説明

新規化合物

式(I)
【化25】


(式中、環Aおよび環Bは、(1)環Aが置換されていてもよい単環不飽和異項環であり、環Bが置換されていてもよい単環不飽和異項環、置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環、または置換されていてもよいベンゼン環であるか、(2)環Aが置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bが置換されていてもよい単環不飽和異項環、置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環、または置換されていてもよいベンゼン環であるか、または(3)環Aが置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環であり、ここにおいて−NR−基および−CH−基は両方とも、当該二環縮合不飽和異項環の同じ環に結合し、環Bが置換されていてもよい単環不飽和異項環、置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環、または置換されていてもよいベンゼン環であり、
Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルカノイル基または低級アルコキシカルボニル基である)
で示される化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腸や腎臓に存在するナトリウム依存性グルコース輸送担体(SGLT)の阻害作用を有する新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病の治療においては食事療法および運動療法が必須であるが、これらの療法が患者の状態を十分にコントロールしないときには、インスリンまたは経口糖尿病薬が追加的に使用される。現在、糖尿病治療薬としては、ビグアナイド系化合物、スルホニルウレア系化合物、インスリン抵抗性改善薬およびα−グルコシダーゼ阻害薬が用いられている。しかしながら、これらの糖尿病薬は様々な副作用を有している。例えば、ビグアナイド系化合物は乳酸アシドーシス、スルホニルウレア系化合物は重篤な低血糖、インスリン抵抗性改善薬は浮腫および心不全、そしてα−グルコシダーゼ阻害薬は腹部膨満および下痢を引き起こす。このような状況下で、かかる副作用のない新規な糖尿病治療薬を開発することが望まれている。
【0003】
近年、糖尿病の発症や進展に高血糖が関与するという、グルコース・トキシシティ・セオリーが報告されている。すなわち、慢性的な高血糖がインスリン分泌を低下させると共に、インスリン感受性を低下させ、その結果、血糖濃度が上昇して糖尿病が自ら悪化する〔Diabetologia,vol.28,p.119(1985); Diabetes Care, vol.13,p.610(1990), など〕。それ故に、高血糖を是正することによって、前述の自己悪化サイクルを断ち切り、糖尿病の予防または治療が可能にされる。
【0004】
高血糖を是正するための一つの方法としては、過剰な糖を尿中に直接排泄させて血糖値を正常化することが考えられる。例えば、腎臓の近以尿細管に存在するナトリウム依存性グルコース輸送担体を阻害することによって、腎臓での糖再吸収を阻害し、これによって糖の尿中排泄を促進して血糖値を低下させることができる。事実、SGLT阻害作用を有するフロリジンを、糖尿病モデル動物に持続的に皮下投与して高血糖を是正し、血糖値を長期間正常に保つことによって、インスリン分泌およびインスリン抵抗性が改善されることが確認されている〔ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスチゲーション(Journal of Clinical Investigation)第79巻、第1510頁(1987年)、同第80巻、第1037頁(1987年)、同第87巻、第561頁(1991年)など〕。
【0005】
また、糖尿病モデル動物をSGLT阻害薬で長期間処置することによって、該モデル動物の腎臓への悪影響や血中電解質濃度の不均衡を引き起こすことなく、インスリン分泌応答およびインスリン感受性を改善し、その結果として糖尿病性腎症や糖尿病性神経障害の発症や進展を予防することが報告されている〔ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)、第42巻、第5311頁(1999年)、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(British Journal of Pharmacology)、第132巻、第578頁(2001年)、など〕。
【0006】
以上のことから、SGLT阻害薬は、糖尿病患者において血糖値を低下させることによって、インスリン分泌およびインスリン抵抗性を改善し、さらに糖尿病および糖尿病性合併症の発症や進展を予防することが期待される。
【0007】
WO01/27128には、下記構造を有するアリールC−グリコシド化合物が開示されている。
【0008】
【化6】

【0009】
WO01/68660には、下記構造を有するアリールO−グリコシド化合物が開示されている。
【0010】
【化7】

【0011】
WO01/74834には、下記構造を有するアリールO−グリコシド化合物が開示されている。
【0012】
【化8】

【0013】
(式中、Yは、式
【0014】
【化9】

【0015】
の基、またはヘテロアリール基である)
【0016】
WO02/53573には、下記構造を有するO−ピラゾールグルコシド化合物が開示されている。
【0017】
【化10】

【0018】
(式中、TまたはQは、式
【0019】
【化11】

【0020】
である)
【0021】
WO03/020737には、下記構造を有するO−ピラゾールグルコシド化合物が開示されている。
【0022】
【化12】

【0023】
これらの化合物は、SGLT阻害薬として糖尿病などの予防や治療に有用であることが開示されている。
【発明の開示】
【0024】
本発明は、下記式Iで示されるN−グルコシド化合物、その医薬的に許容しうる塩、およびそれらのプロドラッグに関する。
【0025】
【化13】

