説明

新規NEP阻害剤としての置換カルバモイルメチルアミノ酢酸誘導体

本発明は、式(I)の化合物;または医薬的に許容し得る塩を提供し、式中、R、R、R、R、R、A、A、X、sおよびmは、本明細書で定義されている。本発明は、また、本発明の化合物の製造方法およびその治療的使用に関する。本発明は、さらに、医薬的に活性な物質の組合せおよび医薬組成物を提供する。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景:
内在性心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、心房性ナトリウム利尿因子(ANF)とも呼ばれ、哺乳動物で利尿、ナトリウム利尿および血管弛緩機能を有する。天然のANFペプチドは、特に、酵素中性エンドペプチダーゼ(NEP)EC3.4.24.11に相当すると認められた分解酵素により、代謝的に不活性化され、これは、例えば、エンケファリン類の代謝的不活性化も担う。
【0002】
中性エンドペプチダーゼ(EC3.4.24.11;エンケファリナーゼ;アトリオペプチダーゼ(atriopeptidase);NEP)は、様々なペプチド基質を疎水性残基のアミノ側で切断する、亜鉛を含有する金属プロテアーゼである [Pharmacol Rev, Vol. 45, p. 87 (1993) 参照]。この酵素の基質には、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、ANFとしても知られている)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、メチオニン−およびロイシン−エンケファリン、ブラジキニン、ニューロキニンA、エンドセリン−1およびサブスタンスPが含まれるが、これらに限定されない。ANPは、強力な血管弛緩およびナトリウム利尿剤である [J Hypertens, Vol. 19, p. 1923 (2001) 参照]。正常な対象におけるANPの点滴は、ナトリウムの分画排泄率、尿流率および糸球体濾過率の増加を含む、ナトリウム利尿および利尿の再現性のある顕著な増強をもたらす [J Clin Pharmacol, Vol. 27, p. 927 (1987) 参照]。しかしながら、ANPの循環における半減期は短く、腎皮質膜中のNEPが、このペプチドの分解を担う主要な酵素であると示された [Peptides, Vol. 9, p. 173 (1988) 参照]。従って、NEPの阻害剤(中性エンドペプチダーゼ阻害剤、NEPi)は、ANPの血漿レベルを高めるに違いなく、故に、ナトリウム利尿および利尿作用を誘導すると期待される。
【0003】
この酵素は、いくつかの生物活性オリゴペプチドの分解に関与し、疎水性アミノ酸残基のアミノ側でペプチド結合を切断する。代謝されるペプチドには、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、ボンベシン、ブラジキニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、エンドセリン類、エンケファリン類、ニューロテンシン、サブスタンスPおよび血管作動性腸ペプチドが含まれる。これらのペプチドのいくつかは、強力な血管拡張および神経ホルモン機能、利尿およびナトリウム利尿活性を有するか、または行動への作用を媒介する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の要旨:
本発明の目的は、中性エンドペプチダーゼ阻害剤として、例えば、哺乳動物のANF分解酵素の阻害剤として有用な新規化合物を提供し、活性の低い代謝物への分解を阻害することにより、哺乳動物におけるANFの利尿、ナトリウム利尿および血管拡張特性を延長および強化するようにすることである。従って、本発明の化合物は、中性エンドペプチダーゼ(NEP)EC3.4.24.11の阻害に応答する症状および障害の処置に特に有用である。
【0005】
本発明は、本明細書に記載の化合物、それらの使用方法およびそれらの使用に関する。本発明の化合物の例には、式I'およびIないしIVのいずれかの化合物、または、それらの医薬的に許容し得る塩および実施例の化合物が含まれる。
【0006】
従って、本発明は、式(I'):
【化1】

[式中:
は、OH、−O−C1−7アルキル、−NR、−NHS(O)−C1−7アルキルまたは−NHS(O)−ベンジルであり、ここで、RおよびRは、各々独立して、HまたはC1−7アルキルであり;
は、H、C1−6アルキルまたはC6−10−アリール−C1−6アルキルであり、ここで、アルキルは、ベンジルオキシ、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されていることもあり;
は、各々独立して、C1−6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、C1−6−アルキル、シアノまたはトリフルオロメチルであり;
は、OまたはNRであり;
およびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
は、結合またはC1−3アルキレン鎖であり;
は、5員または6員のヘテロアリール、C6−10−アリールまたはC3−7−シクロアルキルであり、ここで、各々のヘテロアリール、アリールまたはシクロアルキルは、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換されていることもあり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシ、C1−7アルコキシ、ハロ、C1−7アルキルまたはハロ−C1−7アルキルであり;または、
、A−Rは、RおよびA−Rが結合している窒素と一体となって、4員ないし7員の複素環または5員ないし6員のヘテロアリールを形成し、これらの各々は、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換されていることもあり;そして、
mは、0または1ないし5の整数であり;
sは、0または1ないし4の整数である]
の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を提供する。
【0007】
本発明は、また、式(I):
【化2】

[式中:
は、OHまたはO−C1−6−アルキルを表し;
は、H、C1−6アルキルまたはC6−10−アリール−C1−6アルキルであり;
は、各々独立して、C1−6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、C1−6−アルキル、シアノまたはトリフルオロメチルであり;
およびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
は、結合またはC1−3アルキレン鎖であり;
は、5員または6員のヘテロアリール、C6−10−アリールまたはC3−7−シクロアルキルであり、ここで、各々のヘテロアリール、アリールまたはシクロアルキルは、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換されていることもあり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシ、C1−7アルコキシ、ハロ、C1−7アルキルまたはハロ−C1−7アルキルであり;または、
、A−Rは、RおよびA−Rが結合している窒素と一体となって、4員ないし7員の複素環または5員ないし6員のヘテロアリールを形成し、これらの各々は、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換されていることもあり;そして、
mは、0または1ないし5の整数であり;
sは、0または1ないし4の整数である]
の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を提供する。
【0008】
本発明の化合物は、中性エンドペプチダーゼEC.3.4.24.11を阻害することにより、生物活性ペプチドの生物学的作用を強化できる。従って、特に、これらの化合物は、高血圧症、抵抗性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、収縮期高血圧症、末梢血管疾患、心不全、うっ血性心不全、左室肥大、狭心症、腎機能不全(糖尿病性または非糖尿病性)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、糖尿病性腎症、非糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎疾患の蛋白尿症、腎血管性高血圧症、糖尿病網膜症および末期腎疾患(ESRD)、内皮障害、拡張障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラークの安定化、心筋梗塞(MI)、腎線維症、多発性嚢胞腎疾患(PKD)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、周期性浮腫、メニエール病、高アルドステロン症(原発性および続発性)および高カルシウム尿症、腹水症を含む数々の障害の処置に用途がある。加えて、ANFの作用を強化する能力のために、これらの化合物は、緑内障の処置に用途がある。中性エンドペプチダーゼE.C.3.4.24.11を阻害する能力のさらなる結果として、本発明の化合物は、例えば、月経障害、早期分娩、妊娠子癇、子宮内膜症および生殖の障害(特に、雄性および雌性の不妊症、多嚢胞性卵巣症候群、着床不全)の処置を含む他の治療領域において活性を有し得る。また、本発明の化合物は、喘息、閉塞性睡眠時無呼吸、炎症、白血病、疼痛、てんかん、うつ病などの感情障害、並びに、認知症および老齢期のせん妄などの精神病性症状、肥満症および胃腸疾患(特に、下痢症および過敏性腸症候群)、創傷治癒(特に、糖尿病性および静脈性潰瘍並びに褥瘡)、敗血症性ショック、胃酸分泌不全、高レニン血症、嚢胞性線維症、再狭窄、2型糖尿病、代謝症候群、糖尿病合併症およびアテローム動脈硬化症、雄性および雌性の性機能不全を処置すべきである。
好ましい実施態様では、本発明の化合物は、心血管障害の処置に有用である。
【0009】
他の実施態様では、本発明は、処置を必要としている対象における、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11(NEP)の阻害に対して反応性の障害または疾患の処置方法に関し、それは、有効量の式I−IVのいずれかの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を、対象における中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11(NEP)の阻害に反応する障害または疾患が処置されるように、対象に投与することを含む。
【0010】
また他の実施態様では、本発明は、式I−IVのいずれかの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩、および、1種またはそれ以上の医薬的に許容し得る担体を含む医薬組成物に関する。
【0011】
なお他の実施態様では、本発明は、式I−IVのいずれかの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩、および、1種またはそれ以上の治療的に活性な物質の医薬的組合せを含む組合せに関する。
【0012】
他の実施態様では、本発明は、それを必要としている対象における、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11の阻害方法に関し、それは、治療的有効量の式I−IVのいずれかの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11が阻害されるように、対象に投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
定義:
本明細書を解釈するために、断りのない限り、そして適するならば、以下の定義を適用し、単数形で使用される用語は複数形も含み、逆もまた同様である。
本明細書で使用するとき、用語「アルキル」は、1個ないし20個の炭素原子を含む完全飽和の分枝鎖または非分枝鎖(もしくは直鎖または直線状)炭化水素部分を表す。好ましくは、アルキルは、1個ないし6個の炭素原子、より好ましくは1個ないし4個の炭素原子を含む。アルキルの代表的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチルが含まれる。用語「C1−6アルキル」は、1個ないし6個の炭素原子を有する炭化水素を表す。用語「アルキレン」は、2価のアルキルラジカルを表し、ここで、アルキルは先に定義した通りである。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「ハロアルキル」は、1個またはそれ以上の本明細書で定義するハロ基で置換されている、本明細書で定義するアルキルを表す。好ましくは、ハロアルキルは、モノハロアルキル、ジハロアルキルまたはポリハロアルキルであり得、ペルハロアルキルを含む。モノハロアルキルは、アルキル基内に1個のヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロを有し得る。ジハロアルキルおよびポリハロアルキル基は、アルキル基内に2個またはそれ以上の同じハロ原子または異なるハロ基の組合せを有し得る。好ましくは、ポリハロアルキルは、12個、または10個、または8個、または6個、または4個、または3個、または2個までのハロ基を含む。ハロアルキルの代表的な例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルである。ペルハロアルキルは、すべての水素原子がハロ原子で置き換えられたアルキルを表す。用語「ハロ−C1−6アルキル」は、1個ないし6個の炭素原子を有し、1個またはそれ以上のハロ基により置換されている炭化水素を表す。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「アルコキシ」はアルキル−O−を表し、ここで、アルキルは上記で定義したものである。アルコキシの代表的な例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ−、シクロヘキシルオキシ−などが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、アルコキシ基は、約1個−6個、より好ましくは約1個−4個の炭素を有する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「シクロアルキル」は、3個−12個の炭素原子の、好ましくは3個−8個または3個−7個の炭素原子の、飽和または部分不飽和の、単環式、二環式または三環式炭化水素基を表す。二環式および三環式シクロアルキル系について、すべての環は非芳香族性である。例示的な単環式炭化水素基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルおよびシクロヘキセニルが含まれる。例示的な二環式炭化水素基には、ボルニル、デカヒドロナフチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、ビシクロ[2.2.2]オクチルが含まれる。例示的な三環式炭化水素基には、アダマンチルが含まれる。用語「C3−7シクロアルキル」は、3個ないし7個の炭素原子を有する環式炭化水素基を表す。
【0017】
用語「アリール」は、環部分に6個−10個の炭素原子を有する単環式または二環式芳香族性炭化水素基を表す。用語「アリール」は、芳香環がシクロアルキル環に融合した基も表し、ここで、結合のラジカルは、芳香環上または融合したシクロアルキル環上にある。アリールの代表的な例は、フェニル、ナフチル、ヘキサヒドロインジル、インダニルまたはテトラヒドロナフチルである。用語「C6−10アリール」は、環部分に6個ないし10個の炭素原子を有する芳香族性炭化水素基を表す。
【0018】
用語「アリールアルキル」は、アリールで置換されているアルキルである。アリールアルキルの代表的な例は、ベンジルまたはフェニル−CHCH−である。用語「C6−10アリール−C1−6アルキル」は、1個ないし6個の炭素原子を有する炭化水素を表し、その炭化水素は、6個ないし10個の炭素原子を有するアリールで置換されている。
【0019】
用語「ヘテロアリール」には、炭素原子および1個ないし5個のヘテロ原子から選択される5個−10個の環構成員を含む単環式または二環式のヘテロアリールが含まれ、各ヘテロ原子は、O、NまたはSから独立して選択され、SおよびNは、様々な酸化状態に酸化されていてもよい。二環式ヘテロアリール系について、系は完全に芳香族性である(即ち、すべての環が芳香族性である)。
【0020】
典型的な単環式ヘテロアリール基には、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、イソチアゾール−3−イル、イソチアゾール−4−イル、イソチアゾール−5−イル、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、オキサゾール−5−イル、イソオキサゾール−3−イル、イソオキサゾール−4−イル、イソオキサゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,3−トリアゾール−5−イル、テトラゾリル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イルまたはピリジル−4−イル、ピリダジン−3−イル、ピリダジン−4−イル、ピラジン−3−イル、2−ピラジン−2−イル、ピラジン−4−イル、ピラジン−5−イル、2−、4−または5−ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、ピリミジン−5−イルが含まれる。用語「ヘテロアリール」は、複素芳香環が1個またはそれ以上のアリール環に融合した基も表し、ここで、結合のラジカルまたは点は、複素芳香環上または縮合したアリール環上にある。二環式ヘテロアリールの代表的な例は、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、キナキサリニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、ベンズイソキノリニル、チエノ[2,3−b]フラニル、フロ[3,2−b]−ピラニル、5H−ピリド[2,3−d]−o−オキサジニル、1H−ピラゾロ[4,3−d]−オキサゾリル、4H−イミダゾ[4,5−d]チアゾリル、ピラジノ[2,3−d]ピリダジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、イミダゾ[1,2−b][1,2,4]トリアジニル、7−ベンゾ[b]チエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサピニル、ベンズオキサジニル、1H−ピロロ[1,2−b][2]ベンズアザピニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ピロロ[2,3−b]ピリジニル、ピロロ[3,2−c]ピリジニル、ピロロ[3,2−c]ピリジニル、ピロロ[3,2−b]ピリジニル、イミダゾ[4,5−b]ピリジニル、イミダゾ[4,5−c]ピリジニル、ピラゾロ[4,3−d]ピリジニル、ピラゾロ[4,3−c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4−c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4−d]ピリジニル、ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、イミダゾ[1,2−c]ピリミジニル、ピリド[3,2−d]ピリミジニル、ピリド[4,3−d]ピリミジニル、ピリド[3,4−d]ピリミジニル、ピリド[2,3−d]ピリミジニル、ピリド[2,3−b]ピラジニル、ピリド[3,4−b]ピラジニル、ピリミド[5,4−d]ピリミジニル、ピラジノ[2,3−b]ピラジニルまたはピリミド[4,5−d]ピリミジニルである。ヘテロアリール部分がヒドロキシで置換されているとき、本発明は、そのオキソ互変体にも関する。例えば、ヒドロキシで置換されているオキサジアゾールは、オキサジアゾロンとしても知られているオキソ−オキサジアゾールも含む。互変異性化は、以下のように表される:
【化3】

【0021】
本明細書で使用するとき、用語「複素環」または「ヘテロシクロ」は、4、5、6または7員単環式であり、O、SおよびNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み(ここで、NおよびSは、様々な酸化状態に酸化されていてもよい)、置換されていることもある、飽和または不飽和の非芳香族(部分不飽和)環を表す。二環式および三環式複素環系について、非芳香環系は、不完全または部分不飽和環系であると定義される。従って、二環式および三環式複素環系は、融合した環の1つは芳香族性であるが、他は非芳香族性である複素環系を含む。ある実施態様では、複素環部分は、5個−7個の環内原子を含み、場合によりO、SまたはNから選択されるさらなるヘテロ原子を含む飽和単環式環を表す。複素環基は、ヘテロ原子または炭素原子で結合できる。複素環は、融合または架橋環並びにスピロ環式環を含み得る。複素環の例には、ジヒドロフラニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、ジチアニル、ピペラジニル、ピロリジン、ジヒドロピラニル、オキサチオラニル、ジチオラン、オキサチアニル、チオモルホリノ、オキシラニル、アジリジニル、オキセタニル、オキセパニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ、ピペラジニル、アゼピニル、オキサピニル、オキサアゼパニル、オキサチアニル、チエパニル、アゼパニル、ジオキセパニルおよびジアゼパニルが含まれる。
【0022】
用語「ハロゲン」には、フッ素、臭素、塩素およびヨウ素が含まれる。用語「ペルハロゲン化」は、一般的に、すべての水素がハロゲン原子により置き換えられている部分を表す。
【0023】
用語「ヘテロ原子」には、炭素または水素以外のいかなる元素の原子も含まれる。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄およびリンである。ある実施態様では、ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される。
【0024】
本発明の化合物:
本発明の様々な実施態様を本明細書に記載する。各実施態様で特定される特徴は、他の特定される特徴と組み合わされて、さらなる実施態様を提供し得ることが認識されよう。
【0025】
式I'またはIのある化合物は、式IIの化合物:
【化4】

または医薬的に許容し得る塩を含み、ここで、R、R、R、R、R、R、X、A、sおよびmは、上記式Iの定義を有する。
【0026】
ある実施態様では、本発明は、式中、
が、OHまたはO−C1−6−アルキルを表し;
が、HまたはC1−6アルキルを表し;
が、各々独立して、C1−6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、C1−6−アルキル、シアノまたはトリフルオロメチルであり;
およびRが、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
が、結合またはC1−3アルキレン鎖であり;
が、5員または6員のヘテロアリールまたはC6−10−アリールであり、ここで、各々のヘテロアリールおよびアリールは、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されていることもあり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシ、C1−7アルコキシ、ハロ、C1−7アルキルまたはハロ−C1−7アルキルであり;
mが、0または1ないし5の整数であり;
sが、0または1ないし4の整数である、
式I'、IまたはIIの化合物、またはそれらの医薬的に許容し得る塩に関する。
【0027】
他の実施態様では、本発明は、式中、
が、OHまたはO−C1−6−アルキルを表し;
が、HまたはC1−6アルキルであり;
が、各々独立して、C1−6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、C1−6−アルキル、シアノまたはトリフルオロメチルであり;
およびRが、独立してHまたはC1−6アルキルであり;
が、結合またはC1−3アルキレン鎖であり;
が、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されていることもある5員または6員のヘテロアリールであり;
が、各々独立して、ハロ、ヒドロキシ、C1−7アルコキシ、ハロ、C1−7アルキルまたはハロ−C1−7アルキルであり;
mが、0または1ないし5の整数であり;
sが、0または1ないし4の整数である、
式I'、IまたはIIの化合物、またはそれらの医薬的に許容し得る塩に関する。
【0028】
式I'またはIのある化合物は、式IIIの化合物:
【化5】

