説明

新規標準化組成物、その製造方法及びRNAウイルス感染症の消散における使用方法

本開示は、植物源、つまり桂皮属、レイシ属、及びアラキス属から得られる抗ウイルス製剤に関する。五量体プロシアニジンフラボノイド、三量体及び四量体を含む組成物、並びにその組成物を調製するためのプロセスが提供される。組成物は、免疫反応を改善し、HIV感染症及びAIDSの治療及び管理、インフルエンザウイルス感染の予防、治療、及び管理に有用であることが見出されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抗ウイルス製剤に関する。本開示は、植物から得られる抗ウイルス製剤であって、免疫反応を改善し、且つHIV感染症、AIDS、及びインフルエンザウイルス感染症に対して有効であることが見出されている、抗ウイルス製剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
カテキンは、フラボノイド族に属するポリフェノール性植物代謝産物である。カテキンの分子式及び分子量は、C1514及び290g/モルである。カテキン及びエピカテキンはエピマーであり、(−)−エピカテキン及び(+)−エピカテキンが自然界で見られる最も一般的な光学異性体である。
【0003】
プロシアニジン又は縮合タンニンは、構成単位が(+)−カテキン及び(−)−エピカテキンであるフラボノイドオリゴマーである。これらは、フラボノイド生合成経路のオリゴマー最終生成物であり、ヒトにおけるそれらの有益な効果について現在同定及び認識されている。これらは、植物界において果実、樹皮、葉、及び種子に豊富に存在して、光、酸化、及び捕食者から保護している。プロシアニジンは、多くの植物、主にリンゴ、松樹皮、桂皮樹皮、レイシ果皮、ピーナッツ、ブドウ種子、ココア、ブドウ果皮、コケモモ、クランベリー、クロフサスグリ、緑茶、及び紅茶で見られる。
【0004】
連続するモノマー単位間の結合に基づいて、プロシアニジンはA型、B型、又はC型ポリフェノールに分類される。
【0005】
一般的に、プロシアニジンの連続するモノマー単位間の結合は、「上方」単位の4位と「下方」単位の8位との間に存在し、これによりB型プロシアニジンとなる。或いは、「上方」単位のCと「下方」単位のCとの間に結合が生じる場合もあり、これによりC型プロシアニジンとなる。B型及びC型ポリフェノールは、多くの植物源で豊富に見られる。連続するモノマー単位が、「上方」単位のC2及びC4と、それぞれ下方単位のC7位及びC/C位にある酸素と、の間のエーテル結合により結合しているとき、A型プロシアニジンが形成される。A型プロシアニジンは、B型及びC型ポリフェノールと比べて稀にしか見られない。
【0006】
[抗原に対する免疫反応]
免疫系は、病原体を同定及び排除することにより疾患から宿主を保護する、宿主における機序の集合である。病原体に対する免疫系の反応は、外来タンパク質を同定することから始まり、最終的にはこの外来タンパク質の源を破壊することにより、宿主を保護する。単細胞生物の単純なタンパク質の認識でさえも、最終的に宿主からその生物を排除する一連の複雑な工程を伴う。このプロセス全体が、外来タンパク質又は抗原の存在に対する免疫反応である。
免疫系による感染症の消散は、抗原に対する免疫反応であり、これは3つの段階に分けることができる。
【0007】
活性化及び動員:白血球細胞(WBC)は、外来分子又は抗原を同定したときに活性化される。免疫細胞様マクロファージ及びT細胞は、同定された外来分子の部位に他の免疫細胞を誘引する物質を放出して、無数の免疫細胞を動員し、病原体を根絶させる。
【0008】
調節:宿主に対する過剰な障害を防ぐために、誘発された免疫反応は制御されなければならない。制御因子Tリンパ球は、免疫系のメッセンジャーとして作用して過剰な免疫反応を調節するサイトカインを分泌することにより、免疫反応の制御を促進する。
【0009】
消散:感染症の消散は、病原体を拘束し、体内から排除することを含む。病原体が排除された後、大部分のWBCは破壊されるが、残りのWBCは「記憶細胞」と呼ばれ、病原体に対する免疫反応を早期に誘発することにより、同じ病原体による将来の感染から宿主を保護する。
【0010】
病原体は、病原体を排除するのに十分な程度強い防御を宿主が提供できないとき、感染を起こすことに成功する。かかる場合、宿主により生成される抗体は、存在する数の抗原を中和するには不十分である。したがって、遊離抗原が宿主への感染に成功する。かかる場合、抗生物質及び抗ウイルス剤などの外的助剤を用いて抗原の数を減少させる。一旦抗原数が減少すると、免疫反応は病原体を排除するのに十分になる。
【0011】
HIV感染症及びAIDS:
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、免疫系を破壊するレトロウイルスである。これに感染すると、免疫系が適切に機能しない重篤且つ生命を脅かす状態である後天性免疫不全症候群(AIDS)を最終的にもたらす恐れがある。HIVは、ヒト免疫系における特定の細胞、すなわち「ヘルパー」Tリンパ球(特にCD4T細胞)、マクロファージ、及び樹状細胞に主に感染する。CD4T細胞の数が臨界値未満に低下すると、細胞性免疫が失われ、身体は次第に日和見感染症に罹患しやすくなる。
【0012】
HIVの生活環:
一旦HIVが宿主に侵入すると、HIVはその複製及び増殖を促進する特定の宿主細胞が必要である。HIVの場合の宿主細胞は、T細胞又はCD4細胞である。
【0013】
1.宿主の認識及び結合:HIVは、CD4細胞を捜し出し、細胞表面上の共受容体を介して「鍵と鍵穴」システムを用いてCD4細胞に付着する。HIVの表面上のタンパク質は、CD4細胞上の補体タンパク質に付着する。
【0014】
2.宿主への付着及び侵入:付着後、HIVはウイルスタンパク質をT細胞の細胞液(細胞質)に注入する。これにより、細胞膜とHIVの外側エンベロープが融合する。
【0015】
3.ウイルスタンパク質の分解:繁殖にウイルスの遺伝物質(RNA)を使用するために、RNAの周囲の保護コーティングが分解されなければならない。この段階無しには、RNAをDNA(新規HIV複製物の構成単位)に変換することはできず、複製は停止される。
【0016】
4.逆転写:一旦細胞内に入ると、HIVの一本鎖RNAは二本鎖DNAに変換されなければならない。この段階は、逆転写酵素により行われる。逆転写酵素は、T細胞由来の構成単位を使用して、ウイルスRNAのDNAへの変換を補助する。このDNAは、HIVの複製に必要な遺伝情報を含んでいる。
【0017】
5.複製及び新規ビリオンの構築:複製のために、新たに形成されたウイルスDNAが宿主の核に組み込まれなければならない。このプロセスは、未だ完全には理解されていないが、ウイルス輸送タンパク質により補助されると考えられている。組み込みが起こると、ウイルスは潜伏し(gestate)、一方宿主細胞は、複製の完了に必要なタンパク質を調製する。一旦その物質が利用可能になると、該物質は要件及び構造に基づいてウイルスにより切断され、次いで新規HIVに構築される。このプロセスは、タンパク質分解酵素により補助される。
【0018】
6.宿主細胞からの出芽:ウイルス複製サイクルの最終段階は、出芽と呼ばれている。しまい込まれているウイルスの遺伝物質及び宿主のCD4細胞膜から作製された新規外膜とともに、新たに形成されたHIVが摘み取られ、循環に入り、再度全プロセスを開始させる準備が整う。
【0019】
現在の治療介入:
HIVの複製及び増殖を妨げる現在の方法としては、ウイルス侵入阻害剤、膜融合阻害剤、及び逆転写酵素阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、タンパク質分解酵素阻害剤、成熟阻害剤等が挙げられる。FDAは、HIV感染症を治療するための多数の薬剤を承認している。これら薬剤の大部分は、抗レトロウイルス(ARV)作用機序により機能している。
