーブ等の電子写真用摩擦帯電部材に関する。
【背景技術】
【0002】
スルホン酸基のように親水基を有する高分子は、様々な用途への応用が期待される。そして、このスルホン酸基を含有するポリマーの合成方法は、一般に、スルホン酸官能基を含有する特定のビニルモノマーを使用する方法に限られている。具体的なモノマーの例としては、スルホン化スチレン、あるいはAMPS(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)が挙げられる。
【0003】
例えば、特許第2979222号公報には、スチレンスルホン酸塩と、これと共重合可能な他のビニル系モノマーとの共重合体からなる電荷制御剤、およびこれを用いた電子写真用負帯電トナーが開示されている。
【特許文献1】特許第2979222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な用途への応用に応えるには、スルホン化スチレンやAMPSのみでは十分ではなく、新規なポリマーの提供が望まれていた。本発明の目的は、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、あるいはこれらの誘導体を導入した新規なポリマーとその製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、このポリマーを作製するための新規な化合物、及びこのポリマーを用いた荷電制御剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らは、様々な機能性を向上するのに有用であると考えられる、親水性基あるいは極性基を導入した新規なポリマーの開発をめざして鋭意研究を重ねてきた結果、以下に示すような発明に至った。
【0006】
本発明にかかる第1のポリマーは、化学式(1)で示されるユニットを有することを特徴とするポリマーである。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R1w、R1x及びR1yは(i)から(iii)の中から選ばれる。R1w及びR1xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R1yはCH3基または水素原子である。
下記(i)の場合、R1a、R1b、R1c、R1d、R1eは、下記(i−A)から(i−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれる。下記(ii)の場合、R1a、R1b、R1c、R1d、R1eは、下記(ii−A)から(ii−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれる。下記(iii)の場合、R1a、R1b、R1c、R1d、R1eは、下記(iii−A)から(iii−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれる。
(i)R1w、R1x及びR1yはそれぞれ水素原子である場合
(i−A)R1aはSO31f(R1fは、直鎖の炭素数1から8のアルキル基、分岐の炭素数3、及び5から8のアルキル基、または置換もしくは未置換のフェニル基である。)であり、R1b、R1c、R1d及びR1eは水素原子である。または、R1aはSO31f(R1fは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1b、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基または水素原子である(ただし、R1b、R1c、R1d及びR1eの全てが水素原子である場合を除く)。
(i−B)R1bはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(i−C)R1cはSO31h(R1hは、分岐の炭素数5から8のアルキル基、直鎖の炭素数7のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1b、R1d及びR1eは水素原子である。または、R1cはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1b、R1d及びR1eはそれぞれ独立して直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である(ただし、R1a、R1b、R1d及びR1eの全てが水素原子である場合を除く)。
(ii)R1w及びR1xはそれぞれ水素原子であり、R1yはCH3基である場合
(ii−A)R1aはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1b、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(ii−B)R1bはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(ii−C)R1cはSO31i(R1iは、直鎖もしくは分岐の炭素数2から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1b、R1d及びR1eは水素原子である。または、R1cはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1b、R1d及びR1eはそれぞれ独立して直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii)R1w及びR1xの少なくとも一つがハロゲン原子である場合
(iii−A)R1aはSO31j(R1jは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1b、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii−B)R1bはSO31j(R1jは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii−C)R1cはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1b、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。)
本発明にかかる第2のポリマーは、化学式(2)で示されるユニットを有することを特徴とするポリマーである。
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、R2w及びR2xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R2yはCH3基または水素原子である。R2eは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R2a、R2b、R2c、R2d、R2f、及びR2gはそれぞれ独立してSO32h(R2hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R2a、R2b、R2c、R2d、R2f及びR2gの少なくとも1つはSO32hである。あるいは、R2eはSO32i(R2iは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R2a、R2b、R2c、R2d、R2f、及びR2gはそれぞれ独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。)
本発明にかかる第3のポリマーは、化学式(3)で示されるユニットを有することを特徴とするポリマーである。
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、R3w及びR3xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R3yはCH3基または水素原子である。R3a、R3b、R3c、R3d、R3e、R3f及びR3gはそれぞれ独立してSO33h(R3hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基のいずれかであり、R3a、R3b、R3c、R3d、R3e、R3f及びR3gの少なくとも一つはSO33hである。)
本発明にかかるポリマー製造用の第1のモノマーは、化学式(5)で示す化合物である。
【0013】
【化4】

【0014】
式中、R5x、R5y及びR5wは下記(i)から(iii)の中から選択される。式中、R5w及びR5xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R5yはCH3基または水素原子である。R5a、R5b、R5c、R5d及びR5eは、下記(i)の場合、下記(i−A)から(i−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれ、下記(ii)の場合、下記(ii−A)から(ii−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれ、下記(iii)の場合、下記(iii−A)から(iii−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれる。
(i)R5w、R5x及びR5yはそれぞれ水素原子である場合
(i−A)R5aはSO35f(R5fは、直鎖の炭素数1から8のアルキル基、分岐の炭素数3、及び5から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5b、R5c、R5d及びR5eは水素原子である。または、R5aはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5b、R5c、R5d及びR5eはそれぞれ独立して、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基、または水素原子である(ただし、R5b、R5c、R5d及びR5eの全てが水素原子である場合を除く)。
(i−B)R5bはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである)であり、R5a、R5c、R5d及びR5eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(i−C)R5cはSO35h(R5hは、分岐の炭素数5から8のアルキル基、直鎖の炭素数7のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5b、R5d及びR5eは水素原子である。または、R5cはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである)であり、R5a、R5b、R5d及びR5eはそれぞれ独立して、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基、または水素原子である(ただし、R5a、R5b、R5d及びR5eの全てが水素原子である場合を除く)。
(ii)R5w及びR5xはそれぞれ水素原子であり、R5yはCH3基である場合
(ii−A)R5aはSO35f(R5fは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5b、R5c、R5d及びR5eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(ii−B)R5bはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5c、R5d及びR5eは水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(ii−C)R5cはSO35i(R5iは、直鎖もしくは分岐の炭素数2から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5b、R5d及びR5eは水素原子である。あるいは、R5cはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5b、R5d及びR5eは直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii)R5w及びR5xの少なくとも一つがハロゲン原子である場合
(iii−A)R5aはSO35j(R5jは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5b、R5c、R5d及びR5eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii−B)R5bはSO35j(R5jは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5c、R5d及びR5eは水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii−C)R5cはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5b、R5d及びR5eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
【0015】
本発明にかかるポリマー製造用の第2のモノマーは、化学式(6)で示す化合物である。
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、R6w及びR6xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R6yはCH3基または水素原子である。R6eは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R6a、R6b、R6c、R6d、R6f、及びR6gはそれぞれ独立して、SO36h(R6hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R6a、R6b、R6c、R6d、R6f及びR6gの少なくとも一つはSO36hである。または、R6eはSO36i(R6iは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R6a、R6b、R6c、R6d、R6f、及びR6gはそれぞれ独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。)
本発明にかかるポリマー製造用の第3のモノマーは、化学式(7)で示す化合物である。
【0018】
【化6】

【0019】
(式中、R7w及びR7xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R7yはCH3基または水素原子である。R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f及びR7gはそれぞれ独立して、SO37h(R7hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f及びR7gのいずれか一つはSO37hである。)
本発明にかかる第1の荷電制御剤は、粉粒体の荷電状態を制御する荷電制御剤において、化学式(8)で示されるユニットを有するポリマーからなることを特徴とする荷電制御剤である。
【0020】
【化7】

【0021】
(式中、R8w及びR8xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R8yはCH3基または水素原子である。R8a、R8b、R8c、R8d及びR8eはそれぞれ独立して、SO38f(R8fは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R8a、R8b、R8c、R8d及びR8eの少なくとも1つはSO38fである。)
本発明にかかる第2の荷電制御剤は、粉粒体の荷電状態を制御する荷電制御剤において、化学式(9)で示されるユニットを有するポリマーからなることを特徴とする荷電制御剤である。
【0022】
【化8】

【0023】
(式中、R9w及びR9xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R9yはCH3基または水素原子である。R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、R9f及びR9gはそれぞれ独立して、SO39h(R9hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、R9f及びR9gの少なくとも1つはSO39hである。)
本発明にかかる第3の荷電制御剤は、粉粒体の荷電状態を制御する荷電制御剤において、化学式(10)で示されるユニットを有するポリマーからなることを特徴とする荷電制御剤である。
【0024】
【化9】

【0025】
(式中、R10w及びR10xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R10yはCH3基または水素原子である。R10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f及びR10gはそれぞれ独立して、SO310h(R10hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f及びR10gの少なくとも1つはそれぞれ独立して、SO310hである。)
本発明にかかる静電荷像現像トナーは、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、上記第1乃至第3のいずれかの荷電制御剤を含有してなることを特徴とする静電荷像現像トナーである。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、スルホン酸、スルホン酸エステル基、あるいはこれらの誘導体を有する新規なポリマーとその製造方法、及びこれらのポリマーを作製するための新規な化合物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(本発明に係るポリマー及び化合物)
本発明に係る第1から第3のポリマーは、それぞれ先に記載した化学式(1)から(3)で示される構造のユニットを1以上含むことを特徴とする。特に、これらの特定のユニットを繰り返し単位構造として含むことが好ましい。
【0028】
なお、本発明においては、ポリマー中に、複数のユニットが存在する場合、各ユニット同士は互いに独立に各式の定義に従って表わされる。例えば、式(1)で示される同じユニットが複数存在していても、式(1)で示される異なるユニットが存在していてもよい。この点は他の式で表わされるユニットにおいても同様である。即ち、本発明は、同じ種類のユニットにより前記ポリマーが構成される場合は勿論、前記ポリマーが、互いに異なる種類のユニットにより構成されている場合を含むものである。
【0029】
本発明に係る第4のポリマーは、化学式(1)に示すユニットに加え、化学式(4)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも一つ含むことを特徴とする。特に、化学式(1)に示すユニットと化学式(4)で示すユニットを繰り返し単位構造として含む共重合体が好ましい。
【0030】
【化10】

