説明

新規銅錯体及びその利用

【課題】ジホウ素化アルケン類化合物の製造方法の触媒等として利用可能な新規銅錯体及びその利用技術を提供する。
【解決手段】一般式(1)で示される化合物を配位子とする銅錯体は、ジホウ素化アルケン類化合物の製造方法の触媒等として優れる。


(式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数5〜20のヘテロアラルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数1〜20のアリーレン−アルキレン基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規銅錯体及びその利用に関し、より詳細には、ジホウ素化アルケン類化合物を製造するための触媒等として利用可能な新規銅錯体、当該銅錯体を用いた触媒、当該銅錯体を用いたジホウ素化アルケン類化合物の製造方法並びにジホウ素化アルケン類化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ホウ素化合物は、単に有機合成における中間体としてのみならず、ルイス酸触媒能や糖認識能を有する機能性分子、また癌に対する中性子捕捉療法における医薬品などとしても利用されており、近年その重要性が再認識されている。しかし、必要とされるホウ素化合物が複雑化するのに伴い、その合成も煩雑化している。このため、これらの要求に対応できる新しいホウ素化法の開発が多方面から強く望まれていた。特に、ジボロンの炭素−炭素不飽和結合への付加は、有機分子にホウ素基を2つ同時に導入するための魅力的な反応であるが、制御が難しい。
【0003】
本発明者らはこれまで、白金−イソシアン化物複合体を触媒とし、フッ化物イオンの存在下にてアラインとビス(ピナコレート)ジボロンとを反応させることによりオルトジホウ素化アレーン化合物を合成する方法を開発し報告している(特許文献1,非特許文献1)。
【0004】
また、アルキン等の炭素−炭素不飽和多重結合へのジボロンの付加が白金触媒を用いることにより効率よく進行し、対応するジホウ素化体を位置及び立体選択的に製造できることが報告されている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−44893号公報(平成20年2月28日公開)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】H. Yoshida et. al., Chem. Commun., 46, 1763 (2010)
【非特許文献2】T. Ishiyama et. al., Organometallics, 15, 713 (1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記いずれの方法も、優れた選択性と収率にてジホウ素化合物を製造できるものであるが、高価な白金触媒を用いるため実用性・普及性の点で問題がある。それゆえ、白金触媒より安価な触媒への代替が強く望まれている。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ジホウ素化アルケン類化合物の製造方法の触媒等として利用可能な新規銅錯体及びその利用技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、第3級ホスフィン化合物を配位子として有する銅錯体を触媒として用いることにより、優れた選択性と収率にてジホウ素化アルケン類化合物を合成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
1.一般式(1)で示される化合物を配位子とする、銅錯体。
【0010】
【化1】

【0011】
(式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数5〜20のヘテロアラルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数1〜20のアリーレン−アルキレン基を表す。)
2.上記銅は、酸素原子を含む脱離基を有する銅化合物である1に記載の銅錯体。
3.上記R1〜R3は、シクロヘキシル基、t−ブチル基又はオクチル基である請求項1又は2に記載の銅錯体。
である1又は2に記載の銅錯体。
4.上記1〜3のいずれか1項に記載の銅錯体を含む触媒。
5.一般式(2)
【0012】
【化2】

【0013】
(式(2)中、R4,R5はそれぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数5〜20のヘテロアラルキル基を表す。)で示される化合物と、ホウ素−ホウ素結合を有するジボロン化合物と、を上記4に記載の触媒の存在下にて反応させる工程を有する、ジホウ素化アルケン類化合物の製造方法。
6.上記ジボロン化合物は、ビス(ピナコール)ジボロン、ビス(ネオペンチルグリコレート)ジボロン、ビス(ヘキシレングリコレート)ジボロン、ビス(カテコール)ジボロン、ビス(N,N,N’,N’−テトラメチル−L−タルタルアミドグリコレート)ジボロン、ビス(N,N,N’,N’−テトラメチル−D−タルタルアミドグリコレート)ジボロン、ビス(ジエチル−D−タルタレートグリコレート)ジボロン、ビス(ジイソプロピル−D−タルタレートグリコレート)ジボロン、ビス(ジエチル−L−タルタレートグリコレート)ジボロン、ビス〔(+)−ピナンジオレート〕ジボロン、ビス〔(−)ピナンジオレート〕ジボロン、及びビス(ジイソプロピル−L−タルタレートグリコレート)ジボロンからなる群より選ばれる化合物である5に記載のジホウ素化アルケン類化合物の製造方法。
7.一般式(3)
【0014】
【化3】