【0020】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染症は、世界中の国々に対して政治的、経済的、公衆衛生的、社会的、及び科学的課題を提示している。2007年の終わりには、世界中で推定3320万人の人がHIV/AIDSに罹患していた。したがって、より安全且つより有効な薬剤でこの疾患を管理及び/又は治療することが緊急に必要とされている。このウイルスにより提示される更なる課題は、その突然変異率の高さである。HIVのウイルスタンパク質は、突然変異を起こしやすいため、薬剤耐性株が更なる脅威をもたらし、更に新しい種類の薬剤の必要性が生じる。
【0021】
[インフルエンザウイルス]
インフルエンザは、オルトミクソウイルス科のRNAウイルス(インフルエンザウイルス)により引き起こされる感染性疾患であり、鳥類及び哺乳類で発症する。このウイルスによる感染により、主に鼻、咽喉、気管支、及び時に肺が冒される。
【0022】
インフルエンザウイルスの構造:インフルエンザウイルスは、A型、B型、及びC型インフルエンザウイルスの3つの部類に分類される。インフルエンザウイルスの3つの亜型は、非常に類似した全体構造を有する。このウイルスは、中心コアの周りを包む2種の主な糖タンパク質を含むウイルスエンベロープから構成されている。中心コアは、ウイルスRNAゲノム、及びこのRNAを包み保護する他のウイルスタンパク質を含む。ヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)は、ウイルス粒子の外側に存在する2つの大きな糖タンパク質である。
【0023】
A型インフルエンザウイルス:A型ウイルスは、3つのインフルエンザ型の中でも最も病原性の強いヒト病原体であり、最も重篤な疾患を引き起こす。A型インフルエンザウイルスは、これらウイルスに対する抗体反応に基づいて様々な血清型に更に分類することができる。知られているヒトにおける大流行による死者数の順に並べると、以下の血清型がヒトで確認されている:H1N1、H2N2、H3N2、H5N1、H7N7、H1N2、H9N2、H7N2、H7N3、H10N7。A型インフルエンザウイルスは、前世紀に幾度か大流行し、毎年流行し続けている。インフルエンザの新規株の出現は、公衆衛生界及び科学界に課題を提示し続けている。H1N1ウイルスは、A型インフルエンザウイルスの血清型の1つであり、ヒトが罹患することが知られている最も病原性の強い株の1つである。H1N1血清型は、1918年における数百万人の死(スペイン風邪)に関与しており、近年では豚インフルエンザを世界的に大流行させた。
【0024】
インフルエンザウイルスの生活環:
インフルエンザウイルスの複製及び増殖プロセスを以下に概説する。
【0025】
1.宿主の認識及び結合:ウイルスは、HAタンパク質を用いて宿主細胞の上皮細胞の表面上の糖に結合しているシアル酸に対して結合する。上皮細胞は、典型的には、哺乳類の鼻、咽喉、及び肺、並びに鳥類の腸に存在する。
【0026】
2.宿主への付着及び侵入:結合後、HAタンパク質は分解され、ウイルスはエンドサイトーシスにより細胞に侵入する。
【0027】
3.ウイルスタンパク質の分解:一旦ウイルスが細胞に侵入すると、エンドソームのpH及び周囲条件により、
a.HAの一部はウイルスのエンベロープを液胞膜に融合させる。
b.M2イオンチャネルにより、プロトンがウイルスのコアに侵入し、これがウイルスのコアを酸性化してその分解を導き、続いてウイルスのRNA及びコアタンパク質を宿主細胞の細胞質に放出させる。
【0028】
4.逆転写:ウイルスのRNA及びコアタンパク質は、ここで細胞核に輸送され、そこでRNAが転写され、更にウイルスタンパク質に翻訳される。
【0029】
5.宿主細胞からの出芽:HA及びNAタンパク質は、後にウイルスのRNA及びコアタンパク質も収容する細胞膜の近傍でクラスタを形成し、これは次いでウイルスの「出芽」及び感染するための増殖をもたらす。
【0030】
上に詳述する感染及び増殖段階からわかるように、HA及びNAは感染において重要な役割を果たしている。ビリオンの放出前に、NAはシアル酸を切断して、HAがシアル酸に結合するのを防ぐ。
【0031】
A型インフルエンザウイルスに対する現在の治療介入:
米国FDAは、A型インフルエンザウイルスに対して、アダマンタン(塩酸アマンタジン及びリマンタジン)等のイオンチャネル阻害剤、並びにオセルタミビル(タミフル)及びザナミビル(リレンザ)等のノイラミニダーゼ阻害剤の2種の薬剤を承認している。
【0032】
A型インフルエンザウイルスは、突然変異を起こしやすい。これら突然変異は、NA、HA、及びM2イオンチャネルタンパク質等のウイルスタンパク質で主に生じるため、これらタンパク質の阻害剤は突然変異株に対して効果的ではない。突然変異の可能性及び2009年のA型インフルエンザの世界的大流行は、このウイルスに対する治療及び予防の選択肢を提供する治療法が緊急に必要とされていることを示す。
【0033】
[先行技術]
Richard Andersonら、「Isolation and characterization of polyphenols Type A polymers from cinnamon with insulin−like biological activity」,Journal of Agricultural and Food Chemistry,2004,pp52,65〜70。
この論文は、市販の桂皮の水抽出物について記載しており、それはインビトロ細胞株においてグルコース代謝を約20倍に増加させるポリフェノール性ポリマーであると同定している。著者らは、この抽出物の調製のためにCinnamomum cassia(Korintji cassia)を用いた。この変種は、高含量のクマリン及び桂皮アルデヒドを有する。
【0034】
この論文は、更に、この水抽出物の調製及び特性評価のための予備的HPLC法についても記載している。
【0035】
この刊行物は、カテキンが二重結合しているA型プロシアニジンについて記載している。この論文は、桂皮から単離されたカテキンの三量体(分子量864)、四量体(分子量1152)及びオリゴマーを同定している。
【0036】
Kilkuskieら、「HIV and reverse transcriptase inhibition by tannins」in the Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,1992,Vol2,pp 1529〜1534。
この刊行物は、タンニン及び縮合タンニンを抗HIV活性及び逆転写酵素阻害能について評価している。この研究では、数種のタンニンが抗HIV活性を有することが見出されたが、それらは付随する毒性を有する。この刊行物は、カテキンの縮合型である3種の化合物について述べている。分子40、44、及び45は、カテキンの二量体、三量体、及び四量体である。この論文は、これらタンニンのRT酵素阻害と抗HIV作用との間には相関関係がないと結論付けた。更に、分子44及び45は、それぞれ90%及び73%の抗HIV活性を示したが、RT酵素はほとんど阻害しなかった。
【0037】
Michael Ovadiaら、米国特許出願公開第2006 275515A1号。
この「Anti−viral preparations obtained from a natural cinnamon extract」と題された特許出願は、抗ウイルス特性を有する桂皮から得られた天然水抽出物について記載している。この文書は、塩を用いた塩析沈殿に供される桂皮の水抽出物について記載している。この沈殿物は、水又は緩衝液に再溶解し、セファロースクロマトグラフィーを用いて精製され、次いで別の緩衝液及びガラクトースを用いて溶出される。
【0038】
一般的に用いられている塩析プロセスは、高分子量分子(通常ペプチド)の選択に関する。したがって、この文書に記載されているプロセスが高分子量分子(約10kDa)の回収を目的としていることは、このプロセスからかなり明らかである。
【0039】
請求項による組成物の活性成分は、10kDa超の分子量を有し、約15〜20ODにおいて280nmの吸光度に対応する。この化合物は、最終的に、リン酸緩衝液及びガラクトースを用いてセファロース(sepharon)カラムから溶出される。したがって、最終化合物は、高濃度のリン酸塩及びガラクトースを有する。
【0040】
