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新規層状リン酸ジルコニウム
説明

新規層状リン酸ジルコニウム

【課題】
本発明は、耐熱性や耐薬品性に優れ、電子材料の不純イオントラップ剤、抗菌剤原料、消臭剤、変色防止剤、防錆剤などとして利用可能なイオン交換体粒子であって、様々な加工性に優れる結晶質層状リン酸ジルコニウムを提供する。
【解決手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記一般式〔1〕で示される新規の層状リン酸ジルコニウムを見出し、本発明を完成させた。
Zr1-xHfxa(PO4b・nH2O 〔1〕
(式〔1〕において、aおよびbは3b−a=4を満たす正数であり、bは2<b≦2.1であり、xは0<x<1の正数であり、nは0≦n≦2の正数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の層状リン酸ジルコニウムに関するものであり、耐熱性や耐薬品性に優れ、電子材料の不純イオントラップ剤、抗菌剤原料、消臭剤、変色防止剤、防錆剤、インターカレーション用の原料などとして利用可能なイオン交換体である。
【背景技術】
【0002】
リン酸ジルコニウム系無機イオン交換体はその特徴を活かし、様々な用途に利用されている。
リン酸ジルコニウム系無機イオン交換体には、非晶質、2次元層状構造および3次元網目状構造をとる結晶質のものがある。これらのなかでも2次元層状構造をとる層状リン酸ジルコニウムであるZr2(HPO42・nH2Oは、イオン交換性能、耐熱性、耐薬品性、耐放射線性などに優れており、電子材料の不純イオントラップ剤、放射性廃棄物の固定化、固体電解質、ガス吸着・分離剤、防錆剤、触媒、インターカレーション担持体および抗菌剤原料などに応用されている。
【0003】
これまでに様々な層状リン酸塩が知られており、様々な合成方法が知られている。例えば、Zr(HPO42・H2O、Zr(HPO42・2H2O、Ti(HPO4)・H2O、Ti(HPO42・2H2O、Hf(HPO42・H2O、Sn(HPO42・2H2O(例えば、特許文献1参照)、M(IV)(HPO4x・nH2O、M(IV)は4価の金属(例えば、特許文献2参照)、などがある。
なかでも層状リン酸ジルコニウムは合成のし易さ、性能等に優れているため、様々な製造方法が提案されている。例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5などがある。層状リン酸ジルコニウムの合成法には、水中または水を含有した状態で原料を混合後、加圧加温して合成する水熱法、原料を水中で混合後、常圧下で加熱して合成する湿式法が挙げられる。
【0004】
例えば、LSI、IC、ハイブリッドIC、トランジスタ、ダイオード、およびサイリスタやこれらのハイブリッド部品の多くは、エポキシ樹脂を用いて封止されている。また、近年急速に需要が伸びたフレキシブルプリント配線基板用の接着剤にもエポキシ樹脂が使用されている。このような電子部品封止材は、原材料中のイオン性不純物または外部より侵入する水分に起因する不良を抑止すると共に、難燃性、高密着性、耐クラック性および高体積抵抗率等の電気特性等、種々の特性が要求されている。
電子部品封止材として多用されているエポキシ樹脂は、主成分であるエポキシ化合物の他、エポキシ化合物硬化剤、硬化促進剤、無機充填物、難燃剤、顔料、およびシランカップリング剤等により構成されている。
更に、近年、半導体の高集積化に伴い、ICチップ上のアルミニウム配線幅が縮小されたことにより、アルミニウムの腐食が早期に発生するようになった。この腐食は、主に、封止材として用いられているエポキシ樹脂中に浸入した水分により助長されるものである。また、配線幅の縮小により、使用中に発生する熱が多くなったため、該エポキシ樹脂に酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂、および無機水酸化物等の難燃剤が多量に配合されるようになり、これらの難燃剤成分により、アルミニウム等の配線の腐食が更に助長されるようになってきている。
また、フレキシブルプリント配線基板においては、同様な原因で銅配線のマイグレーションが早期に発生するようになった。
【0005】
プリント配線板に用いるエポキシ樹脂に陽イオン交換体、陰イオン交換体、および両イオン交換体等の無機イオン交換体を配合したものが知られている(例えば特許文献6参照)。
アラミド繊維にエポキシ樹脂あるいはポリフェニレンオキサイド樹脂とイオン捕捉剤を含有させたプリント基板が知られている。このイオン捕捉剤としては、イオン交換樹脂や無機イオン交換体が例示されていて、無機イオン交換体としては、アンチモン−ビスマス系のものやジルコニウム系のものが記載されている(例えば特許文献7参照)。
イオン捕捉剤を含有する絶縁ワニスが知られており、この絶縁ワニスを用いて多層プリント配線板を作製している。このイオン捕捉剤としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、水和五酸化アンチモン、リン酸ジルコニウム、およびハイドロタルサイト等が例示されている(例えば特許文献8参照)。
多層配線板用の接着フィルムに無機イオン吸着体を配合したものが知られている。この無機イオン吸着剤としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、水和五酸化アンチモン、リン酸ジルコニウム、およびハイドロタルサイト等が例示されている(例えば特許文献9参照)。
イオントラップ剤を含有させたエポキシ樹脂接着剤が知られている。このイオントラップ剤として、陰イオン交換体または陽イオン交換体が例示されている(例えば特許文献10参照)。
イオン捕捉剤と銀粉等を含有させた導電性エポキシ樹脂ペーストが知られている。このイオン捕捉剤としては、水和硝酸ビスマス、マグネシウムアルミニウムハイドロタルサイト、酸化アンチモン等が例示されている(例えば特許文献11参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平03−150214号公報
【特許文献2】特開昭59−102808号公報
