説明

新規1,6−ナフチリジン誘導体

【構成】 下記式
【化1】


(式中、R1 は水素原子,アシル基,低級アルキル基またはR1'CH2-を意味し、R1'はシクロ低級アルキル基, 低級アルケニル基, 低級アルキニル基, ベンジル基,アリール基または芳香族複素環基を意味し、R2 は低級アルキル基, シクロ低級アルキル基, 低級アルケニル基, 低級アルキニル基, アリール基,芳香族複素環基,ハロゲノ低級アルキル基,低級アルコキシ低級アルキル基,低級アルコキシ基, 低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基を意味し、R3 ,R4 は水素原子または低級アルキル基を意味し、Xは酸素原子または硫黄原子を意味する。)で表される化合物。
【効果】 この化合物はベンゾジアゼピン受容体に対して顕著な親和性を示し、また、マウスを用いたペンチレンテトラゾール誘発間代性痙攣に対して優れた拮抗作用を示すことからベンゾジアゼピン受容体作動薬として有用である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は医薬として有用な3−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン誘導体、その製造法およびその化合物の医薬としての使用に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ジアゼパムに代表されるベンゾジアゼピン(BZP)系化合物は従来から抗不安薬あるいは睡眠障害の治療薬として繁用されている。しかしながら、これらの化合物はふらつき,眠気,筋弛緩あるいは認知力,反射運動能力の低下等の副作用や、耐性,依存性形成等改善すべき問題点が多く残されている。これらの諸問題を解決する目的で、近年、脳内BZP受容体に親和性を有する非ベンゾジアゼピン系化合物の研究が行われている。
【0003】このような非ベンゾジアゼピン系化合物の一つに下記式で表される化合物がジャーナル オブ メジシナル ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry),34巻2060頁(1991)に記載されている。
【0004】
【化4】


(式中、Ra は水素原子, Rb 〜Rd はメチル基等およびRe はメトキシ基等を表す。)
【0005】しかしながら、後記式(I) で示される本発明の化合物についてはいまだ全く報告されていない。
【0006】
【発明の概要】本発明は医薬として有用な、特に、ベンゾジアゼピン受容体に親和性を有する下記式(I) で示される3−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン誘導体およびその生理的に許容される酸付加塩に関する。
【0007】
【化5】


(式中、R1 は水素原子,アシル基,低級アルキル基またはR1'CH2-を意味し、R1'はシクロ低級アルキル基, 低級アルケニル基, 低級アルキニル基, ベンジル基, アリール基または芳香族複素環基を意味し、R2 は低級アルキル基, シクロ低級アルキル基,低級アルケニル基, 低級アルキニル基, アリール基, 芳香族複素環基,ハロゲノ低級アルキル基,低級アルコキシ低級アルキル基,低級アルコキシ基, 低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基を意味し、R3 ,R4 は水素原子または低級アルキル基を意味し、Xは酸素原子または硫黄原子を意味する。)
【0008】本発明は、また、式(I) で示される化合物の製造法およびその化合物の医薬としての使用にも関する。
【0009】
【発明の具体的説明】本発明の化合物は上記式(I) で示されるが、好ましい化合物としては式(I) においてR1 がR1'CH2-であって、R1'がアリール基または芳香族複素環基であり、R2 が低級アルキル基, シクロ低級アルキル基,低級アルケニル基, アリール基,芳香族複素環基または低級アルコキシ基であり、R3 およびR4 が水素原子であり、Xが酸素原子である化合物が挙げられる。特に好ましい化合物としてはR2 が炭素数2乃至3のアルキル基,シクロプロピル基またはメトキシ基が挙げられる。
【0010】本発明化合物(I) の生理的に許容される塩としては、例えば、塩酸塩,臭化水素酸塩,ヨウ化水素酸塩,硫酸塩,リン酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩,マレイン酸塩,フマル酸塩,マロン酸塩,乳酸塩,リンゴ酸塩,クエン酸塩,酒石酸塩,安息香酸塩,メタンスルホン酸塩,トシル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
【0011】本明細書において、「低級」とは炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状からなると同義である。アシル基とは低級アルカノイル基,ベンゾイル基,ナフトイル基等を意味する。「アリール基」とはフェニル基, ナフチル基等を意味し、その環は置換基を有していてもよい。その環の好ましい置換基としてはハロゲン原子,低級アルキル,トリフルオロメチル,低級アルコキシ,ニトロ基が挙げられる。また、芳香族複素環基としては例えば、チエニル,フリル,ピリジニル,イソキサゾリル等ヘテロ原子を1〜2個含む5〜6員環が挙げられ、その環は置換基を有していてもよい。「ヘテロ原子」とは窒素原子,酸素原子,硫黄原子を意味する。その環の好ましい置換基としてはハロゲン原子,低級アルキル,トリフルオロメチル,低級アルコキシ基が挙げられる。
【0012】本発明の化合物は以下の方法により製造することができる。
【0013】(製造法1)式(I) で表される本発明の化合物においてR2 が低級アルキルチオ基以外の基である化合物は下記式(II)
【0014】
【化6】


