説明

新規H5タンパク質、それらをコードする核酸分子およびベクター、ならびにそれらの医薬的使用

本発明は、新規の赤血球凝集素H5タンパク質、それらをコードする核酸およびベクター、ならびに該H5タンパク質、該H5タンパク質をコードする核酸またはベクターのいずれかを含むワクチンに関し、さらに本発明は、ヒトおよび動物におけるそのようないずれかの組成物の医薬的使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、医薬分野、好ましくは、感染症分野に関する。特に、本発明は、インフルエンザタンパク質、それらのタンパク質をコードする核酸分子およびベクターならびにワクチンに関する。特に、本発明は、インフルエンザ感染の治療用と予防用、さらにインフルエンザウイルスの種内または種間での伝染の予防用に、そのタンパク質、核酸分子、ベクターならびにワクチンのいずれかを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
インフルエンザ感染は、動物およびヒトにおいて重大な感染である。インフルエンザは、連続して抗原性の変更/改変を受け、動物保有宿主性を有するウイルスによって引き起こされる。したがって、新しい異常発生および世界的流行が将来起こる可能性があり、疾病の根絶を達成することは困難であろう。本分野においてインフルエンザウイルスは公知であり、たとえばP.Palese,Nature Medicine,vol.10,no.12,pp.S82〜S86,December 2004に、さらなる参考文献とともにより詳細に開示されている。つまり、インフルエンザAウイルスのゲノムは8つの一本鎖断片からなり、ウイルス粒子はその表面に2つの主な糖タンパク質を有する:赤血球凝集素(H)およびノイラミニダーゼ(N)である。少なくとも16の異なる赤血球凝集素(H1からH16)および9の異なるノイラミニダーゼ(N1からN9)亜型があり、インフルエンザウイルス間でかなりの抗原変異が存在している。
【0003】
H5N1型のインフルエンザウイルスのトリペスト(Fowl Plague)ウイルスは、家禽、ブタおよびヒトに感染することが示されている。そのウイルスは、鳥類種からヒトに直接感染することもできる(Claasら,Lancet 1998,351:472;Suarezら,J.Virol.1998,72:6678;Subbaraoら,Science 1998,279:393;Shortridge,Vaccine 1999,17(Suppl.1):S26-S29)。ヒト臨床症例で知られている死亡率は約50%に達する。
前世紀では、ブタはインフルエンザの世界的流行の重大なベクターであった。ブタ、ラクダ、およびアザラシ、好ましくはブタが、トリインフルエンザウイルスの「混合チャンバ」であり、それゆえに家禽からインフルエンザウイルスの天然保有宿主である哺乳類へ種のハードルを越えて潜在的な危険因子に相当する。これは、通常感染しやすい動物、たとえばブタで、確立された哺乳類(ブタ)インフルエンザウイルスおよびトリインフルエンザウイルスの両方の二重感染によって生じる。この二重感染はヒトまたはブタの世界的流行の要因となり得る新しい組換えウイルスを生み出す可能性がある。近年の兆候においては、しかしながら、哺乳類インフルエンザウイルスと現在のトリH5型の組換え体は、あまり感染力が高い組換え体を生み出さないであろうことが示されている。一方、トリインフルエンザウイルスは、ブタに感染することができ、自然発生変異体はブタに適応することができる。ウイルスは、ブタ(または他の哺乳類)個体群において水平伝播を引き起こすことができるとすぐに、重大なハードルを乗り越えることができると考えられる。
【0004】
しかしながら、東南アジアのブタの大部分は、隣接する家禽畜産から由来したトリ(H5)インフルエンザウイルス型に感染している。そのような感染はこれまでのところ亜臨床的であり、それらは研究室の方法によってのみ診断することができ、したがってしばしば見落とされている。それらの亜臨床的なブタはウイルスが哺乳類系に適合する機会となり、ブタ個体群で広がり、そして、ヒトの感染もはじまる。
近年のインフルエンザワクチンには、サブユニットワクチン(Babaiら,Vaccine 1999,17(9-10):1223-1238;Crawfordら,Vaccine 1999,17(18):2265-2274;Johanssonら,Vaccine 1999,17(15-16):2073-2080)、弱毒化されたワクチン(Horimotoら,Vaccine 2004,22(17-18):2244-2247)、DNAワクチン(Watabeら,Vaccine 2001,19(31):4434-4444)および不活性化インフルエンザワクチン(Caoら,Vaccine 1992,10(4):238-242)が挙げられ、後者は、工業規模でもっとも広く使用されている(Lipatovら,J Virol 2004,78(17):8951-8959)。
現在、商業用ワクチンとして用いられているものはないが、サブユニットワクチン、組換え赤血球凝集素およびノイラミニダーゼ(Babaiら,Vaccine 1999,17(9-10):1223-1238;Crawfordら,Vaccine 1999,17(18):2265-2274;Johanssonら,Vaccine 1999,17(15-16):2073-2080)は、不活性化ワクチンの好適な代替品になる可能性がある。このようなワクチンの調製は、不活性化ワクチンよりも明らかに安全である。さらにサブユニットワクチンは体内のインフルエンザウイルス内部タンパク質への抗体応答を生み出さず、従って、ワクチン化された動物と感染した動物との間で区別をすることができる(Crawfordら,Vaccine 1999,17(18):2265-2274)。
【0005】
赤血球凝集素タンパク質は、インフルエンザウイルスの受容体結合性の膜融合糖タンパク質であり、感染中和抗体の標的である。H5N1の完全な赤血球凝集素タンパク質(HA)は、568アミノ酸から構成され、56kDaの分子量である。HA分子は、HA1およびHA2サブユニットからなり、HA1サブユニットは細胞膜との最初の接触を仲介し、HA2は細胞融合を引き起こすことができる。
バキュロウイルス/昆虫細胞系は、トリインフルエンザ亜型から単離された赤血球凝集素遺伝子を発現するのに用いられる(Babaiら,Vaccine 1999,17(9-10):1223-1238;Crawfordら,Vaccine 1999,17(18):2265-2274;Johanssonら,Vaccine 1999,17(15-16):2073-2080);Nweら,BMC Mircobiology 2006,6(16):doi:10.1186/1471-2180-6-16)。しかしながら、それらの組換えタンパク質はいくつかの場合も保護的でない、または、少なくともいくつかの種においては有効性がわずかに低くとどまるようである(Treanorら,Vaccine 2001,19:1732-1737)。
【発明の概要】
【0006】
したがって、改良ワクチンの入手可能性の向上と、インフルエンザ感染を制御し疾病負荷に対するポジティブな影響を有するためのより良い研究方法を提供する新しいワクチン接種の方法とが必要である。
【0007】
本発明の説明
本発明の形態の前に、本明細書中で使用される際に、そして添付された請求の範囲において、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がはっきりと他に決定している場合を除いて複数形の言及を含むものとする。したがって、たとえば、「調製」の言及においては、複数のそのような調製を含む;「担体」の言及においては、1以上の担体および本分野においての当業者に公知であるものと同等のものを含む、などである。そのほかに定義しない場合において、本明細書中で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の通常用いられる能力を有するものによって共通に理解されるような同様の意味を有する。すべての記載された範囲と数値は、他に示した場合、または本分野の当業者によってそれ以外を意味することが場合を除いて、1〜5%で変動する可能性があり、それゆえに用語「約」は明細書において省略される。方法および材料は、本明細書中で説明されるものと同じまたは等価のものを、本発明のプラクティスまたは実験において用いることができるが、好ましい方法、機器および材料はこれから説明する。本明細書中で言及されるすべての刊行物は、本発明に関して用いられうる参考文献を公表することで物質、賦形剤、担体および方法論を説明し、開示する目的のために引用により本明細書中に取り込まれるものとする。本明細書中のいかなるものも本発明が先行発明によってそのような開示に先行する権利がないことを承認するものと解してはならない。
上述の技術的問題の解決は、本請求の範囲に特徴付けられる説明と形態によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
インフルエンザタンパク質およびそれをコードする核酸分子
本発明は、インフルエンザウイルスのH5タンパク質であって、アミノ酸223Nおよび改変328K+を有し、H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、328K+は、H5タンパク質のアミノ酸位置328で第2リジン(K+)を挿入したことを意味するH5タンパク質に関する。好ましくは、そのようなH5タンパク質および本発明におけるさらなるH5タンパク質は、単離されたH5タンパク質である。驚くことに、上述の改変を有するH5タンパク質は、位置223および328/329で対応するアミノ酸を有さないH5タンパク質と比較して高い抗原性を有する。
本明細書中で用いられる用語「赤血球凝集素5(H5)」または「トリインフルエンザのH5」または「H5タンパク質」は、いずれかの自然発生するH5タンパク質およびいずれかのH5タンパク質の改変形態に制限されず、アミノ酸223Nおよび改変328K+を有するH5タンパク質の中でH5タンパク質の欠失、置換および/または挿入変異体を含むことを意味する。
【0009】
本明細書中で用いられるH5タンパク質のアミン酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従う。配列番号1は、アミノ末端シグナルペプチドを欠いたduck/China/E319−2/03株の赤血球凝集素のアミノ酸配列を示す。言い換えると、位置223(アミノ酸223)のアミノ酸に言及する場合、そのアミノ酸残基は、配列番号1のアミノ酸223に対応するものを意味する。しかしながら、これは、本発明におけるH5タンパク質が配列番号1で同定されるアミノ酸配列を有することを意味するものではない。単に、本発明におけるH5タンパク質の対応するアミノ酸は、明確に言及されるアミノ酸残基をコードしていることを述べているに過ぎない。今回の場合においては、アミノ酸223はセリン(S)ということになる。たとえば用語「223N」または「155N」は、それぞれ位置223および155のアミノ酸が−配列番号1のアミノ酸位置における番号付けによる、−アミノ酸アスパラギン(N)をコードすべきことを意味する。言い換えると、「アミノ酸223Nを有するH5タンパク質」に言及した場合、アミノ酸位置223で通常セリンをコードするH5アミノ酸分子−配列番号1のアミノ酸位置における番号付け−アミノ酸はアスパラギン(N)で置換されたこととなる。用語「328K+」または「改変328K+」は、H5タンパク質のアミノ酸位置328に−配列番号1のアミノ酸位置における番号付けている−第2のリジン(K+)が挿入される。位置328および329でアミノ酸配列は天然でリジンリジンがコードされている場合には、それ以上リジン(K)は挿入されない。しかしながら、公知のH5配列のほとんどがアミノ酸位置328および329でリジンアルギニンをコードしている。そのような場合、用語328K+改変は、位置328のリジンと位置329のアルギニンとの間に第2リジン(K)が挿入されることとなることを意味する。その際、改変された配列はリジンリジンアルギニン(KKR)と読まれる。
【0010】
したがって、本発明は、H5タンパク質およびH5タンパク質の欠失、置換および/または挿入変異体を含むH5タンパク質のいずれかの改変形態に関し、それらのH5タンパク質はアミノ酸223Nおよび改変328K+を有し、H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、そして、改変328K+はH5タンパク質のアミノ酸位置328で第2リジン(K+)が挿入されていることを意味する。このようにして提供されるH5タンパク質のいずれかは、インフルエンザウイルスの標準赤血球凝集素抑制アッセイにおいて抗原特性を示すことを意味する抗原性であることは一目瞭然である。
さらなる形態において、本発明は、少なくともアミノ酸223Nおよび改変328K+を有し、標準赤血球凝集素抑制アッセイで抗原特性を示すいずれかのペプチド断片を意味するH5タンパク質の少なくとも一部に関するものでもあり、H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、そして、改変328K+はH5タンパク質のアミノ酸位置328で第2リジン(K+)が挿入されていることを意味する。
