説明

新規縮合複素環化合物およびその用途

一般式(I)
【化1】


[式中、縮合環ABは、8−10員の縮合複素環;Rは(1)H、(2)ハロゲン、(3)シアノ、(4)オキソ、(5)保護されていてもよい水酸基、(6)保護されていてもよいカルボキシ基、(7)保護されていてもよいアミノ基、(8)置換基を有していてもよい環状基、(9)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、または(10)保護されていてもよいチオール基を表わし、nは0または1乃至8の整数を表わす。ただし、nが2以上を表わす場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。]で示される化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグは、本発明化合物はキナーゼ阻害作用、特にc−Jun N末端キナーゼ阻害作用を有するので、糖尿病等の代謝性疾患や、例えば、関節リウマチ等の炎症性疾患の予防および/または治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品として有用なキナーゼ阻害薬、特にc−Jun N末端キナーゼ(c−Jun N−Terminal kinase、以下JNKと略記する場合がある。)阻害薬およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは、現在迄に少なくとも400種以上が同定されている、アデノシン三リン酸(ATP)からアミノ酸残基、例えば、タンパク質上のチロシン、セリン、スレオニンまたはヒスチジンへのリン酸基の転移を触媒する酵素である。これらのプロテインキナーゼは、細胞分裂、細胞分化、細胞死(アポトーシス)、細胞運動性および細胞骨格構造の変化、DNA複製の制御、転写、スプライシングおよび翻訳、小胞体およびゴルジ装置から膜および細胞外空間へのタンパク質輸送、タンパク質の核移入および移出、代謝反応等の幅広い細胞機能に必須である。
【0003】
真核生物のプロテインキナーゼは、構造的・機能的特徴をもとに、(1)AGCグループ:例えば、PKA、PKG、PKC等のサイクリックヌクレオチド依存性、リン酸化リピッド依存性プロテインキナーゼ、リボソームS6キナーゼ等;(2)CaMKグループ:例えば、CaMK等のCa2+/カルモジュリンキナーゼ等;(3)CMGCグループ:例えば、CDK、MAPK、GSK−3等のサイクリン依存性プロテインキナーゼ等;(4)PTKグループ:例えば、SRC、EGFR等のプロテインチロシンキナーゼ等;(5)その他:例えば、MEK、Raf、TGFR、LIMK等のその他のキナーゼ等の5グループに分類される。
【0004】
上記の各グループは基質に対する指向性に基づいて分類されており、例えば、AGCやCaMKのグループは、アルギニンやリジン付近のセリン/スレオニン残基を、CMGCのグループは、プロリンリッチドメインのセリン/スレオニン残基をリン酸化する。また、PTKのグループは、チロシン残基をリン酸化する。PTKのグループには、細胞増殖因子の受容体である「受容体型」とRNA腫瘍ウィルスに含まれる癌遺伝子産物を代表とする「非受容体型」があることが知られている。その他のキナーゼは、セリン/スレオニンまたはチロシン残基のいずれかをリン酸化することができ、またさらに幾つかのキナーゼは、セリン/スレオニンおよびチロシン残基両方をリン酸化することができるということから、dual−specificityキナーゼと呼ばれることもある。
【0005】
上記したように、プロテインチロシンキナーゼ(PTK)は、「受容体型」と「非受容体型」に分類される。「受容体型」はレセプターチロシンキナーゼ(RTK)と称されることもある。増殖因子、例えば、上皮細胞増殖因子(EGF)は、RTKの細胞外ドメインに結合し、かかるキナーゼの活性化を介して増殖シグナルを細胞内に伝達する。EGFおよび上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)ファミリーに属する分子群、例えば、EGF−r、erbB−2、erbB−3、erbB−4等の過剰発現は癌の発生および進行に関与することが知られている[Rusch, V., Cytokine Growth Factor Rev., 7, 133 (1996); Davies, D. E., Biochem. Pharmacol., 51, 1101 (1996); Modjtahedi, E., Int. J. Oncol., 4, 277 (1994)]。より具体例な例としては、ヒトの乳癌および子宮癌において、erbB−2遺伝子産物の過剰発現が見られること[Slamon, D. J., Science, 244, 707 (1989); Slamon, D.J., Science, 235, 177 (1987)]や、類表皮腫瘍や乳腫瘍および別の主要な組織を伴う腫瘍において、EGFRキナーゼ活性の過剰亢進が見られること[Reiss, M., Cancer Res., 51, 6254 (1991); Macias, A., Anticancer Res., 7, 459 (1987); Gullick, W. J., Brit. Med. Bull., 47, 87 (1991)]等が報告されている。また、多発性嚢胞腎における上皮嚢胞の増殖の要因としてもEGFRの関与が示唆されている[Du, J., Amer. J. Physiol., 269 (2 Pt 1), 487 (1995); Nauta, J., Pediatric Res., 37 (6), 755 (1995); Gattone, V. H., Developmental Biology, 169 (2), 504 (1995); Wilson, P. D., Eur. J. Cell Biol., 61 (1), 131 (1993)]。
【0006】
また、繊維芽細胞増殖因子(FGF)の受容体であるFGFR、内皮細胞増殖因子(VEGF)の受容体であるflk−1/KDRおよびflt−1、および血小板由来増殖因子(PDGF)の受容体であるPDGFR等もRTKに分類される。腫瘍増殖には、新しい血管の形成、すなわち、脈管形成として知られている過程が重要であり、また、FGFおよびVEGFは脈管形成を刺激することが知られている。また、tie−1、tie−2と呼ばれるRTKも脈管形成に関与していることが報告されている[Sato, T. N., Nature, 376, 70 (1995)]。PDGFおよびPDGFRは、種々のヒト神経膠腫で過剰発現することが知られているため、PDGFRのキナーゼ活性を阻害する化合物は、腫瘍の治療に有用であるとされている[Nister, M., J. Biol. Chem., 266, 16755 (1991); Strawn, L. M., J. Biol. Chem., 269, 21215 (1994)]。RTKとしては上記の他に、結腸刺激因子受容体、神経増殖因子受容体(trkA、trkBおよびtrkC)、インシュリン受容体、インシュリン様増殖因子受容体、肝細胞増殖因子受容体およびエリスロポエチン産生肝細胞(EPH)等の存在が知られている。
【0007】
また、「非受容体型」のプロテインチロシンキナーゼは、細胞質および細胞核に存在し、種々のシグナル経路に関与している。「非受容体型」のプロテインチロシンキナーゼには、Abl、Jak、Fak、Syk、Zap−70およびCsk等、多くの種類が存在することが知られているが、このうち、シグナル伝達において特に重要である分子は、Src、Fyn、Lyn、Yes、Lck、Fgr、HckおよびBlkの8種のSrcファミリーであると考えられている[Schwartzberg, P.L., Oncogene, 17, 1463 (1998)]。Src活性は、乳房、結腸(〜90%)、脾臓(>90%)および肝臓(>90%)の腫瘍でその発現が上昇しており、また、Srcのアンチセンスが、ヌードマウスの結腸腫瘍細胞の増殖を阻害することも示されている[Staley, C.A., Cell Growth Differentiation, 8, 269 (1997)]。加えて、Srcのアンチセンスは、血管新生を減少させることも示されている[Ellis, L. M., J. Biol. Chem., 273, 1052 (1998)]。さらにSrcは、破骨細胞の機能にも関与していることが報告されている[Soriano, P., Cell, 64, 693 (1991); Boyce, B. F., J. Clin.,Invest., 90, 1622 (1992); Missbach, M., Bone, 24, 437 (1999)]。
LckおよびZAP−70は、主にT細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞に発現が認められる分子であり、これらの「非受容体型」のプロテインチロシンキナーゼが免疫システムに重要であることが示唆されている[Myers, M., Current Pharm. Design, 3, 473 (1997)]。
【0008】
一方、セリン/スレオニン残基をリン酸化するプロテインキナーゼとして、mitogen−activated protein(MAP)キナーゼ群がある。MAPキナーゼ群は、ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の二系統から構成される。これらのキナーゼは成長因子、化学薬品、浸透圧ストレス、放射線、細菌感染、各種サイトカイン等、多様な刺激に対する細胞反応に関与している。上記の二系統のMAPキナーゼは、そのThr−Xaa−TyrモチーフのThrとTyrが、MAPキナーゼキナーゼやMEKs(MKKs)といった上流のキナーゼによって二重にリン酸化されることにより活性化する。MEKsは、より上流の、既に30個以上が知られているMAPキナーゼキナーゼキナーゼにより活性化される。現在、哺乳類細胞においては、12の異なるMAPキナーゼ群分子が同定されており、またすべての真核細胞においてその相同体が発見されている。哺乳類細胞において、最も研究されているMAPキナーゼは、ERK1/2、p38(SAPK2)、およびc−Jun N末端キナーゼ(JNK)である。
【0009】
cdc2/サイクリンB、cdk2/サイクリンA、cdk2/サイクリンEおよびcdk4/サイクリンD等のサイクリン依存キナーゼ(cdks)は、哺乳類細胞の細胞分裂を制御するセリン/スレオニンキナーゼである。ヒトの腫瘍細胞において、これらのキナーゼの活性化が高頻度で認められることが報告されている[Garrett, M. D., Current Opin. Genetics Devel., 9, 104 (1999); Webster, K. R., Exp. Opin. Invest. Drugs, 7, 865 (1998)]。
また、プロテインキナーゼA、BおよびCも重要なセリン/スレオニンキナーゼである。これらのキナーゼはそれぞれ、PKA/サイクリックAMP依存性プロテインキナーゼ、PKB/Akt、PKC等と称されることもある。
【0010】
上記したように、タンパク質のリン酸化の異常は、多くの疾病、例えば、癌、ならびに免疫性、神経性および代謝性疾患の病因に関連していることが広く知られている。例えば、EGFRやPDGFR等のRTKの過剰発現、または活性型を構成的に産生するようになるチロシンキナーゼの突然変異が多くの癌細胞に存在することが知られている[Druker, Nat. Med., 2, 561 (1996)]。また、プロテインセリン/スレオニンキナーゼ遺伝子の欠陥が、筋緊張性ジストロフィーならびに癌、およびアルツハイマー病等の数種の疾患に関係していることが知られている[Sanpei, Biochem. Biophys. Res. Commun., 212, 341 (1995); Sperber, Neurosci. Lett., 197, 149 (1995); Grammas, Neurobiol. Aging, 16, 563 (1995); Govoni, Ann. N. Y. Acad. Sci., 777, 332 (1996)]。
従って、プロテインキナーゼの阻害剤は、上記のようなタンパク質のリン酸化の異常に基づく疾患の治療に有用であると考えられる。プロテインキナーゼのなかでも特にMAPキナーゼは、種々の免疫反応や炎症反応に関与しているため、その活性化を阻害する薬剤は、非常に多岐にわたる疾患の治療剤と成り得る可能性がある。
【0011】
前述した様に、MAPキナーゼの一種であるJNKは、外界からの刺激に応じて活性化され、c−JunやATF−2等の基質タンパク質をリン酸化することで、より下流にシグナルを伝達するキナーゼである。c−Junは、転写因子AP−1の構成因子であり、そのN末端は、JNKによって特異的にリン酸化されることが知られている。また、このc−JunのN末端のリン酸化により、AP−1下流遺伝子の転写活性が増大することが知られている[EMBO J., 15, 2760 (1996); Biochemica et Biophysica Acta, 1333, F85 (1997)]。JNKと疾患の関連については、これらの転写因子だけでなく、細胞内の重要なシグナル伝達因子を基質にすることから近年さらに注目を集めている。例えば、JNKの活性が、高脂肪食負荷肥満マウスやob/obマウスの肝臓、脂肪、骨格筋等で上昇し、IRS−1のセリンリン酸化を介してインスリン反応の制御に関わっていることが報告されている[Nature, 420(6913), 333 (2002)]。また、同文献では、JNK1ノックアウトマウスは、高脂肪食負荷を行っても肥満になりにくいという結果が報告されている。
【0012】
従って、JNKの活性を阻害する化合物は、代謝性疾患(例えば、糖尿病(インスリン抵抗性糖尿病または非インスリン抵抗性糖尿病)、高脂血症、その他のインスリン抵抗性疾患等)、炎症性疾患(例えば、鼻炎、咽頭炎、気管支炎、肺炎、胸膜炎、気管支喘息、慢性肺気腫、肺繊維症、炎症性腸疾患、急性膵炎、慢性膵炎、成人呼吸困難症候群、慢性甲状腺炎、自己免疫性胃炎等)、強皮症、深在性紅斑性狼瘡、グレーブス病、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、重症筋無力症、多発性骨髄腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性肉腫、慢性骨髄性白血病、転移黒色腫、カポジ肉腫、消耗性疾患、ハンチントン病、脳卒中における虚血・再還流に伴う疾患、心筋虚血症、虚血性心疾患、腎虚血、血管新生緑内障、幼児性血管腫、血管増殖、心肥大、異常免疫応答、発熱、細胞老化、アポトーシス関連疾患等の予防および/または治療剤として有用であることが期待される。
また、JNKは、TNF−αの産生過程にもその関与が示唆されていることから、JNKの活性を阻害する化合物は、TNF−αが関与する疾患の予防および/または治療剤としても有用であることが期待される[Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 98 (24), 13681 (2001)]。
【0013】
一方、一般式(H)
【化1】

[式中、AraHおよびArbHはそれぞれ置換基を有していてもよい芳香族基等を、BaH環は置換基を有していてもよい含窒素複素環を、XaHおよびYaHはそれぞれ同一または異なって結合手や酸素原子等を、AaH環は置換基を有していてもよい5員環を、RaHおよびRbHはそれぞれ同一または異なって、ハロゲン原子や炭化水素基等を、RcHは、ヒドロキシ基やカルボキシル基等を示す。]で示される化合物(ただし、基中の記号は必要な部分のみ抜粋した。)が、JNK阻害剤として有用であることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0014】
また、一般式(Q)
【化2】

[式中、XおよびYはそれぞれ独立して、炭素原子または窒素原子を(ただし、二つは同時に窒素原子を表わさない。)、Wは炭素原子または窒素原子を、UおよびZはそれぞれ独立して、CR、NR13、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を、Aは炭素環または複素環を、R1Qは置換もしくは無置換の炭素鎖等を、R3QはC5−10の単環もしくは二環式炭素環または5−10員の単環もしくは二環式複素環を示す。]で示される化合物(ただし、基中の記号は必要な部分のみ抜粋した。)が、コルチコトロピン放出因子受容体拮抗作用を有する化合物として有用であることが記載されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−137785号公報
【特許文献2】国際公開第02/53565号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
代謝性疾患や炎症性疾患をはじめとする種々の疾患の予防および/または治療剤として有用であり、効果、持続性、経口吸収性に優れ、かつ安全なキナーゼ阻害薬、特にJNK阻害薬の開発が切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、JNKを対象としてそのキナーゼ活性を抑制することにより、各種疾患の治療薬となり得る化合物を見出すべく鋭意研究した結果、一般式(I)で示される化合物が目的を達成することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]一般式(I)
【化3】

[式中、
【化4】

は、8−10員の縮合複素環を表わし、Rは(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)シアノ基、(4)オキソ基、(5)保護されていてもよい水酸基、(6)保護されていてもよいカルボキシル基、(7)保護されていてもよいアミノ基、(8)置換基を有していてもよい環状基、(9)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、または(10)保護されていてもよいチオール基を表わし、nは0または1乃至8の整数を表わす。ただし、nが2以上を表わす場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。]で示される化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグ;
【0017】
[2]
【化5】


【化6】

である前記[1]記載の化合物;
[3]一般式(I)が一般式(I−1)
【化7】

[式中、Rは保護されていてもよいアミノ基または置換基を有していてもよい環状基を表わし、Rはハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいチオール基または置換基を有していてもよい環状基を表わし、Rは水素原子、ハロゲン原子、保護されていてもよいアミノ基、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいチオール基、置換基を有していてもよい環状基または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表わし、mは0または1乃至3の整数を表わす。ただし、mが2以上を表わす場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。]である前記[1]記載の化合物;
【0018】
[4]一般式(I)が一般式(I−2)
【化8】

[式中、pは0または1乃至5の整数を表わし、他の記号は前記[3]と同じ意味を表わす。ただし、pが2以上を表わす場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。]である前記[1]記載の化合物;
[5]一般式(I)が一般式(I−3)
【化9】

