説明

新規合成物

新規な置換ベンズアミド系阻害剤、治療におけるそれらの使用、該化合物を含む医薬組成物、薬剤の製造における該化合物の使用、該化合物の投与を含む治療的方法が記載される。本化合物は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11βHSD1)の活性を調節し、したがって、このような調節が有益である疾患、例えば、メタボリックシンドロームの治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な置換ベンズアミド系阻害剤、治療におけるそれらの使用、化合物を含む医薬組成物、薬剤の製造における前記化合物の使用、および前記化合物の投与を含む治療方法に関する。本合成物は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11βHSD1)の活性を調節し、したがって、このような調節が有益である疾患、例えば、メタボリックシンドロームの治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
メタボリックシンドロームは世界的に主な健康問題である。米国では現在、成人人口における有病率が約25%と見積もられており、米国でも世界規模でも増加し続けている。代謝症候群はインスリン抵抗性、脂質異常症、肥満及び高血圧の併発を特徴とし、結果として心臓血管疾患による罹病率及び死亡率を上昇させている。代謝症候群の患者では、顕性(frank)2型糖尿病を発症する危険性が上昇し、その有病率も同様に高まる。
【0003】
2型糖尿病では肥満及び脂質異常症の保有率も極めて高く、2型糖尿病患者の約70%が更に高血圧を患っており、これもまた心臓血管疾患の死亡率を上昇させる原因となっている。
【0004】
臨床設定では、代謝症候群及び2型糖尿病の主な特徴が、いずれもグルココルチコイドによって誘発されることが、以前から知られている。
【0005】
11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11βHSD1)は、幾つかの組織及び器官において、活性なグルココルチコイドの局所的な生成を触媒する。その大部分は肝臓及び脂肪組織であるが、骨格筋、骨、膵臓、内皮、眼組織、及び中枢神経系の一部等も含まれる。すなわち、11βHSD1は、グルココルチコイドが発現される組織及び器官において、グルココルチコイド作用の局所制御因子として機能する(Tannin et al.,J.Biol.Chem.,266,16653(1991);Bujalska et al.,Endocrinology,140,3188(1999);Whorwood et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.,86,2296(2001);Cooper et al.,Bone,27,375(2000);Davani et al.,J.Biol.Chem.,275,34841(2000);Brem et al.,Hypertensions,31,459(1998);Rauz et al.,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.,42,2037(2001);Moisan et al.,Endocrinology,127,1450(1990))。
【0006】
代謝症候群及び2型糖尿病における11βHSD1の役割は、幾つかの証拠によって指示されている。ヒトでは、非特異的11βHSD1阻害剤であるカルベノキソロンでの処置により、痩せ型の健全志願者及び2型糖尿病患者の双方でインスリン感受性が改善された。同様に、11βHSD1ノックアウトマウスは、肥満及びストレスにより誘発されるインスリン抵抗性に対して耐性を有する。更に、このノックアウトマウスは、VLDLトリグリセリドが減少し、HDL−コレステロールが上昇した、抗動脈硬化性の脂質プロフィールを示す。逆に、含脂肪細胞で11βHSD1を過剰発現するマウスは、インスリン抵抗性、脂質異常症及び内臓型肥満を発症し、ヒト代謝症候群と似た表現型を示す(Andrews et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.,88,285(2003);Walker et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.,80,3155(1995);Morton et al.,J.Biol.Chem.276,41293(2001);Kotelevtsev et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,14924(1997);Masuzaki et al.,Science,294,2166(2001))。
【0007】
11βHSD1調節のより作用機序的な側面と、それによる活性グルココルチコイドの細胞内レベルの調節が、幾つかのげっ歯類モデルや様々な細胞系において検討されてきた。11βHSD1は、糖新生における律速酵素(即ちホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ及びグルコース−6−ホスファターゼ)の肝発現を増加させ、前脂肪細胞から脂肪細胞への分化を促進して肥満を誘発し、直接又は間接的に肝臓VLDL分泌を刺激し、肝臓LDL取り込みを減少させ、血管収縮性を増加させることにより、代謝症候群の特徴を促進する(Kotelevtsev et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,14924(1997);Morton et al.,J.Biol.Chem.276,41293(2001);Bujalska et al.,Endocrinology,140,3188(1999);Souness et al.,Steroids,67,195(2002);Brindley & Salter,Prog.Lipid Res.,30,349(1991))。
【0008】
WO01/90090、WO01/90091、WO01/90092、WO01/90093及びWO01/90094は、種々のチアゾール−スルホンアミドを、ヒト11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素の阻害剤として開示し、更に、前記化合物が糖尿病、肥満、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、免疫障害、及び抑鬱の処置に有用である可能性を指摘している。WO04/089470は、種々の置換アミドを、ヒト11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素の調節剤として開示し、更にそれらの化合物が、活性グルココルチコイドの細胞内濃度を低下させることが望まれる医学的障害の処置に有用である可能性を指摘している。WO2004/089415及びWO2004/089416は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型阻害剤を、それぞれグルココルチコイド受容体アゴニスト又は抗高血圧剤との組み合わせで用いた、種々の併用療法を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者等は、11βHSD1の活性を調節することにより、活性グルココルチコイドの細胞内濃度を改変し得る、新規な置換ベンズアミド系阻害剤を見出した。より具体的には、本化合物は11βHSD1の活性を阻害することにより、活性グルココルチコイドの細胞内濃度を低減する。すなわち、本化合物は、活性細胞内グルココルチコイドの濃度低減が望まれる障害の処置に使用できる。かかる障害としては、例えば、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時糖能異常(IFG)、脂質異常症、肥満、高血圧、糖尿病後期合併症、心臓血管疾患、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、筋疾患、筋肉疲労、骨粗鬆症、神経変性及び精神系障害、並びにグルココルチコイド受容体アゴニストによる処置又は治療の副作用が挙げられる。
【0010】
本発明の目的は、11βHSD1の活性を調節する化合物、医薬組成物、及び前記化合物の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
定義
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0012】
用語「ヒドロキシ」は、基−OHを意味するものとする。
【0013】
用語「カルボキシ」は、基−(C=O)OHを意味するものとする。
【0014】
用語「シアノ」は、基−CNを意味するものとする。
【0015】
用語「C1−C6アルキル」とは、本明細書中で使用するとき、1〜6個の炭素原子を有する飽和の分岐鎖又は直鎖状の炭化水素基、例えばC1-2−アルキル、C1-3−アルキル、C1-4−アルキル、C1-6−アルキル、C2-6−アルキル、C3-6−アルキル等を表わす。代表例としては、メチル、エチル、プロピル(例えばプロパ−1−イル、プロパ−2−イル(又はイソ−プロピル))、ブチル(例えば2−メチルプロパ−2−イル(又はtert−ブチル)、ブタ−1−イル、ブタ−2−イル)、ペンチル(例えばペンタ−1−イル、ペンタ−2−イル、ペンタ−3−イル)、2−メチルブタ−1−イル、3−メチルブタ−1−イル、ヘキシル(例えばヘキサ−1−イル)等が挙げられる。本明細書で使用される用語「C1-6−アルキル」は、1から4の炭素原子を有する飽和の分岐鎖又は直鎖状の炭化水素基、例えばC1-2−アルキル、C1-3−アルキル、C1-4−アルキル、C1-6−アルキル等を表わす。代表例としては、メチル、エチル、プロピル(例えばプロパ−1−イル、プロパ−2−イル(又はイソ−プロピル))、ブチル(例えば2−メチルプロパ−2−イル(又はtert−ブチル)、ブタ−1−イル、ブタ−2−イル)等が挙げられる。
【0016】
本明細書で使用される用語「架橋」は、飽和又は部分飽和の環における隣接しない2つの原子間の、炭素、窒素、酸素及び硫黄から選択される1から3の原子の鎖を介した結合を表す。かかる結合鎖の代表例としては、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2NHCH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2OCH2−等が挙げられる。本発明に係る一態様によれば、結合鎖は、−CH2−、−CH2CH2−、又は−CH2OCH2−からなる群より選択される。
【0017】
本明細書で使用される用語「スピロ原子」は、炭素、窒素、酸素及び硫黄から選択される3から7の原子の鎖の両端を連結する、飽和又は部分飽和環の炭素原子を表す。代表例としては、−(CH25−、−(CH23−、−(CH24−、−CH2NHCH2CH2−、−CH2CH2NHCH2CH2−、−CH2NHCH2CH2CH2−、−CH2CH2OCH2−、−OCH2CH2O−等が挙げられる。
【0018】
本明細書で使用される用語「C3−C10シクロアルキル」は、3〜10個の炭素原子を有する飽和の単環式炭素環、例えばC3-6−アルキル、C3-8−アルキル、C3-10−アルキル等を表す。本発明の一局面では、C3−C10シクロアルキルは、C3−C6シクロアルキルである。C3−C10シクロアルキルの代表例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。C3−C10シクロアルキルの代表例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルである。また、C3−C10シクロアルキルは、4から10の炭素原子を有する飽和の二環式炭素環を表す意もある。代表例としては、デカヒドロナフタレニル、ビシクロ[3.3.0]オクタニル等が挙げられる。また、C3−C10シクロアルキルは、3から10の炭素原子を有し、1又は2の炭素架橋を有する、飽和の炭素環を表す意もある。代表例としては、アダマンチル、ノルボルナニル、ノルトリシクリル、ビシクロ[3.2.1]オクタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、トリシクロ[5.2.1.0/2,6]デカニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル等が挙げられる。また、C3−C10シクロアルキルは、3から10の炭素原子を有し、1又は2以上のスピロ原子を有する、飽和の炭素環を表す意もある。代表例としては、スピロ[2.5]オクタニル、スピロ[4.5]デカニル等が挙げられる。
【0019】
本明細書に使用される用語「C3-10ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、硫黄、S(=O)及びS(=O)2から選ばれる1以上のヘテロ原子を含む、3〜10員の飽和単環を表す。好ましい態様では、C310ヘテロシクリルは、C3-6ヘテロシクリルである。C3-6ヘテロシクリルの代表例は、アジリジニル(例えば、アジリジン−1−イル)、アゼチジニル(例えば、アゼチジン−1−イル、アゼチジン−3−イル)、オキセタニル、ピロリジニル(例えば、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル)、イミダゾリジニル(例えば、イミダゾリジン−1−イル、イミダゾリジン−2−イル、イミダゾリジン−4−イル)、オキサゾリジニル(例えば、オキサゾリジン−2−イル、オキサゾリジン−3−イル、オキサゾリジン−4−イル)、チアゾリジニル(例えば、チアゾリジン−2−イル、チアゾリジン−3−イル、チアゾリジン−4−イル)、イソチアゾリジニル、ピペリジニル(例えば、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イル、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル)、ホモピペリジニル(例えば、ホモピペリジン−1−イル、ホモ−ピペリジン−2−イル、ホモピペリジン−3−イル、ホモピペリジン−4−イル)、ピペラジニル(例えば、ピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イル)、モルホリニル(例えば、モルホリン−2−イル、モルホリン−3−イル、モルホリン−4−イル)、チオ−モルホリニル(例えば、チオモルホリン−2−イル、チオモルホリン−3−イル、チオモルホリン−4−イル)、1−オキソ−チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル(例えば、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル)、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、テトラヒドロピラニル(例えば、2−テトラヒドロピラニル)、テトラヒドロチオピラニル(例えば、2−テトラヒドロチオピラニル)、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサニルなどである。また、C3-10ヘテロシクリルは、窒素、酸素、硫黄、S(=O)及びS(=O)2から選ばれる1以上のヘテロ原子を含む6〜10員の飽和二環を表すことを意図する。代表例は、オクタヒドロインドリル(例えば、オクタヒドロインドール−1−イル、オクタヒドロインドール−2−イル、オクタヒドロインドール−3−イル、オクタヒドロインドール−5−イル)、デカヒドロキノリニル(例えば、デカヒドロキノリン−1−イル、デカヒドロキノリン−2−イル、デカヒドロキノリン−3−イル、デカヒドロキノリン−4−イル、デカヒドロキノリン−6−イル)、デカヒドロキノキサリニル(例えば、デカヒドロキノキサリン−1−イル、デカヒドロキノキサリン−2−イル、デカヒドロキノキサリン−6−イル)などである。C3-10ヘテロシクリルは、窒素、酸素、硫黄、S(=O)及びS(=O)2から選ばれる1以上のヘテロ原子を含み、そして1又は2個の架橋を有する6〜10員の飽和環を表す。代表例は、3−アザビシクロ[3.2.2]ノニル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アトロピニル、トロピニル、キヌクリジニル、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタニルなどである。また、C3−10ヘテロシクリルは、窒素、酸素、硫黄、S(=O)及びS(=O)2から選ばれる1以上のヘテロ原子を含み、かつ1以上のスピロ原子を含む6〜10員の飽和環を表すことが意図される。代表例は、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカニル(例えば、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−イル、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−イル)、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカニル(例えば、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−2−イル、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−イル)、8−アザスピロ[4.5]デカニル(例えば、8−アザスピロ[4.5]デカン−1−イル、8−アザスピロ[4.5]デカン−8−イル)、2−アザスピロ[5.5]ウンデカニル(例えば、2−アザスピロ[5.5]ウンデカン−2−イル)、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカニル(例えば、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−イル、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−イル)、2,8−ジアザスピロ[5.5]ウンデカニル(例えば、2,8−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−2−イル)、1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカニル(例えば、1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−1−イル、1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−3−イル、1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−イル)などである。
【0020】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、硫黄、SO及びS(=O)2から選択される1又は2以上のヘテロ原子を有する単環式ヘテロ環式芳香環を含む意である。代表例としては、ピロリル(例えばピロール−1−イル、ピロール−2−イル、ピロール−3−イル)、フラニル(例えばフラン−2−イル、フラン−3−イル)、チエニル(例えばチエン−2−イル、チエン−3−イル)、オキサゾリル(例えばオキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、オキサゾール−5−イル)、チアゾリル(例えばチアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル)、イミダゾリル(例えばイミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、イミダゾール−5−イル)、ピラゾリル(例えばピラゾール−1−イル、ピラゾール−3−イル、ピラゾール−5−イル)、イソキサゾリル(例えばイソキサゾル−3−イル、イソキサゾル−4−イル、イソキサゾル−5−イル)、イソチアゾリル(例えばイソチアゾール−3−イル、イソチアゾール−4−イル、イソチアゾール−5−イル)、1,2,3−トリアゾリル(例えば1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,3−トリアゾール−5−イル)、1,2,4−トリアゾリル(例えば1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル)、1,2,3−オキサジアゾリル(例えば1,2,3−オキサジアゾール−4−イル、1,2,3−オキサジアゾール−5−イル)、1,2,4−オキサジアゾリル(例えば1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)、1,2,5−オキサジアゾリル(例えば1,2,5−オキサジアゾール−3−イル、1,2,5−オキサジアゾール−4−イル)、1,3,4−オキサジアゾリル(例えば1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−オキサジアゾール−5−イル)、1,2,3−チアジアゾリル(例えば1,2,3−チアジアゾール−4−イル、1,2,3−チアジアゾール−5−イル)、1,2,4−チアジアゾリル(例えば1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル)、1,2,5−チアジアゾリル(例えば1,2,5−チアジアゾール−3−イル、1,2,5−チアジアゾール−4−イル)、1,3,4−チアジアゾリル(例えば1,3,4−チアジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−5−イル)、テトラゾリル(例えばテトラゾール−1−イル、テトラゾール−5−イル)、ピラニル(例えばピラン−2−イル)、ピリジニル(例えばピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル)、ピリダジニル(例えばピリダジン−2−イル、ピリダジン−3−イル)、ピリミジニル(例えばピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、ピリミジン−5−イル)、ピラジニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、チアジアジニル、アゼピニル、アゼシニル等が挙げられる。ヘテロアリールはまた、窒素、酸素、硫黄、S(=O)及びS(=O)2から選択される1又は2以上のヘテロ原子を有する、二環式のヘテロ環式芳香環を含む意でもある。代表例としては、インドリル(例えばインドール−1−イル、インドール−2−イル、インドール−3−イル、インドール−5−イル)、イソインドリル、ベンゾフラニル(例えばベンゾ[b]フラン−2−イル、ベンゾ[b]フラン−3−イル、ベンゾ[b]フラン−5−イル、ベンゾ[c]フラン−2−イル、ベンゾ[c]フラン−3−イル、ベンゾ[c]フラン−5−イル)、ベンゾチエニル(例えばベンゾ[b]チエン−2−イル、ベンゾ[b]チエン−3−イル、ベンゾ[b]チエン−5−イル、ベンゾ[c]チエン−2−イル、ベンゾ[c]チエン−3−イル、ベンゾ[c]チエン−5−イル)、イミダゾリル(例えばイミダゾール−1−イル、イミダゾール−3−イル、イミダゾール−5−イル)、インドリジニル(例えばインドリジン−1−イル、インドリジン−3−イル)、ベンゾピラニル(例えばベンゾ[b]ピラン−3−イル、ベンゾ[b]ピラン−6−イル、ベンゾ[c]ピラン−1−イル、ベンゾ[c]ピラン−7−イル)、ベンズイミダゾリル(例えばベンズイミダゾール−1−イル、ベンズイミダゾール−2−イル、ベンズイミダゾール−5−イル)、ベンゾチアゾリル(例えばベンゾチアゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−5−イル)、ベンズイソチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾキサジニル、ベンゾトリアゾリル、ナフチリジニル(例えば1,8−ナフチリジン−2−イル、1,7−ナフチリジン−2−イル、1,6−ナフチリジン−2−イル)、フタラジニル(例えばフタラジン−1−イル、フタラジン−5−イル)、フテリジニル、プリニル(例えばプリン−2−イル、プリン−6−イル、プリン−7−イル、プリン−8−イル、プリン−9−イル)、キナゾリニル(例えばキナゾリン−2−イル、キナゾリン−4−イル、キナゾリン−6−イル)、キノリニル、キノリニル(例えばキノリン−2−イル、キノリン−3−イル、キノリン−4−イル、キノリン−6−イル)、イソキノリニル(例えばイソキノリン−1−イル、イソキノリン−3−イル、イソキノリン−4−イル)、キノキサリニル(例えばキノキサリン−2−イル、キノキサリン−5−イル)、ピロロピリジニル(例えばピロロ[2,3−b]ピリジニル,ピロロ[2,3−c]ピリジニル,ピロロ[3,2−c]ピリジニル)、フロピリジニル(例えばフロ[2,3−b]ピリジニル、フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−c]ピリジニル)、チエノピリジニル(例えばチエノ[2,3−b]ピリジニル、チエノ[2,3−c]ピリジニル、チエノ[3,2−c]ピリジニル)、イミダゾピリジニル(例えばイミダゾ[4,5−b]ピリジニル,イミダゾ[4,5−c]ピリジニル,イミダゾ[1,5−a]ピリジニル,イミダゾ[1,2−a]ピリジニル)、イミダゾピリミジニル(例えばイミダゾ[1,2−a]ピリミジニル,イミダゾ[3,4−a]ピリミジニル)、ピラゾロピリジニル(例えばピラゾロ[3,4−b]ピリジニル、ピラゾロ[3,4−c]ピリジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル)、ピラゾロピリミジニル(例えばピラゾロ[1,5−a]ピリミジニル、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニル)、チアゾロピリジニル(例えばチアゾロ[3,2−d]ピリジニル)、チアゾロピリミジニル(例えばチアゾロ[5,4−d]ピリミジニル)、イミダゾチアゾリル(例えばイミダゾ[2,1−b]チアゾリル)、トリアゾロピリジニル(例えばトリアゾロ[4,5−b]ピリジニル)、トリアゾロピリミジニル(例えば8−アザプリニル)等が挙げられる。ヘテロアリールはまた、窒素、酸素、硫黄、S(=O)及びS(=O)2から選択される1又は2以上のヘテロ原子を有する多環式ヘテロ環式芳香環を含む意でもある。代表例としては、カルバゾリル(例えばカルバゾール−2−イル、カルバゾール−3−イル、カルバゾール−9−イル)、フェノキサジニル(例えばフェノキサジン−10−イル)、フェナジニル(例えばフェナジジン−5−イル)、アクリジニル(例えばアクリジン−9−イル、アクリジン−10−イル)、フェノチアジニル(例えばフェノチアジン−10−イル)、カルボリニル(例えばピリド[3,4−b]インドール−1−イル、ピリド[3,4−b]インドール−3−イル)、フェナジンスロリニル(例えばフェナジンスロリン−5−イル)等が挙げられる。ヘテロアリールはまた、窒素、酸素、硫黄、S(=O)及びS(=O)2から選択される1又は2以上のヘテロ原子を有する部分飽和単環式、二環式又は多環式ヘテロ環状環を含む意でもある。代表例としては、ピロリニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル(例えば4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イル、4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル)、インドリニル(例えば2,3−ジヒドロインドール−1−イル、2,3−ジヒドロインドール−5−イル)、ジヒドロベンゾフラニル(例えば2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン−2−イル、2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン−4−イル)、ジヒドロベンゾチエニル(例えば2,3−ジヒドロベンゾ[b]チエン−2−イル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チエン−5−イル)、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]フラン−5−イル)、ジヒドロベンゾピラニル(例えば3,4−ジヒドロベンゾ[b]ピラン−3−イル、3,4−ジヒドロベンゾ[b]ピラン−6−イル、3,4−ジヒドロベンゾ[c]ピラン−1−イル、ジヒドロベンゾ[c]ピラン−7−イル)、オキサゾリニル(例えば4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル、4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル、4,5−ジヒドロオキサゾール−5−イル)、イソキサゾリニル、オキサゼピニル、テトラヒドロイミダゾリル(例えば4,5,6,7−テトラヒドロイミダゾール−1−イル、4,5,6,7−テトラヒドロイミダゾール−3−イル、4,5,6,7−テトラヒドロイミダゾール−4−イル、4,5,6,7−テトラヒドロイミダゾール−6−イル)、テトラヒドロベンズイミダゾリル(例えば4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾール−1−イル、4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾール−5−イル)、テトラヒドロイミダゾ[4,5−c]ピリジル(例えば4,5,6,7−テトラヒドロイミダゾ[4,5−c]ピリダ−1−イル、4,5,6,7−テトラヒドロイミダゾ[4,5−c]ピリダ−5−イル、4,5,6,7−テトラヒドロイミダゾ[4,5−c]ピリダ−6−イル)、テトラヒドロキノリニル(例えば1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリニル)、テトラヒドロイソキノリニル(例えば1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニル)、テトラヒドロキノキサリニル(例えば1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリニル、5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリニル)等が挙げられる。ヘテロアリールはまた、1又は2以上のスピロ原子を有する部分飽和の二環式又は多環式ヘテロ環状環を含む意でもある。代表例としては、スピロ[イソキノリン−3,1’−シクロヘキサン]−1−イル、スピロ[ピペリジン−4,1’−ベンゾ[c]チオフェン]−1−イル、スピロ[ピペリジン−4,1’−ベンゾ[c]フラン]−1−イル、スピロ[ピペリジン−4,3’−ベンゾ[b]フラン]−1−イル、スピロ[ピペリジン−4,3’−クマリン]−1−イル等が挙げられる。
【0021】
本明細書で使用される用語「単環式ヘテロアリール」は、上記定義の単環式ヘテロ環式芳香環を含む意である。
【0022】
本明細書で使用される用語「二環式ヘテロアリール」は、上記定義の二環式ヘテロ環式芳香環を含む意である。
【0023】
上に定義された用語の一部は、構造式に複数存在していてもよい。かかる場合、各用語は互いに独立に定義されるものとする。
【0024】
上に定義された用語の一部は、組み合わせで存在していてもよい。その場合、最初に記載される基は、それに続いて記載される基の置換基であって、その置換点、即ち分子の他の部位に結合する点は、その基の最後に記載される部位であるものと解すべきである。
【0025】
用語「処置」は、疾病、状態又は障害を克服又は軽減することを目的とする、患者の管理及び治療と定義される。この語は、症状又は合併症の発症を予防するための、或いは症状又は合併症を軽減するための、或いは疾病、状態、又は障害を除去するための、活性化合物の投与を含む。
【0026】
用語「医薬として許容される」は、有害事象を伴わないヒトへの投与への適性と定義される。
【0027】
用語「プロドラッグ」は、患者に投与された後に活性薬に変換される、活性薬の化学修飾形態と定義される。プロドラッグの開発技術は、当該技術分野では周知である。
【0028】
発明の概要
本発明の一局面では、活性なグルココルチコイドの改変した細胞内濃度へと導く11βHSD1の活性を調節する置換ベンズアミド系阻害剤が提供される。より具体的には、本化合物は、活性なグルココルチコイドの細胞内濃度を減少させる11βHSD1の活性を阻害する。このようにして、本化合物を用いて、活性な細胞内グルココルチコイドのレベルの減少が望まれる障害、例えば、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時糖能異常(IFG)、脂質異常症、肥満、高血圧、糖尿病後期合併症、心臓血管疾患、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、筋疾患、筋肉疲労、骨粗鬆症、神経変性及び精神系障害、並びにグルココルチコイド受容体アゴニストによる処置又は治療の副作用を治療することができる。
【0029】
本発明の1つの目的は、11βHSD1の活性を調節する化合物、医薬組成物、化合物の使用を提供することである。
【0030】
さらに、本発明は、治療における本発明に係る化合物の使用、該化合物を含む医薬組成物、薬剤を製造するための該化合物の使用、該化合物の投与を含む治療法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
本発明は、一般式(I):
【0032】
【化1】

