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新規免疫修飾性タンパク質およびその有用な態様
説明

新規免疫修飾性タンパク質およびその有用な態様

【課題】疾患には、アレルギー性炎症、アテローム斑形成および不安定なプラークの破綻、動脈再狭窄、バイパス移植片閉塞、ゴーシェ病、糖尿病、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、移植片拒絶、移植片血管病変および腎炎が含まれ、IL−18活性抑制による炎症性疾患の治療薬を提供する。
【解決手段】ポックスウイルスファミリー、すなわちヤバサル腫瘍ウイルス、のゲノムから単離する新規分泌型ウイルスタンパク質及び、疾患の治療において、in vivoで投与した場合に、抗-炎症性および/または免疫修飾性作用を有するタンパク質を使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの疾患を治療する際に有用である場合がある、新規の分泌型ウイルスタンパク質に関する。本明細書中で開示されるタンパク質は、ポックスウイルスファミリーのゲノムから単離されたものであり、ここで前記ウイルスはヤバサル腫瘍ウイルス(Yaba Monkey Tumor Virus)である。本発明は、in vivoで投与した場合に抗炎症性および/または免疫修飾性の役割を媒介することができる、この新規な免疫修飾性タンパク質の配列およびその有用な態様の非-自明な発見を示す。
【背景技術】
【0002】
ポックスウイルスは、様々な哺乳動物種に感染することが知られるDNAウイルスの大きなファミリーである。現在までに、およそ50種のポックスウイルスゲノムが同定され、それぞれのゲノムは、その中でコードされる約200個のオープンリーディングフレームを含有する。ポックスウイルスファミリー、あるいはポックスウイルス科として知られるもの、には、2種のサブファミリーが含まれ(ChordopoxvirinaeおよびEntomopoxvirinae)、ここでこれらの種は、それぞれ8種および3種の属に分類され、これらの種にはオルソポックスウイルス属、パラポックスウイルス属、アビポックスウイルス属、カプリポックスウイルス属、レポリポックスウイルス属、スイポックスウイルス属、モルシポックスウイルス(Molluscipoxvirus)およびヤタポックスウイルスが含まれるがこれらには限定されず、これらの属にはミキソーマウイルス、ワクシニアウイルス、豚痘ウイルス、伝染性軟肬腫ウイルス(Molluscum Contagiosum Virus)およびヤバサル腫瘍ウイルスとして知られる種が含まれるが、これらには限定されない。ポックスウイルスは、ファミリーに属する様々な種の間で抗原性決定基を共有する、複雑な対称性を有する大型のレンガ-状ビリオンとして特徴づけられる。
【0003】
宿主生物の感染の際に、ポックスウイルスゲノムは、宿主中のホメオスタシスを妨害しそしてモジュレートする、多数のタンパク質の発現を媒介することが、当該技術分野において周知である。細胞内作用を媒介するタンパク質に加えて、ポックスウイルスはまた、感染した動物の循環系中にタンパク質を分泌することも知られる。このような分泌されたタンパク質には、哺乳動物の免疫系の様々な異なる性質に結合しそして阻害する物質が含まれ、そしてウイルスの免疫媒介性クリアランスを最小限にする。
【0004】
ヤバサル腫瘍ウイルス(YMTV)は、ヤタウイルス属のポックスウイルスであり、そしてアカゲザルの大流行が起こっている間の1958年に特徴づけられた。サルにおけるYMTV感染は、表皮性組織球腫を引き起こし、それは化膿性の炎症反応へと進行する。YMTVは、136キロベースのDNAゲノムを有し、そのゲノムの大部分は未だクローニングされておらずそして特徴づけられていない。YMTVは、霊長類細胞培養系において相対的にゆっくりと増殖し、そしてその宿主域は少数の霊長類と、場合により感染したサルに偶発的に曝露されたヒトに限定されている。
【0005】
