新規乳酸菌及び新規乳酸菌含有組成物
【課題】安価かつ容易に増殖可能でありながら、従来から知られている有用特定乳酸菌株と同等またはそれ以上の生理作用を示す新規乳酸菌、及び、当該生菌等を含有する医薬品、食品、及び飼料を新たに提供する。
【解決手段】発酵乳より分離した新規乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株の生菌体を有効成分とすることで、免疫疾患症状改善効果を奏する医薬品、飼料、食品を提供し、その培養上清濾過物を有効成分とすることで、生菌体を有効成分とした場合とは相違する効果である感染症予防治療効果を奏する医薬品、飼料、食品を提供する。
【解決手段】発酵乳より分離した新規乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株の生菌体を有効成分とすることで、免疫疾患症状改善効果を奏する医薬品、飼料、食品を提供し、その培養上清濾過物を有効成分とすることで、生菌体を有効成分とした場合とは相違する効果である感染症予防治療効果を奏する医薬品、飼料、食品を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規乳酸菌及び当該乳酸菌生菌体等を含有する組成物に関する。詳細には、免疫疾患などに対して有益な生理機能を発揮する新規乳酸菌、及び、この生菌体又は培養上清濾過物を有効成分として含有する医薬品、ヒト用の食品、ヒトを除く動物用の飼料等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向などを背景に、ヒトや動物に有益な生理機能を発揮させる成分(いわゆる機能性成分)が注目されている。その代表的なもののひとつが乳酸菌であり、動物への経口投与等によって、腸内フローラ(腸内細菌叢)改善、抗アレルギー作用、コレステロール低下作用、血圧降下作用など、菌種の特性により様々な生理機能を発揮する。
【0003】
特に、乳酸菌の生理機能として注目されているのが、プロバイオティクスと抗アレルギーである。ここで、プロバイオティクスとは、腸内フローラの改善を通じて有益な影響をもたらす生菌のことを示し、乳酸菌やビフィズス菌はこの代表格である。なお、腸内でのプロバイオティクスの増殖を促進する物質をプレバイオティクスと呼び、オリゴ糖や食物繊維などが挙げられる。
【0004】
乳酸菌の抗アレルギー作用については、様々な有用菌株が見いだされ、報告や商品化等がされている。しかし、特徴的なことは、乳酸菌の抗アレルギー作用の有無は分類学上の乳酸菌の分類と全く一致していない点である。つまり、ある特定の菌株に強い抗アレルギー作用があったとしても、そのごく近縁の菌株(あるいは同じ属の菌株)に同様の作用が必ずしもあるとはいえず、逆に全く抗アレルギー作用を示さない近縁菌株も少なくない。
【0005】
このようなことから、乳酸菌の抗アレルギー作用は菌株に依存しており、当該作用を求める場合には、乳酸菌ならばどのような菌株でも良いのではなく、特定の有用菌株を選択して摂取する必要があった。しかし、医薬品や食品などへの利用のしやすさ(増殖の容易性、コスト、風香味など)から、実用的に用いることができる乳酸菌株は多くなく、当業界においては、より実用的で(安価かつ容易に増殖可能な)有効な生理作用を発揮する、風香味も良好な新規乳酸菌株の提供が強く求められていた。
【0006】
一方、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)は、ぬか漬、しば漬、キムチ、サワークラウト、サワーブレッド等の発酵食品などから分離されているものであり、風香味が良好なだけでなく、酸、塩に比較的強い、増殖性が高い、生菌でのヒト又は動物の腸内到達がしやすいなどの特性を有する。そして、その機能性についても、特定菌株について抗アレルギー作用(特許文献1、2)、整腸作用(特許文献3)、抗酸化作用(特許文献4)などが報告されている。しかし、その機能や特性についていまだ充分に満足できる菌株は得られていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−139160号公報
【特許文献2】特開2007−126365号公報
【特許文献3】特開2009−225792号公報
【特許文献4】特開2006−291146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような当業界の技術の現状において、安価かつ容易に増殖可能でありながら、従来の有用特定乳酸菌株と同等またはそれ以上の生理作用を示す新規乳酸菌、及び、当該生菌等を含有する医薬品、食品、及び飼料を新たに提供すること目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究の結果、発酵乳より分離した新規菌株である乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株が、その生菌体を有効成分としてヒト又は動物に与えたときに強い免疫疾患症状改善効果を奏すること、及び、その生菌体を含まない培養上清濾過物を有効成分としてヒト又は動物に与えたときに、生菌体を有効成分とした場合とは全く相違する効果である強い感染症予防治療効果を奏すること、つまり、1種の乳酸菌株から生菌体と培養上清濾過物という機能が相違する2種類の有効な機能性成分を得られることを見いだし、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)生菌体と培養上清濾過物で相違する生理作用を示す、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)。
【0011】
(2)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を有効成分とすること、を特徴とする免疫疾患症状改善剤。
(3)(2)に記載の剤を、ヒトを除く動物(家畜、ペット等)に1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)生菌体として109個/日以上摂取されるように投与すること、を特徴とするヒトを除く動物(家畜、ペット等)の免疫疾患症状改善方法。
(4)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含有してなること、を特徴とする免疫疾患症状改善のためのヒトを除く動物(家畜、ペット等)用飼料。
(5)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含有してなること、を特徴とする免疫疾患症状改善のための食品。
【0012】
(6)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含まない培養上清濾過物を有効成分とすること、を特徴とする感染症予防治療剤。
(7)(6)に記載の剤を、ヒトを除く動物(家畜、ペット等)に1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含まない培養上清濾過物の乾燥物として300mg/kg・日以上摂取されるように投与すること、を特徴とするヒトを除く動物(家畜、ペット等)の感染症予防治療方法。
(8)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含まない培養上清濾過物を含有してなること、を特徴とする感染症予防治療のためのヒトを除く動物(家畜、ペット等)用飼料。