【0026】
(式中、環Aおよび環Bは、(1)環Aが置換されていてもよい単環不飽和異項環であり、環Bが置換されていてもよい単環不飽和異項環、置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環、または置換されていてもよいベンゼン環であるか、(2)環Aが置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bが置換されていてもよい単環不飽和異項環、置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環、または置換されていてもよいベンゼン環であるか、または(3)環Aが置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環であり、ここにおいて−NR−基および−CH−基は両方とも、当該二環縮合不飽和異項環の同じ環に結合し、環Bが置換されていてもよい単環不飽和異項環、置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環、または置換されていてもよいベンゼン環であり、
Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルカノイル基または低級アルコキシカルボニル基である)。
【0027】
式Iの化合物は、哺乳類の腸および腎臓に存在するナトリウム依存性グルコース輸送担体に対する阻害活性を有し、糖尿病や、糖尿病性合併症、たとえば糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、および遅延創傷治癒の処置に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明化合物(I)につき詳細に説明する。
【0029】
本発明の説明に用いる各種語句の定義を以下に列挙する。
【0030】
「ハロゲン原子」または「ハロ」とは、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素を指称し、塩素およびフッ素が好ましい。
【0031】
「アルキル基」とは、炭素数1〜12の直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素鎖の1価基を指称する。炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖のアルキル基がより好ましい。たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、4,4−ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、これらの各種分枝鎖異性体が挙げられる。さらにアルキル基は、必要により、後述の1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0032】
「アルキレン基」または「アルキレン」とは、炭素数1〜12の直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素鎖の2価基を指称する。炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖のアルキレン基がより好ましい。たとえばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などが挙げられる。必要に応じて、アルキレン基は上記「アルキル基」の場合と同様に置換されてよい。
【0033】
上に規定したようなアルキレン基がベンゼン環の2つの異なる炭素原子に結合する場合には、それらは、結合する炭素原子と一緒になって縮合した5、6または7員の炭素環を形成し、そして後述の1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0034】
「アルケニル基」とは、炭素数2〜12で少なくとも1つの二重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖の1価基を指称する。好ましいアルケニル基は、炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖のアルケニル基であり、炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖のアルケニル基がより好ましい。たとえばビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、3−オクテニル基、3−ノネニル基、4−デセニル基、3−ウンデセニル基、4−ドデセニル基、4,8,12−テトラデカトリエニル基などが挙げられる。アルケニル基は必要により、後述の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。
【0035】
「アルケニレン基」とは、炭素数2〜12で少なくとも1つの二重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖の2価基を指称する。炭素数2〜6の直鎖または分枝鎖のアルケニレン基が好ましく、炭素数2〜4の直鎖または分枝鎖のアルケニレン基がより好ましい。たとえばビニレン基、プロペニレン基、ブタジエニレン基などが挙げられる。必要ならば、アルキレン基は、後述の1〜4個の置換基によって置換されていてもよい。
【0036】
前述のアルケニレン基がベンゼン環の2つの異なる炭素原子に結合する場合には、それらは、結合する炭素原子と一緒になって縮合した5、6または7員の炭素環(たとえば、縮合ベンゼン環)を形成し、そして後述する1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0037】
「アルキニル基」とは、少なくとも1つの三重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖の1価基を指称する。好ましいアルキニル基は炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖のアルキニル基であり、炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖のアルキニル基がより好ましい。たとえば2−プロピニル基、3−ブチニル基、2−ブチニル基、4−ペンチニル基、3−ペンチニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、2−ヘプチニル基、3−ヘプチニル基、4−ヘプチニル基、3−オクチニル基、3−ノニニル基、4−デシニル基、3−ウンデシニル基、4−ドデシニル基などが挙げられる。アルキニル基は必要により、後述の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。
【0038】
「シクロアルキル基」とは、炭素数3〜12の単環または二環式飽和炭化水素環の1価基を指称し、炭素数3〜7の単環式飽和炭化水素基がより好ましい。たとえばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などの単環式アルキル基、および二環式アルキル基が挙げられる。これらの基は必要により、後述の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。また、シクロアルキル基は、飽和炭化水素環または不飽和炭化水素環(該飽和炭化水素環および該不飽和炭化水素環には必要に応じて当該環中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO、またはSOが含有されていてもよい)と縮合してもよい。
【0039】
「シクロアルキリデン基」とは、炭素数3〜12の単環または二環式飽和炭化水素環の2価基を指称し、炭素数3〜6の単環式飽和炭化水素基が好ましい。たとえばシクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基などの単環式アルキリデン基および二環式アルキリデン基が挙げられる。これらの基は必要により、後述の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。また、シクロアルキリデン基は飽和炭化水素環または不飽和炭化水素環(該飽和炭化水素環および該不飽和炭化水素環には必要に応じて該環中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO、またはSOが含有されていてもよい)と縮合してもよい。
【0040】
「シクロアルケニル基」とは、炭素数4〜12の少なくとも1つの二重結合を有する単環または二環式不飽和炭化水素環の1価基を指称する。好ましいシクロアルケニル基は、炭素数4〜7の単環式不飽和炭化水素基である。たとえばシクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニルなどの単環式アルケニル基が挙げられる。これらの基は必要により、後述の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。また、シクロアルケニル基は飽和炭化水素環および不飽和炭化水素環(該飽和炭化水素環および該不飽和炭化水素環には必要に応じて該環中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO、またはSOが含有されていてもよい)と縮合してもよい。
【0041】
「シクロアルキニル基」とは、炭素数6〜12で少なくとも1つの三重結合を有する単環または二環式不飽和炭化水素環を指称する。好ましいシクロアルキニル基は、炭素数6〜8の単環式不飽和炭化水素基である。たとえばシクロオクチニル基、シクロデシニル基などの単環式アルキニル基が挙げられる。これらの基は必要により、後述の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。また、シクロアルキニル基は飽和炭化水素環または不飽和炭化水素環(該飽和炭化水素環および該不飽和炭化水素環には必要に応じて該環中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO、またはSOが含有されていてもよい)と縮合してもよい。
【0042】
「アリール基」とは、炭素数6〜10の単環または二環式芳香族炭化水素の1価基を指称する。たとえばフェニル基、ナフチル基(1−ナフチル基および2−ナフチル基を含む)が挙げられる。これらの基は必要により、後述の1〜4個の置換基で置換されてもよい。また、アリール基は飽和炭化水素環または不飽和炭化水素環(該飽和炭化水素環および不飽和炭化水素環には必要に応じて該環中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO、またはSOが含有されていてもよい)と縮合してもよい。
【0043】
「単環不飽和異項環」とは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から独立して選ばれるヘテロ原子を1〜4個有する単環の不飽和炭化水素環を意味し、好ましいものは窒素原子、酸素原子および硫黄原子から独立して選ばれるヘテロ原子を1〜4個有する4〜7員の不飽和炭化水素環である。たとえばピリジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、4,5−ジヒドロオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、テトラゾールなどが挙げられる。中でも、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、オキサゾールおよびチアゾールが好適に用いられる。「単環不飽和異項環」は、その可能なN−オキシド体やS−オキシド体も包含する。さらに、単環不飽和異項環は必要により、後述の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。
【0044】
「二環縮合不飽和異項環」とは、「単環不飽和異項環」が飽和または不飽和炭化水素環(該飽和炭化水素環および該不飽和炭化水素環には必要に応じて該環中に酸素原子、窒素原子、または硫黄原子が含有されていてもよい)と縮合したものを指称する。「二環縮合不飽和異項環」は、たとえばベンゾチオフェン、インドールなどを包含し、それらの可能なN−オキシド体やS−オキシド体も包含する。さらに、「二環縮合不飽和異項環」は、アルキレン基により置換された単環不飽和異項環を包含する。二環縮合不飽和異項環は必要により、後述の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。
【0045】
「ヘテロシクリル」とは、上記単環不飽和異項環または二環縮合不飽和異項環の1価基、および上記単環不飽和異項環または二環縮合不飽和異項環の飽和化した異項環の1価基を指称する。ヘテロシクリル基は必要により、後述の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。
【0046】
「アルカノイル基」とは、ホルミル基、および「アルキル基」がカルボニル基に結合したものを指称する。
【0047】
「アルコキシ基」とは、「アルキル基」が酸素原子に結合したものを指称する。
【0048】
上述の各基における置換基としては、たとえば、ハロゲン原子(たとえば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、モノ−もしくはジ−アルカノイルアミノ基、モノ−もしくはジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−もしくはジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、モノ−もしくはジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびヘテロシクリルスルホニル基が挙げられる。上記各基は、適宜これらの置換基で置換されていてもよい。
【0049】
さらに、ハロアルキル基、ハロ低級アルキル基、ハロアルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、ハロフェニル基、またはハロヘテロシクリル基なる用語は、それぞれ、1つ以上のハロゲン原子で置換された、アルキル基、低級アルキル基、アルコキシ基、低級アルコキシ基、フェニル基、またはヘテロシクリル基(以下、アルキル基などと呼ぶ)を指称する。好ましいものは1〜7個のハロゲン原子で置換されたアルキル基などであり、より好ましくは1〜5個のハロゲン原子で置換されたアルキル基などである。同様に、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシ低級アルコキシ基なる用語は、それぞれ、1つ以上のヒドロキシ基で置換されたアルキル基などを指称する。好ましいものは1〜4個のヒドロキシ基で置換されたアルキル基などであり、より好ましくは1〜2個のヒドロキシ基で置換されたアルキル基などである。さらに、アルコキシアルキル基、低級アルコキシアルキル基、アルコキシ低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、アルコキシアルコキシ基、低級アルコキシアルコキシ基、アルコキシ低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルコキシ基なる用語は、それぞれ、1つ以上のアルコキシ基で置換されたアルキル基などを指称する。好ましいものは1〜4個のアルコキシ基で置換されたアルキル基などであり、より好ましくは1〜2個のアルコキシ基で置換されたアルキル基などである。
【0050】
用語「アリールアルキル」および「アリールアルコキシ」を単独でまたは他の基の一部分として使用するときには、アリール置換基を有する上記のようなアルキルおよびアルコキシ基を指称する。
【0051】
本明細書中の一般式の定義において「低級」なる語は、特に断らない限り、炭素数が1〜6の直鎖または分枝状の炭素鎖を意味する。
【0052】
「プロドラッグ」は、式Iの化合物のヒドロキシル基の1つ以上を、公知の手順で、アルキル、アルコキシまたはアリール置換のアシル化剤と反応させて、アセテート、ピバレート、メチルカーボネート、ベンゾエートなどを生成することにより形成される、エステルやカーボネートを指称する。また、プロドラッグは、同様に、式Iの化合物のヒドロキシル基の1つ以上を、公知の手順で、縮合剤を用いてα−アミノ酸またはβ−アミノ酸などと反応させことにより形成される、エステルやアミドなども包含する。
【0053】