【0015】
(式(3)中、R4,R5はそれぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数5〜20のヘテロアラルキル基を表す。)で示される化合物。
8.以下のいずれかの化合物である7に記載の化合物。
【0016】
【化4】

【発明の効果】
【0017】
本発明に係る銅錯体は、ジホウ素化アルケン類化合物の製造方法の触媒等として利用可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上B以下」を意味する。
<1.銅錯体>
本発明に係る銅錯体は、一般式(1)で示される化合物を配位子とする銅錯体である。
【0019】
【化5】

【0020】
ここで、式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数5〜20のヘテロアラルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数1〜20のアリーレン−アルキレン基を表す。
【0021】
「アルキル基」としては、例えば、直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基又は環状のアルキル基が挙げられるが、なかでも、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、さらに炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0022】
「アルケニル基」としては、例えば、直鎖又は分枝鎖状のアルケニル基が挙げられる。例えば、炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖状のアルケニル基が挙げられるが、なかでも、炭素数1〜12のアルケニル基が好ましく、さらに炭素数1〜10のアルケニル基が好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ゲラニル基、ファルネシル基などが挙げられる。
【0023】
「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜20のアリール基があげられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基などが挙げられる。なかでも、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、さらに炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
【0024】
「アラルキル基」としては、例えば、炭素数6〜20のアラルキル基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。なかでも、炭素数6〜12のアラルキル基が好ましく、さらに炭素数6〜10のアラルキル基が好ましい。
【0025】
「ヘテロアリール基」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜5個含有するヘテロアリール基などが挙げられ、具体的には、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾ[b]チエニル基、インドリル基、イソインドリル基、1H−インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、1H−ベンゾトリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリル基、キナゾリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、プリニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、フェノキサチイニル基、チアントレニル基、インドリジニル基などが挙げられる。なかでも、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、インドリル基、イソインドリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリル基などが好ましい。
【0026】
「ヘテロアラルキル基」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜5個含有するヘテロアラルキル基などが挙げられ、特に限定されない。
【0027】
「アルキレン基」としては、例えば、直鎖又は分枝鎖状のアルキレン基が挙げられる。例えば、炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキレン基が挙げられるが、なかでも炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、さらに炭素数6〜10のアルキレン基が好ましい。具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。
【0028】
「アリーレン基」としては、例えば、炭素数6〜20アリーレン基があげられ、具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フェナントレニレン基などが挙げられる。なかでも、炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、さらに炭素数6〜10のアリーレン基が好ましい。
【0029】
「アリーレン−アルキレン基」における「アリーレン基」及び「アルキレン基」としては、上述したものと同様のものが挙げられ、同様のものが好ましい。
【0030】
「置換されていてもよい」置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、トリフルオロメチル基などのアルキル基;ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ゲラニル基、ファルネシル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基などのアリール基;メチルフェニル基、エチルフェニル基、s−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、1−メチルナフチル基、2−メチルナフチル基、4−メチルナフチル基、1,6−ジメチルナフチル基、4−t−ブチルナフチル基などのアルキルアリール基;4−ヒドロキシフェニル基などのヒドロキシアリール基;メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、s−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、1−メトキシナフチル基