説明

新規分散系接着剤、その製造方法およびその使用

【課題】新規分散系接着剤、その製造方法およびその使用を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のポリウレタン分散系と式(I)R’−(−N=C=N−R−)m−R’’(I)(式中、mは、1〜500の整数に相当し、R=アリーレンおよび/またはC7〜C11アラルキレンであり、R’=R−NCO、R−NHCONHR1、R−NHCONR1R2またはR−NHCOOR3であり、そしてR’’=−NCO、−NHCONHR1、−NHCONR1R2または−NHCOOR3であり、ここで、R’において、互いに独立して、R1およびR2は同一であるかまたは異なり、そしてC1〜C6アルキル、C6〜C10シクロアルキルまたはC7〜C18アラルキル基を表し、R3はR1の定義の1つを有する)の少なくとも1種のカルボジイミドとを含む水性分散系接着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、革新的な水性分散系接着剤、その製造方法ならびに家具および自動車産業におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、Desmodur(登録商標)TTもしくはAddolink(登録商標)TTなどのTDIウレトジオンは、主に家具産業における開発のための分散系接着剤中にこれまで使用されてきた;(特許文献1)を参照されたい。この出願は、例えば(非特許文献1)に詳細に記載されている。これらの物質は製造コストがかかり、かつ毒性TDIの脱離が起こり得るために、自動車産業(車内インテリア)における開発の可能性の点で制限されるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 922 720A号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ulrich Meier−Westhues,(Technologie des Beschichtens),「Polyurethane−Lacke,Kleb−and Dichtstoffe」,Hanover:Vincentz Network,(2007),262−273ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は、とりわけ自動車産業の部門における、水性分散系接着剤の安価な代替品を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
意外にも、ある種のカルボジイミドとポリウレタン分散系とを含む水性分散系接着剤が先行技術の欠点を持たず、そして家具および自動車産業における開発のための分散系接着剤として極めて好適であることが今分かった。
【0007】
従って本発明は、少なくとも1種のポリウレタン分散系と式(I)
R’−(−N=C=N−R−)−R’’ (I)
(式中、
mは、1〜500の整数に相当し、
R=アリーレン、好ましくはC〜C15アリーレン、および/またはC〜C11アラルキレンであり、
R’=R−NCO、R−NHCONHR、R−NHCONRまたはR−NHCOORであり、そして
R’’=−NCO、−NHCONHR、−NHCONRまたは−NHCOORであり、
ここで、R’において、互いに独立して、RおよびRは同一であるかまたは異なり、そしてC〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキルまたはC〜C18アラルキル基を表し、RはRの定義の1つを有する)
の少なくとも1種のカルボジイミドとを含む水性分散系接着剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
相当するオリゴマーおよび/またはポリマーを含む、式(I)のカルボジイミドの混合物を同様に使用することも同じように可能である。
【0009】
芳香族および/または脂肪族ジイソシアネートをベースとする式(I)のモノマーカルボジイミドを使用することが本明細書において好ましい。
【0010】
本発明の特に好ましい一実施形態においては、カルボジイミド/化合物は、式(II)〜(IV)
【化1】

および/または
【化2】

(式中、R’’’=C〜C18アルキレン、C〜C18シクロアルキレン、アリーレン、好ましくはC〜C15アリーレン、および/またはC〜C18アラルキレンであり、
分子内のjは同一であるかまたは異なり、1〜5を意味し、そして
p=0〜500であることができる)
および/または式(IV)
【化3】