式Iの化合物の医薬的に許容しうる塩としては、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;ならびに、亜鉛またはアルミニウムとの塩;および、有機塩基たとえばアンモニウム、コリン、ジエタノールアミン、リシン、エチレンジアミン、t−ブチルアミン、t−オクチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−メチルグルコサミン、トリエタノールアミンおよびデヒドロアビエチルアミンとの塩;塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸との塩;あるいはギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩;またはアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
【0054】
本発明の化合物は、立体異性体の混合物または純粋もしくは実質的に純粋な各立体異性体も包含する。たとえば、本発明の化合物は、置換基のいずれか1つを含む炭素原子のいずれかに1つ以上の不斉中心を有することができる。従って、式Iの化合物は、エナンチオマーもしくはジアステレオマーまたはこれらの混合物の形で存在しうる。また、本発明化合物が二重結合を含む場合は幾何異性体(シス体、トランス体)の形で存在することがあり、本発明化合物がカルボニルなどの不飽和結合を含む場合は互変異性体の形で存在することがあり、本発明化合物は、それらの異性体あるいはそれらの混合物も包含する。本発明化合物の製造法では、ラセミ混合物、エナンチオマーまたはジアステレオマーの形の出発化合物を使用することができる。本発明化合物をジアステレオマーまたはエナンチオマーの形で製造する場合、これらを通常の方法、たとえばクロマトグラフィーまたは分別結晶法で分離することができる。
【0055】
また、本発明の化合物(I)は、分子内塩、水和物、溶媒和物や結晶多形のものなども包含する。
【0056】
本発明の化合物において、置換されていてもよい単環不飽和異項環としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、モノ−もしくはジ−アルカノイルアミノ基、モノ−もしくはジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−もしくはジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、モノ−もしくはジ−アリールカルバモイル基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびヘテロシクリルスルホニルからなる群より選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよい単環不飽和異項環が挙げられる(該置換基は、さらにこれらの置換基で置換されていてもよい)。
【0057】
本発明において、置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、モノ−もしくはジ−アルカノイルアミノ基、モノ−もしくはジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−もしくはジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、モノ−もしくはジ−アリールカルバモイル基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびヘテロシクリルスルホニル基からなる群より選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環が挙げられる(該置換基はさらにこれらの置換基で置換されていてもよい)。
【0058】
本発明において、置換されていてもよいベンゼン環としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、モノ−もしくはジ−アルカノイルアミノ基、モノ−もしくはジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−もしくはジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、モノ−もしくはジ−アリールカルバモイル基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリルスルホニル基、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基、およびアルケニレン基からなる群より選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環が挙げられる(該置換基はさらにこれらの置換基で置換されていてもよい)。さらに、置換されていてもよいベンゼン環として、結合している炭素原子と一緒になって縮合した炭素環を形成するようにアルキレン基が置換したベンゼン環が挙げられ、また、結合している炭素原子と一緒になって縮合ベンゼン環や縮合シクロペンタジエン環のような縮合した炭素環を形成するようにアルケニレン基が置換したベンゼン環も挙げられる。
【0059】
置換されていてもよい単環不飽和異項環としては好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、モノ−もしくはジアルキルスルファモイル基、ヘテロシクリル基およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい単環不飽和異項環が挙げられる。
【0060】
置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環としては好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、ヘテロシクリル基およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環が挙げられる。
【0061】
また、置換されていてもよいベンゼン環として好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基、およびアルケニレン基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環が挙げられる。
【0062】
本発明の好ましい態様では、置換されていてもよい単環不飽和異項環は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい単環不飽和異項環であり、
【0063】
置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環であり、
【0064】
置換されていてもよいベンゼン環は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、およびアルケニレン基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
【0065】
ここにおいて、単環不飽和異項環、二環縮合不飽和異項環およびベンゼン環上の上記各置換基は、さらに、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェニル基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基、およびオキソ基からなる群より独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい。
【0066】
本発明のより好ましい態様では、置換されていてもよい単環不飽和異項環は、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基、およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい単環不飽和異項環であり、
【0067】
置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環は、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基、およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環であり、
【0068】
置換されていてもよいベンゼン環は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、およびアルケニレン基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
【0069】
ここにおいて、単環不飽和異項環、二環縮合不飽和異項環およびベンゼン環上の上記各置換基は、さらに、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、フェニル基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、およびアルコキシカルボニル基からなる群より独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい。
【0070】
本発明において、さらにより好ましい態様では、環Aは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルボニル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、アルケニレン基、およびアルケニレン基からなる群より独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
【0071】
環Bは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、およびアルケニレン基からなる群より独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環であり、
【0072】
ここにおいて、環Aおよび環B上の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、フェニル基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、およびアルコキシカルボニル基からなる群より独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい。
【0073】
本発明において、さらにより好ましい態様では、環Aは、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、およびオキソ基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよい単環不飽和異項環であるか、または、環Aは、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、およびフェニル基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
【0074】
環Bは、ハロゲン原子;シアノ基;低級アルキル基;ハロ低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロ低級アルコキシ基;モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基;ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されていてもよいフェニル基;および、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されていてもよいヘテロシクリル基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよいベンゼン環であるか、あるいは、ハロゲン原子;シアノ基;低級アルキル基;ハロ低級アルキル基;フェニル低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロ低級アルコキシ基;モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基;ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されていてもよいフェニル基;および、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されていてもよいヘテロシクリル基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよい単環不飽和異項環である。
【0075】
本発明の化合物において、環Aにおける−NR−基とメチレン基との置換様式はオルト位(1,2−置換)またはメタ位(1,3−置換)の関係にあるものが好ましい。
【0076】
また、好ましい化合物としては、環A上でメチレン基が−NR−基に対して3位で結合し、環Aが低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、およびフェニル基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bが低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、フェニル低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、低級アルキルヘテロシクリル基、低級アルコキシヘテロシクリル基、およびモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノヘテロシクリル基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい5または6員の単環不飽和異項環である式Iの化合物が挙げられる。
【0077】
他の好ましい化合物としては、環A上でメチレン基が−NR−基に対して3位で結合し、環Aが低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、およびオキソ基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよい5または6員の単環不飽和異項環であり、環Bが低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、および低級アルキルヘテロシクリル基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環である式Iの化合物が挙げられる。
【0078】
さらに他の好ましい化合物としては、環A上でメチレン基が−NR−基に対して3位で結合し、環Aが低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、およびオキソ基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよい5または6員の単環不飽和異項環であり、環Bが低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、および低級アルキルヘテロシクリル基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい5または6員の単環不飽和異項環である式Iの化合物が挙げられる。
【0079】
さらに他の好ましい化合物としては、環A上でメチレン基が−NR−基に対して3位で結合し、環Aが低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシ−低級アルコキシ基、およびフェニル基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bが低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、フェニル低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、エチレンオキシフェニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、および低級アルキルヘテロシクリル基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環である式Iの化合物が挙げられる。
【0080】
これらの好ましい化合物において、単環不飽和異項環としては、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロピリジン、またはチアゾールが好ましく、二環縮合不飽和異項環がインドリン、イソインドリン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、インドール、インダゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、チエノチオフェン、またはジヒドロイソキノリンであるのが好ましい。
【0081】
本発明の好ましい態様は、下記式IAで示される化合物である。
【0082】
【化14】

