説明

新規1,8−ナフチリジン化合物

本発明は、貧血およびこれに類似した状態を治療するHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤として有用なナフチリジン化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
細胞および組織への酸素の不十分な送達は、血液の酸素運搬能力における欠損として定義される貧血、および血液供給の制限が血管の狭窄または閉塞に起因する虚血に関連する。貧血は、赤血球の喪失(出血)、過度の赤血球の破壊(溶血)または赤血球生成(骨髄内にある先駆物質からの赤血球の生成)の欠損を原因としうる。貧血の症状には、脱力感、めまい、疲労、蒼白、認識機能の障害、および生活の質の全般的な低下が含まれうる。慢性的な貧血や重篤な貧血は、心筋、脳または末梢性の虚血の悪化および心不全につながりうる。虚血は、組織または器官への酸素の絶対的または相対的な不足として定義され、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、血栓塞栓症、低血圧などといった障害に起因しうる。心臓、脳および腎臓は、血液供給の低下に起因する虚血性ストレスに特に敏感である。
【0002】
貧血の主要な薬理学的治療は、組み換えヒトエリトロポイエチン(EPO)の何らかの変異体の投与である。腎臓病に伴う貧血、化学療法誘発性貧血、HIV治療による貧血または失血による貧血については、ホルモンの供給を高める、赤血球の不足を矯正する、および血液の酸素運搬能力を増やすために、組み換えEPOが投与される。EPOの置き換えは、最適な赤血球生成(例えば、鉄処理機能の欠損のある患者で)を刺激する上で常に十分とは限らず、リスクが伴う。
【0003】
低酸素誘導因子(HIF)が、低酸素に対する細胞の反応の主な制御因子としてこれまでに特定されている。HIFは、高度に調整されたα-サブユニット(HIF-α)と構成的に発現されたβ-サブユニット(HIF-β、ARNT(アリール炭化水素受容体核内輸送担体)としても知られる)で構成されるヘテロ二量体遺伝子転写因子である。HIF標的遺伝子は、赤血球生成(例えば、エリトロポイエチン(EPO)およびEPO受容体)、解糖および血管新生(例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF))のさまざまな面と関連があることが報告されている。鉄の吸収、運搬および利用ならびにヘム合成に関与するタンパク質の遺伝子もHIFの標的である。
【0004】
通常の酸素付加の下で、HIF-αは分子酸素との反応における基質であり、これは鉄(II)依存、2-ケトグルタル酸塩依存およびアスコルビン酸塩依存のPHD-1(EGLN2、またはegg laying abnormal 9 homolog 2)、PHD2(EGLN1)、およびPHD3(EGLN3)と呼ばれるジオキシゲナーゼ酵素の系統群により触媒される。HIF-αのプロリン残基は、ヒドロキシル化(例えば、HIF-1αのPro-402およびPro-564)され、結果的に生じる生成物は、タンパク質ユビキチン結合に関与するE3ユビキチンリガーゼ多タンパク質錯体の構成要素であるがん抑制タンパク質フォン・ヒッペル・リンドウの標的である。低酸素付加の下では、HIF-αヒドロキシル化反応は効率がさほど優れておらず、HIF-αはHIF-βと二量体化するために利用できる状態にある。HIF二量体は細胞核に転位され、そこで、HIF標的遺伝子の低酸素症反応性のエンハンサー要素と結合する。
【0005】
HIFの細胞レベルは、低酸素症の条件下や低酸素模倣薬への暴露後に高まることが知られている。後者には、限定されないものの、特定の金属イオン(例えば、コバルト、ニッケル、マンガン)、鉄キレート剤(例えば、デスフェリオキサミン)および2-ケトグルタル酸の類似体(例えば、N-オキサリルグリシン)が含まれる。本発明の化合物は、HIFプロリル水酸化酵素(PHD-1、PHD-2、PHD-3)を抑制し、またHIFレベルを調節する役目もしうる。よって、これらの化合物は、HIF調節が望ましい、貧血や虚血などの障害または状態の治療や予防に対する有用性がある。組み換えエリトロポイエチン治療の代替として、本発明の化合物は、貧血の管理に対してさらに簡単かつ広範な方法を提供する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、エリトロポイエチンの内在的な生成を増強するため、また貧血およびそれに類する状態などエリトロポイエチンの内在的な生成の低下を伴う状態の治療のための、HIFプロリルヒドロキシラーゼを抑制する化合物およびその使用、ならびにそうした化合物および薬学的担体から構成される薬剤組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
一態様において、本発明は、次の式Iを持つ化合物
【0008】
【化1】

または、医薬品として容認できる塩またはその溶媒和物であり、ここで、
mは、0または1であり、
nは、1または2であり、
pは、0、1または2であり、
R1、R2およびR3は、
i)水素、
ii)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C1-C10アルキル、
iii)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C3-C10シクロアルキル、
iv)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C2-C10アルケニル、
v)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C5-C10シクロアルケニル、
vi)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C2-C10アルキニル、
vii)Rbおよびヒドロキシから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるアリール、
viii)ハロゲン、
ix)シアノ、
x)Rbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるヘテロアリール、
xi)フッ素、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、-CO2R7、-NR8R9、-CONR8R9、-OCO2R7、-OCONR8R9、-NR10CO2R7、-NR10CONR8R9、および-S(O)pR10から独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-O-C1-C10アルキル、
xii)Rbおよびヒドロキシから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-O-アリール、
xiii)Rbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-O-ヘテロアリール、
xiv)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-SOp-C1-C10アルキル、
xvi)ヒドロキシおよびRbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-SOp-アリール、
で構成される基から独立的に選択され、または
R1およびR2、またはR2およびR3は結合して、フッ素、フェニル、置換フェニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-CONR8R9、-CO2R3、および-NR8R9から独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される5から8原子の環を形成し、ここで前記の環は、-NR7-、-O-および-S(O)p-から独立的に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有し部分的もしくは完全に不飽和の状態にあり、
R4は、
i)水素、
ii)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C1-C10アルキル、
iii)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-(C0-C10アルキル)C3-C10シクロアルキル、
iv)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C2-C10アルケニル、
v)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-(C0-C10アルキル)C5-C10シクロアルケニル、
vi)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C2-C10アルキニル、
vii)ヒドロキシおよびRbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-(C0-C10アルキル)アリール、および
ix)Rbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-(C0-C10アルキル)ヘテロアリール、
で構成される基から選択され、
R5およびR6は、
i)水素、
ii)ヒドロキシ、-SH、-NH2または-CO2Hで任意に置換されるC1-C4アルキル、
iii)トリフルオロメチル、および
iv)2,2,2-トリフルオロエチル、
で構成される基から独立的に選択され、
R7は、
i)水素、
ii)-C1-C10アルキル、
iii)-(CH21-6-C3-C8シクロアルキル、および
iv)-(CH21-6フェニル、
で構成される基から選択され、
R8、R9およびR10は、
i)水素、
ii)-C1-C6アルキル、
iii)-C3-C6シクロアルキル、ここでアルキルおよびシクロアルキルは、それぞれフッ素、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-C1-C6アルコキシ、置換-C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、-S(O)pアルキルおよび-S(O)pアリールから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される、
iv)C1-C6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、-CO2(C1-3アルキル)、-CONR11R12、-OCO2(C1-3アルキル)、-OCONR11R12、および-S(O)p(C1-3アルキル)から独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるアリール、および
v)C1-C6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、-CO2(C1-3アルキル)、CONR11R12、-OCO2(C1-3アルキル)、-OCONR11R12、および-S(O)p(C1-3アルキル)から独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるヘテロアリール、
で構成される基から独立的に選択され、または
R8およびR9は、これらが結合しているN原子とともに、-O-、-NR7-、および-S(O)p-から選択される追加的な0、1または2個のヘテロ原子を持つ5から8個の原子から成る飽和環または部分飽和環を形成し、ここで前記の環は、メチルまたはヒドロキシ基で任意に置換され、
R11およびR12は、
i)水素、
ii)ヒドロキシで任意に置換されるC1-C4アルキル、または
で構成される基から独立的に選択され、
R11およびR12は、これらが結合しているN原子とともに、-O-、-NR7-、および-S(O)p-から選択される追加的な0、1または2個のヘテロ原子を持つ5から8個の原子から成る飽和環または部分飽和環を形成し、
Raは、フッ素、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-C1-C6アルコキシ、置換-C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、-CO2R7、-NR8R9、-CONR8R9、-OCO2R7、-OCONR8R9、-NR10CO2R7、-NR10CONR8R9、および-S(O)pR10で構成される基から選択され、
Rbは、ハロゲン、シアノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-C1-C6アルキル、置換-C1-C6アルキル、-C1-C6アルコキシ、置換-C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、-CO2R7、-NR8R9、-CONR8R9、-OCO2R7、-OCONR8R9、-NR10CO2R7、-NR10CONR8R9、および-S(O)pR10で構成される基から選択される。
【0009】
本発明の一実施形態において、R1、R2およびR3は、それぞれ水素およびハロゲンから独立的に選択される。
【0010】
式Iでの化合物の1つのグループは、そのうちR1、R2およびR3の1つが水素で、その他は、i)水素、ii)Raから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるC1-C6アルキル、iii)C1-C4アルキル、CF3、およびRaから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるC3-C8シクロアルキル、iv)ヒドロキシおよびRbから独立的に選択される1個または2個の基で任意に置換されるアリール、v)ハロゲン、vi)シアノ、vii)Rbから独立的に選択される1個または2個の基で任意に置換されるヘテロアリール、viii)フッ素、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、-CO2R7、-NR8R9、-CONR8R9、-OCO2R7、-OCONR8R9、-NR10CO2R7、-NR10CONR8R9、および-S(O)pR10から独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-O-C1-C6アルキル、ix)ヒドロキシおよびRbから独立的に選択される1個または2個の基で任意に置換される-O-アリール、x)Rbから独立的に選択される1から2個の基で任意に置換される-O-ヘテロアリール、xi)Raから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-SOp-C1-C6アルキル、ならびにxii)ヒドロキシおよびRbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-SOp-アリールから独立的に選択される。その他すべての変数は、式Iで定義したとおりである。
【0011】
このグループには、R1が水素、R2およびR3の一方が水素で、他方がi)水素、ii)ハロゲン、iii)シアノ、iv)1から3個のフッ素で任意に置換される-C1-C4アルキル、およびiv)1から3個のフッ素で任意に置換される-O-C1-C4アルキルで構成される基から選択される化合物の集合が含まれる。化合物の部分集合は、R1およびR2が両方とも水素で、R3が水素、-O-C1-C4アルキル、シアノおよびハロゲンから選択されるものである。化合物の第二の部分集合は、R1およびR3が両方とも水素で、R2が水素、-O-C1-C4アルキル、シアノおよびハロゲンから選択されるものである。
【0012】
式Iの範囲内の別のグループの化合物は、R4が、C(O)OH、C(O)O-C1-C4アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される基で置換される-C1-C4アルキルであるものである。その他すべての変数は、式Iで定義したとおりである。
【0013】
このグループには、R4がフェニルで置換される-C1-C4アルキルである化合物の集合が含まれるが、ここでフェニルは、置換されていないかまたはi)1から3個のフッ素で任意に置換される-C1-C3アルキル、ii)ハロゲン、iii)シアノ、iv)C(O)NH2、およびv)1から3個のフッ素で任意に置換される-O-C1-C3アルキルから独立的に選択される1から3個の基で置換される。化合物の部分集合は、R4がベンジルのもので、ここでフェニル部分は、ハロゲン、シアノ、およびトリフルオロメチルから独立的に選択される1個または2個の基で任意に置換される。
【0014】
このグループの範囲内にある化合物の第二の集合は、R4がヘテロアリールで置換される-C1-C4アルキルであるものであるが、ここでヘテロアリールは、置換されていないかまたはi)1から3個のフッ素で任意に置換される-C1-C4アルキル、ii)ハロゲン、iii)シアノ、iv)フェニル、およびv)1から3個のフッ素で任意に置換される-O-C1-C4アルキルから独立的に選択された1から3個の基で置換される。化合物の部分集合は、ヘテロアリールが、置換されていないもの、一置換されているもの、または二置換されているものであり、またベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール(1,2,4-オキサジアゾールおよび1,3,4-オキサジアゾールなど)、チアゾール、イソチアゾールおよびチアジアゾール(1,2,4-チアジアゾールおよび1,3,4-チアジアゾールなど)から選択されるものである。さらなる部分集合は、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールが、ベンゾチアゾール、ハロ置換されるベンゾチアゾール、イソオキサゾール、フェニル置換されるイソオキサゾール、1,2,4-オキサジアゾール、フェニル置換される1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、フェニル置換されるチアゾール、C1-C4アルキル置換されるチアゾール、ジ(C1-C4)アルキル置換されるチアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、およびフェニル置換される1,3,4-オキサジアゾールから選択される化合物である。
【0015】
式Iの範囲内の化合物の別のグループは、次の式Iaを持つものである。
【0016】
【化2】

