説明

新規化合物及びその医薬用途

【課題】医薬品として十分に満足できる、GIPの機能を阻害する化合物を提供すること、更には、GIPの機能阻害、特にGIPの受容体結合阻害に基づく、肥満、インスリン抵抗性、又は肝臓への脂質蓄積の予防又は改善剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物又はその医薬的に許容される塩である化合物、及び当該化合物を有効成分とする、GIPの受容体結合阻害剤、肥満等の予防又は改善剤が提供される。


〔式中、例えば、WはCR1(R1はハロゲン原子又はシアノ基)等を表し、Vは窒素含有複素環を表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物及びその医薬用途に関する。当該化合物は特に、GIPの受容体結合阻害剤として様々な医薬用途を有する。
【背景技術】
【0002】
グルコースディペンデント−インスリノトロピックポリペプチド、別名ガストリックインヒビトリーポリペプチド(以下GIPと略す)は、グルカゴン・セクレチンファミリーに属する消化管ホルモンの一つであり、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)とともにインクレチンと称される。GIPは摂食時に小腸に存在するK細胞より分泌され、膵β細胞においてグルコース応答性インスリン分泌を促進することによって、摂食に伴う栄養素の体内動態を調節している。GIP受容体遺伝子は、膵β細胞以外にも、脂肪細胞をはじめとして様々な組織の細胞に幅広く発現しており、その機能の詳細について研究が進められてきた。近年、GIPと肥満及びインスリン抵抗性との関係が報告され(特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2参照)、GIP機能阻害剤の、肥満、インスリン抵抗性、又は肝臓への脂質蓄積の予防又は改善剤としての可能性について期待が持たれている。
【0003】
肥満は、糖尿病、高血圧症、高脂血症等の生活習慣病の危険因子の一つであり、近年、肥満者の増加が世界的に問題となっている。肥満は脂肪組織が過剰に蓄積した状態であると定義され、肥満に起因ないし関連する健康障害を合併しているか又は合併することが予測される場合には、肥満症と診断されて医療の対象となる。肥満の治療は、まず食事療法と運動療法を組み合わせて行われ、治療効果が不十分な場合には薬物療法が適用される。
【0004】
肥満の予防又は改善剤としては、中枢性食欲抑制剤、β3アドレナリン受容体作動薬、消化吸収阻害薬、脂質合成阻害薬、レプチン等様々な研究が展開されているが、現在、日本国内においては、中枢性食欲抑制剤であるマジンドール(サノレックス:登録商標)のみが高度肥満症の食事・運動療法の補助薬として臨床使用されている。しかし、マジンドールは臨床効果が不十分である上に、中枢性であるがために依存性の問題点が指摘されている。他にも作用メカニズムの異なる中枢性食欲抑制剤が開発されているが、血圧増加、不安、頭痛等の中枢性の副作用が懸念される。欧米で臨床使用されているオルリスタットはリパーゼ阻害剤であり、摂取した脂肪の小腸での分解抑制によって、脂肪の吸収を抑制する。オルリスタットについては、重篤な副作用の報告はないものの、脂肪便、軟便、腹痛等、消化器症状の副作用が報告されている。一方、レプチンについては、摂食量減少とエネルギー消費亢進による体重増加抑制作用が報告されており、新規な肥満の治療薬として期待されたが、臨床試験の結果、治療効果に限界が認められた。β3受容体アゴニストも抗肥満薬として期待されているが、高い受容体選択性が必須であり、選択性が不十分であると心臓などに対する副作用が懸念される。このように、様々な作用メカニズムに基づく抗肥満薬が市販され、又は研究開発中であるが、十分な体重抑制作用と安全性を兼ね備えた薬剤は未だない。
【0005】
GIPと肥満との関係については殆ど研究がなされていなかったが、最近になって、その関係が明らかになりつつある。即ち、GIPの機能を探求する過程で、GIP受容体遺伝子欠損マウスを用いて高脂肪食負荷試験が行われ、野生型マウスで発症する肥満が、GIP受容体遺伝子欠損マウスにおいては抑制される事、及び野生型マウスで発症するインスリン感受性の低下が改善される事が明らかとなった(特許文献1及び非特許文献1参照)。さらに、遺伝性肥満動物であるob/obマウスにおいても、GIP受容体遺伝子を欠損させることにより、肥満を抑制できることが明らかとなっている。一方で、これらGIP受容体遺伝子欠損マウスに通常食を与えた場合は、経口糖負荷試験において野生型マウスと比較して軽度の耐糖能異常が認められたものの、空腹時の血糖値に野生型マウスとの差は無く、他の重篤な異常も認められていない(非特許文献3参照)。これらの試験結果から、GIPが今までに提唱されていない新しい機序で肥満の原因となっていることが示唆され、GIPの機能を阻害する化合物、例えばGIP受容体結合阻害剤やGIP産生抑制剤は、抗肥満作用を有し且つ安全な薬剤として有望であると考えられるようになった(特許文献1参照)。
【0006】
一方、インスリン抵抗性は、末梢組織におけるインスリン感受性低下によるインスリン作用不足の状態として定義され、インスリン分泌の代償的な増加により高インスリン血症の状態になる。インスリン抵抗性は、肥満に起因する2型糖尿病の発症因子の一つとして注目されているだけでなく、高血糖、脂質代謝異常の成因の一つとしても注目されており、メタボリックシンドロームの病態で中心的な役割を果たしていると考えられている。インスリン抵抗性の治療薬としては、現在、日本国内で臨床使用されているものは、ピオグリタゾン(アクトス:登録商標)だけであるが、副作用として体重増加、浮腫、肝機能障害等が報告されている。
【0007】
近年、GIPとインスリン抵抗性の関係について研究が展開され、高脂肪食を負荷したマウスに対するGIPの投与により、肥満の悪化とは独立してインスリン抵抗性が悪化すること(特許文献1参照)、及びob/obマウスに対するGIP機能阻害ペプチドの短期間投与により、有意な体重減少が現れない期間内で、体重変化とは独立してインスリン感受性が改善すること(非特許文献2参照)が報告された。これらの試験結果は、GIPが今までに提唱されていない新しい機序でインスリン抵抗性の原因となっていることを示しており、GIPの機能を阻害する化合物、例えばGIP受容体結合阻害剤やGIP産生抑制剤が、肥満を伴うインスリン抵抗性の改善剤としてだけでなく、肥満を伴わないインスリン抵抗性の改善剤としても有望であることを示唆している(特許文献1参照)。
【0008】
その他のGIP機能阻害剤の作用としては、高脂肪食が負荷されたGIP受容体遺伝子欠損マウスで、同じく高脂肪食が負荷された野生型マウスにおいて認められる肝臓への脂質蓄積が抑制されることが報告されている(非特許文献1参照)。
【0009】
GIP受容体結合阻害作用を有する化合物としては、例えば、GIP(6-30)-NH2(非特許文献4参照)、GIP(7-30)-NH2(非特許文献5参照)、(Pro(3))GIP(非特許文献6参照)等が挙げられる。しかし、これらは長鎖ペプチドであり、経口吸収性や血中安定性に問題があるため、これらを抗肥満剤とするのは適当ではない。
【0010】
GIPの機能を阻害する低分子化合物としては、特許文献1に開示されている3−ブロモ−5−メチル−2−フェニルピラゾロ[1,5−A]ピリミジン−7−オールがあるが、その阻害活性はIC50値が約40μMと弱い。また、特許文献2には、メチリデンヒドラジド化合物がGIP機能の阻害作用を示すことが開示されている。中でも、3−シアノ−4−ヒドロキシ安息香酸〔1−(2,3,5,6−テトラメチルベンジル)−1H−インドール−4−イルメチレン〕ヒドラジドが強力な阻害作用を示しているが、この化合物は溶解度が極めて低く、また、物性的、代謝的に不安定であるため、医薬品として使用することは難しい。他にも、特許文献3には、ピラゾロピリミジン化合物がGIP機能の阻害作用を示すことが開示されているが、十分な活性があるとは言えない。このように、これまでに報告されているGIPの機能を阻害する化合物には、医薬品として満足できるものはない。
【0011】
尚、メチリデンヒドラジドを有する化合物としては、特許文献4に、グルカゴン拮抗活性を示す化合物が開示されている。しかし、ここには、GIP機能の阻害作用に関する記載はなく、一部の化合物については、特許文献2に、GIP機能の阻害作用が示されている。
【0012】
【特許文献1】国際公開WO01/87341号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO03/097031号パンフレット
【特許文献3】国際公開WO2004/083211号パンフレット
【特許文献4】国際公開WO00/39088号パンフレット
【非特許文献1】Nat. Med., Vol.8(7), 738-742 (2002)
【非特許文献2】Diabetes, Vol.54(8), 2436-2446(2005)
【非特許文献3】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.96(26), 14843-14847 (1999)
【非特許文献4】Regulatory Peptide, Vol.69(3), 151-154 (1997)
【非特許文献5】J. Clin. Invest., Vol.98(11), 2440-2445 (1996)
【非特許文献6】Biochem. Biophys. Res. Commun., Vol.290(5), 1420-1426 (2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のように、これまでに報告されているGIP受容体結合阻害作用を有する長鎖ペプチド化合物は、経口吸収性や血中安定性に問題がある。また、これまでに報告されているGIPの機能を阻害する低分子化合物には、活性が不十分、溶解度が低い、物性的、代謝的に不安定である、などの問題がある。従って、本発明は、医薬品として十分に満足できる、GIPの機能を阻害する化合物を提供すること、更には、GIPの機能阻害、特にGIPの受容体結合阻害に基づく、肥満、インスリン抵抗性、又は肝臓への脂質蓄積の予防又は改善剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、下記一般式(I)及び(II)で示される化合物がGIP受容体結合阻害作用を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
即ち、本発明によれば、一般式(I):
【化7】

〔式中、Wは窒素原子又はCR1を、R1は、ハロゲン原子、シアノ基、又はニトロ基を意味し、Vは、下式(V1)又は下式(V2):
【化8】

(式中、Aは置換されていてもよいアリール基、R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を意味する。)で示される基を意味する。〕
で表される化合物、又は医薬上許容される塩である化合物が提供される。
【0016】
前記本発明化合物においては、一般式(I)中のVは、下式(V3)又は下式(V4):
【化9】

〔式中、すべての記号は前記式(V1)及び式(V2)の場合と同義である。〕
で示される基とすることが好ましい。この式(V3)及び式(V4)においては、Aは置換されていてもよいフェニル基とすることが好ましく、また、式(V3)においては、R2は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、又は置換されていてもよいフェニル基とすることが好ましい。更に、一般式(I)中のWはCR1を選択し、R1をハロゲン原子又はシアノ基とすることが好ましい。
【0017】
本発明はまた、次のような一般式(II)の化合物を提供する。
【化10】

〔式中、Wは窒素原子又はCR1を、R1は、ハロゲン原子、シアノ基、又はニトロ基を意味し、Yは下式(Y1):
【化11】

(式中、R3は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜8のシクロアルキルメチル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、置換されていてもよいフェニルスルファニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、置換されていてもよいフェニルスルフィニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、置換されていてもよいフェニルスルホニル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアロイル基、又は置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基を意味し、R4、R5は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、COOR6、CONR7R8、又は置換されていてもよいアリール基を意味する。R6は、水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を意味し、R7、R8は、それぞれ独立して水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、又は-(CH2)n-NR9R10を意味するか、或いはR7とR8と付け根の窒素原子と共に又は更に他の窒素原子若しくは酸素原子と共に形成する5〜6員の複素環を意味する。nは1〜3の整数を意味し、R9、R10は、R9とR10と付け根の窒素原子と共に又は更に他の窒素原子若しくは酸素原子と共に形成する5〜6員の複素環を意味する。)で示される基を意味する。〕
で表される化合物、又はその医薬上許容される塩である化合物。
【0018】
このタイプの本発明化合物においては、一般式(II)中のYが下式(Y2):
【化12】