(式中、R1 ,R2',R3 ,R4 およびXは前掲に同じ。)で表される化合物を分子内で脱水閉環させることにより製造することができる。
【0015】本閉環反応は通常脱水剤を用いて行う。脱水剤としてトリフェニルホスフィンの如き3価のリン化合物とジアルキルアゾジカルボン酸エステルの組み合わせあるいはポリリン酸,オキシ塩化リンの如き5価のリン化合物等が挙げられ、好ましくは、3価のリン化合物とジアルキルアゾジカルボン酸エステルの組み合わせである。本反応は溶媒あるいは無溶媒中で行われるが通常反応に影響を及ぼさない不活性溶媒中で行われ、溶媒としてテトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類、ベンゼン,トルエンの如き芳香族炭化水素類、ジクロロメタン,クロロホルムの如きハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらの溶媒はそれぞれ単独で、あるいは2種以上混合して用いられる。また、本反応を3価のリン化合物とジアルキルアゾジカルボン酸エステルの存在下に行う場合には塩基を用いて行うことが好ましく、塩基としてトリエチルアミン,トリブチルアミン,ジイソプロピルアミン,N−メチルモルホリン,ピリジンの如き有機塩基が挙げられる。反応温度は用いる原料化合物の種類等により異なるが、通常0〜110℃好ましくは0〜70℃である。また、式(II)で示される化合物においてR1 が水素原子である化合物を用いる場合は、適当な保護基で保護した化合物を用い、本閉環反応終了後その保護基を除去してもよい。なお、上記反応において3価のリン化合物とジアルキルアゾジカルボン酸エステルの存在下の閉環反応はそれ自体新規な反応に属する。
【0016】(製造法2)式(I) で示される本発明の化合物においてR2 が低級アルキルチオ基である化合物は下記反応式(化7)に示される方法で製造することができる。
【0017】
【化7】


(反応式中、R2'' は低級アルキルを意味し、Mはナトリウムまたはカリウムを意味し、R1 ,R3 ,R4 およびXは前掲に同じ。)
【0018】まず、化合物(1)を、ジャーナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリー(Journal of Heterocyclic chemistry ),19巻541頁(1982)に記載の方法に準じて、塩基の存在下に二硫化炭素と反応させ化合物(2)とし、次いで、例えば、ジャーナル オブ インディアン ケミカル ソサイアティ(Journal of Indian Chemical Society),68巻108頁(1991)に記載の方法に準じて、化合物(2)とハロゲン化低級アルキルの如きアルキル化剤と反応させることにより式(I) においてR2 が低級アルキルチオ基である化合物(I')を得ることができる。
【0019】上記製造法(1),(2)により製造される本発明の式(I) の化合物はクロマトグラフィー,再結晶,再沈澱等の常法により単離・精製される。
【0020】本発明の式(I) の化合物は、原料化合物の選定,反応・処理条件等により、遊離塩基または酸付加塩の形で得られる。酸付加塩は常法、例えば、炭酸アルカリ,水酸化アルカリのような塩基で処理することにより、遊離塩基に変えることができる。また、遊離塩基は常法に従って各種の酸と処理することにより酸付加塩に導くことができる。
【0021】(原料化合物の製造法)次に、本発明化合物の原料化合物の製造法について説明する。
【0022】前記製造法(1)に用いられる式(II)の化合物は新規物質であり、下記反応式(化8)に示される方法により製造することができる。
【0023】
【化8】


