説明

新規金属窒素酸化物プロセス

【課題】プロセス設備が簡単になるだけでなく、相対的に、低温且つ低コストになり、また、大量生産に適合し、環境保護的な塩素(Cl)無しのものを適用でき、また、環境に親しく、電子材料業界に適合する新規金属窒素酸化物プロセスを提供する。
【解決手段】アンモニア液(NHOH)と過酸化水素(H)と水(HO)を混合した溶液を利用して、その体積比例が、1:1:1〜100の範囲にあって、エッチングしてからなる構造である新規金属窒素酸化物プロセスであって、溶液エッチングにより、基板表面の保護薄膜を除去すた後、下方にあるチタンやタンタル或いはジルコニウム薄膜と、反応させて、アニール(Anneal)することにより、基板表面にチタンオキシナイやタンタルオキシナイ或いはジルコニウムオキシナイ(TiON、TaON、ZrON)の薄膜が沈積される構造体である。その中、基板に対して、蒸着法やスパッタリング処理により、基板の表面に、チタンやタンタル或いはジルコニウム薄膜と保護薄膜が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタンオキシナイやタンタルオキシナイ或いはジルコニウムオキシナイ(TiON、TaON、ZrON)の薄膜構造に関し、特に、環境保護の塩素(Cl)無しで、電子材料業界に適用でき、プロセス設備が簡単で、相対的に、低温且つ低コストになり、また、大量生産に適合し、耐腐食性や導電性及び飾り機能を得られるものに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のプロセス技術によれば、基板を窒素ガス(N)の環境にセットし、四塩化チタン(TiCl)とアンモニアガス(NH)を反応ガスとして使用され、化学気相蒸着法(CVD)とアニール(Anneal)とにより、直接に、上記基板に、(TiN)薄膜を形成する。しかしながら、一般の従来技術によれば、薄膜を形成する時、500°C〜600°Cの範囲の高沈積温度で行うため、基材品質が安定しなくて不純物の浸透の恐れがあるだけでなく、高温によるエネルギーの消費のため、プロセスコストが高くなる。そのため、一般の従来のものは、実用的とは言えない。
【0003】
本発明者は、上記欠点を解消するため、慎重に研究し、また、学理を活用して、有効に上記欠点を解消でき、設計が合理である本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、従来技術の上記問題点を解消して、環境保護的な塩素(Cl)無しのものを提供でき、特に、電子材料業界に適合し、プロセス設備が簡単で、相対的に、低温且つ低コストになり、また、大量生産に適合し、耐腐食性や導電性及び飾り機能を得られる新規金属窒素酸化物プロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の目的を達成するための新規金属窒素酸化物プロセスであり、アンモニア液(NHOH)と過酸化水素(H)と水(HO)を混合した溶液を利用して、その体積比例が、1:1:1〜100の範囲にあって、基板表面にある保護薄膜をエッチング除去した後、下方にあるチタンやタンタル或いはジルコニウム薄膜と、反応させて、上記基板表面に沈積形成された構造体であり、上記基板に対して、蒸着法やスパッタリング処理により、上記基板の表面に、チタンやタンタル或いはジルコニウム薄膜と保護薄膜が形成される。最後に、アニールプロセスを介して、本発明に係る新規的な、完全にアニールプロセスされたチタンオキシナイやタンタルオキシナイ或いはジルコニウムオキシナイ薄膜の構造である。
【0006】
以下、図面を参照しながら、本発明の特徴や技術内容について、詳しく説明するが、それらの図面等は、参考や説明のためであり、本発明は、それによって制限されることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のより良い実施例の構造断面概念図
【図2】本発明のより良い実施例の構造の整備流れの概念図
【図3】本発明の他のより良い実施例の構造の整備流れの概念図
【図4】本発明の更に他のより良い実施例の構造の整備流れの概念図
【図5】本発明に係るチタンオキシナイ薄膜について行った定性と定量解析の概念図
【図6】本発明に係るタンタルオキシナイ薄膜について行った定性と定量解析の概念図
【図7】本発明に係るジルコニウムオキシナイ薄膜について行った定性と定量解析の概念図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明のより良い実施例の構造断面概念図である。図のように、本発明は、新規金属窒素酸化物プロセスであり、アンモニア液(NHOH)と過酸化水素(H)と水(HO)を混合した溶液を利用して、その体積比例が、1:1:1〜100の範囲にあって、基板2表面の保護薄膜をエッチング除去した後、下方にあるチタンやタンタル或いはジルコニウム薄膜と、反応させ、また、アニール(Anneal)処理を行って、上記基板2表面に、チタンオキシナイやタンタルオキシナイ或いはジルコニウムオキシナイ(TiON、TaON、ZrON)薄膜を沈積形成する構造体である。