【0011】
H5タンパク質は、たとえば実施例2で説明するように、標準赤血球凝集素抑制アッセイにおいて赤血球凝集素反応を抑制した場合に、抗原特性を示す。通常言われているようにH5タンパク質の抗原性部分は、実施例2で説明する標準赤血球凝集素抑制アッセイにおいて抗原特性を示し、上述したH5タンパク質をコードするアミノ酸配列の200、180、160、150、140、130、120、110またはもっとも好ましくは105連続アミノ酸を含む。標準赤血球凝集素抑制アッセイは、たとえば、Stephensonら,Virus Research vol.103、pp.91-95 (2004)にさらなる参考文献とともに開示されている。しかしながら、実施例2で説明するHIアッセイは、本明細書中で説明する本発明の全ての局面に結びつく関連参照アッセイとして理解されることとなる。
つまり、HIアッセイを行なってHA特異的抗体の存在を検出した。非相同H5N2ウイルス、A/chicken/Mexico/232/94を、HIアッセイで4つの赤血球凝集ユニット(4HAユニット)の濃度で用いた。U型底のマイクロタイタープレートで、PBSで2倍に段階希釈した血清を、次に同量ウイルスの4HAユニットを含む同量(25μL)と混合し、室温(約25℃)で30分間インキュベートした。PBSで0.5%の濃度にしたニワトリの赤血球細胞を、血清−ウイルス含有ウェルに添加し、室温で40分間インキュベートした。HIタイターは赤血球凝集反応の抑制が見られたもっとも高い血清希釈の逆数として定量した。
【0012】
注目すべきことに、HaesebrouckおよびPensaert(1986)は、「攻撃ウイルスに対するHIタイターと攻撃からの防御との間に相関がある可能性がある」ことを示した。HaesebrouckおよびPensaert(1986)は、≧40のHIタイターを有するブタが、「完全に攻撃に対して耐性であり、そして攻撃で呼吸管におけるウイルスの複製が生じない」ことも決定した。したがって、ワクチン接種されたブタにおいてHIタイター≧40の発生は、防御と相関があるだろう(F.HaesebrouckおよびM.B.Pensaert,1986)。太ったブタの気管内攻撃の影響は、不活性化インフルエンザH1N1ワクチンで前もって免疫化された(Veterinary Microbiology,11(1986)239-249)。同等のまたは少なくともほぼ同等のH5HIタイターは、トリインフルエンザウイルスに対するブタの完全な免疫防御ももたらすものと見なすべきだろう。低いタイター、少なくともワクチン接種された動物のセロコンバージョンをもたらし、かつ、それらの動物の相対免疫防御をもたらし、世界的流行の危険性も劇的に減少することができる。
さらに本発明におけるH5タンパク質の抗原性部位は、H5タンパク質の欠失変異体に限定されるものではなく、以下を含む:
i.アミノ酸223Nを取り囲みかつ含むアミノ酸配列の少なくとも35、30、25、20、18、15、13、10、9、またはもっとも好ましくは8連続アミノ酸;および
ii.アミノ酸改変328K+を取り囲みかつ含むアミノ酸配列の少なくとも35、30、25、20、18、15、13、10、9、またはもっとも好ましくは8連続アミノ酸、および
iii.実施例2に説明する標準赤血球凝集素抑制アッセイにおける赤血球凝集抑制を示すH5タンパク質の該抗原性部位のいずれか。
【0013】
好ましくは、アミノ酸223Nおよび/または328K+のそれらの取り囲んだアミノ酸が配列番号1または配列番号4によってコードされている。
さらに本発明における好ましいH5タンパク質は:
i.アミノ酸223Nおよび改変328K+を有する上述のそれらのいずれか;
ii.アミノ酸94N/223Nおよび改変328K+を有する上述のそれらのいずれか;
iii.アミノ酸223N、および改変328K+を有するトリ起源のいずれかのH5タンパク質で、トリ起源とは、生成されたH5配列がトリインフルエンザウイルスタイプ5に感染した家禽からもともと単離したウイルス単離分に由来することを意味する;または
iv.アミノ酸94N/223Nおよび改変328K+を有するトリ起源のいずれかのH5タンパク質で、トリ起源とは、生成されたH5配列がトリインフルエンザウイルスタイプ5に感染した家禽からもともと単離したウイルス単離分に由来することを意味する;または
v.アミノ酸155N/223Nおよび改変328K+を有するトリ起源のいずれかのH5タンパク質で、トリ起源とは、生成されたH5配列がトリインフルエンザウイルスタイプ5に感染した家禽からもともと単離したウイルス単離分に由来することを意味する;または
vi.アミノ酸120N/155N/223Nおよび改変328K+を有するトリ起源のいずれかのH5タンパク質で、トリ起源とは、生成されたH5配列がトリインフルエンザウイルスタイプ5に感染した家禽からもともと単離したウイルス単離分に由来することを意味する;または
vii.改変94N/223Nおよび改変328K+を有するいずれかのH5タンパク質;または
viii.改変94N/155N/223Nおよび改変328K+を有するいずれかのH5タンパク質;または
ix. 改変94N/120N/155N/223Nおよび改変328K+を有するいずれかのH5タンパク質;または
x. 改変223N、および改変328K+、および以下からなるの群から選択されるアミノ酸クラスターの1以上を有するいずれかのH5タンパク質:
a. aa 93−95: GNF
b. aa 123−125: SDH
c. aa 128−130: SSG
d. aa 138−140: GSS
e. aa 226−228: MDF
f. aa 270−272: EVE
g. aa 309−311: NKL;または
xi.アミノ酸223N、および改変328K+、および以下からなる群から選択されるアミノ酸クラスターの1以上を有するいずれかのH5タンパク質:
a. aa 93−95: GNF
b. aa 128−130: SSG
c. aa 138−140: GSS;または
xii.配列番号4のアミノ酸配列を有するいずれかのH5タンパク質
【0014】
このようにしてもたらされるさらに好ましいH5タンパク質は、Hoffmannら,PNAS,vol.106,no.36,pp.12915-12920、September 6,2005によって説明されたH5タンパク質を含み、H5タンパク質は1以上の上述した少なくともアミノ酸223Nおよび改変328K+を含み、H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、328K+は、H5タンパク質のアミノ酸位置で第2リジン(K+)を挿入したことを意味する。この引用文献の開示は、引用によりその全体が本明細書に含まれるものとする。
【0015】
このようにしてもたらされるさらに好ましいH5タンパク質は、アミノ酸223Nおよび改変328K+を含むペプチドを含むH5タンパク質を含み、H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、328K+は、H5タンパク質のアミノ酸位置328で第2リジン(K+)を挿入したことを意味し、そして:
i.配列番号1、配列番号2、配列番号3;配列番号4;配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列または;
ii.上述したような標準赤血球凝集素抑制における赤血球凝集抑制を構成するi)のポリペプチドに対する少なくとも85%配列相同性、より好ましくは少なくとも約90%配列相同性、さらにより好ましくは少なくとも約95%配列相同性、さらにより好ましくは少なくとも約97%配列相同性、さらにより好ましくは少なくとも約98%配列相同性、そしてさらにより好ましくは約99%配列相同性を有するいずれかのペプチド;または
iii.少なくともi)またはii)のペプチドのいずれかの35、30、25、20、18、15、13、10、9、またはもっとも好ましくは8連続アミノ酸を含むi)またはii)のポリペプチドのいずれかの抗原性部位;または
iv.アミノ酸36T、36K、83A、83T、83D、86A、86V、120N、120S、155N、155S、156A、156T、189R、189K、212K、212R、212E、223N、223N、または120N/155Nを有するi)、ii)またはiii)のいずれかのペプチド
v.以下からなる群から選択されるアミノ酸クラスターの1またはそれ以上を有するi)、ii)、iii)またはiv)のいずれかのペプチド
a. aa 93−95: GNF
b. aa 123−125: SDH
c. aa 128−130: SSG
d. aa 138−140: GSS
e. aa 226−228: MDF
f. aa 270−272: EVE
g. aa 309−311: NKL;または
vi.以下からなる群から選択されるアミノ酸クラスターの1またはそれ以上を有するi)、ii)、iii)またはiv)のいずれかのペプチド
a. aa 93−95: GNF
b. aa 128−130: SSG
c. aa 138−140: GSS。
【0016】
本明細書で用いられる「配列相同性」は2つの配列の関連を決定付ける方法を言及する。配列相同性を決定するために、2またはそれ以上の配列は最適にアラインメントされ、そして、必要があればギャップが導入される。配列同一性を対比し、保存アミノ酸置換は、配列相同性を決定する場合に対応するものと見なす。言い換えると、参照配列と95%配列相同性を有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドを得るためには、参照配列におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドの85%、好ましくは90%さらに好ましくは95%がマッチングするか、他のアミノ酸またはヌクレオチドとの保存置換を含むかしなければならず、または、全アミノ酸残基またはヌクレオチドの15%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下のいくつかのアミノ酸またはヌクレオチドが、保存置換を含まないで参照配列に挿入されてもよい。好ましくは相同配列が、少なくとも50の連続配列、より好ましくは100の連続配列、さらにより好ましくは250の連続配列、さらにより好ましくは500の連続配列を含む。該アライメントにおいて、配列相同は、ポジション−バイ−ポジションベースで確認され、たとえば、その位置でヌクレオチドまたはアミノ酸残基が同一である場合は、配列は特定位置で「相同」である。その際、その位置同一の全数は、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基の全数で割られて、参照配列における%配列相同性が与えられる。配列相同性は、公知の方法で直ちに計算することができ、限定はされないが、Computational Molecular Biology, Lesk, A. N., ed., Oxford University Press, New York (1988), Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York (1993); Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey (1994); Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinge, G., Academic Press (1987); Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York (1991); and Carillo, H., and Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988)に開示されている(先行文献によって本明細書中に組み入れられた教示を含む)。配列相同性を決定する好ましい方法は、配列テストの間での大きなマッチングを与えられるように設計される。配列相同性を決定する方法は、与えられた配列の間で配列同一を決定する公に入手できるコンピュータープログラムで体系化される。該プログラムの例示は、限定されないがGCGプログラムパッケージ(Devereux, J., ら, Nucleic Acids Research, 12(1):387 (1984))、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Altschul, S. F. ら, J. Molec. Biol., 215:403-410 (1990))を含む。BLASTXプログラムはNCBIおよびその他のソース(BLAST Manual, Altschul, S. ら, NCVI NLM NIH Bethesda, MD 20894, Altschul, S. F. ら, J. Molec. Biol., 215:403-410(1990)から公に入手できる。これらのプログラムは、参照配列の間で配列相同性の最も高いレベルを作成するため、デフォルトのギャップウェイトを用いて配列をアラインメントする。
【0017】
さらに好ましいH5タンパク質は、上述のような328K+改変、および表1に示されるアミノ酸配列、またはそれらの免疫原性部位のいずれかを含むH5タンパク質を含む:
表1 H5抗原