〔式中、すべての記号は前記式(Y1)の場合と同義である。〕
で示される基とすることが好ましい。この式(Y2)においては、R4及びR5はともに水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基とすることが好ましく、中でも、メチル基が最適である。また、R3は置換されていてもよいフェニルスルホニル基とすることが好ましい。更に、一般式(II)中のWはCR1を選択し、R1をハロゲン原子又はシアノ基とすることが好ましい。
【0019】
本発明は更に、前記本発明化合物の用途発明及び医薬組成物発明にも関する。即ち、本発明は、前記本発明化合物を有効成分とするGIP受容体結合阻害剤、及び、前記本発明化合物を有効成分として含有する医薬組成物をも提供する。本発明の医薬組成物は、肥満の予防又は改善、インスリン抵抗性の予防又は改善、肝臓への脂質蓄積の予防又は改善のために使用される。本発明を別の表現で記載すると、本発明化合物は、肥満の予防又は改善剤、インスリン抵抗性の予防又は改善剤、肝臓への脂質蓄積の予防又は改善剤、又は、GIP受容体結合阻害剤を製造するための本発明化合物の使用となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明化合物は、優れたGIP受容体結合阻害作用を有しており、肥満、インスリン抵抗性、又は肝臓への脂質蓄積の予防又は改善剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、GIP受容体結合阻害活性を有する本発明化合物について、詳述する。
本発明化合物の第一の形態は、下記一般式(I)で示される。
【化13】

Wは、窒素原子又はCR1を、R1は、ハロゲン原子、シアノ基、又はニトロ基を意味する。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。
Vは、下式(V1)又は下式(V2)を意味する。
【化14】

Aは、置換されていてもよいアリール基、R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を意味する。
一般式(I)中のVとしては、下式(V3)又は下式(V4)とすることが好ましい。
【化15】

式(V3)及び式(V4)においては、Aは置換されていてもよいフェニル基とすることが好ましく、中でもフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、t−ブチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、フェノキシフェニル基、ジメチルアミノフェニル基等が好ましい。また、式(V3)においては、R2は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、又は置換されていてもよいフェニル基とすることが好ましい。
更に、一般式(I)中のWはCR1を選択し、R1をハロゲン原子又はシアノ基とすることが好ましく、中でも塩素原子又はシアノ基とすることが好ましい。
【0022】
次に、本発明化合物の第二の形態は、下記一般式(II)で示される。
【化16】

Wは、窒素原子又はCR1を、R1は、ハロゲン原子、シアノ基、又はニトロ基を意味する。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。
Yは、下式(Y1)を意味する。
【化17】

R3は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜8のシクロアルキルメチル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、置換されていてもよいフェニルスルファニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、置換されていてもよいフェニルスルフィニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、置換されていてもよいフェニルスルホニル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアロイル基、又は置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基を意味する。好ましい置換基としては、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、炭素数6〜8の置換されていてもよいシクロアルキルメチル基、置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキルスルホニル基、置換されていてもよいフェニルスルホニル基、又は置換されていてもよいアラルキル基を挙げることができる。
R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、COOR6、CONR7R8、又は置換されていてもよいアリール基を意味する。R6は、水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を意味し、R7、R8は、それぞれ独立して水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、又は-(CH2)n-NR9R10を意味するか、或いはR7とR8と付け根の窒素原子と共に又は更に他の窒素原子若しくは酸素原子と共に形成する5〜6員の複素環を意味する。nは1〜3の整数を意味し、R9、R10は、R9とR10と付け根の窒素原子と共に又は更に他の窒素原子若しくは酸素原子と共に形成する5〜6員の複素環を意味する。
一般式(II)中のYとしては、下式(Y2)とすることが好ましい。
【化18】