、2−メトキシナフチル基、4−メトキシナフチル基、1,6−ジメトキシナフチル基、4−t−ブトキシナフチル基などのアルコキシアリール基;ピリジル基、キナゾリニル基、キノリル基、ピリミジニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、テトラゾリル基、インドリル基、フェナントロリニル基などのヘテロ環基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;メルカプト基;メチルチオ基などのアルキルチオ基;フェニルチオ基などのアリールチオ基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アセチルアミノ基などの置換アミノ基;t−ブチルカルバメート基、メチルカルバメート基などのカルバメート基;アミド基;ベンゼンスルホンアミド基、メンタンスルホンアミド基などのスルホンアミド基;イミノ基;フタルイミド基などのイミド基;グアニジノ基;ホルミル基;カルボニル基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などのアシル基;カルボキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基、アルキルアリール基、アルコキシアリール基などが挙げられる。置換基の数は、例えば、1〜最大置換可能な数であり、好ましくは1〜2個である。なお、リンに直接結合する原子はヘテロ原子ではなく炭素であることが好ましい。
【0031】
一般式(1)で示す化合物は、いわゆる第3級ホスフィン化合物であるが、R1〜R3はルイス塩基性(電子供与性)が強い有機基であることが好ましい。また、R1〜R3は立体構造として嵩高い有機基であることが好ましい。これらの点及び入手容易性の観点より、特に好ましいR1〜R3として、シクロへキシル基、t−ブチル基又はオクチル基等を挙げることができる。
【0032】
また、本発明に係る銅錯体は、金属化合物として銅を有するものであればよく、その構成は特に限定されない。例えば、銅化合物としては、1価もしくは2価の銅化合物が挙げられ、具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、銅(II)アセチルアセトナート、テトラキスアセトニトリル銅(I)ヘキサフルオロリン酸塩などが挙げられる。
【0033】
銅化合物としては、特に、脱離基として酸素原子を含む脱離基を有するものであることが好ましい。「酸素原子を含む脱離基」としては、例えば、ヒドロキシ基、アセトキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシ基などが挙げられ、これらは無置換であっても、置換されていてもよい。置換基としては、上述したR1〜R3における置換基と同様のものが挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、直鎖、分枝鎖または環状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。なかでも、炭素数1〜6の直鎖もしくは分子鎖状のアルコキシ基が好ましく、さらに炭素数1〜4の直鎖もしくは分子鎖状のアルコキシ基が好ましい。アリールオキシ基としては、具体的にはフェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基などが挙げられる。なかでも、炭素数6〜12のアリールオキシ基が好ましく、さらに炭素数6〜10のアリールオキシ基が好ましい。酸素原子を含む基としては、なかでもアセトキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましく、さらにアセトキシ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基が好ましく、特にアセトキシ基が好ましい。なお、これらの銅化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0034】
銅錯体の製造方法について説明する。上記第3級ホスフィン化合物が金属に配位した銅錯体は、通常の金属錯体を合成する方法と同様の方法に従って製造することができる。例えば、第3級ホスフィン化合物を新たに金属に配位させる方法、予め配位していた配位子を第3級ホスフィン化合物と配位子交換させる方法などが挙げられる。具体的には、例えば、銅化合物と第3級ホスフィン化合物を、溶媒中で接触させることにより、目的とする第3級ホスフィン化合物が銅に配位した銅錯体を製造することができる。
【0035】
第3級ホスフィン化合物の使用量は、金属に対する化合物の配位数によっても異なるが、通常、金属に対して、約0.8〜10当量の範囲から適宜選択することができる。なかでも、実施例での使用量である、金属化合物1当量に対して、3.5当量の第3級ホスフィン化合物を用いることが好ましい。
【0036】
溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素化合物類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、DMF、DMSO、DMIなどの非プロトン性極性溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などを好適に用いることができる。
【0037】
反応温度は、約−78℃から溶媒の沸点までの範囲から適宜選択することができる。接触時間には特に制限はないが、通常、0.1秒〜96時間の範囲から適宜選択することができる。
【0038】
錯体は固体として得ることもできる。錯体を固体として得る方法としては、例えば、反応溶媒および第3級ホスフィン化合物を留去した後、錯体の溶解度が低い溶媒を添加することにより固体として単離する方法などが挙げられる。また、必要に応じて再結晶化を行うことにより、より純度の高い錯体を得ることもできる。カラムクロマトグラフィーによって単離、精製することも可能である。
【0039】
なお、本発明に係る銅錯体を触媒反応に用いる場合には、錯体の前駆体である金属化合物と第3級ホスフィン化合物とを別々に調製した後、触媒反応に用いる反応液中で接触させて、そのまま不斉触媒反応を行うこともできる。かかる態様も本発明に当然に含まれ得る。
【0040】
本発明に係る銅錯体は、後述するように、アルキン類化合物をジホウ素化して、ジホウ素化アルケン類化合物を製造するための触媒として優れた機能を有する。このため、本発明に係る銅錯体を含む、触媒反応に用いるための触媒(系)も本発明に包含される。
<2.ジホウ素化アルケン類化合物の製造方法>
本発明に係るジホウ素化アルケン類化合物の製造方法は、一般式(2)で示される化合物と、ホウ素−ホウ素結合を有するジボロン化合物と、を上述した銅錯体の存在下にて反応させる工程を有するものであればよい。
【0041】
【化6】