# 表1において示されたアミノ酸位置は配列番号1で定義された例示的な位置を言及する。言い換えると、表1のアミノ酸223は、配列番号1の配列のアミノ酸223を言及している。
- この位置でアミノ酸が参照配列と比較して可変であることを意味する。
【0018】
さらに、本発明は、少なくともアミノ酸223Nおよび改変328K+を有するH5タンパク質に関するものでもあり、H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、328K+は、H5タンパク質のアミノ酸位置で第2リジン(K+)を挿入したことを意味し、以下を含む:
i.上述の方法で改変したNCBI登録No.AAT65209、CAJ32556、ABC47656、CAF21874、CAF21870、AAC58998、AAC58997、AAC58996、AAC58994、AAC58993、AAC58992、AAC58991、AAC58990、AAC58995、AAS45134、AAN17270、AAN17269、AAN17268、AAN17267、AAN17266、AAN17265、AAN17264、AAN17263、AAN17262、AAN17261、AAN17260、AAN17259、AAN17257、AAN17256、AAN17255、AAN17254、AAA43083、AAA43082、AAB19079、BAE48696、BAE48693、BAE48696、BAE48695、BAE48694、BAE48692、BAE48691、BAE48690、BAE48689、BAE48688、BAE48687、BAE48686、BAE48685、BAE48684、BAE48683、AAC58999、ABC72082、AAV91149、AAP71993、AAP71992、AAP71991、AAP71990、AAP71989、AAP72011、AAP72010、AAP72009、AAP72008、AAP72007、AAP72006、AAP72005、AAP72004、AAP72003、AAP72002、AAP72001、AAP72000、AAP71999、AAP71998、AAP71997、AAP71996、AAP71995、AAP71994、AAF99718、ABF58847、AAG38534、AAC32102、AAC32099、AAL75847、AAC32101、AAC32098、AAC32088、AAC32078、AAR99628、AAC32100、AAM49555、AAL75843、AAL75839、AAD13573、AAD13568、AAF04720、AAF04719、AAC34263、AAR16155、AAD13574、AAD13570、AAD13575、AAD13572、AAD13569、AAD13567、AAD13566、AAK57506、AAG01225、AAG01215、AAG01205、AAG01195またはABD83813の配列を有するペプチドであり、それらの配列は上述した野生型配列の部分ではない改変223Nおよび328K+を含むことを意味する;または
ii.上述したような標準赤血球凝集素抑制における赤血球凝集素抑制を構成するi)のポリペプチドに対する少なくとも85%配列相同性、より好ましくは少なくとも約90%配列相同性、さらにより好ましくは少なくとも約95%配列相同性、さらにより好ましくは少なくとも約97%配列相同性、さらにより好ましくは少なくとも約98%配列相同性、そしてさらにより好ましくは約99%配列相同性を有するペプチド;
iii.アミノ酸36T、36K、83A、83T、83D、86A、86V、120N、120S、155N、155S、156A、156T、189R、189K、212K、212R、212E、263A、263T、または120N/155Nを有するi)またはii)のペプチドのいずれか;または
iv.以下からなる群から選択されるアミノ酸クラスターの1以上を有するi)、ii)またはiii)のそのようなペプチドのいずれか:
a. aa 93−95: GNF
b. aa 123−125: SDH
c. aa 128−130: SSG
d. aa 138−140: GSS
e. aa 226−228: MDF
f. aa 270−272: EVE
g. aa 309−311: NKL;または
v.以下からなる群から選択されるアミノ酸クラスターの1以上を有するi)、ii)またはiii)のそのようなペプチドのいずれか:
a. aa 93−95: GNF
b. aa 128−130: SSG
c. aa 138−140: GSS
【0019】
さらなる形態において本発明は、上記で説明したH5タンパク質のいずれかをコードした核酸分子に関するものでもある。好ましくは、そのような核酸分子はRNA、DNAまたはコピー(c)DNA分子である。つまり本発明は、核酸分子に関するもので、好ましくはH5タンパク質またはH5タンパク質の欠失、置換および/または挿入変異体を含むH5タンパク質のいずれかの改変形態をコードするcDNAに関し、H5タンパク質がアミノ酸223Nおよび改変328K+を有し、H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、そして、改変328K+は、H5タンパク質のアミノ酸位置328で第2リジン(K+)を挿入したことを意味する。
【0020】
さらなる形態において本発明は、核酸分子、好ましくは少なくともアミノ酸223Nおよび改変328K+を有し、上記で説明した標準赤血球凝集素抑制アッセイで抗原特性を示すいずれかのペプチド断片をコードしていることを意味するH5タンパク質のいずれか一部をコードしたcDNA分子に関し、H5タンパク質が、アミノ酸223Nおよび改変328K+を有し、H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、そして、改変328K+はH5タンパク質のアミノ酸位置328で第2リジンを挿入したことを意味する。通常H5タンパク質の抗原性部位をコードしている該核酸分子は、上述したH5タンパク質をコードしているヌクレオチド配列の600、540、480、450、420、390、360、330またはもっとも好ましくは315連続ヌクレオチドを含み、改変または非改変であり、本明細書中で説明されているように標準赤血球凝集素抑制アッセイにおいて抗原特性を示す。
【0021】
H5タンパク質の抗原部位のさらなる形態は上述したとおりである。上記で説明したH5タンパク質の抗原部位をコードする該核酸分子、好ましくはcDNA分子を構築することは、本分野における当業者の共通した知識においてなされる。これは、H5タンパク質の欠失変異体を含む上述の変異のようなH5タンパク質の抗原部位をコードしている核酸分子、好ましくはcDNA分子の構築は特に限定されないが、以下も含む:
i.アミノ酸223Nをコードするコード配列を包囲しかつ含むヌクレオチド配列の少なくとも105、90、75、60、48、45、39、30、27、または最も好ましくは24連続アミノヌクレオチド;および
ii.改変328K+をコードするコード配列を包囲しかつ含むヌクレオチド配列の少なくとも105、90、75、60、48、45、39、30、27、または最も好ましくは24連続アミノヌクレオチド;および
iii.実施例2で説明するような標準赤血球凝集素抑制アッセイにおいて赤血球凝集素抑制を示すH5タンパク質の該抗原部位のいずれか。
好ましくは、配列番号1または配列番号4をコードするアミノ酸223Nおよび/または328K+をコードするヌクレオチドのそれらを包囲するヌクレオチドである。
【0022】
本発明におけるH5タンパク質をコードするさらなる好ましい核酸分子は:
i.アミノ酸223Nおよび改変328K+をコードする上記のそれらのいずれか;
ii.アミノ酸94N/223Nおよび改変328K+をコードする上記のそれらのいずれか;
iii.アミノ酸223N、および改変328K+をコードするトリ起源のいずれかの核酸分子で、トリ起源とは、生成されたH5配列がトリインフルエンザウイルスタイプ5に感染した家禽からもともと単離したウイルス単離分に由来することを意味する;または
iv.アミノ酸94N/223Nおよび改変328K+をコードするトリ起源のいずれかの核酸分子で、トリ起源とは、生成されたH5配列がトリインフルエンザウイルスタイプ5に感染した家禽からもともと単離したウイルス単離分に由来することを意味する;または
v.アミノ酸155N/223Nおよび改変328K+をコードするトリ起源のいずれかの核酸分子で、トリ起源とは、生成されたH5配列がトリインフルエンザウイルスタイプ5に感染した家禽からもともと単離したウイルス単離分に由来することを意味する;または
vi.アミノ酸120N/155N/223Nおよび改変328K+を有するトリ起源のH5タンパク質をコードするいずれかの核酸分子で、トリ起源とは、生成されたH5配列がトリインフルエンザウイルスタイプ5に感染した家禽からもともと単離したウイルス単離分に由来することを意味する;または
vii.改変94N/223Nおよび改変328K+を有するH5タンパク質をコードするいずれかの核酸分子;または
viii.改変94N/155N/223Nおよび改変328K+を有するH5タンパク質をコードするいずれかの核酸分子;または
ix. 改変94N/120N/155N/223Nおよび改変328K+を有するH5タンパク質をコードするいずれかの核酸分子;または
x. 改変223N、および改変328K+、および以下からなる群から選択されるアミノ酸クラスターの1以上を有するH5タンパク質をコードするいずれかの核酸分子:
a. aa 93−95: GNF
b. aa 123−125: SDH
c. aa 128−130: SSG
d. aa 138−140: GSS
e. aa 226−228: MDF
f. aa 270−272: EVE
g. aa 309−311: NKL;または
xi.アミノ酸223N、および改変328K+、および以下からなる群から選択されるアミノ酸クラスターの1以上を有するH5タンパク質をコードするいずれかの核酸分子:
a. aa 93−95: GNF
b. aa 128−130: SSG
c. aa 138−140: GSS
xii.配列番号4のアミノ酸配列を有するH5タンパク質をコードするいずれかの核酸分子。
【0023】
このようにしてもたらされるさらに好ましいH5タンパク質は、Hoffmannら,PNAS,vol.106,no.36,pp.12915-12920、September 6,2005によって説明されたH5タンパク質を含み、H5タンパク質は1以上の上述した少なくともアミノ酸223Nおよび改変328K+の改変を含み、H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、328K+は、H5タンパク質のアミノ酸位置で第2リジン(K+)を挿入したことを意味する。この引用文献の開示は、引用によりその全体が本明細書に取り込まれるものとする。したがって、さらなる形態において、本発明は、Hoffmannら,PNAS,vol.106,no.36,pp.12915-12920、September 6,2005によって説明された該タンパク質のいずれかをコードしたいずれかの核酸分子、好ましくはcDNA分子に関し、H5タンパク質は1以上の上述した少なくともアミノ酸223Nおよび改変328K+の改変を含み、H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、328K+はH5タンパク質のアミノ酸位置328で第2リジン(K+)を挿入したことを意味する。
インフルエンザウイルスのH5タンパク質のコード配列を含む核酸配列における上述の改変のいずれかを導入するための方法は、本分野において公知である。本発明における全インフルエンザウイルスのゲノム配列は、たとえば、US6,951,754に開示された方法とさらなる先行文献とに従って改変できる。
【0024】
さらに、本分野での当業者における従来の分子生物学、微生物学および組換えDNA技術で、ここに開示されたように抗原をコードする核酸配列を改変することができる。そのような技術は、文献に十分に説明されている。たとえば以下を参照する:Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.; DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II (D. N. Glover ed. 1985); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed. 1984); Nucleic Acid Hybridization [B. D. Hames & S. J. Higgins eds.(1985)]; Transcription And Translation [B. D. Hames & S. J. Higgins, eds. (1984)]; Animal Cell Culture [R. I. Freshney, ed. (1986)]; Immobilized Cells And Enzymes [IRL Press, (1986)]; B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984); F. M. Ausubelら (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. 1994)。
さらなる実施形態において、本発明は、上述した核酸分子のいずれかを含むベクターにも関する。言い換えると、本発明は、いずれかの上述したH5タンパク質またはそれの一部を含むベクターに関する。好ましくは、該ベクターは発現ベクターであり、上述したH5タンパク質またはその一部のいずれかを発現することができる。本発明におけるベクターは、バクテリア、酵母または動物細胞にインビボまたはインビトロでトランスフェクションまたはインフェクションすることに適する。
【0025】
