説明

新規抗菌性ペプチド

本発明は、少なくとも1つのアミノ酸残基が、抗菌組成物の製造のための抗菌性ペプチドの有効性を改善するために置換されている、ペプチドの使用に関する。当該組成物は、微生物、例えば細菌、ウイルス、真菌、寄生虫及び酵母と闘うための、医薬組成物として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、抗菌組成物の製造のためのペプチドの有効性を改善するために、少なくとも1つのアミノ酸残基が置換されている、配列番号1を含むペプチドの使用に関する。当該組成物は、酵母及び寄生虫を含む微生物、例えば細菌、ウイルス、真菌、を駆除するための医薬組成物として使用することができる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
数々の感染症は、哺乳動物、例えばヒト、の免疫系により成功的に対処される。しかしながら、ある例では、局所的又は全身性の急性感染症を引き起こすかもしれない細菌、真菌又はウイルスは、必ずしも除去されない。これは、周産期-、火傷又は集中治療室では、及び免疫システムが損なわれた個体では、重大な関心事である。他の例では、上皮表面での継続的な細菌の存続は、慢性疾患を引き起こすか又は更に悪化させることがある。ヒトでは、これは、慢性皮膚潰瘍、アトピー性皮膚炎及び他の種類の湿疹、座瘡又は泌尿器感染症により例示される。
【0003】
症候性感染症は、様々な医薬により治療することができる。疾患によっては、例えばワクチンにより駆除することもできる。しかしながら、ワクチンは、必ずしも最良の治療ではなく、ある微生物についてはワクチンが利用できない。予防が利用できない場合に、疾患の治療が求められる。一般的には、治療は、微生物を殺す抗生物質の利用により実行される。しかしながら、ここ数年で、いくつかの微生物が抗生物質に耐性になっている。おそらく、耐性の問題は、近い将来、増加するだろう。加えて、いくつかの個体は、抗生物質に対してアレルギーを発症している。それによって、ある抗生物質を効果的に使用する可能性を減少させている。
【0004】
様々な生物の上皮表面は、細菌に連続的に曝露される。近年、抗菌性ペプチドに基づく生来の免疫系は、感染を受けやすい生物境界において細菌の初期クリアランスに重大な役割を果たしている(Lehrer, R. L, and Ganz, T. (1999) Curr Opin Immunol 11: 23-27, Boman, H. G. (2000) Immunol. Rev. 173, 5-16)。抗菌性ペプチドは、細菌の膜を透過することにより細菌を殺し、特定の分子性微生物標的の欠如は、耐性の発症を最少限に抑える。
【0005】
いくつかの抗菌性ペプチド及びタンパク質は、本明細書では無関係であるが、記載のペプチドは当該分野で公知である。
【0006】
米国特許第6,503,881号明細書は、抗菌性ペプチドとして使用されるべきインドリシジンアナログであるカチオン性ペプチドを開示する。カチオン性ペプチドは、動物及び植物を含む異なった種から得られる。
【0007】
米国特許第5,912,230号明細書は、抗-真菌性及び抗-菌性のヒスタミン系ペプチドを開示する。天然ヒトヒスタミンのアミノ酸配列の明確な部分に基づくペプチド、及び真菌性及び細菌性感染症の治療方法。
【0008】
米国特許第5,717,064号明細書は、メチル化リシン過剰溶解性ペプチドを開示する。溶解性ペプチドは、トリプシン消化耐性でありかつ非天然型である。溶解性ペプチドは、in vivo投与に好適である。
【0009】
米国特許第5,646,014号明細書は、抗菌性ペプチドを開示する。ペプチドは、カイコ血リンパ由来の抗菌性分画から単離した。ペプチドは、いくつかの細菌株、例えばエシェリシア・コリ(Escherichia coli)、ストレプトコッカス・アーレウス(Staphylococcus aureus)及びバチルス・セレウス(Bacillus cereus)に対して優れた抗菌活性を示す。
【0010】
McCabe他, J. Biol. Chem. Vol. 277: 27477-27488, 2002は、37 kDaの抗菌性かつ走化性タンパク質である、ヘパリン結合コンセンサスモチーフXBBXBX及びXBBBXXBXを含むアズロシジンを開示する。
【0011】
WO 2004016653は、アズロシジンの20〜24配列に基づくペプチドを開示する。このペプチドは、ジスルフィド橋によって結合されるループ状構造を含む。
【0012】
米国特許第6495516号明細書及び関連特許は、殺菌性の55 kDaタンパク質、殺菌性/透過性増加タンパク質(BPI)に基づくペプチドを開示する。当該ペプチドは、ヘパリンと同様に抗菌効果を示し、LPS-中和能を示した。
【0013】
WO 01/81578は、多数の疾患のために使用することができる、G-結合タンパク質-受容体関連ポリペプチドをコードする多数の配列を開示する。
【0014】
現在では、セクロピン、デフェンシン、マゲイニン及びカテリシジンを含む、700種を越える抗菌性ペプチド配列が知られている(www.bbcm.univ.trieste.it/〜tossi/search.htm)。
【0015】
比較的多数の抗菌性ペプチドが今日入手可能であるとしても、新規の改良された抗菌性ペプチドの需要は依然として増えている。抗菌性ペプチドは、微生物と闘うために使用することができ、微生物は、抗生物質及び/又は他の抗菌剤に対して耐性であるか又は寛容である。より重要なことには、哺乳動物例えばヒトに導入されたときに、非-アレルギー誘発性である、新規な抗菌性ペプチドについての需要がある。細菌は、顕著な耐性を誘導することなく、進化の間に、内生的に産生された抗菌性ペプチドに遭遇した。
【発明の開示】
【0016】
発明の概要
本発明は、配列番号1を含む新規な改良されたペプチド及びそのアナログであって、当該ペプチドは、配列番号1とは、C1、N2、T5、E6、R8、R9、H11、A12、R13、A14、S15、H16、L17、G18及びA20からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、微生物と闘うために使用される抗菌組成物の製造のために置換されている点で相違する、前記ペプチドの使用に関する。
【0017】
加えて、本発明は、当該ペプチド及び薬学的に許容される緩衝剤、希釈剤、担体、アジュバント又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0018】
加えて、本発明は、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌及び酵母からなる群より選ばれる微生物を抑制し、阻害し、減少させ又は破壊するための、抗菌組成物の製造のための、配列番号2と少なくとも70 %のホモロジーを示すポリペプチドの使用に関する。
【0019】
最後に、本発明は、本発明のペプチド及び/又はペプチド(複数)を含む医薬組成物の治療上有効量を哺乳動物に投与することを含む、微生物感染症を有する哺乳動物を治療する方法に関する。かかる抗菌性ペプチドを提供することにより、抗菌性ペプチドに対するアレルギー反応の危険性は、当該ペプチドが内生的タンパク質及び/又はペプチドのポリペプチド配列から得られるという事実に起因して減少することができる。短いペプチドを用いることにより、より長いペプチド及びタンパク質に比べて、ペプチドの安定性は増加し、製造コストは減少する。それにより、本発明は、経済的に有利であり得る。
【0020】
本発明のペプチドは、微生物の効率的な抑制、減少又は削除を促進する、組成物を提供する。それにより、抗生物質に対して耐性又は寛容である微生物と闘うことができる可能性が増加し得る。更に、商業的に入手可能な抗菌剤に対するアレルギーがある哺乳動物も治療することができる。内生的に改善されたタンパク質から得られる抗菌性/医薬組成物を提供することにより、哺乳動物がこれらの特定のペプチドに対してアレルギーを発症する可能性は減少するか又はなくなるかもしれない。このことは、抗菌性/医薬組成物を、感染症を抑制するための医薬又は添加剤として抗菌性/医薬組成物が哺乳動物に接触するいくつかの適用に関して有用にさせる。
【0021】
加えて、短いペプチドの使用は、生物学的利用性を改善することができる。更に、グラム-陰性及びグラム-陰性菌又は真菌に対して特異的又は好ましい作用を有する、構造的に区別可能なペプチドの使用は、様々な微生物の特異的な標的化を可能にし、従って、耐性の発症及び環境上の問題を最小限にする。哺乳動物に既に存在するペプチドに匹敵する補助ペプチドを用いることにより、新規な抗生物質による別の環境的圧力の危険性は、更に減少する。最後に、これらの製剤は、内生的な抗菌性ペプチドの効果を増加させることもできる。
【0022】
本発明の抗菌性ペプチドは、哺乳動物、例えばヒトに侵入し又は感染するものに限定されない適用を含む、全ての種類の適用における微生物を抑制し、減少させ又は削除するための選択を助ける、抗菌剤のリストを増やすものである。
【0023】
発明の詳細な説明
定義
本願及び本発明との関連で、以下の定義を適用する。
【0024】
用語「ヌクレオチド配列」は、2以上のヌクレオチドの配列を意味することを目的とする。ヌクレオチドは、ゲノムDNA、cDNA、RNA、半-合成もしくは合成起源又はその混合物でよい。当該用語は、DNA又RNAの一本鎖及び二本鎖形態を含む。
【0025】
用語「置換された」は、アミノ酸残基が別のアミノ酸残基により置き換わることを意味する。例えば、S15Vは、配列番号1の位置15におけるセリンのアミノ酸残基が置換される、すなわちバリンに置き換わる、ことを意味することを目的とする。
【0026】
用語「そのアナログ」は、配列番号1のポリペプチドの一部分又は全体が、非タンパク質アミノ酸残基、例えばアミノイソ酪酸(Aib)、ノルバリンγ-アミノ酪酸(Abu)又はオルニチンに基づく、ことを意味することを目的とする。他の非タンパク質アミノ酸残基の例は、http://www.hort.purdue.edu/rhodcv/hort640c/polvam/po00008.htmに見られる。
【0027】
用語「除かれた」は、少なくとも1つのアミノ酸残基が除かれる、すなわち別のアミノ酸残基により置き換えられることなくポリペプチドから放出されることを意味することを目的とする。用語「ホモロジー」は、配列番号2のポリペプチドの全体的ホモロジーを意味し、特定のアミノ酸残基が同一の群(すなわち、疎水性、親水性)に属することを意味する用語「類似性」、又はアミノ酸残基が同一であることを意味する「同一性」とは混同されない。
【0028】
用語「抗菌性ペプチド」は、微生物を抑制し、阻害し又は破壊するペプチドを意味することを目的とする。抗菌活性は、任意の方法、例えば実施例3〜5に記載の方法により決定することができる。
【0029】
用語「両親媒性」は、α-へリックス構造、β-鎖、直線状、環状又は他の二次的構造の反対面の親水性及び疎水性のアミノ酸残基、並びにペプチドの一次構造の反対末端の親水性及び疎水性のアミノ酸残基の配分であって、その結果、分子の一方の面又は一方の末端は、優先的に荷電し、親水性であり、他の面又は他の末端は、優先的に疎水性である、配置を意味することを目的とする。ペプチドの両親媒性度は、例えば、様々なウェブ-系アルゴリズム、例えばhttp://us.expasy.org/cgi-bin/protscale.pl又は