【0031】
式中、R4w及びR4xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R4yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R4は、水素原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造(ただし、SO34z(R4zは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)で置換されたフェニル基又はナフチル基を除く)、置換もしくは未置換の複素環構造、ハロゲン原子、−CO−R4a、−O−R4b、−COO−R4c、−OCO−R4d、−CONR4eR4f、−CN、またはN原子を含む環構造である。R4a、R4b、R4c、R4d、R4e及びR4fはそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。
【0032】
本発明に係る第5および第6のポリマーは、それぞれ化学式(2)、(3)に示すユニットに加え、化学式(4)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも一つ含むことを特徴とする。特に、それぞれ化学式(2)、(3)に示すユニットと化学式(4)で示すユニットを繰り返し単位構造として含む共重合体が好ましい。
【0033】
化学式(1)のユニットをポリマーに導入するためのモノマーとしての化合物は、前述の化学式(5)で示す構造であることを特徴とする。
【0034】
化学式(5)に示す化合物としては、以下のものが挙げられる。4−エテニル−2−メトキシベンゼンスルホン酸メチル、4−エテニル−2−メチルベンゼンスルホン酸メチル、4−エテニルベンゼンスルホン酸イソペンチル(p−スチレンスルホン酸イソペンチル)である。また、4−エテニルベンゼンスルホン酸(2−エチルブチル)、4−エテニルベンゼンスルホン酸ノルマルヘプチル等が挙げられる。
【0035】
化学式(5)で示される化合物の製造方法の一例を以下に示す。
【0036】
4−エテニルベンゼンスルホン酸ノルマルヘプチルの製造方法について説明する。
【0037】
4−エテニルベンゼンスルホン酸ノルマルヘプチルは、Journal of Polymer Science, Polymer Chemistry Edition (1981), 19(8), 1995を参考にして製造することができる。
【0038】
2−ブロモエチルベンゼンとスルホニルクロリドを反応させて、4−(2−ブロモエチル)−ベンゼンスルホニルクロリドを得ることができる。次に、4−(2−ブロモエチル)−ベンゼンスルホニルクロリドをノルマルヘプチルアルコールでエステル化した後、脱臭化水素化すると、目的とする4−エテニルベンゼンスルホン酸ノルマルヘプチルを得ることができる。
【0039】
従って、同様の手法を用いることによって、種々のエテニルベンゼンスルホン酸アルキルを得ることができる。エテニルベンゼンスルホン酸アルキルは、以下のようにして得られる。即ち、(2−ブロモエチル)ベンゼンを発煙硫酸でスルホン化して得られる2−(2−ブロモエチル)ベンゼンスルホン酸、3−(2−ブロモエチル)ベンゼンスルホン酸、4−(2−ブロモエチル)ベンゼンスルホン酸を分離精製する。そして、各異性体を脱臭化水素化した後、スルホン酸をエステル化剤でエステル化することによって種々のエテニルベンゼンスルホン酸アルキルを得ることができる。尚、スルホン酸のエステル化は、SYNTHETIC COMMUNICATIONS, 15(12), 21, 1057-1062 (1985)を参考にして行うことができる。
【0040】
化学式(2)のユニットをポリマーに導入するためのモノマーは、前述の化学式(6)で示す構造であることを特徴とする。
【0041】
化学式(6)に示す化合物としては、4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸メチル、4−エテニル−3−メトキシ−1−ナフタレンスルホン酸メチル、4−エテニル−3−メチル−1−ナフタレンスルホン酸メチル等が挙げられる。
【0042】
化学式(6)で示される化合物の製造方法の一例を以下に示す。
【0043】
4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸メチルの製造方法について説明する。
【0044】
1−(2−ブロモエチル)ナフタレンとスルホニルクロリドを反応させて、4−(2−ブロモエチル)−ナフタレンスルホニルクロリドを得ることができる。次に、4−(2−ブロモエチル)−ナフタレンスルホニルクロリドをメチルアルコールでエステル化した後、脱臭化水素化すると、目的とする4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸メチルを得ることができる。
【0045】
従って、同様の手法を用いることによって、種々のエテニルナフタレンスルホン酸アルキルを得ることができる。4−エテニルナフタレンスルホン酸アルキルは、以下のようにして得られる。即ち1−(2−ブロモエチル)ナフタレンを発煙硫酸でスルホン化して得られる4−(2−ブロモエチル)ナフタレンスルホン酸を脱臭化水素化した後、スルホン酸をエステル化剤でエステル化する。こうして種々の4−エテニルナフタレンスルホン酸アルキルを得ることができる。
【0046】
化学式(3)で示されるユニットをポリマーに導入するための化合物は、化学式(7)で示す構造であることを特徴とする。
【0047】
化学式(7)に示す化合物としては、以下ものが挙げられる。2−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸、2−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸メチル、2−エテニル−4−メトキシ−1−ナフタレンスルホン酸メチル、2−エテニル−4−メチル−1−ナフタレンスルホン酸メチル、等である。
【0048】
化学式(7)で示される化合物は、2−(2−ブロモエチル)ナフタレンを出発原料にし、前記した化学式(6)で示される化合物の製造方法と同様にして製造することができる。
【0049】
(製造方法)
以下に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。上記した各構成を有する本発明に係るポリマーは極めて優れた帯電特性を有するものである。本発明に係るポリマーの製造方法としては以下の方法を例示できる。
【0050】
本発明に係る第1のポリマー、即ち、先に記載した化学式(1)に示すユニットを含むポリマーは、化学式(5)で示す化合物の少なくとも1種を重合することにより製造することができる。
【0051】
本発明に係る第2のポリマー、即ち、先に記載した化学式(2)に示すユニットを含むポリマーは、化学式(6)で示す化合物の少なくとも1種を重合することにより製造することができる。
【0052】
本発明に係る第3のポリマー、即ち、先に記載した化学式(3)に示すユニットを含むポリマーは、化学式(7)で示す化合物の少なくとも1種を重合することにより製造することができる。
【0053】
本発明に係る第4のポリマー、即ち、化学式(1)に示すユニットに加え、化学式(4)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも一つ含むポリマーは、以下のようにして得られる。即ち、化学式(5)の化合物の少なくとも1種と化学式(12)に示される化合物の少なくとも1種を共重合することにより製造することができる。
【0054】
化学式(1)のユニットと化学式(4)のユニットの含有比率(モル%)は、0.1:99.9から90:10が好ましく、更には、1.0:99.0から50:50がより好ましい。
【0055】
【化11】

【0056】
式中、R12w及びR12xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R12yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R12は、水素原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造(ただし、SO312z(R12zは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)で置換されたフェニル基又はナフチル基を除く)、置換もしくは未置換の複素環構造、ハロゲン原子、−CO−R12a、−O−R12b、−COO−R12c、−OCO−R12d、−CONR12eR12f、−CN、またはN原子を含む環構造である。R12a、R12b、R12c、R12d、R12e及びR12fはそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。
【0057】
また、本発明に係る第5のポリマー、即ち、化学式(2)に示すユニットに加え、化学式(4)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも一つ含むポリマーは、次のようにして得られる。即ち、化学式(6)の化合物の少なくとも1種と化学式(12)に示される化合物の少なくとも1種を共重合することにより製造することができる。
【0058】
化学式(2)のユニットと化学式(4)のユニットの含有比率(モル%)は、0.1:99.9から90:10が好ましく、更には、1.0:99.0から50:50がより好ましい。
【0059】
また、本発明に係る第6のポリマー、即ち、化学式(3)に示すユニットに加え、化学式(4)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも一つ含むポリマーは、以下のようにして得られる。即ち、化学式(7)の化合物の少なくとも1種と化学式(12)に示される化合物の少なくとも1種を共重合することにより製造することができる。
【0060】
化学式(3)のユニットと化学式(4)のユニットの含有比率(モル%)は、0.1:99.9から90:10が好ましく、更には、1.0:99.0から50:50がより好ましい。
【0061】
化学式(12)に示す化合物としては、スチレン及びその誘導体、不飽和モノオレフィン類、ハロゲン化ビニル類、ビニルエステル酸、α-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、アクリル酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類が挙げられる。
【0062】
本発明に係る第1から第6のポリマーの重合方法としては、ラジカル重合やイオン重合を用いることが可能である。
【0063】
ラジカル重合を用いる場合、開始剤としては、例えば、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等が挙げられる。これらが単独或いは併用して使用できる。その使用量は重合性モノマーの全量に対して、0.0001から0.5倍モルの範囲が好ましいが、使用するモノマーの種類、共重合で使用するモノマー、使用する開始剤に応じて適宜定め得る。
【0064】
本発明の重合反応で使用する溶媒は、ヘキサン等の炭化水素類、アセトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類が適用できる。また、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒類が挙げられる。特に好ましくN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒が用いられる。
【0065】
スチレンスルホン酸またはエテニルナフタレンスルホン酸と化学式(12)に示される化合物を共重合する場合、スルホン酸のエステル化には、トリメチルシリルジアゾメタン、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル等のエステル化剤を用い得る。
【0066】
この反応では、必要に応じ、既述の溶媒などを使用することができる。好ましくは、クロロホルム、メタノールが用いられる。溶媒の使用量は、出発原料、反応条件等に応じて適宜定め得る。
【0067】
エステル化剤の使用量は、スルホン酸のユニットに対して、0.1から50倍モル、好ましくは、1から20倍モルの範囲である。
【0068】
この方法において、反応温度は、特に限定されないが、通常は−20℃から30℃の範囲の温度である。反応時間は、一概には言えないが、通常、1から48時間の範囲である。
【0069】
本発明に係るポリマーは、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)が1<Mw/Mn<2であることが好ましい。このようなポリマーは、化学式(5)、化学式(6)または化学式(7)で示す化合物をリビング重合することにより製造することができる。また、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)が1.00<Mw/Mn<2.00であるコポリマーは、次のようにして得られる。即ち、例えば、化学式(5)、化学式(6)または化学式(7)で示すいずれかの化合物と、化学式(12)で示される化合物をリビング重合により共重合させることで製造することができる。
【0070】
リビング重合として、リビングラジカル重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合等を使用することができる。リビングラジカル重合として、例えば、原子移動ラジカル重合やニトロキシド媒介重合を使用することができる。
【0071】
次に、リビングラジカル重合がニトロキシド媒介重合である場合について説明する。
【0072】
ニトロキシルラジカルの一つである2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)は不対電子が非局在化する為、結合して低い解離エネルギーを与えるラジカルとは結合しにくい。この性質を利用して、ニトロキシルラジカルを用いたニトロキシド媒介重合によって分子量分布の狭いポリマーやブロック共重合体のような構造が制御されたポリマーを得ることができる。なお、過酸化ベンゾイル(BPO)やアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を開始剤とする。
【0073】
重合性モノマー、開始剤、ニトロキシルラジカルを反応溶媒に加え、反応系を不活性ガスで置換してニトロキシド媒介重合を行う。
【0074】
ニトロキシルラジカルとしては、例えば、以下に記載のものを使用することができる。
【0075】
【化12】

【0076】
反応溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジフェニルエーテル等を使用することができる。これらは単独で使用しても良いし、又は2種以上を併用しても良い。あるいは、反応溶媒を使用せずに重合を行っても構わない。
【0077】
(荷電制御剤)
本発明に係る第1から第3の荷電制御剤は、粉粒体の荷電状態を制御するものであり、先に記載した化学式(8)から(10)で示される構造のユニットを1以上含むポリマーからなることを特徴とする。
【0078】
本発明に係る第4の荷電制御剤は、粉粒体の荷電状態を制御するものであり、前記化学式(8)に示すユニットに加え、化学式(11)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも一つ含む共重合体からなるものであってもよい。
【0079】
【化13】

