説明

新規粒子および複合粒子、それらの使用、ならびにアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物からそれらを製造する新規方法

【課題】本発明の目的は、アルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物を主成分とする粒子および複合粒子、およびそのための好適な製造方法を提供することである。
【解決手段】新規粒子および複合粒子、それらの使用、ならびにアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物からそれらを製造する新規方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規粒子および複合粒子、それらの使用、ならびにアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物からそれらを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の文脈において、粒子または複合粒子は固体であり、空気中または液体中に分散した、ほとんどの場合には微粉砕された物質および組成物を意味するものと理解されたい。本明細書において微粉砕とは、粒子が3つ全ての寸法で1cm以下、好ましくは大きさが100nm〜2mmであることを意味する。粒子を区別する重要な特徴は:大きさ、形状、質量、密度、適切であれば細孔容積および孔径、ならびにそれらの分布、さらには電気的および磁気的性質である。本明細書に記載される粒子は、緻密に充満していてもよいし、空隙が通り抜けていてもよく、その空隙は、適切であればたとえば、ガス、空気、液体、さらには固体またはポリマーなどのさらに別の成分で部分的または完全に充填されていてもよい。充填物は、前記成分の混合物からなる場合もある。充満または充填された粒子の場合、スポンジ(マトリックス)からコア/シェル粒子までの範囲の全ての形態が可能である。
【0003】
架橋性ポリエーテル類を主成分とする粒子および複合粒子は、文献においては事実上未知である。わずかに、特開平11−255889号には、メチルジメトキシシリル基を末端に有する線状ポリプロピレンオキシドからの球状粒子の製造が記載されている。
【0004】
対照的に、粉末シリコーン化合物は、化粧品および洗面用化粧品中の添加剤として、たとえば、つや消し剤として、皮脂の吸収剤または絹のような皮膚感触を得るための吸収剤として、たとえば耐摩耗性または耐擦傷性、および耐衝撃性を増加させるためのポリマーおよび塗料またはコーティングの機械的性質を改善するための添加剤として、さらには、多種多様な表面の潤滑特性を改善するためのブロッキング防止剤として、粉末中の流動性または分散性助剤として、トナー中の添加剤として、ならびに洗浄および手入れ用配合物中の軽度の研磨剤として、広範囲ですでに使用されている。
【0005】
このような粒子を製造するための数種類の方法が周知である。基本的には、非回転楕円体形状のシリコーンエラストマー粒子は、特定の塊状のエラストマーの粉砕加工によって得ることができるが、回転楕円体または球状の粒子は、特に粒子が加えられる材料および配合物の心地よい(絹のような、柔軟な、しなやかな)触覚特性が望ましい場合に、一般に有利な性能を示す。通常、このような粒子は、反応物の液滴中の架橋反応によって、または粒子コア上へのポリマーの成長/塗布によって製造される。これに関連して、架橋反応は、ヒドロシリル化反応、縮合反応、脱水素カップリング反応、またはその他のフリーラジカル重合であってよい。
【0006】
ヒドロシリル化によるシリコーン粒子は、たとえば、米国特許第4,761,454号、特開2003−301047号、および欧州特許1 074 575号に記載されており、シリコーン粒子を製造するための加水分解および縮合反応は、欧州特許第1 130 046号、国際公開第2006/016968号、特開2003−002973号、米国特許第6,753,399号、欧州特許第0 765 896号、および欧州特許第0 744 432号に見ることができ、米国特許出願公開第2004/0156808号には、この目的のための脱水素カップリング反応が記載されている。最後に、独国特許第10 2004 053 314号には、フリーラジカル重合によって得ることができるコポリマーが記載されている。本明細書において言及されるそれぞれの明細書において、粒子の製造の出発点は、対応するモノマーの乳化である。
【0007】
シリコーンアクリレートのミニ乳化物重合は、文献において周知となっている(“Polydimethyl siloxane latexes and copolymers by polymerization and polyaddition in miniemulsion”, Katharina Landfester, Ute Pawelzik, Markus Antonietti, Polymer, 46 (2005), 9892-9898)。
【0008】
未公開独国特許出願第10 2009 022630.3号には、アルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物、特に式(1)の化合物の安定な水性乳化物が記載されている。
【0009】
水性乳化物は、一般に、分子乳化剤を使用して安定化される。これらの分子は、油/水界面において形成され、それによって、乳化物が最終的に巨視的な油相と水相とに分離する原因となる液滴の合体および/またはオストワルド成長が防止される。あるいは、乳化物は、固体の吸着によって安定化させることができる。固体で安定化された水性乳化物は、1907年にS. U. Pickeringによって記載されており(“Emulsions”, Spencer Umfreville Pickering, Journal of the Chemical Society, Transactions (1907), 91, 2001-2021)、合体に対して特に安定であると考えられる。したがって、たとえば独国特許第10 2004 014 704号には、焼成粒子で安定化される乳化物の調製が記載されている。このような安定化固体粒子の性質の優れた概説は、Bernhard P. Binksによる“Particles as surfactants − similarities and differences”(Current opinion in colloid & interface science, 7 (2002), 21-41)に見ることができる。従来技術としては、たとえば仏国特許第2 808 704号に記載されるような、いわゆる「Janus粒子」、すなわち半球状に改質された表面を有する両親媒性粒子も挙げられる。乳化物の安定化に特に良好なものは、ナノスケールの、主として無機の粒子、たとえばシリカ粒子であり、これはGrace Davisonより「LUDOX(登録商標)」として水性ゾルおよび分散物の形態で市販されている。米国特許第3,615,972号(1967年)には、その後の重合を伴う、メタクリル酸メチルの乳化物を安定化させるためのLUDOX(登録商標)粒子の使用が初めて記載されている。独国特許第10 2007 058 713号には、LUDOX(登録商標)粒子で安定化させた乳化物中でのシリコーン(メタ)アクリレート粒子の製造が記載されている。この文献中で検討されている安定化作用の機構は、粒子の凝集、および水/油界面における凝集物の濃縮である(“The mechanism of emulsion stabilization by small silica (LUDOX(登録商標)) particles”, Helen Hassander, Beatrice Johansson, Bertil Toernell, Colloids and Surfaces, 40, (1989), 93-105)。
【0010】
従来技術により製造された粒子の欠点の1つは、ポリジメチルシロキサン様粒子表面は改質が困難であることである。しかし、種々の技術的要求に粒子を適合できるようにするため、すなわち、たとえば種々のマトリックスへの接着を可能にしたり、または配合物中への混入を容易にしたり実際に可能にしたりするために、このような表面の改質が望ましいことが多い。
【0011】
これらの欠点の一部は、複合粒子によって克服可能である。複合粒子は、コア/シェル粒子と、スポンジ状構造を有する粒子の両方を意味するために本明細書で使用される用語であり、これらの定義の範囲内の全ての構造を含み、追加の固体が混入されている粒子も含んでいる。
