説明

新規マイクロ流体サンプルホルダー

該発明は新規マイクロ流体サンプルホルダー(10)に関し、少なくとも一つの試料流体用の試料受け入れ室(12)、少なくとも一つの試料受け入れ室(12)に連結した少なくとも一つの分配器流路(14)、各試料受け入れ室(12)から延びた流体分配器流路(14)、少なくとも一つの分配器流路(14)で分岐し任意の一つの注入口流路(18)繋がる少なくとも一つの反応室(16)、及び少なくとも一つの各反応室(16)用通気口(20)からなるマイクロ流体サンプルホルダーに関する。この発明性の試料ホルダーは主として微生物学的診断学、免疫学、PCR、臨床化学、微量分析学及び/又は活性物質試験で使用する。更に該発明はサンプルホルダーを用いる試料物質分析法と、サンプルホルダーを含むキットに関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
該発明は新規マイクロ流体サンプルホルダーに関し、少なくとも一つの流体試料用試料受け入れ室、少なくとも一つのこの試料受け入れ室と連結した少なくとも一つの分配器流路、各資料受け入れ室から延びた少なくとも一つの分配器流路、適切な場合には少なくとも一つの分配器流路で分岐した注入口流路が開いている少なくとも一つの反応室、及び各反応室用の少なくとも一つの通気口からなるマイクロ流体サンプルホルダーに関する。このサンプルホルダーは主として微生物学的診断学、免疫学、PCR法、臨床化学、微量分析学及び/又は活性物質試験での使用に役立つ。更に該発明はサンプルホルダーを用いる試料物質分析法と、サンプルホルダーを含むキットに関連する。
【背景技術】
【0002】
生体素子開発の大きな進歩によっても医療診断学に新たな局面が開かれた。公衆衛生費用を賄う問題が深刻さを増すことに照らして、ここではコスト削減の可能性が特に重要と考える。科学技術の進展によりここ数年マルチパラメーターテストの助けで、診断問題を如何に改良できるかについて多くの方法が提案された。ここでの最大の成功は所謂生体素子の分野、特にDNAチップ分野の開発である。それと共に他のテスト形式、例えばビーズ技術やマイクロ流体システムが特に開発された。
マイクロ流体工学は通常微量(例えばマイクロリッター、ナノリッター又はピコリッターさえも)流体の取り扱いと管理を行うものと理解される。流体の目的とする移動に種々の方法が用いられる。
動電学
圧力
毛細現象
これらは別々に或いは組み合わせて応用できる。この場合動電流れは流路に電圧をかけて得られる。電気浸透と電気泳動として知られる発生現象により荷電分子の輸送が起こる。これとは対照的に加圧(例えばマイクロポンプで)により非荷電分子と、例えば移動すべき細胞の輸送も可能である。これら活性化法と共に受動的方法が益々用いられる。この場合毛管力を用いて目的の形でその流体を輸送できる。この技法の重要な利点は追加駆動機構なしで管理でき、その結果全システムが非常に簡単化できることである。
グローバル用語で見られるように大部分の解決法は流体輸送用“能動素子”に集中している。この場合に必要な構造は圧倒的にレーザーアブレーション又は熱間鍛造或いは射出成型で作成される。これにより多くの場合構造化の可能性が制限される。流体の受動的輸送の第一解決法は既にドイツに存在する。これらの場合今のところ成型品が微量射出成型で作成され、流体輸送に必要なエネルギーは今のところプラズマ処理による表面親水化により与えられる。この技法の欠点は親水化薄層が表面で異方性になりやすいこと(疎水性回復による老化)と、化学薬品や溶剤に対しする感度が比較的高いことである。フォトリソグラフィに基づく方法による代替え法が提供される。ここではその構造が光学マスクの助けでアクリル酸エステルの光重合により作成される。目的の表面物性を持つ共重合体が適切な架橋性有機物質を加えて作成できる。更にこの方法は他方では実施できないか、又は受け入れがたいコストでのみ実施できる三次元構造の生成が省略できる。
試料流体輸送に毛管力のみを用いるこのサンプルホルダーは、例えばWO99/46045で知られている。ここに含まれるものは微量射出成型を用いて作成し、次いで表面のプラズマ処理かグラフトにより修正(親水化)したプラスチックチップである。これらの方法は高価であり一連の不都合がある。
1.表面修正が疎水性回復により十分な期間維持できず、更に三次元方向に均一性を制御できない。
2.特に集合体の試験の場合、過剰な高親水化により毛細管が詰まる危険のある物質が、注入口及び通気毛細管へ戻るという望まれない毛細管化をもたらす。その結果サンプルホルダーは使用できなくなる。
3.凹部壁と試験凹部への注入点のカバー(特に不十分な密閉の使用又は親水性接着剤使用)の間に毛細管が容易に形成でき、その結果その流体は隣接凹部が通気できないため、最早充填できないように通気構造部に直接流入し充満するため、凹部は充満されないか不完全な注入となる。更にこの場合、流体はサンプルホルダーの外縁を越えて他の試験に属する更なる通気構造物に毛細管化する。
4.しかし試験凹部への流体輸送を保証することを目的とするサンプルホルダーの自由表面エネルギーは、上記の欠点がここで強く起こるので流体中の界面活性剤に非常に鋭敏である。その結果特に非イオン界面活性剤は多くの診断用アッセイ(免疫測定法、DNA分析、臨床化学)で不可欠であるので、多くの応用の可能性が除かれる。
5.上記のサンプルホルダーはワンステップアッセイにだけ使用できる。
