説明

新規食味・食感のすり身風味揚げ菓子

【課題】すり身の風味を有しながら、口当たりがよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子、及び、該揚げ菓子を製造する方法を提供すること。
【解決手段】揚げ菓子製造原料として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を必須原料とし、でん粉100重量部に対し、すり身を15〜70重量部、乾燥ポテトを15〜70重量部、卵白を5〜70重量部の割合で配合し、生地の調製、成型、及び油ちょう工程をへて調製されるすり身風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子を提供する。本発明の揚げ菓子は、一般的な揚げ菓子製造に使用される機械を用いて、菓子製造原料として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を必須原料とし、該でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を所定の配合割合で配合し、必要に応じて、他の添加成分を添加して、ミキサーなどにより混練し生地を調製する工程、調製された生地を成型する工程、成型された生地をフライヤーなどを使って揚げ処理する油ちょう工程により製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すり身の風味を有し、口当たりがよくサク味のある新規食味・食感のすり身風味揚げ菓子に関する。また、本発明は、該新規食味・食感のすり身風味揚げ菓子を製造する方法に関する。すなわち、本発明のすり身風味揚げ菓子の製造方法は、揚げ菓子製造原料として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を必須原料とし、必要に応じて色素、増粘多糖類、タンパク質、調味料、食物繊維、ビタミン類、乳化剤、糖類、塩類などを添加し、ミキサーなどにより混練し生地を調製する工程、調製された生地を押し出し成型機、圧延成型機などを使って成型する工程、成型された生地をフライヤーなどを使って揚げ処理する油ちょう工程からなり、該揚げ菓子の製造方法により、すり身の風味を有しながら、口当たりがよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子を製造し、提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
小麦粉・米・ポテト・コーン・でん粉などを原料として製造される揚げ菓子は、消費者の食生活を豊かにする上で欠かせない食品であり、その種類は豊富である。中でも魚肉などのすり身を原料とした製品は揚げ菓子を代表する製品群であり、でん粉を主原料にしたでん粉煎餅や、小麦粉を主原料にした新生あられなどが挙げられる。でん粉煎餅は、通常、馬鈴薯でん粉を主原料としてエビなどの海産物のすり身を加え、砂糖、食塩などの調味料を補助的に用いることにより調製されている。主な製造方法としては、原材料に水を加えてパサパサのおから状、又は、より加水を多くして乳液状とし、これを加熱した鉄板上で焼成して製品とする方法、或いは、鉄板上で糊化し、成形、乾燥して生地を調製し、これを焼成後、油揚げする方法が採用されている。一方、新生あられは、小麦粉を主原料としてエビなどの海産物のすり身または剥き身を加え、砂糖、食塩などの調味料を補助的に用いる方法で調製されている。主な製造方法としては、原材料を蒸練機に投入して蒸練することで餅状生地を作成し、餅状生地を冷却後、多種多様の形に成型し、油揚げする方法が採用されている。
【0003】
また、すり身を使用した製品も含めて、食生活が多様化した現代においては、より新しい風味・食感を有する揚げ菓子類が求められている。このような市場のニーズに対応すべく、使用する原材料や製法について様々な検討がなされている。その中で、魚肉練り製品の製法を応用し、すり身を使用した揚げ菓子が提案されている。例えば、すり身とでん粉を含有したでん粉含有蒲鉾をさい断し、乾燥して、乾燥あられを形成し、該あられを揚げて、あられ風揚げ菓子を製造する方法(特許文献1)が、水産動物性すり身を主原料とし、焼成により自然にカール状に捲いた形状を呈するすり身スナックを製造する方法(特許文献2)が、既設の魚肉練り製品の製造ラインをそのまま使用して、スナック風の魚肉加工製品を製造する方法(特許文献3)が提案されている。
【0004】
これらの提案は新しい揚げ菓子を提供する方法としての提案であるが、これら提案のものは、基本的には、すり身とでん粉を組み合わせのものであり、魚肉練り製品の延長にあるもので、魚肉練り製品全般で使用される組み合わせの応用であるので、食味、食感的にも、すり身主体の制約された範囲のものとなっている。また、製造方法的にも、魚肉練り製品の製造方法の延長にあるもので、該魚肉練り製品をスナック様の食品に加工するには、サイレントカッター、ボウルカッターなどの魚肉練り製品の製造ライン特有の設備が前提となり、実製造方法としての汎用性がない。
【0005】