【0080】
式中、R11w及びR11xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R11yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R11は、水素原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造(ただし、SO311z(R11zは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)で置換されたフェニル基又はナフチル基を除く)、置換もしくは未置換の複素環構造、ハロゲン原子、−CO−R11a、−O−R11b、−COO−R11c、−OCO−R11d、−CONR11eR11f、−CN、またはN原子を含む環構造のいずれかである。R11a、R11b、R11c、R11d、R11e及びR11fはそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。
【0081】
本発明に係る第5および第6の荷電制御剤は、粉粒体の荷電状態を制御するものであり、前記化学式(9)や(10)に示すユニットに加え、化学式(11)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも一つ含む共重合体であってもよい。
【0082】
本発明に係る荷電制御剤を構成するポリマーは、粉粒体の荷電状態を制御するものであり、その数平均分子量が、1000から1000000であることが好ましい。
【0083】
本発明に係る荷電制御剤を構成するポリマーは、粉粒体の荷電状態を制御するものであり、その分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)は1.00<Mw/Mn<2.00とすることができる。
【0084】
本発明に係る荷電制御剤を構成するポリマーは、ブロック共重合体とすることができる。
【0085】
前記粉粒体は、静電荷像現像トナーであることが好ましい。
【0086】
(本発明に荷電制御剤の製造法)
本発明に係る第1の荷電制御剤、即ち、先に記載した化学式(8)に示すユニットを含むポリマーからなる荷電制御剤は、化学式(13)で示す化合物の少なくとも1種を重合することにより製造することができる。
【0087】
【化14】

【0088】
式中、R13w及びR13xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R13yはCH3基または水素原子である。R13a、R13b、R13c、R13d及びR13eはそれじれ独立して、SO313f(R13fは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換のフェニル基である。)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R13a、R13b、R13c、R13d及びR13eの少なくとも1つはSO313fである。
【0089】
化学式(13)に示す化合物としては、前記した化学式(5)の化合物として具体的に挙げた化合物に加えて以下の化合物を挙げることができる。4−エテニルベンゼンスルホン酸メチル(p−スチレンスルホン酸メチル)、4−エテニルベンゼンスルホン酸エチル等である。
【0090】
本発明に係る第2の荷電制御剤、即ち、先に記載した化学式(9)に示すユニットを含むポリマーからなる荷電制御剤は、化学式(14)で示す化合物の少なくとも1種を重合することにより製造することができる。
【0091】
【化15】

【0092】
式中、R14w及びR14xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R14yはCH3基または水素原子である。R14a、R14b、R14c、R14d、R14e、R14f及びR14gはそれぞれ独立して、SO314h(R14hは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換のフェニル基である。)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R14a、R14b、R14c、R14d、R14e、R14f及びR14gの少なくとも1つはSO314hである。
【0093】
化学式(14)に示す化合物としては、前記した化学式(6)で挙げた具体的な化合物に加えて、4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0094】
本発明に係る第3の荷電制御剤、即ち、先に記載した化学式(10)に示すユニットを含むポリマーからなる荷電制御剤は、化学式(15)で示す化合物の少なくとも1種を重合することにより製造することができる。
【0095】
【化16】