またはそれらの医薬的に許容し得る塩を含み、ここで、R、R、R、R、R、R、X、Aおよびsは、上記式Iの定義を有し、Xはハロであり、pは0または1ないし4の整数である。
【0029】
式I'、I、IIまたはIIIのある化合物は、式IVの化合物:
【化6】

またはそれらの医薬的に許容し得る塩を含み、ここで、R、R、R、R、R、R、X、A、X、sおよびmは、上記式I、IIおよびIIIの定義を有する。
【0030】
ある実施態様では、本発明は、XがClである式IIIまたはIVの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩に関する。この実施態様のさらなる態様では、pは0である。
【0031】
以下の実施態様は、独立的に、集合的に、または、任意の組合せまたは副次的組合せで使用できる:
ある実施態様では、本発明は、Aが結合またはCHである、式I'およびIないしIVのいずれかの化合物、または、上記の他のクラスおよびサブクラスのいずれか、または、それらの医薬的に許容し得る塩に関する。さらなる実施態様では、Aは結合である。
【0032】
他の実施態様では、本発明は、Rが置換されていることもある5員または6員のヘテロアリールである、式I'およびIないしIVのいずれかの化合物、または、上記の他のクラスおよびサブクラスのいずれか、または、それらの医薬的に許容し得る塩に関する。この実施態様のある態様では、Rは、ピラジン、ピリジン、ピリミジン、ピラノン(例えば、置換されていることもあるピラン−4−オン、ピラン−2−オン、例えば、3−ヒドロキシ−ピラン−4−オン、3−ヒドロキシ−ピラン−2−オン)、ピリミジノンおよびピリジノン(例えば、置換されていることもあるピリジン−4−オンまたはピリジン−2−オン、例えば、3−ヒドロキシ−1−メチル−ピリジン−4−オンまたは1−ベンジル−ピリジン−2−オン)からなる群から選択される6員環のヘテロアリールである。この実施態様の他の態様では、Rは、オキサゾール、ピロール、ピラゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサジアゾール(例えば、1−オキサ−3,4−ジアゾール、1−オキサ−2,4−ジアゾール)、オキサジアゾロン(例えば、オキサジアゾール−2−オン)、チアゾール、イソチアゾール、チオフェン、イミダゾールおよびチアジアゾールからなる群から選択される5員環のヘテロアリールである。Rの他の代表的な例は、オキサゾロン、チアゾロン、オキサジアゾロン、トリアゾロン、オキサゾロン、イミダゾロン、ピラゾロンである。さらなる実施態様では、ヘテロアリール上の場合による置換基は、独立して、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHまたはCO1−6アルキルである。
【0033】
上記の実施態様の他の態様では、本発明は、Rがテトラゾールである、式I'およびIないしIVのいずれかの化合物、または、上記の他のクラスおよびサブクラスのいずれか、または、それらの医薬的に許容し得る塩に関する。
【0034】
他の実施態様では、本発明は、Rが置換されていることもあるフェニルである、式I'およびIないしIVのいずれかの化合物、または、上記の他のクラスおよびサブクラスのいずれか、または、それらの医薬的に許容し得る塩に関する。さらなる実施態様では、フェニル上の場合による置換基は、独立して、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHまたはCO1−6アルキルである。さらなる実施態様では、フェニルは、COHで置換されており、さらに置換されていることもある。
【0035】
他の実施態様では、本発明は、RがC1−6アルキル(即ち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)である、式I'およびIないしIVのいずれかの化合物、または、上記の他のクラスおよびサブクラスのいずれか、または、それらの医薬的に許容し得る塩に関する。
【0036】
他の実施態様では、本発明は、RがHである、式I'およびIないしIVのいずれかの化合物、または、上記の他のクラスおよびサブクラスのいずれか、または、それらの医薬的に許容し得る塩に関する。
【0037】
他の実施態様では、本発明は、RがHである、式I'およびIないしIVのいずれかの化合物、または、上記の他のクラスおよびサブクラスのいずれか、または、それらの医薬的に許容し得る塩に関する。
【0038】
他の実施態様では、本発明は、sが0である、式I'およびIないしIVのいずれかの化合物、または、上記の他のクラスおよびサブクラスのいずれか、または、それらの医薬的に許容し得る塩に関する。
【0039】
他の実施態様では、R、R、R、R、R、R、X、A、X、m、sおよびpの基は、下記の実施例のセクションにおけるR、R、R、R、R、R、X、A、X、m、sおよびpの基により定義されるものである。
他の実施態様では、個々の本発明による化合物は、下記の実施例のセクションで挙げるものまたはそれらの医薬的に許容し得る塩である。
【0040】
本発明の化合物のいくつかの構造は、不斉炭素原子を含むことが注目されよう。従って、そのような不斉性から生じる異性体(例えば、すべてのエナンチオマーおよびジアステレオマー)は、断りの無い限り、本発明の範囲に含まれることを理解すべきである。そのような異性体は、古典的な分離技法により、そして、立体化学的に制御された合成により、実質的に純粋な形態で入手できる。さらに、この出願で記載される構造および他の化合物および部分は、それらのすべての互変異性体も含む。
【0041】
本明細書で使用するとき、用語「異性体」は、同じ分子式を有するが、原子の配置および立体配置において異なる様々な化合物を表す。また、本明細書で使用するとき、用語「光学異性体」または「立体異性体」は、所定の本発明の化合物について存在し得る様々な立体異性的配置のいずれをも表し、幾何異性体を含む。置換基は炭素原子のキラル中心で結合し得ることが理解される。従って、本発明は、化合物のエナンチオマー、ジアステレオマーまたはラセミ体を含む。「エナンチオマー」は、相互に重ね合わせることができない鏡像である立体異性体の一対である。エナンチオマー対の1:1混合物は、「ラセミの」混合物である。この用語は、必要に応じて、ラセミ混合物を表すのに使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2個の不斉原子を有するが、相互の鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン・インゴルド・プレローグのR−S表示法に従って特定される。化合物が純粋なエナンチオマーであるとき、各キラル炭素の立体化学は、RまたはSのいずれかに特定され得る。その絶対配置が未知である分割された化合物は、ナトリウムD線の波長で偏光面を回転させる方向(右旋性または左旋性)に応じて、(+)または(−)と表され得る。本明細書に記載の化合物のいくつかは、1個またはそれ以上の不斉中心または軸を含み、従って、絶対立体化学的に(R)−または(S)−と定義し得るエナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体を生じ得る。本発明は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態および中間的な混合物を含む、すべてのそのような可能な異性体を含むことを意図する。光学活性の(R)−および(S)−異性体は、キラルの出発原料またはキラルの反応材を使用して製造し得るか、または、常套の技法を使用して分割し得る。化合物が二重結合を含む場合、置換基は、EまたはZ立体配置であり得る。化合物が二置換シクロアルキルを含むならば、シクロアルキル置換基は、cis−またはtrans−立体配置を有し得る。すべての互変異性体も含まれることを意図する。
【0042】
本発明の化合物のいかなる不斉原子(例えば、炭素など)も、ラセミまたはエナンチオマーに富む、例えば、(R)−、(S)−または(R,S)−配置で存在できる。ある種の実施態様では、各不斉原子は、(R)−または(S)−立体配置で、少なくとも50%のエナンチオマー過剰、少なくとも60%のエナンチオマー過剰、少なくとも70%のエナンチオマー過剰、少なくとも80%のエナンチオマー過剰、少なくとも90%のエナンチオマー過剰、少なくとも95%のエナンチオマー過剰、または、少なくとも99%のエナンチオマー過剰である。不飽和結合を伴う原子の置換基は、可能であれば、cis−(Z)−またはtrans−(E)形で存在し得る。
【0043】
従って、本明細書で使用するとき、本発明の化合物は、可能な異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体またはそれらの混合物、例えば、実質的に純粋な幾何(cisまたはtrans)異性体、ジアステレオマー、光学異性体(鏡像異性体)、ラセミ体またはそれらの混合物の1つの形態であり得る。
【0044】
任意の得られる異性体の混合物は、構成成分の物理化学的差異に基づいて、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別再結晶により、純粋または実質的に純粋な幾何または光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体に分離できる。
【0045】
任意の得られる最終生成物または中間体のラセミ体は、既知方法により、例えば、光学活性の酸または塩基で得られるそのジアステレオマーの塩を分離し、そして光学活性の酸または塩基の化合物を遊離させることにより、光学鏡像異性体に分割できる。特に、例えば、光学活性の酸、例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ−O,O'−p−トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸またはカンファー−10−スルホン酸で形成される塩の分別再結晶により、塩基性部分を用いて、本発明の化合物をそれらの光学鏡像異性体に分割し得る。ラセミの生成物は、また、キラルクロマトグラフィー、例えば、キラルの吸着剤を使用する高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により分割できる。
【0046】
本明細書で使用するとき、用語「医薬的に許容し得る塩」は、本発明の化合物の生物学的有効性および特性を保持し、典型的には生物学的またはその他の点で不都合でない塩を表す。多くの場合、本発明の化合物は、アミノおよび/またはカルボキシル基またはそれらに類似の基の存在により、酸および/または塩基の塩を形成できる。
【0047】
医薬的に許容し得る酸付加塩は、無機酸および有機酸で形成され得、例えば、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロロテオフィロン酸塩(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩である。
【0048】
塩を誘導できる無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。
塩を誘導できる有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸などが含まれる。医薬的に許容し得る塩基付加塩は、無機および有機塩基で形成できる。
【0049】
塩を誘導できる無機塩基には、例えば、アンモニウム塩および周期表のIないしXII列の金属が含まれる。ある種の実施態様では、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛および銅から誘導される;特に適する塩には、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が含まれる。
【0050】
塩を誘導できる有機塩基には、例えば、一級、二級および三級アミン、天然産生の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが含まれる。ある種の有機アミンには、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンが含まれる。
【0051】
本発明の医薬的に許容し得る塩は、親化合物(塩基性または酸性部分)から、常套の化学的方法により合成できる。一般的に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を、適当な塩基(例えば、Na、Ca、MgまたはKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)の化学量論的な量と反応させることにより、または、これらの化合物の遊離塩基形態を、適当な酸の化学量論的な量と反応させることにより、製造できる。そのような反応は、典型的には、水中または有機溶媒中で、または、これら2つの混合物中で実施する。一般的に、実行可能であれば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体の使用が望ましい。さらなる適する塩のリストは、例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences", 20th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., (1985); および "Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use" by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002) に見出すことができる。
【0052】
本明細書に記載のいかなる式も、その化合物の非標識形態並びに同位元素で標識された形態を表すと企図する。例えば、本明細書のいずれの式の「H」により表されるいかなる水素も、水素のすべての同位体(例えば、H、HまたはD、H)を表すと企図する;本明細書のいずれの式の「C」により表されるいかなる炭素も、炭素のすべての同位体(例えば、11C、13C、14C)を表すと企図する;「N」により表されるいかなる窒素も、すべての窒素の同位体(例えば、14N、15N)を表すと企図する。本発明に含まれる同位元素の他の例には、18F、31P、32P、35S、36Cl、125Iなどの、酸素、硫黄、リン、フッ素、ヨウ素および塩素の同位元素が含まれる。本発明には、様々な同位元素で標識された本明細書で定義する化合物、例えば、その中にH、13Cおよび14Cなどの放射性同位元素が存在するものが含まれる。ある実施態様では、本明細書の式中の原子は、それらの天然の存在比で存在する。他の実施態様では、1個またはそれ以上の水素原子は、Hに富んでいてもよい;または/かつ、1個またはそれ以上の炭素原子は、11C、13Cまたは14Cに富んでいてもよい;または/かつ、1個またはそれ以上の窒素は、14Nに富んでいてもよい。そのような同位体的に標識された化合物は、代謝研究(14Cで)、反応速度研究(例えば、HまたはHで)、薬物または基質の組織分布アッセイを含む検出または画像化技法、例えば、陽電子放出断層撮影(PET)または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、または、患者の放射線処置に有用である。特に、18Fまたは標識化合物は、PETまたはSPECT研究に特に望ましいことがある。同位元素で標識された本発明の化合物およびそれらのプロドラッグは、一般的に、容易に入手できる同位元素標識された試薬で非同位元素標識の試薬を置き換えることにより、下記のスキームまたは実施例および製法で開示された手順を実施することにより、製造できる。
【0053】
さらに、重い同位体、特に重水素(即ち、HまたはD)に富むことは、高い代謝安定性に起因する、ある種の治療的利点、例えば、インビボ半減期の延長または必要な投与量の減少または治療係数の改善を与え得る。この文脈における重水素は、式IないしIVの化合物の置換基とみなされることが理解される。そのような重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数(isotopic enrichment factor)により定義され得る。本明細書で使用される用語「同位体濃縮係数」は、その同位体の存在量と、特定の同位元素の天然の存在量との比を意味する。本発明の化合物の置換基が重水素と示されていたら、そのような化合物は、各々の示された重水素原子について、少なくとも3500(各々の示された重水素原子について、52.5%の重水素取り込み)、少なくとも4000(60%の重水素取り込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素取り込み)、少なくとも5000(75%の重水素取り込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素取り込み)、少なくとも6000(90%の重水素取り込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素取り込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素取り込み)、少なくとも6600(99%の重水素取り込み)、または、少なくとも6633.3(99.5%の重水素取り込み)の同位体濃縮係数を有する。
【0054】
同位体濃縮された式IないしIVの化合物は、一般的に、当業者に知られている常套の技法により、または、付随する実施例および製法に記載のものと同様の方法により、適当な同位体に富む反応物質を、過去に用いた非濃縮反応物質の代わりに使用して、製造できる。
【0055】
本発明による医薬的に許容し得る溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体的に置換されているもの、例えば、DO、d−アセトン、d−DMSOが含まれる。
【0056】
水素結合のドナーおよび/またはアクセプターとして作用できる基を含む本発明の化合物、即ち、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物は、適する共晶形成物と共に、共晶を形成し得る。これらの共晶は、既知の共晶形成方法により、式I'、I、II、III、IVまたはVの化合物から製造し得る。そのような方法には、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物を、共晶形成物と、結晶化条件下で、粉砕、加熱、共昇華、共融解または接触させ、それにより形成された共晶を単離することが含まれる。適する共晶形成物には、WO2004/078163に記載のものが含まれる。故に、本発明は、さらに、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を含む共晶を提供する。
【0057】
本明細書で使用するとき、用語「医薬的に許容し得る担体」には、当業者に知られているであろう(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990, pp. 1289- 1329 参照)、任意かつすべての溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、保存料(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張化剤、吸収遅延剤、塩、保存料、薬物、薬物安定化剤、結合剤、賦形剤、分散剤、滑沢剤、甘味料、香味料、染料など、および、これらの組合せが含まれる。任意の常套の担体が有効成分と不適合である場合を除き、治療用または医薬組成物におけるその使用が企図される。
【0058】
本発明の化合物の用語「治療的有効量」は、対象の生物学的または医学的応答、例えば、酵素またはタンパク質活性の低減または阻害、または、症候の改善、症状の緩和、低速または遅延した疾患の進行、または、疾患の予防などを誘起する本発明の化合物の量を表す。ある非限定的な実施態様では、用語「治療的有効量」は、対象に投与されると、(1)(i)中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11の阻害により改善される、または、(ii)中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する、または、(iii)中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11の異常な活性を特徴とする症状、障害または疾患またはその症候を、少なくとも部分的に、緩和、阻害、予防および/または改善する;または、(2)中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11の活性を低減または阻害する;または、(3)中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11の発現を低減または阻害する、に有効である本発明の化合物の量を表す。他の非限定的な実施態様では、用語「治療的有効量」は、細胞、または、組織、または、非細胞の生物学的材料、または、培地に投与されると、少なくとも部分的に、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11の活性を低減または阻害する;または、少なくとも部分的に、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11の発現を低減または阻害するのに有効な、本発明の化合物の量を表す。
【0059】
本明細書で使用するとき、用語「対象」は、動物を表す。典型的には、動物は、哺乳動物である。対象は、また、例えば、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類などを表す。ある種の実施態様では、対象は霊長類である。また他の実施態様では、対象はヒトである。
【0060】
本明細書で使用するとき、用語「阻害する」「阻害」または「阻害すること」は、症状、徴候、または、障害、または、疾患の低減または抑制、または、生物学的活動または過程の基底活性の有意な低下を表す。
【0061】
本明細書で使用するとき、任意の疾患または障害の「処置する」「処置すること」「処置」の用語は、ある実施態様では、疾患または障害を改善すること(即ち、疾患または少なくとも1つのその臨床的症候の発展を遅延、停止または低減すること)を表す。他の実施態様では、「処置する」「処置すること」または「処置」は、患者により識別可能ではないものを含む、少なくとも1つの生理的パラメーターの緩和または改善を表す。また他の実施態様では、「処置する」「処置すること」または「処置」は、身体的に(例えば、識別可能な症候の安定化)、生理的に(例えば、生理的パラメーターの安定化)、または両方で、疾患または障害を調節することを表す。また他の実施態様では、「処置する」「処置すること」または「処置」は、疾患または障害の発症または発展または進行を防止または遅延することを表す。
【0062】
本明細書で使用するとき、対象が生物学的に、医学的に、または、生活の質において、そのような処置から利益を得るならば、対象は処置を「必要としている」。
【0063】
本明細書で使用するとき、本発明の文脈で(特に、特許請求の範囲の文脈で)使用される用語「1つの(a)」「1つの(an)」「その(the)」および類似の用語は、断りがない限り、そして、文脈により明らかに否定されない限り、単数と複数の両方に及ぶと解釈されるべきである。
【0064】
本明細書に記載のすべての方法は、断りがない限り、そして、文脈により明らかに否定されない限り、任意の適する順序で実施できる。本明細書で提供される任意かつすべての例または例示的記載(例えば、「など(such as)」)の使用は、単に本発明をより良好に例示説明することを企図し、特許請求される本発明の範囲に限定を与えるものではない。
【0065】
本発明の化合物は、遊離形で、それらの塩として、または、それらのプロドラッグ誘導体として得られる。
塩基の基と酸の基の両方が同じ分子中に存在するとき、本発明の化合物は、分子内塩、例えば双性イオン分子も形成し得る。
【0066】
本発明は、また、インビボで本発明の化合物に変換する本発明の化合物のプロドラッグも提供する。プロドラッグは、プロドラッグの対象への投与に続き、インビボの生理作用、例えば、加水分解、代謝などにより化学的に本発明の化合物に変更される、活性または不活性の化合物である。プロドラッグの製造および使用に関する適合性および技法は、当業者に周知である。プロドラッグは、概念的に2つの非排他的なカテゴリー、即ち、生物学的前駆体プロドラッグおよび担体プロドラッグに分けられる。The Practice of Medicinal Chemistry, Ch. 31-32 (Ed. Wermuth, Academic Press, San Diego, Calif., 2001)参照。一般的に、生物学的前駆体プロドラッグは、不活性であるか、または、対応する活性薬物化合物と比較して低い活性を有する化合物であり、それは、1個またはそれ以上の保護基を有し、代謝または加溶媒分解により活性形に変換される。活性薬物形および放出される代謝産物の両方とも、許容し得るほど低毒性であるべきである。担体プロドラッグは、輸送部分、例えば、取り込みおよび/または作用部位への局所的送達を改善するものを含む薬物化合物である。そのような担体プロドラッグに望ましくは、薬物部分と輸送部分との連結は共有結合であり、プロドラッグは、不活性であるか、または、薬物化合物より活性が低く、放出される輸送部分は、許容し得るほど非毒性である。輸送部分が取り込みを増強することを意図するプロドラッグには、典型的に、輸送部分の放出は急速であるべきである。他の場合では、遅延放出をもたらす部分、例えば、ある種のポリマーまたは他の部分、例えば、シクロデキストリンを利用することが望ましい。担体プロドラッグは、例えば、親油性の増加、薬理作用時間の延長、部位特異性の増大、毒性および有害反応の減少、および/または、薬物の製剤化における改善(例えば、安定性、水溶性、望まれない感覚受容的または物理化学的特性の抑制)の1つまたはそれ以上を改善するために使用できる。例えば、親油性は、(a)親油性カルボン酸(例えば、少なくとも1つの親油性部分を有するカルボン酸)によるヒドロキシル基の、または、(b)親油性アルコール(例えば、少なくとも1個の親油性部分を有するアルコール、例えば、脂肪族アルコール)によるカルボン酸基の、エステル化により高めることができる。
【0067】
例示的プロドラッグは、例えば、遊離カルボン酸類のエステルおよびチオール類のS−アシル誘導体およびアルコール類またはフェノール類のO−アシル誘導体であり、ここで、アシルは、本明細書で定義する意味を有する。適するプロドラッグは、しばしば、加溶媒分解により生理的条件下で親のカルボン酸に変換可能な医薬的に許容し得るエステル誘導体、例えば、当分野で常套に使用される、低級アルキルエステル類、シクロアルキルエステル類、低級アルケニルエステル類、ベンジルエステル類、一置換または二置換低級アルキルエステル類、例えば、ω−(アミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル)−低級アルキルエステル類、α−(低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニルまたはジ−低級アルキルアミノカルボニル)−低級アルキルエステル類、例えば、ピバロイルオキシメチルエステルなどである。加えて、アミンは、アリールカルボニルオキシメチル置換誘導体としてマスクされ、それは、エステラーゼによりインビボで開裂され、遊離薬物およびホルムアルデヒドを放出する(Bundgaard, J. Med. Chem. 2503 (1989))。さらに、酸性のNH基、例えば、イミダゾール、イミド、インドールなどを含む薬物は、N−アシルオキシメチル基でマスクされてきた(Bundgaard, Design of Prodrugs, Elsevier (1985))。ヒドロキシ基は、エステルおよびエーテルとしてマスクされてきた。EP039,051(Sloan and Little) は、マンニッヒ塩基ヒドロキサム酸プロドラッグ、それらの製造および使用を開示している。
【0068】
さらに、本発明の化合物は、それらの塩を含めて、それらの水和物の形態で得ることもでき、または、それらの結晶化に使用される他の溶媒を含む。
【0069】
一般的合成スキーム:
本発明の化合物は、以下のスキーム、実施例に記載の方法を使用して、そして、当分野で認知されている技法を使用することにより、合成できる。本明細書に記載のすべての化合物は、本発明に化合物として含まれる。本発明の化合物は、スキーム1−3に記載の方法の少なくとも1つに従って合成し得る。
【0070】
この文書の範囲内で、本発明の化合物の特定の所望の最終生成物の構成要素ではない、容易に除去できるだけの基は、文脈が他のものを示さない限り、「保護基」と呼ばれる。そのような保護基による官能基の保護、保護基自体、および、その開裂反応は、例えば、J. F. W. McOmie, "Protective Groups in Organic Chemistry", Plenum Press, London and New York 1973, in T. W. Greene and P. G. M. Wuts, "Protective Groups in Organic Synthesis", Third edition, Wiley, New York 1999 などの標準的な参考文献に記載されている。
【0071】
少なくとも1個の塩形成基を有する本発明の化合物の塩は、それ自体既知の方法で製造し得る。例えば、酸の基を有する本発明の化合物の塩は、例えば、化合物を、金属化合物、例えば、適する有機カルボン酸のアルカリ金属塩、例えば、2−エチルヘキサン酸のナトリウム塩で、有機アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物、例えば、対応する水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩、例えば、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩で、対応するカルシウム化合物またはアンモニアまたは適する有機アミンで、化学量論的な量または少しだけ過剰の塩形成剤を好ましくは使用して処理することにより、形成し得る。本発明の化合物の酸付加塩は、例えば、化合物を酸または適する陰イオン交換剤で処理することにより、常套の方法で得られる。酸および塩基の塩形成基、例えば、遊離カルボキシ基および遊離アミノ基を含む本発明の化合物の分子内塩は、例えば、酸付加塩などの塩を等電点まで、例えば弱塩基で中和することにより、または、イオン交換剤での処理により、形成し得る。
【0072】
塩は、常套の方法で遊離化合物に変換できる;金属およびアンモニウム塩は、例えば、適する酸での処理により、酸付加塩は、例えば、適する塩基性物質での処理により、変換できる。
【0073】
本発明に従って得られる異性体の混合物は、それ自体既知の方法で、個々の異性体に分離できる;ジアステレオ異性体は、例えば、多相性溶媒混合物間での分割、再結晶および/またはクロマトグラフィー分離により、例えば、シリカゲルで、または、例えば、逆相カラムの中圧液体クロマトグラフィーにより分離でき、ラセミ体は、例えば、光学的に純粋な塩形成反応物質との塩の形成およびかくして得られるジアステレオ異性体の混合物の分離により、例えば、分別再結晶を利用して、または、光学活性カラム材料でのクロマトグラフィーにより、分離できる。
【0074】
中間体および最終生成物は、標準的方法に従って、例えば、クロマトグラフィー的方法、分配方法、(再)結晶などを使用して、後処理および/または精製できる。
【0075】
以下は、一般に、これ以前およびこれ以後に記載のすべての方法に適用される。
すべての上記の工程は、特別に言及するものを含み、それ自体既知の反応条件下で、例えば、使用する反応物質に対して不活性であり、それらを溶解する溶媒または希釈剤を含む、溶媒または希釈剤の非存在下で、または、常套には、存在下で、触媒、縮合剤または中和剤、例えば、イオン交換剤、例えば、陽イオン交換剤、例えば、H+形のものの非存在下または存在下で、反応および/または反応剤の性質に応じて、低温、常温または高温で、例えば、約−100℃ないし約190℃の温度範囲で、例えば、約−80℃ないし約150℃、例えば、−80ないし−60℃で、室温で、−20ないし40℃で、または、還流温度で、大気圧下で、または、密閉容器中で、必要に応じて圧力下で、かつ/または、不活性雰囲気中で、例えば、アルゴンまたは窒素雰囲気下で、実施できる。
【0076】
反応の全段階で、形成される異性体の混合物を、個々の異性体、例えば、ジアステレオ異性体またはエナンチオマー、または任意の所望の異性体混合物、例えば、ラセミ体またはジアステレオ異性体の混合物に、例えば、「さらなる工程」に記載の方法と同様に、分離できる。
【0077】
特定の反応に適する溶媒をそこから選択し得る溶媒群には、特別に言及されるもの、または、例えば、水、エステル、例えば低級アルキル−低級アルカン酸エステル、例えば酢酸エチル、エーテル、例えば脂肪族エーテル、例えばジエチルエーテル、または、環状エーテル、例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン、液体芳香族性炭化水素、例えば、ベンゼンまたはトルエン、アルコール、例えば、メタノール、エタノールまたは1−もしくは2−プロパノール、ニトリル、例えば、アセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンまたはクロロホルム、酸アミド、例えばジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド、塩基、例えば複素環式窒素塩基、例えば、ピリジンまたはN−メチルピロリジン−2−オン、カルボン酸無水物、例えば、低級アルカン酸無水物、例えば無水酢酸、環式、直鎖または分枝鎖の炭化水素、例えば、シクロヘキサン、ヘキサンまたはイソペンタン、メチルシクロヘキサン、または、これらの溶媒の混合物、例えば、水性溶液が含まれる(工程の説明で他に指示されない限り)。そのような溶媒混合物は、例えば、クロマトグラフィーまたは分割による後処理にも使用し得る。
【0078】
化合物は、それらの塩を含めて、水和物の形態で得られてもよく、または、それらの結晶は、例えば、結晶化に使用された溶媒を含み得る。異なる結晶形が存在し得る。
【0079】
本発明は、工程の任意の段階で中間体として得られる化合物を出発物質として使用し、残りの工程を実施するか、または、出発物質を反応条件下で形成させるか、または、誘導体の形態、例えば保護形態または塩の形態で使用するか、または、本発明の方法により得られる化合物を、該方法の条件下で産生し、その場で(in situ)さらに加工する方法の形態にも関する。
【0080】
本発明の化合物の合成に利用されるすべての出発物質、構成要素、反応物質、酸、塩基、脱水剤、溶媒および触媒は、購入できるか、または、当業者に知られている有機合成の方法により製造できる (Houben-Weyl 4th Ed. 1952, Methods of Organic Synthesis, Thieme, Volume 21)。
【0081】
典型的には、式IないしIVによる化合物は、下記に提供されるスキーム1ないし7に従って製造できる。
がヒドロキシである本発明の式I'またはIの化合物は、中間体A(式中、A、R、R、R、Rおよびmは、上記式I'またはIの定義を有し;そして、Pは、メチル、エチルまたはtert−ブチル、または、メトキシベンジルまたはベンジルから選択されるがこれらに限定されない適当な保護基である)の加水分解により製造できる
【化7】