また、ポテトチップスやカボチャ等の一般に知られている野菜チップスに代えて、鳥獣肉、魚貝肉を薄肉状の肉片に加工し、該肉片の表裏両面にカタクリ粉、小麦粉等の食用粉体をまぶして食用油で揚げるか(特許文献4)、或いは、鳥獣肉、魚貝肉挽いたミンチ状又はペースト状の肉類を主成分とし、必要により、カタクリ粉、小麦粉等の食用粉体、全卵、プロティン等を混合した生地を、扁平体に成型した生地を、食用油で揚げた(特許文献5)チップス状の揚げ菓子が提案されている。しかし、この提案のものも食味、食感的にも、すり身主体の制約された範囲のものとなっている。また、製造方法的にも、すり身製造のための特別な機械の使用が必要である為、汎用性のある製法ではない。
【0006】
更に、魚肉のすり身より成るシート状成型物をバッター液に漬けて衣付けし、フライングすることで風味のある珍味食品を製造する方法(特許文献6)が提案されている。この提案のものは、新規な揚げ菓子の提供に関わるものではあるが、上記チップス状揚げ菓子の場合と同様、食味、食感的にも、すり身主体の制約された範囲のものとなっており、また、製造方法的にも、水産動物すり身をシートに成型する工程や、シートにバッター液を付着させる工程等の特別の工程が必要である。
【0007】
他方で、揚げ菓子の製造に際して、従来使用しない原料を使用することで新規な食味や食感の揚げ菓子を製造する方法が提案されている。例えば、ナッツ周囲に、ポテトパウダーを有する被覆層を形成し、これを食用油で揚げることにより、子供・若年層にも受け入れやすい味覚の新規な食感・風味を有する揚げ豆菓子を製造する方法(特許文献7)が、フライスナックの原料としてコンニャク微粒子を配合して、簡便に摂食できるフライスナックを製造する方法(特許文献8)が提案されている。前者は、ポテトパウダーを使用することで甘味を抑え、ポテト風味とクリスピーな食感を有する豆菓子の製法に関する提案であり、また、後者特許は、コンニャク粉末の簡易摂食を可能とし、低カロリー・整腸作用・血圧降下作用といった機能性を有したフライスナックに関する提案であるが、これらは特定の揚げ菓子に適用された技術であり、通常の揚げ菓子の製造に適用される技術ではない。
【0008】
更に、揚げ菓子ではないが、フライ食品において、卵白を使用して衣の食感改良(サクサク食感の保持)を試みる製法(特許文献9)が提案されている。この製法ではバッター液若しくは打ち粉に投入された手法であり、揚げ菓子の食味、食感の改良に向けられた方法ではない。また、揚げ菓子において、揚げ処理物に卵白酵素加水分解物を付着させ、長時間保管しても酸化され難い揚げ菓子を製造する方法(特許文献10)が提案されている。この製法では、酸化抑制を意図したものであり、かつ、フライ後の揚げ菓子に被覆させる手法であり、揚げ菓子の食味、食感の改良に向けられたものではない。
【0009】
また、焼き菓子類の製造方法において、用いる起泡組成物の成分として、卵白を用いる方法(特許文献11)や、焼き菓子の製造において、主原料としてマカダミアナッツの破砕物、卵白、糖類を含む原料を混合することにより、詰まった食感を有し、形状や大きさが均一化されたマカロン様の焼き菓子を製造する方法(特許文献12)が提案されている。しかしながら、これらは何れも揚げ菓子の食味、食感の改良に直接向けられた技術ではない。
【0010】
以上のとおり、従来より、すり身を使用した揚げ菓子等の製造について、種々のものが提案されているが、何れも基本的には、すり身とでん粉を組み合わせのものであり、魚肉練り製品の延長にあるもので、魚肉練り製品全般で使用される組み合わせの応用であるので、食味、食感的にも、すり身主体の制約された範囲のものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭58−40074号公報。
【特許文献2】特開平10−165145号公報。
【特許文献3】特開2003−310218号公報。
【特許文献4】特開平6−277004号公報。
【特許文献5】特許2575334号公報。
【特許文献6】特開2001−112445号公報。
【特許文献7】特開2007−97498号公報。
【特許文献8】特開平10−295279号公報。
【特許文献9】特開2002−78460号公報。
【特許文献10】特開2007−267633号公報。
【特許文献11】特開2003−199536号公報。
【特許文献12】特開2004−329008号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、従来の、基本的にはすり身とでん粉を組み合わせのものであり、食味、食感的に、魚肉練り製品等のすり身の延長にあるすり身原料を用いた揚げ菓子を脱却し、すり身の風味を有しながら、口当たりがよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子、及び、該揚げ菓子を製造する方法を提供することにある。