ここで、m、R2、R3、R5、R6およびR7は、式Iの下で定義したとおりで、またR4'は、C(O)OH、C(O)O-C1-C4アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される。
【0017】
式Iaのこのグループの範囲内にあるのは、R2およびR3が水素、ハロゲン、シアノおよび1から3個のフッ素で任意に置換されるC1-C3アルキルから独立的に選択される化合物の集合である。化合物の部分集合は、R2が水素で、R3が水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択されるものである。化合物の別の部分集合は、R3が水素で、R2が水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択されるものである。
【0018】
式Iaのこのグループの範囲内にあるのは、R4'が、i)フェニルで、ハロゲン、シアノ、およびトリフルオロメチルから独立的に選択される1個または2個の基で任意に置換される、ii)ベンゾチアゾール、ハロ置換されるベンゾチアゾール、イソオキサゾール、フェニル置換されるイソオキサゾール、1,2,4-オキサジアゾール、フェニル置換される1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、フェニル置換されるチアゾール、C1-C4アルキル置換されるチアゾール、ジ(C1-C4)アルキル置換されるチアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、およびフェニル置換される1,3,4-オキサジアゾールから選択されるヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールである、化合物の第二の集合である。
【0019】
本発明の代表的な化合物には以下が含まれる。
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-{[1-(4-クロロベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-{[1-(4-ブロモベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-{[1-(4-シアノベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-{[1-(4-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-{[1-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチルベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-7-メトキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-{[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-6-ヨード-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({6-シアノ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロキノリン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-L-アラニン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-D-アラニン、
N-({1-[4-(アミノカルボニル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-L-セリン、
N-({1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-L-アスパラギン酸、
(2S)-2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]ブタン酸、
N-[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-プロパ-2-イン-1-イル-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)カルボニル]グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(3-フェニルイソオキサゾール-5-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(5-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(3-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(4-フェニル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-{[1-(2-エトキシ-2-オキソエチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-({1-[(5-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({1-[(4-tert-ブチル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({1-[(4,5-ジメチル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
{[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8ナフチリジン-3-イル)カルボニル}アミノ}酢酸、
{[(6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8ナフチリジン-3-イル)カルボニル]アミノ}酢酸、
(2S)-2-({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)プロパン酸、
(2S)-2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル] -1、2- ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]コハク酸、
({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-6-ヨード-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)酢酸、
2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ] -2-メチルプロパン酸、
(2S)-2-[9{4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル]アミノ]ブタン酸、
(2S)-2-[({1-[(5-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]プロパン酸、
(2R)-2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]コハク酸、
(2S)-2-({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)コハク酸、
(2S)-2-{[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)カルボニル]アミノ}プロパン酸、
(2S)-2-[({1-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]プロパン酸、および
({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)酢酸、またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和物。
【0020】
本書で使用するとき、別途特定しない限り、「アルキル」には、分岐および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基が含まれ、これには特定数の炭素原子を持つすべての異性体が含まれるが、例えば、「C1-6アルキル」(あるいは「C1-C6アルキル」)には、すべてのヘキシルアルキル異性体およびペンチルアルキル異性体だけでなく、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチルおよびt-ブチル、n-プロピルおよびイソプロピル、エチルおよびメチルも含まれる。「アルキレン」は、分岐および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を意味し、これには、特定数の炭素を持ち、また末端に2個の末端鎖の付着を有するすべての異性体が含まれ、例えば、用語「A-C4アルキレン-B」は、例えば、A-CH2-CH2-CH2-CH2-B、A-CH2-CH2-CH(CH3)-CH2-B、A-CH2-CH(CH2CH3)-B、A-CH2-C(CH3)(CH3)-B、およびそれに類するものを表す。「アルコキシ」は、酸素架橋により付着した表示数の炭素原子から成る直鎖または分岐のアルキル基を意味し、例えば「C1-C6アルコキシ」には、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH(CH32、-O(CH25CH3、およびそれに類するものが含まれる。
【0021】
置換されていないもののみまたは置換されるもののみとして別途特に注記されていない限り、アルキル基およびアルコキシ基は、置換されていないかまたは1つ以上の炭素原子で1から3の置換基で置換されたものである(「任意に置換」ともいう)。置換基が特定的に提示されていない限り、置換される、もしくは任意に置換されるアルキルおよびアルコキシの置換基は、ハロ、NH2、N(C1-C6アルキル)2、NO2、オキソ、CN、N3、-OH、-O(C1-C6アルキル)、C3-C10シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、(C0-C6アルキル)S(O)0-2(C0-C6アルキレン)-、(C0-C6アルキル)C(O)NH-、H2N-C(NH)-、-O(C1-C6アルキル)CF3、(C0-C6アルキル)C(O)-、(C0-C6アルキル)OC(O)-、(C0-C6アルキル)O(C1-C6アルキレン)-、(C0-C6アルキル)C(O)1-2(C0-C6アルキレン)-、(C0-C6アルキル)OC(O)NH-、-NH(C1-C6アルキレン)NHC(O)NH(C1-C6アルキル)、-NHC(O)OC1-C6アルキル、-NH(C1-C6アルキレン)NHSO2(C1-C6アルキル)、-(C0-C6アルキレン)NHSO2(C1-C6アルキル)、アリール、アラルキル、複素環、およびヘテロシクリルアルキルから独立的に選択されるが、ここで、アリール、アラルキル、複素環、およびヘテロシクリルアルキルは、ハロゲンおよびシアノから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される。
【0022】
用語「C3-10シクロアルキル」(または「C3-C10シクロアルキル」)は、合計3〜10個の環状炭素原子(つまり、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルまたはシクロデシル)を持つアルカンの環式環を意味する。
【0023】
用語「C2-10アルケニル」(または「C2-C10アルケニル」)は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合のある直鎖または分岐鎖の2から10個の炭素鎖を意味する。アルケニルの例には、限定はされないものの、ビニール、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1-プロペニル、2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,4-ヘキサジエニル、およびそれに類するものが含まれる。用語「C5-10シクラルケニル」(または「C5-C10シクロアルケニル」)は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を持つ環に5から10の炭素原子を持つ非芳香族単環式の環を意味する。
【0024】
用語「C2-10アルキニル」(または「C2-C10アルキニル」)は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合のある直鎖または分岐鎖の2から10個の炭素鎖を意味する。アルキニルの例には、限定はされないものの、エチニル、プロパルギル、1-プロピニル、2-ブチニル、およびそれに類するものが含まれる。
【0025】
用語「アリール」は、芳香族の単環式および多環式の炭素環系を意味し、ここで多環系にある個別の炭素環式環は、単結合によって相互に融合または付着している。適切なアリール基には、フェニル、ナフチル、およびビフェニルが含まれる。
【0026】
用語「ヘテロアリール」(または芳香族複素)は、炭素原子およびN、OおよびSから選択した1つ以上のヘテロ原子で構成される5員または6員の単環式芳香環または7員から12員の二環式芳香環を意味する。少なくとも1つの窒素原子(例えば、ピリジン)または少なくとも1つの硫黄原子(例えば、チオフェン)を含む置換ヘテロアリール環の場合には、こうした置換は、N-酸化物またはS-酸化物(S-二酸化物を含む)の生成で結果的に生じるものでもありうる。単環式ヘテロ芳香族環の代表例には、ピリジル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル(またはチオフェニル)、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、およびチアジアゾリルが含まれる。二環式ヘテロ芳香族環の代表例には、ベンゾトリアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、クロマニル、イソクロマニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、イミダゾ(2,1-b)(1,3)チアゾール、(すなわち、
【0027】
【化3】

)、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、およびベンゾオキサゾリルが含まれる。
【0028】
置換されていないもののみ、または置換されたもののみと別途特に注記されていない限り、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル、アリール(フェニルを含む)およびヘテロアリール基は、置換されていないかまたは置換されたものである(「任意に置換」ともいう)。置換基が特に提示されていない限り、置換されるまたは任意に置換されるシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール(フェニルを含み、および単離した置換基として、またはアリールオキシおよびアラルキルなどの置換基の一部として)、ヘテロアリール(単離した置換基として、またはヘテロアリールオキシおよびヘテロアラルキルなどの置換基の一部として)の置換基は、ハロ、1から5個のフッ素で任意に置換されたC1-C6アルキル、NH2、N(C1-C6アルキル)2、NO2、オキソ、CN、N3、-OH、1から5のフッ素で任意に置換された-O(C1-C6アルキル)、C3-C10シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、(C0-C6アルキル)S(O)0-2-、アリール-S(O)0-2-、(C0-C6アルキル)S(O)0-2(C0-C6アルキレン)-、(C0-C6アルキル)C(O)NH-、H2N-C(NH)-、(C0-C6アルキル)C(O)-、(C0-C6アルキル)OC(O)-、(C0-C6アルキル)O(C1-C6アルキレン)-、(C0-C6アルキル)C(O)1-2(C0-C6アルキレン)-、(C0-C6アルキル)2NC(O)-、(C0-C6アルキル)OC(O)NH-、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロ-アリール、ハロ-アラルキル、ハロ-ヘテロアリール、ハロ-ヘテロアラルキル、シアノ-アリール、シアノ-アラルキル、シアノ-ヘテロアリールおよびシアノ-ヘテロアラルキルから独立的に選択される1から3個の基である。
【0029】
用語「ハロゲン」(または「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する(これとは別にフルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、およびヨード(I)ともいう)。
【0030】
用語「C0」は、「C0-6アルキレン」などの表現で用いるとき、直接的な共有結合を意味し、また「C0-6アルキル」などの表現で用いるときは水素を意味する。同様に、一定数の原子の存在を定義する整数がゼロのときは、それに隣接した原子は、結合によって直接的に結合していることを意味し、例えば、構造
【0031】
【化4】

