説明

新規化合物及びβ−セクレターゼ阻害剤

【課題】ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)に含まれる有用な新規化合物を単離し、該化合物を利用した新たな医薬組成物を提供すること。
【解決手段】一般式(1)若しくは(2)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、及び該化合物を有効成分として含有するβ−セクレターゼ阻害剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)から得られる化合物、該化合物を有効成分として含有するβ−セクレターゼ阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
天然物から特定の薬理作用のある有用な物質待又は成分を探索して創薬に利用することが、一般に行われている。天然物からのそのような有用な物質又は成分の単離は、しばしば、発症メカニズムの解明、新たな治療薬への応用などにもつながるため、このような手法は頻繁に利用されている。この天然物として注目されているものの一つとしてキノコが挙げられる。
【0003】
例えば、ハリタケ科のキノコであるヤマブシタケからは、神経成長因子を誘導するヘリセノン等の有用な物質が多数単離されている(例えば、特許文献1及び2、及び非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−73486号公報
【特許文献2】特開平7−69961号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kawagishi, H. et al., Drugs of the Future 2008, 33(2): 149-155
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)に含まれる有用な新規化合物を単離すること、及び該化合物を利用した新たな医薬組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)の抽出物中に新規化合物が含まれること、及びこの新規化合物がβ−セクレターゼ活性に対する優れた阻害作用を有することを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の化合物及びβ−セクレターゼ阻害剤等を提供する。
【0009】
項1.一般式(1)若しくは(2)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【0010】
【化1】

【0011】
項2.上記項1に記載の一般式(1)若しくは(2)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有するβ−セクレターゼ阻害剤。
【0012】
項3.上記項2に記載のβ−セクレターゼ阻害剤を含有する老人性痴呆症の予防又は治療薬。
【0013】
項4.上記項2に記載のβ−セクレターゼ阻害剤を含有するアルツハイマー型痴呆症の予防又は治療薬。
【0014】
項5.上記項2に記載のβ−セクレターゼ阻害剤を含有する化粧品。
【0015】
項6.上記項2に記載のβ−セクレターゼ阻害剤を含有するアロマテラピー用キャリアーオイル。
【0016】
項7.上記項2に記載のβ−セクレターゼ阻害剤からなる食品添加剤。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一般式(1)及び(2)で表される化合物は新規であり、高いβ−セクレターゼ阻害活性を有する。そのため、これを有効成分として含有するβ−セクレターゼ阻害剤として有用であり、医薬品、化粧品、食品組成物等に利用することができる。本発明のβ−セクレターゼ阻害剤は、ヤマブシタケから抽出される成分を有効成分とするため、人体に悪影響を与えることなく、アルツハイマー型痴呆症等の老人性痴呆症を治療することができる。
【0018】
本発明のβ−セクレターゼ阻害剤は、化粧品、アロマテラピー用キャリアーオイル、食品添加剤等として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)からの活性成分の単離操作を示す工程図である。
【図2】化合物1及び2の化学構造及び物性値を示す図である。
【図3】化合物1及び2のH−NMR及び13C−NMRのスペクトルデータを示す図である。
【図4】化合物1(イソヘリセリン)、化合物2(2−N−デエチルフェニルイソヘリセリン)、及びインパラトリンのβ−セクレターゼ活性阻害効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0021】
本発明は、一般式(1)若しくは(2)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0022】
【化2】

【0023】
一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物1」ともいう)及び一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物2」ともいう)はいずれも新規物質であり、それぞれイソヘリセリン(isohericerin)及び2−N−デエチルフェニルイソヘリセリン(2-N-deethylphenyl isohericerin)と命名した。
【0024】