マイクロ流体チップ及び/又はサンプルホルダーにより診断法の大幅な縮小化と同時に、試料処理能力を向上する可能性が提供される。この縮小化を基に在来法に比べてその手順全体でより高速な反応、高感度及びより良い制御が得られる。それ故確実に機能するマイクロ流体チップ又はサンプルホルダーの開発は、革新的な小型化診断システム途中での決定的出来事となる。
マイクロ流体チップ又はサンプルホルダーは非常に異なる寸法を伴う三次元要素を含む。従って例えば毛細管と“反応キャビティ”間の移行で、流体の層流は容器を完全に充満するために容器底部に向かう必要がある。更に毛細管化がとりわけ反応容器カバーと側壁で生ずるために、他方向への流れの可能性がある。その結果制御不能のカオス流れがこの移行において予期される。従って最も悪い条件下でも反応キャビティの完全充満を確実に保証するマイクロ流体構造部が必須であるが、未だに存在しない。
【発明の開示】
【0003】
該発明では新規サンプルホルダー、この新規サンプルホルダーを用いる試料物質分析法、及び先行技術に存在する不都合を解決し、特に注入動力学を改良し、低感度を緩和し、簡単で費用効率の高い方法でワンステップアッセイ、又は例えば試料物質の迅速な定量的同定を保証するに十分な特異的且つ鋭敏なマルチステップアッセイの提供を助ける新規サンプルホルダーを含むキットを提供する目的に取り組む。
本目的は独立のクレーム特性を持つ該発明により達成する。該発明の有益な開発は下位クレームの特徴を持つ。クレームの全ての言い回しはここに文献記載として組み入れる。
流体試料と試験集合体での応用に適する構造物形状、特定構造要素の配置、垂直方向での表面自由エネルギー勾配の使用、及び非イオン性界面活性剤が関係する一連の方法による改良マイクロ流体サンプルホルダーを提供することは可能である。特にこの場合の重大な点を以下に示す。
分配流路と換気流路の新規なデザイン
特定容量(構造部の高さ)の影響の調査
毛細管の栓構造部の新規なデザイン
流体表面エネルギーの流動挙動に対する影響の調査
注入時間の統計分析
以下に各方法をより詳細に説明する。この段階は必ずしも特定順序で実施する必要はなく、概要の方法は更に不特定の段階を持っても良い。
少なくとも一つの流体試料用試料受け入れ室、少なくともこの一つの試料受け入れ室と連結した少なくとも一つの分配器流路、各資料受け入れ室から延びた少なくとも一つの分配器流路、適切な場合には少なくとも一つの分配器流路で分岐した注入口流路が開いている少なくとも一つの反応室、及び各反応室用の少なくとも一つの通気口を有するサンプルホルダーが提供される。試料受け入れ室、分配器流路、反応室、適切な場合に存在する注入口流路、及び/又は通気口流路の間に、本サンプルホルダーは少なくとも一部が疎水性デザインの少なくとも一つの追加構造物を有する。一方ではこの流入流体で置換された空気を逃げさせようとし(試料受け入れ室→分配器→反応室)、他方では毛管現象を取り消すか又は強く遅らせる(毛細管栓)構造物は適切な場合には完全に疎水性のデザインである。これらの構造物の大きさは好ましくは比較的小さく、例えば各追加構造物の断面は約10μm乃至約300μm、好ましくは約50μm乃至約200μm、特に約100μm乃至約150μmである。これら構造物がいずれの場合も以後に述べるようにカバー要素を被した場合、遮断されるほど小さくは選ばないことを本文中で指摘することは重要である。マイクロ流体サンプルホルダー中の試料流体が受動的輸送されるに十分な毛管現象のためにサンプルホルダー(適切な場合には試薬導入後)を封止するが、カバー要素を被した場合サンプルホルダーが多分使用の、例えば接着剤で遮蔽されないようにすることは重要である。
【発明を実施するための最良形態】
【0004】
好ましい実施形態では、追加構造物は好ましくは分配器流路と筋向かいに配置した実質的に半円形凹部である。少なくとも一つの追加毛細管が好ましくはこの半円形凹部から延び、この追加毛細管は鋭角で、好ましくは角度90度以上で、且つ/又はジグザグに曲がるようにデザインする。分配器壁上に配置できる本追加毛細管は、その毛細管構造により流体の流れを遅延するか止める。更なる好ましい実施形態では、本追加毛細管に続いて実質的に尖った前記の効果を強める構造物深さに変化がある少なくとも一つの追加要素が延びている。少なくとも一つの追加要素が実質的に尖った構造物深さに変化がある要素から延びる場合、この追加毛細管が弁機能を有する末端凹部に直接又は隣接構造物を通して開いているのは有利である。本隣接構造物は、例えば少なくとも一つの通気口で開いた共通の主通気路でも良い。本追加毛細管が例えばホイルの助けで封止された場合、圧力補充は起こらず、その結果(全)毛管力は互いに相殺されるかも知れない。封止を開くと(例えばホイルに穴を開けるか焦点レーザーを用いて)、この構造物は意図目的を達成する、即ち毛管力の助けで注入が始まるか継続する。通気構造物が又種々の構造物、例えば試料受け入れ室、分配器流路、反応室、注入口流路、追加構造物等と連結した分配器流路及び/又は注入口流路から続いても良く、この場合通気構造物及び/又は通気口は最初閉じている。この場合第一試験凹部(例えば第一反応室)の開放通気構造物はその側部で終わる。試料物質をそこに加えると、第一凹部は第一段階の反応が進むように注入される。その後好ましくは容量のより小さい第二試験凹部(例えば第二反応室)の通気システムが開いて、第一凹部から変化した試料物質が注入される。第二段階の反応が進められる。