【0012】
たとえば、米国特許第4,946,893号(欧州特許第0 319 828号)には、水相中のヒドロシリル化反応によって無機粒子が充填されたシリコーン粒子の調製が記載されており、米国特許第5,176,960号には、疎水化SiOをジオルガノポリシロキサンと混合し、続いて噴霧乾燥によって硬化させることによる、高度に充填され機械的に耐久性のシリコーン粒子の調製が記載されている。対照的に、コア/シェル粒子は、表面特性の目標に対する改質が可能であり、所望の性能特性に影響を与えることができる。
【0013】
調製方法およびコア/シェル粒子の使用に依存するが、これらの粒径は、ナノメートル範囲内またはマイクロメートル範囲内となりうる。コア/シェル粒子は、たとえば、文献において周知の方法によって製造することができ;たとえば欧州特許第0 661 334号には、オルガノポリシルセスキオキサン樹脂で表面コーティングされたシリコーン粒子およびそれらの製造が記載されており、米国特許出願公開第2006/0084758号には、より小さなシリコーン粒子で表面改質されたシリコーン粒子の製造が記載されており、後に水相からSiOでコーティングされるシリコーン粒子を欧州特許第0 079 322号、欧州特許第5 487 624号、および欧州特許第0 516 057号に見ることができる。さらに、欧州特許第0 079 322号には、油相を補助として使用してSiOで表面コーティングしたシリコーン粒子が記載されている。シリコーンポリマーコアと有機ポリマーシェルとを有するコア/シェル粒子が、独国特許第10 2004 047 708号および独国特許第10 2004 022 406号に(水性コーティング中での使用が欧州特許第0 882 105号に、粉末コーティング中での使用が欧州特許第0 852 610号に)記載されている。
【0014】
さらに、無機コアとシリコーンシェルとを有するコア/シェル構造に関する文献も多数存在し、たとえば欧州特許第0 822 232号および欧州特許第0 433 727号が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
引用の従来技術とは対照的に、本発明は、特に1μmを超え2mm未満の範囲内の、アルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物を主成分とする、またはさらにはアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物のみからなる粒子の調製を説明する。
【0016】
本発明の目的は、アルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物を主成分とする粒子および複合粒子、およびそのための好適な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、300g/mol以上のモル質量を有し、特に式(1)の化合物であるアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物の粒子および/または複合粒子を製造するための縮合によって実現される。式(1)の化合物はシリルポリエーテルと呼ぶ場合もある。好ましくは、本発明のアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物は少なくとも1つのヒドロキシル基をも有する。
【0018】
この製造は、少なくとも1種類のアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物を場合により固体で安定化された水相中に含む乳化有機相の縮合によって行われ、好ましくは水相を介して加えられる触媒によって行われる。
【0019】
【化1】



(式中、
aは1〜3の整数、好ましくは3であり、
bは0〜2、好ましくは0〜1の整数、より好ましくは0であり、aとbの合計は3であり、
cは0〜22、好ましくは0〜12、より好ましくは0〜8、非常に好ましくは0〜4、特に1または3の整数であり、
dは1〜500、好ましくは1〜100、特に好ましくは1より大きく、特により好ましくは2〜20、特別に好ましくは2〜10の整数であり、
eは0〜10000、好ましくは1〜2000、より好ましくは2〜2000、特に2〜500の整数であり、
fは0〜1000、好ましくは0〜100、より好ましくは0〜50、より特定すれば0〜30の整数であり、
gは0〜1000、好ましくは0〜200、より好ましくは0〜100、より特定すれば0〜70の整数であり、
h、iおよびjは互いに独立に、0〜500、好ましくは0〜300、より好ましくは0〜200、より特定すれば0〜100の整数であり、
nは2〜8の整数であり、
但し、指数d〜jを有するフラグメントは互いに自由に順序を変えることができ、すなわち、ポリエーテル鎖内の配列中で互いに交換可能であり、
Rは、1〜20個、より特定すれば1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状飽和の単一もしくは多数不飽和アルキル基、または1〜20個の炭素原子を有するハロアルキル基から選択される、同じかまたは異なる1つまたは複数の基である。好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびsec−ブチル基に対応し、また、
は、ヒドロキシル基あるいは1〜1500個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の直鎖状、分岐状もしくは環状またはさらに置換されたオキシ有機基(その鎖はO、S、Siおよび/またはNなどのヘテロ原子が割り込んでもよい)、あるいは、オキシ芳香族系を含む基、あるいはRは、不飽和エーテル官能基であり、好ましくはアルコキシ、アリールアルコキシもしくはアルキルアリールアルコキシ基であり、特にポリエーテル基(その炭素鎖は酸素原子が割り込んでもよい)、あるいは、モノもしくはポリ縮合オキシ芳香基または場合により直鎖状または分岐状のシリコーン含有有機基であり、
またはR、さらにまたRまたはRは、同一かまたは互いに独立に、Hあるいは飽和または単一もしくは場合により多数不飽和の、さらに置換されたものを含む、場合により一価もしくは多価の炭化水素基であり、その基RおよびRは一価炭化水素基である。炭化水素基はフラグメントYを介して脂環的に架橋されていてもよく;Yは存在しないか、また1つまたは2つのメチレン単位を有するメチレン架橋であってもよく;Yが存在しない場合、RまたはRは互いに独立に、1〜20個、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状基であり、特に好ましくはメチル、エチル、プロピルもしくはブチル、ビニル、アリル基またはフェニル基である。好ましくは、2つの基RまたはRのうちの少なくとも1つは水素である。R−Rは−CHCHCHCH基であってもよく、したがってYは−(CHCH−)基であってもよい。炭化水素基RおよびRはさらに置換されていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシル基またはグリシジルオキシプロピル基などの官能基を有することができる。
は、1〜24個の炭素原子の直鎖状または分岐状アルキル基、または場合によりその一部にアルキル基を有していてもよい芳香族もしくは脂環式基であり、
およびRは互いに独立に、水素であるかまたはアルキル、アルコキシ、アリールもしくはアラルキル基であり、
、R10、R11およびR12は互いに独立に、水素であるかまたはアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールもしくはアラルキル基であり、ここで、炭化水素基はフラグメントZを介して脂環的または芳香族的に架橋されていてもよく、Zは二価アルキレン基またはアルケニレン基のいずれかであることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】式(1)のシリルポリエーテル1を示す。
【図2】実施例4で硬化した分散物の顕微鏡写真を示す。
【図3】実施例6で得られた乳化物の顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