また、本発明の課題は、一般的な揚げ菓子製造に使用される機械を用いて、すり身の風味を有し、口当たりよくサク味ある新規食味・食感の揚げ菓子を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は上記課題を解決すべく、揚げ菓子製造原料として、すり身を用い、新規食味・食感の揚げ菓子を製造する方法について鋭意検討を重ねた結果、必須成分として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を用い、これらを一定の割合で配合した生地を作成し、成型、揚げ処理して製品とすることで、すり身の風味を有しながら、口当たりがよくサク味のある今までにない風味・食感を有する、新規食味・食感の揚げ菓子を製造することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、揚げ菓子製造原料として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を必須原料とし、でん粉100重量部に対し、すり身を15〜70重量部、乾燥ポテトを15〜70重量部、卵白を5〜70重量部の割合で配合し、生地の調製、成型、及び油ちょう工程をへて調製されることを特徴とするすり身風味を有する、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子からなる。本発明において、揚げ菓子製造原料としてのでん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白の特に好ましい配合割合としては、でん粉100重量部に対し、すり身が30〜60重量部、乾燥ポテトが20〜40重量部、卵白が20〜50重量部の配合割合を挙げることができる。
【0015】
また、本発明は、一般的な揚げ菓子製造に使用される機械を用いて、すり身の風味を有し、口当たりよくサク味ある新規食味・食感の揚げ菓子を製造する方法を提供する。本発明のすり身風味揚げ菓子の製造方法は、揚げ菓子製造原料として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を必須原料とし、該でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を上記所定の配合割合で配合し、必要に応じて色素、増粘多糖類、タンパク質、調味料、食物繊維、ビタミン類、乳化剤、糖類、塩類などを添加し、ミキサーなどにより混練し生地を調製する工程、調製された生地を押し出し成型機、圧延成型機などを使って成型する工程、成型された生地をフライヤーなどを使って揚げ処理する油ちょう工程により、すり身の風味を有しながら、口当たりがよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子を製造する。
【0016】
すなわち、具体的には本発明は、〔1〕揚げ菓子製造原料として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を必須原料とし、でん粉100重量部に対し、すり身を15〜70重量部、乾燥ポテトを15〜70重量部、卵白を5〜70重量部の割合で配合し、生地の調製、成型、及び油ちょう工程をへて調製されることを特徴とするすり身風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子からなる。
【0017】
また、本発明は、〔2〕でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白の配合割合が、でん粉100重量部に対し、すり身を30〜60重量部、乾燥ポテトを20〜40重量部、卵白を20〜50重量部の割合であることを特徴とする上記〔1〕記載のすり身風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子や、〔3〕揚げ菓子製造原料として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を必須原料とし、でん粉100重量部に対し、すり身を15〜70重量部、乾燥ポテトを15〜70重量部、卵白を5〜70重量部の割合で配合し、添加成分を添加して、混練し生地を調製する工程、調製された生地を成型する工程、及び成型された生地を揚げ処理する油ちょう工程からなることを特徴とするすり身風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子の製造方法からなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、すり身の風味を有しながら、口当たりがよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子を提供する。また、本発明は、揚げ菓子製造に使用される一般的な機械を用いて、すり身の風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子を製造する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、揚げ菓子製造原料として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を必須原料とし、でん粉100重量部に対し、すり身を15〜70重量部、乾燥ポテトを15〜70重量部、卵白を5〜70重量部の割合で配合し、生地の調製、成型、及び油ちょう工程をへて調製されることを特徴とするすり身風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子からなる。また、本発明は、揚げ菓子製造原料として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を必須原料とし、でん粉100重量部に対し、すり身を15〜70重量部、乾燥ポテトを15〜70重量部、卵白を5〜70重量部の割合で配合し、添加成分を添加して、混練し生地を調製する工程、調製された生地を成型する工程、及び成型された生地を揚げ処理する油ちょう工程からなることを特徴とするすり身風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子の製造方法からなる。
