説明

新規包接化合物

【課題】テトラキスフェノール化合物とCMIとの包接化合物と比較して、薬効の持続時間が同等であり、かつ、CMIの初期溶出速度がそれ以下である新規包接化合物を提供する。
【解決手段】1,1,2,2,−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンに代表されるテトラキスフェノール誘導体、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、及び、o−アセトアニシジド並びにo−アセトアセトアニシジドからなる群より選ばれる少なくとも一つのアニシジド誘導体を含有することを特徴とする包接化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は殺菌剤である5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンをゲスト化合物とする新規なテトラキスフェノール系包接化合物に関する。
【0002】
包接化合物は、ホスト化合物によりゲスト化合物が包接された化合物であり、水分等に不安定な化合物を安定化すると共に、溶液中へのゲスト化合物の溶出を制御することができる。ホスト化合物としては、ビスフェノール系化合物、テトラキスフェノール系化合物、フェニルスルホン系化合物、芳香族カルボン酸系化合物などが知られているが、そのうち、式(I)で表されるテトラキスフェノール系化合物は、有用な包接化合物用ホスト化合物の一つである(特許文献1参照)。
【0003】
【化1】

〔式中、Xは、(CH)n又はp−フェニレン基を表し、nは、0、1、2、又は3であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、(ハロゲン原子又はC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよい)フェニル基又はベンジル基を表す。〕
【0004】
式(I)で表されるテトラキスフェノール系化合物が包接できるゲスト化合物としては、メタノール、エタノール、I−プロパノール、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、シネオール、ヒノキチオール、メントール、テルピネオール、ボルネオール、ノポール、シトラール、シトロネロール、シトロネラール、ゲラニオール、リナロール、ジメチルオクタノール等の天然精油類、キンモクセイ、ジャスミン、レモン等の合成香料類、ピリジン、ピロール、イミダゾール、ピラジン、ピラゾール、1,2,4−トリアゾール、チアゾール、ピロリジン、イミダゾリン、ピロリン、オキサゾール、ピペリン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等の単環式含窒素複素環化合物等が挙げられる(特許文献1)。
【0005】
一方、これらゲスト化合物のうち、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、単に「CMI」という場合がある)は、冷却水系用、紙パルプ、水泳プール用等の各種水系用スライムコントロール剤、抗菌剤、殺藻剤、殺黴剤として広く使用されているが、CMIは、極めて皮膚刺激性が強く、その取扱いには多大な注意を払う必要があったため、包接化することが試みられ、ホスト化合物として、ビスフェノール系化合物や、それに類似した化学構造を有する化合物(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)、テトラキスフェノール系化合物(例えば、特許文献1、特許文献5参照)が提案されてきた。
【0006】
しかしながら、これらの包接化合物は溶出速度を抑えて薬効を長期間持続させることができるものの、溶媒中のCMIの初期溶出速度は高いという問題点があった。
また、包接化合物として式(I)で表されるテトラキスフェノール化合物とCMIとの包接化合物は存在するものの、本発明の構成に係る、式(I)で表されるテトラキスフェノール化合物とCMIとアニシジド誘導体との包接化合物は存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−166646号公報
【特許文献2】特開平1−190602号公報
【特許文献3】特開昭62−22701号公報
【特許文献4】特開昭61−53201号公報
【特許文献5】特開平6−41101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、式(I)で表されるテトラキスフェノール化合物とCMIとの包接化合物と比較して、薬効の持続時間が同等であり、かつ、CMIの初期溶出速度がそれ以下である新規包接化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、式(I)で表されるテトラキスフェノール化合物とCMIに、さらに、特定のアニシジド誘導体を加えることにより、新規な3成分からなる包接体を作製でき、これが、式(I)で表されるテトラキスフェノール化合物とCMIとの包接化合物と比較して、薬効の持続時間が同等であり、かつ、CMIの初期溶出速度がそれ以下であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)式(I)
【化2】

