新規抗老化剤及びそれらを同定する方法
本発明は老化過程の新規機序を開示すると共に、ミトコンドリア機能を改善し、且つ老化及び分裂終了細胞の細胞周期停止状態を維持して、加速したミトコンドリア機能喪失、テロメア機能不全、及び/又は増殖停止状態の悪化と関連する加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定・検出・精製するハイスループット・スクリーニングの新規方法を説明する。また、本発明はこの方法から同定される多数の化合物又は組成物を開示する。本発明は更に、カロリー制限の模倣体としての低用量のラパマイシン又はその類似物の、加齢に伴う病気を予防する際の使用を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は出願日が2009年4月10日である米国仮出願第61/168,311号及び出願日が2009年4月10日である米国仮出願第61/168,335号の35U.S.C.§119(e)の権利を主張し、それら全体で参照として組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、新規抗老化剤、これら薬剤を検出又は同定する新規方法、及びそのように同定される抗老化剤の加齢に伴う病気の予防及び/又は治療への使用iに関する。また、本発明は、生物試料における抗老化剤の抗老化生物濃度を測定する新規方法を関する。特に、本発明は、各種の加齢に伴う病気を予防又は治療するためのカロリー制限を模倣する抗老化剤として低用量のラパマイシン又はその類似物、他のラパマイシンの標的(TOR)阻害剤の使用を紹介する。
【背景技術】
【0003】
人間の老化過程に関する研究は重要なものであり、その理由の一つは老人では多くの疾患又は病気(例えば、いくつかの例を挙げてみると、癌、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、心不全、及び心臓発作)がより顕著になるが、そのうちの多くには効果的な予防又は治療方法がない。そこで、動物老化過程に関する研究によって加齢に伴う病気へのより効果的な予防又は治療方法の探索は、この10年間で科学界が行った最も重要な努力の一つになりました。豊かな文献が老化過程を理解するのに役立つが、この過程を完全に理解することがまだ人類にとって大きな科学的課題である。世界中の老人及び健康管理負担とそれに関連した費用の増加を考えると、加齢に伴う疾患又は病気の予防又は治療する抗老化剤を効果的に発見できる老化過程の系統的な研究が、ますます重要になっている。本発明は、加齢に伴う疾患又は病気を効果的に予防及び/又は治療する抗老化剤の発見への効果的な方法を提供することを目指している系統的方法を説明する。
【0004】
加齢に伴う病気の治療に役立な理論に由来する、老化過程及び方法に関する各種の理論の中でも、栄養素シグナル伝達経路(カロリー制限)、糸粒体経路(活性酸素種、又はROSと呼ばれる)、及びテロメア機能不全理論が目立つ。
【0005】
栄養素シグナル伝達経路(カロリー制限)及び老化。
カロリー制限(CR)は、酵母ないし哺乳類の老化速度を遅らせる最も実用的な方法として認められていました。カロリー制限は、加齢に伴う病気(例えば霊長類モデルにおけるパーキンソン病(Maswood,N.等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,101:18171-6(2004)、アルツハイマー病(Qin,W.等,J.Alzeheimer’s Dis.,10:417-422(2006)、Dahl-SSラットモデルにおける高血圧及び心臓障害(Seymour,E.M.等,J.Mol.Cell Cardiol.,41:661-668(2006)、線維症(Castello,L.等, FASEB J.,19:1863-1865(2005)、及び腎臓病(Yu, B.P.等/J.Gerontol.,37:130-141(1982))の発生率を低下させる又は発症を遅らせることが示されてきました。カロリー制限もさまざまな自然発生腫瘍を抑制するかつ人間乳房、結腸及び前立腺の癌の発生を減少させる(Platz,E.A.,J.Nutr.,132:3471S-81S(2002);Steinbach,G.等,Cancer Res.,54:1194-1197(1994); Michels, K.B.等,JAMA,291:1226-30(2004)に概説された。
【0006】
よく保存されたキナーゼTOR(ラパマイシンの標的)は、栄養素、細胞分裂増殖因子、エネルギー及びストレスからの信号統合し異化作用及び同化作用(Fingar,D.C,等, Oncogene,23:3151-3171(2004))を調節する。最適な成長因子及び栄養素に応えて、哺乳類のTOR(mTOR)は、細胞の合成能力(例えば、リボソーム生合成及びタンパク質翻訳開始)を刺激して細胞量とサイズの増加につながり、かつ増殖を加速させる(Kim,E.等,Hum.Gene Ther.,14:1415-1428(2003))。逆に、成長因子除去、栄養飢餓、又はストレスによるTORの抑制は、高エネルギー消費過程のダウンレギュレーション及び増殖の抑制につながる。
【0007】
TOR経路は、出芽酵母、シノラブディス・エレガンスCaenorhabditis elegans)及びショウジョウバエ(Drosophila)におけてカロリー制限により引き起こされる寿命延長に重要な役割を果たす(Kaeberlein,M.等,Science,310:1193-1196(2005);Powers,R.W.等,Genes Dev.,20:174-84(2006); Vellai,T.等,Nature,426:620(2003); Kapahi,P.等,Curr.Biol,14:885-890(2004);Jia,K.等,Development,131:3897-3906(2004))。ラパマイシンの標的の機能がよく保存されるために、その老化への役割も人間に適用する。
【0008】
糸粒体(ミトコンドリア)/活性酸素種及び老化。
糸粒体は酸化的リン酸化の過程により代謝燃料(例えば、グルコース及び脂肪酸)を利用可能な形のエネルギーであるアデノシン5’-三リン酸(ATP)に変換することに関与する細胞器官である。糸粒体は適切な細胞機能にとって重要な他の過程(カルシウム恒常性、細胞内情報伝達、及びアポトーシスの制御を含む)に関与する。
【0009】
また、糸粒体にはATP産生の酸化的リン酸化の過程は細胞内活性酸素種(ROS)の主要な源(約90%の細胞の総活性酸素種)(Balaban, R.S.,等,Cell,120:483-495(2005))。正常な生理学的条件下で、酸化的リン酸化の過程の間1〜5%の酸素がROS産生に消費されることと推定する(Chance,B.,等, Physiol.Rev.,59:527-605(1979))。ミトコンドリアDNA(mtDNA)の限られた修復能及び親酸性のために、糸粒体が特に損傷の蓄積を受けやすい。mtDNAにおける変異は酸化的リン酸化の機能障害をもたらしてROS産生の増加及び後続のより多くの変異の蓄積をなる。活性酸素種は高反応性の分子であり細胞への多様な傷害を起こすことができるため、活性酸素種の危険な周期が老化の間に酸化損傷の急激な増加の主な原因となると考えられている、老化過程を特徴付ける機能の減少を徐々にもたらす。
【0010】
活性酸素種は多くの加齢に伴う病気(例えば、糖尿病、心血管疾患、癌及びパーキンソン病)と関係がある可能性がある(Kovacic, P.等,Curr.Med.Chem.,8:773-796(2001);Aviram,M.等, Am.J.Clin.Nutr.,71:1062-1076(2000); Maassen,J.A.等,J.Endocrinol.Invest,25:477-484(2002))。真核生物宿主抗酸化防御系を発展させるのも、内因性活性酸素種産生に重要な役割 (Mates,J.M.,Toxicology,153:83-104(2000))及びキィロショウジョウバエ寿命を延長する面でスーパーオキシドジスムターゼとカタラーゼの過剰発見を支持する(Orr,W.C.等, Science,263:1128-1130(1994))。
【0011】
先行研究は年齢の関数として測定してミトコンドリア膜電位の減少、ミトコンドリアの数、及びATP産生/酸素消費量を含むミトコンドリア機能完全性減少を提示する(Hagen,T.M.等,Proc.Natl.Acad.Sci. USA,94:3064-3069,1997;Greco,M.等,FASEB J.,17:1706-1708(2003))。ミトコンドリア機能の変異が多くの失明、難聴、運動障害、認知症、心血管疾患、筋力低下、腎機能障害、及び内分泌疾患を含む臨床症状を持つ人間遺伝病をを引き起こし、また、劇的なミトコンドリアDNA変異のマウスは(mtDNA ポリメラーゼ PoIgA校正-欠損変異のために)若干の早期老化表現型と伴うより短い寿命を示すと報告していた(Trifunovic, A.等,Nature,429:417-423(2004))。さらに、酵母の寿命延長(実際の寿命)はTORIの欠失により、シノラブディス・エレガンスはグルコース制限により達つことが、全部ミトコンドリア呼吸作用の経路として実現できて報告していた。(Bonawitz, N.D.等, Cell Metab. 5:233-235(2007); Schulz,TJ.等,Cell Metab.,6:280-293(2007))。これら結果は哺乳類の老化及び加齢に伴う病気におけるミトコンドリア機能の重要な役割を示唆する。しかし、反対の結果も報告されたことがあった。例えば、出芽酵母のグルコース制限による寿命延長がミトコンドリア機能に依存しないと報告された(Kaeberlein,M.等,PIoS Genet.,1, e69(2005))。そこで、老化過程における糸粒体の役割はまだ不明である。
【0012】
テロメア、老化、加齢及び癌。
テロメアは染色体の端に多くのGを含む繰り返しDNA配列だ。テロメアはテロメア結合タンパク質を通じて固定して自然発生の二本鎖DNA切断(DSB)の過程に識別されない。
【0013】
人間の多くの体細胞にテロメラーゼ活性欠損、DNAポリメラーゼによるDNA複製内部の問題発生のためにテロメア進行性短縮を起こしてから機能障害をもたらす。最後に顕著な短縮のテロメアはテロメア結合タンパク質により固定できなくなって自然発生のDSBとして暴露してからDNA損傷応答を活性化しRB及びp53に依存する細胞周期停止を引き起こす。この過程は複製老化と呼ばれる。また、老化は同じDNA損傷応答を通じて癌遺伝子の活性化により誘発されて、腫瘍抑制に役立する(Di Micco, R.等, Nature,444:638-642(2006); Bartkova,J.等,Nature,444:633-637(2006))。また、DNA損傷薬剤も老化を引き起こすことが報告された。
【0014】
テロメア結合タンパク質欠陥がある場合には、テロメア機能不全も発生する。例えば、優性−陰性のTTAGGG反復結合因子2(TRF2)の表現とテロメア1保護はかい(POTl)が同じ,テロメア機能不全及びDNA損傷信号をもたらす(Karlseder,J.等, Science,283:1321-1325(1999); Denchi, E.L.等, Nature,448:1068-1071(2007); Guo, X.等,EMBO J.,26:4709-4719(2007))。
【0015】
長いテロメアが人間の長寿と関係があり、短いテロメアが癌、特発性肺線維症及びさまざまな増殖性組織疾患と関係する。例えば、人間のテロメラーゼ変異が先天性角化異常症を引き起こす、患者は特に骨髄不全で早期死亡する。
【0016】
癌細胞が限られた複製能を需要するから、複製老化は腫瘍進行にとって障壁であることが示されてきた。実に、マウスモデルにおける進行癌と人間癌の場合に老化のマーカーが癌前病変のスデージに顕著であるが進行癌に不可測定になった。(Braig, M.等,Nature,436:660-665(2005); Collado,M.等, Nature 436:642(2005); Michaloglou,C等, Nature,436:720-724(2005))。すべての癌はテロメラーゼを活性化したり、組み換えにより選択的テロメアを通じて老化を回避する。(Shay,J.W.等,Exp.Cell.Res.,209:45-52(1993); Shay,J.W.等,Eur.J.Cancer,33:787-791(1997); Kim,N.W.等, Science,66:2011-2015(1994); Bryan,T.M.等, Nat.Med.,3:271-274(1997))。早期前立腺癌の悪性への進行は老化に阻まれている(Chen, Z.等, Nature,436:725-730(2005))。また、テロメラーゼ変異体マウスTerc-/-にはテロメア機能不全により誘発される自然に腫瘍形成がp53媒介老化によって抑制されることが示された(Cosme-Blanco,W.等,EMBO Rep.8:497-503(2007))。老化が細胞周期を阻止しかつ修復を促進することが認められて、初期病変の進行を阻止する。
【0017】
老化は年齢の主なインデックスと認められている。(Campisi, J., Nat. Rev.Cancer,3:339-49; Faragher,R.G.,Biochem.Soc.Trans.,28:221-226(2000))。例えば、哺乳類の組織において老化細胞は年齢とともに増加する(Campisi,J.,Cell,120:1-10(2005))。老化細胞は加齢性の病理学病変、例えば変形性関節症及びアテローム性動脈硬化症にも発見される(Price,J.S.等,Aging Cell,1:57-65(2002); Vasile E.等., FASEB J.,15:458-466(2001); Matthews,C等, Cir.Res.,99:156-164(2006))。さらに、マウスにおける慢性の活性p53は細胞の老化を促進しても加齢に伴う表現も加速する。(Maier, B.等,Genes Dev.,18:306-319(2004); Tyner等.,Nature,415:45-53(2002))。また、老化細胞が腫瘍進行及び炎症反応を促進するタンパク質を分泌することが示されていた(Coppe, J.P.等, PlosBiology,6:2853-2868(2008))。プログラム老化が加齢に伴う病気及び限られた寿命につながることを提案された(Blagosklonny, M.V.,Cell Cycle,5:2087-2102(2006))。そこで、テロメアを通じて抗老化研究は今、老化の阻止が重点になった。
【0018】
すべての研究にもかかわらず、テロメアの老化過程における役割はまだ不明である。例えば、マウスは人間に比べて長いテロメアがあるが寿命が短いことを説明できない。テロメアは分裂終了細胞になんの役割を果すかがまだ不明である。
【0019】
他の老化理論も提案された。例えば、タンパク質損傷蓄積理論、DNA変異蓄積理論、及び幹細胞消耗理論。それらの中のどの理論は老化過程の本質、及び/又は、どのようにして互いに関係するかがまだ不明である。そこで、まだ人間の老化過程は少なくともある程度までは謎である。
【0020】
癌、心血管疾患、及び神経退行性疾患という加齢に伴う病気は、人間死亡の主な原因である。これらの加齢に伴う病気の治療ための医薬品は特定の疾患への現在の理解の上で検索されて、老化過程に関する理解も限られていた。その結果、今までこれら疾患に対する研究は互いにつながらなくて老化過程とも関連していないのだ。そこで、老化過程に基づいて加齢に伴う病気の予防及び治療ための新規抗老化剤の発見ための体系的アプローチを開発する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2000−109403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明はこの前に述べた需要によって老化過程の新規機序及び新規方法を披露して新規機序により加齢に伴う病気の予防及び/又は治療効果がある抗老化剤を同定又は検出することを提供する。新規方法は各種よく理解された酵母変異体モデルにおいてハイスループット・スクリーニングを通じて速く新規抗老化剤を同定できることを本明細書に開示した。特に本発明は、各種の加齢に伴う病気の効果的な予防及び/又は治療のために低用量のラパマイシン又はその類似物、この開示した方法により多くの抗老化剤から同定されたものの使用を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
一つの態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するための薬剤を同定又は検出する方法を提供し、老化のモデルシステムに対して1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングしそれらの抗老化作用を監視する。
【0024】
もう一つ態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するための薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングしそれらのTOR/AMPK/糸粒体/老化経路の少なくとも一つの構成成分に対する活性を測定する。
【0025】
もう一つの態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するための薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングするかつそれらのミトコンドリア生合成経路の少なくとも一つの構成成分に対する活性を検出する。
【0026】
もう一つの態様において、本発明は老化又は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングしそれらのAMPK経路の少なくとも一つの構成成分に対する活性を検出する。
【0027】
もう一つの態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するための薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングしそれらの老化経路の少なくとも一つの構成成分に対する活性を検出し、薬剤が分裂終了細胞において老化又は細胞周期停止状態を維持し糸粒体の悪化又は細胞死を予防する。
【0028】
もう一つの態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、この方法が必要な時に他の態様に述べたもの又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、又はそのプロドラッグが被験者に投与される。
【0029】
もう一つの態様において、本発明はテロメア及び/又は糸粒体の悪化に関係し加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供する。この方法が必要な時に5'-アデノシンモノリン酸塩活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化因子、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグを含む組成物を被験者に投与する。それらはAMPKを直接的あるいは間接的に活性化させて、ミトコンドリア生合成を増えて、被験者の老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態を維持する。
【0030】
もう一つの態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、この方法が必要なときにラパマイシンの標的(TOR)阻害剤、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、又はそのプロドラッグを含む組成物を被験者に投与する、ただし、TOR阻害剤が(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、又は(c)老化悪化の次の糸粒体又は細胞死の悪化を阻止する。この態様の好適な実施態様において、上述TOR阻害剤は低用量のラパマイシン又はその類似物の一つである。
【0031】
もう一つの態様において、本発明は酵母老化モデルを使用し生物試料において抗老化薬剤を検出する方法を提供する。
【0032】
もう一つの態様において、本発明は生物試料における抗老化剤の生物濃度を測定する方法を提供し、この方法が酵母老化モデル及び事前準備された抗老化剤の標準方程式又は標準曲線を使用する。
【0033】
もう一つの態様において、本発明はミトコンドリア機能がテロメア機能不全により誘発される老化を維持する上で重要な役割を果たしカロリー制限(CR)がTOR/AMPK/ミトコンドリア経路を通じて老化状態の悪化を阻止する、ことを開示する。この機序はテロメア機能不全の酵母及び人間モデルに見られる。であるから、この機序は酵母と人間の場合にテロメア機能不全を利用しミトコンドリア機能促進とさらに老化の悪化を予防又は治療する薬学的に容認されるものを検索することに役立つ。多くの加齢に伴う病気はミトコンドリア機能不全及び/又はテロメア機能不全と関係があるため、この方法で同定される薬剤が加齢に伴う疾患又は病気を予防するのに使用される可能性がある。であるから、今普及している抗老化戦略(主に老化過程に大きく貢献している老化障害に焦点)と対照的に、本発明は、老化維持により加齢に伴う病気を予防又は治療するための新規方策を紹介する。
【0034】
本発明の他の態様及び特定的な好適な実施態様について、次の実施態様及び請求項によりさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、栄養素不足シグナリングがcdcl3-Ipの不活化により誘発される細胞死を抑制することを示す。(A)グルコース制限及び2-デオキシ-グルコースの治療は、コロニー形成アッセイされるCdcl3p 不活化により誘発される細胞消失を抑制する。テロメア機能不全を引き起こすためには、一夜培養した新鮮なcdcl3-lと指示濃度のグルコース又は2-デオキシグルコースは薄いYEPD培地に希釈した、37℃で24時間培養する。コロニー形成アッセイは、次にH2Oで処理した細胞を連続的に10倍希釈された,5μLを取り出して正常なYEPD平板培地に付ける。この平板培地を24℃で培養し生き残った細胞がコロニーを形成した。このコロニー形成アッセイにより生存細胞の開始数を数える。(B)窒素制限はコロニー形成アッセイしcdcl3-lp不活化により誘発される細胞死を抑制する。細胞を合成培地(SC)又はSC-N(アミノ酸なしのSC、及び、窒素源として(NH4)2SO4)には37℃で 24時間培養した。生き残った細胞はIAに説明したようにコロニー形成アッセイにより数を数える。(C-D)低用量のラパマイシン(ラパヌイとしてラベル付け)(以下、殖阻害濃度と言う)を使ってTORの抑制がcdcl3-lp不活化により誘発される細胞死を予防することができる。細胞は指示濃度のラパマイシンとYEPD培地、37℃で24時間培養する。IAに説明したようにコロニー形成アッセイにより生き残った細胞の数を測定する。増殖曲線は、新鮮な一夜培養物をYEPD培地に希釈した、24℃で指示濃度のラパマイシンの存在下で培養した。指定の時点で細胞密度(OD595)を測定する。(E)低用量のラパマイシン(1 nM)及びグルコース制限(0.5%)を使って増殖が停止されたcdcl3-l細胞の悪化を遅延できる、コロニー形成アッセイを使って生存細胞を計数することにより測定されるように。データは三つの実験の平均値を表す。
【図2】図2は、栄養素シグナリングは細胞周期をG2/Mスデ−ジに停止できないが、G2/M-停止状態を維持するかつcdcl3-lpの不活化により誘発される細胞死を阻止することを示す。(A)cdcl3-lp不活化のため細胞をYEPD培地、YEPD+1 nM ラパマイシン又はYEPDで0.5%グルコースにて37℃で培養する。指定の時点で、一定分量の細胞を取り出し、−20℃にて50%エタノールで約4時間固定をした後、37℃で50 mM Tris(pH=7.6)0.2mg/mL リボヌクレァ−ゼで一夜消化をした。次に、細胞を50mM Tris(pH7.6)で洗浄した、55℃で40μg/mL プロテイナーゼKで2時間処理をした。もう一度の洗浄後、FACS(蛍光活性化セルソーター)分析の前に、暗闇で100μg/mLヨウ化プロピジウムで細胞を20分染色した。(B)細胞生存率測定はラパマイシン及びグルコース制限を通じて2時間で、cdcl3-lpの不活化により誘発されるG2/M細胞の死が阻止できることを示す。まず、37℃で細胞を2時間培養し、YEPD又はYEPDにラパマイシン最終濃度が1 nMの培地又は初期グルコースないが最終0.5%の培地で希釈し37℃で22時間の連続培養をした。コロニー形成アッセイにより生存細胞を数えた。
【図3】図3は、ラパマイシン(1nM)及び減らしたグルコース(0.5%)はジヒドロローダミン123(Invitrogene)に染色した後FACS分析で cdcl3-lpの不活化により活性酸素種産生を減少すること(A)と、アネキシンV-FITC 結合した後FACS分析でアポトーシスマーカーPSの回転を減少すること(B)を示す。図1A及び図1Cで記載の条件で細胞を処理した。活性酸素種レベルを測定するためには、FACS分析の前に処理した細胞を5μg/mLのジヒドロローダミン123を含むYEPDで1時間培養した。それぞれの試料は、10000個細胞を分析した。PS回転を測定するためには、処理した細胞は1.1M ソルビトールと2mg/mLの細胞壁溶解酵素を含むPBS緩衝液に保存されて、37℃で20分間培養される。次に、細胞を1.1M ソルビトールを含むPBS(リン酸緩衝生理食塩水)でアネキシンV-FITC及びヨウ化プロピジウム(PI)(BD Biosciences Pharmingen)に染色してからFACS分析をした。それぞれの試料は、10000個細胞を分析した。これらの条件下で、Pi陰性の集団が完璧な細胞を、PI陰性かつFITC陽性細胞がアポトーシスの集団を, PI-陽性かつFITC陽性細胞が後期アポトーシス又は壊死を提示する。
【図4】図4は、ラパマイシン及びグルコース制限がAMPK経路を通じてcdcl3-lpの不活化により誘発される細胞死を阻止することを示す。(A)AMPK調節性サブユニットSip2pの欠失がグルコース制限の予防効果を廃止する。(B)AMPK触媒的サブユニットSnflp及び調節性サブユニットSnf4pの欠失がラパマイシン(1nM)の予防効果を著しく低下させる。cdcl3-lsip2::Kan, cdcl3-lsnfl::Kan と cdcl3-lsnf4::Kan 二重変異体株は欠失ライブラリー(from Invitrogen, Carlsbad, CA)から単一欠失変異体とcdcl3-lの交配により生成した後、胞子形成2倍体と温度感受性かつG418(200μg/mL)抵抗性コロニーを選択する。図1A及び図1Cに示すように、細胞を処理した。コロニー形成アッセイにより生存細胞を測定した。
【図5】図5は、糸粒体が栄養素制限のcdcl3-l細胞死への予防効果で重要な役割を果たすことを示す。(A)糸粒体欠損がラパマイシン及びグルコース制限の予防効果を著しく低下させる。糸粒体のp°欠損変異体は説明されていたようにエチジウムブを含むYC培地で増殖細胞が二日間位相にいてcdcl3-lに生成された(Qi, H.等,J.Biol.Chem.,278:15136-15141(2003))。図1A及び図1Cに示すように、細胞を処理した。コロニー形成アッセイにより生存細胞を測定した。(B-C)グルコース制限及びラパマイシン処理がミトコンドリア質量を増やす。24℃で新鮮な希釈された一夜培養物をYEPD、YEPD+ラパマイシン(B)又はYEPD、0.5%グルコースYEPD(C)で4時間培養する。ミトコンドリア質量を測定するために60%エタノールで固定細胞後MitoTracker GreenFMで染色して、FACS分析する。
【図6】図6は、cdcl3-lモデルにおいて栄養素シグナリングがTOR、AMPK及び糸粒体を介して細胞周期停止状態維持する及びテロメア機能不全により誘発される細胞死を阻止するの機序を示す。
【図7】図7は、老化WI-38細胞の減少(人間の一次の線維芽細胞)が50pM ラパマイシン、250μM AICAR、20μg/mL EGCG、1.6μg/mL GSE、減らされたグルコース(0.4%から0.2%まで)、20μg/mL ビルベリー抽出物(BE)、1 μM AITC、及び12.5μM 2-デオキシグルコースの処理により阻止することを示す。AICARと減らされたグルコースの処理は2日間on/8日間-off周期で、他の薬剤は3日間on/7日間off周期で細胞を培養する。この処理が通路29から開始する。3日ごとに培地を更新する。通路31(老化)から56日後,細胞は一時に2%ホルムアルデヒド/0.2%グルタルァルデヒドに固定し,1 mg/mL 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル β-D-ガラクトシド(X-gal)(40mM クエン酸/リン酸ナトリウム、pH=6.0、5mM カリウムフェロシアニド(ferrocyanide)、5mM フェリシアン酸カリウム、150mM NaCl、及び2mM MgCl2を含む緩衝液)で染色された。老化マーカー細胞のβ-ガラクトシダーゼ活性(カラー写真ではブルー、白黒写真で濃い灰色を示す)のために37℃で18時間も染色していた。顕微鏡下で生存老化細胞を観察した。
【図8】図8は、低用量のラパマイシンがミトコンドリア質量を増加、ミトコンドリア膜電位を改善するかつ人間線維芽細胞において活性酸素種レベルを減少させることを示す。(A)WI-38細胞は通路24で各種用量のラパマイシンに2日間培養する。ミトコンドリア質量の測定のために、−20℃で細胞を60%エタノールで固定し、FACS分析の30分の前にミト・トラッカー・グリーンFM(MitoTracker Green FM(Invitrogene))で染色した。(B)人間リンパ芽球様L40細胞を各種用量のラパマイシンに2日間処理した。ミトコンドリア膜電位測定は、暗闇で処理した細胞を5μg/mL JC-I(Invitrogen)で15分染色をした。次に、PBSで細胞を1回洗浄し、FACS分析する。光電子増倍管はフィルタ1(FL-I検出器)を使ってJC-Iモノマ-の緑色蛍光(λem=525nm)とフィルタ2(FL-I検出器)を使ってJC-I 凝集体 赤色蛍光(λem=590nm)を検出できるように設定される。凝集体とモノマーの比率(赤色/緑色又はFL2/FL1)は膜電位を示すものだ。データはそれぞれの試料につき正常細胞集団から取られた。試料は非処理コントロールに従って配対された。(C)活性酸素種測定のために、FACS分析30分の前に、L40処理した細胞を2μg/mLのジヒドロローダミン123で染色した。それぞれの上記実験において、少なくとも10000回のイベントを分析した。データは重複実験の平均値を表す。
【図9】図9は、低用量のラパマイシンだけが(増殖阻害用量以下で)老化WI-38細胞の減少を阻止することを示す。(A)図7に示すように、指示濃度のラパマイシンによりWI-38細胞を処理した。この処理は通路29からだ。細胞が通路31で老化に入った。老化65日のあと、生存細胞をMTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-yl)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド,テトラゾ-ル)により染色してから測定する。MTTの紫色はミトコンドリア還元酵素により生成してマイクロプレートリーダーを使って570nmで発見された。データは非依存的な三重実験の平均値である。(B)ラパマイシンのWI-38細胞の増殖への影響。図7に示すように、細胞を培養する。矢印はラパマイシンを加える時点を示す。25pMラパマイシンは成長率にほとんど影響ないが5.18から6.82に集団倍加(PD)を増加させる。次の式を使って個体群倍加を計算する:PD = log(Nf/N0)/log2、ただし、Nfは最終細胞数で、N0は最初播種した細胞の数である。データは非依存的な重複実験の平均値である。(C)低用量のラパマイシンがp53、p21及びd pRBのタンパク質レベルを上昇させる。最後の老化後第20日めでラパマイシンでWI-38細胞を18時間処理した。細胞溶解物はウエスタンブロット法によりp53、p21又はpRBに対して特定的な抗体を使って分析する。
【図10】図10は、人間のリンパ芽球様 L40におけるミトコンドリア質量の増加は(A)10μM LY294002(PI3K阻害剤の一つ)、2μM 二硫化ジアリル(DATS)、1μM ベンジルイソチオシアネート(BITC)、1μM フェニルイソチオシアナート(PITC)、2μg/mLレスベラトロール(RSV)と0.03μM リコピン、及び(B)6.7μM PEITC、5mMシリビニン、1.25mM 亜セレン酸塩、2.5mMゲニステイン、250μg/mLブドウ種子抽出物(GSE)、50μg/mL EGCG、3mg/mL ビルベリー抽出物(BE)、1μM AITC 50pM ラパマイシン250μM AICAR、と減らされたグルコース(0.4%〜0.2%)で2日間処理した結果である。ミトコンドリア質量をモニタするために60%エタノールに固定された細胞がFACS分析の前にMitoTracker Green FMで染色される。
【図11】図11は、cdcl3-lpの不活化によって引き起こされる細胞死を抑制する多くの化学予防剤又は抗老化剤を示す。細胞を6.7μM PEITC、5mM シリビニン、1.25mM 亜セレン酸塩、2.5mM ゲニステイン、250μg/mL ブドウ種子抽出物(GSE)、50μg/mL EGCG、及び3mg/mLビルベリー抽出物(BE)により37℃で約30時間培養した。コロニー形成アッセイにより細胞生存率を許容温度24℃で測定した。
【図12】図12は、低用量のラパマイシン及びAICARが12-O-テトラデカノイルホルボール13-アセタート(TPA)により誘発されるミトコンドリア質量減少を逆転することを示す。DMEM培地(DMEM with 10% FCS、100ユニット/mL ペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン及び2mMグルタミン)の存在下でNIH3T3細胞を培養するが、対照DMSOに10μM TPA、1nM ラパマイシン、10μM TPA+ InM ラパマイシン、40μM AICAR、又は10μM TPA+40 μM AICAR含んで95%空気と5%CO2の構成かつ加湿雰囲気下37℃で2日間培養する。次に、トリプシンで細胞を採取し60%エタノールで固定した。FACS分析の前に、暗闇でMitoTracker Greeen FMで細胞を30分染色をした。データは3重実験の平均値を表す。
【図13】図13は、低用量のラパマイシンとAICARがTPAにより誘発されるNIH3T3腫瘍転換を阻止することを示す。(A)TPA(10μM)とNIH3T3細胞は0.39%軟寒天でDMSO、1 nM ラパマイシン又は250 nM AICARの存在下で7日間培養されてから顕微鏡下でコロニーを数える。(B)データは四つ実験の平均値を表す。
【図14】図14は、ラパマイシンが低用量で(0.2と2pM)培養したCGN細胞の寿命を延長すること(A)、かつCGN細胞における活性酸素種のレベルを低下させること(B)を示す。小脳顆粒神経細胞(CGN)は7日齢の仔ラットから準備されたものだ。簡単に言えば、小脳を大脳から除去して適切な細片に切って、37℃で15分トリプシン(化)をし、40μm網目でろ過し遠心分離する。小脳顆粒神経細胞は25mM KClを含むB27補充基礎培地に保存している。それらの寿命延長のため、細胞は一つの24穴平板培地(1平板培地/小脳)に播種されてB27、20mM KCl、0.5mMグルタミン、100units/mL ペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンを補充した神経細胞基礎培地(Invitrogen)で培養される。7日後ラパマイシンを平板培地に加える。31日後、神経細胞の生存率をMTT試験で決める(A)。活性酸素種分析のために、神経細胞完全培地懸濁液培養液から新鮮な分離されたCGN細胞を1百万細胞/mL/管の密度で12x75mmの管に播種した。ラパマイシンで細胞が20時間処理をした、次にFACS分析(B)の前に2μg/mLジヒドロローダミン123で30分の染色をした。
【図15】図15は、低用量のラパマイシンが脳卒中のラットモデルにおける脳梗塞体積を減らすことを示す。(A)ラパマイシン(10μg/kg)が脳損傷を減らす。虚血性脳卒中の中大脳動脈(MCA)閉塞モデルを使用する。SHR-SPラットがランダムに二つ群(n=8、それぞれの群)に分かれた:対照DMSO群とラパマイシン群である。MCA閉塞の10分後で、ラパマイシン及び対照DMSOを投与する。MCA閉塞の24時間後で大脳試料を採取した。冠状断面(厚さが2mm)はすぐに 2% 2,3,5- トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)により染色された。死細胞を含む梗塞領域は染色されないが白色を示し、正常領域の生存細胞は赤色に染色された。梗塞領域と半球領域のそれぞれのセクション(両側)をトレスし画像解析システム(Microsystems 型DM LB2,Leica,ドイツ)により定量した。大脳梗塞の体積を評価しているなかに大脳浮腫の可能の干渉を標準的な方法で修正できる。それが対側半球の体積から非虚血性同側半球の体積を引いたことだ。(B)低用量のラパマイシンが、虚血性梗塞により誘発される脳損傷を予防する。20日MCA閉塞の前に、0、0.3、1、3及び10μg/kgのラパマイシンをSHR-SPラットに投与した(それぞれの群に、n=8)。
【図16】図16は、人間の一次の線維芽細胞WI-38細胞(200 μM MPP+を使つて)において低用量のラパマイシンがMPP+により誘発される活性酸素種のレベルを減少することを示す。MPP+と各種濃度のラパマイシンを使つてWI-38細胞を3日間培養した。FACS分析の前に、暗闇でジヒドロローダミン123で細胞を30分染色した。
【図17】図17は、ラットモデルにおいて低用量(10μg/kgで、100μg/kgまではない)のラパマイシンが心筋梗塞(MI)の体積を減らすことを示す。200〜250gのSprague-Dawley(SD)系雄性ラットを使用した(それぞれの群には、n=10〜12)。MI実験の前に、0、10及び100μg/kg/日の用量でラパマイシンを3日投与した。エーテル麻酔で、心臓を体外に出り出した、肺輸出道と左心房との間で左前下行動脈を結紮(連結)する。次に、打っている心臓を迅速にその正常な位置を返し、胸腔を閉め、空気を除去した。ラットをケージに返した。冠動脈結紮の5時間後、ラットをいけにえにした。左心室は心臓の長軸にそって4ないし5枚薄いスライスに切断した。ニトロブルーテトラゾリウムリン酸塩緩衝液で薄片を染色した。正常組織はブルーに染色されたが、壊死組織は染色されることができない。染色された組織と未染色された組織を分離し別々に量る。MIサイズは左心室の総重の分数として表した。
【図18】図18は、各種の組織においてグルコース又はTORがAMPK/活性酸素種/糸粒体経路を介して老化過程を調節するモデルを示し、それが加齢に伴う病気をもたらす。
【図19】図19は、酵母において細胞生存アッセイを使つてハイスループット・スクリーニングにより抗老化候補を同定及び検出する方法を説明する。
【図20】図20は、酵母において活性酸素種アッセイを使つてハイスループット・スクリーニングにより抗老化候補を同定及び検出する方法を説明する。
【図21】図21は、酵母変異体cdcl7-l又はcdcl7-2を使つて抗老化剤を検出する例を示す。変異細胞を0、1及び3nMのラパマイシンを含む新鮮なYEPD培地或いは0.5%グルコースYEPD培地に希釈し約37℃で22時間培養した。次に、細胞は連続的に10倍希釈されてYEPD平板培地に付けた、生存細胞からコロニー形成のため平板培地を許容温度24℃で培養する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[発明の詳細説明](英文p15)
本発明は抗老化剤を同定・検出・純化するための新規方法及び加齢に伴う病気の予防及び治療ための薬剤の使用を説明する。本発明は次の発見に基づいて:(1)酵母において、栄養素信号がAMPK後続のミトコンドリア経路でテロメア機能不全により誘発される細胞周期停止状態を延長することを抑制する;(2)第一のヒト線維芽細胞において、低用量のラパマイシン、グルコース制限及びAMPK活性化因子がミトコンドリア機能を刺激するかつテロメア機能不全により誘発される細胞周期停止状態を延長する;(3)いくつかの抗老化及び癌化学予防剤も酵母及びヒト細胞においてミトコンドリア機能を刺激するかつ老化細胞の減少を抑制する;(4)多くの加齢に伴う病気が糸粒体及び/又はテロメアの機能不全に関与する;及び(5)低用量のラパマイシンが急性心筋虚血性梗塞及びに虚血性脳損傷を予防する、MPP+により誘発されるROS増加を制される、培養された神経細胞の寿命と腫瘍細胞形質転換を抑制する。
【0037】
第一態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出するを方法を提供する、この方法が細胞周期停止状態モデルによる1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングして、それらの抗老化作用を測定することを含む。
【0038】
第一態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、抗老化作用が細胞周期停止状態又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化を予防することである。
【0039】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、抗老化作用がミトコンドリア機能を刺激・改善・保存することである。
【0040】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、抗老化作用がミトコンドリア又はテロメアの機能減少に関係する加齢に伴う病気を予防することである。
【0041】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、抗老化作用が活性酸素種(ROS)の増加またはテロメア機能不全により誘発されるアポトーシス死を予防することである。
【0042】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供するし、ただし、細胞周期停止状態モデルが機能障害性テロメアと変異酵母を含む。
【0043】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、だだし、細胞周期停止状態モデルが不十分なテロメラーゼ活性を示す初代ヒト細胞系である。
【0044】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供しただし、細胞周期停止状態モデルがテロメア結合タンパク質又はテロメラーゼにおける変異又は欠陥に起因するテロメア機能不全を示すヒト細胞系である。
【0045】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、細胞周期停止状態モデルが化学薬剤に起因するテロメア機能不全モデルである。
【0046】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、細胞周期停止状態モデルが癌遺伝子活性化及び/又はDNA損傷応答によって作られるモデルである。
【0047】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は 加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、細胞周期停止状態モデルがテロメア機能不全を示すマウス、ラット又は分裂酵母の細胞系である。
【0048】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が次の段階(ステップ)を含む:
(i)テロメア機能不全又はDNA損傷による細胞周期が停止された条件で化合物又は組成物を酵母細胞で培養する;
(ii)アポトーシスアッセイを使って死亡酵母細胞の集団を測定する、あるいは、
(iii)細胞周期が停止された条件を取り除き、生き残った細胞の数を測定する、及び
(iv)段階(ii)で得られた死細胞の集団又は段階(iii)で得られた生き残った細胞の数を対照実験と比較する、対照実験で上述化合物又は組成物を含まない以外に、段階(i)と同じ条件である。
そのうち、対照実験に対して、(ii)で得られた死亡酵母細胞減少個体群あるいは、段階(iii)で得られた生き残った細胞数が、ただしこの化合物又は組成物が候補抗老化剤のであることを示した。
【0049】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が次の段階を含む:
(i)検出した化合物又は組成物を培養を細胞周期停止状態にあった哺乳類細胞とある期間で培養して;
(ii)生き残った老化細胞の集団を測定する;及び
(iii)段階(vi)の生き残った哺乳類の老化細胞の集団を対照実験で得られた生き残った老化細胞の集団と比較する。
そのうち、対照実験に対して、生き残った老化細胞集団が増えると、ただし、この化合物又は組成物が候補抗老化剤のであることを確認する。
【0050】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が次の段階を含む:
(i)出した化合物又は組成物を正常状態ヒト細胞株とある期間で培養して;
(ii)ミトコンドリア量、ミトコンドリアDNA含量、又はミトコンドリア 転写因子の発現を測定することによって、ヒト細胞のミトコンドリア生合成を測定する;及び
(iii)対照実験の結果と比較し、結果を得る、
そのうち、段階(ii)でのミトコンドリア生合成を増強すれば、ただし、さらに同定した化合物又は組成物が候補抗老化剤であることを確認する。
【0051】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が上述三つ実施態様のいずれか組み合わせを含む。
【0052】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、しだし、細胞周期停止状態モデルがcdcl3-l、cdcl3-2、stnl-1、cdcl7-l、cdcl7-2、hdfl、hdf2、estl、est2、及びest3を含むテロメアが機能障害あるいは欠乏しておる変異酵母である。
【0053】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供する。ただし細胞周期停止状態モデルがテロメラーゼの欠乏しておる初代ヒト細胞系である、少なくとも線維芽細胞、内皮細胞及び上皮細胞を含む。
【0054】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、細胞周期停止状態モデルがTRF2、POTl、TERT、TERC、又はWRN遺伝子における変異を含むヒト細胞系である、テロメア機能不全を示す。
【0055】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、しだし、細胞周期停止状態モデルが化学薬剤に起因するテロメア機能不全モデルで、そのうち、ブレオマイシン、アドリアマイシン及びG四重リガンドなどの化学薬剤を含む。
【0056】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患又は機能低下性疾患である。
【0057】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、上述方法の化合物又は組成物がそれぞれ同じ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する。従って、本発明のこの実施態様には、化合物又は組成物の高速大量スクリーニングの方法を包含する。
【0058】
第二態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングする、かつそれらのTOR/AMPK/糸粒体/老化経路の少なくとも一つの構成成分に対する活性を測定するを含む、なお、ここでの化合物又は組成物が(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、或いは(c)糸粒体又は老化又は細胞周期停止状態が起因した細胞死を予防する。この態様が本発明の第一態様の上述抗老化作用とTOR/AMPK/糸粒体/老化経路のいずれかに関与して、且つ老化状態を維持する。
【0059】
第二態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの加齢に伴う病気が老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化、及び次の細胞死に関係がある、さらに、加速したミトコンドリア悪化及び増加さた酸化的ストレス又はテロメア機能不全に関与する。
【0060】
第二態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでのTOR/AMPK/糸粒体/老化経路の構成成分がインスリン/IGF、インスリン/IGF受容体、PI3K、PDKl、PTEN、TSCl、TSC2、AKT、Rheb、raptor、GβL、S6K、TOR、AMPK、STRAD、MO25、LKBl、グルコース取込、アミノ酸取込、CaMKKβ、PGC- lα、PGC-lβ、NRF-I、NRF-2、TFAM、TFBlM、TFB2M、ERRs(例えば、ERRα、ERRβ及びERRγ)、PPARs(例えば、PPAra、PPARδ及びPPARγ)、SIRTl、RIP140、PRC、POLRMT、ATM、p53、p21、pl9ARF, WAF,p16INK4a、pRB、E2F、及びp27KIP1を含む。
【0061】
第二態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患、機能低下性疾患である。
【0062】
第二態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、上述1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ同じない化合物及び/又は組成物のライブラリーに属することができる。
【0063】
第三態様において、本発明は 加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングする、且それらのミトコンドリア生合成経路の少なくとも一つ構成成分に対する活性を検出すことを含む、ただし、ここでの化合物又は組成物が(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、或いは(c)糸粒体又は老化又は細胞周期停止状態が起因した細胞死を予防する。この態様が本発明の第一態様の上述抗老化作用と糸粒体生合成経路に関与して、且つ、それが老化状態を維持する。
【0064】