IL-18は、Th1-様免疫応答の強化において重要な初期機能を果たしている、前-炎症性哺乳動物サイトカインである。その独立した作用に加えて、IL-18はIL-12と相乗作用して、様々な免疫細胞型からのIFN-γ産生を誘導する。IL-18の特定の細胞-表面受容体に対する結合によりNF-κB活性化が誘導され、そしてIL-18はin vivoにおいて炎症性疾患に寄与する可能性があるIFN-γ産生および炎症性応答の産生のために重要である。これらの疾患には、アレルギー性炎症、アテローム斑形成および不安定なプラークの破綻、動脈再狭窄、バイパス移植片閉塞、ゴーシェ病、糖尿病、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、移植片拒絶、移植片血管病変(transplant vasculopathy )および腎炎が含まれるが、これらのものには限定されない。
【0006】
本発明は、YMTVに由来するタンパク質の非-自明な同定および特性決定を提供し、ここで前記タンパク質はYMTVサイトカイン阻害剤、またはYCIとして記載する。本発明は、前記YCIをコードする核酸およびアミノ酸ポリマーを包含し、前記YCIを検出しおよび産生する方法を含む。本発明は、生物内での免疫応答をモジュレートする方法としてこのYCIの使用をさらに包含する。開示される核酸およびアミノ酸配列は、上述したような炎症および免疫-媒介性疾患を含むが、これらのものには限定されない、1またはそれ以上の免疫-関連性疾患の発症を予防し、治療し、または逆転させることを目的として、ヒト個体の治療のために利用することができる、ということをさらに請求の範囲に記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書中で開示される本発明は、ヤバサル腫瘍ウイルス(YMTV)に由来する新規核酸およびタンパク質配列の特徴を明らかにする。本発明は、DNAおよびそれに由来するRNAフラグメント、並びに開示された配列から由来されるアミノ酸配列を含む、前記配列に関連する全ての組成物を包含するが、これらのものには限定されない。開示されるタンパク質配列、並びにそのホモログ、アナログおよびフラグメントは、哺乳動物免疫系の性質を検出可能な親和性および安定性と結合させることができる、ということが本明細書中で企図される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのような一態様において、そのような結合は、開示されたタンパク質と、1またはそれ以上の哺乳動物サイトカインとの間で生じ、その場合にあるそのようなサイトカインはインターロイキン-18、あるいは当該技術分野において知られる様なIL-18である。開示されるタンパク質は、したがって、YMTVサイトカイン阻害剤、またはYCIとして記載される。本発明はさらに、それに対して相補的な配列を含む前記YCI核酸の使用、そして様々な診断用途および治療用途のためのタンパク質配列の使用、を包含する。そのような一態様において、本明細書中では、YCI配列は免疫関連タンパク質との相互作用を同定するために利用することができることが、企図される。さらなる態様においては、本明細書中で開示されるYCI配列を、哺乳動物生物体内での炎症性疾患、自己免疫疾患、または免疫媒介性疾患症状の発生、進行、および病理をモジュレートすることを目的として、前記哺乳動物生物中に、導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、以下の図面およびその関連する記載を用いて、さらに理解されそしてサポートされる。これらの記載および図面は、どのような状況下においても本発明を限定することを意味するものではなく、そして本明細書中に開示する発明の可能性のある態様として解釈されるべきものである。これらの図面により示されるデータの作成において用いられた方法は、当該技術分野において一般的に知られた方法であり、そして本明細書中に記載される方法を用いることにより、同一の結果を再現することができる。
【図1A】図1Aは、本明細書中の以下において“SEQ ID NO: 1”として記載する、YMTV内のYCI遺伝子のゲノム核酸配列を示し、そして本明細書中の以下において“SEQ ID NO:2”として記載される、YMTVにより発現されるYCIタンパク質のアミノ酸配列をさらに示す。