では、sは、ゼロ、1または2に等しい整数で、sがゼロのとき構造は
【0032】
【化5】

であり、または表示された原子が不在であることを意味し、例えば-S(O)0-は-S-を意味する。
【0033】
それに反する別の明示的な記載のない限り、「不飽和」環は、部分的にまたは完全に不飽和の環である。例えば、「不飽和単環式C6炭素環」は、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、およびベンゼンのことである。
【0034】
それに反する明白な記載のない限り、本書で引用したすべての範囲はすべてを包括するものである。例えば、「1から4個のヘテロ原子」を含むものと記述されている複素環は、その複素環が1、2、3または4のヘテロ原子を含みうることを意味する。
【0035】
本発明の化合物を表現・描写する何らかの成分または何らかの式に複数個の何らかの変数がある時、それぞれの定義は、他のそれぞれの定義とは独立したものである。また置換基や変数の組み合わせは、そうした組み合わせによって安定化合物ができる場合にのみ許容される。反復される項を持つ項の変数の定義については、例えば、(CRiRjrでは、rは整数2、Riは定義された変数、およびRjは定義された変数については、Riの値は発生する毎回の場合で異なることがあり、またRjの値は発生する毎回の発生で異なることがある。例えば、RiおよびRjが、メチル、エチル、プロピルおよびブチルから構成される基から独立的に選択される場合には、(CRiRj2については、次式が考えられる。
【0036】
【化6】

【0037】
光学異性体 − ジアステレオマー − 幾何異性体 − 互変異性体
本書で説明した化合物には、不斉中心が含まれている場合があり、従ってエナンチオマーが存在する場合がある。本発明による化合物が2つ以上の不斉中心を持つ場合、さらにジアステレオマーとして存在しうる。本発明には、実質的に純粋な分離されたエナンチオマー、そのラセミ混合物、およびジアステレオマー混合物などの考えられる立体異性体がすべて含まれる。上記の式Iは、ある一定の位置での確定的な立体化学なしに示されている。本発明には、式Iのすべての立体異性体およびその医薬品として容認できる塩が含まれる。エナンチオマージアステレオ異性体の対は、例えば、適切な溶剤からの分別再結晶により分離ができ、また従って得られたエナンチオマーの対は、従来的な手段、例えば、光学活性の酸または塩基を、分割剤として、またはキラルHPLCカラム上で使用することにより、個別の立体異性体に分離できる。さらに、一般的公式Iの化合物の任意のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、立体特異的合成により、配置が分かっている光学的に純粋な出発物質または試薬を使用して獲得できる。
【0038】
本書で説明した化合物にオレフィンの二重結合が含まれるとき、別途特定しない限り、こうした二重結合は、E幾何異性体およびZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。
【0039】
本書で説明した化合物の一部は、互変異性体と呼ばれる、異なる水素の付着地点で存在しうる。例えば、カルボニル-CH2C(O)-基(ケト形)を含めた化合物は、互変異性を起こし、ヒドロキシル-CH=C(OH)-基(エノール形)を形成しうる。ケト形およびエノール形の両方は、個別に、またその混合物として、本発明の範囲内に含まれる。
【0040】

用語「医薬品として容認できる塩」とは、医薬品として容認できる非中毒性の塩基または酸から調製した塩を意味する。本発明の化合物が酸性のとき、その対応する塩は、無機塩基および有機塩基を含めて医薬品として容認できる非中毒性の塩基から好都合に調製できる。こうした無機塩基に由来する塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩(第二銅塩および第一銅塩)、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩(第二マンガン塩および第一マンガン塩)、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩およびこれに類する塩が含まれる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩が好ましい。医薬品として容認できる有機非中毒性塩基から調製される塩には、自然発生および合成の両方から由来する第一、第二、および第三アミンの塩が含まれる。そこから塩を形成しうる医薬品として容認できる有機非中毒性の塩基には、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンおよびそれに類するものが含まれる。
【0041】
本発明の化合物が塩基性のとき、その対応する塩は、医薬品として容認できる非中毒性の無機酸および有機酸から好都合に調製できる。こうした酸には、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸およびそれに類するものが含まれる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、および酒石酸が好ましい。
【0042】
溶媒和物
本発明には、その範囲において、式Iの化合物の溶媒和物が含まれる。本書で使用するとき、用語「溶媒和物」は、溶質(すなわち、式Iの化合物の1つ)またはその医薬品として容認できる塩および溶質の生物活性に干渉しない溶媒により形成される可変化学量論の錯体を意味する。溶媒の例には、限定はされないものの、水、エタノール、および酢酸が含まれる。溶剤が水のとき、溶媒和物は水和物として知られるが、水和物には、限定されないものの、半水化物、一水和物、セスキ水和物、二水和物および三水和物が含まれる。
【0043】
プロドラッグ
本発明には、その範囲において、この発明の化合物のプロドラッグの使用が含まれる。一般的に、このようなプロドラッグは、必要な化合物に生体内で容易に変換されうる本発明の化合物の機能的誘導体となる。こうして、本発明の治療方法において、用語「投与する」には、式Iの化合物とともに、または式Iの化合物以外でもありえるが、患者への投与後に生体内で式Iの化合物に変換される化合物とともに記載した各種の状態の治療が含まれる。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製の従来的な手順(手続き)は、例えば、『Design of Prodrugs』(ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985)に記載されている。
【0044】
有用性
本発明の化合物は、低酸素誘導因子(HIF)プロリルヒドロキシラーゼの阻害剤であり、そのためHIFの調節が望ましい、貧血および虚血などの疾患および状態の処理および予防に有用である。本発明の化合物は、低酸素誘導因子の安定化を誘発するため、またエリトロポイエチンの生成および分泌を急速にかつ可逆的に刺激するために、選択的および管理的な方法で使用できる。従って、本発明の別の面では、哺乳動物での病気または状態の治療または予防の方法が提供され、その処理または予防は、HIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害により奏功するかまたは促進されるが、これはHIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害に有効なある量の式Iの化合物の投与で構成される。本発明のこの面には、さらにHIFプロリルヒドロキシラーゼにより調節した病気または状態の治療または予防のための薬剤の製造での式Iの化合物の使用が含まれる。
【0045】
一実施形態は、哺乳動物においてエリトロポイエチンの内在的な生成を高める方法であり、これは前記の哺乳動物へのエリトロポイエチンの内在的な生成を高めるのに有効な一定量の式Iの化合物の投与で構成される。
【0046】
別の実施形態は、哺乳動物における貧血を治療する方法であり、これは前記の哺乳動物への治療上有効な量の式Iの化合物の投与で構成される。「貧血」には、限定されないものの、慢性腎臓病による貧血、化学療法誘発性貧血(例えば、HIVおよびC型肝炎ウイルスなどの感染症のための抗ウイルス剤療法から結果的に生じる貧血など)、慢性病の貧血、がんの状態に伴う貧血、がんの放射線治療により結果的に生じる貧血、関節リウマチ、炎症性の腸疾患および狼瘡など慢性の免疫不全の貧血のほか、月経や老化による貧血や、鉄は豊富にあるが鉄を適切に利用できない鉄処理機能の欠損のあるその他の個人での貧血が含まれる。
【0047】
別の実施形態は、哺乳動物における虚血性疾患の治療方法であるが、これは、前記の哺乳動物への治療上有効な量の式Iの化合物の投与で構成される。
【0048】
併用療法
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用な疾患または状態の治療/予防/抑制または改善に使用される他の薬物との組み合わせで使用しうる。こうしたその他の薬物は、そのために一般的に使用される経路および量で、式Iの化合物と同時的または経時的に投与しうる。式Iの化合物が1つ以上のその他の薬物と同時的に使用されるとき、式Iの化合物に加えてそうしたその他の薬物を含む薬剤組成物が望ましい。従って、本発明の薬剤組成物には、式Iの化合物に加えて、1つ以上のその他の有効成分も含有するものも含まれる。
【0049】
投与経路/用量
本発明の化合物は、発明に従い、温血動物の体内での有効成分化合物の作用部位との接触を達成する何らかの手段により、苦痛、疾患および病気の治療または予防に投与することができる。例えば、投与は、経口的、局所的(経皮的を含む)、眼球、口腔内、鼻腔内、吸入、膣内、直腸、大槽内および非経口的でありうる。用語「非経口的」は、本書で使用するとき、皮下、静脈内、筋肉内、関節内の注射または注入、胸骨内および腹腔内を含めた投与の様式を意味する。本開示の目的として、温血動物は、恒常性維持機構を有する動物界の構成員で、哺乳類および鳥類が含まれる。
【0050】
化合物は、医薬品とともに使用できる従来的な何らかの手段により、個別の治療薬として、または治療薬との組み合わせのいずれかで投与しうる。これらは、単独で投与することもできるが、一般に選択した投与経路および標準的な製薬の慣行に基づき選択される薬学的担体とともに投与される。
【0051】
投与する用量は、受容体の年齢、健康状態および体重、病気の程度、同時に行う治療の種類(該当する場合)、治療の頻度および希望する効果の内容に依存することになる。普通は、有効成分化合物の日用量は、一日当たり約1.0〜2000ミリグラムである。通常、1回以上の使用で一日当たり10〜500ミリグラムで希望する結果を得るのに有効である。これらの投与量は、上記の苦痛、疾患および病気、例えば貧血の治療および予防のための有効量である。
【0052】
薬剤組成物
本発明の別の態様では、式Iの化合物および医薬品として容認できる担体で構成される薬剤組成物が提供される。薬剤組成物などの場合、用語「組成」は、有効成分、および担体を形成する不活性成分(医薬品として容認される賦形剤)で構成される生成物のほか、直接的または間接的に、2つ以上の任意の成分の組み合わせ、錯体化または集合、または1つ以上の成分の解離、または1つ以上の成分のその他の種類の反応または相互作用の結果としてもたらされる何らかの生成物が含まれることが意図される。従って、本発明の薬剤組成物には、式Iの化合物、追加的な有効成分、および医薬品として容認される賦形剤を混合することにより生成される任意の組成が含まれる。
【0053】
本発明の薬剤組成物は、式Iで表現される有効成分としての化合物(またはその医薬品として容認できる塩)、医薬品として容認できる担体およびその他任意の治療の成分またはアジュバントで構成される。組成には、経口投与、直腸投与、局所的投与、および非経口(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)投与に適した組成が含まれるが、所定のケースでの最適な経路は、有効成分が投与される特定の宿主、および状態の性質や重症度に依存することになる。薬剤組成物は、単位投与形態で都合よく提示することができ、また製薬学分野では周知の何らかの方法で調製しうる。
【0054】
有効成分は、カプセル、錠剤、トローチ、糖衣錠、顆粒および粉末などの固体剤形、またはエリキシル剤、シロップ、乳濁液、散乱、および懸濁液などの液体剤形で経口投与できる。また有効成分は、分散剤、懸濁液または溶液など無菌の液体剤形で非経口的に投与することもできる。局所的投与用の軟膏、乳脂、点滴薬、経皮パッチまたは粉末として、眼球投与用の眼科用の溶液または懸濁液の形成物(すなわち、点眼剤)として、吸入または鼻腔内投与用のエアロゾルスプレーまたは粉末成分として、または直腸投与や膣投与用の乳脂、軟膏、噴霧剤または座薬として、有効成分を投与するためにその他の投薬形態が使用できる。
【0055】
ゼラチンカプセルには、有効成分およびラクトース、デンプン、繊維素誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびそれに類するものなどを粉末にした担体が含まれる。圧縮錠剤を製造するために、類似した希釈剤を使用することができる。錠剤およびカプセルのどちらも、長時間にわたる持続的な薬物の放出を提供する徐放性製剤として製造できる。圧縮錠剤は、糖で被覆するかまたはフィルムコーティングして、不快な味を隠し、大気から錠剤を保護することも、胃腸管内での選択的分解のために腸溶性コーティングを施すこともできる。
【0056】
経口投与用の液体剤形には、患者による受け入れを高めるために着色剤および香味剤が含まれうる。
【0057】
一般に、水、適切な油、生理食塩水、水溶性ブドウ糖(グルコース)、および関連する糖液およびプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコールが、非経口溶液用に適切な担体である。非経口投与用の溶液は、有効成分の水溶性の塩、適切な安定化剤、および必要に応じて緩衝物質が含まれることが望ましい。重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸などの酸化防止剤は、単独でも、または組み合わせても、適切な安定化剤である。またクエン酸およびその塩およびナトリウムEDTAも使用される。さらに、非経口溶液には、塩化ベンザルコニウム、メチル-またはプロピルパラベン、およびクロロブタノールなどの防腐剤が含まれうる。
【0058】
適切な薬剤学的担体については、この分野の標準参考書である『Remington's Pharmaceutical Sciences』(A. Osol)に記載されている。
【0059】
吸入による投与については、本発明の化合物は、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾル噴霧をする形態で都合よく送達しうる。化合物は、製剤しうる粉末として送達することもでき、粉末成分はガス注入粉末吸入装置の補助によって吸入しうる。吸入のための好ましい送達システムは、計量式吸入(MDI)エアロゾルで、過フッ化炭化水素または炭化水素などの適切な噴霧剤内での式Iの化合物の懸濁液または溶液として製剤しうる。
【0060】
眼球投与用には、化合物による眼の角膜および内部領域の貫通が許容されるよう、十分な時間、その化合物が眼球表面と接触した状態が維持されるように、適切な式Iの化合物の重量パーセントの溶液または懸濁液を適切な眼科用の担体で用いて、点眼薬を製剤しうる。
【0061】
本発明の化合物の投与について有用な製薬の剤形には、限定はされないものの、硬質および軟質のゼラチンカプセル、錠剤、非経口の注射剤、および経口の懸濁液が含まれる。
【0062】
多数のユニットカプセルは、粉末化した有効成分100ミリグラム、ラクトース150ミリグラム、セルロース50ミリグラム、およびステアリン酸マグネシウム6ミリグラムを標準的なツーピースの硬ゼラチンカプセルをそれぞれ充填することにより調剤される。
【0063】
有効成分のダイズ油、綿実油またはオリーブ油などの消化のよい油との混合物を調製して、プラス置換ポンプの手段でゼラチンに注入し、有効成分100ミリグラムを含む軟ゼラチンカプセルが形成される。カプセルは洗浄・乾燥される。
【0064】
多数の錠剤は、投薬ユニットが有効成分100ミリグラム、コロイド状二酸化ケイ素0.2ミリグラム、ステアリン酸マグネシウム5ミリグラム、微結晶性セルロース275ミリグラム、デンプン11ミリグラムおよびラクトース98.8ミリグラムとなるように、従来的な手順で調製される。適切なコーティングを適用して、嗜好性または遅延吸収を高めることもできる。
【0065】
注射による投与に適した非経口な組成は、1.5重量%の有効成分を10容量%のプロピレングリコール内で攪拌することで調製される。溶液は、注射用に水でその容積にして滅菌される。
【0066】
水溶性懸濁液は、5ミリリットルに、細かく分割した有効成分100ミリグラム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース100ミリグラム、ナトリウムベンゾアート5ミリグラム、ソルビトール溶液1.0グラム、U.S.P.、およびバニリン0.025ミリリットルがそれぞれ含まれるように、経口投与用に調製される。
【0067】
本発明の化合物が段階的に、または別の治療薬と一緒に投与されるとき、同一の剤形を一般に使用しうる。薬物が物理的な組み合わせで投与されるとき、剤形および投与経路は、組み合わせた薬物の適合性に応じて選択されるべきである。こうして、同時投与という用語は、2つの薬剤を同時または経時的に、あるいはこれとは別に2つの有効成分の一定用量での組み合わせとして投与することを含むものと理解される。
【0068】
合成
本発明の化合物を調製する方法を、以下の図式に図示する。その他の合成手順は、当業者にとって容易に明らかとなる。実施例では式Iの化合物の調製を例証するが、本書に添付した請求の範囲に記載された発明を制限するものとは考慮されない。別途表示のない限り、すべての変数はこれまでに定義したとおりである。
【0069】
本発明の化合物の調製に有用な中間体は当業で知られており、または当業者にとって既知の化学的方法論を用いて調製ができる。これらの調製について報告済みの中間体および方法の例には、エチル1-ベンジル-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩(IIa)および関連する置換類似体(IIb)(WO 2005/021546を参照)、エチル1-アルキル-4-ヒドロキシ-7-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩類似体(IIc)(Journal of Medicinal Chemistry, 1992, 35, 1130-1136のKuroda, et. al.を参照)、エチル1で置換される-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩類似体(IId)(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2005, 15, 1577-1582のKuroda, et. al.を参照)、およびエチル4-ヒドロキシ-2-オキソ-6-ピリジン-4-イル-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩(IIe)およびその8-酸化物(IIf)(Journal fur Praktische Chemie, 1991, 333, 637-642のHaber, et. al.を参照)が含まれる。中間体IIの調製に適用されるその他の一般的方法は、Journal of Medicinal Chemistry, 1988, 31, 2108-2121のSherlock, et.al.に記載がある。
【0070】
【化7】