この出願に記載されている高分子量化合物は、A型インフルエンザPR8ウイルス、パラインフルエンザ(センダイ)ウイルスにおいて、インフルエンザ又はセンダイウイルスに感染したマウスの赤血球への予吸収及び体重増加、並びにHIV合胞体研究について試験された。
【0041】
この特許出願の実施例13は、合胞体形成に対する影響を調べるために、MT2細胞においてこの抽出物を用いて行われた試験について記載している。この出願の図15によると、60〜100マイクログラムの濃度において、合胞体形成が阻害される。合胞体形成は、抗ウイルス活性の検証試験ではない。これは、以下の刊行物において証拠が明らかにされた(Gueseppe pantaleo et al Eur J immunology 1991,21,1771:1774'dissociation between syncytia formation and HIV spreading.Suppressing Syncytia formation does not necessarily reflect inhibition of HIV infection.)。
【0042】
開示された抽出物は合胞体形成阻害能を示したが、合胞体を形成するのはHIVの数種の株のみであることに留意すべきである。更に合胞体形成は、HIV感染症又はAIDSの存在又は進行とは関連していない場合もある。合胞体形成は、単に数種の株により発現し得る表現型である。合胞体を形成しないことは、HIVの不在又は感染症の管理に関連していない場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
本開示の第1の目的は、植物源からの五量体プロシアニジンフラボノイド、三量体、及び四量体を含む組成物を提供することにある。
【0044】
本開示の第2の目的は、シナモマム属、レイシ属、及びアラキス属等の植物源に由来する五量体プロシアニジンフラボノイド、三量体、及び四量体を含む組成物を調製するプロセスを提供することにある。
【0045】
本開示の第3の目的は、被験体における免疫反応を改善し、またHIV感染症、AIDS、及びインフルエンザウイルス感染症に対して有効である組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0046】
したがって、本開示は、所望により薬学的に許容できる賦形剤とともに、約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体と、を含む、組成物;約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体と、を含む組成物を調製するプロセスであって、粉砕された植物体を有機溶媒を用いて抽出して、毒性物質を除去する工程と、植物体を乾燥させて有機溶媒を除去する工程と、乾燥した植物体を水性溶媒を用いて再抽出して、抽出物を得る工程と、抽出物をクロマトグラフィーカラムを通して精製し、次いで濃縮、精製、標準化、及び乾燥させて、組成物を得る工程と、を含むプロセス;免疫反応を必要としている被験体の免疫反応を改善する方法であって、所望により薬学的に許容できる賦形剤とともに、約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体と、を含む組成物の薬学的に有効な量を被験体に投与する工程を含む方法;並びにレトロウイルス感染の治療、予防、及び管理を必要としている被験体においてレトロウイルス感染を治療、予防、及び管理する方法であって、所望により薬学的に許容できる賦形剤とともに、約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体と、を含む組成物の薬学的に有効な量を被験体に投与する工程を含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】フラボノイドの五量体の分子構造。
【図2】フラボノイドの五量体(Pentameric Pentamer)のEI−MS。
【図3】フラボノイドの五量体の13C NMR。
【図4】フラボノイドの五量体を同定するための組成物のフラッシュクロマトグラフィー。
【図5】フラボノイドの五量体のHPLC。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本開示は、所望により薬学的に許容できる賦形剤とともに、約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体と、を含む組成物に関する。
本開示の1つの実施形態では、組成物は、シナモマム属、レイシ属、及びアラキス属を含む群から選択される植物源から得られる。
本開示の別の実施形態では、五量体プロシアニジンフラボノイドの好ましい濃度は、約80重量%〜約99重量%の範囲であり、三量体及び四量体の好ましい濃度は、それぞれ約0.5重量%〜約20重量%の範囲である。
【0049】
本開示の別の実施形態では、前記五量体プロシアニジンフラボノイドは、約1440の分子量を有する。
本開示の別の実施形態では、前記五量体は、A型プロシアニジン五量体である。
【0050】
本開示の別の実施形態では、前記賦形剤は、ゴム、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、着香剤、コーティング剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤、帯電防止剤、及び球形化剤を含む群から選択される。
【0051】
本開示の別の実施形態では、前記組成物は、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性又は油性懸濁液、分散性粉剤又は顆粒剤、硬質又は軟質ゲルカプセル中のエマルション、シロップ剤、及びエリキシル剤を含む群から選択される種々の剤形に処方される。
【0052】
本開示は、約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体と、を含む組成物を調製するプロセスであって、粉砕した植物体を有機溶媒を用いて抽出して、毒性物質を除去する工程と、植物体を乾燥させて有機溶媒を除去する工程と、乾燥した植物体を水性溶媒を用いて再抽出して、抽出物を得る工程と、抽出物をクロマトグラフィーカラムを通して精製し、次いで濃縮、精製、標準化、及び乾燥させて、組成物を得る工程と、を含むプロセスに関する。
【0053】
本開示の1つの実施形態では、粉砕した植物体は、シナモマム属、レイシ属、及びアラキス属を含む植物の群から選択される。
【0054】
本開示の別の実施形態では、有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、2−エチルヘキシルアセテート、及びこれらの任意の組み合わせを含む群から選択される。
【0055】
本開示の別の実施形態では、前記抽出は、約8時間〜約12時間の範囲の期間、好ましくは約10時間実施される。
【0056】
本開示の別の実施形態では、前記毒性物質には、クマリン及びアルデヒドが挙げられる。
【0057】
本開示の別の実施形態では、前記抽出物は、2段階クロマトグラフィーカラムを通して濾過される。
【0058】
本開示の別の実施形態では、前記クロマトグラフィーカラムは、XAD−1180、XAD−7HP、及びXAD−1140樹脂を含む群から選択される。
本開示の別の実施形態では、前記水性溶媒を用いた再抽出は、約3.8〜約5.8の範囲のpH、好ましくは約4.0のpHで実施される。
【0059】
本開示の別の実施形態では、前記再抽出は、約30℃〜90℃の範囲の温度、好ましくは31℃〜40℃の範囲の温度において、約8時間〜約12時間の範囲の期間、好ましくは約10時間実施される。
【0060】
本開示の別の実施形態では、前記水性溶媒は、酸性化脱イオン水である。
【0061】
本開示の別の実施形態では、前記組成物は、ゴム、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、着香剤、コーティング剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤、帯電防止剤、及び球形化剤を含む群から選択される賦形剤を更に含む。
