説明

新規リン酸化検出方法

【課題】 ニトリロ三酢酸と鉄の錯体を用いたリン酸化ペプチドを検出する方法の提供。
【解決手段】 ニトリロ三酢酸(NTA)と鉄の錯体をリン酸化ペプチドと接触させることを含むペプチドのリン酸化を検出する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトリロ三酢酸(NTA)と鉄の錯体をリン酸化ペプチドに作用させてリン酸化を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リン酸化反応の検出には、放射性同位体32Pを用いたメンブレン法(非特許文献1参照)や蛍光標識ペプチドを用いた電気泳動法(非特許文献2〜4を参照)、ELISA法(非特許文献5〜7を参照)などが利用されてきた。メンブレン法は32Pで標識したATPを用いてリン酸化反応を行った後、基質タンパク質や基質ペプチドをホスホセルロース膜上に固定化し、シンチレーションカウンターを用いて計測する手法であり、感度の面で優れている。しかし、放射性同位体を用いるため相応の施設が必要、32P-ATPの半減期が短い、未反応ATPを除去するために煩雑な洗浄操作を必要とするといった欠点もある。電気泳動法はリン酸化によって基質ペプチドの荷電が変化するのを利用した手法で、リン酸化された蛍光標識ペプチドはアノード側へ、リン酸化されなかったペプチドはカソード側へ泳動する。その後、蛍光量を測定することで定量を行うが、この際、ゲルからバンドを切り出さなければならない。ELISA法は抗リン酸化抗体を用いてリン酸化ペプチドを検出する手法であり、シグナルが増幅されるため感度が高い。しかしメンブレン法と同様、煩雑な洗浄操作が必要となる。
【0003】
そこでより簡便でハイスループットなリン酸化検出システムの開発が進められている。Parkらはビオチンを導入したチロシンキナーゼの基質ペプチドを合成し、リン酸化反応を行った後、ユーロピウム錯体標識抗リン酸化チロシン抗体とXL665標識ストレプトアビジンを加え665 nmの時間分解蛍光を測定することでチロシンキナーゼ活性を評価している。
【0004】
またWongらはリン酸化反応によってプロトンが生じることに着目し、適したpH指示薬とbufferを選択することで簡便にリン酸化反応を追跡できることを示し、インヒビターなどの探索に応用している(非特許文献8参照)。これらに共通するのは均一系でプロテインキナーゼ活性を評価できることであり、煩雑な操作を必要としないため迅速なアッセイが可能となっている。この他にも、鉄イオンによる蛍光消光を利用した手法などが開発されている。
【0005】
【非特許文献1】Chinery, R. et al, J. Biol. Chem., 1997, 272, 30356
【非特許文献4】Isbell, J. C. et al., Life Sci., 1995, 57, 1701
【非特許文献6】Tamaskovic, R. et al., Biol. Chem., 1999, 380, 569
【非特許文献7】Ross, H. et al., Biochem. J., 2002, 366, 977
【非特許文献8】Chapman, E. et al., Bioorganic Medicinal Chem., 2002, 10, 551
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ニトリロ三酢酸と鉄の錯体を用いたリン酸化ペプチドを検出する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、ペプチドのリン酸化を感度よく迅速に検出する新規な方法について鋭意検討を行い、ニトリロ三酢酸と鉄の錯体がリン酸基に結合することを見出し、ニトリロ三酢酸と鉄の錯体をリン酸化ペプチドと接触させ該錯体をリン酸化ペプチドのリン酸基に結合させ、該結合した錯体を検出することによりペプチドのリン酸化を検出する本発明を完成させた。本発明者は、さらにニトリロ三酢酸と鉄の錯体を種々の標識化合物で標識することにより、種々の検出手段でペプチドのリン酸化を検出することを見出し、新規な標識ニトリロ三酢酸-鉄複合体を作製し、リン酸基の検出に利用した。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 少なくとも1種類のペプチドにおけるリン酸化の有無を判定するための、鉄とニトリロ三酢酸(NTA)を含む錯体。
【0009】
[2] 鉄とNTAを含む該錯体が、式(I)であることを特徴とする[1]の錯体。
【化1】

【0010】
[3] NTAが標識されていることを特徴とする[1]又は[2]の錯体。
[4] 標識がタンパク質、酵素、生理活性物質、脂質、糖質、蛍光化学物質、発光団、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質、ビオチンからなる群より選ばれた1種以上の物質でされていることを特徴とする[3]の錯体。
[5] [1]〜[4]のいずれかの錯体を含むリン酸化ペプチド検出用試薬。
[6] タンパク質、酵素、生理活性物質、脂質、糖質、蛍光化学物質、発光団、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質、ビオチンからなる群より選ばれた1種以上の物質で標識されているNTA。
[7] ビオチンまたはTAMRAで標識されている[6]のNTA。
【0011】
[8] 式(II)で表される、ビオチンで標識されている[7]のNTA。
【化2】