【0071】
本発明の化合物は、以下の図式に図示した方法を使用して調製できる。図式1で、4-ヒドロキシ-2-オキソ-1、8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩のアルキルエステル(II)およびα-またはβ-アミノ酸エステル(III)を、適切な溶剤(例えば、トルエン、キシレン、ブロモベンゼン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメトキシメタン、N-メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、エタノール、2-プロパノール、ブタノール)中で組み合わせることができ、結果として生じる混合物を加熱して中間体IVが得られる。中間体IVの合成の一例は、IIを1から2モルの等価のIII(ここでn = 1およびR7 = -C(CH33)とともに、エタノール/ジメトキシメタン中で、130℃で1から3時間加熱することである。エステルを切断する一般的方法は、エステルIVのカルボン酸I(R7 = -H)への変換に適用されるもので、これらについての参考資料は、文献(例えば、Greene and Wuts, Eds. Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley-Interscience, 1999)に記載がある。IV(R7 = -C(CH33)のI(R7 = -H)への変換を達成する一例は、IVを溶剤に溶かした酸(例えば、水に溶かした6 M HCl、CH2Cl2に溶かしたトリフルオロ酢酸)で処理し、結果として生じる混合物を室温で12から24時間攪拌することである。
【0072】
【化8】

【0073】
IIを調製するいくつかの方法を図式2に示す。1つの方法で、一般構造VIまたはVIIの2H-ピリド[2,3-d][1,3]オキサジン-2,4(1H)-ジオンをジアルキルマロン酸および強塩基(すなわち、NaH、KH)をそのまま、または適切な溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン)中で、または周囲温度かそれより高温で2から18時間処理する。次に、ジオンVIは各種の方法で調製しうる。1つの方法で、置換2-アミノ ニコチン酸(V)を、ホスゲンまたは等価試薬(例えば、ジホスゲン、トリホスゲン、N、N’-カルボニルジイミダゾール、クロロギ酸エチル)で、適切な溶剤(例えば、CH2Cl2、THF、1,4-ジオキサン、トルエン、キシレン)中で、室温かそれより高温で処理し、中間体VIが得られた。中間体VIを合成する別の方法には、DMFに溶かした四酢酸鉛の存在下での、等モル量の置換2-カルボキサミドニコチン酸(Va)の55℃での1時間の加熱が関与する(米国特許第3,947,442号を参照)。
【0074】
ジオンVIIは、VIから得ることができ、適切な溶媒(例えば、トルエン、キシレン、ブロモベンゼン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド)に溶かした塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、Na2CO3、NaH)の存在下で、後者をハロゲン化アルキルまたはアルキルトリフルオロメチルスルホン酸エステルで処理して、VII(R4 =アルキル)が得られる。VIからVIIを合成する別の方法には、限定はされないものの、光延反応(VIおよび必須のアルコールの、適切な溶媒に溶かしたトリアルキルホスフィンおよびジアルキルアゾジカルボン酸での処理で、これについては『Coppola, G. M. et. al. 』(Synth. Comm., 2002, 32, 1009-1013)に記述がある)、または上述の反応において2-N-(R4-アミノ)-または2-(N-R4-アミノ)ニコチン酸をVの代わりに使用することが含まれる。
【0075】
II(ここでR4 ≠ -H)を調製するための別の方法では、一般構造VIIIの2-クロロニコチン酸エステルを出発物質として利用する。2-Clの置き換えは、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DBU)を加えるか、または加えずに、VIIIを適切なアミンとともに加熱して、一般構造IXのニコチン酸エステルを得ることにより達成できる。IXをアルキル塩化マロニルでアシル化することでアミドXが得られる。IIを得るための閉環は、適切な溶剤(1,2-ジメトキシエタン、THF、トルエン)に溶かした塩基(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムt-ブトキシド、水素化ナトリウム)でXを処理することで達成できる。IIを得るための閉環は、適切な溶剤(1,2-ジメトキシエタン、THF、トルエン)に溶かしたジエチルマロン酸および塩基(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムt-ブトキシド、水素化ナトリウム)でIXを処理することでも達成できる。
【0076】
【化9】

