説明

新規有機高分子半導体、これを用いた有機高分子半導体薄膜の形成方法及びこれを用いた有機薄膜トランジスタ

【課題】新規な有機高分子半導体を用いて、安定的な常温スピンコート工程が可能であり、コート後、熱や光を介して置換基を除去することにより不溶性有機高分子半導体薄膜を形成し、電荷移動度に優れ、漏れ電流が低い有機薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】式(1)


(Ar1とAr2はアリーレン又はヘテロアリーレン、R1は水素;アルキル基;ヒドロキシアルキル基;アルコキシアルキル基、R2はアルキル又はアリール基、0≦x<1、0<y≦1、zは1又は2、nは10〜1000の整数。)で示される有機高分子半導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規有機高分子半導体、これを用いた有機高分子半導体薄膜の形成方法及びこれを用いた有機薄膜トランジスタに関するものであり、より詳しくは、取り除ける置換基を含む側鎖を有する有機高分子半導体及びこれを有機活性層として用いた有機薄膜トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
有機薄膜トランジスタ(OTFT)は、一般的に、基板、ゲート電極、絶縁層、ソース・ドレイン電極、チャネル層からなり、ソース・ドレイン電極上にチャネル層が形成されるボトムコンタクト(BC)型と、チャネル層上に金属電極が上から形成されるトップコンタクト(TC)型に分類される。
有機薄膜トランジスタのチャネル層としては、シリコン(Si)のような無機半導体物質が一般的に用いられてきたが、近年、ディスプレイの大面積化、低価化及び柔軟化によって、高価、高温真空プロセスを必要とする無機系物質から有機系半導体物質への変化が進んでいる。
【0003】
最近、有機薄膜トランジスタのチャネル層用の有機半導体物質が多く研究され、そのトランジスタ特性が報告されている。幅広く研究される低分子系またはオリゴマ有機半導体物質としては、メロシアニン、フタロシアニン、ペリレン、ペンタセン、C60、チオフェンオリゴマ等があり、ルスントテクノロジー、3M等では、ペンタセン単結晶を用いて、3.2〜5.0cm2/Vs以上の高い電荷移動度を報告している(Mat.Res.Soc.Symp.Proc.2003,Vol.771,L6.5.1〜L6.5.11)。フランスのCNRSも、オリゴチオフェン誘導体を用いて、0.01〜0.1cm2/Vsの比較的に高い電荷移動度と電流点滅比とを報告している(J.Am.Chem.Soc.,1993,Vol.115.pp.8716〜8721)。
【0004】
しかし、前述した従来の技術では、薄膜形成を主に真空プロセスに依存しているため、製造費が増大するという問題点があった。
また、米国特許第5,756,653号及び同第6,107,117号には、位置規則的なポリチオフェンP3HT(poly(3-alkylthiophene))の合成方法及びこれを用いて作製した電荷移動度の0.01〜0.04cm2/VsのOTFT素子が製作発表されている。しかし、代表的な位置規則性のポリチオフェンであるHT−P3HTの場合、電荷移動度は0.01cm2/Vs程度であるものの、空気中では不安定であり、遮断漏れ電流(10-9A以上)が高く、電流点滅比が400以下と極めて低いため、電子素子への適用が困難であった。また、米国特許第6,621,099号には、溶解性を向上したポリチオフェン誘導体を用いたOTFT素子が製作されているが、漏れ電流が低いのに対して、電荷移動度も低下するという問題点があった。
【0005】
このように、溶解性に優れ、安定して常温でのスピンコート工程を行うことができるとともに、高い電荷移動度と低遮断漏れ電流との双方を充分満足し得る有機薄膜トランジスタ用の有機高分子半導体は、未だ報告されていない。
【非特許文献1】Mat.Res.Soc.Symp.Proc.2003,Vol.771,L6.5.1〜L6.5.11
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.,1993,Vol.115.pp.8716〜8721
【特許文献1】米国特許第5,756,653号明細書
【特許文献2】米国特許第6,107,117号明細書
【特許文献3】米国特許第6,621,099号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、取り除ける置換基を含む側鎖を有する新規有機高分子半導体を用いて、安定的な常温スピンコート工程が可能であるだけでなく、コ―ティング後、熱や光を用い置換基を除去することにより、不溶性有機高分子半導体薄膜を形成し、電荷移動度に優れ、漏れ電流が低い有機薄膜トランジスタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明は、下の式(1)
【0008】
【化1】