[式中、Rは炭素数2〜10のアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アラルキル、シクロアルキル、アルキルアミドまたはアルキルカルバモイルである。]
【0012】
[9] 式(III)で表される、TAMRAで標識されている[7]のNTA。
【化3】

[式中、Rは炭素数2〜10のアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アラルキル、シクロアルキル、アルキルアミドまたはアルキルカルバモイルである。]
【0013】
[10] 少なくとも1種類のペプチドにおけるリン酸化を検出する方法であって、NTAと鉄を含む錯体と、リン酸化ペプチドとを接触させることを特徴とするリン酸化検出方法。
【0014】
[11] 鉄とNTAを含む該錯体が、式(I)であることを特徴とする[10]のリン酸化検出方法。
【化4】

【0015】
[12] NTAが標識されていることを特徴とする[10]又は[11]のリン酸化検出方法。
[13] 標識がタンパク質、酵素、生理活性物質、脂質、糖質、蛍光化学物質、発光団、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質、ビオチンからなる群より選ばれた1種以上の物質でされていることを特徴とする[12]のリン酸化検出方法。
[14] 標識がビオチンでされており、該ビオチン標識NTAと鉄の錯体を接触させた後、更にアビジン及び/又はストレプトアビジンを接触させることを特徴とする[12]又は[13]のリン酸化検出方法。
【0016】
[15] アビジン及び/又はストレプトアビジンを接触させた後、更にアビジン及び/又はストレプトアビジンを認識する抗体を接触させることを特徴とする[14]のリン酸化検出方法。
[16] 抗体が標識されていることを特徴とする[15]のリン酸化検出方法。
[17] 標識が蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質からなる群より選ばれた1種以上の物質でされていることを特徴とする[16]のリン酸化検出方法。
【0017】
[18] 標識物質からのシグナルを検出することを含む[12]〜[17]のいずれかのリン酸化検出方法。
[19] 少なくとも1種類のペプチドが不溶性担体に固定されていることを特徴とする[10]又は[11]のリン酸化検出方法。
[20] 少なくとも1種類のペプチドがアレイ状に固定化されていることを特徴とする[19]のリン酸化検出方法。
[21] 不溶性担体が、金属薄膜層を含むことを特徴とする[19]又は[20]のリン酸化検出方法。
【0018】
[22] 表面プラズモン共鳴を利用して検出することを特徴とする[10]〜[21]のいずれかのリン酸化検出方法。
[23] 表面プラズモン共鳴イメージングを利用して検出することを特徴とする[10]〜[21]のいずれかのリン酸化検出方法。
[24] 少なくとも1種類のペプチドにおけるリン酸化の有無を判定するためのキットであって、鉄とNTAを含む錯体を含むリン酸化検出用キット。
【0019】
[25] 鉄とNTAを含む該錯体が、式(I)であることを特徴とする[24]のリン酸化検出用キット。
【化5】

【0020】
[26] NTAが標識されていることを特徴とする[24]又は[25]のリン酸化検出用キット。
[27] 標識がタンパク質、酵素、生理活性物質、脂質、糖質、蛍光化学物質、発光団、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質、ビオチンからなる群より選ばれた1種以上の物質でされていることを特徴とする[26]のリン酸化検出用キット。
【発明の効果】
【0021】
本発明の方法により、容易かつ迅速にペプチドのリン酸化を検出することができる。また、ペプチドを固相化したペプチドチップを用いることにより、ハイスループットなリン酸化検出システムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、ニトリロ三酢酸(NTA)と鉄を含む錯体がリン酸基に結合することを利用して、ニトリロ三酢酸と鉄を含む錯体をリン酸化ペプチドに接触させて、ペプチドのリン酸化の有無を検出する。ニトリロ三酢酸と鉄を含む錯体は、ニトリロ三酢酸が3価鉄イオンに配位してできる錯体である。ニトリロ三酢酸と鉄を含む錯体は、例えば、ニトリロ三酢酸とFeCl3溶液を適当な条件で混合すれば得られる。本発明のリン酸化を検出する方法において、リン酸化ペプチドに結合したニトリロ三酢酸と鉄の錯体を検出する。
【0023】
式(I)に鉄とニトリロ三酢酸を含む化合物の一例を示す。
【化6】