【0033】
で表される化合物、又は医薬として許容される酸若しくは塩基を含むその塩、又はいずれかの光学異性体若しくは光学異性体の混合物(ラセミ混合物を含む)、又はいずれかの互変異性体を提供する。ここで、R1は、
【0034】
【化2】

【0035】
からなる群から選択され、式中、シンボル*は結合点を示す。
【0036】
2は、1又は2個の独立して選択されたR3で置換されたフェニル、及び1又は2個の独立して選択されたR3で置換されたピリジニルからなる群から選択される;
【0037】
3は、ハロゲン、シアノ、−C(=O)OH、−C(=O)R4、−CH(OH)R4、C(=O)−NR67、−OR4、−SR4、−S(=O)24、−S(=O)2−NR67、−C=CR45、−C≡C−R4、場合によりハロゲン又はメチルで置換されるC3−C10ヘテロシクリル、場合によりハロゲン、メチル又はヒドロキシで置換されるC3−C10ヘテロシクリル、場合により−C(=O)OH、ハロゲン又はメチルで置換されるフェニル、場合よりR4で置換されるC1−C6アルキル、及び場合により−C(=O)OH、ハロゲン又はメチルで置換されるヘテロアリールからなる群から選択される。
【0038】
4は、水素、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシル及び−C(=O)NH2で置換される。
【0039】
5は、水素、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシで置換される。
【0040】
6は、水素、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル、及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換される。
【0041】
7は、水素、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル、及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換される。
【0042】
あるいは、R6及びR7は、それらに結合する窒素原子と一緒になって、ピペリジン又はピロリジン環を形成し、ここで、該環は、場合により、ヒドロキシ又はハロゲンで置換される。
【0043】
本発明の一局面では、R1は、
【0044】
【化3】

