説明

新規印刷用フィルム

【課題】トナー方式プリンターやインクジェットプリンターを用いて表面に画像を印刷でき、複雑な形状を有する3次元物体の表面にも貼付できる、柔軟性に富む印刷用フィルム及びその原料組成物を提供する。
【解決手段】成分(I)を3〜8容、成分(II)を0.5〜2容、水を1〜3容、合計11容の容積比で混合して得られる印刷用フィルム製造用原料組成物。(I)酢酸ビニルとアクリレートの重量比が70〜90:10〜30の共重合体ポリマーを85〜95Wt%含み、酸化エチレン基の平均付加モル数が5〜20であるノニルフェノールEO付加物及びポリエチレングリコールを1〜7.5Wt%含む界面活性剤と、更に4〜8Wt%のプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール群から選択される少なくとも1つの化合物を含むエマルジョン。(II)(a)樹液、(b)人工樹液、(c)果糖及び/又はブドウ糖群から選択される液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットプリンター及びレーザープリンターを用いて印刷することができる新規印刷用フィルム及び該印刷用フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より樹脂を成分とする種々の印刷用フィルムが存在した(特許文献1〜3を参照)。これらのフィルムは、例えばラベルやステッカーに用いられたり、あるいは複雑な形状を有する3次元物体の表面に印刷画像を保持しながら被覆するためなどに用いられていた。
【0003】
現在、図面や写真等の画像の印刷にインクジェットプリンターが広く用いられ、多くの家庭においても日常的にインクジェットプリンターを用いて画像等の印刷が行われている。
【0004】
インクジェットプリンターは、圧電素子又はインクに熱を加えて生じる気泡によりインクをノズルから射出し、印刷用シート又は印刷用フィルムにインクを付着させ印刷する。
【0005】
インクジェットプリンターは、家庭用プリンターとしても普及しており、また低コストで印刷を行えるという利点がある。
【0006】
従来の印刷用フィルムは、トナー方式のプリンターを用いた印刷には適していたが、インクジェットを用いて直接印刷しようとした場合、インクがフィルムに十分付着せず、印刷した画像が消えやすい等の問題があった。
【0007】
また、インクジェットで印刷できる印刷用フィルムであっても、フィルム自体の柔軟性が低く、平面な物体に貼付するステッカー等としては利用することができたが、複雑な形状を有する3次元物体の表面に貼付することはできなかった。
【0008】
【特許文献1】特許第3793803号公報
【特許文献2】特開2000-153677号公報
【特許文献3】特開2006-82539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、トナー方式プリンターのみならずインクジェットプリンターを用いて表面に画像を印刷することができ、柔軟性に富み複雑な形状を有する3次元物体の表面に貼付することができる印刷用フィルム及びその原料組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、表面に市販のトナー方式プリンターだけでなくインクジェット方式のプリンターにより画像を印刷でき、複雑な形状の3次元物体の表面を印刷フィルム表面の画像を保持しながら被覆でき、柔軟性及び粘着性が向上し、加熱処理した場合でも安定であり物体に貼付した後の強度が向上した印刷用フィルムを作製しようと鋭意検討を行った。
【0011】
本発明者は、酢酸ビニルを含むポリマーを含む成分、樹液または糖類を含む成分ならびに水を混合したエマルジョンを原料として作製した印刷用フィルムが上記の特性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 以下の成分(I)、成分(II)及び水を混合して得られる印刷用フィルム製造用原料組成物であって、成分(I)を3〜8容、成分(II)を0.5〜2容、水を1〜3容であり、合計11容の容積比で混合して得られる印刷用フィルム製造用原料組成物:
(I)真空乾固させた際の固形分量が45〜60Wt%のエマルジョンであって、
固形分中に、
酢酸ビニルとアクリレートの共重合体ポリマーであって、酢酸ビニルとアクリレートの重量比が75〜87.5:12.5〜25である共重合体ポリマーを85〜95Wt%含み、
界面活性剤として、酸化エチレン基の平均付加モル数が5〜20であるノニルフェノールEO付加物及びポリエチレングリコールを1〜7.5Wt%含み、
さらに4〜8Wt%のプロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むエマルジョン;
(II) (a)樹液、(b)樹液の主成分を含む人工樹液及び(c)果糖及び/又はブドウ糖を含む糖溶液からなる群から選択される液。
【0013】
[2] 成分(I)を8容、成分(II)を1容、水を2容の容積比で混合して得られる[1]の印刷用フィルム製造用原料組成物。
[3] アクリレートがn-ブチルアクリレートである、[1]又は[2]の印刷用フィルム製造用原料組成物。
[4] 成分(II)が0.02g/100g〜1g/100gのブドウ糖及び0.02g/100g〜1g/100gの果糖を含む溶液である、[1]〜[3]のいずれかの印刷用フィルム製造用原料組成物。
【0014】
[5] 成分(II)の溶液にブドウ糖及び果糖が同濃度含まれる、[4]の印刷用フィルム製造用原料組成物。
[6] 成分(II)が樹液の主成分を含む人工樹液であって、該人工樹液が0.02g/100g〜1g/100gの果糖、0.02g/100g〜1g/100gのブドウ糖、5mg/L〜100mg/LのCa2+及び1mg/mL〜25mg/mLのMg2+を含む人工樹液である、[1]〜[3]のいずれかの印刷用フィルム製造用原料組成物。
【0015】
[7] さらに、造膜剤及び過疎剤を含む[1]〜[6]のいずれかの印刷用フィルム製造用原料組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかの印刷用フィルム製造用原料組成物を用いて溶液キャスト法によりフィルム上に成型して製造した印刷用フィルム。
[9] 多層構造を有する[8]の印刷用フィルム。
[10] 離型紙上にキャストして製造した離型紙で裏打ちされた[8]又は[9]の印刷用フィルム。
[11] 酢酸ビニルとアクリレートの共重合体ポリマーであって、酢酸ビニルとアクリレートの重量比が75〜85:15〜25である共重合体ポリマーを80Wt%以上含み、さらに酸化エチレン基の平均付加モル数が5〜20であるノニルフェノールEO付加物、造膜剤及び可塑剤を含む印刷用フィルム。
【0016】
[12] 造膜剤が、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートである[11]の印刷用フィルム。
[13] 可塑剤がジエチレングリコールジベンゾエートである[11]又は[12]の印刷用フィルム。
[14] さらに、ポリエチレングリコールを含む[11]〜[13]のいずれかの印刷用フィルム。