【0096】
式中、R15w及びR15xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R15yはCH3基または水素原子である。R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f及びR15gはそれぞれ独立して、SO315h(R15hは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換のフェニル基である。)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f及びR15gの少なくとも1つはSO315hである。
【0097】
化学式(15)に示す化合物としては、前記した化学式(7)で挙げた具体的な化合物等が挙げられる。
【0098】
本発明に係る第4の荷電制御剤、即ち、化学式(8)に示すユニットに加え、化学式(11)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも一つ含むポリマーからなる荷電制御剤は、次のようにして得られる。即ち、化学式(13)の化合物の少なくとも1種と化学式(12)に示される化合物の少なくとも1種を共重合することにより製造することができる。
【0099】
化学式(8)のユニットと化学式(11)のユニットの含有比率(モル%)は、0.1:99.9から90:10が好ましく、更には、1.0:99.0から49:51がより好ましい。
【0100】
また、本発明に係る第5の荷電制御剤、即ち、化学式(9)に示すユニットに加え、化学式(11)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも一つ含むポリマーからなる荷電制御剤は、次のようにして得られる。即ち、化学式(14)の化合物の少なくとも1種と化学式(12)に示される化合物の少なくとも1種を共重合することにより製造することができる。
【0101】
化学式(9)のユニットと化学式(11)のユニットの含有比率(モル%)は、0.1:99.9から90:10が好ましく、更には、1.0:99.0から49:51がより好ましい。
【0102】
また、本発明に係る第6の荷電制御剤、即ち、化学式(10)に示すユニットに加え、化学式(11)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも一つ含むポリマーからなる荷電制御剤は、次のようにして得られる。即ち、化学式(15)の化合物の少なくとも1種と化学式(12)に示される化合物の少なくとも1種を共重合することにより製造することができる。
【0103】
化学式(10)のユニットと化学式(11)のユニットの含有比率(モル%)は、0.1:99.9から90:10が好ましく、更には、1.0:99.0から49:51がより好ましい。
【0104】
本発明に係る荷電制御剤の重合方法としては、前記したラジカル重合やイオン重合を用いることが可能である。
【0105】
ラジカル重合を用いる場合、前述した同様の開始剤や溶媒を使用することができる。
【0106】
本発明に係る荷電制御剤を構成するポリマーは、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)が1.00 <Mw/Mn<2.00であることが好ましい。このような荷電制御剤を構成するポリマーは、化学式(13)、化学式(14)または化学式(15)で示す化合物等をリビング重合することにより製造することができる。また、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)が1.00<Mw/Mn<2.00であるコポリマーは、次のようにして得られる。即ち、例えば、化学式(13)、化学式(14)または化学式(15)で示すいずれかの化合物と化学式(12)で示される化合物をリビング重合による共重合で製造することができる。
【0107】
本発明に係る荷電制御剤を構成するポリマーは、ブロック共重合体であることが好ましい。このような荷電制御剤を構成するポリマーは、例えば、次のようにして得られる。即ち、化学式(13)、化学式(14)または化学式(15)で示すいずれかの化合物をリビング重合によってホモポリマーを製造する。その後、そのホモポリマーの末端に化学式(12)で示す化合物をリビング重合によってブロック共重合することにより製造することができる。尚、ブロック共重合体を形成する順序は、逆であっても良い。
【0108】
<荷電制御剤としての使用>
本発明に係る荷電制御剤は、前記化学式(8)から(10)に示すユニットのように、側鎖にスルホン酸エステル基あるいはその誘導体を含む構造を有している。これらアニオン性あるいは電子吸引性の官能基を有するユニットの存在は、優れた負帯電性を示す。本発明に係る荷電制御剤は、トナーのバインダー樹脂に対する相溶性が良好であり、特にはポリエステル系のバインダー樹脂に対する相溶性が極めて良好である。
【0109】
本発明の荷電制御剤を含有するトナーは、比帯電量が高く、その経時安定性も良好であることから、トナーを長時間保存しても静電記録の画像形成において安定して鮮明な画像を与える。また、本発明の荷電制御剤は無色であるか、あるいは着色していてもきわめて薄く着色したものとすることができ、また、良好な負帯電性能を有する。そのため、黒色の負帯電トナーおよびカラートナー何れについてにも好適に用いることが出来る。更に、本発明のポリマーを構成するモノマーユニットの種類/組成比を適宜選択することにより、幅広い相溶性の制御が可能である。
【0110】
ここで、荷電制御剤がトナーバインダー中でミクロ相分離構造をとるよう樹脂組成を選択すると、トナーの電気的連続性が生じないため安定に電荷を保持することが可能となる。
【0111】
本発明に係る荷電制御剤を用いる場合、上記公知の荷電制御剤と共に用いることもできる。
【0112】
(トナーへの応用)
本発明に係る荷電制御剤は、静電荷像現像用トナーおよびそれを用いた画像形成プロセスへの応用が挙げられる。
【0113】
具体的には、トナーに内添または外添される荷電制御剤として利用可能である。即ち、本発明は上記のポリマーを含有してなる荷電制御剤であり、更には該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像用トナーである。
【0114】
尚、静電荷像現像用トナー組成中へ用いる荷電制御剤として、例えば、化学式(8)に示す構造のユニットと化学式(11)に示す構造のユニットとの共重合体を用いることにより、次のような効果を得ることができる。即ち、帯電特性に優れ、かつトナー樹脂中への該化合物の分散性及びスペント性が良好となる。また、本発明に係る荷電制御剤を用いれば、画像形成装置による出力時においても、画像カブリの発生が低減され、かつ、転写性に優れた静電荷像現像用トナーを提供することが可能となる。
【0115】
更にまた、本発明に係る荷電制御剤は、無色とする、あるいはその着色度を弱くすることができる為、荷電制御剤に影響されずカラートナーに要求される色相に合わせて任意の着色剤を選定することが可能である。無色あるいは着色性の弱い荷電制御剤は、染料あるいは顔料が有する本来の色相を阻害し難く、好ましいものである。
【0116】
(本発明に係る荷電制御剤のトナーへの添加)
本発明において、上記したポリマーからなる荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナーに内添する方法とトナーに外添する方法がある。内添する場合の添加量は、トナーバインダーと荷電制御剤の合計質量に対して、荷電制御剤が通常0.1から50質量%、好ましくは 0.2から20質量%の範囲で使用するのがより好ましい。0.1質量%よりも少ないと、トナーの帯電性における改良の度合いが顕著にみられない場合がある。一方、50質量%を超えると、経済的な観点から好ましくない場合がある。また、外添する場合には、トナーバインダーと荷電制御剤の質量割合は、トナーバインダーと荷電制御剤の合計質量に対して、荷電制御剤が0.01から5質量%とすることが好ましく、特に、メカノケミカル的にトナー表面に固着させるのが好ましい。
【0117】
本発明の荷電制御剤を構成するポリマーの数平均分子量は、通常1,000から1,000,000であり、好ましくは1,000から300,000である。1,000未満ではトナーバインダーに完全相溶し不連続なドメインを形成しにくくなるために帯電量不足となると共に、トナーの流動性に影響を与える場合がある。また、1,000,000を超えるとトナー中に分散させるのが困難となる場合がある。
【0118】
本発明の荷電制御剤を構成するポリマーの分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。具体的なGPCの測定方法としては、予め上記ポリマーを 0.1質量%LiBr含有ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルムなどに溶解したサンプルを同様の移動相で測定し、標準ポリスチレン樹脂の検量線から分子量分布を求めた。
【0119】
また、本発明の荷電制御剤を構成するポリマーの分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)は、1.00<Mw/Mn<2.00が好ましく、1<Mw/Mn≦1.50がより好ましく、更には、1<Mw/Mn≦1.30がさらに好ましい。
【0120】
本発明の静電荷像現像トナーの組成は、トナー質量に基づき、通常、荷電制御剤が0.1から50質量%、トナーバインダーが20から95質量%、着色剤が0から15質量%である。必要により磁性粉(鉄、フェライトなどの化合物)を着色剤としての機能を兼ねて 60質量%以下含有していてもよい。
【0121】
また、本発明の荷電制御剤が形成する不連続なドメインの粒径を小さくする目的で、本発明の荷電制御剤に対して相溶性を有しかつトナーバインダーに対しても相溶性を有する重合体を相溶化剤として含有させることもできる。相溶化剤としては、本発明の荷電制御剤の構成単量体と実質的に同じ構造を有する単量体を50モル%以上含有する重合体鎖と、トナーバインダーの構成単量体と実質的に同じ構造を有する単量体を50モル%以上含有する重合体鎖とが結合した重合体が挙げられる。なお、これら2つの重合体鎖が、グラフト状またはブロック状に結合した重合体であるのがよい。相溶化剤の使用量は本発明の荷電制御剤に対して、通常30質量%以下であり、好ましくは1から10質量%である。
【0122】
<他の構成材料>
以下、本発明の静電荷像現像用トナーを構成するその他の構成材料について説明する。本発明に係る静電荷像現像用トナーは、上記荷電制御剤の他に、バインダー樹脂、着色剤、および必要に応じて添加されるその他の添加物を含み構成されていてもよい。
【0123】
(バインダー樹脂)
先ず、バインダー樹脂としては、トナー用として一般的な熱可塑性樹脂をバインダー樹脂として用いることができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル等を挙げることができる。
【0124】
また、本発明の荷電制御剤を、トナーを製造する前にバインダー樹脂とあらかじめ混合し、荷電制御能を含むトナー形成用の組成物として用いることができる。例えば、バインダー樹脂としては、スチレン系ポリマー、ポリエステル系ポリマーなどが挙げられ、単独または混合して使用することができる。
【0125】
スチレン系ポリマーとしては、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体およびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体などが挙げられる。
【0126】
本発明の荷電制御剤と組み合わせて用いられるバインダー樹脂の具体例としては、スチレン−アクリル酸共重合体、或いはスチレン-メタクリル酸系共重合体などのスチレン系ポリマー等が挙げられる。重合性単量体の具体例としては、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン不飽和モノオレフィン類、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等が挙げられる。
【0127】
本発明の荷電制御剤と組み合わせて使用するバインダー樹脂を形成する場合、必要に応じて下記に挙げるような架橋剤を用いることもできる。
【0128】
また、本発明の荷電制御剤と組み合わせて使用するバインダー樹脂を形成する場合には、下記に挙げるような重合開始剤を必要に応じて用いることができる。例えば、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等が挙げられる。これらが単独或いは併用して使用できる。その使用量はモノマー 100質量部に対し、0.05質量部以上(好ましくは 0.1から15質量部)の濃度で用いられる。
【0129】
本発明の荷電制御剤をバインダー樹脂に内添する質量割合は、通常 0.1から50質量%、好ましくは 0.2から20質量%である。ここで、内添する荷電制御剤の質量割合が 0.1質量%未満であると、帯電量が低く、50質量%を超えるとトナーの帯電安定性が悪くなる。
【0130】
本発明の荷電制御剤以外にも、従来使用されている荷電制御剤を本発明の荷電制御剤とともに利用することも可能である。
【0131】
本発明の静電荷像現像用トナーを構成する着色剤としては、通常、トナーを製造する際に用いられているものであればいずれも使用でき、特に限定されるものではない。
【0132】
また、本発明の静電荷像現像用トナーを二成分フルカラー用トナーとして使用する場合には、着色剤としてC.I.ピグメントレッド1、2等を用いる。
【0133】
本発明においては、上記に挙げた顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料とを併用して、その鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
【0134】
上記したような着色剤のトナー中の含有量は、所望とする着色効果などに応じて広く変更することが可能である。通常、最も良好なトナー特性を得るため、すなわち、印字の着色力、トナーの形状安定性、トナーの飛散などを考慮した場合、これらの着色剤はバインダー樹脂100質量部に対して0.1から60質量部、好ましくは0.5から20質量部程度の割合で用される。
【0135】
本発明の静電荷像現像用トナー中には、上記したバインダー樹脂及び着色剤成分の他に、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で以下の化合物を含有させてもよい。
【0136】
<トナーの作製方法>
上記のような構成を有する本発明の静電荷像現像用トナーを作製する具体的な方法としては、従来公知の方法をいずれも用いることができる。
【0137】
(シリカ外添剤)
本発明においては、上記のような方法によって作製されたトナーに、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を外添することが好ましい。
【0138】
(無機粉体)
また、トナーの現像性及び耐久性を向上させるために、次に挙げるような無機粉体を添加することも好ましい。例えば、マグネシウムなど金属の酸化物などが挙げられる。酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムの微粉体を使用することが好ましい。
【0139】
更に、下記に挙げるような滑剤粉末をトナーに添加してもよい。例えば、テフロン等が挙げられる。
【0140】
<キャリアについて>
本発明の静電荷像現像用トナーは、例えば、静電荷像現像用トナーは単独で非磁性一成分現像剤として用いることができる。また、磁性キャリアとともに磁性二成分現像剤を構成したりする非磁性トナーや、単独で磁性一成分トナーとして使用される磁性トナー等として用いることができる。
【0141】
<磁性トナー>
本発明の静電荷像現像用トナーは、磁性材料をトナー粒子中に含有させ磁性トナーとしてもよい。
【0142】
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA-II型或いはコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)等の装置を用いて測定する。そして、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機バイオス製)及びパーソナルコンピューターを前記装置に接続して測定する。その際に使用する電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。電解液としては、例えば、市販のISOTON R-II(商品名、コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用することもできる。具体的な測定法としては、上記電解水溶液100から150ml中に、分散剤として界面活性剤(好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩を使用する)を0.1から5ml加え、更に、測定試料を2から20mg加えて測定用試料とする。測定は、次のように行う。測定試料が懸濁された電解液を超音波分散器で約1から3分間分散処理を行う。その後、前記コールターカウンターTA-II型によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定し、体積分布と個数分布とを算出した。それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)を求めた。
【0143】
<帯電量>
本発明において使用した二成分法による帯電量の測定法を以下に示す。測定には、図1に示した帯電量測定装置を使用した。先ず、キャリアとしてのEFV 200 / 300(商品名、パウダーテック社製) 9.5gに対して、測定対象のトナー 0.5gを加えた混合物を調製する。この混合物を、50から100ml容量のポリエチレン製の瓶に入れ、振幅を一定にした振とう機に設置して、振とう条件を、振幅100mm、振とう速度1分間100回往復に設定し、一定時間振とうする。次いで、図1に示した帯電量測定装置41の底に500メッシュのスクリーン43のある金属製の測定容器42に、前記混合物1.0から1.2gを入れて、金属製のフタ44をする。この時の測定容器42全体の質量を秤かりW1(g)とする。次に、不図示の吸引機(測定容器42と接する部分は少なくとも絶縁体)で吸引口47から吸引し、風量調節弁46を調節して真空計45の圧力が2450Pa(250mmAq)になるようにする。この状態で一分間吸引を行なって、トナーを吸引除去する。この時の電位計49の電位をV(ボルト)とする。ここで48はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。また、吸引後の測定機全体の質量を秤かりW2(g)とする。トナーの摩擦帯電量(μC/g)は、これらの測定値から、下式によって計算される。
計算式:摩擦帯電量(μC/g)=C×V/(W1-W2)
これらの操作は一定の環境下(例えば、一定の温度及び湿度条件下で行われる。
【0144】
<バインダー樹脂の分子量測定方法と分子量分布>
また、本発明の静電荷像現像用トナーの構成材料に用いられるバインダー樹脂としては、特に、粉砕法で作製した場合に、GPCによる分子量分布において、低分子量領域におけるピークが 3,000から15,000の範囲にあるようにすることが好ましい。即ち、低分子量領域におけるGPCピークが 15,000を超えると、転写効率の向上が充分なものが得られ難くなる場合がある。また、低分子量領域におけるGPCピークが 3000未満のバインダー樹脂を用いると、表面処理時に融着を生じ易くなるので、好ましくない。
【0145】
本発明において、バインダー樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。具体的なGPCの測定方法のために、予めトナーをTHF(テトラヒドロフラン)溶剤でソックスレー抽出器を用いて 20時間抽出を行なったサンプルを測定用に用いる。カラム構成は、昭和電工製A-801、802、803、804、805、806、807 を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定した。また、本発明においては、上記のようにして測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が、2から100 の範囲内にあるバインダー樹脂を使用することが好ましい。
【0146】
なお、本発明は、上記説明した本発明に係るポリマーあるいはコポリマーに、背景技術で説明したスルホン化スチレンやAMPSを含んでいる場合を排除するものではない。
【実施例】
【0147】
まず、実施例AからXにより、本発明により得られる新規なポリマーについて説明する。その後、実施例1から34により、比較例を用いながら本発明の有用性を示す。
【0148】
尚、本発明に係る新規な荷電制御剤、及びこれらの製造方法は、以下に示す実施例のみに限定されるものではない。
【0149】
以下の実験において、得られた荷電制御剤の構造決定は、次のようにして行う。即ち、1H−NMR(FT−NMR:Bruker Avance500;共鳴周波数:500MHz;測定核種: 1H;使用溶媒:重DMF、重DMSO、重クロロホルム、重THF、重アセトン;測定温度:室温)により分析を行う。
【0150】
得られたポリマーの平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソー、カラム;ポリマーラボラトリーズ PLgel 5μ MIXED−C、溶媒;DMF/LiBr 0.1%(w/v)、ポリスチレン換算)により評価した。
【0151】
(実施例A)
スチレン(108g)、p−スチレンスルホン酸メチル(10.8g)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(1.2g)をDMF(120g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合させた。その結果、下記式(A):
【0152】
【化17】

【0153】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M0):(F0)=95:5で含有する共重合体(90g)を得た。尚、ポリマーの各ユニットの含有比率は1H−NMRの測定より確認した。数平均分子量Mn =17000、分子量分布(Mw/Mn)=2.54であった。1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(500MHz、重DMF)
δ/ppm:7.45から7.75(ベンゼン環のピーク)
6.40から7.40(ベンゼン環のピーク)
3.65から3.80(スルホン酸メチルのCH3のピーク)
1.20から2.50(主鎖のピーク)
(実施例B)
実施例Aのp−スチレンスルホン酸メチルをp−スチレンスルホン酸エチルに替えて、実施例Aと同様の操作によって共重合を行った。その結果、下記式(B):
【0154】
【化18】