第三態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの加齢に伴う病気が老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化、及び次の細胞死病気である、さらに、加速したミトコンドリア悪化及び増加さた酸化的ストレス又はテロメア機能不全に関与する病気である。
【0065】
第三態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、この方法にミトコンドリア生合成経路の構成成分がAMPK、STRAD、MO25、LKBl、CaMKKβ、PGC-lα、PGC-lβ、NRF-I、NRF-2、TFAM、TFBlM、TFB2M、ERRs(例えば、ERRα、ERRβ及びERRγ)、PPARs(例えば、PPAra、PPARδ及びPPARγ)、SIRTl、RIP140、PRC、及びPOLRMTを包む。
【0066】
第三態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下性疾患である。
【0067】
第三態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、上述1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ同じない化合物及び/又は組成物のライブラリーに属することができる。
【0068】
第四態様において、本発明は老化又は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングすることを含む、且それらのAMPK経路の少なくとも一つ構成成分に対する活性を検出する、ただし、ここでの化合物又は組成物が(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、あるいは細胞周期を障害する、或いは(c)糸粒体又は老化又は細胞周期停止状態が起因した細胞死を予防する。この態様が本発明の第一態様の上述抗老化作用と糸粒体生合成経路に関与して、且、それが老化状態を維持する。
【0069】
第四態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの方法に加齢に伴う病気 が老化悪化、加齢性の細胞消失、腫瘍形成及び癌の悪性進行に関係がある。
【0070】
第四態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの方法にAMPK経路の構成成分がAMPK, LKBl、STRAD、MO25、グルコース取込、アミノ酸取込及びCaMKKβを含む。
【0071】
第四態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下症である。
【0072】
第四態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出するための方法を提供し、ただし、上述1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ同じない化合物及び/又は組成物のライブラリーに属することができる。
【0073】
第五態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングする、かつそれらの老化経路の少なくとも一つ構成成分に対する活性を検出することを含む1、ただし、この化合物又は組成物が老化又は細胞周期停止状態を維持する、あるいは糸粒体機能悪化や分裂終了状態悪化が起因した細胞死を予防する。この態様が本発明の第一態様の上述抗老化作用と分裂終了状態に関与する、且つ、それが老化状態を維持する。
【0074】
第五態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの加齢に伴う病気が老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化、及び次の細胞死病気である、さらに、加速したミトコンドリア悪化及び増加さた酸化的ストレス又はテロメア機能不全病気に関与する。
【0075】
第五態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出するための方法を提供し、ただし、老化経路の構成成分がATM、p53、p21、pl9ARF、WAF、p16INK4a、pRB、E2F、及びp27KIP1を含む。
【0076】
第五態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下症である。
【0077】
第五態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、上述1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ同じない化合物及び/又は組成物のライブラリーに属することができる。
【0078】
第六態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、この方法が必要なときに本発明に記載されているの第一〜第五態様の方法で同定される化合物、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグを含むその組成物を被験者に投与することを含む。この方面には、本明細書に記載の方法により同定されるいずれかの抗老化の化合物又は組成物で調製した薬物を包含する、加齢に伴う病気の予防又は治療に用いられる。
【0079】
第六態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態、ミトコンドリア機能不全、又はテロメア機能不全の悪化に関係がある。
【0080】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、この方法に化合物が有機分子、無機分子、天然化合物、ペプチド、タンパク質、DNAs、RNAs、及びその代謝中間体から選ばれるものである。
【0081】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法提供し、ただし、薬剤がAICAR、低用量のラパマイシン又はその類似物、EGCG、ブドウ種子エキス、ビルベリー抽出物、亜セレン酸塩、ゲニステイン、ジアリルトリスルフィド、ベンジルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアナート、イソチオシアン酸フェネチル、レスベラトロール、リコピン、及びイソチオシアン酸アリルから選ばれるものである。
【0082】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するを方法を提供し、ただし、化合物又は組成物が酸化防止剤、抗高血圧薬、抗高脂血薬、抗卒中薬、抗癌剤、及び異なる抗老化剤から選ばれる第二種類化合物をさらに含む。
【0083】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物がビタミンC、ビタミンE、β-カロテン及び他のカロチノイド、セレン、リポ酸、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、補酵素Q10、グルタチオン、N-アセチルシステイン、メラトニン、ゲニステイン、エストラジオール、茶抽出物、及びブドウ種子エキスから選ばれる酸化防止剤をさらに含む。
【0084】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物が薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0085】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、経口、非経口、局所、経皮、或いは坐剤又はエアロゾルの投薬形態で組化合物又は組成物を投与する。
【0086】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患又は機能低下性疾患である。
【0087】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が腫瘍形成及び悪性癌進行, 神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄の減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群, 関節リウマチ、免疫機能の低下、糖尿病、特発性肺線維症、及び加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病, 並びテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患から選ばれるものである。
【0088】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述被験者が哺乳類である。
【0089】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述被験者がヒトである。
【0090】
第七態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、この方法が必要な時に5'-アデノシンモノリン酸塩活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化因子、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグを含む組成物を被験者に投与する、それらはAMPKを直接的あるいは間接的に活性化させて、ミトコンドリア生合成を増えて、被験者の老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態を維持する。この本発明の態様に加齢に伴う病気の予防又は治療のAMPK活性化因子薬剤で調製又は製造の薬剤を開示。この態様は本発明の第六態様に関係ある、即ち上述薬剤がAMPK活性化因子である。
【0091】
第七態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気がミトコンドリア機能喪失, テロメア機能不全、老化悪化及び年代に依存した細胞消失、或いはミトコンドリア悪化又は分裂終了細胞における細胞周期−停止状態に関係がある。
【0092】
第七態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述AMPK活性化因子がAICAR、メトホルミン、2-デオキシグルコース、3-O-メチルグルコース、LY294002、ベルベリン、フェンホルミン、A-769662、チアゾリジンジオン系、デキサメタゾン、スタチン系、レプチン、アディポネクチン、シロスタゾール、EGCG、セネライト(senelite)、イソチオシアン酸アリル、又はイソチオシアン酸フェネチルから選ばれるものである。
【0093】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物が酸化防止剤、抗高血圧薬、抗高脂血薬、抗卒中薬、抗癌剤、及び異なる抗老化剤から選ばれる第二薬剤をさらに含む。
【0094】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、組成物が薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0095】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、経口、非経口、局所、経皮、或いは坐剤又はエアロゾルの投薬形態で化合物又は組成物を投与する。
【0096】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気は異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下性疾患である。
【0097】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するを方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が腫瘍形成及び悪性癌進行、神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄の減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能の低下、糖尿病、特発性肺線維症、及び加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、並びにテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患から選ばれるものである。
【0098】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述の被験者が哺乳類の動物である。
【0099】
第七態様のもう一つの実施態様におけて、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述の被験者がヒトである。
【0100】
第八態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、この方法が必要なときに低用量mTOR 阻害剤、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグを含むその組成物を被験者に投与することを含み、ただし、TOR阻害剤(a)が複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、或いは(c)糸粒体又は細胞死の悪化を予防する。この本発明の態様に加齢に伴う病気の予防又は治療の薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグで調製又は製造した低用量mTOR 阻害剤を開示する。この態様は本発明の第六態様に関係ある、即ち上述組成物がmTOR 阻害剤である。
【0101】
第八態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するを方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気がミトコンドリア機能喪失、テロメア機能不全、老化悪化及び年代に依存した細胞消失、或いは分裂終了細胞におけるミトコンドリア悪化又は細胞周期停止状態に関係がある。
【0102】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述低用量のmTOR阻害剤がラパマイシン又はその類似物である。
【0103】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述TOR阻害剤が低用量の、ラパマイシン、又は、デホロリムス、AP-23675、AP-23841、ゾタロリムス、CCI779/テムシロリムス、RAD-001/エベロリムス、7-エピ-ラパマイシン、7-チオメチル-ラパマイシン、7-エピ-トリメトキシ-ラパマイシン、2-脱メチル-ラパマイシン、42-0-(2-ヒドロキシル)エチル-ラパマイシン、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグ、から選ばれるラパマイシン類似物である。
【0104】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述低用量のTOR 阻害剤がラパマイシン、又は薬学的に許容される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグである。
【0105】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、mTOR阻害剤ラパマイシンが血清培地に約0.1〜約10000pMまでの低用量で、動物に0.1〜約10000ng/kg/日である。意外な発見は、ラパマイシンがこれら低用量で新規機能を示したことである。ラパマイシンが免疫抑制剤として、既知の治療量(1 mg/日から5 mg/日まで)で、細胞周期のGl期で細胞増殖も抑制する及びに他の標的タンパクに作用する可能である。その結果、治療量のラパマイシンは、血清コレステロールとトリグリセリドの増加、腎機能低下、貧血、創傷治癒遅延、下痢、無力症、低血圧、疼痛、悪性腫瘍進行、肝臓の悪性腫瘍、腹水、成長障害、精神状態変化、脾梗塞、及び大腸炎などを含む各種の副作用を示す。本発明によれば、低用量のラパマイシンを使用する場合、これらの副作用を避けることができる。
【0106】
ラパマイシン又はその類似物の有効量は、この特定の化合物、投与方法、特定の疾患及び受験者の背景などの各種の物理的要因に応じて変更可能である。本発明は、ラパマイシンを約0.01〜約50μg/日の毎日経口用量で投与すると満足の効果が得られる。この用量が既知の治療量(1mg/日〜5mg/日)の約0.001%〜約5%と推定される。それと同時に、本発明の投与スケジュールが2〜4日投与期間をとし、後に、2〜5日の休薬期間をとし、こうしてさらに最良の結果を生じさせてラパマイシンの副作用を低下する。
【0107】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述低用量のラパマイシン又はその類似物の投与量が、認可される治療量の約10%以下、約8%以下、約6%以下、約4%以下、約2%以下、約1%以下、約0.1%以下、約0.01%以下、又は約0.001%以下である。
【0108】
第八態様の一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約8%〜約10%用量の範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0109】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約6%〜約8%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0110】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約4%〜約6%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0111】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、だだし、認可される治療量の約2%〜約4%の用量の範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0112】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約1%〜約2%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0113】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約0.1%〜約1%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0114】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約0.01%〜約0.1%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0115】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約0.01%〜約0.1%の用量範囲内でラパマイシン、又はその類似物を投与する。
【0116】
第八態様もう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約0.001%〜約0.01%の用量範囲内でラパマイシン、又はその類似物を投与する。
【0117】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約0.0001%〜約0.001%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0118】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、低用量のラパマイシンを純化されている化合物として投与する。
【0119】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、低用量のラパマイシンを含む生エキスとして投与する。
【0120】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、低用量のラパマイシンをラパマイシンを含む純化されていない発酵液として投与する。
【0121】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、低用量のラパマイシンをラパマイシンを包む純化されていない微生物(Streptomyces hygroscopicus)として投与する。
【0122】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物は酸化防止剤、抗高血圧薬、抗高脂血薬、抗卒中薬、抗癌剤、又は異なる抗老化剤から選ばれる第二薬剤をさらに含む。
【0123】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物は細胞とミトコンドリアでの活性酸素種レベルをコントロールする酸化防止剤をさらに含む。
【0124】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、その化合物又は組成物がタミン C, ビタミンE、β-カロテン 及び他のカロチノイド、セレン、リポ酸、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、補酵素Q10、グルタチオン、N-アセチルシステイン、メラトニン、ゲニステイン、エストラジオール、茶抽出物、及びブドウ種子エキスから選ばれる酸化防止剤をさらに含む。
【0125】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物を経口、非経口、局所、経皮、或いは坐剤又はエアロゾルの投薬形態で投与する。
【0126】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気は異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下性疾患である。
【0127】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が腫瘍形成及び悪性癌進行、神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全, アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、及び加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、並びテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患から選ばれるものである。
【0128】
第八態様の一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述薬剤が低用量のラパマイシン又はその類似物、及びに、加齢に伴う病気が腫瘍形成及び悪性癌進行、パーキンソン病、脳卒中、小脳梗塞、心筋梗塞(心臓発作)である。
【0129】
第八態様のもう一つの好適なな実施態様において、本発明は低用量ラパマイシンで細胞周期停止状態を維持する方法を提供する。年代に依存したテロメア機能不全、癌遺伝子活性化、又はDNA 損傷剤(例えば、活性酸素種、抗癌薬、UV又はイオン化照射)により誘発される老化を延長する, 同じ老化機序DNA損傷応答これら過程に関与する。従って、本発明の方法は各種良性腫瘍を治療する及びに悪性進行を予防できる。そのため、本発明の方法は癌になるリスクが高い集団に用いられる、例えば老年人、変異原と頻繁に接触する人、あるいは被験者常にUV又はイオン化照射に暴露集団。本発明の方法は癌を誘発する危険性が高い薬を服用する患者、例えばホルモン補充を服用する女性。また、本発明の方法は二次癌を引き起こす化学療法を受けている癌患者にも適用してよい。
【0130】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は低用量ラパマイシンで脳卒中により誘発される脳損傷を予防の使用を提供する。従って、低用量のラパマイシンが脳卒中を治療する救急用薬剤、虚血性や出血性脳卒中に適用する。最良の結果を得るためには、低用量のラパマイシンと虚血性脳卒中緊急用の薬剤を組み合わせ使用できる、例えば組織プラスミノゲン活性化因子(t-PA),血栓溶解薬である。
【0131】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は低用量のラパマイシンで 脳卒中、脳卒中再発を予防する方法を提供する。最良の予防結果を得るためには、方法のもう一つ実施態様において、本発明は提供する低用量のラパマイシンと脳卒中の危険性を減らす異なる機序薬剤との組み合わせ方法を提供する。後者には次の例を含めて、但しこの限りではない。これら薬剤が抗血小板薬(例えば、クロピドグレル、Agrrenox)、抗凝血薬(例えば、ワルファリン、ヘパリン)、脂質低下薬(例えば、スタチン系)及び高血圧薬(例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、Β遮断薬、利尿薬、及びカルシウムチャンネル遮断薬) を含む。
【0132】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は低用量のラパマイシンで神経変性疾患を予防する使用を提供する、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病をを含めて、但しこの限りではない。
【0133】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は低用量のラパマイシンで心筋梗塞により誘発される心臓障害を予防するの使用を提供する。従って、本発明ラパマイシンの低用量で心筋梗塞又は心臓発作を予防する使用の提供する。最良の結果を得るめには、低用量ラパマイシンと機序の薬剤を組み合わせ、心臓発作の危険性を予防する。これら薬は次の例を含むが、但しこの限りではない、抗血小板薬(例えば、クロピドグレル、Agrrenox)、抗凝血薬(例えば、ワルファリン、ヘパリン)、脂質低下薬(例えば、スタチン系)、高血圧薬(例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、Β遮断薬、利尿薬、及びカルシウムチャンネル遮断薬)、及び血糖コントロール薬(例えば、メトホルミン及びピオグリタゾン)。
【0134】
当業者は、異なる組織又は細胞種類におけるラパマイシンの分布が均一でないこと、及び、抗老化で同定されるそれぞれの化合物又は組成物が異なる組織又は細胞種類で特定の分布パターンを示すことを理解するであろう。この方法の一つ態様において、本発明は、低用量のラパマイシンと、少なくとも一つの他の抗老化剤との組合せによる使用を提供する。その少なくとも一つ他の抗老化剤には、AICAR, 2-デオキシグルコース、LY294002、メトホルミン、EGCG、GSE、senelite、ゲニステイン, シリビニン、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸フェネチル、ビルベリー抽出物、ジアリルトリスルフィド、ベンジルイソチオシアネート、レスベラトロール、及びリコピンを含むが、但しこの限りではない。
【0135】
第八態様のもう一つの実施態様において、いずれかの有用な方式で低用量ラパマイシンを投与する、経口、非経口(静脈内、腹腔内及び皮下注射を含む)、局所、直腸、鼻腔内、経膣、吸入、エアロゾル、及び経皮の投薬形態を含む。経皮投与は全部の身体通路の内壁と上皮組織及び粘膜組織を通して投与することを含む。このような投与は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩及び有機ローション、クリーム製剤、泡沫、パッチ、懸濁剤、溶液、及び坐剤(直腸及び膣内)を用いて行われる。
【0136】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は低用量ラパマイシンのもう一つ用途を提供する。即ち固形食、飲料又は流動食の成分とし、ただし、飲料又は流動食二はアルコール性或いは非アルコール性ものを含む、例えば、水、ワイン、及び果汁など。
【0137】
第九態様において、本発明は生物試料における抗老化薬剤を検出する方法を提供し、この方法が次の段階を含む:
(i)生物試料を溶媒で希釈する;
(ii)テロメア機能不全又はDNA損傷により酵母細胞の細胞周期が停止された条件で希釈された試料を変異酵母細胞で培養する;
(iii)細胞周期が停止された条件を取り除き、生き残った酵母細胞の数を測定する;及び、
(iv)段階(iii)で得られた生き残った細胞の数を培養段階(ii)と同じ条件で対照実験における生き残った細胞の数と比較する、ただし、対照実験には上述の生物試料を含まない。
そのうち、対照実験に対して段階(iii)で得られた生き残った細胞数が増加すると、生物試料が抗老化剤を含むことを示唆する。
【0138】
第十態様において、本発明は生物試料における抗老化剤の生物濃度を測定する方法を提供し、この方法が次の段階を含む:
(i)被験者の生物試料を溶媒で希釈する;
(ii)テロメア機能不全又はDNA損傷により酵母細胞の細胞周期が停止された条件で、希釈された生物試料を変異酵母細胞で培養する;
(iii)細胞周期が停止された条件を取り除き、生き残った酵母細胞の数を測定する;
(iv) 段階(iii)得られた生き残った細胞の数を培養段階(ii)と同じ条件で対照実験で生き残った細胞の数と比較する、ただし、対照実験には上述の生物試料を含まない;及び
(v)生き残った酵母細胞の数を抗老化剤の濃度と生き残った酵母細胞の数との事前準備された標準方程式又は標準曲線に代して、抗老化剤の生物濃度を計算する。
【0139】
第十態様の一つ実施態様において、本発明は標準方程式又は標準曲線で生物試料における抗老化剤の生物濃度の計算方法を提供する、この方法が次の段階を含む:
(vi)異なる既知濃度の精製抗老化剤を有する複数の標準溶液を調製する、この標準溶液が被験者の生物試料を培養する溶媒を用いられる;
(vii)テロメア機能不全又はDNA損傷を起こし、さらに細胞周期停止された条件で、標準溶液を変異酵母細胞と培養する。
(viii)細胞周期が停止された条件を取り除く、それぞれの培養した標準溶液で生き残った酵母細胞の数を測定する;及び
(ix)段階(viii)で得られた生き残った細胞の数をその対応する抗老化剤の濃度に対してプロットして、標準曲線を得る、及び/又は標準方程式を得る。
【0140】
この態様は本発明の第九態様に関係ある、即ち定量分析抗老化剤の生物濃度はともに上述した標準方程式又は曲線で計算する。従って、本発明は方法には二つの態様に記載されている段階のいずれか合理的な組み合わせを含む。
【0141】
第十態様のもう一つ実施態様におけて、本発明は生物試料における抗老化剤の生物濃度を測定する方法を提供し、ただし、抗老化剤が上記の実施態様におけるいずれか方式で得た化合物又は組成物である。
【0142】
第十態様のもう一つ実施態様におけて、本発明は生物試料における抗老化剤の生物濃度を測定する方法を提供し、ただし、抗老化剤がラパマイシン又はその類似物である。好適な実施態様において、ラパマイシン又は類似物が低用量である。
【0143】
第十態様のもう一つ実施態様において、本発明は生物試料における抗老化剤の生物濃度を測定するための方法を提供し、ただし、変異酵母がcdcl3-l、cdcl3-2、stnl-1、cdcl7-l、cdcl7-2、hdfl、hdβ、estl、est2、及びest3から選ばれるものである。
【0144】
本発明のその他の態様又は好適実施態様は、本明細書に開示された実施態様における適切な組み合わせを含むものである。ここで、その他の態様及び実施態様は本明細書の他の部分に見い出されてもよい。
【0145】
[定義](英文p36)
本明細書で用いられている用語「a」、「an」及び「the」に対して、特別な注記がなければ、単数と複数も指す。
【0146】
本明細書で用いられている用語「optional(任意的な)」又は「optionally(任意的に)」とは、その次に記載されているイベント又は事情が発生する可能性、つまりその記載は、イベントの発生事例と発生しない事例とを含む意味である。
【0147】
本明細書で用いられている用語「加齢に伴う病気」とは老化が主な危険因子である疾患である。疾患の種類に基づいて、加齢に伴う病気は次の主な3種類を含む:(1)異常増殖性疾患、例えば癌;(2)変性疾患、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中)、心筋梗塞、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄の減少、関節リウマチ、d免疫機能、糖尿病、特発性肺線維症、加齢性黄斑変性;及び(3)機能低下性疾患、例えばテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-Iの減少、エネルギー産生減らされたなど。細胞の種類にとる、加齢に伴う病気が二つ主な種類に分類され、(1)分裂終了細胞において、ニューロン変性(アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中)、筋肉減少症(筋肉の減少)、心血管疾患(心不全、心筋梗塞);及び(2)有糸分裂細胞において、癌、骨髄減少、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、加齢性黄斑変性、関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、アテローム性動脈硬化症、及び高血圧。具体的には、加齢に伴う病気はミトコンドリア機能不全又は/及びテロメア機能不全を含む、癌、変形性関節症、加齢性の黄斑変性、特発性肺線維症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、皮膚の老化、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、心不全、高血圧、脳卒中、糖尿病、骨粗鬆症、肥満、白髪、聴力損失などを含むが、それに限定されない。すべての上記病気が本発明に包含される。
【0148】
いくらかの好適な実施態様において、用語「加齢に伴う病気」とは腫瘍形成及び悪性癌進行、心筋梗塞(心臓発作)、小脳梗塞、脳卒中、パーキンソン病、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、白内障、加齢性黄斑変性、筋肉減少症、変形性関節症、骨粗鬆症、骨髄減少、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、及び神経変性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン病疾患から選ばれる、並びにテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患。
【0149】
本明細書で用いられている用語「抗老化効果」とは、ミトコンドリア生合成及び機能を増す、活性酸素種レベルを減らす、老化細胞及び分裂終了細胞(例えば神経細胞)の寿命を延長する、加齢に伴う病気(例えば腫瘍形成、癌の悪性進行、小脳梗塞及び心筋梗塞)を予防することを指す。
【0150】
本明細書で用いられている用語「加齢に伴う病気を予防すること」とは、発生率を減らされる、老化に関係している疾患を遅延又は逆転することを意味する。
【0151】
本明細書で用いられている用語「老化」とは、細胞周期停止状態の有糸分裂細胞が継続的に分裂できないことを意味する、テロメア機能不全、DNA損傷、又は癌遺伝子活性化により誘発される。出芽酵母に、テロメア機能不全に起因する老化細胞停止された細胞周期がG2/M期。哺乳類の細胞において、老化細胞をGO期で停止、GO細胞が細胞周期に逸する。ヒトの線維芽細胞WI-38の細胞周期停止状態が顕微鏡下で10日後まで細胞数が増えない、且β-ガラクトシダーゼ陽性染色を示すことを意味する。
【0152】
本明細書で用いられている用語「分裂終了細胞」とは、GO期停止状態の細胞群で、GO期は細胞周期以外で分裂と複製しない、然し、細胞は生物の生命活動にはそれらの主な機能を持つことになっている。分裂終了細胞は神経細胞、心筋細胞、及び筋細胞を含む。いくらかの細胞が成熟個体にはGO期に入る、分裂終了である、特定の場所に限り、誘導され再びに細胞周期に入る分裂する、例えば肝臓及び腎臓の実質細胞、これら種類の細胞はGO期には分裂終了細胞に考えられる。
【0153】
本明細書で用いられている用語「cdcl3-l」とは、遺伝子CDC13には点変異が存在する酵母変異細胞をいう。用語「cdcl3-l」とは点突然変異遺伝子、Cdcl3pとは野生型タンパク質である。
【0154】
本明細書で用いられている用語「cdcl3-2」、「stn-1」、「cdcl7-l」及び「cdcl7-2」とは、酵母変異細胞、又は対応する突然変異遺伝子である。用語「estl」、「est2」、「est3」、「hdfl」及び「hdf2」とは、酵母変異細胞にはそれぞれに対応する遺伝子欠失を含むことを意味する、即ち遺伝子 ESTl、EST2、EST3、HDFl又はHDF2、対応する遺伝子欠失も指す。
【0155】
本明細書で用いられている用語「TOR 阻害剤」とは、老化を維持する能力を保持した、ラパマイシン及びその化学的又は生物学的に修飾された誘導体を含むところの、基本的なラパマイシン核を含有する免疫抑制化合物をいう。従って、用語「TOR 阻害剤」が、ラパマイシンのエステル、エーテル、ヒドラゾン、ヒドロキシルアミン、又はオキシム誘導体の投薬形態であってもよい。この用語は、ラパマイシン核上の官能基の修飾、例えば還元又は酸化反応を通じた、ラパマイシン類似体を含む。従って、用語「TOR阻害剤」は、ラパマイシン、及び、例えば、AP23573(デホロリムス)、AP-23675、AP-23841、ABT-578(ゾタロリムス)、CCI779(テムシロリムス)、RAD-001(エベロリムス)、7-エピ-ラパマイシン、7-チオメチル-ラパマイシン、7-エピ-トリメトキシフェニル-ラパマイシン、7-エピ-チオメチル-ラパマイシン、及び7-デメトキシ-ラパマイシン、32-デメトキシ-ラパマイシン、2-desメチル-ラパマイシン、及び42-O-(2-ヒドロキシル)エチルラパマイシン、のようなラパマイシン類似物を含むが、それに限定されない。
【0156】
本明細書で用いられている用語「治療量のラパマイシン」とは、約1mg/日〜約5mg/日の用量範囲のラパマイシンであり、多くは約0.1mg/日〜約15mg/日、しかし40mg/日までである。これら用量で、ラパマイシンはタンパク質翻訳及び細胞周期の進行を抑制する、Gl期に細胞周期を停止、自食作用も引き起こす可能。動物と組織培養において、マウス系モデルの治療量は0.1mg/kg/日、ヒト細胞に10ng/mLを超える、マウス系細胞に100ng/mL超える。当業者は治療量が特定の細胞系又は動物により異なることが知られている。
【0157】
本明細書で用いられている用語「低用量のラパマイシン」とは用量以下"治療量"を意味する。例えば、低用量が0.1〜1000pMで血清培地細胞に用いられる時、0.01〜100μg/kg/日がマウス系モデルに適用、又は0.01〜100μg/日ヒトに適用。特定の濃度は特定型の細胞又は疾患による投与。これら低用量ラパマイシンの治療量の約0.001%から約10%。
【0158】
本明細書で用いられている用語「化合物又は組成物の抗老化生物濃度」は、抗老化生物活性化合物又は組成物の濃度、化合物又は組成物の濃度に相当する。cdcl3-l細胞における老化延長により抗老化生物活性を測定することができる。
【0159】
本明細書で用いられている用語「癌」は疾患状態である、正常細胞が異常細胞になるのは、例えばDNA損傷、癌遺伝子活性化、テロメア機能不全、初期障害細胞病変からである、次に隣接組織、領域に浸透する。癌は加齢性の癌、変異原による癌、抗癌治療又は単独の疾患に対する治療により誘発される二次癌、例えばホルモン補充、又は環境要素(例えばUV照射及び喫煙)により誘発される癌であってもよい。
【0160】
本明細書で用いられている用語「腫瘍形成を予防する」とは、正常細胞から異常細胞への形質転換を抑制する或いは良性腫瘍の形成を抑制することである。用語「悪性進行を予防する」とは、良性腫瘍の悪性腫瘍又は癌への進行を抑制することを意味する。用語「癌を予防する」又は「癌予防」とは、腫瘍形成を予防する及び/又は悪性進行を抑制することを意味する。
【0161】
本明細書で用いられている用語「癌化学予防剤」とは、腫瘍増殖を抑制するために使用し得る天然物質又は実験室で合成したもの、。
【0162】
本明細書で用いられている用語「薬学的に許容可能な担体」とは、当技術分野で一般に受け入れられた送達培地である、通常には生物活性剤を動物(特に哺乳類)に送達する、補助剤、賦形剤を含む、例えば希釈剤、保存剤、充填剤、流れ調整剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、香料、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤、及び分散剤、選ばれるのは投与方法及び剤形で決まっている。薬学的に許容される担体は水性と非水性液体、及びさまざまな固体及び半固体剤形を含む。このような担体は活性薬剤以外に多くの異なる成分及び添加剤を含む、これらはさまざまな原因で製剤成分に入れる、例えば(活性薬剤の安定化)結合剤など、当業者が既知のもの。
【0163】
本明細書で用いられている用語「薬学的に許容される塩」とは、化合物の塩又は両性イオン状態をいい、水或いは油溶性又は分散性のものであり、適切な医学判定範囲において、患者組織に適用する、毒性、刺激性、アレルギー性、及び、合理的な利益/危険比においてほかの問題や併発症がない、且つある想定した使用に効果的であるもの。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、カンファースルホン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、よう化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルメイト(palmate)、ペクチン酸、過硫酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p-トルエンスルホン酸塩を含む。薬学的に許容される付加塩を形成する酸の例は、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸、並びに、例えばシュウ酸、マレイン酸、コハク酸酸、及びクエン酸などの有機酸を含む。
【0164】
薬学的に容認される塩の陽イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム、並び無毒第四級アミン陽イオン、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミンを含む。塩基付加塩の形成に有用である他の代表有機アミンは、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、及びピペラジンを含む。
【0165】
本明細書で用いられている用語「溶媒和物」とは、本発明の方法により同定される化合物の物理的結合する1種類以上、好ましくは1〜3の溶媒分子であり、有機或いは無機のいずれでもよい。この物理的結合は水素結合を含む。特定の場合には、溶媒和物が隔離される、例えば1種類以上の好ましくは1〜3の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれる。溶媒和物における溶媒分子が正常な配列及び/又は非正常な配列で存在してもよい。溶媒和物は化学量論又は非化学量論の量の溶媒分子を含んでよい。「溶媒和物」には可溶と非可溶溶媒和物を包含する。例示的な溶媒和物は、水和物、アルコール化合物、メタノール化合物、イソプロパナール化合物を含むが、それに限定されない。溶媒化の方法は当技術分野で既知である。
【0166】
加えて、本発明に係れる化合物は薬物前駆体形式であってもよい。体内に生物活性を有する化合物に転化できるいずれか化合物は薬物前駆体である。多くの薬物前駆体は当分野に周知されている。このような薬物の前駆体及び誘導体の例としては、前駆薬の設計、H.Bundgaard[Elsevier,1985]編著;酵素学における方法、Vol.112,at pp.309−396,K.Widder等編著(Academic Press,1985);薬物の設計及び発展教材、Krosgaard−Larsen及びH.Bundgaard編著、第5章、“前駆薬の設計及び応用、”by H.Bundgaard,at pp.113−191[1991]を参照する。
【0167】
説明的な例としては、ヒドロキシル基含有の化合物、例えばラパマイシン及びその類似物は、加水分解可能なエステル類、炭酸塩、またはカルバマート(carbomates)に形成されることができ、薬物前駆体として体内に加水分解して活性を有する化合物に形成する。そのため、本発明はラパマイシン類似物及びその対応するエステル、炭酸塩、またはカルバマート誘導体を使用して抗老化剤とすることを含む。これらの前駆体薬物は本分野の当業者によって普通の合成方法を使用して合成されることができる。例えば、エステル類としては、無水酢酸、塩化アセチル、酢酸、プロピオン酸クロライド、塩化ベンゾイル、ブチリルクロリド、無水コハク酸などのようなアシル化剤でヒドロキシル基をアシル化した誘導体が例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。炭酸塩としては、1つのX−C(O)OR構造を含有する化合物とヒドロキシル基との反応によって得られた誘導体(式中、Xが1つのハロゲンであり、Rが酸素原子に炭素が連接されているいずれの基、例えばアルキル基、アリール基、アリールアルキル基などであってもよい。)は例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。カルバマートも類似な方法で合成されることができる。
【0168】
それ以外に、ラパマイシンの薬物前駆体は例えば米国特許第4650803号及び米国特許第5151413号に主張されるように、またはいずれの出版又は出版待ちの文献に記載されるように、その他の形式であってもよい。ここで説明する多くの薬物前駆体は好ましくは経口投与であり、その原因は、多くの状況において、薬物前駆体は主に消化酵素によって加水分解されていることにある。前駆体薬物自身が活性を有し、または血液において加水分解可能であれば、注射投与してもよい。
【0169】
本発明の処方はいずれの適当なルート、例えば経口投与、局所投与、注射(皮下、筋肉内、静脈注射及び皮内)及び経肺吸収で投与してもよい。一部の実施例において、処方は単位服用量で表示され、いずれの方法で調製されてもよい。通常、処方は均一に調製され、活性成分(例えばラパマイシン又はその類似物)と密に関連しており、液体担体又は極細い固体担体、または両者を使用するものである。
【0170】
本発明の活性化合物を含む経口製剤は、錠剤、カプセル剤、口中錠、バッカル錠、ローゼンジ及び内用液剤、懸濁液、または溶液、または粉末又は顆粒剤、水溶液又は非水溶液における溶液又は懸濁液、水中油型乳剤、または油中水型乳剤を含む、通常に利用されたいずれの経口剤であってもよい。バッカル錠は活性化合物、不活性充填剤及び/または賦形剤を含有する混合物であってもよい。錠剤処方は従来の打錠成型、湿式造粒又は乾式造粒法で、且つ薬学的に許容される賦形剤、接合剤、崩壊剤、潤滑剤、表面修飾剤(界面活性剤を含む)、または沈殿防止剤または分解防止剤を用いて調製されてもよい。経口剤は溶出遅延剤又は徐放剤を使用して活性化合物の吸収を変えてもよい。
【0171】
場合によっては、エアゾール噴霧器で呼吸システム、耳、皮膚、または咽喉に直接投与してもよい。
【0172】
低用量のラパマイシンは局所投与されてもよい。局所製剤としてはクリーム剤、軟膏剤、乳剤、ゲル、ローション剤、スプレー剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明の局所製剤の1つ実施態様において、処方には不活性物質(例えばオイル)を含み、もう1つの実施態様において、保湿クリーム基剤を含む。防腐剤は本発明の処方の有効期限の延長のために用いられることができる。本分野の当業者に周知されるように、有効成分又は不活性物質の添加によって処方を変更することができる。本発明の外用製剤は皮膚老化の防止及びガンなどの病気の早期段階の治療に用いられることができる。
【0173】
一部の実施例において、錠剤は少なくとも1つの活性成分と、それぞれの圧縮又は成形用の任意の1つ又は複数の薬学的に許容される担体と、を含む。好適な実施例において、圧縮錠剤は適当な設備を用いて、粉末又は顆粒のような自由流動状態になっている活性成分と、任意に、結合剤(例えばポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えばカルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポビドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、表面活性剤又は分散剤と、を混合して圧縮することによって作られる。
【0174】
本発明の化合物または組成物は、単独投与または他の1つ以上(好ましくは1〜3)の薬物を併用して投与することができる。“併用投与”または“併合療法”とは、本発明の化合物または組成物を他の1つまたは1つ以上(好ましくは1〜3)の薬物と同時に治療対象の哺乳動物に投与することを指す。薬物併用投与する場合、各成分は同時に又は異なる時に任意の順序で異なる処に投与することができる。そのため、所望の治療効果を達するように、各成分は密接な時点で別々に投与してもよい。
【0175】
ここで、範囲は、「約」一特定値から、及び/又は、「約」別の一特定値までとして表現されることができる。このような範囲が表現された場合、他方面は1つの特定値から及び/又は他1つの特定値までを含む。同様に、これらのデータは前に「約」が付け加えられ、近似値によって表現された場合は、理解できるのは、特定値が他1つの方面を形成する。さらに理解すべきなのは、各の範囲のエンドポイントはその他のエンドポイントと顕著に関わっており且つ他1つのエンドポイントから独立している。さらに理解すべきなのは、本文には多くの値が開示され、且つ本文に開示された各々の値はこの値の自身以外に特定値と「約」に近似する値も含む。例えば、値「10」が開示された場合、「約10」も開示される。同時にこの出願においてデータは多くの異なる格式を有することも理解され、これらのデータは終点及び出発点を表し、範囲はデータ点の任意な組み合わせである。例えば、特定のデータ点「2%」及び特定のデータ点「4%」が公開された場合、より大きい、以上、より小さい、以下、2%及び4%であるは共に公開されたとみなされ、且つ共に2%〜4%の間にいる。さらに理解すべきなのは、2つの特定単位間の各の単位も公開している。用語「約」が計量を表すデータの前に現れた場合、この値は少なくとも±30%の範囲内に変化できることを指し、好ましくは±20%の範囲内、より好ましくは±10%の範囲内である。該述語が温度を表すデータの前に現した場合、該値は少なくとも±2℃の範囲内に変化できることを指し、且つより好ましくは±1℃の範囲内に変化、時間を表す場合、該値の変化程度は少なくとも15%、好ましくは10%の範囲内、より好ましくは5%範囲内にを指す。