[15] インクジェットプリンター印刷用フィルムである、[8]〜[14]のいずれかの印刷用フィルム。
【発明の効果】
【0017】
本発明の印刷用フィルムは、市販のトナー方式プリンターだけでなくインクジェット方式のプリンターにより表面に画像を印刷でき、複雑な形状の3次元物体の表面を印刷フィルム表面の画像を保持しながら被覆でき、柔軟性及び粘着性が向上し、加熱処理した場合でも安定であり物体に貼付した後の強度が向上した印刷用フィルムである。本発明の印刷用フィルムはインクジェットプリンターで自由に画像を印刷し、手工芸用のフィルム、立体物に貼付し、表面を保護し、あるいは装飾する被膜形成フィルムとして用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.本発明のフィルム組成物
本発明の印刷用フィルムは、 酢酸ビニルを含むポリマーを含む成分(I);樹液、果実液、花蜜、蜂蜜及び糖類からなる群より選ばれる一種または二種以上を含む成分(II);並びに水を原料とし、これらの原料を混合して作製する。
【0019】
本発明は、上記成分(I)、(II)及び水を混合して得られる印刷用フィルム製造用原料組成物を包含する。
【0020】
(1)成分(I)
成分(I)は固形分を含むエマルジョンである。固形分は原料成分を真空乾固した場合に残留したものをいう。
【0021】
酢酸ビニルを含むポリマーを含む成分(I)は、固形分量が30〜80Wt%、好ましくは40〜70Wt%、さらに好ましくは45〜60Wt%である。
【0022】
成分(I)の固形分中には、有機化合物として、酢酸ビニルとアクリレートからなる共重合ポリマーが含まれる。
【0023】
酢酸ビニルとアクリレートの重量比は、70〜90:10〜30、好ましくは75〜85:15〜25である。酢酸ビニルとアクリレートからなる共重合ポリマーの固形分中の含有量は、75〜95Wt%、好ましくは85〜95Wt%である。
【0024】
アクリレートとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルブチルアクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート及びトリデシルメタクリレート等が挙げられる。この中でも、ブチルアクリレート(n-ブチルアクリレート)が好ましい。
酢酸ビニルとn-ブチルアクリレートの化学式を以下の化学式Iに示す。
【0025】
【化1】

【0026】
酢酸ビニルの共重合体は、酢酸ビニルモノマーと、それと共重合させるモノマー(コモノマー)を混合して、乳化剤、重合開始剤、触媒、保護安定剤、可塑剤、及び各種添加剤を適宜選択し、混合して、従来公知の方法で乳化重合させることにより容易に得られる。
【0027】
また、成分(I)の固形分中には、界面活性剤として非イオン性界面活性剤が含まれる。非イオン性界面活性剤としては、親水基として酸化エチレン基(-CH2CH2O-)を有する、化学式RO(-CH2CH2O-)nH(Rは、炭化水素基又は水素である親油基、nは酸化エチレン基の平均付加モル数(平均EO付加モル数)を表し、1〜20、好ましくは5〜20である)で表されるエーテル型の非イオン界面活性剤が挙げられる。このようなエーテル型の非イオン性界面活性剤として、例えば、下記の化学式IIで表されるノニルフェノールEO付加物や下記の化学式IIIで表されるポリエチレングリコールが挙げられる。成分Iは、非イオン性界面活性剤として、ノニルフェノールEO付加物のみを含んでいてもよいし、ノニルフェノールEO付加物及びポリエチレングリコールを含んでいてもよい。
【0028】
【化2】

nは、酸化エチレン基の平均付加モル数を表し、1〜20、好ましくは5〜20、特に好ましくは13である。
【0029】
【化3】

nは、酸化エチレン基の平均付加モル数を表し、1〜20、好ましくは5〜20である。
【0030】
成分(I)の固形分中の界面活性剤の総含量は、1〜10Wt%、好ましくは2.5〜7.5Wt%、特に好ましくは約5Wt%である。また、上記化学式IIで表されるノニルフェノールEO付加物の成分(I)の固形分中の含量は、1〜8Wt%、好ましくは2〜4Wt%、特に好ましくは約3Wt%である。界面活性剤としてポリエチレングリコールが含まれる場合、ポリエチレングリコールの総含量は約1〜2Wt%である。
【0031】
成分(I)の固形分中には、さらにプロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物が2〜10Wt%、好ましくは4〜8Wt%含まれていてもよい。
【0032】
成分(I)は、以下に記載の成分(Ia)及び(Ib)を混合して作製してもよい。
成分(Ia)は、酢酸ビニルを含み、固形分量が30〜70Wt%、好ましくは40〜60Wt%、さらに好ましくは45〜55Wt%、特に好ましくは49Wt%である。
【0033】
成分(Ia)の固形分中には、有機化合物として、酢酸ビニルとアクリレートからなる共重合ポリマーが含まれる。
【0034】
酢酸ビニルとアクリレートの重量比は、70〜90:10〜30、好ましくは75〜85:15〜25、特に好ましくは80:20である。酢酸ビニルとアクリレートからなる共重合ポリマーの固形分中の含有量は、75〜95Wt%、好ましくは85〜95Wt%、好ましくは約89Wt%である。
【0035】
アクリレートとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルブチルアクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート及びトリデシルメタクリレート等が挙げられる。この中でも、ブチルアクリレート(n-ブチルアクリレート)が好ましい。
【0036】
酢酸ビニルの共重合体は、酢酸ビニルモノマーと、それと共重合させるモノマー(コモノマー)を混合して、乳化剤、重合開始剤、触媒、保護安定剤、可塑剤、及び各種添加剤を適宜選択し、混合して、従来公知の方法で乳化重合させることにより容易に得られる。
【0037】
また、成分(Ia)の固形分中には、界面活性剤として非イオン性界面活性剤が含まれる。非イオン性界面活性剤としては、親水基として酸化エチレン基(-CH2CH2O-)を有する、化学式RO(-CH2CH2O-)nH(Rは、炭化水素基又は水素である親油基、nは酸化エチレン基の平均付加モル数(平均EO付加モル数)を表し、1〜20、好ましくは5〜20である)で表されるエーテル型の非イオン性界面活性剤が挙げられる。このようなエーテル型の非イオン性界面活性剤として、例えば、下記の化学式IIで表されるノニルフェノールEO付加物や下記の化学式IIIで表されるポリエチレングリコールが挙げられる。成分Iは、非イオン性界面活性剤として、ノニルフェノールEO付加物のみを含んでいてもよいし、ノニルフェノールEO付加物及びポリエチレングリコールを含んでいてもよい。
【0038】
成分(Ia)の固形分中の界面活性剤の総含量は、1〜10Wt%、好ましくは2.5〜7.5Wt%、特に好ましくは約5Wt%である。また、上記化学式IIで表されるノニルフェノールEO付加物の成分(Ia)の固形分中の含量は、1〜8Wt%、好ましくは2〜4Wt%、特に好ましくは約3Wt%である。界面活性剤としてポリエチレングリコールが含まれる場合、ポリエチレングリコールの総含量は約1〜2Wt%である。