【0155】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M1):(F1)=95:5で含有する共重合体からなる共重合体(100g)を得た。数平均分子量Mn =22000、分子量分布(Mw/Mn)=2.62であった。1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(500MHz、重DMF)
δ/ppm:7.45から7.80(ベンゼン環のピーク)
6.40から7.40(ベンゼン環のピーク)
3.95から4.20(スルホン酸エチルのCH2のピーク)
1.30から2.50(主鎖のピーク)
1.15から1.30(スルホン酸エチルのCH3のピーク)
(実施例C)
メタクリル酸メチル(100g)、m−スチレンスルホン酸メチル(34.9g)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(1.4g)をDMF(135g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合させた。その結果、下記式(C):
【0156】
【化19】

【0157】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M2):(F2)=85:15で含有する共重合体(113g)を得た。尚、ポリマーの各ユニットの含有比率は1H−NMRの測定より確認した。数平均分子量Mn =16000、分子量分布(Mw/Mn)=2.66であった。
【0158】
(実施例D)
実施例Cのm−スチレンスルホン酸メチルをm−スチレンスルホン酸エチルに替えて、実施例Cと同様の操作によって共重合を行った。その結果、下記式(D):
【0159】
【化20】

【0160】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M3):(F3)=85:15で含有する共重合体(113g)を得た。尚、ポリマーの各ユニットの含有比率は1H−NMRの測定より確認した。数平均分子量Mn =19000、分子量分布(Mw/Mn)=2.61であ
った。
【0161】
(実施例E)
スチレン(108g)、o−スチレンスルホン酸メチル(10.8g)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(1.2g)をDMF(120g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合させた。その結果、下記式(E):
【0162】
【化21】

【0163】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M4):(F4)=90:10で含有する共重合体(93g)を得た。尚、ポリマーの各ユニットの含有比率は1H−NMRの測定より確認した。数平均分子量Mn =12000、分子量分布(Mw/Mn)=2.59であった。
【0164】
(実施例F)
実施例Eのo−スチレンスルホン酸メチルをo−スチレンスルホン酸エチルに替えて、実施例Eと同様の操作によって共重合を行った。その結果、下記式(F):
【0165】
【化22】

【0166】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M5):(F5)=90:10で含有する共重合体(100g)を得た。尚、ポリマーの各ユニットの含有比率は1H−NMRの測定より確認した。数平均分子量Mn =13000、分子量分布(Mw/Mn)=2.53であった。
【0167】
(実施例G)
スチレン(110g)、4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸メチル(20g)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(1.3g)をDMF(130g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合させた。その結果、下記式(G):
【0168】
【化23】

【0169】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M6):(F6)=93:7で含有する共重合体(92g)を得た。数平均分子量Mn =19000、分子量分布(Mw/Mn) =2.61であった。
【0170】
(実施例H)
メタクリル酸エチル(115g)、4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸エチル(30g)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(1.4g)をDMF(145g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合させた。その結果、下記式(H):
【0171】
【化24】

【0172】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M7):(F7)=90:10で含有する共重合体(101g)を得た。数平均分子量Mn =25000、分子量分布(Mw/Mn)=2.64であった。
【0173】
(実施例I)
原子移動ラジカル重合を用いて下記式(I)で示される共重合体を合成した。スチレン(104g)、p−スチレンスルホン酸メチル(17g)、開始種である1−ブロモエチルベンゼン(0.9g)、触媒である臭化銅(1.3g)をDMF中に溶解させた。更に、リガンドである1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(2.1g)をも前記DMF(115g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で7時間重合させた。その結果、下記式(I):
【0174】
【化25】

【0175】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M8):(F8)=92:8で含有する共重合体(91g)を得た。数平均分子量Mn =20000、分子量分布(Mw/Mn)=1.24であった。
【0176】
(実施例J)
原子移動ラジカル重合を用いて下記式(J)で示される共重合体を合成した。実施例Iのp−スチレンスルホン酸メチルをm−スチレンスルホン酸メチルに替えて、実施例Iと同様の操作によって共重合を行った。その結果、下記式(J):
【0177】
【化26】

【0178】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M9):(F9)=92:8で含有する共重合体(92g)を得た。数平均分子量Mn =19000、分子量分布(Mw/Mn)=1.22であった。
【0179】
(実施例K)
原子移動ラジカル重合を用いて下記式(K)で示される共重合体を合成した。実施例Iのp−スチレンスルホン酸メチルをo−スチレンスルホン酸メチルに替えて、実施例Iと同様の操作によって共重合を行った。その結果、下記式(K):
【0180】
【化27】

【0181】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M10):(F10)=92:8で含有する共重合体(93g)を得た。数平均分子量Mn =21000、分子量分布(Mw/Mn)=1.21であった。
【0182】
(実施例L)
ニトロキシド媒介重合を用いて下記式(H)で示される共重合体を合成した。以下の材料をDMF(130g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、120℃で5時間重合させた。
スチレン(108g)
p−スチレンスルホン酸エチル(24.5g)
2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(0.9g)
TEMPO(0.8g)
ジクルミルパーオキサイド(0.3g)
その結果、下記式(L):
【0183】
【化28】

【0184】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M11):(F11)=90:10で含有する共重合体(93g)を得た。数平均分子量Mn =22000、分子量分布(Mw/Mn)=1.30であった。
【0185】
(実施例M)
ニトロキシド媒介重合を用いて下記式(M)で示される共重合体を合成した。実施例Lのp−スチレンスルホン酸エチルをm−スチレンスルホン酸エチルに替えて、実施例Lと同様の操作によって共重合を行った。その結果、下記式(M):
【0186】
【化29】

【0187】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M12):(F12)=90:10で含有する共重合体(90g)を得た。数平均分子量Mn =21000、分子量分布(Mw/Mn)=1.28であった。
【0188】
(実施例N)
ニトロキシド媒介重合を用いて下記式(N)で示される共重合体を合成した。実施例Lのp−スチレンスルホン酸エチルをo−スチレンスルホン酸エチルに替えて、実施例Lと同様の操作によって共重合を行った。その結果、下記式(N):
【0189】
【化30】

【0190】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M13):(F13)=90:10で含有する共重合体からなる共重合体(91g)を得た。数平均分子量Mn =23000、分子量分布(Mw/Mn)=1.29であった。
【0191】
(実施例O)
原子移動ラジカル重合を用いて下記式(O)で示される共重合体を合成した。以下に示す裁量をDMF(128g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で7時間重合させた。
メタクリル酸メチル(100g)
4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸メチル(28g)
開始種である2−ブロモイソ酪酸エチル(0.95g)
触媒である臭化銅(4.2g)
リガンドであるスパルテイン(3.4g)
その結果、下記式(O):
【0192】
【化31】

【0193】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M14):(F14)=90:10で含有する共重合体(96g)を得た。数平均分子量Mn =21000、分子量分布(Mw/Mn)=1.20であった。
【0194】
(実施例P)
原子移動ラジカル重合を用いて下記式(P)で示される共重合体を合成した。実施例Oの4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸メチルを4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸エチルに替えて、実施例Oと同様の操作によって共重合を行った。その結果、下記式(P):
【0195】
【化32】

【0196】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M15):(F15)=90:10で含有する共重合体(99g)を得た。数平均分子量Mn =23000、分子量分布(Mw/Mn)=1.21であった。
【0197】
(実施例Q)
ニトロキシド媒介重合を用いて下記式(Q)で示される共重合体を合成した。以下の材料をDMF(130g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、120℃で5時間重合させた。
スチレン(108g)
4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸エチル(17.4g)
2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(0.9g)
TEMPO(0.8g)
ジクルミルパーオキサイド(0.3g)
その結果、下記式(Q):
【0198】
【化33】

【0199】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M16):(F16)=93:7で含有する共重合体(94g)を得た。数平均分子量Mn =20000、分子量分布(Mw/Mn)=1.21であった。
【0200】
(実施例R)
原子移動ラジカル重合を用いて下記式(R)で示される共重合体を合成した。実施例Qの4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸エチルを4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸メチルに替えて、実施例Qと同様の操作によって共重合を行った。その結果、下記式(R):
【0201】
【化34】

【0202】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M17):(F17)=93:7で含有する共重合体(92g)を得た。数平均分子量Mn =19000、分子量分布(Mw/Mn)=1.18であった。
【0203】
(実施例S)
原子移動ラジカル重合を用いて、下記式(S)で示されるブロック共重合体を合成した。まず初めに、以下の材料をDMF(22g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で1時間重合させた。
p−スチレンスルホン酸メチル(22g)
開始種である1−ブロモエチルベンゼン(0.9g)
触媒である臭化銅(0.7g)
リガンドである1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(1.1g)
その結果、ポリ(p−スチレンスルホン酸メチル)のマクロイニシエーター(18g、数平均分子量Mn =3500、分子量分布(Mw/Mn)=1.15)を得た。
【0204】
続いて、以下の材料をDMF(125g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で5時間共重合させた。
マクロイニシエーター(開始種)であるポリ(p−スチレンスルホン酸メチル)(18g)、
スチレン(104g)、
触媒である臭化銅(2.1g)、
リガンドである1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(3.5g)
その結果、下記式(S):
【0205】
【化35】

【0206】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M18):(F18)=90:10で含有するブロック共重合体(90g)を得た。数平均分子量Mn =20000、分子量分布(Mw/Mn)=1.21であった。
【0207】
(実施例T)
原子移動ラジカル重合を用いて、下記式(T)で示されるブロック共重合体を合成した。実施例Sのp−スチレンスルホン酸メチルをm−スチレンスルホン酸メチルに替えて、実施例Sと同様の操作によって共重合を行った。その結果、下記式(T):
【0208】
【化36】

【0209】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M19):(F19)=90:10で含有するブロック共重合体(91g)を得た。数平均分子量Mn =20000、分子量分布(Mw/Mn)=1.20であった。
【0210】
(実施例U)
原子移動ラジカル重合を用いて、下記式(U)で示されるブロック共重合体を合成した。実施例Sのp−スチレンスルホン酸メチルをo−スチレンスルホン酸メチルに替えて、実施例Sと同様の操作によって共重合を行った。その結果、下記式(U):
【0211】
【化37】

