説明

新規複素環化合物

本発明は、式Iの新規化合物、それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、RおよびS異性体を含む立体異性体、多相型、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物に関する。本発明はまた、式Iの新規化合物、それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、RおよびS異性体を含む立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物を合成する方法に関する。本発明はまた、式Iの化合物を含む医薬組成物およびジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)の阻害によって調節または正常化される1または2以上の状態を治療または予防する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式Iの新規化合物、それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、RおよびS異性体を含む立体異性体、多相型、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物に関する。本発明はまた、式Iの新規化合物、それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、RおよびS異性体を含む立体異性体、多相型、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物を合成する方法に関する。本発明はまた、式Iの化合物を含む医薬組成物およびジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)の阻害によって調節または正常化される1または2以上の状態を治療または予防する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
2型糖尿病は多様かつ不均質の代謝症候群であり、全糖尿病の90〜95%を占める。この疾患は2030年までにパンデミックな水準に達する恐れがある世界的な医療問題として急速に浮上している;世界中の糖尿病罹患者数は、2000年の171百万人から2030年までには366百万人に増加すると予想される。この増加は、糖尿病罹患者数が84百万人から228百万人に増加すると予想される、発展途上国において最も顕著である。
【0003】
2型糖尿病の病態生理の主構成要素は、血漿グルコースの上昇に対するインスリン分泌の減少に最終的に寄与する欠陥的膵臓β細胞機能を伴う。2型糖尿病の初期の異常は、インスリンの血中濃度に対する減少した応答性の状態であり、通常、高血糖症の発症および糖尿病の臨床的診断の数年前に現れるインスリン抵抗性である。β細胞は、増大するインスリン抵抗性に対して、最終的にβ細胞の質量の減少をもたらすインスリン分泌の増加によって補償する。その結果として、血中グルコース濃度が異常に高い濃度にとどまり、ついには、これらの患者では、肥満症、高血圧症および脂質異常症を含む深刻な健康問題をまねく。管理されていない高血糖症は、さらに、腎症、神経症、網膜症および早期アテローム性動脈硬化症などの合併症につながる。
【0004】
グルコース依存性インスリン分泌はインクレチン、大部分はグルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP)およびグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)(7−36)によって主に促進される。これらの消化管ペプチドは、食物の摂取に応答して胃腸管から放出され、グルコース依存性インスリン分泌の増強によって食物の消化を促進する。その生理学的プロファイルに基づいて、GLP−1(7−36)の作用は2型糖尿病罹患対象者において血中グルコースを低下するために有用であり、したがって、糖尿病のための長期的治療法として強いポテンシャルを有する。2型糖尿病患者がGLP−1を注入された研究は、空腹時および食後の糖血症の両方を正常化する有効性を示している。しかし、GLP−1(7−36)は、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)による急速なアミノ末端(His−Ala)の分解を受けるため、短いin vivoの半減期(約1.5分)を有することが示されている。DPP−IVはセリンペプチダーゼのs9bファミリーのメンバーである。ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)は、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク(ADAbp)またはCD26とも呼ばれ、220kDのホモ二量体の、2型膜貫通糖タンパクであり、様々な上皮性、内皮性およびリンパ球細胞タイプで広く発現される。DPP−IVは、多くのケモキン、神経ペプチドおよびペプチドホルモンを含む制御ペプチドのN末端からXaa−Proジペプチドを切断することによって、様々な生理的プロセスを制御する。
【0005】
GLP−1(7−36)はDPP−IVによってGLP−1(9−36)に効率よく分解されるが、GLP−1(9−36)はGLP−1(7−36)の生理学的アンタゴニストとして作用すると推測され、GLP−1(7−36)の活性を完全に減弱する。血中でのGLP−1の短い半減期は、その治療薬としての使用に対する大きな障害である。GLP−1のこの障害を回避するために、DPP−IV阻害は、血中グルコースの持続的低下につながる、GLP−1の作用を長くするための有用な方法を表す。臨床的なエビデンスは、特定のDPP−IV阻害薬が2型糖尿病患者において血中グルコース濃度を低下させることを示す。好都合なことに、インクレチンは食物が食べられるときだけに身体によって生産され、かつ、その作用はグルコース依存性なので、DPP−IV阻害は、食間のような適切でない時に、低血糖イベントを引き起こし得るインスリンの濃度を増加することが予想されない。それゆえ、DPP−IVの阻害は、他のインスリン分泌促進薬の使用に付随する危険な副作用である低血糖症のリスクを増加させることなく、インスリンを増加することが期待される。下記に示す化合物は、ヒトの臨床試験のアドバンスド・ステージに到達した、または規制による承認を待っているDPP−IV阻害薬である:式Aで表されるメルクの「シタグリプチン」は「ジャヌビア」の名称で世に出された最初のDPP−IV阻害薬であり(非特許文献1、2)、式Bはノバルティスの「ビルダグリプチン」を表し、式Cはブリストル・マイヤーズ スクイブの「サクサグリプチン」を表し、式DはSyrrxの「アログリプチン」を表し、式Eはアボットの「ABT−279」を表す。
【0006】
【化1】

【0007】
非常に多数のDPP−IV阻害薬がその技術の分野で記載されている。例えば、特許文献1〜3のPCT国際公開、特許文献4〜6の米国特許および特許文献7の日本国特許出願公開は、シアノピロリジンをDPP−IV阻害薬として開示する。特許文献8のPCT国際公開はDPP−IV阻害活性をもつシアノフルオロピロリジンを開示する。特許文献9、10の米国特許出願公開および特許文献11のPCT国際公開はシアノチアゾリジンをDPP−IV阻害薬として開示する。アミノピペリジン誘導体が、例えば、特許文献12〜14のPCT国際公開で開示されている。他のものはピロリジン、チアゾリジン、ピペラジンまたはピリジンの誘導体である(例えば、特許文献15〜19を見よ)。さらに他のものはキサンチンおよびプリンの誘導体である(例えば、特許文献20、21のPCT国際公開を見よ)。
【0008】
βアミノ酸ベースのDPP−IV阻害薬は、例えば、特許文献22〜39のPCT国際公開および特許文献40〜42の米国特許に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第1998/19998号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2000/034241号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/127530号パンフレット
【特許文献4】米国特許第6110949号明細書
【特許文献5】米国特許第6011155号明細書
【特許文献6】米国特許第7169806号明細書
【特許文献7】特開2005−139107号公報
【特許文献8】国際公開第2004/101514号パンフレット
【特許文献9】米国特許出願公開第2000/6110949号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2000/6107317号明細書
【特許文献11】国際公開第1999/61431号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2006/058064号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2006/039325号パンフレット
【特許文献14】国際公開第2006/058064号パンフレット
【特許文献15】国際公開第2006/116157号パンフレット
【特許文献16】国際公開第2005/120494号パンフレット
【特許文献17】国際公開第2003/084940号パンフレット
【特許文献18】国際公開第2006/062063号パンフレット
【特許文献19】国際公開第2005/042488号パンフレット
【特許文献20】国際公開第2004/018467号パンフレット
【特許文献21】国際公開第2004/018469号パンフレット
【特許文献22】国際公開第2004/043940号パンフレット
【特許文献23】国際公開第2005/044195号パンフレット
【特許文献24】国際公開第2006/009886号パンフレット
【特許文献25】国際公開第2006/023750号パンフレット
【特許文献26】国際公開第2006/039325号パンフレット
【特許文献27】国際公開第2003/004498号パンフレット
【特許文献28】国際公開第2005/116029号パンフレット
【特許文献29】国際公開第2005/113510号パンフレット
【特許文献30】国際公開第2006/097175号パンフレット
【特許文献31】国際公開第2005/120494号パンフレット
【特許文献32】国際公開第2005/121131号パンフレット
【特許文献33】国際公開第2005/123685号パンフレット
【特許文献34】国際公開第2005/040095号パンフレット
【特許文献35】国際公開第2007/063928号パンフレット
【特許文献36】国際公開第2007/054577号パンフレット
【特許文献37】国際公開第2007/053819号パンフレット
【特許文献38】国際公開第2006/081151号パンフレット
【特許文献39】国際公開第2004/085378号パンフレット
【特許文献40】米国特許第7259160号明細書
【特許文献41】米国特許第7101871号明細書
【特許文献42】米国特許第7208498号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Expert Opinion,2007年,第7巻,p.557
【非特許文献2】Current Topics in Medicinal Chemistry,2007年,p.533
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は新規な複素環を使用し、従来知られているどのDPP−IV阻害薬とも構造的関連性がない、βアミノ酸ベースのDPP−IV阻害薬に傾注される。
【0012】
多数のDPP−IV阻害薬がその技術分野において記載されているが、それにもかかわらず、より長い半減期、有利な効果、安定性、選択制、より少ない毒性および/またはより良好な薬力学特性をもつ新規なDPP−IV阻害薬に対する需要がまだ存在する。血中GPP−1の量を延長された時間中増加することができ、そうして糖尿病に関連する合併症のより良いコントロールに導く、DPP−IV阻害薬に対する需要がある。この点において、DPP−IV阻害薬の新規なクラスがここに提供される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は式Iの化合物、それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、RおよびS異性体を含む立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物に関する。
【0014】
【化2】

【0015】
Arはフェニルであってよいアリールを表す;アリールはさらに置換されなくてもよく、または所望により、任意の可能な位置で、ハロゲン,CN,ヒドロキシ,NH,C1−12アルキルまたはC1−12アルコキシから選択されるがこれらに限定はされない1または2以上の置換基によって置換されてよい;
【0016】
は、(CHCONR,(CHCOOR,(CHNR,(CHNRCOR,(CHC(=L)R(ただし、LはOまたはSである),(CHOR(ただし、各メチレン基は1または2以上のハロゲン原子によって置換されてよい),−(CO)R,−(CO)NR,水素,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール、ただし、これらのそれぞれは所望により、任意の可能な位置で、CN,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C1−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,オキソ,−OR,−SR,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−8シクロアルキル,S(O),SONRから選択されるがこれらに限定はされない1または2以上の置換基によって置換されてよい;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなるが、これらに限定はされない群から選択される。
【0017】
およびRは、二重結合によってジアゼピン環に結合した単一の酸素またはイオウ原子を表す;またはRおよびRは一緒になってジアゼピン環に二重結合を形成し、Rは基−NRを表す;またはRおよびRはRが結合する窒素原子と一緒になって、O,SおよびNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含んでもよいヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成する;形成される環は所望によりRまたはRc’から選択される1または2以上の置換基で置換されてもよく、Rは水素または二重結合を表す;
【0018】
およびRは、水素,ハロゲン,CN,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,−OR,−SR,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−8シクロアルキル,S(O),SONR;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなる群から独立に選択される;
【0019】
およびRは、水素,ハロゲン,CN,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,−OR,−SR,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−8シクロアルキル,S(O),SONR;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなる群から独立に選択される;
【0020】
は、水素,ハロゲン,CN,C1−12アルキル,C1−12ハロアルキル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,−OR,−SR,−CF,−OCF,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−6シクロアルキル,S(O),SONR;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなる群から独立に選択される;
【0021】
およびRは、水素,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール;これらのそれぞれは、所望により、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,C3−8シクロアルキル,C1−12ハロアルキル、C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,アリール,ヘテロシクリル,ヘテロアリール,(CH−アリール,(CH−ヘテロシクリル,(CH−ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,オキソ,−CN,−OR,−NO,−NR10,−N(R)(CO)R10,N(R)(CO)OR10,N(R)(CO)NR10,−C(=L)R(ただし、LはOまたはSである),−(CO)NR10,−O(CO)R,−O(CO)NR10,−COOR,−SR,S(O),SONR10;SOH,NHSO,P(O)R10から独立に選択される;または、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、O,SおよびNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含んでよいヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成してよく、形成される環は、所望により、水素,ハロゲン,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,オキソ,−CN,−OR,−CF,−OCF,CHCF,CFCF,−NO,−NR10,−N(R)(CO)R10,N(R)(CO)OR10,N(R)(CO)NR10,−C(=L)R(ただし、LはOまたはSである),−(CO)NR10,−O(CO)C−C12アルキル,−O(CO)NR10,−COOR,−SR,S(O),SONR10;SOH,−NHSO,−P(O)R10から選択される1または2以上の置換基によって置換されてよい;このように形成される環は、O,SまたはNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでよい、3〜7員の不飽和または飽和環とさらに縮合して、縮合環は所望により1または2以上の置換基RまたはRc’で置換されてよい;
【0022】
またはRc’は、水素,ハロゲン,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルコキシ,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH)n−ヘテロアリール,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,CN,−OR,−OCF,−NO,=NOR10,−NR9R10,−N(R)(CO)R10,N(R)(CO)OR10,N(R)(CO)NR10,−C(=L)R(ただし、LはOまたはSである),−(CO)NR10,−O(CO)R,−O(CO)NR10,−COOR,−SR,S(O),SONR10;SOH,NHSO,P(O)R10からなるが、これらに限定はされない群から独立に選択される;
【0023】
およびR10は、C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール,ただし、これらのそれぞれは、所望により、ハロゲン、ヒドロキシもしくはC1−6アルコキシで置換されてよい、から独立に選択されるか、または、RおよびR10は、一緒になって結合して、所望によりRまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基で置換されてよい、O,SおよびNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでよいヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成してよい;
【0024】
mは1または2である;
nは1,2,3または4である;
rは1,2,3または4である。
【0025】
本発明の他の態様は、式Iの新規化合物、それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、RおよびS異性体を含む立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物を調製するプロセスを提供する。
【0026】
本発明の別の態様は、式Iの化合物、それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、RおよびS異性体を含む立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物を、1または2以上の薬学的に許容しうる基剤とともに含む医薬組成物を提供する。
【0027】
本発明の他の態様は、DPP−IVの阻害によって制御されまたは正常化される、1または2以上の状態/病気/疾患の予防、改善および/または治療のための式Iの化合物の使用を提供する。
【0028】
本発明のさらに他の態様は、式Iの化合物または式Iの化合物の薬学的に有効な量を含む組成物を、それを必要とする対象者に投与することを含む、本発明の式Iの化合物または式Iの化合物を含む組成物を、DPP−IVが介在する状態/病気/疾患の予防、改善および/または治療のために使用する方法を提供する。
【0029】
本発明の別の態様は、DPP−IVが介在する状態/病気/疾患の予防、改善および/または治療のための医薬品を製造するための、式Iの化合物のそれを必要とする対象者における使用である。
【0030】
本発明はまた、式Iの化合物のプロドラッグおよび活性代謝物を含む。
【0031】
本発明の他の態様は、以下の記載において説明され、および部分的にはその記載から明らかであり、または本発明の実施によって理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は式Iの化合物、それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、RおよびS異性体を含む立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物に関する。
【0033】
【化3】

