新規メイタンシノイドを含む改良された細胞毒性薬
【課題】標的細胞に特異的に送達され細胞毒性があるため治療薬として有用なメイタンシノイド−細胞結合剤複合体およびその合成法の提供。
【解決手段】硫黄原子を持つα−炭素原子上にモノ又はジ−アルキル置換を有する新規なチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイドおよび、これらの新規メイタンシノイドの合成法。これらの複合体は、動物腫瘍モデルにおいて従前の薬剤と比べてはるかに改良された治療効果を示す。
【解決手段】硫黄原子を持つα−炭素原子上にモノ又はジ−アルキル置換を有する新規なチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイドおよび、これらの新規メイタンシノイドの合成法。これらの複合体は、動物腫瘍モデルにおいて従前の薬剤と比べてはるかに改良された治療効果を示す。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2003年5月20日に出願された予備出願第60/471,739号の利益を主張する。該出願の開示内容は引用によって本明細書に援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、メイタンシノイドと細胞結合剤を含む改良された細胞毒性複合体の製造法に関する。これらの複合体は、特定の細胞集団に標的化された様式で送達されるので治療的用途を有する。本発明はまた、細胞毒性複合体の製造に使用されうるチオール部分を有するメイタンシノイドの製造法にも関する。本発明はさらに、新規メイタンシノイド、及び新規メイタンシノイド合成時の新規中間体にも関する。
【0003】
発明の背景
モノクロナール抗体−薬物複合体による腫瘍細胞の特異的標的化の試みに関する多くの報告がある(Selaら、Immunoconjugates 189−216(C.Vogel編、1987);Ghoseら、Targeted Drugs 1−22(E.Goldberg編、1983);Dienerら、Antibody Mediated Delivery Systems 1−23(J.Rodwell編、1988);Pieterszら、Antibody Mediated Delivery Systems 25−53(J.Rodwell編、1988);Bumolら、Antibody Mediated Delivery Systems 55−79(J.Rodwell編、1988))。メトトレキサート、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メルファラン、マイトマイシンC、及びクロランブシルのような細胞毒性薬が様々なマウスモノクロナール抗体に連結されている。場合によっては、薬物分子は、血清アルブミン(Garnettら、Cancer Res.46:2407−2412(1986);Ohkawaら、Cancer Immumol.Immunother.23:81−86(1986);Endoら、Cancer Res.47:1076−1080(1980))、デキストラン(Hurwitzら、Appl.Biochem.2:25−35(1980);Manabiら、Biochem.Pharmacol.34:289−291(1985);Dillmanら、Cancer Res.46:4886−4891(1986);Shovalら、Proc.Natl.Acad.Sci.85:8276−8280(1988))、又はポリグルタミン酸(Tsukadaら、J.Natl.Canc.Inst.73:721−729(1984);Katoら、J.Med.Chem.27:1602−1607(1984);Tsukadaら、Br.J.Cancer 52:111−116(1985))のような中間担体分子を通じて抗体分子に連結されることもあった。
【0004】
そのような免疫複合体の製造には様々なリンカー技術が使用されており、切断性及び非切断性のリンカーともに研究されている。しかしながら、ほとんどの場合、薬物の完全な細胞毒性能力は、薬物分子が標的部位で非修飾形で複合体から放出されうる場合にしか観察され得ない。
【0005】
抗体−薬物複合体の製造に使用されている一つの切断性リンカーは、シス−アコニット酸を利用した酸不安定性リンカーである。これは、受容体媒介性エンドサイトーシス時に遭遇するエンドソームやリソソームのような異なる細胞内コンパートメントの酸性環境を利用したものである。ShenとRyserは、この方法をダウノルビシンと巨大分子担体との複合体の製造に導入した(Biochem.Biophys.Res.Commun.102:1048−1054(1981))。YangとReisfeldは、同じ
技術を使用してダウノルビシンを抗黒色腫抗体に連結した(J.Natl.Canc.Inst.80:1154−1159(1988))。最近、Dillmanらも酸不安定性リンカーを同様に使用してダウノルビシンを抗T細胞抗体と複合体化した(Cancer Res.48:6097−6102(1988))。
【0006】
Trouetらが探求した代替の手法は、ダウノルビシンをペプチドスペーサアームを介して抗体に連結するというものであった(Proc.Natl.Acad.Sci.79:626−629(1982))。これは、リソソームペプチダーゼの作用によってそのような複合体から遊離薬物が放出されるという前提のもとに実施された。
【0007】
しかしながら、インビトロの細胞毒性試験から、抗体−薬物複合体が、複合体化されていない遊離薬物と同じ細胞毒性力を達成するのは稀であることが明らかになった。このことは、薬物分子が抗体から放出される機序が極めて非効率的であることを示唆している。イムノトキシンの分野では、モノクロナール抗体と触媒活性タンパク質トキシン間をジスルフィドブリッジで連結して形成した複合体のほうが、その他のリンカーを含有する複合体より細胞毒性が強いことが示されている。Lambertら、J.Biol.Chem.260:12035−12041(1985);Lambertら、Immunotoxins 175−209(A.Frankel編、1988);Ghetieら、Cancer Res.48:2610−2617(1988)参照。これは、抗体分子とトキシン間のジスルフィド結合の効率的切断に寄与するグルタチオンの細胞内濃度が高いことに起因していた。にもかかわらず、薬物と巨大分子間の複合体の製造にジスルフィドブリッジを使用した例はあまり報告されていない。Shenらは、メトトレキサートをメルカプトエチルアミド誘導体に転化した後、ジスルフィド結合を介してポリ−D−リシンと複合体化することについて記載している(J.Biol.Chem.260:10905−10908(1985))。さらに、トリスルフィド含有毒性薬のカリチェアミシン(calicheamicin)と抗体との複合体の製造について記載した報告がいくつかある(Hinm
anら、53 Cancer Res.3336−3342(1993)、Hamannら、Bioconjugate Chem.,13,40−46(2002)、Hamannら、Bioconjugate Chem.,13,47−58(2002))。
【0008】
ジスルフィドで連結された抗体−薬物複合体が少ない一つの理由は、ジスルフィドブリッジを介して薬物を抗体に連結するのに容易に使用できる硫黄原子含有部分を持つ細胞毒性薬が入手できないことである。さらに、既存の薬物をそれらの細胞毒性能力を低下させずに化学修飾するのは困難である。
【0009】
メイタンシノイドは非常に細胞毒性の強い薬物である。メイタンシンは、Kupchanらが東アフリカの低木Maytenus serrataから初めて単離し、メトトレキサート、ダウノルビシン及びビンクリスチンのような従来のがん化学療法薬より100〜1000倍細胞毒性が強いことを示した(米国特許第3,896,111号)。その後、一部の微生物もメイタンシノイド、例えばメイタンシノール及びメイタンシノールのC−3エステルを産生することが発見された(米国特許第4,151,042号)。合成のメイタンシノールC−3エステル及びメイタンシノール類似体も報告されている(Kupchanら、J.Med.Chem.21:31−37(1978);Higashideら、Nature 270:721−722(1977);Kawaiら、Chem.Pharm.Bull.32:3441−3451(1984))。メイタンシノールの類似体(それからC−3エステルが製造される)の例は、芳香環上(例えば脱クロロ)又はC−9、C−14(例えばヒドロキシル化メチル基)、C−15、C−18、C−20及びC−4,5で修飾されているメイタンシノールなどである。
【0010】
天然及び合成のメイタンシノールC−3エステルは2つのグループに分類できる。
(a)単純カルボン酸とのC−3エステル(米国特許第4,248,870号;4,265,814号;4,308,268号;4,308,269号;4,309,428号;4,317,821号;4,322,348号;及び4,331,598号)、及び
(b)N−メチル−L−アラニンの誘導体とのC−3エステル(米国特許第4,137,230号;4,260,608号;5,208,020号;及びChem.Pharm.Bull.12:3441(1984))。
【0011】
(b)グループのエステルは(a)グループのエステルよりもかなり細胞毒性が強いことが分かった。
メイタンシンは有糸分裂阻害薬である。L1210細胞をインビボでメイタンシンで処理すると、67%の細胞が有糸分裂に集積したと報告されている。非処理対照細胞は3.2〜5.8%の範囲の分裂指数を示すことが報告されている(Sieberら、43 Comparative Leukemia Research 1975,Bibl.Haemat.495−500(1976))。ウニ卵及び二枚貝卵を用いた実験から、メイタンシンは、微小管タンパク質のチューブリンの重合の阻害を通じて微小管の形成を妨害することによって分裂を阻害することが示唆されている(Remillardら、Science 189:1002−1005(1975))。
【0012】
インビトロでは、P388、L1210、及びLY5178のマウス白血病細胞懸濁液が、10−3〜10−1μg/μlの用量のメイタンシンによって阻害されることが見出されている。中でもP388株が最も感受性が高かった。メイタンシンはまた、ヒト上咽頭がん細胞のインビトロ成長の活性阻害薬であることも示され、ヒト急性リンパ芽球性白血病株CEMは、わずか10−7mg/mlの濃度で阻害されたことも報告されている(Wolpert−DeFillippesら、Biochem.Pharmacol.24:1735−1738(1975))。
【0013】
インビボでもメイタンシンは活性であることが示されている。P388リンパ性白血病系の腫瘍成長は、高い治療指数を示唆する50〜100倍の用量範囲で阻害されることが示されている。また顕著な阻害活性は、L1210マウス白血病系、ヒトルイス肺がん系及びヒトB−16悪性黒色腫系でも示されるようである(Kupchan、Ped.Proc.33:2288−2295(1974))。細胞結合剤との複合体化に使用されるメイタンシノイドは、米国特許第5,208,020号及び5,416,064号並びにChariら、Cancer Res.,52:127−131(1992)及びLiuら、Proc.Natl.Acad.Sci.,93:8618−8623(1996)に記載されている。これらの複合体において、細胞結合剤はジスルフィド結合を介してメイタンシノイドDM1[N2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メイタンシン、1、CAS番号:139504−50−0、図1]に連結されている。
【0014】
上記特許において、アシル化N−メチル−L−アラニン側鎖を持つメイタンシノイド薬は、式2a、b:
【0015】
【化1】
【0016】
である。式2a中、lは1〜10の整数を表す。このように、式2aのメイタンシノイドは非置換メチレン基に接続された硫黄原子を有している(−CH2−S−)。そのようなメイタンシノイド化合物中のスルフヒドリル基又はそのようなメイタンシノイドを持つジスルフィド連結細胞結合剤−メイタンシノイド複合体中のジスルフィド基は、スルフヒドリル又はジスルフィド基に隣接するα炭素上に立体障害をもたらす嵩高い置換基がないので、“非障害”である。図2b中、mは0、1、2又は3を表す。従って、式2bのメイタンシノイドも非置換メチレン基に接続された硫黄原子を有している。例外はm=0で、R2=CH3又はCH2CH3の場合である。m=0の場合、メイタンシノイドは、ジスルフィド結合を介して細胞結合剤と複合体化した後、チオール官能基又はジスルフィド官能基を持つ炭素上に1個の置換基を持つことになる。しかしながら、この場合、硫黄原子はカルボニル基に対してβ位にあるので、これらのメイタンシノイド及びそのようなメイタンシノイドと細胞結合剤とのジスルフィド結合を介した複合体は、β脱離を受けやすいために不安定であることが分かっている。
【0017】
発明の要旨
本発明は、立体障害されたチオール基を持つ(チオール官能基を持つα炭素上に1又は2個の置換基を持つ)メイタンシノイドと細胞結合剤との連結によって、ジスルフィド結合を持つα炭素原子上に置換基を持たない従来報告のメイタンシノイドで製造された複合体に比べて、インビボで非常に改良された抗腫瘍活性を有する複合体が得られたという思いがけない発見に基づいている。別の意外な発見は、改良された生物活性は、立体障害が複合体中のジスルフィド結合のメイタンシノイド側で最適な場合に得られるということであった。さらに、スルフヒドリル基を持つメイタンシノイドのアシル化アミノ酸側鎖のアシル基は、アミドのカルボニル基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を持たなければならない。
【0018】
これらの発見は、ジスルフィド連結細胞結合剤−メイタンシノイド複合体は、ジスルフィド結合を持つ2個のα炭素原子上の置換が、ジスルフィド結合のいずれかの側に様々な程度の立体障害をもたらし得るように構築できることを示している。
【0019】
従って、本発明は、新規な立体障害されたチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイド、すなわち硫黄原子を持つα炭素原子上に1又は2個のアルキル置換基を持つメイタンシノイドの合成について記載する。さらに、アシル化アミノ酸側鎖のアシル基は、アミドのカルボニル基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を持つ。
【0020】
これらの新規メイタンシノイドの細胞結合剤複合体の製造及び生物学的評価についても記載する。
本発明の一態様において、硫黄原子を持つ炭素原子上にモノ又はジ−アルキル置換を持
つ新規なチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイドを記載する。
【0021】
第二の態様において、本発明は、これらの新規メイタンシノイドの合成法を開示する。
第三の態様において、これらの新規メイタンシノイドと細胞結合剤との連結法を記載する。これらの複合体は、標的細胞に特異的に送達され細胞毒性があるので治療薬として有用である。これらの複合体は、以前に報告された薬剤に比べて非常に改良された治療効果を動物腫瘍モデルにおいて示す。
【0022】
更に詳しくは、本発明は以下の事項を提供する。
C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルに、障害されたスルフヒドリル基を持つアシル基でアシル化されたアミノ酸側鎖を有するメイタンシノイドであって、チオール官能基を持つ前記アシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに前記置換基の一つはHであってもよく、そして前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有するメイタンシノイド。
【0023】
式4’:
【0024】
【化2】
【0025】
[式中、
Y’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、Dは、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル
、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]で表される化合物。
【0026】
R1がHであり、R2がメチルであり、ZがHである式4’で表される化合物。
R1及びR2がメチルであり、ZがHである式4’で表される化合物。
R1がHであり、R2がメチルであり、Zが−SCH3である式4’で表される化合物。
【0027】
R1及びR2がメチルであり、Zが−SCH3である式4’で表される化合物。
式(I−L)、(I−D)、又は(I−D,L):
【0028】
【化3】
【0029】
[式中、
Yは、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]で表される化合物。
【0030】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであ
り、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、ZがHである上記化合物。
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、ZがHである上記化合物。
【0031】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である上記化合物。
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である上記化合物。
【0032】
式4:
【0033】
【化4】
【0034】
[式中、
Yは、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]で表される化合物。
【0035】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0であり;ZがHである式4の化合物。
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり;nが0であり;ZがHである式4の化合物。
【0036】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであ
り、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である式4の化合物。
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である式4の化合物。
【0037】
メイタンシノイドが上記化合物のいずれかである、細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
細胞結合剤が少なくとも一つの抗体、好ましくはヒト化又はリサーフェス化MY9、ヒト化又はリサーフェス化抗B4、又はヒト化又はリサーフェス化C242の結合部位を含む、上記いずれかのメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【0038】
有効量の上記いずれかのメイタンシノイド−細胞結合剤複合体、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【0039】
メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルの位置でアシル化アミノ酸側鎖でエステル化する方法であって、アシル基は保護されたスルフヒドリル官能基を持ち、保護チオール官能基を持つアシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに置換基の一つはHであってもよく、前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有し、前記方法は、メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルの位置でアシル化アミノ酸(アシル基は保護されたスルフヒドリル基を持つ)と反応させることを含む方法。
【0040】
式(IV−L)、(IV−D)、又は(IV−D,L):
【0041】
【化5】
【0042】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又はCORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayはメイタンシノイドである]で表されるメイタンシノイドエステルを製造するためのメイタンシノイドのエステル化法であって、前記方法は、前記メイタンシノイドを、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルの位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【0043】
【化6】
【0044】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【0045】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である上記方法。
式(III)の化合物が式(III−L)で表される上記方法。
【0046】
式(III−L)の化合物が、化合物15a(S,S)、15b(S,R)又は15a(
S,S)と15b(S,R)の混合物である上記方法。
式(III−D)の化合物が、化合物15(R,S)、15(R,R)又は15(R,S
)と15(R,R)の混合物である上記方法。
【0047】
式(III−D,L)の化合物が、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基でア
シル化されたラセミ体のN−メチルアラニンであり、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである上記方法。
【0048】
15a(S,S)と15b(S,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造される上記方法。
【0049】
化合物15a(S,S)が、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法によって製造される上記方法。
【0050】
化合物15b(S,R)が、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法によって製造される上記方法。
【0051】
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造される上記方法。
【0052】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンが、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含むプロセスによって製造される上記方法。
【0053】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である上記方法。
式(III−L)の化合物が、N−メチル−L−アラニンを含有する化合物10(S)で
ある上記方法。
【0054】
式(III−D)の化合物が、N−メチル−D−アラニンを含有する化合物10(R)で
ある上記方法。
式(III−D,L)の化合物が、ラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10
(S,R)である上記方法。
【0055】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10が、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10を得る
ことを含むプロセスによって製造される上記方法。
【0056】
ジアステレオマーが存在する場合それを分離し、そしてシアノ結合シリカ上のHPLCによってメイタンシノイドを精製する、上記方法のいずれか一つの方法によるメイタンシノイドの製造法。
【0057】
上記方法のいずれかによって精製メイタンシノイドを製造し、そして該精製メイタンシノイドを、反応性ジチオ基又はスルフヒドリル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【0058】
反応性ジチオ基がジチオピリジル基又は置換ジチオピリジル基である、上記メイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
上記方法のいずれかによって精製メイタンシノイドを製造し、そして該精製メイタンシノイドを、マレイミド基又はハロアセチル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【0059】
式42’:
【0060】
【化7】
【0061】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法であって、前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【0062】
【化8】
【0063】
をC−3の位置で、式(III’−L)、(III’−D)、又は(III’−D,L):
【0064】
【化9】
【0065】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【0066】
式(I)の化合物が式(I−L)で表される式42’のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法。
R1がHであり、R2がメチルである式42’のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法。
【0067】
式42:
【0068】
【化10】
【0069】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケ
ニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又はCORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法であって、前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【0070】
【化11】
【0071】
をC−3の位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【0072】
【化12】
【0073】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイク
リック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又はCORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【0074】
式(III)の化合物が式(III−L)で表される、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
前記式(III−L)の化合物が、化合物15a(S,S)、15b(S,R)又は15
a(S,S)と15b(S,R)の混合物である、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0075】
前記式(III−D)の化合物が、化合物15(R,S)、15(R,R)、又は15(
R,S)と15(R,R)の混合物である、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0076】
前記式(III−D,L)の化合物が、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基
でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンであり、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0077】
15a(S,S)と15b(S,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造される、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0078】
前記化合物15a(S,S)が、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法によって製造される、メイタンシノールの上記エステル化法。
【0079】
前記化合物15b(S,R)が、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法によって製造される、メイタンシノールの上記エステル化法。
【0080】
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造されうる、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0081】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンが、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含むプロセスによって製造される、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0082】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり;l及びmが1であり;nが0である、式4bのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0083】
前記式(III−L)の化合物が、N−メチル−L−アラニンを含有する化合物10であ
る、式4bのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
前記式(III−D)の化合物が、N−メチル−D−アラニンを含有する化合物10であ
る、式4bのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0084】
前記式(III−D,L)の化合物が、ラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物
10である、式4bのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0085】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10が、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10を得る
ことを含むプロセスによって製造される、式4bのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0086】
10によるメイタンシノールのエステル化の後、ジアステレオマーが存在する場合それ
を分離し、そしてシアノ結合シリカ上のHPLCによってメイタンシノイドを精製する上記方法が、式4bのメイタンシノイドを得るためにジスルフィド結合を還元することをさらに含む上記方法。
【0087】
メイタンシノールをエステル化して式4bのメイタンシノイドを得る上記いずれかの方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして該メイタンシノイドを、スルフヒドリル基又は反応性ジチオ基、好ましくはジチオピリジル基又は置換ジチオピリジル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【0088】
メイタンシノールをエステル化して式4bのメイタンシノイドを得る上記いずれかの方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして該メイタンシノイドを、マレイミド又はハロアセチル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【0089】
上記複合体を用いる治療法。
式(III):
【0090】
【化13】
【0091】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物。
【0092】
化合物10(S)、10(R)又はラセミ体10。
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10の製造法であって、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10を得る
ことを含む方法。
【0093】
化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物。
化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物の製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(14)に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含む方法。
【0094】
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物。
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物の製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含む方法。
【0095】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基でアシル化され、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである、ラセミ体のN−メチルアラニン。
【0096】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンの製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含む方法。
【0097】
化合物15a(S,S)。
化合物15b(S,R)。
化合物15a(S,S)の製造法であって、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法。
【0098】
化合物15b(S,R)の製造法であって、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法。
【0099】
有効量の上記いずれかのメイタンシノイド化合物、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
抗体をさらに含む、メイタンシノイド化合物を含む上記医薬組成物。
【0100】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の上記いずれかのメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【0101】
発明の詳細な説明
本発明は、新規な立体障害されたチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイド、すなわち硫黄原子を持つα炭素原子が1又は2個のアルキル置換基を持つメイタンシノイドを開示する。本発明はまた、これらの新規メイタンシノイドの合成法も開示する。新規メイタンシノイドの合成において中間体として有用な新規化合物もさらに開示する。また、本発明はこれらの新規メイタンシノイドと細胞結合剤との複合体の製造も開示する。
【0102】
既存の薬物をそれらの細胞毒性能を低減させずに修飾するのは極めて難しいことが技術的に明らかになっている。開示された本発明は、立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を含有する新規メイタンシノイド分子の合成法を教示することによってこの問題を克服している。開示された新規メイタンシノイドは、従前のメイタンシノイドの細胞毒性力を保存、及び時には増強さえする。
【0103】
該メイタンシノイド−細胞結合剤複合体は、標的化された様式で望まざる細胞だけに対して適用されるメイタンシノイドが最大限の細胞毒性作用を行使できるため、非標的健常細胞の損傷による副作用が回避される。従って、本発明は、殺滅又は溶解されるべき疾患細胞又は異常細胞、例えば腫瘍細胞(特に充実性腫瘍細胞)、ウィルス感染細胞、微生物感染細胞、寄生虫感染細胞、自己免疫細胞(自己抗体産生細胞)、活性化細胞(移植片拒絶又は移植片対宿主疾患に関与する細胞)、又は任意のその他の型の疾患細胞又は異常細胞を、最小限の副作用で除去するのに有用な薬剤、及びそれを製造するための新規方法を提供する。
【0104】
従って、本発明は、新規メイタンシノイドと細胞結合剤を含む改良された細胞毒性複合体の製造法を教示する。該複合体は従前のメイタンシノイド及び細胞結合剤と比べて非常に改良された生物活性を有する。本発明はさらに、細胞結合剤への化学連結を可能にする、立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を有するメイタンシノイド誘導体の合成法も教示する。該誘導体は、結合形態でも放出形態でもその両方の状態でも高い細胞毒性を発揮する。本発明による細胞毒性複合体は、細胞結合剤に連結された一つ以上のメイタンシノイドを含む。メイタンシノイドを細胞結合剤に連結するには、まずメイタンシノイ
ドを修飾しなければならない。
【0105】
細胞結合剤に連結できるメイタンシノイドを製造するために本発明で使用できるメイタンシノイドは当該技術分野で周知であり、公知法に従って天然源から単離することも、公知法に従って合成的に製造することもできる。
【0106】
適切なメイタンシノイドの例は、メイタンシノール及びメイタンシノール類似体などである。適切なメイタンシノール類似体の例は、修飾された芳香環を持つもの及びその他の位置に修飾を有するものなどである。
【0107】
修飾された芳香環を持つ適切なメイタンシノール類似体の具体例は、
(1)C−19−脱クロロ(米国特許第4,256,746号)(アンサマイトシンP2のLAH還元によって製造);
(2)C−20−ヒドロキシ(又はC−20−脱メチル)+/−C−19−脱クロロ(米国特許第4,361,650号及び4,307,016号)(ストレプトマイセス又はアクチノマイセスを用いる脱メチル化又はLAHを用いる脱塩素化によって製造);及び
(3)C−20−脱メトキシ、C−20−アシルオキシ(−OCOR)、+/−脱クロロ(米国特許第4,294,757号)(アシルクロリドを用いるアシル化によって製造)
などである。
【0108】
その他の位置に修飾を有する適切なメイタンシノール類似体の具体例は、
(1)C−9−SH(米国特許第4,424,219号)(メイタンシノールとH2S又はP2S5との反応によって製造);
(2)C−14−アルコキシメチル(脱メトキシ/CH2OR)(米国特許第4,331,598号);
(3)C−14−ヒドロキシメチル又はアシルオキシメチル(CH2OH又はCH2OAc)(米国特許第4,450,254号)(ノカルジアから製造);
(4)C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの変換によって製造);
(5)C−15−メトキシ(米国特許第4,313,946号及び4,315,929号)(トレウィア・ヌーディフローラ(Trewia nudiflora)より単離);
(6)C−18−N−脱メチル(米国特許第4,362,663号及び4,322,348号)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの脱メチル化によって製造);及び
(7)4,5−デオキシ(米国特許第4,371,533号)(メイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元によって製造)
などである。
【0109】
メイタンシノイドを細胞結合剤に連結させるために、メイタンシノイドは連結部分を含む。該連結部分は、特定の部位で完全活性メイタンシノイドの放出を可能にする化学結合を含有する。適切な化学結合は当該技術分野で周知であり、ジスルフィド結合、酸に不安定な結合、光に不安定な結合(光解離性結合)、ペプチダーゼに不安定な結合及びエステラーゼに不安定な結合などである。好適なのはジスルフィド結合である。
【0110】
米国特許第5,208,020号(引用によって本明細書に援用)の開示内容はそのような結合を持つメイタンシノイドの製造を教示している。
本発明によれば、連結部分は立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を含む。
【0111】
反応性化学基を含有する連結部分を含む特に好適なメイタンシノイドは、連結部分に立
体障害されたチオール又はジスルフィド結合を含有するメイタンシノールのC−3エステル及びその類似体である。
【0112】
メイタンシノイド上の多くの位置が、連結部分を化学的に連結するための位置として役割を果たすことができる。例えば、ヒドロキシル基を持つC−3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14位、ヒドロキシで修飾されたC−15位及びヒドロキシ基を有するC−20位はいずれも有用であると期待される。しかしながら、C−3位が好適で、メイタンシノールのC−3位が特に好適である。
【0113】
さらに、連結部分を有するメイタンシノールのエステルの合成について、以下にC−3位にジスルフィド結合含有連結部分を有するものに関して記載するが、当業者であれば、前述のような他の化学結合を有する連結部分も、前述のような他のメイタンシノイド及び他の連結位置と同様に本発明に使用できることは分かるであろう。
【0114】
本発明の様々なメイタンシノイドの構造を図2に示す。立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を有するメイタンシノイドの合成は、図3の参照によって説明できる。以下に例示した多くの方法は、チオール含有メイタンシノイドN2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM3と呼ぶ)及びN2’−デアセチル−N2’−(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM4と呼ぶ)を利用する。DM3(4a)及びDM4(4b)は以下の構造式によって表される。
【0115】
【化14】
【0116】
本発明の新規な立体障害されたチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイドのインビトロ細胞毒性は、インビトロにおける様々な望まざる細胞株の増殖を抑制するそれらの能力で評価できる(図4)。例えば、ヒト乳がん細胞株SK−Br−3、又はヒト類表皮がん細胞株KBのような細胞株は、これらの新規メイタンシノイドの細胞毒性の評価に使用できる。評価される細胞は、化合物に72時間暴露され、細胞の生存画分を公知方法による直接アッセイで測定できる。次にアッセイの結果からIC50値が算出できる。