【0024】
また、以下にTAMRA-NTA-Fe3+錯体およびAvidin-Bt-NTA-Fe3+錯体を示す。
【化7】

TAMRA-NTA-Fe3+錯体
【0025】
【化8】

Avidin-Bt-NTA-Fe3+錯体
【0026】
検出方法は限定されず、蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質等のシグナルを発し得る標識物質を用いて行うことができる。この場合は、ニトリロ三酢酸を蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質等の標識物質で標識し、鉄との錯体を形成させて用いればよい。また、ニトリロ三酢酸を上記のシグナルを発し得る物質だけでなく、タンパク質、酵素、生理活性物質、脂質、糖質、ビオチン等で標識してもよい。これらの物質を直接測定し、ニトリロ三酢酸と鉄を含む錯体を検出することもできるし、これらの物質に蛍光等のシグナルを発し得る物質を特異的に結合させて該シグナルを検出することにより錯体を検出してもよい。
【0027】
この場合、ペプチドのリン酸化は、蛍光分光光度計、γカウンター等を用いて標識に用いた物質から発せられる光や放射線等のシグナルを検出することにより行う。標識物質は限定されず、公知の標識物質を用いることができる。例えば、蛍光物質としてはTAMRA(carbocytetremethlrhodamine)、FAM(carboxylfuorescein)、HEX(2’,4,4’,5’,7,7’-hexachlorofluorescein)、JOE(6-carboxy-4’,5’-dichloro-2’,7’-dimethoxyfulorescein)、ROX(carboxy-X-rhodamine)、TET(6-carbocy-2’,4,7,7’-tetrachlorofuluorescein)、Cascade Blue、Alexa-350、AMCA、Pacific Blue、Marine Blue、Cy2、BODIPY 505/515、FITC、Alexa-488、OG-488、OG-514、Alexa-430、Cas Y、Alexa-532、Alexa-555、Cy3、Alexa-546、PE-R、RITC/TMR、Rhordamine B、Cy3.5、Alexa-568、BODIPY 580/605、Alexa-594、Texas Red、Alexa-633、APC、Alexa-647、Cy5、Alexa-660、Alexa-680、Cy5.5等を用いることができる。
【0028】
これらの標識物質によるニトリロ三酢酸の標識は、ニトリロ三酢酸にアミノ基等の官能基を導入し、標識物質にニトリロ三酢酸に導入した官能基と反応する官能基を導入し、官能基どうしの共有結合により結合させればよい。例えば、ニトリロ三酢酸にアミノ基を導入し、かつ標識物質にスクシンイミド基を導入し両者を反応させればよい。ニトリロ三酢酸にアミノ基を導入したものとして、例えば、Nα,Nα-Bis(carboxylmethl)-L-lysin hydrateを用いることができ、また標識物質にスクシンイミド基を導入したものとして、例えばTAMRAのサクシニミジルエステル(TAMRA, SE)を用いることができる。官能基を導入した標識物質は、種々のものが市販されているので、それらを用いればよい。また、ニトリロ三酢酸に導入した官能基と標識物質に導入した官能基をビススルフォスクシニミヂルスベラート、ジスクシニミヂルグルタレート、ジチオビススクシニミヂルプロピオネート、ジスクシニミヂルスベラート、3,3'-ジチオビススルフォスクシニミヂルプロピオネート、エチレングリコールビススクシニミヂルスクシネート、エチレングリコールビススルフォスクシニミヂルスクシネート等の2価性架橋試薬をリンカーとして用いて結合させることができる。例えば、新生化学実験講座1 タンパク質IV 構造機能相関 日本生化学会編、東京化学同人、1991年3月20日発行、の記載に従い行うことができる。
【0029】
なお、ニトリロ三酢酸を標識物質で標識する場合、標識物質がニトリロ三酢酸と鉄との錯体形成あるいは錯体とリン酸基との結合に影響を及ぼさないように、ニトリロ三酢酸と標識物質との間の距離を一定に保つ必要がある。この際、リンカーを用いればよい。
【0030】
リンカーとしては、ニトリロ三酢酸に導入した官能基および標識化合物に導入した官能基のそれぞれと反応できる官能基を有する化合物を用いることができる。リンカー部分の長さは選択する化合物により適宜設定することができる。例えば、ビオチン標識ニトリロ三酢酸の場合、Nα,Nα-Bis(carboxylethylene)-L-lysinのアミノ酸およびビオチンのカルボキシル基とそれぞれ共有結合できる官能基を有する化合物であるアミノアルキルカルボン酸をリンカーとして使用することができる。アミノアルキルカルボン酸については、アルキル鎖長が種々のものがあり、リンカー部分が所望の長さになるようなアルキル鎖長のアミノアルキルカルボン酸を選択すればよい。
【0031】
適切なリンカーの長さは、用いる標識物質等により適宜設定すればよい。すなわち、標識物質が立体的に錯体とリン酸基の結合に影響を及ぼすか否かの観点から設定する。標識物質が高分子物質であるか、または高分子物質と結合する場合は、錯体とリン酸基の結合に立体的に障害を与えるので、リンカーを長くする。一方、標識物質が低分子物質であり、錯体とリン酸基の結合に立体的に障害を与えない場合は、リンカーは短くてもよく、またはリンカーを用いなくてもよい。例えば、標識物質として蛍光基を用いた場合は、リンカーは比較的短くてもよく、またはリンカーを用いなくてもよい。一方、ビオチンやハプテンなどを標識物質として用いる場合は、アビジンや抗体などの比較的高分子の化合物の結合が必要であるため、リンカーは長い方が好ましい。
【0032】
本発明は、上記物質で標識したニトリロ三酢酸も包含する。標識ニトリロ三酢酸の例として、以下の式(II)で表されるビオチンで標識したニトリロ三酢酸や以下の式(III)で表されるTAMRAで標識したニトリロ三酢酸が挙げられる。
【0033】
【化9】