(反応式中、Rは水素原子または低級アルキル基を意味し、R1 , R2',R3 ,R4 およびXは前掲に同じ。)
【0024】化合物(3)から式(II)で示される化合物の合成は化合物(3)またはそのカルボキシル基における反応性誘導体とH2NNHCOR2'(R2'は前掲に同じ。)で表わされるヒドラジドとを、通常のアミド化反応条件下に行われる。
【0025】また、式(II)で示される化合物は化合物(3)またはそのカルボキシル基における反応性誘導体とヒドラジンとを通常のアミド化反応条件下に反応させ、次いで、R2'COOH(R2'は前掲に同じ。)で表わされるカルボキシル基における反応性誘導体と反応させる2段階反応で得ることもできる。
【0026】式(II)で示される化合物に誘導される化合物(3)のうちXが酸素原子である後記化合物(9および10)は Arkiv foer Kemi 26 (41), 489-495 (1967)〔ケミカル アブストラクト67巻32611z(1967)〕に記載の方法に準じて、あるいは下記反応式(化9)に示される方法により製造することができる。
【0027】
【化9】


(反応式中、Yはハロゲン原子,低級アルコキシ基またはジ低級アルキルアミノ基を意味し、Zはシアノ基または低級アルコキシカルボニル基を意味し、Rは低級アルキル基を意味し、nは整数1〜3を意味し、R1 ,R3 およびR4 は前掲に同じ。)
【0028】上記反応において出発原料として用いる化合物(4)は、例えば、ジャーナルオブ アメリカン ケミカル ソサイアティ(Journal of American Chemical Society),85巻207頁(1963)に記載の方法に準じて製造することができる。この様にして製造した化合物(4)と化合物(5)をメタノール,エタノールの如きアルコール類、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類、ベンゼン,トルエンの如き芳香族炭化水素類等の溶媒中通常0〜120℃で反応させることにより化合物(6)とし、次いで、アンモニアもしくは酢酸アンモニウムの如きアンモニウム塩または第1級低級アミンをメタノール,エタノールの如きアルコール類、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類、アセトニトリル等の溶媒中通常0〜100℃で反応させることにより化合物(7)を得ることができる。
【0029】化合物(7)においてR3 が水素原子,Zがシアノ基であるときは、化合物(7)を塩基の存在下にメタノール,エタノールの如きアルコール類、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類等の溶媒中通常0〜100℃で処理することにより化合物(8)とし、次いで、5〜10%塩酸あるいは5〜20%硫酸水溶液等の酸性条件下亜硝酸ナトリウムと通常0〜20℃で反応させることにより化合物(9)を得ることができる。
【0030】また、化合物(7)においてZが低級アルコキシカルボニル基であるときは、化合物(7)をメタノール,エタノールの如きアルコール類、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類、アセトニトリル等の溶媒中通常50〜120℃で加熱することにより、化合物(9)を得ることができる。
【0031】次に、化合物(9)を酸性あるいはアルカリ性条件下通常の方法により加水分解することにより化合物(10)を得ることができる。
【0032】化合物(3)においてXが硫黄原子である後記化合物(13または16)は下記反応式(化10)に示される方法により製造することができる。
【0033】
【化10】


(反応式中、Rは低級アルキル基を意味し、Y’はハロゲン原子を意味し、R1,R2 ,R3 およびR4 は前掲に同じ。)
【0034】化合物(13)は、化合物(11)と硫化水素ナトリウムの如き硫化水素塩を通常の方法で反応させ化合物(12)とし、次いで、酸または塩基の存在下に加水分解することにより得ることができる。
【0035】また、化合物(13)およびその1位低級アルキル置換体(16)は、例えば、ジャーナル オブ オルガニックケミストリー(Journal of Organic Chemistry) ,19巻711頁(1982)に記載の方法に準じて得ることができる。化合物(14)と五硫化リンをピリジン中で反応させ、化合物(15)とし、次いで、水酸化ナトリウム水溶液で処理して化合物(13)を、または、さらにアルキル化することにより化合物(16)を得ることができる。
【0036】化8に示される化合物(3)は、下記反応式(化11)に示される方法によっても製造できる。
【0037】
【化11】