【0082】
標準的な方法は、NaOH、KOHまたはLiOHから選択されるがこれらに限定されない塩基、または、TFA、HClまたはBClから選択されるがこれらに限定されない酸を使用して、中間体Aの加水分解に適用できる。Pがベンジルまたはメトキシベンジルであるとき、好ましい脱保護の方法は、触媒、例えば、パラジウム/炭素(これに限定されない)の存在下での水素化である。
【0083】
いくつかの場合では、中間体Aの加水分解は必要とされない;例えば、中間体Aが、XがO−アルキルである本発明の式I'またはIの化合物であるとき。
【0084】
スキーム1は、中間体Aの合成を例示説明する。中間体Aは、以下のスキーム1に記載の一般的方法に従って製造でき、ここで、A、P、R、R、R、R、R、R、sおよびmは、先に定義した通りである。
【化8】

【0085】
工程1aでは、中間体1A(式中、Pは、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル、ベンジルまたはメトキシベンジルから選択されるがこれらに限定されない適当な保護基であり、LGは、ハロ(例えば、ブロモ、クロロまたはヨード)またはトリフルオロメタンスルホニルオキシから選択されるがこれらに限定されない脱離基である)の、中間体2A(式中、Rおよびmは、先に記載の通りであり、BGは、ボロン酸、トリフルオロボレートまたはボロン酸エステルから選択されるがこれらに限定されない適当な基である)とのクロスカップリングにより、中間体3Aを製造できる。パラジウム種、例えば、限定されないが、Pd(PPh、PdCl(dppf)、Pd(PPhClまたはPd(OAc)を、ホスフィン配位子、例えば、PPh、dppf、PCyまたはP(t−Bu)および塩基、例えば、限定されないが、NaCO、KPO、KCO、KF、CsF、NaO−t−BuまたはKO−t−Buと共に使用する、中間体1Aと中間体2Aの鈴木−宮浦カップリングを含む、既知のカップリング方法を適用し得る。
【0086】
工程2aでは、中間体3A(式中、Pは保護基である、例えば、限定されないが、t−ブチル、メチル、ベンジル、フルオレニルメチル、アリルまたはメトキシベンジルである)の適当な保護、続いて、P基の適当な脱保護により、中間体4Aを製造できる。
【0087】
工程3aでは、中間体4A(式中、R、R、R、s、mおよびPは、先に定義した通りである)を、中間体6A(式中、RおよびPは、先に定義した通りであり、LGは、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ、ヨード、ブロモおよびクロロから選択されるがこれらに限定されない脱離基である)と反応させ、続いて、適当な方法を使用してPを脱保護することにより、中間体5Aを製造できる。あるいは、中間体4Aを、中間体6B(式中、RおよびPは上記定義の通りである)と反応させ、続いて、適当な方法を使用してPを脱保護することにより、中間体5Aを製造できる。塩基、例えば、限定されないが、三級アミン(例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミン)、ピリジンまたはKCOを使用する、中間体4Aの中間体6Aによるアルキル化;または、パラジウム/炭素などの触媒の存在下での水素化、または、還元剤(例えば、NaBH、NaBH(OAc)またはNaBHCN)を、酢酸などの酸、TFAまたはTi(i−PrO)の存在下または非存在下で使用する還元などの条件下での、中間体4Aの中間体6Bによる還元的アミノ化条件を含む、既知のカップリング方法を適用し得る。
【0088】
工程4aでは、中間体5A(式中、P、R、R、R、R、sおよびmは、先に記載した通りである)を、中間体7A(式中、A、RおよびRは、先に記載した通りである)とカップリングすることにより、中間体Aを製造できる。トリホスゲン、カルボニルジイミダゾール、4−ニトロフェニルクロロホルメートまたは炭酸ジスクシンイミジルなどの反応剤を使用する、中間体5Aの対応するオキサゾリジン−2,5−ジオンへの変換、塩化チオニルまたは塩化オキサリルなどの反応剤を使用する中間体5Aの対応する酸ハロゲン化物への変換、または、ClC(O)O−イソブチル、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリドまたはプロピルホスホン酸無水物環状トリマー(T3P)などの反応剤を使用する、中間体5Aの対応する混合無水物への変換を含むがこれらに限定されない、既知のカップリング方法を適用し得、続いて、オキサゾリジン−2,5−ジオン、酸ハロゲン化物または混合無水物を、三級アミン(例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミン)またはKCOなどの塩基の存在下または非存在下で、中間体7Aと反応させる。あるいは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC HCl)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、または、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)を含むがこれらに限定されないペプチド縮合剤を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールまたはジメチルアミノピリジンなどの反応物質の存在下または非存在下で使用して、中間体5Aを中間体7Aとカップリングできる。
【0089】
スキーム2は、中間体5Aの合成を例示説明する。中間体5Aは、また、以下のスキーム2に記載の方法に従って製造でき、ここで、BG、LG、LG、P、P、R、Rおよびmは、先に定義した通りである。
【化9】

【0090】
工程1bでは、中間体8A(式中、LG、R、R、sおよびPは、先に記載した通りである)を、中間体6A(式中、R、PおよびLGは、先に記載した通りである)と反応させ、続いて、保護基Pを適切に脱保護することにより、中間体9Aを製造できる。あるいは、中間体8Aを中間体6B(式中、PおよびRは、先に記載した通りである)と反応させ、続いて、保護基Pを適切に脱保護することにより、中間体9Aを製造できる。塩基、例えば、限定ではないが、三級アミン(例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミン)、ピリジンまたはKCOを使用する、中間体6Aによる中間体8Aのアルキル化、または、パラジウム/炭素などの触媒の存在下での水素化、または、酢酸などの酸、TFA、またはTi(i−PrO)の存在下または非存在下で、還元剤(例えば、NaBH、NaBH(OAc)またはNaBHCN)を使用する還元などの条件下で、中間体6Bによる中間体8Aの還元的アミノ化条件を含む、既知の反応方法を適用し得る。
【0091】
工程2bでは、中間体9A(式中、LG、P、R、R、Rおよびs)を、中間体2A(式中、BG、mおよびRは、先に記載した通りである)とクロス−カップリングすることにより、中間体5Aを製造できる。パラジウム種、例えば、限定されないが、Pd(PPh、PdCl(dppf)またはPd(OAc)を、ホスフィン配位子、例えば、PPh、dppf、PCyまたはP(t−Bu)および塩基、例えば、限定されないが、NaCO、KPO、KCO、KF、CsF、NaO−t−BuまたはKO−t−Buと共に使用する、中間体9Aと中間体2Aの鈴木−宮浦カップリングを含む、既知のカップリング方法を適用し得る。
【0092】
中間体9Aは、スキーム3に記載の以下の一般的方法に従って製造することもでき、ここで、LG、P、P、R、R、Rおよびsは、先に記載した通りである。
【化10】

【0093】
工程1cでは、中間体10A(式中、LG、R、sおよびPは、先に記載した通りである)の、中間体11A(式中、P、RおよびRは、先に記載した通りである)による還元的アミノ化により、中間体9Aを製造できる。例えば、限定ではないが、パラジウム/炭素などの触媒の存在下での水素化、または、反応物質、例えば、限定ではないが、NaBH、NaBH(OAc)またはNaBHCNを、酢酸などの酸、TFAまたはTi(i−PrO)の存在下または非存在下で使用する還元などの条件を含む、既知の還元的アミノ化方法を適用し得る。中間体10Aは、報告された方法に従って製造できる。この化学の例示説明的実施例は、WO2006015885に概説されている。
【0094】
中間体5Aは、スキーム4に記載の以下の一般的方法に従って製造することもでき、ここで、m、P、P、RおよびRは、先に記載した通りである。
【化11】

【0095】
工程1dでは、中間体12A(式中、m、P、R、R、s、mおよびRは、先に記載した通りである)の中間体11A(式中、P、RおよびRは、先に記載した通りである)による還元的アミノ化により、中間体5Aを製造できる。例えば、限定ではないが、パラジウム/炭素などの触媒の存在下での水素化、または、反応物質、例えば、限定ではないが、NaBH、NaBH(OAc)またはNaBHCNを、酢酸などの酸、TFAまたはTi(i−PrO)の存在下または非存在下で使用する還元などの条件を含む、既知の還元的アミノ化方法を適用し得る。中間体12Aは、報告された方法に従って製造できる。この化学の例示説明的実施例は、WO2006015885に概説されている。
【0096】
中間体Aをスキーム5に記載の以下の方法に従って製造することもでき、ここで、A、LG、P、P、R、R、R、R、R、R、sおよびmは、先に記載した通りである。
【化12】

