説明

新規1−アミノカルボニルピペリジン誘導体

【課題】抗アレルギー剤として有用な新規化合物の提供。
【解決手段】下記式(I)で表される新規な1−アミノカルボニルピペリジン誘導体またはその生理的に許容される塩。


〔式中、Rは、シクロアルキル基等を表し、Rは、フェニル基等を表し、RおよびRは、同一または異なって、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基等を表し、基:環Aは、アゼチジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、ピペリジノ基、ピペラジン−1−イル基等を表し、mは1,2または3を表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた抗アレルギー作用を有する新規な1−アミノカルボニルピペリジン誘導体、その生理的に許容される塩およびそれらを含有する医薬組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大気汚染、家屋構造の変化(密閉性、冷暖房など)等が原因で気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎のようなアレルギー疾患が増加してきている。現在、これらのアレルギー疾患の治療には主にステロイド剤が用いられているが、ステロイド類はしばしば重篤な副作用を生ずる。また、近年、免疫抑制作用を有する数種の薬剤もアレルギー疾患の予防および治療に有効であるとされているが、これも重篤な副作用が懸念されるため、その使用が制限されている。一方、既存の抗ヒスタミン剤や抗炎症剤も対症療法としてアレルギー疾患治療に用いられるが、特にアトピー性皮膚炎においてこれらの薬剤は十分な治療効果を示さない。したがって、アレルギー疾患の予防および治療に対して経口投与で有効な新しい非ステロイド系の抗アレルギー剤が切望されている。
【0003】
特許文献1は、下記一般式で表されるプロテイン阻害剤を開示している。該化合物は、骨粗鬆症、歯周病、骨関節炎等の治療に用いられることが記載されている。本発明の化合物のピペリジン環の窒素原子は、−C(=O)−NH-Rで置換されているが、それに対応する下記化合物の置換基Rにはそのような置換基を有していない。したがって、本発明の化合物とは明らかに化学構造が異なる。
【0004】
【化1】

【0005】
〔式中、YはArまたはNRであり;
はR″、R″C(O)、R″C(S)、R″SO、R″OC(O)、R″R′NC(O)、またはR″R′NC(S)であり;
はH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、Ar−C0−6アルキル、またはHet−C0−6アルキルであり;
はH、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、Het、Ar等であり;
はAr−C0−6アルキル、Het−C0−6アルキル等であり;
はR−N(R)−C(R)−Z−、Ar−C0−6アルキル、Het−C0−6アルキル、アダマンチル−C(O)−、Ar−C(O)−、またはHet−C(O)−であり;
各R′は独立してC1−6アルキル、C2−6アルケニル、Ar−C0−6アルキル、またはHet−C0−6アルキルであり;
各R″は独立してC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル−C0−6アルキル、Ar−C0−6アルキル、またはHet−C0−6アルキルであり;
R'''はH、C1−6アルキル等であり;
はR″、R″C(O)、R″C(S)、R″SO、R″OC(O)、R″R′NC(O)等であり;
はC3−6シクロアルキル−C0−6アルキル、Ar−C0−6アルキル、Het−C0−6アルキル等であり;
ZはC(O)またはCHであり;
nは1,2または3である。〕
【0006】
特許文献2には、下記一般式で表されるPGD2レセプタアンタゴニストを開示している。該化合物は炎症性疾患(アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、骨関節炎、炎症性腸疾患または皮膚障害)の治療に用いられることが記載されている。該化合物は、ピペリジン環を有しているがこのピペリジン環は必ず他の単環式芳香環と縮合している縮合二環式複素環であり、本発明の化合物とは明らかに化学構造が異なる。
【0007】
【化2】

【0008】
〔式中、環Aは、必要に応じて置換した単環式芳香環である;
Rは、−X−Rである;
は、−X−Rである;
は、必要に応じて置換した環状脂肪族基、芳香族基等である;
Xは、−C(R−等である;
およびXはそれぞれ別個に、結合、C(O)、C(O)NH等である;
はHまたは必要に応じて環状脂肪族基、芳香族基または非芳香族複素環基である;
は別個にH、−X−R等である;
はH、−X−R10等である;
およびXはそれぞれ別個に、直鎖または分枝ヒドロカルビル基であり、該ヒロドカルビル基は、必要に応じて、ハロ、−OH、=O等からなる群から選択される1個またはそれ以上の基で置換されている;
およびRはそれぞれ別個に、HまたはC−Cアルキルである;そして、
およびR10は、それぞれ別個に、H、環状脂肪族基、芳香族基、非芳香族複素環基等である;等。〕
【0009】
また、特許文献3には、下記一般式で表されるPGD2レセプタアンタゴニストを開示している。該化合物は炎症性疾患(アレルギー性鼻炎、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患、アトピー性皮膚炎またはアレルギー性喘息)の治療に用いられることが記載されている。該化合物は、ピペリジン環を有しているがこのピペリジン環は必ず他の単環式芳香環と縮合している縮合二環式複素環であり、本発明の化合物とは明らかに化学構造が異なる。
【0010】
【化3】