その組成を具体的に記述する名称が存在しないもと、式(1)の化合物を、以後、式(1)の化合物またはその構造が慣用的な意味でポリマー性エーテルの特徴をもたない場合でも、シリルポリエーテル1と称する。しかし、当業者には、ポリエーテル構造要素とシリルポリエーテル1のそれとの構造的一致は明瞭であり、明らかである。
【0022】
本発明の関連では、「ポリエーテル」という用語は、ポリエーテル、ポリエーテルオール(polyetherol)、ポリエーテルアルコール、ポリエーテルエステルだけではなく、適切な場合、互いに同意語として用いられるポリエーテルカーボネートも包含する。そうした場合、「ポリ」という表現は、分子またはポリマー中に複数のエーテル官能基またはアルコール官能基が存在することを必ずしも意味するものではない。むしろ、この表現は、少なくとも、個別モノマー構成ブロックの繰り返し単位が存在することを単に指すか、あるいは、より大きなモル質量、さらには特定の多分散性を有する組成物を指す。
【0023】
本発明の関連で、単語のフラグメント「ポリ」は、分子中に1つまたは複数のモノマーの少なくとも3つの繰り返し単位を有する化合物のみではなく、具体的に、分子量分布を有し、かつ少なくとも300g/モルの平均分子量を有する化合物の組成物も包含する。この定義は、当技術分野においては、OECDまたはREACHの指針に沿ったポリマーの定義を満足するものではないように見える場合でも、この種の化合物を慣用的にポリマーと称する事情を考慮に入れたものである。
【0024】
当業者であれば、製造工程の結果としておよび式(1)の化合物のポリマー様性質により、モル質量分布を有し、対応する多分散性を有する生成物が通常形成されることを認識する。したがって、式(1)の定義に示された指数の数値は、モル質量分布中の異なる個々の分子の全ての可能な分布の平均値を意味することが理解されるべきである。
【0025】
は、式(2)の、アルコキシ化反応のためのスターター、すなわち出発化合物からくるフラグメントであり、
−H(2)
(このHはアルコールまたはフェノール化合物のOH基に属する)、式(2)のスターターは単独で使用しても、互いに混合して少なくとも1つの反応性ヒドロキシル基を有するものを使用してもよい;したがって出発化合物は水であってもよい。
【0026】
使用するOH官能性出発化合物R−H(2)は、好ましくは、18(水)〜10 000 g/モル、より特定すれば50〜2000g/モルのモル質量を有し、1〜8個、好ましくは1〜4個のヒドロキシル基を有する化合物である。
【0027】
好ましくは、使用する式(2)の出発化合物は、Rが、ヒドロキシル基あるいは1〜1500個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の直鎖状、分岐状もしくは環状またはさらに置換されたオキシ有機基(場合により、その鎖はO、S、SiまたはNなどのヘテロ原子が割り込んでもよい)、あるいは、オキシ芳香族系を含む基であり、好ましくはRは、アルコキシ、アリールアルコキシまたはアルキルアリールアルコキシ基、より特定すればポリエーテル基(その炭素鎖は酸素原子が割り込んでもよい)、あるいは単一もしくは多数縮合のオキシ芳香基または場合により分岐したシリコーン含有有機基である。
【0028】
さらに、R−Hはオキシアルキル官能性シロキサンまたはオキシ官能性ポリエーテルシロキサンであり得る。
【0029】
出発化合物として使用できる、アルコキシ、アリールアルコキシまたはアルキルアリールアルコキシ基を含有するポリエーテル基の鎖長は任意である。ポリエーテル、アルコキシ、アリールアルコキシまたはアルキルアリールアルコキシ基は、好ましくは1〜1500個の炭素原子、より好ましくは2〜300個の炭素原子、より特定すれば2〜100個の炭素原子を含む。
【0030】
式(2)の化合物は、好ましくはアルコール、ポリエーテルオールまたはフェノールの群から選択される。出発化合物としては、一価もしくは多価ポリエーテルアルコールまたはアルコールR−H(このHはアルコールまたはフェノールのOH基に属する)あるいは水を用いることが好ましい。
【0031】
出発化合物(2)としては、DMC触媒によるアルコキシ化によって予めその一部が調製される、1〜8個のヒドロキシル基および50〜2000g/モルのモル質量を有する低分子量ポリエーテルオールを用いることが有利である。
【0032】
式(2)の化合物の例には、水、アリルアルコール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ−、トリ−およびポリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジ−およびポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルオールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、セルロースシュガー、リグニン、または天然物をベースとした他のヒドロキシル含有化合物が含まれる。
【0033】
脂肪族および脂環式OH基を有する化合物の他に、1〜20個のフェノールOH官能基を有する任意の化合物も適している。これらには、例えばフェノール、アルキルフェノールおよびアリールフェノール、ビスフェノールAおよびノボラックが含まれる。
【0034】
このようにして調製される化合物は、アルコキシシリル官能基を、末端か、孤立するか、ブロック様の集積か、あるいはポリオキシアルキレン鎖中にランダムに分散した形で含む、アルコキシシリル基を含有するポリオキシアルキレン化合物から選択するという、合成における自由度を提供する。
【0035】
式(1)の化合物は、構造およびモル質量の点で、標的とするものを、再現性よく調製することができることを特徴とする。モノマー単位の配列は広い範囲で変えることができる。エポキシドモノマーは、所望により、ブロック様の配列かまたはランダムにポリマー鎖の中に組み込むことができる。反応成分の開環を伴う反応の結果として生成するポリマー鎖中に挿入されるフラグメントは、環状無水物および二酸化炭素がポリエーテル構造中にランダムに挿入されている(言い換えれば、同種のブロックではない)という限定のもとで、その配列に関しては互いに自由に順序を変えることができる。
【0036】
式(1)の化合物は、アルコキシシリル基置換された鎖を含み、その鎖は、反応成分の開環を伴う反応の結果として生成するポリマー鎖中に挿入されるフラグメントに対応するフラグメントd〜jの選択の結果として、標的とする様式で特に高度に官能化されており、したがって、異なるタイプの分野の用途に合わせるようにすることができる。
【0037】
したがって、本明細書に列記する式における指数、および指定した指数の値の範囲は、実際に存在する構造および/または混合物の可能な統計的分布の平均値と理解されるべきである。同じことは、例えば式(1)に正確に再現される構造式にも適用される。
【0038】
使用するエポキシド官能性アルコキシシランおよびさらなる任意のモノマーに応じて、また、適切な場合には二酸化炭素にも応じて、エステル改変またはカーボネート改変されたシリルポリエーテルを得ることが可能である。式(1)の化合物中のアルコキシシリル単位は、好ましくはトリアルコキシシリル単位である。
【0039】
29Si−NMRおよびGPCによる試験で示されるように、鎖末端位置でのOH基の、プロセスに関連した存在は、DMC触媒による調製の間だけではなく、例えば下流の工程ステップにおいても、ケイ素原子でのエステル交換反応の可能性を提供する。これに関連して、基本的には(formally)、酸素原子を介してケイ素と結合したアルキル基Rは、長鎖の改変アルコキシシリルポリマー基で置き換えられる。二峰性および多峰性のGPC曲線は、アルコキシ化生成物が、式(1)に示すようなエステル交換されていない種だけではなく、2倍、場合によっては3倍、さらには4倍ものモル質量を有するものを含むことを実証している。したがって、式(1)は、複雑な化学的実態を非常に簡略化した形で示している。
【0040】
したがって、ORのいくつかは、シリルポリエーテル基で置き換えることができるので、式(1)の化合物は、式(1)の指数(a)+(b)の合計が統計的平均で3未満である化合物も含む組成物を表す。したがって、その組成物は、R−OHの排除と、式(1)のさらなる分子の反応性OH基との縮合反応を伴って、ケイ素原子上に形成される種を含む。この反応は、ケイ素上のすべてのRO基が式(1)のさらなる分子で置き換えられるまで何回も行われる。これらの化合物の典型的な29Si−NMRスペクトルでの1つより多いシグナルの存在が、異なる置換パターンでのシリル基の出現を明確に示している。