【0042】
ここで、式(2)は、いわゆるアルキン類化合物であるが、特に、主鎖の内部に炭素−炭素三重結合を有する内部アルキン類化合物であることが好ましい。例えば、上記式(2)中、R4,R5はそれぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のヘテロアラルキル基を表す。
【0043】
「アルキル基」、「アルケニル基」、「アリール基」、「アラルキル基」、「ヘテロアリール基」及び「ヘテロアラルキル基」としては、上述したR1〜R3と同様のものが挙げられ、同様のものが好ましい。R4,R5としては、特に、電子的に中性の有機基あるいは電子供与性の有機基であることが好ましい。
【0044】
また、上記ジボロン化合物は、ホウ素−ホウ素の単結合を有するジボロン化合物であればよく、その具体的な構成については特に限定されない。例えば、以下のジボロン化合物を挙げることができる。なお、これらの化合物は、1種で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いることもできる。
・ビス(ピナコール)ジボロン(Bis(pinacolato)diboron)
・ビス(ネオペンチルグリコレート)ジボロン(Bis(neopentyl glycolato)diboron)
・ビス(ヘキシレングリコレート)ジボロン(Bis(hexylene glycolato)diboron)
・ビス(カテコール)ジボロン(Bis(catecholato)diboron)
・ビス(N,N,N’,N’−テトラメチル−L−タルタルアミドグリコレート)ジボロン(Bis(N,N,N',N'-tetramethyl-L-tartaramide glycolato)diboron)
・ビス(N,N,N’,N’−テトラメチル−D−タルタルアミドグリコレート)ジボロン(Bis(N,N,N',N'-tetramethyl-D-tartaramide glycolato)diboron)
・ビス(ジエチル−D−タルタレートグリコレート)ジボロン(Bis(diethyl-D-tartrate glycolato)diboron)
・ビス(ジイソプロピル−D−タルタレートグリコレート)ジボロン(Bis(diisopropyl-D-tartrate glycolato)diboron)
・ビス(ジエチル−L−タルタレートグリコレート)ジボロン(Bis(diethyl-L-tartrate glycolato)diboron)
・ビス〔(+)−ピナンジオレート〕ジボロン(Bis[(+)-pinanediolato]diboron)
・ビス〔(−)ピナンジオレート〕ジボロン〕(BIS[(-)PINANEDIOLATO]DIBORON)
・ビス(ジイソプロピル−L−タルタレートグリコレート)ジボロン(Bis(diisopropyl-L-tartrate glycolato)diboron)
具体的には、例えば、下記の式(4)で表されるピナコールジボロンを用いることが好ましい。
【0045】
【化7】

