説明

新規ポリマーおよび粘度を制御する方法

【課題】許容される/改善された剪断安定性、粘度指数制御、および低温粘度をもたらすことができるポリマーおよびその潤滑組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、ペンダント基を有する新規なポリマーに関する。本発明はさらに、前記ポリマーを含有する潤滑組成物を提供する。本発明はさらに、潤滑粘度の油にペンダント基を有するポリマーを供給して粘度指数を制御する方法および用途を提供する。一実施形態では、本発明は、(a)潤滑粘度の油と、(b)上で規定したペンダント基を有するポリマーとを含む潤滑剤組成物を提供する。一実施形態では、本発明は、本発明のポリマーを潤滑粘度の油と混和して得た(または得られる)潤滑剤または潤滑剤濃縮物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンダント基を有する新規なポリマーに関する。本発明はさらに、前記ポリマーを含有する潤滑組成物を提供する。本発明はさらに、潤滑粘度の油に、ペンダント基を有するポリマーを供給して粘度指数を制御する方法および用途を提供する。
【背景技術】
【0002】
粘度指数向上剤は、潤滑油組成物に加えると、潤滑剤の粘度指数を向上させることが知られている。典型的な粘度指数向上剤としては、メタクリラート、アクリラート、オレフィンのポリマー、または無水マレイン酸スチレンコポリマーおよびそのエステル化された誘導体が挙げられる。粘度指数向上剤は、ペンダント基/グラフト化された基/分枝状の基にエステル官能基を組み込む傾向がある。エステル官能基は、1〜40個の炭素原子を有する鎖状アルキルアルコールから誘導されるものでよい。最近では、エステル官能基がある程度枝分かれしている粘度指数向上剤を製造することが試みられている。しかし、そのような粘度指数向上剤は、剪断安定性、粘度指数制御、および低温粘度が不十分である。
【0003】
特許文献1は、溶解性パラメータが8.6〜9.4、結晶化温度が−15℃以下、立体障害係数が0〜13であるポリマーとして定義される粘度指数向上剤を開示している。このポリマーは、その一部がβ分枝状でもよいアルキルアルケニルエーテルおよびC1〜40アルキルメタクリル酸を含む。この粘度指数向上剤は、ギヤ油、油圧作動油、自動変速機、およびエンジン油に適する。
【0004】
特許文献2は、20〜70%のアクリル酸アルキル、30〜80%のメタクリル酸アルキルから構成されるコポリマーを含有する潤滑油組成物を開示している。この潤滑油は、ギヤ油またはエンジン潤滑剤にすることができる。
【0005】
米国特許出願第2004/0077509号は、ギヤ油、変速機、トラクション油、油圧作動油、およびエンジン油に適する粘度指数向上剤ポリマーを開示している。このポリマーはさらに、剪断安定性および低温粘度をも向上させる。このポリマーは、分枝状アルコールから誘導される(メタ)アクリラートから構成される。この分枝状のエステル基は、C18〜36アルキル基を含むが、但し、炭素原子を16個超含むメチレン基は含まない。このポリマーはさらに、(メタ)アクリル酸C8〜17アルキルまたは(メタ)アクリル酸C18〜24アルキルを5〜90%、ヒドロキシ、アミド、またはカルボキシル含有モノマーを5〜50%含有する。分枝状エステル基を有するモノマーは、5〜90%、10〜70%、または20〜60%で存在してよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6746993号明細書
【特許文献2】米国特許第5763374号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の粘度指数向上剤の性能を考えると、許容される/改善された剪断安定性、粘度指数制御、および低温粘度をもたらすことができるポリマーおよびその潤滑組成物を手にすることが望ましいはずである。本発明は、そのようなポリマーおよびその潤滑組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一実施形態では、次式の()内に表されるペンダント基を有する式(I)のポリマーを提供する。
【0009】
【化5】

[式中、
BBは、1個または複数のペンダント基を有するポリマー主鎖であり、
Xは、(i)炭素と少なくとも1個の酸素もしくは窒素原子とを含むか、または(ii)1〜5個の炭素原子(通常は−CH−)を有するアルキレン基であるかのいずれかの官能基であり、ポリマー主鎖と、()内に含まれる分枝状ヒドロカルビル基とを連結しており、
wは、ポリマー主鎖に結合している、1〜2000、1〜500、または5〜250の範囲のペンダント基の数であり、
yは、0、1、2、または3であり、但し、少なくとも1モル%のペンダント基においてyはゼロでなく、そして、但し、yが0であるとき、Xは、Xの原子価を満たすのに十分な様式で末端基に結合しており、末端基は、水素、アルキル、アリール、金属(通常はエステル反応液を中和する際に生成する。適切な金属には、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、ナトリウム、カリウム、またはリチウムが含まれる。)、またはアンモニウムカチオン、およびこれらの混合物から選択され、
pは、1〜15(または1〜8または1〜4)の範囲の整数であり、
R’およびR”は、それぞれ独立に、鎖状または分枝状のヒドロカルビル基であり、R’およびR”中に存在する炭素原子を合わせた総数は、少なくとも12(または少なくとも16または少なくとも18または少なくとも20)であり、
但し、ポリマーが、R’およびR”が両方とも鎖状であるポリ(メタ)アクリラートを含むとき、()内に表す分枝状ヒドロカルビル基の70%超(72%以上、75%以上、80%以上、または85%以上を含める)で、R’およびR”の両方が鎖状の基である]。
【0010】
本発明は、一実施形態では、次式の()内に表されるペンダント基を有する式(I)のポリマーを提供する。
【0011】
【化6】

[式中、
BBは、1個または複数のペンダント基を有するポリマー主鎖であり、
Xは、(i)炭素と少なくとも1個の酸素もしくは窒素原子とを含むか、または(ii)1〜5個の炭素原子(通常は−CH−)を有するアルキレン基であるかのいずれかの官能基であり、ポリマー主鎖と、()内に含まれる分枝状ヒドロカルビル基とを連結しており、
wは、ポリマー主鎖に結合している、1〜2000、1〜500、または5〜250の範囲のペンダント基の数であり、
yは、0、1、2、または3であり、但し、少なくとも1モル%のペンダント基においてyはゼロでなく、そして、但し、yが0であるとき、Xは、Xの原子価を満たすのに十分な様式で末端基に結合しており、末端基は、水素、アルキル、アリール、金属カチオン、またはアンモニウムカチオン、およびこれらの混合物から選択され、
pは、1〜15(または1〜8または1〜4)の範囲の整数であり、
R’およびR”は、それぞれ独立に、鎖状または分枝状のヒドロカルビル基であり、R’およびR”中に存在する炭素原子を合わせた総数は、少なくとも12(または少なくとも16または少なくとも18または少なくとも20)であり、
但し、ポリマーが、R’とR”が両方とも鎖状であるポリ(メタ)アクリラートを含むとき、()内に表す分枝状ヒドロカルビル基の70%超〜90%未満(72%〜89%を含む)、さらには90%〜100%超で、R’およびR”の両方が鎖状の基である]。
【0012】
本発明は、一実施形態では、次式の()内に表されるペンダント基を有する式(I)のポリマーを提供する。
【0013】
【化7】

[式中、
BBは、1個または複数のペンダント基を有するポリマー主鎖であり、
Xは、(i)炭素と少なくとも1個の酸素もしくは窒素原子とを含むか、または(ii)1〜5個の炭素原子(通常は−CH−)を有するアルキレン基であるかのいずれかの官能基であり、ポリマー主鎖と、()内に含まれる分枝状ヒドロカルビル基とを連結しており、
wは、ポリマー主鎖に結合している、1〜2000または1〜500または5〜250の範囲のペンダント基の数であり、
yは、0、1、2、または3であり、但し、少なくとも1モル%のペンダント基においてyはゼロでなく、そして、但し、yが0であるとき、Xは、Xの原子価を満たすのに十分な様式で末端基に結合しており、末端基は、水素、アルキル、アリール、金属カチオン、またはアンモニウムカチオン、およびこれらの混合物から選択され、
pは、1〜15(または1〜8または1〜4)の範囲の整数であり、
R’およびR”は、それぞれ独立に、鎖状または分枝状のヒドロカルビル基であり、R’およびR”中に存在する炭素原子を合わせた総数は、少なくとも12(または少なくとも16または少なくとも18または少なくとも20)であり、
但し、ポリマーが、R’およびR”が両方とも鎖状であるポリ(メタ)アクリラートを含むとき、()に表す分枝状ヒドロカルビル基の70%超90%未満で、R’およびR”の両方が鎖状の基である]。
【0014】
本発明は、一実施形態では、次式の()内に表されるペンダント基を有する式(I)のポリマーを提供する。
【0015】
【化8】

