説明

新規駆虫薬

【課題】恒温動物の内部寄生虫に対して、低薬量で優れた防除効果を示す新規内部寄生虫防除剤を提供する。
【解決手段】次式(I)で示されるアシルヒドラゾン誘導体を有効成分として含む、新規内部寄生虫防除剤。


[式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、または複素環基で示され、Rは、フェニル基、または複素環基で示され、Rは、水素原子、アルキル基、カルボニル基またはNR(R,Rはそれぞれ水素原子またはハロゲンに置換されていてもよいアルキル基を示す)で示される]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明はアシルヒドラゾン誘導体を活性成分として含有する新規内部寄生虫防除剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
恒温動物に寄生する内部寄生虫の駆除には、これまで多くの薬剤が知られているが、その効力や、既存薬剤に対する感受性の低下などにより、新しい薬剤が求められている。
アシルヒドラゾン誘導体としては、WO01/00568(特許文献1)、DE2222147(特許文献2)、DE1768834(特許文献3)、DE1668025(特許文献4)がすでに知られているが、これらは農園芸用害虫の防除活性を示したものであり、恒温動物の内部寄生虫に対する駆除効果はなんら具体的な記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO01/00568
【特許文献2】DE2222147
【特許文献3】DE1768834
【特許文献4】DE1668025
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高い効果を有するアシルヒドラゾン誘導体を活性成分として含有する新規内部寄生虫防除剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題の解決のため鋭意研究し、式(I)で示されるアシルヒドラゾン誘導体が、恒温動物に寄生する内部寄生虫に対して高い防除活性を有し、駆虫薬として利用できることを見出して、発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、式(I)
【0006】
【化1】

[式中、Rは、
置換されていてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状のアルキル基、
置換されていてもよい炭素数2〜20の直鎖、分岐、環状のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜20の直鎖、分岐、環状のアルキニル基、置換されていてもよい
フェニル基、
または置換されていてもよい5〜10員の複素環基で示され、
は、
置換されていてもよいフェニル基、
または置換されていてもよい5〜10員の複素環基で示され、
は、
水素原子、
置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基
置換されていてもよい炭素数1〜10のカルボニル基
またはNR(R,Rはそれぞれ水素原子またはハロゲンに置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す)で示される]
で示されるアシルヒドラゾン誘導体の1つ以上を活性成分として含有する内部寄生虫防除剤が提供される。
【0007】
好ましい態様としては、
[式中、Rは、
置換されていてもよい炭素数3〜4の分岐または環状のアルキル基、
置換されていてもよいフェニル基、
または置換されていてもよいチエニル基で示され、
は、置換されていてもよいフェニル基、
R3は、水素原子、
または置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基]
で示されるアシルヒドラゾン誘導体の1つ以上を活性成分として含有する内部寄生虫防除剤が提供される。
【0008】
さらに望ましい態様としては、
[式中、Rは、ハロゲン、メチル基、エチル基、フェニル基により置換されていてもよいシクロプロピル基で示され、
は、ハロゲン、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ニトロ基により置換されていてもよいフェニル基、
は、水素原子]
で示されるアシルヒドラゾン誘導体の1つ以上を活性成分として含有する内部寄生虫防除剤が提供される。
【0009】
別のさらに好ましい態様としては、
[式中、Rは、置換されていてもよいフェニル基、
は、ハロゲン、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいフェニル基、
は、水素原子]
で示されるアシルヒドラゾン誘導体の1つ以上を活性成分として含有する内部寄生虫防除剤が提供される。
【0010】
第二の発明によれば、式(I)で示されるアシルヒドラゾン誘導体を用いてなる、ヒト以外の恒温動物の内部寄生虫防除方法が提供される。
【0011】
第三の発明によれば、式(I)で示されるアシルヒドラゾン誘導体の、内部寄生虫防除剤としての使用が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、式(I)に示される構造は、Rが水素原子を示すとき、互変異性体である式(II)で示される構造と同意である。
【0013】
【化2】


