説明

新規6−フルオロアルキルピリジン化合物及びその製造方法

【課題】6位に少なくとも1個のフッ素原子が置換したハロアルキル基を有し、2位に置換基を有する新規ピリジン化合物の製造法の提供。
【解決手段】式(3)


(式中、R1は、水素原子、C1〜6アルキル基を表し、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、C1〜6アルキル基、C1〜6ハロアルキル基を表す。)で表される化合物とハロゲン化剤またはスルホニル化剤を反応させることにより、式(5)


(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を表す。Y1はハロゲン原子、C1〜6アルキルスルホニルオキシ基等を表わす。)で表される化合物を製造する。更にアルキル化剤を反応させることにより、2−アルキルピリジン誘導体とすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農医薬、特に殺菌剤の製造中間体として有用な、6位に少なくとも1個のフッ素原子が置換したハロアルキル基を有する新規2(1H)−ピリジノン化合物またはその誘導体である2位に置換基を有する新規ピリジン化合物およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る6−ハロアルキル−2(1H)−ピリジノン類およびその製造方法は、例えば2(1H)−ピリジノンの6位をブロモトリフルオロメタンによりトリフルオロメチル化する方法で6−トリフルオロメチル−2(1H)−ピリジノンを製造している例がEP0206951号公報等に、6−トリフルオロメチル−2−ハロピリジン類を加水分解することにより6−トリフルオロメチル−2(1H)−ピリジノンを製造する例がWO98/40355号公報等に、6−ハロアルキル−2−ヒドロキシニコチン酸類を脱炭酸することにより6−ハロアルキル−2(1H)−ピリジノン類を製造する例がGB2305174号公報等に記載されている。
しかし、いずれの場合もピリジン環の4位にアルキル基が置換している化合物を製造した例は記載されていない。
【0003】
また、本発明における6−ハロアルキル−2(1H)−ピリジノン類の中間原料である6−ハロアルキル−2−ピロン類の合成法は例えばHelv.Chim.Acta Vol.53(8),2159−2157(1970)にトリクロロアセチルクロライドとアクリル酸クロライドを塩基存在下に反応させ6−トリクロロ−2−ピロン類を製造する例が報告されている。
しかし、フッ素原子を有するハロアルキルカルボン酸無水物を用いる例および得られた6−ハロアルキル−2−ピロン類を6−ハロアルキル−2(1H)−ピリジノン類へ変換する例は記載されていない。
【0004】
本発明に係る6−ハロアルキル−2−ハロピリジン類およびその製造方法は、例えば2−ピコリン類にハロゲンガスを作用させ2位メチル基および6位をハロゲン化した後、フッ化水素ガスなどのフッ素化剤でハロゲン化されたメチル基をフッ素化することにより製造する方法が、公開特許公報昭和58−206563などに記載されている。
しかし、ピリジン環の4位にアルキル基が置換している化合物を製造した例は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP0206951号公報
【特許文献2】WO98/40355号公報
【特許文献3】GB2305174号公報
【特許文献4】公開特許公報昭和58−206563
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Helv.Chim.Acta Vol.53(8),2159−2157(1970)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、有用な6位に少なくとも1個のフッ素原子が置換したハロアルキル基を有する新規2(1H)−ピリジノン化合物またはその誘導体である2位に置換基を有する新規ピリジン化合物を工業的に有利に製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1に、式(1)


(式中、R1は、水素原子またはC1〜6アルキル基を表す。Xは塩素原子または臭素原子などのハロゲン原子を表す。)で表される化合物と
式(2)


(式中、R2およびR3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、C1〜6アルキル基、またはC1〜6ハロアルキル基を表す。)で表される酸無水物または、
式(2´)


(式中、R2およびR3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、C1〜6アルキル基、またはC1〜6ハロアルキル基を表す。X´はハロゲン原子を表す。)
で表される酸ハライドを塩基存在下に反応させることにより
式(3)


(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を表す。)で表される化合物を得る工程と、
得られた式(3)で表される化合物とアンモニアまたはアンモニウム塩を反応させる工程とを有する、
式(4)