【0117】
立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を有するメイタンシノイドの製造
本発明の新規メイタンシノイドは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルに、障害されたスルフヒドリル基を持つアシル基でアシル化されたアミノ酸側鎖を有するものである。チオール官能基を持つ該アシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族も
しくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに該置換基の一つはHであってもよく、そして該アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有する。
【0118】
好ましくは、該メイタンシノイド化合物は、式4’:
【0119】
【化15】
【0120】
[式中、
Y’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、Dは、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]で表される。
【0121】
式4’で表される化合物の好適な態様において、R1はHであり、R2はメチルであり、ZはHである;R1及びR2はメチルであり、ZはHである;R1はHであり、R2はメチルであり、Zは−SCH3である;又はR1及びR2はメチルであり、Zは−SCH3である。
【0122】
更に好ましくは、メイタンシノイドは、式(I−L)、(I−D)、又は(I−D,L):
【0123】
【化16】
【0124】
[式中、
Yは、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]で表される化合物である。
【0125】
更に好適なのはC−3エステルで、それは式4:
【0126】
【化17】
【0127】
によって表される化合物である。式中、置換基は前述の定義の通りである。
特に好適なのは、R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、ZがHである上記いずれかの化合物;R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、ZがHである化合物;R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である化合物;並びに、R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である化合物である。さらに、L−アラニル立体異性体が本発明の複合体に最も有用なので好適である。
【0128】
式4の好適な態様はDM3及びDM4を含む。すなわち、ZがHであり、R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり、そしてl及びmが1であり、nが0である式4のメイタンシノイド(DM3、化合物4a);ZがHであり、R1及びR2がいずれもメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0である式4のメイタンシノイド(DM4、化合物4b);R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である式4のメイタンシノイド;並びに、R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である式4のメイタンシノイドを含む。
【0129】
1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニルの例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、プロペニル、ブテニル及びヘキセニルなどであるが、これらに限定されない。
【0130】
3〜10個の炭素原子を有する分枝アルキル又はアルケニルの例は、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、1−エチル−プロピル、イソブテニル及びイソペンテニルなどであるが、これらに限定されない。
【0131】
3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケニルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニルなどであるが、これらに限定されない。
【0132】
単純アリールは6〜10個の炭素原子を有するアリールなどで、置換アリールは、6〜10個の炭素原子を有し、少なくとも1個の、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル置換基、又はメトキシ、エトキシなどのアルコキシ置換基、又はハロゲン置換基又はニトロ置換基を持つアリールなどである。
【0133】
6〜10個の炭素原子を含有する単純アリールの例は、フェニル及びナフチルなどである。
置換アリールの例はニトロフェニル、ジニトロフェニルなどである。
【0134】
ヘテロサイクリック芳香族ラジカルは、N、O又はSから選ばれる1又は2個のヘテロ原子を含有する3〜10員環を有する基などである。
ヘテロシクロアルキルラジカルは、N、O又はSから選ばれる1又は2個のヘテロ原子を含有する3〜10員環系を含む環状化合物などである。
【0135】
ヘテロサイクリック芳香族ラジカルの例は、ピリジル、ニトロ−ピリジル、ピロリル、
オキサゾリル、チエニル、チアゾリル、及びフリルなどである。
ヘテロシクロアルキルラジカルの例は、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、ピペラジニル、及びモルホリノなどである。
【0136】
立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を有する新規メイタンシノイドは以下の新規に開示される方法によって製造できる。
メイタンシノイドの合成。
【0137】
図3aにメイタンシノイドDM4(4b)の合成におけるステップを示す。イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させてメルカプト化合物6を得る。6を塩基で加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得た。7からジスルフィド8への転化はメチルメタンチオールスルホネート(MeSSO2Me)との反応によって達成される。8からN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9への転化とその後のN−メチル−L−アラニンとの反応によってカルボン酸10が得られた。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーで精製した。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び塩化亜鉛の存在下で10をメイタンシノール(11)と反応させ、N−アシル−N−メチル−L−アラニルメイタンシノイドL−DM4SMe(4e)とN−アシル−N−メチル−D−アラニルメイタンシノイドD−DM4SMe(4f)との混合物を得た。ジアステレオマー混合物をシアノ結合カラムを用いてHPLCによって分離した。所望のL−アミノ酸含有異性体4eを回収し、ジチオトレイトールで還元してチオール含有L−アミノアシルメイタンシノイドDM4(4b)を得た。これを再度シアノ結合カラムを用いてHPLCで精製した。
【0138】
図3bにメイタンシノイドDM3(4a)の合成におけるステップを示す。4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってメチルジスルフィドに転化し、13を得た。13からN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14への転化とその後のN−メチル−L−アラニンとの反応によってカルボン酸15が得られた。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーで精製した。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び塩化亜鉛の存在下で15をメイタンシノール(11)と反応させ、N−アシル−N−メチル−L−アラニルメイタンシノイドL−DM3SSMe(4c)とN−アシル−N−メチル−D−アラニルメイタンシノイドD−DM3SSMe(4d)との混合物を得た。ジアステレオマー混合物をシアノ結合カラムを用いてHPLCによって分離した。所望のL−アミノ酸含有異性体を回収し、ジチオトレイトールで還元してメルカプト−L−アミノ酸含有メイタンシノイドDM3(4a)を得た。これを再度シアノ結合カラムを用いてHPLCで精製した。
【0139】
図3c及びdに、(S)−4−メチルジチオ−1−オキソペンチル部分又は(R)−4−メチルジチオ−1−オキソ−ペンチル部分のいずれかを持つDM3の合成を示す。(R)−1,3−ブタンジオール(16)をそのジトシレート17に転化し、次いでシアン化ナトリウム及びエチルキサントゲン酸カリウムと順次反応させてニトリル18を得た(図3c)。塩基性加水分解とその後のジスルフィド交換によって(S)−4−メチルジチオ−ペンタン酸19を得た。19からスクシンイミジルエステル20への転化、次いでN−メチル−L−アラニンとの反応によってN−メチル−N−[4−(S)−メチルジチオ−1−オキソ−ペンチル]−S−アラニン(15a)を得た。化合物15で前述したように、メイタンシノールとの反応でL−DM3SMeの2種類のジアステレオマー、4g及び4hを得た。同様に、(S)−1,3−ブタンジオール(21)を(R)−4−メチルジチオ−ペンタン酸24に、次いで15bに転化した。前述のように、メイタンシノールとの反応でDM3SMeの2種類のジアステレオマー、4k及び4lを得た。
【0140】
従って、本発明は、メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−1
5のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルの位置でアシル化アミノ酸側鎖でエステル化する方法を提供する。前記アシル基は保護されたスルフヒドリル基を持ち、保護されたチオール官能基を持つアシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに置換基の一つはHであってもよく、前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有し、前記方法は、メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルの位置でアシル化アミノ酸(アシル基は保護されたスルフヒドリル基を持つ)と反応させることを含む。
【0141】
好適な態様において、本発明は、式42’:
【0142】
【化18】
【0143】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキ
ルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法を提供する。前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【0144】
【化19】
【0145】
をC−3の位置で、式(III’−L)、(III’−D)、又は(III’−D,L):
【0146】
【化20】
【0147】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む。
【0148】
好ましくは、式(I)の化合物は式(I−L)で表され、また好ましくは、R1はHであり、R2はメチルである。
更に好適な態様において、本発明は、式42:
【0149】
【化21】
【0150】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法を提供する。前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【0151】
【化22】
【0152】
をC−3の位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【0153】
【化23】
【0154】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]で表される化合物と反応させることを含む。
【0155】
ジアステレオマーはシアノ結合シリカ上HPLCによって分離できる。
更に好適な態様において、本発明は、式(IV−L)、(IV−D)、又は(IV−D,L):
【0156】
【化24】
【0157】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又はCORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayはメイタンシノイドである]で表されるメイタンシノイドエステルを製造するためのメイタンシノイドのエステル化法を提供する。前記方法は、前記Mayを、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルの位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【0158】
【化25】
【0159】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む。
【0160】
なお更に好適な態様において、本発明は、式42:
【0161】
【化26】
【0162】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法を提供する。前記方法は、メイタンシノールをC−3の位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【0163】
【化27】
【0164】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又
はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む。
【0165】
好ましくは、式(I)で表される化合物はL立体異性体である。
上記方法に関して、R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0である場合;又はR1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0である場合が好適である。
【0166】
DM3を製造する場合、式(III−L)の化合物は、15a(S,S)、15b(S,
R)又は15a(S,S)と15b(S,R)の混合物である;式(III−D)の化合物
は、化合物15を得るためにラセミ体のアシル基又はRもしくはSキラリティのいずれかを有するアシル基でアシル化されたN−メチル−D−アラニンである;及び式(III−D
,L)の化合物は、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンである。
【0167】
15a(S,S)と15b(S,R)の混合物は、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造できる。
【0168】
同様に、化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物は、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造できる。
【0169】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンは、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール
官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含むプロセスによって製造できる。
【0170】
化合物15a(S,S)は、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含むプロセスによって製造できる。
【0171】
化合物15b(S,R)は、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含むプロセスによって製造できる。
【0172】
DM4を製造する場合、式(III−L)の化合物は、N−メチル−L−アラニンを含有
する化合物10である;式(III−D)の化合物は、N−メチル−D−アラニンを含有す
る化合物10である;及び式(III−D,L)の化合物は、ラセミ体のN−メチルアラニ
ンを含有する化合物10である。
【0173】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10は、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10を得る
ことを含むプロセスによって製造される。
【0174】
本発明によれば、式III:
【0175】
【化28】
【0176】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル、分枝アルキル又は環状アルキル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物も新規である。
【0177】
式IIIの化合物は、当業者であれば、化合物10及び15の製造に関して本明細書中に
開示したのと類似の方法によって容易に製造できる。
【0178】
メイタンシノイドのインビトロ細胞毒性
本発明のメイタンシノイドのインビトロ細胞毒性を図4に示す。障害されたジスルフィド結合を持つ新規メイタンシノイド(4c、4e)は、試験した細胞株に対して非常に効力が高い。このように、4cはA−375細胞及びSK−Br−3細胞を、それぞれ1.5×10−11M及び7.0×10−12MのIC50値で殺滅する。同様に、メイタンシノイド4eも効力が高く、A−375及びSK−Br−3細胞に対してそれぞれ3.2×10−11M及び9.0×10−12MのIC50値を有する。本発明の障害されたチオール含有メイタンシノイド4aのインビトロ効力を従前のメイタンシノイド1のそれと比較すると(図4c、d)、新規メイタンシノイドは従前のものより20〜50倍も効力が高いことが示される。
【0179】
細胞結合剤の製造
本発明の化合物の治療薬としての有効性は、適当な細胞結合剤の注意深い選択にかかっている。細胞結合剤は現在知られている、又は知られるようになるあらゆる種類のものであってよく、ペプチド及び非ペプチドを含む。一般的に、これらは抗体(特にモノクロナール抗体)、リンホカイン、ホルモン、成長因子、ビタミン、栄養輸送分子(トランスフェリンなど)、又は任意のその他の細胞結合分子又は物質であり得る。
【0180】
使用されうる細胞結合剤のさらに具体的な例は、
ポリクロナール抗体;
モノクロナール抗体;
Fab、Fab’、及びF(ab’)2、Fvのような抗体フラグメント(Parham,J.Immunol.131:2895−2902(1983);Springら、J.Immunol.113:470−478(1974);Nisonoffら、Arch.Biochem.Biophys.89:230−244(1960));
インターフェロン(例えば、α、β、γ);
リンホカイン、例えばIL−2、IL−3、IL−4、IL−6;
ホルモン、例えばインスリン、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)、アンドロゲン及びエストロゲンのようなステロイドホルモン;
成長因子及びコロニー刺激因子、例えばEGF、TGF−α、FGF、VEGF、G−CSF、M−CSF及びGM−CSF(Burgess、Immunology Today 5:155−158(1984));
トランスフェリン(O’Keefeら、J.Biol.Chem.260:932−937(1985));及び
ビタミン、例えば葉酸。
【0181】
モノクロナール抗体技術は、特異的モノクロナール抗体の形態で極めて特異的な細胞結合剤の製造を可能にしている。当該技術分野で特によく知られているのは、マウス、ラット、ハムスター又は任意のその他の哺乳動物を、問題の抗原、例えば無傷の標的細胞、標的細胞から単離した抗原、全ウィルス、弱毒化全ウィルス、及びウィルスコートタンパク質のようなウィルスタンパク質で免疫化することによって産生されるモノクロナール抗体製造技術である。感作ヒト細胞も使用できる。モノクロナール抗体の別の製造法は、scFv(一本鎖可変領域)、特にヒトscFvのファージライブラリーの使用である(例えば、Griffithsら、米国特許第5,885,793号及び5,969,108号;McCaffertyら、WO92/01047;Limingら、WO99/06587参照)。さらに、米国特許第5,639,641号に開示されているリサーフェス化抗体もヒト化抗体として使用できる。
【0182】
適当な細胞結合剤の選択は、標的にされる特定の細胞集団に応じて選択の余地があるが、一般的にヒトモノクロナール抗体が、適当なものが入手できれば好適である。
例えば、モノクロナール抗体、MY9は、CD33抗原に特異的に結合するマウスIgG1抗体であり{J.D.Griffinら、8 Leukemia Res.,521(1984)}、標的細胞が急性骨髄性白血病(AML)の疾患の場合のようにCD33を発現していれば使用できる。同様に、モノクロナール抗体、抗B4は、B細胞上のCD19抗原に結合するマウスIgG1抗体であり{Nadlerら、131 J.Immunol.244−250(1983)}、標的細胞がB細胞であるか、又は非ホジキンリンパ腫もしくは慢性リンパ芽球性白血病の場合のようにこの抗原を発現している疾患細胞であれば使用できる。同様に、CanAg抗原に結合するモノクロナール抗体、C242(米国特許第5,552,293号)は、結腸直腸、膵臓及び胃がんのようなCanAg発現腫瘍の治療に使用できる。
【0183】
さらに、骨髄細胞に結合するGM−CSFは、急性骨髄性白血病由来の疾患細胞に対する細胞結合剤として使用できる。活性化T細胞に結合するIL−2は、移植片拒絶の防止、移植片対宿主疾患の治療及び予防、並びに急性T細胞白血病の治療に使用できる。メラニン細胞に結合するMSHは、黒色腫の治療に使用できる。葉酸は、卵巣及びその他の腫瘍上に発現されている葉酸受容体を標的にするのに使用できる。上皮成長因子は、肺及び頭部及び頚部のような扁平上皮がんを標的にするのに使用できる。ソマトスタチンは、神経芽細胞腫及びその他の腫瘍タイプを標的にするのに使用できる。
【0184】
乳腺及び精巣のがんは、それぞれ細胞結合剤としてエストロゲン(又はエストロゲン類似体)又はアンドロゲン(又はアンドロゲン類似体)でうまく標的化できる。
【0185】
細胞毒性複合体の製造
本発明は、細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体も提供する。該細胞結合剤は、メイタンシノイドのC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルの位置に見られるアシル化アミノ酸側鎖のアシル基上に存在するチオール又はジスルフィド官能基を用いてメイタンシノイドに連結されており、該アシル化アミノ酸側鎖のアシル基は、そのチオール又はジスルフィド官能基を1又は2個の置換基を有する炭素原子上に持っている。前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに前記置換基の一つはHであってもよく、そして該アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有する。
【0186】
好適な細胞結合剤複合体は、細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含み、該メイタンシノイドは、式41’:
【0187】
【化29】
【0188】
[式中、
Y1’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2S−を表し、式中、
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でない]で表される。
【0189】
好ましくは、R1はHでR2はメチルであるか、又はR1及びR2はメチルである。
なお更に好適な細胞結合剤複合体は、細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含み、該メイタンシノイドは、式(II−L)、(II−D)、又は(II−D,L):
【0190】
【化30】
【0191】
[式中、
Y1は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2S−を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、ヘテロサイクリック芳香族又はヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Mayは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]で表される。
【0192】
なお更に好適なのは、メイタンシノイドが式41:
【0193】
【化31】
【0194】
[式中、置換基は上記式(II)で定義の通りである]で表されるメイタンシノイド−細胞
結合剤複合体である。
特に好適なのは、R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であるいずれかの上記化合物;並びにR1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であるいずれかの上記化合物である。
【0195】
さらに、L−アミノアシル立体異性体が好適である。
本発明の代表的細胞毒性複合体は、抗体/メイタンシノイド、抗体フラグメント/メイタンシノイド、上皮成長因子(EGF)/メイタンシノイド、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)/メイタンシノイド、甲状腺刺激ホルモン(TSH)/メイタンシノイド、ソマトスタチン/メイタンシノイド、葉酸/メイタンシノイド、エストロゲン/メイタンシノイド、エストロゲン類似体/メイタンシノイド、アンドロゲン/メイタンシノイド、及びアンドロゲン類似体/メイタンシノイドである。
【0196】
チオール含有メイタンシノイドを、適当に修飾された細胞結合剤と反応させて細胞毒性複合体を製造する。これらの複合体は、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、又はHPLCによって精製できる。
【0197】
スルフヒドリル基含有メイタンシノイド由来の複合体の製造スキームを図5に示す。さらに詳しくは(図5a、b)、水性緩衝液中の抗体溶液をモル過剰の抗体修飾剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP、3a)とインキュベートしてジチオピリジル基を導入する(図5a)、又はN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB、3b)とインキュベートしてジチオピリジル基を導入する(図5b)。次に、修飾抗体をチオール含有メイタンシノイド(例えば4a又は4b)と反応させて、ジスルフィドで連結された抗体−メイタンシノイド複合体を製造する。メイタンシノイド−抗体複合体は、次いでゲルろ過によって精製してもよい。
【0198】
あるいは、抗体をモル過剰の2−イミノチオランのような抗体修飾剤とインキュベートしてスルフヒドリル基を導入してもよい。次に、修飾抗体を適当なジスルフィド含有メイタンシノイドと反応させてジスルフィド連結抗体−メイタンシノイド複合体を製造する。メイタンシノイド−抗体複合体は、次いでゲルろ過によって精製してもよい。
【0199】
抗体分子あたりに結合されたメイタンシノイド分子の数(図5a〜5dではwで示される)は、252nmと280nmの吸光度の比率を分光光度的に測定することによって決定できる。抗体分子あたり平均1〜10個のメイタンシノイド分子がこの方法で連結できる。抗体分子あたりの連結メイタンシノイド分子の好適な平均数は2〜5であり、最も好適なのは3〜4.5である。
【0200】
あるいは、水性緩衝液中の抗体溶液をモル過剰の抗体修飾剤、例えばN−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC、26)とインキュベートすればマレイミド基が導入される(図5c)、又はN−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB、27)とインキュベートすればヨードアセチル基が導入される(図5d)。次に、修飾抗体をチオール含有メイタンシノイド(例えば4a又は4b)と反応させて、チオエーテルで連結された抗体−メイタンシノイド複合体を製造する。メイタンシノイド−抗体複合体は、次いでゲルろ過によって精製してもよい。
【0201】
抗体分子あたりに結合されたメイタンシノイド分子の数は前述のように分光学的分析によって決定できる。
このように、本発明は、前述の方法の一つによって精製メイタンシノイドを製造し、そして該精製メイタンシノイドを、反応性ジチオ又はスルフヒドリル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法を提供する。好ましくは、反応性ジチオ基はジチオピリジル基又は置換ジチオピリジル基である。特に好ましくは、反応性ジチオ基は、ニトロピリジルジチオ又はジニトロピリジルジチオ基を含む。
【0202】
別の方法において、精製メイタンシノイドは、マレイミド基又はハロアセチル基を含む細胞結合剤と反応させる。
本発明の細胞結合剤とメイタンシノイド薬との複合体は、それらの様々な望まざる細胞株の増殖抑制能をインビトロで評価できる(図6)。例えば、ヒト結腸がん細胞株COLO 205、ヒト黒色腫細胞株A−375、ヒト骨髄性白血病細胞株HL60のような細胞株は、これらの複合体の細胞毒性の評価に使用できる。評価される細胞を化合物に24時間暴露し、細胞の生存画分を公知方法によって直接アッセイで測定すればよい。次いでアッセイの結果からIC50値が算出できる。
【0203】
本発明の抗体−メイタンシノイド複合体のインビトロ効力及び標的特異性を図6、10及び12に示す。このように、図6は、huC242−DM3及びhuC242−DM4とも抗原陽性COLO 205細胞の殺滅に非常に効力があることを示しており、IC50値はそれぞれ1.3×10−11M及び1.1×10−11Mである。これに対し、抗原陰性のA−375細胞は感受性が約500倍も低く、本発明のメイタンシノイド複合体が非常に高効力で特異的であることを示している。同様に、図10及び12は、それぞれ抗体MY9−6及び抗B4を用いた本発明のメイタンシノイド複合体の高効力と標的特異性を示している。
【0204】
本発明の抗体と障害されたチオール含有メイタンシノイドとの複合体のインビボにおける抗腫瘍効果を、マウスにおけるいくつかの異なるヒト腫瘍モデルで、従前のメイタンシノイド複合体のそれと比較した。第一のモデルで(図7)、樹立皮下ヒト結腸腫瘍HT−29異種移植片を持つSCIDマウスを、従前のメイタンシノイドDM1の抗体複合体(huC242−DM1)、又は2種類の新規メイタンシノイド複合体(huC242−DM3、huC242−DM4)のいずれかで処置した。huC242−DM1による処置で18日間の腫瘍成長遅延がもたらされた。これに対し、新規薬剤は顕著により有効で、腫瘍成長遅延がhuC242−DM3の場合28日間、huC242−DM4の場合36日間であった。
【0205】
第二のモデルで(図8)、樹立皮下ヒト結腸腫瘍COLO 205異種移植片を持つマウスを、従前のメイタンシノイドDM1の抗体複合体(huC242−DM1)、又は2種類の新規メイタンシノイド複合体(huC242−DM3、huC242−DM4)のいずれかで処置した。huC242−DM1による処置では腫瘍退縮は見られず、20日間の腫瘍成長遅延が得られた。これに対し、新規薬剤は顕著により有効であった。huC242−DM3による処置群では45日間持続する完全腫瘍退縮が達成された。huC242−DM4はなおさらに有効で、全ての処置マウスの治癒がもたらされた。
【0206】
第三のモデルで(図9)、樹立皮下ヒト骨髄性白血病HL60異種移植片を持つマウスを、従前のメイタンシノイドDM1の抗体複合体(MY9−6−DM1)、又は2種類の新規メイタンシノイド複合体(MY9−6−DM3、MY9−6−DM4)のいずれかで処置した。MY9−6−DM1による処置では腫瘍退縮は見られず、5日間の腫瘍成長遅延が得られた。これに対し、新規薬剤は顕著により有効であった。腫瘍退縮がもたらされた。MY9−6−DM3もMY9−6−DM4も、20日間を超える腫瘍成長遅延をもたらした。
【0207】
第四のモデルでは(図11)、本発明のメイタンシノイド(huMY9−6−DM4)を、従前のメイタンシノイド複合体(huMY9−6−DM1)のそれと、HL−60細胞で樹立された皮下異種移植片モデルで直接比較した。等用量で、本発明の複合体MY9−6−DM4による処置は85日間持続する完全腫瘍退縮をもたらした。これに対し、従前のメイタンシノイドの複合体はずっと活性が低く、約48日間の腫瘍成長遅延しか示さなかった。
【0208】
第五のモデルで(図13a)、本発明のメイタンシノイドとhuB4抗体との複合体は、皮下Ramos腫瘍モデルで用量依存的に高い抗腫瘍活性を示している。非毒性の用量で完全な腫瘍退縮と治癒が達成されている(図13a、b)。
【0209】
上記5つの効果実験の結果から、本発明の立体障害されたチオール含有メイタンシノイドは、従前のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体と比べて、非常に改良された抗腫瘍活性を細胞結合剤複合体に付与していることが示されている。
【0210】
組成物及び使用法
本発明は、有効量の本発明のいずれかのメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0211】
本発明はまた、治療を必要とする患者に有効量の上記いずれかの複合体を投与することを含む治療法も提供する。
同様に、本発明は、選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法も提供する。該方法は、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の本発明のいずれかのメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物を含む細胞毒性薬に接触させることを含む。標的細胞は細胞結合剤が結合できる細胞である。
【0212】
所望であれば、他の抗腫瘍薬のようなその他の活性薬を複合体と共に投与してもよい。
適切な製薬学的に許容しうる担体、希釈剤、及び賦形剤は周知であり、臨床状況の適応に応じて当業者が決定できる。
【0213】
適切な担体、希釈剤及び/又は賦形剤の例は、(1)ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水、pH約7.4、約1mg/ml〜25mg/mlのヒト血清アルブミンを含有又は非含有、(2)0.9%生理食塩水(0.9%w/v NaCl)、及び(3)5%(w/v)デキストロースなどであり、トリプタミンのような抗酸化剤及びトゥイーン20のような安定化剤を含有してもよい。
【0214】
選択された細胞集団における細胞死の誘導法は、インビトロ、インビボ、又はエクスビボで実施できる。
インビトロにおける使用例は、自己骨髄を同一患者に移植する前に疾患細胞又は悪性細胞を殺滅するために処理する;骨髄を移植する前にコンピテントT細胞を殺滅するため及び移植片対宿主疾患(GVHD)を予防するために処理する;標的抗原を発現していない所望の変異株以外の全細胞を殺滅するために細胞培養物を処理する;又は望まざる抗原を発現している変異株を殺滅する、などである。
【0215】
非臨床的なインビトロにおける使用条件は当業者によって容易に決定される。
臨床的エクスビボにおける使用例は、がんの治療又は自己免疫疾患の治療で自家移植の前に骨髄から腫瘍細胞又はリンパ細胞を除去する、又はGVHD予防のために移植前に自己又は同種の骨髄又は組織からT細胞及びその他のリンパ細胞を除去するといったことである。処理は以下のように実施できる。患者又は他人から骨髄を採取し、次いで、濃度範
囲約10μM〜1pMの本発明の細胞毒性薬を加えた血清含有培地中で、約30分間〜約48時間、37℃でインキュベートする。濃度及びインキュベーション時間の正確な条件、すなわち用量は当業者によって容易に決定される。インキュベーション後、骨髄細胞を血清含有培地で洗浄し、公知方法に従って患者の静脈内に戻す。患者が、骨髄採取と処理細胞の再注入との間に侵襲的化学療法又は全身照射のような他の治療コースを受ける状況においては、標準的医学装置を用いて処理骨髄細胞を液体窒素中で凍結保存する。
【0216】
臨床的インビボにおける使用の場合、本発明の細胞毒性薬を、無菌性及びエンドトキシンレベルについて試験した溶液又は凍結乾燥粉末として供給する。複合体投与の適切なプロトコルの例は以下の通りである。複合体を週1回4週間にわたって各週静脈内ボーラスとして投与する。ボーラス投与は、50〜1000mlの生理食塩水(これに5〜10mlのヒト血清アルブミンを加えてもよい)に入れて投与される。用量は1投与あたり10μg〜2000mgで、静脈内投与である(1日100ng〜20mg/kgの範囲)。4週間の治療後、患者は週単位で治療を継続できる。投与経路、賦形剤、希釈剤、用量、時間などに関する具体的な臨床プロトコルは、臨床状況の適応に応じて当業者が決定できる。
【0217】
選択された細胞集団に細胞死を誘導するインビボ又はエクスビボ法に従って治療できる医学的状態の例は、あらゆる種類の悪性疾患、例えば、乳房、結腸、前立腺、腎臓、膵臓、卵巣、及びリンパ器官のがん;全身性狼瘡、リウマチ様関節炎、及び多発性硬化症のような自己免疫疾患;腎移植拒絶、肝移植拒絶、肺移植拒絶、心臓移植拒絶、及び骨髄移植拒絶のような移植片拒絶;移植片対宿主疾患;CMV感染、HIV感染、AIDSなどのようなウィルス感染;及びランブル鞭毛虫症、アメーバ症、住血吸虫症、及び当業者が決定するその他のような寄生虫感染などである。
【実施例】
【0218】
以下に本発明を非制限的実施例を参照しながら説明する。特に明記しない限り、全てのパーセント、比率、部などは重量による。以下に記載の実施例は、R1がH又はCH3、R2がCH3、R5、R6、R7及びR8がそれぞれH、l及びmがそれぞれ1、nが0である化合物に関する。同様の合成は、R1及びR2がそれぞれ独立して、H、CH3、C2H5、又は1〜10個の炭素原子を有する高級アルキル、アルケニル、又はフェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカル;そしてl、m及びnがそれぞれ1〜5の整数、さらにnは0であってもよい本発明のその他の化合物についても実施できる。
【0219】
全試薬はニュージャージー州のAldrich Chemical Co.から、又はその他の市販品を購入した。メイタンシノール(11)は過去に記載(米国特許第6,333,410号)ように製造した。核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルはBruker 400MHz装置で取り、質量スペクトルは、エレクトロスプレーイオン化を用い、Bruker Daltonics Esquire 3000装置で取った。
【0220】
実施例1
メイタンシノイド4bの合成
4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7):500mLフラスコに撹拌棒と150mL添加漏斗を備え付けた。この系をアルゴン雰囲気下に置いた。150mLの無水テトラヒドロフラン(THF)及びヘキサン中2.5Mのn−BuLi 75mL(18.7mmol)をカニューレ経由で加え、溶液を−78℃のドライアイス/アセトン浴中で冷却した。アセトニトリル(7.3g、9.4mL、18mmol)をシリンジ経由で1滴ずつ約5分間にわたって加えた。反応を30分間撹拌している間に白色のリチウム−アセトニトリル沈殿物が形成された。イソブチレンスルフィド(15g、17mmol)を1
00mLの無水THFに溶解し、添加漏斗経由で1滴ずつ約30分間にわたって加えた。冷却浴を取り除き、反応を3時間撹拌した。フラスコを氷/水浴で冷却しながら38mLの0.5M HClを滴下添加した。THF層はそのままにし、水性層を75mLの酢酸エチルで2回洗浄した。THFと酢酸エチル層を合わせ、約20gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、250mLフラスコに移した。溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、6の粗製物を得た。エタノール(30mL)と撹拌棒を加えた。内容物を撹拌しながら30mLの脱イオン水中8.0gのNaOHの溶液をゆっくり加えた。フラスコに還流冷却器を備え付け、アルゴン雰囲気下に置いた。反応を一晩還流し、その後室温に冷却した。脱イオン水(60mL)を加え、該混合物を、25mLずつの酢酸エチルとヘキサンの2:1混合物で2回抽出した。水性層を濃HClでpH2に酸性化し、次いで75mLずつの酢酸エチルで3回抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、10gの生成物7を得た(収率39%)。材料はそれ以上精製せずに使用した。
【0221】
【数1】
【0222】
4−メチル−4−(メチルジチオ)ペンタン酸(8):メルカプトペンタン酸7(6.0mL、40mmol)を250mLフラスコ中で50mLの脱イオン水に溶解した。溶液を磁気撹拌しながら、炭酸ナトリウム(6.4g、60mmol)を過剰の泡立ちを起こさないような速度で該酸に加えた。フラスコに100mL添加漏斗を備え付け、それにガラス蒸留した100%エタノール30mL中に溶解したメチルメタンチオールスルホネート(7.5g、60mmol)溶液を入れた。フラスコを氷/水浴で冷却し、該系をアルゴン雰囲気下に維持した。メチルメタンチオールスルホネート溶液をなるべく迅速に、しかし過剰の泡立ちを起こさずにフラスコに滴下添加した。冷却浴を取り除き、反応混合物をさらに3時間撹拌した。溶媒を残り約20mLになるまで真空下回転蒸発によって除去した。その後、10mLの飽和炭酸水素ナトリウム及び30mLの脱イオン水を加えた。該混合物を分液漏斗中で25mLずつの酢酸エチルで3回洗浄した。水性層を5M HClで約pH2に調整し、120mLずつの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、飽和NaClと1MのHClが4:1の比率で成る溶液20mLで洗浄した。次に、有機層を14gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、5.4gの生成物8を得た(収率70%)。該材料はそれ以上精製せずに次のステップに利用できる。