【0045】
[式中、シンボル*は結合点を示す]
からなる群から選択される。
【0046】
本発明の別の局面では、R1は、
【0047】
【化4】

【0048】
である。
【0049】
本発明の別の局面では、R1は、
【0050】
【化5】

【0051】
である。
【0052】
本発明の別の局面では、R1は、
【0053】
【化6】

【0054】
である。
【0055】
本発明の更なる局面では、R1は、
【0056】
【化7】

【0057】
である。
【0058】
本発明の一局面では、R2は、独立して選択された1又は2個のR3で置換されたフェニルである。
【0059】
本発明の更なる局面では、R2は、独立して選択された1又は2個のR3で置換されたピリジニルである。
【0060】
本発明の一局面では、R2は、1個のR3で置換される。
【0061】
本発明の別の局面では、R2は、独立して選択された2個のR3で置換される。
【0062】
本発明の一局面では、R3は、シアノ及びハロゲンからなる群から選択される。
【0063】
本発明の一局面では、R2は、1個のR3で置換され、それはシアノである。
【0064】
本発明の一局面では、R2は、2個のR3で置換され、それらは各々ハロゲンである。
【0065】
本発明の一局面では、R3は塩素である。
【0066】
本発明の一局面では、R4は、水素、メチル、エチル、フェニル、ピリジニル、イミダゾリル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され、ここで、メチル、エチル、フェニル、ピリジニル、イミダゾリル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、塩素、フッ素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシで置換される。
【0067】
本発明の一局面では、水素、メチル、エチル、フェニル、ピリジニル、イミダゾリル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され、ここで、メチル、エチル、フェニル、ピリジニル、イミダゾリル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、塩素、フッ素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシで置換される。
【0068】
本発明の別の局面では、R5は、水素、メチル、エチル、テトラヒドロピラニル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され、ここで、メチル、エチル、テトラヒドロピラニル、シクロプロピル、シクロブチル、及びシクロヘキシルは、場合により、塩素、フッ素及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換される。
【0069】
本発明の別の局面では、R7は、水素、メチル、エチル、テトラヒドロピラニル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され、ここで、メチル、エチル、テトラヒドロピラニル、シクロプロピル、シクロブチル、及びシクロヘキシルは、場合により、塩素、フッ素及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換される。
【0070】
本発明の別の局面では、R6及びR7は、それらに結合する窒素原子と一緒になって、ピペリジン又はピロリジン環を形成し、ここで、該環は、場合により、ヒドロキシ、塩素又はフッ素で置換される。
【0071】
本発明の別の局面では、ヘテロアリールは、イソキサゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、ピラゾリル及びピリジニルからなる群から選択される。
【0072】
本発明の別の局面では、C3−C10シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルからなる群から選択される。
【0073】
本発明の別の局面では、C3−C10ヘテロシクリルは、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、及びモルホリニルからなる群から選択される。
【0074】
本発明の別の局面では、化合物は、4−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−N−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−ベンズアミド、4−(5−シアノ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−ベンズアミド、4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−ベンズアミド、4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(5−ヒドロキシメチル−アダマンタン−2−yl)−ベンズアミド、及び4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシル)−N−メチル−ベンズアミドからなる群から選択される。
【0075】
本発明の一局面では、R2は、独立して選択される1又は2個のR3で置換されたピリジン−2−イルである。更なる局面では、ピリジン−2−イルは、5−クロロ又は5−シアノなどの塩素及びシアノからなる群から選択される1個のR3で置換される。
【0076】
一態様では、本発明の化合物は、11βHSD1の活性の調節又は阻害が有益である、任意の状態、障害及び疾患の予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である。
【0077】
一態様では、本発明の化合物は、細胞内グルココルチコイドレベルによって影響される任意の状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である。
【0078】
一態様では、本発明の化合物は、メタボリックシンドローム、インスリン耐性、脂質異常症、高血圧及び肥満からなる群から選択される状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である。
【0079】
一態様では、本発明の化合物は、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時糖能異常(IFG)の状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である。
【0080】
一態様では、本発明の化合物は、IGTから2型糖尿病への進行を遅延又は阻止するのに有用な薬物である。
【0081】
一態様では、本発明の化合物は、メタボリックシンドロームから2型糖尿病への進行を遅延又は阻止するのに有用な薬物である。
【0082】
一態様では、本発明の化合物は、グルココルチコイド受容体アゴニストによる処置又は治療の副作用の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である。
【0083】
一態様では、本発明は、有効成分として、本発明に係る少なくとも1つの化合物、並びに1以上の医薬として許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0084】
一局面では、本発明は、経口、口腔、鼻腔、経皮、肺又は非経口投与用である医薬組成物に関する。
【0085】
一局面では、本発明は、単位投薬形態としての医薬組成物に関し、本発明に係る化合物を0.05mg〜2000mg/日、0.1mg〜1000mg又は0.5mg〜500mg/日で含む。
【0086】
一局面では、11βHSD1の活性の調節又は阻害が有益である任意の状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)用の医薬組成物を製造するための本発明に係る化合物の使用に関する。別の局面では、本発明は、細胞内グルココルチコイドレベルによって影響される任意の状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)用の医薬組成物を製造するための本発明に係る化合物の使用に関する。
【0087】
一局面では、本発明は、11βHSD1の活性の調節又は阻害が有益である任意の状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)用の本発明に係る化合物に関する。
【0088】
一局面では、本発明は、細胞内グルココルチコイドレベルによって影響される任意の状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)用の本発明に係る化合物に関する。
【0089】
一局面では、本発明は、メタボリックシンドローム、インスリン耐性、脂質異常症、高血圧及び肥満からなる群から選択される状態、障害又は疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)用の本発明に係る化合物に関する。
【0090】
一局面では、本発明は、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時糖能異常(IFG)の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)用の本発明に係る化合物に関連する。
【0091】
一局面では、本発明は、IGTから2型糖尿病への進行の遅延又は阻止用の本発明に係る化合物に関する。
【0092】
一局面では、本発明は、メタボリックシンドロームから2型糖尿病への進行の遅延又は阻止用の本発明に係る化合物に関する。
【0093】
一局面では、グルココルチコイド受容体アゴニストによる副作用の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)用の本発明に係る化合物に関する。
【0094】
一局面では、11βHSD1の活性の調節又は阻害が有益である任意の状態、障害又は疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に関し、この方法は、本発明に係る有効量の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む。更なる局面では、状態、障害又は疾患は、メタボリックシンドローム、インスリン耐性、脂質異常症、高血圧及び肥満からなる群から選択される。
【0095】
本発明の一局面では、本発明に係る化合物は、表題“PHARMACOLOGICAL METHODS”に記載されるように試験した場合、IC50は、1500nM未満、更なる局面では、500nM未満、なお更なる局面では300nM未満、なお更なる局面では200nM未満である。
【0096】
本発明の化合物は不斉中心を有し、ラセミ体、ラセミ混合物、並びに、個々の鏡像異性体又はジアステレオ異性体の何れで存在していてもよい。全ての異性形態、並びにその混合物が、本発明に含まれる。
【0097】
また、本発明は、医薬的に許容し得る本化合物の塩を包含する。かかる塩としては、医薬的に許容し得る酸付加塩、医薬的に許容し得る塩基付加塩、医薬的に許容し得る金属塩、アンモニウム及びアルキル化アンモニウム塩が挙げられる。酸付加塩としては、無機酸並びに有機酸の塩が挙げられる。好適な無機酸の代表例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。好適な有機酸の代表例としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スルフェート、ニトレート、ホスフェート、パークロレート、ボレート、アセテート、ベンゾエート、ヒドロキシナフトエート、グリセロホスフェート、ケトグルタレート等が挙げられる。医薬的に許容し得る無機又は有機酸付加塩の更なる例としては、J.Pharm.Sci.,66,2(1977)に列記された医薬的に許容し得る塩が挙げられる。本文献は援用により本明細書に組み込まれる。金属塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム塩等が挙げられる。アミン及び有機アミンの例としては、アンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、テトラメチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、エチレンジアミン、クロリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−ベンジルフェニルエチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、グアニジン等が挙げられる。カチオン性アミノ酸の例としては、リジン、アルギニン、ヒスチジン等が挙げられる。
【0098】
更に、本発明の化合物の中には、水又は一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成し得るものもある。かかる溶媒和物も本発明の範囲内に含まれる。
【0099】
医薬的に許容し得る塩は、本発明の化合物を、1から4当量の塩基、例えば水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、カリウムtert−ブトキシド、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等と、エーテル、THF、メタノール、tert−ブタノール、ジオキサン、イソプロパノール、エタノール等の溶媒中でと反応させることにより、調製することができる。溶媒の混合物を用いてもよい。有機塩基、例えばリジン、アルギニン、ジエタノールアミン、クロリン、グアンジン、及びそれらの誘導体等も用いることができる。或いは、酸付加塩が適用可能な場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、酢酸、クエン酸、マレイン酸、サリチル酸、ヒドロキシナフトエ酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、コハク酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、酒石酸等の酸によって、酢酸エチル、エーテル、アルコール類、アセトン、THF、ジオキサン等の溶媒中で処理することにより調製される。溶媒の混合物を用いてもよい。
【0100】
本発明の一部を形成する化合物の立体異性体は、可能であれば製造時に反応物としてその鏡像異性形態の1つを用いることにより、或いは、試薬又は触媒の鏡像異性形態の一つの存在下で反応を行うことにより、或いは立体異性体の混合物を従来法で分解することにより、調製することができる。好ましい方法の例としては、微生物分解、酵素分解の使用、適用可能な場合には、マンデル酸、カンファースルホン酸、酒石酸、乳酸等のキラル酸、又はブルシン、(R)−又は(S)−フェニルエチルアミン、キナ・アルカロイド、及びそれらの誘導体等のキラル塩基とともに形成されるジアステレオ異性塩の分解等が挙げられる。通常使用される方法は、Jaques等が“Enantiomers,Racemates and Resolution”(Wiley Interscience,1981)にまとめた通りである。より具体的には 本発明の化合物を、アミノ酸から誘導されるキラルアミン、アミノ酸、アミノアルコール類で処理することにより、ジアステレオ異性アミドの1:1の混合物に変換し得る。従来の反応条件を用いて、酸をアミドに変換し得る。ジアステレオ異性体を、分別結晶化又はクロマトグラフィーで分離し得る。純粋なジアステレオ異性アミドを加水分解することにより、式Iの化合物の立体異性体を調製し得る。
【0101】
本発明の一部を形成する化合物の種々の多形体は、前記化合物を様々な条件下で結晶化させることにより調製することができる。例えば、再結晶化に一般に使用される溶媒又はその混合物の中から異なるものを用いる手法、異なる温度で結晶化させる手法、或いは、結晶化の際に超高速冷却から超低速冷却まで、種々の方法で冷却する手法等が挙げられる。また、多形体は、化合物を加熱又は溶解し、続いて緩除冷却又は急速冷却することによっても、得ることができる。多形体の存在は、固体プローブNMR分光法、IR分光法、示差走査熱量測定、粉末X線回折、又は他の同様の手法によって決定することができる。
【0102】