【0212】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M20):(F20)=90:10で含有するブロック共重合体からなる荷電制御剤(90g)を得た。また、得られた荷電制御剤は、数平均分子量Mn =22000、分子量分布(Mw/Mn)=1.19であった。
【0213】
(実施例V)
ニトロキシド媒介重合を用いて、下記式(V)で示されるブロック共重合体を合成した。まず初めに、p−スチレンスルホン酸エチル(25g)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(1.0g)、TEMPO(1.0g)、ジクルミルパーオキサイド(0.4g)をDMF(25g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、120℃で1時間重合させた。その結果、ポリ(p−スチレンスルホン酸エチル)のマクロイニシエーター(20g、数平均分子量Mn =3000、分子量分布(Mw/Mn)=1.20)を得た。
【0214】
続いて、以下の材料をDMF(145g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、120℃で5時間重合させた。
マクロイニシエーター(開始種)であるポリ(p−スチレンスルホン酸エチル)(20g)、
スチレン(124g)、
2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(1.0g)、
TEMPO(1.0g)、ジクルミルパーオキサイド(0.4g)
その結果、下記式(V):
【0215】
【化38】

【0216】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M21):(F21)=91:9で含有するブロック共重合体(100g)を得た。数平均分子量Mn =18000、分子量分布(Mw/Mn)=1.24であった。
【0217】
(実施例W)
原子移動ラジカル重合を用いて、下記式(W)で示されるブロック共重合体を合成した。まず初めに、以下の材料をDMF(30g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で1時間重合させた。
4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸メチル(28g)、
開始種である1−ブロモエチルベンゼン(0.7g)、
触媒である臭化銅(0.5g)、
リガンドである1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(0.8g)

その結果、ポリ(4−エチレン−1−ナフタレンスルホン酸メチル)のマクロイニシエーター(22g、数平均分子量Mn =6200、分子量分布(Mw/Mn)=1.13)を得た。
【0218】
続いて、以下の材料をDMF(110g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で5時間共重合させた。
マクロイニシエーター(開始種)であるポリ(4−エチレン−1−ナフタレンスルホン酸メチル)(22g)
スチレン(83g)、
触媒である臭化銅(1.5g)、
リガンドである1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(2.4g)
その結果、下記式(W):
【0219】
【化39】

【0220】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M22):(F22)=88:12で含有するブロック共重合体(84g)を得た。数平均分子量Mn =25000、分子量分布(Mw/Mn)=1.20であった。
【0221】
(実施例X)
ニトロキシド媒介重合を用いて、下記式(X)で示されるブロック共重合体を合成した。まず初めに、以下の材料をDMF(31g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、120℃で1.5時間重合させた。
4−エテニル−1−ナフタレンスルホン酸エチル(31g)、
2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(0.5g)、
TEMPO(0.5g)、
ジクルミルパーオキサイド(0.2g)
その結果、ポリ(4−エチレン−1−ナフタレンスルホン酸エチル)のマクロイニシエーター(25g、数平均分子量Mn =8000、分子量分布(Mw/Mn)=1.20)を得た。
【0222】
続いて、以下の材料をDMF(110g)中に溶解させ、窒素雰囲気下、120℃で6時間重合させた。
マクロイニシエーター(開始種)であるポリ(4−エチレン−1−ナフタレンスルホン酸エチル)(25g)、
スチレン(86g)、
2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(0.5g)、
TEMPO(0.5g)、
ジクルミルパーオキサイド(0.2g)
その結果、下記式(X):
【0223】
【化40】

【0224】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M23):(F23)=87:13で含有するブロック共重合体(88g)を得た。数平均分子量Mn =30000、分子量分布(Mw/Mn)=1.25であった。
【0225】
(実施例Y−1)
氷浴下、(2−ブロモエチル)ベンゼン(100g)に発煙硫酸(40g)をゆっくり滴下しながら攪拌する。滴下後、0℃で20時間攪拌する。そして、2−(2−ブロモエチル)ベンゼンスルホン酸、3−(2−ブロモエチル)ベンゼンスルホン酸、4−(2−ブロモエチル)ベンゼンスルホン酸の混合物を得ることができ、これらの混合物をシリカゲルカラムによって分離精製する。次に、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(100mL)に2−(2−ブロモエチル)ベンゼンスルホン酸(10g)をゆっくり滴下して1時間室温で攪拌する。その後、4時間還流し、脱臭化水素反応によってo−スチレンスルホン酸ナトリウムを得ることができる。次に、イオン交換樹脂を用いてo-スチレンスルホン酸ナトリウムを脱塩する。その際、SYNTHETIC COMMUNICATIONS, 15(12), 21, 1057-1062 (1985)を参考にして、o−スチレンスルホン酸メチルを合成することができる。窒素気流下、o−スチレンスルホン酸ナトリウムの脱塩体(5g)、トリメチルオルトフォルメート(50mL)、重合禁止剤としてp−ベンゾキノンをフラスコにいれて、70℃で5時間加熱する。反応混合物を冷却し、減圧濃縮を行う。水3Lで2回洗浄し、ヘキサン3Lで2回洗浄したのち、クロロホルムに再溶解させたのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去する。
【0226】
得られる化合物の構造決定は1H−NMRにより行い、スルホン酸メチルに由来するピークが3から4ppmに見られることから、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることを確認できる。更に、電位差滴定装置を用いた酸価滴定により、スルホン酸に由来する当量点が見られないことからも、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることを確認できる。
【0227】
(実施例Y−2)
実施例Y−1で得られる3−(2−ブロモエチル)ベンゼンスルホン酸に対して、実施例Y−1と同様に、脱臭化水素化することによって、m−スチレンスルホン酸ナトリウムを得ることができる。
【0228】
次に、実施例Y−1と同様に、m−スチレンスルホン酸ナトリウムの脱塩体をトリメチルオルトフォルメートでメチルエステル化することによって、m−スチレンスルホン酸メチルを得ることができる。
【0229】
(実施例Z−1)
氷浴下、1−(2−ブロモエチル)ナフタレン(120g)に発煙硫酸(50g)をゆっくり滴下しながら攪拌する。滴下後、0℃で24時間攪拌して、4−(2−ブロモエチル)ナフタレンスルホン酸を得ることができる。
【0230】
次に、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(100mL)に4−(2−ブロモエチル)ナフタレンスルホン酸(10g)をゆっくり滴下して1時間室温で攪拌する。その後、6時間還流し、脱臭化水素反応によって4−エテニルナフタレンスルホン酸ナトリウムを得ることができる。
【0231】
次に、イオン交換樹脂を用いて4−エテニルナフタレンスルホン酸ナトリウムを脱塩し、実施例Y−1と同様にしてメチルエステル化を行い、4−エテニルナフタレンスルホン酸メチルを合成することができる。
【0232】
(実施例Z−2)
氷浴下、2−(2−ブロモエチル)ナフタレン(120g)に発煙硫酸(50g)をゆっくり滴下しながら攪拌する。滴下後、0℃で30時間攪拌して、2−(2−ブロモエチル)ナフタレンスルホン酸、及び複数の異性体が得られ、分離精製する。
【0233】
次に、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(50mL)に2−(2−ブロモエチル)ナフタレンスルホン酸(5g)をゆっくり滴下して1時間室温で攪拌する。その後、6時間還流し、脱臭化水素反応によって2−エテニルナフタレンスルホン酸ナトリウムを得ることができる。
【0234】
次に、イオン交換樹脂を用いて2−エテニルナフタレンスルホン酸ナトリウムを脱塩し、実施例Z−1と同様にしてメチルエステル化を行い、2−エテニルナフタレンスルホン酸メチルを合成することができる。
【0235】
次に、製造されたポリマーからなる荷電制御剤を用いて各種トナーを製造し、評価を行なった(実施例1から34)。なお、実施例A〜Xで製造されたポリマーをそれぞれ例示化合物A〜Xと表記する。
【0236】
(実施例1)
先ず、高速撹拌装置TK-ホモミキサーを備えた2リットル用の四つ口フラスコ中に、Na3PO4水溶液を添加し、回転数を 10,000 rpmに調整し、60℃に加温せしめた。ここにCaCl2水溶液を徐々に添加していき、微小な難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。一方、下記組成をボールミルを用いて3時間分散させた後、離型剤(カルナバワックス、融点83℃)10質量部と、重合開始剤である2,2'-アゾビス(2,4-ジ
メチルバレロニトリル)10質量部を添加して重合性単量体組成物を調製した。
・スチレン単量体:82質量部
・エチルヘキシルアクリレート単量体:18質量部
・ジビニルベンゼン単量体:0.1質量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー 15):6質量部
・酸化ポリエチレン樹脂(分子量 3200、酸価 8):5質量部
・例示化合物A:2質量部
次に、上記で得られた重合性単量体組成物を、先に調製した水系分散媒体中に投入し、回転数 10,000 rpmを維持しつつ造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、65℃で3時間反応させた後、80℃で6時間重合させて重合反応を終了した。反応終了後、懸濁液を冷却し、酸を加えて難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を溶解した後、濾過、水洗、乾燥して青色重合粒子(1)を得た。得られた青色重合粒子(1)のコールターカウンターマルチサイザー(コールター社製)を用いて測定した粒度は、重量平均粒径7.0μmで、微粉量(個数分布における 3.17μm以下の粒子の存在割合)は 5.1個数%であった。
【0237】
上記で調製した青色重合粒子(1) 100質量部に対して、流動向上剤としてヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粉体(BET: 270m2/g) 1.3質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して外添する。こうして、本実施例の青色トナー(1)とした。更に、この青色トナー(1) 7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均粒子径: 45μm) 93質量部とを混合して、磁気ブラシ現像用の2成分系青色現像剤(1)を調製した。
【0238】
(実施例2から5)
例示化合物Aをそれぞれ例示化合物F、K、P、Uとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例2から5の青色トナー(2)から(5)を得た。このトナーの特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示した。また、これを用いて実施例1と同様にして、実施例2から5の2成分系青色現像剤(2)から(5)を得た。
【0239】
(比較例1)
例示化合物を使用しない点以外は実施例1と同様の方法により、比較例1の青色トナー(6)を得た。このトナーの特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示した。また、これを用いて実施例1と同様にして、比較例1の2成分系青色現像剤(6)を得た。
【0240】
<評価>
上記実施例1から5で得られた2成分系青色現像剤(1)から(5)および比較例1で得られた2成分系青色現像剤(6)について、トナーの帯電量を測定した。具体的には、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表1にまとめて示した。
【0241】
[帯電性]
◎:非常に良好(-20μC/g 以下)
○:良好(-19.9から-10.0μC/g)
△:実用可(-9.9から-5.0μC/g)
×:実用不可(-4.9μC/g 以上)
(実施例6から10)
例示化合物B、G、M、Q、Vをそれぞれ 2.0質量部を用い、シアン着色剤の代わりにイエロー着色剤(ハンザイエローG)を使用する以外は、実施例1と同様の方法により、実施例6から10のイエロー(黄色)トナー(1)から(5)を得た。これらのトナーの特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示した。また、これを用いて実施例1と同様にして、2成分系イエロー(黄色)現像剤(1)から(5)を得た。
【0242】
(比較例2)
例示化合物を使用しない点およびシアン着色剤の代わりにイエロー着色剤(ハンザイエローG)を使用する点以外は実施例1と同様の方法により、比較例2のイエロー(黄色)トナー(6)を得た。このトナーの特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示した。また、これを用いて実施例1と同様にして、比較例2の2成分系イエロー(黄色)現像剤(6)を得た。
【0243】
<評価>
上記実施例6から10で得られた2成分系イエロー(黄色)現像剤(1)から(5)と、比較例2で得られた2成分系イエロー(黄色)現像剤(6)について、実施例1と同様にトナーの帯電量を測定し、評価した。その結果を表1にまとめて示した。
【0244】
(実施例11から15)
例示化合物C、H、L、R、Wをそれぞれ 2.0質量部使用し、シアン着色剤の代わりにカーボンブラック(DBP吸油量 110mL / 100g)を使用する以外は、実施例1と同様の方法で、実施例11から15の黒色トナー(1)から(5)を得た。これらのトナーの特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示した。また、これを用いて実施例1と同様にして、2成分系黒色現像剤(1)から(5)を得た。
【0245】
(比較例3)
例示化合物を使用しない点およびシアン着色剤の代わりにカーボンブラック(DBP吸油量 110mL / 100g)を使用する点以外は実施例1と同様の方法により、比較例3の黒色トナー(6)を得た。このトナーの特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示した。また、これを用いて実施例1と同様にして、比較例3の2成分系黒色現像剤(6)を得た。
【0246】
<評価>
上記実施例11から15で得られた2成分系黒色現像剤(1)から(5)と、比較例3で得られた2成分系黒色現像剤(6)について、実施例1と同様にトナーの帯電量を測定し、評価した。その結果を表1にまとめて示した。
【0247】
(実施例16)
・スチレン-ブチルアクリレート共重合樹脂(ガラス転移温度 70℃:100質量部
・マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド 114):5質量部
・ワックス(低分子ポリエチレン融点94℃):7質量部
・例示化合物D:2質量部
上記組成を混合し、二軸エクストルーダー(L/D= 30)で溶融混練した。この混練物を冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕した後に分級して、粉砕法によってマゼンタ着色粒子(1)を得た。このマゼンタ着色粒子(1)の粒度は、重量平均粒径 7.1μm、微粉量は 5.1個数%であった。
【0248】
このマゼンタ着色粒子(1)100質量部に対して、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粉体(BET: 250m2/g)1.5質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、本実施例のマゼンタ(赤色)トナー(1)を得た。更に、得られたマゼンタ(赤色)トナー(1)7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均粒子径: 45μm)93質量部とを混合して、磁気ブラシ現像用の2成分系マゼンタ(赤色)現像剤(1)を調製した。
【0249】
(実施例17から20)
例示化合物Dをそれぞれ例示化合物I、N、S、Xとした以外は実施例16と同様の方法により、実施例17から20のマゼンタ(赤色)トナー(2)から(5)を得た。このトナーの特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示した。また、これを用いて実施例16と同様にして、実施例17から20の2成分系マゼンタ(赤色)現像剤(2)から(5)を得た。
【0250】
(比較例4)
例示化合物を使用しない点以外は実施例16と同様の方法により、比較例4のマゼンタ赤色)トナー(6)を得た。このトナーの特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示した。また、これを用いて実施例16と同様にして、比較例4の2成分系マゼンタ(赤色)現像剤(6)を得た。
【0251】
<評価>
上記実施例16から20で得られた2成分系マゼンタ(赤色)現像剤(1)から(5)と、比較例4で得られた2成分系マゼンタ(赤色)現像剤(6)について、実施例1と同様にトナーの帯電量を測定し、評価した。その結果を表1にまとめて示した。
【0252】
(実施例21)
・ポリエステル樹脂:100質量部
・カーボンブラック(DBP吸油量 110mL/100g):5質量部
・ワックス(低分子ポリエチレン融点94℃):7質量部
・例示化合物E:2質量部
ポリエステル樹脂は次のようにして合成した。ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 751部、テレフタル酸 104部および無水トリメリット酸 167部をジブチルチンオキサイド2部を触媒として重縮合し、軟化点 125℃のポリエステル樹脂を得た。上記組成を混合し、二軸エクストルーダー(L/D=30)で溶融混練した。この混練物を冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕した後に分級して、粉砕法によって黒色着色粒子(7)を得た。この黒色着色粒子(7)の粒度は、重量平均粒径 7.3μm、微粉量は 5.1個数%であった。
【0253】
この黒色着色粒子(7)100質量部に対して、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粉体(BET: 250m2/g)1.5質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、本実施例の黒色トナー(7)を得た。 更に、得られた黒色トナー(7)7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均粒子径: 45μm) 93質量部とを混合して、磁気ブラシ現像用の2成分系黒色現像剤(7)を調製した。
【0254】
(実施例22から24)
例示化合物Eをそれぞれ例示化合物J、O、Tとした以外は実施例21と同様の方法により、実施例22から24の黒色トナー(8)から(10)を得た。このトナーの特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示した。また、これを用いて実施例21と同様にして、実施例22から24の2成分系黒色現像剤(8)から(10)を得た。
【0255】
(比較例5)
例示化合物を使用しない点以外は実施例21と同様の方法により、比較例5の黒色トナー(11)を得た。このトナーの特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示した。また、これを用いて実施例21と同様にして、比較例5の2成分系黒色現像剤(11)を得た。
【0256】
<評価>
上記実施例21から24で得られた2成分系黒色現像剤(7)から(10)と、比較例5で得られた2成分系黒色現像剤(11)について、実施例1と同様にトナーの帯電量を測定し、評価した。その結果を表1にまとめて示した。
【0257】
【表1】