【0223】
【数2】
【0224】
MS(M+Na+)理論値:217.0、実測値:217.1
【0225】
N−ヒドロキシスクシンイミジル4−メチル−4−(メチルジチオ)ペンタノエート(9):メチルジチオペンタン酸8(3.0g、15mmol)を20mLの塩化メチレンに溶解し、磁気撹拌しながらN−ヒドロキシスクシンイミド(2.65g、23mmol)、次いで1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDC、4.4g、23mmol)を加えた。該混合物をアルゴン雰囲気下で2時間撹拌した。反応混合物を125mL分液漏斗に注ぎ入れ、40mLの酢酸エチルを加え、該溶液を20mLずつの50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で2回、1
2mLの飽和塩化ナトリウムで1回洗浄した。有機層を14gの無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、4.0gの生成物9を得た(収率90%)。これをそれ以上精製せずに使用した。
【0226】
【数3】
【0227】
MS(M+Na+)理論値:314.0、実測値:314.1
【0228】
N−メチル−N−(4−メチル−4−メチルジチオ−1−オキソペンチル)−L−アラニン(10):N−メチル−L−アラニン(2.85g、18.0mmol)を、磁気撹拌棒を備えた125mLフラスコで、ジメトキシエタンと脱イオン水1:1の溶液50mL中に溶解した。トリエチルアミン(6.9g、36mmol)を加え、溶液を激しく撹拌しながら、同一溶媒混合物40mL中に溶解した9(5.44g、18mmol)を約5分間かけて1滴ずつ加えた。2時間後、反応混合物を真空下回転蒸発によって約40mLに濃縮し、次いで10mLの脱イオン水と1M HClを加えてpHを約2とした。該混合物を分液漏斗に注ぎ入れ、50mLずつの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、次いで7mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を8.0gの無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空下回転蒸発によって除去した。残渣を最少量の酢酸エチルに取り、シリカ上クロマトグラフィーで精製した(シリカ:40μmのフラッシュ級、シリカ床:24×3.0cm、移動相:ヘキサン:酢酸エチル:酢酸50:48:2)。所望の生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を真空下で除去した。残留酢酸を、残渣を最少量の酢酸エチルに溶解し、撹拌しながらヘキサンを迅速ではあるが1滴ずつ添加して生成物を沈殿させることによって除去した。ヘキサンは、TLC分析で上清中に生成物がもはや検出されなくなるまで加えた。沈殿物を4時間真空乾燥して2.2gの生成物10を得た(収率51%)。
【0229】
【数4】
【0230】
MS(M+Na+)理論値:302.1、実測値:302.0。
【0231】
N2’−デアセチル−N2’−(4−メチル−4−メチルジチオ−1−オキソペンチル)メイタンシン(L−DM4−SMe、4e)。メイタンシノール(11、25mg、0.44mmol)及びN−メチル−N−(4−メチル−4−メチルジチオ−1−オキソペンチル)−L−アラニン(10、42.0mg、0.177mmol)の3mLジクロロメタン中溶液をアルゴン雰囲気下で磁気撹拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、57.1mg、0.277mmol)の0.67mLジクロロメタン中溶液を加えた。1分後、ジエチルエーテル中1MのZnCl2溶液(0.03mL、0.03mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで5mLの酢酸エチルを加え、混合物を粗いろ紙を通して真空ろ過した。ろ液を2mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液、次いで1mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を2gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。そして溶媒を真空下で除去し、残渣をジクロロメタンとメタノールの混合物を用いてシリカクロマトグラフィーで精製し、未反応のメイタンシノールを除去した。
所望生成物含有画分を合わせ、溶媒を真空下で除去してジアステレオマー4eと4fの混合物を得た。残渣を最少量の酢酸エチルに取り、50cm×250cm、10μmのDiazem(登録商標)CNカラム上で、移動相にヘキサン、2−プロパノール及び酢酸エチルの比率68:8:24の混合物を用いて精製した。流速は118mL/分であった。これらの条件下で、所望生成物4eはリテンションタイム11分で溶出した。所望でないジアステレオマー4fのリテンションタイムは19分であった。所望生成物含有画分を合わせ、溶媒を真空下で除去して12.0mgの生成物4eを得た(収率36%)。
【0232】
【数5】
【0233】
高分解能MS(M+H+)理論値:826.3174、実測値:826.3150。
【0234】
N2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−4−メチル−1−オキソペンチル)メイタンシン(L−DM4、4b)。上記ジスルフィド4e(12mg、0.015mmol)を1:1の酢酸エチル:メタノール1.0mL中に溶解した。次にジチオトレイトール(18mg、0.117mmol)の50mMリン酸緩衝液(pH7.5)0.50mL中溶液を加えた。該溶液をアルゴン雰囲気下で3時間磁気撹拌し、次いで200mMのリン酸緩衝液(pH6.0)1mLを加え、該混合物を2mLずつの酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせ、1mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、1gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、残渣を最少量の酢酸エチル中に取り、50cm×250cm、10μmのDiazem(登録商標)CNカラム上で、移動相にヘキサン、2−プロパノール及び酢酸エチルの比率70:8:22の混合物を用いて精製した。流速は22mL/分であった。所望生成物4bはリテンションタイム10分で溶出した。純4b含有画分を合わせ、溶媒を真空下で除去して11mgの4bを得た(収率97%)。
【0235】
【数6】
【0236】
高分解能MS(M+Na+)理論値:802.3101、実測値:802.3116。
【0237】
実施例2
メイタンシノイド4aの合成
4−メチルジチオ−ペンタン酸(13):4−メルカプトペンタン酸(12、16.6g、124mmol)の溶液を500mLフラスコで350mLの脱イオン水に溶解した。該溶液を磁気撹拌しながら、炭酸ナトリウム(19.7g、186mmol)を過剰の泡立ちを起こさないような速度で該酸に加えた。フラスコに250mLの添加漏斗を備え付け、それにガラス蒸留した100%エタノール220mL中に溶解したメチルメタンチオールスルホネート(23.4g、186mmol)溶液を入れた。フラスコを氷/水浴で冷却し、該系をアルゴン雰囲気下に維持した。メチルメタンチオールスルホネート溶液をなるべく迅速に、しかし過剰の泡立ちを防止する速度でフラスコに滴下添加した。冷却浴を取り除き、反応混合物をさらに2時間撹拌した。溶媒を残り約250mLになるまで真空下回転蒸発によって除去した。その後、30mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び50mLの脱イオン水を加えた。該混合物を分液漏斗中で200mLずつの酢酸エチルで3回洗浄した。水性層を5M HClで約pH2に調整し、400mLずつの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、次いで飽和NaCl溶液と1MのHClの4:1混合物60mLで洗浄し、次に50gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、最後に溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、10.2gの生成物13を得た(収率45%)。該材料はそれ以上精製せずに次の反応に使用した。
【0238】
【数7】
【0239】
MS(M+Na+)理論値:203.3、実測値:203.2
【0240】
N−ヒドロキシスクシンイミジル4−メチルジチオ−ペンタノエート(14):4−メチルジチオ−ペンタン酸(13、0.75g、4.16mmol)を7.0mLの塩化メチレンに溶解し、磁気撹拌しながらN−ヒドロキシスクシンイミド(0.526g、4.57mmol)、次いで1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(0.877g、4.57mmol)を加えた。該混合物をアルゴン雰囲気下で2.5時間撹拌し、次いで20mLの酢酸エチルを含有する60mL分液漏
斗に注ぎ入れた。得られた溶液を15mLずつの50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で2回、5mLの飽和塩化ナトリウムで1回洗浄した。有機層を8gの無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、1.15gの生成物14を得た(収率87%)。これをそれ以上精製せずに次の反応に使用した。
【0241】
【数8】
【0242】
MS(M+Na+)理論値:304.1、実測値:304.0
【0243】
N−メチル−N−(4−メチルジチオ−1−オキソペンチル)−L−アラニン(15):N−メチル−L−アラニン(0.64g、6.2mmol)を、磁気撹拌棒を備えた125mLフラスコで、ジメトキシエタンと脱イオン水1:1混合物8mL中に溶解した。トリエチルアミン(0.841g、8.3mmol)を加え、フラスコを激しく撹拌しながら、14(1.0g、3.6mmol)の同一溶媒混合物8mL中溶液を約5分間かけて1滴ずつ加えた。2時間後、反応混合物を真空下回転蒸発によって約3mLに濃縮し、次いで15mLの脱イオン水と1M HClを加えてpHを約2とした。該混合物を60mL分液漏斗に注ぎ入れ、15mLずつの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、3mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで8.0gの無水Na2SO4上で乾燥させ、最後に溶媒を真空下回転蒸発によって除去した。残渣を最少量の酢酸エチルに取り、シリカクロマトグラフィーで精製した(シリカ:40μmのフラッシュ級、シリカ床:24×3.0cm、移動相:ヘキサン:酢酸エチル:酢酸50:48:2)。所望生成物15を含有する画分を合わせ、溶媒を真空下で除去した。残留酢酸を、残渣を最少量の酢酸エチルに溶解し、撹拌しながらヘキサンを迅速ではあるが1滴ずつ添加して生成物を沈殿させることによって除去した。ヘキサンは、TLC分析で上清中に生成物がもはや検出されなくなるまで加えた。沈殿物を真空乾燥して0.60gの生成物15を得た(収率62%)。
【0244】
【数9】
【0245】
MS(M+Na+)理論値:288.1、実測値:288.1。
【0246】
N2’−デアセチル−N2’−(4−メチルジチオ−1−オキソペンチル)メイタンシン(L−DM3−SMe、4c):メイタンシノール(25mg、0.44mmol)及び15(42.0mg、0.177mmol)の3mLジクロロメタン中溶液をアルゴン雰囲気下で磁気撹拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、57.1mg、0.277mmol)の0.67mLジクロロメタン中溶液を加えた。1分後、ジエチルエーテル中1MのZnCl2(0.03mL、0.03mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで5mLの酢酸エチルを加え、混合物を粗いろ紙を通して真空ろ過した。ろ液を2mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液、次いで1mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を2gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタンとメタノールの混合物を用いてシリカクロマトグラフィーで精製し、未反応のメイタンシノールを除去した。所望生成物含有画分を合わせ
、溶媒を真空下で除去してジアステレオマー4cと4dの混合物を得た。残渣を最少量の酢酸エチルに取り、50cm×250cm、10μmのDiazem(登録商標)CNカラム上で、移動相にヘキサン、2−プロパノール及び酢酸エチルの68:8:24混合物を用いて精製した。流速は118mL/分であった。所望生成物4cはリテンションタイム11分で溶出し、所望でないジアステレオマー4dのリテンションタイムは19分であった。所望生成物含有画分を合わせ、溶媒を真空下で除去して12.0mgの生成物4cを得た(収率36%)。
【0247】
【数10】
【0248】
MS(M+Na+)理論値:834.3、実測値:834.3。
【0249】
N2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)メイタンシン(L−DM3、4a):L−DM3−SMe(4c、12mg、0.015mmol)を酢酸エチルとメタノールの1:1混合物1.0mL中に溶解した。次にジチオトレイトール(18mg、0.117mmol)の50mMリン酸緩衝液(pH7.5)0.50mL中溶液を加えた。該反応溶液をアルゴン雰囲気下で3時間磁気撹拌し、次いで200mMのリン酸緩衝液(pH6.0)1mLを加え、該混合物を2mLずつの酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせ、1mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで1gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、残渣を最少量の酢酸エチル中に取り、50cm×250cm、10μmのDiazem(登録商標)CNカラム上で、移動相としてヘキサン、2−プロパノール及び酢酸エチルの70:8:22混合物を用いて精製した。流速は22mL/分であった。所望生成物はリテンションタイム10分で溶出した。純生成物含有画分を合わせ、溶媒を真空下で除去して11mgの生成物4aを得た(収率97%)。
【0250】
【数11】
【0251】
MS(M+Na+)理論値:788.3、実測値:788.3。
【0252】
実施例3
メイタンシノイド4g、hの合成(図3c)
R−1,3−ジ−O−p−トルエンスルホニル−ブタン(17):R−(−)−1,3−ブタンジオール(16、2.00g、22.22mmol)の、乾燥ピリジン(40mL)及び乾燥トルエン(60mL)混合物中溶液をアルゴン下0℃でp−トルエンスルホニルクロリド(12.70g、66.84mmol)で処理した。0℃で5分間、次いで室温で2時間撹拌した後、混合物を真空下で蒸発させ、酢酸エチル中に再溶解し、0.1MのNaHCO3水溶液、次いで飽和NaClで洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。シリカゲル上クロマトグラフィーにより1:2(v/v)の酢酸エチル/ヘキサンで溶離して精製し、6.51g(74%)の標記生成物17を得た。Rf=0.40(1:1 EtOAc/ヘキサン);
【0253】
【数12】
【0254】
MS:420.99(M+Na)+、421.93(M+1+Na)+。
【0255】
S−4−O−エチルキサンチック−ペンタンニトリル(18):R−1,3−ジ−O−p−トルエンスルホニル−ブタン(17、4.80g、12.06mmol)の乾燥DMSO(50mL)中溶液をNaCN(0.65)で処理した。アルゴン下室温で18時間撹拌後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、冷たい1.0MのNaH2PO4(pH7.5)、水及び1.0MのNaH2PO4(pH4.0)で順に洗浄した。有機層を分離し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、次いで蒸発させて2.63gの粗R−3−O−p−トルエンスルホニル−ペンタンニトリルを得た。MS:275.80(M+Na)+、276.75(M+1+Na)+。生成物はそれ以上精製せずにそのまま使用した。
【0256】
粗R−3−O−p−トルエンスルホニル−ペンタンニトリル(2.63g)のエタノール(15mL)中溶液に、エタノール(50mL)中O−エチルキサントゲン酸カリウム
(4.55g)を加えた。アルゴン下で一晩撹拌後、該混合物を濃縮し、酢酸エチルで希釈し、短シリカカラムを通してろ過した。溶離液を濃縮し、シリカゲル上クロマトグラフィーにより1:4(v/v)のEtOAc/ヘキサンで溶離して精製し、1.54g(63%、2段階)の標記生成物18を得た。Rf=0.40(1:4 EtOAc/ヘキサン);
【0257】
【数13】
【0258】
MS:226.51(M+Na)+、242.51(M+K)+。
【0259】
S−(+)−4−メチルジチオ−ペンタン酸(19):S−4−O−エチルキサンチック−ペンタンニトリル(18、1.95g、9.61mmol)の、エタノール(10mL)と水(150mL)の混合物中溶液に、5.0gのNaOHを加えた。反応混合物をアルゴン下で一晩還流した。該混合物を室温に冷却し、水(150ml)で希釈し、1:1のEtOAc/ヘキサンで抽出した(2×100ml)。水性層をH3PO4でpH2.5〜3.0に酸性化し、EtOAcで抽出した(6×75ml)。有機層を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固して粗S−4−メルカプトペンタン酸を得た。この粗生成物をそれ以上精製せず次のステップにそのまま使用した。
【0260】
粗S−4−メルカプトペンタン酸(1.2g)の、エタノール(50mL)と0.5M
NaH2PO3、pH7.0(75mL)の混合物中溶液に、5乾燥THF(5mL)中メチルメタンチオールスルホネート(1.47g、11.65mmol)を0℃で45分間かけて滴下添加した。アルゴン下0℃で30分間の撹拌、次いで室温で2時間の撹拌後、混合物を濃縮し、ジクロロメタンで抽出した(2×50ml)。水性層をH3PO4でpH2.5〜3.0に酸性化し、EtOAcで抽出した(4×100ml)。有機層を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィーで1:100:400のHOAc/EtOAc/ヘキサンで溶離して精製し、1.43g(83%)の標記生成物19を得た。Rf=0.32(1:100:400 HOAc/EtOAc/ヘキサン);
【0261】
【数14】
【0262】
MS:202.92(M+Na)+、203.91(M+1+Na)+;[α]=41.35(c=2、CH3OH)。
【0263】
N−メチル−N−[4−(S)−メチルジチオ−1−オキソペンチル]−S−アラニン(15a):S−(+)−4−(メチルジチオ)−ペンタン酸(19)を化合物14で前述した方法によってN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル20に転化した。化合物15で前述した手順によってN−メチル−L−アラニンとの反応により15aを得た(収率62%)。
【0264】
【数15】
【0265】
MS:(M+Na)理論値:288.1、実測値:288.1
【0266】
N2’−デアセチル−N2’−(4−(S)−メチルジチオ−1−オキソペンチル)メイタンシン(DM3−SMe、4g、h):4cの合成で前述したようにメイタンシノール(11)をジクロロメタン中のDCCと塩化亜鉛を用いて15aと結合させた。N−メチル−S−アラニル部分(4g、S,S)及びN−メチル−R−アラニル部分(4h、R,S)を持つ2種類のジアステレオマー混合物を得た。該ジアステレオマーをKromasilシアノカラム(4.6mm×250mm)上HPLCで、ヘキサン:酢酸エチル:2−プロパノール(68:24:8、v/v/v)による無勾配溶離を用い、流速1mL/分で分離した。これらの条件下で、異性体4g(S,S)は24.5分で溶離した。質量スペクトル:m/z 834.2(M+Na)+。他の異性体4h(R,S)のピークはよく分離し、34.6分で溶離した。MS:m/z 834.2(M+Na)+。
【0267】
実施例4
メイタンシノイド4k、lの合成(図3d)
S−1,3−ジ−O−p−トルエンスルホニル−ブタン22:S−(−)−1,3−ブタンジオール(21、2.00g、22.22mmol)の、乾燥ピリジン(40mL)及び乾燥トルエン(60mL)混合物中溶液をアルゴン下0℃でp−トルエンスルホニルクロリド(12.70g、66.84mmol)で処理した。0℃で5分間、次いで室温で2時間撹拌した後、混合物を真空下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル中に再溶解し、0.1MのNaHCO3水溶液、次いで飽和NaClで洗浄した。有機層を分離し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィーにより1:2の酢酸エチル/ヘキサンで溶離して精製し、6.25g(71%)の標記生成物22を得た。Rf=0.40(1:1 EtOAc/ヘキサン);
【0268】
【数16】
【0269】
MS:420.99(M+Na)+。
【0270】
R−4−O−エチルキサンチック−ペンタンニトリル(23):S−1,3−ジ−O−p−トルエンスルホニル−ブタン(22、6.25g、15.70mmol)の60乾燥DMSO(50mL)中溶液をNaCN(0.85g)で処理した。反応混合物をアルゴン下室温で18時間撹拌した。次に反応混合物を酢酸エチルで希釈し、冷たい1.0MのNaH2PO4(pH7.5)、水及び1.0MのNaH2PO4(pH4.0)で順に洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させて3.62gの粗S−3
−O−p−トルエンスルホニル−ペンタンニトリルを得た。生成物はそれ以上精製せずにそのまま使用した。
【0271】
粗S−3−O−p−トルエンスルホニル−ペンタンニトリル(3.62g)のエタノール(50mL)中溶液に、エタノール(100mL)中O−エチルキサントゲン酸カリウム(5.72g)を加えた。アルゴン下で一晩撹拌後、該混合物を濃縮し、酢酸エチルで希釈し、シリカゲルの短カラムを通してろ過した。溶離液を濃縮し、残渣をシリカゲル上クロマトグラフィーにより1:4のEtOAc/ヘキサンで溶離して精製し、2.0g(62%、2段階)の標記生成物23を得た。Rf=0.40(1:4 EtOAc/ヘキサン);
【0272】
【数17】
【0273】
MS:226.51(M+Na)+、242.51(M+K)+。
【0274】
R−(−)−4−メチルジチオ−ペンタン酸(24):R−4−O−エチルキサンチック−ペンタンニトリル(23、2.0g、9.85mmol)の、エタノール(10mL)と200mLの水の混合物中溶液を、NaOH(6.0g)で処理した。反応混合物をアルゴン下で一晩還流した。該混合物を水(150ml)で希釈し、1:1のEtOAc/ヘキサンで抽出した(2×100ml)。水性層をH3PO4でpH2.5〜3.0に酸性化し、EtOAcで抽出した(6×75ml)。有機層を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固して粗R−4−メルカプトペンタン酸を得た。この粗生成物をそれ以上精製せず次のステップにそのまま使用した。
【0275】
1.60gの粗R−4−メルカプトペンタン酸の、エタノール(50mL)と0.5M
NaH2PO4、pH7.0(75mL)の混合物中溶液に、乾燥THF(7mL)中メチルメタンチオールスルホネート(1.96g、15.53mmol)を0℃で45分間かけて滴下添加した。反応混合物をアルゴン下0℃で30分間、次いで室温で2時間撹拌した。該混合物を濃縮し、ジクロロメタンで抽出した(2×50ml)。水性層をH3PO4でpH2.5〜3.0に酸性化し、EtOAcで抽出した(4×100ml)。有機層を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィーで1:100:400のHOAc/EtOAc/ヘキサンで溶離して精製し、1.65g(93%)の標記生成物24を得た。Rf=0.32(1:100:400 HOAc/EtOAc/ヘキサン);
【0276】
【数18】
【0277】
MS:202.9(M+Na)+、203.9(M+1+Na)+;[α]=−39.16(c=2、CH3OH)。
【0278】
N−メチル−N−[4−(R)−メチルジチオ−1−オキソペンチル]−S−アラニン(15b):R−(+)−4−メチルジチオ−ペンタン酸(24)を化合物14で前述した方法によってN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル25に転化した。化合物15で前述した手順によってN−メチル−L−アラニンとの反応により15bを得た。
MS:m/z(M+Na):理論値:288.1、実測値:288.1
N2’−デアセチル−N2’−(4−(R)−メチルジチオ−1−オキソペンチル)メイタンシン(DM3−SMe、4k、l):4cの合成で前述したようにメイタンシノール(11)をジクロロメタン中のDCCと塩化亜鉛を用いて15bと結合させた。N−メチル−S−アラニル部分(4k、S,R)及びN−メチル−R−アラニル部分(4l、R,R)を持つ2種類のジアステレオマー混合物を得た。該ジアステレオマーをKromasilシアノカラム(4.6mm×250mm)上HPLCで、ヘキサン:酢酸エチル:2−プロパノール(68:24:8、v/v/v)による無勾配溶離を用い、流速1mL/分で分離した。これらの条件下で、異性体4k(S,R)は23.9分で溶離した。質量スペクトル:m/z 834.2(M+Na)+。他の異性体4l(R,R)のピークはよく分離し、33.7分で溶離した。MS:m/z 834.2(M+Na)+。
【0279】
実施例5a
メイタンシノイド及び抗体−メイタンシノイド複合体のインビトロ細胞毒性
KB(ATCC CCI−17)細胞株はヒト上皮由来である。SK−BR−3(ATCC HTB−30)細胞株はヒト乳腺がんから樹立された。ヒト結腸腫瘍細胞株COLO 205(ATCC CCL−222)及びHT−29(ATCC HTB 38)、ヒト黒色腫細胞株A−375(ATCC CRL 1619)、ヒトバーキットリンパ腫細胞株Ramos(ATCC CRL−1596)及びヒト骨髄性白血病細胞株HL−60(ATCC CL−240)は全てメリーランド州のATCCから入手した。細胞株は、10%ウシ胎仔血清(Hyclone、ユタ州ローガン)及び50μg/mLの硫酸ゲンタマイシン(Life Technologies、メリーランド州ロックビル)を補給したL−グルタミン入りダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Biowhittaker、メリーランド州ウォーカーズビル)中で成長させた。細胞は、6%CO2を含有する加湿雰囲気下36〜37.5℃で維持された。
【0280】
実施された細胞毒性試験はクローン原性アッセイを使用した。試験細胞株を6穴培養皿にウェル当たり1000細胞の定数で播き、平板培養した。細胞は、様々な濃度(0〜3nM)の各種メイタンシノイド(遊離又は抗体との複合体)と共に72時間インキュベートした。次に培地をプレートから吸引し新鮮な培地と取り替えた。培養物を播種後合計7〜10日間成長及びコロニー形成させた。次に培養物を固定し、10%ホルマリン/PBS中0.2%のクリスタルバイオレットで染色し、コロニーを計数した。非処理細胞(培地のみ)のコロニー形成率は、計数したコロニー数を播種した細胞数で割って決定した。薬物に暴露された細胞の生存画分は、薬物に暴露されたウェル中のコロニー数を対照ウェル中のコロニー数で割って決定した。
【0281】
本発明の新規メイタンシノイドのインビトロ細胞毒性測定結果を図4に示す。障害されたジスルフィド結合を持つ新規メイタンシノイド4c、eは、試験した細胞株SK−BR−3及びA−375の両方に対して非常に細胞毒性が高く、IC50値が7×10−12M〜2.5×10−11Mの範囲である。このように、ジスルフィド部分を持つ炭素上へのアルキル置換基の組込みは高い細胞毒性能を保存する。本発明の立体障害されたチオール含有メイタンシノイド4aは、従前の対応する非障害メイタンシノイド1よりも30〜50倍強力である。従って、チオール部分を持つ炭素上へのアルキル置換基の組込みは効力を大きく増強する。
【0282】
本発明のメイタンシノイドの抗体複合体のインビトロ試験の結果を図4c及び4dに示
す。2つの新規メイタンシノイド4a又は4bとヒト結腸腫瘍に指向するhuC242抗体との連結は、標的細胞の抗原特異的殺滅をもたらした。このように、複合体は抗原陽性COLO 205細胞に対して非常に効力が高く、IC50値が1.1〜1.3×10−11Mの範囲である。これに対し、複合体は抗原陰性A−375細胞に対しては100〜200倍も細胞毒性が弱く、本発明の新規メイタンシノイドは、立体障害されたジスルフィド結合を有し、高い標的特異的細胞毒性を示す複合体を製造することを示している。
【0283】
実施例5b
メイタンシノイド4a又は4bを用いるhuC242抗体の細胞毒性複合体の製造(方法A、図5a、b)
huC242抗体(8mg/mL)の水性緩衝液(50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウム、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩)(pH6.5)中溶液を、7〜10倍モル過剰SPDP[スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、3a]、又はN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB、3b)と共に2時間インキュベートした。反応混合物をSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製した。抗体濃度は、抗体の公知吸光係数ε280nm=217,560M−1cm−1を用いて吸光光度法的に決定した。
【0284】
修飾抗体を水性緩衝液(50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウム、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩)(pH6.5)中で2.5mg/mLに希釈し、次いで1.5〜2.5モル過剰のジメチルアセトアミド中DM3又はDM4のいずれかで処理した(DMAの最終濃度3%v/v)。反応混合物を室温で18時間インキュベートした。反応混合物をSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製した。複合体濃度は、抗体ε280nm=217,560M−1cm−1及びε252nm=80,062M−1cm−1;DM3又はDM4、ε280nm=5,700M−1cm−1及びε252nm=26,790M−1cm−1の公知吸光係数を用いて吸光光度法的に決定した。得られた複合体はモノマー性で、抗体1分子当たり平均3.2〜3.5個のDM3又はDM4分子を含有していた。
【0285】
実施例5c
メイタンシノイド4a又は4bを用いるhuC242抗体の細胞毒性複合体の製造(方法B、図5c)
huC242抗体(8mg/mL)の水性緩衝液(50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウム、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩)(pH6.5)中溶液を、7〜10倍モル過剰SMCC[スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート、26]と共に2時間インキュベートした。反応混合物をSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製した。抗体濃度は、抗体の公知吸光係数ε280nm=217,560M−1cm−1を用いて吸光光度法的に決定した。
【0286】
修飾抗体を水性緩衝液(50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウム、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩)(pH6.5)中で2.5mg/mLに希釈し、次いで1.5〜2.5モル過剰のジメチルアセトアミド中DM3又はDM4のいずれかで処理した(DMAの最終濃度3%v/v)。反応混合物を室温で18時間インキュベートした。反応混合物をSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製した。複合体濃度は、公知吸光係数(抗体ε280nm=217,560M−1cm−1及びε252nm=80,062M−1cm−1;DM3又はDM4、ε280nm=5,700M−1cm−1及びε252nm=26,790M−1cm−1)を用いて吸光光度法的に決定した。得られた複合体はモノマー性で、抗体1分子当たり平均3.2〜3.5個のDM3又はDM4分子を含有していた。
【0287】
実施例5d
メイタンシノイド4a又は4bを用いるhuC242抗体の細胞毒性複合体の製造(方法C、図5d)
huC242抗体(8mg/mL)の水性緩衝液(50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウム、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩)(pH6.5)中溶液を、7〜10倍モル過剰SIAB[N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、27]と共に2時間インキュベートした。反応混合物をSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製した。抗体濃度は、抗体の公知吸光係数ε280nm=217,560M−1cm−1を用いて吸光光度法的に決定した。
【0288】
実施例6
huC242−メイタンシノイド複合体のHT−29異種移植片に対するインビボ効能
5週齢の雌SCIDマウス(20匹)の右脇腹に、0.1mLの無血清培地中HT−29ヒト結腸がん細胞(1.5×106細胞/マウス)を皮下接種した。腫瘍を11日間成長させ、平均サイズ100mm3にした。次に動物を無作為に4群に分けた(各群5匹)。第一の群はhuC242−DM1複合体(DM1の用量75μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第二の群はhuC242−DM3複合体(DM3の用量75μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第三の群はhuC242−DM4複合体(DM4の用量75μg/kg、qd×5)を受けたが、第四の群の動物は対照として働き、1〜3群と同じ処置スケジュールでPBSを投与された。
【0289】
腫瘍サイズは週2回測定し、腫瘍容積は、式:腫瘍容積=1/2(長さ×幅×高さ)を用いて算出した。動物の体重も週2回測定した。結果を図7に示す。対照群のマウスの腫瘍は35日間で約1000mm3のサイズに成長した。huC242−DM1による処置では、腫瘍成長が18日間遅延したが、本発明のメイタンシノイド4a及び4bで製造した複合体は著しく有効で、それぞれ腫瘍成長遅延を28日間及び36日間に延長した。
【0290】
実施例7
huC242−メイタンシノイド複合体のCOLO 205異種移植片に対するインビボ効能
5週齢の雌SCIDマウス(20匹)の右脇腹に、0.1mLの無血清培地中COLO
205ヒト結腸がん細胞(1.5×106細胞/マウス)を皮下接種した。腫瘍を11日間成長させ、平均サイズ100mm3にした。次に動物を無作為に4群に分けた(各群5匹)。第一の群はhuC242−DM1複合体(DM1の用量75μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第二の群はhuC242−DM3複合体(DM3の用量75μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第三の群はhuC242−DM4複合体(DM4の用量75μg/kg、qd×5)を受けたが、第四の群の動物は対照として働き、1〜3群と同じ処置スケジュールでPBSを投与された。
【0291】
腫瘍サイズは週2回測定し、腫瘍容積は、式:腫瘍容積=1/2(長さ×幅×高さ)を用いて算出した。動物の体重も週2回測定した。結果を図8に示す。対照群のマウスの腫瘍は24日間で約900mm3のサイズに成長した。huC242−DM1による処置では、腫瘍成長が20日間遅延したが、本発明のメイタンシノイド4aで製造した複合体はかなり有効で、45日間持続する完全腫瘍退縮をもたらした。本発明のメイタンシノイド4bで製造した複合体による処置はなおさらに有効で、処置動物全ての治癒をもたらした。
【0292】
実施例8
MY9−6−メイタンシノイド複合体のHL−60異種移植片に対するインビボ効能
5週齢の雌SCIDマウス(20匹)の右脇腹に、0.1mLの無血清培地中HL−60ヒト骨髄性白血病細胞(1.5×106細胞/マウス)を皮下接種した。腫瘍を12日間成長させ、平均サイズ100mm3にした。次に動物を無作為に4群に分けた(各群5匹)。第一の群はMY9−6−DM1複合体(DM1の用量200μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第二の群はMY9−6−DM3複合体(DM3の用量200μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第三の群はMY9−6−DM4複合体(DM4の用量200μg/kg、qd×5)を静脈内投与されたが、第四の群の動物は対照として働き、1〜3群と同じ処置スケジュールでPBSを投与された。
【0293】
腫瘍サイズは週2回測定し、腫瘍容積は、式:腫瘍容積=1/2(長さ×幅×高さ)を用いて算出した。動物の体重も週2回測定した。結果を図9に示す。対照群のマウスの腫瘍は迅速に成長し21日間で約1600mm3のサイズになった。MY9−6−DM1による処置では、腫瘍成長が5日間遅延したが、本発明のメイタンシノイド4a及び4bで製造した複合体は著しく有効で、腫瘍成長遅延を20日間以上に延長した。
【0294】
実施例9
メイタンシノイドDM4(4b)を用いるhuMy9−6抗体の細胞毒性複合体の製造
8mg/mLの濃度のhuMy9−6抗体の溶液を、6.5モル過剰SSNPB[スルホスクシンイミジル4−(5’−ニトロ−2’−ピリジルジチオ)ブチレート]と、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸(緩衝液A)と5%エタノールを含有する50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)中で2時間インキュベートした。修飾抗体を緩衝液A中で平衡化したSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製し、精製抗体の濃度を、280nmにおける抗体の吸光係数を用いて吸光光度法的に決定した。修飾抗体を緩衝液Aで4.9mg/mLに希釈し、1.7倍モル過剰のDM4と室温で18時間インキュベートした。DM4はジメチルアセトアミド中のストック溶液として反応混合物に加えた(ジメチルアセトアミドの最終濃度3%v/v)。抗体−薬物複合体をPBS(pH6.5)中で平衡化したSephadex G25カラムを通過させて精製した。複合体濃度は、抗体とDM4の公知吸光係数(抗体、ε280nm=206,460M−1cm−1、ε252nm=72,261M−1cm−1;DM4、ε280nm=5,700M−1cm−1、ε252nm=26,790M−1cm−1)を用いて吸光光度法的に決定した。得られた抗体−薬物複合体は、抗体1分子当たり平均3.6個のDM4分子を含有していた。生化学的分析から、抗体は複合体化後94%以上モノマーのままであり、フローサイトメトリーによる測定で非修飾抗体に匹敵する結合親和性を有していることが示された。共有結合的に連結されていない抗体を伴う薬物(遊離薬物)の量をHPLC分析で測定したところ、全連結薬物の1%未満であることが分かった。
【0295】
実施例10
huMy9−6−DM4複合体のインビトロ選択性及び効能
huMy9−6−DM4の、CD33発現細胞(HL−60)及びCD33陰性Namalwa細胞に対する細胞毒性をクローン原性アッセイ、すなわち殺細胞活性を処置後成長できるコロニー数の定量化によって決定するアッセイを用いて試験した。huMy9−6−DM4は、CD−33陽性HL−60ヒト腫瘍細胞に対してインビトロで強力な殺細胞活性を示す(図10)。CD33陰性ヒトNamalwa細胞に対する著しい細胞毒性は観察されず、CD33依存性細胞毒性は、抗CD33抗体すなわち複合体のhuMy9−6による特異的な標的化によるものであることを示していた。
【0296】
実施例11
huMy9−6−DM4複合体の、SCIDマウスにおけるHL60ヒト腫瘍異種移植片に対するインビボ効能
インビボにおけるhuMy9−6−DM4の効能を、ヒトHL−60腫瘍異種移植片を
持つSCIDマウスで測定した。HL−60細胞を皮下注射し、腫瘍を平均サイズ100mm3に成長させた。huMy9−6−DM4複合体を1日1回5日間、図11に示した用量で静脈内投与した。用量は複合体中のμgDM4として表されている。これは1μgのDM4当たり抗体約67μgの抗体用量に対応する。腫瘍容積は治療効果の目安として測定され、マウスの体重は治療による毒性を示すためにモニタされた。huMy9−6−DM4は、ヒトHL−60細胞異種移植片の腫瘍成長遅延の延長を、ほとんど毒性を起こさない用量で誘導した(図11)。huMy9−6−DM4の効能をhuMy9−6−DM1のそれとも比較した。思いがけずhuMy9−6−DM4はhuMy9−6−DM1より効果的であることが分かった。huMy9−6−DM4は動物を完全寛解(CR)の状態に約60日間保ったが、huMy9−6−DM1で処置された動物は約20日間のCRの後再発した。
【0297】
実施例12