また、本発明は、投与されると代謝過程で化学変換されて活性医薬成分となる、本化合物のプロドラッグも包含する。通常、かかるプロドラッグは、本化合物の官能誘導体であって、インビボ(in vivo)で所望の本発明の化合物に変換され得るものである。好適なプロドラッグ誘導体を選択及び調製するための従来の手順は、例えば,in “Design of Prodrugs”,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
【0103】
薬物送達における周知の課題の一つとして、酵素阻害剤等の化合物には、生化学アッセイでは高活性及び高選択性であっても、インビボでは不活性のものがあるという点が挙げられる。このいわゆる生体利用能の欠落は、例えば内臓吸収の欠落又は不足、肝臓での初回通過代謝及び/又は細胞取り込み不足等、異なる幾つかの要因によるものと考えられる。生体利用能を決定する因子は完全に解明されている訳ではないが、生化学アッセイでは活性及び選択性であっても、インビボでは活性が低く、又は活性を示さない化合物を、生物学的に活性な薬剤へと修飾する方法については、多数の例が科学文献に記載されており、当業者に周知である。
【0104】
細胞又は哺乳類への取り込みが容易となるように、前記化合物の生体利用能を改善する化学基を結合させることにより、本発明の化合物(「原化合物」と称する)を修飾することは、本発明の範囲内に存する。
【0105】
前記修飾の例としては、いかなる意味でも本発明の範囲を限定するものではないが、1又は2以上のカルボキシ基のエステル(例えばメチルエステル、エチルエステル、tert−ブチル、アセトオキシメチル、ピバロイルオキシメチルエステル、又は他のアシルオキシメチルエステル等)への変換が挙げられる。このように、原化合物に対して化学基を結合させる修飾を加えた本発明の化合物を「修飾化合物」と称する。
【0106】
また、本発明は、本化合物の活性代謝産物も包含する。
【0107】
本発明に係る化合物は、活性細胞内糖質コルチコイドのレベルを改変し、より具体的には低減する。従って、かかる調節又は低減が有益な障害及び疾病の処置、防除及び/又は予防に有用である。
【0108】
従って、本化合物は、代謝症候群、インスリン抵抗性、脂質異常症、高血圧、肥満、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時糖能異常(IFG)、成人における潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、1型糖尿病、糖尿病後期合併症、例えば心臓血管疾患、心臓血管障害、脂質代謝の障害、神経変性及び精神系障害、眼圧の調節異常、例えば緑内障、免疫障害、不適切な免疫応答、筋骨格障害、胃腸障害、多嚢胞卵巣症候群(PCOS)、発毛低減、或いは細胞内糖質コルチコイドレベルの影響を受ける他の疾病、障害、又は状態、活性内因性又は外因性糖質コルチコイドの血中濃度上昇の副作用、並びにこれらの任意の組み合わせ、内因性活性糖質コルチコイドの血漿中濃度上昇の副作用、クッシング病、クッシング症候群、自己免疫疾病の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用、炎症性疾患の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用、炎症性要素を有する疾病の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用、癌化学療法の一部としての糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用、手術/手術後又は他の外傷のための糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用、器官又は組織の移植に関連する治療としての糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用、或いは、糖質コルチコイド受容体アゴニストが臨床上有益な効果を与える他の疾病、障害、又は状態の処置における糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用の処置、防除及び/又は予防に適用可能である。
【0109】
より具体的には、本化合物は、代謝症候群、2型糖尿病、肥満の結果としての糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖、摂食性高血糖、過剰インスリン血、不適切なほど低いインスリン分泌、耐糖能異常(IGT)、空腹時糖能異常(IFG)、肝臓グルコース産生増加、1型糖尿病、LADA、小児性糖尿病、脂質異常症、糖尿病性脂質異常症、脂質異常症、過剰トリグリセリド血、過剰リポタンパク質血、過剰コレステロール血、HDLコレステロール低下、LDL/HDL比異常、他の脂質代謝障害、肥満、内臓型肥満、糖尿病の結果としての肥満、食物摂取過剰、高血圧、糖尿病後期合併症、ミクロ/マクロアルブミン尿、腎症、網膜症、神経病、糖尿病性潰瘍、心臓血管疾患、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、冠動脈疾病、心肥大、心筋虚血、心不全、欝血性心不全、卒中、心筋梗塞、不整脈、血流低下、性的不能(男性又は女性)、筋疾患、筋組織消失、筋肉疲労、筋異化、骨粗鬆症、線形成長低下、神経変性及び精神系障害、アルツハイマー病、神経細胞死、認知機能障害、抑鬱、不安神経症、摂食障害、食欲調節、片頭痛、癲癇、化学物質乱用、眼圧障害、緑内障、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、不適切な免疫応答、不適切なTヘルパー−1/Tヘルパー−2分極、細菌感染、マイコバクテリア感染、真菌感染、ウイルス感染、寄生虫感染、免疫化に対する応答不全、免疫機能不全、部分的又は完全な脱毛症の処置、防除及び/又は予防、或いは、細胞内糖質コルチコイドレベルの影響を受ける疾病、障害、又は状態、並びにそれらの任意の組み合わせ、喘息やアトピー性皮膚炎等のアレルギー炎症性疾患の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用、喘息等の呼吸器系障害の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用、嚢胞性線維症、肺気腫、気管支炎、過敏症、間質性肺炎、好酸球性肺炎、肺線維症、クローン病や潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用処置;免疫系、結合組織及び関節の障害、例えば反応性関節炎、リウマチ性関節炎、シェーグレン症候群、全身性紅斑性狼瘡、ループス腎炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、ウェゲナー肉芽腫症、側頭動脈炎、全身性硬化症、血管炎、類肉腫症、皮膚筋炎−多発性筋炎、尋常性天疱瘡等の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用処置;内分泌疾患、例えば甲状腺機能亢進、低アルドステロン症、下垂体機能低下等の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用処置;血液学的疾患、例えば溶血性貧血、血小板減少、発作性夜間ヘモグロビン尿症等の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用処置;癌、例えば脊髄系疾患、脊髄の腫瘍圧迫、脳腫瘍、急性リンパ芽球性白血病、ホジキン病、化学療法誘発性嘔気等の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用処置、筋及び神経筋関節部における疾病、例えば重症筋無力症、及び遺伝性ミオパシー(例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィー等)等の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用、手術及び移植に関連する糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用処置、例えば外傷、手術後ストレス、外科的ストレス、腎移植、肝移植、肺移植、膵島移植、血液幹細胞移植、骨髄移植、心臓移植、副腎移植、気管移植、腸移植、角膜移植、皮膚移植、角膜形成、眼内レンズ挿入、並びに、糖質コルチコイド受容体アゴニストによる免疫抑制が有益な他の手順;脳膿瘍の糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用処置、嘔気/嘔吐、感染、高カルシウム血症、先天性副腎過形成、自己免疫肝炎、脊髄系疾患、嚢状動脈瘤、或いは、糖質コルチコイド受容体アゴニストが臨床上有益な効果を与える他の疾病、障害及び状態における糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用に適用可能である。
【0110】
従って、さらなる態様によれば、本発明は、本発明に係る化合物の医薬組成物としての使用に関する。
【0111】
また、本発明は、活性成分として、少なくとも1の本発明に係る化合物を、1又は2以上の医薬的に許容し得る担体又は希釈剤とともに含んでなる医薬組成物にも関する。
【0112】
医薬組成物は、本発明に係る化合物を約0.05mg/日から約2000mg/日、好ましくは約1mg/日から約500mg/日の量で含んでなる単位投薬形態であることが好ましい。
【0113】
別の態様によれば、患者は少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約4週間、少なくとも約2か月、又は少なくとも約4か月にわたって、本発明に係る化合物による処置を受ける。
【0114】
さらに別の態様によれば、医薬組成物は、経口、鼻腔、経皮、肺、又は非経口投与に供される。
【0115】
更に、本発明は、11βHSD1の活性の調節又は阻害が有益である障害及び疾病の処置、防除及び/又は予防用の医薬組成物を製造するための本発明に係る化合物の使用に関する。
【0116】
また、本発明は、11βHSD1の活性の調節又は阻害が有益である障害及び疾病の処置、防除及び/又は予防のための方法であって、有効量の本発明に係る化合物を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる方法に関する。
【0117】
本発明の好ましい態様によれば、本化合物は、上述したような細胞内糖質コルチコイドレベルの影響を受ける任意の疾病及び状態の処置、防除及び/又は予防用の薬剤の製造のために用いられる。
【0118】
即ち、本発明の好ましい態様によれば、本化合物は、活性細胞内グルココルチコイド濃度の低減が望ましい状態及び障害、例えば上述した状態及び疾病の処置、防除及び/又は予防用の薬剤の製造のために用いられる。
【0119】
本発明の更なる好ましい態様によれば、本化合物は、インスリン抵抗症、脂質異常症、高血圧、及び肥満等の代謝症候群の処置、防除及び/又は予防用の薬剤の製造のために用いられる。
【0120】
本発明の更に別の好ましい態様によれば、本化合物は、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時糖能異常(IFG)の処置、防除及び/又は予防用の薬剤の製造のために用いられる。
【0121】
本発明の更に別の好ましい態様によれば、本化合物は、IGTから2型糖尿病への進行の遅延化又は防除用の医薬組成物の調製のために用いられる。
【0122】
本発明の更に別の好ましい態様によれば、本化合物は、代謝症候群から2型糖尿病への進行の遅延化又は防除用の医薬組成物の調製のために用いられる。
【0123】
本発明の更に別の好ましい態様によれば、本化合物は、心臓血管疾患;動脈硬化;アテローム性動脈硬化等の糖尿病後期合併症の処置、防除及び/又は予防用の医薬組成物の調製のために用いられる。
【0124】
本発明の更に好ましい態様によれば、本化合物は、神経変性及び精神系障害の処置、防除及び/又は予防用の医薬組成物の調製のために用いられる。
【0125】
本発明の更に好ましい態様によれば、本化合物は、糖質コルチコイド受容体アゴニスト処置の副作用の処置、防除及び/又は予防用の医薬組成物の調製のために用いられる。
【0126】
本発明の更なる別の態様によれば、投与経路は、例えば経口、鼻腔内、口腔内、経皮、肺内、又は非経口等、本発明に係る化合物を適切な又は所望の作用部位に有効に輸送し得る任意の経路とすることができる。
【0127】
本発明の更なる別の態様によれば、本化合物は、1又は2以上の更なる活性物質との組み合わせで、任意の好適な比率で投与される。かかる更なる活性物質は、例えば抗肥満剤、抗糖尿病剤、脂質代謝修飾剤、抗高血圧剤、糖質コルチコイド受容体アゴニスト、糖尿病に起因又は関連する合併症の処置及び/又は防除用の剤、並びに、肥満に起因又は関連する合併症及び障害の処置及び/又は防除用の剤から選択し得る。
【0128】
即ち、本発明のさらなる態様によれば、本化合物は、1又は2以上の抗肥満剤又は食欲制御剤との組み合わせで投与することができる。
【0129】
かかる薬物は、CART(コカインアンフェタミン制御転写)アゴニスト、NPY(神経ペプチドY)アンタゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(コルチコトロピン放出因子)アゴニスト、CRF BP(コルチコトロピン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、βアゴニスト、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)アゴニスト、MCH(メラニン細胞凝集ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤、複合セロトニン及びノルアドレナリン作動性化合物、5HT(セロトニン)アゴニスト、ボンベジンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、成長ホルモン放出化合物、TRH(チレオトロピン放出ホルモン)アゴニスト、UCP2又は3(脱共役タンパク質2又は3)調節剤、レプチンアゴニスト、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、PPAR(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体)調節剤、RXR(レチノイドX受容体)調節剤、TRβアゴニスト、AGRP(アグーチ関連タンパク質)阻害剤、H3ヒスタミンアンタゴニスト、オピオイドアンタゴニスト(例えばナルトレキソン)、エキセンジン−4、GLP−1、及び毛様体神経栄養因子からなる群より選択することができる。
【0130】
本発明の一態様によれば、抗肥満剤は、レプチン;デキサンフェタミン又はアンフェタミン;フェンフルラミン又はデキシフェンフルラミン;シブトラミン;オーリスタット;マジンドール又はフェンテルミンである。
【0131】
好適な抗糖尿病性剤としては、インスリン、インスリン類似体及び誘導体、例えばEP792290(Novo Nordisk A/S)に開示のもの、例えばNεB29−テトラデカノイルデス(B30)ヒトインスリン、EP214826及びEP705275(Novo Nordisk A/S)に開示のもの、例えばAspB28ヒトインスリン、US5,504,188(Eli Lilly)に開示のもの、例えばLysB28ProB29ヒトインスリン、EP368187(Aventis)に開示のもの、例えばLantus(これらはいずれも援用により本明細書に組み込まれる)、GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)及びGLP−1誘導体、例えばWO98/08871(Novo Nordisk A/S)に開示のもの(これは援用により本明細書に組み込まれる)、並びに経口活性血糖降下剤が挙げられる。
【0132】