【0077】
IのR1-R6に1つ以上の不斉中心が含まれている場合が考えられる。これが発生したとき、Iの個別の立体異性体は、当業者にとって既知の方法で得ることができるが、これには(ただし限定はされないが)、立体特異的合成、Iの塩またはエナンチオピュアな酸もしくは塩基を用いたその調製に使用されるいずれかの中間体の分解、Iまたはエナンチオピュアな固定相を用いたHPLCによるその調製で使用される何らかの中間体の分解が含まれる。
【0078】
生物学的検定法
本化合物の生物活性は、本書の下記の評価法を使用して評価しうる。
【0079】
96ウェルプレートのそれぞれのウェルに、DMSOに溶かした試験化合物1 μLおよびバキュロウイルスに感染したSf9細胞内で発現し、そこから精製したFLAGタグ付の全長のPHD2を0.15 μg/ml含む、試験緩衝液20 μl(50 mMトリスpH 7.4/0.01% Tween-20/0.1 mg/mlウシ血清アルブミン/10 μM第一鉄硫酸塩/1 mMナトリウムアスコルビン酸塩/20 μg/mlカタラーゼ)を加えた。30分の室温での前保温の後、基質4 μL(最終濃度は、2-オキソグルタル酸が0.2 μMおよびHIF-1α ペプチドビオチニル-DLDLEMLAPYIPMDDDFQLが0.5 μM)を加えて、酵素性の反応を開始させた。室温で2時間後、最終濃度はオルト-フェナントロリンが1 mM、EDTAが0.1 mM、抗(His)6 LANCE試薬(Perkin-Elmer Life Sciences)は0.5 nM、AF647ラベルのストレプトアビジン(Invitrogen)が100 nM、および(His)6-VHL錯体が2 μg/mlになるまで急冷/検出混合液25 μLを加えて反応を停止させ、信号を発生させた(S. Tan(2001)Protein Expr. Purif. 21, 224-234)。665および620 nmで分解された蛍光性信号の時間比を決定し、また並行して実施した阻害されていない対照試料に対する阻害率を計算した。
【0080】
【表1】

HIF-PHD1およびHIF-PHD3の触媒作用の阻害は、同様に決定できる。
【0081】
下記の実施例は、発明を例証するためにのみ提供するもので、本発明をいかなる方法でも限定するものとは解釈されない。
【実施例】
【0082】
実施例1
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0083】
【化10】

【0084】
ステップA:2H-ピリド[2,3-d][1,3]オキサジン-2,4(1H)-ジオン
【0085】
【化11】

2-(カルバモイル)ニコチン酸(3.2 g、19.26 mmol)をDMF(30 mL)に溶かした溶液に、0℃で四酢酸鉛(8.5、19.26 mmol)を少量ずつ加えた。結果として生じる溶液を攪拌し、周囲温度まで暖めた。反応混合物を55℃で1時間加熱した後、水(30 mL)で急冷した。形成された沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、表題の化合物2.72 gが固体として得られた。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ 12.27(s)、8.65(d、1H、J = 4.3 Hz)、8.29(d、1H、J = 7.5 Hz)、7.31(d、1H、J = 7.3 Hz)。
【0086】
ステップB:1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-2H-ピリド[2,3-d][1,3]オキサジン-2,4(1H)-ジオン
【0087】
【化12】

ステップAの化合物5.0 g(30.5 mmol)をジメチルアセトアミド50 mLに溶かした溶液に、周囲温度で水素化ナトリウム1.46 g(36.6 mmol、鉱油中60% wt分散)を加えた。混合物を60℃でさらに20分間攪拌した後、0℃に冷却した。混合物を4-(トリフルオロメチル)臭化ベンジル(8.74 g、36.6 mmol)をDMF(10 mL)に溶かした溶液で処理した後、周囲温度まで暖めた。4時間後、反応混合物からDMFを真空下で除去し、残留物を氷と水の混合物で希釈した。固体の沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、望ましい生成物8.7 gが得られ、これをそれ以上精製することなく使用した。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ 8.71(dd、1H、J = 4.8および1.9 Hz)、8.43(dd、1H、J = 4.9および1.6 Hz)、7.66(d、2H、J = 8.4 Hz)、7.63(d、1H、J = 8.7 Hz)、7.40(dd、2H、J = 4.8および4.9 Hz)、5.43(s、2H)。
【0088】
ステップC:エチル-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1、8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩
【0089】
【化13】

NaH(鉱油中60%懸濁液、1.62 g、40.5 mmol)をジメチルホルムアミド(75 mL)に溶かした混合物に、ジエチルマロン酸(6.18 mL、40.5 mmol)を0℃で加えた。結果として生じる混合物を0℃で30分間、および周囲温度で20分間攪拌した後、ステップBの化合物8.7 g(27 mmol)を10 mLのDMFに溶かしたもので処理した。反応混合物を60℃で3時間攪拌した。混合物を冷却し、DMFを真空下で除去し、残留物を水で希釈した。混合水溶液のpHを1 N HClにより4〜5に調節した後、EtOAcで抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、木炭で処理し、濾過し、濃縮して、油が得られた。ヘキサン/エーテルを用いた破砕、および固体の濾過および乾燥により、表題の化合物5.2 gが得られた。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ 8.71(dd、1H、J = 4.6および1.9 Hz)、8.49(dd、1H、J = 6.2および1.6 Hz)、7.57(d、2H、J = 8.3 Hz)、7.57(d、2H、J = 8.2Hz)、7.40(dd、2H、J = 4.6および3.2 Hz)、5.76(s、2H)、4.55(q、2H、J = 7.1 Hz)、および1.51(t、3H、7.0 Hz)。MS:m/z 347(M-EtOH)。
【0090】
ステップD:tert-ブチル N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン酸塩
ステップCの化合物とtert-ブチルグリシン320 mg(2.45 mmol)をエタノール5 mLに溶かしたものの混合物800 mg(2.04 mmol)を、130℃でマイクロ波条件下で3時間攪拌した。溶液を室温まで冷まし、沈殿した白色の固体を濾過した。沈殿物をヘキサン/エーテルで洗浄し、乾燥させて表題の化合物930 mgが白色の固体として得られた。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ 10.31(br s、1H)、8.77(dd、1H、J = 4.6および1.6 Hz)、8.50(dd、1H、J = 6.4および1.6 Hz)、7.63 -7.44(m、3H)、5.70(s、2H)、4.08(d、2H、J = 5.7 Hz)、1.42(s、9H)。MS:m/z 478(M+H)。
【0091】
ステップE:N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
ステップDの化合物4.7 g(9.8 mmol)をジクロロメタン40 mLに溶かした溶液に、トリフルオロ酢酸10 mL(10 mL)を室温で加えた。混合物を周囲温度で12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、トルエンで冷凍乾燥し、ヘキサンで破砕し、濾過し、乾燥させて、表題の化合物3.9が白色の固体として得られた。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ 12.98(br s、1H)、10.31(t、1H、J = 5.2 Hz)、8.76(dd、1H、J = 4.6および1.4 Hz)、8.49(dd、1H、J = 6.4および1.3 Hz)、7.64 -7.43(m、3H)、5.7(s、2H)、4.12(d、2H、J = 5.5 Hz)。MS:m/z 423(M+H)。
【0092】
実施例2
N-{[1-(4-クロロベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン
【0093】
【化14】

実施例1で説明したものと類似した手順を用い、ステップBで4-(クロロ)臭化ベンジルを4-(トリフルオロメチル)臭化ベンジルの代わりに用いて表題の化合物を調製した。MS:m/z 388(M+H)。
【0094】
実施例3
N-{[1-(4-ブロモベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン
【0095】
【化15】

実施例1で説明したものと類似した手順を用い、ステップBで4-(ブロモ)臭化ベンジルを4-(トリフルオロメチル)臭化ベンジルの代わりに用いて表題の化合物を調製した。MS:m/z 433(M+H)。
【0096】
実施例4
N-{[1-(4-シアノベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン
【0097】
【化16】

実施例1で説明したものと類似した手順を用い、ステップBで4-(シアノ)臭化ベンジルを4-(トリフルオロメチル)臭化ベンジルの代わりに用いて表題の化合物を調製した。MS:m/z 379(M+H)。
【0098】
実施例5
N-{[1-(4-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン
【0099】
【化17】

実施例1で説明したものと類似した手順を用い、ステップBで4-(メチル)臭化ベンジルを4-(トリフルオロメチル)臭化ベンジルの代わりに用いて表題の化合物を調製した。MS:m/z 368(M+H)。
【0100】
実施例6
N-{[1-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチルベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン
【0101】
【化18】

実施例1で説明したものと類似した手順を用い、ステップBで2-フルオロ-4-臭化トリフルオロメチルベンジルを4-(トリフルオロメチル)臭化ベンジルの代わりに用いて表題の化合物を調製した。MS:m/z 440(M+H)。
【0102】
実施例7
N-({4-ヒドロキシ-7-メトキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0103】
【化19】

【0104】
ステップA:2-クロロ-6-メトキシニコチン酸
【0105】
【化20】

Hirokawa, et. al.(Chem. Phar. Bull., 48, 2000, 1847)の手順に従い、表題の化合物を調整した。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ 13.29(br s、1H)、8.16(d、1H、J = 8.4 Hz)、6.90(d、1H、J = 8.4 Hz)、3.90(s、3H)。MS:m/z 188(M+H)。
【0106】
ステップB:メチル2-クロロ-6-メトキシニコチン酸塩
【0107】
【化21】

手順Aの化合物4.8 g(25.6 mmol)と塩化チオニル(25 mL、343 mmol)の混合物を、5時間還流させた。過剰な塩化チオニルを真空下で除去し、混合物をトルエンから2回蒸発させ、中間体の酸塩化物が得られた。酸塩化物をメタノール(30 mL)で1時間還流させた後、周囲温度で12時間攪拌した。MeOHを真空下で除去し、残留物をクロロホルムで抽出した。溶剤層を水、飽和NaClで洗浄し、乾燥させ、蒸発させた。ヘキサンで破砕し、濾過して、表題の化合物2.51gが白色の固体として得られた。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ 8.14(d、1H、J = 8.5 Hz)、6.72(d、1H、J = 8.7 Hz)、4.02(s、3H)、3. 94(s、3H)。
【0108】
ステップC:メチル6-メトキシ-2-{[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}ニコチン酸塩
【0109】
【化22】

手順Bの化合物1.0 g(5.0 mmol)およびDME(25 mL)に溶かした4-(トリフルオロメチル)ベンジルアミン(1.82 g、10.4 mmol)の混合物を、48時間還流させた。結果として生じる混合物を濾過し、DMEで洗浄した。混合した濾液を蒸発させた後、シリカカラム(combiflash、ISCO)で精製し、ヘキサン + EtOAc(0〜10%勾配)で溶出させて、表題の化合物1.49 gがホフホワイトの固体として得られた。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ 8.63(br s、1H)、8.04(d、1H、J = 8.5 Hz)、7.59(d、2H、J = 7.3 Hz)、7.48(d、2H、J = 7.2 Hz)、6.02(d、1H、J = 8.5 Hz)、4.81(d、2H、J = 5.5 Hz)、3.86(s、3H)、3.81(s、3H)。MS:m/z 341(M+H)。
【0110】
ステップD:6-メトキシ-2-{[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}ニコチン酸
【0111】
【化23】