(式中、Ar1とAr2は、同一又は異なって、炭素数3〜30のアリーレン又はヘテロアリーレンであり、
1は、水素;炭素数1〜10の線状または分岐状であるアルキル基;炭素数1〜10の線状または分岐状であるヒドロキシアルキル基;炭素数1〜10の線状または分岐状であるアルコキシアルキル基であり、
2は、熱、光または化学的反応で除去可能な置換基で置換されたアルキル又はアリール基であり、
0≦x<1、0<y≦1であり、zは1又は2、nは10〜1,000の整数である。)
で表される有機高分子半導体に関する。
【0009】
また、本発明は、前記の有機高分子半導体の溶液で薄膜を形成する工程と、前記の薄膜を熱または光で処理して置換基を除去する工程を含む有機高分子半導体薄膜の形成方法に関する。
さらに、本発明のもう一つの側面は、前記の有機高分子半導体の薄膜を有機活性層として用いた有機薄膜トランジスタに関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による有機高分子半導体は、新しい構造の高分子有機半導体であって、常温でのスピンコート工程が可能であるだけでなく、熱や光を用いる置換基の除去を通じて電荷移動度及び点滅比が向上した有機薄膜トランジスタ素子を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面に基づき詳細に説明する。
本発明の有機高分子半導体は、一般的に、式(1)で表される。
【0012】
【化2】

(式中、Ar1とAr2は、同一又は異なって、炭素数3〜30のアリーレン又はヘテロアリーレンであり、
1は、水素;炭素数1〜10の線状または分岐状であるアルキル基;炭素数1〜10の線状または分岐状であるヒドロキシアルキル基;炭素数1〜10の線状または分岐状であるアルコキシアルキル基であり、
2は、熱、光または化学的反応で除去可能な置換基で置換されたアルキル又はアリール基であり、
0≦x<1、0<y≦1であり、zは1又は2、nは10〜1,000の整数である。)
式(1)で表される有機高分子半導体において、Ar1とAr2は、例えば、下の式で表されるものから選択することができる。
【0013】
【化3】

また、R1としては、水素;炭素数1〜6の線状または分岐状であるアルキル基;炭素数1〜6の線状または分岐状であるヒドロキシアルキル基;炭素数1〜6の線状または分岐状であるアルコキシアルキル基が好ましく、さらに、水素;炭素数1〜6の線状または分岐状であるアルキル基;炭素数1〜6の線状または分岐状であるアルコキシアルキル基がより好ましく、最も好ましくは水素原子である。
【0014】
前記有機高分子半導体は、側鎖に、熱、光又は化学的反応で除去(脱離)可能な置換基を含む。具体的には、R2において、除去可能な置換基を含むアルキル基又はアリール基が用いらる。ここで、アルキル基及びアリール基としては、炭素数1〜10のもの、上述したもの等が挙げられる。また、除去可能な置換基としては、エステル基(−OCO−);エーテル基(−O−);リン酸基(−OPO2O−);−OCON−;アジド基(−N3−);アミン基(−N2−);アミノ基(−NH−);アゾ基(−N=N−);ニトロ基(−NO2−);ハロゲン基を含む置換基が挙げられる。このような置換基を含むことにより、適切な配向性と溶解性とを付与することができる。すなわち、前記有機高分子半導体は、常温で通常の方法でによりコ―ティングすることができ、コ―ティング後、熱、光等で化学的な反応により置換基が除去されることによって、不溶性の有機高分子半導体薄膜を形成することができる。この有機高分子半導体薄膜を有機薄膜トランジスタに適用した場合には、電荷移動度が向上し、漏れ電流は相対的に低くなる効果が得られる。
【0015】
なお、R2においては、除去可能な置換基に、さらに、置換基が置換されていることが好ましい。その例としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基(例えば、パーフルオロアルキル基)、アルキルアルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルアルコキシアルコキシ基、アルキルシロキシ基、アルキルシロキシアルキル基等が置換されていてもよい。なお、この場合のアルキル基は、例えば、炭素数1〜20、さらに炭素数1〜12程度であることが好ましく、この置換基の全炭素数は、例えば、1〜30程度が好ましい。
【0016】
より具体的に、前記式(1)で表される有機高分子半導体化合物のうち、エステル基を側鎖に含むものとしては、下の式(3)または式(4)で表される化合物を挙げることができる。
【0017】
【化4】

【0018】
【化5】

(式中、R5は、それぞれ炭素数1〜30の線状または分岐状であるアルキル基;炭素数1〜30のアルコキシアルキル基;炭素数1〜30のシロキシ基を含むアルキル基;または、炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基であり、R3及びR4は、水素;炭素数1〜12の線状または分岐状であるアルキル基;炭素数1〜12のアルコキシアルキル基である。)
なお、上述した式(3)及び式(4)においては、エステル基に代えて、エーテル基、リン酸基、−OCON−基、アジド基、アミン基を有するものであってもよい。
【0019】
前記エステル基を側鎖として含むポリチオフェン誘導体のより具体例としては、式(5)から式(11)に表される高分子化合物が挙げられる。
【0020】
【化6】