【特許文献3】特開昭60−103008号公報
【特許文献4】特開昭62−226807号公報
【特許文献5】特開昭61−270204号公報
【特許文献6】特開平05−140419号公報
【特許文献7】特開平09−314758号公報
【特許文献8】特開平10−287830号公報
【特許文献9】特開平10−330696号公報
【特許文献10】特開平10−13011号公報
【特許文献11】特開平10−7763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、耐熱性や耐薬品性に優れ、電子材料の不純イオントラップ剤、抗菌剤原料、消臭剤、変色防止剤、防錆剤、インターカレーション用の原料などとして利用可能なイオン交換体粒子であって、様々な加工性に優れる結晶質層状リン酸ジルコニウムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記一般式〔1〕で示される新規の層状リン酸ジルコニウムにより解決できることを見出し、本発明を完成させた。
Zr1-xHfxa(PO4b・nH2O 〔1〕
(式〔1〕において、aおよびbは3b−a=4を満たす正数であり、bは2<b≦2.1であり、xは0<x<1の正数であり、nは0≦n≦2の正数である。)
即ち、本発明は、
<1>下記一般式〔1〕で示される層状リン酸ジルコニウムであり、
Zr1-xHfxa(PO4b・nH2O 〔1〕
(式〔1〕において、aおよびbは3b−a=4を満たす正数であり、bは2<b≦2.1であり、xは0<x<1の正数であり、nは0≦n≦2の正数である。)
<2>前記一般式〔1〕におけるxが0<x≦0.2である前記1に記載の層状リン酸ジルコニウムであり、
<3>湿式常圧合成法により合成された前記1または2に記載の層状リン酸ジルコニウムであり、
<4>前記1〜3のいずれか1つに記載の層状リン酸ジルコニウムを含有する電子部品封止用樹脂組成物であり、
<5>無機陰イオン交換体を更に含有する前記4記載の電子部品封止用樹脂組成物であり、
<6>前記4または5に記載の電子部品封止用樹脂組成物を硬化させてなる電子部品封止用樹脂であり、
<7>前記4または5に記載の電子部品封止用樹脂組成物により素子を封止してなる電子部品であり、
<8>前記1〜3のいずれか1つに記載の層状リン酸ジルコニウムを含有するワニス、接着剤、またはペーストであり、
<9>無機陰イオン交換体を更に含有する前記8記載のワニス、接着剤、またはペーストであり、
<10>前記8または9に記載のワニス、接着剤、またはペーストを含有する製品、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の層状リン酸ジルコニウムは、無機イオン交換体として使用することができる。そして当該層状リン酸ジルコニウムは、一般的な層状リン酸ジルコニウムであるZrH2(PO42・nH2Oと比較し、イオン交換能力が高く、幅広い分野に応用できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について説明する。なお、%は、質量%である。
本発明の新規層状リン酸ジルコニウムは、上記一般式〔1〕で示されるものである。
【0011】
本発明において、式〔1〕のbは2<b≦2.1の正数であり、好ましくは2.01≦b≦2.1であり、より好ましくは2.02≦b≦2.06である。式〔1〕のものにおいてリン酸が多くなるほどイオン交換性能は上がるが、リン酸イオンが溶出しやすくなるなど他の物性が低下する。
【0012】
本発明において、式〔1〕のxは0<x<1の正数である。本発明において、好ましくは0<x≦0.2であり、より好ましくは0.005≦x≦0.1であり、更に好ましくは0.005≦x<0.03である。本発明において、ハフニウムの含有量が多くなるとイオン交換性能は向上するが、ハフニウムには放射性の同位体が存在するので、電子部品に使用する場合は、多すぎると悪影響を及ぼす可能性がある。
【0013】
本発明において、式〔1〕のnは、0≦n≦2の正数であり、nが1未満が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5であり、0.03〜0.3の範囲が更に好ましい。nが2を超える場合、層状リン酸ジルコニウムに含まれる水分の絶対量が多く、加工時等に発泡や加水分解などを生じる恐れがある。
【0014】
本発明の層状リン酸ジルコニウムの合成方法は、各種原料を水溶液中で反応させる湿式法である。具体的には、ジルコニウム化合物を含有する水溶液とリン酸および/またはその塩を含有する水溶液とを混合して沈殿物を生じさせ、熟成することにより合成される。
【0015】
当該合成時には、所望により、シュウ酸化合物を添加することができる。シュウ酸化合物の添加により、より速く、原料の無駄が少なく効率的に合成が可能となるため、基本的に添加することが好ましい。
当該熟成は、常温で行っても良いが、熟成を早くするために90℃以上の湿式常圧で行うことが好ましく、常圧よりも高い圧力雰囲気で100℃を超える条件を水熱条件と呼ぶが、この条件で合成を行っても良い。水熱条件で本発明の層状リン酸ジルコニウムを合成する場合は、130℃以下で合成することが製造コストの面から好ましい。
【0016】
本発明の層状リン酸ジルコニウムを合成するときの時間は、当該層状リン酸ジルコニウムが合成できる時間であれば如何様な時間でも良い。例えば、リン酸および/またはその塩とジルコニウム化合物とを混合させて沈殿を生じさせた後、熟成させることにより、層状リン酸ジルコニウムを得ることができる。当該熟成の時間は、熟成温度により異なる。例えば、90℃での熟成では、4時間以上が好ましい。なお、熟成を24時間以上行っても層状リン酸ジルコニウムの含有率は頭打ちの傾向となる。
【0017】
合成後の層状リン酸ジルコニウムは、さらに濾別し、よく水洗後、乾燥、粉砕することで白色の微粒子の層状リン酸ジルコニウムとして得られる。
【0018】
本発明の層状リン酸ジルコニウムの合成原料として使用できるジルコニウム化合物としては、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、およびオキシ塩化ジルコニウムなどが例示され、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、およびオキシ塩化ジルコニウムが好ましく、反応性や経済性などを考慮すると、より好ましくはオキシ塩化ジルコニウムである。
