説明

新規有機電界発光化合物およびこれを使用する有機電界発光素子

新規有機電界発光化合物およびこれを含む有機電界発光素子が提供される。開示された有機電界発光化合物は青色での高い発光効率および優れた寿命特性を示す。よって、これは非常に良好な駆動寿命を有するOLEDを製造するために使用されうる。
【代表図】なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の有機電界発光化合物(organic electroluminescent compound)、およびこれを含む有機電界発光素子(organic electroluminescent device)に関する。より具体的には、本発明は青色発光材料として使用される新規有機電界発光化合物およびこれをドーパントとして使用する有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ素子の中では、電界発光(electroluminescent;EL)素子は、それが自己発光型ディスプレイ素子として広い視野角、優れたコントラストおよび速い応答速度を提供するという利点がある。1987年に、イーストマンコダック(Eastman Kodak)は、電界発光層を形成するための物質として、低分子量芳香族ジアミンとアルミニウム錯体を使用する有機EL素子を初めて開発した[Appl.Phys.Lett.51,913,1987]。
【0003】
有機EL素子においては、発光効率および駆動寿命をはじめとするその性能を決定する最も重要な要因は電界発光材料である。電界発光材料のいくつかの要件には、固体状態での高い電界発光量子収率、高い電子および正孔移動度、真空蒸着中の分解に対する耐性、均一な膜を形成する能力、並びに安定性が挙げられる。
【0004】
有機電界発光材料は大まかに、高分子量材料と低分子量材料とに分類されうる。低分子量材料は、分子構造に応じて、金属錯体と、金属を含まない完全有機電界発光材料とに分類されうる。トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体のようなキレート錯体、クマリン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが知られている。これらの材料を使用して、青色から赤色の可視領域の光の電界発光が得られうることが報告されており、カラーディスプレイ素子の実現が期待されている。
【0005】
青色電界発光材料については、出光興産のDPVBi(化合物a)に続いて、多くの材料が商業化されてきた。出光興産の青色材料系に加えて、コダックのジナフチルアントラセン(化合物b)およびテトラ(t−ブチル)ペリレン(化合物c)が知られているが、より多くの研究および開発が必要である。今までで、出光興産のジスチリル化合物系が最も高い効率を有することが知られている。それは、6 lm/Wの電力効率、および30,000時間以上の駆動寿命を示す。しかし、駆動時間につれて劣化する色純度のせいで、フルカラーディスプレイにおけるその駆動寿命は数千時間にすぎない。一般に、電界発光波長が長波長側に少しだけシフトすると、青色電界発光は発光効率の点では有利になる。しかし、その結果、純粋な青色が達成されないので、高品質ディスプレイに適用できない。よって、色純度、効率および熱安定性を向上させるための研究および開発が非常に必要とされている。
【0006】
【化1】

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.51,913,1987
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の発明者は上記課題を解決しようと努力してきた。その結果、発明者は優れた発光効率を有し、著しく向上した駆動寿命を有する有機電界発光素子を実現できる新規の電界発光化合物を発明した。
【0009】
よって、本発明の目的は、上記課題を解決するために、既存のドーパント材料よりも向上した発光効率および素子駆動寿命を有し、かつ適切な色座標の優れた骨格を有する有機電界発光化合物を提供することである。本発明の別の目的は、電界発光材料としてこの有機電界発光化合物を使用する有機電界発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの一般的な形態において、本発明は化学式1によって表される有機電界発光化合物、およびこれを含む有機電界発光素子を提供する。優れた発光効率および優れた寿命特性のせいで、本発明の有機電界発光化合物は非常に優れた駆動寿命を有するOLED素子を製造するために使用されうる。
【0011】
【化2】