メイタンシノイドDM4(4b)を用いるhuB4抗体の細胞毒性複合体の製造
20mg/mLの濃度のhuB4抗体の溶液を、8倍モル過剰のSSNPB[スルホスクシンイミジル4−(5’−ニトロ−2’−ピリジルジチオ)ブチレート]と、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸(緩衝液A)と5%ジメチルアセトアミドを含有する50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)中で1.5時間インキュベートした。修飾抗体を緩衝液A中で平衡化したSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製し、精製抗体の濃度を、280nmにおける抗体の吸光係数(199,560M−1cm−1)を用いて吸光光度法的に決定した。修飾抗体を緩衝液Aで8mg/mLに希釈し、1.7倍モル過剰のDM4と周囲温度で3時間インキュベートした。DM4はジメチルアセトアミド中のストック溶液として反応混合物に加えた(ジメチルアセトアミドの最終濃度3%v/v)。抗体−薬物複合体を、Sephadex G25カラム及びSephadex S300{いずれもPBS緩衝液(pH6.5)中で平衡化}を通過させて精製した。複合体濃度は、抗体(ε280nm:199,560M−1cm−1、ε252nm:67,850M−1cm−1)及びDM4(ε280nm=5,700M−1cm−1、ε252nm=26,790M−1cm−1)の公知吸光係数を用いて吸光光度法的に決定した。得られた抗体−薬物複合体は、抗体1分子当たり平均4.0個のDM4分子を含有していた。生化学的分析から、抗体は複合体化後98%以上モノマーのままであり、フローサイトメトリーによる測定で非修飾抗体に匹敵する結合親和性を有していることが示された。共有結合的に連結されていない抗体を伴う薬物(遊離薬物)の量をHPLC分析で測定したところ、全連結薬物の約2%であることが分かった。
【0298】
実施例13
huB4−DM4複合体のインビトロ選択性及び効能
huB4−DM4の、CD19陰性細胞株(Colo 205)と比較したCD19発現細胞(Ramos)に対する細胞毒性をMTTアッセイ、すなわち殺細胞活性を、複合体による処置後に残存する生細胞数を定量化することによって決定するアッセイを用いて試験した。生細胞数は、細胞を生体染料のMTTとインキュベートした後、吸光光度定量によって測定する。huB4−DM4は、CD19陽性Ramosヒト腫瘍細胞に対してインビトロで強力な殺細胞活性を示す(図12)。CD19陰性細胞に対する著しい細胞毒性は観察されず、CD19依存性細胞毒性は、抗CD19抗体すなわちhuB4による特異的な標的化によるものであることを示していた。
【0299】
実施例14
huB4−DM4複合体の、SCIDマウスにおけるRamosヒト腫瘍異種移植片に対するインビボ効能
インビボにおけるhuB−DM4の効能を、樹立されたヒトRamos腫瘍異種移植片を持つSCIDマウスを用いて測定した。Ramos細胞を皮下注射し、腫瘍を平均サイ
ズ100mm3に成長させた。huB4−DM4複合体を図13aに示した用量で1回注射として静脈内投与した。用量は複合体中のμgDM4として表されている。これは1μgのDM4当たり抗体約44μgの抗体用量に対応する。治療効果の目安として腫瘍容積を測定し、治療による毒性を示すためにマウスの体重をモニタした。50μg/kgを超える用量でhuB4−DM4は、全ての動物で腫瘍の完全退縮をもたらす。100mg/kg処置群では約35日間、二つの高用量群では55日間を超えても動物に測定可能な疾患は見られないままである。これらの処置は、処置動物の体重変化で判断する限り、あったとしても極めて少ない毒性しか起こさなかった(図13b)。
【図面の簡単な説明】
【0300】
【図1】従前のメイタンシノイドの構造を示す図である。
【図2】本発明のいくつかのメイタンシノイドの構造を示す図である。
【図3a】本発明の代表的メイタンシノイドの合成スキームを示す図である。
【図3b】本発明の代表的メイタンシノイドの合成スキームを示す図である。
【図3c】本発明の代表的メイタンシノイドの合成スキームを示す図である。
【図3d】本発明の代表的メイタンシノイドの合成スキームを示す図である。
【図4a】本発明の新規メイタンシノイドのインビトロ効力を示すグラフである。
【図4b】本発明の新規メイタンシノイドのインビトロ効力を示すグラフである。
【図4c】本発明の新規メイタンシノイドのインビトロ効力を従前のものと比較するグラフである。
【図4d】本発明の新規メイタンシノイドのインビトロ効力を従前のものと比較するグラフである。
【図5a】細胞結合剤と本発明のメイタンシノイドとの複合体の製造スキームを示す図である。
【図5b】細胞結合剤と本発明のメイタンシノイドとの複合体の製造スキームを示す図である。
【図5c】細胞結合剤と本発明のメイタンシノイドとの複合体の製造スキームを示す図である。
【図5d】細胞結合剤と本発明のメイタンシノイドとの複合体の製造スキームを示す図である。
【図6】本発明の細胞結合剤−メイタンシノイド複合体のインビトロ効力を示すグラフである。
【図7】HT−29ヒト結腸腫瘍異種移植片に対する、本発明のhuC242−メイタンシノイドのインビボ抗腫瘍効果を従前のメイタンシノイドのhuC242複合体と比較したグラフである。
【図8】COLO 205ヒト結腸腫瘍異種移植片に対する、本発明のhuC242−メイタンシノイドのインビボ抗腫瘍効果を従前のメイタンシノイドのhuC242複合体と比較したグラフである。
【図9】HL60前骨髄球骨髄性白血病異種移植片に対する、本発明のMY9−6−メイタンシノイドのインビボ抗腫瘍効果を従前のメイタンシノイドのMY9−6複合体と比較したグラフである。
【図10】複合体huMy9−6−DM4の、標的HL−60細胞及び非標的Namalwa細胞に対するインビトロ細胞毒性評価の結果を示すグラフである。
【図11】SCIDマウスにおけるヒトHL−60異種移植片腫瘍に対する複合体huMy9−6−DM4のインビボ効能の評価と、従前のメイタンシノイドのhuMy9−6複合体(huMy9−6−DM1)のそれとの比較を示すグラフである。
【図12】複合体huB4−DM4の、標的Ramos細胞及び非標的Colo 205細胞に対するインビトロ細胞毒性評価の結果を示すグラフである。
【図13a】SCIDマウスにおけるヒトRamos異種移植片腫瘍に対する複合体huB4−DM4のインビボ効能の評価を示すグラフである。
【図13b】試験期間中の動物の体重変化を示すグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2003年5月20日に出願された予備出願第60/471,739号の利益を主張する。該出願の開示内容は引用によって本明細書に援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、メイタンシノイドと細胞結合剤を含む改良された細胞毒性複合体の製造法に関する。これらの複合体は、特定の細胞集団に標的化された様式で送達されるので治療的用途を有する。本発明はまた、細胞毒性複合体の製造に使用されうるチオール部分を有するメイタンシノイドの製造法にも関する。本発明はさらに、新規メイタンシノイド、及び新規メイタンシノイド合成時の新規中間体にも関する。
【0003】
発明の背景
モノクロナール抗体−薬物複合体による腫瘍細胞の特異的標的化の試みに関する多くの報告がある(Selaら、Immunoconjugates 189−216(C.Vogel編、1987);Ghoseら、Targeted Drugs 1−22(E.Goldberg編、1983);Dienerら、Antibody Mediated Delivery Systems 1−23(J.Rodwell編、1988);Pieterszら、Antibody Mediated Delivery Systems 25−53(J.Rodwell編、1988);Bumolら、Antibody Mediated Delivery Systems 55−79(J.Rodwell編、1988))。メトトレキサート、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メルファラン、マイトマイシンC、及びクロランブシルのような細胞毒性薬が様々なマウスモノクロナール抗体に連結されている。場合によっては、薬物分子は、血清アルブミン(Garnettら、Cancer Res.46:2407−2412(1986);Ohkawaら、Cancer Immumol.Immunother.23:81−86(1986);Endoら、Cancer Res.47:1076−1080(1980))、デキストラン(Hurwitzら、Appl.Biochem.2:25−35(1980);Manabiら、Biochem.Pharmacol.34:289−291(1985);Dillmanら、Cancer Res.46:4886−4891(1986);Shovalら、Proc.Natl.Acad.Sci.85:8276−8280(1988))、又はポリグルタミン酸(Tsukadaら、J.Natl.Canc.Inst.73:721−729(1984);Katoら、J.Med.Chem.27:1602−1607(1984);Tsukadaら、Br.J.Cancer 52:111−116(1985))のような中間担体分子を通じて抗体分子に連結されることもあった。
【0004】
そのような免疫複合体の製造には様々なリンカー技術が使用されており、切断性及び非切断性のリンカーともに研究されている。しかしながら、ほとんどの場合、薬物の完全な細胞毒性能力は、薬物分子が標的部位で非修飾形で複合体から放出されうる場合にしか観察され得ない。
【0005】
抗体−薬物複合体の製造に使用されている一つの切断性リンカーは、シス−アコニット酸を利用した酸不安定性リンカーである。これは、受容体媒介性エンドサイトーシス時に遭遇するエンドソームやリソソームのような異なる細胞内コンパートメントの酸性環境を利用したものである。ShenとRyserは、この方法をダウノルビシンと巨大分子担体との複合体の製造に導入した(Biochem.Biophys.Res.Commun.102:1048−1054(1981))。YangとReisfeldは、同じ
技術を使用してダウノルビシンを抗黒色腫抗体に連結した(J.Natl.Canc.Inst.80:1154−1159(1988))。最近、Dillmanらも酸不安定性リンカーを同様に使用してダウノルビシンを抗T細胞抗体と複合体化した(Cancer Res.48:6097−6102(1988))。
【0006】
Trouetらが探求した代替の手法は、ダウノルビシンをペプチドスペーサアームを介して抗体に連結するというものであった(Proc.Natl.Acad.Sci.79:626−629(1982))。これは、リソソームペプチダーゼの作用によってそのような複合体から遊離薬物が放出されるという前提のもとに実施された。
【0007】
しかしながら、インビトロの細胞毒性試験から、抗体−薬物複合体が、複合体化されていない遊離薬物と同じ細胞毒性力を達成するのは稀であることが明らかになった。このことは、薬物分子が抗体から放出される機序が極めて非効率的であることを示唆している。イムノトキシンの分野では、モノクロナール抗体と触媒活性タンパク質トキシン間をジスルフィドブリッジで連結して形成した複合体のほうが、その他のリンカーを含有する複合体より細胞毒性が強いことが示されている。Lambertら、J.Biol.Chem.260:12035−12041(1985);Lambertら、Immunotoxins 175−209(A.Frankel編、1988);Ghetieら、Cancer Res.48:2610−2617(1988)参照。これは、抗体分子とトキシン間のジスルフィド結合の効率的切断に寄与するグルタチオンの細胞内濃度が高いことに起因していた。にもかかわらず、薬物と巨大分子間の複合体の製造にジスルフィドブリッジを使用した例はあまり報告されていない。Shenらは、メトトレキサートをメルカプトエチルアミド誘導体に転化した後、ジスルフィド結合を介してポリ−D−リシンと複合体化することについて記載している(J.Biol.Chem.260:10905−10908(1985))。さらに、トリスルフィド含有毒性薬のカリチェアミシン(calicheamicin)と抗体との複合体の製造について記載した報告がいくつかある(Hinm
anら、53 Cancer Res.3336−3342(1993)、Hamannら、Bioconjugate Chem.,13,40−46(2002)、Hamannら、Bioconjugate Chem.,13,47−58(2002))。
【0008】
ジスルフィドで連結された抗体−薬物複合体が少ない一つの理由は、ジスルフィドブリッジを介して薬物を抗体に連結するのに容易に使用できる硫黄原子含有部分を持つ細胞毒性薬が入手できないことである。さらに、既存の薬物をそれらの細胞毒性能力を低下させずに化学修飾するのは困難である。
【0009】
メイタンシノイドは非常に細胞毒性の強い薬物である。メイタンシンは、Kupchanらが東アフリカの低木Maytenus serrataから初めて単離し、メトトレキサート、ダウノルビシン及びビンクリスチンのような従来のがん化学療法薬より100〜1000倍細胞毒性が強いことを示した(米国特許第3,896,111号)。その後、一部の微生物もメイタンシノイド、例えばメイタンシノール及びメイタンシノールのC−3エステルを産生することが発見された(米国特許第4,151,042号)。合成のメイタンシノールC−3エステル及びメイタンシノール類似体も報告されている(Kupchanら、J.Med.Chem.21:31−37(1978);Higashideら、Nature 270:721−722(1977);Kawaiら、Chem.Pharm.Bull.32:3441−3451(1984))。メイタンシノールの類似体(それからC−3エステルが製造される)の例は、芳香環上(例えば脱クロロ)又はC−9、C−14(例えばヒドロキシル化メチル基)、C−15、C−18、C−20及びC−4,5で修飾されているメイタンシノールなどである。
【0010】
天然及び合成のメイタンシノールC−3エステルは2つのグループに分類できる。
(a)単純カルボン酸とのC−3エステル(米国特許第4,248,870号;4,265,814号;4,308,268号;4,308,269号;4,309,428号;4,317,821号;4,322,348号;及び4,331,598号)、及び
(b)N−メチル−L−アラニンの誘導体とのC−3エステル(米国特許第4,137,230号;4,260,608号;5,208,020号;及びChem.Pharm.Bull.12:3441(1984))。
【0011】
(b)グループのエステルは(a)グループのエステルよりもかなり細胞毒性が強いことが分かった。
メイタンシンは有糸分裂阻害薬である。L1210細胞をインビボでメイタンシンで処理すると、67%の細胞が有糸分裂に集積したと報告されている。非処理対照細胞は3.2〜5.8%の範囲の分裂指数を示すことが報告されている(Sieberら、43 Comparative Leukemia Research 1975,Bibl.Haemat.495−500(1976))。ウニ卵及び二枚貝卵を用いた実験から、メイタンシンは、微小管タンパク質のチューブリンの重合の阻害を通じて微小管の形成を妨害することによって分裂を阻害することが示唆されている(Remillardら、Science 189:1002−1005(1975))。
【0012】
インビトロでは、P388、L1210、及びLY5178のマウス白血病細胞懸濁液が、10−3〜10−1μg/μlの用量のメイタンシンによって阻害されることが見出されている。中でもP388株が最も感受性が高かった。メイタンシンはまた、ヒト上咽頭がん細胞のインビトロ成長の活性阻害薬であることも示され、ヒト急性リンパ芽球性白血病株CEMは、わずか10−7mg/mlの濃度で阻害されたことも報告されている(Wolpert−DeFillippesら、Biochem.Pharmacol.24:1735−1738(1975))。
【0013】
インビボでもメイタンシンは活性であることが示されている。P388リンパ性白血病系の腫瘍成長は、高い治療指数を示唆する50〜100倍の用量範囲で阻害されることが示されている。また顕著な阻害活性は、L1210マウス白血病系、ヒトルイス肺がん系及びヒトB−16悪性黒色腫系でも示されるようである(Kupchan、Ped.Proc.33:2288−2295(1974))。細胞結合剤との複合体化に使用されるメイタンシノイドは、米国特許第5,208,020号及び5,416,064号並びにChariら、Cancer Res.,52:127−131(1992)及びLiuら、Proc.Natl.Acad.Sci.,93:8618−8623(1996)に記載されている。これらの複合体において、細胞結合剤はジスルフィド結合を介してメイタンシノイドDM1[N2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メイタンシン、1、CAS番号:139504−50−0、図1]に連結されている。
【0014】
上記特許において、アシル化N−メチル−L−アラニン側鎖を持つメイタンシノイド薬は、式2a、b:
【0015】
【化1】
【0016】
である。式2a中、lは1〜10の整数を表す。このように、式2aのメイタンシノイドは非置換メチレン基に接続された硫黄原子を有している(−CH2−S−)。そのようなメイタンシノイド化合物中のスルフヒドリル基又はそのようなメイタンシノイドを持つジスルフィド連結細胞結合剤−メイタンシノイド複合体中のジスルフィド基は、スルフヒドリル又はジスルフィド基に隣接するα炭素上に立体障害をもたらす嵩高い置換基がないので、“非障害”である。図2b中、mは0、1、2又は3を表す。従って、式2bのメイタンシノイドも非置換メチレン基に接続された硫黄原子を有している。例外はm=0で、R2=CH3又はCH2CH3の場合である。m=0の場合、メイタンシノイドは、ジスルフィド結合を介して細胞結合剤と複合体化した後、チオール官能基又はジスルフィド官能基を持つ炭素上に1個の置換基を持つことになる。しかしながら、この場合、硫黄原子はカルボニル基に対してβ位にあるので、これらのメイタンシノイド及びそのようなメイタンシノイドと細胞結合剤とのジスルフィド結合を介した複合体は、β脱離を受けやすいために不安定であることが分かっている。
【0017】
発明の要旨
本発明は、立体障害されたチオール基を持つ(チオール官能基を持つα炭素上に1又は2個の置換基を持つ)メイタンシノイドと細胞結合剤との連結によって、ジスルフィド結合を持つα炭素原子上に置換基を持たない従来報告のメイタンシノイドで製造された複合体に比べて、インビボで非常に改良された抗腫瘍活性を有する複合体が得られたという思いがけない発見に基づいている。別の意外な発見は、改良された生物活性は、立体障害が複合体中のジスルフィド結合のメイタンシノイド側で最適な場合に得られるということであった。さらに、スルフヒドリル基を持つメイタンシノイドのアシル化アミノ酸側鎖のアシル基は、アミドのカルボニル基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を持たなければならない。
【0018】
これらの発見は、ジスルフィド連結細胞結合剤−メイタンシノイド複合体は、ジスルフィド結合を持つ2個のα炭素原子上の置換が、ジスルフィド結合のいずれかの側に様々な程度の立体障害をもたらし得るように構築できることを示している。
【0019】
従って、本発明は、新規な立体障害されたチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイド、すなわち硫黄原子を持つα炭素原子上に1又は2個のアルキル置換基を持つメイタンシノイドの合成について記載する。さらに、アシル化アミノ酸側鎖のアシル基は、アミドのカルボニル基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を持つ。
【0020】
これらの新規メイタンシノイドの細胞結合剤複合体の製造及び生物学的評価についても記載する。
本発明の一態様において、硫黄原子を持つ炭素原子上にモノ又はジ−アルキル置換を持
つ新規なチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイドを記載する。
【0021】
第二の態様において、本発明は、これらの新規メイタンシノイドの合成法を開示する。
第三の態様において、これらの新規メイタンシノイドと細胞結合剤との連結法を記載する。これらの複合体は、標的細胞に特異的に送達され細胞毒性があるので治療薬として有用である。これらの複合体は、以前に報告された薬剤に比べて非常に改良された治療効果を動物腫瘍モデルにおいて示す。
【0022】
更に詳しくは、本発明は以下の事項を提供する。
C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルに、障害されたスルフヒドリル基を持つアシル基でアシル化されたアミノ酸側鎖を有するメイタンシノイドであって、チオール官能基を持つ前記アシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに前記置換基の一つはHであってもよく、そして前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有するメイタンシノイド。
【0023】
式4’:
【0024】
【化2】
【0025】
[式中、
Y’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、Dは、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル
、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]で表される化合物。
【0026】
R1がHであり、R2がメチルであり、ZがHである式4’で表される化合物。
R1及びR2がメチルであり、ZがHである式4’で表される化合物。
R1がHであり、R2がメチルであり、Zが−SCH3である式4’で表される化合物。
【0027】
R1及びR2がメチルであり、Zが−SCH3である式4’で表される化合物。
式(I−L)、(I−D)、又は(I−D,L):
【0028】
【化3】
【0029】
[式中、
Yは、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]で表される化合物。
【0030】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであ
り、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、ZがHである上記化合物。
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、ZがHである上記化合物。
【0031】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である上記化合物。
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である上記化合物。
【0032】
式4:
【0033】
【化4】
【0034】
[式中、
Yは、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]で表される化合物。
【0035】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0であり;ZがHである式4の化合物。
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり;nが0であり;ZがHである式4の化合物。
【0036】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであ
り、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である式4の化合物。
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である式4の化合物。
【0037】
メイタンシノイドが上記化合物のいずれかである、細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
細胞結合剤が少なくとも一つの抗体、好ましくはヒト化又はリサーフェス化MY9、ヒト化又はリサーフェス化抗B4、又はヒト化又はリサーフェス化C242の結合部位を含む、上記いずれかのメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【0038】
有効量の上記いずれかのメイタンシノイド−細胞結合剤複合体、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【0039】
メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルの位置でアシル化アミノ酸側鎖でエステル化する方法であって、アシル基は保護されたスルフヒドリル官能基を持ち、保護チオール官能基を持つアシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに置換基の一つはHであってもよく、前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有し、前記方法は、メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルの位置でアシル化アミノ酸(アシル基は保護されたスルフヒドリル基を持つ)と反応させることを含む方法。
【0040】
式(IV−L)、(IV−D)、又は(IV−D,L):
【0041】
【化5】
【0042】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又はCORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayはメイタンシノイドである]で表されるメイタンシノイドエステルを製造するためのメイタンシノイドのエステル化法であって、前記方法は、前記メイタンシノイドを、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルの位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【0043】
【化6】
【0044】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【0045】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である上記方法。
式(III)の化合物が式(III−L)で表される上記方法。
【0046】
式(III−L)の化合物が、化合物15a(S,S)、15b(S,R)又は15a(
S,S)と15b(S,R)の混合物である上記方法。
式(III−D)の化合物が、化合物15(R,S)、15(R,R)又は15(R,S
)と15(R,R)の混合物である上記方法。
【0047】
式(III−D,L)の化合物が、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基でア
シル化されたラセミ体のN−メチルアラニンであり、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである上記方法。
【0048】
15a(S,S)と15b(S,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造される上記方法。
【0049】
化合物15a(S,S)が、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法によって製造される上記方法。
【0050】
化合物15b(S,R)が、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法によって製造される上記方法。
【0051】
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造される上記方法。
【0052】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンが、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含むプロセスによって製造される上記方法。
【0053】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である上記方法。
式(III−L)の化合物が、N−メチル−L−アラニンを含有する化合物10(S)で
ある上記方法。
【0054】
式(III−D)の化合物が、N−メチル−D−アラニンを含有する化合物10(R)で
ある上記方法。
式(III−D,L)の化合物が、ラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10
(S,R)である上記方法。
【0055】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10が、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10を得る
ことを含むプロセスによって製造される上記方法。
【0056】
ジアステレオマーが存在する場合それを分離し、そしてシアノ結合シリカ上のHPLCによってメイタンシノイドを精製する、上記方法のいずれか一つの方法によるメイタンシノイドの製造法。
【0057】
上記方法のいずれかによって精製メイタンシノイドを製造し、そして該精製メイタンシノイドを、反応性ジチオ基又はスルフヒドリル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【0058】
反応性ジチオ基がジチオピリジル基又は置換ジチオピリジル基である、上記メイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
上記方法のいずれかによって精製メイタンシノイドを製造し、そして該精製メイタンシノイドを、マレイミド基又はハロアセチル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【0059】
式42’:
【0060】
【化7】
【0061】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法であって、前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【0062】
【化8】
【0063】
をC−3の位置で、式(III’−L)、(III’−D)、又は(III’−D,L):
【0064】
【化9】
【0065】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【0066】
式(I)の化合物が式(I−L)で表される式42’のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法。
R1がHであり、R2がメチルである式42’のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法。
【0067】
式42:
【0068】
【化10】
【0069】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケ
ニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又はCORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法であって、前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【0070】
【化11】
【0071】
をC−3の位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【0072】
【化12】
【0073】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイク
リック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又はCORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【0074】
式(III)の化合物が式(III−L)で表される、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
前記式(III−L)の化合物が、化合物15a(S,S)、15b(S,R)又は15
a(S,S)と15b(S,R)の混合物である、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0075】
前記式(III−D)の化合物が、化合物15(R,S)、15(R,R)、又は15(
R,S)と15(R,R)の混合物である、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0076】
前記式(III−D,L)の化合物が、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基
でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンであり、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0077】
15a(S,S)と15b(S,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造される、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0078】
前記化合物15a(S,S)が、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法によって製造される、メイタンシノールの上記エステル化法。
【0079】
前記化合物15b(S,R)が、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法によって製造される、メイタンシノールの上記エステル化法。
【0080】
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造されうる、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0081】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンが、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含むプロセスによって製造される、式4aのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0082】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり;l及びmが1であり;nが0である、式4bのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0083】
前記式(III−L)の化合物が、N−メチル−L−アラニンを含有する化合物10であ
る、式4bのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
前記式(III−D)の化合物が、N−メチル−D−アラニンを含有する化合物10であ
る、式4bのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0084】
前記式(III−D,L)の化合物が、ラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物
10である、式4bのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0085】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10が、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10を得る
ことを含むプロセスによって製造される、式4bのメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールの上記エステル化法。
【0086】
10によるメイタンシノールのエステル化の後、ジアステレオマーが存在する場合それ
を分離し、そしてシアノ結合シリカ上のHPLCによってメイタンシノイドを精製する上記方法が、式4bのメイタンシノイドを得るためにジスルフィド結合を還元することをさらに含む上記方法。
【0087】
メイタンシノールをエステル化して式4bのメイタンシノイドを得る上記いずれかの方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして該メイタンシノイドを、スルフヒドリル基又は反応性ジチオ基、好ましくはジチオピリジル基又は置換ジチオピリジル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【0088】
メイタンシノールをエステル化して式4bのメイタンシノイドを得る上記いずれかの方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして該メイタンシノイドを、マレイミド又はハロアセチル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【0089】
上記複合体を用いる治療法。
式(III):
【0090】
【化13】
【0091】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物。
【0092】
化合物10(S)、10(R)又はラセミ体10。
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10の製造法であって、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10を得る
ことを含む方法。
【0093】
化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物。
化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物の製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(14)に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含む方法。
【0094】
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物。
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物の製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含む方法。
【0095】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基でアシル化され、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである、ラセミ体のN−メチルアラニン。
【0096】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンの製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含む方法。
【0097】
化合物15a(S,S)。
化合物15b(S,R)。
化合物15a(S,S)の製造法であって、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法。
【0098】
化合物15b(S,R)の製造法であって、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法。
【0099】
有効量の上記いずれかのメイタンシノイド化合物、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
抗体をさらに含む、メイタンシノイド化合物を含む上記医薬組成物。
【0100】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の上記いずれかのメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【0101】
発明の詳細な説明
本発明は、新規な立体障害されたチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイド、すなわち硫黄原子を持つα炭素原子が1又は2個のアルキル置換基を持つメイタンシノイドを開示する。本発明はまた、これらの新規メイタンシノイドの合成法も開示する。新規メイタンシノイドの合成において中間体として有用な新規化合物もさらに開示する。また、本発明はこれらの新規メイタンシノイドと細胞結合剤との複合体の製造も開示する。
【0102】
既存の薬物をそれらの細胞毒性能を低減させずに修飾するのは極めて難しいことが技術的に明らかになっている。開示された本発明は、立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を含有する新規メイタンシノイド分子の合成法を教示することによってこの問題を克服している。開示された新規メイタンシノイドは、従前のメイタンシノイドの細胞毒性力を保存、及び時には増強さえする。
【0103】
該メイタンシノイド−細胞結合剤複合体は、標的化された様式で望まざる細胞だけに対して適用されるメイタンシノイドが最大限の細胞毒性作用を行使できるため、非標的健常細胞の損傷による副作用が回避される。従って、本発明は、殺滅又は溶解されるべき疾患細胞又は異常細胞、例えば腫瘍細胞(特に充実性腫瘍細胞)、ウィルス感染細胞、微生物感染細胞、寄生虫感染細胞、自己免疫細胞(自己抗体産生細胞)、活性化細胞(移植片拒絶又は移植片対宿主疾患に関与する細胞)、又は任意のその他の型の疾患細胞又は異常細胞を、最小限の副作用で除去するのに有用な薬剤、及びそれを製造するための新規方法を提供する。
【0104】
従って、本発明は、新規メイタンシノイドと細胞結合剤を含む改良された細胞毒性複合体の製造法を教示する。該複合体は従前のメイタンシノイド及び細胞結合剤と比べて非常に改良された生物活性を有する。本発明はさらに、細胞結合剤への化学連結を可能にする、立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を有するメイタンシノイド誘導体の合成法も教示する。該誘導体は、結合形態でも放出形態でもその両方の状態でも高い細胞毒性を発揮する。本発明による細胞毒性複合体は、細胞結合剤に連結された一つ以上のメイタンシノイドを含む。メイタンシノイドを細胞結合剤に連結するには、まずメイタンシノイ