[式中、すべての記号は前記[3]および前記[4]と同じ意味を表わす。]である前記[1]記載の化合物;
[6]Rが保護されたアミノ基を表わす、前記[3]、[4]または[5]記載の化合物;
【0019】
[7]化合物が(1)N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(2)5−クロロ−N−(3−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(3)5−チエノ−3−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(4)N−(4−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)アセトアミド、(5)2−{4−[(5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)アミノ]フェニル}エタノール、(6)5−(2−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(7)5−(4−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(8)5−(5−メチルチエノ−2−イル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(9)5−(3,4−ジメチルフェニル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(10)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−キノリン−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(11)5−(3−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(12)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(13)N−(4−メトキシベンジル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(14)1−(3−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)エタノン、(15)5−ピリジン−4−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(16)N−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−N−プロピルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5,7−ジアミン、(17)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(18)5−(3−フリル)−N−(チエノ−2−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(19)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(20)5−(4−メチルフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(21)5−(3−メトキシフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(22)5−(3−フリル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(23)N−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メチルフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(24)N−(4−メトキシベンジル)−5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(25)5−(3−フリル)−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(26){1−[5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−2−ピロリジニル}メタノール、(27)5−(4−メチル−2−チエニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(28)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−6−メチル−2H−クロメン−2−オン、(29)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−8−メチル−2H−クロメン−2−オン、(30)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−2H−クロメン−2−オン、(31)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(32)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−2−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(33)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−3−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(34)N−(4−メトキシベンジル)−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(35)N−(4−メトキシベンジル)−2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(36)N−(4−メトキシベンジル)−3,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(37)N−(4−メトキシベンジル)−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(38)N−(4−メトキシベンジル)−2−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、および(39)N−(4−メトキシベンジル)−3−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンからなる群から選択される化合物である前記[1]記載の化合物;
【0020】
[8]前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグを含有してなる医薬組成物;
[9]キナーゼ阻害剤である前記[8]記載の組成物;
[10]キナーゼがc−Jun N末端キナーゼである前記[9]記載の組成物;
[11]c−Jun N末端キナーゼがJNK1である前記[10]記載の組成物;
[12]化合物が一般式(I−1)、(I−2)または(I−3)
【化10】

[式中、すべての記号は、前記[3]および[4]と同じ意味を表わす。]である前記[8]記載の組成物;
【0021】
[13]化合物が(1)N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(2)5−クロロ−N−(3−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(3)5−チエノ−3−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(4)N−(4−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)アセトアミド、(5)2−{4−[(5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)アミノ]フェニル}エタノール、(6)5−(2−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(7)5−(4−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(8)5−(5−メチルチエノ−2−イル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(9)5−(3,4−ジメチルフェニル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(10)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−キノリン−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(11)5−(3−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(12)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(13)N−(4−メトキシベンジル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(14)1−(3−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)エタノン、(15)5−ピリジン−4−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(16)N−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−N−プロピルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5,7−ジアミン、(17)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(18)5−(3−フリル)−N−(チエノ−2−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(19)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(20)5−(4−メチルフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(21)5−(3−メトキシフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(22)5−(3−フリル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(23)N−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メチルフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(24)N−(4−メトキシベンジル)−5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(25)5−(3−フリル)−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(26){1−[5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−2−ピロリジニル}メタノール、(27)5−(4−メチル−2−チエニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(28)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−6−メチル−2H−クロメン−2−オン、(29)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−8−メチル−2H−クロメン−2−オン、(30)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−2H−クロメン−2−オン、(31)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(32)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−2−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(33)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−3−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(34)N−(4−メトキシベンジル)−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(35)N−(4−メトキシベンジル)−2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(36)N−(4−メトキシベンジル)−3,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(37)N−(4−メトキシベンジル)−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(38)N−(4−メトキシベンジル)−2−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、および(39)N−(4−メトキシベンジル)−3−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンからなる群から選択される化合物である前記[8]記載の組成物;
【0022】
[14]c−Jun N末端キナーゼ関連疾患の予防および/または治療剤である前記[10]記載の組成物;
[15]c−Jun N末端キナーゼ関連疾患が、代謝性疾患または炎症性疾患である前記[14]記載の組成物;
[16]代謝性疾患が糖尿病である前記[15]記載の組成物;
[17]糖尿病がインスリン抵抗性糖尿病である前記[16]記載の組成物;
[18]炎症性疾患が骨炎症である前記[15]記載の組成物;
[19]骨炎症が関節炎である前記[18]記載の組成物;
[20]哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするc−Jun N末端キナーゼの阻害方法;
【0023】
[21]哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするc−Jun N末端キナーゼ関連疾患の予防および/または治療方法;
[22]c−Jun N末端キナーゼ関連疾患の予防および/または治療剤を製造するための、前記[1]記載の化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグの使用;
[23]前記[1]記載の化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグとMTP阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、スクアレン合成酵素阻害薬、フィブラート系製剤、ACAT阻害薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬、回腸Na/胆汁酸共輸送体阻害薬、LDL受容体活性化薬/発現増強薬、リパーゼ阻害薬、プロブコール製剤、ニコチン酸製剤、スルフォニル尿素系血糖降下薬、ビグアナイド系製剤、α―グルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬、インスリン製剤、DPP4阻害薬、PTP1B阻害薬、β3アドレナリン受容体作動薬、PPAR作動薬および糖尿病合併症治療薬から選択される1種または2種以上とを組合せてなる医薬;
【0024】
[24]前記[1]記載の化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグとステロイド薬、エラスターゼ阻害薬、カンナビノイド−2受容体刺激薬、プロスタグランジン類、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、メタロプロテイナーゼ阻害薬、接着分子阻害薬、抗サイトカイン性タンパク質製剤(抗TNF−α製剤、抗IL−1製剤、抗IL−6製剤)、抗サイトカイン薬、免疫調節薬、疾患修飾性抗リウマチ薬、非ステロイド性抗炎症薬およびc−Jun N末端キナーゼ阻害薬から選択される1種または2種以上とを組み合わせてなる医薬;および
[25]前記[1]記載の化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグの製造方法に関する。
【0025】
本明細書中、
【化11】