【0046】
なお、上記ピナコールジボロンは市販されているため、原料調達の面からも優れている(アルドリッチ社製や和光純薬社製のビス(ピナコラート)ジボロン等)。
【0047】
本発明に係るジホウ素化アルケン類化合物の製造方法においては溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、反応に対して不活性なものであればよく、特に制限はないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらの溶媒は、銅錯体(上記第3級ホスフィン化合物と銅化合物の混合物である場合も含む)1重量部に対して、通常1〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部使用することが好ましい。
【0048】
また、銅錯体の使用量は、原料化合物に対して、通常約0.1〜20モル%、好ましくは約0.5〜10モル%、より好ましくは約1〜5モル%である。なお、銅錯体はそのまま触媒として使用してもよいし、又は銅錯体の前駆体である銅化合物と第3級ホスフィン化合物とを別々に反応系に投入し、反応液中で接触させて触媒として使用してもよい。
【0049】
反応温度は、通常約−100℃〜150℃、好ましくは約0℃〜100℃、より好ましくは約50℃〜90℃である。反応時間は、反応速度に応じて適宜設定することができ、特に制限はないが、通常約1〜200時間である。反応圧力は特に制限はなく、常圧、加圧のいずれでもよいが、通常は1〜3気圧下、好ましくは大気圧下で行われる。また、反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0050】
反応の進行状況は、例えば薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィーなどによって判定することができる。反応後、水、メタノールなどを加えて反応を停止した後、必要に応じて有機溶媒で抽出し、溶媒を留去することにより目的とする化合物を単離することができる。また、必要に応じて、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの手段により目的化合物をさらに精製することもできる。得られた化合物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)やガスクロマトグラフィーなどによって測定することができる。
【0051】
なお、触媒量、配位子量、基質モル比(原料化合物のモル比)、溶媒等については、当業者であれば本明細書の記載に基づき適宜設定でき、最適化することができる。
【0052】
また、本発明の銅錯体は、上記のジホウ素化アルケン類化合物を製造する方法以外にも、優れた不斉触媒として用いることができる。すなわち、原料化合物と有機金属化合物とを反応させて化合物を製造する方法において、本発明の銅錯体を不斉触媒として用いることによって、目的とする化合物を高い収率かつ高い不斉収率で選択的に得る方法も本発明に含まれ得る。
【0053】
本発明の銅錯体を用いることができる不斉合成反応としては、例えば、炭素−炭素二重結合に対する付加反応、炭素−窒素二重結合に対する付加反応、炭素−酸素二重結合に対する付加反応、アリル位アルキル化反応、クロスカップリング反応などが挙げられる。炭素−炭素二重結合に対する付加反応としては、例えば、α,β不飽和カルボニル化合物やニトロアルケン類に対する共役付加反応などが挙げられる。原料化合物としては、例えば、α,β不飽和カルボニル化合物などの炭素−炭素二重結合を有する化合物、炭素−窒素二重結合を有する化合物、炭素−酸素二重結合を有する化合物、脱離基を有する有機化合物などが挙げられる。
<3.ジホウ素化アルケン類化合物>
本発明に係るジホウ素化アルケン類化合物は、一般式(3)で示される化合物である。
【0054】
【化8】

【0055】
ここで、式(3)中、R4,R5はそれぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のヘテロアラルキル基を表す。なお、R4,R5については、上述の説明と同様である。
【0056】
上記ジホウ素化アルケン類化合物としては、なかでも、後述の実施例で合成したいずれかの化合物であることが好ましい。
【0057】
上記ジホウ素化アルケン類化合物は、種々の化学物製造のための中間体、ルイス酸触媒能や糖認識能を有する機能性分子、また癌に対する中性子捕捉療法における医薬品等として利用できるため、非常に有用性が高い。
【0058】
以下実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0059】
〔実施例1〕
以下の手順にしたがい、ジホウ素化アルケン類化合物を製造した。
【0060】
まず、セプタム、撹拌子を取り付けたシュレンクをフレームドライした後、アルゴン置換した。次に、酢酸銅(II)(0.006mmol,2mol%,関東化学社製)、トリシクロヘキシルホスフィン(25%トルエン溶液,0.021mmol,7mol%,関東化学社製)、メタノール(1ml)をシュレンク内に入れ、セプタムをグリース付き玉栓に替え密封系にした後に、80℃のオイルバスに浸け30分撹拌した。
【0061】
シュレンクを冷ました後に真空ラインにつなぎ、撹拌しつつ減圧してメタノールを揮発させた。約1時間減圧し続け、銅錯体を調製した。次いで、アルゴンをふかしつつ玉栓を外してシュレンクに付着したグリースを拭い取り、セプタムを取り付けた。
【0062】
別途調製した所定の内部アルキン(0.3mmol,1eq,aldrich,和光純薬,関東化学,東京化成社製)、ビス(ピナコラート)ジボロン(0.39mmol,1.3eq,boron molecular社製)、トルエン(0.1ml)を加え、再びセプタムをグリース付き玉栓と交換し密封系とした後、80℃のオイルバスに浸け撹拌した。
【0063】
反応終了後、酢酸エチルで希釈しつつ、セライトを詰めた桐山ロートを用いて濾過した。濾液を分液ロートに入れ、酢酸エチルと飽和食塩水を用いて洗浄し、有機層をマイヤーに回収し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。その後セライトを詰めた桐山ロートを用いて濾過し、エバポレーターを用いて濾液を濃縮した後、真空ラインにつなげて乾燥させた。最後に、リサイクル型GPC(展開溶媒としてトルエンを使用)を用いて目的物を単離した。
【0064】
反応のスキームは以下の通りである。
【0065】
【化9】