更に好ましい実施形態では、注入口流路が上部領域で通気口と同一面内にある。この注入口流路は好ましくはこの領域で実質的に疎水性のデザインである。この注入口流路の下部領域、即ち通気口面下にある領域は、好ましくは実質的に親水性のデザインである。この代替えとしては注入口流路だけがより親水性の材料(上部領域で用いた材料に比べて)で加工できる。WO99/46045では、試料分配が試料添加点から始まり注入口流路で試料凹部(例えば反応室)に分岐する分配器流路により実施する。この試料分配システムは周知であるが、上記の理由によりこのシステムは適切な注入動力学の保証には適さない。従って注入口流路及び/又は分配流路は好ましくは又試料受け入れ室から個別に続くことができる。更に試料受け入れ室と連結の分配器流路は好ましくは蛇行デザインであり、試料受け入れ室と直接連結できる(即ちこれから分岐した注入口流路の介在なしで)。勿論分配器流路及び/又は注入口流路上の蛇行形状が該発明に含まれるように、分配器流路器機能はそこに存在しても良い注入口流路により引き受けられるか又は補われる。更に多数の注入口、分配器流路、適切な場合には注入口流路、反応室及び/又は追加構造物が、好ましくはそれに平行な試料受け入れ室周りに配置できる。この配置は、例えば“クラゲ形状”からなり、“クラゲの頭”の機能は試料受け入れ室が引き受け、“クラゲの触手”の機能は分配器流路及び/又は注入口流路が引き受ける。該発明によると試料受け入れ室は円、楕円又は細長い構造(所謂“節足動物構造”)の中心に形成され、分配器流路及び/又は注入口流路(及び/又は追加構造物)はそこから遠ざかる。ツゥーステップアッセイ又はマルチステップアッセイが可能な配置が相応して配置できる。
該発明の有利な成果では反応室の垂直長さは約500μm乃至約3mm、好ましくは約1mm乃至約2.5mm、特に約1.5mm乃至約2mmである。反応室の辺長さは平均で約300μm乃至約1mm、好ましくは約500μm乃至約750μm、特に約500μm乃至約600μmである。反応室断面は好ましくは円形、梨型、六面体、八面体及び/又はその断面が長方形デザインである。反応室は好ましくは底部領域に垂直に続いた実質的に円形注入口毛細管を有し、その半径は好ましくは約5μm乃至約50μm、特に約10μm乃至約20μmを有する。鋭角注入口毛細管はその鋭角が毛細管栓のように働き、少なくとも流体流れを遅らせる(又は完全に停止させる)のであまり適さないように思われる。反応室が好ましくは注入口毛細管筋向かいに配置した少なくとも一つの通気口に通じる凹みを有する場合有利となる。
特に好ましい実施形態では、反応室は注入口流路の疎水性部と同一面内にある上部領域で実質的に疎水性デザインである一方、反応室は注入口流路の疎水性領域下にある下部領域では実質的に親水性デザインを備えている。この結果勿論該発明の実施形態全てで分配器と注入口流路は互いに補うことができる、即ちサンプルホルダーは少なくとも一つの分配器流路と少なくとも一つの注入口流路の両者を有するか、又は分配器又は注入口流路の機能は少なくとも一つの流路が引き受ける、即ちサンプルホルダーは少なくとも一つの分配器流路又は少なくとも一つの注入口流路のいずれか有すると通常指摘したが、注入口流路の機能はこの結果分配器流路が引き受けるか又は新たに補うことができる。更に該発明は反応室、注入口流路及び/又は分配器流路間での任意の所望組み合わせを含む。上記のように該発明により反応室の下部領域は親水性デザイン、特に好ましくは親水化が層状に増加する形で提供される。しかし反応室下部は少なくとも一部が疎水性(類似の)デザインであることが特定条件下では必要である。これは例えば試料物質の溶解度改良に界面活性剤を含有する乾燥溶液が添加された親水性表面の場合に強い逆の毛細管化をもたらすものである時に常に有利になる。この影響を避けるために反応室は通常該発明の一成果である疎水性デザインを有する。次いで溶液乾燥により界面活性剤は疎水性表面上に親水性膜を形成する。反応室は好ましくは少なくとも一つの丸角を有する。反応室の隅全部(注入口毛細管を持つ隅以外)は再度丸くても良い。毛管力は再度注入動力学(半径≧100μm)を大幅に改良する反応室隅のこのデザインで強く抑制される。更に該発明により反応室側壁は実質的に滑らか且つ/又は波形デザインを持つように提供される。この場合波形構造による表面の同時拡大が起こるが、波形デザインの側壁(半径は好ましくは約30μm乃至50μm)は垂直毛細管として働くことが可能である。この配置により試料物質の溶液への導入で注入口毛細管の“解放”と共に乾燥工程が加速されるように、溶液が比較的大表面で迅速且つ均一に分配されることが可能である。試料物質添加時の再溶解も又改善される。側壁の波形構造は壁の種々の領域全体に延びても良い。その結果例えば波形構造は通気構造近くには全くにないが、注入口毛細管近辺では底からカバーまで伸びても良い。このような波形構造分布では、注入口毛細管及びそれに続く波形構造物領域への流入流体によりカバー要素がぬれ、残存部分の遅延効果は空気が逃げるのに十分な時間があるほど強いことが証明された。ギザギザ構造物は底部がぬれるのを妨げるため、底部に導くことができないので不利なように思われる。