【0011】
〔式中、環Aは、必要に応じて置換した単環式芳香環である;
Rは、−X−Rである;
は、−X−Rである;
およびXはそれぞれ別個に、C(O)、C(O)NH等である;
は、置換した5〜6員環である芳香環基または複素芳香環基である;
は、C1−3アルキル基である;
は、芳香環、複素芳香環、非芳香族炭素環、または非芳香族複素環から選ばれる必要に応じて置換した単環式または二環式基である;
は、必要に応じて置換したC1−6アルキル基等である;等。〕
【0012】
特許文献4には、下記一般式で表されるセロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤を開示している。該化合物は、セロトニンおよびノルアドレナリンの両方の阻害に関わっている疾患(尿失禁)やセロトニンまたはノルアドレナリンのどちらか一方の再取り込みを阻害する疾患(疼痛、うつ病等)の治療に使用されることが記載されている。これらの用途は本願発明の用途とは全く異なる。更には、該文献の実施例には、Rが水素原子である化合物しか開示されておらず、かつ本発明の化合物の−(CH−環A部分に対応する基Rがhet−C1−4アルキル−基である化合物の具体的な開示もない。
【0013】
【化4】

【0014】
〔式中、Rは、−H、−C(A)Y、−C3−8シクロアルキル、−アリール等であり、これらのシクロアルキル、アリールまたはhetは、Bから選択される少なくとも任意の1つの独立した置換基で置換しており、
Aは、SまたはOであり、
Yは、−アリール、−het等であり、
Bは、−C1−8アルキル、−C1−8アルコキシ、−OH、−halo、−CF、−OCF、C1−4アルコキシ−C1−6アルキル−等であり、
は、アリールまたはhetであり、それぞれDから選択される少なくとも1つの独立した置換基で任意に置換しており、
アリールは、独立してフェニル、ナフチル等から選択され、
hetは、少なくとも1つのN、OまたはSヘテロ原子を含む5から10員環の芳香族であり、任意にアリール基を含み、
Dは、−C1−8アルキル、−C1−8アルコキシ、−OH、−halo、−CF、−OCF、C1−4アルコキシ−C1−6アルキル−、C3−8シクロアルキル等であり、
は、−het、het−C1−4アルキル−等であり、het等は、Gから選択される少なくとも1つの独立した置換基で任意に置換しており、
hetは、少なくとも1つのN、OまたはSのヘテロ原子を含む4−、5−または6−員の非芳香族へテロ環であって、任意に5−もしくは6−員の炭素環または少なくとも1つのN、OまたはSのヘテロ原子を含むもう一つの4−、5−もしくは6−員のへテロ環と縮合しており、
Gは、−C1−8アルキル、−C1−6アルコキシ、−OH、−halo、−CF等であって、ここのアルキル基は、置換基を有していてもよく、
Xは、単結合、−C1−8アルキル等であり、
nは1のとき、mは0または1等である。〕
【0015】
非特許文献1には、下記一般式で示される化合物が開示されており、これらの化合物は鎮痛剤および局所麻酔薬として有用であることが記載されている。該化合物は、XがN(CH)の場合には、ピペリジン環を有する化合物になるが、ピペリジン環の窒素原子の置換基としてはメチル基のみしかないことから、本発明の化合物とは明らかに化学構造が異なる。
【0016】
【化5】

【0017】
〔式中、Rはメチル基であり、RおよびRは水素原子またはメチル基であり、
NRはN(CH、N(CHCH、ピロリジニル基、ピペリジニル基またはモルホリニル基であり、
Xは酸素原子、硫黄原子またはN(CH)である。〕
【特許文献1】特表2001−525809号公報
【特許文献2】特表2006−508077号公報
【特許文献3】国際公開WO2005/100321号パンフレット
【特許文献4】国際公開WO2006/064351号パンフレット
【非特許文献1】ケミカルアブストラクト 95:24753〔Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurnal(1981)、15(3)、43−49〕
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
既存の抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤はヒトのアトピー性皮膚炎における炎症に対してほとんど抑制効果を示さないため、副作用の強いステロイド剤や免疫抑制剤以外の新規なアトピー性皮膚炎の治療剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、非ステロイド系の化学構造を有し、かつ優れた抗アレルギー作用を発揮する新規化合物を見出し、本発明を完成した。本発明によれば、下記一般式(I)で表される新規な1−アミノカルボニルピペリジン誘導体またはその生理的に許容される塩(以下、「本発明の化合物」ということもある)ならびに本発明の化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【0020】
(1)下記式(I)で表される化合物またはその生理的に許容される塩:
【0021】
【化6】