【0097】
工程1eでは、中間体3Aを、中間体7Aとカップリングすることにより、中間体13Aを製造できる。トリホスゲン、カルボニルジイミダゾール、4−ニトロフェニルクロロホルメートまたは炭酸ジスクシンイミジルなどの反応剤を使用する、中間体3Aの対応するオキサゾリジン−2,5−ジオンへの変換、塩化チオニルまたは塩化オキサリルなどの反応剤を使用する中間体3Aの対応する酸ハロゲン化物への変換、または、ClC(O)O−イソブチルまたは2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリドなどの反応剤を使用する、中間体3Aの対応する混合無水物への変換を含むがこれらに限定されない、既知のカップリング方法を適用し得、続いて、オキサゾリジン−2,5−ジオン、酸ハロゲン化物または混合無水物を、三級アミン(例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミン)またはKCOなどの塩基の存在下または非存在下で、中間体7Aと反応させ、P保護基を適当に脱保護する。あるいは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC HCl)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、または、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)を含むがこれらに限定されないペプチド縮合剤を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールまたはジメチルアミノピリジンなどの反応物の存在下または非存在下で使用して、中間体3Aを中間体7Aとカップリングでき、続いて、P保護基を適当に脱保護する。
【0098】
工程2eでは、中間体13Aを中間体6A(式中、LGは、先に記載した通りである)と反応させることにより、中間体Aを製造できる。あるいは、中間体13Aを中間体6Bと反応させることにより、中間体Aを製造できる。塩基、例えば、限定ではないが、三級アミン(例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミン)、ピリジンまたはKCOを使用する、中間体6Aによる中間体13Aのアルキル化、または、パラジウム/炭素などの触媒の存在下での水素化、または、酢酸などの酸、TFA、またはTi(i−PrO)の存在下または非存在下で、反応剤、例えば、限定ではないが、NaBH、NaBH(OAc)またはNaBHCNを使用する還元など(これらに限定されない)の条件下で、中間体6Bによる中間体13Aの還元的アミノ化を含む、既知の反応方法を適用し得る。
【0099】
中間体Aは、スキーム6に記載の以下の方法に従って製造することもでき、ここで、A、BG、LG、P、R、R、R、R、R、R、sおよびmは、先に記載した通りである。
【化13】

【0100】
工程1fでは、中間体9A(式中、LG、P、R、R、m、sおよびRは、先に記載した通りである)を、中間体7Aとカップリングすることにより、中間体14Aを製造できる。トリホスゲン、カルボニルジイミダゾール、4−ニトロフェニルクロロホルメートまたは炭酸ジスクシンイミジルなどの反応剤を使用する、中間体9Aの対応するオキサゾリジン−2,5−ジオンへの変換、塩化チオニルまたは塩化オキサリルなどの反応剤を使用する中間体9Aの対応する酸ハロゲン化物への変換、または、ClC(O)O−イソブチルまたは2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリドなどの反応剤を使用する、中間体9Aの対応する混合無水物への変換を含むがこれらに限定されない、既知のカップリング方法を適用し得、続いて、オキサゾリジン−2,5−ジオン、酸ハロゲン化物または混合無水物を、三級アミン(例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミン)またはKCOなどの塩基の存在下または非存在下で、中間体7Aと反応させる。あるいは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC HCl)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、または、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)を含むがこれらに限定されないペプチド縮合剤を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールまたはジメチルアミノピリジンなどの反応物の存在下または非存在下で使用して、中間体9Aを中間体7Aとカップリングできる。
【0101】
工程2fでは、中間体14A(式中、A、LG、P、R、R、R、R、m、sおよびRは、先に記載した通りである)を、中間体2A(式中、R、mおよびBGは、先に記載した通りである)とクロス−カップリングすることにより、中間体Aを製造できる。パラジウム種、例えば、限定されないが、Pd(PPh、PdCl(dppf)またはPd(OAc)を、ホスフィン配位子、例えば、PPh、dppf、PCyまたはP(t−Bu)および塩基、例えば、限定されないが、NaCO、KPO、KCO、KF、CsF、NaO−t−BuまたはKO−t−Buと共に使用する、中間体14Aと中間体2Aの鈴木−宮浦カップリングを含む、既知のカップリング方法を適用し得る。
【0102】
スキーム7に記載の以下の方法により中間体14Aを製造することもでき、ここで、A、LG、LG、P、P、R、R、R、R、R、R、sおよびmは、先に記載した通りである。
【化14】

【0103】
工程1gでは、中間体1A(式中、P、R、R、sおよびLGは、先に記載した通りである)を、中間体7A(式中、A、RおよびRは、先に記載した通りである)とカップリングし、続いて保護基Pを適当に脱保護することにより、中間体15Aを製造できる。トリホスゲン、カルボニルジイミダゾール、4−ニトロフェニルクロロホルメートまたは炭酸ジスクシンイミジルなどの反応剤を使用する、中間体1Aの対応するオキサゾリジン−2,5−ジオンへの変換、塩化チオニルまたは塩化オキサリルなどの反応剤を使用する中間体1Aの対応する酸ハロゲン化物への変換、または、ClC(O)O−イソブチルまたは2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリドなどの反応剤を使用する、中間体1Aの対応する混合無水物への変換を含むがこれらに限定されない、既知のカップリング方法を適用し得、続いて、オキサゾリジン−2,5−ジオン、酸ハロゲン化物または混合無水物を、三級アミン(例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミン)またはKCOなどの塩基の存在下または非存在下で、中間体7Aと反応させる。あるいは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC HCl)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、または、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)を含むがこれらに限定されないペプチド縮合剤を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールまたはジメチルアミノピリジンなどの反応物質の存在下または非存在下で使用して、中間体1Aを中間体7Aとカップリングできる。
【0104】
工程2gでは、中間体15A(式中、A、LG、R、R、R、sおよびRは、先に定義した通りである)を、中間体6A(式中、R、PおよびLGは、先に定義した通りである)と反応させることにより、中間体14Aを製造できる。あるいは、中間体15A(式中、A、LG、R、R、R、sおよびRは、先に定義した通りである)を、中間体6B(式中、RおよびPは、先に記載した通りである)と反応させることにより、中間体14Aを製造できる。塩基、例えば、限定ではないが、三級アミン(例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミン)、ピリジンまたはKCOを使用する、中間体6Aによる中間体15Aのアルキル化、または、パラジウム/炭素などの触媒の存在下での水素化、または、酢酸などの酸、TFAまたはTi(i−PrO)の存在下または非存在下で、反応剤、例えば、限定ではないが、NaBH、NaBH(OAc)またはNaBHCNを使用する還元など(限定ではない)の条件下で、中間体6Bによる中間体15Aの還元的アミノ化を含む、既知の反応方法を適用し得る。
【0105】
本発明は、さらに、本方法のいかなる変法も含み、それらの変法では、任意の段階で得られる中間生成物を出発物質として使用し、残りの工程を実施するか、または、出発物質を反応条件下にてその場で形成させるか、または、反応の成分をそれらの塩形態または光学的に純粋な鏡像体で使用する。
本発明の化合物および中間体は、また、当業者に一般的に知られている方法に従って、相互に変換できる。
【0106】
他の態様では、本発明は、本発明の化合物またはその医薬的に許容し得る塩、および、1種またはそれ以上の医薬的に許容し得る担体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、経口投与、非経腸投与および直腸投与などの特定の投与経路のために製剤化できる。加えて、本発明の医薬組成物は、固体形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤または坐剤を、限定せずに含む)、または、液体形態(液剤、懸濁液または乳剤を、限定せずに含む)で製造できる。医薬組成物は、滅菌などの常套の医薬的操作に付すことができ、かつ/または、常套の不活性な希釈剤、滑沢剤、緩衝化剤、並びに、保存料、安定化剤、湿潤剤、乳化剤およびバッファーなどの補助剤を含有し得る。
【0107】
典型的には、医薬組成物は、錠剤またはゼラチンカプセル剤であり、
a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤には、また、
c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン;所望により、
d)崩壊剤、例えば、デンプン、アガー、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または、発泡性混合物;および/または、
e)吸収剤、着色料、香味料および甘味料、
と共に有効成分を含む。
錠剤は、当分野で知られている方法に従い、フィルム被覆または腸溶性被覆されていてもよい。
【0108】
経口投与に適する組成物は、錠剤、トローチ剤、水性または油性懸濁剤、分散可能な散剤または顆粒剤、乳剤、ハードまたはソフトカプセル剤、または、シロップ剤またはエリキシル剤の形態で、本発明の化合物の有効量を含む。経口投与を企図する組成物は、医薬組成物の製造のために当分野で知られている任意の方法に従って製造され、そのような組成物は、医薬的に美しく、美味な製剤を提供するために、甘味料、香味料、着色料および保存料からなる群から選択される1種またはそれ以上の物質を含有できる。錠剤は、錠剤の製造に適する非毒性の医薬的に許容し得る賦形剤との混合物中に、有効成分を含有し得る。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えば、コーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア;および、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。錠剤は、被覆されていないか、または、胃腸管での崩壊および吸収を遅らせ、それにより長期間にわたり持続的作用をもたらす既知の技法により被覆されている。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの遅延物質を用い得る。経口使用のための製剤は、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されているハードゼラチンカプセル剤として、または、有効成分が水または油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油と混合されているソフトゼラチンカプセル剤として、提示され得る。
【0109】
ある種の注射可能な組成物は、水性等張液剤または懸濁剤であり、坐剤は、脂肪性乳液または懸濁液から有利に製造される。該組成物は、滅菌され得、かつ/または、保存料、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調整するための塩および/またはバッファーなどの補助剤を含有し得る。加えて、それらは、他の治療的に価値ある物質も含有し得る。該組成物は、常套の混合、造粒または被覆の方法に従って各々製造され、有効成分を約0.1−75%含有するか、または、約1−50%含有する。
【0110】
経皮適用に適する組成物は、有効量の本発明の化合物を、適する担体と共に含む。経皮送達に適する担体には、宿主の皮膚を介する通過を補助するために、吸収性の薬理的に許容し得る溶媒が含まれる。例えば、経皮用装置は、裏当て膜を含む絆創膏、場合により担体と、場合により、長期間にわたり、制御され、予め定められた速度で化合物を宿主の皮膚に送達するための速度制御障壁と、そして、皮膚に装置を固定する手段と共に化合物を含有する、リザーバーの形態である。
【0111】
例えば皮膚および眼への局所投与に適する組成物には、水性液剤、懸濁剤、軟膏、クリーム、ゲルまたは噴霧可能な製剤、例えば、エアロゾルによる送達用のものなどが含まれる。そのような局所送達システムは、特に、皮膚投与に適するであろう。従って、それらは、局所使用に特に適しており、当分野で周知の化粧用製剤を含む。そのようなものは、可溶化剤、安定化剤、浸透圧増強剤、バッファーおよび保存料を含有し得る。
【0112】
本明細書で使用するとき、局所投与は、吸入または鼻腔内投与にも関し得る。それらは、乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末(単独で、または、混合物、例えば、ラクトースとの乾燥配合物、または、例えばリン脂質と、成分が混合された粒子として)、または、適する噴霧剤の使用を伴うか、または伴わない、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で、便利に送達され得る。
【0113】
水はある種の化合物の分解を助長し得るので、本発明は、さらに、本発明の化合物を有効成分として含む無水医薬組成物および投与形を提供する。
本発明の無水医薬組成物および投与形は、無水または低水分含有の成分を使用して、低水分または低湿度の条件で製造できる。無水医薬組成物は、その無水の性質を維持するように製造および保存し得る。従って、無水組成物は、水への曝露を防止すると知られている材料を使用して、それらが適当な製剤キットに含まれ得るように包装する。適する包装の例には、気密性に密封されたホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパックおよびストリップパックが含まれるが、これらに限定されない。
【0114】
本発明は、さらに、有効成分としての本発明の化合物が崩壊する速度を低減する1種またはそれ以上の物質を含む医薬組成物および投与形を提供する。本明細書で「安定化剤」と呼ばれるそのような物質には、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pHバッファーまたは塩バッファーなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0115】
遊離形または医薬的に許容し得る塩の形態の式IないしIVのいずれかに従う化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩は、価値ある薬理的特性、例えば、次のセクションで提供されるインビトロおよびインビボ試験で示されるものなどの、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11を調節する特性を発揮し、従って治療用に指示される。
【0116】
本発明の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩は、高血圧症、抵抗性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、収縮期高血圧症、末梢血管疾患、心不全、うっ血性心不全、左室肥大、狭心症、腎機能不全(糖尿病性または非糖尿病性)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、糖尿病性腎症、非糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎疾患の蛋白尿症、腎血管性高血圧症、糖尿病網膜症および末期腎疾患(ESRD)、内皮障害、拡張障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラークの安定化、心筋梗塞(MI)、腎線維症、多発性嚢胞腎疾患(PKD)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、周期性浮腫、メニエール病、高アルドステロン症(原発性および続発性)および高カルシウム尿症、腹水症、緑内障、月経障害、早期分娩、妊娠子癇、子宮内膜症および生殖の障害(特に、雄性および雌性の不妊症、多嚢胞性卵巣症候群、着床不全)、喘息、閉塞性睡眠時無呼吸、炎症、白血病、疼痛、てんかん、うつ病などの感情障害、並びに、認知症および老齢期のせん妄などの精神病性症状、肥満症および胃腸疾患(特に、下痢症および過敏性腸症候群)、創傷治癒(特に、糖尿病性および静脈性潰瘍並びに褥瘡)、敗血症性ショック、胃酸分泌不全、高レニン血症、嚢胞性線維症、再狭窄、2型糖尿病、代謝症候群、糖尿病合併症およびアテローム動脈硬化症、雄性および雌性の性機能不全から選択される適応症の処置に有用であり得る。従って、さらなる実施態様として、本発明は、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩の使用を提供する。さらなる実施態様では、治療は、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性と関連する疾患から選択される。他の実施態様では、疾患は上記のリストから選択され、適するのは、高血圧症、抵抗性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、収縮期高血圧症、末梢血管疾患、心不全、うっ血性心不全、左室肥大、狭心症、腎機能不全、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、糖尿病性腎症、非糖尿病性腎症、2型糖尿病および糖尿病の合併症であり、最も適するのは、高血圧症、浮腫を含む腎機能不全およびうっ血性心不全などの心血管障害である。
【0117】
従って、さらなる実施態様として、本発明は、治療における式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩の使用を提供する。さらなる実施態様では、治療は、中性エンドペプチダーゼEC.3.4.24.11活性の阻害により処置し得る疾患から選択される。
【0118】
他の実施態様では、本発明は、治療的に許容し得る量の式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性と関連する疾患の処置方法を提供する。さらなる実施態様では、疾患は上記のリストから選択され、適するのは、高血圧症、抵抗性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、収縮期高血圧症、末梢血管疾患、心不全、うっ血性心不全、左室肥大、狭心症、腎機能不全、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、糖尿病性腎症、非糖尿病性腎症、2型糖尿病および糖尿病の合併症であり、最も適するのは、高血圧症、浮腫を含む腎機能不全およびうっ血性心不全などの心血管障害である。
【0119】
本発明の医薬組成物または組合せは、約50−70kgの対象に約1−1000mgの有効成分、または、約1−500mgまたは約1−250mgまたは約1−150mgまたは約0.5−100mgまたは約1−50mgの有効成分の単位用量であり得る。化合物、その医薬組成物または組合せの治療的に有効な投与量は、対象の種、体重、年齢および個体の状態、処置される障害または疾患またはその重篤度に応じて決まる。通常の技術を有する医師、臨床医または獣医師は、障害または疾患の進行を防止、処置または阻害するのに必要な各有効成分の有効量を容易に決定できる。
【0120】
本発明の医薬組成物または組合せは、約50−70kgの対象に約1−1000mgの有効成分、または、約1−500mgまたは約1−250mgまたは約1−150mgまたは約0.5−100mgまたは約1−50mgの有効成分の単位用量であり得る。化合物、その医薬組成物または組合せの治療的に有効な投与量は、対象の種、体重、年齢および個体の状態、処置される障害または疾患またはその重篤度に応じて決まる。通常の技術を有する医師、臨床医または獣医師は、障害または疾患の進行を防止、処置または阻害するのに必要な各有効成分の有効量を容易に決定できる。
【0121】
上記の投与量の特性は、有利には哺乳動物、例えば、マウス、ラット、イヌ、サルまたは単離された器官、組織およびそれらの調製物を使用する、インビトロおよびインビボの試験で立証できる。本発明の化合物は、インビトロで、液体、例えば水性液体の形態で、そして、インビボで、例えば、懸濁液または水性溶液として、経腸で、非経腸で、有利には静脈内で、適用できる。インビトロの投与量は、約10−3モル濃度ないし10−9モル濃度の範囲にあり得る。インビボの治療的有効量は、投与経路に依存し、約0.1−500mg/kgまたは約1−100mg/kgの範囲にあり得る。
【0122】
本発明による化合物の活性は、以下のインビトロおよびインビボの方法により、かつ/または、当分野で十分に説明された以下のインビトロおよびインビボの方法により、評価できる。A fluorescence lifetime-based assay for protease inhibitor profiling on human kallikrein 7 Doering K, Meder G, Hinnenberger M, Woelcke J, Mayr LM, Hassiepen U Biomol Screen. 2009 Jan; 14(1):1-9 参照。
【0123】
特に、組換えヒト中性エンドペプチダーゼ(NEP、EC3.4.24.11)のインビトロ阻害は、以下の通りに測定できる:
組換えヒト中性エンドペプチダーゼ(昆虫細胞に発現させ、標準的な方法を使用して精製する、最終濃度7pM)を、様々な濃度の試験化合物と、1時間、室温で、150mMNaClおよび0.05%(w/v)CHAPSを含有する10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.4)中で、予めインキュベートする。最終濃度0.7μMの合成ペプチド基質Cys(PT14)−Arg−Arg−Leu−Trp−OHの添加により、酵素反応を開始する。基質の加水分解は、Doering et al. (2009) に記載された通り、FLTリーダーを利用して測定されるPT14の蛍光寿命(FLT)の増加を導く。酵素活性に対する化合物の効果を、室温で1時間(t=60分)のインキュベーションの後に測定した。阻害剤の非存在下で測定されるFLT値の50%の減少を示す阻害剤濃度に相当するIC50値を、非線形回帰分析ソフトウェアを使用して、阻害割合対阻害剤濃度のプロットから算出する。
【0124】
試験アッセイ(上記の通り)を使用して、本発明の化合物は、下記の表1による阻害効力を示した。
表1 化合物の阻害活性
【表1】