ベクターならびに発現用のベクター(または組換え体)を作製および/または使用するための方法は、以下に開示する方法またはそれと同様の方法に開示されている:U.S. 特許No. 4,603,112, 4,769,330, 5,174,993, 5,505,941, 5,338,683, 5,494,807, 4,722,848, 5,942,235, 5,364,773, 5,762,938, 5,770,212, 5,942,235, 382,425, PCT 公開WO 94/16716, WO 96/39491, WO 95/30018, Paoletti, ”Applications of pox virus vectors to vaccination: An update, ”PNAS USA 93: 11349-11353, October 1996, Moss, ”Genetically engineered poxviruses for recombinant gene expression, vaccination, and safety,” PNAS USA 93: 11341-11348, October 1996, Smithら, U.S. 特許No. 4,745,051, (recombinant baculovirus), Richardson, C.D. (Editor), Methods in Molecular Biology 39, ”Baculovirus Expression Protocols” (1995 Humana Press Inc.), Smithら, ”Production of Human Beta Interferon in Insect Cells Infected with a Baculovirus Expression Vector”, Molecular and Cellular Biology, Dec., 1983, Vol. 3, No. 12, p. 2156-2165; Pennockら, ”Strong and Regulated Expression of Escherichia coli B-Galactosidase in Infect Cells with a Baculovirus vector, ”Molecular and Cellular Biology Mar. 1984, Vol. 4, No. 3, p. 399-406; EPA0 370 573, U.S. 出願No. 920,197, filed October 16,1986, EP 特許公開 No. 265785, U.S. 特許No. 4,769,331 (recombinant herpesvirus), Roizman, ”The function of herpes simplex virus genes: A primer for genetic engineering of novel vectors,” PNAS USA 93:11307-11312, October 1996, Andreanskyら, ”The application of genetically engineered herpes simplex viruses to the treatment of experimental brain tumors,” PNAS USA 93: 11313-11318, October 1996, Robertsonら ”Epstein-Barr virus vectors for gene delivery to B lymphocytes”, PNAS USA 93: 11334-11340, October 1996, Frolovら, ”Alphavirus-based expression vectors: Strategies and applications,” PNAS USA 93: 11371-11377, October 1996, Kitsonら, J. Virol. 65,3068-3075,1991; U.S. 特許Nos. 5,591,439, 5,552,143, WO 98/00166, 受理されたU.S. 出願シリアルNo. 08/675,556, および08/675,566 双方出願1996年7月3日, (recombinant adenovirus), Grunhausら, 1992,”Adenovirus as cloning vectors,” Seminars in Virology (Vol. 3) p. 237-52, 1993, Ballayら EMBO Journal, vol. 4, p. 3861-65,Graham, Tibtech 8,85-87, April, 1990, Prevecら, J. Gen Virol. 70,42434, PCT WO 91/11525, Felgnerら (1994), J. Biol. Chem. 269,2550-2561, Science, 259: 1745-49,1993 and McClementsら, ”Immunization with DNA vaccines encoding glycoprotein D or glycoprotein B, alone or in combination, induces protective immunity in animal models of herpes simplex virus-2 disease”, PNAS USA 93: 11414-11420, October 1996, およびU.S. 特許No. 5,591,639, 5,589,466, and 5,580,859, ならびにWO 90/11092, WO93/19183, WO94/21797, WO95/11307, WO95/20660, Tangら, Nature and Furthら Analytical Biochemistry, relating to DNA expression vectors, inter alia. See also WO 98/33510; Juら, Diabetologia, 41: 736-739,1998 (lentiviral expression system); Sanfordら, U.S. 特許No. 4,945,050; Fischbachら (Intracel), WO 90/01543; Robinsonら, seminars in Immunology vol. 9, pp. 271-283 (1997), (DNA vector systems); Szokaら, U.S. 特許No. (method of inserting DNA into living cells); McCormickら, U.S. 特許No. 5,677,178 (use of cytopathic viruses); and U.S. 特許No. 5,928,913 (vectors for gene delivery)、ここに引用した同様のほかの文書。
【0026】
たとえばオーエスキー病ウイルス、ブタアデノウイルス、ボックスウイルス、特にワクシニアウイルス、トリボックスウイルス、カナリアボックスウイルス、ブタボックスウイルスのようなブタヘルペスウイルスから選択されたウイルスベクターは、DNAベクター(DNAプラスミド)と同様に、有意に本発明のプラクティスに従事する。
【0027】
本発明におけるH5タンパク質の製造方法
他の局面において、本発明は、大量の組換えH5タンパク質を製造するおよび/または回収する方法を提供する:i)配列をコードしているH5DNAを含む組換えウイルスベクターで培養中の感受性細胞を感染させ(H5タンパク質は、組換えウイルスベクターによって発現される)、そしてii)その後、細胞培養からH5タンパク質を回収する。大量のH5タンパク質とは、制限されるものではないが、約20μg/mL細胞培養より多く、好ましくは、約25μg/mLより多く、さらに好ましくは、約30μg/mLより多く、さらにより好ましくは、約40μg/mLより多く、さらに好ましくは、約50μg/mLより多く、さらにより好ましくは、約60μg/mLより多く、さらにより好ましくは、約80μg/mLより多く、さらにより好ましくは、約100μg/mLより多く、さらにより好ましくは、約150μg/mLより多く、もっとも好ましくは、約190μg/mLより多いことを意味する。
好ましい形態において、H5タンパク質は、H5タンパク質を発現する全(つまり無傷の)SF+細胞を採取することによって回収される。
好ましい細胞は、H5DNAを含みかつH5タンパク質を発現する適したウイルスベクターで感染させた感受性細胞である。好ましくは細胞が昆虫細胞で、より好ましくはそれらが商標SF+昆虫細胞(プロテインサイエンスコーポレイション、メリデン、CT)として販売されている昆虫細胞を含む。好ましい細胞培養は、約0.3〜2.0×106細胞/mL、より好ましくは約0.35〜1.9×106細胞/mL、より好ましくは約0.4〜1.8×106細胞/mL、より好ましくは約0.45〜1.7×106細胞/mL、そして最も好ましくは約0.5〜1.5×106細胞/mLの間の細胞数で行なわれる。
【0028】
好ましいウイルスベクターは、BaculoGold(BDバイオサイエンシーズファーミンゲン、サンディアゴ、CA)のようなバキュロウイルスを含み、特に生産細胞は昆虫細胞であることが条件である。バキュロウイルス発現系が好ましいが、本分野における当業者によって理解されるほかの発現系、すなわち細胞培養の上清にH5が発現する系であっても本発明の目的を果たす。そのような他の発現系は、シグナル配列を使用して、培地にH5発現をしてもよい。
適した成長培地も、本分野における当業者によって好ましい成長培地はExcell420(JRH バイオサイエンシーズ,Inc.,Lenexa,KS)などのような血清フリー昆虫細胞培地と決定することができる。
H5DNA配列を含む組換えウイルスベクターは、感受性細胞の感染に用いた場合、約0.03〜1.5の間、より好ましくは約0.05〜1.3の間、さらにより好ましくは0.09〜1.1の間、もっとも好ましくは約0.1〜1.0の間の好ましい感染多重度(MOI)を有する。好ましくは、上述のMOIは細胞培養液の1mLに関する。好ましくは、本明細書中で説明される方法は、H5DNAを含み、約0.03〜1.5の間、より好ましくは約0.05〜1.3の間、さらにより好ましくは0.09〜1.1の間、もっとも好ましくは約0.1〜1.0の間のMOI(感染多重度)を有するH5タンパク質を発現する組換えウイルスベクターと、0.35〜1.9×106細胞/mL、より好ましくは約0.4〜1.8×106細胞/mL、さらにより好ましくは約0.45〜1.7×106細胞/mL、そしてもっとも好ましくは約0.5〜1.5×106細胞/mLでの感染を含む。
【0029】
その際、感染細胞は10日以内の期間、より好ましくは、約2日から約10日、より好ましくは約4日から約9日、そしてもっとも好ましくは約5日から約8日の間培養する。好ましい培養条件は、約22〜32℃の間、より好ましくは24〜30℃、さらにより好ましくは約25〜29℃、さらに好ましくは、約26〜28℃、そしてもっとも好ましくは約27℃の温度である。好ましくは、接種後に特有のバキュロウイルスによって誘導される変化についてSF+細胞を観測する。このような観測は、感染後の期間で細胞密度傾向および生存能力の減退をモニタリングすることを含んでもよい。ピークウイルスタイターは、感染から3〜5日後に観測され、細胞におけるピークH5タンパク質発現は、5と8日との間に得られ、および/または細胞の生存能力は、10%未満にまで減退する。
したがって、本発明の1つの局面は、好ましくは上述した量で、H5タンパク質を生産し、および/または、回収する方法を提供し、i)上記で定義したMOIで組換えウイルスベクターと培養した感受性細胞(上記参照)の感染を可能とする、ii)組換えウイルスベクターによってH5タンパク質を発現する、iii)その後感染後5〜8日後得られる細胞および/または10%未満にまで生存能力が減少した細胞からH5タンパク質を回収する。好ましくは、組換えウイルスベクターは、配列をコードしているH5DNAを含む組換えバキュロウイルスであり、細胞はSF+細胞である。さらに、培養において、感染後の期間、雑菌混入の巨視的および微視的な兆候、または細胞形態学に特殊な変化を定期的に調べることが好ましい。雑菌混入している培養は破棄しなければならない。
【0030】
ワクチンのような免疫原性または免疫学性組成物に使用されるH5の回収において、不活性化工程を含むことは、ウイルスベクターを不活性化するために好ましい。
「免疫原性または免疫学性組成物」は、細胞宿主での免疫学的応答および/または化合物または興味深いワクチンに対する抗体媒介免疫応答を引き出す少なくとも1つの抗体を含む物質の組成物を言及する。通常、「免疫学的応答」は、制限されないが、1以上の以下の要素を含む:注目する組成物またはワクチンに含まれる抗原に対する抗体の生産または活性化、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、および/または細胞傷害性T細胞、およびまたはガンマ−デルタT細胞。好ましくは、新しい感染に対する耐性が高まる、および/または、疾病の医学的重症度が緩和するように、宿主は治療的または防御的いずれかの免疫学的応答を示すだろう。そのような防御は、感染宿主、短期回復時間および/または感染宿主におけるより低いウイルスタイターによって通常に示される症状の緩和または欠如のいずれかによって現れるだろう。
したがって、本発明は、i)上記で定義したMOIで組換えウイルスベクターと培養中に多くの感受性細胞(上記参照)の感染を可能とする、ii)組換えウイルスベクターによってH5タンパク質を発現する、iii)その後感染後5〜8日後得られる細胞および/または10%未満にまで生存能力が減少した細胞からH5タンパク質を回収し、そしてiv)組換えウイルスベクターを不活性化することによって、好ましくは上述した量で、H5タンパク質を生産し、および/または、回収する方法を提供する。
【0031】
好ましくは、この不活性化は、ろ過工程の直前または直後のいずれかに行なわれ、ろ過工程後が不活性化のための時期として好ましい。いずれかの従来の不活性化方法は、本発明の目的で用いることができる。したがって不活性化は、化学的および/または物理的治療において施されることができる。好ましい形態において、収穫流体の体積は決定され、そして温度は約32〜42℃、より好ましくは約34〜40℃、もっとも好ましくは約35〜39℃である。好ましい不活性化方法は、約1〜約20mM、好ましくは約2〜約10mM、さらにより好ましくは約2〜約8mM、さらにより好ましくは約3〜約7mM、もっとも好ましくは約5mMの濃度で環化バイナリーエチレンイミン(BEI)の添加を含む。たとえば、不活性化は、2−ブロモエチレンアミンヒドロブロミドの溶液の添加を含み、好ましくは約0.4Mの2−ブロモエチレンアミンヒドロブロミド(0.3N水酸化ナトリウム中の0.2Mバイナリーエチレンイミン(BEI)に環化)溶液を流体に添加して最終濃度約5mMのBEIとすることを含む。好ましくは、次にその流体を72〜96時間連続して攪拌し、不活性化収穫流体は−40℃以下で凍結保存、または、1〜7℃で保存することができる。不活性化完了後は、チオ硫酸ナトリウム溶液で完了し、好ましくは、1.0Mでいかなる残留BEIを中和するために添加される。好ましくは、チオ硫酸ナトリウム溶液を不活性化の前に添加されたBEIと比べて同等量添加する。たとえば、5mMの最終濃度で最終BEIが添加された場合に、1.0Mチオ硫酸ナトリウム溶液は最終最小濃度が5mMとなるよう添加されて残留BEIを中和する。
【0032】
したがって、本発明のひとつのさらなる局面は、組換えH5タンパク質を製造する方法に関し、好ましくはi)上記で定義したMOIで組換えウイルスベクターと培養した感受性細胞(上記参照)の感染を可能とする工程、ii)組換えウイルスベクターによってH5タンパク質を発現する工程、iii)その後感染後5〜8日後得られる細胞および/または10%未満にまで生存能力が減少した細胞からH5タンパク質を回収する工程および、iv)組換えウイルスベクターを不活性化する工程によって、上述の量製造する方法に関する。好ましくは、組換えウイルスベクターはH5DNAコード配列を含むバキュロウイルスであり、細胞はSF+細胞である。好ましい不活性化工程は、上述したとおりである。好ましくは、不活性化は、約35〜39℃で2〜8mMのBEIの存在下で、さらにより好ましくは、5mMのBEIの存在下行なわれる。
【0033】
本発明のひとつのさらなる局面において、上述の方法は、工程)ivの後に中和工程を含む。この工程v)は、溶液のなかに、不活性化剤を中和する薬剤の同量の添加を含む。好ましくは、不活性化剤がBEIである場合、同量のチオ硫酸ナトリウムを添加することが好ましい。したがって、さらなる局面において、不活性化剤がBEIである場合に、工程v)は、約1〜約20mM、好ましくは、約2〜約10mM、さらに好ましくは約2〜約8mM、さらに好ましくは約3〜7mM、もっとも好ましくは約5mMの最終濃度でチオ硫酸ナトリウムを添加することを含む。