本発明における「薬学的に許容し得る塩」の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等が挙げられる。なお、一般式(1)又は(2)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、水等の溶媒和物であってもよい。
【0025】
化合物1及び2は、ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)を溶媒で抽出することにより単離することができる。
【0026】
本発明において用いられるヤマブシタケ(Hericium erinaceum)は、ハリタケ科(Hydnaceae)、サンゴハリタケ属(Hericium)に属するキノコである。ヤマブシタケであれば、その産地は特に限定されない。
【0027】
ヤマブシタケは、その子実体をそのまま抽出に供することができるが、より細かく粉砕した後、抽出に供してもよい。また、粉末にした後更に乾燥して抽出に供したり、水中で粉砕してスラリー状にして抽出に供することもできる。また、市販されている乾燥粉末を使用することも可能である。
【0028】
抽出溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の無極性有機溶媒等を用いることができる。これらの中で、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エチルエーテル等が好ましく用いられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。溶媒を混合して用いる場合、各溶媒の混合比は、溶媒の種類に応じて適宜調整すればよい。
【0029】
抽出方法については、特に限定されるものではなく、ヤマブシタケの子実体に溶媒(例えば、酢酸エチル)を加えた後、抽出物に含まれる活性成分の活性を失活させない程度に加温加熱する加熱抽出法や、超臨界抽出法等を適宜適用できる。また、一定量の溶媒にヤマブシタケを浸漬してバッチ処理する浸漬抽出法や連続的に溶媒を送り続ける連続抽出法等、公知の種々の抽出法を適用できる。
【0030】
具体的な抽出方法の一例を挙げると、例えば、ヤマブシタケに対して、その乾燥重量の5〜10重量倍程度、好ましくは、3〜5重量倍程度の抽出溶媒を加えて浸漬して加熱し、1〜3時間程度溶媒を還流させることにより、活性成分を抽出することができる。或いは、ヤマブシタケに対して、その乾燥重量の5〜10重量倍程度、好ましくは、3〜5重量倍程度の抽出溶媒を加えて浸漬し、室温で1〜14日間程度放置することにより活性成分を抽出することも可能である。勿論、溶媒の種類、溶媒量や加熱温度、加熱時間等については、活性成分を効率的に抽出できるように適宜調整すればよい。
【0031】
上記した方法によってヤマブシタケから抽出物を得た後、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、アセトン等の有機溶媒を1種又は2種以上用いた溶媒分画操作によって、得られた抽出液から活性画分(化合物1及び2)を分取することができる。更に、必要に応じて、アルミナカラムクロマトグラフィーやシリカゲルクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の適当な分離精製手段を1種若しくは2種以上組み合わせて精製することもできる。
【0032】
なお、ヤマブシタケからの化合物1及び2の単離及び同定は、具体的には実施例1の記載に従い行うことができる。
【0033】
このように、本発明の化合物1及び2は、天然物から単離及び精製することができるが、該化合物の製造方法はこれに限定されるものではない。公知の化学合成法をもとに該化合物を合成してもよいし、天然物から得られた物質を原材料として反応等の処理を施して製造することも可能である。
【0034】
本発明の化合物1及び2は、下記実施例で詳述するように、強いβ−セクレターゼ阻害活性を有することから、医薬品への利用が可能である。例えば、β−セクレターゼ阻害剤として有用である。また、本発明のβ−セクレターゼ阻害剤は、各種用途に用いることができる。
【0035】
例えば、本発明のβ−セクレターゼ阻害剤を医薬品として用いる場合、哺乳動物(特に、ヒト)における老人性痴呆患症の予防薬又は治療薬、特にアルツハイマー型痴呆症の予防薬又は治療薬として用いられる。
【0036】
本発明のβ−セクレターゼ阻害剤は、慣用されている方法により錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤等の剤に製剤化することができる。
【0037】
製剤化には通常用いられる賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤や、および必要により安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、抗酸化剤などを使用することができ、一般に医薬品製剤の原料として用いられる成分及び配合量を適宜選択して常法により製剤化される。
【0038】
本発明の医薬製剤を投与する場合、その形態は特に限定されず、通常用いられる方法であればよく、経口投与でも非経口投与でもよい。本発明にかかる医薬の投与量は、症状の程度、年齢、性別、体重、投与形態・塩の種類、疾患の具体的な種類等に応じて、製剤学的な有効量を適宜選ぶことができる。投与量の一例を挙げると、経口投与の場合、通常、成人において、有効成分量として0.001〜1000mg/kg程度が適当であり、これを1日1回〜数回に分けて投与すればよい。
