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新規化合物および該化合物の合成方法、ならびに該化合物を含有する酸化防止剤、樹脂組成物および樹脂成型体
説明

新規化合物および該化合物の合成方法、ならびに該化合物を含有する酸化防止剤、樹脂組成物および樹脂成型体

【課題】高い耐熱性を有する新規化合物および該化合物の合成方法、ならびに該化合物を含有する離型剤、樹脂組成物および樹脂成型体を提供すること。
【解決手段】式(1)で示される化合物。


(Lは、水素原子またはRCO−で表わされる基であり、Rは、炭素数1〜40の1価の(ハロゲン化)炭化水素基であり、Rは、炭素数1〜20の1価の(ハロゲン化)炭化水素基であり、Rは、炭素数1〜20の2価の(ハロゲン化)炭化水素基であり、Aは、単結合、炭素数1〜20の2価の(ハロゲン化)炭化水素基、−S−、−SO−、−CO−、または−O−であり、mは0〜10の整数であり、nは0〜4の整数である。ただし、複数あるLの少なくとも一つはRCO−で表わされる基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂などの高分子材料の酸化防止剤に有用な新規化合物および該化合物の合成方法、ならびに該化合物を含んでなる酸化防止剤、樹脂組成物および樹脂成型体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学部品の分野では、加工性および自由度の観点から透明な熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられており、その成形体の表面に、拡散、集光、回折、反射などの光学特性を付与するための微細形状が付与されている。これらの微細形状を有する成形体は、射出成形あるいはプレス法による溶融加工を応用した熱転写成形にて得られ、あらかじめ公知の方法で金属表面に形成された微細形状を転写する方法などが用いられている。
また、上記の透明な熱可塑性樹脂からなる成形体は、通常そのまま光学素子として使用される他、その成形体を基板として、その表面に紫外線硬化性の透明樹脂などを塗布硬化する方法でえられる光学素子を形成するための透明スタンパーとしても使用される。
【0003】
しかしながら、上記微細な形状を射出成形や熱転写成形にて形成する場合、使用する金型からの離型が困難であったり、離型が可能であっても金型内へ樹脂が残ったりする場合がある。離型性を向上させる方法として、種々の離型剤を合成樹脂に添加する方法が知られている。ここに使用される離型剤としては、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、脂肪酸エステル系離型剤がある。
【0004】
これらの化合物の中で、離型剤としては、例えば、特許文献1に示すようなシリコーン系離型剤、脂肪酸エステル系離型剤が知られている。しかしながら、これらの化合物は、耐熱性が不十分であり、加熱加工時に高温に曝されることによって分解してしまうなどの問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−307523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明は、高い耐熱性を有する新規化合物および該化合物の合成方法、ならびに該化合物を含有する離型剤、樹脂組成物および樹脂成型体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、下記構造を有する化合物を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の[1]〜[5]を提供するものである。
【0008】
[1] 下記式(1)で示される化合物。
【0009】
【化1】

(式(1)において、Lは、それぞれ独立に、水素原子またはRCO−で表わされる基であり、Rは、炭素数1〜40の1価の炭化水素基、または炭素数1〜40の1価のハロゲン化炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、または炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基であり、Aは、単結合、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、−S−、−SO−、−CO−、または−O−であり、mは0〜10の整数であり、nは0〜4の整数である。ただし、複数あるLの少なくとも一つはRCO−で表わされる基である。)
[2] 上記[1]に記載の化合物を含有する離型剤。
[3] 上記[1]に記載の化合物を含有する樹脂組成物。
[4] 上記[4]に記載の化合物を含有する樹脂成型体。
【0010】
[5] 下記式(2)で表わされる化合物と下記式(3)で表わされる化合物とを反応させる工程を含むことを特徴とする、下記式(1)で表わされる化合物の合成方法。
【0011】
【化2】

(式(2)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、または炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基であり、Aは、単結合、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、−S−、−SO−、−CO−、または−O−であり、mは0〜10の整数であり、nは0〜4の整数である。)
【0012】
【化3】