【0034】
【化10】

【0035】
式(II)および(III)中、Rは炭素数2〜10のアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ベンジル基等のアラルキル、シクロヘキシジル等のシクロアルキル、アルキルアミドまたはアルキルカルバモイルである。
【0036】
本発明のペプチドのリン酸化を検出する方法においては、少なくとも1種類のペプチドにおけるリン酸化を検出する方法であって、ニトリロ三酢酸と鉄を含む錯体と、リン酸化ペプチドとを接触させ、錯体とリン酸化ペプチドの複合体を形成させ、該複合体の形成を検出する。検出は、標識されたニトリロ三酢酸を測定することにより行えばよい。上記のような、シグナルを発し得る物質でニトリロ三酢酸が標識されている場合は、標識物質から発せられるシグナルを検出すればよい。また、ニトリロ三酢酸がビオチンで標識されている場合、該ビオチン標識ニトリロ三酢酸と鉄の錯体をペプチドと接触させ複合体を形成させた後、更にアビジン及び/又はストレプトアビジンを接触させ、ペプチド-ビオチン標識ニトリロ三酢酸と鉄の錯体-アビジン及び/又はストレプトアビジンの複合体を形成させ該複合体を検出してもよい。この場合、例えば、アビジン及び/又はストレプトアビジンを認識する抗体を結合させればよい。該抗体は標識されていてもよく、さらに該抗体に結合する標識二次抗体を結合させてもよい。抗体は、蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質等で標識することができる。
【0037】
また、表面プラズモン共鳴法(SPR)、楕円偏光法等の光学的検出法を用いてもよい。これらの方法の場合、ニトリロ三酢酸と鉄の錯体を必ずしも標識しなくてもペプチドのリン酸化を検出することができるが、シグナルを増幅して検出感度を高めるために、適当な化合物で標識するのが好ましい。適当な化合物としては、特異的な結合により比較的高分子の化合物と結合し得る小分子が挙げられる。このような小分子で標識した場合、比較的高分子の化合物を結合させることにより、基板表面の嵩が多くなり、SPRシグナルが増幅される。具体的な化合物としては、ジゴキシゲニン等の特異的抗体が存在する化合物やビオチンが挙げられる。ビオチンを用いた場合、アビジン、ストレプトアビジン、抗ビオチン抗体等を結合させてSPRイメージング法を行えばよい。
【0038】
本発明は、ペプチドのリン酸化を検出する。ここで、ペプチドの大きさは限定されず、一般にタンパク質と呼ばれているものも含まれる。また、ペプチドに糖鎖等の他の化合物が結合した物質もペプチドに含まれる。上記のニトリロ三酢酸と鉄の錯体とをペプチドと接触させて、ニトリロ三酢酸-鉄の錯体とリン酸化ペプチドの複合体を形成させた後に、該複合体を検出すればよい。この際、液系で接触させてニトリロ三酢酸-鉄の錯体とリン酸化ペプチドの複合体を形成させて、該複合体を分離した後に、複合体を検出してもよい。また、適当な基盤上にペプチドを固相化し、該固相化ペプチドにニトリロ三酢酸-鉄複合体を接触させ結合させた後に、ニトリロ三酢酸-鉄複合体を検出してもよい。後者の場合、基板上にペプチドをアレイ状に整列固定化し、ペプチドアレイ(ペプチドチップ)を作製し用いれば、一度に多数のペプチドのリン酸化を検出することができる。ペプチドを固相化する基板は限定されず、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル等の樹脂でできた基板等、ペプチドやタンパク質の固定化に適した基板ならばいかなる基板をも用いることができる。タンパク質を基板上に固定化する際、基板上にアミノ基またはカルボキシル基を導入し、該アミノ基またはカルボキシル基とタンパク質のペプチドのカルボキシ末端またはアミノ末端を結合させる。この際、基板上へのアミノ基またはカルボキシル基の導入は公知の方法で行うことができ、例えば、基板上にアミノ基を有するポリアミン、アリルアミン、ポリリジン等の一級アミンのポリマーからできたマトリックスを結合させる方法が挙げられる。また、メルカプト基、アルデヒド基等の官能基を基板に導入し、これとペプチドを結合させてもよい。また、市販のアミノ基で修飾したガラス基板等を用いてもよい。
【0039】
これらの基板上に固定化したリン酸化ペプチドに標識したニトリロ三酢酸と鉄の錯体を接触させ、結合させ、標識化合物が発するシグナルを測定することにより錯体とリン酸化ペプチドとの結合の有無を決定することができる。
【0040】
さらに、本発明は表面プラズモン共鳴を利用して、リン酸化ペプチドとNTAと鉄の錯体の結合を検出することにより、ペプチドのリン酸化を検出する方法も包含する。SPRは金属に照射する偏光光束によってエバネッセント波が生じて表面ににじみだし、表面波である表面プラズモンを励起し、光のエネルギーを消費して反射光強度を低下させることを利用する。反射光強度が著しく低下する共鳴角は金属の表面に形成される層の厚みによって変化する。よって、測定する物質を金属薄膜の表面に固定化し、サンプル中の物質との相互作用を共鳴角の変化、またはある角度での反射光強度の変化を測定することにより検出可能である。したがって、SPRは蛍光物質、放射性物質などによる標識が不要である。SPRは市販のSPR検出装置を用いて行うことができる。
