説明

新規環状スクアリン酸アミド誘導体

【課題】新規環状スクアリン酸アミド誘導体またはその塩およびそれらの少なくとも1つを有効成分として含有する、特にカルシウム拮抗剤が有用とされる疾患の予防および/または治療剤の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物又はその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規環状スクアリン酸アミド誘導体またはその塩、およびそれらの少なくとも1つを有効成分として含有する医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
カルシウムイオンは、生体の筋収縮、神経系での電気シグナル、ホルモン分泌などの様々なプロセスを調節する重要な因子であり、カルシウムイオンの細胞内への流入は、カルシウムチャネルにより調節されている。
【0003】
カルシウムチャネルは、様々な生理機能を調節して恒常性を維持する一方で、ヒトの多くの病態にも関与している。特にカルシウムチャネル拮抗作用を示し、カルシウムイオンの細胞内流入を抑制する薬剤は、カルシウム拮抗剤として広く知られており、たとえば、高血圧症、狭心症、不整脈、肥満、アルツハイマー病、脳循環障害、てんかん、緑内障、炎症性疼痛、神経因性疼痛などの予防および治療に有用であることが知られている。
【0004】
また、カルシウム拮抗剤の具体例として、ジヒドロピリジン系のニフェジピン、ベンゾジアゼピン系のジルチアゼム、フェニルアルキルアミン系のベラパミル、ウリジン5’−アルキルホスフェート化合物(特開2000−247891号公報(特許文献1))、アルキルエーテル誘導体(特開平11−263773号公報(特許文献2))、2−(4−ベンジルピペリジノ)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノール(特開昭61−172820号公報(特許文献3))、ピペリジン誘導体(特開平11−228412号公報(特許文献4))、アミノ芳香族ケトン(特開平10−324628号公報(特許文献5))などが知られている。
【0005】
一方、本発明に係る環状スクアリン酸アミド誘導体、すなわち、該環状部分に八員環を有する化合物は全く未知の化合物であり、当然、それらの化合物の医薬用途、たとえば、カルシウムチャネル拮抗作用などについても全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−247891号公報
【特許文献2】特開平11−263773号公報
【特許文献3】特開昭61−172820号公報
【特許文献4】特開平11−228412号公報
【特許文献5】特開平10−324628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
環状スクアリン酸アミド誘導体の合成研究およびそれらの化合物の薬理作用を見出すことは非常に興味深い課題であり、特にカルシウム拮抗剤が有用とされる疾患の予防および/または治療剤として有用な薬剤を見出すことは非常に興味深い課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、環状スクアリン酸アミド構造に着目して、鋭意合成研究を行い、数多くの新規化合物を創製することに成功した。
【0009】
さらに、それらの化合物の薬理作用を種々研究した結果、それらの化合物がカルシウムチャネル拮抗作用を有し、カルシウム拮抗剤が有用とされる疾患の予防および/または治療剤、特に高血圧症、狭心症、不整脈、肥満、アルツハイマー病、脳循環障害、てんかん、緑内障、炎症性疼痛、神経因性疼痛などの予防および/または治療剤として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物またはその塩(以下、「本発明化合物」)に関する。
【0011】
【化1】

【0012】
上記式中、Aは置換基を有してもよい芳香族炭化水素環または置換基を有してもよい芳香族複素環を示し、XおよびXは同一または異なって、酸素原子、硫黄原子またはNRを示し、YはCO、CS、CNR、−CR−、−CRCR−またはCRCRCR10−を示し、Zはカルコゲン原子またはNR11を示し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基または置換基を有してもよい有機基を示し、RとRは一緒になって、置換基を有してもよい炭化水素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく、R、R、R、R、RおよびR10のいずれか1つはRと一緒になって置換基を有してもよい複素環を形成してもよく、破線は単結合または二重結合を示す。
【0013】
また、本発明は、下記一般式(1)で表わされる化合物またはその塩(本発明化合物)に関する。
【0014】
【化2】