が示す置換されていてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状のアルキル基とは、直鎖または分岐または環状またはこれらの組合せを有する炭素数1〜20のアルキル基であり、分岐、環状のアルキル基を含む場合は炭素数3〜20であり、置換されていてもよい置換基とは、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基、フェニル基(このフェニル基はハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基により置換されていてもよい)である。好ましくは置換されていてもよい炭素数3〜4の分岐または環状のアルキル基であり、より好ましくはシクロプロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、1−メチル−2,2−ジクロルシクロプロピル基、1−メチル−2−エチル−3,3−ジクロルシクロプロピル基、1−メチル−2,2−ジフルオロシクロプロピル基、2−フェニル−3,3−ジクロルシクロプロピル基が挙げられ、特に望ましくは1−メチル−2,2−ジクロルシクロプロピル基、1−メチル−2−エチル−3,3−ジクロルシクロプロピル基である。
【0014】
が示す置換されていてもよい炭素数2〜20の直鎖、分岐、環状のアルケニル基とは、直鎖または分岐または環状またはこれらの組合せを有する炭素数2〜20のアルケニル基であり、分岐、環状のアルケニル基を含む場合は炭素数3〜20であり、置換されていてもよい置換基とは、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基、フェニル基(このフェニル基はハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基により置換されていてもよい)である。
【0015】
が示す置換されていてもよい炭素数2〜20の直鎖、分岐、環状のアルキニル基とは、直鎖または分岐または環状またはこれらの組合せを有する炭素数2〜20のアルキニル基であり、分岐、環状のアルキニル基を含む場合は炭素数3〜20であり、置換されていてもよい置換基とは、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基、フェニル基(このフェニル基はハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基により置換されていてもよい)である。
【0016】
、Rが示す置換されていてもよい5〜10員の複素環基とは、1つ以上の窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでなる5〜10員の環状基であり、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラゾール基、イミダゾリル基、チエニル基等が挙げられ、好ましくはチエニル基である。
【0017】
、Rが示すフェニル基、5〜10員の複素環基に置換されていてもよい置換基とは、ハロゲン、
ハロゲン、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数2〜4のハロアルケニル基、または
炭素数1〜4のハロアルコキシ基に置換されていてもよいアルキル基、
ハロゲン、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数2〜4のハロアルケニル基、または
炭素数1〜4のハロアルコキシ基に置換されていてもよいアルコキシ基、
−S(O)n−R基(nは0〜2を示し、Rは炭素数1〜4のハロゲンに置換されていてもよいアルキル基を示す)
シアノ基、ニトロ基が挙げられ、
に置換されていてもよい好ましい置換基としてはハロゲンであり、Rに置換されていてもよい好ましい置換基としてはハロゲン、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ニトロ基である。
【0018】
が示す置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基とは、直鎖、分岐、環状のアルキル基であり、ハロゲン、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルオキシ基により置換されていてもよく、好ましくはエトキシメチル基である。
【0019】
が示す置換されていてもよい炭素数1〜10のカルボニル基とは、直鎖、分岐、環状の炭素数1〜10のアルキル基をもつカルボニル基であり、ハロゲン、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルオキシ基により置換されていてもよく、好ましくはアセチル基、プロピオニル基である。
【0020】
が示すNRのR,Rとは、それぞれハロゲンに置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、メチル基、エチル基等が挙げられる。
【0021】
本発明の化合物は、市販で入手(Maybridge社等)またはWO01/00568、に記載の方法にしたがって合成することができる。
【0022】
式(I)で示される具体的な化合物を、表1〜6に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
【表5】