【0083】
(式中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基であり、
【0084】
およびRは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;アルコキシ基;アルキル基;ハロアルキル基;ハロアルコキシ基;ヒドロキシアルキル基;アルコキシアルキル基;フェニルアルキル基;アルコキシアルコキシ基;ヒドロキシアルコキシ基;アルケニル基;アルキニル基;シクロアルキル基;シクロアルキリデンメチル基;シクロアルケニル基;シクロアルキルオキシ基;フェニルオキシ基;フェニルアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基;アルカノイルアミノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基;アルカノイル基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、またはモノ−もしくはジ−アルキルアミノ基で置換されていてもよいフェニル基;または、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基またはハロアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロシクリル基であるか、あるいはRおよびRは、互いにそれらの末端で結合してアルキレン基を形成し、そして他の記号は前記と同じ意味を有する)。
【0085】
上記式IAで示された化合物のうち、好ましい化合物としては、R、R、およびRが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、または低級アルコキシ低級アルコキシ基であり、RおよびRが、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;低級アルキル基;ハロ低級アルキル基;フェニル低級アルキル基;ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、またはモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されていてもよいフェニル基;または、ハロゲン原子もしくは低級アルキル基で置換されていてもよいヘテロシクリル基であるか、またはRおよびRが互いにそれらの末端で結合してアルキレン基を形成する式IAの化合物が挙げられる。
【0086】
中でも、Rがハロゲン原子、低級アルキル基、または低級アルコキシ基であり、RおよびRが水素原子であり、Rが、ハロゲン原子;低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、およびモノ−もしくは−ジ−低級アルキルアミノ基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基;または、ハロゲン原子もしくは低級アルキル基で置換されていてもよいヘテロシクリル基であり、Rが水素原子である化合物が好ましい。
【0087】
とりわけ、ヘテロシクリル基がチエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、またはキノリル基である化合物が好ましい。
【0088】
本発明の化合物(I)は、ナトリウム依存性グルコース輸送担体に対して優れた阻害作用、および優れた血糖降下作用を示す。それ故に、本発明の化合物は、糖尿病(1型および2型糖尿病など)、または糖尿病性合併症(たとえば、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症など)の治療や予防に有用であり、または食後過血糖の治療に有用である。
【0089】
本発明の化合物(I)またはその薬理的に許容しうる塩は、経口的または非経口的に投与することができ、そして適当な医薬製剤として使用することができる。経口的に投与する場合の適当な医薬製剤としては、たとえば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤などの固体製剤、あるいは溶液製剤、懸濁製剤または乳化製剤などが挙げられる。非経口的に投与する場合の適当な医薬製剤としては、たとえば、坐剤;注射用蒸留水、生理食塩水またはブドウ糖水溶液などを用いた注射剤および静脈内点滴製剤、あるいは吸入剤などが挙げられる。
【0090】
本発明の化合物(I)またはその薬理的に許容しうる塩の投与量は、投与方法、患者の年令、体重、状態、あるいは処置しようとする疾患の種類や程度によっても異なるが、通常、1日当り約0.1〜50mg/kg、とりわけ約0.1〜30mg/kg程度とするのが好ましい。
【0091】
式(I)の化合物は、所望ならば、他種の抗糖尿病剤の1種以上および/または他種の疾患の治療剤の1種以上と組み合わせて使用することができる。本発明の化合物およびこれらの他の剤は、同一の投与製剤の形態で、別々の経口投与製剤の形態で、または注射で投与することができる。
【0092】
他種の抗糖尿病剤としては、たとえば、インスリン、インスリン分泌促進剤あるいはインスリン感作物質を含む抗糖尿病剤もしくは抗高血糖剤、またはSGLT阻害とは異なる作用メカニズムを有する他の抗糖尿病剤が挙げられ、そしてこれらの他の抗糖尿病剤の1、2、3または4を好ましく使用することができる。具体的には、ビグアニド化合物、スルホニル尿素化合物、α−グルコシダーゼ阻害剤、PPARγ作用剤(たとえば、チアゾリジンジオン化合物)、PPARα/γ二元作用剤、ジペプチジル・ヘプチターゼIV(DPP4)阻害剤、ミチグリニド系化合物、および/またはナテグリニド系化合物、ならびにインスリン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、PTP1B阻害剤、グリコーゲン・ホスホリラーゼ阻害剤、および/またはグルコース6−ホスファターゼ阻害剤が挙げられる。
【0093】
他種の疾患の治療剤としては、たとえば、抗肥満剤、抗高血圧剤、抗血小板剤、抗アテローム硬化剤、および/または脂質低下剤が挙げられる。
【0094】
また、式IのSGLT阻害剤は、必要に応じて糖尿病合併症の治療剤と組み合わせて使用することもできる。これらの治療剤としては、たとえば、PKC阻害剤および/またはACE阻害剤が挙げられる。
【0095】
これらの剤の投与量は、患者の年令、体重および症状、ならびに投与の形式、投与剤形などに応じて適宜選択することができる。
【0096】
これらの薬学的組成物は、ヒト、サル、イヌなどを含む哺乳類に対して、経口ルートで、たとえば錠剤、カプセル剤、顆粒または粉剤の形状で投与することができ、あるいは注射用製剤の形状で非経口ルートによって、あるいは鼻腔内もしくは経皮パッチで投与することができる。
【0097】
式(I)の本発明化合物のうち、Rが水素原子または低級アルキル基である化合物は、下記反応工程式1または2に従って製造することができる。
【0098】
【化15】