(9)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含まない培養上清濾過物を含有してなること、を特徴とする感染症予防治療のための食品。
【0013】
(10)(2)に記載の剤を、ヒトに1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)生菌体として109個/日以上となるように投与すること、を特徴とするヒトの免疫疾患症状改善方法。
(11)(6)に記載の剤を、ヒトに1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含まない培養上清濾過物の乾燥物として300mg/kg・日以上となるように投与すること、を特徴とするヒトの感染症予防治療方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株は、酸、塩、アルコールなどに耐性があり、また、特殊な設備や培地を必要とせず、簡易培地により安価かつ容易に増殖可能なものである。そして、その生菌体を有効成分としてヒト又は動物に与えたときに強い免疫疾患症状改善効果を奏すること、及び、その培養上清濾過物を有効成分としてヒト又は動物に与えたときに、生菌体を有効成分とした場合とは全く相違する効果である強い感染症予防治療効果を奏することから、1種の乳酸菌株から生菌体と培養上清濾過物という機能の相違する2種類の有効な機能性成分を提供することが可能となる。さらに付随して、当該生菌体はそのまま生菌としてヒト又は動物の腸まで届き、また、当該生菌体及び培養上清濾過物は腸内フローラ改善作用、コレステロール低減作用なども発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】RGU−Lp1株と標準菌株のゲノムDNAを鋳型とした、RAPD法によるPCR反応の結果(電気泳動写真)を示す、Lp1はRGU−Lp1株、ATCCは標準菌株、1kbp、100bpはサイズマーカーを示す(図面代用写真)。
【図2】RGU−Lp1株と標準菌株を、25℃および32℃の温度条件下でGAM液体培地を用いて培養したときの増殖変化を示す。
【図3】RGU−Lp1株培養上清濾過物投与群(FP)と未投与群(CN)の腸内Bifidobacteria菌数及びClostridia検出率を示す。
【図4】RGU−Lp1株培養上清濾過物投与群(FP)と未投与群(CN)の末梢血及び腹腔内マクロファージでの活性酸素(ROS)産生能を示す。
【図5】RGU−Lp1株培養上清濾過物投与群(FP)と未投与群(CN)の脾臓細胞リンパ球幼若化能を示す。
【図6】RGU−Lp1株培養上清濾過物投与群(FP)と未投与群(Control)の脾臓細胞リンパ球サブセットCD4、CD8の挙動を示す。
【図7】RGU−Lp1株培養上清濾過物投与群(FP:奥側)と未投与群(TW:手前側)の脾臓での炎症性サイトカイン(IL−1β及びTNF−α)遺伝子発現について、LPS刺激の有無による比較を示す。
【図8】RGU−Lp1株発酵物投与群(LAB)と未投与群(CN)の末梢血及び腹腔内マクロファージでの活性酸素(ROS)産生能を示す。
【図9】RGU−Lp1株発酵物投与群(LAB)と未投与群(Control)の脾臓細胞リンパ球サブセットCD4、CD8の挙動を示す。
【図10】RGU−Lp1株発酵物投与群(LAB:奥側)と未投与群(TW:手前側)の脾臓での炎症性サイトカイン(IL−1βおよびTNF−α)遺伝子発現について、LPS刺激の有無による比較を示す。
【図11】RGU−Lp1株発酵物投与群(LAB)と未投与群(Control)の末梢血リンパ球幼若化能を示す。
【図12】RGU−Lp1株発酵物投与群(LAB)と未投与群(Control)の血中コレステロール濃度の挙動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明者らは、自然発酵乳由来の乳酸菌に着目した。まず、生乳を自然発酵させて得られた発酵乳からMRS培地でLactobacillus属を分離し、それらのうち簡易培地(スキムミルク等)で培養可能な株を複数選定し、さらに、それらの発酵物等について腸内菌叢改善作用、免疫賦活化作用などを指標とし、且つ、食品に適用した場合に、香味・物性等に優れている菌株をスクリーニングした。そして、これらの条件に合致する菌株として、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株を見いだした。本発明では、このラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株を使用する。
【0018】
この、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構・特許微生物寄託センター(〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に、2009年(平成21年)8月24日付けで寄託されており、その受託番号はNITE P−804である。
【0019】
この、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の主な菌学的性質は以下の通りである。なお、当該菌学的性質より、分類学的にRGU−Lp1株がLactobacillus plantaraumに属することが示される。
【0020】
<形態学的性状>
細胞形態:桿菌
運動性:無
胞子の有無:無
グラム染色性:陽性
【0021】
<生理学的性状(陽性+、陰性−)>
カタラーゼ:−
ガス産生:−
15℃での生育:+
グルコン酸資化性:+
乳酸旋光性:DL
好気性発育:+
【0022】
<炭水化物発酵性(陽性+、陰性−)>
アラビノース:+
キシロース:−
ラムノース:+
リボース:+
グルコース:+
マンノース:+
フルクトース:+
ガラクトース:+
シュクロース:+
セロビオース:+
ラクトース:+
トレハロース:+
メリビオース:+
ラフィノース:+
メリチトース:+
スターチ:+
マンニトール:+
ソルビトール:+
デキストリン:+
【0023】
本発明においては、有効成分としてRGU−Lp1株生菌体(生菌体を含む発酵物を包含する)と生菌体を除去した培養上清濾過物を使用する。RGU−Lp1株生菌体は、乳酸菌生菌体調製に用いられる定法によって得ることができ、発酵物、凍結物、凍結乾燥物などの形態が例示されるが、RGU−Lp1株生菌体が含まれていれば特に限定はされない。
【0024】
RGU−Lp1株培養上清濾過物は、当該菌株を培養したものから生菌体を濾過により除去したものである。これを濃縮したもの(濃縮物)、ペースト化したもの(ペースト化物)、乾燥したもの(乾燥物)を用いることもできる。濾過は、1μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm(更に好ましくは0.1〜0.3μm)のメッシュサイズのフィルター等で行えばよく、生菌体が除去できれば特に限定されない。なお、当該培養上清濾過物は、RGU−Lp1株の菌体外分泌物(糖類、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質などのいずれか又はこれらの複合成分)が具体的な有効成分として機能していると考えられるため、濾過以外の処理であっても、生菌体が完全に除去でき、且つ、菌体外分泌物が除去されない方法であれば、どのような処理方法でも用いることが可能である。
【0025】