(式(3)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜40の1価の炭化水素基、または炭素数1〜40の1価のハロゲン化炭化水素基であり、Yは、ヒドロキシ基、またはハロゲン原子である。)
【0013】
【化4】

(式(1)において、Lは、それぞれ独立に、水素原子またはRCO−で表わされる基であり、R、R、A、mおよびnは、式(2)中のR、R、A、mおよびnと同義である。)
【発明の効果】
【0014】
本発明の新規化合物は、高い耐熱性を有する。このため、該化合物は、合成樹脂などの高分子材料の離型剤として好適に用いることができる。
また、離型性に優れる樹脂組成物および樹脂成型体を提供することができる。
さらに、本発明に係る合成方法は、高純度の新規化合物を収率良く、容易に合成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の新規化合物および該化合物の製造方法、ならびに該化合物を含有する離型剤、樹脂組成物および樹脂成型体について詳細に説明する。
【0016】
[化合物]
本発明の新規な化合物は、下記式(1)で表わされる化合物である。なお、以下において、下記式(1)で表される化合物を「化合物(1)」ともいう。
【0017】
【化5】

式(1)において、Lは、それぞれ独立に、水素原子またはRCO−で表わされる基であり、Rは、炭素数1〜40の1価の炭化水素基、または炭素数1〜40の1価のハロゲン化炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、または炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基であり、Aは、単結合、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、−S−、−SO−、−CO−、または−O−であり、mは0〜10の整数であり、nは0〜4の整数である。ただし、複数あるLの少なくとも一つはRCO−で表わされる基である。)
【0018】
上記Rにおける炭素数1〜40の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、などの炭素数1〜40のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、などの炭素数3〜40のシクロアルキル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、などの炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1,3−ブタジエニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基などの炭素数2〜40のアルケニル基などが挙げられる。
【0019】
上記Rにおける炭素数1〜40の1価のハロゲン化炭化水素基としては、炭素数1〜40のハロゲン化アルキル基、炭素数3〜40のハロゲン化シクロアルキル基および炭素数6〜40のハロゲン化芳香族炭化水素基などが挙げられる。前記ハロゲン化アルキル基としては、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタブロモエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタブロモプロピル基、ノナフルオロブチル基およびノナブロモブチル基などが挙げられ;前記ハロゲン化芳香族炭化水素基としては、クロロフェニル基およびクロロナフチル基などが挙げられる。
【0020】
上記Rにおける炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の2価の直鎖または分岐鎖の炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基および炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
【0021】
上記Rにおける炭素数1〜20の2価の直鎖または分岐鎖の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基およびヘプタメチレン基などのアルキレン基;プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基およびヘキシリデン基等の分岐鎖のアルキリデン基;アルケニレン基;アルキニレン基などが挙げられる。これらの中では、メチレン基および/またはアルキレン基が好ましい。
【0022】
上記Rにおける炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基およびシクロへキシレン基などのシクロアルキレン基;シクロブテニレン基、シクロペンテニレン基およびシクロヘキセニレン基などのシクロアルケニレン基などが挙げられる。上記脂環式炭化水素基の結合部位は、脂環上の何れの炭素上でもよい。
【0023】
上記Rにおける炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ビフェニレン基およびナフチレン基などのアリーレン基などが挙げられる。
【0024】
上記Rにおける炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基としては、上記例示の炭素数1〜20の2価の炭化水素基が有する水素原子の少なくとも1つを、ハロゲン原子(例:フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)で置換した基が挙げられる。
【0025】
上記Rにおける炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基などの炭素数1〜20のアルキル基;シクロペンチル基およびシクロヘキシル基などの炭素数3〜20のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基およびビフェニル基などの炭素数6〜20の芳香族炭化水素基;ビニル基およびアリル基などの炭素数2〜20のアルケニル基などが挙げられる。
【0026】
上記Rにおける炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基としては、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数3〜20のハロゲン化シクロアルキル基および炭素数6〜20のハロゲン化芳香族炭化水素基などが挙げられる。前記ハロゲン化アルキル基としては、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基およびペンタブロモエチル基などが挙げられ;前記ハロゲン化芳香族炭化水素基としては、クロロフェニル基およびクロロナフチル基などが挙げられる。
【0027】
上記Aにおける炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の2価の直鎖または分岐鎖の炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基あるいは炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基などを挙げることができ、具体的には、上記Rと同様の官能基を挙げることができる。
上記Aにおける炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基も上記Rと同様の官能基を挙げることができる。
【0028】
上記式(1)において、
Lとしては、複数あるLの全てがRCO−で表わされる基であることが好ましい。
としては、それぞれ独立に、炭素数5〜40の1価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数10〜30の1価の炭化水素基であることがより好ましい。
としては、それぞれ独立に、炭素数1〜20の2価の直鎖または分岐鎖の炭化水素基であることが好ましく、メチレン基;エチレン基またはトリメチレン基であることがより好ましい。
Aとしては、それぞれ独立に、イソプロピリデン基、−S−、−SO−、−CO−、または−O−であることが好ましい。
nとしては、0であることが好ましい。
mとしては、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0029】
[化合物(1)の合成方法]
続いて本発明の化合物(1)の合成方法について詳細に説明する。本発明の化合物(1)は、以下の式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)ともいう。)と、以下の式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)ともいう。)とを反応させる工程を含む方法で合成することができる。化合物(2)と化合物(3)とを反応させることで、高純度の新規化合物(1)を収率良く、容易に合成することができる。
【0030】
【化6】