【0028】
【表6】

【0029】
本発明の内部寄生虫防除剤を適用しようとする恒温動物としては、豚、馬、牛、羊、山羊、ウサギ、鶏、アヒル、七面鳥、マウス、ラット、モルモット、サル、犬、猫、小鳥等の家畜、家禽、実験動物、ペット等を挙げることができる。
【0030】
本発明の内部寄生虫防除剤が防除対象とする内部寄生虫としては、特に限定されるものではないが、例えば以下に示すようなものが挙げられる。
線虫類(Nematoda):例えば糞線虫類(Strongyloididae、例えば乳頭糞線虫(Strongyloides papillosus)、糞線虫(Strongyloides stercoralis)など)、鈎虫類(Ancylostomatoidea、例えばイヌ鈎虫(Ancylostoma caninum)、ネコ鈎虫(Ancylostoma tubaeforme)、ビズニ鈎虫(Ancylostoma duodenale)など)、捻転胃虫(Haemonchus contortus)、円虫類(Strongyloidea、例えばネズミ円虫(Nippostrongylus braziliensis)など)、毛様線虫類(Trichostrongyloidea)、変円虫類(Metastrongyloidea、例えば豚肺虫(Metastrongylus apr)、広東住血線虫(Anriostrongylus cantonesis)、猫肺虫(Aelurostrongylsabstrusus)など)、蟯虫類(Oxyuroidea)、盲腸虫類(Haterakoidea、例えば鶏回虫(Ascaridiidae galli)など)、アニサキス線虫(Anisakis simplex)、回虫類(Ascaridoidea、例えば豚回虫(Ascaris lumbricoides suum)、馬回虫(Parascaris equorum)、犬回虫(Toxocara canis)、猫回虫(Toxocara cati)など)、スブルラ類(Subuluroidea)、旋尾線虫類(Spirurida、例えば有棘顎口虫(Gnathostoma spinigerum)、猫胃虫(Physaloptea praeputialis)、類円豚胃虫(Ascarops strongylina)、大口馬胃虫(Draschia megastoma)、鶏胃虫(Ascaria hamulosa)、オステルターグ胃虫(Ostertagia ostertagi)など)、糸条虫類(Filaroidea、例えば犬糸条虫(Dirofilaria immitis)、頸部糸状虫(Onchocerca cervicalis)など)、腎虫類(Dioctophymatoidea)、旋毛虫類(Trichinelloidea、例えば犬鞭虫(Trichuris vulpis)、旋毛虫(Trichinella spiralis)など)など、
吸虫類(Trematoda):例えば住血吸虫類(Schistosomatidae、例えば日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)、肝蛭(Fasciola spp.))など、
鉤頭虫類(Acanthocephala):例えば大鉤頭虫(Macracanthorhynchus hirudinaceus)、鎖状鉤頭虫(Moniliformis moniliformis)など、
条虫類(Cestoda):例えば、擬葉類(Pseudophyllidea、例えばマンソン裂頭条虫(Spirometra erinaceieuropaei)など)、円葉類(Cyclophyllidea、例えば瓜実条虫(Dipylidium caninum)、 縮小条虫(Hymenolepis diminuta)、多包条虫(Echinococcus multilocularis)、単包条虫(Echinococcus granulosus)など、
原虫類(Protozoa):アメーバ鞭毛虫(Sarcomastigophora、例えばトリパノソーマ(Trypanosoma brucei)、ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)、 ヒストモナス(Histomonas meleagridis) )、アピコンプレックス類(Apicomplexa、例えば、アイメリア テネラ(Eimeria tenella)、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)、バベシア(Babesia bigemia)、タイレリア(Theileria parva))などが挙げられる。
本発明の内部寄生虫防除剤が防除対象とする内部寄生虫の好ましい例としては、乳頭糞線虫(Strongyloides papillosus)、イヌ鈎虫(Ancylostoma caninum)、ネコ鈎虫(Ancylostoma tubaeforme)、捻転胃虫(Haemonchus contortus)、ネズミ円虫(Nippostrongylus braziliensis)毛様線虫類(Trichostrongyloidea)、豚肺虫(Metastrongylus apr)、鶏回虫(Ascaridiidae galli)、アニサキス線虫(Anisakis simplex)、豚回虫(Ascaris lumbricoides suum)、馬回虫(Parascaris equorum)、犬回虫(Toxocara canis)、猫回虫(Toxocara cati)、スブルラ類(Subuluroidea)、オステルターグ胃虫(Ostertagia ostertagi)、犬糸条虫(Dirofilaria immitis)、犬鞭虫(Trichuris vulpis)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、肝蛭(Fasciola spp.)マンソン裂頭条虫(Spirometra erinaceieuropaei)、瓜実条虫(Dipylidium caninum)、 多包条虫(Echinococcus multilocularis)、単包条虫(Echinococcus granulosus)、ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis), アイメリア テネラ(Eimeria tenella)、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)、バベシア(Babesia bigemia)、タイレリア(Theileria parva))などが挙げられ、より好ましくは鶏回虫(Ascaridiidae galli)、犬糸条虫(Dirofilaria immitis)、ネズミ円虫(Nippostrongylus braziliensis)である。