上記有効成分は、種々の形態でヒト又は動物(家畜、ペット等)に給与及び/又は経口投与される。その形態としては、例えば通常の食品や飼料(固形物又は飲料)、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロッブ剤などをあげることができる。各種製剤の場合は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。
【0026】
給与又は経口投与量としては特に制限はないが、RGU−Lp1株生菌体の場合には、例えば、菌数として109個/日以上、RGU−Lp1株培養上清濾過物の場合には、例えば、乾燥物として300mg/kg・日以上(好ましくは300mg〜1000mg/kg・日)給与又は経口投与するのが好ましい。
【0027】
そして、上記RGU−Lp1株生菌体を用いることで、炎症性サイトカイン発現の抑制や末梢血における活性酸素産生能を抑制し、免疫疾患症状を改善する医薬品、食品、飼料を提供することができ、また、上記RGU−Lp1株培養上清濾過物を用いることで、炎症性サイトカイン発現の亢進や末梢血における活性酸素産生能を亢進し、感染症を予防及び/又は治療する医薬品、食品、飼料を提供することができる。
【0028】
このように、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)は、この菌株1種のみで、生菌体と培養上清濾過物という機能が相違する2種類の有効な機能性成分を提供することができ、また、その増殖も容易であり、且つ、風香味も良好であるという画期的な新規乳酸菌株である。
【0029】
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらのみに限定されるものではない
【実施例1】
【0030】
(ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株の発酵代謝物特性確認)
発酵乳より分離された、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)についての発酵代謝物特性を確認するため、以下の試験を行った。
【0031】
RGU−Lp1株を10%スキムミルクにより48時間一次賦活培養した菌液10mlを、10%スキムミルク基礎培地100mlに添加し、32℃の温度条件下でさらに96時間培養した発酵物を作成し、その上清に含有される遊離アミノ酸組成を測定した。同様に調製したLactobacillus plantarum標準菌株(ATCC8014)の発酵物上清についても遊離アミノ酸組成を測定し、これらを比較した(表1)。なお、遊離アミノ酸の測定は、トリプトファンについては高速液体クロマトグラフ法により、その他のアミノ酸についてはアミノ酸自動分析法により行った。
【0032】
その結果、RGU−Lp1株においては、アルギニン、リジン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸が検出されたのに対し、標準菌株で検出されたのはグルタミン酸のみであり、またその値もRGU−Lp1株の1/8であった(表1)。このことは、RGU−Lp1株が標準菌株等とは異なる新規菌株であること、及び、食品組成物として利用される場合に風香味面での利点を有することを示唆している。なお、発酵物調製時における、両菌株の生存菌数は107CFU/mlであった。
【0033】
【表1】
【実施例2】
【0034】
(RGU−Lp1株の遺伝学的特性確認)
RGU−Lp1株(NITE P−804)についての遺伝学的特性を確認するため、以下の試験を行った。
【0035】
まず、RGU−Lp1株の16sリボゾーマルRNAの塩基配列決定を実施した。その結果、Lactobacillus plantaraum属のものと100%の相同性を示した。また、Random Amplified Polymorphic DNA(RAPD)法(ref)により個体種別を行った。すなわち、RGU−Lp1株及び標準菌株(ATCC8014)のゲノムDNAを鋳型とし、RAPD−1(5'−GTTTCGCTCC−3')、RAPD−2(5'−GCGATCCCCA−3')の短いプライマーを用いPCRを行った。PCRの反応条件は、95℃5分の反応後、95℃1分、36℃1分、72℃2分を1サイクルとして35サイクル実施した。PCR後1.5%アガロースゲルで電気泳動を行った結果、図1の結果を得た。これらは同属菌種でありながら、RGU−Lp1株は標準菌株とは異なるバンドパターンを呈した。したがって、RGU−Lp1株はLactobacillus plantaraum属に属する菌株であるが、標準菌株等とは異なる新規菌株であることが示された。
なお、PCRに使用したプライマーの塩基配列は、配列表の配列番号1(RAPD−1)、及び2(RAPD−2)にも示した。
【実施例3】
【0036】
(RGU−Lp1株の増殖特性、各種耐性確認)
RGU−Lp1株(NITE P−804)についての増殖特性を確認するため、以下の試験を行った。
【0037】
まず、RGU−Lp1株と標準菌株の増殖性を25℃及び32℃の温度条件下でGAM液体培地を用いて比較した。その結果を図2に示した。RGU−Lp1株は各温度において、標準菌株と同等の増殖能を示した。
【0038】
また、アルコール耐性試験を以下の通り実施した。すなわち、2%、4%、8%の各濃度のアルコールを含むGAM液体培地に約104CFUのRGU−Lp1株及び標準菌株を添加し、32℃の温度条件下で培養し、初発菌数および処置後の菌数をLBS培地により計測した。その結果、アルコール濃度2%および4%の条件下において、24時間後の増殖能はRGU−Lp1株の方が高かった(表2)。また、アルコール濃度8%で培養を48時間行なった場合、標準菌株には耐性がなかったが、RGU−Lp1株は増殖しており、高い濃度でのアルコール耐性が示された(表3)。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
さらに、消化液耐性試験を以下の通り実施した。胃酸耐性試験は、ペプシンを0.3%添加したGAM液体培地に約105CFUのRGU−Lp1株及び標準菌株を添加し、37℃の温度条件下で3時間接触させた。また、膵液耐性試験は、パンクレアチンを1.9mg/mlの濃度となるよう添加したGAM液体培地に、約105CFUのRGU−Lp1株と標準菌株を添加し、37℃の温度条件下で3時間接触させた。両試験とも初発菌数および処置後の菌数をLBS培地により計測した。その結果、胃酸に対してはRGU−Lp1株の方が標準菌株よりも4倍高い耐性を示した。また膵液耐性では、両菌株とも耐性を示したが、膵液存在下におけるRGU−Lp1株の増殖能は標準菌株よりも約2倍高かった(表4)。
【0042】
【表4】
【0043】
また、耐塩性試験は以下の通り実施した。すなわち、NaClを1.0%添加したGAM液体培地に、約105CFUのRGU−Lp1株及び標準菌株を添加し、37℃の温度条件下で3時間接触させ、初発菌数および処置後の菌数をLBS培地により計測した。その結果、RGU−Lp1株は1%塩存在下においても増殖性を有し、高い耐性を示した(表5)。
【0044】
【表5】
【実施例4】
【0045】
(RGU−Lp1株の発酵代謝物中の多糖類確認)
RGU−Lp1株(NITE P−804)についての発酵代謝物中の多糖類(EPS)を確認するため、以下の試験を行った。
【0046】
RGU−Lp1株を10%スキムミルクにより48時間一次賦活培養した菌液10mlを10%スキムミルク基礎培地100mlに添加し、32℃の温度条件下でさらに96時間培養した発酵物を作成し、その発酵物の上清に含有される多糖類(EPS)を同様に調製した標準菌株(ATCC8014)の発酵物上清と比較した。その結果、RGU−Lp1株は7.1mg/kg、標準菌株は7.2mg/kgであり、両菌株に大きな差異は認められなかった(表6)。