【0022】
〔式中、基:環Aはアゼチジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、ピペリジノ基、ピペラジン−1−イル基、モルホリノ基、ヘキサヒドロアゼピン−1−イル基、ヘキサヒドロジアゼピン−1−イル基、アジリジン−1−イル基、ペルヒドロイソキノリン−2−イル基、ペルヒドロキノリン−1−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル基、2,3−ジヒドロインドール−1−イル基、ペルヒドロインドール−1−イル基、1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル基、ペルヒドロイソインドール−2−イル基、ピラゾリジン−1−イル基、テトラヒドロイミダゾール−1−イル基、ヘキサヒドロ−1,4−オキサアゼピン−4−イル基、オキサゾリジン−3−イル基、チアゾリジン−3−イル基、チオモルホリン−4−イル基、ヘキサヒドロピリダジン−1−イル基、ヘキサヒドロピリミジン−1−イル基、テトラゾリル基、2−ピロリン−1−イル基または3−ピロリン−1−イル基を表し、
は、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基または置換されていてもよいヘテロ環基(ここにおいて、該ヘテロ環基は、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、アザインドリル基、インダゾリル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フリル基、ピラニル基、ベンゾフラニル基、クロメニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基またはベンゾイソオキサゾリル基を意味する)を表し、
における置換されていてもよいフェニル基とは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基(該C1−6アルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−3アルコキシ基およびトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ−カルボニル基、C1−3アルキル−カルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕、C3−8シクロアルキル基(該C3−8シクロアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ基、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメトキシ基からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基、アミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基、またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよいフェニル基を意味し、
における置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基とは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、アミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)およびフェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ−カルボニル基、C1−3アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基を意味し、
における置換されていてもよいヘテロ環基とは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ−カルボニル基、C1−3アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕、C3−8シクロアルキル基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基、オキソ基、アミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいヘテロ環基を意味し、
は、フェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ−カルボニル基、C1−3アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよい〕またはC3−8シクロアルキル基〔該C3−8シクロアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕を表し、
およびRは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トルフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、C1−6アルキル−カルボニル基、アミノ基〔該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−6アルキル基、C1−3アルキル−カルボニル基またはアミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい〕、フェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよい〕、ベンジル基〔該ベンジル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよい〕、ベンゾイル基〔該ベンゾイル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよい〕、C3−8シクロアルキル基、アミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)、ピロリジルカルバモイル基またはC1−6アルキルオキサジアゾリル基を表し、
mは、1,2または3を表す。〕
【0023】
(2)基:環Aがアゼチジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピペラジン−1−イル基またはヘキサヒドロアゼピン−1−イル基である上記(1)に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【0024】
(3)Rが、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フェニル基〔フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕、C3−8シクロアルキル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよいフェニル基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、アミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)およびフェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよい〕からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいシクロヘキシル基;またはハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいピリジル基である上記(1)または(2)のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【0025】
(4)Rが、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよいフェニル基;またはハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいシクロヘキシル基である上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【0026】
(5)Rが、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよいフェニル基;またはC3−8シクロアルキル基である上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【0027】
(6)RおよびRが、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチル基、アミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)である上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【0028】
(7)mが1または2である上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【0029】
(8)基:環Aがピロリジン−1−イル基、ピペリジノ基、モルホリノ基またはピペラジン−1−イル基であり、
が、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基およびトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよいフェニル基であり、
が、フェニル基であり、
およびRが、同一または異なって、水素原子またはC1−6アルキル基であり、
mが1または2である上記(1)に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【0030】
(9)N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例1の化合物)、
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−(2−モルホリン−4−イルアセチル)−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例2の化合物)、
N−(4−メトキシフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例3の化合物)、
N−(4−フルオロフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例4の化合物)、
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例5の化合物)、
N−(4−イソプロピルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例6の化合物)、
N−(2−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例7の化合物)、および
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−(3−ピロリジン−1−イルプロピオニル)−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例8の化合物)
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【0031】
(10)上記(1)〜(9)のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩を有効成分とする医薬組成物。
【0032】
(11)アレルギー性疾患の予防および/または治療に用いるための上記(10)に記載の医薬組成物。
【0033】
(12)アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎または接触性皮膚炎である上記(11)に記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0034】
本発明の化合物は、アトピー性皮膚炎モデルにおいて優れた抗アレルギー作用を有することから、抗アレルギー剤として、例えば、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、湿疹、アレルギー性眼炎、花粉症のようなアレルギー性疾患、更には、その他の炎症性疾患の予防および/または治療として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
式(I)で表される化合物の生理的に許容される塩とは、生理的に許容される酸付加塩を意味する。具体的には、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩およびシュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マロン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、グルコン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