【0176】
[抗老化剤を同定・検出・純化する方法](英文p44)
本発明は後述する各種の発見に基づくものである。
【0177】
A.栄養素信号の抑制はAMPK及び後続のミトコンドリア経路によって、酵母テロメア機能不全により誘発される細胞周期停止状態を延長する。
【0178】
A−I.栄養素シグナルの抑制は細胞周期停止状態を維持し、且つそれによって後続のテロメア機能不全により誘発される細胞死を予防する。
【0179】
各種の原因によって、出芽酵母cdcl3−lは共にテロメア機能不全の好適なモデルである。例えば、第一に、cdcl3−lpの不活化により誘発されるテロメア機能不全はテロメラーゼの不活化により通じる同じ下流の経路に通じることもできる:G2/M処に依頼されたMecl(ATM及びATR同族体)の細胞周期停止、及びその後に発生する細胞死、且つ伴った細胞サイズの増大、活性酸素種産生の劇的な増加、アポトーシスマーカー、及び半数体細胞における2N以上のDNA含量。ラパマイシンによってTORに対して抑制することは、cdcl3−lpの不活化又はテロメラーゼの不活化により誘発される細胞死を予防する。興味深いことに、ラパマイシンはcdcl3−lpの不活化によるG2/M 停止に対して影響するではなく、G2/M−停止状態を維持し、且つそれによって2N以上のDNA含量及び老化又は細胞死による悪化指標の出現を予防する(Qi,H.等,PLoS ONE,3,e3520(2008))。第二に、酵母が人体に入る過程において、テロメア構造及び機能を保留する。ヒト細胞において、テロメア機能不全はATM−/ATRに依頼する細胞周期停止を引き起こし、且つその後細胞サイズ増大、アポトーシスマーカー及び多倍体の大量の細胞死が発生する[Denchi,E.L.等,Nature,448:1068-71(2007);Shay,J.W.,等,発癌,26:867-74(2005))、これはcdcl3−l 中の状況と類似する。従って、cdcl3−lはテロメア機能不全による下流のカスケードの研究に用いられることができる。
【0180】
本発明は、酵母培養基におけるグルコースを減少する、または、200μMの2-デオキシグルコース(グルコースの一つ類似物)を培養基に添加することによって、グルコース制限を行う。これはラパマイシン処理と類似し、且つコロニー形成実験に観察されたと同様で、窒素に対して制限しても、cdcl3−lpの不活化により誘発される細胞死を予防することができる。図1Aに示すように、非許容温度(37℃)で、cdcl3−l細胞(半数体)を普通YEPD培地(1%ペプトン、2%酵母エキス及び2%グルコース)に入れて22時間培養する場合、活細胞の大量減少が引き起こされ、コロニー形成アッセイに観測された結果と同様である。しかしながら、YEPD培地におけるグルコースを減少して(2%から1%、0.5%及び0%まで)及び200μMの2-デオキシ-グルコースを2%グルコース含有のYEPD培地に添加すると、細胞死を効果的に予防することができ、グルコースが少なければ、生存細胞がより多い。また、SC−N培地(アミノ酸がない場合、0.67%酵母窒素ベース、[NH4]2SO4、2%グルコースを含み、且つ該酵母菌株に用いられる各100mg/Lのヒスチジン、ロイシン、トリプトファン及びウラシルの混合物を加える)によって窒素に対して制御を行い、細胞死も予防した(図1B)。また、濃度が0.3〜1nMの間(図1C)である時、ラパマイシンは用量依存的様式でcdcl3−l細胞死を阻止する。濃度が0.5〜1 nM間であり、細胞死を予防するラパマイシンは細胞の増殖を抑制しなかった上、反対に、それに対して少しの促進作用を有し(図1D)、これは低用量でのラパマイシンの新規機能を示唆した。図1Eはラパマイシン及びグルコース制限がcdcl3−l 細胞死を遅延することを示す。37℃で20時間培養した後の大量の細胞死と比べ、低用量のラパマイシン及びグルコース対する制限は細胞死を減速させた。37℃で60時間培養した後、細胞生存率は処理されなかった細胞と比べ、少なくとも100倍以上向上した。
【0181】
結果はさらに、ラパマイシン処理と類似するグルコース制限はG2/M−停止状態を維持し且つcdcl3−lpの不活化により誘発される後続の細胞死を予防することを説明した。図2Aに示すように、非許容温度(37℃)でcdcl3−l細胞を2時間培養した後、95%以上の細胞はグルコース制限(0.5%グルコース)及びYEPD培地含有のラパマイシン(1 nM)の存在下でG2/M期の細胞周期に入り、これは対照実験の状況と類似する。YEPD培地において、グルコースが2%から0.5%まで減少され、それによって、2N以上のDNA含量の増加を抑制し、これは、ラパマイシン処理(1nM)と同様で、細胞周期停止状態を維持することを表明した。図2Bに示すように、37℃でcdcl3−l細胞を2時間事前培養し、95%以上の細胞を細胞周期のG2/M期に進入させるが、グルコース制限及びラパマイシンの細胞生存率への予防効果を影響しない。従って、栄養素制限は、ラパマイシンによって実現されるTOR抑制と類似し、細胞周期停止状態(老化状態)を維持し、且つそれによって老化の悪化及びテロメア機能不全の発生時の細胞死を防止する。
【0182】
A−2.グルコース制限はラパマイシンを介して実現されるTOC抑制と類似し、活性酸素種の誘発を抑制し且つcdcl3−l細胞死におけるアポトーシスマーカーの出現を阻止する。
【0183】
図3Aにはcdcl3−l細胞死がROS放出の劇的な増加と関わることを示す。ラパマイシン(1nM)処理と類似し、グルコースの2%から0.5%(0.5%GIc)に減少することは、ROS増長を、同様な温度下の野生型(WT)と比較することができるレベルまで有効に低減する。図3Bは、ホスファチジルセリン(PS)に測定されたと同様に、cdcl3−lpの不活化により誘発される細胞死も増加されたアポトーシスと関わり、且つグルコース制限(0.5%GIc)またはラパマイシン(1nM)がこのアポトーシス死を効果的に抑制することを示した。
【0184】
A−3.AMPK及びミトコンドリア機能はラパマイシン及びグルコース制限のcdcl3−l細胞死への予防効果に重要な役割を果たす。
【0185】
本発明はさらにAMPKの、cdcl3−l細胞死に対する予防効果における重要な役割を開示する。図4Aは、2pの欠失(酵母AMPKの調節性サブユニットβ)がグルコース制限の予防効果を著しく抑制することを示す。また、SnfIp及びSnf4pの欠失は(それぞれ触媒性サブユニットα及び調節性サブユニットγ)ラパマイシンの予防効果を大幅に減らす(図4B)。
【0186】
本発明はさらに、その機能は、AMPK活性化及び下流のミトコンドリア生合成によって改善された糸粒体の、cdcl3−l 細胞死への予防効果に重要な役割を果たすことを開示する。すでに公開された論文(Qi,H,/Biol.Chem.,278:15136-15141(2003))に記載されるように、臭化エチジウム含有の培地に細胞を培養することによって、cdcl3−l細胞においてミトコンドリア欠損変異を実現することができる。図5Aは、糸粒体欠損がグルコース制限及びラパマイシン(1nM及び5nMで)の予防効果を著しく消去することを示す。ミトコンドリア質量の増加を測定することによっても、グルコース制限(0.5%グルコース)およびラパマイシン(1nM)はミトコンドリア生合成の上方調節を実現することを説明した(図5B及び図5C)。
【0187】
図6は上記の結果の要約を示す。糸粒体はテロメア機能不全により誘発される増殖停止状態を維持することにおいて重要な役割を果たし、且つグルコース制限及びラパマイシンによって実現されるTOR抑制は、AMPK活性化によってミトコンドリア機能を刺激し、それによって老化の悪化及び後続の細胞死を予防する。
【0188】
B.同様に、低用量のラパマイシン、グルコース制限及びAMPK活性化因子はミトコンドリア機能を刺激し、且つ第一のヒト線維芽細胞における老化を延長する。
【0189】
本発明はCR又はラパマイシンも老化を延長し、且つヒト細胞おいてテロメア機能不全により誘発される細胞死を阻止することを開示する。第一のヒト胚性肺線維芽細胞WI−38が採用された。これら細胞はテロメラーゼ活性が欠乏し、且つ通常はルーチン(定法)の培養条件下で、第31回の継代する時に複製能を達し、それによってテロメア機能不全を表す。第29回の継代する時に細胞は50pMラパマイシンで処理を行った。処理は10日を1つの周期とし、そのうち3日は投与し、7日は投与しない(3日−on/7日−off周期とも呼ばれる)。細胞は第31回の継代する時に分裂が停止し(顕微鏡下で測定)、且つラパマイシンの存在か否かに関わらず、共に老化状態が現れ、これは1mg/mLのX−gal、40mMのクエン酸/リン酸ナトリウム、pH=6.0の5mMフェロシアン化カリウム、5mMのシアン化カリウム、150mMのNaCl、及び2mMのMgCl2を含む緩衝液で、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルβ-D-ガラクトシド(X−gal)を使用してサイトゾルβ-ガラクトシダーゼ活性に対して測定することによって実現される。サイトゾルβ-ガラクトシダーゼ活性の増加によって、老化細胞が青色に染色された(白黒写真で濃い灰色として示されている)。図7は、老化状態になっていた56日後、DMSO対照には大量の細胞消失が発生されることを示す。50pMラパマイシンが細胞消失に対して強い抑制作用を発生する。老化指標が依然存在しており且つ細胞増殖が観察されなかったため、ラパマイシンは細胞に対して転化しなかった。また、培養基(0.4%から0.2%まで)にグルコースを減らしまたは2-デオキシグルコース(12.5μM)を添加することも老化細胞の消失を予防する(図7)。
【0190】
酵母に観察された状況と類似し、AMPKもヒト細胞におけるラパマイシンまたはグルコース制限に媒介されるテロメア死の予防に重要な役割を果たす。図7に示すように、AMPK特定の活性化因子5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミド-1-beta−D−リボフラノシド(AICAR、250μM)(投与方式:10-日を1つの周期とし、毒性を防止するように、2-日AICAR、8-日投与せず)で処理を行い、WI−38老化細胞の減少を防止する。また、ウエスタンブロット法に観測されたように、ラパマイシン(50pM)はAMPKキナーゼ活性を活性化し、ウエスタンブロット法はThrl72(データが図示せず)処のリン酸化AMPKを測定することに用いられる。また、低用量のラパマイシン、2-デオキシグルコース、グルコース制限及びAICARはミトコンドリア質量を増加し且つ人体内のミトコンドリア機能を刺激する(図8及び図10)。低用量のラパマイシンはヒト線維芽細胞(図8A)及びリンパ芽球様 L40細胞(データが図示せず)においては共にミトコンドリア質量を増加する。低用量のラパマイシンが線維芽細胞及びL40細胞においても、ミトコンドリア膜電位を増加し且つROSレベルを減らす(図8B、図8C、データは示さず)。
【0191】
意外なのは、図9Aに示すように、低用量のラパマイシン(10pM〜100pM)のみWI−38老化細胞の減少を阻止することができる。反対に、ラパマイシンは濃度が500pMより高い時に、細胞消失を促進する。例えば、25pMのラパマイシンは細胞消失を阻止する(図9A)が、細胞増殖を抑制しない(図9B)。反対に、集団倍加に測定されたように、複製能を5.12から6.8までに増加する。また、低用量のラパマイシン(50pM及び100pM)はキー老化タンパク質p53、p21及びpRBのレベルを増加するが、高用量(2000pM)のラパマイシンは増加できない(図9C)。また、低用量のラパマイシンのみ、ヒト細胞におけるミトコンドリア質量及び膜電位を増加し、且つ活性酸素種レベルを下げることができ、10nMのラパマイシンがこの効果を失った(図8)。従って、低用量のラパマイシンの機能が治療量の機能と違っており、細胞周期G1期のタンパク質翻訳及び細胞増殖を抑制することではなく、ミトコンドリア機能を刺激し、且つ老化の悪化を予防する。
【0192】
要するに、1)酵母の人体に入る過程において、老化細胞における細胞周期停止状態に対して維持することを保留する;2)CR、グルコース制限又は低用量のラパマイシンがAMPKを介してミトコンドリア機能に対して刺激し、老化を延長し、且つそれによって後続の細胞死を抑制する;及び、3)ヒト細胞における老化状態を維持する方面において、低用量のラパマイシンのみが、カロリー制限を模倣する。
【0193】
C.いくつかの抗老化及び癌化学予防剤はミトコンドリア機能を刺激し、且つ酵母とヒト細胞における老化細胞の減少を抑制する。
【0194】
本発明は多くの加齢に伴う病気を予防でき、共にミトコンドリア質量を増加し且つ老化を延長することができる、2種の既知の薬剤、すなわち緑茶抽出物(GTE)及びブドウ種子エキス(GSE)におけるEGCGを開示する。
【0195】
報告によると、GTEは各種の癌を予防することができる(米国特許第7,192,612号と第7,384,655号、及び米国特許公報第20040142048号と第20040047921号、及びShimizu, M.等, Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev.,17:3020-3025(2008);Nakachi,K.等,Jpn.J.Cancer Res.,89:254-261(1998))。没食子エピガロカテキン(EGCG)がGTEの最も効果的な成分である。報告によると、EGCGは線虫の寿命を延長することができ(Abbas,S.及びWink, M.,Planta.Med.,75:216-221(2009))、その他の報告によると、それはアミロイド前駆体タンパク分裂に対して調節を行い且つアルツハイマー病にかかる形質転換マウスの脳のアミロイドーシスを減少し(Rezai−Zadeh,K.等,J.Neurosci.,25(38):8807-8814(2005))、ラットの瞬間中大脳動脈閉塞後の脳損傷を予防する(Choi,Y.B.等,Brain Res.,1019:47-54(2003))、分離されたラット心臓において、ミトコンドリアK (ATP)チャンネルの活性化によって心筋細胞の虚血/再かん流によるアポトーシスを防止し、且つ梗塞のサイズを減少する (Townsend, P.A.等,FASEB J.,18:1621-1623(2004); Song, D.K.等,J.Korean Med.ScL,25(3):380-386(2010))。また、さらに、それは分離された膵島においてアポトーシスを予防し(Hara,Y.等,J.Hepatobiliary Pancreat.Surg.,14:493-497(2007))、多発性低用量のストレプトゾトシンにより誘発されるマウス自己免疫性糖尿病を予防することができ(Song,E.K.等,Arch.Pharm.Res.,26:559-563(2003))、ヒトシェーグレン症候群のマウスモデルにおける自己免疫症状を減少し(hsu,S.D.等,Autoimmunity,40:138-147(2007))、且つラットモデルにおいてセレンにより誘発される白内障の形成を予防する(Gupta,S.K.等,Ophthalmic Res.,34:258-263(2002))。興味深いことに、EGCGはさらにAMPKを活性化する(Huang,C.H.等,Mol Nutr.Food Res.,53(9):1156-1165(2009))。
【0196】
GSEも癌予防活性を持つことが示された(米国特許出願第20040047921号及び20050013880号)。例えば、没食子酸は、GSEの主要な成分として、TRAMPマウスモデルにおいて前立腺癌が晩期段階に進行することを緩め(Raina,K.等,Cancer Res.,67:5976-5982(2007))、且つGSEはさらにNNKにより誘発される前癌ヒト乳房上皮細胞MCFlOAの発癌を予防する (Siriwardhana, N.等, Breast Cancer Res.Treat.,109:427-441(2008))。また、GSEはエストロゲン欠失した動物モデルにおける動脈圧及び食塩感受性高血圧を減らすことができることを示した(review by Carlson,S.等,Gend.Med.,5 Suppl.A,S76-90(2008))。それはさらに、ヒト表皮の三次元組織培養モデルにおいてUVBによる皮膚損傷を効果的に予防することができ(Tomaino,A.等,Toxicol.In Vitro.,20:1395-1402(2006))、アルツハイマー病のマウスモデルにおいてAβオリゴマー形成を予防し且つ認知悪化を弱め(Wang,J.等,J.Neurosci.,28:6388-6392(2008))、マウス及びハムスターにおいて高脂肪食による肥満症を予防し(Park, S.H.,等,Nutr.Res.Pract,2:227-233(2008);Decorde,K.等,Mol.Nutr.Food Res.,53:659-666(2009))、ラットモデルにおいて老化による酸化損傷のDNAの脊髄及び大脳における蓄積を抑制し(BaIu, M.等,Brain Res. Bull.,68:469-473(2006))、及び老化の間に赤血球膜完全性のを維持する(Sangeetha,P.等,Exp. Gerontol.,40:820-828(2005))。
【0197】
図10に示すように、250μg/mLのGSE及びGTEからの50μg/mLのEGCGは共にヒト細胞におけるミトコンドリア質量を増加した。例えばリンパ芽球様L40細胞。それらはさらに酵母及びヒト線維芽細胞WI−38におけるテロメア死亡を予防する(図11及び図7)。
【0198】
図10は多くの癌化学予防剤、例えば、10μMのLY294002(PI3K阻害剤)、2μMのジアリルトリスルフィド(DATS)、1μMのベンジルイソチオシアネート(BITC)、1μMのフェニルイソチオシアナート(PITC)、2μg/mLのレスベラトロール(RSV)と0.03μMのリコピン、6.7μMのイソチオシアン酸フェネチル(PEITC)、1μMのイソチオシアン酸アリル(AITC)、5mMのシリビニン、1.25mMの亜セレン酸塩(Na2SeO3)、2.5mMのゲニステイン、及び3mg/mLのビルベリー抽出物、がヒトリンパ芽球様細胞におけるミトコンドリア質量を増加することを示す。図7及び図11は、イソチオシアン酸フェネチル(PEITC)、 シリビニン、亜セレン酸塩(Na2SeO3)、ゲニステイン、及びビルベリー抽出物を含む多くの癌化学予防剤の、酵母及び/又はヒト細胞におけるテロメア死への各種程度の保護作用を示す。
【0199】
D.多くの加齢に伴う病気または障害が糸粒体又は/及びテロメアの機能不全に関わり、且つ低用量のラパマイシンは動物モデル又は組織培養モデルにおいて複数の加齢に伴う病気または障害を予防する。
【0200】
癌。
ほとんどの癌細胞はミトコンドリア機能不全を示す。この現象がワーブルグ効果と呼ばれ、すなわち癌細胞において、60%にも達するATPが好気条件下で解糖によって生成され、一方、正常細胞において、多数のATPがミトコンドリア酸化的リン酸化によって生成される。発癌性転化は酸化的リン酸化を抑制し且つ解糖を増加でき、腫瘍抑制タンパク質p53は酸化的リン酸化に対して上方調節し且つ解糖に対して抑制することがすでに示された。しかしながら、影響を受けたミトコンドリア機能が癌の原因か結果かはまだ明確されなかった。
【0201】
既知なのは、テロメアが徐々に短縮するため、テロメア機能不全は年代に依存しており、且つテロメア機能不全により誘発される老化を維持することは加齢性癌の進行を予防するキー機序である。癌遺伝子活性化及び変異原により誘発される老化もDNA損傷応答により、テロメア機能不全と同様であるため、老化維持は各種の癌を予防する内在機序である。
【0202】
本発明はミトコンドリア機能が老化を維持するに好適な役割を果たすことを開示する。従って、ミトコンドリア機能は老化を維持することによって癌を予防する方面においては重要であり、且つ影響を受けたミトコンドリア機能は老化悪化及び癌進行を進める早期段階である。そこで、テロメア機能不全モデルはミトコンドリア機能を刺激し、老化を延長し且つ癌を予防する候補を同定することに用いられることができる。実に、多くの既知の癌化学予防薬が老化を延長し及びミトコンドリア質量を増加することができる(図7、図10及び11)。また、図7に示すように、老化を延長する低用量のラパマイシン及びAICARは、ミトコンドリア質量の減少を逆転し且つNIH3T3細胞において(図12及び図13)変異原TPA(12-0-テトラデカノイルホルボール13-アセタート)により誘発される腫瘍形成を予防する(実施例15を参照)。
【0203】
神経変性疾患。
広範囲な研究にもかかわらず、神経変性疾患の機序が不明である。ミトコンドリア機能不全は疾患に役割を果たすかもしれない。原因はPakin(パーキンソン病に関わる)、Huntintin(ハンチントン病に関わる)及びアミロイド-β(アルツハイマー病を引き起こす老人斑)は共にトコンドリア機能に関与することにある。最近の研究も自食作用(タンパク質分解)がこれら疾患で役割を果たすことを示唆する。
【0204】
本発明は、高用量のラパマイシンではなく、低用量のラパマイシンが活性酸素種レベルを下げ、培養におけるラット小脳顆粒神経細胞(CGN)細胞の寿命を延長し(図14A及び図14B)且つラット脳卒中モデルにおいて小脳梗塞による脳損傷を予防する(図15A及び図15B)ことを開示する(実施例16-18を参照)。ラパマイシンは低用量でさらに200μM MPP+により誘発される活性酸素種レベルを下げ、一方、MPP+はドパミン作動性の神経毒素であり、マウスモデルにおいてパーキンソン病を引き起こすことができる(図16)。また、報告によると、神経変性疾患を予防又は治療できるEGCGはさらに老化を延長することができる(図7及び図11)。従って、低用量のラパマイシン及びEGCGは有糸分裂後と老化細胞の寿命を延長することがてき、GO期の有糸分裂後の神経細胞の維持はGO期の老化細胞と類似する機序を有することを表明した。そこで、一つ態様において、本発明は以下の発見に基づくものであり、老化モデルは神経変性疾患を予防する薬剤候補の同定及び検出に用いられることができ、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、及びハンチントン病を含むが、それに限定されない。
【0205】
心不全、アテローム性動脈硬化症及び心筋梗塞
テロメア機能不全が慢性心不全に重要な役割を果たすことが示された。さらに、培養された心筋細胞において、TRF2機能を干渉することはテロメア浸食及びアポトーシスを引き起こすことが示された。逆に、外因性TRF2が保護され、酸化的ストレスを防止することができるが、それによって、例え有糸分裂後、非周期細胞においても、依然テロメア機能不全によって細胞死を発生することができることを表明した(Oh,H.等,Proc.Natl.Acad.ScL USA,100:5378-5383(2003))。体内において、第5代TERC−欠損マウス(G5TERC−KO)(TERC遺伝子コード化テロメラーゼRNAの欠損によるテロメラーゼ変異体モデル)は心筋細胞における短いテロメア、心筋心室拡張、心筋の薄化、心臓の機能不全、及び突然死を著しく表した。G5TERC−KOマウスの心臓試片は、野生型マウスに比べて、DNA損傷応答タンパク質p53の発現が増加され、アポトーシスが増加され、及び左心室筋細胞数が50%減少されることを示した(Leri,A.等,EMBO J.,22:131-139(2003))。
【0206】
アテローム性動脈硬化症は通常動脈硬化または動脈の垢を指し、これは動脈内に大量の斑の形成によって引き起こされる。動脈アテローム性の刺激による血管内皮細胞(ECs)の機能不全は、アテローム性動脈硬化症の病因に対して非常に重要である。ヒトのアテローム性動脈硬化症病変組織にはすでに加速させたテロメア浸食及び早老が観察され(Ogami,M.等,Arterioscler.Thromb.Vase.Biol.,24:546-550(2004);Minamino,T.等,Circulation,105:1541-1544(2002))、これは年代に依存したテロメア浸食によるECの機能不全又は減少は斑の形成の早期ステップであるかもしれないことを表明する。
【0207】
冠状動脈アテローム性硬化は心筋梗塞(MI、普通に心臓発作と呼ばれる)を引き起こす冠循環の閉塞に至る。MIは有糸分裂後の心筋細胞の消失、不適応な再構成、心収縮機能不全及び最終の鬱血性心不全を引き起こす。
【0208】
本発明は低用量のラパマイシンが(10μg/kgで、100μg/kgではない)ラットモデルにおいて心筋虚血性梗塞を著しく減らすことを開示する(図17及び実施例19)。また、報告によると、AMPK活性化因子メトホルミンもマウスモデルにおいて心筋梗塞を減らし且つ心筋細胞に糸粒体媒介の細胞死を防止することできる(Calvert,J.W.,糖尿病,57:696-705(2008))。これら結果はTOR/AMPK/糸粒体経路の、有糸分裂後心筋細胞における重要性、老化細胞における重要性と類似する、を表明した。従って、テロメア機能不全により誘発される老化モデルは、心筋梗塞を予防又は治療する薬剤候補を選択することに用いられることができる。
【0209】
加齢性黄斑変性。
加齢性黄斑変性(AMD)は老人(>50歳)の失明の主な原因である。それは網膜色素上皮細胞(RPE)の退化から始め、且つ最終に視野の中心(黄斑)の視力喪失に至る。報告によると、テロメア浸食、ミトコンドリア機能喪失及び細胞消失が共にこの疾患と関わる(Matsunaga,H.,Invest.Ophthalmol.Vis.ScL,40:197-202(1999);Liang,F.Q.等,Exp.Eye Res.,76:397-403(2003))。そこで、ミトコンドリア機能を改善し、それによって、テロメア浸食により誘発される細胞消失を予防することは、病気の初期段階を予防又は安定化することができる。興味深いことに、50pMの低用量のラパマイシンの、この疾患を治療する用途に対しては、すでに特許を出願した(米国特許第7,083,802号)。従って、テロメア機能不全により誘発される老化モデルは、AMDを予防又は治療する薬剤候補の選択に用いられることができる。
【0210】
変形性関節症。
変形性関節症(OA)の特徴は関節軟骨の進行性消失であり、老人個体群における最もよく見られる慢性の関節疾患であり、著しい疼痛及び身体障害を引き起こす。軟骨細胞の機能は適切な軟骨基質の維持にとって必要である。テロメア機能不全、ミトコンドリア変異及び軟骨細胞におけるアポトーシス式の細胞死はOAと関わることがすでに示された(Martin,J.A.等,J.Bone Joint Surg.Am.,85−A Suppl.2:106-110(2003); Ruiz−Romero,C等,MoI.Cell Proteomics.,8:172-189(2009);Dave,M.等,関節炎Rheum.,58:2786-2797(2008))、これは、軟骨細胞におけるテロメア機能不全による細胞消失が潜在の疾患発症の機序になっていることを表明する。そこで、ミトコンドリア機能を改善して、それによってテロメア機能不全により誘発される細胞消失を予防するのは、疾患の早期を予防又は安定させることができる。従って、テロメア機能不全により誘発される老化モデルはOAを予防又は治療する薬剤候補の選択に用いられることができる。
【0211】
特発性肺線維症。
特発性肺線維症(IPF)は慢性の進行性間質性肺疾患であり、特徴は肺間質の線維性組織の異常及び過剰沈積にある。該疾患は通常50歳以上年齢の患者に発生する。最近、テロメラーゼの変異が成人発症の肺間質線維症に至り(Tsakiri,K.D.等人,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,104:7552-7557(2007))、且つ短いテロメアがIPFと関係がある(Alder,J.K.等, Proc.Natl.Acad.Sci.USA,105:13051-13056(2008);Armanios,M.Y.等,N Engl.J.Med.,356:1317-1326(2007))ことが示された。証明によると、肺上皮細胞における糸粒体及びアポトーシスがIPFと関わる(Kuwano,P.,Intern.Med.,47:345−353(2008))。これらの結果はテロメア機能不全による肺上皮細胞の減少は加齢性のIPFの初期起因であるかもしれないことを表明する。そこで、ミトコンドリア機能を改善し、それによって肺上皮細胞におけるテロメア浸食より誘発される細胞減少を予防することは、病気の初期段階を予防または安定化させる可能性がある。従って、テロメア機能不全により誘発される老化モデルはAMDを予防又は治療する薬剤候補の選択に用いられることができる。
【0212】
皮膚の老化。
線維芽細胞の老化が皮膚老化の兆候(例えば、しわ)に好適な役割を果たす。テロメアの進行性短縮及び活性酸素種又はUVによるDNA損傷の蓄積は、線維芽細胞老化及び後続の細胞消失を含む線維芽細胞老化を引き起こす。次に、線維芽細胞老化は、増殖性能減少(Mine,尾S.等,PLoS ONE,3[12]:e4066(2008);Hayflick,L./Invest.Dermatol.,73:8−14(1979))、細胞形態及び新陳代謝の変化、細胞外のマトリックスタンパク質(例えば1型及び3型膠原質)の産生の減少(Varani,J.等,Am.J.Pathol.,168:1861-1868(2006))、及び細胞外基質の退化に関わるプロテアーゼの過剰発現(West,M.D.等,Exp.Cell Res.,184:138-147(1989))を含む機能低下をもたらす。これらの体外変化は共に多少程度に加齢に伴う皮膚の体内変化と関与する。機能性のミトコンドリア個体群を維持することはテロメア短縮を遅延するだけでなく(図9B)、機能性を依然有する老化線維芽細胞の減少を予防し(図7及び図9A)、且つそれによって皮膚の老化を遅延し、及び皮膚癌を予防する。
【0213】
関節リウマチ(RA)。
機能障害性テロメア及びミトコンドリア変異がRAにおける潜在的な病原因子である。関節リウマチ患者の造血前駆細胞(HPCs)及び骨髄間葉幹細胞(MSCs)は早過ぎのテロメア短縮及び減らされた複製能を表すことがすでに表明された(Colmegna,I.等,関節炎 Rheum.,58:990-1000(2008);Kastrinaki,M.C.等,Ann.Rheum.Dis.,67:741-749(2008))。また、この疾患の主要な感受性遺伝子とするHLA−DRB1*04対立遺伝子はテロメア短縮の過程に対して調節できることがすでに表明された(Schonland,S.O.等,Proc.Natl.Acad.ScL USA,100:13471-13476(2003))。いくつかの研究も、RAにおける炎症を起こした滑膜の組成及び構造方面の一部の特徴的な変化は、滑膜細胞がすでに変化したアポトーシス応答と関わることを表明した(Korb,A.等,アポトーシス,14:447-454(2009))。また、対照に比べて、RAによる滑膜細胞のmtDNAの変異が大幅に増える(Da Sylva,T.R.等,関節炎 Res.Ther.,7:R844-851(2005))。従って、ミトコンドリア機能を改善し、且つテロメア短縮により誘発される細胞死を予防する薬剤候補を研究・開発して、この疾患の治療に用いられることができる。
【0214】
糖尿病。
糖尿病とは高血糖値を至ることができる疾患を指し、原因はインスリン産生の減少(1型糖尿病)またはインスリンの効果に対して生成した抵抗性(2型糖尿病及び妊娠期間)にある。テロメア機能不全又はミトコンドリア機能不全によって、β-細胞機能が早すぎて消失することは糖尿病の初期段階であるかもしれない。広範に受け取られる観点としては、mtDNA欠陥が糖尿病の病因の1つのよくある要因であり、且つmtDNAの再配列(Ballinger, S.W.等,Nat.Genet.,7:458-459(2004);Ballinger,S.W.等,Nat.Genet., 1:11-15(1992))及びtRNAの変異(van den Ouweland,J.M.等,糖尿病,43:746-751(1994))は糖尿病と関わる。また、マウスの膵臓β細胞において、ミトコンドリア生合成のそのうちの1つのの主要タンパク質のミトコンドリア転写因子TFAMに対して不活化を行うことは、血清インスリンの激しい減少及び空腹及び非空腹状態での血中グルコースの増加をもたらす(Koster,J.C.等,Cell,100:645-654(2000);Wallace,D.C.,Am.J.Med.Genet.,106:71-93(2001))。それ以外に、ヒト膵島におけるβ-細胞は体外においてテロメア浸食及びテロメアによる老化を受けることを表明した(Halvorsen,T.L./Endocrinol,166:103-109(2000))。そこで、ミトコンドリア機能を改善し且つテロメア浸食により誘発される細胞消失を予防することができる薬剤候補はこの疾患の予防に用いられることができる。
【0215】
上記の加齢に伴う病気はミトコンドリア悪化及び/又はテロメア機能不全に関わる実例である。さらに、この種類に属する多くの他の疾患があり、例としては、肥満、骨粗鬆症、高血圧、老年性筋肉減少症、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、加齢性の聴力損失、グレーイング、加齢性の免疫調節異常、及びテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF−I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患を含むが、それに限定されない。従って、本発明はさらに将来に発見されるいずれかの加齢に伴う病気または障害を含む。
【0216】
要するに、本発明は糸粒体が老化細胞及び有糸分裂終了細胞(例えば神経細胞及び心筋細胞)において増殖停止状態を維持する方面に重要な役割を果たし、且つ多くの加齢に伴う病気に関わることを開示する。また、糸粒体機能不全及びテロメア機能不全も加齢に伴う病気に関わる。これらの原理は老化細胞を使用して加齢に伴う病気に対する薬剤候補を検索する根拠である。
【0217】
図18は加齢に伴う病気の機序を要約し、且つ如何にして栄養素/TOR経路を制御することによって加齢に伴う病気を予防することを説明する。つまり、糸粒体は各種の細胞及び組織における加齢に伴う病気に極めて好適な役割を果たす。神経細胞、筋細胞、心筋細胞のような有糸分裂終了後の細胞において、糸粒体が有糸分裂後の状態を維持することに用いられ、それによって細胞が改めて細胞周期に入ることを防止し及び後続の細胞死を防止する。増殖性組織において、ミトコンドリア機能に対して改善を行うことは、酸化的ストレスの減少及びそれらの複製能の増加ができる。老化に入った後、糸粒体は有糸分裂終了後の細胞におけるのように、該老化状態を維持し且つ後続の細胞消失を予防する。細胞消失は修復カスケード、例えば関節リウマチにおける炎症反応及び特発性肺線維症における線維症を引き起こすことができる。細胞消失はさらに組織の機能低下及び変性疾患、例えば骨髄不全、ニューロン変性及び心不全を引き起こすことができる。もう一つ状況において、老化悪化が腫瘍形成及び癌の進行に至る。グルコース制限を含むカロリー制限、および低用量のラパマイシンはミトコンドリア機能を刺激し、且つ各種の加齢に伴う病気を予防する。
【0218】
要するに、本発明はすでに、(i)ミトコンドリア機能が老化状態を維持する;(ii)有糸分裂後状態の維持は老化状態を維持することと類似する;(iii)CRはミトコンドリア機能によって老化及び分裂終了細胞を維持する、且つそれによって、老化モデルはミトコンドリア機能を刺激する、及び各種加齢に伴う病気を予防する候補を同定することに用いられることができる;(iv)多くの癌化学予防薬、グルコース摂取阻害剤及びAMPK活性化因子は共に老化を延長することができ、このように加齢に伴う病気を治療するための薬剤候補として開発されることができる;及び(v)CRの模倣体としての低用量のラパマイシンが老化細胞及び有糸分裂終了後の細胞を維持することができ、且つ癌、脳卒中による脳損傷、心筋虚血性梗塞、及びその他の加齢に伴う病気又は表現型を予防することができることを開示した。
【0219】
最近、優先権を主張する該仮出願を提出した後、いくつかの研究者により、治療量のラパマイシンはさらにタンパク質翻訳の抑制及び分解(自食作用)刺激によって老化及び加齢に伴う病気に対して一定の効果を有することを報告した。例えば、報告によると、治療量のラパマイシン(7.5mg/kg)はマウスモデルにおいてタンパク質翻訳抑制によってパーキンソン病に対して効果的な作用を有し、特にRTP8O1/REDD1/Ddit4タンパク質に対して、該タンパクはパーキンソン病患者の影響された神経細胞から誘導され、且つ神経細胞死を引き起こす(Malagelada, C等,J.Neurosci.,30(3):1166-1175(2010))。もう一つの報告は、治療量のラパマイシン(2.24 mg/kg)はアルツハイマー病のマウスモデルにおいて、自食作用によって認知障害を改善し且つAβ 及びtau タンパク病理を改善したことを称した(Caccamo,A.等,J.Biol.Chem.2010年2月23日)。また、さらに、寿命に対するCRの延長効果(約30〜40%)と比べ、治療量のラパマイシンの、マウス及びミバエの寿命に対する延長効果がより少ない(約10%)(Harrison,D.E.等, Nature,460(7253):392-395(2009))。興味深いことに、ラパマイシンのこのようにミバエの寿命を延長することはAMPK/ミトコンドリア経路を経由することではなく、タンパク質翻訳の抑制及び/又は自食作用刺激によるものである(Bejdov,I.等,Cell Afetafe.,11[1]:35-46(2010))。
【0220】
これら結果は、治療量のラパマイシンはタンパク質翻訳/増殖の抑制及び自食作用の刺激によって、いくらかの加齢に伴う病気と寿命及び寿命延長に対して一定の機能を果たすことができることを表明した。しかしながら、各種の副作用のため、治療量のラパマイシンを加齢に伴う病気を予防することに長期使用することが適切ではない。他方、Crの模倣体とする低用量のラパマイシンは(事実上、形成する副作用が非常に少ないため、CRより優れている)、AMPK/ミトコンドリア経路を通じて、老化及び加齢に伴う病気を予防することに用いられることができ、一方、前記治療量のラパマイシンを使用することに比べ、低用量のラパマイシンはより各種の明らかな利点、例えばより高い有効性及びより小さい副作用を有する。
【実施例】
【0221】
<EXAMPLES>(英文p58)
A.テロメア機能不全モデルを使用してハイスループット・スクリーニングを行って加齢に伴う病気を予防又は治療する抗老化候補を同定及び検出する。
【0222】
本発明の一つの態様において、酵母テロメア機能不全モデルcdcl3−lを使用してハイスループット・スクリーニングを行い、加齢に伴う病気の予防又は治療ための有用な抗老化剤を発見する。cdcl3−lモデルがすでによく研究され、一旦cdcl3−lpが不活化された後、直ちにG2/M期細胞周期停止及びその後の細胞死亡が発生する。このモデルを使用することによって、本発明はテロメア機能不全による細胞死を予防することができる候補を同定する速い方法を提供する。その他の、テロメア機能不全を有し、且つ快速な成長停止及びその後の細胞死を表すモデルも使用することができ、例えば、Stnlp(酵母におけるキャッピングテロメア)及びCdcl7p(酵母DNAポリメラーゼの触媒サブユニットにおけるα-プライマーゼ複合体)におけるstnl−1、cdcl7−l及びcdcl7−2温度感受性変異株。また、テロメア機能不全及びアポトーシスを示す酵母細胞も使用することができ、Estlp、Est2p、Est3p、Hdflp、Hdf2p又はcdcl3−2変異体における変異を含むが、それに限定されない。WI38ヒト第一の線維芽細胞はヒトテロメア機能不全モデルであり、薬剤候補を確認又は検出することに用いられることができる。以下、(実施例1〜実施例6)は、cdcl3−lモデルを使用する。
【0223】
[実施例1] 細胞生存アッセイを用いてcdcl3-lモデルにおける細胞死を予防する薬剤を同定すること(図19に示すように)
【0224】
cdcl3-lモデルにおいてミトコンドリア機能を改善し、細胞周期の停止状態を延長し、且つ細胞死を予防する化合物又は組成物をハイスループット・スクリーニングするため、cdcl3-l細胞が−80℃の保存条件から活性化され、まず新鮮なYEPD又は酵母完全培地(YC)平板培地に画線し、その後単一のコロニーが形成するまで許容温度(約24℃)で3〜5日培養する。複数の酵母コロニーを選択して同様な液体培地に入れて許容温度(24℃)で一夜培養して、その後、新鮮な培地で一夜の培養物を1:2〜1:20に希釈する(cdcl3-l菌株に対して、最適は約1:10である)。
【0225】
酵母細胞液を96穴の平板培地又はいずれかの適切な平板培地に分注する。対象化合物又は組成物、例えば、H2O、DMSO(ジメチルスルホキシド)又はその他の有機溶媒で段階希釈された薬物、化合物、ペプチド・ライブラリー又はその他のライブラリーが、細胞混合物の総体積の5%より小さい体積で細胞に加えられる。この混合物において、対応する溶媒を添加するのは陰性対照とし、同じ溶媒に1nMラパマイシン溶液を含むのは陽性対照とする。酵母細胞を非許容温度(約37℃)で2日、又は陰性対照の生存細胞が検出されないまで培養する。
【0226】
小さい体積の細胞(例えば、5μl)を取って事前に準備した寒天平板培地の他1つの96穴又はいずれか他のパターンの平板培地(細胞はさらに希釈してから移すことができる)に移し、許容温度(約24℃)で平板培地を少なくとも3日、又は陽性対照にコロニーが形成するまで培養する。コロニー形成を促進する化学物質は第一の候補とみなされる。また、数マイクロリットル(μl)の細胞をYEPD液体培地の他1つの96穴の平板培地又はいずれか適切なパターンの平板培地に移し、平板培地を許容温度(約24℃)で培養する、OD595(595nmでの吸光度)を例えば1日1回、周期的に読み取る。陰性対照に比べ細胞密度を増やすことができる化学物質が第一の候補とみなされる。図19はこの方法を説明する。
【0227】
実施例2及び実施例3にアポトーシスアッセイ及び活性酸素種アッセイにより第一の候補を確認することがそれぞれ記載されている。第一の候補薬物がG1期に細胞増殖を抑制するか否かは、図1に示される許容温度下の生長曲線のモニタリング及び図2Aに示されるFACS分析装置で分析したDNA含有量の分布によってさらに測定することができる。候補によって変異細胞が形成され、それによって、非許容温度下でコロニーが形成する可能性を防止するように、cdcl3−l細胞は候補薬物と一緒に約37℃で培養してコロニーを形成させることができる。もう1つの重要な方面は、候補はミトコンドリア機能の改善、及び老化哺乳類の細胞(例えばWI38線維芽細胞)の細胞消失の抑制の可能性が測定され、それらの特定の加齢に伴う病気の予防の有効性は特定の疾患モデル、例えば、腫瘍形成の抑制の可能性、及び/又は動物モデルにおける脳梗塞サイズの縮小の可能性、によって測定される。
【0228】
ハイスループット・スクリーニングに適切な平板培地の種類としては、384穴の平板培地を例として挙げられるが、それに限定されない。また、この方法は、候補の検出及び確認するための他種類の平板培地、例えば6穴の、12穴の平板培地などにも適用され得る。
【0229】
[実施例2] アポトーシスマーカーでcdcl3−l細胞死を予防する薬剤を同定すること
【0230】
cdcl3−l細胞死はアポトーシスマーカーが現れる。実施例1の細胞生存実験より必要な時間が短いため、この特徴をハイスループット・スクリーニングに用いることができる。これは実施例1のハイスループット・スクリーニングから同定された陽性候補の確認にも用いられることができる。また、該実験はアポトーシスを抑制する薬剤のスクリーニングにも用いられることができる。
【0231】
非許容温度(約37℃)で1日(約18〜24時間)培養した後、cdcl3−l細胞及び化合物はFITC−conjugated z−VAD− FMK(活性化カスパーゼのみを結合する自殺基質)、又はその他の適切なアポトーシスの検出薬剤を用いて暗闇で20分染色された。細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で一回洗浄して、平板が蛍光マイクロプレートリーダーにより読み取られた。細胞死によって、陰性対照群(細胞にスクリーニングされた化合物又は組成物がない)は高いFITCシグナルを有し、FITCシグナルを減少する化合物又は組成物が陽性又は第一の候補と認められる。それらは実施例1の細胞生存実験によって確認されることができ、さらにROSの減少及びミトコンドリア機能の改善における能力が測定された。これら活性はこれからヒトテロメア機能不全モデル、例えば、WI−38老化細胞でも測定する。癌及び他の加齢に伴う病気を予防するそれらの活性がさらに適切なモデルで試験される。
【0232】
アポトーシスマーカーとして、ホスファチジルセリンフリッピングを測定するアネキシン−V結合定量法はすでに図3Bにおいて説明され、これはハイスループット・スクリーニングにも用いられることができる。
【0233】
[実施例3] ROS(図20に示すように)を測定することにより、cdc13−1細胞死を予防する薬剤を同定すること
【0234】
cdcl3−lの細胞死は劇的高いROSレベルを示す。このような特徴はcdcl3−l細胞死を抑制する分子の発見に用いられることができる。ROS測定法は実施例1の細胞生存実験と比べ、必要な時間が少なく、ハイスループット・スクリーニングに用いられることができる。これは実施例1及び実施例2のハイスループット・スクリーニングから同定された第一の候補の確認にも用いられることができる。また、このアッセイが酸化防止剤のスクリーニングにも用いられることができる。
【0235】
図20はこの過程を説明する。非許容温度(約37℃)で1日培養した後、処理された細胞はデヒドロローダミン123(又は他の適切なROS検出試薬)を用いて暗闇で約1時間染色された。蛍光マイクロプレートリーダーにより平板培地を読み取る。陰性対照(細胞にスクリーニングされた化合物又は組成物がない)は細胞の死亡において高いレベルのROSを放出する。ROSを減らす化合物又は組成物は第一の候補と認められ、さらに細胞死の予防及びミトコンドリア機能の改善が酵母及びヒトモデルにおいて測定された。癌、ニューロン変性及び他の加齢に伴う病気又は老化症状を予防するそれらのの活性がさらに適切なモデルで試験される。
【0236】
[実施例4] ミトコンドリア集団の測定によって、テロメア機能不全モデルにおける老化細胞の悪化を予防する薬剤を同定すること
【0237】
cdcl3−l細胞死に伴ってミトコンドリア集団(mito mass)の劇的な増加が発生する。このような特徴はcdcl3−l細胞死を抑制する分子の発見に用いられることができる。ミトコンドリア集団アッセイは実施例1に記載された細胞生存実験に比べ、必要な時間が少なく、ハイスループット・スクリーニング、及び実施例1、2及び3に記載されているハイスループット・スクリーニングからの陽性候補の同定にも用いられることができる。
【0238】
非許容温度(約37℃)で1日培養した後、処理されたcdcl3−l細胞はMitoTracker Green FM(又はいずれの適切なミトコンドリア集団染色剤)を用いて暗闇で20分染色された。蛍光マイクロプレートリーダーにより平板培地を読み取る。死亡細胞はより多くの、膜電位を失った悪化されたミトコンドリアを含有するため、ミトコンドリア集団染色が劇的に現れる。ミトコンドリア機能を改善し、細胞の死亡を防止する化合物又は組成物は、ミトコンドリアの悪化を減らし、ミトコンドリア集団シグナルを減少できるため、陽性候補と認められる。陽性候補はさらに老化の遅延能力の測定が酵母及びヒトモデルにおいて行われる。
【0239】
[実施例5] DNA又は核酸ライブラリーから老化細胞の死を予防する生物分子を同定すること
【0240】
ここではLi−PEGトランスフェクション法を例として挙げるが、その他のトランスフェクション法も用いられることができる。対数期の新鮮な酵母細胞(cdcl3−l)を蒸留水で十分に洗浄して、その後DNAライブラリー又は核酸ライブラリーと一緒にトランスフェクション緩衝液(2mM TRIS pH7.5、100mM LiAC、0.5mM MgAC2、0.1mM CaAC2、15%グリセロール、40%PEG−4000,24 ug/mL ss DNA)に、24℃で1〜4時間培養する。約42℃でこの混合物を15分熱ショックして、さらに3倍の体積の富栄養培地YEPDを加えて、室温(約24℃)で1時間の培養を行う。遠心分離して液体を除去した後、細胞を蒸留水H2Oに浮遊させて、その後特定のライブラリーの要求に基づいて選択する培地平板に画線する。許容温度24℃で少なくとも4日培養した後、転換体コロニーが得られて且つ許容温度(約24℃)で液体培地に培養され、対数期における細胞を非許容温度(約37℃)に移されて2日培養され、cdcl3−lpの不活化によって細胞死を誘発させる。この細胞を適切的に希釈し、YEPD培地に画線して、約24℃で4日以上、または生存細胞がコロニーを形成するまで培養する。各のコロニーが単独に取られ、DNAがそれぞれのコロニーからそれぞ分離され、PCR(DNAポリメラーゼ連鎖反応)によって増幅されて且つ配列されてDNAシーケンスを同定する。精製したDNAを改めてcdcl3−l細胞に導入することによって、不活化により誘発される細胞死を予防することができるDNAが確認される。陽性DNAはさらに、老化ヒト線維芽細胞の悪化の予防及びミトコンドリア機能と酸化的ストレスの調節の測定が行われる。
【0241】
[実施例6] 破壊又は遺伝子欠失ライブラリーから細胞死を促進することができるタンパク質を同定すること
【0242】
テロメア機能不全によって発生された細胞死を促進する機能を有するタンパク質をスクリーニング又は同定するため、遺伝子破壊ライブラリー、例えば酵母トランスポゾン挿入ライブラリーをcdcl3−l菌株に導入することができる。あるいは、cdcl3−lを酵母欠失菌株ライブラリーに導入することができ、そのうち、いずれの菌株も特定の遺伝子欠失を有する。欠失又は破壊がcdcl3−lpの不活化により誘発される細胞死を予防できるタンパク質は候補と認められる。
【0243】
[実施例7] 哺乳類の細胞においてミトコンドリア生合成を刺激する薬剤を同定すること
【0244】
この実験はヒト細胞を直接使用できる。細胞系が加齢に伴う特定の病気に基づいて選択される。96穴平板培地における細胞を約1日処理し、ミトコンドリア膜電位の影響を消去するようにエタノール(最終約60%)で固定し、その後、MitoTracker dye(インビトロジェン)で染色を行い、蛍光信号が蛍光プレートリーダーによって読み取られた。対照と比べ、20%以上のミトコンドリア蛍光信号増があるのは陽性と認められ、陽性はさらに、cdcl3−l及びWI−38モデルにおいてテロメア機能不全によって誘発される細胞消失の阻止、及びミトコンドリア膜電位とROSレベルにおける効果が測定される。