【0047】
【表6】
【実施例5】
【0048】
(RGU−Lp1株の生理機能確認)
RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体及び培養上清濾過物についての生理機能を確認するため、以下の試験を行った。
【0049】
乳酸菌発酵物の調製としては、RGU−Lp1株を10%スキムミルクにより48時間一次賦活培養した菌液10mlを10%スキムミルク基礎培地100mlに添加し、32℃でさらに96時間培養した発酵物を作製し、LAB(生菌を含む発酵物)溶液とした。このLAB溶液を高速遠心し菌体を沈殿後、培養上清を0.22μmのフィルターを用いて濾過し、菌体を完全に除去(ろ過滅菌)して作製したものをFP(培養上清濾過物)溶液とした。BALB/cマウスに各LAB,FP溶液を4週間自由摂取させた後、採血した末梢血と腹腔内マクロファージを活性酸素生成能の試験に、また、脾臓細胞をサイトカイン遺伝子発現、リンパ球幼若化反応、リンパ球サブセットの検討に用いた。
【0050】
活性酸素生成能の確認は、末梢血50μLまたは腹腔内マクロファージ105個に対し、HANKS緩衝液150μL、ルミノール(終濃度1.0×10−4M)を加え、ザイモザン(終濃度925.9μg/ml)添加後15分間の化学発光量を測定し、その積算値を比較検討した。
【0051】
フローサイトメトリーは、脾臓細胞106個に対しFITC−conjugated rat anti−mouse CD4およびPE−conjugated rat anti−mouse CD8抗体を30分間反応させた後、Epics XL flow cytometer (Beckman Coulter)により陽性細胞率を測定し、Expo 32 software program(Beckman Coulter)にて解析した。
【0052】
サイトカイン遺伝子発現の確認は、脾臓細胞106個をlipopolysaccharide(LPS、最終濃度50μg/mL)により刺激培養し、5時間後の細胞の炎症性サイトカイン遺伝子発現(IL−1β及びTNF−α)をリアルタイムPCR法により測定した。コントロールにはLPS未刺激の5時間培養脾臓細胞を用い、同様に炎症性サイトカイン遺伝子発現の検討を行った。
【0053】
なお、FP溶液についてはマウス腸内のBifidobacteria(善玉菌)及びClostridia(悪玉菌)の菌数を測定し、LAB溶液についてはマウスの血中コレステロール濃度の測定も行った。
【0054】
この結果、まず、FP溶液をマウスに経口投与した場合、腸内Bifidobacteriaの菌数を増加させ、Clostridiaの検出率を低下させることが示された(図3)。つまり、FP溶液が腸内フローラ改善作用を有することが示された。そして、末梢血及び腹腔内マクロファージで活性酸素産生能をともに亢進し(図4)、脾臓細胞リンパ球幼若化能も増強し(図5)、脾臓細胞リンパ球サブセットCD4、CD8も増加させる(図6)ことが示された。さらには、脾臓での炎症性サイトカイン(IL−1β及びTNF−α)遺伝子発現が、感染症外挿モデルとしてのグラム陰性桿菌の内毒素LPS刺激時に亢進されること(図7)も示された。
特に、末梢血での活性酸素産生能亢進及びLPS刺激での炎症性サイトカイン遺伝子発現亢進は、FP溶液投与が感染症予防治療に有効であることを強く示している。
【0055】
また、LAB溶液をマウスに経口投与した場合、血中コレステロール濃度を低下させることが示された(図12)。そして、末梢血で活性酸素産生能を抑制し(図8)、末梢血リンパ球幼若化能を増強し(図11)、脾臓細胞リンパ球サブセットCD4、CD8を増加させる(図9)ことが示された。さらには、脾臓での炎症性サイトカイン(IL−1β及びTNF−α)遺伝子発現が、LPS刺激時に抑制されること(図10)も示された。
特に、末梢血での活性酸素産生能抑制及びLPS刺激での炎症性サイトカイン遺伝子発現抑制は、LAB溶液投与が抗炎症効果を期待した免疫疾患症状改善に有効であることを強く示している。
【0056】
以上より、RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体は免疫疾患症状改善作用を有し、当該菌株の培養上清濾過物は、生菌体の作用とは相違する(相反する)感染症予防及び/又は治療作用を有するということが示された。したがって、RGU−Lp1株(NITE P−804)は、生菌体と培養上清濾過物という機能の相違する2種類の有効な機能性成分を提供できるユニークな新規乳酸菌株であることが示された。
【0057】
なお、本発明を要約すれば次のとおりである。
【0058】
すなわち、本発明は、安価かつ容易に増殖可能でありながら、従来から知られている有用特定乳酸菌株と同等またはそれ以上の生理作用を示す新規乳酸菌、及び、当該生菌等を含有する医薬品、食品、及び飼料を新たに提供することを目的とする。
【0059】
そして、発酵乳より分離した新規乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株の生菌体を有効成分とすることで、免疫疾患症状改善効果を奏する医薬品、飼料、食品を提供し、その培養上清濾過物を有効成分とすることで、生菌体を有効成分とした場合とは相違する効果である感染症予防治療効果を奏する医薬品、飼料、食品を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【受託番号】
【0060】
本発明において寄託されている微生物の受託番号を下記に示す。
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規乳酸菌及び当該乳酸菌生菌体等を含有する組成物に関する。詳細には、免疫疾患などに対して有益な生理機能を発揮する新規乳酸菌、及び、この生菌体又は培養上清濾過物を有効成分として含有する医薬品、ヒト用の食品、ヒトを除く動物用の飼料等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向などを背景に、ヒトや動物に有益な生理機能を発揮させる成分(いわゆる機能性成分)が注目されている。その代表的なもののひとつが乳酸菌であり、動物への経口投与等によって、腸内フローラ(腸内細菌叢)改善、抗アレルギー作用、コレステロール低下作用、血圧降下作用など、菌種の特性により様々な生理機能を発揮する。
【0003】
特に、乳酸菌の生理機能として注目されているのが、プロバイオティクスと抗アレルギーである。ここで、プロバイオティクスとは、腸内フローラの改善を通じて有益な影響をもたらす生菌のことを示し、乳酸菌やビフィズス菌はこの代表格である。なお、腸内でのプロバイオティクスの増殖を促進する物質をプレバイオティクスと呼び、オリゴ糖や食物繊維などが挙げられる。
【0004】
乳酸菌の抗アレルギー作用については、様々な有用菌株が見いだされ、報告や商品化等がされている。しかし、特徴的なことは、乳酸菌の抗アレルギー作用の有無は分類学上の乳酸菌の分類と全く一致していない点である。つまり、ある特定の菌株に強い抗アレルギー作用があったとしても、そのごく近縁の菌株(あるいは同じ属の菌株)に同様の作用が必ずしもあるとはいえず、逆に全く抗アレルギー作用を示さない近縁菌株も少なくない。
【0005】