【0012】
式中、
Aは水素もしくは
【化3】

を表し、
ArおよびArは独立して、化学結合、(C6−C60)アリーレンもしくはN、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む(C2−C60)ヘテロアリーレンを表し、前記ヘテロアリーレンの炭素原子はSeでさらに置換されていてもよい;
〜Zの少なくとも1つおよびZ11〜Z15の少なくとも1つは窒素原子であって、かつその残りは炭素原子であり、前記窒素原子は置換基を有さない;
〜RおよびR11〜R15は独立して水素、重水素、(C1−C60)アルキル、(C3−C60)シクロアルキル、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、(C1−C60)アルコキシ、(C6−C60)アリールオキシ、モノ−もしくはジ(C1−C60)アルキルアミノ、モノ−もしくはジ(C6−C60)アリールアミノ、(C6−C60)アリール(C1−C60)アルキルアミノ、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、またはトリ(C6−C60)アリールシリルを表し、R〜RもしくはR11〜R15のそれぞれは、縮合環を有するかもしくは有しない(C3−C60)アルキレンもしくは(C3−C60)アルケニレンを介して隣の置換基と連結されて縮合環を形成していてよく、前記アルキレンの炭素原子はO、SもしくはNR21でさらに置換されていてよく、かつ前記アルケニレンのCHはNでさらに置換されていてよい;
21は水素、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、アダマンチル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、またはトリ(C6−C60)アリールシリルを表す;
XおよびYは独立して、化学結合、−(CR3132−、−N(R33)−、−Si(R34)(R35)−、−O−、−S−、−Se−、−P(R36)−、または−(R37)C=C(R38)−を表し、nは1〜4の整数である;
31〜R38は独立して、水素、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、アダマンチル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、またはトリ(C6−C60)アリールシリルを表すか、またはR31とR32、R34とR35、もしくはR37とR38は独立して、縮合環を有するかもしくは有しない(C3−C12)アルキレンもしくは(C3−C12)アルケニレンを介して連結されてスピロ環または縮合環を形成していてよい;並びに
ArおよびArのアリーレンもしくはヘテロアリーレン、並びにR〜R、R11〜R15、R21、およびR31〜R38のアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルアルキルアミノ、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリルもしくはトリアリールシリルは、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、(C6−C60)アリール(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、およびトリ(C6−C60)アリールシリルから選択される1以上の置換基でさらに置換されていてよい。
【0013】
本発明においては、「(C1−C60)アルキル」を含む置換基は1〜60個の炭素原子、具体的には1〜20個の炭素原子、より具体的には1〜10個の炭素原子を有することができる。「(C6−C60)アリール」を含む置換基は6〜60個の炭素原子、具体的には6〜20個の炭素原子、より具体的には6〜12個の炭素原子を有することができる。「(C3−C60)ヘテロアリール」を含む置換基は、3〜60個の炭素原子、具体的には4〜20個の炭素原子、より具体的には4〜12個の炭素原子を有することができる。「(C3−C60)シクロアルキル」を含む置換基は、3〜60個の炭素原子、具体的には3〜20個の炭素原子、より具体的には3〜7個の炭素原子を有することができる。「(C2−C60)アルケニルもしくはアルキニル」を含む置換基は、2〜60個の炭素原子、具体的には、2〜20個の炭素原子、より具体的には2〜10個の炭素原子を有することができる。
【0014】
本発明においては、「アルキル」は炭素および水素原子のみからなる線状もしくは分岐の飽和プライマリー炭化水素基、またはその組み合わせを含み、並びに「アルキルオキシ」とは−O−アルキルを意味し、このアルキルは上述のと同じである。
【0015】
本発明においては、「アリール」は、芳香族炭化水素から1つの水素原子を除去することにより得られる有機基を意味し、4員〜7員、特に5員もしくは6員の、単環もしくは縮合環が挙げられうる。さらに、アリールは化学結合によって連結された2以上のアリールを含む。具体的な例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、インデニル、フルオレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明においては「ヘテロアリール」とは、芳香環骨格原子として窒素(N)、酸素(O)、および硫黄(S)から選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、他の残りの芳香環骨格原子が炭素であるアリール基を意味する。ヘテロアリールは、5員もしくは6員の単環式ヘテロアリール、またはベンゼン環との縮合から得られる多環式ヘテロアリールであってよく、部分的に飽和されていてよい。さらに、ヘテロアリールには、化学結合によって連結されている2以上のヘテロアリールが挙げられる。ヘテロアリールには、環内のヘテロ原子が酸化されるかまたは四級化されて、例えば、N−オキシドまたは第四級塩などを形成することができる2価のアリール基が挙げられる。具体的な例には、単環式ヘテロアリール、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルなど;多環式ヘテロアリール、例えば、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリルなど;そのN−オキシド(例えば、ピリジルN−オキシド、キノリルN−オキシド)、その第四級塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本発明においては、「スピロ環」とは、2つの環が1つの原子(sp炭素)のみを共有する炭化水素環を意味する。2つの環によって共有される原子はスピロ原子(「スピロ」はスパイラルを意味するギリシャ語である)と呼ばれ、炭素もしくはケイ素であり得る。
【0018】
本発明の有機電界発光化合物には化学式2または3で表される化合物が挙げられる:
【化4】

