説明

新規化合物、塗料組成物、及び塗膜除去方法

【課題】被塗装物を劣化させることなく除去が可能な塗膜を形成できる化合物、塗料組成物、及び該塗料組成物により形成される塗膜を除去する塗膜除去方法の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される化合物、及び一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、反応可能な基を有する化合物とを反応させて樹脂を含有する塗料組成物が得られる。前記塗料組成物を被塗装物上に塗布して得られる塗膜は酸化剤溶液で分解し、その塗膜の分解物を前記被塗装物から除去することができる。




<ただし、R、Rは、特定の2価の基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、塗料組成物、及び塗膜除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック及び金属成形品は、自動車、家電製品、電子機器などの様々な分野に使用されており、それらをリサイクル又はリユースすることは、地球環境を保全する点から非常に重要である。特にプラスチックの場合、廃棄品のリサイクル、生産工程内の不良品のリユースなどが可能になれば、地球環境汚染の低減、及び焼却による排出COガス量の低減が可能になる。
【0003】
パソコン、携帯電話、デジタルカメラなどの電子機器の場合、意匠性を与えるためにプラスチック成形品の表面に塗膜が形成されており、その塗膜が付着したままではプラスチックのリサイクルは非常に困難である。そのため、塗膜の剥離が必要となる。
しかし、商品使用時の塗膜は、剥離が生じるのを防ぐために強固に付着しており、容易に剥離することはできない。
そこで、商品使用時には安定であるが、必要な時に容易に塗膜を剥離可能な手段が強く求められている。
【0004】
塗膜の剥離には、一般的に剥離剤が使用されている。ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などの樹脂系塗料用の剥離剤としては、主としてハロゲン化炭化水素を主剤とし、アルコール、ギ酸、アミン類などの促進剤を添加してなる溶剤型の剥離剤、苛性ソーダなどのアルカリ水溶液に、多価アルコールなどの促進剤を添加してなる水溶液型の剥離剤などがある。
【0005】
前記溶剤型の剥離剤は、通常、室温で使用され、塗料を膨潤させ素地より除去する作用をもつのが一般的である。そのため、被塗装物が凹凸の激しい複雑な形状をしている場合、素地の表面が平滑でない場合、塗膜が非常に薄い場合などには、塗膜を効率よく剥離除去できず、後処理としてブラッシングなどの作業が必要になるという問題がある。
前記水溶液型の剥離剤を使用した場合には、塗膜は分解されて除去されるが、剥離剤が強アルカリでありかつその使用温度が80℃以上と高温であるため、被塗装物であるプラスチック(PC、PC−ABSなど)が劣化するという問題がある。
【0006】
その他に、ジクロロメタン、非プロトン性極性溶媒、低級1価アルコール、及びアルコラートを所定割合で配合した塗料剥離剤が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この提案の技術は、塗料剥離剤が溶剤型かつ強アルカリであるため、被塗装物であるプラスチックの劣化が起こるという問題がある。
【0007】
また、剥離剤を用いない塗膜の剥離方法としては、塗装済みプラスチック製品を、塗膜の融点以上に加熱して塗膜を熱脆化し、この加熱されたプラスチック製品に投射材を投射して塗膜を粉砕し剥離する塗膜の剥離方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかし、この提案の技術は、加熱温度が高いため、被塗装物であるプラスチックに熱ダメージを与えるという問題がある。
【0008】
したがって、被塗装物を劣化させることなく除去が可能な塗膜を形成できる新規化合物、塗料組成物、及び該塗料組成物により形成される塗膜を除去する塗膜除去方法の提供が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−171076号公報
【特許文献2】特開平5−254299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、被塗装物を劣化させることなく除去が可能な塗膜を形成できる新規化合物、塗料組成物、及び該塗料組成物により形成される塗膜を除去する塗膜除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
開示の化合物は、下記一般式(1)で表される。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
開示の化合物は、下記一般式(2)で表される。
【化2】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、下記一般式(2−1)で表される基、下記一般式(2−2)で表される基、及び下記一般式(2−3)で表される基のいずれかを表す。
【化3】

ただし、前記一般式(2−1)中、Rは、エーテル結合を有する2価の基、及びチオエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。mは、それぞれ独立に、1〜10の整数を表す。
【化4】

ただし、前記一般式(2−2)中、Rは、−O(CHO−、及び−O(CHCHO)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。)。Rは、それぞれ独立に、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを表す。aは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
【化5】

