説明

新規調味料およびその製造方法、ならびに加工食品の製造方法

【課題】 各種食物アレルギーの患者でも安心して摂食することができ、簡便かつ安価に製造することができる、添加の対象である飲食物に醤油風味や味噌風味を与えるとともに醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いも与えることができる新規調味料やこれを添加した醤油風味や味噌風味を有するとともに醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを有する飲食物を提供する。
【解決手段】 少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を混ぜ合わせてなる調味料であって、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させた前記調味料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規調味料およびその製造方法、ならびに加工食品の製造方法に関し、より詳細には、従来ある調味料の風味を与える新規調味料、当該新規調味料を添加した飲食物、当該新規調味料の製造方法および従来ある調味料の風味を有する加工食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
醤油や味噌といった調味料は、日本古来より親しまれ、日本の食生活の根底をなしているが、醤油は大豆および小麦、味噌は大豆をそれぞれ発酵させて作られるものであるため、近年増加傾向にある大豆アレルギーや小麦アレルギーの患者の場合、これらの調味料を摂取することができず、その結果、これらの調味料を使用した数多くの加工食品を摂取できないこととなり、食を味わうという楽しみを失うばかりではなく、家庭内や学校内での食の差別、日常生活や行動範囲の制限、経済的負担などを生じ得ることから、重大な問題となっている。そこで、大豆アレルギーや小麦アレルギーに対応した調味料が開発されており、例えば、特許文献1には、空豆や小豆を用いた醤油の代替調味料が、特許文献2には胡麻および米を用いた醤油の代替調味料が、特許文献3には、低アレルゲン大豆を用いた低アレルゲン味噌が、それぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−122002号公報
【特許文献2】特開2006−122001号公報
【特許文献3】特開2010−166842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された醤油の代替調味料は、大豆や小麦に代えて空豆や小豆、あるいは胡麻や米が原材料として用いられているものの、通常の醤油と同様の手法により製造されるものであるため、通常の醤油の製造と同等かそれ以上の時間や手間、製造設備、費用といった製造コストが掛かってしまううえ、これらを加工食品の製造に用いた場合は、通常の醤油と同様、褐変反応の過剰な進行による変色、味や香りなどの劣化が生じ得る。特許文献3に記載された低アレルゲン味噌もまた、低アレルゲン大豆が原材料として用いられ、通常の味噌と同様の方法により製造されるものであるため、通常の味噌と同等かそれ以上の製造コストが掛かってしまううえ、これらを加工食品の製造に用いた場合には、通常の味噌と同様、褐変反応の過剰な進行による変色、味や香りなどの劣化が生じ得る。
【0005】
また、醤油や味噌といった調味料を用いた加工食品の製造においては、食品を真空密閉して加熱した際の食品の変色や味の劣化の他、いわゆるレトルト臭や水産物加工食品の場合の生臭さなどが課題となっている。さらに、褐変反応の過剰な進行を抑制するため、加熱時間は短いことが好ましいとされているものの、加熱時間の短縮により殺菌値が低下するため、賞味期限を短縮しなければならなくなり、賞味期限の短縮を防ぐためには、水分活性の調整やpH調整剤の添加など、さらなる対応が必要となってしまう。
【0006】
本発明は、これらのような課題を解決するためになされたものであって、えび、かに、卵、小麦、そば、落花生、乳などの現在アレルギー品目として指定されている特定原材料や、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、りんご、バナナ、ゼラチン、やまいもなどの特定原材料に準ずるものの他、カカオ、アーモンド、米、ごま、キビ、ヒエ、ジャガイモ、マンゴー、わさび、前記以外の魚介類などについてのアレルギー患者でも安心して摂食することにも対応可能であり、簡便かつ安価に製造することができる、添加の対象である飲食物に醤油風味や味噌風味を与えるとともに醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いも与えることができる新規調味料やこれを添加した醤油風味や味噌風味を有するとともに醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを有する飲食物を提供すること、さらには、前記アレルギー患者でも安心して摂食することにも対応可能であり、レトルト臭や生臭さ、変色を抑制できて味や香りが優れた、醤油風味や味噌風味を有するとともに醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを有する加工食品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させ、さらに塩味料と酸味料とを当該加熱前ないし加熱後で混ぜ合わせることにより、添加の対象である飲食物に醤油風味を与えるとともに醤油を用いて調理した場合と同じような色合いを与えることができる調味料を製造できること、ならびに還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させ、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を当該加熱前ないし加熱後で混ぜ合わせることにより、添加の対象である飲食物に味噌風味を与えるとともに味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与えることができる調味料を製造することができること、還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物の存在下で食品原材料を加熱することにより褐変させ、さらに塩味料と酸味料とを当該加熱前ないし加熱後で当該食品原材料に添加することによりレトルト臭や生臭さが抑制されて色や味、香りが優れた、醤油風味を有するとともに醤油を用いて調理した場合と同じような色合いを有する加工食品を製造することができること、ならびに還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物の存在下で食品原材料を加熱することにより褐変させ、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を当該加熱前ないし加熱後で添加することによりレトルト臭や生臭さが抑制されて色や味、香りが優れた、味噌風味を有するとともに味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを有する加工食品を製造することができることを見出し、下記の各発明を完成した。
【0008】
(1)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を混ぜ合わせてなる調味料であって、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させた前記調味料。
【0009】
(2)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を混ぜ合わせてなる調味料が、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を混ぜ合わせてなる調味料である、(1)に記載の調味料。
【0010】
(3)ポリフェノール含有物が茶ポリフェノール含有物およびコーヒーポリフェノール含有物の少なくともいずれかである、(1)または(2)に記載の調味料。
【0011】
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の調味料を添加した飲食物。
【0012】
(5)下記(i)および(ii)の工程を有する、調味料の製造方法;(i)下記(a)または(b)の工程、(a)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて褐変させて調味料用褐変物を得る工程、(b)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させて調味料用褐変物を得る工程、(ii)塩味料および酸味料を前記調味料用褐変物に混ぜ合わせる工程。
【0013】
(6)塩味料および酸味料を前記調味料用褐変物に混ぜ合わせる工程が、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を前記調味料用褐変物に混ぜ合わせる工程である、(5)に記載の調味料の製造方法。
【0014】
(7)下記(iii)または(iv)の工程を有する、調味料の製造方法;(iii)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを混ぜ合わせて褐変させる工程、(iv)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを混ぜ合わせて加熱することにより褐変させる工程。
【0015】
(8)下記(v)または(vi)の工程を有する、調味料の製造方法;(v)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを混ぜ合わせて褐変させる工程、(vi)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを混ぜ合わせて加熱することにより褐変させる工程。
【0016】
(9)ポリフェノール含有物が茶ポリフェノール含有物およびコーヒーポリフェノール含有物の少なくともいずれかである、(5)から(8)のいずれかに記載の調味料の製造方法。
【0017】
(10)(5)から(9)のいずれかに記載の調味料の製造方法により製造された調味料を添加した飲食物。
【0018】
(11)下記(I)および(II)の工程を有する、加工食品の製造方法;(I)下記(A)または(B)の工程、(A)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して褐変させて調味料/原材料褐変物を得る工程、(B)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して加熱することにより褐変させて調味料/原材料褐変物を得る工程、(II)塩味料および酸味料を前記調味料/原材料褐変物に添加する工程。
【0019】
(12)下記(III)および(II)の工程を有する、加工食品の製造方法;(III)下記(C)または(D)の工程、(C)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して褐変させて調味料/原材料褐変物を得る工程、(D)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して加熱することにより褐変させて調味料/原材料褐変物を得る工程、(II)塩味料および酸味料を前記調味料/原材料褐変物に添加する工程。
【0020】
(13)塩味料および酸味料を前記調味料/原材料褐変物に混ぜ合わせる工程が、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を前記調味料/原材料褐変物に混ぜ合わせる工程である、(11)または(12)に記載の加工食品の製造方法。
【0021】