(式(2)において、R、R、A、mおよびnは式(1)中のR、R、A、mおよびnと同義である。)
【0031】
【化7】

(式(3)において、Rは、式(1)中のRと同義であり、Yは、ヒドロキシ基、またはハロゲン原子である。)
【0032】
化合物(2)と化合物(3)との反応において、化合物(2)と化合物(3)とのモル比(化合物(3)/化合物(2))は、通常は1〜20、好ましくは4〜20、より好ましくは4.05〜5である。
このような量で化合物(2)と化合物(3)とを反応させると、高純度の新規化合物(1)をより収率良く、容易に合成することができる。
【0033】
上記反応の条件は特に限定されないが、反応温度は、通常は−30〜120℃、好ましくは−20〜90℃、特に好ましくは−10〜80℃であり;反応時間は、通常は0.1〜48時間、好ましくは0.5〜24時間、特に好ましくは1〜10時間である。
【0034】
化合物(3)としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リノグリセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、イソプロピオン酸、イソ吉草酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、シクロプロピル酢酸、シクロブチル酢酸、シクロペンチル酢酸、シクロヘキシル酢酸、シクロヘプチル酢酸、シクロオクチル酢酸、ノルボルナンカルボン酸、ジノルボルナンカルボン酸、ノルボルナン酢酸、ジノルボルナン酢酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−プロピルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−プロピルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルジシクロヘキサンカルボン酸、4−エチルジシクロヘキサンカルボン酸、4−プロピルジシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルジシクロヘキサンカルボン酸、4−プロピルジシクロヘキサンカルボン酸、コレスタン酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ヘプタフルオロ酪酸、ノナフルオロ吉草酸、およびこれらの酸のハロゲン化物などを挙げることができる。
【0035】
該反応は、カルボジイミドおよび/または塩基触媒などの存在下で行うことができる。カルボジイミドとしては、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびジイソプロピルカルボジイミドなどを挙げることができる。
化合物(3)とカルボジイミドとのモル比(カルボジイミド/化合物(3))は、通常は1〜20、好ましくは1.05〜5である。
【0036】
また、塩基触媒としては、N,N−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ピリジンおよび炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
化合物(3)と塩基触媒とのモル比(塩基触媒/化合物(3))は、通常は0.01〜1、好ましくは0.03〜0.5である。
【0037】
また、上記反応では、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素および/または1,2−ジクロロエタンなどの有機溶媒や水などを溶媒として用いてもよい。溶媒の使用量は、化合物(3)1gあたり、通常は0.1〜50ml、好ましくは1〜20ml、特に好ましくは2〜15mlである。
【0038】
〈化合物(2)の合成方法〉
上記化合物(2)は、公知の方法で得ることができ、例えば、下記式(5)で表わされる化合物を水素化して下記式(6)で表わされる化合物(以下、化合物(6)ともいう。)を得る工程(i)、化合物(6)を酸化して下記式(7)で表わされる化合物(以下、化合物(7)ともいう。)を得る工程(ii)、化合物(7)と下記式(8)で表わされる化合物(以下、化合物(8)ともいう。)を反応させる工程(iii)、および、工程(iii)で得られた化合物(以下、化合物(8’)ともいう。)と、アルキレンカーボネートまたは下記式(9)で表わされる化合物(以下、化合物(9)ともいう。)とを反応させる工程(iv)をこの順序で含んでなる製造方法を挙げることができる。なお、化合物(2)において、mが0である化合物を合成する場合には、上記工程(iv)は不要である。
【0039】
【化8】