【図1B】図1Bは、本明細書中の以下において“SEQ ID NO: 1”として記載する、YMTV内のYCI遺伝子のゲノム核酸配列を示し、そして本明細書中の以下において“SEQ ID NO:2”として記載される、YMTVにより発現されるYCIタンパク質のアミノ酸配列をさらに示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に開示する本発明では、ポックスウイルスファミリーの構成ウイルスとして当該技術分野で周知であり、そしてその中のヤタポックスウイルス属のさらなるサブセットとして周知である、ヤバサル腫瘍ウイルスに由来する新規タンパク質を同定する。前記ヤバサル腫瘍ウイルスは、本明細書の以下において、“YMTV”として記載する。特に、本発明は、ヤバサイトカイン阻害剤として記載される免疫修飾性核酸およびそれに関連するアミノ酸配列を開示し、ここで、核酸配列およびアミノ酸配列のホモログ、アナログおよび短縮型を含む、核酸配列およびアミノ酸配列を、本明細書中の以下において集合的に“YCI”として略記する。本明細書中の開示は、本明細書に添付したSEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO:2のそれぞれにおける、YCIの対応する核酸およびタンパク質配列を含有する。したがって、YCI遺伝子は、411ヌクレオチドの長さを有し、それによりコードされる137アミノ酸のアミノ酸配列に対応する。
【0011】
本発明の範囲には、以下に定義される核酸配列の変異体:
(1)SEQ ID NO: 1に提供される核酸配列の短縮型、アナログおよびホモログ;
(2)TをUに置換することによりSEQ ID NO: 1とは異なる核酸配列;
(3)SEQ ID NO: 1の全長に相補的な核酸配列またはそれに由来する核酸フラグメントに対して相補的な核酸配列;
(4)SEQ ID NO: 1中に示される核酸配列とハイブリダイズする核酸配列;
(5)遺伝コードの縮重によりSEQ ID NO: 1の全長と異なる核酸配列;
が含まれる。
【0012】
“核酸”という用語は、一本鎖構造または二本鎖構造のいずれであってもよい、 DNAおよびRNAを含むことを意図する。“タンパク質”または“ポリペプチド”という用語は、触媒機能を有するかまたは有しない、折り畳まれていないかまたは折り畳まれた立体的構成において存在するアミノ酸ポリマーのことをいう。“抗体”という用語は、哺乳動物起源のB細胞の、ポリクローナル集団またはモノクローナル集団から由来するタンパク質分子のことをいう。“抗体フラグメント”という用語は、異なる断片に切断され、および/または検出の目的で蛍光分子化合物で標識していてもよい、上述した抗体分子のことをいう。“ケモカイン”という用語は、白血球の組織中への動員および浸潤を媒介する、哺乳動物生物中で発現される全ての既知の走化性サイトカインのことをいう。“ケモカイン”という用語には、サイトカイン中のシスチン残基の分布に基づいて当該技術分野においては分類される、走化性サイトカインのCファミリー、CCファミリー、CXCファミリー、およびCXXXCファミリーの全ての哺乳動物構成分子が含まれるが、これらのものには限定されない。“ケモカイン受容体”という用語は、1またはそれ以上のケモカインと相互作用することが当該技術分野において知られる、全ての既知の膜貫通型タンパク質のことをいう。“ケモカイン受容体”という用語には、CR、CCR、CXCRおよびCXXXCRとして当該技術分野において分類される、全てのケモカイン受容体が含まれるが、これらには限定されない。“サイトカイン”という用語は、細胞表面上の細胞外受容体と結合し、それにより細胞機能をモジュレートする、当該技術分野において既知の全てのヒトサイトカインのことをいい、IL-1、IL-4、IL-6、IL-18、TNF-αおよびIFN-γが含まれるが、これらには限定されない。“サイトカイン受容体”という用語は、本明細書の以下において定義する様に、1またはそれ以上のサイトカインと結合する、当該技術分野における全てのヒトサイトカイン受容体のことをいい、IL-1、IL-4、IL-6、IL-18、TNF-αおよびIFN-γの受容体が含まれるが、これらには限定されない。
【0013】