【0019】
本発明の層状リン酸ジルコニウムの合成原料として使用できるリン酸またはリン酸塩としては、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、およびリン酸アンモニウムなどが例示され、リン酸が好ましく、より好ましくは質量濃度で75%〜85%程度の高濃度のリン酸である。
本発明の層状リン酸ジルコニウムの合成原料として使用できるシュウ酸化合物としては、シュウ酸2水和物、シュウ酸アンモニウム、およびシュウ酸水素アンモニウムなどが例示され、好ましくはシュウ酸2水和物である。
【0020】
本発明の層状リン酸ジルコニウムの各種合成原料の配合割合を以下に述べる。
リン酸またはリン酸塩の配合割合は、ジルコニウム化合物に対する仕込みのモル比率で、2超えであり、好ましくは2.05以上であり、より好ましくは2.1以上である。リン酸またはリン酸塩の配合割合は、ジルコニウム化合物に対して大過剰でも良いが、上清の電導度を考えると、上記モル比率で、3以下であり、2.9以下が好ましく、2.6以下がより好ましい。上記の範囲であると本発明の層状リン酸ジルコニウムを製造することができ好ましい。
【0021】
本発明の層状リン酸ジルコニウムを合成するときのシュウ酸の配合割合は、ジルコニウム化合物に対するモル比率で、2.5〜3.5であり、より好ましく2.7〜3.2であり、さらに好ましくは2.8〜3.0である。本発明において、この比であると本発明の層状リン酸ジルコニウムの合成が容易となるので好ましい。
【0022】
本発明の層状リン酸ジルコニウムを合成するときの反応スラリー中の固形分濃度は、3wt%以上が望ましく、経済性など効率を考慮すると7%〜15%が好ましい。本発明において、この濃度であると本発明の層状リン酸ジルコニウムの合成が容易となるので好ましい。
【0023】
本発明の層状リン酸ジルコニウムの好ましい具体例として、以下のものがある。
Zr0.99Hf0.012.03(PO42.01・0.05H2
Zr0.99Hf0.012.06(PO42.02・0.05H2
Zr0.99Hf0.012.12(PO42.04・0.05H2
Zr0.99Hf0.012.24(PO42.08・0.05H2
Zr0.98Hf0.022.03(PO42.01・0.05H2
Zr0.98Hf0.022.06(PO42.02・0.05H2
Zr0.98Hf0.022.12(PO42.04・0.05H2
Zr0.98Hf0.022.24(PO42.08・0.05H2
Zr0.97Hf0.032.03(PO42.01・0.05H2
Zr0.94Hf0.062.03(PO42.01・0.05H2
Zr0.9Hf0.12.03(PO42.01・0.05H2
【0024】
<メジアン径>
本発明におけるメジアン径とは、層状リン酸ジルコニウムを水に分散させて、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定したものである。
本発明における層状リン酸ジルコニウムのメジアン径は、0.05〜5μmであり、0.2〜2.0μmが好ましく、0.3〜1.5μmが更に好ましい。また、加工性を考慮すれば、平均粒子径のみでなく、最大粒径および散布度も重要であり、最大粒径は10μm以下であることが、より有効に効果を発揮できることから好ましい。
【0025】
<イオン交換容量>
本発明におけるイオン交換容量とは、水酸化ナトリウム水溶液を用いて測定したものである。この測定は、1gの検体と50mlの0.1mol/リットル濃度の水酸化ナトリウム水溶液とを100mlのポリエチレン製の瓶に入れ、40℃で20時間振盪し、その後、上清のナトリウムイオン濃度をICPで測定することにより行った。検体を入れないで同様の操作を行ってナトリウムイオン濃度を測定したものをブランク値としてイオン交換容量を算出した。
本発明の層状リン酸ジルコニウムのイオン交換容量は、3.0meq/g以上であり、4.0meq/g以上がより好ましく、更に好ましくは5.0meq/g以上であり、8meq/g以下である。
【0026】
<イオン交換率>
本発明におけるイオン交換率とは、中性の塩化ナトリウム水溶液を用いて測定したものである。この測定は、1gの検体と50mlの0.05mol/リットル濃度の塩化ナトリウム水溶液とを100mlのポリエチレン製の瓶に入れ、40℃で20時間振盪し、その後、上清のナトリウムイオン濃度をICPで測定することにより行った。検体を入れないで同様の操作を行ってナトリウムイオン濃度を測定したものをブランク値としてイオン交換率を算出した。即ち、上清においてナトリウムイオンが全て陰イオン交換体に吸着して無くなった場合、イオン交換率が100%となる。
本発明の層状リン酸ジルコニウムのイオン交換率は、50%以上であり、55%以上がより好ましく、更に好ましくは60%以上である。
【0027】
<電導度>
本発明における上清の電導度とは、検体に脱イオン水を入れて撹拌し、この上清の電導度を測定したものである。この測定は、0.5gの検体と50mlの脱イオン水とを100mlのポリプロピレン製の瓶に入れ、95℃で20時間保持し、その後、この上清の電導度を測定することにより行った。
本発明の層状リン酸ジルコニウムにおける上清の電導度は、200μS/cm以下であり、170μS/cm以下がより好ましく、140μS/cm以下が更に好ましく、30μS/cm以上である。
【0028】
<α線量>
本発明におけるα線量とは、検体を低レベルα線測定装置で測定したときの値である。
本発明における層状リン酸ジルコニウムのα線量は、0.15C/cm2・H以下が好ましく、0.11C/cm2・H以下がより好ましく、0.08C/cm2・H以下が更に好ましく、5mC/cm2・H以上である。本発明におけるα線量が高いと電子部品の誤作動の原因となることがある。
例えば、本発明の層状リン酸ジルコニウムは、陰イオン交換容量が3.0meq/g以上で上清の電導度が200μS/cm以下であり、α線量が0.15C/cm2・H以下のイオン交換体である。
【0029】