【0034】
Arはフェニルであってよいアリールを表す;アリールはさらに置換されなくてもよく、または所望により、任意の可能な位置で、ハロゲン,CN,ヒドロキシ,NH,C1−12アルキルまたはC1−12アルコキシから選択されるがこれらに限定はされない1または2以上の置換基によって置換されてよい;
【0035】
は、(CHCONR,(CHCOOR,(CHNR,(CHNRCOR,(CHC(=L)R(ただし、LはOまたはSである),(CHOR(ただし、各メチレン基は1または2以上のハロゲン原子によって置換されてよい),−(CO)R,−(CO)NR,水素,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール、ただし、これらのそれぞれは所望により、任意の可能な位置で、水素,ハロゲン,CN,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C1−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,オキソ,−OR,−SR,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−8シクロアルキル,S(O),SONRから選択されるがこれらに限定はされない1または2以上の置換基によって置換されてよい;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなるが、これらに限定はされない群から選択される。
【0036】
およびRは、二重結合によってジアゼピン環に結合した単一の酸素またはイオウ原子を表す;またはRおよびRは一緒になってジアゼピン環に二重結合を形成し、Rは基−NRを表す;またはRおよびRはRが結合する窒素原子と一緒になって、O,SおよびNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含んでもよいヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成する;形成される環は所望によりRまたはRc’から選択される1または2以上の置換基で置換されてもよく、Rは水素または二重結合を表す;
【0037】
およびRは、水素,ハロゲン,CN,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,−OR,−SR,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−8シクロアルキル,S(O),SONR;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなる群から独立に選択される;
【0038】
およびRは、水素,ハロゲン,CN,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,−OR,−SR,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−8シクロアルキル,S(O),SONR;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなる群から独立に選択される;
【0039】
は、水素,ハロゲン,CN,C1−12アルキル,C1−12ハロアルキル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,−OR,−SR,−CF,−OCF,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−6シクロアルキル,S(O),SONR;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなる群から独立に選択される;
【0040】
およびRは、水素,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール;これらのそれぞれは、所望により、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,C3−8シクロアルキル,C1−12ハロアルキル、C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,アリール,ヘテロシクリル,ヘテロアリール,(CH−アリール,(CH−ヘテロシクリル,(CH−ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,オキソ,−CN,−OR,−NO,−NR10,−N(R)(CO)R10,N(R)(CO)OR10,N(R)(CO)NR10,−C(=L)R(ただし、LはOまたはSである),−(CO)NR10,−O(CO)R,−O(CO)NR10,−COOR,−SR,S(O),SONR10;SOH,NHSO,P(O)R10と置換されてよい;または、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、O,SおよびNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含んでよいヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成してよく、形成される環は、所望により、水素,ハロゲン,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,オキソ,−CN,−OR,−CF,−OCF,CHCF,CFCF,−NO,−NR10,−N(R)(CO)R10,N(R)(CO)OR10,N(R)(CO)NR10,−C(=L)R(ただし、LはOまたはSである),−(CO)NR10,−O(CO)C−C12アルキル,−O(CO)NR10,−COOR,−SR,S(O),SONR10;SOH,−NHSO,−P(O)R10から選択される1または2以上の置換基によって置換されてよい;このように形成される環は、O,SまたはNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでよい、3〜7員の不飽和または飽和環とさらに縮合して、縮合環は所望により1または2以上の置換基RまたはRc’で置換されてよい;
【0041】
またはRc’は、水素,ハロゲン,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルコキシ,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,CN,−OR,−OCF,−NO,=NOR10,−NR10,−N(R)(CO)R10,N(R)(CO)OR10,N(R)(CO)NR10,−C(=L)R(ただし、LはOまたはSである),−(CO)NR10,−O(CO)R,−O(CO)NR10,−COOR,−SR,S(O),SONR10;SOH,NHSO,P(O)R10からなるが、これらに限定はされない群から独立に選択される;
【0042】
およびR10は、水素、C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール,ただし、これらのそれぞれは、所望により、ハロゲン、ヒドロキシもしくはC1−6アルコキシで置換されてよい、から独立に選択されるか、または、RおよびR10は、一緒になって結合して、所望によりRまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基で置換されてよい、O,SおよびNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでよいヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成してよい;
【0043】
mは1または2である;
nは1,2,3または4である;
rは1,2,3または4である。
【0044】
本発明の一実施態様は、式Iaの化合物を提供する。
【0045】
【化4】

【0046】
r,Ar,R,R,R,R,R,R,RおよびRは、ここで定義されるものである;それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物。
【0047】
本発明の他の実施態様は、式Ibの化合物を提供する。
【0048】
【化5】

【0049】
およびRは、ともに、二重結合によってジアゼピン環に結合した単一の酸素を表す;r,Ar,R,R,R,R,RおよびRは、ここで定義されるものである;それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物。
【0050】
本発明の他の実施態様は、式Icの化合物を提供する。
【0051】
【化6】

【0052】
およびRは、Rが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環Aを形成し、その環は所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換される;Rは水素または二重結合のどちらかを表す;r,Ar,R,R,R,R,R,RおよびRc’は、ここで定義されるものである;それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物。
【0053】
本発明の他の実施態様は、式Idの化合物を提供する。
【0054】
【化7】

【0055】
およびRは、Rが結合する窒素原子と一緒になって、X,YおよびZがNおよび−CHからなる群から独立に選択される、5員のヘテロシクリルまたはヘテロアリール環Aを形成し、環Aは所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換される;Rは二重結合を表す;r,Ar,R,R,R,R,R,RおよびRc’は、ここで定義されるものである;それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物。
【0056】
本発明の他の実施態様は、式Ieの化合物を提供する。
【0057】
【化8】

【0058】
環Aは所望によりRによって置換される;Rは二重結合を表す;r,Ar,R,R,R,R,RおよびRは、ここで定義されるものである;それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物。
【0059】
本発明のさらに別の実施態様は、式Ifの化合物を提供する。
【0060】
【化9】

【0061】
環Aは、所望により、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換される;Rは二重結合を表す;r,Ar,R,R,R,R,R,RおよびRc’は、ここで定義されるものである;それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物。
【0062】
本発明の他の実施態様は式Igの化合物を提供する。
【0063】
【化10】

【0064】
環Aは、所望により、Rによって置換される;Rは二重結合を表す;r,Ar,R,R,R,R,RおよびRは、ここで定義されるものである;それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物。
【0065】
本発明の他の実施態様は、式Ihの化合物を提供する。
【0066】
【化11】

【0067】
環Aは、所望により、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換される;Rは二重結合を表す;r,Ar,R,R,R,R,R,RおよびRc’は、ここで定義される;それらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物。
【0068】
本発明の化合物の他の実施態様では、Arは置換されない、またはフルオロ、ブロモおよびC1−12アルキルからなる群から独立に選択される1〜5個の置換基で置換されたフェニルである。
【0069】
本発明の化合物の他の実施態様では、Arは、2,4,5−トリフルオロフェニル,2−フルオロフェニル,3,4−ジフルオロフェニルおよび2,5−ジフルオロフェニルからなる群から選択されることが好ましい。
【0070】
本発明の化合物の別の実施態様では、Rは、水素,ハロゲン,C1−12アルキル,C1−12アルコキシおよびC1−12アルコキシカルボニルからなる群から選択されることが好ましい。
【0071】
本発明の化合物の他の実施態様では、Rは、水素,フルオロ,クロロおよびメトキシからなる群から選択されることがより好ましい。
【0072】
本発明の化合物の別の実施態様では、Rは、水素およびフルオロから独立に選択されることがいっそう好ましい。
【0073】
本発明の化合物の他の一実施態様では、Rは、それぞれが置換されないまたは任意の可能な位置で、ハロゲン,CN,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,オキソ,−OR,−SR,−NO,−NR,―N(R)(CO)R,−N(R)(CO)OR,−N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−8シクロアルキル,ヘテロアリール,ヘテロシクリルからなる群から独立に選択される1または2以上の置換基で置換される、水素,(CHCONR,−(CO)NR,−(CO)R,(CHCOOR,(CHNR,(CHNCOR,(CHC(=L)R(ただし,LはOまたはSである。),C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12アルケニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0074】
本発明の化合物の別の一態様では、Rが以下に掲げるものからなる群から選択される:
【0075】
水素,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,
【0076】
【化12】

【0077】
【化13】

【0078】
【化14】

【0079】
本発明の他の実施態様は、環Aがハロゲン,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルコキシ,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,−CN,−OR,−OCF,−NO,=NOR10,−NR10,−N(R)(CO)R10,−N(R)(CO)OR10,−N(R)(CO)NR10,―C(=L)R(ただし,LはOまたはSである),−(CO)NR10,−O(CO)R,−O(CO)NR10,−COOR,−SR,−S(O)mR,−SONR10,−SOH,−NHSOおよびP(O)R10からなる群から独立に選択される1または2以上のRおよびRc’で置換された、式Ic、式Id、式Ie、式If、式Igおよび式Ihの化合物を提供する。
【0080】
式Ic、式Id、式Ie、式If、式Igおよび式1hの化合物の別の実施態様では、環Aが、水素,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C3−8シクロアルキル,フェニル,−CHF,−CHF,−CF,−COOH,−CONH,−CH−OCH,COOC1−6アルキル,
【0081】
【化15】

【0082】
からなる群から独立に選択される1または2以上のRおよびRc’で置換されることが好ましい。
【0083】
本発明の化合物の一実施態様では、RおよびRは、置換されていないまたは任意の可能な位置でRおよびRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよい、水素,ハロゲン,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,−NO,シクロアルキル,アリールヘテロアリールまたはヘテロシクリル、からなる群から独立に選択される。
【0084】
本発明の化合物の別の実施態様では、RおよびRがともに水素であることが好ましい。
【0085】
本発明の化合物の一実施態様では、RおよびRは、水素、置換されていないまたは任意の可能な位置で、ハロゲン,ヒドロキシ,C1−12アルコキシおよびアリールからなる群から選択される1または2以上の置換基によって置換されたC1−12アルキルおよびC1−12アルコキシからなる群から独立に選択される。
【0086】
本発明の化合物の別の実施態様では、RおよびRが両方とも水素であることが好ましい。
【0087】
本発明の化合物の上記説明に関して、以下の定義が適用される。
【0088】
他に特定されなければ、「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」の用語は、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖または分枝鎖であってよい。これらの基は、例えば、ハロゲン,ヒドロキシ,オキソ,カルボキシ,カルボキシアルキル,アジド,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,シクロアルキル,シクロアルキニル,アシル,アシルオキシ,アリール,ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択される1または2以上の置換基によってさらに置換されてよい。
【0089】
「シクロアルキル」の用語は、定義によって他に拘束されなければ、単一の環式環または複数の縮合環、例えば、所望により1または2以上のオレフィン結合を含んでよい縮合環系またはスピロ環系をもつ3〜20員の炭素原子からなる環式のアルキル基をいう。そのようなシクロアルキル基は、例として、単一の環構造、例えば、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンテニル,シクロヘキシル,シクロオクチルなど、または複数の環構造、例えば、アダマンチルおよびビシクロ[2.2.1]ヘプタン、もしくはアリール基が縮合した環式アルキル基、例えば、インダンなどを含む。シクロアルキル基は,例えば,ハロゲン,ヒドロキシ,オキソ,カルボキシ,カルボキシアルキル,アジド,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,シクロアルキル,シクロアルキニル,アシル,アシルオキシ,アリール,ヘテロシクリル,ヘテロアリールから選択されるが、これらに限定はされない1または2以上の置換基で、さらに置換されてよい。
【0090】
「アルコキシ」の用語は、アルキルが上で説明されたものと同じである、基O−アルキルを意味する。
【0091】
「アラルキル」の用語は、アルキル(ここで、アルキルは上で説明されたものと同じである。)部分を介して結合されるアルキル−アリールを意味し、該アルキル部分が1〜6個の炭素原子を含み、アリールがここで後に説明されるものである。
【0092】
「アリール」の用語は、炭素環芳香基、例えば、所望により、例えば、ハロゲン,ヒドロキシ,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,アルコキシ,アシル,アリールオキシ,CF,COOR(ここで,Rは水素,アルキル,アルケニル,シクロアルキル,アラルキル,ヘテロシクリルアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり得る。),シアノ,ニトロ,カロボキシ,ヘテロシクリル,ヘテロアリール,ヘテロシクリルアルキルまたはヘテロアリールアルキルから選択されるがこれらに限定はされない1または2以上の置換基で置換されたフェニルまたはナフチル環などを意味する。アリール基は所望によりシクロアルキル基と縮合してよく、該シクロアルキル基は所望によりO,NおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでよい。
【0093】
「アリールオキシ」の用語は、アリールが上で説明されたものである、基O−アリールを意味する。
【0094】
「ヘテロアリール」の用語は、他に特定された場合を除き、N,OおよびSから独立に選択される1または2以上のヘテロ原子を一員とし、所望により、可能な位置で、ハロゲン,ヒドロキシ,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,アシル,カルボキシ,アリール,アルコキシ,アラルキル,シアノ,ニトロ,ヘテロシクリルまたはヘテロアリールから選ばれるがこれらに限定はされない置換基によって置換された芳香環構造または二環式芳香基をいう。
【0095】
「ヘテロシクリル」の用語は、他に特定された場合を除き、全部または部分的に不飽和の5〜10個の炭素原子を環員にもつ単環式、二環式または三環式のシクロアルキル基をいう;N,OおよびSから独立に選択される1または2以上のヘテロ原子を環員にもち、所望により、ベンゾ縮合するかまたは5〜6環員のヘテロアリールと縮合する;該環は、所望により、置換基がハロゲン,ヒドロキシ,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,アシル,カルボキシ,アリール,アルコキシ,アラルキル,シアノ,ニトロ,ヘテロシクリルまたはヘテロアリールから選択されるがこれらに限定はされないところで、置換されてよい。
【0096】
「ヘテロアリールアルキル」は、アルキルおよびヘテロアルキルが上で説明されたものと同じである、アルキル部分を介して結合されるアルキル−ヘテロアルキル基をいう。
【0097】
「ヘテロシクリルアルキル」は、アルキルおよびヘテロシクリルが前に説明されたものと同じである、アルキル部分を介して結合されるアルキル−ヘテロシクリル基をいう。
【0098】
「保護基」または「PG」の用語は、保護される位置での望まない副反応を妨げるために改変された形の基をいう。保護基の用語は、他に特定されない場合には、基、例えば、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシおよび、参照によって本明細書に組み込まれる、T.W.グリーンほか著「有機合成における保護基」(第3版,ウイリー,ニューヨーク)中に見いだされるような基の例について使用される。使用されるカルボキシ保護基、アミノ保護基またはヒドロキシ保護基の種類は、誘導される部分がその後の反応の条件に対して安定であり、かつ分子の他の部分を壊すことなく除去できる限り、決定的ではない。好適なヒドロキシおよびアミノ保護基の例は、トリメチルシリル,トリエチルシリル,o−ニトロベンジルオキシカルボニル,p−ニトロベンジルオキシカルボニル,t−ブチルジフェニルシリル,t−ブチルジメチルシリル,アセチル,トリフルオロアセチル,ベンジルオキシカルボニル(CBz),t−ブトキシカルボニル(Boc),9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc),2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル,アリルオキシカルボニルなどを含むが、これらに限定はされない。
【0099】
「治療有効量」の用語は、対象者に病気の治療のために投与されたときに、その病気に対する治療効果をもたらすために十分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、他の要因の間でも、化合物、病気およびその重症度、治療される対象者の体重、健康状態および応答性に依存して変化する。
【0100】
「薬学的に許容しうる塩」は、無機または有機の塩基および無機または有機の酸を含む薬学的に許容しうる非毒性の塩基または酸から調製された塩をいう。
【0101】
不斉中心が本発明の化合物に存在してよい。式Iの化合物は1または2以上の立体中心をもち、そのため、光学異性を示し得る。すべてのそのような異性体は、エナンチオマージアステレオマーおよびエピマーが、本発明の範囲に含まれる。さらに、本発明は、単一の異性体(Rおよび/またはS)および混合物として、ラセミ体を含む。望みであれば、化合物のラセミ混合物は、個々のエナンチオマーが分離されるように分割されてよい。分割は、化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングしてジアステレオマー混合物を形成し、その後、分別結晶化またはクロマトグラフィーのような標準的な方法によってここのジアステレオマーを分離するような、その技術分野においてよく知られた方法によって行われてよい。特定の立体化学の開始材料は、商業的に利用可能であるか、または、ここに記載された方法によって作られ、その技術分野においてよく知られた方法で分割されるかしてよい。
【0102】
式Iは、いかなる好ましい立体化学をも伴わず、化合物の構造を表す。式Iaは、それからこれらの化合物が製造されたβアミノ酸のアミノ基に結合した炭素での好ましい立体化学を表す。
【0103】
これらのジアステレオマーの独立した合成またはそれらのクロマトグラフィーによる分割は、その技術分野において知られるように、適当な改変によって、達成されてよい。
【0104】
式Iのある化合物は、1または2以上の二重結合シフトを伴う異なる水素の結合点をもつ、互変異性体としても存在し得る。これらの互変異性体は、分割してまたは混合物としても、本発明の範囲内であると考えられる。
【0105】
本発明は式Iの化合物の幾何異性体およびその混合物をも包含する。
【0106】
本発明の特に有用な例は、表1〜5から選択される化合物を含むが、これらに限定はされない。
【0107】
本発明の一実施態様は、表1から選ばれる、式Ibの化合物を提供する。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【0110】
【表3】