【0036】
本発明の化合物は、結晶であってもまたは非結晶であってもよく、水和物および/または溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物および/または溶媒和物もまた本発明の化合物に包含される。化学量論量の水和物および凍結乾燥のような方法によって得られる種々の量の水を含む化合物も本発明の範囲内にある。
【0037】
また、式(I)で表される化合物の中には不斉炭素原子を有するものがあるが、これらの立体異性体、それらの混合物およびラセミ体もまた本発明に包含される。同位元素で置換された式(I)の化合物も本発明の化合物に包含される。
【0038】
本明細書における用語を以下に説明する。
【0039】
本明細書において、「C1−6」、「C3−8」または「C1−3」は、その直後に記載された置換基の炭素数がそれぞれ1〜6、3〜8または1〜3であることを意味する。したがって、例えば、「Cアルキル−カルボニル」とはアセチル基を意味する。
【0040】
「C1−6アルキル基」は、炭素原子を1〜6個有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を意味し、具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。また、「C1−3アルキル基」の具体例としては、上記の例示中の炭素原子の数が1〜3である置換基等が挙げられる。
【0041】
「C1−6アルコキシ基」は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよく、具体例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。「C1−3アルコキシ基」の具体例としては、上記の例示中の炭素原子の数が1〜3である置換基等が挙げられる。
【0042】
「C1−6アルコキシカルボニル基」は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよく、具体例としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。「C1−3アルコキシ−カルボニル基」の具体例としては、上記の例示中のアルコキシ部分の炭素原子の数が1〜3である置換基等が挙げられる。
【0043】
「C1−6アルキル−カルボニル基」は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよく、具体例としては、例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基等が挙げられる。「C1−3アルキル−カルボニル基」の具体例としては、上記の例示中のアルキル部分の炭素原子の数が1〜3である置換基等が挙げられる。
【0044】
「C1−3アルキルチオ基」は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよく、具体例としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基が挙げられる。
【0045】
「C1−3アルキルスルホニル基」は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよく、具体例としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基が挙げられる。
【0046】
「C3−8シクロアルキル基」とは、炭素原子を3〜8個有するシクロアルカンの1価基を意味する。具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
【0047】
「置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基」とは、それぞれ置換可能な位置にて、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、アミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)およびフェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ−カルボニル基、C1−3アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基を意味する。
置換されてもよいC3−8シクロアルキル基の好ましい具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4,4−ジメチルシクロヘキシル基、3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシル基、4−フルオロシクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、4−トリフルオロメチルシクロヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、4−フェニルシクロヘキシル基、4−(4−クロロフェニル)シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0048】
「置換されていてもよいフェニル基」とは、それぞれ置換可能な位置にて、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基(該C1−6アルキル基は、それぞれ置換可能な位置にて、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−3アルコキシ基およびトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ−カルボニル基、C1−3アルキル−カルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕、C3−8シクロアルキル基(該C3−8シクロアルキル基は、それぞれ置換可能な位置にて、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ基、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメトキシ基からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基、アミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよいフェニル基を意味する。
置換されていてもよいフェニル基の好ましい具体例としては、例えば、フェニル基、3−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−メチルフェニル基、4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル基、2−メトキシフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、4−クロロ−3−ニトロフェニル基、4−フェニルフェニル基、4−(4−クロロフェニル)フェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、3−カルボキシルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、2−アセチルフェニル基、4−(2,2,2−トリフルオロアセチル)フェニル基、4−メチルチオフェニル基、4−メチルスルホニルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、4−(3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシルアミノ)フェニル基、2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2−メトキシ−4−クロロフェニル基、2,5−ジフルオロ−4−クロロフェニル基、2−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、4−フルオロフェニル基、3−クロロ−4−フルオロフェニル基、4−メチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−フルオロ−4−クロロフェニル基、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシメチルフェニル基、4−フルオロメチルフェニル基、4−(1−クロロ−2,2,2−トリクロロエチル)フェニル基、2,4−ジトリフルオロメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−ジメチルアミノフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、2−フルオロフェニル基等が挙げられる。
【0049】
「ヘテロ環基」とは、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、アザインドリル基、インダゾリル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フリル基、ピラニル基、ベンゾフラニル基、クロメニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基またはベンゾイソオキサゾリル基を意味し、「置換されていてもよいヘテロ環基」とは、それぞれ置換可能な位置にて、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ−カルボニル基、C1−3アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕、C3−8シクロアルキル基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基、オキソ基、アミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいヘテロ環基を意味する。
それぞれ置換可能な位置にて、これらの置換基で置換されていてもよいヘテロ環基の好ましい具体例としては、例えば、上記各へテロ環基、3−フェニルフリル基、2−トリフルオロメチルピリジル基、2−クロロピリジル基、2−ヒドロキシピリジル基、2−メトキシピリジル基、N−メチルピペリジル基、2−フェニルピペリジル基、2−(3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシルアミノ)ピリジル基、2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ)ピリジル基、4−メトキシ−2−キノリル基、5−クロロインドリル基、5−ニトロベンゾフラニル基、2−メチルベンゾイミダゾリル基、1−メチルピロリル基、2−メチルチオピリジル基、2,6−ジクロロピリジル基、2,3−ジクロロピリジル基、2−(シクロヘプチルアミノ)ピリジル基等が挙げられる。
【0050】
「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。
【0051】
本発明の化合物としては、具体的には、後述の実施例中に列挙された化合物である実施例1〜実施例8の化合物を例示することができる。
【0052】
好ましい本発明の化合物は、以下の化合物またはその生理的に許容される塩を挙げることができる。
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例1の化合物)、
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−(2−モルホリン−4−イルアセチル)−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例2の化合物)、
N−(4−メトキシフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例3の化合物)、
N−(4−フルオロフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例4の化合物)、
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例5の化合物)、
N−(4−イソプロピルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例6の化合物)、
N−(2−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例7の化合物)、および
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−(3−ピロリジン−1−イルプロピオニル)−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例8の化合物)。
【0053】
次に本発明の化合物の製造法について以下に説明する。
一般式(I)で表される本発明の化合物は、下記に示す製法により製造することができる。
【0054】
〔製法〕:下記式(II)
【0055】
【化7】

【0056】
〔式中、Rは上記(1)に記載のものと同じものを意味する。〕
で表される化合物と下記式(III)
【0057】
【化8】

【0058】
〔式中、R、R、R、mおよび基:環Aは上記(1)に記載のものと同じものを意味する。〕
で表される化合物を反応させることからなる、前記式(I)で表される化合物を製造する方法。
【0059】
式(II)の化合物と式(III)の化合物との反応は、無溶媒下または適当な溶媒中で行われる。使用する溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらの溶媒はそれぞれ単独で、あるいは2種以上で混合して用いられる。本反応は、必要に応じて塩基の存在下に行われ、塩基の具体例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化ナトリウムのような無機塩基、またはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノピリジンのような有機塩基が挙げられる。また、過剰量の式(III)の化合物を反応に加えると、該化合物は塩基として機能する。反応温度は、通常−40℃〜200℃であるが、好ましくは−20℃〜70℃である。
【0060】
次に、式(II)および式(III)で表される化合物の製造法について、以下に説明する。
【0061】
式(II)の化合物は、例えば、市販化合物を購入するか、または対応するカルボン酸(R−COOH等)を原料にしてCurtius転位させる公知の方法で製造することで入手できる。
【0062】
式(III)の化合物は、下記スキーム1で示される方法で製造することができる。
【0063】
【化9】