(14)下記(IV)または(V)の工程を有する、加工食品の製造方法;(IV)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを添加して褐変させる工程、(V)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを添加して加熱することにより褐変させる工程。
【0022】
(15)下記(VI)または(VII)の工程を有する、加工食品の製造方法;(VI)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを添加して褐変させる工程、(VII)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを添加して加熱することにより褐変させる工程。
【0023】
(16)下記(VIII)または(IX)の工程を有する、加工食品の製造方法;(VIII)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを添加して褐変させる工程、(IX)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを添加して加熱することにより褐変させる工程。
【0024】
(17)下記(X)または(XI)の工程を有する、加工食品の製造方法;(X)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを添加して褐変させる工程、(XI)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを添加して加熱することにより褐変させる工程。
【0025】
(18)ポリフェノール含有物が茶ポリフェノール含有物およびコーヒーポリフェノール含有物の少なくともいずれかである、(11)から(17)のいずれかに記載の加工食品の製造方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る新規調味料、当該新規調味料を添加した飲食物および当該新規調味料の製造方法によれば、えび、かに、卵、小麦、そば、落花生、乳などの現在アレルギー品目として指定されている特定原材料や、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、りんご、バナナ、ゼラチン、やまいもなどの特定原材料に準ずるものの他、カカオ、アーモンド、米、ごま、キビ、ヒエ、ジャガイモ、マンゴー、わさび、前記以外の魚介類などについてのアレルギー患者でも安心して摂食することにも対応可能である、醤油風味や味噌風味を有するとともに醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを有する飲食物を、安価な材料を用いて簡便に提供することができる。さらに、本発明に係る加工食品の製造方法によれば、pH調整剤などの添加物を使用することなく、簡便に、前記アレルギー患者でも安心して摂食することができ、かつレトルト臭や生臭さが抑制されて色や味、香りが優れた、醤油風味や味噌風味を有するとともに醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを有する加工食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例2において得られた評価点について、色についての平均値を算出した結果を示す図である。
【図2】実施例2において得られた評価点について、香りについての平均値を算出した結果を示す図である。
【図3】実施例2において得られた評価点について、味についての平均値を算出した結果を示す図である。
【図4】実施例3において得られた評価点について、色についての平均値を算出した結果を示す図である。
【図5】実施例3において得られた評価点について、香りについての平均値を算出した結果を示す図である。
【図6】実施例3において得られた評価点について、味についての平均値を算出した結果を示す図である。
【図7】実施例3において得られた評価点について、レトルト臭や生臭さの抑制度についての平均値を算出した結果を示す図である。
【図8】実施例5において得られた評価点について、色についての平均値を算出した結果を示す図である。
【図9】実施例5において得られた評価点について、香りについての平均値を算出した結果を示す図である。
【図10】実施例5において得られた評価点について、味についての平均値を算出した結果を示す図である。
【図11】実施例6において得られた評価点について、色についての平均値を算出した結果を示す図である。
【図12】実施例6において得られた評価点について、香りについての平均値を算出した結果を示す図である。
【図13】実施例6において得られた評価点について、味についての平均値を算出した結果を示す図である。
【図14】実施例6において得られた評価点について、レトルト臭や生臭さの抑制度についての平均値を算出した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、新規調味料およびその製造方法、ならびに加工食品の製造方法について詳細に説明する。本発明に係る新規調味料は、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を混ぜ合わせてなる調味料であって、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させた調味料である。
【0029】
本発明において、「調味料」とは、主として食材の味付けに用いる食品をいうが、それ自体が食される場合も含む。なお、本発明における調味料の形態は特に限定されず、例えば、液体状、粉状、固形状、粘性体状、流動体状などを挙げることができる。
【0030】
本発明に係る調味料は、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させた調味料である。少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより、褐変反応が進行して褐変することから、還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物は、添加の対象である飲食物に醤油風味や味噌風味を与える役割を担う他、主として、添加の対象である飲食物に醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与える役割を担っている。褐変反応としては、例えば、メイラード反応を挙げることができる。また、混ぜ合わせる塩味料および酸味料は、主として、添加の対象である飲食物に醤油風味や味噌風味を与える役割を担うものであり、還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱し褐変させる前ないし加熱して褐変させた後のいずれかの時点で混ぜ合わせることができる。
【0031】
本発明において、「褐変」とは、目視で確認できる程度に褐色を呈することをいい、褐色とは、黒色、薄茶色、焦茶色、茶褐色、黄褐色、栗色、赤茶色、紅褐色、土色、チョコレート色などと交換可能に用いられる場合がある。
【0032】
また、褐変反応を進行させて褐変させるための加熱量としては、例えば、中心温度121℃にて2分間(以下、121℃/2分のように表記する場合がある)以上、好ましくは121℃/5分以上、より好ましくは121℃/20分以上、あるいはこれらの加熱量に相当する、加熱温度と加熱時間の組み合わせによる加熱量を挙げることができる。また、加熱方法としては当業者が適宜選択可能な方法を用いればよく、特に限定されない。そのような加熱方法としては、例えば、圧力鍋などを用いた加圧加熱、通常の鍋や釜などを用いた加圧を伴わない加熱、電子レンジなどを用いたマイクロ波加熱、蒸気や加圧熱水を用いた加熱、湯煎などを挙げることができる。
【0033】
本発明における「還元糖」としては、例えば、ソルビトール、グリセルアルデヒド、グルコース、フルクトース、エリトルロース、リブロース、リボース、デオキシリボース、フコース、ヘプトースなどの単糖類や、ラクツロース、ラクトース、アラビノース、マルトース、コージビオース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ツラノースなどの還元性二糖類、セロトリオース、ソラトリオースなどの還元性三糖類、セロテトラオースなどの還元性四糖類、セロペンタオースなどの還元性五糖類のほか、アルギン酸オリゴ糖やキトサンオリゴ糖などの還元末端を有するオリゴ糖を挙げることができ、本発明においては、これらの1または複数を用いることができる。なお、オリゴ糖は一般に単糖が2〜10分子重合したものをいうが、本発明において、還元糖としてのオリゴ糖は還元末端を有するものである限り、その重合数はいずれでもよい。
【0034】
本発明における「還元糖または還元糖を含む糖質」として、具体的には、例えば、黒砂糖や白下糖、カソナード(赤砂糖)、和三盆などの含蜜糖、白双糖や中双糖、グラニュー糖、上白糖、三温糖、角砂糖、氷砂糖、粉砂糖などの分蜜糖、ブドウ糖果糖液糖や果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、砂糖混合異性化液糖などの異性化糖のほか、転化糖、ハチミツ、メープルシロップ、メープルシュガー、パームシュガー、糖蜜、水飴などを挙げることができ、本発明においては、これらの1または複数を用いることができる。
【0035】
本発明における「アミノ化合物含有物」とは、アミノ酸やペプチド、タンパク質などのアミノ化合物を含有する物質をいい、例えば、肉類や豚骨、牛骨、鶏ガラなどの畜産物、野菜や茸などの農産物、魚介類や海藻などの水産物、酵母、それらの抽出液(いわゆるエキスやだし、ブイヨンといわれるもの)やタンパク加水分解物、化学合成あるいは微生物などを用いて生産したグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などのアミノ酸やペプチド、市販のうま味調味料や発酵調味料などを挙げることができ、本発明においては、これらの1または複数を用いることができる。また、水産物の抽出液としては、例えば、昆布だしや鰹だし、鰹昆布だし、煮干しだし、アゴだし、干し貝柱の戻し汁、干し海老の戻し汁などを、畜産物の抽出液としては、例えば、鶏ガラスープやチキンブイヨン、ビーフブイヨン、豚骨スープなどを、農産物の抽出液としては、例えば、干し椎茸の戻し汁やトマトエキスなどを挙げることができる。
【0036】
本発明における「ポリフェノール含有物」に含まれるポリフェノールの種類は、特に限定されないが、例えば、カテキン、アントシアニン、タンニン、ルチン、フラボノール、フラバノン、イソフラボンなどのフラボノイド類、クロロゲン酸などのフェノール酸、エラグ酸、セサミンなどのリグナン、クルクミン、クマリン、タンニンなどを挙げることができ、本発明における「ポリフェノール含有物」には、これらの1または複数が含まれていればよい。また、当該ポリフェノールの由来としては、例えば、茶葉、コーヒー豆、ブドウ、リンゴ、ワイン、カカオ、チョコレート、ブルーベリー、ムラサキイモ、柿、バナナ、ソバ、葛、大豆、イチゴ、ゴマ、ウコン、ショウガ、サクラの葉、パセリ、モモ、ミカンやレモン、オレンジなどの柑橘類、ジャガイモ、ゴボウ、タマネギ、ナス、黒豆などを挙げることができ、これらの1または複数を由来とするが、茶葉やコーヒー豆を由来とするのが好ましい。すなわち、本発明における「ポリフェノール含有物」は、「茶ポリフェノール含有物」および「コーヒーポリフェノール含有物」の少なくともいずれかであることが好ましい。
【0037】