【0034】
好ましい形態で、かつ、とりわけワクチンのような免疫原性組成物において組換えH5タンパク質を使用する形態では、採取したH5タンパク質のロットごとに足場依存性の、Sf9細胞のようなバキュロウイルス感受性昆虫細胞における継代によって不活性化をテストする。このテストの好ましい形態において、150cm2の適した細胞培養単層に不活性化H5流体1.0mLを接種し、14日間、25〜29℃で少なくとも2回継代して保持する。保持期間の終わりに、細胞単層は、H5バキュロウイルスに特有である細胞病理学的効果(CPE)について調べる。好ましくは、ポジティブウイルスコントロールも使用する。該コントロールは、非−不活性化参照H5バキュロウイルスを接種したSf9細胞の1培養および非接種で保持したSf9の1フラスコからなるものとできる。培養および継代の後に、BEI処理したウイルス液中にウイルス感染細胞が全くない状態は充分な不活性化テストを構成するであろう。参照ウイルスを接種したコントロール細胞は、H5バキュロウイルスに典型的なCPEを示し、非接種フラスコはH5バキュロウイルスCPEの証拠を何ら示さないはずである。代わりに、保持期間の終わりに上清サンプルを採取し、Sf9細胞をロードしておいたSf9 96ウェルプレートに播種して、5〜6日間、25〜29℃で保持することもできる。次に、プレートは固定され、FITCに結合した抗−H5抗体またはバキュロウイルス特異的タンパク質(たとえばgp64)に対するいずれかのラベル化抗体で、染色する。ウイルス液で処理されたBEIにおいて、CPEを欠き、H5発現またはバキュロウイルス特異的タンパク質(たとえばgp64)は、良好な不活性化テストを構成する。参照ウイルスを接種されたコントロール細胞は、CPEおよびIFA活性を示し、非接種フラスコは、H5バキュロウイルスCPEのいかなる証拠も示さず、IFA活性を含まないはずである。
【0035】
したがって、ここに示されるさらなる局面は、H5タンパク質を発現する組換えウイルスベクターの非活性化の有効性を決定するための不活性化テストに関し、以下の工程を含む:i)不活性化剤、好ましくは上述した不活性化剤と組換えウイルスベクターを含む培養液の少なくとも一部とを接触させる工程、ii)上述の好ましい不活性化剤を中和する中和剤を添加する工程、およびiii)上述したアッセイによって残留感染性を定量する工程。
不活性化の後に、サンプルにおける組換えH5タンパク質の相対量を様々な方法で定量することができる。好ましい量の定量方法は、SDS−PAGEデンシトメトリー法、ELISA、および臨床結果でワクチンの公知の量を関連付ける動物ワクチン研究(血清学など)を含む。SDS−PAGEは定量に利用する場合、組換えH5タンパク質の未知量を含むサンプル材料をゲルに流し、一緒に組換えH5タンパク質の様々な既知量を含むサンプルを流す。次に標準曲線を、既知サンプルをベースにして作成し、未知サンプルにおける組換えH5の量はこの標準曲線と比較して定量することができる。ELISAは一般的に抗原定量の業界標準として理解されており、それらは定量に適している。
【0036】
H5タンパク質またはそれをコードする核酸分子もしくはベクターを含むワクチン
さらなる局面において、本発明は一般的にワクチンまたは医薬組成物に関し、以下を含む:
i.本明細書中で記載した1以上のH5タンパク質;
ii.本明細書中で記載した1以上のいずれかのH5タンパク質をコードする核酸分子;および/または
iii.いずれかの核酸分子を含み、かつ上述したいずれかのH5タンパク質をコードしている上述した1以上のベクター;および
iv.医薬的に許容される担体および/または賦形剤。
上述した用語「医薬組成物」「医薬/ワクチン組成物」は、制限はされないが、感染を減弱または予防するためのワクチン、感染の治療および緩和のための物質の組成物を含む。
核酸ベースのワクチン、好ましくはインフルエンザ赤血球凝集素をコードするcDNAは、たとえばDeckら, Vaccine 1997; 15(1):71-78; Ulmerら, Science 1993; 259:1745-1749; Ulmerら, Vaccine 1994;12(16):1541-1544に開示されている。それらの方法のいずれかは、核酸ベースのワクチン、好ましくは上述したインフルエンザH5タンパク質をコードするcDNAワクチンの製造のために用いられる。
【0037】
さらに、上述したH5タンパク質またはそれらの一部を含むワクチンは、従来の研究方法たとえば、組換え発現技術または生化学精製および分離技術で製造することができる。組換え発現技術は、本分野において公知である昆虫細胞で発現することを含み、そしてたとえば、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.; DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II (D. N. Glover ed. 1985); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed. 1984); Nucleic Acid Hybridization [B. D. Hames & S. J. Higgins eds.(1985)]; Transcription And Translation [B. D. Hames & S. J. Higgins, eds. (1984)]; Animal Cell Culture [R. I. Freshney, ed. (1986)]; Immobilized Cells And Enzymes [IRL Press, (1986)]; B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984); F. M. Ausubelら (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. 1994)に開示されている。さらなるよく確立された組換え発現システムの例示は、バクテリア発現システムたとえば大腸菌(E.Coli)または枯草菌(B.subtilis)、酵母ベースの発現システムたとえば酵母(S.cerevisiaeまたはS.pombe)、または哺乳類細胞発現システムたとえばBHK−、CHO−および/またはNS0−ベースの発現システムである。そのようなシステムは、本分野において公知でかつ、一般的に利用でき、たとえばクロンテックラボラトリーズ,Inc.4030 ファビアン(Fabian)ウェイ(Way)、プロアルト、カルフォルニア94303−4607、USAから市販されている。さらなる発現ストラテジーは、たとえば、Luschowら, Vaccine no. 19 (2001), pp. 4249-4259、またはVeitら, PNAS vol. 103 (2006), pp. 8197-8202に開示されている。さらに、組換えアデノ随伴ウイルスシステムは、よく確立されており、たとえばUS 5,436,146またはWO200203872とさらなる先行文献に開示されている。さらに、ワクシニア(ポックス)ウイルスベースの発現システムは、たとえばUS 6,265,183とさらなる先行文献に開示されており、よく確立もされており、本発明において用いられる組換え抗原、抗原性組成物を製造するために適している。さらに、適した発現システムは、SV40、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスのようなトリポックスウイルスに活用される。
【0038】
上述した関連性医薬/ワクチン組成物は、上述したH5タンパク質を含む不活性化ウイルスは、上述したH5タンパク質を含む生ウイルスの非病原性型、調製および/またはウイルス断片(その中に上述の該調製および/またはH5タンパク質を含む断片)を含むこともできる。
当業者には、抗原と一緒に該組成物/ワクチンに含まれうる追加成分がわかる(たとえばRemington's Pharmaceutical Sciences. (1990). 18th ed. Mack Publ., Easton参照)。専門家は、公知の注入可能で生理学的に許容可能である殺菌溶液を用いることができる。使用準備済の溶液を調製するために、水性等張液、たとえば生理食塩水または血漿タンパク質溶液はすぐに手に入れることができる。医薬組成物/ワクチンは、たとえばキットの部分として、殺菌条件で用いる前に直接公知の注入溶液を再構築できる凍結乾燥物(lyophylisates)または乾燥調製物として存在することもできる。
【0039】
さらに、本発明の医薬/ワクチン組成物は、1以上の獣医学的に許容され得る担体を含むことができる。ここで用いられる「獣医学的に許容され得る」は、制限されないが、いずれかすべての溶媒、分散媒、コーティングアジュバント、安定剤、希釈剤、保存剤、抗菌性および抗真菌性剤、等張剤、吸着遅延剤などを含む。
希釈剤は、水、生理食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどを含むことができる。等張剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを特に含むことができる。安定剤は、アルブミンおよびエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩を特に含むことができる。
【0040】
本明細書中で用いられる保存剤は、たとえばゲンタマイシン、チメロサール(Merthiolate)などの抗微生物的活性化剤を参照することができる。特に、保存剤の添加は特に複数用量組成分の調製に最も好ましい。それらの抗微生物活性剤は、注目する組成物への微生物の混入を防ぐ、または注目する組成物における微生物増殖の抑制のために効果的な濃度で追加される。
本明細書中で用いられる「アジュバント」は、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム、サポニン、たとえばQuil A,QS−21(ケンブリッジバイオテックInc.,ケンブリッジMA)、GPI−0100(ガレニカ(Galenica)ファーマスーティカルズ,Inc.,バーミングハム,AL)、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルションを含むことができる。
【0041】
エマルションは、特に、軽質流動パラフィンオイル(欧州薬局方);スクアランまたはスクアレンのようなイソプレンオイル;アルケン特にイソブテンまたはデセンのオリゴマー化に起因するオイル;直鎖アルキル基、さらに特に植物油、エチルオレアート、プロピレングリコールジ−(カプリラート/カプラート)、グリセリルトリプロピレングリコールジ−(カプリラート/カプラート)またはプロピレングリコールジオレアートを含む酸またはアルコールのエステル;分枝脂肪酸またはアルコールのエステル、特にイソステアリン酸をベースとすることができる。オイルは乳化剤を併用することでエマルションを形成する。乳化剤は好ましくは非イオンの界面活性剤、特にソルビタン、マンノイド(たとえばアンヒドロマンニトールオレアート)、グリコール、ポリグリセロール、プロピレングリコールおよびオレイン酸、イソステアリン酸、イシノール酸またはヒドロキシステアリン酸のエステルで、任意でエトキシ化されてもよく、そして、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンコポリマーブロック、特にプルロニック製品、さらに特にL121である(Hunterら, The Theory and Practical Application of Adjuvants (Ed.Stewart-Tull, D. E. S.)参照)。適した水中油エマルションの例示は、エマルシゲンベースアジュバント、たとえばエマルシゲン(EMULSIGEN(登録商標))、エマルシゲン−D(EMULSIGEN−D(登録商標))、エマルシゲン−P(EMULSIGEN−P(登録商標))、エマルシゲン−75(EMULSIGEN−75(登録商標))(MVPラボラトリーズ,Inc.オマハ,ネブラスカ州,USA)が挙げられる。驚くことに、H5タンパク質、好ましくは上述した組換えH5タンパク質を含む医薬/ワクチン組成物は、水中油エマルション好ましくはエマルシゲンベースアジュバント、より好ましくはエマルシゲン(EMULSIGEN(登録商標))、エマルシゲン−D(EMULSIGEN−D(登録商標))により効果的にアジュバント作用を受ける。
さらに、SPTエマルションは、”Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach” M. PowellおよびM. Newman出版, Plenum Press, 1995の147ページに説明されており、エマルションMF59は、同じ本の183ページに説明されている。
【0042】
アジュバントのさらなる例示は、アクリルまたはメタクリル酸のポリマーおよび無水マレイン酸およびアルケニル誘導体から選ばれる化合物である。有利なアジュバント化合物は、架橋されたアクリルまたはメタクリル酸であり、特に、糖またはポリアルコールのポリアルケニルエーテルと架橋されたアクリルまたはメタクリル酸である。これらの化合物は用語カルボマーとして知られている(Phameuropa Vol. 8, No. 2, June 1996)。本分野の当業者は、U.S. 特許No. 2,909,462を参照することもでき、少なくとも3つのヒドロキシル基、好ましくは8以下のヒドロキシル基を有し、少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族基によって置換されたポリポリヒドロキシ化合物と架橋されたそのようなアクリルポリマーを説明している。好ましい基は、2〜4個の炭素原子を含む基であり、たとえば、ビニル、アリル、および他のエチレン不飽和基を含む。不飽和基は、それ自身がメチルのような他の置換基を含む。名称カルボポル(Carbopol)で販売されている産物;(BF グッドリッチ,オハイオ,USA)は、特に好ましい。それらはアリルスクロースまたはアリルペンタエリスリトールと架橋されている。その中で、言及されているカルボポル974P、934Pおよび971Pがある。もっとも好ましくはカルボポル971Pの使用である。無水マレイン酸およびアルケニル誘導体のコポリマーの中で、コポリマーEMA(モンサント)は無水マレイン酸およびエチレンのコポリマーである。これらのポリマーの水での溶解は、酸溶液を生じ、この溶液は中和されて、好ましくは、生理学的pHに中和されてアジュバント溶液を生じ、その中に免疫原性組成物、免疫学またはワクチン組成物自体が取り込まれるであろう。
【0043】
さらに適したアジュバントは、限定されないが、とりわけRIBIアジュバントシステム(Ribi Inc.)、ブロックコポリマー(CytRx,アトランタ GA)、SAF−M(Chiron,エメリービル CA)、モノホスホリルリピッドA、アブリジン(avridine)脂質−アミンアジュバント、E.coliから得た熱不安定性エンテロトキシン(組換えまたはその他)、コレラ毒素、またはムラミールジペプチドを含む。
好ましくは、アジュバントは、1用量につき約100μg〜約10mgの量添加される。さらに好ましくは、アジュバントは、1用量につき約100μg〜約10mgの量添加される。さらに好ましくは、アジュバントは、1用量につき約500μg〜約5mgの量添加される。さらに好ましくは、1用量につきアジュバントは約750μg〜約2.5mg添加される。もっとも好ましくは、アジュバントは1用量につき約1mg添加される。