【0125】
本発明の化合物は、1種またはそれ以上の他の治療剤と同時に、または、その前または後に、投与し得る。本発明の化合物は、他の治療剤と同一かまたは異なる投与経路で別個に、または、同じ医薬組成物中で一緒に、投与し得る。
【0126】
ある実施態様では、本発明は、治療において同時に、別個に、または連続的に使用するための、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩、および、少なくとも1種の他の治療剤を組合せ製剤として含む製品を提供する。ある実施態様では、治療は、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する疾患または症状の処置である。
【0127】
組合せ製剤として提供される製品は、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩および他の治療剤を、同じ医薬組成物中に一緒に、または、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩および他の治療剤を、別個の形態で、例えばキットの形態で含む組成物を含む。
【0128】
ある実施態様では、本発明は、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩、および、他の治療剤を含む医薬組成物を提供する。場合により、医薬組成物は、上記の医薬的に許容し得る賦形剤を含み得る。
【0129】
ある実施態様では、本発明は、2種またはそれ以上の別個の医薬組成物を含み、その少なくとも1つが式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩を含有するキットを提供する。ある実施態様では、キットは、該組成物を別個に保持するための手段、例えば、容器、分離したビンまたは分離したホイル小包を含む。そのようなキットの一例は、錠剤、カプセル剤などの包装に典型的に使用されるブリスターパックである。
【0130】
本発明のキットは、異なる投与形(例えば経口および非経腸)を投与するために、別個の組成物を異なる投薬間隔で投与するために、または、相互に対して別個の組成物を用量設定するために、使用し得る。服薬遵守を補助するために、本発明のキットは、典型的には投与のための指示を含む。
【0131】
本発明の組合せ治療では、本発明の化合物および他の治療剤は、同一または異なる製造業者により製造および/または製剤化されたものであり得る。さらに、本発明の化合物および他の治療剤は、組合せ治療のために、(i)医師に組合せ製品を発売する前に(例えば、本発明の化合物および他の治療剤を含むキットの場合);(ii)医師自身により(または、医師の指導下で)投与の直前に;(iii)患者自身により、例えば、本発明の化合物および他の治療剤の連続投与の際に、一緒にし得る。従って、本発明は、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する疾患または症状を処置するための式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩の使用を提供し、その医薬は、他の治療剤と共に投与するために製造される。本発明は、また、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する疾患または症状を処置するための他の治療剤の使用を提供し、その医薬は、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩と共に投与される。
【0132】
本発明は、また、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する疾患または症状の処置方法において使用するための式I'、I、III、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩を提供し、ここで、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩は、他の治療剤と共に投与するために製造される。本発明は、また、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する疾患または症状の処置方法において使用するための他の治療剤を提供し、ここで、他の治療剤は、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩と共に投与するために製造される。本発明は、また、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する疾患または症状の処置方法において使用するための式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩を提供し、ここで、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩は、他の治療剤と共に投与される。本発明は、また、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する疾患または症状の処置方法において使用するための他の治療剤を提供し、ここで、他の治療剤は、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩と共に投与される。
【0133】
本発明は、また、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する疾患または症状を処置するための式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩の使用を提供し、ここで、患者は、過去に(例えば、24時間以内に)、他の治療剤で処置されている。本発明は、また、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する疾患または症状を処置するための他の治療剤の使用を提供し、ここで患者は、過去に(例えば、24時間以内に)、式I'、I、II、IIIまたはIVの化合物またはその医薬的に許容し得る塩で処置されている。
【0134】
ある実施態様では、他の治療剤は、以下から選択される:
ある実施態様では、他の治療剤は、HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB、アンジオテンシンII受容体拮抗薬)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬(CCB)、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、利尿剤、ApoA−I模倣薬、抗糖尿病薬、肥満低減剤、アルドステロン受容体遮断薬、エンドセリン受容体遮断薬、アルドステロンシンターゼ阻害剤(ASI)、CETP阻害剤およびホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤から選択される。
【0135】
第2の物質または処置「と組み合わせて」の用語は、本発明の化合物(例えば、式I−IVのいずれかの化合物またはその他で本明細書に記載の化合物)を第2の物質または処置と同時に投与すること、本発明の化合物を先に投与し、続いて第2の物質または処置を与えること、および、第2の物質または処置を先に与え、続いて本発明の化合物を投与することを含む。
【0136】
用語「第2の物質」には、本明細書に記載の疾患または障害、例えば、中性エンドペプチダーゼの阻害に応答する障害または疾患、例えば、高血圧症、抵抗性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、収縮期高血圧症、末梢血管疾患、心不全、うっ血性心不全、左室肥大、狭心症、腎機能不全(糖尿病性または非糖尿病性)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、糖尿病性腎症、非糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎疾患の蛋白尿症、腎血管性高血圧症、糖尿病網膜症および末期腎疾患(ESRD)、内皮障害、拡張障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラークの安定化、心筋梗塞(MI)、腎線維症、多発性嚢胞腎疾患(PKD)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、周期性浮腫、メニエール病、高アルドステロン症(原発性および続発性)および高カルシウム尿症、腹水症、緑内障、月経障害、早期分娩、妊娠子癇、子宮内膜症および生殖の障害(特に、雄性および雌性の不妊症、多嚢胞性卵巣症候群、着床不全)、喘息、閉塞性睡眠時無呼吸、炎症、白血病、疼痛、てんかん、うつ病などの感情障害、並びに、認知症および老齢期のせん妄などの精神病性症状、肥満症および胃腸疾患(特に、下痢症および過敏性腸症候群)、創傷治癒(特に、糖尿病性および静脈性潰瘍並びに褥瘡)、敗血症性ショック、胃酸分泌不全の調整、高レニン血症の処置、嚢胞性線維症、再狭窄、2型糖尿病、代謝症候群、糖尿病合併症およびアテローム動脈硬化症、雄性および雌性の性機能不全の症状を処置、予防または低減すると当業者に知られている任意の物質が含まれる。
【0137】
第2の物質の例には、HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬(CCB)、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、利尿剤、ApoA−I模倣薬、抗糖尿病薬、肥満低減剤、アルドステロン受容体遮断薬、エンドセリン受容体遮断薬、アルドステロンシンターゼ阻害剤(ASI)およびCETP阻害剤が含まれる。
【0138】
用語「HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤」(ベータ−ヒドロキシ−ベータ−メチルグルタリル−補酵素Aレダクターゼ阻害剤とも呼ばれる)には、血中のコレステロールを含む脂質レベルを下げるために使用し得る活性物質が含まれる。例には、アトルバスタチン、セリバスタチン、コンパクチン、ダルバスタチン、ジヒドロコンパクチン、フルインドスタチン(fluindostatin)、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、リバスタチン(rivastatin)、シンバスタチンおよびベロスタチン(velostatin)またはそれらの医薬的に許容し得る塩が含まれる。
【0139】
用語「ACE−阻害剤」(アンジオテンシン変換酵素阻害剤とも呼ばれる)には、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの酵素的分解を妨害する分子が含まれる。そのような化合物は、血圧の制御およびうっ血性心不全の処置に使用し得る。例には、アラセプリル、ベナゼプリル、ベナゼプリラート、カプトプリル、セロナプリル(ceronapril)、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナプリラト(enaprilat)、ホシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モベルトプリル(moveltopril)、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリルおよびトランドラプリルまたはそれらの医薬的に許容し得る塩が含まれる。
【0140】
用語「エンドセリンアンタゴニスト」には、ボセンタン(EP526708A参照)、テゾセンタン(WO96/19459参照)またはそれらの医薬的に許容し得る塩が含まれる。
【0141】
用語「レニン阻害剤」には、ジテキレン(ditekiren)(化学名:[1S−[1R*,2R*,4R*(1R*,2R*)]]−1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−L−プロリル−L−フェニルアラニル−N−[2−ヒドロキシ−5−メチル−1−(2−メチルプロピル)−4−[[[2−メチル−1−[[(2−ピリジニルメチル)アミノ]カルボニル]ブチル]アミノ]カルボニル]ヘキシル]−N−アルファ−メチル−L−ヒスチジンアミド);テルラキレン(terlakiren)(化学名:[R−(R*,S*)]−N−(4−モルホリニルカルボニル)−L−フェニルアラニル−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2−ヒドロキシ−3−(1−メチルエトキシ)−3−オキソプロピル]−S−メチル−L−システインアミド);アリスキレン(化学名:(2S,4S,5S,7S)−5−アミノ−N−(2−カルバモイル−2,2−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−7−{[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)フェニル]メチル}−8−メチル−2−(プロパン−2−イル)ノナンアミド)およびザンキレン(zankiren)(化学名:[1S−[1R*[R*(R*)],2S*,3R*]]−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2,3−ジヒドロキシ−5−メチルヘキシル]−アルファ−[[2−[[(4−メチル−1−ピペラジニル)スルホニル]メチル]−1−オキソ−3−フェニルプロピル]−アミノ]−4−チアゾールプロパンアミド)、または、その塩酸塩、または、SPP630、SPP635およびSPP800(Speedel により開発)、または、式(A)および(B):
【化15】

のRO66−1132およびRO66−1168、または、それらの医薬的に許容し得る塩が含まれる。
【0142】
用語「アリスキレン」は、特別に定義されていなければ、遊離塩基として、そして、その塩、特に、その医薬的に許容し得る塩、最も好ましくは、そのヘミ−フマル酸塩としての両方で理解されるべきである。
【0143】
アンジオテンシンII受容体拮抗薬またはその医薬的に許容し得る塩は、アンジオテンシンII受容体のAT−受容体サブタイプに結合するが、受容体の活性化をもたらさない有効成分であると理解される。AT受容体の阻害の結果として、これらの拮抗薬は、例えば、降圧剤として、または、うっ血性心不全の処置に用いることができる。
【0144】
AT受容体拮抗薬のクラスは、様々な構造的特徴を有する化合物を含み、本質的に好ましいのは、非ペプチド性のものである。例えば、バルサルタン、ロサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、サプリサルタン(saprisartan)、タソサルタン、テルミサルタン、名称E−1477を有する下式
【化16】

の化合物、名称SC−52458を有する下式
【化17】

の化合物、名称ZD−8731を有する下式
【化18】

の化合物、または、各場合でそれらの医薬的に許容し得る塩からなる群から選択される化合物を挙げ得る。
【0145】
好ましいAT−受容体拮抗薬は、販売されたこれらの物質であり、最も好ましくは、バルサルタンまたはその医薬的に許容し得る塩である。
【0146】
用語「カルシウムチャネル遮断薬(CCB)」には、ジヒドロピリジン(DHP)類および非DHP類(例えば、ジルチアゼム型およびベラパミル型CCB)が含まれる。例には、アムロジピン、フェロジピン、リヨシジン(ryosidine)、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルジピン、ニルジピン(niludipine)、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピンおよびニバルジピン(nivaldipine)が含まれ、好ましくは、フルナリジン、プレニラミン、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、アニパミル(anipamil)、チアパミルおよびベラパミルからなる群から選択される非DHPの代表例、または、その医薬的に許容し得る塩である。CCBは、降圧剤、抗狭心症薬または抗不整脈薬として使用し得る。
【0147】
用語「利尿剤」には、チアジド誘導体(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メチクロチアジドおよびクロルタリドン)が含まれる。
用語「ApoA−I模倣薬」には、D4Fペプチド(例えば、式D−W−F−K−A−F−Y−D−K−V−A−E−K−F−K−E−A−F)が含まれる。
【0148】
用語「抗糖尿病薬」には、膵臓のβ−細胞からのインシュリンの分泌を促進するインシュリン分泌増強剤が含まれる。例には、ビグアナイド誘導体(例えば、メトホルミン)、スルホニルウレア類(SU)(例えば、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、4−クロロ−N−[(1−ピロリジニルアミノ)カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド(グリコピラミド(glycopyramide))、グリベンクラミド(グリブリド)、グリクラジド、1−ブチル−3−メタニリルウレア、カルブタミド、グリボルヌリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブチアゾール(glybuthiazol)、グリブゾール、グリヘキサミド(glyhexamide)、グリミジン、グリピナミド(glypinamide)、フェンブタミド(phenbutamide)およびトリルシクラミド(tolylcyclamide))またはそれらの医薬的に許容し得る塩が含まれる。さらなる例には、式
【化19】

のフェニルアラニン誘導体(例えば、ナテグリニド[N−(trans−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)−D−フェニルアラニン](EP196222およびEP526171参照));レパグリニド[(S)−2−エトキシ−4−{2−[[3−メチル−1−[2−(1−ピペリジニル)フェニル]ブチル]アミノ]−2−オキソエチル}安息香酸](EP589874、EP147850A2、特に、61頁の実施例11、および、EP207331A1参照);カルシウム(2S)−2−ベンジル−3−(cis−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)−ピロピオネート二水和物(例えば、ミチグリニド(EP507534参照));および、グリメピリド(EP31058参照)が含まれる。さらなる例には、DPP−IV阻害剤、GLP−1およびGLP−1アゴニストが含まれる。
【0149】
DPP−IVは、GLP−1の不活性化を担う。特に、DPP−IVは、GLP−1受容体アンタゴニストを生成させ、それによりGLP−1への生理的応答を短縮する。GLP−1は、膵臓のインシュリン分泌の主要な刺激因子であり、グルコースの処理に直接的に有利な作用を有する。
【0150】
DPP−IV阻害剤は、ペプチド性であり得るか、好ましくは、非ペプチド性であり得る。DPP−IV阻害剤は、各場合で、一般的に、そして、特定されて、例えば、WO98/19998、DE19616486A1、WO00/34241およびWO95/15309に、各場合で、特に、化合物の特許請求の範囲および実施例の最終生成物において開示されており、最終生成物の主題、医薬製剤および特許請求の範囲を、これらの刊行物の参照により本願の一部とする。好ましいのは、WO98/19998の実施例3およびWO00/34241の実施例1に各々特定して開示されている化合物である。
【0151】
GLP−1は、例えば、W.E. Schmidt らにより、Diabetologia, 28, 1985, 704-707 およびUS5,705,483に記載されている、インシュリン分泌性タンパク質である。
用語「GLP−1アゴニスト」には、特に、US5,120,712、US5,118666、US5,512,549、WO91/11457および C. Orskov らにより J. Biol. Chem. 264 (1989) 12826 に開示されている、GLP−1(7−36)NHの変異体およびアナログが含まれる。さらなる例には、化合物中でArg36のカルボキシ末端のアミド官能基が、GLP−1(7−36)NH分子の37番目の位置のGlyにより置き換えられているGLP−1(7−37)、および、GLN−GLP−1(7−37)、D−GLN−GLP−1(7−37)、アセチルLYS−GLP−1(7−37)、LYS18−GLP−1(7−37)、および、特に、GLP−1(7−37)OH、VAL−GLP−1(7−37)、GLY−GLP−1(7−37)、THR−GLP−1(7−37)、MET−GLP−1(7−37)および4−イミダゾプロピオニル−GLP−1を含むその変異体およびアナログが含まれる。特に好ましいのは、また、Greig らにより Diabetologia 1999, 42, 45-50 に記載されたGLPアゴニストアナログのエキセンディン−4である。
【0152】
損なわれたインシュリン受容体機能を回復させてインシュリン耐性を低減し、結果的にインシュリン感受性を増強する、インシュリン感受性増強剤も、「抗糖尿病薬」の定義に含まれる。例には、血糖降下性チアゾリジンジオン誘導体(例えば、グリタゾン、(S)−((3,4−ジヒドロ−2−(フェニル−メチル)−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)メチル−チアゾリジン−2,4−ジオン(エングリタゾン)、5−{[4−(3−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−1−オキソプロピル)−フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ダルグリタゾン)、5−{[4−(1−メチル−シクロヘキシル)メトキシ)−フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(シグリタゾン)、5−{[4−(2−(1−インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(DRF2189)、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−エトキシ)]ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(BM−13.1246)、5−(2−ナフチルスルホニル)−チアゾリジン−2,4−ジオン(AY−31637)、ビス{4−[(2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニル)メチル]フェニル}メタン(YM268)、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(AD−5075)、5−[4−(1−フェニル−1−シクロプロパンカルボニルアミノ)−ベンジル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(DN−108)5−{[4−(2−(2,3−ジヒドロインドール−1−イル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロ−フェニル])−2−プロピニル]−5−フェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロフェニル])−2−プロピニル]−5−(4−フルオロフェニル−スルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{[4−(2−(メチル−2−ピリジニル−アミノ)−エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ロシグリタゾン)、5−{[4−(2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ)フェニル]−メチル}チアゾリジン−2,4−ジオン(ピオグリタゾン)、5−{[4−((3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2H−1−ベンゾピラン−2−イル)メトキシ)−フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(トログリタゾン)、5−[6−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)ナフタレン−2−イルメチル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(MCC555)、5−{[2−(2−ナフチル)−ベンゾオキサゾール−5−イル]−メチル}チアゾリジン−2,4−ジオン(T−174)および5−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イルメチル)−2−メトキシ−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)ベンズアミド(KRP297))が含まれる。
【0153】
さらなる抗糖尿病薬には、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPases)の阻害剤、抗糖尿病性の非低分子の模倣化合物およびグルタミン−フルクトース−6−ホスフェートアミドトランスフェラーゼ(GFAT)の阻害剤などの、インシュリンシグナル伝達経路のモジュレーター;グルコース−6−ホスファターゼ(G6Pase)の阻害剤、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ(F−1,6−Bpase)の阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)の阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニストおよびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)の阻害剤などの、調節不全の肝臓のグルコース産生に影響を与える化合物;ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDHK)阻害剤;胃内容排出の阻害剤;インシュリン;GSK−3の阻害剤;レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト;ベータ−3ARのアゴニスト;脱共役タンパク質(UCP)のアゴニスト;非グリタゾン型PPARγアゴニスト;デュアルのPPARα/PPARγアゴニスト;抗糖尿病性バナジウム含有化合物;グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)およびGLP−1アゴニストなどのインクレチンホルモン;ベータ−細胞イミダゾリン受容体アンタゴニスト;ミグリトール;α−アドレナリン拮抗薬;およびそれらの医薬的に許容し得る塩が含まれる。
【0154】
用語「肥満低減剤」には、リパーゼ阻害剤(例えば、オーリスタット)および食欲抑制薬(例えば、シブトラミンおよびフェンテルミン)が含まれる。
【0155】
アルドステロンシンターゼ阻害剤またはその医薬的に許容し得る塩は、アルドステロンの産生を阻害する特性を有する有効成分であると理解される。アルドステロンシンターゼ(CYP11B2)は、副腎皮質においてアルドステロン産生の最終段階、即ち、11−デオキシコルチコステロンからアルドステロンへの変換を触媒する、ミトコンドリアのチトクロムP450酵素である。いわゆるアルドステロンシンターゼ阻害剤によるアルドステロン産生の阻害は、低カリウム血症、高血圧症、うっ血性心不全、心房細動または腎不全の処置の成功した変法であると知られている。そのようなアルドステロンシンターゼ阻害活性は、当業者により標準的なアッセイに従って容易に測定される(例えば、US2007/0049616)。
【0156】
アルドステロンシンターゼ阻害剤のクラスは、ステロイド性および非ステロイド性アルドステロンシンターゼ阻害剤の両方を含み、後者が最も好ましい。
好ましいのは、購入できるアルドステロンシンターゼ阻害剤または保健機関により認可されたアルドステロンシンターゼ阻害剤である。
【0157】
アルドステロンシンターゼ阻害剤のクラスは、様々な構造的特徴を有する化合物を含む。例えば、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤のアナストロゾール、ファドロゾール(その(+)−エナンチオマーを含む)、並びに、ステロイド性アロマターゼ阻害剤のエキセメスタンからなる群から選択される化合物、または、各場合で適用可能であれば、それらの医薬的に許容し得る塩に言及し得る。
【0158】
最も好ましい非ステロイド性アルドステロンシンターゼ阻害剤は、式
【化20】

