新規化合物、該新規化合物を用いたプローブ及び該新規化合物もしくは該プローブを用いた蛍光イメージング用造影剤
【課題】 体外排出が迅速である新規化合物を提供すること。
【解決手段】 下記の式(1)で示される化合物。
【化1】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R9乃至R12は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。)
【解決手段】 下記の式(1)で示される化合物。
【化1】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R9乃至R12は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規化合物、該新規化合物を用いたプローブ及び該新規化合物もしくは該プローブを用いた蛍光イメージング用造影剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
疾病を治療する場合、疾病の初期段階において生体で起こっている変化を認識することは極めて重要である。特に腫瘍の位置と大きさを画像診断によって視覚化することは、疾病の診断や治療を行う上で大いに役立つ情報である。このような目的を達成する方法として、蛍光イメージング、超音波イメージング、光音響イメージング、X線イメージング、MRI(核磁気共鳴画像法)、CT撮影法(コンピュータ断層撮影法)、PET(陽電子放射断層撮影法)等が知られている。
【0003】
これらのイメージング方法の中でも、蛍光イメージングは、生体組織中で比較的高い透過性をもつ近赤外光を生体に照射することで、予め生体内に投与しておいた造影剤を励起し、生体内の造影剤からの蛍光発光を検出することによって、腫瘍の位置と大きさの視覚化を実現することのできる手段である。蛍光イメージングで用いられる造影剤として、近赤外光を吸収し、近赤外領域の蛍光を発光する色素が使用されている。そのような色素の中で、近年、シアニン色素が精力的に研究開発されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1において、標的部位に対する選択性を付与する為に、標的部位に選択的に結合する分子(捕捉分子)をペプチド結合を介してシアニン色素に固定化した化合物が開示されている。しかしながら、従来のシアニン色素では、体外排出が遅いといった問題があった。即ち、捕捉分子をペプチド結合で固定化したシアニン色素を生体内に投与した場合、生体内に存在する酵素によってペプチド結合が切断されることがある。ペプチド結合が切断されると、単独のシアニン色素が標的部位以外にも多く存在してしまい、標的部位の蛍光イメージングを行う際、この単独のシアニン色素からの蛍光発光がバックグラウンドとなり測定感度を悪化させる原因となる。したがって、生体内から生体外へ迅速に排出される色素(クリアランスの迅速な色素)の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2002/026891
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、このような背景技術に鑑みてなされたものであり、体外排出が迅速である新規化合物及び該新規化合物を用いたプローブ及び該新規化合物もしくは該プローブを用いた蛍光イメージング用造影剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の本発明に係る化合物は、下記の式(1)で示される化合物である。
【0008】
【化1】
【0009】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R9乃至R12は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。)
第ニの本発明に係る化合物は、下記の式(2)で示される化合物である。
【0010】
【化2】
【0011】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R25乃至R28は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。)
第三の本発明に係るプローブは、下記の式(3)で示されるプローブである。
【0012】
【化3】
【0013】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R9乃至R12はそれぞれ置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。また、Aは被標識物質を表す)
第四の本発明に係るプローブは、下記の式(4)で示されるプローブである。
【0014】
【化4】
【0015】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R25乃至R28は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。また、Aは被標識物質を表す)
第五の本発明に係る化合物は、下記の式(5)で示される化合物である。
【0016】
【化5】
【0017】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
第六の本発明に係る化合物は、下記の式(6)で示される化合物である。
【0018】
【化6】
【0019】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
第七の本発明に係る化合物は、下記の式(7)で示される化合物である。
【0020】
【化7】
【0021】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
第八の本発明に係る化合物は、下記の式(8)で示される化合物である。
【0022】
【化8】
【0023】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、従来技術に比べて体外排出が迅速である新規化合物を提供することができる。
また、本発明に係る新規化合物によれば、蛍光イメージング用標識剤として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の式(5)で示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す図である。
【図2】本発明の式(6)で示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す図である。
【図3】本発明の式(7)で示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す図である。
【図4】本発明の式(8)で示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す図である。
【図5】本発明の式(5)で示される化合物の体内動態評価に使用したマウスの画像である。
【図6】本発明の式(5)で示される化合物のマウス投与後における蛍光強度の経時変化を示す図である。(A)マウス投与後7時間後までの経時変化を示す図である。(B)マウス投与後96時間後までの経時変化を示す図である。
【図7】本発明の式(6)で示される化合物のマウス投与後における蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図8】本発明の式(7)で示される化合物のマウス投与後における蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図9】本発明の式(8)で示される化合物のマウス投与後における蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図10】本発明の式(5)で示される化合物の退色性を示す図である。
【図11】本発明の式(8)で示される化合物の退色性を示す図である。
【図12】本発明の式(5)で示される化合物の腫瘍移植モデルマウス投与後1時間における腫瘍の造影結果を示す画像である。
【図13】本発明の式(5)で示される化合物のSuit2腫瘍移植モデルマウス投与後における投与後〜96時間後における担癌部位での蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図14】本発明の式(5)で示される化合物のN87腫瘍移植モデルマウス投与後における投与後〜72時間後における担癌部位での蛍光強度の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
【0027】
(クリアランス)
本発明に係る化合物は、生体内に投与してから生体外へ排出されるまでの時間が短く、生体内の残存量が少ない方が、生体への負荷が少なくて好ましい。また、該化合物が生体内から生体外へ迅速に排出されると、該化合物により蛍光イメージングを行った後に、別の造影剤や治療薬等を投与し検査、治療等を行うことが可能となるため、好ましい。
【0028】
すなわち、該化合物を投与する前の生体の表面での蛍光強度に比べて投与後の蛍光強度がより低くなることが好ましく、蛍光強度が低くなるために要する時間がより少ないほうが好ましい。
【0029】
具体的に、本発明に係る化合物として好ましくは、該化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.08とし、該化合物を該生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としたときに、該化合物を該生体に投与してから24時間以内に、該生体の表面での蛍光強度が0.2以下に低下することが好ましい。
【0030】
(蛍光極大波長)
本発明に係る化合物において、蛍光極大波長が600nm以上の近赤外領域にあることが、生体透過性の観点から好ましく、より好ましくは680nm〜850nmの範囲にある場合である。
【0031】
(吸収極大波長)
本発明に係る化合物において、吸収極大波長が600nm以上の近赤外領域にあることが、生体透過性の観点から好ましく、より好ましくは680nm〜850nmの範囲にある場合である。
【0032】
(モル吸光係数)
本発明に係る化合物において、モル吸光係数が100000以上であると、化合物がより多くの光を吸収し、その結果、蛍光発光の強度が大きくなるため好ましく、より好ましくは200000以上の場合である。
【0033】
以下、本発明に係る実施形態の一例について詳細に説明する。
【0034】
(実施形態1)
(構造式)
本発明に係る実施形態の一例は、下記の式(1)で示される。
【0035】
【化7】
【0036】
ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。R9乃至R12はそれぞれ置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。また、置換基として、水酸基やスルホン酸塩等を挙げることができる。スルホン酸塩の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0037】
(クリアランス)
なお、上記式(1)で示される化合物においてより好ましくは、該化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.08とし、該化合物を該生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としたときに、該化合物を該生体に投与してから24時間以内に、該生体の表面での蛍光強度が0.1以下に低下することがより好ましい。さらに好ましくは、該化合物を該生体に投与してから3時間で、該生体の表面での蛍光強度が0.1以下に低下する化合物である。