[式中、
BBは、1個または複数のペンダント基を有するポリマー主鎖であり、
Xは、(i)炭素と少なくとも1個の酸素もしくは窒素原子を含むか、または(ii)1〜5個の炭素原子(通常は−CH−)を有するアルキレン基であるかのいずれかの官能基であり、ポリマー主鎖と、()内に含まれる分枝状ヒドロカルビル基とを連結しており、
wは、ポリマー主鎖に結合している、1〜2000または1〜500または5〜250の範囲のペンダント基の数であり、
yは、0、1、2、または3であり、但し、少なくとも1モル%のペンダント基においてyはゼロでなく、そして、但し、yが0であるとき、Xは、Xの原子価を満たすのに十分な様式で末端基に結合しており、末端基は、水素、アルキル、アリール、金属カチオン、またはアンモニウムカチオン、およびこれらの混合物から選択され、
pは、1〜15(または1〜8または1〜4)の範囲の整数であり、
R’およびR”は、それぞれ独立に、鎖状または分枝状のヒドロカルビル基であり、R’およびR”中に存在する炭素原子を合わせた総数は、少なくとも12(または少なくとも16または少なくとも18または少なくとも20)であり、
但し、ポリマーが、R’およびR”が両方とも鎖状であるポリ(メタ)アクリラートを含むとき、()内に表す分枝状ヒドロカルビル基の90%超が、R’およびR”の両方で鎖状の基を含む]。
【0016】
本発明は、一実施形態では、次式の()内に表されるペンダント基を有する式(I)のポリマーを提供する。
【0017】
【化9】

[式中、
BBは、1個または複数のペンダント基を有するポリマー主鎖であり、
Xは、炭素と少なくとも1個の酸素もしくは窒素原子を含む官能基であり、ポリマー主鎖と、()内に含まれる分枝状ヒドロカルビル基とを連結しており、
wは、ポリマー主鎖に結合している、1〜2000または1〜500または5〜250の範囲のペンダント基の数であり、
yは、0、1、2、または3であり、但し、少なくとも1モル%のペンダント基においてyはゼロでなく、そして、但し、yが0であるとき、Xは、Xの原子価を満たすのに十分な様式で末端基に結合しており、末端基は、水素、アルキル、アリール、金属カチオン、またはアンモニウムカチオン、およびこれらの混合物から選択され、
pは、1〜15(または1〜8または1〜4)の範囲の整数であり、
R’およびR”は、それぞれ独立に、鎖状または分枝状のヒドロカルビル基であり、R’およびR”中に存在する炭素原子を合わせた総数は、少なくとも12(または少なくとも16または少なくとも18または少なくとも20)であり、
但し、ポリマーが、R’およびR”が両方とも鎖状であるポリ(メタ)アクリラートを含むとき、()内に表す分枝状ヒドロカルビル基の70%超(72%以上、75%以上、80%以上、または85%以上を含む)で、R’およびR”の両方が鎖状の基である]。
【0018】
一実施形態では、上で規定したペンダント基を有するポリマーがポリ(メタ)アクリラートを含むとき、ペンダント基は、(以下で定義する)平均立体障害係数が13より大きい。
【0019】
一実施形態では、本発明は、(a)潤滑粘度の油と、(b)上で規定したペンダント基を有するポリマーとを含む潤滑剤組成物を提供する。
【0020】
一実施形態では、本発明は、本発明のポリマーを潤滑粘度の油と混和して得た(または得られる)潤滑剤または潤滑剤濃縮物を提供する。
【0021】
一実施形態では、本発明は、潤滑剤の粘度指数を制御する方法であって、潤滑剤に、ペンダント基を有するポリマー(粘度指数向上剤と呼ぶこともある)を供給することを含み、ペンダント基を有するポリマーは、上で規定したとおりである方法を提供する。
【0022】
一実施形態では、本発明は、潤滑剤の粘度指数を制御する方法であって、潤滑剤に、ペンダント基を有するポリマー(粘度指数向上剤と呼ぶこともある)を供給することを含み、ペンダント基を有するポリマーは、上で規定したとおりであり、またペンダント基を有するポリマーは、平均立体障害係数がゼロより大きく、但し、このポリマーがポリ(メタ)アクリラートを含むとき、平均立体障害係数は13より大きい方法を提供する。
【0023】
一実施形態では、本発明は、潤滑剤組成物に、許容される/改善された剪断安定性、許容される/改善された粘度指数制御、および許容される/改善された低温粘度の少なくとも1つ(または少なくとも2つまたはすべて)をもたらす、本明細書に記載のペンダント基を有するポリマーの用途を提供する。
例えば、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
次式の()内に表されるペンダント基を有する式(I)のポリマー
【化1】


[式中、
BBは、1個または複数のペンダント基を有するポリマー主鎖であり、
Xは、(i)少なくとも炭素と少なくとも1個の酸素もしくは窒素原子とを含むか、または(ii)1〜5個の炭素原子を有するアルキレン基であるかのいずれかの官能基であり、該ポリマー主鎖と、()内に含まれる分枝状ヒドロカルビル基とを連結しており、
wは、該ポリマー主鎖に結合している、1〜2000の範囲のペンダント基の数であり、yは、0、1、2、または3であり、但し、少なくとも1モル%のペンダント基においてyはゼロでなく、そして、但し、yが0であるとき、Xは、Xの原子価を満たすのに十分な様式で末端基に結合しており、末端基は、水素、アルキル、アリール、金属カチオン、またはアンモニウムカチオン、およびこれらの混合物から選択され、
pは、1〜15の範囲の整数であり、
R’およびR”は、それぞれ独立に、鎖状または分枝状のヒドロカルビル基であり、R’およびR”中に存在する炭素原子を合わせた総数は、少なくとも12であり、
但し、ポリマーが、R’およびR”が両方とも鎖状であるポリ(メタ)アクリラートを含むとき、()内に表される分枝状ヒドロカルビル基の70%超で、R’およびR”の両方が鎖状の基である]。
(項目2)
Xが、炭素と少なくとも1個の酸素または窒素原子とを含む官能基である、項目1に記載のポリマー。
(項目3)
重量平均分子量が1000〜2000000または6000〜100000の範囲にある、項目1に記載のポリマー。
(項目4)
ホモポリマーまたはコポリマーである、項目1に記載のポリマー。
(項目5)
鎖状構造、櫛型構造、架橋結合構造、または星型構造を有する、項目1に記載のポリマー。
(項目6)
官能基Xが、エステル、アミド、またはイミドである、項目1に記載のポリマー。
(項目7)
官能基Xがエステルである、項目1に記載のポリマー。
(項目8)
分枝状ヒドロカルビル基R’およびR”を20%〜100%、または70%〜100%有し、前記ポリマーがポリ(メタ)アクリラート以外である、項目1に記載のポリマー。
(項目9)
R’およびR”上の炭素原子を合わせた総数が12〜60個または16〜40個の範囲である、項目1に記載のポリマー。
(項目10)
分枝状ヒドロカルビル基R’およびR”を92%〜100%または95%〜100%有するポリ(メタ)アクリラートを含む、項目1に記載のポリマー。
(項目11)
0重量%〜5重量%または0重量%のアクリル酸アルキル繰返し単位を含むポリ(メタ)アクリラートを含む、項目10に記載のポリマー。
(項目12)
0重量%〜20重量%未満、または0重量%〜5重量%のメタクリル酸メチル繰返し単位を含むポリ(メタ)アクリラートを含む、項目10に記載のポリマー。
(項目13)
前記ポリマー主鎖が、(a)(i)ビニル芳香族モノマーと(ii)カルボン酸モノマーもしくはその誘導体とを含むモノマーから誘導されるポリマー、(b)ポリ(メタ)アクリラート、(c)官能性ポリオレフィン、(d)エチレン酢酸ビニルコポリマー、(e)フマル酸コポリマー、(f)(i)αオレフィンと(ii)カルボン酸モノマーもしくはその誘導体とから誘導されるコポリマー、または(g)これらの混合物の少なくとも1つを含む、項目1に記載のポリマー。
(項目14)
前記官能性ポリオレフィンがアシル化剤でグラフト化されている、項目13に記載のポリマー。
(項目15)
前記カルボン酸モノマーが、酸もしくは無水物、または完全にエステル化されていても、部分的にエステル化されていてもよいその誘導体、またはこれらの混合物を含む、項目13に記載のポリマー。
(項目16)
ペンダント基を有するポリマーが、(i)ビニル芳香族モノマーと(ii)カルボン酸モノマーとを含むモノマーから誘導され、エステル化されたスチレン−無水マレイン酸コポリマーを含み、該コポリマーの無水マレイン酸単位は、分枝状アルキルペンダント基を有するアルコールでその後エステル化される、項目13に記載のポリマー。
(項目17)
窒素含有基をさらに含む、項目1に記載のポリマー。
(項目18)
前記窒素含有基が、官能性ポリマー主鎖と反応し得る窒素含有化合物から誘導される、項目17に記載のポリマー。
(項目19)
前記窒素含有化合物が、アミド官能基を介して前記ポリマーにさらに結合している、項目18に記載のポリマー。
(項目20)
前記窒素含有化合物が、アルキルアミン、ヒドロキシ置換されたヒドロカルビルアミン、複素環モノアミン、アルキレンポリアミン、芳香族アミンもしくはポリアミン、複素環ポリアミン、またはこれらの混合物を含む、項目19に記載のポリマー。
(項目21)
前記窒素含有化合物が、窒素含有モノマーから誘導される、項目19に記載のポリマー。
(項目22)
前記窒素含有モノマーが、フリーラジカルグラフト化または共重合によって前記ポリマー鎖に結合している、項目21に記載のポリマー。
(項目23)
前記窒素含有モノマーが、次式によって表される(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリラートモノマーを含む、項目21に記載のポリマー
【化2】