ただし、前記一般式(2−3)中、Rは、単結合、−Y(CHY−、及び−Y(CHCHY)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。Yは、それぞれ独立に、O、及びSのいずれかを表す。)。Rは、それぞれ独立に、アルキレン基を表す。Xは、それぞれ独立に、単結合、O、及びSのいずれかを表す。
開示の塗料組成物は、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂を含有する。
【化6】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【化7】

ただし、前記一般式(3)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、エーテル結合を有する2価の基、チオエーテル結合を有する2価の基、及び複素環基を有する2価の基のいずれかを表す。
開示の塗膜除去方法は、開示の塗料組成物を被塗装物上に塗布して得られる塗膜を酸化剤溶液で分解し、前記塗膜の分解物を前記被塗装物から除去する塗膜除去方法である。
【発明の効果】
【0012】
開示の化合物によれば、被塗装物を劣化させることなく除去が可能な塗膜を形成できる。
開示の塗料組成物によれば、被塗装物を劣化させることなく除去が可能な塗膜を形成できる。
開示の塗膜除去方法によれば、被塗装物を劣化させることなく塗膜の除去が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(一般式(1)で表される化合物)
本発明の化合物は、下記一般式(1)で表される。
【化8】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【0014】
前記Rにおけるアルキレン基としては、2価の鎖状の炭化水素基であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン基などが挙げられる。
【0015】
前記Rにおけるシクロアルキレン基としては、2価の脂環式炭化水素基であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−シクロペンタメチレン基、1,3−シクロヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキサメチレン基、2,3−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基、2,6−ノルボルニレン基などが挙げられる。
【0016】
前記Rにおけるアルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基などが挙げられる。
前記Rにおけるアルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン基などが挙げられる。
前記アルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基におけるアルキル置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などが挙げられる。
前記アルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基におけるアルキルオキシ置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキルオキシ基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基などが挙げられる。
【0017】
前記Rにおける少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(1−1)から下記一般式(1−4)で表される基が好ましい。
【化9】

ただし、前記一般式(1−1)中、Rは、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを表す。R10Oは、−(CHO−、及び−(CHCHO)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。)。aは、0〜4の整数を表す。bは、0〜5の整数を表す。前記R10は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記(CHb−は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
前記一般式(1−2)中、nは、1〜20の整数を表す。前記−CHCHO(一般式(1−2)中の左端)は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記CH−(一般式(1−2)中の右端)は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
前記一般式(1−3)中、nは、1〜20の整数を表す。前記−CH(CH)CHO(一般式(1−3)中の左端)は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記CH−(一般式(1−3)中の右端)は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
前記一般式(1−4)中、nは、1〜20の整数を表す。前記−CH(CH)CH(一般式(1−4)中の左端)は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記CH−(一般式(1−4)中の右端)は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
【0018】
前記Rにおけるアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。前記炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。
【0019】
前記Rにおけるアルコキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。前記炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
【0020】
前記R10Oにおける−(CHO−のmとしては、5〜10が好ましい。
前記R10Oにおける−(CHCHO)−のnとしては、3〜6が好ましい。
【0021】
前記一般式(1)で表される化合物の前記Rが、アルキレン基の場合の具体例としては、例えば、以下の式で表される化合物などが挙げられる。
【化10】

【0022】
前記一般式(1)で表される化合物の前記Rが、前記一般式(1−1)で表される基である場合の具体例としては、例えば、以下の式で表される化合物などが挙げられる。
【化11】

【化12】

【化13】

ただし、上記式中、置換位置を示す「3,4,5,6」は、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を1とし、HO(CHO基又はHOCOCO基がベンゼン環に結合する位置を2とした場合の置換位置である。
【化14】

ただし、上記式中、置換位置を示す「2,4」は、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を1とし、HO(CHO基又はHOCOCO基がベンゼン環に結合する位置を3とした場合の置換位置である。
【化15】

ただし、上記式中、置換位置を示す「3,4,5」は、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を1とし、HO(CHO基又はHOCOCO基がベンゼン環に結合する位置を2とした場合の置換位置である。
【0023】
前記一般式(1)で表される化合物は、後述するように、ポリイソシアネート化合物などと反応させることにより、得られる樹脂中に、ジアシルヒドラジン結合を導入することができる。該ジアシルヒドラジン結合は、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤存在下で結合が開裂することから、前記樹脂は、酸化剤で処理することにより分解する。
【0024】
<一般式(1)で表される化合物の合成方法>
前記一般式(1)で表される化合物の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の反応式(i)に従った合成方法などが挙げられる。
【化16】