【化5】

式中、X、Y、Ar、Ar、Z〜Z、Z11〜Z15、R〜R15およびR11〜R15は化学式1において特定されるのと同じである。
【0019】
〜RおよびR11〜R15は独立して、水素、重水素、CD、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、 デシル、ドデシル、ヘキサデシル、ベンジル、トリフルオロメチル、ペルフルオロエチル、トリフルオロエチル、ペルフルオロプロピル、ペルフルオロブチル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、i−ペントキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ペプトキシ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、C、フェニル、トリル、ブチルフェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、フェナントリル、アントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレニル、ピリジル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニリル、キノリル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ピラゾリル、インドリル、カルバゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フェナントロリニル、フェノキシ、ジメチルアミノ、モノメチルアミノ、ベンジルアミノ、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル、ジメチルフェニルシリルもしくはトリフェニルシリルを表すことができ、またはR〜RもしくはR11〜R15のそれぞれは縮合環を有するかもしくは有しない(C3−C60)アルキレンもしくは(C3−C60)アルケニレンを介して隣の置換基に連結されて縮合環を形成していてよく、並びにアルケニレンのCHはNでさらに置換されていてよい。
【0020】
【化6】

および
【化7】

は独立して、下記構造から選択されうるがこれらに限定されない:
【化8】

【0021】
【化9】

は下記構造から選択されうるが、これらに限定されない:
【化10】

式中、R31〜R38は独立して、水素、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、アダマンチル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、またはトリ(C6−C60)アリールシリルを表し;並びに
21〜R28のアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリルもしくはトリアリールシリルは、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、(C6−C60)アリール(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、およびトリ(C6−C60)アリールシリルから選択される1以上の置換基でさらに置換されていてよい。
【0022】
ArおよびArは独立して化学結合、または下記構造から選択されるアリーレンもしくはヘテロアリーレンを表しうるが、これに限定されない:
【化11】

式中、R41は重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、(C6−C60)アリール(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、またはトリ(C6−C60)アリールシリルを表し;並びに
mは0〜4の整数を表す。
【0023】
より具体的には、ArおよびArは独立して化学結合、または下記構造から選択されるアリーレンもしくはヘテロアリーレンを表しうるが、これに限定されない:
【化12】