(以下、縮合環ABと略記する場合がある。)によって表される8−10員の縮合複素環とは、例えば、5員環と5員環との縮合複素環、5員環と6員環との縮合複素環、6員環と6員環との縮合複素環等が挙げられる。この複素環としては、8−10員の縮合不飽和複素環、その全部が飽和されている複素環が挙げられる。8−10員の縮合不飽和複素環、一部が飽和されている複素環としては、例えば、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、ベンズオキサチアン、ジヒドロベンズオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン、ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン環等が挙げられる。8−10員の縮合飽和複素環としては、例えば、パーヒドロベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロインダゾール、パーヒドロキノリン、パーヒドロイソキノリン、パーヒドロフタラジン、パーヒドロナフチリジン、パーヒドロキノキサリン、パーヒドロキナゾリン、パーヒドロシンノリン、パーヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン環等が挙げられる。
【0026】
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
本明細書中、「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」としては、例えば炭素環基または複素環基等が挙げられる。
本明細書中、炭素環基としては、例えば、「C3−15の単環、二環または三環式炭素環」から任意の水素原子を除いてできる1価の基等が挙げられる。ここで、「C3−15の単環、二環または三環式炭素環」としては、例えば、C3−15の単環、二環または三環式不飽和炭素環、その一部または全部が飽和されている炭素環、スピロ結合した二環式炭素環および架橋した二環式炭素環等が用いられる。
【0027】
「C3−15の単環、二環または三環式不飽和炭素環、その全部が飽和されている炭素環」としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロトリドデカン、シクロテトラデカン、シクロペンタデカン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ベンゼン、ペンタレン、パーヒドロペンタレン、アズレン、パーヒドロアズレン、インデン、パーヒドロインデン、インダン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、パーヒドロナフタレン、ヘプタレン、パーヒドロヘプタレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、アセナフテン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン環等が;「スピロ結合した二環式炭素環」としては、例えば、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン環等が;「架橋した二環式炭素環」としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン、アダマンタン、ノルアダマンタン環等が挙げられる。これらのうち、「C3−15の単環、二環または三環式芳香族炭素環」としては、例えば、ベンゼン、アズレン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン環等が挙げられる。
【0028】
本明細書中、複素環基としては、例えば、「ヘテロ原子として1−4個の窒素原子、1−2個の酸素原子および/または1−2個の硫黄原子を含む3−15員の単環、二環または三環式複素環」から任意の水素原子を除いてできる1価の基等が挙げられる。ここで、「ヘテロ原子として1−4個の窒素原子、1−2個の酸素原子および/または1−2個の硫黄原子を含む3−15員の単環、二環または三環式複素環」としては、例えば、ヘテロ原子として1−4個の窒素原子、1−2個の酸素原子および/または1−2個の硫黄原子を含む3−15員の単環、二環または三環式不飽和複素環、その一部または全部が飽和されている複素環、スピロ結合した二環式複素環および架橋した二環式複素環等が用いられる。
【0029】
「ヘテロ原子として1−4個の窒素原子、1−2個の酸素原子および/または1−2個の硫黄原子を含む3−15員の単環、二環または三環式不飽和複素環、その全部が飽和されている複素環」としては、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾオキセピン、ベンゾオキサゼピン、ベンゾオキサジアゼピン、ベンゾチエピン、ベンゾチアゼピン、ベンゾチアジアゼピン、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナジン、ジベンゾフラン、キサンテン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェノキサチイン、チアンスレン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、パーヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、パーヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、パーヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、パーヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、パーヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、パーヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、パーヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、パーヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ベンゾジオキセパン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、パーヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン、パーヒドロアクリジン、ジヒドロジベンゾフラン、ジヒドロジベンゾチオフェン、テトラヒドロジベンゾフラン、テトラヒドロジベンゾチオフェン、パーヒドロジベンゾフラン、パーヒドロジベンゾチオフェン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピラジン、5H−シクロペンタ[b]ピラジン、イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール環等が;「スピロ結合した二環式複素環」としては、例えば、アザスピロ[4.4]ノナン、オキサザスピロ[4.4]ノナン、ジオキサスピロ[4.4]ノナン、アザスピロ[4.5]デカン、チアスピロ[4.5]デカン、ジチアスピロ[4.5]デカン、ジオキサスピロ[4.5]デカン、オキサザスピロ[4.5]デカン、アザスピロ[5.5]ウンデカン、オキサスピロ[5.5]ウンデカン、ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン環等が;「架橋した二環式複素環」としては、例えば、アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.2.1]オクタン、オキサビシクロ[3.2.1]オクタン、アザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン環等が挙げられる。
【0030】
これらのうち、「ヘテロ原子として1−4個の窒素原子、1−2個の酸素原子および/または1−2個の硫黄原子を含む3−15員の単環、二環または三環式芳香族複素環」としては、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、チアジアゾール、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナジン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン環等が挙げられる。
【0031】
本明細書中、「置換基を有していてもよい環状基」における「置換基」は、置換基であれば特に限定されない。該「置換基」としては、例えば、(1)カルボキシル基、(2)スルホ基、(3)スルフィノ基、(4)ホスホノ基、(5)ニトロ基、(6)オキソ基、(7)チオキソ基、(8)シアノ基、(9)アミジノ基、(10)ジヒドロキシボリル基(−B(OH)基)、(11)ハロゲン原子(前記と同じ意味を表わす。)、(12)アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル基等のC1−6アルコキシカルボニル基等)、(13)アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、へキシルスルフィニル、tert−ブチルスルフィニル基等のC1−6アルキルスルフィニル基等)、(14)アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィル基等のC6−10芳香族炭素環スルフィニル基等)、(15)アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、へキシルスルホニル、tert−ブチルスルホニル基等のC1−6アルキルスルホニル基等)、(16)アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル基等のC6−10芳香族炭素環スルホニル基等)、(17)アルキルカルボニルヒドラジノ基(例えば、メチルカルボニルヒドラジノ、エチルカルボニルヒドラジノ、tert−ブチルカルボニルヒドラジノ基等のC1−6アルキルカルボニルヒドラジノ基(−NH−NH−CO−(C1−6アルキル)基)、(18)アリールヒドラゾン基(例えば、ベンゾアルデヒド ヒドラゾン、p−メトキシベンゾアルデヒド ヒドラゾン基等の置換基を有していてもよいC6−10芳香族炭素環ヒドラゾン基)(19)アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ピバロイル基等のC1−6アルカノイル基、例えば、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル基等のC3−8シクロアルカノイル基、例えば、ベンゾイル基等のC6−10芳香族炭素環カルボニル基、例えば、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、1−メチルピペラジン−4−イルカルボニル基等の置換基を有していてもよい複素環カルボニル基、例えば、フェニルメチルカルボニル、2−フェニルエチルカルボニル基等のC6−10芳香族炭素環アルカノイル基等)、(20)保護されていてもよい水酸基、(21)保護されていてもよいチオール基、(22)保護されていてもよいアミノ基、(23)置換されていてもよいカルバモイル基、(24)置換されていてもよいスルファモイル基、(25)置換されていてもよいイミノ基、(26)置換基を有していてもよいアルキル基、(27)置換基を有していてもよいアルケニル基、(28)置換基を有していてもよいアルキニル基、(29)置換基を有していてもよい炭素環基、(30)置換基を有していてもよい複素環基等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1乃至5個置換していてもよい。
【0032】
置換基としての「置換基を有していてもよいアルキル基」における「アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖状または分枝状のC1−8アルキル基等が挙げられる。該「置換基を有していてもよいアルキル基」における「置換基」は、置換基であれば特に限定されないが、例えば、(a)水酸基、(b)アミノ基、(c)カルボキシル基、(d)ニトロ基、(e)シアノ基、(f)ハロゲン原子(前記と同じ意味を表わす。)、(g)モノ−またはジ−(C1−6アルキル)アミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ基等)、(h)C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシ、ヘキシルオキシ基等)、(i)C1−6アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ基等)、(j)アシル基(前記と同じ意味を表わす。)、(k)置換されていてもよいカルバモイル基、(l)置換基を有していてもよい炭素環、(m)置換基を有していてもよい複素環等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1乃至4個置換していてもよい。ここで、「置換されていてもよいカルバモイル基」、「置換基を有していてもよい炭素環基」および「置換基を有していてもよい複素環基」としては、後記の、置換基としての「置換されていてもよいカルバモイル基」、置換基としての「置換基を有していてもよい炭素環基」および置換基としての「置換基を有していてもよい複素環基」と同様のものが挙げられる。
【0033】
置換基としての「置換基を有していてもよいアルケニル基」における「アルケニル基」としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、ヘプテジエニル、オクテニル、オクテジエニル基等の直鎖状または分枝状のC2−8アルケニル基等が挙げられる。該「置換基を有していてもよいアルケニル基」における「置換基」は、置換基であれば特に限定されないが、例えば、前記「置換基を有していてもよいアルキル基」における「置換基」と同様のもの等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1乃至4個置換していてもよい。
【0034】
置換基としての「置換基を有していてもよいアルキニル基」における「アルキニル基」としては、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ブタジイニル、ペンチニル、ペンタジイニル、ヘキシニル、ヘキサジイニル、ヘプチニル、ヘプタジイニル、オクチニル、オクタジイニル基等の直鎖状または分枝状のC2−8アルキニル基等が挙げられる。該「置換基を有していてもよいアルキニル基」における「置換基」は、置換基であれば特に限定されないが、例えば、前記「置換基を有していてもよいアルキル基」における「置換基」と同様のものが挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1乃至4個置換していてもよい。
【0035】
置換基としての「置換基を有していてもよい炭素環基」における「炭素環基」としては、例えば、前記「C3−15の単環、二環または三環式炭素環」から任意の水素原子を除いてできる1価の基等が挙げられる。該「置換基を有していてもよい炭素環基」における「置換基」は、置換基であれば特に限定されないが、例えば、直鎖状または分枝状のC1−8アルキル基(前記「置換基を有していてもよいアルキル基」における「アルキル基」と同じ意味を表わす。)、直鎖状または分枝状のC2−8アルケニル基(前記「置換基を有していてもよいアルケニル基」における「アルケニル基」と同じ意味を表わす。)、直鎖状または分枝状のC2−8アルキニル基(前記「置換基を有していてもよいアルキニル基」における「アルキニル基」と同じ意味を表わす。)、水酸基、C1−6アルコキシ基(前記と同じ意味を表わす。)、C6−10アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、チオール基、C1−6アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ基等)、C6−10アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、アミノ基、モノ−またはジ−(C1−6アルキル)アミノ基(前記と同じ意味を表わす。)、モノ−またはジ−(C6−10アリール)アミノ基(例えば、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ基等)、モノ−(C1−6アルキル)−モノ−(C6−10アリール)アミノ基(例えば、N−フェニル−N−メチルアミノ、N−フェニル−N−エチルアミノ基等)、カルボキシル基、C1−6アルキルカルボニルオキシ基(例えばアセトキシ、エチルカルボニルオキシ基等)、ハロゲン原子(前記と同じ意味を表わす)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1乃至5個置換していてもよい。
【0036】
置換基としての「置換基を有していてもよい複素環基」における「複素環基」としては、例えば、前記「ヘテロ原子として1−4個の窒素原子、1−2個の酸素原子および/または1−2個の硫黄原子を含む3−15員の単環、二環または三環式複素環」から任意の水素原子を除いてできる1価の基等が挙げられる。該「置換基を有していてもよい複素環基」における「置換基」は、置換基であれば特に限定されないが、例えば、前記「置換基を有していてもよい炭素環基」における「置換基」と同様のもの等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1乃至5個置換していてもよい。
【0037】
置換基としての「置換されていてもよいイミノ基」としては、無置換のイミノ基および例えば、C1−6アルキル基によって置換されたイミノ基(例えば、メチルイミノ、エチルイミノ基等)、置換基を有していてもよいC6−10芳香族炭素環基によって置換されたイミノ基(例えば、フェニルイミノ、p−フルオロフェニルイミノ、p−クロロフェニルイミノ基等)、水酸基によって置換されたイミノ基(例えば、ヒドロキシイミノ基等)、C1−6アルコキル基によって置換されたイミノ基(例えば、メトキシイミノ、エトキシイミノ基等)、置換基を有していてもよいC6−10芳香族炭素環オキシ基によって置換されたイミノ基(例えば、フェノキシイミノ、p−フルオロフェノキシイミノ、p−クロロフェノキシイミノ基等)等が挙げられる。
【0038】
置換基としての「保護されていてもよい水酸基」としては、無置換の水酸基および任意の「保護基」によって置換された水酸基等が挙げられる。ここで、水酸基の保護基としては、例えば、(i)置換基を有していてもよいアルキル基(前記と同じ意味を表わす)、(ii)置換基を有していてもよい炭素環基(前記と同じ意味を表わす)、(iii)置換基を有していてもよい複素環基(前記と同じ意味を表わす)、(iv)アシル基(前記と同じ意味を表わす)、(v)スルホニル基(例えば、アルキルスルホニル基(前記と同じ意味を表わす)、アリールスルホニル基(前記と同じ意味を表わす)等)等が挙げられる。
【0039】
置換基としての「保護されていてもよいチオール基」としては、無置換のチオール基および任意の「保護基」によって置換されたチオール基等が挙げられる。ここで、チオール基の保護基としては、例えば、前記「保護されていてもよい水酸基」における「保護基」と同様のものが挙げられる。
置換基としての「保護されていてもよいアミノ基」としては、無置換のアミノ基および任意の「保護基」によって一置換または二置換されたアミノ基等が挙げられる。ここで、アミノ基の保護基としては、例えば、前記「保護されていてもよい水酸基」における「保護基」と同様のものが挙げられる。
【0040】
置換基としての「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、無置換のカルバモイル基および任意の「保護基」によって一置換または二置換されたカルバモイル基等が挙げられる。ここで、カルバモイル基の保護基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基(前記と同じ意味を表わす。)、置換基を有していてもよい炭素環基(前記と同じ意味を表わす。)、置換基を有していてもよい複素環基(前記と同じ意味を表わす。)等が挙げられる。具体的には、N−モノ−C1−6アルキルカルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−イソプロピルカルバモイル、N−ブチルカルバモイル、N−イソブチルカルバモイル、N−(tert−ブチル)カルバモイル、N−ペンチルカルバモイル、N−ヘキシルカルバモイル基等)、N−モノ−(水酸基置換C1−6アルキル)カルバモイル基(例えば、N−ヒドロキシメチルカルバモイル、N−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル、N−(3−ヒドロキシプロピル)カルバモイル、N−(4−ヒドロキシブチル)カルバモイル基等)、N−モノ−(アミノ基置換C1−6アルキル)カルバモイル基(例えば、N−アミノメチルカルバモイル、N−(2−アミノエチル)カルバモイル、N−(3−アミノプロピル)カルバモイル、N−(4−アミノブチル)カルバモイル基等)、N−モノ−(ジメチルアミノ基置換C1−6アルキル)カルバモイル基(例えば、N−(ジメチルアミノ)メチルカルバモイル、N−(2−ジメチルアミノエチル)カルバモイル、N−(3−ジメチルアミノプロピル)カルバモイル、N−(4−ジメチルアミノブチル)カルバモイル基等)、N−モノ(置換されていてもよい炭素環)カルバモイル基(例えば、N−シクロプロピルカルバモイル、N−シクロペンチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル基等)、N,N−ジC1−6アルキルカルバモイル基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N,N−ジプロピルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N,N−ジペンチルカルバモイル、N,N−ジヘキシルカルバモイル、N−メチル−N−エチルカルバモイル基等)等が挙げられる。
【0041】
置換基としての「置換されていてもよいスルファモイル基」としては、無置換のスルファモイル基および任意の「保護基」によって一置換または二置換されたスルファモイル基等が挙げられる。ここで、スルファモイル基の保護基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基(前記と同じ意味を表わす。)等が挙げられる。具体的には、例えば、N−モノ−C1−6アルキルスルファモイル基(例えば、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N−プロピルスルファモイル、N−イソプロピルスルファモイル、N−ブチルスルファモイル、N−イソブチルスルファモイル、N−(tert−ブチル)スルファモイル、N−ペンチルスルファモイル、N−ヘキシルスルファモイル基等)、N,N−ジC1−6アルキルスルファモイル(例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N,N−ジブチルスルファモイル、N,N−ジペンチルスルファモイル、N,N−ジヘキシルスルファモイル、N−メチル−N−エチルスルファモイル基等)等が挙げられる。
【0042】
本明細書中、「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」における「脂肪炭化水素基」としては、例えば直鎖状または分枝状の炭化水素基等が挙げられる。「直鎖状または分枝状の炭化水素基」としては、例えば、「直鎖状または分枝状のアルキル基」、「直鎖状または分枝状のアルケニル基」、「直鎖状または分枝状のアルキニル基」等が挙げられる。ここで、「直鎖状または分枝状のアルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル基等の直鎖状または分枝状のC1−10アルキル基等が挙げられる。「直鎖状または分枝状のアルケニル基」としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、ヘプタジエニル、オクテニル、オクタジエニル、ノネニル、ノナジエニル、デセニル、デカジエニル基等の直鎖状または分枝状のC2−10アルケニル基等が挙げられる。「直鎖状または分枝状のアルキニル基」としては、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ブタジイニル、ペンチニル、ペンタジイニル、ヘキシニル、ヘキサジイニル、ヘプチニル、ヘプタジイニル、オクチニル、オクタジイニル、ノニニル、ノナジイニル、デシニル、デカジイニル基等の直鎖状または分枝状のC2−10アルキニル基等が挙げられる。
【0043】
該「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」における「置換基」は、置換基であれば特に限定されない。該「置換基」としては、例えば、(1)スルホ基、(2)スルフィノ基、(3)ホスホノ基、(4)ニトロ基、(5)オキソ基、(6)チオキソ基、(7)シアノ基、(8)アミジノ基、(9)ジヒドロキシボリル基(−B(OH)基)、(10)ハロゲン原子(前記と同じ意味を表わす。)、(11)アルキルスルフィニル基(前記と同じ意味を表わす。)、(12)アリールスルフィニル基(前記と同じ意味を表わす。)、(13)アルキルスルホニル基(前記と同じ意味を表わす。)、(14)アリールスルホニル基(前記と同じ意味を表わす。)、(15)アシル基(前記と同じ意味を表わす。)、(16)保護されていてもよい水酸基(前記と同じ意味を表わす。)、(17)保護されていてもよいチオール基(前記と同じ意味を表わす。)、(18)保護されていてもよいアミノ基(前記と同じ意味を表わす。)、(19)置換されていてもよいカルバモイル基(前記と同じ意味を表わす。)、(20)置換されていてもよいスルファモイル基(前記と同じ意味を表わす。)、(21)置換されていてもよいイミノ基(前記と同じ意味を表わす。)、(22)保護されていてもよいカルボキシル基、(23)置換基を有していてもよい環状基(前記と同じ意味を表わす。)等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1乃至5個置換してもよい。ここで、「保護されていてもよいカルボキシル基」としては、無置換のカルボキシル基および任意の「保護基」によって置換されたカルボキシ基等が挙げられる。ここで、カルボキシル基の保護基としては、例えば、(i)置換基を有していてもよいアルキル基(前記と同じ意味を表わす)、(ii)置換基を有していてもよい炭素環基(前記と同じ意味を表わす)、(iii)置換基を有していてもよい複素環基(前記と同じ意味を表わす)等が挙げられる。
【0044】
本明細書中、「保護されていてもよいアミノ基」しては、無置換のアミノ基および、任意の「保護基」によって一置換または二置換されたアミノ基等が挙げられる。ここで、アミノ基の保護基としては、例えば、前記した置換基としての「保護されていてもよい水酸基」における「保護基」と同様のものが挙げられる。
本明細書中、「保護されていてもよい水酸基」としては、無置換の水酸基および任意の「保護基」によって置換された水酸基等が挙げられる。ここで、水酸基の保護基としては、例えば、前記した置換基としての「保護されていてもよい水酸基」における「保護基」と同様のものが挙げられる。
【0045】
本明細書中、「保護されていてもよいチオール基」としては、無置換のチオール酸基および任意の「保護基」によって置換されたチオール基等が挙げられる。ここで、チオール基の保護基としては、例えば、前記した置換基としての「保護されていてもよいチオール基」における「保護基」と同様のものが挙げられる。
本明細書中、「保護されていてもよいカルボキシル基」としては、無置換のカルボキシ基および任意の「保護基」によって置換されたカルボキシル基等が挙げられる。ここで、カルボキシル基の保護基としては、前記した置換基としての「保護されていてもよいカルボキシル基」における「保護基」と同様のものが挙げられる。
【0046】
本明細書中、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等による反応により一般式(I)で示される化合物に変換する化合物をいう。一般式(I)で示される化合物のプロドラッグとしては、例えば、一般式(I)で示される化合物がアミノ基を有する場合、該アミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、アセトキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物が水酸基を有する場合、該水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物がカルボキシル基を有する場合、該カルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等);等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって製造することができる。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは水和物および非水和物のいずれであってもよい。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻「分子設計」163〜198頁に記載されているような、生理的条件で一般式(I)で示される化合物に変化するものであってもよい。さらに、一般式(I)で示される化合物は同位元素(例えばH、14C、35S、125I等)等で標識されていてもよい。
【0047】
本発明の一般式(I)には、ケトエノール互変異性体を含む。例えば、縮合環ABがピラゾロ[1,5−a]ピリミジン環であり、Rが水酸基を表わす場合は、下記式の化合物等が含まれる。
【化12】

本発明において、縮合環AB、R、R、およびRが表わすそれぞれの基はいずれも好ましい。特に実施例に記載されたものが好ましい。以下に好ましい基を列記するが、ここで用いられる記号はすべて前記と同じ意味を表わす。
【0048】
本発明において、縮合環ABとして好ましくは、例えば8−10員の縮合不飽和複素環等が好ましく、より好ましくは、例えば、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、キノリン、2H−クロメン環等である。
本発明において、Rとして好ましくは、例えば、水素原子、オキソ基、ハロゲン原子、保護されていてもよいアミノ基、保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよい環状基、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基等である。
本発明において、nとして好ましくは、1乃至4の整数であり、より好ましくは、2または3である。
【0049】
本発明において、一般式(I)で示される化合物中、一般式(I−1)
【化13】

[式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。]、
一般式(I−2)
【化14】

[式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。]、または
一般式(I−3)
【化15】

[式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。]
で示される化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグが好ましい。
【0050】
本明細書中、Rとして好ましくは、一置換のアミノ基が好ましい。より好ましくは、例えば、「置換基を有していてもよい環状基」によって一置換されたアミノ基、「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」によって一置換されたアミノ基等が挙げられる。ここで、「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」として好ましくは、例えば、C5−6の単環式炭素環から任意の水素原子を除いてできる1価の基等であり、より好ましくは、例えば、ベンゼン環から任意の水素原子を除いてできる1価の基(すなわち、フェニル基)等である。「置換基を有していてもよい環状基」における「置換基」として好ましくは、例えば、水酸基で置換されたC1−4アルキル基、ハロゲン原子等であり、より好ましくは、例えば、2−ヒドロキシエチル基、塩素原子等である。「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」における「脂肪族炭化水素基」として好ましくは、例えば、C1−4アルキル基等であり、より好ましくは、例えば、メチル基等である。「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」における「置換基」として好ましくは、例えば、置換基を有していてもよい環状基等が挙げられる。ここで「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」として好ましくは、例えば、置換基を有していてもよいC5−6の単環式炭素環から任意の水素原子を除いてできる1価の基、置換基を有していてもよい5−10員の単環または二環式複素環から任意の水素原子を除いてできる1価の基等であり、より好ましくは、例えば、ベンゼン環、ピリジン環、1,3−ベンゾジオキソール環等から任意の水素原子を除いてできる1価の基等である。「置換基を有していてもよい環状基」における「置換基」として好ましくは、例えば、C1−4アルコキシ基またはハロゲン原子等であり、より好ましくは、例えば、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子等である。
【0051】
本明細書中、Rとして好ましくは、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい5−6員の単環式炭素環から任意の水素原子を除いてできる1価の基、置換基を有していてもよい5−10員の単環または二環式複素環から任意の水素原子を除いてできる1価の基等が挙げられる。ここで、「置換基を有していてもよい5−6員の単環式炭素環」における「5−6員の単環式炭素環」として好ましくは、例えば、ベンゼン環等が挙げられる。「置換基を有していてもよい5−6員の単環式炭素環」における「置換基」として好ましくは、例えば、C1−4アシルアミノ基、ハロゲン原子、C1−4アルキル基等であり、より好ましくは、例えば、アセチルアミノ基、フッ素原子、メチル基等である。「置換基を有していてもよい5−10員の単環または二環式複素環」における「5−10員の単環または二環式複素環」として好ましくは、例えば、「ヘテロ原子として、1−2個の窒素原子、1−2個の酸素原子および/または1個の硫黄原子を含む5−10員の単環または二環式複素環」であり、より好ましくは、例えば、フラン環、チオフェン環、キノリン環等である。「置換基を有していてもよい5−10員の単環または二環式複素環」における「置換基」として好ましくは、例えば、C1−4アルキル基等であり、より好ましくは、例えば、メチル基等である。また、ここで、「ハロゲン原子」として好ましくは、例えば、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
【0052】
本明細書中、Rとして好ましくは、例えば、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは、例えば水素原子、C1−4アルキル基等であり、特に好ましくは、例えば水素原子、メチル基等である。mとして好ましくは、0または1である。pとして好ましくは、0または1である。
本発明においては、上記の好ましい基の組み合わせを含む一般式(I)の化合物が好ましい。より具体的には、例えば、Rとして、例えば、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニルアミノ、2−クロロフェニルアミノ、4−メトキシベンジルアミノ、3,4,5−トリメトキシベンジルアミノ、1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチルアミノ、ピリジン−4−イルメチルアミノ、4−フルオロ−3−クロロフェニルアミノ基等を有する化合物が好ましく、また、Rとして、例えば、チオフェン−3−イル、4−アセチルアミノフェニル、フラン−2−イル、4−フルオロフェニル、2−メチルチオフェン−5−イル、3,4−ジメチルフェニル、キノリン−3−イル、3−フルオロフェニル基等を有する化合物が好ましい。
【0053】
本発明において、好ましい化合物としては、例えば、(1)N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(2)5−クロロ−N−(3−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(3)5−チエノ−3−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(4)N−(4−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)アセトアミド、(5)2−{4−[(5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)アミノ]フェニル}エタノール、(6)5−(2−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(7)5−(4−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(8)5−(5−メチルチエノ−2−イル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(9)5−(3,4−ジメチルフェニル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(10)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−キノリン−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(11)5−(3−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(12)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(13)N−(4−メトキシベンジル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(14)1−(3−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)エタノン、(15)5−ピリジン−4−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(16)N−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−N−プロピルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5,7−ジアミン、(17)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(18)5−(3−フリル)−N−(チエノ−2−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(19)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(20)5−(4−メチルフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(21)5−(3−メトキシフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(22)5−(3−フリル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(23)N−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メチルフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(24)N−(4−メトキシベンジル)−5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(25)5−(3−フリル)−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(26){1−[5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−2−ピロリジニル}メタノール、(27)5−(4−メチル−2−チエニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(28)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−6−メチル−2H−クロメン−2−オン、(29)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−8−メチル−2H−クロメン−2−オン、(30)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−2H−クロメン−2−オン、(31)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(32)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−2−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(33)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−3−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(34)N−(4−メトキシベンジル)−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(35)N−(4−メトキシベンジル)−2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(36)N−(4−メトキシベンジル)−3,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(37)N−(4−メトキシベンジル)−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(38)N−(4−メトキシベンジル)−2−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(39)N−(4−メトキシベンジル)−3−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン等が挙げられる。特に好ましい化合物としては、例えば、(1)N−(4−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)アセトアミド、(2)N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(3)2−{4−[(5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)アミノ]フェニル}エタノール、(4)5−クロロ−N−(3−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(5)5−(2−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(6)5−チエノ−3−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(7)5−(3,4−ジメチルフェニル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(8)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−キノリン−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(9)5−(3−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(10)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(11)5−ピリジン−4−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(12)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(13)5−(3−フリル)−N−(チエノ−2−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(14)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(15)5−(4−メチルフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(16)5−(3−メトキシフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(17)5−(3−フリル)−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(18){1−[5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−2−ピロリジニル}メタノール、(19)5−(4−メチルチエノ−2−イル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(20)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−6−メチル−2H−クロメン−2−オン等が挙げられる。
【0054】
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、アルコキシ基およびアルキレン基等には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β体、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。また、本発明においては、互変異性による異性体をもすべて包含する。
【0055】
[塩]
本発明において、一般式(I)で示される化合物は、塩を形成していてもよく、またN−オキシド体や四級アンモニウム塩であってもよい。さらにこれらの化合物は、溶媒和物であってもよい。一般式(I)で示される化合物の塩としては薬理学的に許容されるものすべてが含まれる。薬理学的に許容される塩は毒性のない、水溶性のものが好ましい。適当な塩として、例えば、アルカリ金属(例えば、カリウム、ナトリウム、リチウム等)の塩、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等)、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩、酸付加物塩[例えば、無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等]等が挙げられる。一般式(I)で示される化合物のN−オキシド体とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、酸化されたものを表わす。また、一般式(I)で示される化合物のN−オキシド体は、さらに上記の塩を形成していてもよい。一般式(I)で示される化合物の四級アンモニウム塩とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、R基(R基は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基(前記と同じ意味を表わす。)、置換基を有していてもよい環状基(前記と同じ意味を表わす。)を表わす。)によって四級化されたものを表わす。一般式(I)で示される化合物の四級アンモニウム塩は、さらに上記の塩、上記のN−オキシド体を形成していてもよい。一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド体、その四級アンモニウム塩の適当な溶媒和物としては、例えば、水、アルコール系溶媒(エタノール等)等の溶媒和物等が挙げられる。溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。一般式(I)で示される化合物は、公知の方法で上記の塩、上記のN−オキシド体、上記の四級アンモニウム塩、上記の溶媒和物に変換することができる。
【0056】
本明細書中、一般式(I)で示される化合物の命名および番号付けは、IUPAC名を機械的に生成するコンピュータープログラムである、Advanced Chemistry Development社のACD/NAMETM(バージョン5.08/17)を用いて行った。例えば、
【化16】