茶としては、茶葉やその抽出液としての茶(茶抽出液)、お茶エキスなど、ツバキ科の常緑樹であるチャノキの葉や茎を加工したものの他、いわゆる茶外茶、代用茶といわれる、チャノキ以外の植物の部位(葉、茎、果実、花びらなど)や真菌類、動物の部位を加工したものなどを挙げることができ、例えば、普通煎茶、深蒸し煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶、玉緑茶、てん茶、抹茶、焙じ茶、玄米茶、芽茶、茎茶などの緑茶、ウーロン茶、紅茶、プアール茶、麦茶、ハトムギ茶、熊笹茶、竹茶、そば茶、ハブ茶、甜茶、甘茶、甘茶蔓茶、杜仲茶、苦丁茶、ドクダミ茶、紫蘇茶、マタタビ茶、柚子茶、陳皮茶(蜜柑の皮茶)、テチュ茶、モクァ(木瓜)茶、センガン(生姜)茶 、ボルクル(蜂蜜)茶、インサム(人参)茶 、スサム(寿参)茶、キョルミョンジャ(決明子)茶、トゥングルレ茶、オミジャ(五味子)茶、ケーピ(桂皮)茶、クッカ(菊花)茶、メシル(梅実)茶、サンスユ(山茱萸)茶などの韓国伝統茶、ハーブティー、マテ茶、コカ茶、ルイボス茶、ハニーブッシュティー、桜漬葉茶、昆布茶、梅昆布茶、パパイヤ葉茶、椎茸茶、虫糞茶(虫屎茶)、象糞茶(サバンナティー)などを挙げることができる。また、茶の発酵の程度は特に限定されず、例えば、緑茶(不発酵茶)、白茶(弱発酵茶)、青茶(半発酵茶)、紅茶(完全発酵茶・全発酵茶)、黄茶(弱後発酵茶)、黒茶(後発酵茶)などのいずれでもよく、焙煎の有無やその程度も問わず、焙煎したものでも焙煎していないものでもよい。
【0038】
コーヒーとしては、コーヒーノキの種子であるコーヒー豆やその抽出液であるコーヒー(コーヒー豆抽出液)、コーヒーエキス、インスタントコーヒーの粉末などの他、タンポポの根、サクラの木の根、ゴボウ、ジャガイモ、百合根、サクラの根、カボチャの種、ブドウの種、ピーナッツ、大豆、ドングリ、オオムギ、トウモロコシ、チコリ、玄米、根セロリなどを焙煎したものなどの、いわゆる代用コーヒーを挙げることができる。なお、本発明においては、焙煎コーヒー豆や焙煎コーヒー豆抽出液を好適なコーヒーとして用いている。
【0039】
なお、本発明において、「アミノ化合物含有物」は「還元糖または還元糖を含む糖質」および/または「ポリフェノール含有物」を、「ポリフェノール含有物」は「還元糖または還元糖を含む糖質」を兼ねてもよい。例えば、茶抽出液は、少なくともアミノ化合物含有物とポリフェノール含有物とを兼ねるものとして用いることができ、ブドウ抽出物は、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質とポリフェノール含有物とを兼ねるものとして用いることができる。
【0040】
本発明において、「塩味料」とは、食した場合に塩味を感じさせる物質である。塩味料としては、例えば、塩化ナトリウム(食塩)や塩化カリウムなどを挙げることができ、具体的には、例えば、岩塩や海水塩、湖塩などを挙げることができ、より具体的には、例えば、精製塩、粗塩、天然塩、自然塩、天日塩などを挙げることができる。
【0041】
本発明において、「酸味料」とは、食した場合に酸味を感じさせる物質であり、例えば、酢酸、酢酸ナトリウム、氷酢酸、クエン酸、クエン酸一カリウム、クエン酸三カリウム、コハク酸、 コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、アジピン酸、イタコン酸、グルコノデルタラクトン、二酸化炭素、 フィチン酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウムなどを挙げることができ、具体的には、例えば、米酢や玄米酢、黒酢、米黒酢、香酢、大麦黒酢、ハトムギ酢、きび酢、モルトビネガー、赤酢などの穀物酢(醸造酢)、粕酢、バルサミコ酢やワインビネガー、リンゴ酢、ブドウ酢、柿酢、いちじく酢、梅酢などの果実酢、さとうきび酢、もろみ酢、合成酢、ポン酢、柑橘類やブドウ、リンゴの絞り汁などの果汁などを挙げることができる。
【0042】
本発明において、「発酵産物」とは、発酵によって生成した物質、すなわち微生物の代謝や酵素、自己消化作用などにより生成した物質をいい、例えば、板粕やばら粕、練り粕、踏み込み粕、成形粕などの酒粕、味醂粕、焼酎粕、甘酒、日本酒、ビール、ワイン、納豆、味噌、醤油、チーズ、ヨーグルト、発酵バター、塩辛、漬物、みりん、酢、醤、魚醤、アンチョビ、くさや、へしこ、なれずし、鮒寿司、かぶら寿司、飯寿司、ハタハタ寿司、ピータンなどを挙げることができる。なお、本発明において、「発酵産物」は「発酵食品」と同義に用いられる場合がある。
【0043】
本発明において、「増粘剤」とは、食品に混ぜ合わせた場合に、その食品に粘性を与え、あるいは粘性を高める物質であり、例えば、ペクチン、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、ガティガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、デンプンなどを挙げることができ、具体的には、例えば、米粉、上新粉、白玉粉、リ・ファリーヌ、炊飯された米飯を粉砕したもの、片栗粉、小麦粉、寒天、ゼラチンなどを挙げることができる。なお、本発明において、「増粘剤」は「増粘安定剤」、「ゲル化剤」、「糊料」、「粘稠剤」、「結着剤」、「安定剤」、「とろみ剤」と同義に用いられる場合がある。
【0044】
本発明における少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を混ぜ合わせてなる調味料は、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を混ぜ合わせてなる調味料であってもよい。混ぜ合わせる塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤は、主として、添加の対象である飲食物に味噌風味を与える役割を担うものであり、還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱し褐変させる前ないし加熱して褐変させた後のいずれかの時点で混ぜ合わせることができる。
【0045】
本発明における還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の形態は特に限定されず、例えば、液体状、粉状、固形状、粘性体状、流動体状などを挙げることができ、これらを混ぜ合わせる場合の、各材料の配合割合や濃度は特に限定されず、各材料の種類や性質、本発明に係る調味料の用途や嗜好などに応じて適宜設定することができる。
【0046】
上述した通り、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を混ぜ合わせてなる調味料は、添加の対象である飲食物に醤油風味や味噌風味を与えるとともに醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与えることができ、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を混ぜ合わせてなる調味料は、添加の対象である飲食物に味噌風味を与えるとともに味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与えることができる。この場合において、調味料自体が醤油風味あるいは味噌風味を有してもよい。醤油風味とは、淡口醤油、濃口醤油、たまり醤油、再仕込醤油、白醤油、減塩醤油、刺身醤油、昆布醤油、土佐醤油などの醤油、またはめんつゆやだし醤油、醤油だれなどの主として醤油を含む調味料を用いた場合に、添加の対象である飲食物に与える特徴(色、香り、味など)と同じないし類似する特徴をいい、味噌風味とは、米味噌、麦味噌、豆味噌、調合味噌、赤味噌、白味噌、八丁味噌などの味噌、または味噌だれやゆず味噌、ふき味噌、金山寺味噌などの主として味噌を含む調味料を用いた場合に、添加の対象である飲食物に与える特徴と同じないし類似する特徴をいう。
【0047】
なお、本発明に係る調味料には、本発明に係る調味料の特徴を損なわない限り、還元糖もしくは還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料、または還元糖もしくは還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤以外のものを混ぜ合わせてもよく、例えば、甘味料、旨味調味料、酒類、香辛料、増粘剤、安定剤、乳化剤、発酵産物、pH調整剤、発色剤、着色料、漂白剤、香料、保存料、酸化防止剤、膨張剤、油脂類、大根おろし、梅干、生姜、柚子といった薬味類などを混ぜ合わせることができるが、特に食物アレルギー対応の調味料を製造する場合、個々の原材料のアレルゲンに対し十分考慮し原材料を選択する必然性がある。
【0048】
次に、本発明は、本発明に係る調味料を添加した飲食物を提供する。本発明に係る調味料を添加した飲食物において、その添加の時点は特に限定されず、例えば、飲食物の調理前ないし調理後に添加することができる。本発明に係る調味料を添加した飲食物としては、例えば、野菜の(味噌)煮物、(味噌)おでん、刺身、寿司、焼き豚、豚角煮、すきやき、佃煮、魚の(醤油、味噌)煮付け、めんつゆ、炊き込みごはん、各種照り焼き、味噌焼、蒲焼き、(味噌煮込み)うどん、(醤油、味噌)ラーメン、サラダ、(醤油、味噌)漬、味噌汁、(味噌)田楽、酢味噌和え、(醤油、味噌)たれなどを挙げることができる。
【0049】
次に、本第一実施形態における新規調味料の製造方法について説明する。本第一実施形態における新規調味料の製造方法は、下記(i)および(ii)の工程を有する;
(i)下記(a)または(b)の工程、
(a)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて褐変させて調味料用褐変物を得る工程、
(b)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させて調味料用褐変物を得る工程、
(ii)塩味料および酸味料を前記調味料用褐変物に混ぜ合わせる工程。
【0050】
(i)の(a)および(b)の工程は、調味料としての添加の対象である飲食物に醤油風味や味噌風味を与えるための工程である他、主として、調味料としての添加の対象である飲食物に醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与えるための工程である。(i)の(a)および(b)の工程において、還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせる順序は特に限定されない。また、(ii)の工程は、主として、調味料としての添加の対象である飲食物に醤油風味や味噌風味を与えるための工程である。ここで、(ii)の工程は、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を調味料用褐変物に混ぜ合わせる工程であってもよい。この場合の工程は、主として、調味料としての添加の対象である飲食物に味噌風味を与えるための工程である。
【0051】
次に、本第二実施形態における新規調味料の製造方法について説明する。本第二実施形態における新規調味料の製造方法は、下記(iii)または(iv)の工程を有する;
(iii)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを混ぜ合わせて褐変させる工程、
(iv)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを混ぜ合わせて加熱することにより褐変させる工程。
【0052】
(iii)および(iv)の工程において、還元糖または還元糖を含む糖質やアミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物は、加熱されることで添加の対象である飲食物に醤油風味や味噌風味を与える役割を担う他、主として、添加の対象である飲食物に醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与える役割を担っている。また、塩味料や酸味料は、主として、添加の対象である飲食物に醤油風味や味噌風味を与える役割を担っている。ここで、還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物、ならびに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを混ぜ合わせる順序は特に限定されない。例えば、(iii)または(iv)の工程の態様として、次の1)〜3)を挙げることができる;