手順Cの化合物1.0 g(2.9 mmol)およびMeOH/水(1:1、10mL)に溶かした水酸化ナトリウム(0.14 g、3.53 mmol)の混合物を、24時間還流させた。結果として生じる混合物を蒸発させ、混合水溶液のpHを2 N HClでpH = 3に調節した。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、表題の化合物0.97 gが白色の固体として得られた。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ 8.78(t、1H、J = 6 Hz)、7.94(d、1H、J = 8.5 Hz)、7.65(d、2H、J = 7.8 Hz)、7.53(d、2H、J = 7.7 Hz)、5.98(d、1H、J = 8.5 Hz)、4.74(d、2H、J = 5.7 Hz)、3.68(s、3H)。MS:m/z 327(M+H)。
【0112】
ステップE:7-メトキシ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]- 2H-ピリド [2,3-d] [1、3]オキサジン-2、4(1H)-ジオン
【0113】
【化24】

水(12 mL)にステップDの化合物0.51 g(1.56 mmol)および炭酸ナトリウム0.66 g(6.3 mmol)(0.665 g、6.28 mmol)を溶かした溶液を、ホスゲン溶液(5 mL、20%)をトルエンに溶かした溶液で処理した。結果的に生じる異種混合物を24時間攪拌した。形成された固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、表題の化合物0.21 gが得られた。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ 8.78(t、1H、J = 6 Hz)、8.22(d、1H、J = 8.7 Hz)、7.67(s、4H)、6.74(d、1H、J = 8.5 Hz)、5.37(s、2H)、3.84(s、3H)。
【0114】
ステップF:N-({4-ヒドロキシ-7-メトキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
表題の化合物を、実施例1のステップC〜Eで説明したものと類似した手順で、ステップEの化合物から調製した。MS:m/z 452(M+H)。
【0115】
実施例8
N-{[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン
【0116】
【化25】

【0117】
ステップA:1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-2H-ピリド[2,3-d][1,3]オキサジン-2,4(1H)-ジオン
【0118】
【化26】

N2下にあるアセトニトリル(40.0 mL)中の1.0 g(6.1 mmol)の2H-ピリド[2,3-d][1,3]オキサジン-2,4(1H)-ジオン(実施例1のステップAから)および1.45 g(7.92 mmol)の2-(クロロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール(1.45 g、7.92 mmol)の懸濁液を、注射器によってBEMP(2.65 mL、9.14 mmol)で処理し、結果として生じる混合物を室温で40時間攪拌した。溶液を真空内で濃縮し、CombiFlash Companion(40 gカラム)で精製し、0〜100 % EtOAc/ヘキサンで溶出させ、表題の化合物0.29 gが得られた。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ 8.77(dd、1H、J = 1.8、3.2 Hz)、8.47(dd、1H、J = 1.8、5.9 Hz)、8.05(d、1H、J = 7.8 Hz)、7.94(d、1H、J = 8 Hz)、7.49~7.39(m、3H)、5.76(s、2H)。
【0119】
ステップB:エチル1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩
【0120】
【化27】

表題の化合物を、実施例1のステップCで説明したものと類似した手順、およびステップAからの化合物を用いて調製した。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ 8.73(d、1H、J = 4.3 Hz)、8.51(d、1H、J = 7.8 Hz)、8.01(d、1H、J = 8.0 Hz)、7.79(d、1H、J = 8.0 Hz)、7.45(t、1H、J = 7.5 Hz)、7.35(t、1H、J = 7.7 Hz)、7.29~7.26(m、1H)、6.14(s、2H)、4.55(q、2H、J = 7.1 Hz)1.51(t、3H、J = 7.1 Hz。MS:m/z 382.41(M+H)。
【0121】
ステップC:tert-ブチル N-{[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン酸塩
表題の化合物を、実施例1のステップDで説明したものと類似した手順、およびステップBからの化合物を用いて調製した。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ 10.30(br s、1H)、8.78~8.77(dd、1H、J = 1.8、2.8 Hz)、8.54~8.52(dd、1H、J = 1.6、6.1 Hz)、8.00(d、1H、J = 7.8 Hz)、7.90(d、1H、J = 8 Hz)、7.48~7.44(m、2H)、7.38(t、1H、J = 8 Hz)、6.02(s、2H)、4.08(d、2H、J = 5.7 Hz)1.42(s、9H)。MS:m/z 467.51(M+H)。
ステップD:N-{[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン
表題の化合物を、実施例1のステップEで説明したものと類似した手順、およびステップCからの化合物を用いて調製した。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ12.96~12.92(br s、1 H)、10.28(br d、1H、J = 2.2)、8.79(d、1H、J = 3.5 Hz)、8.53(d、1H、J = 7.8 Hz)、8.00(d、1H、J = 7.8 Hz)、7.90(d、1H、J = 8 Hz)、7.49~7.44(m、2H)、7.38(t、1H、J = 7.6 Hz)、6.03(s、2H)、4.12(d、2H、J = 5.5 Hz)。MS:m/z 411.40(M+H)。
【0122】
実施例9
N-({4-ヒドロキシ-6-ヨード-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0123】
【化28】

【0124】
ステップA:メチル5-ヨード-2-{[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}ニコチン酸塩
【0125】
【化29】

メチル5-ヨード-2-クロロニコチン酸1.0 g(3.4 mmol)および4-(トリフルオロメチル)ベンジルアミン1.05 mL(7.4 mmol)をエタノール7.0 mLに溶かした溶液を、マイクロ波装置で、140℃で合計3時間照射した。溶剤を蒸発させ、残留物をEtOAcで破砕し、結果として形成される固体を濾過した。濾液を真空内で濃縮させると、粘度の高い油が得られた。油を最小量のEtOAcで溶解し、シリカゲルのプラグを通過させて濾過し、10 % EtOAc/ヘキサンで洗浄した。濾過物を真空内で濃縮すると、表題の化合物1.3 gが得られた。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ8.43(d、1H、J = 1.8 Hz)、8.39(d、1H、J = 1.9 Hz)、7.59(d、2H、J = 7.8 Hz)、7.46(d、2H、J = 7.7 Hz)、4.80(d、2H、J = 5.7Hz)、3.91(s、3H)。MS:m/z 437.17(M+H)。
【0126】
ステップB:メチル2-{(3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}-5-ヨードニコチン酸塩
【0127】
【化30】

ステップAからの表題の化合物1.0 g(2.3 mmol)およびピリジン(0.28 mL、3.44 mmol)を周囲温度でジクロロメタン(20 mL)に溶かした溶液を、注射器によって塩化マロニルエチル(0.382 mL、2.98 mmol)で処理し、混合物を45℃で15時間攪拌した。混合物を真空内で濃縮した後、CombiFlash Companion(40 gカラム)上で精製し、ヘキサン/EtOAc(勾配、0% to 45%)で溶出させて、表題の化合物1.05 gが油として得られた。MS:m/z 551.27(M+H)。
【0128】
ステップC:エチル4-ヒドロキシ-6-ヨード-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩
【0129】
【化31】

ナトリウムエトキシド(2.73 mmol)を無水エタノール(5.0 mL)に溶かした溶液を、ステップBからの化合物1.0 g(1.8 mmol)をエタノール5 mLに溶かした溶液で処理し、結果として生じる混合物を60℃で30分間攪拌した。混合物を室温まで冷まし、水で急冷し、真空内で濃縮した。結果として生じる固体を水で溶解し、ジクロロメタンで希釈し、1 N HClで酸性化した。層を分離し、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空内で濃縮した。エーテル/ヘキサンで破砕すると、表題の化合物620 mgが白色の固体として得られた。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ8.50(d、1H、J = 2.3 Hz)、8.72(d、1H、J = 2.3 Hz)、7.56-7.52(m、4H)、5.68(s、2H)、4.55(q、2H、J =7.1 Hz )、1.50(t、3H、J = 7.0 Hz)。MS:m/z 519.23(M+H)。
【0130】
ステップD:tert-ブチル N-({4-ヒドロキシ-6-ヨード-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン酸塩
表題の化合物を、実施例1のステップDで説明したものと類似した手順、およびステップCからの化合物を用いて調製した。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ10.50(t、1H、J = 5.3 Hz)、8.86(d、1H、J = 2.0 Hz)、8.76(d、1H、J = 1.9 Hz)、7.56-7.52(m、4H)、5.73(s、2H)、4.15(d、2H、J = 5.3 Hz)、1.53(s、9H)。MS:m/z 604.33(M+H)。
【0131】
ステップE:N-({4-ヒドロキシ-6-ヨード-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
表題の化合物を、実施例1のステップEで説明したものと類似した手順、およびステップDからの化合物を用いて調製した。1H NMR(500 MHz、DMSO)δ12.98-12.92(br、1H)、10.26(s、1H)、8.95(d、1H、J = 2.1 Hz)、8.69(d、1H、J = 1.8 Hz)、7.62(d、2H、J = 8.0 Hz)、7.62(d、2H、J = 8.0)、5.64(s、2H)、4.12(d、2H、J = 5.7 Hz)。MS:m/z 548.22(M+H)。
【0132】
実施例10
N-({6-シアノ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0133】
【化32】

【0134】
ステップA:tert-ブチル N-({6-シアノ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン酸塩
tert-ブチルN-({6-ヨード-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン酸塩100 mg(0.17 mmol)(実施例9のステップDから)、シアン化亜鉛24 mg(0.2 mmol)、トリス(ジベンジルイジンアセトン)ジパラジウム(0)30 mg(0.033 mmol)および1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)18.4 mg(0.033 mmol)からDMF 3 mLおよび水0.05 mLに溶かした溶液の酸素を排除し、混合物を窒素下で110℃で2時間攪拌した。混合物を冷却し、EtOAcで希釈し、セライトを通過させて濾過した。濾液を濃縮し、CombiFlash Companion(4 g カラム)上で精製し、ヘキサン+EtOAc(勾配、5 %〜60 % EtOAc)で溶出させて、表題の化合物64 mgが得られた。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ10.36(br s、1H)、8.92(d、1H、J = 2.0 Hz)、8.76(d、1 H、J = 2.2 Hz)、7.58~7.54(m、4H)、5.76(s、2H)、4.16(d、2H、J = 5.2 Hz)、1.54(s、9H)。MS:m/z 503.44(M+H)。
【0135】
ステップB:N-({6-シアノ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
ステップAからの化合物60 mg(0.12 mmol)を4:1ジクロロメタン/トリフルオロ酢酸5 mLに溶かした溶液を、室温で20分間攪拌した。溶液を濃縮し、残留物をエーテル/ヘキサンで破砕して、表題の化合物47 mgが得られた。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ 13.02~12.94(br s、1H)、10.18(br s、1H)、9.16(s、1H)、8.97(s、1 H)、7.64(d、2H、J = 8.2 Hz)、7.48(d、2H、J = 8.0 Hz)、5.91(s、2H)、4.13(d、2H、J = 5.3 Hz)。MS:m/z 447.34(M+H)。
【0136】
以下の化合物が、前述の実施例で説明した手順と類似した方法で調製された。
【0137】
実施例11
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-L-アラニン
【0138】
【化33】