【0038】
(合成スキーム)
上記式(1)で示される化合物は、例えば、Bioconjugate Chem.105 (1993)の文献を参考にして合成することができる。以下に合成スキームを示す。
【0039】
【化8】
【0040】
まず、インドール(I)にスルホアルキル基を導入してインドール誘導体(II)を合成する。次に、メチン鎖を導入してインドール誘導体(III)を合成する。n=2の場合、メチン鎖の導入にはマロンアルデヒドジアニル塩酸塩を、n=3の場合、メチン鎖の導入にはグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩を使用する。
【0041】
次に、インドール(IV)にカルボキシアルキル基を導入してインドール誘導体(V)を合成し、次いで、インドール誘導体(III)をカップリングさせて目的とする、式(1)で示される化合物を得ることができる。
【0042】
上述の、クリアランス、蛍光極大波長、吸収極大波長、モル吸光係数についての好ましい範囲を満たすものとして以下の式(5)から式(7)で示される化合物を挙げることができる。
【0043】
【化9】
【0044】
ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0045】
【化10】
【0046】
ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0047】
【化11】
【0048】
ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0049】
(実施形態2)
(構造式)
別の本発明に係る実施形態の一例は、下記の式(2)で示される。
【0050】
【化12】
【0051】
ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。R25乃至R28は置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。また、置換基として、水酸基やスルホン酸塩等を挙げることができる。スルホン酸塩の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0052】
(合成スキーム)
上記式(2)で示される化合物は、上記式(1)で示される化合物の合成方法と同様にして得ることができる。
【0053】
上述の、クリアランス、蛍光極大波長、吸収極大波長、モル吸光係数についての好ましい範囲を満たすものとして、以下の式(7)で示される化合物を挙げることができる。
【0054】
【化13】
【0055】
ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0056】
(実施形態3)
(プローブ)
上記式(1)で示される化合物に、ペプチド結合を介して被標識物質(後述)を固定化したプローブは、下記の式(3)で示される。
【0057】
【化14】
【0058】
ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。R9乃至R12は置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。また、置換基として、水酸基やスルホン酸塩等を挙げることができる。スルホン酸塩の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。またAは被標識物質を表す。
【0059】
上記式(3)で示されるプローブは、標的部位に対する選択性を有するため、標的部位を特異的に検出することができる。
【0060】
(実施形態4)
(プローブ)
上記式(2)で示される化合物に
ペプチド結合を介して、被標識物質を固定化したプローブは、下記の式(4)で示される。
【0061】
【化15】
【0062】
ただし、上記式中、nは2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0063】
R25乃至R28は置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。また、置換基として、水酸基やスルホン酸塩等を挙げることができる。スルホン酸塩の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。またAは被標識物質を表す。
【0064】
上記式(4)で示されるプローブは、標的部位に対する選択性を有するため、標的部位を特異的に検出することができる。
【0065】
(被標識物質)
本発明において、被標識物質とは、腫瘍などの標的部位に特異的に結合する物質、標的部位の周辺に存在する物質に特異的に結合する物質など、生体分子や医薬品等の化学物質などから任意に選択される物質である。具体的には、抗体、抗体フラグメント、酵素、生物活性ペプチド、グリコペプチド、糖鎖、脂質、分子認識化合物などが挙げられる。本発明において、被標識物質は、式(1)、式(2)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)で示される化合物の有するカルボキシル基を介して化学的に結合し、プローブを構成する。このようなプローブを用いることで、標的部位の特異的な検出、標的物質の動態、局在、薬効、代謝等の追跡を行うことができる。
【0066】
(被標識物質の固定化方法)
本発明において、式(1)、式(2)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)で示される化合物に被標識物質を固定化する場合、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド(NHS)や1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)等を使用して、化合物のカルボキシル基をスクシンイミド基に置換して活性エステル化する。このスクシンイミド基(活性エステル基)に被標識物質のアミノ基を反応させて、被標識物質を固定化することができる。
【0067】
あるいは、式(1)、式(2)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)で示される化合物のカルボキシル基をスクシンイミド化した後、更にマレイミド化して、チオール基を有する被標識物質もしくはチオール基を修飾した被標識物質の有するチオール基を反応させて、被標識物質を固定化しても良く、また他の方法であっても構わない。
【0068】
(蛍光イメージング用標識剤)
また、本発明に係る化合物及びプローブは600nm以上の近赤外領域に蛍光極大波長及び吸収極大波長をもつため、生体透過性に優れた光を吸収し、生体透過性に優れた蛍光を発光することから、蛍光イメージング用の造影剤として好適である。
【0069】
また、本発明に係る化合物及びプローブは光音響イメージングなどの光分子イメージング用造影剤として用いることもできる。
【0070】
なお、上記蛍光イメージング用造影剤、光音響イメージング用の造影剤などの光分子イメージング用造影剤は、生理食塩水や注射用蒸留水等の溶媒中に溶解又は懸濁して使用することができる。また、必要に応じて薬理上許容できる添加物を適宜添加しても良い。これら造影剤は、注射、経皮、皮下、又は気管支内投与によって体内に導入することができる。
【0071】
(造影方法)
本発明に係る化合物を用いた造影方法(本発明に係る造影方法)は、以下の工程を有する。ただし、本発明に係る造影方法は、以下に示す工程以外の工程を含んでいてもよい。
(1)本発明に係る化合物もしくはプローブを生体に投与する工程
(2)生体に光を照射し、生体内に存在する本発明に係る化合物もしくはプローブからの蛍光発光を検出する工程
【0072】
(1)について
ここで本発明に係る化合物とは、上記の式(1)(2)(5)(6)(7)(8)で示される化合物である。係る化合物を用いた場合、腫瘍部位など血管が密に存在する部位はそれ以外の部位に比べて係る化合物が多く存在するため、腫瘍部位の位置の特定、大きさの測定等を行うことができる。
【0073】
また、本発明に係るプローブとは、上記式(3)(4)で示される化合物である。係るプローブを用いた場合、上述のプローブの有する被標識物質を適宜選択することによって、種々の標的部位を特異的に検出することができる。例えば、被標識物質として腫瘍に特異的に結合する物質を採用すれば、腫瘍の特異的検出が可能となる。また被標識物質として、疾病周辺に多く存在するタンパク質、酵素などの生体物質に特異的に結合する物質を用いれば、疾病を特異的に検出することが可能である。
【0074】
なお、ここで生体とは、ヒト、マウスなどの動物や、生体から取り出した細胞など広い意味での生体を指す。
【0075】
(2)について
生体に照射する光としては、生体への高い生体透過性を示す600nm以上の近赤外波長であることが好ましい。また、光を発生させる装置、蛍光を検出する装置は特に制限されず種々のものを用いることが可能である。
【0076】
本発明に係る化合物を用いた造影方法は、上記(1)(2)の工程を経ることで腫瘍などの部位を造影することができるため、次のような利点を有する。
【0077】
まず、腫瘍径を測定するために上記(1)(2)という工程を踏むだけで済むので、特別な装置を必要とせず、操作も簡便である。さらに、マウスの腫瘍径を測定する場合、従来、しこり部分(腫瘍部分)をノギスで測定するという手法がとられてきたが、それに比べて簡便かつ正確に測定することができ、さらに腫瘍径の測定値の測定者依存が少ない。
【0078】
また、本発明に係る化合物は以下の実施例で示すように生体内から生体外への排出が迅速であるため、該化合物が長時間残存することによる生体への負荷が少ない。さらに、本発明に係る造影方法を用いた後に長い時間をおくことなく、すぐに、別の造影剤を投与することで別の検査や治療などを行うことも可能となる。別の造影剤とは、核磁気共鳴法による検出のための常磁性体、磁性粒子や核磁気共鳴活性核種、γカウンター検出のための123I、201Tl、67Ga、99mTc、111Inなどの放射性核種、15O、13N、11C、18Fなどの陽電子放出種などを有する化合物、プローブ等が挙げられる。また治療を行うための薬剤などを投与することで、腫瘍などの疾病部位の大きさに応じた治療薬の投与が出来る。これら別の造影剤を用いることで、NMR(Nuclear Magnetic Resonance、核磁気共鳴)、MRI(Magnetic Resonance Imaging、核磁気共鳴法)、PET(positron emission tomography、ポジトロン断層法)などの別の検査を行うことができる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例を用いて更に詳細に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。以下の説明において、NMR分析はAVANCE500(Bruker社製)を使用した。MS分析はQ−Tof Ultima(Waters社製)を使用した。また、蛍光イメージングには、IVIS Imaging System(Caliper life science inc.)を使用した。
【0080】
(実施例1)
(式(5)の化合物の合成)
式(5)の化合物は、以下の合成スキームに従って合成した。
【0081】