式(Y2)においては、R4及びR5はともに水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基とすることが好ましく、中でも、メチル基が最適である。また、R3は置換されていてもよいフェニルスルホニル基とすることが好ましい。
更に、一般式(II)中のWはCR1を選択し、R1をハロゲン原子又はシアノ基とすることが好ましい。
【0023】
以下に、本明細書中で使用されている用語について説明する。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
【0024】
「置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基」とは、置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を意味し、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基の任意の(「任意の」とは、複数の場合も含む。以後同じ。)水素原子が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、又は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基等により置換されていてもよいことを意味する。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、ニトロメチル基、1−ニトロメチル基、2−ニトロメチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、t−プロポキシメチル基等が挙げられる。
【0025】
「置換されていてもよいアリール基」のアリール基とは、単環性若しくは二環性の、芳香族炭化水素又は芳香族複素環であって、そのアリール基の任意の水素原子が、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されたモノ置換及びジ置換アミノ基、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい5〜6員環の環状アミノ基(酸素原子、窒素原子又は硫黄原子から選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい)、ニトロ基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアシル基、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基、又は、フェニル基等により置換されていてもよいことを意味する。具体的には、フェニル基、アセチルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、n−ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、n−ブトキシフェニル基、i−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、フェノキシフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、ピペラジノフェニル基、N−メチルピペラジノフェニル基、ピペリジノフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ピリジニル基、ヒドロキシピリジニル基、クロロピリジニル基、メチルピリジニル基、メトキシピリジニル基、ニトロピリジニル基、シアノピリジニル基、ナフタレニル基、キノリニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基等が挙げられる。
【0026】
「置換されていてもよい炭素数4〜8のシクロアルキルメチル基」とは、炭素数4〜8のシクロアルキルメチル基の任意の水素原子が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基等により置換されていてもよいことを意味する。具体的には、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、1−シクロヘキシルエチル基、(1−シクロヘキシル−1−メチル)エチル基、メチルシクロヘキシルメチル基、クロロシクロヘキシルメチル基、シアノシクロヘキシルメチル基、ニトロシクロヘキシルメチル基、ヒドロキシシクロヘキシルメチル基、メトキシシクロヘキシルメチル基、エトキシシクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
【0027】
「置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルファニル基」とは、そのアルキル部位が、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基(前記と同義)であるアルキルスルファニル基を意味し、具体的には、メチルスルファニル基、トリフルオロメチルスルファニル基、エチルスルファニル基、シアノエチルスルファニル基、ニトロエチルスルファニル基、n−プロピルスルファニル基、i−プロピルスルファニル基、n−ブチルスルファニル基、i−ブチルスルファニル基、t−ブチルスルファニル基、ペンチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル等が挙げられる。
【0028】
「置換されていてもよいフェニルスルファニル基」とは、そのフェニル基の任意の水素原子が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基等により置換されていてもよいことを意味する。具体的には、メチルフェニルスルファニル基、メトキシフェニルスルファニル基、ジメチルフェニルスルファニル基、エチルフェニルスルファニル基、エトキシフェニルスルファニル基、n−プロピルフェニルスルファニル基、i−プロピルフェニルスルファニル基、クロロフェニルスルファニル基、ニトロフェニルスルファニル基、シアノフェニルスルファニル基、ヒドロキシフェニルスルファニル基等が挙げられる。
【0029】
「置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基」とは、そのアルキル部位が、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基(前記と同義)であるアルキルスルフィニル基を意味し、具体的には、メチルスルフィニル基、トリフルオロメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、シアノエチルスルフィニル基、ニトロエチルスルフィニル基、n−プロピルスルフィニル基、i−プロピルスルフィニル基、n−ブチルスルフィニル基、i−ブチルスルフィニル基、t−ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル等が挙げられる。
【0030】
「置換されていてもよいフェニルスルフィニル基」とは、そのフェニル基の任意の水素原子が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基等により置換されていてもよいことを意味する。具体的には、メチルフェニルスルフィニル基、メトキシフェニルスルフィニル基、ジメチルフェニルスルフィニル基、エチルフェニルスルフィニル基、エトキシフェニルスルフィニル基、n−プロピルフェニルスルフィニル基、i−プロピルフェニルスルフィニル基、クロロフェニルスルフィニル基、ニトロフェニルスルフィニル基、シアノフェニルスルフィニル基、ヒドロキシフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
【0031】
「置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルホニル基」とは、そのアルキル部位が、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基(前記と同義)であるアルキルスルホニル基を意味し、具体的には、メチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、シアノエチルスルホニル基、ニトロエチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、i−プロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、i−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル等が挙げられる。
【0032】
「置換されていてもよいフェニルスルホニル基」とは、そのフェニル基の任意の水素原子が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基等により置換されていてもよいことを意味する。具体的には、メチルフェニルスルホニル基、メトキシフェニルスルホニル基、ジメチルフェニルスルホニル基、エチルフェニルスルホニル基、エトキシフェニルスルホニル基、n−プロピルフェニルスルホニル基、i−プロピルフェニルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基、ニトロフェニルスルホニル基、シアノフェニルスルホニル基、ヒドロキシフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0033】
「置換されていてもよいアラルキル基」とは、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基(前記と同義)に、置換されていてもよいアリール基(前記と同義)が置換したものであって、具体的には、ベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、n−ブチルベンジル基、i−ブチルベンジル基、t−ブチルベンジル基、エチルベンジル基、エトキシベンジル基、n−ブトキシベンジル基、i−ブトキシベンジル基、t−ブトキシベンジル基、フルオロベンジル基、クロロベンジル基、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基、ジメチルアミノベンジル基、モルホリノベンジル基、ピペラジノベンジル基、N−メチルピペラジノベンジル基、ピペリジノベンジル基、1−フェニルエチル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、ナフタレニルメチル基、ピリジニルメチル基、キノリニルメチル基等が挙げられる。
【0034】
「置換されていてもよいアロイル基」とは、カルボニル基に、置換されていてもよいアリール基(前記と同義)が置換したものであって、具体的には、ベンゾイル基、メチルベンゾイル基、n−プロピルベンゾイル基、i−プロピルベンゾイル基、メトキシベンゾイル基、n−プロポキシベンゾイル基、i−プロポキシベンゾイル基、クロロベンゾイル基、ニトロベンゾイル基、シアノベンゾイル基、ヒドロキシベンゾイル基、ナフタノイル基、メチルナフタノイル基、n−プロピルナフタノイル基、i−プロピルナフタノイル基、メトキシナフタノイル基、n−プロポキシナフタノイル基、i−プロポキシナフタノイル基、クロロナフタノイル基、ニトロナフタノイル基、シアノナフタノイル基、ヒドロキシナフタノイル基、ピリジノイル基、キノリノイル基等が挙げられる。
【0035】
「置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基」とは、カルボニル基に酸素原子を介して置換されていてもよいアラルキル基が置換したものであって、具体的には、ベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基、メチルベンジルオキシカルボニル基、メトキシベンジルオキシカルボニル基、エチルベンジルオキシカルボニル基、エトキシベンジルオキシカルボニル基、n−ブチルベンジルオキシカルボニル基、i−ブチルベンジルオキシカルボニル基、t−ブチルベンジルオキシカルボニル基、n−ブトキシベンジルオキシカルボニル基、i−ブトキシベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシベンジルオキシカルボニル基、クロロベンジルオキシカルボニル基、ニトロベンジルオキシカルボニル基、シアノベンジルオキシカルボニル基、1−フェニルエチルオキシカルボニル基、(1−メチル−1−フェニル)エチルオキシカルボニル基、ナフタレニルメチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0036】
「R6とR7と付け根の窒素原子と共に又は更に他の窒素原子若しくは酸素原子と共に形成する5〜6員の複素環」とは、具体的には、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基等を挙げることができる。
【0037】
「R8とR9と付け根の窒素原子と共に又は更に他の窒素原子若しくは酸素原子と共に形成する5〜6員の複素環」とは、具体的には、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基等を挙げることができる。
【0038】
本発明の一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物の「医薬上許容される塩」としては、無機酸付加塩(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等との塩)、有機酸付加塩(例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、マンデル酸、リンゴ酸、パントテン酸、メチル硫酸等との塩)、アミノ酸との塩(例えば、リジン、アルギニン等との塩)、アルカリ金属付加塩(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等との塩)、アルカリ土類金属付加塩(例えば、カルシウム、マグネシウム等との塩)、有機アミン付加塩(例えば、アンモニア、エチルアミン、t−ブチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルプロピルアミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等との塩)等が挙げられる。これらの付加塩の形成反応は常法に従って行うことができる。
【0039】
上記一般式(I)及び一般式(II)で示される化合物を具体的に以下に例示する。
「一般式(I)で示される化合物の具体例」
(1)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(2)3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(3)3−クロロ−N’−{〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(4)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−メトキシフェニル)−6−メチルピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(5)3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−メトキシフェニル)−6−メチルピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(6)6−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−メトキシフェニル)−6−メチルピリジン−4−イル〕メチリデン}ニコチノヒドラジド
(7)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−6−メチルピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(8)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(9)6−ヒドロキシ−N’−{〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ニコチノヒドラジド
(10)3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(11)N’−{〔2−(4−t−ブチルフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}−3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(12)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−メチル−6−(4−メチルフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(13)3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−メチル−6−(4−メチルフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(14)3−クロロ−N’−{〔2−(4−エトキシフェニル)−6−メチルピリジン−4−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(15)3−シアノ−N’−{〔2−(4−エトキシフェニル)−6−メチルピリジン−4−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(16)N’−{〔2,6−ビス−(4−ジメチルアミノフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}−3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(17)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−フェノキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(18)N’−{〔2,6−ビス−(4−ジメチルアミノフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}−3−シアノ−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(19)3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−フェノキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(20)3−クロロ−N’−{〔2−(4−エトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(21)3−シアノ−N’−{〔2−(4−エトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(22)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(23)3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(24)N’−{〔2−(4−アセチルフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}−3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(25)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(26)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(27)N’−{〔2−クロロ−6−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}−3−シアノ−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(28)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−〔(2−フェニルキノリン−4−イル)メチリデン〕ベンゾヒドラジド
(29)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−メトキシフェニル)キノリン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(30)3−クロロ−N’−{〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)キノリン−4−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(31)3−シアノ−N’−{〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)キノリン−4−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(32)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔5−(4−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(33)3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−{〔5−(4−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(34)3−クロロ−N’−{〔5−(4−ジメチルアミノフェニル)ピリジン−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(35)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔6−(4−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(36)3−クロロ−N’−{〔6−(4−ジメチルアミノフェニル)ピリジン−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(37)3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−{〔6−(4−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(38)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−〔(6’−メトキシ−〔2,3’〕ビピリジニル−5−イル)メチリデン〕ベンゾヒドラジド
(39)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔6−(4−メトキシフェニル)ピリジン−2−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(40)3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−{〔6−(4−メトキシフェニル)ピリジン−2−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
【0040】
「一般式(II)で示される化合物の具体例」
(41)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(42)3−クロロ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(43)エチル 4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−2−カルボキシレート
(44)3−シアノ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(45)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔1−メタンスルホニル−5−(4−メチルピペラジン−1−カルボニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(46)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔5−(4−メチルピペラジン−1−カルボニル)−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}ヒドラジド
(47)N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−6−ヒドロキシニコチノヒドラジド
(48)エチル 4−〔(6−ヒドロキシニコチニル)ヒドラゾノメチル〕−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−2−カルボキシレート
(49)4−〔(6−ヒドロキニコチニル)ヒドラゾノメチル〕−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−N−(4−メチルベンジル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(50)4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−N−(4−メチルベンジル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(51)4−〔(6−ヒドロキニコチニル)ヒドラゾノメチル〕−N−(4−メトキシフェニル)−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(52)4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−N−(4−メトキシフェニル)−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(53)N−シクロヘキシル−4−〔(6−ヒドロキシニコチニル)ヒドラゾノメチル〕−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(54)4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−N−シクロヘキシル−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(55)6−ヒドロキシ−N’−{〔1−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}ニコチノヒドラジド
(56)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔1−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(57)3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−{〔1−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(58)N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−6−ヒドロキシニコチノヒドラジド
(59)3−クロロ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(60)N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−トリフルオロメトキシベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−6−ヒドロキシニコチノヒドラジド
(61)3−クロロ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−トリフルオロメトキシベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(62)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−2−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(63)3−クロロ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−メチルベンゾイル)−1H−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(64)ベンジル 3−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−2,5−ジメチルピロール−1−カルボキシレート
(65)エチル 4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−3−ヒドロキシ−1−フェニル−1H−ピロール−2−カルボキシレート
(66)エチル 4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキシレート
(67)4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−1−メチル−N−(4−メチルベンジル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(68)4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−1−メチル−N−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(69)4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸
(70)4−〔(6−ヒドロキニコチニル)ヒドラゾノメチル〕−N−(4−メチルベンジル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(71)4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−N−(4−メチルベンジル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(72)4−〔(6−ヒドロキニコチニル)ヒドラゾノメチル〕−N−(4−メトキシフェニル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(73)4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−N−(4−メトキシフェニル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(74)N−シクロヘキシル−4−〔(6−ヒドロキシニコチニル)ヒドラゾノメチル〕−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(75)4−〔(3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノメチル〕−N−シクロヘキシル−1H−ピロール−2−カルボキサミド
(76)3−クロロ−N’−〔(2,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピロール−3−イル)メチリデン〕−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(77)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔1−(4−メトキシフェニル)−2,5−ジメチル−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(78)3−クロロ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−モルホリン−4−イルフェニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(79)3−クロロ−N’−{〔1−(4−シアノフェニル)−2,5−ジメチル−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(80)3−クロロ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(81)3−クロロ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−メチルベンジル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(82)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔1−(1−メチル−1−フェニルエチル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(83)N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−6−ヒドロキシニコチノヒドラジド
(84)3−クロロ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(85)N’−〔(1−シクロヘキシルメチル−1H−ピロール−3−イル)メチリデン〕−6−ヒドロキシニコチノヒドラジド
(86)3−クロロ−N’−〔(1−シクロヘキシルメチル−1H−ピロール−3−イル)メチリデン〕−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(87)3−シアノ−N’−〔(1−シクロヘキシルメチル−1H−ピロール−3−イル)メチリデン〕−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(88)N’−〔(1−シクロヘキシルメチル−2,5−ジメチル−1H−ピロール−3−イル)メチリデン〕−6−ヒドロキシニコチノヒドラジド
(89)3−クロロ−N’−〔(1−シクロヘキシルメチル−2,5−ジメチル−1H−ピロール−3−イル)メチリデン〕−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(90)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−〔(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)メチリデン〕ベンゾヒドラジド
(91)3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−〔(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)メチリデン〕ベンゾヒドラジド
(92)3−クロロ−N’−〔(1,2−ジメチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)メチリデン〕−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
(93)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔5−(4−メトキシフェニル)−2−メチル−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(94)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−〔(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)メチリデン〕ベンゾヒドラジド
(95)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔5−(4−メトキシフェニル)−1H−ピロール−2−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(96)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−〔(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)メチリデン〕ベンゾヒドラジド
(97)3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
(98)N’−〔(5−ベンゾチアゾール−2−イル−1H−ピロール−2−イル)メチリデン〕−6−ヒドロキシニコチノヒドラジド
(99)N’−〔(5−ベンゾチアゾール−2−イル−1H−ピロール−2−イル)メチリデン〕−3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド
上記(1)〜(99)の化合物は、以下においてそれぞれ化合物1〜化合物99として引用する。
【0041】
本発明化合物である一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物は、以下の反応工程式1〜14に示す方法、実施例に記載した方法、又は前記方法と公知の方法との組み合わせ等によって製造することができる。
一般式(I)及び一般式(II)において、Wが窒素原子又はCR1a、R1aはハロゲン原子又はニトロ基である一般式(I−1)及び一般式(II−1)で表される化合物の製造方法を反応工程式1に示す。
反応工程式1
【化19】

(式中、W1は、窒素原子又はCR1a、R1aは、ハロゲン原子又はニトロ基を意味する。V及びYは、一般式(I)及び一般式(II)に示した定義と同義である。)
【0042】
工程1−1;一般式(III−1)で表されるヒドラジド化合物と一般式(IV−1)で表されるアルデヒド化合物を適当な溶媒(例えば、メタノール、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド)中、適当な酸触媒(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸)存在下で反応させることにより、一般式(I−1)で表される化合物を製造することができる。この反応は、0℃〜溶媒還流温度で、反応時間は1〜24時間撹拌することによって行われる。
【0043】
工程1−2;反応工程1−1に記載の方法と同様にして、一般式(III−1)で表されるヒドラジド化合物と一般式(IV−2)で表されるアルデヒド化合物より、一般式(II−1)で表される化合物を製造することができる。
【0044】
一般式(I)及び一般式(II)において、WがCR1b、R1bがシアノ基である一般式(I−2)及び一般式(II−2)で表される化合物の製造方法を反応工程式2に示す。
反応工程式2
【化20】

(式中、すべての記号は前記と同義である。)
【0045】
工程2−1;反応工程1−1に記載の方法と同様にして、一般式(III−2)で表されるヒドラジド化合物と一般式(IV−1)で表されるアルデヒド化合物より、一般式(V)で表される化合物を製造することができる。
【0046】
工程2−2;一般式(V)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、塩化メチレン、酢酸エチル、アセトニトリル、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド)中、適当な脱メチル化剤(例えば、ヨウ化トリメチルシラン、三臭化ほう素、ヨウ化リチウム等)を反応させることにより、一般式(I−2)で示される化合物を製造することができる。反応は0℃〜溶媒還流温度で、1〜24時間撹拌することによって行われる。
【0047】
工程2−3;反応工程1−1に記載の方法と同様にして、一般式(III−2)で表されるヒドラジド化合物と一般式(IV−2)で表されるアルデヒド化合物より、一般式(VI)で表される化合物を製造することができる。
工程2−4;反応工程2−2に記載の方法と同様にして、一般式(VI)で表される化合物より、一般式(II−2)で表される化合物を製造することができる。
【0048】
一般式(III−1)及び一般式(III−2)で表されるヒドラジド化合物は、市販されているもの又は後述の方法により製造したものを使用することができる。一般式(III−1)及び一般式(III−2)で表されるヒドラジド化合物の製造方法を反応工程式3に示す。
反応工程式3
【化21】