(式中、x=1〜500、好ましくは1〜50である)
の立体障害のあるカルボジイミドに相当する。
【0011】
それらの製造の結果として、式(I)〜(IV)の前述のカルボジイミドはまた、モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマー化合物の混合物の形態で得られてもよい。これらの混合物は、本発明の主題に包含される。
【0012】
式(I)〜(IV)の化合物は、たとえばRhein Chemie Rheinau GmbHからなど商業的に入手可能であるか、または、たとえば、独国特許出願公開第A−11 30 594号明細書もしくは米国特許第2,840,589号明細書に記載されているような当業者によく知られた方法によって、または、二酸化炭素の脱離が伴なう、触媒の存在下での、高温たとえば40℃〜200℃でのジイソシアネートの縮合によって製造することができる。好適であることが分かった触媒の例としては、強塩基およびリン化合物が挙げられる。ホスホレンオキシド、ホスホリジンまたはホスホリンオキシド、そしてまた相当するスルフィドを使用することが好ましい。触媒として、第三級アミン、塩基性金属化合物、カルボン酸の金属塩、および非塩基性有機金属化合物を使用することがさらに可能である。
【0013】
すべてのジイソシアネートが、使用される化合物および/またはポリマーを製造するために好適であり、本発明との関連で、たとえば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、キシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリエチルフェニル1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリメチルフェニル1,3−ジイソシアネート、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニレンイソシアネートおよび1,3,5−トリイソプロピルベンゼン2,4−ジイソシアネートまたはそれらの混合物などの、C〜Cアルキル置換芳香族イソシアネートをベースとするカルボジイミドおよび/またはポリカルボジイミドの使用が好ましい。カルボジイミドおよび/またはポリカルボジイミドが2,4−トリレンジイソシアネートおよび2,6−トリレンジイソシアネートをまたは2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物をベースとすることが特に好ましい。
【0014】
本発明のさらなる実施形態においては、異なるカルボジイミドの混合物を使用することもまた可能である。
【0015】
使用される固体カルボジイミドは、特に好ましくは50μm未満の粒径を有する。
【0016】
本発明の別の好ましい実施形態においては、式(I)〜(IV)の化合物は水性分散系の形態で存在してもよい。これらの場合には、活性原料含有率は、好ましくは20%〜80%、より好ましくは40%〜60%である。
【0017】
本発明の目的のためのポリウレタン分散系は、極性基を含有するおよび/または溶媒を含有する、そして芳香族および/または脂肪族イソシアネート、好ましくは、たとえば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの、脂肪族イソシアネートをベースとする、好ましくは水性の、イオン性もしくは非イオン性のポリウレタンまたはポリエステルポリウレタンである。これらの分散系は、たとえば、Bayer MaterialScience AGから「Dispercoll(登録商標)U」製品として、商業的に入手可能である。
【0018】
本発明の目的のための極性基は、たとえば、ヒドロキシル、スルホネート、エーテルまたはカルボキシル基である。
【0019】
本発明の水性分散系接着剤は好ましくは次の組成:
0.2%〜10%、より好ましくは0.5%〜5%の式(I)〜(IV)の少なくとも1種のカルボジイミドと
99.8%〜90%、より好ましくは99.5%〜95%のPU分散系と
を有する。
【0020】
活性原料分率は、両方の場合に好ましくは20%〜80%である。
【0021】
使用される式(I)〜(IV)のカルボジイミドは好ましくは、室温で固体または液体である。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態においては、式(I)〜(IV)の固体カルボジイミドは、少なくとも1種のアミンとの反応によって表面不活性化される。
【0023】
表面不活性化(マイクロカプセル化)のために、使用することができるアミンとしては、すべてのアミノ官能性化合物が挙げられる。好ましくは、これらは多官能性の第一級および第二級アミン、より好ましくは多官能性の脂肪族アミンである。本発明に従って好適なアミンは、環状のおよび脂肪族の、直鎖もしくは分岐の(C〜C14)−アルキルアミン、−ジアミンおよび−ポリアミン、より特に(C〜C10)−アルキルアミン、−ジアミンおよび−ポリアミン、好ましくは(C〜C)−アルキルアミン、−ジアミンおよび−ポリアミンからなる群からより具体的には選択され、アルキル鎖がヘテロ原子、より具体的には酸素もしくは硫黄によって少なくとも部分的にあるいは完全に割り込まれていること、および/または、たとえば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲンなどの、さらなる置換基を含有することが可能である。
【0024】
本発明に従って好適なアミンの例としては、次の化合物:2−ペンタメチレン−1,5−ジアミンおよび、たとえば、1,6−ヘキサメチレンジアミンなどのその異性体および同族体;ジ−第二ブチルアミン;エチレンジアミン;1,3−プロピレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン;メチルノナンジアミン;イソホロンジアミン;4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン;エタノールアミンおよびジエタノールアミンなどのアルカノールアミンおよび−ジアミンおよび/またはアミドアミンが挙げられる。2−ペンタメチレン−1,5−ジアミンおよび、たとえば、1,6−ヘキサメチレンジアミンなどのその異性体および同族体がこれらのうちでとりわけ好ましい。
【0025】
特に好ましくは、これらのアミンは、たとえば、Huntsman製のJeffamine(登録商標)T 403、BASF AG製のジイソプロパノールアミンなどの、多官能性の第一級および第二級の、より好ましくは多官能性の脂肪族アミンまたはCognis製のVersamid(登録商標)140もしくはWitco製のEuretek 505などの、アミドアミンである。より具体的にはそれらは、固体ジイソシアネートの遊離のイソシアネート基と反応することができる、かつ、それ故、イソシアネートを当初は不活性化する表面シェルをイソシアネート上に形成する、特にアミノ基またはヒドロキシル基などの、親水性基を有する化合物(従って、たとえばアミン、ジアミンおよびポリアミン)である。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態においては、使用される表面不活性化剤は、表面不活性化剤のアミノ基対不活性化されるべきカルボジイミドのイソシアネート基および/またはカルボジイミド基の当量比(n NH/n NCO)として計算される、不活性化(DD)の程度が0.2〜8当量%であるような量で、1つ以上の第一級および/または第二級アミノ基を有する低分子量のモノー、ジ−またはポリアミンである。