1)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を混ぜ合わせて褐変させる態様、
2)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物および塩味料を混ぜ合わせて褐変させる態様、
3)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物および酸味料を混ぜ合わせて褐変させる態様。
【0053】
なお、本第二実施形態における新規調味料の製造方法によれば、添加の対象である飲食物に醤油風味や味噌風味を与えるとともに醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与えることができる調味料を製造することができる。
【0054】
次に、本第三実施形態における新規調味料の製造方法について説明する。本第三実施形態における新規調味料の製造方法は、下記(v)または(vi)の工程を有する;
(v)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを混ぜ合わせて褐変させる工程、
(vi)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを混ぜ合わせて加熱することにより褐変させる工程。
【0055】
(v)および(vi)の工程において、還元糖または還元糖を含む糖質やアミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物は、加熱されることで添加の対象である飲食物に味噌風味を与える役割を担う他、主として、添加の対象である飲食物に味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与える役割を担っている。また、塩味料や酸味料、発酵産物、増粘剤は、主として、添加の対象である飲食物に味噌風味を与える役割を担っている。ここで、還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物、ならびに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを混ぜ合わせる順序は特に限定されない。例えば、(v)または(vi)の工程の態様として、次の4)〜18)を挙げることができる;
4)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物および塩味料を混ぜ合わせて褐変させる態様、
5)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物および酸味料を混ぜ合わせて褐変させる態様、
6)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物および発酵産物を混ぜ合わせて褐変させる態様、
7)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物および増粘剤を混ぜ合わせて褐変させる態様、
8)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を混ぜ合わせて褐変させる態様、
9)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および発酵産物を混ぜ合わせて褐変させる態様、
10)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および増粘剤を混ぜ合わせて褐変させる態様、
11)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、酸味料および発酵産物を混ぜ合わせて褐変させる態様、
12)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、酸味料および増粘剤を混ぜ合わせて褐変させる態様、
13)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、発酵産物および増粘剤を混ぜ合わせて褐変させる態様、
14)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料および発酵産物を混ぜ合わせて褐変させる態様、
15)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、酸味料、発酵産物および増粘剤を混ぜ合わせて褐変させる態様、
16)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、発酵産物および増粘剤を混ぜ合わせて褐変させる態様、
17)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料および増粘剤を混ぜ合わせて褐変させる態様、
18)還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を混ぜ合わせて褐変させる態様。
【0056】
なお、本第三実施形態における新規調味料の製造方法によれば、添加の対象である飲食物に味噌風味を与えるとともに味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与えることができる調味料を製造することができる。
【0057】
本発明に係る調味料の製造方法には、本発明に係る調味料の製造方法の特徴を損なわない限り、他の工程を有してもよく、例えば、ポリフェノール含有物の抽出工程やアミノ化合物含有物の抽出工程、加熱溶解工程、粉砕工程、濾過工程、殺菌工程、食品添加物を添加する工程などを有してもよい。
【0058】
また、本発明は、本発明に係る調味料の製造方法により製造された調味料を添加した飲食物を提供する。本発明に係る調味料の製造方法により製造された調味料を添加した飲食物において、その添加の時点は特に限定されず、例えば、飲食物の調理前ないし調理後に添加することができる。本発明に係る調味料の製造方法により製造された調味料を添加した飲食物としては、上述の本発明に係る調味料を添加した飲食物と同様の飲食物を挙げることができる。
【0059】
次に、本第一実施形態における加工食品の製造方法について説明する。本第一実施形態における加工食品の製造方法は、下記(I)および(II)の工程を有する;
(I)下記(A)または(B)の工程、
(A)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して褐変させて調味料/原材料褐変物を得る工程、
(B)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して加熱することにより褐変させて調味料/原材料褐変物を得る工程、
(II)塩味料および酸味料を前記調味料/原材料褐変物に添加する工程。
【0060】
加工食品は、一般に、肉類、魚介類、卵類、牛乳、穀物、豆類、芋類、野菜、山菜、海藻、種実類、果物、ハーブなどといった加工が施されていない天然の食品(生鮮食品)に何らかの加工を施した食品をいう。本発明における「加工食品」としては、具体的には、例えば、総菜、レトルト食品(レトルトパウチ食品)、缶詰、瓶詰、練り製品、インスタント食品、フリーズドライ食品、冷凍食品、宇宙食などを挙げることができる。また、本発明における「食品原材料」は、生鮮食品と加工食品のいずれでもよい。
【0061】
(I)の(A)および(B)の工程は、食品原材料に醤油風味や味噌風味を与えるための工程である他、主として、添加の対象である食品原材料に醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与えるための工程である。ここで、加工の対象である食品原材料を褐変させるためには、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物が存在するという条件と、加熱するという条件とを満たす必要があるが、当該食品原材料が加熱条件下においてアミノ化合物を滲出する場合には、アミノ化合物含有物を添加しなくてもよく、添加してもよい。本発明において、アミノ化合物含有物を添加しなくてもよく、添加してもよい行程が上述した(I)の(A)および(B)の行程であるのに対し、アミノ化合物含有物を添加する行程は下記(III)の(C)および(D)の工程である;
(III)下記(C)または(D)の工程、
(C)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して褐変させて調味料/原材料褐変物を得る工程、
(D)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して加熱することにより褐変させて調味料/原材料褐変物を得る工程。
【0062】
また、(I)の(A)および(B)の工程において、食品原材料に還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を添加する順序、ならびに(III)の(C)および(D)の工程において、食品原材料に還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を添加する順序は特に限定されない。さらに、(II)の工程は、主として、食品原材料に醤油風味や味噌風味を与えるための工程であるが、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を調味料/原材料褐変物に添加する工程であってもよい。この場合の工程は、主として、食品原材料に味噌風味を与えるための工程となる。
【0063】
次に、本第二実施形態における加工食品の製造方法について説明する。本第二実施形態における加工食品の製造方法は、下記(IV)または(V)の工程を有する;
(IV)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを添加して褐変させる工程、
(V)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを添加して加熱することにより褐変させる工程。
【0064】
(IV)および(V)の工程において、還元糖または還元糖を含む糖質やポリフェノール含有物は、加熱されることで食品原材料に醤油風味や味噌風味を与える役割を担う他、主として、食品原材料に醤油や味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与える役割を担っている。また、塩味料や酸味料は、主として、食品原材料に醤油風味や味噌風味を与える役割を担っている。ここで、還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物、ならびに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを食品原材料に添加する順序は特に限定されない。例えば、(IV)または(V)の工程の態様として、次の19)〜21)を挙げることができる;
19)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を食品原材料に添加して褐変させる態様、
20)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物および塩味料を食品原材料に添加して褐変させる態様、
21)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物および酸味料を食品原材料に添加して褐変させる態様。
【0065】