まず、トルエン(30ml)中でインドールモノスルホン酸カリウム(I)(2.5g、TRC Biomedical Research Chemicals製)と1、3−プロパンスルトン(2.0g、東京化成製)を110℃で24時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いでトルエンを除去した後、ジエチルエーテルで反応残渣を数回洗浄して化合物(II)を得た。
【0082】
次に、無水酢酸(18ml)と酢酸(9ml)中で化合物(II)(1.4g)とグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩(1.0g)を120℃で3時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去して化合物(III)を得た。
【0083】
次に、トルエン(20ml)中でインドールモノスルホン酸カリウム(I)(1.5g)と6−ブロモヘキサン酸(1.3g、東京化成製)を24時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いでトルエンを除去した後、ジエチルエーテルで反応残渣を数回洗浄して化合物(IV)を得た。
【0084】
次に、無水酢酸(18ml)とピリジン(9ml)中で化合物(III)(1.8g)と化合物(IV)(1.1g)を110℃で20分間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去し、TLC RP−C18(メルク社製)で結晶物を分離精製(展開液:水/メタノール=1/1)して、式(5)で示される化合物を得た。式(5)示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図1に示した。
【0085】
(合成スキーム)
【0086】
【化16】
【0087】
式(5)のデータ:
NMR(500MHz、重水)δ/ppm 1.33−1.39(m,2H),1.58(s,6H),1.57(s,6H),1.54−1.63(m,2H),1.73−1.79(m,2H),2.15(t,2H,J=7.0 Hz),2.99(t,2H,J=7.0 Hz),4.03(t,2H),4.11(t,2H,J=7.0 Hz),6.14(d,1H,J=13.5 Hz),6.19(d,1H,J=13.5 Hz),6.34−6.44(m,2H),7.19(d,1H,J=8.5 Hz),7.28(d,1H,J=8.5 Hz),7.33−7.45(m,1H),7.73(s,1H),7.78(s,1H),7.67(d,1H,J=8.5 Hz),7.75−7.86(m,2H),7.72(d,1H,J=8.5 Hz)
MS(ESI,positive mode)777.21778[M+3H−2K]+ Exact MS:777.21855
吸収極大波長(H2O)=747nm
蛍光極大波長(H2O)=768nm
モル吸光係数(H2O)=246000
【0088】
(実施例2)
(式(6)の合成)
式(6)の化合物は、以下の合成スキームに従って合成した。
トルエン(15ml)中でインドールモノスルホン酸カリウム(I)(2.0g)と1,4−ブタンスルトン(1.2g、東京化成製)を110℃で24時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いでトルエンを除去した後、ジエチルエーテルで反応残渣を数回洗浄して化合物(V)を得た。
【0089】
次に、無水酢酸(16ml)と酢酸(8ml)中で化合物(V)(0.7g)とグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩(0.5g)を120℃で3時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去して化合物(VI)を得た。
【0090】
次に、無水酢酸(14ml)とピリジン(7ml)中で化合物(VI)(0.5g)と化合物(IV)(0.3g)110℃で20分間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去し、TLC RP−C18(メルク社製)で結晶物を分離精製(展開液:水/メタノール=1/1)して、式(6)の化合物を得た。式(6)の化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図2に示した。
【0091】
(合成スキーム)
【0092】
【化17】
【0093】
式(6)のデータ:
NMR(500MHz、重水)δ/ppm 1.37(q,2H),1.58(s,6H),1.59(s,6H),1.61(m,2H),1.75(t,2H),1.83−1.89(m,4H),2.32(t,2H),2.92(t,2H),4.00(t,4H),6.14(m,2H),6.39(br,2H),7.23(d,2H,J=8.0Hz),7.39(t,1H),7.71(d,2H,J=8.0Hz),7.76(s,2H),7.76−7.89(m,2H)
MS(ESI,positive mode)791.2333[M+3H−2K]+ Exact MS:791.23420
吸収極大波長(H2O)=748nm
蛍光極大波長(H2O)=772nm
モル吸光係数(H2O)=242000
【0094】
(実施例3)
(式(7)の合成)
式(7)の化合物は、以下の合成スキームに従って合成した。
酢酸(26ml)中でインドールモノスルホン酸カリウム(I)(2.0g)と2−クロロエタンスルホニルクロリド(1.6g、東京化成製)を120℃で9時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いで酢酸エチルに加えて結晶化させた後、酢酸エチルで結晶物を数回洗浄して化合物(VII)を得た。
【0095】
次に、無水酢酸(16ml)と酢酸(8ml)中で化合物(VII)(1.2g)とグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩(0.9g)を120℃で3時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去して化合物(VIII)を得た。
【0096】
次に、無水酢酸(14ml)とピリジン(7ml)中で化合物(VIII)(0.6g)と化合物(IV)(0.4g)110℃で20分間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去し、TLC RP−C18(メルク社製)で結晶物を分離精製(展開液:水/メタノール=1/1)して、式(7)の化合物を得た。式(7)の化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図3に示した。
【0097】
(合成スキーム)
【0098】
【化18】
【0099】
式(7)のデータ:
NMR(500MHz、重水)δ/ppm 1.38−1.46(m,2H),1.60−1.69(m,2H),1.64(s,6H),1.67(s,6H),1.80−1.87(m,2H),2.32(t,2H),3.33(t,2H),4.13(br,2H),4.36(br,2H)6.15(d,1H),6.36(d,1H),6.54(q,2H),7.23(d,1H,J=8.0Hz),7.40(d,1H,J=8.0Hz),7.49(t,J=12.5Hz,1H,J=8.0Hz),7.75(d,1H,J=8.0Hz),7.78(s,1H),7.80(br,1H),7.82(d,1H,J=8.0Hz),7.87(s,1H),7.95(t,1H,J=13.0Hz)
MS(ESI,positive mode)763.20244[M+3H−2K]+ Exact MS:763.20290
吸収極大波長(H2O)=745nm
蛍光極大波長(H2O)=773nm
モル吸光係数(H2O)=207000
【0100】
(実施例4)
(式(8)の合成)
式(8)の化合物は、以下の合成スキームに従って合成した。
【0101】
トルエン(15ml)中でナフチルインドールジスルホン酸カリウム(VII)(1.5g)と1,3−プロパンスルトン(0.6g)を110℃で24時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いでトルエンを除去した後、ジエチルエーテルで反応残渣を数回洗浄して化合物(VIII)を得た。
【0102】
次に、無水酢酸(18ml)と酢酸(9ml)中で化合物(VIII)(1.0g)とグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩(0.5g)を120℃で3時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去して化合物(IX)を得た。
【0103】
次に、トルエン(18ml)中でナフチルインドールモノスルホン酸カリウム(VII)(1.0g)と6−ブロモヘキサン酸(1.2g)を24時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いでトルエンを除去した後、ジエチルエーテルで反応残渣を数回洗浄して化合物(X)を得た。
【0104】
次に、無水酢酸(14ml)とピリジン(7ml)中で化合物(IX)(0.5g)と化合物(X)(0.4g)110℃で20分間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去し、TLC RP−C18(メルク社製)で結晶物を分離精製(展開液:水/メタノール=1/1)して、式(8)で示される化合物を得た。式(8)で示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図4に示した。
【0105】
(合成スキーム)
【0106】
【化19】
【0107】
式(8)のデータ:
NMR(500MHz、重水)δ/ppm 1.37−1.44(m,2H),1.59(t,2H),1.80−1.90(m,2H),1.94(s,12H),2.29(t,2H),3.03(t,2H),4.18(t,2H),4.25(t,2H),6.26(d,1H,J=11.0 Hz),6.35(d,1H,J=14.0Hz),6.51−6.62(m,2H),7.50−7.60(m,1H),7.74(d,1H,J=9.0 Hz),7.79(d,1H,J=8.0 Hz),7.98−8.08(m,2H),8.27(s,1H),8.32(s,1H),8.73−8.80(m,4H)
MS(ESI,positive mode)1037.16289[M+5H−4K]+ Exact MS:1037.16348
吸収極大波長(H2O)=776nm
蛍光極大波長(H2O)=806nm
モル吸光係数(H2O)=258000
【0108】
(実施例5)
(体内動態評価1)
実施例1で合成した式(5)の化合物の体内動態に関して、マウスを用いて蛍光イメージングで評価した。比較例として、Molecular Probes社から市販されているAlexa750とAlexa790の化合物を使用した。
【0109】
まず、各化合物のPBS溶液200μL(濃度:5μM)をマウスの尾部に静脈注射し、15分後、1時間後、3時間後、5時間後、7時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後におけるマウスの足部蛍光の経時変化をIVIS(登録商標) Imaging Systemで測定した(図5)。
【0110】