【0044】
医薬/ワクチン組成物は、さらに1以上のほかの免疫調節剤たとえばインターロイキン、インターフェロン、または他のサイトカインを含むことができる。医薬/ワクチン組成物は、ゲンタマイシンおよびメチオレイト(Merthiolate)も含んでもよい。本発明の背景において効果的なアジュバントおよび添加剤の量と濃度は当業者によって容易に決定され、本発明は、ワクチンの1用量につき約50μg〜約2000μgのアジュバントを含む組成物、および好ましくは約250μg/ml含む組成物を意図する。その他の好ましい形態において、本発明は、約1μg/ml〜約60μg/mlの抗生物質、より好ましくは約30μg/ml未満の抗生物質を含むワクチン組成物を意図する。
【0045】
さらなる形態において、本発明は、以下を含む医薬/ワクチン組成物に関する:
i.本明細書中で説明されたインフルエンザウイルスのH5タンパク質のいずれか1つの治療学的な有効量で、前記H5タンパク質が、アミノ酸223Nおよび328K+を有し、H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、328K+は、H5タンパク質のアミノ酸位置328で第2リジン(K+)を挿入したことを意味する;および
ii.上述の医薬的に許容されるアジュバント。
【0046】
好ましくは、アジュバントは以下からなる群から選択される:
a)エマルシゲン(EMULSIGEN(登録商標))、水中油エマルション(o/w);
b)エマルシゲン−D(EMULSIGEN−D(登録商標)、水中油(o/w)とジメチルジオクタデシルアンモヌム(dimethyldioctadecylammonum)ブロマイド(DDA);
c)ポリゲン、コポリマー
d)エマルシゲン−P(EMULSIGEN−P(登録商標))、水中油(o/w)と専売免疫刺激剤
e)カルビゲン、コポリマー
f)エマルシゲン−75(EMULSIGEN−75(登録商標))、水中油(o/w)と架橋ポリマーとを含む二重アジュバント
g)ISA 70は、油中水(w/o)
もっとも好ましくは、アジュバントはエマルシゲン、エマルシゲン−D、エマルシゲン−P、エマルシゲン−75、エマルシゲンおよびエマルシゲン−Pからなる群から選択されるエマルシゲンベースのアジュバントのような水中油エマルションである。
【0047】
さらなる局面において、ここで提供される医薬/ワクチン組成物は、1以上の抗原を含む。好ましくはさらなる抗原は、トリまたは哺乳類病原体の抗原である。さらなる形態において、前記さらなる抗原は、赤血球凝集素H3、H7、H9のようなさらなるインフルエンザ抗原、または他の赤血球凝集素である。前記さらなる抗原は、精製形態であってもよく、抗原性調製物の一部として、死滅微生物の形態で、または、改変された、生きた微生物の形態で添加することができる。
本明細書中で用いられる用語「抗原」は、限定されないが、免疫グロブリン(抗体)またはT細胞抗原受容体のような免疫系の抗原認識分子と特異的に相互作用することができ、該抗原が投与される宿主において該抗原に対する免疫応答を誘発、活性化、または刺激することのできるペプチド、ポリペプチド、グリコペプチド、またはポリサッカライドを意味する。用語「抗原」は、核酸分子、好ましくはDNA−またはRNA分子で、それぞれは、前記核酸分子にコードされた抗原に対して免疫応答を誘発、活性または刺激する免疫グロブリン(抗体)またはT細胞抗原受容体のような免疫系の抗原認識分子と特異的に相互作用できるペプチド、ポリペプチドまたは糖ペプチドをコードする核酸分子をもいう。本発明において用いられる医薬組成物の調製のために使用される抗原は、微生物または微生物の抗原性部位および/または調製物である。この関連において、本明細書中で用いられる用語「免疫付与」は、限定されないが、免疫応答を生じさせることおよびその強化を意味する。用語「免疫応答」は、すでに上述した。
【0048】
インフルエンザワクチンの投与ストラタジーは、本分野においてよく知られている。ウイルスワクチンを不活性化および減弱化するための粘膜ワクチン接種ストラタジーは意図されている。粘膜はワクチンの局所供給によって標的とできる一方で、様々なストラタジーが粘膜へ免疫原性タンパク質を供給することに用いられている。
具体的な実施形態において、ワクチンは、コレラ毒素Bまたはコレラ毒素A/Bキメラのようなコレラ毒素と混合されてまたは結合されて投与することができる(chimera (Hajishengallis , J Immunol., 154:4322-32, 1995; Jobling and Holmes, Infect Immun., 60:4915-24, 1992)。コレラ毒素Bサブユニットの使用をベースとする粘膜ワクチンは開示されている(LebensとHolmgren, Dev Biol Stand 82:215-27, 1994)。その他の形態において、熱不安定性エンテロトキシン(LT)との混合は、粘膜ワクチンに調製することができる。
【0049】
その他の粘膜免疫付与ストラテジーは、マイクロカプセルにウイルスをカプセル封入すること(US 5,075,109, US 5,820,883およびUS 5,853,763)、および、免疫強化膜担体(WO 98/0558)を用いることを含む。免疫原の経口投与の免疫原性は、赤血球(rbc)またはrbcゴーストを用いることで(US 5,643,577)、またはブルータング抗原を用いることで強化される(US 5,690,938)。
他の局面において、本発明は、上述した医薬/ワクチン組成物を調製する方法に関し、好ましくは、上述した組換え体、H5発現バキュロウイルスを含むワクチンを製造する方法に関する。概して、この方法は、構築物をウイルスにトランスフェクトする工程を含み、該構築物は、以下を含む:i)本明細書に記載した組み換えH5cDNA、ii)増殖培地中の感染細胞を前記トランスフェクトした細胞に感染させる工程、iii)本明細書に記載した組換えH5タンパク質をウイルスに発現させる工程、iv)培地から発現したタンパク質を回収する工程、v)そして、適したアジュバントおよび/または他の医薬的に許容される担体と発現されたH5タンパク質を混合することで組成物を調製する工程。
【0050】
好ましいアジュバントは、上述したとおりである。したがって、さらなる局面において、たとえばインフルエンザ感染に対する免疫応答を引き起こすワクチンのような抗原組成物を調製する方法は、i)H5タンパク質を調製して回収する工程、ii)適したアジュバントとH5タンパク質を混合する工程を含む。
さらに、本発明のワクチン組成物は、希釈剤、等張剤、安定剤、および/または保存剤も含むことができる。希釈剤は、水、生理食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどを含むことができる。等張剤は、無機または有機塩、たとえば塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトース、特にサッカライド、トレハロース、マンニトール、サッカロースを含むことができる。安定剤は、アルブミンおよびエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩を含むことができる。好ましいアジュバントは、上述したとおりである。
【0051】
H5タンパク質、核酸分子、ベクターおよびワクチンのいずれかの医薬的使用
本明細書中で説明されたH5タンパク質、H5タンパク質をコードしている核酸分子、本明細書中で説明しているH5タンパク質のいずれかをコードする核酸分子を含むベクターおよびH5タンパク質、核酸分子またはベクターのいずれかを含む医薬/ワクチン組成物のいずれかは医薬として使用でき、好ましくはインフルエンザウイルス、もっとも好ましくはインフルエンザAウイルスによって引き起こされた感染の治療および予防のために使用することができる。H5タンパク質はこのようにして得られ、H5タンパク質のいずれかをコードする核酸分子、H5タンパク質のいずれかをコードした核酸分子を含むベクター、および本明細書中で説明されたH5タンパク質、核酸分子またはベクターのいずれかを含む医薬/ワクチン組成物は、獣医薬と同様にヒトの治療および予防用に用いることができる。獣医薬として用いる場合、家禽、好ましくはトリ、ニワトリ、アヒル、七面鳥および同等の哺乳類、好ましくはブタ、ウシ、ウマ、オットセイ(seal)、ラクダ、イヌ、ネコ、ハムスター、マウスなどが好ましい。
【0052】
他の局面において本発明は、このようにして得られたH5タンパク質、いずれかのH5タンパク質をコードする核酸分子、上述したいずれかのH5タンパク質をコードする核酸分子を含むベクターの使用に関し、本明細書でH5タンパク質、核酸分子、またはベクターを含む医薬/ワクチン組成物は、医薬に用いることができ、好ましくは、ヒトおよびまたは獣医薬に用いることができる。
さらに、本明細書中で説明したようにこのようにして得られるH5タンパク質、いずれかのH5タンパク質をコードする核酸分子、いずれかのH5タンパク質をコードするいずれかの核酸分子を含むベクターは、医薬組成物の調製に用いることができる。上述のように、その医薬組成物/ワクチン組成物は、ヒトの治療および/または予防に用いることができ、同様に動物、たとえば家禽、好ましくはトリ、ニワトリ、アヒル、七面鳥および同等の哺乳類、好ましくはブタ、ウシ、ウマ、オットセイ、ラクダ、イヌ、ネコ、ハムスター、マウスなどに用いることができる。
【0053】
本明細書中で説明したようにこのようにして得られるH5タンパク質、いずれかのH5タンパク質をコードする核酸分子、いずれかのH5タンパク質をコードするいずれかの核酸分子を含むベクターは、医薬組成物の調製に用いることができ、上述したように好ましくは、鳥類、ブタまたはヒトインフルエンザウイルスまたはそれらの組合せまたはハイブリッドによって引き起こされるウイルスインフルエンザ感染の治療および予防に適している。
さらなる局面において、本発明は、インフルエンザウイルスの治療または予防のための方法にも関し、該方法は、本明細書で説明したようにその治療が必要な対象に対するH5タンパク質の治療学的な有効量の投与を含む。さらに、本発明は、インフルエンザウイルス感染の治療または予防の方法に関し、該方法は、本明細書中で説明したようにその治療が必要な対象に対してH5タンパク質をコードしたH5核酸分子またはベクターを治療学的に有効量投与することを含む。さらに、本発明は、インフルエンザウイルス感染の治療または予防の方法に関し、該方法は、本明細書で説明したように、その治療が必要な対象にH5タンパク質、核酸分子、またはベクターを含むワクチンを治療学的に有効量投与することを含む。このような必要な対象は、ヒトと同様に、動物、好ましくは家禽さらに好ましくはトリ、ニワトリ、アヒル、七面鳥または哺乳類、好ましくはブタ、ウシ、ウマ、オットセイ、ラクダ、イヌ、ネコ、ハムスター、マウスなどとすることができる。
【0054】
好ましくは、ニワトリをワクチン接種する場合に、本明細書中で説明されたH5タンパク質が第1日齢またはそれ以降たとえば第10日、または第1〜10日、または第10日またはそれ以降にワクチン接種で用いられる。
好ましくは、本明細書中で説明されたいずれかのH5タンパク質、いずれかのH5タンパク質をコードした核酸分子またはベクター、または医薬/ワクチン組成物は、鳥類、ブタまたはヒトインフルエンザウイルスまたはそれらの組合せまたはハイブリッドによって引き起こされる。
【0055】
他の局面において、本発明は以下を含むパーツのキットに関する:i)本明細書中で説明したH5タンパク質、いずれかのH5タンパク質が含まれた医薬/ワクチン組成物、本明細書中で説明された核酸分子またはベクター、およびii)インフルエンザウイルスによって引き起こされた感染の治療および予防のためのH5タンパク質、核酸分子、ベクターまたはワクチンの使用を示すパッケージリーフレット。ニワトリをワクチン接種した場合、本明細書中で説明されたH5タンパク質は、第1日齢かそれ以降にワクチン接種に用いられる。
さらなる形態において、パーツのキットは、少なくとも1以上のトリまたは哺乳類病原体の抗体および医薬、さらなる抗原のヒトまたは獣医学的使用の情報表示を含む。
【実施例】
【0056】
本発明における以下の実施例は、4つの好ましい材料と手順とを設定する。しかしながら、これらの実施例は、説明の手段にのみ提供されるものであり、本発明の全体の範囲を制限するものと見なすべきではないと理解される。
【0057】
<実施例1>HA H5抗原をコードし、発現する組換えバキュロウイルスの構築
H5HA 抗原を含む組換えバキュロウイルスは、以下のようにして作り出した。:H5HA(配列番号2)のコード配列を化学的に合成し、トランスファーベクターpVL1392(BD バイオサイエンスファーミンゲン(Biosciences Pharmingen)、サンディエゴ、CA)にサブクローン化した。H5HA MutK+(配列番号4)は、オリゴヌクレオチドプライマーおよびクイックチェンジ(QuikChange(登録商標))サイトダイレクト変異生成キット(ストラタジーン、ラ ホーヤ、CA)を用いて作り出し、トランスファーベクターpVL1392(BD バイオサイエンスファーミンゲン、サンディエゴ、CA)にサブクローンした。H5HA抗原(配列番号2)およびH5HA MutK+(配列番号4)をコードした遺伝子を含むpVL1392プラスミドを、その際、ダイアモンドバック(DiamondBac(登録商標))(シグマ)バキュロウイルスDNAとSf9昆虫細胞(BDバイオサイエンスファーミンゲン)に共トランスフェクションし、配列番号2にコードされた遺伝子H5HAおよび配列番号4にコードされたH5HA mutK+を含む組換えバキュロウイルスを作り出した。H5HA(配列番号2)およびH5HA MutK+(配列番号4)をコードする遺伝子を含む組換えバキュロウイルスをプラーク精製して、そして、マスターシードウイルス(MSV)は、SF+セルラインで繁殖し、分注し、−70℃で保存した。昆虫細胞は上述したように作り出したH5HA抗原(配列番号2)およびH5HA MutK+(配列番号4)抗原を発現するMSVまたはワーキングシードウイルスに感染させ、間接蛍光抗体アッセイまたはウエスタンブロットでポリクローナル血清およびモノクローナル抗体によって検出した。
【0058】
組換えバキュロウイルス(H5HAおよびH5HA MutK+それぞれ)の適切量を播種してから、SF+細胞(プロテインサイエンス,Inc.,メリデン、CT)を含むスピナーフラスコを、その際27℃±2℃で7日間インキュベートし、その間100rpmで攪拌した。ベンティレーテッドキャップを用いてフラスコに空気が流れるようにした。バキュロウイルスに感染したSF+細胞を含むクルードな全細胞の培養物および細胞培養上清を採取した。
【0059】
<実施例2>HA H5抗原を含む医薬組成物(ワクチン)の調製
バキュロウイルスベースの発現システムによって昆虫細胞で発現したクルードな全細胞の培養物のH5HAタンパク質およびH5HA MutK+を採取した。バキュロウイルスを約32および39℃の間で、72〜96時間、5mM環化バイナリーエチレンイミン(cyclized binary ethylenimine)(BEI)(最終濃度)の存在下で不活性化した。不活性化が完了したのち、5mMの最終濃度で0.3Mのチオ硫酸ナトリウムを添加し、残留BEIを中和した。中和後、様々なアジュバントを添加し、以下のワクチン/医薬化合物を生み出した。
【0060】
ワクチン