(反応式中、R1'' は低級アルキル基,ベンジル基,低級アルコキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基を意味し、R1'''は水素原子およびアシル基以外のR1 と同じ基を意味し、R3 ,R4 ,RおよびXは前掲に同じ。)
【0038】化合物(3' )の置換基R1'' と化合物(3)の置換基R1'''は化合物(17)を介して相互に変換できる。化合物(3' )においてR1'' が低級アルキル基またはベンジル基であるときは、例えば、ジャーナル オブ オルガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry),49巻2081頁(1984)に記載の方法に準じて、化合物(3’)をクロロ炭酸1−クロロエチル等で処理することにより化合物(17)を得ることができる。
【0039】化合物(3’)においてR1'' がベンジル基またはベンジルオキシカルボニル基であるときは、水,メタノール,エタノール,酢酸,ジオキサン,酢酸エチル等の溶媒中通常25〜80℃で、常圧または加圧下にラネーニッケル,パラジウム−炭素等の触媒の存在下に水素と反応させることにより化合物(17)を得ることができる。
【0040】また、R1'' が低級アルコキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であるときは、適当な溶媒中酸または塩基で処理することにより化合物(17)を得ることができる。例えば、R1'' がtert−ブトキシカルボニル基であるときは、ジクロルメタン,クロロホルム等の溶媒中通常25〜80℃でトリフルオロ酢酸で処理することにより化合物(17)を得ることができる。
【0041】次いで、化合物(17)とR1'''に対応するアルキル化剤、例えば、低級アルキル,アリル, プロパギル, ベンジル,ナフタレンメチル,芳香族複素環メチル化剤とを水酸化アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム),炭酸アルカリ(例えば、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム),重炭酸アルカリ(例えば、重炭酸ナトリウム,重炭酸カリウム)の如き無機塩、ピリジン,トリエチルアミン,トリブチルアミンの如き有機塩等の塩基の存在下アセトン,メチルエチルケトン,ジエチルケトン,ジメチルホルムアミド,ベンゼン,トルエン,アセトニトリル等の溶媒中通常25〜100℃で反応させることにより化合物(3)に導くことができる。これらのアルキル化剤は通常使用されるものでよく、例えば、ハロゲン化アルキルが挙げられる。
【0042】
【効果】以下に、本発明の代表的化合物についての薬理試験方法およびその結果を示し、本発明の化合物の作用の特徴について説明する。
【0043】
試験例1 ベンゾジアゼピン受容体結合試験
【0044】ライフ サイエンス(Life Science),20巻2101頁(1977)に記載の方法によりベンゾジアゼピン受容体結合試験を行った。
【0045】7〜8週令のウイスター系ラットの脳より調整した粗シナプトゾーム膜分画を118mM塩化ナトリウム、4.8mM塩化カリウム、1.28mM塩化カルシウムおよび1.2mM硫酸マグネシウムを含む15mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)に懸濁(1g脳湿重量/20ml)し、受容体膜標品とした。また、標識リガンドとしては[3H]ジアゼパムを用いた。
【0046】各試験管に濃度既知の試験化合物、[3H]ジアゼパム(最終濃度1.5nM)、受容体膜標品および上記緩衝液を加えて反応液(総量1ml)とし、反応の開始は膜標品の添加により行った。0℃、20分間のインキュベーションの後、受容体に結合した標識リガンドをセルハーベスター(ブランデル社製)を用いてワットマンGF/Bグラスファイバーフィルター上に吸引濾過して反応を停止し、直ちに、氷冷50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.7)5mlで3回洗浄した。次いで、フィルター上の放射能活性を液体シンチレーションカウンターにより測定し、全結合量を求めた。また、同時に測定した1μMジアゼパム存在下における結合量を非特異的結合量とし、これを全結合量から差し引くことにより特異的結合量を求めた。さらに、試験化合物が標識リガンドの特異的結合を50%抑制する濃度(IC50%値)をプロビット法より算出した。結果を表1に示した。
【0047】試験例2 ペンチレンテトラゾール誘発間代性痙攣に対する作用(抗PTZ作用)
【0048】イー・エー・スウィンヤードの方法 (E. A. Swinyard, Anticonvulsant Drugs. Mercier, J., Ed., pp. 47-65, Pergamon Press, New York (1973)) に準拠して、ペンチレンテトラゾールにより誘発される間代性痙攣に対する試験化合物の拮抗作用を検討した。
【0049】この試験では小発作型の抗てんかん剤およびベゾジアゼピン系薬剤の多くが陽性効果を示す。
【0050】実験には体重20〜25gのStd−ddY系雄性マウス一群5匹を用いた。試験化合物の経口投与2時間後にペンチレンテトラゾール(85mg/kg)を皮下投与した。その直後にマウスをプラスチック製ケージに入れ間代性痙攣発作の発現の有無を30分間観察した。発作が認められない場合を拮抗作用ありと判定した。結果を表2に示した。
【0051】
【表1】