【0027】
表面不活性化剤は、特に、600g/モル以下の分子量MWを有してもよい。
【0028】
これに関連して、接着促進剤の量を基準として、1%〜10重量%の表面不活性化剤(アミン)の濃度が好ましく、2%〜5重量%が特に好ましい。
【0029】
表面不活性化は、撹拌および/または細砕しながら、分散剤および沈降防止剤を場合によりさらに含んでもよいカルボジイミド水性分散系へのアミンの添加によって好ましくは達成される。しかし、カルボジイミドの、たとえばアルコール、トルエン中などの有機分散系にアミンを加えることによって表面不活性化を実施することもまた可能である。
【0030】
撹拌/細砕操作のために、たとえば、ビーズミル、溶解機または翼攪拌機などの、市販の機械を用いることが可能である。
【0031】
カルボジイミドは、たとえば:
a)粉末形態にある固体カルボジイミドのアミン溶液中での分散、または
b)固体の、細分されたカルボジイミド分散系へのアミンまたはアミン溶液の添加
によるように、それ自体公知の方法で不活性化される。特に、その内容が参照によりその全体を本明細書によって援用される、欧州特許出願公開第0 205 970 A号明細書および米国特許第4,888,124号明細書を参照されたい。
【0032】
この表面不活性化は、水中および/あるいは有機溶媒中で行われてもよい。
【0033】
本発明のさらなる実施形態においては、本発明の水性分散系接着剤は、BASF AG製のTamol(登録商標)NN 9104またはCytec Surface Specialities GmbH製のAerosol(登録商標)OT45、たとえば、Clariant International Ltd.製のDispersogen(登録商標)HRなどの、湿潤剤および分散剤、および/または安定剤、乳化剤、とりわけBorchi(登録商標)Gel ALA(OMG Borchers GmbH)または、Monsantoから入手可能な、Kelzan(登録商標)Sなどの、たとえば、沈降防止剤などの、増粘剤、あるいはR.T.Vanderbiltから入手可能な、tragacanth、および/または消泡剤をさらに含む。
【0034】
安定剤、乳化剤、増粘剤および/または消泡剤の割合は、好ましくは0.1%〜10%である。
【0035】
本発明は、場合により水性分散系の形態および/または場合によりマイクロカプセル化形態にある、式(I)〜(IV)の少なくとも1種の化合物が、さらなる添加剤を場合により含んでもよいポリウレタン分散系に撹拌によって組み込まれる、本発明の水性分散系接着剤の製造方法をさらに提供する。
【0036】
式(I)〜(IV)のマイクロカプセル化されたカルボジイミドが使用される場合には、本発明の水性分散系接着剤はまた次の通り製造されてもよい:
本明細書では、第一に、式(I)〜(IV)の1種または複数のカルボジイミドは、場合により水性分散系の形態で、ポリウレタン分散系に撹拌によって組み込まれ、次にアミンとの前述の反応によって表面不活性化される。
【0037】
この撹拌組み込みのために、たとえば、溶解機などの、すべての市販の混合アセンブリを用いることが可能である。
【0038】
水性分散系は、たとえば、溶解機などの、市販のアセンブリにおいて、場合により、たとえば、湿潤剤および分散剤、沈降防止剤、消泡剤などの、さらなる添加剤の存在下に、当業者によく知られた方法に従ってカルボジイミド/式(I)〜(IV)の化合物を使用して調製される。
【0039】
この調製のために、温度は好ましくは5〜50℃の範囲にある。
【0040】
カルボジイミドの撹拌組み込みは、たとえば、撹拌されるタンクおよび分散機などの、市販の混合アセンブリを用いて達成される。
【0041】
本発明は、家具および自動車産業における、履物製造におけるあるいは、たとえば、布/フィルム複合材の製造のための、繊維工業における、場合によりさらなる添加剤を含んでもよい本発明の水性分散系接着剤の使用をさらに提供する。
【0042】
好ましい用途は次のもの:台所用の調理台およびフロントパネル、ならびに自動車エンジニアリングにおける計器盤である。
【0043】
本発明は、本発明による水性分散系接着剤を、たとえば木材、PVCなどの材料の表面上に塗布してラミネートなどの追加の層を取り付けることによる家具、織物、自動車産業用のパネルおよび/または履物の新規製造方法をさらに提供する。
【0044】
本分散系は、吹き付け、塗装などによって塗布することができる、たとえばUlrich Meier−Westhues,Vincentz Network,(2007),266−273ページを参照されたい。
【0045】
本発明の好ましい一実施形態においては、本分散系は熱によって活性化される。
【実施例】
【0046】
次に続く例は、いかなる限定効果もなしに、本発明を例示するのに役立つ。
【0047】
使用される化学品:
TDIカルボジイミド、式(II)の、2,4−トリレンジイソシアネートをベースとするカルボジイミド、
Addolink(登録商標)TT、Rhein Chemie Rheinau GmbHから入手可能な、TDIウレトジオン、
Stabaxol(登録商標)P 200、Rhein Chemie Rheinau GmbHから入手可能な、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)をベースとするカルボジイミド、
Carbodilite LA−01、イソシアネート基を依然として含有する、そして日清紡ケミカル株式会社から入手可能である、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)をベースとするカルボジイミド、
Carbodilite HMV8 CA、日清紡ケミカル株式会社から入手可能な、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)をベースとするカルボジイミド、
Tween 85、Muenzing Chemie GmbHから入手可能な、湿潤/分散剤、
Kelzan(登録商標)S、Monsantoから入手可能な、沈降防止剤、
Jeffamin(登録商標)T 403、Huntsman International LLCから入手可能な、表面不活性化のためのポリエーテルアミン、
Agitan 281、Flukaから入手可能な、消泡剤、
Dispercoll U53、Bayer MaterialScience AGから入手可能な、アニオン性の、高分子量ポリウレタン分散系の40%分散系、および
Borchi Gel(登録商標)L 75、OMG Borchers GmbHから入手可能な、沈降防止剤。
【0048】
表1は、水性Addolink(登録商標)TTまたはTDIカルボジイミド分散系を調製するのに用いられる量をまとめる。
【0049】
【表1】