【0258】
(便宜上イエローを黄色、マゼンタを赤色と呼ぶ)
実施例25から実施例30および比較例6から比較例10
先ず、実施例25から実施例30および比較例6から比較例10の画像形成方法に用いる画像形成装置として、LBP5500(キヤノン社製商品名)を使用した。
【0259】
その際、現像剤として、実施例1、6、11、16、21、24および比較例1から5で得たイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー又はブラックトナーでトナー画像を形成した。
【0260】
<評価>
逐次補給しながら、単色での間歇モード(即ち、一枚プリントアウトする毎に 10秒間現像器を休止させ、再起動時の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)でプリントアウト試験を行なった。条件は、常温常湿(25℃、60%RH)及び、高温高湿(30℃、80%RH)環境下、8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度となるように、LBP5500を改造した。実施例1、6、11、16、21、24のトナーと、比較例1から5のトナーをそれぞれ使用した。得られたプリントアウト画像を下記の項目について評価した。評価結果を表2にまとめて示した。
【0261】
[プリントアウト画像評価]
1.画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、所定枚数のプリントアウトをして、初期の画像に対するプリント終了時における画像の画像濃度維持の程度により評価した。尚、画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、原稿濃度が 0.00 の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、評価に用いた。
◎:優(終了時の画像濃度が 1.40以上)
○:良(終了時の画像濃度が 1.35以上 1.40未満)
△:可(終了時の画像濃度が 1.00以上 1.35未満)
×:不可(終了時の画像濃度が 1.00未満)
2.画像カブリ
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に所定枚数のプリントアウトをし、プリント終了時のベタ白画像により評価した。下記のような方法で評価した。反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD 社製、商品名:REFLECTOMETER MODEL TC-6DS)を用いて測定した。すなわち、プリント後の白地部反射濃度の最低値をDs、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDrとし、これらの値から(Ds-Dr)を求め、これをカブリ量とし、下記の基準で評価した。
◎:非常に良好(カブリ量が0%以上 1.5%未満)
○:良好(カブリ量が 1.5%以上 3.0%未満)
△:実用可(カブリ量が 3.0%以上 5.0%未満)
×:実用不可(カブリ量が 5.0%以上)
3.転写性
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、黒ベタ画像を所定枚数プリントアウトをし、プリント終了時の画像の画像抜け量を目視により観察し、下記の基準で評価した。
◎: 非常に良好(殆ど発生せず)
○: 良好(軽微)
△: 実用可
×: 実用不可
また、実施例25から実施例30および比較例6から比較例10で、5000枚画像出力を行なったときの感光ドラム及び中間転写体表面の傷や残留トナーの固着の発生状況とプリントアウト画像への影響(画像形成装置とのマッチング)を目視で評価した。実施例25から実施例30のトナーを使用した系では、感光ドラム及び中間転写体表面の傷や、残留トナーの固着が全く確認できず、LBP5500とのマッチングが非常に良好であった。
【0262】
一方、比較例6から比較例10のトナーを使用した系では、いずれも感光ドラム表面にトナーの固着が認められた。更に、比較例6から比較例10のトナーを使用した系では、中間転写体表面上にトナーの固着と表面傷が確認でき、画像上にも縦スジ状の画像欠陥を生じるといった、LBP5500とのマッチングにおいて問題を生じた。
【0263】
【表2】

【0264】
(実施例31から実施例33、比較例11から比較例13)
実施例31から実施例33、比較例11から比較例13の画像形成方法の実施にあたっては、現像剤として、実施例1、6、11および比較例1から3で得たトナーをそれぞれ用いた。また、画像を形成する手段としては、LBP5500にリユース機構(回収トナーを利用するシステム)を取り付けて改造し、再設定した画像形成装置を用いた。
【0265】
常温常湿(25℃、60%RH)環境下、8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で、トナーを逐次補給しながら連続モード(即ち、現像器を休止させることなくトナーの消費を促進させるモード)で、3万枚までプリントアウトを行う。得られたプリントアウト画像について画像濃度を測定し、その耐久について下記に示した基準で評価した。又、10,000枚目の画像を観察し、画像カブリについて下記の基準で評価した。又、同時に、耐久試験後におけるLBP5500を構成している各装置の様子を観察し、各装置と上記の各トナーとのマッチングについても評価した。以上の結果を表3にまとめて示した。
【0266】
[耐久時の画像濃度推移]
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、所定枚数のプリントアウトをして、初期の画像に対するプリント終了時における画像の画像濃度維持の程度により評価した。尚、画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、原稿濃度が 0.00 の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、評価に用いた。
◎:優(終了時の画像濃度が 1.40以上)
○:良(終了時の画像濃度が 1.35以上 1.40未満)
△:可(終了時の画像濃度が 1.00以上 1.35未満)
×:不可(終了時の画像濃度が 1.00未満)
[画像カブリ]
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に所定枚数のプリントアウトをし、プリント終了時のベタ白画像により評価した。評価は先に記載した反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD 社製 商品名:REFLECTOMETER MODEL TC-6DS)を用いた方法により行った。
【0267】
[画像形成装置マッチング評価]
1.現像スリーブとのマッチング
プリントアウト試験終了後、現像スリーブ表面への残留トナーの固着の様子とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
◎: 非常に良好(未発生)
○: 良好(殆ど発生せず)
△: 実用可(固着があるが、画像への影響が少ない)
×: 実用不可(固着が多く、画像ムラを生じる)
2.感光ドラムとのマッチング
感光体ドラム表面の傷や残留トナーの固着の発生状況とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
◎: 非常に良好(未発生)
○: 良好(僅かに傷の発生が見られるが、画像への影響はない)
△: 実用可(固着や傷があるが、画像への影響が少ない)
×: 実用不可(固着が多く、縦スジ状の画像欠陥を生じる)
3.定着装置とのマッチング
定着フィルム表面の様子を観察し、表面性及び残留トナーの固着状況の結果を総合平均化して、その耐久性を評価した。
【0268】
(1)表面性
プリントアウト試験終了後の定着フィルム表面の傷や削れの発生の様子を目視で観察し、評価した。
◎: 非常に良好(未発生)
○: 良好(殆ど発生せず)
△: 実用可
×: 実用不可
(2)残留トナーの固着状況
プリントアウト試験終了後の定着フィルム表面の残留トナーの固着状況を目視で観察し、評価した。
◎: 非常に良好(未発生)
○: 良好(殆ど発生せず)
△: 実用可
×: 実用不可
【0269】
【表3】