経口活性血糖降下剤は、好ましくは、スルホニル尿素、ビグアニド、メグリチニド、グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト、例えばWO99/01423(Novo Nordisk A/S及びAgouron Pharmaceuticals, Inc.)に開示のもの、GLP−1アゴニスト、カリウムチャネルオープナー、例えばWO97/26265及びWO99/03861(Novo Nordisk A/S)に開示のもの(これらは援用により本明細書に組み込まれる)、DPP−IV(dipeptidyl peptidase−IV)阻害剤、糖新生及び/又は糖原分解の刺激に関与する肝臓酵素の阻害剤、グルコース取り込み調節剤、脂質代謝を調節する化合物、例えば抗高脂血症剤及び抗脂血剤、例えばPPARα調節剤、PPARδ調節剤、コレステロール吸収阻害剤、HSL(ホルモン感受性リパーゼ)阻害剤、及びHMG CoA阻害剤(スタチン類)、ニコチン酸、フィブレート類、アニオン交換剤、摂食抑制性化合物、胆汁酸樹脂、RXRアゴニスト、及び、β−細胞のATP依存カリウムチャネルに作用する剤を含んでなる。
【0133】
一態様によれば、本化合物は、インスリン又はインスリン類似体又は誘導体との組み合わせで投与される。例としては、NεB29−テトラデカノイルデス(B30)ヒトインスリン、AspB28ヒトインスリン、LysB28ProB29ヒトインスリン、Lantus(登録商標)、又はこれらの1又は2以上を含んでなる混合調製物が挙げられる。
【0134】
更なる態様によれば、本化合物は、スルホニル尿素、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド又はグリカジドとの組み合わせで投与される。
【0135】
別の態様によれば、本化合物はビグアニド、例えばメトホルミンとの組み合わせで投与される。
【0136】
更に別の態様によれば、本化合物はメグリチニド、例えばレパグリニド又はセナグリニドとの組み合わせで投与される。
【0137】
更に別の態様によれば、本化合物はチアゾリジンジオンとの組み合わせで投与される。例としては、トログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、又はWO97/41097に開示の化合物、例えば5−[[4−[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−2−キナゾリニル]メトキシ]フェニル−メチル]チアゾリジン−2,4−ジオン又は医薬的に許容し得るその塩、好ましくはカリウム塩が挙げられる。
【0138】
更に別の態様によれば、本化合物は、WO99/19313に開示のインスリン増感剤、例えば(−)3−[4−[2−フェノキサジン−10−イル)エトキシ]フェニル]−2−エトキシプロパン酸又は医薬的に許容し得るその塩、好ましくはアルギニン塩との組み合わせで投与することができる。
【0139】
更なる態様によれば、本化合物はα−グルコシダーゼ阻害剤、例えばミグリトール又はアカルボースとの組み合わせで投与される。
【0140】
別の態様によれば、本化合物はβ細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する剤、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリカジド又はレパグリニドとの組み合わせで投与される。
【0141】
更に、本化合物は、ナテグリニドとの組み合わせで投与することができる。
【0142】
更に別の態様によれば、本化合物は、抗高脂血症剤又は抗脂血剤との組み合わせで投与される。例としては、コレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、ベザフィブラート、テサグリタザル、EML−4156、LY−818、MK−767、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、アシピモックス、プロブコール、エゼチミブ、又はデキストロチロキシンが挙げられる。
【0143】
更なる態様によれば、本化合物は、上述の化合物の二以上との組み合わせで投与される。例としては、スルホニル尿素及びメトホルミン、スルホニル尿素及びアカルボース、レパグリニド及びメトホルミン、インスリン及びスルホニル尿素、インスリン及びメトホルミン、インスリン、インスリン及びスタチン等との組み合わせが挙げられる。
【0144】
更に、本化合物は、1又は2以上の抗高血圧剤との組み合わせで投与することができる。抗高血圧剤の例としては、β遮断薬、例えばアルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロール、メトプロロール、フマル酸ビソプロロール、エスモロール、アセブトロール、メトプロロール、アセブトロール、ベタキソロール、セリプロロール、ネビボロール、テルタトロール、オクスプレノロール、アムソサロール、カルベジロール、ラベタロール、β2受容体遮断薬、例えばS−アテノロール、OPC−1085、ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤、例えばキナプリル、リシノプリル、エナラプリル、カプトプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、ホシノプリル、ラミプリル、シラザプリル、デラプリル、イミダプリル、モエキシプリル、スピラプリル、テモカプリル、ゾフェノプリル、S−5590、ファシドトリル、Hoechst−Marion Roussel:100240(EP00481522)、オマパトリラト、ゲモパトリラト、及びGW−660511、カルシウムチャネル遮断薬、例えばニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼム、アムロジピン、ニトレンジピン、ベラパミル、ラシジピン、レルカニジピン、アラニジピン、シルニジピン、クレビジピン、アゼルニジピン、バルニジピン、エホニジピン、ラシジピン、レミルジピン、レルカニジピン、マニジピン、ニルバジピン、アラニジピン、フルニジピン、α遮断薬、例えばドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシン、テラゾシン、ブナゾシン、及びOPC−28326、利尿剤、例えばチアジド/スルホンアミド(例えばベンドロフルメタジド、クロロタリドン、ヒドロクロロチアジド及びクロパミド)、ループ利尿剤(例えばブメタニド、フロセミド及びトラセミド)、及びカリウム保持性利尿剤(例えばアミロライド、スピロノラクトン)、エンドセリンET−Aアンタゴニスト、例えばABT−546、アンブリセンタン、アトラセンタン、SB−234551、Cl−1034、S−0139及びYM−598、エンドセリンアンタゴニスト、例えばボセンタン及びJ−104133、レニン阻害剤、例えばアリスキレン、バソプレッシンV1アンタゴニスト、例えばOPC−21268、バソプレッシンV2アンタゴニスト、例えばトルバプタン、SR−121463及びOPC−31260、B型ナトリウム利尿ペプチドアゴニスト、例えばネシリチド、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、例えばイルベサルタン、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、カンデサルタン、CL−329167、エプロサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、プラトサルタン、TA−606、及びYM−358、5−HT2アゴニスト、例えばフェノルドパム及びケタンセリン、アデノシンA1アンタゴニスト、例えばナフトピジル、N−0861及びFK−352、トロンボキサンA2アンタゴニスト、例えばKT2−962、エンドペプチダーゼ阻害剤、例えばエカドトリル、一酸化窒素アゴニスト、例えばLP−805、ドーパミンD1アンタゴニスト、例えばMYD−37、ドーパミンD2アゴニスト、例えばノロミロール、n−3脂肪酸、例えばオマコール、プロスタサイクリンアゴニスト、例えばトレプロスチニル、ベラプロスト、PGE1アゴニスト、例えばエクラプロスト、Na+/K+ATPアーゼ調節剤、例えばPST−2238、カリウムチャネル活性化剤、例えばKR−30450、ワクチン類、例えばPMD−3117、インダパミド、CGRP−ユニジーン、グアニル酸シクラーゼ刺激剤、ヒドララジン、メチルドーパ、ドカルパミン、モキソニジン、コアプロヴェル、Mondo Biotech−811が挙げられる。
【0145】
更には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1995を参照してもよい。
【0146】
更に、本化合物は、1又は2以上の糖質コルチコイド受容体アゴニストとの組み合わせで投与することができる。かかる糖質コルチコイド受容体アゴニストの例としては、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾン、ブチキシコート、クロベタゾール、フルニソリド、フルカチソン(及び類似体)、モメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、GW−685698、NXC−1015、NXC−1020、NXC−1021、NS−126、P−4112、P−4114、RU−24858、及びT−25シリーズが挙げられる。
【0147】
本発明に係る化合物と、1又は2以上の上述の化合物と、任意により更なる1又は2以上の薬理活性物質との好適な組み合わせは、何れも本発明の範囲内に含まれるものと解すべきである。
【0148】
医薬組成物
本発明の化合物は単独で投与しても、或いは医薬的に許容し得る担体又は賦形剤との組み合わせで投与してもよく、単回用量又は多回用量の何れで投与してもよい。本発明に係る医薬組成物は、医薬的に許容し得る担体又は希釈剤、並びに任意の他の公知のアジュバント及び賦形剤とともに、従来の手法、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1995に開示の手法に従って、製剤することができる。
【0149】
医薬組成物は特に、いかなる好適な経路による投与用に製剤してもよい。例としては、経口、直腸内、鼻腔内、肺内、局所(例えば口腔内及び舌下)、経皮、大槽内、腹腔内、膣内、及び非経口(例えば皮下、筋肉内、髄腔内、静脈内、及び皮内)経路が挙げられるが、経口経路が好ましい。当然ながら、好ましい経路は、処置対象となる患者の全体症状や年齢、処置対象となる症状、及び、選択される活性成分によって異なる。
【0150】
経口投与用の医薬組成物としては、固体の投薬形態、例えば硬質又は軟質カプセル、錠剤、トローチ、ドラジェ、ピル、ロゼンジ、粉末、及び顆粒が挙げられる。適切な場合には、腸溶性コーティング等のコーティングを設けて調製してもよく、或いは、当該技術分野で周知の方法に従って、活性成分の制御放出、例えば持続又は緩徐放出が可能となるように調製してもよい。
【0151】
経口投与用の液体投薬形態としては、溶液、乳濁液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルが挙げられる。
【0152】
非経口投与用の医薬組成物としては、滅菌水性及び非水性注射用溶液、分散液、懸濁液又は乳濁液、並びに滅菌粉末であって、使用前に滅菌注射用溶液又は分散液に再構成されるものが挙げられる。また、デポット注射用製剤も、本発明の範囲内であると考えられる。
【0153】
他の好適な投与形態としては、座薬、噴霧剤、軟膏、クリーム、ゲル、吸入剤、皮膚パッチ、インプラント等が挙げられる。
【0154】
典型的な経口投薬量としては、1日当たり約0.001から約100mg/kg体重、好ましくは1日当たり約0.01から約50mg/kg体重、更に好ましくは1日当たり約0.05から約10mg/kg体重を、1又は2回以上の投薬、例えば1から3回の投薬で投与する。正確な投薬量は、投与頻度及び投与方式、処置対象の性別、年齢、体重、及び全身状態、治療対象の症状の性質及び重症度、治療対象となる合併症、並びに当業者には明らかな他の因子に応じて異なる。
【0155】
製剤は、便宜上、当業者に公知の方法によって、単位投薬形態として供するのがよい。典型的な経口投与用の単位投薬形態は、1日当たり1回又は2回以上、例えば1日当たり1回から3回の投与用であって、0.05から約2000mg、例えば約0.1から約1000mg、約0.5mgから約500mg、約1mgから約200mg、例えば約100mgを含んでいればよい。
【0156】
非経口経路、例えば静脈内、髄腔内、筋肉内、及び同様の投与では、その用量は通常、経口投与に用いられる量の約半分の量である。
【0157】
本発明の化合物は通常、遊離物質として、又は医薬的に許容し得るその塩として用いられる。例としては、化合物の酸付加塩であって、遊離塩基の有用性を有するもの、及び、化合物の塩基付加塩であって、遊離酸の有用性を有するものが挙げられる。用語「医薬的に許容し得る塩」は、本発明に係る使用のための化合物の非毒性塩を指す。これらは通常、遊離塩基を好適な有機又は無機酸と反応させることにより、或いは酸を好適な有機又は無機塩基と反応させることにより調製される。本発明に係る使用のための化合物が遊離塩基を含有する場合、かかる塩は従来法で、化合物の溶液又は懸濁液を、化学等量の医薬的に許容し得る酸で処理することにより調製される。本発明に係る使用のための化合物が遊離酸を含有する場合、かかる塩は従来法で、化合物の溶液又は懸濁液を、化学等量の医薬的に許容し得る塩基で処理することにより調製される。水酸基を有する化合物の生理学的に許容し得る塩としては、前記化合物のアニオンと、好適なカチオン、例えばナトリウム又はアンモニウムイオンとの組み合わせが挙げられる。医薬的に許容し得ない他の塩も、本発明に係る使用のための化合物の調製においては有用である場合があり、本発明の更なる態様を形成する。
【0158】
非経口投与の場合、本化合物の溶液としては、滅菌水溶液、水性プロピレングリコール、或いはゴマ又はピーナッツ油等を用いることができる。かかる水溶液は必要に応じて適切に緩衝化すべきであり、希釈液をまず、十分量の食塩水又はグルコースで等張とする。水溶液は特に静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に適している。使用される滅菌水性媒体はいずれも、当業者に公知の標準法によって、容易に使用可能である。
【0159】
好適な医薬担体としては、不活性の固体希釈剤又は充填剤、滅菌水溶液、及び種々の有機溶媒が挙げられる。好適な担体の例としては、水、塩溶液、アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエトキシ化ひまし油、ピーナッツ油、オリーブ油、シロップ、リン脂質、ゼラチン、ラクトース、白土、スクロース、シクロデキストリン、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸、又はセルロースの低級アルキルエーテル、ケイ酸、脂肪酸、脂肪酸アミン、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン、ヒドロキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンが挙げられる。同様に、担体又は希釈剤は、当該技術分野で公知の任意の持続放出材料、例えばモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルを、単独又はワックスとの混合等で含有していてもよい。また、製剤は、湿潤剤、乳化及び懸濁剤、保存料、甘味料又は香味料等を含有していてもよい。
【0160】
本発明の化合物と、医薬的に許容し得る担体とを組み合わせて形成された医薬組成物は、開示の投与経路に適した種々の投薬形態で、容易に投与することができる。製剤は簡便のため、薬剤分野で公知の方法によって、単位投薬形態で供してもよい。
【0161】
経口投与に適した本発明の製剤を、独立した単位、例えばカプセル又は錠剤として形成し、各々が所定量の活性成分と、任意により好適な賦形剤を含有するようにしてもよい。これらの製剤は、例えば粉末又は顆粒の形態、水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液の形態、或いは油中水又は水中油の乳濁液の形態とすることができる。
【0162】