【0245】
ミトコンドリア生合成を刺激する候補物をスクリーニングする他の1つの方法は、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(すなわちqRT−PCR)を使用することによってミトコンドリア生合成の転写因子が発現上昇したか否かを測定する。ミトコンドリア生合成の転写因子は、TFAM、NRF−I、NRF−2、PGC−lα、PGC−lβ、TFBlM、TFB2M、ERRs(ERRα、ERRβ、ERRγ)、PRC、POLRMT、PPAPs(PPApa,PPAPγ、PPAPδ)、及びRIP140を含む。ここではTFAMが例として挙げられ、好ましくはヒト初代細胞を使用する。WI−38細胞を96穴の平板培地(又は他のパターンの平板)に接種して、化合物ライブラリーと所望の時間(例えば約18時間)を培養する。細胞をPBSで洗浄して及びTaqMan Gene Expression Cells−to−CT Kit(Applied Biosystems)で平板に溶解させて、DNAを除去することができ、細胞溶解液にRT−PCRを行わせる。細胞溶解液をQiageneのonestep qRT−PCRキット及びQuantiFastマルチプレックスRT−PCRで1つの新しい96穴の平板培地に希釈する。TFAMのプライマー・プローブセット
ACAGCTAACTCCAAGTCAGATTATGTC−3’及び
5’−GTAGACACTTGAGACT AACAACCGT−3’、
並びに、βアクチン(対照群)のプライマー・プローブセット
5’−CAAAGACCTGTACGCCAACACAGT−3’及び
5’−TTGCTGATCCACATCTGCTGGAAG5−3’
は、50pMラパマイシン及びその他の薬剤によるTFAM mRNAの向上を測定するのに成功裏に使用されてきたものだが(データ示さず、Fu X, et al,PLoS ONE,3(4):e2009,2008参照)、これらもまた使用され得る。TFAM mRNAを約2倍増加させることができる化合物又は組成物は陽性と認められ、さらにcdcl3−l又はWI−38テロメア機能不全モデルにおいて老化維持が測定される。
【0246】
[実施例8] 化合物又は組成物のWI−38線維芽細胞における老化減少を予防する活性の試験
【0247】
以下のような場合があり、既知の薬物、天然エキスもしくは天然物、既知のペプチド、または酵母モデルにおけるライブラリースクリーニングから得られた候補物である化合物又は組成物は、抗老化効果があるか否かはヒト細胞において測定される必要がある。これらの実験は図7に示されるように、ヒトのWI−38線維芽細胞を用いて完成される。
【0248】
[実施例9] cdcl3−l酵母細胞を使ってラパマイシン及びその誘導体の抗老化生物濃度を決定すること
【0249】
一部の場合、抗老化生物活性ラパマイシンの量又は濃度、例えば、異なるロットで精製されたラパマイシン、精製過程におけるサンプル、粗抽出液、投与後血液、組織におけるラパマイシン又は化学修飾ラパマイシン誘導体など、を確定する必要がある。各種の源のラパマイシンの抗老化生物活性を確定するため、ラパマイシン含有材料が適切な溶媒で要求に応じて階段希釈(例えば、3倍又は10倍の階段希釈)される。5%培養総体積より小さい希釈物は、YEPD培地で10倍に希釈された新鮮なcdcl3−l細胞に加えられる。非許容温度(約37℃)で約24〜36時間培養することによって細胞死を引き起こさせ、生存細胞の数量は図1に示されるコロニー形成実験によって測定される。ラパマイシンの標準濃度を得るため、精製ラパマイシンをDMSOで1μMに希釈する。cdcl3−lの一夜培養物をYEPD培地で10倍希釈する。1μMラパマイシンを細胞含有培地で10pMまで連続的に3倍又は2倍希釈し、その後混合物を約37℃で約24〜36時間培養を行って、不活性化されたcdcl3−lpにより誘発され細胞死させる。異なる濃度の標準ラパマイシンが得た生存細胞数はコロニーの形成によって測定され、且つ対応の濃度に対して標準曲線を作る。異なる源のラパマイシンから得られた生存細胞数を標準曲線と比べることによって、ラパマイシンの抗老化活性濃度を確定する。ラパマイシン誘導体の活性濃度を測定するため、標準曲線がまず同様な誘導体から作られる。コロニーの形成以外に、cdcl3−l細胞死によるアポトーシスアッセイ及びROS放出もラパマイシンの抗老化生物濃度の決定に用いられることができる。
【0250】
この方法はその他の抗老化化合物又は組成物の抗老化生物濃度(例えばEGCG)を決めることに用いられることができる。また、この方法は生物試料の抗老化活性を検出するためのアッセイとして用いられることができる。
【0251】
[実施例10] cdcl7−l及びcdcl7−2酵母変異体を用いて抗老化剤を検出すること
【0252】
ラパマイシン(1及び3nM)及び減らされたグルコースで抗老化剤の例として使用される。−80℃で保存されたcdcl7−l及びcdcl7−2酵母細胞を活性化するように、新鮮なYEPD平板培地に培養し、その後単一のコロニーが形成するまで許容温度(約24℃)で5日培養する。複数の酵母コロニーを採取してYEPD液体培地に入れて許容温度の約24℃で一夜培養をした。一夜培養物を、0、1及び3nM含有の新鮮なYEPD培地、または0.5%グルコースYEPDで希釈し(10倍希釈)、その後非許容温度(約37℃)で混合物を22時間培養し、不活性化DNAポリメラーゼ-αで成長停止及びその後の細胞死を引き起こす。コロニー形成アッセイにより生存細胞数を測定した。つまり、混合物を連続的に希釈し(10倍)、その後少量の細胞(5μl)をYEPD平板培地に付け、さらに許容温度(約24℃)で少なくとも4日培養して、生存細胞にコロニーを形成させる。図21Aに示すように、ラパマイシンはcdcl7−l及びcdcl7−2変異酵母における、DNAポリメラーゼ-αにより誘発される細胞不活化を防止する。
【0253】
[実施例11] est1−ts酵母変異体で抗老化剤を検出すること
【0254】
このモデルではラパマイシンが抗老化剤の例として使用される。ラパマイシンは、文献(Qi,H.,et al,PlosOne,2008)に記載されるように、est1−ts酵母細胞(est1−ts rad52::URA3)において、テロメラーゼの不活化により誘発されるROS誘導及びアポトーシス細胞死を防止することができる。この実験はラパマイシン含有の平板培地を用いて行った。この方法は液体培地において細胞を培養して、高速大量スクリーニングに適応させることもできる。つまり、est1−ts細胞は−80℃の保存から活性化され、すなわち、菌を新鮮なYEPD平板培地に画線した後さらに許容温度(約24℃)で、単一のコロニーが形成したまで5日培養する。複数個の酵母コロニーをYEPD液体培地に入れて、許容温度の約24℃で一夜培養した。一夜培養物は0又は1nMのラパマイシン含有の新鮮なYEPD培地で約100〜300倍希釈した。混合物を非許容温度の約37℃で約2日培養する。細胞をさらに1nMラパマイシン含有の新鮮なYEPD培地又は対照溶媒で約100〜300倍希釈して、非許容温度の約37℃で2日程度の培養をする。非許容温度でテロメラーゼの不活化はテロメアの進行性短縮及び最終のテロメア機能不全に至り、それによってROS誘導及びアポトーシス細胞死を引き起こす。ポトーシスアッセイ又はROSアッセイにより細胞死を測定することができる。ROS誘導の測定は細胞をジヒドロローダミン123溶液(約5μg/mL、PBS緩衝液で)と暗闇で培養してFACSによって分析される。細胞死は実施例2と同様にカスパーゼ活性によって測定される。
【0255】
B.加齢に伴う病気又は老化症状を予防及び治療するための栄養素/TOR/AMPK/糸粒体/老化経路
【0256】
[実施例12] 哺乳類のモデル系において老化経路の構成成分を測定すること
【0257】
この例はウエスタンブロット法を用いて、抗老化剤により誘発される哺乳類の細胞の老化経路における主要タンパク質の増加を確定する。ラパマイシンが例として用いられた。最後に分離された(老化)、第20日のWI−38細胞を図に示される指定量のラパマイシンで18時間処理を行い、細胞溶解液をウエスタンブロット法により分析した。老化経路における主要タンパク質p53、p21及びpRbは、高い用量2000pMによってではなく、低用量のラパマイシン(50及び100pM)によって増加される(図9c)。
【0258】
[実施例13] 加齢に伴う病気の予防又は癌化学予防活性を有する薬剤はミトコンドリア機能と老化延長を刺激する
【0259】
実験は図7、10及び11に示すようになされた。図10に示すように、50pMラパマイシン、250μM AICAR、20μg/ml EGCG、1.6μg/ml GSE、減らされたグルコース(0.4%から0.2%まで)、20μg/ml ビルベリー抽出物(BE)、1μM AITC、及び12.5μM 2-デオキシグルコースはミトコンドリア質量(ミトコンドリア生合成の増加の指標)を増加し、老化WI−38線維芽細胞における細胞消失も予防する(図7)。また、イソチオシアン酸フェネチル(PEITC)、シリビニン、亜セレン酸塩(Na2SeO3)及びゲニステインはミトコンドリア質量を増加し、酵母細胞においてテロメア死亡に対する各種程度の保護作用も表した(図10及び図11)。
【0260】
[実施例14] AMPK活性化因子がTPAによるNIH3T3細胞の形質転換を抑制する
【0261】
この実験は実施例19と同様に行われる。簡単に言うと、1500 NIH3T3細胞を50μLの0.4%アガロース培養基(10%ウシ胎児血清基礎培地)と混合して、事前に50μLの0.8%アガロース培養基がすでに敷かれた96穴の平板培地に敷き、凝固後100μLの薬物を含む液体培養基を加え、薬物の最後濃度は図に示されるように、DMSO、10μM TPA、40μM AICAR、又は10μM TPA+40μM AICARであり、細胞を5%CO2、37℃の培養器で7日以上培養する。5日ごとに新鮮培地50μLを加え、その後、顕微鏡下でコロニーを計数する。図12に示すように、TPAはNIH3T3細胞におけるミトコンドリア質量を劇的に減少し、AMPK活性化因子AICARはこの減少を逆転する(図12)。また、AICARはTPAにより誘発されるNIH3T3の形質転換も減少する(図13A及び図13B)。
【0262】
C.CRの模倣体としてTOR阻害剤を使用して加齢に伴う病気を予防及び治療する
【0263】
TOR阻害剤及びラパマイシン。
特定のTOR阻害剤ラパマイシン(シロリムス)は、CCI779(テムシロリムス)、RAD−001(エベロリムス)、AP−23573(デホロリムス)、AP−23675、AP−23841、ABT−578(ゾタロリムス)、7-エピ-ラパマイシン、7-チオメチル-ラパマイシン、7-エピ-トリメトキシフェニル-ラパマイシン、7-エピ-チオメチル-ラパマイシン、7-デメトキシ-ラパマイシン、32- デメトキシ-ラパマイシン、2-デスメチル-ラパマイシン、及び42-O-(2-ヒドロキシル)エチル−ラパマイシンを含む大環状トリエン分子の初期成員である。ラパマイシンは抗真菌活性を有することが一番早めに発見された(Vezina, C.等,J.Antibiot.,28:721(1975);Sehgal,S.N.等,J.Antibiot.,28:727(1975);Baker,H.A.等,J.Antibiot.,31:539(1978);米国特許第3,929,992号、及び米国特許第3,993,749号)。
【0264】
ラパマイシンが免疫抑制剤として使用され(Santos,E.及び Nebreda,A.R.,FASEB,3:2151-2163(1989)):全身性紅斑性狼瘡(米国特許第5,078,999号)、肺炎(米国特許第5,080,899号)、臓器移植の拒絶反応、関節炎(Carlson等,J.Pharmacol.Exp.Ther.,266:1125-1138(1993);Foroncewicz 等,Transpl.Int.,18:366-368(2005))、眼の炎症(米国特許第5,387,589号)、及び心臓の炎症性疾患(米国特許第5,496,832号)を予防又は治療し、血管損傷後の平滑筋細胞増殖及び内膜肥厚を予防し(米国特許第5,288,711号及び第5,516,781号)、ステントの再狭窄も予防する(米国特許第6,585,764号)。それはまた、加齢性黄斑変性(AMD)(米国特許出願第20060182771号、20060247265号、20060263409号、及び20070105761号、20060264453号)、脈絡膜新生血管(CNV)、並びに滲出型加齢黄斑変性症(米国特許出願第20050187241号)を含むところの、眼疾患の治療にも特許されている(米国特許第7,083,802号)。
【0265】
ラパマイシンが抗増殖及び抗腫瘍活性を持つことはすでに示された。ラパマイシンの単独使用、又はその他の薬物と組み合わせて使用することは、成人T細胞白血病/リンパ腫に対する抗腫瘍活性(米国特許第4,885,171号及び第4,401,653号;欧州特許出願525,960Al)、及び悪性腫瘍(米国特許第5,206,018号)、及び貧血(米国特許第5,561,138号)に対する作用がすでに現れた。ラパマイシンは転移性乳癌(米国特許出願第20070104721号)、腫瘍(米国特許出願第20040176339号及び20060035904号)、並びに早期のB細胞による急性リンパ性白血病(米国特許第7,026,330号)の治療に用いられることができ、それは結節性硬化症の治療(米国特許出願第20050070567号)、哺乳類における異常な細胞増殖の抑制(米国特許出願第20060035907号)、増殖の低減及び腫瘍細胞のアポトーシスの促進(米国特許出願第20060094674号)、並びに、増殖性及び炎症性疾患(米国特許出願第20060135549号)や慢性ウイルス感染(米国特許出願第20070099844号)の治療にも特許されている。
【0266】
ラパマイシン/mTOR阻害剤の単独使用又はその他の薬物と組み合わせて使用してその他の各種の疾患を治療することも報告されている、例えば糖尿病(米国特許第5,321,009号)、皮膚疾患(米国特許第5,286,730号)、腸疾患(米国特許第5,286,731号)、神経疾患、神経変性疾患(米国特許第6,187,756号)、骨量減少(米国特許出願第20060173033号)、抗血管新生の徐放性眼内植込み(米国特許出願第20070059336号)、及び自食作用によるタンパク質構造混乱(米国特許出願第20070155771号)。
【0267】
ラパマイシンがTOR及びFKBPと複合物を形成して、TORとその正常の基質タンパク質と複合物例えばTOR−raptor complex(TORCl)を形成することを抑制することが発見された。TORCl形成の抑制はタンパク質翻訳及びリボソーム生合成が抑制されることを引き起こすため、Gl期細胞周期の生長も抑制される。TORCl抑制は栄養素のためのタンパク質及び細胞小器官の自食作用の増加にも引き起こす。今まで、各種の疾患に対する治療量のラパマイシンの用途が主にTORCl破壊及び後続の細胞周期Glの抑制及び自食作用に基づく。対照的に、本発明において、ラパマイシン及びその類似物は低用量でカロリー制限の模倣体として使用され、AMPK/糸粒体/老化経路を通じて加齢に伴う病気の予防又は治療を行う。
【0268】
[実施例15] 低用量のラパマイシンがTPAによるNIH3T3細胞の転換を抑制する
【0269】
NIH3T3細胞の形質転換は1つの良い体外腫瘍形成アッセイであり、軟寒天でコロニー形成を測定する(足場非依存性増殖と呼ばれる)。変異原TPA(12−O−テトラデカノイルホルボールアセタート13−酢酸塩)はタンパク質キナーゼC(PKC)を刺激し、発癌遺伝子を活性化し、及びマウス胎児繊維芽細胞NIH3T3細胞を転換することが知られている。興味深いことに、10μMTPAはミトコンドリア 質量を劇的に減少し、1nMラパマイシンがこの減少を逆転する、図12に示すように。また、1nMラパマイシンは10μM TPAにより誘発されるNIH3T3細胞の形質転換を防止する(図13)。1500 NIH3T3細胞を50μLの0.4%アガロース培養基(10%ウシ胎児血清基礎培地)と混合して、事前に50μLの0.8%アガロース培養基がすでに敷かれた96穴の平板培地に敷き、凝固後100μLの薬物を含む液体培養基を加え、薬物は図に示されるように、DMSO、10μM TPA、1nMラパマイシン、又は10μM TPA+1nMラパマイシンであり、細胞を5%CO2、37℃の培養器で7日以上培養する。5日ごとに新鮮培地50μLを加え、その後、顕微鏡下でコロニーを計数する。図13A及び13Bに示すように、1nMラパマイシンがこの過程を全く阻止する。1nMラパマイシンは、NIH3T3の増殖速度を少し遅延したため、成長が遅いコロニーを待つするように、続けて21日培養した後、計数を行った。結果、7日培養と同様である。そのため、1nMラパマイシンが生長を遅延させるのはコロニー形成を削除する原因ではなく、老化を維持することによって足場非依存性増殖又は腫瘍形成を防止してミトコンドリア機能を支持する。対照的に、治療量のラパマイシンは腫瘍形成を促進し、それによってヒトのリンパ腫、皮膚癌及び他の癌の危険性を増加することが報告された。最近発見された治療量ラパマイシンの抗増殖活性は、Gl細胞周期及びタンパク質合成の抑制作用によると思われる既存の腫瘍の成長を制限することにある。
【0270】
更には、AICAR(40μM)はAMPKを活性化し且つヒト老化第一の線維芽細胞の寿命を延長することができ(図7)、TPAに影響されるミトコンドリア質量の減少を逆転する(図12)、及び足場非依存性増殖を抑制することもできる(図13A及び図13B)。それらのデータはさらにミトコンドリア機能が足場非依存性増殖の防止及び腫瘍の形成における役割を支持する。結論としては、低用量のラパマイシンとAICARは、少なくとも変異原TPAにより誘発される場合、腫瘍形成を予防する。
【0271】
[実施例16] 低用量のラパマイシンは活性酸素種を減らし及び培養されたGCN神経細胞の寿命を延長する
【0272】
7日齢のラット仔から小脳顆粒神経細胞(CGN)の培養物が準備された。簡単に言うと、大脳から除去された小脳を、BMEM及び20mM HEPES緩衝液(BMEM−HEPES)を含有する1つのペトリ皿に入れる。内皮細胞からの最小汚染を確保するように、小脳の脳膜及び血管が捨てられ、次に小脳/大脳皮質を解剖刀で細かく切って、37℃で15分間トリプシン処理し、さらに0.025%大豆トリプシン阻害剤及び0.05%DNase Iを含有する1mLのBMEを添加することによってトリプシン処理を抑制し、組織は均一な懸濁液に分散されるまで、炎加工されたパスツールピペットによって倍散される。懸濁液をエタノール消毒された40μm網目によってろ過して、さらに遠心沈殿を行う。小脳顆粒神経細胞は25mM KCl(Invitrogen, Carlsbad, CA)を含むB27補足neurobasal培地に懸濁される。細胞はその後24穴平板培地(1平板培地/小脳)に播種し、且つB27,20mM KCl、0.5mMグルアミン、100units/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンを含有するNeurobasal培地(Invitrogen)に培養された。7日培養した後ラパマイシンを加え、31日培養した後、MTT法で神経細胞の生存率を決める。図14Aに示すように、大多数のCGN細胞は31日培養した後、死亡した。しかし、低用量のラパマイシンは該ロスを防止し、GCN細胞の寿命を延長することができるが、高用量のラパマイシンは該効果が認められなかった。
【0273】
活性酸素種分析について、新鮮な分離されたCGN細胞をNeurobal完全培地に入れ、1百万細胞/mL/管の密度で12×75mm管に播種し、細胞がラパマイシンで20時間処理された後、2μg/mLデヒドロローダミン123で30分染色をし、FACS分析を行った。図14Bに示すように、ラパマイシンが懸濁液におけるCGN細胞の正常な活性酸素種レベルを減らす。
【0274】
[実施例17] 低用量のラパマイシンがラット脳卒中モデルにおける小脳梗塞サイズを縮小する
【0275】
この例には虚血性脳梗塞の中大脳動脈(MCA)閉塞モデルを使用した。脳卒中易発症性自然発症高血圧(SHR−SP)ラットをランダムに、対照DMSO群及びラパマイシン群の、2群(それぞれの群は、n=8)に分ける。ラットを15%抱水クロラール(300 mg/kg,i.p.)で麻酔をかける。電気凝固MCAによる永久局所脳虚血は、改善された田村及びMcGiIl法(Tamura,A.等,J.Cerebral.Blood Flow Metab.,1:53-60(1981)を使用する。つまり、嗅索と下大脳静脈との間の右MCAの部分は電気凝固された。凝固された動脈を精密剪刀で切断して血液供給の完全停止を確保する。
【0276】
MCA閉塞の10分後に、ラパマイシン及び対照DMSOを投与する。MCA閉塞の24時間後に大脳試料を採取した。2% 2,3,5-トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)で厚さが2mmの冠状断面を直ちに染色した。梗塞領域が白色で、正常領域が赤色である。梗塞領域及び半球領域のそれぞれの断面(両面)の面積が画像分析系によって記載及び量化分析された(Microsystems型DM LB2,Leica,ドイツ)。大脳浮腫は梗塞の体積の評価において干渉する恐れがあるが、これは標準方法によって校正されることができ、すなわち対側半球の体積から非虚血同側半球の体積を減らす。梗塞の体積は対側半球の体積に占める百分比によって示される。同じような方法で、梗塞組織及び半球の重量を測定する。図15Aに示すように、ラパマイシンは低用量である10μg/kgでMCA閉塞により誘発される梗塞の体積を著しく減らす。対照的に、ラパマイシンが通常量の1mg/kgでこの効果を有しない、これは文献に報告されている(Sharkey,JJ.とButcher,S.P.,Nature,371:336-339(1994))。また、MCA閉塞の20日前に0、0.3、1、3及び10μg/kgの用量でラパマイシンの投与も脳損傷を予防することができる(図15B)。
【0277】
[実施例18] 低用量のラパマイシンはMPP+誘導ROSを低減する
【0278】
MPP+は、ミトコンドリア呼吸鎖複合物I(NADH CoQ1還元酵素)の阻害剤であり、ドパミン作動性の神経毒素でもある。通常マウス類においてパーキンソン病を引き起こすことに用いられる。200μM MPP+でヒト第一の線維芽細胞WI−38細胞を3日間処理した。図14に示されるように、各種濃度のラパマイシンも細胞と共に3日培養する。次に、暗闇で細胞をデヒドロローダミン123で30分染色をした。さらにFACSによって細胞を分析した。デヒドロローダミン123を活性酸素種レベルに比例してローダミン(蛍光を示す)に酸化することができる。図16に示すように、MPP+は、活性酸素種レベルを大幅に増加した。低用量のラパマイシンはピコモル(pM)の範囲でこの増加を著しく減らす。
【0279】
[実施例19] 低用量のラパマイシンがラットモデルにおける心筋梗塞サイズを縮める
【0280】
ラットの心筋梗塞(MI)を決めるためには、重量が200〜250gであるSprague−Dawley(SD)系雄性ラットを使用した(それぞれの群は、n=10〜12)。MI実験の3日前に、ラパマイシンを0、10又は100μg/kg/日の用量で投与した。エーテル麻酔状態で心臓を左開胸によって体外に出し、肺動脈流出路と左心房との間の左前下行動脈を6-0ポリプロピレン縫合線で結紮し、その後打っている心臓をその正常な位置に迅速に返し、胸腔を閉鎖し、空気を除去した。ラットを前述の条件を有するケージに返す。冠動脈結紮の5時間後で、ペントバルビタールの過剰投与によりラットを殺した。左心室を分離して且つ心臓の長軸に沿って垂直に4〜5枚の薄片を切断する。37℃で薄片をニトロブルーテトラゾリウムリン酸塩緩衝液の0.1%溶液で30分染色をし、文献に記載されている方法によってMIサイズを測定する(Lin,L.L.等,J.Cardiovasc.Pharmaco.,50:327-332(2007))。正常組織が青い色で染色され、一方、壊死組織が未染色のままであった。染色された組織及び未染色の組織を分離して且つ重量を測る。MIサイズが左心室の総重量の分数として表される。図16に示すように、10μg/kg/日での低用量のラパマイシンは心筋梗塞サイズを著しく減らすが、100μg/kg/日の高投与量は減らさない。
【0281】
本件明細書で引用された特許公報及び非特許公報はすべて、各公報が参照により個別に組み込まれるが如く参照により本件明細書に組み込まれて同じ参照効果をもたらす。本願でのいかなる文献の引用又は特定も、当該文献が本発明の先行技術たり得ることを自認するものではない。
【0282】
理解すべきなのは、前述の詳細な説明及び添付例は説明するためのものであり、本発明の範囲への制限ではない。本分野の当業者が本発明の内容に基づいて多くの変更例を工夫し得ることができるのは明白であり、クレーム、その全均等範囲、明細書および前述の変更例に基づいて、本発明の全範囲が決定されるべきである。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は出願日が2009年4月10日である米国仮出願第61/168,311号及び出願日が2009年4月10日である米国仮出願第61/168,335号の35U.S.C.§119(e)の権利を主張し、それら全体で参照として組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、新規抗老化剤、これら薬剤を検出又は同定する新規方法、及びそのように同定される抗老化剤の加齢に伴う病気の予防及び/又は治療への使用iに関する。また、本発明は、生物試料における抗老化剤の抗老化生物濃度を測定する新規方法を関する。特に、本発明は、各種の加齢に伴う病気を予防又は治療するためのカロリー制限を模倣する抗老化剤として低用量のラパマイシン又はその類似物、他のラパマイシンの標的(TOR)阻害剤の使用を紹介する。
【背景技術】
【0003】
人間の老化過程に関する研究は重要なものであり、その理由の一つは老人では多くの疾患又は病気(例えば、いくつかの例を挙げてみると、癌、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、心不全、及び心臓発作)がより顕著になるが、そのうちの多くには効果的な予防又は治療方法がない。そこで、動物老化過程に関する研究によって加齢に伴う病気へのより効果的な予防又は治療方法の探索は、この10年間で科学界が行った最も重要な努力の一つになりました。豊かな文献が老化過程を理解するのに役立つが、この過程を完全に理解することがまだ人類にとって大きな科学的課題である。世界中の老人及び健康管理負担とそれに関連した費用の増加を考えると、加齢に伴う疾患又は病気の予防又は治療する抗老化剤を効果的に発見できる老化過程の系統的な研究が、ますます重要になっている。本発明は、加齢に伴う疾患又は病気を効果的に予防及び/又は治療する抗老化剤の発見への効果的な方法を提供することを目指している系統的方法を説明する。
【0004】
加齢に伴う病気の治療に役立な理論に由来する、老化過程及び方法に関する各種の理論の中でも、栄養素シグナル伝達経路(カロリー制限)、糸粒体経路(活性酸素種、又はROSと呼ばれる)、及びテロメア機能不全理論が目立つ。
【0005】
栄養素シグナル伝達経路(カロリー制限)及び老化。
カロリー制限(CR)は、酵母ないし哺乳類の老化速度を遅らせる最も実用的な方法として認められていました。カロリー制限は、加齢に伴う病気(例えば霊長類モデルにおけるパーキンソン病(Maswood,N.等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,101:18171-6(2004)、アルツハイマー病(Qin,W.等,J.Alzeheimer’s Dis.,10:417-422(2006)、Dahl-SSラットモデルにおける高血圧及び心臓障害(Seymour,E.M.等,J.Mol.Cell Cardiol.,41:661-668(2006)、線維症(Castello,L.等, FASEB J.,19:1863-1865(2005)、及び腎臓病(Yu, B.P.等/J.Gerontol.,37:130-141(1982))の発生率を低下させる又は発症を遅らせることが示されてきました。カロリー制限もさまざまな自然発生腫瘍を抑制するかつ人間乳房、結腸及び前立腺の癌の発生を減少させる(Platz,E.A.,J.Nutr.,132:3471S-81S(2002);Steinbach,G.等,Cancer Res.,54:1194-1197(1994); Michels, K.B.等,JAMA,291:1226-30(2004)に概説された。
【0006】
よく保存されたキナーゼTOR(ラパマイシンの標的)は、栄養素、細胞分裂増殖因子、エネルギー及びストレスからの信号統合し異化作用及び同化作用(Fingar,D.C,等, Oncogene,23:3151-3171(2004))を調節する。最適な成長因子及び栄養素に応えて、哺乳類のTOR(mTOR)は、細胞の合成能力(例えば、リボソーム生合成及びタンパク質翻訳開始)を刺激して細胞量とサイズの増加につながり、かつ増殖を加速させる(Kim,E.等,Hum.Gene Ther.,14:1415-1428(2003))。逆に、成長因子除去、栄養飢餓、又はストレスによるTORの抑制は、高エネルギー消費過程のダウンレギュレーション及び増殖の抑制につながる。
【0007】
TOR経路は、出芽酵母、シノラブディス・エレガンスCaenorhabditis elegans)及びショウジョウバエ(Drosophila)におけてカロリー制限により引き起こされる寿命延長に重要な役割を果たす(Kaeberlein,M.等,Science,310:1193-1196(2005);Powers,R.W.等,Genes Dev.,20:174-84(2006); Vellai,T.等,Nature,426:620(2003); Kapahi,P.等,Curr.Biol,14:885-890(2004);Jia,K.等,Development,131:3897-3906(2004))。ラパマイシンの標的の機能がよく保存されるために、その老化への役割も人間に適用する。
【0008】
糸粒体(ミトコンドリア)/活性酸素種及び老化。
糸粒体は酸化的リン酸化の過程により代謝燃料(例えば、グルコース及び脂肪酸)を利用可能な形のエネルギーであるアデノシン5’-三リン酸(ATP)に変換することに関与する細胞器官である。糸粒体は適切な細胞機能にとって重要な他の過程(カルシウム恒常性、細胞内情報伝達、及びアポトーシスの制御を含む)に関与する。
【0009】
また、糸粒体にはATP産生の酸化的リン酸化の過程は細胞内活性酸素種(ROS)の主要な源(約90%の細胞の総活性酸素種)(Balaban, R.S.,等,Cell,120:483-495(2005))。正常な生理学的条件下で、酸化的リン酸化の過程の間1〜5%の酸素がROS産生に消費されることと推定する(Chance,B.,等, Physiol.Rev.,59:527-605(1979))。ミトコンドリアDNA(mtDNA)の限られた修復能及び親酸性のために、糸粒体が特に損傷の蓄積を受けやすい。mtDNAにおける変異は酸化的リン酸化の機能障害をもたらしてROS産生の増加及び後続のより多くの変異の蓄積をなる。活性酸素種は高反応性の分子であり細胞への多様な傷害を起こすことができるため、活性酸素種の危険な周期が老化の間に酸化損傷の急激な増加の主な原因となると考えられている、老化過程を特徴付ける機能の減少を徐々にもたらす。
【0010】
活性酸素種は多くの加齢に伴う病気(例えば、糖尿病、心血管疾患、癌及びパーキンソン病)と関係がある可能性がある(Kovacic, P.等,Curr.Med.Chem.,8:773-796(2001);Aviram,M.等, Am.J.Clin.Nutr.,71:1062-1076(2000); Maassen,J.A.等,J.Endocrinol.Invest,25:477-484(2002))。真核生物宿主抗酸化防御系を発展させるのも、内因性活性酸素種産生に重要な役割 (Mates,J.M.,Toxicology,153:83-104(2000))及びキィロショウジョウバエ寿命を延長する面でスーパーオキシドジスムターゼとカタラーゼの過剰発見を支持する(Orr,W.C.等, Science,263:1128-1130(1994))。
【0011】
先行研究は年齢の関数として測定してミトコンドリア膜電位の減少、ミトコンドリアの数、及びATP産生/酸素消費量を含むミトコンドリア機能完全性減少を提示する(Hagen,T.M.等,Proc.Natl.Acad.Sci. USA,94:3064-3069,1997;Greco,M.等,FASEB J.,17:1706-1708(2003))。ミトコンドリア機能の変異が多くの失明、難聴、運動障害、認知症、心血管疾患、筋力低下、腎機能障害、及び内分泌疾患を含む臨床症状を持つ人間遺伝病をを引き起こし、また、劇的なミトコンドリアDNA変異のマウスは(mtDNA ポリメラーゼ PoIgA校正-欠損変異のために)若干の早期老化表現型と伴うより短い寿命を示すと報告していた(Trifunovic, A.等,Nature,429:417-423(2004))。さらに、酵母の寿命延長(実際の寿命)はTORIの欠失により、シノラブディス・エレガンスはグルコース制限により達つことが、全部ミトコンドリア呼吸作用の経路として実現できて報告していた。(Bonawitz, N.D.等, Cell Metab. 5:233-235(2007); Schulz,TJ.等,Cell Metab.,6:280-293(2007))。これら結果は哺乳類の老化及び加齢に伴う病気におけるミトコンドリア機能の重要な役割を示唆する。しかし、反対の結果も報告されたことがあった。例えば、出芽酵母のグルコース制限による寿命延長がミトコンドリア機能に依存しないと報告された(Kaeberlein,M.等,PIoS Genet.,1, e69(2005))。そこで、老化過程における糸粒体の役割はまだ不明である。
【0012】
テロメア、老化、加齢及び癌。
テロメアは染色体の端に多くのGを含む繰り返しDNA配列だ。テロメアはテロメア結合タンパク質を通じて固定して自然発生の二本鎖DNA切断(DSB)の過程に識別されない。
【0013】
人間の多くの体細胞にテロメラーゼ活性欠損、DNAポリメラーゼによるDNA複製内部の問題発生のためにテロメア進行性短縮を起こしてから機能障害をもたらす。最後に顕著な短縮のテロメアはテロメア結合タンパク質により固定できなくなって自然発生のDSBとして暴露してからDNA損傷応答を活性化しRB及びp53に依存する細胞周期停止を引き起こす。この過程は複製老化と呼ばれる。また、老化は同じDNA損傷応答を通じて癌遺伝子の活性化により誘発されて、腫瘍抑制に役立する(Di Micco, R.等, Nature,444:638-642(2006); Bartkova,J.等,Nature,444:633-637(2006))。また、DNA損傷薬剤も老化を引き起こすことが報告された。
【0014】
テロメア結合タンパク質欠陥がある場合には、テロメア機能不全も発生する。例えば、優性−陰性のTTAGGG反復結合因子2(TRF2)の表現とテロメア1保護はかい(POTl)が同じ,テロメア機能不全及びDNA損傷信号をもたらす(Karlseder,J.等, Science,283:1321-1325(1999); Denchi, E.L.等, Nature,448:1068-1071(2007); Guo, X.等,EMBO J.,26:4709-4719(2007))。
【0015】
長いテロメアが人間の長寿と関係があり、短いテロメアが癌、特発性肺線維症及びさまざまな増殖性組織疾患と関係する。例えば、人間のテロメラーゼ変異が先天性角化異常症を引き起こす、患者は特に骨髄不全で早期死亡する。
【0016】
癌細胞が限られた複製能を需要するから、複製老化は腫瘍進行にとって障壁であることが示されてきた。実に、マウスモデルにおける進行癌と人間癌の場合に老化のマーカーが癌前病変のスデージに顕著であるが進行癌に不可測定になった。(Braig, M.等,Nature,436:660-665(2005); Collado,M.等, Nature 436:642(2005); Michaloglou,C等, Nature,436:720-724(2005))。すべての癌はテロメラーゼを活性化したり、組み換えにより選択的テロメアを通じて老化を回避する。(Shay,J.W.等,Exp.Cell.Res.,209:45-52(1993); Shay,J.W.等,Eur.J.Cancer,33:787-791(1997); Kim,N.W.等, Science,66:2011-2015(1994); Bryan,T.M.等, Nat.Med.,3:271-274(1997))。早期前立腺癌の悪性への進行は老化に阻まれている(Chen, Z.等, Nature,436:725-730(2005))。また、テロメラーゼ変異体マウスTerc-/-にはテロメア機能不全により誘発される自然に腫瘍形成がp53媒介老化によって抑制されることが示された(Cosme-Blanco,W.等,EMBO Rep.8:497-503(2007))。老化が細胞周期を阻止しかつ修復を促進することが認められて、初期病変の進行を阻止する。
【0017】
老化は年齢の主なインデックスと認められている。(Campisi, J., Nat. Rev.Cancer,3:339-49; Faragher,R.G.,Biochem.Soc.Trans.,28:221-226(2000))。例えば、哺乳類の組織において老化細胞は年齢とともに増加する(Campisi,J.,Cell,120:1-10(2005))。老化細胞は加齢性の病理学病変、例えば変形性関節症及びアテローム性動脈硬化症にも発見される(Price,J.S.等,Aging Cell,1:57-65(2002); Vasile E.等., FASEB J.,15:458-466(2001); Matthews,C等, Cir.Res.,99:156-164(2006))。さらに、マウスにおける慢性の活性p53は細胞の老化を促進しても加齢に伴う表現も加速する。(Maier, B.等,Genes Dev.,18:306-319(2004); Tyner等.,Nature,415:45-53(2002))。また、老化細胞が腫瘍進行及び炎症反応を促進するタンパク質を分泌することが示されていた(Coppe, J.P.等, PlosBiology,6:2853-2868(2008))。プログラム老化が加齢に伴う病気及び限られた寿命につながることを提案された(Blagosklonny, M.V.,Cell Cycle,5:2087-2102(2006))。そこで、テロメアを通じて抗老化研究は今、老化の阻止が重点になった。
【0018】
すべての研究にもかかわらず、テロメアの老化過程における役割はまだ不明である。例えば、マウスは人間に比べて長いテロメアがあるが寿命が短いことを説明できない。テロメアは分裂終了細胞になんの役割を果すかがまだ不明である。
【0019】
他の老化理論も提案された。例えば、タンパク質損傷蓄積理論、DNA変異蓄積理論、及び幹細胞消耗理論。それらの中のどの理論は老化過程の本質、及び/又は、どのようにして互いに関係するかがまだ不明である。そこで、まだ人間の老化過程は少なくともある程度までは謎である。
【0020】
癌、心血管疾患、及び神経退行性疾患という加齢に伴う病気は、人間死亡の主な原因である。これらの加齢に伴う病気の治療ための医薬品は特定の疾患への現在の理解の上で検索されて、老化過程に関する理解も限られていた。その結果、今までこれら疾患に対する研究は互いにつながらなくて老化過程とも関連していないのだ。そこで、老化過程に基づいて加齢に伴う病気の予防及び治療ための新規抗老化剤の発見ための体系的アプローチを開発する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2000−109403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明はこの前に述べた需要によって老化過程の新規機序及び新規方法を披露して新規機序により加齢に伴う病気の予防及び/又は治療効果がある抗老化剤を同定又は検出することを提供する。新規方法は各種よく理解された酵母変異体モデルにおいてハイスループット・スクリーニングを通じて速く新規抗老化剤を同定できることを本明細書に開示した。特に本発明は、各種の加齢に伴う病気の効果的な予防及び/又は治療のために低用量のラパマイシン又はその類似物、この開示した方法により多くの抗老化剤から同定されたものの使用を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
一つの態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するための薬剤を同定又は検出する方法を提供し、老化のモデルシステムに対して1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングしそれらの抗老化作用を監視する。
【0024】
もう一つ態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するための薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングしそれらのTOR/AMPK/糸粒体/老化経路の少なくとも一つの構成成分に対する活性を測定する。
【0025】
もう一つの態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するための薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングするかつそれらのミトコンドリア生合成経路の少なくとも一つの構成成分に対する活性を検出する。
【0026】
もう一つの態様において、本発明は老化又は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングしそれらのAMPK経路の少なくとも一つの構成成分に対する活性を検出する。
【0027】
もう一つの態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するための薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングしそれらの老化経路の少なくとも一つの構成成分に対する活性を検出し、薬剤が分裂終了細胞において老化又は細胞周期停止状態を維持し糸粒体の悪化又は細胞死を予防する。
【0028】
もう一つの態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、この方法が必要な時に他の態様に述べたもの又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、又はそのプロドラッグが被験者に投与される。
【0029】
もう一つの態様において、本発明はテロメア及び/又は糸粒体の悪化に関係し加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供する。この方法が必要な時に5'-アデノシンモノリン酸塩活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化因子、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグを含む組成物を被験者に投与する。それらはAMPKを直接的あるいは間接的に活性化させて、ミトコンドリア生合成を増えて、被験者の老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態を維持する。
【0030】
もう一つの態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、この方法が必要なときにラパマイシンの標的(TOR)阻害剤、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、又はそのプロドラッグを含む組成物を被験者に投与する、ただし、TOR阻害剤が(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、又は(c)老化悪化の次の糸粒体又は細胞死の悪化を阻止する。この態様の好適な実施態様において、上述TOR阻害剤は低用量のラパマイシン又はその類似物の一つである。
【0031】
もう一つの態様において、本発明は酵母老化モデルを使用し生物試料において抗老化薬剤を検出する方法を提供する。
【0032】
もう一つの態様において、本発明は生物試料における抗老化剤の生物濃度を測定する方法を提供し、この方法が酵母老化モデル及び事前準備された抗老化剤の標準方程式又は標準曲線を使用する。
【0033】
もう一つの態様において、本発明はミトコンドリア機能がテロメア機能不全により誘発される老化を維持する上で重要な役割を果たしカロリー制限(CR)がTOR/AMPK/ミトコンドリア経路を通じて老化状態の悪化を阻止する、ことを開示する。この機序はテロメア機能不全の酵母及び人間モデルに見られる。であるから、この機序は酵母と人間の場合にテロメア機能不全を利用しミトコンドリア機能促進とさらに老化の悪化を予防又は治療する薬学的に容認されるものを検索することに役立つ。多くの加齢に伴う病気はミトコンドリア機能不全及び/又はテロメア機能不全と関係があるため、この方法で同定される薬剤が加齢に伴う疾患又は病気を予防するのに使用される可能性がある。であるから、今普及している抗老化戦略(主に老化過程に大きく貢献している老化障害に焦点)と対照的に、本発明は、老化維持により加齢に伴う病気を予防又は治療するための新規方策を紹介する。
【0034】
本発明の他の態様及び特定的な好適な実施態様について、次の実施態様及び請求項によりさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、栄養素不足シグナリングがcdcl3-Ipの不活化により誘発される細胞死を抑制することを示す。(A)グルコース制限及び2-デオキシ-グルコースの治療は、コロニー形成アッセイされるCdcl3p 不活化により誘発される細胞消失を抑制する。テロメア機能不全を引き起こすためには、一夜培養した新鮮なcdcl3-lと指示濃度のグルコース又は2-デオキシグルコースは薄いYEPD培地に希釈した、37℃で24時間培養する。コロニー形成アッセイは、次にH2Oで処理した細胞を連続的に10倍希釈された,5μLを取り出して正常なYEPD平板培地に付ける。この平板培地を24℃で培養し生き残った細胞がコロニーを形成した。このコロニー形成アッセイにより生存細胞の開始数を数える。(B)窒素制限はコロニー形成アッセイしcdcl3-lp不活化により誘発される細胞死を抑制する。細胞を合成培地(SC)又はSC-N(アミノ酸なしのSC、及び、窒素源として(NH4)2SO4)には37℃で 24時間培養した。生き残った細胞はIAに説明したようにコロニー形成アッセイにより数を数える。(C-D)低用量のラパマイシン(ラパヌイとしてラベル付け)(以下、殖阻害濃度と言う)を使ってTORの抑制がcdcl3-lp不活化により誘発される細胞死を予防することができる。細胞は指示濃度のラパマイシンとYEPD培地、37℃で24時間培養する。IAに説明したようにコロニー形成アッセイにより生き残った細胞の数を測定する。増殖曲線は、新鮮な一夜培養物をYEPD培地に希釈した、24℃で指示濃度のラパマイシンの存在下で培養した。指定の時点で細胞密度(OD595)を測定する。(E)低用量のラパマイシン(1 nM)及びグルコース制限(0.5%)を使って増殖が停止されたcdcl3-l細胞の悪化を遅延できる、コロニー形成アッセイを使って生存細胞を計数することにより測定されるように。データは三つの実験の平均値を表す。
【図2】図2は、栄養素シグナリングは細胞周期をG2/Mスデ−ジに停止できないが、G2/M-停止状態を維持するかつcdcl3-lpの不活化により誘発される細胞死を阻止することを示す。(A)cdcl3-lp不活化のため細胞をYEPD培地、YEPD+1 nM ラパマイシン又はYEPDで0.5%グルコースにて37℃で培養する。指定の時点で、一定分量の細胞を取り出し、−20℃にて50%エタノールで約4時間固定をした後、37℃で50 mM Tris(pH=7.6)0.2mg/mL リボヌクレァ−ゼで一夜消化をした。次に、細胞を50mM Tris(pH7.6)で洗浄した、55℃で40μg/mL プロテイナーゼKで2時間処理をした。もう一度の洗浄後、FACS(蛍光活性化セルソーター)分析の前に、暗闇で100μg/mLヨウ化プロピジウムで細胞を20分染色した。(B)細胞生存率測定はラパマイシン及びグルコース制限を通じて2時間で、cdcl3-lpの不活化により誘発されるG2/M細胞の死が阻止できることを示す。まず、37℃で細胞を2時間培養し、YEPD又はYEPDにラパマイシン最終濃度が1 nMの培地又は初期グルコースないが最終0.5%の培地で希釈し37℃で22時間の連続培養をした。コロニー形成アッセイにより生存細胞を数えた。
【図3】図3は、ラパマイシン(1nM)及び減らしたグルコース(0.5%)はジヒドロローダミン123(Invitrogene)に染色した後FACS分析で cdcl3-lpの不活化により活性酸素種産生を減少すること(A)と、アネキシンV-FITC 結合した後FACS分析でアポトーシスマーカーPSの回転を減少すること(B)を示す。図1A及び図1Cで記載の条件で細胞を処理した。活性酸素種レベルを測定するためには、FACS分析の前に処理した細胞を5μg/mLのジヒドロローダミン123を含むYEPDで1時間培養した。それぞれの試料は、10000個細胞を分析した。PS回転を測定するためには、処理した細胞は1.1M ソルビトールと2mg/mLの細胞壁溶解酵素を含むPBS緩衝液に保存されて、37℃で20分間培養される。次に、細胞を1.1M ソルビトールを含むPBS(リン酸緩衝生理食塩水)でアネキシンV-FITC及びヨウ化プロピジウム(PI)(BD Biosciences Pharmingen)に染色してからFACS分析をした。それぞれの試料は、10000個細胞を分析した。これらの条件下で、Pi陰性の集団が完璧な細胞を、PI陰性かつFITC陽性細胞がアポトーシスの集団を, PI-陽性かつFITC陽性細胞が後期アポトーシス又は壊死を提示する。
【図4】図4は、ラパマイシン及びグルコース制限がAMPK経路を通じてcdcl3-lpの不活化により誘発される細胞死を阻止することを示す。(A)AMPK調節性サブユニットSip2pの欠失がグルコース制限の予防効果を廃止する。(B)AMPK触媒的サブユニットSnflp及び調節性サブユニットSnf4pの欠失がラパマイシン(1nM)の予防効果を著しく低下させる。cdcl3-lsip2::Kan, cdcl3-lsnfl::Kan と cdcl3-lsnf4::Kan 二重変異体株は欠失ライブラリー(from Invitrogen, Carlsbad, CA)から単一欠失変異体とcdcl3-lの交配により生成した後、胞子形成2倍体と温度感受性かつG418(200μg/mL)抵抗性コロニーを選択する。図1A及び図1Cに示すように、細胞を処理した。コロニー形成アッセイにより生存細胞を測定した。