のファドロゾール(米国特許第4617307号および4889861号)の塩酸塩の(+)−エナンチオマー、または、適するならば、その医薬的に許容し得る塩である。
【0159】
好ましいステロイド性アルドステロンアンタゴニストは、式
【化21】

のエプレレノン(EP122232A参照)、または、スピロノラクトン;または、各場合で、適するならば、それらの医薬的に許容し得る塩である。
【0160】
該組合せにおいて有用なアルドステロンシンターゼ阻害剤は、例えば、US2007/0049616に、一般的に、そして特定して、特に、化合物の特許請求の範囲および実施例の最終生成物において開示された化合物およびアナログであり、最終生成物の主題、医薬製剤および特許請求の範囲を、この刊行物の参照により本願の一部とする。本発明における使用に適する好ましいアルドステロンシンターゼ阻害剤には、限定せずに、4−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−5−イル)−3−メチルベンゾニトリル;5−(2−クロロ−4−シアノフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−5−カルボン酸(4−メトキシベンジル)メチルアミド;4'−フルオロ−6−(6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]アゼピン−5−イル)ビフェニル−3−カルボニトリル;5−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−5−カルボン酸ブチルエステル;4−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−5−イル)−2−メトキシベンゾニトリル;5−(2−クロロ−4−シアノフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−5−カルボン酸4−フルオロベンジルエステル;5−(4−シアノ−2−トリフルオロメトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル;5−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−5−カルボン酸2−イソプロポキシエチルエステル;4−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−5−イル)−2−メチルベンゾニトリル;4−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−5−イル)−3−フルオロベンゾニトリル;4−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−5−イル)−2−メトキシベンゾニトリル;3−フルオロ−4−(7−メチレン−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−5−イル)ベンゾニトリル;cis−3−フルオロ−4−[7−(4−フルオロ−ベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンゾニトリル;4'−フルオロ−6−(9−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]アゼピン−5−イル)ビフェニル−3−カルボニトリル;4'−フルオロ−6−(9−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]アゼピン−5−イル)ビフェニル−3−カルボニトリル、または、各場合で、それらの(R)または(S)エナンチオマー;または、適するならば、それらの医薬的に許容し得る塩が含まれる。
【0161】
用語アルドステロンシンターゼ阻害剤には、WO2008/076860、WO2008/076336、WO2008/076862、WO2008/027284、WO2004/046145、WO2004/014914、WO2001/076574に開示された化合物およびアナログも含まれる。
【0162】
さらなるアルドステロンシンターゼ阻害剤には、また、米国特許出願US2007/0225232、US2007/0208035、US2008/0318978、US2008/0076794、US2009/0012068、US20090048241およびPCT出願WO2006/005726、WO2006/128853、WO2006128851、WO2006/128852、WO2007065942、WO2007/116099、WO2007/116908、WO2008/119744および欧州特許出願EP1886695に開示された化合物およびアナログが含まれる。本発明における使用に適する好ましいアルドステロンシンターゼ阻害剤には、限定せずに、8−(4−フルオロフェニル)−5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[5,1−c1[1,41オキサジン;4−(5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[5,1−c][1,4]オキサジン−8−イル)−2−フルオロベンゾニトリル;4−(5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[5,1−c][1,4]オキサジン−8−イル)−2,6−ジフルオロベンゾニトリル;4−(5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[5,1−c][1,4]オキサジン−8−イル)−2−メトキシベンゾニトリル;3−(5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[5,1−c][1,4]オキサジン−8−イル)ベンゾニトリル;4−(5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[5,1−c][1,4]オキサジン−8−イル)フタロニトリル;4−(8−(4−シアノフェニル)−5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[5,1−c][1,4]オキサジン−8−イル)ベンゾニトリル;4−(5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[5,1−c][1,4]オキサジン−8−イル)ベンゾニトリル;4−(5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[5,1−c][1,4]オキサジン−8−イル)ナフタレン−1−カルボニトリル;8−[4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル1−5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[5,1−c][1,4]オキサジン(Speedel により開発)、または、各場合で、それらの(R)または(S)エナンチオマー;または、適するならば、それらの医薬的に許容し得る塩が含まれる。
【0163】
用語「エンドセリン受容体遮断薬」には、ボセンタンが含まれる。
用語「CETP阻害剤」は、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)に媒介されるHDLからLDLおよびVLDLへの様々なコレステリルエステルおよびトリグリセリドの転送を阻害する化合物を表す。そのようなCETP阻害活性は、標準的なアッセイ(例えば、米国特許第6,140,343号)に従って当業者により容易に測定される。例には、米国特許第6,140,343号および米国特許第6,197,786号に開示された化合物(例えば、[2R,4S]4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−メトキシカルボニル−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(トルセトラピブ);米国特許第6,723,752号に開示された化合物(例えば、(2R)−3−{[3−(4−クロロ−3−エチル−フェノキシ)−フェニル]−[[3−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−フェニル]−メチル]−アミノ}−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール);米国特許出願番号10/807,838に開示された化合物;米国特許第5,512,548号に開示されたポリペプチド誘導体;J. Antibiot., 49(8): 815- 816 (1996)、および Bioorg. Med. Chem. Lett. 6:1951-1954 (1996) に各々開示された、ロセノノラクトン(rosenonolactone)誘導体およびコレステリルエステルのホスフェート含有アナログが含まれる。さらに、CETP阻害剤には、WO2000/017165、WO2005/095409およびWO2005/097806に開示されたものも含まれる。
好ましいPDE5阻害剤は、シルデナフィルである。
【0164】
特に興味深い第2の物質には、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、カルシウムチャネル遮断薬、利尿剤、DPPIV阻害剤などの抗糖尿病薬、および、アルドステロンシンターゼ阻害剤が含まれる。
【0165】
ある実施態様では、本発明は、治療的有効量の式I'、I、II、IIIまたはIVの定義に従う化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩、および、HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬(CCB)、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、利尿剤、ApoA−I模倣薬、抗糖尿病薬、肥満低減剤、アルドステロン受容体遮断薬、エンドセリン受容体遮断薬、アルドステロンシンターゼ阻害剤(ASI)およびCETP阻害剤から選択される1種またはそれ以上の治療的活性物質を含む組合せ、特に、医薬的組合せを提供する。
【0166】
ある実施態様では、本発明は、対象における中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性の阻害方法を提供し、その方法は、対象に治療的有効量の式I'、I、II、IIIまたはIVの定義に従う化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を投与することを含む。
【0167】
ある実施態様では、本発明は、対象における中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する障害または疾患の処置方法を提供し、その方法は、対象に治療的有効量の式I'、I、II、IIIまたはIVの定義に従う化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を投与することを含む。
【0168】
ある実施態様では、本発明は、対象における中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する障害または疾患の処置方法を提供し、その障害または疾患は、高血圧症、抵抗性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、収縮期高血圧症、末梢血管疾患、心不全、うっ血性心不全、左室肥大、狭心症、腎機能不全(糖尿病性または非糖尿病性)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎疾患の蛋白尿症、腎血管性高血圧症、糖尿病網膜症および末期腎疾患(ESRD)、内皮障害、拡張障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラークの安定化、心筋梗塞(MI)、腎線維症、多発性嚢胞腎疾患(PKD)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、周期性浮腫、メニエール病、高アルドステロン症(原発性および続発性)および高カルシウム尿症、腹水症、緑内障、月経障害、早期分娩、妊娠子癇、子宮内膜症および生殖の障害(特に、雄性および雌性の不妊症、多嚢胞性卵巣症候群、着床不全)、喘息、閉塞性睡眠時無呼吸、炎症、白血病、疼痛、てんかん、うつ病などの感情障害、並びに、認知症および老齢期のせん妄などの精神病性症状、肥満症および胃腸疾患(特に、下痢症および過敏性腸症候群)、創傷治癒(特に、糖尿病性および静脈性潰瘍並びに褥瘡)、敗血症性ショック、胃酸分泌不全、高レニン血症、嚢胞性線維症、再狭窄、2型糖尿病、代謝症候群、糖尿病合併症およびアテローム動脈硬化症、雄性および雌性の性機能不全から選択される。
【0169】
ある実施態様では、本発明は、医薬として使用するための、式I'、I、II、IIIまたはIVの定義に従う化合物を提供する。
ある実施態様では、本発明は、対象における中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する障害または疾患を処置するための、式I'、I、II、IIIまたはIVの定義に従う化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩の使用を提供する。
【0170】
ある実施態様では、本発明は、対象における中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11の活性を特徴とする障害または疾患の処置用の医薬の製造における、式I'、I、II、IIIまたはIVの定義に従う化合物の使用を提供し、該障害または疾患は、特に、高血圧症、抵抗性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、収縮期高血圧症、末梢血管疾患、心不全、うっ血性心不全、左室肥大、狭心症、腎機能不全(糖尿病性または非糖尿病性)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、糖尿病性腎症、非糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎疾患の蛋白尿症、腎血管性高血圧症、糖尿病網膜症および末期腎疾患(ESRD)、内皮障害、拡張障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラークの安定化、心筋梗塞(MI)、腎線維症、多発性嚢胞腎疾患(PKD)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、周期性浮腫、メニエール病、高アルドステロン症(原発性および続発性)および高カルシウム尿症、腹水症、緑内障、月経障害、早期分娩、妊娠子癇、子宮内膜症および生殖の障害(特に、雄性および雌性の不妊症、多嚢胞性卵巣症候群、着床不全)、喘息、閉塞性睡眠時無呼吸、炎症、白血病、疼痛、てんかん、うつ病などの感情障害、並びに、認知症および老齢期のせん妄などの精神病性症状、肥満症および胃腸疾患(特に、下痢症および過敏性腸症候群)、創傷治癒(特に、糖尿病性および静脈性潰瘍並びに褥瘡)、敗血症性ショック、胃酸分泌不全、高レニン血症、嚢胞性線維症、再狭窄、2型糖尿病、代謝症候群、糖尿病合併症およびアテローム動脈硬化症、雄性および雌性の性機能不全から選択される。
【0171】
ある実施態様では、本発明は、対象における中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11の活性を特徴とする障害または疾患を処置するための、式I'、I、II、IIIまたはIVの定義に従う化合物の使用を提供し、その障害または疾患は、高血圧症、抵抗性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、収縮期高血圧症、末梢血管疾患、心不全、うっ血性心不全、左室肥大、狭心症、腎機能不全(糖尿病性または非糖尿病性)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、糖尿病性腎症、非糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎疾患の蛋白尿症、腎血管性高血圧症、糖尿病網膜症および末期腎疾患(ESRD)、内皮障害、拡張障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラークの安定化、心筋梗塞(MI)、腎線維症、多発性嚢胞腎疾患(PKD)、腎不全(浮腫および塩貯留を含む)、周期性浮腫、メニエール病、高アルドステロン症(原発性および続発性)および高カルシウム尿症、腹水症、緑内障、月経障害、早期分娩、妊娠子癇、子宮内膜症および生殖の障害(特に、雄性および雌性の不妊症、多嚢胞性卵巣症候群、着床不全)、喘息、閉塞性睡眠時無呼吸、炎症、白血病、疼痛、てんかん、うつ病などの感情障害、並びに、認知症および老齢期のせん妄などの精神病性症状、肥満症および胃腸疾患(特に、下痢症および過敏性腸症候群)、創傷治癒(特に、糖尿病性および静脈性潰瘍並びに褥瘡)、敗血症性ショック、胃酸分泌不全、高レニン血症、嚢胞性線維症、再狭窄、2型糖尿病、代謝症候群、糖尿病合併症およびアテローム動脈硬化症、雄性および雌性の性機能不全から選択される。
【実施例】
【0172】
本発明の例示:
以下の実施例は、本発明の例示説明を意図し、それに対する限定であると解釈されるべきではない。温度は、摂氏で示す。断りの無い限り、すべての蒸発は減圧下で、典型的には約15mmHgないし100mmHg(=20−133mbar)で実施する。最終生成物、中間体および出発物質の構造は、標準的な分析方法、例えば、微量分析および分光学的特徴、例えば、MS、IR、NMRにより確認される。使用する略号は、当分野で伝統的なものである。
【0173】
本発明の化合物の合成に利用されるすべての出発物質、構成要素、反応物質、酸、塩基、脱水剤、溶媒および触媒は、購入できるか、または、当業者に知られている有機合成法により製造できる(Houben-Weyl 4th Ed. 1952, Methods of Organic Synthesis, Thieme, Volume 21)。さらに、本発明の化合物は、以下の実施例に示される通り、当業者に知られている有機合成法により製造できる。
【0174】
本発明の例示:
略号:
【表2】

【0175】
以下の実施例は、本発明の例示説明を意図し、それに対する限定であると解釈されるべきではない。温度は、摂氏で示す。断りの無い限り、すべての蒸発は減圧下で、好ましくは約15mmHgないし100mmHg(=20−133mbar)で実施する。最終生成物、中間体および出発物質の構造は、標準的な分析方法、例えば、微量分析および分光学的特徴、例えば、MS、IR、NMRにより確認される。使用する略号は、当分野で伝統的なものである。
【0176】
本発明の化合物の合成に利用されるすべての出発物質、構成要素、反応物質、酸、塩基、脱水剤、溶媒および触媒は、購入できるか、または、当業者に知られている有機合成法により製造できる(Houben-Weyl 4th Ed. 1952, Methods of Organic Synthesis, Thieme, Volume 21)。さらに、本発明の化合物は、以下の実施例に示される通り、当業者に知られている有機合成法により製造できる。
【0177】
実施例3−1および3−2ないし3−15の化合物は、NEPに対して、約0.001nMないし約10,000nMの範囲のIC50値を有すると見出された。
【0178】
保持時間の測定条件は、以下の通りである:
HPLC条件A:
カラム:INERTSIL C8−3、3μmx33mmx3.0mm、40℃で。
流速:2mL/分
移動相:A)HO中、0.5mMギ酸アンモニウム;B)CHCN中、50%MeOH
グラジエント:2分間で5%Bから95%Bへの直線状グラジエント
検出:210−400nmで、DAD−UV
【0179】
HPLC条件B:
カラム:INERTSIL C8−3、3μmx33mmx3.0mm、40℃で。
流速:2mL/分
移動相:A)HO中、0.1%ギ酸;B)CHCN中、50%MeOH
グラジエント:2分間で5%Bから95%Bへの直線状グラジエント
検出:210−400nmで、DAD−UV
【0180】
HPLC条件C:
カラム:INERTSIL C8−3、3μmx33mmx3.0mm、40℃で。
流速:2mL/分
移動相:A)HO中、0.5mMギ酸アンモニウム;B)CHCN中、50%MeOH
グラジエント:2分間で40%Bから95%Bへの直線状グラジエント
検出:210−400nmで、DAD−UV
【0181】
HPLC条件D:
カラム:INERTSIL C8−3、3μmx33mmx3.0mm、40℃で。
流速:2mL/分
移動相:A)HO中、0.1%ギ酸;B)CHCN中、50%MeOH
グラジエント:2分間で40%Bから95%Bへの直線状グラジエント
検出:210−400nmで、DAD−UV
【0182】
相対的立体化学は、二次元NMRを使用して決定した。反応条件下で、ビス−フェニルメチル基を有する立体中心のラセミ化は期待されない。従って、相対的立体化学およびビスフェニルメチル基を有する中心の立体化学に基づいて、絶対的立体化学を決定した。
【0183】
実施例1−1:(S)−2−[(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−プロピオン酸エチルエステルの合成
【化22】

【0184】
ジクロロメタン(60mL)および飽和NaHCO水溶液(10mL)中の(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−1−エトキシカルボニル−エチルアミノ)−プロピオン酸(4.0g、10.84mmol)の懸濁液に、トリホスゲン(1.90g、6.39mmol)を添加した。0.5時間激しく撹拌した後、反応混合物をEtOAcで希釈し、減圧下で部分的に濃縮した。飽和NaHCO水溶液の添加により過剰のトリホスゲンをクエンチし、0.5時間撹拌した。混合物をEtOAcで抽出し、塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解した。混合物に、トリエチルアミン(1.93mL、13.8mmol)および5−アミノ−1H−テトラゾール(1.18g、13.84mmol)を0℃で添加し、反応混合物を徐々に室温に温めた。2時間撹拌した後、反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:ジクロロメタン中、10%MeOH)により精製し、所望のトランス異性体生成物およびシス異性体の混合物を得た。得られた物質をCHCNから3回再結晶し、(S)−2−[(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−プロピオン酸エチルエステル(3.92g)を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.11 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 1.15 (d, 3H, J = 6.8 Hz), 2.89 (dd, 1H, J = 8.1, 13.7 Hz), 3.02 (dd, 1H, J = 5.8, 14.0 Hz), 3.27-3.36 (m, 1H), 3.75-3.83 (m, 1H), 4.01 (q, 2H, J = 7.1 Hz), 7.34 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.38-7.42 (m, 1H), 7.47 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.60-7.65 (m, 3H), 7.69 (dd, 1H, J = 1.8, 1.8 Hz); MS: m/z (MH+) 443; HRMS: C22H23ClN6O3(M)+ についての計算値442.1, 実測値442.1; EA: C21H23ClN6O3についての計算値: C, 56.95; H, 5.23; N, 18.97. 実測値: C, 56.88; H, 5.07; N, 19.1.
キラルHPLC保持時間 = 9.26 分 [条件: Daicel CHIRALCEL OJ-H 4.6x100mm); 流速 = 1ml/分; 溶離剤: 20% EtOH (0.1% TFAを含む)、ヘプタン中]。
【0185】
以下の化合物は、実施例1−1と同様の方法を使用して、適当な中間体を用いて製造した:
【表3】

【0186】
【表4】

【0187】
【表5】

【0188】
【表6】

【0189】
【表7】

【0190】
実験1−11. (S)−2−{(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−[メチル−(1H−テトラゾール−5−イル)−カルバモイル]−エチルアミノ}−プロピオン酸エチルエステル
【化23】