このようなことから、乳酸菌の抗アレルギー作用は菌株に依存しており、当該作用を求める場合には、乳酸菌ならばどのような菌株でも良いのではなく、特定の有用菌株を選択して摂取する必要があった。しかし、医薬品や食品などへの利用のしやすさ(増殖の容易性、コスト、風香味など)から、実用的に用いることができる乳酸菌株は多くなく、当業界においては、より実用的で(安価かつ容易に増殖可能な)有効な生理作用を発揮する、風香味も良好な新規乳酸菌株の提供が強く求められていた。
【0006】
一方、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)は、ぬか漬、しば漬、キムチ、サワークラウト、サワーブレッド等の発酵食品などから分離されているものであり、風香味が良好なだけでなく、酸、塩に比較的強い、増殖性が高い、生菌でのヒト又は動物の腸内到達がしやすいなどの特性を有する。そして、その機能性についても、特定菌株について抗アレルギー作用(特許文献1、2)、整腸作用(特許文献3)、抗酸化作用(特許文献4)などが報告されている。しかし、その機能や特性についていまだ充分に満足できる菌株は得られていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−139160号公報
【特許文献2】特開2007−126365号公報
【特許文献3】特開2009−225792号公報
【特許文献4】特開2006−291146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような当業界の技術の現状において、安価かつ容易に増殖可能でありながら、従来の有用特定乳酸菌株と同等またはそれ以上の生理作用を示す新規乳酸菌、及び、当該生菌等を含有する医薬品、食品、及び飼料を新たに提供すること目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究の結果、発酵乳より分離した新規菌株である乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株が、その生菌体を有効成分としてヒト又は動物に与えたときに強い免疫疾患症状改善効果を奏すること、及び、その生菌体を含まない培養上清濾過物を有効成分としてヒト又は動物に与えたときに、生菌体を有効成分とした場合とは全く相違する効果である強い感染症予防治療効果を奏すること、つまり、1種の乳酸菌株から生菌体と培養上清濾過物という機能が相違する2種類の有効な機能性成分を得られることを見いだし、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)生菌体と培養上清濾過物で相違する生理作用を示す、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)。
【0011】
(2)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を有効成分とすること、を特徴とする免疫疾患症状改善剤。
(3)(2)に記載の剤を、ヒトを除く動物(家畜、ペット等)に1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)生菌体として109個/日以上摂取されるように投与すること、を特徴とするヒトを除く動物(家畜、ペット等)の免疫疾患症状改善方法。
(4)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含有してなること、を特徴とする免疫疾患症状改善のためのヒトを除く動物(家畜、ペット等)用飼料。
(5)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含有してなること、を特徴とする免疫疾患症状改善のための食品。
【0012】
(6)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含まない培養上清濾過物を有効成分とすること、を特徴とする感染症予防治療剤。
(7)(6)に記載の剤を、ヒトを除く動物(家畜、ペット等)に1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含まない培養上清濾過物の乾燥物として300mg/kg・日以上摂取されるように投与すること、を特徴とするヒトを除く動物(家畜、ペット等)の感染症予防治療方法。
(8)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含まない培養上清濾過物を含有してなること、を特徴とする感染症予防治療のためのヒトを除く動物(家畜、ペット等)用飼料。
(9)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含まない培養上清濾過物を含有してなること、を特徴とする感染症予防治療のための食品。
【0013】
(10)(2)に記載の剤を、ヒトに1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)生菌体として109個/日以上となるように投与すること、を特徴とするヒトの免疫疾患症状改善方法。
(11)(6)に記載の剤を、ヒトに1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含まない培養上清濾過物の乾燥物として300mg/kg・日以上となるように投与すること、を特徴とするヒトの感染症予防治療方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株は、酸、塩、アルコールなどに耐性があり、また、特殊な設備や培地を必要とせず、簡易培地により安価かつ容易に増殖可能なものである。そして、その生菌体を有効成分としてヒト又は動物に与えたときに強い免疫疾患症状改善効果を奏すること、及び、その培養上清濾過物を有効成分としてヒト又は動物に与えたときに、生菌体を有効成分とした場合とは全く相違する効果である強い感染症予防治療効果を奏することから、1種の乳酸菌株から生菌体と培養上清濾過物という機能の相違する2種類の有効な機能性成分を提供することが可能となる。さらに付随して、当該生菌体はそのまま生菌としてヒト又は動物の腸まで届き、また、当該生菌体及び培養上清濾過物は腸内フローラ改善作用、コレステロール低減作用なども発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】RGU−Lp1株と標準菌株のゲノムDNAを鋳型とした、RAPD法によるPCR反応の結果(電気泳動写真)を示す、Lp1はRGU−Lp1株、ATCCは標準菌株、1kbp、100bpはサイズマーカーを示す(図面代用写真)。
【図2】RGU−Lp1株と標準菌株を、25℃および32℃の温度条件下でGAM液体培地を用いて培養したときの増殖変化を示す。
【図3】RGU−Lp1株培養上清濾過物投与群(FP)と未投与群(CN)の腸内Bifidobacteria菌数及びClostridia検出率を示す。
【図4】RGU−Lp1株培養上清濾過物投与群(FP)と未投与群(CN)の末梢血及び腹腔内マクロファージでの活性酸素(ROS)産生能を示す。
【図5】RGU−Lp1株培養上清濾過物投与群(FP)と未投与群(CN)の脾臓細胞リンパ球幼若化能を示す。
【図6】RGU−Lp1株培養上清濾過物投与群(FP)と未投与群(Control)の脾臓細胞リンパ球サブセットCD4、CD8の挙動を示す。
【図7】RGU−Lp1株培養上清濾過物投与群(FP:奥側)と未投与群(TW:手前側)の脾臓での炎症性サイトカイン(IL−1β及びTNF−α)遺伝子発現について、LPS刺激の有無による比較を示す。
【図8】RGU−Lp1株発酵物投与群(LAB)と未投与群(CN)の末梢血及び腹腔内マクロファージでの活性酸素(ROS)産生能を示す。