【0015】
上記式中、式中、Aは置換基を有してもよい芳香族炭化水素環または置換基を有してもよい芳香族複素環を示し、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、カルボキシル基、置換基を有してもよい低級アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルケニルオキシカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルキニルオキシカルボニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルオキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよい複素環オキシカルボニル基、ホルミル基、置換基を有してもよい低級アルキルカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルケニルカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルキニルカルボニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルカルボニル基、置換基を有してもよいアリールカルボニル基、置換基を有してもよい複素環カルボニル基、アミノカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよいアリールアミノカルボニル基または置換基を有してもよい複素環アミノカルボニル基を示し、RとRは一緒になって置換基を有してもよい芳香族炭化水素環または置換基を有してもよい芳香族複素環を形成してもよく、XおよびXは同一または異なって、酸素原子、硫黄原子またはNRを示し、Rは水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルオキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基または置換基を有してもよい複素環オキシ基を示し、YはCO、CS、CNR、−CR−、−CRCR−またはCRCRCR10−を示し、Rは水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、ヒドロキシ基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基を示し、R、R、R、R、RおよびR10は同一または異なって、水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示し、R、R、R、R、RおよびR10のいずれか1つはRと一緒になって置換基を有してもよい非芳香族複素環を形成してもよく、Zは酸素原子、硫黄原子またはNR11を示し、R11は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、ヒドロキシ基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基を示し、破線は単結合または二重結合を示す。
【0016】
本発明化合物は、一般式(1)において、Aが芳香族炭化水素環または含窒素芳香族複素環を示し、RおよびRが同一または異なって、水素原子、低級アルキル基、カルボキシル基または低級アルコキシカルボニル基を示し、RとRが一緒になって芳香族炭化水素環または含窒素芳香族複素環を形成してもよく、XおよびXが同一または異なって、酸素原子、硫黄原子またはNRを示し、Rが水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基または低級アルコキシ基を示し、Rが低級アルキル基の場合、該低級アルキル基はハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、芳香族複素環基および非芳香族複素環基からなる群より選択される1または複数の基で置換されてもよく、さらに前記非芳香族複素環基は置換基を有してもよい低級アルキル基および置換基を有してもよいアリール基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく、YがCO、CS、−CR−、−CRCR−またはCRCRCR10−を示し、R、R、R、R、RおよびR10が同一または異なって、水素原子または低級アルキル基を示し、R、R、R、R、RおよびR10のいずれか1つがRと一緒になって非芳香族複素環を形成してもよく、Zが酸素原子または硫黄原子を示し、破線が単結合または二重結合を示すことが好ましい。
【0017】
本発明化合物はまた、一般式(1)において、Aがベンゼン環またはピリジン環を示し、RおよびRが同一または異なって、水素原子、カルボキシル基または低級アルコキシカルボニル基を示し、RとRが一緒になってベンゼン環またはピリジン環を形成してもよく、XおよびXが同一または異なって、酸素原子、硫黄原子またはNRを示し、Rが水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基または低級アルコキシ基を示し、Rが低級アルキル基の場合、該低級アルキル基はハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルキニル基および非芳香族複素環基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく、さらに前記非芳香族複素環基は低級アルキル基およびハロゲン原子で置換されてもよいアリール基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく、YがCO、CSまたはCRCR−を示し、R、R、RおよびRが同一または異なって、水素原子または低級アルキル基を示し、R、R、RおよびRのいずれか1つがRと一緒になって含窒素非芳香族複素環を形成してもよく、Zが酸素原子または硫黄原子を示し、破線が単結合または二重結合を示すことが好ましい。
【0018】
本発明化合物は、一般式(1)において、Aがベンゼン環またはピリジン環を示し、RおよびRが同一または異なって、水素原子または低級アルコキシカルボニル基を示し、RとRが一緒になってベンゼン環を形成してもよく、Xが酸素原子、硫黄原子またはNHを示し、XがNRを示し、Rが水素原子、ヒドロキシ基または低級アルキル基を示し、Rが低級アルキル基の場合、該低級アルキル基はハロゲン原子、低級アルケニル基および非芳香族複素環基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく、さらに前記非芳香族複素環基は低級アルキル基およびハロゲン原子で置換されてもよいアリール基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく、YがCOまたはCRCR−を示し、R、R、RおよびRが同一または異なって、水素原子または低級アルキル基を示し、R、R、RおよびRのいずれか1つがRと一緒になってピロリジン環またはピペリジン環を形成してもよく、Zが酸素原子を示し、破線が二重結合を示すことが好ましい。
【0019】
本発明は、以下から選ばれるいずれかの化合物またはその塩についても提供する。
・10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン
・10−ヒドロキシ−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン
・ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]ジアゾシン−11,12(5H,10H)−ジオン
・(R)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート
・(S)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート
・(R)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−シクロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート
・(S)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−シ
クロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート
・7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−9
,10−ジオン
・7,8−ジヒドロ−6H−シクロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−9,10−ジオン
・10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・5H−ベンゾ[b]シクロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−5,6(7H)−ジオン
・7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−9,10−ジオン
・10−(2−ブロモエチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(3−ブロモプロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・8−(ペンテン−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−9,10−ジオン
・10−(ペンテン−4−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(2−モルホリノエチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(2−(4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(3−モルホリノプロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(3−(4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)プロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・(2R,2aR)−2−メチル−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・(2aS)−2a,3,4,5,6,7,9,10−オクタヒドロ−8−チア−5a−アザシクロオクタベンゾ[n][1,2,3−cd]インデン−1(2H)−オン
・(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタジベンゾ[k,n][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−オキサ−4a−アザシクロオクタジベンゾ[k,n][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・10−(ペンテン−4−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン
・8−(ペンテン−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−9,10−ジオン
・8−(ブテン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−9,10−ジオン
・10−(ブテン−3−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・8−(ブテン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−9,10−ジオン
・10−(ブテン−3−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン
・(2S,2aS)−2−メチル−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−オキサ−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・(2aS)−2a,3,4,5,6,7,9,10−オクタヒドロ−8−オキサ−5a−アザシクロオクタベンゾ[n][1,2,3−cd]インデン−1(2H)−オン
・(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・(2aS)−2a,3,4,4a−テトラヒドロジベンゾ[b,g]ペンタレノ[1,6−de][1,4]チアゾシン−1(2H)−オン
・(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−オキサ−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・(2aS)−2a,3,4,4a−テトラヒドロジベンゾ[b,g]ペンタレノ[1,6−de][1,4]オキサゾシン−1(2H)−オン
本発明は、上述した本発明化合物の少なくとも1つを有効成分として含有する医薬についても提供する。
【0020】
本発明はさらに、上述した本発明化合物の少なくとも1つを有効成分とするカルシウム拮抗剤についても提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明は医薬として有用な環状スクアリン酸アミド誘導体またはその塩を提供する。本発明化合物は、優れたカルシウムチャネル拮抗作用を有し、カルシウム拮抗剤が有用とされる疾患、たとえば、高血圧症、狭心症、不整脈、肥満、アルツハイマー病、脳循環障害、てんかん、緑内障、炎症性疼痛、神経因性疼痛などの疾患の予防および/または治療剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書中で使用される文言(原子、基、環など)の定義について以下に詳しく説明する。また、以下の文言の定義が別の文言の定義に準用される場合、各定義の好ましい範囲および特に好ましい範囲にも準用することができる。
【0023】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
「低級アルキル基」とは、炭素原子数1〜6個の、直鎖または分枝のアルキル基を示す。具体例として、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル基などが挙げられる。
【0024】
「低級アルケニル基」とは、炭素原子数2〜6個の、直鎖または分枝のアルケニル基を示す。具体例として、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−ブテニル基などが挙げられる。
【0025】
「低級アルキニル基」とは、炭素原子数が2〜6個の、直鎖または分枝のアルキニル基を示す。具体例として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、イソブチニル、イソペンチニル基などが挙げられる。
【0026】
「低級シクロアルキル基」とは、炭素原子数が3〜8個の、シクロアルキル基を示す。具体例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル基などが挙げられる。
【0027】
「炭化水素環」とは、炭素原子数が3〜14個の飽和または不飽和単環式炭化水素、二環式炭化水素若しくは三環式炭化水素を示す。
【0028】
飽和単環式炭化水素の具体例として、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどが挙げられる。
【0029】
飽和二環式炭化水素の具体例として、オクタヒドロペンタレン、オクタヒドロインデン、デカヒドロナフタレンなどが挙げられる。
【0030】
飽和三環式炭化水素の具体例として、アダマンタンなどが挙げられる。
不飽和単環式炭化水素の具体例として、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ベンゼンなどが挙げられる。
【0031】
不飽和二環式炭化水素の具体例として、インダン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ナフタレンなどが挙げられる。
【0032】
不飽和三環式炭化水素の具体例として、アダマンテン、アントラセン、フェナントレンなどが挙げられる。
【0033】
「芳香族炭化水素環」とは、芳香族性を有する炭化水素環を示す。具体例として、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンなどが挙げられる。
【0034】
「アリール基」とは、炭素原子数が6〜14個の芳香族炭化水素環から水素1原子を除いた残基を示す。具体例として、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル基などが挙げられる。
【0035】
「複素環」とは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1または複数個のヘテロ原子を環内に有する飽和若しくは不飽和単環式複素環(好ましくは、1若しくは2個のヘテロ原子を環内に有する、炭素原子数3〜5個の飽和若しくは不飽和単環式複素五または六員環)または2環式若しくは3環式の縮合多環式複素環(好ましくは、1若しくは2個のヘテロ原子を環内に有する、炭素原子数7〜13個の2環式若しくは3環式の縮合多環式複素環)を示す。
【0036】
飽和単環式複素環の具体例として、窒素原子を環内に有するピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、ピペリジン、アゼパン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ピペラジン、ホモピペリジン、ホモピペラジン、ピラゾリジン環などが、酸素原子を環内に有するテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン環などが、硫黄原子を環内に有するテトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン環などが、窒素原子と酸素原子を環内に有するオキサゾリジン、イソオキサゾリジン、モルホリン、ホモモルホリン環などが、窒素原子と硫黄原子を環内に有するチアゾリジン、イソチアゾリジン、チオモルホリン環などが挙げられる。
【0037】