【0191】
ジクロロメタン(4mL)および飽和NaHCO水溶液(1mL)中の(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−1−エトキシカルボニル−エチルアミノ)−プロピオン酸(225mg、0.599mmol)の懸濁液に、トリホスゲン(178mg、0.599mmol)を添加した。10分間激しく撹拌した後、反応混合物をEtOAcで希釈し、減圧下で部分的に濃縮した。飽和NaHCO水溶液の添加により過剰のトリホスゲンをクエンチし、0.5時間撹拌した。混合物をEtOAcで抽出し、塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をジクロロメタン(5mL)に溶解した。混合物に、トリエチルアミン(0.167mL、1.197mmol)および[1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−テトラゾール−5−イル]−メチル−アミン(197mg、0.898mmol)を添加し、45℃で終夜撹拌した。さらなるトリエチルアミン(0.167mL、1.197mmol)および[1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−テトラゾール−5−イル]−メチル−アミン(197mg、0.898mmol)を添加し、45℃で30時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:10%MeOH、DCM中)により精製し、(S)−2−((S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−{[1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−テトラゾール−5−イル]−メチル−カルバモイル}−エチルアミノ)−プロピオン酸エチルエステル(261mg)を得た。MS: m/z (MH+) 577; HPLC 保持時間 1.36 分 (HPLC 条件 C).
【0192】
次に、(S)−2−((S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−{[1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−テトラゾール−5−イル]−メチル−カルバモイル}−エチルアミノ)−プロピオン酸エチルエステル(260mg、0.451mmol)をTFA(5mL)およびDCM(5mL)に溶解し、50℃で12時間、そして75℃で5時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、(S)−2−{(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−[メチル−(1H−テトラゾール−5−イル)−カルバモイル]−エチルアミノ}−プロピオン酸エチルエステル(120mg)を得た。MS: m/z (MH+) 457; HPLC 保持時間 0.95 分 (HPLC 条件 C).
【0193】
実施例1−1と同様の方法を使用し、適当な中間体を用いて、以下の化合物を製造した:
【表8】

【0194】
実施例1−14:(S)−2−[(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エトキシ]−プロピオン酸エチルエステル
【化24】

THF(5ml)中の(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−1−エトキシカルボニル−エトキシ)−プロピオン酸(62mg、0.165mmol)の溶液に、室温で、5−アミノテトラゾール(38.0mg、0.447mmol)、DIPEA(0.086mL、0.494mmol)を添加し、続いて1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(0.060mL、0.387mmol)を添加した。反応を室温で3時間撹拌した。反応を塩水によりクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。HPLC 保持時間 = 0.99 分 (条件 C); MS (m+1) = 444.
【0195】
実施例2−1:(S)−2−[(R)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−プロピオン酸エチルエステル
【化25】

実施例1−1に記載の方法で得られたシス異性体を、逆相HPLC(Sunfire C-18 カラム、0.1%TFA、HO/CHCN中)で単離し、(S)−2−[(R)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−プロピオン酸エチルエステルを得た;1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.07 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 1.12 (d, 3H, J = 6.8 Hz), 2.88 (dd, 1H, J = 8.1, 13.6 Hz), 3.04 (dd, 1H, J = 6.1, 13.6 Hz), 3.18-3.26 (m, 1H), 3.69-3.78 (m, 1H), 3.87-4.03 (m, 2H), 7.35 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.37-7.42 (m, 1H), 7.47 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.58-7.65 (m, 3H), 7.68-7.72 (m, 1H); MS: m/z (MH+) 443.
【0196】
実施例1−1および2−1と同様の方法を使用し、適当な中間体を用いて、以下の化合物を製造した:
【表9】

【0197】
【表10】

【0198】
実施例3−1:(S)−2−[(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−プロピオン酸
【化26】

(S)−2−[(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−プロピオン酸エチルエステル(100mg、0.226mmol)を、2M NaOH水溶液(2mL)およびEtOH(0.5mL)で処理した。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を2M HClで酸性化し、pH1に調節した。得られた沈殿を濾過により回収した。得られた物質をEtOHから結晶化し、(S)−2−[(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−プロピオン酸(94mg)を得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ1.15 (d, 3H, J = 7.1 Hz), 2.94 (dd, 1H, J = 7.3, 13.7 Hz), 3.03 (dd, 1H, J = 6.3, 13.6 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 7.1, 13.9 Hz), 3.81 (dd, 1H, J = 6.9, 6.9 Hz), 7.33 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.38-7.42 (m, 1H), 7.47 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.59-7.64 (m, 3H), 7.69 (dd, 1H, J = 1.8, 1.8 Hz), 15.9 (bs, 1H); MS: m/z (MH+) 415; HRMS: C19H19ClN6O3 (M)+ についての算出値414.1、実測値414.1
キラルHPLC 保持時間 = 13.17 分 [条件: Daicel CHIRALPAK IA 4.6x100mm); 流速 = 1ml/分; 溶離剤: 20% EtOH (0.1% TFAを含む)、ヘプタン中]。
【0199】
実施例3−2:(S)−2−[(S)−2−(2',5'−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−プロピオン酸
【化27】

DCM(2mL)中の(S)−2−[(S)−2−(2',5'−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−プロピオン酸tert−ブチルエステル(103mg、0.204mmol)に、TFA(1mL)およびトリエチルシラン(0.098mL、0.611mmol)を添加した。8時間撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(Sunfire C-18カラム、溶離剤:0.1%TFA、HO/CH3CN中)により精製し、(S)−2−[(S)−2−(2',5'−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−プロピオン酸を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6+TFA-d) δ1.49 (d, 3H, J = 7.1 Hz), 3.29 (dd, 1H, J = 7.6, 13.9 Hz), 3.42 (dd, 1H, J = 7.1, 14.2 Hz), 4.13 (dd, 1H, J = 7.1, 14.0 Hz), 4.62 (dd, 1H, J = 7.3, 7.3 Hz), 7.37 (d, 1H, J = 2.5 Hz), 7.37-7.43 (m, 2H), 7.40 (d, 2H, J = 4.3 Hz), 7.48 (dd, 1H, J = 2.5, 8.6 Hz), 7.59 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 14.89 (bs, 1H); HPLC 保持時間 1.25 分 (条件 A); MS: m/z (MH+) 449.
【0200】
実施例3−1または3−2と同様の方法を使用し、適当な出発物質および条件で、以下の化合物を製造した:
【表11】

【0201】
【表12】

【0202】
【表13】

【0203】
【表14】

【0204】
【表15】

【0205】
【表16】

【0206】
実施例 3-3: 1H NMR (400MHz, DMSO-d6+TFA-d) δ 1.48 (d, 3H, J = 7.1 Hz), 3.27 (dd, 1H, J = 8.8, 13.1 Hz), 3.47 (dd, 1H, J = 6.1, 13.4 Hz), 4.03 (dd, 1H, J = 7.1, 14.1 Hz), 4.47 (dd, 1H, J = 7.3, 7.3 Hz), 7.37-7.42 (m, 5H), 7.47 (dd, 1H, J = 2.8, 8.6 Hz), 7.58 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 14.89 (bs, 1H).
実施例 3-4: 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.37 (d, 3H, J = 6.8 Hz), 3.20 (d, 2H, J = 6.3 Hz), 3.73-3.87 (bs, 1H), 4.25-4.38 (bs, 1H), 7.33-7.38 (m, 1H), 7.36 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.45 (dd, 2H, J = 7.4, 7.4 Hz), 7.60-7.66 (m, 4H).
実施例 3-5: 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.35-1.43 (m, 3H), 3.20 (bs, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.75-4.00 (m, 1H), 4.36 (bs, 1H), 7.05-7.20 (m, 3H), 7.31 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.45 (d, 2H, J = 8.3 Hz).
実施例 3-6: 1H NMR (400MHz, DMSO-d6+TFA-d) δ 1.48 (d, 3H, J = 7.3 Hz), 3.22 (dd, 1H, J = 7.6, 13.6 Hz), 3.32 (dd, 1H, J = 6.6, 13.9 Hz), 3.96 (dd, 1H, J = 7.3, 14.4 Hz), 4.50 (dd, 1H, J = 7.3, 7.3 Hz), 6.97 (s, 1H), 7.33-7.38 (m, 3H), 7.45 (t, 2H, J = 7.8 Hz), 7.61-7.67 (m, 4H).
実施例 3-7: 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.37 (bd, 3H, J = 4.8 Hz), 3.09-3.26 (m, 2H), 3.67-3.90 (m, 1H), 4.10-4.37 (m, 1H), 5.83 (s, 1H), 7.34 (d, 2H, J = 8.1 Hz ), 7.40-7.45 (m, 1H), 7.48 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.61-7.66 (m, 1H), 7.66-7.73 (m, 3H).
【0207】
実施例 3-8: 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.19-1.39 (m, 3H), 3.05-3.218 (m, 2H), 3.30-4.25 (m, 2H), 5.83 (s, 1H), 7.33 (d, 2H, J = 8.3 Hz ), 7.40-7.44 (m, 1H), 7.48 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.61-7.73 (m, 4H).
実施例 3-9: 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.48-1.57 (m, 3H), 3.05-3.47 (m, 2H), 3.728/3.31 (s×2, total 3H), 4.02-4.21 (m, 1H), 5.61-5.82 (m, 1H), 7.06-7.27 (m, 1H), 7.34-7.76 (m, 7H).
実施例 3-10: 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.35-1.43 (m, 3H), 3.13-3.34 (m, 2H), 3.35-3.95 (m, 1H), 3.73 (s, 3H), 4.08-4.45 (m, 1H), 7.39-7.45 (m, 3H), 7.49 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.62-7.75 (m, 4H).
実施例 3-11: 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.32-1.42 (m, 3H), 3.13-3.34 (m, 2H), 3.35-3.95 (m, 1H), 3.73 (s, 3H), 4.02-4.36 (m, 1H), 7.37-7.45 (m, 3H), 7.49 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.61-7.74 (m, 4H).
実施例 3-12: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.67 - 1.90 (m, 2 H), 2.59 (t, J=7.7 Hz, 2 H), 2.96 (dd, J=13.6, 7.3 Hz, 1 H), 3.07 (dd, J=13.6, 7.1 Hz, 1 H), 3.11 - 3.17 (m, 1 H), 3.78 (t, J=7.1 Hz, 1 H), 7.07 - 7.18 (m, 5 H), 7.33 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.37 - 7.42 (m, 1 H), 7.46 (t, J=8.0 Hz, 1 H), 7.61 (d, J=8.3 Hz, 3 H), 7.68 (t, J=1.8 Hz, 1 H), 12.02 (br. s., 1 H), 15.89 (br. s., 1 H).
【0208】
実施例 3-13: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.91 (t, J=7.5 Hz, 3 H), 1.67 - 1.80 (m, 2 H), 3.08 - 3.27 (m, 2 H), 3.56 (br. s., 3 H), 4.16 (br. s., 1 H), 7.34 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.41 (ddd, J=7.8, 2.0, 1.0 Hz, 1 H), 7.47 (t, J=7.8 Hz, 1 H), 7.61 (dt, J=8.0, 1.5, 1.1 Hz, 1 H), 7.64 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.68 (t, J=1.8 Hz, 1 H), 12.27 (br. s., 1 H), 16.09 (br. s., 1 H).
実施例 3-14: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 2.83 - 2.91 (m, 2 H), 2.91 - 3.11 (m, 2 H), 3.56 (br. s., 2 H), 3.88 (br. s., 1 H), 7.14 - 7.20 (m, 3 H), 7.20 - 7.26 (m, 2 H), 7.29 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.38 - 7.42 (m, 1 H), 7.47 (t, J=7.8 Hz, 1 H), 7.56 - 7.63 (m, 3 H), 7.68 (t, J=1.9 Hz, 1 H), 11.92 (br. s., 1 H), 15.91 (br. s., 1 H).
実施例 3-15: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 2.81 - 3.03 (m, 4 H), 3.51 (t, J=6.4 Hz, 1 H), 3.79 (t, J=6.2 Hz, 1 H), 7.14 - 7.29 (m, 7 H), 7.38 - 7.42 (m, 1 H), 7.47 (t, J=7.8 Hz, 1 H), 7.55 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.59 (dt, J=7.6, 1.4 Hz, 1 H), 7.66 (t, J=1.9 Hz, 1 H), 11.78 (br. s., 1 H), 15.86 (br. s., 1 H).
実施例 3-16: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 2.97 (dd, 1H, J = 7.1, 13.6 Hz), 3.07 (dd, 1H, J = 6.3, 13.6Hz), 3.47 (dd, 1H, J = 5.1, 5.1 Hz), 3.58 (d, 2H, J = 5.1 Hz), 3.87 (dd, 1H, J = 6.6 Hz), 4.41 (d, 1H, J = 12.4 Hz), 4.46 (d, 1H, J = 12.1 Hz), 7.22-7.36 (m, 7H), 7.38-7.42 (m, 1H), 7.47 (t, 1H, j = 7.8 Hz), 7.58-7.64 (m, 3H), 7.68 (t, 1H, J = 1.8 Hz).
実施例 3-17: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 2.97-3.13 (m, 2H), 3.21 (s, 3H), 3.40-3.61 (m, 3H), 3.76-4.01 (m, 1H), 7.34 (d, J = 8.34 Hz, 2H), 7.38-7.43 (m, 1H), 7.47 (t, J = 8.08 Hz, 1H), 7.59-7.65 (m, 3H), 7.69 (bt, J = 1.77 Hz, 1H).
実施例 3-18: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 1.31 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 3.05 - 3.18 (m, 2 H), 4.03 (q, J=6.8 Hz, 1 H), 4.58 (t, J=6.3 Hz, 1 H), 7.35 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.37 - 7.42 (m, 1 H), 7.47 (t, J=7.8 Hz, 1 H), 7.55 - 7.65 (m, 3 H), 7.66 - 7.72 (m, 1 H), 12.13 (br. s., 1 H), 12.69 (br. s., 1 H), 15.96 (br. s., 1 H)
【0209】
実施例3−19:(S)−2−[(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロピオン酸
実施例3−20:(S)−2−[(S)−2−ビフェニル−4−イル−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロピオン酸
【化28】

【0210】
EtOAc(1mL)およびEtOH(1mL)中の(S)−3−ベンジルオキシ−2−[(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−プロピオン酸エチルエステル(47mg、0.090mmol)の溶液に、5%Pd−C(9.6mg、0.0045mmol)を添加した。Hガスをバルーンで加え、反応混合物を50℃で6時間撹拌した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を濃縮した。残渣を逆相HPLC(Sunfire C-18 カラム、溶離剤:0.1%TFA、HO/CH3CN中)により精製し、(S)−2−[(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロピオン酸および(S)−2−[(S)−2−ビフェニル−4−イル−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロピオン酸を得た。
(S)−2−[(S)−2−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロピオン酸;NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 2.99-3.14 (m, 2H), 3.50-3.67 (m, 3H), 3.86-3.98 (m, 1H), 7.34 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.38-7.42 (m, 1H), 7.47 (t, 2H, J = 7.8 Hz), 7.58-7.70 (m, 4H) ); HPLC 保持時間 1.17 分 (条件 A); MS: m/z (MH+) 431.
(S)−2−[(S)−2−ビフェニル−4−イル−1−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−エチルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロピオン酸;NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 3.18 (dd, 1H, J = 7.6, 13.4 Hz), 3.24-3.36 (m, 1H), 3.66-3.87 (m, 3H), 4.17-4.37 (m, 1H), 7.32 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.32-7.38 (m, 1H), 7.44 (t, 2H, J = 7.8 Hz), 7.56-7.67 (m, 4H) ); HPLC 保持時間 1.00 分 (条件 A); MS: m/z (MH+) 397.
【0211】
実施例4−1:(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−2−メタンスルホニルアミノ−1−メチル−2−オキソ−エチルアミノ)−N−(1H−テトラゾール−5−イル)−プロピオンアミド
【化29】

実施例1−1と同様の方法を使用して、実施例4−1を製造した。NMR (400MHz, DMSO-d6+TFA-d) δ 1.21 (d, J = 6.32 Hz, 3H), 2.92-3.05 (m, 1H), 3.05-3.14 (m, 1H), 3.17 (s, 3H), 3.34-3.46 (m, 1H), 3.82-3.95 (m, 1H), 7.35 (d, J = 8.08 Hz, 2H), 7.39-7.43 (m, 1H), 7.47 (t, J = 7.83 Hz), 7.60-7.66 (m, 3H), 7.68-7.22 (m, 1H) ); HPLC 保持時間 1.21 分 (条件 A); MS: m/z (MH+) 492.
【0212】
出発物質または中間体は、以下の方法で製造した:
中間体1:(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−1−エトキシカルボニル−エチルアミノ)−プロピオン酸
【化30】

【0213】
工程1:1,2−ジメトキシエタン(180mL)中のBoc−L−4−ブロモフェニルアラニン(15.0g、43.6mmol)、3−クロロフェニルボロン酸(8.52g、54.5mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.51g、1.31mmol)の溶液に、2M NaCO水溶液(33mL)を添加した。反応混合物を85℃に加熱した。2時間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈した。混合物を1M HClおよび塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:10%MeOH、ジクロロメタン中)で精製し、(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸(13.6g)を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.43 (s, 9H), 3.08-3.17 (m, 1H), 3.21-3.31 (m, 1H), 4.65 (bs, 1H), 5.01 (bs, 1H), 7.23-7.32 (m, 3H), 7.45-7.50 (m, 2H), 7.52-7.60 (m, 1H), 7.63-7.70 (m, 2H); MS: m/z (MH+) 376.
【0214】
工程2:DMF(130mL)中の(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸(12.9g、34.3mmol)の溶液に、臭化ベンジル(8.16mL、68.6mmol)およびNaHCO(5.77g、68.6mmol)を添加した。室温で終夜撹拌した後、反応混合物をEtOAcで希釈した。混合物をHOおよび塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を4M HClで、ジオキサン(30mL)中で処理し、2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、得られた残渣をiPrOですすぎ、(S)−2−アミノ−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸ベンジルエステル(11.2g)を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 3.14 (dd, 1H, J = 7.7, 12.0 Hz), 3.27 (dd, 1H, J = 5.9, 12.0 Hz), 4.38 (dd, 1H, J = 5.9, 7.7 Hz), 5.15 (s, 2H), 7.23-7.27 (m, 2H), 7.30-7.34 (m, 5H), 7.42-7.45 (m, 1H), 7.51 (dd, 1H, J = 7.6, 7.6 Hz), 7.61-7.66 (m, 3H), 7.69 (dd, 1H, J = 1.8, 1.8 Hz), 8.64 (bs, 2H); MS: m/z (MH+) 366.
【0215】
工程3:ジクロロメタン(100mL)中の(S)−2−アミノ−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸ベンジルエステル(10.0g、24.9mmol)の溶液に、トリエチルアミン(10.4mL、74.6mmol)を0℃で添加した。10分間撹拌した後、エチル(R)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)プロピオネート(9.3mL、49.5mmol)を室温で添加し、1時間撹拌した。さらなるトリエチルアミン(10.4mL、74.6mmol)およびエチル(R)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)プロピオネート(9.3mL、49.5mmol)を室温で添加し、さらに2時間撹拌した。反応混合物をHOで洗浄し、有機層を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)により精製し、(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−1−エトキシカルボニル−エチルアミノ)−プロピオン酸ベンジルエステル(10.6g)を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.21 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 1.27 (d, 3H, J = 6.8 Hz), 1.89 (bs, 1H), 2.95-3.07 (m, 2H), 3.38 (dd, 1H, J = 6.8, 14.8 Hz), 3.69 (dd, 1H, J = 7.1, 7.1 Hz), 4.06-4.17 (m, 2H), 5.06 (d, 1H, J = 12.1 Hz), 5.12 (d, 1H, J = 12.1 Hz), 7.20-7.25 (m, 4H), 7.28-7.34 (m, 4H), 7.35 (dd, 1H, J = 7.6, 7.6 Hz), 7.41-7.46 (m, 3H), 7.53 (dd, 1H, J = 1.5, 1.5 Hz); MS: m/z (MH+) 466.
【0216】
工程4:EtOAc(200mL)中の(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−1−エトキシカルボニル−エチルアミノ)−プロピオン酸ベンジルエステル(10.0g、21.5mmol)および5%Pd/炭素(0.914g)の懸濁液を、H(バルーン)で処理し、10−15℃で1.5時間、室温で0.5時間撹拌した。得られた沈殿をメタノールに溶解し、セライトパッドで濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をEtOAcから再結晶、(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−1−エトキシカルボニル−エチルアミノ)−プロピオン酸(5.6g)を得た。母液を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、さらなる量の(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−1−エトキシカルボニル−エチルアミノ)−プロピオン酸(1.4g)を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.13 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 1.15 (d, 3H, J = 6.8 Hz), 2.85 (dd, 1H, J = 7.1, 14.1 Hz), 2.93 (dd, 1H, J = 6.3, 13.6 Hz), 3.30-3.37 (m, 1H), 3.48 (dd, 1H, J = 6.5, 6.5 Hz), 4.03 (q, 2H, J = 7.1 Hz), 7.32 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.38-7.43 (m, 1H), 7.48 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.59-7.65 (m, 3H), 7.70 (dd, 1H, J = 2.0, 2.0 Hz); MS: m/z (MH+) 376.
【0217】
中間体2:(S)−2−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−エチルアミノ)−3−(2',5'−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸
【化31】