該発明の更に有利な成果では、サンプルホルダーはカバー要素で流体密封なように覆うことが提供される。前述のように毛細管の適切形状以外に、試料流体をマイクロ流体サンプルホルダーに受動的な輸送するに十分な毛管力を得るために、サンプルホルダーを十分良く封止(適切な場合試料物質及び/又は試薬導入後)することは又重要である。カバー要素は好ましくは適切厚みの接着剤層を持つ一側面を備えた膜である。膜及び/又は接着剤は好ましくは熱活性化可能及び/又は感圧膜又は粘着剤である。これまでは疎水性の強い接着剤(例えばシリコン接着剤、ゴム接着剤又はシリコンゴム接着剤)は、該接着剤が通常診断工学や医療工学で使用する表面処理されていないプラスチック(ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート)よりなお疎水性が大きいので、毛細管の流体工学を乱すと仮定されてきた。これら接着剤がまさにカバー要素封止に特に適すること示すことは本発明の功績である。その結果特に好ましい実施形態では、フッ素ポリマー膜を膜として用いると、サンプルホルダーを防ぐその非コート表面は非常に疎水性となり、良好な滑り性を有し、且つ光学測定法で有利な非常に強い耐汚染性を有する。この膜はサンプルホルダーが実質的にギャップレス覆いとなるようにロールにより好ましくは加圧下で、好ましくは約2乃至5バールで塗布する。接着剤は好ましくは粘着剤である。粘着剤は加圧下で“自由空間”回避の性質を有する。これは例えばギャップを示す目的で日常生活で使用される。封止の場合(圧力が高すぎず、接着剤層も厚過ぎない)、この効果は側壁とカバー間の望まない毛管力を抑止するに有利に用いられる。サンプルホルダー封止時に“マイクロビーズ”がこの場で形成され、その疎水性と共にこの影響(側壁とカバー間の毛細管化)を防ぐことが分かった。更に接着剤層は遅れてしかぬれず、試験凹部(例えば試料受け入れ室、反応室など)への注入時に、気泡が試験凹部(試料受け入れ室、反応室など)に閉じこめられた時に試料流体が該構造物に達する前に、空気は注入側と反対の通気構造物から逃げるのに十分な時間がある。疎水性接着剤が特に適切な接着剤であることが証明された。この接着剤は例えば前述のシリコン接着剤、ゴム接着剤、シリコンゴム接着剤及び/又はフッ素ポリマー接着剤である。
該発明の更なる好ましい実施形態では、該発明によるサンプルホルダーは微生物学的診断学、免疫学、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法、臨床化学、微量分析学及び/又は活性物質試験で使用される。
更に該発明は試料媒体が添加された少なくとも一つの界面活性剤を有し、該発明によりサンプルホルダーに添加された場合の少なくとも一つの試料物質の分析法を提供する。本界面活性剤は好ましくは非イオン界面活性剤である。本非イオン界面活性剤は好ましくはHLB(親水性親油性バランス)数が約9乃至約13の間の物質である。この界面活性剤は好ましくは、プロピレンオキサイド/エチレンオキサイドトリブロックポリマー、アルキルポリグリコシド、ノニルフェニルエトキシレート、第二級アルコールのエトキシレート、オクチルフェニルエトキシレート、ポリエチレンラウリルエーテル及び/又はソルビタンエステルである。非イオン界面活性剤の追加例は技術の熟知者には周知であり、適切な専門家用文献から収集できる。該グループの界面活性剤例として以下のものがある。
プロピレンオキサイド/エチレンオキサイドトリブロックポリマーのグループではプルロニック10300(BASF社製)
アルキルポリグリコシドのグループではグルコポン650(コグニス社製)
ノニルフェニルエトキシレートのグループではテルギトールNP7とテルギトールNP9(ダウケミカル社製)
第二級アルコールのエトキシレートのグループではテルギトール15S7とテルギトール15S9(ダウケミカル社製)
オクチルフェニルエトキシレートのグループではトリトンX45とトリトンX114(ダウケミカル社製)
ポリエチレンラウリルエーテルのグループではブリッジ30
ソルビタンエステルのグループではツイーン20
診断用マイクロ流体サンプルホルダーのデザインのための多様な新規構造要素以外に、ここに提出の該発明で種々機能レベルの親水化度に関するこのサンプルホルダーの一般的三次元設計について記載する。最後に流体工学と栓機能を最適化するために自由表面エネルギー勾配を提案する。分配器流路及び/又は注入口流路は添加物なしの水性媒体によりぬれないので、これらが毛細管の底部以外は部分的だが、大部分が主に疎水性デザインであることは最初矛盾するように聞こえる。しかしこれは意図的である。上記のように低濃度の適切界面活性剤を試料媒体に添加すると、どの流体は疎水性構造物をぬらすに十分な自由表面エネルギーを有する。記載の非イオン界面活性剤の毒性はほんのわずかななので、主に診断目的に考慮される。前述のように非イオン界面活性剤は多くの診断法と生物工学法で添加剤として用いられるが、医薬品の乳化剤や可溶化剤として、或いは更には洗剤、洗浄剤、着色媒体などでの湿潤剤として主に広がっている。化学的に非常に異種なこれら物質は大部分非対称的デザイン、即ち例えば親水性ヘッドと疎水性テールを有する。しかし又疎水性コアと親水性末端を持つ対称的にデザインした共重合体(エチレンオキサイド(EO)/プロピレンオキサイド(PO)化合物)もある。しかし全ての界面活性剤は優れた湿潤性を有するとは限らない。これらは実質的に全て乳化剤(低HLB数=親水性/疎水性バランス)又は可溶化剤(高HLB数)として用いる物質である。良好な湿潤剤は上述の界面活性剤のようなHLB数が9と13の間の物質である。これらの物質の中には高発泡化合物のため不適当なものもある。できるだけ低濃度で最適湿潤効果があり、且つ発泡しないかわずかしかしない化合物が適する(上記物質参照)。良好な湿潤剤の一性質は溶液から流体と固体表面間界面で出てきてその表面に吸収される。その結果流体中の濃度が臨界限界に達するまでぬれ表面に比例して減少する。BASF社製のプルロニック10300はプルロニック10300濃度0.03%の水性媒体で、分配器流路をぬらすに十分の自由表面エネルギーを与えることができる。この場合流体は先ず流路が完全に親水性デザインの構造部におけるより遙かにゆっくりと流路を流れる。