【0052】
【表2】


【0053】以上の試験結果に示す通り、本発明の化合物がベンゾジアゼピン受容体に対して顕著な親和性を示し、また、マウスを用いたペンチレンテトラゾール誘発間代性痙攣に対して優れた拮抗作用を示す。したがって、本発明の化合物はベンゾジアゼピン受容体作動薬、例えば、抗不安薬、抗てんかん薬あるいは睡眠障害の治療薬として有用である。
【0054】
【本発明化合物の医薬としての使用方法】本発明の化合物をベンゾジアゼピン受容体作動薬として使用する場合は、経口投与、非経口投与あるいは直腸内投与のいずれでもよいが、経口投与が好ましい。投与量としては、投与方法、患者の症状年齢、処置形式(予防又は治療)等により異なるが、通常0.01〜10mg/kg/日、好ましくは0.02〜5mg/kg/日である。
【0055】本発明の化合物は通常製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の化合物と反応しない物質が用いられる。具体的には例えば、乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、デンプン、白糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、非イオン界面活性剤、プロピレングリコール、水等が挙げられる。
【0056】剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、ゲル剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。なお、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーテ ングしてもよい。注射剤の場合には、本発明の化合物(I) の生理的に許容される酸付加塩を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて等張化剤に溶解させてもよく、またpH調節剤、緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0057】これらの製剤は、本発明の化合物を0.01%以上、好ましくは0.05〜70%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上有効な他の成分を含有してもよい。
【0058】
【実施例】以下に参考例および実施例を挙げて、本発明の化合物について具体的に説明する。
【0059】実施例 16−ベンジル−3−(5−メトキシ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンの製造:
【0060】(1)6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩3.0g(9.4ミリモル)とN,N’−カルボニルジイミダゾール2.3g(14ミリモル)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)50mlの溶液を70℃,3時間加熱攪拌した。次いで、この溶液にカルバミン酸メチル1.0g(11ミリモル)を加え、同温度で2時間加熱攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固し、残渣にイソプロパノールおよびトリエチルアミンを加えた。析出結晶を濾取し、メタノールから再結晶して無色固体のN’−メトキシカルボニル−6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボヒドラジド2.4g(収率71.6%)を得た。融点240〜242℃。
【0061】(2)上記化合物2.0g(5.6ミリモル)、トリフェニルホスフィン3.0g(11ミリモル)およびトリエチルアミン2.0g(20ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(THF)50mlの溶液に、氷冷攪拌下アゾジカルボン酸ジイソプロピル2.2g(11ミリモル)の無水THF10mlの溶液を滴下した。室温で1時間攪拌した後、少量の水を加えて減圧下に濃縮乾固した。残渣にイソプロパノールを加え、析出結晶を濾取し、アセトニトリルから再結晶して無色固体0.8g(収率43%)を得た。融点176〜178℃。
【0062】対応する原料化合物を用い、実施例1と同様にして、表3〜7に掲載の実施例2〜実施例49の化合物を得た。
【0063】
【表3】


【0064】
【表4】


【0065】
【表5】


【0066】
【表6】


【0067】
【表7】


【0068】実施例 506−ベンジル−3−(5−シクロプロピル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンの製造:
【0069】(1)6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩1.5g(4.7ミリモル)とN,N’−カルボニルジイミダゾール1.14g(7ミリモル)のDMF30mlの溶液を70℃,3時間加熱攪拌した。次いで、この溶液にシクロプロパンカルボン酸ヒドラジド0.51g (5.2ミリモル)を加え、同温度で2時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣にイソプロパノールおよびトリエチルアミンを加えた。析出結晶を濾取し、メタノールから再結晶して無色固体のN’−シクロプロパンカルボニル−6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボヒドラジド1.2g(66.1%)を得た。融点256〜258℃。
【0070】(2)上記化合物1.1g(2.9ミリモル)、トリフェニルホスフィン1.62g(6.2ミリモル)およびトリエチルアミン1.05g(10ミリモル)の無水THF75mlの溶液に、氷冷攪拌下アゾジカルボン酸ジエチル1.05g(6ミリモル)の無水THF5mlの溶液を滴下した。60℃,2時間加熱攪拌した後、少量の水を加えて濃縮乾固した。残渣を、ダイヤイオンCHP−20P(商標)(ハイポーラスポリスチレン樹脂、三菱化成製)を用いた中圧カラムクロマトグラフィーに付し、アセトニトリル/水の濃度勾配で溶出・精製した後、アセトニトリルから再結晶して無色固体0.31g(収率44.5%)を得た。融点212〜214℃。
【0071】対応する原料化合物を用い、実施例50と同様にして、表8〜11に掲載の実施例51〜実施例107の化合物を得た。
【0072】
【表8】