また、それらの飽和単環式複素環はベンゼン環などと縮合してジヒドロインドール、インドリン、ジヒドロイソインドール、ジヒドロインダゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロシンノリン、テトラヒドロフタラジン、テトラヒドロキナゾリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、クロマン、イソクロマン、ジヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、チオクロマン、イソチオクロマン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾイソオキサゾール、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイソチアゾール、ジヒドロベンゾチアジン、キサンテン、4a−カルバゾール、ペリミジン環などの2環式または3環式縮合多環式複素環を形成してもよい。
【0038】
不飽和単環式複素環の具体例として、窒素原子を環内に有するピロリン、ジヒドロピロール、ピロール、ジヒドロピラゾール、ピラゾリン、ピラゾール、ジヒドロイミダゾール、イミダゾリン、イミダゾール、ジヒドロトリアゾール、トリアゾール、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ピリジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピリダジン、ピリダジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリミジン、ピリミジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピラジン、ピラジン環などが、酸素原子を環内に有するジヒドロフラン、フラン、ジヒドロピラン、ピラン環などが、硫黄原子を環内に有するジヒドロチオフェン、チオフェン、ジヒドロチオピラン、チオピラン環などが、窒素原子と酸素原子を環内に有するジヒドロオキサゾール、オキサゾリン、オキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、イソオキサゾール、ジヒドロオキサジン、オキサジン環などが、窒素原子と硫黄原子を環内に有するジヒドロチアゾール、チアゾリン、チアゾール、ジヒドロイソチアゾール、イソチアゾール、ジヒドロチアジン、チアジン環などが挙げられる。
【0039】
また、それらの不飽和単環式複素環はベンゼン環などと縮合してインドール、イソインドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ジヒドロキノリン、キノリン、ジヒドロイソキノリン、イソキノリン、ナフチリジン、フェナントリジン、ジヒドロシンノリン、シンノリン、ジヒドロフタラジン、フタラジン、ジヒドロキナゾリン、キナゾリン、ジヒドロキノキサリン、キノキサリン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、クロメン、イソクロメン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、チオクロメン、イソチオクロメン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサジン、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアジン、チアントレン、フェノキサンチン、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン環などの2環式または3環式縮合多環式複素環を形成してもよい。
【0040】
「複素環基」とは、複素環から水素1原子を除いた残基を示す。
「芳香族複素環」とは、芳香族性を有する複素環を示す。
【0041】
「芳香族複素環基」とは、芳香族複素環から水素1原子を除いた残基を示す。
「非芳香族複素環」とは、芳香族性を有しない複素環を示す。
【0042】
「非芳香族複素環基」とは、非芳香族複素環から水素1原子を除いた残基を示す。
「含窒素複素環」とは、複素環のうち、環内に1または複数個の窒素原子を含む環を示す。
【0043】
「含窒素芳香族複素環」とは、含窒素複素環のうち、芳香族性を有する含窒素複素環を示す。
【0044】
「含窒素非芳香族複素環」とは、含窒素複素環のうち、芳香族性を有しない含窒素複素環を示す。
【0045】
「低級アルコキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が低級アルキル基で置換された基を示す。具体例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシルオキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、イソペントキシ基などが挙げられる。
【0046】
「低級アルケニルオキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が低級アルケニル基で置換された基を示す。具体例として、ビニルオキシ、プロペニルオキシ、ブテニルオキシ、ペンテニルオキシ、ヘキセニルオキシ、イソプロペニルオキシ、2−メチル−1−プロペニルオキシ、2−メチル−2−ブテニルオキシ基などが挙げられる。
【0047】
「低級アルキニルオキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が低級アルキニル基で置換された基を示す。具体例として、エチニルオキシ、プロピニルオキシ、ブチニルオキシ、ペンチニルオキシ、ヘキシニルオキシ、イソブチニルオキシ、イソペンチニルオキシ基などが挙げられる。
【0048】
「低級シクロアルキルオキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が低級シクロアルキル基で置換された基を示す。具体例として、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ基などが挙げられる。
【0049】
「アリールオキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子がアリール基で置換された基を示す。具体例として、フェノキシ、ナフトキシ、アントリルオキシ、フェナントリルオキシ基などが挙げられる。
【0050】
「複素環オキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が複素環基で置換された基を示す。
「低級アルコキシカルボニル基」とは、炭素原子数2〜7個の、直鎖または分枝のアルコキシカルボニル基を示す。具体例としてメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、n−ペントキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、イソペントキシカルボニルなどが挙げられる。
【0051】
「低級アルケニルオキシカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が低級アルケニルオキシ基で置換された基を示す。具体例として、ビニルオキシカルボニル、プロペニルオキシカルボニル、ブテニルオキシカルボニル、ペンテニルオキシカルボニル、ヘキセニルオキシカルボニル、イソプロペニルオキシカルボニル、2−メチル−1−プロペニルオキシカルボニル、2−メチル−2−ブテニルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0052】
「低級アルキニルオキシカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が低級アルキニルオキシ基で置換された基を示す。具体例として、エチニルオキシカルボニル、プロピニルオキシカルボニル、ブチニルオキシカルボニル、ペンチニルオキシカルボニル、ヘキシニルオキシカルボニル、イソブチニルオキシカルボニル、イソペンチニルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0053】
「低級シクロアルキルオキシカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が低級シクロアルキルオキシ基で置換された基を示す。具体例として、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロブチルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、シクロヘプチルオキシカルボニル、シクロオクチルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0054】
「アリールオキシカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子がアリールオキシ基で置換された基を示す。具体例として、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル、アントリルオキシカルボニル、フェナントリルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0055】
「複素環オキシカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が複素環オキシ基で置換された基を示す。
【0056】
「低級アルキルカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が低級アルキル基で置換された基を示す。具体例としてメチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、n−ペンチルカルボニル、n−ヘキシルカルボニル、イソプロピルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、イソペンチルカルボニル基などが挙げられる。
【0057】
「低級アルケニルカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が低級アルケニル基で置換された基を示す。具体例として、ビニルカルボニル、プロペニルカルボニル、ブテニルカルボニル、ペンテニルカルボニル、ヘキセニルカルボニル、イソプロペニルカルボニル、2−メチル−1−プロペニルカルボニル、2−メチル−2−ブテニルカルボニル基などが挙げられる。
【0058】
「低級アルキニルカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が低級アルキニル基で置換された基を示す。具体例として、エチニルカルボニル、プロピニルカルボニル、ブチニルカルボニル、ペンチニルカルボニル、ヘキシニルカルボニル、イソブチニルカルボニル、イソペンチニルカルボニル基などが挙げられる。
【0059】
「低級シクロアルキルカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が低級シクロアルキル基で置換された基を示す。具体例として、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘプチルカルボニルまたはシクロオクチルカルボニル基などが挙げられる。
【0060】
「アリールカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子がアリール基で置換された基を示す。具体例として、フェニルカルボニル、ナフチルカルボニル、アントリルカルボニル、フェナントリルカルボニル基などが挙げられる。
【0061】
「複素環カルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が複素環基で置換された基を示す。
【0062】
「低級アルキルアミノ基」とは、アミノ基の一方または両方の水素原子が低級アルキル基で置換された基を示す。具体例として、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメルアミノ、ジエチルアミノ、エチル(メチル)アミノ基などが挙げられる。
【0063】
「低級アルケニルアミノ基」とは、アミノ基の一方若しくは両方の水素原子が低級アルケニル基で置換された基、またはアミノ基の一方の水素原子が低級アルケニル基で、他方の水素原子が低級アルキル基で置換された基を示す。ビニルアミノ、プロペニルアミノ、ブテニルアミノ、ペンテニルアミノ、ヘキセニルアミノ、ヘプテニルアミノ、オクテニルアミノ、イソプロペニルアミノ、2−メチル−1−プロペニルアミノ、2−メチル−2−ブテニルアミノ、ジビニルアミノ、メチル(ビニル)アミノ基などが挙げられる。
【0064】
「低級アルキニルアミノ基」とは、アミノ基の一方若しくは両方の水素原子が低級アルキニル基で置換された基、またはアミノ基の一方の水素原子が低級アルケニル基で、他方の水素原子が低級アルキル基若しくは低級アルケニル基で置換された基を示す。具体例として、エチニルアミノ、プロピニルアミノ、ブチニルアミノ、ペンチニルアミノ、ヘキシニルアミノ、ヘプチニルアミノ、オクチニルアミノ、イソブチニルアミノ、イソペンチニルアミノ、ジエチニルアミノ、エチニル(メチル)アミノ、エチニル(ビニル)アミノ基などが挙げられる。
【0065】
「低級シクロアルキルアミノ基」とは、アミノ基の一方若しくは両方の水素原子が低級シクロアルキル基で置換された基またはアミノ基の一方の水素原子が低級シクロアルキル基で、他方の水素原子が低級アルキル基、低級アルケニル基若しくは低級アルキニル基で置換された基を示す。具体例として、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、シクロヘプチルアミノ、シクロオクチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、シクロヘキシル(メチル)アミノ、シクロヘキシル(ビニル)アミノ、シクロヘキシル(エチニル)アミノ基などが挙げられる。
【0066】
「アリールアミノ基」とは、アミノ基の一方若しくは両方の水素原子がアリール基で置換された基を示し、アミノ基の一方の水素原子がアリール基で置換された基を示す場合、他方は水素原子またはその水素原子が低級アルキル基若しくは低級シクロアルキル基で置換された基を示す。具体例として、フェニルアミノ、ナフチルアミノ、アントリルアミノ、フェナントリルアミノ、ジフェニルアミノ、メチル(フェニル)アミノ、エチル(フェニル)アミノ、シクロヘキシル(フェニル)アミノ基などが挙げられる。
【0067】
「複素環アミノ基」とは、アミノ基の一方若しくは両方の水素原子が複素環基で置換された基を示し、アミノ基の一方の水素原子が複素環基で置換された基を示す場合、他方は水素原子またはその水素原子が低級アルキル基、低級シクロアルキル基若しくはアリール基で置換された基を示す。
【0068】
「アミノカルボニル基」とはホルミル基の水素原子がアミノ基で置換された基を示す。
「低級アルキルアミノカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が低級アルキルアミノ基で置換された基を示す。具体例として、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、エチルメチルアミノカルボニル基などが挙げられる。
【0069】
「低級アルケニルアミノカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が低級アルケニルアミノ基で置換された基を示す。具体例として、ビニルアミノカルボニル、プロペニルアミノカルボニル、ブテニルアミノカルボニル、ペンテニルアミノカルボニル、ヘキセニルアミノカルボニル、イソプロペニルアミノカルボニル、2−メチル−1−プロペニルアミノカルボニル、2−メチル−2−ブテニルアミノカルボニル、ジビニルアミノカルボニル、メチル(ビニル)アミノカルボニル基などが挙げられる。
【0070】
「低級アルキニルアミノカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が低級アルキニルアミノ基で置換された基を示す。具体例として、エチニルアミノカルボニル、プロピニルアミノカルボニル、ブチニルアミノカルボニル、ペンチニルアミノカルボニル、ヘキシニルアミノカルボニル、イソブチニルアミノカルボニル、イソペンチニルアミノカルボニル、ジエチニルアミノカルボニル、エチニル(メチル)アミノカルボニル、エチニル(ビニル)アミノカルボニル基などが挙げられる。
【0071】
「低級シクロアルキルアミノカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が低級シクロアルキルアミノ基で置換された基を示す。具体例として、シクロプロピルアミノカルボニル、シクロブチルアミノカルボニル、シクロペンチルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニル、シクロヘプチルアミノカルボニル、シクロオクチルアミノカルボニル、ジシクロヘキシルアミノカルボニル、シクロヘキシル(メチル)アミノカルボニル、シクロヘキシル(ビニル)アミノカルボニル、シクロヘキシル(エチニル)アミノカルボニル基などが挙げられる。
【0072】
「アリールアミノカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子がアリールアミノ基で置換された基を示す。具体例として、フェニルアミノカルボニル、ナフチルアミノカルボニル、アントリルアミノカルボニル、フェナントリルアミノカルボニル、ジフェニルアミノカルボニル、メチル(フェニル)アミノカルボニル、エチル(フェニル)アミノカルボニル、フェニル(ビニル)アミノカルボニル、エチニル(フェニル)アミノカルボニル、シクロヘキシル(フェニル)アミノカルボニル基などが挙げられる。
【0073】
「複素環アミノカルボニル基」とは、ホルミル基の水素原子が複素環アミノ基で置換された基を示す。
【0074】
「有機基」とは、炭素原子を含む官能基全般を示す。具体例としてシアノ基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級シクロアルキル基、アリール基、複素環基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、低級アルコキシ基、低級アルケニルオキシ基、低級アルキニルオキシ基、低級シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニルオキシカルボニル基、低級アルキニルオキシカルボニル基、低級シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、ホルミル基、低級アルキルカルボニル基、低級アルケニルカルボニル基、低級アルキニルカルボニル基、低級シクロアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、複素環カルボニル基、低級アルキルアミノ基、低級アルケニルアミノ基、低級アルキニルアミノ基、低級シクロアルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基、アミノカルボニル基、低級アルキルアミノカルボニル基、低級アルケニルアミノカルボニル基、低級アルキニルアミノカルボニル基、低級シクロアルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、複素環アミノカルボニル基などが挙げられる。