経口用途を目的とした組成物は、任意の公知の方法で調製することができる。かかる組成物は、医薬的に上品で味の良い調製を提供するために、甘味料、香味料、着色料、及び保存料からなる群より選択される1又は2以上の剤を含有していてもよい。錠剤は活性成分を、錠剤の製造に適した非毒性の医薬的に許容し得る賦形剤とともに有していてもよい。これらの賦形剤としては、例えば不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;造粒及び崩壊剤、例えば コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えばスターチ、ゼラチン又はアカシア;並びに潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクが挙げられる。錠剤は被覆しないものでもよく、或いは公知の手法で被覆することにより、胃腸管内での崩壊及び吸収を遅らせ、より長時間の持続作用を可能にしたものでもよい。例えばモノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリル等の時間遅延剤が使用できる。また、これらを米国特許番号第4,356,108号;第4,166,452号;及び第4,265,874号(これらは援用により本明細書に組み込まれる)に記載の手法によって被覆し、制御放出用の浸透圧治療錠剤としてもよい。
【0163】
経口用途のための製剤は、硬ゼラチンカプセルとして提供してもよい。この場合、活性成分を不活性の固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合する。あるいは、軟ゼラチンカプセルとして提供してもよい。この場合、活性成分を水又は油性媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン、又はオリーブ油等と混合する。
【0164】
水性懸濁液は、活性化合物を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して含有し得る。かかる賦形剤としては、懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカント・ゴム及びアカシア・ゴム;分散又は湿潤剤、例えば天然リン脂質、例えばレシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコール類との縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルボトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと脂肪酸及び無水ヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、例えば ポリエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。また、水性懸濁液は、1又は2以上の着色料、1又は2以上の香味料、及び、1又は2以上の甘味料、例えばスクロース又はサッカリンを含有していてもよい。
【0165】
油性懸濁液は、活性成分を植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナッツ油に、又は鉱油、例えば流動パラフィンに、懸濁させることにより調製できる。油性懸濁液は増粘剤、例えば蜜ろう、硬質パラフィン、又はセチルアルコール等を含有していてもよい。例えば上述した甘味料や香味料を加えて、経口調製物の味を整えてもよい。これらの組成物に抗酸化剤、例えばアスコルビン酸を加えて、保存性を高めてもよい。
【0166】
水を加えて水性懸濁液を調製するのに適した分散用粉末及び顆粒は、活性化合物を分散又は湿潤剤、懸濁剤、及び1又は2以上の保存料と混合することにより提供する。適切な分散又は湿潤剤及び懸濁剤は、すでに上記例示の通りである。更なる賦形剤、例えば甘味料、風味剤、及び着色料を含めてもよい。
【0167】
本発明に係る使用のための化合物を含んでなる医薬組成物は、油中水乳濁液の形態としてもよい。油相としては植物油、例えばオリーブ油又はラッカセイ油、又は鉱油、例えば流動パラフィン、又はそれらの混合物が挙げられる。適切な乳化剤としては、天然ゴム、例えばアカシア・ゴム又はトラガカント・ゴム、天然リン脂質、例えば大豆、レシチン、及び、脂肪酸及び無水ヘキシトール由来のエステル又は部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。また、乳濁液は、甘味料及び香味剤を含んでいてもよい。
【0168】
シロップ及びエリキシルは、甘味料、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースと共に製剤することができる。かかる製剤は、鎮痛薬、保存料、香味剤、及び着色料を含んでいてもよい。医薬組成物は、滅菌注射用の水性又は油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は公知の方法により、上述の好適な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて調製することができる。滅菌注射用調製液は、非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール溶液等であってもよい。使用してもよい許容可能なビヒクル及び溶媒としては、水、リンガー溶液、及び等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらには滅菌の固定油も、溶媒又は懸濁媒として便宜よく用いることができる。この目的には、合成モノ又はジグリセリドを用い、任意のブランドの固定油を用いることができる。加えて、例えばオレイン酸等の脂肪酸も、注射用調製液に使用することができる。
【0169】
また、組成物は、本発明の化合物を直腸内投与するための座薬の形態であってもよい。これらの組成物は、薬剤を、好適な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製される。かかる賦形剤としては、常温では固体であるが直腸内温度では液体であり、直腸内で溶解して薬剤を放出するようなものが用いられる。かかる材料としては、ココアバターやポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0170】
局所使用には、クリーム、軟膏、ゼリー、懸濁溶液等であって、本発明の化合物を含有するものが考えられる。本用途の目的において、局所投与は、洗口液やうがい薬を含むものとする。
【0171】
本発明に係る使用のための化合物は、リポゾーム送達系の形態で投与することもできる。例としては、小型単ラメラ(unilamellar)ベシクル、大型単ラメラベシクル、及び多重ラメラ(multilamellar)ベシクルが挙げられる。リポゾームは、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルクロリンから調製することができる。
【0172】
加えて、本発明に係る使用のための化合物の一部は、水又は通常の有機溶媒と、溶媒和物を形成していてもよい。かかる溶媒和物も本発明の範囲に包含される。
【0173】
即ち、更なる態様によれば、本発明に係る使用のための化合物、又は医薬的に許容し得る塩、溶媒和物、又はそのプロドラッグを、1又は2以上の医薬的に許容し得る担体、賦形剤、又は希釈剤と含んでなる医薬組成物が提供される。
【0174】
固体担体を経口投与に用いる場合には、調製物を硬ゼラチンカプセル内に粉末又はペレットの形態として錠剤化してもよく、或いはトローチ又はロゼンジの形態としてもよい。固体担体の量は大幅に変わり得るが、通常は約25mgから約1gである。液体担体を用いる場合には、調製物はシロップ、乳濁液、軟ゼラチンカプセル又は滅菌注射用液体、例えば水性又は非水性液体の懸濁液又は溶液の形態とすることができる。
【0175】
従来の錠剤化法によって調製し得る通常の錠剤は、以下を含有し得る。
コア:
活性化合物(遊離化合物又はその塩として) 5.0mg
Lactosum Ph.Eur. 67.8mg
微結晶セルロース(Avicel) 31.4mg
Amberlite(登録商標)IRP88* 1.0mg
Magnesil stearas Ph.Eur.q.s.
コーティング:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 約9mg
Mywacett 9−40 T** 約0.9mg
*ポラクリリンカリウムNF、錠剤崩壊剤、Rohm and Haas.
**フィルムコーティング用可塑剤として使用されるアシル化モノグリセリド
【0176】
本発明の化合物を投与し得る患者は、哺乳類、特にそれを必要とするヒトである。かかる哺乳類には動物も含まれる。動物は飼育動物、例えば家庭のペットでも、非飼育動物、例えば野生動物でもよい。
【0177】
また、本発明は、本発明の化合物を調製する下記の方法に関する。
【0178】
前記に開示された特徴は、別々に、かつ任意のその組み合わせにおいて、その多様な形態で本発明を実現するための材料となり得る。
【0179】
本明細書に引用された刊行物、特許出願及び特許を含む参考文献は、各文献が、個別に、かつ具体的に、参照により援用されることが意図されているかのように、そして、全体として本明細書に記載されているかのように同程度で参照により援用される。
【0180】
表題及び副題は、都合のために本明細書において使用されただけであった、本発明を多少なりとも限定するものとして構築されてはならない。
【0181】
すべてのその可能な改変における上述した要素の任意の組み合わせは、他に本明細書において特定されておらず、あるいは他に文脈によって明確に矛盾がなければ、本発明に包含される。
【0182】
本発明の記載の文脈において使用される用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び類似の指示対象は、他に特定されておらず、あるいは文脈によって明確に矛盾がなければ、単数形及び複数形の両方を覆うように解釈されなければならない。
【0183】
本明細書における数値の範囲の列挙は、単に、他に本明細書において特定されていなければ、その範囲に含まれる別個の数値に対して個別に参照する省略法として利用することを意図し、各々の別個の数値は、それが個別に本明細書において列挙されているかのように明細書中に援用される。他に記述がなければ、本明細書に記載される全ての正確な数値は、対応する近似値の典型例である(例えば、特定の因子又は測定に関して提供される全ての正確な例示的な数値は、適切である場合、「約」によって修飾される対応する近似的な測定も提供することが考えられる)。
【0184】
本明細書に記載される全ての方法は、他に本明細書に特定されておらず、あるいは文脈によって明確に矛盾がなければ、任意の適切な順番で行うことができる。
【0185】
本明細書において提供される任意及び全ての例、又は例示的な用語(例えば、「例えば(such as)」の使用は、本発明をより良く例証することだけを意図し、他に特定されていなければ、本発明の範囲に限定をもたらさない。本明細書における用語は、任意の要素を指示することが、ちょうどそれが明示的に記述がなければ、本発明の実施に本質的であるかのように解釈されてはならない。
【0186】
本明細書における特許書面の引用及び援用は、都合のためにだけなされ、このような特許書面の有効性、特許性及び/又は権利行使可能性のいずれの見解も反映しない。
【0187】
要素(単数)又は要素(複数)に対して「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」又は「含む(containing)」などの用語を用いた本発明の任意の局面又は態様の本明細書における記載は、他に特定されておらず、あるいは文脈によって明確に矛盾がなければ、その特定の要素(単数)又は要素(複数)「からなる」、「から本質的になる」、又は「実質的に含む」本発明の類似の局面又は態様に対する支持を提供することが意図される(例えば、特定の要素を含むように本明細書に記載された策定は、他に記述されておらず、あるいは文脈によって明らかに矛盾がなければ、その要素からなる策定も記載するものとして理解されなければならない)。
【0188】
この発明は、適用法令によって許可される最大限の程度で本明細書に示された局面又は請求に記載された主題の全ての変更物及び均等物を含む。
【0189】
本発明は、下記の代表的な実施例においてさらに例証されるが、しかしながら、多少なりとも本発明の範囲を制限することは意図されない。
【実施例】
【0190】
以下の一般的な手順では、明細書及び合成スキームにおいて同定される一般式(I)の中間化合物及び最終生成物について言及する。本発明の一般式(I)の化合物の調製法を、以下の記載を用いて詳細に説明する。本発明の開示範囲内に含まれる各化合物に対して、上記の反応を記載のままでは適用できない場合もあり得る。このような場合に該当する化合物は、当業者であれば容易に認識できよう。かかる場合は、当業者に公知の従来の修飾法によって、反応を首尾よく行うことができる。かかる修飾法としては、干渉基による適切な保護、他の従来の試薬への変更、又は、常法による反応条件の変更が挙げられる。或いは、本明細書開示の他の反応、さもなければ従来の方法を、対応する本発明の化合物の調製に適用できるかもしれない。いずれの調製法においても、出発原料は全て公知であり、又は公知の出発原料から容易に調製し得る。化合物の構造は、元素分析又は核磁気共鳴法(nuclear magnetic resonance:NMR)のいずれかにおいて、表題化合物の特徴的なプロトンに相当するピークが適切な位置に存在することによって確認できる。1H NMRシフト(δH)は、テトラメチルシランを内部参照標準として、下方場からの百万分率(ppm)で表わされる。m.p.は融点であり、℃で表わされ、補正されない。カラムクロマトグラフィーは、W.C.Still et al.,J.Org.Chem.43:2923(1978)に記載の技術により、Merckシリカゲル 60(Art.9385)を用いて行った。HPLC分析は、実験の節に記載されるように、水及びアセトニトリルの種々の混合物を用いて、流速=1ml/分で溶出された5μmのC18 4×250mmを用いて行う。
【0191】
調製用HPLC:カラム:1.9×15cm Waters XTerra RP−18。バッファー:直線勾配水中5−95%MeCN、15分間、0.1%TFA、流速15ml/分。プールされた画分は、真空中で乾燥するまでエバポレートされるか、又はMeCNが除去されるまで真空中でエバポレートされ、次に、凍結、並びに凍結乾燥される。
【0192】
LC−MS
下記の器具を使用した:
・Hewlett Packardシリーズ1100 G1312A Binポンプ
・Hewlett Packard シリーズ1100カラムコンパートメント
・Hewlett Packardシリーズ1100 G13 15A DADダイオードアレイ検出器
・Hewlett Packardシリーズ1100 MSD
【0193】
器具は、HP Chemstationソフトウェアによって制御した。
【0194】
HPLCポンプは、
A:水中の0.01%TFA
B:アセトニトリル中の0.01%TFA
を含む2つの溶出リーザーバーに接続された
【0195】
カラムに適量の試料(好ましくは1μl)を注入することによって、40℃で分析を行った。それは、アセトニトリルの勾配を用いて溶出される。
【0196】
使用したHPLC条件、検出器設定及び質量分析器設定は下記のとおりである:
カラム Waters XTerra MS C−18 X 3mm id
勾配 10%−100%アセトニトリル直線、7.5分、1.0ml/分
検出 210nm(DADからのアナログ出力)
MS イオン化モードAPI−ES、Scan 100−1000 amu step 0.1 amp
【0197】
実施例において使用された省略形は、下記の意味を有する:
ADDP:1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン
CDCl3:重水素化クロロホルム
DCM:ジクロロメタン
DEAD:1,1’−ジエチルアゾジカルボキシレート
DIAD:1,1’−ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
DIC:N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO−d6:ヘキサ重水素化ジメチルスルホキシド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
EDC:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
HOBT:1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール
hrs:時間
MCPBA:メタ−クロロ過安息香酸
MeCN:アセトニトリル
min:分
NMP:N−メチルピロリジノン
TEA:トリエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
【0198】
【化8】