【0031】
本発明化合物に混合可能な他の動物用寄生虫防除剤としては、ピレスロイド系化合物、ネオニコチノイド系化合物、アベルメクチン系化合物、マクロライド系化合物、フェニルピラゾール系化合物、フェニルピロール系化合物、有機リン酸系化合物、カーバメート系化合物、ネライストキシン誘導体、有機塩素系化合物、ベンゾイルウレア系化合物、幼若ホルモン様化合物、脱皮ホルモン様化合物、スピノシン系化合物、シクロデプシペプチド系化合物、神経細胞のナトリウムチャンネルブロッカー、殺虫性大環状ラクトン、γ−アミノ酪酸(GABA)拮抗剤、リヤノジンレセプター作用性化合物、ポリエーテル系抗生物質、チアミン拮抗薬、葉酸拮抗薬配合剤、サルファ剤などが挙げられ、より好ましい具体例としては、イベルメクチン(ivermectin)、セラメクチン(selamectin)、モキシデクチン(moxidectin)、ドラメクチン(doramectin)、エプリノメクチン(eprinomectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、ミルベマイシンオキシム(milbemycin oxime)、マデユラマイシン(maduramycin)、イミダクロプリド(imidacloprid)、ジノテフラン(dinotefuran)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、クロチアニジン(clothianidin)、スルフォキサフロル(sulfoxaflor)、フィプロニル(fipronil)、エチプロール(ethiprole)、ピリプロール(pyriprole)、アレスリン(allethrin)、d・d-T-アレスリン(d・d-T allethrin)、dl・d-T80アレスリン(dl・d-T80 allethrin)、ピレトリン(pyrethrins)、ペルメトリン(permethrin)、フェノトリン(phenothrin)、フルメトリン(flumethrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、d・d-T80プラレトリン(d・d-T80 prarethrin)、フタルスリン(phthalthrin)、トランスフルトリン(transfluthrine)、レスメトリン(resmethrin)、エトフェンプロックス(etofenprox)、シフェノトリン(cyphenothrin)、除虫菊エキス(pyrethrum extract)、フルバリネート(fluvalinate)、ブロモプロピラート(bromopropylate)、テトラジホン(tetradifon)、サイネピリン222(synepirin222)サイネピリン500(synepirin 500)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfene )、ルフェヌロン(lufenuron)、メトプレン(methoprene)、エトキサゾール(etoxazole)、ディート(deet)、ダイアジノン(diazinon)、フェニトロチオン(fenitrothion)、ジクロルボス(dichlorvos)、プロチオホス(prothiofos)、トリクロルホン(trichlofon)、ハロクソン(haloxon)、クマホス(coumaphos)、マラチオン(malathion)、ジムピレート(dimpylate)、ナレド(naled)、テトラクロルビンフォス(tetrachlorvinphos)、ブロムフェノホス(bromofenofos)、サイチオアート(cythioate)、メトキサジアゾン(metoxadiazon)、カルバリル(carbaryl)、フェノブカルブ(fenobucarb)、プロポクスル(propoxur)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、シロマジン(cyromazine)、トリフルムロン(triflumuron)、スターアニス油(star anise oil)、アミトラズ(amitraz)、トリクラベンダゾール(triclabendazole)、フルベンダゾール(flubendazole)、フェンベンダゾール(fenbendazole)、パーベンダゾール(parbendazole)、チアベンダゾール(tiabendazole)、ハイグロマイシン(hygtomycin B)、デストマイシン(destomycin A)、クロルスロン(clorsulon)、ニトロキシニル(nitroxynil)、ジアムフェネチド(diamfenethide)、グルコン酸アンチモンナトリウム(antimony sodium gluconate)、塩酸レバミゾール(levamisole hydrochloride)、ビチオノール(bithionol)、ジクロロフェン(dichlorofen)、フェノチアジン(phenothiazine)、二硫化炭素ピペラジン(piperazine carbon bisulfide)、リン酸ピペラジン(piperazine phosphate)、アジピン酸ピペラジン(piperazine adipate)、クエン酸ピペラジン(piperazine citrate)、メラルソミン二塩酸塩(melarsomine dihydrochloride)、メラルソニル(melrsonyl)、ジチアザニン(dithiazanine iodide)、スチボフェン(stibophen)メチリジン(metyridine)、ジソフェノール(disophenol)、ジエチルカルバミジン(dietylcarbamazine)、ジミナゼン(diminazene)、アクリナミン(acrinamine)、メトロニダゾール(metronidazole)、サントニン(santonin)、パモ酸ピランテル(pyrantel pamoate)、ピランテル(pyrantel)、モランテル(morantel)、プラジクアンテル(praziquantel)、フェバンテル(febantel)、ビチオノール(bithionol)、ブナミジン(bunamidine)、アレコリン(arecoline)、エモデプシド(emodepside)、メタフルミゾン(metaflumizone)、スピノサド(spinosad)などの化合物が挙げられる。