ドを修飾しなければならない。
【0105】
細胞結合剤に連結できるメイタンシノイドを製造するために本発明で使用できるメイタンシノイドは当該技術分野で周知であり、公知法に従って天然源から単離することも、公知法に従って合成的に製造することもできる。
【0106】
適切なメイタンシノイドの例は、メイタンシノール及びメイタンシノール類似体などである。適切なメイタンシノール類似体の例は、修飾された芳香環を持つもの及びその他の位置に修飾を有するものなどである。
【0107】
修飾された芳香環を持つ適切なメイタンシノール類似体の具体例は、
(1)C−19−脱クロロ(米国特許第4,256,746号)(アンサマイトシンP2のLAH還元によって製造);
(2)C−20−ヒドロキシ(又はC−20−脱メチル)+/−C−19−脱クロロ(米国特許第4,361,650号及び4,307,016号)(ストレプトマイセス又はアクチノマイセスを用いる脱メチル化又はLAHを用いる脱塩素化によって製造);及び
(3)C−20−脱メトキシ、C−20−アシルオキシ(−OCOR)、+/−脱クロロ(米国特許第4,294,757号)(アシルクロリドを用いるアシル化によって製造)
などである。
【0108】
その他の位置に修飾を有する適切なメイタンシノール類似体の具体例は、
(1)C−9−SH(米国特許第4,424,219号)(メイタンシノールとH2S又はP2S5との反応によって製造);
(2)C−14−アルコキシメチル(脱メトキシ/CH2OR)(米国特許第4,331,598号);
(3)C−14−ヒドロキシメチル又はアシルオキシメチル(CH2OH又はCH2OAc)(米国特許第4,450,254号)(ノカルジアから製造);
(4)C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの変換によって製造);
(5)C−15−メトキシ(米国特許第4,313,946号及び4,315,929号)(トレウィア・ヌーディフローラ(Trewia nudiflora)より単離);
(6)C−18−N−脱メチル(米国特許第4,362,663号及び4,322,348号)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの脱メチル化によって製造);及び
(7)4,5−デオキシ(米国特許第4,371,533号)(メイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元によって製造)
などである。
【0109】
メイタンシノイドを細胞結合剤に連結させるために、メイタンシノイドは連結部分を含む。該連結部分は、特定の部位で完全活性メイタンシノイドの放出を可能にする化学結合を含有する。適切な化学結合は当該技術分野で周知であり、ジスルフィド結合、酸に不安定な結合、光に不安定な結合(光解離性結合)、ペプチダーゼに不安定な結合及びエステラーゼに不安定な結合などである。好適なのはジスルフィド結合である。
【0110】
米国特許第5,208,020号(引用によって本明細書に援用)の開示内容はそのような結合を持つメイタンシノイドの製造を教示している。
本発明によれば、連結部分は立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を含む。
【0111】
反応性化学基を含有する連結部分を含む特に好適なメイタンシノイドは、連結部分に立
体障害されたチオール又はジスルフィド結合を含有するメイタンシノールのC−3エステル及びその類似体である。
【0112】
メイタンシノイド上の多くの位置が、連結部分を化学的に連結するための位置として役割を果たすことができる。例えば、ヒドロキシル基を持つC−3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14位、ヒドロキシで修飾されたC−15位及びヒドロキシ基を有するC−20位はいずれも有用であると期待される。しかしながら、C−3位が好適で、メイタンシノールのC−3位が特に好適である。
【0113】
さらに、連結部分を有するメイタンシノールのエステルの合成について、以下にC−3位にジスルフィド結合含有連結部分を有するものに関して記載するが、当業者であれば、前述のような他の化学結合を有する連結部分も、前述のような他のメイタンシノイド及び他の連結位置と同様に本発明に使用できることは分かるであろう。
【0114】
本発明の様々なメイタンシノイドの構造を図2に示す。立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を有するメイタンシノイドの合成は、図3の参照によって説明できる。以下に例示した多くの方法は、チオール含有メイタンシノイドN2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM3と呼ぶ)及びN2’−デアセチル−N2’−(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM4と呼ぶ)を利用する。DM3(4a)及びDM4(4b)は以下の構造式によって表される。
【0115】
【化14】
【0116】
本発明の新規な立体障害されたチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイドのインビトロ細胞毒性は、インビトロにおける様々な望まざる細胞株の増殖を抑制するそれらの能力で評価できる(図4)。例えば、ヒト乳がん細胞株SK−Br−3、又はヒト類表皮がん細胞株KBのような細胞株は、これらの新規メイタンシノイドの細胞毒性の評価に使用できる。評価される細胞は、化合物に72時間暴露され、細胞の生存画分を公知方法による直接アッセイで測定できる。次にアッセイの結果からIC50値が算出できる。
【0117】
立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を有するメイタンシノイドの製造
本発明の新規メイタンシノイドは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルに、障害されたスルフヒドリル基を持つアシル基でアシル化されたアミノ酸側鎖を有するものである。チオール官能基を持つ該アシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族も
しくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに該置換基の一つはHであってもよく、そして該アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有する。
【0118】
好ましくは、該メイタンシノイド化合物は、式4’:
【0119】
【化15】
【0120】
[式中、
Y’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、Dは、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]で表される。
【0121】
式4’で表される化合物の好適な態様において、R1はHであり、R2はメチルであり、ZはHである;R1及びR2はメチルであり、ZはHである;R1はHであり、R2はメチルであり、Zは−SCH3である;又はR1及びR2はメチルであり、Zは−SCH3である。
【0122】
更に好ましくは、メイタンシノイドは、式(I−L)、(I−D)、又は(I−D,L):
【0123】
【化16】
【0124】
[式中、
Yは、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]で表される化合物である。
【0125】
更に好適なのはC−3エステルで、それは式4:
【0126】
【化17】
【0127】
によって表される化合物である。式中、置換基は前述の定義の通りである。
特に好適なのは、R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、ZがHである上記いずれかの化合物;R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、ZがHである化合物;R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である化合物;並びに、R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である化合物である。さらに、L−アラニル立体異性体が本発明の複合体に最も有用なので好適である。
【0128】
式4の好適な態様はDM3及びDM4を含む。すなわち、ZがHであり、R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり、そしてl及びmが1であり、nが0である式4のメイタンシノイド(DM3、化合物4a);ZがHであり、R1及びR2がいずれもメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0である式4のメイタンシノイド(DM4、化合物4b);R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である式4のメイタンシノイド;並びに、R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である式4のメイタンシノイドを含む。
【0129】
1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニルの例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、プロペニル、ブテニル及びヘキセニルなどであるが、これらに限定されない。
【0130】
3〜10個の炭素原子を有する分枝アルキル又はアルケニルの例は、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、1−エチル−プロピル、イソブテニル及びイソペンテニルなどであるが、これらに限定されない。
【0131】
3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル又はアルケニルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニルなどであるが、これらに限定されない。
【0132】
単純アリールは6〜10個の炭素原子を有するアリールなどで、置換アリールは、6〜10個の炭素原子を有し、少なくとも1個の、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル置換基、又はメトキシ、エトキシなどのアルコキシ置換基、又はハロゲン置換基又はニトロ置換基を持つアリールなどである。
【0133】
6〜10個の炭素原子を含有する単純アリールの例は、フェニル及びナフチルなどである。
置換アリールの例はニトロフェニル、ジニトロフェニルなどである。
【0134】
ヘテロサイクリック芳香族ラジカルは、N、O又はSから選ばれる1又は2個のヘテロ原子を含有する3〜10員環を有する基などである。
ヘテロシクロアルキルラジカルは、N、O又はSから選ばれる1又は2個のヘテロ原子を含有する3〜10員環系を含む環状化合物などである。
【0135】
ヘテロサイクリック芳香族ラジカルの例は、ピリジル、ニトロ−ピリジル、ピロリル、
オキサゾリル、チエニル、チアゾリル、及びフリルなどである。
ヘテロシクロアルキルラジカルの例は、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、ピペラジニル、及びモルホリノなどである。
【0136】
立体障害されたチオール又はジスルフィド部分を有する新規メイタンシノイドは以下の新規に開示される方法によって製造できる。
メイタンシノイドの合成。
【0137】
図3aにメイタンシノイドDM4(4b)の合成におけるステップを示す。イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させてメルカプト化合物6を得る。6を塩基で加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得た。7からジスルフィド8への転化はメチルメタンチオールスルホネート(MeSSO2Me)との反応によって達成される。8からN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9への転化とその後のN−メチル−L−アラニンとの反応によってカルボン酸10が得られた。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーで精製した。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び塩化亜鉛の存在下で10をメイタンシノール(11)と反応させ、N−アシル−N−メチル−L−アラニルメイタンシノイドL−DM4SMe(4e)とN−アシル−N−メチル−D−アラニルメイタンシノイドD−DM4SMe(4f)との混合物を得た。ジアステレオマー混合物をシアノ結合カラムを用いてHPLCによって分離した。所望のL−アミノ酸含有異性体4eを回収し、ジチオトレイトールで還元してチオール含有L−アミノアシルメイタンシノイドDM4(4b)を得た。これを再度シアノ結合カラムを用いてHPLCで精製した。
【0138】
図3bにメイタンシノイドDM3(4a)の合成におけるステップを示す。4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってメチルジスルフィドに転化し、13を得た。13からN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14への転化とその後のN−メチル−L−アラニンとの反応によってカルボン酸15が得られた。これをシリカゲル上カラムクロマトグラフィーで精製した。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び塩化亜鉛の存在下で15をメイタンシノール(11)と反応させ、N−アシル−N−メチル−L−アラニルメイタンシノイドL−DM3SSMe(4c)とN−アシル−N−メチル−D−アラニルメイタンシノイドD−DM3SSMe(4d)との混合物を得た。ジアステレオマー混合物をシアノ結合カラムを用いてHPLCによって分離した。所望のL−アミノ酸含有異性体を回収し、ジチオトレイトールで還元してメルカプト−L−アミノ酸含有メイタンシノイドDM3(4a)を得た。これを再度シアノ結合カラムを用いてHPLCで精製した。
【0139】
図3c及びdに、(S)−4−メチルジチオ−1−オキソペンチル部分又は(R)−4−メチルジチオ−1−オキソ−ペンチル部分のいずれかを持つDM3の合成を示す。(R)−1,3−ブタンジオール(16)をそのジトシレート17に転化し、次いでシアン化ナトリウム及びエチルキサントゲン酸カリウムと順次反応させてニトリル18を得た(図3c)。塩基性加水分解とその後のジスルフィド交換によって(S)−4−メチルジチオ−ペンタン酸19を得た。19からスクシンイミジルエステル20への転化、次いでN−メチル−L−アラニンとの反応によってN−メチル−N−[4−(S)−メチルジチオ−1−オキソ−ペンチル]−S−アラニン(15a)を得た。化合物15で前述したように、メイタンシノールとの反応でL−DM3SMeの2種類のジアステレオマー、4g及び4hを得た。同様に、(S)−1,3−ブタンジオール(21)を(R)−4−メチルジチオ−ペンタン酸24に、次いで15bに転化した。前述のように、メイタンシノールとの反応でDM3SMeの2種類のジアステレオマー、4k及び4lを得た。
【0140】
従って、本発明は、メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−1
5のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルの位置でアシル化アミノ酸側鎖でエステル化する方法を提供する。前記アシル基は保護されたスルフヒドリル基を持ち、保護されたチオール官能基を持つアシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに置換基の一つはHであってもよく、前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有し、前記方法は、メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルの位置でアシル化アミノ酸(アシル基は保護されたスルフヒドリル基を持つ)と反応させることを含む。
【0141】
好適な態様において、本発明は、式42’:
【0142】
【化18】
【0143】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキ
ルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法を提供する。前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【0144】
【化19】
【0145】
をC−3の位置で、式(III’−L)、(III’−D)、又は(III’−D,L):
【0146】
【化20】
【0147】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む。
【0148】
好ましくは、式(I)の化合物は式(I−L)で表され、また好ましくは、R1はHであり、R2はメチルである。
更に好適な態様において、本発明は、式42:
【0149】
【化21】
【0150】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法を提供する。前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【0151】
【化22】
【0152】
をC−3の位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【0153】
【化23】
【0154】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]で表される化合物と反応させることを含む。
【0155】
ジアステレオマーはシアノ結合シリカ上HPLCによって分離できる。
更に好適な態様において、本発明は、式(IV−L)、(IV−D)、又は(IV−D,L):
【0156】
【化24】
【0157】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又はCORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayはメイタンシノイドである]で表されるメイタンシノイドエステルを製造するためのメイタンシノイドのエステル化法を提供する。前記方法は、前記Mayを、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルの位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【0158】
【化25】
【0159】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む。
【0160】
なお更に好適な態様において、本発明は、式42:
【0161】
【化26】
【0162】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法を提供する。前記方法は、メイタンシノールをC−3の位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【0163】
【化27】
【0164】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又
はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む。
【0165】
好ましくは、式(I)で表される化合物はL立体異性体である。
上記方法に関して、R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0である場合;又はR1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0である場合が好適である。
【0166】
DM3を製造する場合、式(III−L)の化合物は、15a(S,S)、15b(S,
R)又は15a(S,S)と15b(S,R)の混合物である;式(III−D)の化合物
は、化合物15を得るためにラセミ体のアシル基又はRもしくはSキラリティのいずれかを有するアシル基でアシル化されたN−メチル−D−アラニンである;及び式(III−D
,L)の化合物は、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンである。
【0167】
15a(S,S)と15b(S,R)の混合物は、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造できる。
【0168】
同様に、化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物は、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造できる。
【0169】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンは、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール
官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含むプロセスによって製造できる。
【0170】
化合物15a(S,S)は、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含むプロセスによって製造できる。
【0171】
化合物15b(S,R)は、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含むプロセスによって製造できる。
【0172】
DM4を製造する場合、式(III−L)の化合物は、N−メチル−L−アラニンを含有
する化合物10である;式(III−D)の化合物は、N−メチル−D−アラニンを含有す
る化合物10である;及び式(III−D,L)の化合物は、ラセミ体のN−メチルアラニ
ンを含有する化合物10である。
【0173】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10は、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10を得る
ことを含むプロセスによって製造される。
【0174】
本発明によれば、式III:
【0175】
【化28】
【0176】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル、分枝アルキル又は環状アルキル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物も新規である。
【0177】
式IIIの化合物は、当業者であれば、化合物10及び15の製造に関して本明細書中に
開示したのと類似の方法によって容易に製造できる。
【0178】
メイタンシノイドのインビトロ細胞毒性
本発明のメイタンシノイドのインビトロ細胞毒性を図4に示す。障害されたジスルフィド結合を持つ新規メイタンシノイド(4c、4e)は、試験した細胞株に対して非常に効力が高い。このように、4cはA−375細胞及びSK−Br−3細胞を、それぞれ1.5×10−11M及び7.0×10−12MのIC50値で殺滅する。同様に、メイタンシノイド4eも効力が高く、A−375及びSK−Br−3細胞に対してそれぞれ3.2×10−11M及び9.0×10−12MのIC50値を有する。本発明の障害されたチオール含有メイタンシノイド4aのインビトロ効力を従前のメイタンシノイド1のそれと比較すると(図4c、d)、新規メイタンシノイドは従前のものより20〜50倍も効力が高いことが示される。
【0179】
細胞結合剤の製造
本発明の化合物の治療薬としての有効性は、適当な細胞結合剤の注意深い選択にかかっている。細胞結合剤は現在知られている、又は知られるようになるあらゆる種類のものであってよく、ペプチド及び非ペプチドを含む。一般的に、これらは抗体(特にモノクロナール抗体)、リンホカイン、ホルモン、成長因子、ビタミン、栄養輸送分子(トランスフェリンなど)、又は任意のその他の細胞結合分子又は物質であり得る。
【0180】
使用されうる細胞結合剤のさらに具体的な例は、
ポリクロナール抗体;
モノクロナール抗体;
Fab、Fab’、及びF(ab’)2、Fvのような抗体フラグメント(Parham,J.Immunol.131:2895−2902(1983);Springら、J.Immunol.113:470−478(1974);Nisonoffら、Arch.Biochem.Biophys.89:230−244(1960));
インターフェロン(例えば、α、β、γ);
リンホカイン、例えばIL−2、IL−3、IL−4、IL−6;
ホルモン、例えばインスリン、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)、アンドロゲン及びエストロゲンのようなステロイドホルモン;
成長因子及びコロニー刺激因子、例えばEGF、TGF−α、FGF、VEGF、G−CSF、M−CSF及びGM−CSF(Burgess、Immunology Today 5:155−158(1984));
トランスフェリン(O’Keefeら、J.Biol.Chem.260:932−937(1985));及び
ビタミン、例えば葉酸。
【0181】
モノクロナール抗体技術は、特異的モノクロナール抗体の形態で極めて特異的な細胞結合剤の製造を可能にしている。当該技術分野で特によく知られているのは、マウス、ラット、ハムスター又は任意のその他の哺乳動物を、問題の抗原、例えば無傷の標的細胞、標的細胞から単離した抗原、全ウィルス、弱毒化全ウィルス、及びウィルスコートタンパク質のようなウィルスタンパク質で免疫化することによって産生されるモノクロナール抗体製造技術である。感作ヒト細胞も使用できる。モノクロナール抗体の別の製造法は、scFv(一本鎖可変領域)、特にヒトscFvのファージライブラリーの使用である(例えば、Griffithsら、米国特許第5,885,793号及び5,969,108号;McCaffertyら、WO92/01047;Limingら、WO99/06587参照)。さらに、米国特許第5,639,641号に開示されているリサーフェス化抗体もヒト化抗体として使用できる。
【0182】
適当な細胞結合剤の選択は、標的にされる特定の細胞集団に応じて選択の余地があるが、一般的にヒトモノクロナール抗体が、適当なものが入手できれば好適である。
例えば、モノクロナール抗体、MY9は、CD33抗原に特異的に結合するマウスIgG1抗体であり{J.D.Griffinら、8 Leukemia Res.,521(1984)}、標的細胞が急性骨髄性白血病(AML)の疾患の場合のようにCD33を発現していれば使用できる。同様に、モノクロナール抗体、抗B4は、B細胞上のCD19抗原に結合するマウスIgG1抗体であり{Nadlerら、131 J.Immunol.244−250(1983)}、標的細胞がB細胞であるか、又は非ホジキンリンパ腫もしくは慢性リンパ芽球性白血病の場合のようにこの抗原を発現している疾患細胞であれば使用できる。同様に、CanAg抗原に結合するモノクロナール抗体、C242(米国特許第5,552,293号)は、結腸直腸、膵臓及び胃がんのようなCanAg発現腫瘍の治療に使用できる。
【0183】
さらに、骨髄細胞に結合するGM−CSFは、急性骨髄性白血病由来の疾患細胞に対する細胞結合剤として使用できる。活性化T細胞に結合するIL−2は、移植片拒絶の防止、移植片対宿主疾患の治療及び予防、並びに急性T細胞白血病の治療に使用できる。メラニン細胞に結合するMSHは、黒色腫の治療に使用できる。葉酸は、卵巣及びその他の腫瘍上に発現されている葉酸受容体を標的にするのに使用できる。上皮成長因子は、肺及び頭部及び頚部のような扁平上皮がんを標的にするのに使用できる。ソマトスタチンは、神経芽細胞腫及びその他の腫瘍タイプを標的にするのに使用できる。
【0184】
乳腺及び精巣のがんは、それぞれ細胞結合剤としてエストロゲン(又はエストロゲン類似体)又はアンドロゲン(又はアンドロゲン類似体)でうまく標的化できる。
【0185】
細胞毒性複合体の製造
本発明は、細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体も提供する。該細胞結合剤は、メイタンシノイドのC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルの位置に見られるアシル化アミノ酸側鎖のアシル基上に存在するチオール又はジスルフィド官能基を用いてメイタンシノイドに連結されており、該アシル化アミノ酸側鎖のアシル基は、そのチオール又はジスルフィド官能基を1又は2個の置換基を有する炭素原子上に持っている。前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに前記置換基の一つはHであってもよく、そして該アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有する。
【0186】
好適な細胞結合剤複合体は、細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含み、該メイタンシノイドは、式41’:
【0187】
【化29】
【0188】
[式中、
Y1’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2S−を表し、式中、
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でない]で表される。
【0189】
好ましくは、R1はHでR2はメチルであるか、又はR1及びR2はメチルである。
なお更に好適な細胞結合剤複合体は、細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含み、該メイタンシノイドは、式(II−L)、(II−D)、又は(II−D,L):
【0190】
【化30】
【0191】
[式中、
Y1は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2S−を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル、ヘテロサイクリック芳香族又はヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Mayは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]で表される。
【0192】
なお更に好適なのは、メイタンシノイドが式41:
【0193】
【化31】
【0194】
[式中、置換基は上記式(II)で定義の通りである]で表されるメイタンシノイド−細胞
結合剤複合体である。
特に好適なのは、R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であるいずれかの上記化合物;並びにR1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であるいずれかの上記化合物である。
【0195】
さらに、L−アミノアシル立体異性体が好適である。
本発明の代表的細胞毒性複合体は、抗体/メイタンシノイド、抗体フラグメント/メイタンシノイド、上皮成長因子(EGF)/メイタンシノイド、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)/メイタンシノイド、甲状腺刺激ホルモン(TSH)/メイタンシノイド、ソマトスタチン/メイタンシノイド、葉酸/メイタンシノイド、エストロゲン/メイタンシノイド、エストロゲン類似体/メイタンシノイド、アンドロゲン/メイタンシノイド、及びアンドロゲン類似体/メイタンシノイドである。
【0196】
チオール含有メイタンシノイドを、適当に修飾された細胞結合剤と反応させて細胞毒性複合体を製造する。これらの複合体は、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、又はHPLCによって精製できる。
【0197】
スルフヒドリル基含有メイタンシノイド由来の複合体の製造スキームを図5に示す。さらに詳しくは(図5a、b)、水性緩衝液中の抗体溶液をモル過剰の抗体修飾剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP、3a)とインキュベートしてジチオピリジル基を導入する(図5a)、又はN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB、3b)とインキュベートしてジチオピリジル基を導入する(図5b)。次に、修飾抗体をチオール含有メイタンシノイド(例えば4a又は4b)と反応させて、ジスルフィドで連結された抗体−メイタンシノイド複合体を製造する。メイタンシノイド−抗体複合体は、次いでゲルろ過によって精製してもよい。
【0198】
あるいは、抗体をモル過剰の2−イミノチオランのような抗体修飾剤とインキュベートしてスルフヒドリル基を導入してもよい。次に、修飾抗体を適当なジスルフィド含有メイタンシノイドと反応させてジスルフィド連結抗体−メイタンシノイド複合体を製造する。メイタンシノイド−抗体複合体は、次いでゲルろ過によって精製してもよい。
【0199】
抗体分子あたりに結合されたメイタンシノイド分子の数(図5a〜5dではwで示される)は、252nmと280nmの吸光度の比率を分光光度的に測定することによって決定できる。抗体分子あたり平均1〜10個のメイタンシノイド分子がこの方法で連結できる。抗体分子あたりの連結メイタンシノイド分子の好適な平均数は2〜5であり、最も好適なのは3〜4.5である。
【0200】
あるいは、水性緩衝液中の抗体溶液をモル過剰の抗体修飾剤、例えばN−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC、26)とインキュベートすればマレイミド基が導入される(図5c)、又はN−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB、27)とインキュベートすればヨードアセチル基が導入される(図5d)。次に、修飾抗体をチオール含有メイタンシノイド(例えば4a又は4b)と反応させて、チオエーテルで連結された抗体−メイタンシノイド複合体を製造する。メイタンシノイド−抗体複合体は、次いでゲルろ過によって精製してもよい。
【0201】
抗体分子あたりに結合されたメイタンシノイド分子の数は前述のように分光学的分析によって決定できる。
このように、本発明は、前述の方法の一つによって精製メイタンシノイドを製造し、そして該精製メイタンシノイドを、反応性ジチオ又はスルフヒドリル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法を提供する。好ましくは、反応性ジチオ基はジチオピリジル基又は置換ジチオピリジル基である。特に好ましくは、反応性ジチオ基は、ニトロピリジルジチオ又はジニトロピリジルジチオ基を含む。
【0202】
別の方法において、精製メイタンシノイドは、マレイミド基又はハロアセチル基を含む細胞結合剤と反応させる。
本発明の細胞結合剤とメイタンシノイド薬との複合体は、それらの様々な望まざる細胞株の増殖抑制能をインビトロで評価できる(図6)。例えば、ヒト結腸がん細胞株COLO 205、ヒト黒色腫細胞株A−375、ヒト骨髄性白血病細胞株HL60のような細胞株は、これらの複合体の細胞毒性の評価に使用できる。評価される細胞を化合物に24時間暴露し、細胞の生存画分を公知方法によって直接アッセイで測定すればよい。次いでアッセイの結果からIC50値が算出できる。
【0203】
本発明の抗体−メイタンシノイド複合体のインビトロ効力及び標的特異性を図6、10及び12に示す。このように、図6は、huC242−DM3及びhuC242−DM4とも抗原陽性COLO 205細胞の殺滅に非常に効力があることを示しており、IC50値はそれぞれ1.3×10−11M及び1.1×10−11Mである。これに対し、抗原陰性のA−375細胞は感受性が約500倍も低く、本発明のメイタンシノイド複合体が非常に高効力で特異的であることを示している。同様に、図10及び12は、それぞれ抗体MY9−6及び抗B4を用いた本発明のメイタンシノイド複合体の高効力と標的特異性を示している。
【0204】
本発明の抗体と障害されたチオール含有メイタンシノイドとの複合体のインビボにおける抗腫瘍効果を、マウスにおけるいくつかの異なるヒト腫瘍モデルで、従前のメイタンシノイド複合体のそれと比較した。第一のモデルで(図7)、樹立皮下ヒト結腸腫瘍HT−29異種移植片を持つSCIDマウスを、従前のメイタンシノイドDM1の抗体複合体(huC242−DM1)、又は2種類の新規メイタンシノイド複合体(huC242−DM3、huC242−DM4)のいずれかで処置した。huC242−DM1による処置で18日間の腫瘍成長遅延がもたらされた。これに対し、新規薬剤は顕著により有効で、腫瘍成長遅延がhuC242−DM3の場合28日間、huC242−DM4の場合36日間であった。
【0205】
第二のモデルで(図8)、樹立皮下ヒト結腸腫瘍COLO 205異種移植片を持つマウスを、従前のメイタンシノイドDM1の抗体複合体(huC242−DM1)、又は2種類の新規メイタンシノイド複合体(huC242−DM3、huC242−DM4)のいずれかで処置した。huC242−DM1による処置では腫瘍退縮は見られず、20日間の腫瘍成長遅延が得られた。これに対し、新規薬剤は顕著により有効であった。huC242−DM3による処置群では45日間持続する完全腫瘍退縮が達成された。huC242−DM4はなおさらに有効で、全ての処置マウスの治癒がもたらされた。
【0206】
第三のモデルで(図9)、樹立皮下ヒト骨髄性白血病HL60異種移植片を持つマウスを、従前のメイタンシノイドDM1の抗体複合体(MY9−6−DM1)、又は2種類の新規メイタンシノイド複合体(MY9−6−DM3、MY9−6−DM4)のいずれかで処置した。MY9−6−DM1による処置では腫瘍退縮は見られず、5日間の腫瘍成長遅延が得られた。これに対し、新規薬剤は顕著により有効であった。腫瘍退縮がもたらされた。MY9−6−DM3もMY9−6−DM4も、20日間を超える腫瘍成長遅延をもたらした。
【0207】
第四のモデルでは(図11)、本発明のメイタンシノイド(huMY9−6−DM4)を、従前のメイタンシノイド複合体(huMY9−6−DM1)のそれと、HL−60細胞で樹立された皮下異種移植片モデルで直接比較した。等用量で、本発明の複合体MY9−6−DM4による処置は85日間持続する完全腫瘍退縮をもたらした。これに対し、従前のメイタンシノイドの複合体はずっと活性が低く、約48日間の腫瘍成長遅延しか示さなかった。
【0208】
第五のモデルで(図13a)、本発明のメイタンシノイドとhuB4抗体との複合体は、皮下Ramos腫瘍モデルで用量依存的に高い抗腫瘍活性を示している。非毒性の用量で完全な腫瘍退縮と治癒が達成されている(図13a、b)。
【0209】
上記5つの効果実験の結果から、本発明の立体障害されたチオール含有メイタンシノイドは、従前のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体と比べて、非常に改良された抗腫瘍活性を細胞結合剤複合体に付与していることが示されている。
【0210】
組成物及び使用法
本発明は、有効量の本発明のいずれかのメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0211】
本発明はまた、治療を必要とする患者に有効量の上記いずれかの複合体を投与することを含む治療法も提供する。
同様に、本発明は、選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法も提供する。該方法は、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の本発明のいずれかのメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物を含む細胞毒性薬に接触させることを含む。標的細胞は細胞結合剤が結合できる細胞である。
【0212】
所望であれば、他の抗腫瘍薬のようなその他の活性薬を複合体と共に投与してもよい。
適切な製薬学的に許容しうる担体、希釈剤、及び賦形剤は周知であり、臨床状況の適応に応じて当業者が決定できる。
【0213】
適切な担体、希釈剤及び/又は賦形剤の例は、(1)ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水、pH約7.4、約1mg/ml〜25mg/mlのヒト血清アルブミンを含有又は非含有、(2)0.9%生理食塩水(0.9%w/v NaCl)、及び(3)5%(w/v)デキストロースなどであり、トリプタミンのような抗酸化剤及びトゥイーン20のような安定化剤を含有してもよい。
【0214】
選択された細胞集団における細胞死の誘導法は、インビトロ、インビボ、又はエクスビボで実施できる。
インビトロにおける使用例は、自己骨髄を同一患者に移植する前に疾患細胞又は悪性細胞を殺滅するために処理する;骨髄を移植する前にコンピテントT細胞を殺滅するため及び移植片対宿主疾患(GVHD)を予防するために処理する;標的抗原を発現していない所望の変異株以外の全細胞を殺滅するために細胞培養物を処理する;又は望まざる抗原を発現している変異株を殺滅する、などである。
【0215】
非臨床的なインビトロにおける使用条件は当業者によって容易に決定される。
臨床的エクスビボにおける使用例は、がんの治療又は自己免疫疾患の治療で自家移植の前に骨髄から腫瘍細胞又はリンパ細胞を除去する、又はGVHD予防のために移植前に自己又は同種の骨髄又は組織からT細胞及びその他のリンパ細胞を除去するといったことである。処理は以下のように実施できる。患者又は他人から骨髄を採取し、次いで、濃度範
囲約10μM〜1pMの本発明の細胞毒性薬を加えた血清含有培地中で、約30分間〜約48時間、37℃でインキュベートする。濃度及びインキュベーション時間の正確な条件、すなわち用量は当業者によって容易に決定される。インキュベーション後、骨髄細胞を血清含有培地で洗浄し、公知方法に従って患者の静脈内に戻す。患者が、骨髄採取と処理細胞の再注入との間に侵襲的化学療法又は全身照射のような他の治療コースを受ける状況においては、標準的医学装置を用いて処理骨髄細胞を液体窒素中で凍結保存する。
【0216】