【0062】
本開示は、免疫反応を必要としている被験体の免疫反応を改善する方法であって、所望により薬学的に許容できる賦形剤とともに、約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体と、を含む組成物の薬学的に有効な量を被験体に投与する工程を含む方法に関する。
【0063】
本開示の別の実施形態では、免疫反応は、インフルエンザ、HIV感染症、及びAIDSの群から選択されるがこれらに限定されない疾患において改善される。
【0064】
本開示の別の実施形態では、免疫反応は、それを必要としている被験体において改善される。
本開示の別の実施形態では、組成物の薬学的に有効な量は、被験体の体重1kg当たり約1mg〜約100mgの範囲である。
【0065】
本開示の別の実施形態では、前記方法は、被験体中の病原体により引き起こされる感染症の治療、予防、及び管理に用いられる。
本開示の別の実施形態では、前記病原体には、A型インフルエンザウイルス及びHIVウイルスが挙げられる。
【0066】
本開示の別の実施形態では、前記ウイルスの種類は、H1N1、H3N2、X4、及びR5指向性ウイルスである。
【0067】
本開示の別の実施形態では、被験体は、動物又はヒトである。
【0068】
本開示は、ウイルス感染の治療、予防、及び管理を必要としている被験体においてウイルス感染を治療、予防、及び管理する方法であって、所望により抗ウイルス製剤として薬学的に許容できる賦形剤とともに、約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体と、を含む組成物の薬学的に有効な量を被験体に投与する工程を含む方法に関する。
【0069】
本開示の別の実施形態では、前記組成物は、A型インフルエンザウイルス、HIVのX4指向性ウイルス、及びR5指向性ウイルスを阻害する。
【0070】
本開示の別の実施形態では、組成物の薬学的に有効な量は、被験体の体重1kg当たり約1mg〜約100mgの範囲である。
【0071】
本開示の別の実施形態では、被験体は、動物又はヒトである。
【0072】
本開示は、レトロウイルス感染の治療、予防、及び管理を必要としている被験体においてレトロウイルス感染を治療、予防、及び管理する方法であって、所望により薬学的に許容できる賦形剤とともに、約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体と、を含む組成物の薬学的に有効な量を被験体に投与する工程を含む方法に関する。
【0073】
本開示の1つの実施形態では、前記レトロウイルス感染症としては、A型インフルエンザ感染症及びHIV感染症及びAIDSが挙げられる。
【0074】
本開示の別の実施形態では、組成物の薬学的に有効な量は、被験体の体重1kg当たり約1mg〜約100mgの範囲である。
【0075】
本開示の別の実施形態では、被験体は、動物又はヒトである。
【0076】
本開示は、図1に示すように、50%〜99%のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体に標準化されている、植物源に由来する新規標準化組成物に関する。本開示はまた、50%〜99%のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体に標準化されている、植物源に由来する新規標準化組成物を得る方法に関する。本開示はまた、50%〜99%のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体に標準化されている、植物源に由来する新規標準化組成物の、HIV及びインフルエンザ感染症の予防、治療、及び管理のための使用に関する。
【0077】
本開示はまた、50%〜99%のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体に標準化されている、植物源に由来する新規標準化組成物の、免疫反応を必要としている被験体において抗原に対する改善された免疫反応を誘発するための使用に関する。
【0078】
本開示の別の実施形態では、免疫反応は、本来治療、管理、又は予防のためのものであり得る。
本開示の1つの実施形態では、組成物を得るために用いられる植物源は、シナモマム属、レイシ属、及びアラキス属である。
【0079】
本開示の1つの実施形態では、植物源に由来する新規標準化組成物は、フラボノイドのA型プロシアニジン五量体に標準化されている。
【0080】
本開示の別の実施形態では、五量体の分子量は、図1に示すように1440である。
【0081】
本開示の別の実施形態では、組成物は、50%〜99%の範囲の五量体を含む。
【0082】
本開示の別の実施形態では、組成物は、1%〜35%の範囲の三量体及び四量体を含む。
【0083】
本開示の別の実施形態では、組成物は、図5のクロマトグラムにより特性評価される。
【0084】
本開示の別の実施形態では、新規組成物のモノマー単位は、カテキン、好ましくはカテキン及エピカテキンの群から選択される。
【0085】
本開示はまた、この文書に示すプロセスによる新規組成物の製造方法に関する。
【0086】
本開示の1つの実施形態では、標準化組成物は、所望により薬学的に許容できる賦形剤と共に成る。
【0087】
本開示の別の実施形態では、賦形剤は、添加剤、ゴム、甘味剤、コーティング剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、崩壊剤、懸濁化剤、溶媒、着色剤、流動促進剤、接着防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤、乳化剤、着香剤、増粘剤、及び酸化防止剤を含む群から選択される。
【0088】
本開示の更に別の実施形態では、組成物は、液剤、粉剤、カプセル剤、錠剤、注射剤、貼付剤、軟膏、ゲル、エマルション、クリーム、ローション、歯磨剤、噴霧剤、及びドロップ剤などの剤形に処方される。本開示の更に別の実施形態では、組成物は、粉剤又は液剤である。
【0089】
本開示はまた、50%〜99%のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体に標準化されている、植物源に由来する新規標準化組成物を得るためのプロセスであって、
1.植物原材料を所定の大きさに粉砕する工程と、
2.有機溶媒で抽出して、不必要な毒性物質を除去する工程と、
3.前記植物粉末を脱イオン水で水抽出する工程と、
4.2段階クロマトグラフィー精製設定を用いて抽出精製する工程と、
5.乾燥、混合、及び篩分けして、図1に示すような純度50%〜99%のフラボノイドの五量体を含む組成物を得る工程と、を含むプロセスに関する。
【0090】
本開示はまた、HIVを治療及び管理する、並びにインフルエンザウイルス感染症を予防、治療、及び管理する薬剤を製造するための、所望により賦形剤を伴う本新規組成物の使用に関する。本開示はまた、HIVの治療及び管理、並びにインフルエンザ感染症の予防、治療及び管理を必要としている被験体においてHIVを治療及び管理する、並びにインフルエンザ感染症を予防、治療及び管理する薬剤を製造するための、所望により賦形剤を伴う本新規組成物の使用に関する。
【0091】
本開示はまた、免疫反応を必要としている被験体において免疫反応を改善する薬剤を製造するための、所望により賦形剤を伴う本組成物の使用に関する。本開示はまた、免疫反応を必要としている被験体において改善された免疫反応を誘発するための、本組成物の使用に関する。
【0092】
本開示の更に別の実施形態では、被験体は動物及びヒトである。
【0093】
本開示はまた、50%〜99%のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体に標準化されている、植物源に由来する新規標準化組成物を製造するためのプロセスであって、
1.植物の桂皮若しくはレイシ果皮又は赤色種皮のついているラッカセイの殻を粉砕する工程と、