【0073】
【表9】


【0074】
【表10】


【0075】
【表11】


【0076】
【表12】


【0077】
【表13】


【0078】実施例1086−ベンジル−3−(5−イソプロペニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンの製造:
【0079】(1)6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボヒドラジド1.49g(5ミリモル)のピリジン20mlの溶液に、氷冷攪拌下メタクリロイルクロリド0.57g(5.5ミリモル)を加えた。室温に戻し、2時間攪拌した後、減圧下に濃縮乾固した。残渣に10%炭酸カリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣にイソプロパノールを加え、析出結晶を濾取し、メタノールから再結晶して無色固体のN’−メタクリロイル−6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボヒドラジド1.21g(収率66%)を得た。融点245〜248℃。
【0080】(2)上記化合物0.92g(2.5ミリモル),トリフェニルホスフィン1.35g(5ミリモル)およびトリエチルアミン0.87g(8.6ミリモル)の無水THF50mlの溶液に、氷冷攪拌下アゾジカルボン酸ジエチル0.87g(5ミリモル)の無水THF5mlの溶液を滴下した。60℃,2時間加熱攪拌した後、少量の水を加え、減圧下に濃縮乾固した。残渣にイソプロパノールを加え、析出した結晶を濾取し、アセトニトリルから再結晶して無色固体0.39g(収率44.8%)を得た。融点221〜223℃。
【0081】対応する原料化合物を用い、実施例108と同様にして、表14に掲載の実施例109〜実施例113の化合物を得た。
【0082】
【表14】