【0099】
(式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、他の記号は前記と同一の意味を有する)。
【0100】
まず、式(I)で示される化合物のうち、Rが水素原子または低級アルキル基である化合物は、式IIIの化合物と式IIの化合物とを縮合させることにより製造することができる。この縮合反応は、適当な溶剤中において必要に応じて酸の存在下に実施することができる。
【0101】
酸としては、通常のアセタール交換反応で慣用の酸、たとえば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩酸などが挙げられる。
【0102】
溶媒は、反応に支障をきたさない不活性溶媒であればよく、たとえば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル、メタノールやエタノールなどのアルコール、水など、および、所望ならばこれらの溶媒の2種またはそれ以上の混合溶媒であってよい。
【0103】
本反応は、加熱下で、たとえば、50℃〜使用する溶媒の沸点の温度で実施することが好ましく、とりわけ、50〜100℃の温度で実施することが好ましい。
【0104】
【化16】

【0105】
(式中、XおよびXはそれぞれ独立してハロゲン原子を表し、他の記号は前記と同じ意味を有する)。
【0106】
まず、式VIの化合物を式IIの化合物と縮合させることによって、式Vの化合物を製造する。この縮合反応は、反応工程式1の反応と同様にして実施することができる。
【0107】
次いで、式Vの化合物と式IVの化合物を、パラジウム触媒の存在下に、およびホスフィン配位子の存在下または非存在下に適当な溶媒中でカップリングさせることによって、式(I)の化合物を製造することができる。
【0108】
パラジウム触媒は、テトラキス(トリフェニル)ホスフィンパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、二塩化ビス(トリフェニル)ホスフィンパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、塩化パラジウム(II)・1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン錯体などの慣用のパラジウム触媒であってよい。
【0109】
ホスフィン配位子としては、たとえば、トリフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、トリ(2−フリル)ホスフィンなどのリン化合物が挙げられる。
【0110】
溶媒は、反応に支障をきたさない不活性溶媒であればよく、たとえば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどのアミド系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジメチルスルホキシド、水、および、所望ならば、これらの溶媒の2種またはそれ以上の混合溶媒であってもよい。
【0111】
本反応は、室温でまたは加熱下で、たとえば、室温から反応混合物の沸点の温度で実施することができ、とりわけ、室温から50℃の温度で実施することが好ましい。
【0112】
また、本発明の式(I)の化合物のうち、Rが低級アルカノイル基または低級アルコキシカルボニル基である式(I)の化合物は、下記の反応工程式3または4で示される方法によって製造することができる。
【0113】
【化17】