ただし、上記反応式(i)中、Rは、前記一般式(1)中のRと同じである。Rは、アルキル基を表す。「r.t.」は、室温を表す。
【0025】
前記Rとしては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
【0026】
前記一般式(1)で表される化合物は、例えば、上記反応式(i)に従い、メタノールなどの溶媒存在下で、HOR基を有するカルボン酸エステル(HOR−COOR)を抱水ヒドラジンと反応させることにより、HOR基を有するカルボン酸ヒドラジド(HOR−CONHNH)を合成し、更に該HOR基を有するカルボン酸ヒドラジド(HOR−CONHNH)をオキソン(Oxone、2KHSO・KHSO・KSO、登録商標、Dupont社製)などの酸化剤を用いて反応させることにより合成することができる。
【0027】
前記HOR基を有するカルボン酸エステル(HOR−COOR)の合成方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0028】
(一般式(2)で表される化合物)
本発明の化合物は、下記一般式(2)で表される。
【化17】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、下記一般式(2−1)で表される基、下記一般式(2−2)で表される基、及び下記一般式(2−3)で表される基のいずれかを表す。
【化18】

ただし、前記一般式(2−1)中、Rは、エーテル結合を有する2価の基、及びチオエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。mは、それぞれ独立に、1〜10の整数を表す。
【化19】

ただし、前記一般式(2−2)中、Rは、−O(CHO−、及び−O(CHCHO)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。)。Rは、それぞれ独立に、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを表す。aは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
【化20】

ただし、前記一般式(2−3)中、Rは、単結合、−Y(CHY−、及び−Y(CHCHY)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。Yは、それぞれ独立に、O、及びSのいずれかを表す。)。Rは、それぞれ独立に、アルキレン基を表す。Xは、それぞれ独立に、単結合、O、及びSのいずれかを表す。
【0029】
前記一般式(2)で表される化合物の前記Rが、前記一般式(2−1)で表される基である場合の具体例としては、例えば、以下の一般式で表される化合物などが挙げられる。
【化21】

【0030】
前記一般式で表される化合物におけるmとしては、1〜5が好ましい。
前記一般式で表される化合物におけるnとしては、3〜8が好ましく、3〜6がより好ましい。
【0031】
前記一般式(2)で表される化合物の前記Rが、前記一般式(2−2)で表される基である場合の具体例としては、例えば、以下の一般式で表される化合物などが挙げられる。
【化22】

【化23】

ただし、上記一般式中、置換位置を示す「2,4」は、O(CHO基がベンゼン環に結合する位置を1とし、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を3とした場合の置換位置である。
【化24】

ただし、上記一般式中、置換位置を示す「3,4,5」は、O(CHO基がベンゼン環に結合する位置を1とし、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を2とした場合の置換位置である。
【化25】

ただし、上記一般式中、置換位置を示す「3,4,5,6」は、O(CH)mO基がベンゼン環に結合する位置を1とし、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を2とした場合の置換位置である。
【化26】

ただし、上記一般式中、置換位置を示す「2,4」は、O(CHO基がベンゼン環に結合する位置を1とし、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を3とした場合の置換位置である。
【化27】

【0032】
前記一般式で表される化合物におけるmとしては、3〜8が好ましく、3〜6がより好ましい。
前記一般式で表される化合物におけるnとしては、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。
【0033】
前記一般式(2)で表される化合物の前記Rが、前記一般式(2−3)で表される基である場合の具体例としては、例えば、以下の一般式で表される化合物などが挙げられる。
【化28】

【0034】
前記一般式で表される化合物におけるmとしては、3〜8が好ましく、3〜6がより好ましい。
【0035】
前記一般式(2)で表される化合物は、後述するように、ポリイソシアネート化合物などと反応させることにより、得られる樹脂中に、ジアシルヒドラジン結合を導入することができる。該ジアシルヒドラジン結合は、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤存在下で結合が開裂することから、前記樹脂は、酸化剤で処理することにより分解する。
【0036】
<一般式(2)で表される化合物の合成方法>
前記一般式(2)で表される化合物の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の反応式(ii)に従った合成方法などが挙げられる。
【化29】