【図9】RGU−Lp1株発酵物投与群(LAB)と未投与群(Control)の脾臓細胞リンパ球サブセットCD4、CD8の挙動を示す。
【図10】RGU−Lp1株発酵物投与群(LAB:奥側)と未投与群(TW:手前側)の脾臓での炎症性サイトカイン(IL−1βおよびTNF−α)遺伝子発現について、LPS刺激の有無による比較を示す。
【図11】RGU−Lp1株発酵物投与群(LAB)と未投与群(Control)の末梢血リンパ球幼若化能を示す。
【図12】RGU−Lp1株発酵物投与群(LAB)と未投与群(Control)の血中コレステロール濃度の挙動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明者らは、自然発酵乳由来の乳酸菌に着目した。まず、生乳を自然発酵させて得られた発酵乳からMRS培地でLactobacillus属を分離し、それらのうち簡易培地(スキムミルク等)で培養可能な株を複数選定し、さらに、それらの発酵物等について腸内菌叢改善作用、免疫賦活化作用などを指標とし、且つ、食品に適用した場合に、香味・物性等に優れている菌株をスクリーニングした。そして、これらの条件に合致する菌株として、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株を見いだした。本発明では、このラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株を使用する。
【0018】
この、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構・特許微生物寄託センター(〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に、2009年(平成21年)8月24日付けで寄託されており、その受託番号はNITE P−804である。
【0019】
この、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の主な菌学的性質は以下の通りである。なお、当該菌学的性質より、分類学的にRGU−Lp1株がLactobacillus plantaraumに属することが示される。
【0020】
<形態学的性状>
細胞形態:桿菌
運動性:無
胞子の有無:無
グラム染色性:陽性
【0021】
<生理学的性状(陽性+、陰性−)>
カタラーゼ:−
ガス産生:−
15℃での生育:+
グルコン酸資化性:+
乳酸旋光性:DL
好気性発育:+
【0022】
<炭水化物発酵性(陽性+、陰性−)>
アラビノース:+
キシロース:−
ラムノース:+
リボース:+
グルコース:+
マンノース:+
フルクトース:+
ガラクトース:+
シュクロース:+
セロビオース:+
ラクトース:+
トレハロース:+
メリビオース:+
ラフィノース:+
メリチトース:+
スターチ:+
マンニトール:+
ソルビトール:+
デキストリン:+
【0023】
本発明においては、有効成分としてRGU−Lp1株生菌体(生菌体を含む発酵物を包含する)と生菌体を除去した培養上清濾過物を使用する。RGU−Lp1株生菌体は、乳酸菌生菌体調製に用いられる定法によって得ることができ、発酵物、凍結物、凍結乾燥物などの形態が例示されるが、RGU−Lp1株生菌体が含まれていれば特に限定はされない。
【0024】
RGU−Lp1株培養上清濾過物は、当該菌株を培養したものから生菌体を濾過により除去したものである。これを濃縮したもの(濃縮物)、ペースト化したもの(ペースト化物)、乾燥したもの(乾燥物)を用いることもできる。濾過は、1μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm(更に好ましくは0.1〜0.3μm)のメッシュサイズのフィルター等で行えばよく、生菌体が除去できれば特に限定されない。なお、当該培養上清濾過物は、RGU−Lp1株の菌体外分泌物(糖類、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質などのいずれか又はこれらの複合成分)が具体的な有効成分として機能していると考えられるため、濾過以外の処理であっても、生菌体が完全に除去でき、且つ、菌体外分泌物が除去されない方法であれば、どのような処理方法でも用いることが可能である。
【0025】
上記有効成分は、種々の形態でヒト又は動物(家畜、ペット等)に給与及び/又は経口投与される。その形態としては、例えば通常の食品や飼料(固形物又は飲料)、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロッブ剤などをあげることができる。各種製剤の場合は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。
【0026】
給与又は経口投与量としては特に制限はないが、RGU−Lp1株生菌体の場合には、例えば、菌数として109個/日以上、RGU−Lp1株培養上清濾過物の場合には、例えば、乾燥物として300mg/kg・日以上(好ましくは300mg〜1000mg/kg・日)給与又は経口投与するのが好ましい。
【0027】
そして、上記RGU−Lp1株生菌体を用いることで、炎症性サイトカイン発現の抑制や末梢血における活性酸素産生能を抑制し、免疫疾患症状を改善する医薬品、食品、飼料を提供することができ、また、上記RGU−Lp1株培養上清濾過物を用いることで、炎症性サイトカイン発現の亢進や末梢血における活性酸素産生能を亢進し、感染症を予防及び/又は治療する医薬品、食品、飼料を提供することができる。
【0028】
このように、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)は、この菌株1種のみで、生菌体と培養上清濾過物という機能が相違する2種類の有効な機能性成分を提供することができ、また、その増殖も容易であり、且つ、風香味も良好であるという画期的な新規乳酸菌株である。
【0029】
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらのみに限定されるものではない
【実施例1】
【0030】
(ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株の発酵代謝物特性確認)
発酵乳より分離された、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)についての発酵代謝物特性を確認するため、以下の試験を行った。
【0031】
RGU−Lp1株を10%スキムミルクにより48時間一次賦活培養した菌液10mlを、10%スキムミルク基礎培地100mlに添加し、32℃の温度条件下でさらに96時間培養した発酵物を作成し、その上清に含有される遊離アミノ酸組成を測定した。同様に調製したLactobacillus plantarum標準菌株(ATCC8014)の発酵物上清についても遊離アミノ酸組成を測定し、これらを比較した(表1)。なお、遊離アミノ酸の測定は、トリプトファンについては高速液体クロマトグラフ法により、その他のアミノ酸についてはアミノ酸自動分析法により行った。
【0032】
その結果、RGU−Lp1株においては、アルギニン、リジン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸が検出されたのに対し、標準菌株で検出されたのはグルタミン酸のみであり、またその値もRGU−Lp1株の1/8であった(表1)。このことは、RGU−Lp1株が標準菌株等とは異なる新規菌株であること、及び、食品組成物として利用される場合に風香味面での利点を有することを示唆している。なお、発酵物調製時における、両菌株の生存菌数は107CFU/mlであった。