【0139】
実施例12
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-D-アラニン
【0140】
【化34】

【0141】
実施例13
N-({1-[4-(アミノカルボニル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0142】
【化35】

【0143】
実施例14
N-({1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-L-セリン
【0144】
【化36】

【0145】
実施例15
N-({1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-L-アスパラギン酸
【0146】
【化37】

【0147】
実施例16
N-({1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-2-メチルアラニン
【0148】
【化38】

【0149】
実施例17
(2S)-2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]ブタン酸
【0150】
【化39】

【0151】
実施例18
N-[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-プロパ-2-イン-1-イル-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)カルボニル]グリシン
【0152】
【化40】

【0153】
実施例19
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(3-フェニルイソオキサゾール-5-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0154】
【化41】

【0155】
実施例20
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(5-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0156】
【化42】

【0157】
実施例21
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(3-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0158】
【化43】

【0159】
実施例22
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(4-フェニル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0160】
【化44】

【0161】
実施例23
N-{[1-(2-エトキシ-2-オキソエチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン
【0162】
【化45】

【0163】
実施例24
N-({1-[(5-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0164】
【化46】

【0165】
実施例25
N-({1-[(4-tert-ブチル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0166】
【化47】

【0167】
実施例26
N-({1-[(4,5-ジメチル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0168】
【化48】

【0169】
実施例27
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(5-フェニル-1.3,4-オキサジアゾール-2-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン
【0170】
【化49】

【0171】
実施例28
{[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8ナフチリジン-3-イル)カルボニル}アミノ}酢酸
【0172】
【化50】

【0173】
ステップA:1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] メチル}-2 H-ピリド[2,3-d] [1,3] オキサジン-2,4(1H)-ジオン
【0174】
【化51】

2H-ピリド[2,3-d][1,3]オキサジン-2,4(1H)-ジオン(10.0 g、60.9 mmol、ステップA、実施例1)のDMF(150 mL)中での懸濁液を25℃で、水素化ナトリウム2.92 g(73.1 mmol、鉱油中60 % wt分散)で処理し、薄緑の混合物を50℃で30分間攪拌した。結果的に生じる緑色の懸濁液を0℃に冷却し、5-(クロロメチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリジン13.11 g(67.0 mmol)を注射器で加えた。0℃で5時間攪拌してから室温で30分間攪拌した後、混合物を氷水750 mLに注いだ。沈殿した固体を濾過し、乾燥させて、ピンク色の固体(14.8 g)が得られた。固体をDCM(300 mL)に加え、室温で10分間攪拌してから濾過した。濾液を濃縮し、残留物をエーテル/ヘキサンで破砕し、濾過し、乾燥させて表題の化合物12.8 gが得られた。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ8.98(s、1H)、8.76(dd、1H、J = 4.8および1.8 Hz)、8.46(dd、1H、J = 7.8および1.9 Hz)、8.09(dd、1H、J = 16.1および8.1 Hz)、7.67(d、1 H、J = 8.1 Hz)、7.35(dd、1H、J = 7.8および4.8 Hz)、5.57(s、2 H)。
【0175】
ステップB:エチル4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩
【0176】
【化52】

水素化ナトリウム2.22 g(55.4 mmol、鉱油中60 % wt分散)のDMF 50 mL中の懸濁液を、ジエチルマロン酸塩9.51 g(59.4 mmol)で処理し、結果として生じる混合物を60℃で15分間攪拌した。次に、混合物を0℃に冷却し、1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] メチル}-2 H-ピリド[2,3-d] [1,3]オキサジン-2,4(1H)-ジオン(ステップAから)12.8 g(39.6 mmol)をDMF 50 mLに溶かした溶液でカニューレによって処理した。混合物を60℃で2時間攪拌した後、氷水500 mLに注いだ。混合物のpHを1N HClで6に調節し、沈殿した固体を濾過した。得られた固体を、DCM 600 mLに溶解し、結果として生じる溶液を水および飽和NaClで洗浄した。有機層を木炭で脱色し、乾燥させ、セライトを通過させて濾過した。濾液を濃縮し、残留物をエーテル/ヘキサンで破砕し、表題の化合物12.8 gが得られた。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ8.93(s、1H)、8.70(dd、1H、J = 4.4および1.4 Hz)、8.47(dd、1H、J = 7.8および1.2 Hz)、8.02(d、1H、J = 7.8 Hz)、7.57(d、1H、J = 8.0 Hz)、7.27(m、1H,)、5.76(s、2 H)、4.54(q、2H、J = 14.2および7.1 Hz)、1.49(t、3H、J = 14.2および7.1)。MS:m/z 394(M+1)。
【0177】
ステップC:tert-ブチル {[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] メチル}-1、2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)カルボニル]アミノ}酢酸塩
【0178】
【化53】

エチル4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩12.8 g(32.7 mmol)(ステップBから)およびtert-ブチルグリシン5.31 g(39.2 mmol)をDME 130 mLで溶かした溶液を、82℃で8時間攪拌した。残留物をエーテル/ヘキサンで破砕し、濾過し、乾燥させて、表題の化合物14.9 gが得られた。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ10.50(b、1H)、8.95(s、1H)、8.71(dd、1H、J = 4.6および1.9 Hz)、8.49(dd、1H、J = 8.0および1.8 Hz)、8.00(d、1H、J = 8.0 Hz)、7.59(d、1H、J = 8.0 Hz)、7.30(dd、1H、J = 7.8および4.6 Hz)、5.80(s、2 H)、4.15(d、2H、J = 5.2 Hz)、1.53(s、9H)。MS:m/z 479(M+1)。
【0179】
ステップD:{[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)カルボニル}アミノ}酢酸
【0180】
【化54】

tert-ブチル {[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[ 6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] メチル}-1、2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)カルボニル]アミノ}酢酸塩14.9 g(31 mmol)(ステップCから)をDCM/TFA 250 mL 4:1 v/v に溶かした溶液を、室温で20時間攪拌した。溶媒を蒸発させた。残留物をエーテル/ヘキサン(1/4、v/v)で破砕し、濾過し、水ですすぎ、乾燥させて、表題の化合物12.5 g(95 %)が得られた。1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ12.98、(b、1H)10.28(t、1H、J = 5.5 Hz)、8.78(bd、2H)、8.49(dd、1H、J = 7.8および1.4 Hz)、7.91(d、1H、J = 8.3 Hz)、7.79(d、1H、J = 8.0 Hz)、7.45(dd、1H、J = 8.0および4.8 Hz)、5.73(s、2 H)、4.12(d、2H、J = 5.5 Hz)。MS:m/z 423(M+1)。
【0181】
実施例29
{[(6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8ナフチリジン-3-イル)カルボニル]アミノ}酢酸
【0182】
【化55】

【0183】
ステップA:メチル5-クロロ-2-({[6-トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}アミノ)ニコチン酸塩
【0184】
【化56】

メチル2,5-ジクロロニコチン酸塩0.30 g(1.46 mmol)、1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メタンアミン0.31 g(1.75 mmol)およびTEA 0.44 g(4.4 mmol)を1,4-ジオキサン4 mL(4.0 mL)に混合した混合物を、100℃で30時間攪拌した。混合物を冷却し、CombiFlash Companionクロマトグラフィーシステムで直接精製し、0〜20 % EtOAc/ヘキサン勾配で溶出して、表題の化合物0.29 gが得られた。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ8.74、(d、1H、J = 1.2 Hz)、8.44(t、1H、J = 5.5 Hz)、8.21(d、1H、J = 2.8 Hz)、8.13(d、1H、J = 2.5 Hz)、7.85(dd、1H、J = 8.0 Hzおよび1.4 Hz)、7.64(d、1H、J = 8.0 Hz)、4.83(d、2H、J = 5.9 Hz)、3.92(s、3H)。MS:m/z 346(M+1)。
【0185】
ステップB:エチル6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] メチル}-1、2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩
【0186】
【化57】

メチル5-クロロ-2-({[6-トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}アミノ)ニコチン酸塩0.28 g(0.81 mmol)(ステップA)およびピリジン0.13 mL(1.6 mmol)をDCM 3 mLに溶かした溶液を、エチル3-クロロ-3-オキソプロパン酸0.37(2.9 mmol)(0.372 mL、2.916 mmol)で処理し、結果として生じる混合物を室温で3時間攪拌した。溶剤を蒸発させ、残留物を無水EtOH 3 mLで溶解した。この溶液を注射器で新しく調製したナトリウムエトキシド1.2 mmolに加え、結果として生じる混合物を60℃で30分間攪拌した。反応物を水(1.0 mL)で急冷し、濃縮させた。結果として生じる固体を水/DCMに再び溶解させ、水層のpHを1N HClでpH 5に調節した。層を分離し、有機層を乾燥させ濃縮させた。残留物をエーテル/ヘキサン(1/2、v/v)で破砕し、濾過し、乾燥させて、表題の化合物236 mgが得られた。1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ8.92、(s、1H)、8.64(d、1H、J = 2.5 Hz)、8.43(d、1H、J = 2.5 Hz)、8.00(d、1H、J = 8.0Hz)、7.60(d、1H、J = 8.0 Hz)、5.72(s、2H)、4.56(q、2H、J = 14.4および7.1 Hz)、1.51(t、3H、J = 14.1および7.1 Hz)。MS:m/z 428(M+1)。
【0187】
ステップC:tert-ブチル {[(6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1 {[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)カルボニル] アミノ} 酢酸塩
【0188】
【化58】

表題の化合物を、実施例1のステップDで説明したものと類似した手順を使用して、エチル6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸塩0.23 g(0.54 mmol)(ステップBから)から調製した。MS:m/z 513(M+1)。
【0189】
ステップD:{[(6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8ナフチリジン-3-イル)カルボニル]アミノ}酢酸
【0190】
【化59】

表題の化合物を、実施例1のステップEで説明したものと類似した手順を使用して、tert-ブチル {[(6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)カルボニル] アミノ}酢酸塩0.155 g(0.30 mmol)(ステップCから)から調製した。MS:m/z 457(M+1)。
【0191】
実施例30
(2S)-2-({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)プロパン酸
【0192】
【化60】

【0193】
実施例31
(2S)-2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル] -1、2- ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]コハク酸
【0194】
【化61】

【0195】
実施例32
({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-6-ヨード-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)酢酸
【0196】
【化62】

【0197】
実施例33
2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ] -2-メチルプロパン酸
【0198】
【化63】

【0199】
実施例34
(2S)-2-[9{4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル]アミノ]ブタン酸
【0200】
【化64】

【0201】
実施例35
(2S)-2-[({1-[(5-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]プロパン酸
【0202】
【化65】

【0203】
実施例36
(2R)-2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]コハク酸
【0204】
【化66】

【0205】
実施例37
(2S)-2-({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)コハク酸
【0206】
【化67】