(式中、R11は、炭素数1〜6のアルキル基を意味する。W1は前記と同義である。)
【0049】
工程3−1;一般式(III−1)で表される化合物の製造は、J. Med. Chem., Vol.44, 3141-3149 (2001), J. Med. Chem., Vol.45, 5755-5775 (2002)を参考に行うことができる。即ち、一般式(VII−1)で表されるエステル化合物を適当な溶媒(例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール)中で、数当量の無水ヒドラジン又は過剰量のヒドラジン一水和物を添加し、加熱することにより、一般式(III−1)で表される化合物を製造することができる。反応は溶媒還流温度で1〜24時間撹拌することにより行われる。
【0050】
工程3−2;一般式(VII−2)で表されるカルボン酸化合物と無水ヒドラジンを適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン)中で、適当な縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N,N’−カルボニルジイミダゾール)を用いて反応させることにより、一般式(III−1)で表される化合物を製造することができる。反応は0℃〜溶媒還流温度で、好ましくは室温〜50℃の温度で、1〜24時間撹拌することにより行われる。
【0051】
工程3−3;工程3−1に記載の方法と同様にして、一般式(VII−3)で表されるエステル化合物より、一般式(III−2)で表される化合物を製造することができる。
【0052】
一般式(IV−1)、及び一般式(IV−2)で表されるアルデヒド化合物は、市販されているもの又は後述の方法により製造したものを使用することができる。一般式(IV−1)において、Vが式(V1)又は式(V2)である一般式(IV−1−1)及び一般式(IV−1−2)で表される化合物の製造方法を反応工程式4に示す。
反応工程式4
【化22】

(式中、Lは、ハロゲン原子、又はトリフルオロメタンスルホニル基を意味し、Dは、ホウ酸、ホウ酸エステル又はトリフルオロメタンスルホニル基を意味する。R2及びAは、一般式(I)及び一般式(II)に示した定義と同義である。)
【0053】
工程4−1;鈴木カップリング反応を用いるビアリール化合物の製造は、ファインケミカル, Vol.26(6), 5-15 (1997)、ファインケミカル, Vol.26(7), 13-26 (1997)の総説等を参考に行うことができる。パラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウムカーボン、酢酸パラジウム(II)、〔1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン〕ジクロロパラジウム(II)等が、塩基としては炭酸ナトリウム(水溶液)、炭酸カリウム(水溶液)、水酸化ナトリウム(水溶液)、水酸化バリウム(水溶液)等が、溶媒としてはメタノール、エタノール、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン、1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。反応は室温〜溶媒還流温度で行われる。反応条件の好適な組み合わせの1つとしては、〔1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン〕ジクロロパラジウム(II)を触媒として、1,2−ジメトキシエタン溶媒中、反応温度80℃、反応時間10〜16時間が挙げられる。
【0054】
工程4−2;反応工程4−1と同様にして、一般式(X)で表される化合物と一般式(IX)で表される化合物を反応させることにより、一般式(IV−1−2)で表される化合物を製造することができる。
【0055】
一般式(IV−1)において、Vが式(V1)又は式(V2)である一般式(IV−1−1)及び一般式(IV−1−2)で表される化合物の製造方法を反応工程式5に示す。
反応工程式5
【化23】

(式中、すべての記号は前記と同義である。)
【0056】
工程5−1;反応工程4−1と同様にして、一般式(XI)で表される化合物と一般式(IX)で表される化合物を反応させることにより、一般式(XII)で表される化合物を製造することができる。
【0057】
工程5−2;一般式(XII)で表される化合物のエステルを適当な還元剤(例えば、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリエトキシシラン−フッ化セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化リチウムアルミニウム、ボラン、9−ボラビシクロ〔3.3.1〕ノナン等)を用いて、適当な溶媒(例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)中、−78℃〜溶媒還流温度で還元反応を行うことにより、一般式(XIII)で表される化合物を製造することができる。反応条件の好適な組み合わせとしては、テトラヒドロフラン溶媒中、水素化リチウムアルミニウムを還元剤に用いて室温で1〜24時間の反応、又は、メタノール溶媒中、水素化ホウ素ナトリウムを還元剤に用いて室温で1〜24時間の反応が挙げられる。
【0058】
工程5−3;一般式(XIII)で表される化合物の1級アルコールを酸化することにより、一般式(IV−1−1)で表される化合物を製造することができる。酸化反応は、適当な酸化剤{例えば、クロム酸、クロロクロム酸ピリジニウム、二クロム酸ピリジニウム、ジメチルスルホキシド−塩化オキサリル(Swern法)、ジメチルスルホキシド−無水トリフルオロ酢酸(Swern法)、ジメチルスルホキシド−無水酢酸(Albright-Goldman法)、ジメチルスルホキシド−ジシクロヘキシルカルボジイミド(Pfitzinger-Moffatt法)、ジメチルスルホキシド−三酸化硫黄・ピリジン錯体(Parikh-Doering法)等}を用いて、適当な溶媒(例えば、塩化メチレン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド等)中、−78℃〜溶媒還流温度で、1〜24時間撹拌することにより行われる。反応条件の好適な組み合わせとしては、塩化メチレン中、ジメチルスルホキシド−塩化オキサリルを用いて−78℃〜室温で1〜24時間の反応、又はジメチルスルホキシド−三酸化硫黄・ピリジン錯体を用いて室温で1〜24時間の反応が挙げられる。
【0059】
工程5−4;反応工程4−1と同様にして、一般式(XIV)で表される化合物と一般式(IX)で表される化合物を反応させることにより、一般式(XV)で表される化合物を製造することができる。
【0060】
工程5−5;反応工程5−2と同様にして、一般式(XV)で表される化合物より、一般式(XVI)で表される化合物を製造することができる。
【0061】
工程5−6;反応工程5−3と同様にして、一般式(XVI)で表される化合物より、一般式(IV−1−2)で表される化合物を製造することができる。
【0062】
一般式(IV−2)において、R4及びR5が共に水素原子である、一般式(IV−2−1)で表されるアルデヒド化合物の製造方法を反応工程式6に示す。
反応工程式6
【化24】

(式中、R3は、一般式(II)に示した定義と同義である。)
パール・クノールの方法によるピロール合成法を用いて、一般式(XVII)で表される化合物と一般式(XVIII)で表されるアミン化合物(例えば、一級アミン、アンモニア、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム等)を酸性溶液(例えば、酢酸、塩酸等)中、又は酸触媒(例えば、四塩化チタン、塩化アルミニウム等のルイス酸、p−トルエンスルホン酸、(±)−しょうのう−10−スルホン酸等)存在下、適当な溶媒(例えば、ベンゼン、クロロホルム等)中で反応させることにより、一般式(IV−2−1)で表される化合物を製造することができる。反応は室温〜溶媒還流温度で、1〜24時間撹拌することによって行われる。
【0063】
一般式(IV−2−2)及び一般式(IV−2−3)で表されるアルデヒド化合物の製造方法を反応工程式7に示す。
反応工程式7
【化25】

(式中、Xはハロゲン原子を意味し、R12は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜8のシクロアルキルメチル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、置換されていてもよいフェニルスルファニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、置換されていてもよいフェニルスルフィニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、置換されていてもよいフェニルスルホニル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアロイル基、又は、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基を意味する。R4及びR5は、一般式(II)に示した定義と同義である。)
【0064】
工程7−1;一般式(XIX)で表される化合物にヴィルスマイヤー反応によるホルミル化を行うことにより、ホルミル体(IV−2−2)を製造することができる。反応は0℃〜室温で、30分〜6時間撹拌することにより行われる。
【0065】
工程7−2;一般式(IV−2−2)で表されるピロールの1位アミノ基を水素化ナトリウム等で活性化した後、一般式(XX)で表される種々のハロゲン化物を反応させることにより、一般式(IV−2−3)で表される化合物を製造することができる。反応は、適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル等)中、ピロールアミノ基の活性化温度は−20℃〜室温、好ましくは0℃、ハロゲン化物(XX)との反応は室温〜50℃の温度で、30分〜24時間撹拌することにより行われる。また、ピロールアミノ基の活性化剤として有機リチウム試薬等を用いることもできる。
【0066】
一般式(XXI)で表されるジケトン化合物を出発原料に用いた、一般式(IV−2−4)で表されるアルデヒド化合物の製造方法を、反応工程式8に示す。
反応工程式8
【化26】

(式中、すべての記号は前記と同義である。)
【0067】
工程8−1;反応工程6に記載の方法と同様にして、一般式(XXI)で表されるジケトン化合物と一般式(XVIII)で表されるアミン化合物より、一般式(XXII)で表されるピロール化合物を製造することができる。
【0068】
工程8−2;反応工程7−1に記載の方法と同様にして、一般式(XXII)で表されるピロール化合物をホルミル化することにより、一般式(IV−2−4)で表される化合物を製造することができる。
【0069】
一般式(IV−2−5)〜一般式(IV−2−8)で表されるアルデヒド化合物の製造方法を反応工程式9に示す。
反応工程式9
【化27】

(式中、R7及びR7は、一般式(II)に示した定義と同義である。他の記号は前記と同義である。)
【0070】
工程9−1;反応工程7−1に記載の方法と同様にして、一般式(XXIII)で表されるピロール化合物をホルミル化することにより、一般式(IV−2−5)で表される化合物を製造することができる。
【0071】
工程9−2;一般式(IV−2−5)で表される化合物のエステルを加水分解することにより、一般式(IV−2−6)で表される化合物を製造することができる。反応は、酸(例えば、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等)又は塩基(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等)を用いて、適当な溶媒(例えば、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)中で行われる。反応は0℃〜溶媒還流温度、好ましくは室温〜60℃の温度で、30分〜24時間撹拌することにより行われる。
【0072】
工程9−3;一般式(IV−2−6)で表される化合物と一般式(XXIV)で表されるアミン化合物から、一般式(IV―2−7)で表される酸アミド化合物を製造することができる。酸アミドを得る方法としては、様々な方法を用いることができる。例えば、混合酸無水物法、縮合剤を用いる方法、酸ハロゲン化物を用いる方法などがあり、好適なものとしては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N’−カルボニルジイミダゾール等の縮合剤を用いる方法が挙げられる。反応は適当な溶媒(例えば、塩化メチレン、二塩化エチレン、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等)中で、0℃〜溶媒還流温度、好ましくは室温〜60℃の温度で、30分〜24時間撹拌することにより行われる。
【0073】
工程9−4;反応工程7−2に記載の方法と同様にして、一般式(IV−2−7)で表される化合物と一般式(XX)で表される種々のハロゲン化物を反応させることにより、一般式(IV−2−8)で表される化合物を製造することができる。
【0074】
一般式(XXV)で表されるアミノ酸誘導体を出発原料に用いた、一般式(IV−2−9)〜一般式(IV−2−11)で表される化合物の製造方法を反応工程式10に示す。
反応工程式10
【化28】