[式中、
Qは、水素またはメチルであり、そして一実施形態では、Qはメチルであり、
Zは、N−H基またはO(酸素)であり、
各Rは、それぞれ独立に、水素、または1〜8個の炭素原子を含むヒドロカルビル基であり、
各Rは、それぞれ独立に、水素、または1〜2個の炭素原子を含むヒドロカルビル基であり、
gは、1〜6の範囲の整数である]。
(項目24)
前記窒素含有モノマーが、N−ビニル−ホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−プロピオンアミド、N−ビニルヒドロキシアセトアミド、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリジノン、N−ビニルカプロラクタム、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノブチルアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、またはこれらの混合物などのN−ビニルカルボンアミドを含む、項目21に記載のポリマー。
(項目25)
前記窒素含有化合物が、非単量体アミンを含む、項目19に記載のポリマー。
(項目26)
潤滑粘度の油と項目1に記載のポリマーとを含む潤滑組成物。
(項目27)
潤滑剤の粘度指数を制御する方法であって、潤滑剤に項目1に記載のポリマーを供給することを含む、方法。
(項目28)
前記潤滑剤が、ギヤ油、車軸油、駆動軸油、トラクション油、手動変速機油、または自動変速機油の少なくとも1種に適する、項目27に記載の潤滑組成物。
(項目29)
許容される分散力特性、許容される剪断安定性、許容される粘度指数制御、および許容される低温粘度の少なくとも1つを得るための、項目1に記載のポリマーの潤滑剤中への使用。
(項目30)
次式の()内に表されるペンダント基を有する式(I)のポリマー
【化3】


[式中、
BBは、1個または複数のペンダント基を有するポリマー主鎖であり、
Xは、(i)少なくとも炭素と少なくとも1個の酸素もしくは窒素原子とを含むか、または(ii)1〜5個の炭素原子を有するアルキレン基であるかのいずれかの官能基であり、該ポリマー主鎖と、()内に含まれる分枝状ヒドロカルビル基とを連結しており、
wは、該ポリマー主鎖に結合している、1〜2000の範囲のペンダント基の数であり、yは、0、1、2、または3であり、但し、少なくとも1モル%のペンダント基においてyはゼロでなく、そして、但し、yが0であるとき、Xは、Xの原子価を満たすのに十分な様式で末端基に結合しており、該末端基は、水素、アルキル、アリール、金属カチオン、またはアンモニウムカチオン、およびこれらの混合物から選択され、
pは、1〜15の範囲の整数であり、
R’およびR”は、それぞれ独立に、鎖状または分枝状のヒドロカルビル基であり、R’およびR”中に存在する炭素原子を合わせた総数は、少なくとも12であり、
但し、該ポリマーが、R’およびR”が両方とも鎖状であるポリ(メタ)アクリラートを含むとき、()内に表す分枝状ヒドロカルビル基の70%超90%未満で、R’およびR”の両方が鎖状の基である]。
(項目31)
次式の()内に表されるペンダント基を有する式(I)のポリマー
【化4】