(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を表す。)で表される化合物の製造方法であり、
第2に前記式(4)で表される化合物とオキシ臭化リンなどのハロゲン化剤またはスルホニル化剤を反応させることによる、
式(5)


(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を表す。Y1はハロゲン原子、C1〜6アルキルスルホニルオキシ基、置換されても良いベンゼンスルホニルオキシ基またはC1〜6ハロアルキルスルホニルオキシ基を表す。)で表される化合物の製造方法であり、
第3に、前記式(5)で表わされる化合物とアルキル化剤を反応させることによる、
式(6)


(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を表す。Y2はC1〜6アルキル基を表わす。)
で表される化合物の製造方法であり、
さらに、式(7)


(式中、R1´は、C1〜6アルキル基を表す。R2およびR3は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物および、式(8)


(式中、R1´、R2およびR3は前記と同じ意味を表す。Yは前記Y1またはY2を表す。)
で表される化合物を提供する。
【0009】
以下本発明を詳細に説明する。
前記式(1)〜(8)の定義において、R1は、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびその異性体、ヘキシルおよびその異性体等のC1−6アルキル基が挙げられる。これらの中でも、水素原子、メチル基が好ましい。
【0010】
R2、R3はそれぞれ独立して水素原子、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびその異性体、ヘキシルおよびその異性体等のC1−6アルキル基、クロロメチル、フルオロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、トリクロロエチル、トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等のC1−6ハロアルキル基が挙げられる。この中でも、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0011】
Y1はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、プロパンスルホニルオキシなどのC1−6アルキルスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、トリクロロメタンスルホニルオキシ基、ペンタフルオロエタンスルホニルオキシ等のC1−6ハロアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ、2−メチルベンゼンスルホニルオキシ、3−メチルベンゼンスルホニルオキシ、4−メチルベンゼンスルホニル等の置換されてもよいベンゼンスルホニルオキシ基が挙げられる。この中でも、塩素原子、臭素原子、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、4−メチルベンゼンスルホニルオキシ基が好ましい。
【0012】
Y2はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびその異性体、ヘキシルおよびその異性体等のC1−6アルキル基を表す。この中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
【0013】
R1´はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびその異性体、ヘキシルおよびその異性体等のC1−6アルキル基が挙げられる。この中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
【0014】
Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子が挙げられる。この中でも、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0015】
X´は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子が挙げられる。この中でも、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0016】
次に本発明の製造方法について説明する。
(1)製造方法1−1


(式中、R1、R2、R3、XおよびX´は前記と同じ意味を表す。)
本発明のなかで式(1)で表される酸ハロゲン化物と式(2)で表される酸無水物または式(2’)で表される酸ハロゲン化物とを有機溶媒中、塩基存在下に反応させて式(3)で表されるピロン類へ誘導する製造法において、反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、酢酸エチルなどのカルボン酸エステル系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、または、場合によってはこれらの混合溶媒が使用できる。これらの中でも、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン炭化水素類の使用が好ましい。
塩基としてはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデ−7−エン(DBU)などの有機塩基の使用が可能である。塩基の使用量は式(1)で表される酸ハロゲン化物に対し、2−3当量の範囲から適宜選択して使用することができる。
反応温度は通常室温から使用する溶媒の沸点まで可能である。
【0017】
(2)製造方法1−2


(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を表す。)
式(3)で表されるピロン類とアンモニアまたはアンモニウム塩を水あるいは有機溶媒中で反応させて式(4)で表される2(1H)−ピリジノン類を得る製造法において、反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール等のアルコール類、酢酸等のカルボン酸類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶媒等または、場合によってはこれらの混合溶媒が使用できる。この中で水、アルコール類、カルボン酸類の使用が好ましい。
使用できるアンモニウム塩としては炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の有機酸塩、塩化アンモニウム等の無機塩が挙げられる。この中で炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の有機酸塩の使用が望ましい。アンモニアまたはアンモニウム塩の使用量は、式(3)で表されるピロン類に対し、1−10当量の範囲から適宜選択して使用することができる。
反応温度は通常室温から使用する溶媒の沸点まで可能である。アンモニアガスを用いる場合はオートクレーブ中、1−100気圧下で反応させることがより好ましい。
【0018】
(3)製造方法2−1