流体は次いで試料凹部(例えば反応室)への注入口辺(毛細管中の)で、疎水性上構造物と親水性下構造物界面にぶつかる。下向きの毛管現象が垂直毛細管のためだけでなく、エネルギー条件からも好ましい。この流体は迅速に底部に達し、底部をぬらし、疎水層(注入口辺/注入口毛細管近くの第一層)に達するまで試験凹部(例えば反応室)内で迅速に上昇する。この場合残存表面のぬれは遅くなる。封止層のぬれは全ての空気が逃げられるようにゆっくりと通気毛細管方向に注入口辺/注入口毛細管で起こる。低濃度界面活性剤だけを含有する液体は、構造要素とエネルギーの点で好ましくない条件を組み合わして完全に疎水性の通気構造物で止まる。封止層が最初に記載した物性、即ちサンプルホルダーよりなお疎水性である場合、所定の他物質(テルギトールNP9)を未処理の、即ち疎水性のポリスチレン製サンプルホルダーに失敗なしに注入できる。封止層がより親水性(例えばアクリル酸エステル接着剤)である場合、流体はサンプルホルダーと封止層間の辺に沿って毛細管化する。試験凹部(例えば反応室)は注入できない。
最後に該発明は該発明によるサンプルホルダーを含む微生物学的診断学、免疫学、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法、臨床化学、微量分析学及び/又は活性物質試験用のキットを提供する。
該発明の更なる詳細と特性は、下位クレームと関連して好ましい典型的実施形態の以下の記載に示す。ここで各特性は互いに組み合わしてそれ自身か別々に実施できる。該発明はこの典型的実施形態に限定されない。
典型的実施形態は図に模式的に示す。各図の同一の参照番号が、この場合同一要素、同一機能の要素、或いはその機能に関して互いに対応して指定する。
記載の典型的実施形態を多数掛け合わし発展させることは該発明の範囲内で実施できる。
指定範囲は名指してなくても全て中間値と考えられる全ての部分区間を含む。
図1にサンプルホルダー(10)の概略平面図を示す。この構造物の種々改良物が特に実施すべき反応で独立に考えられる(サンプルホルダーの左半分と右半分)。同様に各構造物がそれぞれの場合の必要性により異なる形状で形成される。具体的な名前でみると、試料受け入れ室(12)、そこから延びた分配器流路(14)、その試料受け入れ室(12)が反応室(16)と直接連結したサンプルホルダー(10)左半分の分配器流路(14)がある一方、サンプルホルダー(10)右半分には分配器流路(14)から分岐した注入口流路(18)が試料受け入れ室(12)と反応室(16)間に置かれる。通気口(20)にそれぞれ開いた通気構造物又は通気毛細管はこれら反応室(16)で分岐する。図1に示すサンプルホルダー(10)は、少なくとも部分的に疎水性デザインである発明的追加構造物を示していないマイクロ流体サンプルホルダーの基本構造からなる。これらの追加構造物は以下の図で説明する。
図2に図1によるサンプルホルダー(10)の概略透視側面図を示す。種々デザインの試料受け入れ室(12)、そこから分岐した分配器流路(14)、更には反応室(16)及び通気口(20)が再度見られる。注入口流路(18)がサンプルホルダー(10)の右半分の分配器流路(14)で分岐する。
図3には側壁とカバー要素間の移行でのマイクロビーズ産生の概略図を示す。カバー要素(40)が接着剤層の片側に備わると、サンプルホルダーをカバー要素で封止するときに有利な影響が出る。この接着剤層が粘着剤の場合、側壁とカバー間の好ましくない毛管力が抑止できる。この場所に、即ち側壁とカバー間で“マイクロビーズ”が形成され(図3の矢印で記している)、側壁とカバー要素間の毛細管化が抑止されることを保証する。
図4にサンプルホルダーの有利な実施形態の概略図を示す。この場合には反応室(16)と通気口(20)間に配置の追加構造物(22)が図に示される。図4の追加構造物(22)は分配器流路(14)の筋向かいに配置の半円形凹み(24)である。図4の鋭角要素(28)にデザインした追加毛細管(28)がこの半円形凹部(24)に続く。
図5A−5Cに追加構造物の有利な改良物(22)を示す。ここでは図5Aにジグザグデザイン構造物を示す一方、図5Bに急角度で90度以上の角度を示す構造物を示す。図5Cには構造物の深さが変化する鋭角型要素(28)で、そこから弁機能を持つ末端凹部に直接又は隣接構造物を通して通じている追加毛細管(30)が続いた要素が示されている。
図6に連続分析実施用サンプルホルダーの有利な実施形態の概略図を示す。分配器流路(14)、異なる大きさの二つの反応室(16)、半円形凹部(24)デザインの追加構造物(22)、更には半円形凹部(24)を通気口(20)に連結した通気毛細管が示される。この配置では図6の大きい方の反応室である第一反応室(16)は、試料がそこに配置されるや否や注入され第一段階の反応が進む。この理由は第一反応室(16)側部にある開いた通気口(20)により、大きい方の反応室(16)だけが注入されることによる。第二反応室(図6では図示していない)の通気システムが開いた場合のみ、試料は大きい方の反応室(16)から容積のより小さい第二反応室(16)に流入できる。第二段階の反応がその中で続く。
図7A―7Cにサンプルホルダーの有利な配置を示す。図7Aには“クラゲ様”配置のサンプルホルダーを示し、このクラゲ様物ヘッドは試料受け入れ室(12)を表そうとする一方、“触手”が分配器流路及び/又は注入口流路機能を引き受ける。更に図7Aには反応室(16)と通気口(20)が示される。図7Bと図7Cに更に該発明によるサンプルホルダーの可能な改良物を示し、試料受け入れ室(12)が再度円形(図7C)又は細長い構造物(図7B)の中心に形成され、分配器流路且つ/又は注入口流路(14/18)がそこから始まる。反応質(16)と通気口(20)が試料受け入れ質(12)周りに配置される。