[式中、
BBは、1個または複数のペンダント基を有するポリマー主鎖であり、
Xは、少なくとも炭素と少なくとも1個の酸素または窒素原子とを含む官能基であり、該ポリマー主鎖と、()内に含まれる分枝状ヒドロカルビル基とを連結しており、
wは、該ポリマー主鎖に結合している、1〜2000の範囲のペンダント基の数であり、yは、0、1、2、または3であり、但し、少なくとも1モル%のペンダント基においてyはゼロでなく、そして、但し、yが0であるとき、Xは、Xの原子価を満たすのに十分な様式で末端基に結合しており、該末端基は、水素、アルキル、アリール、金属カチオン、またはアンモニウムカチオン、およびこれらの混合物から選択され、
pは、1〜15の範囲の整数であり、
R’およびR”は、それぞれ独立に、鎖状または分枝状のヒドロカルビル基であり、R’およびR”中に存在する炭素原子を合わせた総数は、少なくとも12であり、
但し、ポリマーが、R’およびR”が両方とも鎖状であるポリ(メタ)アクリラートを含むとき、()内に表す分枝状ヒドロカルビル基の70%超で、R’およびR”の両方が鎖状の基である]。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ペンダント基を有するポリマー、前記ポリマーを含有する潤滑剤、および潤滑剤の粘度指数を制御する方法を提供する。
【0025】
一実施形態では、本明細書で使用する立体障害係数Fは、次式
F=4U+Y
[式中、Fは立体障害係数であり、UおよびYは、側鎖中の、主鎖から数えてそれぞれ6位および7位の総原子数を表す]によって規定される。立体障害係数をどのように算出するかについてのより詳細な論述は、米国特許第6746993号、10カラム3行目から11カラム3行目に示されている。
【0026】
異なる実施形態では、ペンダント基を有するポリマーは、立体障害係数が1以上、または1〜30である。
【0027】
本明細書では、ポリ(メタ)アクリラートという用語は、ポリメタクリラートおよびポリアクリラートの両方を含む。
【0028】
ペンダント基を有する、ポリ(メタ)アクリラート以外のポリマーでは、立体障害係数は、0〜30または2〜20に及んでよい。
【0029】
ポリ(メタ)アクリラートポリマーでは、立体障害係数は、13より大きい〜30または20〜30または25〜30の範囲でよい。
【0030】
異なる実施形態では、ペンダント基を有する(ポリ(メタ)アクリラート以外の)ポリマーは、上の式の()内の基によって表される、分枝状ヒドロカルビル基を20%〜100%、50%〜100%、70%〜100%、または85%〜100%含んでよい。
【0031】
本発明のペンダント基を有するポリマーはすべて、上の式の()内の基によって表される、分枝状ヒドロカルビル基を92%〜100%または95%〜100%含んでよい。
【0032】
異なる実施形態では、ポリ(メタ)アクリラートは、上の式の()内の基によって表される、分枝状ヒドロカルビル基を92%〜100%または95%〜100%含んでよい。
【0033】
異なる実施形態では、上の式でXによって規定される官能基は、−CO−、−C(O)N=、または−(CH−の少なくとも1つを含んでよく、vは、1〜20、1〜10、または1〜2の範囲の整数でよい。
【0034】
一実施形態では、Xは、カルボン酸モノマーから誘導される。適切なカルボキシモノマーの例には通常、無水マレイン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、無水イタコン酸、またはイタコン酸が含まれる。一実施形態では、カルボン酸モノマーは、無水マレイン酸またはマレイン酸の少なくとも1種でよい。
【0035】
一実施形態では、Xは、ポリマー主鎖と分枝状ヒドロカルビル基とを連結するアルキレン基以外のものである。
【0036】
異なる実施形態では、ペンダント基は、エステル化、アミド化、またはイミド化された官能基でよい。
【0037】
一実施形態では、ペンダント基は、エステル化および/またはアミド化された官能基から誘導されるものでよい。
【0038】
一実施形態では、ポリマーは、エステル化されたペンダント基を含む。
【0039】
上で規定した式についてR’およびR”に適する基の例には、以下のものが含まれる。1)C15〜16ポリメチレン基を含むアルキル基、たとえば、1−C1〜15アルキル−ヘキサデシル基(たとえば1−オクチルヘキサデシル)や、2−アルキル−オクタデシル基(たとえば、2−エチルオクタデシル、2−テトラデシル−オクタデシル、および2−ヘキサデシルオクタデシル)、
2)C13〜14ポリメチレン基を含むアルキル基、たとえば、1−C15アルキル−テトラデシル基(たとえば、1−ヘキシルテトラデシル、1−デシルテトラデシル、および1−ウンデシルトリデシル)や、2−C1〜15アルキル−ヘキサデシル基(たとえば、2−エチル−ヘキサデシルおよび2−ドデシルヘキサデシル)、
3)C10〜12ポリメチレン基を含むアルキル基、たとえば、1−C1〜15アルキル−ドデシル基(たとえば1−オクチルドデシル)、2−C1〜15アルキル−ドデシル基(2−ヘキシルドデシルおよび2−オクチルドデシル)、2−C1〜15アルキル−テトラデシル基(たとえば、2−ヘキシルテトラデシルおよび2−デシルテトラデシル)、
4)C6〜9ポリメチレン基を含むアルキル基、たとえば、2−C1〜15アルキル−デシル基(たとえば、2−オクチルデシルおよび2,4−ジ−C1〜15アルキル−デシル基(たとえば2−エチル−4−ブチル−デシル基)、
5)C1〜5ポリメチレン基を含むアルキル基、たとえば、2−(3−メチルヘキシル)−7−メチル−デシルおよび2−(1,4,4−トリメチルブチル)−5,7,7−トリメチル−オクチル基、ならびに
6)たとえばプロピレンオリゴマー(六量体から十一量体)、エチレン/プロピレン(モル比16:1〜1:11)オリゴマー、i−ブテンオリゴマー(五量体から八量体)、C5〜17αオレフィンオリゴマー(二量体から六量体)に対応するオキソアルコールのアルキル残基など、2種以上の分枝状アルキル基の混合物。
【0040】
ペンダント基は、R’およびR”上に含まれる炭素原子を合わせた総数が、12〜60、14〜50、16〜40、18〜40、または20〜36の範囲でよい。
【0041】
R’およびR”はそれぞれ、5〜25、8〜32、または10〜18個のメチレン炭素原子を含んでいてよい。一実施形態では、R’およびR”基それぞれについて、炭素原子数は10〜24を占める。
【0042】
ペンダント基を形成することのできる適切なモノマーの例には、分枝状のメタクリル酸アルキル、たとえば、メタクリル酸2−オクチルドデシルおよび2−デシルテトラデシル、ならびにメタクリル酸2−テトラデシルオクタデシル、2−ヘキシル−ドデシル、2−ヘキシルテトラデシル、2−エチルヘキサデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−オクチルドデシルオキシエチル、および2−デシルテトラデシル−オキシエチルが含まれる。一実施形態では、ペンダント基は、アクリル酸2−オクチルドデシルやアクリル酸2−デシルテトラデシルなどの、対応するメタクリラートについて上で挙げたものと同じものである分枝状アクリル酸アルキルを含む。
【0043】
ペンダント基を有するポリマーは、2−デシル−テトラデシルアミン、2−テトラデシル−オクタデシルアミン、2−メチル−エチルアミン、またはこれらの混合物を含めたアミンでアミド化してもよい。
【0044】
ペンダント基を有するポリマーは、重量平均分子量が1000〜2000000、4000〜1000000、6000〜100000、または7000〜80000の範囲のものでよい。通常、ペンダント基を有するポリマーの多分散性は、1〜5または1.5〜4の範囲でよい。
【0045】
以下で記載するように、粘度調節剤の分子量は、ポリスチレン標準物質を使用するGPC分析などの既知の方法を使用して決定することができる。
【0046】
ペンダント基を有するポリマーは、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。
【0047】
ペンダント基を有するポリマーは、鎖状構造、櫛型構造、架橋結合構造、または星型構造を有するものでよい。
【0048】
異なる実施形態では、ペンダント基を有するポリマーは、75重量%以上、85重量%以上、90重量%以上より多い、または92重量%以上のメタクリラート繰返し単位から構成されるポリメタクリラートを含む。
【0049】
異なる実施形態では、ペンダント基を有するポリマーがポリメタクリラートを含むとき、ポリメタクリラートは、0重量%〜20重量%未満、0重量%〜10重量%、0重量%〜5重量%、または0重量%のアクリル酸アルキル繰返し単位を含んでいてもよい。
【0050】
異なる実施形態では、ペンダント基を有するポリマーがポリ(メタ)アクリラートを含むとき、ポリメタクリラートは、0重量%〜20重量%未満、0重量%〜10重量%、0重量%〜5重量%、または0重量%のメタクリル酸メチル繰返し単位を含んでいてもよい。
【0051】
ポリマー主鎖
ペンダント基を有するポリマーは、ポリマー主鎖(上式のBB)を有し、変動要素BBは通常、炭素鎖のみを含む。カルボン酸基、エステル、アミン、アミド、イミドなどの他の官能基は、ペンダント基の一部であるとみなす。
【0052】
ペンダント基を有するポリマーは、(a)(i)ビニル芳香族モノマーと(ii)カルボン酸モノマー(通常は無水マレイン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、無水イタコン酸、またはイタコン酸)もしくはその誘導体とを含むモノマーから誘導されるポリマー、(b)ポリ(メタ)アクリラート、(c)官能性ポリオレフィン、(d)エチレン酢酸ビニルコポリマー、(e)フマル酸コポリマー、(f)(i)αオレフィンと(ii)カルボン酸モノマー(通常は無水マレイン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、無水イタコン酸、またはイタコン酸)もしくはその誘導体から誘導されるコポリマー、または(g)これらの混合物の少なくとも1つから構成される少なくとも1つのポリマー主鎖(上式のBB)を含むものでよい。一実施形態では、ペンダント基を有するポリマーは、ポリメタクリラートを含む。
【0053】
カルボン酸モノマーは、酸もしくは無水物、または完全にエステル化されていても、部分的にエステル化されていてもよいその誘導体、またはこれらの混合物でよい。部分的にエステル化されているとき、他の官能基には、酸、塩、またはその混合物が含まれる。適切な塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはその混合物が挙げられる。塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、またはこれらの混合物が含まれる。不飽和のカルボン酸またはその誘導体には、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、マレイン酸もしくは無水物、フマル酸、イタコン酸もしくは無水物、またはこれらの混合物が含まれる。
【0054】
カルボン酸モノマーの適切な例としては、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸メチル、無水マレイン酸エチル、無水マレイン酸ジメチル、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
一実施形態では、カルボン酸モノマーは、無水マレイン酸またはその誘導体を含む。
【0056】
一実施形態では、官能性ポリオレフィンを、カルボン酸モノマー(通常、カルボン酸モノマーは、無水マレイン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、無水イタコン酸、またはイタコン酸である)でグラフト化することができる。ポリオレフィンは、エチレンモノマーと、式HC=CHR[式中、Rは、ヒドロカルビル基(たとえば、1〜18、1〜10、1〜6、または1〜3個の炭素原子を含むアルキル基)である]のαオレフィンから誘導される少なくとも1種の他のコモノマーとから得ることができる。ヒドロカルビル基には、直鎖、分枝鎖、またはこれらの混成物を有するアルキル基が含まれる。コモノマーの例には、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン、またはこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、コモノマーには、1−ブテン、プロピレン、またはこれらの混合物が含まれる。オレフィンコポリマーの例には、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、またはこれらの混合物が含まれる。
【0057】
別の実施形態では、α−オレフィンコモノマーは、6〜40、10〜34、または14〜22個の範囲でいくつかの炭素原子を含んでいてよい。αオレフィンの例には、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ドエイコセン、2−テトラコセン、3−メチル−1−ヘンイコセン、4−エチル−2−テトラコセン、またはこれらの混合物が含まれる。αオレフィンの実用的な例としては、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、またはこれらの混合物が挙げられる。αオレフィンは多くの場合、混合物として、特にC16〜C18として市販されている。
【0058】
一実施形態では、ペンダント基を有するポリマーは、αオレフィンと不飽和の二酸もしくはその無水物とのコポリマーでよい。(i)αオレフィンと(ii)二酸またはその無水物の適切なコポリマーについてのより詳細な記述は、米国特許第6419714号および/またはUS4526950に示されている。
【0059】
一実施形態では、エステル化の前に(i)ビニル芳香族モノマーと(ii)カルボン酸モノマーをと含むモノマーから得ることができる、ペンダント基を有するポリマーは、インターポリマーと呼ぶことができる。
【0060】
ビニル芳香族モノマーの例には、スチレン(エテニルベンゼンとも呼ばれる)、置換スチレン、またはこれらの混合物が含まれる。適切な置換スチレンの例には、αメチルスチレン、p−メチルスチレン(ビニルトルエンとも呼ばれる)、p−t−ブチルスチレン、αエチルスチレン、またはこれらの混合物が含まれる。
【0061】
インターポリマーの分子量は、そのポリマーの「換算比粘度」という用語で表現することもでき、この用語は、ポリマー物質の分子サイズを表現する認められた手段である。本明細書では、換算比粘度(RSVと略される)とは、RSV=(相対粘度−1)/濃度という式に従って得られる値であり、相対粘度は、ポリマー1gをアセトン10cmに溶かした溶液の粘度および30℃でのアセトンの粘度を希釈粘度計によって測定して決定する。上記式によって算出する目的で、濃度は、アセトン10cmあたりインターポリマー0.4gに調整する。比粘度としても知られている換算比粘度、ならびにこれとインターポリマー平均分子量との関係についてのより詳細な論述は、Paul J.Flory、「Principles of Polymer Chemistry」(1953年版)、308頁および次頁に出ている。本発明のインターポリマー重合体は通常、RSVが0.05〜2、一実施形態では0.06〜1、別の実施形態では0.06〜0.8である。一実施形態では、RSVは0.69である。別の実施形態では、RSVは0.12である。一実施形態では、インターポリマーのMwは10000〜300000である。
【0062】
一実施形態では、ペンダント基を有するポリマーは、エステル化されたスチレン−無水マレイン酸コポリマーであり、コポリマーの無水物単位は、分枝状アルコールでその後エステル化することができ、これが上の式の()内に表される分枝状ヒドロカルビル基を形成する。
【0063】
一実施形態では、ペンダント基を有するポリマーは、窒素含有基をさらに含む。窒素含有基は、官能性ポリマー主鎖と反応し得る窒素含有化合物から得ることができる。一実施形態では、窒素含有化合物は、アミド官能基を介してポリマーにさらに結合している。窒素含有基を有するポリマーは、分散剤粘度調節剤(またはDVM)と呼ばれる場合もある。
【0064】
一実施形態では、窒素含有化合物は、窒素含有モノマーを含む。一実施形態では、窒素含有モノマーは、フリーラジカルグラフト化または共重合によってポリマー鎖に結合させる。窒素含有モノマーは、(メタ)アクリルアミドまたは窒素含有(メタ)アクリラートモノマーを含むものでよい。通常、(メタ)アクリルアミドまたは窒素含有(メタ)アクリラートモノマーを含む窒素含有化合物は、ペンダント基を有するポリマーの主鎖に官能性をもたせるのに適する。ペンダント基(ii)を有するポリマーは、不飽和カルボン酸またはその誘導体の一部分または全部を窒素含有化合物と縮合させて調製することができる。(メタ)アクリルアミドまたは窒素含有する(メタ)アクリラートモノマーは、次式によって表される。
【0065】
【化10】