(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を表す。Xは前記Y1のうちハロゲン原子を表す。)
式(4)で表される2(1H)−ピリジノン類に無溶媒または有機溶媒中、場合によっては塩基性触媒存在下でハロゲン化剤を反応させて式(5−1)で表される化合物を得る製造方法において、反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン炭化水素系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒または、場合によってはこれらの混合溶媒が使用できる。
反応に用いることのできるハロゲン化剤としては、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、五臭化リン等のハロゲン化リン化合物、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン等のオキシハロゲン化リン化合物、トリフェニルジクロロホスフィン、トリフェニルジブロモホスフィン、ジフェニルペンタクロロホスフィン等の芳香族ハロゲン化リン化合物等が挙げられる。
ハロゲン化剤の使用量としては、式(4)で表される2(1H)−ピリジノン類に対して、1−10当量の範囲から適宜選択して使用することができる。
また、この反応においては、DMAP、ジメチルアニリン等の塩基性触媒を用いることにより、反応を迅速に効率良く進行させることができる。触媒の使用量は、反応が効率良く進行する程度の範囲で適宜選択できるが、通常、式(4)で表される2(1H)−ピリジノン類に対して、0.001〜1当量の範囲である。反応は室温〜200℃で円滑に進行する。
【0019】
(4)製造方法2−2


(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を表す。Zは前記Y1のうちC1〜6アルキルスルホニルオキシ基、置換されても良いベンゼンスルホニルオキシ基またはC1〜6ハロアルキルスルホニル基を表す。)
式(4)で表される2(1H)−ピリジノン類に、無溶媒または有機溶媒中、好ましくは塩基存在下、スルフォニル化剤を反応させることにより、式(5−2)で表される化合物を得る。反応溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン炭化水素系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル等のカルボン酸エステル系溶媒、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒または、場合によってはこれらの混合溶媒が使用できる。
使用できるスルホニル化剤としては、メタンスルホニルクロライド、4−メチルベンゼンスルホニルクロライド等のスルホン酸ハライド類、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等のスルホン酸無水物等が挙げられる。
スルホニル化剤の使用量としては、式(4)で表される2(1H)−ピリジノン類に対して、1−10当量の範囲から適宜選択して使用することができる。
反応時、系中に発生するハロゲン化水素を捕獲する塩基を必ずしも存在させる必要はないが、必要に応じてハロゲン化水素を除去するためトリエチルアミンのような有機塩基や重炭酸ソーダのような無機塩基を使用しても良い。
反応は−20℃〜200℃で円滑に進行する。
【0020】
(5)製造方法3


(式中、R1、R2、R3、Y1およびY2は前記と同じ意味を表す。)
式(5)で表されるピリジン類に、有機溶媒中、触媒存在下、アルキル化剤を反応させることにより一般式(5−3)で表される化合物を得る製造方法において、反応溶媒としては、ジエチルエーテル、THF等のエーテル系溶媒を用いることができる。
使用できるアルキル化剤としては、メチルリチウム等のアルキルリチウム類、メチルマグネシウムブロマイド等のグリニヤール試薬、メチルジンククロライド等のアルキル亜鉛化合物等が挙げられる。アルキル化剤の使用量としては、式(5)で表されるピリジン類に対して、1−10当量の範囲から適宜選択して使用することができる。反応は−20℃〜反応溶媒の還流温度で進行するが、20℃〜反応溶媒の還流温度で行うのが好ましい。
使用できる触媒としてはNiCl2(dppp)等の適当な配位子を有するニッケル化合物、PdCl2(PPh3)2等の適当な配位子を有するパラジウム化合物等が挙げられる。触媒の使用量は、反応が効率良く進行する程度の範囲で適宜選択できるが、通常、式(5)で表されるピリジン類に対して、0.001〜1当量の範囲である。
反応終了後は、通常の後処理を行うことにより、目的とする化合物を得ることができる。
【0021】
以下にこれら合成法により製造できる化合物を示す。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
このようにして得られる化合物のうち式(8)で表される化合物は、WO01/34568、WO02/64566、WO02/66434等に記載されている方法で殺菌剤として有用なオキシムエーテル化合物へと誘導することができる。

