説明

新規被覆粉体及びそれを配合した化粧料

【課題】
皮膚や毛髪への付着性の何れにおいても優れた化粧料用の被覆粉体を開発し、このような被覆粉体を配合した、皮膚や毛髪への付着性において優れた化粧料を提供する。
【解決手段】
粉体の粒子の表面をプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)で被覆する。このような被覆粉体は、皮膚や毛髪への付着性において、極めて優れている。
また、前記被覆粉体を使用して、皮膚や毛髪への付着性において優れた化粧料も提供する。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に使用可能な新規被覆粉体(表面処理粉体)、詳しくは、プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)、好ましくはヒドロキシプロリン又はその誘導体の水酸基がエステル化されたヒドロキシプロリンエステル化物のN−アシル体(塩の形態にあるものを含む)で被覆(表面処理)された粉体、及び当該粉体を配合した化粧料等に関する。
【0002】
本発明は、より詳しくは、皮膚や毛髪への付着性に極めて優れた新規被覆粉体、及び当該粉体を配合した化粧料に関する。
【背景技術】
【0003】
化粧料、詳しくは、これに配合される粉体には、肌への付着性の高さが求められる。しかしながら、現実に用いられている多くの粉体は皮膚や毛髪(特に肌)への付着性において決して満足できるものではない。このような問題を解決するために、粉体の表面を種々の物質で被覆(表面処理)することは有効である。
【0004】
一方、これまでに、エステル油や金属石鹸、レシチン、シリコーンオイル、パーフルオロアルキルオイル、カップリング剤、水溶性高分子等、種々の表面処理剤で表面処理する手法が提案されてきた。しかしながら、このような表面処理剤で処理された粉体は、生体への親和性が悪いため肌への付着性において充分ではない。
【0005】
そこで、この問題を解決するために従来は、肌への付着性において優れた化粧料、詳しくは、これに配合される粉体を提供することを目的として、生体を構成する成分であるアミノ酸やポリペプチドのN−アシル体で粉体を処理することが試みられてきた(特許文献1〜7等参照)。
【0006】
例えば、N−アシル−L−グルタミン酸、N−アシル−N−メチルグリシン、N−アシル−N−メチルβアラニン等で処理した粉体(特許文献1参照)、N−アシル化アスパラギン酸で被覆した粉体(特許文献2参照)、N−モノ長鎖アシル塩基性アミノ酸で被覆した粉体(特許文献3〜5参照)及びN−アシル化ペプチドで被覆した粉体(特許文献6参照)が提案されているが、何れも肌への付着性という面で不満が残る。
【0007】
また、14種のアミノ酸のN−アシル体を少なくとも含む混合物で被覆された粉体を含有する化粧料に使用可能な被覆粉体(特許文献7参照)が提案されているが、同様に、皮膚や毛髪への付着性において満足できるものではない。
【0008】
そこで、皮膚や毛髪への付着性において極めて優れた粉体、好ましくは化粧料用の粉体の開発が求められる。しかも、粉体を、プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)で被覆(表面処理)して調製した、肌への付着性において極めて優れた被覆粉体やこれを配合した化粧料等についての記載は見当たらない。
【0009】
【特許文献1】特公平1−50202号公報
【特許文献2】特開平3−200879号公報
【特許文献3】特開昭61−10503号公報
【特許文献4】特開昭61−69709号公報
【特許文献5】特開平7−252113号公報
【特許文献6】特開昭61−73775号公報
【特許文献7】特開2000−212041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の事情に鑑み、皮膚や毛髪(特に肌)に対する付着性において極めて優れた性質を有する粉体、好ましくは化粧料用の粉体、及びそれを配合した(含有する)化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは鋭意研究を行った結果、粉体(粒子)、好ましくは化粧料用の粉体(粒子)を、プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)、好ましくはヒドロキシプロリン又はその誘導体の水酸基がエステル化されたヒドロキシプロリンエステル化物のN−アシル体(塩の形態にあるものを含む)を用いて被覆(表面処理)した粉体(被覆粉体)が、皮膚や毛髪への付着性において極めて優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明において、
被覆(表面処理)粉体、好ましくは化粧料用の被覆粉体において、
被覆される粉体の粒子の表面が、プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)で被覆されていることに特徴を有する被覆粉体(以下、「本発明の被覆粉体」とも称する。)を提供することができる。
【0013】
また、本発明では、前記被覆される粉体の粒子の表面を、好ましくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)で、より好ましくはヒドロキシプロリン又はその誘導体の水酸基がエステル化されたヒドロキシプロリンエステル化物のN−アシル体(塩の形態にあるものを含む)で被覆することができる。
【0014】
なお、本発明では、前記N−アシル体のアシル基の炭素数が、1〜32であることが好ましい。また、前記ヒドロキシプロリンエステル化物のN−アシル体を選択する場合には、そのエステル結合部分のカルボン酸残基の炭素数が、1〜32であることが好ましい。特に、本発明では、前記被覆される粉体の粒子の表面を、パルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリン(塩の形態でもよい)で被覆することが好ましい。
【0015】
本発明において、別の形態として、前記記載の被覆粉体を含有することに特徴を有する化粧料(以下、「本発明の化粧料」とも称する。)を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により皮膚や毛髪への付着性において極めて優れた被覆(表面処理)粉体、特に化粧料用の被覆粉体を提供する。
【0017】
また、前記被覆粉体を使用(配合)して、上記効果に優れた化粧料を、容易かつ簡便に製造することができる。したがって、本発明は特に化粧料分野において、工業的に極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、粉体(粒子)の表面をプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)で被覆することにより調製される被覆粉体、即ち本発明の被覆粉体を、特に化粧料を用途とする場合を中心に、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、これに限定されることはない。
【0019】
(本発明の被覆粉体)
本発明の被覆粉体は、被覆粉体、好ましくは化粧料用の被覆粉体であり、被覆される粉体の粒子の表面が、プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)で被覆されている。
【0020】
本発明においてはプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体が使用される。なお、好ましくは当該N−アシル体におけるアシル基の炭素数が1〜32であるものが使用される。また、これらのプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体については、一種又は二種以上を組み合わせて混合物として使用することができる。
【0021】
プロリンにはD−プロリン、L−プロリンという二種の異性体が存在するが、本発明においては、そのどちらを用いてもよいし、混合物として使用しても構わない。プロリンの誘導体となると更に異性体の数は増すが、同様に考えてよい。例えば、プロリン誘導体の一種であるヒドロキシプロリンには、シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリンといった八種の異性体が知られているが、その何れを用いてもよいし、二種以上の混合物として使用してもよい。
【0022】
なお、本発明においては、好ましくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体が選択され、より好ましくはヒドロキシプロリン又はその誘導体の水酸基部分をエステル化したヒドロキシプロリンエステル化物のN−アシル体が選択される。更に好ましくは当該ヒドロキシプロリンエステル化物のエステル結合部分のカルボン酸残基の炭素数が1〜32であるものを選択する。特に、本発明においては、パルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンを選択することが好ましい。
【0023】