は、N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンと命名される。
【0057】
[本発明化合物の製造方法]
一般式(I)で示される化合物は、例えば、以下に示す方法、これらに準ずる方法、実施例に示す方法、または公知の方法(例えば、Comprehensive Organic Transformations : A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition (Richard C. Larock, John Wiley & Sons Inc, 1999) に記載された方法等)を適宜改良し、組み合わせて用いることによって製造することができる。なお、以下の各製造方法において、原料化合物は塩として用いてもよい。このような塩としては、前記した一般式(I)の塩として記載したものが用いられる。
【0058】
一般式(I)で示される化合物のうち、縮合環ABがピラゾロ[1,5−a]ピリミジン環である化合物、すなわち、一般式(I−A)
【化17】

(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)
で示される化合物は、以下(a)〜(d)の方法によって製造することができる。
【0059】
(a)一般式(I−A)で示される化合物は、一般式(II−1)
【化18】

[式中、R1−1、R1−2およびR1−3は、それぞれ独立して前記Rと同じ意味を表わす。]
で示される化合物、一般式(II−2)
【化19】

[式中、R1−1、R1−2およびR1−3は、前記と同じ意味を表わし、Qは保護されていてもよいアミノ基を表わす。]
で示される化合物または一般式(II−3)
【化20】

[式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。]
で示される化合物と、一般式(III)
【化21】

[式中、R1−4およびR1−5は、それぞれ独立して前記Rと同じ意味を表わす。]
で示される化合物を環形成反応に付し、さらに所望により脱保護反応に付すことにより製造することができる。
【0060】
この環形成反応は、公知であり、例えば、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トシル酸等)または有機アミン(例えば、ピペリジン、ピリジン等)の存在下、有機溶媒[例えば、ベンゼン系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等)、エーテル系溶媒(例えば、ジオキサン等)、アルコール系溶媒(例えば、エタノール、ブタノール等)等]中または無溶媒で、密閉下または非密閉下、約50℃〜還流温度で、約10分乃至約24時間、好ましくは約30分乃至約5時間加熱することにより行われる。ここで、Qで表わされる脱離能を有するアミノ基としては、例えば、アミノ基の2個の水素原子が、任意の置換基に置換されたもの等が用いられる。具体的には、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ基等のN,N−ジアルキルアミノ基等を用いることができる。
【0061】
一般式(I−A)のうち、少なくとも1つの基が、カルボキシル基、水酸基、アミノ基またはチオール基を含有する基を表わす化合物は、各基が保護基によって保護された化合物を脱保護反応に付すことによって製造することができる。カルボキシル基の保護基としては、例えば、メチル基、エチル基、アリル基、t−ブチル基、トリクロロエチル基、ベンジル(Bn)基、フェナシル基等が挙げられる。水酸基の保護基としては、例えば、メチル基、トリチル基、メトキシメチル(MOM)基、1−エトキシエチル(EE)基、メトキシエトキシメチル(MEM)基、2−テトラヒドロピラニル(THP)基、トリメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TES)基、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、アセチル(Ac)基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ベンジル(Bn)基、p−メトキシベンジル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)基等が挙げられる。アミノ基の保護基としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、1−メチル−1−(4−ビフェニル)エトキシカルボニル(Bpoc)基、トリフルオロアセチル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、ベンジル(Bn)基、p−メトキシベンジル基、ベンジルオキシメチル(BOM)基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEM)基等が挙げられる。チオール基の保護基としては、例えば、ベンジル基、メトキシベンジル基、メトキシメチル(MOM)基、2−テトラヒドロピラニル(THP)基、ジフェニルメチル基、アセチル(Ac)基等が挙げられる。
【0062】
カルボキシル基、水酸基、アミノ基またはチオール基の保護基としては、上記した以外にも容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特に限定されない。例えば、Protective Groups in Organic Synthesis (T. W. Greene, John Wiley & Sons Inc, 1999) に記載されたものが用いられる。カルボキシル基、水酸基、アミノ基またはチオール基の保護基の脱保護反応は、よく知られており、例えば、(1)アルカリ加水分解、(2)酸性条件下における脱保護反応、(3)加水素分解による脱保護反応、(4)シリル基の脱保護反応、(5)金属を用いた脱保護反応、(6)有機金属を用いた脱保護反応等が挙げられる。
【0063】
これらの方法を具体的に説明すると、(1)アルカリ加水分解による脱保護反応は、例えば、有機溶媒(メタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコール等)中、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0〜200℃の温度で行なわれる。(2)酸性条件下での脱保護反応は、例えば、有機溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、アニソール等)中、有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、または無機酸(塩酸、硫酸等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物(臭化水素/酢酸等)中、0〜200℃の温度で行なわれる。(3)加水素分解による脱保護反応は、例えば、溶媒(エーテル系(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アルコール系(メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、アミド系(N,N−ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0〜200℃の温度で行なわれる。(4)シリル基の脱保護反応は、例えば、水と混和しうる有機溶媒(テトラヒドロフラン、アセトニトリル等)中、フッ化物(フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化水素水溶液、フッ化水素−ピリジン錯体等)を用いて、−20〜40℃の温度で反応させることにより行なわれる。(5)金属を用いた脱保護反応は、例えば、酸性溶媒(酢酸、pH4.2〜7.2の緩衝液またはそれらの溶液とテトラヒドロフラン等の有機溶媒との混合液)中、粉末亜鉛の存在下、超音波をかけるかまたは超音波をかけないで、0〜40℃の温度で行なわれる。(6)金属錯体を用いる脱保護反応は、例えば、有機溶媒(塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、エタノール等)、水またはそれらの混合溶媒中、トラップ試薬(水素化トリブチルスズ、トリエチルシラン、ジメドン、モルホリン、ジエチルアミン、ピロリジン等)、有機酸(酢酸、ギ酸、2−エチルヘキサン酸等)および/または有機酸塩(2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等)の存在下、ホスフィン系試薬(トリフェニルホスフィン等)の存在下または非存在下、金属錯体(テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)等)を用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。
【0064】
また、上記以外にも、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis (T. W. Greene, John Wiley & Sons Inc, 1999)に記載された方法によって、脱保護反応を行なうことができる。
当業者にとって容易になし得るこれらの脱保護反応を使い分けることにより、目的とする本発明化合物を容易に製造することができる。
【0065】
(b)一般式(I−A)で示される化合物のうち、少なくとも1つのRがハロゲン原子を表わす化合物、すなわち、一般式(I−A−b)
【化22】

[式中、R1−bは、Rと同じ意味を表わす。ただし、少なくとも1つのR1−bがハロゲン原子を表わすものとし、他の記号は前記と同じ意味を表わす。]
で示される化合物は、前記(a)の方法によって製造され、少なくとも1つのRが水酸基を表わす化合物、すなわち一般式(I−A−a−1)
【化23】

[式中、R1−a−1は、Rと同じ意味を表わす。ただし、少なくとも1つのR1−a−1が水酸基を表わすものとし、他の記号は前記と同じ意味を表わす。]
で示される化合物をハロゲン化反応に付し、さらに所望により脱保護反応に付すことにより製造することができる。
【0066】
このハロゲン化反応は、公知であり、例えば、有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、アセトニトリル等)中または無溶媒で、触媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン等)の存在下または非存在下、ハロゲン化剤(例えば、オキシ塩化リン、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、五臭化リン、チオニルクロライド等)を用いて、約−10℃〜150℃で反応させることにより行われる。
脱保護反応は、前記した方法によって行われる。
【0067】
(C)一般式(I−A)で示される化合物のうち、いずれのRもハロゲン原子を表わさない化合物、すなわち、一般式(I−A−c)
【化24】

[式中、R1−cは、Rと同じ意味を表わす。ただし、いずれのR1−cもハロゲン原子を表さないものとし、他の記号は前記と同じ意味を表わす。]
で示される化合物は、以下の(c−1)〜(c−3)の方法によって製造することができる。
【0068】
(c−1)少なくとも1つのR1−cがシアノ基、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していてもよい環状基、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表わす化合物、すなわち一般式(I−A−c−1)
【化25】

[式中、R1−c−1は、R1−cと同じ意味を表わす。ただし、少なくとも1つのR1−c−1がシアノ基、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、置換基を有していてもよい環状基または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表わし、他の記号は前記と同じ意味を表わす。]
で示される化合物は、一般式(I−A−b)で示される化合物と一般式(IV)
【化26】

[式中、Yは、水素原子、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、ハロゲン化マグネシウム(例えば、マグネシウムクロライド(MgCl)、マグネシウムブロミド(MgBr)、マグネシウムアイオダイド(MgI)等)、ハロゲン化亜鉛(例えば、亜鉛ブロミド(ZnBr)、亜鉛アイオダイド(ZnI)等)、ボロン酸、ボロン酸エステル(例えば、ボロン酸メチルエステル、ボロン酸エチルエステル、ボロン酸イソプロピルエステル等)、銅、アルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基等)を表わし、他の記号は前記と同じ意味を表わす。]
で示される化合物をアミノ化反応、エーテル化反応、アルキル化反応、シアノ化反応またはカップリング反応に付し、さらに所望により脱保護反応に付すことにより製造することができる。
【0069】
1−c−1が保護されていてもよいアミノ基を表わし、Yが水素原子を表わす場合のアミノ化反応は、例えば不活性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン等)中または非存在下、塩基[例えば、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物、アルカリ金属の水素化物(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等)、アルカリ金属のアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等)、アルカリ金属のアミン(例えば、ナトリウムアミド、カリウムアミド等)、アミン(トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、ルチジン、コリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等)等]の存在下または非存在下、0〜150℃で反応させることにより行なわれる。
【0070】
1−c−1が保護されていてもよい水酸基を表わし、Yが水素原子を表わす場合のエーテル化反応は公知であり、例えば不活性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン等)中、塩基[例えば、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物、アルカリ金属の水素化物(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等)、アルカリ金属のアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等)、アルカリ金属のアミン(例えば、ナトリウムアミド、カリウムアミド等)等]の存在下、0〜150℃で反応させることにより行なわれる。
【0071】
1−c−1が置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表わし、Yがアルカリ金属、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化亜鉛を表わす場合のアルキル化反応は、有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)中、触媒(例えば、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)(NiCl(dppp))等)存在下または非存在下、約−78〜40℃で反応させることにより行なわれる。この反応は不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス等)雰囲気下で行うことが好ましい。
【0072】
1−c−1がシアノ基を表わし、Yが水素原子、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、銅、アルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基等)を表わす場合のシアノ化反応は、公知であり、例えば、有機溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホラミド等)中または非存在下、触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(Ni(PPh)等)存在下または非存在下、三級アミン(トリエチルアミン等)存在下または非存在下、室温〜約120℃で反応させることにより行われる。
【0073】
1−c−1が置換基を有していてもよい環状基または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表わし、Yがボロン酸、ボロン酸エステルを表わす場合のカップリング反応は、公知であり、例えば、有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、アセトニトリル、ジメトキシエタン、アセトン等)中、塩基(例えば、ナトリウムエチラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸タリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、水酸化バリウム、フッ化テトラブチルアンモニウム等)もしくはその水溶液、またはこれらの混合物および触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(PdCl(PPh)、酢酸パラジウム(Pd(OAc))、パラジウム黒、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロパラジウム(PdCl(dppf))、二塩化ジアリルパラジウム(PdCl(allyl))、ヨウ化フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(PhPdI(PPh)等)存在下、室温〜約120℃で反応させることにより行われる。
脱保護反応は、前記した方法によって行われる。
【0074】
(c−2)少なくとも1つのR1−cが保護されていてもよいカルボキシル基を表わす化合物、すなわち一般式(I−A−c−2)
【化27】

[式中、R1−c−2は、R1−cと同じ意味を表わす。ただし、少なくとも1つのR1−C−2が保護されていてもよいカルボキシル基を表わし、他の記号は前記と同じ意味を表わす。]
で示される化合物は、一般式(I−b)で示される化合物をカルボキシル挿入反応に付し、さらに所望により脱保護反応に付すことにより製造することができる。
【0075】
このカルボキシル挿入反応は、公知であり、(1)有機溶媒(例えば、トルエン等)中、アルコール(例えば、メタノール、エタノール等)存在下または非存在下、または水存在下または非存在下、触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)、酢酸パラジウム(Pd(OAc))、パラジウム−炭素等)存在下、一酸化炭素雰囲気下反応すること、(2)有機溶媒(ジメチルホルムアミド等)中、四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等)存在下、二酸化炭素雰囲気下反応するにより行われる。
脱保護反応は、前記した方法によって行われる。
【0076】
(c−3)少なくとも1つのR1−Cがカルボキシル基を表わす化合物、すなわち一般式(I−A−c−3)
【化28】