2.材料を抽出して、単一溶媒として酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、若しくは2−エチルヘキシルアセテートのいずれか、又は上記溶媒の混合物から主に成る有機(好ましくはエステル)溶媒を用いて、脂肪及び毒素、並びに芳香族化合物を除去する工程であって、桂皮の場合は任意的である、工程と、
3.抽出された植物材料を乾燥させて、溶媒を除去する工程と、
4.pH4又はpH3.8〜5.8、好ましくはpH4.0の脱イオン水で抽出する工程と、2段階クロマトグラフィー分離(1段階は極性分子用、もう1段階は非極性分子用)を用いて抽出精製する工程と、
5.吸着された材料をアルコール性溶媒を用いて溶出する工程と、
6.溶出された溶媒を濃縮して微粉末にする工程と、
7.濃縮された塊を水で希釈し、所望により噴霧乾燥させて残留溶媒を除去する工程とを含むプロセスに関する。
【0094】
上記プロセスにより得られる新規組成物は、50%〜99%の五量体、1%〜35%の三量体、及び1%〜35%の四量体を含み、図5に示すように特性評価される。
【0095】
本開示は、以下の実施例を用いて更に詳述される。しかし、これら実施例を本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0096】
[実施例1]
16メッシュサイズからの範囲の平均寸法の1000gmsの粉砕桂皮粉末を、3000mLの酢酸エチルに浸漬し、200メッシュの穿孔された底部篩を備える抽出器に注いだ。底部の溶出剤を、充填されている塊上に何度も再利用して、約8時間の間効率的に抽出を行った。溶出剤を廃棄し、塊を抽出器から取り出し、30℃の強制通風オーブン内で乾燥させた。乾燥により溶媒を除去した後、塊を再度抽出器に充填した。充填された塊をpH4.0の酸性化脱イオン水5000mLで抽出し、35℃で約8時間、床に対して抽出液を再利用して、効率的に抽出を行った。
【0097】
抽出液を2段階クロマトグラフィーカラムを通して濾過して、分子量1440のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体を80%有する組成物を得た。抽出液を第1のカラムに通して、組成物の比較的極性の低い分子を抽出し、クロマトグラフィー分離の第2段階では、組成物の比較的極性の高い分子が抽出される。用いた樹脂は、それぞれXAD−1180及びXAD−7HP樹脂の等価物であった。接着物質を含まないD.M.水でカラムを十分に洗浄した。溶出剤は中性である。175mLの純イソプロピルアルコールでカラムを更に溶出し、回収された溶出剤を40℃未満にて真空下で濃縮し、水で希釈し、以下の条件下で噴霧乾燥させた。
噴霧乾燥機:並流空気流
入口温度:140℃
出口温度:60℃
噴霧器のRPM:14000
最終重量は、5gmsである。
【0098】
[実施例2]
16メッシュサイズからの範囲の平均寸法の1000gmsの粉砕桂皮粉末を、3000mLの酢酸エチルに浸漬し、穿孔された200メッシュの底部篩を備える抽出器に注いだ。底部の溶出剤を、充填されている塊上に何度も再利用して、10時間の間効率的に抽出を行った。溶出剤を廃棄し、塊を抽出器から取り出し、30℃の強制通風オーブン内で乾燥させた。乾燥により溶媒を除去した後、塊を再度抽出器に充填した。充填された塊をpH4.0の酸性化脱イオン水5リットルで抽出し、35℃で約8時間、床に対して抽出液を再利用して、効率的に抽出を行った。
【0099】
抽出液を2段階クロマトグラフィーカラムを通して濾過して、分子量1440のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体を75%有する組成物を得た。まず抽出液を第1のカラムに通して、組成物の比較的極性の低い分子を抽出し、クロマトグラフィー分離の第2段階では、組成物の比較的極性の高い分子が抽出される。用いた樹脂は、それぞれXAD−1180及びXAD−7HP樹脂の等価物であった。接着物質を含まないD.M.水でカラムを十分に洗浄した。溶出剤は中性である。250mLの純メチルアルコールでカラムを更に溶出し、回収された溶出剤を40℃未満にて真空下で濃縮し、水で希釈し、以下の条件下で噴霧乾燥させた。
噴霧乾燥機:並流空気流
入口温度:145℃
出口温度:60℃
噴霧器のRPM:14000
最終重量:4.5gms
【0100】
[実施例3]
16メッシュサイズからの範囲の平均寸法の1000gmsの粉砕桂皮粉末を、2500mLの酢酸ブチルに浸漬し、穿孔された200メッシュの底部篩を備える抽出器に注いだ。底部の溶出剤を、充填されている塊上に何度も再利用して、10時間の間効率的に抽出を行った。溶出剤を廃棄し、塊を抽出器から取り出し、30℃の強制通風オーブン内で乾燥させた。蒸発により溶媒を除去した後、塊を再度抽出器に充填した。充填された塊を酸性化脱塩水で抽出し、30℃で約12時間、床に対して抽出液を再利用して、効率的に抽出を行った。
【0101】
抽出液を2段階クロマトグラフィーカラムを通して濾過して、分子量1440のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体を89%有する組成物を得た。まず抽出液を第1のカラムに通して、組成物の比較的極性の低い分子を抽出し、クロマトグラフィー分離の第2段階では、組成物の比較的極性の高い分子が抽出される。用いた樹脂は、それぞれXAD−1180及びXAD−7HP樹脂の等価物であった。接着物質を含まないD.M.水でカラムを十分に洗浄した。溶出剤は中性である。200mLの純エチルアルコールでカラムを更に溶出し、回収された溶出剤を40℃未満にて真空下で濃縮し、水で希釈し、以下の条件下で噴霧乾燥させた。
噴霧乾燥機:並流空気流
入口温度:145℃
出口温度:60℃
噴霧器のRPM:14000
最終重量:4.8gms
【0102】
[実施例4]
16メッシュサイズからの範囲の平均寸法の1000gmsの粉砕桂皮粉末を、2500mLの酢酸ブチルに浸漬し、穿孔された200メッシュの底部篩を備える抽出器に注いだ。底部の溶出剤を、充填されている塊上に何度も再利用して、10時間の間効率的に抽出を行った。溶出剤を廃棄し、塊を抽出器から取り出し、30℃の強制通風オーブン内で乾燥させた。蒸発により溶媒を除去した後、塊を再度抽出器に充填した。充填された塊を酸性化脱イオン水5リットルで抽出し、30℃で約12時間、床に対して抽出液を再利用して、効率的に抽出を行った。
【0103】
抽出液を2段階クロマトグラフィーカラムを通して濾過して、分子量1440のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体を99%有する組成物を得た。まず抽出液を第1のカラムに通して、組成物の比較的極性の低い分子を抽出し、クロマトグラフィー分離の第2段階では、組成物の比較的極性の高い分子が抽出される。用いた樹脂は、それぞれXAD−1180及びXAD−7HP樹脂の等価物であった。接着物質を含まないD.M.水でカラムを十分に洗浄した。溶出剤は中性である。純イソプロピルアルコールでカラムを更に溶出し、回収された溶出剤を40℃未満にて真空下で濃縮し、水で希釈し、以下の条件下で噴霧乾燥させた。
噴霧乾燥機:並流空気流
入口温度:145℃
出口温度:60℃
噴霧器のRPM:14000
最終重量:5gms
【0104】
[実施例5]
16メッシュサイズからの範囲の平均寸法の1000gmsの粉砕シナニッケイ粉末を、3000mLの酢酸エチルに浸漬し、穿孔された200メッシュの底部篩を有する抽出器に注いだ。底部の溶出剤を、充填されている塊上に何度も再利用して、約8時間の間効率的に抽出を行った。溶出剤を廃棄し、塊を抽出器から取り出し、30℃の強制通風オーブン内で乾燥させた。乾燥により溶媒を除去した後、塊を再度抽出器に充填した。充填された塊をpH4.0の酸性化脱イオン水5000mLで抽出し、35℃で約8時間、床に対して抽出液を再利用して、効率的に抽出を行った。
【0105】