【0024】
本発明の有機電界発光化合物は下記化合物で例示されうるが、これに限定されない:
【化13】

【化14】

【化15】

【0025】
本発明の有機電界発光化合物はスキーム1によって製造されうるが、これに限定されない:
【化16】

式中、X、Y、Ar、Ar、Z〜Z、Z11〜Z15、R〜R15およびR11〜R15は化学式1において特定されるのと同じである。
【0026】
別の一般的な形態においては、本発明は、第1の電極;第2の電極;並びに、第1の電極と第2の電極との間に設けられた1以上の有機層;を含む有機電界発光素子であって、前記有機層が化学式1で表される1種以上の有機電界発光化合物を含む有機電界発光素子を提供する。
【0027】
前記有機層は電界発光ドーパントとして化学式1の1種以上の有機電界発光化合物を含むことができ、かつ1種以上のホストを含むことができる。本発明の有機電界発光素子に使用されるホストは特に限定されるものではないが、化学式4もしくは化学式5によって表される化合物から選択されうる。化学式4もしくは化学式5で表されるホスト化合物の具体的な構造は韓国特許出願第10−2008−0060393号における<162>〜<210>に例示されているがこれらに限定されない。
【0028】
(Ar11−L−(Ar12 (4)
(Ar13−L−(Ar14 (5)
式中、Lは(C6−C60)アリーレンもしくは(C4−C60)ヘテロアリーレンを表し;
はアントラセニレンを表し;
Ar11〜Ar14は独立して、水素、重水素、(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、ハロゲン、(C4−C60)ヘテロアリール、(C5−C60)シクロアルキル、もしくは(C6−C60)アリールを表し;
Ar11〜Ar14のシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールは、(C6−C60)アリールもしくは(C4−C60)ヘテロアリール[(当該(C6−C60)アリールもしくは(C4−C60)ヘテロアリールは重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、(C3−C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリルおよびトリ(C6−C60)アリールシリルから選択される1種以上の置換基で置換されているかもしくは置換されていない]、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、(C3−C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、およびトリ(C6−C60)アリールシリルから選択される1種以上の置換基でさらに置換されていてよく;並びに
c、d、eおよびfは独立して0〜4の整数を表す。
【0029】
電界発光層は電界発光が起こる層であって、単一の層もしくは2以上の層から形成されていてよい。本発明に従うホスト−ドーパントシステムが使用される場合には、本発明の電界発光ホストは発光効率の著しい向上をもたらす。ドーピング濃度は0.5〜10重量%の範囲であり得る。既存の他のホスト材料と比較した場合、本発明の電界発光ホストは正孔および電子の優れた伝導性、並びに非常に優れた安定性、および著しく向上した発光効率および駆動寿命をもたらす。よって、化学式4もしくは化学式5で表される化合物が電界発光ホストとして選択される場合には、それは本発明の化学式1で表される有機電界発光化合物の電気的不利益をかなり補うことができる。
【0030】
本発明の有機電子素子においては、有機層は化学式1で表される有機電界発光化合物に加えて、アリールアミン化合物およびスチリルアリールアミン化合物からなる群から選択される1種以上の化合物をさらに同時に含むことができる。具体的には、アリールアミン化合物もしくはスチリルアリールアミン化合物は、韓国特許出願第10−2008−0060393号における<212>〜<224>に例示されているがこれに限定されない。
さらに、本発明の有機電界発光素子においては、有機層は、化学式1で表される有機電界発光化合物に加えて、第1族、第2族、第4周期および第5周期遷移金属、ランタニド金属並びにd−遷移元素の有機金属からなる群から選択される1種以上の金属をさらに含むことができる。有機層は電界発光層および電荷発生層を含むことができる。
【0031】
本発明の化学式1で表される有機電界発光化合物をサブピクセルとして含む有機電界発光素子、およびIr、Pt、Pd、Rh、Re、Os、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、AuおよびAgからなる群から選択される1種以上の金属化合物を含むサブピクセル(単数もしくは複数)が同時に並列にパターン形成されている、独立発光方式のピクセル構造を有する有機電界発光素子が具体化されることができる。
【0032】
さらに、有機層は、白色発光の有機電界発光素子を具体化するために、この有機電界発光化合物に加えて、同時に、青色、緑色、および赤色の光を発光する1以上の有機電界発光層を含むことができる。青色、緑色もしくは赤色の光を発光する化合物は韓国特許出願第10−2008−0123276号、第10−2008−0107606号もしくは第10−2008−0118428号に記載されている化合物によって例示されうるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の有機電界発光素子においては、電極の対のうちの一方もしくは双方の電極の内側表面に、カルコゲナイド(chalcogenide)層、ハロゲン化金属層および金属酸化物層から選択される層(以下、「表面層」という)を配置することができる。より具体的には、電界発光媒体層のアノード表面上にケイ素またはアルミニウムのカルコゲナイド(酸化物を含む)層を配置することができ、並びに電界発光媒体層のカソード表面上にハロゲン化金属層または金属酸化物層を配置することができる。これにより駆動の安定性が得られうる。カルコゲナイドは、例えば、SiO(1≦x≦2)、AlO(1≦x≦1.5)、SiON、SiAlONなどでありうる。ハロゲン化金属は、例えば、LiF、MgF、CaF、希土類金属のフッ化物でありうる。金属酸化物は、例えば、CsO、LiO、MgO、SrO、BaO、CaOなどでありうる。
【0034】
本発明に従った有機電界発光素子においては、電子輸送化合物と還元性ドーパントとの混合領域、または正孔輸送化合物と酸化性ドーパントとの混合領域を、このように製造された電極の対の少なくとも一方の表面上に配置するのも好ましい。この場合、電子輸送化合物がアニオンに還元されるので、この混合領域から電界発光媒体への電子の注入および輸送が容易になる。さらに、正孔輸送化合物はカチオンに酸化されるので、この混合領域から電界発光媒体への正孔の注入および輸送が容易になる。好ましい酸化性ドーパントには、様々なルイス酸およびアクセプター化合物が挙げられる。好ましい還元性ドーパントには、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属およびこれらの混合物が挙げられる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の有機電界発光化合物は良好な青色発光効率および優れた寿命特性を有するので、これは非常に良好な駆動寿命を有するOLED素子を製造するために使用されうる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の有機電界発光化合物、その製造方法、およびそれを使用する素子の発光特性に関して、本発明がさらに説明される。しかし、以下の実施例は例示目的だけのために提供され、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0037】
[製造例1]化合物2の製造
【化17】