【0039】
成分(Ia)の固形分中には、さらにプロピレングリコール及びエチレングリコールが2〜10Wt%、好ましくは4〜8Wt%、特に好ましくは約6Wt%含まれていてもよい。
【0040】
酢酸ビニルを含むポリマーを含む成分(II)は、固形分量が35〜75Wt%、好ましくは45〜65Wt%、さらに好ましくは50〜60Wt%、特に好ましくは54Wt%である。
【0041】
成分(Ib)の固形分中には、有機化合物として、酢酸ビニルとアクリレートからなる共重合ポリマーが含まれる。
【0042】
酢酸ビニルとアクリレートの重量比は、75〜95:5〜25、好ましくは77.5〜87.5:12.5〜22.5、特に好ましくは83:17である。酢酸ビニルとアクリレートからなる共重合ポリマーの固形分中の含有量は、80〜95Wt%、好ましくは85〜95Wt%、好ましくは約91Wt%である。
【0043】
アクリレートとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルブチルアクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート及びトリデシルメタクリレート等が挙げられる。この中でも、ブチルアクリレート(n-ブチルアクリレート)が好ましい。
【0044】
酢酸ビニルの共重合体は、酢酸ビニルモノマーと、それと共重合させるモノマー(コモノマー)を混合して、乳化剤、重合開始剤、触媒、保護安定剤、可塑剤、及び各種添加剤を適宜選択し、混合して、従来公知の方法で乳化重合させることにより容易に得られる。
【0045】
また、成分(Ib)の固形分中には、界面活性剤として非イオン性界面活性剤が含まれる。非イオン性界面活性剤としては、親水基として酸化エチレン基(-CH2CH2O-)を有する、化学式RO(-CH2CH2O-)nH(Rは、炭化水素基又は水素である親油基、nは酸化エチレン基の平均付加モル数(平均EO付加モル数)を表し、1〜20、好ましくは5〜20である)で表されるエーテル型の非イオン界面活性剤が挙げられる。好ましいエーテル型の非イオン性界面活性剤は、ノニルフェノールEO付加物である。
【0046】
成分(Ib)の固形分中の界面活性剤の総含量は、0.5〜5Wt%、好ましくは1〜5Wt%、特に好ましくは1〜2Wt%である。
【0047】
成分(Ib)の固形分中には、さらにプロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びエチレングリコールが2〜10Wt%、好ましくは4〜8Wt%、特に好ましくは約6Wt%含まれていてもよい。
【0048】
本発明の印刷用フィルム製造用原料組成物成分である成分(I)、成分(Ia)及び成分(Ib)は、例えば以下の方法で組成分析することができる。上記成分の試料原液約1gをシャーレに計り取り、50℃、2時間で真空乾固し、固形分量を測定することができる。
【0049】
図1に記載の方法で、上記成分を添加剤成分とポリマー成分とに分離し、添加剤成分については、さらに分取ガスクロマトグラフィーに供し、スペクトル測定を行う方法により組成分析することができる。
【0050】
上記成分の試料原液を水で2倍希釈後、超遠心分離し、上澄み液と沈殿物に分離し、上澄み液を凍結乾固し、可溶分とする。
【0051】
上記成分の試料原液をアセトンで希釈し、GC、GC/MS測定を行うことにより溶媒中の成分を分析することができる。
【0052】
遠心分離で得られた可溶分については、IR、NMR分析を行う。該分析によりエチレングリコール(EG)及びプロピレングリコール(PG)の存在を推定することができ、さらにエステル成分(ポリマー)の吸収を観察することができる。
【0053】
遠心分離可溶分に対してクロロホルム抽出を行い、可溶分と不溶分とに分離し、クロロホルム可溶分についてIR、NMR分析を行う。
【0054】
さらに、クロロホルム可溶分をクロロホルム系GPCにより分取を行う。該分析によりポリマー混合物を分析することができる。
【0055】
(2)成分(II)
「樹液」とは、植物体の液体成分をいい、松、白樺、楓、メイプル、砂糖キビ、甜菜の樹液が好ましい。これらの植物体から得られる樹液を単独で用いることもできるし、二種以上を混合したものを用いることもできる。樹液は、植物体表面から自然に流出してくるものを用いることもできるし、植物体から種々の方法で抽出したものを用いることもできる。例えば、白樺等の樹の表面に傷をつけて樹液を漏出させたものを用いることができ、また白樺等の幹に適当な太さのチューブを差込み、植物体内を流れる液体を採集して用いることもできる。また、このようにして得られた樹液を例えばフィルター処理して固形成分等を除去して用いてもよい。樹液の成分の一部が含まれている限り本発明の「樹液」に含まれる。例えば、市販の白樺樹液を用いてもよい。白樺樹液の成分として、果糖、ブドウ糖、アミノ酸、リンゴ酸、多糖類(キレラン)、配糖類(シリンガレジノール)およびその他ミネラル類が例示できる。白樺樹液の組成は、採取時期、採取場所により変動がある。
樹液の代わりに樹液の主成分を含む人工樹液を用いることもできる。
【0056】
例えば、白樺樹液は、単糖類として比較的多量の果糖、ブドウ糖、少量のアラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトースを含み、二糖類として少量のショ糖、麦芽糖、乳糖を含み、糖アルコールとして少量のキシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトールを含む。これらのうち、果糖、ブドウ糖は0.02g/100g〜1g/100g含まれ、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトース、ショ糖、麦芽糖、乳糖、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトールは、0.02g/100g未満含まれる。さらに、Ca2+(5mg/L〜150mg/L)、Mg2+(1mg/L〜30mg/L)、K+(50mg/L〜250mg/L)、Na+(0.1mg/L〜10mg/L)等の陽イオン、SO42-(2mg/L〜200mg/L)、NO3-(0mg/L〜30mg/L)、Cl-(0.5mg/L〜10mg/L)、P-(10mg/L〜150mg/L)、HCO3-(0mg/L〜1000mg/L)等の陰イオンを含む。かっこ内は、それぞれのイオンの含有濃度を示す。
【0057】
前記人工樹液は、少なくとも0.02g/100g〜1g/100g、好ましくは0.2g/100g〜0.6g/100gの果糖及び0.02g/100g〜1g/100g、好ましくは0.1g/100g〜0.5g/100gのブドウ糖を含む。さらに、陽イオンとして5mg/L〜150mg/L、好ましくは5mg/L〜100mg/LのCa2+及び/又は1mg/L〜30mg/L、好ましくは1mg/mL〜25mg/mLのMg2+を含んでいてもよい。さらに、Ca2+、Mg2+に加えて50mg/L〜250mg/LのK+及び/又は0.1mg/L〜10mg/LのNa+を含んでいてもよい。
【0058】