【0114】
(式中、Rは低級アルカノイル基または低級アルコキシカルボニル基であり、Acはアセチル基であり、そして他の記号は前記と同一の意味を有する)。
【0115】
まず、式IXの化合物を溶媒中でシリル化する。次いで、この生成物をα−またはβ−D−グルコースペンタアセテート(すなわち、式VIIIの化合物)と反応させて式VIIの化合物を生成する。さらに、式VIIの化合物を加水分解して式I−bの化合物を生成する。
【0116】
シリル化反応は、この化合物を溶媒中においてシリル化剤で処理することによって実施することができる。シリル化剤としては、たとえば、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
【0117】
溶媒は、反応に支障をきたさない不活性溶媒であればよく、たとえば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなど、および、所望ならば、これらの溶媒の2種またはそれ以上の混合溶媒であってよい。
【0118】
本反応は、冷却下にまたは加熱して、たとえば、0℃〜60℃の温度で実施することが好ましく、とりわけ、室温〜60℃の温度で実施することが好ましい。
【0119】
α−またはβ−D−グルコースペンタアセテート(すなわち、式VIIIの化合物)との反応は、溶媒中においてルイス酸の存在下に実施することができる。
【0120】
ルイス酸としては、たとえば、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、塩化チタン(IV)、四塩化スズ、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯塩などが挙げられる。
【0121】
溶媒は、反応に支障をきたさない不活性溶媒であればよく、たとえば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなど、および、所望ならば、これらの溶媒の2種またはそれ以上の混合溶媒であってよい。
【0122】
本反応は、冷却下にまたは加熱下で、たとえば、0℃〜100℃の温度で実施することができ、とりわけ、室温〜60℃の温度で実施することが好ましい。
【0123】
式VIIの化合物の加水分解は、溶媒中において塩基で処理することによって実施することができる。
【0124】
塩基としては、加水分解で慣用される塩基、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ金属、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属低級アルコキシドが挙げられる。
【0125】
溶媒は、反応に支障をきたさない不活性溶媒であればよく、たとえば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどのアミド系溶媒、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、水、および、所望ならば、これらの溶媒の2種またはそれ以上の混合溶媒であってもよい。
【0126】
本反応は、冷却下にまたは加熱下に、たとえば、0℃〜50℃の温度で実施され、とりわけ、0℃〜室温の温度で実施することが好ましい。
【0127】
【化18】

【0128】
(式中、記号は前記と同じ意味を有する)。
【0129】
まず、式XIの化合物を溶媒中でシリル化し、このようにして得られた生成物をルイス酸の存在下にα−またはβ−D−グルコースペンタアセテートと反応させて式Xの化合物を生成する。その後、式Xの化合物を式IVの化合物と、パラジウム触媒の存在下に、ホスフィン配位子の存在下または非存在下に、適当な溶媒中でカップリングさせて式VIIの化合物を生成する。さらに、式VIIの化合物を加水分解して式I−bの化合物を生成する。
【0130】
式XIの化合物のシリル化反応、およびシリル化した化合物とα−またはβ−D−グルコースペンタアセテートとの反応は、反応工程式3の反応と同様にして実施することができる。
【0131】
式Xの化合物と式IVの化合物とのカップリング反応は、反応工程式2の反応と同様にして実施することができる。
【0132】
式VIIの化合物を加水分解して式I−bの化合物を生成する工程は、反応工程式3と同様にして実施することができる。
【0133】
このようにして得られる本発明化合物は、再結晶法、カラムクロマトグラフィーなどの有機化学の分野における周知の方法によって単離生成することができる。
【0134】
式IIIの化合物および式IXの化合物は、以下の反応工程式5、6または7に示される方法によって製造することができる。
【0135】
【化19】

【0136】
(式中、記号は前記と同じ意味を有する)。
【0137】
式XVIの化合物をリチオ化し、その生成物を、式XVの化合物と、適当な溶媒中でカップリングさせて式XIVの化合物を生成する。たとえば、式XVIの化合物をテトラヒドロフランやジエチルエーテルなどの適当な溶媒中に、−78℃でn−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウムで処理した後、式XVの化合物と反応させる。
【0138】
次いで、式XIVの化合物を還元することにより式XIIIの化合物を生成する。還元は、適当な溶媒(たとえば、メタノール、エタノール、酢酸エチルなど)中、水素雰囲気下にパラジウム触媒(たとえば、パラジウム−炭素、水酸化パラジウムなど)を用いて接触還元することによって実施することができる。
【0139】
次いで、式XIIIの化合物を還元して式XIIの化合物(すなわち、式IIIの化合物のうち、Rが水素原子である化合物)を生成する。還元は、適当な溶媒(たとえば、アセトニトリル、ジクロロメタン、またはアセトニトリル/ジクロロメタン混合物など)中、ルイス酸(たとえば、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体、四塩化チタン(IV)など)または酸(たとえば、トリフルオロ酢酸など)の存在下、シラン化合物(たとえば、トリエチルシラン、トリイソプロピルシランなど)で処理することによって実施することができる。
【0140】
さらに、所望により式XIIの化合物をアルキル化して式IIIの化合物を生成し、また式XIIの化合物をアシル化して式IXの化合物を生成する。
【0141】
アルキル化反応は、低級アルキルハライド(たとえば、ヨードメタン、ブロモメタン)のようなアルキル化剤を用いて、適当な溶媒(たとえば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなど)中、塩基(たとえば、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなど)の存在下に実施することができる。
【0142】
アシル化反応は、低級アルカノイルハライドや低級アルコキシカルボニルハライド、またはこれらに該当するカルボン酸の酸無水物やエステルなどのアシル化剤を用いて、適当な溶媒(たとえば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチルなど)中、塩基(たとえば、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下または非存在下に実施することができる。
【0143】
さらにまた、式IIIの化合物のうち、Rが低級アルカノイル基である化合物を還元することによって、式IIIの化合物のうちRが低級アルキル基である化合物を得ることもできる。還元は、常法に従い、還元剤(水素化アルミニウムリチウム、ジボランなど)を用いて適当な溶媒(たとえば、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)中で実施することができる。
【0144】
【化20】