【0041】
SPRを用いてリン酸化を検出する場合は、金属薄膜を形成させた基板を用いる必要がある。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、白金等を用いることができ、これらを単独または組合せて基板上に薄膜を形成させればよい。金属薄膜の形成方法は限定されず、蒸着法、スパッタ法、イオンコーティング法等の公知の方法を用いて行えばよい。このなかでも、蒸着による方法が好ましい。金属薄膜の厚さは、10〜3000Å、好ましくは100〜600Åである。公知の基板は透明なものが好ましく、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル等の樹脂でできた基板等を用いればよい。SPRに用いる基板の厚さは、0.1〜20mm程度、好ましくは1〜2mm程度である。SPRにおいては、金属薄膜からの反射像を得るため、SPR共鳴角は小さい方が望ましい。金属薄膜を形成させた基板にペプチドを固相化する。基板へのペプチドの固相化は、基板上にアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、アルデヒド基等の官能基を導入し、該官能基とペプチドを結合させればよい。基板への官能基の導入、ペプチドと官能基の結合は公知の方法で行うことができる。さらに、市販のSPR用の金属薄膜が形成されたガラス製基板を用いてもよい。
【0042】
本発明の方法において、ペプチドのリン酸化は、ペプチドとプロテインキナーゼとATPの存在下で30〜40℃で反応させることにより行うことができる。この際、必要に応じて反応溶液中に、cAMP、cGMP、Mg2+、Ca2+等を添加してもよい。プロテインキナーゼは限定されないが、チロシン、セリン、トレオニン、ヒスチジン等のアミノ酸の側鎖をリン酸化し得る酵素を用いればよい、例えば、Srcチロシンキナーゼファミリー、プロテインキナーゼCファミリー、プロテインキナーゼDファミリー、プロテインキナーゼBファミリー、MAPキナーゼカスケードに属するプロテインキナーゼファミリー、受容体型チロシンキナーゼファミリー、cGMP依存性プロテインキナーゼファミリー、cAMP依存性プロテインキナーゼファミリーに属するプロテインキナーゼが挙げられる。
【0043】
本発明の方法は、プロテインキナーゼ活性の解析等に用いることができる。また、上記基板上に種々のペプチド断片を固相化しておくことにより、ペプチド断片のリン酸基を検出することができる。
【0044】
さらに、本発明は鉄とニトリロ三酢酸を含む錯体を含むペプチドのリン酸化の有無を判定するためのキットも包含する。該キットは、例えば、ペプチドを固定化した不溶性担体等を含み、錯体は標識されていてもよい。不溶性担体は限定されず、スライドガラス、樹脂製担体等が含まれ、ペプチドが例えばアレイ状に固定化されている。また、不溶性担体が金属薄膜層を含んでいてもよく、この場合は表面プラズモン共鳴を利用した測定に用いることができる。
【0045】
本発明の錯体は、リン酸化されたタンパク質の電気泳動分離後の検出にも用いることができる。2次元電気泳動法によりポリアクリルアミドゲル内で多くのタンパク質を一度に分離することが可能であるが、この中からリン酸化されたタンパク質のみを検出する際に本発明のニトリロ三酢酸と鉄の錯体を利用することができる。この際には、標識物質としては蛍光物質等のそれ自体がシグナルを発する物質を用いることが望ましい。例えば、電気泳動後のゲルを錯体を含む溶液に浸漬し、ゲル上のシグナルを検出することにより、リン酸化されたタンパク質を検出することができる。
【実施例】
【0046】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 標識NTAおよび標識NTA-鉄錯体の作製
(1) ビオチン修飾NTA(Bt-NTA)の合成
合成法
Nα,Nα-Bis(carboxylmethl)-L-lysin hydrate 3.01mg (Fluka)を100 mM 炭酸緩衝溶液(pH 8.7)600μlに溶解した。これに、Biotin, SE 5.2mg (Molecular Probes) / DMSO溶液200μlを加え、室温で一晩振とうした。これを逆相HPLC(BioCAD, Applied Biosystem)で分析し、続いて目的物を分取した(収量2.5mg)。
【0047】
逆相HPLC条件は以下のとおりであった。
カラム:YMC-Pack ODS-A column 250×10 mm (分析時)
YMC-Pack ODS-A column 250×20 mm (分取時)
溶離液A:0.1% TFA含有超純水
溶離液B:0.1% TFA含有アセトニトリル
グラジエント:20%B (0 min) → 40%B (40 min)
流速:1.0 ml/min (分析時), 4.0 ml/min (分取時)
【0048】
以下にビオチン修飾NTA(Bt-NTA)合成の反応式を示す。
【化11】