本発明の明細書およびそれに含まれる図面の全体にわたって、以下の標準的な略語を使用する:DNA - デオキシリボ核酸;RNA - リボ核酸;C - シトシン;G - グアニン;A - アデノシン;T - チミジン;N - 未知;A, Ala - アラニン;C, Cys - システイン;D, Asp - アスパラギン酸;E, Glu - グルタミン酸;F, Phe - フェニルアラニン;G, Gly - グリシン;H, His - ヒスチジン;I, Ile - イソロイシン;K, Lys - リジン;L, Leu - ロイシン;M, Met - メチオニン;N, Asn - アスパラギン;P, Pro - プロリン;Q, Gln - グルタミン;R, Arg - アルギニン;S, Ser - セリン;T, Thr - トレオニン;V, Val - バリン;W, Trp - トリプトファン;Y,Tyr - チロシン;およびpY, pTyr - ホスホチロシン。
【0014】
一態様において、本発明は、SEQ ID NO: 1において特定される核酸分子、またはその関連する短縮型、ホモログおよびアナログと、相補的な核酸配列との核酸分子の水素結合を介して形成される、精製されたまたは単離された二本鎖核酸分子のことを企図する。
【0015】
SEQ ID NO: 1として本明細書中で特定される核酸分子は、原核細胞および真核細胞中の挿入された配列の転写および翻訳のための、挿入される核酸の上流および下流の必要な構成要素を含有する、発現ベクターで中に挿入されていてもよい。本発明は、SEQ ID NO: 1において特定された核酸分子またはそれの関連する短縮型、ホモログおよびアナログを含む、核酸分子に機能可能に連結された1またはそれ以上の転写および翻訳構成要素を有する発現ベクターが含まれる。可能性のある発現ベクターには、コスミド、プラスミド、および修飾ウイルスベクター(複製-欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ-関連ウイルス)が含まれるが、これらのものには限定されない。
【0016】
組換え発現ベクターを使用して、本明細書中でSEQ ID NO: 1により特定される核酸配列中にコードされるタンパク質、またはその関連する短縮型、ホモログおよびアナログ、を発現するトランスフォーム細胞系を調製することができる。本発明は、本明細書中でSEQ ID NO: 1中で特定される組換え核酸分子、またはその関連する短縮型、ホモログおよびアナログを含有する、真核細胞型および原核細胞型を含む細胞系を提供する。
【0017】
本発明はまた、トランスジェニック非-ヒト動物であって、その生殖細胞および体細胞がSEQ ID NO: 1で特定される核酸分子、またはその関連する短縮型、アナログまたはホモログを含む組換え分子を含有する、トランスジェニック非-ヒト動物を企図する。このような配列を、ゼブラフィッシュ(zebrafish)、アフリカツメガエル(xenopus)、ショウジョウバエ(drosophila)、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタおよびニワトリを含むが、これらには限定されない、非-ヒト種において発現することができる。
【0018】
本発明にはまた、SEQ ID NO: 2によりコードされるYCI、またはその関連するホモログ、短縮型、およびアナログが包含される。本発明は、YCIおよび関連するホモログ、短縮型、およびアナログの全ての後-翻訳修飾を包含する。そのような後-翻訳修飾には、グリコシレーション, ミリスチレーション(myristylation)、チロシンリン酸化、セリンリン酸化、トレオニンリン酸化、ユビキチン化、およびタンパク質溶解性分解が含まれるが、これらのものに限定されない。
【0019】
本発明はまた、SEQ ID NO: 2によりコードされるYCI、またはその関連する短縮型、アナログおよびホモログを調製する方法を包含する。そのようなタンパク質分子を調製する方法には、(1)SEQ ID NO: 1によりコードされる本明細書中で特定されるYCIの組換え発現ベクターをトランスファーし、(2)トランスフォームした宿主細胞を、トランスフォームしていない細胞から選抜し、(3)SEQ ID NO: 1によりコードされる特定のYCIの発現を可能にしまたは誘導する条件下で、宿主細胞を培養し、そして(4)適切な精製手順を用いて培養した宿主細胞からYCIを単離する、ことが包含される。このような態様において、YCIを、原核宿主細胞または真核宿主細胞のいずれかの中で、適宜産生させることができる。