http://www.mbio.ncsu.edu/BioEdit/bioedit.htmlに見られるアルゴリズムにより、アミノ酸残基の配列をプロットすることによって評価することができる。疎水性残基の配置は、ヘリックス車輪図により見ることができる。二次構造の予測アルゴリズム、例えばGORIV及びAGADIRは、www.expasv.com.に見られる。
【0030】
用語「カチオン性」は、約4〜約12のpH範囲内、例えば約4〜約10のpH範囲内の正味の正電荷を有する分子を意味することを目的とする。
【0031】
用語「微生物」は、任意の生きている微生物を意味することを目的とする。微生物の例は、細菌、ウイルス、寄生虫及び酵母である。
【0032】
用語「抗菌剤」は、微生物の生命を抑制し、阻害し又は破壊する任意の薬剤を意味することを目的とする。抗菌剤の例は、「抗菌性治療に関するSanford指針」 (第32版, Antimicrobial Therapy社, US)に見られる。
【0033】
本発明の文脈においては、アミノ酸名及び元素名は、Protein DataBank (PDB) (www.pdb.org)により定義されるとおりに使用される。これは、IUPAC命名法 (IUPAC命名、並びにアミノ酸及びペプチドのシンボリズム (残基名、元素名等), Eur J Biochem., 138, 9-37 (1984) 及びEur J Biochem., 152, 1 (1985) の訂正に基づく。用語「アミノ酸」は、アラニン(Ala又はA)、システイン(Cys又はC)、アスパラギン酸(Asp又はD)、グルタミン酸(Glu又はE)、フェニルアラニン(Phe又はF)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Lle又はI)、リシン (Lys又はK)、ロイシン (Leu又はL)、メチオニン (Met又はM)、アスパラギン (Asn又はN)、プロリン (Pro又はP)、グルタミン (Gln又はQ)、アルギニン (Arg又はR)、セリン (Ser又はS)、スレオニン (Thr又はT)、バリン (Val又はV)、トリプトファン (Trp又はW)及びチロシン (Tyr又はY)、又はその誘導体からなる群より選ばれるアミノ酸を示すことを目的とする。
【0034】
説明
抗菌性ペプチド
本発明は、配列番号1を含むペプチド及びそのアナログであって、当該ペプチドは、C1、N2、T5、E6、R8、R9、H11、A12、R13、A14、S15、H16、L17、G18及びA20からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、微生物の減少又は除去のための抗菌組成物の製造のために置換されている点で配列番号1と相違する、前記ペプチドの使用に関する。置換は、配列番号1のペプチドと比べて、当該ポリペプチドにより活性を付与する。へリックス-コイル転移理論に基づくアルゴリズムを利用することにより、置換に好適なヘリックス性を予測するためのアガディール(AGADIR)が特定された(実施例1を参照)。抗菌力が、膜-模倣環境において固有のヘリックス安定性よりもα-へリックス構造の誘導に関連するようであるので、これらの置換は、微生物と闘う能力の点でポリペプチドの活性を増加させる (Tossi A, Sandri L, Giangaspero A. (2000), 両親媒性の、α-ヘリックス抗菌性ペプチド, Bio-polymers, 55, 4-30)。
【0035】
ポリペプチドの抗菌機能が維持され、及び/又は配列番号1の抗菌活性に比べて高い限り、置換は、別のアミノ酸残基への変化でも、非タンパク質アミノ酸残基への変化でもよい。
【0036】
置換(複数)は、C1G、N2S、N2T、N2K、T5E、T5D、T5N、E6A、E6V、E6L、E6I、E6M、E6F、E6Y、E6W、R8A、R8V、R8L、R8I、R8M、R8W、R8K、R9K、H11A、H11V、H11L、H11I、H11M、H11K、H11R、H11W、A12L、R13K、A14V、A14L、A14I、A14M、S15A、S15V、S15L、S15I、S15M、S15T、S15N、S15Q、S15K、S15R、S15W、H16K、H16R、H16A、H16V、H16L、H16I、H16M、L17K、L17R、L17A、L17V、L17I、L17M、G18W及びA20Rからなる群より選ばれ、例えば、N2S、N2K、T5E、T5D、T5N、E6A、E6V、E6L、E6I、E6M、E6F、E6Y、E6W、R8A、R8V、R8L、R8I、R8M、R8K、R8W、H11A、H11V、H11L、H11I、H11M、H11K、H11R、H11W、A12L、A14L、S15A、S15V、S15L、S15I、S15M、S15T、S15N、S15Q、S15K、S15R、S15W、H16K、H16R、H16A、H16V、H16L、H16I、H16M、L17K、L17R、L17A、L17V、L17I、L17M、G18W及びA20Rからなる群より選ばれる。加えて、本発明の抗菌性ペプチド(複数)は、配列番号1で示されるアミノ酸配列と、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個のアミノ酸残基で相違する。
【0037】
従って、1以上のアミノ酸残基(複数)は、抗菌活性が存続する限り、配列番号1のC末端及びN末端部分から、並びにこれらの部分の内の1つから除くことができる。配列番号1から除くことができるアミノ酸残基の例は、C1、N2、T5、E6、R8、R9、H11、A12、R13、A14、S15、H16、L17、G18及びA20である。しかしながら、置換され得る任意の上記のアミノ酸残基はいずれのアミノ酸残基も、基本的には除くことができる。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11個のアミノ酸残基は、配列番号1から除くことができる。ペプチドは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21個のアミノ酸残基の大きさを有することができる。
【0038】
上記の配列番号1は、もともと補体因子C3分子の一部分に基づくことができる(配列番号2を参照)しかしながら、それは、合成でもよく又は半合成でさえもよい。
【0039】
抗菌性ペプチドは、1個以上のアミノ酸残基、例えば1〜100個のアミノ酸残基、5〜50個のアミノ酸残基、又は6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30個のアミノ酸残基、により伸張することができる。かかる追加のアミノ酸は、非-抗菌性タンパク質から得られる抗菌性ペプチドの配列に隣接する配列を繰り返してもよい。加えられる数は、ペプチドの安定性、毒性、治療されるべき哺乳動物、又はペプチドがどのような生成物であるべきか及び抗菌性ペプチドがどのようなペプチド構造に基づくのかの点で、どの微生物と闘うのかに依拠する。ペプチドに加えられるべきアミノ酸残基の数は、製造という選択、例えば発現ベクター及び発現宿主、並びに抗菌性/医薬組成物を製造するという選択にも依拠する。ペプチドの抗菌効果を妨げない限り、伸張は、N-又はC-末端部分でもよく、又は抗菌性ペプチドの両部分でもよい。抗菌性ペプチドは、抗菌性ペプチドが別のペプチドと融合される、融合タンパク質でもよい。
【0040】
加えて、抗菌性ペプチドは、他の公知の抗菌性ペプチド又は他の物質、例えば他のペプチド、タンパク質、オリゴ糖、多糖、他の有機化合物又は無機物質、に作動可能に結合することができる。例えば、抗菌性ペプチドは、抗菌性ペプチドが微生物の生命を阻害し、抑制し又は崩壊する前に、抗菌性ペプチドが哺乳動物内で低下しないようにする物質に結合することができる。
【0041】
従って、抗菌性ペプチドは、アミド化又はエステル化によりC-末端部分で、及びアシル化、アセチルア化、PEG化、アルキル化等によりN-末端部分で修飾することができる。
【0042】
抗菌性ペプチドにより阻害され、抑制され又は崩壊される微生物の例は、細菌、グラム陽性及びグラム陰性菌、例えば、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エシェリシア・コリ(Eschericia coli)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アーレウス(Staphylococcus aureus)、ウイルス、寄生虫、真菌及び酵母、例えばカンジタ・アルビカンス(Candida albicans)及びカンジタ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)である。
【0043】
抗菌性ペプチドは、天然源、例えばヒト細胞、c-DNA、ゲノムクローンから得ることができ、化学的に合成することができ、又は細胞資源由来の発現産物として組換えDNA法により得ることができる。
【0044】
抗菌性ペプチドは、自動方法による合成を含み、標準的な化学的方法により合成することができる。一般的に、ペプチドアナログは、カップリング試薬又は他のカップリング試薬、例えばHOAt-1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾールとして、HATU (N-[ジメチルアミノ-1H-1.2.3.-トリアゾロ[4,5-B]ピリシン1-イルメチレン]-N-メチルメタンアミニウム ヘキサフルオロフォスフェート N-オキサイド)を用いる標準的な固相Fmoc保護法に基づいて合成される。当該ペプチドは、側鎖官能基も脱保護する好適なスカベンジャーを含む、トリフルオロ酢酸を有する固相樹脂から開裂される。粗ペプチドは、プレパラティブ用逆相クロマトグラフィーを用いて更に精製される。他の精製方法、例えば分配クロマトグラフィー、ゲル濾過、ゲル電気泳動、又はイオン交換クロマトグラフィーが使用することができる。当該分野で公知の他の合成方法、例えばtBoc保護法、又は異なったカップリング試薬等の使用は、等価なペプチドを製造するために採用することができる。
【0045】
ペプチドは、代替的には、組換え製造法により合成することができる(米国特許第5,593,866号明細書を参照)。細菌、例えばE.コリ(E. coli)、酵母、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はピチア、昆虫、例えばSf9、及び哺乳動物細胞、例えばCHO又はCOS-7を含む様々な宿主系は、ペプチドアナログの製造に好適である。宿主の各々に使用されることになる多くの入手可能なベクターが存在し、宿主は抗菌性ペプチドを産生することができる。ベクター、及びE.コリ(E. coli)でのクローニング及び発現のための方法は、例えばSambrook他(Molecular Cloning.: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y., 1987) 及びAusubel他 (Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing社, 1995) に見られる。