本発明の層状リン酸ジルコニウムは、粉末であるので、このまま使用しても、これを加工して使用することもできる。例えば、懸濁状態、粒状体、抄紙体、ペレット体、シート、フィルム等の成型体、スプレー、多孔質体、繊維体の形態とすることができる。さらにそれらを塗料、不織布、発泡シート、紙、プラスチック、無機質板などに加工することもできる。
【0030】
本発明の層状リン酸ジルコニウムは、イオン交換性能、耐熱性、耐薬品性、放射線耐性などに優れており、水処理用の金属捕捉剤、電子材料用のイオン捕捉剤、放射性廃棄物の固定化、固体電解質、ガス吸着・分離剤、消臭剤、変色防止剤、防錆剤、触媒、インターカレーション担持体および抗菌剤原料などに応用することが可能であり、物理・化学的に安定な白色微粒子でもあることから顔料、アンチブロッキング剤などにも応用できる。
【0031】
<電子部品封止用樹脂組成物>
本発明の層状リン酸ジルコニウムを配合する電子部品封止用樹脂組成物に用いられる樹脂は、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、およびエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であっても、ポリエチレン、ポリスチレン、塩化ビニル、およびポリプロピレン等の熱可塑性樹脂であってもよく、好ましくは熱硬化性樹脂である。本発明の電子部品封止用樹脂組成物に用いる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂またはエポキシ樹脂が好ましく、特に好ましくはエポキシ樹脂である。
【0032】
<電子部品封止用エポキシ樹脂組成物>
本発明に用いるエポキシ樹脂は、電子部品封止用樹脂に用いられているものであれば限定なく用いることができる。例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、硬化可能なものであれば特に種類は問わず、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等、成形材料として用いられているものをいずれも使用できる。また、本発明の組成物の耐湿性を高めるためには、エポキシ樹脂として、塩化物イオン含有量が10ppm以下、加水分解性塩素含有量が1000ppm以下のものを用いることが好ましい。
【0033】
本発明において、電子部品封止用エポキシ樹脂組成物は、硬化剤および硬化促進剤を含有することが好ましい。
本発明に用いる硬化剤としては、エポキシ樹脂組成物の硬化剤として知られているものをいずれも使用可能であり、好ましい具体例として、酸無水物、アミン系硬化剤およびノボラック系硬化剤等がある。
本発明に用いる硬化促進剤としては、エポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として知られているものをいずれも使用可能であり、好ましい具体例として、アミン系、リン系、およびイミダゾール系の促進剤等がある。
【0034】
本発明の電子部品封止用樹脂組成物には、必要に応じて、成形用樹脂に配合する成分として知られたものを配合することもできる。この成分としては、無機充填物、難燃剤、無機充填物用カップリング剤、着色剤、および離型剤等が例示できる。これらの成分は、いずれも成形用エポキシ樹脂に配合する成分として知られたものである。無機充填物の好ましい具体例として、結晶性シリカ粉、石英ガラス粉、熔融シリカ粉、アルミナ粉およびタルク等が挙げられ、中でも結晶性シリカ粉、石英ガラス粉および熔融シリカ粉が安価で好ましい。難燃剤の例としては、酸化アンチモン、ハロゲン化エポキシ樹脂、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、赤燐系化合物、リン酸エステル系化合物等があり、カップリング剤の例としては、シラン系およびチタン系等があり、離型剤の例としては、脂肪族パラフィン、高級脂肪族アルコール等のワックスがある。
【0035】
上記の成分の他に、反応性希釈剤、溶剤やチクソトロピー性付与剤等を配合することもできる。具体的には、反応性希釈剤としてはブチルフェニルグリシジルエーテル、溶剤としてはメチルエチルケトン、チクソトロピー性付与剤としては有機変性ベントナイトが例示できる。
【0036】
本発明の層状リン酸ジルコニウムの好ましい配合割合は、電子部品封止用樹脂組成物100質量部当たり0.1〜10質量部であり、より好ましくは1〜5質量部である。0.1質量部以上で、陰イオン除去性や耐湿信頼性を明らかに認めることができる。一方10質量部を越えても効果は頭打ちとなることが多い。
【0037】
本発明の層状リン酸ジルコニウムと無機陰イオン交換体とを併用することにより、本発明の層状リン酸ジルコニウムの陽イオン捕捉能を増加させ、且つ陰イオン性イオンの捕捉効果を期待することができる。無機陰イオン交換体は、無機物であって、陰イオン交換性を有する物質である。
本発明の層状リン酸ジルコニウムと無機陰イオン交換体との配合比は、特に限定はないが、質量比で100:0〜20:80が好ましい。本発明の層状リン酸ジルコニウムと無機陰イオン交換体との配合は、電子部品封止用樹脂組成物を作製する際に、これらを別個に配合して行ってもよく、これらを予め均一に混合して得た混合物を一括して配合して行うこともできる。好ましい配合方法は混合物を用いるものであり、このようにすることにより、これらの成分を併用する効果をさらに発揮させることができるからである。
【0038】
無機陰イオン交換体の具体例としては、ハイドロタルサイト化合物およびその焼成物、含水酸化ビスマス、水酸化硝酸ビスマス、含水酸化ジルコニウム、含水酸化マグネシウム、および含水酸化アルミニウムが好ましい。
【0039】
本発明の電子部品封止用樹脂組成物は、上記の原料を公知の方法で混合することにより容易に得ることができ、例えば上記各原料を適宜配合し、この配合物を混練機にかけて加熱状態で混練し、半硬化状の樹脂組成物とし、これを室温に冷却した後、公知の手段により粉砕し、必要に応じて錠剤に成型して用いることができる。
【0040】
本発明の層状リン酸ジルコニウムは、電子部品または電気部品の封止、被覆、および絶縁等の様々な用途に使用することが可能である。
さらに、塩化ビニル等の樹脂の安定剤、防錆剤等にも本発明の層状リン酸ジルコニウムは使用可能である。