[式中、R1−c−2は、R1−cと同じ意味を表わす。ただし、少なくとも1つのR1−c−2がカルボキシ基を表わし、他の記号は前記と同じ意味を表わす。]
で示される化合物は、前記した方法によって製造された少なくとも1つのシアノ基を有する化合物、すなわち一般式(I−A−c−1−1)
【化29】

[式中、R1−c−1−1は、R1−c−1と同じ意味を表わす。ただし、少なくとも1つのR1−c−1−1がシアノ基を表わし、他の記号は前記と同じ意味を表わす。]
で示される化合物を加水分解反応に付し、さらに所望により脱保護反応に付すことにより製造することができる。
【0077】
加水分解反応は、アルカリ加水分解反応と酸加水分解反応があり、それぞれ公知の方法により行うことができる。
アルカリ加水分解反応は、前記したアルカリ加水分解による脱保護反応と同様の方法によって行われる。酸加水分解反応は、前記した酸性条件下での脱保護反応と同様の方法によって行われる。
脱保護反応は、前記した方法によって行われる。
【0078】
(d)一般式(I−A)で示される化合物のうち、一つの基が保護されていてもよいアミノ基を表わす化合物、すなわち、一般式(I−A−d)
【化30】

[式中、R1−dは、保護されていてもよいアミノ基の保護基を表わし、qは0または1乃至7の整数を表わす。]
で示される化合物は、前記(a)の方法によって製造された化合物、すなわち一般式(I−A−a−2)
【化31】