【0075】
「カルコゲン原子」とは酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を示す。
「置換基を有してもよい低級アルキル基」、「置換基を有してもよい低級アルケニル基」、「置換基を有してもよい低級アルキニル基」、「置換基を有してもよい低級アルコキシ基」、「置換基を有してもよい低級アルコキシカルボニル基」、「置換基を有してもよい低級アルケニルオキシカルボニル基」、「置換基を有してもよい低級アルキニルオキシカルボニル基」、「置換基を有してもよい低級アルキルカルボニル基」、「置換基を有してもよい低級アルケニルカルボニル基」、「置換基を有してもよい低級アルキニルカルボニル基」および/または「置換基を有してもよい低級アルキルアミノカルボニル基」とは、ハロゲン原子、低級シクロアルキル基、アリール基、複素環基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、‐ORp、‐SRq、-CORr、-COORs、-CONRtuおよび-NRvwからなる群より選択される1または複数個の置換基を有してもよい「低級アルキル基」、「低級アルケニル基」、「低級アルキニル基」、「低級アルコキシ基」、「低級アルコキシカルボニル基」、「低級アルケニルオキシカルボニル基」、「低級アルキニルオキシカルボニル基」、「低級アルキルカルボニル基」、「低級アルケニルカルボニル基」、「低級アルキニルカルボニル基」および/または「低級アルキルアミノカルボニル基」を示す。
【0076】
「置換基を有してもよい低級シクロアルキル基」、「置換基を有してもよい炭化水素環」、「置換基を有してもよい芳香族炭化水素環」、「置換基を有してもよいアリール基」、「置換基を有してもよい複素環」、「置換基を有してもよい複素環基」、「置換基を有してもよい芳香族複素環」、「置換基を有してもよい非芳香族複素環」、「置換基を有してもよい低級シクロアルキルオキシ基」、「置換基を有してもよい低級シクロアルキルカルボニル基」、「置換基を有してもよいアリールカルボニル基」、「置換基を有してもよい複素環カルボニル基」、「置換基を有してもよいアリールオキシ基」、「置換基を有してもよい複素環オキシ基」、「置換基を有してもよい低級シクロアルキルオキシカルボニル基」、「置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基」、「置換基を有してもよい複素環オキシカルボニル基」、「置換基を有してもよい低級シクロアルキルアミノカルボニル基」、「置換基を有してもよいアリールアミノカルボニル基」および/または「置換基を有してもよい複素環アミノカルボニル基」とは、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級シクロアルキル基、アリール基、複素環基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、‐ORp、‐SRq、-CORr、-COORs、-CONRtuおよび-NRvwからなる群より選択される1または複数個の置換基を有してもよい「低級シクロアルキル基」、「炭化水素環」、「芳香族炭化水素環」、「アリール基」、「複素環」、「複素環基」、「芳香族複素環」、「非芳香族複素環」、「低級シクロアルキルオキシ基」、「低級シクロアルキルカルボニル基」、「アリールカルボニル基」、「複素環カルボニル基」、「アリールオキシ基」、「複素環オキシ基」、「低級シクロアルキルオキシカルボニル基」、「アリールオキシカルボニル基」、「複素環オキシカルボニル基」、「低級シクロアルキルアミノカルボニル基」、「アリールアミノカルボニル基」および/または「複素環アミノカルボニル基」を示す。
【0077】
「置換基を有してもよい有機基」とは、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級シクロアルキル基、アリール基、複素環基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、‐ORp、‐SRq、-CORr、-COORs、-CONRtuおよび-NRvwからなる群より選択される1または複数個の置換基を有してもよい「低級アルキル基」、「低級アルケニル基」、「低級アルキニル基」、「低級シクロアルキル基」、「炭化水素環」、「芳香族炭化水素環」、「アリール基」、「複素環」、「複素環基」、「芳香族複素環」、「低級アルコキシ基」、「低級シクロアルキルオキシ基」、「アリールオキシ基」、「複素環オキシ基」、「低級アルコキシカルボニル基」、「低級アルケニルオキシカルボニル基」、「低級アルキニルオキシカルボニル基」、「低級シクロアルキルオキシカルボニル基」、「アリールオキシカルボニル基」、「複素環オキシカルボニル基」、「低級アルキルカルボニル基」、「低級アルケニルカルボニル基」、「低級アルキニルカルボニル基」、「低級シクロアルキルカルボニル基」、「アリールカルボニル基」、「複素環カルボニル基」、「低級アルキルアミノカルボニル基」、「低級シクロアルキルアミノカルボニル基」、「アリールアミノカルボニル基」および/または「複素環アミノカルボニル基」を示す。
【0078】
ここで、Rp、Rq、Rr、Rs、Rt、Ru、RvおよびRwは同一または異なって、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級シクロアルキル基、アリール基および複素環基からなる群より選択される基を示す。
【0079】
本発明化合物が遊離の、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基またはシクロアルキルアミノ基を置換基として有する場合、それらの置換基は保護基で保護されていてもよい。また、芳香族複素環基または非芳香族複素環が遊離の窒素原子を有する場合も、該窒素原子は保護基で保護されていてもよい。
【0080】
本発明でいう「複数の基」は、それぞれの基が同一でも異なっていてもよく、また、好ましくは2または3の基を、より好ましくは2の基を示す。
【0081】
また、本発明でいう「基」には、水素原子、ハロゲン原子およびオキソ配位子も含まれる。
【0082】
本発明化合物における「塩」とは、医薬として許容される塩であれば特に制限はなく、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、乳酸、馬尿酸、1,2−エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸ラウリルエステル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸などの有機酸との塩、臭化メチル、ヨウ化メチルなどの四級アンモニウム塩、臭素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオンとの塩、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩、鉄、亜鉛などとの金属塩、アンモニアとの塩、トリエチレンジアミン、2−アミノエタノール、2,2−イミノビス(エタノール)、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−2−D−ソルビトール、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、プロカイン、N,N−ビス(フェニルメチル)−1,2−エタンジアミンなどの有機アミンとの塩などが挙げられる。
【0083】
本発明化合物に幾何異性体または光学異性体が存在する場合は、それらの異性体も本発明の範囲に含まれる。
【0084】
また、本発明化合物は水和物または溶媒和物の形態をとっていてもよい。
さらに、本発明化合物にプロトン互変異性が存在する場合には、それらの互変異性体も本発明の範囲に含まれる。
【0085】
本発明化合物、その水和物または溶媒和物は結晶であってもよく、該結晶に結晶多形および結晶多形群(結晶多形システム)が存在する場合には、それらの結晶多形体および結晶多形群(結晶多形システム)も本発明に含まれる。ここで、結晶多形群(結晶多形システム)とは、それら結晶の製造、晶出、保存などの条件および状態(なお、本状態には製剤化した状態も含む)により、結晶形が種々変化する場合の各段階における結晶形およびその過程全体を意味する。
【0086】
(a)本発明化合物における好ましい例として、一般式(1)で示される化合物において、各基が下記に示す基である化合物またはその塩が挙げられる。
【0087】
(a1)Aは置換基を有してもよい芳香族炭化水素環または置換基を有してもよい芳香族複素環を示し;および/または
(a2)RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、カルボキシル基、置換基を有してもよい低級アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルケニルオキシカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルキニルオキシカルボニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルオキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよい複素環オキシカルボニル基、ホルミル基、置換基を有してもよい低級アルキルカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルケニルカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルキニルカルボニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルカルボニル基、置換基を有してもよいアリールカルボニル基、置換基を有してもよい複素環カルボニル基、アミノカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよいアリールアミノカルボニル基または置換基を有してもよい複素環アミノカルボニル基を示し;および/または
(a3)RとRは一緒になって置換基を有してもよい芳香族炭化水素環または置換基を有してもよい芳香族複素環を形成してもよく;および/または
(a4)XおよびXは同一または異なって、酸素原子、硫黄原子またはNRを示し;および/または
(a5)Rは水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルオキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基または置換基を有してもよい複素環オキシ基を示し;および/または
(a6)YはCO、CS、CNR、−CR−、−CRCR−または−CRCRCR10−を示し;および/または
(a7)Rは水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、ヒドロキシ基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基を示し;および/または
(a8)R、R、R、R、RおよびR10は同一または異なって、水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;および/または
(a9)R、R、R、R、RおよびR10のいずれか1つはRと一緒になって置換基を有してもよい非芳香族複素環を形成してもよく;および/または
(a10)Zは酸素原子、硫黄原子またはNR11を示し;および/または
(a11)R11は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、ヒドロキシ基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基を示し;
(a12)破線は単結合または二重結合を示す。
【0088】
すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)、(a6)、(a7)、(a8)、(a9)、(a10)、(a11)および(a12)から選択される1または2以上の各組合せからなる化合物またはその塩が好ましい例として挙げられる。
【0089】
(b)本発明化合物における好ましい例として、一般式(1)で示される化合物において、各基が下記に示す基である化合物またはその塩が挙げられる。
【0090】
(b1)Aが芳香族炭化水素環または含窒素芳香族複素環を示し;および/または
(b2)RおよびRが同一または異なって、水素原子、低級アルキル基、カルボキシル基または低級アルコキシカルボニル基を示し;および/または
(b3)RとRが一緒になって芳香族炭化水素環または含窒素芳香族複素環を形成してもよく;および/または
(b4)XおよびXが同一または異なって、酸素原子、硫黄原子またはNRを示し;および/または
(b5)Rが水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基または低級アルコキシ基を示し;および/または
(b6)Rが低級アルキル基の場合、該低級アルキル基はハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、芳香族複素環基および非芳香族複素環基からなる群より選択される1または複数の基で置換されてもよく、さらに前記非芳香族複素環基は置換基を有してもよい低級アルキル基および置換基を有してもよいアリール基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよい;および/または
(b7)YがCO、CS、−CR−、−CRCR−または−CRCRCR10−を示し;および/または
(b8)R、R、R、R、RおよびR10が同一または異なって、水素原子または低級アルキル基を示し;および/または
(b9)R、R、R、R、RおよびR10のいずれか1つがRと一緒になって非芳香族複素環を形成してもよく;および/または
(b10)Zが酸素原子または硫黄原子を示し;および/または
(b11)破線が単結合または二重結合を示す。
【0091】
すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(b1)、(b2)、(b3)、(b4)、(b5)、(b6)、(b7)、(b8)、(b9)、(b10)および(b11)から選択される1または2以上の各組合せからなる化合物またはその塩も好ましい例として挙げられる。
【0092】
なお、この(b)の条件と前記(a)の条件との組み合わせを充足する化合物またはその塩も本発明の範囲である。
【0093】
(c)本発明化合物におけるより好ましい例として、一般式(1)で示される化合物において、各基が下記に示す基である化合物またはその塩が挙げられる。
【0094】
(c1)Aがベンゼン環またはピリジン環を示し;および/または
(c2)RおよびRが同一または異なって、水素原子、カルボキシル基または低級アルコキシカルボニル基を示し;および/または
(c3)RとRが一緒になってベンゼン環またはピリジン環を形成してもよく;および/または
(c4)XおよびXが同一または異なって、酸素原子、硫黄原子またはNRを示し;および/または
(c5)Rが水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基または低級アルコキシ基を示し;および/または
(c6)Rが低級アルキル基の場合、該低級アルキル基はハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルキニル基および非芳香族複素環基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく、さらに前記非芳香族複素環基は低級アルキル基およびハロゲン原子で置換されてもよいアリール基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく;および/または
(c7)YがCO、CSまたは−CRCR−を示し;および/または
(c8)R、R、RおよびRが同一または異なって、水素原子または低級アルキル基を示し;および/または
(c9)R、R、RおよびRのいずれか1つがRと一緒になって含窒素非芳香族複素環を形成してもよく;および/または
(c10)Zが酸素原子または硫黄原子を示し;および/または
(c11)破線が単結合または二重結合を示す。
【0095】
すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(c1)、(c2)、(c3)、(c4)、(c5)、(c6)、(c7)、(c8)、(c9)、(c10)および(c11)から選択される1または2以上の各組み合わせからなる化合物またはその塩も好ましい例として挙げられる。
【0096】
なお、この(c)の条件と前記(a)および/または(b)の条件との組み合わせを充足する化合物またはその塩も本発明の範囲である。
【0097】
(d)本発明化合物における特に好ましい例として、一般式(1)で示される化合物において、各基が下記に示す基である化合物またはその塩が挙げられる。
【0098】
(d1)Aがベンゼン環またはピリジン環を示し;および/または
(d2)RおよびRが同一または異なって、水素原子または低級アルコキシカルボニル基を示し;および/または
(d3)RとRが一緒になってベンゼン環を形成してもよく;および/または
(d4)Xが酸素原子、硫黄原子またはNHを示し;および/または
(d5)XがNRを示し;
(d6)Rが水素原子、ヒドロキシ基または低級アルキル基を示し;および/または
(d7)Rが低級アルキル基の場合、該低級アルキル基はハロゲン原子、低級アルケニル基および非芳香族複素環基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく、さらに前記非芳香族複素環基は低級アルキル基およびハロゲン原子で置換されてもよいアリール基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく;および/または
(d8)YがCOまたは−CRCR−を示し;および/または
(d9)R、R、RおよびRが同一または異なって、水素原子または低級アルキル基を示し;および/または
(d10)R、R、RおよびRのいずれか1つがRと一緒になってピロリジン環またはピペリジン環を形成してもよく;および/または
(d11)Zが酸素原子を示し;および/または
(d12)破線が二重結合を示す。
【0099】
すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(d1)、(d2)、(d3)、(d4)、(d5)、(d6)、(d7)、(d8)、(d9)、(d10)、(d11)および(d12)から選択される1または2以上の各組み合わせからなる化合物またはその塩も好ましい例として挙げられる。
【0100】
なお、この(d)の条件と前記(a)、(b)および/または(c)の条件との組み合わせを充足する化合物またはその塩も本発明の範囲である。
【0101】
(e)本発明化合物における一般式(1)のより好ましい一般式として、下記の一般式(1a)および/または(1b)が挙げられる。
【0102】
【化3】