【0020】
本発明は、SEQ ID NO: 2によりコードされるYCI、またはその関連する短縮型、アナログおよびホモログの精製もまた包含する。一態様において、本明細書中で特定されるYCIの物理的および化学的特性を使用して、前記タンパク質を他のタンパク質分子または非-タンパク質分子から分離する。そのような物理的および化学的特性には、密度、分子量、等電点、リガンド親和性、溶解性、温度感受性などが含まれるが、これらには限定されない。
【0021】
本発明は、SEQ ID NO: 2によりコードされるYCI、またはその関連する短縮型、アナログおよびホモログの、他のタンパク質または非-タンパク質分子との複合体もまた包含する。このことは、複合体形成性分子の、SEQ ID NO:2によりコードされる特定のYCI、またはその関連する短縮型、アナログおよびホモログのいずれかの残基との共有結合により、達成することができる。
【0022】
本発明は、SEQ ID NO: 2によりコードされる特定のYCI、またはそのいずれかの断片と特異的に結合することができる、抗体または抗体-誘導性フラグメントもまた企図する。したがって、本発明は、SEQ ID NO: 2によりコードされる特定のYCI、またはそのアミノ酸配列の断片を、哺乳動物生物体内に注入することを介して、哺乳動物種中に抗体を生成させる方法もまた提供する。
【0023】
さらに、SEQ ID NO: 2によりコードされる特定のYCI、またはその断片に特異的な抗体または抗体フラグメントは、組織内または細胞内で、YCIまたはSEQ ID NO: 2中で特定される関連する配列の検出を可能にする、蛍光分子またはペルオキシダーゼなどの検出可能な物質で標識してもよい。本発明は、YCIまたはその関連するホモログ、アナログおよび短縮型を、細胞および組織から精製するためのそのような抗体の使用もまた、カバーする。
【0024】
本発明は、SEQ ID NO: 1によりコードされるYCIまたはその変異体をコードする核酸分子に独自のヌクレオチドプローブの設計および構築のための方法もまた提供する。そのようなヌクレオチドプローブは、組織内および細胞内で、YCIをコードする核酸配列の検出を可能にする検出可能な物質で標識されていてもよい。さらに、ヌクレオチドプローブを診断ツールとして使用して、細胞内でのYCI発現の向上を評価することもできる。あるいは、標識したヌクレオチドプローブを使用して、YCI関連核酸分子を、デオキシリボ核酸および/またはリボ核酸(例えば、cDNAライブラリー、ゲノムDNAライブラリー、またはゲノムRNAライブラリー)の異種集団から同定することができる。
【0025】
本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応または関連するポリメラーゼ反応を使用して、関連する短縮型、アナログまたはその短縮型を含む、YCIをコードする核酸を増幅しまたは生成することもまた、包含する。一態様において、SEQ ID NO: 1に開示したヌクレオチド配列の断片から生成した合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ゲノムDNA、cDNAライブラリー、RNA分子、またはその他の核酸混合物から、YCI-コード配列を増幅することができる。
【0026】
本発明は、細胞、組織、器官、および生物内部でのYCI発現をモジュレートする方法もまた提供する。細胞内部および組織内部での核酸分子の相互作用を使用して、YCIをコードする核酸またはその関連する短縮型、アナログまたはホモログ、またはSEQ ID NO: 1により特定されるような関連する核酸配列の転写および翻訳を増幅することができる。あるいは、YCIをコードする核酸または関連する短縮型、アナログまたはホモログ、またはSEQ ID NO: 1により特定されるような関連する核酸配列の転写および翻訳をブロックする、相補的な核酸配列の誘導により、YCI発現を低下させることができる。