【0038】
化合物Aの製造
9,9−ジエチル−9H−フルオレン(7g、32.11mmol)およびパラホルムアルデヒド(9.4g、32.11mmol)が100mLの丸底フラスコに入れられた。真空乾燥後、窒素ガスが注入された。30%HBr(50mL)をこのフラスコに添加した後で、この混合物を60℃に加熱し、24時間攪拌した。この反応が完了した後で、CHClを用いて抽出が行われた。NaHCOで3回洗浄した後で、生成物がブラインで3回洗浄された。化合物A(13g、31.8mmol、99%)が得られた。
【0039】
化合物Bの製造
化合物A(5.00g、12.24mmol)が50mLの丸底フラスコに入れられた。真空乾燥後、窒素ガスが注入された。亜リン酸トリエチル(8.1mL、48.96mmol)を添加した後で、この混合物は185℃で6時間還流下で攪拌された。この反応が完了した後で、真空蒸留を用いて残存している亜リン酸トリエチルが除かれた。蒸留水で洗浄した後で、酢酸エチルを用いて抽出が行われた。有機層がMgSOで乾燥させられ、溶媒がロータリーエバポレータを用いて除去された。溶離液として酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィによる精製で化合物B(4.9g、9.37mmol、76%)を生じた。
【0040】
化合物Cの製造
2−ブロモキノリン(5g、24mmol)、4−ホルミルフェニルボロン酸(3.59g、24mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.11g、0.96mmol)が、1000mLの丸底フラスコに入れられ、トルエンを用いて溶解された(168mL)。2.0Mの炭酸ナトリウム水溶液(84mL、168.2mmol)およびエタノール(84mL)をこのフラスコに添加した後で、この混合物は120℃で2時間還流下で攪拌された。反応が完了した後で、酢酸エチルを用いて抽出が行われた。カラムクロマトグラフィによる精製で化合物C(5g、21.4mmol、89%)を生じた。
【0041】
化合物2の製造
化合物B(5g、9.56mmol)および化合物C(4.46g、19.13mmol)が250mLの丸底フラスコに入れられた。真空乾燥の後で、窒素ガスが注入された。THF(50mL)を添加した後で、カリウムtert−ブトキシド(THF中1.0M、19mL、19.13mmol)が0℃でゆっくりと添加され、この混合物は10分間攪拌された。室温に加熱した後で、この混合物はさらに1時間攪拌された。反応が完了した後で、過剰の蒸留水が添加され、これにより形成した沈殿物がろ別された。このろ別された固体はエタノールで洗浄され、精製されて化合物2(3.25g、4.78mmol、50%)を得た。
H NMR(CDCl、200MHz)=0.9(6H,m)、1.91(4H,m)、6.95(4H,m)、7.35(2H,m)、7.54−7.6(8H,m)、7.71(2H,m)、7.78(2H,m)、7.87(2H,m)、7.98(2H,m)、8.06−8.1(4H,m)、8.3(4H,m)。
【0042】
[製造例2]化合物63の製造
【化18】

【0043】
化合物63の製造
化合物B(5g、9.56mmol)およびキノリン−2−カルバルデヒド(3g、19.13mmol)が250mLの丸底フラスコに入れられた。真空乾燥後、窒素ガスが注入された。THF(50mL)を添加した後で、カリウムtert−ブトキシド(THF中1.0M、19mL、19.13mmol)が0℃でゆっくりと添加され、この混合物は10分間攪拌された。室温に加熱した後で、この混合物はさらに1時間攪拌された。反応が完了した後で、過剰の蒸留水が添加され、これにより形成した沈殿物がろ別された。このろ別された固体はエタノールで洗浄され、精製されて化合物63(4.5g、8.51mmol、90%)を得た。
H NMR(CDCl、200MHz)=0.9(6H,m)、1.91(4H,m)、7.2(2H,m)、7.37−7.42(4H,m)、7.56−7.6(6H,m)、7.78−7.82(4H,m)、7.98(2H,m)、8.06(2H,m)、8.24(2H,m)。
【0044】
[製造例3]化合物64の製造
【化19】

【0045】
化合物Fの製造
ブチルマグネシウムクロリド(730mg、6.3mmol)が250mLのフラスコに入れられ、THF(40mL)に溶かされた。−10℃に冷却し、n−ブチルリチウム(5.1mL)を添加した後で、温度を−10℃に維持しつつこの混合物は1時間攪拌された。THF(20mL)に溶かされた3−ブロモキノリン(3.5g、17mmol)がこのフラスコに−30℃で添加された。温度を−10℃に上げた後で、この混合物は2時間攪拌された。THF(30mL)に溶解された2,5−ジブロモピリジン(4g、17mmol)がPd(dba)(480mg、830mol)およびdppf(470mg、830mol)と共に添加された。−10℃で1時間攪拌し、室温まで加熱した後で、この混合物は18時間攪拌された。次いで、飽和NHCl水溶液が添加されてこの反応を停止させた。酢酸エチルで抽出した後で、有機層はMgSOで乾燥させられ、溶媒はロータリーエバポレータを用いて除去された。カラムクロマトグラフィによる精製で化合物F(2.5g、8.76mmol、53%)を生じた。
【0046】
化合物Gの製造
化合物F(2.5g、10.7mmol)が100mLの丸底フラスコに添加された。真空乾燥後、アルゴンガスが注入された。THF(25mL)を添加し、−78℃に冷却した後で、n−ブチルリチウム(5mL、12.84mmol)がゆっくりと添加され、この混合物はこの低温を維持しつつ1時間攪拌された。−78℃でDMF(1mL、12.84mmol)を添加した後で、この混合物は1時間攪拌された。反応が完了した後で、1MのHClが0℃で添加された。蒸留水で洗浄し、酢酸エチルで抽出した後で、有機層がMgSOで乾燥させられ、溶媒はロータリーエバポレータを用いて除去された。カラムクロマトグラフィによる精製で化合物G(1.68g、7.17mmol、82%)を生じた。
【0047】
化合物64の製造
化合物G(1.68g、7.17mmol)および化合物B(1.7g、3.25mmol)が250mLの丸底フラスコに入れられた。真空乾燥後、窒素ガスが注入された。THF(20mL)を添加した後で、カリウムtert−ブトキシド(THF中1.0M、3.25mL、3.25mmol)が0℃でゆっくりと添加され、この混合物は10分間攪拌された。室温に加熱した後で、この混合物は1時間攪拌された。反応が完了した後で、酢酸エチルを用いて抽出が行われた。有機層がMgSOで乾燥させられ、溶媒はロータリーエバポレータを用いて除去された。カラムクロマトグラフィによる精製で化合物64(1.55g、2.26mmol、70%)を生じた。
H NMR(CDCl、200MHz)=0.9(6H,m)、1.91(4H,m)、6.95(4H,m)、7.42(2H,m)、7.59−7.6(4H,m)、7.68(2H,m)、7.78−7.82(4H,m)、7.98(2H,m)、8.06(2H,m)、8.29−8.36(6H,m)、8.93(2H,m)。
【0048】
[製造例4]化合物65の製造
【化20】