(式(5)において、Aは、式(1)中のAと同義である。)
【0040】
【化9】

(式(6)において、Aは、式(1)中のAと同義である。)
【0041】
【化10】

(式(7)において、Aは、式(1)中のAと同義である。)
【0042】
【化11】

(式(8)において、Rおよびnは、式(1)中のRおよびnと同義である。)
【0043】
【化12】

(式(9)において、Rおよびmは、式(1)中のRおよびmと同義であり、Zは、ハロゲン原子である。)
【0044】
上記工程(i)は、従来公知の方法を適用できる。
【0045】
上記工程(ii)は、従来公知の方法を適用することができるが、例えば、上記化合物(6)を、酸化剤および溶媒の存在下で反応させればよい。
酸化剤としては、次亜塩素酸および次亜臭素酸などの次亜ハロゲン酸、これらの塩、ならびに塩素などのハロゲンを挙げることができる。
化合物(6)と酸化剤とのモル比(酸化剤/化合物(6))は、好ましくは2〜3、さらに好ましくは2.1〜2.3である。
【0046】
また、溶媒としては、特に制限されないが、上記酸化剤と反応し難いものであって、化合物(6)の溶解性が高いものが望ましく、例えば、メタノール、酢酸、トルエン、クロロベンゼン、ジオキサンおよびこれらを含む混合溶媒を挙げることができる。
溶媒の使用量は、化合物(6)1gあたり、通常は0.1〜50mlである。
【0047】
また、この工程(ii)の条件は特に限定されないが、反応温度は、通常は0℃〜溶媒の沸点以下の温度、好ましくは10〜40℃であり;反応時間は、通常は0.1〜10時間である。
【0048】
上記工程(iii)は、従来公知の方法で製造することができるが、例えば、上記化合物(7)と上記化合物(8)とを、酸触媒の存在下で反応させればよい。
化合物(7)と化合物(8)とのモル比(化合物(8)/化合物(7))は、通常は4〜50、好ましくは4〜10である。
酸触媒としては、例えば、塩化水素ガス、塩酸、硫酸およびリン酸等の無機酸ならびにP−トルエンスルホン酸、シュウ酸およびメタンスルホン酸等の有機酸を挙げることができる。
化合物(7)と酸触媒との重量比(酸触媒/化合物(7))は、好ましくは0.05〜1、さらに好ましくは0.3〜0.7である。
【0049】
また、工程(iii)では、上記酸触媒と共に適当な助触媒、例えばメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンおよび/またはオクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類などを添加して反応を促進させることができる。
化合物(7)と助触媒との重量比(助触媒/化合物(7))は、好ましくは0.01〜0.1、さらに好ましくは0.02〜0.06である。
【0050】
工程(iii)では、必要に応じて溶媒を用いてもよく、例えば、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族化合物、n−ヘキサン、シクロヘキサンおよびn−ペンタン等の飽和炭化水素、メタノールおよびt−ブタノール等のアルコール類などを適宣単独で、あるいは混合して使用することができる。
【0051】
化合物(8)と溶媒との重量比(溶媒/化合物(8))は、好ましくは0.01〜10、さらに好ましくは0.1〜2である。
また、この工程(iii)の条件は特に限定されないが、反応温度は、通常は0℃〜60℃、好ましくは10〜40℃であり;反応時間は、通常は1〜10時間、好ましくは、1〜5時間である。
【0052】
上記工程(iv)は、従来公知の方法で製造することができるが、例えば、化合物(8’)(上記化合物(2)においてm=0である化合物)と、アルキレンカーボネートまたは上記化合物(9)とを、塩基触媒の存在下で反応させればよい。
化合物(8’)とアルキレンカーボネートとのモル比(アルキレンカーボネート/化合物(8’))は、通常は4〜20、好ましくは4〜10であり、化合物(8’)と化合物(9)とのモル比(化合物(9)/化合物(8’))は、通常は4〜20、好ましくは4〜10である。
ここで、アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびブチレンカーボネートなどを挙げることができる。
【0053】
塩基触媒としては、例えば、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミドおよびテトラメチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩などを挙げることができる。
化合物(8’)と、塩基触媒との重量比(塩基触媒/化合物(8’))は、好ましくは0.01〜1、さらに好ましくは0.05〜0.5である。
【0054】