【0027】
好ましい態様においては、本明細書中でSEQ ID NO: 2としてコードされるYCIは、哺乳動物生物中で誘導されるかまたは存在する、1またはそれ以上のタイプのケモカインと結合することができる。したがって、YCIをin vivoで投与して、哺乳動物生物体内で1またはそれ以上のケモカインタンパク質と結合することができる。さらに、YCIを特異的な哺乳動物組織中に投与してまたは発現させて、前記組織中に存在するケモカインと結合させることができる。YCIと前記ケモカインとの間の結合が、減少され、阻害され、および/またはそうでなければ哺乳動物生物中での通常の機能を行う前記ケモカインの能力を減少させることが、本明細書中で予想される。一態様において、YCIと1またはそれ以上のケモカインとの結合をその対応する受容体との相互作用に寄与するケモカイン分子の領域において生じさせ、その結果、前記ケモカインとその対応するケモカイン受容体との間の共有的相互作用または非-共有的相互作用を妨害する。
【0028】
別の好ましい態様において、本明細書中でSEQ ID NO: 2としてコードされるYCIは、本明細書中でケモカインとして定義されるもの以外の哺乳動物サイトカインと結合することができる。したがって、YCIをin vivoで投与して、哺乳動物生物中で1またはそれ以上の型のサイトカインと結合させることができる。あるいは、YCIを具体的な哺乳動物組織中に投与するかまたは発現させて、前記組織中で本明細書中でケモカインとして定義させるもの以外のサイトカインに結合させることができる。本明細書中でYCIと前記サイトカインとの間の結合により、前記サイトカインが哺乳動物生物中でその正常な機能を果たす能力を低下し、阻害しおよび/または減少させることが想定される。一態様において、YCIと1またはそれ以上のサイトカインとの結合が、対応するその受容体との相互作用の原因となるサイトカイン分子の領域において生じ、その結果、前記サイトカインとその対応するサイトカイン受容体との間の共有結合的または非-共有結合的相互作用を妨げる。
【0029】
別の好ましい態様において、本明細書中でSEQ ID NO: 2としてコードされるYCIは、上述したように、哺乳動物ケモカイン受容体と結合することができる。YCIと1またはそれ以上のケモカイン受容体との間のそのような結合は、前記受容体の細胞外ドメインで生じる場合がある。さらに、本明細書中では、YCIと1またはそれ以上の前記ケモカイン受容体とのそのような結合により、前記受容体が適切なケモカインリガンドと連動する際に生じる、当該技術分野において既知の正常なシグナル伝達を中断させることができると想定される。したがって、本明細書中でSEQ ID NO: 2としてコードされるYCIを投与して、1またはそれ以上のケモカイン受容体と結合させることができ、そしてそのようなケモカイン受容体により媒介されるシグナル伝達機能を低下し、阻害し、および/または減少させることができる。
【0030】
本発明は、本明細書中でSEQ ID NO: 2としてコードされるYCI、あるいはウイルス、細菌または哺乳動物供給源に由来する関連する短縮型、アナログ、またはホモログと結合することができる物質の同定のための方法をさらに提供する。一態様において、YCIは、結合が生じるために必要とされる適切な条件を含む、哺乳動物供給源由来の他のタンパク質の近傍に存在し、一方、結合は、YCI-特異的標識抗体を使用して検出する。別の態様において、酵母ツーハイブリッドアッセイ系を、YCI、哺乳動物供給源由来のその短縮型、アナログまたはホモログと相互作用するタンパク質を同定するための方法として、使用する。別の態様において、YCIと免疫-関連タンパク質を含むがこれらには限定されない他のタンパク質との相互作用を、YCIとそれに対して顕著な親和性を示すその他のタンパク質とのっ共有結合を媒介することが当該技術分野において知られる架橋剤を介して、検出する。
【0031】