(式中、R13は置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜8のシクロアルキルメチル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基を意味する。他の記号は前記と同義である。)
【0075】
工程10−1;J. Org. Chem., Vol.55(15), 4735-4740 (1990)を参考にして、一般式(XXV)で表される化合物と一般式(XXVI)で表される化合物を反応させることにより、一般式(IV−2−9)で表される化合物を製造することができる。
【0076】
工程10−2;反応工程9−2に記載の方法と同様にして、一般式(IV−2−9)で表される化合物のエステルを加水分解することにより、一般式(V−2−10)で表される化合物を製造することができる。
【0077】
工程10−3;反応工程9−3に記載の方法と同様にして、一般式(IV−2−10)で表される化合物と一般式(XXIV)で表されるアミン化合物を反応させることにより、一般式(IV−2−11)で表される化合物を製造することができる。
【0078】
一般式(XXVII)で表されるジアルコキシ化合物を出発原料に用いた、一般式(IV−2−12)で表されるアルデヒド化合物の製造方法を反応工程式11に示す。
反応工程式11
【化29】

(式中、R14は置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を意味する。他の記号は前記と同義である。)
【0079】
工程11−1;一般式(XXVII)で表されるジアルコキシ化合物から一般式(XXIX)で表されるジホルミル化合物を製造することができる。一般式(XXVII)で表される化合物と一般式(XXVIII)で表される化合物をエーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、水素化ナトリウムを用いて反応させた後、酸性水溶液(例えば、2N塩酸水溶液等)でアセタール保護基の脱保護を行って、一般式(XXIX)で表される化合物が得られる。反応は、−10℃〜溶媒還流温度、好ましくは0℃〜室温で、30分〜24時間撹拌することにより行われる。
【0080】
工程11−2;一般式(XXIX)で表される化合物と一般式(XXV)で表される化合物を反応させることにより、一般式(IV−2−12)で表されるピロール化合物を製造することができる。反応は塩基(例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド等)存在下、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)中で行われる。反応は0℃〜溶媒還流温度、好ましくは溶媒還流温度で、1〜24時間撹拌することにより行われる。
【0081】
一般式(IV−2−13)で表される化合物の製造方法を反応工程式12に示す。
反応工程式12
【化30】

(式中、Eは、イミノ基(NH)、酸素原子、又は硫黄原子を意味し、R15は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、又はNR16R17を意味する。R16及びR17は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいアラルキル基を意味する。)
【0082】
工程12−1;化合物(XXX)を適当な溶媒(例えば、塩素系溶媒、トルエン、テトラヒドロフラン等)中、ハロゲン化試薬(例えば、塩化チオニル、二塩化オキサリル、臭化チオニル等)を反応させることにより酸ハロゲン化物を製造することができる。この酸ハロゲン化物は、適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン等)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、ピリジン等)存在下、一般式(XXXI)で表される化合物と反応を行ってアミド体を得た後、加熱することにより、一般式(XXXII)で表される化合物を製造することができる。酸ハロゲン化物を製造する反応は0℃〜室温で、1〜6時間撹拌することにより行われる。アミド体を経由する一般式(XXXII)を得る反応は、−20℃〜溶媒還流温度、好ましくは0℃〜60℃で、1〜24時間撹拌することにより行われる。
【0083】
工程12−2;反応工程7−1と同様にして、一般式(XXXII)で表される化合物をホルミル化することにより、一般式(IV−2−13)で表される化合物を製造することができる。
【0084】
一般式(IV−2−14)及び一般式(IV−2−15)で表される化合物の製造方法を反応工程式13に示す。
反応工程式13
【化31】

(式中、R18は、水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を意味する。他の記号は前記と同義である。)
【0085】
工程13−1;フリーデル・クラフツ反応を用いて、一般式(XXXIII)で表される化合物と一般式(XXXIV)で表される化合物を適当な溶媒(塩素系溶媒、ベンゼン系溶媒)中、触媒(塩化アルミニウム、金属ハロゲン化物等)存在下に反応させることにより、一般式(XXXV)で表される化合物を製造することができる。反応は−78℃〜溶媒還流温度、好ましくは0℃〜60℃で、1〜24時間撹拌することにより行われる。
【0086】
工程13−2;反応工程6と同様にして、一般式(XXXV)で表されるジケトン化合物と酢酸アンモニウムを反応させることにより、一般式(XXXVI)で表される化合物を製造することができる。
【0087】
工程13−3;反応工程7−1と同様にして、一般式(XXXVI)で表される化合物をホルミル化することにより、一般式(IV−2−14)で表される化合物を製造することができる。
【0088】
工程13−4;反応工程7−2に記載の方法と同様にして、一般式(IV−2−14)で表される化合物と一般式(XX)で表される種々のハロゲン化物を反応させることにより、一般式(IV−2−15)で表される化合物を製造することができる。
【0089】
一般式(IV−2−16)及び一般式(IV−2−17)で表される化合物の製造方法を反応工程式14に示す。
反応工程式14
【化32】

(式中、すべての記号は前記と同義である。)
【0090】
工程14−1;一般式(XXXVII)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、金属マグネシウムと反応させてグリニャール試薬を調製した後、一般式(XXXVIII)で表される化合物との反応を行い、一般式(XXXIX)で表される化合物を製造することができる。反応は−78℃〜室温で、1〜24時間撹拌することにより行われる。
【0091】
工程14−2;反応工程6と同様にして、一般式(XXXIX)で表される化合物のアセタール保護基を塩酸等で脱保護をしてホルミル基とした後、酢酸アンモニウムと反応を行い、一般式(XXXX)で表される化合物を製造することができる。
【0092】
工程14−3;反応工程7−1と同様にして、一般式(XXXX)で表される化合物をホルミル化することにより、一般式(IV−2−16)で表される化合物を製造することができる。
【0093】
工程14−4;反応工程7−2に記載の方法と同様にして、一般式(IV−2−16)で表される化合物と一般式(XX)で表される種々のハロゲン化物を反応させることにより、一般式(IV−2−17)で表される化合物を製造することができる。
【0094】
上述のように製造することができる本発明化合物は、GIPの機能を阻害するGIP受容体結合阻害作用を有することから、肥満、インスリン抵抗性、又は肝臓への脂質蓄積の予防又は改善剤として使用することができる。GIPの受容体結合阻害剤が、肥満、又はインスリン抵抗性の予防又は改善剤として使用できることについては、前述の特許文献1等に実験事実でもって示されている。また、非特許文献1には、高脂肪食が負荷されたGIP受容体遺伝子欠損マウスでは、同じく高脂肪食が負荷された野生型マウスにおいて認められる肝臓への脂質蓄積が抑制されることが報告されている。この事実は、GIP受容体結合阻害剤やGIP産生抑制剤が、肝臓への脂質蓄積の予防又は改善剤として使用できることを示している。肝臓への脂質蓄積は、脂肪肝から肝炎、更には肝硬変への進行と関わっているため、前記事実は、GIP受容体結合阻害剤やGIP産生抑制剤が、アルコール性肝障害や非アルコール性脂肪性肝炎等の予防又は改善剤としても有望であることを示唆している。
【0095】
本発明のメチリデンヒドラジド化合物の投与形態としては、「日本薬局方」製剤総則記載の各種投与形態が目的に応じて選択できる。例えば、錠剤の形態に成形するに際しては、通例、当該分野で用いられる経口摂取可能な成分を選択すればよい。例えば、乳糖、結晶セルロース、白糖、リン酸カリウム等の賦形剤がそれにあたる。更に、所望により、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、凝集防止剤等、通例製剤分野で常用される種々の添加剤を配合してもよい。
【0096】
本発明製剤中に含有されるべき一般式(I)及び一般式(II)で表される有効成分化合物の量は、特に限定されず、広範囲より適宜選択される。有効成分化合物の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度により適宜選択されるが、通常、本発明化合物の量が一日、体重1kg当り約0.01〜500mg程度と考えられる。また、該製剤は一日に1〜4回に分けて投与することができる。しかしながら、投与量、回数は、治療すべき症状の程度、投与される化合物の選択及び選択された投与経路を含む関連する状況に鑑みて決定され、それ故、上記の投与量範囲及び回数は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0097】
以下に実施例及び参考例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。核磁気共鳴スペクトルは270MHz若しくは400MHzで測定した。ケミカルシフトは内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用い、相対的なデルタ(δ)値をパーツパーミリオン(ppm)で表した。分裂パターンは、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、broad(ブロード)、broad s(ブロードシングレット)、broad d(ブロードダブレット)等と表した。
【0098】
参考例1
3−シアノ−4−メトキシ−N’−{〔2−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド
参考例18で製造した3−シアノ−4−メトキシベンゾヒドラジド(52mg)と参考例60で製造した2−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−カルバルデヒド(58mg)のメタノール(1.5mL)懸濁液に酢酸(50μL)を滴下して室温で16時間撹拌した。反応液を氷冷浴で冷却して、析出した固形物を濾取後、冷メタノールで洗浄して表題化合物(88mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 3.84 (s, 3H), 4.02 (s, 3H), 7.07 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.42 (d, 1H, J=8.8Hz), 7.61 (broad, 1H), 8.05-8.15 (m, 1H), 8.08 (d, 2H, J=8.8Hz), 8.25 (d, 1H, J=9.2Hz), 8.32 (s, 1H), 8.50 (broad, 1H), 8.68 (d, 1H, J=4.8Hz), 12.15 (s, 1H).
ESI-MS; 387 [M+H]+, 385 [M-H]-.
【0099】
参考例1と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを化33、化34、表1、表2に示す。
【化33】

【0100】
【表1】

【0101】
【化34】

【0102】
【表2】

【0103】
参考例14
3−シアノ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−メトキシベンゾヒドラジド
参考例18で製造した3−シアノ−4−メトキシベンゾヒドラジドと参考例103で製造した2,5−ジメチル−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−カルバルデヒドを原料として使用し、参考例1と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 2.38 (s, 3H), 2.40 (s, 3H), 2.46 (s, 3H), 4.00 (s, 3H), 6.39 (s, 1H), 7.39 (d, 1H, J=8.8Hz), 7.48 (d, 2H, J=8.1Hz), 7.72 (d, 2H, J=8.1Hz), 8.18 (dd, 1H, J=2.2Hz, 8.8Hz), 8.25 (d, 1H, J=2.2Hz), 8.35 (s, 1H) 11.58 (s, 1H).
ESI-MS; 451 [M+H]+, 449 [M-H]-.
【0104】
参考例14と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを化35、表3に示す。
【化35】

【0105】
【表3】

【0106】
参考例18
3−シアノ−4−メトキシベンゾヒドラジド
3−シアノ−4−メトキシ安息香酸メチル(5.0g)を2−メトキシエタノール(105mL)に溶解し、ヒドラジン一水和物(26.1g)を加えて、100℃で1.5時間撹拌した。反応液を減圧乾固して、得られた固形物を冷メタノールで洗浄して表題化合物(4.2g)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 3.97 (s, 3H), 4.50 (broad, 2H), 7.33 (d, 1H, J=8.8Hz), 8.1-8.15 (m, 2H), 9.81 (broad s, 1H).
ESI-MS; 190 [M-H]-.
【0107】
参考例19
5−(4−メトキシフェニル)ピリジン−3−カルバルデヒド
5−ブロモピリジン−3−カルバルデヒド(259mg)を1,2−ジメトキシエタン(5mL)に溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(57mg)を加えて、室温で15分間撹拌した。反応混合物に4−メトキシフェニルボロン酸(211mg)のメタノール(2.5mL)溶液を加えて、室温で15分間撹拌した。2M炭酸ナトリウム水溶液(2.8mL)を反応混合物に加えて、80℃で17時間撹拌した。不溶物を濾別した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を2N塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2)にて精製して表題化合物(166mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 3.83 (s, 3H), 7.10 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.78 (d, 2H, J=8.8Hz), 8.46 (t, 1H, J=2.2Hz), 9.00 (d, 1H, J=2.2Hz), 9.15 (d, 1H, J=2.2Hz), 10.18 (s, 1H).
ESI-MS; 214 [M+H]+, 212 [M-H]-.
【0108】
参考例20
6−(4−ジメチルアミノフェニル)ピリジン−3−カルバルデヒド
6−クロロピリジン−3−カルバルデヒド(248mg)と4−(ジメチルアミノ)フェニルボロン酸(239mg)を1,2−ジメトキシエタン(19mL)に溶解し、〔1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン〕ジクロロパラジウム(II)塩化メチレン付加体(92mg)、炭酸カリウム(1g)を加えて80℃で18時間撹拌した。不溶物を濾別した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を2N塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2)にて精製して表題化合物(44mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 3.01 (s, 3H), 6.82 (d, 2H, J=9.0Hz), 8.01 (d, 1H, J=8.4Hz), 8.08 (d, 2H, J=9.0Hz), 8.16 (dd, 1H, J=2.2Hz, J=8.4Hz), 9.02 (d, 1H, J=2.2Hz), 10.04 (s, 1H).
【0109】
参考例20と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを表4に示す。
【表4−1】