【0046】
最後に、ペプチドは、血漿、血液、様々な組織等から精製することができる。当該ペプチドは、内生的でもよく、又は精製されたペプチドの酵素的又は化学的消化の後に得られてもよい。例えば、ヘパリン結合タンパク質は、トリプシンにより消化することができ、得られた抗菌性ペプチドは更に大きなスケールで単離される。
【0047】
抗菌性ペプチドをコードするDNA配列は、宿主に好適な発現ベクターに導入される。好ましい実施態様では、遺伝子は、ベクターにクローニングされ、融合タンパク質を生成する。ペプチド配列の単離を促進するために、化学的開裂(例えば、CNBr)又は酵素的開裂(例えば、V8プロテアーゼ、トリプシン)を受けやすいアミノ酸が、ペプチド及び融合パートナーを架橋するために使用される。E.コリ(E. coli)での発現に関しては、融合パートナーは、好ましくは、封入体構成に発現を方向付ける通常の細胞内タンパク質である。かかるケースでは、開裂後に最終産物を放出するため、ペプチド再生の要件は存在しない。本発明では、融合パートナー及びペプチド遺伝子を含むDNAカセットは、発現ベクターに挿入することができる。好ましくは、発現ベクターは、挿入されたDNA配列の効率的な転写を宿主内で促進するために、誘導的又は構成的プロモーターを含むプラスミドである。
【0048】
発現ベクターは、慣用的な形質転換法、例えばカルシウム-媒介法、エレクトロポレーション又は当業者に周知の他の方法により、宿主内に導入することができる。抗菌性ペプチドをコードする配列は、天然資源、例えば哺乳動物細胞、存在するcDNA又はゲノムクローンから得られるか、又は合成することができる。使用される1つの方法は、抗菌性DNAの5'及び3'末端から得られ、典型的には、ベクターのクローニング部位に関して選ばれた制限部位を組み込む増幅プライマーを用いる、PCRによる抗菌性ペプチドの増幅である。必要ならば、翻訳開始及び終了コドンは、プライマー配列内に設計することができる。抗菌性ペプチドをコードする配列は、コドンの選択が治療されるべき最終の哺乳動物を考慮してなされる限り、特定の宿主内での発現を促進するために、コドン-最適化を行うことができる。従って、例えば、抗菌性ペプチドが細菌内で発現される場合には、コドンは細菌用に最適化される。
【0049】
発現ベクターは、導入された抗菌性ペプチドの発現を促進するためにプロモーター配列を含むことができる。必要ならば、例えば1以上のエンハンサー、リボゾーム結合部位、転写終了シグナル配列、分泌シグナル配列、複製の起源、選択的マーカー等の制御配列を含んでもよい。制御配列は、転写及び次の翻訳を可能にするために互いに作動可能に結合する。抗菌性ペプチドが細菌内で発現される場合に、制御配列は細菌内で使用されるように設計され、そして当業者に周知のものである。好適なプロモーター、例えば構成的及び誘導的プロモーターは、広く入手可能であり、T5、T7、T3、SP6ファージ及びtrp、lpp及びlacオペロン由来のプロモーターを含む。
【0050】
抗菌性ペプチドを含むベクターが細菌内で発現することになる場合、起源の例は、高コピー数を生じるものか、又は低コピーを生じるもの、例えばfl-ori及びcol E1 oriのいずれかである。
【0051】
好ましくは、プラスミドは、形質転換され細胞を特定する及び/又は選択的に成長させることができる、宿主内で機能する少なくとも1つの選択的マーカーを含む。細菌性宿主に好適な選択的マーカー遺伝子は、アンピシリン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子及び当該分野で公知の他の遺伝子を含む。
【0052】
細菌内での発現用のプラスミドの例は、pET発現ベクターpET3a、pET 11a、pET 12a-c及びpET 15b (Novagen, Madison, Wis.から入手可能) を含む。低コピー数のベクター(例えば、pPD1OO)は、E.コリ(E. coli)宿主に有害なペプチドの効率的な過産生のために使用することができる (Dersch他, FEMS Microbiol. Lett. 123: 19, 1994)。
【0053】
好適な宿主の例は、細菌、酵母、昆虫及び哺乳動物細胞である。しかしながら、一般的に、細菌、例えばE.コリ(E. coli)が使用される。
【0054】
発現された抗菌性ペプチドは、慣用的な単離法、例えばアフィニティ、サイズ排除法又はイオン交換クロマトグラフィー、HPLC等により単離される。異なった精製法は、「実用的生物化学の原則及び技術についての生物学者の指針」 (Wilson及びGolding著, Edward Arnold, London)又はCurrent Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons社)に見られる。
【0055】
従って、ヒト皮膚肥満細胞は、精製されたヒトC3aを用いるシミュレイーション後にヒスタミンを分泌する (300 nM〜600 μMの範囲, Kubota Y. J Dermatol. 1992 19: 19-26)。凝集IgG及びC3aによるヒト肥満細胞の同時活性化は、追加的な脱顆粒を招いた。これらのデータは、MCが多くの炎症性の皮膚疾患において炎症成分の一因となり得るメカニズムを支持する。従って、本明細書に開示された抗菌性ペプチドは、肥満細胞活性化のインヒビターとして働き、新規な抗炎症性分子としてその抗菌効果に合せて機能することができる。
【0056】
加えて、本発明は、上記の抗菌性ペプチド及び薬学的に許容される緩衝剤、希釈剤、担体、アジュバント又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。追加の化合物が、当該組成物中に含まれていてもよい。これらは、例えば、キレート化剤、例えばEDTA、EGTA又はグルタチオンを含む。抗菌性/医薬組成物は、十分に保存安定であり、ヒト及び動物への投与に好適である、当該分野で公知の方法で調製することができる。医薬組成物は、例えばフリーズ・ドライ、スプレイ乾燥又はスプレイ冷却により、凍結乾燥することができる。
【0057】
「薬学的に許容される」は、活性成分の生物活性の有効性を減少させない非-毒性材料、すなわち、抗菌性ペプチド(複数)を意味する。かかる薬学的に許容される緩衝剤、担体又は賦形剤は、当該分野で周知である(Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, A.R Gennaro著, Mack Publishing Company (1990) and handbook of Pharmaceutical Excipients, 第版, A. Kibbe著, Pharmaceutical Press (2000))。
【0058】
用語「緩衝剤」は、pHを安定化させる目的の、酸-塩基の混合物を含む水溶液を意味することを目的とする。緩衝剤の例は、トリズマ、ビシン、トリシン、MOPS、MOPSO、MOBS、トリス、ヘペス、HEPBS、MES、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ホウ酸塩、ACES、ADA、酒石酸塩、AMP、AMPD、AMPSO、BES、CABS、カコジル酸塩、CHES、DIPSO、EPPS、エタノールアミン、グリシン、HEPPSO、イミダゾール、イミダゾール乳酸、PIPES、SSC、SSPE、POPSO、TAPS、TABS、TAPSO及びTESである。
【0059】
用語「希釈剤」は、医薬調製物中のペプチドを希釈する目的の、水溶液又は非-水溶液を意味することを目的とする。希釈剤は、1以上の生理食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール又は油(例えば、ヒマワリ油、コーン油、ピーナッツ油、綿実油又はゴマ油)でよい。
【0060】
用語「アジュバント」は、ペプチドの生物的効果を増加させるために調合物に添加されることになる任意の化合物を意味することを目的とする。アジュバントは、異なったアニオン、例えばフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、チオシアン酸塩、亜硫酸塩、水酸化物、リン酸塩、炭酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、及び異なったアシル組成物の酢酸塩、に限定されないアニオンを有する1以上の亜鉛、銅又は銀の塩でよい。
【0061】
賦形剤は、1以上の糖類、ポリマー、脂質及びミネラルでよい。例えば凍結乾燥を促進するための、組成物に添加される糖類の例は、ラクトース、スクロース、マンニトール及びシクロデキストリンでよい。ポリマーの例は、デンプン、セルロースエーテル、セルロースカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カラゲナン、ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸、ポリスルホン酸塩、ポリエチレングリコール/ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、異なった加水分解度のポリビニルアルコール/ポリビニル酢酸塩、及びポリビニルピロリドンであり、全て、異なった分子量を有し、例えば、粘性制御のため、生物的接着を達成するため、又は脂質を化学的及びタンパク質分解性の分解から保護するために、組成物に添加される。脂質の例は、全て、異なったアシル鎖長及び飽和を有する、脂肪酸、リン脂質、モノ-、ジ-及びトリグリセリド、セラミド、スフィンゴ脂質及び糖脂質、卵レシチン、大豆レシチン、水素化卵及び大豆レシチンである。これらは、ポリマーに関する理由と類似の理由により、組成物に添加される。ミネラルの例は、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛及び酸化チタンであり、これらは、利益、例えば液体蓄積の減少又は有利な色素特性を得るために組成物に添加される。
【0062】
担体の特徴は、投与経路に依拠する。投与の1経路は、局所投与である。例えば、局所投与では、好ましい担体は、活性ペプチドを含む乳化クリームであるが、他の一般的な担体、例えば特定のホワイト油/ミネラル-型及び植物-型軟膏も、ポリマーゲル、液晶相及びマイクロエマルションと同様に使用することができる。特定の実施態様によれば、本発明は、塩、例えば一価のナトリウム、カリウム、二価の亜鉛、マグネシウム、銅又はカルシウムを含む抗菌性又は医薬組成物に関する。特定の組成物のpHは、約4.5〜約7.0、例えば約5.0、5.5、6.0又は6.5でよい。
【0063】
組成物は、抗菌性/医薬組成物中に、1以上のペプチド、例えば1、2、3又は4つの異なったペプチドを含むことができる。異なったペプチドの組み合わせを用いることにより、抗菌効果は増加することができ、及び/又は、微生物が抗菌剤に対して耐性である及び/又は寛容であるという可能性がある。