【0145】
(式中、記号は前記と同じ意味を有する)。
【0146】
式IIIの化合物は、式VIの化合物を式IVの化合物とカップリングさせることによっても製造することもできる。
【0147】
カップリング反応は、反応工程式2における式Vの化合物と式IVの化合物とのカップリング反応と同様にして実施することができる。
【0148】
【化21】

【0149】
(式中、記号は前記と同じ意味を有する)。
【0150】
式IXの化合物は、式XIの化合物を式IVの化合物とカップリングさせることによっても製造することもできる。
【0151】
カップリング反応は、反応工程式2における式Vの化合物と式IVの化合物とのカップリング反応と同様にして実施することができる。
【0152】
この他の原料化合物は、商業上入手しうるか、または当業者にとって周知の標準法によって容易に製造することができる。
【0153】
以下、本発明を実施例、参考例により詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0154】
実施例1 2−(4−エチルベンジル)−N−(β−D−グルコピラノシル)アニリン
【0155】
【化22】

【0156】
(式中、Etはエチル基である)。
【0157】
2−(4−エチルベンジル)アニリン1(500mg)をメタノール(5ml)に溶かし、これにD−(+)−グルコース2(516mg)および塩化アンモニウム(25mg)を加え、混合物を還流下に2時間加熱した。メタノールを減圧下に留去し、残渣に水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=40:1−20:1)によって精製して目的の2−(4−エチルベンジル)−N−(β−D−グルコピラノシル)アニリン3(495mg)を無色の結晶として得た。APCI−Mass m/Z 374(M+H)。
【0158】
実施例2−5
対応する原料化合物から、実施例1と同様の方法で表1に記載の化合物を製造した。
【0159】
【表1】

【0160】
参考例1 2−(4−エチルベンジル)アニリン
【0161】
【化23】

【0162】
(式中、記号は前記と同じ意味を有する)。
【0163】
(1)1−ブロモ−4−エチルベンゼン(6.43g)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液をアルゴン雰囲気下に−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(2.6Mヘキサン溶液、14.0ml)を滴下した。この混合物を同温にて30分間撹拌し、反応液をo−ニトロベンズアルデヒド(5.0g)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液に−78℃で滴下した。この混合物を同温にて30分間撹拌し、次いで1時間かけて0℃に昇温した。この混合物に塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して化合物4(2.26g)を無色の油状物として得た。APCI−Mass m/Z 275(M+NH)。
【0164】
(2)上記の化合物4(1.85g)をエタノール(74ml)に溶かし、含水パラジウム−炭素(370mg)を加えた。この混合物を水素雰囲気下に室温で4時間撹拌した。触媒をろ去後、ろ液を減圧下に留去して化合物5(1.58g)を無色の固体として得た。APCI−Mass m/Z 210(M+H−HO)。
【0165】
(3)上記の化合物5(1.53g)をアセトニトリル(45ml)に溶かし、この混合物を−30℃に冷却後、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体(1.71ml)を滴下した。次いで、トリエチルシラン(2.15ml)を加え、この混合物を同温にて1時間撹拌した。混合物を30分間かけて0℃に昇温し、さらに室温において1.5時間撹拌した。この混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、そして混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=24:1)によって精製して目的の2−(4−エチルベンジル)アニリン1(1.07g)を無色の油状物として得た。APCI−Mass m/Z 212(M+H)。
【0166】
参考例2 2−(4−エチルベンジル)−4−トリフルオロメチルアニリン
【0167】
【化24】

【0168】
(1)亜鉛粉末(817mg)と1,2−ジブロモエタン(0.044ml)とをジメチルホルムアミド(25ml)に含む混合物を70℃にて10分間加熱撹拌した。反応液を室温に冷却し、塩化トリメチルシラン(0.050ml)を加え、さらに30分間撹拌した。この混合物に4−エチルベンジルブロミド(1.99g)のジメチルホルムアミド(10ml)溶液を0℃にて2時間かけて滴下した。この混合物を同温にて2時間撹拌して化合物6の溶液を調製した。
【0169】
(2)上記の化合物6の溶液とトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(140mg)、トリ(2−フリル)ホスフィン(120mg)および4−アミノ−3−ヨードベンゾトリフルオリド(1.44g)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液とを混合し、混合物をアルゴン雰囲気下室温にて終夜撹拌した。反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製して目的の2−(4−エチルベンジル)−4−トリフルオロメチルアニリン8(866mg)を無色の油状物として得た。APCI−Mass m/Z 280(M+H)。
【0170】
参考例3 2−(4−エチルベンジル)−4−フルオロアニリン
(1)4−フルオロアニリン(1.00g)、ヨウ素(2.28g)および硫酸銀(2.81g)のエタノール(180ml)混合溶液を室温において1時間撹拌した。不溶物をろ去し、そしてろ液の溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=19:1)で精製して4−フルオロ−2−ヨードアニリン(1.16g)を無色の油状物として得た。ESI−Mass m/Z 236(M−H)。
【0171】
(2)上記の4−フルオロ−2−ヨードアニリンを参考例2と同様の方法で処理して2−(4−エチルベンジル)−4−フルオロアニリンを粉末として得た。APCI−Mass m/Z 230(M+H)。
【0172】
参考例4 3,4−ジフルオロ−2−(4−エチルベンジル)アニリン
3,4−ジフルオロ−2−ヨードアニリン(S. Morita et a1., Tetrahedron Asymmetry(1995)6 245参照)を参考例2と同様の方法で処理して目的の3,4−ジフルオロ−2−(4−エチルベンジル)アニリンを粉末として得た。APCI−Mass m/Z 247(M+H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】