図8A−8Dに反応室の有利な改良物を示す。ここでは反応室(16)断面は円形(図8A)、梨型(図8B)、六面体形(図8C)又は長方形(図8D)を示す。更に注入口毛細管(36)とこの注入管毛細管(36)の筋向かいに配置の凹み(38)が示される。
図9に反応室側壁の概略図を示す。表面拡大と共に波形構造により垂直毛細管として働く波形デザインの側壁が示される。この配置により試料物質が溶液中に導入されると、試料物質は比較的大きい表面全体に迅速且つ均一に分配し乾燥工程を促進する一方、同時に注入口毛細管を“解放”する。
図10に反応室側壁広さの概略図を示す。側壁の波形構造物が種々の領域ゼンに延びることができる。図10には波形構造物が注入口毛細管近くで底部からカバーまで延びる一方、通気構造物近くには全くない波形構造物が示される。この波形構造物の分布では、注入口毛細管領域とそれに続く波形構造物への流入流体によりカバー要素はぬれ、残存部での再生効果は空気が逃げるに十分な時間あるほど強いことが証明された。
ワンステップアッセイ
試料受け入れ室、分配器流路及び/又は注入口流路、反応室及び通気口(供給構造物も含む)からなる簡単なデザインが、(マルチパラメーターの)ワンステップアッセイ(抗原検出、微生物学的試験など)に十分である。この場合末端“通気弁”又は通気口は開いている(図11参照)。
ワンステップアッセイでの方法―抗体試験
先ず通気口が図11のようにサンプルホルダーの場合に閉鎖されたままの場合、試料受け入部位(12)で第一反応段階が実施できる。これは実施例で、例えば気道疾患の病原体検出用の簡単な抗体試験により示される。反応室(16)の一(左)側部に抗ヒト免疫グロブリン(Ig)A又はヒト抗体IgMを塗布した磁気粒子、更には蛍光標識抗原(例えばラウス肉腫ウイルス(RSV)、インフルエンザなど)が配置される一方、右側には標識抗原だけが配置される。IgG全てと結合するに十分な濃度で1:10乃至1:50に希釈した血清試料中の抗ヒトIgGで塗布した常磁性ナノ粒子が、試料受け入れ室(12)に配置される。一旦この一回目のインキュベーション段階が終わると、強磁場をこの試料受け入れ室(12)にかけ、左側の通気口(20)を開ける。試料が直ちに反応室(16)に流入し、IgAとIgMのそれぞれが磁性粒子と結合する。特定のIgM又はIgAが存在すると、これらは適切に標識化された抗原と結合する。この反応は三次元(3D)蛍光走査システム又は他の光学的検出システムで評価される。一旦左側の反応室(16)が充満すると、磁場を切り右側の通気口(2)を開ける。ナノ粒子を持つ試料が直ちに右側の反応室(16)に流入し、追加のインキュベーション段階後に特定IgG抗体が同様に検出できる。この方法は又IgG亜網又は適当に修正したIgEの決定、即ち例えばアレルギー決定にも適する。
ツゥーステップアッセイ
(ワンステップアッセイ有り又は無し)
図12にツゥーステップアッセイ実施用のデザインを示す。このデザインは又同時にワンステップアッセイ実施用構造物も提供できる。全ての弁機能(即ち全通気口)を閉じると、適切な場合には試料を調整できる。ツゥーステップアッセイは、例えば第一反応段階が酵素反応と不整合な試薬の助けで最終生成物を検出する酵素反応と仮定すると、例えば臨床化学で周知である。他例としては試料中の余分検体だけが検出される場合、即ちタイプに関係なく第一段階で検体の特定規定画分を不活性化する必要がある凝固診断での反応である。これらのアッセイでは第一段階用の室は、末端通気口が開くまで開始されない第二段階用の試験凹部のおおよそ5倍である。大きさの違いにより、第一段階が実行された材料だけが第二室に到達することが保証される。
特例:抗体検出
サンプルホルダーを抗体と抗原を塗布し、例えば第一室に配置したビーズ検出に用いねばならない場合、第一室は第二室より遙かに小さい。次いで第二室は試料と洗浄物用“ゴミ入れ”としてのみ用いる。これらの段階は末端通気口を開閉して容易に制御できる。
特例:PCRサンプルホルダー
図13にPCRサンプルホルダーの特例を示す。このサンプルホルダーは適切な場合にはPCR実施や、適切な場合には第二の特定PCR後にDAN/RNA単離と、それに続く標的物の検出が可能である。サンプルホルダーは厚さ約2−3mmで、中間層まで厚さ50―100μmの疎水性デザインである。サンプルホルダー底部はプラスチックコートの金属薄膜前部(IA)と耐熱性プラチック後部からなる。カバーは接着剤塗布の高弾性膜である。試料受け入れ室(12)(20−100μl)を試料調製に用いる。凹部(12)は単離に必要な試薬全てを収容できる。以後工程に移送すべきでない材料は固相(例えば磁性粒子)に結合する。一旦単離が終了すると、通気口(20‘)を開き且つ通気口(20)を機械的に閉じる一方、試料(適切な場合には加熱により強化して)は分配器流路(14)を通して反応室(16)に流入する。PCR実施用の全試薬は必要な場合にはこの方法を最適化するために固相に一部結合して反応室(16)に配置する。PCR(多重的又は特異的)を実施後、通気口(20“)を開き増幅物が流路システムを通して反応室又は検出室(16’)に移行する。分配器流路(14)は最初曲がりくねった形状で、完全に疎水性であり、次いで細くなるが深くなり、下部に進んで親水層となる。さらに狭い注入口流路(18)は同様に下部で疎水性である。疎水性分配器流路(14)の曲がりくねった構造物と閉じた弁又は閉じた注入口構造物(20”)により、反応室(16)から検出室(16‘)への早まった移送を防ぐ。PCR実施中に注入口(20)と(20’)は外部と遮断する。注入口毛細管は注入口(20“)と別々に連結し、他の所で既に記載のように毛細管栓構造物を含む。選択肢として第二PCRを実施したり、その検出を種々な形状を持ちうる室(16‘)で直接実施できる。このために次いでトラップや検出プローブ(例えばヘアピン)をビーズと結合できる。ここでは変形体の多様性の詳細に立ち入るつもりはない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1はサンプルホルダーの概略平面図を示す。