【0021】
【化7】

【0022】
【化8】

【0023】
【化9】

【0024】
【化10】

【0025】
【化11】

【0026】
【化12】

なお、上述した式(5)〜式(11)においても、エステル基に代えて、エーテル基、リン酸基、−OCON−基、アジド基、アミン基を有するものであってもよい。
さらに、前記化合物以外にも、本発明の式(1)で表される有機高分子半導体化合物には、下記式(12)または式(13)で表される化合物を含むことができる。
【0027】
【化13】

【0028】
【化14】

式(12)中、エチレン基は、炭素数1〜10程度のアルキレン基であってもよく、式(13)中、エチレンジオキシ基は、炭素数1〜10程度のアルキレンジオキシ基であってもよく、末端のブチル基は、炭素数1〜10程度のアルキル基であってもよい。
【0029】
本発明において用いられる有機高分子半導体の数平均分子量は、3,000〜70,000の範囲、重量平均分子量は、5,000〜150,000の範囲であることが好ましい。
本発明の有機高分子半導体の一例であるポリチオフェン誘導体の製造方法は、特に限定されず、常法によって合成することができる。前記式(5)から(11)で表されるポリチオフェン誘導体の合成方法を例示すると下記のとおりである。すなわち、ポリチオフェン誘導体は、下記反応式1において得られた単量体及び下記反応式2において得られた単量体を、パラジウム触媒と共に、反応式3のように重合させることにより合成することができる。
【0030】
【化15】

(式中、R5、m、nは上記と同義であり、Meはメチル基を示す。)
さらに、前記式(12)または式(13)で表される有機高分子半導体化合物は、前記反応式1において合成された単量体と、適合した側鎖化合物とを、下記反応式4または5の経路を経て反応させることにより、製造することができる。
【0031】
【化16】

(式中、nは上記と同義である。また、codは、1,5−シクロオクタジエン、bpyは2,2’−ビピリジンである。)
前記反応式1及び2において得られた単量体は、スティルカップリング(stille coupling)と呼ばれる一般に知られた縮合反応を行わせることにより、前記式(1)で表される、本発明のポリチオフェン誘導体に合成される。この反応における溶媒は、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、N−メチルピロリジノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等を用いることができ、窒素雰囲気下において、50〜130℃で2〜24時間の間反応させることが好ましい。
【0032】
この際、下記式(14)から式(16)で表されるパラジウム触媒を用いて、本発明のポリチオフェン誘導体を合成することが好ましい。
PdL4 (14)
PdL22 (15)
PdL2 (16)
(式中、Lは、トリフェニルホスフィン(PPh3)、トリフェニルアリシン(AsPh3)、リン酸トリフェニルP(OPh)3、ジフェニルホスフィノフェロセン(dppf)、ジフェニルホスフィノブタン(dppb)、アセテート(OAc)、ジベンジリドンアセトン(dba)からなる群より選択される1種以上のリガンドであり、Xは、ハロゲン原子、例えば、I、Br、またはClである。)
本発明の有機高分子半導体は、常温で、常法により、コーディングすることができ、反応式6におけるように、コーディングした後、熱や光を介して置換基を除去することにより、不溶性の有機高分子半導体薄膜を形成することができる。
【0033】
【化17】

(式中、nは上記と同義である。)
コーティング法としては、スクリーン印刷法、プリント法、スピンコート法、ディップ法、またはインク噴射法等が挙げられる。
【0034】
この際、熱や光の処理条件としては、有機高分子半導体の熱的性質により異なるが、熱処理は、通常、150〜300℃の範囲が適当であり、光は、通常、250nm〜350nmの範囲の紫外線を、500〜1000mJ/cm2で照射することが好ましい。
本発明の有機高分子半導体は、新たな有機半導体材料として用いられ、図1に示すようなOTFT素子の活性層として適用することができる。
【0035】
本発明の有機薄膜トランジスタ素子は、基板/ゲート電極/ゲート絶縁層/有機活性層/ソース・ドレイン電極が、順に形成されたトップコンタクト構造(図示せず)であってもよいし、図1に示すように、基板1/ゲート電極2/ゲート絶縁層3/ソース・ドレイン電極4、5/有機活性層6が、順に形成されたボトムコンタクト構造であってもよいが、これらに限定されない。
【0036】
前記基板1は、ガラス、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリノルボルネン、及びポリエーテルスルホン(PES)等で形成することができるが、これに限定されるものではない。
前記ゲート電極2としては、通常使用される金属が用いられ、具体的には、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、及びインジウムスズ酸化物(ITO)等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0037】
前記OTFT素子を構成するゲート絶縁層3としては、通常使用される誘電率が大きい絶縁体が用いられ、具体的には、Ba0.33Sr0.66TiO3(BST)、Al23、Ta25、La25、Y23、及びTiO2からなる群より選ばれた強誘電性絶縁体、PbZr0.33Ti0.663(PZT)、Bi4Ti312、BaMgF4、SrBi2(TaNb)29、Ba(ZrTi)O3(BZT)、BaTiO3、SrTiO3、Bi4Ti312、SiO2、SiNX、及びAlONからなる群より選ばれた無機絶縁体、または、ポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、パリレン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、及びポリビニルフェノール等の有機絶縁体等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
前記ソース及びドレイン電極4及び5としては、通常使用される金属が用いられ、具体的には、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、及びインジウムスズ酸化物(ITO)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明するが、下記実施例は説明の目的のためのものであり、本発明を制限するものではない。
製造例1:単量体Aの合成
【0039】
【化18】