【0032】
本発明の内部寄生虫防除剤は、寄生虫感染症の治療および予防のために用いることができる。投与方法は、直接または適した調剤で、経口的、注射(静脈内、皮下または筋肉内等)、経皮的、経鼻的、あるいはプレート、バンド、カラー、耳印、肢バンド、標識具等の活性化合物含有成型品を用いて投与することができる。
【0033】
本発明の内部寄生虫防除剤は液剤、大型丸剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル剤、シロップ剤、ペレット剤、注射剤、点滴剤、懸濁剤、座剤、乳剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、スポットオン剤、ポアオン剤、シャンプー剤、リンス剤、噴霧剤、エアゾール剤、吸引剤、泡状製剤、パップ剤、テープ剤、樹脂剤、燻煙剤、毒餌剤等、駆虫剤として許容される多様な剤形で提供される。好ましくは、大型丸剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル剤が好ましい。
【0034】
本発明の内部寄生虫防除剤の調製に使用可能な担体としては、液体担体、固体担体、およびその他の製剤用補助剤等(例えば崩壊剤、結合剤、滑沢剤、溶解補助剤、懸濁化剤、増粘剤、界面活性剤、吸収促進剤、着色剤、保存剤等)が挙げられる。
【0035】
液体担体としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素類(ベンジルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(パラフィン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、灯油等)、エーテル類(ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル類(炭酸プロピレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジル、ミスチリン酸イソプロピル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、ダイズ油、綿実油等の動植物油類、ジメチルスルホキシド、シリコーンオイル、高級脂肪酸、グリセロールホルマール、水等が挙げられる。
【0036】
固体担体としては、例えば、粘土類(カリオンクレー、珪藻土、ベントナイト、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリナイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)等の微粉末や粒状物、セルロース、食物及び動物飼料(例えば飼料用粕、油粕、穀類粉および穀類粗粉等)、でんぷん、糖、塩化ビニル系重合体、ポリウレタン等の合成ポリマーが挙げられる。
【0037】
上記の担体及び補助剤は、必要に応じて各々単独で、あるいは組み合わせて用いられる。さらに香料、共力剤などを含有しても良い。
【0038】
大型丸剤、錠剤、カプセル剤、チュアブル剤、顆粒剤、散剤は、本発明の有効成分を適当に小分けし、でんぷん、乳糖等の賦形剤と混合し、必要に応じてセルロースのような崩壊剤、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤を加え、剤形に応じて打錠、成型、造粒、整粒、カプセル充填することで調剤することができる。本発明の内部寄生虫防除剤中の有効成分の含有量は、通常0.1〜50重量%が適当である。
【0039】
注射剤は、無菌溶液としての調製が必要であるが、これには他の物質、例えばその溶液を血液と等張にさせるために十分な塩またはブドウ糖が含まれていても良く、pHを調節するための緩衝塩が含まれていても良い。また、必要に応じて溶解補助剤、保存剤を添加することもできる。使用可能な担体としては、グリセリド、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピルおよびプロピレングリコールの脂肪酸誘導体等のエステル、N-メチルピロリドン、グリセロールホルマールのような有機溶媒、水等が挙げられる。本発明の内部寄生虫防除剤中の有効成分の含有量は、注射剤では0.01〜20重量%が適当である。
【0040】
スポットオン剤、ポアオン剤は本発明の有効成分を皮膚に塗布可能な液体担体、例えばアルコール類、パラフィン等の脂肪族炭化水素類、プロピレングリコールの脂肪酸エステル等のエステル類、動植物油類、水等に溶解、懸濁、または乳化し、必要に応じて吸収促進剤、着色剤、保存剤等を添加し調剤することができる。
【0041】
樹脂剤は、例えば塩化ビニル系重合体、ポリウレタン等の担体を用いた基材に、必要によりフタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、ステアリン酸等の可塑剤を添加し、該基材中に本発明の有効成分を混練した後、射出成型、押出成型、プレス成型等により成型する。さらに適宣成型、裁断等の工程を経て動物用イヤータッグ、動物用防虫首輪とすることもできる。
【0042】
本発明の内部寄生虫防除剤は、経口または注射により適用動物の体内へ投与すること、適用動物の体表の全体又は部分へ投与すること等により使用することができる。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
(試験例1)鶏回虫(Ascaridiidae galli)の成虫に対する効果(試験管内試験)
A. galliの成虫の運動性の変化により化合物の活性を評価した。本発明化合物をジメチルスルホキシドにて溶解後、化合物濃度が100ppmとなるようリンゲル液にて溶解したA. galliの培養液に加えた。A. galli成虫を1培養液あたり、6隻ずつ入れ、41℃で培養した。培養開始後24時間に、A. galli成虫の運動性を観察し、以下の評価基準により、化合物の活性を評価した。
評価基準

