説明

新規多機能性サイトカイン

【課題】癌および感染症を含む種々の疾患の治療または予防に有用な新規融合蛋白質、これをコードする核酸、融合蛋白質の製造方法、融合蛋白質を含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】式X−YまたはY−X(式中、Xは第1の免疫調節ポリペプチドを表し、かつ、YはXとは異なる第2の免疫調節ポリペプチドを表す)を有する新規融合タンパク質。このような融合タンパク質をコードする核酸分子およびこのような核酸分子を含んでなるベクター。このような核酸分子またはこのようなベクターを含んでなる感染性ウイルス粒子および宿主細胞、ならびにこのような感染性ウイルス粒子を作製するための手順。このような融合タンパク質を組換えにより作製するための方法。このような融合タンパク質、核酸分子、ベクター、感染性ウイルス粒子および宿主細胞を含んでなる医薬組成物、ならびにその治療上の使用方法。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式を有する、融合タンパク質:
(a)X−Y、または
(b)Y−X
[式中、
Xは第1の免疫調節ポリペプチドを表し、
Yは第2の免疫調節ポリペプチドを表し、かつ、
XはYと異なる]。
【請求項2】
XおよびYが各々、サイトカインを表す、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
Xが、非特異的免疫応答を増強し得るサイトカインを表す、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
非特異的免疫応答が、マクロファージ、樹状細胞、NK細胞およびNKT細胞からなる群から選択される1以上のエフェクター細胞によって媒介される、請求項3に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
Yが、特異的免疫を増強し得るサイトカインを表す、請求項2〜4のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
特異的免疫が、エフェクター細胞、Bリンパ球および/またはTリンパ球によって媒介される、請求項5に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
XおよびYが独立に、IL−2、IL−7、IL−15、IL−18、IL−21、IL−27、IL−31またはIFNgである、請求項2〜6のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
(a)XがIL−2であり、かつ、YがIL−7、IL−15、IL−18、IL−21、IL−27、IL−31およびIFNgからなる群から選択される;
(b)XがIL−12であり、かつ、YがIL−15、IL−18およびIL−21からなる群から選択される;
(c)XがIL−15であり、かつ、YがIL−7、IL−18もしくはIL−21である;または
(d)XがIL−18であり、かつ、YがIL−21である
、請求項7に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
(a)式Y−X(式中、XはIL−2であり、かつ、YはIL−7である)を有する;
(b)式X−YまたはY−X(式中、XはIL−2であり、かつ、YはIL−15である)を有する;
(c)式X−Y(式中、XはIL−2であり、かつ、YはIL−18である)を有する;
(d)式Y−X(式中、XはIL−2であり、かつ、YはIL−21である)を有する;
(e)式Y−X(式中、XはIL−2であり、かつ、YはIFN−gである)を有する;
(f)式X−Y(式中、XはIL−15であり、かつ、YはIL−7である)を有する;
(g)式X−YまたはY−X(式中、XはIL−15であり、かつ、YはIL−18である)を有する;
(h)式X−YまたはY−X(式中、XはIL−15であり、かつ、YはIL−21である)を有する;および
(i)式X−YまたはY−X(式中、XはIL−18であり、かつ、YはIL−21である)を有する
、請求項8に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
前記IL−2が、その対応する天然型IL−2と比べて細胞傷害性の減弱を示す変異型IL−2である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
前記変異型IL−2が、
(a)その天然型IL−2の42位のフェニルアラニン残基がリジン残基で置換されている変異体F42K;
(b)その天然型IL−2の38位のアルギニン残基がアラニン残基で置換されている変異体R38A;
(c)その天然型IL−2の20位のアスパラギン酸残基がイソロイシン残基で置換されている変異体D20I;
(d)その天然型IL−2の88位のアスパラギン残基がグリシン残基で置換されている変異体N88G;
(e)その天然型IL−2の88位のアスパラギン残基がアルギニン残基で置換されている変異体N88R;
(f)その天然型IL−2の126位のグルタミン残基がメチオニン残基で置換されている変異体Q126M;および
(g)(a)〜(f)のいずれかの組合せ
からなる群から選択される、請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
前記IL−18が変異型IL−18である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
前記変異型IL−18が、その対応する天然型IL−18の89位のリジン残基がアラニン残基で置換されている変異型K89Aである、請求項12に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
前記IL−18がプロIL−18である、請求項7〜13のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
配列番号1〜19で示したいずれかのアミノ酸配列の総てまたは一部と少なくとも70%相同であるアミノ酸配列を含んでなる、請求項7〜14のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
配列番号1〜19で示したいずれかのアミノ酸配列の総てまたは一部と100%相同であるアミノ酸配列を含んでなる、請求項15に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする、核酸分子。
【請求項18】
請求項17に記載の核酸分子を含有する、ベクター。
【請求項19】
1以上の細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、人工染色体由来であるか、またはバキュロウイルス、パポバウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ポックスウイルス、泡沫状ウイルスおよびレトロウイルスからなる群から選択されるウイルス由来である、請求項18に記載のベクター。
【請求項20】
アデノウイルスベクターである、請求項19に記載のベクター。
【請求項21】
E1領域の代わりに挿入され、CMVプロモーターの制御下に置かれた請求項17に記載の核酸分子を含んでなるE1−およびE3−欠失複製欠損アデノウイルスベクターである、請求項20に記載のベクター。