【0064】
ペプチドが、上記の塩及び/又は約4.5〜約7.0のpHを含む組成物中にある場合には、ペプチドは活性になる。すなわち、亢進された効果は、塩の添加及び/又は特定のpH範囲の選択により得られる。
【0065】
塩としてのペプチドは、無機酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸、過塩素酸、チオシアン酸、ホウ酸等、又は有機酸、例えばギ酸、酢酸、ハロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、グルクロン酸、乳酸、マロン酸、フマル酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルファニル酸等、との酸付加物でもよい。無機酸、例えば一価のナトリウム、カリウム、又は二価の亜鉛、マグネシウム、銅、カルシウムと、全ての対応するアニオンとの塩は、抗菌組成物の生物活性を改善するために添加することができる。
【0066】
本発明の抗菌性/医薬組成物は、リポゾームの形態でもよい。そこでは、他の薬学的に許容される担体に加えて、ペプチドが、ミセル、不溶性の単分子層及び液晶として凝集形態で存在する両親媒性の薬剤、例えば脂質と混合される。リポゾーム調合物のための好適な脂質は、特に限定されず、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸等を含む。かかるリポゾーム調製物の調製は、例えば米国特許第4,235,871号明細書に見出される。
【0067】
本発明の抗菌性/医薬組成物は、生分解性ミクロスフェアの形態でもよい。脂肪族ポリエステル、例えばポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸) (PGA)、PLA及びPLAとPGAとのコポリマー (PLGA)、又はポリ(カプロラクトン) (PCL)、及びポリ無水物は、ミクロスフェアの製造において生分解性ポリマーとして幅広く使用されてきた。かかるミクロスフェアの調製は、米国特許第5,851,451号明細書及びEP0213303号明細書に見られる。
【0068】
本発明の抗菌性/医薬組成物は、ポリマーの形態でもよい。ポリマー、例えばデンプン、セルロースエーテル、セルロースカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カラゲナン、ヒアルロン酸及びそれらの誘導体、ポリアクリル酸、ポリスルホン酸塩、ポリエチレングリコール/ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、加水分解の異なった程度のポリビニルアルコール/ポリビニル酢酸、並びにポリビニルピロリドンは、ペプチドを含む溶液を濃くするために使用される。
【0069】
代替的には、抗菌性ペプチドは、生理食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール又は油(例えば、ヒマワリ油、コーン油、ピーナッツ油、綿実油又はゴマ油)、トラガカントガム、及び/又は様々な緩衝剤中に溶解することができる。医薬組成物は、抗菌性ペプチドの作用の相乗作用のためのイオン及び特定のpHを含んでもよい。
【0070】
抗菌性/医薬組成物は、慣用的な薬学上の操作、例えば、殺菌に供することができ、及び/又は慣用的なアジュバント、例えば保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤、フィラー等、例えば本明細書に至るところで開示されているもの、を含むことができる。
【0071】
本発明に従う抗菌性/医薬組成物は、局所的又は全身的に投与することができる。投与経路は、局所、眼、鼻腔、肺、舌下、非経口(静脈内、皮下及び筋肉内)、経口、膣、直腸を含む。また、インプラントからの投与も可能である。好適な抗菌性調製物形態は、例えば、顆粒、粉末、錠剤、被覆錠剤、(マイクロ)カプセル、座剤、シロップ、エマルション、水、油及び界面活性剤からなる光学的に等方性の熱力学的に安定な系として定義されるマイクロエマルション、長距離秩序であるが短距離無秩序によって特徴付けられる系として定義される液晶相(例えば、水又は油のいずれかの連続相である層状相、六角形相及び立方相)、又はその分散対応物、ゲル、軟膏、分散液、懸濁液、クリーム、アエロゾル、液滴又はアンプル形態の注射用溶液であり、及びそこでは調製賦形剤、希釈剤、アジュバント又は担体が習慣的に上記のように使用される、活性化合物の徐放を伴う調製物でもある。医薬組成物は、包帯、絆創膏又は縫合糸等で提供することもできる。
【0072】
医薬組成物は、薬学的に有効な量で患者に投与されることになる。「薬学的に有効な用量」は、投与される症状に関連して所望の効果を生じるために十分である用量を意味する。正確な用量は、化合物の活性、投与方法、疾患の性質及び重度、異なった用量が必要とされる患者の年齢及び体重に依拠する、用量の投与は、個々の用量単位の形態で単回投与により、又は数回のより少ない用量単位の形態で数回により、及び一定の間隔での分割した用量の多数回投与によっても達成することができる。
【0073】
本発明の医薬組成物は、単独で又は他の治療剤、例えば抗生物質又は防腐剤例えば抗菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、及び駆虫剤、と組み合わせて投与することができる。例は、ペニシリン、セファロスポリン、カルバセフェム、セファマイシン、カルバペネム、モノバクタム、アミノグリコシド、グリコペプチド、キノロン、テトラサイクリン、マクロリド、及びフルオロキノロンである。防腐剤は、ヨウ素、銀、銅、クロルヘキシジン、ポリへキサニド及び他のビグアナイド剤、キトサン、酢酸、及び過酸化水素を含む。これらの薬剤は、同一の医薬組成物の一部分として組み込まれることができるか、又は別個に投与することができる。
【0074】
本発明は、ヒト及び他の哺乳動物、例えばその中ではウマ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ラクダに関連する。従って、本方法は、ヒト治療及び動物用途に適用可能である。かかる治療に好適な対象は、良く知られた感染症の顕著な特徴、例えば熱、脈拍、生物の菌株等により特定することができる。抗菌性ペプチドによって治療することができる感染症は、微生物により又は微生物に起因して起こるものを含む。微生物の例は、細菌(例えば、グラム陽性、グラム陰性)、真菌(例えば、酵母及びカビ)、寄生虫(例えば、原生動物、線虫類、多節条虫類及び吸虫)、ウイルス及びプリオンを含む。これらの種類中の特定の生物は良く知られている(例えば、Davis他, Microbiology, 第3版補遺, Harper & Row, 1980を参照)。感染症は、特に限定されないが、慢性皮膚潰瘍、感染性急性損傷及び火傷、感染性皮膚湿疹、膿痂疹、アトピー性皮膚炎、座瘡、外耳炎、膣感染症、脂漏性皮膚炎、経口感染症及び歯周炎、間擦疹型皮膚カンジダ症、結膜炎及び他の眼科感染症及び肺炎を含む。従って、抗菌性/医薬組成物は、外科手術後及び皮膚損傷の後の火傷の予防的治療のために使用することができる。医薬組成物は、ヒトと接触する外部材料、例えばコンタクトレンズ、眼科インプラント及びカテーテル、の保存性及び処置を意図した溶液中に含まれてもよい。
【0075】
加えて、抗菌性/医薬組成物は、アトピー性皮膚炎、膿痂疹、慢性皮膚潰瘍、感染性急性損傷及び火傷、座瘡、外耳炎、真菌性感染症、肺炎、脂漏性皮膚炎、間擦疹型皮膚カンジダ症、カンジタ性膣炎、口腔咽頭カンジタ症、眼科感染症(細菌性結膜炎)、及び(MRSAキャリッジを含む)鼻腔内感染症の治療のために使用することができる。
【0076】
抗菌性/医薬組成物は、洗浄液、例えばレンズ消毒剤及び保存用液において使用することもでき、又は導尿カテーテル使用もしくは中心静脈カテーテル使用と関連する細菌性感染症を予防するために使用することもできる。
【0077】
加えて、抗菌組成物は、包帯、絆創膏、縫合糸での術後感染の予防のために使用することができ、又は損傷縫合において組み込むこともできる。
【0078】
抗菌性ペプチドは、ポリマー、織物等において使用し、抗菌性表面又は化粧品をつくることができ、そしてパーソナルケア製品(石鹸、シャンプー、歯磨き、抗座瘡剤、酸クリーム、止血栓、おむつ等)は、抗菌性/医薬組成物を用いて補充することができる。
【0079】
本発明は、配列番号2と少なくとも70 %、80 %、90 %又は95 %又はそれ以上のホモロジーを示すポリペプチド、すなわち、C3aポリペプチド、又は上記定義の抗菌性ペプチド、又は細菌、ウイルス、寄生虫、真菌及び酵母、からなる群より選ばれる微生物を抑制し、阻害し又は破壊するための、抗菌組成物の製造のための上記定義の抗菌性/医薬組成物の使用、並びに治療又は診断における使用、にも関する。
【0080】
最後に、本発明は、上記定義の医薬組成物の治療上有効量を患者に投与することを含む、微生物感染症を有する又はアレルギーに罹患した哺乳動物を治療する方法に関する。
【実施例】
【0081】
実施例1
可能性のある置換の予測
ヘリックス性を予測するために、ヘリックス-コイル転移理論に基づくアルゴリズム、アガディール(AGADIR)を使用した(Lacroix E, Viguera AR and Serrano L. (1998), ヘリックスの折り畳みの問題を解明すること:部分的なモチーフ、広範囲の静電気学、イオン強度依存、及びNMRパラメータの予測, J Mol Biol, 284, 173-191)。ペプチド配列を、アガディール(AGADIR)サービスへの、EMBL WWWゲートウェイ (http .7/www. embl-heidelberg.de/Services/serrano/agadir/agadir-start.html)に提出することにより計算を行った。
【0082】
インプットパラメータは以下のとおりである: C末端遊離、N末端遊離、pH 7.4、温度 278 K及びイオン強度 0.15 M。ヘリックス車輪図を作ることにより、両親媒性を調べた。
【0083】
α-ヘリックス構造を採用するためにモデル化されたCNY21の構造的分析は、特にN-末端部分では両親媒性を有することを示す(図2及び6)。加えて、Arg 9及びGln 10の側鎖は、Glu 6の側鎖に対して水素結合を形成することができ、そしてArg13の側鎖は、ヘリックス構造を安定化するGln 10の側鎖に水素結合することができる。
【0084】
α-へリックスの末端には特定の位置について好ましいアミノ酸が存在することはよく知られている(Richardson JS and Richardson DC. (1988) αヘリックスの末端の特定の位置についてのアミノ酸選択, Science, 240, 1648-1652)。異なったN-キャップ残基の効果をアガディール(AGADIR)によりCNY21で調べた (アガディール(AGADIR)により予測されるヘリックス含量は、ペプチド配列の後に示される)。
【0085】
【表1】