[式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。]
で示される化合物を還元的アミノ化反応に付し、さらに所望により脱保護反応に付すことにより製造することができる。
【0079】
この還元的アミノ化反応は公知であり、例えば、有機溶媒(例えば、ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、酢酸およびこれらの混合物等)中、還元剤(水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等)の存在下、0〜40℃の温度で行なわれる。
一般式(I)で示される化合物のうち、縮合環ABがピラゾロ[1,5−a]ピリミジン環以外の複素環である化合物においても、少なくとも1つのRに水酸基を有する化合物、ハロゲン原子を有する化合物またはアミノ基を有する化合物を原料として、前記した(b)、(c)または(d)の方法と同様にして製造することができる。
【0080】
出発原料または試薬として用いる一般式(II−1)、(II−2)、(III)で示される化合物は、それ自体公知であるか、あるいは公知の方法(例えば、Comprehensive Organic Transformations : A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition (Richard C. Larock, John Wiley & Sons Inc, 1999)に記載された方法等)を組み合わせて用いることで容易に製造することができる。例えば、一般式(II−1)で示される化合物のうち、ジメチル マロネート(CAS登録番号:108−59−8)、ジエチル マロネート(CAS登録番号:105−53−3)、ジエチル メチルマロネート(CAS登録番号:609−08−5)、ジエチル フェニルマロネート(CAS登録番号:83−13−6)等は公知である。また、一般式(III)で示される化合物のうち、1H−ピラゾール−5−アミン(CAS登録番号:1820−80−0)、3−メチル−1H−ピラゾール−5−アミン(CAS登録番号:31230−17−8)等は公知である。
【0081】
一般式(I)で示される化合物のうち、縮合環ABがピラゾロ[1,5−a]ピリミジン環を表わし、かつ少なくとも1つのRに水酸基を有する化合物、ハロゲン原子を有する化合物またはアミノ基を有する化合物としては、例えば、5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(CAS登録番号:245095−96−9)、7−アミノ−2−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5(4H)−オン(CAS登録番号:96335−50−1)、7−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5(4H)−オン(CAS登録番号:89418−10−0)、7−ヒドロキシピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5(4H)−オン(CAS登録番号:57489−70−0)、5,7−ジクロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(CAS登録番号:57489−77−7)等が公知である。また、縮合環ABがピラゾロ[1,5−a]ピリミジン環を表わし、1つのRが、環状基を表わし、他のRがハロゲン原子を有する化合物またはアミノ基を有する化合物としては、例えば、7−クロロ−5−シクロヘキシルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(CAS登録番号:189018−71−1)、7−クロロ−5−(3−チエニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(CAS登録番号:183958−57−8)、7−クロロ−5−(2−チエニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(CAS登録番号:183958−56−7)、7−クロロ−5−(3−フラニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(CAS登録番号:183958−55−6)、7−クロロ−5−(2−フラニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(CAS登録番号:183958−54−5)、5−(3−フラニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(CAS登録番号:174859−76−8)、5−(2−フラニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(CAS登録番号:174859−75−7)、5−(3−チエニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(CAS登録番号:174859−67−7)、5−(2−チエニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(CAS登録番号:174859−66−6)、5−(2−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(CAS登録番号:174859−71−3)、5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(CAS登録番号:174859−72−4)、5−(4−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(CAS登録番号:174859−65−5)、5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(CAS登録番号:93669−80−8)、7−クロロ−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(CAS登録番号:33149−25−6)等が公知である。
【0082】
さらに、縮合環ABがピラゾロ[1,5−a]ピリミジン環以外の複素環である化合物のうち、少なくとも1つのRに水酸基を有する化合物、ハロゲン原子を有する化合物またはアミノ基を有する化合物としては、例えば、4−アミノ−2H−クロメン−2−オン(CAS登録番号:53348−92−8)、4−クロロ−6−フルオロ−2H−クロメン−2−オン(CAS登録番号:138709−42−9)、4−クロロ−6−(トリフルオロメトキシ)−2H−クロメン−2−オン(CAS登録番号:174013−28−6)、4−ブロモ−2H−クロメン−2−オン(CAS登録番号:938−40−9)、4−クロロ−2H−クロメン−2−オン(CAS登録番号:17831−88−8)、4−クロロ−6−メチル−2H−クロメン−2−オン(CAS登録番号:51069−75−1)、4−クロロ−6−メトキシ−2H−クロメン−2−オン(CAS登録番号:71797−98−3)、2,4−ジクロロキノリン(CAS登録番号:703−61−7)、4−アミノ−6−メチルキノリン−2(1H)−オン(CAS登録番号:159680−41−8)、2,4−ジクロロキノリン−6−カルボニトリル(CAS登録番号:150453−93−3)、キノリン−2,4−ジアミン(CAS登録番号:146136−78−9)、2,4−ジブロモ−6−メチルキノリン(CAS登録番号:139719−21−4)、2,4−ジクロロ−6−メチルキノリン(CAS登録番号:102878−18−2)、2−クロロキノリン−4−アミン(CAS登録番号:80947−25−7)、2,4−ジクロロ−6−メトキシキノリン(CAS登録番号:70049−46−6)、2−ブロモキノリン−4−アミン(CAS登録番号:36825−35−1)、6−メチルキノリン−2,4−ジアミン(CAS登録番号:1955−64−2)等が公知である。
【0083】
本明細書中の各反応において、適宜、高分子ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール等)に担持させた固相担持試薬を用いてもよい。
本明細書中、最終反応の生成物は通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再結晶等の方法により精製することができる。精製は各反応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行なってもよい。
本明細書中、化合物の製造過程の各反応において、加熱を伴なう反応は、当業者にとって明らかなように、例えば、水浴、油浴、砂浴またはマイクロウェーブを用いて行なうことができる。
【0084】
[薬理活性]
後記に記載した生物学的実施例以外の薬理試験として、例えば、以下に示す方法がある。以下に示す方法によって、一般式(I)で示される化合物のin vivoでの効果を証明することができる。一般式(I)で示される化合物を動物へ投与するために用いる媒体は、化合物を、安全かつ投与可能な状態に懸濁または溶解できるものであればよく、例えば、当業者が化合物を動物に投与するために用いる媒体、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、糖、糖アルコール、食用油、蒸留水、生理食塩水およびこれらの混合物等を適宜選択して用いることができる。
【0085】
(1)KKAyマウスを用いた糖尿病モデルにおけるインスリン抵抗性改善作用の検討
雄性KKAy/Ta Jclマウスを8週齢で入荷後、個別ケージにて約1週間の予備飼育を行う。予備飼育期間中および試験期間中は、固形飼料及び上水道水を給水瓶から自由摂取させる。実験開始当日(Day0)、体重を測定し、尾静脈からマイクロキャピラリーを用いて採血後、血糖値を測定する。血糖値を指標に層別無作為化法による群分けを行ない、1群あたり5匹を割り付けし、投薬を開始する。投薬は、例えば、被験薬を上記の媒体に懸濁または溶解後、ゾンデを用いて強制的に経口投与するか、またはシリンジを用いて皮下に非経口的に投与することで行うことができる。対照群には、媒体のみを投与することが好ましい。投与量および投与回数は、被験薬の効果によって適宜増減させることができるが、例えば、約0.1mg/kg体重乃至約100mg/kg体重を1日あたり1回乃至3回程度、連日投与することが好ましい。本モデルでの有効性の指標としては、体重、摂餌量、血糖値、血漿中トリグリセライド、インスリン値、肝臓重量等を用いることができ、これらの指標は投薬開始後、任意の日数が経過した後に測定することができる。例えば、投薬開始から2日後(Day2)乃至7日後(Day7)に、これらの指標を測定することで、本モデルでの有効性を確認することができる。本モデルにおいて一般的に対照薬として用いられるピオグリタゾン(Pioglitazone)は、例えば、50mg/kg体重を1日1回経口投与することで、体重の増加、血糖値の低下、インスリン値の低下等の有効性を示すことができる。
【0086】
(2)マウス・サイトカイン産生モデルにおけるTNF−α産生阻害作用の検討
雄性Balb/cマウスに、上記の媒体に懸濁または溶解した被験薬を投与(好ましくは、経口投与等)し、30分後にリポポリサッカライド(LPS、055:B5、Difco)を1mg/kg体重の用量で腹腔内投与する(各群5例)。対照群には媒体のみを投与する(5例)。LPS処置90分後にエーテル麻酔下、腹部大静脈よりへパリン加採血を行い、遠心分離(12,000r.p.m.、3分間、4℃)することにより血漿サンプルを得る。得られた血漿サンプルは使用時まで−80℃で保存する。血漿中のTNF−αは、市販のELISAキット(例えば、R&D社:#MTA00等)等を用いて定量することができる。
【0087】
(3)ラット・サイトカイン産生モデルにおけるTNF−α産生阻害作用の検討
雌性Lewラットに、上記の媒体に懸濁または溶解した被験薬を投与(好ましくは、経口投与等)し、2時間後にリポポリサッカライド(LPS、055:B5、Difco)を10μg/kg体重の用量で静脈内投与する(各群5例)。対照群には媒体のみを投与する(5例)。LPS処置90分後にエーテル麻酔下、腹部大静脈よりへパリン加採血をおこない、遠心分離(12,000r.p.m.、3分間、4℃)することにより血漿サンプルを得る。得られた血漿サンプルは使用時まで−80℃で保存する。血漿中のTNF−αは、市販のELISAキット(例えば、Genzyme/Techne社:#10516等)等を用いて定量することができる。
【0088】
[毒性]
一般式(I)で示される化合物の毒性は十分に低いものであり、医薬品として使用するために十分安全であることが確認された。
【0089】
[医薬品への適用]
一般式(I)で示される化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグ(以下、本発明化合物と略記する場合がある。)は、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト動物、例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等)に対して、優れたキナーゼ(特にJNK)阻害活性を有するため、キナーゼ関連疾患、JNK関連疾患やc−Jun関連疾患、例えば、代謝性疾患(例えば、糖尿病(インスリン抵抗性糖尿病または非インスリン抵抗性糖尿病)、高脂血症、その他のインスリン抵抗性疾患等)、炎症性疾患(例えば、鼻炎、咽頭炎、気管支炎、肺炎、胸膜炎、気管支喘息、慢性肺気腫、肺繊維症、炎症性腸疾患、急性膵炎、慢性膵炎、成人呼吸困難症候群、慢性甲状腺炎、自己免疫性胃炎等)、強皮症、深在性紅斑性狼瘡、グレーブス病、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、重症筋無力症、多発性骨髄腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性肉腫、慢性骨髄性白血病、転移黒色腫、カポジ肉腫、消耗性疾患、ハンチントン病、脳卒中における虚血・再還流に伴う疾患、心筋虚血症、虚血性心疾患、腎虚血、血管新生緑内障、幼児性血管腫、血管増殖、心肥大、異常免疫応答、発熱、細胞老化、アポトーシス関連疾患等の予防および/または治療剤として用いることができる。また、本発明化合物は、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト動物、例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等)に対して、TNF−α産生阻害作用を有するため、TNF−α介在性疾患、例えば、炎症性疾患[例えば、糖尿病性合併症(例えば、網膜症、腎症、神経障害、大血管障害等)、炎症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、肝炎、腎炎、糸球体腎炎、膵炎、乾癬、痛風、アジソン病(Addison’s disease)、骨炎症(骨炎(例えば、骨髄炎、骨軟化症、骨膜炎等)、関節炎(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎、滑膜炎等))、炎症性眼疾患、炎症性肺疾患(例えば、慢性肺炎、珪肺、肺サルコイドーシス、肺結核、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)等)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病(Crohn’s disease)、潰瘍性大腸炎等)、アレルギー疾患(例えば、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎等)、自己免疫性疾患、自己免疫性溶血性貧血、全身性エリテマトーデス、リウマチ、キャッスルマン病、移植に伴う免疫拒絶(例えば、対宿主性移植片拒絶反応等)等]、中枢系疾患[例えば、中枢神経障害(例えば、脳出血および脳梗塞等の脳血管障害、頭部外傷、脊髄損傷、脳浮腫、多発性硬化症等)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、エイズ脳症等)、髄膜炎、クロイツフェルト−ヤコブ病等]、呼吸器系疾患[例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)等]、循環器系疾患[例えば、狭心症、心不全、鬱血性心不全、急性心不全、慢性心不全、心筋梗塞、急性心筋梗塞、心筋梗塞予後、心房内粘液腫、動脈硬化症、高血圧、透析低血圧、血栓症、汎発性血管内凝固症候群(DIC)、再灌流障害、PTCA後再狭窄等]、泌尿器系疾患[例えば、腎不全等]、代謝系疾患や内分泌系疾患[例えば、糖尿病、高脂血症等]、骨疾患[例えば、骨粗鬆症等]、癌疾患[例えば、悪性腫瘍(例えば、悪性腫瘍の増殖および転移等)、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、癌性悪液質等]、感染症[例えば、ウィルス感染(例えば、サイトメガロウィルス、インフルエンザウィルス、ヘルペスウィルス、コロナウィルス等のウィルス感染等)、感染に伴う悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)による悪液質、毒血症(例えば、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症、トキシックショック症候群、ウィルス感染に伴う重症急性呼吸器症候群(SARS)等)等]等の予防および/または治療剤として用いることができる。キナーゼ関連疾患、JNK関連疾患、c−Jun関連疾患、およびTNF−α介在性疾患としては、上記に列挙した疾患に限定されず、これらの関与が示唆されている疾患、およびこれらの関与が今後見出される疾患をもすべて包含する。さらに、本発明化合物は、キナーゼ阻害作用、JNK阻害作用およびTNF−α産生阻害作用に基づいて、好酸球浸潤抑制作用をもたらすことができる。この作用によって、本発明化合物は、鼻閉改善剤として用いることもできる。従って、本発明化合物は、好酸球の浸潤が関与する疾患、例えば、慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、過敏性肺臓炎、湿疹、疱疹性皮膚炎、乾癬、好酸球性肺炎(PIE症候群)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、接触性皮膚炎、掻痒、乾燥性皮膚炎、急性蕁麻疹、痒疹等の予防および/または治療剤として、さらに鼻閉改善剤としても用いることができる。
【0090】
本発明化合物は、JNKのプロテインキナーゼとしての機能を阻害するものであればよい。従って、JNKのサブタイプ(JNK1、JNK2、JNK3)に対する特異性は特に限定されない。例えば、JNK1を含めて非特異的に阻害するもの(例えば、後記の実施例に記載の酵素系等で、JNK1とJNK2、JNK1とJNK3、またはJNK1、2、3におけるIC50値の解離が10倍以内であるもの等)またはJNK1を特異的に阻害するもの(例えば、後記の実施例に記載の酵素系等で、JNK1と他の酵素活性に対するIC50値の解離が少なくとも10倍以上のもの)である。特に好ましくは、JNK1を特異的に阻害するものである。
本発明化合物を前記の目的で用いるには、通常、医薬組成物として、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
【0091】
本発明化合物は、安全で低毒性であるので、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト動物、例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等)に対して投与することができる。
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
【0092】
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
本発明化合物を投与する際には、医薬製剤の製造法で一般的に用いられている自体公知の手段に従って、本発明化合物をそのまま、或いは薬理学的に許容される担体と混合して、例えば、内服用固形剤(例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤等)、内服用液剤、外用液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等の医薬製剤とすることで、経口的または非経口的(例えば、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。かかる製剤中の本発明化合物の含有量は、製剤全体の約0.01重量%乃至約100重量%、好ましくは、約0.1重量%乃至約50重量%、さらに好ましくは、約0.5重量%乃至約20重量%である。
【0093】
これらの医薬製剤の製造に用いられる本発明化合物は、実質的に純粋で単一な物質であるものに限定されず、不純物(例えば、製造工程に由来する副生成物、溶媒、原料等、または分解物等)を、医薬品原薬として許容される範囲であれば含有していてもよい。
これらの医薬製剤の製造に用いられる薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質等が挙げられ、例えば、固形剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤、或いは液剤における溶剤、溶解補助剤、乳化または懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤および無痛化剤等が挙げられる。さらに必要に応じ、通常の保存剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。
【0094】
経口投与のための内服用固形剤としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が挙げられる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。かかる内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン、コーンスターチ、軽質無水ケイ酸等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、崩壊剤(例えば、繊維素グリコール酸カルシウム、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルを用いてもよい。
【0095】
経口投与のための内服用液剤としては、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等が挙げられる。かかる液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(例えば、精製水、エタノールまたはそれらの混液等)を用いて溶解、懸濁または乳化される。該液剤はさらに、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0096】
非経口投与のための注射剤は、すべての注射剤を含み、点滴剤をも包含する。例えば、筋肉への注射剤、皮下への注射剤、皮内への注射剤、動脈内への注射剤、静脈内への注射剤、腹腔内への注射剤、脊髄腔への注射剤、静脈内への点滴剤等が挙げられる。また、非経口投与のための注射剤は、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤としては、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、マクロゴール、植物油(例えば、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等)、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせ等が用いられる。該注射剤はさらに、安定化剤(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、L−アラニン、アスコルビン酸、アルブミン、イノシトール、グルコン酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等)、乳化または懸濁化剤(例えば、界面活性剤(例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等)、親水性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)等)、無痛化剤(例えば、ベンジルアルコール等)、等張化剤(例えば、ブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等)、緩衝剤(例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等)、保存剤(例えば、パラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等)、抗酸化剤(例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等)等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造、調製される。また、無菌の固形剤、例えば、凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。凍結乾燥は、自体公知の方法によって行うことができる。一般的には、−25℃以下の温度で凍結後、乾燥庫内真空度を約13.3Pa以下に保ちながら、棚温を25℃乃至40℃に到達するまで昇温させつつ乾燥する方法が好ましい。
【0097】
非経口投与のためのその他の製剤としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される外用液剤、軟膏剤、塗布剤、吸入剤、スプレー剤、坐剤および膣内投与のためのペッサリー等が挙げられる。スプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定化剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム或いはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
【0098】
本発明化合物は、(1)該化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、(2)該化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または(3)該化合物の副作用の低減等の目的のために、他の薬物と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。また、併用する他の薬物(以下、併用薬物と略記する場合がある。)の、(1)予防および/または治療効果の補完および/または増強、(2)動態・吸収改善、投与量の低減、および/または(3)副作用の低減のために本発明化合物を組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
【0099】
本発明化合物と併用薬物の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤として投与する形態をとってもよい。この別々の製剤として投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明化合物を先に投与し、併用薬物を後に投与してもよいし、併用薬物を先に投与し、本発明化合物を後に投与してもよく、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。本発明化合物と併用薬物の併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、本発明化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であるか、または併用薬物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。本発明化合物と併用薬物の併用剤における本発明化合物と併用薬物の重量比は特に限定されない。また、併用薬物は、低分子化合物に限定されず、高分子のタンパク、ポリペプチド、ポリヌクレオチド(DNA、RNA、遺伝子)、アンチセンス、デコイ、抗体、またはワクチン等であってもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬物の配合比は、投与対象の年齢および体重、投与方法、投与時間、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば、本発明化合物1重量部に対し、併用薬物を0.01重量部乃至100重量部用いればよい。併用薬物は、以下に示す同種群および異種群から任意に1種または2種以上を任意の割合で、適宜組み合わせて投与してもよい。
【0100】
本発明化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する併用薬物には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。本発明化合物と併用し得る併用薬物としては、例えば以下に示すもの等が挙げられる。
本発明化合物の、例えば、関節リウマチ、変形性関節症、関節炎等に対する予防および/または治療効果を補完および/または増強するための併用薬物としては、例えば、ステロイド薬、エラスターゼ阻害薬、カンナビノイド−2受容体刺激薬、プロスタグランジン類、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、メタロプロテイナーゼ阻害薬、接着分子阻害薬、抗サイトカイン性タンパク質製剤(例えば抗TNF−α製剤、抗IL−1製剤、抗IL−6製剤等)、抗サイトカイン薬、免疫調節薬、疾患修飾性抗リウマチ薬、非ステロイド性抗炎症薬、c−Jun N末端キナーゼ阻害薬等が挙げられる。
【0101】
本発明化合物の、例えば、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎等に対する予防および/または治療効果を補完および/または増強するための併用薬物としては、例えば、ステロイド薬、エラスターゼ阻害薬、カンナビノイド−2受容体刺激薬、プロスタグランジン類、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、メタロプロテイナーゼ阻害薬、接着分子阻害薬、抗サイトカイン性タンパク質製剤、抗サイトカイン薬、免疫調節薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、抗コリン薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、一酸化窒素合成酵素阻害薬、インターロイキン8拮抗薬、ポリ(ADP)−リボースポリメラーゼ阻害薬、ミトコンドリアルベンゾジアゼピン受容体作動薬、抗酸化薬、局所麻酔薬、消化管潰瘍用薬、防御因子増強薬、メサラジン、サラゾスルファピリジン等が挙げられる。
【0102】
本発明化合物の、例えば、喘息、慢性肺炎症性疾患、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)等に対する予防および/または治療効果を補完および/または増強するための併用薬物としては、例えば、ステロイド薬、エラスターゼ阻害薬、カンナビノイド−2受容体刺激薬、プロスタグランジン類、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、メタロプロテイナーゼ阻害薬、接着分子阻害薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、抗コリン薬、トロンボキサンA2受容体拮抗薬、トロンボキサン合成酵素阻害薬、β2アドレナリン受容体刺激薬、キサンチン誘導体、去痰薬、抗生物質、抗ヒスタミン薬、抗サイトカイン性タンパク質製剤、抗サイトカイン薬、フォルスコリン製剤、メディエーター遊離抑制薬等が挙げられる。
【0103】
本発明化合物の、例えば、高脂血症等に対する予防および/または治療効果を補完および/または増強するための併用薬物としては、例えば、MTP(Microsomal Triglyceride Transfer Protein)阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、スクアレン合成酵素阻害薬、フィブラート系製剤(フィブリン酸誘導体)、ACAT(アシルCoA:コレステロール O−アシルトランスフェラーゼ)阻害薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬、回腸Na/胆汁酸共輸送体(ileal Na/bile acid transporter;IBAT)阻害薬、LDL受容体活性化薬/発現増強薬、リパーゼ阻害薬、プロブコール製剤、ニコチン酸製剤、その他の抗高コレステロール血症治療薬等が挙げられる。
【0104】
本発明化合物の、例えば、糖尿病(インスリン抵抗性糖尿病および非インスリン抵抗性糖尿病)、糖尿病合併症等に対する予防および/または治療効果を補完および/または増強するための併用薬物としては、例えば、スルフォニル尿素系血糖降下薬、ビグアナイド系製剤、α−グルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬、インスリン製剤、DPP(ジペプチジルペプチダーゼ)4阻害薬、PTP1B阻害薬、β3アドレナリン受容体作動薬、PPAR(例えば、PPARα、PPARγ、PPARδ等)作動薬、糖尿病合併症治療薬等が挙げられる。
【0105】
MTP阻害薬としては、例えば、BMS−201038、BMS−212122、BMS−200150、GW−328713、R−103757等が挙げられる。HMG−CoA還元酵素阻害薬としては、例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン等が挙げられる。ACAT阻害薬としては、例えば、F−12511、F−1394、CI−1011、メリナミド、FCE27677、RP73163等が挙げられる。スクアレン合成酵素阻害薬としては、例えば、TAK−475等が挙げられる。フィブラート系製剤としては、例えば、gemfibrozil、clofibrate、bezafibrate、fenofibrate等が挙げられる。コレステロール吸収阻害薬としては、例えば、SCH48461等が挙げられる。胆汁酸吸収阻害薬としては、例えば、cholestyramine、cholestagel等が挙げられる。LDL受容体活性化薬/発現増強薬としては、例えば、MD−700、LY295427等が挙げられる。リパーゼ阻害薬としては、例えば、orlistat等が挙げられる。スルフォニル尿素系血糖降下薬としては、例えば、アセトヘキサミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド、グリメピリド等が挙げられる。ビグアナイド系製剤としては、例えば、塩酸ブフォルミン、塩酸メトフォルミン等が挙げられる。α−グルコシダーゼ阻害薬としては、例えば、アカルボース、ボグリボース等が挙げられる。速効型インスリン分泌促進薬としては、例えば、ナテグリニド、レパグリニド等が挙げられる。DPP4阻害薬としては、例えば、NVP−DPP728A等が挙げられる。β3アドレナリン受容体作動薬としては、例えば、AJ9677、L750355、CP331648等が挙げられる。PPAR作動薬としては、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、JTT−501等が挙げられる。糖尿病合併症治療薬としては、例えば、エパルレスタット等が挙げられる。ステロイド薬としては、例えば、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、フルオシノニド、フランカルボン酸モメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジフルプレドナート、吉草酸ジフルコルトロン、アムシノニド、ハルシノニド、デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、プロピオン酸デプロドン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、フルオシノロンアセトニド、プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、プロピオン酸アルクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、プレドニゾロン、フルドロキシコルチド、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、ブチル酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、酢酸ハロプレドン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロン、酢酸トリアムシノロン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、パルミチン酸デキサメタゾン、酢酸パラメサゾン、ベタメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、フルニソリド、ST−126P、シクレソニド、デキサメタゾンパロミチオネート、モメタゾンフランカルボネート、プラステロンスルホネート、デフラザコート、メチルプレドニゾロンスレプタネート、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート等が挙げられる。エラスターゼ阻害薬としては、例えば、ONO−5046、ONO−6818、MR−889、PBI−1101、EPI−HNE−4、R−665、ZD−0892、ZD−8321、GW−311616、DMP−777、L−659286、L−658758、L−680833、L−683845、AE−3763等が挙げられる。プロスタグランジン類(以下、PGと略記する。)としては、例えば、PG受容体アゴニスト、PG受容体アンタゴニスト等が挙げられる。PG受容体としては、例えば、PGE受容体(EP1、EP2、EP3、EP4)、PGD受容体(DP、CRTH2)、PGF受容体(FP)、PGI受容体(IP)、TX受容体(TP)等が挙げられる。プロスタグランジン合成酵素阻害薬としては、例えば、サラゾスルファピリジン、メサラジン、オサラジン、4−アミノサリチル酸、JTE−522、オーラノフィン、カルプロフェン、ジフェンピラミド、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メロキシカム、オキサプロジン、パーサルミド、ピプロキセン、ピロキシカム、ピロキシカムベータデックス、ピロキシカムシンナメート、トロピンインドメタシネート、ザルトプロフェン、プラノプロフェン等が挙げられる。ホスホジエステラーゼ阻害薬としては、例えば、PDE4阻害薬であるロリプラム、シロミラスト(商品名アリフロ)、Bay19−8004、NIK−616、ロフルミラスト(BY−217)、シパムフィリン(BRL−61063)、アチゾラム(CP−80633)、SCH−351591、YM−976、V−11294A、PD−168787、D−4396、IC−485等、またはPDE5阻害薬である、シルデナフィル等が挙げられる。接着分子阻害薬としては、例えば、α4インテグリン等の拮抗薬等が挙げられる。抗TNF−α製剤としては、例えば、TNF−αに対する抗体、可溶性TNF−α受容体、TNF−α受容体に対する抗体、可溶性TNF−α結合タンパク等も含まれ、例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト等が挙げられる。抗IL−1製剤としては、例えば、IL−1に対する抗体、可溶性IL−1受容体、IL−1Ra、IL−1受容体に対する抗体等も含まれ、例えば、アナキンラ等が挙げられる。抗IL−6製剤としては、例えば、IL−6に対する抗体、可溶性IL−6受容体、IL−6受容体に対する抗体等も含まれ、例えば、MRA等が挙げられる。免疫調節薬としては、例えば、メトトレキサート、シクロスポリン、アスコマイシン、レフルノミド、ブシラミン、サラゾスルファピリジン、アザチオプリン、タクロリムス、シクロフォスファミド等が挙げられる。疾患修飾性抗リウマチ薬としては、例えば、金チオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、クロロキン、アクタリット、D−ペニシラミン製剤、ロベンザリット二ナトリウム、ブシラミン、ヒドロキシクロロキン、サラゾスルファピリジン等が挙げられる。非ステロイド性抗炎症薬としては、例えば、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート配合、ジフルニサル、インドメタシン、スプロフェン、ウフェナマート、ジメチルイソプロピルアズレン、ブフェキサマク、フェルビナク、ジクロフェナク、トルメチンナトリウム、クリノリル、フェンブフェン、ナプメトン、プログルメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、モフェゾラク、エトドラク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、メフェナム酸、メフェナム酸アルミニウム、トルフェナム酸、フロクタフェニン、ケトフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ナパゲルン軟膏、エピリゾール、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、エモルファゾン、スルピリン、ミグレニン、サリドン、セデスG、アミピロ−N、ソルボン、ピリン系感冒薬、アセトアミノフェン、フェナセチン、メシル酸ジメトチアジン、シメトリド配合薬、非ピリン系感冒薬等が挙げられる。ロイコトリエン受容体拮抗薬としては、例えば、プランルカスト水和物、モンテルカスト、ザフィルルカスト、セラトロダスト、MCC−847、KCA−757、CS−615、YM−158、L−740515、CP−195494、LM−1484、RS−635、A−93178、S−36496、BIIL−284、ONO−4057等が挙げられる。抗コリン薬としては、例えば、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化シメトロピウム、テミベリン、臭化チオトロピウム、レバトロペート(UK−112166)等が挙げられる。局所麻酔薬としては、例えば、塩酸コカイン、塩酸プロカイン、リドカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン等が挙げられる。防御因子増強薬としては、例えば、スクラルファート、アルジオキサ、テプレノン、塩酸セトラキサート、オルノプロスチル等が挙げられる。トロンボキサンA2受容体拮抗薬としては、例えば、セラトロダスト、ラマトロバン、ドミトロバンカルシウム水和物、KT−2−962等が挙げられる。トロンボキサン合成酵素阻害薬としては、例えば、塩酸オザグレル、オザグレルナトリウム、イミトロダストナトリウム等が挙げられる。β2アドレナリン受容体刺激薬としては、例えば、臭化水素酸フェノテロール、硫酸サルブタモール、硫酸テルブタリン、フマル酸フォルモテロール、キシナホ酸サルメテロール、硫酸イソプロテレノール、硫酸オルシプレナリン、硫酸クロルプレナリン、エピネフリン、塩酸トリメトキノール、硫酸ヘキソプレナリンメシル、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、ツロブテロール、塩酸ピルブテロール、塩酸クレンブテロール、塩酸マブテロール、塩酸リトドリン、バンブテロール、塩酸ドペキサミン、酒石酸メルアドリン、AR−C68397、レボサルブタモール、フォルモテロール、KUR−1246、KUL−7211、AR−C89855、S−1319等が挙げられる。キサンチン誘導体としては、例えば、アミノフィリン、テオフィリン、ドキソフィリン、シパムフィリン、ジプロフィリン等が挙げられる。去痰薬としては、例えば、アンモニアウイキョウ精、炭酸水素ナトリウム、塩酸ブロムヘキシン、カルボシステイン、塩酸アンブロキソール、塩酸アンブロキゾール徐放剤、メチルシステイン塩酸塩、アセチルシステイン、塩酸L−エチルシステイン、チロキサポール等が挙げられる。抗生物質としては、例えば、セフロキシムナトリウム、メロペネム三水和物、硫酸ネチルマイシン、硫酸シソマイシン、セフチブテン、PA−1806、IB−367、トブラマイシン、PA−1420、ドキソルビシン、硫酸アストロマイシン、塩酸セフェタメトピボキシル等が挙げられる。吸入用の抗生物質としては、例えばPA−1806、IB−367、トブラマイシン、PA−1420、ドキソルビシン、硫酸アストロマイシン、塩酸セフェタメトピボキシル等が挙げられる。抗ヒスタミン薬としては、例えば、フマル酸ケトチフェン、メキタジン、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、テルフェナジン、フマル酸エメダスチン、塩酸エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、塩酸セチリジン、ベポタスチン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、塩酸オロパタジン、TAK−427、ZCR−2060、NIP−530、モメタゾンフロエート、ミゾラスチン、BP−294、アンドラスト、オーラノフィン、アクリバスチン等が挙げられる。抗サイトカイン薬としては、非タンパク質製剤であって、サイトカインの作用を遮断するものはすべて含み、例えば、MAPキナーゼ阻害薬、遺伝子調節薬、サイトカイン産生抑制薬、TNF−α変換酵素阻害薬、IL−1β変換酵素阻害薬、IL−6拮抗薬、IL−8拮抗薬、ケモカイン拮抗薬、遺伝子治療薬、アンチセンス化合物等が挙げられる。MAPキナーゼ阻害薬としては、例えば、PD−98059等が挙げら
れる。遺伝子調節薬としては、例えば、NF−κB、IKK−1、IKK−2、AP−1等シグナル伝達に関係する分子の阻害薬等が挙げられる。サイトカイン産生抑制薬としては、例えば、トシル酸スプラタスト(商品名アイピーディ)、T−614、SR−31747、ソナチモド等が挙げられる。ケモカイン拮抗薬としては、例えば、ONO−4128等が挙げられる。遺伝子治療薬としては、例えば、インターロイキン4、インターロイキン10、可溶性IL−1受容体、可溶性TNF−α受容体等抗炎症作用を有する遺伝子の発現を亢進させることを目的とした遺伝子治療薬等が挙げられる。メディエーター遊離抑制薬としては、例えば、トラニラスト、クロモグリク酸ナトリウム、アンレキサノクス、レピリナスト、イブジラスト、ダザノラスト、ペミロラストカリウム等が挙げられる。c−Jun N末端キナーゼ阻害薬としては、例えば、WO00/35906、WO00/35909、WO00/35921、WO00/64872またはWO00/75118に記載の化合物等が挙げられる。
【0106】
本発明化合物と併用薬物とを組み合わせることにより、(1)本発明化合物または併用薬物を単独で投与する場合に比べて、その投与量を軽減することができる、(2)患者の症状(軽症、重症など)に応じて、本発明化合物と併用薬物を選択することができる、(3)本発明化合物と作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、患者への投与量を減らすことができ、治療期間を任意に延長することができる、(4)本発明化合物と作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、治療効果の持続を図ることができる、(5)本発明化合物と併用薬物とを併用することにより、相乗効果が得られる、等の優れた効果を得ることができる。特に併用薬物がステロイド薬である場合には、ステロイド薬単独で用いる時よりも弱いクラスのステロイド薬の使用が可能である。また、一般的に、フィブラート系製剤とHMG−CoA還元酵素阻害薬を併用した場合には、副作用として横紋筋融解症が起こりうることが知られているが、上記の併用剤とすることで、横紋筋融解症の発生率およびその程度を低減し得る可能性がある。
【0107】
以下、本発明化合物と併用薬物を併用して使用することを「本発明の併用剤」と称する。本発明の併用剤の使用に際しては、本発明化合物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明化合物またはその医薬組成物と併用薬物またはその医薬組成物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。本発明の併用剤の投与形態は、特に限定されず、生体内で、本発明化合物と併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明化合物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明化合物;併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)等が挙げられる。
【0108】
本発明の併用剤を投与する際には、医薬製剤の製造法で一般的に用いられている自体公知の手段に従って、本発明化合物および/または併用薬物をそのまま、或いは薬理学的に許容される担体と混合して、例えば、内服用固形剤(例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤等)、内服用液剤、外用液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等の医薬製剤とすることで、経口的または非経口的(例えば、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。
これらの医薬製剤の製造に用いられる薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質等が挙げられ、例えば、固形剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤、或いは液剤における溶剤、溶解補助剤、乳化または懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤および無痛化剤等が挙げられる。さらに必要に応じ、通常の保存剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。
【0109】
賦形剤としては、例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン、コーンスターチ、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、繊維素グリコール酸カルシウム、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。溶剤としては、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、マクロゴール、植物油(例えば、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等)、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせ等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、L−アラニン、アスコルビン酸、アルブミン、イノシトール、グルコン酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。乳化または懸濁化剤としては、例えば、界面活性剤(例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等)、親水性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)等が挙げられる。無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。保存剤としては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
【0110】
本発明の併用剤における本発明化合物の配合比は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01重量%乃至約100重量%、好ましくは、約0.1重量%乃至約50重量%、さらに好ましくは、約0.5重量%乃至約20重量%である。本発明の併用剤における併用薬物の配合比は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01重量%乃至約100重量%、好ましくは、約0.1重量%乃至約50重量%、さらに好ましくは、約0.5重量%乃至約20重量%である。本発明の併用剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1重量%乃至約99.99重量%、好ましくは、約10重量%乃至約90重量%程度である。また、本発明化合物と併用薬物をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
【0111】
これらの製剤は常法(例えば日本薬局方記載の方法など)に従って調製される。例えば、錠剤は、本発明化合物または/および併用剤薬物をそのまま、または賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはその他の適当な添加剤を加えて均等に混和したものを適当な方法で顆粒とし、滑沢剤等を加えて圧縮成型するか、本発明化合物または/および併用剤薬物をそのまま、または賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはその他の適当な添加剤を加えて均等に混和したものを直接圧縮成型して製造するか、または予め製造した顆粒にそのまま、もしくは適当な添加剤を加えて均等に混合した後、圧縮成型することで製造することができる。かかる錠剤は、必要に応じて着色剤、矯味剤等を加えることもできる。また、適当なコーティング剤で剤皮を施すこともできる。注射剤は、本発明化合物または/および併用剤薬物の一定量を、水性溶剤の場合は、注射用水、生理食塩水、リンゲル液等、非水性溶剤の場合は、通常植物油等に溶解、懸濁もしくは乳化して一定量とするか、または本発明化合物または/および併用剤薬物の一定量を、注射用容器に密封して製造することができる。経口投与用の製剤に用いられる担体としては、例えば、デンプン、マンニット、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の製剤分野において常用されている物質が用いられる。注射用の製剤に用いられる担体としては、例えば、蒸留水、生理食塩水、グルコース溶液、輸液剤等が用いられる。その他、製剤一般に用いられる添加剤を適宜添加することもできる。
【0112】
本発明の併用剤の投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、本発明化合物および併用薬物として、それぞれ成人一人あたり、1回につき、0.1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、0.1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。併用薬物は、副作用が問題とならない範囲で、かつ本発明の目的が達成できる限り、どのような量を設定することも可能である。併用薬物としての一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されない。
【0113】
本発明の併用剤を投与するに際しては、同時期に投与してもよいが、併用薬物を先に投与した後、本発明化合物を投与してもよいし、本発明化合物を先に投与し、その後で併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分乃至3日以内、好ましくは10分乃至1日以内、より好ましくは15分乃至1時間以内に本発明化合物を投与する方法等が挙げられる。本発明化合物を先に投与する場合、本発明化合物を投与した後、1分乃至1日以内、好ましくは10分乃至6時間以内、より好ましくは15分乃至1時間以内に併用薬物を投与する方法等が挙げられる。
【発明の効果】
【0114】
一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグを含有してなる、本発明のc−Jun N末端キナーゼ阻害剤は、JNKを阻害するとともにTNF−α産生をも阻害し、また低毒性であるため、例えば、糖尿病等の代謝性疾患、例えば、関節リウマチ等の炎症性疾患等の予防および/または治療剤として、非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0115】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0116】
[製造実施例]
HPLCの測定条件は、特に記載がない限り、以下の条件で測定を行った。
使用したカラム:XterraTM MS C18 5 μm、4.6 x 50mm I.D.
使用した流速:3mL/min
使用した溶媒
A液:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液
B液:0.1%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル溶液
測定開始後0.5分間はA液とB液の混合比を95/5に固定した。その後2.5分間でA液とB液の混合比を0/100に直線的に変えた。その後3分間A液とB液の混合比を0/100に固定した。その後0.1分間でA液とB液の混合比を95/5に直線的に変えた。その後3分間A液とB液の混合比を95/5に固定した。
Massの測定条件は、特に記載がない限り、(ESI, Pos. 20V)の条件で測定を行った。
クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLCに示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表す。
NMRデータは特に記載しない限り、300MHzのH−NMRのデータである。
NMRの箇所に示されているカッコ内は測定に使用した溶媒を示す。
【0117】
実施例1:5−クロロ−N−(3−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
【化32】