工程(iv)では、さらに、必要に応じて溶媒を用いてもよく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルおよび/またはジメチルスルホキシド等の極性非プロトン性溶媒などを適宣単独であるいは混合して使用することができる。
化合物(8’)と溶媒との重量比(溶媒/化合物(8’))は、好ましくは0.01〜10、さらに好ましくは0.1〜2である。
【0055】
また、この工程(iv)の条件は特に限定されないが、反応温度は、通常は0℃〜200℃、好ましくは30〜160℃であり;反応時間は、通常は1〜10時間、好ましくは、1〜5時間である。
【0056】
[離型剤]
本発明に係る離型剤は、上記化合物(1)を含有すればよく、上記化合物(1)のみからなることが好ましい。
上記化合物(1)は、耐熱性および樹脂との相溶性などに優れるため、特に、加工や成形の際などにおいて、高温に曝されることのある樹脂および樹脂成型体の離型剤として好適に使用することができる。
【0057】
[樹脂組成物]
本発明に係る樹脂組成物は、樹脂と上記化合物(1)とを含有する。
該樹脂としては、環状オレフィン系重合体、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリサルホン樹脂(PSF)、ポリエーテルサルホン樹脂(PES)、ポリパラフェニレン樹脂(PPP)、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂(PEPO)、ポリイミド樹脂(PPI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)およびポリアミドイミド樹脂(PAI)などを挙げることができる。これらの樹脂の中でも、上記化合物(1)との相溶性などの観点から環状オレフィン系重合体が好適に用いられる。
なお、樹脂組成物において、化合物(1)配合量は、樹脂100質量部に対して、0.05〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。
【0058】
[樹脂成型体]
本発明に係る樹脂成型体は、上記化合物(1)を含有することを特徴とする。本発明の樹脂成型体は、上記樹脂組成物を成形したものが好ましい。
このような樹脂成型体としては、特に制限されないが、具体的には、包装用資材、建材、自動車用部品、日常雑貨品、農業用資材、医療用器具、デジタルカメラ用レンズ、携帯電話用レンズ、CD、ブルーレイ用ピックアップレンズ、マイクロレンズに代表される光学レンズ、ディスク等の基板、導光板およびプリズムシート等の幅広い用途に用いられている樹脂成型体を挙げることができる。
【0059】
上記化合物(1)は、特に耐熱性に優れるため、該化合物(1)を含有する樹脂組成物および樹脂成型体は、離型性に優れ、特に、高温に曝された場合も加工成型性に優れる。
【実施例】
【0060】
(合成例1)
下記式(2−A)で表わされる4,4’,4’’,4’’’−[(1−メチルエチリデン)ジ−4−シクロヘキサニル−1−イリデン]テトラキスフェノール10.0g(17.3mmol)、ステアリン酸 20.2g(70.9mmol)を500mL三口フラスコに測り取り、塩化メチレン200mlを加え溶解した。この溶液を氷浴で冷却した後、窒素雰囲気下、ジシクロヘキシルカルボジイミド15.7g(76.1mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.42g(3.5mmol)を加え攪拌した。30分後、室温まで反応液を昇温させ、室温25℃で4時間攪拌した。反応液中で、析出した溶媒不溶分を吸引ろ過により、除去し、溶媒可溶分を集めて減圧留去した。有機分が総量100ml程度になった所で、液を分液ロートに移し、10%希塩酸50mlで洗浄、次いで、飽和炭酸ナトリウム水溶液50mlで洗浄、蒸留水100mlで2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ紙によるろ過および減圧留去を行い、目的物の粗生成物として白色結晶を得た。本粗結晶について、H−NMR測定(ブルカー株式会社製AVANCE500型 )、GPC分析(東ソー株式会社製HLC−8020)で構造を確認したところ、化合物(1−A)以外に、4つのフェノール性水酸基に対して、1つ〜3つのステアリン酸が縮合して得られた化合物が存在することを確認した。
次いで、この白色固体に対して酢酸エチル−n−ヘキサンで再結晶化することにより、下記式(1−A)で表わされる目的物23.6g(収率83%)を得た。
この化合物のH−NMR測定(ブルカー株式会社製AVANCE500型 )、TG−DTAによる分析(理学電気株式会社製TG8120)を行い、目的の化合物が得られていることを確認した。分析結果は以下の通りであった。