【0086】
C-末端Cysの除去のみから明らかなように、N-キャップ残基としてAsn又はSerのいずれかを有することは、ヘリックス性の意味深い効果を有する。更に、抗菌性ペプチドは、N-末端においてGlyの位置保存性を有することが明らかとなった(Tossi A, Sandri L, Giangaspero A. (2000), 両親媒性のα-へリックス抗菌性ペプチド, Biopolymers, 55, 4-30)。ここで、N-末端CysのGlyによる置換はほとんどその効果を有さない。
【0087】
位置のAsnがN-キャップとして作用すると仮定することにより、N-キャップ+3の位置の異なった残基の調査は、Glu又はAspについての選択性を示す。
【0088】
【表2】

【0089】
この選択性は、キャッピングボックスと称される相互の骨格-側鎖水素結合相互作用が形成されることに起因する(Harper ET and Rose GD, (1993), タンパク質及びペプチドにおけるヘリックス終止シグナル:キャッピングボックス, Biochemistry, 32, 7605-7609)。このモチーフの更なる分析は、位置2におけるAsn、Ser又はThrのいずれかについての選択性、及びCNY21の位置5におけるGlu又はAspについての選択性を明らかにする。
【0090】
【表3】

【0091】
また、本明細書では、N-末端Cysの除去が、特にNXXE及びSXXEキャッピングモチーフを有するペプチドについてヘリシティを増加させる。
【0092】
【表4】

【0093】
時には、へリックスは、N-キャップ+4の位置で疎水性残基により安定化される。このことは、また、負の電荷が消失するか否かを見る目的を持って調査された。
【0094】
【表5】

【0095】
ヘリックスは、通常、C-キャップ残基としてのGlyで、又はC-キャップ+1の位置のProで終結する (Richardson JS and Richardson DC. (1988) α-ヘリックスの末端の特定の位置についてのアミノ酸選択, Science, 240, 1648-1652)。CNY21は、シェルマン(Schellman)モチーフ(Prieto J and Serrano L, (1997)、C-キャッピング及びヘリックス安定性を有する:位置iにおけるフィンガープリントGly、i-4及びi+4における疎水性残基及び位置i-2における極性又はAla残基によって定義される、C-末端のPro C-キャッピングモチーフ(J Mol Biol, 274, 276-288)。
【0096】
【表6】

【0097】
更に、へリックス含量は、ペプチドの疎水性残基間の間隔を最適化することにより、劇的に増加させることができる。間隔i、i+3又はi、i+4、特にロイシン間の間隔は、最も強力な相互作用を与える後者の間隔を有するヘリックスを安定化させることが知られている (Luo P, Baldwin RL. (2002) ヘリックスにおける (i, i+4) 及び (i, i+3) ロイシンペア相互作用の異なった強度の起源, Biophys Chem. 96, 103-108)。Tyr 3は、CNY21のN-末端において、Leu 7との好ましいi、i+4相互作用を形成する。へリックス含量は、以下に示すように、位置8、11、12及び16のロイシンを挿入することにより、CNY21において5 %〜約50 %増加する。
【0098】
【表7】

【0099】
CNY21の両親媒性構造は、最適ではない(図2及び6)。Arg 8、His 11及びSer 15を疎水性残基で、His 16及びLeu 17を親水性電荷残基、例えば、ペプチドの正味の正の電荷を増やすための正に荷電したアミノ酸、で置換することにより、CNY21の両親媒性を最適化することになる。
【0100】
【表8】

【0101】
最後に、上記の異なった置換を組み合わせることにより、高いヘリシティ及び最適な両親媒性を有するCNY21の変異体を設計することができる。6つの置換のみで、置換T5E、H11L、A12L、S15L、H16L及びL17Rを有するペプチドによって例示されるように、5 %〜70 %超のヘリシティを増加させることができる。このCNY21変異体のヘリックス車輪投影図は、図3に示される。
【0102】
【表9】

【0103】
CNY21ペプチドの様々な位置における全ての提案された置換を、表1に纏める。
【0104】
【表10】

【0105】
陰性対照ペプチドCNY21R-S及びCNY21H-Pは、CNY21よりも低いヘリシティを有することが必要である。かなり低いヘリックス含量も、これらのペプチドについては正しく予測される。より高い抗菌効果を示すペプチドCNY21H-K及びCNY21H-Lは、より高い予測ヘリシティを有する。このことは、可能性がα-ヘリックス構造を選ぶより大きな傾向を増加させるという仮説に一致する。
【0106】
【表11】