【0020】
本発明において、揚げ菓子製造原料として用いるでん粉としては、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉、小麦でん粉、ワキシーコーンでん粉、コーンでん粉、ハイアミロースコーンでん粉、米でん粉、もち米でん粉などが挙げられ、特に限定されない。製品の風味・食感の点から、馬鈴薯でん粉が特に望ましい。また、前述のでん粉を原料とした加工でん粉も利用することができる。
【0021】
本発明において、揚げ菓子製造原料として用いるすり身としては、タラ、グチ、ハモ、エソ、イトヨリ、ヨシキリザメ、メジロザメ、モンゴイカ、タコ、サバ等の魚類やカニ、ウニ、エビ等の魚介類などを用いることができ、特に、すり身原料として限定は無く、製品の風味・食感の点から考慮し任意に選択することができる。また、ここでいうすり身としては、畜肉材料、つまり、牛肉、あるいは豚肉など動物性の引き肉類などを原料としたものも使用できる。本発明におけるすり身は、水産練り製品で行うような塩摺り工程が不必要であり、工程の簡略化が可能である。
【0022】
本発明において、揚げ菓子製造原料として用いる乾燥ポテトとしては、ジャガイモを原料としたポテトフレーク、或いはポテトフレークを粉砕したもの、又は、ポテトグラニュールスなどが挙げられる。使用する乾燥ポテトの種類については特に限定されるものではないが、製品の風味・食感の点から、ポテトフレークを粉砕したものが特に望ましい。また、乾燥ポテトの製造法としては、例えばポテトフレークは、はく皮ポテトをスライス、洗浄後、加熱処理を施し、モノグリセリドなどを添加後、ドラム乾燥することで製造することができる。
【0023】
本発明において、揚げ菓子製造原料として用いる卵白としては、全卵より卵黄を除去したものであり、殻付卵を割卵したもの、凍結卵白を解凍したもの及びこれらを濃縮したもの、卵白粉末を水で戻したもののいずれであっても良く、特に限定されるものではないが、製品の風味・食感の点から、生卵白液が特に望ましい。
【0024】
本発明の揚げ菓子は、すり身の風味を残した新規食味・食感の揚げ菓子であり、すり身を添加するのに際し問題となる口どけ等の食感の悪さを補うのに、でん粉、乾燥ポテト、卵白は必須成分であり、これらの成分をすべて含有し、しかも、所定の配合割合で配合することにより、目的のすり身風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子を得ることができる。
【0025】
本発明の揚げ菓子の製造において、すり身の配合量は、主原料であるでん粉に対し、15〜70重量部、好ましくは30〜60重量部程度である。すり身の配合量が少ない場合は、製品の風味が低下し、口溶け感が悪くなる傾向がある。また、すり身の配合量が多い場合は、ざらついた食感になる傾向がある。
【0026】
本発明の揚げ菓子の製造において、乾燥ポテトの配合量は、主原料であるでん粉に対し、15〜70重量部、好ましくは20〜40重量部程度である。乾燥ポテトの配合量が少ない場合は、製品の風味が低下し、食感も硬くなるとともに成形性が低下する傾向がある。また乾燥ポテトの配合量が多い場合は、ポテトの風味が強くなりすぎる傾向がある。
【0027】
本発明の揚げ菓子の製造において、卵白の配合量は、主原料であるでん粉に対し、5〜70重量部、好ましくは20〜50重量部程度である。卵白の配合量が少ない場合は、製品の口当たりが硬くなる傾向がある。また、卵白の配合量が多い場合は、サク味に欠ける傾向がある。
【0028】
本発明の揚げ菓子は、揚げ菓子製造に使用される一般的な機械を用いて、製造することができる。揚げ菓子の生地の成型には、シート成型や押し出し成型など、種々の成型方法を用いて成型することが可能であり、特定の成型方法に限定されない。また、成型された生地をフライヤーなどを使って揚げ処理する油ちょう工程も、種々の形態を採ることができ、焼成後にフライ、フライ後に焼成などの複数の工程を経る場合など、製造工程中にフライ工程があれば製造可能である。
【0029】
本発明の揚げ菓子の製造において、揚げ菓子の製造原料の必須原料である、でん粉、すり身、乾燥ポテト、及び卵白に加えて、通常、揚げ菓子の製造に際して添加される、適宜の他の配合原料を添加することができる。かかる他の配合原料としては、例えば、色素、増粘多糖類、タンパク質、調味料、食物繊維、ビタミン類、乳化剤、糖類、塩類などをあげることができる。また、必要に応じ、任意成分として、小麦粉、米、コーン、増粘多糖類、タンパク質、調味料、食物繊維、ビタミン類、乳化剤、糖類、塩類などを添加して、製造することができる。