【図5】図5は、糸粒体が栄養素制限のcdcl3-l細胞死への予防効果で重要な役割を果たすことを示す。(A)糸粒体欠損がラパマイシン及びグルコース制限の予防効果を著しく低下させる。糸粒体のp°欠損変異体は説明されていたようにエチジウムブを含むYC培地で増殖細胞が二日間位相にいてcdcl3-lに生成された(Qi, H.等,J.Biol.Chem.,278:15136-15141(2003))。図1A及び図1Cに示すように、細胞を処理した。コロニー形成アッセイにより生存細胞を測定した。(B-C)グルコース制限及びラパマイシン処理がミトコンドリア質量を増やす。24℃で新鮮な希釈された一夜培養物をYEPD、YEPD+ラパマイシン(B)又はYEPD、0.5%グルコースYEPD(C)で4時間培養する。ミトコンドリア質量を測定するために60%エタノールで固定細胞後MitoTracker GreenFMで染色して、FACS分析する。
【図6】図6は、cdcl3-lモデルにおいて栄養素シグナリングがTOR、AMPK及び糸粒体を介して細胞周期停止状態維持する及びテロメア機能不全により誘発される細胞死を阻止するの機序を示す。
【図7】図7は、老化WI-38細胞の減少(人間の一次の線維芽細胞)が50pM ラパマイシン、250μM AICAR、20μg/mL EGCG、1.6μg/mL GSE、減らされたグルコース(0.4%から0.2%まで)、20μg/mL ビルベリー抽出物(BE)、1 μM AITC、及び12.5μM 2-デオキシグルコースの処理により阻止することを示す。AICARと減らされたグルコースの処理は2日間on/8日間-off周期で、他の薬剤は3日間on/7日間off周期で細胞を培養する。この処理が通路29から開始する。3日ごとに培地を更新する。通路31(老化)から56日後,細胞は一時に2%ホルムアルデヒド/0.2%グルタルァルデヒドに固定し,1 mg/mL 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル β-D-ガラクトシド(X-gal)(40mM クエン酸/リン酸ナトリウム、pH=6.0、5mM カリウムフェロシアニド(ferrocyanide)、5mM フェリシアン酸カリウム、150mM NaCl、及び2mM MgCl2を含む緩衝液)で染色された。老化マーカー細胞のβ-ガラクトシダーゼ活性(カラー写真ではブルー、白黒写真で濃い灰色を示す)のために37℃で18時間も染色していた。顕微鏡下で生存老化細胞を観察した。
【図8】図8は、低用量のラパマイシンがミトコンドリア質量を増加、ミトコンドリア膜電位を改善するかつ人間線維芽細胞において活性酸素種レベルを減少させることを示す。(A)WI-38細胞は通路24で各種用量のラパマイシンに2日間培養する。ミトコンドリア質量の測定のために、−20℃で細胞を60%エタノールで固定し、FACS分析の30分の前にミト・トラッカー・グリーンFM(MitoTracker Green FM(Invitrogene))で染色した。(B)人間リンパ芽球様L40細胞を各種用量のラパマイシンに2日間処理した。ミトコンドリア膜電位測定は、暗闇で処理した細胞を5μg/mL JC-I(Invitrogen)で15分染色をした。次に、PBSで細胞を1回洗浄し、FACS分析する。光電子増倍管はフィルタ1(FL-I検出器)を使ってJC-Iモノマ-の緑色蛍光(λem=525nm)とフィルタ2(FL-I検出器)を使ってJC-I 凝集体 赤色蛍光(λem=590nm)を検出できるように設定される。凝集体とモノマーの比率(赤色/緑色又はFL2/FL1)は膜電位を示すものだ。データはそれぞれの試料につき正常細胞集団から取られた。試料は非処理コントロールに従って配対された。(C)活性酸素種測定のために、FACS分析30分の前に、L40処理した細胞を2μg/mLのジヒドロローダミン123で染色した。それぞれの上記実験において、少なくとも10000回のイベントを分析した。データは重複実験の平均値を表す。
【図9】図9は、低用量のラパマイシンだけが(増殖阻害用量以下で)老化WI-38細胞の減少を阻止することを示す。(A)図7に示すように、指示濃度のラパマイシンによりWI-38細胞を処理した。この処理は通路29からだ。細胞が通路31で老化に入った。老化65日のあと、生存細胞をMTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-yl)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド,テトラゾ-ル)により染色してから測定する。MTTの紫色はミトコンドリア還元酵素により生成してマイクロプレートリーダーを使って570nmで発見された。データは非依存的な三重実験の平均値である。(B)ラパマイシンのWI-38細胞の増殖への影響。図7に示すように、細胞を培養する。矢印はラパマイシンを加える時点を示す。25pMラパマイシンは成長率にほとんど影響ないが5.18から6.82に集団倍加(PD)を増加させる。次の式を使って個体群倍加を計算する:PD = log(Nf/N0)/log2、ただし、Nfは最終細胞数で、N0は最初播種した細胞の数である。データは非依存的な重複実験の平均値である。(C)低用量のラパマイシンがp53、p21及びd pRBのタンパク質レベルを上昇させる。最後の老化後第20日めでラパマイシンでWI-38細胞を18時間処理した。細胞溶解物はウエスタンブロット法によりp53、p21又はpRBに対して特定的な抗体を使って分析する。
【図10】図10は、人間のリンパ芽球様 L40におけるミトコンドリア質量の増加は(A)10μM LY294002(PI3K阻害剤の一つ)、2μM 二硫化ジアリル(DATS)、1μM ベンジルイソチオシアネート(BITC)、1μM フェニルイソチオシアナート(PITC)、2μg/mLレスベラトロール(RSV)と0.03μM リコピン、及び(B)6.7μM PEITC、5mMシリビニン、1.25mM 亜セレン酸塩、2.5mMゲニステイン、250μg/mLブドウ種子抽出物(GSE)、50μg/mL EGCG、3mg/mL ビルベリー抽出物(BE)、1μM AITC 50pM ラパマイシン250μM AICAR、と減らされたグルコース(0.4%〜0.2%)で2日間処理した結果である。ミトコンドリア質量をモニタするために60%エタノールに固定された細胞がFACS分析の前にMitoTracker Green FMで染色される。
【図11】図11は、cdcl3-lpの不活化によって引き起こされる細胞死を抑制する多くの化学予防剤又は抗老化剤を示す。細胞を6.7μM PEITC、5mM シリビニン、1.25mM 亜セレン酸塩、2.5mM ゲニステイン、250μg/mL ブドウ種子抽出物(GSE)、50μg/mL EGCG、及び3mg/mLビルベリー抽出物(BE)により37℃で約30時間培養した。コロニー形成アッセイにより細胞生存率を許容温度24℃で測定した。
【図12】図12は、低用量のラパマイシン及びAICARが12-O-テトラデカノイルホルボール13-アセタート(TPA)により誘発されるミトコンドリア質量減少を逆転することを示す。DMEM培地(DMEM with 10% FCS、100ユニット/mL ペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン及び2mMグルタミン)の存在下でNIH3T3細胞を培養するが、対照DMSOに10μM TPA、1nM ラパマイシン、10μM TPA+ InM ラパマイシン、40μM AICAR、又は10μM TPA+40 μM AICAR含んで95%空気と5%CO2の構成かつ加湿雰囲気下37℃で2日間培養する。次に、トリプシンで細胞を採取し60%エタノールで固定した。FACS分析の前に、暗闇でMitoTracker Greeen FMで細胞を30分染色をした。データは3重実験の平均値を表す。
【図13】図13は、低用量のラパマイシンとAICARがTPAにより誘発されるNIH3T3腫瘍転換を阻止することを示す。(A)TPA(10μM)とNIH3T3細胞は0.39%軟寒天でDMSO、1 nM ラパマイシン又は250 nM AICARの存在下で7日間培養されてから顕微鏡下でコロニーを数える。(B)データは四つ実験の平均値を表す。
【図14】図14は、ラパマイシンが低用量で(0.2と2pM)培養したCGN細胞の寿命を延長すること(A)、かつCGN細胞における活性酸素種のレベルを低下させること(B)を示す。小脳顆粒神経細胞(CGN)は7日齢の仔ラットから準備されたものだ。簡単に言えば、小脳を大脳から除去して適切な細片に切って、37℃で15分トリプシン(化)をし、40μm網目でろ過し遠心分離する。小脳顆粒神経細胞は25mM KClを含むB27補充基礎培地に保存している。それらの寿命延長のため、細胞は一つの24穴平板培地(1平板培地/小脳)に播種されてB27、20mM KCl、0.5mMグルタミン、100units/mL ペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンを補充した神経細胞基礎培地(Invitrogen)で培養される。7日後ラパマイシンを平板培地に加える。31日後、神経細胞の生存率をMTT試験で決める(A)。活性酸素種分析のために、神経細胞完全培地懸濁液培養液から新鮮な分離されたCGN細胞を1百万細胞/mL/管の密度で12x75mmの管に播種した。ラパマイシンで細胞が20時間処理をした、次にFACS分析(B)の前に2μg/mLジヒドロローダミン123で30分の染色をした。
【図15】図15は、低用量のラパマイシンが脳卒中のラットモデルにおける脳梗塞体積を減らすことを示す。(A)ラパマイシン(10μg/kg)が脳損傷を減らす。虚血性脳卒中の中大脳動脈(MCA)閉塞モデルを使用する。SHR-SPラットがランダムに二つ群(n=8、それぞれの群)に分かれた:対照DMSO群とラパマイシン群である。MCA閉塞の10分後で、ラパマイシン及び対照DMSOを投与する。MCA閉塞の24時間後で大脳試料を採取した。冠状断面(厚さが2mm)はすぐに 2% 2,3,5- トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)により染色された。死細胞を含む梗塞領域は染色されないが白色を示し、正常領域の生存細胞は赤色に染色された。梗塞領域と半球領域のそれぞれのセクション(両側)をトレスし画像解析システム(Microsystems 型DM LB2,Leica,ドイツ)により定量した。大脳梗塞の体積を評価しているなかに大脳浮腫の可能の干渉を標準的な方法で修正できる。それが対側半球の体積から非虚血性同側半球の体積を引いたことだ。(B)低用量のラパマイシンが、虚血性梗塞により誘発される脳損傷を予防する。20日MCA閉塞の前に、0、0.3、1、3及び10μg/kgのラパマイシンをSHR-SPラットに投与した(それぞれの群に、n=8)。
【図16】図16は、人間の一次の線維芽細胞WI-38細胞(200 μM MPP+を使つて)において低用量のラパマイシンがMPP+により誘発される活性酸素種のレベルを減少することを示す。MPP+と各種濃度のラパマイシンを使つてWI-38細胞を3日間培養した。FACS分析の前に、暗闇でジヒドロローダミン123で細胞を30分染色した。
【図17】図17は、ラットモデルにおいて低用量(10μg/kgで、100μg/kgまではない)のラパマイシンが心筋梗塞(MI)の体積を減らすことを示す。200〜250gのSprague-Dawley(SD)系雄性ラットを使用した(それぞれの群には、n=10〜12)。MI実験の前に、0、10及び100μg/kg/日の用量でラパマイシンを3日投与した。エーテル麻酔で、心臓を体外に出り出した、肺輸出道と左心房との間で左前下行動脈を結紮(連結)する。次に、打っている心臓を迅速にその正常な位置を返し、胸腔を閉め、空気を除去した。ラットをケージに返した。冠動脈結紮の5時間後、ラットをいけにえにした。左心室は心臓の長軸にそって4ないし5枚薄いスライスに切断した。ニトロブルーテトラゾリウムリン酸塩緩衝液で薄片を染色した。正常組織はブルーに染色されたが、壊死組織は染色されることができない。染色された組織と未染色された組織を分離し別々に量る。MIサイズは左心室の総重の分数として表した。
【図18】図18は、各種の組織においてグルコース又はTORがAMPK/活性酸素種/糸粒体経路を介して老化過程を調節するモデルを示し、それが加齢に伴う病気をもたらす。
【図19】図19は、酵母において細胞生存アッセイを使つてハイスループット・スクリーニングにより抗老化候補を同定及び検出する方法を説明する。
【図20】図20は、酵母において活性酸素種アッセイを使つてハイスループット・スクリーニングにより抗老化候補を同定及び検出する方法を説明する。
【図21】図21は、酵母変異体cdcl7-l又はcdcl7-2を使つて抗老化剤を検出する例を示す。変異細胞を0、1及び3nMのラパマイシンを含む新鮮なYEPD培地或いは0.5%グルコースYEPD培地に希釈し約37℃で22時間培養した。次に、細胞は連続的に10倍希釈されてYEPD平板培地に付けた、生存細胞からコロニー形成のため平板培地を許容温度24℃で培養する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[発明の詳細説明](英文p15)
本発明は抗老化剤を同定・検出・純化するための新規方法及び加齢に伴う病気の予防及び治療ための薬剤の使用を説明する。本発明は次の発見に基づいて:(1)酵母において、栄養素信号がAMPK後続のミトコンドリア経路でテロメア機能不全により誘発される細胞周期停止状態を延長することを抑制する;(2)第一のヒト線維芽細胞において、低用量のラパマイシン、グルコース制限及びAMPK活性化因子がミトコンドリア機能を刺激するかつテロメア機能不全により誘発される細胞周期停止状態を延長する;(3)いくつかの抗老化及び癌化学予防剤も酵母及びヒト細胞においてミトコンドリア機能を刺激するかつ老化細胞の減少を抑制する;(4)多くの加齢に伴う病気が糸粒体及び/又はテロメアの機能不全に関与する;及び(5)低用量のラパマイシンが急性心筋虚血性梗塞及びに虚血性脳損傷を予防する、MPP+により誘発されるROS増加を制される、培養された神経細胞の寿命と腫瘍細胞形質転換を抑制する。
【0037】
第一態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出するを方法を提供する、この方法が細胞周期停止状態モデルによる1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングして、それらの抗老化作用を測定することを含む。
【0038】
第一態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、抗老化作用が細胞周期停止状態又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化を予防することである。
【0039】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、抗老化作用がミトコンドリア機能を刺激・改善・保存することである。
【0040】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、抗老化作用がミトコンドリア又はテロメアの機能減少に関係する加齢に伴う病気を予防することである。
【0041】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、抗老化作用が活性酸素種(ROS)の増加またはテロメア機能不全により誘発されるアポトーシス死を予防することである。
【0042】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供するし、ただし、細胞周期停止状態モデルが機能障害性テロメアと変異酵母を含む。
【0043】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、だだし、細胞周期停止状態モデルが不十分なテロメラーゼ活性を示す初代ヒト細胞系である。
【0044】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供しただし、細胞周期停止状態モデルがテロメア結合タンパク質又はテロメラーゼにおける変異又は欠陥に起因するテロメア機能不全を示すヒト細胞系である。
【0045】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、細胞周期停止状態モデルが化学薬剤に起因するテロメア機能不全モデルである。
【0046】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、細胞周期停止状態モデルが癌遺伝子活性化及び/又はDNA損傷応答によって作られるモデルである。
【0047】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は 加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、細胞周期停止状態モデルがテロメア機能不全を示すマウス、ラット又は分裂酵母の細胞系である。
【0048】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が次の段階(ステップ)を含む:
(i)テロメア機能不全又はDNA損傷による細胞周期が停止された条件で化合物又は組成物を酵母細胞で培養する;
(ii)アポトーシスアッセイを使って死亡酵母細胞の集団を測定する、あるいは、
(iii)細胞周期が停止された条件を取り除き、生き残った細胞の数を測定する、及び
(iv)段階(ii)で得られた死細胞の集団又は段階(iii)で得られた生き残った細胞の数を対照実験と比較する、対照実験で上述化合物又は組成物を含まない以外に、段階(i)と同じ条件である。
そのうち、対照実験に対して、(ii)で得られた死亡酵母細胞減少個体群あるいは、段階(iii)で得られた生き残った細胞数が、ただしこの化合物又は組成物が候補抗老化剤のであることを示した。
【0049】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が次の段階を含む:
(i)検出した化合物又は組成物を培養を細胞周期停止状態にあった哺乳類細胞とある期間で培養して;
(ii)生き残った老化細胞の集団を測定する;及び
(iii)段階(vi)の生き残った哺乳類の老化細胞の集団を対照実験で得られた生き残った老化細胞の集団と比較する。
そのうち、対照実験に対して、生き残った老化細胞集団が増えると、ただし、この化合物又は組成物が候補抗老化剤のであることを確認する。
【0050】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が次の段階を含む:
(i)出した化合物又は組成物を正常状態ヒト細胞株とある期間で培養して;
(ii)ミトコンドリア量、ミトコンドリアDNA含量、又はミトコンドリア 転写因子の発現を測定することによって、ヒト細胞のミトコンドリア生合成を測定する;及び
(iii)対照実験の結果と比較し、結果を得る、
そのうち、段階(ii)でのミトコンドリア生合成を増強すれば、ただし、さらに同定した化合物又は組成物が候補抗老化剤であることを確認する。
【0051】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が上述三つ実施態様のいずれか組み合わせを含む。
【0052】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、しだし、細胞周期停止状態モデルがcdcl3-l、cdcl3-2、stnl-1、cdcl7-l、cdcl7-2、hdfl、hdf2、estl、est2、及びest3を含むテロメアが機能障害あるいは欠乏しておる変異酵母である。
【0053】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供する。ただし細胞周期停止状態モデルがテロメラーゼの欠乏しておる初代ヒト細胞系である、少なくとも線維芽細胞、内皮細胞及び上皮細胞を含む。
【0054】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、細胞周期停止状態モデルがTRF2、POTl、TERT、TERC、又はWRN遺伝子における変異を含むヒト細胞系である、テロメア機能不全を示す。
【0055】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、しだし、細胞周期停止状態モデルが化学薬剤に起因するテロメア機能不全モデルで、そのうち、ブレオマイシン、アドリアマイシン及びG四重リガンドなどの化学薬剤を含む。
【0056】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患又は機能低下性疾患である。
【0057】
第一態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、上述方法の化合物又は組成物がそれぞれ同じ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する。従って、本発明のこの実施態様には、化合物又は組成物の高速大量スクリーニングの方法を包含する。
【0058】
第二態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングする、かつそれらのTOR/AMPK/糸粒体/老化経路の少なくとも一つの構成成分に対する活性を測定するを含む、なお、ここでの化合物又は組成物が(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、或いは(c)糸粒体又は老化又は細胞周期停止状態が起因した細胞死を予防する。この態様が本発明の第一態様の上述抗老化作用とTOR/AMPK/糸粒体/老化経路のいずれかに関与して、且つ老化状態を維持する。
【0059】
第二態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの加齢に伴う病気が老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化、及び次の細胞死に関係がある、さらに、加速したミトコンドリア悪化及び増加さた酸化的ストレス又はテロメア機能不全に関与する。
【0060】
第二態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでのTOR/AMPK/糸粒体/老化経路の構成成分がインスリン/IGF、インスリン/IGF受容体、PI3K、PDKl、PTEN、TSCl、TSC2、AKT、Rheb、raptor、GβL、S6K、TOR、AMPK、STRAD、MO25、LKBl、グルコース取込、アミノ酸取込、CaMKKβ、PGC- lα、PGC-lβ、NRF-I、NRF-2、TFAM、TFBlM、TFB2M、ERRs(例えば、ERRα、ERRβ及びERRγ)、PPARs(例えば、PPAra、PPARδ及びPPARγ)、SIRTl、RIP140、PRC、POLRMT、ATM、p53、p21、pl9ARF, WAF,p16INK4a、pRB、E2F、及びp27KIP1を含む。
【0061】
第二態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患、機能低下性疾患である。
【0062】
第二態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、上述1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ同じない化合物及び/又は組成物のライブラリーに属することができる。
【0063】
第三態様において、本発明は 加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングする、且それらのミトコンドリア生合成経路の少なくとも一つ構成成分に対する活性を検出すことを含む、ただし、ここでの化合物又は組成物が(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、或いは(c)糸粒体又は老化又は細胞周期停止状態が起因した細胞死を予防する。この態様が本発明の第一態様の上述抗老化作用と糸粒体生合成経路に関与して、且つ、それが老化状態を維持する。
【0064】
第三態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの加齢に伴う病気が老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化、及び次の細胞死病気である、さらに、加速したミトコンドリア悪化及び増加さた酸化的ストレス又はテロメア機能不全に関与する病気である。
【0065】
第三態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、この方法にミトコンドリア生合成経路の構成成分がAMPK、STRAD、MO25、LKBl、CaMKKβ、PGC-lα、PGC-lβ、NRF-I、NRF-2、TFAM、TFBlM、TFB2M、ERRs(例えば、ERRα、ERRβ及びERRγ)、PPARs(例えば、PPAra、PPARδ及びPPARγ)、SIRTl、RIP140、PRC、及びPOLRMTを包む。
【0066】
第三態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下性疾患である。
【0067】
第三態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、上述1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ同じない化合物及び/又は組成物のライブラリーに属することができる。
【0068】
第四態様において、本発明は老化又は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングすることを含む、且それらのAMPK経路の少なくとも一つ構成成分に対する活性を検出する、ただし、ここでの化合物又は組成物が(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、あるいは細胞周期を障害する、或いは(c)糸粒体又は老化又は細胞周期停止状態が起因した細胞死を予防する。この態様が本発明の第一態様の上述抗老化作用と糸粒体生合成経路に関与して、且、それが老化状態を維持する。
【0069】
第四態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの方法に加齢に伴う病気 が老化悪化、加齢性の細胞消失、腫瘍形成及び癌の悪性進行に関係がある。
【0070】
第四態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの方法にAMPK経路の構成成分がAMPK, LKBl、STRAD、MO25、グルコース取込、アミノ酸取込及びCaMKKβを含む。
【0071】
第四態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下症である。
【0072】
第四態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出するための方法を提供し、ただし、上述1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ同じない化合物及び/又は組成物のライブラリーに属することができる。
【0073】
第五態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、この方法が種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングする、かつそれらの老化経路の少なくとも一つ構成成分に対する活性を検出することを含む1、ただし、この化合物又は組成物が老化又は細胞周期停止状態を維持する、あるいは糸粒体機能悪化や分裂終了状態悪化が起因した細胞死を予防する。この態様が本発明の第一態様の上述抗老化作用と分裂終了状態に関与する、且つ、それが老化状態を維持する。
【0074】
第五態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの加齢に伴う病気が老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化、及び次の細胞死病気である、さらに、加速したミトコンドリア悪化及び増加さた酸化的ストレス又はテロメア機能不全病気に関与する。
【0075】
第五態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出するための方法を提供し、ただし、老化経路の構成成分がATM、p53、p21、pl9ARF、WAF、p16INK4a、pRB、E2F、及びp27KIP1を含む。
【0076】
第五態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、ここでの加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下症である。
【0077】
第五態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法を提供し、ただし、上述1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ同じない化合物及び/又は組成物のライブラリーに属することができる。
【0078】
第六態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、この方法が必要なときに本発明に記載されているの第一〜第五態様の方法で同定される化合物、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグを含むその組成物を被験者に投与することを含む。この方面には、本明細書に記載の方法により同定されるいずれかの抗老化の化合物又は組成物で調製した薬物を包含する、加齢に伴う病気の予防又は治療に用いられる。
【0079】
第六態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態、ミトコンドリア機能不全、又はテロメア機能不全の悪化に関係がある。
【0080】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、この方法に化合物が有機分子、無機分子、天然化合物、ペプチド、タンパク質、DNAs、RNAs、及びその代謝中間体から選ばれるものである。
【0081】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法提供し、ただし、薬剤がAICAR、低用量のラパマイシン又はその類似物、EGCG、ブドウ種子エキス、ビルベリー抽出物、亜セレン酸塩、ゲニステイン、ジアリルトリスルフィド、ベンジルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアナート、イソチオシアン酸フェネチル、レスベラトロール、リコピン、及びイソチオシアン酸アリルから選ばれるものである。
【0082】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するを方法を提供し、ただし、化合物又は組成物が酸化防止剤、抗高血圧薬、抗高脂血薬、抗卒中薬、抗癌剤、及び異なる抗老化剤から選ばれる第二種類化合物をさらに含む。
【0083】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物がビタミンC、ビタミンE、β-カロテン及び他のカロチノイド、セレン、リポ酸、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、補酵素Q10、グルタチオン、N-アセチルシステイン、メラトニン、ゲニステイン、エストラジオール、茶抽出物、及びブドウ種子エキスから選ばれる酸化防止剤をさらに含む。
【0084】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物が薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0085】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、経口、非経口、局所、経皮、或いは坐剤又はエアロゾルの投薬形態で組化合物又は組成物を投与する。
【0086】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が細胞異常増殖性疾患、変性疾患又は機能低下性疾患である。
【0087】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が腫瘍形成及び悪性癌進行, 神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄の減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群, 関節リウマチ、免疫機能の低下、糖尿病、特発性肺線維症、及び加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病, 並びテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患から選ばれるものである。
【0088】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述被験者が哺乳類である。
【0089】
第六態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述被験者がヒトである。
【0090】
第七態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、この方法が必要な時に5'-アデノシンモノリン酸塩活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化因子、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグを含む組成物を被験者に投与する、それらはAMPKを直接的あるいは間接的に活性化させて、ミトコンドリア生合成を増えて、被験者の老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態を維持する。この本発明の態様に加齢に伴う病気の予防又は治療のAMPK活性化因子薬剤で調製又は製造の薬剤を開示。この態様は本発明の第六態様に関係ある、即ち上述薬剤がAMPK活性化因子である。
【0091】
第七態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気がミトコンドリア機能喪失, テロメア機能不全、老化悪化及び年代に依存した細胞消失、或いはミトコンドリア悪化又は分裂終了細胞における細胞周期−停止状態に関係がある。
【0092】
第七態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述AMPK活性化因子がAICAR、メトホルミン、2-デオキシグルコース、3-O-メチルグルコース、LY294002、ベルベリン、フェンホルミン、A-769662、チアゾリジンジオン系、デキサメタゾン、スタチン系、レプチン、アディポネクチン、シロスタゾール、EGCG、セネライト(senelite)、イソチオシアン酸アリル、又はイソチオシアン酸フェネチルから選ばれるものである。
【0093】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物が酸化防止剤、抗高血圧薬、抗高脂血薬、抗卒中薬、抗癌剤、及び異なる抗老化剤から選ばれる第二薬剤をさらに含む。
【0094】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、組成物が薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0095】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、経口、非経口、局所、経皮、或いは坐剤又はエアロゾルの投薬形態で化合物又は組成物を投与する。
【0096】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気は異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下性疾患である。
【0097】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するを方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が腫瘍形成及び悪性癌進行、神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄の減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能の低下、糖尿病、特発性肺線維症、及び加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、並びにテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患から選ばれるものである。
【0098】
第七態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述の被験者が哺乳類の動物である。
【0099】
第七態様のもう一つの実施態様におけて、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述の被験者がヒトである。
【0100】
第八態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、この方法が必要なときに低用量mTOR 阻害剤、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグを含むその組成物を被験者に投与することを含み、ただし、TOR阻害剤(a)が複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、或いは(c)糸粒体又は細胞死の悪化を予防する。この本発明の態様に加齢に伴う病気の予防又は治療の薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグで調製又は製造した低用量mTOR 阻害剤を開示する。この態様は本発明の第六態様に関係ある、即ち上述組成物がmTOR 阻害剤である。
【0101】
第八態様の一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療するを方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気がミトコンドリア機能喪失、テロメア機能不全、老化悪化及び年代に依存した細胞消失、或いは分裂終了細胞におけるミトコンドリア悪化又は細胞周期停止状態に関係がある。
【0102】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述低用量のmTOR阻害剤がラパマイシン又はその類似物である。
【0103】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述TOR阻害剤が低用量の、ラパマイシン、又は、デホロリムス、AP-23675、AP-23841、ゾタロリムス、CCI779/テムシロリムス、RAD-001/エベロリムス、7-エピ-ラパマイシン、7-チオメチル-ラパマイシン、7-エピ-トリメトキシ-ラパマイシン、2-脱メチル-ラパマイシン、42-0-(2-ヒドロキシル)エチル-ラパマイシン、又は薬学的に容認される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグ、から選ばれるラパマイシン類似物である。
【0104】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述低用量のTOR 阻害剤がラパマイシン、又は薬学的に許容される塩、溶媒和物、或いはそのプロドラッグである。
【0105】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、mTOR阻害剤ラパマイシンが血清培地に約0.1〜約10000pMまでの低用量で、動物に0.1〜約10000ng/kg/日である。意外な発見は、ラパマイシンがこれら低用量で新規機能を示したことである。ラパマイシンが免疫抑制剤として、既知の治療量(1 mg/日から5 mg/日まで)で、細胞周期のGl期で細胞増殖も抑制する及びに他の標的タンパクに作用する可能である。その結果、治療量のラパマイシンは、血清コレステロールとトリグリセリドの増加、腎機能低下、貧血、創傷治癒遅延、下痢、無力症、低血圧、疼痛、悪性腫瘍進行、肝臓の悪性腫瘍、腹水、成長障害、精神状態変化、脾梗塞、及び大腸炎などを含む各種の副作用を示す。本発明によれば、低用量のラパマイシンを使用する場合、これらの副作用を避けることができる。
【0106】
ラパマイシン又はその類似物の有効量は、この特定の化合物、投与方法、特定の疾患及び受験者の背景などの各種の物理的要因に応じて変更可能である。本発明は、ラパマイシンを約0.01〜約50μg/日の毎日経口用量で投与すると満足の効果が得られる。この用量が既知の治療量(1mg/日〜5mg/日)の約0.001%〜約5%と推定される。それと同時に、本発明の投与スケジュールが2〜4日投与期間をとし、後に、2〜5日の休薬期間をとし、こうしてさらに最良の結果を生じさせてラパマイシンの副作用を低下する。
【0107】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述低用量のラパマイシン又はその類似物の投与量が、認可される治療量の約10%以下、約8%以下、約6%以下、約4%以下、約2%以下、約1%以下、約0.1%以下、約0.01%以下、又は約0.001%以下である。
【0108】
第八態様の一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約8%〜約10%用量の範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0109】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約6%〜約8%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0110】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約4%〜約6%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0111】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、だだし、認可される治療量の約2%〜約4%の用量の範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0112】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約1%〜約2%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0113】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約0.1%〜約1%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0114】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約0.01%〜約0.1%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0115】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約0.01%〜約0.1%の用量範囲内でラパマイシン、又はその類似物を投与する。
【0116】
第八態様もう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約0.001%〜約0.01%の用量範囲内でラパマイシン、又はその類似物を投与する。
【0117】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、認可される治療量の約0.0001%〜約0.001%の用量範囲内でラパマイシン又はその類似物を投与する。
【0118】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、低用量のラパマイシンを純化されている化合物として投与する。
【0119】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、低用量のラパマイシンを含む生エキスとして投与する。
【0120】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、低用量のラパマイシンをラパマイシンを含む純化されていない発酵液として投与する。
【0121】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、低用量のラパマイシンをラパマイシンを包む純化されていない微生物(Streptomyces hygroscopicus)として投与する。
【0122】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物は酸化防止剤、抗高血圧薬、抗高脂血薬、抗卒中薬、抗癌剤、又は異なる抗老化剤から選ばれる第二薬剤をさらに含む。
【0123】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物は細胞とミトコンドリアでの活性酸素種レベルをコントロールする酸化防止剤をさらに含む。
【0124】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、その化合物又は組成物がタミン C, ビタミンE、β-カロテン 及び他のカロチノイド、セレン、リポ酸、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、補酵素Q10、グルタチオン、N-アセチルシステイン、メラトニン、ゲニステイン、エストラジオール、茶抽出物、及びブドウ種子エキスから選ばれる酸化防止剤をさらに含む。
【0125】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、化合物又は組成物を経口、非経口、局所、経皮、或いは坐剤又はエアロゾルの投薬形態で投与する。
【0126】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気は異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下性疾患である。
【0127】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、加齢に伴う病気が腫瘍形成及び悪性癌進行、神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全, アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、及び加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、並びテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患から選ばれるものである。
【0128】
第八態様の一つの好適な実施態様において、本発明は加齢に伴う病気を予防又は治療する方法を提供し、ただし、上述薬剤が低用量のラパマイシン又はその類似物、及びに、加齢に伴う病気が腫瘍形成及び悪性癌進行、パーキンソン病、脳卒中、小脳梗塞、心筋梗塞(心臓発作)である。
【0129】
第八態様のもう一つの好適なな実施態様において、本発明は低用量ラパマイシンで細胞周期停止状態を維持する方法を提供する。年代に依存したテロメア機能不全、癌遺伝子活性化、又はDNA 損傷剤(例えば、活性酸素種、抗癌薬、UV又はイオン化照射)により誘発される老化を延長する, 同じ老化機序DNA損傷応答これら過程に関与する。従って、本発明の方法は各種良性腫瘍を治療する及びに悪性進行を予防できる。そのため、本発明の方法は癌になるリスクが高い集団に用いられる、例えば老年人、変異原と頻繁に接触する人、あるいは被験者常にUV又はイオン化照射に暴露集団。本発明の方法は癌を誘発する危険性が高い薬を服用する患者、例えばホルモン補充を服用する女性。また、本発明の方法は二次癌を引き起こす化学療法を受けている癌患者にも適用してよい。
【0130】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は低用量ラパマイシンで脳卒中により誘発される脳損傷を予防の使用を提供する。従って、低用量のラパマイシンが脳卒中を治療する救急用薬剤、虚血性や出血性脳卒中に適用する。最良の結果を得るためには、低用量のラパマイシンと虚血性脳卒中緊急用の薬剤を組み合わせ使用できる、例えば組織プラスミノゲン活性化因子(t-PA),血栓溶解薬である。
【0131】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は低用量のラパマイシンで 脳卒中、脳卒中再発を予防する方法を提供する。最良の予防結果を得るためには、方法のもう一つ実施態様において、本発明は提供する低用量のラパマイシンと脳卒中の危険性を減らす異なる機序薬剤との組み合わせ方法を提供する。後者には次の例を含めて、但しこの限りではない。これら薬剤が抗血小板薬(例えば、クロピドグレル、Agrrenox)、抗凝血薬(例えば、ワルファリン、ヘパリン)、脂質低下薬(例えば、スタチン系)及び高血圧薬(例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、Β遮断薬、利尿薬、及びカルシウムチャンネル遮断薬) を含む。
【0132】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は低用量のラパマイシンで神経変性疾患を予防する使用を提供する、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病をを含めて、但しこの限りではない。
【0133】
第八態様のもう一つの好適な実施態様において、本発明は低用量のラパマイシンで心筋梗塞により誘発される心臓障害を予防するの使用を提供する。従って、本発明ラパマイシンの低用量で心筋梗塞又は心臓発作を予防する使用の提供する。最良の結果を得るめには、低用量ラパマイシンと機序の薬剤を組み合わせ、心臓発作の危険性を予防する。これら薬は次の例を含むが、但しこの限りではない、抗血小板薬(例えば、クロピドグレル、Agrrenox)、抗凝血薬(例えば、ワルファリン、ヘパリン)、脂質低下薬(例えば、スタチン系)、高血圧薬(例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、Β遮断薬、利尿薬、及びカルシウムチャンネル遮断薬)、及び血糖コントロール薬(例えば、メトホルミン及びピオグリタゾン)。