蛍光測定の際には、マウスに吸入麻酔を行った。なお、Alexa750とAlexa790のNHS基は、グリシンで不活性化して評価した。蛍光強度の経時変化の結果を図6(A)、(B)に示した。図6(A)、(B)では、化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.08とし(バックグラウンドでの蛍光発光、図中にBkg.で表す)、化合物を生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としている。
【0111】
図6(A)から、式(5)の化合物は、静脈注射後3時間で蛍光強度が投与前のレベル0.08にまで低下し、比較対象のAlexa750とAlexa790に比べて迅速な体外排出の可能性が示唆された。
【0112】
(実施例6)
(体内動態評価2)
実施例2で合成した式(6)の化合物の体内動態に関して、実施例5と同様にして評価した。その結果を図7に示した。図7では、各色素をマウスに投与してから、15分後、1時間後、3時間後、5時間後、7時間後、24時間後、48時間後、72時間後におけるマウスの足部蛍光の経時変化を示した。図7では、化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.05とし(バックグラウンドでの蛍光発光、図中にBkg.で表す)、化合物を生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としている。
【0113】
図7から、式(6)の化合物は、静脈注射後3時間で蛍光強度が投与前のレベル0.05まで低下し、対象のAlexa750とAlexa790に比べて迅速な体外排出の可能性が示唆された。
【0114】
(実施例7)
(体内動態評価3)
実施例3で合成した式(7)の化合物の体内動態に関して、実施例5と同様にして評価した。その結果を図8に示した。図8では、各色素をマウスに投与してから、15分後、1時間後、3時間後、5時間後、7時間後、24時間後、48時間後、72時間後におけるマウスの足部蛍光の経時変化を示した。図8では、化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.05とし(バックグラウンドでの蛍光発光、図中にBkg.で表す)、化合物を生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としている。
【0115】
図8から、式(7)の化合物は、静脈注射後3時間で蛍光強度が投与前のレベル0.05まで低下し、対象のAlexa750とAlexa790に比べて迅速な体外排出の可能性が示唆された。
【0116】
(実施例8)
(体内動態評価4)
実施例4で合成した式(8)の化合物の体内動態に関して、実施例5と同様にして評価した。その結果を図9に示した。図9では、各色素をマウスに投与してから、15分後、24時間後、48時間後、72時間後におけるマウスの足部蛍光の経時変化を示した。図9では、化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.08とし(バックグラウンドでの蛍光発光、図中にBkg.で表す)、化合物を生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としている。
【0117】
図9から、式(8)の化合物は、静脈注射後24時間以内に蛍光強度が0.16まで低下し、対象のAlexa750とAlexa790に比べて迅速な体外排出の可能性が示唆された。
【0118】
(実施例9)
(退色評価1)
実施例5で使用した各色素をウシ胎児血清(FBS)に溶解させた後、680LUXの室内灯を照射して各化合物の退色評価を行った。化合物の濃度は5μMで評価した。退色評価の結果を表1と図10に示した。また、図10の縦軸のlog(At/A0)におけるA0とAtは、それぞれ室内灯を照射してから0時間とt時間における吸収極大波長の吸光度の値を示す。表1の退色率は、24時間後における吸収極大波長の吸光度の変化割合(A0−A24)/A0を示す。
【0119】
表1と図10から、式(5)の化合物は、Alexa750とAlexa790に近い退色傾向を示した。従って、実施例5の式(5)で示される化合物において、静脈注射後3時間以降の蛍光強度の大きな減少は光退色によるものではなく、迅速な体外排出によるものであることが示唆された。
【0120】
【表1】
【0121】
(実施例10)
(退色評価2)
実施例8で使用した各化合物をウシ胎児血清に溶解させた後、実施例9と同様にして各化合物の退色評価を行った。退色評価の結果を表2と図11に示した。
【0122】
表2と図11から、式(8)の化合物は、Alexa750とAlexa790に近い退色傾向を示した。従って、実施例8の式(8)で示される化合物において、静脈注射後24時間以降の蛍光強度の大きな減少は光退色によるものではなく、迅速な体外排出であることが示唆された。
【0123】
【表2】
【0124】
(実施例11)
(腫瘍造影評価1)
実施例1で得られた式(5)の化合物を、腫瘍移植モデルマウスに投与して腫瘍造影実験を行った。腫瘍移植モデルマウスは、ヒト胃癌細胞株(以下、N87と略すことがある),ヒト膵臓癌細胞株(以下、Suit2と略すことがある)、ヒト卵巣癌細胞株(以下、SKOV3と略すことがある)をそれぞれ1×10^6個の細胞濃度でマウス皮下に移植し作製した。腫瘍移植モデルマウスに5μMの濃度で式(5)で示される化合物を投与し、1時間後にIVIS(登録商標) Imaging Systemで蛍光イメージングを行ない、腫瘍造影を行った。評価結果を図12に示した。
【0125】
図12から、式(5)の化合物を投与してから1時間後において、各腫瘍移植部位(写真矢印)において特異的な蛍光シグナルが観察された。腫瘍のサイズはN87、Suit2、SKOV3をそれぞれ移植した腫瘍移植モデルマウスにおいて蛍光イメージングの結果からそれぞれ6.8mm,3.3mm,3.5mmと腫瘍径の計測が可能であった。以上から式(5)の化合物は腫瘍造影剤として有効であることが示唆された。
【0126】
(実施例12)
(腫瘍造影評価2)
実施例11と同様の方法でSKOV3腫瘍細胞を移植した腫瘍移植モデルマウスに対して式(5)で示される化合物を5μMの濃度で投与してIVIS Imaging Systemで蛍光イメージングを実施し、腫瘍造影による径の計測を行なった。さらにノギスを用いた腫瘍径計測、摘出腫瘍に対する腫瘍径計測をしてそれらの値の比較を行なった。腫瘍径計測の結果を表3に示した。
【0127】
表3の結果から、本発明に係る化合物を生体に投与して腫瘍造影を行うことで腫瘍径の計測をする方法(本発明手法)は、摘出した腫瘍を計測した値に近い値を示し、本発明手法の方がノギス計測に比べて有効な方法であることが示唆された。
【0128】
【表3】
【0129】
(実施例13)
(担癌部位での蛍光動態評価)
実施例11と同様の方法でSuit2、N87腫瘍細胞を移植した腫瘍移植モデルマウスに対して実施例1で得られた式(5)の化合物を投与して蛍光イメージングにより担癌部位での蛍光動態評価を行なった。比較例として、Molecular Probes社から市販されているAlexa750とAlexa790の近赤外蛍光化合物を使用した。
【0130】
各近赤外蛍光化合物のPBS溶液200μL(濃度:5μM)を腫瘍移植モデルマウスの尾部に静脈注射し、移植腫瘍部位の蛍光強度をIVIS Imaging Systemで経時的に測定した。投与15分後における蛍光強度を1としたときの相対値の経時変化としてSuit2、N87をそれぞれ移植したマウスに関してそれぞれプロットした。その結果を図13、14に示す。蛍光測定の際にはマウスに吸入麻酔を行なった。なお、Alexa750とAlexa790のNHS基は、グリシンで不活性化して評価した。
【0131】
図13、14から、式(5)の化合物は、静脈注射後5時間後には腫瘍部の蛍光強度が投与前のレベルにまで低下し、比較として投与したAlexa750とAlexa790に比べて迅速な蛍光の低下を示した。また、腫瘍特異的な蛍光蓄積性は示さなかった。
【0132】
続いてSuit2、N87を移植した各腫瘍部位での蛍光強度変化を投与前の蛍光強度を1とした相対値を表4に示した。表4から式(5)の化合物を投与した場合、色素投与後7時間後には相対値が1.5を下回っており、投与前の蛍光強度の50%以内にまで低下していた。一方でAlexa750を投与した移植腫瘍モデルにおいては、投与後7時間後では体表面での蛍光がバックグラウンドレベルまで低下していなかった。
【0133】
以上から式(5)の化合物は腫瘍の造影剤として機能した後に迅速に腫瘍部から消失することが示唆され、比較対象であるAlexa750とAlexa790に比べて迅速な体外排出の可能性が示唆された。
【0134】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明により、体外排出が迅速である化合物を提供することができる。また、本発明は、イメージング標的部位に対する選択性を付与する為に、被標識物質を固定化した化合物を提供することができる。また、本発明の被標識物質を固定化した化合物を用いて、光分子イメージング用標識剤として利用することができる。
【0136】
また本発明により、造影剤を投与して一定時間が経過した後に造影剤、治療薬など種々の薬剤を投与することが可能となり、腫瘍径の経時的な追跡や薬剤の効果判定または検査等を可能にする方法が提供される。
【技術分野】
【0001】
本発明は新規化合物、該新規化合物を用いたプローブ及び該新規化合物もしくは該プローブを用いた蛍光イメージング用造影剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
疾病を治療する場合、疾病の初期段階において生体で起こっている変化を認識することは極めて重要である。特に腫瘍の位置と大きさを画像診断によって視覚化することは、疾病の診断や治療を行う上で大いに役立つ情報である。このような目的を達成する方法として、蛍光イメージング、超音波イメージング、光音響イメージング、X線イメージング、MRI(核磁気共鳴画像法)、CT撮影法(コンピュータ断層撮影法)、PET(陽電子放射断層撮影法)等が知られている。
【0003】
これらのイメージング方法の中でも、蛍光イメージングは、生体組織中で比較的高い透過性をもつ近赤外光を生体に照射することで、予め生体内に投与しておいた造影剤を励起し、生体内の造影剤からの蛍光発光を検出することによって、腫瘍の位置と大きさの視覚化を実現することのできる手段である。蛍光イメージングで用いられる造影剤として、近赤外光を吸収し、近赤外領域の蛍光を発光する色素が使用されている。そのような色素の中で、近年、シアニン色素が精力的に研究開発されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1において、標的部位に対する選択性を付与する為に、標的部位に選択的に結合する分子(捕捉分子)をペプチド結合を介してシアニン色素に固定化した化合物が開示されている。しかしながら、従来のシアニン色素では、体外排出が遅いといった問題があった。即ち、捕捉分子をペプチド結合で固定化したシアニン色素を生体内に投与した場合、生体内に存在する酵素によってペプチド結合が切断されることがある。ペプチド結合が切断されると、単独のシアニン色素が標的部位以外にも多く存在してしまい、標的部位の蛍光イメージングを行う際、この単独のシアニン色素からの蛍光発光がバックグラウンドとなり測定感度を悪化させる原因となる。したがって、生体内から生体外へ迅速に排出される色素(クリアランスの迅速な色素)の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2002/026891