【表4−2】

【0110】
参考例40
2−フェニルキノリン−4−イル)メタノール
メチル 2−フェニルキノリン−4−カルボキシレート(263mg)をメタノール(3mL)に懸濁した。0℃で水素化ホウ素ナトリウム(189mg)を加えて、室温で15時間撹拌した。反応混合物を氷冷して水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 5.10 (d, 2H, J=5.3Hz), 5.58 (t, 1H, J=5.3Hz), 7.45-7.65 (m, 4H), 7.77 (t, 1H), 8.08 (t, 1H), 8.15 (s, 1H), 8.24 (d, 1H, J=8.1Hz).
ESI-MS; 236 [M+H]+, 234 [M-H]-.
【0111】
参考例41
〔2−(4−メトキシフェニル)キノリン−4−イル〕メタノール
参考例35で製造したメチル 2−(4−メトキシフェニル)キノリン−4−カルボキシレートを原料として使用し、参考例40と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 3.84 (s, 3H), 5.09 (s, 2H), 6.94 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.45 (m, 1H), 7.67 (m, 1H), 7.77 (s, 1H), 7.78 (d, 1H, J=8.4Hz), 7.97 (d, 2H, J=8.8Hz), 8.14 (d, 1H, J=8.4Hz).
ESI-MS; 266 [M+H]+, 264 [M+H]-.
【0112】
参考例42
〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)キノリン−4−イル〕メタノール
参考例36で製造したエチル 2−(4−ジメチルアミノフェニル)キノリン−4−カルボキシレートを原料として使用し、参考例40と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 3.02 (s, 6H), 5.04 (d, 2H, J=5.1Hz), 5.51 (t, 1H, J=5.1Hz), 6.85 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.49 (m, 1H), 7.69 (m, 1H), 7.98 (d, 2H, J=8.4Hz), 8.13 (d, 2H, J=8.8Hz).
ESI-MS; 279 [M+H]+, 277 [M+H]-.
【0113】
参考例43
〔2−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メタノール
水素化リチウムアルミニウム(191mg)をテトラヒドロフラン(6.5mL)に懸濁し、0℃に冷却して、参考例21で製造したエチル 2−(4−メトキシフェニル)イソニコチネート(215mg)のテトラヒドロフラン(6.5mL)溶液を滴下して、室温で6時間撹拌した。0℃で反応混合物に氷を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)にて精製して表題化合物(148mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 3.82 (s, 3H), 4.59 (d, 2H, J=5.5Hz), 5.38 (t, 1H, J=5.5Hz), 7.03 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.21 (d, 1H, J=4.9Hz), 7.78 (s, 1H), 8.01 (d, 2H, J=8.8Hz), 8.53 (d, 1H, J=4.9Hz).
ESI-MS; 216 [M+H]+, 214 [M-H]-.
【0114】
参考例43と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを表5に示す。
【表5−1】

【表5−2】

【0115】
参考例60
2−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−カルバルデヒド
−78℃に冷却した二塩化オキサリル(84μL)の塩化メチレン(1.1mL)溶液にジメチルスルホキシド(146μL)の塩化メチレン(0.35mL)溶液を滴下して、−78℃で30分間撹拌した。参考例43で製造した〔2−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メタノール(148mg)の塩化メチレン(0.9mL)溶液を−78℃に冷却した反応混合物に加えて、そのままの温度で30分間撹拌した後に、トリエチルアミン(479μL)を加えて室温で5時間撹拌した。水を加えて10分間撹拌した後に、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2)にて精製して表題化合物(114mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 3.84 (s, 3H), 7.09 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.67 (d, 1H, J=4.8Hz), 8.13 (d, 2H, J=8.8Hz), 8.35 (s, 1H), 8.89 (d, 1H, J=4.8Hz), 10.14 (s, 1H).
ESI-MS; 214 [M+H]+, 212 [M-H]-.
【0116】
参考例60と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを表6に示す。
【表6−1】

【表6−2】

【0117】
参考例80
2−(4−エトキシフェニル)ピリジン−4−カルバルデヒド
参考例52で製造した〔2−(4−エトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メタノール(188mg)をジメチルスルホキシド(1.6mL)に溶解し、トリエチルアミン(343μL)を加えた。水浴下、反応混合物に三酸化硫黄ピリジン錯体(392mg)を3回に分けて加えて、室温で2時間撹拌した。酢酸エチルで抽出を行い、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4)にて精製して表題化合物(68mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 1.36 (t, 3H), 4.11 (q, 2H), 7.06 (d, 2H, J=9.2Hz), 7.66 (dd, 1H, J=1.1Hz, 4.7Hz), 8.10 (d, 2H, J=9.2Hz), 8.30 (d, 1H, J=1.1Hz), 8.87 (d, 1H, J=4.7Hz), 10.14 (s, 1H).
ESI-MS; 228 [M+H]+.
【0118】
参考例81
2−(4−アセチルフェニル)ピリジン−4−カルバルデヒド
参考例54で製造した1−〔4−(4−ヒドロキシメチルピリジン−2−イル)フェニル〕エタノールを原料として使用し、参考例80と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 2.65 (s, 3H), 7.83 (dd, 1H, J=1.5Hz, 4.8Hz), 8.11 (d, 2H, J=8.4Hz), 8.32 (d, 2H, J=8.4Hz), 8.51 (s, 1H), 9.00 (d, 1H, J=4.8Hz), 10.18 (s, 1H).
ESI-MS; 226 [M+H]+, 224 [M-H]-.
【0119】
参考例82
〔5−(4−ジメチルアミノフェニル)ピリジン−3−イル〕メタノール
5−ブロモピリジン−3−カルバルデヒド(259mg)を1,2−ジメトキシエタン(5mL)に溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(57mg)を加えて、室温で15分間撹拌した。反応混合物に4−(ジメチルアミノ)フェニルボロン酸(229mg)のメタノール(2.5mL)溶液を加えて、室温で15分間撹拌した。2M炭酸ナトリウム水溶液(2.8mL)を反応混合物に加えて、80℃で17時間撹拌した。不溶物を濾別した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を2N塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製して表題化合物(135mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 2.95 (s, 6H), 4.57 (d, 2H, J=5.5Hz), 5.26 (t, 1H, J=5.5Hz), 6.82 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.55 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.87 (s, 1H), 8.38 (d, 1H, J=2.2Hz), 8.68 (d, 1H, J=2.2Hz).
ESI-MS; 229 [M+H]+.
【0120】
参考例83
4−(4−ヒドロキシメチル−6−メチルピリジン−2−イル)フェノール
参考例45で製造した〔2−(4−メトキシフェニル)−6−メチルピリジン−4−イル〕メタノール(280mg)を塩化メチレン(3mL)に溶解し、0℃で1M三臭化ホウ素塩化メチレン溶液(7.3mL)を加えて、室温で5時間撹拌した。0℃で水を加えて、クロロホルムで希釈した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製して表題化合物(38mg)を得た。
【0121】
参考例84
1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−カルバルデヒド
p−トルエンスルホンアミド(171mg)と2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン−3−カルバルデヒド(160mg)を酢酸(2mL)に懸濁し、90℃で16時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した後、酢酸エチルを加え、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/3)にて精製して表題化合物(112mg)を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 2.44 (s, 3H), 6.70 (dd, 1H, J=1.5Hz, 2.9Hz), 7.17 (ddd, 1H, J=0.73Hz, 1.5Hz, 3.3Hz), 7.35 (d, 2H, J=8.1Hz), 7.76 (dd, 1H, J=0.73Hz, 2.9Hz), 7.81 (d, 2H, J=8.1Hz), 9.81 (s, 1H).
【0122】
参考例85
1−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−カルバルデヒド
4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミドと2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン−3−カルバルデヒドを原料として使用し、参考例84と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 6.76 (dd, 1H, J=1.5Hz, 3.7Hz), 7.21 (dt, 1H, J=1.1Hz, 3.3Hz), 7.79 (t, 1H, J=1.8Hz), 7.84 (d, 2H, J=8.1Hz), 8.08 (d, 2H, J=8.1Hz), 9.83 (s, 1H).
【0123】
参考例86
1−(1−メチル−1−フェニルエチル)−1H−ピロール−3−カルバルデヒド
1−メチル−1−フェニルエチルアミンと2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン−3−カルバルデヒドを原料として使用し、参考例84と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 1.92 (s, 6H), 6.66 (dd, 1H, J=1.5Hz, 2.9Hz), 6.74 (t, 1H, J=2.9Hz), 7.07 (m, 2H), 7.33 (m, 3H), 7.45 (t, 1H, J=1.5Hz), 9.76 (s, 1H).
【0124】
参考例87
1−シクロヘキシルメチル−1H−ピロール−3−カルバルデヒド
シクロヘキシルメチルアミンと2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン−3−カルバルデヒドを原料として使用し、参考例84と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 0.95 (m, 2H), 1.21 (m, 3H), 1.70 (m, 6H), 3.72 (d, 2H, J=7.0Hz), 6.62 (m, 2H), 7.23 (t, 1H, J=1.8Hz), 9.73 (s, 1H).
【0125】
参考例88
2,5−ジメチル−1H−ピロール−3−カルバルデヒド
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に0℃で塩化ホスホリル(18.4g)をゆっくり滴下した。室温で15分間撹拌した後、0℃で2,5−ジメチルピロール(9.5g)のN,N−ジメチルホルムアミド(40mL)溶液を一度に加えた。室温で1時間撹拌した後、減圧下濃縮し、残渣に氷水を注ぎ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣を酢酸エチルから再結晶を行い表題化合物(8.4g)を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 2.22 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 6.21 (d, 1H, J=1.5Hz), 8.22 (broad s, 1H), 9.80 (s, 1H).
【0126】
参考例88と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを表7に示す。
【表7−1】