【0041】
本発明の層状リン酸ジルコニウムを配合した電子部品封止用樹脂組成物は、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載したものなどに使用することができる。また、プリント回路板にも本発明の電子部品封止用樹脂組成物は有効に使用できる。本発明の層状リン酸ジルコニウムを配合した電子部品封止用エポキシ樹脂組成物も同様に用いることができる。
本発明の電子部品封止用樹脂組成物または電子部品封止用エポキシ樹脂組成物を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
【0042】
<配線板への適用について>
エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いてプリント配線基板とし、これに銅箔等を接着し、これをエッチング加工等して回路を作製して配線板を作製している。しかし近年、回路の高密度化、回路の積層化および絶縁層の薄膜化等により腐食や絶縁不良が問題となっている。配線板を作製するときに本発明の層状リン酸ジルコニウムを添加することによりこのような腐食を防止することができる。また、配線板用の絶縁層に本発明の層状リン酸ジルコニウムを添加することによっても、配線板の腐食等を防止することができる。このようなことから、本発明の層状リン酸ジルコニウムを含有する配線板は、腐食等に起因する不良品発生を抑制することができる。この配線板や配線板用の絶縁層中の樹脂固形分100質量部に対し、0.1〜5質量部の本発明の層状リン酸ジルコニウムを添加することが好ましい。ここに無機陰イオン交換体を含有させても良い。
【0043】
<接着剤への配合について>
配線板等の基板に接着剤を用いて電子部品等を実装している。このとき用いる接着剤に本発明の層状リン酸ジルコニウムを添加することにより、腐食等に起因する不良品発生を抑制することができる。この接着剤中の樹脂固形分100質量部に対し、0.1〜5質量部の本発明の層状リン酸ジルコニウムを添加することが好ましい。ここに無機陰イオン交換体を含有させても良い。
配線板に電子部品等を接続または配線するときに用いる伝導性接着剤等に本発明の層状リン酸ジルコニウムを添加することにより、腐食等に起因する不良を抑制することができる。この伝導性接着剤としては、銀等の伝導性金属を含むものが例示できる。この伝導性接着剤中の樹脂固形分100質量部に対し0.1〜5質量部の本発明の層状リン酸ジルコニウムを添加することが好ましい。ここに無機陰イオン交換体を含有させても良い。
【0044】
<ワニスへの配合について>
本発明の層状リン酸ジルコニウムを含有したワニスを用いて電気製品、プリント配線板、または電子部品等を作製することができる。このワニスとしては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とするものが例示できる。この樹脂固形分100質量部に対し0.1〜5質量部の本発明の層状リン酸ジルコニウムを添加することが好ましい。ここに無機陰イオン交換体を含有させても良い。
【0045】
<ペーストへの配合について>
銀粉等を含有させたペーストに本発明の層状リン酸ジルコニウムを添加することができる。ペーストとは、ハンダ付け等の補助剤として接続金属同士の接着を良くするために用いられるものである。このことにより、ペーストから発生する腐食性物の発生を抑制することができる。このペースト中の樹脂固形分100質量部に対し0.1〜5質量部の本発明の層状リン酸ジルコニウムを添加することが好ましい。ここに無機陰イオン交換体を含有させても良い。
【0046】
<実施態様>
本発明の層状リン酸ジルコニウムの実施形態としては、例えば、下記の2つの形態が挙げられる。
ジルコニウム化合物に対してリン酸またはリン酸塩の仕込みのモル比率が2を超えた超えであり3以下の湿式常圧合成法により合成された式〔1〕で示される層状リン酸ジルコニウム。
シュウ酸化合物を含む湿式常圧合成法により合成された式〔1〕で示される層状リン酸ジルコニウム。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、%は質量%であり、部は質量部である。
【0048】
<参考例1>
脱イオン水850mlにオキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モル溶解させた。この溶液を攪拌しながら、リン酸0.57モルを加えた。これを8時間攪拌還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水洗浄した後、105℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムを得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて測定した結果、層状のリン酸ジルコニウムであることを確認した。
この層状リン酸ジルコニウムの組成式の測定は、これをフッ酸添加硝酸で煮沸溶解し、ICPにより測定して算出した。この結果、組成式は、
ZrH2.03(PO42.01・0.05H2
であった。また層状リン酸ジルコニウムのメジアン径(レーザー回折式粒度分布計・堀場製LA−700)を測定した結果は、0.94μmであった。
【0049】
<参考例2> 脱イオン水850mlにオキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モル溶解させた。この溶液を攪拌しながら、リン酸0.60モルを加えた。これを8時間攪拌還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水洗浄した後、105℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムを得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて測定した結果、層状のリン酸ジルコニウムであることを確認した。
この層状リン酸ジルコニウムの組成式などを参考例1と同様に測定したところ、組成式は、
ZrH2.06(PO42.02・0.05H2
であり、メジアン径は、0.96μmであった。