【0134】
当業者は、異なる組織又は細胞種類におけるラパマイシンの分布が均一でないこと、及び、抗老化で同定されるそれぞれの化合物又は組成物が異なる組織又は細胞種類で特定の分布パターンを示すことを理解するであろう。この方法の一つ態様において、本発明は、低用量のラパマイシンと、少なくとも一つの他の抗老化剤との組合せによる使用を提供する。その少なくとも一つ他の抗老化剤には、AICAR, 2-デオキシグルコース、LY294002、メトホルミン、EGCG、GSE、senelite、ゲニステイン, シリビニン、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸フェネチル、ビルベリー抽出物、ジアリルトリスルフィド、ベンジルイソチオシアネート、レスベラトロール、及びリコピンを含むが、但しこの限りではない。
【0135】
第八態様のもう一つの実施態様において、いずれかの有用な方式で低用量ラパマイシンを投与する、経口、非経口(静脈内、腹腔内及び皮下注射を含む)、局所、直腸、鼻腔内、経膣、吸入、エアロゾル、及び経皮の投薬形態を含む。経皮投与は全部の身体通路の内壁と上皮組織及び粘膜組織を通して投与することを含む。このような投与は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩及び有機ローション、クリーム製剤、泡沫、パッチ、懸濁剤、溶液、及び坐剤(直腸及び膣内)を用いて行われる。
【0136】
第八態様のもう一つの実施態様において、本発明は低用量ラパマイシンのもう一つ用途を提供する。即ち固形食、飲料又は流動食の成分とし、ただし、飲料又は流動食二はアルコール性或いは非アルコール性ものを含む、例えば、水、ワイン、及び果汁など。
【0137】
第九態様において、本発明は生物試料における抗老化薬剤を検出する方法を提供し、この方法が次の段階を含む:
(i)生物試料を溶媒で希釈する;
(ii)テロメア機能不全又はDNA損傷により酵母細胞の細胞周期が停止された条件で希釈された試料を変異酵母細胞で培養する;
(iii)細胞周期が停止された条件を取り除き、生き残った酵母細胞の数を測定する;及び、
(iv)段階(iii)で得られた生き残った細胞の数を培養段階(ii)と同じ条件で対照実験における生き残った細胞の数と比較する、ただし、対照実験には上述の生物試料を含まない。
そのうち、対照実験に対して段階(iii)で得られた生き残った細胞数が増加すると、生物試料が抗老化剤を含むことを示唆する。
【0138】
第十態様において、本発明は生物試料における抗老化剤の生物濃度を測定する方法を提供し、この方法が次の段階を含む:
(i)被験者の生物試料を溶媒で希釈する;
(ii)テロメア機能不全又はDNA損傷により酵母細胞の細胞周期が停止された条件で、希釈された生物試料を変異酵母細胞で培養する;
(iii)細胞周期が停止された条件を取り除き、生き残った酵母細胞の数を測定する;
(iv) 段階(iii)得られた生き残った細胞の数を培養段階(ii)と同じ条件で対照実験で生き残った細胞の数と比較する、ただし、対照実験には上述の生物試料を含まない;及び
(v)生き残った酵母細胞の数を抗老化剤の濃度と生き残った酵母細胞の数との事前準備された標準方程式又は標準曲線に代して、抗老化剤の生物濃度を計算する。
【0139】
第十態様の一つ実施態様において、本発明は標準方程式又は標準曲線で生物試料における抗老化剤の生物濃度の計算方法を提供する、この方法が次の段階を含む:
(vi)異なる既知濃度の精製抗老化剤を有する複数の標準溶液を調製する、この標準溶液が被験者の生物試料を培養する溶媒を用いられる;
(vii)テロメア機能不全又はDNA損傷を起こし、さらに細胞周期停止された条件で、標準溶液を変異酵母細胞と培養する。
(viii)細胞周期が停止された条件を取り除く、それぞれの培養した標準溶液で生き残った酵母細胞の数を測定する;及び
(ix)段階(viii)で得られた生き残った細胞の数をその対応する抗老化剤の濃度に対してプロットして、標準曲線を得る、及び/又は標準方程式を得る。
【0140】
この態様は本発明の第九態様に関係ある、即ち定量分析抗老化剤の生物濃度はともに上述した標準方程式又は曲線で計算する。従って、本発明は方法には二つの態様に記載されている段階のいずれか合理的な組み合わせを含む。
【0141】
第十態様のもう一つ実施態様におけて、本発明は生物試料における抗老化剤の生物濃度を測定する方法を提供し、ただし、抗老化剤が上記の実施態様におけるいずれか方式で得た化合物又は組成物である。
【0142】
第十態様のもう一つ実施態様におけて、本発明は生物試料における抗老化剤の生物濃度を測定する方法を提供し、ただし、抗老化剤がラパマイシン又はその類似物である。好適な実施態様において、ラパマイシン又は類似物が低用量である。
【0143】
第十態様のもう一つ実施態様において、本発明は生物試料における抗老化剤の生物濃度を測定するための方法を提供し、ただし、変異酵母がcdcl3-l、cdcl3-2、stnl-1、cdcl7-l、cdcl7-2、hdfl、hdβ、estl、est2、及びest3から選ばれるものである。
【0144】
本発明のその他の態様又は好適実施態様は、本明細書に開示された実施態様における適切な組み合わせを含むものである。ここで、その他の態様及び実施態様は本明細書の他の部分に見い出されてもよい。
【0145】
[定義](英文p36)
本明細書で用いられている用語「a」、「an」及び「the」に対して、特別な注記がなければ、単数と複数も指す。
【0146】
本明細書で用いられている用語「optional(任意的な)」又は「optionally(任意的に)」とは、その次に記載されているイベント又は事情が発生する可能性、つまりその記載は、イベントの発生事例と発生しない事例とを含む意味である。
【0147】
本明細書で用いられている用語「加齢に伴う病気」とは老化が主な危険因子である疾患である。疾患の種類に基づいて、加齢に伴う病気は次の主な3種類を含む:(1)異常増殖性疾患、例えば癌;(2)変性疾患、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中)、心筋梗塞、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄の減少、関節リウマチ、d免疫機能、糖尿病、特発性肺線維症、加齢性黄斑変性;及び(3)機能低下性疾患、例えばテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-Iの減少、エネルギー産生減らされたなど。細胞の種類にとる、加齢に伴う病気が二つ主な種類に分類され、(1)分裂終了細胞において、ニューロン変性(アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中)、筋肉減少症(筋肉の減少)、心血管疾患(心不全、心筋梗塞);及び(2)有糸分裂細胞において、癌、骨髄減少、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、加齢性黄斑変性、関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、アテローム性動脈硬化症、及び高血圧。具体的には、加齢に伴う病気はミトコンドリア機能不全又は/及びテロメア機能不全を含む、癌、変形性関節症、加齢性の黄斑変性、特発性肺線維症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、皮膚の老化、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、心不全、高血圧、脳卒中、糖尿病、骨粗鬆症、肥満、白髪、聴力損失などを含むが、それに限定されない。すべての上記病気が本発明に包含される。
【0148】
いくらかの好適な実施態様において、用語「加齢に伴う病気」とは腫瘍形成及び悪性癌進行、心筋梗塞(心臓発作)、小脳梗塞、脳卒中、パーキンソン病、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、白内障、加齢性黄斑変性、筋肉減少症、変形性関節症、骨粗鬆症、骨髄減少、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、及び神経変性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン病疾患から選ばれる、並びにテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患。
【0149】
本明細書で用いられている用語「抗老化効果」とは、ミトコンドリア生合成及び機能を増す、活性酸素種レベルを減らす、老化細胞及び分裂終了細胞(例えば神経細胞)の寿命を延長する、加齢に伴う病気(例えば腫瘍形成、癌の悪性進行、小脳梗塞及び心筋梗塞)を予防することを指す。
【0150】
本明細書で用いられている用語「加齢に伴う病気を予防すること」とは、発生率を減らされる、老化に関係している疾患を遅延又は逆転することを意味する。
【0151】
本明細書で用いられている用語「老化」とは、細胞周期停止状態の有糸分裂細胞が継続的に分裂できないことを意味する、テロメア機能不全、DNA損傷、又は癌遺伝子活性化により誘発される。出芽酵母に、テロメア機能不全に起因する老化細胞停止された細胞周期がG2/M期。哺乳類の細胞において、老化細胞をGO期で停止、GO細胞が細胞周期に逸する。ヒトの線維芽細胞WI-38の細胞周期停止状態が顕微鏡下で10日後まで細胞数が増えない、且β-ガラクトシダーゼ陽性染色を示すことを意味する。
【0152】
本明細書で用いられている用語「分裂終了細胞」とは、GO期停止状態の細胞群で、GO期は細胞周期以外で分裂と複製しない、然し、細胞は生物の生命活動にはそれらの主な機能を持つことになっている。分裂終了細胞は神経細胞、心筋細胞、及び筋細胞を含む。いくらかの細胞が成熟個体にはGO期に入る、分裂終了である、特定の場所に限り、誘導され再びに細胞周期に入る分裂する、例えば肝臓及び腎臓の実質細胞、これら種類の細胞はGO期には分裂終了細胞に考えられる。
【0153】
本明細書で用いられている用語「cdcl3-l」とは、遺伝子CDC13には点変異が存在する酵母変異細胞をいう。用語「cdcl3-l」とは点突然変異遺伝子、Cdcl3pとは野生型タンパク質である。
【0154】
本明細書で用いられている用語「cdcl3-2」、「stn-1」、「cdcl7-l」及び「cdcl7-2」とは、酵母変異細胞、又は対応する突然変異遺伝子である。用語「estl」、「est2」、「est3」、「hdfl」及び「hdf2」とは、酵母変異細胞にはそれぞれに対応する遺伝子欠失を含むことを意味する、即ち遺伝子 ESTl、EST2、EST3、HDFl又はHDF2、対応する遺伝子欠失も指す。
【0155】
本明細書で用いられている用語「TOR 阻害剤」とは、老化を維持する能力を保持した、ラパマイシン及びその化学的又は生物学的に修飾された誘導体を含むところの、基本的なラパマイシン核を含有する免疫抑制化合物をいう。従って、用語「TOR 阻害剤」が、ラパマイシンのエステル、エーテル、ヒドラゾン、ヒドロキシルアミン、又はオキシム誘導体の投薬形態であってもよい。この用語は、ラパマイシン核上の官能基の修飾、例えば還元又は酸化反応を通じた、ラパマイシン類似体を含む。従って、用語「TOR阻害剤」は、ラパマイシン、及び、例えば、AP23573(デホロリムス)、AP-23675、AP-23841、ABT-578(ゾタロリムス)、CCI779(テムシロリムス)、RAD-001(エベロリムス)、7-エピ-ラパマイシン、7-チオメチル-ラパマイシン、7-エピ-トリメトキシフェニル-ラパマイシン、7-エピ-チオメチル-ラパマイシン、及び7-デメトキシ-ラパマイシン、32-デメトキシ-ラパマイシン、2-desメチル-ラパマイシン、及び42-O-(2-ヒドロキシル)エチルラパマイシン、のようなラパマイシン類似物を含むが、それに限定されない。
【0156】
本明細書で用いられている用語「治療量のラパマイシン」とは、約1mg/日〜約5mg/日の用量範囲のラパマイシンであり、多くは約0.1mg/日〜約15mg/日、しかし40mg/日までである。これら用量で、ラパマイシンはタンパク質翻訳及び細胞周期の進行を抑制する、Gl期に細胞周期を停止、自食作用も引き起こす可能。動物と組織培養において、マウス系モデルの治療量は0.1mg/kg/日、ヒト細胞に10ng/mLを超える、マウス系細胞に100ng/mL超える。当業者は治療量が特定の細胞系又は動物により異なることが知られている。
【0157】
本明細書で用いられている用語「低用量のラパマイシン」とは用量以下"治療量"を意味する。例えば、低用量が0.1〜1000pMで血清培地細胞に用いられる時、0.01〜100μg/kg/日がマウス系モデルに適用、又は0.01〜100μg/日ヒトに適用。特定の濃度は特定型の細胞又は疾患による投与。これら低用量ラパマイシンの治療量の約0.001%から約10%。
【0158】
本明細書で用いられている用語「化合物又は組成物の抗老化生物濃度」は、抗老化生物活性化合物又は組成物の濃度、化合物又は組成物の濃度に相当する。cdcl3-l細胞における老化延長により抗老化生物活性を測定することができる。
【0159】
本明細書で用いられている用語「癌」は疾患状態である、正常細胞が異常細胞になるのは、例えばDNA損傷、癌遺伝子活性化、テロメア機能不全、初期障害細胞病変からである、次に隣接組織、領域に浸透する。癌は加齢性の癌、変異原による癌、抗癌治療又は単独の疾患に対する治療により誘発される二次癌、例えばホルモン補充、又は環境要素(例えばUV照射及び喫煙)により誘発される癌であってもよい。
【0160】
本明細書で用いられている用語「腫瘍形成を予防する」とは、正常細胞から異常細胞への形質転換を抑制する或いは良性腫瘍の形成を抑制することである。用語「悪性進行を予防する」とは、良性腫瘍の悪性腫瘍又は癌への進行を抑制することを意味する。用語「癌を予防する」又は「癌予防」とは、腫瘍形成を予防する及び/又は悪性進行を抑制することを意味する。
【0161】
本明細書で用いられている用語「癌化学予防剤」とは、腫瘍増殖を抑制するために使用し得る天然物質又は実験室で合成したもの、。
【0162】
本明細書で用いられている用語「薬学的に許容可能な担体」とは、当技術分野で一般に受け入れられた送達培地である、通常には生物活性剤を動物(特に哺乳類)に送達する、補助剤、賦形剤を含む、例えば希釈剤、保存剤、充填剤、流れ調整剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、香料、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤、及び分散剤、選ばれるのは投与方法及び剤形で決まっている。薬学的に許容される担体は水性と非水性液体、及びさまざまな固体及び半固体剤形を含む。このような担体は活性薬剤以外に多くの異なる成分及び添加剤を含む、これらはさまざまな原因で製剤成分に入れる、例えば(活性薬剤の安定化)結合剤など、当業者が既知のもの。
【0163】
本明細書で用いられている用語「薬学的に許容される塩」とは、化合物の塩又は両性イオン状態をいい、水或いは油溶性又は分散性のものであり、適切な医学判定範囲において、患者組織に適用する、毒性、刺激性、アレルギー性、及び、合理的な利益/危険比においてほかの問題や併発症がない、且つある想定した使用に効果的であるもの。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、カンファースルホン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、よう化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルメイト(palmate)、ペクチン酸、過硫酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p-トルエンスルホン酸塩を含む。薬学的に許容される付加塩を形成する酸の例は、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸、並びに、例えばシュウ酸、マレイン酸、コハク酸酸、及びクエン酸などの有機酸を含む。
【0164】
薬学的に容認される塩の陽イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム、並び無毒第四級アミン陽イオン、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミンを含む。塩基付加塩の形成に有用である他の代表有機アミンは、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、及びピペラジンを含む。
【0165】
本明細書で用いられている用語「溶媒和物」とは、本発明の方法により同定される化合物の物理的結合する1種類以上、好ましくは1〜3の溶媒分子であり、有機或いは無機のいずれでもよい。この物理的結合は水素結合を含む。特定の場合には、溶媒和物が隔離される、例えば1種類以上の好ましくは1〜3の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれる。溶媒和物における溶媒分子が正常な配列及び/又は非正常な配列で存在してもよい。溶媒和物は化学量論又は非化学量論の量の溶媒分子を含んでよい。「溶媒和物」には可溶と非可溶溶媒和物を包含する。例示的な溶媒和物は、水和物、アルコール化合物、メタノール化合物、イソプロパナール化合物を含むが、それに限定されない。溶媒化の方法は当技術分野で既知である。
【0166】
加えて、本発明に係れる化合物は薬物前駆体形式であってもよい。体内に生物活性を有する化合物に転化できるいずれか化合物は薬物前駆体である。多くの薬物前駆体は当分野に周知されている。このような薬物の前駆体及び誘導体の例としては、前駆薬の設計、H.Bundgaard[Elsevier,1985]編著;酵素学における方法、Vol.112,at pp.309−396,K.Widder等編著(Academic Press,1985);薬物の設計及び発展教材、Krosgaard−Larsen及びH.Bundgaard編著、第5章、“前駆薬の設計及び応用、”by H.Bundgaard,at pp.113−191[1991]を参照する。
【0167】
説明的な例としては、ヒドロキシル基含有の化合物、例えばラパマイシン及びその類似物は、加水分解可能なエステル類、炭酸塩、またはカルバマート(carbomates)に形成されることができ、薬物前駆体として体内に加水分解して活性を有する化合物に形成する。そのため、本発明はラパマイシン類似物及びその対応するエステル、炭酸塩、またはカルバマート誘導体を使用して抗老化剤とすることを含む。これらの前駆体薬物は本分野の当業者によって普通の合成方法を使用して合成されることができる。例えば、エステル類としては、無水酢酸、塩化アセチル、酢酸、プロピオン酸クロライド、塩化ベンゾイル、ブチリルクロリド、無水コハク酸などのようなアシル化剤でヒドロキシル基をアシル化した誘導体が例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。炭酸塩としては、1つのX−C(O)OR構造を含有する化合物とヒドロキシル基との反応によって得られた誘導体(式中、Xが1つのハロゲンであり、Rが酸素原子に炭素が連接されているいずれの基、例えばアルキル基、アリール基、アリールアルキル基などであってもよい。)は例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。カルバマートも類似な方法で合成されることができる。
【0168】
それ以外に、ラパマイシンの薬物前駆体は例えば米国特許第4650803号及び米国特許第5151413号に主張されるように、またはいずれの出版又は出版待ちの文献に記載されるように、その他の形式であってもよい。ここで説明する多くの薬物前駆体は好ましくは経口投与であり、その原因は、多くの状況において、薬物前駆体は主に消化酵素によって加水分解されていることにある。前駆体薬物自身が活性を有し、または血液において加水分解可能であれば、注射投与してもよい。
【0169】
本発明の処方はいずれの適当なルート、例えば経口投与、局所投与、注射(皮下、筋肉内、静脈注射及び皮内)及び経肺吸収で投与してもよい。一部の実施例において、処方は単位服用量で表示され、いずれの方法で調製されてもよい。通常、処方は均一に調製され、活性成分(例えばラパマイシン又はその類似物)と密に関連しており、液体担体又は極細い固体担体、または両者を使用するものである。
【0170】
本発明の活性化合物を含む経口製剤は、錠剤、カプセル剤、口中錠、バッカル錠、ローゼンジ及び内用液剤、懸濁液、または溶液、または粉末又は顆粒剤、水溶液又は非水溶液における溶液又は懸濁液、水中油型乳剤、または油中水型乳剤を含む、通常に利用されたいずれの経口剤であってもよい。バッカル錠は活性化合物、不活性充填剤及び/または賦形剤を含有する混合物であってもよい。錠剤処方は従来の打錠成型、湿式造粒又は乾式造粒法で、且つ薬学的に許容される賦形剤、接合剤、崩壊剤、潤滑剤、表面修飾剤(界面活性剤を含む)、または沈殿防止剤または分解防止剤を用いて調製されてもよい。経口剤は溶出遅延剤又は徐放剤を使用して活性化合物の吸収を変えてもよい。
【0171】
場合によっては、エアゾール噴霧器で呼吸システム、耳、皮膚、または咽喉に直接投与してもよい。
【0172】
低用量のラパマイシンは局所投与されてもよい。局所製剤としてはクリーム剤、軟膏剤、乳剤、ゲル、ローション剤、スプレー剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明の局所製剤の1つ実施態様において、処方には不活性物質(例えばオイル)を含み、もう1つの実施態様において、保湿クリーム基剤を含む。防腐剤は本発明の処方の有効期限の延長のために用いられることができる。本分野の当業者に周知されるように、有効成分又は不活性物質の添加によって処方を変更することができる。本発明の外用製剤は皮膚老化の防止及びガンなどの病気の早期段階の治療に用いられることができる。
【0173】
一部の実施例において、錠剤は少なくとも1つの活性成分と、それぞれの圧縮又は成形用の任意の1つ又は複数の薬学的に許容される担体と、を含む。好適な実施例において、圧縮錠剤は適当な設備を用いて、粉末又は顆粒のような自由流動状態になっている活性成分と、任意に、結合剤(例えばポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えばカルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポビドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、表面活性剤又は分散剤と、を混合して圧縮することによって作られる。
【0174】
本発明の化合物または組成物は、単独投与または他の1つ以上(好ましくは1〜3)の薬物を併用して投与することができる。“併用投与”または“併合療法”とは、本発明の化合物または組成物を他の1つまたは1つ以上(好ましくは1〜3)の薬物と同時に治療対象の哺乳動物に投与することを指す。薬物併用投与する場合、各成分は同時に又は異なる時に任意の順序で異なる処に投与することができる。そのため、所望の治療効果を達するように、各成分は密接な時点で別々に投与してもよい。
【0175】
ここで、範囲は、「約」一特定値から、及び/又は、「約」別の一特定値までとして表現されることができる。このような範囲が表現された場合、他方面は1つの特定値から及び/又は他1つの特定値までを含む。同様に、これらのデータは前に「約」が付け加えられ、近似値によって表現された場合は、理解できるのは、特定値が他1つの方面を形成する。さらに理解すべきなのは、各の範囲のエンドポイントはその他のエンドポイントと顕著に関わっており且つ他1つのエンドポイントから独立している。さらに理解すべきなのは、本文には多くの値が開示され、且つ本文に開示された各々の値はこの値の自身以外に特定値と「約」に近似する値も含む。例えば、値「10」が開示された場合、「約10」も開示される。同時にこの出願においてデータは多くの異なる格式を有することも理解され、これらのデータは終点及び出発点を表し、範囲はデータ点の任意な組み合わせである。例えば、特定のデータ点「2%」及び特定のデータ点「4%」が公開された場合、より大きい、以上、より小さい、以下、2%及び4%であるは共に公開されたとみなされ、且つ共に2%〜4%の間にいる。さらに理解すべきなのは、2つの特定単位間の各の単位も公開している。用語「約」が計量を表すデータの前に現れた場合、この値は少なくとも±30%の範囲内に変化できることを指し、好ましくは±20%の範囲内、より好ましくは±10%の範囲内である。該述語が温度を表すデータの前に現した場合、該値は少なくとも±2℃の範囲内に変化できることを指し、且つより好ましくは±1℃の範囲内に変化、時間を表す場合、該値の変化程度は少なくとも15%、好ましくは10%の範囲内、より好ましくは5%範囲内にを指す。
【0176】
[抗老化剤を同定・検出・純化する方法](英文p44)
本発明は後述する各種の発見に基づくものである。
【0177】
A.栄養素信号の抑制はAMPK及び後続のミトコンドリア経路によって、酵母テロメア機能不全により誘発される細胞周期停止状態を延長する。
【0178】
A−I.栄養素シグナルの抑制は細胞周期停止状態を維持し、且つそれによって後続のテロメア機能不全により誘発される細胞死を予防する。
【0179】
各種の原因によって、出芽酵母cdcl3−lは共にテロメア機能不全の好適なモデルである。例えば、第一に、cdcl3−lpの不活化により誘発されるテロメア機能不全はテロメラーゼの不活化により通じる同じ下流の経路に通じることもできる:G2/M処に依頼されたMecl(ATM及びATR同族体)の細胞周期停止、及びその後に発生する細胞死、且つ伴った細胞サイズの増大、活性酸素種産生の劇的な増加、アポトーシスマーカー、及び半数体細胞における2N以上のDNA含量。ラパマイシンによってTORに対して抑制することは、cdcl3−lpの不活化又はテロメラーゼの不活化により誘発される細胞死を予防する。興味深いことに、ラパマイシンはcdcl3−lpの不活化によるG2/M 停止に対して影響するではなく、G2/M−停止状態を維持し、且つそれによって2N以上のDNA含量及び老化又は細胞死による悪化指標の出現を予防する(Qi,H.等,PLoS ONE,3,e3520(2008))。第二に、酵母が人体に入る過程において、テロメア構造及び機能を保留する。ヒト細胞において、テロメア機能不全はATM−/ATRに依頼する細胞周期停止を引き起こし、且つその後細胞サイズ増大、アポトーシスマーカー及び多倍体の大量の細胞死が発生する[Denchi,E.L.等,Nature,448:1068-71(2007);Shay,J.W.,等,発癌,26:867-74(2005))、これはcdcl3−l 中の状況と類似する。従って、cdcl3−lはテロメア機能不全による下流のカスケードの研究に用いられることができる。
【0180】
本発明は、酵母培養基におけるグルコースを減少する、または、200μMの2-デオキシグルコース(グルコースの一つ類似物)を培養基に添加することによって、グルコース制限を行う。これはラパマイシン処理と類似し、且つコロニー形成実験に観察されたと同様で、窒素に対して制限しても、cdcl3−lpの不活化により誘発される細胞死を予防することができる。図1Aに示すように、非許容温度(37℃)で、cdcl3−l細胞(半数体)を普通YEPD培地(1%ペプトン、2%酵母エキス及び2%グルコース)に入れて22時間培養する場合、活細胞の大量減少が引き起こされ、コロニー形成アッセイに観測された結果と同様である。しかしながら、YEPD培地におけるグルコースを減少して(2%から1%、0.5%及び0%まで)及び200μMの2-デオキシ-グルコースを2%グルコース含有のYEPD培地に添加すると、細胞死を効果的に予防することができ、グルコースが少なければ、生存細胞がより多い。また、SC−N培地(アミノ酸がない場合、0.67%酵母窒素ベース、[NH4]2SO4、2%グルコースを含み、且つ該酵母菌株に用いられる各100mg/Lのヒスチジン、ロイシン、トリプトファン及びウラシルの混合物を加える)によって窒素に対して制御を行い、細胞死も予防した(図1B)。また、濃度が0.3〜1nMの間(図1C)である時、ラパマイシンは用量依存的様式でcdcl3−l細胞死を阻止する。濃度が0.5〜1 nM間であり、細胞死を予防するラパマイシンは細胞の増殖を抑制しなかった上、反対に、それに対して少しの促進作用を有し(図1D)、これは低用量でのラパマイシンの新規機能を示唆した。図1Eはラパマイシン及びグルコース制限がcdcl3−l 細胞死を遅延することを示す。37℃で20時間培養した後の大量の細胞死と比べ、低用量のラパマイシン及びグルコース対する制限は細胞死を減速させた。37℃で60時間培養した後、細胞生存率は処理されなかった細胞と比べ、少なくとも100倍以上向上した。
【0181】
結果はさらに、ラパマイシン処理と類似するグルコース制限はG2/M−停止状態を維持し且つcdcl3−lpの不活化により誘発される後続の細胞死を予防することを説明した。図2Aに示すように、非許容温度(37℃)でcdcl3−l細胞を2時間培養した後、95%以上の細胞はグルコース制限(0.5%グルコース)及びYEPD培地含有のラパマイシン(1 nM)の存在下でG2/M期の細胞周期に入り、これは対照実験の状況と類似する。YEPD培地において、グルコースが2%から0.5%まで減少され、それによって、2N以上のDNA含量の増加を抑制し、これは、ラパマイシン処理(1nM)と同様で、細胞周期停止状態を維持することを表明した。図2Bに示すように、37℃でcdcl3−l細胞を2時間事前培養し、95%以上の細胞を細胞周期のG2/M期に進入させるが、グルコース制限及びラパマイシンの細胞生存率への予防効果を影響しない。従って、栄養素制限は、ラパマイシンによって実現されるTOR抑制と類似し、細胞周期停止状態(老化状態)を維持し、且つそれによって老化の悪化及びテロメア機能不全の発生時の細胞死を防止する。
【0182】
A−2.グルコース制限はラパマイシンを介して実現されるTOC抑制と類似し、活性酸素種の誘発を抑制し且つcdcl3−l細胞死におけるアポトーシスマーカーの出現を阻止する。
【0183】
図3Aにはcdcl3−l細胞死がROS放出の劇的な増加と関わることを示す。ラパマイシン(1nM)処理と類似し、グルコースの2%から0.5%(0.5%GIc)に減少することは、ROS増長を、同様な温度下の野生型(WT)と比較することができるレベルまで有効に低減する。図3Bは、ホスファチジルセリン(PS)に測定されたと同様に、cdcl3−lpの不活化により誘発される細胞死も増加されたアポトーシスと関わり、且つグルコース制限(0.5%GIc)またはラパマイシン(1nM)がこのアポトーシス死を効果的に抑制することを示した。
【0184】
A−3.AMPK及びミトコンドリア機能はラパマイシン及びグルコース制限のcdcl3−l細胞死への予防効果に重要な役割を果たす。
【0185】
本発明はさらにAMPKの、cdcl3−l細胞死に対する予防効果における重要な役割を開示する。図4Aは、2pの欠失(酵母AMPKの調節性サブユニットβ)がグルコース制限の予防効果を著しく抑制することを示す。また、SnfIp及びSnf4pの欠失は(それぞれ触媒性サブユニットα及び調節性サブユニットγ)ラパマイシンの予防効果を大幅に減らす(図4B)。
【0186】
本発明はさらに、その機能は、AMPK活性化及び下流のミトコンドリア生合成によって改善された糸粒体の、cdcl3−l 細胞死への予防効果に重要な役割を果たすことを開示する。すでに公開された論文(Qi,H,/Biol.Chem.,278:15136-15141(2003))に記載されるように、臭化エチジウム含有の培地に細胞を培養することによって、cdcl3−l細胞においてミトコンドリア欠損変異を実現することができる。図5Aは、糸粒体欠損がグルコース制限及びラパマイシン(1nM及び5nMで)の予防効果を著しく消去することを示す。ミトコンドリア質量の増加を測定することによっても、グルコース制限(0.5%グルコース)およびラパマイシン(1nM)はミトコンドリア生合成の上方調節を実現することを説明した(図5B及び図5C)。
【0187】
図6は上記の結果の要約を示す。糸粒体はテロメア機能不全により誘発される増殖停止状態を維持することにおいて重要な役割を果たし、且つグルコース制限及びラパマイシンによって実現されるTOR抑制は、AMPK活性化によってミトコンドリア機能を刺激し、それによって老化の悪化及び後続の細胞死を予防する。
【0188】
B.同様に、低用量のラパマイシン、グルコース制限及びAMPK活性化因子はミトコンドリア機能を刺激し、且つ第一のヒト線維芽細胞における老化を延長する。
【0189】
本発明はCR又はラパマイシンも老化を延長し、且つヒト細胞おいてテロメア機能不全により誘発される細胞死を阻止することを開示する。第一のヒト胚性肺線維芽細胞WI−38が採用された。これら細胞はテロメラーゼ活性が欠乏し、且つ通常はルーチン(定法)の培養条件下で、第31回の継代する時に複製能を達し、それによってテロメア機能不全を表す。第29回の継代する時に細胞は50pMラパマイシンで処理を行った。処理は10日を1つの周期とし、そのうち3日は投与し、7日は投与しない(3日−on/7日−off周期とも呼ばれる)。細胞は第31回の継代する時に分裂が停止し(顕微鏡下で測定)、且つラパマイシンの存在か否かに関わらず、共に老化状態が現れ、これは1mg/mLのX−gal、40mMのクエン酸/リン酸ナトリウム、pH=6.0の5mMフェロシアン化カリウム、5mMのシアン化カリウム、150mMのNaCl、及び2mMのMgCl2を含む緩衝液で、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルβ-D-ガラクトシド(X−gal)を使用してサイトゾルβ-ガラクトシダーゼ活性に対して測定することによって実現される。サイトゾルβ-ガラクトシダーゼ活性の増加によって、老化細胞が青色に染色された(白黒写真で濃い灰色として示されている)。図7は、老化状態になっていた56日後、DMSO対照には大量の細胞消失が発生されることを示す。50pMラパマイシンが細胞消失に対して強い抑制作用を発生する。老化指標が依然存在しており且つ細胞増殖が観察されなかったため、ラパマイシンは細胞に対して転化しなかった。また、培養基(0.4%から0.2%まで)にグルコースを減らしまたは2-デオキシグルコース(12.5μM)を添加することも老化細胞の消失を予防する(図7)。
【0190】
酵母に観察された状況と類似し、AMPKもヒト細胞におけるラパマイシンまたはグルコース制限に媒介されるテロメア死の予防に重要な役割を果たす。図7に示すように、AMPK特定の活性化因子5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミド-1-beta−D−リボフラノシド(AICAR、250μM)(投与方式:10-日を1つの周期とし、毒性を防止するように、2-日AICAR、8-日投与せず)で処理を行い、WI−38老化細胞の減少を防止する。また、ウエスタンブロット法に観測されたように、ラパマイシン(50pM)はAMPKキナーゼ活性を活性化し、ウエスタンブロット法はThrl72(データが図示せず)処のリン酸化AMPKを測定することに用いられる。また、低用量のラパマイシン、2-デオキシグルコース、グルコース制限及びAICARはミトコンドリア質量を増加し且つ人体内のミトコンドリア機能を刺激する(図8及び図10)。低用量のラパマイシンはヒト線維芽細胞(図8A)及びリンパ芽球様 L40細胞(データが図示せず)においては共にミトコンドリア質量を増加する。低用量のラパマイシンが線維芽細胞及びL40細胞においても、ミトコンドリア膜電位を増加し且つROSレベルを減らす(図8B、図8C、データは示さず)。
【0191】
意外なのは、図9Aに示すように、低用量のラパマイシン(10pM〜100pM)のみWI−38老化細胞の減少を阻止することができる。反対に、ラパマイシンは濃度が500pMより高い時に、細胞消失を促進する。例えば、25pMのラパマイシンは細胞消失を阻止する(図9A)が、細胞増殖を抑制しない(図9B)。反対に、集団倍加に測定されたように、複製能を5.12から6.8までに増加する。また、低用量のラパマイシン(50pM及び100pM)はキー老化タンパク質p53、p21及びpRBのレベルを増加するが、高用量(2000pM)のラパマイシンは増加できない(図9C)。また、低用量のラパマイシンのみ、ヒト細胞におけるミトコンドリア質量及び膜電位を増加し、且つ活性酸素種レベルを下げることができ、10nMのラパマイシンがこの効果を失った(図8)。従って、低用量のラパマイシンの機能が治療量の機能と違っており、細胞周期G1期のタンパク質翻訳及び細胞増殖を抑制することではなく、ミトコンドリア機能を刺激し、且つ老化の悪化を予防する。
【0192】
要するに、1)酵母の人体に入る過程において、老化細胞における細胞周期停止状態に対して維持することを保留する;2)CR、グルコース制限又は低用量のラパマイシンがAMPKを介してミトコンドリア機能に対して刺激し、老化を延長し、且つそれによって後続の細胞死を抑制する;及び、3)ヒト細胞における老化状態を維持する方面において、低用量のラパマイシンのみが、カロリー制限を模倣する。
【0193】
C.いくつかの抗老化及び癌化学予防剤はミトコンドリア機能を刺激し、且つ酵母とヒト細胞における老化細胞の減少を抑制する。
【0194】
本発明は多くの加齢に伴う病気を予防でき、共にミトコンドリア質量を増加し且つ老化を延長することができる、2種の既知の薬剤、すなわち緑茶抽出物(GTE)及びブドウ種子エキス(GSE)におけるEGCGを開示する。
【0195】
報告によると、GTEは各種の癌を予防することができる(米国特許第7,192,612号と第7,384,655号、及び米国特許公報第20040142048号と第20040047921号、及びShimizu, M.等, Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev.,17:3020-3025(2008);Nakachi,K.等,Jpn.J.Cancer Res.,89:254-261(1998))。没食子エピガロカテキン(EGCG)がGTEの最も効果的な成分である。報告によると、EGCGは線虫の寿命を延長することができ(Abbas,S.及びWink, M.,Planta.Med.,75:216-221(2009))、その他の報告によると、それはアミロイド前駆体タンパク分裂に対して調節を行い且つアルツハイマー病にかかる形質転換マウスの脳のアミロイドーシスを減少し(Rezai−Zadeh,K.等,J.Neurosci.,25(38):8807-8814(2005))、ラットの瞬間中大脳動脈閉塞後の脳損傷を予防する(Choi,Y.B.等,Brain Res.,1019:47-54(2003))、分離されたラット心臓において、ミトコンドリアK (ATP)チャンネルの活性化によって心筋細胞の虚血/再かん流によるアポトーシスを防止し、且つ梗塞のサイズを減少する (Townsend, P.A.等,FASEB J.,18:1621-1623(2004); Song, D.K.等,J.Korean Med.ScL,25(3):380-386(2010))。また、さらに、それは分離された膵島においてアポトーシスを予防し(Hara,Y.等,J.Hepatobiliary Pancreat.Surg.,14:493-497(2007))、多発性低用量のストレプトゾトシンにより誘発されるマウス自己免疫性糖尿病を予防することができ(Song,E.K.等,Arch.Pharm.Res.,26:559-563(2003))、ヒトシェーグレン症候群のマウスモデルにおける自己免疫症状を減少し(hsu,S.D.等,Autoimmunity,40:138-147(2007))、且つラットモデルにおいてセレンにより誘発される白内障の形成を予防する(Gupta,S.K.等,Ophthalmic Res.,34:258-263(2002))。興味深いことに、EGCGはさらにAMPKを活性化する(Huang,C.H.等,Mol Nutr.Food Res.,53(9):1156-1165(2009))。
【0196】
GSEも癌予防活性を持つことが示された(米国特許出願第20040047921号及び20050013880号)。例えば、没食子酸は、GSEの主要な成分として、TRAMPマウスモデルにおいて前立腺癌が晩期段階に進行することを緩め(Raina,K.等,Cancer Res.,67:5976-5982(2007))、且つGSEはさらにNNKにより誘発される前癌ヒト乳房上皮細胞MCFlOAの発癌を予防する (Siriwardhana, N.等, Breast Cancer Res.Treat.,109:427-441(2008))。また、GSEはエストロゲン欠失した動物モデルにおける動脈圧及び食塩感受性高血圧を減らすことができることを示した(review by Carlson,S.等,Gend.Med.,5 Suppl.A,S76-90(2008))。それはさらに、ヒト表皮の三次元組織培養モデルにおいてUVBによる皮膚損傷を効果的に予防することができ(Tomaino,A.等,Toxicol.In Vitro.,20:1395-1402(2006))、アルツハイマー病のマウスモデルにおいてAβオリゴマー形成を予防し且つ認知悪化を弱め(Wang,J.等,J.Neurosci.,28:6388-6392(2008))、マウス及びハムスターにおいて高脂肪食による肥満症を予防し(Park, S.H.,等,Nutr.Res.Pract,2:227-233(2008);Decorde,K.等,Mol.Nutr.Food Res.,53:659-666(2009))、ラットモデルにおいて老化による酸化損傷のDNAの脊髄及び大脳における蓄積を抑制し(BaIu, M.等,Brain Res. Bull.,68:469-473(2006))、及び老化の間に赤血球膜完全性のを維持する(Sangeetha,P.等,Exp. Gerontol.,40:820-828(2005))。
【0197】
図10に示すように、250μg/mLのGSE及びGTEからの50μg/mLのEGCGは共にヒト細胞におけるミトコンドリア質量を増加した。例えばリンパ芽球様L40細胞。それらはさらに酵母及びヒト線維芽細胞WI−38におけるテロメア死亡を予防する(図11及び図7)。
【0198】
図10は多くの癌化学予防剤、例えば、10μMのLY294002(PI3K阻害剤)、2μMのジアリルトリスルフィド(DATS)、1μMのベンジルイソチオシアネート(BITC)、1μMのフェニルイソチオシアナート(PITC)、2μg/mLのレスベラトロール(RSV)と0.03μMのリコピン、6.7μMのイソチオシアン酸フェネチル(PEITC)、1μMのイソチオシアン酸アリル(AITC)、5mMのシリビニン、1.25mMの亜セレン酸塩(Na2SeO3)、2.5mMのゲニステイン、及び3mg/mLのビルベリー抽出物、がヒトリンパ芽球様細胞におけるミトコンドリア質量を増加することを示す。図7及び図11は、イソチオシアン酸フェネチル(PEITC)、 シリビニン、亜セレン酸塩(Na2SeO3)、ゲニステイン、及びビルベリー抽出物を含む多くの癌化学予防剤の、酵母及び/又はヒト細胞におけるテロメア死への各種程度の保護作用を示す。
【0199】
D.多くの加齢に伴う病気または障害が糸粒体又は/及びテロメアの機能不全に関わり、且つ低用量のラパマイシンは動物モデル又は組織培養モデルにおいて複数の加齢に伴う病気または障害を予防する。
【0200】
癌。
ほとんどの癌細胞はミトコンドリア機能不全を示す。この現象がワーブルグ効果と呼ばれ、すなわち癌細胞において、60%にも達するATPが好気条件下で解糖によって生成され、一方、正常細胞において、多数のATPがミトコンドリア酸化的リン酸化によって生成される。発癌性転化は酸化的リン酸化を抑制し且つ解糖を増加でき、腫瘍抑制タンパク質p53は酸化的リン酸化に対して上方調節し且つ解糖に対して抑制することがすでに示された。しかしながら、影響を受けたミトコンドリア機能が癌の原因か結果かはまだ明確されなかった。
【0201】
既知なのは、テロメアが徐々に短縮するため、テロメア機能不全は年代に依存しており、且つテロメア機能不全により誘発される老化を維持することは加齢性癌の進行を予防するキー機序である。癌遺伝子活性化及び変異原により誘発される老化もDNA損傷応答により、テロメア機能不全と同様であるため、老化維持は各種の癌を予防する内在機序である。
【0202】
本発明はミトコンドリア機能が老化を維持するに好適な役割を果たすことを開示する。従って、ミトコンドリア機能は老化を維持することによって癌を予防する方面においては重要であり、且つ影響を受けたミトコンドリア機能は老化悪化及び癌進行を進める早期段階である。そこで、テロメア機能不全モデルはミトコンドリア機能を刺激し、老化を延長し且つ癌を予防する候補を同定することに用いられることができる。実に、多くの既知の癌化学予防薬が老化を延長し及びミトコンドリア質量を増加することができる(図7、図10及び11)。また、図7に示すように、老化を延長する低用量のラパマイシン及びAICARは、ミトコンドリア質量の減少を逆転し且つNIH3T3細胞において(図12及び図13)変異原TPA(12-0-テトラデカノイルホルボール13-アセタート)により誘発される腫瘍形成を予防する(実施例15を参照)。
【0203】
神経変性疾患。
広範囲な研究にもかかわらず、神経変性疾患の機序が不明である。ミトコンドリア機能不全は疾患に役割を果たすかもしれない。原因はPakin(パーキンソン病に関わる)、Huntintin(ハンチントン病に関わる)及びアミロイド-β(アルツハイマー病を引き起こす老人斑)は共にトコンドリア機能に関与することにある。最近の研究も自食作用(タンパク質分解)がこれら疾患で役割を果たすことを示唆する。
【0204】
本発明は、高用量のラパマイシンではなく、低用量のラパマイシンが活性酸素種レベルを下げ、培養におけるラット小脳顆粒神経細胞(CGN)細胞の寿命を延長し(図14A及び図14B)且つラット脳卒中モデルにおいて小脳梗塞による脳損傷を予防する(図15A及び図15B)ことを開示する(実施例16-18を参照)。ラパマイシンは低用量でさらに200μM MPP+により誘発される活性酸素種レベルを下げ、一方、MPP+はドパミン作動性の神経毒素であり、マウスモデルにおいてパーキンソン病を引き起こすことができる(図16)。また、報告によると、神経変性疾患を予防又は治療できるEGCGはさらに老化を延長することができる(図7及び図11)。従って、低用量のラパマイシン及びEGCGは有糸分裂後と老化細胞の寿命を延長することがてき、GO期の有糸分裂後の神経細胞の維持はGO期の老化細胞と類似する機序を有することを表明した。そこで、一つ態様において、本発明は以下の発見に基づくものであり、老化モデルは神経変性疾患を予防する薬剤候補の同定及び検出に用いられることができ、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、及びハンチントン病を含むが、それに限定されない。
【0205】
心不全、アテローム性動脈硬化症及び心筋梗塞
テロメア機能不全が慢性心不全に重要な役割を果たすことが示された。さらに、培養された心筋細胞において、TRF2機能を干渉することはテロメア浸食及びアポトーシスを引き起こすことが示された。逆に、外因性TRF2が保護され、酸化的ストレスを防止することができるが、それによって、例え有糸分裂後、非周期細胞においても、依然テロメア機能不全によって細胞死を発生することができることを表明した(Oh,H.等,Proc.Natl.Acad.ScL USA,100:5378-5383(2003))。体内において、第5代TERC−欠損マウス(G5TERC−KO)(TERC遺伝子コード化テロメラーゼRNAの欠損によるテロメラーゼ変異体モデル)は心筋細胞における短いテロメア、心筋心室拡張、心筋の薄化、心臓の機能不全、及び突然死を著しく表した。G5TERC−KOマウスの心臓試片は、野生型マウスに比べて、DNA損傷応答タンパク質p53の発現が増加され、アポトーシスが増加され、及び左心室筋細胞数が50%減少されることを示した(Leri,A.等,EMBO J.,22:131-139(2003))。
【0206】
アテローム性動脈硬化症は通常動脈硬化または動脈の垢を指し、これは動脈内に大量の斑の形成によって引き起こされる。動脈アテローム性の刺激による血管内皮細胞(ECs)の機能不全は、アテローム性動脈硬化症の病因に対して非常に重要である。ヒトのアテローム性動脈硬化症病変組織にはすでに加速させたテロメア浸食及び早老が観察され(Ogami,M.等,Arterioscler.Thromb.Vase.Biol.,24:546-550(2004);Minamino,T.等,Circulation,105:1541-1544(2002))、これは年代に依存したテロメア浸食によるECの機能不全又は減少は斑の形成の早期ステップであるかもしれないことを表明する。
【0207】
冠状動脈アテローム性硬化は心筋梗塞(MI、普通に心臓発作と呼ばれる)を引き起こす冠循環の閉塞に至る。MIは有糸分裂後の心筋細胞の消失、不適応な再構成、心収縮機能不全及び最終の鬱血性心不全を引き起こす。
【0208】
本発明は低用量のラパマイシンが(10μg/kgで、100μg/kgではない)ラットモデルにおいて心筋虚血性梗塞を著しく減らすことを開示する(図17及び実施例19)。また、報告によると、AMPK活性化因子メトホルミンもマウスモデルにおいて心筋梗塞を減らし且つ心筋細胞に糸粒体媒介の細胞死を防止することできる(Calvert,J.W.,糖尿病,57:696-705(2008))。これら結果はTOR/AMPK/糸粒体経路の、有糸分裂後心筋細胞における重要性、老化細胞における重要性と類似する、を表明した。従って、テロメア機能不全により誘発される老化モデルは、心筋梗塞を予防又は治療する薬剤候補を選択することに用いられることができる。
【0209】
加齢性黄斑変性。
加齢性黄斑変性(AMD)は老人(>50歳)の失明の主な原因である。それは網膜色素上皮細胞(RPE)の退化から始め、且つ最終に視野の中心(黄斑)の視力喪失に至る。報告によると、テロメア浸食、ミトコンドリア機能喪失及び細胞消失が共にこの疾患と関わる(Matsunaga,H.,Invest.Ophthalmol.Vis.ScL,40:197-202(1999);Liang,F.Q.等,Exp.Eye Res.,76:397-403(2003))。そこで、ミトコンドリア機能を改善し、それによって、テロメア浸食により誘発される細胞消失を予防することは、病気の初期段階を予防又は安定化することができる。興味深いことに、50pMの低用量のラパマイシンの、この疾患を治療する用途に対しては、すでに特許を出願した(米国特許第7,083,802号)。従って、テロメア機能不全により誘発される老化モデルは、AMDを予防又は治療する薬剤候補の選択に用いられることができる。
【0210】
変形性関節症。