【0049】
(2) 5(6)-テトラメチルローダミン修飾NTA(TAMRA-NTA)の合成
Nα,Nα-Bis(carboxylmethl)-L-lysin hydrate 3.01 mg (Fluka)を100 mM 炭酸緩衝溶液(pH 8.7)600μlに溶解した。これに、TAMRA,SE 8 mg (Molecular Probes) / DMSO溶液200μlを加え、室温で2時間振とうした。これを逆相HPLC(BioCAD, Applied Biosystem)で分析し、続いて目的物を分取した(収量2.4 mg)。
【0050】
逆相HPLC条件は以下のとおりであった。
カラム:YMC-Pack ODS-A column 250×10 mm (分析時)
YMC-Pack ODS-A column 250×20 mm (分取時)
溶離液A:0.1% TFA含有超純水
溶離液B:0.1% TFA含有アセトニトリル
グラジエント:31%B (0 min) → 32%B (30 min)
流速:1.0 ml/min (分析時), 4.0 ml/min (分取時)
【0051】
以下に、5(6)-テトラメチルローダミン修飾NTA(TAMRA-NTA)の合成の反応式を示す。
【化12】

【0052】
(3) Avidin-Bt-NTA-Fe錯体の合成
1 mg/mL Bt-NTA溶液に1 mg/mL FeCl3溶液をBt-NTA:FeCl3= 1:3となるよう添加し4℃で1.5時間インキュベートした。この溶液に1 mg/mL Streptavidin溶液を100μL添加して4℃で30分間インキュベートした。セントリコン(3,000 MW cut-off)を用いて限外ろ過し、残渣を回収した。
【0053】
得られたAvidin-Bt-NTA-Fe3+錯体は以下のような化学構造を有している。
【化13】

【0054】
(4) TAMRA-NTA-Fe錯体の合成
1 mM TAMRA-NTAを含む0.1 Mトリエチルアミン酢酸緩衝液(pH 3.0) 20μlを5 mM FeCl3を含む0.1 Mトリエチルアミン酢酸緩衝液(pH 3.0) 20μlにゆっくり加え、2時間攪拌した。これにより生じた赤色沈殿をろ集した。得られた赤色固体をDMSO 50μlに溶かした。さらにこの溶液を0.1 Mトリエチルアミン酢酸緩衝液(pH 3.0)、超純水、DMSOの三種類の溶液それぞれで1500倍希釈した。
【0055】
得られたTAMRA-NTA-Fe3+錯体は以下のような化学構造を有している。
【化14】