【0039】
また、本発明のβ−セクレターゼ阻害剤は、強いβ−セクレターゼ阻害活性を有することから、例えば、入浴剤、石鹸、化粧品、アロマテラピー用キャリアーオイル、香水、整髪料等の製品に加えて用いることができる。
【0040】
本発明のβ−セクレターゼ阻害剤は、各製品全体に対し、通常0.001〜100重量%程度(好ましくは、0.1〜5重量%程度)含有していればよい。
【0041】
本発明のβ−セクレターゼ阻害剤を含む上記の製品を用いた場合には、精油の香りによるリラクゼーション効果、リフレッシュ効果が発揮され、またストレスの多い現代社会において心身の癒し効果が発揮される。上記の製品を、高齢者、病人などが生活する環境で用いることにより、老人性痴呆症の予防・改善効果も発揮される。もちろん、使用する精油又は精油成分が有している効果、例えば、防腐効果、抗菌効果等も発揮される。
【0042】
また、本発明のβ−セクレターゼ阻害剤は、食品添加剤として、例えば、清涼飲料、乳製品(加工乳、ヨーグルト)、菓子類(ゼリー、チョコレート、ビスケット、ガム、錠菓)等の各種飲食品に配合することもできる。本発明のβ−セクレターゼ阻害剤は、このような人間用の飲食品に食品添加剤として配合されるだけでなく、イヌ、ネコ等のペットフードに食品添加剤として配合することも可能である。
【0043】
食品添加剤として用いる場合には、その添加量については、特に限定的ではなく、食品の種類に応じ適宜決めればよい。一例としては、上記した抽出物の乾燥重量として、含有量が0.0005重量%〜50重量%程度の範囲内となるように添加すればよい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
【0045】
実施例1
(1)ヤマブシタケからの化合物の抽出及び単離
ヤマブシタケからの化合物の抽出及び単離は、図1に従って行った。なお、減圧濃縮は、ロータリーエバポレーターを用いた。ヤマブシタケ(まりも製薬株式会社製)(600g)を200gずつ3回に分け、ソックスレー連続抽出装置を用いて抽出した。ヤマブシタケ(200g)を還流酢酸エチル(1.2リットル)で3時間連続抽出を行った。3回の溶出画分を合わせ、減圧濃縮することにより、酢酸エチル抽出物(14g)を得た。酢酸エチル抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:ヘキサン−酢酸エチル及びメタノール)に付すことにより4つのフラクション(以下、Fr.とする)1〜Fr.4に分画した。Fr.3(0.9g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:ヘキサン−酢酸エチル及びメタノール)に付すことで4つのフラクション(Fr.3.1〜3.4)に分画し、さらにFr.3.3を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル=4:1)で分離精製することにより、化合物1(120mg)を単離した。さらに、これをジエチルエーテル−ジクロロメタンで結晶化することにより、分析的に純粋な試料(86mg)を得た。
【0046】
また、Fr.4(4.7g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:ヘキサン−アセトン及びメタノール)に付すことで3つのフラクション(Fr.4.1〜4.3)に分画し、さらにFr.4.3をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:ジクロロメタン−アセトン及びメタノール)に付すことで4つのフラクション(Fr.4.3.1〜4.3.4)に分画した。さらに、Fr.4.3.2を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン:アセトン=3:2)で分離精製することにより、化合物2(74mg)を単離した。さらに、これをヘキサン−アセトンで結晶化することにより、分析的に純粋な試料(36mg)を得た。
【0047】
(2)化合物1及び2の構造決定
化合物1及び2の構造を決定する目的で、HR−EI−MS、IR、H−NMR及び13C−NMRを測定した。
【0048】
HR−EI−MSの測定には、日本電子株式会社製JEOL the Tandem MS station JMS-700を使用した。
【0049】
IR(赤外線吸収)スペルトルの測定には、日本分光株式会社製のJASCO FT/IR-470 plus Fourier transform infrared spectrometerを使用した。
【0050】
NMRスペクトルの測定には、JEOL ECA-500(500 MHz, 1H; 125 MHz, 13C)spectrometerを使用した。化合物1はCDCl中で、化合物2はDMSO−d中で測定した。
【0051】
化合物1及び2の化学構造及び物性を図2に示す。
【0052】
化合物1は、HR−EI−MSの測定から分子式C2733NOを示した。また、H−NMR及び13C−NMRのスペクトルの解析のため、二次元NMRを測定してプロトンと炭素との間の相関を調べたところ、すべてのシグナルの帰属が明らかとなった(H−NMR及び13C−NMRのスペクトルデータを図3に示す)。化合物1のNMRデータは、既知化合物のヘリセリン(Kimura Y., et ai., Agric. Biol. Chem. 55 p.2673-2674(1991))のそれと類似しており、異性体であることが示唆された。二次元NMRにおける遠隔H−13C異核間の相関(HMBC)を詳細に検討したところ、H3とC1、C3a、C4、C7aとの間に、また、H7とC1、C3a、C5、C6、C7aとの間に相関が観測されたことから、ヘリセリンとはイソインドリノン骨格のカルボニルの位置異性体であることが判明した。