臨床的インビボにおける使用の場合、本発明の細胞毒性薬を、無菌性及びエンドトキシンレベルについて試験した溶液又は凍結乾燥粉末として供給する。複合体投与の適切なプロトコルの例は以下の通りである。複合体を週1回4週間にわたって各週静脈内ボーラスとして投与する。ボーラス投与は、50〜1000mlの生理食塩水(これに5〜10mlのヒト血清アルブミンを加えてもよい)に入れて投与される。用量は1投与あたり10μg〜2000mgで、静脈内投与である(1日100ng〜20mg/kgの範囲)。4週間の治療後、患者は週単位で治療を継続できる。投与経路、賦形剤、希釈剤、用量、時間などに関する具体的な臨床プロトコルは、臨床状況の適応に応じて当業者が決定できる。
【0217】
選択された細胞集団に細胞死を誘導するインビボ又はエクスビボ法に従って治療できる医学的状態の例は、あらゆる種類の悪性疾患、例えば、乳房、結腸、前立腺、腎臓、膵臓、卵巣、及びリンパ器官のがん;全身性狼瘡、リウマチ様関節炎、及び多発性硬化症のような自己免疫疾患;腎移植拒絶、肝移植拒絶、肺移植拒絶、心臓移植拒絶、及び骨髄移植拒絶のような移植片拒絶;移植片対宿主疾患;CMV感染、HIV感染、AIDSなどのようなウィルス感染;及びランブル鞭毛虫症、アメーバ症、住血吸虫症、及び当業者が決定するその他のような寄生虫感染などである。
【実施例】
【0218】
以下に本発明を非制限的実施例を参照しながら説明する。特に明記しない限り、全てのパーセント、比率、部などは重量による。以下に記載の実施例は、R1がH又はCH3、R2がCH3、R5、R6、R7及びR8がそれぞれH、l及びmがそれぞれ1、nが0である化合物に関する。同様の合成は、R1及びR2がそれぞれ独立して、H、CH3、C2H5、又は1〜10個の炭素原子を有する高級アルキル、アルケニル、又はフェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカル;そしてl、m及びnがそれぞれ1〜5の整数、さらにnは0であってもよい本発明のその他の化合物についても実施できる。
【0219】
全試薬はニュージャージー州のAldrich Chemical Co.から、又はその他の市販品を購入した。メイタンシノール(11)は過去に記載(米国特許第6,333,410号)ように製造した。核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルはBruker 400MHz装置で取り、質量スペクトルは、エレクトロスプレーイオン化を用い、Bruker Daltonics Esquire 3000装置で取った。
【0220】
実施例1
メイタンシノイド4bの合成
4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7):500mLフラスコに撹拌棒と150mL添加漏斗を備え付けた。この系をアルゴン雰囲気下に置いた。150mLの無水テトラヒドロフラン(THF)及びヘキサン中2.5Mのn−BuLi 75mL(18.7mmol)をカニューレ経由で加え、溶液を−78℃のドライアイス/アセトン浴中で冷却した。アセトニトリル(7.3g、9.4mL、18mmol)をシリンジ経由で1滴ずつ約5分間にわたって加えた。反応を30分間撹拌している間に白色のリチウム−アセトニトリル沈殿物が形成された。イソブチレンスルフィド(15g、17mmol)を1
00mLの無水THFに溶解し、添加漏斗経由で1滴ずつ約30分間にわたって加えた。冷却浴を取り除き、反応を3時間撹拌した。フラスコを氷/水浴で冷却しながら38mLの0.5M HClを滴下添加した。THF層はそのままにし、水性層を75mLの酢酸エチルで2回洗浄した。THFと酢酸エチル層を合わせ、約20gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、250mLフラスコに移した。溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、6の粗製物を得た。エタノール(30mL)と撹拌棒を加えた。内容物を撹拌しながら30mLの脱イオン水中8.0gのNaOHの溶液をゆっくり加えた。フラスコに還流冷却器を備え付け、アルゴン雰囲気下に置いた。反応を一晩還流し、その後室温に冷却した。脱イオン水(60mL)を加え、該混合物を、25mLずつの酢酸エチルとヘキサンの2:1混合物で2回抽出した。水性層を濃HClでpH2に酸性化し、次いで75mLずつの酢酸エチルで3回抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、10gの生成物7を得た(収率39%)。材料はそれ以上精製せずに使用した。
【0221】
【数1】
【0222】
4−メチル−4−(メチルジチオ)ペンタン酸(8):メルカプトペンタン酸7(6.0mL、40mmol)を250mLフラスコ中で50mLの脱イオン水に溶解した。溶液を磁気撹拌しながら、炭酸ナトリウム(6.4g、60mmol)を過剰の泡立ちを起こさないような速度で該酸に加えた。フラスコに100mL添加漏斗を備え付け、それにガラス蒸留した100%エタノール30mL中に溶解したメチルメタンチオールスルホネート(7.5g、60mmol)溶液を入れた。フラスコを氷/水浴で冷却し、該系をアルゴン雰囲気下に維持した。メチルメタンチオールスルホネート溶液をなるべく迅速に、しかし過剰の泡立ちを起こさずにフラスコに滴下添加した。冷却浴を取り除き、反応混合物をさらに3時間撹拌した。溶媒を残り約20mLになるまで真空下回転蒸発によって除去した。その後、10mLの飽和炭酸水素ナトリウム及び30mLの脱イオン水を加えた。該混合物を分液漏斗中で25mLずつの酢酸エチルで3回洗浄した。水性層を5M HClで約pH2に調整し、120mLずつの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、飽和NaClと1MのHClが4:1の比率で成る溶液20mLで洗浄した。次に、有機層を14gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、5.4gの生成物8を得た(収率70%)。該材料はそれ以上精製せずに次のステップに利用できる。
【0223】
【数2】
【0224】
MS(M+Na+)理論値:217.0、実測値:217.1
【0225】
N−ヒドロキシスクシンイミジル4−メチル−4−(メチルジチオ)ペンタノエート(9):メチルジチオペンタン酸8(3.0g、15mmol)を20mLの塩化メチレンに溶解し、磁気撹拌しながらN−ヒドロキシスクシンイミド(2.65g、23mmol)、次いで1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDC、4.4g、23mmol)を加えた。該混合物をアルゴン雰囲気下で2時間撹拌した。反応混合物を125mL分液漏斗に注ぎ入れ、40mLの酢酸エチルを加え、該溶液を20mLずつの50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で2回、1
2mLの飽和塩化ナトリウムで1回洗浄した。有機層を14gの無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、4.0gの生成物9を得た(収率90%)。これをそれ以上精製せずに使用した。
【0226】
【数3】
【0227】
MS(M+Na+)理論値:314.0、実測値:314.1
【0228】
N−メチル−N−(4−メチル−4−メチルジチオ−1−オキソペンチル)−L−アラニン(10):N−メチル−L−アラニン(2.85g、18.0mmol)を、磁気撹拌棒を備えた125mLフラスコで、ジメトキシエタンと脱イオン水1:1の溶液50mL中に溶解した。トリエチルアミン(6.9g、36mmol)を加え、溶液を激しく撹拌しながら、同一溶媒混合物40mL中に溶解した9(5.44g、18mmol)を約5分間かけて1滴ずつ加えた。2時間後、反応混合物を真空下回転蒸発によって約40mLに濃縮し、次いで10mLの脱イオン水と1M HClを加えてpHを約2とした。該混合物を分液漏斗に注ぎ入れ、50mLずつの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、次いで7mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を8.0gの無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空下回転蒸発によって除去した。残渣を最少量の酢酸エチルに取り、シリカ上クロマトグラフィーで精製した(シリカ:40μmのフラッシュ級、シリカ床:24×3.0cm、移動相:ヘキサン:酢酸エチル:酢酸50:48:2)。所望の生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を真空下で除去した。残留酢酸を、残渣を最少量の酢酸エチルに溶解し、撹拌しながらヘキサンを迅速ではあるが1滴ずつ添加して生成物を沈殿させることによって除去した。ヘキサンは、TLC分析で上清中に生成物がもはや検出されなくなるまで加えた。沈殿物を4時間真空乾燥して2.2gの生成物10を得た(収率51%)。
【0229】
【数4】
【0230】
MS(M+Na+)理論値:302.1、実測値:302.0。
【0231】
N2’−デアセチル−N2’−(4−メチル−4−メチルジチオ−1−オキソペンチル)メイタンシン(L−DM4−SMe、4e)。メイタンシノール(11、25mg、0.44mmol)及びN−メチル−N−(4−メチル−4−メチルジチオ−1−オキソペンチル)−L−アラニン(10、42.0mg、0.177mmol)の3mLジクロロメタン中溶液をアルゴン雰囲気下で磁気撹拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、57.1mg、0.277mmol)の0.67mLジクロロメタン中溶液を加えた。1分後、ジエチルエーテル中1MのZnCl2溶液(0.03mL、0.03mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで5mLの酢酸エチルを加え、混合物を粗いろ紙を通して真空ろ過した。ろ液を2mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液、次いで1mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を2gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。そして溶媒を真空下で除去し、残渣をジクロロメタンとメタノールの混合物を用いてシリカクロマトグラフィーで精製し、未反応のメイタンシノールを除去した。
所望生成物含有画分を合わせ、溶媒を真空下で除去してジアステレオマー4eと4fの混合物を得た。残渣を最少量の酢酸エチルに取り、50cm×250cm、10μmのDiazem(登録商標)CNカラム上で、移動相にヘキサン、2−プロパノール及び酢酸エチルの比率68:8:24の混合物を用いて精製した。流速は118mL/分であった。これらの条件下で、所望生成物4eはリテンションタイム11分で溶出した。所望でないジアステレオマー4fのリテンションタイムは19分であった。所望生成物含有画分を合わせ、溶媒を真空下で除去して12.0mgの生成物4eを得た(収率36%)。
【0232】
【数5】
【0233】
高分解能MS(M+H+)理論値:826.3174、実測値:826.3150。
【0234】
N2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−4−メチル−1−オキソペンチル)メイタンシン(L−DM4、4b)。上記ジスルフィド4e(12mg、0.015mmol)を1:1の酢酸エチル:メタノール1.0mL中に溶解した。次にジチオトレイトール(18mg、0.117mmol)の50mMリン酸緩衝液(pH7.5)0.50mL中溶液を加えた。該溶液をアルゴン雰囲気下で3時間磁気撹拌し、次いで200mMのリン酸緩衝液(pH6.0)1mLを加え、該混合物を2mLずつの酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせ、1mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、1gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、残渣を最少量の酢酸エチル中に取り、50cm×250cm、10μmのDiazem(登録商標)CNカラム上で、移動相にヘキサン、2−プロパノール及び酢酸エチルの比率70:8:22の混合物を用いて精製した。流速は22mL/分であった。所望生成物4bはリテンションタイム10分で溶出した。純4b含有画分を合わせ、溶媒を真空下で除去して11mgの4bを得た(収率97%)。
【0235】
【数6】
【0236】
高分解能MS(M+Na+)理論値:802.3101、実測値:802.3116。
【0237】
実施例2
メイタンシノイド4aの合成
4−メチルジチオ−ペンタン酸(13):4−メルカプトペンタン酸(12、16.6g、124mmol)の溶液を500mLフラスコで350mLの脱イオン水に溶解した。該溶液を磁気撹拌しながら、炭酸ナトリウム(19.7g、186mmol)を過剰の泡立ちを起こさないような速度で該酸に加えた。フラスコに250mLの添加漏斗を備え付け、それにガラス蒸留した100%エタノール220mL中に溶解したメチルメタンチオールスルホネート(23.4g、186mmol)溶液を入れた。フラスコを氷/水浴で冷却し、該系をアルゴン雰囲気下に維持した。メチルメタンチオールスルホネート溶液をなるべく迅速に、しかし過剰の泡立ちを防止する速度でフラスコに滴下添加した。冷却浴を取り除き、反応混合物をさらに2時間撹拌した。溶媒を残り約250mLになるまで真空下回転蒸発によって除去した。その後、30mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び50mLの脱イオン水を加えた。該混合物を分液漏斗中で200mLずつの酢酸エチルで3回洗浄した。水性層を5M HClで約pH2に調整し、400mLずつの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、次いで飽和NaCl溶液と1MのHClの4:1混合物60mLで洗浄し、次に50gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、最後に溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、10.2gの生成物13を得た(収率45%)。該材料はそれ以上精製せずに次の反応に使用した。
【0238】
【数7】
【0239】
MS(M+Na+)理論値:203.3、実測値:203.2
【0240】
N−ヒドロキシスクシンイミジル4−メチルジチオ−ペンタノエート(14):4−メチルジチオ−ペンタン酸(13、0.75g、4.16mmol)を7.0mLの塩化メチレンに溶解し、磁気撹拌しながらN−ヒドロキシスクシンイミド(0.526g、4.57mmol)、次いで1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(0.877g、4.57mmol)を加えた。該混合物をアルゴン雰囲気下で2.5時間撹拌し、次いで20mLの酢酸エチルを含有する60mL分液漏
斗に注ぎ入れた。得られた溶液を15mLずつの50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で2回、5mLの飽和塩化ナトリウムで1回洗浄した。有機層を8gの無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空下回転蒸発によって除去し、1.15gの生成物14を得た(収率87%)。これをそれ以上精製せずに次の反応に使用した。
【0241】
【数8】
【0242】
MS(M+Na+)理論値:304.1、実測値:304.0
【0243】
N−メチル−N−(4−メチルジチオ−1−オキソペンチル)−L−アラニン(15):N−メチル−L−アラニン(0.64g、6.2mmol)を、磁気撹拌棒を備えた125mLフラスコで、ジメトキシエタンと脱イオン水1:1混合物8mL中に溶解した。トリエチルアミン(0.841g、8.3mmol)を加え、フラスコを激しく撹拌しながら、14(1.0g、3.6mmol)の同一溶媒混合物8mL中溶液を約5分間かけて1滴ずつ加えた。2時間後、反応混合物を真空下回転蒸発によって約3mLに濃縮し、次いで15mLの脱イオン水と1M HClを加えてpHを約2とした。該混合物を60mL分液漏斗に注ぎ入れ、15mLずつの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、3mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで8.0gの無水Na2SO4上で乾燥させ、最後に溶媒を真空下回転蒸発によって除去した。残渣を最少量の酢酸エチルに取り、シリカクロマトグラフィーで精製した(シリカ:40μmのフラッシュ級、シリカ床:24×3.0cm、移動相:ヘキサン:酢酸エチル:酢酸50:48:2)。所望生成物15を含有する画分を合わせ、溶媒を真空下で除去した。残留酢酸を、残渣を最少量の酢酸エチルに溶解し、撹拌しながらヘキサンを迅速ではあるが1滴ずつ添加して生成物を沈殿させることによって除去した。ヘキサンは、TLC分析で上清中に生成物がもはや検出されなくなるまで加えた。沈殿物を真空乾燥して0.60gの生成物15を得た(収率62%)。
【0244】
【数9】
【0245】
MS(M+Na+)理論値:288.1、実測値:288.1。
【0246】
N2’−デアセチル−N2’−(4−メチルジチオ−1−オキソペンチル)メイタンシン(L−DM3−SMe、4c):メイタンシノール(25mg、0.44mmol)及び15(42.0mg、0.177mmol)の3mLジクロロメタン中溶液をアルゴン雰囲気下で磁気撹拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、57.1mg、0.277mmol)の0.67mLジクロロメタン中溶液を加えた。1分後、ジエチルエーテル中1MのZnCl2(0.03mL、0.03mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで5mLの酢酸エチルを加え、混合物を粗いろ紙を通して真空ろ過した。ろ液を2mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液、次いで1mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を2gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタンとメタノールの混合物を用いてシリカクロマトグラフィーで精製し、未反応のメイタンシノールを除去した。所望生成物含有画分を合わせ
、溶媒を真空下で除去してジアステレオマー4cと4dの混合物を得た。残渣を最少量の酢酸エチルに取り、50cm×250cm、10μmのDiazem(登録商標)CNカラム上で、移動相にヘキサン、2−プロパノール及び酢酸エチルの68:8:24混合物を用いて精製した。流速は118mL/分であった。所望生成物4cはリテンションタイム11分で溶出し、所望でないジアステレオマー4dのリテンションタイムは19分であった。所望生成物含有画分を合わせ、溶媒を真空下で除去して12.0mgの生成物4cを得た(収率36%)。
【0247】
【数10】
【0248】
MS(M+Na+)理論値:834.3、実測値:834.3。
【0249】
N2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)メイタンシン(L−DM3、4a):L−DM3−SMe(4c、12mg、0.015mmol)を酢酸エチルとメタノールの1:1混合物1.0mL中に溶解した。次にジチオトレイトール(18mg、0.117mmol)の50mMリン酸緩衝液(pH7.5)0.50mL中溶液を加えた。該反応溶液をアルゴン雰囲気下で3時間磁気撹拌し、次いで200mMのリン酸緩衝液(pH6.0)1mLを加え、該混合物を2mLずつの酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせ、1mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで1gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、残渣を最少量の酢酸エチル中に取り、50cm×250cm、10μmのDiazem(登録商標)CNカラム上で、移動相としてヘキサン、2−プロパノール及び酢酸エチルの70:8:22混合物を用いて精製した。流速は22mL/分であった。所望生成物はリテンションタイム10分で溶出した。純生成物含有画分を合わせ、溶媒を真空下で除去して11mgの生成物4aを得た(収率97%)。
【0250】
【数11】
【0251】
MS(M+Na+)理論値:788.3、実測値:788.3。
【0252】
実施例3
メイタンシノイド4g、hの合成(図3c)
R−1,3−ジ−O−p−トルエンスルホニル−ブタン(17):R−(−)−1,3−ブタンジオール(16、2.00g、22.22mmol)の、乾燥ピリジン(40mL)及び乾燥トルエン(60mL)混合物中溶液をアルゴン下0℃でp−トルエンスルホニルクロリド(12.70g、66.84mmol)で処理した。0℃で5分間、次いで室温で2時間撹拌した後、混合物を真空下で蒸発させ、酢酸エチル中に再溶解し、0.1MのNaHCO3水溶液、次いで飽和NaClで洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。シリカゲル上クロマトグラフィーにより1:2(v/v)の酢酸エチル/ヘキサンで溶離して精製し、6.51g(74%)の標記生成物17を得た。Rf=0.40(1:1 EtOAc/ヘキサン);
【0253】
【数12】
【0254】
MS:420.99(M+Na)+、421.93(M+1+Na)+。
【0255】
S−4−O−エチルキサンチック−ペンタンニトリル(18):R−1,3−ジ−O−p−トルエンスルホニル−ブタン(17、4.80g、12.06mmol)の乾燥DMSO(50mL)中溶液をNaCN(0.65)で処理した。アルゴン下室温で18時間撹拌後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、冷たい1.0MのNaH2PO4(pH7.5)、水及び1.0MのNaH2PO4(pH4.0)で順に洗浄した。有機層を分離し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、次いで蒸発させて2.63gの粗R−3−O−p−トルエンスルホニル−ペンタンニトリルを得た。MS:275.80(M+Na)+、276.75(M+1+Na)+。生成物はそれ以上精製せずにそのまま使用した。
【0256】
粗R−3−O−p−トルエンスルホニル−ペンタンニトリル(2.63g)のエタノール(15mL)中溶液に、エタノール(50mL)中O−エチルキサントゲン酸カリウム
(4.55g)を加えた。アルゴン下で一晩撹拌後、該混合物を濃縮し、酢酸エチルで希釈し、短シリカカラムを通してろ過した。溶離液を濃縮し、シリカゲル上クロマトグラフィーにより1:4(v/v)のEtOAc/ヘキサンで溶離して精製し、1.54g(63%、2段階)の標記生成物18を得た。Rf=0.40(1:4 EtOAc/ヘキサン);
【0257】
【数13】
【0258】
MS:226.51(M+Na)+、242.51(M+K)+。
【0259】
S−(+)−4−メチルジチオ−ペンタン酸(19):S−4−O−エチルキサンチック−ペンタンニトリル(18、1.95g、9.61mmol)の、エタノール(10mL)と水(150mL)の混合物中溶液に、5.0gのNaOHを加えた。反応混合物をアルゴン下で一晩還流した。該混合物を室温に冷却し、水(150ml)で希釈し、1:1のEtOAc/ヘキサンで抽出した(2×100ml)。水性層をH3PO4でpH2.5〜3.0に酸性化し、EtOAcで抽出した(6×75ml)。有機層を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固して粗S−4−メルカプトペンタン酸を得た。この粗生成物をそれ以上精製せず次のステップにそのまま使用した。
【0260】
粗S−4−メルカプトペンタン酸(1.2g)の、エタノール(50mL)と0.5M
NaH2PO3、pH7.0(75mL)の混合物中溶液に、5乾燥THF(5mL)中メチルメタンチオールスルホネート(1.47g、11.65mmol)を0℃で45分間かけて滴下添加した。アルゴン下0℃で30分間の撹拌、次いで室温で2時間の撹拌後、混合物を濃縮し、ジクロロメタンで抽出した(2×50ml)。水性層をH3PO4でpH2.5〜3.0に酸性化し、EtOAcで抽出した(4×100ml)。有機層を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィーで1:100:400のHOAc/EtOAc/ヘキサンで溶離して精製し、1.43g(83%)の標記生成物19を得た。Rf=0.32(1:100:400 HOAc/EtOAc/ヘキサン);
【0261】
【数14】
【0262】
MS:202.92(M+Na)+、203.91(M+1+Na)+;[α]=41.35(c=2、CH3OH)。
【0263】
N−メチル−N−[4−(S)−メチルジチオ−1−オキソペンチル]−S−アラニン(15a):S−(+)−4−(メチルジチオ)−ペンタン酸(19)を化合物14で前述した方法によってN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル20に転化した。化合物15で前述した手順によってN−メチル−L−アラニンとの反応により15aを得た(収率62%)。
【0264】
【数15】
【0265】
MS:(M+Na)理論値:288.1、実測値:288.1
【0266】
N2’−デアセチル−N2’−(4−(S)−メチルジチオ−1−オキソペンチル)メイタンシン(DM3−SMe、4g、h):4cの合成で前述したようにメイタンシノール(11)をジクロロメタン中のDCCと塩化亜鉛を用いて15aと結合させた。N−メチル−S−アラニル部分(4g、S,S)及びN−メチル−R−アラニル部分(4h、R,S)を持つ2種類のジアステレオマー混合物を得た。該ジアステレオマーをKromasilシアノカラム(4.6mm×250mm)上HPLCで、ヘキサン:酢酸エチル:2−プロパノール(68:24:8、v/v/v)による無勾配溶離を用い、流速1mL/分で分離した。これらの条件下で、異性体4g(S,S)は24.5分で溶離した。質量スペクトル:m/z 834.2(M+Na)+。他の異性体4h(R,S)のピークはよく分離し、34.6分で溶離した。MS:m/z 834.2(M+Na)+。
【0267】
実施例4
メイタンシノイド4k、lの合成(図3d)
S−1,3−ジ−O−p−トルエンスルホニル−ブタン22:S−(−)−1,3−ブタンジオール(21、2.00g、22.22mmol)の、乾燥ピリジン(40mL)及び乾燥トルエン(60mL)混合物中溶液をアルゴン下0℃でp−トルエンスルホニルクロリド(12.70g、66.84mmol)で処理した。0℃で5分間、次いで室温で2時間撹拌した後、混合物を真空下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル中に再溶解し、0.1MのNaHCO3水溶液、次いで飽和NaClで洗浄した。有機層を分離し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィーにより1:2の酢酸エチル/ヘキサンで溶離して精製し、6.25g(71%)の標記生成物22を得た。Rf=0.40(1:1 EtOAc/ヘキサン);
【0268】
【数16】
【0269】
MS:420.99(M+Na)+。
【0270】
R−4−O−エチルキサンチック−ペンタンニトリル(23):S−1,3−ジ−O−p−トルエンスルホニル−ブタン(22、6.25g、15.70mmol)の60乾燥DMSO(50mL)中溶液をNaCN(0.85g)で処理した。反応混合物をアルゴン下室温で18時間撹拌した。次に反応混合物を酢酸エチルで希釈し、冷たい1.0MのNaH2PO4(pH7.5)、水及び1.0MのNaH2PO4(pH4.0)で順に洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させて3.62gの粗S−3
−O−p−トルエンスルホニル−ペンタンニトリルを得た。生成物はそれ以上精製せずにそのまま使用した。
【0271】
粗S−3−O−p−トルエンスルホニル−ペンタンニトリル(3.62g)のエタノール(50mL)中溶液に、エタノール(100mL)中O−エチルキサントゲン酸カリウム(5.72g)を加えた。アルゴン下で一晩撹拌後、該混合物を濃縮し、酢酸エチルで希釈し、シリカゲルの短カラムを通してろ過した。溶離液を濃縮し、残渣をシリカゲル上クロマトグラフィーにより1:4のEtOAc/ヘキサンで溶離して精製し、2.0g(62%、2段階)の標記生成物23を得た。Rf=0.40(1:4 EtOAc/ヘキサン);
【0272】
【数17】
【0273】
MS:226.51(M+Na)+、242.51(M+K)+。
【0274】
R−(−)−4−メチルジチオ−ペンタン酸(24):R−4−O−エチルキサンチック−ペンタンニトリル(23、2.0g、9.85mmol)の、エタノール(10mL)と200mLの水の混合物中溶液を、NaOH(6.0g)で処理した。反応混合物をアルゴン下で一晩還流した。該混合物を水(150ml)で希釈し、1:1のEtOAc/ヘキサンで抽出した(2×100ml)。水性層をH3PO4でpH2.5〜3.0に酸性化し、EtOAcで抽出した(6×75ml)。有機層を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固して粗R−4−メルカプトペンタン酸を得た。この粗生成物をそれ以上精製せず次のステップにそのまま使用した。
【0275】
1.60gの粗R−4−メルカプトペンタン酸の、エタノール(50mL)と0.5M
NaH2PO4、pH7.0(75mL)の混合物中溶液に、乾燥THF(7mL)中メチルメタンチオールスルホネート(1.96g、15.53mmol)を0℃で45分間かけて滴下添加した。反応混合物をアルゴン下0℃で30分間、次いで室温で2時間撹拌した。該混合物を濃縮し、ジクロロメタンで抽出した(2×50ml)。水性層をH3PO4でpH2.5〜3.0に酸性化し、EtOAcで抽出した(4×100ml)。有機層を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィーで1:100:400のHOAc/EtOAc/ヘキサンで溶離して精製し、1.65g(93%)の標記生成物24を得た。Rf=0.32(1:100:400 HOAc/EtOAc/ヘキサン);
【0276】
【数18】
【0277】
MS:202.9(M+Na)+、203.9(M+1+Na)+;[α]=−39.16(c=2、CH3OH)。
【0278】
N−メチル−N−[4−(R)−メチルジチオ−1−オキソペンチル]−S−アラニン(15b):R−(+)−4−メチルジチオ−ペンタン酸(24)を化合物14で前述した方法によってN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル25に転化した。化合物15で前述した手順によってN−メチル−L−アラニンとの反応により15bを得た。
MS:m/z(M+Na):理論値:288.1、実測値:288.1
N2’−デアセチル−N2’−(4−(R)−メチルジチオ−1−オキソペンチル)メイタンシン(DM3−SMe、4k、l):4cの合成で前述したようにメイタンシノール(11)をジクロロメタン中のDCCと塩化亜鉛を用いて15bと結合させた。N−メチル−S−アラニル部分(4k、S,R)及びN−メチル−R−アラニル部分(4l、R,R)を持つ2種類のジアステレオマー混合物を得た。該ジアステレオマーをKromasilシアノカラム(4.6mm×250mm)上HPLCで、ヘキサン:酢酸エチル:2−プロパノール(68:24:8、v/v/v)による無勾配溶離を用い、流速1mL/分で分離した。これらの条件下で、異性体4k(S,R)は23.9分で溶離した。質量スペクトル:m/z 834.2(M+Na)+。他の異性体4l(R,R)のピークはよく分離し、33.7分で溶離した。MS:m/z 834.2(M+Na)+。
【0279】
実施例5a
メイタンシノイド及び抗体−メイタンシノイド複合体のインビトロ細胞毒性
KB(ATCC CCI−17)細胞株はヒト上皮由来である。SK−BR−3(ATCC HTB−30)細胞株はヒト乳腺がんから樹立された。ヒト結腸腫瘍細胞株COLO 205(ATCC CCL−222)及びHT−29(ATCC HTB 38)、ヒト黒色腫細胞株A−375(ATCC CRL 1619)、ヒトバーキットリンパ腫細胞株Ramos(ATCC CRL−1596)及びヒト骨髄性白血病細胞株HL−60(ATCC CL−240)は全てメリーランド州のATCCから入手した。細胞株は、10%ウシ胎仔血清(Hyclone、ユタ州ローガン)及び50μg/mLの硫酸ゲンタマイシン(Life Technologies、メリーランド州ロックビル)を補給したL−グルタミン入りダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Biowhittaker、メリーランド州ウォーカーズビル)中で成長させた。細胞は、6%CO2を含有する加湿雰囲気下36〜37.5℃で維持された。
【0280】
実施された細胞毒性試験はクローン原性アッセイを使用した。試験細胞株を6穴培養皿にウェル当たり1000細胞の定数で播き、平板培養した。細胞は、様々な濃度(0〜3nM)の各種メイタンシノイド(遊離又は抗体との複合体)と共に72時間インキュベートした。次に培地をプレートから吸引し新鮮な培地と取り替えた。培養物を播種後合計7〜10日間成長及びコロニー形成させた。次に培養物を固定し、10%ホルマリン/PBS中0.2%のクリスタルバイオレットで染色し、コロニーを計数した。非処理細胞(培地のみ)のコロニー形成率は、計数したコロニー数を播種した細胞数で割って決定した。薬物に暴露された細胞の生存画分は、薬物に暴露されたウェル中のコロニー数を対照ウェル中のコロニー数で割って決定した。
【0281】
本発明の新規メイタンシノイドのインビトロ細胞毒性測定結果を図4に示す。障害されたジスルフィド結合を持つ新規メイタンシノイド4c、eは、試験した細胞株SK−BR−3及びA−375の両方に対して非常に細胞毒性が高く、IC50値が7×10−12M〜2.5×10−11Mの範囲である。このように、ジスルフィド部分を持つ炭素上へのアルキル置換基の組込みは高い細胞毒性能を保存する。本発明の立体障害されたチオール含有メイタンシノイド4aは、従前の対応する非障害メイタンシノイド1よりも30〜50倍強力である。従って、チオール部分を持つ炭素上へのアルキル置換基の組込みは効力を大きく増強する。
【0282】
本発明のメイタンシノイドの抗体複合体のインビトロ試験の結果を図4c及び4dに示
す。2つの新規メイタンシノイド4a又は4bとヒト結腸腫瘍に指向するhuC242抗体との連結は、標的細胞の抗原特異的殺滅をもたらした。このように、複合体は抗原陽性COLO 205細胞に対して非常に効力が高く、IC50値が1.1〜1.3×10−11Mの範囲である。これに対し、複合体は抗原陰性A−375細胞に対しては100〜200倍も細胞毒性が弱く、本発明の新規メイタンシノイドは、立体障害されたジスルフィド結合を有し、高い標的特異的細胞毒性を示す複合体を製造することを示している。
【0283】
実施例5b
メイタンシノイド4a又は4bを用いるhuC242抗体の細胞毒性複合体の製造(方法A、図5a、b)
huC242抗体(8mg/mL)の水性緩衝液(50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウム、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩)(pH6.5)中溶液を、7〜10倍モル過剰SPDP[スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、3a]、又はN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB、3b)と共に2時間インキュベートした。反応混合物をSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製した。抗体濃度は、抗体の公知吸光係数ε280nm=217,560M−1cm−1を用いて吸光光度法的に決定した。
【0284】
修飾抗体を水性緩衝液(50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウム、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩)(pH6.5)中で2.5mg/mLに希釈し、次いで1.5〜2.5モル過剰のジメチルアセトアミド中DM3又はDM4のいずれかで処理した(DMAの最終濃度3%v/v)。反応混合物を室温で18時間インキュベートした。反応混合物をSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製した。複合体濃度は、抗体ε280nm=217,560M−1cm−1及びε252nm=80,062M−1cm−1;DM3又はDM4、ε280nm=5,700M−1cm−1及びε252nm=26,790M−1cm−1の公知吸光係数を用いて吸光光度法的に決定した。得られた複合体はモノマー性で、抗体1分子当たり平均3.2〜3.5個のDM3又はDM4分子を含有していた。
【0285】
実施例5c
メイタンシノイド4a又は4bを用いるhuC242抗体の細胞毒性複合体の製造(方法B、図5c)
huC242抗体(8mg/mL)の水性緩衝液(50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウム、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩)(pH6.5)中溶液を、7〜10倍モル過剰SMCC[スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート、26]と共に2時間インキュベートした。反応混合物をSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製した。抗体濃度は、抗体の公知吸光係数ε280nm=217,560M−1cm−1を用いて吸光光度法的に決定した。
【0286】
修飾抗体を水性緩衝液(50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウム、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩)(pH6.5)中で2.5mg/mLに希釈し、次いで1.5〜2.5モル過剰のジメチルアセトアミド中DM3又はDM4のいずれかで処理した(DMAの最終濃度3%v/v)。反応混合物を室温で18時間インキュベートした。反応混合物をSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製した。複合体濃度は、公知吸光係数(抗体ε280nm=217,560M−1cm−1及びε252nm=80,062M−1cm−1;DM3又はDM4、ε280nm=5,700M−1cm−1及びε252nm=26,790M−1cm−1)を用いて吸光光度法的に決定した。得られた複合体はモノマー性で、抗体1分子当たり平均3.2〜3.5個のDM3又はDM4分子を含有していた。
【0287】
実施例5d
メイタンシノイド4a又は4bを用いるhuC242抗体の細胞毒性複合体の製造(方法C、図5d)
huC242抗体(8mg/mL)の水性緩衝液(50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウム、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩)(pH6.5)中溶液を、7〜10倍モル過剰SIAB[N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、27]と共に2時間インキュベートした。反応混合物をSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製した。抗体濃度は、抗体の公知吸光係数ε280nm=217,560M−1cm−1を用いて吸光光度法的に決定した。
【0288】
実施例6
huC242−メイタンシノイド複合体のHT−29異種移植片に対するインビボ効能
5週齢の雌SCIDマウス(20匹)の右脇腹に、0.1mLの無血清培地中HT−29ヒト結腸がん細胞(1.5×106細胞/マウス)を皮下接種した。腫瘍を11日間成長させ、平均サイズ100mm3にした。次に動物を無作為に4群に分けた(各群5匹)。第一の群はhuC242−DM1複合体(DM1の用量75μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第二の群はhuC242−DM3複合体(DM3の用量75μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第三の群はhuC242−DM4複合体(DM4の用量75μg/kg、qd×5)を受けたが、第四の群の動物は対照として働き、1〜3群と同じ処置スケジュールでPBSを投与された。
【0289】
腫瘍サイズは週2回測定し、腫瘍容積は、式:腫瘍容積=1/2(長さ×幅×高さ)を用いて算出した。動物の体重も週2回測定した。結果を図7に示す。対照群のマウスの腫瘍は35日間で約1000mm3のサイズに成長した。huC242−DM1による処置では、腫瘍成長が18日間遅延したが、本発明のメイタンシノイド4a及び4bで製造した複合体は著しく有効で、それぞれ腫瘍成長遅延を28日間及び36日間に延長した。
【0290】
実施例7
huC242−メイタンシノイド複合体のCOLO 205異種移植片に対するインビボ効能
5週齢の雌SCIDマウス(20匹)の右脇腹に、0.1mLの無血清培地中COLO
205ヒト結腸がん細胞(1.5×106細胞/マウス)を皮下接種した。腫瘍を11日間成長させ、平均サイズ100mm3にした。次に動物を無作為に4群に分けた(各群5匹)。第一の群はhuC242−DM1複合体(DM1の用量75μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第二の群はhuC242−DM3複合体(DM3の用量75μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第三の群はhuC242−DM4複合体(DM4の用量75μg/kg、qd×5)を受けたが、第四の群の動物は対照として働き、1〜3群と同じ処置スケジュールでPBSを投与された。
【0291】