【表7−2】

【0127】
参考例103
2,5−ジメチル−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−カルバルデヒド
参考例88で製造した2,5−ジメチル−1H−ピロール−3−カルバルデヒド(9.2g)をN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)に溶解し、0℃で60%水素化ナトリウム(3.3g)を加えた後、室温で30分間撹拌した。反応混合物に0℃で、p−トルエンスルホニルクロライド(15.6g)のN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)溶液を加えて、室温で2時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4)にて精製して表題化合物(3.9g)を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 2.42 (s, 3H), 2.44 (s, 3H), 2.71 (s, 3H), 6.32 (s, 1H), 7.34 (d, 2H, J=8.1Hz), 7.64 (d, 2H, J=8.1Hz), 9.91 (s, 1H).
【0128】
参考例103と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを表8に示す。
【表8−1】

【表8−2】

【0129】
参考例117
2,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピロール
ヘキサン−2,5−ジオン(342mg)とアニリン(344μL)をエタノール(5mL)に溶解し、酢酸(50μL)を加えて、加熱還流下16時間撹拌した。室温まで放冷した後、水、2N塩酸水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、表題化合物(465mg)を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 2.03 (s, 6H), 5.90 (s, 2H), 7.21 (m, 2H), 7.39 (m, 1H), 7.46 (m, 2H).
【0130】
参考例117と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを表9に示す。
【表9】

【0131】
参考例129
4−ホルミル−1H−ピロール−2−カルボン酸
参考例89で製造したエチル 4−ホルミル−1H−ピロール−2−カルボキシレート(1g)をエタノール(10mL)に溶解し、5N水酸化ナトリウム水溶液(1.2mL)を加えて、60℃で1時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、2N塩酸水溶液を加えて酸性として、析出した固形物を濾取後、水で洗浄して表題化合物(743mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 7.07 (d, 1H, J=1.8Hz), 7.75 (dd, 1H, J=1.8Hz, 2.8Hz), 9.75 (s, 1H), 12.48 (broad s, 1H), 12.76 (broad s, 1H).
【0132】
参考例130
4−ホルミル−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸
J. Org. Chem., Vol.55(15), 4735-4740 (1990)に記載の方法に従って製造したエチル 4−ホルミル−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキシレートを原料として使用し、参考例129と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 3.90 (s, 3H), 7.15 (d, 1H, J=1.8Hz), 7.82 (d, 1H, J=1.8Hz), 9.68 (s, 1H).
【0133】
参考例131
4−ホルミル−N−(4−メチルベンジル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
参考例129で製造した4−ホルミル−1H−ピロール−2−カルボン酸(139mg)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、N,N−ジメチルホルムアミド(50μL)を加えた。0℃で二塩化オキサリル(171μL)を滴下した後、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮して、4−ホルミル−1H−ピロール−2−カルボニルクロライドを得た。4−メチルベンジルアミン(151μL)、トリエチルアミン(167μL)をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解し、0℃に冷却して、上記で得られた4−ホルミル−1H−ピロール−2−カルボニルクロライドのテトラヒドロフラン(1mL)溶液を滴下した後、室温で1時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、析出した固形物を濾取後、1N塩酸水溶液、1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄して表題化合物(135mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 2.27 (s, 3H), 4.39 (d, 2H, J=6.2Hz), 7.12 (d, 2H, J=7.7Hz), 7.18 (d, 2H, J=7.7Hz), 7.23 (d, 1H, J=1.5Hz), 7.68 (d, 1H, J=1.5Hz), 8.77 (t, 1H, J=6.2Hz), 9.72 (s, 1H), 12.25 (broad s, 1H).
【0134】
参考例132
4−ホルミル−N−(4−メトキシフェニル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
4−ホルミル−1H−ピロール−2−カルボニルクロライドと4−メトキシフェニルアミンを原料として使用し、参考例131と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 3.74 (s, 3H), 6.92 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.46 (s, 1H), 7.63 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.75 (d, 1H, J=1.5Hz), 9.77 (s, 1H), 9.89 (s, 1H), 12.38 (broad s, 1H).
【0135】
参考例133
N−シクロヘキシル−4−ホルミル−1H−ピロール−2−カルボキサミド
4−ホルミル−1H−ピロール−2−カルボニルクロライドとシクロヘキシルアミンを原料として使用し、参考例131と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 1.26 (m, 3H), 1.42 (m, 2H), 1.66 (m, 1H), 1.77 (m, 2H), 2.00 (m, 2H), 3.93 (m, 1H), 5.92 (d, 1H, J=7.7Hz), 7.00 (dd, 1H, J=1.5Hz, 2.2Hz), 7.52 (dd, 1H, J=1.1Hz, 2.9Hz), 9.83 (s, 1H), 10.37 (broad s, 1H).
【0136】
参考例134
5−(4−メチルピペラジン−1−カルボニル)−1H−ピロール−3−カルバルデヒド
参考例129で製造した4−ホルミル−1H−ピロール−2−カルボン酸(278mg)、トリエチルアミン(303mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(573mg)の塩化メチレン(5mL)溶液に1−メチルピペラジン(220mg)を加えて、室温で16時間撹拌した。反応液に水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=15/1)にて精製して表題化合物(270mg)を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 2.34 (s, 3H), 2.48 (t, 4H, J=5.1Hz), 3.87 (broad s, 4H), 6.95 (dd, 1H, J=1.5Hz, 2.6Hz), 7.51 (dd, 1H, J=1.1Hz, 3.3Hz), 9.84 (s, 1H), 10.44 (broad s, 1H).
【0137】
参考例135
4−ホルミル−1−メチル−N−(4−メチルベンジル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
参考例130で製造した4−ホルミル−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸と4−メチルベンジルアミンを原料として使用し、参考例134と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 2.35 (s, 3H), 4.01 (s, 3H), 4.52 (d, 2H, J=5.9Hz), 6.23 (broad s, 1H), 6.96 (d, 1H, J=1.5Hz), 7.16 (d, 2H, J=8.1Hz), 7.21 (d, 2H, J=8.1Hz), 7.33 (d, 1H, J=1.8Hz), 9.72 (s, 1H).
【0138】
参考例136
4−ホルミル−1−メチル−N−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−1H−ピロール−2−カルボキサミド
参考例130で製造した4−ホルミル−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸と2−ピペリジン−1−イルエチルアミンを原料として使用し、参考例134と同様の操作で表題化合物を得た。
ESI-MS; 264 [M+H]+, 262 [M-H]-.
【0139】
参考例137
エチル 2−ホルミル−3−オキソプロピオネート
60%水素化ナトリウム(2g)をジイソプロピルエーテル(20mL)に懸濁し、ギ酸エチル(10.1mL)を加えた。水冷下、3,3−ジエトキシプロピオン酸エチル(4.76g)のジイソプロピルエーテル(10mL)溶液を30分かけて滴下した。室温で16時間撹拌した後、氷冷下、2N塩酸水溶液(37.5mL)を加えて室温で30分間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去して表題化合物(3.4g)を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 1.33 (t, 3H, J=7.7Hz), 3.82 (s, 1H), 4.29 (q, 2H, J=7.7Hz), 9.14 (s, 2H).
【0140】
参考例138
エチル 4−ホルミル−3−ヒドロキシ−1−フェニル−1H−ピロール−2−カルボキシレート
60%水素化ナトリウム(90mg)をエタノール(5mL)に懸濁し、5分間撹拌した後、参考例137で製造したエチル 2−ホルミル−3−オキソプロピオネート(144mg)とN−フェニルグリシンエチルエステル(215mg)を加えて、加熱還流下16時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣に水を加えてクロロホルムで抽出して、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)にて精製して表題化合物(26mg)を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 1.06 (t, 3H, J=7.3Hz), 4.16 (q, 2H, J=7.3Hz), 7.30 (m, 3H), 7.45 (m, 3H), 8.95 (s, 1H), 9.94 (s, 1H, J=0.73Hz, 8.1Hz).
【0141】
参考例139
2−(1H−ピロール−2−イル)ベンゾチアゾール
1H−ピロール−2−カルボン酸(333mg)をテトラヒドロフラン(4mL)に溶解し、N,N−ジメチルホルムアミド(50μL)を加えた。0℃で二塩化オキサリル(512mg)を滴下して、室温で1時間撹拌した。氷冷下、反応混合物に2−アミノチオフェノール(350μL)、トリエチルアミン(500μL)のテトラヒドロフラン(7mL)溶液を滴下して、60℃で16時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/5)にて精製して表題化合物(310mg)を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 6.33 (dd, 1H, J=2.6Hz, 6.2Hz), 6.85 (m, 1H), 6.99 (dd, 1H, J=2.2Hz, 3.7Hz), 7.32 (dt, 1H, J=0.73Hz, 8.1Hz), 7.44 (dt, 1H, J=0.73Hz, 8.1Hz), 7.83 (dd, 1H, J=0.73Hz, 8.1Hz), 7.89 (d, 1H, J=8.1Hz), 9.70 (broad s, 1H).
【0142】
参考例140
1−(4−メトキシフェニル)ペンタン−1,4−ジオン
塩化アルミニウム(1.9g)を二塩化エチレン(5mL)に懸濁し、0℃で5−メチル−3H−フラン−2−オン(0.63mL)、アニソール(0.5mL)を加えて、室温で1時間撹拌した。0℃で水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を2N塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/6)にて精製して表題化合物(144mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 2.15 (s, 3H), 2.77 (t, 2H, J=6.2Hz), 3.16 (t, 2H, J=6.2Hz), 3.84 (s, 3H), 7.04 (d, 2H, J=9.2Hz), 7.95 (d, 2H, J=9.2Hz).
ESI-MS; 207 [M+H]+.
【0143】
参考例141
3−〔1,3〕ジオキサン−2−イル−1−フェニルプロパン−1−オン
マグネシウム(243mg)、ヨウ素(20mg)をテトラヒドロフラン(4mL)に懸濁し、0℃で2−(2−ブロモエチル)−〔1,3〕ジオキサン(1.95g)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液を滴下して、室温で1時間撹拌してグリニャール試薬を調製した。塩化ベンゾイル(1.4g)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を−78℃に冷却して、調製したグリニャール試薬を滴下後、室温で1時間撹拌した。10%塩化アンモニウム水溶液を加えて、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後、濾液を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/7)にて精製して表題化合物(0.7g)を得た。
1H-NMR (δ) CDCl3; 1.34 (d, 1H, J=13.6Hz), 2.0-2.1 (m, 3H), 3.12 (t, 2H, J=7.3Hz), 3.77 (t, 2H, J=10.7Hz), 4.10 (dd, 2H, J=5.1Hz, 10.7Hz), 4.68 (t, 2H, J=5.1Hz), 7.4-7.6 (m, 3H), 7.9-8.0 (m, 2H).
ESI-MS; 221 [M+H]+.
【0144】
参考例142
3−〔1,3〕ジオキサン−2−イル−1−(4−メトキシフェニル)プロパン−1−オン
4−メトキシ塩化ベンゾイルと2−(2−ブロモエチル)−〔1,3〕ジオキサンを原料として使用し、参考例141と同様の操作で表題化合物を得た。
ESI-MS; 251 [M+H]+.
【0145】
参考例143
4−オキソ−4−フェニルブチルアルデヒド
参考例141で製造した3−〔1,3〕ジオキサン−2−イル−1−フェニルプロパン−1−オン(526mg)に1,4−ジオキサン(12mL)、2N塩酸水溶液(12mL)を加えて、室温で17時間、50℃で23時間、さらに80℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて中和して、クロロホルムで抽出した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過した後、濾液を減圧留去して表題化合物を得た。
【0146】
参考例144
4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブチルアルデヒド
参考例142で製造した3−〔1,3〕ジオキサン−2−イル−1−(4−メトキシフェニル)プロパン−1−オンを原料として使用し、参考例143と同様の操作で表題化合物を得た。
【0147】
実施例1
3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド(化合物1)
3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド(49mg)と参考例60で製造した2−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−カルバルデヒド(56mg)をメタノール(1.5mL)に懸濁し、酢酸(50μL)を滴下して、室温で16時間撹拌した。反応液を氷浴で冷却して、析出した固形物を濾取後、冷メタノールで洗浄して表題化合物(81mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 3.84 (s, 3H), 7.05-7.1 (m, 3H), 7.59 (broad, 1H), 7.79 (dd, 1H, J=2.4Hz, 8.4Hz), 7.99 (d, 1H, J=2.4Hz), 8.05-8.1 (m, 3H), 8.48 (broad, 1H), 8.68 (d, 1H, 5.1Hz), 10.94 (broad s, 1H), 12.01 (broad s, 1H).
ESI-MS; 382 [M+H]+, 380 [M-H]-.
【0148】
実施例1と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを化36、化37、表10、表11に示す。
【化36】