【0050】
実施例1、比較例2、4および5においては、水および湿潤/分散剤および消泡剤(Agitan 281およびTween 85)を組み合わせ、溶解/混合した。次に、架橋剤を加え、混合物を溶解機で均質化した。その後、比較例5を除いて、Jeffamin(登録商標)T 403を加え、剪断力を回避しつつよく混ぜ合わせた。その後、新たに調製したKelzan(登録商標)S調剤を混ぜ入れ、均質化した。比較例3においては、架橋剤を水に溶解させた。
【0051】
実施例6:発明
96.5部のDispercoll U53中に、2.5部の実施例1からの分散系を1部のBorchi Gel(登録商標)L 75と一緒に撹拌した。
【0052】
比較例7:比較
96.5部のDispercoll U53中に、2.5部の比較例2からの分散系を1部のBorchi Gel(登録商標)L 75と一緒に撹拌した。
【0053】
比較例8:比較
96.5部のDispercoll U53中に、2.5部の比較例3からの分散系を1部のBorchi Gel(登録商標)L 75と一緒に撹拌した。
【0054】
比較例9:比較
96.5部のDispercoll U53中に、2.5部の比較例4からの分散系を1部のBorchi Gel(登録商標)L 75と一緒に撹拌した。
【0055】
比較例10:比較
96.5部のDispercoll U53中に、2.5部の比較例5からの分散系を1部のBorchi Gel(登録商標)L 75と一緒に撹拌した。
【0056】
比較例11:比較
99.0部の量のDispercoll U53を、1部のBorchi Gel(登録商標)L 75と一緒に撹拌した。
【0057】
これらの分散系を使用して、耐熱変形性試験を実施した。この目的のために、木材側に実施例6、比較例7、8、9、10または11からの0.15gの分散系接着剤およびPVC側に実施例6、比較例7、8、9、10または11からの0.08gの分散系接着剤を塗布して、木材のシートを、20×20mmの接合面積に、PVCのシートに接合した。シートをその後、80℃で60分間、5kg重りでプレスした。
【0058】
乾燥キャビネット中で、それぞれ5kgの重さがあるバラスト構造体を、上で製造された試験検体から吊す。40℃の温度から開始して、加熱を10K/時の速度で行う。
【0059】
測定は、接合が破損し、そして重りが落下する温度について行う。試験結果を表3に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
実験の結果は、所与の量について、本発明の水性分散系接着剤がより大きい熱変形安定性を示すことを明らかに示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリウレタン分散系と式(I)
R’−(−N=C=N−R−)−R’’ (I)
(式中、
mは、1〜500の整数に相当し、
R=アリーレンおよび/またはC〜C11アラルキレンであり、
R’=R−NCO、R−NHCONHR、R−NHCONRまたはR−NHCOORであり、そして
R’’=−NCO、−NHCONHR、−NHCONRまたは−NHCOORであり、
ここで、R’において、互いに独立して、RおよびRは同一であるかまたは異なり、そしてC〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキルまたはC〜C18アラルキル基を表し、RはRの定義の1つを有する)
の少なくとも1種のカルボジイミドとを含む水性分散系接着剤。
【請求項2】
前記カルボジイミドが式(II)、(III)および/または(IV)
【化1】