【0083】実施例1146−ベンジル−3−(5−メチルチオ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンの製造:
【0084】(1)6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボヒドラジド1.49g(5ミリモル)のエタノール20mlの溶液に、水酸化カリウム0.29gの水1mlの溶液を加え、更に、氷冷攪拌下二硫化炭素0.46g(6ミリモル)を加えた後、7時間加熱還流した。冷後、析出結晶を濾取して無色固体の2−(6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−5−チオール・カリウム塩1.88g(収率99%)を得た。
【0085】(2)上記カリウム塩1.14g(3ミリモル)のメタノール500mlの溶液にヨウ化メチル0.51g(3.6ミリモル)を加え、室温で3時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣にイソプロパノールを加えた。析出結晶を濾取し、エタノールから再結晶して無色固体の目的物0.59g(収率55.5%)を得た。融点215〜217℃。
【0086】実施例1156−ベンジル−3−(5−シクロプロピル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−1−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンの製造:
【0087】水素化ナトリウム(鉱油中60%)0.13g(3.2ミリモル)の無水DMF10mlの懸濁液に、氷冷下6−ベンジル−3−(5−シクロプロピル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン1.0g(2.9ミリモル)の無水DMF5mlの溶液を加え、30分間攪拌した。次いで、ヨウ化メチル0.45g(3.2ミリモル)を加え、室温で2時間攪拌した。反応溶液に少量のメタノールを加え、減圧下に濃縮乾固した。残渣に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール(100:3)で溶出・精製した後、酢酸エチル−ジイソプロピルエーテルから再結晶して無色固体0.6g(収率57.1%)を得た。融点130〜132℃。
【0088】参考例 16−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル:
【0089】(1)1−ベンジル−4−ピペリドン19g(0.1モル)とピロリジン10.7g(0.15モル)のトルエン200mlの溶液を、水を留去しながら5時間加熱還流した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣に無水トルエン200mlを加えた。次いで、氷冷攪拌下にエトキシメチレンシアノ酢酸エチル17g(0.1モル)の無水トルエン50mlの溶液をゆっくりと滴下した。室温に戻し、終夜攪拌した後、氷冷下に濃塩酸13mlを滴下した。得られた塩酸塩を濾取し、酢酸エチル、イソプロピルエーテルの順に洗浄した。この塩酸塩をエタノール300mlに溶かし、氷冷下アンモニアガスを吹き込み飽和させた。室温に戻し、終夜放置した後、溶液を減圧下に濃縮乾固した。残渣にイソプロパノールを加え、析出結晶を濾取、乾燥して粗結晶10gを得た。
【0090】上記粗結晶をエタノール100mlに溶かし、氷冷攪拌下10%水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。室温に戻し、30分間攪拌した後、氷冷下に水100mlを加えた。析出結晶を濾取、水洗した後、イソプロパノールから再結晶して無色固体の2−アミノ−6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル8.5g(収率27.3%)を得た。融点141〜143℃。
【0091】(2)上記エステル10g(32ミリモル)の10%硫酸水溶液100mlの溶液に、氷冷攪拌下亜硝酸ソーダ4.5g(65ミリモル)の水20mlの水溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後そのまま2時間攪拌した。氷冷攪拌下20%水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性にし、クロロホルムで抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた結晶をイソプロパノールから再結晶して無色固体6.8g(収率68%)を得た。融点168〜170℃。
【0092】参考例 26−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩:
【0093】(a)6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル6.8g(22ミリモル)と20%塩酸水溶液70mlの溶液を3時間加熱還流した。冷後、析出結晶を濾取、水洗した。メタノール−水から再結晶して無色固体の目的物7.0g(収率99.2%)を得た。融点260〜263℃。
【0094】(b)1−ベンジル−4−ピペリドン100g(0.53モル)とピロリジン70ml(0.795モル)のトルエン1.5Lの溶液を、水を留去しながら5時間加熱還流した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣にジオキサン1Lを加えた。次いで、氷冷攪拌下にエトキシメチレンマロン酸ジエチル126g(0.58モル)を加え、6時間加熱還流した。室温に戻し、酢酸アンモニウム82g(1.06モル)を加え、80℃,1時間加熱攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した。得られた6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチルを単離・精製することなく20%塩酸水溶液600mlを加え、3時間加熱還流した。冷後、析出結晶を濾取、水洗した。メタノール−水から再結晶して無色固体の目的物105g(収率61.9%)を得た。
【0095】参考例35,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル・酢酸塩:
【0096】6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル8gと氷酢酸360mlの溶液に触媒の10%パラジウム−炭素200mgを加え、水素雰囲気下室温で接触水素還元した。理論量の水素ガスを吸収した後、触媒を濾去し、濾液を減圧下に濃縮乾固した。残渣にエタノールを加え、結晶を濾取した後、エタノール−水から再結晶して無色固体6.8g(収率94%)を得た。融点125〜130℃。
【0097】参考例46−(3−フルオロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル:
【0098】5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル・酢酸塩2.0g(7.1ミリモル)、臭化3−フルオロベンジル1.7g(9ミリモル)および重炭酸ナトリウム2.0g(24ミリモル)のメチルエチルケトン100mlの懸濁液を16時間加熱還流した。不溶物を濾去し、濾液を減圧下に濃縮乾固した。残渣をダイヤイオンCHP−20Pを用いた中圧カラムクロマトグラフィーに付し、アセトニトリル/水の濃度勾配で溶出・精製した。エタノールから再結晶し、無色固体1.91g(収率81.4%)を得た。融点276〜280℃。
【0099】参考例56−(2−フルオロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩:
【0100】(1)二塩化フェニルホスホン酸1mlに室温下6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル1.0g(3.2ミリモル)を加えた後、150℃,1時間攪拌した。冷後、ジイソプロピルエーテルを加え、結晶を濾取した。この結晶をクロロホルムに懸濁し、氷冷攪拌下28%アンモニア水を少しずつ加えてアルカリ性にした。有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール(200:1)で溶出・精製して6−ベンジル−2−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル0.7g(収率66.1%)を無色油状物として得た。
【0101】(2)上記エステル20.0g(60ミリモル)の塩化メチレン200mlの溶液に、クロロぎ酸(1−クロロエチル)10.4g(72ミリモル)を室温で滴下し、20時間攪拌した。次いで、反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣にメタノール200mlを加え、40℃,2時間加熱攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣にジイソプロピルエーテルを加え結晶を濾取した。エタノールから再結晶し、無色固体の2−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル・塩酸塩21.2g(収率85.8%)を得た。融点153〜156℃。
【0102】(3)上記塩酸塩5.0g(18ミリモル)、トリエチルアミン4.0g(40ミリモル)のDMF50mlの溶液に、臭化2−フルオロベンジル3.1g(21ミリモル)を加え、60℃,15時間加熱攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した。残渣をクロロホルムに溶かし、10%炭酸カリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール(100:1)で溶出・精製して2−クロロ−6−(2−フルオロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル4.6g(収率73.3%)を無色油状物として得た。
【0103】(4)上記エステル4.6g(13ミリモル)と20%塩酸水溶液80mlの溶液を24時間加熱還流した。氷冷した後、析出結晶を濾取、水洗した。エタノールから再結晶して無色固体の目的物3.4g(収率77.2%)を得た。融点273〜276℃。
【0104】対応する原料化合物を用い、参考例5(3),(4)と同様に反応・処理し、表15〜17に掲載の参考例6〜52の化合物を得た。
【0105】
【表15】