抽出液を2段階クロマトグラフィーカラムを通して濾過して、分子量1440のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体を55%有する組成物を得た。抽出液を第1のカラムに通して、組成物の比較的極性の低い分子を抽出し、クロマトグラフィー分離の第2段階では、組成物の比較的極性の高い分子が抽出される。用いた樹脂は、それぞれXAD−1180及びXAD−7HP樹脂の等価物であった。接着物質を含まないD.M.水でカラムを十分に洗浄した。溶出剤は中性である。175mLの純イソプロピルアルコールでカラムを更に溶出し、回収された溶出剤を40℃未満にて真空下で濃縮し、水で希釈し、以下の条件下で噴霧乾燥させた。
噴霧乾燥機:並流空気流
入口温度:140℃
出口温度:60℃
噴霧器のRPM:14000
最終重量:2.5gms
【0106】
[実施例6:レイシの乾燥果皮からの抽出]
1000gmsの粉砕乾燥レイシ果皮を5000mLの体積の酸性化水に12時間浸漬し、濾過すると透明になった。透明な濾液をXAD−1140及びXAD−7HPと等価な吸着性樹脂の入ったカラムに通して、極性化合物及び比較的非極性である化合物を捕捉した。非極性である第1のカラムを、エチルアルコールで溶出し、溶出液を濃縮して、自由流動粉末を500mgms得る。全ての極性物質の入った第2のカラムを、別個にエチルアルコールで溶出し、濃縮して、1gmの粉末を得る。HPLC分析によると、この画分は、85%が分子量1440のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体であることを示した。
【0107】
[実施例7:ラッカセイ種子の赤色種皮を伴うラッカセイの殻からの抽出]
種子に赤色種皮を伴う乾燥したラッカセイの殻1000gmsをpH3.8の体積5000mLの酸性化水に48時間浸漬し、次いで濾過して透明な液体を得た。透明な濾液をXAD−1140及びXAD−7HPと等価な吸着性樹脂の入ったカラムに通して、極性化合物及び比較的非極性である化合物を捕捉した。非極性である第1のカラムをエチルアルコールで溶出し、溶出液を濃縮して、自由流動粉末を収率20gms得た。全ての極性物質の入った第2のカラムを、別個にエチルアルコールで溶出し、濃縮して、500mgの粉末を得た。HPLC分析によると、この画分は、図5に示すように、82%が分子量1440のフラボノイドのA型プロシアニジン五量体であることを示した。
【0108】
[実施例8:フラボノイドの五量体を得るための精製]
実施例1〜6に詳細の手順により単離した粉末を200体積の水に溶解させ、濾過すると透明になった。透明な濾液を活性炭で処理して、60℃で溶液を脱色し、濾紙上で濾過して透明にして、不溶性粒子を全て除去した。それにより得られた濾過溶液を酢酸エチルで2回抽出して、可溶性溶媒を全て除去し、濃縮して粉末を得た。以下のパラメータを用いて、フラッシュクロマトグラフの0.1%の水性ギ酸及び0.1%のメタノール性ギ酸をグラジエント方式で用いて、逆相C−18シリカゲル上でカラムクロマトグラフィーに粉末を供した。
設備:可変紫外検出器を備えるCombiflash Companion
カラム:Redisep 12gms(逆相シリカ)
検出波長:254nm及び280nm
流速:18mL/分
最大管体積:18mL
最大幅:1分
閾値:0.20AU
溶媒A:0.1%のギ酸水溶液
溶媒B:0.1%のギ酸アセトニトリル溶液
【0109】
画分番号1〜19を廃棄した。画分番号20〜22をプールし、濃縮して、256gmsの薄茶色粉末を得た。アニスアルデヒド/硫酸試薬を噴霧したとき0.75Rtにて紫外線吸収スポットを示す0.1Mの酢酸ナトリウム:アセトニトリル=7:3の比のTLCスクリーニング溶媒系で得られた粉末は、プロアントシアニジン(proanthocynidins)に特徴的であると考えられる橙色の斑点を示した。
【0110】
カテキン構成の複数区画(288の倍数)に相当するm/z1439.9におけるEI−MS(M−H)(図2に示すような)イオンピークは、合計5つの単位に相当する。単離された化合物の分子量は、1440.9である。カテキン単位の構造は、エピカテキンのものと一致しており、これはカップリングパターンにより確認された。δ4.84〜4.91の間の2つのシグナル、フラバン3−オル単位における2,3シス立体化学の一重項の4つのシグナル(高分子量オリゴマーに起因して広がるピーク)。末端単位の末端環−CH2−メチレンプロトンの4位におけるF環のシグナルが、δ2.6〜2.9m(高分子量のオリゴマーの性質に起因するピークの広がりとして得られる)に観察された。芳香族領域のシグナルは、環B及びEに対する2つの系としてδ6.6〜7.6に存在していた。図3に示すように、13C炭素のシグナルが、C2炭素を確認するδ100.9に、及びC4炭素を確認するδ27.9に見られ、上の環のCは中央の系の環に対して二重結合していることが確認される。
【0111】
上に列挙したように実施例1〜8に従って、所望により薬学的に許容できる賦形剤とともに、約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体と、を含む組成物が得られる。更に、組成物を、以下の実施例9〜14に列挙するインビトロ及びインビボ活性試験のために用いた。
【0112】
[実施例9:シクロホスファミドで処理された(免疫が低下している)被験体における体液性抗体力価に対する試験組成物の効果]
両方の性別のスイスアルビノマウスを、受けた処理に基づいて1群当たり6匹ずつ5群に分けた。
【0113】
0日目に、標準的な生理食塩水中に1×108個の細胞を含有しているヒツジ赤血球細胞(SRBC)を5群全てに感作させた。群2〜5を標準的な薬剤で及び試験組成物の組み合わせで8日間処理した(0日目〜7日目)。7日目に、一次抗体力価を決定するために、後眼窩穿刺により5群の各マウスから血液サンプルを回収した。次いで7日目に、血液を採取した後、マウスの足蹠を0.1mLのSRBCに曝露させた。14日目に、二次抗体力価を決定するために、後眼窩穿刺により各マウスから血液サンプルを回収した。
【0114】
この試験の結果は、以下の通りである。
【表1】

【0115】
体液性免疫は、防御の第一線として機能し、宿主を感染から保護する。体液性免疫が高まると、感染性病原体に対する保護が強まる。抗原に対する個体の反応は変化し、個体の遺伝的構成及び経歴を含む多数の要因に依存している。シクロホスファミドは、免疫系を抑制する薬剤である。この薬剤を用いることにより、この研究で評価される全ての動物を、抗原に対するそれらの反応について判断することができる。
【0116】
上記表に示したように、試験組成物は、免疫の低下している被験体の一次及び二次抗体力価の上昇を反映していた。一次及び二次抗体力価(体液性免疫)は数倍上昇する。この免疫反応は、抗原であるSRBCの存在に対応して増大し、シクロホスファミドによる前処理に起因する免疫反応の変動を考慮に入れている。
【0117】
実施例10:腹膜マクロファージ、血液多核細胞の食作用活性に対する試験組成物の効果
抗原に対する免疫反応が有効でありながら増大することについて、この攻撃の有効性を決定するために更なる評価が必要とされている。有効性は、免疫反応が病原体を排除する能力により評価される。これは、反応の食作用能を評価することにより決定される。
【0118】
両方の性別のスイスアルビノマウスを各群6匹ずつ3群に分けた。対照及び試験組成物を、3群それぞれに単一用量を投与した。
【0119】
各群を20日間処理し、21日目に、5mLの冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を腹腔内投与した。次いで、腹水を回収し、血球計算器のWBCスクエアを用いてマクロファージ数を数えた。1立方ミリメートル当たりの細胞数を推定した。残りのマウスは28日目まで処理を継続し、29日目に後眼窩叢から血液を採取した。各マウスから採取した2滴の血液をスライド上に置き、凝血させ、次いで37℃に維持された湿室に25分間放置した。これら接着細胞をカンジダアルビカンス胞子懸濁液とともにインキュベートし、染色して観察した。次いで、カンジダ懸濁液を取り込んだ細胞数を数えた。
【0120】
以下の式を用いて食作用指数及び食作用の割合(%)を計算した:
食作用指数=100個のPMN細胞におけるカンジダの合計数
食作用に関与したPMN細胞数
食作用の割合(%)=100個の細胞当たりのカンジダを取り込んだPMN細胞数の実測値