5,7−ジクロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(CAS登録番号:57489−77−7)と3−クロロアニリンを用いて、Chem. Pharm. Bull., 1999,47,928記載の方法と同様の操作をし、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
HPLC保持時間(分):3.90;Massデータ:279 (M+H)
【0118】
実施例1(1)および1(2)
3−クロロアニリンの代わりに、相当するアミン化合物を用いて、実施例1と同様の操作をし、以下に示した本発明化合物を得た。
実施例1(1):N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.67;Massデータ:303 (M+H)
実施例1(2):2−{4−[(5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)アミノ]フェニル}エタノール
HPLC保持時間(分):3.42;Massデータ:289 (M+H)
【0119】
実施例2:4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−6−メチル−2H−クロメン−2−オン
【化33】

5,7−ジクロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジンの代わりに、4−クロロ−6−メチル−2H−クロメン−2−オン(CAS登録番号:51069−75−1)を、3−クロロアニリンの代わりに、3−クロロ−4−フルオロアニリンを用いて、実施例1と同様の操作をし、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
NMR(d−DMSO):δ 2.41 (s, 3H), 5.28 (s, 1H), 7.27 (d, J=8.2Hz, 1H), 7,39 (ddd, J=9.1, 4.5, 2.5Hz, 1H), 7.48 (m, 1H), 7.51 (t, J=9.1Hz, 1H), 7.60 (dd, J=6.7, 2.5Hz, 1H), 7.99 (d, J=1.8Hz, 1H), 9.26 (s, 1H);
HPLC保持時間(分):3.78;Massデータ:607 (2M+H), 306, 304 (M+H)
【0120】
実施例2(1)および2(2)
4−クロロ−6−メチル−2H−クロメン−2−オンの代わりに、相当するクロメン化合物を用いて、実施例2と同様の操作をし、以下に示した本発明化合物を得た。
実施例2(1):4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−8−メチル−2H−クロメン−2−オン
NMR(d−DMSO):δ 2.36 (s, 3H), 5.29 (s, 1H), 7.30 (t, J=7.7Hz, 1H), 7,40 (ddd, J=9.0, 4.4, 2.6Hz, 1H), 7.52 (t, J=9.0Hz, 1H), 7.54 (m, 1H), 7.61 (dd, J=6.6, 2.6Hz, 1H), 8.00 (d, J=7.7Hz, 1H), 9.26 (s, 1H);
HPLC保持時間(分):3.86;Massデータ:609, 607 (2M+H), 306, 304 (M+H)
【0121】
実施例2(2):4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−2H−クロメン−2−オン
NMR(d−DMSO):δ 5.29 (s, 1H), 7.40 (m, 3H), 7.52 (t, J=9.2Hz, 1H), 7.62 (dd, J=6.5, 2.5Hz, 1H), 7.67 (m, 1H), 8.17 (m, 1H), 9.31 (s, 1H);
HPLC保持時間(分):3.69;Massデータ:579 (2M+H), 292, 290 (M+H)
【0122】
実施例3:5−チエノ−3−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
【化34】

3−クロロアニリンの代わりに、(3,4,5−トリメトキシベンジル)アミンを用いて、実施例1と同様の操作をし、5−クロロ−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンを得た。得られた化合物と3−チエニルボロン酸を用いて、Tetrahedron Letters, 2002, 43, 5739記載の鈴木カップリングの操作と同様の操作をし、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
HPLC保持時間(分):3.27;Massデータ:397 (M+H)
【0123】
実施例3(1)〜3(22)
(3,4,5−トリメトキシベンジル)アミンの代わりに、相当するアミン化合物を、3−チエニルボロン酸の代わりに、相当するボロン酸化合物を用いて、実施例3と同様の操作をし、以下に示した本発明化合物を得た。
実施例3(1):N−(4−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)アセトアミド
HPLC保持時間(分):3.20;Massデータ:388 (M+H)
実施例3(2):5−(2−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.20;Massデータ:381 (M+H)
実施例3(3):5−(4−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.31;Massデータ:409 (M+H)
【0124】
実施例3(4):5−(5−メチルチエノ−2−イル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.38;Massデータ:411 (M+H)
実施例3(5):5−(3,4−ジメチルフェニル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):2.99;Massデータ:330 (M+H)
【0125】
実施例3(6):N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−キノリン−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):2.94;Massデータ:353 (M+H)
実施例3(7):5−(3−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.35;Massデータ:409 (M+H)
【0126】
実施例3(8):N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):2.76;Massデータ:308 (M+H)
実施例3(9):N−(4−メトキシベンジル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.34;Massデータ:337 (M+H)
【0127】
実施例3(10):1−(3−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)エタノン
HPLC保持時間(分):3.34;Massデータ:373 (M+H)
実施例3(11):5−ピリジン−4−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.12;Massデータ:392 (M+H)
【0128】
実施例3(12):5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.23;Massデータ:381 (M+H)
実施例3(13):5−(3−フリル)−N−(チエノ−2−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.23;Massデータ:297 (M+H)
実施例3(14):5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.23;Massデータ:367 (M+H)
【0129】
実施例3(15):5−(4−メチルフェニル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):2.94;Massデータ:316 (M+H)
実施例3(16):5−(3−メトキシフェニル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):2.90;Massデータ:332 (M+H)
【0130】
実施例3(17):5−(3−フリル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):2.28;Massデータ:292 (M+H)
実施例3(18):N−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メチルフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.45;Massデータ:345 (M+H)
【0131】
実施例3(19):N−(4−メトキシベンジル)−5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.42;Massデータ:361 (M+H)
実施例3(20):5−(3−フリル)−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.31;Massデータ:321 (M+H)
【0132】
実施例3(21):{1−[5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]ピロリジン−2−イル}メタノール
HPLC保持時間(分):3.13;Massデータ:325 (M+H)
実施例3(22):5−(4−メチルチエノ−2−イル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
HPLC保持時間(分):3.01;Massデータ:322 (M+H)
【0133】
実施例4:N−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−N−プロピルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5,7−ジアミン
【化35】

3−クロロアニリンの代わりに、プロピルアミンを用いて、実施例1と同様の操作をし、5−クロロ−N−プロピルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンを得た。得られた化合物とN,N−ジメチルベンゼン−1,4−ジアミンを用いて、Tetrahedron Letters, 2002, 43, 5739記載の求核芳香族置換反応の操作と同様の操作をし、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
HPLC保持時間(分):2.98;Massデータ:311 (M+H)
【0134】
実施例5:5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
【化36】