本発明において、プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体の製造については、特に困難は無く、公知の方法、例えば、抽出法、合成法、微生物学的製造法、タンパク質やペプチド加水分解法等各種の製造法等により製造することができる。ここで、動物由来のプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体を用いる場合には、動物由来のウイルスや狂牛病の原因タンパク質であるプリオン等の混入に十分注意する必要がある。そこで、本発明においては、好ましくは、動物由来以外のプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体、より好ましくは微生物を用いて製造したプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体が選択される。
【0024】
本発明において、被覆剤、即ちプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体の製造については、特に困難は無く、上記プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−位をカルボン酸(又はその誘導体)によりアシル化することで、上述した本発明において使用する被覆剤(プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体)を得ることができる。アシル化の際に用いるカルボン酸としては、飽和、不飽和、ヒドロキシ、芳香族等の何れも用いることができる。例えば、一塩基酸(n=1)として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セチロン酸、モンタン酸、メリシン酸等の直鎖脂肪酸、ウンデシレン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸、イソオクチル酸(2−エチルヘキサン酸)、ネオトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等の分枝脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等のヒドロキシ脂肪酸が挙げられる。多塩基酸(n=2〜3)として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、シクロブタン−1,1−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、フェニレン−1,2−ジ酢酸、ジグリコール酸、ジチオグリコール酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、オクタコサン二酸、1−,10−デカメチレン二酸、1−,12−ドデカメチレン二酸、1−,15−ペンタデカメチレン二酸、1−,28−オクタコサメチレン二酸、7−エチルオクタデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。ここで、本発明において「ダイマー酸」とは炭素数11〜22の不飽和脂肪酸の二量化により生成する二塩基酸のことをいう。不飽和二塩基酸としてはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸等も挙げられる。ヒドロキシ多塩基酸としては、酒石酸、リンゴ酸、ムチン酸、クエン酸、等が挙げられる。本発明においてはこれらを単独で、又は任意の組み合わせの混合物で使用してもよい。
【0025】
本発明において、前記カルボン酸の炭素数として、好ましくは1〜32が選択されるが、皮膚刺激等の観点から8〜20のものがより好ましく、12〜18のものが更に好ましい。なお、炭素数が32より大きくなると、被覆粉体の感触が重くなり好ましくない。
【0026】
本発明において、プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル化の方法については、特に困難は無く、公知の方法で行うことができる。例えば、上記カルボン酸の活性誘導体を、水生媒体又は有機溶媒体中で目的とするプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体と反応させることで、所望のN−アシル体を得ることができる。
【0027】
なお、本発明において、ヒドロキシプロリン又はその誘導体の水酸基部分のエステル化についても、特に困難は無く、公知の方法で行うことができる。例えば、ヒドロキシプロリンと上記カルボン酸の活性誘導体を、水性媒体又は有機溶媒中で反応させることで、所望のエステル体を得ることができる。
【0028】
本発明において使用する被覆剤、即ちプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体については、上記のように公知の方法により製造したものを使用することができるが、また、市販品を購入することで容易に入手することができる。例えば、仏セピック社から「SEPILIFT DPHP」等が上市されている。
【0029】
本発明において使用するプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体は、遊離体でも塩の形態でも使用できる。例えば、Na、K、又はBa、Zn、Ca、Mg、Fe、Zr、Co、Al、及びTi等の多価金属、アンモニウム、又はモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びトリイソプロパノールアミン等の有機アルカノールアミンのオニウム等の塩が利用可能である。好ましくは遊離体又はNa、K及び多価金属の何れかの塩の形態が選択され、より好ましくは、遊離体又はNa、K、Ca、Mg、及びAlの塩の何れかの形態が選択される。なお、塩の形態をとる場合には、塩の形態をとるアミノ酸誘導体において塩を構成しうる部分が、それぞれ独立して、その全て又は一部が、同一の又は別々の塩で構成されていてもよい。
【0030】
本発明において使用する粉体(被覆される前の粉体)については、化粧料に使用される粉体であれば、特に制限は無く、無機粉体及び有機粉体の何れからも選択することができる。
【0031】
無機粉体として、例えば、マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、合成マイカ、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、炭化ケイ素、タングステン酸金属塩、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、クロルヒドロキシアルミニウム、クレー、ベントナイト、ゼオライト、スメクタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等の体質顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の白色顔料、赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、無機青色系顔料、カーボンブラック、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の着色顔料、平均粒子径0.1μm未満の微粒子粉体としては、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、微粒子酸化セリウム等、発光粉体、アルミニウムパウダー、ステンレスパウダー、トルマリン粉末、琥珀パウダー等が挙げられる。
【0032】
有機粉体として、例えば、ウールパウダー、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、シリコーンゴムパウダー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂パウダー、微結晶繊維粉体、長径が数mmもあるナイロン繊維、澱粉粉末、アシル化リジン粉末、長鎖アルキルリン酸金属塩粉末、金属石鹸粉末、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジ等が挙げられる。また、赤色3号、赤色10号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール色素;カルミン、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素;黄色4号Alレーキ、黄色5号Alレーキ、青色1号Alレーキ等の合成レーキ色素;カルミン酸のAlレーキ等の天然レーキ色素等が挙げられる。
【0033】
また、本発明において使用する粉体の形態については、特に制限は無く、前記粉体の複数の混合物や、複合体、付着物等、通常化粧料に配合する際に選択することができる形態を選択することができる。例えば、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、魚鱗箔、合成マイカに酸化チタンを被覆した粉体、ベンガラ等の無機着色顔料を無水ケイ酸で被覆した粉体、ナイロンを白色顔料で被覆した粉体、体質顔料を微粒子白色顔料で被覆した粉体等が挙げられる。