【0056】
実施例2 SPRを用いたリン酸化の検出
(1) SPR検出用ぺプチド固定化基板の作製
金蒸着ガラス基板(東洋紡績)を超純水で洗浄後、1 mM PEG-SH(日本油脂)エタノール溶液に2時間室温で浸漬した。エタノール、超純水で洗浄後、4×4フォトマスク(東洋紡績)を介してUV光(500 W)を2時間照射した。エタノール、超純水で洗浄後、1 mM MOAM(同仁化学)エタノール溶液に室温で1.5時間浸漬し、UV光を照射した位置にアミノ基を導入した。続いて、10 mg/mL NHS-PEG-MAL(NEKTAR, M.W. 3,400)となるよう調製した10 mM リン酸緩衝液(pH 7.4)200μLを基板表面に展開し、1.5時間飽和蒸気下でインキュベートした。超純水で洗浄後、1 mM TCEP(同仁化学)を含む1 mMのペプチド溶液を0.3μLスポットして室温、飽和水蒸気下で1晩インキュベートした。超純水で洗浄後、1 mM PEG-SH /エタノール溶液に1時間浸漬し、未反応のマレイミド基を処理した。用いたペプチドのアミノ酸配列は、以下のとおりである。下の配列中(P)はリン酸化されていることを示している。
ペプチドA:CGGLRRATLG-NH2(PKA sub.) 配列番号1
ペプチドB:CGGLRRAS(P)LG-NH2(Phos-PKA(S)) 配列番号2
ペプチドC:CGGLRRAT(P)LG-NH2(Phos-PKA(T)) 配列番号3
ペプチドD:CGIY(P)GEFKKK-NH2(Phos-Src) 配列番号4
図1Aに基板上の上記ペプチドAからDの配列を示す。
【0057】
(2) SPR測定
作製したSPR検出用ペプチド固定化基板をSPR測定装置(東洋紡績)にセットし、10分間ランニングバッファー(50 mM Tris-HCl、pH 7.4)を送液した。その後、調製したAvidin-Bt-NTA-Fe錯体溶液を送液した。25分後、ランニングバッファーに切り替え10分間送液した。この間のSPRシグナルを測定した。
【0058】
結果を図1Bおよび図1Cに示す。
図1Bおよび図1Cに示すように、リン酸化されリン酸基を有するペプチドをスポットした基板上の位置でのシグナルが観察された。
【0059】
実施例3 蛍光を用いたリン酸化の検出
(1) 蛍光検出用ぺプチド固定化基板の作製
以下の2通りの手法で作製した。1) 高密度アミノ基修飾ガラス基板(松浪ガラス)を洗浄液(150 mM NaCl、25 mMトリス塩酸緩衝液(pH 7.4)、0.05% Tween20)で洗浄した後、1%グルタルアルデヒドを含む50 mM炭酸緩衝液(pH 9.5)に室温で一晩浸漬した。洗浄液で洗浄後、0.2 mM TCEP(Molecular Probes)を含む0.2 mMの各ペプチド溶液を0.1μLスポットして37℃、飽和水蒸気下で2.5時間インキュベートした。基板を洗浄後、1% 2-メトキシエチルアミン(東京化成)を含む50 mM炭酸緩衝液(pH 9.5)に2.5時間浸漬する事で未反応のアルデヒド基を処理した。2) 高密度アミノ基修飾ガラス基板(松浪ガラス)を洗浄液(150 mM NaCl、25 mMトリス塩酸緩衝液(pH 7.4), 0.05% Tween20)で洗浄した後、10 mg/mL NHS-PEG-MAL(NEKTAR, M.W. 3,400)、150 mM NaClを含む10 mMリン酸緩衝液(pH 7.4)を0.1μLずつ所定の位置にスポットして室温、飽和水蒸気下で1時間インキュベートした。洗浄液で洗浄後、0.2 mM TCEP(同仁化学)を含む0.2 mMの実施例2に示したペプチドAからDのペプチド溶液を0.1μLスポットして37℃、飽和水蒸気下で2.5時間インキュベートした。基板を洗浄後、1 mMテトラエチレングリコール(合成品)、1 mM TCEP、150 mM NaClを含む10 mMリン酸緩衝液(pH 7.4)を基板表面に展開して室温で30分間インキュベートする事で未反応のマレイミド基を処理した。
【0060】
(2) 蛍光測定
作製した蛍光検出用ペプチド固定化基板上にTAMRA-NTA-Fe錯体溶液をスポットし、室温、飽和水蒸気下で15分間インキュベートした。超純水、エタノールで洗浄した後、蛍光スキャナーを用いて基板上のTAMRAの蛍光を測定した。図2に結果を示す。図2に示すように、リン酸化されリン酸基を有するペプチドをスポットした基板上の位置でのシグナルが観察された。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1A】基板上のペプチドAからDの配列を示す図である。
【図1B】SPRを利用したリン酸化ペプチド検出結果を示す図である。
【図1C】SPRを利用したリン酸化ペプチド検出結果を示す図である。
【図2】蛍光標識ニトリロ三酢酸を用いたリン酸化ペプチド検出結果を示す図である。
【配列表フリーテキスト】
【0062】
配列番号1〜4、合成ペプチド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類のペプチドにおけるリン酸化の有無を判定するための、鉄とニトリロ三酢酸(NTA)を含む錯体。
【請求項2】
鉄とNTAを含む該錯体が、式(I)であることを特徴とする請求項1に記載の錯体。
【化1】