【0103】
なお、この(e)の条件と前記(a)、(b)、(c)および/または(d)の条件との組み合わせを充足する化合物またはその塩も本発明の範囲である。
【0104】
(f)本発明化合物における特に好ましい具体例として、下記の化合物またはその塩が挙げられる。
【0105】
・10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン
・10−ヒドロキシ−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン
・ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]ジアゾシン−11,12(5H,10H)−ジオン
・(R)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート
・(S)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート
・(R)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−シクロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート
・(S)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−シクロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート
・7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−9,10−ジオン
・7,8−ジヒドロ−6H−シクロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−9,10−ジオン
・10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・5H−ベンゾ[b]シクロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−5,6(7H)−ジオン
・7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−9,10−ジオン
・10−(2−ブロモエチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(3−ブロモプロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・8−(ペンテン−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−9,10−ジオン
・10−(ペンテン−4−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(2−モルホリノエチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(2−(4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン ・10−(3−モルホリノプロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・10−(3−(4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)プロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・(2R,2aR)−2−メチル−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・(2aS)−2a,3,4,5,6,7,9,10−オクタヒドロ−8−チア−5a−アザシクロオクタベンゾ[n][1,2,3−cd]インデン−1(2H)−オン
・(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタジベンゾ[k,n][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−オキサ−4a−アザシクロオクタジベンゾ[k,n][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・10−(ペンテン−4−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン
・8−(ペンテン−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−9,10−ジオン
・8−(ブテン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−9,10−ジオン
・10−(ブテン−3−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン
・8−(ブテン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−9,10−ジオン
・10−(ブテン−3−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン
・(2S,2aS)−2−メチル−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−オキサ−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・(2aS)−2a,3,4,5,6,7,9,10−オクタヒドロ−8−オキサ−5a−アザシクロオクタベンゾ[n][1,2,3−cd]インデン−1(2H)−オン
・(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・(2aS)−2a,3,4,4a−テトラヒドロジベンゾ[b,g]ペンタレノ[1,6−de][1,4]チアゾシン−1(2H)−オン
・(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−オキサ−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン
・(2aS)−2a,3,4,4a−テトラヒドロジベンゾ[b,g]ペンタレノ[1,6−de][1,4]オキサゾシン−1(2H)−オン
本発明化合物は、以下の4つの一般的な方法A、B、Cおよび/またはDにより製造することができる。なお、個々の具体的な製造方法については、後述の実施例[製造例]の項で詳細に説明する。また、下記の合成経路中で使用されているHalは臭素などのハロゲン原子、dbaはジベンジリデンアセトンおよびcodはシクロオクタジエンを示す。
【0106】
本発明化合物(Ia)は、Xの種類によって、一般的合成経路Aによって合成することができる。以下に一般的合成経路Aの具体的方法(A−1〜3)を示す。
【0107】
(一般的合成経路A)
本発明化合物(Ia;XおよびX=OまたはNH)は合成経路A−1に従い製造することができる。すなわち化合物(II;X=OまたはNH)をエタノールなどの有機溶媒中、塩化スズなどの還元剤を用い、室温から100℃で、1時間から24時間反応させることで化合物(Ia;X=OまたはNH)を得ることができる。
合成経路A−1
【0108】
【化4】