【0034】
なお、本発明において使用する粉体については、公知の方法により製造したものを使用することができ、また、市販のものを使用することもできる。市販品としては、例えば、三好化成株式会社製のエクセルマイカ、エクセルパール、パウダーラヴィ、SXI−5、SXI−9等、シリカフレークに酸化チタンを被覆等した粉体(日本板硝子株式会社製「メタシャイン(商品名)」)、アルミナフレークに酸化スズと酸化チタンを被覆した粉体、アルミニウムフレークに酸化チタンを被覆した粉体、米国エッカート社製のカッパーフレークにシリカを被覆した粉体、ブロンズフレークにシリカを被覆した粉体、アルミニウムフレークにシリカを被覆した粉体等、三井物産株式会社製「ルミノーバシリーズ(商品名)」等が挙げられる。
【0035】
本発明において使用する粉体の粒子径については、特に制限は無いが、平均粒子径で、好ましくは3000μm〜0.001μm程度、より好ましくは200μm〜0.005μm程度、更に好ましくは100μm〜0.01μm程度が選択される。ここで、これら粉体の粒子径については、例えば、光学顕微鏡や電子顕微鏡による観察で計測される平均値で求められる。なお、真球状でない粒子に関しては、長径、短径、厚み等の合計の平均値等よりその径を求めることができる。
【0036】
本発明において使用する被覆される前の粉体の粒子の形状については、特に制限は無く、例えば、球状、偏平形状(板状)、不定形、両凸形状(紡錘状)、バタフライ状、花びら状等を選択することができる。より好ましい粒子の形状は、球状、偏平形状である。
【0037】
本発明において使用する粉体は、被覆剤(プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む))との親和性や固着性の向上を図るべく、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、セリウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル及びスズの少なくとも一種の酸化物又は含水酸化物で被覆されていても構わない。更にこれら粉体は、被覆(表面処理)の相乗効果を図るべく予めシリコーン化合物による表面処理、アシル化アミノ酸による表面処理、脂肪酸や金属石鹸による表面処理、フッ素化合物による表面処理、レシチンによる表面処理、ポリエチレンによる表面処理、アルキルシランによる表面処理、アルキルチタネートによる表面処理、セラミドによる表面処理、コラーゲンによる表面処理、デキストリン脂肪酸エステルによる表面処理等の公知の表面処理剤で処理されていてもよい。
【0038】
本発明において、プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体を粉体に被覆する方法としては、上記被覆剤をフリー(遊離)体のまま被覆してもよいしNa、K、並びにBa、Zn、Ca、Mg、Fe、Zr、Co、Al、Ti等の多価金属、アンモニウム、又はモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリイソプロパノールアミン等の有機アルカノールアミンのオニウムの何れかで処理してもよい。
【0039】
前記プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(遊離体や塩の形態にあるものを含む)、即ち被覆剤を用いて被覆(表面処理)するには、当該被覆剤(被覆物質)で前記被覆される前の粉体の粒子表面を直接処理する。この処理については、例えば、プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(遊離体や塩の形態にあるものを含む)中にあるカルボキシル基の水素原子を他の金属若しくは有機基で置換した後又は置換しながら、前記被覆される前の粉体の粒子表面を被覆(表面処理)する工程が採用される。これらの処理工程そのものについては特に制限は無く、ヘンシルミキサーやスーパーミキサー等で表面処理(被覆)剤を混合後乾燥する乾式法、ニーダーやエクストルーダー等の練合機で混練後乾燥する方法、ボールミルやサンドグラインダー等のメカノケミカル型のミルで水や有機溶媒中に粉体を分散させ処理剤を混合した後、溶媒を除去して乾燥する方法、JETアトマイザーのような高速気流中で粉体基剤と処理剤を接触させて被覆する方法等、一般に粉体の表面処理に適用できる従来既知の方法が採用できる。
【0040】
本発明において、前記被覆される前の粉体(粒子)表面に対する前記被覆剤(プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む))の量(被覆量)については、用いる粉体(被覆される前の粉体)の各粒子形状や平均粒子径により選択すればよく、特に限定されないが、被覆する前の(被覆すべき)粉体に対して、好ましくは0.01〜50質量%程度が選択される。より好ましくは1〜10質量%程度が選択され、更に好ましくは3〜5質量%が選択される。0.01質量%以下では粉体表面改質効果が得られない傾向にあり、50質量%以上では効果に顕著な差が認められないばかりか、不経済ですらある。
【0041】
本発明において使用するプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体は、肌の保湿や、シワやハリの低下といった老化症状の予防、回復に対して高い効果(老化防止効果)を有することが知られている(特開平1−131107号公報、特開2002−80321号公報、特開2004−43366号公報等参照)。したがって、本発明において化粧料中等に使用するプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)、特にパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリン(塩の形態でもよい)を用いて被覆(表面処理)した粉体においても、同様に前記老化防止効果が発現されるものと判断される。
【0042】
本発明においては、アミノ酸のうち上述したプロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)のみが適用され、これ以外の他のアミノ酸(グリシン等)は適用されないが、当該プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)のみの粉体粒子表面への被覆により、従来の粉体に対して皮膚や毛髪への付着性の更なる向上を達成するものである。
【0043】
本発明において使用する被覆剤は、特開平2000−72527号公報及び特開平2002−80748号公報において記載されているA層として適用可能である。
【0044】
本発明の被覆粉体は、粉体として従来の粉体や顔料の配合方法と同様の方法で分散体や化粧料に配合することができる。
【0045】
(分散体)
本発明において、分散体とは、前記記載の被覆粉体(本発明の被覆粉体)を含有するものである。なお、当該被覆粉体は、前記記載のように調製することができる。
【0046】
本発明において、分散体については、分散媒に対して前記被覆粉体を一種又は二種以上使用することができる。
【0047】
前記分散媒については、特に制限は無く、通常の化粧料に用いられる分散媒を選択することができる。このような分散媒として、水や、炭化水素油、エステル油、トリグリセライド、及びシリコーンオイル等の油剤が挙げられるが、通常は炭化水素油、エステル油、トリグリセライド、及びシリコーンオイル等の油剤が選択される。
【0048】
本発明において、前記被覆粉体を分散媒に混合分散させる方法については、公知の方法を採用すればよく、特に限定されない。例えば、プロペラミキサー、ハイスピードミキサー、ディゾルバー、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、コロイドミル、マスコロイダー、ビーズミル、サンドミル等の湿式混合分散機を使用して分散体を製造することができる。
【0049】
前記分散体の組成において、前記被覆粉体の使用量については、特に制限は無いが、好ましくは10〜30質量%程度が選択される。
【0050】
(本発明の化粧料)
本発明の化粧料は、前記記載の被覆粉体(本発明の被覆粉体)、又は前記記載の分散体を含有する化粧料である。即ち、当該被覆粉体は、前記記載のように調製することができる。
【0051】
なお、前記同様に、本発明の化粧料においては、前記被覆粉体を一種又は二種以上使用することができ、このような化粧料も当然本発明の化粧料に含まれる。
【0052】
本発明において、化粧料の処方については特に困難は無く、従来から使用されている技術、特に、被覆粉体(表面処理粉体)や分散体を化粧料に使用する技術(例えば、乳化等)に基づいて、目的とした化粧料を得ることができる。
【0053】
本発明の被覆粉体を化粧料(化粧料用組成物)に配合する場合において、その配合量は特に限定されないが、化粧料全組成中に、好ましくは0.1〜99質量%程度、より好ましくは5〜90質量%程度、更に好ましくは10〜85質量%程度である。
【0054】