【請求項22】
(i)腫瘍増殖阻害剤および/または(ii)それに対する免疫応答が望まれる少なくとも1つの抗原、をコードする1以上の導入遺伝子をさらに含んでなる、請求項18〜21のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項23】
前記腫瘍増殖阻害剤がCDアーゼ活性とUPRTアーゼ活性の両方を有する2ドメイン酵素をコードする融合タンパク質である、請求項22に記載のベクター。
【請求項24】
前記特異的抗原がE5、E6、E7、L1およびL2からなる群から個別にまたは組み合わせて選択されるHPV抗原である、請求項22に記載のベクター。
【請求項25】
前記HPV抗原が初期HPV−16 E6および/またはE7抗原の膜結合型非発癌性変異体である、請求項24に記載のベクター。
【請求項26】
請求項17に記載の核酸分子または請求項18〜25のいずれか一項に記載のベクターを含んでなる、感染性ウイルス粒子。
【請求項27】
請求項26に記載の感染性ウイルス粒子を生産するための方法であって、
(a)請求項18〜25のいずれか一項に記載のウイルスベクターを好適な細胞系統に導入する工程、
(b)前記細胞系統を、前記感染性ウイルス粒子を生産させるのに好適な条件下で培養する工程、および
(c)前記細胞系統の培養物から生産された感染性ウイルス粒子を回収する工程、さらに
(d)所望により、前記回収された感染性ウイルス粒子を精製する工程
を含んでなる、方法。
【請求項28】
請求項17に記載の核酸分子または請求項18〜25のいずれか一項に記載のベクターまたは請求項26に記載の感染性ウイルス粒子を含んでなる、宿主細胞。
【請求項29】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の融合タンパク質を生産するための方法であって、請求項18〜25のいずれか一項に記載のベクターまたは請求項26に記載の感染性ウイルス粒子を好適な宿主細胞に導入すること、トランスフェクト宿主細胞または感染宿主細胞を産生すること、前記トランスフェクト宿主細胞または感染宿主細胞を宿主細胞の増殖に好適な条件下でin-vitro培養すること、および、その後、前記培養物から前記融合タンパク質を回収すること、さらに、所望により、前記回収された融合タンパク質を精製することを含む、方法。
【請求項30】
有効量の、請求項1〜16のいずれか一項に記載の融合タンパク質、請求項18〜25のいずれか一項に記載のベクター、請求項26に記載の感染性ウイルス粒子、請求項28に記載の宿主細胞またはそれらのいずれかの組合せと、所望により、医薬上許容されるビヒクルとを含んでなる、医薬組成物。
【請求項31】
癌または感染症を治療または予防することを目的とする薬剤の調製のための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の融合タンパク質、請求項18〜25のいずれか一項に記載のベクター、請求項26に記載の感染性ウイルス粒子、請求項28に記載の宿主細胞または請求項30に記載の組成物の使用。
【請求項32】
前記組成物が固形腫瘍内にまたは固形腫瘍に近接して投与される、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記融合タンパク質、前記ベクター、前記感染性ウイルス粒子、前記宿主細胞または前記組成物が1以上の導入遺伝子または導入遺伝子産物と組み合わせて投与される、請求項31または請求項32に記載の使用。
【請求項34】
ヒトまたは動物生物体の治療のための方法であって、前記生物体に治療上有効な量の、請求項1〜16のいずれか一項に記載の融合タンパク質、請求項18〜25のいずれか一項に記載のベクター、請求項26に記載の感染性ウイルス粒子、請求項28に記載の宿主細胞または請求項30に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項35】
動物またはヒト生物体において免疫応答を増強するための方法であって、前記免疫応答を増強するように、前記生物体に、請求項1〜16のいずれか一項に記載の融合タンパク質、請求項18〜25のいずれか一項に記載のベクター、請求項26に記載の感染性ウイルス粒子、請求項28に記載の宿主細胞または請求項30に記載の組成物を導入することを含む、方法。
【請求項36】
動物またはヒト生物体において樹状細胞の成熟を促進するという目的のために意図された薬剤の調製のための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の融合タンパク質、請求項18〜25のいずれか一項に記載のベクター、請求項26に記載の感染性ウイルス粒子、請求項28に記載の宿主細胞または請求項30に記載の組成物の使用。
【請求項37】
融合タンパク質が式X−Y(式中、XはIL−2であり、かつ、YはIL−18である)を有しているか、または式Y−X(式中、XはIL−2であり、かつ、YはIL−7である)を有している、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
動物またはヒト生物体においてNKT細胞を活性化するという目的のために意図された薬剤の調製のための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の融合タンパク質、請求項18〜25のいずれか一項に記載のベクター、請求項26に記載の感染性ウイルス粒子、請求項28に記載の宿主細胞または請求項30に記載の組成物の使用。
【請求項39】
融合タンパク質が式X−Y(式中、XはIL−2であり、かつ、YはIL−18である)を有している、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
動物またはヒト生物体において投与した際に、個々のX構成要素および/またはY構成要素を投与した際に見られる細胞傷害性と比べて細胞傷害性の減弱をもたらす薬剤を調製のための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の融合タンパク質、請求項18〜25のいずれか一項に記載のベクター、請求項26に記載の感染性ウイルス粒子、請求項28に記載の宿主細胞または請求項30に記載の組成物の使用。
【請求項41】
融合タンパク質が式X−Y(式中、XはIL−2であり、かつ、YはIL−18である)を有しているか、または式Y−X(式中、XはIL−2であり、かつ、YはIL−7である)を有している、請求項40に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−45375(P2011−45375A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222286(P2010−222286)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【分割の表示】特願2006−520780(P2006−520780)の分割
【原出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(599082883)トランジェーヌ、ソシエテ、アノニム (32)
【氏名又は名称原語表記】TRANSGENE S.A.
【Fターム(参考)】