【発明の効果】
【0027】
以上説明した様に、本発明方法によれば、殺菌剤の製造中間体として有用な6−フルオロアルキル−2(1H)−ピリジノン及び6−フルオロアルキルピリジン化合物を有利に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に製造例で本発明を詳しく説明するが、本発明は下記の製造例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
実施例1
4−メチル−6−トリフルオロメチル−2(1H)−ピリジノン(化合物番号1−12)の製造
i)4−メチル−6−トリフルオロメチル−2−ピロンの製造


10g(84.38ミリモル)の3,3−ジメチルアクリルクロリドと21.26g(101.26ミリモル)の無水トリフルオロ酢酸を170mlの脱エタノール処理したクロロホルムに溶解し、この溶液に10℃以下で18.74g(185.63ミリモル)のトリエチルアミンを添加した。10℃以下で1時間攪拌後、さらに室温で20時間撹拌した後、反応液を水で処理し、有機層を2回水洗、飽和炭酸ナトリウム水溶液で中和、1回水洗、さらに飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮し、4−メチル−6−トリフルオロメチル−2−ピロンの粗生成物を得た。
【0030】
ii)4−メチル−6−トリフルオロメチル−2(1H)−ピリジノンの製造


得られた4−メチル−6−トリフルオロメチル−2−ピロンの粗生成物の全量を170mlの酢酸中に溶解し、この溶液に室温で13.00g(168.76ミリモル)の酢酸アンモニウムを加えた。添加後、還流温度まで昇温し、同温度で24時間撹拌した。酢酸を留去し、残査を飽和炭酸ナトリウム水溶液で中和後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=10:1(v/v))にて精製して、目的物8.74gを得た。
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.34(s,3H),6.70(s,1H),6.79(s,1H)
同様の方法で以下の化合物を製造した。
4−メチル−6−クロロジフルオロメチル−2(1H)−ピリジノン(化合物番号1−11)
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.32(s,3H),6.65(s,1H),6.71(s,1H)
4−メチル−6−ペンタフルオロエチル−2(1H)−ピリジノン(化合物番号1−13)
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.34(s,3H),6.69(s,1H),6.75(s,1H)
【0031】
実施例2
4−メチル−6−ヘプタトリフルオロプロピル−2−ピロンの製造


2.54g(21,15ミリモル)の3,3−ジメチルアクリルクロリドと5.0g(21,15ミリモル)のヘプタフルオロブタン酸クロリドを45mlの脱エタノール処理したクロロホルムに溶解し、この溶液に10℃以下で4.56g(45.15ミリモル)のトリエチルアミンを添加した。10℃以下で1時間攪拌後、さらに室温で20時間撹拌した後、反応液を水に注ぎ、有機層を2回水洗した。さらに有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で1回ずつ洗浄した。分液後、有機層を無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮し、4−メチル−6−ヘプタフルオロプロピル−2−ピロンの粗生成物5.9gを得た。
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.26(s,3H),6.28(s,1H),6.52(s,1H)
【0032】
実施例3
2−ブロモ−4−メチル−6−トリフルオロメチルピリジンの製造(化合物番号2−66)


8.74g(49.37ミリモル)の4−メチル−6−トリフルオロメチル−2(1H)−ピリジノンと15.6g(54.31ミリモル)のオキシ臭化燐を混ぜ、混合物を110℃まで昇温し、同温度で2時間撹拌した。熱時に反応混合物を水中に注ぎ、水酸化ナトリウム水溶液で中和後、エーテルで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=10:1(v/v))にて精製して、目的物9.6gを得た。
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.44(s,3H),7.45(s,1H),7.51(s,1H)
同様の方法で以下の化合物を製造した。
2−ブロモ−4−メチル−6−クロロジフルオロメチルピリジン(化合物番号2−65)
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.43(s,3H),7.43(s,1H),7.47(s,1H)
2−ブロモ−4−メチル−6−ペンタフルオロエチルピリジン(化合物番号2−67)
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.44(s,3H),7.47(s,1H),7.52(s,1H)
【0033】
実施例4
2−クロロ−4−メチル−6−トリフルオロメチルピリジンの製造(化合物番号2−58)