本発明の化粧料には、更に、本発明の目的及び効果(皮膚や毛髪への付着性等)を阻害しない範囲で通常の化粧料に用いられる他の成分、例えば、顔料分散剤、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、皮膜形成剤、保湿剤、増粘剤、染料、顔料、香料等を適宜配合することができる。
【0055】
本発明の化粧料の剤型については特に限定は無い。化粧料の剤型として、具体的には、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、油性ファンデーション、スティックファンデーション、プレストパウダー、フェイスパウダー、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー、マスカラ、水性ネイルエナメル、油性ネイルエナメル、乳化型ネイルエナメル、エナメルトップコート、エナメルベースコート、等の仕上用化粧品、エモリエントクリーム、エモリエントローション、ミルキーローション、マッサージローション、コールドクリーム、美白クリーム、乳液、化粧水、美容液、カーマインローション、クレンジングジェル、液状洗顔料、洗顔フォーム、洗顔クリーム、洗顔パウダー、メイククレンジング、ボディグロス、等の基礎化粧品、ヘアーグロス、ヘアクリーム、ヘアオイル、ヘアーシャンプー、ヘアリンス、ヘアカラー、ヘアブラッシング剤、等の頭髪用化粧品、その他として日焼け止めクリームや乳液、石鹸、浴用剤、制汗剤、ウエットティッシュ、香水等が例示される。
【実施例】
【0056】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0057】
[実施例1−1] プロリン誘導体のN−アシル体の被覆−1
セリサイト100重量部を精製水1000重量部に添加し混合した。得られた混合物に対し、N−カプリルプロリンナトリウム水溶液を固形分で5重量部加え撹拌しながら、これに1N−塩化アルミニウム水溶液を滴下した。得られた混合物のpH値を4.0に調整した後30分間撹拌した。その後、濾過、水洗し、115℃で12時間乾燥した後、粉砕して、目的とするN−カプリルプロリンアルミニウム被覆セリサイト(表面被覆量5%)を得た。
【0058】
[実施例1−2] プロリン誘導体のN−アシル体の被覆−2
セリサイトに替えて、タルクを100重量部使用すること以外は、実施例1−1と同様の方法でN−カプリルプロリンアルミニウム被覆タルクを製造した。
【0059】
[実施例1−3] プロリン誘導体のN−アシル体の被覆−3
セリサイトに替えて、マイカを100重量部使用すること以外は、実施例1−1と同様の方法でN−カプリルプロリンアルミニウム被覆マイカを製造した。
【0060】
[実施例1−4] プロリン誘導体のN−アシル体の被覆−4
セリサイトに替えて、二酸化チタンを100重量部使用すること以外は、実施例1−1と同様の方法でN−カプリルプロリンアルミニウム被覆二酸化チタンを製造した。
【0061】
[実施例1−5] プロリン誘導体のN−アシル体の被覆−5
セリサイトに替えて、黄酸化鉄を100重量部使用すること以外は、実施例1−1と同様の方法でN−カプリルプロリンアルミニウム被覆黄酸化鉄を製造した。
【0062】
[実施例1−6] プロリン誘導体のN−アシル体の被覆−6
セリサイトに替えて、ベンガラを100重量部使用すること以外は、実施例1−1と同様の方法でN−カプリルプロリンアルミニウム被覆ベンガラを製造した。
【0063】
[実施例1−7] プロリン誘導体のN−アシル体の被覆−7
セリサイトに替えて、黒酸化鉄を100重量部使用すること以外は、実施例1−1と同様の方法でN−カプリルプロリンアルミニウム被覆黒酸化鉄を製造した。
【0064】
[実施例1−8] プロリン誘導体のN−アシル体の被覆−8
セリサイトに替えて、雲母チタンを100重量部使用すること以外は、実施例1−1と同様の方法でN−カプリルプロリンアルミニウム被覆雲母チタンを製造した。
【0065】
[実施例2−1] ヒドロキシプロリン誘導体のN−アシル体の被覆−1
セリサイト100重量部を精製水1000重量部に添加し混合した。得られた混合物に対し、N−メリシルヒドロキシプロリンナトリウム水溶液を固形分で5重量部加え撹拌しながら、これに1N−硫酸亜鉛水溶液を滴下した。得られた混合物のpH値を4.0に調整した後30分間撹拌した。その後、濾過、水洗し、115℃で12時間乾燥した後、粉砕して、目的とするN−メリシルヒドロキシプロリン亜鉛被覆セリサイト(表面被覆量5%)を得た。
【0066】
[実施例2−2] ヒドロキシプロリン誘導体のN−アシル体の被覆−2
セリサイトに替えて、タルクを100重量部使用すること以外は、実施例2−1と同様の方法でN−メリシルヒドロキシプロリン亜鉛被覆タルクを製造した。
【0067】
[実施例2−3] ヒドロキシプロリン誘導体のN−アシル体の被覆−3
セリサイトに替えて、マイカを100重量部使用すること以外は、実施例2−1と同様の方法でN−メリシルヒドロキシプロリン亜鉛被覆マイカを製造した。
【0068】
[実施例2−4] ヒドロキシプロリン誘導体のN−アシル体の被覆−4
セリサイトに替えて、二酸化チタンを100重量部使用すること以外は、実施例2−1と同様の方法でN−メリシルヒドロキシプロリン亜鉛被覆二酸化チタンを製造した。
【0069】
[実施例2−5] ヒドロキシプロリン誘導体のN−アシル体の被覆−5
セリサイトに替えて、黄酸化鉄を100重量部使用すること以外は、実施例2−1と同様の方法でN−メリシルヒドロキシプロリン亜鉛被覆黄酸化鉄を製造した。
【0070】
[実施例2−6] ヒドロキシプロリン誘導体のN−アシル体の被覆−6
セリサイトに替えて、ベンガラを100重量部使用すること以外は、実施例2−1と同様の方法でN−メリシルヒドロキシプロリン亜鉛被覆ベンガラを製造した。
【0071】
[実施例2−7] ヒドロキシプロリン誘導体のN−アシル体の被覆−7
セリサイトに替えて、黒酸化鉄を100重量部使用すること以外は、実施例2−1と同様の方法でN−メリシルヒドロキシプロリン亜鉛被覆黒酸化鉄を製造した。
【0072】
[実施例2−8] ヒドロキシプロリン誘導体のN−アシル体の被覆−8
セリサイトに替えて、雲母チタンを100重量部使用すること以外は、実施例2−1と同様の方法でN−メリシルヒドロキシプロリン亜鉛被覆雲母チタンを製造した。
【0073】
[実施例3−1] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−1
セリサイト100重量部を精製水1000重量部に添加し混合した。得られた混合物に対し、パルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンナトリウム水溶液を固形分で5重量部加え撹拌しながら、これに1N−硫酸アルミニウム水溶液を滴下した。得られた混合物のpH値を4.0に調整した後30分間撹拌した。その後、濾過、水洗し、115℃で12時間乾燥した後、粉砕して、目的とするパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆セリサイト(表面被覆量5%)を得た。
【0074】
[実施例3−2] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−2
セリサイトに替えて、タルクを100重量部使用すること以外は、実施例3−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆タルクを製造した。
【0075】
[実施例3−3] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−3
セリサイトに替えて、マイカを100重量部使用すること以外は、実施例3−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆マイカを製造した。
【0076】
[実施例3−4] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−4
セリサイトに替えて、二酸化チタンを100重量部使用すること以外は、実施例3−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆二酸化チタンを製造した。
【0077】
[実施例3−5] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−5
セリサイトに替えて、黄酸化鉄を100重量部使用すること以外は、実施例3−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆黄酸化鉄を製造した。
【0078】
[実施例3−6] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−6
セリサイトに替えて、ベンガラを100重量部使用すること以外は、実施例3−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆ベンガラを製造した。
【0079】
[実施例3−7] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−7
セリサイトに替えて、黒酸化鉄を100重量部使用すること以外は、実施例3−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆黒酸化鉄を製造した。