【0111】
【表4】

【0112】
本発明の一態様は、表2から選択される、式Ieの化合物を提供する。
【0113】
【表5】

【0114】
【表6】

【0115】
本発明の一実施態様は、表3から選択される、式Ifの化合物を提供する。
【0116】
【表7】

【0117】
【表8】

【0118】
【表9】

【0119】
本発明の一実施態様は、表4から選ばれる、式Igの化合物を提供する。
【0120】
【表10】

【0121】
【表11】

【0122】
本発明の一実施態様は、表5にある、式Ihの化合物を提供する。
【0123】
【表12】

【0124】
本発明の化合物は、Arがここで説明される、式IIのもののようなβアミノ酸中間体および、r,R,R,R,R,R,R,RおよびRがここで説明される、式IIIのような複素環中間体から、標準的なカップリング条件およびその後のアミン保護基の脱保護を使用して、製造され得る。標準的なカップリング条件は、EDC[1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド]/HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド),DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);HATU[O−(7−アザベンゾトリアゾール−イル)−N,N,N´,N´−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸;HOAT(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール);BOP[(ベンゾトリアゾリル−1−イルオキシ)−トリス(ジメチルアミン)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸];クロロギ酸エチルまたはクロロギ酸メチルを、NMM(N−メチルモルホリン),DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチレンアミン),トリエチルアミンなどのような好適な塩基の存在下、DMF,DCM,アセトニトリル,トルエン,THFなどまたはこれらの混合物のような好適な溶媒中で使用する混合無水物法、を含む。アミン保護部分を脱保護するために使用される試薬の例は、使用される保護基の性質に依存する。好適なアミノ保護基の例は、アセチル,トリフルオロアセチル,ベンジルオキシカルボニル(CBz),t−ブトキシカルボニル(Boc),9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc),2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル,アリルオキシカルボニルなどを含むが、これらに限定はされない。アミン保護基を除去するための適当な条件は、その技術分野においてよく知られた技術を有する者によって、容易に選択され得る。アミン保護部分を脱保護するために使用される試薬の例は、酸性条件(トリフルオロ酢酸,塩酸,リン酸,p−トルエンスルホン酸など),塩基性条件(ピペリジンなど)または水素化条件(チャコール上のパラジウム,プラチナなど)の使用を含むが、これらに限定はされない。得られる化合物は、保護基および使用される対応する脱保護試薬の性質に依存して、遊離のアミンまたは塩の形であるかもしれない。脱保護が塩の形成に終わった場合には、対応するアミンは、トリアチルアミン,ジエチルイソプロピルアミン,重炭酸ナトリウム,水酸化ナトリウムなどの適当な塩基でその塩を処理することによって、容易に得ることができる。
【0125】
【化16】

【0126】
式IIの構造を有するエナンチオマー的に純粋なβアミノ酸は、テトラヘドロン(Tetrahedron),1994年,第32巻,p.9517.;βアミノ酸のエナンチオマー選択的合成,Wiley−VCH(編),ニューヨーク:1997年;Aldrichimica Acta,1994年,第27巻,p.3;およびAngew Chem Int Ed Engl.1981年,第20巻,p.798に記載された方法を使用して、都合よく合成されてよい。
【0127】
特に、3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)酪酸は、国際公開第2004/069162号パンフレットに、およびJ.Med.Chem.2005年,第48巻,p.141に報告されたように合成されてよい。
【0128】
式IIIの化合物は、r,R,R,R,R,R,R,RおよびRがここで説明されたものである、式IVの化合物から、標準的な脱保護試薬を使用して、アミン脱保護基を脱保護することによって、容易に合成され得る。得られる化合物は、保護基および使用された対応する脱保護試薬の性質に依存して、遊離のアミンまたは塩の形であるかもしれない。アミン保護部分を脱保護するために使用される試薬の例は、酸性条件(トリフルオロ酢酸,塩酸,リン酸,p−トルエンスルホン酸など)、塩基条件(ピペリジンなど)または水素化条件(チャコール上のパラジウムまたはプラチナなど)の使用を含むが、これらに限定はされない。得られる化合物は、脱保護基および使用される対応する脱保護試薬の性質に依存して、遊離のアミンまたは塩の形であるかもしれない。脱保護が塩の形成に終わった場合には、対応するアミンは、トリアチルアミン,ジエチルイソプロピルアミン,重炭酸ナトリウム,水酸化ナトリウムなどの適当な塩基でその塩を処理することによって、容易に得ることができる。
【0129】
【化17】

【0130】
式IVの化合物は、当業者にとってよく知られた種々の方法によって、容易に調製され得る。そのような化合物を調製するためのいくつかのよく知られた経路がスキーム1〜11に示される。
【0131】
式IVの化合物は、r,R,R,R,RおよびRがここで説明されたものである、式Vの化合物から一般に合成され得る[文献:Synthesis,2005年,p.1881]。式Vの化合物を合成するための一つのよく知られた経路は、スキーム1に概略が述べられている。
【0132】
【化18】

【0133】
式Vの化合物は、アミノ酸の所定のエステルと、DIPEA,NMM,炭酸カリウムなどのような塩基およびDMF,THF,アセトニトリルなどのような溶媒の存在下でカップリングされる、適当な2−ニトロベンジル臭化物から開始して、r,R,RおよびRがここで定義されるものである、式VIの化合物を形成することとなり、調製され得る。式VIの化合物は、その後、適当な保護基を用いて、アミン官能性部分で保護され、式VIIの化合物を生じる。r,R,RおよびRがここで定義されるものである、式VIIの化合物は、その後、塩基性条件下でエステル部分を加水分解することによって、r,R,RおよびRがここで定義されるものである、式VIIIの化合物に、転化される。塩基性加水分解試薬の例は、水酸化ナトリウム,水酸化リチウム,水酸化カリウムなどを含み、これらはTHF/水,ジオキサン/水またはTHF/MeOH/水のような適当な溶媒中で使用され得る。式VIIIのニトロ基は、その後、活性炭上のパラジウム、プラチナまたはルテニウムのような適当な触媒上での水素化のような種々の還元試薬または、当業者によく知られた、FeClもしくはSnCl/HClもしくはFe/NHClもしくはNiCl/NaBHもしくはFe/HClとの反応のような化学的方法によって、r,R,RおよびRがここで定義されるものである、式IXの対応するアミノ化合物に還元され得る。アミンおよびカルボン酸機能性を含む式IXの化合物は、その後、標準的なカップリング条件下、例えば、EDC[1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド]/HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)またはDCC(ジシクロヘキシルカルボジイイミド)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)またはHATU[O−(7−アザベンゾトリアゾール−イル)−N,N,N´,N´−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸またはHOAT(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)またはBOP[(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリス(ジメチルアミン)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸]を使用して、またはNMM(N−メチルモルホリン),DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)またはトリエチルアミンのような好適な塩基の存在下、DMF,DCM,アセトニトリル,トルエンまたはTHFなどもしくはこれらの混合物のような好適な溶媒中でクロロギ酸エチルまたはクロロギ酸メチルを使用する混合無水物法によって、環化され、式Vの化合物を与える。
【0134】
【化19】

【0135】
およびRがここで説明される、式XVIIの化合物を合成するためのよく知られた経路は、スキーム2に記載されるようなものである。
【0136】
式XVIIの化合物は、水素化リチウムアルミニウムまたはボランジメチルスルフィドまたは混合無水物/水素化ホウ素ナトリウムのような適当な還元剤をジエチルエーテルまたはTHFまたはDCMまたはこれらの混合物のような好適な溶媒中で使用して還元されて、式Xの化合物を得る、2−アミノ−4,5−ジフルオロ安息香酸から開始して調製され得る。式Xの化合物は、その後、クロロギ酸ベンジルまたは炭酸ジ−tert−ブチルまたはフルオレニルメチルオキシカルボニルクロリド(Fmoc−Cl)のようなアミン保護試薬をDCMまたはジオキサンまたはTHFのような適切な溶媒中で使用して保護され、式XIの化合物を得る。式XIの化合物は、その後、標準的な塩素化条件下で塩化チオニルまたはPOClまたはPClを使用して塩素化され、さらに、DIPEAまたはトリエチルアミンまたはタンサンカリウムまたは炭酸セシウムまたは炭酸ナトリウムなどのような適当な塩基を適当な溶媒中で使用して、好適に保護されたアミノ酸とカップリングされて、RおよびRがここで定義されるものである、式XIIIの化合物を与える、式XIIの化合物を得る。式XIIIの化合物は、その後、式Xの化合物を保護するために以前使用されたものとは異なる保護基を使用して、再びアミン部分で保護されて、その後、塩基性条件下で加水分解されて、RおよびRがここで定義されるものである、式XVの化合物を得る、RおよびRがここで定義されるものである、式XIVの化合物を生成する。塩基性加水分解試薬の例は、THF/水、ジオキサン/水またはTHF/MeOH/水のような適当な溶媒中で使用され得る、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどを含む。式XVの化合物は、アミン部分のうちの一つで選択的に脱保護されて、その後、分子内環化に供されて式XVIIの化合物を生成する、RおよびRがここで定義されるものである、式XVIの化合物を与える。アミン保護基のうちの一つの選択的除去のための適当な条件は、当業者によって容易に選択され得る。標準的な感化条件は、EDC[1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイイミド]/HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);DCC(ジシクロヘキシルカルボジイイミド),DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);HATU[O−(7−アザベンゾトリアゾール−イル)−N,N,N´,N´−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸];HOAT(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール);BOP[(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリス(ジメチルアミン)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸];クロロギ酸エチルまたはクロロギ酸メチルを、DMF、DCM、アセトニトリル、トルエン、THFなどまたはこれらの混合物のような好適な溶媒中で、NMM(N−メチルモルホリン)、DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)、トリエチルアミンなどのような好適な塩基の存在下で使用する混合無水物法を含む。
【0137】
【化19】

【0138】
r,R,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXの化合物は、スキーム3に記載されるように、式Vの化合物から調製され得る。式Vの化合物は、r,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XVIIIの化合物に、トルエン、ベンゼン、キシレン、ジオキサンなどまたはこれらの混合物のような好適な溶媒中で、好適な加熱条件下で、ローソン試薬または五硫化ニリンと反応することによって、転化される[文献:J.Org.Chem.,1964年,第29巻,p.231]。式XVIIIの化合物は、その後、Rがここで定義されるものである、式XIXの化合物と、加熱条件下で、ベンゼンもしくはトルエンまたはこれらの混合物のような適当な溶媒中で反応させられて、式XXの化合物を与える[文献:国際公開第1996/20941号パンフレット中に報告されている]。
【0139】
【化21】

【0140】
式XIXの化合物は、商業的に利用可能であるか、または、当業者によって調製されることができる。そのような化合物を調製するための一つの便利な経路がスキーム4に記載される。商業的に利用可能なカルバジン酸tert−ブチルから開始して、それを適当に置換された酸または酸クロリドと標準的なカップリング条件下で反応し、Rがここで定義されるものである、式XXIの化合物が調製され得るが、それはその後、トリフルオロ酢酸を使用するまたは塩化水素ガスもしくはp−トルエンスルホン酸などを通過することによってなど酸性条件下で脱保護されることができ、式XIXの化合物またはその対応する塩を得る。標準的なカップリング条件は、EDC[1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド]/HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド),DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);HATU[O−(7−アザベンゾトリアゾール−イル)−N,N,N´,N´−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸];HOAT(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール);BOP[(ベンゾトリアゾリル−1−イルオキシ)−トリス(ジメチルアミン)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸];クロロギ酸エチルまたはクロロギ酸メチルをDMF,DCM,アセトニトリル,トルエン,THFなどもしくはこれらの混合物のような好適な溶媒中で、NMM(N−メチルモルホリン),DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン),トリエチルアミンなどのような好適な塩基の存在下で使用する混合無水物法を含む。
【0141】
【化22】

【0142】
r,RおよびRがここで定義されるものである、式XXIXの化合物は、スキーム5に記載される方法に従って、DMFまたはTHFまたはトルエンのような好適な溶媒中で、加熱条件下で、アジ化ナトリウムを使用して対応するアジドに転化されて、rおよびRがここで定義されるものである、式XXIIの化合物を生成し、その後THF/水中のトリフェニルホスフィンを使用する中性還元条件下で還元されて、rおよびRがここで定義されるものである、式XXIIIの対応するアミンの生成を得る、適当に置換された2−ニトロベンジルブロミドから開始して、調製され得る。式XXIIIの化合物のアミン官能性は、ベンジルクロロホルメートまたはジtert−ブチル二炭酸またはフルオレニルメチルオキシカルボニルクロリド(Fmoc−Cl)のような好適な保護基によって、DCMまたはTHFのような好適な溶媒中で保護され、rおよびRがここで定義されるものである、式XXIVの化合物を与えた。式XXIVの化合物のニトロ基は、その後、還元されて、rおよびRがここで定義されるものである、式XXVの対応するアミノ基に、活性炭上のパラジウム、プラチナまたはルテニウムのような適切な触媒上での水素化のような種々の還元剤、または当業者になじみのある、FeClまたはSnCl/HClまたはFe/NHClまたはNiCl/NaBHとの反応のような化学的方法によって、還元され得る。式XXVのアミノ化合物は、さらに、亜硝酸ナトリウムを酢酸/水の存在下で使用するジアゾ化反応に供され、次いで、アジ化ナトリウムと反応させられて、ろよびRがここで定義されるものである、式XXVIの化合物を与える。式XXVIの化合物は、その後、Rがここで定義されるものである、式XXVIIの臭化プロパギルと反応させられ、ベンゼン、トルエン、キシレンなどまたはこれらの混合物のような好適な溶媒中で加熱すると、式XXIXの化合物の生成を得る、r,RおよびRがここで定義されるものである、式XXVIIIの化合物の生成を得る[文献:Org.Lett.,2008年,第10巻,p.1617]。商業的に利用可能でない、式XXVIIの置換された臭化プロパギルは、文献中によく詳述された手順に従うことによって、当業者によって調製され得る。そのような手順の例は、プロパギルアルコールと適当なハロゲン化物を反応させ、次いで、アルコールの臭化物に転化するソノガシラ反応の使用を含むが、これに限定はされない[文献:Tet.Leu,1975年,第50巻,p.4467;J.Org.Chem.,1993年,第58巻,p.4716;国際公開第1995/24400号パンフレット]。
【0143】
【化23】

【0144】
r,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXIの化合物は、スキーム6に記載される手順に従って、2−アミノエタノールとの反応時に、r,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXの化合物を得る式XVIIIの化合物から開始して、調製され得る。式XXXの化合物は、その後、スワーン酸化に供され、次いで、分子内環化によって、r,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXIの化合物を与える[文献:国際公開第1996/20941号パンフレット、国際公開第1996/23790号パンフレット、欧州特許第1183243号明細書]。
【0145】
【化24】

【0146】
【化25】

【0147】
r,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXIIIの化合物は、スキーム7に記載されるような手順に従うことによって調製され得る。式V(ただし、R,R=H)は、水素化ナトリウム,リチウムジイソプロピルアミド,DBU,炭酸カリウムおよびカリウムtert−ブトキシドのような様々な塩基を使用して、THFまたはDMFのような好適な溶媒中で、ジエチルクロロリン酸と反応させられて、r,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXIIの化合物を与える。式XXXIIの化合物は、その後、カリウムtert−ブトキシドを塩基として使用し、THFを溶媒として使用して、エチルイソシアノ酢酸と反応させられて、式XXXIIIの化合物を与える[文献:J.Med.Chem.,2008年,第51巻,p.4370およびその中で言及された文献]。
【0148】
r,Ar,R,R,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXVIの化合物は、スキーム8に記載されるような手順に従うことによって調製され得る。r,Ar,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXIIIの化合物は、アミン官能性の位置で脱保護され、その後、標準的なカップリング条件下で、式IIの化合物とカップリングされ、r,Ar,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXIVの化合物を得る。標準的なカップリング条件の例は、EDC[1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド]/HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);DCC(ジシクヘキシルカルボジイミド)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);HATU[O−(7−アアザベンゾトリアゾール−イル)−N,N,N´,N´−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸;HOAT(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール);BOP[(ベンゾトリアゾリル−1−イルオキシ)−トリス(ジメチルアミン)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸];クロロギ酸エチルまたはクロロギ酸メチルを、DMF,DCM,アセトニトリル,トルエン,THFなどのような好適な溶媒中で、NMM(N−メチルモルホリン),DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン),トリエチルアミンなどのような好適な塩基の存在下で、使用する混合無水物法を含む。式XXXIVの化合物は、その後、適当な塩基を使用して塩基性条件下で加水分解され、r,Ar,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXVの化合物を与えが、それはさらに適当なアミンと標準的なカップリング条件下でカップリングされ、式XXXVIの化合物の生成を得た。塩基性加水文化試薬は、THF/水,ジオキサン/水またはTHF/MeOH/水のような好適な溶媒中で使用され得る、水酸化ナトリウム,水酸化リチウム,ナトリウムメトキシドなどを含む。
【0149】
【化26】