【0107】
実施例2
抗菌性ペプチド
ペプチドCNY21; CNYITELRRQHARASHLGLAR、CNY20; CNYITELRRQHARASHLGLA、CNY21R-S; CNYITELSSQHASASHLGLAR、CNY20R-S; CNYITELSSQHASASHLGLA、CNY21H-L: CNYITELRRQLARASLLGLAR、CNY21H-K: CNYITELRRQKARASKLGLAR、CNY21H-P: CNYITELRRQPARASPLGLARをInnovagen AB, Ideon, SE-22370, Lund, Swedenにより合成した。これらのペプチドの純度(>95 %)及び分子量を質量スペクトル分析(MALDI. TOF Voyager)により確認した。
【0108】
微生物
エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)2374、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)37.4、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)21 Aを当初は慢性静脈潰瘍から得、真菌カンジタ・アルビカンス(Candida albicans)BM 4435をアトピー性皮膚炎の患者から得、実験に使用した。
【0109】
実施例3
C3a-由来CNY21ペプチドの抗菌効果
図1Aは、E.フェカリス(E. faecalis)2374(−黒丸−)及びP.エルギノーサ(P. aeruginosa)27.1(−白四角−)に対するCNY21の殺菌効果を記載する。細菌は、トッド・ヒューイット(TH)培地中で対数期の中頃まで培養した。5 mMグルコースを含む10 mM トリス、pH 7.4で細菌を洗浄し、希釈し、細菌(50 μl; 2 x 106 cfu/ml)を37℃で2時間、0.03〜60 μMの範囲の濃度の合成ペプチドと共にインキュベートした。殺菌活性を定量するために、インキュベーション混合物の段階的希釈をTHアガーに播き、37℃で終夜インキュベートし、コロニー形成単位数を測定した。
【0110】
図1Bは、異なった緩衝剤中でのCNY21の生存可能数分析を記載する;10 mM トリス、pH 7.4 (−黒丸−) 及び10 mM MES、pH 5.5 (−白四角−)、いずれも0.15 M NaClを含む。P.エルギノーサ(P. aeruginosa)27.1 (2 x 106 cfu/ml) を、0.03〜6 μMの範囲の濃度のペプチドと共に50 μlでインキュベートした。
【0111】
実施例4
CNY変異体のラジカル拡散アッセイ分析
本質的には先に記載のとおりにして、ラジカル拡散アッセイ(RDA)を行った(Andersson他, Eur J Biochem, 2004, 271: 1219-1226)。すなわち、細菌(P. aeruginosa 27.1)を、10 mlの完全強度(3 % w/v)トリプチカーゼ大豆ブロス(TSB)(Becton-Dickinson, Cockeysville, MD) 中で、対数期の中頃まで培養した。当該微生物を、10 mM トリス、pH 7.4、4 x 106 細菌cfu又は1 x 105 真菌cfuで、一回洗浄し、0.03 %(w/v)TSB、1 %(w/v)低-電気エンドスモシス型(electroendosmosistype)(Low-EEO)アガロース(Sigma, St Louise MO) 及び最終濃度0.02 %(v/v)のTween 20 (Sigma)からなる、5 mlの下に敷いたアガロースゲルに加えた。下敷きをΦ85 mmペトリ皿に注いだ。アガロースを固化させた後、4 mm径のウェルをあけ、6 μlの試験試料を各ウェルに加えた。プレートを37℃で3時間インキュベートし、ペプチドを拡散させた。次いで、下敷きゲルを5 mlのモルトン・オーバーレイ(6 % TSB及び1 % Low-EEOアガロースのdH2O液)で覆った。37℃で18〜24時間インキュベーションした後、ペプチドの抗菌活性は、各ウェルの周囲の透明ゾーンとして見えた。抗菌効果を決定するために100 μMの濃度で、合成ペプチドを試験した(図8)。CNY21; CNYITELRRQHARASHLGLAR、CNY20; CNYITELRRQHARASHLGLA、CNY21R-S; CNYITELSSQHASASHLGLAR、CNY20R-S; CNYITELSSQHASASHLGLA、CNY21H-L: CNYITELRRQLARASLLGLAR、CNY21H-K: CNYITELRRQKARASKLGLAR、CNY21H-P: CNYITELRRQPARASPLGLAR。CNY21H-P変異体 (ここでは非表示) は、抗菌効果を示さなかった。
【0112】
実施例5
CNY-変異体の抗真菌効果
真菌 (C. アルビカンス)を、10 mlの完全強度(3 % w/v)トリプチカーゼ大豆ブロス(Becton-Dickinson, Cockeysville, MD)中で、対数期の中頃まで培養した。当該微生物を、10 mM トリス、pH 7.4、1 x 105 真菌cfuで、一回洗浄し、0.03 %(w/v)TSB、1 %(w/v)低-電気エンドスモシス型 (Low-EEO)アガロース(Sigma, St Louise MO) 及び最終濃度0.02 %(v/v)のTween 20 (Sigma)からなる、5 mlの下に敷いたアガロースゲルに加えた。下敷きをΦ85 mmペトリ皿に注いだ。アガロースを固化させた後、4 mm径のウェルをあけ、6 μlの試験試料を各ウェルに加えた。プレートを37℃で3時間インキュベートし、ペプチドを拡散させた。次いで、下敷きゲルを5 mlのモルトン・オーバーレイ(6 % TSB及び1 % Low-EEOアガロースのdH2O液)で覆った。28℃で18〜24時間インキュベーションした後、カンジタ・アルビカンス(Candida albicans)のペプチドの抗菌活性は、各ウェルの周囲の透明ゾーンとして見えた(図9)。結果は、3点試料の平均を示す。CNY21; CNYITELRRQHARASHLGLAR、CNY21H-K: CNYITELRRQKARASKLGLAR、CNY21H-L: CNYITELRRQLARASLLGLAR、CNY20R-S; CNYITELSSQHASASHLGLA、CNY21R-S; CNYITELSSQHASASHLGLAR、CNY21H-P: CNYITELRRQPARASPLGLAR。
【0113】
実施例6
抗菌性ペプチドの溶血効果
溶血活性は、540 nmでのヘモグロビンの放出をモニターすることにより決定した。すなわち、赤血球(PBS中に10 %)の懸濁液を同量のペプチド(PBS中)でインキュベートした。混合物を37℃で1時間インキュベートし、遠心した。上清の吸光度を測定した。100パーセント溶血生は、同体積の2 % Triton X100を赤血球懸濁液に添加することにより達成した。試験したCNY変異体は、ほとんど又は全く溶血効果を示さなかった(図10)。これに対して、抗菌性ペプチドLL-37は、60 μMで約6 %の溶血生を示した。
【0114】
実施例7
真核細胞膜に対するCNY-変異体の効果
ヒトHaCaTケラチン生成細胞株に対する膜透過性効果を試験した。96-ウェルプレート中で培養したコンフルエント細胞培養物を、6時間、ペプチドと共にインキュベートし、ラクトースデヒドロゲナーゼの放出を測定した。試験したCNY変異体は、抗菌性ペプチドLL-37と比べて、LDHを放出しなかった(図11)。
【0115】
実施例8
CNY21のヘパリン結合
ペプチドのヘパリン結合活性を試験した。ペプチドをニトロセルロース膜に適用した(Hybond, Amersham Biosciences)。膜を1時間、ブロックし(PBS, pH 7.4, 0.25 % Tween 20, 3 % ウシ胎児血清)、同一の緩衝剤中で1時間、放射性同位体標識したヘパリンでインキュベートした。非標識多糖(ヘパリン,2 mg/ml)を結合の競争のために加えた。膜を洗浄し(3 x 10分、PBS, pH 7.4, 0.25 % Tween 20)。非標識ヘパリン(6 mg/ml)の放射活性を視覚化するために、Bas 2000放射性画像化装置(Fuji)を用いた。非標識ヘパリン(6 mg/ml)は、125I-ヘパリンCNY21の結合を阻害した。
【0116】
実施例9
脂質二重層へのCNY21変異体の結合
ペプチドを、脂質膜中に孔形成及びペプチドの二次構造を生じる脂質二重層への結合について試験した。試験した脂質膜は、(ホスファチジルコリンを含む)両性イオン性膜及びアニオン性膜(ホスファチジルコリン及びホスファチジン酸の混合物を含む)を含む。脂質膜をシリカ上に置き、10 mM トリス、pH 7.4由来のペプチドの結合を、偏光解析法により直接モニターした。脂質膜は、また、同一の脂質由来のリポゾームの形態で、そして押出し及び冷凍-twawingの反復により同一の緩衝剤中で調製し、150 nm径の単層リポゾームを生じた。これらのリポゾーム中での孔形成は、リポゾーム内にカルボキシフルオレセインを含ませ、次いでリポゾームへのペプチドの添加における蛍光強度の増加により、測定した。更に、リポゾーム脂質膜中のペプチドの二次構造は、円形2色法により探知した。この結果は、CNY21が両性イオン性及びアニオン性脂質膜に結合し、そしてCNY21がCNY21 R-Sよりも高い結合傾向を示す、ことを示した。更に、CNY21変異体は、孔形成及びリポゾームの漏出をもたらし、CNY21 H-L≒ CNY21 H-K > CNY21 > CNY21 H-P ≧ CNY21 R-Sのオーダーの効率を示した。また、CDは、同一のオーダーで減少する程度に、リポゾーム脂質膜におけるペプチドのヘリックス構造の存在を指摘した。
【0117】
実施例10
ペプチド
ペプチドは、Sigma-Genosys製であり、ペプチド合成プラットフォームによりつくられる(PEPscreen(登録商標),Custom Peptide Libraries, SigmaGenosys)。収率は、約1〜6 mgであり、ペプチド長は20アミノ酸であった。MALDI-ToF質量スペクトル分析は、これらのペプチドについて行った。20マーの平均粗純度は、約61 %であった。ペプチドは、凍結乾燥状態でそして96-ウェルチューブラックで市販されている。生物試験の前に、PEPscreenペプチドをdH20 (5 mMストック)で希釈し、-20℃で保存した。このストック溶液を次の実験に使用した。
【0118】
微生物
エシェリシア・コリ(Escherichia coli)37.4単離物は、もともと、慢性静脈潰瘍を有する患者から得たが、スタフィロコッカス・アーレウス(Staphylococcus aureus)単離物BD14312は、アトピー性皮膚炎の患者から得た。スタフィロコッカス・アーレウス(Staphylococcus aureus)ATCC29213及びカンジタ・アルビカンス(Candida albicans)ATCC90028は、いずれも、ランド大学病院の臨床微生物科から得た。
【0119】
ラジカル拡散アッセイ