【図2】図2はサンプルホルダーの概略透視側面図を示す。
【図3】図3は側壁とカバー要素間の移行でのマイクロビーズ産生の概略図を示す。
【図4】図4はサンプルホルダーの有利な実施形態の概略図を示す。
【図5A−5C】図5A−5Cは追加構造物の有利な改良物を示す。
【図6】図6は連続分析実施用のサンプルホルダーの有利な実施形態の概略図を示す。
【図7】図7A―7Cはサンプルホルダーの有利な配置を示す。
【図8】図8A−8Dは反応室の有利な改良物を示す。
【図9】図9は反応室側壁の概略図を示す。
【図10】図10は反応室側壁広さの概略図を示す。
【図11】図11は(マルチパラメーターの)ワンステップアッセイ用サンプルホルダーの有利な配置の概略図を示す。
【図12】図12はツゥーステップアッセイ用サンプルホルダーの有利な配置の概略図を示す。
【図13】図13はPCR用サンプルホルダーの有利な配置の概略図を示す。
【符号の説明】
【0006】
10 サンプルホルダー
12 試料受け入れ室
14 分配器流路
16 反応室
18 注入口流路
20 通気口
22 追加構造物
24 半円形凹部
26 毛細管
28 鋭角要素
30 追加毛細管
36 注入口毛細管
38 くぼみ
40 カバー要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルホルダー(10)で
試料流体用の少なくとも一つの試料受け入れ室(12)と、
少なくとも一つの試料受け入れ室(12)に連結した少なくとも一つの分配器流路(14)で、各試料受け入れ室(12)に延びた少なくとも一つの分配器流路(14)と、
適切な場合には少なくとも一つの分配器流路(14)で分岐した注入口流路(18)に通じる少なくとも一つの反応室(16)及び
各反応室(16)用の少なくとも一つの通気口(20)を有し、
試料受け入れ室(12)、分配器流路(14)、反応室(16)、適切な場合に存在する注入口流路(18)及び/又は通気口(20)の間で、サンプルホルダー(10)が少なくとも一部が疎水性デザインである少なくとも一つの追加構造物(22)を有することを特徴とする
サンプルホルダー。
【請求項2】
各追加構造物(22)の断面が約10μm乃至約300μm、好ましくは約50μm乃至約200μm、特に約100μm乃至約150μmであることを特徴とする請求項1に請求のサンプルホルダー。
【請求項3】
追加構造物(22)が好ましくは分配器流路(14)に筋向かいに配置の実質的に半円形凹部であることを特徴とする前クレームの一つで請求のサンプルホルダー。
【請求項4】
少なくとも一つの追加毛細管(26)が半円形凹部(24)から延び、該追加毛細管(26)が好ましくは90度以上の角度で鋭角に曲がるか或いはジグザグデザインであることを特徴とする請求項3に請求のサンプルホルダー。
【請求項5】
実質的に鋭く尖り且つ構造の深さが変化する少なくとも一つの追加要素(28)が追加毛細管(26)から延びていることを特徴とする請求項4に請求のサンプルホルダー。
【請求項6】
少なくとも一つの追加毛細管(30)が実質的に鋭く尖り且つ構造の深さが変化する少なくとも一つの要素(28)から延び、該追加毛細管(30)が弁機能を有する末端凹部に直接又は隣接構造物を通して繋がることを特徴とする請求項5に請求のサンプルホルダー。
【請求項7】
上部領域の注入口流路(18)が通気口(20)と同一平面にあり且つこの領域で実質的に疎水性デザインである一方、該通気口(20)下の下部領域では少なくとも実質的に親水性デザインであることを特徴とする前クレームの一つで請求のサンプルホルダー。
【請求項8】
試料受け入れ室(12)と連結の分配器流路(14)が曲がりくねったデザインであることを特徴とする前クレームの一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項9】
多数の通気口(20)、分配器流路(14)、適切な場合には注入口流路(14)、反応室(16)及び/又は追加構造物(22)が、試料受け入れ室(12)周り又はそれに平行に配置することを特徴とする前クレームの一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項10】
反応室(16)の垂直長さが約500μm乃至約3mm、好ましくは約1mm乃至約2.5mm、特に約1.5mm乃至約2mmであることを特徴とする前クレームの一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項11】
反応室(16)の辺長さが平均で約300μm乃至約1mm、好ましくは約500μm乃至約750μm、特に約500μm乃至約600μmであることを特徴とする請求項10に請求のサンプルホルダー。
【請求項12】
反応室(16)断面が実質的に円形、梨型、六面体、八面体及び/又は長方形デザインであることを特徴とする請求項10および11のいずれかに請求のサンプルホルダー。