【0150】
r,R,R,R,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXVIIの化合物は、式Vの化合物から、スキーム9に記載されるような手順に従うことによって、調製され得る。式Vの化合物は、水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムのような好適な塩基の存在下で適当なハロゲン化物を使用して、DMF,THFなどまたはこれらの混合物のような好適な極性溶媒中で、アミドの位置でN−アルキル化された[文献:米国特許出願公開第2006/0148790号明細書およびJ.Med.Chem.,2007年,第50巻,p.5564]
【0151】
【化27】

【0152】
r,R,R,R,R,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXIXの化合物は、スキーム10に記載されるような手順に従うことによって調製され得る。RがCHCOOEtであり、かつ、r,R,R,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXVIIの化合物は、塩基性条件下で加水分解されて、r,R,R,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXVIIIの化合物を与え、それはさらに標準的なカップリング条件下で様々なアミンとカップリングされて、式XXXIXの化合物を与える。塩基性加水分解試薬の例は、THF/水、ジオキサン/水またはTHF/MeOH/水のような適当な溶媒中で使用され得る、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシドなどを含む。標準的なカップリング条件は、EDC[1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド]/HOBT(I−ヒドロキシベンゾトリアゾール);DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド),DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);HATU[O−(7−アザベンゾトリアゾール−イル)−N,N,N´,N´−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸];HOAT(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール);BOP[(ベンゾトリアゾリル−1−イルオキシ)−トリス(ジメチルアミン)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸];クロロギ酸エチルまたはクロロギ酸メチルを、DMF,DCM,アセトニトリル,トルエン,THFなどもしくはこれらの混合物のような好適な溶媒中で、NMM(N−メチルモルホリン),DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチレンアミン),トリエチルアミンなどのような好適な塩基の存在下で使用する混合無水物法を含む。
【0153】
【化28】

【0154】
一方、スキーム11に表されるように、式XXXIIIの化合物は、r,R,R,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXXIの化合物を得る、塩基性加水分解およびその後の適当なアミンとのカップリングを経由して、r,R,RおよびRがここで定義されるものである、式XXXXの化合物に転化され得る。塩基性加水分解試薬の例は、水酸化ナトリウム,水酸化リチウム,ナトリウムメトキシドなどを含み、これらはTHF/水,ジオキサン/水またはTHF/MeOH/水のような適当な溶媒中で使用されることができる。標準的なカップリング条件の例は、EDC[1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド]/HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド),DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);HATU[O−(7−アザベンゾトリアゾール−イル)−N,N,N´,N´−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸];HOAT(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール);BOP[(ベンゾトリアゾリル−1−イルオキシ)−トリス(ジメチルアミン)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸];クロロギ酸エチルまたはクロロギ酸メチルを、DMF,DCM,アセトニトリル,トルエン,THFなどもしくはこれらの混合物のような好適な溶媒中で、かつNMM(N−メチルモルホリン),DIPEAのような好適な塩基の存在下で使用する混合無水物法を含む。
【0155】
【化29】

【0156】
スキーム1〜11に説明された手順を使用して合成された新規複素環中間体のいくつかの代表的な例は、下記のものを含むがこれらに限定はされない:
【0157】
【化30】

【0158】
【化31】

【0159】
ここで、rは1,2,3または4である。
ここで、RはH,F,ClおよびOCHからなる群から選択される。
ここで、Rは以下に掲げるものからなる群から選択される:
【0160】
【化32】

【0161】
【化33】

【0162】
【化34】

【0163】
【化35】

【0164】
ここで、rは1,2,3または4である。
ここで、部分
【0165】
【化36】

【0166】
は、以下に掲げるものからなる群から選択される:
【0167】
【化37】

【0168】
【化38】

【0169】
ここで使用されるように、構造式Iの化合物への言及は、薬学的に許容しうる塩、および遊離の化合物の前駆体もしくはそれらの薬学的に許容しうる塩の前駆体として使用されるときまたは他の合成操作中において薬学的に許容されない塩をも含むことを意図することが理解される。本発明の化合物は、薬学的に許容しうる塩の形で投与されてよい。「薬学的に許容しうる塩」の用語は、無機または有機の塩基および無機または有機の酸を含む薬学的に許容しうる非毒性の塩基または酸から調製された塩をいう。塩は化合物の最終的な分離および純化中に、または分離して塩基または酸を添加して塩を作ることにより調製されてよい。本発明の塩基性化合物の代表的な塩は、化合物の遊離塩基形を、酢酸塩,トリフルオロ酢酸塩,アジピン酸塩,クエン酸塩,アスパラギン酸塩,安息香酸塩,ベンゼンスルホン酸塩,硫酸水素塩,ベシル酸塩,酪酸塩,カンファースルホン酸塩,ジフルコン酸塩,ヘミ硫酸塩,ヘプタン酸塩,ギ酸塩,フマル酸塩,乳酸塩,マレイン酸塩,メタンスルホン酸塩,ナフチルスルホン酸塩,ニコチン酸塩,シュウ酸塩,ピクリン酸塩,ピバル酸塩,コハク酸塩,酒石酸塩,トリクロロ酢酸塩,グルタミン酸塩,p−トルエンスルホン酸塩,塩化水素酸塩,臭化水素酸塩,硫酸塩,リン酸塩などを含むが、これらに限定はされない、好適な酸と反応することによって調製され得る。本発明の酸性化合物の代表的な塩は、化合物の遊離酸形を、アンモニア,カルシウム,マグネシウム,カリウム,ナトリウムの塩,第一級、第二級および第三級アミンの塩,天然の置換アミンを含む置換アミン,例えば、アルギニン,ベタイン,カフェイン,コリン,グルカミン,グルコサミン,ヒスチジン,リシン,モルホリン,ピペラジン,ピペリジン,プリン,トリエチルアミンなどを含む置換アミンを含むが、これらに限定はされない、好適な塩基と反応することによって調製され得る。カルボン酸(−COOH)もしくはアルコール基,メチル,エチルなどのような、それらの薬学的に許容しうるカルボン酸のエステル、または酢酸などのような、アルコールのアシル誘導体を含む本発明の化合物は、利用され得る。塩基性窒素原子を含む本発明の化合物は、ハロゲン化アルキル,アルキル硫酸塩などで四級化されてよい。そのような塩は、本発明の水溶性および油溶性の化合物の両方の調製を許す。遊離の塩基または遊離の酸の形は典型的にはそれらの対応する塩の形態とは、極性溶媒中での溶解性のような物理的特性においていくらか異なるが、塩はそれらの対応する遊離形と本発明の目的にとって等価であるということは認められるべきである。
【0170】
「薬学的に許容しうる溶媒和物」は、水(すなわち、水和物)または薬学的に許容しうる溶媒、例えば、エタノールなどによる水和物をいう。
【0171】
本発明は、in vivo投与されたときに、活性医薬物質になる前に、代謝プロセスによって化学的変換を受ける、本発明の化合物の「プロドラッグ」も含む。一般に、in vivoで容易に本発明の化合物に変換される、そのようなプロドラッグは、本発明の化合物の機能性誘導体であろう。好適なプロドラッグ誘導体の選択または調製のための従来の方法が、例えば、「薬剤送達を最適化するための目標にされたプロドラッグのデザイン」,AAPS PharmaSci,2000年,第2巻,第1号,p.E6に記載されている。
【0172】
本発明は、本発明の化合物の活性「代謝物」も含む。活性代謝物は、DPP−IV阻害薬が消費されたときに生産されるDPP−IV阻害薬の活性誘導体である。
【0173】
この発明の一部を形成する一般式Iの化合物の様々な「ポリモルフ」は、式Iの化合物を異なる条件下で結晶化することによって調製されてよい。例えば、再結晶のための一般的に使用される異なった溶媒またはその混合物;異なった温度での結晶化;結晶化の間、非常に早いから非常に遅いまでの範囲の様々な冷却モード、化合物を加熱または融解し、次いで、徐々にまたは急速に冷却することによっても、ポリモルフを得られる。ポリモルフの存在は、固体プローブNMR分光法、IR分光法、差動走査熱量測定、粉末X線回析またはその他の技術によって確認され得る。
【0174】
本発明は、また、本発明の化合物またはそれらの薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩またはこれらの溶媒和物を、所望により、賦形剤および補助剤を含む1または2以上の薬学的に許容しうる基剤とともに含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、溶液、懸濁液などのような、その技術分野において知られるどのような形でもよく、香料、甘味料などを、好適な固体もしくは液体の基剤または希釈剤中に、または注射可能な溶液または懸濁液を形成するための好適な滅菌した容器内に含んでよい。そのような組成物は、典型的には、活性化合物を所望により薬学的に許容しうる基剤、希釈剤または溶媒とともに含む。
【0175】
本発明の医薬組成物は、その技術分野においてよく知られた方法、例えば、従来の混合、溶解、乾式造粒、湿式造粒、糖衣形成、研和、乳化、カプセル封入、エントラッピング、凍結乾燥プロセスまたはスプレー乾燥によって製造され得る。化合物または本発明の化合物を含む医薬組成物は、どんな薬学的製剤の形で投与されてもよい。薬学的製剤は活性化合物の性質および投与経路に依存するだろう。いかなる投与経路、例えば、経口、口腔内、肺、局所、非経口(皮下、筋肉内および静脈を含む)、経皮、目(眼)を、吸入、鼻内、経粘膜、インプラント、直腸内適用によって使用してよい。好ましくは、本発明の化合物が、経口的、非経口的または局所に投与される。
【0176】
ある実施態様では、本発明の医薬組成物に混合される本発明の式Iの構造をもつ新規化合物の量は、例えば、治療される障害、障害の深刻さ、患者の体重、剤型、選択された投与経路および1日あたりの投与回数のような公知要因に依存して、広い範囲にわたって変化し得る。典型的には、本発明の医薬組成物中の式Iの化合物の量は、約0.01mgから約5000mgまでの範囲に分布するだろう。ある実施態様では、1回または複数回用量として投与される、式Iの構造をもつ新規化合物を含む組成物の1日用量は、それを必要とする対象者の体重に基づいて、約0.01mg/kgから約100mg/kgまでの範囲である。
【0177】
一実施態様では、本発明の式Iの構造をもつ新規化合物は、本質的に特に急性であり、かつ、短期間だが軽度から中程度の治療を必要とする病気または障害の、あるいは、式Iの構造をもつ化合物またはそれを含む組成物に有利に反応するもしくはそれらによって緩和されるいくつかの慢性状態の治療のために特に有用である。式Iの構造をもつ新規化合物を含む組成物は、予防的または治療的に、それぞれ、予防または治療されようとする病理学的状態に依存して、有用である。
【0178】
本発明のDPP−IV阻害薬は、2型糖尿病の予防、抑制および/または治療のために、ならびに2型糖尿病にしばしば伴う多数の状態の予防、抑制および/または治療において、有用である。
【0179】
2型糖尿病に関係し、それゆえDPP−IV阻害薬で処置されることによって、治療され、制御され、いくつかの場合には予防されるかもしれない病気、障害および状態は、例えば、高血糖症および、耐糖性異常、インスリン抵抗性、代謝性アシドーシスもしくはケトーシス、摂食障害、過食症、肥満、脂質異常症(高脂血症、高グリセロール血症、高コレステロール血症、低HDL濃度、高LDL濃度を含む)代謝症候群または「症候群X」、アテローム性動脈硬化症およびその30の続発症、代謝障害に伴う高血圧を含むが、これらに限定はされない。
【0180】
他の炎症状態は、例えば、過敏性腸症候群(IBS)、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、膵炎、神経変性障害、網膜症、腎臓病、神経障害、卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞卵巣症候群)およびインスリン抵抗性が一要因である他の疾患を含むが、これらに限定はされない。
【0181】
さらに、本発明の化合物は、DPP−IVの阻害によって予防または治療されるかもしれない、外傷治療、組織虚血、白内障、緑内障、増大した心血管リスク、成長ホルモン不足、好中球減少症、神経細胞障害、腫瘍の浸潤および転移、良性前立腺肥大症(BPH)、歯肉炎、骨粗鬆症、精子自動性/男性不妊、疼痛、神経障害性疼痛、リウマチ痛、変形性関節症の痛み、にきび、皮膚障害(例えば、色素異常または乾癬)、不安、食欲不振、てんかん、男性および女性の性的機能障害、大うつ病性障害、パーキンソン病、偏頭痛、変形性関節炎、免疫抑制、HIV感染、造血、貧血ならびに、例えば、リウマチ関節炎、ウイルス、がんおよび消化管の不調を含む、種々の代謝、神経、抗炎症および自己免疫の不調によって顕示される状態の予防、抑制および/または治療のためにも有用であるかもしれない。
【0182】
本発明の別の態様は、DPP−IVによってもたらされる1または2以上の状態/病気/不調の予防、抑制および/または治療のための医薬の製造のための式Iの化合物の、それを必用とする対象者における使用である。
【0183】
本発明の他の実施態様は、式Iの化合物の治療有効量を投与することを含む、DPP−IVによってもたらされる1または2以上の状態/病気/不調の予防、抑制および/または治療のための方法を、それを必要とする対象者に提供する。
【0184】
本発明のさらに別の実施態様では、組成物の薬学的有効量をそれを必要とする対象者に投与することを含む、DPP−IVによってもたらされる1または2以上の状態/病気/不調の治療のための式Iの新規な化合物を含む投与形態組成物の使用が提供される。
【0185】
さらに別の実施態様では、本発明の化合物は、他の疾患緩和薬と組み合わせて、前述の疾患、病気および状態の治療において有用である。本発明の化合物は、式Iの化合物または他の医薬が効用を有する病気または状態の治療、予防、抑制または改善において、1または2以上の他の医薬と一緒に使用してよく、薬を組み合わせることは、それぞれの薬単独よりも安全またはより効果的である。
【0186】
以下のものを含む、本発明の化合物と一緒に使用するための好適な他の治療薬は、前述の病気の治療に有用な公知の治療薬を含むが、これらに限定はされない:抗糖尿病薬;抗高血糖症薬;抗高脂血症薬/脂質低下薬;抗肥満症薬;抗高血圧症薬,抗TNF薬またはcAMP上昇薬および食欲抑制薬。
【0187】
本発明の化合物と一緒に使用するための好適な抗糖尿病薬の例は、(a)シタグリプチン(メルク),ビルダグリプチン(ノバルティス)のような他のDPP−IV阻害薬;(b)(i)グリタゾン類(例えば、ピオグリタゾン,ロシグリタゾンなど)のようなPPARγアゴニストおよび、PPARα/γ二重アゴニストを含む他のPPARリガンド、およびフェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル,クロフィブレート,フェノフィブレートおよびベザフィブレート)のようなPPARαアゴニストを含むインスリン感受性改善薬、(ii)メトフォルミンおよびフェンフォrミンのようなビグアニド類、および(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTB−1B)阻害薬;(c)インスリンまたはインスリンミメティクス;(d)スルホニル尿素または、トルブタミド,グリブリド,グリピジド,グリメピリドおよびレパグリニドのようなメグリニチド類のような他のインスリン分泌促進薬;(e)(アカルボースおよびミグリトールのような)アルファグルコシダーゼ阻害薬;(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;(g)エクセンジン−4またはアミリンのようなGLP−1,GLP−1ミメティクスおよびGLP−1受容体アゴニスト;(h)GIPおよびGIPミメティクス;(i)PACAP,PACAPミメティクスおよびPACAP受容体アゴニスト;(j)AMPK活性化薬;(k)11β−HSD阻害薬;(l)SGLT−2阻害薬;(m)グルコース−6−リン酸,フルクトース−1,6−二リン酸,グリコーゲンホスホリラーゼ,アミノペプチダーゼ−Nまたはピルビン酸デヒドロゲナーゼの阻害薬;(n)グルコキナーゼ活性化薬(GKAs)を含むが、これらに限定はされない。
【0188】
少なくとも1または2以上の抗糖尿病薬と一緒に式Iの化合物を使用することは、これらの医薬単独のそれぞれから可能な結果よりも優れた、またはこれらの医薬によって生じる合わせた抗糖尿病効果よりも優れた、抗高血糖症の結果を提供する。
【0189】
本発明の化合物と一緒に使用するための好適な抗高脂血症薬/脂質低下薬の例は、(a)(i)HMG−CoAリダクターゼ阻害薬(ロバスタチン,シムバスタチン,プラバスタチン,セリバスタチン,フルバスタチン,アトルバスタチン,イタバスタチン,およびロスバスタチンならびに他のスタチン類)のようなコレステロール低下薬,(ii)補足剤(コレスチラミン,コレスチポール,および架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体),(iii)ニコチニルアルコール,ニコチン酸またはそれらの塩,(iv)ここに記載されたようなPPARアゴニスト,(vi)ベータ−シトステロールおよびエゼチミブのようなコレステロール吸収阻害薬,(vii)アバシミブのようなアシルCoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害薬、および(viii)プロブコールのような抗酸化剤;(b)回腸胆汁酸トランスポーター阻害薬;(c)CETP阻害薬のようなHDL上昇化合物;(d)リポキシゲナーゼ阻害薬;(e)アバシミブのようなACAT阻害薬;(f)フィブリン酸誘導体;(g)MTP阻害薬を含むが、これらに限定されない。
【0190】
本発明の化合物と一緒に使用するための好適な抗肥満症薬の例は、(a)フェンフルラミン,デクスフェンフルラミン,フェンテルミン,シブトラミン,オルリスタットなど;(b)ニューロペプチドYまたはYアンタゴニスト;(c)CB−1受容体インバースアゴニストおよびアンタゴニスト;(d)βアドレナリン作動性受容体アゴニスト;(e)メラノコルチン受容体アゴニスト、特に、メラノコルチン−4受容体アゴニスト;(f)グレリンアンタゴニスト;(g)メラニン濃縮ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストを含むが、これらに限定されない。
【0191】
本発明の化合物と一緒に使用するための好適な抗高血圧症薬の例は、(a)ニュートラルエンドペプチダーゼ(ネプリリジン)阻害薬のようなバソペプチダーゼ阻害薬および/またはACE阻害薬またはNEP/ACE二重阻害薬(エナラプリル,リシノプリル,カプトプリル,キナプリル,タンドラプリル);(b)β遮断薬およびカルシウムチャネル遮断薬;(c)A−II受容体遮断薬(ロサイタン,ロサルタン,カンデサルタン,イルベサルタン,バルサルタン,テルミサルタン,エプロサルタン);(d)レニン阻害薬、例えば、アリスキレンを含むが、これらに限定されない。
【0192】
本発明の化合物と一緒に使用するための好適な抗炎症薬の例は、アスピリン、非ステロイド抗炎症薬、グルココルチコイド、アザルフィジン、および選択的シクロオキシゲナーゼ阻害薬を含むが、これらに限定されない。
【実施例】
【0193】
本発明を以下の実施例において詳述するが、これらの実施例は単に解説のために示されており、従って発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。出発物質はいずれも市販されているか、または有機化学において通常の技量を有する者に良く知られているような操作で調製可能なものである。溶媒は、必要な場合には使用前に標準的な方法で乾燥した(Perrin, D.D.; Armarego, W.L.F. Purification of Laboratory Chemicals, Pergamon Press: Oxford, 1988)。Applied Biosystems社の4000 QTRAP(R)を用いるエレクトロンスプレーイオン化(ESI)eVによって質量スペクトル(MS)を得た。Bruker社の400MHz AVANCE II NMR分光計でH NMRを記録した。化学シフトはδ値として、内部標準としてのTMSに対する百万分率(ppm)で示す。結合定数(J)の値はいずれもHzで表わす。
【0194】
略号
実施例中、および本明細書中では次の略号を用いる。
【表13】