本発明は、YCIをコードする核酸であって、短縮型、アナログおよびホモログを含む前記タンパク質を発現する細胞中のSEQ ID NO: 1として示されるものを含むもの(これらには限定されない)の転写および/または翻訳に影響を与える試剤を同定する方法をさらに提供する。一態様において、YCIをコードするRNAおよび完全長タンパク質のパターンおよびレベルを、アッセイ条件下でYCI発現細胞を処理する際にアッセイするが、これにはYCI発現細胞を増殖因子、ホルモン、サイトカイン、ホルボールエステル、ヘムアグルチニン、抗体および抗体フラグメントで処理することを含むが、これらには限定されない。
【0032】
本明細書中の発明は、短縮型、アナログおよびホモログを含むYCIの後-翻訳修飾をモジュレートする試剤を同定する方法もまた提供する。そのような修飾は、YCIタンパク質機能、サイトカインタンパク質機能、ケモカインタンパク質機能、ケモカイン受容体機能、およびその他の機能、またはそれを引き起こす機能不全において役割を果たす場合がある。そのような修飾の例としては、タンパク質フォールディング、ジスルフィド結合、グリコシレーション, ミリスチレーション(myristylation)、パルミトイレーション(palmitoylation)、チロシンリン酸化、セリンリン酸化、トレオニンリン酸化、ユビキチン化、およびタンパク質溶解性分解が含まれるが、これらには限定されない。
【0033】
本発明は、in vivoまたはin vitro条件下でのYCI-をコードする核酸およびタンパク質機能を研究するための実験モデルを作製する方法もまた、提供する。YCIをコードする核酸、YCIまたはいずれかの関連するその短縮型、アナログまたはホモログを発現し、過剰発現し、または低発現する細胞、組織、および非-ヒト動物を、本明細書中の発明の態様にしたがって、確立することができる。特に、トランスジェニック非-ヒト動物を、YCIをコードする核酸のYCIをコードする核酸の核卵母細胞マイクロインジェクションを介して作製することができ、それによりYCI構造および機能を決定するための新規なモデルを提供することができる。本発明は、造血、神経発生、乳腺発生、および肺上皮発生、細胞ホメオスタシス、細胞シグナル伝達、細胞死、分化、および神経発生を含むが、これらには限定されない、様々な発生系において、細胞株を開発してYCIの発現、過剰発現または低発現の作用を研究するためのYCIをコードする核酸の使用を可能にもする。
【0034】
さらに、本発明は、本発明中で開示されるYCIをコードする核酸に由来するヒトの治療的使用を企図する。好ましい態様において、上述した方法を使用して、炎症に関連するかまたはそれにより媒介されるヒト症状を、減少させ、治療し、妨げ、またはそうでなければ低下させる。一つの好ましい態様において、本明細書中で開示されるYCIをコードする核酸を、当該技術分野において周知の方法および手順を介して、哺乳動物中に導入する。このような状況下において、前記核酸の複製、転写および/または翻訳を媒介する細胞および組織中に、そのような核酸を導入することが想定される。別の好ましい態様において、YCIをコードする核酸は、炎症に関連する疾患状態の治療、予防、および/または減少のため、哺乳動物の具体的な組織型または細胞型中に存在する。さらに別の好ましい態様において、YCIをコードする核酸は、in vitroまたはex vivo条件下にある際に、細胞および組織中に導入され、前記核酸の複製、転写および/または移植を媒介し、その後炎症に関連するかまたはそれにより媒介される疾患状態を減少させ、治療し、予防し、そしてそうでなければ低下させる目的で、哺乳動物生物中のこのようなYCIを発現する細胞および組織の移植を行う。
【0035】
本明細書中で開示された本発明は、本明細書中に記載する他の態様を介して、本明細書中で開示したYCIおよび/または同一物の修飾に由来するヒトの治療的使用をさらに企図する。好ましい態様において、本明細書中で開示されたYCI、および関連するその短縮型、アナログおよびホモログは、炎症が関与するかまたはそれにより媒介される疾患状態を治療し、予防し、減少させ、またはそうでなければ低下させる目的で、哺乳動物生物中に導入される。好ましい一態様において、本明細書中で開示されたYCI、および関連するその短縮型、アナログおよびホモログを、炎症が関連するかまたはそれにより媒介される疾患状態の部位または位置であることが当該技術分野において知られる具体的な組織型中にin vivoで特異的に導入する。別の態様において、本明細書中で開示されたYCI、および関連するその短縮型、アナログおよびホモログをin vitroまたはex vivo条件にある際に細胞および/または組織中に導入し、その後、炎症が関与するかまたはそれにより媒介される疾患状態を治療し、予防し、減少させ、またはそうでなければ低下させる目的で、哺乳動物生物中に前記細胞および/または組織を移植する。