【0053】
これらの結果から、化合物1は、(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-4-ヒドロキシ-6-メトキシ-2-フェニルエチルイソインドリン-1-オン((E)-5-(3,7-dimethylocta-2,6-dien-1-yl)-4-hydroxy-6-methoxy-2-phenylethylisoindolin-1-one)(イソヘリセリン;isohericerinと命名した)と決定した。
【0054】
化合物2は、HR−EI−MSの測定から分子式C1925NOを示した。二次元NMR測定から得られたH−NMR及び13C−NMRのスペクトルデータを図3に示す。化合物2は、図3のNMRデータから明らかなように、化合物1からフェニルエチル基の欠落した化合物であることが判明した。また、インドリノン骨格のカルボニルの位置を確認するため、HMBC相関を調べたところ、化合物1と全く同様のプロトンと炭素との間の相関が観測されたことから、化合物2は、(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-4-ヒドロキシ-6-メトキイソインドリン-1-オン((E)-5-(3,7-dimethylocta-2,6-dien-1-yl)-4-hydroxy-6-methoxyisoindolin-1-one)(2−N−デエチルフェニルイソヘリセリン;2-N-deethylphenyl isohericerinと命名した)と決定した。
【0055】
実施例2(β−セクレターゼ阻害活性試験)
β−セクレターゼ阻害活性を、PanVera社から購入したBACE1(組換えヒトBACE1)アッセイキットを用いて評価した。評価試験は、メーカーが作製したキットの取扱説明書の記載を改変した方法(Jeon S.Y., et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 13: 3905-3908 (2003))に従って行った。以下、簡単に説明する。
【0056】
10μLのBACE1(1.0U/ml)、10μLの基質(50mM 重炭酸アンモニウム中の750nM Rh-EVNLDAEFK-Quencher)、及び10μLの試料溶液(試料を30%DMSOに溶かした溶液)を混合して試験試料とした。また、上記試料溶液の替わりに10μLのアッセイバッファー(30%DMSO含有、50mM 酢酸ナトリウム、pH4.5)を加えたものをコントロールとした。これらを暗所において室温で60分間インキュベーションした後に、550nmの波長の光を照射して励起させ、590nmの波長における発光強度を測定した。
【0057】
β−セクレターゼ活性の阻害パーセントを以下の式;
セクレターゼ活性(%)=[1−{(S−S)/(C−C)}]×100
(式中、Cは60分間のインキュベーション後のコントロール(酵素、バッファー、及び基質)の発光強度を示し、Cは0時におけるコントロールの発光強度を示し、Sはインキュベーション後の試験試料(酵素、試料溶液、及び基質)の発光強度を示し、Sは0時における試料の発光強度を示す)に従って計算した。全データは、3回の試験結果の平均である。ポジティブコントロールとしてインペラトリン(imperatorin)を用いた(Marumoto S. and Miyazawa M. Phytother. Res. 24: 510-513 (2010))。結果を図4に示す。
【0058】
図4の結果から、化合物1(イソヘリセリン)及び化合物2(2−N−デエチルフェニルイソヘリセリン)の50%阻害濃度であるIC50値は、それぞれ79・1μM及び61.7μMであることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)若しくは(2)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【化1】

【請求項2】
請求項1に記載の一般式(1)若しくは(2)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有するβ−セクレターゼ阻害剤。
【請求項3】
請求項2に記載のβ−セクレターゼ阻害剤を含有する老人性痴呆症の予防又は治療薬。
【請求項4】
請求項2に記載のβ−セクレターゼ阻害剤を含有するアルツハイマー型痴呆症の予防又は治療薬。
【請求項5】
請求項2に記載のβ−セクレターゼ阻害剤を含有する化粧品。
【請求項6】
請求項2に記載のβ−セクレターゼ阻害剤を含有するアロマテラピー用キャリアーオイル。
【請求項7】
請求項2に記載のβ−セクレターゼ阻害剤からなる食品添加剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−77030(P2012−77030A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223659(P2010−223659)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【出願人】(505249193)株式会社太陽統合医療開発 (3)
【Fターム(参考)】