【0061】

【0062】

【0063】

【0064】

【0065】

【0066】

【0067】

【0068】

【0069】

【0070】

【0071】

【0072】

【0073】

【0074】
<実施例3>トリインフルエンザに対するブタワクチン
1.はじめに
本検討の目的は、実験ワクチン組換えH5赤血球凝集素(HA)抗原のクルード抽出物がブタにおける赤血球凝集素抑制(HI)タイターを誘導する力を測定することであった。様々なアジュバントはH5HA抗原で評価した。
本検討において評価したHA H5プロトタイプは、従来のH5HAまたはH5HA MutK+のいずれかの抗原を含む。従来のH5HA MutK+は、S120N、D150N、S223Nおよび328mutK+での3つの特異的アミノ酸変更を含むように設計された従来のH5HAからなるのに対して、従来のH5HAは、A/duck/China/E319−2/03に由来した。H5HA MutK+は、アミノ酸94Nも含む。H5HA MutK+における特定のアミノ酸変更は、A/HK/213/03のHAとより密接に類似しているH5HAを生じる。A/HK/213/03のH5HAのアミノ酸組成は、H5HAの抗体認識に役立つものとこれまで考えられている。
【0075】
2.検討設計
表1.検討概説

子ブタは、検討の開始時に3週±5日齢だった。子ブタは、検討の開始時には臨床的に健康だった。血液サンプルは検討0日、21日および35日目に採取した。
全ての検討動物は、相対的な健康状態に関して検討1日から35日まで毎日調査した。それぞれのワクチン接種から7日間、注射部位を毎日調べ、可視反応を記録した。検討35日目の動物の最終段階で、全ての動物は無痛的に安楽死させた。
【0076】
3.ワクチン
実施例2で説明したワクチン501から514をブタワクチン検討に用いた。
4.赤血球凝集素抑制アッセイ
0日目および21日目にブタをH5HA含有プロトタイプでワクチン接種した。ブタ血清を0、21、35日目に赤血球凝集素抑制(HI)アッセイによる評価用に採取した。HIアッセイを行なってHA特異的抗体の有無を検出した。非相同H5N2ウイルス、A/chicken/Mexico/232/94をHIアッセイで4つの赤血球凝集ユニット(4HAユニット)の濃度で用いた。U型底のマイクロタイタープレートで、PBSで2倍に段階希釈した血清を、次に同量ウイルスの4HAユニットを含む同量(25μL)と混合し、室温(約25℃)で30分間インキュベートした。PBSで0.5%の濃度にしたニワトリの赤血球細胞を、血清−ウイルス含有ウェルに添加し、室温で40分間インキュベートした。HIタイターは赤血球凝集反応の抑制が見られた最も高い血清希釈の逆数として決定した。
【0077】
5.結果
HIテストは、0日および21日目にメキシコ政府公式H5N1(A/chicken/Mexico/232/94)[4HAユニット]1×1mLのワクチン接種処方計画を用いた。