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、このような背景技術に鑑みてなされたものであり、体外排出が迅速である新規化合物及び該新規化合物を用いたプローブ及び該新規化合物もしくは該プローブを用いた蛍光イメージング用造影剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の本発明に係る化合物は、下記の式(1)で示される化合物である。
【0008】
【化1】
【0009】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R9乃至R12は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。)
第ニの本発明に係る化合物は、下記の式(2)で示される化合物である。
【0010】
【化2】
【0011】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R25乃至R28は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。)
第三の本発明に係るプローブは、下記の式(3)で示されるプローブである。
【0012】
【化3】
【0013】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R9乃至R12はそれぞれ置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。また、Aは被標識物質を表す)
第四の本発明に係るプローブは、下記の式(4)で示されるプローブである。
【0014】
【化4】
【0015】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R25乃至R28は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。また、Aは被標識物質を表す)
第五の本発明に係る化合物は、下記の式(5)で示される化合物である。
【0016】
【化5】
【0017】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
第六の本発明に係る化合物は、下記の式(6)で示される化合物である。
【0018】
【化6】
【0019】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
第七の本発明に係る化合物は、下記の式(7)で示される化合物である。
【0020】
【化7】
【0021】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
第八の本発明に係る化合物は、下記の式(8)で示される化合物である。
【0022】
【化8】
【0023】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、従来技術に比べて体外排出が迅速である新規化合物を提供することができる。
また、本発明に係る新規化合物によれば、蛍光イメージング用標識剤として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の式(5)で示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す図である。
【図2】本発明の式(6)で示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す図である。
【図3】本発明の式(7)で示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す図である。
【図4】本発明の式(8)で示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す図である。
【図5】本発明の式(5)で示される化合物の体内動態評価に使用したマウスの画像である。
【図6】本発明の式(5)で示される化合物のマウス投与後における蛍光強度の経時変化を示す図である。(A)マウス投与後7時間後までの経時変化を示す図である。(B)マウス投与後96時間後までの経時変化を示す図である。
【図7】本発明の式(6)で示される化合物のマウス投与後における蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図8】本発明の式(7)で示される化合物のマウス投与後における蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図9】本発明の式(8)で示される化合物のマウス投与後における蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図10】本発明の式(5)で示される化合物の退色性を示す図である。
【図11】本発明の式(8)で示される化合物の退色性を示す図である。
【図12】本発明の式(5)で示される化合物の腫瘍移植モデルマウス投与後1時間における腫瘍の造影結果を示す画像である。
【図13】本発明の式(5)で示される化合物のSuit2腫瘍移植モデルマウス投与後における投与後〜96時間後における担癌部位での蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図14】本発明の式(5)で示される化合物のN87腫瘍移植モデルマウス投与後における投与後〜72時間後における担癌部位での蛍光強度の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
【0027】
(クリアランス)
本発明に係る化合物は、生体内に投与してから生体外へ排出されるまでの時間が短く、生体内の残存量が少ない方が、生体への負荷が少なくて好ましい。また、該化合物が生体内から生体外へ迅速に排出されると、該化合物により蛍光イメージングを行った後に、別の造影剤や治療薬等を投与し検査、治療等を行うことが可能となるため、好ましい。
【0028】
すなわち、該化合物を投与する前の生体の表面での蛍光強度に比べて投与後の蛍光強度がより低くなることが好ましく、蛍光強度が低くなるために要する時間がより少ないほうが好ましい。
【0029】
具体的に、本発明に係る化合物として好ましくは、該化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.08とし、該化合物を該生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としたときに、該化合物を該生体に投与してから24時間以内に、該生体の表面での蛍光強度が0.2以下に低下することが好ましい。
【0030】
(蛍光極大波長)
本発明に係る化合物において、蛍光極大波長が600nm以上の近赤外領域にあることが、生体透過性の観点から好ましく、より好ましくは680nm〜850nmの範囲にある場合である。
【0031】
(吸収極大波長)
本発明に係る化合物において、吸収極大波長が600nm以上の近赤外領域にあることが、生体透過性の観点から好ましく、より好ましくは680nm〜850nmの範囲にある場合である。
【0032】
(モル吸光係数)
本発明に係る化合物において、モル吸光係数が100000以上であると、化合物がより多くの光を吸収し、その結果、蛍光発光の強度が大きくなるため好ましく、より好ましくは200000以上の場合である。
【0033】
以下、本発明に係る実施形態の一例について詳細に説明する。
【0034】
(実施形態1)
(構造式)
本発明に係る実施形態の一例は、下記の式(1)で示される。
【0035】
【化7】
【0036】
ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。R9乃至R12はそれぞれ置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。また、置換基として、水酸基やスルホン酸塩等を挙げることができる。スルホン酸塩の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0037】
(クリアランス)
なお、上記式(1)で示される化合物においてより好ましくは、該化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.08とし、該化合物を該生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としたときに、該化合物を該生体に投与してから24時間以内に、該生体の表面での蛍光強度が0.1以下に低下することがより好ましい。さらに好ましくは、該化合物を該生体に投与してから3時間で、該生体の表面での蛍光強度が0.1以下に低下する化合物である。
【0038】
(合成スキーム)
上記式(1)で示される化合物は、例えば、Bioconjugate Chem.105 (1993)の文献を参考にして合成することができる。以下に合成スキームを示す。
【0039】
【化8】
【0040】
まず、インドール(I)にスルホアルキル基を導入してインドール誘導体(II)を合成する。次に、メチン鎖を導入してインドール誘導体(III)を合成する。n=2の場合、メチン鎖の導入にはマロンアルデヒドジアニル塩酸塩を、n=3の場合、メチン鎖の導入にはグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩を使用する。
【0041】
次に、インドール(IV)にカルボキシアルキル基を導入してインドール誘導体(V)を合成し、次いで、インドール誘導体(III)をカップリングさせて目的とする、式(1)で示される化合物を得ることができる。
【0042】
上述の、クリアランス、蛍光極大波長、吸収極大波長、モル吸光係数についての好ましい範囲を満たすものとして以下の式(5)から式(7)で示される化合物を挙げることができる。
【0043】
【化9】
【0044】
ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0045】
【化10】
【0046】
ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0047】
【化11】
【0048】
ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0049】
(実施形態2)
(構造式)
別の本発明に係る実施形態の一例は、下記の式(2)で示される。
【0050】
【化12】
【0051】
ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。R25乃至R28は置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。また、置換基として、水酸基やスルホン酸塩等を挙げることができる。スルホン酸塩の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0052】
(合成スキーム)
上記式(2)で示される化合物は、上記式(1)で示される化合物の合成方法と同様にして得ることができる。
【0053】
上述の、クリアランス、蛍光極大波長、吸収極大波長、モル吸光係数についての好ましい範囲を満たすものとして、以下の式(7)で示される化合物を挙げることができる。
【0054】
【化13】
【0055】
ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0056】
(実施形態3)
(プローブ)
上記式(1)で示される化合物に、ペプチド結合を介して被標識物質(後述)を固定化したプローブは、下記の式(3)で示される。
【0057】
【化14】
【0058】
ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。R9乃至R12は置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。また、置換基として、水酸基やスルホン酸塩等を挙げることができる。スルホン酸塩の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。またAは被標識物質を表す。
【0059】
上記式(3)で示されるプローブは、標的部位に対する選択性を有するため、標的部位を特異的に検出することができる。
【0060】
(実施形態4)
(プローブ)
上記式(2)で示される化合物に
ペプチド結合を介して、被標識物質を固定化したプローブは、下記の式(4)で示される。
【0061】
【化15】
【0062】
ただし、上記式中、nは2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。
【0063】
R25乃至R28は置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。また、置換基として、水酸基やスルホン酸塩等を挙げることができる。スルホン酸塩の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかであるが、医薬上許容される塩であれば、これらに限定されない。またAは被標識物質を表す。
【0064】
上記式(4)で示されるプローブは、標的部位に対する選択性を有するため、標的部位を特異的に検出することができる。
【0065】
(被標識物質)
本発明において、被標識物質とは、腫瘍などの標的部位に特異的に結合する物質、標的部位の周辺に存在する物質に特異的に結合する物質など、生体分子や医薬品等の化学物質などから任意に選択される物質である。具体的には、抗体、抗体フラグメント、酵素、生物活性ペプチド、グリコペプチド、糖鎖、脂質、分子認識化合物などが挙げられる。本発明において、被標識物質は、式(1)、式(2)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)で示される化合物の有するカルボキシル基を介して化学的に結合し、プローブを構成する。このようなプローブを用いることで、標的部位の特異的な検出、標的物質の動態、局在、薬効、代謝等の追跡を行うことができる。
【0066】
(被標識物質の固定化方法)
本発明において、式(1)、式(2)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)で示される化合物に被標識物質を固定化する場合、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド(NHS)や1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)等を使用して、化合物のカルボキシル基をスクシンイミド基に置換して活性エステル化する。このスクシンイミド基(活性エステル基)に被標識物質のアミノ基を反応させて、被標識物質を固定化することができる。
【0067】
あるいは、式(1)、式(2)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)で示される化合物のカルボキシル基をスクシンイミド化した後、更にマレイミド化して、チオール基を有する被標識物質もしくはチオール基を修飾した被標識物質の有するチオール基を反応させて、被標識物質を固定化しても良く、また他の方法であっても構わない。
【0068】
(蛍光イメージング用標識剤)
また、本発明に係る化合物及びプローブは600nm以上の近赤外領域に蛍光極大波長及び吸収極大波長をもつため、生体透過性に優れた光を吸収し、生体透過性に優れた蛍光を発光することから、蛍光イメージング用の造影剤として好適である。
【0069】
また、本発明に係る化合物及びプローブは光音響イメージングなどの光分子イメージング用造影剤として用いることもできる。
【0070】
なお、上記蛍光イメージング用造影剤、光音響イメージング用の造影剤などの光分子イメージング用造影剤は、生理食塩水や注射用蒸留水等の溶媒中に溶解又は懸濁して使用することができる。また、必要に応じて薬理上許容できる添加物を適宜添加しても良い。これら造影剤は、注射、経皮、皮下、又は気管支内投与によって体内に導入することができる。
【0071】
(造影方法)
本発明に係る化合物を用いた造影方法(本発明に係る造影方法)は、以下の工程を有する。ただし、本発明に係る造影方法は、以下に示す工程以外の工程を含んでいてもよい。
(1)本発明に係る化合物もしくはプローブを生体に投与する工程
(2)生体に光を照射し、生体内に存在する本発明に係る化合物もしくはプローブからの蛍光発光を検出する工程
【0072】
(1)について
ここで本発明に係る化合物とは、上記の式(1)(2)(5)(6)(7)(8)で示される化合物である。係る化合物を用いた場合、腫瘍部位など血管が密に存在する部位はそれ以外の部位に比べて係る化合物が多く存在するため、腫瘍部位の位置の特定、大きさの測定等を行うことができる。
【0073】
また、本発明に係るプローブとは、上記式(3)(4)で示される化合物である。係るプローブを用いた場合、上述のプローブの有する被標識物質を適宜選択することによって、種々の標的部位を特異的に検出することができる。例えば、被標識物質として腫瘍に特異的に結合する物質を採用すれば、腫瘍の特異的検出が可能となる。また被標識物質として、疾病周辺に多く存在するタンパク質、酵素などの生体物質に特異的に結合する物質を用いれば、疾病を特異的に検出することが可能である。
【0074】
なお、ここで生体とは、ヒト、マウスなどの動物や、生体から取り出した細胞など広い意味での生体を指す。
【0075】
(2)について
生体に照射する光としては、生体への高い生体透過性を示す600nm以上の近赤外波長であることが好ましい。また、光を発生させる装置、蛍光を検出する装置は特に制限されず種々のものを用いることが可能である。
【0076】
本発明に係る化合物を用いた造影方法は、上記(1)(2)の工程を経ることで腫瘍などの部位を造影することができるため、次のような利点を有する。
【0077】
まず、腫瘍径を測定するために上記(1)(2)という工程を踏むだけで済むので、特別な装置を必要とせず、操作も簡便である。さらに、マウスの腫瘍径を測定する場合、従来、しこり部分(腫瘍部分)をノギスで測定するという手法がとられてきたが、それに比べて簡便かつ正確に測定することができ、さらに腫瘍径の測定値の測定者依存が少ない。
【0078】
また、本発明に係る化合物は以下の実施例で示すように生体内から生体外への排出が迅速であるため、該化合物が長時間残存することによる生体への負荷が少ない。さらに、本発明に係る造影方法を用いた後に長い時間をおくことなく、すぐに、別の造影剤を投与することで別の検査や治療などを行うことも可能となる。別の造影剤とは、核磁気共鳴法による検出のための常磁性体、磁性粒子や核磁気共鳴活性核種、γカウンター検出のための123I、201Tl、67Ga、99mTc、111Inなどの放射性核種、15O、13N、11C、18Fなどの陽電子放出種などを有する化合物、プローブ等が挙げられる。また治療を行うための薬剤などを投与することで、腫瘍などの疾病部位の大きさに応じた治療薬の投与が出来る。これら別の造影剤を用いることで、NMR(Nuclear Magnetic Resonance、核磁気共鳴)、MRI(Magnetic Resonance Imaging、核磁気共鳴法)、PET(positron emission tomography、ポジトロン断層法)などの別の検査を行うことができる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例を用いて更に詳細に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。以下の説明において、NMR分析はAVANCE500(Bruker社製)を使用した。MS分析はQ−Tof Ultima(Waters社製)を使用した。また、蛍光イメージングには、IVIS Imaging System(Caliper life science inc.)を使用した。
【0080】
(実施例1)
(式(5)の化合物の合成)
式(5)の化合物は、以下の合成スキームに従って合成した。
【0081】
まず、トルエン(30ml)中でインドールモノスルホン酸カリウム(I)(2.5g、TRC Biomedical Research Chemicals製)と1、3−プロパンスルトン(2.0g、東京化成製)を110℃で24時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いでトルエンを除去した後、ジエチルエーテルで反応残渣を数回洗浄して化合物(II)を得た。
【0082】
次に、無水酢酸(18ml)と酢酸(9ml)中で化合物(II)(1.4g)とグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩(1.0g)を120℃で3時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去して化合物(III)を得た。
【0083】
次に、トルエン(20ml)中でインドールモノスルホン酸カリウム(I)(1.5g)と6−ブロモヘキサン酸(1.3g、東京化成製)を24時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いでトルエンを除去した後、ジエチルエーテルで反応残渣を数回洗浄して化合物(IV)を得た。
【0084】
次に、無水酢酸(18ml)とピリジン(9ml)中で化合物(III)(1.8g)と化合物(IV)(1.1g)を110℃で20分間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去し、TLC RP−C18(メルク社製)で結晶物を分離精製(展開液:水/メタノール=1/1)して、式(5)で示される化合物を得た。式(5)示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図1に示した。
【0085】
(合成スキーム)
【0086】
【化16】
【0087】
式(5)のデータ:
NMR(500MHz、重水)δ/ppm 1.33−1.39(m,2H),1.58(s,6H),1.57(s,6H),1.54−1.63(m,2H),1.73−1.79(m,2H),2.15(t,2H,J=7.0 Hz),2.99(t,2H,J=7.0 Hz),4.03(t,2H),4.11(t,2H,J=7.0 Hz),6.14(d,1H,J=13.5 Hz),6.19(d,1H,J=13.5 Hz),6.34−6.44(m,2H),7.19(d,1H,J=8.5 Hz),7.28(d,1H,J=8.5 Hz),7.33−7.45(m,1H),7.73(s,1H),7.78(s,1H),7.67(d,1H,J=8.5 Hz),7.75−7.86(m,2H),7.72(d,1H,J=8.5 Hz)
MS(ESI,positive mode)777.21778[M+3H−2K]+ Exact MS:777.21855
吸収極大波長(H2O)=747nm
蛍光極大波長(H2O)=768nm
モル吸光係数(H2O)=246000
【0088】
(実施例2)
(式(6)の合成)
式(6)の化合物は、以下の合成スキームに従って合成した。
トルエン(15ml)中でインドールモノスルホン酸カリウム(I)(2.0g)と1,4−ブタンスルトン(1.2g、東京化成製)を110℃で24時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いでトルエンを除去した後、ジエチルエーテルで反応残渣を数回洗浄して化合物(V)を得た。