1.5g(8.47ミリモル)の4−メチル−6−トリフルオロメチル−2(1H)−ピリジノンと2.06g(10.59ミリモル)のフェニルホスホン酸ジクロリドを混ぜ、混合物を160℃まで昇温し、同温度で3時間撹拌した。熱時に反応混合物を水中に注ぎ、飽和炭酸ナトリウム水溶液で中和後、エーテルで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=10:1(v/v))にて精製して、目的物0.75gを得た。
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.45(s,3H),7.35(s,1H),7.43(s,1H)
【0034】
実施例5
4−メチル−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシ−6−トリフルオロメチルピリジン(化合物番号2−82)の製造


4−メチル−6−トリフルオロメチル−2−ピリジノン5.31g(30mmol)を50mLのジクロロメタンに溶解し、1〜4℃に冷却下にピリジン5.21g(66mmol)を加えた後、−6℃〜0℃に冷却下、トリフルオロメタンスルフォン酸無水物10.16g(36mmol)を滴下した。反応液を室温まで徐々に昇温し、室温でさらに4時間撹拌した。
反応液を冷水に注ぎ、分液を行い、得られた有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することにより目的物12.0gが得られた。
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.55(s,3H),7.20(s,1H),7.60(s,1H)
同様の方法で以下の化合物を製造した。
4−メチル−2−(4−メチルベンゼンスルフォニルオキシ)−6−トリフルオロメチルピリジン(化合物番号2−90)
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.42(s,3H),2.46(s,3H),7.12(s,1H),7.33(s,1H),7.35(d,2H),7.92(d,2H)
4−メチル−2−メタンスルフォニルオキシ−6−トリフルオロメチルピリジン(化合物番号2−74)
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.50(s,3H),3.55(s,3H),7.15(s,1H),7.50(s,1H)
【0035】
実施例6
2,4−ジメチル−6−トリフルオロメチルピリジン(化合物番号2−97)の製造


4−メチル−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシ−6−トリフルオロメチルピリジン0.63g(1.88mmol)、NiCl2(dppp)0.03g(0.055mmol)を脱水したTHF5mLに溶解し、窒素雰囲気下、室温にてメチルマグネシウムブロマイド(1.4MTHF溶液)2.7mL(3.78mmol)を滴下した。室温で1時間撹拌した後、加熱還流下、7時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:ベンゼン=1:1(v/v))にて精製して、目的物0.08gを得た。
H−NMR(CDCl,TMS,δppm)データ:2.40(s,3H),2.59(s,3H),7.16(s,1H),7.31(s,1H)
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上説明した様に、本発明方法によれば、殺菌剤の製造中間体として有用な6−フルオロアルキル−2(1H)−ピリジノン及び6−フルオロアルキルピリジン化合物を工業的に有利に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(4)


(式中、R1は、水素原子またはC1〜6アルキル基を表す。R2およびR3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、C1〜6アルキル基、またはC1〜6ハロアルキル基を表す。)
で表される化合物とハロゲン化剤またはスルホニル化剤を反応させることによる式(5)


(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を表す。Y1はハロゲン原子、C1〜6アルキルスルホニルオキシ基、置換されても良いベンゼンスルホニルオキシ基またはC1〜6ハロアルキルスルホニルオキシ基を表す。)
で表される化合物の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の式(5)で表わされる化合物とアルキル化剤を反応させることによる式(6)


(式中、R1、R2およびR3は請求項1と同じ意味を表す。Y2はC1〜6アルキル基を表わす。)
で表される化合物の製造方法。
【請求項3】
式(8)


(式中、R1´はC1〜6アルキル基を表す。R2およびR3は請求項1と同じ意味を表す。Yは、前記Y1またはY2を表す。)
で表される化合物。

【公開番号】特開2010−235619(P2010−235619A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129703(P2010−129703)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【分割の表示】特願2005−502987(P2005−502987)の分割
【原出願日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】