【0049】
化合物Hの製造
2−ブロモ−9,9−ジエチル−9H−フルオレン(10g、33.19mmol)が500mLの丸底フラスコに入れられた。真空乾燥した後で、アルゴンガスが注入された。THF(250mL)を添加し、−78℃に冷却した後で、n−ブチルリチウム(19.9mL、49.79mmol)がゆっくりと添加された。低温を維持しつつ1時間攪拌した後で、DMF(3.8mL、49.79mmol)が−78℃で添加され、この混合物が1時間攪拌された。この反応が完了した後で、1MのHClが0℃で添加された。蒸留水で洗浄し、EAで抽出した後で、有機層がMgSOで乾燥させられ、溶媒がロータリーエバポレータを用いて除去された。カラムクロマトグラフィによる精製で化合物H(6g、72%)を生じた。
【0050】
化合物Jの製造
化合物I(6.7g、28.72mmol)が100mLの丸底フラスコに入れられた。THF(50mL)を添加し、0℃に冷却した後で、NaBH(1.4g、37.34mmol)およびMeOH(6mL)が添加された。次いで、この混合物は室温で2時間攪拌された。反応の完了の際に、蒸留水で洗浄し、EAで抽出した後で、有機層がMgSOで乾燥させられ、溶媒がロータリーエバポレータを用いて除去された。カラムクロマトグラフィによる精製で化合物J(6g、89%)を生じた。
【0051】
化合物Kの製造
化合物J(6g、25.50mmol)が50mLの丸底フラスコに入れられた。P(OEt)(8.5mL、51.0mmol)を添加し、0℃に冷却した後で、I(6.4g、25.50mmol)がゆっくりと添加され、この混合物は0℃で10分間攪拌された。次いで、120℃で一晩還流が行われた。この反応が完了した後で、P(OEt)が蒸留によって除去された。蒸留水で洗浄し、EAで抽出した後で、有機層がMgSOで乾燥させられ、溶媒がロータリーエバポレータを用いて除去された。カラムクロマトグラフィによる精製で化合物K(5.1g、59%)を生じた。
【0052】
化合物65の製造
化合物H(3g、11.98mmol)および化合物K(4.8g、14.38mmol)が250mLの丸底フラスコに入れられた。真空乾燥後、アルゴンガスが注入された。THF(100mL)を添加し、0℃に冷却した後で、1MのKO(t−Bu)(14.3mL、14.38mmol)がゆっくりと添加され、この混合物は室温で3時間攪拌された。反応完了の際に、蒸留水で洗浄し、EAで抽出した後で、有機層がMgSOで乾燥させられ、溶媒はロータリーエバポレータを用いて除去された。カラムクロマトグラフィによる精製で化合物65(3.3g、61%)を生じた。
H NMR(CDCl、200MHz)=0.9(6H,m)、1.91(4H,m)、6.95(2H,m)、7.28(1H,m)、7.35−7.38(2H,m)、7.54−7.6(5H,m)、7.71(1H,m)、7.78(1H,m)、7.87(2H,m)、7.98(1H,m)、8.06−8.1(2H,m)、8.3(2H,m)。
【0053】
製造例1〜4の手順に従って化合物1〜62が製造された。このようにして製造された有機電界発光化合物のH NMRおよびMS/FABデータが表1に示される。
【0054】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【0055】
[実施例1〜7]
本発明の有機電界発光化合物を使用するOLED素子の製造
本発明の電界発光材料を使用してOLED素子が製造された。まず、OLED用ガラス(サムスンコーニングにより製造)から得られた透明電極ITO薄膜(15Ω/□)を、トリクロロエチレン、アセトン、エタノールおよび蒸留水を順に使用した超音波洗浄にかけ、使用前にイソプロパノール中に貯蔵した。次に、真空蒸着装置の基体ホルダにITO基体を取り付け、この真空蒸着装置のセル内に4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)を入れ、このセルはチャンバー内で10−6torrの真空まで減圧された。次いで、このセルに電流を適用して、2−TNATAを蒸発させて、それによりITO基体上に60nmの厚みを有する正孔注入層を形成した。
次いで、真空蒸着装置の他のセルにN,N’−ビス(−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPB)を入れ、このセルに電流を適用してNPBを蒸発させて、それにより正孔注入層上に20nmの厚みを有する正孔輸送層を形成した。
【0056】
【化21】