[式中、
Qは、水素またはメチルであり、一実施形態では、Qはメチルであり、
Zは、N−H基またはO(酸素)であり、
各Rは、それぞれ独立に、水素、または1〜8個または1〜4個の炭素原子を含むヒドロカルビル基であり、
各Rは、それぞれ独立に、水素、または1〜2個の炭素原子を含むヒドロカルビル基であり、一実施形態では、各Rは水素であり、
gは、1〜6の整数であり、一実施形態では、gは1〜3である]。
【0066】
適切な窒素含有モノマーの例には、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルカルボンアミド(N−ビニル−ホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−プロピオンアミド、N−ビニルヒドロキシアセトアミドなど)、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリジノン、N−ビニルカプロラクタム、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノブチルアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、またはこれらの混合物が含まれる。
【0067】
官能性ポリオレフィン、および/または(i)ビニル芳香族モノマーと(ii)カルボン酸モノマーとを含むモノマーから誘導される、ペンダント基を有するポリマーでは、窒素含有化合物には、モノアミン、ポリアミン、またはこれらの混合物など、非単量体アミンが含まれる。アミンには、第一級官能基、第二級官能基、またはこれらの混合物が含まれる。非単量体アミンには、環状、鎖状、または分枝状のものが含まれ、例としては、アルキルアミン、ヒドロキシ置換されたヒドロカルビルアミン、複素環式モノアミン、アルキレンポリアミン、芳香族アミンもしくはポリアミン、複素環式ポリアミン、またはこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、アミンは、1個以下の第一級または第二級アミノ基、たとえばN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを含む。一実施形態では、窒素含有モノマーは、非単量体アミンを含む。(「非単量体」とは、アミンが、たとえばオレフィン性不飽和の存在によって重合してポリマーを生成することが通常はできないことを意味する。)
一実施形態では、アミンは、ヒドロキシアルキルアミンなどのヒドロキシ置換されたヒドロカルビルアミンでよい。適切なヒドロキシ置換されたヒドロカルビルアミンの例には、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルエタノールアミン、アミノブチルエタノールアミン、またはこれらの混合物が含まれる。
【0068】
適切な環式アミンには、4−アミノジフェニルアミン、4−(3−アミノプロピル)モルホリン、4−(2−アミノエチル)モルホリン、またはこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、環式アミンは、4−(3−アミノプロピル)モルホリンまたはその混合物である。適切であるといえる他のアミンについては、以下でリン酸アミン塩と関連して述べる。
【0069】
潤滑粘度の油
潤滑組成物は、潤滑粘度の油を含む。そのような油には、天然および合成の油;水素化分解、水素化、および水素化精製から得られる油;未精製、精製、および再精製油、およびこれらの混合物が含まれる。
【0070】
未精製油は、天然または合成の供給源から、一般にそれ以上の精製処理なし(またはほとんどなし)で、直接に得られるものである。
【0071】
精製油は、1つまたは複数の精製ステップでさらに処理されて、1つまたは複数の性質が改良されていることを除き、未精製油と同様である。精製技術は、当業界で知られており、溶媒抽出、二次蒸留、酸または塩基抽出、濾過、浸出(percolation)などがこれに含まれる。
【0072】
再精製油は、再生油または再加工油としても知られており、精製油を得るのに使用されるものと同様の方法によって得られ、多くの場合、使用済添加剤および油分解生成物の除去に対処する技術によってさらに処理される。
【0073】
本発明の潤滑剤を製造するのに有用な天然の油には、動物油または植物油(たとえば、ヒマシ油またはラード油)、白色鉱油などの鉱物潤滑油、パラフィン系、ナフテン系、またはパラフィン系−ナフテン系混合型の溶媒処理または酸処理した鉱物潤滑油、石炭または頁岩から得られる油、およびこれらの混合物が含まれる。
【0074】
合成の潤滑油は、有用であり、炭化水素油、たとえば、重合したオレフィンおよび共重合したオレフィン(たとえば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンイソブチレンコポリマー);ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)、およびこれらの混合物;アルキル−ベンゼン(たとえば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)−ベンゼン);ポリフェニル(たとえば、ビフェニル、テルフェニル、アルキル化されたポリフェニル);アルキル化されたジフェニルエーテルおよびアルキル化されたジフェニルスルフィド、ならびにこれらの誘導体、類似体、および同族体、またはこれらの混合物が含まれる。
【0075】
他の合成潤滑油には、ポリオールエステル(Prolube(登録商標)3970など)、ジエステル、リンを含む酸の液状エステル(たとえば、リン酸トリクレシル、リン酸トリオクチル、およびデカンホスホン酸のジエチルエステル)、または重合体テトラヒドロフランが含まれる。合成油は、Fischer−Tropsch反応によって生成することができ、通常は水素異性化されたFischer−Tropsch炭化水素またはワックスでよい。一実施形態では、油は、Fischer−Tropschガストゥーリキッド合成手順、ならびに他のガストゥーリキッド油によって調製することができる。
【0076】
潤滑粘度の油は、米国石油協会(API)のBase Oil Interchangeability Guidelinesに指定のとおりに定義することもできる。基礎となる5つの油群は、次のとおりである。I群(硫黄含有量>0.03重量%、および/または<90重量%飽和、粘度指数80〜120);II群(硫黄含有量≦0.03重量%、および≧90量%飽和、粘度指数80〜120);III群(硫黄含有量≦0.03重量%、および≧90重量%飽和、粘度指数≧120);IV群(すべてポリαオレフィン(PAO));ならびにV群(I、II、III、またはIV群に含まれない他のすべてもの)。潤滑粘度の油は、APIのI群、II群、III群、IV群、V群の油、またはこれらの混合物を含む。多くの場合、潤滑粘度の油は、APIのI群、II群、III群、IV群の油、またはこれらの混合物である。あるいは、潤滑粘度の油は多くの場合、APIのI群、II群、III群の油、またはこれらの混合物である。
【0077】
潤滑組成物は、濃縮物および/または十分に調合された潤滑剤の形でよい。本発明のペンダント基を有するポリマーが濃縮物の形(追加の油と合わせると、全体または一部で完成潤滑剤を生成することができるもの)であるなら、ペンダント基を有するポリマー対、潤滑粘度の油および/または希釈油の比としては、重量で1:99〜99:1または重量で80:20〜10:90の範囲が挙げられる。
【0078】
他の性能添加剤
潤滑剤組成物は、場合により他の性能添加剤を含む。他の性能添加剤は、金属不活性化剤、従来の清浄剤(当業界で知られている従来の方法によって調製した清浄剤)、分散剤、粘度調整剤、摩擦調整剤、腐食防止剤、分散剤粘度調整剤、極圧剤、耐スカッフィング剤、酸化防止剤、抑泡剤、抗乳化剤、流動点降下剤、シール膨潤剤、およびこれらの混合物の少なくとも1種を含む。通常、十分に調合された潤滑油は、これらの性能添加剤の1種または複数を含有する。
【0079】
分散剤
分散剤は多くの場合、潤滑油組成物中に混合する前に、灰を生成する金属を含有せず、潤滑剤およびポリマー分散剤に加えたとき、通常は灰を生成するいかなる金属も与えないことから、無灰型分散剤として知られている。無灰型分散剤は、比較的高分子量の炭化水素鎖に結合している極性基を特徴とする。典型的な無灰分散剤としては、N置換された長鎖アルケニルスクシンイミドが挙げられる。N置換された長鎖アルケニルスクシンイミドの例には、ポリイソブチレン置換基の数平均分子量が350〜5000または500〜3000の範囲にあるポリイソブチレンスクシンイミドが含まれる。
【0080】
一実施形態では、本発明は、ポリイソブチレン、アミン、および酸化亜鉛から得られる少なくとも1種の分散剤をさらに含んで、亜鉛を含むポリイソブチレンスクシンイミド錯体を形成する。亜鉛を含むポリイソブチレンスクシンイミド錯体は、単独で使用しても、組み合わせて使用してもよい。
【0081】
別の種類の無灰分散剤は、マンニッヒ塩基である。マンニッヒ分散剤は、アルキルフェノールとアルデヒド(特にホルムアルデヒド)およびアミン(特にポリアルキレンポリアミン)との反応生成物である。アルキル基は通常、少なくとも30個の炭素原子を含む。
【0082】
分散剤は、様々な薬品のいずれかとの反応による従来の方法によって後処理してもよい。それらの薬品の中でも、(ホウ酸などの)ホウ素化合物、尿素、チオ尿素、ジメルカプトチアジアゾール、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換された無水コハク酸、無水マレイン酸、ニトリル、エポキシド、およびリン化合物が挙げられる。
【0083】
洗浄剤
潤滑剤組成物は、場合により既知の中性または過塩基性清浄剤、すなわち、当業界で知られている従来の方法によって調製される清浄剤をさらに含む。適切な清浄剤基質には、フェナート、硫黄含有フェナート、スルホナート、サリキサラート(salixarate)、サリチラート、カルボン酸、リン酸、アルキルフェノール、硫黄結合型アルキルフェノール化合物、またはサリゲニンが含まれる。
【0084】
酸化防止剤
酸化防止剤化合物は、知られており、硫化オレフィン、ジフェニルアミン、ヒンダードフェノール、ジチオカルバミン酸モリブデン、およびこれらの混合物がこれに含まれる。酸化防止剤化合物は、単独で使用しても、組み合わせて使用してもよい。
【0085】
ヒンダードフェノール酸化防止剤は多くの場合、s−ブチルおよび/またはt−ブチル基を立体障害性の基として含む。フェノール基は多くの場合、ヒドロカルビル基、および/または第二の芳香族基に連結する橋かけ基でさらに置換されている。適切なヒンダードフェノール酸化防止剤の例には、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−エチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−プロピル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−ブチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、または4−ドデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールが含まれる。一実施形態では、ヒンダードフェノール酸化防止剤は、エステルであり、たとえば、CibaのIrganox(商標)L−135を含めることができる。酸化防止剤として使用することのできるジチオカルバミン酸モリブデンの適切な例には、R.T.Vanderbilt Co.,Ltd.のVanlube822(商標)およびMolyvan(商標)Aや、旭電化工業株式会社のAdeka Sakura−Lube(商標)S−100、S−165、およびS−600などの商品名で販売されている市販の材料およびその混合物が含まれる。
【0086】
粘度調整剤
本発明のペンダント基を有するポリマー以外の粘度調整剤には、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンコポリマー、水素添加されたスチレン−イソプレンポリマー、水素添加されたジエンポリマー、ポリアルキルスチレン、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、および無水マレイン酸−スチレンコポリマーのエステル、またはこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、ポリマー増粘剤は、ポリ(メタ)アクリラートである。
【0087】
耐摩耗剤
潤滑組成物は、場合により少なくとも1種の耐摩耗剤をさらに含む。適切な耐摩耗剤の例には、油溶性のリン酸アミン塩、硫化オレフィン、金属ジヒドロカルビルジチオリン酸塩(ジアルキルジチオリン酸亜鉛など);チオカルバミン酸エステル、チオカルバミン酸アミド、チオカルバミンエーテル、アルキレン結合型チオカルバマート、ビス(S−アルキルジチオカルバミル)ジスルフィドなどのチオカルバマート含有化合物が含まれる。
【0088】
一実施形態では、油溶性リン酸アミン塩耐摩耗剤は、リン酸エステルのアミン塩またはその混合物を含む。リン酸エステルのアミン塩には、リン酸エステルおよびそのアミン塩;ジアルキルジチオリン酸エステルおよびそのアミン塩;亜リン酸エステルのアミン塩;およびリン含有カルボン酸エステル、エーテル、およびアミドのアミン塩;ならびにこれらの混合物が含まれる。リン酸エステルのアミン塩は、単独で使用しても、組み合わせて使用してもよい。
【0089】
一実施形態では、油溶性リン酸アミン塩は、部分アミン塩−部分金属塩化合物またはその混合物を含む。一実施形態では、リン化合物は、分子中に硫黄原子をさらに含む。一実施形態では、リン化合物のアミン塩は、(他の構成成分と混合する前には)無灰、すなわち無金属である。
【0090】
アミン塩としての使用に適するといえるアミンには、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、およびこれらの混合物が含まれる。こうしたアミンには、少なくとも1個のヒドロカルビル基、またはある実施形態では、2または3個のヒドロカルビル基を有するアミンが含まれる。ヒドロカルビル基は、2〜30個の炭素原子、または別の実施形態では8〜26個、10〜20個、もしくは13〜19個の炭素原子を含んでいてよい。