2,2’−ジブロモジチオフェン(13.3g、41.0mmol)を2口丸底フラスコに入れ、1Lのテトラヒドロフラン(以下、THFという)に溶かした後、−78℃でn−ブチルリチウム(以下、n−BuLi、36.0ml、90.0mmol)をゆっくり入れた。同温で1時間程度撹拌した後、トリメチルチンクロライド(Me3SnCl、90.0ml、90.0mmol)をゆっくり入れ、3時間さらに撹拌した。反応混合物にH2O(300ml)を入れて反応を終え、エーテルで2〜3回抽出して得た有機層を塩水(NaCl水溶液)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、及び濃縮して、白色固体の生成物(11.5g、収率=55%)を得た。
【0040】
1H−NMR(300MHz,CDCl3)d(ppm)0.38(s,18H),7.08(d,2H),7.27(d,2H).
製造例2:単量体Bの合成
【0041】
【化19】

丸底フラスコに、1−チエ−3−ニルヘプタノール(1.0g、5.04mmol)、ピリジン(0.65mL)、ジメチルアミノピリジン(以下、DMAP、4.8mg)を入れ、THF35mLに溶かした後、温度を0℃まで下げる。また、ラウロリルクロライド(1.1g、5.04mmol)を加え、室温で数十分撹拌した後、過量のエチルアセテートで希釈して反応を終えた。ろ過して得た有機溶液を0.1Mの塩酸水溶液、10%のアンモニア水、塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥した後、ヘキサン/エチルアセテート混合溶媒を用いたカラムで、単量体Bの中間体である白色の結晶性固体を得た(1.5g、収率=62%)。
【0042】
1H−NMR(300MHz,CDCl3)d(ppm)0.86(t,3H),1.26(m,28H),1.54(m,2H),2.31(t,1H),2.36(t,1H),2.75(t,1H),5.88(t,1H),7.04(dd,1H),7.20(dd,1H),7.26(dd,1H).
上記で得られた中間体(1.5g、3.94mmol)のDMF(40〜50mL)溶液に、N−ブロモ琥珀酸イミド(以下、NBSという)1.47g(8.27mmol)を室温でゆっくり加えた。撹拌しながら反応温度を徐々に60℃まで上げた後、2時間程度撹拌した。さらに室温まで下げ、エチルアセテートで希釈し、ろ過して得た有機溶液を、薄い炭酸水素ナトリウム、水、塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥してろ過した。さらに、ヘキサン/エチルアセテート混合溶媒を用いたカラムで単量体Bを得た(1.5g、収率=66%)。
【0043】
1H−NMR(300MHz,CDCl3)d(ppm)0.87(t,3H),1.23(m,27H),1.55(m,2H),1.57(m,2H),1.83(m,1H),2.32(m,1H),5.76(t,1H),6.86(s,1H).
製造例3:単量体Cの合成
【0044】
【化20】