【0195】
【表14】

【0196】
実施例1: 4−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−ブチリル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
【化39】

【0197】
ステップ1: (2−ニトロ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステルの調製
2−ニトロベンジルブロミド(1.0g, 4.63mmol)およびグリシンメチルエステル塩酸塩(868mg, 6.94mmol)を乾燥DMF(10mL)に加えた溶液にDIPEA(2.42mL, 13.89mmol)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物に水(50mL)を添加した。粗生成物を酢酸エチル(20mL)で抽出した。水性層を酢酸エチル(2×10mL)で洗浄した。一つに合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、かつ真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=1:9)により精製して、純粋な(2−ニトロ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステル(765mg, 73%)を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 224.7(M+1)
【0198】
ステップ2: [tert−ブトキシカルボニル−(2−ニトロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステルの調製
(2−ニトロ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステル(760mg, 3.39mmol)を乾燥DCM(20mL)に加えた溶液に二炭酸ジ−tert−ブチル(1.11g, 5.08mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=2:8)により精製して、純粋な[tert−ブトキシカルボニル−(2−ニトロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステル(850mg, 77%)を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 346.8(M+Na), 325.1(M+1)
【0199】
ステップ3: [(2−アミノ−ベンジル)−tert−ブトキシカルボニル−アミノ]−酢酸メチルエステルの調製
[tert−ブトキシカルボニル−(2−ニトロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステル(845mg, 2.61mmol)をMeOH(15mL)に加えた溶液に10% Pd/C(84.5mg, 10重量%)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を排気し、これに水素ガスを供給し、水素バルーンを用いて3時間水素化した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物を排気して窒素雰囲気下に置き、セライト層で濾過し、MeOH(10mL)で洗浄した。濾液を真空濃縮して[(2−アミノ−ベンジル)−tert−ブトキシカルボニル−アミノ]−酢酸メチルエステル(660mg, 86%)を黄色の油として得、これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 295.4(M+1)
【0200】
ステップ4: 2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
[(2−アミノ−ベンジル)−tert−ブトキシカルボニル−アミノ]−酢酸メチルエステル(640mg, 2.18mmol)をトルエン(30mL)に加えた溶液にHOBT(177mg, 1.31mmol)を添加した。反応混合物を100℃で24時間加熱した。反応の完了をTLCで確認後、真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=7:13)により精製して、純粋な2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(350mg, 61%)を固体として得た。
ESIMS(m/z): 263.3(M+1)
【0201】
ステップ5: 1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(300mg, 1.14mmol)を乾燥DCM(10mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(3.42mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に除去し、1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩(295mg, 93%)をガム状の固体として得た。この粗化合物をさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 185.3(M+Na), 163.3(M+1)
【0202】
ステップ6: [(R)−3−オキソ−3−(2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
(R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(90mg, 0.26mmol)を乾燥DCM(10mL)に加えた溶液にHOBT(47mg, 0.34mmol)、EDC(67mg, 0.34mmol)およびDIPEA(0.24mL, 1.35mmol)を添加した。反応混合物を室温で10分間攪拌した。1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩(74mg, 0.26mmol)を乾燥DCM(5mL)に加えた溶液を添加し、反応混合物を窒素雰囲気下に室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、粗生成物をDCM(10mL)で抽出し、10% HCl溶液(10mL)および飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL)で逐次洗浄した。有機層を分離し、水で洗浄し、NaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=2:3)により精製して[(R)−3−オキソ−3−(2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(80mg, 62%)を白色の固体として得た。
ESIMS(m/z): 500.2(M+Na), 478.2(M+1)
【0203】
ステップ7: (R)−4−[3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−ブチリル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
[(R)−3−オキソ−3−(2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(40mg, 0.08mmol)をDCM(5mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(0.24mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に留去してガム状の固体を得、これをヘキサンから固化させて、4−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−ブチリル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩(30mg, 73%)を固体として得た。
H NMR(400MHz, MeOD): δ 2.62−2.70(m,1H), 2.75−2.87(m,1H), 2.97−3.03(m,2H), 3.76−3.86(二つのm,1H), 4.17(s,1H), 4.50(s,1H), 4.62(s,1H), 4.66(s,1H), 7.05−7.15(m,2H), 7.14−7.25(m,2H), 7.27−7.30(m,2H)
ESIMS(m/z): 400.3(M+Na), 378.2(M+1)
【0204】
実施例2: (R)−4−(3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル)−7,8−ジフルオロ−4,5−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
【化40】

【0205】
ステップ1: 2−アミノ−4,5−ジフルオロ−フェニル−メタノールの調製
0℃の乾燥THF(35mL)に水素化アルミニウムリチウム(2.13g, 57.76mmol)を加えた溶液に、2−アミノ−4,5−ジフルオロ安息香酸(5g, 28.88mmol)を乾燥THF(35mL)に溶解させた溶液をゆっくり添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、0℃において反応混合物に水(2.1mL)、10% NaOH(2.1mL)、および水(3×2.1mL)を逐次添加した。得られたスラリーを室温で20分間攪拌した。スラリーをセライト層で濾過し、EtOAc(2×20mL)で洗浄した。濾液をNaSOで乾燥し、かつ真空中で溶媒を除去して固形粗化合物を得た。この粗化合物すなわち(2−アミノ−4,5−ジフルオロ−フェニル)−メタノール(4.50g, 98%)をさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 158.1(M−1)
【0206】
ステップ2: 4,5−ジフルオロ−2−(ヒドロキシメチル)フェニルカルバミン酸tert−ブチルの調製
(2−アミノ−4,5−ジフルオロ−フェニル)−メタノール(4.50g, 28.30mmol)を1,4−ジオキサンおよび水(1:1, 50mL)に加えた溶液に0℃においてNaHCO(4.7g, 56.60mmol)を添加した。得られた溶液に二炭酸ジ−tert−ブチル(9.7mL, 42.45mmol)を添加した。反応混合物を室温で10時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、真空中で1,4−ジオキサンを除去し、粗化合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥し、かつ真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=1:9)により精製して、純粋な(4,5−ジフルオロ−2−ヒドロキシメチル−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.86g, 80%)を濃厚なゲルとして得た。
ESIMS(m/z): 258.3(M−1)
【0207】
ステップ3: 2−(クロロメチル)−4,5−ジフルオロフェニルカルバミン酸tert−ブチルの調製
(4,5−ジフルオロ−2−ヒドロキシメチル−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.86g, 22.62mmol)を乾燥DCM(50mL)に加えた溶液に0℃において塩化チオニル(3.28mL, 45.64mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン下に室温で2時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物に水(30mL)を添加し、粗化合物をDCM(3×30mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥し、かつ真空中で溶媒を除去して粗な(2−クロロメチル−4,5−ジフルオロ−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.65g, 90%)を得、これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 279.3(M+1)
【0208】
ステップ4: (2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4,5−ジフルオロ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステルの調製
(2−クロロメチル−4,5−ジフルオロ−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.65g, 20.3mmol)をDMF(50mL)に加えた溶液にDIPEA(10.6mL, 60.9mmol)を添加した。得られた溶液を5分間攪拌し、これに0℃においてグリシンメチルエステル塩酸塩のDMF溶液を滴下した。反応混合物を50℃で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物に水(60mL)を添加し、粗化合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥した。真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=1.5:8.5)により精製して、純粋な(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4,5−ジフルオロ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステル(5.37g, 80%)を濃厚なゲルとして得た。
ESIMS(m/z): 331.4(M+1)
【0209】
ステップ5: [ベンジルオキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4,5−ジフルオロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステルの調製
(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4,5−ジフルオロ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステル(5.37g, 16.28mmol)を1,4−ジオキサン:水(1:1, 50mL)に加えた溶液に0℃においてNaHCO(2.73g, 32.56mmol)を添加し、その後クロロ蟻酸ベンジル(4.09mL, 24.42mmol)を添加した。反応混合物を室温で10時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、真空中で1,4−ジオキサンを除去し、粗化合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥し、かつ真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=1.5:8.5)により精製して、純粋な[ベンジルオキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4,5−ジフルオロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステル(5.28g, 70%)を濃厚なゲルとして得た。
ESIMS(m/z): 463.4(M−1)
【0210】
ステップ6: [ベンジルオキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4,5−ジフルオロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸の調製
[ベンジルオキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4,5−ジフルオロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステル(5.28g, 11.39mmol)をTHF(30mL)に加えた溶液に、水酸化リチウム(2.87g, 68.34mmol)を水(10mL)に加えた溶液を添加した。反応混合物を室温で10時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物を10% HClの添加によってpH4に酸性化し、粗化合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥し、かつ真空中で溶媒を除去して固形粗化合物[ベンジルオキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4,5−ジフルオロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸(4.76g, 93%)を得、これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 448.8(M−1)
【0211】
ステップ7: 2−[(ベンジルオキシカルボニル−カルボキシメチル−アミノ)−メチル]−4,5−ジフルオロ−フェニル−アンモニウムトリフルオロアセタートの調製
[ベンジルオキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4,5−ジフルオロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸(4.76g, 10.56mL)を乾燥DCM(40mL)に加えた溶液に0℃においてトリフルオロ酢酸(14.35mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン下に室温で2時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、真空中で反応混合物から過剰な溶媒およびトリフルオロ酢酸を留去した。残存する溶媒を真空下に除去して2−[(ベンジルオキシカルボニル−カルボキシメチル−アミノ)−メチル]−4,5−ジフルオロ−フェニル−アンモニウムトリフルオロアセタート(4.75g, 97%)を褐色の濃厚なゼリーとして得、これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 351.2(M+1)
【0212】
ステップ8: 7,8−ジフルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4(5H)−カルボン酸ベンジルの調製
2−[(ベンジルオキシカルボニル−カルボキシメチル−アミノ)−メチル]−4,5−ジフルオロ−フェニル−アンモニウムトリフルオロアセタート(4.75g, 10.25mmol)をDCM(40mL)に加えた溶液に0℃においてEDC(2.55g, 13.32mmol)およびHOBT(1.79g, 13.32mmol)を添加した。得られた溶液を5分間攪拌し、これにDIPEA(5.35mL, 30.75mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン下に室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物に水(60mL)を添加し、粗化合物をDCM(3×50mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥し、かつ真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=2:8)により精製して、純粋な7,8−ジフルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4(5H)−カルボン酸ベンジル(2.04g, 60%)を濃厚なゲルとして得た。
ESIMS(m/z): 331.2(M−1)
【0213】
ステップ9: 7,8−ジフルオロ−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンの調製
7,8−ジフルオロ−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸フェニルエステル(2.04g, 6.15mmol)をMeOH(30mL)に加えた溶液にアルゴン下、10% Pd/C(200mg, 20% w/w)を添加した。反応混合物を水素雰囲気下に室温で5時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物をセライト層で濾過し、EtOAcおよびMeOHで洗浄した。真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; MeOH:CHCl=1:9)により精製して、純粋な7,8−ジフルオロ−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン(0.98g, 80%)をオフホワイトの固体として得た。
ESIMS(m/z): 199.7(M+1)
【0214】
ステップ10: 4−(7,8−ジフルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4(5H)−イル)−4−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン−2−イルカルバミン酸(R)−tert−ブチルの調製
(R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(1.64g, 4.92mmol)を乾燥DCM(15mL)に加えた溶液に0℃においてEDC(1.037g, 5.412mmol)およびHOBT(0.731g, 5.412mmol)を添加した。得られた溶液を5分間攪拌し、これにDIPEA(0.94mL, 5.412mmol)、次いで7,8−ジフルオロ−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン(0.97g, 4.92mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン下に室温で5時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物に水(30mL)を添加し、粗化合物をDCM(3×30mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥し、かつ真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; MeOH:CHCl=0.7:99.3)により精製して純粋な[3−(7,8−ジフルオロ−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.682g, 27%)を得た。
H NMR(400MHz, CDCl): δ 1.35および1.38(二つの回転異性体一重項、 9H), 2.54−2.65(m,2H), 2.89−2.92(m,2H), 4.12(m,1H), 4.17−4.20(m,1H), 4.44−4.62(m,3H), 5.38−5.43(m,1H), 6.84−6.90(m,2H), 6.98−7.21(m,2H), 8.11および8.31(二つのbs、 1H)
ESIMS(m/z): 514.4(M+1)
【0215】
ステップ11: (R)−4−(3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル)−7,8−ジフルオロ−4,5−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
[3−(7,8−ジフルオロ−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.682g, 1.32mmol)を乾燥DCM(5mL)に加えた溶液に0℃においてトリフルオロ酢酸(3.96mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン下に室温で2時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、真空中で反応混合物から過剰な溶媒およびトリフルオロ酢酸を留去した。残存する溶媒を真空下に除去し、粗化合物をジエチルエーテル(5mL)で粉砕して、(R)−4−(3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル)−7,8−ジフルオロ−4,5−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オンのトリフルオロ酢酸塩(0.63g, 90%)を白色の固体として得た。
H NMR(400MHz, CDCl): δ 2.65−2.88(m,2H), 2.97−3.08(m,2H), 3.81−3.92(m,1H), 4.22(s,1H), 4.45−4.64(m,3H), 7.01−7.33(m,4H)
ESIMS(m/z): 415.6(M+1)
【0216】
実施例3: 4−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−ブチリル]−1−メチル−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
【化41】