【0041】
したがって、指数(a)〜(j)について指定される好ましい値および範囲は、異なる個々に決定できない種にわたる平均値に過ぎないことも理解すべきである。化学構造およびモル質量の多様性は、従来のDMCをベースとしたポリエーテルについて、通常≧1.5であるモル質量分布M/Mに対しては全く異常であり、シリルポリエーテル1においては典型的な、広いモル質量分布に反映されている。
【0042】
従来技術の方法の場合、シリル基末端プレポリマーだけを形成させることができる。本発明において反応性成分として用いられる式(1)の化合物は、標的とした鎖構築、およびブロック様と孤立した仕様の両方での官能基の可変的挿入の結果として、鎖全体にわたってブロック中に分散または分配されたシリル官能基を有し、さらに、必ずというわけではないが、末端にもシリル官能基を有することができる構造が形成されるという点で、従来の方法で改変されたオリゴマーまたはポリマーと異なる。したがって、従来技術と比較して、架橋密度が増大している。
【0043】
未公開ドイツ特許出願第10 2008 000360.3号明細書に説明されているエポキシ官能性アルコキシシランをアルコキシ化するための方法と密接に関連していることは、それぞれの場合、成長する鎖のOH官能基末端と結合しながら、最後のエポキシドモノマーのエポキシド開環に由来するOH官能基が、末端に常に存在するという特徴である。
【0044】
したがって式(1)の化合物は、ヒドロキシル基1つ当たり1つを超えるアルコキシシリル基を有することができる。
【0045】
したがって、本発明は、シリルポリエーテル(1)の水性乳化物の縮合反応が行われる粒子または複合粒子の製造方法を提供する。
【0046】
驚くべきことに、適切であれば水相を介して触媒を加えることによって、縮合反応を介して水性乳化物中に存在する式(1)のシリルポリエーテルの液滴を完全に硬化させることが可能であることが分かった。
【0047】
このことは、好ましく使用される、式(1)のより高度なアルコキシシリル官能化化合物でさえも、容易に乳化可能な液体であるという事実によって促進され、これは架橋後に、粘着性のない固体粒子に変換することができる。これに関連して、より高度なアルコキシシリル官能化とは、式(1)による化合物が、ヒドロキシル基1つ当たり1つを超えるアルコキシシリル基を有することを意味し、したがって指数dが>1、特に好ましくは≧2の値を示す。このことは、式(1)の化合物が、指数d〜jを有する基から形成される鎖の鎖末端1つ当たり、平均で1つを超えるアルコキシシリル基を有することを伴う。
【0048】
低架橋密度であるため、いずれの場合でも鎖末端に最大1つのみのシリル基を有する従来のいわゆるシリル末端ポリマーは、粒子および複合粒子の本発明による調製の状況においてはあまり適していない。このようなアルコキシシリル基含有プレポリマーは、いずれの場合でも長いポリマー鎖の末端にのみ架橋に適したアルコキシシリル基を有し、たとえば国際公開第2005/100482号および欧州特許出願公開第A1−1 967 550号、欧州特許出願公開第A1−1 824 904号、米国特許第7,365,145号、米国特許第3,627,722号、または米国特許第3,632,557号、および米国特許第3,971,751号に記載されている。
【0049】
したがって、本発明は、シリルポリエーテル粒子および複合粒子の製造方法であって、少なくとも1種類のアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物(好ましくは少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、特に式(1)の化合物である)を含み、乳化物を安定化させる乳化剤、および1種類以上の共乳化剤をも含む、水性乳化物を、好ましくは水相に加えられる触媒を使用して、硬化させることを特徴とする方法を提供する。
【0050】
本発明のシリルポリエーテル粒子の製造方法は、
a)水相と有機相との乳化物を製造するステップであって、有機相が、少なくとも1種類のアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物、および場合によりさらなる添加剤を含み、この生成物が、好ましくは少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、特に一般式(1)の化合物であり、
場合により、水相のpHが、5〜9の間、好ましくは6〜8.5の間、特に好ましくは7〜8の間の値に調整されるステップと、
b)好ましくは、内部相を基準にして0.001〜20.0重量%、好ましくは0.1〜10.0重量%、特に好ましくは1.0〜5.0重量%の濃度で外部(水)相に加えられる触媒の存在下で、シリル基を縮合させ、内部相を硬化させるステップと、
c)水を分離するステップと、を含む。
【0051】
水相と比較した有機相の重量分率は、1〜99重量%、好ましくは5〜70重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。
【0052】
有機相中のアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物、特に式(1)の化合物の重量分率は、1〜100重量%、好ましくは10〜99重量%、特に好ましくは50〜98重量%である。有機相が100重量%になるまでの残りの分率は、さらなる添加剤および/または溶媒からなる。
【0053】
内部相を基準にして0.001〜20.0重量%、好ましくは0.1〜10.0重量%、特に好ましくは1.0〜5.0重量%の濃度で外部(水)相中に触媒が加えられる。
【0054】
同様に、本発明は、この方法で製造され、好ましくは少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、特に式(1)の化合物である、少なくとも1種類のアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物を含む粒子および複合粒子を提供する。
【0055】
本発明による方法は、さらなる粉砕ステップなしに使用することができる、アルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物(好ましくは少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、特に式(1)の化合物である)の流動性(pourable)子を製造可能であるという利点を有する。
【0056】
本発明は、たとえば耐衝撃性を増加させるための、たとえば接着剤、コーティング、反応樹脂系、流動性化合物(pouring compounds)、プラスチック、およびシーラントの添加剤としての、本発明による粒子または複合粒子の使用をさらに提供する。本発明による粒子または複合粒子は、例えば、快適で柔らかい皮膚感触を得るためなどの化粧品用添加剤として使用することもできる。本発明による粒子または複合粒子は、セッケン本体および他の固体洗浄物体の亀裂を軽減するための添加剤として使用することもできる。本発明による粒子または複合粒子は、加硫物および/またはゴム成形品の機械的性質を改善するための添加剤として使用することもできる。本発明による粒子または複合粒子は、摩擦抵抗を軽減するための布地のコーティング材料として使用することもできる。本発明による粒子または複合粒子は、たとえば、固体または液体の化粧用または医療用または医薬用の有効成分、触媒、または殺虫剤をカプセル化するためのカプセル材料または担体材料として使用することもできる。本発明による粒子または複合粒子は、たとえば、ビタミン類、香料、または香味料などの添加剤をカプセル化するための材料として使用することもできる。本発明による粒子または複合粒子は、たとえば、電子写真印刷法および/またはレーザー印刷法のカプセルトナーを製造するための材料として使用することもできる。
【0057】
本発明により製造された粒子または複合粒子は、色、粒径、細孔容積、粒径分布、細孔容積分布、硬度、弾性、バルク容積、帯電防止特性、表面電荷などに関して容易に特徴付けることができる。この目的のために使用できる方法は当業者には周知である。
【0058】
本発明によるシリルポリエーテル粒子を製造するための本発明による方法を以下に例として説明するが、これらの代表的な実施形態に本発明を限定しようとする意図は全くない。