なお、上述したように、当該食品原材料が加熱条件下においてアミノ化合物を滲出する場合には、アミノ化合物含有物を添加しなくてもよく、添加してもよい。本発明において、アミノ化合物含有物を添加しなくてもよく、添加してもよい行程が上述した(IV)および(V)の工程であるのに対し、アミノ化合物含有物を添加する行程は下記(VI)および(VII)の工程である;
(VI)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを添加して褐変させる工程、
(VII)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを添加して加熱することにより褐変させる工程。
【0066】
次に、本第三実施形態における加工食品の製造方法について説明する。本第三実施形態における加工食品の製造方法は、下記(VIII)または(IX)の工程を有する;
(VIII)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを添加して褐変させる工程、
(IX)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを添加して加熱することにより褐変させる工程。
【0067】
(VIII)および(IX)の工程において、還元糖または還元糖を含む糖質やポリフェノール含有物は、加熱されることで食品原材料に味噌風味を与える役割を担う他、主として、食品原材料に味噌を用いて調理した場合と同じような色合いを与える役割を担っている。また、塩味料や酸味料、発酵産物、増粘剤は、主として、食品原材料に味噌風味を与える役割を担っている。ここで、還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物、ならびに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを食品原材料に添加する順序は特に限定されない。例えば、(VIII)または(IX)の工程の態様として、次の22)〜36)を挙げることができる;
22)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物および塩味料を食品原材料に添加して褐変させる態様、
23)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物および酸味料を食品原材料に添加して褐変させる態様、
24)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物および発酵産物を食品原材料に添加して褐変させる態様、
25)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物および増粘剤を食品原材料に添加して褐変させる態様、
26)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を食品原材料に添加して褐変させる態様、
27)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、塩味料および発酵産物を食品原材料に添加して褐変させる態様、
28)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、塩味料および増粘剤を食品原材料に添加して褐変させる態様、
29)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、酸味料および発酵産物を食品原材料に添加して褐変させる態様、
30)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、酸味料および増粘剤を食品原材料に添加して褐変させる態様、
31)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、発酵産物および増粘剤を食品原材料に添加して褐変させる態様、
32)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料および発酵産物を食品原材料に添加して褐変させる態様、
33)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、酸味料、発酵産物および増粘剤を食品原材料に添加して褐変させる態様、
34)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、塩味料、発酵産物および増粘剤を食品原材料に添加して褐変させる態様、
35)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料および増粘剤を食品原材料に添加して褐変させる態様、
36)還元糖または還元糖を含む糖質、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を食品原材料に添加して褐変させる態様。
【0068】
同様に、当該食品原材料が加熱条件下においてアミノ化合物を滲出する場合には、アミノ化合物含有物を添加しなくてもよく、添加してもよい。本発明において、アミノ化合物含有物を添加してもよく、添加しなくてもよい行程が上述した(VIII)および(IX)の行程であるのに対し、アミノ化合物含有物を添加する行程は下記(X)および(XI)の工程である;
(X)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを添加して褐変させる工程、
(XI)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを添加して加熱することにより褐変させる工程。
【0069】
本発明に係る加工食品の製造方法には、本発明に係る加工食品の製造方法の特徴を損なわない限り、他の工程を有してもよく、例えば、ポリフェノール含有物の抽出工程やアミノ化合物含有物の抽出工程、加熱溶解工程、食品原材料の洗浄工程、殺菌工程、食品添加物を添加する工程などを有してもよい。
【0070】
以下、本発明に係る新規調味料、当該新規調味料を添加した飲食物、当該新規調味料の製造方法および加工食品の製造方法について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
【実施例】
【0071】
<実施例1>醤油風味を与える調味料の製造
還元糖を含む糖質としてグラニュー糖および黒砂糖を、アミノ化合物含有物として昆布だしを、ポリフェノール含有物として各種の茶抽出液またはコーヒー豆抽出液を、塩味料として食塩を、酸味料として米酢をそれぞれ用いて醤油風味を与える調味料を製造した。
【0072】
(1)ポリフェノール含有物の調製
ポリフェノール含有物として、緑茶抽出液、焙煎緑茶抽出液、ウーロン茶抽出液、焙煎ウーロン茶抽出液、紅茶抽出液、プアール茶抽出液および焙煎コーヒー豆抽出液を調製した。1000mLの水に、緑茶の茶葉35g、170℃にて7分間焙煎した焙煎緑茶の茶葉45g、ウーロン茶の茶葉35g、170℃にて7分間焙煎した焙煎ウーロン茶の茶葉45g、紅茶の茶葉20g、プアール茶の茶葉27gおよび焙煎コーヒー豆粉砕物20gをそれぞれ加え、加熱して95℃にて5分間煮出した。続いて、冷却した後、ろ過して液体を回収し、それぞれ、緑茶抽出液、焙煎緑茶抽出液、ウーロン茶抽出液、焙煎ウーロン茶抽出液、紅茶抽出液、プアール茶抽出液および焙煎コーヒー豆抽出液とした。
【0073】
(2)ポリフェノール非含有物(焙煎米抽出液)の調製
本実施例1(1)の緑茶の茶葉35gを、170℃にて15分間焙煎した焙煎米15gに代えて、本実施例1(1)に記載の方法を行い、焙煎米抽出液を得た。
【0074】
(3)昆布だしの調製
1000mLの水に昆布30gを加え、加熱して95℃にて15分間煮出した。続いて、冷却した後、ろ過して液体を回収し、これを昆布だしとした。
【0075】
(4)鰹昆布だしの調製
1000mLの水に昆布30gを加え、加熱して95℃にて15分間煮出した。次に、昆布を取り出して鰹節30gを加えた後、加熱して100℃にて15分間煮出した。続いて、冷却した後、ろ過して液体を回収し、これを鰹昆布だしとした。
【0076】
(5)混合液の調製
本実施例1(1)の各種のポリフェノール含有物、本実施例1(2)のポリフェノール非含有物または水303g、本実施例1(3)の昆布だし150g、グラニュー糖450g、黒砂糖25gおよび食塩72gを混ぜ合わせて混合液を調製し、gs’液、rgs’液、us’液、rus’液、bs’液、ps’液、cs’液、rrs’液およびws’液とした。各混合液に混ぜ合わせたポリフェノール含有物、ポリフェノール非含有物または水は下記のとおりである。
gs’液:本実施例1(1)の緑茶抽出液
rgs’液:本実施例1(1)の焙煎緑茶抽出液
us’液:本実施例1(1)のウーロン茶抽出液
rus’液:本実施例1(1)の焙煎ウーロン茶抽出液
bs’液:本実施例1(1)の紅茶抽出液
ps’液:本実施例1(1)のプアール茶抽出液
cs’液:本実施例1(1)の焙煎コーヒー豆抽出液
rrs’液:本実施例1(2)の焙煎米抽出液
ws’液:水
【0077】
また、比較対象として、水、市販の淡口醤油または濃口醤油、グラニュー糖および食塩を混ぜ合わせて混合液を調製し、US’液、S15’液、S20’液およびS25’液とした。各混合液の組成は下記のとおりである。
US’液:水329.5g、淡口醤油150g、グラニュー糖475g、食塩45.5g
S15’液:水325.5g、濃口醤油150g、グラニュー糖475g、食塩49.5g
S20’液:水283.0g、濃口醤油200g、グラニュー糖475g、食塩42.0g
S25’液:水240.5g、濃口醤油250g、グラニュー糖475g、食塩34.5g
【0078】
gs’液、rgs’液、us’液、rus’液、bs’液、ps’液、cs’液、rrs’液、ws’液、US’液、S15’液、S20’液およびS25’液を中心温度100℃で5分間(100℃/5分)加熱することにより第一段階加熱を行って、混ぜ合わせた各材料を溶解した後、冷却した。
【0079】
(6)醤油風味を与える調味料の製造
[6−1]還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて第二段階加熱を行った場合
本実施例1(5)のgs’液、rgs’液、us’液、rus’液、bs’液、ps’液、cs’液、rrs’液およびws’液それぞれ198gを瓶に入れ、脱気、密封した。続いて、100℃/30分、121℃/5分、121℃/10分または121℃/20分加熱することにより第二段階加熱を行って褐変させ、冷却した後、各液に米酢2gを混ぜ合わせて、本実施例1(4)の鰹昆布だし50gを添加した。続いて、100℃/10分加熱することにより第三段階加熱を行って滅菌して、これを調味料とした。gs’液、rgs’液、us’液、rus’液、bs’液、ps’液、cs’液、rrs’液およびws’液の各混合液から製造した調味料を、それぞれgs液、rgs液、us液、rus液、bs液、ps液、cs液、rrs液およびws液とした。
【0080】
[6−2]還元糖を含む糖質およびアミノ化合物含有物を混ぜ合わせて第二段階加熱を行い、その後にポリフェノール含有物を混ぜ合わせた場合
本実施例1(5)のws’液198gを瓶に入れ、脱気、密封した。続いて、121℃/20分加熱することにより第二段階加熱を行って褐変させて冷却した後、138gに濃縮し、本実施例1(1)の焙煎ウーロン茶抽出液または本実施例1(1)の焙煎コーヒー豆抽出液60gおよび米酢2gを混ぜ合わせ、本実施例1(4)の鰹昆布だし50gを添加した。続いて、100℃/10分加熱することにより第三段階加熱を行って滅菌し、これを調味料とした。焙煎ウーロン茶抽出液を混ぜ合わせて製造した調味料をws+ru液とし、焙煎コーヒー豆抽出液を混ぜ合わせて製造した調味料をws+c液とした。
【0081】
(7)比較対象調味料の調製
本実施例1(5)のUS’液、S15’液、S20’液およびS25’液それぞれ200gについては、第二段階加熱は行わずに、本実施例1(4)の鰹昆布だし50gを添加した後、100℃/10分加熱することにより第三段階加熱を行って滅菌し、これを比較対象調味料とした。US’液、S15’液、S20’液およびS25’液の各混合液から調製した比較対象調味料を、それぞれUS液、S15液、S20液およびS25液とした。