【0106】
【表16】


【0107】
【表17】


【0108】参考例536−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボヒドラジド:
【0109】6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル5.6g(18ミリモル)とヒドラジン・1水和物2.7g(54ミリモル)のエタノール300mlの溶液を3時間加熱還流した。氷冷した後、析出結晶を濾取し、エタノールから再結晶して無色固体5.2g(収率96.8%)を得た。融点218〜220℃。
【0110】参考例541−メチル−1−シクロプロパンカルボヒドラジド:
【0111】1−メチル−1−シクロプロパンカルボン酸エチル10g(7.8ミリモル)とヒドラジン・1水和物5.1g(0.1モル)の混合物を100℃,4時間加熱攪拌した。反応溶液にトルエン50mlを加え、水を留去しながら加熱還流した。冷後、結晶を濾取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄して無色結晶8.9g(収率99%)を得た。融点85〜87℃。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 式(I)
【化1】


(式中、R1 は水素原子,アシル基,低級アルキル基またはR1'CH2-を意味し、R1'はシクロ低級アルキル基, 低級アルケニル基, 低級アルキニル基, ベンジル基, アリール基または芳香族複素環基を意味し、R2 は低級アルキル基, シクロ低級アルキル基,低級アルケニル基, 低級アルキニル基, アリール基, 芳香族複素環基,ハロゲノ低級アルキル基,低級アルコキシ低級アルキル基,低級アルコキシ基, 低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基を意味し、R3 ,R4 は水素原子または低級アルキル基を意味し、Xは酸素原子または硫黄原子を意味する。)で表される3−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン誘導体またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項2】R1 がR1'CH2-であって、R1'がアリール基または芳香族複素環基であり、R2 が低級アルキル基, シクロ低級アルキル基, 低級アルケニル基, アリール基, 芳香族複素環基または低級アルコキシ基であり、R3 およびR4 が水素原子であり、Xが酸素原子である請求項1の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項3】R2 が炭素数2乃至3のアルキル基,シクロプロピル基またはメトキシ基である請求項2の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項4】 6−ベンジル−3−(5−メトキシ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項5】 6−(2−クロロベンジル)−3−(5−メトキシ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項6】 6−(4−クロロベンジル)−3−(5−メトキシ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項7】 6−(2−ブロモベンジル)−3−(5−メトキシ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項8】 6−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)−3−(5−メトキシ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項9】 6−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−3−(5−メトキシ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項10】 6−ベンジル−3−(5−シクロプロピル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項11】 6−ベンジル−3−(5−エチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項12】 6−ベンジル−3−(5−イソプロピル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項13】式(II)
【化2】


(式中、R1 , R3 ,R4 およびXは前掲に同じ基を意味し、R2'は低級アルキルチオ基以外の前掲のR2 と同じ基を意味する。)で表される化合物を分子内で脱水閉環させることを特徴とする式(III)
【化3】


(式中、R1 , R3 ,R4 , XおよびR2'は前掲と同じ基を意味する。)で表される1,6−ナフチリジン誘導体またはその塩の製造法。