上記の樹液は水分を含んでおり(例えば、白樺樹液は約90〜約95%の水分を含んでおり、最終的に本発明の素材組成物に含ませるべき水分含量に応じて、適宜水で希釈することができるし、また濃縮して水分含量を低下させてもよい。白樺樹液のpHは弱酸性から弱アルカリ性、例えばpH5〜pH9、好ましくはpH5〜8、さらに好ましくはpH5.5〜7である。
【0059】
「糖類溶液」とは、単糖、二糖、多糖を含み、例えば果糖、ブドウ糖、ショ糖、キトサン、キチン、マンナン、グアーガム、キシリトールが例示される。これらの糖を単独で用いることもできるし、二種以上を混合したものを用いることもできる。好ましくは、果糖及びブドウ糖が含まれ、さらに好ましくは果糖及びブドウ糖のみが含まれる。また、果糖又はブドウ糖のいずれかが含まれていてもよい。本発明の「糖類溶液」に含まれる果糖濃度は0.02g/100g〜1g/100g、好ましくは0.2g/100g〜0.6g/100gであり、ブドウ糖濃度は0.02g/100g〜1g/100g、好ましくは0.1g/100g〜0.5g/100gである。好ましくはブドウ糖と果糖が同濃度で含まれるブドウ糖と果糖の溶液であり、さらに好ましくはブドウ糖と果糖がそれぞれ0.5g/100gの濃度で含まれる溶液である。「糖類溶液」のpHは弱酸性から弱アルカリ性、例えばpH5〜pH9、好ましくはpH5〜8、さらに好ましくはpH5.5〜7である。
【0060】
本発明の印刷用フィルム製造用原料組成物は、成分(I)を3〜8容、成分(II)を0.5〜2容及び水を1〜3容混合して用いる。好ましくは、成分(I)を8容、成分(II)を1容、水を2容混合して用いる。
【0061】
成分(I)を上記の成分(Ia)及び(Ib)を混合することにより作製する場合、本発明の印刷用フィルム製造用原料組成物は、成分(Ia)を0〜3容、成分(Ib)を5〜8容、成分(II)を0.5〜2容及び水を1〜3容混合して用いる。例えば、以下の1.〜4.に示す容積比で混合すればよい。
【0062】
成分(Ia):成分(Ib):成分(II): 水
1. 3 :5 :1 :2
2. 2 :6 :1 :2
3. 1 :7 :1 :2
4. 0 :8 :1 :2
【0063】
この中でも1.の容積比が好ましい。
水は、精製水又は水道水を用いることができる。
【0064】
本発明の印刷用フィルム製造用原料組成物には、各種の添加剤を加えてもよい。添加剤として、例えば、造膜助剤、可塑剤、消泡剤、酸化防止剤、電荷調整剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、防臭剤、香料、pH調整剤等が挙げられる。
【0065】
造膜助剤としては、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ベンジルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2−エチルヘキサノエートイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール ジ2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルグリコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。この中でも、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートが好ましい。造膜助剤の含有量は、印刷用フィルム原料組成物に対して、0.1〜10Wt%、好ましくは0.1〜5Wt%である。
【0066】
可塑剤としてはジ−n−ブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジオクチルアジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−n−ヘキシルアゼレート、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート等のアゼライン酸誘導体;ジ−n−ブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート等のセバシン酸誘導体;ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ−n−ブチルマレエート、ジ(2−エチルヘキシル)マレエート等のマレイン酸誘導体;ジ−n−ブチルフマレート、ジ(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸誘導体;トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート等のトリメリット酸誘導体;テトラ(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテート等のピロメリット酸誘導体;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリ(2−エチルヘキシル)シトレート等のクエン酸誘導体;モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ(2−エチルヘキシル)イタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエート等のオレイン酸誘導体;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート等のリシノール誘導体;n−ブチルステアレート、グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレート等のステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジノナノエート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等のその他の脂肪酸誘導体;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルデシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等のリン酸誘導体;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチルグリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、トリプロピレングリコールジベンゾエート、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体;エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアレート、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシル等のエポキシ誘導体;等が挙げられる。この中でも、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチルグリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、トリプロピレングリコールジベンゾエート、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体が好ましい。可塑剤の配合量は、印刷用フィルム原料組成物に対して、0.5〜5Wt%、好ましくは1〜4Wt%である。