本質的に先に記載 (Lehrer他, J Immunol Methods 137, 167-173, 1991, Andersson他, Eur J Biochem 271, 1219-1226, 2004) の細菌は、10 mlの完全強度(3 % w/v)トリプチカーゼ大豆ブロス(TBS)(Becton-Dickinson, Cockeysville, MD) 中で対数期の中頃まで培養した。次いで、当該微生物を、10 mM トリス、pH 7.4、4 x 105 細菌コロニー形成単位で、一回洗浄し、0.03 %(w/v)TSB、1 %(w/v)低-電気エンドスモシス型(Low-EEO)アガロース(Sigma, St Louise MO) 及び0.02 %(v/v)のTween 20 (Sigma)からなる、15 mlの下に敷いたアガロースゲルに加えた。下敷きをΦ144 mmペトリ皿に注いだ。アガロースを固化させた後、4 mm径のウェルをあけ、6 μlの試験試料を各ウェルに加えた。プレートを37℃で3時間インキュベートし、ペプチドを拡散させた。次いで、下敷きゲルを15 mlのモルトン・オーバーレイ(6 % TSB及び1 % Low-EEOアガロースのdH2O液)で覆った。37℃で18〜24時間インキュベーションした後、ペプチドの抗菌活性は、各ウェルの周囲の透明ゾーンとして見えた。
【0120】
実施例11
溶血アッセイ
EDTA-血液を10分間、800 gで遠心し、その後、血漿及び軟膜を除いた。赤血球を3回洗浄し、5 % PBS、pH 7.4に再懸濁した。次いで、ペプチド(60 μM)の存在下、37℃で1時間、細胞を旋回しながらインキュベートした。2 % Triton X-100 (Sigma- Aldrich) は、陽性対照として使用した。次いで、試料を800 gで10分間、遠心した。ヘモグロビン放出の吸光度をλ540 nmで測定し、プロットでは、TritonX-100誘導溶血の %として表した。
【0121】
実施例12
へリックス形成の予測
ヘリックス性を予測するために、ヘリックス-コイル転移理論に基づくアルゴリズムである、アガディール(AGADIR)を用いた(Lacroix他, J MoI Biol 284, 173-191, 1998)。ペプチド配列を、アガディール(AGADIR)サービスへの、EMBL WWWゲートウェイ (http .7/www. embl-heidelberg.de/Services/serrano/agadir/agadir-start.html)に提出することにより計算を行った。インプットパラメータは以下のとおりである: C末端遊離、N末端遊離、pH 7.4、温度 278 K及びイオン強度 0.15 M。
【0122】
実施例10〜12から得られた結果
実施例1で特定された基準に基づいて、増加した正の正味電荷、高いヘリシティ及び増加した両親媒性を有する数個の新規な変異体を設計し、及び合成した。合理的に試験するために、上記のように、PEPscreenライブラリーと同じくらいの多くの異なった変異体を利用した。PEPscreenライブラリーのみが20-マーペプチドに適合するので、CNY21のC-末端アルギン残基は除いた。CNY20変異体である、「CNYITELRRQHARASHLGLA」を、2つの単離物、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)15159及びエシェリシア・コリ(Eschericia coli)37.4を用いるRDAアッセイにおいて、CNY21と比較した。以下のデータは、100 μMのペプチド(n=9)を用いて、P. aeruginosaについて得られた;平均値;CNY21: 5,00、SD; 0,81、SEM 0,27、CNY20: 平均値; 6,02、SD; 0,59、SEM; 0,20。E.コリ(E. coli); CNY21 : 平均値;6,02、SD;0,93、SEM; 0,31、CNY20: 平均値; 8,03、SD; 1,22、SEM, 0,41。ここで、CNY21と比べたときに、CNY20については活性の減少が認められなかった。ペプチド番号2〜17は、N-キャップ、N-キャップ+3及びN-キャップ+4の位置を変化させることにより、ヘリシティを増やすように設計した(表1、実施例1)。ペプチド番号18〜20は、C-キャップ-4及びC-キャップ-2の位置を変化させることにより、ヘリシティを安定化させるように設計した(表1、実施例1)。21〜30の範囲のペプチドに関しては、リシン間の間隔は、ヘリシティを増やすために変化させた(表1、実施例1)。両親媒性構造は、ペプチド31〜43における位置8、11、15、16及び17でのアミノ酸を置換することにより、更に最適化した(表1、実施例1)。ペプチド44〜56については、最適の両親媒性及び増加したヘリシティは、先に記載の置換を組み合わせることにより得られた。最後に、ペプチド57〜74は、安定したヘリシティ及び最適な両親媒性と組み合わせて正味の正の電荷を増やすように設計した。
【0123】
生物試験から得られた結果を表1に示す。N-キャップ及びC-キャップモチーフを安定化させることによりヘリシティを増加させるように設計された、最初の20ペプチドの中で、比較的ほとんどのペプチドが、抗菌効果の増加を示さなかった。正味電荷+3を有するペプチドのみが、顕著に増加したRDA値(すなわち、ペプチド番号14)を示した。これらのペプチドはいずれも溶血性ではなかった。より高い疎水性のペプチド番号21〜30は、同様の効果を示した。ペプチド番号27〜30は本試験には含まれなかった。最適化された両親媒性構造を有するペプチドは、高いRDA値(ペプチド39、40、42及び43)を示した。しかしながら、高いヘリックス含量を有すると予測されたペプチド番号42及び43はまた、高い溶血活性を示した。ヘリシティを最大限にするように置換を組合せたペプチド44〜56のほとんどは、高い溶血活性を示した。ペプチド番号51及び53は、問題を解決するために、本試験から削除された。ペプチド番号47は、低溶血活性とペアを組む高い抗菌活性を示した。ペプチド番号73を除くペプチド番号57〜74は、おそらく、その高い正味電荷及びヘリシティに起因して、溶血性であった。しかしながら、特筆すべきことは、このシリーズの中で、最も高い正味電荷を有するペプチド番号73は、S.アーレウス(S. aureus)及びカンジタ(Candida)に対して顕著な抗菌効果を示し、そして低溶血活性を示した。
【0124】
正味電荷又はヘリシティとの明らかな相関関係は、E.コリ(E. coli)のRDA値では認められなかった。正味電荷と高予測ヘリシティとの低い相関関係が、溶血活性について検出された。一方、S.アーレウス(S. aureus)及びカンジタ(Candida)についてのRDA値は、正味電荷に強く相関した。高い正の正味電荷を有するペプチドは、高い抗菌活性を示した(図4)。
【0125】
特筆すべきことに、高予測ヘリシティ及び高抗菌活性を有するペプチドは、溶血活性において有意な差を示した。例えば、ペプチド番号39及び47は、低溶血活性を示し、一方、ペプチド番号39及び43は、強い溶血性を示した。注目すべきことに、ペプチド39及び42のみが、1つのアミノ酸が相違し、ここでペプチド42は、位置15での、セリンのロイシンへの更なる置換を有する。おそらく、溶血活性における相違は、ペプチド42が更に最適な両親媒性へリックスを形成するという事実を反映している(図5)。同じ理由付けは、ペプチド43及び47に当てはまる。ペプチド43は、ロイシンにより置換されたアルギニン8を有する(図5)。
【0126】
第二世代CNY20ペプチド及びその活性
低溶血活性とペアを組むRDAにおけるE. coliに対する高い抗菌活性を示す最初のPEPscreenにおける変異体の内の4つは、不完全な両親媒性へリックスを含んだ。そのため、両親媒性ペプチドの構造的構成にブレイク(break)を与える、アミノ酸置換を有する別の変異体を設計した。正味電荷を約+2〜+3に維持し、ペプチドを比較的高い(しかし、高すぎない)へリックス含量(20-60 %)を有するように設計した。
【0127】
N-末端領域(140〜146)、C-末端領域(147〜160)又は中央領域(161〜168)における両親媒性のブレイクを有する新規変異体を設計した。追加のペプチドは、高い正の正味電荷(169〜171)を有し、高疎水性(172〜177)を有し、アセチル化及びアミド化N-及びC-末端(179〜181)を含む、又はD-アミノ酸(182〜184)を含んだ(表2)。
【0128】
ペプチドのC-末端における両親媒性を増加させるために、極性のアミノ酸のロイシンによる置換は、位置11及び15で行った(図6及び4)。更に、疎水性アミノ酸のリシンによる置換は、位置16及び17で行った(図6及び7)。N-末端領域のロイシンへの置換において両親媒性を増加させることは、位置8及び11で行った(図6及び7)。中央領域における両親媒性のブレイクを有するペプチドは全て、位置11では正に荷電したアルギニン又はリシンを有し、位置8及び15では疎水性のロシシンを有し、位置17ではリシンを有した。実施例1に記載のキャッピングモチーフの安定化によりヘリシティを増加させるために、全てのこれらの変異体も、位置5でスレオニンからグルタミンへの置換と組み合わせた。
【0129】
試験したほとんど全てのペプチドは、E.コリ(E. coli)及びS.アーレウス(S. aureus)に対して顕著な抗菌効果を示した。N-末端、C-末端又は中央領域における両親媒性のブレイクを有する異なったペプチド群について、明らかな相違は検出されなかった。しかしながら、この結果は、中央領域におけるブレイクを有するペプチドがS.アーレウス(S. aureus)に対してやや高い抗菌性であったことを示唆した。より高い正味の電荷を有するペプチドはまた、より高い抗菌効果を示した。N-及びC-末端でのアセチル化及びアミド化は、ほとんど効果がなく、D-アミノ酸ペプチドは、L-アミノ酸からなるペプチドと同等の抗菌効果を示した。位置5にグルタミンを有するペプチドは、この位置では置換されないペプチド以上に抗菌性ではなかった。同様に、ヘリシティの安定化は、正味電荷の減少により上回った。
【0130】
優れた抗菌活性を有するペプチドは、位置5にスレオニン又はグルタミン、位置8にリシン又はロイシンを、位置11にロイシン、アルギニン又はリシンを、位置12にアラニン又はロイシンを、位置14にアラニン又はロイシンを、位置15にセリン、ロイシン、アルギニン又はリシンを、位置16にヒスチジン又はリシンを、及び位置17にロイシン又はリシンを含んだ。特に、ペプチド番号140、146及び160は、E.コリ(E. coli)に対して高い抗菌活性を示し、ペプチド番号160、161及び165は、S.アーレウス(S. aureus)に対して高い抗菌活性を示し、ペプチド番号158、160及び171は、E.コリ(E. coli)及びS.アーレウス(S. aureus)の両方に対して高い抗菌活性を示した。更に、この結果は、不完全な両親媒性構造及び高い正味電荷を有するペプチドは、好ましくは、S.アーレウス(S. aureus)及びカンジタ(Candida)種に効果を有する、ことを示す。
【0131】
結論的には、本試験は、CNY20ペプチドの明確な位置における低い数のアミノ酸置換が、抗菌活性を増加させることができ、しかし低溶血活性を維持することができ、従って、最初のペプチドに比べてより高い治療指数を有するペプチドを与える、ことを示す。比較的高い正味の電荷、α-へリックス構造を選択する傾向、及びあまり完全でない両親媒性の組み合わせは、これにたどり着くための重要な因子である。位置8、11、15及び17における置換は、CNY20ペプチドに特に必須であることが判明した。
【表12】