【0089】
次に、無水酢酸(16ml)と酢酸(8ml)中で化合物(V)(0.7g)とグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩(0.5g)を120℃で3時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去して化合物(VI)を得た。
【0090】
次に、無水酢酸(14ml)とピリジン(7ml)中で化合物(VI)(0.5g)と化合物(IV)(0.3g)110℃で20分間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去し、TLC RP−C18(メルク社製)で結晶物を分離精製(展開液:水/メタノール=1/1)して、式(6)の化合物を得た。式(6)の化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図2に示した。
【0091】
(合成スキーム)
【0092】
【化17】
【0093】
式(6)のデータ:
NMR(500MHz、重水)δ/ppm 1.37(q,2H),1.58(s,6H),1.59(s,6H),1.61(m,2H),1.75(t,2H),1.83−1.89(m,4H),2.32(t,2H),2.92(t,2H),4.00(t,4H),6.14(m,2H),6.39(br,2H),7.23(d,2H,J=8.0Hz),7.39(t,1H),7.71(d,2H,J=8.0Hz),7.76(s,2H),7.76−7.89(m,2H)
MS(ESI,positive mode)791.2333[M+3H−2K]+ Exact MS:791.23420
吸収極大波長(H2O)=748nm
蛍光極大波長(H2O)=772nm
モル吸光係数(H2O)=242000
【0094】
(実施例3)
(式(7)の合成)
式(7)の化合物は、以下の合成スキームに従って合成した。
酢酸(26ml)中でインドールモノスルホン酸カリウム(I)(2.0g)と2−クロロエタンスルホニルクロリド(1.6g、東京化成製)を120℃で9時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いで酢酸エチルに加えて結晶化させた後、酢酸エチルで結晶物を数回洗浄して化合物(VII)を得た。
【0095】
次に、無水酢酸(16ml)と酢酸(8ml)中で化合物(VII)(1.2g)とグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩(0.9g)を120℃で3時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去して化合物(VIII)を得た。
【0096】
次に、無水酢酸(14ml)とピリジン(7ml)中で化合物(VIII)(0.6g)と化合物(IV)(0.4g)110℃で20分間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去し、TLC RP−C18(メルク社製)で結晶物を分離精製(展開液:水/メタノール=1/1)して、式(7)の化合物を得た。式(7)の化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図3に示した。
【0097】
(合成スキーム)
【0098】
【化18】
【0099】
式(7)のデータ:
NMR(500MHz、重水)δ/ppm 1.38−1.46(m,2H),1.60−1.69(m,2H),1.64(s,6H),1.67(s,6H),1.80−1.87(m,2H),2.32(t,2H),3.33(t,2H),4.13(br,2H),4.36(br,2H)6.15(d,1H),6.36(d,1H),6.54(q,2H),7.23(d,1H,J=8.0Hz),7.40(d,1H,J=8.0Hz),7.49(t,J=12.5Hz,1H,J=8.0Hz),7.75(d,1H,J=8.0Hz),7.78(s,1H),7.80(br,1H),7.82(d,1H,J=8.0Hz),7.87(s,1H),7.95(t,1H,J=13.0Hz)
MS(ESI,positive mode)763.20244[M+3H−2K]+ Exact MS:763.20290
吸収極大波長(H2O)=745nm
蛍光極大波長(H2O)=773nm
モル吸光係数(H2O)=207000
【0100】
(実施例4)
(式(8)の合成)
式(8)の化合物は、以下の合成スキームに従って合成した。
【0101】
トルエン(15ml)中でナフチルインドールジスルホン酸カリウム(VII)(1.5g)と1,3−プロパンスルトン(0.6g)を110℃で24時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いでトルエンを除去した後、ジエチルエーテルで反応残渣を数回洗浄して化合物(VIII)を得た。
【0102】
次に、無水酢酸(18ml)と酢酸(9ml)中で化合物(VIII)(1.0g)とグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩(0.5g)を120℃で3時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去して化合物(IX)を得た。
【0103】
次に、トルエン(18ml)中でナフチルインドールモノスルホン酸カリウム(VII)(1.0g)と6−ブロモヘキサン酸(1.2g)を24時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、次いでトルエンを除去した後、ジエチルエーテルで反応残渣を数回洗浄して化合物(X)を得た。
【0104】
次に、無水酢酸(14ml)とピリジン(7ml)中で化合物(IX)(0.5g)と化合物(X)(0.4g)110℃で20分間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルにゆっくり滴下して結晶化させた。その後、酢酸エチルを除去し、TLC RP−C18(メルク社製)で結晶物を分離精製(展開液:水/メタノール=1/1)して、式(8)で示される化合物を得た。式(8)で示される化合物の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図4に示した。
【0105】
(合成スキーム)
【0106】
【化19】
【0107】
式(8)のデータ:
NMR(500MHz、重水)δ/ppm 1.37−1.44(m,2H),1.59(t,2H),1.80−1.90(m,2H),1.94(s,12H),2.29(t,2H),3.03(t,2H),4.18(t,2H),4.25(t,2H),6.26(d,1H,J=11.0 Hz),6.35(d,1H,J=14.0Hz),6.51−6.62(m,2H),7.50−7.60(m,1H),7.74(d,1H,J=9.0 Hz),7.79(d,1H,J=8.0 Hz),7.98−8.08(m,2H),8.27(s,1H),8.32(s,1H),8.73−8.80(m,4H)
MS(ESI,positive mode)1037.16289[M+5H−4K]+ Exact MS:1037.16348
吸収極大波長(H2O)=776nm
蛍光極大波長(H2O)=806nm
モル吸光係数(H2O)=258000
【0108】
(実施例5)
(体内動態評価1)
実施例1で合成した式(5)の化合物の体内動態に関して、マウスを用いて蛍光イメージングで評価した。比較例として、Molecular Probes社から市販されているAlexa750とAlexa790の化合物を使用した。
【0109】
まず、各化合物のPBS溶液200μL(濃度:5μM)をマウスの尾部に静脈注射し、15分後、1時間後、3時間後、5時間後、7時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後におけるマウスの足部蛍光の経時変化をIVIS(登録商標) Imaging Systemで測定した(図5)。
【0110】
蛍光測定の際には、マウスに吸入麻酔を行った。なお、Alexa750とAlexa790のNHS基は、グリシンで不活性化して評価した。蛍光強度の経時変化の結果を図6(A)、(B)に示した。図6(A)、(B)では、化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.08とし(バックグラウンドでの蛍光発光、図中にBkg.で表す)、化合物を生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としている。
【0111】
図6(A)から、式(5)の化合物は、静脈注射後3時間で蛍光強度が投与前のレベル0.08にまで低下し、比較対象のAlexa750とAlexa790に比べて迅速な体外排出の可能性が示唆された。
【0112】
(実施例6)
(体内動態評価2)
実施例2で合成した式(6)の化合物の体内動態に関して、実施例5と同様にして評価した。その結果を図7に示した。図7では、各色素をマウスに投与してから、15分後、1時間後、3時間後、5時間後、7時間後、24時間後、48時間後、72時間後におけるマウスの足部蛍光の経時変化を示した。図7では、化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.05とし(バックグラウンドでの蛍光発光、図中にBkg.で表す)、化合物を生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としている。
【0113】
図7から、式(6)の化合物は、静脈注射後3時間で蛍光強度が投与前のレベル0.05まで低下し、対象のAlexa750とAlexa790に比べて迅速な体外排出の可能性が示唆された。
【0114】
(実施例7)
(体内動態評価3)
実施例3で合成した式(7)の化合物の体内動態に関して、実施例5と同様にして評価した。その結果を図8に示した。図8では、各色素をマウスに投与してから、15分後、1時間後、3時間後、5時間後、7時間後、24時間後、48時間後、72時間後におけるマウスの足部蛍光の経時変化を示した。図8では、化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.05とし(バックグラウンドでの蛍光発光、図中にBkg.で表す)、化合物を生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としている。
【0115】
図8から、式(7)の化合物は、静脈注射後3時間で蛍光強度が投与前のレベル0.05まで低下し、対象のAlexa750とAlexa790に比べて迅速な体外排出の可能性が示唆された。
【0116】
(実施例8)
(体内動態評価4)
実施例4で合成した式(8)の化合物の体内動態に関して、実施例5と同様にして評価した。その結果を図9に示した。図9では、各色素をマウスに投与してから、15分後、24時間後、48時間後、72時間後におけるマウスの足部蛍光の経時変化を示した。図9では、化合物を生体に投与する前の生体の表面での蛍光強度を0.08とし(バックグラウンドでの蛍光発光、図中にBkg.で表す)、化合物を生体に投与してから15分後における該生体の表面での蛍光強度を1としている。
【0117】
図9から、式(8)の化合物は、静脈注射後24時間以内に蛍光強度が0.16まで低下し、対象のAlexa750とAlexa790に比べて迅速な体外排出の可能性が示唆された。