【0121】
上記工程を実施し、結果を一覧にする。
【表2】

【0122】
上記結果は、腹膜マクロファージ数及び食作用活性の上昇を示す。マクロファージ数の増加は、抗原に対する免疫反応強化の直接的指標である。更に、これらマクロファージの食作用活性の上昇は、抗原に対する有効性の証拠である。
【0123】
実施例11:大腸菌誘導性腹部敗血症に対する宿主の抵抗性への試験組成物の効果
両方の性別のスイスアルビノマウスを3群に分け、対照及び試験組成物で処理した。単一用量をマウスに28日間投与した。29日目に、PBS中に2.5×109個の大腸菌を含有している懸濁液をマウスに腹腔内投与した。注射後24時間マウスの死亡率を観察した。観察された死亡は、大腸菌感染に起因するものであり、敗血症とも呼ばれる。生存していた動物について更に7日間死亡率を観察した。
【0124】
この実験の結果を以下に表にする。
【表3】

【0125】
上記結果からわかるように、対照及び低用量の試験組成物による死亡率は100%であった。50mg/kgの用量の試験組成物では、死亡率は63%低下した。他の2群では8匹全てが死亡したが、8匹中3匹のマウスしか死亡しなかった。また、この第3の群では更なる死亡は観察されなかった。
【0126】
これは、試験組成物の宿主に対する予防効果を示す。試験組成物により前処理すると、病原体に曝露されたマウスの死亡率が低下した。これにより、細菌及びウイルスを含む病原体による感染を防ぐ試験組成物の能力が確認される。
【0127】
この感染予防は、病原体の存在下において組成物により誘発される免疫反応が改善されたためである。この反応により、宿主は、病原体数を制御し、それによって感染を防ぐことができる。
【0128】
実施例12:A型インフルエンザ(H1N1及びH3N2)ウイルスの阻害
この実施例は、試験組成物がH1N1及びH3N2ウイルスを阻害する有効性を示し、したがって、このウイルス感染症を治療、予防、及び管理する方法としての有効性を確立する。
【0129】
H1N1及びH3N2ウイルスを感染させる1日前に、マディン−ダービーイヌ腎(MDCK)細胞(1ウェル当たり3×10細胞)を6ウェルプレートに接種した。3日後、段階希釈したH1N1及びH3N2ウイルスを1時間細胞に感染させ、次いで3mLの重層培地を各ウェルに加えた。40時間後、細胞を10%のホルマリンで1時間固定し、1%のクリスタルバイオレットで15分間染色した。計数されたプラークによって、ウイルス力価を決定した。
【0130】
ウイルスの化合物に対する感受性は、プラーク減少アッセイにより決定された。この手順は、指定の量の化合物を重層培地に加えたことを除いて、プラークアッセイと同様であった。阻害率は、[100−(VD/VC)]×100%(式中、VD及びVCは、それぞれ化合物の存在下及び非存在下におけるウイルス力価を指す)として計算された。プラーク数を50%減少させるのに必要な化合物の最低濃度(EC50)は、プラークアッセイから得られた用量反応曲線の回帰分析により計算された。
【0131】
【表4】

【0132】
【表5】

【0133】
上記表から、試験組成物で処理された感染細胞がプラーク形成において著しい減少を示したことが明らかであるのは、試験組成物であることが明白である。更に、試験組成物は、H1N1のタミフル耐性株に対して非常に有効であることが示されたため、インフルエンザ(H1N1)ウイルス感染の潜在的治療法として有効であることが証明された。また、第2の表は、A型インフルエンザウイルスのH3N2株の阻害においても同様に試験化合物が有効であることを示す。
【0134】
実施例13:PBMC刺激HIV−1(X4指向性ウイルス及びR5指向性ウイルス)に対する試験組成物の効果
HXB2分子クローンを293T細胞にトランスフェクトした48時間後にHIV−1(HXB2−X4指向性)ウイルスを得た。リアルタイムPCRによりウイルス力価を検出した。次いで、ウイルスを24ウェル中で、フィトヘムアグルチニン(PHA)で刺激した末梢血単核球(PBMC)に感染させた。16〜18時間後、PBMCをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、2%のウシ胎児血清(FBS)を含む新たなロズウェルパーク記念研究所(RPMI)培地を加えた。感染後3、5、及び7日目(dpi)に細胞及びウイルススープを回収した。
【0135】
HXB2 HIV−1ウイルス(X4ウイルス及びR5ウイルス)でトランスフェクトされたフィトヘムアグルチニン(PHA−2μg/mL)で刺激したPBMC細胞において、試験組成物及び3つの標準的な薬剤(AZT、AMD3100、及びTak−779)を試験した。感染多重度(MOI)は0.26であることがわかった。感染後3、5、及び7日目に上記のようにRT−PCRにより、ウイルス量の検出を行った。
【0136】
AMD3100は、CXCR4栄養ウイルスに対してのみ阻害活性を示したが(平均EC50=2.05nM)、Tak−779は、CCR5栄養ウイルスに対してのみ阻害活性を示した(平均EC50=0.56nM)。AZTは、CCR5栄養ウイルス及びCXCR4栄養ウイルスの両方に対して阻害活性を示した。試験組成物は、X4ウイルスでは22.5μg/mL(15.625nM)、R5ウイルスでは15.5μg/mL(10.77nM)のEC50値を示した。これらの値は、同等であり、場合によっては用いられた標準的な薬剤より有効であった。
【0137】
実施例9〜11は、試験組成物の免疫反応特性を示し、一方実施例12〜13は、HIV及びインフルエンザウイルス(H1N1)に対する試験組成物の抗ウイルス効果を示す。これらを組み合わせて、実施例9〜13は、試験組成物が2種の機序により感染を防ぐように働くことを示す:免疫反応の強化は、全ての感染症を防ぐための保護又は予防の選択肢として作用し得る。2番目に、感染症の場合、試験組成物の抗ウイルス特性によりウイルス量(HIV及びインフルエンザの両方)が減少し、それによって免疫反応が強化されて、感染症が消散し、更なる障害が阻まれる。この免疫反応は、抗原の存在下でのみ誘発されることに留意することが重要である。これは、過活性化された免疫系に付随する炎症及び/又は他の症状の徴候を示す動物がいなかったという事実により確認される。
【0138】
試験組成物のこの特性により、非常に、感染症を防ぐための予防剤として長期間使用しやすくなる。
【0139】
本開示の組成物が免疫反応を改善するのは、約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度の三量体及び四量体と、を含む組成物という広い濃度範囲だけではない。免疫反応の誘発における組成物の効果は、約80重量%〜約99重量%の範囲の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約20重量%の範囲の濃度の三量体及び四量体と、を含む組成物の特定の濃度範囲において優れている/並外れている。
【0140】
実施例14:HIV及びAIDS患者における、新規組成物の有効性及び安全性を示す概念実証研究
40人の抗レトロウイルス剤未投与の無症候性HIV−1に感染している患者において、前向き二重盲検無作為化プラセボ対照研究を行った。CD4数が250〜500/mmである40人の抗レトロウイルス剤未投与の無症候性HIV−1に感染している患者において、試験組成物を研究した。試験組成物を300mg/日にて12週間試験し、カプセル剤形で投与した。67.28%の増加を示したプラセボに比べて、試験組成物では11.29%ウイルス量が減少した。両方の群でCD4数は減少したが、試験組成物群におけるCD4数の減少率は、プラセボ群の半分であることがわかった(プラセボの13.88%の減少に比べて、試験組成物では7.74%)。したがって、試験組成物は、大部分の生存器官の機能及び生化学的パラメータに関して安全且つ有効であることがわかった。
実施例14は、試験組成物の、ウイルス量を阻害する能力について詳述し、それにより試験組成物の抗ウイルス効果が確認される。また、プラセボに比べたときのWBC(CD4)数の改善は、免疫反応の改善の重要な指標である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体とを含み、