【0091】
第一級アミンには、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、およびドデシルアミン、ならびにn−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、オレイルアミンなどの脂肪アミンが含まれる。他の有用な脂肪アミンとしては、「Armeen(登録商標)」アミン(Akzo Chemicals、米国イリノイ州シカゴから入手可能な製品)、たとえば、Armeen C、Armeen O、Armeen OL、Armeen T、Armeen HT、Armeen S、Armeen SDなどの市販の脂肪アミン[文字の意味は、ココ、オレイル、タロウ、またはステアリル基などの脂肪性の基に関連する]が挙げられる。
【0092】
適切な第二級アミンの例には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、メチルエチルアミン、エチルブチルアミン、およびエチルアミルアミンが含まれる。第二級アミンは、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンなどの環式アミンでもよい。
【0093】
アミンは、第三級脂肪族の第一級アミンでもよい。この場合の脂肪族基は、2〜30個、6〜26個、または8〜24個の炭素原子を含むアルキル基でよい。第三級アルキルアミンには、t−ブチルアミン、t−ヘキシルアミン、1−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン、t−オクチルアミン、t−デシルアミン、t−ドデシルアミン、t−テトラデシルアミン、t−ヘキサデシルアミン、t−オクタデシルアミン、t−テトラコサニルアミン、およびt−オクタコサニルアミンなどのモノアミンが含まれる。
【0094】
一実施形態では、リン酸アミン塩は、C11〜C14第三級アルキル第一級基を有するアミンまたはその混合物を含む。一実施形態では、リン酸アミン塩は、C14〜C18第三級アルキル第一級アミンを有するアミンまたはその混合物を含む。一実施形態では、リン酸アミン塩は、C18〜C22第三級アルキル第一級アミンを有するアミンまたはその混合物を含む。
【0095】
アミンの混合物を本発明で使用してもよい。一実施形態では、アミンの有用な混合物は、「Primene(登録商標)81R」および「Primene(登録商標)JMT」である。Primene(登録商標)81RおよびPrimene(登録商標)JMT(共にRohm&Haasが製造販売)は、それぞれC11〜C14第三級アルキル第一級アミンおよびC18〜C22第三級アルキル第一級アミンの混合物である。
【0096】
一実施形態では、アルキルリン酸エステルのヒドロカルビルアミン塩は、C14〜C18アルキル化されたリン酸を、C11〜C14第三級アルキル第一級アミンの混合物であるPrimene 81R(商標)(Rohm&Haasが製造および販売)と反応させた生成物である。
【0097】
ジアルキルジチオリン酸エステルのヒドロカルビルアミン塩の例には、イソプロピル、メチル−アミル(4−メチル−2−ペンチルまたはその混合物)、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、またはノニルジチオリン酸を、エチレンジアミン、モルホリン、またはPrimene 81R(商標)、およびこれらの混合物と反応させた生成物が含まれる。
【0098】
一実施形態では、ジチオリン酸をエポキシドまたはグリコールと反応させてもよい。この反応生成物をさらに、リン酸、無水物、または低級エステルと反応させる。エポキシドには、脂肪族のエポキシドまたはスチレンオキシドが含まれる。有用なエポキシドの例には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、オクテンオキシド、ドデセンオキシド、スチレンオキシドなどが含まれる。一実施形態では、エポキシドは、プロピレンオキシドである。グリコールは、1〜12個、2〜6個、または2〜3個の炭素原子を有する脂肪族グリコールでよい。ジチオリン酸、グリコール、エポキシド、無機リン試薬、およびそれを反応させる方法は、米国特許第3197405号および同第3544465号に記載されている。次いで、得られる酸をアミンとの塩にすることができる。適切なジチオリン酸の例は、514グラムのO,O−ジ(4−メチル−2−ペンチル)ホスホロジチオ酸ヒドロキシプロピル(ジ(4−メチル−2−ペンチル)−ホスホロジチオ酸を25℃で1.3モルのプロピレンオキシドと反応させて調製する)に、58℃で45分間かけて五酸化リン(約64グラム)を加えることによって調製されるものである。混合物を75℃で2.5時間加熱し、珪藻土と混合し、70℃で濾過する。濾液は、11.8重量%のリン、15.2重量%の硫黄を含有し、酸価は87である(ブロモフェノールブルー)。
【0099】
ジチオカルバミン酸含有化合物は、ジチオカルバミン酸またはその塩を不飽和化合物と反応させて調製することができる。ジチオカルバミン酸含有化合物は、アミン、二硫化炭素、および不飽和化合物を同時に反応させて調製することもできる。一般に、反応は、温度25℃〜125℃で実施される。
【0100】
硫化されて硫化オレフィンを生成することのできる適切なオレフィンの例には、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ヘキサン、ヘプテン、オクタン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ウンデシル、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、オクタデセン、ノナデセン、エイコセン、またはこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、オクタデセン、ノナデセン、エイコセン、またはこれらの混合物、ならびにその二量体、三量体、および四量体が、特に有用なオレフィンである。あるいは、オレフィンは、1,3−ブタジエンなどのジエンと、アクリル酸ブチルなどの不飽和エステルのDiels−Alder付加体でもよい。
【0101】
別の種類の硫化オレフィンには、脂肪酸およびそのエステルが含まれる。脂肪酸は多くの場合、植物油または動物性油から得られ、通常は4〜22個の炭素原子を含む。適切な脂肪酸およびそのエステルの例には、トリグリセリド、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、またはこれらの混合物が含まれる。脂肪酸は多くの場合、ラード油、トール油、ラッカセイ油、ダイズ油、綿実油、ヒマワリ種子油、またはこれらの混合物から得られる。一実施形態では、脂肪酸および/またはエステルをオレフィンと混合する。
【0102】
代替実施形態では、無灰耐摩耗剤は、ポリオールと、脂肪族カルボン酸、多くの場合、12〜24個の炭素原子を含む酸のモノエステルでよい。多くの場合、ポリオールと脂肪族カルボン酸のモノエステルは、ヒマワリ油などとの混合物の形でよく、摩擦調整剤混合物中に、前記混合物の5〜95、いくつかの実施形態では10〜90、20〜85、または20〜80重量パーセント存在してよい。エステルを生成する脂肪族カルボン酸(特にモノカルボン酸)は、通常は12〜24個、または14〜20個の炭素原子を含む酸である。カルボン酸の例には、ドデカン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、およびオレイン酸が含まれる。
【0103】
ポリオールには、ジオール、トリオール、およびこれより多数のアルコール性OH基を有するアルコールが含まれる。多価アルコールには、ジ、トリ、およびテトラエチレングリコールを含めたエチレングリコール;ジ、トリ、およびテトラプロピレングリコールを含めたプロピレングリコール;グリセロール;ブタンジオール;ヘキサンジオール;ソルビトール;アラビトール;マンニトール;スクロース;フルクトース;グルコース;シクロヘキサンジオール;エリスリトール;ならびにジおよびトリペンタエリスリトールを含めたペンタエリスリトールが含まれる。多くの場合、ポリオールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、またはジペンタエリスリトールである。
【0104】
「グリセロールモノオレイン酸エステル」として知られている市販のモノエステルは、60±5重量パーセントの化学種グリセロールモノオレイン酸エステルと共に、35±5パーセントのグリセロールジオレイン酸エステルおよび5パーセント未満のトリオレイン酸エステルおよびオレイン酸を含むと考えられている。上述のモノエステルの量は、そのような任意の混合物中に存在するポリオールモノエステルの補正された実際量に基づき算出する。
【0105】
耐スカッフィング剤
潤滑剤組成物は、耐スカッフィング剤を含有してもよい。アブレシブ摩耗を軽減すると考えられる耐スカッフィング剤化合物は、多くの場合、硫黄含有化合物である。通常、硫黄含有化合物には、硫化されたオレフィン、有機スルフィド、およびポリスルフィド、たとえば、ジベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、ジ−t−ブチルポリスルフィド、硫化されたオレイン酸メチルエステル、硫化されたアルキルフェノール、硫化されたジペンテン、硫化されたテルペン、硫化されたDiels−Alder付加体、ジチオカルバミン酸アルキルスルフェニルN’N−ジアルキル、ポリアミンと多塩基酸エステルとの反応生成物、2,3−ジブロモプロポキシイソ酪酸のクロロブチルエステル、ジアルキルジチオカルバミン酸のアセトキシメチルエステル、キサントゲン酸のアシルオキシアルキルエーテル、およびこれらの混合物が含まれる。
【0106】
極圧剤
油溶性の極圧(EP)剤には、硫黄含有およびクロロスルホ含有EP剤、クロル化炭化水素EP剤、およびリンEP剤が含まれる。そのようなEP剤の例には、クロル化されたロウ;硫化されたオレフィン(硫化されたイソブチレンなど);有機スルフィドおよびポリスルフィド、たとえば、ジベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド;硫化されたオレイン酸メチルエステル、硫化されたアルキルフェノール、硫化されたジペンテン、硫化されたテルペン、および硫化されたDiels−Alder付加体;リン化硫化された(phosphosulphurised)炭化水素、たとえば、硫化リンとテルペンチンまたはオレイン酸メチルの反応生成物;亜リン酸エステル、たとえば、二炭化水素および三炭化水素の亜リン酸エステル、たとえば、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジヘプチル、亜リン酸ジシクロヘキシル、亜リン酸ペンチルフェニル、亜リン酸ジペンチルフェニル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸ジステアリル、およびポリプロピレン置換された亜リン酸フェノール;金属チオカルバミン酸塩、たとえば、ジオクチルジチオカルバミン酸亜鉛およびバリウムヘプチルフェノール二酸;アルキルおよびジアルキルリン酸または誘導体のアミン塩(たとえば、ジアルキルジチオリン酸をプロピレンオキシドと反応させ、その後さらにPと反応させた生成物のアミン塩が含まれる);ならびにこれらの混合物(US3197405に記載のとおり)が含まれる。
【0107】
他の性能添加剤、たとえば、腐食防止剤(オクチルアミンのオクタン酸塩;ドデセニルコハク酸もしくはドデセニルコハク酸無水物、およびオレイン酸などの脂肪酸がポリアミンと縮合した生成物が含まれる);金属不活性化剤(ベンゾトリアゾールの誘導体、ジメルカプトチアジアゾール誘導体、1,2,4−トリアゾール、ベンズイミダゾール、2−アルキルジチオベンズイミダゾール、または2−アルキルジチオベンゾチアゾールが含まれる);抑泡剤(アクリル酸エチルと、2−エチルヘキシルアクリラートとのコポリマー、場合により酢酸ビニルとのコポリマーが含まれる);抗乳化剤(リン酸トリアルキル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、および(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)ポリマーが含まれる);流動点降下剤(無水マレイン酸−スチレンのエステル、ポリ(メタ)アクリラート、ポリアクリラート、またはポリアクリルアミドが含まれる);摩擦調整剤(アミン、エステル、エポキシド、脂肪性イミダゾリンなどの脂肪酸誘導体、カルボン酸とポリアルキレン−ポリアミンの縮合物、およびアルキルリン酸のアミン塩が含まれる)を潤滑剤組成物中に使用してもよい。
【0108】
産業上の適用
本発明の方法および潤滑組成物は、ギヤ油、車軸油、駆動軸油、トラクション油、手動変速機油、自動変速機油、作動流体、油圧作動油、または内燃機関油に適するといえる。
【0109】
一実施形態では、本発明の方法および潤滑組成物は、ギヤ油、車軸油、駆動軸油、トラクション油、手動変速機油、または自動変速機油の少なくとも1つに適するといえる。
【0110】
本発明の方法および潤滑組成物は、許容される/改善された剪断安定性、許容される/改善された粘度指数制御、および許容される/改善された低温粘度の少なくとも1つ(または少なくとも2つ、またはすべて)をもたらすことができる。
【0111】
ペンダント基を有するポリマーが窒素含有化合物をさらに含むとき、ポリマーはさらに、許容できる/改善された分散力(dispersancy)特性を有する場合もある。
【0112】
内燃機関は、2ストローク機関または4ストローク機関でよい。適切な内燃機関には、船舶ディーゼルエンジン、航空機ピストンエンジン、低負荷ディーゼルエンジン、自動車および貨物自動車エンジンが含まれる。
【0113】
いくつかの実施形態では、適切な潤滑組成物は、ペンダント基が活性物ベースで表1に示す範囲で存在するポリマーを含む。
【0114】
【表1】