【0118】
(実施例9)
(退色評価1)
実施例5で使用した各色素をウシ胎児血清(FBS)に溶解させた後、680LUXの室内灯を照射して各化合物の退色評価を行った。化合物の濃度は5μMで評価した。退色評価の結果を表1と図10に示した。また、図10の縦軸のlog(At/A0)におけるA0とAtは、それぞれ室内灯を照射してから0時間とt時間における吸収極大波長の吸光度の値を示す。表1の退色率は、24時間後における吸収極大波長の吸光度の変化割合(A0−A24)/A0を示す。
【0119】
表1と図10から、式(5)の化合物は、Alexa750とAlexa790に近い退色傾向を示した。従って、実施例5の式(5)で示される化合物において、静脈注射後3時間以降の蛍光強度の大きな減少は光退色によるものではなく、迅速な体外排出によるものであることが示唆された。
【0120】
【表1】
【0121】
(実施例10)
(退色評価2)
実施例8で使用した各化合物をウシ胎児血清に溶解させた後、実施例9と同様にして各化合物の退色評価を行った。退色評価の結果を表2と図11に示した。
【0122】
表2と図11から、式(8)の化合物は、Alexa750とAlexa790に近い退色傾向を示した。従って、実施例8の式(8)で示される化合物において、静脈注射後24時間以降の蛍光強度の大きな減少は光退色によるものではなく、迅速な体外排出であることが示唆された。
【0123】
【表2】
【0124】
(実施例11)
(腫瘍造影評価1)
実施例1で得られた式(5)の化合物を、腫瘍移植モデルマウスに投与して腫瘍造影実験を行った。腫瘍移植モデルマウスは、ヒト胃癌細胞株(以下、N87と略すことがある),ヒト膵臓癌細胞株(以下、Suit2と略すことがある)、ヒト卵巣癌細胞株(以下、SKOV3と略すことがある)をそれぞれ1×10^6個の細胞濃度でマウス皮下に移植し作製した。腫瘍移植モデルマウスに5μMの濃度で式(5)で示される化合物を投与し、1時間後にIVIS(登録商標) Imaging Systemで蛍光イメージングを行ない、腫瘍造影を行った。評価結果を図12に示した。
【0125】
図12から、式(5)の化合物を投与してから1時間後において、各腫瘍移植部位(写真矢印)において特異的な蛍光シグナルが観察された。腫瘍のサイズはN87、Suit2、SKOV3をそれぞれ移植した腫瘍移植モデルマウスにおいて蛍光イメージングの結果からそれぞれ6.8mm,3.3mm,3.5mmと腫瘍径の計測が可能であった。以上から式(5)の化合物は腫瘍造影剤として有効であることが示唆された。
【0126】
(実施例12)
(腫瘍造影評価2)
実施例11と同様の方法でSKOV3腫瘍細胞を移植した腫瘍移植モデルマウスに対して式(5)で示される化合物を5μMの濃度で投与してIVIS Imaging Systemで蛍光イメージングを実施し、腫瘍造影による径の計測を行なった。さらにノギスを用いた腫瘍径計測、摘出腫瘍に対する腫瘍径計測をしてそれらの値の比較を行なった。腫瘍径計測の結果を表3に示した。
【0127】
表3の結果から、本発明に係る化合物を生体に投与して腫瘍造影を行うことで腫瘍径の計測をする方法(本発明手法)は、摘出した腫瘍を計測した値に近い値を示し、本発明手法の方がノギス計測に比べて有効な方法であることが示唆された。
【0128】
【表3】
【0129】
(実施例13)
(担癌部位での蛍光動態評価)
実施例11と同様の方法でSuit2、N87腫瘍細胞を移植した腫瘍移植モデルマウスに対して実施例1で得られた式(5)の化合物を投与して蛍光イメージングにより担癌部位での蛍光動態評価を行なった。比較例として、Molecular Probes社から市販されているAlexa750とAlexa790の近赤外蛍光化合物を使用した。
【0130】
各近赤外蛍光化合物のPBS溶液200μL(濃度:5μM)を腫瘍移植モデルマウスの尾部に静脈注射し、移植腫瘍部位の蛍光強度をIVIS Imaging Systemで経時的に測定した。投与15分後における蛍光強度を1としたときの相対値の経時変化としてSuit2、N87をそれぞれ移植したマウスに関してそれぞれプロットした。その結果を図13、14に示す。蛍光測定の際にはマウスに吸入麻酔を行なった。なお、Alexa750とAlexa790のNHS基は、グリシンで不活性化して評価した。
【0131】
図13、14から、式(5)の化合物は、静脈注射後5時間後には腫瘍部の蛍光強度が投与前のレベルにまで低下し、比較として投与したAlexa750とAlexa790に比べて迅速な蛍光の低下を示した。また、腫瘍特異的な蛍光蓄積性は示さなかった。
【0132】
続いてSuit2、N87を移植した各腫瘍部位での蛍光強度変化を投与前の蛍光強度を1とした相対値を表4に示した。表4から式(5)の化合物を投与した場合、色素投与後7時間後には相対値が1.5を下回っており、投与前の蛍光強度の50%以内にまで低下していた。一方でAlexa750を投与した移植腫瘍モデルにおいては、投与後7時間後では体表面での蛍光がバックグラウンドレベルまで低下していなかった。
【0133】
以上から式(5)の化合物は腫瘍の造影剤として機能した後に迅速に腫瘍部から消失することが示唆され、比較対象であるAlexa750とAlexa790に比べて迅速な体外排出の可能性が示唆された。
【0134】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明により、体外排出が迅速である化合物を提供することができる。また、本発明は、イメージング標的部位に対する選択性を付与する為に、被標識物質を固定化した化合物を提供することができる。また、本発明の被標識物質を固定化した化合物を用いて、光分子イメージング用標識剤として利用することができる。
【0136】
また本発明により、造影剤を投与して一定時間が経過した後に造影剤、治療薬など種々の薬剤を投与することが可能となり、腫瘍径の経時的な追跡や薬剤の効果判定または検査等を可能にする方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)で示される化合物。
【化1】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R9乃至R12は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。)
【請求項2】
下記の式(2)で示される化合物。
【化2】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R25乃至R28は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。)
【請求項3】
下記の式(3)で示されるプローブ。
【化3】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R9乃至R12はそれぞれ置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。また、Aは被標識物質を表す)
【請求項4】
下記の式(4)で示されるプローブ。
【化4】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R25乃至R28は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。また、Aは被標識物質を表す)
【請求項5】
下記の式(5)で示される化合物。
【化5】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
【請求項6】
下記の式(6)で示される化合物。
【化6】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
【請求項7】
下記の式(7)で示される化合物。
【化7】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
【請求項8】
下記の式(8)で示される化合物。
【化8】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかの化合物もしくはプローブを用いた蛍光イメージング用造影剤。
【請求項1】
下記の式(1)で示される化合物。
【化1】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R9乃至R12は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。)
【請求項2】
下記の式(2)で示される化合物。
【化2】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、bは、a=1〜4、かつ、b=3、5〜10、もしくは、a=5、かつ、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R25乃至R28は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。)
【請求項3】
下記の式(3)で示されるプローブ。
【化3】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R1乃至R8は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R9乃至R12はそれぞれ置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。また、Aは被標識物質を表す)
【請求項4】
下記の式(4)で示されるプローブ。
【化4】
(ただし、上記式中、n=2もしくは3である。a、b=1〜10の整数である。R13乃至R24は、水素原子もしくはスルホン酸塩であり、塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。R25乃至R28は、置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基である。また、Aは被標識物質を表す)
【請求項5】
下記の式(5)で示される化合物。
【化5】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
【請求項6】
下記の式(6)で示される化合物。
【化6】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
【請求項7】
下記の式(7)で示される化合物。
【化7】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
【請求項8】
下記の式(8)で示される化合物。
【化8】
(ただし、上記式中、Xはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、リジン塩、アルギニン塩のいずれかである。)
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかの化合物もしくはプローブを用いた蛍光イメージング用造影剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−195764(P2010−195764A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137346(P2009−137346)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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