【0080】
[実施例3−8] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−8
セリサイトに替えて、雲母チタンを100重量部使用すること以外は、実施例3−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆雲母チタンを製造した。
【0081】
[実施例4−1] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−9
精製水1000重量部にパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリン(商品名「SEPILIT DPHP」、セピック社製、仏国)を5重量部添加した。得られた混合物に対して当量の1N−水酸化ナトリウム水溶液を添加し、処理剤(パルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリン)を完全に溶解させた。更にそこにセリサイト100重量部を添加し、混合した。得られた混合物に1N−塩化アルミニウム水溶液を滴下した。得られた混合物のpH値を4.0に調整した後30分間撹拌した。その後、濾過、水洗し、115℃で12時間乾燥した後、粉砕して、目的とするパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆セリサイト(表面被覆量5%)を得た。
【0082】
[実施例4−2] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−10
セリサイトに替えて、タルクを100重量部使用すること以外は、実施例4−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆タルクを製造した。
【0083】
[実施例4−3] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−11
セリサイトに替えて、マイカを100重量部使用すること以外は、実施例4−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆マイカを製造した。
【0084】
[実施例4−4] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−12
セリサイトに替えて、二酸化チタンを100重量部使用すること以外は、実施例4−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆二酸化チタンを製造した。
【0085】
[実施例4−5] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−13
セリサイトに替えて、黄酸化鉄を100重量部使用すること以外は、実施例4−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆黄酸化鉄を製造した。
【0086】
[実施例4−6] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−14
セリサイトに替えて、ベンガラを100重量部使用すること以外は、実施例4−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆ベンガラを製造した。
【0087】
[実施例4−7] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−15
セリサイトに替えて、黒酸化鉄を100重量部使用すること以外は、実施例4−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆黒酸化鉄を製造した。
【0088】
[実施例4−8] N−アシルヒドロキシプロリンエステル化物の被覆−16
セリサイトに替えて、雲母チタンを100重量部使用すること以外は、実施例4−1と同様の方法でパルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリンアルミニウム被覆雲母チタンを製造した。
【0089】
[比較例1−1] N−アシルシルクアミノ酸の被覆−1
下記の方法、即ち、特開2000−50202号公報の実施例1−1に記載の方法でセリサイトを被覆し、N−ラウロイルシルクアミノ酸アルミニウム処理セリサイトを製造した。
【0090】
(製造方法)
セリサイト100重量部を精製水1000重量部に添加し混合した。得られた混合物に対し、N−ラウロイルシルクアミノ酸ナトリウム水溶液(PHYTOCOS社製、仏国)を固形分で5重量部加え撹拌しながら、これに1N−塩化アルミニウム水溶液を滴下した。得られた混合物のpH値を4.0に調整した後30分間撹拌した。その後、濾過、水洗し、115℃で12時間乾燥した後、粉砕して、目的とするN−ラウロイルシルクアミノ酸アルミニウム処理セリサイト(表面被覆量5%)を得た。
【0091】
[比較例1−2] N−アシルシルクアミノ酸の被覆−2
セリサイトに替えて、タルクを100重量部使用すること以外は、比較例1−1と同様の方法でN−ラウロイルシルクアミノ酸アルミニウム処理タルクを製造した。
【0092】
[比較例1−3] N−アシルシルクアミノ酸の被覆−3
セリサイトに替えて、マイカを100重量部使用すること以外は、比較例1−1と同様の方法でN−ラウロイルシルクアミノ酸アルミニウム処理マイカを製造した。
【0093】
[比較例1−4] N−アシルシルクアミノ酸の被覆−4
セリサイトに替えて、二酸化チタンを100重量部使用すること以外は、比較例1−1と同様の方法でN−ラウロイルシルクアミノ酸アルミニウム処理二酸化チタンを製造した。
【0094】
[比較例1−5] N−アシルシルクアミノ酸の被覆−5
セリサイトに替えて、黄酸化鉄を100重量部使用すること以外は、比較例1−1と同様の方法でN−ラウロイルシルクアミノ酸アルミニウム処理黄酸化鉄を製造した。
【0095】
[比較例1−6] N−アシルシルクアミノ酸の被覆−6
セリサイトに替えて、ベンガラを100重量部使用すること以外は、比較例1−1と同様の方法でN−ラウロイルシルクアミノ酸アルミニウム処理ベンガラを製造した。
【0096】
[比較例1−7] N−アシルシルクアミノ酸の被覆−7
セリサイトに替えて、黒酸化鉄を100重量部使用すること以外は、比較例1−1と同様の方法でN−ラウロイルシルクアミノ酸アルミニウム処理黒酸化鉄を製造した。
【0097】
[比較例1−8] N−アシルシルクアミノ酸の被覆−8
セリサイトに替えて、雲母チタンを100重量部使用すること以外は、比較例1−1と同様の方法でN−ラウロイルシルクアミノ酸アルミニウム処理雲母チタンを製造した。
【0098】
[比較例2−1] リポアミノ酸の被覆−1
下記の方法でセリサイトを被覆し、リポアミノ酸処理セリサイトを製造した。
【0099】
(製造方法)
セリサイト100重量部及びリポアミノ酸5重量部をジャケット付き卓上ミキサーに投入した。ミキサー内の温度を60℃に保ち、30分間撹拌し、目的とするリポアミノ酸処理セリサイト(表面被覆量5%)を得た。
【0100】
[比較例2−2] リポアミノ酸の被覆−2
セリサイトに替えて、タルクを100重量部使用すること以外は、比較例2−1と同様の方法でリポアミノ酸処理タルクを製造した。
【0101】
[比較例2−3] リポアミノ酸の被覆−3
セリサイトに替えて、マイカを100重量部使用すること以外は、比較例2−1と同様の方法でリポアミノ酸処理マイカを製造した。
【0102】
[比較例2−4] リポアミノ酸の被覆−4
セリサイトに替えて、二酸化チタンを100重量部使用すること以外は、比較例2−1と同様の方法でリポアミノ酸処理二酸化チタンを製造した。
【0103】
[比較例2−5] リポアミノ酸の被覆−5
セリサイトに替えて、黄酸化鉄を100重量部使用すること以外は、比較例2−1と同様の方法でリポアミノ酸処理黄酸化鉄を製造した。
【0104】
[比較例2−6] リポアミノ酸の被覆−6
セリサイトに替えて、ベンガラを100重量部使用すること以外は、比較例2−1と同様の方法でリポアミノ酸処理ベンガラを製造した。
【0105】
[比較例2−7] リポアミノ酸の被覆−7
セリサイトに替えて、黒酸化鉄を100重量部使用すること以外は、比較例2−1と同様の方法でリポアミノ酸処理黒酸化鉄を製造した。
【0106】
[比較例2−8] リポアミノ酸の被覆−8
セリサイトに替えて、雲母チタンを100重量部使用すること以外は、比較例2−1と同様の方法でリポアミノ酸処理雲母チタンを製造した。
【0107】
[実施例5] 各被覆(表面処理)粉体の評価
下記評価方法により各試料の評価を行った。結果を表1に示す。なお、試料として、前記実施例3−1で得られた被覆(表面処理)粉体(本発明の被覆粉体)並びに比較例1−1及び2−1で得られた被覆(表面処理)粉体を用いた。
【0108】
(評価方法)
容量500mlのビーカーに試料5gを加え、更にその中に5cm四方の人工皮革を投入した。その後ビーカーを30回振とうした後、人工皮革を取り出し、そこに付着した試料(粉体)の量を、振とう前後の人口皮革の質量の差を求めることにより、測定した。
【0109】
【表1】