【0067】
消泡剤としては、変性シリコーン系消泡剤、特殊シリコーン系消泡剤、シリコーン系消泡剤、シリカ系消泡剤、シリカシリコーン系消泡剤、疎水性シリカ、疎水性シリコーン、ワックス、特殊ワックス、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0068】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリチル酸系のもの等が挙げられる。ベンゾフェノン系としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられ、ベンゾトリアゾール系としては2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられ、サリチル酸系としてはp−t−ブチルフェニルサリシレート等が挙げられる。紫外線吸収剤の添加量は限定されないが、インク全量に対して0.05〜0.5重量%とするのが望ましい。
【0069】
抗菌剤としては、有機系抗菌剤、無機系抗菌剤および天然抗菌剤等が挙げられる。有機系抗菌剤としては、トリクロサン、クロルヘキジジン、ジンクピリチオン、クロルキシレノール等が挙げられ、無機系抗菌剤としては、銀ゼオライト系、抗菌ガラス、リン酸ジルコニウム銀系、銀錯体系等が挙げられ、天然抗菌剤としては、キトサン、カテキン、ヒノキチオール等が挙げられる。
【0070】
本発明は、印刷用フィルムを包含する。該印刷用フィルムは、上記印刷用フィルム原料組成物をフィルム状に成型することにより得られる。
【0071】
該印刷用フィルムのポリスチレン分子量基準の相対値で示す平均分子量は以下のとおりである。また、分子量は約100〜約700万の範囲にわたって分布する。
数平均分子量(Mm) 10000〜15000、好ましくは11500〜12500、特に好ましくは12200
重量平均分子量(Mw) 250000〜400000、好ましくは320000〜350000、特に好ましくは332000
z平均分子量(Mz) 1000000〜2000000、好ましくは1200000〜1600000、特に好ましくは14000000
多分散度(Mw/Mn) 20〜35、好ましくは25〜30、特に好ましくは27.2
多分散度(Mz/Mw) 2〜6、好ましくは4〜4.5、特に好ましくは4.22
【0072】
上記の分子量の測定は、GPC(Gel Permiation Chromatography)法により行うことができる。GPC法は、分子サイズの差に基づいて分離を行う液体クロマトグラフィーであり、高分子物質の分子量分布、及び平均分子量分布を測定する方法である。高分子鎖が希薄溶液中でとっている大きさ(Hydrodynamic Volume)と同程度の大きさの細孔を有する粒状ゲルを充填したカラムに試料溶液を注入すると、分子量の大きい分子、すなわち、溶液中における分子サイズの大きい分子は、ゲル表面の細孔への浸透(Permeation)が少なく、分子量の小さい分子よりも速くカラム中を移動して溶出する。
【0073】
本発明の印刷用フィルムは主に酢酸ビニルとアクリレートからなる共重合ポリマーを含む。酢酸ビニルとアクリレートの重量比は、70〜90:10〜30、好ましくは75〜85:15〜25、特に好ましくは83:17である。
【0074】
アクリレートとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルブチルアクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート及びトリデシルメタクリレート等が挙げられる。この中でも、ブチルアクリレート(n-ブチルアクリレート)が好ましい。
【0075】
印刷用フィルム中の酢酸ビニルとアクリレートの含有量は、80Wt%以上、好ましくは90Wt%以上、さらに好ましくは95Wt%以上、特に好ましくは約97Wt%である。
【0076】
本発明の印刷用フィルムは、さらに造膜剤として、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ベンジルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2−エチルヘキサノエートイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール ジ2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルグリコール、又はプロピレングリコールモノブチルエーテルを含む。この中でも、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートが好ましい。
【0077】
本発明の印刷用フィルムは、さらに可塑剤として、ジ−n−ブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジオクチルアジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−n−ヘキシルアゼレート、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート等のアゼライン酸誘導体;ジ−n−ブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート等のセバシン酸誘導体;ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ−n−ブチルマレエート、ジ(2−エチルヘキシル)マレエート等のマレイン酸誘導体;ジ−n−ブチルフマレート、ジ(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸誘導体;トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート等のトリメリット酸誘導体;テトラ(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテート等のピロメリット酸誘導体;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリ(2−エチルヘキシル)シトレート等のクエン酸誘導体;モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ(2−エチルヘキシル)イタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエート等のオレイン酸誘導体;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート等のリシノール誘導体;n−ブチルステアレート、グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレート等のステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジノナノエート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等のその他の脂肪酸誘導体;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルデシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等のリン酸誘導体;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチルグリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、トリプロピレングリコールジベンゾエート、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体;並びにエポキシ化大豆油、エポキシブチルステアレート、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシル等のエポキシ誘導体からなる群から選択される可塑剤を有する。この中でも、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチルグリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、トリプロピレングリコールジベンゾエート、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体が好ましく、さらに、ジエチレングリコールジベンゾエートが好ましい。
【0078】
印刷用フィルム中の上記造膜剤及び可塑剤の含量は、5Wt%以下、好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。
【0079】
本発明の印刷用フィルムは、さらに界面活性剤として、非イオン性界面活性剤が含まれる。非イオン性界面活性剤としては、親水基として酸化エチレン基(-CH2CH2O-)を有する、化学式RO(-CH2CH2O-)nH(Rは、炭化水素基又は水素である親油基、nは酸化エチレン基の平均付加モル数(平均EO付加モル数)を表し、1〜20、好ましくは5〜20である)で表されるエーテル型の非イオン界面活性剤が挙げられる。このようなエーテル型の非イオン性界面活性剤として、例えば、下記の化学式IIで表されるノニルフェノールEO付加物や下記の化学式IIIで表されるポリエチレングリコールが挙げられる。成分Iは、非イオン性界面活性剤として、ノニルフェノールEO付加物のみを含んでいてもよいし、ノニルフェノールEO付加物及びポリエチレングリコールを含んでいてもよい。
【0080】
【化4】

nは、酸化エチレン基の平均付加モル数を表し、1〜20、好ましくは5〜20、特に好ましくは13である。
【0081】
【化5】

nは、酸化エチレン基の平均付加モル数を表し、1〜20、好ましくは5〜20である。
【0082】
印刷用フィルム中の上記界面活性剤の含量は、5Wt%以下、好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。
【0083】
本発明の印刷用フィルムのフィルム形成方法としては、公知の方法を採用することができる。すなわち液状の印刷用フィルム原液組成物を支持シート上に一定の厚みでキャストし、溶剤を乾燥させることで成膜し作製することができる(溶液キャスト法)。この場合、例えばキャストを行い、乾燥させさらにキャストを行なってもよく、キャストを2〜10回、好ましくは3〜5回繰り返す。キャストの方法は限定されないが、例えば刷毛等で支持シート状に塗ればよい。刷毛等で塗る場合であって、複数回のキャストを繰り返す場合、塗る方向を一回ごとに約90度ずらしてもよい。
【0084】
また、本発明の印刷用フィルム原液組成物を、Tダイ等で一定厚みにて押し出し成膜し作製することができる(押出キャスト法、インフレーション法)。
【0085】
本発明の印刷用フィルムは、1層でもよいし、多層構造を有していてもよい。多層構造は、本発明の薄い印刷用フィルムを層状に重ねて作製する。多層構造をとる場合、層数は2〜5層、好ましくは3層である。多層構造のフィルムを作製する場合、順次各層を形成させ多層構造としてもよく、また各層を個別に形成し、その後積層して多層構造にしてもよい。この場合の積層は、例えば熱ラミネーションや、接着剤を使用する方法により行うことができる。
【0086】
本発明の印刷用フィルムの厚さは、1層の場合、5〜100μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは5〜20μmである。多層構造とする場合、トータルの厚さは1層の厚さ×層数となる。
【0087】
A4サイズの支持シート上に本発明の印刷用フィルムを3層で形成する場合、10〜30、好ましくは15〜25mlの液状の印刷用フィルム原液組成物を用いればよい。
【0088】
本発明のフィルムの作製の際に用いられる前記支持シートとしては公知の離型フィルム、離型紙、汎用フィルム等が挙げられ、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフルオロエチレン等の樹脂性シート、紙、布、金属シート等が挙げられる。紙製のシートを用いる場合、上質紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、グラシン紙等を用いればよい。また、これらの必要に応じてこれらシートを貼り合わせて用いてもよい。さらに、表面にシリコーン樹脂等の離型性能を有する剥離処理剤を塗工する等により表面処理してもよい。
【0089】
また、本発明の印刷用フィルムは、金属製円筒型回転体を用いたドラムキャスト法で作製することもできる。
【0090】
印刷用フィルムの乾燥は、自然乾燥でもよいが、熱風循環炉または遠赤外線炉等を通す等の公知の乾燥方法により行ってもよい。
【0091】
また、印刷用フィルムの作製は、未延伸で行なってもよいし、一軸延伸、二軸延伸で行なってもよい。
【0092】
本発明の印刷用フィルムは、インクジェット印刷、トナー方式印刷いずれの方法によっても印刷することが可能である。印刷の際、本発明の印刷用フィルム上に小麦粉、でんぷん、タルク等の粉末を塗布してもよい。
【0093】
本発明の印刷用フィルムは、画像を印刷した場合であっても、インクが強くフィルム表面に付着し、表面をこすってもインクがはがれることがない。
【0094】
また、本発明の印刷用フィルムは、柔軟性に富み、均一に伸ばすことができる。この特性を有するので、複雑な形状を有する3次元物体の上に貼付することができる。この際、均一に伸ばすことができるので、表面に印刷した画像の形が変化することがなく、印刷時の画像の形状等を保持したまま物体の上に貼付することができる。例えば、画像を印刷した本発明のフィルムを縦方向及び横方向に伸ばした場合、画像はその形を崩すことなく、相似形を保ったまま伸ばすことができる。
【0095】
また、物体への粘着性がある程度あり、物体に容易に貼付することができる。その一方で、物体に強固に粘着することはなく、たとえば、一旦物体に貼付した後も容易にはがすことができる。