以下の実施例は、本発明の実例を提供するものである。こうした実施例は、網羅的ではなく、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0115】
ポリマーの調製
調製実施例1(調製例1) 混合容器に、412.5gのメタクリル酸2−デシルテトラデシル、105gのHydroseal(商標)鉱油、6.9gのTrigonox(登録商標)−21(過オクタン酸t−ブチル)、および6.9gのn−ドデシルメルカプタンを装入し、攪拌して、ポリマーを調製する。次いで、メカニカルオーバーヘッドスターラー、水による冷却器、熱電対、付加漏斗、および窒素取入れ口を備え付けた反応容器に、混合物の約3分の1を装入する。容器はさらに、7.56gのジメチルアミノプロピルメタクリルアミドを含む。反応容器の内容物を窒素雰囲気中で20分間攪拌する(流速28.3L/hr)。次いで、窒素流を14.2L/hrに弱め、混合物が110℃に加熱されるように設定する。15分後、反応の発熱によって温度が125℃に上昇し、混合容器の残りの内容物を付加漏斗で90分間かけて反応容器に加える。1時間後、別の0.72gのTrigonox(登録商標)−21および2.55gのHydroseal(商標)鉱油を加えた後、1時間攪拌する。生成物を冷却し、分析する。生成するポリマーは、98.2重量%の2−デシルテトラデシルメタクリル酸単位および1.8重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド単位を含む。数平均分子量は8567であり、重量平均分子量は13479である。
【0116】
調製実施例2(調製例2)では、油をIII群の基油とすることを除き、調製実施例1と同様の実験手順を用い、生成するポリマーは、数平均分子量が8500であり、重量平均分子量が13500である。
【0117】
比較実施例1(比較例1)は、比較実施例1のメタクリラートを、68.2重量%のメタクリル酸C1215アルキル、30重量%のメタクリル酸2−エチルヘキシル、および1.8重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミドとすることを除き、調製実施例1と同様の手順で調製する。生成する生成物は、数平均分子量が8500であり、重量平均分子量が14300である。
【0118】
比較実施例2(比較例2)は、比較実施例2のポリマーを、49.1重量%のメタクリル酸C1215アルキル、49.1重量%のメタクリル酸2−デシルテトラデシル、および1.8重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミドとすることを除き、調製実施例2と同様の手順で調製する。生成する生成物は、数平均分子量が8700であり、重量平均分子量が14100である。
【0119】
比較実施例3(比較例3)は、比較実施例2Aのポリマーを、98.2重量%のメタクリル酸テトラデシルおよび1.8重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミドとすることを除き、調製実施例2と同様の手順で調製する。生成する生成物は、数平均分子量が10500であり、重量平均分子量が17800である。
【0120】
調製実施例3(調製例3)では、モノマーを変えて、5重量%のメタクリル酸メチル、93.2重量%のメタクリル酸2−デシルテトラデシル、および1.8重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミドという組成のポリマーを調製することを除き、調製実施例1と同様の実験手順を用いる。生成する生成物は、数平均分子量が9100、重量平均分子量が14500である。
【0121】
比較実施例4(比較例4)は、生成するポリマーが、20重量%のメタクリル酸メチル、78.2重量%のメタクリル酸2−デシルテトラデシル、および1.8重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミドを含有する組成を有することを除き、調製実施例3と同様の実験手順によって調製する。生成する生成物は、数平均分子量が9000であり、重量平均分子量が18000である。
【0122】
調製実施例4(調製例4)は、490gの無水マレイン酸および7.5kgのトルエンを(2個の付加漏斗を備え付けた)容器に加え、65℃に加熱して無水マレイン酸をほぼ溶解させることによって調製する。容器を106℃に加熱する。次いで、36.9gの過酸化ベンゾイル(500gのトルエンに溶解させたもの)および500gのスチレンを、2個の付加漏斗から90分間かけて容器に加える。次いで、容器の内容物を106℃で1時間攪拌する。生成する生成物は、RSVが0.07である無水マレイン酸スチレンコポリマー樹脂である。
【0123】
RSVが0.07である約23kgの無水マレイン酸スチレンコポリマー樹脂を、還流冷却器、窒素取入れ口、サーモウェル、および攪拌棒を備え付けた容器に加える。この容器に、768.2gの2−デシルテトラデカノール(Isofol(登録商標)24)および1438.2gのNeodol(登録商標)25(Shellから市販されている鎖状C12〜15アルコールの混合物)を加える。次いで、この容器を還流しながら20時間かけて135℃に加熱する。47.5gのメタンスルホン酸を加え、還流を20時間続けた後、等量の水酸化ナトリウムを加えて、メタンスルホン酸を中和する。次いで、容器を150℃に加熱し、減圧下で蒸発にかけ、次いで、得られる生成物を濾過する。重量平均分子量は21000である。
【0124】
調製実施例5(調製例5)は、エステル基の調製に使用するアルコールを100モル%(6683.34g)のIsofol(登録商標)24とすることを除き、調製実施例4と同様の実験手順で調製する。重量平均分子量は18500である。
【0125】
比較実施例5(比較例5)は、エステル基の調製に使用するアルコールを、50モル%(566.37g)の2−エチルヘキサノールおよび50モル%(961.35g)のNeodol(登録商標)25とすることを除き、調製実施例4と同様の実験手順で調製する。
【0126】
調製実施例1〜5および比較実施例1〜5のポリマーを含有する潤滑組成物は、IV群基油(基油の約25重量%)とIII群基油(基油の約75重量%)の混合物にブレンドすることによって調製する。潤滑組成物はさらに、10重量%の添加剤パッケージを含有する。次いで、ASTM D2270を使用しての動粘度(KV100)を、またASTM D2986を使用しての−40℃でのBrookfield低温性能(BV40)を測定することによって、潤滑組成物を試験する。
【0127】
潤滑組成物は、KRLテーパード軸受剪断安定性試験によって決定される剪断にもさらす。装置を、5000Nの負荷で140℃にて1450rpmで20時間稼働させる。試験から得られる粘度データ(VI)は、ASTM法D445で記載する。
【0128】
全3件の試験について得られた結果を表2に示す。
【0129】
【表2】