【0050】
<参考例3>
脱イオン水850mlにオキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モル溶解させた。この溶液を攪拌しながら、リン酸0.70モルを加えた。これを8時間攪拌還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水洗浄した後、105℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムを得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて測定した結果、層状のリン酸ジルコニウムであることを確認した。
この層状リン酸ジルコニウムの組成式などを参考例1と同様に測定したところ、組成式は、
ZrH2.12(PO42.04・0.05H2
であり、メジアン径は、0.93μmであった。
【0051】
<実施例4>
脱イオン水850mlにハフニウム0.18%含有オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モル溶解させた。この溶液を攪拌しながら、リン酸0.57モルを加えた。これを8時間攪拌還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水洗浄した後、105℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムを得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて測定した結果、層状のリン酸ジルコニウムであることを確認した。
この層状リン酸ジルコニウムの組成式などを参考例1と同様に測定したところ、組成式は、
Zr0.99Hf0.012.03(PO42.01・0.05H2
であり、メジアン径は、1.0μmであった。
【0052】
<実施例5>
脱イオン水850mlにハフニウム0.18%含有オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モル溶解させた。この溶液を攪拌しながら、リン酸0.60モルを加えた。これを8時間攪拌還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水洗浄した後、105℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムを得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて測定した結果、層状のリン酸ジルコニウムであることを確認した。
この層状リン酸ジルコニウムの組成式などを参考例1と同様に測定したところ、組成式は、
Zr0.99Hf0.012.06(PO42.02・0.05H2
であり、メジアン径は、0.95μmであった。
【0053】
<実施例6>
脱イオン水850mlにハフニウム0.54%含有オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モル溶解させた。この溶液を攪拌しながら、リン酸0.57モルを加えた。これを8時間攪拌還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水洗浄した後、105℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムを得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて測定した結果、層状のリン酸ジルコニウムであることを確認した。
この層状リン酸ジルコニウムの組成式などを参考例1と同様に測定したところ、組成式は、
Zr0.97Hf0.032.03(PO42.01・0.05H2
であり、メジアン径は、0.95μmであった。
【0054】
<比較例1>
脱イオン水850mlにオキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モル溶解させた。この溶液を攪拌しながら、リン酸0.544モルを加えた。これを8時間攪拌還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水洗浄した後、105℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムを得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて測定した結果、層状のリン酸ジルコニウムであることを確認した。
この層状リン酸ジルコニウムの組成式などを参考例1と同様に測定したところ、組成式は、
ZrH2(PO42・0.05H2
であり、メジアン径は、1.0μmであった。
【0055】
<比較例2>
脱イオン水850mlにオキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モル溶解させた。この溶液を攪拌しながら、リン酸0.5モルを加えた。これを8時間攪拌還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水洗浄した後、105℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムを得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて測定した結果、層状のリン酸ジルコニウムであることを確認した。
この層状リン酸ジルコニウムの組成式などを参考例1と同様に測定したところ、組成式は、
ZrH1.97(PO41.99・0.05H2
であり、メジアン径は、1.1μmであった。
【0056】
<比較例3>
脱イオン水850mlにオキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モル溶解させた。この溶液を攪拌しながら、リン酸0.85モルを加えた。これを8時間攪拌還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水洗浄した後、105℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムを得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて測定した結果、層状のリン酸ジルコニウムであることを確認した。