【0082】
<実施例2>醤油風味を与える調味料を添加した切干大根の煮付け
実施例1の調味料および比較対象調味料を添加して切り干し大根の煮付けを調理し、官能検査を行った。
【0083】
(1)切干大根の煮付けの調理
実施例1(6)[6−1]のgs液、rgs液、us液、rus液、bs液、ps液およびcs液、実施例1(6)[6−2]のws+ru液およびws+c液ならびに実施例1(7)のUS液、S15液、S20液およびS25液を添加して、常法に従い切干大根の煮付けを調理した。
【0084】
(2)官能検査
本実施例2(1)の切干大根の煮付けについて、よく訓練されているパネル10名により官能検査をおこなった。官能検査の評価項目は、醤油を用いた場合に得られる色、香り、味の計3項目とした。また、評価基準の数値を、比較対象調味料を添加した場合において以下の通り定めて、5段階評価(優れている:5〜劣っている:1)により評価した。
色: US液を添加した場合の色 2.0
S15液を添加した場合の色 3.0
S20液を添加した場合の色 3.5
S25液を添加した場合の色 4.0
味: S20液を添加した場合の香り 3.5
香り:S20液を添加した場合の味 3.5
【0085】
得られた評価点について、色について平均値を算出した結果を図1に、香りについて平均値を算出した結果を図2に、味について平均値を算出した結果を図3にそれぞれ示す。図中、※印は評価基準として設定した数値を示す。
【0086】
図1に示すように、色については、gs液、rgs液、us液、rus液、bs液、ps液およびcs液を添加したものは、US液、S15液、S20液およびS25液を添加したものと比較して、第二段階加熱の条件が100℃/30分の場合はやや低い評価点(薄い色)であったが、121℃/5分、121℃/10分および121℃/20分の場合は、ほぼ同様の評価点(同様の色)であった。これに対し、rrs液およびws液を添加したものは、US液、S15液、S20液およびS25液を添加したものと比較して、第二段階加熱の条件が100℃/30分、121℃/5分、121℃/10分および121℃/20分のいずれの場合においても低い評価点(薄い色)であった。また、ws−ruおよび液ws−c液を添加したものは、US液、S15液、S20液およびS25液を添加したもの、ならびにrus液およびcs液を添加したもののうち第二段階加熱の条件が同じ(121℃/20分)であるものとそれぞれ比較して、低い評価点(薄い色)であった。
【0087】
次に、図2および図3に示すように、香りおよび味については、gs液、rgs液、us液、rus液、bs液、ps液およびcs液を添加したものは、US液、S15液、S20液およびS25液を添加したものと比較して、第二段階加熱の条件が100℃/30分および121℃/5分の場合はやや低い評価点であったが、121℃/10分および121℃/20分の場合は、ほぼ同様の評価点であった。これに対し、rrs液およびws液を添加したものは、US液、S15液、S20液およびS25液を添加したものと比較して、第二段階加熱の条件が100℃/30分、121℃/5分、121℃/10分および121℃/20分のいずれの場合においても低い値であった。また、ws−ru液およびws−c液を添加したものは、US液、S15液、S20液およびS25液を添加したもの、ならびにrus液およびcs液を添加したもののうち第二段階加熱の条件が同じ(121℃/20分)であるものとそれぞれ比較して、低い評価点であった。
【0088】
これらの結果より、第二段階加熱の条件が121℃/5分、121℃/10分および121℃/20分であるgs液、rgs液、us液、rus液、bs液、ps液およびcs液を添加した切干大根の煮付けは、US液、S15液、S20液およびS25液を添加した切干大根の煮付けと比較して、ほぼ同様の色、香りおよび味を呈することが明らかになったことから、少なくとも還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物および塩味料を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させて酸味料を混ぜ合わせると、色、香り、味などについて、醤油を用いた場合に得られる特徴と同じあるいは類似する特徴、すなわち添加の対象である飲食物に醤油風味を与える調味料を製造することができることが示された。一方、rrs液およびws液を添加した切干大根の煮付けは、US液、S15液、S20液およびS25液を添加した切干大根の煮付けと比較して、醤油風味が劣ることが明らかになったことから、添加の対象である飲食物に醤油風味を与える調味料の製造には、ポリフェノール含有物が必要であることが示された。さらに、ws−ru液およびws−c液を添加した切干大根の煮付けは、US液、S15液、S20液およびS25液、ならびに第二段階加熱の条件が同じ(121℃/20分)であるrus液およびcs液を添加した切干大根の煮付けとそれぞれ比較して、醤油風味が劣ることが明らかになったことから、添加の対象である飲食物に醤油風味を与える調味料の製造には、少なくとも還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させることが必要であることが示された。
【0089】
<実施例3>醤油風味を有する加工食品の製造(さんまの醤油煮風煮物の瓶詰)
食品原材料として用いた場合に、完成した加工食品においてレトルト臭や生臭さが残存し易いことが知られる解凍生さんまの切り身について、醤油風味を有する加工食品(さんまの醤油煮風煮物の瓶詰)を製造し、官能検査を行った。
【0090】
(1)ポリフェノール含有物および昆布だしの調製
昆布だしは、実施例1(3)と同じものを用意した。また、ポリフェノール含有物としては、実施例1(1)と同様、緑茶抽出液、焙煎緑茶抽出液、ウーロン茶抽出液、焙煎ウーロン茶抽出液、紅茶抽出液、プアール茶抽出液および焙煎コーヒー豆抽出液を調製した。具体的には、1000mLの水に、緑茶の茶葉30g、170℃にて7分間焙煎した焙煎緑茶の茶葉35g、ウーロン茶の茶葉25g、170℃にて7分間焙煎した焙煎ウーロン茶の茶葉35g、紅茶の茶葉15g、プアール茶の茶葉20gおよび焙煎コーヒー豆粉砕物15gをそれぞれ加え、加熱して95℃にて5分間煮出した。続いて、冷却した後、ろ過して液体を回収し、それぞれ、緑茶抽出液、焙煎緑茶抽出液、ウーロン茶抽出液、焙煎ウーロン茶抽出液、紅茶抽出液、プアール茶抽出液および焙煎コーヒー豆抽出液とした。
【0091】
(2)混合液の調製
本実施例3(1)の各種のポリフェノール含有物418gおよび昆布だし200g、グラニュー糖300g、黒砂糖15g、食塩47gならびに米酢20gを混ぜ合わせて混合液を調製し、gs2’液、rgs2’液、us2’液、rus2’液、bs2’液、ps2’液およびcs2’液とした。各混合液に混ぜ合わせたポリフェノール含有物は下記のとおりである。
gs2’液:本実施例3(1)の緑茶抽出液
rgs2’液:本実施例3(1)の焙煎済緑茶抽出液
us2’液:本実施例3(1)のウーロン茶抽出液
rus2’液:本実施例3(1)の焙煎済ウーロン茶抽出液
bs2’液:本実施例3(1)の紅茶抽出液
ps2’液:本実施例3(1)のプアール茶抽出液
cs2’液:本実施例3(1)のコーヒー豆抽出液
【0092】
また、比較対象として、水498g、市販の濃口醤油165g、グラニュー糖315gおよび食塩22gを混ぜ合わせて混合液を調製し、S’液とした。
【0093】
gs2’液、rgs2’液、us2’液、rus2’液、bs2’液、ps2’液、cs2’液およびS’液を100℃/5分加熱することにより第一段階加熱を行って、混ぜ合わせた各材料を溶解した後、冷却した。
【0094】
(3)さんまの醤油煮風煮物の瓶詰の製造
解凍生さんまの切り身100gおよび生姜1gを瓶に入れ、本実施例3(2)のgs2’液、rgs2’液、us2’液、rus2’液、bs2’液、ps2’液、cs2’液およびS’液それぞれ30gを添加して、脱気、密封した。続いて、121℃/5分、121℃/10分、または121℃/20分加熱することにより第二段階加熱を行って褐変させて、さんまの醤油煮風煮物の瓶詰を製造した。
【0095】
(4)官能検査
本実施例3(3)のさんまの醤油煮風煮物について、よく訓練されているパネル10名により官能検査をおこなった。官能検査の評価項目は、醤油を用いた場合に得られる色、香り、味、レトルト臭や生臭さの抑制度の計4項目とした。また、評価基準の数値を、S’液を用いた場合において3.0と定めて、5段階評価(優れている:5〜劣っている:1)により評価した。得られた評価点について、色について平均値を算出した結果を図4に、香りについて平均値を算出した結果を図5に、味について平均値を算出した結果を図6に、レトルト臭や生臭さの抑制度について平均値を算出した結果を図7にそれぞれ示す。図中、※印は評価基準として設定した数値を示す。
【0096】
図4に示すように、色については、gs2’液、rgs2’液、us2’液、rus2’液、bs2’液、ps2’液およびcs2’液を添加したものは、S’液を添加したものと比較して、第二段階加熱の条件が121℃/5分の場合はやや低い評価点(薄い色)であったが、121℃/10分および121℃/20分の場合はほぼ同様の評価点(同様の色)であった。
【0097】
次に、図5および図6に示すように、香りおよび味については、gs2’液、rgs2’液、us2’液、rus2’液、bs2’液、ps2’液およびcs2’液を添加したものは、S’液を添加したものと比較して、第二段階加熱の条件が121℃/5分および121℃/10分の場合はほぼ同様の評価点であったが、121℃/20分の場合は顕著に高い評価点であった。
【0098】
次に、図7に示すように、レトルト臭や生臭さの抑制度については、gs2’液、rgs2’液、us2’液、rus2’液、bs2’液、ps2’液およびcs2’液を添加したものは、S’液を添加したものと比較して、第二段階加熱の条件が121℃/5分および121℃/10分の場合は概ね高い評価点であり、121℃/20分の場合は顕著に高い評価点であった。
【0099】
これらの結果より、gs2’液、rgs2’液、us2’液、rus2’液、bs2’液、ps2’液およびcs2’液を添加して加熱することにより褐変させて製造したさんまの醤油煮風煮物は、S’液を添加して加熱することにより褐変させて製造したさんまの醤油煮風煮物と比較して、加熱の程度が比較的小さい場合はほぼ同様の醤油風味を有し、加熱の程度が比較的大きい場合はより優れた醤油風味を有することが明らかになった。一方、s2’液、rgs2’液、us2’液、rus2’液、bs2’液、ps2’液およびcs2’液を添加して加熱することにより褐変させて製造したさんまの醤油煮風煮物は、S’液を添加して加熱することにより褐変させて製造したさんまの醤油煮風煮物と比較して、加熱の程度に関わらず、レトルト臭や生臭さの抑制度において優れていることが明らかになったことから、還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を食品原材料に添加し、加熱して褐変させることにより、市販の醤油を用いた加工食品と比較して、ほぼ同様もしくはより優れた醤油風味を有し、かつレトルト臭や生臭さが抑制された加工食品を製造することができることが示された。なお、水産物の生臭さを抑制するため、従来、茶カテキンが有効とされているが、焙煎コーヒー豆の成分にその抑制効果があることも示された。
【0100】
<実施例4>醤油風味を有する加工食品の製造(さんまの醤油煮風煮物の瓶詰;アミノ化合物含有物である昆布だしを添加しない場合)
ポリフェノール含有物として焙煎コーヒー豆抽出液を用いて、実施例3(1)〜(3)に記載の方法に従い、さんまの醤油煮風煮物の瓶詰を製造した。ただし、混合液の調製において、昆布だしは添加していない。
【0101】