(式中、環Aおよび環Bは、(1)環Aが置換されていてもよい単環不飽和異項環であり、環Bが置換されていてもよい単環不飽和異項環、置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環、または置換されていてもよいベンゼン環であるか、(2)環Aが置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bが置換されていてもよい単環不飽和異項環、置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環、または置換されていてもよいベンゼン環であるか、または(3)環Aが置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環であり、ここにおいて−NR−基および−CH−基は両方とも、当該二環縮合不飽和異項環の同じ環に結合し、環Bが置換されていてもよい単環不飽和異項環、置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環、または置換されていてもよいベンゼン環であり、
Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルカノイル基または低級アルコキシカルボニル基である)
で示される化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項2】
置換されていてもよい単環不飽和異項環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、モノ−もしくはジアルキルスルファモイル基、ヘテロシクリル基およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい単環不飽和異項環であり、
置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、ヘテロシクリル基およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環であり、
置換されていてもよいベンゼン環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基、およびアルケニレン基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環である、
請求項1記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項3】
置換されていてもよい単環不飽和異項環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい単環不飽和異項環であり、
置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環であり、
置換されていてもよいベンゼン環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、およびアルケニレン基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
ここにおいて、単環不飽和異項環、二環縮合不飽和異項環およびベンゼン環上の置換基は、さらに、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、アルコキシカルボニル基、フェニル基、およびオキソ基からなる群より独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい、
請求項1記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項4】
置換されていてもよい単環不飽和異項環が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基、およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい単環不飽和異項環であり、
置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基、およびオキソ基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい二環縮合不飽和異項環であり、
置換されていてもよいベンゼン環が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基、およびアルキレン基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
ここにおいて、単環不飽和異項環、二環縮合不飽和異項環およびベンゼン環上の置換基は、さらに、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、フェニル基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、およびアルコキシカルボニル基からなる群より独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい、
請求項1記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項5】
環Aが、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、およびアルケニレン基からなる群より独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
環Bが、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、およびアルケニレン基からなる群より独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
ここにおいて、環Aおよび環B上の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、フェニル基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、およびアルコキシカルボニル基からなる群より独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい、
請求項1記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項6】
環A上の−NR−基および−CH−の置換関係が1,2−置換または1,3−置換である、請求項1記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項7】
環A上で−CH−基が−NR−基に対して3位で結合し、環Aが低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、およびフェニル基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bが低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、フェニル低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、低級アルキルヘテロシクリル基、低級アルコキシヘテロシクリル基、およびモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノヘテロシクリル基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい5または6員単環不飽和異項環である、請求項1記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項8】
環A上で−CH−基が−NR−基に対して3位で結合し、環Aが低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、およびオキソ基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよい5または6員単環不飽和異項環であり、環Bが低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、および低級アルキルヘテロシクリル基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環である、請求項1記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項9】
環A上で−CH−基が−NR−基に対して3位で結合し、環Aが低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、およびオキソ基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよい5または6員単環不飽和異項環であり、環Bが低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、および低級アルキルヘテロシクリル基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい5または6員単環不飽和異項環である、請求項1記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項10】
環A上で−CH−基が−NR−基に対して3位で結合し、環Aが低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキルキ基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシ−低級アルコキシ基、およびフェニル基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bが低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、フェニル低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、エチレンオキシフェニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、および低級アルキルヘテロシクリル基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環である、請求項1記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項11】
単環不飽和異項環がフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロピリジン、またはトリアゾールであり、二環縮合不飽和異項環がインドリン、イソインドリン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、インドール、インダゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、チエノチオフェン、またはジヒドロイソキノリンである、請求項1〜10のいずれか1記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項12】
化合物が式IAによって表される、請求項1記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【化2】


(式中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、フェニル基、フェニルアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、またはフェニルスルホニル基であり、
およびRは、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;アルコキシ基;アルキル基;ハロアルキル基;ハロアルコキシ基;ヒドロキシアルキル基;アルコキシアルキル基;フェニルアルキル基;アルコキシアルコキシ基;ヒドロキシアルコキシ基;アルケニル基;アルキニル基;シクロアルキル基;シクロアルキリデンメチル基;フェニルオキシ基;フェニルアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基;アルカノイルアミノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基;アルカノイル基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、またはモノ−もしくはジ−アルキルアミノ基で置換されていてもよいフェニル基;またはハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基もしくはハロアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロシクリル基であるか、あるいはRおよびRは、互いにそれらの末端で結合してアルキレン基を形成し;
Rは水素原子、低級アルキルキ基、低級アルカノイル基または低級アルコキシカルボニル基である。)
【請求項13】
、R、およびRが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、または低級アルコキシ低級アルコキシ基であり、
およびRが、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;低級アルキル基;ハロ低級アルキル基;フェニル低級アルキル基;ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、またはモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されていてもよいフェニル基;または、ハロゲン原子もしくは低級アルキル基で置換されていてもよいヘテロシクリル基であるか、またはRおよびRが互いにそれらの末端で結合してアルキレン基を形成する、
請求項12記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項14】
がハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、RおよびRが水素原子であり、Rが、ハロゲン原子;低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、およびモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基;または、ハロゲン原子もしくは低級アルキル基で置換されていてもよいヘテロシクリル基であり、Rが水素原子である、請求項12記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項15】
ヘテロシクリル基がチエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キノリル基またはテトラゾリル基である、請求項12、13または14記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグと、医薬的に許容しうる担体とを含む、医薬組成物。
【請求項17】
他の抗糖尿病剤をさらに含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
処置を必要とする哺乳動物種に対し、治療上有効量の請求項1に記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグを投与することからなる、糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、遅延創傷治癒、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、高脂肪酸血症、高グリセロール血症、高脂血症、肥満症、高トリグリセリド血症、X症候群、糖尿病性合併症、アテローム硬化症または高血圧症の進行または発症を処置もしくは遅延させる方法。
【請求項19】
1型および2型糖尿病を処置する方法であって、かかる処置を必要とする哺乳動物種に対し、治療上有効量の請求項1に記載の化合物、その医薬的に許容しうる塩、またはそれらのプロドラッグを単独で、または他の抗糖尿病剤、糖尿病性合併症の治療剤、抗肥満剤、抗高血圧剤、抗血小板剤、抗アテローム硬化剤および/または抗脂質血症剤と組み合わせて投与することからなる方法。
【請求項20】
式III
【化3】


(式中、環Aおよび環Bは、請求項1に記載のとおりであり、Rは水素原子または低級アルキル基である)で示される化合物と、式II
【化4】


で示される化合物とを縮合させることからなる、式I−a
【化5】


(式中、記号は前記と同じ意味を有する)
で示される化合物の製法。

【公表番号】特表2007−518682(P2007−518682A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519250(P2006−519250)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011311
【国際公開番号】WO2005/012321
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000002956)田辺製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】