この層状リン酸ジルコニウムの組成式などを参考例1と同様に測定したところ、組成式は、
ZrH2.36(PO42.12・0.05H2
であり、メジアン径は、1.0μmであった。
【0057】
<実施例7> 脱イオン水850mlにハフニウム1.2%含有オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モル溶解させた。この溶液を攪拌しながら、リン酸0.57モルを加えた。これを8時間攪拌還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水洗浄した後、105℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムを得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて測定した結果、層状のリン酸ジルコニウムであることを確認した。
この層状リン酸ジルコニウムの組成式などを参考例1と同様に測定したところ、組成式は、
Zr0.94Hf0.062.03(PO42.01・0.05H2
であり、メジアン径は、1.0μmであった。
【0058】
<実施例8>
脱イオン水850mlにハフニウム2.0%含有オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モル溶解させた。この溶液を攪拌しながら、リン酸0.57モルを加えた。これを8時間攪拌還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水洗浄した後、105℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムを得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて測定した結果、層状のリン酸ジルコニウムであることを確認した。
この層状リン酸ジルコニウムの組成式などを参考例1と同様に測定したところ、組成式は、
Zr0.9Hf0.12.03(PO42.01・0.05H2
であり、メジアン径は、1.0μmであった。
【0059】
<イオン交換容量の測定>
0.1mol/リットル濃度の水酸化ナトリウム水溶液50mlに参考例1で得られた層状リン酸ジルコニウムを1.0g加え、40℃で20時間攪拌した。この試験後の溶液を濾別し、濾液中のNa濃度を測定することにより、イオン交換容量を求めた。参考例2,3、実施例4〜8および比較例1〜3で得られた層状リン酸ジルコニウムについても同様に試験し、イオン交換容量を求めた。
これらの結果を表1に示す。
【0060】
<イオン交換率の測定>
0.05mol/リットル濃度の塩化ナトリウム水溶液50mlに参考例1で得られた層状リン酸ジルコニウムを1.0g加え、40℃で20時間攪拌した。この試験後の溶液を濾別し、濾液中のNa濃度を測定することにより、イオン交換率を求めた。参考例2,3、実施例4〜8および比較例1〜3で得られた層状リン酸ジルコニウムについても同様に試験し、イオン交換率を求めた。
これらの結果を表1に示す。
【0061】
<上清電導度の測定>
脱イオン水50mlに参考例1で得られた層状リン酸ジルコニウムを0.5g加え、95℃で20時間加熱処理した。この試験後の溶液を濾別し、上清の電導度を測定することにより求めた。参考例2,3、実施例4〜8および比較例1〜3で得られた層状リン酸ジルコニウムについても同様に試験し、上清の電導度を求めた。
これらの結果を表1に示す。
【0062】
<α線量の測定>
参考例1で得られた層状リン酸ジルコニウムのα線量を、低レベルα線測定装置(住化分析センター製LACS−4000M)で測定した。参考例2,3、実施例4〜8および比較例1〜3で得られた層状リン酸ジルコニウムについても同様に試験し、α線量を測定した。
これらの結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
表1から明らかなように、本発明の新規層状リン酸ジルコニウムは、通常の層状リン酸ジルコニウムに比べて、イオン交換性に優れている。
比較例の層状リン酸ジルコニウムはイオン交換性に劣るか(比較例1及び2)、イオン交換性に優れても、上清の電導度が高い(比較例3)ため、電子材料用途には使用できない。
これにより、本発明の新規層状リン酸ジルコニウムは、特に電子材料分野における幅広い用途への利用が可能である。
【0065】
<参考例9>
フレキシブル印刷配線板用のカバーレイに用いられるエポキシ接着剤100部に対し、参考例1で合成した層状リン酸ジルコニウムを2部配合し、接着剤を得た。これをポリイミドフィルムに塗布しBステージ化し、フレキシブル回路板用のカバーレイとした。
これとは別に、ベースフィルムにポリイミド樹脂を用いたフレキシブル回路板用銅張り板を用意した。前述のカバーレイを銅張り板表面に装着して加熱プレス法にて接着し、フレキシブル板1を得た。
【0066】
<参考例10>
参考例1の層状リン酸ジルコニウムの代わりに参考例2の層状リン酸ジルコニウムを用いた以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、フレキシブル板2を作製した。
【0067】
<参考例11>
参考例1の層状リン酸ジルコニウムの代わりに参考例3の層状リン酸ジルコニウムを用いた以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、フレキシブル板3を作製した。
【0068】
<実施例12>
参考例1の層状リン酸ジルコニウムの代わりに実施例4の層状リン酸ジルコニウムを用いた以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、フレキシブル板4を作製した。
【0069】
<実施例13>
参考例1の層状リン酸ジルコニウムの代わりに実施例5の層状リン酸ジルコニウムを用いた以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、フレキシブル板5を作製した。