【0033】
【表1】
【実施例2】
【0034】
(RGU−Lp1株の遺伝学的特性確認)
RGU−Lp1株(NITE P−804)についての遺伝学的特性を確認するため、以下の試験を行った。
【0035】
まず、RGU−Lp1株の16sリボゾーマルRNAの塩基配列決定を実施した。その結果、Lactobacillus plantaraum属のものと100%の相同性を示した。また、Random Amplified Polymorphic DNA(RAPD)法(ref)により個体種別を行った。すなわち、RGU−Lp1株及び標準菌株(ATCC8014)のゲノムDNAを鋳型とし、RAPD−1(5'−GTTTCGCTCC−3')、RAPD−2(5'−GCGATCCCCA−3')の短いプライマーを用いPCRを行った。PCRの反応条件は、95℃5分の反応後、95℃1分、36℃1分、72℃2分を1サイクルとして35サイクル実施した。PCR後1.5%アガロースゲルで電気泳動を行った結果、図1の結果を得た。これらは同属菌種でありながら、RGU−Lp1株は標準菌株とは異なるバンドパターンを呈した。したがって、RGU−Lp1株はLactobacillus plantaraum属に属する菌株であるが、標準菌株等とは異なる新規菌株であることが示された。
なお、PCRに使用したプライマーの塩基配列は、配列表の配列番号1(RAPD−1)、及び2(RAPD−2)にも示した。
【実施例3】
【0036】
(RGU−Lp1株の増殖特性、各種耐性確認)
RGU−Lp1株(NITE P−804)についての増殖特性を確認するため、以下の試験を行った。
【0037】
まず、RGU−Lp1株と標準菌株の増殖性を25℃及び32℃の温度条件下でGAM液体培地を用いて比較した。その結果を図2に示した。RGU−Lp1株は各温度において、標準菌株と同等の増殖能を示した。
【0038】
また、アルコール耐性試験を以下の通り実施した。すなわち、2%、4%、8%の各濃度のアルコールを含むGAM液体培地に約104CFUのRGU−Lp1株及び標準菌株を添加し、32℃の温度条件下で培養し、初発菌数および処置後の菌数をLBS培地により計測した。その結果、アルコール濃度2%および4%の条件下において、24時間後の増殖能はRGU−Lp1株の方が高かった(表2)。また、アルコール濃度8%で培養を48時間行なった場合、標準菌株には耐性がなかったが、RGU−Lp1株は増殖しており、高い濃度でのアルコール耐性が示された(表3)。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
さらに、消化液耐性試験を以下の通り実施した。胃酸耐性試験は、ペプシンを0.3%添加したGAM液体培地に約105CFUのRGU−Lp1株及び標準菌株を添加し、37℃の温度条件下で3時間接触させた。また、膵液耐性試験は、パンクレアチンを1.9mg/mlの濃度となるよう添加したGAM液体培地に、約105CFUのRGU−Lp1株と標準菌株を添加し、37℃の温度条件下で3時間接触させた。両試験とも初発菌数および処置後の菌数をLBS培地により計測した。その結果、胃酸に対してはRGU−Lp1株の方が標準菌株よりも4倍高い耐性を示した。また膵液耐性では、両菌株とも耐性を示したが、膵液存在下におけるRGU−Lp1株の増殖能は標準菌株よりも約2倍高かった(表4)。
【0042】
【表4】
【0043】
また、耐塩性試験は以下の通り実施した。すなわち、NaClを1.0%添加したGAM液体培地に、約105CFUのRGU−Lp1株及び標準菌株を添加し、37℃の温度条件下で3時間接触させ、初発菌数および処置後の菌数をLBS培地により計測した。その結果、RGU−Lp1株は1%塩存在下においても増殖性を有し、高い耐性を示した(表5)。
【0044】
【表5】
【実施例4】
【0045】
(RGU−Lp1株の発酵代謝物中の多糖類確認)
RGU−Lp1株(NITE P−804)についての発酵代謝物中の多糖類(EPS)を確認するため、以下の試験を行った。
【0046】
RGU−Lp1株を10%スキムミルクにより48時間一次賦活培養した菌液10mlを10%スキムミルク基礎培地100mlに添加し、32℃の温度条件下でさらに96時間培養した発酵物を作成し、その発酵物の上清に含有される多糖類(EPS)を同様に調製した標準菌株(ATCC8014)の発酵物上清と比較した。その結果、RGU−Lp1株は7.1mg/kg、標準菌株は7.2mg/kgであり、両菌株に大きな差異は認められなかった(表6)。
【0047】
【表6】
【実施例5】
【0048】
(RGU−Lp1株の生理機能確認)
RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体及び培養上清濾過物についての生理機能を確認するため、以下の試験を行った。
【0049】
乳酸菌発酵物の調製としては、RGU−Lp1株を10%スキムミルクにより48時間一次賦活培養した菌液10mlを10%スキムミルク基礎培地100mlに添加し、32℃でさらに96時間培養した発酵物を作製し、LAB(生菌を含む発酵物)溶液とした。このLAB溶液を高速遠心し菌体を沈殿後、培養上清を0.22μmのフィルターを用いて濾過し、菌体を完全に除去(ろ過滅菌)して作製したものをFP(培養上清濾過物)溶液とした。BALB/cマウスに各LAB,FP溶液を4週間自由摂取させた後、採血した末梢血と腹腔内マクロファージを活性酸素生成能の試験に、また、脾臓細胞をサイトカイン遺伝子発現、リンパ球幼若化反応、リンパ球サブセットの検討に用いた。
【0050】
活性酸素生成能の確認は、末梢血50μLまたは腹腔内マクロファージ105個に対し、HANKS緩衝液150μL、ルミノール(終濃度1.0×10−4M)を加え、ザイモザン(終濃度925.9μg/ml)添加後15分間の化学発光量を測定し、その積算値を比較検討した。
【0051】
フローサイトメトリーは、脾臓細胞106個に対しFITC−conjugated rat anti−mouse CD4およびPE−conjugated rat anti−mouse CD8抗体を30分間反応させた後、Epics XL flow cytometer (Beckman Coulter)により陽性細胞率を測定し、Expo 32 software program(Beckman Coulter)にて解析した。
【0052】
サイトカイン遺伝子発現の確認は、脾臓細胞106個をlipopolysaccharide(LPS、最終濃度50μg/mL)により刺激培養し、5時間後の細胞の炎症性サイトカイン遺伝子発現(IL−1β及びTNF−α)をリアルタイムPCR法により測定した。コントロールにはLPS未刺激の5時間培養脾臓細胞を用い、同様に炎症性サイトカイン遺伝子発現の検討を行った。
【0053】
なお、FP溶液についてはマウス腸内のBifidobacteria(善玉菌)及びClostridia(悪玉菌)の菌数を測定し、LAB溶液についてはマウスの血中コレステロール濃度の測定も行った。
【0054】
この結果、まず、FP溶液をマウスに経口投与した場合、腸内Bifidobacteriaの菌数を増加させ、Clostridiaの検出率を低下させることが示された(図3)。つまり、FP溶液が腸内フローラ改善作用を有することが示された。そして、末梢血及び腹腔内マクロファージで活性酸素産生能をともに亢進し(図4)、脾臓細胞リンパ球幼若化能も増強し(図5)、脾臓細胞リンパ球サブセットCD4、CD8も増加させる(図6)ことが示された。さらには、脾臓での炎症性サイトカイン(IL−1β及びTNF−α)遺伝子発現が、感染症外挿モデルとしてのグラム陰性桿菌の内毒素LPS刺激時に亢進されること(図7)も示された。