【0030】
本発明の揚げ菓子の製造において、フライ処理に用いられる油としては、一般に食用に供することが出来るものであれば特に限定されず、通常は植物油脂などが好ましい。また、出来上がった製品にシーズニングなどの調味粉で味付けしたり、タレなどを噴霧して調味したりして、揚げ菓子の食味を増加することができる。
【0031】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら制限を受けるものではない。
【実施例1】
【0032】
表1に示される成分を用い、フードプロセッサーを使用して生地を作製し、これをパスタマシーンで短冊状(厚さ0.7mm、1cm×5cm)に圧延成型後、170℃の油で1分間フライして揚げ菓子を製造した。得られた揚げ菓子の食感について評価した。なお、揚げ菓子の食感についての評価は、10名のパネラーの評価の結果を総合して、評価した。
【0033】
結果を、表1に示す。評価の結果、卵白液が無添加である場合、製品の口当たりが悪く好ましい食感が得られないことが示された。また、卵白液を添加したものにおいては、口当たりよく良好な食感が得られることが明らかになった。特に、澱粉100重量部に対して45重量部の卵白液を添加したものにおいては非常に良好な食感であった。
【0034】
【表1】

【実施例2】
【0035】
表2に示される成分を用い、実施例1と同様にして、フードプロセッサーを使用して生地を作製し、その成型性について評価した。また、得られた生地について、実施例1と同様にして、揚げ菓子を製造し、その食感について評価した。
【0036】
結果を、表2に示す。評価の結果、乾燥ポテトが無添加である場合は、生地のつながりが弱く成型することができなかった。また、乾燥ポテトを添加したものにおいては、ほどよいポテトの風味およびサク味を有し、良好な食感が得られることが明らかになった。
【0037】
【表2】

【実施例3】
【0038】
表3に示される成分を用い、実施例1と同様にして、フードプロセッサーを使用して生地を作製し、揚げ菓子を製造して、その食感について評価した。
【0039】
結果を、表3に示す。評価の結果、すり身が無添加である場合においては、製品の風味が悪く、口溶けが悪い食感となり好ましいものが得られないことが示された。また、すり身を添加したものにおいては、ほどよい風味およびサク味を有し、良好な食感が得られることが明らかになった。
【0040】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明により、すり身の風味を有しながら、口当たりがよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子を提供することができる。また、本発明により、揚げ菓子製造に使用される一般的な機械を用いて、すり身の風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子を製造する実用的に優れた揚げ菓子の製造方法を提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚げ菓子製造原料として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を必須原料とし、でん粉100重量部に対し、すり身を15〜70重量部、乾燥ポテトを15〜70重量部、卵白を5〜70重量部の割合で配合し、生地の調製、成型、及び油ちょう工程をへて調製されることを特徴とするすり身風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子。
【請求項2】
でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白の配合割合が、でん粉100重量部に対し、すり身を30〜60重量部、乾燥ポテトを20〜40重量部、卵白を20〜50重量部の割合であることを特徴とする請求項1記載のすり身風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子。
【請求項3】
揚げ菓子製造原料として、でん粉、すり身、乾燥ポテト及び卵白を必須原料とし、でん粉100重量部に対し、すり身を15〜70重量部、乾燥ポテトを15〜70重量部、卵白を5〜70重量部の割合で配合し、添加成分を添加して、混練し生地を調製する工程、調製された生地を成型する工程、及び成型された生地を揚げ処理する油ちょう工程からなることを特徴とするすり身風味を有し、口当たりよくサク味のある新規食味・食感の揚げ菓子の製造方法。

【公開番号】特開2011−15624(P2011−15624A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161314(P2009−161314)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000188227)松谷化学工業株式会社 (102)
【Fターム(参考)】