必要に応じて薬学的に許容される賦形剤をさらに含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、シナモマム属、レイシ属、及びアラキス属を含む群から選択される植物源から得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
五量体プロシアニジンフラボノイドの好ましい濃度は、約80重量%〜約98重量%の範囲であり、
三量体及び四量体の好ましい濃度はそれぞれ、約0.5重量%〜約20重量%の範囲である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記五量体プロシアニジンフラボノイドが約1440の分子量を有し、前記五量体がA型プロシアニジン五量体である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記賦形剤が、ゴム、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、着香剤、コーティング剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤、帯電防止剤、及び球形化剤を含む群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性又は油性懸濁液、分散性粉剤又は顆粒剤、硬質又は軟質ゲルカプセル中のエマルション、シロップ剤、及びエリキシル剤を含む群から選択される種々の剤形に処方される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体とを含む組成物を調製するプロセスであって、
a)毒性物質を除去するべく、粉砕された植物体を有機溶媒を用いて抽出する工程と、
b)前記有機溶媒を除去するべく、前記植物体を乾燥する工程と、
c)前記乾燥した植物体を水性溶媒を用いて再抽出して、抽出物を得る工程と、
d)前記抽出物をクロマトグラフィーカラムを通して精製し、次いで濃縮、精製、標準化、及び乾燥させることにより、前記組成物を得る工程とを含むプロセス。
【請求項8】
前記粉砕された植物体が、桂皮属、レイシ属、及びアラキス属を含む植物の群から選択される請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記有機溶媒が、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、2−エチルヘキシルアセテート、及びこれらの任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記抽出が、約8時間〜約12時間の範囲の期間、好ましくは約10時間実施される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項11】
前記毒性物質は、クマリン及びアルデヒドが含まれる請求項8に記載のプロセス。
【請求項12】
前記抽出物を、2段階クロマトグラフィーカラムを通して濾過し、前記クロマトグラフィーカラムは、XAD−1180、XAD−7HP及びXAD−1140樹脂を含む群から選択される請求項7に記載のプロセス。
【請求項13】
前記水性溶媒を用いた前記再抽出が約3.8〜約5.8の範囲のpH、好ましくは約4.0のpHで実施され、
前記再抽出が、約30℃〜90℃の範囲の温度、好ましくは31℃〜40℃の範囲の温度において、約8時間〜約12時間の範囲の期間、好ましくは約10時間実施される請求項7に記載のプロセス。
【請求項14】
前記組成物が、ゴム、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、着香剤、コーティング剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤、帯電防止剤、及び球形化剤を含む群から選択される賦形剤を更に含む請求項7に記載のプロセス。
【請求項15】
免疫反応を必要としている被験体の免疫反応を改善する方法であって、
約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体とを含み、必要に応じて薬学的に許容される賦形剤をさらに含む組成物を、薬学的に有効な量、前記被験体に投与する段階を備える方法。
【請求項16】
前記免疫反応が、インフルエンザ、HIV感染症、及びAIDSの群から選択される疾患において改善され、また、前記免疫反応が、前記被験体において改善される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物の前記薬学的に有効な量が、前記被験体の体重1kg当たり約1mg〜約100mgの範囲であり、前記方法が、前記被験体中の病原体により引き起こされる感染症の治療、予防、及び管理に用いられる請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記病原体は、インフルエンザウイルスH1N1及びインフルエンザウイルスH3N2の群から選択されるA型インフルエンザウイルス、及びHIV X4ウイルス及びR5指向性ウイルスの群から選択されるHIVウイルスが含まれる請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記被験体が、動物又はヒトである請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ウイルス感染の治療、予防、及び管理を必要としている被験体においてウイルス感染を治療、予防、及び管理する方法であって、
約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体とを含み、必要に応じて薬学的に許容される賦形剤をさらに含む組成物を、薬学的に有効な量、前記被験体に投与する段階を含む方法。
【請求項21】
前記組成物が、A型インフルエンザウイルス、HIVのX4指向性ウイルス、及びHIVのR5指向性ウイルスを阻害する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物の前記薬学的に有効な量が、前記被験体の体重1kg当たり約1mg〜約100mgの範囲であり、前記被験体が、動物又はヒトである請求項20に記載の方法。
【請求項23】
レトロウイルス感染症の治療、予防、及び管理を必要としている被験体においてレトロウイルス感染症を治療、予防、及び管理する方法であって、
約55重量%〜約99重量%の範囲の濃度の五量体プロシアニジンフラボノイドと、それぞれ約0.5重量%〜約35重量%の範囲の濃度である三量体及び四量体とを含み、必要に応じて薬学的に許容される賦形剤をさらに含む組成物を、薬学的に有効な量、前記被験体に投与する段階を含む方法。
【請求項24】
前記レトロウイルス感染症には、A型インフルエンザ感染症及びHIV感染症及びAIDSが含まれる請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物の前記薬学的に有効な量が、前記被験体の体重1kg当たり約1mg〜約100mgの範囲であり、前記被験体が、動物又はヒトである請求項23に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2011−530609(P2011−530609A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526636(P2011−526636)
【出願日】平成21年9月23日(2009.9.23)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000519
【国際公開番号】WO2011/018793
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(510313061)インダス バイオテック プライベート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】