【0064】
〔式中、PGは保護基を意味し、R、R、R、mおよび基:環Aは上記(1)に記載のものと同じものを意味する。〕
【0065】
〔工程1〕
化合物(2−3)は、適当な溶媒中での化合物(2−1)と入手可能な対応する第1モノアミン(R−NH)を用いる還元的アルキル化で製造される。この反応は、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシボラン酸ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、ピコリン−ボラン等の還元剤を用いて行うか、または水素雰囲気下でパラジウム等の金属触媒を用いて接触還元することで行う。使用する溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、メタノール、エタノール等が挙げられ、これらの溶媒はそれぞれ単独で、あるいは2種以上で混合して用いられる。また、本反応は、反応触媒として、酢酸、塩酸等の酸を添加して行うと、より好適に進行する。反応温度は、通常−20℃〜150℃であるが、好ましくは0℃〜100℃である。
【0066】
化合物(2−3)は、対応するブロム置換アリールまたはクロル置換へテロアリールと化合物(2−2)をパラジウム触媒〔例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム〕、フォスフィンリガンド(例えば、2’,6’−ジメトキシ−2−ジシクロヘキシルフォスフィノビフェニル)並びに有機塩基(例えば、t−ブトキシナトリウム)存在下で反応させることによっても製造することができる。使用する溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、これらの溶媒はそれぞれ単独で、あるいは2種以上で混合して用いられる。反応温度は、通常0℃〜150℃であるが、好ましくは25℃〜120℃である
【0067】
〔工程2〕
化合物(2−4)は、化合物(2−3)と対応する酸ハライド、例えば、クロロ酢酸クロライド、ブロモ酢酸ブロマイドまたはクロロプロピオン酸クロライド等を適当な溶媒中で反応させることで製造される。使用する溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらの溶媒はそれぞれ単独で、あるいは2種以上で混合して用いられる。本反応は、必要に応じて塩基の存在下に行われ、塩基の具体例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムのような無機塩基、またはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノピリジン、ピリジンのような有機塩基が挙げられる。反応温度は、通常−20℃〜150℃であるが、好ましくは0℃〜120℃である。
【0068】
〔工程3〕
化合物(2−5)は、化合物(2−4)と対応する環A化合物を、無溶媒下または適当な溶媒中で反応させることで製造される。使用する溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、これらの溶媒はそれぞれ単独で、あるいは2種以上で混合して用いられる。本反応は、必要に応じて塩基の存在下に行われ、塩基の具体例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムのような無機塩基、またはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノピリジン、ピリジンのような有機塩基が挙げられる。また、過剰量の対応する環A化合物を反応溶液に加えることで、該化合物は塩基として機能する。反応温度は、通常−20℃〜150℃であるが、好ましくは0℃〜120℃である。
【0069】
〔工程4〕
化合物(III)は、化合物(2−5)が有している保護基を、常法に従って脱保護することで得られる。保護基の具体例としては、例えば、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等のカルバメート類を形成する基や、ベンジル基、トリチル基等のベンジルアミン類を形成する基が挙げられる。
【0070】
上記に示す製造方法で得られた式(I)の化合物は、抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿のような常法に従って単離・精製される。抽出溶媒としては、ジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン等が用いられる。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製は、酸性、塩基性もしくは各種化学処理をしたシリカゲルまたはアルミナ等を用いて、展開溶媒には、例えばヘキサン/酢酸エチル、ヘキサン/クロロホルム、酢酸エチル/メタノール、クロロホルム/メタノール、アセトニトリル/水、メタノール/水等を使用することができる。
【0071】
式(I)の化合物がラセミ体である場合は、光学活性カラムを用いるクロマトグラフィー、光学活性な酸または合成キラル分割剤などによる光学分割方法、優先晶出法、ジアステレオマー法等の常法に従って、それぞれのエナンチオマーへと分離・精製することができる。また、光学活性な式(I)の化合物は、光学活性な式(III)の化合物と式(II)の化合物との反応からも製造される。例えば光学活性酸を用いたエナンチオマーへの分離は、常法に従ってジアステレオマー塩を形成させた後、2種のジアステレオマー塩に分離し、次いでこれを遊離塩基に変換させることにより行われる。光学分割剤として用いられる光学活性酸としては、例えば(+)−または(−)−ショウノウ酸、(1S)−(+)−または(1R)−(−)−ショウノウ−10−スルホン酸、L−(+)−またはD−(−)−酒石酸、(+)−または(−)−マンデル酸、(S)−(−)−または(R)−(+)−リンゴ酸、L−ピログルタミン酸、(S)−(+)−または(R)−(−)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイル、(+)−ジベンゾイル−D−酒石酸または(−)−ジベンゾイル−L−酒石酸等が挙げられる。
【0072】
ヒドロキシ基を有する式(I)の化合物は、ヒドロキシ基の保護と脱保護を常法に従って行うことで合成することができる。
【0073】
式(I)の化合物は、構造式中に存在する官能基の種類、原料化合物の選定、反応処理条件により、遊離塩基または酸付加塩の形で得られるが、常法に従って式(I)の化合物に変換することができる。一方、式(I)の化合物は、常法に従って各種の酸と処理することにより酸付加塩に導くことができる。
【0074】
本発明の化合物は、後述のように、非ステロイド系薬剤として優れた抗アレルギー作用を有することから、ヒトおよび哺乳動物に対して副作用の少ない安全な抗アレルギー剤として使用することが期待できる。本発明の化合物は、例えば、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、湿疹、アレルギー性眼炎、花粉症のようなアレルギー性疾患の予防および/または治療薬として有用である。
【0075】
本発明の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与または直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なるが、例えば、経口投与の場合は、通常、ヒトまたは哺乳動物1kg体重あたり約0.01〜100mg、更に好ましくは、約0.1〜10mgを1〜数回に分けて投与することができる。静注などの非経口投与の場合は、通常、例えば、ヒトまたは哺乳動物1kg体重あたり約1μg〜10mg、更に好ましくは約10μg〜1mgを投与することができる。
【0076】
本発明の化合物は、上記のごとき医薬用途に使用する場合、通常、製剤用担体と混合して調製された製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の化合物と反応しない無毒性の物質が用いられる。具体的には、クエン酸、グルタミン酸、グリシン、乳糖、イノシトール、ブドウ糖、マンニトール、デキストラン、ソルビトール、シクロデキストリン、デンプン、部分アルファー化マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、プロピレングルコール、エタノール、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、水、生理食塩水、リンゲル液ヒト血清アルブミン、クロロブタノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノール、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等が挙げられる。
【0077】
製剤の剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、注射剤、坐剤、点眼剤、軟膏剤、塗布剤、貼付剤、吸入剤等が挙げられる。これらの製剤は常法にしたがって調製することができる。更に、これらの製剤は治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。
【実施例】
【0078】
以下に参考例、実施例および試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。化合物の同定は元素分析、水素核磁気共鳴吸収スペクトル(H−NMR)、LS−MS、融点、旋光度等を用いて行った。なお、参考例および実施例における塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーは、富士シリシア化学社製のクロマトレックスNHを用いた。
【0079】
また、明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例および表中において次に示すような略号を用いることもある。
置換基として用いられる略号としては、Meはメチル基、Phはフェニル基、i−Prはイソプロピル基を意味する。
【0080】
H−NMRに用いられる略号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重の二重線、tは三重線、tdは三重の二重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brdは幅広い二重線、brtは幅広い三重線およびJは結合定数を意味する。
【0081】
参考例1(1):N−フェニル−N−(ピペリジン−4−イル)−2−(ピペリジン−1−イル)アセトアミド
【0082】
〔工程1〕
1−t−ブチルオキシカルボニルピペリジン−4−オン(50.0g)およびアニリン(19.5g)のジクロロメタン(250ml)溶液に、酢酸(24.2ml)を加えて室温で30分間撹拌した。氷冷下で、この反応混合物にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(40.9g)を加えた後、室温で12時間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)を加えて、クロロホルム(100ml×3回)で抽出を行った。有機層を飽和食塩水(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮した。得られた残留物を酢酸エチル/ジイソプロピルエーテルを用いて結晶化し、その結晶を濾取することで、4−フェニルアミノピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(48.7g、収率84%)を得た。
【0083】
〔工程2〕
上記工程1で得られた4−フェニルアミノピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(15.0g)およびトリエチルアミン(18.9ml)のジクロロメタン(200ml)溶液に、窒素置換・氷冷下で、クロロアセチルクロライド(9.2ml)を滴下した。滴下終了後、この反応混合物を室温に昇温し12時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)を加えて、クロロホルム(50ml×3回)で抽出した。有機層は飽和食塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮することで、4−〔N−(2−クロロアセチル)−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(粗製の油状物)を得た。
【0084】
〔工程3〕
上記工程2で得られたで4−〔N−(2−クロロアセチル)−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステルおよび炭酸カリウム(26.3g)のアセトニトリル(300ml)混合物に、ピペリジン(16.1ml)を加えて、還流下12時間撹拌した。反応混合物に水(50ml)を加えて、酢酸エチル(50ml×3回)で抽出した。有機層は飽和食塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はヘキサン/酢酸エチル)で精製することで、4−〔N−フェニル−N−(2−ピペリジン−1−イルアセチル)アミノ〕ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(16.9g、工程2および工程3の2工程で収率77%)を得た。
【0085】
〔工程4〕
上記工程3で得られた4−〔N−フェニル−N−(2−ピペリジン−1−イルアセチル)アミノ〕ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(16.9g)のジクロロメタン(100ml)溶液に、トリフルオロ酢酸(15.6ml)を加えて室温で12時間撹拌した。氷冷下、反応混合物に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(50ml)を加えて中和した後、クロロホルム(50ml×3回)で抽出した。有機層を飽和食塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮することで、目的物(15.7g、収率100%)を得た。
【0086】
対応する酸クロライドおよび対応する環状アミンを用いて参考例1(1)の工程2および工程3を行い、以下同様に反応・処理することにより、以下の参考例1(2)〜1(4)の化合物を得た。
参考例1(2):2−(モルホリン−4−イル)−N−フェニル−N−(ピペリジン−4−イル)アセトアミド
参考例1(3):3−(4−メチルピペラジン−1−イル)−N−フェニル−N−(ピペリジン−4−イル)プロピオナミド
参考例1(4):N−フェニル−N−(ピペリジン−4−イル)−3−(ピロリジン−1−イル)プロピオナミド
【0087】
実施例1:N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド
【0088】
【化10】