【化2】

(式中、R’’’=C〜C18アルキレン、C〜C18シクロアルキレン、アリーレンおよび/またはC〜C18アラルキレンであり、分子内のjは同一であるかまたは異なり、そして1〜5を意味し、pは0〜500であることができる)
【化3】

(式中、x=1〜500である)
のカルボジイミドを含むことを特徴とする請求項1に記載の水性分散系接着剤。
【請求項3】
前記式(I)〜(IV)の前記カルボジイミドが少なくとも1種のアミンとの反応によって表面不活性化されることを特徴とする請求項1または2に記載の水性分散系接着剤。
【請求項4】
前記式(I)〜(IV)の前記カルボジイミドが水性分散系の形態で存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性分散系接着剤。
【請求項5】
前記ポリウレタン分散系が実質的に水性分散系であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性分散系接着剤。
【請求項6】
前記ポリウレタン分散系が、極性基を含有するおよび/または溶媒を含有する、そして芳香族および/または脂肪族イソシアネートをベースとする、水性の、イオン性もしくは非イオン性のポリウレタンまたはポリエステルポリウレタンを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性分散系接着剤。
【請求項7】
安定剤、乳化剤、増粘剤および/または消泡剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性分散系接着剤。
【請求項8】
場合により水性分散系の形態および/または表面不活性化形態にある、前記式(I)〜(IV)の少なくとも1種のカルボジイミドが、さらなる添加剤を場合により含んでもよい、ポリウレタン分散系に撹拌によって組み込まれることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の水性分散系接着剤の製造方法。
【請求項9】
家具、織物および自動車産業における、および/または履物製造における請求項1〜7のいずれか一項に記載の水性分散系接着剤の使用。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の前記水性分散系接着剤を材料の表面上に塗布して追加の層を取り付けることによる家具、織物および自動車産業用パネルおよび/または履物の製造方法。

【公開番号】特開2012−82421(P2012−82421A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−224738(P2011−224738)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(511206984)ライン・ケミー・ライノー・ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】