【0109】
化合物(II;X=OまたはNH)は合成経路A−2に従い製造することができる。すなわち文献公知の有機スズ化合物(III)と化合物(IV;X=OまたはNH)をN,N−ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムなどの遷移金属触媒存在下、室温から100℃で1時間から24時間反応させることで化合物(II)を得ることができる。
合成経路A−2
【0110】
【化5】

【0111】
化合物(IV;X=OまたはNH)は合成経路A−3に従い製造することができる。すなわち化合物(V;X=OまたはNH)と化合物(VI)をN,N−ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中、室温または還流条件下で、1時間から24時間反応させることで化合物(IV)を得ることができる。
合成経路A−3
【0112】
【化6】

【0113】
(一般的合成経路B)
本発明化合物(Ia)は、Xの種類によって、一般的合成経路Bによって合成することができる。以下に一般的合成経路Bの具体的方法(B−1〜4)を示す。
【0114】
本発明化合物(Ia;X=S)は合成経路B−1に従い製造することができる。すなわち、化合物(VII)を塩化メチレンなどの有機溶媒中、トリフロ酢酸などの酸存在下、室温から100℃で、1時間から24時間反応させることで化合物(Ia)を得ることができる。
合成経路B−1
【0115】
【化7】

【0116】
化合物(VII;X=S)は合成経路B−2に従い製造することができる。すなわち化合物(VIII)とチオール(IX)を1,4−ジオキサンなどの有機溶媒中、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(Xantphos)などの配位子、ビスジベンジリデンアセトンパラジウム(Pd(dba))などの遷移金属触媒とジイソプロピルエチルアミン(DIEA)などの有機塩基の存在下、室温から100℃で、1時間から24時間反応させることで化合物(VII;X=S)を得ることができる。
合成経路B−2
【0117】
【化8】

【0118】
化合物(VIII)は合成経路B−3に従い製造することができる。すなわち化合物(III)と化合物(X)をN,N−ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムなどの遷移金属触媒存在下、室温から100℃で、1時間から24時間反応させることで化合物(VIII)を得ることができる。
合成経路B−3
【0119】
【化9】

【0120】
合成経路B−2で用いた化合物(IX)は合成経路B−4に従い製造することができる。すなわち、化合物(XI)をテトラヒドロフランなどの有機溶媒中、二炭酸t−ブチルなどの試薬と室温または還流条件下で、1時間から24時間反応させることで化合物(IX)を得ることができる。
合成経路B−4
【0121】
【化10】

【0122】
(一般的合成経路C)
本発明化合物(Ia;X=NR)の一部は、一般的合成経路Aおよび/またはBで合成した本発明化合物(Ia;X=NH)を用いてR基やR基、X基の種類によって一般的合成経路Cによっても合成することができる。R基はさらに一般的な有機合成反応を用いる事により様々な変換が可能である。以下に一般的合成経路Cの具体的方法(C−1)を示す。
【0123】
本発明化合物(Ia;X=NR)は合成経路C−1に従い製造することができる。すなわち本発明化合物(Ia;X=NH)を種々のアルキル化剤(R−Hal)とN,N−ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中、水素化ナトリウムなどの塩基存在下、室温から100℃にて、1時間から24時間反応させることで化合物(Ia;X=NR)を得ることができる。
合成経路C−1
【0124】
【化11】

【0125】
(一般的合成経路D)
本発明化合物(Ib;n=0または1、R=HまたはCH)は、一般的合成経路Cで合成した本発明化合物(Ia;R=CH−(CH−CHCH=CH、n=0または1)を用いてR基やR基、R基の種類によって一般的合成経路Dによって合成することができる。以下に一般的合成経路Dの具体的方法(D−1)を示す。
【0126】
本発明化合物(Ib;n=0または1、Ra=HまたはCH)は合成経路D−1に従い製造することができる。すなわち、本発明化合物(Ia;R=CH−(CH−CHCH=CH、n=0または1)をn−ブチルエーテルなどの有機溶媒中、トリフェニルホスフィンなどの配位子、[RhCl(cod)]などの遷移金属触媒の存在下、100℃から200℃で、1時間から24時間反応させることで化合物(Ib;n=0または1、Ra=HまたはCH)を得ることができる。
合成経路D−1
【0127】
【化12】

【0128】
本発明化合物の薬理作用については、後述の実施例[薬理試験]の項で詳しく説明するが、本発明者らは、環状スクアリン酸アミド誘導体のカルシウムチャネル拮抗作用を検討した。すなわち、モルモット摘出大動脈のカルシウム依存の筋収縮モデルにおいて、該化合物のカルシウムチャネル拮抗作用を検討した結果、該化合物に優れたカルシウムチャネル拮抗作用があることを見出した。
【0129】
よって、カルシウムチャネル拮抗作用を有する本発明化合物は、カルシウム拮抗剤が有用とされる疾患、たとえば、高血圧症、狭心症、不整脈、肥満、アルツハイマー病、脳循環障害、てんかん、緑内障、炎症性疼痛、神経因性疼痛などの疾患の予防および/または治療剤として有用である。
【0130】
本発明化合物は経口でも、非経口でも投与することができる。投与剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、注射剤、点眼剤などが挙げられ、それらは汎用されている技術を用いて製剤化することができる。
【0131】
たとえば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの経口剤であれば、乳糖、マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどの賦形剤、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クエン酸カルシウムなどの崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂などのコーティング剤、パラオキシ安息香酸エチル、ベンジルアルコールなどの安定化剤、甘味料、酸味料、香料などの矯味矯臭剤などを必要に応じて使用して調製することができる。
【0132】
また、注射剤、点眼剤などの非経口剤であれば、塩化ナトリウム、濃グリセリンなどの等張化剤、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの緩衝化剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシ40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの界面活性剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウムなどの安定化剤、塩化ベンザルコニウム、パラベンなどの防腐剤などを必要に応じて使用して調製することができる。
【0133】
本発明化合物の投与量は、症状、年齢、剤形などにより適宜選択することができる。たとえば、経口剤であれば通常1日当たり0.1〜5000mg、好ましくは1〜1000mgを1回または数回に分けて投与することができる。また、点眼剤は通常0.0001%(w/v)〜10%(w/v)、好ましくは0.01%(w/v)〜5%(w/v)の濃度のものを1回または数回に分けて投与することができる。
【0134】
以下に、本発明化合物の製造例、製剤例および薬理試験の結果を示す。なお、これらの例示は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0135】
[製造例]
本発明化合物の代表的な製造例を以下に示す。
【0136】
<参考例1:2−ヨード−N−(2−ニトロフェニル)アニリン(参考化合物1−1)>
氷冷下、2−ヨードアニリン(133.6mg、0.610mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(6ml)に水素化ナトリウム(48.8mg、1.22mmol,in 60% mineral oil)を加えた。この反応液を5分間撹拌した後、さらに2−ニトロフルオロベンゼン(32μl、0.305mmol)を加えて120℃で22時間加熱した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製し、標記参考化合物2−ヨード−N−(2−ニトロフェニル)アニリン(46.1mg、0.136mmol、44.6%)を得た。
【0137】
【表1】

【0138】
<参考例2:3−(2−ブロモフェニル)−4−イソプロポキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン(参考化合物2−1)>
窒素雰囲気下、3−イソプロポキシ−4−(トリブチルスタニル)−3−シクロブテン−1,2−ジオン(CAS129034−70−4、米国特許第5,106,842号明細書、2.01g、5.59mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(9ml)に1−ブロモ−2−ヨードベンゼン(0.620ml、5.38mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(259mg、0.224mmol)、ヨウ化銅(84mg、0.442mmol)を加えて、室温で18時間撹拌した。反応溶液にジエチルエーテル(適量)を加え、塩化アンモニウム水溶液(適量)で洗浄した後、さらに10%フッ化カリウム水溶液(50ml×2)で洗浄した。有機層をシリカゲル上でろ過し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧濃縮することにより標記参考化合物3−(2−ブロモフェニル)−4−イソプロポキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン(1.05g、収率63.5%)を得た。
【0139】
【表2】

【0140】
以下、3−ブロモ−2−クロロピリジン(市販化合物)、1−ヨード−2−(2−ニトロフェノキシ)ベンゼン(CAS860465−22−1、国際公開第2007/117560号パンフレット)、参考化合物1−1および/またはtert−ブチル 2−(2−ヨードフェノキシ)エチルカルバメート(CAS1056015−76−9、J.Am.Chem.Soc.2008,130,12574−12575)を使用し、参考化合物2−1の製造方法に準じて、参考化合物2−2、参考化合物3−1、参考化合物3−2および参考化合物3−3を得た。
【0141】
【表3】