【0009】
上記基板2は、陰極線銃蒸着法やヒート蒸着法、スパッタリング法、電解めっき法或いは無電解めっき法により、上記基板2の表面に、チタンやタンタル或いはジルコニウム薄膜と保護薄膜が、形成され、また、上記のチタンやタンタル或いはジルコニウム薄膜は、厚さが、1nm〜5000nmの範囲にあり、上記保護薄膜は、銀薄膜で、厚さが、1nm〜200nmの範囲にある。
【0010】
図2は、本発明のより良い実施例の構造の整備流れの概念図である。図のように、より良い実施例において、本発明は、チタンオキシナイ薄膜である構造であり、ステンレスやセラミック、プラスチック、高分子或いはガラスからなる群から選ばれた何れかの一つである基板2を、真空状態にセットし、そして、上記基板2に、ヒート蒸着法により、厚さが10nm〜5000nmの範囲にある金属チタン薄膜3を形成した後、同じ操作条件で、上記チタン薄膜3の上に、上記チタン薄膜3が酸化反応を発生することを防止するための金属銀薄膜4をヒート蒸着し、また、上記銀薄膜4の厚さが、65nmであり、その後、係数x:y:zの比例が、1:1:10の範囲であるx(NHOH)+yH+zHO溶液を利用して、上記銀薄膜4をエッチングし、上記溶液により、上記銀薄膜4が剥離された後、更に、下方にあるチタン薄膜3と反応させ、チタンオキシナイ薄膜が形成され、最後に、窒素環境や窒素水素環境或いは無酸素真空下で、450°C以上のアニール(Anneal)プロセスを行うと、本発明に係る新規な、完全にアニールプロセスのチタンオキシナイ薄膜1の構造が得られる(図1のように)。
【0011】
また、図3は、本発明の他のより良い実施例の構造の整備流れの概念図である。図のように、本発明は、タンタルオキシナイ薄膜構造であり、本実施例において、上記と同じような基板2と銀薄膜4を使用する。まず、上記基板2を、真空状態にセットし、そして、上記基板2に、ヒート蒸着法により、一層の金属タンタル薄膜6を形成した後、同じ操作条件で、上記タンタル薄膜6に、上記タンタル薄膜6が酸化反応を発生することを防止するための金属銀薄膜4をヒート蒸着し、その後、体積比例が1:1:1〜100の範囲にあるアンモニア液と過酸化水素と水を混合した溶液を利用して、上記銀薄膜4をエッチングし、上記溶液により、上記銀薄膜4が剥離された後、更に、下方にあるタンタル薄膜6と反応させ、タンタルオキシナイ薄膜5aが形成され、そして、本実施例において、更に、そのタンタルオキシナイ薄膜5aに対して、窒素環境や窒素水素環境或いは無酸素真空下で、450°C以上のアニールプロセスを行う。そのため、本発明に係るタンタルオキシナイ薄膜は、必要に応じて、アニールプロセスを介せず得られたタンタルオキシナイ薄膜5aの構造と、完全にアニールプロセスを行ったタンタルオキシナイ薄膜5の構造とから、選択することができる。
【0012】
図4は、本発明の更に他のより良い実施例の構造の整備流れの概念図である。図のように、本発明は、ジルコニウムオキシナイ薄膜構造であり、本実施例において、上記と同じような基板2と銀薄膜4を使用する。まず、上記基板2を、真空状態にセットし、そして、上記基板2に、ヒート蒸着法により、一層の金属ジルコニウム薄膜8を形成した後、同じ操作条件で、上記ジルコニウム薄膜8に、上記ジルコニウム薄膜8が酸化反応を発生することを防止するための金属銀薄膜4をヒート蒸着し、その後、体積比例が1:1:1〜100の範囲にある、アンモニア液と過酸化水素と水を混合した溶液を利用して、上記銀薄膜4をエッチングし、上記溶液により、上記銀薄膜4が剥離された後、更に、下方にあるジルコニウム薄膜8と反応させ、ジルコニウムオキシナイ薄膜が形成され、最後に、窒素環境や窒素水素環境或いは無酸素真空下で、450°C以上のアニールプロセスを行うと、本発明に係る新規な、完全にアニールプロセスを行ったジルコニウムオキシナイ薄膜7の構造が得られる。
【0013】