【0217】
ステップ1: 1−メチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
窒素雰囲気下、火炎乾燥した丸底フラスコ内で水素化ナトリウム(18mg, 0.45mmol; 鉱油中に60%懸濁)をヘキサン(2×2mL)で洗浄した。得られた自由流動粉末に、2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(80mg, 0.30mmol)を乾燥DMF(3mL)に加えた溶液を0℃において添加した。この温度で反応混合物を1時間攪拌した。0℃においてヨードメタン(0.019mL, 0.30mmol)を添加し、室温に戻った反応混合物を一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物を0℃に冷却し、これに塩化アンモニウムの飽和溶液(2mL)を滴下した。粗生成物を酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥し、かつ真空中で溶媒を除去して1−メチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(75mg, 89%)を粘稠な油として得、これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 278.3(M+2), 277.3(M+1)
【0218】
ステップ2: 1−メチル−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
1−メチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(70mg, 0.25mmol)を乾燥DCM(10mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(0.75mL, 3mL/mmol)を添加した。混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なTFAおよびDCMを真空下に留去して、1−メチル−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩(70mg, 95%)をガム状の固体として得、これをそのまま次のステップに用いた。
【0219】
ステップ3: 2−[3−(1−メチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−3−オキソ−(R)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
(R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(80mg, 0.24mmol)を乾燥DCM(10mL)に加えた溶液にHOBT(42mg, 0.31mmol)、EDC(59mg, 0.31mmol)およびDIPEA(0.20mL, 1.2mmol)を添加した。反応混合物を室温で10分間攪拌した。1−メチル−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩(70mg, 0.24mmol)を乾燥DCM(5mL)に加えた溶液を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、粗生成物をDCM(10mL)で抽出し、10% HCl溶液(10mL)および飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL)で逐次洗浄した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=3:7)により精製して2−[3−(1−メチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−3−オキソ−(R)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(95mg, 78%)を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 492.3(M+1)
【0220】
ステップ4: 4−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−ブチリル]−1−メチル−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
2−[3−(1−メチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−3−オキソ−(R)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(90mg, 0.18mmol)を乾燥DCM(5mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(0.55mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なTFAおよびDCMを真空下に留去してガム状の固体を得、これをヘキサンから晶出させて、4−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−ブチリル]−1−メチル−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンのトリフルオロ酢酸塩(70mg, 76%)を白色の固体として得た。
H NMR(400MHz, MeOD): δ 2.72−2.89(m,2H), 2.99−3.09(m,2H), 3.40(s,3H), 3.88−3.92(m,2H), 4.05−4.15(m,1H), 4.50−4.58(m,2H), 7.20−7.25(m,1H), 7.28−7.53(m,5H)
ESIMS(m/z): 415.4(M+Na), 391.1(M+1)
【0221】
実施例4: {4−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−酢酸のトリフルオロ酢酸塩の調製
【化42】

【0222】
ステップ1: 1−エトキシカルボニルメチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
窒素雰囲気下、火炎乾燥した丸底フラスコ内で水素化ナトリウム(152.6mg, 3.81mmol; 鉱油中に60%懸濁)をヘキサン(2×2mL)で洗浄した。得られた自由流動粉末に、2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(500mg, 1.90mmol)を乾燥DMF(10mL)に加えた溶液を0℃において添加した。この温度で反応混合物を1時間攪拌した。0℃においてブロモ酢酸エチル(0.21mL, 1.9mmol)を添加し、室温に戻った反応混合物を一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物を0℃に冷却し、これに塩化アンモニウムの飽和溶液(3mL)を滴下した。粗生成物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥し、かつ真空中で溶媒を除去して1−エトキシカルボニルメチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(480mg, 72%)を粘稠な油として得、これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 349.1(M+1)
【0223】
ステップ2: (2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル)−酢酸エチルエステルのトリフルオロ酢酸塩の調製
1−エトキシカルボニルメチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(125mg, 0.36mmol)を乾燥DCM(5mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(1.08mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に留去して(2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル)−酢酸エチルエステルのトリフルオロ酢酸塩(119mg, 92%)をガム状の固体として得、これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
【0224】
ステップ3: {4−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−酢酸メチルエステルの調製
(R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(100mg, 0.30mmol)を乾燥DCM(10mL)に溶解させた溶液にHOBT(53mg, 0.39mmol)、EDC(75mg, 0.39mmol)およびDIPEA(0.26mL, 1.49mmol)を添加した。反応混合物を室温で10分間攪拌した。(2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル)−酢酸エチルエステルのトリフルオロ酢酸塩(119mg, 0.33mmol)をDCM(5mL)に加えた溶液を添加し、反応混合物を窒素雰囲気下に室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、粗生成物をDCM(10mL)で抽出し、10% HCl(10mL)および飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL)で逐次洗浄した。有機層を分離し、水で洗浄し、NaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=1:1)により精製して{4−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−酢酸メチルエステル(103mg, 61%)を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 586.1(M+Na), 564.0(M+1)
【0225】
ステップ4: {4−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−酢酸の調製
{4−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−酢酸メチルエステル(90mg, 0.16mmol)をTHF(2mL)および水(2mL)に加えて攪拌した溶液に水酸化リチウム(40mg, 0.95mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物を0℃に冷却し、10% HCl溶液で中和し、pHを1に調節した。粗化合物を酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥した。真空中で溶媒を除去して、{4−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−酢酸(70mg, 82%)を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 558.3(M+Na), 536.4(M+1), 534.3(M−1)
【0226】
ステップ5: {4−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−酢酸のトリフルオロ酢酸塩の調製
{4−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−酢酸(60mg, 0.11mmol)をDCM(3mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(0.33mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に留去してガム状の固体を得、これをヘキサンから晶出させて、{4−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−酢酸のトリフルオロ酢酸塩(50mg, 82%)を固体として得た。
H NMR(400MHz, MeOD): δ 2.64−2.90(m,2H), 2.98−3.12(m,2H), 3.80−3.88(m,1H), 3.95(s,1H), 4.05−4.17(m,1H), 4.61−4.64(m,2H), 4.73−4.81(m,2H), 7.20−7.40(m,6H)
ESIMS(m/z): 458.4(M+Na), 436.3(M+1)
【0227】
実施例5: 2−{4−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−N−シクロプロピル−アセトアミドのトリフルオロ酢酸塩の調製
【化43】

【0228】
ステップ1: [3−(1−シクロプロピルカルバモイルメチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
先に述べた手順に従い、HOBT、EDC、DIPEAを用いて{4−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−酢酸とシクロプロピルアミンとをカップリングすることにより標記化合物を得た。
ESIMS(m/z): 597.5(M+Na), 575.4(M+1)
【0229】
ステップ2: 2−{4−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−N−シクロプロピル−アセトアミドのトリフルオロ酢酸塩の調製
[3−(1−シクロプロピルカルバモイルメチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(40mg, 0.07mmol)をDCM(2mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(0.2mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に除去してガム状の固体を得、これをヘキサンから晶出させて2−{4−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−1−イル}−N−シクロプロピル−アセトアミドのトリフルオロ酢酸塩(32mg, 78%)を得た。
H NMR(400MHz, MeOD): δ 0.46−0.47(m,2H), 0.68−0.70(m,2H), 2.55−2.65(m,1H), 2.65−3.07(m,2H), 3.01−3.09(m,2H), 3.72−3.88(m,1H), 3.95(s,1H), 4.09−4.21(m,1H), 4.45−4.54(m,2H), 4.70−4.79(m,2H), 7.20−7.50(m,6H)
ESIMS(m/z): 497.3(M+Na), 475.1(M+1)
【0230】
実施例6: (R)−3−アミノ−1−(9−フルオロ−4H−ベンゾ[f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−5(6H)−イル)−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
【化44】

【0231】
ステップ1: (4−フルオロ−2−ニトロ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステルの調製
アルゴン雰囲気下に1−ブロモエチル−4−フルオロ−2−ニトロベンゼン(5.00g, 21.36mmol)をDMF(50mL)に加えた溶液に、0℃においてDIPEA(11.16mL, 64.10mmol)を滴下した。得られた溶液を5分間攪拌し、これに、グリシンメチルエステル塩酸塩(3.48g, 27.77mmol)をDMF(5mL)に加えた溶液を0℃において滴下した。反応混合物を室温で8時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、水(100mL)を添加し、粗化合物をEtOAc(3×200mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=2:8)により精製して、(4−フルオロ−2−ニトロ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステル(4.65g, 90%)を暗黄色の粘稠な液体として得た。
ESIMS(m/z): 242.8(M+1)
【0232】
ステップ2: [tert−ブトキシカルボニル−(4−フルオロ−2−ニトロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステルの調製
アルゴン雰囲気下に(4−フルオロ−2−ニトロ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステル(4.65g, 19.21mmol)をDCM(30mL)に加えた溶液に、室温において二炭酸ジ−tert−ブチル(4.41mL, 19.21mmol)を滴下した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、水(30mL)を添加し、混合物をDCM(3×100mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥し、真空濃縮した。粗化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=2:8)により精製して、純粋な[tert−ブトキシカルボニル−(4−フルオロ−2−ニトロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステル(5.91g, 90%)を暗黄色の液体として得た。
ESIMS(m/z): 366.1(M+Na), 343.2(M+1)
【0233】
ステップ3: 2−(tert−ブトキシカルボニル(4−フルオロ−2−ニトロベンジル)アミノ)−酢酸の調製
粗な[tert−ブトキシカルボニル−(4−フルオロ−2−ニトロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステル(5.91g, 17.2mmol)をTHF(50mL)に加えた溶液に、水(17mL)に溶解させた水酸化リチウム(4.35g, 103.6mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、10% HClを用いて反応混合物をpH4に酸性化し、粗化合物をMeOHおよびCHCl(1:9; 3×50mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥した。真空中で溶媒を除去して2−(tert−ブトキシカルボニル(4−フルオロ−2−ニトロベンジル)アミノ)−酢酸(5.11g, 90%)を褐色の濃厚なゲルとして得、これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 328.0(M−1)
【0234】
ステップ4: 2−((2−アミノ−4−フルオロベンジル)(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)酢酸の調製
[tert−ブトキシカルボニル−(4−フルオロ−2−ニトロ−ベンジル)−アミノ]−酢酸(5.11g, 15.50mmol)を無水EtOH(30mL)に加えた溶液に10% Pd/C(1.02g, 20% w/w)を添加した。反応混合物を水素雰囲気下に室温で5時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物をセライト層で濾過し、EtOAc(10mL)およびMeOH(10mL)で洗浄した。真空中で溶媒を除去して2−((2−アミノ−4−フルオロベンジル)(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)酢酸(4.64g, 99.9%)を得、これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
【0235】
ステップ5: 8−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4(5H)−カルボン酸tert−ブチルの調製
[(2−アミノ−4−フルオロ−ベンジル)(tert−ブトキシカルボニル)−アミノ]−酢酸(4.64g, 15.51mmol)をDCM(60mL)に加えた溶液に0℃においてEDC(3.83g, 20.17mmol)およびHOBT(2.72g, 20.17mmol)を添加した。得られた溶液を5分間攪拌し、これにDIPEA(8.10mL, 46.55mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン下に室温一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物に蒸留水(60mL)を添加し、粗化合物をDCM(3×50mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥した。真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをETOAcでの洗浄により精製して、純粋な8−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4(5H)−カルボン酸tert−ブチル(2.91g, 67%)を白色の固体として得た。
ESIMS(m/z): 279.5(M−1)
【0236】
ステップ6: 8−フルオロ−2−チオキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
8−フルオロ−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.24g, 11.57mmol)をトルエン(50mL)に加えた溶液に室温においてローソン試薬(2.33g, 5.78mmol)を添加した。反応混合物を90℃で30〜40分間加熱した。反応の完了をTLCで確認後、蒸留水(50mL)を添加し、粗化合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥した。真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=2:8)により精製して、純粋な8−フルオロ−2−チオキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.36g, 69%)を淡黄色の固体として得た。
ESIMS(m/z): 297.3(M+1)
【0237】
ステップ7: 9−フルオロ−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
8−フルオロ−2−チオキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.36g, 7.97mmol)を乾燥ベンゼン(25mL)に加えた溶液に、5mLの乾燥DMSOに溶解させた蟻酸ヒドラジド(1.43g, 23.91mmol)を室温において添加した。ディーン・スターク装置を用いて反応混合物を80℃で18時間加熱した。反応の完了をTLCで確認後、蒸留水(40mL)を添加し、粗化合物をジエチルエーテル(3×40mL)で抽出した。一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; アセトン:石油エーテル=1.5:8.5)により精製して9−フルオロ−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.455g, 60%)を白色の固体として得た。
ESIMS(m/z): 305.5(M+1)
【0238】
ステップ8: 9−フルオロ−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレントリフルオロアセタートの調製
9−フルオロ−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.45g, 4.76mmol)を乾燥DCM(15mL)に加えた溶液に0℃においてトリフルオロ酢酸(14.30mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン下に室温で2時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、MeOH(2×10mL)を添加し、真空中で反応混合物から過剰な溶媒およびトリフルオロ酢酸を留去した。残存する溶媒を真空下に除去して9−フルオロ−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレントリフルオロアセタート(1.50g, 4.71mmol, 99%)を褐色の濃厚なゼリーとして得た。この粗化合物をさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 205.2(M+1) 遊離アミンについて。
【0239】
ステップ9: [3−(9−フルオロ−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
(R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(1.56g, 4.68mmol)を乾燥アセトニトリル(15mL)に加えた溶液にDIPEA(2.03mL, 11.71mmol)を添加し、次いで室温において(ベンゾトリアゾリル−1−イルオキシ)−トリス(ジメチルアミン)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(2.27g, 5.15mmol)を添加した。室温において反応混合物に、乾燥アセトニトリル(10mL)およびDIPEA(0.98mL, 5.63mmol)に溶解させた9−フルオロ−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレントリフルオロアセタート(1.56g, 4.91mmol)を添加した。反応混合物を40℃で48時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、溶媒を真空下に除去し、残留物に蒸留水(40mL)を添加した。粗化合物をEtOAc(3×50mL)で抽出し、一つに合わせた有機層をNaSOで乾燥した。真空中で溶媒を除去して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; MeOH:CHCl=1.2:8.8)により精製して[3−(9−フルオロ−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.04g, 83.9%)を白色の固体として得た。
H NMR(400MHz, CDCl): δ 1.35および1.37(二つの回転異性体一重項,1H), 2.62−2.93(m,2H), 2.95−2.99(m,2H), 4.14−4.17(m,1H), 4.41(s,1H), 4.57−4.60(m,1H), 4.76(s,1H), 4.93(s,1H), 5.44−5.46(m,1H), 6.86−6.89(m,1H), 7.03−7.07(m,1H), 7.18−7.23(m,2H), 7.57−7.60(m,1H), 8.49および8.50(二つの回転異性体一重項、 1H)
ESIMS(m/z): 520.5(M+1)
【0240】
ステップ10: (R)−3−アミノ−1−(9−フルオロ−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
[3−(9−フルオロ−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.04g, 3.93mmol)をDCM(12mL)に加えた溶液に0℃においてトリフルオロ酢酸(11.79mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン下に室温で2時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、メタノール(2×5mL)を添加し、真空中で反応混合物から過剰な溶媒およびトリフルオロ酢酸を留去した。残存する溶媒を真空下に除去して(R)−3−アミノ−1−(9−フルオロ−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩(1.82g, 3.42mmol, 87%)を白色の固体として得た。
H NMR(400MHz, CDOD): δ 2.62−3.15(m,4H), 3.87(bs,1H), 4.50−4.52(m,1H), 4.52−4.70(m,1H), 4.82−4.90(m,2H), 7.20−7.34(m,3H), 7.58−7.64(m,2H), 9.02−9.03(二つの回転異性体一重項、 1H)
ESIMS(m/z): 420.5(M+1) 遊離アミンの質量。
【0241】
実施例7: (R)−3−アミノ−1−(4H,6H−3,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
【化45】