ただし、上記反応式(ii)中、Rは、2価の有機基を表す。nは、整数を表す。「r.t.」は、室温を表す。
【0037】
前記Rとしては、例えば、アルキレン基、置換基を有していてもよい2価の芳香族基などが挙げられる。
【0038】
前記一般式(2)で表される化合物は、例えば、上記反応式(ii)のように、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)などの溶媒存在下で、HO(CHCHO)Hなどのジオール化合物をNaHと反応させ、ジオールの金属アルコキシドを合成し、更に該ジオールの金属アルコキシドをブロモ酢酸t−ブチルなどのハロゲン化カルボン酸エステル(例えば、BrRCOC(CH)と反応させ、グリコールジ(アルキルオキシカルボニル)アルキルエーテル(例えば、上記反応式(ii)のような、ポリエチレングリコールジ(t−ブチロキシカルボニル)アルキルエーテル)を合成し、更に該グリコールジ(アルキルオキシカルボニル)アルキルエーテルを抱水ヒドラジンと反応させることにより合成することができる。
【0039】
(塗料組成物)
本発明の塗料組成物は、前記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂(以下、「樹脂」と称することがある)を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0040】
前記塗料組成物を塗布して形成される塗膜中の樹脂には、前記一般式(1)で表される化合物、又は下記一般式(3)で表される化合物に由来するジアシルヒドラジン結合が含まれている。該ジアシルヒドラジン結合は、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤存在下で結合が開裂することから、前記樹脂は、酸化剤で処理することにより分解する。そのため、前記塗料組成物を塗布して形成される塗膜は、容易に分解し、被塗装物から除去することができる。
【0041】
<樹脂>
前記樹脂は、前記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物と、更に必要に応じて、その他成分を反応させて得られる。
前記樹脂は、前記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物に由来して、ジアシルヒドラジン結合を有する。
【0042】
−一般式(3)で表される化合物−
【化30】

ただし、前記一般式(3)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、エーテル結合を有する2価の基、チオエーテル結合を有する2価の基、及び複素環基を有する2価の基のいずれかを表す。
【0043】
前記Rにおけるアルキレン基としては、2価の鎖状の炭化水素基であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン基などが挙げられる。
【0044】
前記Rにおけるシクロアルキレン基としては、2価の脂環式炭化水素基であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−シクロペンタメチレン基、1,3−シクロヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキサメチレン基、2,3−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基、2,6−ノルボルニレン基などが挙げられる。
【0045】
前記Rにおけるアルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基などが挙げられる。
前記Rにおけるアルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン基などが挙げられる。
前記アルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基におけるアルキル置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などが挙げられる。
前記アルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基におけるアルキルオキシ置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキルオキシ基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基などが挙げられる。
【0046】
前記Rにおけるエーテル結合を有する2価の基、及びチオエーテル結合を有する2価の基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記一般式(2)で表される化合物の説明において例示した前記一般式(2−1)で表される基、前記一般式(2−2)で表される基、前記一般式(2−3)で表される基などが挙げられる。
【0047】
前記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、本発明の前記一般式(2)で表される化合物についての説明において例示した化合物、下記式で表される化合物などが挙げられる。
【化31】

【0048】
−一般式(1)で表される化合物、及び一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物−
前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物としては、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0049】
−−ポリイソシアネート化合物−−
前記ポリイソシアネート化合物としては、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、これらポリイソシアネートの誘導体などが挙げられる。
【0050】
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどが挙げられる。
前記脂肪族トリイソシアネートとしては、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタンなどが挙げられる。
【0051】
前記脂環族ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂環族ジイソシアネート、脂環族トリイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−若しくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)又はその混合物、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環族トリイソシアネートとしては、例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタンなどが挙げられる。
【0052】
前記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−若しくは1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)又はその混合物などが挙げられる。
【0053】
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート、芳香族トリイソシアネート、芳香族テトライソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−若しくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート又はその混合物、2,4−若しくは2,6−トリレンジイソシアネート又はその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香族トリイソシアネートとしては、例えば、トリフェニルメタン−4,4’,4’’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼンなどが挙げられる。
前記芳香族テトライソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどが挙げられる。
【0054】
前記ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDIなどが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0055】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば、ポリオール化合物(ただし、前記一般式(1)で表される化合物を除く。)、エポキシ樹脂、アミン樹脂などが挙げられる。
【0056】
−−ポリオール化合物−−
前記ポリオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール;、分子量が1,000以下であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールなどが挙げられる。
【0057】
−樹脂の製造方法−
前記樹脂、即ち、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂を製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、、例えば、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記ポリイソシアネート化合物などの前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物を、DMFなどの有機溶媒の存在下で、DABCO(1,4−ジアザビクロ[2,2,2]オクタン)などの触媒を用い、必要により加熱をすることで反応を行う方法が挙げられる。
【0058】
前記樹脂は、その樹脂中にジアシルヒドラジン結合を有している。
前記樹脂におけるジアシルヒドラジン結合の態様の一例を説明する。例えば、前記一般式(1)で表される化合物と前記ポリイソシアネート化合物を反応させて前記樹脂を得る場合、反応式(iii)は、以下のように表される。
【化32】