丸底フラスコに、2−(3−チエニル)エタノール(1.0g、7.8mmol)と、トリエチルアミン(0.95g、9.4mmol)とを、THF35mLに溶かした後、温度を0°まで下げる。また、パラトルエンスルホニルクロライド(TsCl、1.79g、9.4mmol)を加え、室温で数十分撹拌した後、過量のエチルアセテートで希釈して反応を終えた。ろ過して得た有機溶液を0.1Mの塩酸水溶液、10%のアンモニア水、塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥した後、ヘキサン/エチルアセテート混合溶媒を用いたカラムで、単量体Cの中間体(1)である白色の結晶性固体を得た(1.5g、収率=75%)。
【0045】
上記で得られた中間体(1)(1.5g、5.3mmol)のDMF(40〜50mL)溶液に、N−ブロモ琥珀酸イミド(以下、NBSという、1.89g、10.62mmol)を、室温でゆっくり加えた。撹拌しながら反応温度を徐々に60℃まで上げた後、2時間程度撹拌した。さらに室温まで下げ、エチルアセテートで希釈し、ろ過して得た有機溶液を、薄い炭酸水素ナトリウム、水、塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥してろ過した。さらに、ヘキサン/エチルアセテート混合溶媒を用いたカラムで単量体Cの中間体(2)を得た(1.6g、収率=69%)。
【0046】
上記で得られた中間体(2)(1.6g、3.65mmol)のエタノール(40〜50mL)溶液に、アジ化ナトリウム(以下、NaN3という)0.28g(4.38mmol)を、室温でゆっくり加えた後、2時間程度撹拌した。反応溶液をエチルアセテートで希釈し、ろ過して得た有機溶液を、薄い炭酸水素ナトリウム、水、塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥してろ過した。さらに、ヘキサン/エチルアセテート混合溶媒を用いたカラムで単量体Cの中間体(3)を得た(0.8g、収率=70%)。
【0047】
1H−NMR(300MHz,CDCl3)d(ppm)1.7(t,2H),2.6(t,2H),6.41(s,1H).
製造例4:単量体Dの合成
【0048】
【化21】

丸底フラスコに、3,6−ジブロモベンゼン−1,2−ジアミン(4.0g、15.04mmol)と、1,2−ビス−(4−メトキシフェニル)−エタン−1,2−ジオン(4.88g、18.05mmol)とをブタノール50mLに溶かした後、酢酸2〜3滴を加えた。120℃で4〜5時間の間環流した。0℃まで冷やし、ろ過した後、熱いエタノールで洗浄してから乾燥し、黄色固体の単量体Dの中間体(1)を得た(4.8g、収率=64%)。
【0049】
上記で得られた中間体(1)(4.8g、9.6mmol)を、ピリジンヒドロクロライド10gを入れ、200℃で7〜8時間の間環流した。反応溶液を室温まで下げ、ジエチルエーテルで希釈し、ろ過して得た有機溶液を、薄い塩酸溶液、水、塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥しろ過して、黄色固体の単量体Dの中間体(2)を得た(3.8g、収率=88%)。
【0050】
上記で得られた中間体(2)(2.0g、4.24mmol)のTFT(40〜50mL)に、tert−ブチルビニルエーテル(1.06g、10.6mmol)を入れ、小量のパラトルエンスルホン酸を、室温でゆっくり加えた後、2時間程度撹拌した。反応溶液をエチルアセテートで希釈し、ろ過して得た有機溶液を、薄い炭酸水素ナトリウム、水、塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥してろ過した。さらに、ヘキサン/エチルアセテート混合溶媒を用いたカラムで単量体Dの中間体(3)を得た(2.0g、収率=74%)。
【0051】
1H−NMR(300MHz,CDCl3)d(ppm)1.21(t,18H),3.79(t,4H),4.11(t,4H),6.88(d,4H),7.65(d,4H),7.85(d,2H).
合成例1:ポリチオフェン誘導体Aの合成
【0052】
【化22】

製造例1で合成した単量体A(0.6g、1.22mmol)と、製造例2で合成した単量体B(0.66g、1.22mmol)とを、窒素雰囲気下の反応器に入れ、低温で加熱しながら、無水DMFに完全に溶かした。重合触媒としては、パラジウム(O)化合物であるPd(PPh34化合物を10mol%用いた。反応は、80〜90℃で12時間程度窒素雰囲気下で、撹拌して終了した後、室温まで冷やした。室温の反応溶液をろ過した後、薄い塩酸水溶液/クロロホルム(1/1、ca.500mL)混合液に入れ、12時間程度撹拌した後、これを終了し、減圧してろ過した。この過程を2回繰り返した後、さらに、アンモニア水/クロロホルム(1/1、ca.2.0L)混合液、蒸留水/クロロホルム(1/1、ca.2.0L)混合液で繰り返し洗浄した後、クロロホルム層を濃縮して固体を得た。メタノール、アセトン等の有機溶媒で洗浄した後、ろ過乾燥してポリチオフェン誘導体A(0.28g)を得た。収率は41%であり、数平均分子量は19,000であり、nは約34であった。
【0053】
1H−NMR(300MHz,CDCl3)d(ppm)0.87(t,3H),1.27(broad,28H),1.62(b,2H),1.80(t,1H),1.95(t,1H),2.40(b,1H),6.10(b,1H),7.14(b,Thiophene−4H).
合成例2:ポリチオフェン誘導体Bの合成
【0054】
【化23】