【0110】
(評価結果)
上記表1より明らかなように、実施例3−1で得られた被覆粉体(本発明の被覆粉体)は、従来品(比較例1−1及び2−1で得られた被覆(表面処理)粉体)と比較して粉体の付着量が飛躍的に向上している。したがって、本発明の被覆粉体は、付着性において極めて優れていることが分かる。
【0111】
[実施例6] 化粧料の製造例−1
下記表2の組成に基づいて下記製造方法により化粧料(粉白粉)を製造した。
【0112】
(製造方法)
成分(1)及び(2)を混合し、粉砕機に通した。得られた混合物を高速ブレンダーに移して成分(3)を加え混合した。その後、得られた混合物を、100メッシュの篩を通して、目的とする化粧料を得た。
【0113】
【表2】

【0114】
[実施例7] 化粧料の製造例−2
実施例1−2で得られた被覆粉体に替えて、実施例2−2で得られた被覆粉体を25重量部使用し、実施例1−3で得られた被覆粉体に替えて、実施例2−3で得られた被覆粉体を70重量部使用すること以外は、実施例6と同様の方法で化粧料を製造した。
【0115】
[実施例8] 化粧料の製造例−3
実施例1−2で得られた被覆粉体に替えて、実施例3−2で得られた被覆粉体を25重量部使用し、実施例1−3で得られた被覆粉体に替えて、実施例3−3で得られた被覆粉体を70重量部使用すること以外は、実施例6と同様の方法で化粧料を製造した。
【0116】
[比較例3] 化粧料の製造例−4
実施例1−2で得られた被覆粉体に替えて、比較例1−2で得られた被覆粉体を25重量部使用し、実施例1−3で得られた被覆粉体に替えて、比較例1−3で得られた被覆粉体を70重量部使用すること以外は、実施例6と同様の方法で化粧料を製造した。
【0117】
[比較例4] 化粧料の製造例−5
実施例1−2で得られた被覆粉体に替えて、比較例2−2で得られた被覆粉体を25重量部使用し、実施例1−3で得られた被覆粉体に替えて、比較例2−3で得られた被覆粉体を70重量部使用すること以外は、実施例6と同様の方法で化粧料を製造した。
【0118】
[実施例9] 各実施例で得られた化粧料(粉白粉)と各比較例で得られた化粧料(粉白粉)との比較評価
上記実施例及び比較例で得られた各種化粧料(粉白粉)について、下記評価方法により評価した。結果を表3に示す。なお、各数値については30人分の評価ポイントの平均値で示してある。
【0119】
(評価方法)
各種化粧料について、30名のパネラーにより、肌への密着性及び付け心地の二つの評価項目(肌への付着性)について、下記基準に従い評価した。
【0120】