腫瘍サイズは週2回測定し、腫瘍容積は、式:腫瘍容積=1/2(長さ×幅×高さ)を用いて算出した。動物の体重も週2回測定した。結果を図8に示す。対照群のマウスの腫瘍は24日間で約900mm3のサイズに成長した。huC242−DM1による処置では、腫瘍成長が20日間遅延したが、本発明のメイタンシノイド4aで製造した複合体はかなり有効で、45日間持続する完全腫瘍退縮をもたらした。本発明のメイタンシノイド4bで製造した複合体による処置はなおさらに有効で、処置動物全ての治癒をもたらした。
【0292】
実施例8
MY9−6−メイタンシノイド複合体のHL−60異種移植片に対するインビボ効能
5週齢の雌SCIDマウス(20匹)の右脇腹に、0.1mLの無血清培地中HL−60ヒト骨髄性白血病細胞(1.5×106細胞/マウス)を皮下接種した。腫瘍を12日間成長させ、平均サイズ100mm3にした。次に動物を無作為に4群に分けた(各群5匹)。第一の群はMY9−6−DM1複合体(DM1の用量200μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第二の群はMY9−6−DM3複合体(DM3の用量200μg/kg、qd×5)を静脈内投与された。第三の群はMY9−6−DM4複合体(DM4の用量200μg/kg、qd×5)を静脈内投与されたが、第四の群の動物は対照として働き、1〜3群と同じ処置スケジュールでPBSを投与された。
【0293】
腫瘍サイズは週2回測定し、腫瘍容積は、式:腫瘍容積=1/2(長さ×幅×高さ)を用いて算出した。動物の体重も週2回測定した。結果を図9に示す。対照群のマウスの腫瘍は迅速に成長し21日間で約1600mm3のサイズになった。MY9−6−DM1による処置では、腫瘍成長が5日間遅延したが、本発明のメイタンシノイド4a及び4bで製造した複合体は著しく有効で、腫瘍成長遅延を20日間以上に延長した。
【0294】
実施例9
メイタンシノイドDM4(4b)を用いるhuMy9−6抗体の細胞毒性複合体の製造
8mg/mLの濃度のhuMy9−6抗体の溶液を、6.5モル過剰SSNPB[スルホスクシンイミジル4−(5’−ニトロ−2’−ピリジルジチオ)ブチレート]と、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸(緩衝液A)と5%エタノールを含有する50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)中で2時間インキュベートした。修飾抗体を緩衝液A中で平衡化したSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製し、精製抗体の濃度を、280nmにおける抗体の吸光係数を用いて吸光光度法的に決定した。修飾抗体を緩衝液Aで4.9mg/mLに希釈し、1.7倍モル過剰のDM4と室温で18時間インキュベートした。DM4はジメチルアセトアミド中のストック溶液として反応混合物に加えた(ジメチルアセトアミドの最終濃度3%v/v)。抗体−薬物複合体をPBS(pH6.5)中で平衡化したSephadex G25カラムを通過させて精製した。複合体濃度は、抗体とDM4の公知吸光係数(抗体、ε280nm=206,460M−1cm−1、ε252nm=72,261M−1cm−1;DM4、ε280nm=5,700M−1cm−1、ε252nm=26,790M−1cm−1)を用いて吸光光度法的に決定した。得られた抗体−薬物複合体は、抗体1分子当たり平均3.6個のDM4分子を含有していた。生化学的分析から、抗体は複合体化後94%以上モノマーのままであり、フローサイトメトリーによる測定で非修飾抗体に匹敵する結合親和性を有していることが示された。共有結合的に連結されていない抗体を伴う薬物(遊離薬物)の量をHPLC分析で測定したところ、全連結薬物の1%未満であることが分かった。
【0295】
実施例10
huMy9−6−DM4複合体のインビトロ選択性及び効能
huMy9−6−DM4の、CD33発現細胞(HL−60)及びCD33陰性Namalwa細胞に対する細胞毒性をクローン原性アッセイ、すなわち殺細胞活性を処置後成長できるコロニー数の定量化によって決定するアッセイを用いて試験した。huMy9−6−DM4は、CD−33陽性HL−60ヒト腫瘍細胞に対してインビトロで強力な殺細胞活性を示す(図10)。CD33陰性ヒトNamalwa細胞に対する著しい細胞毒性は観察されず、CD33依存性細胞毒性は、抗CD33抗体すなわち複合体のhuMy9−6による特異的な標的化によるものであることを示していた。
【0296】
実施例11
huMy9−6−DM4複合体の、SCIDマウスにおけるHL60ヒト腫瘍異種移植片に対するインビボ効能
インビボにおけるhuMy9−6−DM4の効能を、ヒトHL−60腫瘍異種移植片を
持つSCIDマウスで測定した。HL−60細胞を皮下注射し、腫瘍を平均サイズ100mm3に成長させた。huMy9−6−DM4複合体を1日1回5日間、図11に示した用量で静脈内投与した。用量は複合体中のμgDM4として表されている。これは1μgのDM4当たり抗体約67μgの抗体用量に対応する。腫瘍容積は治療効果の目安として測定され、マウスの体重は治療による毒性を示すためにモニタされた。huMy9−6−DM4は、ヒトHL−60細胞異種移植片の腫瘍成長遅延の延長を、ほとんど毒性を起こさない用量で誘導した(図11)。huMy9−6−DM4の効能をhuMy9−6−DM1のそれとも比較した。思いがけずhuMy9−6−DM4はhuMy9−6−DM1より効果的であることが分かった。huMy9−6−DM4は動物を完全寛解(CR)の状態に約60日間保ったが、huMy9−6−DM1で処置された動物は約20日間のCRの後再発した。
【0297】
実施例12
メイタンシノイドDM4(4b)を用いるhuB4抗体の細胞毒性複合体の製造
20mg/mLの濃度のhuB4抗体の溶液を、8倍モル過剰のSSNPB[スルホスクシンイミジル4−(5’−ニトロ−2’−ピリジルジチオ)ブチレート]と、2mMのエチレンジアミンテトラ酢酸(緩衝液A)と5%ジメチルアセトアミドを含有する50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)中で1.5時間インキュベートした。修飾抗体を緩衝液A中で平衡化したSephadex G25ゲルろ過カラムを通過させて精製し、精製抗体の濃度を、280nmにおける抗体の吸光係数(199,560M−1cm−1)を用いて吸光光度法的に決定した。修飾抗体を緩衝液Aで8mg/mLに希釈し、1.7倍モル過剰のDM4と周囲温度で3時間インキュベートした。DM4はジメチルアセトアミド中のストック溶液として反応混合物に加えた(ジメチルアセトアミドの最終濃度3%v/v)。抗体−薬物複合体を、Sephadex G25カラム及びSephadex S300{いずれもPBS緩衝液(pH6.5)中で平衡化}を通過させて精製した。複合体濃度は、抗体(ε280nm:199,560M−1cm−1、ε252nm:67,850M−1cm−1)及びDM4(ε280nm=5,700M−1cm−1、ε252nm=26,790M−1cm−1)の公知吸光係数を用いて吸光光度法的に決定した。得られた抗体−薬物複合体は、抗体1分子当たり平均4.0個のDM4分子を含有していた。生化学的分析から、抗体は複合体化後98%以上モノマーのままであり、フローサイトメトリーによる測定で非修飾抗体に匹敵する結合親和性を有していることが示された。共有結合的に連結されていない抗体を伴う薬物(遊離薬物)の量をHPLC分析で測定したところ、全連結薬物の約2%であることが分かった。
【0298】
実施例13
huB4−DM4複合体のインビトロ選択性及び効能
huB4−DM4の、CD19陰性細胞株(Colo 205)と比較したCD19発現細胞(Ramos)に対する細胞毒性をMTTアッセイ、すなわち殺細胞活性を、複合体による処置後に残存する生細胞数を定量化することによって決定するアッセイを用いて試験した。生細胞数は、細胞を生体染料のMTTとインキュベートした後、吸光光度定量によって測定する。huB4−DM4は、CD19陽性Ramosヒト腫瘍細胞に対してインビトロで強力な殺細胞活性を示す(図12)。CD19陰性細胞に対する著しい細胞毒性は観察されず、CD19依存性細胞毒性は、抗CD19抗体すなわちhuB4による特異的な標的化によるものであることを示していた。
【0299】
実施例14
huB4−DM4複合体の、SCIDマウスにおけるRamosヒト腫瘍異種移植片に対するインビボ効能
インビボにおけるhuB−DM4の効能を、樹立されたヒトRamos腫瘍異種移植片を持つSCIDマウスを用いて測定した。Ramos細胞を皮下注射し、腫瘍を平均サイ
ズ100mm3に成長させた。huB4−DM4複合体を図13aに示した用量で1回注射として静脈内投与した。用量は複合体中のμgDM4として表されている。これは1μgのDM4当たり抗体約44μgの抗体用量に対応する。治療効果の目安として腫瘍容積を測定し、治療による毒性を示すためにマウスの体重をモニタした。50μg/kgを超える用量でhuB4−DM4は、全ての動物で腫瘍の完全退縮をもたらす。100mg/kg処置群では約35日間、二つの高用量群では55日間を超えても動物に測定可能な疾患は見られないままである。これらの処置は、処置動物の体重変化で判断する限り、あったとしても極めて少ない毒性しか起こさなかった(図13b)。
【図面の簡単な説明】
【0300】
【図1】従前のメイタンシノイドの構造を示す図である。
【図2】本発明のいくつかのメイタンシノイドの構造を示す図である。
【図3a】本発明の代表的メイタンシノイドの合成スキームを示す図である。
【図3b】本発明の代表的メイタンシノイドの合成スキームを示す図である。
【図3c】本発明の代表的メイタンシノイドの合成スキームを示す図である。
【図3d】本発明の代表的メイタンシノイドの合成スキームを示す図である。
【図4a】本発明の新規メイタンシノイドのインビトロ効力を示すグラフである。
【図4b】本発明の新規メイタンシノイドのインビトロ効力を示すグラフである。
【図4c】本発明の新規メイタンシノイドのインビトロ効力を従前のものと比較するグラフである。
【図4d】本発明の新規メイタンシノイドのインビトロ効力を従前のものと比較するグラフである。
【図5a】細胞結合剤と本発明のメイタンシノイドとの複合体の製造スキームを示す図である。
【図5b】細胞結合剤と本発明のメイタンシノイドとの複合体の製造スキームを示す図である。
【図5c】細胞結合剤と本発明のメイタンシノイドとの複合体の製造スキームを示す図である。
【図5d】細胞結合剤と本発明のメイタンシノイドとの複合体の製造スキームを示す図である。
【図6】本発明の細胞結合剤−メイタンシノイド複合体のインビトロ効力を示すグラフである。
【図7】HT−29ヒト結腸腫瘍異種移植片に対する、本発明のhuC242−メイタンシノイドのインビボ抗腫瘍効果を従前のメイタンシノイドのhuC242複合体と比較したグラフである。
【図8】COLO 205ヒト結腸腫瘍異種移植片に対する、本発明のhuC242−メイタンシノイドのインビボ抗腫瘍効果を従前のメイタンシノイドのhuC242複合体と比較したグラフである。
【図9】HL60前骨髄球骨髄性白血病異種移植片に対する、本発明のMY9−6−メイタンシノイドのインビボ抗腫瘍効果を従前のメイタンシノイドのMY9−6複合体と比較したグラフである。
【図10】複合体huMy9−6−DM4の、標的HL−60細胞及び非標的Namalwa細胞に対するインビトロ細胞毒性評価の結果を示すグラフである。
【図11】SCIDマウスにおけるヒトHL−60異種移植片腫瘍に対する複合体huMy9−6−DM4のインビボ効能の評価と、従前のメイタンシノイドのhuMy9−6複合体(huMy9−6−DM1)のそれとの比較を示すグラフである。
【図12】複合体huB4−DM4の、標的Ramos細胞及び非標的Colo 205細胞に対するインビトロ細胞毒性評価の結果を示すグラフである。
【図13a】SCIDマウスにおけるヒトRamos異種移植片腫瘍に対する複合体huB4−DM4のインビボ効能の評価を示すグラフである。
【図13b】試験期間中の動物の体重変化を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルに、障害されたスルフヒドリル基を持つアシル基でアシル化されたアミノ酸側鎖を有するメイタンシノイドであって、チオール官能基を持つ前記アシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに前記置換基の一つはHであってもよく、そして前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有するメイタンシノイド。
【請求項2】
式4’:
【化1】
[式中、
Y’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、Dは、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアル
キルラジカルである]で表される化合物。
【請求項3】
R1がHであり、R2がメチルであり、ZがHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R1及びR2がメチルであり、ZがHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
R1がHであり、R2がメチルであり、Zが−SCH3である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
R1及びR2がメチルであり、Zが−SCH3である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
式(I−L)、(I−D)、又は(I−D,L):
【化2】
[式中、
Yは、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル、分枝アルキル又は環状アルキル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]で表される化合物。
【請求項8】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、ZがHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、ZがHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である、請求項7に記載
の化合物。
【請求項11】
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
化合物が式(I−L)で表される、請求項11又は12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
式4:
【化3】
[式中、
Yは、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]で表される化合物。
【請求項14】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、ZがHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、ZがHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である、請求項13に記
載の化合物。
【請求項17】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である、請求項13に記載の化合物。
【請求項18】
細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体であって、前記細胞結合剤は、前記メイタンシノイドのC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに見られるアシル化アミノ酸側鎖のアシル基上に存在するチオール又はジスルフィド官能基を用いてメイタンシノイドに連結されており、前記アシル化アミノ酸側鎖のアシル基は、そのチオール又はジスルフィド官能基を1又は2個の置換基を有する炭素原子上に有しており、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに置換基の一つはHであってもよく、そして前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有する、メイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項19】
細胞結合剤が少なくとも一つの抗体結合部位を含む、請求項18に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項20】
抗体が、MY9、抗B4又はC242である、請求項19に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項21】
抗体が、ヒト化又はリサーフェス化MY9、ヒト化又はリサーフェス化抗B4、又はヒト化又はリサーフェス化C242である、請求項19に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項22】
メイタンシノイドが、式41’:
【化4】
[式中、
Y1’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2S−を表し、式中、
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくは
ヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でない]で表されるメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項23】
R1がHであり、R2がメチルである、請求項22に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項24】
R1及びR2がメチルである、請求項22に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項25】
細胞結合剤が少なくとも一つの抗体結合部位を含む、請求項22、23又は24のいずれか1項に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項26】
抗体が、MY9、抗B4又はC242である、請求項25に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項27】
抗体が、ヒト化又はリサーフェス化MY9、ヒト化又はリサーフェス化抗B4、又はヒト化又はリサーフェス化C242である、請求項25に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項28】
細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体であって、メイタンシノイドは、式(II−L)、(II−D)、又は(II−D,L):
【化5】
[式中、
Y1は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2S−を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく
;そして
Mayは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]で表されるメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項29】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である、請求項28に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項30】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmが1であり;nが0である、請求項28に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項31】
メイタンシノイドが式(II−L)で表される、請求項28に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項32】
メイタンシノイドが式(II−L)で表される、請求項29に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項33】
メイタンシノイドが式(II−L)で表される、請求項30に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項34】
細胞結合剤が少なくとも一つの抗体結合部位を含む、請求項28〜32又は33のいずれか1項に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項35】
抗体が、MY9、抗B4又はC242である、請求項34に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項36】
抗体が、ヒト化又はリサーフェス化MY9、ヒト化又はリサーフェス化抗B4、又はヒト化又はリサーフェス化C242である、請求項34に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項37】
メイタンシノイドが、式41:
【化6】
[式中、
Y1は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2S−を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよい]で表されるメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項38】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である、請求項37に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項39】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmが1であり;nが0である、請求項37に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項40】
細胞結合剤が少なくとも一つの抗体結合部位を含む、請求項37、38又は39のいずれか1項に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項41】
抗体が、MY9、抗B4又はC242である、請求項40に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項42】
抗体が、ヒト化又はリサーフェス化MY9、ヒト化又はリサーフェス化抗B4、又はヒト化又はリサーフェス化C242である、請求項40に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項43】
請求項18〜24、28〜33、37、38又は39のいずれか1項に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項44】
請求項25に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項45】
請求項26に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項46】
請求項27に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項47】
請求項34に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項48】
請求項35に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しう
る塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項49】
請求項36に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項50】
請求項40に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項51】
請求項41に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項52】
請求項42に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項53】
メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルの位置で、アシル化アミノ酸でエステル化する方法であって、アシル基は保護されたスルフヒドリル基を持ち、保護スルフヒドリル基を持つアシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに置換基の一つはHであってもよく、そして前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有し、前記方法は、メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルの位置でアシル化アミノ酸(アシル基は保護されたスルフヒドリル基を持つ)と反応させることを含む方法。
【請求項54】
式42’:
【化7】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、
式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法であって、前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【化8】
をC−3の位置で、式(III’−L)、(III’−D)、又は(III’−D,L):
【化9】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシ
クロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【請求項55】
式(I)の化合物が式(I−L)で表される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
R1がHであり、R2がメチルである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
式(IV−L)、(IV−D)、又は(IV−D,L):
【化10】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayはメイタンシノイドである]で表されるメイタンシノイドエステルを製造するためのメイタンシノイドのエステル化法であって、前記方法は、前記メイタンシノイドを、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチ
ルの位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【化11】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【請求項58】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
式(I)の化合物が式(I−L)で表される、請求項58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記式(III−L)の化合物が、化合物15a(S,S)、15b(S,R)又は15
a(S,S)と15b(S,R)の混合物である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記式(III−D)の化合物が、化合物15(R,S)、15(R,R)、又は15(
R,S)と15(R,R)の混合物である、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記式(III−D,L)の化合物が、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基
でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンであり、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記15a(S,S)と15b(S,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記化合物15a(S,S)が、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法によって製造される、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記化合物15b(S,R)が、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法によって製造される、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造されうる、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化された前記ラセミ体のN−メチルアラニンが、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化された前記ラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
R1及びR2がメチルであり;R3、R4、R5、及びR6がそれぞれHであり;l及びmが1であり;nが0である、請求項56に記載の方法。
【請求項69】
前記式(III−L)の化合物が、N−メチル−L−アラニンを含有する化合物10であ
る、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記式(III−D)の化合物が、N−メチル−D−アラニンを含有する化合物10であ
る、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記式(III−D,L)の化合物が、ラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物
10である、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10が、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10を得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項69、70又は71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
ジアステレオマーが存在する場合それを分離し、そしてシアノ結合シリカ上のHPLCによってメイタンシノイドを精製することをさらに含む、請求項57、58、59又は60のいずれか1項に記載の方法によるメイタンシノイドの製造法。
【請求項74】
請求項73に記載の方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして前記精製メイタンシノイドを、反応性ジチオ基又はスルフヒドリル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【請求項75】
反応性ジチオ基がジチオピリジル基又は置換ジチオピリジル基である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
請求項72に記載の方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして前記精製メイタンシノイドを、マレイミド基又はハロアセチル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【請求項77】
式42:
【化12】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2
を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法であって、前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【化13】
をC−3の位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【化14】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【請求項78】
式(I)の化合物が式(I−L)で表される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記式(III−L)の化合物が、化合物15a(S,S)、15b(S,R)又は15
a(S,S)と15b(S,R)の混合物である、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記式(III−D)の化合物が、化合物15(R,S)、15(R,R)、又は15(
R,S)と15(R,R)の混合物である、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記式(III−D,L)の化合物が、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基
でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンであり、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである、請求項77に記載の方法。
【請求項83】
前記15a(S,S)と15b(S,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(14)に転化し;そして
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記化合物15a(S,S)が、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法によって製造される、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記化合物15b(S,R)が、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法によって製造される、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応
させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造されうる、請求項81に記載の方法。
【請求項87】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化された前記ラセミ体のN−メチルアラニンが、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化された前記ラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項82に記載の方法。
【請求項88】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり;l及びmが1であり;nが0である、請求項77に記載の方法。
【請求項89】
前記式(III−L)の化合物が、N−メチル−L−アラニンを含有する化合物10であ
る、請求項77に記載の方法。
【請求項90】
前記式(III−D)の化合物が、N−メチル−D−アラニンを含有する化合物10であ
る、請求項77に記載の方法。
【請求項91】
前記式(III−D,L)の化合物が、ラセミ体のN−メチル−アラニンを含有する化合
物10である、請求項77に記載の方法。
【請求項92】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10が、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10を得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項89、90又は91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
ジアステレオマーが存在する場合それを分離し、そしてシアノ結合シリカ上のHPLCによってメイタンシノイドを精製することをさらに含む、請求項77、79又は88のいずれか1項に記載のメイタンシノイドの製造法。
【請求項94】
請求項93に記載の方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして前記精製メイタンシノイドを、反応性ジチオ基又はスルフヒドリル基を含む細胞結合剤と反応させるこ
とを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【請求項95】
反応性ジチオ基がジチオピリジル基又は置換ジチオピリジル基である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
請求項93に記載の方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして前記精製メイタンシノイドを、マレイミド又はハロアセチル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【請求項97】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項18〜24、28〜33、37、38又は39のいずれか1項に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項98】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項25に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項99】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項26に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項100】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項27に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項101】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項34に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項102】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項35に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項103】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項36に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項104】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項40に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項105】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項41に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項106】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項42に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項107】
式III:
【化15】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル、分枝アルキル又は環状アルキル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物。
【請求項108】
化合物10(S)、10(R)又はラセミ体10。
【請求項109】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10の製造法であって、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10を得る
ことを含む方法。
【請求項110】
化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物。
【請求項111】
化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物の製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(14)に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含む方法。
【請求項112】
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物。
【請求項113】
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物の製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含む方法。
【請求項114】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基でアシル化され、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである、ラセミ体のN−メチルアラニン。
【請求項115】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンの製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化された前記ラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含む方法。
【請求項116】
化合物15a(S,S)。
【請求項117】
化合物15a(S,S)の製造法であって、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法。
【請求項118】
化合物15b(S,R)。
【請求項119】
化合物15b(S,R)の製造法であって、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法。
【請求項120】