製造例1で合成した単量体A(0.6g、1.22mmol)と、製造例3で合成した単量体C(0.37g、1.22mmol)とを、窒素雰囲気下の反応器に入れ、低温で加熱しながら、無水DMFに完全に溶かした。重合触媒としては、パラジウム(O)化合物であるPd(PPh34化合物を10mol%用いた。反応は、80〜90℃で12時間程度窒素雰囲気下で、撹拌して終了した後、室温まで冷やした。室温の反応溶液をろ過した後、薄い塩酸水溶液/クロロホルム(1/1、ca.500mL)混合液に入れ、12時間程度撹拌した後、これを終了し、減圧してろ過した。この過程を2回繰り返した後、さらに、アンモニア水/クロロホルム(1/1、ca.2.0L)混合液、蒸留水/クロロホルム(1/1、ca.2.0L)混合液で繰り返し洗浄した後、クロロホルム層を濃縮して固体を得た。メタノール、アセトン等の有機溶媒で洗浄した後、ろ過乾燥してポリチオフェン誘導体B(0.15g)を得た。収率は38%であり、数平均分子量は18,000であり、nは約56であった。
【0055】
1H−NMR(300MHz,CDCl3)d(ppm)1.7(t,2H),2.6(t,2H),6.41(s,1H),7.14(b,Thiophene−4H).
合成例3:ポリキノキサリン誘導体Cの合成
【0056】
【化24】

フラスコに、窒素雰囲気下で、重合触媒のニッケル(O)であるNi(cod)2(0.67g、2.44mmol)をDMF20mlに入れ、ビピリジン(0.38g、2.44mmol)、シクロヘキサジエン(0.263g、2.44mmol)を入れた後、製造例4で合成した単量体D(0.82g、1.22mmol)を窒素雰囲気下の反応器に入れた。反応は、80〜90℃で12時間程度窒素雰囲気下で、撹拌して終了した後、室温まで冷やした。室温の反応溶液をろ過した後、薄い塩酸水溶液/クロロホルム(1/1、ca.500mL)混合液に入れ、12時間程度撹拌した後、これを終了し、減圧してろ過した。この過程を2回繰り返した後、さらに、アンモニア水/クロロホルム(1/1、ca.2.0L)混合液、蒸留水/クロロホルム(1/1、ca.2.0L)混合液で繰り返し洗浄した後、クロロホルム層を濃縮して固体を得た。メタノール、アセトン等の有機溶媒を洗浄した後、ろ過乾燥してポリキノキサリン誘導体C(0.4g)を得た。収率は49%であり、数平均分子量は21,000であり、nは約31であった。
【0057】
1H−NMR(300MHz,CDCl3)d(ppm)1.21(t,18H),3.79(t,4H),4.11(t,4H),6.88(d,4H),7.65(m,4H),7.85(m,2H).
実施例1:ポリチオフェン誘導体を用いた有機薄膜の形成
前記合成例1で合成したポリチオフェン誘導体を、トルエンに1.0Wt%濃度で溶解させ、1,000rpmで700Å厚さに塗布し、アルゴン雰囲気下において100℃で1時間の間焼成した。熱により除去可能なエステル置換基の除去のために、200℃で1時間熱処理した。熱処理前後の有機高分子半導体の構造変化を観察するために、FT−IRを測定して図2に示した。熱処理後、1720〜1740cm-1位置で観察されるエステル基のピークが消えたことを確認した。
実施例2:ポリチオフェン誘導体Aを用いた有機薄膜トランジスタの作製
先ず、洗浄したプラスチック基板に、ゲート電極として用いられるクロームをスパッタ法で1000Å蒸着した後、ゲート絶縁膜として用いられるSiO2をCVD法で1000Å蒸着した。その上に、ソース・ドレイン電極として用いられるITOをスパッタ法で1,200Å蒸着した。基板は、有機半導体材料を蒸着する前、イソプロピルアルコールを用いて10分間洗浄し、乾燥して用いた。試料は、ヘキサンに10mM濃度で希釈させたオクタデシルトリクロロシラン溶液に30秒間浸漬してから、アセトンで洗浄後、乾燥させ、次いで、前記合成例1で合成したポリチオフェン誘導体Aを、トルエンに1.0Wt%濃度で溶解させ、1000rpmで700Å厚さで塗布し、アルゴン雰囲気下において100℃で1時間の間焼成し、図1に示したボトム−コンタクト方式のOTFT素子を作製した。前記素子を用いて電荷移動度を測定した。KEITHLEY社のSemiconductor Characterization System(4200−SCS)を用いて、電流伝達特性を測定した後、電流伝達曲線は図3に示し、素子の諸般物性の測定値を表1に示した。
【0058】
電荷移動度は、前記電流伝達曲線を用いて、下記の飽和領域の電流式から計算した。
すなわち、電荷移動度は、下記飽和領域の電流式から、(ISD)1/2とVGを変数としたグラフを得、その勾配から求めた。
【0059】
【数1】