【0132】
【表13】

【0133】
【表14】

【0134】
【表15】

【0135】
【表16】

【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】図1のAは、E.フェリカス(E. faecalis)2374(−黒丸−)及びP.エルギノーサ(P. aeruginosa)27.1(−白四角−)の殺菌効果を記載する。Bは、異なった緩衝剤中でのCNY21の生存数の分析を記載する。
【図2】図2は、CNY21ペプチドのヘリックス車輪投影図を示す。
【図3】図3は、CNYIEELRRQLLRALLRGLARペプチドのヘリックス車輪投影図を示す。
【図4a】図4aは、異なった微生物であるエシェリシア・コリ(Escherichia coli)37.4、スタフィロコッカス・アーレウス(Staphylococcus aureus)分離物BD14312、スタフィロコッカス・アーレウス(Staphylococcus aureus)ATCC29213、カンジタ・アルビカンス(Candida albicans)のRDA値の関数としての正味の電荷と、溶血活性とのプロットを示す。
【図4b】図4bは、異なった微生物であるエシェリシア・コリ(Escherichia coli)37.4、スタフィロコッカス・アーレウス(Staphylococcus aureus)分離物BD14312、スタフィロコッカス・アーレウス(Staphylococcus aureus)ATCC29213、カンジタ・アルビカンス(Candida albicans)のRDA値の関数としての正味の電荷と、溶血活性とのプロットを示す。
【図4c】図4cは、異なった微生物であるエシェリシア・コリ(Escherichia coli)37.4、スタフィロコッカス・アーレウス(Staphylococcus aureus)分離物BD14312、スタフィロコッカス・アーレウス(Staphylococcus aureus)ATCC29213、カンジタ・アルビカンス(Candida albicans)のRDA値の関数としての正味の電荷と、溶血活性とのプロットを示す。
【図5a】図5aは、ペプチド39、42、43及び47のヘリックス車輪投影図を示す。
【図5b】図5bは、ペプチド39、42、43及び47のヘリックス車輪投影図を示す。
【図6】図6は、理想的な両親媒性α-へリックスの略図を示す。CNY20アミノ酸の位置は、ヘリックス車輪図において番号により表される。黒色は、疎水性残基を示し、白色は、親水性残基を示し、灰色は、N-及びC-末端を示す。
【図7a】図7aは、N-末端、C-末端領域における両親媒性のブレイクを有するペプチドのヘリックス車輪投影図を示す。
【図7b】図7bは、中央領域における両親媒性のブレイクを有するペプチドのヘリックス車輪投影図を示す。
【図8】図8は、CNY変異体のラジカル拡散アッセイ分析(radial diffusion assay analysis)を記載する。
【図9】図9は、CNY-変異体の抗真菌効果を示す。
【図10】図10は、抗菌性ペプチドの溶血効果を示す。
【図11】図11は、真核細胞膜に対するCNY-変異体の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1を含むペプチド又はそのアナログの使用であって、当該ペプチドは、C1、N2、T5、E6、R8、R9、H11、A12、R13、A14、S15、H16、L17、G18及びA20からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、微生物の減少及び/又は除去、又は微生物感染症の予防的処置のための抗菌組成物の製造のために置換されている点で、配列番号1で示されるアミノ酸配列と異なる、前記使用。
【請求項2】
前記置換(複数)が、C1G、N2S、N2T、N2K、T5E、T5D、T5N、E6A、E6V、E6L、E6I、E6M、E6F、E6Y、E6W、R8A、R8V、R8L、R8I、R8M、R8W、R8K、R9K、H11A、H11V、H11L、H11I、H11M、H11K、H11R、H11W、A12L、R13K、A14V、A14L、A14I、A14M、S15A、S15V、S15L、S15I、S15M、S15T、S15N、S15Q、S15K、S15R、S15W、H16K、H16R、H16A、H16V、H16L、H16I、H16M、L17K、L17R、L17A、L17V、L17I、L17M、G18W及びA20Rからなる群より選ばれる、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記置換(複数)が、例えば、N2S、N2K、T5E、T5D、T5N、E6A、E6V、E6L、E6I、E6M、E6F、E6Y、E6W、R8A、R8V、R8L、R8I、R8M、R8K、R8W、H11A、H11V、H11L、H11I、H11M、H11K、H11R、H11W、A12L、A14L、S15A、S15V、S15L、S15I、S15M、S15T、S15N、S15Q、S15K、S15R、S15W、H16K、H16R、H16A、H16V、H16L、H16I、H16M、L17K、L17R、L17A、L17V、L17I、L17M、G18W及びA20Rからなる群より選ばれる、請求項2記載の使用。
【請求項4】
前記ペプチドのアミノ酸配列が、配列番号1で示されるアミノ酸配列と、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個のアミノ酸残基において相違する、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
C1、N2、T5、E6、R8、R9、H11、A12、R13、A14、S15、H16、L17、G18及びA20からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、配列番号1で示されるアミノ酸配列から除かれている、請求項1〜5のいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11個のアミノ酸残基が除かれている、請求項5記載の使用。
【請求項7】
前記ペプチドが、1以上のアミノ酸残基、他のペプチド(複数)又は他の物質に結合される、請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
前記ペプチドが、約1〜約100個の追加のアミノ酸残基、例えば約5〜約50個のアミノ酸残基に結合される、請求項1〜7のいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
前記ペプチドが、アミド化、エステル化、アシル化、アセチル化、PEG化又はアルキル化により修飾される、請求項1〜8のいずれか1項記載の使用。
【請求項10】
前記抗菌組成物が、薬学的に許容される緩衝剤、希釈剤、担体、アジュバント又は賦形剤を含む医薬組成物である、請求項1〜9のいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
前記組成物が、塩を含む、請求項10記載の使用。
【請求項12】
前記塩が、一価のナトリウム、カリウム、又は二価の亜鉛、マグネシウム、銅又はカルシウムからなる群より選ばれる、請求項11記載の使用。
【請求項13】
前記塩が二価の亜鉛である、請求項12記載の使用。
【請求項14】
前記医薬組成物が約4.5〜約7.0のpHを有する、請求項10〜13のいずれか1項記載の使用。
【請求項15】
前記抗菌組成物又は医薬組成物が、請求項1〜9で定義される1、2、3又は4個の異なったポリペプチドの混合物を含む、請求項1〜14のいずれか1項記載の使用。
【請求項16】
前記抗菌組成物又は医薬組成物が、1以上の抗生物質及び/又は防腐剤(複数)を含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の使用。
【請求項17】
前記薬剤が、ペニシリン、セファロスポリン、カルバセフェム、セファマイシン、カルバペネム、モノバクタム、アミノグリコシド、グリコペプチド、キノロン、テトラサイクリン、マクロライド、フルオロキノロン、ヨウ素、銀、銅、クロルヘキシジン、ポリヘキサニド、ビグアニド、キトサン、酢酸及び過酸化水素からなる群より選ばれる、請求項17記載の使用。
【請求項18】
前記抗菌組成物又は医薬組成物が、顆粒、粉末、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、座剤、シロップ剤、注射用形態、エマルション、ゲル、軟膏、懸濁液、クリーム、アエロゾル、液滴の形態にある、請求項1〜17のいずか1項記載の使用。
【請求項19】
微生物の減少及び/又は除去のための抗菌組成物の製造のための、配列番号2と少なくとも70 %のホモロジーを示すポリペプチドの使用。
【請求項20】
前記ポリペプチドが、微生物の減少及び/又は除去のための抗菌組成物の製造のための、配列番号2と80 %、90 %又は95 %のホモロジーを示す、請求項19記載のポリペプチドの使用。
【請求項21】
前記微生物が、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌及び酵母からな群より選ばれる、請求項1〜20のいずれか1項記載の使用。
【請求項22】
前記微生物が、グラム陽性及びグラム陰性菌、例えばエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エシェリシア・コリ(Eschericia coli)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アーレウス(Staphylococcus aureus)、ウイルス、寄生虫、真菌及び酵母、例えばカンジタ・アルビカンス(Candida albicans)及びカンジタ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)からなる群より選ばれる、請求項21記載の使用。
【請求項23】
前記抗菌組成物又は医薬組成物が、包帯、絆創膏、縫合糸、石鹸、止血栓、おむつ、シャンプー、練り歯磨き、抗座瘡化合物、サンクリーム、織物、接着剤に含まれ、創傷包帯、洗浄液又はインプラントに組み込まれる、請求項1〜22のいずれか1項記載の使用。
【請求項24】
前記抗菌組成物が、術後及び皮膚損傷後の熱傷創の予防的処置、アトピー性皮膚炎、膿痂疹、慢性皮膚潰瘍、感染性急性損傷及び熱傷創、潰瘍、外耳炎、真菌性髄膜炎、肺炎、脂漏性皮膚炎、間擦疹型皮膚カンジダ症、カンジタ膣炎、経口咽頭カンジタ症、眼科感染症及び鼻腔内感染症からなる群より選ばれる疾患の処置のために使用される、請求項1〜23のいずれか1項記載の使用。
【請求項25】
請求項10〜22のいずれか1項記載の医薬組成物の治療上有効量を患者に投与することを含む、微生物感染症を有する哺乳動物の治療方法。
【請求項26】
前記哺乳動物が、ヒト、ウマ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ及びラクダからなる群より選ばれる、請求項25記載の哺乳動物の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−520660(P2008−520660A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542974(P2007−542974)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001737
【国際公開番号】WO2006/054947
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(505429005)デルマゲン アクティエボラーグ (5)
【Fターム(参考)】