【0130】
別のセットの潤滑組成物を、調製実施例4、5、および比較実施例5のポリマーを含有するIV群基油中に調製する。得られる結果を表3に示す。
【0131】
【表3】

データは、本発明のポリマーが、本発明の範囲外の比較実施例と比べて、許容される/改善された剪断安定性、わずかながらの(least of)許容される/改善された粘度指数制御、およびわずかながらの許容される/改善された低温粘度の少なくとも1つ(または少なくとも2つまたはすべて)をもたらし得ることを実証している。
【0132】
上で言及した文書はそれぞれ、本明細書に参照により援用される。実施例中、または別な形で明示する場合を除き、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子数などを指定する、この記述内容中のすべての数量は、「約」という単語によって修飾されると理解される。別段の指摘がない限り、本明細書で言及する各化成品または組成物は、工業用材料であり、異性体、副生物、誘導体、および工業用では存在すると通常は理解される他の材料を含有する場合もあると解釈すべきである。しかし、各化成品成分の量は、別段の指摘がない限り、慣例上市販の材料中に存在する場合もある任意の溶媒または希釈剤油を除いて示す。本明細書に記載する、量、範囲、および比の上限および下限は、それぞれ独立に組み合わせてよいことを理解されたい。同様に、本発明の各要素についての範囲および量を、他の要素のいずれかについての範囲または量と共に使用してもよい。本明細書では、表現「本質的に〜からなる」とは、考慮中の組成物の基本的かつ新規な特徴に著しく影響を及ぼさない物質の包含を可能にする。本明細書では、属(またはリスト)の任意のメンバーを特許請求の範囲から除外してもよい。
【0133】
本明細書では、用語「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」は、当業者によく知られているその通常の意味で使用する。詳細には、この用語は、分子の残部に直接結合している炭素原子を有し、炭化水素的な特徴を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には、以下のものが含まれる。
a.炭化水素置換基、すなわち、脂肪族(たとえばアルキルまたはアルケニル)置換基、脂環式(たとえばシクロアルキル、シクロアルケニル)置換基;芳香族、脂肪族、および脂環式の置換された芳香族置換基、ならびに環がその分子の別の部分を介して完成する(たとえば、2個の置換基が一緒に環を形成している)環式の置換基、
b.置換された炭化水素置換基、すなわち、本発明に関して、置換基の炭化水素的な性質を変化させない非炭化水素基を含む置換基(たとえば、ハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ)、
c.ヘテロ置換基、すなわち、本発明に関して、炭化水素的な特徴を有するが、他のすべての点では炭素原子から構成される環または鎖中に炭素以外を含む置換基、
d.ヘテロ原子には、硫黄、酸素、窒素が含まれ、置換基は、ピリジル、フリル、チエニル、およびイミダゾリルを含む。一般に、2個以下、一態様では1個以下の非炭化水素置換基が、ヒドロカルビル基中の炭素原子10個毎に存在し、通常、ヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基は存在しないことになる。
【0134】
本発明をその好ましい実施形態に関して説明してきたが、当業者には本明細書を読めばその様々な変更形態が明白となることを理解されたい。したがって、本明細書で開示する本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる限りそのような変更形態を含むものであることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2012−237018(P2012−237018A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−196339(P2012−196339)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2009−510119(P2009−510119)の分割
【原出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】