(式中、ISDはソース・ドレイン電流であり、μまたはμFETは電荷移動度であり、COは酸化膜静電容量であり、Wはチャネル幅であり、Lはチャネル長であり、VGはゲート電圧であり、VTはしきい電圧である。)
また、遮断漏れ電流(Ioff)は、オフ状態であるときに流れる電流であり、オフ状態で最小電流として求めた。
【0060】
有機高分子半導体の熱処理後、素子の特性変化を観察するために、ポリチオフェン誘導体を100℃で1時間の間焼成した後、さらに、200℃で1時間熱処理して、同様に、素子の電荷移動度を測定し、電流伝達曲線は図3に比較図示し、素子の諸般物性の測定値を表1に示した。
【0061】
【表1】

表1から明らかなように、本発明のポリチオフェン誘導体は、熱処理を通じて電荷移動度及び点滅比が向上し、したがって、OTFTの適用時、その性能が極めて優れたことが確認された。
実施例3:ポリチオフェン誘導体Bを用いた有機薄膜トランジスタの作製
前記合成例2で合成したポリチオフェン誘導体Bを用いたことを除いては、実施例2と同様にして、図1に示したボトム−コンタクト方式のOTFT素子を作製した。前記素子を用いて、電荷移動度を測定した。
【0062】
有機高分子半導体の紫外線処理後、素子の特性変化を観察するために、ポリチオフェン誘導体を100℃で1時間の間焼成した後、250nm〜350nmの波長帯において15mW/cm2の照度を有する紫外線を、1000mJ/cm2照射した後、同様に、素子の電荷移動度を測定し、素子の諸般物性の測定値を表2に示した。
【0063】
【表2】

表2から明らかなように、本発明のポリチオフェン誘導体は、紫外線処理を通じて電荷移動度及び点滅比が向上し、したがって、OTFTの適用時、その性能が極めて優れたことが確認された。
実施例4:ポリキノキサリン誘導体Cを用いた有機薄膜トランジスタの作製
前記合成例3で合成したポリキノキサリン誘導体Cを用いたことを除いては、実施例2と同様にして、図1に示したボトム−コンタクト方式のOTFT素子を作製した。前記素子を用いて、電荷移動度を測定した。
【0064】
有機高分子半導体の熱処理後、素子の特性変化を観察するために、ポリキノキサリン誘導体を100℃で1時間の間焼成した後、さらに、200℃で1時間熱処理し、同様に、素子の電荷移動度を測定し、素子の諸般物性の測定値を表3に示した。
【0065】
【表3】

表3から明らかなように、本発明のポリキノキサリン誘導体は、熱処理を通じて電荷移動度及び点滅比が向上し、したがって、OTFTの適用時、その性能が極めて優れたことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、液晶表示装置用薄膜トランジスタ表示板のみならず、例えば、有機発光表示装置(OLED)及び電子紙(e−paper)のように、薄膜トランジスタにより駆動できる他の表示装置にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施例に係る有機薄膜トランジスタ素子の概略断面図である。
【図2】本発明の実施例1で製造した有機薄膜のFT−IRスペクトルを示す図である。
【図3】本発明の実施例2で製造した有機薄膜トランジスタの電流伝達特性曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁層
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 有機活性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

(式中、Ar1とAr2は、同一又は異なって、炭素数3〜30のアリーレン又はヘテロアリーレンであり、
1は、水素;炭素数1〜10の線状または分岐状であるアルキル基;炭素数1〜10の線状または分岐状であるヒドロキシアルキル基;炭素数1〜10の線状または分岐状であるアルコキシアルキル基であり、
2は、熱、光または化学的反応で除去可能な置換基で置換されたアルキル又はアリール基であり、
0≦x<1、0<y≦1であり、zは1又は2、nは10〜1,000の整数である。)
で示される有機高分子半導体溶液で薄膜を形成する工程と、
その薄膜を熱または光で処理して置換基を除去する工程を含んでいることを特徴とする有機高分子半導体薄膜の形成方法。
【請求項2】
式(1)のR2における除去可能な置換基は、エステル基;エーテル基;リン酸基;−OCON−;アジド基;アミン基;ニトロ基及びハロゲン原子からなる群から選択される1種以上を含む置換基であり、これら置換基は、さらに置換基を有していてもよい請求項1に記載の有機高分子半導体薄膜の形成方法。
【請求項3】
式(1)で表される有機高分子半導体において、Ar1とAr2は下の式
【化2】