図5〜図7は、それぞれ、本発明に係るチタンオキシナイ薄膜について行った定性と定量解析の概念図と、本発明に係るタンタルオキシナイ薄膜について行った定性と定量解析の概念図と、本発明に係るジルコニウムオキシナイ薄膜について行った定性と定量解析の概念図である。図のように、本発明は、記各実施例において得られたチタンオキシナイやタンタルオキシナイ及びジルコニウムオキシナイについて、X線光電子スペクトル(XPS)により、定性と定量解析を行い、その解析結果によれば、本発明による得られたチタンオキシナイ薄膜は、チタンが、窒素と酸素との間に、結合があることを(図5のように)、タンタルオキシナイ薄膜は、タンタルが、窒素と酸素との間に、結合があることを(図6のように)、そして、ジルコニウムオキシナイ薄膜は、ジルコニウムが、窒素と酸素との間に、結合があることを(図7のように)、確認でき、そのため、一般のチタンオキシナイやタンタルオキシナイ及びジルコニウムオキシナイの性質に類似し、耐腐食性や導電性及び飾り機能が得られ、従来技術と比較すると、本発明は、プロセス設備が簡単になるだけでなく、相対的に、低温且つ低コストになり、また、大量生産に適合し、環境保護的な塩素(Cl)無しのものを適用でき、また、環境に親しく、電子材料業界に適合する。
【0014】
以上のように、本発明に係る新規金属窒素酸化物プロセスは、有効に従来の諸欠点を解消でき、一般のチタンオキシナイやタンタルオキシナイ或いはジルコニウムオキシナイの性質に類似して、耐腐食性や導電性及び飾り機能を発揮でき、プロセス設備が簡単になるだけでなく、相対的に、低温や低コストになり、大量生産に適合し、生産過程において、塩素無しで、環境に親しく、電子材料業界に適合する。
【0015】
そのため、本発明は、より進歩的かつより実用的で、法に従って特許請求を出願する。
【0016】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0017】
1 チタンオキシナイ薄膜
2 基板
3 チタン薄膜
4 銀薄膜
5、5a タンタルオキシナイ薄膜
6 タンタル薄膜
7 ジルコニウムオキシナイ薄膜
8 ジルコニウム薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア液(NHOH)と過酸化水素(H)と水(HO)を混合した溶液を利用して、その体積比例が、1:1:1〜100の範囲にあって、エッチングしてからなる構造である新規金属窒素酸化物プロセスであって、
上記溶液エッチングにより、基板表面の保護薄膜を除去すた後、下方にあるチタンやタンタル或いはジルコニウム薄膜と、反応させて、アニール(Anneal)することにより、上記基板表面にチタンオキシナイやタンタルオキシナイ或いはジルコニウムオキシナイ(TiON、TaON、ZrON)の薄膜が沈積される、
ことを特徴とする新規金属窒素酸化物プロセス。
【請求項2】
陰極線銃蒸着法やヒート蒸着法、スパッタリング法、電解めっき法或いは無電解めっき法により、上記基板の表面に、上記チタンやタンタル或いはジルコニウム薄膜及び上記保護薄膜が形成されることを特徴とする請求項1に記載の新規金属窒素酸化物プロセス。
【請求項3】
上記溶液の処方は、体積比例が、1:1:10の範囲にする。ことを特徴とする請求項1に記載の新規金属窒素酸化物プロセス。
【請求項4】
上記チタンやタンタル或いはジルコニウム薄膜の厚さは、1nm〜5000nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の新規金属窒素酸化物プロセス。
【請求項5】
上記保護薄膜は、銀薄膜で、厚さが、1nm〜200nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の新規金属窒素酸化物プロセス。
【請求項6】
上記銀薄膜の厚さは、65nmであることを特徴とする請求項5に記載の新規金属窒素酸化物プロセス。
【請求項7】
上記チタンオキシナイやタンタルオキシナイ或いはジルコニウムオキシナイ薄膜は、窒素環境や窒素水素環境或いは無酸素真空下において、450°C以上で、アニールプロセスが行なわれ、完全にアニールされたチタンオキシナイやタンタルオキシナイ或いはジルコニウムオキシナイ薄膜が得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の新規金属窒素酸化物プロセス。
【請求項8】
上記タンタルオキシナイ薄膜は、アニールプロセスされず、タンタルオキシナイ薄膜が形成されるものであることを特徴とする請求項1に記載の新規金属窒素酸化物プロセス。
【請求項9】
上記基板は、ステンレスやセラミック、プラスチック、高分子或いはガラスからなる群から選ばれた何れかの一つであることを特徴とする請求項1に記載の新規金属窒素酸化物プロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−261098(P2010−261098A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28601(P2010−28601)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(595165656)行政院原子能委員会核能研究所 (51)
【Fターム(参考)】