【0121】
【表3】

【0122】
上記表3の結果から明らかなように、実施例6〜8の化粧料(本発明の化粧料)の何れにおいても、肌への付着性に非常に優れている。特に、実施例8で得られた化粧料が付着性において極めて優れている。
【0123】
[実施例10] 化粧料の製造例−6
下記表4の組成に基づいて下記製造方法により化粧料(パウダーファンデーション)を製造した。
【0124】
(製造方法)
成分(1)〜(8)をヘンシェルミキサーで混合し、得られた混合物をアトマイザーで粉砕した。この混合物中に、予め加熱混合させておいた成分(9)〜(12)の加熱混合物を加え、ヘンシェルミキサーにより混合した。その後、得られた混合物をアトマイザーで粉砕した。得られた粉砕物を中皿に充填成型し、目的とする化粧料を得た。
【0125】
【表4】

【0126】
[実施例11] 化粧料の製造例−7
上記実施例10における組成について、下記表5の組成に替える以外は何ら変更することなく、実施例10に示す方法を実施し、本発明の化粧料を製造した。
【0127】
【表5】

【0128】
[実施例12] 化粧料の製造例−8
上記実施例10における組成について、下記表6の組成に替える以外は何ら変更することなく、実施例10に示す方法を実施し、本発明の化粧料を製造した。
【0129】
【表6】

【0130】
[比較例5] 化粧料の製造例−9
上記実施例10における組成について、下記表7の組成に替える以外は何ら変更することなく、実施例10に示す方法を実施し、化粧料を製造した。
【0131】
【表7】

【0132】
[比較例6] 化粧料の製造例−10
上記実施例10における組成について、下記表8の組成に替える以外は何ら変更することなく、実施例10に示す方法を実施し、化粧料を製造した。
【0133】
【表8】