で表されるものからなる群から選択される1種以上である請求項1又は2に記載の有機高分子半導体薄膜の形成方法。
【請求項4】
式(1)で表される有機高分子半導体は、下の式(3)または式(4)
【化3】

(式中、R5はそれぞれ炭素数1〜30の線状または分岐状であるアルキル基;炭素数1〜30のアルコキシアルキル基;炭素数1〜30のシロキシ基を含むアルキル基;または、炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基であり、R3及びR4は水素;炭素数1〜12の線状または分岐状であるアルキル基;炭素数1〜12のアルコキシアルキル基であり、mは1〜12の整数である)
で表されるポリチオフェン誘導体である請求項1〜3のいずれか1つに記載の有機高分子半導体薄膜の形成方法 。
【請求項5】
上記のポリチオフェン誘導体が、下の式(5)から式(11)
【化4】

【化5】

の化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物である請求項1〜5のいずれか1つに記載の有機高分子半導体薄膜の形成方法。
【請求項6】
式(1)で表される有機高分子半導体は、下の式(12)または式(13)
【化6】

で表される化合物である請求項1又は2に記載の有機高分子半導体薄膜の形成方法。
【請求項7】
上記の有機高分子半導体溶液を、スクリーン印刷法、プリント法、スピンコート法、ディップ法、またはインキ噴射法によって、薄膜に形成する請求項1〜6のいずれか1つに記載の有機高分子半導体薄膜の形成方法。
【請求項8】
前記の熱処理を、150〜300℃の範囲で行う請求項1〜7のいずれか1つに記載の有機高分子半導体薄膜の形成方法。
【請求項9】
前記の光処理を、紫外線を照射することによって行う請求項1〜8のいずれか1つに記載の有機高分子半導体薄膜の形成方法。
【請求項10】
前記の紫外線は、250nm〜350nmの範囲の波長を有し、500〜1,000mJ/cm2で照射する請求項9に記載の有機高分子半導体薄膜の形成方法 。
【請求項11】
基板、ゲート電極、ゲート絶縁層、有機活性層及びソース・ドレイン電極からなる有機薄膜トランジスタにおいて、前記の有機活性層が、請求項1から10のいずれか1つに記載された有機高分子半導体薄膜で形成されていることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【請求項12】
前記のゲート絶縁層が、Ba0.33Sr0.66TiO3(BST)、Al23、Ta25、La25、Y23、TiO2、PbZr0.33Ti0.663(PZT)、Bi4Ti312、BaMgF4、SrBi2(TaNb)29、Ba(ZrTi)O3(BZT)、BaTiO3、SrTiO3、Bi4Ti312、SiO2、SiNX、AlON、ポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、パリレン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノールからなる群から選ばれた1種以上の有機絶縁体で形成される請求項11に記載された有機薄膜トランジスタ。
【請求項13】
前記の基板が、ガラス、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリノルボルネン、及びポリエーテルスルホン(PES)からなる群から選ばれた1種以上の物質で形成される請求項11又は12に記載された有機薄膜トランジスタ。
【請求項14】
前記のゲート電極及びソース・ドレイン電極が、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、及びインジウムスズ酸化物(ITO)からなる群から選ばれた1種以上の物質で形成される請求項11〜13のいずれか1つに記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項15】
式(1)
【化7】

(式中、Ar1とAr2は、同一又は異なって、炭素数3〜30のアリーレン又はヘテロアリーレンであり、
1は、水素;炭素数1〜10の線状または分岐状であるアルキル基;炭素数1〜10の線状または分岐状であるヒドロキシアルキル基;炭素数1〜10の線状または分岐状であるアルコキシアルキル基であり、
2は、熱、光または化学的反応で除去可能な置換基で置換されたアルキル又はアリール基であり、
0≦x<1、0<y≦1であり、zは1又は2、nは10〜1,000の整数である。)
で示される有機高分子半導体。
【請求項16】
式(1)のR2における除去可能な置換基は、エステル基;エーテル基;リン酸基;−OCON−;アジド基;アミン基;ニトロ基及びハロゲン原子からなる群から選択される1種以上を含む置換基であり、これら置換基は、さらに置換基を有していてもよい請求項15に記載の有機高分子半導体。
【請求項17】
式(1)で表される有機高分子半導体において、Ar1とAr2は下の式
【化8】

で表されるものからなる群から選択される1種以上である請求項15又は16に記載の有機高分子半導体。
【請求項18】
式(1)で表される有機高分子半導体が、式(12)または式(13)
【化9】

で表される化合物である請求項15〜17のいずれか1つに記載の有機高分子半導体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−319337(P2006−319337A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130191(P2006−130191)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】