変形性関節症(OA)の特徴は関節軟骨の進行性消失であり、老人個体群における最もよく見られる慢性の関節疾患であり、著しい疼痛及び身体障害を引き起こす。軟骨細胞の機能は適切な軟骨基質の維持にとって必要である。テロメア機能不全、ミトコンドリア変異及び軟骨細胞におけるアポトーシス式の細胞死はOAと関わることがすでに示された(Martin,J.A.等,J.Bone Joint Surg.Am.,85−A Suppl.2:106-110(2003); Ruiz−Romero,C等,MoI.Cell Proteomics.,8:172-189(2009);Dave,M.等,関節炎Rheum.,58:2786-2797(2008))、これは、軟骨細胞におけるテロメア機能不全による細胞消失が潜在の疾患発症の機序になっていることを表明する。そこで、ミトコンドリア機能を改善して、それによってテロメア機能不全により誘発される細胞消失を予防するのは、疾患の早期を予防又は安定させることができる。従って、テロメア機能不全により誘発される老化モデルはOAを予防又は治療する薬剤候補の選択に用いられることができる。
【0211】
特発性肺線維症。
特発性肺線維症(IPF)は慢性の進行性間質性肺疾患であり、特徴は肺間質の線維性組織の異常及び過剰沈積にある。該疾患は通常50歳以上年齢の患者に発生する。最近、テロメラーゼの変異が成人発症の肺間質線維症に至り(Tsakiri,K.D.等人,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,104:7552-7557(2007))、且つ短いテロメアがIPFと関係がある(Alder,J.K.等, Proc.Natl.Acad.Sci.USA,105:13051-13056(2008);Armanios,M.Y.等,N Engl.J.Med.,356:1317-1326(2007))ことが示された。証明によると、肺上皮細胞における糸粒体及びアポトーシスがIPFと関わる(Kuwano,P.,Intern.Med.,47:345−353(2008))。これらの結果はテロメア機能不全による肺上皮細胞の減少は加齢性のIPFの初期起因であるかもしれないことを表明する。そこで、ミトコンドリア機能を改善し、それによって肺上皮細胞におけるテロメア浸食より誘発される細胞減少を予防することは、病気の初期段階を予防または安定化させる可能性がある。従って、テロメア機能不全により誘発される老化モデルはAMDを予防又は治療する薬剤候補の選択に用いられることができる。
【0212】
皮膚の老化。
線維芽細胞の老化が皮膚老化の兆候(例えば、しわ)に好適な役割を果たす。テロメアの進行性短縮及び活性酸素種又はUVによるDNA損傷の蓄積は、線維芽細胞老化及び後続の細胞消失を含む線維芽細胞老化を引き起こす。次に、線維芽細胞老化は、増殖性能減少(Mine,尾S.等,PLoS ONE,3[12]:e4066(2008);Hayflick,L./Invest.Dermatol.,73:8−14(1979))、細胞形態及び新陳代謝の変化、細胞外のマトリックスタンパク質(例えば1型及び3型膠原質)の産生の減少(Varani,J.等,Am.J.Pathol.,168:1861-1868(2006))、及び細胞外基質の退化に関わるプロテアーゼの過剰発現(West,M.D.等,Exp.Cell Res.,184:138-147(1989))を含む機能低下をもたらす。これらの体外変化は共に多少程度に加齢に伴う皮膚の体内変化と関与する。機能性のミトコンドリア個体群を維持することはテロメア短縮を遅延するだけでなく(図9B)、機能性を依然有する老化線維芽細胞の減少を予防し(図7及び図9A)、且つそれによって皮膚の老化を遅延し、及び皮膚癌を予防する。
【0213】
関節リウマチ(RA)。
機能障害性テロメア及びミトコンドリア変異がRAにおける潜在的な病原因子である。関節リウマチ患者の造血前駆細胞(HPCs)及び骨髄間葉幹細胞(MSCs)は早過ぎのテロメア短縮及び減らされた複製能を表すことがすでに表明された(Colmegna,I.等,関節炎 Rheum.,58:990-1000(2008);Kastrinaki,M.C.等,Ann.Rheum.Dis.,67:741-749(2008))。また、この疾患の主要な感受性遺伝子とするHLA−DRB1*04対立遺伝子はテロメア短縮の過程に対して調節できることがすでに表明された(Schonland,S.O.等,Proc.Natl.Acad.ScL USA,100:13471-13476(2003))。いくつかの研究も、RAにおける炎症を起こした滑膜の組成及び構造方面の一部の特徴的な変化は、滑膜細胞がすでに変化したアポトーシス応答と関わることを表明した(Korb,A.等,アポトーシス,14:447-454(2009))。また、対照に比べて、RAによる滑膜細胞のmtDNAの変異が大幅に増える(Da Sylva,T.R.等,関節炎 Res.Ther.,7:R844-851(2005))。従って、ミトコンドリア機能を改善し、且つテロメア短縮により誘発される細胞死を予防する薬剤候補を研究・開発して、この疾患の治療に用いられることができる。
【0214】
糖尿病。
糖尿病とは高血糖値を至ることができる疾患を指し、原因はインスリン産生の減少(1型糖尿病)またはインスリンの効果に対して生成した抵抗性(2型糖尿病及び妊娠期間)にある。テロメア機能不全又はミトコンドリア機能不全によって、β-細胞機能が早すぎて消失することは糖尿病の初期段階であるかもしれない。広範に受け取られる観点としては、mtDNA欠陥が糖尿病の病因の1つのよくある要因であり、且つmtDNAの再配列(Ballinger, S.W.等,Nat.Genet.,7:458-459(2004);Ballinger,S.W.等,Nat.Genet., 1:11-15(1992))及びtRNAの変異(van den Ouweland,J.M.等,糖尿病,43:746-751(1994))は糖尿病と関わる。また、マウスの膵臓β細胞において、ミトコンドリア生合成のそのうちの1つのの主要タンパク質のミトコンドリア転写因子TFAMに対して不活化を行うことは、血清インスリンの激しい減少及び空腹及び非空腹状態での血中グルコースの増加をもたらす(Koster,J.C.等,Cell,100:645-654(2000);Wallace,D.C.,Am.J.Med.Genet.,106:71-93(2001))。それ以外に、ヒト膵島におけるβ-細胞は体外においてテロメア浸食及びテロメアによる老化を受けることを表明した(Halvorsen,T.L./Endocrinol,166:103-109(2000))。そこで、ミトコンドリア機能を改善し且つテロメア浸食により誘発される細胞消失を予防することができる薬剤候補はこの疾患の予防に用いられることができる。
【0215】
上記の加齢に伴う病気はミトコンドリア悪化及び/又はテロメア機能不全に関わる実例である。さらに、この種類に属する多くの他の疾患があり、例としては、肥満、骨粗鬆症、高血圧、老年性筋肉減少症、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、加齢性の聴力損失、グレーイング、加齢性の免疫調節異常、及びテストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF−I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患を含むが、それに限定されない。従って、本発明はさらに将来に発見されるいずれかの加齢に伴う病気または障害を含む。
【0216】
要するに、本発明は糸粒体が老化細胞及び有糸分裂終了細胞(例えば神経細胞及び心筋細胞)において増殖停止状態を維持する方面に重要な役割を果たし、且つ多くの加齢に伴う病気に関わることを開示する。また、糸粒体機能不全及びテロメア機能不全も加齢に伴う病気に関わる。これらの原理は老化細胞を使用して加齢に伴う病気に対する薬剤候補を検索する根拠である。
【0217】
図18は加齢に伴う病気の機序を要約し、且つ如何にして栄養素/TOR経路を制御することによって加齢に伴う病気を予防することを説明する。つまり、糸粒体は各種の細胞及び組織における加齢に伴う病気に極めて好適な役割を果たす。神経細胞、筋細胞、心筋細胞のような有糸分裂終了後の細胞において、糸粒体が有糸分裂後の状態を維持することに用いられ、それによって細胞が改めて細胞周期に入ることを防止し及び後続の細胞死を防止する。増殖性組織において、ミトコンドリア機能に対して改善を行うことは、酸化的ストレスの減少及びそれらの複製能の増加ができる。老化に入った後、糸粒体は有糸分裂終了後の細胞におけるのように、該老化状態を維持し且つ後続の細胞消失を予防する。細胞消失は修復カスケード、例えば関節リウマチにおける炎症反応及び特発性肺線維症における線維症を引き起こすことができる。細胞消失はさらに組織の機能低下及び変性疾患、例えば骨髄不全、ニューロン変性及び心不全を引き起こすことができる。もう一つ状況において、老化悪化が腫瘍形成及び癌の進行に至る。グルコース制限を含むカロリー制限、および低用量のラパマイシンはミトコンドリア機能を刺激し、且つ各種の加齢に伴う病気を予防する。
【0218】
要するに、本発明はすでに、(i)ミトコンドリア機能が老化状態を維持する;(ii)有糸分裂後状態の維持は老化状態を維持することと類似する;(iii)CRはミトコンドリア機能によって老化及び分裂終了細胞を維持する、且つそれによって、老化モデルはミトコンドリア機能を刺激する、及び各種加齢に伴う病気を予防する候補を同定することに用いられることができる;(iv)多くの癌化学予防薬、グルコース摂取阻害剤及びAMPK活性化因子は共に老化を延長することができ、このように加齢に伴う病気を治療するための薬剤候補として開発されることができる;及び(v)CRの模倣体としての低用量のラパマイシンが老化細胞及び有糸分裂終了後の細胞を維持することができ、且つ癌、脳卒中による脳損傷、心筋虚血性梗塞、及びその他の加齢に伴う病気又は表現型を予防することができることを開示した。
【0219】
最近、優先権を主張する該仮出願を提出した後、いくつかの研究者により、治療量のラパマイシンはさらにタンパク質翻訳の抑制及び分解(自食作用)刺激によって老化及び加齢に伴う病気に対して一定の効果を有することを報告した。例えば、報告によると、治療量のラパマイシン(7.5mg/kg)はマウスモデルにおいてタンパク質翻訳抑制によってパーキンソン病に対して効果的な作用を有し、特にRTP8O1/REDD1/Ddit4タンパク質に対して、該タンパクはパーキンソン病患者の影響された神経細胞から誘導され、且つ神経細胞死を引き起こす(Malagelada, C等,J.Neurosci.,30(3):1166-1175(2010))。もう一つの報告は、治療量のラパマイシン(2.24 mg/kg)はアルツハイマー病のマウスモデルにおいて、自食作用によって認知障害を改善し且つAβ 及びtau タンパク病理を改善したことを称した(Caccamo,A.等,J.Biol.Chem.2010年2月23日)。また、さらに、寿命に対するCRの延長効果(約30〜40%)と比べ、治療量のラパマイシンの、マウス及びミバエの寿命に対する延長効果がより少ない(約10%)(Harrison,D.E.等, Nature,460(7253):392-395(2009))。興味深いことに、ラパマイシンのこのようにミバエの寿命を延長することはAMPK/ミトコンドリア経路を経由することではなく、タンパク質翻訳の抑制及び/又は自食作用刺激によるものである(Bejdov,I.等,Cell Afetafe.,11[1]:35-46(2010))。
【0220】
これら結果は、治療量のラパマイシンはタンパク質翻訳/増殖の抑制及び自食作用の刺激によって、いくらかの加齢に伴う病気と寿命及び寿命延長に対して一定の機能を果たすことができることを表明した。しかしながら、各種の副作用のため、治療量のラパマイシンを加齢に伴う病気を予防することに長期使用することが適切ではない。他方、Crの模倣体とする低用量のラパマイシンは(事実上、形成する副作用が非常に少ないため、CRより優れている)、AMPK/ミトコンドリア経路を通じて、老化及び加齢に伴う病気を予防することに用いられることができ、一方、前記治療量のラパマイシンを使用することに比べ、低用量のラパマイシンはより各種の明らかな利点、例えばより高い有効性及びより小さい副作用を有する。
【実施例】
【0221】
<EXAMPLES>(英文p58)
A.テロメア機能不全モデルを使用してハイスループット・スクリーニングを行って加齢に伴う病気を予防又は治療する抗老化候補を同定及び検出する。
【0222】
本発明の一つの態様において、酵母テロメア機能不全モデルcdcl3−lを使用してハイスループット・スクリーニングを行い、加齢に伴う病気の予防又は治療ための有用な抗老化剤を発見する。cdcl3−lモデルがすでによく研究され、一旦cdcl3−lpが不活化された後、直ちにG2/M期細胞周期停止及びその後の細胞死亡が発生する。このモデルを使用することによって、本発明はテロメア機能不全による細胞死を予防することができる候補を同定する速い方法を提供する。その他の、テロメア機能不全を有し、且つ快速な成長停止及びその後の細胞死を表すモデルも使用することができ、例えば、Stnlp(酵母におけるキャッピングテロメア)及びCdcl7p(酵母DNAポリメラーゼの触媒サブユニットにおけるα-プライマーゼ複合体)におけるstnl−1、cdcl7−l及びcdcl7−2温度感受性変異株。また、テロメア機能不全及びアポトーシスを示す酵母細胞も使用することができ、Estlp、Est2p、Est3p、Hdflp、Hdf2p又はcdcl3−2変異体における変異を含むが、それに限定されない。WI38ヒト第一の線維芽細胞はヒトテロメア機能不全モデルであり、薬剤候補を確認又は検出することに用いられることができる。以下、(実施例1〜実施例6)は、cdcl3−lモデルを使用する。
【0223】
[実施例1] 細胞生存アッセイを用いてcdcl3-lモデルにおける細胞死を予防する薬剤を同定すること(図19に示すように)
【0224】
cdcl3-lモデルにおいてミトコンドリア機能を改善し、細胞周期の停止状態を延長し、且つ細胞死を予防する化合物又は組成物をハイスループット・スクリーニングするため、cdcl3-l細胞が−80℃の保存条件から活性化され、まず新鮮なYEPD又は酵母完全培地(YC)平板培地に画線し、その後単一のコロニーが形成するまで許容温度(約24℃)で3〜5日培養する。複数の酵母コロニーを選択して同様な液体培地に入れて許容温度(24℃)で一夜培養して、その後、新鮮な培地で一夜の培養物を1:2〜1:20に希釈する(cdcl3-l菌株に対して、最適は約1:10である)。
【0225】
酵母細胞液を96穴の平板培地又はいずれかの適切な平板培地に分注する。対象化合物又は組成物、例えば、H2O、DMSO(ジメチルスルホキシド)又はその他の有機溶媒で段階希釈された薬物、化合物、ペプチド・ライブラリー又はその他のライブラリーが、細胞混合物の総体積の5%より小さい体積で細胞に加えられる。この混合物において、対応する溶媒を添加するのは陰性対照とし、同じ溶媒に1nMラパマイシン溶液を含むのは陽性対照とする。酵母細胞を非許容温度(約37℃)で2日、又は陰性対照の生存細胞が検出されないまで培養する。
【0226】
小さい体積の細胞(例えば、5μl)を取って事前に準備した寒天平板培地の他1つの96穴又はいずれか他のパターンの平板培地(細胞はさらに希釈してから移すことができる)に移し、許容温度(約24℃)で平板培地を少なくとも3日、又は陽性対照にコロニーが形成するまで培養する。コロニー形成を促進する化学物質は第一の候補とみなされる。また、数マイクロリットル(μl)の細胞をYEPD液体培地の他1つの96穴の平板培地又はいずれか適切なパターンの平板培地に移し、平板培地を許容温度(約24℃)で培養する、OD595(595nmでの吸光度)を例えば1日1回、周期的に読み取る。陰性対照に比べ細胞密度を増やすことができる化学物質が第一の候補とみなされる。図19はこの方法を説明する。
【0227】
実施例2及び実施例3にアポトーシスアッセイ及び活性酸素種アッセイにより第一の候補を確認することがそれぞれ記載されている。第一の候補薬物がG1期に細胞増殖を抑制するか否かは、図1に示される許容温度下の生長曲線のモニタリング及び図2Aに示されるFACS分析装置で分析したDNA含有量の分布によってさらに測定することができる。候補によって変異細胞が形成され、それによって、非許容温度下でコロニーが形成する可能性を防止するように、cdcl3−l細胞は候補薬物と一緒に約37℃で培養してコロニーを形成させることができる。もう1つの重要な方面は、候補はミトコンドリア機能の改善、及び老化哺乳類の細胞(例えばWI38線維芽細胞)の細胞消失の抑制の可能性が測定され、それらの特定の加齢に伴う病気の予防の有効性は特定の疾患モデル、例えば、腫瘍形成の抑制の可能性、及び/又は動物モデルにおける脳梗塞サイズの縮小の可能性、によって測定される。
【0228】
ハイスループット・スクリーニングに適切な平板培地の種類としては、384穴の平板培地を例として挙げられるが、それに限定されない。また、この方法は、候補の検出及び確認するための他種類の平板培地、例えば6穴の、12穴の平板培地などにも適用され得る。
【0229】
[実施例2] アポトーシスマーカーでcdcl3−l細胞死を予防する薬剤を同定すること
【0230】
cdcl3−l細胞死はアポトーシスマーカーが現れる。実施例1の細胞生存実験より必要な時間が短いため、この特徴をハイスループット・スクリーニングに用いることができる。これは実施例1のハイスループット・スクリーニングから同定された陽性候補の確認にも用いられることができる。また、該実験はアポトーシスを抑制する薬剤のスクリーニングにも用いられることができる。
【0231】
非許容温度(約37℃)で1日(約18〜24時間)培養した後、cdcl3−l細胞及び化合物はFITC−conjugated z−VAD− FMK(活性化カスパーゼのみを結合する自殺基質)、又はその他の適切なアポトーシスの検出薬剤を用いて暗闇で20分染色された。細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で一回洗浄して、平板が蛍光マイクロプレートリーダーにより読み取られた。細胞死によって、陰性対照群(細胞にスクリーニングされた化合物又は組成物がない)は高いFITCシグナルを有し、FITCシグナルを減少する化合物又は組成物が陽性又は第一の候補と認められる。それらは実施例1の細胞生存実験によって確認されることができ、さらにROSの減少及びミトコンドリア機能の改善における能力が測定された。これら活性はこれからヒトテロメア機能不全モデル、例えば、WI−38老化細胞でも測定する。癌及び他の加齢に伴う病気を予防するそれらの活性がさらに適切なモデルで試験される。
【0232】
アポトーシスマーカーとして、ホスファチジルセリンフリッピングを測定するアネキシン−V結合定量法はすでに図3Bにおいて説明され、これはハイスループット・スクリーニングにも用いられることができる。
【0233】
[実施例3] ROS(図20に示すように)を測定することにより、cdc13−1細胞死を予防する薬剤を同定すること
【0234】
cdcl3−lの細胞死は劇的高いROSレベルを示す。このような特徴はcdcl3−l細胞死を抑制する分子の発見に用いられることができる。ROS測定法は実施例1の細胞生存実験と比べ、必要な時間が少なく、ハイスループット・スクリーニングに用いられることができる。これは実施例1及び実施例2のハイスループット・スクリーニングから同定された第一の候補の確認にも用いられることができる。また、このアッセイが酸化防止剤のスクリーニングにも用いられることができる。
【0235】
図20はこの過程を説明する。非許容温度(約37℃)で1日培養した後、処理された細胞はデヒドロローダミン123(又は他の適切なROS検出試薬)を用いて暗闇で約1時間染色された。蛍光マイクロプレートリーダーにより平板培地を読み取る。陰性対照(細胞にスクリーニングされた化合物又は組成物がない)は細胞の死亡において高いレベルのROSを放出する。ROSを減らす化合物又は組成物は第一の候補と認められ、さらに細胞死の予防及びミトコンドリア機能の改善が酵母及びヒトモデルにおいて測定された。癌、ニューロン変性及び他の加齢に伴う病気又は老化症状を予防するそれらのの活性がさらに適切なモデルで試験される。
【0236】
[実施例4] ミトコンドリア集団の測定によって、テロメア機能不全モデルにおける老化細胞の悪化を予防する薬剤を同定すること
【0237】
cdcl3−l細胞死に伴ってミトコンドリア集団(mito mass)の劇的な増加が発生する。このような特徴はcdcl3−l細胞死を抑制する分子の発見に用いられることができる。ミトコンドリア集団アッセイは実施例1に記載された細胞生存実験に比べ、必要な時間が少なく、ハイスループット・スクリーニング、及び実施例1、2及び3に記載されているハイスループット・スクリーニングからの陽性候補の同定にも用いられることができる。
【0238】
非許容温度(約37℃)で1日培養した後、処理されたcdcl3−l細胞はMitoTracker Green FM(又はいずれの適切なミトコンドリア集団染色剤)を用いて暗闇で20分染色された。蛍光マイクロプレートリーダーにより平板培地を読み取る。死亡細胞はより多くの、膜電位を失った悪化されたミトコンドリアを含有するため、ミトコンドリア集団染色が劇的に現れる。ミトコンドリア機能を改善し、細胞の死亡を防止する化合物又は組成物は、ミトコンドリアの悪化を減らし、ミトコンドリア集団シグナルを減少できるため、陽性候補と認められる。陽性候補はさらに老化の遅延能力の測定が酵母及びヒトモデルにおいて行われる。
【0239】
[実施例5] DNA又は核酸ライブラリーから老化細胞の死を予防する生物分子を同定すること
【0240】
ここではLi−PEGトランスフェクション法を例として挙げるが、その他のトランスフェクション法も用いられることができる。対数期の新鮮な酵母細胞(cdcl3−l)を蒸留水で十分に洗浄して、その後DNAライブラリー又は核酸ライブラリーと一緒にトランスフェクション緩衝液(2mM TRIS pH7.5、100mM LiAC、0.5mM MgAC2、0.1mM CaAC2、15%グリセロール、40%PEG−4000,24 ug/mL ss DNA)に、24℃で1〜4時間培養する。約42℃でこの混合物を15分熱ショックして、さらに3倍の体積の富栄養培地YEPDを加えて、室温(約24℃)で1時間の培養を行う。遠心分離して液体を除去した後、細胞を蒸留水H2Oに浮遊させて、その後特定のライブラリーの要求に基づいて選択する培地平板に画線する。許容温度24℃で少なくとも4日培養した後、転換体コロニーが得られて且つ許容温度(約24℃)で液体培地に培養され、対数期における細胞を非許容温度(約37℃)に移されて2日培養され、cdcl3−lpの不活化によって細胞死を誘発させる。この細胞を適切的に希釈し、YEPD培地に画線して、約24℃で4日以上、または生存細胞がコロニーを形成するまで培養する。各のコロニーが単独に取られ、DNAがそれぞれのコロニーからそれぞ分離され、PCR(DNAポリメラーゼ連鎖反応)によって増幅されて且つ配列されてDNAシーケンスを同定する。精製したDNAを改めてcdcl3−l細胞に導入することによって、不活化により誘発される細胞死を予防することができるDNAが確認される。陽性DNAはさらに、老化ヒト線維芽細胞の悪化の予防及びミトコンドリア機能と酸化的ストレスの調節の測定が行われる。
【0241】
[実施例6] 破壊又は遺伝子欠失ライブラリーから細胞死を促進することができるタンパク質を同定すること
【0242】
テロメア機能不全によって発生された細胞死を促進する機能を有するタンパク質をスクリーニング又は同定するため、遺伝子破壊ライブラリー、例えば酵母トランスポゾン挿入ライブラリーをcdcl3−l菌株に導入することができる。あるいは、cdcl3−lを酵母欠失菌株ライブラリーに導入することができ、そのうち、いずれの菌株も特定の遺伝子欠失を有する。欠失又は破壊がcdcl3−lpの不活化により誘発される細胞死を予防できるタンパク質は候補と認められる。
【0243】
[実施例7] 哺乳類の細胞においてミトコンドリア生合成を刺激する薬剤を同定すること
【0244】
この実験はヒト細胞を直接使用できる。細胞系が加齢に伴う特定の病気に基づいて選択される。96穴平板培地における細胞を約1日処理し、ミトコンドリア膜電位の影響を消去するようにエタノール(最終約60%)で固定し、その後、MitoTracker dye(インビトロジェン)で染色を行い、蛍光信号が蛍光プレートリーダーによって読み取られた。対照と比べ、20%以上のミトコンドリア蛍光信号増があるのは陽性と認められ、陽性はさらに、cdcl3−l及びWI−38モデルにおいてテロメア機能不全によって誘発される細胞消失の阻止、及びミトコンドリア膜電位とROSレベルにおける効果が測定される。
【0245】
ミトコンドリア生合成を刺激する候補物をスクリーニングする他の1つの方法は、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(すなわちqRT−PCR)を使用することによってミトコンドリア生合成の転写因子が発現上昇したか否かを測定する。ミトコンドリア生合成の転写因子は、TFAM、NRF−I、NRF−2、PGC−lα、PGC−lβ、TFBlM、TFB2M、ERRs(ERRα、ERRβ、ERRγ)、PRC、POLRMT、PPAPs(PPApa,PPAPγ、PPAPδ)、及びRIP140を含む。ここではTFAMが例として挙げられ、好ましくはヒト初代細胞を使用する。WI−38細胞を96穴の平板培地(又は他のパターンの平板)に接種して、化合物ライブラリーと所望の時間(例えば約18時間)を培養する。細胞をPBSで洗浄して及びTaqMan Gene Expression Cells−to−CT Kit(Applied Biosystems)で平板に溶解させて、DNAを除去することができ、細胞溶解液にRT−PCRを行わせる。細胞溶解液をQiageneのonestep qRT−PCRキット及びQuantiFastマルチプレックスRT−PCRで1つの新しい96穴の平板培地に希釈する。TFAMのプライマー・プローブセット
ACAGCTAACTCCAAGTCAGATTATGTC−3’及び
5’−GTAGACACTTGAGACT AACAACCGT−3’、
並びに、βアクチン(対照群)のプライマー・プローブセット
5’−CAAAGACCTGTACGCCAACACAGT−3’及び
5’−TTGCTGATCCACATCTGCTGGAAG5−3’
は、50pMラパマイシン及びその他の薬剤によるTFAM mRNAの向上を測定するのに成功裏に使用されてきたものだが(データ示さず、Fu X, et al,PLoS ONE,3(4):e2009,2008参照)、これらもまた使用され得る。TFAM mRNAを約2倍増加させることができる化合物又は組成物は陽性と認められ、さらにcdcl3−l又はWI−38テロメア機能不全モデルにおいて老化維持が測定される。
【0246】
[実施例8] 化合物又は組成物のWI−38線維芽細胞における老化減少を予防する活性の試験
【0247】
以下のような場合があり、既知の薬物、天然エキスもしくは天然物、既知のペプチド、または酵母モデルにおけるライブラリースクリーニングから得られた候補物である化合物又は組成物は、抗老化効果があるか否かはヒト細胞において測定される必要がある。これらの実験は図7に示されるように、ヒトのWI−38線維芽細胞を用いて完成される。
【0248】
[実施例9] cdcl3−l酵母細胞を使ってラパマイシン及びその誘導体の抗老化生物濃度を決定すること
【0249】
一部の場合、抗老化生物活性ラパマイシンの量又は濃度、例えば、異なるロットで精製されたラパマイシン、精製過程におけるサンプル、粗抽出液、投与後血液、組織におけるラパマイシン又は化学修飾ラパマイシン誘導体など、を確定する必要がある。各種の源のラパマイシンの抗老化生物活性を確定するため、ラパマイシン含有材料が適切な溶媒で要求に応じて階段希釈(例えば、3倍又は10倍の階段希釈)される。5%培養総体積より小さい希釈物は、YEPD培地で10倍に希釈された新鮮なcdcl3−l細胞に加えられる。非許容温度(約37℃)で約24〜36時間培養することによって細胞死を引き起こさせ、生存細胞の数量は図1に示されるコロニー形成実験によって測定される。ラパマイシンの標準濃度を得るため、精製ラパマイシンをDMSOで1μMに希釈する。cdcl3−lの一夜培養物をYEPD培地で10倍希釈する。1μMラパマイシンを細胞含有培地で10pMまで連続的に3倍又は2倍希釈し、その後混合物を約37℃で約24〜36時間培養を行って、不活性化されたcdcl3−lpにより誘発され細胞死させる。異なる濃度の標準ラパマイシンが得た生存細胞数はコロニーの形成によって測定され、且つ対応の濃度に対して標準曲線を作る。異なる源のラパマイシンから得られた生存細胞数を標準曲線と比べることによって、ラパマイシンの抗老化活性濃度を確定する。ラパマイシン誘導体の活性濃度を測定するため、標準曲線がまず同様な誘導体から作られる。コロニーの形成以外に、cdcl3−l細胞死によるアポトーシスアッセイ及びROS放出もラパマイシンの抗老化生物濃度の決定に用いられることができる。
【0250】
この方法はその他の抗老化化合物又は組成物の抗老化生物濃度(例えばEGCG)を決めることに用いられることができる。また、この方法は生物試料の抗老化活性を検出するためのアッセイとして用いられることができる。
【0251】
[実施例10] cdcl7−l及びcdcl7−2酵母変異体を用いて抗老化剤を検出すること
【0252】
ラパマイシン(1及び3nM)及び減らされたグルコースで抗老化剤の例として使用される。−80℃で保存されたcdcl7−l及びcdcl7−2酵母細胞を活性化するように、新鮮なYEPD平板培地に培養し、その後単一のコロニーが形成するまで許容温度(約24℃)で5日培養する。複数の酵母コロニーを採取してYEPD液体培地に入れて許容温度の約24℃で一夜培養をした。一夜培養物を、0、1及び3nM含有の新鮮なYEPD培地、または0.5%グルコースYEPDで希釈し(10倍希釈)、その後非許容温度(約37℃)で混合物を22時間培養し、不活性化DNAポリメラーゼ-αで成長停止及びその後の細胞死を引き起こす。コロニー形成アッセイにより生存細胞数を測定した。つまり、混合物を連続的に希釈し(10倍)、その後少量の細胞(5μl)をYEPD平板培地に付け、さらに許容温度(約24℃)で少なくとも4日培養して、生存細胞にコロニーを形成させる。図21Aに示すように、ラパマイシンはcdcl7−l及びcdcl7−2変異酵母における、DNAポリメラーゼ-αにより誘発される細胞不活化を防止する。
【0253】
[実施例11] est1−ts酵母変異体で抗老化剤を検出すること
【0254】
このモデルではラパマイシンが抗老化剤の例として使用される。ラパマイシンは、文献(Qi,H.,et al,PlosOne,2008)に記載されるように、est1−ts酵母細胞(est1−ts rad52::URA3)において、テロメラーゼの不活化により誘発されるROS誘導及びアポトーシス細胞死を防止することができる。この実験はラパマイシン含有の平板培地を用いて行った。この方法は液体培地において細胞を培養して、高速大量スクリーニングに適応させることもできる。つまり、est1−ts細胞は−80℃の保存から活性化され、すなわち、菌を新鮮なYEPD平板培地に画線した後さらに許容温度(約24℃)で、単一のコロニーが形成したまで5日培養する。複数個の酵母コロニーをYEPD液体培地に入れて、許容温度の約24℃で一夜培養した。一夜培養物は0又は1nMのラパマイシン含有の新鮮なYEPD培地で約100〜300倍希釈した。混合物を非許容温度の約37℃で約2日培養する。細胞をさらに1nMラパマイシン含有の新鮮なYEPD培地又は対照溶媒で約100〜300倍希釈して、非許容温度の約37℃で2日程度の培養をする。非許容温度でテロメラーゼの不活化はテロメアの進行性短縮及び最終のテロメア機能不全に至り、それによってROS誘導及びアポトーシス細胞死を引き起こす。ポトーシスアッセイ又はROSアッセイにより細胞死を測定することができる。ROS誘導の測定は細胞をジヒドロローダミン123溶液(約5μg/mL、PBS緩衝液で)と暗闇で培養してFACSによって分析される。細胞死は実施例2と同様にカスパーゼ活性によって測定される。
【0255】
B.加齢に伴う病気又は老化症状を予防及び治療するための栄養素/TOR/AMPK/糸粒体/老化経路
【0256】
[実施例12] 哺乳類のモデル系において老化経路の構成成分を測定すること
【0257】
この例はウエスタンブロット法を用いて、抗老化剤により誘発される哺乳類の細胞の老化経路における主要タンパク質の増加を確定する。ラパマイシンが例として用いられた。最後に分離された(老化)、第20日のWI−38細胞を図に示される指定量のラパマイシンで18時間処理を行い、細胞溶解液をウエスタンブロット法により分析した。老化経路における主要タンパク質p53、p21及びpRbは、高い用量2000pMによってではなく、低用量のラパマイシン(50及び100pM)によって増加される(図9c)。
【0258】
[実施例13] 加齢に伴う病気の予防又は癌化学予防活性を有する薬剤はミトコンドリア機能と老化延長を刺激する
【0259】
実験は図7、10及び11に示すようになされた。図10に示すように、50pMラパマイシン、250μM AICAR、20μg/ml EGCG、1.6μg/ml GSE、減らされたグルコース(0.4%から0.2%まで)、20μg/ml ビルベリー抽出物(BE)、1μM AITC、及び12.5μM 2-デオキシグルコースはミトコンドリア質量(ミトコンドリア生合成の増加の指標)を増加し、老化WI−38線維芽細胞における細胞消失も予防する(図7)。また、イソチオシアン酸フェネチル(PEITC)、シリビニン、亜セレン酸塩(Na2SeO3)及びゲニステインはミトコンドリア質量を増加し、酵母細胞においてテロメア死亡に対する各種程度の保護作用も表した(図10及び図11)。
【0260】
[実施例14] AMPK活性化因子がTPAによるNIH3T3細胞の形質転換を抑制する
【0261】
この実験は実施例19と同様に行われる。簡単に言うと、1500 NIH3T3細胞を50μLの0.4%アガロース培養基(10%ウシ胎児血清基礎培地)と混合して、事前に50μLの0.8%アガロース培養基がすでに敷かれた96穴の平板培地に敷き、凝固後100μLの薬物を含む液体培養基を加え、薬物の最後濃度は図に示されるように、DMSO、10μM TPA、40μM AICAR、又は10μM TPA+40μM AICARであり、細胞を5%CO2、37℃の培養器で7日以上培養する。5日ごとに新鮮培地50μLを加え、その後、顕微鏡下でコロニーを計数する。図12に示すように、TPAはNIH3T3細胞におけるミトコンドリア質量を劇的に減少し、AMPK活性化因子AICARはこの減少を逆転する(図12)。また、AICARはTPAにより誘発されるNIH3T3の形質転換も減少する(図13A及び図13B)。
【0262】
C.CRの模倣体としてTOR阻害剤を使用して加齢に伴う病気を予防及び治療する
【0263】
TOR阻害剤及びラパマイシン。
特定のTOR阻害剤ラパマイシン(シロリムス)は、CCI779(テムシロリムス)、RAD−001(エベロリムス)、AP−23573(デホロリムス)、AP−23675、AP−23841、ABT−578(ゾタロリムス)、7-エピ-ラパマイシン、7-チオメチル-ラパマイシン、7-エピ-トリメトキシフェニル-ラパマイシン、7-エピ-チオメチル-ラパマイシン、7-デメトキシ-ラパマイシン、32- デメトキシ-ラパマイシン、2-デスメチル-ラパマイシン、及び42-O-(2-ヒドロキシル)エチル−ラパマイシンを含む大環状トリエン分子の初期成員である。ラパマイシンは抗真菌活性を有することが一番早めに発見された(Vezina, C.等,J.Antibiot.,28:721(1975);Sehgal,S.N.等,J.Antibiot.,28:727(1975);Baker,H.A.等,J.Antibiot.,31:539(1978);米国特許第3,929,992号、及び米国特許第3,993,749号)。
【0264】
ラパマイシンが免疫抑制剤として使用され(Santos,E.及び Nebreda,A.R.,FASEB,3:2151-2163(1989)):全身性紅斑性狼瘡(米国特許第5,078,999号)、肺炎(米国特許第5,080,899号)、臓器移植の拒絶反応、関節炎(Carlson等,J.Pharmacol.Exp.Ther.,266:1125-1138(1993);Foroncewicz 等,Transpl.Int.,18:366-368(2005))、眼の炎症(米国特許第5,387,589号)、及び心臓の炎症性疾患(米国特許第5,496,832号)を予防又は治療し、血管損傷後の平滑筋細胞増殖及び内膜肥厚を予防し(米国特許第5,288,711号及び第5,516,781号)、ステントの再狭窄も予防する(米国特許第6,585,764号)。それはまた、加齢性黄斑変性(AMD)(米国特許出願第20060182771号、20060247265号、20060263409号、及び20070105761号、20060264453号)、脈絡膜新生血管(CNV)、並びに滲出型加齢黄斑変性症(米国特許出願第20050187241号)を含むところの、眼疾患の治療にも特許されている(米国特許第7,083,802号)。
【0265】
ラパマイシンが抗増殖及び抗腫瘍活性を持つことはすでに示された。ラパマイシンの単独使用、又はその他の薬物と組み合わせて使用することは、成人T細胞白血病/リンパ腫に対する抗腫瘍活性(米国特許第4,885,171号及び第4,401,653号;欧州特許出願525,960Al)、及び悪性腫瘍(米国特許第5,206,018号)、及び貧血(米国特許第5,561,138号)に対する作用がすでに現れた。ラパマイシンは転移性乳癌(米国特許出願第20070104721号)、腫瘍(米国特許出願第20040176339号及び20060035904号)、並びに早期のB細胞による急性リンパ性白血病(米国特許第7,026,330号)の治療に用いられることができ、それは結節性硬化症の治療(米国特許出願第20050070567号)、哺乳類における異常な細胞増殖の抑制(米国特許出願第20060035907号)、増殖の低減及び腫瘍細胞のアポトーシスの促進(米国特許出願第20060094674号)、並びに、増殖性及び炎症性疾患(米国特許出願第20060135549号)や慢性ウイルス感染(米国特許出願第20070099844号)の治療にも特許されている。
【0266】
ラパマイシン/mTOR阻害剤の単独使用又はその他の薬物と組み合わせて使用してその他の各種の疾患を治療することも報告されている、例えば糖尿病(米国特許第5,321,009号)、皮膚疾患(米国特許第5,286,730号)、腸疾患(米国特許第5,286,731号)、神経疾患、神経変性疾患(米国特許第6,187,756号)、骨量減少(米国特許出願第20060173033号)、抗血管新生の徐放性眼内植込み(米国特許出願第20070059336号)、及び自食作用によるタンパク質構造混乱(米国特許出願第20070155771号)。
【0267】
ラパマイシンがTOR及びFKBPと複合物を形成して、TORとその正常の基質タンパク質と複合物例えばTOR−raptor complex(TORCl)を形成することを抑制することが発見された。TORCl形成の抑制はタンパク質翻訳及びリボソーム生合成が抑制されることを引き起こすため、Gl期細胞周期の生長も抑制される。TORCl抑制は栄養素のためのタンパク質及び細胞小器官の自食作用の増加にも引き起こす。今まで、各種の疾患に対する治療量のラパマイシンの用途が主にTORCl破壊及び後続の細胞周期Glの抑制及び自食作用に基づく。対照的に、本発明において、ラパマイシン及びその類似物は低用量でカロリー制限の模倣体として使用され、AMPK/糸粒体/老化経路を通じて加齢に伴う病気の予防又は治療を行う。
【0268】
[実施例15] 低用量のラパマイシンがTPAによるNIH3T3細胞の転換を抑制する
【0269】
NIH3T3細胞の形質転換は1つの良い体外腫瘍形成アッセイであり、軟寒天でコロニー形成を測定する(足場非依存性増殖と呼ばれる)。変異原TPA(12−O−テトラデカノイルホルボールアセタート13−酢酸塩)はタンパク質キナーゼC(PKC)を刺激し、発癌遺伝子を活性化し、及びマウス胎児繊維芽細胞NIH3T3細胞を転換することが知られている。興味深いことに、10μMTPAはミトコンドリア 質量を劇的に減少し、1nMラパマイシンがこの減少を逆転する、図12に示すように。また、1nMラパマイシンは10μM TPAにより誘発されるNIH3T3細胞の形質転換を防止する(図13)。1500 NIH3T3細胞を50μLの0.4%アガロース培養基(10%ウシ胎児血清基礎培地)と混合して、事前に50μLの0.8%アガロース培養基がすでに敷かれた96穴の平板培地に敷き、凝固後100μLの薬物を含む液体培養基を加え、薬物は図に示されるように、DMSO、10μM TPA、1nMラパマイシン、又は10μM TPA+1nMラパマイシンであり、細胞を5%CO2、37℃の培養器で7日以上培養する。5日ごとに新鮮培地50μLを加え、その後、顕微鏡下でコロニーを計数する。図13A及び13Bに示すように、1nMラパマイシンがこの過程を全く阻止する。1nMラパマイシンは、NIH3T3の増殖速度を少し遅延したため、成長が遅いコロニーを待つするように、続けて21日培養した後、計数を行った。結果、7日培養と同様である。そのため、1nMラパマイシンが生長を遅延させるのはコロニー形成を削除する原因ではなく、老化を維持することによって足場非依存性増殖又は腫瘍形成を防止してミトコンドリア機能を支持する。対照的に、治療量のラパマイシンは腫瘍形成を促進し、それによってヒトのリンパ腫、皮膚癌及び他の癌の危険性を増加することが報告された。最近発見された治療量ラパマイシンの抗増殖活性は、Gl細胞周期及びタンパク質合成の抑制作用によると思われる既存の腫瘍の成長を制限することにある。
【0270】
更には、AICAR(40μM)はAMPKを活性化し且つヒト老化第一の線維芽細胞の寿命を延長することができ(図7)、TPAに影響されるミトコンドリア質量の減少を逆転する(図12)、及び足場非依存性増殖を抑制することもできる(図13A及び図13B)。それらのデータはさらにミトコンドリア機能が足場非依存性増殖の防止及び腫瘍の形成における役割を支持する。結論としては、低用量のラパマイシンとAICARは、少なくとも変異原TPAにより誘発される場合、腫瘍形成を予防する。
【0271】
[実施例16] 低用量のラパマイシンは活性酸素種を減らし及び培養されたGCN神経細胞の寿命を延長する
【0272】
7日齢のラット仔から小脳顆粒神経細胞(CGN)の培養物が準備された。簡単に言うと、大脳から除去された小脳を、BMEM及び20mM HEPES緩衝液(BMEM−HEPES)を含有する1つのペトリ皿に入れる。内皮細胞からの最小汚染を確保するように、小脳の脳膜及び血管が捨てられ、次に小脳/大脳皮質を解剖刀で細かく切って、37℃で15分間トリプシン処理し、さらに0.025%大豆トリプシン阻害剤及び0.05%DNase Iを含有する1mLのBMEを添加することによってトリプシン処理を抑制し、組織は均一な懸濁液に分散されるまで、炎加工されたパスツールピペットによって倍散される。懸濁液をエタノール消毒された40μm網目によってろ過して、さらに遠心沈殿を行う。小脳顆粒神経細胞は25mM KCl(Invitrogen, Carlsbad, CA)を含むB27補足neurobasal培地に懸濁される。細胞はその後24穴平板培地(1平板培地/小脳)に播種し、且つB27,20mM KCl、0.5mMグルアミン、100units/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンを含有するNeurobasal培地(Invitrogen)に培養された。7日培養した後ラパマイシンを加え、31日培養した後、MTT法で神経細胞の生存率を決める。図14Aに示すように、大多数のCGN細胞は31日培養した後、死亡した。しかし、低用量のラパマイシンは該ロスを防止し、GCN細胞の寿命を延長することができるが、高用量のラパマイシンは該効果が認められなかった。
【0273】
活性酸素種分析について、新鮮な分離されたCGN細胞をNeurobal完全培地に入れ、1百万細胞/mL/管の密度で12×75mm管に播種し、細胞がラパマイシンで20時間処理された後、2μg/mLデヒドロローダミン123で30分染色をし、FACS分析を行った。図14Bに示すように、ラパマイシンが懸濁液におけるCGN細胞の正常な活性酸素種レベルを減らす。
【0274】
[実施例17] 低用量のラパマイシンがラット脳卒中モデルにおける小脳梗塞サイズを縮小する
【0275】
この例には虚血性脳梗塞の中大脳動脈(MCA)閉塞モデルを使用した。脳卒中易発症性自然発症高血圧(SHR−SP)ラットをランダムに、対照DMSO群及びラパマイシン群の、2群(それぞれの群は、n=8)に分ける。ラットを15%抱水クロラール(300 mg/kg,i.p.)で麻酔をかける。電気凝固MCAによる永久局所脳虚血は、改善された田村及びMcGiIl法(Tamura,A.等,J.Cerebral.Blood Flow Metab.,1:53-60(1981)を使用する。つまり、嗅索と下大脳静脈との間の右MCAの部分は電気凝固された。凝固された動脈を精密剪刀で切断して血液供給の完全停止を確保する。
【0276】
MCA閉塞の10分後に、ラパマイシン及び対照DMSOを投与する。MCA閉塞の24時間後に大脳試料を採取した。2% 2,3,5-トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)で厚さが2mmの冠状断面を直ちに染色した。梗塞領域が白色で、正常領域が赤色である。梗塞領域及び半球領域のそれぞれの断面(両面)の面積が画像分析系によって記載及び量化分析された(Microsystems型DM LB2,Leica,ドイツ)。大脳浮腫は梗塞の体積の評価において干渉する恐れがあるが、これは標準方法によって校正されることができ、すなわち対側半球の体積から非虚血同側半球の体積を減らす。梗塞の体積は対側半球の体積に占める百分比によって示される。同じような方法で、梗塞組織及び半球の重量を測定する。図15Aに示すように、ラパマイシンは低用量である10μg/kgでMCA閉塞により誘発される梗塞の体積を著しく減らす。対照的に、ラパマイシンが通常量の1mg/kgでこの効果を有しない、これは文献に報告されている(Sharkey,JJ.とButcher,S.P.,Nature,371:336-339(1994))。また、MCA閉塞の20日前に0、0.3、1、3及び10μg/kgの用量でラパマイシンの投与も脳損傷を予防することができる(図15B)。
【0277】
[実施例18] 低用量のラパマイシンはMPP+誘導ROSを低減する
【0278】
MPP+は、ミトコンドリア呼吸鎖複合物I(NADH CoQ1還元酵素)の阻害剤であり、ドパミン作動性の神経毒素でもある。通常マウス類においてパーキンソン病を引き起こすことに用いられる。200μM MPP+でヒト第一の線維芽細胞WI−38細胞を3日間処理した。図14に示されるように、各種濃度のラパマイシンも細胞と共に3日培養する。次に、暗闇で細胞をデヒドロローダミン123で30分染色をした。さらにFACSによって細胞を分析した。デヒドロローダミン123を活性酸素種レベルに比例してローダミン(蛍光を示す)に酸化することができる。図16に示すように、MPP+は、活性酸素種レベルを大幅に増加した。低用量のラパマイシンはピコモル(pM)の範囲でこの増加を著しく減らす。
【0279】
[実施例19] 低用量のラパマイシンがラットモデルにおける心筋梗塞サイズを縮める
【0280】
ラットの心筋梗塞(MI)を決めるためには、重量が200〜250gであるSprague−Dawley(SD)系雄性ラットを使用した(それぞれの群は、n=10〜12)。MI実験の3日前に、ラパマイシンを0、10又は100μg/kg/日の用量で投与した。エーテル麻酔状態で心臓を左開胸によって体外に出し、肺動脈流出路と左心房との間の左前下行動脈を6-0ポリプロピレン縫合線で結紮し、その後打っている心臓をその正常な位置に迅速に返し、胸腔を閉鎖し、空気を除去した。ラットを前述の条件を有するケージに返す。冠動脈結紮の5時間後で、ペントバルビタールの過剰投与によりラットを殺した。左心室を分離して且つ心臓の長軸に沿って垂直に4〜5枚の薄片を切断する。37℃で薄片をニトロブルーテトラゾリウムリン酸塩緩衝液の0.1%溶液で30分染色をし、文献に記載されている方法によってMIサイズを測定する(Lin,L.L.等,J.Cardiovasc.Pharmaco.,50:327-332(2007))。正常組織が青い色で染色され、一方、壊死組織が未染色のままであった。染色された組織及び未染色の組織を分離して且つ重量を測る。MIサイズが左心室の総重量の分数として表される。図16に示すように、10μg/kg/日での低用量のラパマイシンは心筋梗塞サイズを著しく減らすが、100μg/kg/日の高投与量は減らさない。
【0281】
本件明細書で引用された特許公報及び非特許公報はすべて、各公報が参照により個別に組み込まれるが如く参照により本件明細書に組み込まれて同じ参照効果をもたらす。本願でのいかなる文献の引用又は特定も、当該文献が本発明の先行技術たり得ることを自認するものではない。
【0282】
理解すべきなのは、前述の詳細な説明及び添付例は説明するためのものであり、本発明の範囲への制限ではない。本分野の当業者が本発明の内容に基づいて多くの変更例を工夫し得ることができるのは明白であり、クレーム、その全均等範囲、明細書および前述の変更例に基づいて、本発明の全範囲が決定されるべきである。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞周期停止状態モデルにおける1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、それらの抗老化作用を
1323051744140_0
することを特徴とする、加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出するための方法。
【請求項2】
抗老化作用が、
(a)老化細胞又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化を防ぐこと、
(b)ミトコンドリア機能を刺激、改善または維持すること、
(c)ミトコンドリア又はテロメアの機能喪失に関連する加齢に伴う病気を予防すること、及び、
(d)酵母における活性酸素種(ROS)又はテロメア機能不全によって誘発されるアポトーシス死の増加を防ぐこと、
から選ばれるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞周期停止状態モデルが、
(a)機能障害性テロメアを含む変異酵母、
(b)不十分なテロメラーゼ活性を示す初代ヒト細胞系、
(c)テロメア結合タンパク質又はテロメラーゼの変異又は欠陥に起因するテロメア機能不全を示すヒト細胞系、
(d)化学薬剤に起因するテロメア機能不全モデル、
(e)癌遺伝子活性化又は/及びDNA損傷応答の活性化によって生じるモデル、及び、
(f)テロメア機能不全を示すマウス、ラット、もしくは分裂酵母の細胞系、
から選ばれるものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、
(i) テロメア機能不全又はDNA損傷により細胞周期が止められた条件のもとで化合物又は組成物を酵母細胞で培養する工程と、
(ii) アポトーシスアッセイを使って死んだ酵母細胞の個体群を測定する、或いは、
(iii) 細胞周期を止められた条件を取り除き、生き残った細胞の数を測定する工程と、