5,7−ジクロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(1.8g)のアセトニトリル(30mL)溶液に、p−メトキシベンジルアミン(1.3g)、炭酸カリウム(2.6g)を加えて室温で一夜撹拌した。反応液を濃縮した後、酢酸エチルと水を加えて抽出した。抽出物を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1→3:1)によって精製し、以下の物性値を有する本発明化合物(2.4g)を得た。
TLC:Rf 0.41(ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
NMR(CDCl):δ3.82 (s, 3 H),4.51 (d, J=5.49 Hz, 2 H), 5.98 (s, 1 H), 6.44 (d, J=2.20 Hz, 1 H), 6.64 − 6.77 (m, 1 H), 6.89 − 6.96 (m, 2 H), 7.24 − 7.33 (m, 2 H), 7.96 (d, J=2.20 Hz, 1 H)。
【0135】
実施例5(1)および5(2)
5,7−ジクロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジンの代わりに、相当するハロゲン化合物を用いて、実施例5と同様の操作をし、以下に示した本発明化合物を得た。
実施例5(1):5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−2−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
TLC:Rf 0.42(ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
NMR(CDCl):δ2.43 (s, 3 H), 3.82 (s, 3 H), 4.49 (d, J=5.68 Hz, 2 H), 5.91 (s, 1 H), 6.22 (s, 1 H), 6.55 − 6.67 (m, 1 H), 6.88 − 6.96 (m, 2 H), 7.23 − 7.34 (m, 2 H)。
【0136】
実施例5(2):5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−3−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
TLC:Rf 0.35(ヘキサン:酢酸エチル=4:1);
NMR(CDCl):δ2.29 (d, J=0.73 Hz, 3 H), 3.82 (s, 3 H), 4.50 (d, J=5.67 Hz, 2 H), 5.92 (s, 1 H), 6.58 − 6.67 (m, 1 H), 6.88 − 6.95 (m, 2 H), 7.24 − 7.32 (m, 2 H), 7.79 − 7.83 (m, 1 H)。
【0137】
実施例6:N−(4−メトキシベンジル)−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
【化37】

実施例5で得られた化合物(0.5g)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)(0.1g)を加えて室温で撹拌した。0.93Mメチルマグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン溶液(10mL)を室温で滴下し、2時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加えて抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム)にて精製し、以下の物性値を有する本発明化合物(340mg)を得た。
TLC:Rf 0.20(ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
NMR(CDCl):δ2.48 (s, 3 H), 3.81 (s, 3 H), 4.50 (d, J=5.67 Hz, 2 H), 5.83 (s, 1 H), 6.38 (d, J=2.20 Hz, 1 H), 6.46 − 6.65 (m, 1 H), 6.90 (d, J=8.60 Hz, 2 H), 7.28 (d, J=8.60 Hz, 2 H), 7.92 (d, J=2.20 Hz, 1 H)。
【0138】
実施例6(1)および6(2)
実施例5で得られた化合物の代わりに、実施例5(1)および5(2)で得られた化合物を用いて、実施例6と同様の操作をし、以下に示した本発明化合物を得た。
実施例6(1):N−(4−メトキシベンジル)−2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
TLC:Rf 0.20(ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
NMR(CDCl):δ2.43 (s, 3 H), 2.45 (s, 3 H), 3.81 (s, 3 H), 4.48 (d, J=5.67 Hz, 2 H), 5.76 (s, 1 H), 6.16 (s, 1 H), 6.38 − 6.50 (m, 1 H), 6.90 (d, J=8.78 Hz, 2 H), 7.28 (d, J=8.78 Hz, 2 H)。
【0139】
実施例6(2):N−(4−メトキシベンジル)−3,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
TLC:Rf 0.32(ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
NMR(CDCl):δ2.33 (d, J=0.55 Hz, 3 H), 2.51 (s, 3 H), 3.81 (s, 3 H), 4.50 (d, J=5.67 Hz, 2 H), 5.80 (s, 1 H), 6.40 − 6.50 (m, 1 H), 6.86 − 6.94 (m, 2 H), 7.25 − 7.33 (m, 2 H), 7.77 − 7.81 (m, 1 H)。
【0140】
実施例7:N−(4−メトキシベンジル)−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
【化38】

トルエン(10mL)に実施例5で得られた化合物(0.5g)、炭酸ナトリウム(0.34g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.26g)、フェニルボロン酸(0.29g)を加え、85℃で48時間加熱撹拌した。放冷後、反応液に酢酸エチルと水を加えて抽出し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=50:1)で精製し、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
TLC:Rf 0.36(ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
NMR(CDCl):δ3.82 (s, 3 H), 4.61 (d, J=5.68 Hz, 2 H), 6.39 (s, 1 H), 6.57 (d, J=2.20 Hz, 1 H), 6.61 − 6.73 (m, 1 H), 6.92 (d, J=8.60 Hz, 2 H), 7.31 − 7.37 (m, J=8.60 Hz, 2 H), 7.39 − 7.52 (m, 3 H), 7.95 − 8.02 (m, 3 H)。
【0141】
実施例7(1)および7(2)
実施例5で得られた化合物の代わりに、実施例5(1)および5(2)で得られた化合物を用いて、実施例7と同様の操作をし、以下に示した本発明化合物を得た。
実施例7(1):N−(4−メトキシベンジル)−2−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
TLC:Rf 0.34(ヘキサン:酢酸エチル=3:1);
NMR(CDCl):δ2.47 (s, 3 H), 3.81 (s, 3 H), 4.58 (d, J=5.67 Hz, 2 H), 6.31 (s, 1 H), 6.33 (s, 1 H), 6.50 − 6.60 (m, 1 H), 6.90 (d, J=8.97 Hz, 2 H), 7.32 (d, J=8.97 Hz, 2 H), 7.39 − 7.50 (m, 3 H), 7.92 − 7.99 (m, 2 H)。
【0142】
実施例7(2):N−(4−メトキシベンジル)−3−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
TLC:Rf 0.36(ヘキサン:酢酸エチル=4:1);
NMR(CDCl):δ2.40 (s, 3 H), 3.81 (s, 3 H), 4.60 (d, J=5.49 Hz, 2 H), 6.35 (s, 1 H), 6.51 − 6.60 (m, 1 H), 6.88 − 6.95 (m, 2 H), 7.29 − 7.37 (m, 2 H), 7.40 − 7.52 (m, 3 H), 7.85 (s, 1 H), 8.00 − 8.07 (m, 2 H)。
【0143】
[生物学的実施例]
一般式(I)で示される本発明化合物が、JNK阻害活性を有することは、例えば、以下の実験によって証明された。
全体の操作は、基本的な生物学的手法に基づき、常法となっている方法を活用した。また、本発明の測定方法は、以下のように、本発明化合物を評価するために、測定精度の向上および/または測定感度の改良を加えたものである。以下に詳細な実験方法を示した。
【0144】
[実験方法]
リコンビナント・ヒトJNK(JNK1:Upstate Biotechnology #14−327、JNK2:Upstate Biotechnology #14−329)を含有するキナーゼ緩衝液(25mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM β−グリセロリン酸、2mM ジチオスレイトール、0.1mM NaVO、10mM MgCl)を、蛍光測定用384wellプレートに添加した(5μL)(JNK1:20μU/well、JNK2:50μU/well)。さらに本発明化合物を含有するキナーゼ緩衝液(5μL)を添加し、室温で20分間インキュベーションを行った。別途、キナーゼ緩衝液を用いて調製した基質混合液[ビオチン化ATF2(5μg/mL)(Upstate Biotechnology #14−432)、アデノシン三リン酸(JNK1活性測定の場合:2μmol/L、JNK2活性測定の場合:5μmol/L)(Cell Signaling Technology #9804)、抗リン酸化ATF2抗体(20倍希釈)(Cell Signaling Technology #9221L)]を5μL添加し、30℃で30分間の酵素反応を行った。反応終了後、0.25%ウシ血清アルブミン(BSA)、100mM EDTAを含有するHepes緩衝液(pH7.4)を5μL添加することにより、酵素反応を停止させた。この反応により生成された、リン酸化ATF2と抗リン酸化ATF2の複合体量をAlpha ScreenTM Rabbit Detectionキット(Packard #6760607)を用いて測定した。
【0145】
本発明化合物の効果である、JNKの酵素阻害活性は、以下の式により、阻害率(%)として算出した。
【数1】

:酵素非添加での測定値
:酵素添加、化合物非存在下での測定値
:酵素添加、化合物存在下での測定値
その結果、本発明化合物は、いずれも10μmol/Lで50%以上のJNKの酵素阻害活性を有することが分かった。例えば、実施例1(1)化合物は、JNK1に対するIC50値が、0.33μmol/L、実施例3化合物は、JNK1に対するIC50値が、0.74μmol/Lであった。
【0146】
[製剤実施例]
製剤例1
N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(5.0g)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(0.2g)、ステアリン酸マグネシウム(0.1g)および微結晶セルロース(4.7g)を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤10,000錠を得た。
製剤例2
N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(2.0g)、マンニトール(20g)、蒸留水(1000mL)を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、常法により凍結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル10,000本を得た。
【産業上の利用可能性】
【0147】
一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグは、キナーゼ(特にc−Jun N末端キナーゼ)阻害作用を有し、AP−1の転写因子としての機能を阻害し、かつ安全であることから、例えば、糖尿病等の代謝性疾患や、例えば、関節リウマチ等の炎症性疾患の予防および/または治療剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

[式中、
【化2】

は、8−10員の縮合複素環を表わし、Rは(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)シアノ基、(4)オキソ基、(5)保護されていてもよい水酸基、(6)保護されていてもよいカルボキシル基、(7)保護されていてもよいアミノ基、(8)置換基を有していてもよい環状基、(9)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、または(10)保護されていてもよいチオール基を表わし、nは0または1乃至8の整数を表わす。ただし、nが2以上を表わす場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。]で示される化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグ。
【請求項2】
【化3】


【化4】

である請求の範囲第1項記載の化合物。
【請求項3】
一般式(I)が一般式(I−1)
【化5】

[式中、Rは保護されていてもよいアミノ基または置換基を有していてもよい環状基を表わし、Rはハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいチオール基または置換基を有していてもよい環状基を表わし、Rは水素原子、ハロゲン原子、保護されていてもよいアミノ基、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいチオール基、置換基を有していてもよい環状基または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表わし、mは0または1乃至3の整数を表わす。ただし、mが2以上を表わす場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。]である請求の範囲第1項記載の化合物。
【請求項4】
一般式(I)が一般式(I−2)
【化6】

[式中、pは0または1乃至5の整数を表わし、他の記号は請求の範囲第3項と同じ意味を表わす。ただし、pが2以上を表わす場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。]である請求の範囲第1項記載の化合物。
【請求項5】
一般式(I)が一般式(I−3)
【化7】

[式中、すべての記号は請求の範囲第3項および請求の範囲第4項と同じ意味を表わす。]である請求の範囲第1項記載の化合物。
【請求項6】
が保護されたアミノ基を表わす、請求の範囲第3項、第4項または第5項記載の化合物。
【請求項7】
化合物が(1)N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(2)5−クロロ−N−(3−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(3)5−チエノ−3−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(4)N−(4−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)アセトアミド、(5)2−{4−[(5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)アミノ]フェニル}エタノール、(6)5−(2−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(7)5−(4−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(8)5−(5−メチルチエノ−2−イル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(9)5−(3,4−ジメチルフェニル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(10)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−キノリン−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(11)5−(3−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(12)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(13)N−(4−メトキシベンジル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(14)1−(3−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)エタノン、(15)5−ピリジン−4−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(16)N−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−N−プロピルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5,7−ジアミン、(17)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(18)5−(3−フリル)−N−(チエノ−2−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(19)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(20)5−(4−メチルフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(21)5−(3−メトキシフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(22)5−(3−フリル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(23)N−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メチルフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(24)N−(4−メトキシベンジル)−5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(25)5−(3−フリル)−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(26){1−[5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−2−ピロリジニル}メタノール、(27)5−(4−メチル−2−チエニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(28)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−6−メチル−2H−クロメン−2−オン、(29)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−8−メチル−2H−クロメン−2−オン、(30)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−2H−クロメン−2−オン、(31)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(32)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−2−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(33)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−3−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(34)N−(4−メトキシベンジル)−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(35)N−(4−メトキシベンジル)−2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(36)N−(4−メトキシベンジル)−3,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(37)N−(4−メトキシベンジル)−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(38)N−(4−メトキシベンジル)−2−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、および(39)N−(4−メトキシベンジル)−3−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンからなる群から選択される化合物である請求の範囲第1項記載の化合物。
【請求項8】
請求の範囲第1項記載の一般式(I)で示される化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグを含有してなる医薬組成物。
【請求項9】
キナーゼ阻害剤である請求の範囲第8項記載の組成物。
【請求項10】
キナーゼがc−Jun N末端キナーゼである請求の範囲第9項記載の組成物。
【請求項11】
c−Jun N末端キナーゼがJNK1である請求の範囲第10項記載の組成物。
【請求項12】
化合物が一般式(I−1)、(I−2)または(I−3)
【化8】

[式中、すべての記号は、請求の範囲第3項および第4項と同じ意味を表わす。]である請求の範囲第8項記載の組成物。
【請求項13】
化合物が(1)N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(2)5−クロロ−N−(3−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(3)5−チエノ−3−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(4)N−(4−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)アセトアミド、(5)2−{4−[(5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)アミノ]フェニル}エタノール、(6)5−(2−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(7)5−(4−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(8)5−(5−メチルチエノ−2−イル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(9)5−(3,4−ジメチルフェニル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(10)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−キノリン−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(11)5−(3−フルオロフェニル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(12)N−(ピリジン−4−イルメチル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(13)N−(4−メトキシベンジル)−5−チエノ−3−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(14)1−(3−{7−[(4−メトキシベンジル)アミノ]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル}フェニル)エタノン、(15)5−ピリジン−4−イル−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(16)N−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−N−プロピルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5,7−ジアミン、(17)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(18)5−(3−フリル)−N−(チエノ−2−イルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(19)5−(3−フリル)−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(20)5−(4−メチルフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(21)5−(3−メトキシフェニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(22)5−(3−フリル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(23)N−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メチルフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(24)N−(4−メトキシベンジル)−5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(25)5−(3−フリル)−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(26){1−[5−(3−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−2−ピロリジニル}メタノール、(27)5−(4−メチル−2−チエニル)−N−(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(28)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−6−メチル−2H−クロメン−2−オン、(29)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−8−メチル−2H−クロメン−2−オン、(30)4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−2H−クロメン−2−オン、(31)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(32)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−2−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(33)5−クロロ−N−(4−メトキシベンジル)−3−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(34)N−(4−メトキシベンジル)−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(35)N−(4−メトキシベンジル)−2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(36)N−(4−メトキシベンジル)−3,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(37)N−(4−メトキシベンジル)−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(38)N−(4−メトキシベンジル)−2−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、および(39)N−(4−メトキシベンジル)−3−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンからなる群から選択される化合物である請求の範囲第8項記載の組成物。
【請求項14】
c−Jun N末端キナーゼ関連疾患の予防および/または治療剤である請求の範囲第10項記載の組成物。
【請求項15】
c−Jun N末端キナーゼ関連疾患が、代謝性疾患または炎症性疾患である請求の範囲第14項記載の組成物。
【請求項16】
代謝性疾患が糖尿病である請求の範囲第15項記載の組成物。
【請求項17】
糖尿病がインスリン抵抗性糖尿病である請求の範囲第16項記載の組成物。
【請求項18】
炎症性疾患が骨炎症である請求の範囲第15項記載の組成物。
【請求項19】
骨炎症が関節炎である請求の範囲第18項記載の組成物。
【請求項20】
哺乳動物に対して、請求の範囲第1項記載の化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするc−Jun N末端キナーゼの阻害方法。
【請求項21】
哺乳動物に対して、請求の範囲第1項記載の化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするc−Jun N末端キナーゼ関連疾患の予防および/または治療方法。
【請求項22】
c−Jun N末端キナーゼ関連疾患の予防および/または治療剤を製造するための、請求の範囲第1項記載の化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグの使用。
【請求項23】
請求の範囲第1項記載の化合物、その塩もしくはその溶媒和物またはそのプロドラッグとMTP阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、スクアレン合成酵素阻害薬、フィブラート系製剤、ACAT阻害薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬、回腸Na/胆汁酸共輸送体阻害薬、LDL受容体活性化薬/発現増強薬、リパーゼ阻害薬、プロブコール製剤、ニコチン酸製剤、スルフォニル尿素系血糖降下薬、ビグアナイド系製剤、α−グルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬、インスリン製剤、DPP4阻害薬、PTP1B阻害薬、β3アドレナリン受容体作動薬、PPAR作動薬および糖尿病合併症治療薬から選択される1種または2種以上とを組合せてなる医薬。

【国際公開番号】WO2005/035516
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514616(P2005−514616)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014941
【国際出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】