【請求項13】
反応室(16)が底部領域に垂直に走り且つ実質的に円形注入口毛細管(36)を有することを特徴とする請求項10乃至12の一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項14】
注入口毛細管(36)の半径が約5μm乃至約50μm、特に約10μm乃至約20μmを有することを特徴とする請求項13に請求のサンプルホルダー。
【請求項15】
反応室(16)が好ましくは注入口毛細管(36)の筋向かいに配置し、少なくとも一つの通気口(20)と繋がるくぼみ(38)を有することを特徴とする請求項10乃至14の一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項16】
注入口流路(18)の疎水性部分と同一平面にある上部領域で反応室(16)が実質的に疎水性デザインである一方、注入口流路(18)の疎水性領域下の下部領域では実質的に親水性デザインであることを特徴とする請求項10乃至15の一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項17】
親水化が反応室(16)の下部領域で層状の増加することを特徴とする請求項16に請求のサンプルホルダー。
【請求項18】
反応室(16)が通常疎水性デザインであることを特徴とする請求項10乃至15の一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項19】
反応室(16)が少なくとも一つの丸い隅を有することを特徴とする請求項12乃至18の一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項20】
反応室(16)が実質的に滑らかで且つ/又波形デザインであることを特徴とする請求項10乃至19の一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項21】
サンプルホルダー(10)がカバー要素(40)により流体密封に覆われることを特徴とする前クレームの一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項22】
カバー要素(40)が適切厚みの接着剤層を片側に備えた膜であることを特徴とする請求項21に請求のサンプルホルダー。
【請求項23】
膜及び/又は接着剤が熱活性化可能及び/又は感圧膜又は粘着剤であることを特徴とする請求項22に請求のサンプルホルダー。
【請求項24】
該膜が、サンプルホルダー(10)が実質的にギャップレスに覆われるようロールにより、好ましくは約2乃至5バールで加圧することを特徴とする請求項22又は23に請求のサンプルホルダー。
【請求項25】
膜がフッ素ポリマー膜であることを特徴とする請求項22乃至24の一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項26】
接着剤が粘着剤であることを特徴とする請求項23に請求のサンプルホルダー。
【請求項27】
疎水性接着剤に関連することを特徴とする請求項26の一つに請求のサンプルホルダー。
【請求項28】
接着剤がシリコン接着剤、ゴム接着剤、シリコンゴム接着剤、及び/又はフッ素ポリマー接着剤であることを特徴とする請求項27に請求のサンプルホルダー。
【請求項29】
微生物学的診断法、免疫法、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法、臨床化学、微量分析学及び/又は活性物質試験での前クレームの一つに請求のサンプルホルダーの使用。
【請求項30】
試料媒体が少なくとも一つの添加界面活性剤を有し、請求項1乃至28の一つに請求のサンプルホルダーに添加することを特徴とする少なくとも一つの試料物質の分析法。
【請求項31】
界面活性剤が非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項30に請求の方法。
【請求項32】
非イオン界面活性剤がHLB数約9と約13間の物質であることを特徴とする請求項31に請求の方法。
【請求項33】
テンシデ(界面活性剤)がプロピレンオキサイド/エチレンオキサイドトリブロックポリマー、アルキルポリグリコシド、ノニルフェニルエトキシレート、第二級アルコールのエトキシレート、オクチルフェニルエトキシレート、ポリエチレンラウリルエーテル及び/又はソルビタンエステルであることを特徴とする請求項32に請求の方法。
【請求項34】
請求項1乃至28の一つに請求のサンプルホルダーを含む微生物学的診断法、免疫法、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法、臨床化学、微量分析学及び/又は活性物質試験用のキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2008−525768(P2008−525768A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547389(P2007−547389)
【出願日】平成17年12月23日(2005.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/014000
【国際公開番号】WO2006/069757
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507210328)
【出願人】(507210339)
【Fターム(参考)】