BIV H5(インフルエンザAウイルス(A/duck/China/E319−2/03(H5N1)由来)
BIV H5 K+(S120N、D155N、S223Nおよび追加された328K+を含む変異BIV H5)
【0078】
ワクチン組成物のほとんどが、ワクチン接種されたブタにおいて免疫応答を引き起こすことが結果として示された。特に、ワクチン組成物のほとんどは、ワクチン接種されたブタのほとんどがHIアッセイで用いられるトリインフルエンザウイルスに対する特異的な抗体を生じさせたことを意味するセロコンバージョンをもたらした。要するに、結果は明確に疑う余地もなく請求の範囲に記載された創作性のある着想はよく機能することを証明した。トリインフルエンザウイルス(第1の種の病原体)によるブタ(第2の種の動物)の世界的感染の危険性は、トリインフルエンザウイルスの関連抗原でブタにワクチン接種することで劇的に減少させることができる。このことは、明確に示された。さらに、このワクチン接種の概念によって、ヒトを含む哺乳類への伝染および適応を劇的に減少することができる。ブタは、トリインフルエンザウイルスを含む鳥類病原体の最も重大な受容体のひとつである。ブタにおけるウイルス複製、およびそれゆえのブタへのトリインフルエンザの適合の危険性が劇的に減少および制御された場合に、ヒトへのトリインフルエンザの適合の危険性も劇的に減少する。抗原の投与が低いHIタイター(30より低いタイターを意味する)を生じさせる場合、さらにHIタイターを改善し、ワクチン接種されたブタにおいて免疫防御が強化するために抗原による追加免疫が必要とされるであろう。それゆえに、低いタイターは、「さらなる追加免疫は免疫応答を改善するために必要であろうことを教示するのみで、防御は達成され得ない」ということを意味しない。ワクチン接種されたブタにおいて免疫応答が測定され得るという事実が本発明の根底にある独創的な着想が非常によく機能することを明らかにしている。言い換えると、本実験は、このようにして明確に疑いようもなく、本発明の独創的な着想が機能し得ることを実証している。
【0079】
<実施例4>トリインフルエンザに対するトリのワクチン
1.はじめに
この検討の目的は、組換えH5MutK+赤血球凝集素(H5HA MutK+)抗原のクルード抽出物を含む実験ワクチンのニワトリにおける赤血球凝集抑制(HI)タイターを誘導する能力を決定することであった。さらに、不活性化ボルバック(Volvac(登録商標))AI(ベーリンガーインゲルハイムヴェトメディカ、メキシコ)および、従来の組換えH5抗原(H5HA)をコントロールとして用いた。その上、さまざまなアジュバントをH5HA抗原とともに評価した。
2.検討設計
1または10日齢でSPFトリ(15−25)に対して首の後ろで皮下経路によってさまざまな実験ワクチンを0.5mlにてそれぞれ独立してワクチン接種した;全てのトリは実験の間アイソレーターで維持した。えさと水とは自由に与えた。ワクチン接種から31または32日後にH5N2高病原性トリインフルエンザ型で攻撃した。
血清サンプルは、ワクチン接種から15、30日後にトリを頸静脈から採血して得た。得られた血清は、赤血球凝集抑制(HI)テストを行なうまで4℃で保存し、実施例3に説明したように、抗体タイターを得た。
【0080】
3.ワクチンおよび攻撃ウイルス
4つの異なる調製物を別々に評価した:
1.従来のオイルエマルション H5HA Mut k+:H5HA mutk+抗原は、ベーリンガーインゲルハイムヴェトメディカ製造物に基づいたオイルエマルション(フロイント不完全アジュバント)で調製された
2.セピック(Seppic)H5HA Mut k+:H5HA mutk+抗原は、サプライヤーの推奨に基づいて非従来性アジュバント(ISA206、W/O/W、セピックから)で調製した。
3.従来のオイルエマルション:H5HA抗原は、ベーリンガーインゲルハイムヴェトメディカ製造物に基づいたオイルエマルション(フロイント不完全アジュバント)で調製された
4.セピック(Seppic)H5HA:H5HA抗原は、サプライヤーの推奨に基づいて非従来性アジュバント(ISA206、W/O/W、セピックから)で調製した。
トリインフルエンザベーリンガーインゲルハイムヴェトメディカオイルエマルションワクチンは、コントロールVolvac(登録商標)AI(ベーリンガーインゲルハイムヴェトメディカ、メキシコ)を用いた。
ワクチン接種したニワトリおよびワクチン接種していないニワトリに対してH5N2の攻撃ウイルスのトリあたり106.7CEIDを含む0.2mlを鼻腔経路接種で接種することで攻撃をした。接種して10日後に生き残った全てのニワトリを動物ラボ手順に従って安楽死させた。
【0081】
4.結果
結果は、以下の表に示すとおりである:

【0082】

【0083】
ポジティブ血清タイターは、OIE標準に従ってlog24と見なした。この基準血清学に基づいた結果はネガティブたったが、ベースラインと対比すると、いくつかのポジティブ値が得られた。もっとも高い血清学タイターは、オイルアジュバントとH5HA Mutk+とを調製したワクチンで1日齢または10日齢でワクチン接種したトリにおいて観測された。もっとも低い血清学タイターは、セピックとH5HA抗原とを調製したプロトタイプで観測された。攻撃検討において、ワクチンプロトタイプが特にH5HA Mutk+と調製された従来エマルションオイルワクチンで防御を与えることで観測された。攻撃検討における最も低い防御は、68%死亡率のセピックH5HAで観測された。これに対して、もっとも体赤い血清学タイターは、1日齢でワクチン接種されたトリと比較して10日齢でワクチン接種したトリで観測された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフルエンザウイルスのH5タンパク質であって、
アミノ酸223Nおよび改変328K+を有し、
H5タンパク質のアミノ酸位置の番号付けは、配列番号1に例示されるアミノ酸位置に従い、
328K+は、H5タンパク質のアミノ酸位置328に第2リジンを挿入したことを意味するH5タンパク質。
【請求項2】
アミノ酸94Nを有する請求項1に記載のH5タンパク質。
【請求項3】
アミノ酸120Nを有する請求項1または2に記載のH5タンパク質。
【請求項4】
アミノ酸155Nを有する請求項1〜3のいずれか1つに記載のH5タンパク質。
【請求項5】
以下からなる群から選択されるアミノ酸クラスターの1以上を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載のH5タンパク質:
a. aa 93−95: GNF
b. aa 123−125: SDH
c. aa 128−130: SSG
d. aa 138−140: GSS
e. aa 226−228: MDF
f. aa 270−272: EVE
g. aa 309−311: NKL。
【請求項6】
以下を含むペプチドを含む請求項1〜5のいずれか1つに記載のH5タンパク質:
i. 配列番号4;配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列;または
ii. i)のポリペプチドと少なくとも85%配列相同性を有し、かつ標準赤血球凝集素抑制アッセイにおける赤血球凝集素抑制を含むペプチド;または
iii. i)またはii)のいずれかのペプチドの少なくとも8連続アミノ酸を含み、かつ、標準赤血球凝集素抑制アッセイにおける赤血球凝集素抑制を含むi)またはii)のポリペプチドの一部分;または
iv. アミノ酸36T、36K、83A、83T、83D、86A、86V、120S、155S、156A、156T、189R、189K、212K、212R、212E、263Aまたは263Tの1つを有するi)、ii)またはiii)のいずれかのペプチド;または
v. 以下からなる群から選択されるアミノ酸クラスターの1以上を有するi)、ii)、iii)またはiv)のいずれかのペプチド:
a. aa 93−95: GNF
b. aa 123−125: SDH
c. aa 128−130: SSG
d. aa 138−140: GSS
e. aa 226−228: MDF
f. aa 270−272: EVE
g. aa 309−311: NKL。
【請求項7】
トリインフルエンザウイルスを起源とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のH5タンパク質。
【請求項8】
配列番号4のアミノ酸配列を含む請求項1〜7のいずれか1つに記載のH5タンパク質。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のH5タンパク質をコードした核酸分子。
【請求項10】
請求項9に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項11】
a.請求項1〜8のいずれか1つに記載のH5タンパク質、請求項9に記載の核酸分子、または請求項10に記載のベクター、および
b.医薬的に許容されるキャリアおよび/または賦形剤
を含むワクチン。
【請求項12】
賦形剤が1以上のアジュバントである請求項11に記載のワクチン。
【請求項13】
アジュバントがエマルシゲンベースのアジュバントである請求項12に記載のワクチン。
【請求項14】
ワクチンが1以上の抗原を含む請求項11〜13のいずれか1つに記載のワクチン。
【請求項15】
抗原が家禽または哺乳類の病原体の抗原である請求項14に記載のワクチン。
【請求項16】
抗原がインフルエンザウイルスのH3、H7またはH9である請求項15に記載のワクチン。
【請求項17】
請求項1〜8のいずれか1つのH5タンパク質を製造する方法であって、以下の工程を含む方法:
a. H5タンパク質をコードする核酸を単離または増幅する工程、
b. 発現ベクターでH5タンパク質をコードする核酸のクローニングをする工程、
c. H5タンパク質を発現する工程。
【請求項18】
発現ベクターが組換えバキュロウイルスである請求項17に記載の方法。
【請求項19】
H5タンパク質が昆虫細胞で発現される請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のH5タンパク質を含むワクチンを製造する方法であって、以下の工程を含む方法:
a.請求項1〜9のいずれか1つに記載のH5タンパク質を得る工程、
b.工程a)のH5タンパク質を医薬的に許容されるキャリアおよび/または賦形剤と混合する工程。
【請求項21】
請求項9に記載のH5核酸または請求項10に記載のベクターを含むワクチンを製造する方法であって、以下の工程を含む方法:
a.請求項9に記載のH5核酸分子または請求項10に記載のベクターを得る工程、
b.工程a)のH5核酸分子またはベクターを医薬的に許容されるキャリアおよび/または賦形剤と混合する工程。
【請求項22】
請求項1〜8のいずれかに記載のH5タンパク質の医薬としての使用。
【請求項23】
請求項9に記載の核酸分子の医薬としての使用。
【請求項24】
請求項10に記載のベクターの医薬としての使用。
【請求項25】
請求項11〜16のいずれか1つに記載のワクチンの医薬としての使用。
【請求項26】
ウイルスインフルエンザによって引き起こされる感染の予防または治療用医薬組成物の調製のための請求項1〜8のいずれか1つに記載のH5タンパク質の使用。
【請求項27】
ウイルスインフルエンザによって引き起こされる感染の予防用または治療用医薬組成物の調製のための請求項9に記載の核酸分子の使用。
【請求項28】
ウイルスインフルエンザによって引き起こされる感染の予防用または治療用医薬組成物の調製のための請求項10に記載のベクターの使用。
【請求項29】
ウイルスインフルエンザ感染が鳥類、ブタまたはヒトインフルエンザウイルスまたはそれらの組合せまたはハイブリッドによって引き起こされる請求項26〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
インフルエンザウイルス感染の治療または予防のための方法であって、
治療の必要な対象に請求項1〜8のいずれかに記載のH5タンパク質の治療有効量の投与を含む方法。
【請求項31】
インフルエンザウイルス感染の治療または予防のための方法であって、
治療の必要な対象に請求項9に記載のH5核酸または請求項10に記載のベクターの治療有効量の投与を含む方法。
【請求項32】
インフルエンザウイルス感染の治療または予防のための方法であって、
治療の必要な対象に請求項11〜16に記載のH5タンパク質のいずれか1つにおけるワクチンの治療有効量の投与を含む方法。
【請求項33】
インフルエンザ感染が鳥類、ブタまたはヒトインフルエンザウイルスまたはそれらの組合せまたはハイブリッドによって引き起こされる請求項30〜32のいずれかに1つに記載の方法。
【請求項34】
以下を含むキット:
a.請求項1〜8のいずれかに1つに記載のH5タンパク質、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項11〜16のいずれか1つに記載のワクチン;および
b.インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染の治療または予防のためのa)のH5タンパク質、核酸分子、ベクターまたはワクチンの使用法を記載したパッケージリーフレット。
【請求項35】
少なくとも1以上の家禽または哺乳類病原体の抗原を含む請求項34に記載のキット。

【公表番号】特表2010−508030(P2010−508030A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534896(P2009−534896)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/082699
【国際公開番号】WO2008/052173
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(503345374)ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】