ここで、ポリイソシアネート化合物におけるRは、n価の有機基を表す。nは、2以上の整数を表す。
【0059】
得られた樹脂には、上記反応式(iii)の右辺に記載された部分構造が含まれている。この部分構造中には、ジアシルヒドラジン結合が含まれている。なおこのジアシルヒドラジン結合は、前記一般式(1)中で表される化合物中のジアシルヒドラジン結合に由来するものである。
【0060】
前記樹脂におけるジアシルヒドラジン結合の態様の他の一例を説明する。例えば、前記一般式(3)で表される化合物と前記ポリイソシアネート化合物を反応させて前記樹脂を得る場合、反応式(iv)は、以下のように表される。
【化33】

ここで、ポリイソシアネート化合物におけるRは、n価の有機基を表す。nは2以上の整数を表す。
【0061】
得られた樹脂には、上記反応式(iv)の右辺に記載された部分構造が含まれている。この部分構造中には、ジアシルヒドラジン結合が含まれている。
【0062】
前記樹脂は、更に活性線により反応し前記樹脂を架橋させる基を有していてもよい。前記活性線により反応し前記樹脂を架橋させる基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニルエーテル基などが挙げられる。
【0063】
前記樹脂が、活性線により反応し前記樹脂を架橋させる基を有していることにより、前記塗料組成物を被塗装物上などの塗布した後に容易に硬化塗膜を得ることができる。
【0064】
前記樹脂が、前記活性線により反応し前記樹脂を架橋させる基を有する場合には、前記塗料組成物は、前記活性線により前記基を反応させる化合物を含有していることが好ましい。前記活性線により前記基を反応させる化合物としては、例えば、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等のラジカル開始剤などが挙げられる。
【0065】
前記活性線により反応し前記樹脂を架橋させる基を前記樹脂中に導入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂の製造において、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記ポリイソシアネート化合物を反応させた際に、イソシアネート基が残存するようにしておき、更にアリルアルコールなどのアリル基と水酸基を有する化合物を反応させる方法、前記樹脂の製造において、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記ポリイソシアネート化合物を反応させた際に、水酸基が残存するようにしておき、更にメタクリル酸2−イソシアナトエチル、アクリル酸2−イソシアナトエチルなどのアクリロイル基又はメタクリロイル基とイソシアネート基を有する化合物を反応させる方法などが挙げられる。
【0066】
前記活性線としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線(UV)などが挙げられる。
【0067】
<その他の成分>
前記塗料組成物におけるその他の成分としては、例えば、有機溶剤、顔料などが挙げられる。
【0068】
−有機溶媒−
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エステル系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどが挙げられる。
前記エステル系有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシルなどが挙げられる。
前記エーテル系有機溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0069】
前記塗料組成物は、例えば、前記各成分を前記有機溶媒中で撹拌して混合することにより得ることができる。
【0070】
(塗膜除去方法)
本発明の塗膜除去方法は、本発明の前記塗料組成物を被塗装物上に塗布して得られる塗膜を酸化剤溶液で分解し、前記塗膜の分解物を前記被塗装物から除去する塗膜除去方法である。
【0071】
<被塗装物>
前記被塗装物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスチック製の被塗装物などが挙げられる。
前記プラスチックとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート−ABS(PC−ABS)、ポリスチレンなどが挙げられる。
【0072】
<塗布>
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、例えば、ローラー塗装、刷毛塗装、浸漬塗装、スプレー塗装(非静電塗装、静電塗装など)、カーテンフロー塗装、スクリーン印刷、凸版印刷などが挙げられる。
【0073】
前記塗布の後には、必要に応じて、加熱を行ってもよい。
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記加熱の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0074】
前記塗料組成物中の成分、例えば、前記樹脂が、活性線により反応し前記樹脂を架橋させる基を有している場合には、前記塗布の後に、活性線を照射することが好ましい。前記活性線の照射強度、及び照射量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0075】
<塗膜>
前記塗膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜100μmが好ましく、5μm〜80μmがより好ましい。
【0076】
<酸化剤溶液>
前記酸化剤溶液としては、ジアシルヒドラジン結合を開裂可能な酸化剤を含有する溶液であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、過酸化水素(H)などが挙げられる。
前記溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶液が挙げられる。
【0077】
前記塗膜を前記酸化剤溶液で分解する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記塗膜を前記酸化剤溶液に浸漬する方法、前記塗膜に前記酸化剤溶液を塗布する方法などが挙げられる。
【0078】
前記酸化剤により前記塗膜が分解される一例を以下の反応式(v)に示す。
【化34】