【0199】
カップリング試薬(例えば、乾燥DMF中のHOBT、EDC及びDIPEA)を用いた標準的な網戸結合形成条件下で、アミン(II)(式中、R20及びR21は、上記で定義されるR1を形成するように基が結合されているアミンと一緒になる)と酸(I)(式中、R2は上記で定義されるとおりである)がカップリングすることを可能にすることによって、アミド(III)(式中、R2及びR1は上記で定義される)を形成する。アミン(II)は、単一の異性体又は2つの異性体の混合物として用いる;したがって、アミド(III)は、2つの異性体の混合物又は単一の異性体として単離される。
【0200】
【化9】

【0201】
酸(I)(式中、R2は上記で定義されるとおりである)が塩化チオニルとの反応によって対応する酸塩化物を形成し、溶媒(DCM、DMF、THF、NMPなど)中の塩基性条件(例えば、トリエチルアミン、DIPEA、K2CO3など)下で、この酸塩化物とアミン(II)(式中、R20及びR21は、上記で定義されるR1を形成するように基が結合されているアミンと一緒になる)とを反応させることによって、アミド(III)(式中、R2及びR1は上記で定義される)を形成する。アミン(II)は、単一の異性体又は2つの異性体の混合物として用いる;したがって、アミド(III)は、2つの異性体の混合物又は単一の異性体として単離される。
【0202】
あるいは、酸(I)(式中、R2は上記で定義されるとおりである)に対応する酸塩化物を直接用いて、同じ塩基性条件下で、アミン(II)(式中、R20及びR21は、上記で定義されるR1を形成するように基が結合されているアミンと一緒になる)と反応させることができる。
【0203】
【化10】

【0204】
フェニルエステル(III)(式中、R2は定規で定義されるとおりである)は、下記に記載されるように、又は当業者によって知られている、若しくは文献に記載されている他の手法によって合成可能である。C(O)OX2は、適切なエステルを形成する。(II)は、室温、N2下で、乾燥DMSOに溶解された。NaHを徐々に添加した。脱プロロン化後、(I)を添加し、反応混合物を120℃、10〜20時間加熱した。反応はLC−MSに続けることができる。反応混合物を氷水上に注ぎ、有機溶媒で抽出して、(III)を得た。エステルを塩基性条件で加水分解して、(IV)(式中、R2は上述されるとおりである)を得た。
【0205】
下記の表に示される化合物は、上記で列挙された一般法によって、並びに当業者に知られている又は文献に記載されている適切な方法によって合成可能である。
【0206】
【表1】

【0207】
【表2】

【0208】
薬理学的な方法
11βHSD1酵素アッセイ
材料
3H−コルチゾン及び抗ウサギIg被覆シンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズは、Amersham Pharmacia Biotechから、β−NADPH はSigmaから、ウサギ抗コルチゾル抗体はFitzgeraldから購入した。h−11βHSD1で形質転換した酵母抽出物(Hult et al.,FEBS Lett,441,25(1998))を酵素源として用いた。試験化合物をDMSO(10mM)に溶解させた。希釈はすべて、50mMトリス−HCl(Sigma Chemical Co)、4mM EDTA(Sigma Chemical Co)、0.1%BSA(Sigma Chemical Co)、0.01%Tween−20(Sigma Chemical Co)、及び0.005%バシトラシン(Novo Nordisk A/S)を含有する、pH=7.4のバッファーを用いて行った。オプチプレート96ウェルプレートはPackardから入手した。SPAに結合した3H−コルチゾルビーズの量はTopCount NXT、Packardを用いて測定した。
【0209】
方法
h−11βHSD1、120nM 3H−コルチゾン、4mM β−NADPH、抗体(1:200)、試験化合物の段階希釈液、及びSPA粒子(2mg/ウェル)をウェルに加えた。これら種々の成分を混合して反応を開始し、振盪下、30℃で60分反応を継続させた。500μMカルベノキソロン及び1μMコルチゾンを含有する、10倍過剰量の停止バッファーを加えて反応を停止した。データ分析はGraphPad Prismソフトウェアを用いて行った。
【0210】
【表3】

【0211】
本発明をその特定の好ましい実施形態に即して説明してきたが、当業者であれば当然分かるように、本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲で種々の変更、改変、及び置換を加えることが可能である。例えば、疾病治療対象哺乳類の応答性の変動の結果として、本明細書で記載の好ましい投薬量以外の有効投薬量を適用することも可能である。同様に、観察される具体的な薬理反応は、選択される具体的な活性化合物、又は医薬担体の有無、並びに製剤の種類、使用する投与形式に従って、又はそれらに従って変動し得る。本発明の目的及び実施によっては、これらの予想可能な変化の変動や相違が考えられる。従って、本発明は添付の特許請求の範囲に限定されるべきではない。
【0212】
以上の記載及び/又は特許請求の範囲に開示される特徴は、個々独立で、更には任意の組み合わせで、本発明をその種々の形態で実施するための材料となる。
【0213】
本発明の好ましい特徴:
1.一般式(I):
【0214】
【化11】