【0242】
ステップ1: 2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−3,5−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
2−アミノエタノール(3.5mL, 10mL/mmol)を2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4(5H)−カルボン酸tert−ブチル(100mg, 0.35mmol)[実施例6のステップ6に記載したように調製]の溶液に添加し、反応混合物を窒素雰囲気下に24時間加熱還流させた。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(50mL)で稀釈し、水(20mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、かつ濃縮して所望化合物を粘稠な油(100.0mg, 90%)として得、これをそのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 328.3(M+Na), 305.9(M+1)
【0243】
ステップ2: 4H,6H−3,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
−78℃のDCM(5.0mL)にDMSO(0.05mL, 0.82mmol)を加えた溶液に塩化オキサリル(0.04mL, 0.43mmol)を滴下した。反応混合物を前記温度で0.5時間攪拌し、これに、2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−3,5−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(100mg, 0.32mmol)をDCM(1mL)に加えた溶液を滴下した。反応混合物を−78℃で2時間攪拌した。反応混合物にトリエチルアミン(1.0mL)を添加し、室温まで加温した。粗生成物をDCM(20mL)で抽出した。有機層を水(2×15mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=8:2)により精製して4H,6H−3,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル(25mg, 27%)を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 301.3(M+1)
【0244】
ステップ3: [3−オキソ−3−(4H,6H−3,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
トリフルオロ酢酸を用いて4H,6H−3,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステルを脱保護し、得られた塩を(R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸と、HOBT、EDCおよびDIPEAを用いてカップリングして、[3−オキソ−3−(4H,6H−3,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 424.1(M+Na), 401.4(M+1)
【0245】
ステップ4: 3−アミノ−1−(4H,6H−3,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
[3−オキソ−3−(4H,6H−3,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(30mg, 0.06mmol)をDCM(3mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(0.18mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に除去してガム状の固体を得、これをヘキサンから晶出させて3−アミノ−1−(4H,6H−3,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩(30mg, 98%)を得た。
H NMR(400MHz, MeOD): δ 2.72−2.99(m,2H), 3.00−3.17(m,2H), 3.80−3.98(m,1H), 4.51−4.70(m,2H), 4.72−5.08(m,2H), 7.12−7.27(m,1H), 7.28−7.42(m,1H), 7.45−7.81(m,5H), 7.82−8.12(m,1H)
ESIMS(m/z): 424.1(M+Na), 401.4(M+1)
【0246】
実施例8: (R)−3−アミノ−1−(4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
【化46】

【0247】
ステップ1: (2−アジド−ベンジル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
(2−アミノ−ベンジル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル[2−アミノベンジルアミンおよび二炭酸ジ−tert−ブチルから調製](100mg, 0.45mmol)を酢酸(2.46mL)に加えた溶液に水(26mL)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、亜硫酸ナトリウム(62mg, 0.9mmol)を水(4.3mL)に加えた溶液を添加した。反応混合物を同じ温度で30分間攪拌し、その後アジ化ナトリウム(64mg, 0.99mmol)を添加した。反応混合物を0℃で30分間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物を10N NaOH(5.0mL)の滴下によってクエンチした。粗化合物を酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、かつ真空中で溶媒を除去して(2−アジド−ベンジル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(105mg, 96%)を得、これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 271.3(M+Na), 249.1(M+1)
【0248】
ステップ2: (2−アジド−ベンジル)−プロプ−2−イニル−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
窒素雰囲気下、火炎乾燥した丸底フラスコ内で水素化ナトリウム(5.0mg, 0.120mmol; 鉱油中に60%懸濁)をヘキサン(2mL)で洗浄した。得られた自由流動粉末に、(2−アジド−ベンジル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(20mg, 0.08mmol)を乾燥DMF(1mL)に加えた溶液を0℃において添加した。この温度で反応混合物を30分間攪拌した。臭化プロパルギル(0.021mL, 0.24mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、粗生成物を酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を水(2×5mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=1:9)により精製して(2−アジド−ベンジル)−プロプ−2−イニル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(20mg, 87%)を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 309.2(M+Na), 287.4(M+1)
【0249】
ステップ3: 4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
(2−アジド−ベンジル)−プロプ−2−イニル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(100mg, 0.34mmol)にトルエン(3mL)を添加し、得られた混合物を100℃で一晩加熱した。反応の完了をTLCで確認後、真空中で溶媒を除去して4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル(92mg, 92%)を得、これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 309.4(M+Na), 287.1(M+1)
【0250】
ステップ4: [3−オキソ−3−(4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
トリフルオロ酢酸を用いて4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステルを脱保護し、得られた塩を(R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸と、HOBT、EDCおよびDIPEAを用いてカップリングした。所望化合物を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 524.9(M+Na), 502.5(M+1)
【0251】
ステップ5: (R)−3−アミノ−1−(4H,6H−3,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
[3−オキソ−3−(4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(30mg, 0.06mmol)をDCM(3mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(0.18mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に除去してガム状の固体を得、これをヘキサンから晶出させて(R)−3−アミノ−1−(4H,6H−3,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩(30mg, 98%)を得た。
H NMR(400MHz, MeOD): δ 2.52−2.83(m,2H), 2.85−2.88(m,2H), 3.59−3.65(m,1H), 4.51(s,1H), 4.58(s,1H), 4.72−4.78(m,2H), 7.12−7.17(m,1H), 7.25−7.29(m,1H), 7.53−7.60(m,2H), 7.62−7.67(m,1H), 7.90(s,1H), 7.91−7.99(m,1H)
ESIMS(m/z): 424.4(M+Na), 402.4(M+1)
【0252】
実施例9: (R)−3−アミノ−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
【化47】

【0253】
ステップ1: 3−(4−フルオロ−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オールの調製
4−フルオロヨードベンゼン(710.0mg, 3.82mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロリド(27.0mg, 0.038mmol)、CuI(3.64mg, 0.019mmol)およびプロパルギルアルコール(214.0mg, 3.82mmol)の混合物にジイソプロピルアミン(6.1mL, 1.6mL/mmol)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を室温で6時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、粗生成物を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を10% HCl(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=2:8)により精製して3−(4−フルオロ−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オール(366.0mg, 64%)を粘稠な油として得た。
【0254】
ステップ2: 1−(3−ブロモ−プロプ−1−イニル)−4−フルオロ−ベンゼンの調製
3−(4−フルオロ−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オール(360mg, 2.4mmol)を0℃のDCM(5mL)に加えた溶液にトリエチルアミン(0.7mL, 3.6mmol)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を15分間攪拌し、これに塩化メタンスルホニル(0.3mL, 3.6mmol)を滴下した。混合物を同じ温度で30分間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、粗生成物をDCM(10mL)で抽出した。有機層を水(10mL)で洗浄し、分離し、NaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粘稠な油状のメシル化物を得、これをそのまま次の工程に用いた。得られた化合物(600mg, 21.04mmol)を0℃のTHF(20mL)に加え、これに固体臭化リチウム(1.8g, 21.63mmol)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物に水(20mL)を添加し、粗化合物を酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=2:8)により精製して1−(3−ブロモ−プロプ−1−イニル)−4−フルオロ−ベンゼン(460mg, 82.5%)を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 214.5(M+2)
【0255】
ステップ3: 3−(4−フルオロ−フェニル)−4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
窒素雰囲気下、火炎乾燥した丸底フラスコ内で水素化ナトリウム(80.0mg, 2.0mmol; 鉱油中に60%懸濁)をヘキサン(2mL)で洗浄した。得られた自由流動粉末に、(2−アジド−ベンジル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(250mg, 1.0mmol)を乾燥DMF(3mL)に加えた溶液を窒素雰囲気下に0℃において滴下した。この温度で反応混合物を30分間攪拌し、これに、1−(3−ブロモ−プロプ−1−イニル)−4−フルオロ−ベンゼン(318.0mg, 1.50mmol)を乾燥DMF(1.5mL)に加えた溶液を滴下した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、粗化合物を酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。一つに合わせた有機層を水(2×10mL)で洗浄した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=1:9)により精製して3−(4−フルオロ−フェニル)−4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル(70mg, 12.2%)を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 381.6(M+1)
【0256】
ステップ4: [3−[3−(4−フルオロ−フェニル)−4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
トリフルオロ酢酸を用いて3−(4−フルオロ−フェニル)−4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステルを脱保護し、得られた塩を(R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸と、HOBT、EDCおよびDIPEAを用いてカップリングした。所望化合物を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 619.1(M+Na), 596.9(M+1)
【0257】
ステップ5: (R)−3−アミノ−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
[3−[3−(4−フルオロ−フェニル)−4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(28.0mg, 0.047mmol)をDCM(2mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(0.18mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に留去してガム状の固体を得、これをヘキサンから晶出させて(R)−3−アミノ−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−4H,6H−1,2,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩(25mg, 87%)を得た。
H NMR(400MHz, MeOD): δ 2.67−2.84(m,4H), 3.47−3.53(m,1H), 4.56−4.61(m,4H), 7.11−7.30(m,4H), 7.58−7.79(m,5H), 7.98−8.02(m,1H)
ESIMS(m/z): 496.7(M+1)
【0258】
実施例10: 5−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸エチルエステルのトリフルオロ酢酸塩の調製
【化48】

【0259】
ステップ1: 4H,6H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3,5−ジカルボン酸5−tert−ブチルエステル3−エチルエステルの調製
0℃の乾燥THF(300mL)に2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(10.0g, 38.16mmol)を加えた溶液にカリウムtert−ブトキシド(6.4g, 56.76mmol)を窒素雰囲気下に添加し、反応混合物を前記温度で30分間攪拌後、クロロリン酸ジエチル(11mL, 76.33mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で40分間攪拌した。得られた溶液を窒素雰囲気下に0℃において、カリウムtert−ブトキシド(12.86g, 114.56mmol)およびイソシアノ酢酸エチル(11.66mL, 102.65mmol)を乾燥THF(150mL)に加えた懸濁液を収容した別のフラスコへカニューレを介して移した。添加完了後、室温に戻った反応混合物を45分間攪拌し、その際反応の完了をTLCで確認した。反応混合物を0℃に冷却し、10%酢酸溶液でクエンチし、20分間攪拌した。粗化合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、分離し、NaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(中性アルミナ使用の中性アルミナ; EtOAc:石油エーテル=3:7)により精製して粘稠なゲルを得、これをジエチルエーテルおよびヘキサンからの晶出によりさらに精製して4H,6H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3,5−ジカルボン酸5−tert−ブチルエステル3−エチルエステル(4.4g, 33%)を白色の固体として得た。
ESIMS(m/z): 380.6(M+Na), 358.3(M+1)
【0260】
ステップ2: 5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸エチルエステルトリフルオロアセタートの調製
4H,6H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3,5−ジカルボン酸5−tert−ブチルエステル3−エチルエステル(300mg, 1.14mmol)をDCM(30mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(3.42mL, 3mL/mmol)を添加し、反応混合物を2時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に除去して5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸エチルエステルトリフルオロアセタート(295mg, 93%)をガム状の固体として得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 280.7(M+Na), 258.3(M+1)
【0261】
ステップ3: (R)−5−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸エチルエステルの調製
(R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(80mg, 0.26mmol)を乾燥DCM(15mL)に加えた溶液にHOBT(42mg, 0.31mmol)、EDC(60mg, 0.31mmol)およびDIPEA(0.21mL, 1.21mmol)を添加し、反応混合物を10分間攪拌した。DCM(5mL)中の5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸エチルエステルトリフルオロアセタート(98mg, 0.26mmol)を添加し、反応混合物を窒素雰囲気下に室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、粗生成物をDCM(10mL)で抽出し、10% HCl溶液(10mL)および飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL)で逐次洗浄した。有機層を分離し、水で洗浄し、NaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=3:7)により精製して(R)−5−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸エチルエステル(105mg, 77%)を粘稠な油として得た。
ESIMS(m/z): 596.0(M+Na), 573.9(M+1)
【0262】
ステップ4: 5−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸エチルエステルのトリフルオロ酢酸塩の調製
(R)−5−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸エチルエステル(100mg, 0.174mmol)をDCM(5mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(0.52mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に留去してガム状の固体を得、これをヘキサンから晶出させて5−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸エチルエステルのトリフルオロ酢酸塩(80mg, 79%)を得た。
H NMR(400MHz, MeOD): δ 1.39(t,J=4.0Hz,3H), 2.80−3.06(m,2H), 3.05−3.14(m,2H), 3.90(m,1H), 4.35(q,J=4.0Hz,2H), 4.43−4.62(m,3H), 4.77−5.01(m,1H), 7.19−7.26(m,1H), 7.31−7.37(m,1H), 7.51−7.61(m,2H), 7.62−7.72(m,2H), 8.25(s,1H)
ESIMS(m/z): 495.8(M+Na), 473.5(M+1)
【0263】
実施例11: 5−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸のトリフルオロ酢酸塩の調製
【化49】

【0264】
ステップ1: 5−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸の調製
5−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸エチルエステル(100mg, 0.17mmol)をTHF(5mL)および水(5mL)に加えた溶液に水酸化リチウム(43mg, 1.03mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、反応混合物を0℃に冷却し、10% HCl溶液で中和し、pHを4以下にした。化合物を酢酸エチル(15mL)で抽出した。有機層を水で洗浄し、分離し、NaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して5−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸(85mg, 89%)を粘稠なゲルとして得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
ESIMS(m/z): 568.0(M+Na), 546.0(M+2)
【0265】
ステップ2: 5−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸のトリフルオロ酢酸塩の調製
(R)−5−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸(35mg, 0.06mmol)を乾燥DCM(5mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(0.18mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に留去してガム状の固体を得、これをヘキサンから晶出させて5−[(R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸のトリフルオロ酢酸塩(28mg, 78%)を得た。
H NMR(400MHz, DMSO): δ 2.80−2.99(m,4H), 3.72−3.80(m,2H), 4.31−5.01(m,3H), 7.49−7.54(m,3H), 7.71−7.73(m,2H), 7.92−7.95(m,2H)
ESIMS(m/z): 443.8(M−1)
【0266】
実施例12: (R)−3−アミノ−1−[3−(ピロリジン−1−カルボニル)−4H,6H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
【化50】

【0267】
ステップ1: (R)−[3−オキソ−3−[3−(ピロリジン−1−カルボニル)−4H,6H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
(R)−5−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブチリル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−3−カルボン酸(60mg, 0.11mmol)を乾燥DCM(15mL)に加えた溶液にHOBT(19mg, 0.14mmol)、EDC(27mg, 0.14mmol)およびDIPEA(0.08mL, 0.46mmol)を添加し、反応混合物を10分間攪拌した。ピロリジン(0.02mL, 0.24mmol)を添加し、反応混合物を窒素雰囲気下に室温で一晩攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、粗生成物をDCM(15mL)で抽出し、10% HCl溶液(10mL)および飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL)で洗浄した。有機層を分離し、水で洗浄し、NaSOで乾燥し、かつ真空濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:石油エーテル=3:7から9:1)により精製して(R)−[3−オキソ−3−[3−(ピロリジン−1−カルボニル)−4H,6H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(55mg, 83%)を固体として得た。
ESIMS(m/z): 621.0(M+Na), 599.0(M+1)
【0268】
ステップ2: (R)−3−アミノ−1−[3−(ピロリジン−1−カルボニル)−4H,6H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩の調製
(R)−[3−オキソ−3−[3−(ピロリジン−1−カルボニル)−4H,6H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(45mg, 0.08mmol)をDCM(5mL)に加えた溶液にトリフルオロ酢酸(0.24mL, 3mL/mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の完了をTLCで確認後、過剰なトリフルオロ酢酸およびDCMを真空下に留去してガム状の固体を得、これをヘキサンから晶出させて(R)−3−アミノ−1−[3−(ピロリジン−1−カルボニル)−4H,6H−2,5,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オンのトリフルオロ酢酸塩(40mg, 86%)を得た。
H NMR(400MHz, MeOD): δ 1.98−2.02(m,4H), 2.97−3.11(m,4H), 3.62(t,J=6.0Hz,2H), 3.92−4.05(m,3H), 4.41−4.87(m,4H), 7.19−7.26(m,1H), 7.31−7.37(m,1H), 7.51−7.61(m,2H), 7.62−7.72(m,2H), 8.17(s,1H)
ESIMS(m/z): 520.1(M+Na), 498.6(M+1)
【0269】
表6〜9に掲げる化合物は実質的に、実施例1〜12に記載した手順に従って調製した。
【表15】