【0096】
さらに、本発明の印刷用フィルムの引張り強度は、例えばJIS K7127に準拠した方法で降伏点強度、最大点強度、破断強度、破談時伸びを計測することにより行うことができる。
【0097】
本発明の印刷用フィルムは、手工芸用の転写フィルムや立体物に対する皮膜形成フィルムとして用いることができる。本発明の印刷用フィルムにプリンターにより画像を印刷し、立体物の形に適合するように画像が印刷された印刷用フィルムを伸ばし、立体物上に貼付すればよい。例えば、アンモナイトの立体形状を有する立体物を作製しておき、本発明の印刷用フィルムにアンモナイトの写真画像を印刷する。アンモナイトの立体形状を有する立体物に印刷用フィルムが隙間なく密着するように適宜印刷用フィルムを伸ばしながら貼付することにより、アンモナイトの形状、色、模様等が再現されたアンモナイトのレプリカを作製することができる。
【実施例】
【0098】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0099】
実施例1 本発明の印刷用フィルムの作製
固形分量が50Wt%であって、固形分中に酢酸ビニルとアクリレートからなる共重合ポリマーが含まれ、酢酸ビニルとアクリレートの重量比が82:18であり、酢酸ビニルとアクリレートからなる共重合ポリマーの固形分中の含有量が90Wt%であり、固形分中に界面活性剤として約5Wt%のノニルフェノールEO付加物及び1〜2Wt%のポリエチレングリコールを含む、酢酸ビニルを含むポリマーである成分と白樺樹液と水を8:1:2の容積比で混合した。白樺樹液は、4月の白樺の若葉が芽吹く前に、幹に穴を空けその穴にパイプを取り付けて採取した。
【0100】
該混合組成物を離型フィルム(folk art社製、型番:folk art painting f4)上に刷毛で2回重ねて塗布し、厚さ約50μmの膜を形成し、該膜を乾燥させて、印刷用フィルムを作製した。
【0101】
実施例2 印刷用フィルムを用いた印刷評価
市販のインクジェットプリンターを用いて実施例1で作製した印刷用フィルムを用いて印刷を行った。
【0102】
用いたインクジェットプリンターは、ブラザーMFC-3420JN、キヤノンPIXUS MP710、HP PSC2550、EPSON PM-A850、EPSON PM-A850、Lexmark X5270、Richo G505、XEROX 1152Jであり、純正のカラーインクを用いて印刷を行った。
【0103】
いずれのインクジェットプリンターを用いた場合も、鮮明な印刷物が得られた。自然乾燥させた場合、インクは2〜数日で完全に乾燥した。また、乾燥機を用いた場合、50〜60℃で約30分間〜1時間で乾燥した。
【0104】
図2に離型紙上に形成させた印刷用フィルムの写真を、図3に画像を印刷した印刷用フィルムの写真を示す。
【0105】
実施例3 印刷用フィルムの組成分析
図4に記載の方法で印刷用フィルムを処理し、その組成を分析した。
印刷用フィルムをヘキサンに入れ、ヘキサン抽出物を得て、該ヘキサン抽出物(ヘキサン可溶物)をクロロホルム系GPCにより分離を行った。
各フラクション(フラクション1〜5)について、IR,NMRスペクトル分析を行った。
【0106】
フラクション1 27.1%
IR,NMRスペクトルよりポリマーの酢酸ビニル(VAc)/n-ブチルアクリレート(n-BA)を推定した。1H-NMRスペクトルの積分値より量比を求め、下記の結果を得た。
VAc 86×15/H
n-BA 128×8/2H
VAc/n-BA=72/28(Wt比)
【0107】
フラクション2 12.2%
IR,NMRスペクトルよりポリマーの酢酸ビニル(VAc)/n-ブチルアクリレート(n-BA)共重合ポリマーを主成分とし、その他に少量のポリエチレングリコールの存在を推定した。
【0108】
フラクション3 26.8%
IR,NMRスペクトルより界面活性剤のノニルフェノールEO付加物を推定した。
【0109】
フラクション4及び5 34.0%
IR,NMRスペクトルより造膜剤の2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレートおよびジエチレングリコールジベンゾエートの混合物を推定した。
【0110】
次いで、ヘキサン不溶物の分析を行った。
IR,NMR分析
ヘキサン不溶分のIR,NMRスペクトルはポリマーの酢酸ビニル(VAc)/n-ブチルアクリレート(n-BA)共重合ポリマーを推定した。1H-NMRスペクトルの積分値より量比を求め、下記の結果を得た。
【0111】
VAc 86×3.7812/H
n-BA 128×1,000/2H
VAc/n-BA=83/17(Wt比)
【0112】
熱分解GC/MS分析
ヘキサン不溶分の熱分解GC/MS測定より、上記の共重合から分解した酢酸およびn-ブチルアクリレートが同定された。
【0113】
印刷用フィルムをクロロホルムに入れ、クロロホルム抽出物を得て、該クロロホルム抽出物(クロロホルム可溶物)についてIR,NMR分析を行った。
【0114】
クロロホルム抽出物のIR,NMRスペクトルはヘキサン不溶分のスペクトルとほぼ同一であった。1H-NMRスペクトルの積分値より量比を求め、下記の結果を得た。
【0115】
VAc 86×18/H
n-BA 128×5/2H
VAc/n-BA=83/17(Wt比)
【0116】
さらに、クロロホルム不溶分の分析を行った。
IR,NMR分析
クロロホルム不溶分のIRスペクトルはヘキサン不溶分のスペクトルとほぼ同一であった。
【0117】
熱分解GC/MS分析
クロロホルム不溶分の熱分解GC/MS測定より、上記の共重合ポリマーから分解した酢酸およびn-ブチルアクリレートが同定された。また少量ではあるがスチレンが検出されたが、これも酢酸ビニルユニットより生成したと考えられた。
最終的に、印刷用フィルムの組成について、下記の結果を得た。
【0118】
造膜剤
2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート
【化6】

【0119】
ジエチレングリコールジベンゾエート
【化7】

【0120】
ヘキサン可溶分量=2.8%
GPC分取Fr-4,5の比率=34%
造膜剤=2.8×0.34=0.95%
【0121】
界面活性剤
ポリエチレングリコール(PEG)
HO(CH2CH2O)nH
【0122】
ヘキサン可溶分量=2.8%
GPC分取Fr-3の比率=26.8%
海面活性剤=2.8×0.268=0.75%
【0123】
ポリマー成分
溶媒可溶ポリマー
酢酸ビニル(VAc)とn-ブチルアクリレート(n-BA)からなる共重合ポリマー
(VAc)/(n-BA)=83/17(Wt比)
ヘキサン不溶分量の比率=65.7%
クロロホルム可溶分量の比率=5.8%
含有量=65.7+5.8=71.3%
【0124】
溶媒不溶ポリマー
酢酸ビニル(VAc)とn-ブチルアクリレート(n-BA)からなる共重合ポリマー
(VAc)/(n-BA)=83/17(Wt比)
クロロホルム不溶分量の比率=25.8%
含有量=25.8%
【0125】
実施例4 印刷用フィルムの分子量分析
GPC法により分子量分析を行った。この際、単分散ジポリスチレンを検体と同じ条件で測定し、ポリスチレン分子量基準で校正した。
【0126】