【0066】
R4,R5の組み合わせは、以下の表に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
調製したジホウ素化アルケン類化合物の構造と、収率及び反応時間について、以下に示す。原材料として4−オクチン、5−デシン、2−オクチン及び4−メチル−2−ペンチンといった種々の脂肪族アルキン(“1〜3”,“6”,“13”のアルキン)は、ビス(ピナコレート)ジボロンと効率よく反応し高収率でジホウ素化アルケン類化合物を生成した。また、アルキル(アリール)アルキン(“5”,“7”,“14”のアルキン)も同様に、ビス(ピナコレート)ジボロンと効率よく反応した。また、電子中性的な“4”のアルキンと、電子リッチな“8”,“9”のジアリールアルキンも、それぞれ高収率で対応するジホウ素化アルケンを生成した。一方、電子欠乏型の“10”〜“12”のアルキンは反応性が鈍かったが、対応するジホウ素化アルケンは得られた。
【0069】
【化10】

【0070】
〔実施例2〕
銅錯体における配位子(リガンド)として、トリシクロへキシルホスフィン以外に、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリ(n−オクチル)ホスフィンを用いて、触媒活性を検討した。基質として4−オクチン(0.3mmol,1eq,東京化成社製)を用いた。それ以外は、実施例1と同様の手法で行った。反応スキームと、結果を以下に示す。
【0071】
【化11】

【0072】
配位子としてトリ(tert−ブチル)ホスフィンを用いた場合は、トリシクロへキシルホスフィンと同等の触媒活性を示すことがわかった。トリ(n−オクチル)ホスフィンを用いた場合は、反応時間は長くなるが、高収率でジボリル化体を得ることができた。
【0073】
なお、データは図示しないが、配位子としてトリフェニルホスフィンを用いた場合は、収率は58%程度となり、トリシクロへキシルホスフィン等を用いた場合に比べて収率が低下することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、有機合成における中間体としてのみならず、ルイス酸触媒能や糖認識能を有する機能性分子、また癌に対する中性子捕捉療法における医薬品などのように、化学産業のみならず、医療、環境等の種々の分野に広く利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示される化合物を配位子とする、銅錯体。
【化1】

(式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数5〜20のヘテロアラルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数1〜20のアリーレン−アルキレン基を表す。)
【請求項2】
上記銅は、酸素原子を含む脱離基を有する銅化合物である請求項1に記載の銅錯体。
【請求項3】
上記R1〜R3は、シクロヘキシル基、t−ブチル基又はオクチル基である請求項1又は2に記載の銅錯体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅錯体を含む触媒。
【請求項5】
一般式(2)
【化2】

(式(2)中、R4,R5はそれぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数5〜20のヘテロアラルキル基を表す。)で示される化合物と、
ホウ素−ホウ素結合を有するジボロン化合物と、を請求項4に記載の触媒の存在下にて反応させる工程を有する、ジホウ素化アルケン類化合物の製造方法。
【請求項6】
上記ジボロン化合物は、ビス(ピナコール)ジボロン、ビス(ネオペンチルグリコレート)ジボロン、ビス(ヘキシレングリコレート)ジボロン、ビス(カテコール)ジボロン、ビス(N,N,N’,N’−テトラメチル−L−タルタルアミドグリコレート)ジボロン、ビス(N,N,N’,N’−テトラメチル−D−タルタルアミドグリコレート)ジボロン、ビス(ジエチル−D−タルタレートグリコレート)ジボロン、ビス(ジイソプロピル−D−タルタレートグリコレート)ジボロン、ビス(ジエチル−L−タルタレートグリコレート)ジボロン、ビス〔(+)−ピナンジオレート〕ジボロン、ビス〔(−)ピナンジオレート〕ジボロン、及びビス(ジイソプロピル−L−タルタレートグリコレート)ジボロンからなる群より選ばれる化合物である請求項5に記載のジホウ素化アルケン類化合物の製造方法。
【請求項7】
一般式(3)で示される化合物。
【化3】

(式(3)中、R4,R5はそれぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数5〜20のヘテロアラルキル基を表す。)
【請求項8】
以下のいずれかの化合物である、請求項7に記載の化合物。
【化4】


【公開番号】特開2012−126665(P2012−126665A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278172(P2010−278172)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ・刊行物名 第57回 有機金属化学討論会 有機金属部会 創立60周年記念講演会 講演予稿集 発行日 2010年9月1日 発行所 社団法人近畿化学協会有機金属部会
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】