【0215】
[式中、
1は、下記:
【0216】
【化12】

【0217】
{式中、シンボル*は結合点を示す}
からなる群から選択され;
2は、独立して選択される1又は2個のR3で置換されたフェニル、及び独立して選択される1又は2個のR3で置換されたピリジニルからなる群から選択され;
3は、ハロゲン、シアノ、−C(=O)OH、−C(=O)R4、−CH(OH)R4、C(=O)−NR67、−OR4、−SR4、−S(=O)24、−S(=O)2−NR67、−C=CR45、−C≡C−R4、場合によりハロゲン又はメチルで置換される−C3−C10ヘテロシクリル、場合によりハロゲン、メチル又はヒドロキシで置換されるC3−C10シクロアルキル、場合により−C(=O)OH、ハロゲン又はメチルで置換されるフェニル、場合によりR4で置換されるC1−C6アルキル、及び場合により−C(=O)OH、ハロゲン又はメチルで置換されるヘテロアリールからなる群から選択され;
4は、水素、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシル、及び−C(=O)NH2で置換され;
5は、水素、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシで置換され;
6は、水素、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル、及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換され;
7は、水素、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル、及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換され;
あるいは、R6及びR7は、それらに結合する窒素原子と一緒になって、ピペラジン又はピロリジン環を形成し、ここで、該環は、場合により、ヒドロキシ又はハロゲンで置換される]
で表される化合物、あるいは医薬として許容される酸若しくは塩基とのその塩、又は任意の光学異性体若しくは光学異性体の混合物(ラセミ混合物を含む)、又は任意の互変異性形態。
【0218】
2.R1が、
【0219】
【化13】

【0220】
である、第1項に係る化合物。
【0221】
3.R1が、
【0222】
【化14】

【0223】
である、第1項に係る化合物。
【0224】
4.R1が、
【0225】
【化15】

【0226】
である、第1項に係る化合物。
【0227】
5.R2が、1又は2個の独立して選択されるR3で置換されるフェニルである、第1〜4項のいずれか1項に係る化合物。
【0228】
6.R2が、1又は2個の独立して選択されるR3で置換されるピリジニルである、第1〜4項のいずれか1項に係る化合物。
【0229】
7.R2が、1個のR3で置換される、第1〜6項のいずれか1項に係る化合物。
【0230】
8.R2が、独立して選択される2個のR3で置換される、第1〜6項のいずれか1項に係る化合物。
【0231】
9.R3が、シアノ及びハロゲンからなる群から選択される、第1〜8項のいずれか1項に係る化合物。
【0232】
10.R2が、シアノである1個のR3で置換される、第1〜9項のいずれか1項に係る化合物。
【0233】
11.R2が、各々ハロゲンである2個のR3で置換される、第1〜9項のいずれか1項に係る化合物。
【0234】
12.R3が塩素である、第1〜9項及び第11項のいずれか1項に係る化合物。
【0235】
13. R4が、水素、メチル、エチル、フェニル、ピリジニル、イミダゾリル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され、ここで、該メチル、エチル、フェニル、ピリジニル、イミダゾリル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、塩素、フッ素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシで置換される、第1〜12項のいずれか1項に係る化合物。
【0236】
14.R5が、水素、メチル、エチル、フェニル、ピリジニル、イミダゾリル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され、ここで、該メチル、エチル、フェニル、ピリジニル、イミダゾリル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、塩素、フッ素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシで置換される、第1〜13項のいずれか1項に係る化合物。
【0237】
15.R6が、水素、メチル、エチル、テトラヒドロピラニル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され、ここで、該メチル、エチル、テトラヒドロピラニル、シクロプロピル、シクロブチル、及びシクロヘキシルは、場合により、塩素、フッ素及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換される、第1〜14項のいずれか1項に係る化合物。
【0238】
16.R7が、水素、メチル、エチル、テトラヒドロピラニル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され、ここで、該メチル、エチル、テトラヒドロピラニル、シクロプロピル、シクロブチル、及びシクロヘキシルは、場合により、塩素、フッ素及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換される、第1〜15項のいずれか1項に係る化合物。
【0239】
17.R6及びR7が、それらに結合する窒素原子と一緒になって、ピペリジン又はピロリジン環を形成し、ここで、該環は、場合により、ヒドロキシ、塩素又はフッ素で置換される、第1〜14項のいずれか1項に係る化合物。
【0240】
18.ヘテロアリールが、イソキサゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、ピラゾリル及びピリジニルからなる群から選択される、第1〜17項のいずれか1項に係る化合物。
【0241】
19.C3−C10シクロアルキルが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルからなる群から選択される、第1〜17項のいずれか1項に係る化合物。
【0242】
20. C3−C10ヘテロシクリルが、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、及びモルホリニルからなる群から選択される、第1〜17項のいずれか1項に係る化合物。
【0243】
21.4−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−N−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−ベンズアミド、4−(5−シアノ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−ベンズアミド、4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−ベンズアミド、4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(5−ヒドロキシメチル−アダマンタン−2−イル)−ベンズアミド、及び4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシル)−N−メチル−ベンズアミドからなる群から選択される化合物。
【0244】
22.11βHSD1の活性の調節又は阻害が有益である任意の状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である、上記条項のいずれか1項に係る化合物。
【0245】
23.細胞内グルココルチコイドレベルによって影響される任意の状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である、第1〜22項のいずれか1項に係る化合物。
【0246】
24.メタボリックシンドローム、インスリン耐性、脂質異常症、高血圧及び肥満からなる群から選択される状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である、第1〜22項のいずれか1項に係る化合物。
【0247】
25.2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時糖能異常(IFG)の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である、第1〜22項のいずれか1項に係る化合物。
【0248】
26.IGTから2型糖尿病への進行を遅延又は阻止するのに有用な薬物である、第1〜22項のいずれか1項に係る化合物。
【0249】
27.メタボリックシンドロームから2型糖尿病への進行を遅延又は阻止するのに有用な薬物である、第1〜22項のいずれか1項に係る化合物。
【0250】
28.グルココルチコイド受容体アゴニストによる処置又は治療の副作用の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である、第1〜22項のいずれか1項に係る化合物。
【0251】
29.有効成分として、第1〜22項のいずれか1項に係る化合物、並びに1以上の医薬として許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
【0252】
30.経口、口腔、鼻腔、経皮、肺又は非経口投与用である、第29項に係る医薬組成物。
【0253】
31.0.05mg〜2000mg/日、0.1mg〜1000mg又は0.5mg〜500mg/日で含む、単位投薬形態としての第29又は30項に係る医薬組成物。
【0254】
32.11βHSD1の活性の調節又は阻害が有益である任意の状態、障害及び疾患を治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)するための方法であって、第1〜22項のいずれか1項に係る有効量の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む前記方法。
【0255】
33.前記状態、障害又は疾患が、メタボリックシンドローム、インスリン耐性、脂質異常症、高血圧及び肥満からなる群から成る群から選択される第32項に係る方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、
1は、下記:
【化2】

{式中、シンボル*は結合点を示す}
からなる群から選択され;
2は、1又は2個の独立して選択されるR3で置換されたフェニル、及び1又は2個の独立して選択されるR3で置換されたピリジニルからなる群から選択され;
3は、ハロゲン、シアノ、−C(=O)OH、−C(=O)R4、−CH(OH)R4、C(=O)−NR67、−OR4、−SR4、−S(=O)24、−S(=O)2−NR67、−C=CR45、−C≡C−R4、場合によりハロゲン又はメチルで置換される−C3−C10ヘテロシクリル、場合によりハロゲン、メチル又はヒドロキシで置換されるC3−C10シクロアルキル、場合により−C(=O)OH、ハロゲン又はメチルで置換されるフェニル、場合によりR4で置換されるC1−C6アルキル、及び場合により−C(=O)OH、ハロゲン又はメチルで置換されるヘテロアリールからなる群から選択され;
4は、水素、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシル、及び−C(=O)NH2で置換され;
5は、水素、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシで置換され;
6は、水素、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル、及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換され;
7は、水素、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル、及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換され;
あるいは、R6及びR7は、それらに結合する窒素原子と一緒になって、ピペラジン又はピロリジン環を形成し、ここで、該環は、場合により、ヒドロキシ又はハロゲンで置換される]
で表される化合物、あるいは医薬として許容される酸若しくは塩基とのその塩、又は任意の光学異性体若しくは光学異性体の混合物(ラセミ混合物を含む)、又は任意の互変異性形態。
【請求項2】
一般式(I):
【化3】

[式中、
1は、下記:
【化4】

{式中、シンボル*は結合点を示す}
からなる群から選択され;
2は、1又は2個の独立して選択されるR3で置換されたフェニル、及び1又は2個の独立して選択されるR3で置換されたピリジニルからなる群から選択され;
3は、ハロゲン、シアノ、−C(=O)OH、−C(=O)R4、−CH(OH)R4、C(=O)−NR67、−OR4、−SR4、−S(=O)24、−S(=O)2−NR67、−C=CR45、−C≡C−R4、場合によりハロゲン又はメチルで置換される−C3−C10ヘテロシクリル、場合によりハロゲン、メチル又はヒドロキシで置換されるC3−C10シクロアルキル、場合により−C(=O)OH、ハロゲン又はメチルで置換されるフェニル、場合によりR4で置換されるC1−C6アルキル、及び場合により−C(=O)OH、ハロゲン又はメチルで置換されるヘテロアリールからなる群から選択され;
4は、水素、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシル、及び−C(=O)NH2で置換され;
5は、水素、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、−C(=O)OH、−CH2OH、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はヒドロキシで置換され;
6は、水素、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル、及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換され;
7は、水素、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル及びC3−C10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−C6アルキル、テトラヒドロピラニル、及びC3−C10シクロアルキルは、場合により、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換され;
あるいは、R6及びR7は、それらに結合する窒素原子と一緒になって、ピペラジン又はピロリジン環を形成し、ここで、該環は、場合により、ヒドロキシ又はハロゲンで置換される]
で表される化合物、あるいは医薬として許容される酸若しくは塩基とのその塩、又は任意の光学異性体若しくは光学異性体の混合物(ラセミ混合物を含む)、又は任意の互変異性形態。
【請求項3】
1が、
【化5】

である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
1が、
【化6】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1が、
【化7】

である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
1が、
【化8】

である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項7】
2が、1又は2個の独立して選択されるR3で置換されるフェニルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
2が、1又は2個の独立して選択されるR3で置換されるピリジニルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
3が、シアノ及びハロゲンからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
4−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−N−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−ベンズアミド、4−(5−シアノ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−ベンズアミド、4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−ベンズアミド、4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(5−ヒドロキシメチル−アダマンタン−2−イル)−ベンズアミド、及び4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−(4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシル)−N−メチル−ベンズアミドからなる群から選択される化合物。
【請求項11】
11βHSD1の活性の調節又は阻害が有益である任意の状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
細胞内グルココルチコイドレベルによって影響される任意の状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
メタボリックシンドローム、インスリン耐性、脂質異常症、高血圧及び肥満からなる群から選択される状態、障害及び疾患の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時糖能異常(IFG)の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
グルココルチコイド受容体アゴニストによる処置又は治療の副作用の治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)に有用な薬物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
有効成分として、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物、並びに1以上の医薬として許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項17】
11βHSD1の活性の調節又は阻害が有益である任意の状態、障害及び疾患を治療、予防(prevention)及び/又は予防(prophylaxis)するための方法であって、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有効量の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む前記方法。
【請求項18】
前記状態、障害又は疾患が、メタボリックシンドローム、インスリン耐性、脂質異常症、高血圧及び肥満からなる群から成る群から選択される、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2010−523692(P2010−523692A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503169(P2010−503169)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/059700
【国際公開番号】WO2008/127924
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(508269525)ハイ ポイント ファーマシューティカルズ,リミティド ライアビリティ カンパニー (26)
【Fターム(参考)】