【0057】
正孔注入層および正孔輸送層を形成した後で、以下のようにして、正孔輸送層の上に電界発光層が形成された。DNA(実施例1〜4)もしくは化合物H−33がホストとして真空蒸着装置の1つのセルに入れられ、本発明の有機電界発光化合物がドーパントとして別のセルに入れられた。この2種類の材料は、100:1の割合で蒸着させられて、正孔輸送層上に30nmの厚さを有する電界発光層を形成した。
【0058】
【化22】

【0059】
次いで、電子輸送層としてトリス(8−ヒドロキシキノリン)−アルミニウム(III)(Alq)が20nmの厚さで蒸着され、リチウムキノラート(Liq)が電子注入層として1〜2nmの厚みで蒸着された。その後、別の真空蒸着装置を使用して、150nmの厚みを有するAlカソードが蒸着されて、OLEDを製造した。
【0060】
【化23】

【0061】
OLEDに使用された各化合物は10−6torrでの真空昇華によって精製された。
【0062】
[比較例1]
既存の電界発光材料を使用するOLED素子の製造
実施例1と同じ方法で正孔注入層および正孔輸送層を形成した後で、真空蒸着装置の別のセルにホストとして青色発光DNAを入れ、さらに別のセルに化合物Aを入れた。この2種類の材料は100:1の割合で蒸着されて、正孔輸送層上に30nmの厚さを有する電界発光層を形成した。
【0063】
【化24】

【0064】
次いで、実施例1のと同じ方法で電子輸送層および電子注入層を形成した後で、別の真空蒸着装置を用いて、150nmの厚さを有するAlカソードが蒸着され、OLEDを製造した。
【0065】
[比較例2]
既存の電界発光材料を使用するOLED素子の製造
実施例1と同じ方法で正孔注入層および正孔輸送層を形成した後で、真空蒸着装置の別のセルにホストとして青色発光DNAを入れ、さらに別のセルに化合物Bを入れた。この2種類の材料は100:1の割合で蒸着されて、正孔輸送層上に30nmの厚さを有する電界発光層を形成した。
【0066】
【化25】

【0067】
次いで、実施例1のと同じ方法で電子輸送層および電子注入層を形成した後で、別の真空蒸着装置を用いて、150nmの厚さを有するAlカソードが蒸着され、OLEDを製造した。
【0068】
実施例1〜7、並びに比較例1および2で製造されたOLED素子の発光効率が1,000cd/mで測定された。結果は表2に示される。
【0069】
【表11】

【0070】
表2から認められるように、既存の電界発光化合物と比較して、本発明の有機電界発光化合物は純粋な青色を提供する。特に、化合物2は既存の電界発光材料(化合物B)と比較して38%向上した効率を提供する。記載されるように、本発明の有機電界発光化合物は青色発光材料として使用されることができ、既存のフルカラーOLEDの輝度および電力消費に利点を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式1で表される有機電界発光化合物:
【化1】