製造したさんまの醤油煮風煮物について、実施例3(4)に記載の方法に従って官能検査を行ったところ、色、香り、味およびレトルト臭や生臭さの抑制度のいずれについても、実施例3のcs2’液を添加したものと比較して、同様の評価点であった。この結果から、さんまのように加熱条件下でアミノ化合物を滲出する食品原材料を加工の対象とする場合、実施例3(1)〜(3)に記載の方法においてアミノ化合物含有物の添加を行わなくても、市販の醤油を用いた加工食品と比較して、ほぼ同様もしくはより優れた醤油風味を有し、かつレトルト臭や生臭さが抑制された加工食品を製造することができることが示された。
【0102】
<実施例5>味噌風味を与える調味料の製造
還元糖を含む糖質としてグラニュー糖および黒砂糖を、アミノ化合物含有物として昆布だしを、ポリフェノール含有物として各種の茶抽出液またはコーヒー豆抽出液を、塩味料として食塩を、酸味料として米酢を、発酵産物として酒粕を、増粘剤として米粉および寒天をそれぞれ用いて味噌風味を与える調味料(味噌おでんのたれ)を製造し、官能検査を行った。
【0103】
(1)ポリフェノール含有物の調製
ポリフェノール含有物として、実施例1(1)、実施例3(1)および実施例4と同様、緑茶抽出液、焙煎緑茶抽出液、ウーロン茶抽出液、焙煎ウーロン茶抽出液、紅茶抽出液、プアール茶抽出液および焙煎コーヒー豆抽出液を調製した。具体的には、1000mLの水に、緑茶の茶葉30g、170℃にて7分間焙煎した焙煎緑茶の茶葉35g、ウーロン茶の茶葉30g、170℃にて7分間焙煎した焙煎ウーロン茶の茶葉35g、紅茶の茶葉20g、プアール茶の茶葉27gおよび焙煎コーヒー豆粉砕物25gをそれぞれ加え、加熱して95℃にて5分間煮出した。続いて、冷却した後、ろ過して液体を回収し、それぞれ、緑茶抽出液、焙煎緑茶抽出液、ウーロン茶抽出液、焙煎ウーロン茶抽出液、紅茶抽出液、プアール茶抽出液および焙煎コーヒー豆抽出液とした。
【0104】
(2)ポリフェノール非含有物(焙煎米抽出液)の調製
実施例1(2)の170℃にて15分間焙煎した焙煎米15gを30gとして、焙煎米抽出液を得た。
【0105】
(3)鰹だしの調製
1000mLの水に鰹節30gを加え、加熱して100℃にて15分間煮出した。続いて、冷却した後、ろ過して液体を回収し、これを鰹だしとした。
【0106】
(4)鰹昆布だしの調製
鰹昆布だしは、実施例1(4)と同じものを用意した。
【0107】
(5)混合液の調製
本実施例5(1)の各種のポリフェノール含有物、本実施例5(2)のポリフェノール非含有物または水150g、本実施例5(3)の鰹だし200g、グラニュー糖320g、黒砂糖20g、食塩54g、酒粕50g、米粉40g、米酢20g、寒天2gおよび水144gを混ぜ合わせて混合液を調製し、gm’液、rgm’液、um’液、rum’液、bm’液、pm’液、cm’液、rrm’液およびwm’液とした。各混合液に用いたポリフェノール含有物、ポリフェノール非含有物または水は下記のとおりである。
gm’液:本実施例5(1)の緑茶抽出液
rgm’液:本実施例5(1)の焙煎緑茶抽出液
um’液:本実施例5(1)のウーロン茶抽出液
rum’液:本実施例5(1)の焙煎ウーロン茶抽出液
bm’液:本実施例5(1)の紅茶抽出液
pm’液:本実施例5(1)のプアール茶抽出液
cm’液:本実施例5(1)の焙煎コーヒー豆抽出液
rrm’液:本実施例5(2)の焙煎米抽出液
wm’液:水
【0108】
また、比較対象として、市販の色が比較的薄い味噌または色が比較的濃い味噌150g、グラニュー糖320g、黒砂糖20g、食塩36g、寒天2gおよび水472gを混ぜ合わせて混合液を調製した。色が比較的薄い味噌を混ぜ合わせたものをMi’液とし、色が比較的濃い味噌を混ぜ合わせたものをMii’液とした。
【0109】
gm’液、rgm’液、um’液、rum’液、bm’液、pm’液、cm’液、rrm’液、wm’液、Mi’液およびMii’液を100℃/5分加熱することにより第一段階加熱を行って混ぜ合わせた各材料を溶解した後、冷却した。
【0110】
(6)味噌風味を与える調味料(味噌おでんのたれ)の製造
[6−1]還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて第二段階加熱を行った場合
本実施例5(5)のgm’液、rgm’液、um’液、rum’液、bm’液、pm’液、cm’液、rrm’液およびwm’液それぞれ200gを瓶に入れ、脱気、密封した。続いて、100℃/30分、121℃/5分、121℃/10分または121℃/20分加熱することにより第二段階加熱を行って褐変させ、冷却した後、各液に本実施例5(4)の鰹昆布だし50gを添加した。続いて、100℃/10分加熱することにより第三段階加熱を行って滅菌し、これを調味料(味噌おでんのたれ)とした。gm’液、rgm’液、um’液、rum’液、bm’液、pm’液、cm’液、rrm’液およびwm’液の各混合液から製造した味噌おでんのたれを、それぞれgm液、rgm液、um液、rum液、bm液、pm液、cm液、rrm液およびwm液とした。
【0111】
[6−2]還元糖を含む糖質およびアミノ化合物含有物を混ぜ合わせて第二段階加熱を行い、その後にポリフェノール含有物を混ぜ合わせた場合
本実施例5(5)のwm’液200gを瓶に入れ、脱気、密封した。続いて、121℃/20分加熱することにより第二段階加熱を行って褐変させて冷却した後、170gに濃縮し、本実施例5(1)の焙煎ウーロン茶抽出液または本実施例5(1)の焙煎コーヒー豆抽出液30gを混ぜ合わせ、本実施例5(4)の鰹昆布だし50gを添加した。続いて、100℃/10分加熱することにより第三段階加熱を行って滅菌し、これを調味料(味噌おでんのたれ)とした。焙煎ウーロン茶抽出液を混ぜ合わせて製造した味噌おでんのたれをwm+ru液とし、焙煎コーヒー豆抽出液を混ぜ合わせて製造した味噌おでんのたれをwm+c液とした。
【0112】
(7)比較対象調味料の調製
本実施例5(5)のMi’液およびMii’液それぞれ200gについては、第二段階加熱は行わずに、本実施例5(4)の鰹昆布だし50gを添加した後、100℃/10分加熱滅菌することにより第三段階加熱を行って滅菌し、これを比較対象調味料とした。Mi’液およびMii’液の各混合液から調製した比較対象調味料を、それぞれMi液およびMii液とした。
【0113】
(8)官能検査
本実施例5(6)[6−1]のgm液、rgm液、um液、rum液、bm液、pm液、cm液、rrm液およびwm液、本実施例5(6)[6−2]のwm+ru液およびwm+c液、ならびに本実施例5(7)のMi液およびMii液について、よく訓練されているパネル10名により官能検査をおこなった。官能検査の評価項目は、味噌を用いた場合に得られる色、香り、味の計3項目とした。また、評価基準の数値を、Mi液の場合において3.0と定めて、5段階評価(優れている:5〜劣っている:1)により評価した。得られた評価点について、色について平均値を算出した結果を図8に、香りについて平均値を算出した結果を図9に、味について平均値を算出した結果を図10にそれぞれ示す。図中、※印は評価基準として設定した数値を示す。
【0114】
図8に示すように、色については、gm液、rgm液、um液およびrum液、は、Mi液およびMii液と比較して、第二段階加熱の条件が100℃/30分、121℃/5分および121℃/10分の場合はやや低い評価点(薄い色)であったが、121℃/20分の場合は、ほぼ同様の評価点(同様の色)であった。bm液およびpm液は、Mi液およびMii液と比較して、第二段階加熱の条件が100℃/30分の場合はやや低い評価点(薄い色)であったが、121℃/5分、121℃/10分および121℃/20分の場合は、ほぼ同様の評価点(同様の色)であった。一方、cm液およびrrm液は、Mi液およびMii液と比較して、第二段階加熱の条件が100℃/30分、121℃/5分、121℃/10分および121℃/20分のいずれの場合においてもほぼ同様の評価点(同様の色)であった。wm液は、Mi液およびMii液と比較して、第二段階加熱の条件が100℃/30分、121℃/5分、121℃/10分および121℃/20分のいずれの場合においても低い評価点(薄い色)であった。さらに、wm−ru液は、Mi液およびMii液、ならびにrum液のうち第二段階加熱の条件が同じ(121℃/20分)であるものと比較して、ほぼ同様の評価点(同様の色)であり、wm−c液は、Mi液およびMii液、ならびにcm液のうち第二段階加熱の条件が同じ(121℃/20分)であるものと比較して、低い評価点(薄い色)であった。
【0115】
次に、図9および図10に示すように、香りおよび味については、gm液、rgm液、um液、rum液、bm液、pm液およびcm液は、Mi液およびMii液と比較して、第二段階加熱の条件が100℃/30分、121℃/5分および121℃/10分の場合はやや低い評価点であったが、121℃/20分の場合はほぼ同様の評価点であった。一方、rrm液およびwm液は、Mi液およびMii液と比較して、第二段階加熱の条件が100℃/30分、121℃/5分、121℃/10分および121℃/20分のいずれの場合においても低い値であった。さらに、wm−ru液およびwm−c液は、Mi液およびMii液、ならびにrus液およびcs液を添加したもののうち第二段階加熱の条件が同じ(121℃/20分)であるものとそれぞれ比較して、低い評価点であった。
【0116】
これらの結果より、第二段階加熱の条件が121℃/20分であるgm液、rgm液、um液、rum液、bm液、pm液およびcm液は、Mi液およびMii液と比較して、ほぼ同様の色、香りおよび味を呈することが明らかになったことから、少なくとも還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させると、味噌を用いた場合に得られる特徴と同じあるいは類似する特徴、すなわち添加の対象である飲食物に味噌風味を与える調味料を製造することができることが示された。一方、rrm液およびwm液は、Mi液およびMii液と比較して、味噌風味が劣ることが明らかになったことから、添加の対象である飲食物に味噌風味を与える調味料の製造には、ポリフェノール含有物が必要であることが示された。また、wm−ru液およびwm−c液は、Mi液およびMii液、ならびに第二段階加熱の条件が同じ(121℃/20分)であるrum液およびcm液とそれぞれ比較して、味噌風味が劣ることが明らかになったことから、添加の対象である飲食物に味噌風味を与える調味料の製造には、還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させることが必要であることが示された。
【0117】
<実施例6>味噌風味を有する加工食品の製造(さばの味噌煮風煮物の瓶詰)
食品原材料として用いた場合に、完成した加工食品において生臭さが残存し易いことが知られる解凍生さばの切り身について、味噌風味を有する加工食品(さばの味噌煮風煮物の瓶詰)を製造し、官能検査を行った。
【0118】
(1)ポリフェノール含有物の調製
ポリフェノール含有物として、実施例1(1)、実施例3(1)、実施例4および実施例5(1)と同様、緑茶抽出液、焙煎緑茶抽出液、ウーロン茶抽出液、焙煎ウーロン茶抽出液、紅茶抽出液、プアール茶抽出液および焙煎コーヒー豆抽出液を調製した。具体的には、1000mLの水に、緑茶の茶葉20g、170℃にて7分間焙煎した焙煎緑茶の茶葉25g、ウーロン茶の茶葉20g、170℃にて7分間焙煎した焙煎ウーロン茶の茶葉25g、紅茶の茶葉10g、プアール茶の茶葉12gおよび焙煎コーヒー豆粉砕物15gをそれぞれ加え、加熱して95℃にて5分間煮出した。続いて、冷却した後、ろ過して液体を回収し、それぞれ、緑茶抽出液、焙煎緑茶抽出液、ウーロン茶抽出液、焙煎ウーロン茶抽出液、紅茶抽出液、プアール茶抽出液および焙煎コーヒー豆抽出液とした。
【0119】
(2)鰹だしの調製
鰹だしは、実施例5(3)と同じものを用意した。
【0120】
(3)混合液の調製