【0207】
実施例38
(2S)-2-{[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)カルボニル]アミノ}プロパン酸
【0208】
【化68】

【0209】
実施例39
(2S)-2-[({1-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]プロパン酸
【0210】
【化69】

【0211】
実施例40
({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)酢酸
【0212】
【化70】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iを有する化合物:
【化1】

または、医薬品として容認できるその塩または溶媒和物(式中、
mは、0または1であり、
nは、1または2であり、
pは、0、1または2であり、
R1、R2およびR3は、
i)水素、
ii)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C1-C10アルキル、
iii)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C3-C10シクロアルキル、
iv)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C2-C10アルケニル、
v)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C5-C10シクロアルケニル、
vi)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C2-C10アルキニル、
vii)Rbおよびヒドロキシから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるアリール、
viii)ハロゲン、
ix)シアノ、
x)Rbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるヘテロアリール、
xi)フッ素、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、-CO2R7、-NR8R9、-CONR8R9、-OCO2R7、-OCONR8R9、-NR10CO2R7、-NR10CONR8R9、および-S(O)pR10から独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-O-C1-C10アルキル、
xii)Rbおよびヒドロキシから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-O-アリール、
xiii)Rbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-O-ヘテロアリール、
xiv)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-SOp-C1-C10アルキル、
xvi)ヒドロキシおよびRbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-SOp-アリール、
で構成される基から独立的に選択され、または
R1およびR2、またはR2およびR3は結合して、フッ素、フェニル、置換フェニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-CONR8R9、-CO2R3、および-NR8R9から独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される5から8原子の環を形成し、ここで前記の環は、-NR7-、-O-および-S(O)p-から独立的に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有し部分的もしくは完全に不飽和の状態にあり、
R4は、
i)水素、
ii)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C1-C10アルキル、
iii)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-(C0-C10アルキル)C3-C10シクロアルキル、
iv)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C2-C10アルケニル、
v)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-(C0-C10アルキル)C5-C10シクロアルケニル、
vi)Raから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される-C2-C10アルキニル、
vii)ヒドロキシおよびRbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-(C0-C10アルキル)アリール、および
ix)Rbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-(C0-C10アルキル)ヘテロアリール、
で構成される基から選択され、
R5およびR6は、
i)水素、
ii)ヒドロキシ、-SH、-NH2または-CO2Hで任意に置換されるC1-C4アルキル、
iii)トリフルオロメチル、および
iv)2,2,2-トリフルオロエチル、
で構成される基から独立的に選択され、
R7は、
i)水素、
ii)-C1-C10アルキル、
iii)-(CH21-6-C3-C8シクロアルキル、および
iv)-(CH21-6フェニル、
で構成される基から選択され、
R8、R9およびR10は、
i)水素、
ii)-C1-C6アルキル、
iii)-C3-C6シクロアルキル(アルキルおよびシクロアルキルは、それぞれフッ素、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-C1-C6アルコキシ、置換-C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、-S(O)pアルキルおよび-S(O)pアリールから独立的に選択される1から5個の基で任意に置換される。)、
iv)C1-C6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、-CO2(C1-3アルキル)、-CONR11R12、-OCO2(C1-3アルキル)、-OCONR11R12、および-S(O)p(C1-3アルキル)から独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるアリール、および
v)C1-C6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、-CO2(C1-3アルキル)、CONR11R12、-OCO2(C1-3アルキル)、-OCONR11R12、および-S(O)p(C1-3アルキル)から独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるヘテロアリール、
で構成される基から独立的に選択され、または
R8およびR9は、これらが結合しているN原子とともに、-O-、-NR7-、および-S(O)p-から選択される追加的な0、1または2個のヘテロ原子を持つ5から8個の原子からなる飽和環または部分飽和環を形成し、ここで前記の環は、メチルまたはヒドロキシ基で任意に置換され、
R11およびR12は、
i)水素、
ii)ヒドロキシで任意に置換されるC1-C4アルキル、
で構成される基から独立的に選択され、または
R11およびR12は、これらが結合しているN原子とともに、-O-、-NR7-、および-S(O)p-から選択される追加的な0、1または2個のヘテロ原子を持つ5から8個の原子から成る飽和環または部分飽和環を形成し、
Raは、フッ素、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-C1-C6アルコキシ、置換-C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、-CO2R7、-NR8R9、-CONR8R9、-OCO2R7、-OCONR8R9、-NR10CO2R7、-NR10CONR8R9、および-S(O)pR10で構成される基から選択され、
Rbは、ハロゲン、シアノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-C1-C6アルキル、置換-C1-C6アルキル、-C1-C6アルコキシ、置換-C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、-CO2R7、-NR8R9、-CONR8R9、-OCO2R7、-OCONR8R9、-NR10CO2R7、-NR10CONR8R9、および-S(O)pR10で構成される基から選択される。)。
【請求項2】
R1、R2およびR3の1つが水素であり、ならびにその他は、i)水素、ii)Raから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるC1-C6アルキル、iii)C1-C4アルキル、CF3、およびRaから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換されるC3-C8シクロアルキル、iv)ヒドロキシおよびRbから独立的に選択される1個または2個の基で任意に置換されるアリール、v)ハロゲン、vi)シアノ、vii)Rbから独立的に選択される1個または2個の基で任意に置換されるヘテロアリール、viii)フッ素、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、-CO2R7、-NR8R9、-CONR8R9、-OCO2R7、-OCONR8R9、-NR10CO2R7、-NR10CONR8R9、および-S(O)pR10から独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-O-C1-C6アルキル、ix)ヒドロキシおよびRbから独立的に選択される1個または2個の基で任意に置換される-O-アリール、x)Rbから独立的に選択される1から2個の基で任意に置換される-O-ヘテロアリール、xi)Raから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-SOp-C1-C6アルキル、ならびにxii)ヒドロキシおよびRbから独立的に選択される1から3個の基で任意に置換される-SOp-アリールから独立的に選択される請求項1の化合物、またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和物。
【請求項3】
R1が水素であり、R2およびR3の一方が水素であり、ならびにその他がi)水素、ii)ハロゲン、iii)シアノ、iv)1から3個のフッ素で任意に置換される-C1-C3アルキル、およびv)1から3個のフッ素で任意に置換される-O-C1-C3アルキルで構成される基から選択される請求項1の化合物、またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和物。
【請求項4】
R4が、C(O)OH、C(O)O-C1-C4アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される基で置換される-C1-C4アルキルである請求項1の化合物、またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和物。
【請求項5】
R4がフェニルで置換される-C1-C4アルキルであり、ここでフェニルは、置換されていないかまたはi)1から3個のフッ素で任意に置換される-C1-C3アルキル、ii)ハロゲン、iii)シアノ、iv)C(O)NH2、およびv)1から3個のフッ素で任意に置換される-O-C1-C3アルキルから独立的に選択される1から3個の基で置換される請求項1の化合物、またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和物。
【請求項6】
R4がヘテロアリールで置換される-C1-C4アルキルであり、ここでヘテロアリールは、置換されていないかまたはi)1から3個のフッ素で任意に置換される-C1-C4アルキル、ii)ハロゲン、iii)シアノ、iv)フェニル、およびv)1から3個のフッ素で任意に置換される-O-C1-C4アルキルから独立的に選択される1から3個の基で置換される請求項1の化合物、またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和物。
【請求項7】
式Iaを有する請求項1の化合物:
【化2】

(式中、m、R2、R3、R5、R6およびR7は、請求項1で定義したとおりであり、またR4'は、C(O)OH、C(O)O-C1-C4アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される。)
またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和。
【請求項8】
R4'が、i)ハロゲン、シアノ、およびトリフルオロメチルから独立的に選択される1個または2個の基で任意に置換されるフェニル、ii)ベンゾチアゾール、ハロ置換されるベンゾチアゾール、イソオキサゾール、フェニル置換されるイソオキサゾール、1,2,4-オキサジアゾール、フェニル置換される1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、フェニル置換されるチアゾール、C1-C4アルキル置換されるチアゾール、ジ(C1-C4)アルキル置換されるチアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、およびフェニル置換される1,3,4-オキサジアゾールから選択されるヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールである請求項7の化合物、またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和物。
【請求項9】
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-{[1-(4-クロロベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-{[1-(4-ブロモベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-{[1-(4-シアノベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-{[1-(4-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}}グリシン、
N-{[1-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチルベンジル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-7-メトキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-{[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-6-ヨード-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({6-シアノ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロキノリン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-L-アラニン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-D-アラニン、
N-({1-[4-(アミノカルボニル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-L-セリン、
N-({1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)-L-アスパラギン酸、
(2S)-2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]ブタン酸、
N-[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-プロパ-2-イン-1-イル-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)カルボニル]グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(3-フェニルイソオキサゾール-5-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(5-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(3-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(4-フェニル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-{[1-(2-エトキシ-2-オキソエチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}グリシン、
N-({1-[(5-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({1-[(4-tert-ブチル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({1-[(4,5-ジメチル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
N-({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[(5-フェニル-1.3,4-オキサジアゾール-2-イル)メチル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)グリシン、
{[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8ナフチリジン-3-イル)カルボニル}アミノ}酢酸、
{[(6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8ナフチリジン-3-イル)カルボニル]アミノ}酢酸、
(2S)-2-({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)プロパン酸、
(2S)-2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル] -1、2- ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]コハク酸、
({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-6-ヨード-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)酢酸、
2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ] -2-メチルプロパン酸、
(2S)-2-[9{4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル]アミノ]ブタン酸、
(2S)-2-[({1-[(5-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]プロパン酸、
(2R)-2-[({4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]コハク酸、
(2S)-2-({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)コハク酸、
(2S)-2-{[(4-ヒドロキシ-2-オキソ-1-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)カルボニル]アミノ}プロパン酸、
(2S)-2-[({1-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル]-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル}カルボニル)アミノ]プロパン酸、および
({[1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルメチル)-6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル]カルボニル}アミノ)酢酸
から選択される請求項1の化合物、またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和物。
【請求項10】
哺乳動物の状態を治療する方法であって、その治療がHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害により達成されるかまたは促進され、請求項1の化合物またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和物をHIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害に効果のある量で投与することで構成される方法。
【請求項11】
状態が貧血である請求項10の方法。
【請求項12】
哺乳動物に、エリトロポイエチンの内在的な生成を高めるために効果のある請求項1の化合物またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和物を一定量投与することにより、哺乳動物におけるエリトロポイエチンの内在的な生成を高める方法。
【請求項13】
医薬品として容認できる担体および請求項1の化合物またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和で構成される薬剤組成物。
【請求項14】
請求項1の化合物またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和、および医薬品として容認できる担体を組み合わせることにより作製される薬剤組成物。
【請求項15】
HIFプロリルヒドロキシラーゼにより調節される状態の治療用の薬物の製造における、請求項1の化合物またはその医薬品として容認できる塩または溶媒和物の使用。

【公表番号】特表2010−524935(P2010−524935A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504060(P2010−504060)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/004817
【国際公開番号】WO2008/130527
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】