【0270】
(実施例34)
LBP5500のトナーリユース機構を取り外し、プリントアウト速度を 16枚(A4サイズ)/分となるように改造した以外は実施例31と同様にした。そして、実施例1の青色トナー(1)を逐次補給しながら連続モード(即ち、現像器を休止させることなく、トナーの消費を促進させるモード)でプリントアウト試験を行った。得られたプリントアウト画像評価ならびに用いたLBP5500とのマッチングを実施例31から実施例33、比較例11から比較例13と同様の項目について評価した。その結果、いずれの項目についても良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0271】
本発明は、電子写真技術に用いられるトナーに含有される荷電制御剤などに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0272】
【図1】トナーの帯電量を測定するブローオフ帯電量測定装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0273】
41 帯電量測定装置
42 測定容器
43 スクリーン
44 フタ
45 真空計
46 風量調節弁
47 吸引口
48 コンデンサー
49 電位計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(1)で示されるユニットを有することを特徴とするポリマー。
【化1】

(式中、R1x 、R1y 、及びR1w は下記(i)から(iii)の中から選択される。R1w及びR1xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R1yはCH3基または水素原子である。下記(i)の場合、R1a、R1b、R1c、R1d、R1eは、下記(i−A)から(i−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれる。下記(ii)の場合、R1a、R1b、R1c、R1d、R1eは、下記(ii−A)から(ii−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれる。下記(iii)の場合、R1a、R1b、R1c、R1d、R1eは、下記(iii−A)から(iii−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれる。
(i)R1w、R1x及びR1yはそれぞれ水素原子である場合
(i−A)R1aはSO31f(R1fは、直鎖の炭素数1から8のアルキル基、分岐の炭素数3、及び5から8のアルキル基、または置換もしくは未置換のフェニル基である。)であり、R1b、R1c、R1d及びR1eは水素原子である。または、R1aはSO31f(R1fは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1b、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基または水素原子である(ただし、R1b、R1c、R1d及びR1eの全てが水素原子である場合を除く)。
(i−B)R1bはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(i−C)R1cはSO31h(R1hは、分岐の炭素数5から8のアルキル基、直鎖の炭素数7のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1b、R1d及びR1eは水素原子である。あるいは、R1cはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1b、R1d及びR1eはそれぞれ独立して直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である(ただし、R1a、R1b、R1d及びR1eの全てが水素原子である場合を除く)。
(ii)R1w及びR1xはそれぞれ水素原子であり、R1yはCH3基である場合
(ii−A)R1aはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1b、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(ii−B)R1bはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(ii−C)R1cはSO31i(R1iは、直鎖もしくは分岐の炭素数2から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1b、R1d及びR1eは水素原子である。または、R1cはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1b、R1d及びR1eはそれぞれ独立して直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii)R1w及びR1xの少なくとも一つがハロゲン原子である場合
(iii−A)R1aはSO31j(R1jは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1b、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii−B)R1bはSO31j(R1jは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1c、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii−C)R1cはSO31g(R1gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R1a、R1b、R1d及びR1eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。)
【請求項2】
化学式(2)で示されるユニットを有することを特徴とするポリマー。
【化2】

(式中、R2w及びR2xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R2yはCH3基または水素原子である。R2eは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R2a、R2b、R2c、R2d、R2f、及びR2gはそれぞれ独立してSO32h(R2hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R2a、R2b、R2c、R2d、R2f及びR2gの少なくとも1つはSO32hである。あるいは、R2eはSO32i(R2iは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R2a、R2b、R2c、R2d、R2f、及びR2gはそれぞれ独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。)
【請求項3】
化学式(3)で示されるユニットを有することを特徴とするポリマー。
【化3】

(式中、R3w及びR3xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R3yはCH3基または水素原子である。R3a、R3b、R3c、R3d、R3e、R3f及びR3gはそれぞれ独立してSO33h(R3hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基のいずれかであり、R3a、R3b、R3c、R3d、R3e、R3f及びR3gの少なくとも一つはSO33hである。)
【請求項4】
化学式(5)で示す化合物。
【化4】

式中、R5x、R5y及びR5wは下記(i)から(iii)の中から選択される。式中、R5w及びR5xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R5yはCH3基または水素原子である。R5a、R5b、R5c、R5d及びR5eは、下記(i)の場合、下記(i−A)から(i−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれ、下記(ii)の場合、下記(ii−A)から(ii−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれ、下記(iii)の場合、下記(iii−A)から(iii−C)のいずれかに記載されている組み合わせから選ばれる。
(i)R5w、R5x及びR5yはそれぞれ水素原子である場合
(i−A)R5aはSO35f(R5fは、直鎖の炭素数1から8のアルキル基、分岐の炭素数3、及び5から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5b、R5c、R5d及びR5eは水素原子である。または、R5aはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5b、R5c、R5d及びR5eはそれぞれ独立して、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基、または水素原子である(ただし、R5b、R5c、R5d及びR5eの全てが水素原子である場合を除く)。
(i−B)R5bはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである)であり、R5a、R5c、R5d及びR5eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(i−C)R5cはSO35h(R5hは、分岐の炭素数5から8のアルキル基、直鎖の炭素数7のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5b、R5d及びR5eは水素原子である。または、R5cはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである)であり、R5a、R5b、R5d及びR5eはそれぞれ独立して、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基、または水素原子である(ただし、R5a、R5b、R5d及びR5eの全てが水素原子である場合を除く)。
(ii)R5w及びR5xはそれぞれ水素原子であり、R5yはCH3基である場合
(ii−A)R5aはSO35f(R5fは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5b、R5c、R5d及びR5eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(ii−B)R5bはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5c、R5d及びR5eは水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(ii−C)R5cはSO35i(R5iは、直鎖もしくは分岐の炭素数2から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5b、R5d及びR5eは水素原子である。あるいは、R5cはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5b、R5d及びR5eは直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii)R5w及びR5xの少なくとも一つがハロゲン原子である場合
(iii−A)R5aはSO35j(R5jは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5b、R5c、R5d及びR5eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii−B)R5bはSO35j(R5jは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5c、R5d及びR5eは水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
(iii−C)R5cはSO35g(R5gは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R5a、R5b、R5d及びR5eはそれぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。
【請求項5】
化学式(6)で示す化合物。
【化5】

(式中、R6w及びR6xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R6yはCH3基または水素原子である。R6eは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R6a、R6b、R6c、R6d、R6f、及びR6gはそれぞれ独立して、SO36h(R6hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R6a、R6b、R6c、R6d、R6f及びR6gの少なくとも一つはSO36hである。または、R6eはSO36i(R6iは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)であり、R6a、R6b、R6c、R6d、R6f、及びR6gはそれぞれ独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基である。)
【請求項6】
化学式(7)で示す化合物。
【化6】

(式中、R7w及びR7xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R7yはCH3基または水素原子である。R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f及びR7gはそれぞれ独立して、SO37h(R7hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f及びR7gのいずれか一つはSO37hである。)
【請求項7】
粉粒体の荷電状態を制御する荷電制御剤において、化学式(8)で示されるユニットを有するポリマーからなることを特徴とする荷電制御剤。
【化7】

(式中、R8w及びR8xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R8yはCH3基または水素原子である。R8a、R8b、R8c、R8d及びR8eはそれぞれ独立して、SO38f(R8fは、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R8a、R8b、R8c、R8d及びR8eの少なくとも1つはSO38fである。)
【請求項8】
粉粒体の荷電状態を制御する荷電制御剤において、化学式(9)で示されるユニットを有するポリマーからなることを特徴とする荷電制御剤。
【化8】

(式中、R9w及びR9xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R9yはCH3基または水素原子である。R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、R9f及びR9gはそれぞれ独立して、SO39h(R9hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、R9f及びR9gの少なくとも1つはSO39hである。)
【請求項9】
粉粒体の荷電状態を制御する荷電制御剤において、化学式(10)で示されるユニットを有するポリマーからなることを特徴とする荷電制御剤。
【化9】

(式中、R10w及びR10xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R10yはCH3基または水素原子である。R10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f及びR10gはそれぞれ独立して、SO310h(R10hは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、または直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルコキシル基であり、R10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f及びR10gの少なくとも1つはそれぞれ独立して、SO310hである。)
【請求項10】
前記荷電制御剤が、化学式(11)で示されるユニットを有する共重合体からなる請求項7乃至9のいずれかに記載の荷電制御剤。
【化10】

(式中、R11w及びR11xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R11yは、CH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R11は、水素原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造(ただし、SO311z(R11zは、水素原子、直鎖もしくは分岐の炭素数1から8のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である)で置換されたフェニル基又はナフチル基を除く)、置換もしくは未置換の複素環構造、ハロゲン原子、−CO−R11a、−O−R11b、−COO−R11c、−OCO−R11d、−CONR11eR11f、−CN、またはN原子を含む環構造である。R11a、R11b、R11c、R11d、R11e及びR11fはそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。)
【請求項11】
前記ポリマーの分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)が1<Mw/Mn<2である請求項7乃至9のいずれかに記載の荷電制御剤。
【請求項12】
前記ポリマーがブロック共重合体である請求項7乃至11のいずれかに記載の荷電制御剤。
【請求項13】
静電荷像現像トナーにおいて、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、請求項7乃至12のいずれかに記載の荷電制御剤を含有することを特徴とする静電荷像現像トナー。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−154180(P2007−154180A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306675(P2006−306675)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】