【0149】
【表10−1】

【表10−2】

【0150】
【化37】

【0151】
【表11−1】

【表11−2】

【0152】
実施例27
3−シアノ−4−ヒドロキシ−N’−{〔2−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド(化合物2)
参考例1で製造した3−シアノ−4−メトキシ−N’−{〔2−(4−メトキシフェニル)ピリジン−4−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド(88mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(4mL)に溶解し、塩化リチウム(48mg)を加えて、加熱還流下17時間撹拌した。室温まで放冷した後、水を加えて減圧下濃縮した。得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)にて精製して表題化合物(14mg)を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 3.84 (s, 3H), 7.09 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.15 (d, 1H), J=(8.8Hz), 7.65 (broad, 1H), 8.05-8.15 (m, 2H), 8.07 (d, 2H, J=8.8Hz), 8.25 (d, 1H, J=2.2Hz), 8.49 (broad, 1H), 8.69 (d, 1H, J=5.1Hz), 11.87 (broad, 1H), 12.13 (broad, 1H).
ESI-MS; 373 [M+H]+, 371 [M-H]-.
【0153】
実施例27と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを化38、化39、表12、表13に示す。
【化38】

【0154】
【表12】

【0155】
【化39】

【0156】
【表13】

【0157】
実施例40
3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−{〔1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}ベンゾヒドラジド(化合物41)
3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾヒドラジドと参考例84で製造した1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロール−3−カルバルデヒドを原料として使用し、実施例1と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 2.39 (s, 3H), 6.65 (s, 1H), 7.03 (d, 1H, J=8.8Hz), 7.38 (t, 1H, J=2.9Hz), 7.47 (d, 2H, J=8.4Hz), 7.72 (dd, 1H, J=2.2Hz, 8.8Hz), 7.77 (s, 1H), 7.89 (m, 3H), 8.28 (s, 1H), 11.54 (s, 1H).
ESI-MS; 418 [M+H]+, 416 [M-H]-.
【0158】
実施例40と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを化40、化41、表14、表15に示す。
【化40】

【0159】
【表14−1】

【表14−2】

【表14−3】

【表14−4】

【表14−5】

【0160】
【化41】

【0161】
【表15】

【0162】
実施例95
3−シアノ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−ヒドロキシベンゾヒドラジド(化合物44)
参考例14で製造した3−シアノ−N’−{〔2,5−ジメチル−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−ピロール−3−イル〕メチリデン}−4−メトキシベンゾヒドラジドを原料として使用し、実施例40と同様の操作で表題化合物を得た。
1H-NMR (δ) DMSO-d6; 2.37 (s, 3H), 2.40 (s, 3H), 2.46 (s, 3H), 6.37 (s, 1H), 7.09 (d, 1H, J=8.8Hz), 7.47 (d, 2H, J=8.1Hz), 7.71 (d, 2H, J=8.4Hz), 8.00 (dd, 1H, J=2.2Hz, 8.8Hz), 8.14 (s, 1H), 8.33 (s, 1H) 11.5 (s, 1H).
ESI-MS; 437 [M+H]+, 435 [M-H]-.
【0163】
実施例95と同様の方法にて製造した化合物の構造及び機器分析データを化42、表16に示す。
【化42】

【0164】
【表16】

【0165】
〔薬理試験例〕
GIP受容体結合阻害剤の評価系としては、ヒトGIP受容体発現細胞から調製した膜画分と125IでラベルしたヒトGIPの結合に対する阻害を指標とした以下の方法を用いた。
久保田らの方法(Diabetes 45巻 1701頁-1705頁, 1996年)に従って作製されたヒトGIP受容体発現CHO-k1細胞から、密度勾配遠心法(J. Biol. Chem. 269巻 9号 6275頁-6278頁, 1994年)により細胞膜画分を調製した。具体的には、遠心により回収したヒトGIP受容体発現CHO-k1細胞に細胞破砕用緩衝液(10mM Tris-HCl, pH7.5, 30mM NaCl,
1mM Dithiothreitol, Protease Inhibitor Cocktail (SIGMA, P8340))を添加し、ホモジナイザーで30秒間破砕した。細胞破砕液を41%(W/V)スクロース溶液上に重層し、95,000gで75分間遠心した。遠心後、中間に位置する白色層を回収し、緩衝液(10mM Tris-HCl, pH7.5, 30mM NaCl)を添加して、40,000gで45分間遠心した。沈査に緩衝液(1mM CaCl2, 1mM MgCl2, 50mM HEPES, pH7.4)を加えて均一に分散させ、シンチプレート(PerkinElmer, 1450-501)の各ウェルにタンパク質量で2μgずつ分注し、1,000gで10分間遠心した後、4℃で一晩静置して膜タンパク質を付着させた。その後各ウェルに0.1%カゼインを含む緩衝液(1mM CaCl2, 1mM MgCl2, 50mM HEPES, pH7.4)250μLを添加し、30分間ブロッキングを行った後、緩衝液を吸引除去し、結合阻害試験に使用した。結合阻害試験においては、各ウェルに125IでラベルしたヒトGIP(GE Healthcare, IM303)740Bqと目的の濃度に調製した被験化合物を含む緩衝液(0.1%カゼイン, 1mM CaCl2, 1mM MgCl2, 50mM HEPES, pH7.4)100μLを添加し、室温で2時間インキュベートした後にMicroBeta(PerkinElmer, 1450)によりシンチレーションを測定した。被験化合物を添加しない場合の測定値を結合率100%、10-6Mのヒト非標識GIPを添加した場合の測定値を結合率0%とし、被験化合物を添加した場合の測定値から残存する結合率を算出した。阻害活性はそれらのIC50値(GIPの結合を50%阻害するために必要な化合物の濃度)によって表した。結果を表15に示す。尚、比較化合物として、国際公開第00/39088号パンフレットに記載の方法に従って製造した3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−〔(ピリジン−2−イル)メチリデン〕ベンゾヒドラジド(比較化合物1)、3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−〔(ピリジン−3−イル)メチリデン〕ベンゾヒドラジド(比較化合物2)、3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−〔(ピリジン−4−イル)メチリデン〕ベンゾヒドラジド(比較化合物3)、3−クロロ−4−ヒドロキシ−N’−〔(キノリン−4−イル)メチリデン〕ベンゾヒドラジド(比較化合物4)を用いた。
【0166】
【表17】

【0167】
本試験結果から、本発明化合物は、0.003〜1.0μMのIC50値を示し、比較化合物1〜4と比べて強力なGIP受容体結合阻害活性を持つことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明化合物は、強力なGIP受容体結合阻害活性を示し、肥満、インスリン抵抗性、又は肝臓への脂質蓄積の予防又は改善剤として使用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

〔式中、Wは窒素原子又はCR1を、R1は、ハロゲン原子、シアノ基、又はニトロ基を意味し、Vは、下式(V1)又は下式(V2):
【化2】

(式中、Aは置換されていてもよいアリール基、R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を意味する。)で示される基を意味する。〕
で表される化合物、又は医薬上許容される塩である化合物。
【請求項2】
一般式(I)中のVが、下式(V3)又は下式(V4):
【化3】

〔式中、すべての記号は前記式(V1)及び式(V2)の場合と同義である。〕
で示される基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(V3)又は式(V4)中のAが置換されていてもよいフェニル基である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
一般式(I)中のWがCR1であり、R1がハロゲン原子又はシアノ基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
一般式(I)中のVが式(V3)であり、R2が水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、又は置換されていてもよいフェニル基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を有効成分とする、GIP受容体結合阻害剤。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項8】
肥満の予防又は改善のための、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
インスリン抵抗性の予防又は改善のための、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
肝臓への脂質蓄積の予防又は改善のための、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
肥満の予防又は改善剤を製造するための、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項12】
インスリン抵抗性の予防又は改善剤を製造するための、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項13】
肝臓への脂質蓄積の予防又は改善剤を製造するための、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項14】
GIP受容体結合阻害剤を製造するための、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項15】
一般式(II):
【化4】

〔式中、Wは窒素原子又はCR1を、R1は、ハロゲン原子、シアノ基、又はニトロ基を意味し、Yは下式(Y1):
【化5】

(式中、R3は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜8のシクロアルキルメチル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、置換されていてもよいフェニルスルファニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、置換されていてもよいフェニルスルフィニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、置換されていてもよいフェニルスルホニル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアロイル基、又は置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基を意味し、R4、R5は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、COOR6、CONR7R8、又は置換されていてもよいアリール基を意味する。R6は、水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を意味し、R7、R8は、それぞれ独立して水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、又は-(CH2)n-NR9R10を意味するか、或いはR7とR8と付け根の窒素原子と共に又は更に他の窒素原子若しくは酸素原子と共に形成する5〜6員の複素環を意味する。nは1〜3の整数を意味し、R9、R10は、R9とR10と付け根の窒素原子と共に又は更に他の窒素原子若しくは酸素原子と共に形成する5〜6員の複素環を意味する。)で示される基を意味する。〕
で表される化合物、又はその医薬上許容される塩である化合物。
【請求項16】
一般式(II)中のYが下式(Y2):
【化6】

〔式中、すべての記号は前記式(Y1)の場合と同義である。〕
で表される基である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
式(Y2)中のR4及びR5がともに水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
式(Y2)中のR3が置換されていてもよいフェニルスルホニル基である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
式(Y2)中のR4及びR5がメチル基である、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
一般式(II)中のWがCR1であり、R1がハロゲン原子又はシアノ基である、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
請求項15〜20のいずれかに記載の化合物を有効成分とする、GIP受容体結合阻害剤。
【請求項22】
請求項15〜20のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項23】
肥満の予防又は改善のための、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
インスリン抵抗性の予防又は改善のための、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項25】
肝臓への脂質蓄積の予防又は改善のための、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項26】
肥満の予防又は改善剤を製造するための、請求項15〜20のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項27】
インスリン抵抗性の予防又は改善剤を製造するための、請求項15〜20のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項28】
肝臓への脂質蓄積の予防又は改善剤を製造するための、請求項15〜20のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項29】
GIP受容体結合阻害剤を製造するための、請求項15〜20のいずれかに記載の化合物の使用。

【公開番号】特開2011−184298(P2011−184298A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144258(P2008−144258)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000144577)株式会社三和化学研究所 (29)
【Fターム(参考)】