【0059】
式(1)の化合物からの水性乳化物の調製は、まだ未公開の独国特許出願第10 2009 022630.3号明細書に開示される方法により行うことができる。独国特許出願第10 2009 022630.3号の説明および特許請求の範囲の内容は、その全体が本開示の一部を形成するものと見なされる。
【0060】
水相は、たとえば金属塩、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、または硫酸アンモニウムなどの溶解塩を含むと好都合であり得る。
【0061】
使用可能な乳化剤は全ての従来の乳化剤である。これらは陰イオン性、陽イオン性、両性、または非イオン性の界面活性物質であってよい。包括的な一覧は、独国特許出願第10 2009 022630.3号に見ることができる。
【0062】
典型的な乳化剤は、たとえば、好ましくは10〜24個の炭素原子の鎖長を有するアルキルサルフェート類、好ましくは疎水性基中に10〜24個の炭素原子を有し好ましくは最大40個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を有するアルキルエーテルサルフェート類、好ましくは10〜24個の炭素原子を有するアルキル−およびアルキルアリールスルホネート類、スルホコハク酸と一価アルコールとのエステル類および半エステル類、好ましくは10〜24個の炭素原子の鎖長を有するアルキルおよびアルケニルカルボキシレート類、好ましくは8〜24個の炭素原子を有し、それぞれの場合に2〜40個のエチレンオキシド単位を有するアルキルポリグリコールエーテル類およびアルキルアリールポリグリコールエーテル類、好ましくは8〜24個の炭素原子を有するアルキルおよびアルケニルアルコール類、たとえばヒマシ油エトキシレート類などのエトキシル化植物油、ソルビタンエステル類、およびエトキシル化ソルビタンエステル類、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシドトリブロックコポリマー類、ならびにエトキシル化脂肪族アミン類である。
【0063】
ステップa)において、固体で安定化された乳化物が生成されると好都合となり得る。この場合、使用される乳化剤は、固体または液体、特に粒子状、好ましくは少なくとも1つの寸法がナノスケールである、粒子またはナノ構造粒子またはナノ物体であってよく、特に好ましくは金属酸化物類、混合酸化物類、窒化物類、水酸化物類、カーボネート類、シリケート類、シリコーン樹脂類、シリコーン類、および/または有機ポリマー類の群から選択され、これらは、たとえばシラン類、シロキサン類、第4級アンモニウム化合物類、カチオン性ポリマー類、および脂肪酸類、またはそれらの陰イオンの群からの少なくとも1種類の化合物で好ましくは少なくとも(部分的に)疎水化されている。本発明の状況において、ナノ物体は、1つ、2つ、または3つの外部寸法がナノスケールであり、好ましくは少なくとも1つの寸法が1〜100nmの大きさである材料、たとえばナノプレートレット、ナノロッド、およびナノ粒子などを意味するものと理解されたい。本発明において、ナノ構造粒子は、内部にナノスケールの構造を有する材料または粒子を意味するものと理解されたい。典型的な代表例は、たとえばナノ物体の凝集体および凝集塊である。
【0064】
特に好ましい粒子状乳化剤は、少なくとも1つの寸法の平均一次粒径が<1000nm、好ましくは<500nm、特に好ましくは1〜100nmである。一次粒径は、周知の方法において求めることができる。一次粒径は、好ましくは透過型電子顕微鏡写真の目視評価によって求められる。
【0065】
粒子状乳化剤は、本発明による方法においてそのまま使用することもできるし、分散物またはゾル、特に水性分散物またはゾルの形態で使用することもできる。
【0066】
特に、粒子状乳化剤が使用される場合、本発明による方法のステップa)において、1種類以上の共乳化剤を加えて乳化物の調製が行われる場合に、粒子状乳化剤の使用が好都合となりうる。本発明による方法において使用することができる共乳化剤は、特に、固相乳化剤粒子と相互作用する化合物、好ましくは結合することで固相乳化剤粒子を疎水化する化合物である。本発明による方法において、使用することができる共乳化剤は、特に、陽イオン界面活性剤の群から選択される化合物である。使用することができる陽イオン共乳化剤は、特に陽イオンアンモニウム化合物である。そのような化合物は、たとえば商品名VARISOFT(登録商標) 470 P、VARISOFT(登録商標) TC-90、VARISOFT(登録商標) 110、AROSURF(登録商標) TA-100、ADOGEN(登録商標) 442-100 P、ADOGEN(登録商標) 432、ADOGEN(登録商標) 470、ADOGEN(登録商標) 471、ADOGEN(登録商標) 464、VARIQUAT(登録商標) K 300、VARIQUAT(登録商標) B 343、VARIQUAT(登録商標) 80 ME、REWOQUAT(登録商標) 3690、REWOQUAT(登録商標) WE 15、REWOQUAT(登録商標) WE18、REWOQUAT(登録商標) WE 28、またはREWOQUAT(登録商標) CR 3099であり、Evonik Goldschmidt GmbHより入手可能である。本発明による方法においては、臭化セチルトリメチルアンモニウムまたはVARISOFT(登録商標) PATCを陽イオン性共乳化剤として使用することが好ましい。
【0067】
当業者には周知のように、アルコキシシリル基の架橋または硬化は、2段階の化学工程で生じ、その第1段階では、水の存在下、ケイ素に結合したアルコキシ基が対応するアルコールとして開裂し、SiOH基が形成される。次にこのSiOH基は、自己凝縮の場合には、互いに凝縮してSi−O−Si結合を形成し、ポリマー材料を形成する。あるいは、SiOH官能性中間体は、反応性基を有する物質と反応し、たとえばOH官能基を有するケイ酸含有表面と特に容易に反応し、特定の物質に対する優れた化学的固定部分となる。硬化速度は、触媒を加えることにより、または温度を変化させることにより、種々の方法で変化させることができる。大部分は溶媒を使用しないコーティング方法とは対照的に、本発明の粒子は、異相系においてin situで(希薄溶液)乳化物から堆積される。
【0068】
アルコキシシリル基を架橋または硬化させるために用いることができる触媒として、それ自体当業者に知られている既知のポリウレタン化、アロハネート化またはビウレット化触媒、あるいは文献で知られており、アルコキシシランの加水分解や縮合に通常用いられる触媒を使用することができる。それらには、例えば、亜鉛塩、オクチル酸亜鉛、アセチルアセトン酸亜鉛およびエチルカプリル酸亜鉛(II)、またはテトラアルキルアンモニウム化合物、例えばN,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムヒドロキシド、N,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートまたはコリン2−エチルヘキサノエートなどの化合物が含まれる。オクチル酸亜鉛(エチルヘキサン酸亜鉛(II))およびテトラアルキルアンモニウム化合物を用いることが好ましく、オクチル酸亜鉛を用いることがより好ましい。例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジオクチルスズジアセチルアセトネート、ジブチルスズジアセテートまたはジブチルスズジオクトエートなどの通常使用される有機スズ化合物を触媒として使用することがさらに可能である。さらに、ビスマス触媒、例としてはBorchi触媒、チタン化合物、例えばチタン(IV)イソプロピレートまたはチタニルアセチルアセトネート、鉄(III)化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネート、アルミニウム化合物、例えばアルミニウムトリイソプロピレート、アルミニウムトリ−sec−ブチレートおよび他のアルコレート、またアルミニウムアセチルアセトネート、カルシウム化合物、例えばカルシウム二ナトリウムエチレンジアミンテトラアセテートまたはカルシウムジアセチルアセトネート、あるいはアミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、N,N−ビス−(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)メチルアミン、N,N−ジメチルシクロ−ヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N−エチルモルホリン等を用いることも可能である。酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸または塩化ベンゾイル、塩酸、乳酸、リン酸などの有機または無機ブレンステッド酸、また、そのモノエステルおよび/またはジエステル、例えばブチルホスフェート、(イソ)プロピルホスフェート、ジブチルホスフェートなども適切な触媒である。2つ以上の触媒の組合せを使用することももちろん可能である。