(iv) 前記工程(ii)で得られた死細胞の個体群または前記工程(iii)で得られた生き残った細胞の数をそれぞれ、前記工程(i)と同じ条件の下、しかし前記化合物又は組成物の不存在下の対照実験で得られた死細胞の個体群または生き残った細胞の数と比較する工程と、
を含み、
前記対照実験との比較で、前記工程(ii)で得られた死んだ個体群の減少、又は、段階(iii)で得られた生き残った細胞の数の増加は、その培養された化合物又は組成物が抗老化剤の候補であることを示すものである、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
(v) 同定される化合物又は組成物を一定時間、哺乳類の老化細胞と培養する工程と、
(vi) 生き残った老化細胞の個体群を測定する工程と、
(vii) 前記(vi)の生き残った哺乳類の老化細胞の個体群を、対照実験で得られた生き残った老化細胞の個体群と比較する工程と、
を更に含み、
前記対照実験との比較で、生き残った老化細胞の個体群の増加は、細胞で培養された化合物又は組成物が抗老化剤の候補であることを確認するものである、方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の方法であって、
(viii) 同定される化合物又は組成物を正常増殖ヒト細胞と培養する工程と、
(ix) ミトコンドリア質量、ミトコンドリアDNA含量、又はミトコンドリア転写因子の発現を測定することによってヒト細胞のミトコンドリア生合成を測定する工程と、
(x) 前記工程(ix)の結果を対照実験の結果と比較する工程と、
を更に含み、
対照実験と比べて前記工程(ix)で得られたミトコンドリア生合成の増進は、同定された化合物又は組成物が抗老化剤の候補であることを更に確認する、方法。
【請求項7】
機能障害性テロメアを含む変異酵母がcdcl3-l、cdcl3-2、stnl-1、cdcl7-l、cdcl7-2、hdfl、hdf2、estl、est2及びest3から選ばれるものである、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
不十分なテロメラーゼ活性を示す第一のヒト細胞系が、線維芽細胞、内皮細胞及び上皮細胞のうちの少なくとも一つを含む、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
テロメア機能不全を示すヒト細胞系がTRF2、POTl、TERT、TERC、又はWRNの変異体を含む、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
化学薬剤が、ブレオマイシン、アドリアマイシン、又はG四重リガンドである、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ、化合物及び/又は組成物のライブラリーに属している、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法であって、
ここでの加齢に伴う病気が、老化による劣化、または分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化に続く細胞死、または加速したミトコンドリア悪化および増加した酸化的ストレス、またはテロメア機能不全に関係があるものであり、
当該方法は、1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、TOR/AMPK/ミトコンドリア/老化経路のうちの少なくとも一つの構成成分に対する化合物又は組成物の活性を測定することを含み、
但し前記薬剤が、(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞において老化もしくは細胞周期停止状態を維持する、又は、(c)ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記TOR/AMPK/ミトコンドリア/老化経路の構成成分が、インスリン/IGF、インスリン/IGF受容体、PI3K、PDK1、PTEN、TSC1、TSC2、AKT、Rheb、raptor、GβL、S6K、TOR、グルコース取込、アミノ酸取込、AMPK、STRAD、MO25、LKB1、PGC-lα、PGC-lβ、NRF-1、NRF-2、TFAM、TFB1M、TFB2M、ERR(ERRα、ERRβ、ERRγ)、PPAR(PPARα、PPARδ、PPARγ)、SIRT1、RIP140、PRC、POLRMT、ATM、CaMKKβ、p53、p21、pl9ARF、waf1、P16INK4a、pRB、E2F、PTEN、及びp27KIPIを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法であって、
ここでの加齢に伴う病気が、分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化に続く細胞死、または加速したミトコンドリア悪化および増加した酸化的ストレス、またはテロメア機能不全に関係があるものであり、
当該方法は、1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、栄養素シグナル伝達経路の少なくとも一つの構成成分に対する化合物又は組成物の活性を検出することを含み、
但し前記薬剤が、(a)複製能を延長し、(b)分裂終了細胞において老化又は細胞周期停止状態を維持し、又は(c)ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記栄養素シグナル伝達経路の構成成分が、インスリン/IGF、インスリン/IGF受容体、PI3K、PDKl、PTEN、TSC1、TSC2、AKT、Rheb、raptor、GβL、S6K、TOR、AMPK、STRAD、MO25、LKBl、グルコース取込、アミノ酸取込、及びCaMKKβを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法であって、
ここでの加齢に伴う病気が、老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化に続く細胞死、または老化による劣化、または加速したミトコンドリア悪化及び増加した酸化的ストレス、またはテロメア機能不全に関係があるものであり、
当該方法は、1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、ミトコンドリア生合成経路の少なくとも一つ構成成分に対する化合物又は組成物の活性を検出することを含み、
但し前記薬剤が、(a)複製能を延長し、(b)分裂終了細胞において老化もしくは細胞周期停止状態を維持し、又は(c)ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記ミトコンドリア生合成経路の構成成分が、AMPK、STRAD、MO25、LKBl、PGC-lα、PGC-lβ、NRF-1、NRF-2、TFAM、TFB1M、TFB2M、ERR(ERRα、ERRβ、ERRγ)、PPAR(PPARα、PPARδ、PPARγ)、SIRT1、RIP140、PRC、POLRMT、ATM、及びCaMKKβを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法であって、
ここでの加齢に伴う病気が、老化による劣化、加齢性の細胞消失、又は、腫瘍形成及び癌の悪性進行に関係があるものであり、
当該方法は、1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、AMPK経路の少なくとも一つの構成成分に対する化合物又は組成物の活性を検出することを含み、
但し前記薬剤が、(a)複製能を延長し、(b)分裂終了細胞において老化又は細胞周期停止状態を維持し、又は(c)ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記AMPK経路の構成成分が、AMPK、ATM、LKB1、STRAD、MO25、及びCaMKKβを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法であって、
ここでの加齢に伴う病気が、老化による劣化、または分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化に続く細胞死、または加速したミトコンドリア悪化及び増加した酸化的ストレス、またはテロメア機能不全に関係があるものであり、
当該方法は、1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、老化経路の少なくとも一つ構成成分に対する化合物又は組成物の活性を検出することを含み、
但し前記薬剤が、老化もしくは分裂終了細胞における細胞周期停止状態を維持する、又は、ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項30】
前記老化経路の構成成分が、ATM、p53、p21、p19ARF、WAF1、p16INK4a、pRB、E2F、PTEN、及びp27KIP1を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する、請求項29〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
加齢に伴う病気を予防又は治療する方法であって、
請求項1〜32のいずれか一項の方法により同定される薬剤、又は、それの薬学的に容認される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを含む組成物を、必要なときに被験者に投与することを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項34】
加齢に伴う病気が、老化又は有糸分裂後細胞における細胞周期停止状態の悪化、ミトコンドリア機能不全、或いはテロメア機能不全に関係がある、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記薬剤が、有機分子、無機分子、天然物、ペプチド、タンパク質、DNA、RNA、及びこれらの代謝中間体から選択される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記薬剤が、AICAR、低用量のラパマイシン又はその類似物、EGCG、ブドウ種子エキス、ビルベリー抽出物、亜セレン酸塩(selenite)、ゲニステイン(genistein)、ジアリルトリスルフィド、ベンジルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアナート、イソチオシアン酸フェニル、レスベラトロール、リコピン、及びイソチオシアン酸アリルから選ばれるものである、請求項33〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物がさらに、酸化防止剤、抗高血圧薬、脂質低下薬、抗卒中薬、抗癌剤、及び異なる抗老化剤からなる群から選択される第二の薬剤を含む、請求項33〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記酸化防止剤が、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン及び他のカロチノイド、セレン、リポ酸、リコピン、ルテイン(lutein)、ゼアキサンチン、補酵素Q10、グルタチオン、N−アセチルシステイン、メラトニン、ゲニステイン、エストラジオール、茶抽出物、及びブドウ種子エキスから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が薬学的に許容される担体を更に含む、請求項33〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物は、経口、非経口、局所、経皮、或いは坐剤又はエアロゾルの投薬形態で投与される、請求項33〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項33〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
加齢に伴う病気が、腫瘍形成及び悪性癌進行、神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄の減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、並びに、
ストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患、から選択されるものである、請求項33〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
被験者が哺乳類である、請求項33〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
被験者がヒトである、請求項33〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
加齢に伴う病気を予防又は治療する方法であって、当該方法が、
AMPKを直接的又は間接的に活性化し、ミトコンドリア生合成を増加させ、被験者の老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態を維持するところの、
AMPK活性化因子、又は、それの薬学的に容認される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを含む組成物を、必要なときに被験者に投与することを含む、方法。
【請求項46】
加齢に伴う病気が、ミトコンドリア機能喪失、テロメア機能不全、老化悪化及び年代に依存した細胞消失、又は、分裂終了細胞におけるミトコンドリア劣化もしくは細胞周期停止状態に関係がある、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記AMPK活性化因子が、AICAR、メトホルミン、2-デオキシグルコース、3-O-メチルグルコース、LY294002、ベルベリン、フェンホルミン、A-769662、チアゾリジンジオン類、デキサメタゾン、スタチン類、レプチン、アディポネクチン、シロスタゾール、EGCG、亜セレン酸塩(senelite)、ゲニステイン、イソチオシアン酸アリル、及びイソチオシアン酸フェネチルから選ばれるものである、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物が、酸化防止剤、抗高血圧薬、脂質低下薬、抗卒中薬、抗癌剤、及び異なる抗老化剤からなる群から選ばれる第二の薬剤を更に含む、請求項45〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記組成物が、薬学的に許容される担体を更に含む、請求項45〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物は、経口、非経口、局所、経皮、または坐剤もしくはエアロゾルの投薬形態で投与される、請求項45〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項45〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
加齢に伴う病気が、腫瘍形成及び悪性癌進行、神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、並びに、
テストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患、から選ばれるものである、請求項45〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
被験者が哺乳類である、請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
被験者がヒトである、請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
加齢に伴う病気を予防又は治療する方法であって、当該方法が、
ラパマイシンの標的(TOR)阻害剤、又は、それの薬学的に容認される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを含む組成物を、必要なときに被験者に投与することを含む、
但し前記TOR阻害剤は、(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、又は(c)ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項56】
加齢に伴う病気が、ミトコンドリア機能喪失、テロメア機能不全、老化悪化及び年代に依存した細胞消失、又は、ミトコンドリア劣化もしくは分裂終了細胞での細胞周期停止状態に関係がある、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記TOR阻害剤が、低用量のラパマイシン、又は、
デホロリムス、AP-23675、AP-23841、ゾタロリムス、CCI779/テムシロリムス、RAD-OO1/エベロリムス、7-エピ-ラパマイシン、7-チオメチル-ラパマイシン、7-エピ-トリメトキシ-ラパマイシン、2-desメチル-ラパマイシン、及び42-0-(2-ヒドロキシ)エチル-ラパマイシンからなる群から選択されるところの、低用量のラパマイシン類似物である、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項58】
ラパマイシンの低用量が、認可される治療量の約10%以下、約8%以下、約6%以下、約4%以下、約2%以下、約1%以下、約0.1%以下、約0.01%以下、または約0.001%以下である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
低用量のラパマイシンは、単離化合物、生エキス、又はラパマイシンを含む純化されていない微生物として投与される、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項60】
前記微生物がStreptomyces hygroscopicusである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記組成物が、酸化防止剤、抗高血圧薬、脂質低下薬、抗卒中薬、抗癌剤、及び異なる抗老化剤からなる群から選択される第二の薬剤を更に含む、請求項55〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記第二の薬剤が、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン及びその他のカロチノイド、セレン、リポ酸、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、補酵素Q10、グルタチオン、N-アセチルシステイン、メラトニン、ゲニステイン、エストラジオール、茶抽出物、及びブドウ種子エキスからなる群から選択される酸化防止剤である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記組成物が、薬学的に許容される担体を更に含む、請求項55〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記組成物は、経口、非経口、局所、経皮、又は、坐剤もしくはエアロゾルの投薬形態で投与される、請求項55〜63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項55〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
加齢に伴う病気が、腫瘍形成及び悪性癌進行、神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄の減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、並びに、
テストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I又はエネルギー産生の減少に起因する疾患から、選ばれるものである、請求項55〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
加齢に伴う病気が、腫瘍形成もしくは癌の悪性進行、パーキンソン病、脳卒中、小脳梗塞、又は心筋梗塞である、請求項57〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
生物試料中の抗老化剤を検出する方法であって、以下の工程、即ち、
(i) 任意的に、生物試料を溶媒で希釈する工程、
(ii) テロメア機能不全又はDNA損傷により酵母細胞の細胞周期が止められた条件下で前記希釈された試料を変異酵母細胞で培養する工程、
(iii) 細胞周期を止められた条件を取り除くと共に、生き残った酵母細胞の数を測定する工程、及び、
(iv) 工程(iii)で得られた生き残った細胞の数を、培養工程(ii)と同じ条件での対照実験(但し、その対照実験では前記の生物試料を含まない)において生き残った細胞の数と比較する工程、を含み、
前記対照実験での生き残り細胞数と比較して前記工程(iii)で得られた生き残り細胞の数が増えていることは、前記生物試料が抗老化剤を内包することを示唆するものである、ことを特徴とする方法。
【請求項69】
生物試料中における抗老化剤の生物学的濃度を判定する方法であって、以下の工程、即ち、
(i) 任意的に、被験者の生物試料を溶媒で希釈する工程、
(ii) テロメア機能不全又はDNA損傷による酵母細胞の細胞周期が停止された条件下で前記希釈された生物試料を変異酵母細胞で培養する工程、
(iii) 細胞周期が停止される条件を取り除く共に、生き残った酵母細胞の数を測定する工程、
(iv) 任意的に、工程(iii)で得られた生き残った細胞の数を、培養工程(ii)と同じ条件での対照実験(但し、その対照実験では前記の生物試料を含まない)において生き残った細胞の数と比較する工程、及び、
(v) 生き残った酵母細胞の数を、抗老化剤の濃度と生き残り酵母細胞の数との間の予め確立された標準方程式又は標準曲線にあてはめて、抗老化剤の生物学的濃度を計算する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項70】
前記予め確立された標準方程式又は標準曲線は、次の各工程を含むプロセスを経て準備されること、即ち、
(vi) 被験者の生物試料を培養するために使われた溶媒を用いて、異なる既知濃度の精製抗老化剤を有する複数の標準溶液を調製する工程、
(vii) テロメア機能不全又はDNA損傷により細胞周期が止められた条件下、前記標準溶液で変異酵母細胞を培養する工程、
(viii) 細胞周期が停止される条件を取り除く共に、各々の培養標準溶液につき生き残った酵母細胞の数を測定する工程、並びに、
(ix) 工程(viii)で得られた生き残り細胞数をその対応する抗老化剤濃度に対してプロットして、標準方程式及び/又は標準曲線を得る工程、
を特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記抗老化剤が、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法で同定された薬剤である、請求項69又は70に記載の方法。
【請求項72】
前記抗老化剤がラパマイシン又はその類似物である、請求項69〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記変異酵母が、cdc13-1、cdc13-2、stn1-1、cdc17-1、cdc17-2、hdf1、hdf2、est1、est2及びest3からなる群から選ばれるものである、請求項69〜72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
細胞周期停止状態モデルにおける1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、それらの抗老化作用を
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することを特徴とする、加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出するための方法。
【請求項2】
抗老化作用が、
(a)老化細胞又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化を防ぐこと、
(b)ミトコンドリア機能を刺激、改善または維持すること、
(c)ミトコンドリア又はテロメアの機能喪失に関連する加齢に伴う病気を予防すること、及び、
(d)酵母における活性酸素種(ROS)又はテロメア機能不全によって誘発されるアポトーシス死の増加を防ぐこと、
から選ばれるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞周期停止状態モデルが、
(a)機能障害性テロメアを含む変異酵母、
(b)不十分なテロメラーゼ活性を示す初代ヒト細胞系、
(c)テロメア結合タンパク質又はテロメラーゼの変異又は欠陥に起因するテロメア機能不全を示すヒト細胞系、
(d)化学薬剤に起因するテロメア機能不全モデル、
(e)癌遺伝子活性化又は/及びDNA損傷応答の活性化によって生じるモデル、及び、
(f)テロメア機能不全を示すマウス、ラット、もしくは分裂酵母の細胞系、
から選ばれるものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、
(i) テロメア機能不全又はDNA損傷により細胞周期が止められた条件のもとで化合物又は組成物を酵母細胞で培養する工程と、
(ii) アポトーシスアッセイを使って死んだ酵母細胞の個体群を測定する、或いは、
(iii) 細胞周期を止められた条件を取り除き、生き残った細胞の数を測定する工程と、
(iv) 前記工程(ii)で得られた死細胞の個体群または前記工程(iii)で得られた生き残った細胞の数をそれぞれ、前記工程(i)と同じ条件の下、しかし前記化合物又は組成物の不存在下の対照実験で得られた死細胞の個体群または生き残った細胞の数と比較する工程と、
を含み、
前記対照実験との比較で、前記工程(ii)で得られた死んだ個体群の減少、又は、段階(iii)で得られた生き残った細胞の数の増加は、その培養された化合物又は組成物が抗老化剤の候補であることを示すものである、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
(v) 同定される化合物又は組成物を一定時間、哺乳類の老化細胞と培養する工程と、
(vi) 生き残った老化細胞の個体群を測定する工程と、
(vii) 前記(vi)の生き残った哺乳類の老化細胞の個体群を、対照実験で得られた生き残った老化細胞の個体群と比較する工程と、
を更に含み、
前記対照実験との比較で、生き残った老化細胞の個体群の増加は、細胞で培養された化合物又は組成物が抗老化剤の候補であることを確認するものである、方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の方法であって、
(viii) 同定される化合物又は組成物を正常増殖ヒト細胞と培養する工程と、
(ix) ミトコンドリア質量、ミトコンドリアDNA含量、又はミトコンドリア転写因子の発現を測定することによってヒト細胞のミトコンドリア生合成を測定する工程と、
(x) 前記工程(ix)の結果を対照実験の結果と比較する工程と、
を更に含み、
対照実験と比べて前記工程(ix)で得られたミトコンドリア生合成の増進は、同定された化合物又は組成物が抗老化剤の候補であることを更に確認する、方法。
【請求項7】
機能障害性テロメアを含む変異酵母がcdcl3-l、cdcl3-2、stnl-1、cdcl7-l、cdcl7-2、hdfl、hdf2、estl、est2及びest3から選ばれるものである、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
不十分なテロメラーゼ活性を示す第一のヒト細胞系が、線維芽細胞、内皮細胞及び上皮細胞のうちの少なくとも一つを含む、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
テロメア機能不全を示すヒト細胞系がTRF2、POTl、TERT、TERC、又はWRNの変異体を含む、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
化学薬剤が、ブレオマイシン、アドリアマイシン、又はG四重リガンドである、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ、化合物及び/又は組成物のライブラリーに属している、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法であって、
ここでの加齢に伴う病気が、老化による劣化、または分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化に続く細胞死、または加速したミトコンドリア悪化および増加した酸化的ストレス、またはテロメア機能不全に関係があるものであり、
当該方法は、1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、TOR/AMPK/ミトコンドリア/老化経路のうちの少なくとも一つの構成成分に対する化合物又は組成物の活性を測定することを含み、
但し前記薬剤が、(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞において老化もしくは細胞周期停止状態を維持する、又は、(c)ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記TOR/AMPK/ミトコンドリア/老化経路の構成成分が、インスリン/IGF、インスリン/IGF受容体、PI3K、PDK1、PTEN、TSC1、TSC2、AKT、Rheb、raptor、GβL、S6K、TOR、グルコース取込、アミノ酸取込、AMPK、STRAD、MO25、LKB1、PGC-lα、PGC-lβ、NRF-1、NRF-2、TFAM、TFB1M、TFB2M、ERR(ERRα、ERRβ、ERRγ)、PPAR(PPARα、PPARδ、PPARγ)、SIRT1、RIP140、PRC、POLRMT、ATM、CaMKKβ、p53、p21、pl9ARF、waf1、P16INK4a、pRB、E2F、PTEN、及びp27KIPIを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法であって、
ここでの加齢に伴う病気が、分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化に続く細胞死、または加速したミトコンドリア悪化および増加した酸化的ストレス、またはテロメア機能不全に関係があるものであり、
当該方法は、1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、栄養素シグナル伝達経路の少なくとも一つの構成成分に対する化合物又は組成物の活性を検出することを含み、
但し前記薬剤が、(a)複製能を延長し、(b)分裂終了細胞において老化又は細胞周期停止状態を維持し、又は(c)ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記栄養素シグナル伝達経路の構成成分が、インスリン/IGF、インスリン/IGF受容体、PI3K、PDKl、PTEN、TSC1、TSC2、AKT、Rheb、raptor、GβL、S6K、TOR、AMPK、STRAD、MO25、LKBl、グルコース取込、アミノ酸取込、及びCaMKKβを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法であって、
ここでの加齢に伴う病気が、老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化に続く細胞死、または老化による劣化、または加速したミトコンドリア悪化及び増加した酸化的ストレス、またはテロメア機能不全に関係があるものであり、
当該方法は、1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、ミトコンドリア生合成経路の少なくとも一つ構成成分に対する化合物又は組成物の活性を検出することを含み、
但し前記薬剤が、(a)複製能を延長し、(b)分裂終了細胞において老化もしくは細胞周期停止状態を維持し、又は(c)ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記ミトコンドリア生合成経路の構成成分が、AMPK、STRAD、MO25、LKBl、PGC-lα、PGC-lβ、NRF-1、NRF-2、TFAM、TFB1M、TFB2M、ERR(ERRα、ERRβ、ERRγ)、PPAR(PPARα、PPARδ、PPARγ)、SIRT1、RIP140、PRC、POLRMT、ATM、及びCaMKKβを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法であって、
ここでの加齢に伴う病気が、老化による劣化、加齢性の細胞消失、又は、腫瘍形成及び癌の悪性進行に関係があるものであり、
当該方法は、1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、AMPK経路の少なくとも一つの構成成分に対する化合物又は組成物の活性を検出することを含み、
但し前記薬剤が、(a)複製能を延長し、(b)分裂終了細胞において老化又は細胞周期停止状態を維持し、又は(c)ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記AMPK経路の構成成分が、AMPK、ATM、LKB1、STRAD、MO25、及びCaMKKβを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
加齢に伴う病気を予防又は治療する薬剤を同定又は検出する方法であって、
ここでの加齢に伴う病気が、老化による劣化、または分裂終了細胞における細胞周期停止状態の悪化に続く細胞死、または加速したミトコンドリア悪化及び増加した酸化的ストレス、またはテロメア機能不全に関係があるものであり、
当該方法は、1種類以上の化合物又は組成物をスクリーニングし、老化経路の少なくとも一つ構成成分に対する化合物又は組成物の活性を検出することを含み、
但し前記薬剤が、老化もしくは分裂終了細胞における細胞周期停止状態を維持する、又は、ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項30】
前記老化経路の構成成分が、ATM、p53、p21、p19ARF、WAF1、p16INK4a、pRB、E2F、PTEN、及びp27KIP1を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記1種類以上の化合物又は組成物がそれぞれ化合物及び/又は組成物のライブラリーに属する、請求項29〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
加齢に伴う病気を予防又は治療する方法であって、
請求項1〜32のいずれか一項の方法により同定される薬剤、又は、それの薬学的に容認される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを含む組成物を、必要なときに被験者に投与することを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項34】
加齢に伴う病気が、老化又は有糸分裂後細胞における細胞周期停止状態の悪化、ミトコンドリア機能不全、或いはテロメア機能不全に関係がある、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記薬剤が、有機分子、無機分子、天然物、ペプチド、タンパク質、DNA、RNA、及びこれらの代謝中間体から選択される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記薬剤が、AICAR、低用量のラパマイシン又はその類似物、EGCG、ブドウ種子エキス、ビルベリー抽出物、亜セレン酸塩(selenite)、ゲニステイン(genistein)、ジアリルトリスルフィド、ベンジルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアナート、イソチオシアン酸フェニル、レスベラトロール、リコピン、及びイソチオシアン酸アリルから選ばれるものである、請求項33〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物がさらに、酸化防止剤、抗高血圧薬、脂質低下薬、抗卒中薬、抗癌剤、及び異なる抗老化剤からなる群から選択される第二の薬剤を含む、請求項33〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記酸化防止剤が、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン及び他のカロチノイド、セレン、リポ酸、リコピン、ルテイン(lutein)、ゼアキサンチン、補酵素Q10、グルタチオン、N−アセチルシステイン、メラトニン、ゲニステイン、エストラジオール、茶抽出物、及びブドウ種子エキスから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が薬学的に許容される担体を更に含む、請求項33〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物は、経口、非経口、局所、経皮、或いは坐剤又はエアロゾルの投薬形態で投与される、請求項33〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項33〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
加齢に伴う病気が、腫瘍形成及び悪性癌進行、神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄の減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、並びに、
ストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患、から選択されるものである、請求項33〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
被験者が哺乳類である、請求項33〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
被験者がヒトである、請求項33〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
加齢に伴う病気を予防又は治療する方法であって、当該方法が、
AMPKを直接的又は間接的に活性化し、ミトコンドリア生合成を増加させ、被験者の老化又は分裂終了細胞における細胞周期停止状態を維持するところの、
AMPK活性化因子、又は、それの薬学的に容認される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを含む組成物を、必要なときに被験者に投与することを含む、方法。
【請求項46】
加齢に伴う病気が、ミトコンドリア機能喪失、テロメア機能不全、老化悪化及び年代に依存した細胞消失、又は、分裂終了細胞におけるミトコンドリア劣化もしくは細胞周期停止状態に関係がある、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記AMPK活性化因子が、AICAR、メトホルミン、2-デオキシグルコース、3-O-メチルグルコース、LY294002、ベルベリン、フェンホルミン、A-769662、チアゾリジンジオン類、デキサメタゾン、スタチン類、レプチン、アディポネクチン、シロスタゾール、EGCG、亜セレン酸塩(senelite)、ゲニステイン、イソチオシアン酸アリル、及びイソチオシアン酸フェネチルから選ばれるものである、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物が、酸化防止剤、抗高血圧薬、脂質低下薬、抗卒中薬、抗癌剤、及び異なる抗老化剤からなる群から選ばれる第二の薬剤を更に含む、請求項45〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記組成物が、薬学的に許容される担体を更に含む、請求項45〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物は、経口、非経口、局所、経皮、または坐剤もしくはエアロゾルの投薬形態で投与される、請求項45〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項45〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
加齢に伴う病気が、腫瘍形成及び悪性癌進行、神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、並びに、
テストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I、又はエネルギー産生の減少に起因する疾患、から選ばれるものである、請求項45〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
被験者が哺乳類である、請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
被験者がヒトである、請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
加齢に伴う病気を予防又は治療する方法であって、当該方法が、
ラパマイシンの標的(TOR)阻害剤、又は、それの薬学的に容認される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを含む組成物を、必要なときに被験者に投与することを含む、
但し前記TOR阻害剤は、(a)複製能を延長する、(b)分裂終了細胞における老化又は細胞周期停止状態を維持する、又は(c)ミトコンドリアの劣化もしくは老化悪化に続く細胞死を防止する、ことを特徴とする方法。
【請求項56】
加齢に伴う病気が、ミトコンドリア機能喪失、テロメア機能不全、老化悪化及び年代に依存した細胞消失、又は、ミトコンドリア劣化もしくは分裂終了細胞での細胞周期停止状態に関係がある、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記TOR阻害剤が、低用量のラパマイシン、又は、
デホロリムス、AP-23675、AP-23841、ゾタロリムス、CCI779/テムシロリムス、RAD-OO1/エベロリムス、7-エピ-ラパマイシン、7-チオメチル-ラパマイシン、7-エピ-トリメトキシ-ラパマイシン、2-desメチル-ラパマイシン、及び42-0-(2-ヒドロキシ)エチル-ラパマイシンからなる群から選択されるところの、低用量のラパマイシン類似物である、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項58】
ラパマイシンの低用量が、認可される治療量の約10%以下、約8%以下、約6%以下、約4%以下、約2%以下、約1%以下、約0.1%以下、約0.01%以下、または約0.001%以下である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
低用量のラパマイシンは、単離化合物、生エキス、又はラパマイシンを含む純化されていない微生物として投与される、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項60】
前記微生物がStreptomyces hygroscopicusである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記組成物が、酸化防止剤、抗高血圧薬、脂質低下薬、抗卒中薬、抗癌剤、及び異なる抗老化剤からなる群から選択される第二の薬剤を更に含む、請求項55〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記第二の薬剤が、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン及びその他のカロチノイド、セレン、リポ酸、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、補酵素Q10、グルタチオン、N-アセチルシステイン、メラトニン、ゲニステイン、エストラジオール、茶抽出物、及びブドウ種子エキスからなる群から選択される酸化防止剤である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記組成物が、薬学的に許容される担体を更に含む、請求項55〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記組成物は、経口、非経口、局所、経皮、又は、坐剤もしくはエアロゾルの投薬形態で投与される、請求項55〜63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
加齢に伴う病気が、異常増殖性疾患、変性疾患、又は機能低下疾患である、請求項55〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
加齢に伴う病気が、腫瘍形成及び悪性癌進行、神経変性疾患、心筋梗塞(心臓発作)、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、変形性関節症、骨粗鬆症、筋肉減少症、骨髄の減少、白内障、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、免疫機能低下、糖尿病、特発性肺線維症、加齢性黄斑変性、小脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、並びに、
テストステロン、エストロゲン、成長ホルモン、IGF-I又はエネルギー産生の減少に起因する疾患から、選ばれるものである、請求項55〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
加齢に伴う病気が、腫瘍形成もしくは癌の悪性進行、パーキンソン病、脳卒中、小脳梗塞、又は心筋梗塞である、請求項57〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
生物試料中の抗老化剤を検出する方法であって、以下の工程、即ち、
(i) 任意的に、生物試料を溶媒で希釈する工程、
(ii) テロメア機能不全又はDNA損傷により酵母細胞の細胞周期が止められた条件下で前記希釈された試料を変異酵母細胞で培養する工程、
(iii) 細胞周期を止められた条件を取り除くと共に、生き残った酵母細胞の数を測定する工程、及び、
(iv) 工程(iii)で得られた生き残った細胞の数を、培養工程(ii)と同じ条件での対照実験(但し、その対照実験では前記の生物試料を含まない)において生き残った細胞の数と比較する工程、を含み、
前記対照実験での生き残り細胞数と比較して前記工程(iii)で得られた生き残り細胞の数が増えていることは、前記生物試料が抗老化剤を内包することを示唆するものである、ことを特徴とする方法。
【請求項69】
生物試料中における抗老化剤の生物学的濃度を判定する方法であって、以下の工程、即ち、
(i) 任意的に、被験者の生物試料を溶媒で希釈する工程、
(ii) テロメア機能不全又はDNA損傷による酵母細胞の細胞周期が停止された条件下で前記希釈された生物試料を変異酵母細胞で培養する工程、
(iii) 細胞周期が停止される条件を取り除く共に、生き残った酵母細胞の数を測定する工程、
(iv) 任意的に、工程(iii)で得られた生き残った細胞の数を、培養工程(ii)と同じ条件での対照実験(但し、その対照実験では前記の生物試料を含まない)において生き残った細胞の数と比較する工程、及び、
(v) 生き残った酵母細胞の数を、抗老化剤の濃度と生き残り酵母細胞の数との間の予め確立された標準方程式又は標準曲線にあてはめて、抗老化剤の生物学的濃度を計算する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項70】
前記予め確立された標準方程式又は標準曲線は、次の各工程を含むプロセスを経て準備されること、即ち、
(vi) 被験者の生物試料を培養するために使われた溶媒を用いて、異なる既知濃度の精製抗老化剤を有する複数の標準溶液を調製する工程、
(vii) テロメア機能不全又はDNA損傷により細胞周期が止められた条件下、前記標準溶液で変異酵母細胞を培養する工程、
(viii) 細胞周期が停止される条件を取り除く共に、各々の培養標準溶液につき生き残った酵母細胞の数を測定する工程、並びに、
(ix) 工程(viii)で得られた生き残り細胞数をその対応する抗老化剤濃度に対してプロットして、標準方程式及び/又は標準曲線を得る工程、
を特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記抗老化剤が、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法で同定された薬剤である、請求項69又は70に記載の方法。
【請求項72】
前記抗老化剤がラパマイシン又はその類似物である、請求項69〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記変異酵母が、cdc13-1、cdc13-2、stn1-1、cdc17-1、cdc17-2、hdf1、hdf2、est1、est2及びest3からなる群から選ばれるものである、請求項69〜72のいずれか一項に記載の方法。
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2012−523239(P2012−523239A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504917(P2012−504917)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/030732
【国際公開番号】WO2010/118419
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511308392)ウウシィ ハーグ ファーマスーティカルズ,インク. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/030732
【国際公開番号】WO2010/118419
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511308392)ウウシィ ハーグ ファーマスーティカルズ,インク. (1)
【Fターム(参考)】
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