H-NMR(溶媒:CDCl) 化学シフトσ:7.32ppm(芳香環水素、4H)、7.13ppm(芳香環水素、4H)、7.03ppm(芳香環水素、4H)、6.89ppm(芳香環水素、4H)、2.68ppm(シクロヘキサン環状水素、2H)、2.52ppm(COO−C−、4H)、1.90ppm〜1.20ppm(136H)、0.88ppm(ステアリン酸メチル基、12H)、0.51ppm(CH基、6H)。

TG−DTA :分解点=423℃
【0061】
【化13】

【0062】
【化14】

【0063】
(評価例1)
ARTON樹脂(ARTON R5300、JSR株式会社製)の10%(wt/wt)トルエン溶液1kgを調製し、そこに、上記合成例1で合成した化合物0.5g(ARTON樹脂に対して0.5%)添加、溶解した。次いで、大量のメタノールで組成物を凝固・単離した後、二軸押し出し機にて造粒し、ペレットを得た。ここで得たペレットについて、インライン式射出成形機(型締め75ton,シリンダー径28mn)を用い、射出成形を行なった。
射出成形条件としては、シリンダー温度330℃、射出速度200mm/s、金型温度は表面の実測温度で150℃まで昇温して用いた。
金型冷却後、駒を金型から取り外し、その表面に関して、任意の10mm×10mmの領域を10箇所、100倍の倍率としたマイクロスコープで観察した結果、全ての領域で剥離は生じていなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される化合物。
【化1】

(式(1)において、Lは、それぞれ独立に、水素原子またはRCO−で表わされる基であり、Rは、炭素数1〜40の1価の炭化水素基、または炭素数1〜40の1価のハロゲン化炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、または炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基であり、Aは、単結合、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、−S−、−SO−、−CO−、または−O−であり、mは0〜10の整数であり、nは0〜4の整数である。ただし、複数あるLの少なくとも一つはRCO−で表わされる基である。)
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含有する離型剤。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物を含有する樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物を含有する樹脂成型体。
【請求項5】
下記式(2)で表わされる化合物と下記式(3)で表わされる化合物とを反応させる工程を含むことを特徴とする、下記式(1)で表わされる化合物の合成方法。
【化2】

(式(2)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、または炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基であり、Aは、単結合、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、−S−、−SO−、−CO−、または−O−であり、mは0〜10の整数であり、nは0〜4の整数である。)
【化3】

(式(3)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜40の1価の炭化水素基、または炭素数1〜40の1価のハロゲン化炭化水素基であり、Yは、ヒドロキシ基、またはハロゲン原子である。)
【化4】

(式(1)において、Lは、それぞれ独立に、水素原子またはRCO−で表わされる基であり、R、R、A、mおよびnは、式(2)中のR、R、A、mおよびnと同義である。)

【公開番号】特開2011−157318(P2011−157318A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21415(P2010−21415)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】