【0069】
金属塩、金属錯体および有機金属化合物が好ましい。スズ、亜鉛、チタンおよびビスマスを含有する有機金属化合物が特に好ましい。
【0070】
触媒は、式(1)のアルコキシシリル−官能性化合物に対して0.00〜20.0重量%、好ましくは0.01〜10.0重量%、特に好ましくは1.0%〜5.0重量%の量で使用する。触媒は、一括して加えても、複数に分割して加えても、また連続的に加えてもよい。全量を一括して加えることが好ましい。
【0071】
本発明の粒子または複合粒子の製造方法において、シリルポリエーテル1は、他の反応成分(好ましくは同様にアルコキシシラン基を有する他の化合物)との混合物中で使用することができる。これらのアルコキシシランは、式(3)のようなモノマー系シランであっても、またポリマー結合シランであってもよい。
SiV(4−X) (3)
(式中、Uは、最大100℃までの温度で、水および触媒量のブレンステッド酸の存在下で加水分解することのできない、同一または異なる基であり、Vは、最大100℃までの温度で、水および触媒量のブレンステッド酸の存在下で加水分解することができる、同一または異なる基であるか、またはヒドロキシル基であり、xは1、2、3または4である)
【0072】
本発明の文脈において、加水分解性であるとは、選択した条件下で、その基の少なくとも80%を加水分解することができる、したがって、切断することができることを意味する。
【0073】
アルキル鎖は0〜50個、好ましくは0〜22個の炭素原子を有することができ、酸素、窒素またはイオウなどのヘテロ原子が割り込んでもよく、あるいはシリコーン基であってもよい。芳香族基は、複素芳香族であってもよい。基UおよびVは、例えばハロゲンまたはアルコキシなどの1つもしくは複数の慣用的な構成成分を有することができる。
【0074】
官能基を有する式(3)の非加水分解性基Uは、グリシジルまたはグリシジルオキシアルキレン基、例えばβ−グリシジルオキシエチル、γ−グリシジルオキシプロピル、δ−グリシジルオキシプロピル、ε−グリシジルオキシペンチル、ω−グリシジルオキシヘキシルまたは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル、メタクリルオキシアルキレンおよびアクリルオキシアルキレン基、例えばメタクリルオキシメチル、アクリルオキシメチル、メタクリルオキシエチル、アクリルオキシエチル、メタクリルオキシプロピル、アクリルオキシプロピル、メタクリルオキシブチルまたはアクリルオキシブチル、および3−イソシアナトプロピル基、および/または環状および/または直鎖状(ポリ)ウレタン基含有および/または尿素含有および/または(ポリ)アミノ基含有基の範囲から選択することができる。
【0075】
モノマー系のトリメトキシシリルおよびトリエトキシシリル基含有化合物の使用は特に広く知られており;水蒸気および適切な触媒の存在下で、これらは多くの場合、室温であっても、互いに縮合してアルコキシ基を排除し、Si−O−Si結合を形成する。このような有機官能性モノマー系シランは、例えば、N−シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシ−シラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシランおよびヘキサデシルトリメトキシシランである。その方法は基本的には当業者に知られている。
【0076】
本発明の粒子および複合粒子の製造において、式(1)の化合物を、さらなる液体または固体添加剤との混合物中で使用することができる。有機溶媒または液体シロキサンのほか、粒子化添加剤を更に使用してもよい。使用する添加剤の表面に、少なくとも1つの官能基が含まれ、それにより式(1)の化合物と前記粒子表面上の官能基との間に化学反応が起こるようにすると有利である。そうした添加剤の例は、金属および金属合金、金属酸化物、混合酸化物、窒化物、炭化物、水酸化物、カーボネートまたはシリケートである。そうした添加剤のさらなる例は、例えば、セルロース、リグニン、酸化ポリエチレン系のものあるいは硬化エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、色素および/または有機もしくは無機顔料などである。
【0077】
本発明のさらなる対象を特許請求の範囲により説明するが、その開示内容はすべて本説明の一部である。
【0078】
粒子の本発明による製造を、以下の実施例により説明するが、本発明は、これらの例示の実施形態に限定されるべきものではない。
【0079】
化合物の範囲、一般式または化合物クラスが以下に示されている場合、それらは、明示された対応する範囲または群の化合物だけではなく、個々の値(範囲)または化合物を除くことで得られるすべての部分的範囲および部分的群の化合物も包含するものとする。
【実施例】
【0080】
未公開ドイツ特許出願第10 2008 000360.3号明細書に従って、Evonik Degussa GmbHからの3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)GLYEO)のDMC触媒によるアルコキシ化のプロセス原理によって調製した、トリアルコキシシリル基を含有するシリルポリエーテル1を、以下の実施例で用いた。POはプロピレンオキシドを表す。
【0081】
多分散性および平均モル質量を測定するためのGPC測定を以下の条件のもとで実施した:カラム組合せSDV1000/10000Å(長さ65cm)、温度30℃、移動相としてTHF、流量1ml/分、試料濃度10g/l、RI検出器、ポリプロピレングリコール標準品に対する評価。
【0082】
粘度は、DIN53019にしたがって、Brookfieldからの回転式粘度計(モデルLVT)を用いて25℃で測定した。
【0083】
OH数は、ドイツ脂質科学協会(Geraman Society for Fat Science)(DGF)の分析手順C−V 17A(98)にしたがった、コールドアセチル化法によって測定した。
【0084】
シリルポリエーテルのエポキシド酸素含量は、濃塩酸の存在下、水酸化ナトリウム溶液を用いた逆滴定の原理によって測定した。
【0085】
トリアルコキシシリルポリエーテルSP−1:
平均モル質量約3000g/mol、7倍のトリアルコキシシラン官能基の、ブロック構造を有する、低分子量、オクタノール出発、ほぼ無色の低粘度ポリエーテル
モノマー用量による化学構造:
1−オクタノール+8モルプロピレンオキシド+3.5モルGLYEO+8モルプロピレンオキシド+3.5モルGLYEO+2モルプロピレンオキシド
エポキシド酸素含量<0.05%、OH数19.5mg KOH/g
【0086】
トリアルコキシシリルポリエーテルSP−2:
平均モル質量約4300g/mol、12倍のトリアルコキシシラン官能基の、低分子量、オクタノール出発、ほぼ無色の低粘度ポリエーテル
モノマー用量による化学構造:
1−オクタノール+7モルプロピレンオキシド+12モルGLYEO/10モルプロピレンオキシド
エポキシド酸素含量<0.05%、OH数12.2mg KOH/g
【0087】
トリアルコキシシリルポリエーテルSP−3:
平均モル質量約3000g/mol、5倍のトリアルコキシシラン官能基の、低分子量、オクタノール出発、ほぼ無色の低粘度ポリエーテル
モノマー用量による化学構造:
1−オクタノール+8モルプロピレンオキシド+5モルGLYEO/19モルプロピレンオキシド
エポキシド酸素含量<0.05%、GPC分析による質量平均モル質量M3125g/モル
【0088】
トリアルコキシシリルポリエーテルSP−4:
平均モル質量約10000g/mol、6倍のトリアルコキシシラン官能基の、高分子量、ポリプロピレン−グリコール出発、ほぼ無色の中粘度ポリエーテル
モノマー用量による化学構造:
プロピレングリコール(2000g/モル)+17モルプロピレンオキシド+6モルGLYEO/92モルプロピレンオキシド
エポキシド酸素含量<0.05%、GPC分析による質量平均モル質量M10280g/モル
【0089】
実施例1:
81.2gの脱塩水を7.5gのLUDOX(登録商標) SM-AS(Grace)と混合した。希塩酸を使用してこの混合物のpHを7〜8の間に調整した。10gのトリアルコキシシリルポリエーテルSP−1またはSP−2を加え、真空溶解機中5000rpmにおいて30分間予備乳化した。0.43〜1.30gの5重量%濃度(PATCに関して)の、VARISOFT(登録商標)のPATC溶液(Evonik Goldschmidt GmbH、第4級アンモニウム化合物)を加え、混合物を再び真空溶解機中5000rpmにおいて30分間乳化した。
【0090】
硬化させるために、20gの乳化物を、アセチルアセトン中のジブチルスズジアセチルアセトネートの10重量%濃度溶液0.4gと混合し、激しく振盪し、室温で18時間静置した。次に、粒子を濾過し、水およびエタノールで洗浄した。乾燥室中60℃で乾燥させると、流動性粉末が得られた。
【0091】
実施例2:
87.0gの脱塩水を2.5gのLUDOX(登録商標) SM-AS(Grace)と混合した。希塩酸を使用して実施例1と同様にpHを調整した。10gのトリアルコキシシリルポリエーテルSP−1またはSP−3を加え、真空溶解機中5000rpmにおいて30分間予備乳化した。0.43gの5重量%濃度(PATCに関して)の、VARISOFT(登録商標)のPATC溶液(Evonik Goldschmidt GmbH)を加え、混合物を真空溶解機中5000rpmにおいて再び30分間乳化した。
【0092】
硬化させるために、20gの乳化物を、アセチルアセトン中のジブチルスズジアセチルアセトネートの10重量%濃度溶液0.4gと混合し、激しく振盪し、室温で18時間静置した。次に、粒子を濾過し、水およびエタノールで洗浄した。乾燥室中60℃で乾燥させると、流動性粉末が得られた。
【0093】
実施例3:
81.2gの脱塩水を7.5gのLUDOX(登録商標) SM-AS(Grace)と混合した。希塩酸を使用して実施例1と同様にpHを調整した。10gのトリアルコキシシリルポリエーテルSP−4を加え、真空溶解機中5000rpmにおいて30分間予備乳化した。1.30gの5重量%濃度(PATCに関して)の、VARISOFT(登録商標)のPATC溶液(Evonik Goldschmidt GmbH)を加え、混合物を再び真空溶解機中5000rpmにおいて30分間乳化した。
【0094】
硬化させるために、20gの乳化物を、アセチルアセトン中のジブチルスズジアセチルアセトネートの10重量%濃度溶液0.4gと混合し、激しく振盪し、80℃で1時間加熱した。次に、粒子を濾過し、水およびエタノールで洗浄した。乾燥室中60℃で乾燥させると、流動性粉末が得られた。
【0095】
実施例4:
87.0gの飽和硫酸ナトリウム溶液を2.5gのLUDOX(登録商標) SM-AS(Grace)と混合した。希塩酸を使用して実施例1と同様にpHを調整した。10gのトリアルコキシシリルポリエーテルSP−1を加え、真空溶解機中5000rpmにおいて30分間予備乳化した。0.43gの5重量%濃度(PATCに関して)の、VARISOFT(登録商標)のPATC溶液(Evonik Goldschmidt GmbH)を加え、混合物を再び真空溶解機中5000rpmにおいて30分間乳化した。
【0096】
硬化させるために、20gの乳化物を、アセチルアセトン中のジブチルスズジアセチルアセトネートの10重量%濃度溶液0.4gと混合し、激しく振盪し、80℃で1時間加熱した。次に、粒子を濾過し、水およびエタノールで洗浄した。乾燥室中60℃で乾燥させると、流動性粉末が得られた。図2は硬化した分散物の顕微鏡写真を示す。この分散物は多分散であり、8マイクロメートルの最大一次粒径を示す。
【0097】
実施例5:
15.0gのTagat(登録商標) R200(ポリオキシエチレン(200)グリセリドエステル、(Evonik Goldschmidt GmbH))、10.0gのTEGO(登録商標) Alkanol S2(オクタデカノール、ポリオキシエチレン(2)エーテル、(Evonik Goldschmidt GmbH))、および75.0gの水を、撹拌容器中で60℃に加熱し、均一で粘稠なペーストが形成されるまで、Mizerディスクを使用して1500rpmで撹拌した。滴下漏斗を使用して、300.0gのアルコキシシリルポリエーテルSP−1を10分間かけてペースト中に滴下した。得られたペーストをその後10分間撹拌した。次に、60℃のまま、残りの400.0gの水でペーストを希釈した。
【0098】
得られた乳化物を6.0gのジブチルスズジアセチルアセトネートと混合した。これを1000rpmで撹拌しながら60℃で2時間維持した。次に乳化物を冷却した。7000rpmで5時間遠心分離することによって粒子を分離した(Sigma 4-15実験台用遠心分離機)。乾燥室中60℃において沈殿物を乾燥させると、流動性粉末が得られた。
【0099】
実施例6:
15.0gのTagat(登録商標) R200(ポリオキシエチレン(200)グリセリドエステル、(Evonik Goldschmidt GmbH))、10.0gのTEGO(登録商標) Alkanol S2(オクタデカノール、ポリオキシエチレン(2)エーテル、(Evonik Goldschmidt GmbH))、および75.0gの水を、撹拌容器中で60℃に加熱し、均一で粘稠なペーストが形成されるまで、Mizerディスクを使用して1500rpmで撹拌した。滴下漏斗を使用して、270.0gのアルコキシシリルポリエーテルSP−1と30.0gのオクチルトリエトキシシランとを含む溶液を10分間かけてペースト中に滴下した。得られたペーストをその後10分間撹拌した。次に、60℃のまま、残りの400.0gの水でペーストを希釈した。図3は得られた乳化物の顕微鏡写真を示す。この乳化物は多分散であり、約30マイクロメートルの最大液滴径を有する。
【0100】
この乳化物を6.0グラムのジブチルスズジアセチルアセトネートと混合した。これを1000rpmで撹拌しながら60℃で2時間維持した。次に乳化物を冷却した。7000rpmで5時間遠心分離することによって粒子を分離した(Sigma 4-15実験台用遠心分離機)。乾燥室中60℃において沈殿物を乾燥させると、流動性粉末が得られた。
【0101】
実施例7〜8:複合粒子
実施例7:
87.0gの飽和硫酸ナトリウム溶液を2.5gのLUDOX(登録商標) SM-AS(Grace)と混合した。希塩酸を使用して実施例1と同様にpHを調整した。トリアルコキシシリルポリエーテルSP−4と5重量%のVP AdNano(登録商標) MagSilica(Evonik Degussa GmbH)との混合物10.5gを加え、真空溶解機中5000rpmにおいて30分間予備乳化した。0.43gの5重量%濃度(PATCに関して)の、VARISOFT(登録商標)のPATC溶液(Evonik Goldschmidt GmbH)を加え、混合物を再び真空溶解機中5000rpmにおいて30分間乳化した。
【0102】
硬化させるために、乳化物を、アセチルアセトン中のジブチルスズジアセチルアセトネートの10重量%濃度溶液2gと混合し、激しく振盪し、80℃で2時間加熱した。次に、粒子を濾過し、水およびエタノールで洗浄した。室温で乾燥させると、流動性粉末が得られた。
【0103】
実施例8:
87.0gの飽和硫酸ナトリウム溶液を7.5gのLUDOX(登録商標) SM-AS(Grace)と混合した。希塩酸を使用して実施例1と同様にpHを調整した。トリアルコキシシリルポリエーテルSP−1と1重量%のメントールまたは5重量%のAEROSIL(登録商標) R 805(Evonik Degussa GmbH)との混合物10.5gを加え、真空溶解機中5000rpmにおいて30分間予備乳化した。0.43gの5重量%濃度(PATCに関して)の、VARISOFT(登録商標)のPATC溶液(Evonik Goldschmidt GmbH)を加え、混合物を再び真空溶解機中5000rpmにおいて30分間乳化した。
【0104】
硬化させるために、乳化物を、アセチルアセトン中のジブチルスズジアセチルアセトネートの10重量%濃度溶液2gと混合し、激しく振盪し、80℃で2時間加熱した。次に、粒子を濾過し、水およびエタノールで洗浄した。室温で乾燥させると、流動性粉末が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