【0089】
参考例1(3)に記載の化合物である3−(4−メチルピペラジン−1−イル)−N−フェニル−N−(ピペリジン−4−イル)プロピオナミド・3塩酸塩(1.57g)のジクロロメタン(10ml)溶液に、トリエチルアミン(2.5ml)を加え、0℃下、4−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(1.5g)を加えて、5分後に室温へと昇温させ、5時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)を加えた後、クロロホルム(20ml×3回)で抽出した。有機層は炭酸水素ナトリウム水溶液(20ml)、飽和食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール)で精製することで、目的物(1.65g、収率86%)を白色固体として得た。
【0090】
対応する原料化合物を用いて、実施例1と同様に反応・処理して、実施例2〜実施例8の化合物を得た。これらの化合物を表1に示す。また、特に融点を記載していない化合物は、アモルファスであったことを意味する。
【0091】
【表1】

【0092】
以下に示す表2に、上記実施例化合物のH−NMRデータを記載する。
【0093】
【表2】

【0094】
本発明の代表化合物についての薬理試験およびその結果について以下に説明する。
【0095】
試験例:TMA(無水トリメリット酸;Trimellitic anhydride)反復塗布皮膚炎モデルに対する抑制作用
雄性のBALB/cAnNCrlCrljマウスを用いた。前日にシックインジェクター(一枚刃;シック・ジャパン社)を用いて剃毛したマウスの腹部に、10重量%TMA(アセトン:オリーブ油=4:1)溶液100μLを塗布して感作した。5日後に再び10重量%TMA溶液を腹部に100μLを塗布し追加感作し、さらにその5日後より3日間連続して10重量%TMA溶液を25μL右耳に塗布した。最終塗布操作日より8または9日後に10重量%TMA溶液を25μLずつ両耳に塗布して誘発した。誘発後8時間目の耳の厚みを、ダイヤルゲージシックネスを用いて測定した。耳反応の程度は8時間における耳厚みの測定値と誘発前値との差として表し、溶媒対照群のそれと比較して抑制率を算出し、下記表8に示した。なお被検薬は、前日に終濃度2.5重量%になるようにDMSO(ジメチルスルホキシド)を加え溶解させたのち、0.5重量%メチルセルロース(MC)溶液に調製し、比較対照化合物として用いたステロイド剤であるプレドニゾロンは1mg/mLに調製した。それぞれ、誘発30分前および4時間後の2回0.5mL/匹ずつ経口投与した。
【0096】
【表3】

【0097】
上記の表3から明らかなように、上記式(I)で表される本発明の化合物は、アトピー性皮膚炎モデル動物の皮膚炎症反応に対してステロイド剤と同等またはそれ以上の抑制作用が認められた。このことから、本発明の化合物は優れた抗アレルギー作用を有し、更には抗炎症作用も有することが示唆される。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の化合物は、上記の試験例からも明らかなように、アトピー性皮膚炎モデルにおいて優れた抗アレルギー作用を有することから、抗アレルギー剤として、例えば、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、湿疹、アレルギー性眼炎、花粉症のようなアレルギー性疾患、更には、その他の炎症性疾患の予防および/または治療に望ましくは単独で、必要に応じて既存の薬剤との併用にて使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される化合物またはその生理的に許容される塩:
【化1】