【0142】
【表4】

【0143】
<参考例3:tert−ブチル 2−(2−(2−イソプロポキシ−3,4−ジオキサシクロブテン−1−イル)フェニルチオ)エチルカルバメート(参考化合物4−1)>
窒素雰囲気下、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(36.1mg、0.0624mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(17.9mg、0.0312mmol)および3−(2−ブロモフェニル)−4−イソプロポキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン(参考化合物2−1、92.1mg、0.312mmol)のジオキサン溶液(2.5ml)にN−エチルジイソプロピルアミン(163μl、0.936mmol)、tert−ブチル 2−メルカプトエチルカルバメート(CAS67385−09−5、J.Org.Chem.1980,45,3084−3088、138.2mg、0.780mmol)を加え、2時間還流した。室温まで放冷後、反応混合物を、セライトを用いて吸引ろ過し、パラジウムを含む不溶物を取り除いた。得られたろ液を酢酸エチルで希釈した後、水により洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮して得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、標記参考化合物tert−ブチル 2−(2−(2−イソプロポキシ−3,4−ジオキサシクロブテン−1−イル)フェニルチオ)エチルカルバメート(95.8mg、0.245mmol、78.5%)を得た。
【0144】
【表5】

【0145】
以下、参考化合物2−1、参考化合物2−2、N−tert−ブトキシカルボニル−L−システインメチルエステル(市販化合物)、N−tert−ブトキシカルボニル−D−システインメチルエステル(CAS133904−67−3、J.Org.Chem.1989,54,2940−2949)および/またはtert−ブチル 2−メルカプトフェニルカルバメート(CAS878498−56−7、J.Org.Chem.2006,71,8283−8286)を使用し、参考化合物4−1の製造方法に準じて、参考化合物4−2、参考化合物4−3、参考化合物4−4、参考化合物4−5、参考化合物4−6、参考化合物4−7および参考化合物4−8を得た。
【0146】
【表6】

【0147】
【表7】

【0148】
【表8】

【0149】
【表9】

【0150】
<実施例1:10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン(化合物1−1)>
3−イソプロポキシ−4−(2−(2−ニトロフェノキシ)フェニル)−3−シクロブテン−1,2−ジオン(参考化合物3−1、100mg、0.283mmol)のエタノール(2ml)−水(0.4ml)混合溶液に塩化スズ(II)・二水和物(320.4mg、1.42mmol)を加え、この反応溶液を2時間還流した。反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルを加え、析出した固体をセライトでろ過後、抽出を行った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して得られた固体をヘキサン/酢酸エチル(4/1)の混合溶媒(適量)でろ取し、標的化合物10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン(51.9mg、0.197mmol、69.6%)と10−ヒドロキシ−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン(3.4mg、0.0122mmol、4.3%)を得た。
【0151】
【表10】

【0152】
以下、参考化合物3−2を使用し、化合物1−1の製造方法に準じて、化合物1−3を得た。
【0153】
【表11】

【0154】
<実施例2:(R)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート(化合物2−1)>
(R)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(2−(2−イソプロポキシ−3,4−ジオキソシクロブテン−1−イル)フェニルチオ)プロピオン酸(参考化合物4−3、125.4mg、0.279mmol)のジクロロメタン溶液(2ml)にトリフルオロ酢酸(2ml)を加えて室温で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮した後、酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出を行った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮することにより、標的化合物(R)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート(63.9mg、0.221mmol、79.2%)を得た。
【0155】
【表12】

【0156】
以下、参考化合物3−3、参考化合物4−1、参考化合物4−2、参考化合物4−4、参考化合物4−5、参考化合物4−6、参考化合物4−7および/または参考化合物4−8を使用し、化合物2−1の製造方法に準じて、化合物2−2、化合物2−3、化合物2−4、化合物2−5、化合物2−6、化合物2−8、化合物1−4および化合物1−5を得た。
【0157】
【表13】

【0158】
【表14】

【0159】
【表15】

【0160】
<実施例3:10−(2−ブロモエチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン(化合物1−6)>
10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン(化合物1−4、104.6mg、0.374mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(2.1ml)に氷浴下で水素化ナトリウム(18.0mg、0.449mmol、in 60% mineral oil)を加え、この反応溶液を5分間撹拌した後、1,2−ジブロモエタン(161μl、1.87mmol)を加え80℃で17時間加熱した。反応溶液を酢酸エチルで希釈した後、水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた固体をヘキサン/酢酸エチル(4/1)の混合溶媒(適量)でろ取し、標的化合物10−(2−ブロモエチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン(123.5mg、0.320mmol、85.6%)を得た。
【0161】
【表16】

【0162】
以下、化合物1−1、化合物1−4、化合物2−5、化合物2−8および/または市販化合物を使用し、化合物1−6の製造方法に準じて、化合物1−7、化合物1−8、化合物1−9、化合物1−10、化合物1−11、化合物2−7、化合物2−9、化合物2−10および化合物2−11を得た。
【0163】
【表17】

【0164】
【表18】

【0165】
【表19】

【0166】
【表20】

【0167】
【表21】

【0168】
<実施例4:10−(2−モルホリノエチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン(化合物3−1)>
10−(2−ブロモエチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン(化合物1−6、110mg、0.285mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(2.7ml)にモルホリン(49.9μl、0.570mmol)を加え、この反応溶液を80℃で18時間加熱を行った。反応溶液を酢酸エチルで希釈した後水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製し、標的化合物10−(2−モルホリノエチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン(30.1mg、0.0767mmol、26.9%)を得た。
【0169】
【表22】

【0170】
以下、化合物1−6、化合物1−7および/または市販化合物を用いて、化合物3−1の製造方法に準じて、化合物3−2、化合物3−3、化合物3−4、化合物3−5および化合物3−6を得た。
【0171】
【表23】

【0172】
【表24】

【0173】
【表25】

【0174】
<実施例5:(2R,2aS)−2−メチル−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン(化合物4−1)および(2aS)−2a,3,4,5,6,7,9,10−オクタヒドロ−8−チア−5a−アザシクロオクタベンゾ[n][1,2,3−cd]インデン−1(2H)−オン(化合物4−2)>
窒素雰囲気下、8−(ペンテン−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−9,10−ジオン(化合物2−7、46.9mg、0.157mmol)、[{RhCl(cod)}](4.97mg、0.0102mmol)、トリフェニルホスフィン(10.7mg、0.0408mmol)に脱気を行ったn−ブチルエーテル(2ml)を加え,この反応溶液を封管中にて145℃で24時間加熱を行った。反応溶液をセライトろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することにより標的化合物(2R,2aS)−2−メチル−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン(4.4mg、0.0162mmol,10.3%)および標的化合物(2aS)−2a,3,4,5,6,7,9,10−オクタヒドロ−8−チア−5a−アザシクロオクタベンゾ[n][1,2,3−cd]インデン−1(2H)−オン(35.2mg、0.130mmol、82.8%)を得た。
【0175】
【表26】

【0176】
得られた化合物4−1について、立体配置を確認した結果、下記表27に示すような(2R,2aR)−2−メチル−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オンであることが判明した。
【0177】
【表27】

【0178】
以下、化合物1−8、化合物1−9、化合物1−10、化合物1−11、化合物2−9、化合物2−10および/または化合物2−11を用いて、化合物4−1の製造方法に準じて、化合物4−3、化合物4−4、化合物4−5、化合物4−6、化合物4−7、化合物4−8、化合物4−9および化合物4−10を得た。
【0179】
【表28】

【0180】
【表29】

【0181】
【表30】

【0182】
【表31】

【0183】
[製剤例]
本発明化合物の代表的な製剤例を以下に示す。
【0184】
1)錠剤(100mg中)
本発明化合物 1mg
乳糖 66.4mg
トウモロコシデンプン 20mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 6mg
ヒドロキシプロピルセルロース 4mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
上記処方の錠剤に、コーティング剤(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂などの通常のコーティング剤)2mgを用いてコーティングを施し、目的とするコーティング錠を得る。また、本発明化合物並びに添加物の種類および量を適宜変更することにより、所望の錠剤を得ることができる。
【0185】
2)カプセル剤(150mg中)
本発明化合物 5mg
乳糖 145mg
本発明化合物と乳糖の混合比を適宜変更することにより、所望のカプセル剤を得ることができる。
【0186】
3)点眼剤(100mL中)
本発明化合物 100mg
塩化ナトリウム 900mg
ポリソルベート80 200mg
水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量
本発明化合物並びに添加物の種類および量を適宜変更することにより、所望の点眼剤を得ることができる。
【0187】
[薬理試験]
(カルシウム拮抗活性測定法)
Krebs液を満たした臓器浴に37℃で摘出したモルモット胸部大動脈らせん状片を懸垂し、5%の炭酸ガスを含んだ酸素を吹き込む。平衡に達した後、筋をCa2+除去Krebs液に懸垂する。CaCl添加前に30分間被験化合物で前処理し、CaCl(2mM)によって引きおこされた収縮を等張性に記録した。
【0188】
カルシウム拮抗活性は、Ca2+により引きおこされた収縮の50%抑制(IC50)を示す被験化合物の濃度で表した。
【0189】
(試験結果および考察)
試験結果の一例として、被験化合物(化合物3−1、化合物3−2、化合物3−3、化合物3−4、化合物3−5、化合物3−6、化合物4−2、化合物4−3、化合物4−4、化合物4−6、化合物4−7、化合物4−8、化合物4−9、化合物4−10および陽性対照化合物(ジルチアゼム)のカルシウム拮抗活性(IC50)を表32に示す。
【0190】
【表32】