有効量の請求項2、8、13又は108のいずれか1項に記載の化合物、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項121】
抗体をさらに含む、請求項120に記載の医薬組成物。
【請求項122】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項18〜24、28〜33、37〜40又は41のいずれか1項に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項123】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項25に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項124】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項26に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項125】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項27に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項126】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項34に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項127】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項35に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項128】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項36に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項129】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項42に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項130】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項43に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項131】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項44に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項1】
C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチルに、障害されたスルフヒドリル基を持つアシル基でアシル化されたアミノ酸側鎖を有するメイタンシノイドであって、チオール官能基を持つ前記アシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに前記置換基の一つはHであってもよく、そして前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有するメイタンシノイド。
【請求項2】
式4’:
【化1】
[式中、
Y’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、Dは、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアル
キルラジカルである]で表される化合物。
【請求項3】
R1がHであり、R2がメチルであり、ZがHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R1及びR2がメチルであり、ZがHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
R1がHであり、R2がメチルであり、Zが−SCH3である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
R1及びR2がメチルであり、Zが−SCH3である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
式(I−L)、(I−D)、又は(I−D,L):
【化2】
[式中、
Yは、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル、分枝アルキル又は環状アルキル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]で表される化合物。
【請求項8】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、ZがHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、ZがHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である、請求項7に記載
の化合物。
【請求項11】
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
化合物が式(I−L)で表される、請求項11又は12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
式4:
【化3】
[式中、
Yは、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZを表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Zは、H、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]で表される化合物。
【請求項14】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、ZがHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
R1及びR2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、ZがHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり、l及びmがそれぞれ1であり、nが0であり、Zが−SCH3である、請求項13に記
載の化合物。
【請求項17】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7、R8がそれぞれHであり、l及びmが1であり、nが0であり、Zが−SCH3である、請求項13に記載の化合物。
【請求項18】
細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体であって、前記細胞結合剤は、前記メイタンシノイドのC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに見られるアシル化アミノ酸側鎖のアシル基上に存在するチオール又はジスルフィド官能基を用いてメイタンシノイドに連結されており、前記アシル化アミノ酸側鎖のアシル基は、そのチオール又はジスルフィド官能基を1又は2個の置換基を有する炭素原子上に有しており、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに置換基の一つはHであってもよく、そして前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有する、メイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項19】
細胞結合剤が少なくとも一つの抗体結合部位を含む、請求項18に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項20】
抗体が、MY9、抗B4又はC242である、請求項19に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項21】
抗体が、ヒト化又はリサーフェス化MY9、ヒト化又はリサーフェス化抗B4、又はヒト化又はリサーフェス化C242である、請求項19に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項22】
メイタンシノイドが、式41’:
【化4】
[式中、
Y1’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2S−を表し、式中、
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくは
ヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でない]で表されるメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項23】
R1がHであり、R2がメチルである、請求項22に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項24】
R1及びR2がメチルである、請求項22に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項25】
細胞結合剤が少なくとも一つの抗体結合部位を含む、請求項22、23又は24のいずれか1項に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項26】
抗体が、MY9、抗B4又はC242である、請求項25に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項27】
抗体が、ヒト化又はリサーフェス化MY9、ヒト化又はリサーフェス化抗B4、又はヒト化又はリサーフェス化C242である、請求項25に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項28】
細胞結合剤に連結された少なくとも一つのメイタンシノイドを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体であって、メイタンシノイドは、式(II−L)、(II−D)、又は(II−D,L):
【化5】
[式中、
Y1は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2S−を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく
;そして
Mayは、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]で表されるメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項29】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である、請求項28に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項30】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmが1であり;nが0である、請求項28に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項31】
メイタンシノイドが式(II−L)で表される、請求項28に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項32】
メイタンシノイドが式(II−L)で表される、請求項29に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項33】
メイタンシノイドが式(II−L)で表される、請求項30に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項34】
細胞結合剤が少なくとも一つの抗体結合部位を含む、請求項28〜32又は33のいずれか1項に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項35】
抗体が、MY9、抗B4又はC242である、請求項34に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項36】
抗体が、ヒト化又はリサーフェス化MY9、ヒト化又はリサーフェス化抗B4、又はヒト化又はリサーフェス化C242である、請求項34に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項37】
メイタンシノイドが、式41:
【化6】
[式中、
Y1は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2S−を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよい]で表されるメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項38】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である、請求項37に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項39】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7及びR8がそれぞれHであり;l及びmが1であり;nが0である、請求項37に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項40】
細胞結合剤が少なくとも一つの抗体結合部位を含む、請求項37、38又は39のいずれか1項に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項41】
抗体が、MY9、抗B4又はC242である、請求項40に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項42】
抗体が、ヒト化又はリサーフェス化MY9、ヒト化又はリサーフェス化抗B4、又はヒト化又はリサーフェス化C242である、請求項40に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤複合体。
【請求項43】
請求項18〜24、28〜33、37、38又は39のいずれか1項に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項44】
請求項25に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項45】
請求項26に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項46】
請求項27に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項47】
請求項34に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項48】
請求項35に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しう
る塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項49】
請求項36に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項50】
請求項40に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項51】
請求項41に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項52】
請求項42に記載の有効量のメイタンシノイド−細胞結合剤、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項53】
メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルの位置で、アシル化アミノ酸でエステル化する方法であって、アシル基は保護されたスルフヒドリル基を持ち、保護スルフヒドリル基を持つアシル基の炭素原子は1又は2個の置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらに置換基の一つはHであってもよく、そして前記アシル基はカルボニル官能基と硫黄原子との間に少なくとも3個の炭素原子の直鎖長を有し、前記方法は、メイタンシノイドをC−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ又はC−20のデスメチルの位置でアシル化アミノ酸(アシル基は保護されたスルフヒドリル基を持つ)と反応させることを含む方法。
【請求項54】
式42’:
【化7】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、
式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法であって、前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【化8】
をC−3の位置で、式(III’−L)、(III’−D)、又は(III’−D,L):
【化9】
[式中、
Y2’は、
(CR7CR8)l(CR9=CR10)p(C≡C)qAr(CR5CR6)mDu(CR11=CR12)r(C≡C)sBt(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシ
クロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
A、B、及びDは、それぞれ独立して、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル、単純又は置換アリール、又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m、n、o、p、q、r、s、及びtは、それぞれ独立して0又は1〜5の整数であるが、ただしl、m、n、o、p、q、r、s及びtの少なくとも二つはいかなるときも0でなく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【請求項55】
式(I)の化合物が式(I−L)で表される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
R1がHであり、R2がメチルである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
式(IV−L)、(IV−D)、又は(IV−D,L):
【化10】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;そして
Mayはメイタンシノイドである]で表されるメイタンシノイドエステルを製造するためのメイタンシノイドのエステル化法であって、前記方法は、前記メイタンシノイドを、C−3、C−14のヒドロキシメチル、C−15のヒドロキシ、又はC−20のデスメチ
ルの位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【化11】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;そして
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【請求項58】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
式(I)の化合物が式(I−L)で表される、請求項58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記式(III−L)の化合物が、化合物15a(S,S)、15b(S,R)又は15
a(S,S)と15b(S,R)の混合物である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記式(III−D)の化合物が、化合物15(R,S)、15(R,R)、又は15(
R,S)と15(R,R)の混合物である、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記式(III−D,L)の化合物が、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基
でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンであり、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記15a(S,S)と15b(S,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記化合物15a(S,S)が、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法によって製造される、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記化合物15b(S,R)が、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法によって製造される、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造されうる、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化された前記ラセミ体のN−メチルアラニンが、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化された前記ラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
R1及びR2がメチルであり;R3、R4、R5、及びR6がそれぞれHであり;l及びmが1であり;nが0である、請求項56に記載の方法。
【請求項69】
前記式(III−L)の化合物が、N−メチル−L−アラニンを含有する化合物10であ
る、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記式(III−D)の化合物が、N−メチル−D−アラニンを含有する化合物10であ
る、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記式(III−D,L)の化合物が、ラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物
10である、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10が、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10を得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項69、70又は71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
ジアステレオマーが存在する場合それを分離し、そしてシアノ結合シリカ上のHPLCによってメイタンシノイドを精製することをさらに含む、請求項57、58、59又は60のいずれか1項に記載の方法によるメイタンシノイドの製造法。
【請求項74】
請求項73に記載の方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして前記精製メイタンシノイドを、反応性ジチオ基又はスルフヒドリル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【請求項75】
反応性ジチオ基がジチオピリジル基又は置換ジチオピリジル基である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
請求項72に記載の方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして前記精製メイタンシノイドを、マレイミド基又はハロアセチル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【請求項77】
式42:
【化12】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2
を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]のメイタンシノイドを得るためのメイタンシノールのエステル化法であって、前記方法は、構造11のメイタンシノール:
【化13】
をC−3の位置で、式(III−L)、(III−D)、又は(III−D,L):
【化14】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物と反応させることを含む方法。
【請求項78】
式(I)の化合物が式(I−L)で表される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
R1がHであり、R2がメチルであり、R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり;l及びmがそれぞれ1であり;nが0である、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記式(III−L)の化合物が、化合物15a(S,S)、15b(S,R)又は15
a(S,S)と15b(S,R)の混合物である、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記式(III−D)の化合物が、化合物15(R,S)、15(R,R)、又は15(
R,S)と15(R,R)の混合物である、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記式(III−D,L)の化合物が、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基
でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンであり、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである、請求項77に記載の方法。
【請求項83】
前記15a(S,S)と15b(S,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(14)に転化し;そして
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記化合物15a(S,S)が、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法によって製造される、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記化合物15b(S,R)が、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法によって製造される、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物が、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応
させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含むプロセスによって製造されうる、請求項81に記載の方法。
【請求項87】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化された前記ラセミ体のN−メチルアラニンが、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化された前記ラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項82に記載の方法。
【請求項88】
R1及びR2がメチルであり;R5、R6、R7、及びR8がそれぞれHであり;l及びmが1であり;nが0である、請求項77に記載の方法。
【請求項89】
前記式(III−L)の化合物が、N−メチル−L−アラニンを含有する化合物10であ
る、請求項77に記載の方法。
【請求項90】
前記式(III−D)の化合物が、N−メチル−D−アラニンを含有する化合物10であ
る、請求項77に記載の方法。
【請求項91】
前記式(III−D,L)の化合物が、ラセミ体のN−メチル−アラニンを含有する化合
物10である、請求項77に記載の方法。
【請求項92】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10が、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10を得る
ことを含むプロセスによって製造される、請求項89、90又は91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
ジアステレオマーが存在する場合それを分離し、そしてシアノ結合シリカ上のHPLCによってメイタンシノイドを精製することをさらに含む、請求項77、79又は88のいずれか1項に記載のメイタンシノイドの製造法。
【請求項94】
請求項93に記載の方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして前記精製メイタンシノイドを、反応性ジチオ基又はスルフヒドリル基を含む細胞結合剤と反応させるこ
とを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【請求項95】
反応性ジチオ基がジチオピリジル基又は置換ジチオピリジル基である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
請求項93に記載の方法によって精製メイタンシノイドを製造し、そして前記精製メイタンシノイドを、マレイミド又はハロアセチル基を含む細胞結合剤と反応させることを含むメイタンシノイド−細胞結合剤複合体の製造法。
【請求項97】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項18〜24、28〜33、37、38又は39のいずれか1項に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項98】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項25に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項99】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項26に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項100】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項27に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項101】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項34に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項102】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項35に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項103】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項36に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項104】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項40に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項105】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項41に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項106】
治療を必要とする患者に、有効量の請求項42に記載の複合体、又はその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を投与することを含む治療法。
【請求項107】
式III:
【化15】
[式中、
Y2は、(CR7CR8)l(CR5CR6)m(CR3CR4)nCR1R2SZ2を表し、式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり、さらにR2はHであってもよく;
R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、H、CH3、C2H5、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニル、3〜10個の炭素原子を有する分枝又は環状アルキル又はアルケニル、フェニル、置換フェニル又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルであり;
l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、さらにnは0であってもよく;
Z2は、SR又は−CORであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル、分枝アルキル又は環状アルキル、又は単純もしくは置換アリール又はヘテロサイクリック芳香族もしくはヘテロシクロアルキルラジカルである]の化合物。
【請求項108】
化合物10(S)、10(R)又はラセミ体10。
【請求項109】
N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する化合物10の製造法であって、
(1)イソブチレンスルフィド(5)をアセトニトリルのアニオンと反応させて化合物6を得;
(2)化合物6を加水分解して4−メルカプト−4−メチルペンタン酸(7)を得;
(3)化合物7をメチルメタンチオールスルホネートとの反応によってジスルフィド8に転化し;
(4)化合物8をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9に転化し;そして
(5)化合物9をN−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−D−アラニン、又はラセミ体のN−メチルアラニンを含有する前記化合物10を得る
ことを含む方法。
【請求項110】
化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物。
【請求項111】
化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物の製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(14)に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)と15b(S,R)の混合物を得る
ことを含む方法。
【請求項112】
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物。
【請求項113】
化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物の製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をN−メチル−D−アラニンと反応させて前記化合物15(R,S)と15(R,R)の混合物を得る
ことを含む方法。
【請求項114】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基でアシル化され、硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである、ラセミ体のN−メチルアラニン。
【請求項115】
保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化されたラセミ体のN−メチルアラニンの製造法であって、
(1)4−メルカプトペンタン酸(12)をメチルメタンチオールスルホネートと反応させて化合物13を得;
(2)化合物13をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル14に転化し;
(3)化合物14をラセミ体のN−メチルアラニンと反応させて、保護されたチオール官能基を持つカルボキシル基(硫黄原子を持つ炭素中心は構造15の化合物を得るためにラセミ体又はRもしくはSキラリティのいずれかである)でアシル化された前記ラセミ体のN−メチルアラニンを得る
ことを含む方法。
【請求項116】
化合物15a(S,S)。
【請求項117】
化合物15a(S,S)の製造法であって、
(1)(R)−1,3−ブタンジオールを(S)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸19に転化し;
(2)化合物19をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(20)に転化し;そして
(3)化合物20をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15a(S,S)を得る
ことを含む方法。
【請求項118】
化合物15b(S,R)。
【請求項119】
化合物15b(S,R)の製造法であって、
(1)(S)−1,3−ブタンジオールを(R)−4−(メチルジチオ)ペンタン酸24に転化し;
(2)化合物24をそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(25)に転化し;そして
(3)化合物25をN−メチル−L−アラニンと反応させて前記化合物15b(S,R)を得る
ことを含む方法。
【請求項120】
有効量の請求項2、8、13又は108のいずれか1項に記載の化合物、その製薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物、及び製薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項121】
抗体をさらに含む、請求項120に記載の医薬組成物。
【請求項122】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項18〜24、28〜33、37〜40又は41のいずれか1項に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項123】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項25に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項124】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項26に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項125】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項27に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項126】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項34に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項127】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項35に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項128】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項36に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項129】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項42に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項130】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項43に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【請求項131】
選択された細胞集団に細胞死を誘導する方法であって、標的細胞又は標的細胞を含有する組織を、有効量の請求項44に記載のメイタンシノイド−細胞結合剤、その塩又は溶媒和物に接触させることを含む方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【公開番号】特開2013−82733(P2013−82733A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−52(P2013−52)
【出願日】平成25年1月4日(2013.1.4)
【分割の表示】特願2006−532511(P2006−532511)の分割
【原出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【出願人】(504039155)イミュノジェン・インコーポレーテッド (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−52(P2013−52)
【出願日】平成25年1月4日(2013.1.4)
【分割の表示】特願2006−532511(P2006−532511)の分割
【原出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【出願人】(504039155)イミュノジェン・インコーポレーテッド (36)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]