特に、末梢血での活性酸素産生能亢進及びLPS刺激での炎症性サイトカイン遺伝子発現亢進は、FP溶液投与が感染症予防治療に有効であることを強く示している。
【0055】
また、LAB溶液をマウスに経口投与した場合、血中コレステロール濃度を低下させることが示された(図12)。そして、末梢血で活性酸素産生能を抑制し(図8)、末梢血リンパ球幼若化能を増強し(図11)、脾臓細胞リンパ球サブセットCD4、CD8を増加させる(図9)ことが示された。さらには、脾臓での炎症性サイトカイン(IL−1β及びTNF−α)遺伝子発現が、LPS刺激時に抑制されること(図10)も示された。
特に、末梢血での活性酸素産生能抑制及びLPS刺激での炎症性サイトカイン遺伝子発現抑制は、LAB溶液投与が抗炎症効果を期待した免疫疾患症状改善に有効であることを強く示している。
【0056】
以上より、RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体は免疫疾患症状改善作用を有し、当該菌株の培養上清濾過物は、生菌体の作用とは相違する(相反する)感染症予防及び/又は治療作用を有するということが示された。したがって、RGU−Lp1株(NITE P−804)は、生菌体と培養上清濾過物という機能の相違する2種類の有効な機能性成分を提供できるユニークな新規乳酸菌株であることが示された。
【0057】
なお、本発明を要約すれば次のとおりである。
【0058】
すなわち、本発明は、安価かつ容易に増殖可能でありながら、従来から知られている有用特定乳酸菌株と同等またはそれ以上の生理作用を示す新規乳酸菌、及び、当該生菌等を含有する医薬品、食品、及び飼料を新たに提供することを目的とする。
【0059】
そして、発酵乳より分離した新規乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株の生菌体を有効成分とすることで、免疫疾患症状改善効果を奏する医薬品、飼料、食品を提供し、その培養上清濾過物を有効成分とすることで、生菌体を有効成分とした場合とは相違する効果である感染症予防治療効果を奏する医薬品、飼料、食品を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【受託番号】
【0060】
本発明において寄託されている微生物の受託番号を下記に示す。
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)。
【請求項2】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を有効成分とすること、を特徴とする免疫疾患症状改善剤。
【請求項3】
請求項2に記載の剤を、ヒトを除く動物に1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)生菌体として109個/日以上摂取されるように投与すること、を特徴とするヒトを除く動物の免疫疾患症状改善方法。
【請求項4】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含有してなること、を特徴とする免疫疾患症状改善のための飼料。
【請求項5】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含有してなること、を特徴とする免疫疾患症状改善のための食品。
【請求項6】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の培養上清濾過物を有効成分とすること、を特徴とする感染症予防治療剤。
【請求項7】
請求項6に記載の剤を、ヒトを除く動物に1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)培養上清濾過物の乾燥物として300mg/kg・日以上摂取されるように投与すること、を特徴とするヒトを除く動物の感染症予防治療方法。
【請求項8】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の培養上清濾過物を含有してなること、を特徴とする感染症予防治療のための飼料。
【請求項9】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の培養上清濾過物を含有してなること、を特徴とする感染症予防治療のための食品。
【請求項1】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)。
【請求項2】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を有効成分とすること、を特徴とする免疫疾患症状改善剤。
【請求項3】
請求項2に記載の剤を、ヒトを除く動物に1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)生菌体として109個/日以上摂取されるように投与すること、を特徴とするヒトを除く動物の免疫疾患症状改善方法。
【請求項4】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含有してなること、を特徴とする免疫疾患症状改善のための飼料。
【請求項5】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の生菌体を含有してなること、を特徴とする免疫疾患症状改善のための食品。
【請求項6】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の培養上清濾過物を有効成分とすること、を特徴とする感染症予防治療剤。
【請求項7】
請求項6に記載の剤を、ヒトを除く動物に1日当たりラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)培養上清濾過物の乾燥物として300mg/kg・日以上摂取されるように投与すること、を特徴とするヒトを除く動物の感染症予防治療方法。
【請求項8】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の培養上清濾過物を含有してなること、を特徴とする感染症予防治療のための飼料。
【請求項9】
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)RGU−Lp1株(NITE P−804)の培養上清濾過物を含有してなること、を特徴とする感染症予防治療のための食品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−93(P2012−93A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141049(P2010−141049)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(503096591)学校法人酪農学園 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(503096591)学校法人酪農学園 (13)
【Fターム(参考)】
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