【0036】
さらに、本発明の範囲には、本発明の使用、本発明に関連する核酸、タンパク質、抗体、複合体、そのアナログ、ホモログおよび短縮型、および炎症の発症により媒介されるかまたはそれと関連する全てのヒト疾患および/または症状ならびに自己免疫により媒介されるかまたはそれと関連するヒト疾患および/または症状の治療のための本発明の態様、が含まれる。そのような疾患および/または症状には、炎症、自己免疫疾患、そしてアレルギー性炎症、動脈再狭窄、バイパス移植片閉塞、ゴーシェ病、糖尿病、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、移植片拒絶、移植片血管病変(transplant vasculopathy )および腎炎が含まれるがこれらには限定されない、免疫-媒介性症状、が含まれるが、これらには限定されない。
【0037】
本発明は、本明細書中で概説した治療および診断に適した試薬を、医薬的に許容可能なビヒクルを使用して投与することができることもまた、企図する。そのようなビヒクルには、発現ベクター、マイクロインジェクション、リポソーム送達、皮下注射、静脈内注射、経口投与、吸入、経皮投与、または直腸投与が含まれるが、これらには限定されない。そのようなビヒクルおよび関連する治療計画は、個人の疾患ステージ、年齢、性別および体重などの因子にしたがって、最適化することができる。一態様において、本明細書中で概説した治療および診断に適した試薬を、適切な容器中にパッケージした必要な物質を提供する、便利なキット中にパッケージすることができる。そのようなキットには、本明細書中に概説した治療および診断ストラテジーを行う際に有用でそして補助となる適切なサポートが含まれうる。
【0038】
本明細書中で提供され、添付された図面中に示された方法の結果として、より明瞭になる本発明の他の目的、特徴および利点が、本発明中に含まれる。本発明の実施例および好ましい態様は説明により与えられること、そして本発明の範囲内の様々な改変および修飾は、本明細書中の発明の一部として含まれることは、理解されるべきである。当業者であれば、本明細書中の発明の改変および修飾を認識するだろうが、しかしながら、それは本発明の一部として尊重されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列配列番号2を含む単離されたタンパク質分子の断片であって、配列番号2を含むタンパク質分子が翻訳後修飾されたものである、前記断片。
【請求項2】
タンパク質分子が配列番号2のアミノ酸配列からなる、請求項1記載の断片。
【請求項3】
配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質の断片に結合する、抗体分子またはそのフラグメントであって、前記断片は配列番号2を含むタンパク質分子が翻訳後修飾されたものである、前記抗体分子またはそのフラグメント。

【図1A】
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【図1B】
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【公開番号】特開2009−227686(P2009−227686A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126008(P2009−126008)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【分割の表示】特願2002−547951(P2002−547951)の分割
【原出願日】平成13年12月4日(2001.12.4)
【出願人】(503136185)バイロン・セラピューティックス・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】