ただし、上記反応式(v)中、「Aq.」は、水溶液を表す。
【0079】
上記の反応式(v)は、前記塗膜中の前記樹脂としてのポリウレタン樹脂が次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)により分解される様子を示したものである。前記ポリウレタン樹脂は、前記一般式(1)で表される化合物に由来するジアシルヒドラジン結合を有している。前記ポリウレタン樹脂を含有する塗膜を次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬することにより、前記ポリウレタン樹脂中のジアシルヒドラジン結合が開裂してカルボン酸ナトリウム塩を形成することで、前記塗膜は分解する。
【0080】
<除去>
前記除去の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記塗膜を水洗する方法などが挙げられる。
【0081】
前記塗膜除去方法は、容易に被塗装物から塗膜を除去でき、かつ被塗装物を劣化させることがないため被塗装物のリサイクル、リユースに好適に使用できる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制限されるものではない。
【0083】
(実施例1)
ジアシルヒドラジン結合を有する化合物(前記一般式(1)で表される化合物)の合成を下記の手順で行った。
<4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸エチルの合成>
NaOH 4.8g(0.12モル)、及び2−ブタノール300mLに、4−ヒドロキシ安息香酸エチル16.6g(0.1モル)を加えた後、更にNaI(少量)及び6−クロロヘキサノール16.0mL(0.12モル)を加えて60℃で10時間攪拌した。その後、溶媒を減圧(水流吸引器)下で留去し、残留固形物を400mLのジエチルエーテルに溶かし、水で3回洗浄した。更に固形物をジエチルエーテルに溶かし、エーテル相を、NaSOを用いて乾燥した後、溶媒を蒸発させた。得られた生成物を、ヘキサン:酢酸エチル=10:2(体積比)を溶離剤として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸エチルを得た(収率は58%)。
上記反応のスキームを以下に示す。
【化35】

【0084】
<4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸ヒドラジドの合成>
上記で合成した4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸エチル26.6g(0.1モル)のメタノール100mL溶液に、抱水ヒドラジン(ヒドラジン1水和物12.5mL(0.250モル))を加え、室温で24時間還流した。溶媒を減圧留去し、残渣のオイルを放置すると、ヒドラジドが結晶化した。結晶を減圧ろ過で取り出し、少量のエタノールで洗浄した後に真空乾燥した。20g(収率80%)の4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸ヒドラジドを得た。
上記反応のスキームを以下に示す。
【化36】

ただし、「r.t.」は、室温を表す。
【0085】
<1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシンの合成>
オキソン(oxone(登録商標)、Dupont社製)67.5g(0.11モル)を水に分散し、ここに、上記で合成した4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸ヒドラジド12.6g(0.05モル)を加えて終夜撹拌した。反応混合物を水に注ぎ反応物を沈澱させ、沈殿物をろ過して取り出し、水洗した後に真空乾燥した。7.08gの1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシンを得た(収率は60.0%)。
上記反応のスキームを以下に示す。
【化37】

ただし、「r.t.」は、室温を表す。
【0086】
得られた1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシンのNMR測定結果を示す。
H−NMR(DMSO、δppm)1.10〜1.80(18H、m、CH&OH)、3.64(4H、t、CHOH)、3.89(4H、t、OCH)、6.86(4H、d、Ph−H)、7.78(4H、d、Ph−H)、9.35(2H、S、CONH)
【0087】
(実施例2)
<ジエチレングリコールジ(t−ブチロキシカルボニル)メチルエーテルの合成>
乾燥させたDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)400mL中に60質量%NaH 32g(0.8モル)を窒素雰囲気中で分散させた後、ジエチレングリコール10.6g(0.1モル)及びTHF(テトラヒドロフラン)100mLを滴下し、常温で30分間攪拌した。次に、ブロモ酢酸t−ブチル20mL(0.22モル)及びDMF100mLを加えて、80℃で12時間攪拌した。その後、反応液を常温に戻し、エチルアルコールを滴下し、残留NaHを中和させた。更に溶媒を減圧(水流吸引器)下で留去し、残留固形物を500mLの塩化メチレンに溶かし、水で3回洗浄した。続いて、塩化メチレン相を、NaSOを用いて乾燥した後、溶媒を蒸発させた。得られた生成物を、ヘキサン:酢酸エチル=10:1(体積比)を溶離剤として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジエチレングリコールジ(t−ブチロキシカルボニル)メチルエーテルを得た(収率は70%)。
【化38】