【0191】
表32に示されるとおり、本発明化合物は優れたカルシウムチャネル拮抗作用を示した。よって、本発明化合物はカルシウム拮抗剤が有用とされる疾患の予防および/または治療剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物またはその塩。
【化1】

[式中、Aは置換基を有してもよい芳香族炭化水素環または置換基を有してもよい芳香族複素環を示し;
およびXは同一または異なって、酸素原子、硫黄原子またはNRを示し;
YはCO、CS、CNR、−CR−、−CRCR−またはCRCRCR10−を示し;
Zはカルコゲン原子またはNR11を示し;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基または置換基を有してもよい有機基を示し;
とRは一緒になって、置換基を有してもよい炭化水素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく;
、R、R、R、RおよびR10のいずれか1つはRと一緒になって置換基を有してもよい複素環を形成してもよく;
破線は単結合または二重結合を示す。]
【請求項2】
下記一般式(1)で表される化合物またはその塩。
【化2】

[式中、Aは置換基を有してもよい芳香族炭化水素環または置換基を有してもよい芳香族複素環を示し;
およびRは同一または異なって、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、カルボキシル基、置換基を有してもよい低級アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルケニルオキシカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルキニルオキシカルボニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルオキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよい複素環オキシカルボニル基、ホルミル基、置換基を有してもよい低級アルキルカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルケニルカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルキニルカルボニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルカルボニル基、置換基を有してもよいアリールカルボニル基、置換基を有してもよい複素環カルボニル基、アミノカルボニル基、置換基を有してもよい低級アルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよいアリールアミノカルボニル基または置換基を有してもよい複素環アミノカルボニル基を示し;
とRは一緒になって置換基を有してもよい芳香族炭化水素環または置換基を有してもよい芳香族複素環を形成してもよく;
およびXは同一または異なって、酸素原子、硫黄原子またはNRを示し;
は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルオキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基または置換基を有してもよい複素環オキシ基を示し;
YはCO、CS、CNR、−CR−、−CRCR−またはCRCRCR10−を示し;
は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、ヒドロキシ基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基を示し;
、R、R、R、RおよびR10は同一または異なって、水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;
、R、R、R、RおよびR10のいずれか1つはRと一緒になって置換基を有してもよい非芳香族複素環を形成してもよく;
Zは酸素原子、硫黄原子またはNR11を示し;
11は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、ヒドロキシ基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基を示し;
破線は単結合または二重結合を示す。]
【請求項3】
一般式(1)において、
Aが芳香族炭化水素環または含窒素芳香族複素環を示し;
およびRが同一または異なって、水素原子、低級アルキル基、カルボキシル基または低級アルコキシカルボニル基を示し;
とRが一緒になって芳香族炭化水素環または含窒素芳香族複素環を形成してもよく;
およびXが同一または異なって、酸素原子、硫黄原子またはNRを示し;
が水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基または低級アルコキシ基を示し;
が低級アルキル基の場合、該低級アルキル基はハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、芳香族複素環基および非芳香族複素環基からなる群より選択される1または複数の基で置換されてもよく、さらに前記非芳香族複素環基は置換基を有してもよい低級アルキル基および置換基を有してもよいアリール基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく;
YがCO、CS、−CR−、−CRCR−またはCRCRCR10−を示し;
、R、R、R、RおよびR10が同一または異なって、水素原子または低級アルキル基を示し;
、R、R、R、RおよびR10のいずれか1つがRと一緒になって非芳香族複素環を形成してもよく;
Zが酸素原子または硫黄原子を示し;
破線が単結合または二重結合を示す請求項1または2に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
一般式(1)において、
Aがベンゼン環またはピリジン環を示し;
およびRが同一または異なって、水素原子、カルボキシル基または低級アルコキシカルボニル基を示し;
とRが一緒になってベンゼン環またはピリジン環を形成してもよく;
およびXが同一または異なって、酸素原子、硫黄原子またはNRを示し;
が水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基または低級アルコキシ基を示し;
が低級アルキル基の場合、該低級アルキル基はハロゲン原子、低級アルケニル基、低級アルキニル基および非芳香族複素環基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく、さらに前記非芳香族複素環基は低級アルキル基およびハロゲン原子で置換されてもよいアリール基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく;
YがCO、CSまたはCRCR−を示し;
、R、RおよびRが同一または異なって、水素原子または低級アルキル基を示し;
、R、RおよびRのいずれか1つがRと一緒になって含窒素非芳香族複素環を形成してもよく;
Zが酸素原子または硫黄原子を示し;
破線が単結合または二重結合を示す請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
一般式(1)において、
Aがベンゼン環またはピリジン環を示し;
およびRが同一または異なって、水素原子または低級アルコキシカルボニル基を示し;
とRが一緒になってベンゼン環を形成してもよく;
が酸素原子、硫黄原子またはNHを示し;
がNRを示し;
が水素原子、ヒドロキシ基または低級アルキル基を示し;
が低級アルキル基の場合、該低級アルキル基はハロゲン原子、低級アルケニル基および非芳香族複素環基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく、さらに前記非芳香族複素環基は低級アルキル基およびハロゲン原子で置換されてもよいアリール基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく;
YがCOまたはCRCR−を示し;
、R、RおよびRが同一または異なって、水素原子または低級アルキル基を示し;
、R、RおよびRのいずれか1つがRと一緒になってピロリジン環またはピペリジン環を形成してもよく;
Zが酸素原子を示し;
破線が二重結合を示す請求項1〜4のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン、
10−ヒドロキシ−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン、
ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]ジアゾシン−11,12(5H,10H)−ジオン、
(R)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート、
(S)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート、
(R)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−シクロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート、
(S)−メチル 9,10−ジオキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−シ
クロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−7−カルボキシレート、
7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−9
,10−ジオン、
7,8−ジヒドロ−6H−シクロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−9,10−ジオン、
10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン、
5H−ベンゾ[b]シクロブタ[e]ピリド[3,2−g][1,4]チアゾシン−5,6(7H)−ジオン、
7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−9,10−ジオン、
10−(2−ブロモエチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン、
10−(3−ブロモプロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン、
8−(ペンテン−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−9,10−ジオン、
10−(ペンテン−4−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン、
10−(2−モルホリノエチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン、
10−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン、
10−(2−(4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン、
10−(3−モルホリノプロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン、
10−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン、
10−(3−(4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)プロピル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン、
(2R,2aR)−2−メチル−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン、
(2aS)−2a,3,4,5,6,7,9,10−オクタヒドロ−8−チア−5a−アザシクロオクタベンゾ[n][1,2,3−cd]インデン−1(2H)−オン、
(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタジベンゾ[k,n][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン、
(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−オキサ−4a−アザシクロオクタジベンゾ[k,n][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン、
10−(ペンテン−4−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン、
8−(ペンテン−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−9,10−ジオン、
8−(ブテン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−9,10−ジオン、
10−(ブテン−3−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]チアゾシン−11,12−ジオン、
8−(ブテン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ベンゾ[g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−9,10−ジオン、
10−(ブテン−3−イル)−10H−ジベンゾ[b,g]シクロブタ[e][1,4]オキサゾシン−11,12−ジオン、
(2S,2aS)−2−メチル−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−オキサ−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン、
(2aS)−2a,3,4,5,6,7,9,10−オクタヒドロ−8−オキサ−5a−アザシクロオクタベンゾ[n][1,2,3−cd]インデン−1(2H)−オン、
(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−チア−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン、
(2aS)−2a,3,4,4a−テトラヒドロジベンゾ[b,g]ペンタレノ[1,6−de][1,4]チアゾシン−1(2H)−オン、
(2aS)−2,2a,3,4,5,6,8,9−オクタヒドロ−1H−7−オキサ−4a−アザシクロオクタベンゾ[m][1,2,3−cd]ペンタレン−1−オン、
および
(2aS)−2a,3,4,4a−テトラヒドロジベンゾ[b,g]ペンタレノ[1,6−de][1,4]オキサゾシン−1(2H)−オン
からなる群より選択される化合物またはその塩。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の化合物またはその塩の少なくとも1つを有効成分として含有する医薬。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の化合物またはその塩の少なくとも1つを有効成分とするカルシウム拮抗剤。

【公開番号】特開2011−190238(P2011−190238A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205640(P2010−205640)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【Fターム(参考)】