〔式中、Xは、(CH)n又はp−フェニレン基を表し、nは、0、1、2、又は3であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、(ハロゲン原子又はC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよい)フェニル基又はベンジル基を表す。〕で表されるテトラキスフェノール誘導体、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、及び、o−アセトアニシジド並びにo−アセトアセトアニシジドからなる群より選ばれる少なくとも一つのアニシジド誘導体を含有することを特徴とする包接化合物、及び。
(2)テトラキスフェノール誘導体、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及びアニシジド誘導体のモル比が、1〜2:1:1であることを特徴とする上記(1)に記載の包接化合物に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包接化合物は、従来にない新規な3成分包接化合物であり、式(I)で表されるテトラキスフェノール化合物とCMIとの包接化合物と比較して、薬効の持続時間が同等であり、かつ、CMIの初期溶出速度が同等又はそれ以下であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の包接化合物の熱分析測定結果を示す図である。
【図2】実施例2の包接化合物の熱分析測定結果を示す図である。
【図3】実施例3の包接化合物の熱分析測定結果を示す図である。
【図4】実施例4の包接化合物の熱分析測定結果を示す図である。
【図5】比較例1の包接化合物の熱分析測定結果を示す図である。
【図6】o−アセトアセトアニシジドの熱分析測定結果を示す図である。
【図7】o−アセトアニシジドの熱分析測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(包接化合物)
本発明において、「包接化合物」とは、2種又は3種以上の分子が共有結合以外の結合により結合した化合物をいい、より好ましくは、2種又は3種以上の分子が共有結合以外の結合により結合した結晶性化合物をいう。包接する化合物をホスト化合物といい、包接される化合物をゲスト化合物という。
本発明において使用される包接化合物は、ホスト化合物としての式(I)で表される化合物に、ゲスト化合物としてCMI及びアニシジド誘導体が包接されたものである。
【0014】
式(I)におけるハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及び(ハロゲン原子又はC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよい)フェニル基又はベンジル基とは、以下のものが例示される。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、クロル原子、ブロム原子等が挙げられる。
C1−C6アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
C1−C6アルコキシ基としては、トキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
(ハロゲン原子又はC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよい)フェニル基又はベンジル基における、置換基としてのハロゲン原子及び C1−C6アルコキシ基は、前記のものと同様の物を例示できる。
【0015】
式(I)で表される化合物としては、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−フルオロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−フェニル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フェニル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3,3−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フルオロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フェニル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−フルオロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−フェニル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−フルオロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−フェニル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、
α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5,−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5,−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−フルオロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−フェニル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン等を例示することができる。これらのテトラキスフェノール系化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0016】
本発明おいて使用されるアニシジド誘導体は、o−アセトアニシジド並びにo−アセトアセトアニシジドである。
本発明の包接化合物中の、テトラキスフェノール系化合物、CMI及びアニシジド誘導体の組成割合は、1〜2:1:1、好ましくは、1:1:1である。
【0017】
(本発明の包接化合物の調製)
本発明の包接化合物は、テトラキスフェノール系化合物、CMI及びアニシジド誘導体を直接混合するか、あるいは溶媒中で混合することにより得ることができる。
また、テトラキスフェノール系化合物とCMIを含有する包接化合物を調製後、アニシジド誘導体及び必要に応じてさらにテトラキスフェノール系化合物を添加混合してもよい。
溶媒を使用する場合は、テトラキスフェノール系化合物、CMI及びアニシジド誘導体、あるいは、テトラキスフェノール系化合物とCMIとの包接化合物及びアニシジド誘導体を溶媒に添加後、必要に応じて攪拌しながら、加熱処理又は加熱還流処理を行った後、析出させることにより得ることができる。特に結晶化させて得られうる結晶化合物であることがより好ましい。析出した化合物であれば特に制限されるものではなく、溶媒等の第3成分を含んでもよい。
【0018】
テトラキスフェノール系化合物、CMI(又は テトラキスフェノール系化合物とCMIとの包接化合物)及びアニシジド誘導体は溶媒に溶解又は懸濁するが、いずれも溶媒に溶解することが好ましい。溶媒に溶解する場合、その全量が溶媒に溶解する必要はなく、少なくともごく一部が溶媒に溶解すればいい。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル等を用いることができる。
加熱処理は特に制限されないが、例えば40〜120℃の範囲内に加熱することができ、好ましくは加熱還流することである。
【0019】
テトラキスフェノール系化合物、CMI及びアニシジド誘導体の添加割合は、包接化合物を形成しうる限り特に制限はないが、テトラキスフェノール系化合物、CMI及びアニシジド誘導体の配合割合は、1〜2:1:1、好ましくは、1:1:1である。
【0020】
テトラキスフェノール系化合物、CMI(又はトラキスフェノール系化合物とCMIとの包接化合物)及びアニシジド誘導体を溶媒に溶解又は懸濁して加熱した後の工程は、テトラキスフェノール系化合物、CMI及びアニシジド誘導体を構成要素として含む固体化合物が得られうる限り特に限定されず、例えば加熱後、単に加熱を止めることにより固体化合物を析出させてもよいが、加熱した後、室温で一晩放置することが好ましい。また、適宜、5℃以下で静置して析出させてもよい。固体化合物を析出させた後、例えばろ過して乾燥することにより、目的とする化合物が得られる。また種類によっては結晶化合物が得られる。
【0021】
得られる包接化合物の構造は、熱分析(TG及びDTA)、赤外吸収スペクトル(IR)、X線回折(XRD)パターン、固体NMRスペクトル等により確認できる。また、包接化合物の組成は、熱分析、H−NMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、元素分析等により確認することができる。
【実施例】
【0022】
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は本実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、略号の意味は以下の通り。
TEP:1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン
CMI:5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
TEP−CMI:TEPとCMIとの包接化合物
【0023】
(実施例1〜4)
1)包接化合物の調製
表1に記載された各成分化合物を表1に記載の配合量だけ乳鉢に入れた後、ホットプレート上に乳鉢を置き、粉体温度が160℃になるまで加熱した。粉体を乳棒でよく攪拌後、室温に戻し、その後、乳鉢中で粉砕した。熱分析測定により、粉砕物が包接化合物を形成していることを確認した。実施例1〜4の熱分析による測定結果を、それぞれ、図1〜4に示す。
なお、CMIは、表1の組成からなるTEPとの包接化合物として調製後、使用した。
【0024】
【表1】

【0025】
2)CMI溶出試験
実施例1及び2の結晶性粉末ををCMIとして0.4g秤取し、精製水200mLを300mL共栓付き三角フラスコに入れ、溶出試験用サンプルとした。
比較例1として、TEP−CMI(1:2)包接化合物をCMIとして0.4g秤取し、精製水200mLを300mL共栓付き三角フラスコに入れ、同様に溶出試験を行った。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、Xは、(CH)n又はp−フェニレン基を表し、nは、0、1、2、又は3であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、(ハロゲン原子又はC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよい)フェニル基又はベンジル基を表す。〕で表されるテトラキスフェノール誘導体、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、及び、o−アセトアニシジド並びにo−アセトアセトアニシジドからなる群より選ばれる少なくとも一つのアニシジド誘導体を含有することを特徴とする包接化合物。
【請求項2】
テトラキスフェノール誘導体、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及びアニシジド誘導体のモル比が、1〜2:1:1であることを特徴とする請求項1に記載の包接化合物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−144155(P2011−144155A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8339(P2010−8339)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】