【0070】
<実施例14>
参考例1の層状リン酸ジルコニウムの代わりに実施例6の層状リン酸ジルコニウムを用いた以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、フレキシブル板6を作製した。
【0071】
<参考例15>
参考例1の層状リン酸ジルコニウムの代わりに参考例1の層状リン酸ジルコニウム1部と無機陰イオン交換体であるBi(OH)2.65(NO3)0.351部を併用した以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、フレキシブル板7を作製した。
【0072】
<参考例16>
参考例1の層状リン酸ジルコニウムの代わりに参考例2の層状リン酸ジルコニウム1部と無機陰イオン交換体であるBi(OH)2.65(NO3)0.351部を併用した以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、フレキシブル板8を作製した。
【0073】
<参考例17>
参考例1の層状リン酸ジルコニウムの代わりに参考例3の層状リン酸ジルコニウム1部と無機陰イオン交換体であるBi(OH)2.65(NO3)0.351部を併用した以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、フレキシブル板9を作製した。
【0074】
<比較例4>
参考例1の層状リン酸ジルコニウムの代わりに比較例1の層状リン酸ジルコニウムを用いた以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、比較フレキシブル板1を作製した。
【0075】
<比較例5>
参考例1の層状リン酸ジルコニウムの代わりに比較例2の層状リン酸ジルコニウムを用いた以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、比較フレキシブル板2を作製した。
【0076】
<比較例6>
参考例1の層状リン酸ジルコニウムの代わりに比較例3の層状リン酸ジルコニウムを用いた以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、比較フレキシブル板3を作製した。
【0077】
<比較例7>
層状リン酸ジルコニウムを用いない以外はフレキシブル板1の作製と同様に操作し、比較フレキシブル板4を作製した。即ち、比較フレキシブル板4はイオン交換体を含まないものである。
【0078】
<樹脂練込体からのイオン抽出試験>
3gのフレキシブル板1と30mlのイオン交換水とをポリテトラフルオロエチレン製耐圧容器に入れて密閉し、125℃で100時間加熱した。冷却後、水を取り出し、水に溶出したナトリウムイオンおよび銅イオンの濃度をICPで測定した。結果を表2に示す。また、上清の電導度を測定し、この結果を表2に記載した。
フレキシブル板2〜9、比較フレキシブル板1〜4についても同様に試験し、これらの結果を表2に示した。
【0079】
【表2】

【0080】
表2から明らかなように、本発明の新規層状リン酸ジルコニウムは、通常の層状リン酸ジルコニウムに比べて、樹脂中のNaイオンおよびCuイオンの捕捉能力に優れている。
比較例の層状リン酸ジルコニウムはイオン捕捉能力に劣るか、イオン捕捉能力に優れても、上清の電導度が高いため、電子材料用途には使用できない。
これにより、本発明の新規層状リン酸ジルコニウムは、特に電子材料分野における幅広い用途への利用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の新規層状リン酸ジルコニウムは、既存の層状リン酸ジルコニウムよりも優れたイオン交換性を有する。このことから、本発明の新規層状リン酸ジルコニウムは、幅広い範囲で信頼性の高い電子部品または電気部品の封止、被覆、および絶縁等の様々な用途に使用することができる。また、本発明の層状リン酸ジルコニウムは、抗菌剤原料、消臭剤、変色防止剤、防錆剤などにも使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式〔1〕で示される層状リン酸ジルコニウム。
Zr1-xHfxa(PO4b・nH2O 〔1〕
(式〔1〕において、aおよびbは3b−a=4を満たす正数であり、bは2<b≦2.1であり、xは0<x<1の正数であり、nは0≦n≦2の正数である。)
【請求項2】
前記一般式〔1〕におけるxが0<x≦0.2である請求項1に記載の層状リン酸ジルコニウム。
【請求項3】
湿式常圧合成法により合成された請求項1または2に記載の層状リン酸ジルコニウム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の層状リン酸ジルコニウムを含有する電子部品封止用樹脂組成物。
【請求項5】
無機陰イオン交換体を更に含有する請求項4記載の電子部品封止用樹脂組成物。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電子部品封止用樹脂組成物を硬化させてなる電子部品封止用樹脂。
【請求項7】
請求項4または5に記載の電子部品封止用樹脂組成物により素子を封止してなる電子部品。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の層状リン酸ジルコニウムを含有するワニス、接着剤、またはペースト。
【請求項9】
無機陰イオン交換体を更に含有する請求項8記載のワニス、接着剤、またはペースト。
【請求項10】
請求項8または9に記載のワニス、接着剤、またはペーストを含有する製品。

【公開番号】特開2012−254925(P2012−254925A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161367(P2012−161367)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2008−542033(P2008−542033)の分割
【原出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】