【請求項3】
NTAが標識されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の錯体。
【請求項4】
標識がタンパク質、酵素、生理活性物質、脂質、糖質、蛍光化学物質、発光団、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質、ビオチンからなる群より選ばれた1種以上の物質でされていることを特徴とする請求項3記載の錯体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の錯体を含むリン酸化ペプチド検出用試薬。
【請求項6】
タンパク質、酵素、生理活性物質、脂質、糖質、蛍光化学物質、発光団、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質、ビオチンからなる群より選ばれた1種以上の物質で標識されているNTA。
【請求項7】
ビオチンまたはTAMRAで標識されている請求項6記載のNTA。
【請求項8】
式(II)で表される、ビオチンで標識されている請求項7記載のNTA。
【化2】

[式中、Rは炭素数2〜10のアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アラルキル、シクロアルキル、アルキルアミドまたはアルキルカルバモイルである。]
【請求項9】
式(III)で表される、TAMRAで標識されている請求項7記載のNTA。
【化3】

[式中、Rは炭素数2〜10のアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アラルキル、シクロアルキル、アルキルアミドまたはアルキルカルバモイルである。]
【請求項10】
少なくとも1種類のペプチドにおけるリン酸化を検出する方法であって、NTAと鉄を含む錯体と、リン酸化ペプチドとを接触させることを特徴とするリン酸化検出方法。
【請求項11】
鉄とNTAを含む該錯体が、式(I)であることを特徴とする請求項10に記載のリン酸化検出方法。
【化4】

【請求項12】
NTAが標識されていることを特徴とする請求項10又は11に記載のリン酸化検出方法。
【請求項13】
標識がタンパク質、酵素、生理活性物質、脂質、糖質、蛍光化学物質、発光団、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質、ビオチンからなる群より選ばれた1種以上の物質でされていることを特徴とする請求項12記載のリン酸化検出方法。
【請求項14】
標識がビオチンでされており、該ビオチン標識NTAと鉄の錯体を接触させた後、更にアビジン及び/又はストレプトアビジンを接触させることを特徴とする請求項12又は13に記載のリン酸化検出方法。
【請求項15】
アビジン及び/又はストレプトアビジンを接触させた後、更にアビジン及び/又はストレプトアビジンを認識する抗体を接触させることを特徴とする請求項14記載のリン酸化検出方法。
【請求項16】
抗体が標識されていることを特徴とする請求項15に記載のリン酸化検出方法。
【請求項17】
標識が蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質からなる群より選ばれた1種以上の物質でされていることを特徴とする請求項16記載のリン酸化検出方法。
【請求項18】
標識物質からのシグナルを検出することを含む請求項12〜17のいずれかに記載のリン酸化検出方法。
【請求項19】
少なくとも1種類のペプチドが不溶性担体に固定されていることを特徴とする請求項10又は11に記載のリン酸化検出方法。
【請求項20】
少なくとも1種類のペプチドがアレイ状に固定化されていることを特徴とする請求項19に記載のリン酸化検出方法。
【請求項21】
不溶性担体が、金属薄膜層を含むことを特徴とする請求項19又は20に記載のリン酸化検出方法。
【請求項22】
表面プラズモン共鳴を利用して検出することを特徴とする請求項10〜21のいずれかに記載のリン酸化検出方法。
【請求項23】
表面プラズモン共鳴イメージングを利用して検出することを特徴とする請求項10〜21のいずれかに記載のリン酸化検出方法。
【請求項24】
少なくとも1種類のペプチドにおけるリン酸化の有無を判定するためのキットであって、鉄とNTAを含む錯体を含むリン酸化検出用キット。
【請求項25】
鉄とNTAを含む該錯体が、式(I)であることを特徴とする請求項24に記載のリン酸化検出用キット。
【化5】

【請求項26】
NTAが標識されていることを特徴とする請求項24又は25に記載のリン酸化検出用キット。
【請求項27】
標識がタンパク質、酵素、生理活性物質、脂質、糖質、蛍光化学物質、発光団、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質、ビオチンからなる群より選ばれた1種以上の物質でされていることを特徴とする請求項26記載のリン酸化検出用キット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−10433(P2007−10433A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190332(P2005−190332)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】