【0088】
<ジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテルの合成>
上記で合成したジエチレングリコールジ(t−ブチロキシカルボニル)メチルエーテル29.2g(0.1モル)のメタノール100mL溶液に、抱水ヒドラジン(ヒドラジン1水和物12.5mL(0.250モル))を加え、室温で24時間還流した。溶媒を減圧留去し、残渣のオイルを放置すると、ジヒドラジドが結晶化した。結晶を減圧ろ過で取り出し、少量の冷たいエタノールで洗浄した後に真空乾燥した。20g(収率は80%)のジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテルを得た。
上記反応のスキームを以下に示す。
【化39】

ただし、「r.t.」は、室温を表す。
【0089】
得られたジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテルのNMR測定結果を示す。
H−NMR(DMSO、δppm)3.51(8H、m、OCHCHO)、3.92(4H、s、OCHCO)、4.14(4H、S、NH)、8.92(2H、S、CONH)
【0090】
(実施例3)
前記一般式(3)で表される化合物、及びポリイソシアネート化合物を少なくとも反応して得られる樹脂を含有する塗料組成物の作製、及び該塗料組成物を塗装して形成される硬化塗膜の作製を行い、更に前記硬化塗膜の分解及び被塗装物からの除去を行った。その方法及び結果について以下に示す。
【0091】
<塗料組成物の作製>
4,4’−ジイソシアン酸メチレンジフェニル(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、純度98質量%、東京化成工業社製)7.5g(0.03モル)、及び実施例2で合成したジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテル6.75g(0.027モル)を窒素雰囲気中で35mLの無水DMFに溶解し、常温で1時間攪拌した。更にトリメチロールプロパン0.134g(0.003モル)、及びDABCO(1,4−ジアザビクロ[2,2,2]オクタン、触媒)10mg加えて攪拌した。その後、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10mLを加えて、塗料組成物を作製した。
【0092】
<塗膜の作製>
被塗装物(PC−ABS板、厚み1.2mm)上に前記塗料組成物をスプレーコート法で硬化後の厚みが15μmになるように塗装し、70℃で30分間熱処理を行い硬化した塗膜を得た。
【0093】
<塗膜除去>
上記で得られた硬化塗膜を常温の10質量%NaOCl水溶液中に1分間浸漬させることで前記硬化塗膜を分解し、その後水洗浄によって分解物を前記被塗装物から除去した。
塗膜を除去した後の前記被塗装物の表面を目視及び顕微鏡観察により観察したところ、溶媒による膨潤、つやの低下などは見られなかった。
【0094】
(実施例4)
前記一般式(1)で表される化合物とポリイソシアネート化合物を少なくとも反応して得られる樹脂を含有する塗料組成物の作製、及び該塗料組成物を塗装して形成される硬化塗膜の作製を行い、更に前記硬化塗膜の分解及び被塗装物からの除去を行った。その方法及び結果について以下に示す。
【0095】
<樹脂の合成>
DesmodureE23A(ジフェニルメタンジイソシアネート型ポリイソシアネート、バイエル社製、NCO量16%)5.0g(0.02モル)、実施例1で得られた1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシン4.23g(OH:0.018モル)を窒素雰囲気中で50mLの無水DMF/アセトニトリル(1:1(体積比))に溶解し、そこへ触媒としてDABCO(1,4−ジアザビクロ[2,2,2]オクタン)10mgを添加し、90℃で6時間攪拌した。その後、アリルアルコール0.12g(0.002モル)加えて、90℃でさらに2時間反応させた。反応混合物を水に注ぎ、沈殿をろ過して取り出し、水洗した後真空乾燥した。
上記反応のスキーム及び得られたポリウレタン樹脂の構造の部分概略図を以下に示す。
【化40】