A: 自動運動停止虫体数 4〜6隻/6隻
B : 自動運動停止虫体数 2〜3隻/6隻
試験結果は表7に示す通りであった。
【0045】
【表7】

【0046】
(試験例2)犬糸条虫(Dirofilaria immitis)のミクロフィラリアに対する効果(試験管内試験)
D. immitisのミクロフィラリアの運動性の変化により化合物の活性を評価した。本発明化合物を化合物濃度が3.13ppmとなるようRPMI1640液体培地にて溶解後、D. immitisのミクロフィラリアを1培養液あたり、約20匹ずつ入れ、37℃で培養した。培養開始後48時間に、D. immitisミクロフィラリアの運動性を観察し、以下の評価基準により、化合物の活性を評価した。
評価基準

A:2/3以上の虫体が死亡
B:ほとんどの虫体に何らかの影響または1/3以上の虫体が死亡。
【0047】

試験結果は表8に示す通りであった。
【0048】
【表8】

【0049】
(試験例3)ネズミ円虫(Nippostrongylus brasiliensis) 成熟幼虫に対する効果(マウスにおける駆虫試験)
N. brasiliensis人工感染マウスに、所定量の本発明化合物を0.05%カルボキシメチルセルロース(CMC)溶液に懸濁し、胃ゾンデを用いて一回経口投与した。投与3日後に剖検を行い小腸に寄生しているN. brasiliensis数を数え、無投薬感染マウスを対照として、下式にて駆虫率(%)を算出した。マウスは一投与区3匹とし、駆虫率は一投与区あたりの平均値で示した。試験期間中にマウスが死亡した場合は死亡したマウスを除いて、駆虫率を求めた。
駆虫率(%)={(対照マウス寄生虫体数−投薬感染マウス寄生虫体数)
÷対照マウス寄生虫体数}×100
試験結果は表9に示す通りであった。
【0050】
【表9】

【0051】
(試験例4)鶏回虫(Ascaridiidae galli)の成虫に対する試験(ニワトリにおける駆虫試験)
所定量の本発明化合物をゼラチンカプセルに充填し、糞検査により、A. galliの感染が確認されたA. galli人工感染鶏に、胃ゾンデを用いて一回経口投与した。投与後、7日間各鶏の排出虫体数を計数した。投与7日後に剖検を行い、腸内に残存する虫体数を計数し下式より排虫率を算出した。
排虫率(%)={7日間の排出虫体数÷(7日間の排出虫体数+残存虫体数)}×100
試験結果は表10に示す通りであった。
【0052】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)
【化1】

[式中、Rは、置換されていてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜20の直鎖、分岐、環状のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜20の直鎖、分岐、環状のアルキニル基、置換されていてもよいフェニル基、または置換されていてもよい5〜10員の複素環基で示され、
は、置換されていてもよいフェニル基、または置換されていてもよい5〜10員の複素環基で示され、
は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のカルボニル基またはNR(R,Rはそれぞれ水素原子またはハロゲンに置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す)で示される]
で示されるアシルヒドラゾン誘導体を活性成分として含有する内部寄生虫防除剤。
【請求項2】
は、置換されていてもよい炭素数3〜4の分岐または環状のアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、または置換されていてもよいチエニル基で示され、
は、置換されていてもよいフェニル基、
は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基
で示される請求項1に記載の内部寄生虫防除剤。
【請求項3】
は、ハロゲン、メチル基、エチル基、フェニル基により置換されていてもよいシクロプロピル基で示され、
は、ハロゲン、メチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ニトロ基により置換されていてもよいフェニル基、
は、水素原子
で示される請求項1に記載の内部寄生虫防除剤。
【請求項4】
は、ハロゲンにより置換されていてもよいフェニル基、
は、ハロゲン、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいフェニル基、
は、水素原子
で示される請求項1に記載の内部寄生虫防除剤。
【請求項5】
式(I)で示されるアシルヒドラゾン誘導体を用いてなる、ヒト以外の恒温動物 の内部寄生虫防除方法
【請求項6】
式(I)で示されるアシルヒドラゾン誘導体の、内部寄生虫防除剤としての使用。

【公開番号】特開2011−132183(P2011−132183A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293769(P2009−293769)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000006091)Meiji Seikaファルマ株式会社 (180)
【Fターム(参考)】