分子量の分析条件は以下のとおりであった。
装置:ゲル浸透クロマトグラフ、GPC(L2)(Waters)
検出器:示差屈折率検出器 RI(B020型、感度32×)(東ソー)
カラム:TSKgel α-M(2本)(S/N W0038,W0039,φ7.8mm×30cm)(東ソー)
溶媒:N.N-ジメチルホルムアミド(0.05M-LiBr添加、S/N B180)(林純薬工業)
流速:0.8 mL/min
温度:23℃
試料:溶解 加熱攪拌(約80℃〜90℃、20分)
濃度 0.202 w/v%
溶解性 良好(目視)
濾過 メンブレンフィルター(H-25-5、孔径0.45μm)(東ソー)
注入量:0.200mL
分子量校正:単分散ポリスチレン(東ソー)
データ処理:GPCデータ処理システム(TRC)
【0127】
平均分子量の定義を以下に示す。ここでMiは、分子量校正曲線を介して得られたGPC曲線の各溶出位置の分子量、Niは分子量である。多分散度Mw/Mnは低分子量側、Mz/Mwは高分子側への広がりの指標となる。
【0128】
数平均分子量(Mn) Mn=Σ(Ni・Mi)/ΣNi
重量平均分子量(Mw) Mw=Σ(Ni・Mi2)/Σ(Ni・Mi)
Z平均分子量(Mz) Mw=Σ(Ni・Mi3)/Σ(Ni・Mi2)
多分散度 Mw/Mn
多分散度 Mz/Mw
表1および図5に平均分子量および分子量分布図を示す。
【0129】
【表1】

【0130】
表1及び図5に示すように、試料の分子量は.約100から約700万の範囲にわたって分布し、ブロードな分布形状を有している。重量平均分子量(Mw)は、3.32×105であった。
【0131】
実施例5 印刷用フィルムの引張り強度試験
実施例1で作製した印刷用フィルムについてJIS K7127準拠の方法により引張試験を行なった。測定した項目は降伏点強度、破断強度及び破断時伸びであった。
【0132】
試験片形状はJIS K7127に記載の試験片タイプ5であった。試験にはオートグラフ万能試験機 AG-5000C(島津製作所)を用い、引張速度は50mm/min.、つかみ具間距離は80mmであった。
図6に結果を示す。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明の印刷用フィルムに画像を印刷した場合、インクが強くフィルム表面に付着し、表面をこすってもインクがはがれることがない。また、本発明の印刷用フィルムは、柔軟性に富み、均一に伸ばすことができる。この特性を有するので、複雑な形状を有する3次元物体の上に貼付することができる。このような利点から、本発明の印刷用フィルムは、工芸品、美術品、標本レプリカ等の種々の物品の製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】印刷用フィルム原液組成物の組成分析方法の工程を示す図である。
【図2】離型紙上に形成させた印刷用フィルムを示す図である。
【図3】画像を印刷した印刷用フィルムを示す図である。
【図4】印刷用フィルムの組成分析方法の工程を示す図である。
【図5】本発明の印刷用フィルムの分子量分布を示す図である。
【図6】本発明の印刷用フィルムの引張り強度試験の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(I)、成分(II)及び水を混合して得られる印刷用フィルム製造用原料組成物であって、成分(I)を3〜8容、成分(II)を0.5〜2容、水を1〜3容であり、合計11容の容積比で混合して得られる印刷用フィルム製造用原料組成物:
(I)真空乾固させた際の固形分量が45〜60Wt%のエマルジョンであって、
固形分中に、
酢酸ビニルとアクリレートの共重合体ポリマーであって、酢酸ビニルとアクリレートの重量比が70〜90:10〜30である共重合体ポリマーを85〜95Wt%含み、
界面活性剤として、酸化エチレン基の平均付加モル数が5〜20であるノニルフェノールEO付加物及びポリエチレングリコールを1〜7.5Wt%含み、
さらに4〜8Wt%のプロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むエマルジョン;
(II) (a)樹液、(b)樹液の主成分を含む人工樹液及び(c)果糖及び/又はブドウ糖を含む糖溶液からなる群から選択される液。
【請求項2】
成分(I)を8容、成分(II)を1容、水を2容の容積比で混合して得られる請求項1記載の印刷用フィルム製造用原料組成物。
【請求項3】
アクリレートがn-ブチルアクリレートである、請求項1又は2に記載の印刷用フィルム製造用原料組成物。
【請求項4】
成分(II)が0.02g/100g〜1g/100gのブドウ糖及び0.02g/100g〜1g/100gの果糖を含む溶液である、請求項1〜3に記載の印刷用フィルム製造用原料組成物。
【請求項5】
成分(II)の溶液にブドウ糖及び果糖が同濃度含まれる、請求項4記載の印刷用フィルム製造用原料組成物。
【請求項6】
成分(II)が樹液の主成分を含む人工樹液であって、該人工樹液が0.02g/100g〜1g/100gの果糖、0.02g/100g〜1g/100gのブドウ糖、5mg/L〜100mg/LのCa2+及び1mg/mL〜25mg/mLのMg2+を含む人工樹液である、請求項1〜3に記載の印刷用フィルム製造用原料組成物。
【請求項7】
さらに、造膜剤及び過疎剤を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷用フィルム製造用原料組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷用フィルム製造用原料組成物を用いて溶液キャスト法によりフィルム上に成型して製造した印刷用フィルム。
【請求項9】
多層構造を有する請求項8記載の印刷用フィルム。
【請求項10】
離型紙上にキャストして製造した離型紙で裏打ちされた請求項8又は9に記載の印刷用フィルム。
【請求項11】
酢酸ビニルとアクリレートの共重合体ポリマーであって、酢酸ビニルとアクリレートの重量比が75〜85:15〜25である共重合体ポリマーを80Wt%以上含み、さらに酸化エチレン基の平均付加モル数が5〜20であるノニルフェノールEO付加物、造膜剤及び可塑剤を含む印刷用フィルム。
【請求項12】
造膜剤が、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートである請求項11記載の印刷用フィルム。
【請求項13】
可塑剤がジエチレングリコールジベンゾエートである請求項11又は12に記載の印刷用フィルム。
【請求項14】
さらに、ポリエチレングリコールを含む請求項11〜13のいずれか1項に記載の印刷用フィルム。
【請求項15】
インクジェットプリンター印刷用フィルムである、請求項8〜14のいずれか1項に記載の印刷用フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−298003(P2009−298003A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154477(P2008−154477)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】