【0270】
【表16】

【0271】
【表17】

【0272】
【表18】

【0273】
【表19】

【0274】
【表20】

【0275】
【表21】

【0276】
【表22】

【0277】
【表23】

【0278】
【表24】

【0279】
【表25】

【0280】
in vitro試験
in vitro DPP−IVアッセイのプロトコール
DPP−IV活性を、合成基質であるグリシン−プロリン−pNA(p−ニトロアニリン)からのpNA切断率によって測定した。アッセイは、アッセイ緩衝液(100mMトリス, pH7.4, 140mM NaCl, 10mM KCl, 1% BSA)100μL中の1μgのブタ腎臓またはヒト組換え体DPP−IV酵素(Sigma Aldrich, 米国)を96穴型Cellstar(R)平底マイクロタイタープレート(Greiner Bio−One, ドイツ)に入れて行なった。80μLの500μM基質Gly−Pro−pNAの添加によって反応を開始させた。インキュベーションをキネティックモードで、30℃で30分間実施した。BioTek社のSynergyTM HTマルチプレートリーダーを用い、410nmでの吸光度を測定した。試験化合物および溶媒対照は10μLずつ添加した。遊離p−ニトロアニリン(pNA)の標準曲線はアッセイ緩衝液中の0−2000μM pNAを用いて求めた。DPP−IV活性の測定は、フルオロジェニックな基質(Gly−Pro−AMC)とヒト組換え体DPP−IV酵素(Sigma Aldrich, 米国)とを用いても行なった。
【0281】
IC50判定試験: 9〜10種の濃度でDMSOに溶解させた試験化合物、並びに溶媒対照およびブランク試料を三重に試験した。各濃度における阻害率(%)を、(試験化合物を添加しなかった)溶媒対照を基準に計算した。GraphPad Prism(R)またはSigmaStatソフトウェアを用いて、3回の実験からIC50値を求めた。
【0282】
【表26】

【0283】
【表27】

【0284】
in vivo試験
C57BL/6Jマウスにおける経口グルコース負荷試験(OGTT)
経口グルコース負荷試験(OGTT)では、生体がその主なエネルギー源であるグルコースを利用する能力を測定する。OGTTは、抗糖尿病活性を有する有効な試験化合物を選別する主要なin vivoスクリーニング法として役立つ。化合物を少量のTween80(任意)と共に0.25% CMCに加えて製剤化した。雄のC57BL/6Jマウス(8〜9週齢)を一晩絶食させ、無作為抽出した個体を体重に基づいて複数の群(n=6)に分けた。−15分時点に各群から血液を採取してグルコース評価を行なった。時点Tに各群に化合物または賦形剤を投与し、その際グルコース(2g/kg, p.o.)を同時投与した。グルコースを投与しない対照群にはRO水を投与した。投与後15、30、60および120分経過時点に後眼窩叢から血液試料を採取し、グルコース評価を行なった。グルコースについてAUCを計算して、グルコース変動の低下率を求めた。
【0285】
【表28】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


〔式中:
Arはフェニルであってよいアリールを表し、アリールはさらに置換されなくてもよく、または所望により、任意の可能な位置で、ハロゲン,CN,ヒドロキシ,NH,C1−12アルキルまたはC1−12アルコキシから選択されるがこれらに限定はされない1または2以上の置換基によって置換されてよく、
は、(CHCONR,(CHCOOR,(CHNR,(CHNRCOR,(CHC(=L)R(ただし、LはOまたはSである),(CHOR(ただし、各メチレン基は1または2以上のハロゲン原子によって置換されてよい),−(CO)R,−(CO)NR,水素,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール、ただし、これらのそれぞれは所望により、任意の可能な位置で、水素、ハロゲン、CN,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C1−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,オキソ,−OR,−SR,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−8シクロアルキル,S(O),SONRから選択されるがこれらに限定はされない1または2以上の置換基によって置換されてよい;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなるが、これらに限定はされない群から選択され、
およびRは、二重結合によってジアゼピン環に結合した単一の酸素またはイオウ原子を表し、またはRおよびRは一緒になってジアゼピン環に二重結合を形成し、Rは基−NRを表し、またはRおよびRはRが結合する窒素原子と一緒になって、O,SおよびNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含んでもよいヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成し、形成される環は所望によりRまたはRc’から選択される1または2以上の置換基で置換されてもよく、Rは水素または二重結合を表し、
およびRは、水素,ハロゲン,CN,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,−OR,−SR,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−8シクロアルキル,S(O),SONR;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなる群から独立に選択され、
およびRは、水素,ハロゲン,CN,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,−OR,−SR,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−8シクロアルキル,S(O),SONR;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなる群から独立に選択され、
は、水素,ハロゲン,CN,C1−12アルキル,C1−12ハロアルキル,C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,−OR,−SR,−CF,−OCF,−NO,−NR,N(R)(CO)R,N(R)(CO)OR,N(R)(CO)NR,−(CO)R,−(CO)NR,−O(CO)R,−O(CO)NR,−COOR,C3−6シクロアルキル,S(O),SONR;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいシクロアルキル;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいアリール;所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロアリール;または、所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換されてよいヘテロシクリルからなる群から独立に選択され、
およびRは、水素,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリールの中から独立に選択され、その際これらのそれぞれは、所望により、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12アルコキシ,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,C3−8シクロアルキル,C1−12ハロアルキル、C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,アリール,ヘテロシクリル,ヘテロアリール,(CH−アリール,(CH−ヘテロシクリル,(CH−ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,オキソ,−CN,−OR,−NO,−NR10,N(R)(CO)R10,N(R)(CO)OR10,N(R)(CO)NR10,−C(=L)R(ただし、LはOまたはSである),−(CO)NR10,−O(CO)R,−O(CO)NR10,−COOR,−SR,S(O),SONR10;SOH,NHSO,P(O)R10で置換されてもよく、または
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、O,SおよびNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含んでよいヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成してよく、形成される環は、所望により、水素,ハロゲン,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,オキソ,CN,−OR,−CF,−OCF,CHCF,CFCF,−NO,−NR10,−N(R)(CO)R10,N(R)(CO)OR10,N(R)(CO)NR10,−C(=L)R(ただし、LはOまたはSである),−(CO)NR10,−O(CO)C−C12アルキル,−O(CO)NR10,−COOR,−SR,S(O),SONR10;SOH,−NHSO,−P(O)R10から選択される1または2以上の置換基によって置換されてよく、このように形成される環は、O,SまたはNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでよい、3〜7員の不飽和または飽和環とさらに縮合して、縮合環は所望により1または2以上の置換基RまたはRc’で置換されてよく、
またはRc’は、水素,ハロゲン,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ,C1−12ハロアルコキシ,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリール,C1−12アルキルカルボニル,C1−12アルコキシカルボニル,CN,−OR,−OCF,−NO,=NOR10,−NR10,N(R)(CO)R10,N(R)(CO)OR10,N(R)(CO)NR10,−C(=L)R(ただし、LはOまたはSである),−(CO)NR10,−O(CO)R,−O(CO)NR10,−COOR,−SR,S(O),SONR10;SOH,NHSO,P(O)R10からなるが、これらに限定はされない群から独立に選択され、
およびR10は、水素、C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C2−12ハロアルケニル,C3−8シクロアルキル,ヘテロシクリル,アリール,ヘテロアリール,(CH−シクロアルキル,(CH−ヘテロシクリル,(CH−アリール,(CH−ヘテロアリールの中から独立に選択され,その際これらのそれぞれは、所望により、ハロゲン、ヒドロキシもしくはC1−6アルコキシで置換されてもよく、または、RおよびR10は一緒になって結合して、所望によりRまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基で置換されてよい、O,SおよびNから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでよいヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成してよく、
mは1または2であり得、
nは1,2,3または4であり得、
rは1,2,3または4であり得る〕の化合物もしくはその薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、RおよびS異性体を含む立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項2】
式Ia:
【化2】


〔式中、r,Ar,R,R,R,R,R,R,RおよびRは請求項1に定義されたとおりである〕を有する請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項3】
式Ib:
【化3】


〔式中、r,Ar,R,R,R,R,RおよびRは請求項1に定義されたとおりである〕を有する請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項4】
式Ic:
【化4】


〔式中、環Aは所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換され、Rは水素または二重結合のどちらかを表し、r,Ar,R,R,R,R,R,RおよびRc’は請求項1に定義されたとおりである〕を有する請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項5】
式Id:
【化5】


〔式中、X,YおよびZはNおよび−CHからなる群から独立に選択され、環Aは所望により、任意の可能な位置で、RまたはRc’から独立に選択される1または2以上の置換基によって置換され、r,Ar,R,R,R,R,R,RおよびRc’は請求項1に定義されたとおりである〕を有する請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項6】
式Ie:
【化6】


〔式中、環AはRによって置換され、r,Ar,R,R,R,R,RおよびRは請求項1に定義されたとおりである〕を有する請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項7】
式If:
【化7】


〔式中、環AはRまたはRc’によって置換され、r,Ar,R,R,R,R,R,RおよびRc’は請求項1に定義されたとおりである〕を有する請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項8】
式Ig:
【化8】


〔式中、環AはRによって置換され、r,Ar,R,R,R,R,RおよびRは請求項1に定義されたとおりである〕を有する請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項9】
式Ih:
【化9】


〔式中、環AはRまたはRc’によって置換され、r,Ar,R,R,R,R,R,RおよびRc’は請求項1に定義されたとおりである〕を有する請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項10】
Arが2,4,5−トリフルオロフェニル,2−フルオロフェニル,3,4−ジフルオロフェニルおよび2,5−ジフルオロフェニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が水素,フルオロ,クロロおよびメトキシからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が水素,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C1−12ハロアルキル,C1−12ハロアルコキシ,C2−12ハロアルケニル,(CH−アリール、
【化10】


【化11】


【化12】


からなる群から選択される、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
環Aが、水素,C1−12アルキル,C2−12アルケニル,C2−12アルキニル,C3−8シクロアルキル,フェニル,−CHF,−CHF,−CF,−COOH,−CONH,−CH−OCH,COOC1−6アルキル、
【化13】


からなる群から独立に選択される1または2以上のRおよびRc’で置換される、請求項4から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
およびRがともに水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
およびRがともに水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
【化14】


【化15】


【化16】


からなる群から選択される化合物とその薬学的に許容しうる塩、またはその溶媒和物。
【請求項17】
【化17】


からなる群から選択される化合物とその薬学的に許容しうる塩、またはその溶媒和物。
【請求項18】
【化18】


【化19】


からなる群から選択される化合物とその薬学的に許容しうる塩、またはその溶媒和物。
【請求項19】
【化20】


からなる群から選択される化合物とその薬学的に許容しうる塩、またはその溶媒和物。
【請求項20】
【化21】


【化22】


〔式中、rは1,2,3または4であり、RはH,F,ClおよびOCHからなる群から選択され、R
【化23】


からなる群から選択される〕;
【化24】


【化25】


【化26】


〔式中、rは1,2,3または4であり、部分
【化27】


は−CONH
【化28】


からなる群から選択される〕;
【化29】


【化30】


からなる群から選択される化合物とその薬学的に許容しうる塩、またはその溶媒和物。
【請求項21】
請求項1に記載の式Iの化合物もしくはその薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物を調製するプロセスであって、
a) カップリング条件、試薬および保護基を用いて式II:
【化31】


〔式中、PGは保護基である〕の化合物を式III:
【化32】


の化合物とカップリングするステップ、
b) 脱保護試薬を用いて保護基(PG)を除去するステップ
を含み、前記式中、r、Ar、R、R、R、R、R、R、RおよびRは請求項1に定義されたとおりであるプロセス。
【請求項22】
請求項1、16から19のいずれかに記載の化合物、薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物を、場合によっては1または2以上の薬学的に許容しうる基剤とともに含む医薬組成物。
【請求項23】
DPP−IVが介在する1または2以上の状態の予防、改善および/または治療を、それを必要とする対象者に施す方法であって、請求項1、16から19のいずれかに記載の化合物もしくは薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物を治療有効量で投与することを含む方法。
【請求項24】
糖尿病の予防、改善および/または治療を、それを必要とする対象者に施す方法であって、請求項1、16から19のいずれかに記載の化合物もしくはその薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物を治療有効量で投与することを含む方法。
【請求項25】
耐糖性異常、インスリン抵抗性、代謝性アシドーシスもしくはケトーシス、摂食障害、過食症、肥満、脂質異常症(高脂血症、高グリセロール血症、高コレステロール血症、低HDL濃度、高LDL濃度を含む)を含む高血糖症および代謝症候群もしくは「症候群X」、アテローム性動脈硬化症およびその30の続発症、代謝障害に伴う高血圧からなる群から選択される1または2以上の病気、疾患および状態を予防、改善および/または治療する方法であって、請求項1、16から19のいずれかに記載の化合物もしくは薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物を治療有効量で投与することを含む方法。
【請求項26】
過敏性腸症候群(IBS)、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、膵炎、神経変性障害、網膜症、腎臓病、神経障害、卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞卵巣症候群)からなる群から選択される1または2以上の炎症状態を予防、改善および/または治療する方法であって、請求項1に記載の化合物もしくは薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物を治療有効量で投与することを含む方法。
【請求項27】
インスリン抵抗性が一要因である1または2以上の状態を予防、改善および/または治療する方法であって、請求項1に記載の化合物もしくは薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物を治療有効量で投与することを含む方法。
【請求項28】
外傷治療、組織虚血、白内障、緑内障、増大した心血管リスク、成長ホルモン不足、好中球減少症、神経細胞障害、腫瘍の浸潤および転移、良性前立腺肥大症(BPH)、歯肉炎、骨粗鬆症、精子自動性/男性不妊、疼痛、神経障害性疼痛、リウマチ痛、変形性関節症の痛み、にきび、皮膚障害(例えば、色素異常または乾癬)、不安、食欲不振、てんかん、男性および女性の性的機能障害、大うつ病性障害、パーキンソン病、偏頭痛、変形性関節炎、免疫抑制、HIV感染、造血、貧血、リウマチ関節炎、ウイルス、がんおよび消化管の不調からなる群から選択される1または2以上の病気、疾患および状態を予防、改善および/または治療する方法であって、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物を治療有効量で投与することを含む方法。
【請求項29】
DPP−IVが介在する1または2以上の状態の予防、改善および/または治療を、それを必要とする対象者に施すための医薬品の製造に、請求項1、16から19のいずれかに記載の化合物もしくはその薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、エステル、またはその溶媒和物を使用する方法。
【請求項30】
請求項1、16から19のいずれかに記載の化合物もしくはその薬学的に許容しうる誘導体、互変異性体形、立体異性体、ポリモルフ、プロドラッグ、代謝物、塩、またはその溶媒和物を他の治療薬と併用する方法。
【請求項31】
医薬品が経口的、非経口的または局所的に投与される、請求項29に記載の使用方法。
【請求項32】
本明細書に記載および解説した式Iの化合物、プロセス、方法、および組成物。

【公表番号】特表2011−510068(P2011−510068A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543630(P2010−543630)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000061
【国際公開番号】WO2009/093269
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(500445631)パナセア バイオテック リミテッド (29)
【Fターム(参考)】