【0134】
[実施例13]各実施例において得られた化粧料(パウダーファンデーション)と各比較例において得られた化粧料(パウダーファンデーション)との比較評価
上記実施例及び比較例で得られた各種化粧料(パウダーファンデーション)について、上記実施例9と同様の評価方法により評価した。結果を表9に示す。なお、各数値については、上記実施例9と同様、30人分の評価ポイントの平均値で示してある。
【0135】
【表9】

【0136】
上記表9の結果から明らかなように、実施例10〜12の化粧料(本発明の化粧料)の何れにおいても、肌への付着性に非常に優れている。特に、実施例12で得られた化粧料は付着性において極めて優れている。
【0137】
[実施例14] 化粧料の製造例−11
下記表10の組成に基づいて下記製造方法により化粧料(リキッドファンデーション)を製造した。
【0138】
(製造方法)
成分(1)〜(5)を室温にて混合した後、成分(6)〜(10)を加え均一に撹拌した。得られた混合物に、予め溶解、均一に混合させておいた成分(11)〜(16)を添加し、ホモミキサーで均一に分散させた後、乳化粒子を整え、目的とする化粧料を得た。
【0139】
【表10】

【0140】
[実施例15] 化粧料の製造例−12
上記実施例14における組成について、下記表11の組成に替える以外は何ら変更することなく、実施例14に示す方法を実施し、本発明の化粧料を製造した。
【0141】
【表11】

【0142】
[実施例16] 化粧料の製造例−13
上記実施例14における組成について、下記表12の組成に替える以外は何ら変更することなく、実施例14に示す方法を実施し、本発明の化粧料を製造した。
【0143】
【表12】

【0144】
(製造結果)
実施例14〜16の化粧料(リキッドファンデーション)は何れも、肌への付着性に優れたものであった。
【0145】
[実施例17] 化粧料の製造例−14
下記表13の組成に基づいて下記製造方法により化粧料(乳液)を製造した。
【0146】
(製造方法)
成分(1)〜(4)を室温にて混合した後、成分(5)及び(6)を加え均一に撹拌した。得られた混合物に、予め溶解、均一に混合させておいた成分(7)〜(11)を添加し、ホモミキサーで均一に分散させた後、乳化粒子を整え、目的とする化粧料を得た。
【0147】
【表13】

【0148】
[実施例18] 化粧料の製造例−15
実施例1−2で得られた被覆粉体に替えて、実施例2−2で得られた被覆粉体を3.0重量部使用し、実施例1−3で得られた被覆粉体に替えて、実施例2−3で得られた被覆粉体を1.0重量部使用すること以外は、実施例17と同様の方法で化粧料を製造した。
【0149】
[実施例19] 化粧料の製造例−16
実施例1−2で得られた被覆粉体に替えて、実施例3−2で得られた被覆粉体を3.0重量部使用し、実施例1−3で得られた被覆粉体に替えて、実施例3−3で得られた被覆粉体を1.0重量部使用すること以外は、実施例17と同様の方法で化粧料を製造した。
【0150】
(製造結果)
実施例17〜19の化粧料(乳液)は何れも、肌への付着性に優れたものであった。
【0151】
[実施例20] 化粧料の製造例−17
下記表14の組成に基づいて下記製造方法により化粧料(アイシャドウ)を製造した。
【0152】
(製造方法)
成分(1)〜(9)をヘンシルミキサーで混合し、アトマイザーで粉砕した。得られた粉砕物に、予め混合させておいた成分(10)〜(14)を加え、ライカイ機により混合して中皿に成型して、目的とする化粧料を得た。
【0153】
【表14】

【0154】
[実施例21] 化粧料の製造例−18
上記実施例20における組成について、下記表15の組成に替える以外は何ら変更することなく、実施例20に示す方法を実施し、本発明の化粧料を製造した。
【0155】
【表15】

【0156】
[実施例22] 化粧料の製造例−19
上記実施例20における組成について、下記表16の組成に替える以外は何ら変更することなく、実施例20に示す方法を実施し、本発明の化粧料を製造した。
【0157】
【表16】

【0158】
(製造結果)
実施例20〜22の化粧料(アイシャドウ)は何れも、瞼への付着性に優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆粉体において、
被覆される粉体の粒子の表面が、プロリン若しくはヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)で被覆されていることを特徴とする被覆粉体。
【請求項2】
前記被覆される粉体の粒子の表面が、ヒドロキシプロリン又はその誘導体のN−アシル体或いはこれらの混合物(塩の形態にあるものを含む)で被覆されている請求項1に記載の被覆粉体。
【請求項3】
前記被覆される粉体の粒子の表面が、ヒドロキシプロリン又はその誘導体の水酸基がエステル化されたヒドロキシプロリンエステル化物のN−アシル体(塩の形態にあるものを含む)で被覆されている請求項1に記載の被覆粉体。
【請求項4】
前記N−アシル体のアシル基の炭素数が、1〜32である請求項1〜3の何れか一項に記載の被覆粉体。
【請求項5】
前記ヒドロキシプロリンエステル化物のN−アシル体において、エステル結合部分のカルボン酸残基の炭素数が、1〜32である請求項3に記載の被覆粉体。
【請求項6】
前記ヒドロキシプロリンエステル化物のN−アシル体が、パルミトイル−1−パルミトイロキシ−4−プロリン(塩の形態でもよい)である請求項3に記載の被覆粉体。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の被覆粉体を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項8】
前記被覆粉体を、化粧料組成全体に対して、0.1〜99質量%含有する請求項7に記載の化粧料。

【公開番号】特開2006−76953(P2006−76953A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264098(P2004−264098)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(391024700)三好化成株式会社 (17)
【Fターム(参考)】