式中、
Aは水素もしくは
【化2】

を表し;
ArおよびArは独立して、化学結合、(C6−C60)アリーレンもしくはN、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む(C2−C60)ヘテロアリーレンを表し、前記ヘテロアリーレンの炭素原子はSeでさらに置換されていてもよい;
〜Zの少なくとも1つおよびZ11〜Z15の少なくとも1つは窒素原子であって、かつその残りは炭素原子であり、前記窒素原子は置換基を有さない;
〜RおよびR11〜R15は独立して水素、重水素、(C1−C60)アルキル、(C3−C60)シクロアルキル、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、(C1−C60)アルコキシ、(C6−C60)アリールオキシ、モノ−もしくはジ(C1−C60)アルキルアミノ、モノ−もしくはジ(C6−C60)アリールアミノ、(C6−C60)アリール(C1−C60)アルキルアミノ、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、またはトリ(C6−C60)アリールシリルを表し、R〜RもしくはR11〜R15のそれぞれは、縮合環を有するかもしくは有しない(C3−C60)アルキレンもしくは(C3−C60)アルケニレンを介して隣の置換基と連結されて縮合環を形成していてよく、前記アルキレンの炭素原子はO、SもしくはNR21でさらに置換されていてよく、かつ前記アルケニレンのCHはNでさらに置換されていてよい;
21は水素、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、アダマンチル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、またはトリ(C6−C60)アリールシリルを表す;
XおよびYは独立して、化学結合、−(CR3132−、−N(R33)−、−Si(R34)(R35)−、−O−、−S−、−Se−、−P(R36)−、または−(R37)C=C(R38)−を表し、nは1〜4の整数である;
31〜R38は独立して、水素、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、アダマンチル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、またはトリ(C6−C60)アリールシリルを表すか、またはR31とR32、R34とR35、もしくはR37とR38は独立して、縮合環を有するかもしくは有しない(C3−C12)アルキレンもしくは(C3−C12)アルケニレンを介して連結されてスピロ環または縮合環を形成していてよい;並びに
ArおよびArのアリーレンもしくはヘテロアリーレン、並びにR〜R、R11〜R15、R21、およびR31〜R38のアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルアルキルアミノ、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリルもしくはトリアリールシリルは、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、(C6−C60)アリール(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、およびトリ(C6−C60)アリールシリルから選択される1以上の置換基でさらに置換されていてよい。
【請求項2】
化学式2または3で表される請求項1に記載の有機電界発光化合物:
【化3】

【化4】

式中、X、Y、Ar、Ar、Z〜Z、Z11〜Z15、R〜R15およびR11〜R15は請求項1において特定されるのと同じである。
【請求項3】
ArおよびArが独立して化学結合、または下記構造から選択されるアリーレンもしくはヘテロアリーレンを表す、請求項1に記載の有機電界発光化合物:
【化5】

式中、R41は重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、(C6−C60)アリール(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、またはトリ(C6−C60)アリールシリルを表し;並びに
mは0〜4の整数を表す。
【請求項4】
【化6】

が下記構造から選択される請求項2に記載の有機電界発光化合物:
【化7】

式中、R31〜R38は独立して、水素、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、アダマンチル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、またはトリ(C6−C60)アリールシリルを表し;並びに
21〜R28のアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリルもしくはトリアリールシリルは、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、(C6−C60)アリール、(C2−C60)ヘテロアリール、(C6−C60)アリール(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリール、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、およびトリ(C6−C60)アリールシリルから選択される1以上の置換基でさらに置換されていてよい。
【請求項5】
【化8】

および
【化9】

が下記構造
【化10】

から独立して選択される、請求項2に記載の有機電界発光化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機電界発光化合物を含む有機電界発光素子。
【請求項7】
第1の電極;第2の電極;並びに、第1の電極と第2の電極との間に設けられた1以上の有機層;を含む有機電界発光素子であって、
前記有機層が請求項1〜5のいずれか1項に記載の1種以上の有機電界発光化合物と、化学式4もしくは化学式5で表される化合物から選択される1種以上のホストとを含む、
請求項6に記載の有機電界発光素子:
(Ar11−L−(Ar12 (4)
(Ar13−L−(Ar14 (5)
式中、Lは(C6−C60)アリーレンもしくは(C4−C60)ヘテロアリーレンを表し;
はアントラセニレンを表し;
Ar11〜Ar14は独立して、水素、重水素、(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、ハロゲン、(C4−C60)ヘテロアリール、(C5−C60)シクロアルキル、もしくは(C6−C60)アリールを表し;
Ar11〜Ar14のシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールは、(C6−C60)アリールもしくは(C4−C60)ヘテロアリール[(当該(C6−C60)アリールもしくは(C4−C60)ヘテロアリールは重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、(C3−C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリルおよびトリ(C6−C60)アリールシリルから選択される1種以上の置換基で置換されているかもしくは置換されていない]、重水素、(C1−C60)アルキル、ハロ(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルコキシ、(C3−C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、およびトリ(C6−C60)アリールシリルから選択される1種以上の置換基でさらに置換されていてよく;並びに
c、d、eおよびfは独立して0〜4の整数を表す。
【請求項8】
前記有機層が、アリールアミン化合物およびスチリルアリールアミン化合物からなる群から選択される1種以上の化合物、または第1族、第2族、第4周期および第5周期遷移金属、ランタニド金属並びにd−遷移元素の有機金属からなる群から選択される1種以上の金属をさらに含む、請求項7に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
前記有機層が同時に、青色、赤色もしくは緑色の光を発光する1以上の有機電界発光層を含み、有機電界発光素子が白色光を発光する、請求項7に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
前記有機層が電界発光層と電荷発生層とを含む請求項7に記載の有機電界発光素子。

【公表番号】特表2012−528853(P2012−528853A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513865(P2012−513865)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003457
【国際公開番号】WO2010/140802
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(509266480)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド (9)
【Fターム(参考)】