【0096】
<塗料組成物及び塗膜の作製>
上記で合成したポリウレタン樹脂2gとAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)10mgを(N,N−ジメチルホルムアミド:酢酸ブチル:エチレングリコールモノエチルエーテル;1:1:1(質量比))8gに溶解し塗料組成物を作製した。この塗料組成物を被塗装物(PC−ABS板、厚み1.2mm)上にスプレーコート法で硬化後の厚みが15μmになるように塗装し、UV硬化(80W/cm;距離15cm)を行い、更に70℃で30分間熱処理を行い硬化した塗膜を得た。
【0097】
<塗膜除去>
上記で得られた硬化塗膜を常温の10質量%NaOCl水溶液中に2分間浸漬させることで、前記硬化塗膜を分解し、その後水洗浄によって分解物を前記被塗装物から除去した。
塗膜を除去した後の前記被塗装物の表面を目視により観察したところ、溶媒による膨潤、つやの低下などは見られなかった。
【0098】
(実施例5)
前記一般式(3)で表される化合物と前記化合物と反応可能な化合物を少なくとも反応して得られる樹脂を含有する塗料組成物の作製、及び該塗料組成物を塗装して形成される硬化塗膜の作製を行い、更に前記硬化塗膜の分解及び被塗装物からの除去を行った。その方法及び結果について以下に示す。
【0099】
<樹脂、及び塗料組成物の作製>
4,4’−ジイソシアン酸メチレンジフェニル(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、純度98%、東京化成工業社製)5.0g(0.020モル)、及び実施例2で合成したジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテル6.25g(0.025モル)を窒素雰囲気中で30mLの無水DMF:アセトニトリル(2:1)に溶解し、常温で1時間攪拌した。更に、メタクリル酸2−イソシアナトエチル1.55g(0.010モル)を加えた後、2時間攪拌し、ジアシルヒドラジン結合を有する樹脂を得た。
続いて、AIBN10mg及び酢酸ブチル10mLを添加、攪拌して塗料組成物を作製した。
【0100】
<塗膜の作製>
被塗装物(PC−ABS板、厚み1.2mm)上に前記塗料組成物をスプレーコート法で硬化後の厚みが15μmになるように塗装し、UV硬化(80W/cm;距離15cm)を行い、更に70℃で30分間熱処理を行い硬化した塗膜を得た。
【0101】
<塗膜除去>
上記で得られた硬化塗膜を常温での10質量%NaOCl水溶液中に3分間浸漬させることで前記硬化塗膜を分解し、その後水洗浄によって分解物を前記被塗装物から除去した。
塗膜を除去した後の前記被塗装物の表面を目視により観察したところ、溶媒による膨潤、つやの低下などは見られなかった。
【0102】
(比較例1)
<塗料組成物の作製>
4,4’−ジイソシアン酸メチレンジフェニル(ジフェニルメタンジイソシアナート、純度98%、東京化成工業社製)7.5g(0.03モル)、及び1,6−ヘキサンジオール3.18g(0.027モル)を窒素雰囲気中で30mLの無水DMFに溶解し、そこへ、DABCO(1,4−ジアザビクロ[2,2,2]オクタン、触媒)10mgを加えた後、60℃で1時間攪拌した。その後トリメチロールプロパン0.134g(0.003モル)を加えて常温で10分間攪拌した。次に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート15mLを加えて塗料組成物を作製した。
【0103】
<塗膜の作製>
前記塗料組成物を被塗装物(PC−ABS板、厚み1.2mm)上にスプレーコート法で硬化後の厚みが15μmになるように塗装し、70℃で30分間熱処理を行い硬化した塗膜を得た。
【0104】
上記で得られた硬化塗膜を常温の10質量%NaOCl水溶液中に5分間浸漬させたが、塗膜に変化はなく、前記被塗装物から除去できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されることを特徴とする化合物。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【請求項2】
下記一般式(2)で表されることを特徴とする化合物。
【化2】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、下記一般式(2−1)で表される基、下記一般式(2−2)で表される基、及び下記一般式(2−3)で表される基のいずれかを表す。
【化3】

ただし、前記一般式(2−1)中、Rは、エーテル結合を有する2価の基、及びチオエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。mは、それぞれ独立に、1〜10の整数を表す。
【化4】

ただし、前記一般式(2−2)中、Rは、−O(CHO−、及び−O(CHCHO)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。)。Rは、それぞれ独立に、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを表す。aは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
【化5】

ただし、前記一般式(2−3)中、Rは、単結合、−Y(CHY−、及び−Y(CHCHY)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。Yは、それぞれ独立に、O、及びSのいずれかを表す。)。Rは、それぞれ独立に、アルキレン基を表す。Xは、それぞれ独立に、単結合、O、及びSのいずれかを表す。
【請求項3】
下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂を含有することを特徴とする塗料組成物。
【化6】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【化7】

ただし、前記一般式(3)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、エーテル結合を有する2価の基、チオエーテル結合を有する2価の基、及び複素環基を有する2価の基のいずれかを表す。
【請求項4】
請求項3に記載の塗料組成物を被塗装物上に塗布して得られる塗膜を酸化剤溶液で分解し、前記塗膜の分解物を前記被塗装物から除去する塗膜除去方法。


【公開番号】特開2013−1692(P2013−1692A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136562(P2011−136562)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(592218300)学校法人神奈川大学 (243)
【Fターム(参考)】