〔式中、基:環Aはアゼチジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、ピペリジノ基、ピペラジン−1−イル基、モルホリノ基、ヘキサヒドロアゼピン−1−イル基、ヘキサヒドロジアゼピン−1−イル基、アジリジン−1−イル基、ペルヒドロイソキノリン−2−イル基、ペルヒドロキノリン−1−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル基、2,3−ジヒドロインドール−1−イル基、ペルヒドロインドール−1−イル基、1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル基、ペルヒドロイソインドール−2−イル基、ピラゾリジン−1−イル基、テトラヒドロイミダゾール−1−イル基、ヘキサヒドロ−1,4−オキサアゼピン−4−イル基、オキサゾリジン−3−イル基、チアゾリジン−3−イル基、チオモルホリン−4−イル基、ヘキサヒドロピリダジン−1−イル基、ヘキサヒドロピリミジン−1−イル基、テトラゾリル基、2−ピロリン−1−イル基または3−ピロリン−1−イル基を表し、
は、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基または置換されていてもよいヘテロ環基(ここにおいて、該ヘテロ環基は、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、アザインドリル基、インダゾリル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フリル基、ピラニル基、ベンゾフラニル基、クロメニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基またはベンゾイソオキサゾリル基を意味する)を表し、
における置換されていてもよいフェニル基とは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基(該C1−6アルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−3アルコキシ基およびトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ−カルボニル基、C1−3アルキル−カルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕、C3−8シクロアルキル基(該C3−8シクロアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ基、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメトキシ基からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基、アミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基、またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよいフェニル基を意味し、
における置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基とは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、アミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)およびフェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ−カルボニル基、C1−3アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基を意味し、
における置換されていてもよいヘテロ環基とは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ−カルボニル基、C1−3アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕、C3−8シクロアルキル基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基、オキソ基、アミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいヘテロ環基を意味し、
は、フェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1−3アルコキシ−C1−3アルキル基、C1−3アルコキシ−カルボニル基、C1−3アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよい〕またはC3−8シクロアルキル基〔該C3−8シクロアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕を表し、
およびRは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トルフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、C1−6アルキル−カルボニル基、アミノ基〔該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−6アルキル基、C1−3アルキル−カルボニル基またはアミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい〕、フェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよい〕、ベンジル基〔該ベンジル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよい〕、ベンゾイル基〔該ベンゾイル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよい〕、C3−8シクロアルキル基、アミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)、ピロリジルカルバモイル基またはC1−6アルキルオキサジアゾリル基を表し、
mは、1,2または3を表す。〕
【請求項2】
基:環Aがアゼチジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピペラジン−1−イル基またはヘキサヒドロアゼピン−1−イル基である請求項1に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【請求項3】
が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フェニル基〔フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよい〕、C3−8シクロアルキル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、C1−3アルキルチオ基、C1−3アルキルスルホニル基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよいフェニル基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、アミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)およびフェニル基〔該フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよい〕からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいシクロヘキシル基;またはハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいピリジル基である請求項1または2のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【請求項4】
が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよいフェニル基;またはハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜4個の原子または基で置換されていてもよいシクロヘキシル基である請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【請求項5】
が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、ニトロ基およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよいフェニル基;またはC3−8シクロアルキル基である請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【請求項6】
およびRが、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル−カルボニル基、トリフルオロメチル基、アミノカルボニル基(該アミノカルボニル基は、同一または異なる2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)およびアミノ基(該アミノ基は、1個または同一もしくは異なる2個のC1−3アルキル基またはC1−3アルキル−カルボニル基で置換されていてもよい)である請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【請求項7】
mが1または2である請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【請求項8】
基:環Aがピロリジン−1−イル基、ピペリジノ基、モルホリノ基またはピペラジン−1−イル基であり、
が、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基およびトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる1〜5個の原子または基で置換されていてもよいフェニル基であり、
が、フェニル基であり、
およびRが、同一または異なって、水素原子またはC1−6アルキル基であり、
mが1または2である請求項1に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【請求項9】
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド、
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−(2−モルホリン−4−イルアセチル)−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド、
N−(4−メトキシフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド、
N−(4−フルオロフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド、
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド、
N−(4−イソプロピルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド、
N−(2−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−〔3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピオニル〕−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド、および
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−〔N−(3−ピロリジン−1−イルプロピオニル)−N−フェニルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキサミド(実施例8の化合物)
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩を有効成分とする医薬組成物。
【請求項11】
アレルギー性疾患の予防および/または治療に用いるための請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎または接触性皮膚炎である請求項11に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2011−102241(P2011−102241A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53068(P2008−53068)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】