本実施例6(1)の各種のポリフェノール含有物292g、本実施例6(2)の鰹だし200g、グラニュー糖340g、黒砂糖15g、食塩56g、米酢20g、米粉30g、酒粕45gおよび寒天2gを混ぜ合わせて混合液を調製し、gm2’液、rgm2’液、um2’液、rum2’液、bm2’液、pm2’液およびcm2’液とした。各混合液に用いたポリフェノール含有物は下記のとおりである。
【0121】
gm2’液:本実施例6(1)の緑茶抽出液
rgm2’液:本実施例6(1)の焙煎済緑茶抽出液
um2’液:本実施例6(1)のウーロン茶抽出液
rum2’液:本実施例6(1)の焙煎済ウーロン茶抽出液
bm2’液:本実施例6(1)の紅茶抽出液
pm2’液:本実施例6(1)のプアール茶抽出液
cm2’液:本実施例6(1)の焙煎コーヒー豆抽出液
【0122】
また、比較対象として、水411g、市販の色が比較的薄い味噌または色が比較的濃い味噌200g、グラニュー糖340g、黒砂糖15g、食塩32gおよび寒天2gを混ぜ合わせて混合液を調製した。色が比較的薄い味噌を混ぜ合わせたものをMi2’液とし、色が比較的濃い味噌を混ぜ合わせたものをMii2’液とした。
【0123】
gm2’液、rgm2’液、um2’液、rum2’液、bm2’液、pm2’液、cm2’液、Mi2’液およびMii2’液を100℃/5分加熱することにより第一段階加熱を行って、混ぜ合わせた各材料を溶解した後、冷却した。
【0124】
(4)さばの味噌煮風煮物の瓶詰の製造
解凍生さばの切り身100gおよび生姜1gを瓶に入れ、本実施例6(3)のgm2’液、rgm2’液、um2’液、rum2’液、bm2’液、pm2’液、cm2’液、Mi2’液およびMii2’液それぞれ30gを添加して、脱気、密封した後、121℃/5分、121℃/10分、または121℃/20分加熱することにより第二段階加熱を行って褐変させて、さばの味噌煮風煮物の瓶詰を製造した。
【0125】
(5)官能検査
本実施例6(4)のさばの味噌煮風煮物について、よく訓練されているパネル10名により官能検査をおこなった。官能検査の評価項目は、味噌を用いた場合に得られる色、香りおよび味、ならびにレトルト臭や生臭さの抑制度の計4項目とした。また、評価基準の数値を、Mi2’液を用いた場合において3.0と定めて、5段階評価(優れている:5〜劣っている:1)により評価した。得られた評価点について、色について平均値を算出した結果を図11に、香りについて平均値を算出した結果を図12に、味について平均値を算出した結果を図13に、レトルト臭や生臭さの抑制度について平均値を算出した結果を図14にそれぞれ示す。図中、※印は評価基準として設定した数値を示す。
【0126】
図11に示すように、色については、gm2’液、rgm2’液、um2’液、rum2’液、bm2’液、pm2’液およびcm2’液を添加したものは、Mi2’液およびMii2’液を添加したものと比較して、第二段階加熱の条件が121℃/5分の場合は概ねやや低い評価点(薄い色)であったが、121℃/10分および121℃/20分の場合はほぼ同様の評価点(同様の色)であった。
【0127】
次に、図12および図13に示すように、香りおよび味については、gm2’液、rgm2’液、um2’液、rum2’液、bm2’液、pm2’液およびcm2’液を添加したものは、Mi2’液およびMii2’液を添加したものと比較して、第二段階加熱の条件が121℃/5分および121℃/10分の場合はほぼ同様の評価点であったが、121℃/20分の場合は顕著に高い評価点であった。
【0128】
次に、図14に示すように、レトルト臭や生臭さの抑制度については、gm2’液、rgm2’液、um2’液、rum2’液、bm2’液、pm2’液およびcm2’を添加したものは、Mi2’液およびMii2’液を添加したものと比較して、第二段階加熱の条件が121℃/5分の場合はほぼ同様の評価点であり、121℃/10分および121℃/20分の場合は顕著に高い評価点であった。
【0129】
これらの結果より、gm2’液、rgm2’液、um2’液、rum2’液、bm2’液、pm2’液およびcm2’液を添加して加熱することにより褐変させて製造したさばの味噌煮風煮物は、Mi2’液およびMii2’液を添加して加熱することにより褐変させて製造したさばの味噌煮風煮物と比較して、加熱の程度が比較的小さい場合はほぼ同様の味噌風味を有するとともにレトルト臭や生臭さが抑制され、加熱の程度が比較的大きい場合はより優れた味噌風味を有するとともにレトルト臭や生臭さが抑制されることが明らかになったことから、還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を食品原材料に添加し、加熱して褐変させることにより、市販の味噌を用いた加工食品と比較して、ほぼ同様もしくはより優れた味噌風味を有し、かつレトルト臭や生臭さが抑制された加工食品を製造することができることが示された。なお、実施例3と同様に、水産物の生臭さを抑制するため、従来、茶カテキンが有効とされているが、焙煎コーヒー豆の成分にその抑制効果があることも示された。
【0130】
<実施例7>味噌風味を有する加工食品の製造(さばの味噌煮風煮物の瓶詰;アミノ化合物含有物である鰹だしを添加しない場合)
ポリフェノール含有物として焙煎コーヒー豆抽出液を用いて、実施例6(1)〜(4)に記載の方法に従い、さばの味噌煮風煮物の瓶詰を製造した。ただし、混合液の調製において、鰹だしは添加していない。
【0131】
製造したさばの味噌煮風煮物について、実施例6(5)に記載の方法に従って官能検査を行ったところ、色、香り、味およびレトルト臭や生臭さの抑制度のいずれについても、実施例6のcm2’液を添加したものと比較して、同様の評価点であった。この結果から、さばのように加熱条件下でアミノ化合物を滲出する食品原材料を加工の対象とする場合、実施例6(1)〜(4)に記載の方法においてアミノ化合物含有物の添加を行わなくても、市販の味噌を用いた加工食品と比較して、ほぼ同様もしくはより優れた味噌風味を有し、かつレトルト臭や生臭さが抑制された加工食品を製造することができることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を混ぜ合わせてなる調味料であって、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させた前記調味料。
【請求項2】
少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料および酸味料を混ぜ合わせてなる調味料が、少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物、ポリフェノール含有物、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を混ぜ合わせてなる調味料である、請求項1に記載の調味料。
【請求項3】
ポリフェノール含有物が茶ポリフェノール含有物およびコーヒーポリフェノール含有物の少なくともいずれかである、請求項1または請求項2に記載の調味料。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の調味料を添加した飲食物。
【請求項5】
下記(1)および(2)の工程を有する、調味料の製造方法;
(1)下記(a)または(b)の工程、
(a)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて褐変させて調味料用褐変物を得る工程、
(b)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて加熱することにより褐変させて調味料用褐変物を得る工程、
(2)塩味料および酸味料を前記調味料用褐変物に混ぜ合わせる工程。
【請求項6】
塩味料および酸味料を前記調味料用褐変物に混ぜ合わせる工程が、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を前記調味料用褐変物に混ぜ合わせる工程である、請求項5に記載の調味料の製造方法。
【請求項7】
下記(1)または(2)の工程を有する、調味料の製造方法;
(1)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを混ぜ合わせて褐変させる工程、
(2)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを混ぜ合わせて加熱することにより褐変させる工程。
【請求項8】
下記(1)または(2)の工程を有する、調味料の製造方法;
(1)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを混ぜ合わせて褐変させる工程、
(2)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質、アミノ化合物含有物およびポリフェノール含有物を混ぜ合わせて、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを混ぜ合わせて加熱することにより褐変させる工程。
【請求項9】
ポリフェノール含有物が茶ポリフェノール含有物およびコーヒーポリフェノール含有物の少なくともいずれかである、請求項5から請求項8のいずれかに記載の調味料の製造方法。
【請求項10】
請求項5から請求項9のいずれかに記載の調味料の製造方法により製造された調味料を添加した飲食物。
【請求項11】
下記(1)および(2)の工程を有する、加工食品の製造方法;
(1)下記(a)または(b)の工程、
(a)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して褐変させて調味料/原材料褐変物を得る工程、
(b)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して加熱することにより褐変させて調味料/原材料褐変物を得る工程、
(2)塩味料および酸味料を前記調味料/原材料褐変物に添加する工程。
【請求項12】
塩味料および酸味料を前記調味料/原材料褐変物に混ぜ合わせる工程が、塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤を前記調味料/原材料褐変物に混ぜ合わせる工程である、請求項11に記載の加工食品の製造方法。
【請求項13】
下記(1)または(2)の工程を有する、加工食品の製造方法;
(1)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを添加して褐変させる工程、
(2)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料および酸味料の少なくともいずれかを添加して加熱することにより褐変させる工程。
【請求項14】
下記(1)または(2)の工程を有する、加工食品の製造方法;
(1)加熱しながら少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを添加して褐変させる工程、
(2)少なくとも還元糖または還元糖を含む糖質およびポリフェノール含有物を食品原材料に添加して、さらに塩味料、酸味料、発酵産物および増粘剤の少なくともいずれかを添加して加熱することにより褐変させる工程。
【請求項15】
ポリフェノール含有物が茶ポリフェノール含有物およびコーヒーポリフェノール含有物の少なくともいずれかである、請求項11から請求項14のいずれかに記載の加工食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−42679(P2013−42679A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180884(P2011−180884)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【特許番号】特許第5143935号(P5143935)
【特許公報発行日】平成25年2月13日(2013.2.13)
【出願人】(511204681)
【Fターム(参考)】