中間体1を製造するための工程1(3−クロロフェニルボロン酸の代わりに2,5−ジクロロフェニルボロン酸を使用した)および工程2と同じ方法を使用して、((S)−2−アミノ−3−(2',5'−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸ベンジルエステル塩酸塩を製造した。
【0218】
工程3':DCM(5mL)中の(R)−2−ヒドロキシ−プロピオン酸tert−ブチルエステル(602mg、4.12mmol)、無水トリフリン酸(0.696mL、4.12mmol)および2,6−ルチジン(0.480mL、4.12mmol)から、t−ブチル(R)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)プロピオネートを製造した。ジクロロメタン(10mL)中の((S)−2−アミノ−3−(2',5'−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸ベンジルエステル塩酸塩(600mg、1.38mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(0.574mL、4.12mmol)を0℃で添加した。10分間撹拌した後、半量の新しく製造したt−ブチル(R)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)プロピオネートを室温で添加し、1時間撹拌した。さらなるトリエチルアミン(0.574mL、4.12mmol)および残りのt−ブチル(R)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)プロピオネートを室温で添加し、さらに2時間撹拌した。反応混合物をHOで洗浄し、有機層を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)により精製し、(S)−2−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−エチルアミノ)−3−(2',5'−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸ベンジルエステル(580mg)を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.24 (t, 3H, J = 6.8 Hz), 1.41 (s, 9H), 3.00-3.07 (m, 2H), 3.26 (dd, 1H, J = 7.1, 13.9 Hz), 3.70 (dd, 1H, J = 7.1, 7.1 Hz), 5.09 (s, 2H), 7.20-7.42 (m, 12H); MS: m/z (MH+) 528.
【0219】
工程4':EtOAc(10mL)中の(S)−2−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−エチルアミノ)−3−(2',5'−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸ベンジルエステル(580mg、1.10mmol)および5%Pd/炭素(0.146g)の懸濁液を、H(バルーン)で処理し、室温で1.5時間撹拌した。得られた沈殿をメタノールに溶解し、セライトパッドで濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をEtOAcから再結晶し、(S)−2−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−エチルアミノ)−3−(2',5'−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸(438mg)を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.12 (d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.35 (s, 9H), 2.84 (dd, 2H, J = 7.3, 13.6 Hz), 2.95 (dd, 2H, J = 6.1, 13.6 Hz), 3.20 (dd, 1H, J = 6.8, 13.6 Hz), 3.48 (dd, 1H, J = 6.1, 7.3 Hz), 7.33 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.37 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.42-7.49 (m, 2H), 7.60 (d, 2H, J = 8.6 Hz) ; MS: m/z (MH+) 438.
【0220】
中間体1または中間体2と同様の方法を使用し、適切な反応物質を用いて、以下の中間体を製造した:
【表17】

【0221】
【表18】

【0222】
中間体9:[1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−テトラゾール−5−イル]−メチル−アミン
【化32】

DMF(30mL)中の5−アミノ−1H−テトラゾール(1.50g、17.6mmol)の懸濁液に、CsCO(8.62g、26.4mmol)およびPMBCl(2.90g、18.5mmol)を添加した。60℃で3時間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈した。混合物をHOおよび塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をDCMで希釈し、得られた沈殿を濾過により回収し、1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−テトラゾール−5−イルアミン(0.625g)を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 3.73 (s, 3H), 5.27 (s, 2H), 6.78 (s, 2H), 6.92 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.21 (d, 2H, J = 8.8 Hz).
【0223】
次に、MeOH(10mL)中の1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−テトラゾール−5−イルアミン(600mg、2.92mmol)の懸濁液に、パラホルムアルデヒド(132mg、4.39mmol)およびナトリウムメトキシド(632mg、25wt%、MeOH中)を添加した。懸濁液が澄んだ溶液になるまで、混合物を30分間還流した。混合物を室温に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(332mg、8.77mmol)を数回に分けて添加した。反応混合物を再度15分間還流した。室温に冷却した後、反応をHOでクエンチした。混合物をEtOAcで希釈し、部分的に濃縮し、塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:10%MeOH、DCM中)で精製し、[1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−テトラゾール−5−イル]−メチル−アミン(0.63g)を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.00 (d, 3H, J = 5.3 Hz), 3.61 (bs, 1H), 3.82 (s, 3H), 5.25 (s, 2H), 6.91 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.16 (d, 2H, J = 8.8 Hz); MS: m/z (MH+) 220.
【0224】
中間体1または中間体2と同様の方法を使用して、適当な反応物質を用いて、以下の中間体を製造した:
【表19】

【0225】
中間体11:(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−1−エトキシカルボニル−エトキシ)−プロピオン酸
【化33】

【0226】
工程1:氷浴中の4−ブロモ−L−フェニルアラニン(2.5g、10.24mmol)および酢酸(20ml)と水(75ml)の溶媒の混合物に、水(20.00ml)中の亜硝酸ナトリウム(2.120g、30.7mmol)の溶液を滴下して添加した。混合物をゆっくりと室温に温め、終夜撹拌した。懸濁液にTHF中のメチルアミン(20.48mL、41.0mmol)をゆっくりと滴下して添加し、混合物は透明に変わり、それを室温で1時間撹拌した。混合物を濃縮してTHFを除去し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、オフホワイト色の固体として粗生成物を得た:1.7g(収率:43%)。HPLC保持時間=0.83分(条件A);MS(m+2)=246。
【0227】
工程2:DME(60ml)中の(S)−3−(4−ブロモ−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロピオン酸(1.5g、6.12mmol)の溶液に、室温で3−クロロベンゼンボロン酸(1.436g、9.18mmol)を添加し、続いて水性NaCO(6.12mL、12.24mmol)およびPd(PhP)(0.212g、0.184mmol)を添加した。混合物を85℃で終夜撹拌した。反応にさらにEtOAcを添加し、1N HClによりPH約5に酸性化した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をHPLC(20から80%へ、ACN−HO(0.1%TFA))により精製し、白色固体を得た:550mg(収率:32%)。HPLC保持時間=1.23分(条件A);MS(m−1)=275。
【0228】
工程3:THF(6ml)中の(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−ヒドロキシ−プロピオン酸ベンジルエステル(282mg、0.769mmol)の溶液に、−78℃で、LiHMDS/THF(1.999mL、1.999mmol)を添加し、得られた黄色の混合物を−78℃で25分間撹拌し、次いで、(R)−エチル2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)プロパノエート(0.860mL、4.61mmol)を−20℃で添加した。1時間で反応はほぼ完了した。反応を飽和NH4Clでクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、濾過し、濃縮した。残渣をHPLC(75から100%へ、ACN−HO(0.1%TFA))により精製し、生成物を得た:140mg(収率:39%)。HPLC保持時間=1.57分(条件C);MS(m+1)=467。
【0229】
工程4:EtOAc中の(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−1−エトキシカルボニル−エトキシ)−プロピオン酸ベンジルエステルおよび10%Pd/C(湿)の混合物を、Hバルーン下で30分間水素化した。反応を濾過して触媒を除去し、濃縮した。残渣をHPLC(15から70%へ、ACN−HO(0.1%TFA))により精製し、油状物を得た:128mg。HPLC保持時間=1.07分(条件C);MS(m−1)=375。
【0230】
中間体12:(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−2−メタンスルホニルアミノ−1−メチル−2−オキソ−エチルアミノ)−プロピオン酸
【化34】

【0231】
工程1:DCM(5mL)中の(S)−2−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−エチルアミノ)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸ベンジルエステル(1.12g、2.27mmol)の溶液に、TFA(5mL)を添加した。3時間撹拌した後、反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:10%MeOH、DCM中)により精製し、(S)−2−((S)−1−カルボキシ−エチルアミノ)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸ベンジルエステルを得た。MS:m/z(MH)438;HPLC保持時間0.73分(HPLC条件C)。
【0232】
工程2:DCM(7mL)および飽和NaHCO水溶液(2mL)中の(S)−2−((S)−1−カルボキシ−エチルアミノ)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸ベンジルエステル(600mg、1.37mmol)の溶液に、トリホスゲン(407mg、1.37mmol)を添加した。0.5時間撹拌した後、反応混合物をEtOAcで希釈し、ガスの発生が完了するまで、さらに0.5時間撹拌した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、濃縮した。これをDCM(7mL)に溶解し、メタンスルホンアミド(195mg、2.06mmol)を添加した。室温で1時間撹拌した後、反応混合物をEtOAcで希釈し、塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:10%MeOH、DCM中)で精製し、(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−2−メタンスルホニルアミノ−1−メチル−2−オキソ−エチルアミノ)−プロピオン酸ベンジルエステルを得た。MS:m/z(MH)515;HPLC保持時間1.58分(HPLC条件A)。
【0233】
工程3:これをEtOAcに溶解した。5%Pd−C(146mg)を添加し、Hバルーンで、室温で1時間水素化した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を濃縮した。得られた固体をMeOHから再結晶し、(S)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−2−((S)−2−メタンスルホニルアミノ−1−メチル−2−オキソ−エチルアミノ)−プロピオン酸を得た。MS:m/z(MH)425;HPLC保持時間1.14分(HPLC条件A)。
【0234】
中間体12−2:(S)−2−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−エチルアミノ)−3−(3'−クロロ−ビフェニル−4−イル)−プロピオン酸ベンジルエステル
【化35】

中間体1および中間体2と同様の方法を使用し、適切な反応物質を用いて、中間体12−2を製造した。MS:m/z(MH)494;HPLC保持時間1.50分(HPLC条件C)。
【0235】
本発明の化合物が中性エンドペプチダーゼ(EC3.4.24.11)活性の阻害剤として有用であり、従って、本明細書に開示した疾患などの中性エンドペプチダーゼ(EC3.4.24.11)活性に関連する疾患および症状の処置に有用であることが理解できる。
本発明は例示として説明されたにすぎず、本発明の範囲および精神の内にありながら、改変を行い得ることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I'):
【化1】

[式中:
は、OH、−O−C1−7アルキル、−NR、−NHS(O)−C1−7アルキルまたは−NHS(O)−ベンジルであり、ここで、RおよびRは、各々独立して、HまたはC1−7アルキルであり;
は、H、C1−6アルキルまたはC6−10−アリール−C1−6アルキルであり、ここで、アルキルは、ベンジルオキシ、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されていることもあり;
は、各々独立して、C1−6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、C1−6−アルキル、シアノまたはトリフルオロメチルであり;
は、OまたはNRであり;
およびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
は、結合またはC1−3アルキレン鎖であり;
は、5員または6員のヘテロアリール、C6−10−アリールまたはC3−7−シクロアルキルであり、ここで、各々のヘテロアリール、アリールまたはシクロアルキルは、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換されていることもあり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシ、C1−7アルコキシ、ハロ、C1−7アルキルまたはハロ−C1−7アルキルであり;または、
、A−Rは、RおよびA−Rが結合している窒素と一体となって、4員ないし7員の複素環または5員ないし6員のヘテロアリールを形成し、これらの各々は、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換されていることもあり;そして、
mは、0または1ないし5の整数であり;
sは、0または1ないし4の整数である]
の化合物またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項2】
式(I):
【化2】

[式中:
は、OHまたはO−C1−6−アルキルを表し;
は、H、C1−6アルキルまたはC6−10−アリール−C1−6アルキルであり;
は、各々独立して、C1−6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、C1−6−アルキル、シアノまたはトリフルオロメチルであり;
およびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
は、結合またはC1−3アルキレン鎖であり;
は、5員または6員のヘテロアリール、C6−10−アリールまたはC3−7−シクロアルキルであり、ここで、各々のヘテロアリール、アリールまたはシクロアルキルは、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換されていることもあり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシ、C1−7アルコキシ、ハロ、C1−7アルキルまたはハロ−C1−7アルキルであり;または、
、A−Rは、RおよびA−Rが結合している窒素と一体となって、4員ないし7員の複素環または5員ないし6員のヘテロアリールを形成し、これらの各々は、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換されていることもあり;そして、
mは、0または1ないし5の整数であり;
sは、0または1ないし4の整数である]
で示される請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項3】
式II:
【化3】

で示される請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項4】
式III:
【化4】

(式中、Xはハロであり、pは0または1ないし4の整数である)で示される請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項5】
式IV:
【化5】

で示される請求項4に記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項6】
式中、
が、OHまたはO−C1−6−アルキルを表し;
が、HまたはC1−6アルキルを表し;
が、各々独立して、C1−6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、C1−6−アルキル、シアノまたはトリフルオロメチルであり;
およびRが、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
が、結合またはC1−3アルキレン鎖であり;
が、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換されていることもある5員または6員のヘテロアリールであり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシ、C1−7アルコキシ、ハロ、C1−7アルキルまたはハロ−C1−7アルキルであり;
mが、0または1ないし5の整数であり;
sが、0または1ないし4の整数である、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項7】
式中、Aが結合またはCHである、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項8】
式中、Rがメチルまたはエチルであり、RおよびRがHである、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項9】
式中、Rが、オキサゾール、ピロール、ピラゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、チオフェン、イミダゾールおよびチアジアゾールからなる群から選択される5員環のヘテロアリールであり、これらの各々は、C1−6アルキル、ハロ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、COHおよびCO1−6アルキルからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されていることもある、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項10】
式中、Rがテトラゾールである、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項11】
式中、XがClである、請求項4ないし請求項10のいずれかに記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容し得る塩、および、1種またはそれ以上の医薬的に許容し得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容し得る塩、および、HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、利尿剤、ApoA−I模倣薬、抗糖尿病薬、肥満低減剤、アルドステロン受容体遮断薬、エンドセリン受容体遮断薬、アルドステロンシンターゼ阻害剤、CETP阻害剤およびホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤から選択される1種またはそれ以上の治療的に活性な物質を含む組合せ。
【請求項14】
それを必要としている対象における、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11の阻害方法であって、治療的有効量の請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を対象に投与することを含む方法。
【請求項15】
それを必要としている対象における、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する障害または疾患の処置方法であって、治療的有効量の請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を対象に投与することを含む方法。
【請求項16】
障害または疾患が、高血圧症、抵抗性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、収縮期高血圧症、末梢血管疾患、心不全、うっ血性心不全、左室肥大、狭心症、腎機能不全、腎不全、糖尿病性腎症、非糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎疾患の蛋白尿症、腎血管性高血圧症、糖尿病網膜症および末期腎疾患(ESRD)、内皮障害、拡張障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラークの安定化、心筋梗塞(MI)、腎線維症、多発性嚢胞腎疾患(PKD)、腎不全、周期性浮腫、メニエール病、高アルドステロン症、高カルシウム尿症、腹水症、緑内障、月経障害、早期分娩、妊娠子癇、子宮内膜症および生殖の障害、喘息、閉塞性睡眠時無呼吸、炎症、白血病、疼痛、てんかん、感情障害、うつ病、精神病性症状、認知症、老齢期のせん妄、肥満症、胃腸疾患、創傷治癒、敗血症性ショック、胃酸分泌不全、高レニン血症、嚢胞性線維症、再狭窄、2型糖尿病、代謝症候群、糖尿病合併症、アテローム動脈硬化症、雄性および雌性の性機能不全から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
医薬として使用するための、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項18】
そのような処置を必要としている対象における、中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11活性に関連する障害または疾患を処置するための、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容し得る塩の使用。
【請求項19】
障害または疾患が、高血圧症、抵抗性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、収縮期高血圧症、末梢血管疾患、心不全、うっ血性心不全、左室肥大、狭心症、腎機能不全、腎不全、糖尿病性腎症、非糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎疾患の蛋白尿症、腎血管性高血圧症、糖尿病網膜症および末期腎疾患(ESRD)、内皮障害、拡張障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラークの安定化、心筋梗塞(MI)、腎線維症、多発性嚢胞腎疾患(PKD)、腎不全、周期性浮腫、メニエール病、高アルドステロン症、高カルシウム尿症、腹水症、緑内障、月経障害、早期分娩、妊娠子癇、子宮内膜症および生殖の障害、喘息、閉塞性睡眠時無呼吸、炎症、白血病、疼痛、てんかん、感情障害、うつ病、精神病性症状、認知症、老齢期のせん妄、肥満症、胃腸疾患、創傷治癒、敗血症性ショック、胃酸分泌不全、高レニン血症、嚢胞性線維症、再狭窄、2型糖尿病、代謝症候群、糖尿病合併症、アテローム動脈硬化症、雄性および雌性の性機能不全から選択される、請求項18に記載の使用。

【公表番号】特表2013−510835(P2013−510835A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538365(P2012−538365)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067781
【国際公開番号】WO2011/061271
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】