300g/mol以上のモル質量を有するアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物を縮合させることによる、粒子または複合粒子の製造方法。
【請求項2】
前記アルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物が少なくとも1つのヒドロキシル基を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒子または複合粒子が、少なくとも1種類のアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物を水相(場合により固体で安定化された相)中に含む乳化有機相を、好ましくは触媒の存在下で縮合させることによって生成されることを特徴とする
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
a)水相と有機相との乳化物を製造するステップであって、前記有機相が、少なくとも1種類のアルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物、および場合によりさらなる添加剤を含み、
場合により、前記水相のpHが5〜9の間の値に調整されるステップと、続く
b)好ましくは触媒の存在下で、シリル基を縮合させて内部相を硬化させるステップと、
c)水を分離するステップと、
を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
アルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物として、1つまたは複数の式(1)の化合物
【化1】


(式中、
aは1〜3の整数であり、
bは0〜2の整数であり、aとbの合計は3であり、
cは0〜22の整数であり、
dは1〜500の整数であり、
eは0〜10000の整数であり、
fは0〜1000の整数であり、
gは0〜1000の整数であり、
h、iおよびjは互いに独立に、0〜500の整数であり、
nは2〜8の整数であり、
但し、指数d〜jを有するフラグメントは互いに自由に順序を変えることができ、すなわち、そのポリエーテル鎖内の配列中で互いに交換可能であり、
Rは、直鎖状または分岐状、飽和、単一もしくは多数不飽和の1〜20個の炭素原子を有するアルキル基または1〜20個の炭素原子を有するハロアルキル基から選択される1つもしくは複数の同一または異なる基であり、
は、ヒドロキシル基、または飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分岐状もしくは環状またはさらに置換された1〜1500個の炭素原子を有するオキシ有機基(前記鎖はO、S、Siおよび/またはNなどのヘテロ原子が割り込んでもよい)、あるいは、オキシ芳香族系を含む基、あるいはRは、不飽和エーテル官能基またはモノもしくはポリ縮合オキシ芳香族基または直鎖状もしくは分岐状のシリコン含有有機基であり、
またはR、さらにRまたはRは、同一かまたは互いに独立に、Hあるいは飽和または場合により単一もしくは多数不飽和の、さらに置換されたものを含む、一価もしくは多価の炭化水素基であり、前記基RおよびRが一価炭化水素基であるとき、前記炭化水素基はフラグメントYを介して脂環的に架橋されていてもよく;Yは存在しないか、または1つもしくは2つのメチレン単位を有するメチレン架橋であってもよく;Yが存在しない場合、RまたはRは互いに独立に、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の基であり、
−Rは−CHCHCHCH基であってもよく、したがってYは−(CHCH−)基であってもよく、炭化水素基RおよびRはそれらの一部がさらに置換されていて、ハロゲン、ヒドロキシル基またはグリシジルオキシプロピル基などの官能基を有していてもよく、
は、1〜24個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、または場合によりその一部にアルキル基を有する芳香族もしくは脂環式基であり、
およびRは互いに独立に、水素であるかまたはアルキル、アルコキシ、アリールもしくはアラルキル基であり、
、R10、R11およびR12は、互いに独立に、水素であるかまたはアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールもしくはアラルキル基であり、前記炭化水素はフラグメントZを介して脂環的または芳香族的に架橋されていてもよく、ここでZは二価のアルキレン基またはアルケニレン基であってもよい)
を使用することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第2の工程ステップにおいて、触媒が水相を介して添加されることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
式(1)の化合物が、ヒドロキシル基1つに対し1つより多いアルコキシシリル基を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
乳化物が、場合により、溶解塩、固体もしくは液体の乳化物安定化剤、粒子乳化剤および/または共乳化剤を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
乳化物が、さらに、有機溶媒、液体シロキサン、粒子化添加剤、金属、金属合金、金属酸化物、混合酸化物、窒化物、炭化物、水酸化物、カーボネートまたはシリケート;セルロース、リグニン、酸化ポリエチレン系もしくは硬化エポキシ樹脂、シロキサン樹脂系有機粒子、および/または色素および/または有機もしくは無機顔料を含む群から選択される液体または固体添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
アルコキシシリル基含有アルコキシル化生成物を、さらなるモノマーまたはポリマー結合アルコキシシラン化合物との混合物中で使用することを特徴とする、請求項4〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
混合物中で、式(3)のモノマー系アルコキシシランおよび/またはポリマー結合シラン
SiV(4−X) (3)
(式中、Uは、最大100℃までの温度で、水および触媒量のブレンステッド酸の存在下で加水分解することのできない、同一または異なる基であり、
Vは、最大100℃までの温度で、水および触媒量のブレンステッド酸の存在下で加水分解することができる、同一または異なる基であるか、またはヒドロキシル基であり、xは1、2、3または4である)
を使用することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法で製造される粒子および/または複合粒子。
【請求項13】
耐衝撃性を増加させるための、接着剤、反応樹脂系、流動性化合物、プラスチック、およびシーラントの添加剤として、快適で柔らかい皮膚感触を得るための化粧品用添加剤として、
セッケン本体および他の固体洗浄物体の亀裂を軽減するための添加剤として、
加硫物および/またはゴム成形品の機械的性質を改善するための添加剤として、
摩擦抵抗を軽減するための布地のコーティング材料として、
固体もしくは液体の化粧用または医療用または医薬用の有効成分、触媒、または殺虫剤をカプセル化するためのカプセル材料または担体材料として、
添加剤、ビタミン類、香料、または香味料をカプセル化するための材料として、
電子写真印刷法および/またはレーザー印刷法のカプセルトナーを製造するための材料としての、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法で製造される粒子および/または複合粒子の使用。

【図1】
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【公開番号】特開2011−157360(P2011−157360A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−20363(P2011−20363)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】